(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】一体型の吐出器を備えたカテーテルおよび関連方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20240621BHJP
A61M 25/09 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A61M25/06 500
A61M25/09 530
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023580563
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 EP2022067751
(87)【国際公開番号】W WO2023275059
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591002131
【氏名又は名称】ベー・ブラウン・メルズンゲン・アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】B.BRAUN MELSUNGEN AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】テオ,フイ クーン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA02
4C267AA03
4C267AA32
4C267BB53
4C267CC08
4C267HH03
4C267HH04
4C267HH08
(57)【要約】
カテーテルアセンブリ(100)であって、ハブ本体(120)およびカテーテルチューブ(108)を有するカテーテルハブ(106)を備えたカテーテルユニット(102)、および本体(134)を備えた針ハブ(110)を有し、針内腔を備え、針ハブ(110)の遠位端から延びる針(112)を有する一体型針ユニット(104)を有する。針ハブ(110)は、遠位経路開口部(140a)を有し、遠位経路(140)の端部に取り付けられた針(112)を有する遠位経路(140)と、近位経路開口部(144a)および最後端開口部(144b)を有する近位経路(144)と、遠位経路開口部(140a)と近位経路開口部(144a)との間に位置する作業台(136)上の作業面(138)と、を含む。ガイドワイヤ(148)は、任意で遠位経路(140)と近位経路(144)の間を通過し、作業面(138)に対して押される際、ディスペンサが機能する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルアセンブリ(100)であって、
近位開口部(184)を有するハブ本体(120)を有し、カテーテルハブ(106)の遠位端から延びるカテーテルチューブ(108)を有するカテーテルハブ(106)を含むカテーテルユニット(102)を含み、カテーテルチューブ(108)はカテーテルチューブ開口部(116)を有し、
カテーテルアセンブリ(100)はまた、
本体(134)を有する針ハブ(110)を含み、針ハブ(110)の遠位端から延びる針内腔を有する針(112)を有する一体型針ユニット(104)を含み、
針ハブ(110)は、
遠位経路開口部(140a)を有し、遠位経路(140)の端部に取り付けられた針(112)を有する遠位経路(140)と、
近位経路開口部(144a)および最後端開口部(144b)を有する近位経路(144)と、
遠位経路開口部(140a)と近位経路開口部(144a)との間に位置する作業台(136)上の作業面(138)と、を含み、
作業面(138)が本体(134)の一側面で露出している、
カテーテルアセンブリ(100)。
【請求項2】
ガイドワイヤ(148)は、遠位経路(140)、近位経路(144)、および針内腔の少なくとも一部、の両方を通って延びる、
請求項1に記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項3】
第一端(160)を有するチューブ(158)は、針ハブ(110)に直接結合する、
請求項1または2に記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項4】
第一端(160)は、針ハブ(110)の最後端開口部(144b)内に突出する
請求項3に記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項5】
ガイドワイヤ(148)は部分的にチューブ(158)の内側に配置される、
請求項3または4に記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項6】
チューブ(158)は、第二端(162)を有し、
第二端(162)は、支持されていないか、または第二端(162)は、針ハブ(110)に配置されたソケット(164)に支持されている、
請求項3~5のいずれか1つに記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項7】
ガイドワイヤ(148)が近位端(180)を有し、
近位端(180)は、ガイドワイヤ(148)の遠位側への移動を止めるために針ハブ(110)の最後端開口部(144b)と当接するようなサイズおよび形状を有する、または、
ガイドワイヤ(148)は、拡大部を有し、
拡大部は、ガイドワイヤ(148)の遠位側への移動を止めるために針(112)の内側から針(112)上のクリンプに当接するような大きさおよび形状を有する、
請求項1~6のいずれか1つに記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項8】
針ハブ(110)は、第1の近位経路セクション(144(1))と、針ハブ(110)の近位端面(152)から延びるガイドスタブ(150)と、第1の近位経路セクション(144(1))と位置合わせされた第2の近位経路セクション(144(2))とを有する、
請求項1~7のいずれか1つに記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項9】
針ハブ(110)は、遠位経路(140)に受容キャビティ(246)を有する、
請求項1~8のいずれか1つに記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項10】
受容キャビティ(246)に位置する流量制限器(250)をさらに含み、
流量制限器(250)は、セプタム、バルブ、または疎水性フィルタの1つを含む、
請求項1~9のいずれか1つに記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項11】
針ハブ(110)は、チャネルを有し、作業台(136)はチャネルの一部であり、チャネルは作業面(138)から延びる側壁(264、264)を有する、
請求項1~10のいずれか1つに記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項12】
カテーテルハブ(106)の内部に配置される針ガード(200)をさらに含み、
針ガード(200)は、針(112)によって外側にバイアスされた2つのアームを含む、
請求項1~11のいずれか1つに記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項13】
カテーテルハブ(106)の内部に配置されるバルブ(192)およびバルブオープナ(194)をさらに含む、
請求項12に記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項14】
チューブ(158)が針ハブ(110)に取り付けられ、ガイドワイヤ(148)が部分的にチューブ(158)内に配置され、部分的に針(112)内に配置される、
請求項1~13のいずれか1つに記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項15】
ガイドワイヤ(148)は、遠位経路(140)、および近位経路(144)の両方を通る、
請求項14に記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項16】
カテーテルアセンブリ(100)を製造する方法であって、
方法は、
近位開口部(184)を備えるハブ本体(110)を有し、カテーテルハブ(106)の遠位端から延びるカテーテルチューブ(108)を有するカテーテルハブ(106)を含むカテーテルユニット(102)を形成するステップであって、カテーテルチューブ(108)はカテーテルチューブ開口部(116)を有する、ステップと、
本体(134)を備える針ハブ(110)を含み、針ハブ(110)の遠位端から延びる針内腔を備える針(112)を有する一体型針ユニット(104)を形成するステップと、
を含み、
針ハブ(110)は、
遠位経路開口部(140a)を有し、遠位経路(140)の端部に取り付けられた針(112)を有する遠位経路(140)と、
近位経路開口部(144a)および最後端開口部(144b)を有する近位経路(144)と、
遠位経路開口部(140a)と近位経路開口部(144a)との間に位置する作業台(136)上の作業面(138)と、を含み、
作業面(138)が本体(134)の一側面で露出している、
方法。
【請求項17】
ガイドワイヤ(148)を、近位経路(144)を通して、遠位経路(140)を通して、および少なくとも部分的に針内腔を通して通過させるステップをさらに含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
近位経路(144)と遠位経路(140)との間の作業面において、使用者が押すためにガイドワイヤ(148)を露出させるステップをさらに含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
針ハブ(110)の遠位端で形成される受容キャビティ(246)内に流量制限器(250)を配置するステップをさらに含む、
請求項16~18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
カテーテルアセンブリ(100)を使用する方法であって、カテーテルアセンブリ(100)を保持ハンド片手でカテーテルアセンブリ(100)を握るステップを含み、
カテーテルアセンブリ(100)は、
近位開口部(184)を備えるハブ本体(110)を有し、カテーテルハブ(106)の遠位端から延びるカテーテルチューブ(108)を有するカテーテルハブ(106)を含むカテーテルユニット(102)を含み、カテーテルチューブ(108)はカテーテルチューブ開口部(116)を有し、
カテーテルアセンブリ(100)はまた、
本体(134)を備える針ハブ(110)を含み、針ハブ(110)の遠位端から延びる針内腔を備える針(112)を有する一体型針ユニット(104)を含み、
針ハブ(110)は、
遠位経路開口部(140a)を有し、遠位経路(140)の端部に取り付けられた針(112)を有する遠位経路(140)と、
近位経路開口部(144a)および最後端開口部(144b)を有する近位経路(144)と、
遠位経路開口部(140a)と近位経路開口部(144a)との間に位置する作業台(136)上の作業面(138)と、を含み、
作業面(138)が本体(134)の一側面で露出し、保持ハンドの指を作業台(136)の上に方向付ける、
方法。
【請求項21】
ガイドワイヤ(148)が、遠位経路(140)と近位経路(144)との間を通過し、
ガイドワイヤ(148)を指と作業面(138)との間で、指でガイドワイヤ(148)を押し下げるステップをさらに含む、
請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示された発明は、一般に、静脈内カテーテル、末梢カテーテル、および正中線カテーテル(midline catheter)を含む、針器具および静脈内(IV)注入器具に関する。特に、ガイドワイヤを吐出(dispense)するための片手操作性を有するIVカテーテルアセンブリが開示されている。
【背景技術】
【0002】
静脈内カテーテルは、一般に、患者への輸液、患者からの採血、患者の血管系の各種パラメータのモニタリングなど、様々な輸液療法に使用される。カテーテルは通常、カテーテルに静脈内チューブを取り付けることができるカテーテルアダプタに接続される。血液管理用カテーテルは、雄ルアー(male Luer)または他の物体をカテーテルアダプタの近位端に挿入することにより開放される内部血液管理用バルブを含む。血液管理バルブの非限定的な例は、「Systems and Methods for Providing a Flushable Catheter Assembly」と題された2009年8月20日出願の米国特許出願公開第2011/0046570号に開示されている。カテーテルを患者の血管系に留置した後、点滴流体源(IV fluid source)をカテーテルアダプタまたはカテーテルハブに接続し、血液管理バルブを開くことができる。こうして接続されると、点滴源からの流体がカテーテルを通して患者に流入し始める。
【0003】
当技術分野でよく知られているように、典型的な血圧は10~20cm水柱(centimeter of water)である。輸液バッグは通常、患者の心臓より約100cm高い位置に設置され、患者に流れを誘導する。ほぼその高さでは、輸液バッグからの流体によって及ぼされる圧力は、患者の血圧よりもかなり大きいので、患者に流入することができる。
【0004】
静脈へのアクセスが困難な患者には、延長滞留(extended dwell)カテーテルを使用して静脈内アクセス困難(DIVA)状態を補助することができる。延長滞留カテーテルは、末梢挿入カテーテルと考えられ得る正中線カテーテルである。正中線カテーテルの推奨挿入部位は上腕で、先端は腋窩のすぐ下に位置する部位である。DIVA患者の場合、医師は可視化装置を用いてカテーテル留置のための深部静脈の識別を行うことができる。その場合、延長滞留カテーテルを使用すると、長さが長くなり、患者への挿入がより柔軟になる。ガイドワイヤを加えれば、カテーテルがよじれる(kink)可能性を減らすことができる。
【発明の概要】
【0005】
カテーテルアセンブリの様々な実施形態は、いくつかの特徴を有しており、それらの望ましい属性全てを単独で満たせるものはない。本発明のカテーテルアセンブリの実施形態は、中空の針およびガイドワイヤを運ぶための一体型針ハブ(integrated needle hub)に取り付けられたカテーテルハブを含む。以下に続く特許請求の範囲によって表される本実施形態の範囲を限定することなく、それらの顕著な特徴について簡単に説明する。この考察を考慮した後、特に、詳細な説明と題されたセクションを読んだ後、本実施形態の特徴が、特に、従来のIVC手順を使用して末梢血管アクセスを可能にする統合的設計を含む利点をどのように提供するかを理解するであろう。
