(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】毛細血管の採血装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/151 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
A61B5/151 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580641
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 US2022034630
(87)【国際公開番号】W WO2023278227
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレックス エフ.フリッケ
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ ピーター アルトホフ
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー ブイ.トリス
(72)【発明者】
【氏名】ヴラッド ヤクニッシュ
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038TA02
4C038UE02
4C038UE07
(57)【要約】
血液試料を取得するための装置は、試料源を受容するためのホルダであって、作動部分及びポートを有する、ホルダと、ホルダに取り外し可能に接続される採血器アタッチメントと、採血器アタッチメントに取り外し可能に接続可能な収集容器と、を含み得るものであり、収集容器は、収集空間を画定し、収集容器は、収集容器の表面上に設けられる少なくとも1つの充填ラインを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液試料を取得するための装置であって、
試料源を受容するためのホルダであって、作動部分及びポートを有する、ホルダと、
前記ホルダに取り外し可能に接続された採血器アタッチメントと、
前記採血器アタッチメントに取り外し可能に接続可能な収集容器であって、前記収集容器は収集空間を画定し、前記収集容器は、前記収集容器の表面に設けられる少なくとも1つの充填ラインを含む、収集容器と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの充填ラインが、所定量の前記血液試料が前記収集容器に充填されたことを示すように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記収集容器は、前記収集容器の前記表面に設けられる2本の充填ラインを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記収集容器の前記少なくとも1つの充填ラインが色分けされる、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記収集容器の前記少なくとも1つの充填ラインが、淡い色合いを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記収集容器の前記少なくとも1つの充填ラインが、濃い色合いを有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
血液試料を取得するための装置であって、
試料源を受容するためのホルダであって、作動部分及びポートを有する、ホルダと、
前記ホルダに取り外し可能に接続された採血器アタッチメントであって、前記血液試料が、前記ホルダに保持された患者の指から採血されたことを示すフラッシュチャンバを含む、採血器アタッチメントと、
を備える、装置。
【請求項8】
採血器アタッチメントが、前記装置の使用者が前記採血器アタッチメントを通って流れる前記血液試料を視覚的に識別できるように透明な材料で作られる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記採血器アタッチメントが、前記血液試料が前記採血器アタッチメントを通って移動しているときを視覚的に示すために、その内面に光リブを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
血液試料を取得するための装置であって、
試料源を受容するためのホルダであって、作動部分及びポートを有する、ホルダと、
前記ホルダに取り外し可能に接続されたランセットであって、前記ランセットは、前記ホルダに取り外し可能に接続された前記ランセットの患者の視界を妨げるように、前記ホルダに対して配置される、ランセットと、
を備える、装置。
【請求項11】
前記ホルダの前記ポートが、前記ランセットの患者の視界を妨げるように構成される、請求項10の装置。
【請求項12】
前記ランセットが前記ホルダに接続されると、前記ランセットと前記ホルダとの間のポジティブな接続が確立されたことを示すために、可聴クリック音が生成される、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
血液試料を取得するための装置であって、
試料源を受容するためのホルダであって、作動部分及びポートを有する、ホルダと、
前記ホルダに取り外し可能に接続された採血器アタッチメントと、
前記採血器アタッチメントに取り外し可能に接続された収集容器と、
を備え、
前記収集容器上に配置されたラベルは、前記収集容器の内部空洞の患者の視界を妨げるように配向される、装置。
【請求項14】
前記ラベルが、前記ホルダの下の前記収集容器上の位置に配置される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ラベルが、前記収集容器の一部を覆っているため、患者が前記収集容器に送られる前記血液試料を見ることができない、請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月29日に出願された「毛細血管採血装置」と題する米国仮出願第63/216,245号の優先権を主張するものであり、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般に、生体試料を得るための装置に関する。より具体的には、本開示は、制御された方法で指を切開して絞り、血液試料を、収集、安定化、および分配することができる、統合された指ベースの毛細血管の採血装置に関する。
【背景技術】
【0003】
