(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】フィルタ媒体、フィルタ媒体を含むフィルタカートリッジ、及び水を濾過する方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/28 20230101AFI20240621BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20240621BHJP
B01D 39/20 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C02F1/28 G
B01D39/16 A
B01D39/20 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580852
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 US2022035767
(87)【国際公開番号】W WO2023278728
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591235706
【氏名又は名称】ペプシコ・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】カマリ,ファーシャド
(72)【発明者】
【氏名】ファンタッピエ,ジャンカルロ
(72)【発明者】
【氏名】ジャージー,スティーブン ティ
【テーマコード(参考)】
4D019
4D624
【Fターム(参考)】
4D019AA03
4D019BA04
4D019BA13
4D019BB03
4D019BC01
4D019BC20
4D019BD01
4D019CA02
4D624AA02
4D624BA01
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4D624BB02
4D624BB07
4D624BC01
4D624CA04
4D624DB26
(57)【要約】
水から汚染物質を除去するためのフィルタ媒体は、静電荷を有する複数の繊維を含むマトリックスを含み、マトリックスは、静電引力によって水から汚染物質を除去するように構成される。フィルタ媒体は、ミネラルを含有するセラミック基材を含む充填材料を更に含む。充填材料はマトリックス内に埋め込まれる。水がフィルタ媒体を通って流れるとき、ミネラルは少なくとも部分的に水中に溶解し、その結果、少なくとも部分的に溶解したミネラルの位置でマトリックス内に空洞が形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料ディスペンサ用のフィルタカートリッジであって、
入口及び出口を含む外側ハウジングと、
フィルタ媒体を含むフィルタステージと、を備え、前記フィルタ媒体が、静電荷を有する複数の繊維を含むマトリックスと、
ミネラルを含有するセラミック基材を含む充填材料と、を備え、
前記充填材料が、前記マトリックスに埋め込まれている、フィルタカートリッジ。
【請求項2】
前記フィルタステージが、0.1μm~1μmの範囲のサイズを有する汚染物質を除去するように構成される、請求項1に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項3】
前記フィルタ媒体がプリーツ付きである、請求項1に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項4】
前記ハウジング内に配置されたプレフィルタステージを更に備え、前記フィルタステージが前記プレフィルタステージの下流に配置される、請求項1に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項5】
前記外側ハウジング内に配置された内側ハウジングを更に備え、前記プレフィルタステージが前記外側ハウジング内に配置され、前記フィルタステージが前記内側ハウジング内に配置される、請求項4に記載のフィルタカートリッジ。
【請求項6】
飲料ディスペンサであって、
飲料容器受容領域を画定するハウジングと、
飲料を分配するために、前記ハウジング上に配置された分配ヘッドと、
請求項1に記載のフィルタカートリッジであって、前記フィルタカートリッジの前記外側ハウジングの前記入口が、水源から水を受け取るように構成され、前記フィルタカートリッジの前記外側ハウジングの前記出口が、前記分配ヘッドと連通している、フィルタカートリッジと、を備える、飲料ディスペンサ。
【請求項7】
水から汚染物質を除去するためのフィルタ媒体であって、
静電荷を有する複数の繊維を含むマトリックスであって、静電引力によって水から汚染物質を除去するように構成されている、マトリックスと、
ミネラルを含有するセラミック基材を含む充填材料であって、前記充填材料が前記マトリックスに埋め込まれており、前記ミネラルが、水が前記フィルタ媒体を通って流れるときに少なくとも部分的に溶解して、前記少なくとも部分的に溶解したミネラルの位置において前記マトリックス内に空洞が形成されるように構成される、充填材料と、を備える、フィルタ媒体。
【請求項8】
前記フィルタ媒体が、0.1μm~1μmの範囲のサイズを有する懸濁固体を水から除去するように構成される、請求項7に記載のフィルタ媒体。
【請求項9】
前記マトリックスが、前記複数の繊維を含む不織布材料を含む、請求項7に記載のフィルタ媒体。
【請求項10】
前記マトリックスが、前記マトリックスの静電荷を提供又は増強するように構成された添加剤を更に含む、請求項7に記載のフィルタ媒体。