【0006】
カテーテルアセンブリが説明される。一実施例では、
近位開口部を有するハブ本体を有し、カテーテルハブの遠位端から延びるカテーテルチューブを有するカテーテルハブを含むカテーテルユニットを含み、カテーテルチューブはカテーテルチューブ開口部を有し、
また、
本体を有する針ハブを含み、針ハブの遠位端から延びる針内腔を有する針を有する一体型針ユニットを含み、
針ハブは、
遠位経路開口部を有し、遠位経路の端部に取り付けられた針を有する遠位経路と、
近位経路開口部および最後端開口部を有する近位経路と、
遠位経路開口部と近位経路開口部との間に位置する作業台(working platform)上の作業面と、を含み、
作業面が本体の一側面で露出している、
カテーテルアセンブリが開示される。
【0007】
カテーテルアセンブリは、針ハブの端部に設けられ、使用準備完了位置でカテーテルハブの近位開口部内に突出するノーズ部をさらに含むことができる。
【0008】
カテーテルアセンブリは、ガイドワイヤ付きで使用することも、標準的な末梢静脈内カテーテル(PIVC)のように、ガイドワイヤなしで使用することもできる。
【0009】
ガイドワイヤは、遠位経路、近位経路、および使用準備完了位置の針内腔の少なくとも一部、の両方を通って延びることができる。
【0010】
第一端を有するチューブは、針ハブに直接結合することができる。
【0011】
針ハブは、ソケットと、ソケットに結合されたチューブの第二端とを有することができる。
【0012】
チューブの第一端は、針ハブの最後端開口部内に突出することができる。
【0013】
ガイドワイヤは部分的にチューブの内側に配置することができる。例えば、ガイドワイヤの近位端はチューブの中空内部まで延びることができる。
【0014】
チューブは、針ハブに取り付けられた第一端と、支持されていないか、または針ハブに配置されたソケットに結合された第二端とを有することができる。
【0015】
ガイドワイヤは、近位端または第二端を有することができ、近位端は、ガイドワイヤの遠位側への移動を止めるために針ハブの最後端開口部と当接するようなサイズおよび形状にすることができる。ガイドワイヤの近位端は、スリーブ、材料盛り上がり部(buildup)またはクリンプなどの拡大要素を有するか、Jループまたはコイル状ループを有することができる。
【0016】
ガイドワイヤは拡大部を有することができ、拡大部は、ガイドワイヤの遠位側への移動を止めるために針の内側から針上のクリンプに当接するような大きさおよび形状である。
【0017】
針ハブは、第1の近位経路セクションと、針ハブの近位端面から延びるガイドスタブ(guide stub)と、第1の近位経路セクションと位置合わせされた第2の近位経路セクションとを有することができる。
【0018】
針ハブは、遠位経路を二分する(bisect)受容キャビティ(receiving cavity)を有することができ、あるいは遠位経路は受容キャビティを通過するか、受容キャビティを起点とすることができる。
【0019】
流量制限器(flow restrictor)は受容キャビティ内に位置することができる。
【0020】
流量制限器は、セプタム(septum:隔膜)、バルブ、または疎水性フィルタであり得る。
【0021】
針ハブは、片手で把持できる大きさと形状にすることができ、作業台の作業面は、片手の指の少なくとも1本がアクセスできるようにすることができる。
【0022】
作業面は、近位経路と遠位経路との間で円弧形状を有することができる。
【0023】
針ハブは、底面、および作業面と底面によって規定される厚さを有することができる。
【0024】
針ハブは、作業台を有するチャネルを有することができ、側壁が作業台の作業面から上方に延びる。
【0025】
針ガード(needle guard)は、カテーテルハブの内部に配置することができ、針ガードは、使用準備完了位置にある針によって外側にバイアスされた2つのアームを含むことができる。
【0026】
カテーテルハブの内部にはバルブとバルブオープナを配置することができる。
【0027】
バルブは複数のフラップを含んでもよく、針ガードはバルブオープナの2つのプランジャ要素の間に配置される。
【0028】
チューブが針ハブに取り付けられ、ガイドワイヤが部分的にチューブ内に配置され、部分的に針内に配置されてもよい。
【0029】
ガイドワイヤは遠位経路と近位経路の両方を通過することができる。
【0030】
本発明の態様にはさらに、カテーテルアセンブリを製造する方法が含まれる。この方法は、近位開口部を有するハブ本体を有し、カテーテルハブの遠位端から延びるカテーテルチューブを有するカテーテルハブを含むカテーテルユニットを形成するステップであって、カテーテルチューブはカテーテルチューブ開口部を有する、ステップと、本体を有する針ハブを含み、針ハブの遠位端から延びる針内腔を有する針を有する一体型針ユニットを形成するステップと、を含み、針ハブは、遠位経路開口部を有し、遠位経路の端部に取り付けられた針を有する遠位経路と、近位経路開口部および最後端開口部を有する近位経路と、遠位経路開口部と近位経路開口部との間に位置する作業台上の作業面と、を含み、作業面が本体の一側面で露出している。
【0031】
本方法はさらに、カテーテルハブの端部にあるノーズ部を、使用準備完了位置にあるカテーテルハブの近位開口部内に突出させることを含むことができる。
【0032】
この方法は、ガイドワイヤを、近位経路を通り、遠位経路を通り、少なくとも部分的に針内腔に通すことをさらに含むことができる。
【0033】
この方法は、近位経路と遠位経路との間の作業面において、使用者が押すためにガイドワイヤを露出させることをさらに含むことができる。
【0034】
この方法は、ガイドワイヤを近位経路に通す前に、針ハブにチューブを取り付けることをさらに含むことができる。
【0035】
この方法は、針ハブの遠位端に形成された受容キャビティに流量制限器を配置することをさらに含み得る。
【0036】
本発明の態様にはさらに、カテーテルアセンブリの使用方法が含まれる。使用する方法は、カテーテルアセンブリを保持ハンド(holding hand)片手でカテーテルアセンブリを握るステップを含み、
カテーテルアセンブリは、
近位開口部を備えるハブ本体を有し、カテーテルハブの遠位端から延びるカテーテルチューブを有するカテーテルハブを含むカテーテルユニットを含み、カテーテルチューブはカテーテルチューブ開口部を有し、
カテーテルアセンブリはまた、
本体を備える針ハブを含み、針ハブの遠位端から延びる針内腔を備える針を有する一体型針ユニットを含み、
針ハブは、
遠位経路開口部を有し、遠位経路の端部に取り付けられた針を有する遠位経路と、
近位経路開口部および最後端開口部を有する近位経路と、
遠位経路開口部と近位経路開口部との間に位置する作業台上の作業面と、を含み、
作業面が本体の一側面で露出し、保持ハンドの指を作業台の上に方向付ける。
【0037】
この方法は、指でガイドワイヤを押し下げて、ガイドワイヤを指と作業面の間に押し込むことをさらに含むことができる。
【0038】
本発明の態様には、カテーテルユニットと針ユニットとを含むカテーテルアセンブリが含まれる。カテーテルユニットは、カテーテルハブと、カテーテルハブから延びるカテーテルチューブとを含んでもよい。
【0039】
針ユニットは、それに取り付けられた針を有する針ハブを含んでもよく、針は、カテーテルハブおよびカテーテルチューブの内腔を通って遠位方向に延び、針先端は、使用準備完了位置ではカテーテルチューブの遠位開口部から遠位方向に突出する。
【0040】
カテーテルハブは、針ハブの遠位端を受容する雌ルアーを備えた近位開口部を有するハブ本体を有することができる。ハブ本体は、連結コーナーに沿って互いに接続された複数の側面を有するか、または以下にさらに説明するように、従来の円錐台状(frusto‐conical)本体を有することができる。ハブ本体の上部には、静脈穿刺に成功した後にカテーテルハブを針ハブから分離するために施術者が押すためのプッシュタブを配置することができる。
【0041】
ノーズ部は、ハブ本体の遠位端に位置することができ、ハブ本体の近位端と遠位端との間に1つ以上のテーパ面を設けるなどして、ハブ本体の近位部分よりも小さい断面寸法を有することができる。オプションとして、ノーズ部を省略することもできる。例えば、フランジ、タブ、またはアームが針ハブから延びて、ノーズ部を使用せずにカテーテルハブに対して固定することができる。ハブ本体は、半透明の外観を有するカテーテルハブに使用される従来のプラスチック材料から作製することができる。
【0042】
針ハブは、長さと幅とを有する本体を含んでもよい。本体は、作業台を含む複数の側面を有する概ね多角形の形状の断面、作業台を有する不規則な形状の断面、または作業台を有する概ね円形の形状の断面を有することができる。
【0043】
作業台は、後述するように、カテーテルアセンブリの使用者または施術者がガイドワイヤを吐出するために人差し指などの指の少なくとも1本を押し当てることができる上面または作業面によって画定することができる。針ハブは、使用準備完了位置でカテーテルハブの内部に突出するノーズ部を有することができる。カテーテルハブは、針ハブのノーズ部を受け入れるための雌ルアーを近位端に有することができる。カテーテルハブはまた、オプションとして、針ガード、バルブおよび/またはバルブオープナを組み込むことができる。
【0044】
一実施例では、針ハブ本体は遠位経路と近位経路を含む。この2つの経路は密閉され得て、それぞれが通路またはボアを含むか、または開放チャネルを含むことができる。この2つの経路は、ガイドワイヤをその中又はその間に通すように配置又は整列させることができる。作業台から、ガイドワイヤは、遠位方向に延び、遠位経路を通り、針の内腔を通って延び、針先端開口部の近位で終端するガイドワイヤ遠位端を有する長さを有することができる。
【0045】
作業台から、ガイドワイヤは、近位方向に延び、針ハブの近位経路を通って出る長さを有することができる。針ハブは、本体の近位端面から延びて近位経路の長さを延長するガイドスタブを組み込むことができる。ガイドスタブは、組み込まれた場合、作業台を起点とする近位経路と整列して連通するボアを有する。ガイドスタブは本体から省略することができ、本体の近位端面には、ガイドワイヤが近位方向に出るための開口部を設けることができる。
【0046】
第一端または遠位端を備える長さを有するチューブは、カテーテルハブの近位端に位置するガイドスタブの開口部またはボアに、干渉嵌合などで係合することができる。任意に、チューブの遠位端をガイドスタブのボア内により恒久的に固定するために接着剤または糊を使用することができる。チューブは可撓性を有し、様々な先行技術のチューブ材料から作製することができる。チューブは中空である、または内腔を有し、ガイドワイヤの近位部(近位経路を通って近位方向に延びる部分)をそこに収納または収容するように設けることができる。チューブの近位端は支持されることができる。例えば、近位端は、針ハブ本体上のソケットに接続することができ、このソケットは、隙間のあるオープンソケットまたは隙間のないクローズドソケットとすることができる。
【0047】
ソケットに係合することにより、チューブはループ状または部分的なループ状に巻かれ、チューブおよびその中に配置されたガイドワイヤを、チューブおよびガイドワイヤが針ハブの近位端からぶら下がらないように設計することができる。他の例では、チューブの近位端でチューブを支持しないこともできる。例えば、チューブは、チューブの第二端で針ハブと係合することなく、針ハブから延びることができる。
【0048】
図示されているように、ガイドワイヤは長さを有し、近位端はチューブの管腔内に位置している。ガイドワイヤがチューブ内をどの程度の長さまで延びるかは、後述するように、ガイドワイヤが針の先端からどの程度吐出されることが許容されるかに依存する。ある実施例では、ガイドワイヤの全長は、使用者によって吐出される際に、ガイドワイヤの近位端が作業台内で終端し、ガイドワイヤの長さの終わりを意味し、したがってガイドワイヤを物理的にそれ以上吐出することができないように選択される。
【0049】
他の実施例では、ガイドワイヤは、一体化されたノッチ、バンプ、盛り上がり部(build-up)、Jループ近位端、またはスリーブなどの拡大部を備えることができ、ガイドワイヤの吐出時に、拡大部は、ガイドスタブ、本体、遠位経路、または近位経路などの針ハブと形成された比較的小さい開口部によって物理的に止められる。さらに他の例では、針はクリンプを有することができ、ガイドワイヤの拡径部が針の内腔内からクリンプに接触すると、ガイドワイヤの遠位への前進が停止される。
【0050】
本明細書で使用するガイドワイヤは、チューブ内で摺動可能または移動可能であり、人差し指などの指を使用してガイドワイヤを作業台の表面に押し付け、同時にガイドワイヤを表面に対して遠位方向に摺動させてガイドワイヤの遠位端を針先から吐出させることができる。
【0051】
ガイドワイヤ吐出器ハウジングを有する別個のガイドワイヤ吐出器(dispenser)なしで、針ユニットは針とガイドワイヤの両方を保有するので、針ユニットは、一体型針ガイドワイヤハブと呼ぶことができ、カテーテルアセンブリは一体型針ガイドワイヤハブを有するカテーテルアセンブリと呼ぶことができる。
【0052】
一実施例では、針ハブの1つ以上の側面に複数の間隔を空けて離間した表面構造(surface feature)を設けることができる。離間した表面構造は、バンプ、凹部、または任意の数の形状のバンプと凹部の組み合わせを具現化することができる。図示されているように、離間して配置された表面構造は、長円形または楕円形を有するバンプであり、円形、正方形、星形、不規則な形状などの他の形状も考えられる。表面構造は、グリップを向上させることも、単に美的特徴として機能させることもできる。
【0053】
ガイドワイヤを備えた本発明のカテーテルアセンブリは片手操作テクニックで操作できる。一実施例では、人差し指を作業台の上または上方に位置させ、針先で血管にアクセスした後、ガイドワイヤを前進させるために、手は針ユニットを上反りポジション(supinated position)で握る。図は右手を示しているが、左手でカテーテルアセンブリを使用することも可能であるため、これは例示に過ぎない。
【0054】
チューブは、第一端又は遠位端がガイドスタブに結合され、チューブの第二端又は近位端がソケットに支持された状態で、手の下でコイル状に巻くことができる。ガイドワイヤの近位端を含むガイドワイヤの一部分は、チューブの管腔内に配置することができ、使用者が前進させる際には、チューブ内で自由に摺動させることができる。
【0055】
