(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】睡眠時無呼吸症候群を治療するウェアラブル器具、並びに関連するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240621BHJP
A61N 1/05 20060101ALI20240621BHJP
A61N 1/18 20060101ALI20240621BHJP
A61N 1/372 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/05
A61N1/18
A61N1/372
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023581048
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 US2022035281
(87)【国際公開番号】W WO2023278416
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524003770
【氏名又は名称】インヴィクタ メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】オコナー リチャード ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】フェイラム ティモシー エー
(72)【発明者】
【氏名】ポッツ デニス
(72)【発明者】
【氏名】パスパ ポール
(72)【発明者】
【氏名】ロー ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】ヘロン デヴィッド
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053CC10
4C053FF04
4C053JJ04
4C053JJ06
4C053JJ24
4C053JJ27
4C053KK02
4C053KK03
4C053KK04
4C053KK07
(57)【要約】
本技術は、一般に、睡眠時無呼吸症候群を治療するためのウェアラブル器具、並びに関連システム及び方法に関する。幾つかの実施形態では、睡眠時無呼吸症候群を治療するシステムは、植え込み型器具及びウェアラブル器具を含む。植え込み型器具は、患者の口腔の近くで患者の頭部及び/又は頸部のところに植え込むことができるよう位置決め可能であるのがよく、植え込み型器具は、電気信号を発生させるよう構成された信号発生器、電気信号を患者の組織に方向づけるよう信号発生器に結合された電極、及び信号発生器に結合された受電装置を有する。ウェアラブル器具は、電源及び電源に結合されていて、電力を植え込み型器具にワイヤレス送信するよう構成された送電装置を有するのがよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠時無呼吸症候群を治療するシステムであって、
患者の舌下神経の内側枝の近くの第1の場所に経皮的に位置決め可能な第1の植え込み型器具を含み、前記第1の植え込み型器具は、
第1の電気信号を発生させるよう構成された第1の信号発生器を有し、前記第1の電気信号の少なくとも一部分は、約10Hzから約500Hzまでの第1の周波数範囲内にある第1の周波数を有し、
前記第1の電気信号を前記内側枝に方向付けるよう前記第1の信号発生器に結合された第1の電極を有し、
前記第一の信号発生器に結合された第1の受電装置を有し、
前記患者の頸神経ワナの近くの第2の場所に経皮的に位置決め可能な第2の植え込み型器具を含み、前記第2の植え込み型器具は、
第2の電気信号を発生させるよう構成された第2の信号発生器を有し、前記第2の電気信号の少なくとも一部分は、約10Hzから約500Hzまでの第2の周波数範囲内にある第2の周波数を有し、
前記第2の電気信号を前記頸神経ワナに方向付けるよう前記第2の信号発生器に結合された第2の電極を有し、
前記第2の信号発生器に結合された第2の受電装置を有し、
カラー又はあご紐のうちの少なくとも一方を含むウェアラブル器具を含み、前記ウェアラブル器具は、
患者の睡眠状態、患者の睡眠姿勢、又は患者の無呼吸イベントのうちの少なくとも1つを検出するよう構成された1つ以上のセンサを有し、前記1つ以上のセンサは、心拍数センサ、SPO
2センサ、及びEMGセンサを含み、
電源を有し、
前記電源に結合されていて、電力を前記第1の植え込み型器具又は前記第2の植え込み型器具のうちの少なくとも一方に、前記患者の睡眠状態、前記患者の睡眠姿勢、又は前記患者の無呼吸イベントのうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて、ワイヤレスで送るよう構成された少なくとも1つの送電装置を有し、前記電力の少なくとも一部分は、約300MHzから約6GHzまでの第3の周波数範囲にある第3の周波数を有する、システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの送電装置は、前記少なくとも1つの送電装置が前記電力を前記第1の植え込み型器具に送る第1の位置と、前記少なくとも1つの送電装置が前記電力を前記第2の植え込み型器具に送る第2の位置との間で動くよう構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの送電装置は、前記電力を前記第1の植え込み型器具に第1の時点で送り、前記第2の植え込み型器具に第2の時点で送るよう構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの送電装置は、電力を前記第1の植え込み型器具又は前記第2の植え込み型器具のうちの少なくとも一方に第1の時点でワイヤレスで送るよう構成されている少なくとも1つの第1の送電装置を含み、前記ウェアラブル器具は、前記電源に結合されていて、電力を前記第1の植え込み型器具又は前記第2の植え込み型器具のうちの少なくとも一方に第2の時点でワイヤレスで送るよう構成されている少なくとも1つの第2の送電装置をさらに有する、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの送電装置は、電力を前記第1の植え込み型器具又は前記第2の植え込み型器具のうちの少なくとも一方に間欠的に送るよう構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの送電装置は、前記患者の睡眠状態、前記患者の睡眠姿勢、又は前記患者の無呼吸イベントのうちの少なくとも1つが検出されたことにのみ応答して電力を送るよう構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記1つ以上のセンサは、前記患者の睡眠状態、前記患者の睡眠姿勢、又は前記患者の無呼吸イベントのうちの少なくとも1つの変化を検出するよう構成されており、前記少なくとも1つの送電装置は、前記患者の睡眠状態、前記患者の睡眠姿勢、又は前記患者の無呼吸イベントのうちの少なくとも1つの検出の変化に少なくとも部分的に応答して、前記電力の少なくとも1つの送出パラメータの伝送を調節するよう構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの送電装置は、
第1の電力レベルを有する第1の電力信号をワイヤレス送信するよう構成された少なくとも1つの第1の送電装置、
電源に結合され、前記第1の電力レベルよりも大きい第2の電力レベルを有する第2の電力信号をワイヤレス送信するよう構成された少なくとも1つの第2の送電装置、
電源に結合され、前記第2の電力レベルよりも大きい第3の電力レベルを有する第3の電力信号をワイヤレス送信するよう構成された少なくとも1つの第3の送電装置、
前記第1、前記第2及び前記第3の電力レベルの各々は、前記第1の植込み型器具又は前記第2の植込み型器具のうちの少なくとも一方の異なる動作状態と関連している、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の電力レベルは、約0.01W~約0.05Wであり、前記第2の電力レベルは、約0.1W~約0.3Wであり、前記第3の電力レベルは、約0.5W~約1Wである、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記1つ以上のセンサは、患者の仰臥位睡眠姿勢、患者の側臥位睡眠姿勢、患者のREM睡眠状態、患者のNREM睡眠状態、閉塞性無呼吸イベント、又は中枢性無呼吸イベントのうちの少なくとも1つを検出するよう構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記ウェアラブル器具は、オトガイ部分及び頸部分を有し、
前記オトガイ部分は、前記患者のオトガイ周りに少なくとも部分的に延びるよう構成され、前記オトガイ部分は、電力を前記第1の植え込み型器具に送るよう位置決めされた少なくとも1つの第1の送電装置を含み、
前記頸部分は、前記オトガイ部分に結合されるとともに前記患者の頸周りに少なくとも部分的に延びるよう構成され、前記頸部分は、電力を前記第2の植え込み型器具に送るよう位置決めされた少なくとも1つの第2の送電装置を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項12】
睡眠時無呼吸症候群を治療するシステムであって
患者の口腔の近くで前記患者の頭及び/又は頸のところに植え込むことができるよう位置決め可能な植え込み型器具を含み、前記植え込み型器具は、
パルス電気信号を発生させるよう構成された信号発生器を有し、前記パルス電気信号の少なくとも一部分は、約10Hzから約500Hzまでの第1の周波数範囲内にある第1の周波数を有し、
前記電気信号を前記患者の組織に方向づけるよう前記信号発生器に結合された電極を有し、
前記信号発生器に結合された受電装置を有し、
ウェアラブル器具を含み、前記ウェアラブル器具は、
電源、及び
前記電源に結合されていて、電力を前記植え込み型器具にワイヤレスで送るよう構成された送電装置を有し、前記電力の少なくとも一部分は、約300MHzから約6GHzまでの第2の周波数範囲内にある第2の周波数を有する、システム。
【請求項13】
前記ウェアラブル器具は、前記患者の頸周りに少なくとも部分的に延びるよう構成されたカラーを有する、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記ウェアラブル器具は、衣服をさらに含み、前記衣服は、前記カラーを受け入れるよう構成されたポケットを有する、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記衣服は、カラー部分を有し、前記ポケットは、前記カラー部分によって少なくとも部分的に画定されたアンダーカラー領域を有する、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
前記カラーは、前記患者の頸に向く第1の方向に付勢される1つ以上本体領域及び前記患者の頸から遠ざかる第2の方向に付勢される1つ以上のレリーフ領域を有する、請求項13記載のシステム。
【請求項17】
前記1つ以上の本体領域の個々は、前記患者の頸に接触するよう構成され、前記1つ以上のレリーフ領域の個々は、前記患者の頸から間隔を置いて配置されている、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
前記1つ以上のレリーフ領域の個々は、前記患者の頸内の静脈又は動脈のうちの少なくとも一方と整列するよう構成されている、請求項16記載のシステム。
【請求項19】
前記カラーは、第1の端部分、第2の端部分、及び前記第1の端部分と前記第2の端部分との間に位置する中間部分を有し、
前記中間部分は、前記患者の頸周りに少なくとも部分的に延びるよう構成され、
前記第1の端部分及び前記第2の端部分は、前記患者の胸上に少なくとも部分的に延びて、前記植え込み型器具に対する前記カラーの運動を少なくとも部分的に阻止するよう構成されている、請求項13記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の端部分及び前記第2の端部分は、前記第1の端部分と前記第2の端部分をオーバーラップさせたときに互いに解除可能に結合するよう構成されたそれぞれの取り付け特徴部を有する、請求項19記載のシステム。
【請求項21】
前記ウェアラブル器具は、オトガイ部分及びストラップ部分を含むあご紐を有し、前記オトガイ部分は、前記送電装置及び/又は電源のうちの少なくとも一方を含み、前記ストラップ部分は、前記患者の頭周りに少なくとも部分的に延びるよう構成されている、請求項12記載のシステム。
【請求項22】
前記ウェアラブル器具は、前記オトガイ部分に結合されていて前記患者の頸周りに少なくとも部分的に延びるよう構成された頸部分をさらに有し、前記オトガイ部分は、第1の送電装置を含み、前記頸部分は、第2の送電装置を含む、請求項21記載のシステム。
【請求項23】
前記ストラップ部分は、前記患者の耳の近くに位置決め可能なSPO
2センサを含む、請求項21記載のシステム。
【請求項24】
前記ウェアラブル器具は、前記患者の頭周りに少なくとも部分的に延びるよう構成されたヘッドバンドを有し、前記ヘッドバンドは、前記患者のオトガイ及び/又は頸の方へ延びるよう構成されていて、前記送電装置を担持したアーム及び、前記患者の頭及び/又は頸に少なくとも部分的に巻きついて、前記患者に対する前記アームの運動を少なくとも部分的に阻止するよう構成されたストラップを有する、請求項12記載のシステム。
【請求項25】
前記アームは、第1のアームであり、前記送電装置は、第1の送電装置であり、前記ヘッドバンドは、第2の送電装置を担持した第2のアームをさらに有し、
前記第1のアームは、前記第1の送電装置を前記患者のオトガイのところに位置決めするよう構成され、
前記第2のアームは、前記第2の送電装置を前記患者の頸のところに位置決めするよう構成されている、請求項24記載のシステム。
【請求項26】
前記ウェアラブル器具は、前記患者の耳周りに少なくとも部分的に延びるよう構成されたイヤピースを含み、前記イヤピースは、前記患者のオトガイ及び/又は頸に向かって延びるよう構成されるとともに送電装置を担持したアームを有する、請求項12記載のシステム。
【請求項27】
前記アームは、第1のアームであり、前記送電装置は、第1の送電装置であり、前記イヤピースは、第2の送電装置を担持した第2のアームをさらに含有し、
前記第1のアームは、前記第1の送電装置を前記患者のオトガイのところに位置決めするよう構成され、
前記第2のアームは、前記第2の送電装置を前記患者の頸のところに位置決めするよう構成されている、請求項26記載のシステム。
【請求項28】
前記ウェアラブル器具は、前記患者の頭に合致するよう形作られたノッチを含むピローを有し、前記ピローは、前記患者の頭を前記患者の頸と整列した状態で支持するよう構成されている、請求項12記載のシステム。
【請求項29】
前記植え込み型器具は、前記患者の口腔の近くで前記患者の頭及び/又は頸のところの第1の場所に植え込むことができるよう位置決め可能な第1の植え込み型器具であり、前記システムは、前記患者の頭及び/又は頸のところの前記第1の場所とは異なる第2の場所のところに植え込むことができる位置決め可能な第2の植え込み型器具をさらに含み、前記送電装置は、電力を前記第1の植え込み型器具及び/又は前記第2の植え込み型器具のうちの少なくとも一方に送るよう構成されている、請求項12記載のシステム。
【請求項30】
前記送電装置は、前記送電装置が前記電力を前記第1の植え込み型器具に送る第1の位置と、前記送電装置が前記電力を前記第2の植え込み型器具に送る第2の位置との間で動くよう構成されている、請求項29記載のシステム。
【請求項31】
前記送電装置は、前記電力を前記第1の植え込み型器具に第1の時点で送り、前記電力を前記第2の植え込み型器具に第2の時点で送るよう構成されている、請求項29記載のシステム。
【請求項32】
前記送電装置は、第1の電力信号を前記第1の植え込み型器具にワイヤレスで送るよう構成されている第1の送電装置を含み、前記ウェアラブル器具は、前記電源に結合されていて、第2の電力信号を前記第2の植え込み型器具にワイヤレスで送るよう構成されている第2の送電装置をさらに有する、請求項29記載のシステム。
【請求項33】
前記送電装置は、電力を植え込み型器具に第1の時点でワイヤレスで送るよう構成されている第1の送電装置を含み、前記ウェアラブル器具は、前記電源に結合されていて、電力を植え込み型器具に第2の時点でワイヤレスで送るよう構成されている第2の送電装置をさらに有する、請求項12記載のシステム。
【請求項34】
前記送電装置は、電力を第1の電力レベルで送るよう構成された第1の送電装置であり、前記ウェアラブル器具は、電力を前記第1の電力レベルとは異なる第2の電力レベルで送るよう構成された第2の送電装置をさらに有する、請求項12記載のシステム。
【請求項35】
前記植え込み型器具は、(i)前記第1の電力レベルにおいて、前記ウェアラブル器具と通信し、(ii)前記第2の電力レベルにおいて、前記植え込み型器具によって担持されたセンサ経由でデータを受け取るよう構成されている、請求項34記載のシステム。
【請求項36】
前記第1の電力レベルは、約0.01W~約0.05Wであり、前記第2の電力レベルは、約0.1W~約0.3Wである、請求項34記載のシステム。
【請求項37】
前記ウェアラブル器具は、電力を前記第1の電力レベル又は前記第2の電力レベルのうちの少なくとも一方とは異なる第3の電力レベルで送るよう構成された第3の送電装置をさらに有し、前記植え込み型器具は、前記パルス電気信号を前記第3の電力レベルで発生させるよう構成されている、請求項34記載のシステム。
【請求項38】
前記第3の電力レベルは、約0.5W~約1Wである、請求項37記載のシステム。
【請求項39】
前記送電装置は、電力を前記植え込み型器具に間欠的に送るよう構成されている、請求項12記載のシステム。
【請求項40】
前記ウェアラブル器具は、患者の睡眠状態及び/又は患者の無呼吸イベントと関連したデータを受け取るよう構成された1つ以上のセンサを有し、前記送電装置は、前記電力を少なくとも部分的に前記患者の睡眠状態及び/又は前記患者の無呼吸イベントに基づいて送るよう構成されている、請求項39記載のシステム。
【請求項41】
前記1つ以上のセンサは、心拍センサとSPO
2センサの両方を含む、請求項40記載のシステム。
【請求項42】
前記1つ以上のセンサは、前記患者の頭、頸、顔面、及び/又は顎の1つ以上の筋の筋緊張を検出するよう位置決めされた筋電図検査センサを含む、請求項40記載のシステム。
【請求項43】
