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特表2024-523678マイクロ流体デバイスのための角度付き照明システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】マイクロ流体デバイスのための角度付き照明システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/06 20060101AFI20240621BHJP
   G02B 21/30 20060101ALI20240621BHJP
   G02B 21/28 20060101ALI20240621BHJP
   G02B 21/08 20060101ALI20240621BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
G02B21/06
G02B21/30
G02B21/28
G02B21/08
G01N21/64 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580954
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 US2022035963
(87)【国際公開番号】W WO2023278847
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/217,955
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522154515
【氏名又は名称】フリューダイム コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】シェン,ゾンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】フカリ,カイル ウィズダム
(72)【発明者】
【氏名】チェン,クム ホン
【テーマコード(参考)】
2G043
2H052
【Fターム(参考)】
2G043AA04
2G043BA16
2G043CA04
2G043DA06
2G043EA01
2G043FA02
2G043HA01
2G043JA02
2G043LA03
2H052AC09
2H052AC14
2H052AD23
2H052AD24
2H052AF14
2H052BA02
2H052BA09
(57)【要約】
【要約】
マイクロ流体またはマイクロアレイデバイスなどのデバイスを照明および撮像するためのシステムならびに関連する方法および技術が本明細書に記載されている。斜角で平面を照明する光源は、撮像、マイクロ流体制御、および/または熱サイクル構成要素の存在および位置によって課される幾何学的制限にもかかわらず、平面全体に均一な照明を提供し、照明が目標照明領域に適切に到達することを可能にするために使用されるオフセット光整形ロッドおよびくさび形プリズムなどの光学部品と共に使用することができる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面を照明するための光学投射システムであって、
前記平面に対して非直交に配向された出射軸に沿って光を出射するように向けられた光源と、
前記光源と光学的に連通する整形ロッドであって、前記出射軸に平行に位置合わせされたロッド軸を有する、整形ロッドと、
前記整形ロッドと光学的に連通する投射光学系であって、前記出射軸からオフセットされた中心軸と、前記中心軸からオフセットされた出力軸とを有する、投射光学系と
を備える、光学投射システム。
【請求項2】
前記光源が、円対称の強度プロファイルを有する、請求項1に記載の光学投射システム。
【請求項3】
前記光源が、前記出射軸に沿ってコリメート光を生成する、請求項1に記載の光学投射システム。
【請求項4】
前記光源が、発光ダイオード、コリメーションレンズ、光学フィルタ、光学フィルタホイール、または結合レンズのうちの1つ以上を備える、請求項1に記載の光学投射システム。
【請求項5】
前記光源が、単一の光源からなるか、または別の方向から前記平面を照明するための第2の光源を含まない、請求項1に記載の光学投射システム。
【請求項6】
前記整形ロッドが、湾曲した断面形状を有するプリズムを備える、請求項1に記載の光学投射システム。
【請求項7】
前記整形ロッドが、50%以上のY軸均斉度および50%以上のX軸均斉度で、前記光源からの光を前記平面上の領域に投射するように配置される、請求項1に記載の光学投射システム。
【請求項8】
前記整形ロッドが、多角形の断面形状を有するプリズムを備える、請求項1に記載の光学投射システム。
【請求項9】
前記プリズムが、台形の断面形状を有する、請求項8に記載の光学投射システム。
【請求項10】
前記整形ロッドが、前記光源からの光を、長方形または正方形の前記平面上に投射するように配置される、請求項9に記載の光学投射システム。
【請求項11】
前記長方形または正方形に投射された前記光が、50%以上のy軸均斉度および50%以上のx軸均斉度を有する、請求項10に記載の光学投射システム。
【請求項12】
前記整形ロッドが、前記ロッド軸または前記出射軸を中心とした前記整形ロッドの回転を可能にするマウントに結合される、請求項1に記載の光学投射システム。
【請求項13】
前記投射光学系の前記中心軸が、前記出射軸から1mm~20mmの距離でオフセットされている、請求項1に記載の光学投射システム。
【請求項14】
前記投射光学系が、1つ以上のレンズを備える、請求項1に記載の光学投射システム。
【請求項15】
前記投射光学系が、前記中心軸に沿ってまたは前記中心軸に平行に配向された入力光をシフトさせて、前記出力軸に沿って配向された光を出力するように配置されたくさび形プリズムを備える、請求項1に記載の光学投射システム。
【請求項16】
前記出力軸が、前記中心軸から角度的にオフセットされている、請求項15に記載の光学投射システム。
【請求項17】
前記くさび形プリズムが、前記平面の中心にわたって前記出力光を位置合わせするように配置される、請求項15に記載の光学投射システム。
【請求項18】
前記投射光学系が、前記くさび形プリズムの入力側にある第1のレンズと、前記くさび形プリズムの出力側にある第2のレンズとをさらに備える、請求項15に記載の光学投射システム。
【請求項19】
前記出力軸が、前記中心軸から角度的にオフセットされている、請求項1に記載の光学投射システム。
【請求項20】
前記投射光学系が、前記中心軸を中心とした前記投射光学系の回転を可能にする、または前記中心軸に垂直な方向に沿った前記投射光学系の並進を可能にするマウントに結合される、請求項1に記載の光学投射システム。
【請求項21】
前記中心軸に垂直な前記方向に沿った前記投射光学系の並進が、前記中心軸と前記出射軸との間のオフセットを変化させる、請求項1に記載の光学投射システム。
【請求項22】
前記平面が、顕微鏡システムの関心領域を含む、請求項1に記載の光学投射システム。
【請求項23】
前記平面からの散乱光または出射光を収集するために前記平面と光学的に連通する顕微鏡システムをさらに備える、請求項1に記載の光学投射システム。
【請求項24】
前記顕微鏡システムが、前記平面に直交して配向された光軸を有する、請求項23に記載の光学投射システム。
【請求項25】
前記平面が、マイクロアレイまたはマイクロ流体デバイスを備えるか、保持するか、または保持するように構成される、請求項1に記載の光学投射システム。
【請求項26】
前記平面が、前記マイクロ流体デバイスを備えるか、保持するか、または保持するように構成され、かつ前記マイクロ流体デバイスが、前記平面全体に分布するマイクロ流体アレイまたは複数の反応部位を備える、請求項25に記載の光学投射システム。
【請求項27】
前記マイクロ流体デバイス内の流体の流れを導くように配列された1つ以上のフローコントローラをさらに備える、請求項26に記載の光学投射システム。
【請求項28】
前記マイクロ流体デバイスに結合された熱ブロックをさらに備える、請求項26に記載の光学投射システム。
【請求項29】
前記マイクロ流体デバイスに結合された熱サイクルデバイスをさらに備える、請求項26に記載の光学投射システム。
【請求項30】
前記熱サイクルデバイスを使用して前記マイクロ流体デバイスの温度を調整するための温度コントローラをさらに備える、請求項26または29に記載の光学投射システム。
【請求項31】
前記平面と前記整形ロッドおよび投射光学系との間の相対的な位置または配向を調整するために、少なくとも前記整形ロッドおよび投射光学系を支持する並進または回転ステージをさらに備える、請求項1に記載の光学投射システム。
【請求項32】
平面を照明するための方法であって、
光源からの光を、前記平面に対して非直交に配向された出射軸に沿って導くステップと、
前記光を整形ロッドに通すステップであって、前記整形ロッドが、前記出射軸に沿って位置合わせされたロッド軸を有する、ステップと、
前記光を投射光学系に通すステップであって、前記投射光学系が、前記出射軸からオフセットされた中心軸と、前記中心軸からオフセットされた出力軸とを有する、ステップと、
前記投射光学系からの前記光を前記平面上に導くステップと
を含む、方法。
【請求項33】