代替の実施形態では、チューブの第一端は針ユニットに取り付けられているが、第二端は間隔を空けているか、または支持されていないなど針ユニットに取り付けられてはいない。チューブは、より厚く、より硬い、または相対的に高いゴム硬度(durometer)のチューブ材料を組み込むことにより、図示のように概ね直線状とすることができ、あるいは、より薄く、より柔らかく、または相対的に低いゴム硬度のチューブ材料を組み込むことにより、チューブが針ユニットから延びるにつれて曲がったり湾曲したりできるようにすることも可能である。
【0056】
ガイドワイヤはチューブの管腔に延びることができ、ガイドワイヤの第二端または近位端はチューブの管腔内に位置することができるが、チューブの第二端の近位開口部より短く延びる。ガイドワイヤは、非限定的な例をいくつか挙げると、典型的には約0.014インチ、0.018インチ、または0.035インチのコア直径を有する周辺タイプであってもよく、ステンレス鋼、ニチノール、またはハイブリッドタイプなど、様々な先行技術材料から作製することができる。
【0057】
本発明に従って提供されるカテーテルユニットは、カテーテルハブとそこから延びるカテーテルチューブとを有することができる。本発明のカテーテルハブは、より伝統的な細長い概ね円形の概ね円錐台形のハブ本体を具現化することができる。カテーテルハブは、そこから延びるカテーテルチューブを有するノーズ部と、使用準備完了位置にある針ハブのノーズ部を受け入れる近位開口部とを含んでもよい。カテーテルハブの内部には、後述するように、針先端を覆うための針ガード、および/または、カテーテルハブを通る流体の流れを制御するためのバルブとバルブオープナの組み合わせを配置することができる。
【0058】
カテーテルユニットは、針ハブのノーズ部をその中に配置した雌ルアーを有する近位開口部を備える本体を有することができる。オプションのタブまたはフランジをノーズ部に隣接して設け、その間にカテーテルハブの一部を挟み込むことができる。カテーテルハブの近位開口部には外ねじがあり、雌ねじルアーと呼ばれることがある。
【0059】
カテーテルハブは、内部空洞を画定する本体を有する。カテーテルチューブはカテーテルハブのノーズ部の遠位側に延び、金属ブッシングまたはフェルール(ferrule)によってカテーテルハブに保持することができる。バルブまたはセプタムは、カテーテルハブの内面に形成された遠位ショルダと近位ショルダの間の内部空洞に配置され、その間にバルブを保持することができる。
【0060】
バルブは、複数のフラップを画定する複数のスリットを有することができる。フラップは、カテーテルハブを通る流れを許容するために開いたり、カテーテルハブを通る流れを抑制または制限するために閉じたりすることができる。ノーズ部を有するバルブオープナまたはセプタムオープナはアクチュエータとも呼ばれ、バルブの近位側でバルブのスカート部によって画定される空間内に配置することができる。バルブオープナのノーズ部は概して円筒形とすることができ、そこを通る針を有するボアを有し、このボアはその内腔に配置されたガイドワイヤを有する。流体洗浄(flushing)のために、ノーズ部の本体を貫通する1つ以上の開口部を設けることができる。
【0061】
バルブオープナは、ノーズ部から近位に延びるプランジャ要素を有することができる。一実施例では、2つのプランジャ要素がノーズ部から延び、2つのプランジャ要素の間の隙間に配置され得る針ガードを収容するための隙間をその間に有することができる。一対のバンドまたはスタビライザをバルブオープナに設けることができる。一実施例では、各バンドまたはスタビライザは、2つのバンドと2つのプランジャ要素で連続したリングまたはループが形成されるように、2つのプランジャ要素の両方に接続される。リングまたはループはノーズ部から間隔をあけて配置される。貫通穴または貫通開口が、ノーズ部とリングの間でバルブオープナに設けられることができる。一例では、ノーズ部とリングの間に少なくとも2つの貫通穴が存在する。
【0062】
本明細書で提供される針ガードは、近位壁を通過する針を収容するための開口部を画定する外周を有する近位壁を含むことができる。一対のアームが近位壁の遠位側に延びることができ、各アームは、その端部に遠位壁と湾曲したリップを有する。アームと各アームの遠位壁との間にエルボが画定され、2つのエルボは、2つのアームが使用準備完了位置にある針によって外側にバイアスされたときの最大ガード寸法を画定する。針ガードは、近位壁がリングの近位側に位置し、2つのエルボがリングの遠位側に位置する2つのプランジャ要素間の隙間において、バルブオープナの2つの貫通開口部に配置されることができる。一実施例では、使用準備完了位置で、2つのエルボはカテーテルハブの内部に接触することも、カテーテルハブの内部から間隔を空けることも、2つのバンドまたはスタビライザの一方または両方に接触することも、2つのバンドから間隔を空けることも、またはそれらの組み合わせも可能である。
【0063】
使用中、静脈穿刺に成功した後、針が近位方向に後退し、針先端が針ガードの2つの遠位壁の近位側に移動し、2つのアームが針によって外側にバイアスされなくなると、2つのアームは反動する(recoil)か、または内側に移動して、2つのエルボのプロファイルがアクチュエータの連続リングの内径よりも小さくなり、針のクリンプが、近位壁の開口部を規定する外周に当接するか、または接触して、針とともにカテーテルハブから針ガードを引き抜くことができる。
【0064】
バルブとバルブオープナはカテーテルハブに残り、カテーテルハブを通る流体の流れを制御することができる。例えば、注射器の先端のような雄型ルアー先端を雌ルアーに挿入してバルブオープナを遠位側に前進させ、バルブオープナのノーズ部でバルブを開くことができる。バルブは、バルブオープナが遠位方向に前進したときにバルブオープナのノーズ部によって偏向する複数のフラップを規定する複数のスリットを有することができる。一例では、バルブは3つのフラップを画定する3つのスリットを有する。針ガードおよびバルブとバルブオープナの組み合わせ、またはその両方は、本明細書の他の箇所に記載されている他のカテーテルハブに組み込むことができる。
【0065】
本明細書に記載のカテーテルアセンブリは、穿刺とガイドワイヤの吐出とを同じ把持手または操作手で行う片手テクニックを使用して、ガイドワイヤとともに使用することができる。このプロセスは、片方の手を上反りポジションにしてカテーテルアセンブリを把持することから始めることができる。カテーテルアセンブリを把持して保持するために使用される手は保持ハンドと呼ばれ、左手でも右手でもよい。次に、使用者は、カテーテルチューブの針先とカテーテルチューブ開口部を用いて静脈にアクセスするために患者を突き刺す(poke)ことができる。適切な針の穿刺は、一次的な血液フラッシュバックによって確認することができる。代替的または追加的に、2Dまたは3D超音波プローブなどの超音波プローブまたは測定器を使用して、適切な針穿刺を確認することができる。使用する場合、超音波プローブはカテーテルアセンブリを持たない方の自由な手で持つことができる。ある実施例では、使用する針は、特に針が標準的な末梢静脈内カテーテル(PIVC)よりも長い場合、曲がりを最小限にするために所望の硬さを有するように選択することができる。十分な大きさのゲージ針、リブ付き針、二重直径針、または多径針を使用することができる。
【0066】
次に、使用者は、カテーテルアセンブリを同じ保持ハンドでほぼ同じ位置に安定して保持しながらガイドワイヤを前進させ、針先が静脈内で標的領域から動いてしまうことを制限または回避することができる。使用者は、カテーテルアセンブリを保持しているのと同じ手の人差し指などの指の一本を使ってガイドワイヤを作業台の表面に押し付け、指先と表面との間の摩擦を利用して、作業台上の近位位置から遠位位置までの間で指を動かすことによってワイヤを漸進的に前進させ、次に作業台上の近位位置まで指を持ち上げて戻すことを繰り返すことによって、ガイドワイヤを前進させることができる。
【0067】
ガイドワイヤは、クリンプ、バンプ、またはガイドワイヤ上の拡大した部分が針の内側から針のクリンプに突き当たるときなど、物理的な停止が作動するか、感じられるか、またはトリガされるまで、ガイドワイヤの端部に到達してそれ以上ガイドワイヤを前進させることができなくなるまで、ガイドワイヤ上の拡大した部分が針のハブ、チューブ内の狭い開口部に突き当たるまで、またはそれらの組み合わせまで、前進させることができる。
【0068】
ガイドワイヤが静脈内に進入した後、カテーテルチューブはガイドワイヤ上を摺動または前進することができ、ガイドワイヤはカテーテルチューブを支持して静脈内に誘導する役割を果たす。一例として、カテーテルチューブは、保持ハンドの指の一本を使ってカテーテルハブ上のプッシュタブを遠位方向に押すことにより、ガイドワイヤ上を前進させることができる。この動作により、カテーテルハブが針ハブから分離し得る。この分離は、針、ガイドワイヤ、針ハブがカテーテルハブから完全に分離し、カテーテルチューブの先端が血管アクセスのために静脈内に残るまで続けることができる。このように、本発明のカテーテルアセンブリを様々な段階を経て使用する際、使用者は手を持ち替えたり両手を使ったりすることなく、同じ持ち手でカテーテルアセンブリを操作することができる。
【0069】
本発明のカテーテルユニットは、針の保護位置で針先を覆うための針ガードを任意に備えることができる。これに加えて、またはこれに代えて、カテーテルユニットは、バルブまたはセプタム、およびバルブオープナまたはアクチュエータを有することができる。組み込まれる場合、針ガードの遠位壁はそれぞれ、ガイドワイヤの直径は収容できるが針は収容できない大きさの垂直スリットを有することができる。このスリットにより、遠位壁が保護位置で針先端の遠位に移動し、静脈穿刺が成功した後に針が引き抜かれる際に針から伸びるガイドワイヤを収容することができる。バルブまたはセプタムおよびバルブまたはセプタムオープナは、カテーテルハブを通る流れを制御するためにカテーテルハブとともに残る。
【0070】
本発明のカテーテルアセンブリは、標準的な末梢静脈内カテーテル(PIVC)アセンブリと同様に使用することができる。すなわち、患者の最初の穿刺、および静脈穿刺成功後のカテーテルハブからの針および針ハブの分離は、本質的に同じ技術を含み、片手テクニックを使用して行うことができる。さらに、ガイドワイヤを前進させるステップでは、保持ハンドをもう一方の手に持ち替えたり、両手を使ったり、保持ハンドを針ハブから離したりする必要はない。カテーテルアセンブリの手の持ち替えや取り扱い場所を最小限にすることで、針が静脈に入るとき、および/またはカテーテルチューブをガイドするためにガイドワイヤを静脈に進めるときの望ましくない針の動きを減らすことができる。これらの利点は、開示されたカテーテルアセンブリの施術者による容易な適応と受容を提供する。
【0071】
本発明のガイドワイヤ吐出針ハブ一体型カテーテルアセンブリは、針ハブとガイドワイヤ吐出器ハウジングとの間に通常見られる取り付け箇所を少なくとも1つ少なくすることができる。従って、先行技術の針ハブとガイドワイヤ吐出器ハウジングは別個のパッケージで提供され得て、本発明のカテーテルアセンブリは、針ハブに取り付ける別個のガイドワイヤ吐出器がないため、少なくとも1つの処置前の組立工程を減らすことができる。また、ガイドワイヤ吐出針ハブ一体型の本カテーテルアセンブリは、通常、正中線カテーテルに見られる針ハブからカテーテルハブを分離する際に、カテーテルハブをガイドするために使用される取り外し可能または分離可能な外側のハウジングなしで実施することもできる。
【0072】
さらに、一体化されたガイドワイヤと針ハブを備える開示された針ユニットを含む本カテーテルアセンブリ設計は、ガイドワイヤなしで使用し、標準的な末梢静脈内カテーテル(PIVC)アセンブリとして使用することができる。例えば、図示し説明したようなカテーテルアセンブリは、ガイドワイヤなしで使用することができる。
【0073】
本発明のカテーテルアセンブリは、針ハブから延び、チューブの取り付けられていない端部で支持されていないチューブの長さを有することができる。この適応は、特にチューブが透明または半不透明の場合に、ガイドワイヤの動きを示すために使用できる。チューブの近位端が支持されている場合にも、同じコンセプトが適用される。同じコンセプトは、カテーテルユニットが概ね円筒形、概ね円錐台形状の本体を有する場合にも同様に適用される。
【0074】
ガイドワイヤ近位端は、近位端におけるガイドワイヤの全体的なサイズ又はプロファイルを増大させ、拡大端部を画定するためにコイル状にすることができる。近位端のガイドワイヤ直径に対して拡大されたプロファイルを有する拡大端は、ガイドスタブが組み込まれている場合にはガイドスタブの小さな開口部によって、または針ハブ本体もしくはチューブの小さな開口部によって、針ハブに係合するか、または針ハブによって捕捉されるために使用することができる。一例として、拡大された先端は、J字形の先端またはコイル状の先端とすることができる。ガイドスタブや近位経路などの針ハブは、ガイドワイヤの直径を収容するための内径を有することができるが、ガイドワイヤの拡大端部がそこを通過するには小さすぎる。従って、使用中にガイドワイヤが吐出される際、拡大端部とボアを規定する構造との間の係合により、ガイドワイヤの更なる遠位への前進を止めることができ、これに対応して、ガイドワイヤ先端部の針先端部に対する更なる遠位への前進が止められ、従って、ガイドワイヤの吐出長さが規定される。
【0075】
代替的な実施形態では、ガイドワイヤは、針のクリンプ部における針の先端近傍で、針の内腔を通る内部経路よりも大きいバンプまたは材料の盛り上がり部などの拡大部を有することができる。吐出されると、ガイドワイヤ上のバンプや盛り上がり部が針のクリンプに係合して、ガイドワイヤの遠位への前進を止めることができる。したがって、針のクリンプは、針ガードとの係合と引き込み、およびガイドワイヤのさらなる遠位への前進を止めることの両方に使用することができる。
【0076】
使用時、使用者はカテーテルアセンブリを上反りポジションの片方の手で握ることができる。使用者は、左手でも右手でもよい保持ハンドでカテーテルアセンブリを保持し、超音波プローブを保持するためのプローブハンド(probe hand)と呼ばれる他方の手で超音波プローブを保持することができる。次に、使用者は、針の先端とカテーテルチューブの開口部で静脈にアクセスするために、保持ハンドを使用して患者を突き刺すことができる。使用者は、プローブハンドで超音波プローブを使用して、針先が適切に配置されているかどうか穿刺部位を監視することができる。オプションとして、超音波プローブによる確認に加えて、一次的血液フラッシュバックによって適切な針穿刺を確認することができる。
【0077】