【請求項11】
前記添加剤がアルミナを含む、請求項10に記載のフィルタ媒体。
【請求項12】
前記複数の繊維が、ポリプロピレン、ガラス繊維、及びナノ繊維から選択される繊維を含む、請求項7に記載のフィルタ媒体。
【請求項13】
前記マトリックスが、0.1μm~1μmの範囲の細孔径を含む、請求項7に記載のフィルタ媒体。
【請求項14】
前記充填材料が、0.1μm~20μmの範囲のサイズを有する、請求項7に記載のフィルタ媒体。
【請求項15】
前記セラミック基材が結晶構造を含む、請求項7に記載のフィルタ媒体。
【請求項16】
前記ミネラルが、マグネシウム、カリウム、カルシウム、マンガン、鉄、亜鉛、リン、及びナトリウムから選択される、請求項7に記載のフィルタ媒体。
【請求項17】
前記ミネラルの溶解度が約1mg/L~約50mg/Lである、請求項7に記載のフィルタ媒体。
【請求項18】
フィルタ媒体を使用して汚染物質を含有する水を濾過するための方法であって、前記フィルタ媒体を通して前記汚染物質を含有する水を流すことであって、
前記フィルタ媒体が、静電荷を有する複数の繊維を含むマトリックスと、ミネラルを含有するセラミック基材を含む充填材料とを含み、前記充填材料が前記マトリックスに埋め込まれている、流すことと、
前記フィルタ媒体の前記マトリックス内の前記汚染物質のうちの第1の汚染物質を静電引力によって捕捉することと、
前記フィルタ媒体を通って流れる前記水中に前記ミネラルを少なくとも部分的に溶解させることと、を含む、方法。
【請求項19】
前記ミネラルが少なくとも部分的に溶解する際に前記マトリックス内に空洞を形成することと、前記空洞内に第2の汚染物質を捕捉することとを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記汚染物質を含有する水を前記フィルタ媒体を通して流す前に、前記汚染物質を含む水をプレフィルタを通して流すことを更に含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される実施形態は、一般に、フィルタ媒体に関する。具体的には、本明細書に記載される実施形態は、静電力を使用して原水から汚染物質を除去及び捕捉するように構成され、水のアルカリ度を増加させる、ミネラルが埋め込まれた繊維のマトリックスを含むフィルタ媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料水の品質は、水中の総溶解固形物(「TDS」)の量に基づいて評価され得る。溶解固体は、水に溶解したミネラル、塩、金属、カチオン、又はアニオンを含み得る。TDSは、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、重炭酸塩、塩化物、及び硫酸塩などの無機塩、並びに少量の有機物を含む。そのような溶解固体は、一般に小さいサイズ、例えば約0.2μm未満を有する。米国環境保護庁(EPA)は、飲料水の最大汚染レベルを500ppm(mg/L)のTDSに設定している。しかしながら、良質の飲料水は、一般に、約250ppm以下のTDSを有する。
【0003】
飲料水の品質は、水中の総懸濁固体(「TSS」)の量に基づいて評価され得る。懸濁固体は、例えば、シルト粒子、粘土粒子、プランクトン、藻類、微細有機破片、及び他の粒子状物質を含み得る。懸濁固体は、約0.2μm以上の比較的大きなサイズを有し得る。飲料水中の最大TSSに関する国の飲料水水質基準(NDWQS)は、25mg/Lである。平均的な品質の水道水は、一般に、約10mg/LのTSSを有する。
【0004】
飲料水の品質を改善するために、様々なタイプのフィルタ媒体を使用して、TDS、TSS、又はその両方の量を減少させ得る。水から汚染物質を除去するための多種多様な濾過技術及びフィルタ媒体が存在する。水フィルタは、1つのフィルタを有する単一のステージを有してもよく、又は異なるフィルタ媒体の組み合わせを有する複数のステージを含み得る。フィルタ媒体は、異なるタイプの材料に依存してもよく、とりわけ、メッシュ、スクリーン、布、又は膜を含み得る。濾過は、メッシュ若しくはスクリーンを使用する表面濾過によって、又はフェルト若しくは布材料を使用する深層濾過によって行われ得る。濾過技術は、精密濾過、限外濾過、ナノ濾過、逆浸透濾過、及びイオン交換濾過を含む。
【0005】
水フィルタにおける使用のためのフィルタ媒体の選択は、様々な設計考慮事項に依存し得る。例えば、フィルタ媒体は、水の所望の品質、例えば、水中のTSS又はTDSの所望のレベルに基づいて、又は水から特定の汚染物質、例えば、ウイルス及び細菌を除去するように選択され得る。フィルタの特定の材料及びタイプは、他のものよりも高価であり得るので、フィルタ媒体は、フィルタ媒体を準備するためのコストに基づいて選択され得る。一般に、所望の飲料水の純度が高ければ高いほど、フィルタ媒体のコストは高くなる。いくつかの用途では、長い有効寿命が必要とされないようにフィルタ媒体の容易な交換を可能にし得る一方で、フィルタが洗浄又は交換が困難である他の用途では、より長い有効寿命を提供するように設計され得るので、フィルタ媒体は、フィルタ媒体の予期される有効寿命を最適化するために選択され得る。更に、フィルタ媒体は、水フィルタの用途のタイプ及びフィルタ媒体を通る水の所望の流量に基づいて選択され得、商業用途(例えば、レストラン)、家庭用途(冷蔵庫又はカウンター下用途(例えば、キッチンシンクの下))、又は個人用途(水差し又は水筒など)などのために選択され得る。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、入口及び出口を備える外側ハウジングと、フィルタ媒体を備えるフィルタステージとを含む、飲料ディスペンサ用のフィルタカートリッジに関する。フィルタカートリッジのフィルタ媒体は、静電荷を有する複数の繊維を含むマトリックスと、ミネラルを含有するセラミック基材を含む充填材料とを含み得、充填材料はマトリックスに埋め込まれる。