前記光源からの前記光が、円対称の強度プロファイルを有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記光源が、前記出射軸に沿ってコリメート光を生成する、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記光源が、発光ダイオード、コリメーションレンズ、光学フィルタ、光学フィルタホイール、または結合レンズのうちの1つ以上を備える、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記光源からの前記光が第1の波長または波長範囲を有し、かつ前記方法が、前記光源からの追加の光を、前記出射軸に沿って導くステップをさらに含み、前記追加の光が第2の波長または波長範囲を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記整形ロッドが、湾曲した断面形状を有するプリズムを備える、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記整形ロッドおよび投射光学系が、50%以上のy軸均斉度および50%以上のx軸均斉度で、前記光を前記平面上に投射するように配置される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記整形ロッドが、多角形の断面形状を有するプリズムを備える、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記プリズムが台形の断面形状を有する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記整形ロッドおよび投射光学系が、前記光を、長方形または正方形の前記平面上に投射するように配置される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記長方形または正方形に投射された前記光が、50%以上のy軸均斉度および50%以上のx軸均斉度を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記整形ロッドが、前記ロッド軸または前記出射軸を中心とした前記整形ロッドの回転を可能にするマウントに結合される、請求項32に記載の方法。
【請求項44】
前記ロッド軸または前記出射軸を中心とした前記整形ロッドの回転を調整することによって、前記平面上に投射される前記光の形状または形状配向を調整するステップをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記投射光学系が、前記中心軸に沿ってまたは前記中心軸に平行に配向された入力光をシフトさせて、前記出力軸に沿って配向された光を出力するように配置されたくさび形プリズムを備える、請求項32に記載の方法。
【請求項46】
前記投射光学系が、前記くさび形プリズムの入力側にある第1のレンズと、前記くさび形プリズムの出力側にある第2のレンズとをさらに備える、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記投射光学系が、前記中心軸を中心とした前記投射光学系の回転を可能にする、または前記中心軸に垂直な方向に沿った前記投射光学系の並進を可能にするマウントに結合される、請求項32に記載の方法。
【請求項48】
前記中心軸に垂直な前記方向に沿って前記投射光学系の並進を調整することによって、前記平面上に投射された前記光の焦点を調整するステップをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記中心軸を中心とする前記投射光学系の回転を調整することによって、前記平面上に投射された前記光の横方向位置を調整するステップをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記投射光学系がくさび形プリズムを備え、かつ前記中心軸を中心とする前記投射光学系の回転を調整することが、前記くさび形プリズムによって与えられるシフトの配向を変更する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記平面が顕微鏡システムの関心領域を含み、かつ前記方法が、前記顕微鏡システムを使用して前記平面から散乱または出射された光を収集して撮像するステップをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項52】
前記平面がマイクロアレイまたはマイクロ流体デバイスを備える、請求項32に記載の方法。
【請求項53】
前記平面が前記マイクロ流体デバイスを備え、前記マイクロ流体デバイスにおける温度を1つ以上の異なる温度の間で循環させるステップをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記温度を循環させる前に、前記マイクロ流体デバイス内の試料および試薬の流れを制御するステップをさらに含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記マイクロ流体デバイスが、前記平面全体に分布したマイクロ流体アレイまたは複数の反応部位を備える、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記平面と前記整形ロッドおよび投射光学系との間の相対配向を調整することによって、前記平面上に投射された前記光の横方向位置を調整するステップをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項57】
前記平面と前記整形ロッドおよび投射光学系との間の相対距離を調整することによって、前記平面上に投射される前記光の領域を調整するステップをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月2日に出願された米国仮出願第63/217,955号に対する優先権の利益を主張し、その全ての内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]分野
本発明は顕微鏡の分野に属する。本発明は、一般に、デバイスの表面をある角度で照明するための光学システムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]マイクロ流体およびマイクロアレイデバイスは、遺伝子配列決定、遺伝子発現、分子スクリーニング、および他の用途に採用され、マイクロ流体アレイデバイスなどのデバイスアレイは、並列化に使用することができる。いくつかの用途では、反応物または生成物をプローブするために撮像技術が使用される。しかしながら、マイクロ流体デバイスアレイおよび関連するフローチャネルのサイズが小さく、熱制御機器および撮像機器が存在するため、幾何学的制約が課され、光学システムのサイズおよび配列が制限される可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本明細書では、斜めの(例えば、非平行および非直交)角度で平面上に光を投射するためのシステムおよび方法について説明する。平面は、熱サイクル構成要素および撮像構成要素(例えば、顕微鏡)に結合することができる反応部位のアレイを含むマイクロ流体デバイスアレイまたはマイクロアレイを備えることができる。マイクロ流体デバイスアレイの蛍光撮像は、例えば、並行して発生する異なる反応を調査するために、様々な反応部位における組成物の濃度をプローブするために使用することができる。
【0005】
[0005]蛍光撮像では、光源からの光を利用して、様々な反応部位においてフルオロフォアによる吸収を駆動することができ、次いで反応部位は蛍光を発することができる。蛍光は、顕微鏡によって撮像することができ、定量化を可能にする(例えば、フルオロフォア濃度決定)。いくつかの例では、フルオロフォアは核酸分子を含むかまたは核酸分子と反応することができる。核酸分子は、マイクロ流体デバイスアレイまたはマイクロアレイデバイスに結合された熱ブロックを使用するなどして、反応部位の温度を熱サイクルさせるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を使用して増幅することができる。熱ブロックおよび顕微鏡の存在は、光源からの光でマイクロ流体デバイスアレイを照明するための利用可能な空間および幾何学的形状を制限する可能性がある。いくつかの例では、熱ブロックがマイクロ流体デバイスアレイの底部に結合される可能性があり、顕微鏡がマイクロ流体デバイスアレイの上部に配置される可能性があるため、光源による照明を斜角で行う可能性がある。
【0006】
[0006]しかしながら、角度照明は、マイクロ流体デバイスアレイの異なる部分上の光が異なる強度を有する構成をもたらす場合がある。本明細書に記載の方法およびシステムは、マイクロ流体デバイスアレイにわたってより均一な強度の光を可能にし、マイクロ流体デバイス蛍光顕微鏡システムに有用な他の構成要素の配列に対応するためのコンパクトな幾何学的形状を可能にする。
【0007】
[0007]第1の態様では、平面を照明するための光学投射システムなどの光学投射システムが説明される。いくつかの例では、平面は、マイクロ流体デバイスアレイを収容する、関心領域などの顕微鏡システムの関心領域を含む。この態様の例示的な光学投射システムは、平面に対して非直交に配向された出射軸に沿って光を出射するように向けられた光源と、光源と光学的に連通する整形ロッドであって、出射軸に沿って、または出射軸に平行に位置合わせされたロッド軸を有する、整形ロッドと、整形ロッドと光学的に連通する投射光学系であって、出射軸からオフセットされた中心軸と、中心軸からオフセットされた出力軸とを有する、投射光学系とを備える。
