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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】皮下注射針の破壊
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
A61M5/32 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023581046
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 GB2021051754
(87)【国際公開番号】W WO2023281234
(87)【国際公開日】2023-01-12
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524003758
【氏名又は名称】エヌエスエムエーアールティー トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】カービー,クリフォード
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066FF05
4C066LL27
(57)【要約】
電源(14)及びコントローラ(52)を収容する本体(12)と、使用時に注射針破壊モジュール(20)を受容するための凹部(22)と、注射針破壊モジュール(20)を凹部(22)内に少なくとも部分的に保持するための手段(26)とを備える皮下注射針破壊装置(10)。注射針破壊モジュール(20)は、皮下注射針(74)をそれぞれクランプし、軸方向に圧縮するクランプ電極(38)及び先端電極(42)と、注射針(74)の曲がりを抑制する封じ込め管(40)とを有する。電極(38、42)を介して注射針(74)に電流を流し、軸方向力を加えると、注射針(74)は滅菌され、鈍化される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源及びコントローラを収容する本体と、使用時に注射針破壊モジュールを受け入れるための凹部と、前記注射針破壊モジュールを少なくとも部分的に前記凹部内に保持するための手段とを備える皮下注射針破壊装置。
【請求項2】
前記コントローラが、制御回路及び/又はマイクロプロセッサを備える、請求項1に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項3】
前記コントローラが、使用時に、前記注射針破壊モジュールを制御するように適合されている、請求項1又は2に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項4】
前記注射針破壊モジュール内の皮下注射針の存在を検出するためのセンサをさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項5】
前記注射針破壊モジュールが、
その中に挿入された皮下注射針を前記皮下注射針のハブ又はその近傍でクランプするように配置されたクランプ電極と;
そのボアの中に前記皮下注射針を受容可能な封じ込め管と;
前記封じ込め管内に配置され、その中で軸方向にスライドして前記注射針の先端に接触し、前記注射針にそのハブに向かって軸方向の圧縮応力を加えるように配置された先端電極と;
前記クランプ電極及び前記先端電極が前記注射針に接触するときに、電流を前記注射針に流し、それによって前記注射針を加熱及び/又は軟化及び/又は溶融させ、その結果、前記軸方向の応力が前記注射針を軸方向に圧縮し、鈍化させる一方、前記圧縮応力の印加下で前記注射針が曲がる又は分解するのを前記封じ込め管が抑制又は防止するように適合された電力モジュールと
を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項6】
前記電力モジュールが直流電源である、請求項5に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項7】
前記電力モジュールが交流電源である、請求項5に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項8】