次に、使用者は、カテーテルアセンブリを同じ保持ハンドで、ほぼ同じ位置に安定して保持しながら、ガイドワイヤを針から前進させて、標的領域から静脈内の針先端の動きを制限するか、または回避することができる。使用者は、カテーテルアセンブリを保持しているのと同じ保持ハンドの人差し指などの一本の指を使ってガイドワイヤを作業台の表面に押し付け、指先と表面との間の摩擦を利用して、作業台上の近位位置から遠位位置へ指を動かすことによってワイヤを漸進的に前進させ、次に作業台上の近位位置に指を持ち上げて戻すことを繰り返すことによって、ガイドワイヤを前進させることができる。ガイドワイヤは、プローブハンドに保持された超音波プローブの確認または監視下で、先に述べたように、ガイドワイヤと針ハブとの間の係合またはガイドワイヤと針のクリンプとの間の係合によって物理的に停止するまで前進することができる。
【0078】
ガイドワイヤが静脈内に進入した後、カテーテルチューブはガイドワイヤ上を摺動し、ガイドワイヤはカテーテルチューブを支持して静脈内に誘導する役割を果たす。一例として、カテーテルチューブをガイドワイヤ上に前進させるには、保持ハンドの指の一本を使ってカテーテルハブのプッシュタブを遠位方向に押す。この動作により、カテーテルハブが針ハブから離れる。プローブハンド、または保持ハンドではないほうの手に保持された2Dまたは3D超音波などの超音波プローブにより、カテーテルチューブのさらなる前進を監視することができる。このように、血管アクセスを得るためのさまざまな段階を移動する際に、使用者は手を持ち替えたり、両手を使ったりすることなく、同じ保持ハンドを使用してカテーテルアセンブリを操作することができる。
【0079】
使用者は、針ハブ、針およびガイドワイヤがカテーテルハブから完全に分離されるまで、針ハブとカテーテルハブとを互いに遠ざけることにより、針、ガイドワイヤおよび針ハブの分離を続けることができる。完全に分離した後も、カテーテルチューブの先端は血管アクセスのために患者の静脈内に残る。カテーテルハブと針ハブの分離は、超音波プローブを使用せずに行うことができる。また、保持ハンドだけで分離を行うこともできる。オプションとして、超音波プローブを離し、カテーテルチューブを静脈内へさらに前進させることに成功した後、保持ハンドではないほうの手を使用して、使用者が保持ハンドで針ハブを後退させる際に、カテーテルハブを患者の皮膚などに対して安定に保持することができる。
【0080】
説明したように、本発明のカテーテルアセンブリは、標準的な末梢静脈内カテーテル(PIVC)アセンブリと同様に使用することができる。さらに、患者を穿刺するステップ、ガイドワイヤを前進させるステップ、ガイドワイヤ上にカテーテルチューブを前進させるステップ、および針を後退させるステップは、片手による操作手順を使用して実行することができる。このプロセスでは、手順の開始時にカテーテルアセンブリを保持するために使用する保持ハンドを持ち替えたり、両手を使用したりする必要はない。カテーテルアセンブリの手の持ち替えや取り扱い場所を最小限にすることで、針が静脈に入るとき、および/または、カテーテルチューブをガイドするためにガイドワイヤが静脈に送り出されるときの、望ましくない針の動きを減らすことができる。
【0081】
本発明の別の態様では、針ハブは、遠位端にノーズ部を有し、近位端にチューブガイドを有する本体を有することができる。遠位端と近位端との間には、上面または作業面を有する作業台が設けられている。遠位経路または第1の経路を作業台の遠位部からノーズ部を通って設けることができ、近位経路または第2の経路を作業台の近位部からカテーテルハブの近位端のチューブガイドを通って設けることができる。幾つかの実施例では、作業台は図示以外の形状を具現化することができる。例えば、作業台の作業面は、より狭くてもよく、より広くてもよく、より長くてもよく、曲線を有してもよく、側縁を有してもよい、等とすることができる。
【0082】
遠位経路の開口部として、経路開口部、または遠位経路開口部を画定する外周を設けることができ、そして近位経路の開口部として、経路開口部、または近位経路開口部を画定する外周を設けることができ、両方とも作業台に設けられる。2つの開口部は互いに間隔を置くことができる。作業台の表面は、2つの開口部の間に位置することができ、ここで、表面は、環境または大気に露出することができる。2つの開口部の間の露出した表面は、2つの開口部の間を通過するガイドワイヤが使用者又は施術者によってアクセス可能にできる。
【0083】
露出した状態とは、作業面が構造物によって覆われておらず、使用者の指が押し当てるために針ハブ本体の側面から作業面にアクセスすることが許可されているか、または利用可能な状態である。いくつかの例では、2つの開口部間の距離は少なくとも1インチ、好ましくは少なくとも1.25インチ、より好ましくは少なくとも1.5インチ、少なくとも2インチ、少なくとも2.5インチ、または少なくとも3インチである。針ハブの幅は約0.5インチ以上、例えば約0.75インチから約1.25インチである。
【0084】
代替的な実施形態では、血液の飛散や露出からガイドワイヤを覆うために、透明で柔軟なプラスチックシートやプラスチックチューブで覆うなど、作業台を覆うことができる。透明なプラスチックシートは作業面を覆うことができるが、使用者がガイドワイヤを前進させるためにプラスチックシートとガイドワイヤの両方を作業面に押し付けることができるように、柔軟である、または十分に柔らかい。プラスチックチューブが使用される場合、プラスチックチューブはガイドワイヤを囲む保護カバーを提供し、ガイドワイヤを隠すことができる。透明なプラスチックシートもプラスチックチューブも、伸縮自在で柔軟であるため、適用中にガイドワイヤの進退を妨げることはない。
【0085】
一実施例では、遠位経路開口部及び近位経路開口部は共に概ね円形であり、概ね同じ寸法である。他の実施例では、寸法は異なり得て、及び/又は2つの開口部の形状は異なり得る。例えば、ガイドワイヤの出口である近位経路開口部は、ガイドワイヤを近位端から針ハブを通って針の内腔に通す際の入口である遠位経路開口部よりも小さい寸法とすることができる。
【0086】
針ハブの本体は、第1のセクション、第2のセクション、および第3のセクションを含む3つの異なるセクションを有すると見なすことができる。第1のセクションは、針の近位端を受け入れて固定するための針ウェル(needle well)を有するノーズ部を含むことができる。針ウェルは遠位経路の端部に位置することができ、針は針ウェルに取り付けることができる。
【0087】
外観上、ノーズ部は使用準備完了位置でカテーテルハブ近位端に突出するようなサイズおよび形状にすることができる。ノーズ部はルアーテーパを有するか、またはカテーテルハブに適合するサイズの雄型スタブとすることができる。ノーズ部の遠位側にはフランジまたは延長部を組み込むことができる。延長部は、組立時に針ガードをカテーテルハブ内に押し込むためのサイズおよび形状とすることができる。しかし、他のツールやオプションを使用して、針ガードを組み込む場合でも、延長部を省略することができる。
【0088】
第1のセクションは、ノーズ部を第2のセクションに接続する移行部またはネック部をさらに含み得る。ネック部は、複数の側面を有し、それを通って延びる遠位経路を有する三次元台形形状構造を有し得る。ネック部は、ノーズ部と第2のセクションとの間のサイズ差を埋めるために、小さい遠位端から大きい近位端に向かって拡大することができる。他の実施例では、ネック部は、円錐台形状を有するなど、異なる形状を具現化し得る。さらに、第1のセクションの遠位端にノーズ部が示されているが、ノーズ部は設計されていなくてもよい。例えば、第1のセクションは、カテーテルハブの外側でカテーテルハブを把持するアーム、フード、サドルなどのように、カテーテルハブとの組立位置を外側の位置で把持または設定できる構造を組み込むことができる。
【0089】
一実施例では、ネック部に受容キャビティが形成される。受容キャビティは、チャネルまたはスロットに類似することができ、針内腔から遠位経路を通過する流れを制限するための流量制限器を収容するサイズおよび形状を有する。一例として、流量制限器は、セプタム、バルブ、または疎水性フィルタまたは疎水性膜を具現化することができる。使用中、患者の血管系にアクセスすると、血圧により血液が針内腔を通って近位に流れる。流量制限器が組み込まれると、近位の血流は流量制限器で停止または制限されることができ、それにより、第2のセクションおよび作業台上への血液の漏れを排除または制限することができる。
【0090】
一実施例では、受容キャビティは、流量制限器を摩擦的に把持するか、または流量制限器を干渉嵌合で保持するサイズおよび形状である。受容キャビティはスロットであることができ、受容キャビティの一部は遠位経路を二分することができ、または遠位経路は受容キャビティを通過することができ、または受容キャビティを起点とすることができる。他の実施例では、流量制限器をその中に固定するために、受容キャビティの開口部の上にはめ込むリテーナクリップを提供することができる。好ましくは、流量制限器は、ガイドワイヤによる貫通を可能にし、ガイドワイヤの前進中にそこを通るガイドワイヤの移動を可能にするサイズおよび形状である。
【0091】
第2のセクションは、側面図に沿って概ね円弧形状とすることができ、この場合、作業台の作業面と対向する底面とは、一致する円弧形状を有する。2つの表面は、針ハブの厚さを規定する厚さによって互いに分離されている。この厚さは一定であってもよいし、作業台の長さに沿って変化してもよいし、一定でなくてもよい。他の例では、2つの表面は異なる円弧形状を有することができる。さらに他の実施例では、底面は平坦または概ね平面であるか、または平面と起伏のある表面の組み合わせを有することができる。
【0092】
作業台の表面は好ましくは円弧形状である。円弧形状の表面は、施術者が指を使用してガイドワイヤを近位位置から遠位位置まで表面に対してスライドさせる際に、作業台の作業面を施術者の指に近づけるのに役立つ。しかしながら、表面は円弧形状に限定されない。例えば、作業台の作業面は、概して平面であることも、異なる程度の円弧形状を有することもできる。したがって、第2のセクションが平面を規定する2つの上部基準点を有することができる場合、作業台の表面は、平面の下方に位置するか、または平面に隣接して位置することができ、円弧形状を有することができる。
【0093】
上面及び底面に加えて、第2のセクションは2つの対向する側面を有する。側面は、先に説明したように、平滑または平坦であるか、または表面構造を有することができる。側面は、代替的に、保持ハンドの指を受けるための溝を有することができる。
【0094】
針ハブの第3のセクションは、任意にガイドスタブを含むことができる。ガイドスタブは、単一のプラスチック射出成形などによって、第1および第2のセクションと一体に形成することも、別個に形成して第1および第2のセクションに固定することもできる。例えば、ガイドスタブは、ボアまたは通路を備えて別個に成形され、その後、接着剤、スナップ嵌め、または溶接で第2のセクションの近位端面に固定され得る。別個に成形する場合、第二の部分で形成された近位経路の部分とガイドスタブで形成された近位経路の部分との位置合わせがされるようにする。
【0095】
一実施例では、ガイドスタブは一般に円筒形である。他の実施例では、ガイドスタブは、多角形の形状を有するなど、多面を有することができる。ガイドスタブは、近位経路の全長を延長し、先に説明したように、チューブのアンカーポイント又は取り付けポイントを提供することができる。しかしながら、ガイドスタブを省略し、第2のセクションに十分な経路長を設け、チューブの取り付けポイントとして機能させることもできる。例えば、第2のセクションの終点から、第2のセクションを近位方向に延長して、近位端面が終点と一致する代わりにさらに近位方向に延長されるようにすることができる。これにより、経路を長くすることができ、チューブをその端部開口部に直接結合させることができる。
【0096】
本発明のさらに別の態様では、針ハブは、概ね円筒形状を有するように変更されたネック部を有する本体を有し、受容キャビティは、比較的小さい流量制限器を受容するように変更されている。流量制限器は、遠位経路の遠位経路開口部に配置され、受容キャビティの構造によって少なくとも2つの側面、好ましくは少なくとも3つの側面に沿って把持され得る。任意選択で、流量制限器は、クリップ、戻り止め(detent)係合、接着剤、またはそれらの組み合わせなどで、受容キャビティに保持することができる。
【0097】
針ハブの第2のセクションは、表面と底面とを有する作業台を含み、これらの表面は両方とも円弧状とすることができる。本実施形態では、作業台はボウル形チャネルのようなものであって、作業台の上面または作業面はチャネルの底部に位置することができる。作業台は、作業面から延びる2つの上方に延びる側面を有することができる。端部の断面に沿って、ボウル形状のチャネルは、文字「U」に似ているが、比較的低く延びる側壁が短いUに似ている。さらに、チャネルは、表面が近位端から遠位端まで延びるにつれて弧を描くか、または湾曲する。例えば、作業面と両側壁の上縁は弧状をなしている。チャンネルは、カテーテルアセンブリを使用してガイドワイヤを前進させる際に、施術者の指を2つの側壁の間に位置させるのに役立つ。
【0098】
一実施例では、第3のセクションのガイドスタブは、接着剤または溶接などによって本体の第2のセクションに取り付けられる別個に形成された部品とすることができる。しかしながら、ガイドスタブは、第2のセクションと一体に形成されるか、または丸ごと省略することができる。別個に形成される場合、近位経路の第1の近位経路セクションは、近位経路の第2の近位経路セクションと整列して、全体的な近位経路を規定することができる。図示されているように、ガイドスタブの上部輪郭は、概して平坦であるか、または第2のセクションの上部近位点と同一平面にすることができる。他の例では、ガイドスタブの上部輪郭は、第2のセクションの上部近位点の上方または下方に位置することができる。
【0099】
近位経路の最後端開口部は、好ましくは拡大されるか、または経路自体の直径より大きくされる。ガイドワイヤの挿入を容易にするために、最後端開口部を大きくすることができる。最後端開口部は、チューブを受け入れるために拡大することができる。チューブは、摩擦嵌め、干渉嵌め、溶接、接着剤、またはそれらの組合せによって、最後端開口部に取り付けることができる。
【0100】
使用時、使用者はカテーテルアセンブリを片方の手で上反りポジションで握ることができる。カテーテルアセンブリは、カテーテルユニットと針ユニットを含むことができる。カテーテルユニットは、本明細書の他の箇所に記載されているカテーテルユニットのいずれかを具現化することができる。使用者は、左手でも右手でもよい保持ハンドでカテーテルアセンブリを保持することができる。使用者は、穿刺部位で患者を穿刺することができ、針の先端およびカテーテルチューブの開口部が静脈に入ることができ、これにより、血液が針の内腔を通って上方に流れる。
【0101】