【0008】
[0008]本明細書に記載の光学投射システムでは、様々な異なる光源を使用することができる。例えば、光源は、円対称の強度プロファイルを有することができるが、強度プロファイルの他の形状を使用することもできる。任意選択的に、光源は、出射軸に沿ってコリメート光を生成する。例えば、光源は、コリメート光の固有の発光源(例えば、レーザ源)を備えることができ、または非コリメート発光源からの光をコリメートするための1つ以上の光学素子(例えば、レンズまたはミラー)を備えることができる。光源は、一般に、任意の適切な配列または数の個々の発光源または光学素子、例えば、レーザ源、発光ダイオード(LED)、レンズ、フィルタ、窓、プリズム、グレーティング、反射器、導波路などを備えることができる。いくつかの例では、光源は、発光ダイオード、コリメーションレンズ、光学フィルタ、光学フィルタホイール、または結合レンズのうちの1つ以上を備える。光源は平面に対してある角度で配置することができるため、2つの光源が平面の両側に配置される場合など、複数の光源を使用することができる。場合によっては、この態様のシステムは、単一の光源を含むか、または単一の光源から本質的になってもよい。別の言い方をすれば、例示的な光学投射システムは、2つ以上の方向から平面を照明するための第2の光源または複数の光源を含まなくてもよい。
【0009】
[0009]上述したように、整形ロッドは、光源と光学的に連通して配置され、光源から出射軸に沿って出射された光を受光するように配置することができる。整形ロッドは、任意の適切な断面形状を有するプリズムを備えることができ、光源からの光の光源強度プロファイル(例えば、円形の強度プロファイル)を別の形状(例えば、長方形の形状)に変更することができる。任意選択的に、整形ロッドは、円形、楕円形、長円形などの湾曲した断面形状を有するプリズムを備える。任意選択的に、整形ロッドは、正方形、長方形、菱形、台形などの多角形の断面形状を含む。特定の断面形状の使用は、例えば、表面上の関心領域の形状に一致するように出力光の形状を適合させるのに有用である場合がある。場合によっては、楕円形の断面形状を有する整形ロッドは、円形の関心領域に光を適合させるのに有用である可能性がある。場合によっては、台形の断面形状を有する整形ロッドは、光を正方形または長方形の関心領域に適合させるのに有用である可能性がある。任意選択的に、台形の断面形状を有する整形ロッドは、長方形または正方形の輪郭を有する平面上に光源から光を投射するように配置される。
【0010】
[0010]整形ロッドは、追加の利点を提供することができる。例えば、整形ロッドの位置は、投射光の強度プロファイルの均一性に影響を与える可能性がある。場合によっては、整形ロッドと投射光学系との間のオフセットは、投射光の均一性に影響を与える可能性がある。例えば、整形ロッドおよび投射光学系がオフセットされると、整形ロッドと投射光学系とが位置合わせされている構成(例えば、整形ロッドのロッド軸と投射光学系の中心軸とが位置合わせされる場合)と比較して、関心領域上の強度プロファイルの均一性を高めることができる。いくつかの例では、整形ロッドのロッド軸(または光源の出射軸)と投射光学系の中心軸との間のオフセットは、約1mm~約20mm、例えば1mm~2mm、2mm~3mm、3mm~4mm、4mm~5mm、5mm~10mm、10mm~15mm、または15mm~20mmであってもよい。いくつかの例では、整形ロッドのロッド軸と投射光学系の中心軸との間のオフセットは、投射光学系の直径の分数または投射光学系の直径のパーセンテージに関して指定されてもよい。例えば、オフセットは、投射光学系の直径の少なくとも25%であってもよい。任意選択的に、オフセットは、投射光学系の直径の少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、または50%であってもよい。いくつかの例では、整形ロッドは、マウント、例えば、ロッド軸に沿った、もしくはロッド軸に垂直な整形ロッドの位置の調整を可能にするマウント、および/またはロッド軸もしくは出射軸を中心とした整形ロッドの回転を可能にするマウントに結合される。ロッド軸を中心とした整形ロッドの回転の調整は、平面上の投射光のプロファイルの形状の配向の調整を可能にすることができる。ロッド軸に垂直な整形ロッドの位置の調整は、例えば、ロッド軸と投射光学系の中心軸との間のオフセットの調整を可能にすることができる。
【0011】
[0011]場合によっては、整形ロッドは、50%以上の均斉度で、光源からの光を平面の領域上に投射するように配置される。本明細書で使用される場合、均斉度は、最大強度に対する最小強度の比に対応してもよい。オフセットを調整することにより、整形ロッドと投射光学系とが位置合わせされている構成(例えば、オフセットが0である場合)と比較して均斉度を増加させるなど、投射される強度の均一性を調整することができる。いくつかの例では、ロッド軸と投射光学系の中心軸との間に非ゼロのオフセットを含めることにより、ロッド軸と投射光学系の中心軸との間のオフセットが0であるベースライン均斉度と比較して、均斉度を10%以上、20%以上、または30%以上増加させることができる。望ましい均斉度は、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上であってもよい。場合によっては、平面の関心領域にわたって均斉度を決定することができる。場合によっては、均斉度は、投射光の1つ以上のスライスまたはサブ領域に沿ってなど、投射光の異なる部分に対して決定されてもよい。いくつかの例では、Y軸均斉度は50%以上であってもよい。いくつかの例では、X軸均斉度は50%以上であってもよい。任意選択的に、均斉度は、長方形の関心領域の四隅および中心など、関心領域全体にわたって異なる点で強度をサンプリングし、これらの領域の最小強度および最大強度に基づいて均斉度を決定することによって決定することができる。
【0012】
[0012]投射光学系は、整形ロッドから出射された光を平面上に投射するための任意の適切な数および配列の光学部品を備えることができる。上述したように、投射光学系の中心軸は、1mm~20mmの距離などにより、出射軸またはロッド軸からオフセットされてもよい。投射光学系は、1つ以上の球面レンズなどの1つ以上のレンズを備えることができる。任意選択的に、投射光学系は、1つ以上のフィルタ、窓、プリズム、グレーティング、反射器、導波路などの他の光学素子を備えることができる。
【0013】
[0013]いくつかの実装形態では、ロッド軸(または出射軸)を投射光学系の中心軸からオフセットして配置することは、ロッド軸(または出射軸)と中心軸が位置合わせされている構成と比較して、平面において投射光の横方向のシフトをもたらす場合がある。このような構成によれば、投射光の均斉度を向上させることができるが、投射光の横方向のシフトは望ましくない可能性がある。場合によっては、光学投射システム全体(例えば、投射光学系、整形ロッド、および光源)の位置を横方向のシフトとは反対の方向に調整することによって、投射される光の横方向のシフトに対応することが可能である場合がある。他の場合には、光学投射システム全体のそのような位置の調整は、他の構成要素(例えば、顕微鏡)の存在などに起因して制限されるかまたは非現実的である場合がある。しかしながら、投射光学系に他の光学部品を含めることで、これを補うことができる。例えば、投射光学系はくさび形プリズムを備えることができ、くさび形プリズムは、中心軸に沿って、または中心軸に平行に配向された入力光をシフトさせて、本明細書では出力軸と呼ばれる別の軸に沿って配向された光を出力するように配置することができる。くさび形プリズムは、例えば、出力軸が中心軸から角度的にオフセットされるように、投射光学系において光を方向転換させることができる。角度オフセットは、中心軸とロッド軸(または出射軸)との間のオフセットによって与えられる任意の横方向シフトとは反対の方向になり得る、平面において投射光の横方向シフトをもたらすことができる。このように、くさび形プリズムを含めることにより、投射される光の位置を改善することができる。例えば、くさび形プリズムは、出力光を平面の中心上に位置合わせするように配置することができ、これは、他のシステム構成要素によって課される幾何学的制約のために場合によっては実現不可能である可能性がある。任意選択的に、投射光学系は、くさび形プリズムの入力側に第1のレンズを備え、くさび形プリズムの出力側に第2のレンズを備える。
【0014】
[0014]投射光学系は、中心軸を中心とした回転を可能にする、または中心軸に垂直な方向に沿っておよび/または中心軸に平行な方向に沿って並進することを可能にするマウントに結合されてもよい。中心軸に垂直な方向に沿った並進は、上述したように、整形ロッドと中心軸との間のオフセットの調整を可能にすることができる。中心軸に平行な方向に沿った並進は、平面上に投射された光の焦点の調整を可能にすることができる。中心軸を中心とした回転は、平面上の投射光の横方向位置の調整を可能にすることができる。
【0015】