前記コントローラが、前記クランプ電極及び前記先端電極に接続された電圧及び/又は電流センサを備え、前記コントローラが、使用時に、前記クランプ電極及び前記先端電極間の電圧及び/又は電流を制御するように適合されている、請求項5~7のいずれか一項に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項9】
前記先端電極が、モータ及びリードスクリュによって軸方向移動のために駆動され、前記モータの速度及び方向が、前記加熱及び/又は軟化及び/又は溶融の間、前記先端電極を前記注射針の先端に電気的に接触した状態に維持するように前記コントローラによって制御される、請求項5~8のいずれか一項に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項10】
前記封じ込め管が、使用時に、電流及び/又は軸方向圧縮応力の前記印加の前に前記封じ込め管を予熱するように適合された加熱装置を備えている、請求項5~9のいずれか一項に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項11】
前記注射針破壊モジュールが、少なくとも部分的に前記凹部内に受容可能なサブハウジングを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項12】
前記注射針破壊モジュールを少なくとも部分的に前記凹部内に保持するための前記手段が、ラッチ装置を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項13】
前記ラッチ装置が押しボタン操作式ラッチ装置を備える、請求項12に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項14】
前記ラッチ装置が、電子的にロック解除可能なラッチ装置を備える、請求項12又は13に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項15】
前記電子的にロック解除可能なラッチ装置が、使用中にロック解除キーのRFIDタグからロック解除コードを受信するように適合されたRFIDリーダを備える、請求項14に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項16】
前記電源が充電式バッテリを備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項17】
前記電源がスーパーキャパシタを備える、請求項1~16のいずれか一項に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項18】
前記充電式バッテリ又はスーパーキャパシタを充電するための電力入力モジュール及び充電コントローラをさらに備える、請求項1~17のいずれか一項に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項19】
前記電力入力モジュールが誘導コイルを備える、請求項18に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項20】
前記コントローラが、
前記皮下注射針破壊装置の固有ID;
前記注射針破壊モジュールの固有ID;
前記皮下注射針破壊装置の総使用回数;前記注射針破壊モジュールの総使用回数;
前記注射針破壊モジュールの成功した使用回数;前記注射針破壊モジュールの失敗した使用回数;
前記注射針破壊モジュールの各使用の日付;
前記注射針破壊モジュールの各使用の時刻;
前記注射針破壊モジュールの各使用に関連する電流プロファイル;及び
前記注射針破壊モジュールの各使用に関連する電圧プロファイル、
を含む群のいずれか1つ又は複数をログするためのデータロギングモジュールをさらに備える、請求項1~19のいずれか一項に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項21】
前記コントローラが、前記データロギングモジュールから外部データベースにデータをエクスポートするための入出力モジュールをさらに備える、請求項20に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項22】
前記コントローラが、前記データロギングモジュールによって保存されたデータを暗号化するための暗号化モジュールをさらに備える、請求項20又は21に記載の皮下注射針破壊装置。
【請求項23】
前記本体部分を受容するためのドッキングステーションをさらに備え、前記ドッキングステーションは、