血液試料などの生体試料を取得及び収集するための装置は、医療産業で一般的に用いられている。医療分野で一般的に行われる採血の1つのタイプは、検査のために血液試料を収集するためにしばしば行われる毛細血管の採血である。糖尿病などの特定の疾患では、例えば、患者の血糖値を監視するために、患者の血液を定期的に検査する必要がある。さらに、コレステロール検査キットなどの検査キットは、多くの場合、分析のために血液試料を必要とする。採血では、通常、血液試料を得るために指又は、他の適切な体の部位を刺すことを伴う。典型的には、そのような検査に必要な血液の量は比較的少なく、小さな刺創ないし切開によって、通常、これらの検査に十分な量の血液がもたらされる。患者の皮膚を穿刺して患者から毛細血管の血液試料を得るために用いられる様々なタイプのランセット装置が開発されている。
【0004】
多くの異なるタイプのランセット装置が、病院、診療所、医局など、ならびに個々の消費者に市販されている。そのような装置は、典型的には、ニードルなどの先の尖った部材、又は、刃などの鋭利な縁部材を含み、これは、血液のわずかな流出をもたらすように、患者の皮膚に迅速な穿刺創又は切開を行うために用いられる。多くの人にとって、手で持ったニードルや刃で自分の指を刺すことは、しばしば生理的にも心理的にも困難である。結果として、ランセット装置は、始動機構の作動させることによって患者の皮膚を穿刺又は切開する自動装置に発展しつつある。装置によっては、ニードル又は刃は、患者から血液を採血することを担当する医療従事者、又は、患者自身によって始動されるまで待機位置に維持される。始動すると、ニードル又は刃は、患者の、例えば指の皮膚を穿刺又は切開する。多くの場合、患者の皮膚を穿刺又は切開するために必要な”自動的”な力を与えるために、ばねが装置に組み込まれる。
【0005】
穿刺要素又は切開要素を装置から自動的に突出させ、又は、装置内に後退させることを特徴とする接触作動式ランセット装置の1つのタイプは、本出願の譲受人であるベクトン・ディッキンソン株式会社が所有する米国特許第9,380,975号に記載されている。このランセット装置は、ハウジングと、穿刺要素を有するランセット構造とを含む。ランセット構造は、ハウジング内に配置され、穿刺要素がハウジング内に保持される、保持位置又は事前作動位置と、穿刺要素がハウジングの前方端部を貫通して延びる穿刺位置との間を移動するように適合される。ランセット装置は、ランセット構造を穿刺位置に向けて付勢するためにハウジング内に配置された駆動バネと、駆動ばねの付勢力に抗してランセット構造を後退位置に保持する保持ハブとを含む。保持ハブは、ランセット構造と接触係合する旋回レバーを含む。ハウジング内のアクチュエータは、レバーを旋回させ、それによって、ランセット構造をハウジングの後端に向かって移動させて、駆動ばねを少なくとも部分的に圧縮し、レバーをランセット構造との接触係合から解放する。次いで、収集された血液試料が収集及び/又は検査される。この検査は、診療現場(POC)の検査装置によって実行することができ、又は、収集したものを検査施設に送ることによって事項することができる。
【0006】
現在、毛細血管の採血作業は、高い技能レベルを必要とする複雑な多段階作業である。この作業の多段階性によって、溶血、不十分な試料安定化、及び、微小血栓などの試料品質の問題を引き起こす可能性のあるいくつかのばらつきが導かれる。血液試料を収集するためのランセット装置の使用は、検査中にランセットを保持し続けること、穿刺部位から十分な血流を得ること、血液を十分に収集すること、凝固を防止すること等を含むが、これらに限定されない、毛細血管の血液試料の収集に影響を及ぼすいくつかのばらつきをもたらす可能性がある。作業ばらつきの最も一般的な原因のいくつかは、(1)汚染された試料をもたらす可能性のある、穿刺部位の不十分な洗浄や最初の滴除去、(2)不十分な量の試料や大分の間質液をもたらす可能性のある、一貫性のない穿刺の位置および深さ、(3)溶血試料をもたらす可能性がある、血液抽出(例えば、血液搾り)を促進する際の、一貫性のない絞り技術や穿刺部位付近の過度の圧力、(4)溶血または汚染された試料をもたらす可能性のある、移送接触面や収集技術の変異、ならびに(5)微小血栓をもたらす可能性のある、不十分な試料と抗凝固剤との混合である。
【0007】
毛細血管の採血は、通常、医療従事者によって、その指を用いて穿刺部位の周りの組織を手動で絞るか、又は、真空圧力を用いて穿刺部位から血液を引き出す装置によって行われる。
【0008】
採血部位を手動で絞ることは、技術に高度に依存する作業であり、成功率や(溶血-血液細胞破裂によって測定される)試料品質に非常に大きなばらつきをもたらす。医療従事者は通常、患者に依存した血流の違いを補うように、搾る際の圧力と速度を調整する。より強く絞ると、血液の流れが速くなるが、溶血も増すことになる。絞りの位置も、個人の好み、経験、手の疲労に応じて、医療従事者間で異なる。作業者によっては、指による”搾り”と呼ばれる作業を実行することさえあり、この作業では、指の根元から圧力を加え、それを指の先端に向かってスライドさせて行く。この作業は、試料品質の低下につながるため、国内外の保健機関では推奨されていない。
【0009】
真空駆動の装置は、血流の圧力及び技術を標準化するが、通常、全体的な血流の不良に悩まされる。印加できる最大圧力は、大気圧と絶対真空の差(~14psi)で制限され、装置は絶対真空のほんの一部でのみ動作する。参考のために、男女の握力は平均して50~100ポンド(22.7~45.4Kg)の範囲であり、手動方法が代わりに、血流ではなく溶血によって影響を受ける理由を示している。真空法はまた、一貫した圧力を作用して、組織がそれを血液で満たす能力を制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、この技術分野では、指を切開して絞り、試料を収集し、試料を安定させ、その後、制御された方法で試料を分配する能力を有する装置が必要となる。また、この技術分野では、典型的には、溶血や微小血栓を含む低い試料品質に関係する、作業の流れのばらつきを排除することによって、毛細血管の採血を簡素化及び合理化する装置が必要となる。当技術分野では、血液曝露及び装置の再使用を排除する、収集及び移送のための閉鎖されたシステムのさらなるニーズが依然としてある。