一例では、針を通る近位血流は、流量制限器によって停止または制限される。流量制限器は、針ハブとともに形成された受容キャビティ内に配置することができる。セプタム、バルブ、または疎水性フィルタであり得る流量制限器は、血液の流れが作業台の表面上に流れて濡れるのを制限することができる。
【0102】
使用者はガイドワイヤを針先から遠位へ、患者の血管系内へ進めることができる。ガイドワイヤが遠位側に進められると、ガイドワイヤは少なくとも流量制限器を通って移動する。流量制限器は、ガイドワイヤと針ハブが一体化された状態で組み込むことができるため、針内腔を流れる血液が作業台上に流出するのを制限または阻止することができる。
【0103】
カテーテルアセンブリおよびそのコンポーネントの製造方法および使用方法は本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
本明細書、特許請求の範囲及び添付図面を参照することにより、本装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴及び利点がより良く理解されるようになるであろう。
【0105】
【
図1】
図1は、本発明の態様において提供される、カテーテルユニット、および針とガイドワイヤとを有する針ユニットを含むカテーテルアセンブリの斜視図である。
【
図2】
図2は、支持されたチューブを備えたカテーテルアセンブリを保持している施術者の模式的斜視図である。
【
図3】
図3は、支持されていないチューブを備えたカテーテルアセンブリを保持している施術者の模式的斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明のさらなる態様において提供される、カテーテルユニット、および針とガイドワイヤとを有する針ユニットを含むカテーテルアセンブリの斜視図である。
【
図5】
図5(A)-5(C)は、使用者が本発明のカテーテルアセンブリを使用して同じ保持ハンドでガイドワイヤを吐出させるシーケンスを示す図である。
【
図6】
図6は、支持されていないチューブを備えたカテーテルアセンブリの斜視図である。
【
図7】
図7(A)-7(D)は、使用者が本発明のカテーテルアセンブリを使用して同じ保持ハンドでガイドワイヤを吐出させ、もう一方の手で超音波プローブを保持しているシーケンスを示す図である。
【
図8A】
図8Aは、流量制限器を有する針ユニットの斜視図である。
【
図8B】
図8Bは、流量制限器を有する針ユニットの側面図である。
【
図9】
図9は、本発明のさらなる態様に係る、流量制限器を有する針ユニットの断面側面図である。
【
図10】
図10は、流量制限器を有するカテーテルアセンブリを保持している施術者の模式図である。
【
図11】
図11は、流量制限器を有するカテーテルアセンブリを保持している施術者の模式図であり、同じ保持ハンドでガイドワイヤを吐出させている。
【発明を実施するための形態】
【0106】
添付図面に関連して以下に記載する詳細な説明は、本装置、システム、および方法の態様に従って提供されるカテーテルアセンブリおよびその構成要素の現在好ましい実施形態の説明として意図されており、本装置、システム、および方法が構築または利用され得る唯一の形態を表すことを意図していない。本明細書は、図示された実施形態に関連して、本デバイス、システム、および方法の実施形態を構築および使用するための特徴およびステップを規定する。しかしながら、本開示の精神および範囲内に包含されることが意図される異なる実施形態によっても、同一または同等の機能および構造が達成され得ることを理解されたい。本明細書の他の箇所で示されるように、同様の要素番号は、同様または類似の要素または特徴を示すことを意図している。
【0107】
本開示の例示的構成の技術的特徴または態様の説明は、典型的には、本開示の別の例示的構成における他の同様の特徴または態様に利用可能かつ適用可能であると考えられるべきである。したがって、本開示の1つの例示的構成に従って本明細書で説明される技術的特徴は、本開示の他の例示的構成に適用可能であり得て、したがって、重複する説明は本明細書では省略され得る。
【0108】
ここで
図1を参照すると、カテーテルユニット102と針ユニット104とを含む、本発明の態様に従ったカテーテルアセンブリ100が示されている。一実施例では、カテーテルユニット102は、カテーテルハブ106と、カテーテルハブ106から延びるカテーテルチューブ108とを含む。針ユニット104は、針112が取り付けられた針ハブ110を含み、針は、カテーテルハブ106およびカテーテルチューブ108の内腔を通って遠位方向に延び、針先端114は、使用準備完了位置において、カテーテルチューブの遠位開口部116の遠位側に突出している。
【0109】
カテーテルハブ106は、針ハブ110の遠位端を受容する雌ルアーを備えた近位開口部を有するハブ本体120を有することができる。ハブ本体120は、連結コーナー124に沿って互いに連結された複数の側面122を有することができ、あるいは、さらに後述するように、従来の円錐台状本体を有することができる。プッシュタブ126はハブ本体120の上部に配置することができ、静脈穿刺に成功した後にカテーテルハブを針ハブから分離するために施術者が押すために使用される。ノーズ部130はハブ本体120の遠位端に位置し、ハブ本体120の近位端と遠位端との間に1つまたは複数のテーパ面を設けるなどして、ハブ本体120の近位部分よりも小さい断面寸法を有することができる。ハブ本体は、半透明の外観を有するカテーテルハブに使用される従来のプラスチック材料から作製することができる。
【0110】
一実施例では、針ハブ110は、長さと幅とを有する本体134を含んでもよい。本体134は、作業台136を含む複数の側面を有する概ね多角形の形状の断面、作業台136を有する不規則な形状の断面、または作業台136を有する概ね円形の形状の断面を有することができる。作業台136は、さらに後述するように、カテーテルアセンブリ100の使用者または施術者がガイドワイヤを吐出するために人差し指などの指の少なくとも1本で押し当てることができる上面または作業面138によって画定することができる。針ハブ110は、使用準備完了位置においてカテーテルハブ106の内部に突出するノーズ部を有することができる。カテーテルハブ106は、針ハブのノーズ部を受容するための雌ルアーを近位端に有することができる。カテーテルハブ106は、
図4Bに示すように、ハブ本体120の内部に針ガード、バルブおよび/またはバルブオープナを任意に組み込むこともできる。
【0111】
一実施例では、針ハブ110の本体134は遠位経路140と近位経路144を含む。2つの経路140、144は、ガイドワイヤ148をその中またはその間に通すように配置または整列させることができる。作業台136から、ガイドワイヤ148は、遠位方向に、遠位経路140を通って、針112の内腔を通って延び、針先端開口部の近位で終端するガイドワイヤ遠位端を有する長さを有することができる。作業台136から、ガイドワイヤ148は、近位方向に延び、針ハブ110の近位経路144を通って出る長さを有することができる。針ハブ110は、近位経路の長さを延長するために、本体134の近位端面152から延びるガイドスタブ150を組み込むことができる。ガイドスタブ150は、組み込まれた場合、作業台136を起点とする近位経路144と整列して連通するボア154を有する。ガイドスタブ150は本体134から省略することができ、本体134の近位端面152に、ガイドワイヤが近位方向に出るための開口部を設けることができる。
【0112】
図示のように、第一端又は遠位端部160を有する長さを有するチューブ158は、干渉嵌合などによって、ガイドスタブ150の開口部又はボア154に係合する。任意選択で、接着剤または接着剤を使用して、遠位端160をボア154により恒久的に固定することができる。チューブ158は、可撓性を有し、任意の数の従来技術のチューブ材料から製造することができる。チューブ158は中空であるか、または内腔を有し、ガイドワイヤ148の近位部分(近位経路144を通って近位方向に延びる部分)をその中に収納または収容するように設けられ得る。チューブ158の近位端162は支持され得る。例えば、近位端162は、針ハブ本体134上のソケット164に接続することができ、このソケット164は、隙間のある開放ソケットまたは隙間のない閉鎖ソケットとすることができる。ソケット164に係合することによって、チューブ158はループまたは部分的なループに巻かれ、チューブおよびその中に配置されたガイドワイヤを整理することができ、例えば、チューブおよびガイドワイヤが針ハブ110の近位端からぶら下がらないようにすることができる。他の例では、チューブ158はチューブの近位端で支持されていないことがある。例えば、チューブは、チューブの第二端で針ハブと係合することなく針ハブ110から延びることができる。
【0113】
図示したように、ガイドワイヤ148は、チューブ158の内腔内に位置する長さと近位端とを有する。ガイドワイヤ148がチューブ158内にどの程度の長さまで延びるかは、さらに後述するように、ガイドワイヤが針先114からどの程度吐出されることが許容されるかに依存し得る。ある実施例では、ガイドワイヤ148の全長は、使用者によって吐出される際に、ガイドワイヤの近位端が作業台136内で終端し、ガイドワイヤの長さの終わりを意味し、したがってガイドワイヤを物理的にそれ以上吐出することができないように選択される。他の実施例では、ガイドワイヤは、一体化されたノッチ、バンプ、盛り上がり部、Jループ近位端、またはスリーブのような拡大部を備えることができ、ガイドワイヤを吐出すると、拡大部は、ガイドスタブ150、本体134、遠位経路140、または近位経路144のような、針ハブ110に形成された比較的小さい開口部によって物理的に止められる。さらに他の例では、針112はクリンプを有することができ、ガイドワイヤの拡径部が針の内腔内からクリンプに接触すると、ガイドワイヤの遠位への前進が停止される。
【0114】
さらに後述するように、ガイドワイヤ148は、人差し指などの指を使用してガイドワイヤを作業台136の表面138に押し付け、同時にガイドワイヤを表面138に対して遠位方向にスライドさせてガイドワイヤ148の遠位端を針先端から吐出させるときに、チューブ158内でスライド可能または移動可能である。針ユニット104は、ガイドワイヤ吐出器ハウジングを有する別個のガイドワイヤ吐出器なしで針112とガイドワイヤ148の両方を搬送するので、針ユニット104は一体型針およびガイドワイヤハブと呼ぶことができ、カテーテルアセンブリ100は一体型針およびガイドワイヤハブを有するカテーテルアセンブリと呼ぶことができる。
【0115】
一実施例では、複数の間隔をあけた表面構造170を針ハブ110の1つ以上の側面に設けることができる。離間した表面構造170は、任意の数の形状のバンプ、凹部、またはバンプと凹部の組み合わせを具現化することができる。図示されているように、離間した表面構造170は、丸い形状、四角い形状、星型形状、不規則な形状などの他の形状が企図された長円形状または楕円形状を有するバンプである。表面構造170は、把持性を向上させることもできるし、単に美的特徴として機能することもできる。
【0116】
図2は、医師や看護師などの施術者または使用者174が片手テクニックを用いてカテーテルアセンブリ100を保持する様子を示す概略図である。特に、手176は、針先端114による血管アクセスに続いてガイドワイヤ148を前進させるために、作業台136の上方または上に位置する人差し指178で針ユニット104を上反りポジションで把持する。図では手が右手であることを示しているが、使用者が任意に左手でカテーテルアセンブリ100を使用することができるためこれは例示的なものに過ぎない。
【0117】
チューブ158は、
図1により明確に示されているように、第一端又は遠位端部160がガイドスタブ150に結合され、チューブの第二端又は近位端162がソケット164によって支持された状態で、手176の下方にコイル状に巻かれている。ガイドワイヤの近位端を含むガイドワイヤ148の一部分は、チューブ158の管腔内に位置し、使用者174によって前進させられると、チューブ内を自由に摺動可能である。
【0118】
図3は、
図2と同様の片手テクニックを用いてカテーテルアセンブリ100を保持する使用者174を示す概略図である。本実施形態では、チューブ158の第一端は針ユニット104に取り付けられて示されているが、第二端162は間隔を空けられているか、または支持されていないなど針ユニット104に取り付けられていない。チューブ148は、より太く、より硬い、または比較的高いゴム硬度のチューブ材料を組み込むことによって、図示のように概ね直線状とすることができ、あるいは、より細く、より柔らかく、または比較的低いゴム硬度のチューブ材料を組み込むことによって、針ユニット104から延びるにつれてチューブを曲げたり湾曲させたりすることができる。
【0119】
また、
図3は、チューブ158の管腔内に延在するガイドワイヤ148を示し、ガイドワイヤの第二端又は近位端180が管腔内に位置するが、チューブの第二端162の近位開口部より短く延在していることを示している。ガイドワイヤは、非限定的な例をいくつか挙げると、典型的には約0.014インチ、0.018インチ、または0.035インチのコア直径を有する周辺タイプであってよく、ステンレス鋼、ニチノール、またはハイブリッドタイプなど、任意の数の先行技術材料から作製することができる。
【0120】
図4Aは、本発明のさらなる態様に従って提供されるカテーテルアセンブリ100を示す。本発明のカテーテルアセンブリ100は、
図1のカテーテルアセンブリと同様に、カテーテルユニット102と針ユニット104とを備える。針ユニット104は、
図1の針ユニット104と同様とすることができる。カテーテルユニット102は、カテーテルハブ106と、そこから延びるカテーテルチューブ108とを有することができる。本カテーテルハブ106は、より伝統的な細長い概ね円形の概ね錐形のハブ本体120を具現化している。図示のように、カテーテルハブ106は、使用準備完了位置において、そこから延びるカテーテルチューブ108を有するノーズ部130と、針ハブ110のノーズ部を受容する近位開口部とを備える。カテーテルハブ106の内部には、
図4Bを参照してさらに後述するように、針先端114を覆うための針ガード、および/または、カテーテルハブを通る流体の流れを制御するためのバルブとバルブオープナの組み合わせを配置することができる。
【0121】
図4Bは、
図4Aのカテーテルユニット102の部分断面側面図であり、このカテーテルユニット102は、針ハブ110のノーズ部186がその中に配置された雌ルアーを有する近位開口部184を有する本体120を有する。オプションのタブまたはフランジ188は、その間にカテーテルハブ106の一部を把持するためにノーズ部186に隣接して設けることができる。カテーテルハブ106の近位開口部184は外側にねじ山を有し、雌ねじルアーと呼ばれることがある。