前記皮下注射針破壊装置の前記電力入力モジュールと相補的な電力出力モジュール;
前記データロギングモジュールからエクスポートされたデータを受信するための入出力モジュール;
データを前記コントローラにエクスポートするための入出力モジュール;及び
外部データベースに接続するためのインターネット又はネットワークインターフェース、
のいずれか1つ又は複数を備える、請求項1~22のいずれか一項に記載の皮下注射針破壊装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮下注射針の破壊に関する。
【背景技術】
【0002】
医療及び家庭環境における皮下注射針の使用はますます広まっている。皮下注射針は使い捨て器具であり、針刺し損傷や交差感染が回避される場合、安全に廃棄される必要がある。従来、使用済みの皮下注射針及び/又は注射器を、例えば焼却によって廃棄できるまで保管するために、「シャープスコンテナ」が使用されてきた。シャープスコンテナの欠点は、その「廃棄物のライフサイクル」にあり、また、シャープスコンテナの取り扱いに関連する交差汚染及び/又は針刺し損傷のリスクもあるという事実である。
【0003】
さらに最近では、使用時に皮下注射針を破壊する動きがある。この目的のために様々な装置が提案されており、これらは、交差汚染及び針刺し損傷をそれぞれ低減又は回避するために、針を無菌化及び/又は鈍化させる手段を含む。
【0004】
商業的に成功した皮下注射針破壊装置の1つが、当社自身の先の特許出願[EP3024519号、Needlesmart Ltd、2016年6月1日]に開示されており、当該特許出願中、使用済みの皮下注射針はクランプ電極と先端電極によって接触され、これら電極を介して針に電流が流され、この間、針を軟化/溶融させると同時にその先端を鈍球に圧縮する軸方向力が加えられる。針を加熱することで無菌化すると同時に、軸方向に圧縮することで針を鋭利でない物体に変形させ、その後の取り扱いを安全にする。
【0005】
皮下注射針破壊装置の想定される主なユーザ群の1つは、定期的に注射を行う必要のある家庭ユーザである。例えば、糖尿病を患っている患者は、1日に数回インスリンを注射しなければならないことが多く、このため、非医療環境において多数の皮下注射針が使用されることになる。皮下注射針が大量に使用され得る他の例としては、薬物中毒患者の治療及び/又は管理、あるいは緩和ケア又は長期の疼痛緩和を行う場合である。
【0006】
したがって、「家庭用グレード」の使いやすい皮下注射針破壊装置、好ましくは、持ち運び可能で保守/点検が容易なものに対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
本発明の態様は、添付の独立請求項に記載されている。好ましい特徴及び/又は任意選択の特徴は、添付の従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明の一態様によれば、電源及びコントローラを収容する本体と、使用時に注射針破壊モジュールを受容するための凹部と、注射針破壊モジュールを少なくとも部分的に凹部内に保持するための手段とを備える皮下注射針破壊装置が提供される。
【0009】
したがって、本発明は、取り外し可能及び/又は交換可能な注射針破壊モジュールを有する皮下注射針破壊装置を提供し、注射針破壊モジュールにより、当該装置を家庭/非臨床環境に適したものとすることができる。
【0010】
EP3024519号明細書に記載されている装置などの装置を用いた皮下注射針の破壊は、しばしば破片を生じ、この破片は、注射針破壊モジュール内に経時的に蓄積し得る。通常、これは定期的な保守手順を必要とし、これは医療環境では許容されるが、家庭環境では一般に許容されない。注射針破壊モジュールを皮下注射針破壊装置の別個の部分とすることにより、注射針破壊モジュールが効力を失い始めるか、又は耐用年数の終わりに達すると、単に新しい注射針破壊モジュールと交換することができるが、皮下注射針破壊装置の残りの部分は再使用することができる。
【0011】