(1)異なる毛細血管の採血及び移送のための容器を収容する場合に柔軟性を導入し、(2)高品質の均一に混合/安定化された毛細血管の血液試料を生成する能力を有し、(3)毛細血管の血漿試料からオンボード血漿を生成する能力を有し、(4)痛みを軽減しながら大きな毛細血管の血液試料(50~500マイクロリットル以上)を収集する能力を有し、(5)収集時に患者情報と組合された独自の試料識別子を含み、(6)毛細血管の血液を収集し、オンボード診断を実行する能力を有し、及び、(7)同じ又は異なる抗凝固剤を有する異なる容器に血液試料を収集するための複数の収集ポートを有する、装置に対するさらなるニーズが当技術分野において依然として存在する。当技術分野では、作用する圧力の標準化されかつ制御された位置、適切な血流のために十分に高いが溶血閾値未満の作用圧力、血液が指に補充されることを可能にするための、一貫した圧力ではなく圧力の規定されたリズミカルな作用、平均血流速度の増加、及び、操作者による最大作用圧力の低下による使用者の疲労軽減、を含む毛細血管採血装置がさらに必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、上記のニーズを満たし、指を槍状にして絞り、試料を収集し、試料を安定化させ、その後、制御された方法で試料を分配する能力を有する、毛細血管の採血装置のような、生体試料を取得するための装置を対象とする。この装置はまた、溶血や微小血栓を含む低試料品質に一般的に関連する作業の流れのばらつきを排除することにより、毛細血管の採血を簡素化し、合理化する。
【0012】
本開示には、自己完結型で完全に一体化された指ベースの毛細血管の採血装置が含まれ、切開し、大容量の毛細血管の血液試料、例えば、最大500マイクロリットル以上を、収集し、安定化させる能力を有する。本装置は、溶血、微小血栓、患者の不快感など、一般的に試料の質の低下に関連する作業の流れのステップやばらつきを排除することにより、大量の毛細血管の採血を簡素化し、合理化する。本装置は、指を切開することのできる格納式切開機構と、切開した指の部位から収集容器への毛細血管の血液の付着と移送を確実にする関連する血液流路から構成される。この装置にはまた、指から血流を刺激、すなわちポンプで送り出すために周期的に絞ることができるホルダと、収集した試料を安定させるために流路又は収集容器に堆積される抗凝固剤も含まれる。
【0013】
1つの設計によれば、装置は、ホルダ、ランセット、及び、収集容器のような個別の構成要素からなることができる。別の設計によれば、ランセットと収集容器は、1つの装置に統合することができ、ホルダとともに使用される。さらに別の設計によれば、ホルダ、ランセット、及び、収集容器は、単一のシステムに統合することができる。これらの設計のいずれかは、痛みを軽減するために、自立型の使い捨て装置として、及び/又は、外部電源と組み合わせて使用されることが想定される。毛細血管の採血装置は、小さなチューブから毛細血管ディスペンサまでの様々な毛細血管収集容器、ならびにオンボード血漿分離モジュールのためのプラットフォームとして機能することができる。この機能により、ポイントオブケア(POC)カートリッジへの分注や、遠心分離機や分析装置で使用可能な小さな採血管への移注など、さまざまな用途に製品の柔軟性が広がる。
【0014】
本開示の一実施形態では、血液試料を取得するための装置は、試料源を受容するためのホルダであって、作動部分及びポートを有する、ホルダと、ホルダに取り外し可能に接続される採血器アタッチメントと、採血器アタッチメントに取り外し可能に接続可能な収集容器と、を含み得るものであり、収集容器は、収集空間を画定し、収集容器は、収集容器の表面上に設けられる少なくとも1つの充填ラインを含む。
【0015】
本開示の一実施形態では、少なくとも1つの充填ラインは、所定量の血液試料が収集容器に充填されたときを示すように構成され得る。収集容器は、収集容器の表面に設けられた2つの充填ラインを含んでもよい。収集容器の少なくとも1つの充填ラインは、色分けされていてもよい。収集容器の少なくとも1つの充填ラインは、より淡い色合いを有していてもよい。収集容器の少なくとも1つの充填ラインは、より濃い色合いを有していてもよい。
【0016】
本開示の一実施形態では、血液試料を取得するための装置は、試料源を受容するためのホルダであって、作動部分及びポートを有する、ホルダと、ホルダに取り外し可能に接続された採血器アタッチメントと、を含み得るものであり、採血器アタッチメントは、血液試料がホルダに保持された患者の指から収集されたときを示すためのフラッシュチャンバを含む。
【0017】
本開示の一実施形態では、採血器アタッチメントは、装置の使用者が血採血器アタッチメントを通って流れる血液試料を視覚的に識別できるように、透明な材料で作製することができる。採血器アタッチメントは、血液試料が採血器アタッチメント内を移動しているときを視覚的に示すために、その内面に光リブ(light rib)を含むことができる。
【0018】
本開示の一実施形態では、血液試料を得るための装置は、試料源を受容するためのホルダであって、作動部分及びポートを有する、ホルダと、ホルダに取り外し可能に接続されたランセットと、含み得るものであり、ランセットは、ホルダに取り外し可能に接続されたランセットの患者の視界を妨げるようにホルダに対して位置決めされる、ランセットを含みことができる。
【0019】
本開示の一実施形態では、ホルダのポートは、患者のランセットの視界を妨げるように構成され得る。ランセットがホルダに接続されると、ランセットとホルダの間のポジティブな接続が確立されたことを示すために、可聴クリック音が生成され得る。
【0020】
本開示の一実施形態では、血液試料を得るための装置は、試料源を受容するためのホルダであって、作動部分及びポートを有する、ホルダと、ホルダに取り外し可能に接続された採血器アタッチメントと、採血器アタッチメントに取り外し可能に接続可能な収集容器と、を含み得るものであり、収集容器上に配置されたラベルは、収集容器の内部空洞の患者の視界を妨げるように配向される。
【0021】
本開示の一実施形態では、ラベルは、ホルダの下の収集容器上の位置に配置することができる。ラベルは、収集容器の一部を覆っているので、患者は収集容器に導かれる血液試料を見ることができない。
【0022】
本発明はまた、以下の条項にも開示される。
【0023】
条項1:血液試料を得るための装置であって、該装置は、試料源を受容するためのホルダであって、作動部分及びポートを有する、ホルダと、ホルダに取り外し可能に接続される採血器アタッチメントと、採血器アタッチメントに取り外し可能に接続可能な収集容器と、を含み、収集容器は、収集空間を画定し、収集容器は、収集容器の表面上に設けられる少なくとも1つの充填ラインを含む、装置。
【0024】
条項2:少なくとも1つの充填ラインが、所定量の血液試料が収集容器に充填されたことを示すように構成される、条項1に記載の装置。
【0025】
