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特表2024-523634アスファルト組成物の耐候性用途のための使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】アスファルト組成物の耐候性用途のための使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 95/00 20060101AFI20240621BHJP
   C08K 5/29 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C08L95/00
C08K5/29
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580584
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2022062394
(87)【国際公開番号】W WO2023274609
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/216,011
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21196512.4
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】バーニー・ルイス・マロンソン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルデマール・シャッツ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・オール
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AG001
4J002ER006
4J002FD206
4J002GL00
(57)【要約】
本発明は、耐候性用途のためのアスファルト組成物の使用に関する。前記組成物は少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物を含み、組成物中の熱硬化性反応性化合物の総量は組成物の総重量に基づいて0.1~10.0重量%であり、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物はイソシアネートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐候性用途のためのアスファルト組成物の使用であって、前記組成物は少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物を含み、前記組成物中の前記熱硬化性反応性化合物の総量は前記組成物の総重量に基づいて0.1~10.0重量%であり、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物はイソシアネートである、使用。
【請求項2】
前記耐候性用途が屋根ふき用途である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記熱硬化性反応性化合物が、前記アスファルト組成物の前記総重量に基づいて1.0重量%~5.0重量%の総量で存在する、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記イソシアネートが芳香族イソシアネートまたは脂肪族イソシアネートから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記芳香族イソシアネートが、モノマーMDI、ポリマーMDI、トルエンジイソシアネート、ポリマートルエンジイソシアネートまたは1,5-ナフタレンジイソシアネートから選択される、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記芳香族イソシアネートがモノマーMDIおよび/またはポリマーMDIである、請求項4または5に記載の使用。
【請求項7】
前記ポリマーMDIが少なくとも2.5の官能価を有する、請求項5または6に記載の使用。
【請求項8】
前記ポリマーMDIが2.5~4の範囲の官能価を有する、請求項5から7に記載の使用。
【請求項9】
前記ポリマーMDIの量が、前記組成物の前記総重量に基づいて0.5~2.0重量%である、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記ポリマーMDIの量が、前記組成物の前記総重量に基づいて2.0~5.0重量%である、請求項5から8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記ポリマーMDIの鉄含有量が、1~100重量ppmの範囲である、請求項5から10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記モノマーMDIがカルボジイミド変性モノマーMDIである、請求項6に記載の使用。
【請求項13】
前記カルボジイミド変性モノマーMDIが、65重量%~85重量%の4,4’-MDIと、15重量%~35重量%のカルボジイミドを含み、前記重量%が、前記カルボジイミド変性モノマーMDIの総重量に基づく、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記アスファルト組成物が、スチレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBS)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ネオプレン、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、酸化高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化高密度ポリプロピレン、マレイン化ポリプロピレン、エチレン-ブチル-アクリレート-グリシジル-メタクリレートターポリマー、エチルビニルアセテート(EVA)、ポリリン酸(PPA)、または上記の2以上の組合せから選択される少なくとも1つのポリマーをさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
前記熱硬化性反応性化合物が、少なくとも1つのエポキシ樹脂および/または少なくともメラミンホルムアルデヒド樹脂をさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
前記組成物の前記総重量に基づいて少なくとも18重量%が、ホワイトスピリット溶媒中で5000Svedを超える沈降係数を有する粒子である、請求項1から15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
前記組成物の前記総重量に基づいて少なくとも20重量%が、ホワイトスピリット溶媒中で10000~1000000Svedの範囲の沈降係数を有する粒子である、請求項1から16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
耐候性用途に使用するためのアスファルト組成物であって、前記組成物は少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物を含み、前記組成物中の前記熱硬化性反応性化合物の総量は前記組成物の総重量に基づいて0.1~10.0重量%であり、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物はイソシアネートである、アスファルト組成物。
【請求項19】
耐候性用途が屋根ふき用途である、請求項18に記載のアスファルト組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐候性用途のためのアスファルト組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルトは、主な用途、つまり、コンクリートを作るために骨材粒子と混合される接着剤やバインダーとして使用される道路建設のほかに、ルーフィングフェルトまたは平屋根のシーリング材などの瀝青防水製品の製造にも使用される。
【0003】
米国特許第2859125A号明細書は、湿った表面に塗布することができ、また迅速に硬化する、屋根ふき用途に使用するための五酸化リンの存在下でエアブローされるアスファルト組成物を概説している。
【0004】
米国特許第6776833B2号明細書は、瀝青と、水および実質的に完全に水和したコロイド状粘土のスラリーとを含む、シーラント、コーティングおよび/またはマスチック用の乳剤を明らかにしている。前記乳剤は、常温施工を可能にすることにより、屋根などの表面での最終組成物の適用性を改善することが注目される。
【0005】