皮下注射針破壊装置はまた、充電式バッテリ及び/又はスーパーキャパシタなど、それ自体の電源を備える。スーパーキャパシタは、バッテリよりもはるかに速く電荷を供給することができ、これによって、以下に説明するように、オーム/抵抗加熱によって金属注射針を加熱/軟化/溶融するために必要な短時間、高電圧及び/又は高電流レジームでの使用に理想的になるため、好ましいと考えられる。スーパーキャパシタはまた、バッテリよりもはるかに速く電荷を受け入れることができ、これによって、充電に費やす時間を最小限に抑える必要がある急速充電用途に理想的になるため、好まれる可能性がある。また、スーパーキャパシタは、充電式バッテリよりも多くの充放電サイクルに耐えるので好ましい可能性がある。
【0012】
コントローラは、好適には、制御回路及び/又はマイクロプロセッサを備え、これは様々な機能を実行するように構成することができる。具体的には、コントローラは、好適には、使用時に、注射針破壊モジュールを制御するために適合され、これには、注射針破壊モジュールへの電力を制御すること、及び/又は注射針破壊モジュール内の皮下注射針の存在を検出するためのセンサを使用することが含まれ得る。したがって、コントローラは、皮下注射針が存在するとき、又は存在しないときに、それぞれアウェイク/スリープモードに入る(それによって電力を節約する)ように構成することができる。注射針存在センサは、注射針が注射針破壊モジュール内に押し込まれたときに作動する圧力センサ、又は、例えばRFIDタグ、もしくは(例えば容量性)近接センサの存在を検出する無線センサを備え得る。
【0013】
好適には、注射針破壊モジュールは、そこに挿入された皮下注射針を皮下注射針のハブで、又はその近傍でクランプするように配置されたクランプ電極を備える。クランプ電極は、好適には、注射針を受け入れるために離れるが、針が挿入されると一緒に動いて針をその間にクランプ/捕捉する一対のジョーを備える。それは、好適には、皮下注射針を受容可能なボアを有する封じ込め管を備える。先端電極は、封じ込め管内に好適に配置され、封じ込め管内を軸方向にスライドして注射針の先端に接触し、注射針にそのハブに向かって軸方向圧縮応力を加えるように配置される。好適には電源が設けられ、この電源は、クランプ電極及び先端電極が注射針に接触すると、注射針を介して(クランプ電極と先端電極との間に位置する注射針の少なくとも一部の間に)電流を流す。注射針を通過する電流は、好適には抵抗/オーム加熱を引き起こし、これにより注射針先端が加熱され、軟化し、任意選択的に溶融する。このように、軸方向応力が加えられると、先端電極が注射針先端を軸方向に圧縮し、鈍らせると同時に、封じ込め管は、前記圧縮応力の印加下で注射針が曲がる又は分解するのを抑制又は防止する。
【0014】
電源は、直流電源又は交流電源とすることができる。コントローラは、好ましくは、クランプ電極及び先端電極に接続された電圧及び/又は電流センサを備え、その結果、コントローラは、クランプ電極及び先端電極間の電圧及び/又は電流を制御することができる。このことは、電流及び/又は電圧を制限することができる、及び/又はランプ状にすることができる、及び/又は特定の種類の注射針に特有のV-Iプロファイルに従うようにすることができることを意味する。
【0015】
先端電極は、好適には、モータとリードスクリュによって軸方向移動のために駆動され、その速度と方向は、好適には、コントローラによって制御される。これは、注射針の加熱及び/又は軟化及び/又は溶融の間、先端電極を注射針の先端と電気的に接触した状態に維持するために使用することができる。さもなければ、注射針が軟化するにつれて、注射針の先端が先端電極から後退する傾向があり、それによって回路が切断され、注射針のさらなる加熱及び/又は軟化及び/又は溶融が停止する可能性がある。
【0016】
封じ込め管は、好適には、クランプ電極と先端電極の短絡を避けるように、電気絶縁性材料から製造される。封じ込め管は、注射針破壊プロセスに関与する高温に耐えるように、好適には高温耐性材料から製造される。セラミック又はガラス(例えば石英)は、高温ポリマー及び/又は絶縁金属(例えばPTFE被覆鋼管)と同様に、封じ込め管に適した材料である。
【0017】
本発明の好ましい実施形態において、封じ込め管は、使用時、電流及び/又は軸方向圧縮応力の印加前に封じ込め管を予熱するように適合された加熱装置を備えている。最近使用された注射針は、しばしば液体を含むか又は液体でコーティングされており、液体は、破壊プロセス中に注射針が加熱されると、スチーム滴/蒸気を形成することが判明している。スチーム/蒸気の発生は、注射針が鈍いボール形状に圧縮されるのではなく、液滴に分解されることにつながり得る。しかしながら、封じ込め管を予熱することにより、そのような蒸気は封じ込め管の内面で凝結する傾向がなくなり、これによって注射針の破壊手順がより信頼できるものになる。
