(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】改変DWARF14遺伝子を含むスイカ植物及び植物部分を選択する方法
(51)【国際特許分類】
A01H 6/34 20180101AFI20240621BHJP
A01H 5/10 20180101ALI20240621BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20240621BHJP
C12Q 1/6827 20180101ALI20240621BHJP
C12N 15/29 20060101ALN20240621BHJP
C12Q 1/6895 20180101ALN20240621BHJP
【FI】
A01H6/34 ZNA
A01H5/10
C12Q1/6844 Z
C12Q1/6827 Z
C12N15/29
C12Q1/6895 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580665
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 EP2022067731
(87)【国際公開番号】W WO2023275048
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522327245
【氏名又は名称】ヌンヘムス ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルヴァダ,ジャヤスリ
(72)【発明者】
【氏名】マザヘリ,モナ
(72)【発明者】
【氏名】キアッパリーノ,エレナ
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ04
4B063QQ42
4B063QR32
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QS36
(57)【要約】
本発明は、突然変異された場合、増加した二次分枝表現型を付与する、スイカ、キュウリ又はメロンにおけるDWARF14と命名された遺伝子のためのジェノタイピング方法に関する。DWARF14遺伝子における改変を含む植物も本明細書で提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ClD14(キトルルス・ラナトゥス(Citrullus lanatus)Dwarf14)と命名された遺伝子の突然変異アレルを含むスイカ植物であって、前記突然変異アレルは、対応する野生型アレルと比較して低下した遺伝子発現をもたらすか又は遺伝子発現をもたらさない、1つ以上の調節配列における突然変異を含むか、又は前記突然変異アレルは、前記野生型アレルによってコードされるタンパク質と比較して1つ以上のアミノ酸の欠失、切断、挿入又は置換を含むタンパク質をコードし、ClD14タンパク質の機能低下又は機能喪失をもたらし、前記突然変異アレルは、前記突然変異アレルがホモ接合体である場合、増加した平均数の二次分枝を発生させる前記植物をもたらし、前記突然変異アレルは、配列番号1のタンパク質をコードする突然変異アレルではなく、前記野生型アレルの前記ClD14タンパク質は、
a)配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸分子、
b)配列番号6で示されるヌクレオチド配列又はその相補配列を含む核酸分子
からなる群から選択される核酸分子によってコードされる、スイカ植物。
【請求項2】
前記突然変異アレルは、1つ以上のアミノ酸が挿入、置換又は欠失されているタンパク質をコードし、前記タンパク質の機能低下をもたらすが、前記タンパク質の機能喪失をもたらさず、それにより、前記二次分枝の平均数は、前記野生型ClD14アレルに対してホモ接合性である植物より多いが、非機能性タンパク質をコードする突然変異ClD14アレルに対してホモ接合性である植物ほど多くない、請求項1に記載のスイカ植物。
【請求項3】
前記突然変異アレルに対してホモ接合性であり、且つ前記野生型アレルに対してホモ接合性である前記植物と比較して増加した平均数の二次分枝を発生させる、請求項1又は2に記載のスイカ植物。
【請求項4】
種子であって、請求項1~3のいずれか一項に記載の植物がそれから成長され得る、種子。
【請求項5】
ClD14(キトルルス・ラナトゥス(Citrullus lanatus)Dwarf14)と命名された遺伝子の突然変異アレルの少なくとも1つのコピーを含むスイカ植物、種子又は植物部分を検出及び任意選択的に選択する方法であって、
a)1つ以上のスイカ植物、種子又は植物部分の1つ以上のゲノムDNAサンプルを提供する工程と、
b)野生型ClD14アレルと前記突然変異ClD14アレルとを区別する、鋳型としてa)の前記DNAサンプルを使用するジェノタイピングアッセイを実施する工程であって、前記ジェノタイピングアッセイは、ClD14アレル特異的オリゴヌクレオチドプライマーを利用する核酸増幅に基づき、及び/又は前記ジェノタイピングアッセイは、ClD14アレル特異的オリゴヌクレオチドプローブを利用する核酸ハイブリダイゼーションに基づく、工程と、任意選択的に、
c)前記突然変異アレルの1又は2つのコピーを含む植物、種子又は植物部分を選択する工程と
を含み、前記突然変異ClD14アレルは、配列番号6の配列に対して挿入、重複、欠失又は置換された1つ以上のヌクレオチドを含み、配列番号2の配列に対して挿入、重複、欠失又は置換された1つ以上のアミノ酸を含む突然変異ClD14タンパク質をもたらす、方法。
【請求項6】
前記ClD14アレル特異的オリゴヌクレオチドプライマー又は前記ClD14アレル特異的オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号6又は配列番号6の相補鎖の少なくとも10ヌクレオチドを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記突然変異アレルは、前記アレルのコード領域に挿入若しくは重複された少なくとも1つのコドン、又は別のコドンに変化された少なくとも1つのコドン、又は欠失されるか若しくは終止コドンに変化された少なくとも1つのコドンを含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記突然変異アレルは、配列番号5の配列を含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記オリゴヌクレオチドプライマー又はオリゴヌクレオチドプローブは、配列番号6又は配列番号6の相補配列に相補的な少なくとも15ヌクレオチドを含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ジェノタイピングアッセイは、KASPアッセイであり、前記KASPアッセイは、前記DNAサンプル中において、配列番号6の前記野生型アレルを検出する第1のフォワードプライマーと、前記DNAサンプル中において、配列番号6に対して挿入、欠失又は置換された1つ以上のヌクレオチドを含む前記突然変異アレルを検出する第2のフォワードプライマーと、1つの共通のリバースプライマーとを含む、請求項5~9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイカにおける改変(又は突然変異)遺伝子の同定並びにこの遺伝子の改変(若しくは突然変異)アレル又はこの遺伝子の野生型アレルを含む植物及び植物部分を生成及び/又は選択する方法に関する。この遺伝子は、野生型遺伝子がシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)AtDWARF14(AtD14)遺伝子のオルソログであると推定されるため、DWARF14、又はClDWARF14、又はClD14と呼ばれる。通常のスイカ植物では、野生型ClD14遺伝子は、8番染色体上に見られ、267アミノ酸のClD14タンパク質をコードする。この遺伝子の改変アレルは、多分枝性スイカ植物において見られ、これは、8アミノ酸の重複を含み、したがって275アミノ酸のタンパク質であった(
図1を参照されたい)。ClD14遺伝子のこの改変アレルに対してホモ接合性である植物は、多分枝表現型を有し、二次分枝の平均数は、45以上の二次分枝である。対照的に、改変アレルに対してヘテロ接合性であるか、又は野生型アレルに対してホモ接合性であるスイカ植物は、通常の分枝表現型を有し、二次分枝の平均数は、45を大きく下回り、例えば平均して約30未満の二次分枝、例えば約20の二次分枝である。
【背景技術】
【0002】
メロン及びキュウリなどの他のウリ科(Cucurbitaceae)も、スイカClD14タンパク質と高い配列同一性を有するD14タンパク質をコードする遺伝子を含有する。これらは、例えば、CmD14(ククミス・メロ(Cucumis melo))又はCsD14(ククミス・サティブス(Cucumis sativus))遺伝子及びタンパク質と呼ばれる。スイカ、キュウリ及びメロン遺伝子及びタンパク質は、本明細書では単にD14遺伝子、D14アレル又はD14タンパク質とも呼ばれる。
【0003】
8つのアミノ酸重複を含む突然変異アレルは、非機能性ClD14タンパク質を実際にコードすることが意外にもさらに分かった。D14タンパク質は、様々な他のタンパク質と相互作用する複雑なタンパク質であり、8つのアミノ酸重複がタンパク質機能を完全になくすことが予想されなかったため、これは、予想外であった。スイカTILLING集団をスクリーニングするとき、切断された非機能性タンパク質(267アミノ酸のうちの113アミノ酸を欠いた)をコードした突然変異アレルは、意外にも、8つのアミノ酸重複を含む突然変異アレルと同じ多分枝表現型をもたらした。両方の突然変異アレルは、野生型植物における二次分枝の平均数(100%の二次分枝に設定された)と比べて約240%である二次分枝の平均数をもたらした。非機能性タンパク質によって引き起こされるこの強い表現型は、本明細書では「強い多分枝」又は「完全な多分枝」と呼ばれる。さらに、この結果は、「完全な多分枝」をもたらさないが、「中間の多分枝」をもたらす突然変異アレルの生成を可能にし、それにより、ClD14タンパク質は、機能低下を有し、機能喪失を有さない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、一態様では、本発明は、(突然変異アレルがホモ接合体である場合に)非機能性ClD14タンパク質及び完全な多分枝をもたらす、ClD14遺伝子の突然変異アレルを含むか、又は(突然変異アレルがホモ接合体である場合に)機能低下ClD14タンパク質及び中間の多分枝をもたらす、ClD14遺伝子の突然変異アレルを含むスイカ植物に関する。配列番号1(ClD14ins)の非機能性タンパク質をコードする突然変異アレルを含むスイカ植物は、一態様では包含されない。
【0005】
本発明は、別の態様では、ウリ科(Cucurbitaceae)植物、特にスイカ、メロン又はキュウリ植物又は植物部分がD14遺伝子の野生型アレル及び/又はD14遺伝子の突然変異アレルを含むかどうかを決定する方法に関する。D14遺伝子の野生型アレルは、配列番号2のスイカD14タンパク質(又は配列番号2との少なくとも95%の配列同一性を含むタンパク質)、配列番号8のキュウリD14タンパク質(若しくは配列番号8との少なくとも95%の配列同一性を含むタンパク質)又は配列番号9のメロンタンパク質(若しくは配列番号9との少なくとも95%の配列同一性を含むタンパク質)をコードする。一態様では、突然変異アレルは、配列番号2(スイカ)、配列番号8(キュウリ)又は配列番号9(メロン)のアミノ酸94~101の重複をコードするアレルである。別の態様では、突然変異アレルは、配列番号2(スイカ)、配列番号9(メロン)又は配列番号8(キュウリ)の野生型タンパク質と比較して挿入、重複、置換又は欠失された1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質をコードするアレルであり、アレルがホモ接合体である場合に中間の多分枝をもたらす機能低下タンパク質であるか、又はアレルがホモ接合体である場合に完全な多分枝をもたらす非機能性タンパク質である。
【0006】
野生型アレル又はD14遺伝子の突然変異アレルを検出する方法も提供され、それにより、プライマー対又はオリゴヌクレオチドプローブのいずれかは、スイカ、メロン又はキュウリのゲノムDNA中のD14アレルを増幅又は検出するために使用される。オリゴヌクレオチドプライマー又はプローブは、配列番号5若しくは6(又はこれらのいずれかの相補DNA鎖)又は配列番号15若しくは16(又はこれらのいずれかの相補DNA鎖)の少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又はそれを超える連続したヌクレオチドを含む。特に、PCR反応においてゲノムD14アレルの一部にハイブリダイズし、それを増幅する少なくとも1つのフォワードプライマー及び1つのリバースプライマーのプライマーの対が提供される。
【0007】
別の態様では、ウリ科(Cucurbitaceae)植物、特にスイカ、メロン又はキュウリ植物又は植物部分を生成及び/又は選択する方法は、D14遺伝子の突然変異アレルを含む。一態様では、突然変異アレルは、配列番号2(スイカ)、配列番号8(キュウリ)又は配列番号9(メロン)のアミノ酸94~101の重複をコードするアレルである。別の態様では、突然変異アレルは、配列番号2(スイカ)、配列番号9(メロン)又は配列番号8(キュウリ)の野生型タンパク質と比較して挿入、重複、置換又は欠失された1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質をコードするアレルであり、アレルがホモ接合体である場合に中間の多分枝をもたらす機能低下タンパク質であるか、又はアレルがホモ接合体である場合に完全な多分枝をもたらす非機能性タンパク質である。
【0008】
一態様では、D14遺伝子の突然変異アレルを含むスイカ、キュウリ又はメロン植物及び植物部分も提供される。一態様では、突然変異アレルは、配列番号2(スイカ)、配列番号8(キュウリ)又は配列番号9(メロン)のアミノ酸94~101の重複を含むタンパク質をコードする。別の態様では、突然変異アレルは、配列番号2(スイカ)、配列番号9(メロン)又は配列番号8(キュウリ)の野生型タンパク質と比較して挿入、重複、置換又は欠失された1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質をコードするアレルであり、アレルがホモ接合体である場合に中間の多分枝をもたらす機能低下タンパク質であるか、又はアレルがホモ接合体である場合に完全な多分枝をもたらす非機能性タンパク質である。
【0009】
一態様では、ClD14遺伝子の突然変異アレルに対してヘテロ接合性であるスイカ植物が提供される。一態様では、突然変異アレルは、配列番号2(スイカ)のアミノ酸94~101の重複を含むタンパク質をコードする。別の態様では、突然変異アレルは、配列番号2(スイカ)、配列番号9(メロン)又は配列番号8(キュウリ)の野生型タンパク質と比較して挿入、重複、置換又は欠失された1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質をコードするアレルであり、アレルがホモ接合体である場合に中間の多分枝をもたらす機能低下タンパク質であるか、又はアレルがホモ接合体である場合に完全な多分枝をもたらす非機能性タンパク質である。
【0010】
米国特許第7314979B2号明細書は、HMBNアレルと呼ばれる劣性アレルを記載しており、これは、ホモ接合体において二次分枝を増加させ、平均果実重量を0.87kgに減少させる。
【0011】
国際公開第2006/060425号パンフレットも、HMBNアレルと呼ばれる劣性アレルを記載している。15頁[0090]において、HMBNアレルは、「スイカ育種計画から生じた予想外の突然変異アレル」として記載されている。
【0012】
米国特許出願公開第2020093086号明細書は、ホモ接合体におけるHMBNアレル及び2番染色体上の突然変異ts遺伝子アレルの組合せのため、0.9kg未満の小さい果実を産生するスイカ植物を記載している。
【0013】
HMBNアレルの遺伝子及び遺伝子位置は、これまで知られていない。その結果、遺伝子の機能も知られていない。
【0014】
本明細書では、HMBNアレルの遺伝子が同定され、配列番号2(野生型ClD14タンパク質)のアミノ酸94~101の重複を含むClD14タンパク質をコードすることが分かった。この突然変異タンパク質は、配列番号1に示され、本明細書ではClD14ins(「挿入」のため)とも呼ばれる。
【0015】
野生型タンパク質ClD14(配列番号2)は、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)DWARF14タンパク質のオルソログであると考えられる。AtDWARF14は、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)におけるストリゴラクトンシグナル伝達及びストリゴラクトン加水分解において二重機能を有することが示されているタンパク質であり、これは、これらの機能のいずれにも影響を与える突然変異体が作出されたためである。Seto et al.(2019,Nature Communications 10:191,Strigolactone perception and deactivation by a hydrolase receptor DWARF14)を参照されたい。この刊行物では、著者は、
図5において、ストリゴラクトンシグナル伝達経路及び加水分解におけるシロイヌナズナ属(Arabidopsis)DWARF14(AtD14)タンパク質の関与のモデルを記載している。生物活性ストリゴラクトン分子は、AtD14タンパク質によって知覚され、AtD14タンパク質の構造変化を誘導して、他のシグナル伝達タンパク質(D53など)とのタンパク質複合体の形成をもたらす。シグナル伝達は、例えば、分枝形成の阻害をもたらす。シグナル伝達後、AtD14タンパク質は、その元の構造に戻るように変化し、ストリゴラクトン分子を加水分解する。したがって、AtD14は、例えば、分枝形成を阻害するシグナル伝達及び植物におけるストリゴラクトンレベルの恒常性の両方に関与する。AtD14タンパク質は、「触媒三残基」と呼ばれる3つのアミノ酸、すなわちS97(セリン97)、D218(アスパラギン218)及びH247(ヒスチジン247)を含有する。これらは、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)D14タンパク質及び改変スイカClD14タンパク質における対応するアミノ酸について
図2に示される。
【0016】
多分枝表現型(HMBNアレルによって引き起こされる)の根底にあることが特定された配列番号1(ClD14ins)のスイカタンパク質は、8つのアミノ酸の重複を含むことが分かった。重複は、
図2に見られるように、触媒三残基のアミノ酸の1つを含み、すなわちS97が重複される。AtD14タンパク質におけるS97は、タンパク質の表面に位置するようであり、リガンド結合に関与するようである。
【0017】
最初に、何らかの理論によって制約されるものではないが、ClD14タンパク質における8つのアミノ酸の重複は、他のタンパク質/リガンドとの相互作用を減少させるか若しくは防止するためにClD14構造を変化させるか、又はストリゴラクトン分子のための結合ポケットが影響され、それによりシグナル伝達を減少させるか若しくは防止するようにClD14構造を変化させることがあり得ることが本出願人によって推測された。
【0018】
しかしながら、さらなる分析により、8つのアミノ酸の重複の影響は、ClD14insタンパク質がインビボで非機能的であり、スイカにおいてそのシグナル伝達の役割を果たすことができないことであることが意外にも分かった。したがって、突然変異アレルがホモ接合体である場合に見られる表現型は、最も極端な二次分枝形成であり、本明細書では「完全な多分枝」又は「強い多分枝」と呼ばれる。これは、アミノ酸W155についてのコドンが終止コドン(W155終止又はW155*)に突然変異されて、配列番号2のアミノ酸1~154のみを含む切断タンパク質をもたらすTILLING突然変異体から結論付けられた。W155*タンパク質は、野生型タンパク質の113アミノ酸が欠失しているため、非機能的であるはずである。突然変異アレルW155*に対してホモ接合性である植物における(平均)二次分枝形成に対する影響は、ClD14insタンパク質をコードする突然変異アレルを含む植物において見られるのと同じであった。実施例を参照されたい。
【0019】
したがって、意外にも、ClD14insタンパク質(8つのアミノ酸重複を含む)は、インビボで非機能的であり、すなわち、それは、ストリゴラクトンシグナル伝達経路においてその機能を喪失し、もはやいずれのシグナルも伝達せず、それにより二次分枝形成の阻害が誘導されず、多分枝表現型が最大限に発現されることが分かった。
【0020】
スイカ植物は、雄花の花粉による雌花の授粉後に種あり果実を産生する二倍体(2n)又は別のスイカ植物(授粉種植物と呼ばれる)からの花粉による雌花の授粉後に種なし果実を産生する三倍体(3n)(三倍体植物の花は、稔性花粉を産生しないため)のいずれかの果実産生のために栽培される。
【0021】
HMBNアレルは、ホモ接合体においてHMBNアレルを含有し、多分枝表現型を有する授粉種植物を発生させるためにこれまで使用されきた。これらの授粉種の1つは、Sidekick品種である(Harris Moran、ワールドワイドウェブのhmclause.com/wp-content/uploads/2014/11/USACANADA_Watermelon_Sidekick_Techsheet_2014_ENG.pdfを参照されたい)。Sidekickは、種あり果実がピンク色の果肉を有し、廃棄されるため、収穫不可能な授粉種である。
【0022】
市販の授粉種は、収穫可能又は収穫不可能な授粉種であるとして区別され得る(同様にMcGregor and Waters 2014、上掲を参照されたい)。収穫可能な授粉種は、雌花の授粉後に市場性のある種あり果実を産生する二倍体授粉種である。収穫不可能な授粉種は、雌花の授粉後、果肉が白い果実、脆い外皮を有する果実など、農学的に望ましくない果実を産生する二倍体授粉種である。したがって、栽培者は、三倍体、種なし果実及び二倍体、種あり果実を1つの圃場で生産するか、又は三倍体、種なし果実のみを生産し、授粉種の二倍体、種あり果実を廃棄することを選択し得る。明らかに、授粉種は、本来であれば三倍体植物によって占有可能な圃場の多くの空間を占め、この理由から、小型の植物を産生するいくつかの授粉種が開発されている。
【0023】
本発明者らは、Sidekick中に存在し、Sidekickの多分枝表現型の根底にある単一の劣性遺伝子が、配列番号2の野生型タンパク質と比較して8つのアミノ酸の重複を含むタンパク質をコードすることを発見した。改変(又は突然変異)タンパク質は、配列番号1として本明細書に含まれる。野生型タンパク質及び突然変異タンパク質のアラインメントが
図1に示されている(「D14Ins」は、配列番号1の突然変異タンパク質であり、「WT」は、配列番号2の野生型タンパク質である)。したがって、突然変異ClD14遺伝子(配列番号5及び配列番号3に示される)のゲノムDNA及びcDNA/mRNAは、野生型ゲノムDNA及びcDNA/mRNA(配列番号6及び配列番号4に示される)と比べて24ヌクレオチドの重複を含む。
【0024】
本発明者らは、Sidekickの多分枝表現型が、配列番号2の野生型タンパク質と比較して8つのアミノ酸の重複を含むタンパク質のため、インビボで非機能的であることと、表現型が「完全な多分枝」であり、すなわち二次分枝形成が起こることを阻害するシグナル伝達がないこととをさらに発見した。それにより、本発明者らは、初めて、突然変異アレルがホモ接合体である場合に完全な多分枝をもたらす様々な突然変異アレル(Sidekick中に存在する突然変異アレルと異なる)を作出することができるだけでなく、インビボで機能を保持するが、野生型タンパク質と比較して低下した機能を有し、突然変異アレルがホモ接合体である場合により穏やかな又は中間の多分枝をもたらす突然変異アレルを作出することもできる。
【0025】
BLAST解析により、キュウリ(CsD14)及びメロン(CmD14)の対応するタンパク質が同定された。これらは、以下の表1に示されるように、(Emboss Needleペアワイズアラインメント、デフォルトパラメータを用いて)互いに非常に高い配列同一性を有する。
【0026】
【0027】
高いタンパク質配列同一性を考慮すると、スイカ、キュウリ及びメロンD14タンパク質のインビボ機能が同じであることが予想される。
【0028】
したがって、相応して、ClD14(配列番号2)、CsD14(配列番号8)及びCmD14(配列番号9)におけるアミノ酸94~101の重複は、ホモ接合体において、野生型タンパク質をコードする野生型アレルに対してホモ接合性である植物よりはるかに多い二次分枝(「完全な多分枝」)を形成させるはずである。同様に、D14タンパク質の機能喪失をもたらす他の突然変異アレルは、「完全な多分枝」をもたらすはずであり、D14タンパク質の機能低下をもたらす突然変異アレルは、「中間の多分枝」をもたらすはずである。
図3は、突然変異スイカClD14タンパク質(配列番号1、
図3中のClD14ins)及び野生型キュウリ及びメロンタンパク質の多重配列アラインメントを示す。
【0029】
一態様では、これらの突然変異アレル並びにホモ接合体又はヘテロ接合体におけるこれらの突然変異アレルを含む植物及び植物部分(果実など)が本明細書に包含される。
【0030】
したがって、ClD14、CsD14又はCmD14遺伝子における任意の突然変異アレル及びこのような突然変異アレル、特に1つ以上のアミノ酸が配列番号2(スイカClD14)、配列番号8(キュウリCsD14)又は配列番号9(メロンCmD14)の野生型タンパク質と比べて、挿入、欠失、重複又は置換される突然変異アレルを含む植物が本明細書に包含される。一態様では、1つ以上のアミノ酸の挿入、欠失、重複又は置換により、コードされたタンパク質は、インビボで機能低下D14タンパク質又は機能喪失D14タンパク質になる。一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、配列番号8又は配列番号9のアミノ酸94~101の少なくとも1、2、3、4、5、6、7つ又は8つ全てのアミノ酸の重複を含むタンパク質をコードする。一態様では、少なくともClD14、CsD14又はCmD14の97位におけるSer(S)が重複される。
【0031】
ClD14、CsD14又はCmD14遺伝子における突然変異アレルを生成するためのさらなる方法が本明細書に包含される。特に、インビボで機能低下又は機能喪失を有し、突然変異アレルがホモ接合体である場合に完全な多分枝(インビボで機能喪失型の場合)又は中間の多分枝(インビボで機能低下型の場合)をもたらすタンパク質をコードする突然変異アレルを生成する方法である。
【0032】
一態様では、配列番号2、配列番号8又は配列番号9のアミノ酸94~101の少なくとも1、2、3、4、5、6、7つ又は8つ全てのアミノ酸の重複を含むタンパク質をコードする突然変異アレルを生成する方法も包含される。一態様では、タンパク質をコードする突然変異アレルを生成する方法であり、少なくとも野生型ClD14、CsD14又はCmD14タンパク質の97位におけるSer(S)が重複される。
【0033】
ClD14、CsD14又はCmD14遺伝子の突然変異アレル及び/又は野生型アレルの存在について植物又は植物部分又は種子をスクリーニング(例えば、ジェノタイピング)及び/又は選択する方法も本明細書で提供される。
【0034】
突然変異ClD14、CsD14又はCmD14アレルは、1つ以上のアミノ酸が野生型ClD14、CsD14又はCmD14タンパク質と比較して挿入、重複、欠失及び/又は置換されているタンパク質をコードするアレルを含み得るか、又は突然変異ClD14、CsD14又はCmD14アレルは、プロモーター又はエンハンサーなど、遺伝子の調節領域における1つ以上の突然変異(1つ以上のヌクレオチドの挿入、重複、欠失及び/又は置換)を含み得、それにより機能低下野生型タンパク質又は機能喪失野生型タンパク質が作出される。
【0035】
一態様では、突然変異アレルは、置換、挿入及び/又は欠失された1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質をコードし、それにより、タンパク質は、インビボで非機能的であり、突然変異アレルに対してホモ接合性である植物は、完全な多分枝を示す。したがって、機能性D14が植物中に存在しないため、完全な多分枝は、二次分枝形成の阻害を完全に欠いている。スイカにおける完全な多分枝は、例えば、野生型植物(100%の二次分枝に設定された)と比べて約240%の二次分枝の平均数として見られる(実施例を参照されたい)。好ましくは、ホモ接合体における突然変異アレルを含む植物及びホモ接合体における野生型アレルを含む植物の表現型は、同じ遺伝的背景において比較され、それによりバックグラウンドゲノムが酷似し、遺伝子型の相違を最小限に抑える。
【0036】
一態様では、突然変異アレルは、野生型D14タンパク質をコードし、突然変異アレルは、例えば、調節領域(プロモーターなど)の突然変異のためにインビボで発現されず、突然変異アレルに対してホモ接合性である植物は、完全な多分枝を示す。
【0037】
突然変異がインビボでD14タンパク質の機能喪失をもたらす、D14のノックアウトアレル又はD14の突然変異アレルは、本明細書の他の箇所で説明されるように、デノボで容易に生成され得る。
【0038】
一態様では、突然変異アレルは、置換、挿入及び/又は欠失された1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質をコードし、それにより、タンパク質は、インビボで機能低下を有し、突然変異アレルに対してホモ接合性である植物は、中間の多分枝を示す。したがって、中間の多分枝は、植物における二次分枝形成の阻害を完全に欠いておらず、突然変異D14タンパク質は、インビボでいくらかの機能性を保持し、二次分枝形成を部分的に阻害する。スイカにおける中間の多分枝は、例えば、野生型植物(機能性D14アレルに対してホモ接合性である)の平均数と、非機能性D14タンパク質又はノックアウトアレルに対してホモ接合性である植物の平均数との間で生じる二次分枝の平均数として見られる。例えば、機能性D14アレルに対してホモ接合性である植物が、100%に設定された二次分枝の平均数を生成し、非機能性D14タンパク質をコードするアレルに対してホモ接合性である(又はノックアウトアレルに対してホモ接合性である)植物が野生型と比べて240%の二次分枝を生成する場合、「中間の多分枝」は、100%(ホモ接合性野生型)と240%(ホモ接合性非機能性)との間の二次分枝の平均数を生成し、それにより野生型植物(100%の二次分枝に設定された)と比べて約少なくとも110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%又は200%の二次分枝の平均数であるが、完全な多分枝未満である(実施例を参照されたい)。突然変異がD14タンパク質のインビボでの機能低下をもたらす、D14遺伝子における突然変異アレルは、本明細書の他の箇所で説明されるように、デノボで容易に生成され得る。
【0039】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2(スイカ)、配列番号8(キュウリ)又は配列番号9(メロン)のアミノ酸22から開始し、アミノ酸259で終了する、IPR000073ドメインにおいて置換、挿入及び/又は欠失された1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質をコードする。
【0040】
一態様では、突然変異アレルは、表2又は
図6に示されるような突然変異D14タンパク質をコードする。
【0041】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2(野生型スイカタンパク質)、又は配列番号8(野生型キュウリタンパク質)、又は配列番号9(野生型メロンタンパク質)のアミノ酸94~101の領域において置換、挿入及び/又は欠失された1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質をコードする。
【0042】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2(野生型スイカタンパク質)、又は配列番号8(野生型キュウリタンパク質)、又は配列番号9(野生型メロンタンパク質)のアミノ酸94~101から選択される重複した1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質をコードする。
【0043】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2(野生型スイカタンパク質ClD14)、又は配列番号8(野生型キュウリタンパク質CsD14)、又は配列番号9(野生型メロンタンパク質CmD14)のアミノ酸94~101から選択される重複した1、2、3、4、5、6、7つ又は8つ全てのアミノ酸を含むタンパク質をコードする。一態様では、突然変異アレルは、少なくとも、配列番号2(野生型スイカタンパク質)、又は配列番号8(野生型キュウリタンパク質)、又は配列番号9(野生型メロンタンパク質)のセリン97(S97)の重複を含むタンパク質をコードする。一態様では、1つ以上の重複したアミノ酸が野生型アミノ酸に隣接する。
【0044】