【0007】
本明細書に記載される様々な実施形態のいずれかにおいて、フィルタステージは、0.1μm~1μmの範囲のサイズを有する汚染物質を除去するように構成される。
【0008】
本明細書に記載される様々な実施形態のいずれかにおいて、フィルタカートリッジは、ハウジング内に配置されたプレフィルタステージを更に含んでもよく、フィルタステージは、プレフィルタステージの下流に配置される。いくつかの実施形態では、フィルタカートリッジは、外側ハウジング内に配置された内側ハウジングを含み得、プレフィルタステージは外側ハウジング内に配置され、フィルタステージは内側ハウジング内に配置される。
【0009】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、飲料容器受容領域を画定するハウジングと、飲料を分配するためにハウジング上に配置された分配ヘッドと、本明細書に記載のフィルタカートリッジとを含む飲料ディスペンサであって、フィルタカートリッジの外側ハウジングの入口が水源から水を受け取るように構成され、フィルタカートリッジの外側ハウジングの出口が分配ヘッドと連通している、飲料ディスペンサに関する。
【0010】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、静電荷を有する複数の繊維を含むマトリックスを含み、マトリックスが静電引力によって水から汚染物質を除去するように構成される、水から汚染物質を除去するためのフィルタ媒体に関する。フィルタ媒体は、ミネラルを含有するセラミック基材を含む充填材料を更に含み、充填材料はマトリックスに埋め込まれている。水がフィルタ媒体を通って流れるとき、ミネラルは少なくとも部分的に水中に溶解し、その結果、少なくとも部分的に溶解したミネラルの位置でマトリックス内に空洞が形成される。
【0011】
本明細書に記載される様々な実施形態のいずれかにおいて、フィルタ媒体は、0.1μm~1μmの範囲のサイズを有する懸濁固体を水から除去するように構成され得る。
【0012】
本明細書に記載される様々な実施形態のいずれかにおいて、マトリックスは、複数の繊維を含む不織布材料を含み得る。
【0013】
本明細書に記載の様々な実施形態のいずれかにおいて、マトリックスは、マトリックスの静電荷を提供又は増強するように構成された添加剤を更に含み得る。いくつかの実施形態では、添加剤はアルミナを含む。
【0014】
本明細書に記載される様々な実施形態のいずれかにおいて、複数の繊維は、ポリプロピレン、ガラス繊維、及びナノ繊維から選択される繊維を含み得る。
【0015】
本明細書に記載される様々な実施形態のいずれかにおいて、マトリックスは、0.1μm~1μmの範囲の細孔径を有し得る。
【0016】
本明細書に記載の様々な実施形態のいずれかにおいて、充填材料は、0.1μm~20μmの範囲のサイズを有し得る。
【0017】
本明細書に記載の様々な実施形態のいずれかにおいて、セラミック基材は結晶構造を有し得る。
【0018】
本明細書に記載される様々な実施形態のいずれかにおいて、ミネラルは、マグネシウム、カリウム、カルシウム、マンガン、鉄、亜鉛、リン、及びナトリウムから選択され得る。
【0019】
本明細書に記載の様々な実施形態のいずれかにおいて、ミネラルの溶解度は、約1mg/L~約50mg/Lであってもよい。
【0020】
本明細書で説明されるいくつかの実施形態は、フィルタ媒体を使用して汚染物質を含有する水を濾過するための方法に関し、本方法は、汚染物質を含有する水をフィルタ媒体を通して流すことを含む。フィルタ媒体は、静電荷を有する複数の繊維を含むマトリックスと、ミネラルを含有するセラミック基材を含む充填材料とを含み、充填材料はマトリックスに埋め込まれている。この方法は、静電引力によってフィルタ媒体のマトリックス内に汚染物質のうちの第1の汚染物質を捕捉することと、フィルタ媒体を通って流れる水にミネラルを少なくとも部分的に溶解することとを更に含む。
【0021】
本明細書に記載される様々な実施形態のいずれかにおいて、方法は、ミネラルが少なくとも部分的に溶解する際にマトリックス内に空洞を形成することと、空洞内に第2の汚染物質を捕捉することとを更に含み得る。
【0022】
本明細書に記載される様々な実施形態のいずれかにおいて、方法は、汚染物質を含有する水をフィルタ媒体に流す前に、汚染物質を含有する水をプレフィルタに流すことを更に含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付図面は、本開示を例解するものであり、説明と合わせて、本開示の原理を更に説明し、当業者が本開示を作製及び使用することを可能にする役割を果たす。
【
図1】一実施形態による飲料ディスペンサで使用されるフィルタ媒体を含むフィルタカートリッジの図を示す。
【
図2】一実施形態によるフィルタ媒体の層の斜視図を示す。
【
図3】一実施形態による、不織布フィルタ媒体の拡大図を示す。
【
図4】一実施形態による添加剤を含むフィルタ媒体のマトリックスの図を示す。
【
図5】一実施形態によるフィルタ媒体の充填材料の原子構造の図を示す。
【