【0018】
本体の凹部に対する注射針破壊モジュールの挿入/取外しを容易にするために、注射針破壊モジュールは、好適には、凹部内に少なくとも部分的に受容可能なそれ自体のサブハウジングを備える。このサブハウジングは、好適には、凹部内で一方向嵌めとなっており、それにより本体への誤装着の可能性を最小化するか取り除く。
【0019】
注射針破壊モジュールを凹部内に少なくとも部分的に保持するための手段は、ラッチ装置を備え得る。これは、例えば、1つ又は複数の押しボタン操作式のラッチピンであり得、このラッチピンは、押されると注射針破壊モジュールを凹部から解放するように後退するが、ボタンが解放されると、凹部の相補的な形状に係合するように跳ね出る。しかしながら、本発明の好ましい実施形態において、ラッチ装置は、注射針破壊モジュールの針受容開口部に、又はその近くに配置されたRFIDリーダなどの、電子的にロック解除可能なラッチ装置を備える。ラッチ装置のロックを解除するために、RFIDタグを備えるダミー注射針又は管理者キーが装置に挿入され、RFIDタグはRFIDリーダによって読み取られる。RFIDタグは、好適には、RFIDリーダによって受信され、コントローラに渡されるロック解除コードを含んでいる。許容可能なロック解除コードを受信すると、コントローラは、例えば、1つ又は複数のソレノイド作動式ロックピンを後退させることによって、凹部から注射針破壊モジュールを解放することができる。
【0020】
好適には、皮下注射針破壊装置は、電力入力モジュールと、好ましくは、充電式バッテリ及び/又はスーパーキャパシタを充電するための充電コントローラとをさらに備える。電力入力モジュールは、充電ジャックであり得るが、好ましくは、充電装置又はドッキングステーションの相補的な充電コイルから電力を受ける誘導コイルを備える。ワイヤレス充電は以下の理由で好ましい、すなわち、皮下注射針破壊装置が、オープンな接続を有する充電ジャックが本体上又は本体内に存在する場合に有するであろうよりも高いIP定格(これは、携帯装置にとってより良い)を有することを可能にするので、好ましい。
【0021】
本発明の好ましい実施形態において、コントローラは、データロギングモジュールをさらに備え、このデータロギングモジュールは、以下のような様々なデータをログするように構成することができるが、これらに限定されるものではない:
【0022】
皮下注射針破壊装置の固有ID。これは、例えば、外部のデータベースにおいて、個人と結びつけることができる。これは、特定の固有IDを持つ皮下注射針破壊装置の使用を監視することにより、匿名化された方法ではあるが、個人の使用を監視できることを意味する。
【0023】
注射針破壊モジュールの固有ID。これは例えばシリアル番号とすることができ、所与の注射針破壊モジュールの残りの耐用年数を推定するのに有用である。これはまた、複数のユーザが皮下注射針破壊装置を共有することを可能にするが、各ユーザは自分の注射針破壊モジュールを使用する。これは、固有IDを有する注射針破壊モジュールと組み合わせて、特定の固有IDを有する特定の皮下注射針破壊装置の使用を監視することによって、匿名化された方法ではあるが、個人の使用を監視できることを意味する。
【0024】
皮下注射針破壊装置の総使用回数。これは、装置の充電式バッテリ又はスーパーキャパシタの残りのデューティサイクルを推定するために使用できる。これはまた、特定の総使用回数の後にコントローラが再較正及び/又は整備を必要とする較正サイクル等を監視するために使用することもできる。
【0025】
注射針破壊モジュールの総使用回数。これは注射針破壊モジュールの残りの寿命を推定するために使用することができる。例えば、各注射針破壊モジュールは、例えば500回の使用のデューティサイクルを有するように設計することができ、カウントダウンを使用して、注射針破壊モジュールの交換が近づいている時、又は交換すべき時を、及び/又は交換の発注が近づいている時、又は発注すべき時をユーザに知らせることができる。
【0026】
特定の状況において、注射針破壊モジュールは機能しない場合があるため、注射針破壊モジュールの成功/失敗した使用回数を記録することは、装置の性能を監視するために有益であり得る。
【0027】
注射針破壊モジュールの各使用の日付及び/又は時間。このデータは、処方された調停レジメンの遵守をクロスチェックするために使用することができる。