【0122】
カテーテルハブ106は、内部空洞190を画定する本体120を有する。カテーテルチューブ108はカテーテルハブのノーズ部130の遠位側に延び、金属ブッシングまたはフェルール132によってカテーテルハブに保持されている。バルブまたはセプタム192は、カテーテルハブの内面に形成された遠位ショルダと近位ショルダとの間の内部空洞190内に配置され、バルブ192をその間に保持する。バルブは複数のフラップを画定する複数のスリットを有することができる。フラップは、カテーテルハブを通る流れを許容するために開くことも、カテーテルハブを通る流れを制限するために閉じることもできる。ノーズ部198を有するバルブオープナまたはセプタムオープナ194(アクチュエータとも呼ばれる)は、バルブ192の近位側で、バルブのスカート部196によって画定される空間内に配置される。バルブオープナ194のノーズ部198は、一般に円筒状であり、そこを通る針112を有するボアを有し、このボアは、その内腔に配置されたガイドワイヤ148を有する。ノーズ部198の本体には、流体洗浄のために1つ以上の開口部を設けることができる。
【0123】
バルブオープナ194は、ノーズ部198から近位に延びるプランジャ要素206を有する。一実施例では、2つのプランジャ要素206、206がノーズ部198から延び、2つのプランジャ要素206、206の間の間隙に配置され得る針ガード200を収容するための間隙をその間に有する。一対のバンドまたはスタビライザ202、202が、バルブオープナ194と共に提供され得る。一実施例では、各バンドまたはスタビライザ202は、2つのバンド202、202および2つのプランジャ要素206、206において連続的なリングまたはループ204が形成されるように、2つのプランジャ要素152、152の両方に接続される。リングまたはループ204は、ノーズ部198から間隔を置いて配置されている。従って、貫通穴または貫通開口部208、208は、ノーズ部198とリング204との間のバルブオープナ194に設けられる。一実施例では、少なくとも2つの貫通穴がノーズ部とリング204との間に存在する。
【0124】
一実施例では、針ガード200は、近位壁を通過する針112を収容するための開口部を画定する外周を有する近位壁を有する。一対のアームが近位壁の遠位側に延びており、各アームは遠位壁とその端部に湾曲したリップを有する。エルボが各アームのアームと遠位壁との間に画定され、2つのエルボは、
図4Bに示されるように、2つのアームが使用準備完了位置にある針によって外側にバイアスされるときの最大ガード寸法を画定する。針ガード200は、近位壁がリング204の近位側に位置し、2つのエルボがリングの遠位側に位置する2つのプランジャ要素206、206の間の隙間に、バルブオープナの2つの貫通開口部208、208内に配置される。一実施例では、2つのエルボは、カテーテルハブ106の内部に接触することができ、カテーテルハブの内部から間隔を空けることができ、2つのバンドまたはスタビライザ202、202の一方または両方に接触することができ、2つのバンドから間隔を空けることができ、または使用準備完了位置でそれらの組み合わせとすることができる。
【0125】
使用中、静脈穿刺が成功した後、針112が近位方向に引っ込み、針先端が針ガード200の2つの遠位壁の近位側に移動し、2つのアームが針によって外側に偏らなくなると、2つのアームは反動するか、または内側に移動して、2つのエルボのプロファイルがリング204の内径よりも小さくなり、針のクリンプ(図示せず)がリング204の内径に当接するか、または接触することができ、針112とともに針ガード200をカテーテルハブ106から引き抜くことができる。
【0126】
バルブ192およびバルブオープナ194は、カテーテルハブ106とともに残って、カテーテルハブを通る流体の流れを制御することができる。例えば、注射器の先端のような雄ルアー先端を雌ルアーに挿入してバルブオープナ194を遠位側に進め、バルブオープナのノーズ部198でバルブを開くことができる。バルブ192は、バルブオープナが遠位方向に前進したときにバルブオープナのノーズ部によって偏向する複数のフラップを規定する複数のスリットを有することができる。一例では、バルブは3つのフラップを画定する3つのスリットを有する。針ガードおよびバルブとバルブオープナの組み合わせ、またはその両方を、
図1~3のカテーテルハブ106のような他のカテーテルハブに組み込むことができる。
【0127】
バルブ192、バルブオープナ194、および針ガード200などのカテーテルユニット102のさらなる態様は、米国公開公報2018/0214682号に開示されており、その内容は、その刊行物が開示する全ての内容を参照することによって本明細書に明示的に組み込まれる。
【0128】
図5は、本発明のカテーテルアセンブリ100の片手使用能力を説明する一連の図である。
図5(A)から始めると、使用者は、先に説明したように、カテーテルアセンブリ100を片方の手で上反りポジションで握ることができる。カテーテルアセンブリを握って保持するために使用される手は、保持ハンド175と呼ばれることがあり、これは左手でも右手でもよい。次に、使用者は、カテーテルチューブ108の針先端114およびカテーテルチューブ開口116を用いて静脈212にアクセスするために患者210を突き刺すことができる。適切な針の穿刺は、一次的な血液のフラッシュバックによって確認することができる。代替的または追加的に、2Dまたは3D超音波プローブなどの超音波プローブまたはメータを使用して、適切な針穿刺を確認することができる。使用する場合、超音波プローブはカテーテルアセンブリを持たない方の自由な手で持つことができる。いくつかの実施例では、使用する針112は、特に針が標準的な末梢静脈内カテーテル(PIVC)より長い場合、曲がりを最小限にするために所望の剛性を有するように選択することができる。十分な大きさのゲージ針、リブ付き針、二重直径針、または多径針が使用され得る。
【0129】
図5(B)は、カテーテルアセンブリ100を同じ保持ハンド175でほぼ同じ位置に安定して保持しながらガイドワイヤ148を前進させ、静脈212内の針先を標的領域から移動させるのを制限または回避している使用者を示している。使用者は、カテーテルアセンブリ100を保持しているのと同じ手の人差し指などの指の1本を使ってガイドワイヤを作業台136(
図1)の表面138に押し当て、指先と表面138との間の摩擦を利用して、作業台136上の近位位置から遠位位置の間で指を動かすことによってワイヤを漸進的に前進させ、次に指を持ち上げて作業台上の近位位置に戻すことを繰り返すことによって、ガイドワイヤ148を前進させることができる。ガイドワイヤ148は、クリンプ、バンプ、またはガイドワイヤ上の拡大された部分が針の内側から針のクリンプに突き当たるとき、ガイドワイヤの終端に達してそれ以上ガイドワイヤを前進させることができなくなるまで、ガイドワイヤ上の拡大された部分が針ハブ上の狭い開口部に突き当たるまで、またはそれらの組み合わせなど、物理的な停止が作動、感知、またはトリガされるまで前進させることができる。
【0130】
ガイドワイヤ148が静脈212内に進入した後、カテーテルチューブ108はガイドワイヤ上を摺動または前進し、ガイドワイヤ148はカテーテルチューブを支持して静脈212内に誘導する役割を果たす。一実施例では、
図5(C)に示すように、保持ハンドの指の一本を使ってカテーテルハブ106上のプッシュタブ126を遠位方向に押すことにより、カテーテルチューブ108をガイドワイヤ148上に前進させることができる。この動作により、カテーテルハブ106が針ハブ110から分離する。この分離は、針112、ガイドワイヤ148、および針ハブ110がカテーテルハブ106から完全に分離し、カテーテルチューブ108の先端が血管アクセスのために静脈内に残るまで続けることができる。従って、
図5(A)から
図5(C)へ移動する際、使用者は手を持ち替えたり、両手を使ったりすることなく、同じ保持ハンドでカテーテルアセンブリを操作することができる。
【0131】
図5(C)と組み合わせて再び
図4Bを参照すると、カテーテルユニット102は、針の保護位置で針先端114を覆うための針ガード200を任意に備えることができる。加えて、または代替的に、カテーテルユニット104は、バルブまたはセプタム192およびバルブオープナ194を有することができる。組み込まれる場合、針ガード200の遠位壁はそれぞれ、針ではなくガイドワイヤ148の直径を収容する大きさの垂直スリットを有することができる。このスリットにより、遠位壁が保護位置で針先端の遠位側に移動し、静脈穿刺の成功後に針が引き抜かれる際に針から伸びるガイドワイヤ148を収容することができる。バルブまたはセプタム192およびバルブまたはセプタムオープナ194は、カテーテルハブを通る流れを制御するためにカテーテルハブ106とともに残る。
【0132】
説明したように、本発明のカテーテルアセンブリ100は、標準的な末梢静脈内カテーテル(PIVC)アセンブリと同様に使用することができる。すなわち、患者の最初の穿刺、および静脈穿刺成功後のカテーテルハブからの針および針ハブの分離は、本質的に同じ技術を含み、片手テクニックを用いて行うことができる。さらに、ガイドワイヤを前進させるステップでは、保持ハンドをもう一方の手に持ち替えたり、両手を使ったり、保持ハンドを針ハブから離したりする必要はない。カテーテルアセンブリの手の持ち替えや取り扱い場所を最小限にすることで、針が静脈に入るとき、および/またはカテーテルチューブをガイドするためにガイドワイヤを静脈に進めるときの望ましくない針の動きを減らすことができる。これらの利点は、開示されたカテーテルアセンブリの開業医による容易な適応と受容を提供する。
【0133】
図示し説明したように、本発明のガイドワイヤ吐出針ハブ一体型カテーテルアセンブリは、針ハブとガイドワイヤ吐出器ハウジングとの間に通常見られる取り付け箇所を少なくとも1つ少なくすることができる。従って、先行技術の針ハブとガイドワイヤ吐出器ハウジングは別個のパッケージで提供され得るので、本発明のカテーテルアセンブリは少なくとも1つの処置前組立工程を減らすことができる。また、ガイドワイヤ吐出針ハブ一体型の本カテーテルアセンブリは、通常、正中線カテーテルに見られる針ハブからカテーテルハブを分離する際に、カテーテルハブをガイドするために使用される取り外し可能または分離可能な外側のハウジングなしで実施することもできる。
【0134】
さらに、ガイドワイヤと針ハブが一体化された開示された針ユニットを含む本カテーテルアセンブリ設計は、ガイドワイヤなしで使用することができ、標準的な末梢静脈内カテーテル(PIVC)アセンブリとして使用することができる。例えば、図示し説明したようなカテーテルアセンブリは、ガイドワイヤなしで使用することができる。
【0135】
図6は、本発明のカテーテルアセンブリ100を示す概略図であり、使用時のガイドワイヤ148の動きを示すために、チューブ158の長さが針ハブ110から延び、支持されていない状態を示している。同じコンセプトは、チューブ158がチューブの近位端180で支持されている場合にも適用される。同じコンセプトは、
図4Aおよび
図4Bに示すように、カテーテルユニット104が概ね円筒形、概ね円錐台形状の本体を有する場合にも同様に適用される。
【0136】
使用準備完了位置に配置されたガイドワイヤを線220で表し、この線220は、ガイドワイヤの遠位先端部又はガイドワイヤ先端部218が針の針先端114から近位側に引き下がっており(recessed)、ガイドワイヤ148の近位端180がチューブ158の近位端開口162から遠位側にあることを示している。ガイドワイヤ先端218は針112内の点T1に位置し、ガイドワイヤ148の近位端180はチューブ158内の点R1に位置する。別の言い方をすれば、ガイドワイヤの遠位先端218は点T1において針先端114から近位側に引き下がっており、ガイドワイヤ148の後端180は点R1においてチューブ158の近位端開口162から引き下がっている。
【0137】
使用時、ガイドワイヤ148は、先に論じたように、針先端114を通して遠位側に吐出され、押し出され得る。一実施例において、また線222を参照すると、ガイドワイヤの遠位先端218は、針先端114の遠位側に点T2まで吐出され得て、ガイドワイヤ148の近位端180は、遠位側に点R2まで移動し得る。針先端114と点R2との間の距離、すなわちガイドワイヤ吐出長さは、カテーテルチューブ108を血管アクセスのために標的静脈内に前進させるために、カテーテルチューブ108に適切なガイドおよび支持を提供するように選択することができる。
【0138】
図6の点AAの拡大図である
図6Aを参照すると、ガイドワイヤ近位端180をコイル状にして、近位端におけるガイドワイヤの全体的なサイズ又はプロファイルを増大させ、拡大端181を画定することができる。近位端180においてガイドワイヤの直径に対して拡大されたプロファイルを有する拡大端181は、組み込まれている場合はガイドスタブ150の小さな開口部によって、または針ハブ110の本体134の小さな開口部によってなど、針ハブに係合または捕捉されるために使用することができる。一例では、拡大端181は、J字形の先端部またはコイル状の先端部とすることができる。ガイドスタブ150または近位経路144などの針ハブ110は、ガイドワイヤ148の直径を収容するための内径を有することができるが、ガイドワイヤの拡大端181がそこを通過するには小さすぎる。したがって、使用中にガイドワイヤ148が吐出されるとき、拡大端181とボアを規定する構造との間の係合により、ガイドワイヤ148のさらなる遠位への前進を停止することができ、これに対応して、針先端114に対するガイドワイヤ先端部218のさらなる遠位への前進が停止され、したがって、ガイドワイヤの吐出長さが規定される。
【0139】
代替的な実施形態では、ガイドワイヤ148は、針先端114付近の針のクリンプ部において、針112の内腔を通る内部経路よりも大きいバンプまたは材料の盛り上がり部などの拡大部を有することができる。吐出されると、ガイドワイヤ上のバンプや盛り上がり部が針のクリンプに係合して、ガイドワイヤの遠位への前進を止めることができる。従って、針のクリンプは、針ガードとの係合と引き込み、およびガイドワイヤのさらなる遠位への前進を止めることの両方に使用することができる。
【0140】
図7は、2Dまたは3D超音波プローブなどの超音波プローブと組み合わせて使用される本発明のカテーテルアセンブリの片手使用能力を説明する一連の図である。