図6】充填材料の溶解から形成された細孔を有する一実施形態によるフィルタ媒体の一部の拡大図を示す。
【
図7】一実施形態によるフィルタ媒体を備える水フィルタの長手方向断面図を示す。
【
図8】一実施形態によるフィルタカートリッジに使用するためのフィルタ媒体の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に例示される代表的な実施形態を詳細に参照する。以下の説明は、複数の実施形態を1つの好ましい実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。それに対して、本発明は、特許請求の範囲によって定義される実施形態の趣旨及び範囲の範囲内に含まれ得る代替物、変形物、及び均等物を包含することを意図している。
【0025】
複数のステージを有するフィルタは、一般に、サイズが減少する順に汚染物質を濾過し、最小の汚染物質は最終フィルタステージにおいて水から除去される。その結果、最終フィルタステージは、一般に、フィルタを通る流量に関してフィルタの速度制限ステージである。例えば、サイズのみに基づいて汚染物質を分離するためのサブミクロンサイズの細孔を有するメッシュスクリーンを含む最終フィルタステージは、フィルタを通る水の流れを増加させるために高圧が使用されない限り、フィルタを通る水の所望の流量を提供しない可能性がある。更に、細かいメッシュのスクリーンは、汚染物質によって急速に閉塞又は目詰まりする可能性があり、頻繁に洗浄又は交換する必要がある可能性があり、これは望ましくない。その結果、十分な水流量を維持し、容易に目詰まり又は閉塞しない、サブミクロン汚染物質を除去するためのフィルタ媒体を提供することが望ましい。
【0026】
更に、フィルタ媒体は、一般に、水のアルカリ度又はpHを増加させて水を「軟化」させるのに役立たない。ミネラルを水に添加することは、飲料水の味又は品質を改善するのに役立ち得る。その結果、原水から汚染物質を除去し、水のアルカリ度又はpHを増加させて水の品質及び味を改善するのにも役立つフィルタ媒体が望まれる。
【0027】
いくつかの実施形態では、フィルタ媒体は、1週間又は数ヶ月程度などの長期間にわたってゆっくりと溶解するミネラルを含有するセラミック基材を含む充填材料が埋め込まれたマトリックスを含む。このようにして、フィルタ媒体は、ミネラルが水に溶解するときに水のアルカリ度又はpHを増加させ得、ミネラルの遅い溶解速度は、フィルタ媒体がその有効寿命にわたって一貫した水質を提供することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、フィルタ媒体は、水中に溶解してマトリックス内に空洞を形成する充填材料が埋め込まれた静電荷を有する繊維のマトリックスを含み得る。結果として、ミネラルが溶解するにつれてマトリックス内に空洞が形成されることは、フィルタ媒体を通る新しい流路を作り出すことによって水流を動的に改善するのに役立ち、空洞はまた、静電力によって空洞内に汚染物質を捕捉する働きをし得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、「汚染物質」という用語は、水中の様々な物質又は物体のいずれかを指し得、例えば、とりわけ、鉛及び水銀などの重金属、揮発性有機化合物などの化学化合物及び生体分子、塩素、クロラミン、殺虫剤、除草剤、医薬品、微粒子、コロイド、多糖類(TEP)、シスト、細菌、レジオネラ、大腸菌、ウイルス、及びエンドトキシンなどを含む懸濁固体及び溶解固体を含むが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書に記載のフィルタ媒体は、例えば
図1に示すように、冷蔵庫又は飲料ディスペンサ300などの家庭又はオフィス環境で使用するのに特に適し得る。フィルタ媒体は、飲料ディスペンサに関連して本明細書で説明されるが、フィルタ媒体は、水から汚染物質を除去するための様々な環境又は用途のいずれにおいても使用可能であることが理解される。
【0030】
例示的な実施形態では、飲料ディスペンサ300は、飲料容器400が配置され得る飲料容器受容領域320を画定するハウジング310を含み得る。飲料ディスペンサ300は、飲料容器受容領域320に配置された飲料容器400に飲料を分配するための1つ以上の分配ヘッド330を含み得る。飲料ディスペンサ300は、分配される飲料の選択を受信するためのユーザインターフェース340を更に含み得る。ユーザインターフェース340は、例えば、所望の飲料に対応するボタン342を押すことによってユーザによって操作される複数のボタン342を含み得る。飲料ディスペンサ300は、例えば、蒸留水、炭酸水、冷水、温水を含む様々な飲料のいずれかを分配してもよく、又は香味料、甘味剤、添加剤などと組み合わせて分配してもよい。
【0031】