電気信号をヒトに方向づける方法であって、
ウェアラブル器具をプログラムし、それにより、
前記ウェアラブル器具の1つ以上のセンサにより、前記ヒトの睡眠状態、睡眠姿勢、又は無呼吸イベントのうちの少なくとも1つと関連したデータを受け取り、
少なくとも部分的に前記データに基づいて、前記睡眠状態、前記睡眠姿勢、又は前記無呼吸イベントのうちの少なくとも1つを識別し、そして、
前記識別した睡眠状態、睡眠姿勢、又は無呼吸イベントのうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて、植え込み型器具の受信アンテナとワイヤレスRF通信状態にあるよう位置決めされた前記ウェアラブル器具の送電アンテナ経由で電力を送るステップを含み、前記電力の少なくとも一部分は、約300MHzから約6GHzまでの第1の周波数範囲内にある第1の周波数を有し、
前記植え込み型器具のパルス発生器をプログラムし、それにより、
前記電力を前記受信アンテナ経由で受け取り、そして、
前記ヒトのターゲット場所と電気的連絡状態にあるよう位置決めされた前記植え込み型器具の少なくとも1つの電極経由で、電気治療信号を送り出すステップを含み、前記電気治療信号の少なくとも一部分は、最大100kHzまでの第2の周波数範囲内にある第2の周波数を有する、方法。
【請求項44】
前記ウェアラブル器具をプログラムする前記ステップは、前記ウェアラブル器具をプログラムし、それにより前記睡眠状態、前記睡眠姿勢、又は前記無呼吸イベントのうちの少なくとも1つの変化を識別するステップを含み、前記植え込み型器具の前記パルス発生器をプログラムする前記ステップは、前記パルス発生器をプログラムし、それにより前記睡眠状態、前記睡眠姿勢、又は前記無呼吸イベントのうちの少なくとも1つの前記識別した変化に少なくとも部分的に基づいて前記電気治療信号の少なくとも1つの信号送出パラメータを変化させるステップを含む、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記ウェアラブル器具をプログラムする前記ステップは、前記ウェアラブル器具をプログラムし、それにより前記睡眠状態、前記睡眠姿勢、又は前記無呼吸イベントのうちの少なくとも1つの変化を識別するステップを含み、前記植え込み型器具の前記パルス発生器をプログラムする前記ステップは、前記ウェアラブル器具をプログラムし、それにより前記睡眠状態、前記睡眠姿勢、又は前記無呼吸イベントのうちの少なくとも1つの前記識別した変化に少なくとも部分的に基づいて前記電力の少なくとも1つの信号送出パラメータを変化させるステップを含む、請求項43記載の方法。
【請求項46】
1つ以上のセンサは、心拍数センサ、SPO
2センサ、PPGセンサ、EEGセンサ、EMGセンサ、運動センサ、又は音声センサのうちの少なくとも1つを含む、請求項43記載の方法。
【請求項47】
前記ウェアラブル器具をプログラムする前記ステップは、前記ウェアラブル器具をプログラムし、それにより前記電力を複数の電力レベルで送るステップを含み、前記複数の電力レベルの各々は、前記植え込み型器具の異なる動作状態と関連している、請求項43記載の方法。
【請求項48】
前記植え込み型器具は、第1の植え込み型器具であり、前記ウェアラブル器具をプログラムする前記ステップは、
前記ウェアラブル器具をプログラムし、それにより前記送電装置経由でかつ第1の時点で、前記電力を前記第1の植え込み型器具に送るステップを含み、
前記ウェアラブル器具をプログラムし、それにより前記送電装置経由でかつ第2の時点で、前記電力を前記第2の植え込み型器具に送るステップを含む、請求項43記載の方法。
【請求項49】
前記植え込み型器具をプログラムし、それにより前記ウェアラブル器具とのワイヤレス送信リンク経由で、電極受信アンテナによる前記電力の受け取りに応答して前記電力受け取り確認を前記ウェアラブル器具に送るステップをさらに含む、請求項43記載の方法。
【請求項50】
前記送電装置は、第1の送電装置であり、
前記ウェアラブル器具をプログラムする前記ステップは、
前記第1の送電装置をプログラムし、それにより第1の電力信号を送るステップを含み、前記第1の電力信号の少なくとも一部分は、前記第1の周波数の状態にあり、
前記ウェアラブル器具の第2の送電装置をプログラムし、それにより前記第1の電力信号とは異なる第2の電力信号を送るステップを含み、前記第2の電力信号の少なくとも一部分は、前記第1の周波数とは異なりかつ前記第1の周波数範囲内にある第3の周波数の状態にあり、
前記パルス発生器をプログラムする前記ステップは、前記パルス発生器をプログラムし、それにより前記第1の電力信号及び前記第2の電力信号とは異なる第3の電力信号を受け取るステップを含み、前記第3の電力信号の少なくとも一部分は、前記第1の周波数及び前記第3の周波数とは異なる第4の周波数の状態にある、請求項43記載の方法。
【請求項51】
前記第3の電力信号の前記第4の周波数は、前記第1の電力信号の前記第1の周波数と前記第2の電力信号の前記第3の周波数との差の結果として得られる拍動周波数である、請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記第1の周波数は、904MHzであり、前記第2の周波数は、906MHzである、請求項50記載の方法。
【請求項53】
前記植え込み型器具をプログラムし、それにより、前記植え込み型器具のプログラミング回路を含む前記ウェアラブル器具と通信して前記第3の電力信号の少なくとも一部分を変調するとともに前記第3の電力信号の前記変調部分を前記ウェアラブル器具に反応させるステップをさらに含む、請求項50記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術(本発明)は、睡眠時無呼吸症候群を治療するウェアラブル器具、並びに関連するシステム及び方法に関する。代表的な器具としては、電力を経皮的に低侵襲植え込み済み電力変換器、信号発生器、及び/又は電極に提供するカラー、あご紐(ストラップ)、ピロー、及び/又は他の装用具が挙げられる。
【0002】
〔関連出願の引照〕
本願は、2021年6月29日に出願された米国特許仮出願第63/216,292号の優先権主張出願であり、この米国特許仮出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、睡眠中に患者の上気道が繰り返し閉塞(不完全又は完全閉塞)状態になって覚醒が引き起こされる病態である。上気道の閉塞の繰り返しは、睡眠の断片化を引き起こす場合があり、その結果、睡眠不足、昼間疲労感、及び/又は倦怠感が生じる場合がある。OSAのより深刻な場合として、患者が脳卒中、心不整脈、高血圧、及び/又はその他の障害を引き起こす恐れが高くなる場合がある。
【0004】
OSAは、睡眠中に、上気道の軟組織が落ち込む又は虚脱する傾向があり、それによって上気道が閉塞するという特徴がある。OSAは、典型的には、患者の上気道中への軟口蓋の虚脱、口腔咽頭の虚脱、舌の虚脱、喉頭蓋の虚脱、又はこれらの組み合わせを原因としており、それにより正常な呼吸が妨げられるとともに/或いは睡眠状態からの覚醒が生じる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
OSAに適応の幾つかの治療法があり、かかる治療法としては、例えば、外科手術、持続的気道陽圧(CPAP)器械や上気道と関連していて舌(又は他の上気道組織)を動かす筋肉の電気刺激が挙げられる。手術手技としては、患者の舌及び/又は軟口蓋の一部を切除する手術、及び舌が咽頭の奥に落ち込むのを阻止しようとする他の手技が挙げられる。これらの手術手技は、極めて侵襲的である。CPAP器械は、患者の鼻及び口のところに陽空気圧を加えて、上気道を開存状態に維持しようとするものである。しかし、これらの器械は、不快感をもたらし、扱いにくく、しかもコンプライアンスレートが低い場合がある。
【0006】
電気刺激法の中には、睡眠中、舌が前方(例えば、前方向)に突き出るようにするともに/或いは扁平になるようにすることによって舌が咽頭の奥に落ち込むのを阻止しようとするものである。しかしながら、患者の口腔の神経を電気的に刺激する既存の技術は、侵襲性が強すぎかつ/或いは十分に効能がないという欠点がある。かくして、OSA及び他の睡眠障害のための改良型低侵襲治療が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、睡眠時無呼吸症候群を治療するシステムであって、
患者の舌下神経の内側枝の近くの第1の場所に経皮的に位置決め可能な第1の植え込み型器具を含み、第1の植え込み型器具は、
第1の電気信号を発生させるよう構成された第1の信号発生器を有し、第1の電気信号の少なくとも一部分は、約10Hzから約500Hzまでの第1の周波数範囲内にある第1の周波数を有し、
第1の電気信号を内側枝に方向付けるよう第1の信号発生器に結合された第1の電極を有し、
第一の信号発生器に結合された第1の受電装置を有し、
患者の頸神経ワナの近くの第2の場所に経皮的に位置決め可能な第2の植え込み型器具を含み、第2の植え込み型器具は、
第2の電気信号を発生させるよう構成された第2の信号発生器を有し、第2の電気信号の少なくとも一部分は、約10Hzから約500Hzまでの第2の周波数範囲内にある第2の周波数を有し、
第2の電気信号を頸神経ワナに方向付けるよう第2の信号発生器に結合された第2の電極を有し、
第2の信号発生器に結合された第2の受電装置を有し、
カラー又はあご紐のうちの少なくとも一方を含むウェアラブル器具を含み、ウェアラブル器具は、
患者の睡眠状態、患者の睡眠姿勢、又は患者の無呼吸イベントのうちの少なくとも1つを検出するよう構成された1つ以上のセンサを有し、1つ以上のセンサは、心拍数センサ、SPO2センサ、及びEMGセンサを含み、
電源を有し、
電源に結合されていて、電力を第1の植え込み型器具又は第2の植え込み型器具のうちの少なくとも一方に、患者の睡眠状態、患者の睡眠姿勢、又は患者の無呼吸イベントのうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて、ワイヤレスで送るよう構成された少なくとも1つの送電装置を有し、電力の少なくとも一部分は、約300MHzから約6GHzまでの第3の周波数範囲にある第3の周波数を有することを特徴とするシステムが提供される。
【0008】
本発明の別の観点によれば、睡眠時無呼吸症候群を治療するシステムであって
患者の口腔の近くで患者の頭及び/又は頸のところに植え込むことができるよう位置決め可能な植え込み型器具を含み、植え込み型器具は、
パルス電気信号を発生させるよう構成された信号発生器を有し、パルス電気信号の少なくとも一部分は、約10Hzから約500Hzまでの第1の周波数範囲内にある第1の周波数を有し、
電気信号を患者の組織に方向づけるよう信号発生器に結合された電極を有し、
信号発生器に結合された受電装置を有し、
ウェアラブル器具を含み、ウェアラブル器具は、
電源、及び
電源に結合されていて、電力を植え込み型器具にワイヤレスで送るよう構成された送電装置を有し、電力の少なくとも一部分は、約300MHzから約6GHzまでの第2の周波数範囲内にある第2の周波数を有することを特徴とするシステムが提供される。
【0009】
本発明のもう1つの観点によれば、電気信号をヒトに方向づける方法であって、
ウェアラブル器具をプログラムし、それにより、
ウェアラブル器具の1つ以上のセンサにより、ヒトの睡眠状態、睡眠姿勢、又は無呼吸イベントのうちの少なくとも1つと関連したデータを受け取り、
少なくとも部分的にデータに基づいて、睡眠状態、睡眠姿勢、又は無呼吸イベントのうちの少なくとも1つを識別し、そして、
識別した睡眠状態、睡眠姿勢、又は無呼吸イベントのうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて、植え込み型器具の受信アンテナとワイヤレスRF通信状態にあるよう位置決めされたウェアラブル器具の送電アンテナ経由で電力を送るステップを含み、電力の少なくとも一部分は、約300MHzから約6GHzまでの第1の周波数範囲内にある第1の周波数を有し、
植え込み型器具のパルス発生器をプログラムし、それにより、
電力を受信アンテナ経由で受け取り、そして、
ヒトのターゲット場所と電気的連絡状態にあるよう位置決めされた植え込み型器具の少なくとも1つの電極経由で、電気治療信号を送り出すステップを含み、電気治療信号の少なくとも一部分は、最大100kHzまでの第2の周波数範囲内にある第2の周波数を有することを特徴とする方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】患者の上気道の別の部分概略側面断面図である。
【
図3】患者の上気道の筋組織の部分概略正面図である。
【
図4】患者の上気道の部分概略側面図であり、本技術の実施形態に従って睡眠時無呼吸を治療するためのウェアラブル器具を含むシステムのコンポーネントを示す図である。
【
図5A】本技術の諸実施形態に従って構成された植え込み型器具の部分略図である。
【
図5B】本技術の諸実施形態に従って構成された植え込み型器具の部分略図である。
【
図5C】本技術の諸実施形態に従って構成された植え込み型器具の部分略図である。
【
図6A】本技術の実施形態に従って代表的な信号送出ターゲットを示す患者の頭蓋の側面図である。
【
図6B】患者の頭蓋を下から見た図であり、舌下神経、及び本発明の実施形態に従って代表的な電極配置場所を示す図である。
【
図6C】舌下神経の内側枝、及び本技術の実施形態に従って位置決めされた関連の信号送出装置の等角図である。
【
図6D】舌下神経の内側枝、及び本技術の実施形態に従って位置決めされた関連の信号送出装置の端面図である。
【
図7A】植え込み型器具のもう1つの図であり、信号送出装置が電場を舌下神経の内側枝の方へ方向づけるよう位置決めされた状態を示す図である。
【
図7B】植え込み型器具が代表的な位置で示されている患者の口腔の冠状図であり、植え込み型器具が
図7Bの紙面の内外に延びる断面で示され、この位置では、植え込み型器具が舌骨舌筋のすぐ外側にかつ顎舌骨筋のすぐ内側にあり、これら2つの筋の平面が交差する箇所のところで又はその近くに位置し、植え込み型器具がこれまた
図7Bの紙面の内外に延びているHGNのすぐ下に位置決めされた状態を示す図である。
【
図8A】頸神経ワナ、舌下神経、関連筋系、及び本技術の実施形態に従って位置決めされた関連信号送出装置の部分略図である。
【
図8B】頸神経ワナ、舌下神経、関連筋系、及び本技術の実施形態に従って位置決めされた関連信号送出装置の部分略図である。
【
図9】本技術の諸実施形態に従ってカラーのフォームファクタを備えたウェアラブル器具の部分概略部分切除図である。
【
図10A】
図9の全体として10A‐10A線に沿って見た
図9に示す植え込み型器具の部分概略断面図である。
【
図10B】
図9の全体として10B‐10B線に沿って見た
図9に示す植え込み型器具の部分概略断面図である。
【
図11】本技術の代表的な諸実施形態に従って、患者のオトガイ及び肩に係合するよう構成されたカラーのフォームファクタを備えたウェアラブル器具の図である。
【
図12A】本技術の諸実施形態に従って、あご紐のフォームファクタを備えたウェアラブル器具の部分概略図である。
【
図12B】本技術の諸実施形態に従って、あご紐のフォームファクタを備えたウェアラブル器具の部分概略図である。
【
図13A】本技術の代表的な諸実施形態に従って、ピローのフォームファクタを備えたウェアラブル器具の部分略図である。
【
図13B】本技術の別の諸実施形態に従って、ネックピローのフォームファクタを備えたウェアラブル器具の部分略図である。
【
図13C】本技術の別の諸実施形態に従って、ネックピローのフォームファクタを備えたウェアラブル器具の部分略図である。
【
図13D】本技術の諸実施形態に従って、あご紐のフォームファクタを備えるともに、サブ波長構造の送電(電力伝送)装置を有するウェアラブル器具の部分略図である。
【
図13E】本技術の諸実施形態に従って、あご紐のフォームファクタを備えるともに、サブ波長構造の送電(電力伝送)装置を有するウェアラブル器具の部分略図である。
【
図13F】本技術の諸実施形態に従って、あご紐のフォームファクタを備えるともに、サブ波長構造の送電(電力伝送)装置を有するウェアラブル器具の部分略図である。
【
図13G】本技術の諸実施形態に従って、あご紐のフォームファクタを備えるともに、サブ波長構造の送電(電力伝送)装置を有するウェアラブル器具の部分略図である。
【
図13H】本技術の諸実施形態に従って、あご紐のフォームファクタを備えるともに、サブ波長構造の送電(電力伝送)装置を有するウェアラブル器具の部分略図である。
【
図14】本技術の一実施形態に従って構成されたウェアラブル器具の部分略図である。
【
図15】本技術の別の実施形態に従って構成されたウェアラブル器具の部分略図である。
【
図16A】本技術の別の実施形態に従って構成されたウェアラブル器具の部分略図である。
【
図16B】本技術の別の実施形態に従って構成されたウェアラブル器具の部分略図である。
【
図17A】本技術の別の実施形態に従って構成されたウェアラブル器具の部分略図である。
【
図17B】本技術の別の実施形態に従って構成されたウェアラブル器具の部分略図である。
【
図18】本技術の別の実施形態に従って構成されたウェアラブル器具の部分略図である。
【
図19】本技術の別の実施形態に従って構成されたウェアラブル器具の部分略図である。
【
図20】本技術の別の実施形態に従って構成されたウェアラブル器具の部分略図である。
【
図21】本技術の別の実施形態に従って構成されたウェアラブル器具の部分略図である。
【
図22A】本技術の諸実施形態に従って選択された波形パラメータを有する波形の代表的な一例を示す図である。
【
図22B】本技術の諸実施形態に従って活性期間及び休止期間を有する波形の代表的な一例を示す図である。
【
図23A】本技術の諸実施形態による波形の代表的な例を示す図である。
【
図23B】本技術の諸実施形態による波形の代表的な例を示す図である。
【
図24A】本技術の諸実施形態による波形の代表的な例を示す図である。
【
図24B】本技術の諸実施形態による波形の代表的な例を示す図である。
【
図24C】本技術の諸実施形態による波形の代表的な例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本技術を理解しやすくするために、以下の見出しのもとで説明する。
見出し1: 「導入」
見出し2: 「全体的な患者の生理学的特徴」(
図1~
図3に焦点を合わせる)
見出し3: 「全体的システム」(
図4に焦点を合わせる)
見出し4: 「代表的な植え込み型器具」(
図5A~
図5Cに焦点を合わせる)
見出し5: 「代表的な刺激ターゲット及び植え込み技術」(
図6A~