しかしながら、アスファルト組成物は、耐候性用途に使用可能な場合、耐候性に加えて十分な機械的強度を有する必要がある。特に、屋根ふき用途は、ASTM D312に概説されているような特別な物理的特性を必要とする。具体的には、適切な組成物は、軟化、硬度および延性特性に対して十分な耐性を有さなければならない。
【0006】
米国特許出願公開第2019/0177543号明細書は、アスファルトおよびポリウレタンを含む耐候性化合物に関し、この組成物は、改善された鉱物付着性および保持性ならびに改善された耐候性を有する。しかしながら、そのような組成物を工業的に加工するには、粘度を厳密に制御することが必要であろう。さらに、前記化合物(8~20重量%のポリウレタンを含有)に関わる材料コストも比較的高い。
【0007】
最新技術はいくつかのアスファルト組成物を開示しているが、耐候性用途/材料、特に屋根ふき用途/材料での使用に特に適切なアスファルト組成物に対する満たされていないニーズがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第2859125A号明細書
【特許文献2】米国特許第6776833B2号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2019/0177543号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、屋根ふきおよび耐候性用途に容易に使用可能なアスファルト組成物を提供することであった。本発明のもう一つの目的は、耐候性および屋根ふき用途に使用するためのアスファルト組成物が、ASTM D312に準拠した適切な物理的パラメータを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、上記の目的は、以下に記載されるアスファルト組成物を提供することによって満たされ、前記組成物は少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物を含み、組成物中の熱硬化性反応性化合物の総量は組成物の総重量に基づいて0.1~10.0重量%であり、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物はイソシアネートであることが見出された。
【0011】
したがって、一態様では、現在特許請求されている発明は、耐候性用途のためのアスファルト組成物の使用に向けられており、前記組成物は少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物を含み、組成物中の熱硬化性反応性化合物の総量は組成物の総重量に基づいて0.1~10.0重量%であり、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物はイソシアネートである。
【0012】
もう一つの態様では、現在特許請求されている発明は、耐候性用途に使用するためのアスファルト組成物に向けられており、前記組成物は少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物を含み、組成物中の熱硬化性反応性化合物の総量は組成物の総重量に基づいて0.1~10.0重量%であり、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物はイソシアネートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の組成物および配合物を記載する前に、そのような組成物および配合物は当然変化し得るため、本発明は記載される特定の組成物および配合物に限定されないことを理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は限定を意図するものではないことも理解されたい。
【0014】
本明細書で使用される「含む(comprising)」、「含む(comprises)」および「からなる(comprising of)」という用語は、「含む(including)」、「含む(includes)」または「含有する(containing)」、「含有する(contains)」と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、追加の列挙されていないメンバー、要素または方法ステップを除外するものではない。本明細書で使用される「含む(comprising)」、「含む(comprises)」および「からなる(comprised of)」という用語は、「からなる(consisting of)」、「からなる(consists)」、および「からなる(consists of)」という用語を含むことが理解されよう。
【0015】
さらに、明細書および特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」、または「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」などの用語は、類似の要素間の区別のために使用され、必ずしも連続的または時系列的な順序を記載するためのものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載の本発明の実施形態は、本明細書に記載または例示されている以外の順序でも実施可能であることを理解されたい。「第1」、「第2」、「第3」、または「(A)」、「(B)」、および「(C)」、または「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、「i」、「ii」などの用語が方法または使用またはアッセイのステップに関する場合、ステップ間に時間または時間間隔の一貫性はない。すなわち、ステップは、本出願において本明細書の上記または下記に別段の指示がない限り、このようなステップは同時に実施されてもよく、またはステップ間に秒、分、時間、日、週、月、あるいはさらに年の時間間隔があってもよい。
【0016】
以下の節では、本発明の様々な態様が、より詳細に定義される。そのように定義された各態様は、そうでないことが明確に示されていない限り、あらゆる他の1つ以上の態様と組み合わせてもよい。特に、好ましいまたは有利であると示されたあらゆる特徴は、好ましいまたは有利であると示されたあらゆる他の1つ以上の特徴と組み合わせてもよい。
【0017】
本明細書全体を通して「一実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」への言及は、その実施形態に関して記載される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所において「一実施形態では(in one embodiment)」または「一実施形態では(in an embodiment)」という語句が出現した場合、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではないが、そうである場合もある。さらに、特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態において、本開示から当業者に明らかであるように、任意の適切な様式で組み合わせることができる。さらに、当業者には理解されるように、本明細書に記載のいくつかの実施形態には、他の実施形態に含まれる他の特徴ではない特徴がいくつか含まれるが、様々な実施形態の特徴の組合せは本発明の範囲内であり、異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、添付の特許請求の範囲において、特許請求される実施形態のいずれも、あらゆる組合せで使用することができる。
【0018】
さらに、本明細書全体を通して定義される範囲は、終点の値も含む。すなわち「1~10の範囲」または「1~10の間」は、1と10の両方がその範囲に含まれることを意味する。さらに、1.1、1.2などの範囲内に入る非整数値も含まれると見なされる。疑義を避けるため付言すると、出願人は、適用法に従って同等の権利を有するものとする。
【0019】
本発明の一態様は、耐候性用途のためのアスファルト組成物の使用に向けられており、前記組成物は少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物を含み、組成物中の熱硬化性反応性化合物の総量は組成物の総重量に基づいて0.1~10.0重量%であり、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物はイソシアネートである。
【0020】
本発明のもう一つの態様は、耐候性用途に使用するためのアスファルト組成物に向けられており、前記組成物は少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物を含み、組成物中の熱硬化性反応性化合物の総量は組成物の総重量に基づいて0.1~10.0重量%であり、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物はイソシアネートである。
【0021】
好ましくは、耐候性用途は屋根ふき用途である。
【0022】