図7(A)から始めると、使用者174は、先に説明したように、カテーテルアセンブリ100を片方の手で上体を反らせたポジションで握ることができる。使用者は、左手でも右手でもよい保持ハンド175でカテーテルアセンブリ100を保持し、超音波プローブ226を保持するためのプローブハンド177と呼ばれる他方の手には超音波プローブを保持することができる。次に、使用者は、針先端114およびカテーテルチューブ開口116を用いて静脈212にアクセスするために、保持ハンド175を用いて患者210を突き刺すことができる。使用者は、超音波プローブ226をプローブハンド177とともに使用して、針先端114の適切な配置のために穿刺部位を監視することができる。オプションとして、超音波プローブ226による確認に加えて、一次的な血液フラッシュバックによって適切な針穿刺を確認することができる。
【0141】
図7(B)は、カテーテルアセンブリ100を同じ保持ハンド175で安定的に保持し、静脈212内の針先を標的領域から移動させるのを制限または回避するためにほぼ同じ位置に保持しながら、使用者が針からガイドワイヤ148を前進させる様子を示している。使用者は、カテーテルアセンブリ100を保持しているのと同じ保持ハンド175の人差し指などの指の1本を使ってガイドワイヤを作業台136(
図1)の表面138に押し当て、指先と表面138との間の摩擦を利用して、作業台136上の近位位置から遠位位置の間で指を動かしてワイヤを漸進的に前進させ、次に指を持ち上げて作業台上の近位位置に戻すことを繰り返すことによって、ガイドワイヤ148を前進させることができる。ガイドワイヤ148は、先に説明したように、ガイドワイヤ148と針ハブ110との間の係合、またはガイドワイヤと針のクリンプとの間の係合によって物理的に停止するまで、プローブハンド177に保持された超音波プローブ226の確認または監視下で前進することができる。
【0142】
ガイドワイヤ148が静脈212内に進入した後、カテーテルチューブ108がガイドワイヤ上を摺動し、
図7(C)に示すように、ガイドワイヤ148がカテーテルチューブを支持して静脈内に案内する役割を果たす。一実施例では、保持ハンド175の一本の指を用いてカテーテルハブ106のプッシュタブ126を遠位方向に押すことにより、カテーテルチューブ108をガイドワイヤ148上に前進させることができる。この動作により、カテーテルハブ106が針ハブ110から離れる。プローブハンド177に保持された超音波プローブ116によって、カテーテルチューブのさらなる前進を監視することができる。このように、
図7(A)から
図7(C)へ移動する際、使用者は、手を持ち替えたり、両手を使ったりすることなく、同じ持ち手でカテーテルアセンブリを操作することができる。
【0143】
使用者は、
図7(D)に示すように、針ハブ、針、およびガイドワイヤがカテーテルハブ106から完全に分離されるまで、針ハブとカテーテルハブとを互いに遠ざけることによって、針112、ガイドワイヤ148、および針ハブ110の分離を続けることができる。完全に分離した後も、カテーテルチューブ108の先端は血管アクセスのために患者の静脈内に残る。
図7(D)に示す分離は、超音波プローブ226を使用せずに行うことができる。分離はまた、保持ハンド175だけで行うこともできる。オプションとして、保持ハンドではないほうの手177は、超音波プローブを解放した後、およびカテーテルチューブを静脈内にさらにうまく前進させた後、使用者が保持ハンド175で針ハブ110を後退させる際に、患者の皮膚に対してなど、カテーテルハブ106を安定に保持するために使用することができる。
【0144】
説明したように、本発明のカテーテルアセンブリ100は、標準的な末梢静脈内カテーテル(PIVC)アセンブリと同様に使用することができる。さらに、患者を穿刺するステップ、ガイドワイヤを前進させるステップ、ガイドワイヤ上にカテーテルチューブを前進させるステップ、および針を後退させるステップは、片手手順を使用して実行することができる。このプロセスでは、手技の開始時にカテーテルアセンブリを保持するために使用する保持ハンド175を持ち替えたり、両手を使用したりする必要はない。カテーテルアセンブリの手の持ち替えや取り扱い場所を最小限にすることで、針が静脈に入るとき、および/またはカテーテルチューブを誘導するためにガイドワイヤが静脈に送り出されるときの、望ましくない針の動きを減らすことができる。
【0145】
図8Aは、針なしで示された針ハブ110の透視図である。
図8Bは、
図8Aの針ハブ110の側面図である。
図9は、本発明のさらなる態様による針ハブ110の断面側面図であり、
図8Bの針ハブをわずかに変更している。最初に
図8Aを参照すると、針ハブ110は、
図1、
図2および
図3のような、本明細書の他の箇所に記載されている針ハブと類似しているが、いくつかの相違点がある。本実施形態は、遠位端にノーズ部186を有し、近位端にチューブガイド150を有するハブ本体134を含む。上面または作業面138を有する作業台136が、遠位端と近位端との間に設けられている。遠位経路または第1の経路140が作業台136の遠位部からノーズ部186を通って設けられ、近位経路または第2の経路144が作業台の近位部からカテーテルハブ110の近位端のチューブガイド150を通って設けられる。幾つかの実施例では、作業台136は図示した以外の形状を具現化することができる。例えば、作業台の作業面は、より狭く、より広く、より長く、曲線を有し、側縁を有するなどとすることができる。
【0146】
遠位経路140の開口部として遠位経路開口部140aを画定する経路開口部または外周が設けられ、近位経路144の開口部として近位経路開口部144aを画定する経路開口部または外周が設けられ、いずれも作業台に設けられている。2つの開口部140a、144aは互いに間隔をあけて配置されている。作業台134の表面138は、2つの開口部140a、144aの間に位置し、表面138は環境または大気に露出している。2つの開口部140a、144aの間の露出した表面138は、先に説明したように、2つの開口部の間を通過するガイドワイヤ148が使用者または施術者によってアクセス可能とすることができる。したがって、露出していることによって、作業面138はいかなる構造によっても覆われておらず、使用者の指による押しつけのために針ハブ本体の側面から表面へのアクセスが許されるか、または利用可能である。いくつかの例では、2つの開口部間の距離は少なくとも1インチ、好ましくは少なくとも1.25インチ、より好ましくは少なくとも1.5インチ、少なくとも2インチ、少なくとも2.5インチ、または少なくとも3インチである。針ハブの幅は約0.5インチ以上、例えば約0.75インチから約1.25インチである。代替的な実施形態では、作業台は、血液の飛散や露出からガイドワイヤを覆うために、透明で柔軟なプラスチックシートまたはプラスチックチューブによって重ねられるなどして覆うことができる。透明なプラスチックシートは作業面を覆うことができるが、使用者がガイドワイヤを前進させるためにプラスチックシートとガイドワイヤの両方を作業面に押し付けることができるように、柔軟であるか、十分に柔らかい。プラスチックチューブが使用される場合、プラスチックチューブはガイドワイヤを囲む保護カバーを提供し、ガイドワイヤを隠すことができる。透明なプラスチックシートもプラスチックチューブも、伸縮自在で柔軟であるため、適用中にガイドワイヤの進退を妨げることはない。
【0147】
一実施例では、遠位経路開口部140a及び近位経路開口部144aは共に概ね円形であり、概ね同じ寸法である。他の例では、寸法は異なり得て、および/または2つの開口部の形状は異なり得る。例えば、ガイドワイヤの出口である近位経路開口部144aは、ガイドワイヤ148を近位端から針ハブ110を通って針112の内腔に通すときの入口である遠位経路開口部140aよりも小さい寸法にすることができる。
【0148】
図8Bをさらに参照すると、針ハブ110の本体134は、第1のセクション230、第2のセクション232、および第3のセクション234を含む3つの異なるセクションを有すると見なすことができる。第1のセクション230は、針の近位端を受け入れてそこに固定するための針ウェル236(
図9)を有するノーズ部186を含む。針ウェル236は、遠位経路140の端部に配置され得て、針は、針ウェルに取り付けられ得る。外部では、ノーズ部186は、
図1、
図2、
図3、および
図4に示すように、使用準備完了位置にあるカテーテルハブ近位端内に突出するようなサイズおよび形状にすることができる。ノーズ部186は、ルアーテーパを有するか、またはカテーテルハブ内に適合するサイズの雄型スタブとすることができる。フランジまたは延長部240をノーズ部186の遠位側に組み込むことができる。延長部240は、
図4Bに示すように、組立時に針ガードをカテーテルハブ内に押し込むためのサイズおよび形状とすることができる。しかしながら、延長部240は、他の工具またはオプションを使用して針ガードを組み込む場合でも省略することができる。
【0149】
第1のセクション230は、ノーズ部186を第2のセクション232に接続する移行部またはネック部242をさらに含むことができる。ネック部242は、複数の側面244を有し、それを通って延びる遠位経路140を有する三次元台形形状の構造を有し得る。ネック部242は、ノーズ部186と第2のセクション232との間のサイズ差を埋めるために、小さい遠位端から大きい近位端に向かって拡大する。他の実施例において、ネック部242は、円錐台形状を有するなど、異なる形状を具現し得る。さらに、第1のセクション230の遠位端にノーズ部186が示されているが、ノーズ部は、設計から外されてもよい。例えば、第1のセクション230は、カテーテルハブの外側でカテーテルハブを把持するアーム、フード、サドルなどと同様に、カテーテルハブの外側位置のためにカテーテルハブとの組立位置を把持または設定できる構造を組み込むことができる。
【0150】
一実施例では、受容キャビティ246がネック部242に形成される。受容キャビティ246は、チャネルまたはスロットに類似することができ、針内腔から遠位経路140を通過する流れを制限するための流量制限器250を収容するサイズおよび形状である。一実施例では、流量制限器250は、セプタム、バルブ、または疎水性フィルタもしくは疎水性膜を具現化することができる。使用中、および患者の血管系にアクセスすると、血圧によって血液が針内腔を通って近位に流れる。流量制限器250が組み込まれると、近位の血流を流量制限器で停止または制限することができ、それによって第2のセクション232および作業台136上への血液漏れをなくすか、または制限することができる。
【0151】
一実施例では、受容キャビティ246は、流量制限器250を摩擦で把持するか、または流量制限器を干渉嵌合で保持するサイズおよび形状である。受容キャビティはスロットであり得、受容キャビティの一部は遠位経路140を二分し得るか、または遠位経路は受容キャビティを通過し得るか、または受容キャビティで起点となり得る。他の実施例では、流量制限器250をその中に固定するために、受容キャビティ246の開口部の上にはめ込むリテーナクリップを提供することができる。好ましくは、流量制限器は、ガイドワイヤによる貫通を可能にし、ガイドワイヤの前進中にそこを通るガイドワイヤの移動を可能にするサイズおよび形状である。
【0152】
引き続き
図8Bを参照すると、第2のセクション232は、側面図に沿って概ね円弧形状であり、作業台136の作業面138と対向する底面254は、一致する円弧形状を有する。2つの表面138、254は、針ハブの厚さを規定する厚さによって互いに隔てられている。この厚さは一定であってもよいし、作業台の長さに沿って変化してもよいし、一定でなくてもよい。他の実施例では、2つの表面138、254は異なる円弧を有することができる。さらに他の実施例では、底面254は、平坦または概して平面であることができ、あるいは平面と起伏のある表面との組み合わせを有することができる。
【0153】
作業台136の表面138は好ましくは円弧状である。円弧形状の表面は、施術者が指を用いてガイドワイヤを表面138に対して近位位置から遠位位置まで摺動させる際に、作業台136の作業面138を施術者の指に近づけるのに役立つ。しかしながら、表面138は円弧形状に限定されない。例えば、作業台136の作業面138は、概して平面であることができ、または異なる程度の円弧形状を有することができる。したがって、第2のセクション232が平面を規定する2つの上部基準点259、261を有し得る場合、作業台232の表面138は、平面の下方に位置し得るか、または平面に隣接し得、円弧形状を有し得る。
【0154】
上面138及び底面254に加えて、第2のセクションは2つの対向する側面122を有する。側面は、先に説明したように、平滑または平坦であるか、または表面構造170を有することができる。側面は、代替的に、保持ハンドの指を受けるための溝を有することができる。
【0155】
針ハブ110の第3のセクション234は、任意選択でガイドスタブ150を含むことができる。ガイドスタブ150は、単一のプラスチック射出成形などによって、第1および第2のセクション230、232と一体に形成することができ、あるいは別個に形成して第1および第2のセクションに固定することもできる。例えば、ガイドスタブ150は、ボアまたは通路を有するように別個に成形され、次いで、第2のセクション232の近位端面152に接着、スナップ嵌め、または溶接され得る。別個に成形される場合、第2のセクション232で形成される近位経路144の部分と、ガイドスタブ150で形成される近位経路の部分とは、位置合わせされるべきである。
【0156】
一実施例では、ガイドスタブ150は概して円筒形である。他の実施例では、ガイドスタブは、多角形の形状を有するなど、多面を有することができる。ガイドスタブは、近位経路144の全長を延長し、先に説明したように、チューブのアンカーポイントまたは取り付けポイントを提供することができる。しかしながら、ガイドスタブ150を省略し、第2のセクション232に十分な経路長を設け、チューブの取り付けポイントとして機能させることもできる。例えば、第2のセクション232の端点260から、近位端面152が端点260と一致する代わりにさらに近位方向に延びるように、第2のセクションを近位方向に延長することができる。これにより、経路144を長くすることができ、チューブをその端部開口に直接結合することができる。
【0157】
次に
図9を参照すると、本発明のさらなる態様に従って提供される針ハブ100の断面側面図が示されている。針ハブ100は、いくつかの例外を除いて、
図8Aおよび
図8Bの針ハブ100に類似している。本実施例では、ネック部242は概ね円筒形状を有するように変更されており、受容キャビティ246は比較的小さい流量制限器250を受容するように変更されている。流量制限器250は、遠位経路140の遠位経路開口部140aに配置され、受容キャビティ246の構造によって少なくとも2つの側面、好ましくは少なくとも3つの側面に沿って把持される。任意選択で、流量制限器250は、クリップ、戻り止め係合、接着剤、またはそれらの組み合わせなどで、受容キャビティ246に保持することができる。