図8Bに焦点を合わせる)
見出し6: 「代表的なウェアラブル器具」(
図9~
図21に焦点を合わせる)
見出し7: 「代表的な波形」(
図22A~
図24Cに焦点を合わせる)
【0012】
本技術の実施形態を上述の選択された見出しの下で説明するが、本技術の他の実施形態は、多数の見出し下において説明したコンポーネントを含むことができる。したがって、一実施形態について特定の見出しの下で説明することができるということにより、必ずしも当該実施形態が当該見出し下で説明したコンポーネントにのみ限定されるわけではない。
【0013】
1.導入部
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)のための電気的刺激にあたり、代表的には、神経及び/又は筋を状態調節する電流を流して、舌及び/又は他の軟組織が動くようにする。したがって、電気的刺激は、上気道の閉塞を除くことができ、舌又は他の軟組織が潰れ又は気道を閉塞するのを阻止することができる。本明細書で用いられる「状態調節」及び「刺激」という用語は、1つ以上の運動機能、例えば、呼吸関連の運動機能に対する作用効果、例えば、かかる運動機能に対する影響を呈する神経及び/又は筋に対する作用効果を示すことを意味するよう互換的に用いられる。
【0014】
呼吸障害、例えばOSA、完全同心性虚脱(CCC)のあるOSA、中枢性睡眠時無呼吸の発症率及び/又は重症度を減少させる代表的な方法及び装置を本明細書において開示する。代表的な実施形態によれば、低侵襲信号送出装置が患者の口腔、軟口蓋、口腔咽頭、及び/又は喉頭蓋を神経支配する神経の近くに又はこれに隣接して植え込まれる。代表的な神経としては、口腔に隣接するとともに/或いは口腔の周りに又は頸部内に位置する舌下神経、頸神経ワナの枝及び/又は迷走神経が挙げられる。信号送出装置は、経皮注入により患者の体内に植え込まれるのがよい。例えば、1つ以上のマウスピース部分、カラー部分、あご紐部分、ピロー部分、マットレスオーバーレイ部分、他の適当な「ウェアラブル」、及び/又は1つ以上の粘着剤皮膚取り付け型器具を含む非植え込み型電源が電力を植え込み済みの信号送出装置にワイヤレス提供するのがよい。信号送出装置は、正確にターゲットした電気信号(例えば、パルス)を放出し、かかる電気信号は、睡眠時無呼吸症候群を治療するために患者の上気道開存性を改善するとともに/或いは口内腔の組織の緊張度を改善する。信号送出装置によって送り出された電流は、上気道と関連した患者の舌下神経及び/又は他の神経の少なくとも一部分を刺激することができる。舌を前方に動かすことによって、かつ/或いは舌及び/又は軟組織が患者の咽頭の奥上にかつ/或いは上気道上に虚脱するのを阻止することによって、本明細書において開示する器具及び関連方法は、例えば、上気道/咽頭内の潜在的に閉塞性の組織を下に動かすことによって、患者の睡眠の質を向上させることができる。具体的に説明すると、電気信号を舌下神経の内側枝に印加することにより、舌を前(前方)に動かすことができ、また、電気信号を頸神経ワナに印加することにより、舌骨、甲状腺(例えば、甲状軟骨)、及び/又は喉頭を下(下方又は尾方)に動かすことができ、かかる運動は、一般に、尾方牽引と呼ばれる。
【0015】
以下に説明する技術の多くの実施形態は、プログラマブルコンピュータ又はコントローラによって実行されるルーチンを含む、コンピュータ実行可能又は機械実行可能又はコントローラ実行可能命令の形態をとるのがよい。当業者であれば理解されるように、本技術を図示するとともに以下に説明するコンピュータ/コントローラシステム以外のコンピュータ/コントローラシステムで実施できる。本技術は、以下に説明するコンピュータ実行可能命令のうちの1つ以上を実行するよう特別にプログラムされ、構成され又は設定された特殊目的のコンピュータ、コントローラ又はデータプロセッサで具体化できる。したがって、本明細書において一般的に用いる「コンピュータ」及び「コントローラ」は、任意適当なデータプロセッサを意味しており、これらの用語は、インターネットアプリケーション及び手持ち型器具(パームトップコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、タブレット、携帯電話、モバイルフォン、マルチプロセッサシステム、プロセッサ利用コンシューマーエレクトロニクス、プログラマブルコンシューマーエレクトロニクス、ネットワークコンピュータ、ミニコンピュータなど)を含む場合がある。これらのコンピュータによって取り扱われる情報を任意適当なディスプレイ媒体で提示でき、かかるディスプレイ媒体としては、液晶ディスプレイ(LCD)が挙げられる。
【0016】
本技術はまた、分散環境で実施でき、この分散環境では、タスク又はモジュールは、通信ネットワークを介して互いにリンクされた遠隔処理装置によって実施される。分散型コンピューティング環境では、プログラムモジュール又はサブルーチンは、ローカル記憶装置やリモート記憶装置内に実装できる。以下に説明する技術の諸観点を1つ以上のASIC(例えば、アドレス指定可能メモリ付き)を含む任意適当なコンピュータ可読媒体上に記憶させることができ、又は分散させることができ、また、ネットワークにより電子的に分散させることができる。本技術の諸観点に特有のデータ構造及びデータの伝送もまた、本技術の実施形態の範囲に含まれる。
【0017】
2.代表的な患者の生理学的特徴
本明細書において説明する代表的な実施形態は、1以上の電流を1つ以上の特定のターゲット配置場所、例えば、特定の神経及び/又は神経に沿う特定の位置に流すよう位置決めされるのがよい電極を有する信号送出装置を含む。
図1は、患者の口腔の一般的な解剖学的構造を示しており、後の図は、特定のターゲット存在場所を示している。かかる存在場所としては、舌以外の気道の筋(例えば、口蓋筋、口腔咽頭筋、喉頭筋、肩甲舌骨筋、胸骨舌骨筋、及び/又は胸骨甲状筋)を神経支配する神経のような患者の舌下神経、頸神経ワナの枝、及び/又は迷走神経に沿う場所が挙げられる。ターゲット存在場所を内在筋、外来筋、関連神経枝、及び/又は他の生理学的特徴部のうちの任意のもの、又はこれらの任意の組み合わせに対して特定することができる。かかるターゲット場所及び/又は位置はまた、疼痛及び/又は他の望ましくない効果を生じさせないようにするために、唾液腺(例えば、舌下唾液腺の内側に位置する)及び/又は他の構造から遠くに位置しているのがよい。
【0018】
図1は、x軸が前方向‐後方向の方向を示し、y軸が上方向‐下方向の方向を示し、z軸が内側‐外側の方向を示す座標系に対して患者Pを示している。患者Pは、舌Tの上に位置していて、口腔OC(例えば、口)のルーフを形成する硬口蓋HPを有する。硬口蓋HPは、骨支持体BS有し、かくして、通常、呼吸中に変形しない。軟組織、例えば、膜、線維質、脂肪組織、筋組織で作られている軟口蓋SPは、硬口蓋HPから咽頭PHRの奥に向かって後方(例えば、後方向)に延びている。より具体的には、軟口蓋SPの前端AEは、硬口蓋HPの後端に固定され、軟口蓋SPの後端PEは、非固定である。軟口蓋SPは、骨又は硬い軟骨を含んでいないので、軟口蓋SPは、撓むことができ、そして咽頭PHRの奥に虚脱するとともに/或いは前後にバタつく場合がある(例えば、特に睡眠中)。
【0019】
咽頭PHRは、口腔OC及び鼻腔NCから気管TRに空気を送るもので、鼻腔NCの下(下方)、口腔OCの後方(背後)、かつ食道ESの上方(上)に位置する喉の一部である。咽頭PHRは、両側を舌Tの付け根に向けて下方に延びる、口蓋舌弓PGAによって口腔OCから分離されている。簡略化のために図示していないが、咽頭PHRは鼻咽頭、中咽頭、及び咽喉頭を含んでいる。鼻咽頭は軟口蓋SPの上面と喉の壁(すなわち、口腔OCの上方)との間に位置している。中咽頭は口腔OC背後に位置し、口蓋垂Uから舌骨HBの高さに延びている。中咽頭は前方に向けて口腔OCに開放している。中咽頭の横壁は口蓋扁桃から成り、口蓋舌弓PGAと口蓋咽頭弓との間に位置している。中咽頭の前壁は舌Tの付け根及び喉頭蓋谷から成っている。食物と空気の両方が咽頭PHRを通過するため、食物が飲み込まれたとき、喉頭蓋EPと呼ばれる結合組織の蓋が声門(簡略化のために図示せず)を覆って誤嚥を防止する。咽喉頭は食道ESにつながる喉の一部であり、喉頭蓋EPの下方に位置している。舌Tの下には、下の顎すなわち下顎M及びオトガイ舌骨筋GHが存在し、オトガイ舌骨筋は、舌Tの動きを制御する筋のうちの1つである。オトガイ舌筋は、これまた舌の運動を制御し、そして、現時点において開示する治療法の特定のターゲットであり、以下、
図4を参照してかかるオトガイ舌筋について説明する。
【0020】
図2は、患者の上気道の代表的な神経構造及び筋組織の部分略図である。代表的な筋組織としては、患者の下顎Mと舌骨HBとの間に延びるオトガイ舌骨筋GHが挙げられる。肩甲舌骨筋OHMは、舌骨HBと鎖骨CLとの間に延びている。胸骨舌骨筋SHMは、舌骨HBと胸骨STの間に延び、胸骨甲状筋STMは、鎖骨CLと患者の甲状軟骨THとの間に延びている。関連する神経構造としては、舌下神経HGNの内側枝MBが挙げられ、この内側枝MBは、舌、オトガイ舌筋(
図4に示す)、及びオトガイ舌骨筋GHを支配する。頸神経ワナAC及び頸神経ワナACから出ている関連枝は、肩甲舌骨筋OHM、胸骨舌骨筋SHM、及び胸骨甲状筋STMを支配する。低侵襲電極を上述の神経構造及び/又は関連筋組織の近くに位置決めするとともにこれを作動させることによって、本技術の実施形態は、OSAの影響を制御し、軽減し、かつ/或いはなくすことができる。
【0021】
図3は、患者Pの正面図であり、
図1及び
図2を参照して上述した解剖学的構造のうちの幾つかを示している。特に、
図3は、患者の下顎M、顎舌骨筋MLH、顎二腹筋DG、及び茎突舌骨筋SLH、並びに胸骨甲状筋STM、胸鎖乳突筋SCM、及び胸骨舌骨筋SHMを示している。
図3はまた、喉頭L、患者の胸骨ST、及び鎖骨CLを示している。上述の筋は、患者の口腔OC、頸N、及び/又は肩SH内にあり、これらのうちの任意のものは、本技術のウェアラブル器具を支持することができる。
【0022】
3.全体的システム
図4は、本技術の諸実施形態に従って電気刺激を患者Pに提供するよう構成された代表的なシステム100の部分略図(縮尺通りには描かれていない)である。
図4に示す患者の口腔の筋組織は、オトガイ舌骨筋GH、オトガイ舌筋GGM、及び患者の舌Tの一部である縦走筋LM及び横筋TVMを含む。
図4はまた、患者の舌下神経の内側枝MBの一部分を示している。
【0023】
代表的な実施形態では、システム100は、植え込まれた要素と外部要素の両方を含む。植え込まれた要素は、1つ以上の植え込み型器具120を含むのがよい。図示の実施形態では、2つの植え込み器具120が示されており、1つは内側枝MBの近くに位置し、もう1つは、頸神経ワナACの近くに位置している。各植え込み型器具120は、ターゲット神経及び/又は筋構造に隣接して位置決めされた信号送出装置130を有するのがよい。信号送出装置130は、1つ以上のアンカー、縫合糸、及び/又は他の器具で定位置に固定されるのがよい。信号送出装置130は、信号発生器に動作可能に結合されている。幾つかの実施形態では、信号発生機能は全て、植え込み型器具120によって実行され、他の実施形態では、幾つかの信号発生機能は、外部コンポーネントによって実行可能である。信号発生機能及び信号送出機能は、単一の植え込み型器具によって実行されてもよく、多数の器具によって実行されてもよい。
【0024】
植え込み型器具120は、ウェアラブル器具170から電力を受け取る。ウェアラブル器具170は、患者Pの解剖学的構造の少なくとも一部分上に、これを包囲してかつ/或いはこの周りに装用(装着)されるとともに/或いは支持されるよう構成されているのがよい。
図4に示す代表的な実施形態では、ウェアラブル器具170は、患者の頸Nの周りにかつ患者の肩SHの上に位置決めされたカラー171を有する。カラー171は、要素の中でもとりわけ、電源184を支持するのがよく、電源184は、電力を植え込み型器具120に1つ以上の送電(電力伝送)装置179及び対応の送電リンク172経由で供給する。説明の目的上、1つの扁平な送電装置179が
図4に示されている。しかしながら、見出し6の下でさらに説明するように、カラー171は、多数の送電装置を含むことができ、これら送電装置の個々のものは、患者によって装用されているときのカラー171及び/又はウェアラブル器具170の形状に一致することができ、しかも電力を植え込み型器具120のうちの1つ以上に送る(例えば、ワイヤレスで)よう構成されているのがよい。例えば、単一の送電装置179は、電力を少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、又は全ての植え込み型器具120に送るよう構成されているのがよい。変形例として、カラー171は、多数の送電装置を有してもよく、送電装置179の各々は、電力を1つ以上の植え込み型器具120の幾つかのサブセットに送るよう構成されているのがよい。
【0025】
ウェアラブル器具170によって担持された諸要素及び(直接的に又は間接的に)植え込み型器具120は、ワイヤレス通信リンク161経由でプログラマ又はコントローラ160によって制御されるのがよい。加うるに、プログラマ160は、クラウド162及び/又は他のコンピュータサービスと通信して、患者Pから受け取ったデータをアップロードするとともに/或いは、情報をウェアラブル器具170及び/又は植え込み型器具120にダウンロードするのがよい。ダウンロードされたデータは、適当な治療に関する命令及び/又は他のデータ(例えば、他の同様の状態にある患者からの)、ウェアラブル器具170及び/又は植え込み型器具120によって担持された回路部品に対して実行されるソフトウェアについてのアップデート、及び/又は他の有用な情報を含むのがよい。他の実施形態では、植え込み型器具120及び/又はウェアラブル器具170は、アップデートできない状態機械コンポーネントを含む。患者から受け取った代表的なダウンロードデータは、呼吸数、心拍数、音声信号(可聴いびき、呼吸低下イベント、及び/又は無呼吸イベントに対応している)、体温、頭の向き/位置、飽和血中酸素レベル、空気流量レベル、甲状腺運動、及び/又は舌の運動を含むのがよい。ウェアラブル器具170及び/又はプログラマ160は、植え込み型器具120のうちの任意のものが患者Pの体内に植え込まれているか否かにかかわらず、これらデータを受け取るとともに/或いは分析することができる。例えば、植え込み型器具120の植え込みに先立って、患者Pは、患者の睡眠及び/又は睡眠障害と関連したデータを収集するようウェアラブル器具170を装用するのがよい(例えば、睡眠中に)。これらデータは、睡眠検査中、例えば睡眠ポリグラフ検査(“PSG”)手順及び/又は薬物誘発性睡眠下内視鏡検査(“DISE”)手順の間に収集されたデータと少なくとも全体として類似しており又は同一であるのがよい。データを患者の医療記録及び/又は医療治療履歴にアップロードするのがよく(例えば、クラウド162経由で)、かつ/或いは用いられて(例えば、担当医及び/又はプログラマ160によって)、(i)患者の睡眠障害を1つ以上の植え込み型器具120の植え込みによって治療できるかどうか、かつ/或いはどの程度治療されるかどうかを判定するとともに/或いは(ii)1つ以上の植え込み型器具120を含む睡眠障害治療計画を立てるために使用することができる。
【0026】
追加的に又は代替的に、1つ以上の植え込み型器具120を植え込んだ後、ウェアラブル器具170は、例えば、患者の睡眠障害を治療する際に使用される情報(例えば、担当医及び/又はプログラマ160に)を提供するよう患者の睡眠及び/又は睡眠障害と関連したデータを収集することができる(例えば、収集し続けることができる)。例えば、セラピーセッション間及び/又はセラピーセッション中、ウェアラブル器具170によって収集されたデータに少なくとも部分的に基づいて、プログラマ160は、患者Pに送られる電気信号の1つ以上のパラメータを自動的に調節するとともに/或いは最適化する(例えば、患者の睡眠状態の変化及び/又は無呼吸イベントの発生に応答して)ことができ、かつ/或いはプログラマ160は、1つ以上の調節済み/最適化済み信号送出パラメータを受け取ることができる(例えば、クラウド162経由で)。かかるデータを経時的に(例えば、植え込み型器具120の1つ以上の植え込み前及び植え込み後において)収集し続けることにより、治療信号の信号送出パラメータを、患者P特定の睡眠障害に対処するためにカスタマイズするとともに/或いは応動することができる程度を一段と向上させることができる。かかるデータを収集するのに適したセンサについて本明細書において後で説明する。上記実施形態のうちの任意のものに関し、ウェアラブル器具170は、電力を1つ以上の送電リンク172経由で植え込み型器具120に送り、そして、充電器173から電力を受け取る(例えば、間欠方式で)。したがって充電器173は、従来型誘導結合方式(例えば、Qi標準充電方式)及び/又は従来型ワイヤード接続方式のものを含むのがよい。
【0027】
植え込み型器具のさらなる詳細について、
図5A~
図5Cを参照して以下に説明する。
図4に示すタイプのカラーのフォームファクタを有するウェアラブル器具を含む植え込み型器具に電力供給する適当なウェアラブル器具のさらなる詳細について、
図9~
図21を参照して以下において説明する。
【0028】
4.代表的な植え込み型器具
図5Aは、本技術の代表的な実施形態に従って構成された要素を有する植え込み型器具120の部分概略側面図である。
図5Aに示す実施形態では、単一の植え込み型器具120は、信号発生機能と信号送出機能の両方を実行する。したがって、植え込み型器具120は、植え込み型信号送出装置130と、植え込み型信号発生器110の両方を有する。スケール感を提供するための代表的な寸法が
図5Aに示されているが、本技術は、明示の指定がない場合にこれらの寸法によって制限されることはない。信号送出装置130は、ほぼ可撓性であるのがよくかつ1つ以上の電極131を担持することができるリード本体134を有し、1つ以上の電極131は、幾つかの実施形態では、ほぼ剛性であり、他の実施形態では、可撓性であるのがよい。可撓性電極は、ターゲット神経の近くの曲がりくねった解剖学的構造/挿入経路に対応するようリード本体134全体の可撓性を増大させる。説明の目的上、リード本体134は、
図5Aにおいて4つの電極131を担持するものとして示されているが、他の実施形態では、リード本体134は、他の適当な数の電極、例えば2つの電極131を担持することができる。電極131は、アレイをなして、例えば一次元直線アレイをなして配列されるのがよい。電極131は、適当な生体適合性材料、例えば、白金/イリジウム、ステンレス鋼、MP35N及び/又は他の適当な導電性インプラント材料で作られた従来型リング形状又は円筒形の電極を含むのがよい。電極131は各々、リード本体134を貫通した個々の導体140、例えば、細いワイヤフィラメントに連結されるのがよい。各電極131は、