耐候性用途に使用するためのアスファルト組成物は、耐候性材料を形成するために、充填剤、結合剤、防腐剤、顔料などの適切な周知の添加剤で再配合されることが好ましい。前記材料は、好ましくは
-塗料およびコーティング、特に防水用、
-接合部を充填し、亀裂を封止するためのマスチック、
-道路、飛行場、スポーツ競技場などの表面を舗装するためのグラウトおよび熱間注入面、
-アスファルト乳剤、
-上記のような舗装用ホットコーティング、
-舗装用表面コーティング、
-屋根板
から選択される。
【0023】
または、上記のうちの2つ以上の任意の組合せ。
【0024】
より好ましくは、耐候性材料は屋根ふき用途用の屋根板である。屋根ふきの屋根板は、個々の重なり合う要素で構成される屋根の覆いである。これらの要素は、屋根の下端から上にコース上に配置された平らな長方形の形状であってよく、連続する各コースは下の接合部と重なり合っている。
【0025】
アスファルト組成物
本発明によれば、アスファルト組成物に用いられるアスファルトは、既知の任意のアスファルトであり得、一般に任意の瀝青化合物を含む。それは、瀝青またはアスファルトと呼ばれる材料のいずれか、例えば、蒸留、ブローン、高真空、およびカットバック瀝青であってよく、また例えばアスファルトコンクリート、キャストアスファルト、アスファルトマスチック、天然アスファルトまたはそれらの混合物であってよい。例えば、80/100または180/200の針入度を有する直接蒸留されたアスファルトを使用することができる。別の実施形態では、アスファルトはフライアッシュを含まなくてもよい。
【0026】
アスファルトの様々な物理的特性は、当技術分野で公知の様々な試験によって測定され、実験の項で詳細に説明される。例えば、弾性応答および回復不可能なクリープコンプライアンス(Jnr)は、アスファルトが一定時間一定の荷重を受ける多重応力クリープ回復(MSCR)試験で計算される。特定の期間の総変形は%で示され、結合剤の弾性の尺度に対応する。さらに、改質結合剤の弾性応答の改善(位相角の減少)を示す位相角を測定することもできる。
【0027】
ベンディング・ビーム・レオメーター(BBR)は、低温でのアスファルトの剛性を決定するために使用され、通常、アスファルトの曲げ剛性を参照する。この試験では、2つのパラメータが決定される:クリープ剛性は、一定の荷重に対する瀝青の抵抗の尺度であり、クリープ速度(またはm値)は、荷重が加えられたときにアスファルト剛性がどのように変化するかの尺度である。クリープ剛性が高すぎると、アスファルトが脆く挙動し、亀裂が発生しやすくなる。温度変化および熱応力が蓄積するので、剛性は比較的急速に変化するため、高いm値が望ましい。高いm値は、アスファルトが、そうでなければ低温割れが発生し得るレベルまで蓄積する応力を分散させる傾向があることを示す。
【0028】
アスファルトの様々な特性は、当業者に知られている標準的な技術を使用して決定することができる。例えば、軟化点はDIN EN 1427に準拠し、ローリング薄膜オーブン(RTFO)試験は、DIN EN 12607-1に準拠して決定することができ、動的せん断レオメーター(DSR)はDIN EN 14770-ASTM D7175に準拠し、多重応力クリープ回復(MSCR)試験はDIN EN 16659-ASTM D7405に準拠し、ベンディング・ビーム・レオメーターはDIN EN 14771-ASTM D6648に準拠して決定することができる。
【0029】
本発明によれば、アスファルトは、好ましくは20~30、30~45、35~50、40~60、50~70、70~100、100~150、160~220、250~330、または300~400から選択される針入度、および/または52~16、52~22、52~28、52~34、52~40、58~16、58~22、58~28、58~34、58~40、64~16、64~22、64~28、64~34、64~40、67~22、70~16、70~22、70~28、70~34、70~40、76~16、76~22、76~28、76~34または76~40から選択される性能グレードを有する。より好ましくは、針入度は、70~100、100~150、160~220、250~330、または300~400から選択され、かつ/あるいは性能グレードは、52~16、52~22、52~28、52~34、52~40、58~16、58~22、58~28、58~34、58~40、64~16、64~22、64~28、64~34、67~22、70~16、70~22、70~28、76~16、76~22、76~28、76~34、または76~40から選択される。さらにより好ましくは、針入度は、100~150、160~220、250~330、または300~400から選択され、かつ/あるいは性能グレードは、52~16、52~22、52~28、52~34、52~40、58~16、58~22、58~28、58~34、64~16、64~22、64~28、67~22、70~16、70~22、76~16、または76~22から選択される。さらにより好ましくは、針入度は、100~150、160~220、250~330、または300~400から選択され、かつ/あるいは性能グレードは、58~28、58~34、64~16、64~22、64~28、67~22、70~16、70~22、76~16、または76~22から選択される。最も好ましくは、アスファルトは、70~16、70~22、64~16、67~22、または64~22から選択される性能グレードを有する。AASHTO-M320は、性能等級付きアスファルトの標準仕様を記載しており、AASHTO-M20は針入度グレードを記載している。
【0030】
一般に、様々な供給業者からのアスファルトは、原油がどの貯留層から来たのか、また製油所での蒸留プロセスに応じて、その組成が異なる。ただし、反応性基の累積総量は、3.1~4.5mg KOH/gの範囲内であることが好ましい。例えば、針入度指数が50~70または70~100のアスファルトは、pMDIの化学量論量が0.8重量%~1.2重量%になる。アスファルト組成物の調製中の高温下でのアスファルトの酸化感受性のため、新たに形成された官能基と反応させるために、さらに過剰のイソシアネートが使用される。
【0031】
熱硬化性反応性化合物
本発明によれば、アスファルト組成物は、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物を含み、組成物中の熱硬化性反応性化合物の総量は組成物の総重量に基づいて0.1~10.0重量%であり、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物はイソシアネートである。
【0032】
一般に、熱硬化性反応性化合物を使用してアスファルトを改質することにより、異なる物理的特性に関する性能を改善することができ、例えば弾性応答の向上を達成することができる。熱硬化性反応性化合物は、組成物の総重量に基づいて総量0.1~10.0重量%で存在する。ここで、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物がイソシアネートであると、驚くことに、アスファルト組成物のASTM D312に概説されているような屋根ふき用途の基準の順守が確実になる。
【0033】
理論に束縛されるものではないが、熱硬化性反応性化合物はアスファルト中の様々な分子種と化学的に反応して、コロイド構造の特定の形態を形成すると考えられる。そのようにして得られたアスファルト組成物では、アスファルトの物理的特性は、広範囲の温度にわたってより一定のままであり、および/またはアスファルト組成物がさらされる温度範囲にわたって改善さえされる。
【0034】
一般に、1または複数のイソシアネートは、モノマー形態、ポリマー形態、またはモノマー形態とポリマー形態の混合物として存在することができる。「ポリマー」という用語は、二量体、三量体、高級同族体および/またはオリゴマーを含む、脂肪族、芳香族イソシアネートまたはそれらの混合物のポリマーグレードを指す。
【0035】
好ましくは、イソシアネートは、本発明のアスファルト組成物中に存在する熱硬化性反応性化合物の1~100重量%の量である。より好ましくは、イソシアネートは、アスファルト組成物中に存在する熱硬化性反応性化合物の10~100重量%の量である。さらにより好ましくは、イソシアネートは、アスファルト組成物中に存在する熱硬化性反応性化合物の30~100重量%の量である。
【0036】
好ましくは、1または複数のイソシアネートは、少なくとも2.0、または少なくとも2.3、または少なくとも2.5、または少なくとも2.7の官能価を有する。より好ましくは、1または複数のイソシアネートは、2.3~4.5、または2.5~4.3、または2.5~4.0の範囲の官能価を有する。
【0037】
好ましくは、1または複数のイソシアネートは、変性および/または未変性イソシアネートから選択される。
【0038】
未変性イソシアネートは、好ましくは芳香族および/または脂肪族未変性イソシアネートから選択される。
【0039】