条項3:収集容器が、収集容器の表面に設けられた2本の充填ラインを備える、条項1又は条項2に記載の装置。
【0026】
条項4:収集容器の少なくとも1つの充填ラインが色分けされる、条項1から条項3のいずれかに記載の装置。
【0027】
条項5:収集容器の少なくとも1つの充填ラインが、淡い色合いを有する、条項1から条項4のいずれかに記載の装置。
【0028】
条項6:収集容器の少なくとも1つの充填ラインが、濃い色合いを有する、条項5に記載の装置。
【0029】
条項7:血液試料を取得するための装置であって、試料源を受容するためのホルダであって、作動部分及びポートを有するホルダと、ホルダに取り外し可能に接続された採血器アタッチメントと、を備え、採血器アタッチメントが、血液試料がホルダに保持された患者の指から収集されたことを示すフラッシュチャンバを含む、装置。
【0030】
条項8:採血器アタッチメントが、装置の使用者が採血器アタッチメントを通って流れる血液試料を視覚的に識別できるように透明な材料で作られる、条項7に記載の装置。
【0031】
条項9:採血器アタッチメントが、血液試料が採血器アタッチメントを通って移動しているときを視覚的に示すために、その内面に光リブを含む、条項7又は条項8に記載の装置。
【0032】
条項10:血液試料を取得するための装置であって、試料源を受容するためのホルダであって、作動部分及びポートを有するホルダと、ホルダに取り外し可能に接続されたランセットであって、ランセットが、ホルダに取り外し可能に接続された患者のランセットの視界を妨げるように、ホルダに対して配置される、ランセットと、を備える、装置。
【0033】
条項11:ホルダのポートが、患者のランセットの視界を妨げるように構成される、条項10の装置。
【0034】
条項12:ランセットがホルダに接続されると、ランセットとホルダの間のポジティブな接続が確立されたことを示すために、可聴クリック音が生成される、条項10又は条項11に記載の装置。
【0035】
条項13:血液試料を取得するための装置であって、試料源を受容するためのホルダであって、作動部分及びポートを有する、ホルダと、ホルダに取り外し可能に接続された採血器アタッチメントと、採血器アタッチメントに取り外し可能に接続可能な収集容器と、を備え、収集容器上に配置されたラベルは、収集容器の内部空洞の患者の視界を妨げるように配向される、装置。
【0036】
条項14:ラベルが、ホルダの下の収集容器上の位置に配置される、条項13に記載の装置。
【0037】
条項15:ラベルが収集容器の一部を覆い、患者が収集容器に送られる血液試料を見ることができない、条項13又は条項14に記載の装置。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態によるホルダの斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、本開示の別の実施形態による、患者の指から血液試料を収集するための装置及びランセットの断面図である。
【
図2B】
図2Bは、本開示の別の実施形態による、患者の指から血液試料を収集するための装置及び試料収集容器の斜視図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態による、
図1のホルダ及び収集容器の側面図である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施形態による、ホルダ、採血器アタッチメント、及び、収集容器の斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5のホルダ、採血器アタッチメント、及び、収集容器の側面図である。
【
図7】
図7は、
図5のホルダ、採血器アタッチメント、及び、収集容器の正面図である。
【
図8】
図8は、本開示の一実施形態による、
図5の採血器アタッチメントの分離図である。
【
図9】
図9は、本開示の一実施形態による、
図5の採血器アタッチメントの分離図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の説明は、当業者が本発明を実施するために企図される説明された実施形態を作成及び使用することを可能にするために提供される。しかしながら、様々な修正、等価物、変形、及び、代替物は、当業者に容易に明らかなことである。任意の、及び、全てのそのような修正、変形、等価物、及び代替物は、本発明の主旨および範囲の中に入ることが意図されたものである。
【0040】
以下、説明の目的のために、用語「上部の(upper)」、「下部の(lower)」、「右の(right)」、「左の(left)」、「垂直の(vertical)」、(水平の(horizontal)」、「上の(top)」、「下の(bottom)」、「横の(lateral)」、「縦の(longitudinal)」、およびそれらの派生語は、図面において配向されるように、本発明に関するものとする。しかしながら、本発明は、それとは反対に明示的に特定されない限り、様々な代替的な変形を前提としてもよいことは理解されよう。また、添付の図面に示され、および以下の明細書に記載される具体的な装置及びプロセスは、単に本発明の例示的な実施形態であることも理解されるべきである。そのため、本明細書に開示される実施形態に関連する具体的な寸法、及び、他の物理的な特徴は、限定的であるとしてみなされるべきではない。
【0041】
本開示は、上記のニーズを満たし、指を槍状にして絞り、試料を収集し、試料を安定化させ、その後、制御された方法で試料を分配する能力を有する、毛細血管の採血装置のような、生体試料を取得するための装置を対象とする。この装置はまた、溶血や微小血栓を含む低試料の品質に一般的に関連する作業の流れのばらつきを排除することにより、毛細血管の採血を簡素化し、合理化する。
【0042】
採血は、圧力駆動の流れによって基本的に駆動される。装置又は技術は、血管外の圧力(真空駆動の流れ)を低下させるか、又は、血管内の圧力を増加させるかのいずれかである。両方のアプローチは、血管圧力と外圧との間の差を増加させ、血管内から収集容器が存在する外側への流速を増加させる。軟組織(例えば、脂肪、皮膚、及び、筋肉組織)は血液で灌流される一方、硬組織及び関節は灌流が不十分であるか、又は、機械的に安定しすぎるため、患者の痛みなしに圧迫するには、絞りの位置も重要であり得る。
【0043】