図5Aに示すようにおよそ1.5mmの長さを有するのがよく、又は他の実施形態では別の適当な長さを有することができる。特定の実施形態では、電極の幾つかの部分は、電場をリード本体134の長手方向軸線A回りに時計回りの方向又は反時計回りの方向により正確にターゲットにするよう円周方向にマスキングされるのがよい。
【0029】
図5Aに示す実施形態では、リード本体134は、ハウジング135に接続されるとともにこれによって担持され、ハウジング135は、信号発生器110及び電力を受け取るための回路素子を担持している。例えば、全体的ハウジング135は、アンテナハウジング又はハウジング部分135a及び回路ハウジング又は回路ハウジング部分135bを有するのがよい。アンテナハウジング135aは、可撓性であるのがよく、このアンテナハウジングは、ウェラブル器具170(
図4)からワイヤレス伝送リンク172を介して電力を受け取る受信機アンテナ133(他の適当な電力受け取り装置)を担持するのがよい。回路ハウジング135bは、チタン、白金、白金イリジウム合金、セラミック、及び/又は別の適当な材料及び/又はこれらの組み合わせで作られた全体として円形の金属「缶」の形態をしているのがよい。信号発生器110は、受信機アンテナ133に結合されたチャージポンプ及び/又はDC‐DC変換器139及び/又は回路部品138(例えば、第2の回路部品)を有するのがよい。幾つかの実施形態では、受信機アンテナ133は、受信した電力信号を(例えば、
図4に示すワイヤレス伝送リンク172経由で)DC電流に変換するよう構成されたAC‐DC変換器に結合されるのがよい。回路部品138は、対応の機械可読命令を含むのがよいASICを有するのがよい。命令は、電力伝送に加えてデータ伝送のために電極受信機アンテナ133を用いて、ワイヤレスでアップデートされるのがよい。例えば、データは、パルス幅変調(PWM)及び/又は他の適当な技術を用いて伝送されるのがよい。データはまた、例えば後方散乱及び/又は他の適当な技術を用いて逆方向に伝送可能である。例えば、植え込み型器具120は、電力を受け取ったということ及び電力がどれほどの大きさであるかを指示する受け取りを伝送するのがよい。この情報を用いると、信号発生器110の出力、例えば送信した信号及び相を自己調節する(上下に)ことができる。したがって、回路部品138は、治療信号を患者に送出するためにプロセッサ及びメモリを有するのがよく、係るプロセッサ及びメモリとしては、予めプログラムされるとともにアップデート可能な命令(例えば、ASICの形態をしている)が挙げられる。例えば、システムは、ブートローダ組み込み型ファームウェアを含むのがよい。さらに、システム全体は、
図4を参照して説明したように、RFID型送電認証法を用いて単一のウェラブル器具170によって電力供給されるのがよい多数の植え込み型器具を識別することができる。RFID及び/又は他の技術を用いると、異物により又は意図しない刺激が起こることがないようにするようにセキュリティ措置を具体化するのがよい。係る技術は、少なくとも幾つかの実施形態では、植え込み型器具120に実装された適当なハードウエア/ソフトウェアにより具体化できる。
【0030】
全体的ハウジング135は、ほぼ剛性であるベース136及び1つ以上のアンカー137をさらに有するのがよい。アンカー137は、植え込み型器具120を患者の組織に対して確実に位置決めするよう
図4に示す縫合糸に加えて又はこれに代えて使用されるのがよい。代表的な実施形態では、アンカー137は、植え込み型器具120が患者の体内に注入され又は違ったやり方で植え込まれた時に外方にかつ患者の組織中に延びる1つ以上の歯を有する。信号送出装置を植え込むのに適した技術は、2022年5月19日付け出願の米国特許出願第17/749,025号明細書に記載されており、この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。他の実施形態では、植え込み型器具120は、他の適当なアンカーを有するのがよく、かつ/或いは繋留は、信号送出装置130の遠位区分及び/又は中間区分のところで起こるのがよい。他の適当なアンカーとしては、(a)電極アレイの長手方向長さにわたって延び、そして導入シースが引き抜かれた時に固定摩擦力を生じさせるよう曲がる弓形ばね(bow spring)、(b)ばね押しヒンジに設けられていて、電極アレイの長手方向長さに渡って延び、そして導入シースが引き抜かれた時に固定摩擦力を生じさせるよう撓る細いワイヤ、(c)回転時に拡径してまた対応のプッシュロッドがインプランタによって回されている時に摩擦固定作用を生じさせるカム及び/又は(d)回転時に拡径してまた対応のプッシュロッドがインプランタによって回されている時に摩擦固定作用を生じさせるねじりばね(torsion spring)が挙げられるが、これらには限定されない。
【0031】
他の適当な繋留技術は、リード本体134を曲げ又は変形させて、これを挿入針により形成されるチャネルの壁に接触状態になるよう付勢する技術を含む。リード本体は、挿入中真っ直ぐにされる(例えば、スタイレットを介して、又は、導入器もしくはカニューレ内に拘束されることによって)が、拘束が除かれると再生して繋留力を生じさせる曲がり部を有するのがよい。さらに別の技術では、リード本体134の遠位端部は、いったんターゲット場所に位置すると、腰折れする(軸方向又は柱方向に)。腰折れ動作は、リード本体の直径を局所的に拡張してこれが配置される組織に当たるようリード本体を拡張させる。器具が一時的に植え込まれる場合に関し、器具を導入するために用いられるスタイレットは、曲がり部又はキンクを有するのがよい。
【0032】
リード本体及び/又は他の植え込み型要素を固定するさらに別の技術は、メッシュの使用を含む。例えば、プラグ又はメッシュを、既に配備されたリード本体の少なくとも一部分上でこれに沿って挿入して、繋留具合を向上させるのがよい。したがって、プラグ又はメッシュは、リード本体が注入されるときにはリード本体134と一体ではなく、これとは異なり、リード本体が定位置に位置した後にリード本体を固定するように追加される。プラグ又はメッシュは、リード本体134を隣接の組織に対して固定する縫合糸スリーブのように半径方向に拡張されるのがよい。プラグ又はメッシュを一時的なアンカーとして取り付けてもよく、或いは、プラグ又はメッシュは、常在のアンカーの基礎とすることもできる。上述の他の要素のように、プラグ又はメッシュを注入により送り出すことができる。
【0033】
少なくとも幾つかの場合、上述のプラグ又はメッシュは、急性並びに長期間もしくは慢性用途(又は長期もしくは慢性用途に代えて)利用することができる。例えば、担当医が出血を誘発した場合、又はその後の感染が生じた場合、プラグ/メッシュを用いると、例えば出血を止めることによって、悪い後遺症を管理し又は最小限に抑えることができる。
【0034】
作用を説明すると、受信アンテナ133は、関連のウェラブル器具170(
図4)によって担持された電源184からワイヤレスで電力を受け取る。少なくとも幾つかの実施形態では、受信機アンテナ133のところで受け取られた電力は、例えば、約300MHzから約6GHzまでの範囲、例えば、約400MHzから約2.5GHzまでの範囲、例えば約600MHzから約2.45GHzまでの範囲、又は約900MHzから約1.2GHzまでの範囲又はこれらの間の任意他の周波数又は周波数範囲にある無線周波数の状態にある。この周波数では、ワイヤレス送電リンク172の使用可能な範囲は、植え込み型信号送出装置130とウェラブル器具170との間の距離に及ぶのに足るほどの距離を優に超えて約10cmである。この範囲では、送電プロセスは、組織加熱を生じさせるものとは見込まれず、したがって、他の送電技術、例えば誘導型送電技術と比較して利点をもたらす。
【0035】
送電プロセスを制御(例えば、減少させ、サイクル動作させ、非作動状態にするなど)すると、例えば、送電(電力伝送)を一時的にかつ/或いは間欠的に停止して、送電と関連した加熱を減少させるとともに/或いは阻止し、かつ/或いは患者の組織を冷却することができるようにすることによって、例えば、ウェアラブル器具170及び/又は送電装置179と接触状態にありかつ/或いはこれの近くにある患者の皮膚の加熱のような患者の加熱をさらに減少させ又は阻止することができる。追加的に又は代替的に、送電プロセスを制御すると、セラピー、セラピー効果、患者のセラピー耐容性、及び/又はバッテリ電力を改善することができる(例えば、最適化することができる)。例えば、ウェアラブル器具170から植え込み型器具120のうちの個々のものへの送電を少なくとも部分的に、患者の1つ以上の無呼吸イベント、睡眠姿勢、及び/又は睡眠状態と関連したデータ(例えば、
図9を参照して本明細書において詳細に説明した1つ以上のセンサ190経由で受け取った)に少なくとも部分的に応答して、オン/オフをサイクル動作させるのがよい。この実施例を続けると、患者が無呼吸イベントにさらされていることを指示するデータに応答して、送電をアクティブ化させることができる。追加的に又は代替的に、送電を例えば、10:1、5:1、1:1、1:5、1:11のオン:オフ比、又は他の適当なオン:オフ比で間欠的にアクティブ化し又はサイクル動作させる(例えば、「デューティサイクル」動作させる)ことができる。送電をオフにサイクル動作させることは、1つ以上の植え込み型120による電気信号の送出を中断してもよく中断しなくてもよく、例えば、植え込み型器具の電力貯蔵容量(もしあれば)に依存する。追加的に又は代替的に、送電をサイクル動作させると、ウェアラブル器具170による電力消費量を減少させることができ、かつ/或いは、ウェアラブル器具170を電源184経由の充電前に使用することができる時間を延ばすことができる。これらの実施形態及び他の実施形態では、本システムは、所望の温度又は加熱しきい値と関連した入力(例えば、患者Pから、かつ/或いはプログラマ160経由の)を受け取るよう構成されているのがよく、また、ウェアラブル器具170から植え込み型器具120への送電を制御して何らかの組織の加熱が加熱しきい値を超えることがないようにするよう構成されているのがよい。さらに、誘導送電により生じる潜在的な加熱を適切に制御する実施形態では、誘導技術を本明細書において説明する他の(例えば、RF)送電技術に代えて使用することができる。
【0036】
幾つかの実施形態では、ウェアラブル器具170は、多数の送電装置179を用いて、かつ/或いは多数の送電装置は、電力を第1の周波数(例えば、904MHz)で送るよう構成されているのがよく、第2の送電装置は、電力を同一の時点でかつ第1の周波数とは異なる第2の周波数(例えば、906MHz)で送るよう構成されているのがよい。第1の周波数と第2の周波数の差により、うなり周波数(例えば、第1の周波数と第2の周波数との差の絶対値に等しい周波数を有する信号)を生じさせることができ、かかるうなり周波数を用いると、植え込み型器具120のうちの1つ以上に電力を供給するとともに/或いは植え込み型器具120との通信を行うことができる。例えば、うなり周波数の第1の部分を植え込み型器具120に搭載した回路138によって整流して(例えば、DCに)、これを用いて植え込み型器具120に電力を供給することができ、かつ/或いは、うなり周波数の第2の部分を反射してウェアラブル器具170に戻すことができる。第2の部分を、例えば、ウェアラブル器具170及び/又はプログラマ160とデータのやり取りをするよう通信目的で変調するのがよい。少なくとも幾つかの実施形態では、うなり周波数は、第1及び/又は第2の送電装置により送られる電力よりも低い電力レベルにあり、したがって、かかるうなり周波数は、植え込み型器具120からの通信を受け取るとともに/或いはこれを処理することと関連した電力及び/又はコンピュータ処理上の経皮を削減する。
【0037】
追加的に又は代替的に、ウェアラブル器具170は、電力を多数の電力レベルで送るよう構成されているのがよい。ウェアラブル器具170は、電力を第1の(例えば、低い)電力レベルで、第1の電力レベルよりも大きな第2の(例えば、中程度の)電力レベルで、かつ/或いは第2の電力レベルよりも大きな第3の(例えば、高い)電力レベルで送るよう構成されているのがよい。例えば、ウェアラブル器具170は、伝送された電力レベルを制御するよう構成されたスイッチのネットワーク、電力レベルの各々に対応した少なくとも1つの送電装置(例えば、電力を第1の電力レベルで送るよう構成された第1の送電装置、電力を第2の電力レベルで送るよう構成された第2の送電装置、及び電力を第3の電力レベルで送るよう構成された第3の送電装置)、及び/又は伝送のために送電装置179に提供された電力信号の電力レベルを制御するよう構成されたデジタル‐アナログ変換器(“DAC”)を有するのがよい。幾つかの実施形態では、第1の電力レベルは、約0.01W~約0.05Wであるのがよく、第2の電力レベルは、約0.1W~約0.3Wであるのがよく、第3の電力レベルは、約0.5W~約1Wであるのがよい。他の実施形態では、第1の電力レベル、第2の電力レベル、及び/又は第3の電力レベルは、他の適当な値/値範囲を有することができる。
【0038】
電力レベルの各々は、植え込み型器具120のうちの1つ以上の異なる動作状態と関連しているのがよい。例えば、第1の電力レベルでは、電力を受け取る植え込み型器具120のうちの1つ以上は、伝送信号を例えばウェアラブル器具170及び/又はプログラマ160に送受するよう構成されているのがよい。第2の電力レベルでは、電力を受け取る植え込み型器具120のうちの1つ以上は、第1の電力レベルと関連した機能を実行するのがよく、電力を受け取る植え込み型器具120によって担持される1つ以上のセンサは、患者と関連したデータを受け取るよう構成されているのがよい。第3の電力レベルでは、電力を受け取る植え込み型器具120のうちの1つ以上は、第1及び/又は第2の電力レベルと関連した機能を実行することができるとともに/或いは、1つ以上の電気信号を患者に送出して、例えば、無呼吸イベントを軽減し、阻止し、又は治療するよう構成されているのがよい。電力を多数の電力レベルで送ることによって、電力の伝送量を、例えば、電力送出量を最適化して過剰電力の伝送を減少させ又は阻止するよう、植え込み型器具の所望の動作状態に対応するよう選択するのがよい。少なくとも幾つかの実施形態では、このマルチレベルの電力送出は、ウェアラブル器具170によって担持された送電装置179のサイズを減少させることができ、送電中における患者組織の加熱を減少させることができ、ウェアラブル器具170のバッテリ寿命を延ばすことができ、かつ/或いは、患者への電気信号の品質、効能、効率、及び/又はタイミング/時間送出、及び/又は電気信号に対する患者の応答を向上させる(例えば、最適化する)ことができる。
【0039】
送電装置179のうちの1つ以上からの電力の受け取り時、植え込み型器具120のうちの1つ以上は、例えば、ウェアラブル器具170によって伝送される電力が植え込み型器具120のうちの1つ以上によって受け取られたことが分かるよう、電力受け取り信号を送るよう構成されているのがよい。受信機アンテナ133のところで受け取った電力(例えば、AC電力)を整流してDCにし(例えば、AC‐DC変換器経由で)、次にDC‐DC変換器、チャージポンプ及び/又は変圧器139に伝送し、そして約10Hzから約500Hzまでの範囲、例えば約30Hz~約300Hzにあるパルスに変換する。他の実施形態では、パルスを高い周波数(例えば、10kHz以上)でかつ/或いはバーストの形態で送出するのがよい。信号の振幅は、電圧制御系では約1mV~約5V(特定の実施形態では、1V~2V)であるのがよく、或いは電流制御系では約0.5mA~約12mAであるのがよい。回路部品138は、これら信号送出パラメータを制御し、そして結果として生じる電気信号をリード本体134内のワイヤフィラメント又は他の導体140経由で電極131に伝送する。したがって、回路部品は、これが植え込み型器具120にワイヤレスで伝送された電力を受け取り、そして最終的には患者に送出される信号を発生させるという点で信号発生器110を形成する(少なくとも一部を形成する)。電流が電極131によって流された結果として生じる電場は、ターゲット神経のところで所望の効果(例えば、励起及び/又は抑制)を生じさせる。少なくとも幾つかの実施形態では、植え込み型器具120は、システムボリュームを減少させるために搭載型電力貯蔵素子(例えば、電力キャパシタ及び/又はバッテリ)を何ら備える必要がなく又は0.5秒超の貯蔵能力を備えた電力貯蔵要素を何ら備える必要がない。他の実施形態では、植え込み型器具120は、植え込み型器具120の全体的にコンパクトな形状と適合性がありかつ実施形態に応じて、1秒以下、5秒以下、10秒以下、15秒以下、20秒以下、25秒以下、30秒以下、1分以下、2分以下、5分以下、これらの間の任意の時間、又は別の適当な時間の全電荷貯蔵能力を有する1つ以上の小型電荷貯蔵装置(例えば、低電圧、高キャパシタンスキャパシタ、固体電池、及び/又はその他)を有するのがよい。
【0040】
図5Bは、本技術の別の実施形態に従って構成された植え込み型器具120の部分略図である。この実施形態の1つの特徴は、全体的ハウジング135(信号発生器110を担持している)とリード本体134が当初別々の要素であるということにある。したがって、リード本体134を患者の体内に導入し、次に、ターゲット神経集団のところ又はその近くに位置決めし、次に、全体的ハウジング135に連結するのがよい。この方式の1つの利点は、担当医が、互いに異なる長さを有する互いに異なるリード本体134の中から選択し、すなわち、特定の患者が受けている治療に適当な長さ(及び/又は他の形態属性)を有するリード本体134を選ぶことができるということにある。もう1つの利点は、(小径の)リード本体134を挿入状態で位置決めするトンネルの直径がリード本体134だけを受け入れるに足るほど小さいままでいることができるが、(大径の)全体的ハウジング135についてはそうではないということにある。この方式は、組織に対する外傷を減少させることができ、それにより患者は、治療終点を達成することができる。また、他の技術を用いても、上記結果を得ることができる。例えば、信号送出装置130をはめ込むトンネル(又はトンネルの少なくとも幾つかの部分)は、切断ではなく、組織拡張により形成されるのがよい。外傷性が低いということに加えて、この方式は、信号送出装置130周りの組織圧迫を生じさせることができ、このことは、これらの要素が移動する傾向を少なくとも減少させることができる。
【0041】