一態様では、上記の突然変異アレルは、野生型アレル(ClD14、CsD14及びCmD14の野生型タンパク質をコードする)に対してホモ接合性である植物と比較して、突然変異アレルがホモ接合体である場合、スイカ、キュウリ又はメロン植物の増加した二次分枝をもたらす。一態様では、突然変異アレルは、ノックアウトアレルであるか、又は突然変異アレルがホモ接合体である場合に完全な多分枝をもたらす非機能性D14タンパク質をコードする。一態様では、突然変異アレルは、野生型D14タンパク質と比較して低下した機能を有するが、インビボで機能を依然として保持し、突然変異アレルがホモ接合体である場合に中間の多分枝をもたらす突然変異D14タンパク質をもたらす。
【0045】
上記の突然変異アレルは、例えば、CRISPRベースの技術などの標的化された遺伝子編集技術又は放射線に誘発される突然変異誘発若しくは化学的に誘発される突然変異誘発などの突然変異誘発により、デノボで容易に生成され得る。二次分枝数がホモ接合性突然変異体植物においてより多いかどうかを決定するために、突然変異アレルに対してホモ接合性である植物は、植物を自殖させ、次に野生型対照(例えば、非突然変異植物)と比較してホモ接合性植物を成長させることによって生成され得る。
【0046】
別の態様では、突然変異ClD14、CmD14又はCsD14アレルは、野生型ClD14、CsD14又はCmD14タンパク質のC末端の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200又はそれを超えるアミノ酸が欠失しているか、又は異なるアミノ酸で任意選択的に置換された切断タンパク質をコードして、タンパク質が、低下したインビボ機能を有するか又はインビボ機能を有さないようにする。
【0047】
異なる態様では、突然変異ClD14、CmD14又はCsD14アレルは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200又はそれを超えるアミノ酸が野生型ClD14、CsD14又はCmD14タンパク質に挿入されるか、又はそれと重複されるか、又はそれと置換されるか、又はそれから欠失されているタンパク質をコードして、タンパク質が、低下したインビボ機能を有するか又はインビボ機能を有さないようにする。
【0048】
前述されるように、多分枝の程度は、突然変異タンパク質の機能性によって決定され、それにより、非機能性突然変異タンパク質は、最大レベルの多分枝(本明細書では完全な又は強い多分枝と呼ばれる)をもたらす一方、機能低下突然変異タンパク質は、より低い程度の多分枝(本明細書では中間の多分枝と呼ばれる)をもたらす。したがって、D14機能性と多分枝の程度との間に直接的な関係がある。当業者は、様々な突然変異アレル及び突然変異アレルを含むホモ接合性植物を容易に生成し、次にこの植物を栽培し、所望の程度の多分枝をもたらす突然変異アレルを選択することができる。
【0049】
本発明の一態様では、対応する野生型植物細胞と比較して、ClD14タンパク質、CsD14タンパク質又はCmD14タンパク質の低下した活性を有することを特徴とする植物又は植物細胞が提供され、野生型植物細胞のClD14、CsD14又はCmD14タンパク質は、
a)配列番号2(スイカClD14)、配列番号8(キュウリCsD14)又は配列番号9(メロンCmD14)で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸分子;
b)配列が、配列番号2(スイカClD14)、配列番号8(キュウリCsD14)又は配列番号9(メロンCmD14)で示されるアミノ酸配列との少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を有するタンパク質をコードする核酸分子;
c)配列番号4若しくは配列番号6又は配列番号4若しくは配列番号6との少なくとも95%、96%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を含む配列の、ClD14タンパク質をコードする核酸分子;
d)配列番号17若しくは配列番号15又は配列番号17若しくは配列番号15との少なくとも95%、96%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を含む配列の、CsD14タンパク質をコードする核酸分子;
e)配列番号18若しくは配列番号16又は配列番号18若しくは配列番号16との少なくとも95%、96%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を含む配列の、CmD14タンパク質をコードする核酸分子
からなる群から選択される核酸分子によってコードされる。
【0050】
ClD14、CsD14又はCmD14タンパク質の低下した活性は、突然変異ClD14、CsD14又はCmD14アレルによって引き起こされる。
【0051】
低下した活性は、突然変異アレルの発現のノックダウン若しくはノックアウト(例えば、プロモーター若しくは他の調節配列における突然変異によって)又は機能喪失若しくは機能低下ClD14、CsD14若しくはCmD14タンパク質をコードする突然変異アレルによって引き起こされ得る。機能喪失タンパク質をコードする突然変異アレル又はノックアウトアレルは、ホモ接合体において強い多分枝表現型を有する植物をもたらす一方、機能低下タンパク質をコードする突然変異アレル又はノックダウンアレルは、ホモ接合体において、野生型アレルに対してホモ接合性である植物と、機能喪失(又はノックアウト)アレルに対してホモ接合性である植物との間の中間の多分枝表現型をもたらすであろう。
【0052】
一態様では、突然変異ClD14、CsD14又はCmD14アレルは、野生型タンパク質と比較して機能低下又は機能喪失を有する突然変異ClD14、CsD14又はCmD14タンパク質をコードし、例えば、突然変異タンパク質は、野生型タンパク質と比較して置換、欠失及び/若しくは挿入又は重複された1つ以上のアミノ酸を含む。一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8又は9の野生型タンパク質と比べて置換、欠失又は挿入された1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質をコードし、それにより、突然変異タンパク質は、機能喪失を有し、強い多分枝(ホモ接合体である場合)をもたらすか、又は機能低下を有し、中間の多分枝(ホモ接合体である場合)をもたらすかのいずれかである。
【0053】
本明細書でスイカにおいて生成されるW155*突然変異体など、切断D14タンパク質をもたらす突然変異アレルは、一般に、機能喪失をもたらすであろう。Q255*はまた、高度に保存されたIPR000073ドメインの5アミノ酸を含む、タンパク質の最後の13アミノ酸が欠失しているため、機能喪失又は機能低下をもたらし得る。
【0054】
切断タンパク質或いは別のアミノ酸で置換されるか又は欠失若しくは挿入された1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質をコードするアレルが容易に生成され、アレルがホモ接合体である場合、多分枝に対する影響を調べるためにインビボで試験され得る。表2及び以下の表Aに記載される突然変異体もスイカ、メロン若しくはキュウリにおいて容易に生成され得るか、又は他の突然変異体は、ランダム変異誘発、続いて例えばTILLING、標的化突然変異誘発方法などの公知の方法を用いて生成され得る。
【0055】
SIFT又はPROVEAN解析などのソフトウェアプログラムも、タンパク質機能に対するアミノ酸挿入、欠失又は置換の影響の予測を行うために使用され得るが、これは、単なる予測であり、依然としてインビボで確認される必要がある。例えば、P245Lは、SIFT解析によって「許容されない」と予測され、Provean解析によって「有害」と予測され、これは、タンパク質の機能が喪失又は低下されることが予測されることを意味する。SIFT解析を用いて「許容される」又はProvean解析を用いて「中性」であると予測される変化について、機能は、変化しないと予測される。しかしながら、記載されるように、予測は、真実である必要はなく(それは、統計モデルに基づく)、インビボ分析が必要とされる。さらに、タンパク質機能に対する影響を与えることが予測される突然変異アレルについてのさらなる分析に焦点を合わせるためのツールが有用であり得る。
【0056】
【0057】
したがって、本明細書における一態様は、ClD14(キトルルス・ラナトゥス(Citrullus lanatus)Dwarf14)と命名された遺伝子の突然変異アレルを含むスイカ植物であって、突然変異アレルは、対応する野生型アレルと比較して低下した遺伝子発現をもたらすか又は遺伝子発現をもたらさない、1つ以上の調節配列における突然変異を含むか、又は突然変異アレルは、野生型アレルによってコードされるタンパク質と比較して1つ以上のアミノ酸の欠失、切断、挿入又は置換を含むタンパク質をコードし、ClD14タンパク質の機能低下又は機能喪失をもたらし、突然変異アレルは、突然変異アレルがホモ接合体である場合、増加した平均数の二次分枝を発生させる前記植物をもたらし、突然変異アレルは、配列番号1のタンパク質をコードする突然変異アレルではなく、野生型アレルのClD14タンパク質は、
a)配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸分子;
b)配列番号6で示されるヌクレオチド配列又はその相補配列を含む核酸分子
からなる群から選択される核酸分子によってコードされる、スイカ植物である。
【0058】
本明細書における別の態様は、CsD14(ククミス・サティブス(Cucumis sativus)Dwarf14)と命名された遺伝子の突然変異アレルを含むキュウリ植物であって、突然変異アレルは、対応する野生型アレルと比較して低下した遺伝子発現をもたらすか又は遺伝子発現をもたらさない、1つ以上の調節配列における突然変異を含むか、又は突然変異アレルは、野生型アレルによってコードされるタンパク質と比較して1つ以上のアミノ酸の欠失、切断、挿入又は置換を含むタンパク質をコードし、CsD14タンパク質の機能低下又は機能喪失をもたらし、突然変異アレルは、突然変異アレルがホモ接合体である場合、増加した平均数の二次分枝を発生させる前記植物をもたらし、野生型アレルのCsD14タンパク質は、
a)配列番号8で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸分子;
b)配列番号15で示されるヌクレオチド配列又はその相補配列を含む核酸分子
からなる群から選択される核酸分子によってコードされる、キュウリ植物である。
【0059】
本明細書におけるさらに別の態様は、CmD14(ククミス・メロ(Cucumis melo)Dwarf14)と命名された遺伝子の突然変異アレルを含むメロン植物であって、突然変異アレルは、対応する野生型アレルと比較して低下した遺伝子発現をもたらすか又は遺伝子発現をもたらさない、1つ以上の調節配列における突然変異を含むか、又は突然変異アレルは、野生型アレルによってコードされるタンパク質と比較して1つ以上のアミノ酸の欠失、切断、挿入又は置換を含むタンパク質をコードし、CmD14タンパク質の機能低下又は機能喪失をもたらし、突然変異アレルは、突然変異アレルがホモ接合体である場合、増加した平均数の二次分枝を発生させる前記植物をもたらし、野生型アレルのCmD14タンパク質は、
a)配列番号9で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸分子;
b)配列番号16で示されるヌクレオチド配列又はその相補配列を含む核酸分子
からなる群から選択される核酸分子によってコードされる、メロン植物である。
【0060】
特に、スイカ植物、キュウリ植物又はメロン植物は、1つ以上のアミノ酸が挿入、置換又は欠失されているタンパク質をコードする突然変異アレルを含み、前記突然変異タンパク質は、タンパク質の機能喪失ではなく、機能低下を含み、それにより、二次分枝の平均数は、野生型D14アレルに対してホモ接合性である植物より多いが、非機能性タンパク質をコードする突然変異D14アレルに対してホモ接合性である植物ほど多くない。
【0061】
一態様では、スイカ植物、キュウリ植物又はメロン植物は、1つ以上のアミノ酸が挿入、置換又は欠失されているタンパク質をコードする突然変異アレルも含み、前記突然変異タンパク質は、タンパク質の機能喪失を含む。
【0062】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8又は9のV14が様々なアミノ酸、特にI又は終止コドンで置換されているタンパク質をコードする。
【0063】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8又は9のP44が様々なアミノ酸、特にS又は終止コドンで置換されているタンパク質をコードする。
【0064】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8又は9のL72が様々なアミノ酸、特にF又は終止コドンで置換されているタンパク質をコードする。
【0065】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8又は9のH89が様々なアミノ酸、特にY又は終止コドンで置換されているタンパク質をコードする。
【0066】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8又は9のG121が様々なアミノ酸、特にS又は終止コドンで置換されているタンパク質をコードする。
【0067】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2又は9のS139が様々なアミノ酸、特にN又は終止コドンで置換されているタンパク質をコードする。
【0068】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8又は9のW155が様々なアミノ酸又は終止コドンで置換されているタンパク質をコードする。
【0069】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8又は9のG235が様々なアミノ酸、特にV又は終止コドンで置換されているタンパク質をコードする。
【0070】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8又は9のP254が様々なアミノ酸、特にL又は終止コドンで置換されているタンパク質をコードする。
【0071】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8又は9のQ255が様々なアミノ酸又は終止コドンで置換されているタンパク質をコードする。
【0072】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8又は9のアミノ酸94~アミノ酸101から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7つ又は8つ全てのアミノ酸の重複を含むタンパク質をコードする。一態様では、少なくともS97が重複される。一態様では、アミノ酸94~101が重複される。
【0073】
別の態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8又は9のアミノ酸94~アミノ酸101から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7つ又は8つ全てのアミノ酸の欠失又は置換を含むタンパク質をコードする。一態様では、少なくともS97が欠失されるか又は別のアミノ酸で置換される。一態様では、アミノ酸94~101が欠失されるか又は他のアミノ酸で置換される。
【0074】
したがって、一態様では、突然変異アレルは、それぞれ配列番号2、8又は9のClD14、CsD14、CmD14タンパク質をコードし、少なくともS97が重複されるか、又は以下のアミノ酸の少なくとも1、2、3、4、5、6、7つ又は8つ全ての連続したアミノ酸、V94(バリン94)、G95(グリシン95)、H96(ヒスチジン96)、S97(セリン97)、V98(バリン98)、S99(セリン99)、A100(アラニン100)、M101(メチオニン101)が重複される。一態様では、少なくとも1、2、3、4又はそれを超える連続したアミノ酸がS97を含む。
【0075】
一態様では、少なくとも1、2、3、4又はそれを超えるアミノ酸の重複は、元のアミノ酸に隣接して位置し、すなわち重複したアミノ酸間に他のアミノ酸の間隔を有さない。
【0076】
別の態様では、突然変異アレルは、それぞれ配列番号2、8又は9のClD14、CsD14、CmD14タンパク質をコードし、少なくとも1つのアミノ酸、例えば配列番号2、8若しくは9のアミノ酸94~101から選択される少なくとも1つのアミノ酸又は配列番号2、8若しくは9のIPR000073ドメインにおける少なくとも1つのアミノ酸或いはヘリカルリッドドメインの少なくとも1つのアミノ酸が別のアミノ酸又は終止コドンで置換されて、アレルがホモ接合体である場合(野生型アレルが二倍体植物又は植物細胞中に存在しない場合)、機能喪失又は機能低下タンパク質及び表現型変化(増加した二次分枝)をもたらす。IPR000073ドメインは、配列番号2、8及び9のアミノ酸22から開始し、配列番号2、8及び9のアミノ酸259で終了する。ヘリカルリッドドメインは、配列番号2、8及び9のアミノ酸136から開始し、配列番号2、8及び9のアミノ酸193で終了する。開始又は終了に言及するとき、言及されるアミノ酸又はヌクレオチドが含まれる。
【0077】
さらに別の態様では、突然変異アレルは、それぞれ配列番号2、8又は9のClD14、CsD14、CmD14タンパク質をコードし、触媒三残基の少なくとも1つのアミノ酸又は1、2、3、4、5、6、7若しくは8位だけ触媒三残基のアミノ酸の前若しくは後が別のアミノ酸又は終止コドンで置換されて、アレルがホモ接合体である場合(野生型アレルが二倍体植物又は植物細胞中に存在しない場合)、機能喪失又は機能低下タンパク質及び表現型変化(増加した二次分枝)をもたらす。触媒三残基のアミノ酸は、配列番号2、8又は9のS97、D218及びH247である。
【0078】
別の態様では、1つ以上のアミノ酸は、例えば、未成熟終止コドンを生じる突然変異によって欠失し、アレルがホモ接合体である場合(野生型アレルが二倍体植物又は植物細胞中に存在しない場合)、機能喪失又は機能低下タンパク質及び表現型変化(増加した二次分枝)をもたらす。特に、一態様では、配列番号2、8又は9のアミノ酸94~101から選択される1つ以上のアミノ酸は、例えば、前記アミノ酸をコードするコドンの前の配列中に存在する未成熟終止コドン突然変異によって欠失している。代わりに、IPR000073ドメインの1つ以上のアミノ酸が欠失するか、又はヘリカルリッドドメインの1つ以上のアミノ酸が欠失するか、又は触媒三残基の1つ以上のアミノ酸及び/又は1、2、3、4、5、6、7若しくは8位だけ触媒三残基のアミノ酸の前若しくは後が、例えば、前記アミノ酸をコードするコドンの前の配列中に存在する未成熟終止コドン突然変異によって欠失している。
【0079】
突然変異アレルが、インビボ表現型を野生型表現型、すなわち野生型アレルがホモ接合体において存在する場合の通常の二次分枝から、突然変異アレルが二倍体植物においてホモ接合体である場合の増加した二次分枝に変化させる場合、タンパク質の機能低下又は機能喪失が存在する。したがって、「増加した二次分枝」又は「増加した平均数の二次分枝」という用語は、機能喪失D14タンパク質又はD14アレルの発現のノックアウトによって生じる「完全な多分枝」表現型及び機能低下D14タンパク質又は野生型機能性D14アレルと比較したD14アレルの低下した発現によって生じる「中間の多分枝」表現型の両方を包含する。二次分枝の絶対平均数は、遺伝子型間でいくらか異なり得るが、相対的影響は、様々な遺伝子型において同じであるはずである。したがって、特定の遺伝的背景又は遺伝子型において、野生型は、二次分枝の特定の平均数を有し、機能喪失タンパク質又はノックアウトアレルは、二次分枝の最大又は「完全な」平均数を有し、機能低下又はノックダウンアレルは、これらの2つの極値の中間である。例えば、野生型における二次分枝の平均数が100%に設定され、機能喪失が野生型と比べて240%である場合、100%超及び240%未満の平均二次分枝は、「中間の多分枝」表現型である。一態様では、「増加した平均二次分枝」は、野生型(100%である)と比べて少なくとも110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%である。一態様では、「増加した平均二次分枝」は、「完全な多分枝」未満であり、それは、例えば、「完全な多分枝」(100%である)の95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下である。
【0080】
一態様では、増加した二次分枝は、平均で約20本の二次分枝を生成する、配列番号2のタンパク質をコードする野生型アレルに対してホモ接合性であるスイカ植物と比較して、配列番号1のタンパク質をコードするアレル(配列番号2のアミノ酸94~101の重複を含む)に対してホモ接合性であるスイカ植物において見られるように、45以上の二次分枝の平均数である。実施例も参照されたい。
【0081】
スイカ及び他のウリ科植物において、主茎が成長し、一次側枝を形成する。一次側枝上において、植物は、二次側枝を形成する。これらの二次分枝は、例えば、主茎上の末端/クラウンから90cmの位置から開始して、末端/クラウンまで計数される。したがって、二次分枝は、一態様では、植物のクラウンの90cmの距離から開始して植物の末端/クラウンまでの二次分枝の数を計数することによって測定される。これは、ある系統のいくつか(少なくとも4、5、6、7、8、9、10)の植物について行われ、次に二次分枝の平均数が各系統について計算される。しかしながら、二次分枝は、クラウンからのより短い距離、例えば40cmから開始する二次分枝の数を計数することによって測定することもできる。
【0082】
概要
スイカにおいてClD14、キュウリにおいてCsD14又はメロンにおいてCmD14と命名された遺伝子の突然変異アレルの少なくとも1つのコピーを含む栽培スイカ、キュウリ又はメロン植物又は植物部分が提供され、前記突然変異アレルは、突然変異アレルが二倍体植物においてホモ接合体である場合、増加した平均数の二次分枝を付与する。
【0083】
一態様では、スイカClD14遺伝子は、スイカゲノムの8番染色体上に位置し、特に、この遺伝子は、チャールストングレイ染色体(cucurbitgenomics.org)の8番染色体の塩基28794281から開始し、塩基28795173で終了する領域に位置する。プロモーター配列は、ゲノムコード配列の上流、例えば塩基28794281から上流の1000又は2000塩基以内に位置する。
【0084】
一態様では、突然変異ClD14、CsD14又はCmD14アレルは、ホモ接合体である場合、コードされた突然変異タンパク質が非機能的であるため又は突然変異アレルが発現されず、すなわちノックアウトアレルであるため、二次分枝の最も多い平均数が形成される完全な多分枝を付与する。
【0085】
別の態様では、突然変異ClD14、CsD14又はCmD14アレルは、ホモ接合体である場合、野生型植物と比較して増加した平均数の二次分枝が形成される中間の多分枝を付与するが、枝の最も多い平均数は、完全な多分枝植物において形成可能ではない。中間の多分枝は、コードされた突然変異タンパク質が、野生型タンパク質と比較して低下した機能を有することに起因するか、又は突然変異アレルが野生型アレルより低いレベルで発現され、すなわちノックダウンアレルであることに起因する。
【0086】
一実施形態において、ClD14遺伝子の突然変異アレルを含む植物又は植物部分又は種子は、スイカ植物又は植物部分又は種子であり、二倍体、四倍体、三倍体又は倍数体である。好ましくは、突然変異アレルは、二倍体植物又は植物部分又は種子において1又は2コピーで存在する。任意選択的に、それは、四倍体植物又は植物部分又は種子において2若しくは4コピーで、又は三倍体植物又は植物部分又は種子において1、2若しくは3コピーで存在し得る。
【0087】
植物、植物部分又は種子は、ClD14と命名された遺伝子の突然変異アレルの少なくとも1つのコピーを含むスイカであり得、それにより、野生型遺伝子は、配列番号2の野生型タンパク質(又は配列番号2との少なくとも95%、96%、97%又は98%の配列同一性を含む野生型タンパク質)をコードするか、又はCsD14と命名された遺伝子の突然変異アレルの少なくとも1つのコピーを含むキュウリであり得、それにより、野生型遺伝子は、配列番号8の野生型タンパク質(又は配列番号8との少なくとも95%、96%、97%又は98%の配列同一性を含む野生型タンパク質)をコードするか、又はCmD14と命名された遺伝子の突然変異アレルの少なくとも1つのコピーを含むメロンであり得、それにより、野生型遺伝子は、配列番号9の野生型タンパク質(又は配列番号9との少なくとも95%、96%、97%又は98%の配列同一性を含む野生型タンパク質)をコードする。
【0088】
ClD14、CsD14又はCmD14遺伝子の突然変異アレルを含む植物部分は、細胞、花、葉、茎、挿木、花粉、根、台木、接穂、果実、プロトプラスト、胚、葯であり得る。
【0089】
ClD14、CsD14又はCmD14遺伝子の少なくとも1つの突然変異アレルを含むこのような植物部分から繁殖させる、栄養繁殖させたスイカ、キュウリ又はメロン植物も包含される。
【0090】
同様に、種子であって、本発明の植物がそれから成長され得る、種子が提供される。
【0091】
さらに、本発明に係る植物によって産生される雄花又は雌花、子房、葯及び花粉又は小胞子が提供される。
【0092】
スイカ、キュウリ又はメロン果実を産生する方法であって、ClD14、CsD14又はCmD14遺伝子の突然変異アレルの1又は2つのコピーを含む二倍体植物を成長させることを含む方法が提供される。突然変異アレルは、本明細書の他の箇所に記載され、ホモ接合体において、通常の二次分枝(野生型D14アレルに対してホモ接合性である)と比較して増加した二次分枝(突然変異アレルに対してホモ接合性である)を付与するD14アレルである。
【0093】
種なしスイカ果実を産生する方法であって、ClD14遺伝子の突然変異アレルの2コピーを含む、三倍体植物及び二倍体授粉種植物を成長させることと、三倍体植物の花の授粉を可能にすることと、任意選択的に種なし三倍体果実を収穫することとを含む方法が提供される。
【0094】
種なしスイカ果実を産生する方法であって、ClD14遺伝子の突然変異アレルの1、2又は3コピーを含む三倍体植物及び二倍体授粉種植物を成長させることと、三倍体植物の花の授粉を可能にすることと、任意選択的に種なし三倍体果実を収穫することとを含む方法が提供される。
【0095】
スイカ果実を産生するさらなる方法であって、ClD14遺伝子の突然変異アレルの1又は2つのコピーを含む二倍体植物を成長させることと、花の授粉を可能にすることと、任意選択的に種あり二倍体果実を収穫することとを含む方法が提供される。
【0096】
スイカ、キュウリ又はメロン植物を成長させる方法であって、特に圃場、又は温室、又はトンネル内において、ClD14、CsD14又はCmD14遺伝子の突然変異アレルの1又は2つのコピーを含む二倍体スイカ、キュウリ又はメロン植物を成長させることを含む方法が提供される。
【0097】
(野生型D14遺伝子に対してホモ接合性である植物と比較して)二次分枝の増加した(平均)数を生成する栽培スイカ、キュウリ又はメロン植物の産生の方法であって、
a)ランダム又は標的化突然変異を1つ以上のスイカ、キュウリ若しくはメロン植物、植物部分若しくは種子中に導入するか;又は突然変異植物若しくは種子の集団(例えば、TILLING集団)を提供する工程、
b)ClD14、CsD14又はCmD14遺伝子の突然変異アレル、例えば、有意に低下した野生型ClD14、CsD14又はCmD14タンパク質(例えば、ノックダウン若しくはノックアウトアレル)を生成するか又はそれらを全く生成しない突然変異アレル又は野生型タンパク質と比較して欠失、置換、挿入又は重複された1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質をコードする突然変異アレルを含む植物を選択する工程、
c)任意選択的に、植物から任意のトランスジェニック構築物(例えば、CRISPR構築物)を除去する工程、及び/又は
d)任意選択的に、突然変異アレルに対してホモ接合性である植物を生成し、野生型アレルに対してホモ接合性である植物と比較して、植物によって生成される二次分枝の平均数を分析する工程
を含む方法が提供される。
【0098】
スイカ、キュウリ又はメロン植物、種子又は植物部分を選択又は同定する方法であって、
a)植物又は植物部分のゲノムDNAが突然変異アレルを含むかどうか及び/又はそれらのゲノム中にClD14、CsD14若しくはCmD14遺伝子の野生型アレルを含むかどうか分析する工程と、任意選択的に、
b)ゲノム中にClD14、CsD14又はCmD14遺伝子の突然変異アレルの1又は2つのコピーを含む植物又は植物部分を選択する工程と
を含み、ClD14遺伝子の野生型アレルは、配列番号2のタンパク質をコードし、Cs14遺伝子の野生型アレルは、配列番号8のタンパク質をコードし、CmD14遺伝子の野生型アレルは、配列番号9のタンパク質をコードする、方法が提供される。
【0099】
工程a)は、様々な方法において、例えばPCRベースの方法、シーケンシングベースの方法、核酸ハイブリダイゼーションベースの方法、遺伝子発現レベルなどを用いて行われ得る。一態様では、例えば、KASPアッセイが使用され得る(例えば、実施例を参照されたい)。
【0100】
スイカ、キュウリ又はメロン植物、種子又は植物部分のゲノムDNAをスクリーニング(例えば、ジェノタイピング)する方法であって、
a)スイカ、メロン又はキュウリ植物又は複数の植物(例えば、F2集団、近交系系統、戻し交配集団、育種集団、交配植物など)のゲノムDNAのサンプル(若しくは複数のサンプル)を提供する工程と、
b)PCRプライマーの対又はオリゴヌクレオチドプローブを提供する工程であって、プライマー又は(オリゴヌクレオチド)プローブは、ClD14、CsD14又はCmD14遺伝子のゲノムD14アレルの少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22又はそれを超えの連続したヌクレオチドを含み、PCRアッセイでゲノムアレルにハイブリダイズし、且つ/又はゲノムアレルの一部を増幅することができる、工程と、
c)工程a)のサンプルに対して工程b)のプライマー対を使用したPCRアッセイ又はプローブを使用したハイブリダイゼーションアッセイを行う工程と、任意選択的に、
d)ゲノム中にClD14、CsD14又はCmD14遺伝子のアレル(例えば、野生型アレル及び/又は突然変異アレル)の1又は2コピーを含む植物又は植物部分又は種子を選択する工程と
を含み、ClD14遺伝子の野生型アレルは、配列番号2のタンパク質をコードし、Cs14遺伝子の野生型アレルは、配列番号8のタンパク質をコードし、CmD14遺伝子の野生型アレルは、配列番号9のタンパク質をコードする、方法が提供される。
【0101】
工程b)において、PCRプライマー対は、D14アレルのDNA鎖に相補的な少なくとも1つのフォワードプライマー及びD14アレルの他方のDNA鎖に相補的な1つのリバースプライマーであり、このプライマー対は、PCR反応において変性したゲノムDNAにハイブリダイズし、D14アレルの一部を増幅する。プライマーは、プライマー設計ツールを用いて、野生型又は任意の突然変異D14アレルを増幅するように設計され得る。一態様では、一方がD14遺伝子の野生型アレルを増幅するように設計され、一方がD14遺伝子の突然変異アレルを増幅するように設計された2つのフォワードプライマー及び1つの共通のリバースプライマーが使用される。これらの3つのプライマーは、工程a)のサンプルをジェノタイピングするためにKASPアッセイで使用され得る。したがって、一態様では、工程c)におけるアッセイは、KASPアッセイであるが、ワールドワイドウェブのbiosearchtech.com/sectors/agrigenomics/agrigenomics-pcr-qpcr-technologiesに記載されるものなどの他のジェノタイピングアッセイも使用され得る。
【0102】
一態様では、アッセイは、D14遺伝子の野生型と突然変異アレルとを区別し、例えば配列番号6の野生型ClD14アレルと、配列番号5の突然変異ClD14insアレル又は別の突然変異アレルとを区別する。他の突然変異アレルの例は、表A及び表2に示されるが、任意の他の突然変異アレル、例えば対照植物、例えばホモ接合体において野生型アレルを含む植物を比較して、ホモ接合体において、発生する二次分枝の平均数を有意に増加させる任意の突然変異アレルも包含される。一態様では、突然変異アレルは、ノックアウトアレル又は強い多分枝をもたらす機能喪失タンパク質をコードする突然変異アレルであり、別の態様では、突然変異アレルは、ノックダウンアレル又は中間の多分枝をもたらす機能低下タンパク質をコードする突然変異アレルである。したがって、D14遺伝子の任意の野生型及び/又は突然変異アレルがアッセイで検出され得る。
【0103】