飲料ディスペンサ300は、水から汚染物質を除去するための、本明細書に記載のフィルタ媒体100を収容するフィルタユニット350を含み得る。いくつかの実施形態では、フィルタユニット350は、例えば、以下で更に詳細に説明されるフィルタカートリッジ200などの1つ以上のフィルタカートリッジを含み得る。飲料ディスペンサ300は、水ラインなどの水源に接続されてもよい。飲料ディスペンサ300は、入口ライン372などによって水をフィルタユニット350の入口に連通させる入口ポート312を含み得る。フィルタユニット350は、水から汚染物質を除去し、濾過された水は、出口ライン374を介してフィルタユニット350から流出し、分配ヘッド330によって分配され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、飲料ディスペンサ300は、濾過及び処理された水を分配ライン376を介して分配ヘッド330に送達する前に、濾過された水を処理するための1つ以上の水処理ユニット360を含み得る。例えば、処理ユニット360は、とりわけ、水の温度を下げるように構成された熱交換器又は「冷却器」、水の温度を上げるように構成された加熱器、又は水を炭酸化するように構成されたカーボネータを含み得る。更に、飲料ディスペンサ300は、1つ以上の香味源を含んでもよく、又は飲料ディスペンサ300は、香味入口314などを介して、1つ以上の香味源と連通して配置されてもよい。飲料ディスペンサ300は、香味源から分配ヘッド330に香味料を連通するための流体ライン378を含み得、処理ユニット360は、濾過された水を香味料と組み合わせるためのミキサなどを含み得る。更に、飲料ディスペンサ300は、当業者によって理解されるように、流体ライン、マニホールド、ポンプ、バルブ、コントローラ、及び他のパラメータの中でもとりわけ温度又は流量を測定するためのセンサなどの更なる構成要素、並びに飲料ディスペンサを通して流体を移動させ、飲料ディスペンサを動作させるために必要な他の構成要素を含み得る。更に、フィルタユニット350は、処理ユニット360の上流に示されているが、フィルタユニット350は、上述の処理ユニット360の1つ以上の下流に配置されてもよいことが理解される。
【0033】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、例えば
図2に示されるような1つ以上の層110を含むフィルタ媒体100に関する。フィルタ媒体100の各層110は、マトリックス112及び充填材料120を含む。充填材料120は、マトリックス112に埋め込まれてもよい。充填材料120は、フィルタ媒体100が実質的に均質であるように、マトリックス112全体にわたって均一に分布されてもよい。フィルタ媒体100は、フィルタ媒体100の細孔径よりも大きいサイズを有する汚染物質がフィルタ媒体100を通過するのを阻止することによって、水から汚染物質を除去し得る。更に、フィルタ媒体100は、静電力によるマトリックス112への汚染物質の吸着によって汚染物質を濾過し得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、フィルタ媒体100は、約0.1μm~約1μmの範囲のサイズを有する懸濁固体及び溶解固体を水から除去するように構成されてもよい。1μmより大きいサイズを有する汚染物質は、フィルタ媒体100を通って流れる前に、炭素ブロックなどのプレフィルタによって水から除去し得る。フィルタ媒体100を通して水を流す前に1μmより大きいサイズを有する汚染物質を除去することは、そのような比較的大きい汚染物質によるフィルタ媒体100の目詰まり又は閉塞を回避するのに更に役立ち得る。溶解イオンなどの0.1μmより小さい汚染物質は、それらの小さいサイズのために相互作用をほとんど又は全く伴わずにフィルタ媒体100を通過し得る。
【0035】
フィルタ媒体100の各層110は、0.5mm~50mm、1mm~40mm、又は2mm~30mmの厚さtを有し得る。いくつかの実施形態では、フィルタ媒体100は、0.1μm~1μmの平均細孔径を有し得る。フィルタ媒体100は、フィルタ媒体100の細孔径より大きい平均サイズを有する汚染物質を除去し得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、フィルタ媒体100のマトリックス112は、複数の繊維114を含み得る。複数の繊維114を含むフィルタ媒体100は、例えば
図3に示されるように、不織布として形成されてもよい。繊維114は、ポリプロピレン繊維、ガラス繊維、ナノ繊維、又はこれらの混合物を含み得る。
【0037】
マトリックス112は、正の静電荷などの静電荷を有し得る。細菌及び長鎖溶解分子、例えばタンパク質などの多くの汚染物質は、負の静電荷を有する可能性があり、正の静電荷を有するフィルタ媒体100への静電引力によって水から除去し得る。このようにして、マトリックス112は、静電引力によって負に帯電した汚染物質などの汚染物質を捕捉し得る。マトリックス112は、静電力に基づいて汚染物質を捕捉し得るので、マトリックス112は、マトリックスの細孔径よりも小さいサイズを有する汚染物質を捕捉し得る。水から汚染物質を除去するための静電力の使用は、フィルタ媒体100が、水から汚染物質を分離するために小さい、ミクロン又はサブミクロンサイズの細孔のみに依存する既存のフィルタ媒体よりも低い圧力降下及び高い流量を有することを可能にする。
【0038】
いくつかの実施形態では、マトリックス112は、例えば
図4に示すように、添加剤118を更に含み得る。添加剤118は、マトリックス112に静電荷を提供するように、又はマトリックス112の静電荷を増強するように構成されてもよい。添加剤118は、例えば、活性炭又はアルミナを含み得る。添加剤118は、繊維114を被覆してもよく、又は繊維114に埋め込まれてもよい。添加剤118は、微粒子又は粉末の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、添加剤118は、0.01μm~10μmの範囲の平均サイズを有し得る。添加剤118は、繊維114の体積の1%~50%、繊維114の体積の2%~40%、又は繊維114の体積の5%~30%の量で存在してもよい。
【0039】