全体的ハウジング135は、患者組織への入口開口部のところに又はこの極めて近くに位置決めされるのがよい。この方式は、受信器アンテナ133を含む全体的ハウジング135が患者の皮膚の近くに位置決めされ、それにより電力を患者の皮膚を通って信号送出装置130に送ることと関連した電力の損失を減少させるという追加の利点を有する。電力損失は一般的には熱を生じさせるので、この方式はまた、組織の加熱を減少させることができる。
【0042】
リード本体134は、その遠位端寄りに位置決めされた多数の電極131を有するのがよい。説明の目的上、4つの電極131が
図5Bに示されているが、他の実施形態では、信号送出装置130は、別の個数の電極131を有することができる。各電極131は、対応の導体140(
図5Bでは見えない)経由で対応の第1の端子129aに結合されている。リード本体134は、多くの適当な所定/標準(又は非標準)の値のうちの任意のものを有する全体的長さLを有することができる。リード本体134は、例えば、リード本体134がスタイレットにより患者の体内に送り込まれる場合、軸方向のリード開口部128aを有するのがよい。次に、スタイレットを抜去し、その後、リード本体134を全体的ハウジング135に連結する。他の実施形態では、スタイレットは不要であり、その代わりに、リード本体134は、針、導入器、又はシースのルーメン内に収容され、次に、針、導入器、又はシースが患者から抜き出されると、患者の体内中に配備される。
【0043】
全体的ハウジング135は、アンテナハウジング135a及び回路ハウジング135bを有し、これらは、
図5Aを参照して上述したものと少なくとも全体的に類似している。全体的ハウジング135は、コネクタハウジング135cをさらに有するのがよく、コネクタハウジング135cは、リード本体134の第1の端子129aを受け入れるよう形作られるとともに位置決めされた第2の端子129bを収容している。コネクタハウジング135cは、部分的に又は全体的に可撓性であるのがよい。第2の端子129bは、部分的に剛性であるのがよく、第1の端子129aとの弾性的な物理的及び電気的接触を可能にする可撓性コンポーネント(例えば、ばね)を備えている。特定の実施形態では、第2の端子129bは、軸方向ハウジング開口部128bに沿って位置決めされたドーナツ形の端子を含むのがよい。代表的な第2の端子は、カリフォルニア州レイクフォレスト所在のバル・シール・エンジニアリング・インコーポレーテッド(Bal Seal Engineering, Inc.)社により製造されている。作用を説明すると、担当医は、リード本体134を全体的ハウジング135から別個に、例えばスタイレットを介して患者の体内に導入する。次に、リード本体134を矢印Bで示すようにハウジング軸方向開口部128b中に挿入することによって、リード本体134を全体的ハウジング135に連結する。リード本体134が先に定位置に固定されている場合、挿入動作のうちの全て又は大部分は、リード本体134ではなく全体的ハウジング135によって行われる。全体的ハウジング135を1つ以上のアンカー137、及び/又は縫合糸により定位置に固定するのがよい。リード本体134か全体的ハウジング135かのいずれかを交換する必要が起こりそうなイベントの場合、リード本体134を全体的ハウジング135から分離することによって、各々を他方から別々に交換することができる。
【0044】
リード本体134及び全体的ハウジング135の幾つかの部分が可撓性なので、分離可能であることに加えて、これらコンポーネントの各々は、患者の組織中に挿入された場合に異なる向きをとることができる。例えば、リード本体134は、浅い角度又は急な角度で患者の組織中に延びてターゲット神経に接近することができる。全体的ハウジングは、さらに浅い角度で(例えば、患者の皮膚表面と平行に)延びて、アンテナ133を良好な(例えば、最適な)電力受け取り可能に位置決めするのがよい。しかしながら、両方の要素を同一の開口部を通って患者の体内に導入することができ、かくして、植え込み手技の侵襲性を制限する。加うるに、全体的ハウジング135が開口部に近接していることにより、全体的ハウジング135をそのターゲット場所に位置決めするのに必要なシース及び/又は他の導入器の長さが短縮される。他の実施形態では、2022年5月19日付け出願の米国特許出願第17/749,025号明細書(なお、この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする)において詳細に説明したように、遠位開口部と近位開口部の両方を用いてリード本体134を送ることができる。
【0045】
植え込み型器具120を単一ユニットとして植え込もうと、或いは当初は2つに分離されたユニットとして植え込もうと、いずれにせよ、植え込み型器具120の互いに異なる部分を、互いに異なる直径(上述したように)を有するトンネル中に配置する技術が有効であるといえる。この方式は、植え込み型器具120の各種要素を定位置によりしっかりと固定することができる。例えば、植え込みプロセスは、小径(たとえば、0.014インチ(0.356mm))のガイドワイヤをそれ以上の拡張なしで挿入して、遠位側が5~30mmのトンネルを形成するステップを含むのがよい。トンネルのこの部分は、(小径の)リード本体134をぴったりと受け入れることができる。(大径の)全体的ハウジング135をぴったりと受け入れるトンネルの部分は、これよりもわずかに大きい直径、例えば、7フレンチ(2.33mm)~8フレンチ(2.66mm)を有するのがよい。上記実施例では、リード本体134は3フレンチ(1mm)の直径を有するのがよく、全体的ハウジング135は、6フレンチ(2mm)の直径を有するのがよい。他の実施形態では、これらの直径は、互いに異なっていてもよく(大きい又は小さい)、トンネルの直径をそれに応じて調節するのがよい。この方式は、歯又は他のわずかに侵襲性のアンカーを不要にすることができる。上述したように、植え込み型器具120を受け入れる開口部は、組織の外傷を軽減するとともに/或いは器具の繋留具合を向上させるために主として拡張/拡大により形成できる。
【0046】
少なくとも幾つかの実施形態では、患者に送出された電気信号を電極131のうちの2つによって形成されるバイポールにより送出するのがよい。他の実施形態では、信号は、単極信号であるのがよく、ハウジング135(例えば、回路ハウジング部分135b)は、接地電極又は戻り電極を形成する。一般に、波形は、
図22A~
図24Cを参照して以下に詳細に説明するように、二相性、電荷平衡波形を含む。
【0047】
図5Cは、本技術の諸実施形態に従って構成されたリードなし信号送出装置230を含む別の代表的な植え込み型器具220の側面図である。リードなし信号送出装置230の少なくとも幾つかの観点は、
図5A及び/又は
図5Bの信号送出装置130と構造及び/又は機能が全体として類似し又は同一であるのがよい。したがって、同一の名称及び/又は同様な参照符号(例えば、
図6Cのハウジング235に対して
図6Aのハウジング135)が全体として類似し又は同一のコンポーネントを示すために用いられている。リードなし信号送出装置230は、第1のハウジング部分235a、第2のハウジング部分235b、及びベース136を備えたハウジング235を有する。第1のハウジング部分235aは、アンテナハウジング135aと全体として類似しているのがよく、かつ/或いは、第1の外寸D1(例えば、第1の幅、第1の直径、第1の周長、及び/又はその他)を有するのがよい。第2のハウジング部分235bは、回路ハウジング135bと全体として類似しているのがよく、かつ/或いは、第2の外寸D2(例えば、第2の幅、第2の直径、第2の周長)を有するのがよい。図示の実施形態では、第1の外寸D1は、第2の外寸D2よりも小さい。他の実施形態では、第1の外寸D1は、第2の外寸D2以上であるのがよい。ベース136は、1つ以上のアンカー137を含むのがよい。
【0048】
リードなし信号送出装置230は、電極受信機アンテナ133、信号発生器110、回路部品138、チャージポンプ139、及び1つ以上の電極131をさらに有するのがよい。図示の実施形態では、電極受信機アンテナ133は、第1のハウジング部分235a内に位置決めされ、信号発生器110、回路部品138、及びチャージポンプ139は、第2のハウジング部分235b内に位置決めされ、電極131は、第2のハウジング部分235bによって担持されている。例えば、
図5Cに示すように、電極131は、第2のハウジング部分235bの外面から露出するよう位置決めされており、その結果、個々の電極131は、第2のハウジング部分235bの周囲に沿って少なくとも部分的に延びている。したがって、電極131のうちの1つ以上は、リードなし信号送出装置230の内部コンポーネントのうちの1つ以上の周りに少なくとも部分的に又は完全に(例えば、円周方向に、軸方向回りになど)延びるのがよい。図示の実施形態では、信号発生器110、回路部品138、及びチャージポンプ139は各々、電極131のうちの1つ以上が、信号発生器110、回路部品138、及びチャージポンプ139の各々周りに少なくとも部分的に延びるよう、第2のハウジング部分235b内に位置決めされている。具体的に説明すると、図示の実施形態では、電極131及び/又は第2のハウジング部分235bは、信号発生器110、回路部品138、及びチャージポンプ139の各々を収納する軸方向の空間又は容積部を画定する。追加的に又は代替的に、電極受信機アンテナ133は、電極131のうちの1つ以上が電極受信機アンテナ133周りに少なくとも部分的に延びることができるよう、第2のハウジング部分235b内に位置決めされるのがよい。かかる実施形態では、第2のハウジング部分235bは、電極受信機アンテナによる送電リンク114の受け入れにたいする妨害を軽減し又は阻止するよう構成されているのがよい。電極131及び/又は第2のハウジング部分235bは、電極受信機アンテナ133の動作を妨害することは予想されていない。追加的に又は代替的に、1つ以上の電極は、電極受信機アンテナ133周りに少なくとも部分的に延びるよう、第1のハウジング部分235a上に又は第1のハウジング部分235aのところに位置決めされてもよい。これらの実施形態及び他の実施形態では、信号発生器110、回路部品138、及び/又はチャージポンプ139のうちの1つ以上は、第1のハウジング部分235a内に位置決めされるのがよく、かつ/或いは電極131及び/又は第2のハウジング部分235bによって画定された空間に対して外側にかつ/或いは横方向に違ったやり方で位置決めされてもよい。
【0049】
電極131の各々は、それぞれ対応の導体140により信号発生器110に結合されるのがよい。図示の実施形態では、導体140の各々は、第2のハウジング部分235b内に、例えば、信号発生器110と第2のハウジング部分235bの内面との間に位置決めされている。追加的に又は代替的に、1つ以上のフィードスルー143が、個々の導体140を信号発生器110に結合することができる。
【0050】
5.代表的な刺激ターゲット及び植え込み技術
図6A~
図8Bを参照して、幾つかの刺激ターゲット及び植え込み技術について説明するとともに/或いは例示する。説明を分かりやすくするために、これら刺激ターゲット及び植え込み技術は、患者Pの解剖学的構造の左側又は右側、例えば、患者Pの左舌下神経の左内側枝に関して図示されている。しかしながら、理解されるように、
図6A~
図8Bを参照して説明するとともに/或いは例示する刺激ターゲット及び/又は植え込み技術のうちの少なくとも幾つか又は全ては、患者の解剖学的構造のもう1つの側、例えば、患者Pの右舌下神経の右内側枝への適用にも同様に適している。加うるに、刺激ターゲット及び/又は植え込み技術のうちの少なくとも幾つかは、両側信号送出に用いることができ、例えば、患者Pの第1の側の第1の刺激ターゲットに第1の電気信号を印加するとともに、患者Pの異なる側の第2の刺激ターゲットに第2の電気信号を印加するよう使用できる。幾つかの実施形態では、第1及び第2の刺激ターゲットは、患者の解剖学的構造の対応の左及び右部分、例えば左及び右舌下神経の左及び右内側枝であるのがよい。他の実施形態では、第1と第2の刺激ターゲットは、互いに異なっていてもよく、例えば、患者の左舌下神経の左内側枝と右頸神経ワナであってもよい。
【0051】
図6Aは、患者Pの頸部領域(野)及び下頭部領域の部分概略部分切除矢状図である。
図6Aは、この領域の代表的な神経構造を示しており、この構造は、舌下神経HGN(及びその内側枝MB)及び頸神経ワナACを含む。
図6Aはまた、治療信号をターゲット神経に方向づける電極を位置決めするプロセスを助けるために使用される代表的な超音波プローブ199を示している。
【0052】
図6Bは、下顎Mに向かって上方に見た患者の頭蓋の部分概略等角図である。
図6Bはまた、患者の舌T(
図1)を制御する筋を神経支配する舌下神経HGNを示している。代表的な実施形態では、1つ以上の電極131が、内側枝によって定められた電極平面132内において舌下神経HGNに沿って、特に、HGNの内側枝MBのところに位置決めされている。電極131をこの平面132内に、かつ舌下神経HGNに隣接して正確に位置決めすることによって、本技術の実施形態に係るシステムは、不快感、及び/又は他の望ましくない効果を生じさせることなく、かつ/或いは効果的な治療信号を生じさせるのに必要な電力量を減少させる仕方で患者の気道開存性を一層効果的に制御することができる。本明細書におけるどこか他の場所で説明するように、他の代表的なターゲット神経としては、頸神経ワナ及び迷走神経、並びに/或いはこれら神経によって支配される筋のうちの1つ以上が挙げられる。さらに別の代表的なターゲットとしては、
図6Aに示す脳神経(例えば、舌咽神経)及び口蓋舌筋、並びに左及び/又は右横隔神経が挙げられる。
【0053】
図6Cは、本発明の諸実施形態に従って位置決めされた内側枝MB、及び関連信号送出装置130の部分略図である。内側枝MBは、神経軸線102に沿って延びて、口腔筋、例えば、オトガイ舌筋及びオトガイ舌骨筋を支配しており、これら筋は、舌を前へ(前方に)引く傾向があり、かくして、口蓋の軟組織が患者の気道中に脱出する傾向が軽減される。しかしながら、内側枝MBは、例えば、茎突舌筋や舌骨舌筋のような筋を支配するレトルーザ(retruser)Rをさらに含み、これら筋は、軟組織を後ろへ(後方に)引く傾向があり、かつ/或いは、舌を口腔内で左又は右に巻こうとする場合がある。したがって、内側枝MBを電極131により正味の正の突出効果又は正味の突出運動反応を結果的にもたらす仕方で刺激することが有利である。これは、例えば、内側枝MBを刺激してレトルーザR全体の活性化を回避することを含む場合がある。追加的に又は代替的に、正味正の突出効果は、電気信号に対する突出反応が電気信号に対する後退反応よりも大きく、又は違ったやり方でこれに対抗したときに得ることが可能である。これは、例えば、電気信号を患者の神経及び/又は筋のうちの1つ以上に送って、電気信号に応答して、電気信号が送り出されない場合よりも患者の気道がより開くとともに/或いは多量の空気量の実現を可能にするようになっていることを含む場合がある。正味正の突出効果を得る一方式は、電極131をこれら電極がレトルーザRを刺激することなく(又は、著しく刺激することなく)、内側枝MBを優先的に刺激するよう位置決めすることである。
【0054】
図6Cに示すように、レトルーザRは、一般に、内側枝MBの神経軸線102に平行に又は少なくとも部分的に平行に延びる第1の部分R1を有する。レトルーザRは、神経軸線102から遠ざかるように曲がっている第2の部分R2をさらに有する。したがって、レトルーザRの刺激を回避し減少させる一方式は、電極131を軸方向に位置決めしてこれら電極が生じさせる電場が、レトルーザRを活性化する傾向が低いものであるようになっている。
図6Cに示すように、電極131は、電極対をなして配置され、かかる電極対は、第1の対(第1及び第2の電極131a、131bから成る)と第2の対(第3及び第4の電極131c、131dから成る)を含む。他の実施形態は、これよりも多い又は少ない電極及び/又は電極対を含むことができる。各電極対は、電場Eを発生させ、電場Eは、漸減電場強さ矢印104によって示されているように、電極131から遠ざかる方向に強度が減少している。電場Eは、電場に平行な神経組織よりも電場に対して横方向に延びる神経組織を優先的に活性化させる。したがって、信号送出装置130の装置軸線141が内側枝MBの神経軸線102にほぼ平行な状態では、電場Eは、内側枝MBを優先的に活性化させる。しかしながら、電場EがレトルーザRの第1の部分R1(これらもまた、神経軸線102に平行であり又はほぼ平行である)に近接して位置決めされた場合、電場Eは、レトルーザRもまた活性化させる場合がある。この結果を回避する一方式は、電極131を、レトルーザRの第1の部分R1に対して神経軸線102に沿ってオフセットした状態に位置決めすることにある。このようにすると、電場Eは、第1の部分R1のところでレトルーザRを活性化させる可能性が低くなる。レトルーザRの第2の部分R2が電場に対して横方向である(したがって、電場の影響を潜在的に受けやすい)が、第2の部分R2のところの電場は、極めて弱いのでレトルーザRに対する大きな影響を及ぼすことはないと見込まれる。これらの実施形態及び他の実施形態では、電極131のうちの1つ以上は、マスキングされ(例えば、円周方向にマスキングされ)、セグメント化され(例えば、円周方向にセグメント化され、個々にアドレス指定可能であり)、方向性があり、少なくとも部分的に覆われ、かつ/或いは違ったやり方で電場を特定の方向に方向づけるように構成され、レトルーザRを刺激する恐れを一段と減少させることができる。
【0055】
レトルーザRに対する電場の影響を減少させるもう1つの方式は、
図6Dに示すように電極を円周方向に選択的に位置決めすることである。
図6Dに示すように、レトルーザRが内側枝MBから一般的に上方向に出る傾向があるので、信号送出装置130を内側枝MBの下に位置決めする。したがって、レトルーザRが、ほぼ10時からほぼ2時(時計回りに測定して)の時計位置で、第1の領域142a内で内側枝MBから遠ざかって延びる場合、信号送出装置130は、第1の領域142aから離れた(例えば、軸方向にオフセットし、反対側であるなど)第2の領域142b内に、すなわち、ほぼ2時~ほぼ10時(時計回りに測定して)の間、かつ/或いはかかる領域内の任意適当な部分領域(例えば、2時、3時、4時、5時、6時、7時、8時、9時、及び10時のうちの任意の時計位置相互間)に位置決めされるのがよい。レトルーザRが内側枝MBから全体として下の方向に延びている場合、信号送出装置130は、内側枝MBの全体として上方に位置決めされるのがよい。
【0056】