【0158】
針ハブ110の第2のセクション232は、表面138と底面254とを有する作業台136を含み、これらは両方とも
図8Bのような円弧状とすることができる。しかしながら、本実施形態では、作業台136は椀形チャネルに似ており、作業台136の上面または作業面138はチャネルの底部に位置している。作業台136は、作業面138から延びる2つの上方に延びる側面264(1つのみ図示)を有する。端部の断面に沿って、ボウル形状のチャネルは、文字「U」に似ているが、比較的低く延びる側壁が短いUに似ている。さらに、表面138が近位端から遠位端まで延びるにつれて、チャネルは弧を描くか湾曲する。例えば、作業面138および両側壁264の上縁268は円弧形状を有する。チャネルは、カテーテルアセンブリを使用してガイドワイヤを前進させる際に、施術者の指を2つの側壁264の間に位置させるのに役立つ。
【0159】
図9は、第3のセクション234のガイドスタブ150を、接着剤または溶接などによって第2のセクション232に取り付けられる別個に形成された部品として示している。しかしながら、前述したように、ガイドスタブ150は、第2のセクション232と一体に形成することもできるし、丸ごと省略することもできる。別個に形成される場合、近位経路144の第1の近位経路セクション144(1)は、近位経路144の第2の近位経路セクション144(2)と整列して、全体的な近位経路144を画定する。図示のように、ガイドスタブ150の上部輪郭は、概して平坦であるか、または第2のセクション232の上部近位点260と面一である。他の例では、ガイドスタブ150の上部輪郭は、第2のセクションの上部近位点の上方または下方に位置することができる。
【0160】
近位経路144の最後端開口部144bは、好ましくは拡大されるか、または経路自体の直径よりも大きくされる。最後端開口部144bは、ガイドワイヤ148の挿入を容易にするために大きくすることができる。最後端開口部144bは、
図1を参照して示すように、チューブ158を受け入れるように拡大することができる。チューブ158は、摩擦嵌め、干渉嵌め、溶接、接着剤、またはそれらの組合せを介して最後端開口部144bに取り付けることができる。
【0161】
【0162】
図10は、前述したように、片方の手でカテーテルアセンブリ100を上反りポジションで把持している使用者174を示している。カテーテルアセンブリ100は、カテーテルユニット102と針ユニット104とを含む。カテーテルユニット102は、
図4Bのカテーテルユニットなど、本明細書の他の箇所に記載されているカテーテルユニットのいずれかを具現化することができる。針ユニット104は、
図1、
図4A、
図8A、
図8Bの針ユニットなど、本明細書の他の箇所に記載されている針ユニットのいずれかを具現化することができる。使用者174は、左手または右手であり得る保持ハンド175でカテーテルアセンブリ100を保持することができる。使用者174は、穿刺部位で患者210を穿刺し、針先端114およびカテーテルチューブ開口部116が静脈212に入り、これにより、血液272が、説明のために模式的に示した針112の内腔を通って上方に流れる。いくつかの実施例では、針ユニット104は、針ユニットをどこで握るかについて使用者を補助するために、図示したものとは異なる人間工学的形状を有することができる。
【0163】
一実施例では、針を通る近位血流は、流量制限器250によって停止または制限される。流量制限器250は、
図8A、
図8B、および
図9を参照して説明したように、針ハブ110に形成された受容キャビティ内に配置することができる。セプタム、バルブ、または疎水性フィルタであり得る流量制限器250は、血液の流れが作業台136の表面上に流れて濡れるのを制限することができる。
図10は、
図5(A)および
図7(A)の位置に似ており、超音波プローブと組み合わせて使用することができる。
【0164】
ここで
図11を参照すると、カテーテルアセンブリ100は、ガイドワイヤ148が針先端114から遠位側に進められ、患者210の血管系に入った状態で示されている。本実施形態では、ガイドワイヤ148を遠位側に前進させるため、使用者が前進させる際にガイドワイヤの少なくとも一部が流量制限器250を通って移動する必要がある。流量制限器250は、一体化されたガイドワイヤおよび針ハブに組み込まれているため、針内腔を通って流れる血液は、作業台136上にこぼれないように制限または遮断される。
【0165】
図11は、
図5(B)および
図7(B)の位置に類似しており、超音波プローブと組み合わせて使用することができる。
【0166】
カテーテルアセンブリおよびその構成部品の製造方法および使用方法は本発明の範囲内である。
【0167】
本明細書では、カテーテルアセンブリおよびその構成要素の限定的な実施形態を具体的に説明および図示したが、当業者には多くの修正および変形が明らかであろう。従って、開示された装置、システム、および方法の原理に従って構築されたカテーテルアセンブリおよびその構成要素は、本明細書で具体的に説明した以外の方法で具体化されてもよいことを理解されたい。また、本開示は以下の特許請求の範囲において定義される。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルアセンブリ(100)であって、
近位開口部(184)を有するハブ本体(120)を有し、カテーテルハブ(106)の遠位端から延びるカテーテルチューブ(108)を有するカテーテルハブ(106)を含むカテーテルユニット(102)を含み、カテーテルチューブ(108)はカテーテルチューブ開口部(116)を有し、
カテーテルアセンブリ(100)はまた、
本体(134)を有する針ハブ(110)を含み、針ハブ(110)の遠位端から延びる針内腔を有する針(112)を有する一体型針ユニット(104)を含み、
針ハブ(110)は、
遠位経路開口部(140a)を有し、遠位経路(140)の端部に取り付けられた針(112)を有する遠位経路(140)と、
近位経路開口部(144a)および最後端開口部(144b)を有する近位経路(144)と、
遠位経路開口部(140a)と近位経路開口部(144a)との間に位置する作業台(136)上の作業面(138)と、を含み、
作業面(138)が本体(134)の一側面で露出して
おり、
ガイドワイヤ(148)は、遠位経路(140)、近位経路(144)、および針内腔の少なくとも一部、の両方を通って延び、
アセンブリは、ガイドワイヤ(148)の前進のあと、カテーテルチューブ(108)がガイドワイヤ(148)上を前進するように構成され、それによりカテーテルハブ(146)を針ハブ(110)から分離させ、その結果、針ハブ(110)およびカテーテルハブ(106)が互いから離れるとき、針ハブ(110)、針(112)、およびカテーテルハブ(106)が完全に分離するように構成される、
カテーテルアセンブリ(100)。
【請求項2】
カテーテルハブ(106)のハブ本体(120)の近位開口部が、針ハブ(110)の遠位端を受ける雌ルアーを含む、
請求項1に記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項3】
第一端(160)を有するチューブ(158)は、針ハブ(110)に直接結合する、
請求項1または2に記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項4】
第一端(160)は、針ハブ(110)の最後端開口部(144b)内に突出する
請求項3に記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項5】
ガイドワイヤ(148)は部分的にチューブ(158)の内側に配置される、
請求項3または4に記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項6】
チューブ(158)は、第二端(162)を有し、
第二端(162)は、支持されていないか、または第二端(162)は、針ハブ(110)に配置されたソケット(164)に支持されている、
請求項3~5のいずれか1つに記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項7】
ガイドワイヤ(148)が近位端(180)を有し、
近位端(180)は、ガイドワイヤ(148)の遠位側への移動を止めるために針ハブ(110)の最後端開口部(144b)と当接するようなサイズおよび形状を有する、または、
ガイドワイヤ(148)は、拡大部を有し、
拡大部は、ガイドワイヤ(148)の遠位側への移動を止めるために針(112)の内側から針(112)上のクリンプに当接するような大きさおよび形状を有する、
請求項1~6のいずれか1つに記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項8】
針ハブ(110)は、第1の近位経路セクション(144(1))と、針ハブ(110)の近位端面(152)から延びるガイドスタブ(150)と、第1の近位経路セクション(144(1))と位置合わせされた第2の近位経路セクション(144(2))とを有する、
請求項1~7のいずれか1つに記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項9】
針ハブ(110)は、遠位経路(140)に受容キャビティ(246)を有する、
請求項1~8のいずれか1つに記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項10】
受容キャビティ(246)に位置する流量制限器(250)をさらに含み、
流量制限器(250)は、セプタム、バルブ、または疎水性フィルタの1つを含む、
請求項1~9のいずれか1つに記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項11】
針ハブ(110)は、チャネルを有し、作業台(136)はチャネルの一部であり、チャネルは作業面(138)から延びる側壁(264、264)を有する、
請求項1~10のいずれか1つに記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項12】
カテーテルハブ(106)の内部に配置される針ガード(200)をさらに含み、
針ガード(200)は、針(112)によって外側にバイアスされた2つのアームを含む、
請求項1~11のいずれか1つに記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項13】
カテーテルハブ(106)の内部に配置されるバルブ(192)およびバルブオープナ(194)をさらに含む、
請求項12に記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項14】
チューブ(158)が針ハブ(110)に取り付けられ、ガイドワイヤ(148)が部分的にチューブ(158)内に配置され、部分的に針(112)内に配置される、
請求項1~13のいずれか1つに記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項15】
ガイドワイヤ(148)は、遠位経路(140)、および近位経路(144)の両方を通る、
請求項14に記載のカテーテルアセンブリ(100)。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1つに記載のカテーテルアセンブリ(100)を製造する方法であって、
方法は、
近位開口部(184)を備えるハブ本体(110)を有し、カテーテルハブ(106)の遠位端から延びるカテーテルチューブ(108)を有するカテーテルハブ(106)を含むカテーテルユニット(102)を形成するステップであって、カテーテルチューブ(108)はカテーテルチューブ開口部(116)を有する、ステップと、
本体(134)を備える針ハブ(110)を含み、針ハブ(110)の遠位端から延びる針内腔を備える針(112)を有する一体型針ユニット(104)を形成するステップと、
を含み、
針ハブ(110)は、
遠位経路開口部(140a)を有し、遠位経路(140)の端部に取り付けられた針(112)を有する遠位経路(140)と、
近位経路開口部(144a)および最後端開口部(144b)を有する近位経路(144)と、
遠位経路開口部(140a)と近位経路開口部(144a)との間に位置する作業台(136)上の作業面(138)と、を含み、
作業面(138)が本体(134)の一側面で露出して
おり、
方法はまた、
ガイドワイヤ(148)を、近位経路(144)を通して、遠位経路(140)を通して、および少なくとも部分的に針内腔を通して通過させるステップを含む、
方法。
【請求項17】
近位経路(144)と遠位経路(140)との間の作業面において、使用者が押すためにガイドワイヤ(148)を露出させるステップをさらに含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
針ハブ(110)の遠位端で形成される受容キャビティ(246)内に流量制限器(250)を配置するステップをさらに含む、
請求項16~17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
請求項1~15のいずれか1つに記載のカテーテルアセンブリ(100)を使用する方法であって、カテーテルアセンブリ(100)を保持ハンド片手でカテーテルアセンブリ(100)を握るステップを含み、
カテーテルアセンブリ(100)は、
近位開口部(184)を備えるハブ本体(110)を有し、カテーテルハブ(106)の遠位端から延びるカテーテルチューブ(108)を有するカテーテルハブ(106)を含むカテーテルユニット(102)を含み、カテーテルチューブ(108)はカテーテルチューブ開口部(116)を有し、
カテーテルアセンブリ(100)はまた、
本体(134)を備える針ハブ(110)を含み、針ハブ(110)の遠位端から延びる針内腔を備える針(112)を有する一体型針ユニット(104)を含み、
針ハブ(110)は、
遠位経路開口部(140a)を有し、遠位経路(140)の端部に取り付けられた針(112)を有する遠位経路(140)と、
近位経路開口部(144a)および最後端開口部(144b)を有する近位経路(144)と、
遠位経路開口部(140a)と近位経路開口部(144a)との間に位置する作業台(136)上の作業面(138)と、を含み、
作業面(138)が本体(134)の一側面で露出し、保持ハンドの指を作業台(136)の上に方向付ける、
方法。
【請求項20】
ガイドワイヤ(148)が、遠位経路(140)と近位経路(144)との間を通過し、
ガイドワイヤ(148)を指と作業面(138)との間で、指でガイドワイヤ(148)を押し下げるステップをさらに含む、
請求項19に記載の方法。
【国際調査報告】