【0028】
注射針破壊モジュールの各使用に関連する電圧及び/又は電流プロファイル。これは、診断目的のため、及び/又は各使用時にどの種類の注射針が破壊されたかを推定するために有用である。これはまた、較正の問題点及び/又は装置の損傷をチェックするために使用することもできる。
【0029】
本発明の好ましい実施形態において、コントローラは、データロギングモジュールから外部データベースにデータをエクスポートするための入出力モジュールも備える。これは、上記で概説したように、様々な監視目的に有用であり得る。しかしながら、外部データベースへデータをエクスポートする1つの真の利点は、所与の患者に対するサプライチェーン及び/又はロジスティクスを構成する能力である。例えば、特定の患者には、処方箋や注射のタイミングに関するガイダンスとともに、あらかじめ包装された注射器に入った100回分のインスリンが与えられるかもしれない。その後、ユーザはそれらの投与分を投与することができるが、調停の供給量が枯渇するときに、外部データベースとインターフェースすることによって、別の100回分の再処方を発注することができ、これは前回の供給量が完全に枯渇する直前に患者に届くようにタイミングを合わせることができる。これには、より少ないが、より頻繁な薬剤の量を送達できるという利点があり、それにより、供給量を制限する(これは薬物中毒の患者にとって特に有利である)だけでなく、過剰在庫の無駄を減らすことができる。データロギングの「ジャストインタイム」の性質は、特に固有IDと共に使用される場合、匿名化され、制御され、規制された、一意に識別可能な患者への医薬品の送達を可能にする。データロギング/データエクスポート機能は、タイムリーな方法で臨床廃棄物の回収を指示するために使用することもでき、リアルタイム又はニアタイムの使用監視システムの他の利点は、当業者であれば容易に理解できるであろう。
【0030】
あらゆる個人情報を保護するために、コントローラは、好ましくは、データロギングモジュールによって保存されたデータを暗号化するための暗号化モジュールを備える。
【0031】
前述したように、ドッキングステーションは、本体部分を受けるために好適に設けられる。ドッキングステーションは、皮下注射針破壊装置を充電するために、皮下注射針破壊装置の電力入力モジュールと相補的な電力出力モジュールを備え得る。追加的に又は代替的に、ドッキングステーションは、データロギングモジュールからエクスポートされたデータを受信するための入出力モジュールを備え得る。これにより、装置からドッキングステーションへのデータの転送が可能になる。好適には、これはデータチェックシステムによって補完され、データがドッキングステーションに正常にエクスポートされたことが確認されると、そのデータは皮下注射針破壊装置から永久に削除される。これにより、皮下注射針破壊装置はサイバー攻撃からさらに保護される。追加的又は代替的に、ドッキングステーションは、データをコントローラにエクスポートするための入出力モジュールを備え得る。これは、ファームウェア/ソフトウェアの更新に使用することができる。追加的に又は代替的に、ドッキングステーションは、医療従事者のデータベースなどの外部データベースに接続するためのインターネット又はネットワークインターフェースを備え得る。
【0032】
以下、本発明の好ましい実施形態を、添付図面を参照して単に例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態による皮下注射針破壊装置の概略斜視図である。
図2図1の皮下注射針破壊装置の概略斜視図であるが、注射針破壊モジュールは取り外されている。
図3-4】図2に示す注射針破壊モジュールの斜視図である。
図5】皮下注射針破壊装置の一実施形態の概略システム図である。
図6】使用中の図5に示す皮下注射針破壊装置の概略システム図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図面を参照すると、本発明による皮下注射針破壊装置10は本体12を備え、この本体12はそれ自体の電源14を収容し、この電源14は好適には先に記載した理由によりスーパーキャパシタである。スーパーキャパシタ14は、本体12の後部内に収容され、本体12の前端部は、皮下注射器/注射針アセンブリの端部を入れることができる注射器受容開口部16をその中に有する。皮下注射器/注射針は、終端(図示せず)に達するまで開口部16に針から先に挿入され、これにより皮下注射針破壊装置10が作動して破壊手順が実行される。注射器/注射針が適切に挿入されると、インジケータLED18が点灯してその事実を示し、次に以下に記載するように注射針破壊モジュール20が作動する。