フィルタ媒体100はまた、充填材料120を含み得る。充填材料120は、マトリックス112に埋め込まれてもよい。いくつかの実施形態において、充填材料120は、体積の約1%~約10%の量でフィルタ媒体100中に存在してもよい。いくつかの実施形態では、充填材料120はミネラルを含み得る。ミネラルは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マンガン、マグネシウム、鉄、亜鉛、リン、又はこれらの組み合わせなどのアルカリ性ミネラルを含み得る。ミネラルは、水のpH又はアルカリ度を増加させ、水の品質又は味を向上させるために、フィルタ媒体100を通って流れる水に溶解してもよい。しかしながら、ミネラルは一般に高い溶解度を有し、水に急速に溶解する。本出願の発明者らは、ミネラルをセラミック基材に組み込むことによって、ミネラルが長期間にわたってよりゆっくりと溶解するように、ミネラルの溶解度を低下させることができることを見出した。いくつかの実施形態では、セラミック基材を含む充填材料120のミネラルは、約1mg/L~約50mg/L、2mg/L~30mg/L、又は5mg/L~10mg/Lの溶解度を有し得る。
【0040】
セラミック基材150を含む例示的な充填材料120が
図5に示される。いくつかの実施形態では、セラミック基材150は、例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、アルミン酸塩(AlO
4-x)、又はケイ酸塩(SiO
4-x)から形成されてもよく、xは0、1、又は2である。
図5に示すように、セラミック基材150は、アルミニウム(又はケイ素)152及び酸素原子154のネットワークを含み得る。いくつかの実施形態において、セラミック基材150は結晶構造を有し得る。ミネラル122は、セラミック基材150に含まれてもよい。ミネラル122は、正電荷を有してもよく、セラミック基材150の負に帯電した酸素原子との相互作用によってセラミック基材150に結合されてもよい。セラミック基材150は、フィルタ媒体を通って流れる水にミネラル122をゆっくりと溶解させる働きをする。ミネラル122は、数週間又は数ヶ月などの長期間にわたって溶解し得る。ミネラルの溶解度は、充填材料120を形成するために使用される温度及び圧力を調節することによって調整することができる。溶解度は、フィルタ媒体100の有効寿命に影響を与える可能性があり、それは、溶解度が高いほど、ミネラル122及びフィルタ媒体100がより急速に枯渇する可能性があるからである。更に、溶解度は、濾過された水に溶解するミネラル122の濃度に影響を与える可能性があり、ミネラル122の溶解度が高いほど、より多くのミネラル122がフィルタ媒体100から所与の量の水に溶解される。
【0041】
いくつかの実施形態では、フィルタ媒体100は、濾過される水中に1μm未満のサイズを有する懸濁固体の濃度と同様の濃度のミネラルを放出するように構成されてもよい。例えば、濾過される水道水が、約5mg/Lの1μm未満のサイズを有する懸濁固体の濃度を有する場合、フィルタ媒体100は、水がフィルタ媒体100を通って流れるときに約5mg/Lのミネラルを放出するように構成され得る。このようにして、溶解したミネラルは、水から除去された懸濁固体と本質的に置き換わる。しかしながら、フィルタ媒体100からミネラルが放出される速度は、フィルタ媒体を通って流れる水道水から汚染物質が除去される速度とは無関係であることが理解される。
【0042】
いくつかの実施形態では、充填材料120は、0.1μm~20μm、0.1μm~15μm、又は0.1μm~10μmの範囲のサイズを有してもよく、充填材料120のサイズは、充填材料120の最大直径の平均である。いくつかの実施形態では、充填材料120は、例えば、1mm~5mmのサイズを有し得る市販のミネラルセラミックボールを、所望のサイズ、例えば、0.1μm~20μmに粉砕することによって形成され得る。いくつかの実施形態では、充填材料120は、1μm以下のサイズを有する充填材料120の形成を可能にするゾルゲル法によって形成されてもよい。
【0043】
フィルタ媒体100の動作中、水がフィルタ媒体100を通って流れるにつれて、充填材料120は、例えば
図6に示されるように、部分的に水に溶解し始め得る。上述したように、ミネラルは、濾過された水のアルカリ度又はpHを増加させるために水に溶解し得、水を軟化させ、味を改善する。
【0044】
更に、充填材料120が溶解するにつれて、以前は充填材料120によって占められていた空間内のマトリックス112内に空洞130が形成される。このようにして、ミネラル122が溶解するにつれて、水がフィルタ媒体100を通って流れ得る新しい流路が動的に形成される。空洞130の形成は、フィルタ媒体100の有効寿命全体にわたってフィルタ媒体100を通る水の流量を維持するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、空洞130は、フィルタ媒体100を通って流れる水1リットル当たり0.0001cm3~0.001cm3の割合で形成されてもよい。
【0045】
更に、充填材料120の溶解によって形成される空洞130は、空洞130内に懸濁固体410を捕捉し得る。空洞130が静電的に帯電したマトリックス112によって取り囲まれているので、懸濁固体410は、静電力によって空洞130内に捕捉され得る。充填材料120が完全に溶解すると、空洞130は、ほぼ充填材料120のサイズであるサイズを有する。したがって、いくつかの実施形態では、空洞130は、約0.1μm~20μmのサイズを有し得る。空洞130のサイズが約20μmより大きい場合、マトリックス112の静電力は、空洞130内のサブミクロン汚染物質を引き付けて維持するのに十分ではない可能性がある。更に、空洞130が約0.1μm未満である場合、汚染物質が大きすぎて空洞130内に捕捉されない可能性がある。空洞130は、さもなければフィルタ媒体100を閉塞又は目詰まりさせ得る、マトリックス112内の懸濁固体の蓄積を回避するように、懸濁固体を捕捉し得る。