好ましくは、イソシアネートは、変性または未変性芳香族イソシアネートである。芳香族イソシアネートには、2つ以上のイソシアネート基が芳香環に直接および/または間接的に結合しているものが含まれる。芳香族イソシアネートは、モノマー形態、ポリマー形態、またはモノマー形態とポリマー形態の混合物であり得る。
【0040】
好ましい未変性芳香族イソシアネートは、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ポリマーMDI、トルエンジイソシアネート、ポリマートルエンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート;1,5-ナフタレンジイソシアネート;1,3-フェニレンジイソシアネート;2,4,6-トルイレン(toluylene)トリイソシアネート、1,3-ジイソプロピルフェニレン-2,4-ジイソシアネート;1-メチル-3,5-ジエチルフェニレン-2,4-ジイソシアネート;1,3,5-トリエチルフェニレン-2,4-ジイソシアネート;1,3,5-トリイソプロプリ(triisoproply)-フェニレン-2,4-ジイソシアネート;3,3’-ジエチル-ビスフェニル-4,4’-ジイソシアネート;3,5,3’,5’-テトラエチル-ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;3,5,3’,5’-テトライソプロピルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;1-エチル-4-エトキシ-フェニル-2,5-ジイソシアネート;1,3,5-トリエチルベンゼン-2,4,6-トリイソシアネート;1-エチル-3,5-ジイソプロピルベンゼン-2,4,6-トリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、および1,3,5-トリイソプロピルベンゼン-2,4,6-トリイソシアネート、または上記の2以上の組合せである。一実施形態では、モノマー混合物(その異性体を含む)および/またはポリマーグレードの上記芳香族イソシアネートを熱硬化性反応性化合物として使用することもできる。
【0041】
より好ましい未変性芳香族イソシアネートは、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ポリマーMDI、トルエンジイソシアネート、ポリマートルエンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート;1,5-ナフタレンジイソシアネート;1,3-フェニレンジイソシアネート;2,4,6-トルイレン(toluylene)トリイソシアネート、1,3-ジイソプロピルフェニレン-2,4-ジイソシアネート;1-メチル-3,5-ジエチルフェニレン-2,4-ジイソシアネート;1,3,5-トリエチルフェニレン-2,4-ジイソシアネート;1,3,5-トリイソプロプリ(triisoproply)-フェニレン-2,4-ジイソシアネート;3,3’-ジエチル-ビスフェニル-4,4’-ジイソシアネート;および3,5,3’,5’-テトラエチル-ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、または上記の2以上の組合せである。
【0042】
さらにより好ましい未変性芳香族イソシアネートは、メチレンジフェニルジイソシアネート(モノマーMDI)、ポリマーMDI、トルエンジイソシアネート、ポリマートルエンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート;1,5-ナフタレンジイソシアネート;1,3-フェニレンジイソシアネート;および2,4,6-トルイレン(toluylene)トリイソシアネート、または上記の2以上の組合せである。
【0043】
さらにより好ましい未変性芳香族イソシアネートは、モノマーMDI、ポリマーMDI、トルエンジイソシアネート、ポリマートルエンジイソシアネート、および1,5-ナフタレンジイソシアネート、または上記の2以上の組合せである。
【0044】
さらにより好ましい未変性芳香族イソシアネートは、モノマーMDIおよび/またはポリマーMDIである。モノマーMDIは、好ましくは、4,4’-MDI、2,2’-MDIおよび2,4’-MDI、または上記の2以上の組合せから選択することができる。
【0045】
好ましい実施形態では、1または複数の未変性芳香族イソシアネートはポリマーMDIである。好ましくは、ポリマーMDIは、様々な量の異性体、例えば4,4’-、2,2’-および2,4’-MDIを含み得る。4,4’MDI異性体の量は、異性体に対して26重量%から98重量%、または30重量%から95重量%、または35重量%から92重量%である。より好ましくは、ポリマーMDIの2環含有量は、異性体に対して20%~62%、または26%~48%、または26%~42%である。
【0046】
一般に、ポリマーMDIまたはpMDIの純度はいかなる値にも限定されない。好ましくは、本発明に従って使用されるpMDIは、ポリマーMDIの総量に基づいて、1~100ppm、または1~70ppm、または1~80ppm、または1~60ppmの鉄含有量を有する。
【0047】
好ましい実施形態では、本発明に従って使用されるpMDIは、pMDIの総重量に基づいて、22~40重量%、または25~37重量%、または28~35重量%、または30~33重量%の範囲のNCO含有量を有する。
【0048】
別の好ましい実施形態では、pMDIは、アスファルト組成物の総重量に基づいて、0.1~10重量%、または0.1重量%~9.5重量%、または0.1重量%~9.0重量%、または0.1重量%~8.5重量%、または0.1重量%~8.0重量%、または0.1重量%~7.5重量%、または0.1重量%~7.0重量%で存在する。
【0049】
好ましくは、pMDIは、少なくとも2.3、または少なくとも2.5、または少なくとも2.7の官能価を有する。より好ましくは、pMDIは、2.3~4.5、または2.5~4.3、または2.5~4.0の範囲の官能価を有する。
【0050】
好ましくは、イソシアネートは、変性または未変性脂肪族イソシアネートである。脂肪族イソシアネートは、モノマー形態、ポリマー形態、またはモノマー形態とポリマー形態の混合物であり得る。
【0051】
好ましい未変性脂肪族イソシアネートは、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、1,2-、1,3-または1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、2,4-または2,6メチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-または2,4’-ジシクロヘキシルジイソシアネート、1,3,5-シクロヘキサントリイソシアネート、イソシアナトメチルシクロヘキサンイソシアネート、イソシアナトエチルシクロヘキサンイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-または2,4’-ビス(イソシアナト-メチル)ジシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジイソシアナトジシクロ-ヘキシルメタン(H12MDI)、テトラメチレン1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、デカメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート、2-メチル-1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、または上記の2以上の組合せである。
【0052】
より好ましい未変性脂肪族イソシアネートは、2,4-または2,6メチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-または2,4’-ジシクロヘキシルジイソシアネート、1,3,5-シクロヘキサントリイソシアネート、イソシアナトメチルシクロヘキサンイソシアネート、イソシアナトエチルシクロヘキサンイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-または2,4’-ビス(イソシアナト-メチル)ジシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジイソシアナトジシクロ-ヘキシルメタン(H12MDI)、テトラメチレン1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、デカメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート、または上記の2以上の組合せである。
【0053】