ゲノムDNAを分析するために、少なくとも粗ゲノムDNA抽出が必要であり得る。ゲノムDNAにおける突然変異アレル又は野生型アレルの存在は、直接又は間接的に検出され得る。直接とは、例えば、例えばオリゴヌクレオチドプローブの核酸ハイブリダイゼーションによるものであり得る。間接的とは、例えば、例えばプライマーに結合されたテール配列を含む例えばPCRプライマーを使用した核酸増幅によるものであり得、PCR中、アレル特異的プライマーは、鋳型DNAに結合してそれを伸長させ、それによりテール配列を新たに合成された鎖に結合し、その後のPCRラウンドにおいてFRETカセット(蛍光共鳴エネルギー移動カセット)がテールに結合し、蛍光を発する。次に、蛍光シグナルが検出され得る。これは、例えば、KASPアッセイで使用される。
【0104】
突然変異アレルは、様々な点で野生型アレルと異なり得、例えばプロモーター配列若しくはタンパク質コード配列又はイントロン/エクソンスプライス部位が異なり得る。突然変異アレルは、低下した遺伝子発現を有するか又は遺伝子発現を有さなくてもよいか、又はそれは、野生型タンパク質と比較して欠失、置換又は挿入又は重複された1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質の産生をもたらし得る。
【0105】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8又は9の機能性タンパク質と比べて置換、挿入又は欠失された1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質をコードするアレルであり、それにより、突然変異タンパク質は、インビボで低下した機能を有するか又は機能を有さない。
【0106】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8又は9の機能性タンパク質と比べて、保存されたIPR00073ドメインのアミノ酸のいずれか1つ以上及び/又はヘリカルリッドドメインのいずれか1つ以上のアミノ酸及び/又は触媒三残基アミノ酸のいずれか1つ以上及び/又は触媒三残基アミノ酸の前又は後の8つのアミノ酸のいずれか1つ以上から選択される、置換、挿入又は欠失された1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質をコードするアレルであり、それにより、突然変異タンパク質は、インビボで低下した機能を有するか又は機能を有さない。したがって、本明細書に記載される突然変異アレルの1つ以上を含む植物及び植物部分が本明細書に包含されるだけでなく、本明細書に記載される突然変異アレルの少なくとも1つを含む植物又は植物部分の検出を可能にするアッセイも包含される。したがって、それに由来する任意のスイカ、キュウリ又はメロン植物、種子又は植物部分又はDNAは、野生型D14アレルの存在又は本明細書に記載される突然変異D14アレルのいずれかの少なくとも1つの存在について分析され得る。任意の突然変異アレルについて、特異的突然変異アレルのためにプライマー又はプローブを作出する方法が周知であるため、アッセイが容易に開発され得る。例えばW155*アレルについて、アッセイは、スイカ植物に由来するゲノムDNA中のアレルの存在を検出するように容易に設計され得る。
【0107】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8又は9のアミノ酸94~101の1、2、3、4、5、6、7又は8つのアミノ酸の重複を含むタンパク質をコードするアレルである。一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8又は9の少なくともSer 97の重複を含む。一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8又は9のアミノ酸94~101の全てのアミノ酸の重複を含む。
【0108】
一態様では、植物又は植物部分は、スイカであり、突然変異アレルは、配列番号1(D14ins)のタンパク質をコードする。本明細書に記載される8つのアミノ酸重複をコードするこの突然変異アレルは、本明細書に記載されるように検出され得る。
【0109】
別の態様では、植物又は植物部分は、スイカであり、突然変異アレルは、機能低下又は機能喪失をもたらす挿入、置換又は欠失された1つ以上のアミノ酸を含む突然変異タンパク質をコードするが、これは、配列番号1(D14ins)のタンパク質ではなく、すなわち、それは、Sidekick品種に存在するアレルでない。したがって、植物は、そのゲノム中に配列番号5の配列を含まない。一態様では、植物は、そのゲノム中に配列番号5の配列の1コピーのみを含む。
【0110】
ゲノム中にスイカClD14遺伝子、又はキュウリCsD14遺伝子、又はメロンCmD14遺伝子の少なくとも1つの突然変異アレルを含む植物又は植物部分を生成及び/又は選択する方法も提供される。
【0111】
一態様では、ゲノム中におけるスイカClD14遺伝子、又はキュウリCsD14遺伝子、又はメロンCmD14遺伝子の野生型アレル及び/又は突然変異アレルの存在を検出する方法も提供される。
【0112】
一態様では、スイカ植物又は植物部分又は種子が、配列番号2のタンパク質をコードする野生型アレルの少なくとも1つのコピーを含むかどうか及び/又は例えば配列番号1のタンパク質若しくは配列番号2のタンパク質(他の箇所に記載されるような)と比べて置換、挿入若しくは欠失された1つ以上のアミノ酸を含む任意のタンパク質をコードする突然変異アレルの少なくとも1つのコピーを含むかどうかを検出する方法と、任意選択的に、例えば配列番号1のタンパク質又は配列番号2のタンパク質(他の箇所に記載されるような)と比べて置換、挿入又は欠失された1つ以上のアミノ酸を含む任意のタンパク質をコードする突然変異アレルの少なくとも1つのコピーを含む植物、植物部分又は種子を選択する方法とが提供される。
【0113】
別の態様では、スイカ植物若しくは植物部分又は種子配列番号6を含む野生型アレルの少なくとも1つのコピーを含むかどうか及び/或いは配列番号6に対して挿入、置換又は欠失された1つ以上のヌクレオチドを含む突然変異アレルの少なくとも1つのコピーを含むかどうかを検出する方法であり、それにより、コードされたタンパク質は、インビボで機能低下又は機能喪失を有する。
【0114】
一態様では、ClD14(キトルルス・ラナトゥス(Citrullus lanatus)Dwarf14)と命名された遺伝子の突然変異アレルの少なくとも1つのコピーを含むスイカ植物、種子又は植物部分を検出及び任意選択的に選択する方法であって、
a)1つ以上のスイカ植物、種子又は植物部分の1つ以上のゲノムDNAサンプルを提供する工程と、
b)野生型ClD14アレルと突然変異ClD14アレルとを区別する、鋳型としてa)のDNAサンプルを使用するジェノタイピングアッセイを実施する工程であって、前記ジェノタイピングアッセイは、ClD14アレル特異的オリゴヌクレオチドプライマーを利用する核酸増幅に基づき、及び/又は前記ジェノタイピングアッセイは、ClD14アレル特異的オリゴヌクレオチドプローブを利用する核酸ハイブリダイゼーションに基づく、工程と、任意選択的に、
c)突然変異アレルの1又は2つのコピーを含む植物、種子又は植物部分を選択する工程と
を含み、突然変異ClD14アレルは、配列番号6の配列に対して挿入、重複、欠失又は置換された1つ以上のヌクレオチドを含み、配列番号2の配列に対して挿入、重複、欠失又は置換された1つ以上のアミノ酸を含む突然変異ClD14タンパク質をもたらす、方法が提供される。
【0115】
この方法において、一態様では、前記ClD14アレル特異的オリゴヌクレオチドプライマー又は前記ClD14アレル特異的オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号6又は配列番号6の相補鎖の少なくとも10ヌクレオチドを含むプライマー又はプローブである。
【0116】
この方法において、一態様では、突然変異アレルは、アレルのコード領域に挿入若しくは重複された少なくとも1つのコドン、又は別のコドンに変化された少なくとも1つのコドン、又は欠失されるか若しくは終止コドンに変化された少なくとも1つのコドンを含む。例えば、突然変異アレルは、本明細書における表A又は表2に記載されるような突然変異アレルである。突然変異アレルは、機能喪失又は機能低下を有する突然変異D14タンパク質をコードして、突然変異アレルがホモ接合体である場合、それぞれ強い多分枝又は中間の多分枝をもたらすアレルであり得る。
【0117】
2つのアレル特異的フォワードプライマー、例えば配列番号10のFAMプライマー及び配列番号11のVICプライマー並びに例えば配列番号12の共通のリバースプライマーを含むKASPアッセイ(Kbioscience Kompetitive Allele特異的PCR-ジェノタイピングアッセイ)も提供される。実施例も参照されたい。明らかに、他のアレル特異的プライマーは、野生型アレル(配列番号2のタンパク質をコードする)と、24ヌクレオチドの重複を含み(8つのアミノ酸をコードする)、配列番号1のタンパク質をコードする突然変異アレル又は例えば野生型タンパク質と比べて置換、重複、欠失又は挿入された1つ以上のアミノ酸を含む任意の他の突然変異アレルとを検出及び/又は区別するために開発され得る。例えば、W155のコドンが終止コドンに変化された突然変異アレルを検出するためのKASPアッセイ又は表2の突然変異アレルのいずれか及びインビボで機能喪失又は機能低下D14タンパク質をもたらす任意の他の突然変異アレルのためのKASPアッセイが提供される。
【0118】
同様に、(野生型又は突然変異)ゲノム配列、cDNA又はmRNA配列、タンパク質配列の単離された配列又は分枝並びにスイカClD14遺伝子、又はキュウリCsD14遺伝子、又はメロンCmD14遺伝子の野生型又は突然変異アレルを検出するためのオリゴヌクレオチドプライマー又はプローブが本明細書に包含される。
【0119】
スイカ、キュウリ又はメロン植物、種子又は植物部分のゲノムDNA(の一部)のPCR増幅産物及び/又はオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション産物を生成する方法であって、
a)スイカ、メロン又はキュウリ植物又は複数の植物(例えば、F2集団、近交系系統、戻し交配集団、育種集団、交配植物など)のゲノムDNAのサンプル(若しくは複数のサンプル)を提供する工程、
b)少なくともPCRプライマーの対又は少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブを提供する工程であって、プライマー又は(オリゴヌクレオチド)プローブは、ClD14、CsD14又はCmD14遺伝子のゲノムD14アレルの少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22又はそれを超える連続したヌクレオチドを含み、PCRアッセイでゲノムアレルにハイブリダイズし、且つ/又はゲノムアレルの一部を増幅することができる、工程と、
c)工程a)のサンプルに対して工程b)のプライマー対を使用したPCRアッセイ又はプローブを使用したハイブリダイゼーションアッセイを行って、PCR増幅産物及び/又はオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション産物を生成する工程と、任意選択的に、
d)ゲノム中にClD14、CsD14又はCmD14遺伝子のアレル(例えば、野生型アレル及び/又は突然変異アレル)の1又は2コピーを含む植物又は植物部分又は種子を選択する工程と
を含み、ClD14遺伝子の野生型アレルは、配列番号2のタンパク質をコードし(又は配列番号6のゲノムDNAを含む)、Cs14遺伝子の野生型アレルは、配列番号8のタンパク質をコードし(又は配列番号15のゲノムDNAを含む)、CmD14遺伝子の野生型アレルは、配列番号9のタンパク質をコードする(又は配列番号16のゲノムDNAを含む)、方法も提供される。
【0120】
さらに、スイカ、キュウリ又はメロン植物、種子又は植物部分のゲノムDNA(の一部)を増幅及び/又はハイブリダイズする方法であって、
a)スイカ、メロン又はキュウリ植物又は複数の植物(例えば、F2集団、近交系系統、戻し交配集団、育種集団、交配植物など)のゲノムDNAのサンプル(若しくは複数のサンプル)を提供する工程、
b)少なくともPCRプライマーの対又は少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブを提供する工程であって、プライマー又は(オリゴヌクレオチド)プローブは、ClD14、CsD14又はCmD14遺伝子のゲノムD14アレルの少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22又はそれを超える連続したヌクレオチドを含み、PCRアッセイでゲノムアレルにハイブリダイズし、且つ/又はゲノムアレルの一部を増幅することができる、工程と、
c)工程a)のサンプルに対して工程b)のプライマー対を使用したPCRアッセイ又はプローブを使用したハイブリダイゼーションアッセイを行って、PCR増幅産物及び/又はオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション産物を生成する工程と、任意選択的に、
d)ゲノム中にClD14、CsD14又はCmD14遺伝子のアレル(例えば、野生型アレル及び/又は突然変異アレル)の1又は2コピーを含む植物又は植物部分又は種子を選択する工程と
を含み、ClD14遺伝子の野生型アレルは、配列番号2のタンパク質をコードし(又は配列番号6のゲノムDNAを含む)、Cs14遺伝子の野生型アレルは、配列番号8のタンパク質をコードし(又は配列番号15のゲノムDNAを含む)、CmD14遺伝子の野生型アレルは、配列番号9のタンパク質をコードする(又は配列番号16のゲノムDNAを含む)、方法が提供される。
【0121】
D14遺伝子のゲノムDNAの一部を増幅及び/又はハイブリダイズするプライマー及び/又はプローブ及び反応成分を含むジェノタイピングキットも提供される。
【0122】
プライマー及びプローブは、好ましくは、増幅又はハイブリダイゼーション反応生成物を検出することができるように例えばテール配列又は標識によって標識又は修飾される。
【0123】
一般的な定義
動詞「含む」及びその活用形は、その非限定的な意味で、この用語に続く項目が含まれるが、具体的に言及されない項目が除外されるわけではないことを意味するために使用される。さらに、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」によるある要素への言及は、文脈上、その要素が1つある及び1つのみあると明らかに解釈すべき場合を除いて、その要素が2つ以上存在する可能性が除外されるわけではない。したがって、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、通常、「少なくとも1つ」を意味し、例えば、「植物」は、いくつかの細胞、植物なども指す。同様に、「果実」又は「植物」は、複数の果実及び植物も指す。
【0124】
本明細書で使用される際、「植物」という用語は、全植物又は好ましくは由来する植物と同じ遺伝子構造を有するその任意の部分又は誘導体、例えば植物器官(例えば、収穫された又は収穫されていない果実、葉、花、葯など)、植物細胞、植物プロトプラスト、全植物を再生することができる植物細胞組織培養物、植物カルス、植物細胞集塊、植物移植片、苗木、植物中でインタクトな植物細胞、植物クローン若しくは微細繁殖又は植物の部分、例えば植物挿木、胚、花粉、葯、胚珠、果実(例えば、採取された組織又は器官)、花、葉、種子、クローン繁殖させた植物、根、茎、根端、接木(接穂及び/又は台木)などを含む。苗木、発根前又は発根後の挿木などの任意の発育段階も含まれる。「植物の種子」が言及されるとき、これらは、そこから植物を成長させることができる種子又は自家受精後若しくは他家受精後に植物に生成される種子のいずれかを指す。
【0125】
本明細書で使用される際、「品種」又は「栽培品種」という用語は、所与の遺伝子型又は遺伝子型の組合せから生じる特性の発現によって定義され得る、最も下位の公知の階級の単一の植物学的分類群内の植物集団を意味する。
【0126】
「アレル」という用語は、特定の遺伝子座、例えばD14遺伝子座(D14遺伝子が位置する場所;遺伝子のアレルは、ClD14(スイカにおける)若しくはCsD14(キュウリにおける)若しくはCmD14(メロンにおける)と表される野生型アレル又は突然変異アレルであり得る)における遺伝子の1つ以上の代替的な形態のいずれかを意味し、これらのアレルは、特定の遺伝子座における1つの形質又は特性(例えば、二次分枝)に関連する。生物の二倍体細胞では、所与の遺伝子のアレルは、染色体上の特定の位置又は遺伝子座(複数の遺伝子座)に位置する。相同染色体の対の各染色体上に1つのアレルが存在する。二倍体植物種は、特定の遺伝子座に多数の異なるアレルを含み得る。これらは、遺伝子の同一のアレル(ホモ接合性)又は2つの異なるアレル(ヘテロ接合性)、例えば突然変異体の2つの同一のコピー又は突然変異アレルの1つのコピー及び野生型アレルの1つのコピーであり得る。同様に、三倍体植物は、遺伝子の3つの同一のアレル(例えば、突然変異アレルの3つのコピー)を有する場合、その遺伝子に対してホモ接合性であると称され、四倍体植物は、遺伝子の4つの同一のアレル、例えば突然変異アレルの4つのコピーを有する場合、その遺伝子に対してホモ接合性であると称される。
【0127】
「ClD14遺伝子」は、栽培スイカにおいて8番染色体上で同定される単一の劣性遺伝子であり、これは、突然変異させると、野生型、非突然変異ClD14遺伝子に対してホモ接合性である植物と比較して、突然変異アレルがホモ接合体である場合に発生する二次分枝の増加した(平均)数の表現型変化をもたらす。CsD14遺伝子及びCmD14遺伝子は、ClD14遺伝子のオルソログであるが、キュウリ及びメロン中にある。
【0128】
「F1、F2、F3など」は、2つの親植物又は親系統間での交配後の連続した関連する世代を指す。2つの植物又は系統を交配させることによって産生される種子から成長した植物は、F1世代を呼ばれる。F1植物を自殖させることにより、F2世代が生じるなどである。
【0129】
「F1交配系」植物(又はF1交配種子)は、2つの近交系親系統を交配させることから得られる世代である。したがって、F1交配種子は、それからF1交配植物が成長する種子である。F1交配系は、雑種強勢のため、より勢力が強く、収量が高い。近交系系統は、ゲノム中のほとんどの遺伝子座で本質的にホモ接合性である。
【0130】
「植物系統」又は「育種系統」は、植物及びその後代を指す。本明細書で使用される際、「近交系系統」という用語は、繰り返し自殖されてきた、ほぼホモ接合性である植物系統を指す。したがって、「近交系系統」又は「親系統」は、数世代(例えば、少なくとも4、5、6、7又はそれを超える世代)にわたって同系交配を行って、高い均一性を有する植物系統をもたらす植物を指す。
【0131】
「遺伝子」という用語は、細胞内でメッセンジャーRNA分子(mRNA)に転写される領域(転写領域)及び動可能に連結された調節領域(例えば、プロモーター)を含む(ゲノム)DNA配列を意味する。一例は、本発明のD14遺伝子である。したがって、その遺伝子の異なるアレルは、その遺伝子の異なる代替的な形態であり、これは、ゲノムDNA配列(例えば、プロモーター配列、エクソン配列、イントロン配列などにおける)、mRNA及び/又はコードされたタンパク質のアミノ酸配列の例えば1つ以上のヌクレオチドの相違の形態であり得る。
【0132】
「突然変異ClD14アレル」は、本明細書では、スイカにおいて遺伝子の突然変異アレルであって、突然変異アレルがホモ接合体である場合、二次分枝の増加した(平均)数、例えば45本以上の二次分枝(「多分枝」とも呼ばれる)をスイカ植物に生じさせる突然変異アレルを指す。同様に、「突然変異CsD14アレル又は突然変異CmD14アレル」は、これらの作物において二次分枝の増加を生じさせる、キュウリ及びメロンにおけるオルソログ遺伝子の突然変異アレルを指す。突然変異アレルにおける突然変異は、欠失、切断、挿入、重複、点突然変異、ナンセンス突然変異、ミスセンス突然変異又は非同義突然変異、スプライス部位突然変異、フレームシフト突然変異及び/又はプロモーター配列若しくはエンハンサー若しくはサイレンサー配列などの1つ以上の調節配列における突然変異を含む、任意の突然変異又は突然変異の組合せであり得る。突然変異ClD14アレルは、「完全な多分枝」又は「強い多分枝」をもたらし得、これは、非機能性タンパク質をコードする突然変異アレル又はノックアウトアレルである突然変異アレルにより、二次分枝形成を抑制するために、植物におけるシグナルを伝達しない突然変異アレルを指す。突然変異ClD14アレルは、「中間の多分枝」をもたらし得、これは、機能低下タンパク質をコードする突然変異アレル又はノックダウンアレルである突然変異アレルにより、野生型植物よりかなり程度は低いが、二次分枝形成をある程度抑制するために、植物における一部のシグナルを伝達する突然変異アレルを指す。したがって、「中間の多分枝」表現型は、野生型、非突然変異アレルに対してホモ接合性である植物の二次分枝の平均数と「完全な多分枝」表現型を有する植物の二次分枝の平均数との中間である。
【0133】
「野生型ClD14、又はCsD14、又はCmD14アレル」は、本明細書では、通常の数の二次分枝を植物に発生させる遺伝子の機能性アレルを指す。野生型ClD14アレルは、スイカの任意の商業的品種(例えば、Nunhems品種Premium F1、Montreal F1など)に見られる。一態様では、野生型ClD14アレルは、ClD14遺伝子の野生型アレルであり、それにより、ClD14遺伝子は、配列番号2のタンパク質をコードするか、又は(例えば、Needleを用いて、ペアワイズでアラインメントされるとき)配列番号2との少なくとも95%、96%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を含むタンパク質をコードする遺伝子である。一態様では、野生型CsD14アレルは、CsD14遺伝子の野生型アレルであり、それにより、CsD14遺伝子は、配列番号8のタンパク質をコードするか、又は(例えば、Needleを用いて、ペアワイズでアラインメントされるとき)配列番号8との少なくとも95%、96%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を含むタンパク質をコードする遺伝子である。一態様では、野生型CmD14アレルは、CmD14遺伝子の野生型アレルであり、それにより、CmD14遺伝子は、配列番号9のタンパク質をコードするか、又は(例えば、Needleを用いて、ペアワイズでアラインメントされるとき)配列番号9との少なくとも95%、96%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を含むタンパク質をコードする遺伝子である。
【0134】
「遺伝子座」(複数の遺伝子座)という用語は、例えば遺伝子又は遺伝子マーカーが見出される染色体上の1つ又は複数の特定の位置又は部位を意味する。したがって、ClD14遺伝子座は、ClD14遺伝子の突然変異アレル及び/又は野生型アレルが見出される、スイカのゲノムにおける位置である。ClD14遺伝子座は、栽培スイカ8番染色体上の遺伝子座である(ワールドワイドウェブのcucurbitgenomics.orgにおいて、「スイカ:ゲノム」、「チャールストングレイ」又は「97103 V1又はV2の下で見られる公開されたスイカゲノムの染色体アサインメントを用いて)。
【0135】
「誘発突然変異アレル」は、人間の介入、例えば標的化された遺伝子編集技術(Crisprベースの技術、TALENSなど)も含めて、物理的若しくは化学的突然変異誘発方法を用いるか又は例えば組織培養(例えば、Zhang et al,Plos 9(5)e96879に記載されるような)を用いる突然変異誘発によって突然変異が誘発されている突然変異アレルである。
【0136】
「二倍体植物」は、本明細書では2nと表記される、2組の染色体を有する植物、栄養繁殖植物部分又は二倍体植物を成長させることができる種子を指す。
【0137】
「DH植物」又は「倍加半数体植物」は、例えばインビトロ技術を用いて、二倍体植物の一倍体ゲノムを二倍にすることによって生成された二倍体植物である。したがって、DH植物は、全ての遺伝子座においてホモ接合性である。
【0138】
「三倍体植物」は、本明細書では3nと表記される、3組の染色体を有する植物、栄養繁殖植物部分又は三倍体植物を成長させることができる種子を指す。
【0139】
「四倍体植物」は、本明細書では4nと表記される、4組の染色体を有する植物、栄養繁殖植物部分又は四倍体植物を成長させることができる種子を指す。
【0140】
「倍数体植物」は、二倍体より高い倍数性、すなわち三倍体(3n)、四倍体(4n)、六倍体(6n)、八倍体(8n)などを有する植物を指す。
【0141】
「授粉種植物」又は「授粉種」は、三倍体植物における着果を誘発する授粉種として好適な(近交系又は交配系)二倍体植物又はその部分(例えば、その花粉又は接穂)を指す。したがって、授粉種植物は、適切な日時において且つ適切な期間にわたって適切な量の花粉を生成することにより、正常な三倍体植物の良好な着果(及び良好な三倍体果実収量)をもたらすことができる。
【0142】
「交配系三倍体植物」又は「F1三倍体」又は「三倍体交配系」は、雄性二倍体親を雌性四倍体親と他家受精させることによって得られる交配系三倍体種子から成長させた三倍体植物である。雄性親は、四倍体雌性親における着果及び種子産生を誘発するために使用されて、F1交配系三倍体種子を含む果実をもたらす。F1三倍体種子を産生するために使用される雄性親及び雌性親は両方とも近交系であり、それにより各親系統がほぼホモ接合性であり、安定している。
【0143】
「種なし果実」は、生存能力のある成熟種子を含まない果実である。果実は、1つ以上の小さい食べられる白色の胚珠を含み得る。任意選択的に、果実は、数個の茶色又は黒色の種子を含有し得るが、これらは、生存能力がない。生存能力のある成熟種子は、適切な条件下で土壌において発芽され、植物に成長し得る種子である。
【0144】
「混植すること」は、同じ圃場に播種又は移植された2種類以上の種子及び/又は移植片の組合せ、特に三倍体交配系植物(三倍体植物における種なし果実産生及び授粉種植物における二倍体果実産生の場合)と同じ圃場における授粉種の播種及び/又は移植を指す。例えば、授粉種は、別の列に植えられるか、又は同じ列に(例えば、各列内の盛り上がった場所に)三倍体植物と混植され得る。授粉種は、三倍体の列間にも植えられ得る。授粉種及び三倍体交配系の種子は、播種前にも混合され得、ランダムな播種をもたらし得る。三倍体交配系植物及び/又は授粉種植物の移植は、様々な植物の台木も含み得る。好適な台木は、当技術分野で公知である。様々な台木を有するスイカ植物は、「接木された」と称される。
【0145】
「植栽すること」又は「植栽された」は、苗木(小植物)を圃場に機械又は手で播種(直播き)又は移植することを指す。
【0146】
「栄養繁殖」又は「クローン繁殖」は、栄養組織からの植物の繁殖、例えばインビトロ繁殖又は接木法(接穂及び台木を使用する)による植物の繁殖を指す。インビトロ繁殖は、インビトロ細胞又は組織培養物及びインビトロ培養物からの全植物の再生を含む。接木は、台木に接木することによる元の植物の繁殖を含む。したがって、元の植物のクローン(すなわち遺伝学的に同一の栄養繁殖)は、インビトロ培養又は接木のいずれかによって生成され得る。「細胞培養」又は「組織培養」は、植物の細胞又は組織のインビトロ培養を指す。「再生」は、細胞培養又は組織培養又は栄養繁殖からの植物の発達を指す。「非繁殖細胞」は、全植物に再生させることができない細胞を指す。
【0147】
「劣性」は、優性アレルが二倍体ゲノム中に存在しない場合、すなわちそれが二倍体においてホモ接合性である場合、その表現型(例えば、多分枝)を発現するアレルを指す。突然変異ClD14アレルは、二倍体植物において2コピーで、任意選択的に、四倍体植物において4コピーで、又は三倍体植物において2若しくは3コピーで、又は別の倍数性においてそれぞれの数のコピーで存在する場合、表現型変化(他の箇所に記載される)を有する植物をもたらす。優性アレルは、本明細書では野生型(WT)アレルとも呼ばれる。
【0148】
「栽培スイカ」又は「キトルルス・ラナトゥス(Citrullus lanatus)」は、本明細書では、キトルルス・ラナトゥス亜種ブルガリス(Citrullus lanatus ssp.vulgaris)又はキトルルス・ラナトゥス(Citrullus lanatus)(Thunb.)Matsum.&Nakai亜種ブルガリス(subsp.vulgaris)(Schrad.)であって、良好な作物栽培学的特性を有し、特に良好な果実品質及び果実均一性を有する市場性のある果実を産生するものを指す。これは、野生スイカを除外する。
【0149】
「野生スイカ」は、キトルルス・ラナトゥス亜種ラナトゥス((Citrullus lanatus ssp.lanatus)及びキトルルス・ラナトゥス亜種ムコソスペルムス(Citrullus lanatus ssp.mucosospermus)であって、低い品質及び低い均一性を有する果実を産生するものを指す。
【0150】
「栽培キュウリ」又は「栽培メロン」は、ククミス・サティブス(Cucumis sativus)又はククミス・メロ(Cucumis melo)であって、良好な作物栽培学的特性を有し、特に良好な果実品質及び果実均一性を有する市場性のある果実を産生するものを指す。これは、低い品質及び低い均一性を有する果実を産生する野生キュウリ又は野生メロンを除外する。
【0151】
「SNPマーカー」は、例えば、突然変異ClD14、CsD14又はCmD14アレルと野生型アレルとの間の一塩基変異多型を指す。遺伝子の突然変異アレルと野生型アレルとを区別し得るSNPマーカーアッセイ(すなわちアレル特異的アッセイ)を用いて、突然変異アレル及び/又は野生型アレルの存在について植物、植物部分又はそれに由来するDNAをスクリーニングすることができる。
【0152】
「インデルマーカー」は、例えば突然変異ClD14、CsD14又はCmD14アレルと野生型ClD14、CsD14又はCmD14アレルとの間の挿入/欠失多型を指す。例えば、マーカーmWM23349015_k2は、配列番号2のタンパク質をコードする野生型ClD14アレルと、配列番号1のタンパク質(8つのアミノ酸の重複を含む)をコードする突然変異ClD14アレルとを区別するインデルマーカーである。遺伝子の突然変異アレルと野生型アレルとを区別し得るインデルマーカーアッセイ(すなわちアレル特異的アッセイ)を用いて、突然変異アレルの存在について植物、植物部分又はそれに由来するDNAをスクリーニングすることができる。
【0153】
「ジェノタイピング」方法は、植物又は植物部分又は種子の遺伝子型又はアレル組成を決定することができる方法である。KASPアッセイなどの両アレルジェノタイピングアッセイは、ある遺伝子座における2つのアレルを区別することができる。
【0154】
「栽培スイカゲノム」及び「栽培スイカゲノム上での物理的位置」及び「8番染色体」は、栽培スイカの物理的ゲノム(参照ゲノムは、ワールドワイドウェブのcucurbitgenomics.orgにおいて「スイカ:ゲノム」、例えば「スイカ(チャールストングレイ)」に見られる)並びに物理的染色体及び染色体上の物理的位置を指す。
【0155】
「突然変異ClD14アレルを含む染色体領域」は、栽培スイカの例えば8番染色体のゲノム領域であって、突然変異ClD14アレルを保有する領域を指す。アレルの存在は、表現型的に且つ/又は異なるlD14アレルを区別するマーカーの検出若しくはアレル配列自体のゲノム配列(例えば、アレルをシーケンシングすることによって決定される)によって決定され得る。「アレル特異的マーカー」は、特定のアレル(例えば、特異的突然変異アレル)に特異的な、したがって例えば突然変異アレルと野生型アレルとを区別するマーカーである。
【0156】
形質(突然変異D14アレルの表現型の特徴など)を付与する遺伝的要素、遺伝子移入断片又は遺伝子若しくはアレルは、それが存在する植物又は種子から、それが存在しない別の植物又は種子(野生型系統又は品種など)に遺伝的要素、遺伝子座、遺伝子移入断片、遺伝子又はアレルによって付与される形質の付加を別として、受容植物の表現型変化を生じさせずに従来の育種技術を用いて、それを転移させることができる場合、植物又は種子又は組織又は細胞「から入手可能である」又は「から入手することができる」又は「から誘導可能である」又は「から誘導することができる」又は「に存在する」又は「に見出されるとおりである」と言われる。これらの用語は同義的に使用され、したがって、遺伝的要素、遺伝子座、遺伝子移入断片、遺伝子又はアレルは、その形質を欠く任意の他の遺伝的背景に転移させることができる。遺伝的要素、遺伝子座、遺伝子移入断片、遺伝子又はアレル(例えば、突然変異ClD14アレル)を含む栽培スイカは、例えば突然変異誘発(例えば、化学的突然変異誘発、CRISPR-Cas誘発など)によってデノボで生成され、次に例えば他の栽培スイカに交配させることができる。同様に、遺伝的要素、遺伝子座、遺伝子移入断片、遺伝子又はアレル(例えば、突然変異CsD14又はCmD14アレル)を含む栽培キュウリ又はメロンがデノボで生成され得る。
【0157】
「平均」又は「中間」は、本明細書では算術平均を指し、両方の用語が同義的に使用される。したがって、「平均」又は「中間」という用語は、いくつかの測定値の算術平均を指す。当業者は、植物系統又は品種の表現型が成長条件にある程度依存し、したがって、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50又はそれを超える植物(又は植物部分)の算術平均が、好ましくは、いくつかのレプリケート及び好適な対照植物を同じ実験において同じ条件下で成長させる無作為化実験設計において測定されることを理解する。「統計的に有意な」又は「統計的に有意に」異なる又は「有意に」異なるとは、好適な対照と比較したとき、対照(の平均)とのその特性の統計的に有意な差(例えば、ANOVAを用いて、p値が0.05未満である、p<0.05)を示す植物系統又は品種の特性を指す。例えば、本明細書では、二次分枝の平均数の差に言及するとき、言及される差は、統計的に有意な差であり、例えば、「中間の多分枝」植物遺伝子型は、ホモ接合体において野生型D14アレルを含む対照植物遺伝子型より統計的に有意に高い二次分枝の平均数を有することが理解される。