[0015]本明細書に記載の光学投射システムは、平面からの散乱光または出射光を収集するために、平面と光学的に連通する顕微鏡システムをさらに備えても、それに結合されても、またはそれと共に使用されてもよい。例えば、顕微鏡システムは、平面に直交または実質的に直交するように配向された光軸を有することができる。平面は、マイクロ流体またはマイクロアレイデバイス、例えば、平面全体に分布したマイクロ流体アレイまたは複数の反応部位を含むマイクロ流体デバイスを備えても、保持しても、または保持するように構成されてもよい。任意選択的に、1つ以上のフローコントローラが、マイクロ流体デバイス内の流体の流れを導くように配列されてもよい。いくつかの例では、熱ブロックまたは熱サイクルデバイスがマイクロ流体デバイスに結合されてもよい。任意選択的に、この態様のシステムは、熱サイクルデバイスを使用してマイクロ流体またはマイクロアレイデバイスの温度を調整するための温度コントローラをさらに備えてもよい。例えば、温度制御および熱サイクルは、実施形態において、例えば反応部位の核酸を増幅する目的でポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を駆動するために有用である場合がある。
【0016】
[0016]この態様の光学投射システムは、平面と整形ロッドおよび投射光学系との間の相対的な位置または配向を調整するために、少なくとも整形ロッドおよび投射光学系、ならびに任意選択的に光源を支持するなどの並進または回転ステージをさらに備えてもよい。そのような並進または回転ステージは、平面上の投射光のサイズまたは平面上の投射光の横方向位置を調整することを可能にすることができる。
【0017】
[0017]別の態様では、平面を照明するための方法などの方法が本明細書に記載される。この態様の例示的な方法は、光源からの光を、平面に対して非直交に配向された出射軸に沿って導くステップと、光を整形ロッドに通すステップであって、整形ロッドが、出射軸に沿って位置合わせされたロッド軸を有する、ステップと、光を投射光学系に通すステップであって、投射光学系が、出射軸からオフセットされた中心軸と、中心軸からオフセットされた出力軸とを有する、ステップと、投射光学系からの光を平面上に導くステップとを含む。
【0018】
[0018]上述したように、様々な光源構成を使用することができる。任意選択的に、光源からの光は、円対称の強度プロファイルを有する。任意選択的に、光源は、出射軸に沿ってコリメート光を生成する。任意選択的に、光源は、発光ダイオード、コリメーションレンズ、光学フィルタ、光学フィルタホイール、または結合レンズのうちの1つ以上を備える。
【0019】
[0019]光源からの光は、例えば、蛍光顕微鏡法で使用することができる。場合によっては、異なるフルオロフォアの励起に複数の異なる波長の光を使用することが有用である場合がある。例えば、光源からの光は、第1の波長または波長範囲を有することができ、そして、この態様の方法は、出射軸に沿って光源から追加の光を導くステップをさらに含むことができ、追加の光は、第2の波長または波長範囲を有する。
【0020】
[0020]上述したように、様々な異なる整形ロッド構成を使用することができる。任意選択的に、整形ロッドは、例えば円形または楕円形などの湾曲した断面形状を有するプリズムを備える。任意選択的に、整形ロッドおよび投射光学系は、50%以上のy軸均斉度および50%以上のx軸均斉度で光を平面上に投射するように配置される。任意選択的に、整形ロッドは、台形の断面形状などの多角形の断面形状を有するプリズムを備える。任意選択的に、整形ロッドおよび投射光学系は、長方形または正方形の平面上に光を投射するように配置される。任意選択的に、長方形または正方形に投射された光は、50%以上のy軸均斉度および50%以上のx軸均斉度を有する。任意選択的に、整形ロッドは、ロッド軸または出射軸を中心とした整形ロッドの回転を可能にするマウントに結合される。この態様の方法は、ロッド軸または出射軸を中心とした整形ロッドの回転を調整することによって、平面上に投射される光の形状または形状配向を調整するステップをさらに含んでもよい。
【0021】
[0021]上述したように、様々な異なる投射光学系構成を使用することができる。任意選択的に、投射光学系は、1つ以上の球面レンズなどの1つ以上のレンズを備える。任意選択的に、投射光学系は、中心軸に沿ってまたは中心軸に平行に配向された入力光をシフトさせて、出力軸に沿って配向された光を出力するように配置されたくさび形プリズムを備える。いくつかの例では、投射光学系は、くさび形プリズムの入力側に第1のレンズを備え、くさび形プリズムの出力側に第2のレンズを備える。任意選択的に、投射光学系は、中心軸を中心とした投射光学系の回転を可能にする、または中心軸に垂直な方向に沿った投射光学系の並進を可能にするマウントに結合される。いくつかの例では、この態様の方法は、中心軸に垂直な方向に沿って投射光学系の並進を調整することによって、平面上に投射された光の焦点を調整するステップをさらに含む。いくつかの例では、この態様の方法は、中心軸を中心とする投射光学系の回転を調整することによって、平面上に投射された光の横方向位置を調整するステップをさらに含む。任意選択的に、投射光学系はくさび形プリズムを備え、中心軸を中心とする投射光学系の回転を調整するステップは、くさび形プリズムによって与えられるシフトの配向を変更する。
【0022】
[0022]記載された方法は、様々な異なる構成で使用することができる。いくつかの例では、平面は、顕微鏡システムの関心領域を含む。例えば、この態様の方法は、顕微鏡システムを使用して、平面から散乱または出射された光を収集して撮像するステップをさらに含む。任意選択的に、平面は、マイクロ流体またはマイクロアレイデバイスを備える。いくつかの例では、この態様の方法は、マイクロ流体デバイスにおける温度を1つ以上の異なる温度の間で循環させるステップをさらに含んでもよい。任意選択的に、マイクロ流体デバイスは、平面全体に分布したマイクロ流体アレイまたは複数の反応部位を備える。任意選択的に、方法は、温度を循環させる前に、マイクロ流体デバイス内の試料および試薬の流れを制御するステップをさらに含んでもよい。
【0023】
[0023]別の態様では、本発明の実施形態は、マイクロ流体デバイスに、制御された圧力を供給するための装置およびシステムを提供する。装置は、例えば、マイクロ流体デバイスと結合するように構成されたホルダと、マイクロ流体デバイスに制御された圧力を供給するための複数のアキュムレータと、複数のアキュムレータの各々に供給される圧力を選択的に調節するための圧力レギュレータとを含むことができる。いくつかの実施形態では、圧力レギュレータはアキュムレータ切換弁を含む。いくつかの実施形態では、圧力レギュレータは回転運動を採用する。いくつかの実施形態では、制御された圧力を供給するための装置は、複数のアキュムレータのうちの1つと流体連通する第1の供給出口を選択的に載置するための1つ以上の第1の供給出口切替弁を含む。いくつかの実施形態では、制御された圧力を供給するための装置は、複数のアキュムレータのうちの1つと流体連通する第2の供給出口を選択的に載置するための1つ以上の第2の供給出口切替弁を含む。いくつかの実施形態では、第1の供給出口切換弁は、回転弁を含む。いくつかの実施形態では、第2の供給出口切換弁は、回転弁を含む。システムは、例えば、上述の装置のいずれかと、圧力レギュレータの動作を制御するための制御ユニットとを含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、1つ以上のアキュムレータ切換弁、および1つ以上の供給出口切換弁を制御することができる。
【0024】
[0024]いくつかの実施形態では、核酸増幅反応などの熱サイクル反応を行うために利用することができるデバイスを含む、マイクロ流体分析を行うための様々なデバイスおよび方法が本明細書で利用される。デバイスは、弁を形成することができる偏向可能な膜などのエラストマー構成要素を含むことができるという点で、従来のマイクロ流体デバイスとは異なる可能性があり、場合によっては、デバイスの大部分または全部がエラストマー材料で構成される。例えば、増幅反応は、線形増幅(単一のプライマーによる増幅)、および指数関数的増幅(例えば、フォワードプライマーセットおよびリバースプライマーセットを用いて行われる増幅)とすることができる。
【0025】
[0025]いくつかの実施形態では、様々なマトリックスまたはアレイベースのデバイスも利用される。これらのデバイスのいくつかは、(i)エラストマー基材に形成された第1の複数のフローチャネル、(ii)反応部位のアレイを画定するために第1の複数のフローチャネルと交差する、エラストマー基材に形成された第2の複数のフローチャネル、(iii)各反応部位内の溶液を他の反応部位の溶液から隔離するために作動させることができる第1および第2の複数のフローチャネル内に配置された複数の隔離弁、ならびに(iv)1つ以上のフローチャネルおよび/または1つ以上の反応部位を取り囲み、それらからの溶液の蒸発を抑制する複数の周囲ガードチャネルを含む。前述のデバイスは、温度調節を伴うもの(例えば、核酸分析の熱サイクル)を含む、いくつかの異なるタイプの反応を行うために利用することができる。
【0026】
[0026]いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、反応チャンバまたは反応部位として機能する領域を含むブラインドフローチャネルを収容することができる。ブラインドフローまたはブラインドフィルは、行き止まりの管またはフローチャネルを液体によって充填することを指すことができ、ここでは、ガスの塊(a head of gas)が液体ボーラスの前に押し込まれ、そのガスの塊がフローチャネルから排出されるかまたは他の方法で放出されて、行き止まりのフローチャネルが液体で完全に充填されることを可能にする。いくつかの実施形態では、ポリジメチルシロキサン(PDMS)をエラストマー材料として使用することができる。PDMSは十分にガス透過性であり、数psiで加圧された液体がチャネルからガスを追い出し、それらを液体で完全に満たしたままにすることができる。