レトルーザRに対する電場の作用効果を減少させるさらにもう1つの方式は、電極をターゲット神経の運動終板のところ又はこの近くに、例えば、HGNが患者の舌を支配するところ及び/又はオトガイ舌筋GGMのところ又はこの中に位置決めすることである。例えば、信号送出装置130は、患者のターゲット神経のブラキエーテッド(brachiated)部分に近接してかつ/或いはこれに隣接して位置決めされるのがよい。これについては、
図7Aを参照してさらに詳細に説明する。信号送出装置130がこの位置にある状態で、信号送出装置130によって生じた電場Eは、レトルーザRから間隔を置いて位置し、この電場は、弱すぎるのでレトルーザRに対する大きな影響をもたらすことができないと見込まれる。幾つかの観点では、信号送出装置130をさらに前方に、例えば患者のターゲット神経のブラキエーテッド部分中にさらに奥へ位置決めすると、電場をターゲット神経に一層集中させることができ、かつ/或いは、レトルーザRを刺激する恐れをさらに減少させることができる。上述の技術(軸方向の配置、円周方向「クロッキング」、及びブラキアル(brachial)位置決め)は、個別的に又は組み合わせで使用でき、これら技術を組み合わせて用いることは、レトルーザRを活性化する恐れをさらに減少させることが見込まれる。
【0057】
上記において示したように、電極を注意深く位置決めして、電気治療と関連した有益な作用効果を高め、そして有害な作用効果、例えば、レトルーザRの活性化を減少させることが重要な場合がある。2022年5月19日付け出願の米国特許出願第17/749,025号明細書(なお、この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする)は、信号送出装置を超音波プローブの助けにより、単一のエントリー場所経由で経皮的に導入して位置決めする技術を開示している(
図6Aに示す)。
【0058】
一方式では、スタイレットを用いて単一の穿刺部を患者の皮膚に形成する。穿刺部は、患者の後方顎下野に配置されるのがよい。信号送出装置130は、後方顎下穿刺部を通って経皮的に導入され(例えば、植え込まれ、注入され、かつ/或いはその他)、そして舌下神経HGNの内側枝MBに近接して位置決めされるのがよい。
【0059】
もう1つの方式では、スタイレットを用いて単一の穿刺部を患者の口腔内に形成する。この穿刺部は、患者の口腔内舌下野、例えば、口腔底の舌下面の下、舌下小丘の後方、及び舌下神経の内側枝に向かって内側に角度をつけて配置されるのがよい。信号送出装置130は、口腔内舌下穿刺部を通って経皮的に導入されて、舌下神経HGNの内側枝MBに近接して位置決めされるのがよい。
【0060】
2022年5月19日付け出願の米国特許出願第17/749,025号明細書(なお、この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする)にさらに記載されたもう1つの方式は、信号送出装置130を位置決めするためにスタイレット及び患者の皮膚に開けた2つの穿刺部を用いる。スタイレットは、湾曲していてもよく真っ直ぐであってもよく、又は任意他の適当な形態をしていてもよい。特定の実施形態では、信号送出装置は、各端部のところに位置する縫合糸を有するのがよく、したがって、担当医は、一端を引くとともに/或いは他方の端を引いて信号送出装置(及びこれが担持している電極)をターゲット場所に正確に配置することができるようになっている。
【0061】
図7Aは、植え込み型器具120のもう1つの図であり、電場を信号送出装置130は、舌下神経HGNの内側枝MBの方へ方向づけるよう位置決めされている。
図7Aに示すように、信号送出装置130は、顎舌骨筋(これは、
図7Aの紙面の外に位置している)、オトガイ舌筋GGM及び舌骨舌筋HGMにより定められた平面相互間に位置決めされるのがよい。したがって、幾つかの実施形態では、信号送出装置130は、オトガイ舌筋GGM中に侵入することなく、オトガイ舌筋GGMの表面に当接し又はこの近くに位置するのがよい。他の実施形態では、信号送出装置130は、オトガイ舌筋GGM中に侵入するのがよく、このことは、信号送出装置をそのターゲット場所で支持するのを助けることができる。信号送出装置130は、治療信号を内側枝MBに方向づけるよう舌骨舌筋HGMの前縁の前方に位置決めされてもよく(
図7Aに示されている)、かつ/或いは他の適当な位置、例えば内側枝MBの近くの位置(
図6A~
図6Dに示されている)を有してもよい。幾つかの実施形態では、植え込み型器具120は、
図7Aに示す位置に対して前方に位置決めされるのがよく、その結果、信号送出装置130は、電場をHGNの1つ以上の部分106a,106bに向かって、かつ/或いはHGN及び/又はHGNの部分106a,106bのうちの1つ以上が舌Tを支配する運動終板のところに又はこれに近接して方向づけるよう位置決めされることが可能である。例えば、植え込み型器具120を図示のように位置決めすることに加えて又はこれに代えて、第1の植え込み型器具120a(概略的に示されている)は、第1の信号送出装置130a(概略的に示されている)がHGNの第1の部分106aの方へ電場を方向づけるよう位置決めされるような位置に配置されるのがよく、かつ/或いは第2の植え込み型器具120b(概略的に示されている)は、第2の信号送出装置130b(概略的に示されている)がHGNの第2の部分106bの方へ電場を方向づけるよう位置決めされるような位置に配置されるのがよい。
【0062】
図7Bは、患者の口腔の冠状図であり、植え込み型器具120を代表的な位置で示している。器具120は、
図7Bの紙面の内外に延びる断面で示されている。この位置では、器具120は、舌骨舌筋HGMと顎舌骨の平面が交差する箇所のところ又はその近くで、舌骨舌筋HGMのすぐ外側にかつ顎舌骨のすぐ内側に位置する。器具120は、HGNのすぐ下に位置決めされ、HGNもまた、
図7Bの紙面の内外に延びる断面で示されている。
【0063】
上述の方式の一利点は、担当医が患者に創を作る必要なく、信号送出装置130を前後に動かして正確なターゲット場所を見いだすことができるということである。その代わりに、信号送出装置を患者の体内に経皮的に導入し、このことは、例えば感染が広がる恐れを減少させることによって患者の転帰を改善することができる。加うるに、アンカー137(
図5A)が信号送出装置130を定位置に固定するために用いられる場合があるが、少なくとも幾つかの実施形態では、信号送出装置130の一方の端又は両端に結合できる縫合糸は、これを行うのに十分である。さらに別の実施形態では、信号送出装置130は、顎舌骨筋、オトガイ舌筋GGM、及び舌骨舌筋HGMによって提供される力によって、又は上述したように縫合糸及び/又は他のアンカー器具で、オトガイ舌筋GGM中に侵入することだけで定位置に保持できる。さらにまた、上記実施形態のうちの任意のものに関し、信号発生機能及び信号送出機能は、当初別々の要素によって実施でき、これら当初別々の要素は、
図5Bを参照してさらに詳細に説明するように植え込みプロセス中に互いに接合される。
【0064】
信号送出装置130を植え込む本明細書に説明する技術のうちの任意のものは、1つ以上の追加の操作を含むのがよい。例えば、担当医は、顎下組織又は口腔内組織を圧迫し又は違ったやり方で操作して(例えば、担当医の指で)、信号送出装置の位置決めを容易にすることができる。これらの方法により、担当医は、所望の終点に向かう植え込み針の軌道を操作することができる。追加的な力は、信号送出装置の植え込み精度を向上させる一手法として、口腔内又は口腔外に加えられる手動圧力、及び/又は組織を動かすことを目的とした真空の形態とするのがよい。圧力及び/又は吸引力もまた、例えば腺のような構造を回避するよう使用できる。
【0065】
図6A~
図7Bを参照した上記説明は、信号を舌下神経HGNの内側枝MBに送るよう位置決めされた電極に焦点を当てている。上述したように、信号を内側枝に印加することに加えて又はこれに代えて、電気信号を頸神経ワナに印加するとともに/或いは頸神経ワナによって支配される筋のうちの1つ以上に電気信号を直接印加することが有利であることが期待される。
図8Aは、舌下神経HGN及び頸神経ワナACの部分略図であり、肩甲舌骨筋、胸骨甲状筋、及び胸骨舌骨筋を支配する頸神経ワナACの3つの枝を示している。
図8Aはまた、3つの代表的な信号送出装置130(装置130a,130b,130cとして示されている)を示しており、これら信号送出装置の各々は、電気信号を分岐神経の各々に対応して方向づけるよう位置決めされている。図示の実施形態では、各信号送出装置130は、信号を対応の神経に方向づけるよう位置決めされた電極を担持するリード本体134、及び電力を遠隔電源から受け取って、後で電極に供給される信号を発生させる要素を担持したハウジング135を有するのがよい。他の実施形態では、
図5Cのリードなし信号送出装置230のうちの1つ以上の電極131を
図8Aに示すように位置決めするのがよく、このようにすると、植え込み型器具の全体的な寸法(例えば、長さ)を減少させることができ、しかも担当医が信号送出装置130をターゲット神経のところ又はその近くに正確に位置決めする能力を向上させることができる。上述するとともに/或いは本明細書の一部とした植え込み方式のうちの任意のものもまた、信号送出装置130を頸神経ワナACの近くに位置決めするよう使用できる。
【0066】
幾つかの実施形態では、電気信号を多数の互いに異なるターゲットに印加することができる。例えば、
図8Bは、2つの信号送出装置230(
図5Cを参照して詳細に説明する個別的に第1の信号送出装置230aと第2の信号送出装置230bとして示されている)を示している。第1の信号送出装置230aは、第1の電気信号(第1の電場E1として概略的に示されている)を舌下神経HGNの内側枝MBに送るよう位置決めされ、第2の信号送出装置230bは、第2の電気信号(第2の電場E2として概略的に示されている)を頸神経ワナACに送るよう位置決めされている。他の実施形態では、第1の信号送出装置230a及び/又は第2の信号送出装置230bは、筋のうちの1つ以上をこれらのそれぞれの対応の場所のところで又はその近くで直接刺激するよう位置決めされるのがよい。例えば、第1の信号送出装置130aは、第1の電気信号/電場E1を舌骨舌筋HGM及び/又はオトガイ舌筋GGMに送るよう位置決めされるのがよく、かつ/或いは第2の信号送出装置130bは、第2の電気信号/電場E2を甲状舌骨筋THM、胸骨舌骨筋SHM、肩甲舌骨筋OMH、及び/又は胸骨甲状筋STMに送るよう位置決めされるのがよい。
図5Bに示す信号送出装置230は、リードレスであるが、他の実施形態では、リードあり信号送出装置、例えば信号送出装置130を
図5Bに示すように位置決めすることができる。
【0067】
6.代表的なウェアラブル器具
幾つかのウェアラブル器具について
図9~
図21に示すとともに/或いはこれらの図を参照して説明する。説明を分かりやすくする目的で、これらウェアラブル器具の少なくとも幾つかが、患者Pの解剖学的構造の左側又は右側に、例えば、患者の頭及び/又は頸の左側に関して示されている。しかしながら、理解されるように、
図9~
図21に示すとともに/或いはこれらの図を参照して説明するウェアラブル器具のうちの少なくとも幾つか又は全ては、患者の解剖学的構造のもう1つの側、例えば、患者の頭及び/又は頸の右側への適用にも同等に適している。加うるに、ウェアラブル器具のうちの少なくとも幾つかは、両側電力送出のために使用でき、例えば、当該目的は、第1の電力信号を患者Pの第1の側に位置する第1の刺激ターゲットのところ又はその近くに位置決めされた第1の植え込み型器具に送り、第2の電力信号を患者Pの第2の側に位置する第2の刺激ターゲットのところ又はその近くに位置決めされた第2の植え込み型器具に送ることにある。幾つかの実施形態では、第1及び第2の刺激ターゲットは、患者の解剖学的構造の対応の左側及び右側部分であるのがよく、例えば、左及び右の舌下神経の左及び右の内側枝である。他の実施形態では、第1及び第2の刺激ターゲットは、互いに異なっていてもよく、例えば、患者の左舌下神経の左内側枝及び右頸神経ワナであってもよい。
【0068】
図9は、カラー171のフォームファクタを有し、かつ電力及び/又はデータを上述の植え込み型器具120に送受するよう構成された代表的なウェアラブル器具170の部分概略部分切除図である。カラー171は、種々の適当な形状及び形態を有することができ、かかる形状及び形態としては、低プロフィール薄型の汗止めバンド形態(
図9に示す)又は高プロフィール頸椎カラー形態(
図11を参照して後で説明する)が挙げられる。カラー171の少なくとも幾つかの部分は、第1の軸線176a及び第2の軸線176bに沿って伸縮して、種々の生理学的特徴を備えた患者にとって快適なフィット感を提供するよう弾力性材料又は他の伸縮可能な材料で作られるのがよい。カラー171は、患者の頭にフィットするよう一体型形態を有してもよく、或いは、カラー171を患者の頸の周りに解除可能に固定するよう取り付け部分174が各端部のところに設けられた細長いバンドの形態をしていてもよい。取り付け部分174は、例えば
図9に示すオーバーラップ又は「巻きつけ」配置状態に位置決めされたときに互いに解除可能に結合するよう構成された対応のフック・ループ区分(面ファスナー区分)175a,175bを有するのがよい。他の実施形態では、取り付け部分174は、端と端を突き合せた状態で互いに解除可能に結合する(例えば、オーバーラップなしで又は実質的になしで)構成であってもよく、かつ/或いは1つ以上のボタン、バックル、スナップ、紐、磁気結合、ジッパー、留め金、別の適当な結合特徴部を有するとともに/或いは他の適当な構造を有してもよい。
【0069】
カラー171は、1つ以上の支持体178によって支持され、又はカラー171それ自体によって直接支持されたウェアラブル器具回路部品品180の多数の要素を担持するのがよい。これら要素のうちの幾つかは、カラー171の内部に位置するのがよく、カラー171は、これらの要素を説明するために部分的に切除された状態で示されている。例えば、カラー171は、1つ以上の第1の支持体178aを担持するのがよく、かかる第1の支持体178aは、1つ以上の送電装置179、例えば、アンテナ、コイル、及び/又は他の適当な構造体を支持する。カラー171、1つ以上の支持体178、及び/又はウェアラブル器具の別の部分は、例えば送電プロセスと関連した患者の加熱を少なくとも部分的に又は完全に阻止するよう構成された1つ以上の熱伝導性材料を含むのがよくかつ/或いはかかる熱伝導性材料から作られるのがよい。送電装置179は、患者の快適さをもたらすと同時に、電力を
図4~
図5Cを参照して上述した植え込み型器具に提供するのに十分な精度及び確実性を備えた状態で位置決めされるよう柔軟性であり/コンフォーマルであるのがよい。少なくとも幾つかの実施形態では、多数の送電装置179が高い送電信頼度をもたらすとともに/或いは多数の植え込み型器具120に電力を提供するよう、アレイをなして配置されるのがよい。植え込み型器具120は、患者の受電装置が、例えば患者の皮膚上に置かれた送電装置179によって生じる電場の投射領域内に位置する送電装置179から電力を受け取るよう位置決めされた状態で植え込まれるのがよい。ウェアラブル器具170が多数の送電装置179を有する場合、ウェアラブル器具170は、植え込み型器具120への送電を最適化するよう構成されているのがよい。例えば、回路部品品は、植え込み型器具120のうちの1つ以上の最も近くに位置決めされた送電装置179のうちの1つ以上を識別することができ、次に、識別した送電装置179を用いて電力をかかる植え込み型器具120に送るとともに/或いは、他の送電装置179を非動作状態にする。追加的に又は代替的に、回路部品品は、電力伝送デューティーを送電装置179の個々のもの相互間に、例えば1つの送電装置から1つ以上の他の送電装置に伝達するよう構成されているのがよい。これらの実施形態及び他の実施形態では、近接性が電力伝送効率を定める上で唯一の要因であるとはいえない。他の要因(例えば、組織インピーダンス、患者の睡眠状態、患者の睡眠姿勢、及び/又は本明細書において説明した他の要因/データ)もまた、役割を果たす可能性があり、そして、どの送電装置を任意の時点でかつ/或いは任意特定の植え込み型器具120について選択するかに影響を及ぼす可能性がある。
【0070】
追加的に又は代替的に、送電装置179のうちの少なくとも1つは、ウェアラブル器具170の他の部分に対して動くことができる。例えば、送電装置179は、患者の頸周りに少なくとも部分的に、例えば少なくとも2つの異なる位置相互間で動くよう構成されたアクチュエータ又は駆動要素956(例えば、ステッピングモータ)に結合されるのがよい。もう1つの実施例として、送電装置179により生じる電場は、指向性があるのがよく(例えば、
図6C及び
図6Dを参照して上述した指向性電場と少なくとも全体として類似している)、この電場は、少なくとも2つの互いに異なる位置に向き又は方向づけられるよう構成されるのがよい。これらの実施形態及び他の実施形態では、送電装置179を動かし/指し向けることができる位置の各々は、それぞれ対応の植え込み型器具120及び/又は植え込み型器具の配置場所と関連するのがよく、その結果、送電装置179をこれらの位置の各々に動かされ/差し向けられると、電力を1つ以上の植え込み型器具120に送るよう整列するとともに/或いは違ったやり方で位置合わせすることができるようになっている。植え込み型器具の代表的な配置場所、例えば、患者の舌下神経HGNの内側枝MB、及び/又は頸神経ワナACについては、
図1~
図4及び
図6A~
図8Bを参照して本明細書において説明してある。
【0071】
特定の実施形態では、カラー171は、例えば、患者の頸から外側に膨らむ傾向のある患者の喉頭を受け入れるよう構成されたV字形の切欠き177(破線で示されている)を有するのがよい。切欠き177は、それに応じて、カラー171を患者の頸周りのターゲット回転位置に維持するのを助けることができる。他の実施形態では、他の技術を用いてこの機能を提供することができ、これについては後で説明する。
【0072】
送電装置179は、カラー171によって担持された電源184から電力を受け取ることができる。電源184は、1つ以上のバッテリを含むのがよい。幾つかの実施形態では、バッテリは、例えばユーザによって交換可能である。他の実施形態では、バッテリは、誘導充電コイル185、又はワイヤードリンク(例えば、ミニUSB接続方式)、及び対応の充電器173(
図4に示されている)により充電可能である。
【0073】
カラー171は、ウェアラブル器具回路部品品180の他の要素を支持した第2の支持体178bをさらに有するのがよい。かかる要素としては、プロセッサ182、メモリ181、入力/出力装置183、及び/又は電力を電源184から送電装置179に伝達するプロセスを管理するとともに/或いは、他の機能を実行するために用いられる他の要素が挙げられる。かかる機能は、多数のセンサ190からのデータの受け取りを含むのがよい。センサ190は、