【0158】
「従来の育種技術」という用語は、本明細書では交配、戻し交配、自殖、選択、倍加半数体産生、染色体倍加、胚救出、プロトプラスト融合、マーカー支援選択、突然変異育種などを包含し、これらは、全て育種家に公知であるように、例えば突然変異ClD14アレルを含む8番染色体を入手し、同定し且つ/又は転移させることができる。
【0159】
「戻し交配」は、突然変異ClD14アレルによって付与される表現型変化などの(単一の)形質を1つの(多くの場合、より劣った)遺伝的背景(「供与体」とも呼ばれる)から別の(多くの場合、より優れた)遺伝的背景(「反復親」とも呼ばれる)に転移させることができる育種方法を指す。交配の後代(例えば、例えば供与体を反復親スイカと交配させることによって得られるF1植物又はF1を自殖させることから得られるF2植物若しくはF3植物など)は、例えば、より優れた遺伝的背景を有する親に「戻し交配」される。戻し交配を繰り返した後、一方の(多くの場合、より劣った)遺伝的背景の形質は、他方の(多くの場合、より優れた)遺伝的背景に取り込まれていることになる。
【0160】
「マーカー支援選択」又は「MAS」は、特定の遺伝子座又は特定の染色体領域若しくはアレル特異的マーカーに遺伝的に及び物理的に連結している分子マーカー(SNPマーカー又はインデルマーカーなど)の存在を用いて、特定の遺伝子座又は領域又はアレルの存在について植物を選択するプロセスである。例えば、突然変異ClD14アレル又はアレル特異的マーカーに遺伝的に及び物理的に連結している分子マーカーを用いて、例えば突然変異ClD14アレルを含むスイカ植物又は植物部分を検出及び/又は選択することができる。アレル特異的マーカーは、それらがアレルを直接選択するため、好ましいマーカーである。
【0161】
「導入遺伝子」又は「キメラ遺伝子」は、アグロバクテリウム媒介形質転換などの形質転換によって植物のゲノムに導入された、組み換え遺伝子などのDNA配列を含む遺伝子座を指す。そのゲノムに安定に組み込まれた導入遺伝子を含む植物は、「トランスジェニック植物」と呼ばれる。
【0162】
「単離核酸配列」又は「単離DNA」は、もはやそれが単離された天然環境中にない核酸配列、例えば細菌宿主細胞中又は植物核若しくは色素体ゲノム中にある核酸配列を指す。本明細書では、「配列」に言及するとき、このような配列を有する分子、例えば核酸分子が言及されることが理解される。
【0163】
「宿主細胞」又は「組み換え宿主細胞」又は「形質転換細胞」は、少なくとも1つの核酸分子が前記細胞に導入された結果として生じる新たな個々の細胞(又は生物)を指す用語である。宿主細胞は、好ましくは、植物細胞又は細菌細胞である。宿主細胞は、染色体外(エピソーム)複製分子として核酸を含有し得るか、又は宿主細胞の核若しくは色素体ゲノムに組み込まれた核酸を含むか、又は導入された染色体、例えばミニ染色体として含む。
【0164】
「配列同一性」及び「配列類似性」は、グローバル又は局所的アラインメントアルゴリズムを用いた2つのペプチド又は2つのヌクレオチド配列のアラインメントによって決定され得る。次に、配列は、それらが例えばプログラムGAP又はBESTFIT又はEmbossプログラム「Needle」(デフォルトパラメータを使用する、以下を参照されたい)によって最適にアラインメントされたとき、少なくとも一定の最小パーセンテージの配列同一性(以下にさらに定義されるように)を共有するとき、「実質的に同一である」又は「本質的に類似している」と称され得る。これらのプログラムは、Needleman及びWunschグローバルアラインメントアルゴリズムを使用して、2つの配列をそれらの全長にわたってマッチ数が最大となり、且つギャップ数が最小となるようにアラインメントする。一般に、ギャップ生成ペナルティ=10及びギャップ伸長ペナルティ=0.5(ヌクレオチド及びタンパク質アラインメントの両方について)であるデフォルトパラメータが使用される。ヌクレオチドについて、使用されるデフォルトのスコアリング行列は、DNAFULLであり、タンパク質について、デフォルトのスコアリング行列は、Blosum62である(Henikoff&Henikoff,1992,PNAS 89,10915-10919)。配列アラインメント及びパーセンテージ配列同一性のスコアは、例えば、ワールドワイドウェブのebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_needle/)で利用可能なEMBOSSなどのコンピュータプログラムを用いて決定され得る。代わりに、配列類似性又は同一性は、FASTA、BLASTなどのデータベースを検索することによって決定され得るが、配列同一性を比較するために、ヒットが取得され、ペアワイズでアラインメントされるべきである。2つのタンパク質若しくは2つのタンパク質ドメイン又は2つの核酸配列は、パーセンテージ配列同一性が少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又はそれを超える場合(デフォルトパラメータ、すなわちギャップ生成ペナルティ=10、ギャップ伸長ペナルティ=0.5を用いて、核酸についてスコアリング行列DNAFULL及びタンパク質についてBlosum62を用いて、Emboss「needle」によって決定される際)、「実質的な配列同一性」を有する。
【0165】
参照配列「との実質的な配列同一性」を有するか又は参照配列との少なくとも95%、例えば少なくとも96%、97%、98%又は99%の核酸配列同一性の配列同一性を有する核酸配列(例えば、DNA又はゲノムDNA)が参照されるとき、一実施形態において、前記ヌクレオチド配列は、所与のヌクレオチド配列と実質的に同一と見なされ、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を用いて同定され得る。別の実施形態において、核酸配列は、所与のヌクレオチド配列と比較して1つ以上の突然変異を含むが、依然としてストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を用いて同定され得る。
【0166】
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、所与のヌクレオチド配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を同定するために使用され得る。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、異なる状況において異なるであろう。一般に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度及びpHにおける特定の配列の熱融点(Tm)より約5℃低くなるように選択される。Tmは、標的配列の50%完全に一致するプローブにハイブリダイズする温度(規定のイオン強度及びpH下における)である。典型的に、ストリンジェントな条件は、塩濃度がpH7で約0.02モル濃度であり、温度が少なくとも60℃であるように選択されるであろう。塩濃度を低下させ、且つ/又は温度を上昇させると、ストリンジェンシーが増加する。RNA-DNAハイブリダイゼーション(例えば、100ntのプローブを用いたノーザンブロット)のためのストリンジェントな条件は、例えばt63℃の0.2×SSCで20分間の少なくとも1回の洗浄又は同等の条件を含むものである。DNA-DNAハイブリダイゼーション(例えば、100ntのプローブを用いたサザンブロット)のためのストリンジェントな条件は、例えば少なくとも50℃、通常、約55℃の温度の0.2×SSCで20分間の少なくとも1回の洗浄(通常2回)又は同等の条件を含むものである。
【0167】
本発明との関連における「M1世代」又は「M1植物」は、突然変異誘発処理から直接生成される第1世代を指すものとする。例えば、突然変異原で処理された種子から成長した植物は、M1世代の代表例である。
【0168】
「M2世代」又は「M2植物」は、本明細書では、M1世代の自家授粉から得られる世代を指すものとする。自家受粉したM1植物から得られる種子から成長した植物は、M2植物である。M3、M4などは、自家授粉後に得られるそれより後の世代を指す。
【0169】
「mRNAコード配列」は、本明細書では一般的な意味を有するものとする。mRNAコード配列は、チミン(T)がウラシル(U)で置換されることは別として、遺伝子/アレルのそれぞれのDNAコード(cDNA)配列に対応する。
【0170】
核酸分子(DNA又はRNA)の「突然変異」は、例えば1つ以上のヌクレオチドの置換、欠失又は挿入による、対応する野生型配列と比較した1つ以上のヌクレオチドの変化である。このような突然変異の例は、点突然変異、ナンセンス突然変異、ミスセンス突然変異、スプライス部位突然変異、フレームシフト突然変異又は調節配列における突然変異である。
【0171】
「核酸分子」は、当技術分野における一般的な理解を有するものとする。それは、糖デオキシリボース(DNA)又はリボース(RNA)のいずれかを含むヌクレオチドから構成される。
【0172】
「点突然変異」は、一塩基の置換又は一塩基の挿入若しくは欠失である。
【0173】
「ナンセンス突然変異」は、タンパク質をコードする核酸配列の(点)突然変異であり、それにより核酸分子中のコドンが終止コドンに変化される。これにより、未成熟終止コドンがmRNA中に存在することになり、切断タンパク質の翻訳をもたらす。切断タンパク質は、機能低下又は機能喪失を有し得る。
【0174】
「ミスセンス又は非同義突然変異」は、タンパク質をコードする核酸配列の(点)突然変異であり、それにより、コドンは、異なるアミノ酸をコードするように変化される。得られたタンパク質は、機能低下又は機能喪失を有し得る。
【0175】
「スプライス部位突然変異」は、タンパク質をコードする核酸配列における突然変異であり、それによりプレmRNAのRNAスプライシングが変化されて、野生型と異なるヌクレオチド配列を有するmRNA及び異なるアミノ酸配列を有するタンパク質をもたらす。得られたタンパク質は、機能低下又は機能喪失を有し得る。
【0176】
「フレームシフト突然変異」は、タンパク質をコードする核酸配列における突然変異であり、それにより、mRNAのリーディングフレームが変化されて、異なるアミノ酸配列をもたらす。得られたタンパク質は、機能低下又は機能喪失を有し得る。
【0177】
本発明との関連における「欠失」は、所与の核酸配列中のいずれの箇所でも、少なくとも1つのヌクレオチドが、対応する野生型配列の核酸配列と比較して欠失しているか、又は所与のアミノ酸配列のいずれの箇所でも、少なくとも1つのアミノ酸が、対応する(野生型)配列のアミノ酸配列と比較して欠失していることを意味するものとする。
【0178】
「切断」は、ヌクレオチド配列の3’末端又は5’末端のいずれかの少なくとも1つのヌクレオチドが、対応する野生型配列の核酸配列と比較して欠失していること又はタンパク質のN末端又はC末端のいずれかの少なくとも1つのアミノ酸、ただし好ましくは少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100又はそれを超えるアミノ酸が、対応する野生型タンパク質のアミノ酸配列と比較して欠失していることを意味すると理解されるものとする。5’末端は、対応する野生型核酸配列の翻訳において開始コドンとして使用されるATGコドンによって決定される。
【0179】
「置換」は、核酸配列中の少なくとも1つのヌクレオチド又はタンパク質配列中の少なくとも1つのアミノ酸が、それぞれのタンパク質のコード配列中のヌクレオチドの交換のため、それぞれ対応する野生型核酸配列又は対応する野生型アミノ酸配列と比較して異なることを意味するものとする。
【0180】
「挿入」は、タンパク質の核酸配列又はアミノ酸配列が、それぞれ対応する野生型核酸配列又は対応する野生型アミノ酸配列と比較して、少なくとも1つのさらなるヌクレオチド又はアミノ酸を含むことを意味するものとする。
【0181】
「重複」は、1つ以上の(連続した)ヌクレオチド又は1つ以上の(連続した)アミノ酸が、野生型配列における1回の代わりに、ヌクレオチド又はアミノ酸配列において少なくとも2回存在することを意味するものとする。したがって、重複は、野生型配列において1回既に存在していた1つ以上の連続したヌクレオチド又は1つ以上の連続したアミノ酸の挿入である。挿入は、元の配列に隣接し得るか、又はそれは、1つ以上のヌクレオチド又はアミノ酸によって隔てられ得、すなわち、それは、元の配列からさらに離れて重複され得る。
【0182】
本発明との関連における「未成熟終止コドン」は、終止コドンが、対応する野生型コード配列の終止コドンと比較して、5’末端の開始コドンにより近いコード配列(cds)中に存在することを意味する。
【0183】
例えば、遺伝子のプロモーター又はエンハンサーでの「調節配列における突然変異」は、例えば作出される遺伝子のmRNA転写物が減少するか又は作出されないことにつながる、例えば1つ以上のヌクレオチドの置換、欠失又は挿入による、野生型配列と比較した1つ以上のヌクレオチドの変化である。
【0184】
「タンパク質の突然変異」は、例えば1つ以上のアミノ酸残基の置換、欠失、切断又は挿入又は重複による、野生型配列と比較した1つ以上のアミノ酸残基の変化である。
【0185】
「突然変異タンパク質」は、本明細書では、タンパク質をコードする核酸配列に1つ以上の突然変異を含むタンパク質であり、それにより、突然変異は、例えば、突然変異アレルによって付与される表現型により例えばインビボで測定可能であるように、「機能低下」又は「機能喪失」タンパク質(をコードする突然変異核酸分子)をもたらす。
【0186】
「野生型3次元構造」又は「野生型タンパク質折り畳み」は、インビボでその正常な機能を実行するための野生型タンパク質のインビボでの折り畳みを指す。「修飾された3次元構造又は修飾されたタンパク質折り畳み」は、インビボでの正常な機能又は活性を低下又は消失させる、野生型タンパク質と異なる折り畳みを有する突然変異タンパク質を指し、すなわち、タンパク質は、機能低下又は機能喪失を有する。タンパク質切断も、修飾された3次元構造につながる。3-D構造は、例えばRaptorXなどのプログラムを用いて、予測された野生型タンパク質構造を予測されたタンパク質構造と比較して、修飾されると予測され得る。
【0187】
本発明に関連して、タンパク質の「活性の低下」は、対応する野生型植物細胞又は対応する野生型植物と比較したとき、D14タンパク質の活性の低下を意味するものとする。低下は、一態様では、遺伝子発現の完全なノックアウト若しくはノックダウン又は機能喪失若しくは機能低下D14タンパク質の産生を含むものとし、例えば突然変異D14タンパク質は、野生型の機能性D14タンパク質と比較して機能喪失又は機能低下を有し得る。活性の低下は、D14タンパク質をコードする遺伝子の発現の低下(ノックダウンとも呼ばれる)、又はD14タンパク質をコードする遺伝子の発現のノックアウト及び/若しくは細胞内のD14タンパク質の量の減少、又は細胞内のD14タンパク質の活性の機能低下若しくは機能喪失であり得る。D14タンパク質機能が二次分枝の程度を直接反映する(引き起こす)ことが分かったように、機能喪失タンパク質(若しくはノックアウトアレル)又は機能低下タンパク質(若しくはノックダウンアレル)は、突然変異アレルに対してホモ接合性である植物において、表現型的に決定され得、「完全な多分枝」表現型又は「中間の多分枝」表現型のいずれかにおいて見られるであろう。
【0188】
本発明に関連して、「野生型植物細胞」又は「野生型植物」という用語は、それらが野生型D14アレルを含み、突然変異D14アレルを含まないことを意味する。したがって、野生型植物又は野生型植物細胞は、完全に機能性のClD14、CsD14又はCmD14タンパク質(野生型D14タンパク質とも呼ばれる)をコードする、完全に機能性のD14遺伝子を含む植物又は植物細胞であり、例えばスイカ植物又は植物細胞に関して、そのゲノム中に配列番号6を含み、且つ/又は配列番号2のタンパク質(又は配列番号2との少なくとも95%の配列同一性を含むタンパク質)を産生し、通常の分枝表現型を有する二倍体スイカ植物である。
【0189】
「ノックアウト」又は「完全なノックアウト」は、それぞれの遺伝子の発現がもはや検出可能でないことと理解されるものとする。
【0190】
「機能喪失」、又は「機能低下」、又は「機能減少」は、本発明に関連して、タンパク質が、対応する野生型タンパク質と等しい又は同様の量でおそらく存在するが、その正常な効果をもはや引き起こさないことを意味するものとし、すなわち、二倍体植物にホモ接合体において存在する場合、このようなタンパク質をコードする突然変異アレルについて、植物は、本明細書の他の箇所に記載される表現型変化を生じる。記載されるように、D14タンパク質機能が二次分枝の程度を直接反映する(引き起こす)ことが分かり、機能喪失タンパク質又は機能低下タンパク質は、突然変異アレルに対してホモ接合性である植物において、表現型的に決定され得、「完全な多分枝」表現型又は「中間の多分枝」表現型のいずれかにおいて見られるであろう。
【0191】
「触媒三残基」は、配列番号2(ClD14)、配列番号8(CsD14)及び配列番号9(CmD14)の野生型ClD14、CsD14及びCmD14タンパク質、S97、D218及びH247における3つの保存されたアミノ酸を指す。「標的化遺伝子編集」は、内因性標的遺伝子を修飾することができる、例えば1つ以上のヌクレオチドを、例えばプロモーター又はコード配列において挿入、置換及び/又は欠失させることができる技術を指す。例えば、Crispr-Cas9遺伝子編集、Crispr-CpfI遺伝子編集又は「塩基編集」若しくは「プライマー編集」と呼ばれるより最近の技術などのCRISPRベースの技術は、スイカにおける内因性野生型ClD14遺伝子(配列番号2のタンパク質又は配列番号2との少なくとも95%の配列同一性を含む野生型タンパク質をコードする)、キュウリにおける内因性野生型CsD14遺伝子(配列番号8のタンパク質又は配列番号8との少なくとも95%の配列同一性を含む野生型タンパク質をコードする)及びメロンにおける内因性野生型CmD14遺伝子(配列番号9のタンパク質又は配列番号9との少なくとも95%の配列同一性を含む野生型タンパク質をコードする)などの内因性標的遺伝子を修飾するために使用され得る。
【0192】
「オリゴヌクレオチド」又は「オリゴ」又は「オリゴヌクレオチドプライマー又はプローブ」は、例えば少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又はそれを超えるヌクレオチド長の、核酸の短い一本鎖ポリマーである。オリゴは、非修飾であり得るか、又はそれらの意図される使用に応じた様々な化学的反応、例えば、それぞれライゲーション又はブロック伸長を可能にする5’又は3’リン酸基の付加、プローブとして使用するための放射性核種又はフルオロフォア及び/又は消光剤による標識、酵素などの機能性分子の共有結合を可能にするチオール、アミノ又は他の反応性部分の取込み並びに多様な機能性の他のリンカー及びスペーサーによる拡張で修飾され得る。DNAオリゴが最も一般的に使用されるが、RNAオリゴも利用可能である。オリゴの長さは、通常、接尾語-mer(-量体)を加えることによって表記される。例えば、19ヌクレオチド(塩基)を有するオリゴヌクレオチドは、19量体と呼ばれる。ほとんどの使用では、オリゴヌクレオチドは、DNA又はRNAの鎖と塩基対合するように設計される。オリゴヌクレオチドの最も一般的な使用は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)のプライマーとしての使用である。プライマーは、増幅の標的とされる配列に相補的なそれらの配列の少なくとも一部で設計される。相補配列のための最適なプライマー長さは、例えば18~22ヌクレオチドである。PCRのための最適なプライマー配列は、通常、プライマー設計ソフトウェアによって決定される。
【0193】
「DNAマイクロアレイ」は、固体担体に結合された、DNA、通常、オリゴヌクレオチドの多くの顕微鏡的スポットを有するアレイである。アッセイ標的は、DNA、cDNA又はcRNAであり得る。システムに応じて、特異的スポットへの標的のハイブリダイゼーションは、蛍光、化学発光又はコロイド銀若しくは金によって検出される。マイクロアレイは、ゲノムワイドな遺伝子発現解析を可能にする、多数の遺伝子の発現の同時測定並びに例えば一塩基多型(SNP)又はインデル解析を用いたジェノタイピング研究などの複数の用途に使用される。
【0194】
「相補鎖」は、2本の相補配列鎖を指し、二本鎖DNAについて、センス(又はプラス)及びアンチセンス(又はマイナス)鎖と呼ばれることがある。センス/プラス鎖は、一般に、DNAの転写される配列(又は転写で生成されたmRNA)である一方、アンチセンス/マイナス鎖は、センス配列に相補的な鎖である。本明細書で提供される配列のいずれについても、配列の一方の鎖のみが示されるが、示される鎖の相補鎖も本明細書に包含される。DNAの相補ヌクレオチドは、Tに相補的なA及びCに相補的なGである。RNAの相補ヌクレオチドは、Uに相補的なA及びCに相補的なGである。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【
図1】配列番号2の野生型(WT)ClD14タンパク質と、配列番号1の突然変異ClD14insタンパク質との間のペアワイズアミノ酸配列アラインメント。8つの重複したアミノ酸が太字で強調される。
【
図2】シロイヌナズナ属(Arabidopsis)AtD14タンパク質(配列番号7)と、配列番号1のClD14insタンパク質との間のペアワイズアミノ酸配列アラインメント。触媒三残基のアミノ酸が太字で強調される。
【
図3】配列番号1のスイカClD14insタンパク質、及び野生型キュウリCsD14タンパク質(配列番号8)、及び野生型メロンCmD14タンパク質(配列番号9)の多重配列アラインメント。
【
図4-1】配列番号2の野生型スイカClD14タンパク質をコードする野生型ゲノム配列(配列番号6)及び24の重複/挿入されたヌクレオチドを含み、配列番号1の突然変異タンパク質(触媒三残基、S97のアミノ酸の1つを含む、8つのアミノ酸の重複を含む)をコードする突然変異ゲノム配列(配列番号5)のペアワイズアラインメント。イントロン配列が太字で示される。
【
図5】Famアレル(突然変異挿入アレル)がX軸上にあり、VICアレル(野生型/欠失アレル)がY軸上にある、インデルマーカーmWM23349015_k2についてのアレル識別プロット。
【
図6】野生型ClD14タンパク質において同定されるTILLING突然変異体が、以下に示されるアミノ酸置換とともに太字で及び下線付きで示される。四角に囲まれたアミノ酸は、触媒三残基のアミノ酸である。薄い灰色のバーは、アミノ酸136~193のヘリカルリッドドメインを示す(Seto et al.,2019,Nature Communications 10:191に記載される)。2つの黒色の三角(矢印付き)は、保存されたドメインIPR00073(アミノ酸22~259)の開始及び終了を示し、これは、「α/βヒドロラーゼ折り目-1」又は「AB_ヒドロラーゼ_1」ドメインとして記載されるInterProドメインである。このドメインは、以下のように説明される。α/βヒドロラーゼ折り目は、多様な系統発生的起源及び触媒機能のいくつかの加水分解酵素に共通である。各酵素のコアは、らせんによって結合された8つの鎖を含むα/β-シートである(バレルではなく)。酵素は、共通の祖先から分岐して、触媒残基の配置を保存するものと考えられる。全ては、触媒三残基を有し、その要素は、折り目の最も保存された構造的特徴であるループ上にある。触媒三残基は、ループ上に示される。これらの1つは、求核剤エルボーであり、折り目の最も保存された特徴である。
【
図7】W155終止TILLING突然変異体(W155終止アレルに対してホモ接合性である)の右側の写真は、多分枝表現型を示す。左側の写真は、単一器官植物(野生型アレルに対してホモ接合性である)であり、機能性ClD14タンパク質がストリゴラクトンに結合し、二次分枝を抑制する。
【発明を実施するための形態】
【0196】
本発明の第1の実施形態は、(ホモ接合体である場合に)遺伝子の機能性野生型アレルに対してホモ接合性である植物と比較して発生する二次分枝の平均数の変化を付与する、本明細書でD14遺伝子(ClD14、CsD14又はCmD14)と呼ばれる遺伝子の突然変異アレルの少なくとも1つのコピーを含む、栽培スイカ、キュウリ又はメロン植物に関する。
【0197】
ClD14遺伝子は、栽培スイカの内因性遺伝子であり、突然変異されるとき且つホモ接合体において、植物によって生成される二次分枝の有意な増加をもたらす。
【0198】
多分枝性スイカでは、ClD14遺伝子の内因性アレルの両方のコピーは、コード配列中の24ヌクレオチドの重複を含み、これは、したがって、8つのアミノ酸の重複につながることが分かった。タンパク質は、本明細書ではClD14insと呼ばれ、配列番号1に示される。重複は、触媒三残基(S97)のアミノ酸の1つを含んでいた。当初、この重複は、機能を低下させるか、又はインビボでの触媒三残基の適切な機能をなくし得ることが本発明者らによって推測されていた。
【0199】
D14は、ストリゴラクトン結合、加水分解、様々な他のタンパク質及びリガンドとの相互作用、構造変化及びシグナル伝達を含む、植物及びタンパク質中のいくつかの機能性ドメインにおけるいくつかの機能を有する複雑なタンパク質である。
【0200】
したがって、切断された非機能性D14タンパク質(W155*タンパク質と呼ばれる)を生成したTILLING突然変異体が、8つのアミノ酸重複を含むタンパク質と同じ表現型を有していたことは、非常に意外であった。これは、実際に8つのアミノ酸重複(触媒三残基アミノ酸S97を含む)を含むタンパク質が機能喪失タンパク質であったことと、見られる表現型が最も強い二次分枝(本明細書では「完全な多分枝」又は「強い多分枝」と呼ばれる)であったこととを意味していた。完全な機能喪失を有さない突然変異タンパク質が生成され得、これは、「中間の多分枝」表現型、すなわち二次分枝の部分的な抑制のみが存在するように二次分枝形成が抑制され、機能低下D14タンパク質によって依然として誘発され、伝達されるシグナル伝達経路を生じさせることも意味する。
【0201】
したがって、一態様では、ClD14(キトルルス・ラナトゥス(Citrullus lanatus)Dwarf14)と命名された遺伝子の突然変異アレルを含むスイカ植物であって、突然変異アレルは、対応する野生型アレルと比較して低下した遺伝子発現をもたらすか又は遺伝子発現をもたらさない、1つ以上の調節配列における突然変異を含むか、又は突然変異アレルは、野生型アレルによってコードされるタンパク質と比較して1つ以上のアミノ酸の欠失、切断、挿入又は置換を含むタンパク質をコードし、ClD14タンパク質の機能低下又は機能喪失をもたらし、突然変異アレルは、突然変異アレルがホモ接合体である場合、増加した平均数の二次分枝を発生させる前記植物をもたらし、突然変異アレルは、配列番号1のタンパク質(ClD14insタンパク質)をコードする突然変異アレルではなく、野生型アレルのClD14タンパク質は、
a)配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸分子、
b)配列番号6で示されるヌクレオチド配列又はその相補配列を含む核酸分子
からなる群から選択される核酸分子によってコードされる、スイカ植物が提供される。
【0202】
一態様では、突然変異アレルは、1つ以上のアミノ酸が挿入、置換又は欠失されているタンパク質をコードし、タンパク質の機能喪失をもたらし、それにより、二次分枝の平均数は、その最も高いレベル(完全な多分枝)、例えば、ホモ接合体において野生型アレルを含む野生型対照植物の少なくとも200%、210%、215%、220%又はそれを超え、例えば、それは、非機能性タンパク質ClD14insタンパク質又はW155*タンパク質をコードする突然変異ClD14アレルに対してホモ接合性である植物と同程度に多いが、突然変異アレルは、配列番号1のClD14insタンパク質をコードするアレルでない。したがって、植物のゲノムは、8番染色体上に配列番号5を含まず、これは、ClD14insタンパク質をコードするゲノム配列である。
【0203】
機能喪失D14タンパク質をコードするClD14アレルは、デノボで容易に生成され得る。例えばランダム又は標的化突然変異誘発による。2つの特異的突然変異アレルは、実施例において生成されるW155*突然変異体及びQ255*突然変異体である。しかしながら、ClD14タンパク質機能の損失をもたらす任意の他の突然変異アレルが包含され、容易に生成され得、その表現型が試験される。
【0204】
別の態様では、突然変異アレルは、1つ以上のアミノ酸が挿入、置換又は欠失されているタンパク質をコードし、タンパク質の機能低下をもたらすが、タンパク質の機能喪失をもたらさず、それにより、二次分枝の平均数は、野生型ClD14アレルに対してホモ接合性である植物より多いが、例えばClD14insタンパク質又はW155*タンパク質などの非機能性タンパク質をコードする突然変異ClD14アレルに対してホモ接合性である植物ほど多くない。
【0205】
スイカ植物は、一態様では、突然変異アレルに対してホモ接合性であり、且つ野生型アレルに対してホモ接合性である植物と比較して増加した平均数の二次分枝(完全な多分枝又は中間の多分枝)を発生させる。増加した平均二次分枝(完全な多分枝又は中間の多分枝)を有する植物を成長させることができる種子も包含される。
【0206】
元の多分枝突然変異体(本明細書でClD14insタンパク質と呼ばれる8つのアミノ酸重複を含む)について、突然変異アレルにおけるインデルマーカー(挿入/欠失)、すなわち突然変異/修飾アレルにおける24のさらなるヌクレオチドの挿入及び野生型アレルにおけるこれらの24のヌクレオチドの「欠失」(非存在)に基づくハイスループットジェノタイピングアッセイは、インデルについて植物、種子又は植物部分の集団のゲノムDNAをスクリーニングするために開発された。
図4は、ClD14野生型アレル(配列番号6;「24ヌクレオチドの欠失」)及び突然変異/修飾アレル(配列番号5、「24ヌクレオチドの挿入」)のゲノム配列を示す。
【0207】
2つのフォワード及び1つのリバースPCRプライマーを設計するように使用された、インデルを含む2つの配列が配列番号13(「欠失」配列、すなわち野生型アレル)及び配列番号14(「挿入配列」、すなわち突然変異アレル)に示される。これらは、アレルの逆鎖(-鎖)の配列である。順鎖(プラス鎖)は、配列番号6(野生型ゲノム配列)及び配列番号5(挿入を有する突然変異ゲノム配列)及びさらに
図4に示される。
【0208】
しかしながら、D14遺伝子の任意の突然変異アレル、例えば、表A若しくは表2に示される任意の突然変異体又はClD14遺伝子の他の突然変異アレルのための同様のジェノタイピングアッセイが開発され得る(本明細書に包含される)。
【0209】
したがって、一態様では、スイカ植物、種子、植物部分、細胞又は組織をジェノタイピングするためのジェノタイピングアッセイであって、
a)1つ以上のスイカ植物又は植物の集団のゲノムDNAを提供する工程と、
b)配列番号6(又はその相補鎖)の野生型アレルの存在及び/又は突然変異アレルの存在を検出するジェノタイピングアッセイを実施する工程であって、突然変異アレルは、配列番号6に対して挿入、欠失、置換又は重複された1つ以上のヌクレオチドを含む、工程と、任意選択的に、
c)野生型アレルの2コピー、又は野生型アレルの1コピー及び突然変異アレルの1コピー、又は突然変異アレルの2コピーのいずれかを含む植物、種子、植物部分、細胞又は組織を選択する工程と
を含むジェノタイピングアッセイが提供される。
【0210】
工程b)において、突然変異アレルの突然変異は、好ましくは、野生型タンパク質と比べて1つ以上のアミノ酸を挿入、欠失又は置換させる。
【0211】
一態様では、スイカ植物、植物部分、細胞又は組織をジェノタイピングするジェノタイピングアッセイであって、
a)1つ以上のスイカ植物又は植物の集団(例えば、育種集団、F2集団、戻し交配集団など)のゲノムDNAを提供する工程と、
b)配列番号2のタンパク質をコードする野生型アレルの存在及び/又は突然変異アレルの存在を検出するジェノタイピングアッセイを実施する工程であって、突然変異アレルは、配列番号2と比べて挿入、欠失、置換又は重複された1つ以上のアミノ酸を含む、工程と、任意選択的に、
c)野生型アレルの2コピー、又は野生型アレルの1コピー及び突然変異アレルの1コピー、又は突然変異アレルの2コピーのいずれかを含む植物、種子、植物部分、細胞又は組織を選択する工程と
を含むジェノタイピングアッセイが提供される。
【0212】
工程a)は、ジェノタイピングアッセイで分析される植物、種子、植物部分、細胞又は組織からのゲノムDNAの単離を含み得る。多くの場合、当技術分野で公知であるように、粗DNA抽出方法が使用され得る。
【0213】
工程b)は、好ましくは、アレル特異的プライマー及び/又はアレル特異的プローブを利用する両アレルジェノタイピングアッセイを含む。
【0214】
工程a)の植物は、例えば、化学的若しくは放射線突然変異原又は遺伝子編集技術を用いて突然変異誘発され得る。したがって、工程a)前に、植物、種子若しくは植物部分を突然変異誘発剤で処理する工程又はClD14アレルにおける標的化突然変異を誘発する工程があり得る。
【0215】