【0027】
[0027]いくつかの例では、この態様の方法は、平面と整形ロッドおよび投射光学系との間の相対配向を調整することによって、平面上に投射された光の横方向位置を調整するステップをさらに含んでもよい。いくつかの例では、この態様の方法は、平面と整形ロッドおよび投射光学系との間の相対距離を調整することによって、平面上に投射される光の領域を調整するステップをさらに含んでもよい。
【0028】
[0028]いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、本明細書では、本発明に関連する基本原理の信念または理解について議論することができる。任意の機構的説明または仮説の最終的な正当性にかかわらず、本発明の実施形態は動作可能かつ有用であり得ることが認識される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本明細書に記載の実施形態による例示的な投射撮像システムの概略図である。
図2A】いくつかの実施形態による光学投射システムの構成要素の例示的な配列の概略図である。
図2B図2Aに示すものと同様の光学投射システムを使用した、例示的なレイトレーシングシミュレーションの例示的な結果を示す図である。
図3A図2Bに示す例示的なレイトレーシングシミュレーションの定量的結果を提供する図である。
図3B図2Bに示す例示的なレイトレーシングシミュレーションの定量的結果を提供する図である。
図4A】いくつかの実施形態による光学投射システムの構成要素の例示的な配列の概略図である。
図4B図4Aに示すものと同様の光学投射システムを使用した、例示的なレイトレーシングシミュレーションの例示的な結果を示す図である。
図5A図4Bに示す例示的なレイトレーシングシミュレーションの定量的結果を提供する図である。
図5B図4Bに示す例示的なレイトレーシングシミュレーションの定量的結果を提供する図である。
図6】本明細書に記載の実施形態による例示的な投射撮像システムの概略図であり、構成要素がオフセットされたときの投射のシフトを示す図である。
図7A】いくつかの実施形態による光学投射システムの構成要素の例示的な配列の概略図である。
図7B図7Aに示すものと同様の光学投射システムを使用した、例示的なレイトレーシングシミュレーションの例示的な結果を示す図である。
図8A図7Bに示す例示的なレイトレーシングシミュレーションの定量的結果を提供する図である。
図8B図7Bに示す例示的なレイトレーシングシミュレーションの定量的結果を提供する図である。
図9】投射システムの詳細、顕微鏡システムの詳細、およびマイクロ流体デバイスの詳細を示す、本明細書に記載の実施形態による例示的な投射撮像システムの概略図である。
図10A】実施可能な様々な調整を示す、例示的な光学投射システム1005の概略図である。
図10B図10Aに示す調整を使用して投射光を調整することができる様々な方法を概略的に示す図である。
図11】本明細書に記載の実施形態による、光を投射するための例示的な方法の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[0040]マイクロ流体デバイスアレイ(例えば、マイクロ流体デバイス内の反応部位の平面アレイ)などの平面を照明するためのシステムおよび関連する方法および技術が本明細書に記載されている。本明細書のいくつかの実施形態はマイクロ流体デバイスを記載しているが、マイクロアレイなどの任意の適切なデバイスを使用することができる。光源が平面を斜角で照明する幾何学的形状を使用して、例えば、コンパクトで動的に調整可能なシステムを提供しながら、他の撮像、マイクロ流体、および熱サイクル構成要素に対応することができる。特定の光学部品およびそれらの配列、例えばオフセット光学整形ロッドおよびくさび形プリズムを使用して、撮像、マイクロ流体、および熱サイクル部品の存在および位置によって課される幾何学的制限にもかかわらず、平面にわたって均一な照明を提供し、照明が目標照明領域に適切に到達することを可能にすることができる。
【0031】
[0041]一般に、本明細書で使用される用語および語句は、当業者に知られている標準的なテキスト、雑誌の参考文献および文脈を参照することによって見出すことができる、当技術分野で認識されている意味を有する。以下の定義は、本発明の文脈におけるそれらの具体的な使用を明確にするために提供される。
【0032】
[0042]本明細書で使用される場合、「平面」は、一般に平坦であり、マイクロ流体デバイスまたはマイクロアレイを含み得る受光領域または構成要素を指す。平面は、平面性から逸脱するが、平坦であるように、または平面もしくは非湾曲形状を有するように設計された表面を含むことができる。平面はまた、局所的な曲率を有するが全体的に平坦な形状を有するいくつかの領域を含むことができる。いくつかの例では、平面は無限の曲率半径を有することができるが、本明細書では、比較的大きな曲率半径を有する比較的小さな領域など、非無限の曲率半径を平面と考えることができる。一例として、約10m以上の曲率半径を有する10cm×10cmの領域は、場合によっては平面と考えることができる。
【0033】
[0043]「整形ロッド」は、長さが断面寸法よりも大きい場合など、細長い形状を有するレンズ、プリズム、または導波路と考えることができる光学素子を指す。一般に、整形ロッドは、円形、長円形、楕円形、または多角形(例えば、正方形、長方形、五角形、六角形、台形など)などの均一な断面形状を有するが、場合によっては不均一な断面形状の整形ロッドを使用することができる。整形ロッドは、ロッドの長さまたは最長寸法に平行な方向またはそれに沿った方向を指す「ロッド軸」を有することができる。整形ロッドの面は高度に研磨され、ロッドの長さまたは最長寸法にほぼ直交することができる。本明細書では、整形ロッドは、端面で入力光を受光し、反対側の端面に光を光学的に結合し、出力光を伝送させることができる。いくつかの例では、整形ロッドを使用して、一方の面で受光された光の強度プロファイルの形状を、反対側の端面からの出力光の異なる形状に変更することができる。いくつかの例では、整形ロッドによって受光された光は、円対称の強度プロファイルを有することができ、整形ロッドは、出力強度プロファイルを非円対称の強度プロファイルに変更することができる。
【0034】
[0044]図1は、表面上に光を投射し、表面を撮像するための例示的なシステム100の概略図を提供する。図示のように、システム100は、光源110と、整形ロッド115と、投射光学系120とを備える光学投射システム105を含む。光学投射システムは、平面125上に光を投射するように配置される。システム100はまた、平面125からの光を撮像または収集するための、1つ以上のレンズ、フィルタ、カメラまたは他の撮像デバイスなどを備えることができる顕微鏡130を含む。
【0035】
[0045]光源110は、任意選択的に、白色光の光源、例えば、1つ以上の白色発光ダイオードを含むことができ、または狭帯域光の光源、例えば、1つ以上の着色発光ダイオードまたはレーザ源を含むことができる。場合によっては、光源110は、フィルタホイール構成などの1つ以上のフィルタを含むことができ、光源110からの出力光の特定の波長範囲の選択を可能にする。光源110はまた、光源110によって出力された光を整形および集束することを可能にするために、反射器、導波路、プリズムなどのような1つ以上のレンズまたは他の光学部品を含むことができる。いくつかの例では、光源110は、光源110によって出力された光を整形ロッド115に結合するなどのために、コリメーションレンズおよび集束レンズを含むことができる。
【0036】
[0046]投射光学系120によって出力された光は、平面125に向かって斜角で導くことができ、平面125の関心領域を照明するために集束させて投射することができる。例えば、関心領域が特定の形状を有する場合、投射光の形状を関心領域の形状に一致させることが有用である場合があり、整形ロッド115は、出力される投射光の形状を制御するのに有用である可能性がある。例えば、平面125の関心領域が長方形または正方形である場合、投射される光の形状は長方形または正方形であることが望ましい場合がある。投射光学系120によって出力された光は、平面125に向かって斜角で向けられるため、入射角を考慮することができる。
【0037】
[0047]平面125は、例えば複数の反応部位を収容するフローセルまたはマイクロ流体アレイを備えることができる。場合によっては、顕微鏡130は、マイクロ流体アレイ内に存在する組成物によって出射された蛍光を得るように配置された蛍光顕微鏡であるため、投射光学系120によって出力された光が平面125の関心領域上に主に向けられて、反応部位で受光され得る光の強度を最大化して、顕微鏡130によって収集された蛍光の強度を高めることが望ましい場合がある。マイクロ流体アレイ内の異なる反応部位にわたって出射された蛍光の強度を定量的に比較するために、以下でさらに詳細に説明するように、投射光学系120によって出力され、平面125で受光された光の強度が均一な強度分布を有することが望ましい場合がある。
【0038】