さらにより好ましい未変性脂肪族イソシアネートは、4,4’-または2,4’-ビス(イソシアナト-メチル)ジシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジイソシアナトジシクロ-ヘキシルメタン(H12MDI)、テトラメチレン1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、デカメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカンジイソシアネート、および2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネートである。さらにより好ましくは、脂肪族イソシアネートは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジイソシアナトジシクロ-ヘキシルメタン(H12MDI)、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、または上記の2以上の組合せから選択される。
【0054】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物は未変性イソシアネートであり、イソシアネートの総量は、アスファルト組成物中に存在する熱硬化性反応性化合物の1~100重量%、または10~99重量%、または30~99重量%になる。
【0055】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物は、未変性芳香族または脂肪族イソシアネートであり、イソシアネートの総量は、アスファルト組成物中に存在する熱硬化性反応性化合物の1~100重量%、または10~99重量%、または30~99重量%になる。
【0056】
変性イソシアネート、特に変性モノマーMDIは、適切な熱硬化性反応性化合物として変性されたプレポリマー、ウレトンイミンおよびカルボジイミドから選択することができる。
【0057】
変性イソシアネートは、好ましくは芳香族および/または脂肪族の変性イソシアネートから選択される。
【0058】
好ましい変性芳香族イソシアネートは、カルボジイミド変性モノマーMDI、ウレトンイミン変性モノマーMDI、またはそれらの組合せである。
【0059】
より好ましい1または複数の芳香族イソシアネートは、カルボジイミド変性モノマーMDIである。
【0060】
好ましい実施形態では、カルボジイミド変性モノマーMDIは、65重量%~85重量%の4,4’-MDIと15重量%~35重量%のカルボジイミドを含み、前記重量%は、カルボジイミド変性モノマーMDIの総重量に基づく。
【0061】
別の好ましい実施形態では、カルボジイミド変性モノマーMDI中の4,4’-MDIの量は、70重量%~80重量%の範囲内であり、カルボジイミドの量は、20重量%~30重量%の範囲内である。
【0062】
別の好ましい実施形態では、ポリマーMDIまたはpMDIは、カルボジイミド基、ウレトンイミン基、イソシアヌレート基、ウレタン基、アロファネート基、尿素基またはビウレット基を含有する修飾変異体を含んでいてもよい。以下では、これらすべてをpMDIと呼ぶ。
【0063】
さらに別の好ましい実施形態では、モノマーMDIは、少なくとも2.0、または少なくとも2.1、または少なくとも2.15、例えば2.2、2.3または2.4の官能価を有する。より好ましくは、モノマーMDIは、2.3~4.5、または2.5~4.3、または2.5~4.0の範囲の官能価を有する。以下では、これらすべてをモノマーMDIと呼ぶ。
【0064】
好ましくは、イソシアネートは、変性脂肪族イソシアネートである。変性脂肪族イソシアネートは当技術分野で公知である。用途に応じて、それらは、1以上の上記1または複数の未変性脂肪族イソシアネートを適切な1または複数の反応性基と反応させることを含む周知の方法によって得ることができる。
【0065】
より好ましい変性脂肪族イソシアネートは、ビウレット変性HDIである。
【0066】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物は変性イソシアネートであり、イソシアネートの総量は、アスファルト組成物中に存在する熱硬化性反応性化合物の1~100重量%、または10~99重量%、または30~99重量%になる。
【0067】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物は、変性芳香族または脂肪族イソシアネートであり、イソシアネートの総量は、アスファルト組成物中に存在する熱硬化性反応性化合物の1~100重量%、または10~99重量%、または30~99重量%になる。
【0068】
上記のように、熱硬化性反応性化合物は主にイソシアネートである。しかしながら、場合によりイソシアネートとは異なる熱硬化性反応性化合物がアスファルト組成物中に存在する可能性もある。好ましくは、熱硬化性反応性化合物は、エポキシ樹脂および/またはメラミンホルムアルデヒド樹脂から選択される。そのような場合、熱硬化性反応性化合物中のイソシアネートの最小総量は、アスファルト組成物中に存在する熱硬化性反応性化合物の総重量に基づいて、少なくとも1重量%、または10重量%、または20重量%、または30重量%または40重量%または50重量%または60重量%または70重量%、または80重量%、または85重量%、または88重量%、または90重量%、92重量%または94重量%または96重量%、または98重量%、99重量%である。そのような場合、熱硬化性反応性化合物中のイソシアネートの最大総量は、アスファルト組成物中に存在する熱硬化性反応性化合物の総重量に基づいて、多くとも99.9重量%、または98重量%、または97重量%、または95重量%または92重量%または90重量%または85重量%または80重量%、または70である。好ましくは、熱硬化性反応性化合物中のイソシアンテート(isocyantates)の総量は、アスファルト組成物中に存在する熱硬化性反応性化合物の総重量に基づいて、1~99.9重量%、または10~99重量%、または30~99重量%の範囲である。
【0069】
適切なエポキシ樹脂は当技術分野で公知であり、本発明に従って使用されるエポキシ樹脂の化学的性質は特に限定されない。好ましい実施形態では、エポキシ樹脂は、ビスフェノールAビスグリシジルエーテル(DGEBA)、ビスフェノールFビスグリシジルエーテル、環水素化ビスフェノールAビスグリシジルエーテル、環水素化ビスフェノールFビスグリシジルエーテル、ビスフェノールSビスグリシジルエーテル(DGEBS)、テトラグリシジルメチレンジアニリン(TGMDA)、エポキシノボラック(エピクロロヒドリンとフェノール樹脂(ノボラック)の反応生成物)、脂環式エポキシ樹脂、例えば3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートおよびジグリシジルヘキサヒドロフタレートなどから選択される1以上の芳香族エポキシ樹脂および/または脂環式エポキシ樹脂である。好ましくは、エポキシ樹脂は、ビスフェノールAビスグリシジルエーテルおよび/またはビスフェノールFビスグリシジルエーテルならびにこれら2つのエポキシ樹脂の混合物から選択され得る。
【0070】
適切なメラミンホルムアルデヒド樹脂は当技術分野で公知であり、主にメラミンとホルムアルデヒドの縮合生成物である。所望の用途に応じて、例えば多価アルコールとの反応によってこれらを変性させることができる。本発明に従って使用されるメラミンホルムアルデヒド樹脂の化学的性質は特に限定されない。好ましい実施形態では、メラミンホルムアルデヒド樹脂は、樹脂含有量が水性メラミン樹脂混合物に基づいて50重量%~70重量%の範囲である水性メラミン樹脂混合物に関し、樹脂中に存在するメラミンとホルムアルデヒドのモル比は1:3~1:1、または1:1.3~1:2.0、または1:1.5~1:1.7の範囲である。
【0071】
メラミンホルムアルデヒド樹脂は、多価アルコール、例えばC2~C12ジオールを、1.0重量%~10.0重量%、または3.0重量%~6.0重量%の量で含有していてもよい。適切なC2~C12ジオールは、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオールおよび/またはヘキサンジオールから選択することができる。
【0072】
さらなる添加剤として、メラミンホルムアルデヒド樹脂は、それぞれ水性メラミン樹脂混合物に基づいて0重量%~8.0重量%のカプロラクタムと、0.5重量%~10重量%の、平均分子量が200g/mol~1500g/molの2-(2-フェノキシエトキシ)-エタノールおよび/またはポリエチレングリコールを含むことができる。
【0073】
本発明によれば、熱硬化性反応性化合物は、アスファルト組成物の総重量に基づいて0.1~10.0重量%の量で存在する。好ましくは、熱硬化性反応性化合物は、0.1重量%~9.5重量%、または0.1重量%~9.0重量%、または0.1重量%~8.5重量%、または0.1重量%~8.0重量%、または0.1重量%~7.5重量%、または0.1重量%~7.0重量%で存在する。別の実施形態では、熱硬化性反応性化合物は、実施形態1、2または3において、0.1重量%~6.5重量%、0.1重量%~6.0重量%、または0.1重量%~5.0重量%、または0.1重量%~5.5重量%、または0.1重量%~4.5重量%、または0.1重量%~4.0重量%、または0.1重量%~3.5重量%で存在する。さらに別の実施形態では、それは0.1重量%~3.0重量%、または0.5重量%~5.0重量%、または0.5重量%~3.0重量%、または1.0重量%~5.0重量%、または1.0重量%~4.5重量%、または1.0重量%~4.0重量%、または1.5重量%~4.0重量%、または1.0重量%~3.0重量%で存在する。