図9に示す支持体178のうちの任意のもので支持されるのがよく、かつ/或いは、支持体とは別個独立に、カラー171の他の位置に配置されているのがよく、これについては、
図10Bを参照して以下にさらに説明する。入力/出力装置183は、
図4を参照して上述したプログラマ160にデータを通信するために用いられる1つ以上のデータ伝送/受け取り装置を有するのがよい。
【0074】
図10Aは、
図9の10A‐10A線に沿って全体的に見たカラー171の部分概略断面図である。
図10Aは、多数の送電装置179を支持した第1の支持体178aを示している。カラー171は、第1の支持体178a周りに位置決め第1の層186a、及び第1の層186a周りに位置決めされた第2の層186bをさらに有するのがよい。特定の実施形態では、第1の層186aは、フォーム又は他の圧縮性材料を含むのがよく、第2の層186bは、通気性の布、例えば、綿又は適当な合成繊維を含むのがよい。さらに別の実施形態では、カラー171は、クッション性と通気性の両方を発揮する単一の材料を含むことができる。上述の実施形態のうちの任意のものに関し、第1の支持体178a、送電装置179及び/又は第1の支持体178aによって支持された他の回路要素は、柔軟性であるよう、しかも患者の皮膚に対して不快に突き出ることがないよう低プロフィールのものであるのがよい。第1及び/又は第2の層186a,186bは、回路要素と患者の両方にクッション性及び保護作用をさらにもたらすことができる。少なくとも幾つかの実施形態では、カラー171は、システムの要素をはめ込むポケットを有するのがよく、かくして、種々のサイズのカラーに使用でき、かつ/或いはコンポーネントを必要に応じて又は所望に応じて容易に交換することができるようにするモジュール構造を支持する。
【0075】
図10Bは、
図9の10B‐10B線に沿って全体的に見たカラー171の部分概略断面図である。
図10Bは、第2の支持体178b、並びに第2の支持体178bによって支持できるか、第2の支持体178bから離れて支持できる数個のセンサ190を示している。代表的なセンサ190としては、光源及び光信号検出器、例えば、患者の血流、心拍数、心拍変動、呼吸数、及び酸素化レベルを検出するためのSPO
2オキシメトリセンサの一部をなす光電容積脈波測定法(PPG)センサ191が挙げられる。特定の実施形態では、PPGセンサ191の少なくとも一部は、患者の血流を検出するために患者の皮膚に接触するよう位置決めされ、例えば、前頭上及び/又は耳の上もしくはその近くに(例えば、耳の後ろ、下など)位置する。したがって、PPGセンサ191は、これが患者の頸静脈及び/又は頸動脈に近接したカラー171内の位置のところに配置されるのがよい。患者のSPO
2値及び/又は経時的なSPO
2値の変化を用いると、患者Pに印加される治療信号の有効性を判定することができる。例えば、SPO
2値の増大していることにより、治療信号が患者の睡眠障害に少なくとも部分的に対処しているらしいことがわかり、これに対し、SPO
2値が一定であり又は減少していることにより、治療信号が患者の睡眠障害に対処していないことがわかる。したがって、患者のSPO
2値を用いると、植え込み型器具のうちの1つ以上において生じる電気信号の電力伝送量及び/或いは1つ以上の送出パラメータを調節することができる。加うるに、同一の光センサは、患者の呼吸を検出することができ、これを利用すると、治療信号を患者に送り出し、治療信号を変調し、かつ/或いは患者への治療信号の送出を停止するタイミングを求めることができる。したがって、このフィードバックを用いると、患者の上気道の筋の結果として生じる運動と患者の自然な呼吸サイクルを協調させることができる。
【0076】
カラー171によって担持された他の代表的なセンサ190としては、患者の睡眠中に患者の運動及び/又は体位を識別するために用いられる1つ以上の運動/体位センサ193(例えば、加速度計、傾斜センサ、ジャイロスコープ、慣性計測装置(“IMU”)、及び/又はこれらに類するもの)が挙げられる。この情報は、患者の睡眠状態及び/又は姿勢、例えば睡眠中における患者の身体、頭、及び/又は頸の位置、及び/又はその変化に対する本システムの作用効果を分析する上で有用なデータを提供することができる。少なくとも幾つかの実施形態では、センサ190から受け取ったデータを患者の睡眠状態(例えば、浅い睡眠に対して深い睡眠、レム睡眠に対してノンレム睡眠)及び/又は睡眠姿勢(例えば、仰臥位、左横臥、右横臥)に少なくとも部分的に基づいてカテゴリ化し、治療信号に対する患者の応答が少なくとも部分的に睡眠状態及び/又は睡眠姿勢に基づいて異なっているかどうかを識別することができる。例えば、患者の睡眠障害への対処又は治療と関連した信号送出パラメータ(例えば、大きさ、周波数など)のうちの少なくとも幾つかの値が、少なくとも部分的に患者の睡眠状態及び/又は睡眠姿勢に基づいて変化する場合のあることが予想される。したがって、これらのデータ及び/又は他のデータを用いると、患者に送出された治療信号の信号送出パラメータを調節し又は最適化して、患者の睡眠状態及び/又は睡眠姿勢が変化したときに(例えば、患者が睡眠中に寝返りを打った際に)、患者の睡眠障害に対処/治療するよう使用されるのがよい(例えば、ウェアラブル器具170、プログラマ160、及び/又は担当医によって)。
【0077】
センサ190は、以下の尺度、すなわち、吸気サイクル、呼気サイクル、脳波記録法(“EEG”)、筋電図検査法(“EMG”)、血圧、脈波伝播時間(“PTT”)、動脈緊張(例えば、末梢動脈緊張(“PAT”))、筋緊張、活動量測定検査法、生体インピーダンス、呼吸光電容積脈波測定法、SPI(surgical pleth index)、ノシセプティック(nociceptic)鎮痛度指数、バイスペクトル指数、及び/又は皮膚交感神経活動度(“SKNA”)のうちの1つ以上と関連したデータをさらに含むのがよく、かつ/或いはかかるデータを受け取るよう構成されているのがよく、これら尺度を個々に用いると、患者の睡眠状態及び/又は睡眠姿勢に対する本システムの作用効果を分析するためのデータを得ることができる。幾つかの実施形態では、ウェアラブル器具170は、少なくとも部分的に本明細書において説明した1つ以上のセンサ190からのデータに基づいて、患者が覚醒状態であるか睡眠状態であるか、レム睡眠状態であるかノンレム睡眠状態であるか、及び/又は「浅い」睡眠状態であるか「深い」睡眠状態であるかを識別するよう構成されているのがよい。例えば、EMGセンサは、患者の顎上又はその近くに位置決めされるのがよく、このEMGセンサを用いると、患者の顎筋の1つ以上の筋緊張を判定することができる。この実施例を続けると、顎の筋緊張の低下(例えば、筋弛緩)は、患者が寝入ってるかかつ/或いは眠りつつあるかを指示することができる。これらの実施形態及び他の実施形態では、患者の睡眠状態と関連した筋緊張の変化は、患者の頸、口腔、顎、肩、及び/又は顔面の1つ以上の筋で起こる場合があり、かかる筋としては、本明細書において説明した筋のうちの任意のものが挙げられる。
【0078】
他のセンサとしては、患者の心拍、波形、及び/又は不整脈を割り出すための1つ以上のECG電極195、患者の皮膚温度及び/又は体温を割り出すための温度センサ192、及び1つ以上のマイクロフォン194が挙げられる。マイクロフォン194を用いると、患者が鼻及び/又は口を通して呼吸しているかどうか、及び/又は患者がいびきをかくとともに/或いは無呼吸イベントを生じているかどうかを割り出すことができる。追加的に又は代替的に、患者の顎の位置/向きは、例えば、1つ以上のEMGセンサ、力センサ、光学測定装置などを用いて測定され、それにより患者が鼻及び/又は口を通して呼吸しているかどうか、及び/又は患者がいびきをかくとともに/或いは無呼吸イベントを生じているかどうかを割り出すことができる。これらの実施形態及び他の実施形態では、センサ190のうちの1つ以上は、患者の呼吸努力具合を検出するとともに/或いは測定するよう構成されているのがよい。例えば、呼吸インダクタンス容積脈波記録法(“RIP”)は、胸及び/又は腹壁の運動を測定することによって肺換気を評価する方法であり、このRIPは、例えば、胸郭ベルトを用いてこれらのセンサを支持することによって、例えば患者の胸及び/又は腹部上に又はその近くに位置決めされた1つ以上のひずみセンサ及び/又はEMGセンサを含むのがよい。もう1つの例として、1つ以上の運動センサが患者の呼吸努力と関連した運動を検出するよう、患者の頸(例えば、頸の下の方)及び/又は胸(例えば、胸の上の方)上又はその近くに位置決めされるのがよい。追加的に又は代替的に、1つ以上の筋音図法(“MMG”)センサ、EMGセンサ、及び/又はひずみセンサを患者の頸(例えば、頸の下の方)及び/又は胸(例えば、胸の上の方)上又はその近くに位置決めして、患者の呼吸努力と関連した筋活動を検出することができる。
【0079】
本明細書において説明したセンサ190のうちの任意のものを用いると、後の分析のためにデータを記録するだけでなく、患者に与える刺激に影響を及ぼす直接的なフィードバックを提供することができる。したがって、送電装置(
図4)及び受電装置(
図5A~
図5C)は、データ並びに電力を送るよう構成されているのがよく(上述したように)、或いは、本システムは、これらの機能を実行するよう別々のアンテナ(及び/又は他の構造)を含むのがよい。加うるに、幾つかの実施形態では、ウェアラブル器具170は、本明細書において説明したセンサ190のうちの複数(例えばアレイ状の)の少なくとも1つを含み、センサのうちの少なくとも1つのセンサの複数からのデータを用いると、患者の解剖学的構造に対する相対的変化、例えば患者の口腔組織の第1の部分における構造的潰れと患者の口腔組織の第2の部分の構造的潰れなどの関係を識別することができる。代表的な実施例では、異なるタイプの構造的潰れは、第1の部分と第2の部分の潰れのタイプ及び/又は第1の部分の潰れと第2の部分の潰れとの差を識別するよう使用できる異なる特徴的な音声フィードバック(例えば、呼吸音、いびきの音など)及び/又はMMG周波数と関連している場合がある。少なくとも幾つかの実施形態では、この相対的データは、患者の口腔組織の一部分に送られる治療信号を調節するよう用いられる(例えば、担当医、ウェアラブル器具170、及びプログラマ160によって)。上述の実施例の説明を続けると、患者の口腔組織の第1の部分が患者の口腔組織の第2の部分に対してより潰れた状態になった場合、第1の部分に送られる治療信号を変更して(例えば、第2の部分に送られる治療信号に対して)、患者の口腔組織の第1の部分の潰れを減少させることができる。追加的に又は代替的に、複数の同一の又は異なるセンサからのデータを用いて、患者の無呼吸イベントと関連した1つ以上の組織潰れ部位の存在場所を突き止める(例えば、トライアンギュレーションを実施する)ことができる。
【0080】
上述したように、カラー171は、カラーを患者の頸周りの適正な位置に固定するのを助ける要素を有するのがよい。かかる一技術は、
図9を参照して上述した切欠き177を用いることである。
図11は、もう1つの代表的な技術を示している。この実施形態では、代表的なカラー1171は、患者のオトガイC(及び/又は下顎の他の部分)に上方に優しく圧接するよう位置決めされた上側部分1187a、及び患者の肩S及び/又は鎖骨CLに優しく下方に圧接するよう位置決め下側部分1187bを有する。この構成は、
図9を参照して上述した汗止めバンドのフォームファクタよりも大きなフォームファクタを備えたカラーが得られるが、少なくとも何人かの患者、例えば、気管が切欠き177に完全に係合するのに足るほど前方に延びてはいない患者に適している場合がある。少なくとも幾つかの実施形態では、カラー1171は、カラーの位置を維持するのをさらに助けるよう破線で示されている患者の肩の上で後方に又は前方に延びるのがよい。患者の頸周りに固定位置を提供することに加えて、カラー1171は、患者の睡眠中に患者の口を閉じた状態に保つよう患者のオトガイCに十分な上向きの力を提供するのがよく、したがって、患者が自分の口ではなく自分の鼻によって呼吸するよう促すことができる。これにより、患者が眠っているときに無呼吸イベントが起こる恐れを減少させることができる。
【0081】
カラー1171は、1つ以上の送電装置1179を有する。
図11に示す実施形態では、送電装置1179は、アレイ状に配置され、これら送電装置は、カラー1171及び患者の頸/顎領域の形状に合致するよう上方に外方に湾曲している。送電装置1179のコンフォーマル形状により、幾つかの利点のうちの1つ以上を奏することができる。例えば、コンフォーマル形状は、患者にとってより快適であるといえる。細長い湾曲形状は、顎の中に位置決めされた植え込み済みの器具(例えば、舌下神経の内側枝をターゲットとする)及び頸内に位置決めされた植え込み済み器具(例えば、頸神経ワナをターゲットとする)の両方に効率的に電力を送ることができる。上述の利点に加えて又はこれらに代えて、送電送装置1179の湾曲形状は、平たい器具が生じさせる電場よりも広い電場を生じさせることができる。特に、平たい器具は、典型的には、焦点の合った内側にテーパした円錐形の電場を生じさせるが、弧状の送電装置1179は、外方に広がる電場を生じさせることができる。この電場は、上述したように、互いに異なる場所に位置する多数の植え込み型器具に電力を提供することができ、かつ/或いは、カラー1171が正確に位置決めされておらず、かつ/或いは、患者が睡眠中にわずかに動いてカラーが患者に対して動く場合であっても高い送電信頼性を提供することができる。
【0082】
他の実施形態では、上述のカラーのうちの任意のものは、カラーを患者の頸周りの定位置に固定する他の特徴部を有することができる。例えば、カラーは、例えば、眼鏡又はフェイスマスクのように患者の耳の周りにはまる布製のイヤピースを有することができる。さらに別の実施形態では、カラーは、患者の毛髪にクリップ止め可能であり、ただし、このようにする場合に不必要に患者の快適さを妨害しないことを条件とする。
【0083】
図12Aは、本技術の代表的な実施形態に従って、あご紐1271aの形態をしたもう1つのウェアラブル器具1270aの部分概略部分断面部分切除図である。あご紐1271aは、患者のオトガイCの周りにはまる(例えば、カップで覆うようにする)オトガイ部分1288a、及び患者の頭頂部及び/又は後頭部の周りにはまる1本以上のストラップ部分1289を有するのがよい。オトガイ部分1288aは、1つ以上の送電装置179を全体として
図10A及び
図10Bを参照して上述した仕方で支持する第1の支持体178aを収容するのがよく、このオトガイ部分は、それに応じて、
図12Aに第1及び第2の層186a,186bとして断面で示された1つ以上の適合/保護層を有するのがよい。
図9~
図10Bに示すカラー171を参照して上述した他の要素もまた、あご紐1271aによって担持されるのがよい。例えば、あご紐1271aは、患者の左頬に当てて位置決めされたオトガイ部分1288の一部のところにウェアラブル器具回路部品品180を有するのがよい。他の要素は、患者の右頬に沿って延びるオトガイ部分1288aの一部上に担持されるのがよい。例えば、代表的な電源184及び導電性コイル185(両方共に破線で示している)がかかる位置に配置されるのがよい。1つ以上のマイクロフォン194がオトガイ部分1288aによって担持されるのがよい。1つ以上のPPGセンサ191(第1のPPGセンサ191a及び第2のPPGセンサ191bとして示されている)は、オトガイ部分1288a又はストラップ部分1289によって担持されるのがよい。例えば、第1のPPGセンサ191aは、患者の耳Eのすぐ下に位置決めされ、第2のPPGセンサ191bは、患者のこめかみのところに位置決めされている。両方の実施形態において、PPGセンサは、これらの器具によって実行される検知機能を妨害しないよう、全体として毛のない患者の皮膚の一部分のところに位置決めされる。
【0084】
特定の実施形態では、1本以上のストラップ部分1289は、連続しているのがよく、その結果、患者は、ストラップ部分1289を頭上に単に伸ばすことができるようになっている。他の実施形態では、ストラップ部分1289は、全体として
図9を参照して上述した仕方で、取り外し可能かつ再取り付け可能な取り付け部分174を有するのがよい。
【0085】
図12Bは、本技術の代表的な実施形態に従ってあご紐及び頸紐1271bの形をした別のウェアラブル器具1270bの部分概略部分断面部分切除図である。ウェアラブル器具1270bの少なくとも幾つかの観点は、
図12Aのウェアラブル器具1270aと構造及び/又は機能が全体として類似しており又は同一であるのがよい。したがって、同一の名称及び/又は同一の参照符号(例えば、
図12Bのオトガイ部分1288bや
図12Aのオトガイ部分1288a)は、全体として類似し又は同一の特徴を指示するために用いられている。加うるに、ウェアラブル器具1270bは、オトガイ部分1288bの下に位置していて、患者の頸N周りに少なくとも部分的にはまる(例えば、カップで覆うようにする)よう構成された頸部分1296を有する。図示の実施形態では、頸部分1296とオトガイ部分1288bは、一体型コンポーネントを形成し、頸部分1296は、1本以上のストラップ1289を有する。他の実施形態では、頸部分1296は、オトガイ部分1288bに取り外し可能に結合可能であるのがよい。
【0086】
頸部分1296は、ウェアラブル器具1270bの少なくとも幾つかの要素を有するのがよい。図示の実施形態では、例えば、頸部分1296は、患者の頸N内の1つ以上のターゲット信号送出場所(例えば、頸神経ワナ)と整列するよう位置決めされた送電装置179を指示している。したがって、オトガイ部分1288bによって支持された送電装置179は、患者のオトガイCのところ又はその近くの1つ以上の第1のターゲット信号送出場所(例えば、HGN)と整列するよう位置決めされるのがよく、頸部分1296によって支持された送電装置179は、患者の頸Nのところ又はその近くに1つ以上の第2のターゲット信号送出場所(例えば、頸神経ワナ)と整列するよう位置決めされるのがよく、その結果、ウェアラブル器具1270bは、多数の植え込み型器具及び/又は患者の体内の多数の場所に電力を提供するよう構成されているのがよい。これらの実施形態及び他の実施形態では、頸部分1296は、ウェアラブル器具1270bの他の回路部品品180のうちの任意のもの、例えば、支持体178a、層186a,186b、電源184、充電コイル185、PPGセンサ191a,191b、及び/又はマイクロフォン194のうちの1つ以上を有するのがよい。
【0087】
さらに別の実施形態では、ウェアラブル器具は、ピロー、例えばベッド用ピローのフォームファクタを有するのがよい。例えば、ここで