[0048]図2Aは、光学投射システム205の構成要素、すなわち整形ロッド215および投射光学系220の例示的な配列の概略図を示す。投射光学系220は、図2Aに2つの両凸レンズおよび1つの平凸レンズとして示されている、球面レンズであり得る複数のレンズを含む。投射光学系220について示されているレンズの配列は単なる一例であり、レンズ、反射器、プリズム、フィルタ、導波路などの任意の望ましい配列が投射光学系220に含まれてもよいことが理解されよう。図2Aはまた、整形ロッド215および投射光学系220のレンズの中心を通るように位置合わせされた軸250を示す。図2Aに示す構成では、整形ロッド215の中心は共通の軸に沿って位置合わせされているため、単一の軸250のみが示されており、軸250は、出力光の出射軸、例えば、光源(図示せず)からの、整形ロッド215によって受光される出力光の出射軸、整形ロッド215のロッド軸、または投射光学系220の中心軸に対応することができる。
【0039】
[0049]図2Bは、台形の断面形状を有する整形ロッドと、光源の出射軸に平行に(例えば、出射軸に沿って)位置合わせされたロッド軸と、3つの球面レンズ(2つの両凸レンズおよび1つの平凸レンズ)を含む投射光学系とを含む、図2Aに示すものと同様の光学投射システムを使用して、斜角で平面上に光を投射する例示的なレイトレーシングシミュレーションの例示的な結果を示す。レイトレーシングシミュレーションは、図3Aに示す光学的構成に基づいて、平面の関心領域が受光する強度分布の推定を可能にする。有利には、台形の断面形状を有する整形ロッドの使用は、出力光による長方形またはほぼ正方形の関心領域の良好なカバレッジを提供するが、図3Aに示す放射照度は、下側(低いY座標値)と比較して上側(高いY座標値)で幾分明るく見える。図3Bは、2つの別個の垂直スライス(図3Bの上部パネルは、約0のX座標値に対するY座標値の関数としての強度を示し、図3Bの中央パネルは、約-15のX座標値に対するY座標値の関数としての強度を示す)および単一の水平スライス(図3Bの底部パネルは、0のY座標値に対するX座標値の関数としての強度を示す)の強度のプロットを提供し、左右の均一性は比較的良好であるが、上下の均一性は比較的悪いことを示している。
【0040】
[0050]上述したように、平面の関心領域にわたって均一な光分布を有することが望ましい可能性がある。関心領域は、0.1cm超、1cm超、または10cm超、例えば1cm~100cmであってもよい。光の均一性は、本明細書では、最小強度を最大強度と比較することによって、関心領域にわたって強度が異なる程度を反映することができる均斉度によって説明することができる。いくつかの例では、50%以上の均斉度が望ましい可能性がある。任意選択的に、均斉度は、50%超または60%超、例えば、50%~100%、60%~100%、70%~100%、または80%~100%であってもよい。均斉度は、図3Bに表されているような関心領域内のX軸またはY軸上の様々な点において、関心領域全体にわたって、関心領域(例えば、四隅および中心)にわたってサンプリングされた様々な点を比較することなどによって決定することができる。図3Bに示すプロットでは、Y軸方向の均一性は約42%であり、X軸方向の均一性は85%より大きい。
【0041】
[0051]図2Aに示す光学投射システムにわたって斜角で平面上に投射された光の均一性を改善するために、幾何学的および/または構造的変更を行うことができる。いくつかの例では、平面に対して異なる位置に配列することができることを除いて、本明細書に記載の光学投射システムと同一または実質的に同一などの第2の光学投射システムを使用することができる。図1に示す構成に簡単に戻ると、そのような第2の光学投射システムは、光学投射システム105として、顕微鏡130の反対側に配置することができる。しかしながら、第2の光学投射システムを含むことは、システムの位置合わせ要件および複雑さを増加させ、全体の部品数を増加させ、スペースを占有し、これはいくつかの実装形態では制限される可能性がある。したがって、本明細書に記載のいくつかのシステムは、複数の光学投射システムとは対照的に、単一の光学投射システムを含む、それを収容する、それからなる、またはそれから本質的になるシステムを含むことができる。
【0042】
[0052]他の例では、均一性は、任意選択的に他の構造的変化(例えば、投射光学系内に別の光学素子を含めること)を行わずに、整形ロッドと投射光学系との相対位置を調整することによって変更することができる。例えば、整形ロッドと投射光学系との間にオフセットを置くことによって、均一性を改善することができる。具体的には、整形ロッドのロッド軸は、ロッド軸および中心軸が互いに平行または実質的に平行である間などに、投射光学系の中心軸からオフセットすることができる。
【0043】
[0053]図4Aは、整形ロッド415および投射光学系420を含む光学投射システム405の構成要素の例示的な配列の概略図を示す。投射光学系420は、球面レンズであり得る複数のレンズを含む。図4Aはまた、整形ロッド415の中心を通るように位置合わせされ、ロッド軸に対応する第1の軸450と、投射光学系420のレンズを通るように位置合わせされ、投射光学系420の中心軸に対応する第2の軸455とを示す。ロッド軸と中心軸との間のオフセット460が図4Aに示されている。具体的な実装形態に応じて、オフセット量は比較的小さくすることができる。例えば、オフセット量は、約1mm~約20mm、例えば、1mm~2mm、2mm~3mm、3mm~4mm、4mm~5mm、5mm~6mm、6mm~7mm、7mm~8mm、8mm~9mm、9mm~10mm、10mm~11mm、11mm~12mm、12mm~13mm、13mm~14mm、14mm~15mm、15mm~16mm、16mm~17mm、17mm~18mm、18mm~19mmまたは19mm~20mmとすることができる。
【0044】
[0054]図4Bは、台形の断面形状を有する整形ロッドと、光源の出射軸に平行に(例えば、出射軸に沿って)位置合わせされたロッド軸と、3つの球面レンズ(2つの両凸レンズおよび1つの平凸レンズ)を含む投射光学系とを含み、整形ロッドのロッド軸と投射光学系の中心軸との間のオフセットを有する、図4Aに示すものと同様の光学投射システムを使用して、斜角で平面上に光を投射する例示的なレイトレーシングシミュレーションの例示的な結果を示す。レイトレーシングシミュレーションから推定された強度分布を図5Aに示し、強度のプロットを図5Bに示す(図5Bの上部パネルは、約0のX座標値に対するY座標値の関数としての強度を示し、図5Bの中央パネルは、約-15のX座標値に対するY座標値の関数としての強度を示し、図5Bの底部パネルは、0のY座標値に対するX座標値の関数としての強度を示す)。ここでも、台形の断面形状を有する整形ロッドの使用は、出力光による長方形またはほぼ正方形の関心領域の良好なカバレッジを提供し、図3Aに示すものと比較して、上辺から底辺まで図5Aに示すよりも均一な強度を有する。図3Bに示す強度のプロットは、ここでも、左右の均一性が比較的良好なままであり(例えば、約85%を超える均斉度)、上下の均斉度が約62%に改善されたことを示している。
【0045】
[0055]整形ロッドと投射光学系との間のオフセットを使用して、投射光の均一性を改善することができるが、このような効果は他の変化を伴う場合がある。例えば、場合によっては、投射光学系によって投射された出力光は、最終的に平面上でシフトする可能性がある。図6は、表面上に光を投射し、表面を撮像するための例示的なシステム600の概略図を提供する。図示のように、システム600は、光源610と、整形ロッド615と、投射光学系620とを備える光学投射システム605を含み、整形ロッド615のロッド軸650と投射光学系620の中心軸655との間にはオフセットが設けられている。ロッド軸650と中心軸655との間のオフセットに起因して、投射された出力光は、矢印によって示されるように平面625においてシフト665を受け、その結果、投射された出力光は、もはや関心領域上に十分に配置されないことになる場合がある。
【0046】
[0056]ロッド軸650と中心軸655との間のオフセットが使用される場合、投射された出力光を関心領域上にシフトバックさせるために、様々な実装形態を使用することができる。いくつかの実装形態では、光学投射システム605全体をシフト665の方向とは反対にシフトさせることができる。しかしながら、場合によっては、光学投射システム605のそのようなシフトは、顕微鏡630などのシステム600の他の構成要素によって制限される場合があるため、ロッド軸650と中心軸655との間のオフセットに起因して与えられるシフト665に対応するのに十分な量だけ光学投射システム605をシフトさせることは望ましくないか、または非現実的である場合がある。
【0047】
[0057]いくつかの実装形態では、投射光学系は、投射された出力光のシフトを達成するように変更することができる。例えば、図7Aは、整形ロッド715および投射光学系720を含む光学投射システム705の構成要素の例示的な配列の概略図を示す。図7Aはまた、整形ロッド715の中心を通るように位置合わせされ、ロッド軸に対応する第1の軸750と、投射光学系720のレンズを通るように位置合わせされ、投射光学系720の中心軸に対応する第2の軸755とを示す。ロッド軸と中心軸との間のオフセット760が図7Aに示されている。投射光学系720は、球面レンズであり得る複数のレンズと、くさび形プリズム770とを含む。くさび形プリズム770は、図示のように、平凸レンズと両凸レンズとの間、または他の位置に配列することができる。くさび形プリズム770は、図6を参照して上述した、ロッド軸と中心軸との間のオフセット760によって引き起こされるシフト効果を低減または排除するために、出力軸775を適切な方向に向けるように配向することができる。