【0074】
好ましい実施形態では、アスファルト組成物は、ポリマーをさらに含んでもよい。本発明による適切なポリマーは、スチレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBS)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ネオプレン、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、酸化高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化高密度ポリプロピレン、マレイン化ポリプロピレン、エチレン-ブチル-アクリレート-グリシジル-メタクリレートターポリマー、エチルビニルアセテート(EVA)およびポリリン酸(PPA)から選択される。
【0075】
スチレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBS)は当技術分野で公知である。SBSは、スチレンとブタジエンの2種類のモノマーから作製された熱可塑性エラストマーである。したがって、SBSは、プラスチックの特性とゴムの特性を同時に示す。これらの特性により、アスファルト改質剤および接着剤としての使用をはじめとする様々な分野で広く使用されている。SBSコポリマーは、ゴム中心ブロックと2つのポリスチレン末端ブロックを有するブロックコポリマーをベースにしており、トリブロックコポリマーA-B-Aとも呼ばれる。SBSエラストマーは、熱可塑性樹脂の特性とブタジエンゴムの特性とを併せ持つ。硬質でガラス質のスチレンブロックは機械的強度を提供し、耐摩耗性を向上させる。一方、ゴムの中間ブロックは可撓性および靭性を提供する。SBSゴムは、その性能を高めるために他のポリマーとブレンドされることが多い。多くの場合、コストを下げたり、特性をさらに変更するために、油および充填剤が添加される。これらの熱可塑性物質の様々な特性は、様々な分子量からAおよびBを選択することによって得ることができる。
【0076】
アスファルト組成物と適合するものであれば、既知のSBSコポリマーのいずれも使用することができる。適切なSBSコポリマーは、その構造に限定されず、分枝状であっても直鎖状であってもよい。好適なSBSコポリマーのスチレン含有量は特に限定されない。一実施形態では、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)コポリマーのスチレン含有量は、ポリマーの総重量に基づいて10重量%~50重量%、あるいはポリマーの総重量に基づいて15重量%~45重量%、または20重量%~42重量%、または22重量%、または23重量%、または26重量%、または28重量%、または30重量%、または32重量%、または34重量%、または36重量%、または38重量%、または39重量%である。「スチレン含有量」という用語は、SBSポリマーに重合されたスチレンの量を指す。
【0077】
好ましくは、SBSコポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定して、10,000g/mol~1,000,000g/mol、または30,000g/mol~300,000g/mol、または70,000g/mol~300,000g/mol、または75,000g/mol~210,000g/molの範囲内である。
【0078】
適切なスチレン-ブタジエンまたはスチレン-ブタジエンゴム(SBR)は当技術分野で公知であり、スチレンおよびブタジエンから誘導される合成ゴムのファミリーとして記載されている。スチレン/ブタジエン比は、ポリマーの特性に影響を及ぼす。スチレン含有量が高いと、ゴムは硬くなり、ゴム状ではなくなる。一般に、アスファルト組成物と適合するものであれば、既知のSBRコポリマーのいずれも使用することができる。適切なSBRコポリマーは、その構造に限定されず、分枝状であっても直鎖状であってもよい。好適なSBRコポリマーのスチレン含有量は特に限定されない。一実施形態では、SBRコポリマーのスチレン含有量は、ポリマーの総重量に基づいて10重量%~50重量%、あるいはポリマーの総重量に基づいて15重量%~45重量%、または20重量%~42重量%、または22重量%、または23重量%、または26重量%、または28重量%、または30重量%、または32重量%、または34重量%、または36重量%、または38重量%、または39重量%である。
【0079】
好ましくは、SBRコポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定して、10,000g/mol~500,000g/mol、または50,000g/mol~250,000g/mol、または70,000g/mol~150,000g/mol、または75,000g/mol~135,000g/molの範囲内である。
【0080】
一般に、ネオプレンは当技術分野で公知であり、クロロプレンから合成されたポリマーの総称である。それはラテックスの形で供給される場合が多い。それは、乳化重合によって調製されたクロロプレンポリマーのコロイド分散液であってもよい。ネオプレン構造は極めて規則的であるが、その結晶化傾向は重合温度を変えることによって制御することができる。最終ポリマーは、クロロプレンのトランス1,4付加重合から誘導されるトランス-3-クロロ-2-ブチレン単位の直鎖配列で構成される。
【0081】
既知のネオプレンのいずれも使用することができるが、アスファルトと適合することを条件とする。一実施形態では、ネオプレンラテックスが使用される。適切なネオプレンラテックスの固形分は、ラテックスの総重量に基づいて30重量%~60重量%、または30重量%~60重量%、または30重量%~60重量%である。
【0082】
適切なポリエチレンおよびポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマー、ならびに変性ポリエチレンおよびポリプロピレンポリマー、例えば低密度ポリエチレン、酸化高密度ポリプロピレン、マレイン化ポリプロピレンは当技術分野で公知であり、それぞれのモノマーに基づくポリマー/コポリマーのファミリーとして記載されている。分子量および結晶化度は、これらのポリマーの特性に大きく影響する。ポリエチレンおよびポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマー、ならびに高レベルの構造化を有する修飾ポリエチレンおよびポリプロピレンポリマーは、高い引張強さを示すが、破損前に変形する能力はほとんどない。構造化の程度が低いと、材料の流動能力が増加する。例えば、ポリエチレンは、パラフィン系材料に典型的であるように、ほとんどの溶媒と比較的反応しない。分子量および結晶化度に加えて、密度も、それぞれのポリマーの特性に大きな影響を及ぼす。これは、密度が低いほど分子の充填が少なく、したがって構造化の程度が低いためである。低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンは、一般に、ASTM D792に従って測定して、それぞれ約0.915~0.94および約0.96の比重を有するものとして定義される。また、コポリマーとして組み込まれた変性剤は、例えばポリエチレンなどの未変性ポリマーの結晶性を破壊するために使用され、これにより、より弾性のある非晶質添加剤が得られる。アスファルト組成物中のこれらのポリマーの機能は、ネットワークを形成することではなく、マトリックス内にプラスチック含有物を提供することである。低温では、これらの含有物は、亀裂の伝播を抑制することによって熱亀裂に対する結合剤の耐性を直接改善することを意図している。高温では、粒子含有物は、結合剤の粘度を高め、したがって混合物のわだち掘れに対する耐性を高めるはずである。
【0083】
アスファルトと適合するものであれば、既知のポリエチレンおよびポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマー、ならびに変性ポリエチレンおよびポリプロピレンポリマーのいずれもアスファルト組成物に使用することができる。ポリエチレン、低密度ポリエチレン、酸化高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化高密度ポリプロピレン、マレイン化ポリプロピレンなどの適切なポリマーは、それらの分子量において特に限定されない。好ましくは、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、酸化高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化高密度ポリプロピレン、マレイン化ポリプロピレンはそれぞれ、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定して、800g/mol~50,000g/mol、または1000g/mol~45,000g/mol、または2000g/mol~42,000g/mol、または1,000g/mol~5,000g/mol、または5,000g/mol~約10,000g/mol、または10,000g/mol~20,000g/mol、または20,000g/mol~30,000g/mol、または30,000g/mol~40,000g/mol、または40,000g/mol~約50,000g/molの範囲の重量平均分子量(Mw)を有する。このようなポリマーは、アスファルト組成物にプラストマーとして使用することができる。