【0046】
いくつかの実施形態は、フィルタ媒体を使用して汚染物質を含有する水を濾過するための方法に関する。汚染物質を含有する水は、静電荷を有する複数の繊維のマトリックスと、ミネラルを含有するセラミック基材を含む充填材料とを含むフィルタ媒体を通って流れ得る。充填材料は、フィルタ媒体のマトリックスに埋め込まれてもよい。汚染物質は、静電引力によってフィルタ媒体のマトリックス内に捕捉され得る。水がフィルタ媒体を通って流れるとき、ミネラルは、フィルタ媒体から水に少なくとも部分的に溶解し得る。ミネラルが溶解し始めると、フィルタ媒体のマトリックス内に空洞が形成される可能性がある。汚染物質は、静電力によって空洞内に捕捉される可能性がある。いくつかの実施形態では、水は、1μm以上のサイズを有する汚染物質などの汚染物質を除去するために、フィルタ媒体を通して流す前に、プレフィルタを通して流してもよい。
【0047】
フィルタ媒体100は、
図7に示すように、フィルタカートリッジ200内のフィルタステージとして使用し得る。フィルタカートリッジ200は、1つ以上のステージを有し得る。フィルタステージは、とりわけ、ポリプロピレン、活性炭、触媒炭素、動的分解フラックス(KDF)、天然繊維、合成繊維、中空繊維、ガラス繊維、活性アルミニウム、二酸化マンガン、ステンレス鋼ワイヤメッシュ、酢酸セルロース膜、ポリスルホン膜、及び逆浸透膜など、当技術分野で知られている様々なフィルタ媒体のいずれかを含み得る。フィルタ媒体100は、フィルタカートリッジ200の1つ以上のステージで使用されてもよく、フィルタカートリッジ200の最終ステージとして使用されてもよい。したがって、フィルタ媒体100は、1つ以上の更なるフィルタステージの下流に配置されてもよい。このようにして、フィルタ媒体100は、水のpHを増加させ得、水をミネラルで増強させ得る。
【0048】
図7に示すように、フィルタカートリッジ200は、中空の内部容積を画定し、第2の端部218の反対側に第1の端部216を有する外側ハウジング210を含む。いくつかの実施形態では、ハウジング210は略円筒形の形状を有し得る。外側ハウジング210は、汚染物質を含有する水がフィルタカートリッジ200に流入し得る1つ以上の入口212と、濾過された水がフィルタカートリッジ200から流出し得る1つ以上の出口214とを画定し得る。いくつかの実施形態では、入口212及び出口214は、ハウジング210の第1の端部216に配置されてもよい。出口214は中心に配置されてもよく、入口212はハウジング210の周囲に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、入口212は、水がフィルタカートリッジ200の長手方向Zに沿ってフィルタカートリッジ200に流入することを可能にするように構成されてもよく、出口214は、水がフィルタカートリッジ200の長手方向にフィルタカートリッジ200から流出することを可能にするように構成されてもよい。
【0049】
フィルタカートリッジ200は、ハウジング210内に配置されたプレフィルタ220を含み得る。プレフィルタ220は、1つ以上のフィルタステージ221、222を含み得、1つ以上のタイプのフィルタ媒体を含み得る。例えば、プレフィルタ220は、とりわけ、炭素ブロック、活性炭、ポリプロピレン又はポリエステルを含み得る。いくつかの実施形態では、プレフィルタ220は、1μm以上のサイズを有する汚染物質を除去するように構成されてもよい。プレフィルタ220は、開放中央領域を有する管状構成を有し得る。プレフィルタ220のフィルタステージ221、22は、入れ子構成で同心円状に配置されてもよい。プレフィルタ220は、ハウジング210の長手方向軸Zに平行に配置されてもよく、プレフィルタ220とハウジング210との間の空間内に周辺流路211を画定してもよく、中央流路213を画定してもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、フィルタ媒体100はまた、開放中央領域を有する管状構造を有し得る(例えば、
図8を参照)。フィルタ媒体100は、プレフィルタ220内に同心円状に入れ子状に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、
図6に示すように、フィルタ媒体100は、内側ハウジング230内に配置されてもよい。内側ハウジング230は、外側ハウジング210内に配置されてもよく、水が中央流路213から入口232を通って内側ハウジング230内に流れ得るように、プレフィルタ220の中央流路213と連通する入口232を含み得る。内側ハウジング230は、入口212を通ってフィルタカートリッジ200に流入する水が、フィルタ媒体100に到達する前に、最初にプレフィルタ220を通って流れることを確実にするのに役立つ。更に、プレフィルタ220の中央流路213は比較的小さくてもよいので、内側ハウジング230は、フィルタ媒体100が配置され得るフィルタカートリッジ200内により大きな容積を提供してもよい。
【0051】