【0048】
[0058]図7Bは、台形の断面形状を有する整形ロッドと、光源の出射軸に平行に(例えば、出射軸に沿って)位置合わせされたロッド軸と、3つの球面レンズ(2つの両凸レンズおよび1つの平凸レンズ)およびくさび形プリズムを含む投射光学系とを含み、整形ロッドのロッド軸と投射光学系の中心軸との間のオフセットを有する、図7Aに示すものと同様の光学投射システムを使用して、斜角で平面上に光を投射する例示的なレイトレーシングシミュレーションの例示的な結果を示す。レイトレーシングシミュレーションから推定された強度分布を図8Aに示し、強度のプロットを図8Bに示す(図8Bの上部パネルは、約0のX座標値に対するY座標値の関数としての強度を示し、図8Bの中央パネルは、約-15のX座標値に対するY座標値の関数としての強度を示し、図8Bの底部パネルは、0のY座標値に対するX座標値の関数としての強度を示す)。図8Bに示す強度のプロットは、ここでも、左右の均一性が比較的良好なままであり(例えば、約85%を超える均斉度)、上下の均斉度が約60%であることを示している。
【0049】
[0059]図9は、さらなる詳細を示す別の例示的なシステム900の概略図を提供する。システム900は、白色光源910と、コリメータ911と、フィルタホイール912と、結合レンズ913と、整形ロッド915と、3つのレンズおよびくさび形プリズムを含む投射光学系920とを備える光学投射システムを含み、整形ロッド915のロッド軸と投射光学系920の中心軸との間にはオフセットが設けられている。システム900はまた、収集レンズの下側のセット931と、フィルタホイール932と、収集レンズの上側のセット933と、カメラ934とを含む顕微鏡を含む。
【0050】
[0060]システム900はまた、マイクロ流体チップ927にインターフェースされた空気圧ブロック926を含み、マイクロ流体チップ927は、投射光学系920からの光を受光するための反応部位のアレイを有する平面を含むことができる。マイクロ流体チップ927は、システム900を使用してプローブすることができる複数の異なる反応のための部位を提供することができる。利用可能なアレイ構成では、様々な活性成分、濃度、または他の態様をアレイ全体で変えることができ、アレイ内の各反応部位で異なる反応条件を同時に評価することができる。例えば、光源からの光は、場合によりフィルタリングされ、反応部位に存在する組成物を照明するためにマイクロ流体チップに向けることができる。顕微鏡を含む示された構成は、照明に応答して反応部位に存在する組成物(例えば、反応物または生成物)からの蛍光を撮像するのに有用である可能性がある。
【0051】
[0061]システム900はまた、マイクロ流体チップ927の温度制御を可能にする熱ブロック928を含む。場合によっては、熱ブロック928は、例えばペルチェ素子およびヒートシンクを含む。熱ブロック928は、核酸を増幅させる目的でポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を駆動するための熱サイクルの目的などのために、マイクロ流体チップ927の温度を制御するのに有用であることができる。熱ブロック928の存在は、場合によっては、照明光学系の配置に制限を課す可能性がある。例えば、熱ブロック928が存在する場合、熱ブロック928は、底部照明を妨害、遮断、または他の方法で不都合にする可能性がある。マイクロ流体および熱サイクルシステムのさらなる詳細は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,105,553号、第8,389,960号、第9,316,331号、第9,371,965号、第10,106,846号、第10,131,934号、および第10,226,770号に見出すことができる。
【0052】
[0062]光学投射システムの構成要素の配列は、平面上に投射される光の様々な調整を有利に可能にすることができる。図10Aは、実施可能な様々な調整を示す例示的な光学投射システム1005の概略図を提供する。これらの調整により、光学投射システム1005によって投射され、平面上で受光される光のサイズ、位置、焦点、および/または配向を変更することができる。図10Bは、投射光を調整することができる様々な方法を概略的に示す。
【0053】
[0063]図10Aにおいて、光学投射システム1005は、上述したように、整形ロッド1015と、3つの球面レンズおよびくさび形プリズムを含む投射光学系1020とを含む。整形ロッド1015は、上述したように、整形ロッド1015が投射光学系の中心軸1055からオフセットされることを可能にするマウント1016に結合することができる。マウント1016はまた、整形ロッド1015の回転1017、例えばロッド軸1050を中心とした回転を可能にすることができる。同様に、投射光学系1020は、上述したように、投射光学系1020の中心軸1055がロッド軸1050または出射軸からオフセットされることを可能にするマウント1021に結合することができる。マウント1021はまた、中心軸1055を中心とした投射光学系1020の回転1022を可能にすることができる。行われ得るさらなる調整は、投射光学系1020の相対位置1080(例えば、投射光学系1020と平面との間の距離、および投射光学系1020と整形ロッド1015との間の距離)、光学投射システム1005の全体的な位置1085(例えば、光学投射システムと平面との間の距離)、および光学投射システムの全体的な傾斜1090または配向(例えば、平面に対して)を含む。場合によっては、様々な実施形態において、コンピュータ制御または手動制御することができる回転可能および/または並進可能なマウントを使用することができる。
【0054】
[0064]これらの調整は、投射光のサイズ、位置、焦点、または配向に影響を与えることができ、様々な構成要素のマウントまたは相対位置を調整することによって関心領域への光の投射に対する堅牢な制御を可能にする。図10Bの左上パネルは、光学投射システム1005の全体的な位置1085を調整することによって達成することができる、関心領域1096に対する投射光1095の全体的なサイズの変化を示す。図10Bの右上のパネルは、投射光学系1020の相対位置1080を調整することによって達成することができる、投射光1095の焦点の変化を示す。図10Bの左下パネルは、光学投射システム1005の全体的な傾斜1090を調整することによって達成することができる、関心領域1096に対する投射光1095のY軸に沿った並進を示す。図10Bの右下のパネルは、中心軸1055を中心とした投射光学系1020の回転1022を調整することによって達成することができる、関心領域1096に対する投射光1095のX軸に沿った並進を示す。図10Bの中央パネルは、ロッド軸1050を中心とした整形ロッド1015の回転を調整することによって達成することができる、関心領域1096に対する投射光1095の回転を示す。
【0055】
[0065]図11は、様々な実装形態による例示的な方法1100の概要を提供する。方法1100はブロック1105で開始し、光源を使用して光が生成され、斜角で平面に向けられる。光源は、レーザ源または発光ダイオード(LED)源などの任意の適切な光源であってもよいが、他の光生成構成要素も考えられる。光源は、生成された光を誘導、フィルタリング、または集束するために、様々な光学系または構成要素を含むか、またはそれらに結合することができる。場合によっては、反射器、レンズ、導波路、グレーティング、フィルタ、プリズム、偏光子、窓などが光源の一部として含まれてもよく、または光源に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、光源からコリメート光を生成するためにコリメータレンズが使用される。任意選択的に、1つ以上のショートパスフィルタ、ロングパスフィルタ、またはバンドパスフィルタを含むフィルタホイールを介して提供され得るものなどの1つ以上の光学フィルタを使用して、光源からの光をフィルタリングすることができる。光源からの光は、任意の適切な形状の強度分布を有することができるが、円対称分布が好ましい場合がある。光源からの光は、平均伝播方向を有することができ、これを本明細書では出射軸と呼ぶ場合がある。光源からの光は出射軸を有するものとして特徴付けられるが、光源からの光はある角度範囲に沿って光源から出射することができるので、光源からの全ての光が出射軸に沿って直接進む必要はないことが理解されよう。レーザ源または他の高度にコリメートされた光源を使用するなど、場合によっては、出射軸は出射と同じ方向に沿っていてもよいが、高度にコリメートされた光源内の光は、集束などによってある角度の範囲に沿って広がる可能性もあるが、依然として平均伝播方向に対応する出射軸を有することが理解されよう。
【0056】
[0066]ブロック1110において、光源からの光を整形ロッドに通して、光の強度プロファイルを調整する。光源からの光は、整形ロッドに適切に入射するように集束されてもよい。整形ロッドは、プリズムまたは他の光学部品を備えることができ、本明細書ではロッド軸と呼ばれることもある長さ軸を有し、平坦な研磨端部を有する細長い構造であってもよい。整形ロッドは、反射防止コーティングまたは他のコーティングなどの光学コーティングをその上に有することができる。整形ロッドは導波路として作用することができ、一方の端部に入射する光が、直接または全内部反射などを介して反対側の端部に伝送されることを可能にする。整形ロッドは、任意の適切な断面形状を有することができ、これは、平面における関心領域の一致または近似など、光源からの強度分布を所望の整形された強度分布に変換するのに有用である可能性がある。いくつかの例では、光源は円形の強度分布を有してもよく、整形ロッドは台形の断面形状を有してもよく、かつ関心領域は長方形または正方形の形状であってもよい。いくつかの例では、光源は円形の強度分布を有してもよく、整形ロッドは楕円形の断面形状を有してもよく、かつ関心領域は円形の形状であってもよい。