赤血球(RBC)は、採血中に溶血を起こす。溶血(赤血球破壊)は、細胞内容物を血清中に流出させ、ヘモグロビンによって血清を赤く着色し、比色反応を妨害することによって、診断分析用の試料を汚染する。採血中の溶血量は、流速及び流路によるせん断を介した細胞の破壊と、組織及び血管の物理的圧縮が細胞を損傷する圧力による溶血によって左右される。したがって、溶血は、圧迫される指の任意の位置において、加えられる圧力及び流量が大きすぎないようにすることで制御できる。
【0044】
本開示には、自己完結型で完全に一体化された指ベースの毛細血管の採血装置が含まれ、切開し、大容量の毛細血管の血液試料、例えば、最大500マイクロリットル以上を、採血し、安定化させる能力を有する。本装置は、溶血、微小血栓、患者の不快感など、一般的に試料の質の低下に関連する作業の流れのステップやばらつきを排除することにより、大量の毛細血管の採血を簡素化し、合理化する。本装置は、指を切開することのできる格納式切開機構と、切開した指の部位から収集容器への毛細血管の血液の付着と移送を確実にする関連する血液流路から構成される。この装置にはまた、指から血流を刺激、すなわちポンプで送り出すために周期的に絞ることができるホルダと、収集した試料を安定させるために流路又は収集容器に堆積される抗凝固剤も含まれる。
【0045】
1つの設計によれば、装置は、ホルダ、ランセット、及び、収集容器のような個別の構成要素からなることができる。別の設計によれば、ランセットと収集容器は、1つの装置に統合することができ、ホルダとともに使用される。さらに別の設計によれば、ホルダ、ランセット、及び、収集容器は、単一のシステムに統合することができる。これらの設計のいずれかは、痛みを軽減するために、自立型の使い捨て装置として、及び/又は、外部電源と組み合わせて使用されることが想定される。毛細血管の採血装置は、小さなチューブから毛細血管ディスペンサまでの様々な毛細血管収集容器、ならびにオンボード血漿分離モジュールのためのプラットフォームとして機能することができる。この機能により、ポイントオブケア(POC)カートリッジへの分注や、遠心分離機や分析装置で使用可能な小さな採血管への移注など、様々な用途に製品の柔軟性が広がる。
【0046】
図1及び
図2Aを参照すると、例示的な実施形態では、本開示の装置10は、別個の構成要素、例えば、ホルダ12(
図1に示されるように)、ランセットハウジング又はランセット14(
図2Aに示されるように)、及び、収集容器16を含む。別の例示的な実施形態では、本開示の半統合型装置は、アットアングル流れを含み得、別個のホルダと接続可能な一体型ランセットハウジング及び収集容器を含み得る。別の例示的な実施形態では、本開示の半統合型装置は、インライン流れを有し得、別個のホルダと接続可能な一体型ランセットハウジング及び収集容器を含み得る。別の例示的な実施形態では、本開示の一体型装置は、アットアングル流れを有し得、一体型ホルダ、ランセットハウジング、及び、収集容器を含み得る。別の例示的な実施形態では、本開示の一体型装置は、インライン流れを有し得、一体型ホルダ、ランセットハウジング、及び、収集容器を含み得る。
【0047】
図1を参照すると、血液試料18などの生体試料を供給するための試料源、例えば、指19を受け取ることができる本開示のホルダ12の例示的な実施形態が示され、説明される。本開示のホルダ12は、一般に、第1の開口部22(
図1)を有する指受容部分20、作動部分24、第2の開口部28を有するポート26、及び、指エンドガード30を含む。一実施形態では、指エンドガード30は、ホルダ12内で、指19を適切に位置合わせ及び固定するための停止部分を提供する。指エンドガード30はさらに、患者の指19に加えられた圧力が適切な血流をもたらすように、患者の指19が指受容部分20内の適切な位置に配置されることを確実にするのを補助する。
【0048】
指受容部分20の第1の開口部22は、血液試料18などの生体試料を供給するための試料源、例えば、指19を受容するように構成される。試料源は、第1の開口部22内に嵌合することができる本体の他の部分を含むことができることが理解され得る。ポート26は、指受容部分20と連通する。例えば、指19がホルダ12内に受容された状態では、ポート26は指19の一部と連通している。本開示のホルダ12は、あらゆる指のサイズに対応できる大きさにすることができる。
【0049】
ポート26の第2の開口部28は、以下でより詳細に説明されるように、ランセットハウジング14及び収集容器16を受容するように構成される。一実施形態では、ポート26は、ポート26内にランセットハウジング14及び収集容器16を確実に受容するためのロック部分32を含む。
【0050】
一実施形態では、作動部分24は、ホルダ12が第1の直径を画定する第1の位置と、ホルダ12が第2の直径を画定する第2の位置との間で移行可能であり、第2の直径は、第1の直径より小さい。一実施形態では、作動部分24は、ホルダ12が第1の楕円形状を画定する第1の位置と、ホルダ12が第2の楕円形状を画定する第2の位置との間で移行可能であり、第1の楕円形状は、第2の楕円形状とは異なる。このようにして、ホルダ12が直径を縮小した第2の位置にある状態で、ホルダ12の一部が試料源に接触し、ホルダ12の作動部分24は、以下でさらに詳細に説明するように、血液18を圧送及び/又は抽出することができる。
【0051】
図1を参照すると、一実施形態では、作動部分24は、接触部材34を含む。作動部分24が第1の位置にある状態で、接触部材34は係合解除位置にあり、すなわち、接触部材34は、接触部材34がそれとわずかに接触し得るように、試料源、例えば、指19に対して第1の位置に設けられる。作動部分24が第2の位置にあるとき、接触部材34は係合位置にあり、すなわち、接触部材34が、指19と印加された圧力接触にあるように、接触部材34は、試料源、例えば、指19に対して、第2の位置に設けられ、ホルダ12の作動部分24は血液18を吸い出す、及び/又は、抽出することができる。例えば、接触部材34が係合位置にあるとき、接触部材34は試料源に圧力を加える。
【0052】
図1を参照すると、一実施形態では、作動部分24は、試料源、例えば、指19に圧力を加えるためのポンプ部材36を含む。一実施形態では、ポンプ部材36は、一対の対向するタブ又は翼38からなる。このような実施形態では、各タブ38は接触部材34を含むことができる。一実施形態では、ホルダ12は、一体成形ヒンジ部分42を含む。一体成形ヒンジ部分42により、使用者は、翼38を、第1の位置(受動状態)と第2の位置(能動状態)との間で絞ることができる。患者の指19から血液18を引き出すためにタブ又は翼38を使用することにより、患者の指19からの血液の適切な流れを維持しながら溶血を最小限に抑えることができる。翼38の静止位置とヒンジは、血液閉塞なしにホルダ12内に最大の患者の指を収容するように屈曲しながら、ホルダ12内に収まることができる最小の患者の指との接触及び保持を維持するように設計される。