フィルタ媒体100は、フィルタ媒体100と内側ハウジング230との間に周辺流路231を画定し、フィルタ媒体100の開放中央領域に中央流路233を画定するように、内側ハウジング230内に配置されてもよい。中央流路233は、出口管240を介して出口214と連通していてもよい。出口管240は、フィルタ媒体100の開放中央領域に配置されてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、例えば
図8に示すように、フィルタ媒体100はプリーツ付きであってもよい。プリーツ101の使用は、所与の空間、例えば、
図7のフィルタカートリッジ200の内側ハウジング230内のフィルタ媒体100の表面積を最大化するのに役立つ。フィルタ媒体100の表面積を増加させることは、濾過効率を増加させるのに役立ち得る。プリーツ付きフィルタ媒体100は、プリーツのないフィルタ媒体100の表面積よりも約2~10倍大きい表面積を有し得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、プレフィルタ220は、外側ハウジング210の第2の端部218と接触する第2の端部を有し得、フィルタカートリッジ200の第1の端部216に向かって延びることができる。プレフィルタ220の第1の端部は、内側ハウジング230と接触していてもよい。フィルタ支持体202は、プレフィルタ220の第1の端部を支持し得る。このようにして、水は、内側ハウジング230の入口232に到達するためにプレフィルタ220を通って流れなければならない。フィルタ媒体100の第1の端部102は、内側ハウジング230の第1の端部に取り付けられてもよく、フィルタ媒体100は、入口232が配置される内側ハウジング230の反対側の第2の端部に向かって延びてもよい。フィルタ媒体100の第2の端部103は、フィルタ支持体235を含み得る。フィルタ支持体235は、フィルタ媒体100を支持して安定させ、水がフィルタ媒体100の第2の端部103の開放中央領域に流入するのを防止し得る。このようにして、内側ハウジング230に流入する水は、フィルタ媒体100を通って流れ、フィルタカートリッジ200の出口214に到達する。
【0054】
フィルタカートリッジ200の動作において、汚染された水は、入口212を介してフィルタカートリッジ200に流入し得る。水は、ハウジング210の第1の端部216から第2の端部218に向かって周辺流路211内を流れ得る。水は、プレフィルタ220を通って中央流路213に半径方向に流れ得、プレフィルタ220は、1μmより大きいサイズを有する汚染物質などの汚染物質を水から除去し得る。中央流路213内の水は、外側ハウジング210の第1の端部216に向かって長手方向に、入口232を通って内側ハウジング230に流れ得る。水は、フィルタ支持体235によって、ハウジング210の第1の端部116に向かって長手方向に周辺流路231にガイド又は偏向され得る。水は、フィルタ媒体100を通って周辺流路231から中央流路233へ半径方向に流れ得、フィルタ媒体100は、0.1μm~1μmの範囲のサイズを有する汚染物質を除去し得る。次いで、濾過された水は、フィルタカートリッジ200の長手方向軸に沿って出口管240を通り、出口214を通って流れ得る。
【0055】
本明細書に記載のフィルタ媒体100及びフィルタカートリッジ200は、様々な水濾過用途のいずれかで使用され得る。本明細書に記載されるフィルタ媒体100及びフィルタカートリッジ200は、キッチン又はバスルームシンク内の水を処理するためのPOU(point-of-use)システム、冷蔵庫又は飲料ディスペンサなどの機器に特に適し得る。或いは、フィルタ媒体は、ストロー、携帯用水濾過ユニット、水筒、水差し、又は緊急水フィルタなどの個人用用途に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ媒体100及びフィルタカートリッジ200は、とりわけ、冷水器、温水ディスペンサ、コーヒーディスペンサ、フレーバーウォーターディスペンサ、又はソフトドリンクディスペンサで使用するために、バー又はレストランなどの商業的環境で使用されてもよい。
【0056】
「発明の概要」及び「要約書」の項ではなく、「発明を実施するための形態」の項は、特許請求の範囲を解釈するために使用されることが意図されていることを理解されたい。「発明の概要」及び「要約書」の項は、本発明者らによって想到されるような、本発明の1つ以上であるが全てではない例示的な実施形態を示し得、ひいては、本発明及び添付の特許請求の範囲をいかようにも限定することを意図するものではない。
【0057】
特定の機能の実装形態及びそれらの関係を例解する機能的ビルディングブロックの助けにより、本発明を上で説明してきた。これらの機能的ビルディングブロックの境界は、説明の便宜上、本明細書において任意に定義されている。特定の機能及びこれらの関係が適切に行われる限り、代替の境界を定義し得る。
【0058】
特定の実施形態の前述の説明により、本発明の全般的な性質が完全に明らかになり、他者が、当業者の知識を適用することによって、過度の試行錯誤をすることなく、本発明の全般的な概念を逸脱することなく、そのような特定の実施形態を様々な用途に容易に修正及び/又は適合させることができる。したがって、そのような適合及び修正は、本明細書で提示した教示及び指導に基づいて、開示された実施形態の等価物の意味及び範囲内にあることが意図される。本明細書の表現法又は用語法は、説明を目的とするものであって、限定するものではないことを理解されたく、それ故、本明細書の用語法又は表現法は、本明細書の教示及び指導の観点から当業者によって解釈されるべきである。
【国際調査報告】