インデル及びSNPを検出することができ、ゲノムDNA(8番染色体上のClD14遺伝子座における)中に存在する配列番号6の野生型アレル又はゲノムDNA中に存在するClD14遺伝子の突然変異アレルを区別することができる限り、様々なジェノタイピングアッセイが使用され得る。ジェノタイピングアッセイは、一般に、PCR又は熱サイクル処理反応(ポリメラーゼ連鎖反応)において野生型又は突然変異アレルのいずれかを増幅し、増幅産物を検出するために使用されるアレル特異的プライマーに基づくか、又は野生型アレル若しくは突然変異アレルのいずれか又は両方にハイブリダイズするアレル特異的オリゴヌクレオチドプローブに基づく。例えば、BHQplusプローブによるジェノタイピングは、2つのアレル特異的プローブ及び多型の領域に隣接する2つのプライマーを使用し、熱サイクル処理中、ポリメラーゼは、DNAに結合したアレル特異的プローブに遭遇し、蛍光シグナルを放出する。アレルの区別は、2つのアレル特異的BHQPlusプローブの競合的結合を含む(biosearchtech.comも参照されたい)。
【0216】
ジェノタイピングアッセイの例には、競合的アレル特異的PCR及びエンドポイント蛍光検出をベースとするKASPアッセイ(LGCによる、www.LGCgenomics.com及びさらにwww.biosearchtech.com/products/pcr-kits-and-reagents/genotyping-assays/kasp-genotyping-chemistryを参照されたい)、同様にPCRベースであるTaqManアッセイ(Applied Biosytstems)、HRMアッセイ(高分解能融解アッセイ)(ここで、アレル特異的プローブは、リアルタイムPCRを用いて検出される)又はRnase H2依存的PCRをベースとするrhAmpアッセイ、BHQplusジェノタイピング、BHQplex CoPrimerジェノタイピング及びその他多くのものがある。
【0217】
KASPアッセイは、He C,Holme J,Anthony J.‘SNP genotyping:the KASP assay.Methods Mol Biol.2014;1145:75-86’及び欧州特許第1726664B1号明細書又は米国特許第7615620 B2号明細書(参照により援用される)にも記載されている。KASPジェノタイピングアッセイは、ヌクレオチドレベルで起こっている遺伝的変異の同定及び測定のための新規な均一な蛍光ベースのレポーターシステムと組み合わせて独自の形態の競合的アレル特異的PCRを利用して、一塩基変異多型(SNP)又は挿入及び欠失(インデル)を検出する。KASP技術は、様々な機器プラットフォームで使用するのに好適であり、分析することが可能なSNPの数及びサンプルの数の点で柔軟性を提供する。KASP化学は、96ウェル、384ウェル及び1,536ウェルマイクロタイタープレートフォーマットにおいても同様に良好に機能し、ヒト、動物及び植物遺伝学の分野にわたり、使用者によって大規模及び小規模の実験室で長年にわたって利用されている。
【0218】
TaqManジェノタイピングアッセイは、Woodward J.‘Bi-allelic SNP genotyping using the TaqMan(登録商標)assay.’ Methods Mol Biol.2014;1145:67-74、米国特許第5210015号明細書及び米国特許第5487972号明細書(参照により本明細書に援用される)にも記載されている。TaqMan(登録商標)技術では、アレル特異的プローブは、公知の多型部位の迅速且つ高信頼性のジェノタイピングに用いられる。TaqManアッセイは、一塩基変異多型、挿入/欠失及び変異体の有無を含む複数の変異型のジェノタイピングにおいてロバストである。単一の両アレル多型を問い合わせるために、異なるフルオロフォアで標識された2つのTaqManプローブは、周囲の標的領域のPCRベースの増幅中に異なるアレルにハイブリダイズするように設計される。PCRのプライマー伸長段階中、Taqポリメラーゼの5’-3’エキソヌクレアーゼ活性により、結合プローブからフルオロフォアが切断され、放出される。PCRの終了時に、各フルオロフォアの発光強度が測定され、問い合わされた部位におけるアレルの決定が行われ得る。
【0219】
したがって、配列番号2のタンパク質をコードするClD14遺伝子の野生型アレル又はClD14遺伝子の突然変異アレルの存在を区別し得る様々なジェノタイピングアッセイが使用され得る。ClD14遺伝子の様々な突然変異アレルが検出され得る。したがって、配列番号1のタンパク質(24ヌクレオチドの重複のため、8つのさらなるアミノ酸を含む)をコードする突然変異アレルのみならず、このアッセイは、例えば表A又は表2などに記載されるような任意の突然変異アレルなどのClD14遺伝子の任意の他の突然変異アレルを検出するように設計され得る。
【0220】
記載されるように、好ましくは、両アレルジェノタイピングアッセイ、例えば、KASPアッセイ、TaqManアッセイ、BHQplusアッセイ、PACEジェノタイピング(ワールドワイドウェブのidtdna.com/pages/products/qpcr-and-pcr/genotyping/pace-snp-genotyping-assaysを参照されたい)又は任意の他の両アレルジェノタイピングアッセイが使用され得る。
【0221】
一態様では、上記の方法の工程b)におけるジェノタイピングアッセイは、KASPアッセイである。したがって、工程b)において、競合的PCRは、2つのフォワードプライマー及び1つの共通のリバースプライマーを用いて行われる。2つのフォワードプライマーは、配列番号6(又はその相補鎖)に相補的な少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20ヌクレオチドを含む。さらに、2つのフォワードプライマーは、アレルの野生型配列を突然変異配列と区別するSNP又はインデルに対する特異性を提供する1、2、3又はそれを超えるヌクレオチドを(好ましくはプライマーの3’末端に)含む。2つのフォワードプライマーは、それにより、野生型アレル又は突然変異アレルのいずれかに対する異なる結合特異性(又は優先度)を有する。例えばFam-プライマーは、野生型配列の17ヌクレオチド及び挿入アレルに特異的な1ヌクレオチドを含み、実施例におけるVIC-プライマーは、野生型アレルの18ヌクレオチド及び「欠失」アレルに特異的な1ヌクレオチドを含む。KASPアッセイは、配列番号6の野生型アレルと、挿入、欠失又は置換された1つ以上のヌクレオチドが野生型アレルと異なるClD14遺伝子の任意の突然変異アレルとを区別するように容易に設計され得、したがって、例えば、このアッセイは、2つのアレルを区別する任意のSNP又はインデル用に設計され得る。
【0222】
例えば、実施例に記載されるKASPアッセイなどのジェノタイピングアッセイは、二倍体スイカ植物及び植物部分について記載されるのと同じように、三倍体又は四倍体スイカ植物及び植物部分における突然変異及び/又は野生型ClD14アレルを検出するためにも実施され得ることが注記される。
【0223】
一態様では、ClD14遺伝子の突然変異アレルは、配列番号2の野生型タンパク質と比べて挿入、重複、置換又は欠失された1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質をコードする。
【0224】
一態様では、ClD14遺伝子の突然変異アレルは、配列番号2のタンパク質と比較して切断されたタンパク質をコードし、例えば少なくとも8、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100又はそれを超えるアミノ酸がC末端又は任意選択的にN末端において欠失している。
【0225】
一態様では、ClD14遺伝子の突然変異アレルは、配列番号2のタンパク質と比較して欠失又は置換された1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質をコードし、例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超えるアミノ酸が欠失されるか又は1つ以上の異なるアミノ酸で置換される。
【0226】
別の態様では、ClD14遺伝子の突然変異アレルは、配列番号2のタンパク質と比較して挿入又は重複された1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質をコードし、例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれを超えるアミノ酸が挿入又は重複される。一態様では、配列番号2のアミノ酸94~アミノ酸101の少なくとも1つ以上のアミノ酸が重複され、好ましくは、少なくともS97が重複される。一態様では、配列番号2のアミノ酸94~101の少なくとも2、3、4、5、6、7又は8つの連続したアミノ酸が重複され、好ましくは、連続したアミノ酸は、S97を含む。
【0227】
したがって、一実施形態において、ClD14と命名された遺伝子(キトルルス・ラナトゥス(Citrullus lanatus)Dwarf14)の野生型アレル及び/又は突然変異アレルの少なくとも1つのコピーを含むスイカ植物、種子又は植物部分を検出及び任意選択的に選択する方法であって、
a)スイカ植物又は複数の植物(例えば、育種集団、F2、戻し交配など)のゲノムDNAを提供することと、
b)核酸増幅(例えば、アレル特異的オリゴヌクレオチドプライマーの使用を含む)及び/又は核酸ハイブリダイゼーション(例えば、アレル特異的オリゴヌクレオチドプローブの使用を含む)に基づいて、a)のゲノムDNA中のアレルの存在を区別する又は区別し得るアッセイ(例えば、両アレルジェノタイピングアッセイ)を実施して、遺伝子の野生型アレル及び/又は遺伝子の突然変異アレルの存在を検出することであって、野生型アレルは、配列番号6の配列を含み(又は野生型アレルは、配列番号2のタンパク質をコードし)、突然変異アレルは、配列番号6の配列に対して挿入、重複、欠失又は置換された1つ以上のヌクレオチドを含む(又は突然変異アレルは、配列番号2の野生型タンパク質と比べて挿入、重複、欠失又は置換された1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質をコードする)、検出することと、任意選択的に、
c)突然変異アレルの1又は2つのコピーを含む植物、種子又は植物部分を選択することと
を含む方法が提供される。
【0228】
工程b)において、ジェノタイピングアッセイは、例えば、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)及びPCRプライマー、好ましくはアレル特異的プライマーなど、オリゴヌクレオチドプライマーを利用する核酸(特にDNA)増幅反応及び/又はオリゴヌクレオチドプローブ、好ましくはアレル特異的プローブを利用する核酸ハイブリダイゼーションに基づいて野生型及び突然変異アレルを区別する。
【0229】
プライマー又はプローブは、好ましくは、標識、例えば蛍光標識を含むか又はテール配列又は他の修飾を含むように修飾される。
【0230】
一態様では、上記の方法のいずれかにおいて、アッセイは、1つ以上のClD14アレル特異的プライマー又は1つ以上のClD14アレル特異的プローブを使用する。記載されるように、配列番号6のゲノム配列又は配列番号2のタンパク質をコードする他の(例えば、縮重)ゲノム配列又は例えば配列番号2と比較して挿入、重複、欠失又は置換された1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質をコードする突然変異アレルのゲノム配列に基づいて、PCRプライマー及び核酸プローブは、オリゴヌクレオチド設計のための公知の方法又はソフトウェアプログラムを用いて設計され得る。プライマー及びプローブは、例えば少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又はそれを超えるヌクレオチド(塩基)長であり得、鋳型DNA配列にアニールし(又はそれにハイブリダイズし)、すなわち、それらは、好ましくは、標的配列との少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する。野生型アレル又は突然変異アレルに対するプライマー又はプローブ特異性は、プライマー又はプローブの少なくとも1、2、3又はそれを超えるヌクレオチドがいずれかのアレルに特異的であることに起因する。したがって、プライマー又はプローブは、標的遺伝子の2つのアレル間の多型(例えば、SNP又はインデル)として設計され、そのため、それらはこれらを区別する。一態様では、アッセイは、例えば、KASPアッセイ、TaqManアッセイ、BHQplusプローブアッセイ又は任意の他の両アレルジェノタイピングアッセイから選択される両アレルジェノタイピングアッセイである。
【0231】
一態様では、突然変異アレルは、アレルのコード領域に挿入若しくは重複された少なくとも1つのコドン、又は(例えば、一塩基変化によって)別のコドンに変化された少なくとも1つのコドン、又は欠失されるか若しくは終止コドンに変化された少なくとも1つのコドンを含む。
【0232】
上記の方法のいずれかにおいて、一態様では、突然変異アレルは、配列番号5の配列を含み、すなわち24ヌクレオチドの挿入/重複を含み、タンパク質中の8つのアミノ酸の重複をもたらす。したがって、一態様では、本方法は、配列番号2のタンパク質をコードする野生型ClD14アレルの2コピー、配列番号1のタンパク質をコードする突然変異ClD14アレルの2コピー又は各アレル(ヘテロ接合)の1コピーを含む植物、種子又は植物部分を区別するために使用され得る。任意選択的に、これらの遺伝子型のいずれかを含む植物、植物部分又は種子は、例えば、さらなる育種のため又はスイカ産生に使用するために選択され得る。
【0233】
上記の方法のいずれかにおいて、別の態様では、突然変異アレルは、本明細書、例えば表A又は表2に記載される突然変異タンパク質をコードする。したがって、一態様では、本方法は、配列番号2のタンパク質をコードする野生型ClD14アレルの2コピー、本明細書、例えば表A又は表2に記載される突然変異タンパク質をコードする突然変異ClD14アレルの2コピー又は各アレル(ヘテロ接合)の1コピーを含む植物、種子又は植物部分を区別するために使用され得る。任意選択的に、これらの遺伝子型のいずれかを含む植物、植物部分又は種子は、例えば、さらなる育種のため又はスイカ産生に使用するために選択され得る。
【0234】
したがって、一態様では、上記の方法のいずれかにおいて、突然変異アレルは、記載されるように、機能喪失タンパク質又は機能低下タンパク質をコードする。
【0235】
PCRベース(PCRプライマーを使用する)であれ、且つ/又はハイブリダイゼーションベース(プローブを使用する)であれ、任意のDNAジェノタイピングアッセイが上記の方法で使用され得るが、一態様では、KASPアッセイが野生型及び突然変異アレルを区別するために使用される。このアッセイは、ハイスループット方式で例えば96ウェルプレート又はそれを超えるウェルプレート(例えば、384ウェルプレート)において使用され得る。
【0236】
野生型及び突然変異ClD14アレル間のSNP又はインデルに応じて、様々なアレル特異的プライマー及びプローブがアッセイで使用するために設計され得る。
【0237】
一態様では、2つのフォワードプライマー(1つが野生型アレル用及び1つが突然変異アレル用)及び1つの共通のリバースプライマー(野生型及び突然変異アレルの両方用)がKASPアッセイで使用される。一態様では、2つのフォワードプライマー及びリバースプライマーは、配列番号6又は配列番号6の相補配列の少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又はそれを超えるヌクレオチドを含む。フォワードプライマーは、野生型アレルの増幅又は突然変異アレルの増幅のいずれかに対する特異性(又は優先度)を付与する少なくとも1、2又は3ヌクレオチドを(好ましくはプライマーの3’末端に)さらに含む。各フォワードプライマーは、共通のリバースプライマーとプライマー対を形成して、熱サイクル処理中、プライマー対間の標的アレルのDNA配列を増幅する。熱サイクル処理のための標準的な構成要素が使用され、KASPアッセイのための標準的な構成要素が使用される。
【0238】
一態様では、KASPアッセイは、ClD14アレルに見られるインデルを区別し、すなわち、KASPアッセイは、スイカゲノムにおいて、ホモ接合体において配列番号6(ClD14野生型、通常の分枝性アレル)ののゲノムDNAの存在、ホモ接合体において配列番号5(挿入を有するClD14アレル、多分枝アレル)の存在並びに配列番号6及び配列番号5の両方の存在を区別し得る。異なるフォワード及びリバースプライマーは、アッセイでアレルの区別を達成するように設計され得る。
【0239】
一態様では、フォワードプライマーは、配列番号10及び/若しくは配列番号11の配列又はこれらのいずれかの相補配列を含む。一態様では、共通のプライマーは、任意選択的に、配列番号12の配列又はその相補配列を含む。
【0240】
一態様では、プライマーは、配列番号10(フォワードプライマー)、配列番号11(フォワードプライマー)及び配列番号12(共通のプライマー)又は配列番号10、配列番号11若しくは配列番号12或いはこれらの配列のいずれか1つの相補配列との少なくとも95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を含む配列の1つ以上を含む。
【0241】
別の実施形態において、ClD14と命名された遺伝子(キトルルス・ラナトゥス(Citrullus lanatus)Dwarf14)の野生型アレル及び/又は突然変異アレルのハイブリダイゼーション産物又は増幅産物を産生する方法であって、
a)スイカ植物又は複数の植物(例えば、育種集団、F2、戻し交配など)のゲノムDNAを提供することと、
b)a)のゲノムDNA中のアレルの存在を区別する又は区別し得るアッセイ(例えば、両アレルジェノタイピングアッセイ)を実施することであって、アッセイにより、核酸増幅産物が生成され(例えば、この産物を生成するためにアレル特異的オリゴヌクレオチドプライマーを使用することによって)、且つ/又はアッセイにより、核酸ハイブリダイゼーション産物が生成され(例えば、ハイブリダイゼーション産物を生成するためにアレル特異的オリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、それにより、増幅産物又はハイブリダイゼーション産物は、DNA中の遺伝子の野生型アレル及び/又は遺伝子の突然変異アレルの存在を示し、野生型アレルは、配列番号6の配列を含み(又は野生型アレルは、配列番号2のタンパク質をコードし)、突然変異アレルは、配列番号6の配列に対して挿入、重複、欠失又は置換された1つ以上のヌクレオチドを含む(又は突然変異アレルは、配列番号2の野生型タンパク質と比べて挿入、重複、欠失又は置換された1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質をコードする)、実施することと、任意選択的に、
c)突然変異アレルの1又は2つのコピーを含む植物、種子又は植物部分を選択することと
を含む方法が提供される。
【0242】
スイカ植物、植物部分又は種子に由来するゲノムDNAサンプルからの突然変異及び/又は野生型ClD14アレルの全て又は一部を増幅する方法であって、ゲノムDNAを、サンプル中の突然変異ClD14又は野生型ClD14アレルの全て又は一部を増幅するプライマー対と接触させることと、増幅産物を検出することとを含む方法も提供される。
【0243】
スイカ植物、植物部分又は種子に由来するゲノムDNAサンプル中の突然変異及び/又は野生型ClD14アレルにプローブをハイブリダイズする方法であって、サンプル中の突然変異ClD14又は野生型ClD14アレルにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブとゲノムDNAを接触させることと、ハイブリダイゼーション産物を検出することとを含む方法も提供される。
【0244】
上記及び本明細書の他の箇所に記載される全ての実施形態も、これらの実施形態に適用される。したがって、増幅産物は、DNAサンプル中の突然変異アレル及び/又は野生型アレルを検出するために、例えばKASPアッセイ又は他のアッセイで生成されたPCR増幅産物、例えば競合的PCR増幅産物であり得る。したがって、ハイブリダイゼーション産物は、DNAサンプル中の核酸にハイブリダイズして、DNAサンプル中の突然変異アレル及び/又は野生型アレルを検出するオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーション産物であり得る。プライマー対又はプローブは、好ましくは、アレル特異的であり、したがって、これらの産物は、野生型アレルの2コピー、突然変異アレルの2コピー又は各々の1コピーのいずれかがスイカ植物、植物部分又は種子のゲノムDNA中に存在するものとして区別可能である。
【0245】
プライマー又はプローブは、好ましくは、それらが増幅する又はハイブリダイズする野生型配列と比べて、テール配列若しくは蛍光標識によって修飾され、例えば標識されているか又は他の方法で修飾されている。
【0246】
記載される方法は、植物、植物部分又は種子のゲノムDNA中の突然変異アレル及び/又は野生型アレルの検出を必要とするため、ゲノムDNAは、検出に利用可能である必要があり、例えば、それは、DNA抽出方法を用いて植物細胞から抽出され得るか、又は少なくとも損傷した細胞から溶液(例えば、緩衝液)中に溶出され得る。
【0247】
他のウリ科(Cucurbitaceae)のオルソログ遺伝子が本明細書で提供されるため、上記の方法は、他のD14遺伝子及び他の種、特にキュウリ及びメロンにおけるアレルにも適用され得る。
【0248】
したがって、一態様では、スイカ、キュウリ又はメロン植物、種子、植物部分、細胞又は組織をジェノタイピングするためのジェノタイピングアッセイであって、
a)1つ以上のスイカ、キュウリ又はメロン植物又は植物の集団(例えば、育種集団、F2集団、戻し交配集団など)のゲノムDNAを提供する工程と、
b)配列番号6の若しくはそれと少なくとも95%の同一性を含む(スイカ遺伝子)、又は配列番号15の若しくはそれと少なくとも95%の同一性を含む(キュウリ遺伝子)、又は配列番号16の若しくはそれと少なくとも95%の同一性を含む(メロン遺伝子)野生型アレルの存在及び/又は突然変異アレルの存在を検出することができるか又は検出するジェノタイピングアッセイを実施する工程であって、突然変異アレルは、配列番号6(又はそれと少なくとも95%の同一性を含む野生型配列と比べて)、配列番号15(又はそれと少なくとも95%の同一性を含む野生型配列と比べて)又は配列番号16(又はそれと少なくとも95%の同一性を含む野生型配列と比べて)と比べて挿入、欠失、置換又は重複された1つ以上のヌクレオチドを含む、工程と、任意選択的に、
c)野生型アレルの2コピー、又は野生型アレルの1コピー及び突然変異アレルの1コピー、又は突然変異アレルの2コピーのいずれかを含む植物、種子、植物部分、細胞又は組織を選択する工程と
を含むジェノタイピングアッセイが提供される。
【0249】
一態様では、スイカ、メロン又はキュウリ植物、種子、植物部分、細胞又は組織をジェノタイピングするジェノタイピングアッセイであって、
a)1つ以上のスイカ、キュウリ又はメロン植物又は植物の集団(例えば、育種集団、F2集団、戻し交配集団など)のゲノムDNAを提供する工程と、
b)配列番号2のタンパク質若しくはそれと少なくとも95%の配列同一性を含むタンパク質(スイカ野生型ClD14タンパク質)、又は配列番号8若しくはそれと少なくとも95%の配列同一性を含むタンパク質(キュウリ野生型ClD14タンパク質)、又は配列番号9若しくはそれと少なくとも95%の配列同一性を含むタンパク質(メロン野生型ClD14タンパク質)をコードする野生型アレルの存在及び/又は突然変異アレルの存在を検出することができる(又は検出する)ジェノタイピングアッセイを実施する工程であって、突然変異アレルは、配列番号2(又はそれと少なくとも95%の同一性を含む野生型配列と比べて)、又は配列番号8(又はそれと少なくとも95%の同一性を含む野生型配列と比べて)、又は配列番号9(又はそれと少なくとも95%の同一性を含む野生型配列と比べて)と比べて挿入、欠失、置換又は重複された1つ以上のアミノ酸を含む、工程と、任意選択的に、
c)野生型アレルの2コピー、又は野生型アレルの1コピー及び突然変異アレルの1コピー、又は突然変異アレルの2コピーのいずれかを含む植物、種子、植物部分、細胞又は組織を選択する工程と
を含むジェノタイピングアッセイが提供される。
【0250】
したがって、ClD14と命名された遺伝子(キトルルス・ラナトゥス(Citrullus lanatus)Dwarf14)、CsD14(ククミス・サティブス(Cucumis sativus)Dwarf14)又はCmD14(ククミス・メロ(Cucumis melo)Dwarf14)の野生型アレル及び/又は突然変異アレルの少なくとも1つのコピーを含むスイカ、キュウリ又はメロン植物、種子又は植物部分を検出及び任意選択的に選択する方法であって、
a)核酸増幅及び/又は核酸ハイブリダイゼーションに基づいて、D14アレルを検出又は区別する少なくとも1つの植物から得られるゲノムDNAサンプルに対するアッセイを実施して、遺伝子の野生型アレル及び/又は遺伝子の突然変異アレルの存在を検出することであって、野生型アレルは、配列番号2のタンパク質又はそれと少なくとも95%の配列同一性を含むタンパク質(スイカにおける)、配列番号8又はそれと少なくとも95%の配列同一性を含むタンパク質(キュウリにおける)及び配列番号9又はそれと少なくとも95%の配列同一性を含むタンパク質(メロンにおける)をコードし、突然変異アレルは、配列番号2(又はそれと少なくとも95%の同一性を含む野生型配列と比べて)、配列番号8(又はそれと少なくとも95%の同一性を含む野生型配列と比べて)又は配列番号9(又はそれと少なくとも95%の同一性を含む野生型配列と比べて)と比べて挿入、欠失又は置換された1つ以上のアミノ酸を含む、検出することと、任意選択的に、
b)突然変異アレルの1又は2つのコピーを含む植物、種子又は植物部分を選択することと
を含む方法が提供される。
【0251】
さらに、D14遺伝子の遺伝子型を決定し、且つ任意選択的に特定の遺伝子型、例えばClD14と命名された遺伝子(キトルルス・ラナトゥス(Citrullus lanatus)Dwarf14)、CsD14(ククミス・サティブス(Cucumis sativus)Dwarf14)又はCmD14(ククミス・メロ(Cucumis melo)Dwarf14)の野生型アレル及び/又は突然変異アレルの少なくとも1つのコピーを含むスイカ、キュウリ又はメロン植物、種子又は植物部分を選択する方法であって、
a)1つ以上の植物から得られた1つ以上のゲノムDNAサンプルに対して両アレルジェノタイピングアッセイを実施することであって、前記ジェノタイピングアッセイは、アレル特異的プライマー又はアレル特異的プローブが遺伝子の野生型アレル又は遺伝子の突然変異アレルの存在を検出するD14アレル特異的プライマー及び/又はD14アレル特異的プローブに基づいて、D14アレルを検出又は区別し、野生型アレルは、配列番号2のタンパク質又はそれと少なくとも95%の配列同一性を含むタンパク質(スイカにおける)、配列番号8又はそれと少なくとも95%の配列同一性を含むタンパク質(キュウリにおける)及び配列番号9又はそれと少なくとも95%の配列同一性を含むタンパク質(メロンにおける)をコードし、突然変異アレルは、配列番号2(又はそれと少なくとも95%の同一性を含む野生型配列と比べて)、配列番号8(又はそれと少なくとも95%の同一性を含む野生型配列と比べて)又は配列番号9(又はそれと少なくとも95%の同一性を含む野生型配列と比べて)と比べて挿入、欠失又は置換された1つ以上のアミノ酸を含む、実施することと、任意選択的に、
b)突然変異アレルの1又は2つのコピーを含む1つ以上の植物、種子又は植物部分を選択することと
を含む方法が提供される。
【0252】
このようなアッセイは、例えば、D14遺伝子の野生型アレル(通常の二次分枝を有する)に対してホモ接合性である、D14アレル突然変異アレルに対してホモ接合性又はヘテロ接合性である、特定の遺伝子型を含む植物を選択するために、例えば育種プログラムにおける植物のマーカー支援選択(MAS)に使用され得る。
【0253】
したがって、スイカ、キュウリ又はメロン植物を育種する方法も本明細書で提供され、前記方法は、ゲノム中のD14遺伝子座におけるアレル組成について1つ以上の植物をジェノタイピングすることと、任意選択的にD14遺伝子座に特定の遺伝子型を有する1つ以上の植物を選択することとを含む。一態様では、ジェノタイピングバイシーケンシングもD14遺伝子について行われ得る。
【0254】
記載されるように、任意選択的に、突然変異D14アレルの2コピーを含む植物又は種子は、成長され、二次分枝表現型についてフェノタイピングされ得る。突然変異アレルは、一態様では、ホモ接合体において、多分枝/増加した二次分枝を付与する突然変異アレルである。一態様では、突然変異アレルは、ホモ接合体である場合、「完全な多分枝」を付与する。別の態様では、突然変異アレルは、ホモ接合体である場合、「中間の多分枝」を付与する。したがって、突然変異アレルは、置換、挿入又は欠失された1つ以上のヌクレオチドを含み得、それにより、コードされたタンパク質は、機能喪失を有するか、又はアレルは、植物において発現されず、突然変異アレルがホモ接合体である場合、「完全な多分枝」をもたらすか、又は突然変異アレルは、置換、挿入又は欠失された1つ以上のヌクレオチドを含み得、それにより、コードされたタンパク質は、機能低下を有するか、又はアレルは、植物において低下した発現を有し、突然変異アレルがホモ接合体である場合、「中間の多分枝」をもたらす。
【0255】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、配列番号8及び配列番号9のIPR000073ドメインの少なくとも1つのアミノ酸(又はこれらのいずれかとの少なくとも95%の同一性を含むタンパク質中の同等のアミノ酸)を含むタンパク質が欠失されるか、又は異なるアミノ酸若しくは終止コドンで置換されているため、インビボでの機能低下又は機能喪失を有するタンパク質をコードする。別の態様では、突然変異アレルは、少なくとも1つのアミノ酸を含むタンパク質が配列番号2、配列番号8及び配列番号9のIPR000073ドメイン(又はこれらのいずれかとの少なくとも95%の同一性を含むタンパク質中の同等のアミノ酸)において挿入又は重複されているため、インビボでの機能低下又は機能喪失を有するタンパク質をコードする。
【0256】
異なる態様では、突然変異アレルは、配列番号2、配列番号8及び配列番号9のヘリカルリッドドメインの少なくとも1つのアミノ酸(又はこれらのいずれかとの少なくとも95%の同一性を含むタンパク質中の同等のアミノ酸)を含むタンパク質が欠失されるか、又は異なるアミノ酸若しくは終止コドンで置換されているため、インビボでの機能低下又は機能喪失を有するタンパク質をコードする。別の態様では、突然変異アレルは、少なくとも1つのアミノ酸を含むタンパク質が配列番号2、配列番号8及び配列番号9のドメインのヘリカルリッドドメイン(又はこれらのいずれかとの少なくとも95%の同一性を含むタンパク質中の同等のアミノ酸)において挿入又は重複されているため、インビボでの機能低下又は機能喪失を有するタンパク質をコードする。
【0257】
別の態様では、突然変異アレルは、配列番号2、配列番号8及び配列番号9の触媒三残基の少なくとも1つのアミノ酸(又はこれらのいずれかとの少なくとも95%の同一性を含むタンパク質中の同等のアミノ酸)又は触媒三残基アミノ酸の前若しくは後の1、2、3、4、5、6、7若しくは8つのアミノ酸を含むタンパク質が欠失されるか、又は異なるアミノ酸若しくは終止コドンで置換されているため、インビボでの機能低下又は機能喪失を有するタンパク質をコードする。別の態様では、突然変異アレルは、配列番号2、配列番号8及び配列番号9の触媒三残基の少なくとも1つのアミノ酸(又はこれらのいずれかとの少なくとも95%の同一性を含むタンパク質中の同等のアミノ酸)を含むタンパク質が重複されているため、又は触媒三残基アミノ酸の前若しくは後の1、2、3、4、5、6、7若しくは8つのアミノ酸の少なくとも1つが重複されているため、又は少なくとも1つのアミノ酸が触媒三残基アミノ酸の前又は後の8つのアミノ酸のストレッチに挿入されているため、インビボでの機能低下又は機能喪失を有するタンパク質をコードする。
【0258】
さらに別の態様では、突然変異アレルは、表A又は表2のタンパク質をコードする。
【0259】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、配列番号8及び配列番号9のアミノ酸94~101から選択される少なくとも1つのアミノ酸(又はこれらのいずれかとの少なくとも95%の同一性を含むタンパク質中の同等のアミノ酸)の重複を含むタンパク質をコードする。
【0260】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、配列番号8及び配列番号9の少なくともセリン97(又はこれらのいずれかとの少なくとも95%の同一性を含むタンパク質中の同等のアミノ酸)の重複を含むタンパク質をコードする。
【0261】
さらに他の態様では、突然変異アレルは、配列番号2、配列番号8又は配列番号9のアミノ酸94~101(又はこれらのいずれかとの少なくとも95%の同一性を含むタンパク質中の同等のアミノ酸)の重複を含むタンパク質をコードする。
【0262】