【0035】
図2と3を比較すると、本体12は、注射針破壊モジュール20を摺動自在に受け入れるような形状とサイズの凹部22を備えていることがわかる。図1に示すように、注射針破壊モジュール20が完全に挿入されると、その上面は本体12の表面と同一平面になる。解除ボタン24が設けられており、この解除ボタンは注射針破壊モジュールの両側にあるラッチピン26に機械的に接続されている。解除ボタン24を押し下げることにより、ピン26は後退し、注射針破壊モジュール20は、例えば、注射針破壊モジュール20に提供された工具又は指の爪を凹部22内で使用することにより、取り出すことができる。
【0036】
図面の図2から分かるように、注射針破壊モジュール20のハウジング30の全体形状は非対称であり、これは、ハウジング30を凹部22に1つの、すなわち正しい向きでしか挿入できないことを意味する。
【0037】
図面の図2から明瞭に分かるように、注射針破壊モジュール20はその一端に開口部32を有し、この開口部32は、本明細書で以下に説明するように皮下注射針を受け入れる。
【0038】
図面の図3及び4は、注射針破壊モジュール20を近接した状態で示しており、注射針受容開口部32が、装置のボア36の長手方向軸に向かって注射針を案内するセンタライザ34を有することが分かる。クランプ電極38のセットは、注射針が挿入されると互いに向かって移動し、これらはそのハブ又はその近傍で注射針とのクランプ電気接触を形成する。
【0039】
次に図面の図5及び6を参照すると、注射針破壊モジュール20がどのように皮下注射針破壊装置全体のハウジング12に適合しているかを理解することができる。また、注射器受入開口部16が、どのように注射針破壊装置20の注射針受入開口部32と、ならびにセンタライザ34及びボア36と同軸であるかを理解することもできる。クランプ電極38もボア36上で中心に集められ、注射針破壊モジュール20内に配置された管状封じ込め管40に通じており、この管もボア36と同軸である。
【0040】
ボア36内の開口部32の反対側の端部には、先端電極42があり、この先端電極42はリードスクリュ44の端部に形成され、リードスクリュ44はモータ46によって駆動される。ロータ46の回転は、図面において矢印48で示されるように、リードスクリュ44を前進させ、又は受け入れ、これにより先端電極42を開口部32に向かって、又は場合によっては開口部32から遠ざけるように移動させる。
【0041】
モータ46は、本体内のスーパーキャパシタ14から電力を引き出すモータドライバ50によって制御される。モータドライバは、モータの動きの速度及び/又は方向、ひいては封じ込め管40内の先端電極42の動き48を制御するように構成されている。
【0042】
一方、クランプ電極38と先端電極42は電源52に接続されており、この電源もスーパーキャパシタ14から電力を引き出す。したがって、装置10の使用中、クランプ電極38と先端電極42の間に電圧を印加することができる。電圧コントローラ52は、使用中、クランプ電極及び先端電極の電圧及び/又は電流、ひいては注射針を通過する電流を調節することができる。電圧は、交流電圧又は直流電圧であってよく、ランプ状であってもよく、特定のタイプの注射針を破壊するために最適化された他のプロファイルに従ってもよい。
【0043】
前述のように、装置10への注射器の挿入又は取り外しは、感知モジュール56に接続されたセンサ54を用いて検出される。
【0044】
モータコントローラ50、電圧ドライバ52及びセンサコントローラ52の動作を制御する中央プロセッサ58が設けられ、主プロセッサ58もまた、スーパーキャパシタ14から電力を引き出す。図5及び6には、充電回路、充電ジャック、電源オン/オフスイッチ等などの他の補助的な構成要素は示されていないが、これは単に明確にするためである。
【0045】
使用時、図面の図6に示すように、注射器アセンブリ70が装置10の受容開口部16に挿入される。注射器アセンブリは、注射器本体72と、ハブ76を介してそれに取り付けられた皮下注射針74とを備える。ハブは、ねじ又はバヨネット嵌合装置であってもよいし、注射針74はハブ76を介して注射器本体72上に成形することもできる。
【0046】