【0084】
さらに、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、酸化高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化高密度ポリプロピレン、マレイン化ポリプロピレンなどの適切なポリマーは、それらの結晶化度において特に限定されない。一実施形態では、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、酸化高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化高密度ポリプロピレン、マレイン化ポリプロピレンはそれぞれ、記載されているポリマーの総重量に基づいて50%を超える、または52%~99%、または55%~90%の範囲の結晶化度を有する。前記ポリマーの結晶化度は、当技術分野で公知の技術である示差走査熱量測定(DSC)によって求められる。
【0085】
また、複合ポリエチレンコポリマーは、例えば3つの異なるモノマーに基づくエチレン-ブチル-アクリレート-グリシジル-メタクリレートターポリマーとして当技術分野で公知である。このコポリマーのファミリーは、可撓性および靭性を改善する可塑剤樹脂として知られている。例えば、これらのコポリマーは、Elvaloy(登録商標)ターポリマーの名称でDuPontから市販されている。
【0086】
アスファルトと適合するものであれば、公知のエチレン-ブチル-アクリレート-グリシジル-メタクリレートターポリマーのいずれもアスファルト組成物に使用することができる。エチレン-ブチル-アクリレート-グリシジル-メタクリレートターポリマーなどの適切なポリマーは、その分子量において特に限定されない。好ましくは、エチレン-ブチル-アクリレート-グリシジル-メタクリレートターポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定して、800g/mol~150,000g/mol、または1500g/mol~120,000g/mol、または5000g/mol~90,000g/molである。
【0087】
適切なエチレンおよびビニルアセテートコポリマー(EVA)は当技術分野で公知であり、それぞれのモノマーに基づくコポリマーのファミリーとして記載されている。酢酸ビニルの含有は、エチレン構造の結晶化度を低下させ、プラストマーをアスファルト組成物との適合性を高めるために使用される。30パーセント酢酸ビニルを有するコポリマーは、トルエンおよびベンゼンに可溶な可撓性樹脂として分類される。酢酸ビニルの比率を45パーセントまで高めると、得られる生成物はゴム状となり加硫することができる。
【0088】
既知のEVAコポリマーのいずれも使用することができるが、アスファルト組成物と適合することを条件とする。適切なEVAコポリマーは、その構造に限定されず、分枝状であっても直鎖状であってもよく、好ましくはEVAコポリマーは直鎖状である。好適なEVAコポリマーの酢酸ビニル含有量は特に限定されない。好ましくは、EVAコポリマーの酢酸ビニル含有量は、ポリマーの総重量に基づいて、20重量%~60重量%、または25重量%~50重量%、または30重量%~45重量%である。
【0089】
一般に、ポリリン酸(PPA)は当技術分野で公知であり、一般式(Hn+2PnO3n+1)のオルトリン酸(H3PO4)のポリマーである。ポリリン酸は、オルトリン酸とピロリン酸、三リン酸およびそれより高い酸との混合物であり、H3PO4の計算された含有量に基づいて特徴付けられることが多い。スーパーリン酸は、H3PO4の含有量が異なる同様の混合物であり、本発明の文脈においてPPAの定義に含めることができる。一般に、アスファルトと適合するものであれば、既知のポリリン酸のいずれも使用することができる。本発明による適切なポリリン酸は、オルトリン酸とピロリン酸、三リン酸およびそれ以上の酸との構造および組成に限定されず、好ましくはPPAは水を含まない。一実施形態では、ポリリン酸(PPA)は、100%~120%、または103%~118%、または104%~117%の計算されたH3PO4含有量を有する。
【0090】
ポリリン酸は、例えば製品の軟化点を上昇させるために、アスファルト組成物の追加の添加剤として従来の量で使用することができる。リン酸は、異なる形態のリン酸の混合物をはじめとする任意の適切な形態で提供することができる。例えば、リン酸のいくつかの適切な異なる形態としては、リン酸、ポリリン酸、スーパーリン酸、ピロリン酸および三リン酸が挙げられる。
【0091】
それぞれの用途に応じてアスファルト組成物の特性を適合させるために、当技術分野で公知のさらなる任意の添加剤を本発明によるアスファルト組成物に添加してもよい。添加剤は、例えばワックスであってもよい。アスファルト結合剤組成物中の追加の添加剤として使用される場合、これらのワックスは、官能化または合成ワックス、または天然ワックスであってもよい。さらに、ワックスは酸化されていてもよいし、酸化されていなくてもよい。合成ワックスの非排他的な例としては、エチレンビスステアラミド(EBS)、フィッシャー・トロプシュワックス(FT)、酸化フィッシャー・トロプシュワックス(FTO)、ポリオレフィンワックス、例えばポリエチレンワックス(PE)、酸化ポリエチレンワックス(OxPE)、ポリプロピレンワックス、ポリプロピレン/ポリエチレンワックスアルコールワックス、シリコーンワックス、石油ワックス、例えばマイクロクリスタリンワックスまたはパラフィン、およびその他の合成ワックスが挙げられる。官能化されたワックスの非排他的な例としては、アミンワックス、アミドワックス、エステルワックス、カルボン酸ワックス、およびマイクロクリスタリンワックスが挙げられる。天然に存在するワックスは、植物、動物、または鉱物、または他の供給源に由来し得る。天然ワックスの非排他的な例には、カンデリラロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、木蝋およびホホバ油などの植物ワックス;蜜ろう、ラノリンおよび鯨蝋などの動物ワックス;および、モンタンワックス、オゾケライト(ozokerit)およびセレシンなどのミネラルワックスが挙げられる。前述のワックスの混合物も適しており、例えば、ワックスには、フィッシャー・トロプシュ(FT)ワックスとポリエチレンワックスとのブレンドが含まれていてもよい。
【0092】
可塑剤はまた、アスファルト組成物の可塑性または流動性を高めるために、追加の添加剤として従来の量で使用されてもよい。適切な可塑剤としては、他の可塑剤の中でも、炭化水素油(例えば、パラフィン、芳香族およびナフテン油)、長鎖炭素ジエステル(例えば、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル、およびアジピン酸ジオクチルなどのアジピン酸エステル)、セバシン酸エステル、グリコール、脂肪酸、リン酸エステルおよびステアリン酸エステル、エポキシ可塑剤(例えば、エポキシ化ダイズ油)、ポリエーテルおよびポリエステル可塑剤、アルキルモノエステル(例えば、オレイン酸ブチル)、長鎖部分エーテルエステル(例えば、オレイン酸ブチルセロソルブ)が挙げられる。
【0093】
酸化防止剤は、アスファルト結合剤組成物の追加の添加剤として、これらの材料の強度および柔軟性の損失を引き起こすポリマーの酸化分解を防止するために、従来の量で使用することができる。
【0094】
任意の添加剤に関する従来の量は、アスファルト組成物の総量に基づいて、0.1重量%~5.0重量%の範囲である。
【0095】
耐候性用途などの特定の用途への適合性を識別するには、様々なパラメータが重要である。アスファルト組成物の特性、例えば、有用な温度間隔の増加、弾性応答の増加、良好な接着性および定格加重の増加、ならびに恒久的なアスファルト変形の可能性の低下は、特定の沈降係数を有する粒子濃度に依存する可能性があり、これは、対応する組成物の粒子サイズに直接相関する。本発明によれば、アスファルト組成物は、ホワイトスピリット溶媒中で5000Svedを超える沈降係数を有する組成物粒子の総重量に基づいて、少なくとも18重量%を有する。
【0096】