スイカClD14野生型及び/又は突然変異アレルを検出するためのアッセイについて上記にさらに記載される態様は、キュウリCsD14野生型及び/又は突然変異アレル又はメロンCmD14野生型及び/又は突然変異アレルを検出するためのアッセイにも適用される。
【0263】
異なる態様では、スイカにおけるClD14と命名された遺伝子、キュウリにおけるCsD14及びメロンにおけるCmD14の突然変異アレルの少なくとも1つのコピーを含むスイカ、キュウリ又はメロン植物、種子又は植物部分が提供され、前記突然変異アレルは、
a)調節要素に1つ以上の突然変異を含み、野生型アレルと比較してアレルの発現を生じないか又は低下した発現を生じ、及び/又は
b)野生型タンパク質と比較して置換、挿入、重複又は欠失された1つ以上のアミノ酸を含む突然変異タンパク質をコードするかのいずれかであり、
a)又はb)の前記突然変異アレルは、突然変異アレルがホモ接合体である場合、(ホモ接合体において野生型アレルを含む植物と比較して)発生する増加した平均数の二次分枝を付与し、野生型スイカClD14アレルは、配列番号2のタンパク質又は配列番号2との少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又はそれを超える配列同一性を含むタンパク質をコードし、野生型キュウリCsD14アレルは、配列番号8のタンパク質又は配列番号8との少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又はそれを超える配列同一性を含むタンパク質をコードし、野生型メロンCmD14アレルは、配列番号9のタンパク質又は配列番号9との少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又はそれを超える配列同一性を含むタンパク質をコードする。
【0264】
スイカの野生型機能性D14タンパク質は、配列番号2で示され、キュウリのものは配列番号8で示され、メロンのものは配列番号9で示される。しかしながら、スイカ、キュウリ及びメロン中にいくらかのアミノ酸配列変異が存在することがあり、機能性D14タンパク質は、例えば、本明細書で提供される配列番号2、配列番号8又は配列番号9と異なる少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれを超えるアミノ酸を含み得るか、又はタンパク質は、配列番号2、8又は9のタンパク質との少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は99.3%、99.4%、99.5%又は99.6%、99.7%、99.8%又は99.9%の配列同一性(例えば、Emboss-Needleを用いてはペアワイズでアラインメントされるとき)を含む。配列番号2、8又は9のD14タンパク質のこのような機能性変異体は、他の系統又は品種で存在し得る。したがって、これらのアレルは、配列が変化し得るが、植物の表現型は、野生型表現型に等しい。このような機能性変異体アレル(対立遺伝子多型)は、例えば、通常の二次分枝パターンを有する多くの異なるスイカ、キュウリ又はメロン系統又は品種のD14遺伝子をシーケンシングすることによって判明され得る。
【0265】
したがって、一態様では、配列番号2、8又は9のタンパク質の機能性変異体は、(例えば、デフォルトパラメータを用いたNeedleを用いて)ペアワイズでアラインメントされるとき、配列番号2、8又は9のタンパク質との少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は99.3%、99.4%、99.5%又は99.6%、99.7%、99.8%又は99.9%の配列同一性を含むタンパク質である。
【0266】
一態様では、D14と命名された遺伝子の突然変異アレルの少なくとも1つのコピーを含むスイカ、キュウリ又はメロン植物、種子又は植物部分が提供され、前記突然変異アレルは、
a)配列番号2、8若しくは9のアミノ酸94から開始し、アミノ酸101で終了する領域又は配列番号2、8若しくは9との少なくとも95%の配列同一性を含む変異体D14タンパク質中の同等のアミノ酸、
b)配列番号2、8若しくは9のアミノ酸22から開始し、アミノ酸259で終了するIPR000073ドメインの領域又は配列番号2、8若しくは9との少なくとも95%の配列同一性を含む変異体D14タンパク質中の同等のアミノ酸、
c)配列番号2、8若しくは9のアミノ酸136から開始し、アミノ酸193で終了するヘリカルリッドドメインドメインの領域又は配列番号2、8若しくは9との少なくとも95%の配列同一性を含む変異体D14タンパク質中の同等のアミノ酸、
d)触媒三残基アミノ酸又は配列番号2、8若しくは9の触媒三残基アミノ酸S97、D218及びH247の前若しくは後の1、2、3、4、5、6、7若しくは8つのアミノ酸又は配列番号2、8若しくは9との少なくとも95%の配列同一性を含む変異体D14タンパク質中の同等のアミノ酸
から選択されるタンパク質の領域において、挿入、重複、欠失又は置換された1つ以上のアミノ酸を含む突然変異タンパク質をコードし、
前記突然変異アレルは、突然変異アレルがホモ接合体である場合、発生する二次分枝の(有意に)増加した平均数を付与し、好ましくは突然変異アレルがホモ接合体である場合に中間の多分枝又は完全な多分枝表現型を付与する。
【0267】
「から開始する」及び「で終了する」又は「から」及び「への」という用語は、記載される最初及び最後のアミノ酸を含む。
【0268】
a)において、配列番号2、8又は9のアミノ酸94から開始し、アミノ酸101で終了する、タンパク質の領域における1つ以上のアミノ酸の挿入、重複、欠失及び/又は置換は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7又は8つのアミノ酸、好ましくは、少なくともS97の挿入、重複、欠失及び/又は置換であり得る。
【0269】
一態様では、アミノ酸94~101の少なくとも1、2、3、4、5、6、7又は8つの連続したアミノ酸は、好ましくは、少なくともS97の重複、欠失又は置換を含めて重複、欠失又は置換される。一態様では、突然変異アレルは、H96(ヒスチジン96)及びS97(セリン97);又はS97(セリン97)及びV98(バリン98);又はH96(ヒスチジン96)、S97(セリン97)及びV98(バリン98);又はG95(グリシン95)、H96(ヒスチジン96)、S97(セリン97)、V98(バリン98)及びS99(セリン99);又はV94(バリン94)、G95(グリシン95)、H96(ヒスチジン96)、S97(セリン97)、V98(バリン98)、S99(セリン99)及びA100(アラニン100);又はV94(バリン94)、G95(グリシン95)、H96(ヒスチジン96)、S97(セリン97)、V98(バリン98)、S99(セリン99)、A100(アラニン100)及びM101(メチオニン101)の重複又は欠失又は置換を含む。
【0270】
別の態様では、D14と命名された遺伝子の突然変異アレルの少なくとも1つのコピーを含むスイカ、キュウリ又はメロン植物、種子又は植物部分が提供され、前記突然変異アレルは、配列番号2、8若しくは9のアミノ酸197から開始し、アミノ酸249で終了するタンパク質の領域又は配列番号2、8又は9との少なくとも95%の配列同一性を含む変異体D14タンパク質中の同等のアミノ酸における挿入、重複、欠失又は置換された1つ以上のアミノ酸を含む突然変異タンパク質をコードし、前記突然変異アレルは、突然変異アレルがホモ接合体である場合、発生する増加した平均数の二次分枝を付与する。したがって、一態様は、配列番号2、8若しくは9のアミノ酸197から開始し、アミノ酸249で終了するタンパク質の領域における1つ以上のアミノ酸の挿入、重複、欠失及び/又は置換であり、少なくとも1、2、3、4、5、6、7又は8つのアミノ酸、好ましくは、少なくともD218又はH247の挿入、重複、欠失及び/又は置換であり得る。
【0271】
さらに別の態様では、D14と命名された遺伝子の突然変異アレルの少なくとも1つのコピーを含むスイカ、キュウリ又はメロン植物、種子又は植物部分が提供され、前記突然変異アレルは、配列番号2、8若しくは9又は変異体D14タンパク質又は配列番号2、8若しくは9との少なくとも95%の配列同一性を含むタンパク質における挿入、重複、欠失及び/又は置換された少なくとも4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200又はそれを超えるアミノ酸を含む突然変異タンパク質をコードし、前記突然変異アレルは、突然変異アレルがホモ接合体である場合、記載される修飾された表現型を付与する。したがって、突然変異D14タンパク質は、例えば、N末端又はC末端において切断されて、N末端又はC末端において前記少なくとも4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60 70、80、90、100、150、200又はそれを超えるアミノ酸を欠き得るか、又は野生型機能性D14タンパク質と比較して、任意の他の少なくとも4、5、6、7、8、9、10アミノ酸が欠失、置換又は挿入又は重複され得る。一態様では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7又は8つのアミノ酸(好ましくは連続したアミノ酸)が欠失、重複又は置換され、それにより、欠失、重複又は置換は、配列番号2、8若しくは9のS97、D218及びH247から選択される触媒三残基のアミノ酸又はこれらのいずれかの変異配列における同等のアミノ酸を含む。
【0272】
突然変異アレルは、ランダム突然変異誘発又は標的化遺伝子編集などの様々な技術によって生成され得、次に、突然変異アレルの表現型は、突然変異アレルに対してホモ接合性である植物において分析され得る。ランダム又は標的化突然変異誘発技術を用いて、任意の突然変異が生成又は再現され得、例えば、本明細書に記載される突然変異体は、デノボで容易に作出され得る。TILLINGプライマーは、例えばアレルにおける特異的突然変異のために設計され得、例えば本明細書に記載される突然変異体を含むM2植物のデノボでの同定を可能にする。品種Sidekick F1中に存在する突然変異アレルも、デノボで作出され得る。遺伝子配列が開示されている場合、種子の寄託は、実施可能要件でない。同様に、標的化遺伝子編集は、アレルにおける任意の所望の突然変異を生成するために使用され得る。
【0273】
TILLINGは、例えば、McCallum,et al.(Jun 2000).“Targeting induced local lesions IN genomes(TILLING)for plant functional genomics”.Plant Physiol.123(2):439-42に記載されている。
【0274】
一態様では、ClD14遺伝子の突然変異アレルは、品種Sidekick F1中に存在する突然変異アレルではなく、異なる突然変異アレルであり、例えば1つ以上のヌクレオチドが異なり得るが、例えば遺伝子コードの縮退のため、コードされた突然変異タンパク質は、依然として同じであり得るか(すなわち配列番号1のタンパク質)、又は1つ以上のアミノ酸が配列番号1と比較して異なり得る(すなわち突然変異タンパク質のペアワイズアラインメントが配列番号1との100%の配列同一性を生じない)。例えば、8つのアミノ酸の重複の代わりに、5、6若しくは7つのみのアミノ酸が重複され得るか;又は9、10若しくは11のアミノ酸が重複され得る。別の態様では、ClD14遺伝子の突然変異アレルは、品種Sidekick F1中の突然変異アレルと同一であるが、CRISPRベースの技術などの突然変異誘発技術によってデノボで誘発される。
【0275】
野生型機能性タンパク質の1つ以上のアミノ酸の挿入、欠失及び/又は置換をもたらすClD14、CsD14又はCmD14遺伝子における任意の突然変異アレルは、低下した機能を有するか又は機能を有さない突然変異タンパク質をもたらし得、したがって突然変異アレルがホモ接合体である場合、発生するはるかに多い二次分枝の表現型をもたらし得る。このような突然変異アレルを含む植物及び植物部分は、本明細書における一実施形態である。
【0276】
「同等のアミノ酸」は、例えばEmboss Needle(デフォルトパラメータ)を用いて、ペアワイズアミノ酸配列アラインメントによって容易に決定され得る。
【0277】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8若しくは9のアミノ酸番号S97、D218若しくはH247又は配列番号2、8若しくは9との少なくとも95%、96%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を含むタンパク質中の同等のアミノ酸のコドンの重複又は挿入を含むタンパク質をコードする。
【0278】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8若しくは9のアミノ酸番号94~101又は配列番号2、8若しくは9との少なくとも95%、96%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を含むタンパク質中の同等のアミノ酸の1つ以上のコドンの重複又は挿入を含むタンパク質をコードする。
【0279】
コドンの突然変異は、例えば異なるアミノ酸をコードする例えば異なるリーディングフレーム又は異なるコドン又は終止コドンをもたらす、コドンにおける(少なくとも1つの)ヌクレオチド挿入、欠失又は置換であり得る。コドン全体も欠失されるか又は異なるコドン(又は任意選択的に終止コドン)で置換されて、コードされたアミノ酸の欠失又はその置換のいずれかをもたらし得る。
【0280】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8若しくは9のアミノ酸番号S97、D218若しくはH247又は配列番号2、8若しくは9との少なくとも95%、96%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を含むタンパク質中の同等のアミノ酸のアミノ酸置換(置き換え)又は欠失又は終止コドンを含むタンパク質をコードする。
【0281】
一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、8若しくは9のタンパク質のC末端又は配列番号2、8若しくは9との少なくとも95%、96%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を含むタンパク質のC末端の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、113、115、120、130、140、150、160、170、180、190又は200アミノ酸の切断を含む突然変異ClD14、CsD14又はCmD14タンパク質をコードする。一態様では、配列番号2、8若しくは9のアミノ酸94、95、96又は97から開始する(及びそれを含む)か、又はアミノ酸218から開始する(及びそれを含む)か、又はアミノ酸247から開始する(及びそれを含む)全てのアミノ酸又は配列番号2、8若しくは9との少なくとも95%、96%、97%、98%若しくは99%の配列同一性を含むタンパク質中の同等のアミノ酸が欠失されるか又は1つ以上の異なるアミノ酸で置換される。
【0282】
記載されるように、スイカ、キュウリ又はメロン植物又は植物部分は、突然変異D14アレルを含み得、突然変異アレルは、ランダム突然変異誘発又は標的化突然変異誘発、例えばCRISPRベースの方法によって生成される。ランダム突然変異誘発は、例えば化学物質誘発(例えば、EMS処理)又は放射線誘発突然変異誘発又は他の方法であり得、それにより、突然変異がゲノムにおいてランダムに誘発され、次に内因性D14遺伝子における突然変異を含む植物又は植物部分がスクリーニングされ、同定され得る。標的化突然変異誘発は、例えば、Crispr-Cas9若しくはCrispr-CpfI又は他の公知の方法を用いて、D14遺伝子などの標的遺伝子に突然変異を特異的に導入する方法である。
【0283】
一態様では、突然変異アレルを含む植物は、本質的に生物学的なプロセスのみによって産生されるわけではなく、これは、突然変異アレルがある時点で人間の介入によって生成されたことを意味する。このような人間が生成した突然変異アレルが交配及び選択によってある植物から別の植物に転移される場合、植物自体が交配及び選択のみによって生成されたとしても、本特許は、突然変異アレルを含む植物を包含する。
【0284】
一態様では、スイカ、キュウリ又はメロン植物は、二倍体であり、上述されるように突然変異D14アレルの少なくとも1つのコピーを含み、すなわち、植物は、ヘテロ接合性である。この表現型は、突然変異アレルがホモ接合体である場合にのみ見られるため、これらの植物は、通常の二次分枝を有する。このようなヘテロ接合性植物を自殖させることにより、ホモ接合性であり、突然変異アレルの2コピーを含む植物を生成するであろう。一態様では、スイカ植物は、二倍体であり、上述されるように突然変異D14アレルの2コピーを含み、すなわち、植物は、ホモ接合性である。したがって、植物は、本明細書に記載される修飾された表現型も有する。
【0285】
突然変異D14アレルの少なくとも1つのコピーを含む植物及び植物部分は、好ましくは、栽培植物、野生でない植物である。したがって、好ましくは、栽培スイカ(キトルルス・ラナトゥス(Citrullus lanatus))、キュウリ又はメロン。植物は、近交系系統、F1交配系又は育種系統であり得る。
【0286】
一態様では、植物は、スイカ植物であり、スイカ植物は、突然変異ClD14アレルの少なくとも1つのコピーを含む、二倍体、三倍体又は四倍体である。二倍体植物又は植物部分は、一態様では、2コピーを含み、三倍体植物又は植物部分は、1、2又は3コピーを含み、四倍体植物又は植物部分は、突然変異ClD14アレルの2又は4コピーを含む。二倍体植物、種子及び植物部分について本明細書に記載されるジェノタイピング方法又はアッセイは、三倍体又は四倍体植物、種子又は組織/植物部分に同様に当てはまることが注記される。突然変異ClD14アレル又は野生型アレルの1、2又は3コピーを含む三倍体植物、種子又は部分を選択することができ、突然変異ClD14アレル又は野生型アレルの1、2、3又は4コピーを含む四倍体植物を選択することができる。KASPアッセイは、例えば、存在するClD14アレル及びそれらのコピー数について三倍体及び四倍体ゲノムDNAを分析するために使用され得る。
【0287】
上記の植物又は植物部分を成長させることができる種子も本明細書に包含される。
【0288】
突然変異D14アレルの少なくとも1つのコピーを含む植物部分は、細胞、花、葉、茎、挿木、胚珠、花粉、根、台木、接穂、果実、プロトプラスト、胚、葯であり得る。
【0289】
さらに、植物部分から繁殖され、そのゲノム中に突然変異D14アレルの少なくとも1つのコピーを含む栄養繁殖させた植物が提供される。
【0290】
一態様では、二倍体、種ありスイカ果実を産生する方法も提供され、前記方法は、突然変異ClD14アレルの1又は2つのコピーを含む二倍体スイカ植物を成長させることと、花の授粉を可能にすることと、任意選択的に、植物において発生する二倍体、種あり果実を収穫することとを含み、それにより、果実組織は、突然変異ClD14アレルの1又は2つのコピーも含む。
【0291】
一態様では、種なしスイカ果実を産生する方法も提供され、前記方法は、三倍体スイカ植物に近い突然変異ClD14アレルの2コピーを含む二倍体スイカ植物を成長させることと、二倍体植物の花粉により、三倍体植物の花の授粉を可能にすることと、任意選択的に三倍体植物において発生する種なし果実及び/又は二倍体植物の自家授粉後、二倍体植物において発生する種あり果実を収穫することとを含む。
【0292】
「近く成長する」に言及するとき、これは、二倍体授粉種植物が、授粉種植物に訪れ得る昆虫が花粉を授粉種植物の雄花から三倍体植物に移すことを可能にするほど十分に三倍体植物に近いことを意味する。授粉種は、三倍体植物と同じ圃場において、条を成して若しくは条間に又はランダムに混植され得る。授粉種は、三倍体植物と同じ台木に接木されて、二段接木植物も生成し得る。その後、このような二段接木植物は、花粉をそれらの植物に提供するために、三倍体植物に近く成長され得る。
【0293】
一態様では、突然変異ClD14アレルは、国際公開第2021/165091号パンフレットに記載されるように、2番染色体上のTs遺伝子(トマト種子サイズ遺伝子)などの異なる遺伝子と組み合わされ得る。本明細書に記載される突然変異ClD14アレル及びTs遺伝子欠失又は例えば機能低下又は機能喪失Tsタンパク質をコードする突然変異アレルを組み合わせることにより、本明細書に記載されるような「強い多分枝」又は「中間の多分枝」表現型を有する植物は、小さい種子を有する果実を産生し得る。種子サイズは、2番染色体及び6番染色体遺伝子座によって決定されるため(国際公開第2021/165091号パンフレットに記載されるように)、本明細書に記載される植物の果実は、実際に、大型から中間ないし極小型まで、任意の種子サイズを有し得る。
【0294】
しかしながら、本明細書に記載されるClD14アレルは、単為結果性又は偽単為結果性を付与する遺伝子とも組み合わされ得、それにより、種なし果実は、本明細書に記載されるように、「強い多分枝」又は「中間の多分枝」表現型を有する植物において産生され得る。全て参照により本明細書に援用される、国際公開第2022/096451号パンフレット、国際公開第2022/078792号パンフレット、国際公開第2019238832号パンフレット、国際公開第2018060444号パンフレット又は国際公開第2017202715号パンフレットを参照されたい。
【0295】
植物、植物部分又はそれに由来するDNAを、ClD14、CsD14若しくはCmD14と命名された遺伝子の突然変異アレルの存在についてスクリーニングするため、又はClD14、CsD14若しくはCmD14と命名された遺伝子の突然変異アレルを含む植物又は植物部分を選択するため、又はClD14、CsD14若しくはCmD14と命名された遺伝子の突然変異アレルを含む植物又は植物部分を生成する方法も提供され、前記突然変異アレルは、
a)調節要素に1つ以上の突然変異を含み、野生型アレルと比較してアレルの発現を生じないか又は低下した発現を生じ、及び/又は
b)野生型タンパク質と比較して置換、挿入、重複及び/又は欠失された1つ以上のアミノ酸を含む突然変異タンパク質をコードするかのいずれかであり、
野生型スイカアレルは、配列番号2のタンパク質又は配列番号2との少なくとも95%の配列同一性を含むタンパク質をコードし、野生型キュウリアレルは、配列番号8のタンパク質又は配列番号8との少なくとも95%の配列同一性を含むタンパク質をコードし、野生型メロンアレルは、配列番号9のタンパク質又は配列番号9との少なくとも95%の配列同一性を含むタンパク質をコードする。
【0296】
前述されるように、本明細書における方法は、好ましくは、本明細書に記載される突然変異アレルに関し、これは、ホモ接合体である場合、植物の「完全な多分枝」又は「中間の多分枝」表現型をもたらす。
【0297】
植物、植物部分又はそれに由来するDNAをスクリーニングする方法は、ゲノムDNA又はゲノムDNAの配列情報を提供すること、ゲノムDNA中のD14遺伝子配列を決定し、遺伝子配列を野生型遺伝子配列と比較すること、又はD14遺伝子座におけるアレルについてゲノムDNAをジェノタイピングすること、例えば、例えばPCRプライマーを用いて、遺伝子配列若しくはcDNA(mRNA)の全て若しくは一部を増幅すること、又はゲノム領域をシーケンシングし(例えば、ジェノタイピングバイーケンシング)、D14アレル配列を野生型配列と比較することを含む。
【0298】
突然変異体を生成する方法であって、(例えば、放射線又は化学的突然変異誘発剤を用いて)例えばスイカ、キュウリ又はメロンの1つ以上の種子、植物又は植物部分の突然変異を誘発するか又は突然変異誘発された植物の集団を提供することと、存在する突然変異D14アレルについてM1若しくはM2又はさらなる世代をスクリーニングすることとを含む。次に、突然変異アレルを含む植物は、表現型を分析するために、突然変異アレルに対してホモ接合性にされ得る。
【0299】
一態様では、突然変異ClD14、CsD14又はCmD14アレルは、ゲノムDNAにおける突然変異を含み、本明細書の他の箇所に記載されるように、挿入、重複、欠失又は置換された1つ以上のアミノ酸、例えば配列番号2、8若しくは9のアミノ酸94~101(又は配列番号2、8若しくは9との少なくとも95%の同一性を含む配列中の同等のアミノ酸)の重複を含む突然変異D14タンパク質の発現をもたらす。
【0300】
したがって、ホモ接合体である場合、発生する二次分枝の少なくとも(有意に)高い平均数を生じさせる、ClD14、CsD14又はCmD14遺伝子の任意の突然変異アレルは、本発明の実施形態である。このような突然変異ClD14、CsD14又はCmD14アレルは、過度の負担なしに当業者によって生成され得る。当業者は、例えば、ClD14、CsD14又はCmD14遺伝子における突然変異体を生成し、それらが、例えば、野生型アレルに対してホモ接合性である二倍体植物と比較して、二倍体植物において、ホモ接合体である場合に少なくとも二次分枝のより多い平均数をもたらすかどうかを決定することができる。当業者は、植物が例えば比較として用いられ得る、非機能性タンパク質をコードする突然変異体を生成することもできる。それにより、新たな突然変異体は、突然変異アレルの影響が例えば「中間の多分枝」又は「完全な多分枝」であるかどうかを決定するために、野生型分枝表現型及び「完全な多分枝」表現型と比較され得る。同じ遺伝的背景系統における、したがって、例えば、非突然変異誘発系統(対照、野生型)及び好ましくはまた同じ背景系統における完全な多分枝表現型を有する突然変異系統における突然変異アレルの表現型を比較することが好ましい。最も少ない分枝及び最も強い分枝の表現型が同じ背景にある方式並びに任意の新たな突然変異体が比較され、最も広い範囲に配置され得る。
【0301】
遺伝子のヌクレオチド配列を同定して、当業者は、様々な方法、例えば突然変異誘発、TILLING又はCRISPR-Cas又は当技術分野で公知の他の方法により、D14遺伝子中に突然変異体を含むスイカ、キュウリ又はメロン植物を生成することができる。特に、Crispr-Cas、TALENS及びその他などの標的化遺伝子組み換え技術を用いて、標的化突然変異が当業者によって行われ得る。次に、当業者は、突然変異D14アレルに対してホモ接合性である、すなわちより多い平均数の二次分枝を発生させる植物の表現型を確認することができる。したがって、当業者は、本明細書に開示される特定のD14突然変異体に限定されず、当業者は、スイカ、キュウリ又はメロンのD14アレルの他の突然変異を同様に生成し、それによりホモ接合体である場合に多分枝をもたらす他の突然変異体を生成することができる。様々な突然変異が生成され、得られる表現型について試験され得、例えば、調節要素は、アレルの発現を低下させるか(ノックダウン)又は発現をなくし(ノックアウト)、したがって細胞又は植物中に存在する野生型D14タンパク質の量を減少させるか又はなくすように突然変異され得る。代わりに、D14タンパク質の機能低下又は機能喪失をもたらす突然変異、すなわち置換、挿入、重複及び/又は欠失された1つ以上のアミノ酸をもたらす突然変異(ミスセンス突然変異又はフレームシフト突然変異など)又はそれによりタンパク質がコード配列における未成熟終止コドンの導入によって切断される突然変異(ナンセンス突然変異)が生成され得る。
【0302】
D14タンパク質は、触媒三残基の保存されたアミノ酸を含むため、一態様では、触媒三残基の1つ以上のアミノ酸又は触媒三残基のアミノ酸を含むものが置換、欠失、重複及び/又は挿入されることが包含され、したがって、突然変異は、機能喪失をもたらす可能性が高い。
【0303】
次に、D14アレルの任意の突然変異が、予測される表現型をもたらすかどうかは、突然変異に対してホモ接合性である植物を生成し、野生型植物系統に近く植物系統を成長させ、両方の系統の表現型、例えば多分枝表現型を分析することによって試験され得る。
【0304】
代わりに、当業者は、二次分枝のより多い平均数(多分枝)を生成することが可能な栽培スイカ、キュウリ若しくはメロン植物の産生の方法及び/又は突然変異D14アレルを含むスイカ、キュウリ若しくはメロン植物を生成する方法であって、
a)スイカ、キュウリ又はメロン植物、植物部分若しくは種子、特に栽培植物の集団に突然変異を導入するか、又は突然変異された植物若しくはその後代の集団を提供する工程と;
b)成長されると、より多い平均数の二次分枝を発生させる植物を選択する工程と;
c)任意選択的に、b)で選択された植物がD14遺伝子の突然変異アレルを含むかどうかを決定する工程と;
d)任意選択的に、c)で得られた植物を成長させる工程と
を含む方法を実施することができる。
【0305】
工程b)及びc)は、工程b)が、D14遺伝子の突然変異アレルを含む植物を選択する工程であり、工程c)が、任意選択的に、植物(又はその後代)がより多い平均二次分枝/多分枝表現型を生成するかどうかを決定する工程であるように入れ替えることもできる。
【0306】
工程a)は、例えば、化学的突然変異原、例えばEMS(メタンスルホン酸エチル)などの突然変異誘発剤による処理又は紫外線、X線若しくはγ線などによる照射により、例えばスイカ、キュウリ又はメロンの1つ以上の系統又は品種の種子の突然変異を誘発することによって行われ得る。集団は、例えばTILLING集団であり得る。好ましくは、突然変異誘発された植物集団は、工程b)を実施する前に(例えば、M2世代又はM3、M4などを生成するために)少なくとも1回自殖される。
【0307】
工程b)のフェノタイピングは、例えば、二次分枝を計数することにより、容易に視覚的に行われ得る。
【0308】
このような植物又はその後代は、表現型分析(例えば、二次分枝)により、且つ/又はD14遺伝子及びコードされたタンパク質における突然変異若しくはD14遺伝子の発現について植物をジェノタイピングすること、シーケンシングすること及び当業者に公知の他の方法により、突然変異D14遺伝子の存在について試験され得る。したがって、表現型的に選択された植物がD14遺伝子の突然変異アレルを含むかどうかを確認するための様々な方法又は方法の組合せがある。
【0309】
工程b)が、D14遺伝子の突然変異アレルを含む植物の選択である場合、当業者は、突然変異D14アレルを含む植物を同定するために、D14遺伝子のDNA、mRNA又はタンパク質を検出するための様々な方法を使用することもできる。機能性ClD14タンパク質(配列番号2)をコードする野生型スイカClD14遺伝子のゲノムDNAは、配列番号6のDNAであり、配列番号2のタンパク質をコードするcDNA(mRNA)は、配列番号4で示される。プロモーターは、この配列の上流にあり、例えばシーケンシングによって又はスイカゲノムデータベースから回収され得る。例えば、ATG開始の上流の少なくとも1000又は少なくとも2000塩基は、プロモーター配列を含む。
【0310】
機能性CsD14タンパク質(配列番号8)をコードする野生型キュウリCsD14遺伝子のゲノムDNAは、配列番号15のDNAであり、配列番号8のタンパク質をコードするcDNA(mRNA)は、配列番号17で示される。プロモーターは、この配列の上流にあり、例えばシーケンシングによって又はキュウリゲノムデータベースから回収され得る。例えば、ATG開始の上流の少なくとも1000又は少なくとも2000塩基は、プロモーター配列を含む。
【0311】
機能性CmD14タンパク質(配列番号9)をコードする野生型メロンCmD14遺伝子のゲノムDNAは、配列番号16のDNAであり、配列番号9のタンパク質をコードするcDNA(mRNA)は、配列番号18で示される。プロモーターは、この配列の上流にあり、例えばシーケンシングによって又はキュウリゲノムデータベースから回収され得る。例えば、ATG開始の上流の少なくとも1000又は少なくとも2000塩基は、プロモーター配列を含む。
【0312】
一態様では、D14遺伝子の突然変異アレルは、D14遺伝子の低下した発現を生じるか若しくは発現を生じない突然変異アレルであるか、又は野生型D14タンパク質と比較して置換、挿入、重複又は欠失されたコードされたD14タンパク質の1つ以上のアミノ酸をもたらす突然変異アレルである。
【0313】
一態様では、D14遺伝子の突然変異アレルは、標的化又はランダムのいずれかの突然変異を、遺伝子(プロモーター又は他の調節要素、スプライス部位、コード領域など)中で誘発し、突然変異D14アレルを含む植物を例えば後代から選択することによって得ることができる。一態様では、コドンの突然変異を含むか、又は1つ以上のコドン、例えば配列番号2、8又は9のアミノ酸94~101をコードするコドンの1つ以上の挿入、欠失又は重複を含むアレルが選択される。一態様では、突然変異アレルは、コードされたスイカ、キュウリ又はメロンD14タンパク質の切断を引き起こす。
【0314】
一態様では、インデルマーカー(マーカーmWM23349015_k2)は、スイカ植物若しくは植物部分又はそれに由来するDNAのゲノム中で検出される。このインデルマーカーは、実施例に記載され、スイカにおける挿入アレル(挿入/重複された24ヌクレオチドを含み、8つのアミノ酸の重複をもたらす)及び/又は野生型アレルを検出する。
【0315】
インデルマーカーmWM23349015_k2への言及は、本明細書で提供される特定のフォワード及びリバースPCRプライマーに限定されず、配列番号6の野生型ClD14アレル及び配列番号5の突然変異ClD14アレル(重複/挿入された24ヌクレオチドを含む)を区別し得る任意の両アレルマーカーに関連することが注記される。当業者は、他のアレル特異的プライマー又はアレル特異的プローブを、これらの2つのClD14アレルについて遺伝子型を検出するための両アレルマーカーとして容易に使用させることができる。