注射器アセンブリ70が受容開口部16に挿入されると、注射器アセンブリ70の存在がセンサ54によって検出される。これはまた、センタライザ34に加えられる軸方向の力によっても検出され、装置10内の注射器アセンブリの有無を検出する他の様々な方法が容易に想定される。
【0047】
センタライザ34は、針の先端をアセンブリの軸の方誘導し、その結果、クランプ電極38内、ひいては封じ込め管40内でそれを中心に集める。一旦挿入されると、封じ込め管40は予熱プロセスを開始し、それによってその温度は、その後の注射針破壊プロセス中にその内部に結露が形成されるのを避けるように上昇される。
【0048】
図5図6を比較するとわかるように、注射針74がボア36に挿入されると、クランプ電極38は注射針74をクランプして電気的接触を形成するように一緒に移動する。次に、モータ46は、先端電極42を注射針74の先端に向かって前進させる(48)ように駆動される。電圧コントローラ52は、クランプ電極38と先端電極42の間に電圧を印加し、先端電極42が最終的に注射針74の先端に接触すると、電流がクランプ電極38と先端電極42の間で注射針74を通過する。その後、抵抗加熱/オーム加熱が起こり、注射針74が加熱され、軟化し、最終的に溶融する可能性がある。同時に、モータ46は、先端電極42が注射針74に軸方向の圧縮応力を加えるように、リードスクリュ44を駆動し続ける。加熱/軟化/溶融と注射針74の先端に加えられる軸方向の力との組み合わせにより、注射針は鈍化し、圧縮される。封じ込め管40は、破壊プロセス中に注射針74が曲がったり分解したりしないように注射針74を拘束し、その結果、注射針は鈍化すると同時に滅菌温度を超えるまで加熱される。この手順により、注射針74は1回の操作で滅菌と鈍化の両方が行われるので、効果的に安全になる。
【0049】
一旦これが達成されると、モータ46は方向を反転させ、それによって先端電極を後退させ、クランプ電極38は解放される。その後、装置10の外側ハウジング12上のインジケータLED18は、注射針破壊プロセスが正常に完了したことを示すために、色を変えるか、又は消灯することができる。
【0050】
図面の図5に見られるように、ロック解除キー80が設けられ、このロック解除キー80は、本体82と、皮下注射針アセンブリ70のハブ76の形状/構成に幾分似た先端部分84とを有する。ロック解除キー80が受容開口部16に挿入されると、その存在がセンサ54によって検出される。しかしながら、先端部分84はRFIDタグを備えており、このRFIDタグにはロック解除コードが含まれている。例えば位置54で装置10に内蔵された無料のRFIDリーダがRFIDタグを読み取り、それが認証されたロック解除コードであるか否かを判定する。認証されたロック解除コードであれば、プロセッサ58はソレノイドのセットを後退させ、このソレノイドのセットは先に記載したロックピン26を後退させ、注射針破壊モジュール20を取り外すことを可能にする。
【0051】
図面には明示されていないが、主プロセッサ58の一部を形成するI/Oモジュールとデータベースモジュールが存在する。データロギングモジュールは、プロセスパラメータと同様に、皮下注射針破壊装置に関連するすべてのイベントを記録し、それらをオンボードメモリ(図示せず)に暗号化された方式で保存する。この背後にある考えは、装置10が皮下注射針破壊装置の1つ1つの使用をログし、そうする間に、日付/時間、皮下注射針破壊装置10の固有ID、針破壊モジュール20の固有ID、ならびに電圧コントローラ52及びモータコントローラ50によって使用されるプロセスパラメータを記録するということである。このデータは、皮下注射針破壊装置10のすべての使用統計及びプロセスパラメータを保存する内部データベースに入力するために使用される。
【0052】
処理モジュール58はまた、好ましくは暗号化された方式でデータを外部データベースにエクスポートすることを可能にするI/Oモジュールを備える。これにより、ログされたすべてのデータを、その後のレビュー/分析のために外部データベースにエクスポートすることが可能になる。これは、装置の使用の監視、装置の正しい機能の監視、ならびに一意に識別可能なユーザへの新規供給品の発注、廃棄物回収サービスの発注等に使用することができる。
【0053】
本発明は、本発明の単なる例示である前述の実施形態の詳細に限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】