【0053】
有利には、本開示のホルダ12は、所望の量の血液18が収集容器16に充填されるまで、使用者が指19から血液18を吸い出す、及び/又は、抽出するために翼38を繰り返し絞ったり離したりすることを可能にする。翼38は、ホルダ12と共に使用され得る様々な患者の指のサイズに穏やかに接触し、ホルダ12を患者の指19上に保持するために、屈曲するように構成される。
【0054】
有利には、ホルダ12を指19に装着した状態では、ホルダ12は血流を制限せずに、切開及び指の絞り位置を画定する。絞りタブ又は翼38は、指19全体に一貫して適用される、絞り圧力の所定の範囲を提供する。そうすることで、ホルダ12は、血液抽出を刺激し、潜在的な溶血を最小限に抑える、穏やかに制御された指のマッサージを提供する。
【0055】
図1を参照すると、一実施形態では、ホルダ12は、安定性延長部分40を含む。これにより、ホルダ12を指19に確実に装着するための支持が追加される。一実施形態では、指受容部分20は、概してC字形の部材を形成し、ホルダ12を指19に確実に載せるための追加的なグリップ及び支持を提供するための複数の内側グリップ部材を含む。安定性延長部分40は、ホルダ12の使用中、患者の指19の血液供給及び指の関節を避けながら、患者の指19との接触を維持するのを補助する。
【0056】
一実施形態では、指受容部分20は、可撓性材料で形成される。いくつかの実施形態では、指受容部分20及びポート26は可撓性材料から形成される。
【0057】
本開示の血液試料18を取得するための装置10(
図4~7に示す)は、ホルダ12のポート26に取り外し可能に接続可能なランセットハウジング又はランセット14を含む。
図2Aを参照すると、一実施形態では、ランセットハウジング14は、入口又は開口部50、内部52、穿刺要素54、係合部分56、格納式機構58、及び、駆動ばね60を含む。一実施形態では、穿刺要素54は、穿刺要素54がランセットハウジング14の内部52内に保持される事前作動位置と、穿刺要素54の少なくとも一部がランセットハウジング14の入口50を通って延び、指19の一部を切開する穿刺位置との間で移動可能である。
【0058】
一実施形態では、本開示のランセット14は、接触活性化ランセットであり、「接触活性化ランセット装置」と題された、2005年5月6日に出願された米国特許出願公開第2006/0052809号に開示され、本出願と共通して割り当てられた特徴に従って構成され得、その開示全体は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0059】
一実施形態では、ランセットハウジング14は、ホルダ12及び収集容器16とは別個の部品であってもよい。いくつかの実施形態では、収集容器16及びランセットハウジング14は、ホルダ12のポート26に取り外し可能に接続可能な単一の構成要素を形成する。いくつかの実施形態では、収集容器16、ランセットハウジング14、及び、ホルダ12は、単一の構成要素を形成する。
【0060】
図2Aを参照すると、一実施形態では、ホルダ12とランセットハウジング14が別個の構成要素であり、ランセットハウジング14は、ホルダ12のポート26に取り外し可能に接続可能である。そのような実施形態では、ランセットハウジング14は、係合部分56を含む。
図2Aを参照すると、一実施形態では、ランセットハウジング14の係合部分56が、ホルダ12のロック部分32内にロックされるように、ランセットハウジング14が、ホルダ12のポート26内に押し込まれる。このようにして、ランセットハウジング14は、ランセットハウジング14の穿刺要素54を作動させて試料源、例えば、指19を切開又は穿刺することができるように、ホルダ12にしっかりと接続及びロックされる。いくつかの実施形態では、ホルダ12のポート26は、ポート26内にランセット14又は収集容器16を固定してロックするための複数のリブを含む。
【0061】
ランセット14を作動させるには、ランセット14を指19に押し当てて、ランセット14の格納式機構58を作動させ、指19を切開させる。本開示のランセット14は、正しい穿刺深さ及び事前定義された穿刺位置を一貫して提供するため、十分な試料容積が確保される。
【0062】
一実施形態では、ランセット14は、穿刺要素54を穿刺位置に向かって付勢するために、ランセットハウジング14の内部52内に配置された駆動ばね60を含む。穿刺後、穿刺要素54は直ちに格納され、ランセットハウジング14の内部52内に安全に固定される。
【0063】
一実施形態では、本開示のランセット14は、指19の皮膚を切開するために使用され、次いで、血液試料18が、以下にさらに詳細に記載されるように、収集容器16に絞り込まれる。
【0064】
一実施形態では、本開示のランセットハウジング14は、切開経路に沿って指19の皮膚を、切開するために使用され、その後、血液試料18は、以下にさらに詳細に記載されるように、切開経路に対して角度を付けて血液流路を流れる。
【0065】
一実施形態では、ランセット14は、中空針を含むことができる。このような実施形態では、本開示のランセットハウジング14は、切開経路に沿って指19の皮膚を切開するために使用され、その後、血液試料18は、中空針を通って平行な血液流路に沿って流れる。
【0066】
図2Bに示すように、本開示の血液試料18を取得するための装置10(
図4~6に示す)は、ホルダ12のポート26に取り外し可能に接続可能な収集容器16を含む。収集容器16は、血液試料18を受容するための収集空洞70、容器係合部分72、採血器部分74、及び、キャップ又は隔壁76を画定する。所望量の血液18が容器16内に採血されると、採血された試料18を診断機器及び/又は検査機器に送るために、採血器部分74が採血装置10から切り離される。採血器部分74は、採血装置10から取り外されると、キャップ又は隔壁76を介して密封され、血液試料18を収集空洞70内に保護的に密封する。
【0067】
一実施形態では、収集容器16は、ホルダ12及びランセットハウジング14とは別個の構成要素であってもよい。いくつかの実施形態では、収集容器16及びランセットハウジング14は、ホルダ12のポート26に取り外し可能に接続可能な単一の構成要素を形成する。いくつかの実施形態では、収集容器16、ランセットハウジング14、及び、ホルダ12は、単一の構成要素を形成する。
【0068】