【0057】
[0067]ブロック1115において、整形ロッドからの光を投射光学系に通して、平面上に光を投射する。投射光学系は、投射光学系の球面レンズ素子構成要素の中心を通る軸などの中心軸を有することができる。投射光学系と整形ロッドとの相対位置は、平面に到達する光の強度プロファイルを調整するために、整形ロッドのロッド軸が投射光学系の中心軸からオフセットされている上記の場合のように調整することができる。実施形態では、より均一な強度プロファイルが望ましい場合があり、整形ロッドのロッド軸と投射光学系の中心軸との間にオフセットを含めることは、平面における光の強度プロファイルをより均一にするのに有用である可能性がある。
【0058】
[0068]投射光学系は、ロッド軸と中心軸との間のオフセットに起因して必要とされ得る投射光の横方向シフト、および光学系の位置を妨害または他の方法で制限し得る局所的な幾何学的形状を調整するために、くさび形プリズムを含むことができる。有利には、投射光学系にくさび形プリズムを含めることはまた、中心軸を中心として投射光学系を回転させることによって投射光の横方向位置の調整を可能にすることができる。
【0059】
[0069]ブロック1120、1125、1130、1135、および1140は任意選択であり、いくつかの方法で使用されてもよいが、他の方法では使用されなくてもよい。ブロック1120において、図10Aおよび図10Bを参照して上述したように、整形ロッド、投射光学系、または光源、整形ロッドおよび投射光学系を含む光学投射システムを並進または回転させることなどによって、投射光の位置、サイズ、または配向を調整することができる。このようにして、投射光の位置、サイズ、および配向は、平面の関心領域に適切に一致するように調整することができる。
【0060】
[0070]ブロック1125、1135、および/または1145において、平面からの蛍光を、平面からの光を収集して撮像するように配置された顕微鏡を使用して撮像することができる。例えば、平面が蛍光組成物を含む場合、光源からの光による照明は蛍光を発生させることができ、それは顕微鏡によって収集して撮像することができる。図9に示すように、顕微鏡は、蛍光の定量的測定を可能にするために、1つ以上のレンズ、フィルタ、および撮像デバイス(例えば、カメラ)を含むことができる。蛍光の強度は、平面に含まれる特定のフルオロフォアの濃度に比例してもよい。蛍光を収集して撮像するプロセスは、フルオロフォアの初期濃度を確立し、フルオロフォアを反応物または生成物として伴う反応の開始後など、経時的に変化するフルオロフォアの濃度を特定するためなどに、1回以上繰り返されてもよい。
【0061】
[0071]例えば、ブロック1130において、平面の反応部位の温度を循環させて核酸分子の融解および複製を駆動するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロセスを使用するなどして、核酸分子を増幅することができる。熱サイクルの使用は、核酸増幅に限定されず、他の反応を駆動するために使用されてもよい。熱サイクルは、ペルチェ素子およびヒートシンクまたは平面に熱を追加、および平面から熱を除去するための他のデバイスもしくは構成要素を含むものなど、平面に結合された熱ブロックを使用して実行されてもよい。
【0062】
[0072]ブロック1140において、表面での反応を開始させることができる。例えば、熱駆動反応は、上述のように、熱サイクルによって開始されてもよい。別の例では、反応は、マイクロ流体チャネルを使用して平面で2つの異なる反応物を混合することなどによって、平面で反応物を互いに接触させることによって開始されてもよい。
【0063】
[0073]上記のように、ブロック1145において、ある時点で特定のフルオロフォアの濃度を確立するなどのために、平面からの蛍光を撮像することができる。光源からの光は、蛍光の測定が必要な場合などに、連続的または離散的に表面に投射することができることが理解されよう。
【0064】
[0074]参照による組み込みおよび変形形態に関する記述
本出願全体にわたる全ての参考文献、例えば、発行または認可された特許または同等物を含む特許文書、および特許出願公開公報、ならびに非特許文献またはその他の原資料は、参照により個々に組み込まれているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0065】
[0075]本明細書で言及される全ての特許および刊行物は、本発明が関係する当業者の技術レベルを示す。本明細書に引用された参考文献は、いくつかの場合では出願日の最新技術を示すためにその全体が参照により本明細書に組み込まれ、この情報は、必要に応じて、先行技術にある特定の実施形態を除外する(例えば、放棄する)ために本明細書で採用され得ることが意図されている。
【0066】
[0076]置換基のグループが本明細書に開示される場合、それらのグループの全ての個々のメンバー、ならびにそれらの置換基を使用して形成され得る全てのサブグループおよびクラスが別々に開示されることが理解される。マーカッシュグループまたは他のグループ化が本明細書で使用される場合、グループの全ての個々のメンバーおよびグループの可能な全ての組み合わせおよび部分組み合わせが、本開示に個々に含まれることが意図される。本明細書で使用される場合、「および/または」は、「および/または」によって分離されたリスト内の項目の1つ、全て、または任意の組み合わせがリストに含まれることを意味し、例えば、「1、2、および/または3」は、「1、2、3、1および2、1および3、2および3、または1、2および3」と等価である。
【0067】
[0077]特に明記しない限り、記載または例示した成分のあらゆる配合または組み合わせを使用して本発明を実施することができる。当業者が同じ材料に異なる名称を付け得ることが知られているので、材料の特定の名称は例示的であることが意図されている。具体的に例示されたもの以外の方法、デバイス要素および材料は、過度の実験に頼ることなく本発明の実施に採用することができることが理解されよう。任意のそのような方法、デバイス要素、出発材料、および合成方法の当技術分野で公知の機能的等価物は全て、本発明に含まれることが意図されている。本明細書で範囲、例えば温度範囲、時間範囲、または組成範囲が与えられるときは常に、全ての中間範囲および部分範囲、ならびに与えられた範囲に含まれる全ての個々の値が本開示に含まれることが意図されている。
【0068】
[0078]本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」は、「含む(including)」、「含む、収容する(containing)」または「によって特徴付けられる(characterized by)」と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素または方法ステップを排除しない。本明細書で使用される場合、「からなる(consisting of)」は、請求項の要素で指定されていない要素、ステップ、または成分を除外する。本明細書で使用される場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、請求項の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない材料またはステップを排除しない。特に組成物の成分の説明、方法の説明、またはデバイスの要素の説明における「含む(comprising)」という用語の本明細書における任意の列挙は、任意選択的に他の成分または要素に加えて、列挙された成分または要素から本質的になる、および列挙された成分または要素からなる組成物、方法、またはデバイスを包含すると理解される。本明細書に例示的に記載された本発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の1つ以上の要素、1つ以上の限定がない状態で適切に実施され得る。
【0069】
[0079]採用された用語および表現は、限定ではなく記載の用語として使用され、そのような用語および表現の使用において、示され記載された特徴またはその一部の均等物を除外する意図はなく、特許請求される発明の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。したがって、本発明は、好ましい実施形態および任意選択の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の修正および変形は、当業者によって使用されてもよく、そのような修正および変形は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内であると考えられることを理解されたい。
図1
図2A
図2B
図3A-3B】
図4A
図4B
図5A-5B】
図6
図7A
図7B
図8A-8B】
図9
図10A
図10B
図11
【国際調査報告】