好ましくは、アスファルト組成物は、ホワイトスピリット溶媒中で5000Svedを超える沈降係数を有する組成物粒子の総重量に基づいて、少なくとも20重量%、または少なくとも23重量%を有する。ホワイトスピリット溶媒中で5000Svedを超える沈降係数を有するこれらの粒子は、組成物の総重量に基づいて、99.9重量%まで、または組成物の総重量に基づいて95重量%未満、または90重量%未満、または80重量%未満であり得る。例えば、ホワイトスピリット溶媒中で15000~170000Svedの範囲の沈降係数を有する組成物粒子の総重量に基づいて18%~75重量%、またはホワイトスピリット溶媒中で25000~140000Svedの範囲の沈降係数を有する組成物粒子の総重量に基づいて23%~65重量%、またはホワイトスピリット溶媒中で22000~95000Svedの範囲の沈降係数を有する組成物粒子の総重量に基づいて30%~52重量%。
【0097】
本文脈において、ホワイトスピリット溶媒は、18%の芳香族ベースと180℃~220℃の沸点を有する、CAS番号:64742~82-1を有するホワイトスピリット高沸点石油を指す。沈降係数は、吸収光学デバイスと組み合わせた超遠心分離によって検出することができる。各成分の沈降および濃度は、350nmの波長で測定される。アスファルト組成物中の粒子を決定するための例示的な測定技術を以下に記載する。
【0098】
アスファルト組成物中の粒子の測定は、分析的超遠心分離を用いた分別実験によって行われる。Beckman Optima XL-I(Beckman Instruments、Palo Alto、米国)を使用して沈降速度分析を行うことができる。一体型走査UV/VIS吸光度光学系が使用される。350nmの波長を選択し、サンプルをホワイトスピリット溶媒(CAS番号:64742-82-1)で希釈後、約0.2g/lの濃度で測定する。可溶性部分および不溶性部分を検出するために、遠心分離速度を1000rpmから55,000rpmまで変化させる。sとs+dsの間の沈降係数を有する種の重量分率として定義される沈降係数の分布、および1つの沈降画分の濃度は、標準的な分析ソフトウェア(例えばSEDFIT)を使用して決定される。半径方向濃度プロファイル全体の経時変化が記録され、沈降係数g(s)の分布に変換される。沈降係数の単位は、Sved(1Sved=10~13秒)である。アスファルト組成物中の粒子は、使用波長での高速および低速沈降画分の光吸収を定量することによって決定される。
【0099】
現在特許請求されている発明は、対応する依存関係の参照およびリンクから生じる以下の実施形態および実施形態の組合せによって、より詳細に説明される。
【0100】
I.耐候性用途のためのアスファルト組成物の使用であって、前記組成物が、組成物の総重量に基づいて0.1~10.0重量%の総量の熱硬化性化合物を含み、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物がイソシアネートである使用。
【0101】
II.耐候性用途が屋根ふき用途を含む、実施形態Iに記載の使用。
【0102】
III.熱硬化性反応性化合物が、アスファルト組成物の総重量に基づいて、1.0重量%~5.0重量%の量で存在する、実施形態IまたはIIに記載の使用。
【0103】
IV.イソシアネートが、芳香族イソシアネートまたは脂肪族イソシアネートから選択される、実施形態IからIIIのいずれかに記載の使用。
【0104】
V.芳香族イソシアネートが、モノマーMDI、ポリマーMDI、トルエンジイソシアネート、高分子トルエンジイソシアネート、または1,5-ナフタレンジイソシアネートから選択される、実施形態IVに記載の使用。
【0105】
VI.芳香族イソシアネートが、モノマーMDIおよび/またはポリマーMDIである、実施形態IVまたはVに記載の使用。
【0106】
VII.ポリマーMDIが少なくとも2.5の官能価を有する、実施形態VまたはVIに記載の使用。
【0107】
VIII.ポリマーMDIが2.5~4の範囲の官能価を有する、実施形態VからVIIに記載の使用。
【0108】
IX.ポリマーMDIの量が、組成物の総重量に基づいて0.5~2.0重量%である、実施形態IからVIIIのいずれかに記載の使用。
【0109】
X.ポリマーMDIの量が、組成物の総重量に基づいて、2.0~5.0重量%である、実施形態VからVIIIのいずれかに記載の使用。
【0110】
XI.ポリマーMDIの鉄含有量が、1~100ppmの範囲である、実施形態VからXのいずれかに記載の使用。
【0111】
XII.ポリマーMDIの鉄含有量が、1~80ppmの範囲である、実施形態VからXIのいずれかに記載の使用。
【0112】
XIII.モノマーMDIがカルボジイミド変性モノマーMDIである、実施形態VIに記載の使用。
【0113】
XIV.カルボジイミド変性モノマーMDIが、65重量%~85重量%の4,4’-MDIと、15重量%~35重量%のカルボジイミドを含み、前記重量%が、カルボジイミド変性モノマーMDIの総重量に基づく、実施形態XIIIに記載の使用。
【0114】
XV.アスファルト組成物が、スチレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBS)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ネオプレン、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、酸化高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化高密度ポリプロピレン、マレイン化ポリプロピレン、エチレン-ブチル-アクリレート-グリシジル-メタクリレートターポリマー、エチルビニルアセテート(EVA)、またはポリリン酸(PPA)から選択されるポリマーをさらに含む、実施形態IからXIVのいずれかに記載の使用。
【0115】
XVI.熱硬化性反応性化合物が、エポキシ樹脂および/またはメラミンホルムアルデヒド樹脂をさらに含む、実施形態IからXVのいずれかに記載の使用。
【0116】
XVII.組成物の総重量に基づいて少なくとも18重量%が、ホワイトスピリット溶媒中で5000Svedを超える沈降係数を有する粒子である、実施形態IからXVIのいずれかに記載の使用。
【0117】
XVIII.組成物の総重量に基づいて少なくとも20重量%が、ホワイトスピリット溶媒中で10000~1000000Svedの範囲の沈降係数を有する粒子である、実施形態IからXVIIのいずれかに記載の使用。
【0118】
XIX.耐候性用途に使用するためのアスファルト組成物であって、前記組成物が、組成物の総重量に基づいて0.1~10.0重量%の総量の熱硬化性化合物を含み、少なくとも1つの熱硬化性反応性化合物がイソシアネートを含む、アスファルト組成物。
【0119】
XX.耐候性用途が、屋根ふき用途を含む、実施形態XIXのアスファルト組成物。
【0120】
実施例
現在特許請求されている発明は、以下の非限定的な例によって説明される。
原料
【0121】
【表1】
【0122】
アスファルト試験
軟化点-ASTM D36/D36M-14(2020)
77°Fでの針入度-ASTM D5/D5M-20
延性特性-ASTM D113-17およびAASHTO T300
【0123】
本発明のアスファルト組成物(IE)の一般的な合成
アスファルト(SA)を酸素雰囲気下で150℃まで加熱し、加熱マントル(温度を150℃に設定)内で400rpmで撹拌した。その後、2.0重量%の熱硬化性反応性化合物(TRC)を添加した。反応物をさらに150℃で2~4時間撹拌した。反応の完了は、赤外分光法、具体的には2270cm-1のイソシアネートピークによって追跡することができる。ピークの消失は反応の完了を示し、その後、反応混合物を室温まで冷却させる。
【0124】
比較用アスファルト(C1)も同様に調製したが(割合は以下の表1のとおり)、TRCは添加しなかった。
【0125】
【表2】
【0126】
ASTM D312に概説されている要件に従って、本発明の組成物および比較組成物(TRCを含まない)を、3つのパラメータ(以下の表2に記載)で評価して、耐候性用途、特に屋根ふき用途に対する適合性を確立した。ここでは、異なる結合剤針入度グレード、すなわち30/45および70/100を有する2組の組成物を用いて評価を行った。70/100針入度グレードはより柔らかい材料である。
【0127】
【表3】
【0128】
上記の表から、軟化に対する耐性が増加していることは明らかであり、例えば、グレード30/45の組成物は、軟化点が51.8℃~66℃に増加していることがわかる。同様に、組成物の全体的な硬度および稠度は著しく改善され、本発明の組成物(TRCを含む)について77°Fでの針入度は急激に低下する。また、屋根ふき用途で特に重要なのは、延性は低下するが全体的な靭性は増加するような、物理的特性の調整である。これは、力延性が、比較組成物の6.7Nから本発明の組成物(グレード30/45組成物)の22Nへと驚くほど増大したことから明らかである。上記で明らかなように、本発明のアスファルト組成物中に熱硬化性反応性化合物またはTRCが存在すると、言及した特性が大幅に改善され、耐候性および屋根ふき用途(ASTM D312に準拠)に特に適したものになる。
【国際調査報告】