一実施形態では、ホルダ12と収集容器16は、別個の構成要素であり、容器16はホルダ12のポート26に取り外し可能に接続可能である。そのような実施形態では、容器16は、容器係合部分72を含む。一実施形態では、容器16の容器係合部分72がホルダ12のロック部分32内にロックされるように、容器16が、ホルダ12のポート26内に押し込まれる。このようにして、容器16は、血液試料18がホルダ12内の指19から容器16の収集空洞70に安全に流れることができるように、ホルダ12に確実に接続され、ロックされる。
【0069】
本開示の装置10には、数種類の収集容器16を使用できることが理解されよう。また、収集容器16は、別個の分配ユニットに関連付けることができ、又は、収集容器16は、血液18を検査装置に分配するための一体型分配部分を含むことができることが理解され得る。
【0070】
次に、
図1を参照して、個別の構成要素、例えば、ホルダ12、ランセットハウジング又はランセット14、及び、収集容器16を有する本開示の装置10の使用について説明する。
【0071】
図1を参照すると、まず、所望の指19が洗浄され、所望の指19に適切なサイズを有するホルダ12が選択され、指19にしっかりと装着される。次に、
図2Aを参照すると、ランセットハウジング14は、ホルダ12のポート26に接続される。上述したように、ランセットハウジング14の係合部分56が、ホルダ12のロック部分32内にロックされるように、ランセットハウジング14が、ホルダ12のポート26内に押し込まれる。このようにして、ランセットハウジング14は、ランセットハウジング14の穿刺要素54(
図2A)が試料源、例えば、指19を切開又は穿刺するように作動され得るように、ホルダ12にしっかりと接続及びロックされる。ランセット14がホルダ12のポート26に接続された状態で、ランセット14は、指19と連通する。
【0072】
指19の皮膚を切開するために、ランセット14を作動させたい場合、ランセット14を指19に押し付けて、指19を切開するために、ランセット14の格納式機構58(
図2A)を作動させる。本開示のランセット14は、正しい穿刺深さ及び事前定義された穿刺位置を一貫して提供するため、十分な試料容積が確保される。
【0073】
指19を切開して、指19から血液18を流出させた後、ランセット14をホルダ12から取り外し、収集容器16をホルダ12のポート26に押し込む。
図2Bを参照すると、容器16の容器係合部分72がホルダ12のロック部分32内にロックされるように、容器16が、ホルダ12のポート26内に押し込まれる。このようにして、容器16は、血液試料18がホルダ12内の指19から容器16の収集空洞70に安全に流れることができるように、ホルダ12に確実に接続され、ロックされる。
【0074】
図1を参照すると、血液試料18を採血するために容器16がホルダ12に適切に固定された状態で、使用者は、所望の量の血液18が収集容器16に充填されるまで、ホルダ12の翼38を繰り返し絞ったり離したりして、指19から血液18を吸い出す、及び/又は、抽出することができる。有利には、ホルダ12を指19に装着した状態では、ホルダ12は血流を制限せずに、切開及び指の絞り位置を画定する。絞りタブ又は翼38は、指19全体に一貫して適用される、あらかじめ定義された範囲の絞り圧力を提供する。そうすることで、ホルダ12は、血液抽出を刺激し、潜在的な溶血を最小限に抑える、穏やかに制御された指19のマッサージを提供する。
【0075】
例えば、
図1を参照すると、一実施形態では、作動部分24は、接触部材34を含む。作動部分24が第1の位置にあるとき、接触部材34は、係合解除位置にあり、すなわち、接触部材34は、試料源、例えば、指19に対して第1の位置にある。作動部分24が第2の位置にあるとき、接触部材34は、係合位置にあり、すなわち、接触部材34は、第2の位置にあり、試料源、例えば、指19と加圧接触しており、ホルダ12の作動部分24は、血液18を吸い出す、及び/又は、抽出することができる。例えば、接触部材34が係合位置にあるとき、接触部材34は試料源に圧力を加える。
【0076】
所望量の血液18が容器16内に採血されると、採血された試料18を診断機器及び/又は検査機器に送るために、採血器部分74が採血装置10から切り離される。採血器部分74は、採血装置10から取り外されると、キャップ又は隔壁76を介して密封され、血液試料18を収集空洞70内に保護的に密封する。
【0077】
本開示の装置は、検査装置がオフサイトであろうとポイントオブケア検査装置であろうと、あらゆる既知の検査装置と互換性がある。様々なポイントオブケア検査装置が、当技術分野で知られている。そのようなポイントオブケア検査装置は、検査紙、スライドガラス、診断カートリッジ、又は、検査及び分析のための他の検査装置を含む。検査紙、スライドガラス、及び、診断カートリッジは、血液試料を受け取り、その血液を1つ以上の生理学的及び生化学的状態について検査するポイントオブケア検査機器である。カートリッジ・ベースの構造を採用したポイントオブケア機器は数多くあり、分析のために試料を検査室に送る必要なく、ベッドの傍らでごく少量の血液を分析することができる。これは、長期的には結果を得るための時間を節約できるが、高度にルーチン化された研究室環境とは異なる課題を生み出す。そのような検査用カートリッジの例としては、アボット社のi-STAT(登録商標)検査用カートリッジがある。i-STAT(登録商標)カートリッジのような検査用カートリッジは、化学物質や電解質の存在、血液学、血液ガス濃度、凝固、又は、心臓マーカーを含むさまざまな状態の検査に使用できる。このようなカートリッジを使用した検査結果は、臨床医に迅速に提供される。
【0078】
収集容器16はまた、血液試料18、及び/又は、その中に配置された血液試料18の成分を安定化するために、試料安定剤、例えば、抗凝固剤を含んでもよい。収集容器16はまた、所定量の試料に対応する少なくとも1つの充填ライン(複数可)を含むことができる。収集容器はまた、収集された血液量を表示/測定することができる。
【0079】
本開示の血液試料を得るための装置はいずれも、自立型の使い捨て装置として、及び/又は、疼痛軽減制御のための外部電源と関連して使用することができる。例えば、ホルダ12の一部には、外部疼痛制御モジュールからの信号を受信し、疼痛軽減制御のために温熱、振動、経皮的電気神経刺激(TENS)の少なくとも1つを与える埋め込み電極を含むことができる。本開示の血液試料を得るための装置は、搭載された血漿分離のための様々なオプションを含むこともできる。本開示の血液試料を収集するための装置はまた、収集時に患者情報とペアリングすることができる固有の試料識別子を含むことができる。本開示の血液試料を収集するための装置は、収集時のオンボード診断フィードバックを含むこともできる。本開示の血液試料を取得するための装置は、二重収集、例えば、2つの試料を2つの別個の容器に収集すること、同じ供給源から複数の試料を収集することを可能にする複数の収集ポートを使用すること、及び、抗凝固剤などの異なる試料安定化剤で試料を処理することも可能にし得る。