【0316】
一態様では、インデルマーカー(マーカーmWM23349015_k2)は、スイカ植物若しくは植物部分又はそれに由来するゲノムDNA若しくはcDNAのゲノム中で検出される。したがって、24ヌクレオチドの挿入の存在を検出する方法が本明細書で提供される。したがって、スイカのゲノムDNA又はcDNA/mRNAは、野生型ClD14アレル及び/又は挿入アレルの存在についてスクリーニングされ得、任意選択的に選択され得る。
【0317】
別の態様では、表A又は表2に示されるように、別のアミノ酸又は終止コドンによって単一のアミノ酸置換を付与するSNPは、スイカ植物若しくは植物部分又はそれに由来するDNAのゲノム中で検出される。したがって、それらのSNPのいずれかの存在を検出する方法が本明細書で提供される。したがって、スイカのゲノムDNA又はcDNA/mRNAは、表A又は表2の野生型ClD14アレル及び/又は突然変異アレルの存在についてスクリーニングされ得、任意選択的に選択され得る。
【0318】
スイカ、キュウリ又はメロンの他の突然変異D14アレルについて、インデル又はSNPマーカー(又は他のマーカー)及びインデル又はSNPジェノタイピング(又は他のジェノタイピング)アッセイが容易に設計され得る。したがって、特に、スイカ、キュウリ又はメロンのD14タンパク質のアミノ酸挿入、重複、欠失又は置換をもたらす任意の突然変異アレルのためのアレル特異的マーカー及び検出方法が本明細書に包含される。
【0319】
特に、一態様では、インデルマーカー(例えば、マーカーmWM23349015_k2)の遺伝子型が決定され、配列番号6の野生型アレル及び/又は配列番号5の突然変異ClD14アレルを含む植物又は後代植物を選択するために使用され得る。
【0320】
突然変異ClD14アレルに対してヘテロ接合性である二倍体植物は、ゲノム中に配列番号5及び配列番号6の両方を含むであろう。突然変異ClD14アレルに対してホモ接合性である二倍体植物は、8番染色体上の遺伝子座において配列番号5のみを含むであろう。野生型アレルに対してホモ接合性である二倍体植物はまた、ゲノム中に配列番号6のみを含むであろう。
【0321】
記載されるように、例えばコドンにおける、根底にあるゲノム変化が、例えば本明細書に開示されるアミノ酸変化根底にあるゲノム変化又は野生型D14アレルと比較した、突然変異D14アレルにおける他のゲノム変化を検出するようにマーカーアッセイを設計するために使用され得るため、突然変異アレル特異的マーカー及びマーカーアッセイは、同様に、任意の突然変異D14アレルのために容易に開発され得る。
【0322】
特異的突然変異D14アレルを検出するこのようなアレル特異的マーカーを用いて、ジェノタイピングは、植物及び植物材料(又はそれに由来するDNA)におけるアレルの存在及びコピー数を検出するために実施され得る。
【0323】
本発明の実施形態に関して、D14遺伝子の突然変異アレルの突然変異は、欠失、切断、挿入、点突然変異、ナンセンス突然変異、ミスセンス又は非同義突然変異、スプライス部位突然変異、フレームシフト突然変異及び/又は調節配列における突然変異を含む任意の突然変異であり得る。一態様では、D14遺伝子の突然変異アレルの突然変異は、点突然変異である。突然変異は、D14遺伝子のコード配列を含むDNA配列又はD14タンパク質をコードするRNA配列中で発生し得るか、又はそれは、D14タンパク質のアミノ酸中で発生し得る。D14タンパク質コード遺伝子のDNA配列に関して、突然変異は、コード配列中で発生し得るか、又はそれは、D14遺伝子の5’-及び3’-非翻訳領域、プロモーター、エンハンサーなどのような非コード配列中で発生し得る。D14タンパク質をコードするRNAに関して、突然変異は、プレ-mRNA又はmRNA中で発生し得る。一態様では、突然変異アレルは、1つ以上のアミノ酸が置換、挿入、重複及び/又は欠失されているため機能喪失又は機能低下を有するタンパク質をもたらし、例えば、タンパク質のC末端、IPR000073ドメイン、ヘリカルリッドドメインにおいて置換、挿入、重複及び/又は欠失された1つ以上のアミノ酸をもたらすか、又は触媒三残基のアミノ酸の1つを含む。
【0324】
したがって、本発明の一実施形態は、D14遺伝子の突然変異アレルを含む本発明に係る植物細胞又は植物であって、突然変異アレルは、
a)ゲノム配列中の欠失、切断、挿入、点突然変異、ナンセンス突然変異、ミスセンス又は非同義突然変異、スプライス部位突然変異、フレームシフト突然変異;
b)1つ以上の調節配列における突然変異;
c)コード配列中の欠失、切断、挿入、点突然変異、ナンセンス突然変異、ミスセンス又は非同義突然変異、スプライス部位突然変異、フレームシフト突然変異;
d)プレ-mRNA又はmRNA中の欠失、切断、挿入、点突然変異、ナンセンス突然変異、ミスセンス又は非同義突然変異、スプライス部位突然変異、フレームシフト突然変異;及び/又は
e)D14タンパク質中の1つ以上のアミノ酸の欠失、切断、挿入、重複又は置換
からなる群から選択される突然変異の1つ以上を含むか又はもたらすことを特徴とする、植物細胞又は植物に関する。
【0325】
一態様では、突然変異アレルは、D14遺伝子の低下した発現を生じるか若しくは発現を生じないか、又は突然変異アレルは、機能低下又は機能喪失を有するタンパク質をコードする。特に、突然変異アレルのホモ接合体は、野生型アレルに対してホモ接合性である対照植物と比較して、突然変異アレルに対してホモ接合性である植物における二次分枝の平均数の有意な増加をもたらす。平均二次分枝の有意な増加は、アレルがノックアウトアレルであるか若しくは非機能性タンパク質を産生する場合、「完全な多分枝」であるか、又はアレルがノックダウンアレルであるか若しくは機能低下タンパク質を産生する場合、「中間の多分枝であるかのいずれかである。
【0326】
低下した発現(ノックダウンアレル)又は無発現(ノックアウトアレル)は、プロモーターなど、D14遺伝子の調節領域の突然変異があることを意味し、それにより、野生型D14アレルを含む植物及び植物部分と比較して、D14アレルの低下したmRNA転写物が作出されるか又はmRNA転写物が作出されない。発現の低下は、例えば、例えばノーザンブロット分析又はRT-PCRを用いて、D14タンパク質をコードするmRNA転写物の量を測定することによって決定され得る。本明細書では、減少は、好ましくは、野生型D14遺伝子を含む植物又は植物部分と比較して少なくとも50%、特に少なくとも70%、任意選択的に少なくとも85%若しくは少なくとも95%又は100%(無発現)の、RNA転写物の量の減少を意味する。発現は、例えば、花組織又は葉組織において分析され得る。
【0327】
一態様では、1つ以上のアミノ酸を含むタンパク質は、野生型タンパク質と比較して、置換、挿入、重複又は欠失されている。したがって、スイカ、キュウリ又はメロンについて、1つ以上のアミノ酸は、配列番号2、8若しくは9の野生型D14タンパク質又は配列番号2、8若しくは9との少なくとも95%、96%、97%、又は98%、又は99%の配列同一性を含む野生型D14タンパク質と比較して挿入、欠失又は置換され;それにより、突然変異タンパク質は、野生型タンパク質と比較して機能低下又は機能喪失を有し、したがって突然変異アレルが二倍体植物にホモ接合体において存在する場合に(中間の又は強い)多分枝をもたらす。
【0328】
上記の野生型アレルの突然変異アレルは、一態様では、低下した発現を有するか若しくは発現を有さない(例えば、プロモーター又はエンハンサー要素の突然変異によって)又は野生型タンパク質と比較して挿入、重複、欠失又は置換された1つ以上のアミノ酸を含む突然変異タンパク質を産生する突然変異アレルであり、それにより、突然変異アレルが植物においてホモ接合体である場合及び野生型アレルに対してホモ接合性である植物と比較して、突然変異アレルに対してホモ接合性である植物の表現型を分析することによって決定され得るように、突然変異タンパク質は、インビボで低下した機能を有するか又は機能を有さない。同じ表現型分析は、低下した遺伝子発現を有するか又は遺伝子発現を有さない突然変異アレルについて行われ得る。したがって、任意の突然変異アレルは、植物においてホモ接合性にされ得、表現型は、元の非突然変異アレルを含む対照植物及び/又は非機能性タンパク質をコードする突然変異アレル(例えば、ClD14ins又はW155*など、又はキュウリ若しくはメロンD14タンパク質における同じ突然変異体)を含む対照植物と比較され得る。
【0329】
あるアミノ酸から別のアミノ酸へのアミノ酸が本明細書で言及される場合、これは、言及される開始/最初の及び終了/最後のアミノ酸を含む。
【0330】
アミノ酸が「欠失される」と言及される場合、これは、コドンが終止コドンに変化されるか、又はコドンが欠失される突然変異若しくはコードされないアミノ酸をもたらすフレームシフトがある突然変異を含む。同様に、アミノ酸が「置換される」と言及される場合、これは、コドンが異なるアミノ酸をコードするか若しくはコドンが挿入される突然変異又はコードされる異なるアミノ酸をもたらすフレームシフトがある突然変異を含む。
【0331】
スイカは、任意のタイプのスイカであり得る。一態様では、突然変異ClD14アレル、例えば、配列番号1のタンパク質をコードする突然変異アレル又は異なる突然変異アレルの1又は2つのコピーを含むスイカ植物は、授粉種植物ではなく、すなわち、それは、例えば、開花期が三倍体開花と同期しておらず、且つ/又は花粉産生が花粉発生源として好適であるほど十分に多くないため、三倍体果実産生のための授粉種として好適でない。一態様では、それは、果実産生自体に使用され、花粉産生に使用されない。したがって、それは、三倍体植物と混植されない(混植に好適でない)が、自家授粉によって果実産生のためにそれ自体で成長される。自家授粉後に産生される果実はまた、ピンク色又は白色の果肉及び低いブリックスを有して「収穫不可能」ではなく、収穫及び消費のために十分に適している(すなわち高いブリックス、赤色の果肉を有するなど)。
【0332】
突然変異D14アレルの少なくとも1つのコピーを含むスイカ植物及びその部分は、二倍体、四倍体又は三倍体であり得る。二倍体植物は、突然変異アレルに対してヘテロ接合性であるか、又は突然変異アレル、例えば配列番号1のタンパク質をコードする突然変異アレル若しくは記載される任意の他の突然変異アレルに対してホモ接合性であり得る。一態様では、ホモ接合体において突然変異D14アレルを含む二倍体植物は、倍加単数体植物(DH)、例えば倍加単数体スイカ、キュウリ又はメロン植物又は植物細胞又は植物部分である。
【0333】
三倍体スイカ植物は、突然変異ClD14アレルの1、2又は3コピーを有し得る。突然変異アレルの1コピーを有する三倍体植物は、野生型雌四倍体(4つの野生型コピーを有する)を、突然変異アレルに対してホモ接合性である二倍体雄と交配させることによって作出され得る。2つの突然変異アレルを有する三倍体植物は、突然変異アレルの4つのコピーを含む雌四倍体を、野生型アレルに対してホモ接合性である二倍体雄と交配させることによって作出され得る。
【0334】
四倍体スイカ植物は、突然変異ClD14アレルの1、2、3又は4つのコピーを有し得る。突然変異アレルの2コピーを含む遺伝子型は、突然変異アレルに対してヘテロ接合性である二倍体の染色体を倍加することによって作出され得る。突然変異アレルの4コピーを含む遺伝子型は、突然変異アレルに対してホモ接合性である二倍体の染色体を倍加することによって作出され得る。
【0335】
本明細書に包含されるスイカ、キュウリ又はメロン植物はまた、栄養(クローン)繁殖され得、このような栄養繁殖させた植物又は「栄養繁殖」は、本発明の一実施形態である。それらは、突然変異D14アレルの存在によって且つ/又は表現型的に(任意選択的に自殖後)他の植物と容易に区別され得る。1つ以上の突然変異D14アレルの存在は、本明細書の他の箇所に記載されるように決定され得る。
【0336】
栄養繁殖は、様々な方法によって作出され得る。例えば、本発明の植物の1つ以上の接穂は、異なる台木、例えば生物的ストレス又は非生物的ストレス耐性台木に接木され得る。
【0337】
他の方法は、インビトロ細胞又は組織培養方法及びこのような培養からの栄養繁殖の生殖を含む。このような細胞又は組織培養物は、本発明の植物の様々な細胞又は組織を含むか又はそれからなる。一態様では、このような細胞又は組織培養物は、本発明の植物の栄養細胞又は栄養組織を含むか又はそれからなる。
【0338】
別の態様では、細胞又は組織培養物は、本発明の植物の葯、花粉、小胞子又は胚珠などの生殖細胞又は組織を含むか又はそれからなる。このような培養物は、染色体倍加剤で処理されて、例えば倍加単数体植物を作出し得るか、又はそれらは、代わりに、単数体植物を作出するために(例えば、四倍体から二倍体を作出するため又は二倍体から単数体を作出するために)使用され得る。
【0339】
インビトロ細胞又は組織培養物は、したがって、果実、胚、分裂組織、子葉、花粉、小胞子、胚珠、葉、葯、根、根端、雌しべ、花、種子、茎からなる群から選択される植物部分からの細胞又はプロトプラスト又は植物組織を含むか又はそれからなり得る。例えば種皮(母体組織)のみなど、これらのいずれかの部分も含まれる。
【0340】
したがって、本発明の一態様では、突然変異D14アレルの1又は2つのコピーを含む植物の細胞の細胞培養物又は組織培養物(全て上述されるとおりである)が提供される。記載されるように、細胞培養物又は組織培養物は、突然変異D14アレルを含む植物の植物部分からの細胞又はプロトプラスト又は植物組織を含み、胚、分裂組織、子葉、花粉、小胞子、葉、葯、根、根端、雌しべ、花、種子、茎;又はこれらのいずれかの部分からなる群から選択される細胞又は組織を含むか又はそれからなり得る。
【0341】
このような細胞培養物又は組織培養物から再生されたスイカ、キュウリ又はメロン植物も提供され、再生された植物(又は例えば再生植物を交配若しくは自殖させた後に得られるその後代)は、突然変異D14アレルを含む。したがって、一態様では、1つ以上のコピーにおける突然変異D14アレルを含むスイカ、キュウリ又はメロン植物は、栄養繁殖させた植物である。
【0342】
異なる態様では、1つ以上のコピーにおける突然変異D14アレルを含む、本発明の細胞及び組織(及び任意選択的に、さらに細胞又は組織培養物)は、非繁殖細胞又は組織である。
【0343】
さらなる方法
増加した平均数の二次分枝を生成することが可能なスイカ、キュウリ若しくはメロン植物の産生の方法又はD14遺伝子の突然変異アレルを生成する方法であって、
a)スイカ、キュウリ又はメロン植物の集団に突然変異を導入するか若しくはスイカ、キュウリ又はメロン植物突然変異集団を提供する工程;又はD14標的遺伝子におけるランダムに誘発される突然変異又は標的化誘発突然変異を含むスイカ、キュウリ又はメロン植物を提供する工程、
b)D14遺伝子の突然変異アレルを含む植物を選択する工程;
c)任意選択的に、b)で選択される植物が、突然変異D14アレルがホモ接合体である場合、D14遺伝子の野生型アレルを含む対照植物と比較して増加した平均数の二次分枝を生成するかどうかを確認する工程
を含む方法も提供される。
【0344】
完全な多分枝表現型を生成することが可能なスイカ、キュウリ若しくはメロン植物の産生の方法又はホモ接合体である場合に完全な多分枝表現型を付与するD14遺伝子の突然変異アレルを生成する方法であって、
a)スイカ、キュウリ又はメロン植物の集団に突然変異を導入するか若しくはスイカ、キュウリ又はメロン植物突然変異集団を提供する工程;又はD14標的遺伝子におけるランダムに誘発される突然変異又は標的化誘発突然変異を含むスイカ、キュウリ又はメロン植物を提供する工程、
b)D14遺伝子の突然変異アレルを含む植物を選択する工程であって、突然変異D14アレルは、ノックアウトアレル又は機能喪失D14タンパク質をコードするアレルである、工程;
c)任意選択的に、b)で選択される植物が、突然変異D14アレルがホモ接合体である場合、D14遺伝子の野生型アレルを含む対照植物と比較して増加した平均数の二次分枝を生成するかどうかを確認する工程
を含む方法も提供される。
【0345】
中間の多分枝表現型を生成することが可能なスイカ、キュウリ若しくはメロン植物の産生の方法又はホモ接合体である場合に中間の多分枝表現型を付与するD14遺伝子の突然変異アレルを生成する方法であって、
a)スイカ、キュウリ又はメロン植物の集団に突然変異を導入するか若しくはスイカ、キュウリ又はメロン植物突然変異集団を提供する工程;又はD14標的遺伝子におけるランダムに誘発される突然変異又は標的化誘発突然変異を含むスイカ、キュウリ又はメロン植物を提供する工程、
b)D14遺伝子の突然変異アレルを含む植物を選択する工程であって、突然変異D14アレルは、ノックダウンアレル又は機能低下D14タンパク質をコードするアレルである、工程;
c)任意選択的に、b)で選択される植物が、突然変異D14アレルがホモ接合体である場合、D14遺伝子の野生型アレルを含む対照植物と比較して増加した平均数の二次分枝を生成するかどうかを確認する工程
を含む方法がさらに提供される。
【0346】
上記の方法によって生成される突然変異D14アレル及び/又は上記の方法によって誘発及び同定される突然変異D14アレルの少なくとも1つのコピーを含むスイカ、メロン又はキュウリ植物が包含される。一態様では、上記の方法によって産生され、ホモ接合体において完全な多分枝を付与する突然変異アレルを含むスイカ植物は、配列番号5の突然変異アレルを含まない。別の態様では、上記の方法によって産生され、ホモ接合体において完全な多分枝を付与する突然変異アレルを含むスイカ植物は、品種Sidekickと異なるスイカバックグラウンドにあり、それが、授粉種Sidekickによってコードされるのと同じタンパク質(配列番号1に示されるタンパク質ClD14ins)をコードする場合、品種Sidekickと1つ以上の特性が異なる。それは、例えば、授粉種として好適でなく、且つ/若しくは赤色の果肉を有し、且つ/若しくはより高い平均果実重量を有するか、又はその植物をSidekickと区別する他の特性を有する果実を産生する点でSidekickと異なり得る。
【0347】
a)でのスイカ、キュウリ又はメロン植物の集団は、好ましくは、突然変異誘発剤で処理される/処理された(又はそれに曝された)栽培スイカ、キュウリ又はメロン育種系統若しくは品種の単一の遺伝子型或いは例えばM2、M3又はさらなる世代の植物を産生する集団の個体を自殖した後に得られるこのような集団の後代である。これは、例えば、TILLING集団であり得る。それは、例えば、Crisprベースの方法を用いて標的化遺伝子組み換えを行われたスイカ、キュウリ又はメロン系統でもあり得る。
【0348】
工程b)において、D14遺伝子の突然変異アレルを含む植物の選択は、表現型的に且つ/又はD14遺伝子の突然変異アレル、すなわち野生型D14アレルの低下した発現を有するか(ノックダウンアレルの場合)若しくは発現を有さない(ノックアウトアレルの場合)かのいずれかであるアレル又は突然変異D14タンパク質をコードするアレルの存在について植物(又は植物部分又はそれに由来するDNA)をスクリーニングすることによって行われ得る。
【0349】
表現型についてのスクリーニングに関して、これらは、突然変異D14アレルがホモ接合体である場合及び突然変異アレルが低下した発現を有するか若しくは発現を有さないか又は機能低下若しくは機能喪失タンパク質をコードする場合にのみ選択され得、それにより表現型が分かることが理解される。表現型又は表現型の組合せについてのスクリーニングは、記載されるように行うことができ、例えば、ホモ接合体における野生型D14アレルを含む対照系統又は品種と同じ成長条件下において、ホモ接合体における突然変異D14アレルを含む系統を成長させ、次に二次分枝を分析する。
【0350】
D14遺伝子の突然変異アレルの存在についての植物のスクリーニング又は選択に関して、これは、例えば、植物がゲノムDNAの突然変異を含むかどうかを決定するために、コード領域の一部又はコード領域の全てを増幅して、ゲノムDNAを増幅するPCRプライマーを例えば設計すること又は他の方法により、D14 DNA、RNA又はタンパク質を検出する様々な方法によって行われ得る。
【0351】
したがって、突然変異D14アレルの存在を決定するため又は存在する突然変異D14アレルを含む植物を選択するために様々な方法が使用され得る。例えば、D14遺伝子座を含むアレル又は染色体領域のマーカー解析又は配列解析が実施され得るか、又はPCR又はRT-PCRがD14アレル(若しくはその一部)又はmRNA(cDNA)を増幅するために使用され得るか、又はシーケンシングが行われ得る。劣性遺伝を決定するための遺伝子解析も実施され得る。したがって、アレルは、例えばシーケンシングされて(例えば、そのゲノムDNA又はcDNA)、どのような突然変異が存在するかを決定することができる。工程b)において、Provean及び/又はSIFT解析も、D14タンパク質機能を低下させるか又はなくすことが予測される突然変異アレルを有する植物を選択するために使用され得る。実施例を参照されたい。
【0352】
遺伝子編集方法が使用された場合、内因性アレルの突然変異を誘発するために植物に導入されたベクター/構築物は、好ましくは、突然変異D14アレルを含む植物系統から除去され、それにより、植物系統は、このようなベクター又は構築物を含まない。
【0353】
一態様では、植物は、形質転換によってゲノムに挿入された遺伝子構築物を含まない。
【0354】
一態様では、突然変異アレルは、特に、CRISPRシステム(例えば、Crispr/Cas9又はCrispr/CpfI又は他のヌクレアーゼ)を用いて、突然変異誘発(例えば、化学的若しくは放射線突然変異誘発)によって又は標的化突然変異誘発によって生成される。一態様では、突然変異D14アレルを含む栽培植物は、トランスジェニック植物ではなく、すなわち例えばCRISPR構築物を含まない非トランスジェニック後代が選択される。
【0355】
一態様では、D14遺伝子の突然変異アレルは、人為的な突然変異、すなわち化学的突然変異誘発若しくは放射線突然変異誘発などの突然変異誘発技術又はCrisprベースの技術などの標的化突然変異誘発技術によって導入される突然変異を含む。
【0356】
CRISPRベースの方法(例えば、Crispr/Cas9若しくはCrispr/CpfI)、TALENS、亜鉛フィンガー又は他の方法などの任意の標的化遺伝子組み換え方法を用いた、スイカ、キュウリ又はメロンにおける内因性D14遺伝子の標的化突然変異誘発の方法が本明細書で提供される。
【0357】
一態様では、単離された突然変異D14タンパク質及び単離された野生型D14タンパク質又は突然変異D14タンパク質若しくは野生型D14タンパク質をコードする単離された核酸分子が提供される。突然変異又は野生型D14タンパク質に結合することが可能な抗体も本明細書に包含される。単離された突然変異タンパク質は、一態様では、8つのアミノ酸の重複を含む配列番号1のタンパク質であるが、本明細書に記載される任意の他の突然変異D14アレルの単離されたタンパク質でもあり得る。一態様では、単離された突然変異タンパク質は、表A又は表2に記載されるタンパク質である。一態様では、単離された核酸は、表A又は表2に記載される突然変異タンパク質をコードするDNA又はRNAである。
【0358】
さらなる態様では、本明細書で提供されるヌクレオチド配列又は核酸分子(及び/又は配列又は分子の相補鎖)の断片は、これらがDNA又はRNAサンプル中の配列を検出するためにPCRプライマー又はプローブとして使用され得るため、包含される。断片は、例えば、配列番号5若しくは6、配列番号13若しくは14、配列番号15若しくは16、配列番号10、11若しくは12のゲノム配列、又はこれらのいずれか相補鎖若しくは逆相補鎖、又はmRNA若しくはcDNA配列、又は配列番号3若しくは4、又は配列番号17若しくは18、又はこれらのいずれかの相補鎖若しくは逆相補鎖の分子の、少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55、60、65又はそれを超えるヌクレオチドのストレッチを含む。表A又は表2に記載される突然変異タンパク質をコードする単離された核酸分子又は配列(DNA又はRNA)の断片も包含される。
【0359】
検出方法
一態様では、種子、植物又は植物部分又はDNAを、D14タンパク質コード遺伝子の突然変異アレル及び/又は野生型アレルをゲノム中に含むこのような種子、植物又は植物部分から同定及び/又は選択するためのスクリーニング方法が提供される。
【0360】
本方法は、突然変異アレル及び/又は野生型アレルの存在を検出するために、公知の方法を用いて、DNA(特に、ゲノムDNA)、RNA(若しくはcDNA)又はタンパク質レベルでスクリーニングすることを含む。遺伝子の突然変異アレル及び/又は野生型アレルの存在を検出するための多くの方法がある。
【0361】
したがって、突然変異D14アレル及び/又は野生型D14アレルの存在について、植物又は植物材料若しくは植物部分或いはそれに由来するDNA若しくはRNA又はタンパク質をスクリーニング及び/又は選択する方法であって、以下の工程:
a)内因性D14遺伝子の遺伝子発現を、例えば、それが低下又は消失したかどうかを検出するために決定する工程;
b)野生型D14タンパク質の量を、例えば、それが低下又は消失したかどうかを検出するために決定する工程;
c)突然変異又は野生型D14タンパク質をコードする突然変異及び/又は野生型mRNA、cDNA又はゲノムDNAが存在するかどうかを決定する工程;
d)突然変異及び/又は野生型D14タンパク質が存在するかどうかを決定する工程;
e)植物又はその後代が突然変異表現型(記載されるように、例えば強い多分枝又は中間の多分枝)又は野生型表現型(通常の分枝)を示すかどうかを決定する工程
の1つ以上を含む方法が提供される。
【0362】
RT-PCR、PCR、抗体ベースのアッセイ、シーケンシング、ジェノタイピングアッセイ(例えば、アレル特異的ジェノタイピング)、ジェノタイピングバイシーケンシング、フェノタイピングなどの常法が使用され得る。
【0363】
植物又は植物材料又は植物部分は、葉、葉部分、細胞、果実、果実部分、子房、茎、胚軸、種子、種子の部分、種皮、胚など、スイカ、キュウリ又はメロン植物又は植物材料又は植物部分であり得る。
【0364】
例えば、野生型アレルと突然変異アレルとの間に一塩基の相違(一塩基変異多型、SNP又は挿入欠失多型、インデル)がある場合、SNP又はインデルジェノタイピングアッセイは、植物又は植物部分又は細胞がそのゲノム中に野生型ヌクレオチド(若しくは複数のヌクレオチド)又は突然変異ヌクレオチド(若しくは複数のヌクレオチド)を含むかどうかを検出するために使用され得る。例えば、SNP又はインデルは、KASPアッセイ(ワールドワイドウェブのkpbioscience.co.ukを参照されたい)又は他のジェノタイピングアッセイ、特に両アレルジェノタイピングアッセイを用いて容易に検出され得る。KASPアッセイを開発するために、例えば、SNP又はインデルの上流の約70塩基対及び下流の約70塩基対が選択され得、2つのアレル特異的フォワードプライマー及び1つのリバースプライマーが設計され得る。例えばAllen et al.2011,Plant Biotechnology J.9,1086-1099、特にKASPアッセイ方法については、p097-1098を参照されたい。
【0365】
同様に、他のジェノタイピングアッセイが使用され得る。例えば、TaqMan SNPジェノタイピングアッセイ、高分解能融解(HRM)アッセイ、SNP-ジェノタイピングアレイ例えばマイクロアレイ(例えば、Fluidigm、Illuminaなど)又はDNAシーケンシング(例えば、シーケンシングにとるジェノタイピング)が同様に使用され得る。
【0366】
したがって、野生型アレル及び突然変異アレルのゲノム配列の相違に基づいて、当業者は、特定のアレルを検出するために使用され得るマーカー又はアッセイを容易に開発することができる。
【0367】
突然変異D14アレルを含むスイカ、キュウリ又はメロン植物(若しくは植物部分)を同定する方法も本明細書で提供され、この方法は、植物(若しくは植物部分)において突然変異D14アレルの存在を検出することを含み、この存在は、D14アレル中で少なくとも1つのマーカー(例えば、SNPマーカー若しくはインデルマーカー)又はD14アレルによってコードされたタンパク質を検出することによって検出される。突然変異D14アレルを検出する方法は、PCR増幅、核酸シーケンシング、核酸ハイブリダイゼーション及びアレルによってコードされたD14タンパク質を検出するための抗体ベースのアッセイ(例えば、免疫測定法)を含む方法からなる群から選択される。
【0368】
調節要素の突然変異を含む突然変異D14アレルを含むスイカ、キュウリ又はメロン植物(若しくは植物部分)を同定する方法も本明細書で提供され、この方法は、植物(若しくは植物部分)において突然変異D14アレルの低下した遺伝子発現又は遺伝子発現の非存在を検出することを含み、この存在は、野生型D14アレルのmRNAレベル(cDNA)又は野生型D14タンパク質のタンパク質レベルを検出することによって検出される。突然変異D14アレルを検出する方法は、PCR増幅(例えば、RT-PCR)、核酸シーケンシング、ウエスタンブロット法及びアレルによってコードされたD14タンパク質を検出するための抗体ベースのアッセイ(例えば、免疫測定法)からなる群から選択される。
【0369】
スイカ、キュウリ又はメロン植物又は植物部分の細胞又はが、配列番号2、8若しくは9のタンパク質又は配列番号2、8若しくは9との少なくとも95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%の配列同一性を含むタンパク質をコードするD14と命名された遺伝子の突然変異アレルを含むかどうかを決定、又は検出、又はアッセイする方法も提供され、本明細書で提供される。一態様では、本方法は、アレルの発現を決定し、且つ/又はアレルのコード配列を決定し、且つ/又はアレルのコード配列の一部(例えば、アレルのSNP又はインデル遺伝子型)を決定し、且つ/又は産生されたタンパク質のアミノ酸配列及び/若しくは産生されたタンパク質の量を決定することを含む。
【0370】
植物又はその部分が本発明の突然変異D14アレルを含むかどうかを決定するために様々な方法が使用され得る。記載されるように、野生型アレルのmRNA(若しくはcDNA)レベルが決定され得るか、又は野生型タンパク質レベルが、野生型アレルの低下した発現又は無発現があるかどうかを調べるために決定され得る。コード配列又はその一部は、例えば、いずれの突然変異アレルが存在し得るかを既に認識している場合にも分析され得、アッセイは、突然変異を検出するために開発され得、例えばSNP又はインデルジェノタイピングアッセイ、例えばマーカーmWM23349015_k2についてのジェノタイピング(実施例を参照されたい)又は表A若しくは表2の突然変異アレル或いは他の突然変異アレルのいずれかについてのジェノタイピングは、例えば、突然変異アレル及び野生型アレルの存在を区別することができる。
【0371】
植物の選択の方法であって、
a)D14タンパク質コード遺伝子をコードするアレルの突然変異を有する植物を同定する工程であって、遺伝子の野生型アレルは、配列番号2、8又は9の群から選択されるタンパク質のいずれか1つとの少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を含むD14タンパク質をコードする、工程と、任意選択的に、
b)植物又は後代植物が多分枝表現型を生成するかどうかを決定する工程と、任意選択的に、
c)工程a)の突然変異アレルの少なくとも1つのコピーを含む植物を選択する工程と
を含む方法。
【0372】
植物の産生の方法であって、
a)植物の集団に突然変異を導入する工程又は突然変異された植物の集団(例えば、TILLING集団)を提供する工程と、
b)多分枝表現型を生成する及び/又は突然変異D14アレルを含む植物を選択する工程と、
c)任意選択的に、b)で選択された植物が、D14タンパク質コード遺伝子をコードするアレルの突然変異を有するかどうかを確認し、且つこのような突然変異を含む植物を選択する工程と、任意選択的に、
d)c)で得られた植物を成長させる/栽培する工程と
を含み、遺伝子の野生型アレルは、配列番号2、8又は9のタンパク質との少なくとも95%の配列同一性を含むD14タンパク質をコードする、方法。
【0373】
強い多分枝表現型又は中間の多分枝表現型を含む植物の選択の方法であって、
a)D14遺伝子の突然変異アレルの存在について植物(又はそれに由来するDNA)をスクリーニングする工程であって、遺伝子の野生型アレルは、配列番号2、8又は9の群から選択されるタンパク質のいずれか1つとの少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を含むD14タンパク質をコードする、工程と、
b)i)がノックアウトアレルであるか又は非機能性D14タンパク質をコードする突然変異アレル(このアレルは、ホモ接合体において強い多分枝表現型を生成する)、又はii)がノックダウンアレルであるか又は機能低下D14タンパク質をコードする突然変異アレル(このアレルは、ホモ接合体において中間の多分枝表現型を生成する)のいずれかを含む植物を選択する工程と、任意選択的に、
c)ホモ接合体における突然変異アレルを含む植物又は後代植物がi)の前記強い多分枝表現型又はiiの前記中間の多分枝表現型を生成することを確認する工程と
を含む方法。
【0374】
一態様では、工程b)は、例えば、タンパク質機能に対するアミノ酸変化の影響のSIFT又はProvean解析を実施することにより、突然変異アレルが、機能低下又は機能喪失を有するD14タンパク質をコードするかどうかを予測することを含む。Provean解析において「有害」である及び/又はSIFT解析において「許容されない」と予測されるアレルを含む1つ又は複数の植物が工程b)で選択される。
【0375】