【0080】
本開示の血液試料を得るための装置は、ランセットと毛細管を用いた従来の毛細管の採血に比べ、指からの大容量の毛細管採血を大幅に簡略化し、高度の技術を必要としないようにする。本開示の装置は、血液曝露をなくし、装置の再使用を防止する。
【0081】
本開示の血液試料を収集するための装置は、収集プロセスを簡素化、簡略化し、及び、合理化する。これはすべて、指に装着された後、切開、血液抽出、安定化、封じ込めの機能を1つのユニットで提供する、自己完結型のクローズドシステム装置によって達成される。
【0082】
本開示の血液試料を収集するための装置は、自動ポンプ、制御された指絞り、及び、自動試料ラベル付けおよび処理を提供する、自立ユニットに関連付けられ得る。
【0083】
図3を参照すると、本開示の一実施形態によれば、ランセット14がホルダ12に接続されると、ランセット14とホルダ12との間の確実な接続が達成されたことを使用者に通知するために、可聴の「カチッ」という音が発生され得る。ポート26の向きは、ランセット14の患者の視界が遮られるように配置され得、患者の指19がランセット14によって突き刺されるとき、患者にとってよりストレスの少ない相互作用をもたらす。一実施形態では、ポート26の本体は、ランセット14がホルダ12に挿入されたときに、ホルダ12の一部がランセット14及び患者の穿刺創傷部位の視界も遮るように、ランセット14の上方に配置される。別の実施形態では、ポート26は、使用者が患者の指19に対するランセット14及びランセット14が患者の指19を穿刺した後の患者の指19からの血液の流れを観察できるように、半透明の材料で作られてもよい。この配置により、使用者は、ランセット14によって患者の指19に十分な穿刺が達成されたことを確認することができる。
【0084】
図4を参照すると、本開示の一実施形態によれば、収集容器16に取り外し可能に取り付けられたラベル80は、収集容器16の内部空洞の患者の視界を遮るように、収集容器16上で向きを変えることができる。収集容器16がホルダ12に接続され、患者の指19が吸い出された後、血液試料18が収集容器16に導かれる。患者が落ち着いてリラックスした状態を保てるように、ラベル80は、血液試料18が収集容器16内に導かれる際に患者の視界を遮るように、収集容器16の外面に配置することができる。多くの患者が、血液を見ることをおそれたり、嫌がったりするため、このラベル80の位置により、患者が収集容器16内の血液試料を見て失神したり、不快になったりすることがなくなる。本開示の一実施形態では、ラベル80はまた、使用者又は医師が、収集容器16に誘導される血液試料18を明瞭に視認できるように配置される。ラベル80は、収集容器16の内部を見る使用者又は医師の視線を妨げてはならない。本開示の一実施形態では、ラベル80は、ホルダ12の下に配置される収集容器16の外面に配置することができる。
【0085】
図5~
図7を参照すると、本開示の一実施形態によれば、装置10はまた、装置10内で血液の流れが得られたことを使用者又は医師に即座に識別させるためのフラッシュ機能を含むことができる。本開示の一実施形態では、装置10は、ホルダ12と収集容器16との間に取り外し可能に接続された採血器アタッチメントを含むことができる。採血器アタッチメント82の本体は、使用者又は医師が採血器アタッチメント82の内部空洞、及び、その中の血液試料18を見ることができるように、半透明の材料で作られてもよい。さらに、採血器アタッチメント82の内面に設けられたリブは、血液試料18の一部を受けるためのライトパイプ(light pipe)又は「フラッシュ」機能として機能し、血液試料18が収集容器16に誘導されていることを使用者又は医師に視覚的に提示することができる。採血器アタッチメント82は、血液試料18を容易に見ることができるように、ホルダ12にしっかりと固定することができる。
【0086】
図8及び
図9を参照すると、本開示の別の実施形態によれば、装置10の収集容器16は、採血器アタッチメント82に挿入されている収集容器16の種類を使用者又は医師に迅速かつ効率的に伝えるために、色分けされた充填ライン84を含むことができる。
図8に示すように、本開示の一実施形態では、収集容器16は、より淡い色合いの充填ライン84を有することができる。
図9に示すように、本開示の一実施形態では、収集容器16は、濃い色合いを有する充填ライン84を有することができる。本開示の一実施形態では、収集容器16に採血された血液の量を決定する際に、使用者又は医師を支援するために、収集容器16は、少なくとも2本の充填ライン84を含むことができる。収集容器16に少なくとも2本の充填ライン84を使用することにより、血液試料18を採血する際の使用者の経験及び規則遵守が改善される。充填ライン84間の距離や充填ライン84の太さは、所望に応じて調整することができる。さらに、収集容器16上の充填ライン84の位置は、収集容器16内の異なる所望の血液量に対応するように調整することができる。充填ライン84の線の太さ、色、間隔は、試料の品質と添加物比率を維持するために、一貫した充填体験のために最適化することができる。本開示の一実施形態では、使用者又は医師は、収集容器16を底部充填ライン84の上端まで充填することができる。患者からの血液飛沫は、患者が底部充填ライン84の上端に達し、使用者又は医師がホルダ12の翼38を絞るのを止めた後に発生する可能性がある。
【0087】
装置10の前述の特徴は、血液恐怖症、トリパノフォビア、収集及び色覚異常に対する装置の使いやすさの改善に向けられている。
【0088】
毛細管採血装置の一実施形態が添付図に示され、本明細書で詳細に説明されているが、他の実施形態は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者に明らかであり、当業者によって容易に作製されるであろう。したがって、前述の説明は、制限的というよりも例示的であることを意図している。上記に記載された本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の意味および等価性の範囲内にある本発明へのすべての変更は、それらの範囲内に包含される。
【国際調査報告】