強い多分枝表現型又は中間の多分枝表現型を含む植物の産生又は選択の方法であって、
a)植物の集団に突然変異を導入するか、又は突然変異植物の集団(例えば、TILLING集団)を提供する工程、
b)i)がノックアウトアレルであるか又は非機能性D14タンパク質をコードする突然変異D14アレル(このアレルは、ホモ接合体において強い多分枝表現型を生成する)、又はii)がノックダウンアレルであるか又は機能低下D14タンパク質をコードする突然変異D14アレル(このアレルは、ホモ接合体において中間の多分枝表現型を生成する)のいずれかを含む植物を選択する工程、
c)i)若しくはii)の突然変異アレルを含む植物を選択する工程
を含み、遺伝子の野生型アレルは、配列番号2、8又は9のタンパク質との少なくとも95%の配列同一性を含むD14タンパク質をコードする、方法。
【0376】
選択された植物は、ホモ接合体における突然変異アレルを含む植物を産生するように自殖され得、ホモ接合性植物は、表現型を決定するために成長され得る。
【0377】
植物の産生の方法であって、
a)植物への外来核酸分子の導入の工程であって、外来核酸分子は、
i)D14タンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の低下をもたらす少なくとも1つのアンチセンスRNAをコードするDNA分子;
ii)共抑制効果により、D14タンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の低下をもたらすDNA分子;
iii)D14タンパク質をコードする内因性遺伝子の特異的転写物を分割する少なくとも1つのリボザイムをコードするDNA分子;
iv)少なくとも1つのアンチセンスRNA及び少なくとも1つのセンスRNAを同時にコードするDNA分子であって、前記アンチセンスRNA及び前記センスRNAは、二本鎖RNA分子を形成し、これは、D14タンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の低下をもたらす(RNAi技術)、DNA分子;
v)D14タンパク質をコードする内因性遺伝子における突然変異又は異種配列の挿入をもたらすインビボでの突然変異誘発によって導入される核酸分子であって、突然変異又は挿入は、D14タンパク質をコードする遺伝子の発現の低下をもたらすか、又は機能喪失又は機能低下D14タンパク質の合成をもたらす、核酸分子;
vi)抗体をコードする核酸分子であって、抗体は、内因性D14タンパク質への抗体の結合によりD14タンパク質をコードする内因性遺伝子の活性の低下をもたらす、核酸分子;
vii)トランスポゾンを含むDNA分子であって、これらのトランスポゾンの組み込みは、D14タンパク質をコードする内因性遺伝子における突然変異又は挿入をもたらし、これは、D14タンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の低下をもたらすか、又は不活性タンパク質の合成をもたらす、DNA分子;
viii)D14タンパク質をコードする内因性遺伝子の挿入により、D14タンパク質をコードする内因性遺伝子の発現の低下をもたらすか、又は機能喪失又は機能低下D14タンパク質の合成をもたらす、T-DNA分子;
ix)レア切断エンドヌクレアーゼ又は特注のレア切断エンドヌクレアーゼ、好ましくは、メガヌクレアーゼ、TALENs又はCRISPR/Casシステムをコードする核酸分子
からなる群から選択される、工程、
b)植物又は植物の後代を選択する工程であって、植物又は植物の後代は、より高いパーセンテージの融合した花弁及び/若しくは葉を有する雄花及び/又は花を生成する、工程、任意選択的に、
c)b)で選択された植物又は後代が、例えば外来核酸分子がゲノムに組み込まれていない野生型植物と比較して、D14タンパク質の低下した活性を有するかどうかを確認する工程、任意選択的に、
d)c)で得られた植物を成長させる/栽培する工程
を含む方法。
【0378】
上記の方法のいずれかによって得られる植物が本明細書に包含される。
【0379】
一態様では、例えば内因性D14遺伝子のサイレンシングにより、内因性D14遺伝子の低下した発現を有するか又は発現を有さない遺伝子組み換え植物及び植物部分が提供される。このような植物は、任意の植物であり得、一態様では、それは、スイカ、キュウリ又はメロンである。
【0380】
別の態様では、内因性D14遺伝子の突然変異、例えば標的化突然変異誘発によって生成された例えば誘発された突然変異を含む、スイカ、キュウリ又はメロン植物及び植物部分が提供され、それにより、遺伝子発現は、低下されるか若しくはなくされるか、又は発現された遺伝子は、野生型タンパク質と比較して機能低下又は機能喪失D14タンパク質をコードするかのいずれかである。
【0381】
別の態様では、ClD14と命名された遺伝子(キトルルス・ラナトゥス(Citrullus lanatus)Dwarf14)の野生型アレル及び/又は突然変異アレルの少なくとも1つのコピーを含むスイカ植物、種子又は植物部分を検出及び任意選択的に選択する方法であって、
a)1つ以上のスイカ植物、種子又は植物部分の1つ以上のゲノムDNAサンプルを提供する工程と、
b)野生型ClD14アレルと突然変異ClD14アレルとを区別する、鋳型としてa)のDNAサンプルを使用するジェノタイピングアッセイを実施する工程であって、前記ジェノタイピングアッセイは、ClD14アレル特異的オリゴヌクレオチドプライマーを利用する核酸増幅に基づき、及び/又は前記ジェノタイピングアッセイは、ClD14アレル特異的オリゴヌクレオチドプローブを利用する核酸ハイブリダイゼーションに基づく、工程と、任意選択的に、
c)突然変異アレルの1又は2つのコピーを含む植物、種子又は植物部分を選択する工程と
を含み、野生型ClD14アレルは、配列番号6の配列を含み、突然変異ClD14アレルは、配列番号6の配列に対して挿入、重複、欠失又は置換された1つ以上のヌクレオチドを含む、方法が提供される。
【0382】
上記の方法において、配列番号6又は配列番号6の相補鎖の少なくとも10、11、12、13、14、15又はそれを超えるヌクレオチドを含む、ClD14アレル特異的オリゴヌクレオチドプライマー又は前記ClD14アレル特異的オリゴヌクレオチドプローブが使用され得る。
【0383】
上記の方法における一態様では、突然変異アレルは、アレルのコード領域に挿入若しくは重複された少なくとも1つのコドン、又は別のコドンに変化された少なくとも1つのコドン、又は欠失されるか若しくは終止コドンに変化された少なくとも1つのコドンを含む。
【0384】
上記の方法の一態様では、突然変異アレルは、配列番号5の配列を含む。
【0385】
上記の方法の別の態様では、突然変異アレルは、表A又は表2に記載されるタンパク質をコードするアレルである。
【0386】
上記の方法の別の態様では、突然変異アレルは、本明細書の他の箇所に記載されるように、機能喪失D14タンパク質又は機能低下D14タンパク質をコードするアレルである。
【0387】
上記の方法における一態様では、オリゴヌクレオチドプライマー又はオリゴヌクレオチドプローブは、配列番号6又は配列番号6の相補配列に相補的な、少なくとも15、16、17又はそれを超えるヌクレオチドを含む。
【0388】
好ましくは、上記の方法において使用されるジェノタイピングアッセイは、KASPアッセイであり、前記KASPアッセイは、DNAサンプル中において、配列番号6の野生型アレルを検出する第1のフォワードプライマーと、DNAサンプル中において、配列番号6に対して挿入、欠失又は置換された1つ以上のヌクレオチドを含む突然変異アレルを検出する第2のフォワードプライマーと、1つの共通のリバースプライマーとを含む。
【0389】
一態様では、第2のフォワードプライマーは、DNAサンプル中の配列番号5の突然変異アレルを検出する。
【0390】
別の態様では、第2のフォワードプライマーは、表A又は表2に記載されるタンパク質をコードするアレルである突然変異アレルを検出する。
【0391】
別の態様では、第2のフォワードプライマーは、本明細書の他の箇所に記載されるように、機能喪失D14タンパク質又は機能低下D14タンパク質をコードするアレルである突然変異アレルを検出する。
【0392】
KASPアッセイの一態様では、第1のフォワードプライマーは、配列番号11又はその相補配列を含み、及び/又は第2のフォワードプライマーは、配列番号10又はその相補配列を含む。
【0393】
合成された又は合成核酸プライマー又はプローブも本明細書に包含され、前記プライマー又はプローブは、例えば、配列番号5(若しくは別の突然変異アレル)若しくは配列番号6又はこれらのいずれかの相補配列の少なくとも15ヌクレオチドを含む。このようなオリゴは、オリゴ合成のための一般的な方法を用いて合成され得る。プライマー又はプローブは、好ましくは、DNAオリゴであり、例えばジェノタイピングアッセイで使用されるように例えば緩衝液中で提供される。
【0394】
ClD14と命名された遺伝子(キトルルス・ラナトゥス(Citrullus lanatus)Dwarf14)、CsD14(ククミス・サティブス(Cucumis sativus)Dwarf14)又はCmD14(ククミス・メロ(Cucumis melo)Dwarf14)の野生型D14アレル及び/又は突然変異D14アレルの少なくとも1つのコピーを含むスイカ、キュウリ又はメロン植物、種子又は植物部分を検出及び任意選択的に選択する方法であって、
a)1つ以上のスイカ、キュウリ又はメロン植物、種子又は植物部分の1つ以上のゲノムDNAサンプルを提供する工程と、
b)鋳型としてa)のDNAサンプルを用いて、ジェノタイピングアッセイを実施する工程であって、前記ジェノタイピングアッセイは、D14アレル特異的オリゴヌクレオチドプライマーを利用する核酸増幅に基づき、及び/又は前記ジェノタイピングアッセイは、D14アレル特異的オリゴヌクレオチドプローブを利用する核酸ハイブリダイゼーションに基づく、工程と、任意選択的に、
c)前記突然変異アレルの1又は2つのコピーを含む植物、種子又は植物部分を選択する工程と
を含み、野生型D14アレルは、配列番号2(スイカにおける)、配列番号8(キュウリにおける)及び配列番号9(メロンにおける)のタンパク質をコードし、突然変異D14アレルは、配列番号2、配列番号8又は配列番号9と比べて挿入、欠失又は置換された1つ以上のアミノ酸を含む、方法がさらに提供される。
【0395】
一態様では、突然変異D14アレルは、本明細書の他の箇所に記載されるように、機能喪失D14タンパク質又は機能低下D14タンパク質をコードするアレルである。
【0396】
本方法の一態様では、前記D14アレル特異的オリゴヌクレオチドプライマー又は前記D14アレル特異的オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号6、若しくは配列番号15、若しくは配列番号16又はこれらのいずれかの相補鎖の少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又はそれを超えるヌクレオチドを含む。
【0397】
上記の方法のさらなる態様では、突然変異アレルは、配列番号2、配列番号8及び配列番号9のアミノ酸94~101から選択される少なくとも1つのアミノ酸の重複を含むタンパク質をコードする。一態様では、突然変異アレルは、配列番号2、配列番号8及び配列番号9の少なくともセリン97の重複を含むタンパク質をコードする。別の態様では、突然変異アレルは、配列番号2、配列番号8又は配列番号9のアミノ酸94~101の重複を含むタンパク質をコードする。
【0398】
さらに、スイカ系統を選択するためにインデルマーカーを用いたマーカー支援選択(MAS)を含む、スイカのための育種方法であって、前記インデルマーカーは、1つ又は複数のゲノムDNAサンプル中において配列番号6の配列(欠失アレル又はその相補配列)及び/又は配列番号5の配列(挿入アレル又はその相補配列)を検出する、方法が提供される。
【0399】
スイカ系統を選択するためにインデルマーカー又はSNPマーカーを用いたマーカー支援選択(MAS)を含む、スイカのための育種方法であって、前記インデルマーカー又はSNPマーカーは、1つ又は複数のゲノムDNAサンプル中において、配列番号2の野生型タンパク質をコードするアレル及び/又は配列番号6の野生型タンパク質と比べて、欠失、挿入、重複又は置換された1つ以上のアミノ酸を含む突然変異タンパク質をコードするアレルを検出する、方法も提供される。一態様では、突然変異タンパク質は、本明細書の他の箇所に記載されるように、機能喪失D14タンパク質又は機能低下D14タンパク質である。一態様では、突然変異タンパク質は、表A又は表2のタンパク質である。
【0400】
一態様では、突然変異タンパク質は、配列番号2の配列番号94~101の1つ以上のアミノ酸の重複を含む。一態様では、突然変異タンパク質は、配列番号1の配列を含む。
【0401】
一態様では、インデルマーカーは、マーカーmWM23349015_k2である。
【0402】
キュウリ又はメロン系統を選択するためにインデルマーカー又はSNPマーカーを用いたマーカー支援選択(MAS)を含む、キュウリ又はメロンのための育種方法であって、前記インデルマーカー又はSNPマーカーは、1つ又は複数のゲノムDNAサンプル中において、配列番号8若しくは9の野生型タンパク質をコードするアレル及び/又は配列番号8若しくは9の野生型タンパク質と比べて、欠失、挿入、重複又は置換された1つ以上のアミノ酸を含む突然変異タンパク質をコードするアレルを検出する、方法も提供される。一態様では、突然変異タンパク質は、配列番号8又は9の配列番号94~101の1つ以上のアミノ酸の重複を含む。
【0403】
上記のこれらの方法は、本明細書の他の箇所に記載される突然変異D14アレルのいずれかを用いて、選択又は検出又は育種するために使用され得る。
【0404】
異なる態様では、植物、特にスイカ植物、キュウリ植物又はメロン植物を産生する方法であって、
- 野生型D14アレルの2コピーを有する第1の近交系植物を提供すること、
- 突然変異D14アレル、例えばスイカについて配列番号5の突然変異アレル又は本明細書に記載される任意の他の突然変異アレルの2コピーを有する第2の近交系植物を提供すること、
- 第1の植物を第2の植物と交配させて、F1交配系の種子を産生すること、
- 任意選択的に、F1交配種子を採取すること
を含む方法が提供される。
【0405】
異なる態様では、植物、特にスイカ植物、キュウリ植物又はメロン植物を産生する方法であって、
- 突然変異D14アレルの2コピーを有する第1の近交系植物を提供すること、
- 突然変異D14アレル、例えばスイカについて配列番号5の突然変異アレル又は本明細書に記載される任意の他の突然変異アレルの2コピーを有する第2の近交系植物を提供すること、
- 第1の植物を第2の植物と交配させて、F1交配系の種子を産生すること、
- 任意選択的に、F1交配種子を採取すること
を含む方法が提供される。
【0406】
異なる態様では、植物、特にスイカ植物、キュウリ植物又はメロン植物を産生する方法であって、
- 野生型D14アレルの2コピーを有する第1の植物を提供すること、
- 突然変異D14アレル、例えばスイカについて配列番号5の突然変異アレル又は本明細書に記載される任意の他の突然変異アレルの1又は2つのコピーを有する第2の植物を提供すること、
- 第1の植物を第2の植物と交配させて、F1植物の種子を産生すること、
- F1植物を自殖させて、F2植物を産生すること又はF1植物を別の植物と交配させて、後代植物を産生すること、
- 任意選択的に、F2植物をさらに自殖させるか又は前の工程のF2植物又は後代植物をさらに(戻し)交配させて、さらなる自殖又は戻し交配植物を産生すること、
- 任意選択的に、突然変異D14アレルの少なくとも1つのコピーを有する植物を選択すること
を含む方法が提供される。
【0407】
さらなる実施形態において、スイカ、キュウリ又はメロンのある育種系統又は品種に突然変異D14アレルを遺伝子移入する方法であって、突然変異D14アレルを含む植物を、突然変異D14アレルを欠く植物と交配させること、F1、F2又はさらなる世代の後代を反復親に戻し交配させること、最終的に、突然変異D14アレルを含む反復親を選択することを含む方法。
【0408】
任意選択的に、MASは、第1若しくは第2の植物又はF2、F3などの任意のさらなる世代若しくは戻し交配世代における突然変異及び/又は野生型D14アレルを選択するために使用され得る。
【0409】
上記のこれらの方法は、本明細書の他の箇所に記載される突然変異D14アレルのいずれかを用いて、選択又は検出又は育種するために使用され得る。
【0410】
上記の方法のいずれかによって産生され、突然変異D14アレルの少なくとも1つのコピー、任意選択的に2コピーを含む種子及び/又は植物が本明細書に包含される。
【0411】
配列の説明
配列番号1:挿入を含む、スイカの突然変異D14タンパク質(ClD14ins)
配列番号2:スイカの野生型D14タンパク質(ClD14)
配列番号3:配列番号1の突然変異ClD14insタンパク質をコードするcDNA
配列番号4:配列番号2の野生型D14タンパク質をコードするcDNA
配列番号5:挿入/重複された24ヌクレオチドを含む、配列番号1の突然変異ClD14insタンパク質をコードするゲノムDNA
配列番号6:野生型ClD14タンパク質をコードするゲノムDNA、ヌクレオチド375~463のイントロン
配列番号7:シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)D14タンパク質
配列番号8:キュウリ、ククミス・サティブス(Cucumis sativus)の野生型D14タンパク質、CsD14タンパク質
配列番号9:メロン、ククミス・メロ(Cucumis melo)の野生型D14タンパク質、CmD14タンパク質
配列番号10:マーカーmWM23349015_k2のためのKASPアッセイのFAMプライマー
配列番号11:マーカーmWM23349015_k2のためのKASPアッセイのVICプライマー
配列番号12:マーカーmWM23349015_k2のためのKASPアッセイの共通のリバースプライマー
配列番号13:KASPプライマーを設計するために使用される、ClD14野生型アレルのマイナス鎖
配列番号14:KASPプライマーを設計するために使用される、ClD14ins突然変異アレル(挿入/重複された24ヌクレオチドを含む)のマイナス鎖
配列番号15:キュウリ野生型CsD14遺伝子のゲノムDNA
配列番号16:メロン野生型CmD14遺伝子のゲノムDNA
配列番号17:キュウリ野生型CsD14遺伝子のcDNA
配列番号18:メロン野生型CmD14遺伝子のcDNA
【0412】
以下の非限定的な例が提供される。
【実施例】
【0413】
実施例1
二次分枝(「多分枝」とも呼ばれる)についてのQTLマッピングを、多分枝品種Sidekick F1を、専有の通常の分枝性スイカ植物と交配させることによって開発されたF2集団に対して行った。
【0414】
フェノタイピングを、クラウンから90cmにおける主茎から開始して茎の末端までの二次分枝の数を計数することによって行った。計数を、系統/遺伝子型当たり5~7つの植物に対して行い、平均二次分枝を計算した。
【0415】
8番染色体上の遺伝子がSidekick F1における多分枝表現型を生じさせたことが分かった。この遺伝子は、通常分枝の親において存在する野生型遺伝子と比較して、8つのさらなるアミノ酸をコードした24ヌクレオチドの重複を含有していた。この遺伝子は、本明細書ではClD14と呼ばれる。多分枝表現型は、遺伝子の突然変異アレル(24-ヌクレオチド重複を含む)がホモ接合体において存在する場合にのみ見られた。
【0416】
配列番号6に示される遺伝子の野生型アレルと、配列番号5に示される、24のさらなるヌクレオチド(挿入は、野生型配列の24ヌクレオチドの重複である)を含む遺伝子の突然変異アレルとを区別するための、mWM23349015_k2と呼ばれるKASPマーカーが開発された。
図4を参照されたい(イントロン配列が太字で示される)。
【0417】
F3集団を、mWM23349015_k2及び二次分枝の平均数について分析し、結果は、以下のとおりであった。
【0418】
【0419】
したがって、遺伝子の突然変異アレル(配列番号5;ClD14ins、24ヌクレオチドの挿入を含む)は、ホモ接合体における突然変異アレルを含むスイカ植物の平均分枝パターンを、45以上の二次分枝が形成される分枝パターンに変化させることに関与していた。
【0420】
KASPアッセイmWM23349015_k2を、2つのフォワードプライマー及び共通の/リバースプライマーを用いて実施した:
配列番号10(Famプライマー、5’GAGACGGAGTGGCCGACC3’)、及び
配列番号11(VICプライマー、5’GGAGACGGAGTGGCCGACA3’)、
配列番号12(共通のプライマー5’CACGTCCACCGCTGCGCCTT3’)。
【0421】
Fam及びVicプライマーは、KASPアッセイについて記載されるように、5’末端にテール配列も含んでいた。
【0422】
KASPアッセイのためのDNA配列が逆DNA鎖(マイナス鎖)上で設計されたが、アレルのプラス鎖に基づいて同様に設計され得ることが注記される。プラス及びマイナス鎖は、二本鎖DNAの相補鎖である。ヌクレオチドGは、相補鎖中のCであり、ヌクレオチドAは、相補鎖中のTである。
【0423】
KASPアッセイプライマー設計、mWM23349015_k2のために使用されるDNA配列(FAM及びVICプライマーは、陰影付きの灰色である)。
【0424】
【0425】
KASPのパンフレットに従って、LGC、Biosearch Technologies(商標)からのKASP(商標)ジェノタイピング技術は、広範なゲノムDNAサンプルにわたって特定の遺伝子座におけるSNP(一塩基変異多型)及びインデル(挿入/欠失)の高度に正確な両アレルスコアリングを可能にする競合的アレル特異的PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)の独自の形態を用いる。両アレルの区別は、2つのユニバーサルプローブの1つと一致する独自のテール配列をそれぞれ有する2つのアレル特異的フォワードプライマーの競合的結合によって達成され;一方はFAM(商標)色素で標識され、他方はHEX(商標)色素で標識される。
【0426】
上述されるようなDNA鋳型(Sidekickとの交配から得られる様々なスイカ系統又は集団のゲノムDNA)及びPCR-プライマーの他に、標準的な構成要素(例えば、KASPアッセイミックス、KASP-マスターミックスなど)及びアッセイプロトコルは、LGC、Biosearch Technologies(商標)のワールドワイドウェブのbiosearchtech.com/products/pcr-kits-and-reagents/genotyping-assays/kasp-genotyping-chemistry)によって記載されるようにアッセイで使用された。
【0427】
アレル識別プロット(
図5)は、ホモ接合性野生型、ヘテロ接合性及びClD14insアレルに対してホモ接合性であるサンプルを区別した。ClD14insアレルにおける反復配列/重複の存在により、サンプル(ClD14ins/ClD14又はClD14ins/ClD14ins)を含有するClD14insアレルは、野生型サンプル(ClD14/ClD14)と比較してより多いシグナルを生成し、それにより、シグナルの分布は、アレル識別プロットにおける古典的な分布から逸脱するが、遺伝子型は、異なるクラスターにおいて明らかに区別されることが注記される。
図5中の左上のクラスターは、野生型アレルに対してホモ接合性である植物を表し、右上のクラスターは、挿入/重複を含む突然変異アレルに対してホモ接合性である植物を表し、中央のクラスターは、ヘテロ接合性植物を表す。
【0428】
図4において、2つのゲノム配列(プラス鎖)のアラインメントが示され、配列番号6は、野生型ゲノム配列(挿入を欠く)であり、配列番号5は、24ヌクレオチドの挿入を含み、したがってClD14insとも呼ばれる、ClD14タンパク質中の8つのアミノ酸の挿入(重複)をもたらす突然変異ClD14配列である(
図1及び3を参照されたい)。
【0429】
したがって、上記のKASPアッセイは、配列番号6の野生型ClD14アレル(24ヌクレオチドの挿入/重複を欠く)又はゲノム配列中に24ヌクレオチドの挿入(重複)を含む配列番号5の突然変異ClD14アレル、すなわち配列番号5中にヌクレオチド280~303が挿入された(
図4を参照されたい)(これは、実際には、配列番号6の野生型配列のヌクレオチド281~304の重複である)(
図4に斜体で示される)突然変異ClD14アレルを検出するために使用され得る。
【0430】
このKASPアッセイ又は他のアッセイは、配列番号6のClD14遺伝子の野生型アレル及び/又は野生型アレルと比べて挿入、欠失又は置換された1つ以上のヌクレオチドを含むClD14遺伝子の突然変異アレル、例えば配列番号5の突然変異アレルを検出するために使用され得る。
【0431】
Uniprot/Swiss-プロットに対するClD14タンパク質のBLAST解析を、他の種におけるClD14遺伝子のオルソログを同定するために実施し、2つのオルソログ、配列番号8のタンパク質をコードするククミス・サティブス(Cucumis sativus)CsD14遺伝子及び配列番号9のタンパク質をコードするククミス・メロ(Cucumis melo)CmD14遺伝子が同定された。
【0432】
実施例2
スイカTILLING集団をスクリーニングし、アミノ酸置換又は終止コドンをもたらすいくつかの突然変異体がClD14遺伝子中に見出された。突然変異体は、以下の表2に列挙され、
図6中にも示される。
【0433】
【0434】
W155終止突然変異体は、突然変異がホモ接合体である場合、多分枝表現型を有する(W155*/W155*)。表現型は、8つのアミノ酸の重複を含む元の突然変異体(ClD14ins/ClD14ins)の表現型のように見える。二次分枝の平均数を、クラウンから40cmの地点で決定し、以下の表3に示す。
【0435】
【0436】
表現型が同一であり、及びW155*タンパク質が非機能性でなければならないため(それは、切断され、C末端の113アミノ酸を欠く)、ClD14ins突然変異アレルも、二次分枝を抑制するためのシグナルを伝達しない非機能性タンパク質をコードしていなければならないと意外にも結論付けられ得る。したがって、ClD14遺伝子のノックアウト又は非機能性ClD14タンパク質をもたらす突然変異体がもはやいずれのシグナルも伝達せず、したがってもはや二次分枝の阻害がないと結論付けられる。これは、「完全な多分枝」又は「強い多分枝」と呼ばれることもある。
【0437】
ここで、これは、多分枝表現型が通常の野生型分枝と、ClD14ins/ClD14ins及びW155*/W155*植物に見られる強い多分枝表現型との中間であり、野生型植物と比べて約240%の二次分枝の平均数をもたらすように、多分枝表現型がより弱く、二次分枝のいくらかの阻害が依然として活性である他の突然変異体が生成され得ることも明らかにする。
【0438】
ほぼ全タンパク質が保存されたドメイン(IPR00073、www.ebi.ac.uk/interpro/entry/InterPro/IPR000073/を参照されたい)であるように、タンパク質が高度に保存されるため、単一のアミノ酸置換、欠失及び/又は挿入は、例えば、IPR00073ドメイン中に生成され得、これは、タンパク質ポケットへのいくらかのストリゴラクトンの結合及びストリゴラクトンシグナル伝達経路におけるシグナルのいくらかの伝達を依然として可能にする。例えば、上記の表2中のTILLING突然変異体のいずれかは、ホモ接合体において、機能低下ClD14タンパク質及び「中間の多分枝」、例えば野生型植物と比べて少なくとも約110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%の二次分枝をもたらし得るが、ClD14タンパク質がその機能を喪失し、二次分枝をもはや抑制しない植物に見られるような「完全な多分枝」をもたらし得ない。
【0439】
強い多分枝植物では、葉の下の湿度が高くなり、真菌などの病害が発生しやすいため、このようなより「穏やかな多分枝」又は「中間の多分枝」が望ましい。
【0440】
したがって、既存のClD14ins突然変異体(配列番号1に示される、8つのアミノ酸重複を含む)以外のClD14遺伝子における任意の新たに誘発された突然変異体(及びヘテロ接合体又はホモ接合体におけるこれらを含む植物)、特にClD14ins突然変異体又はW155*突然変異体より強くない多分枝(「中間の多分枝」)をもたらす突然変異体が本明細書に包含される。
【0441】
しかしながら、既存のClD14ins突然変異体(配列番号1に示される、8つのアミノ酸重複を含む)以外の、任意のノックアウト突然変異体又は非機能性ClD14タンパク質をもたらす突然変異アレルも、ヘテロ接合体又はホモ接合体におけるこのような突然変異体を含む植物と同様に、本明細書に包含される。
【0442】
実施例3-標的化突然変異誘発
操作されたヌクレアーゼを用いた標的特異的ゲノム編集は、様々な分野で広く使用されるようになった。スイカにおいて、Crisprは、標的遺伝子を改変するために問題なく使用されている。例えば、Wang,Y.,Wang,J.,Guo,S.et al.CRISPR/Cas9-mediated mutagenesis of ClBG1 decreased seed size and promoted seed germination in watermelon.Hortic Res 8,70(2021).https://doi.org/10.1038/s41438-021-00506-1が参照され、この方法及びベクターは、D14遺伝子の突然変異を生成するためにも使用され得る。
【0443】
1つ以上のヌクレオチドの一塩基置換又は欠失は、相同的組み換え(HR)によって実施され得る。
【0444】
バイナリCRISPR/Cas9ベクターは、例えば、Wang et al.(上掲)に記載されるように使用され得る。D14に標的化された特定のシングルガイドRNA(sgRNA)は、CRISPR-P(http://cbi.hzau.edu.cn/crispr/)を用いた評価に従って選択され得る。標的配列は、ベクターにクローニングされ、次にスイカ栽培品種を形質転換するために使用される。
【0445】
スイカ外植片は、Yu et al.(2011 Plant Cell Rep 30:359-371)の修正された方法に従って形質転換され得る。簡潔に述べると、表面滅菌されたスイカ種子を、3日間にわたって3%のSucが補充されたムラシゲ・スクーグ基礎固体培地に播種した。次に、胚を含まない子葉を、2×2mmの小片に切断した。ベクターを保有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株EHA105が形質転換に使用され得る。子葉外植片を4日間にわたって暗所で共培養し、次に1.5mg/Lの6 BA、2mg/LのBastaを含有する選択的誘導培地に移す。再生された不定芽を切除し、0.1mg/Lの6 BA、0.01mg/LのNAA、2mg/LのBastaを含有する選択的伸長培地に移す。
【0446】
プラスミドベクターは、CAS9及び2つのガイドRNA(gRNA)を発現するカセット並びに相同組み換え修復(HDR)のための鋳型としての供与体断片を保有する。Cas9遺伝子及びgRNAの発現は、ユビキチンプロモーターなどの強力なプロモーターによって駆動される。gRNAは、2つの標的部位の逆鎖において設計される。
【0447】
供与体断片は、標的D14遺伝子(突然変異を除く)の配列に対応する断片の中央に所望の突然変異を含む。任意選択的に、供与体断片中のアミノ酸残基を変化させないさらなる同義突然変異は、HDRが問題なく達成された後、Cas9が供与体断片を再度切断することを防ぐであろう。断片は、それぞれPAMモチーフを含む2つのgRNA標的配列と隣接され、供与体DNAがプラスミドベクターからCas9/gRNAによって放出され得るようになっており;例えば、Sun et al.(2016)Molecular Plant 9,628-631 DOI:10.1016/j.molp.2016.01.001を参照されたい。
【0448】
HDRを増加させるために、さらなる遊離DNA供与体断片が外植片に共導入され得る。形質転換後、例えばプラスミドベクターでコードされた抗生物質耐性に基づいて選択された再生された芽が成長され、突然変異の存在について分析される。これは、PCRによってDNAからの標的遺伝子配列を増幅するために、プライマーによって行われ得る。プライマーは、それらがプラスミドから断片を増幅できないように設計される。増幅された産物は、突然変異の存在を確認するためにシーケンシングされ得る。
【0449】
植物は、標準的な方法を用いて、所望の突然変異を含む形質変換された植物材料から再生され得る。
【0450】
例えば、Wang et al.(上掲)によって記載されるように、ゲノムDNAは、T0-T4トランスジェニック植物の幼葉から抽出され得、次にこれを、2つの標的化部位に隣接するプライマーを用いて、標的遺伝子における特定の断片を増幅するために、鋳型を生成するために使用した。PCRは、以下の条件下で行われ得る:94℃/5分;94℃/30秒、56℃/30秒及び72℃/1分(35サイクル);及び最後の伸長として72℃/10分。PCR産物は、標準的な方法を用いて直接シーケンシングされ得る。
【0451】
トランスジェニック植物は、Cas9に特異的なプライマーを用いて、Cas9を含まないことも確認され得る。PCRは、以下の条件下で行われ得る:94℃/5分;94℃/30秒、60℃/30秒及び72℃/1分(29サイクル);及び最後の伸長として72℃/10分。
【配列表】
【国際調査報告】