図13Aを参照すると、代表的なウェアラブル器具1370がピロー1371aを有し、患者は、睡眠中に自分の頭をピロー1371aの上にのせる。幾つかの実施形態では、ピロー1371aは、患者の頭Hの少なくとも一部分を受け入れるよう構成されたV字形状又はU字形の切欠き又はノッチ1377を有する。ノッチ1377は、例えば、ピローに対する患者の頭Hの動きを減少させるとともに/或いは患者の口腔組織を位置合わせして、例えば、ウェアラブル器具1370が電力を送っていない場合であっても、無呼吸イベントの開始を少なくとも部分的に減らすよう、頭H、オトガイC、及び/又は頸Nを互いに対して位置決めするのを助けることができる。ピローは、多数の電源184、多数の送電装置179、及び対応の支持体178a,178bを担持するのがよい。センサ190は、支持体によって支持されるのがよく、かつ/或いは、センサ190をピロー1371a上及び/又はピロー1371a内のどこか他の場所に位置決めすることができる。特定の実施形態では、ピロー1371aは、患者が眠っている間の患者の動きを考慮に入れて、カラー171又はあご紐1271のいずれかで用いられる場合よりも多くの送電装置179を有することができる。特定の実施形態では、本システムは、患者が最も近くに位置する送電装置から離れすぎたかどうかを指示するよう近接センサ(又は他の適当な装置)を含むのがよい。例えば、本システムは、専用の近接センサを含むのがよく、或いは、植え込み型器具とウェアラブル器具1370との間の距離の指標として植え込み型器具によって送られかつ植え込み型器具のところで受け取った電力レベルに対応した情報を用いるのがよい。特定の実施形態では、本システムは、患者が眠りにつく前に送電装置179に近づいたときにピッチが変化する(例えば、低音から高音へ)トーンを発するのがよい。患者がいったん眠りにつくと、本システムは、電力を適当な送電装置179に自動的に差し向けて患者が動き回るにつれて、患者を起こさないよう適切な送電装置179に自動的に電力を向けることができる。
【0088】
図13B及び
図13Cは、ベッド用ピローではなく、旅行用ピローに類似した形態を有するウェアラブル器具のもう1つの実施形態を概略的に示している。
図13Bは、一部分が、
図13Cの13B‐13B線に沿って全体的に見た、
図13Cに示す器具の断面図である。ピロー1371bは、ストラップ部分1389により患者の頸N周りに固定されるピロー部分1369を有するのがよく、ストラップ部分1389は、互いに結合してピロー部分1369を患者の頸N周りに固定するよう構成された1つ以上の取り付け部分1374を有するのがよい。ピロー部分1369は、対応のコイル状送電装置1379を収容するよう円筒形の形をしているのがよい。送電装置1379は、
図13Bに示すように、患者の上気道のところで患者の組織中に全体的に上方に延びる形状を備えた電場1368を発生させることができる。送電装置179の形状及び位置は、電場を患者の上気道のところの植え込み型器具に優先的に差し向けるよう使用されるのがよい。
【0089】
ここで
図13Cを参照すると、送電装置1379は、細長いコイル状の形態を有するのがよく、この細長いコイル状の形態は、対応の細長い電場1368を発生させ、この断面については、
図13Bを参照して上述した。細長い電場1368の利点は、上述の器具により生じる電場と比較したときに、この電場の幅が広く、したがって、対応の植え込み済み信号送出装置への電力供給に「穴」又は他の中断を生じさせる可能性が低いということにある。これとは逆に、
図9~
図13Aを参照して上述した器具形態の一利点は、これら器具形態が
図13B及び
図13Cに示す器具よりも電力使用量が少ないということにある。
【0090】
送電装置1379に加えて、ピロー1371bは、適当なウェアラブル器具を参照して上述した他の要素を有するのがよく、かかる要素としては、回路部品品1380、電源1384、及びセンサが挙げられる。説明の目的上、これらの追加のコンポーネントは、
図13B又は
図13Cには示されていないが、
図13Dは、本技術の代表的な実施形態に従って構成されたあご紐1371dの形態を有するウェアラブル器具1370を装着している患者Pの部分概略図である。あご紐1371dは、対応するオトガイ部分1388を定位置に固定する1つ以上のストラップ部分1389を含むことができる。
図4~
図5C及び
図9~
図12を参照して上述したコンポーネントとほぼ同じである。
【0091】
図13Dは、本技術の代表的な実施形態に従って構成されたあご紐1371dの形態をしたウェアラブル器具1370を装用している患者Pの部分略図である。あご紐1371dは、1本以上のストラップ部分1389を有するのがよく、1本以上のストラップ部分1389は、対応のオトガイ部分1388を定位置に固定する。
【0092】
図13Eは、
図13dの13E‐13E線に沿って見たオトガイ部分1388の部分的に概略的な下方に見た図である。説明の目的上、オトガイ部分1388のコンフォーマルカバー層が省かれている。
図13Eに示すように、オトガイ部分1388は、上述の形態のうちの任意のものを有する植え込み型器具に電力を送る少なくとも1つの送電装置1379eを指示するのがよい。送電装置1379eは、所望の電場(例えば、エバネッセント場)を生じさせるようパターンをなして配列された多数のサブ波長構造体1367eを有するのがよい。少なくとも幾つかの実施形態では、サブ波長構造体1367eは、米国特許第10,594,166号に開示された仕方と類似した仕方で動作するよう構成されているのがよい。しかしながら、他の実施形態では、送電装置1379eは、他の構造体、例えばホイップアンテナ及び/又はコイルアンテナを有するのがよい。
【0093】
図13Fは、全体として
図13Eの13F-13F線に沿って見たオトガイ部分1388の部分概略断面図であり、コンフォーマルカバー層とコンフォーマル下層の両方が省かれた状態の図である。
図13Fは、サブ波長構造体1367eを支持した支持体1378を示している。支持体1378は、1つ以上の電源1384、例えば、複数の平たい充電式バッテリをさらに支持するのがよい。この場合、電源1384は、支持体1378によりサブ波長構造体1367eに結合されている。上述の実施形態と同様、支持体1378(及びサブ波長構造体1367e)は、患者の顎、オトガイ、及び/又は頸の形状に合致するよう柔軟性であるのがよい。
【0094】
図13G及び
図13Hは、
図13Eに示すパターンとは異なるパターンをなして配置されたサブ波長構造体1367g,1367hをそれぞれ備えたオトガイ部分1388を概略的に示している。例えば、
図13Gでは、サブ波長構造体1367gは、全体としてパイの形をした扇形として配置されている。
図13Hでは、サブ波長構造体1367hは、全体として円の形をしており、2次元アレイをなして配置されている。他の実施形態では、サブ波長構造体は、患者の生理学的特徴、対応の植え込み型器具の配置場所、及び/又は他の要因に応じて、他の形状及び構造を有することができる。
【0095】
図14は、本技術の実施形態に従って構成されたもう1つのウェアラブル器具1470の部分概略側面図である。ウェアラブル器具1470は、着用時に患者の頭H周りに少なくとも部分的に延びるよう構成されたヘッドバンド1471を有する。ヘッドバンド1471の少なくとも一部分は、弾力性であり、変形可能であり、硬質であり、かつ/或いは頭Hに対するウェアラブル器具1470の動きを減少させ又は阻止するよう構成されたその他の性質を有するのがよい。加うるに、ヘッドバンド1471は、ウェアラブル器具1470の動きを阻止し又は少なくともさらに減少させるよう頭H及び/又は頸N周りに少なくとも部分的に延びるよう構成された1本以上のストラップ1489を有するのがよい。ヘッドバンド1471は、回路部品品180及び電源184を有するのがよい。ヘッドバンド1471は、患者の耳Eに向かってかつ/或いは患者の耳Eを越えて延びる(例えば、下方に)よう構成された耳部分1497をさらに有するのがよい。図示の実施形態では、耳部分1497は、耳Eの後側/後方に位置決めされている。他の実施形態では、耳部分1497の少なくとも一部分は、耳E上に、耳Eにかぶさって、かつ/或いは耳Eの前に/前方に位置決めされるのがよい。耳部分1497は、ウェアラブル器具1470の1つ以上の要素を支持するのがよい。図示の実施形態では、例えば、耳部分1497は、センサ190のうちの1つ以上、例えば、運動センサ及び/又はSPO
2センサを支持している。追加的に又は代替的に、センサ190のうちの1つ以上は、
図14に示すように、患者の頭H周りに少なくとも部分的に、前頭上又はその近くに位置決めされるのがよい。
【0096】
ウェアラブル器具1470は、1つ以上の延長部分又はアーム1498(
図14では個々に第1のアーム1498aや第2のアーム1498bとして示されている)をさらに有するのがよい。アーム1498は、1つ以上の送電装置179を支持するのがよく、また、これらアームは、調節可能であり、移動可能であり、又は患者のオトガイC及び/又は頸Nの1つ以上のターゲット刺激場所のところ又はその近くに位置決めされるように構成されたその他の性質を有するのがよい。アーム1498は、ユーザがアーム1498のうちの1つ以上を曲げるとともに/或いは患者のオトガイC及び/又は頸Nに対するアーム1498のうちの1つ以上の位置を違ったやり方で設定することができるよう構成された弾性かつ/或いは変形可能な材料を含むのがよくかつ/或いはかかる材料で形成されるのがよい。図示の実施形態では、例えば、第1のアーム1498aは、第1のアーム1498aによって支持された送電装置179を、これが電力を患者のHGNのところ又はその近く(例えば、HGNの内側枝MB)に植え込まれた第1の植え込み型器具に送るよう位置決めすることができるように位置決めされるのがよく、第2のアーム1498bは、第2のアーム1498bによって支持された送電装置179をこれが患者の頸神経ワナACのところ又はその近くに植え込まれた第2の植え込み型器具に送るよう位置決めすることができるように位置決めされている。他の実施形態では、アーム1498のうちの一方又は両方は、他の適当な位置を有することができる。これらの実施形態及び他の実施形態では、ウェアラブル器具1470のアーム1498は、植え込み型器具への電力伝送具合を向上させることが期待されており、その理由は、少なくとも、アーム1498のうちの少なくとも1つの位置を調節して、送電装置179と植え込み型器具のうちの1つ以上の位置合わせを向上させる(例えば、最適化する)ことができるからである。少なくとも幾つかの実施形態では、例えば、ストラップ1489のうちの1本以上は、患者に対するアーム1498の動きを少なくとも部分的に阻止するようアーム1498の個々のものに結合されるのがよい。図示の実施形態では、例えば、第2のアーム1498bは、ストラップ1489のうちの1本に結合されている。アーム1498は、図示の実施形態では、患者の顔面の左側に示されているが、これらの実施形態及び他の実施形態では、ウェアラブル器具1470は、患者の顔面の右側に位置決めされた1つ以上のアームを有することができる。
【0097】
図15は、本技術の実施形態に従って構成されたもう1つのウェアラブル器具1570の部分概略側面図である。ウェアラブル器具1570は、患者の耳E周りに少なくとも部分的に装着されるよう構成されたイヤピース1571を有する。イヤピース1571は、耳Eの後ろに位置決めされるとともに/或いは耳Eの頂部上に少なくとも部分的に延びるよう構成された第1のイヤピース部分1597aを有するのがよい。オプションとして、イヤピース1571は、例えば、耳Eの甲介及び/又は外耳道内で耳E内に少なくとも部分的に位置決めされるよう構成された第2のイヤピース部分1597bを有するのがよい。イヤピースは、1つ以上の送電装置を支持した1つ以上の延長部分又はアーム1598(個々に第1のアーム1598a及び第2のアーム1598bとして示されている)をさらに有する。アーム1598は、構造及び/又は機能が
図14のアーム1498とほぼ類似しており又は同一であるのがよく、したがって、
図14を参照して行ってアーム1498についての説明は、
図15のアーム1598にそのまま当てはまる。イヤピース1571は、ウェアラブル器具1570の諸要素を支持するのがよい。図示の実施形態では、例えば、イヤピース1571は、回路部品品180、電源184、及びセンサ190のうちの1つ以上を有する。オプションとして、イヤピース1571は、耳Eの後ろに少なくとも部分的に位置決めされたPPGセンサ191を有するのがよい。これらの実施形態及び他の実施形態では、ウェアラブル器具1570は、多数のイヤピース、例えば、患者の第1の(例えば、左側の)耳用の第1のイヤピース、及び患者の第2の(例えば、右側の)耳用の第2のイヤピースを有するのがよい。
【0098】
図16A及び
図16Bはそれぞれ、本技術の実施形態に従って構成されたもう1つのウェアラブル器具1670の部分概略斜視図及び正面図である。ウェアラブル器具1670は、スカーフのような形態をしているのがよいカラー又はネック装用器具1671を有する。カラー1671は、第1の端部分1644a、第2の端部分1644b、及び第1の端部分1644aと第2の端部分1644bとの間に延びる中間又はネック部分1644cを有する。装用時、中間部分1644cは、患者の頸N周りに少なくとも部分的に延びるよう構成されているのがよく、第1の端部分1644a及び/又は第2の端部分1644bは、
図16Bに示されるように、互いにオーバーラップするとともに/或いは患者の胸上に載るよう構成されているのがよい。幾つかの実施形態では、第1の端部分1644a及び/又は第2の端部分1644bは、装用時、患者の胸骨S(破線で示されている)の少なくとも一部分に接触するのがよい。胸骨Sは、一般に、例えば、患者の頭H及び/又は頸Nの動きに応答して、ほとんど動かない又は全く動かないと予想される。したがって、第1の端部分1644a及び/又は第2の端部分1644bを患者の胸骨Sの少なくとも一部に接触するように位置決めすることにより、患者に対するウェアラブル器具1670の運動(例えば、回転運動)を減少させ又は阻止することができる。追加的に又は代替的に、第1の端部分1644a及び第2の端部分1644bのうちの一方又は両方は、第1の端部分1644aを第2の端部分1644bに結合(解除可能に結合)し、患者に対するウェアラブル器具1670の運動を少なくとも部分的に阻止する(例えば、さらに阻止する)よう構成された1つ以上の取り付け特徴部1674を有するのがよい。取り付け特徴部1674としては、1つ以上のフック・アンド・ループ(面ファスナー)部分、磁石、ボタン、スナップ、及び/又は本明細書において(例えば、
図9を参照して)説明した他の取り付け特徴部のうちの任意のものが挙げられる。
【0099】
図16Aを参照すると、カラー1671の部分1644a~1644cのうちの1つ以上は、ウェアラブル器具1670の機能要素を支持するのがよい。一般に、端部分1644a,1644bの一方又は両方は、回路部品品180、電源184、及び/又はセンサ190を含むのがよく、中間部分1644cは、送電装置179を含むのがよい。図示の実施形態では、例えば、第1の端部分1644aは、回路部品品180及び電源184を有し、第2の端部分1644bは、センサ190を有し、中間部分は、送電装置179を有する。他の実施形態では、ウェアラブル器具1670のこれらの要素及び他の要素は、他の適当な位置を有するのがよい。例えば、幾つかの実施形態では、中間部分1644cは、センサ190のうちの1つ以上を含むのがよく、かつ/或いは、第1及び/又は第2の端部分1644a,1644bは、送電装置179のうちの1つ以上を有するのがよい。
【0100】
図17A及び
図17Bは、本技術の諸実施形態に従って構成されたもう1つのウェアラブル器具1770の部分概略正面図である。
図17Aを参照すると、ウェアラブル器具1770は、構造及び/又は機能が
図9のカラー171に少なくともほぼ類似しており又は同一であるカラー又は他のネック装用ウェアラブル1771(「ネック装用ウェアラブル1771」)を有する。図示の実施形態では、ネック装用ウェアラブル1771は、患者の頸周りに少なくとも部分的に延びている。他の実施形態では、ネック装用ウェアラブル1771は、患者の頸周りに完全に延びるのがよい。これらの実施形態及び他の実施形態では、ウェアラブル器具1770は、衣料品又は衣服1745をさらに有する。図示の実施形態では、衣服1745は、Tシャツ又はポロシャツを含む。他の実施形態では、衣服1745は、スウェットシャツ、長袖シャツ、タンクトップ、ベスト、クロップドシャツ、又は他の適当な衣料品を含むことができる。
図17Bを参照すると、衣服1745は、ネック装用ウェアラブル1771を受け入れるよう構成されたポケット又はアンダーカラー領域1747を備えたカラー部分1746を有する。幾つかの実施形態では、アンダーカラー領域1747の少なくとも一部分は、1つ以上のボタン、ジッパー、磁石などで閉じられるのがよい。衣服1745とネック装用ウェアラブル1771を組み合わせることにより、患者に対するネック装用ウェアラブル1771の運動を少なくとも部分的に減少させ又は阻止することが期待される。
【0101】
図18は、本技術の諸実施形態に従って構成されたもう1つのウェアラブル器具1870の部分概略正面図である。ウェアラブル器具1870は、カラー又は他のネック装用ウェアラブル1871(「ネック装用ウェアラブル1871」)を有する。ネック装用ウェアラブル1871の少なくとも幾つかの観点は、構造及び/又は機能が
図16A及び
図16Bのカラー1671とほぼ同じ又は同一であるのがよい。しかしながら、取り付け特徴部1874は、別個のコンポーネントであってもよく、ネック装用ウェアラブル1871の端部分1844a,1844b及び/又は中間部分1844cの少なくとも一部は、取り付け特徴部1874内に位置決めされるとともに/或いは取り付け特徴部1874中に挿入されるのがよく、その結果、ネック装用ウェアラブル1871は、ボロタイのような形態をしているのがよい。例えば、端部分1844a,1844b及び/又は取り付け特徴部1874は、ネック装用ウェアラブル1871のはまり具合をゆるめたり及び/又は締めたりするよう、互いに対して動かすことができる。かかる実施形態では、取り付け特徴部1874、及び/又は部分1844a~1844cのうちの1つ以上は、ネック装用ウェアラブルの要素(例えば、回路部品品、送電装置、センサなど)を支持することができる。
【0102】
図19は、本技術の諸実施形態に従って構成されたもう1つのウェアラブル器具1970の部分概略正面図である。ウェアラブル器具1970は、カラー1971を有する。カラー1971の少なくとも幾つかの特徴は、構造及び/又は機能が
図9のカラー171とほぼ同じ又は同一であるのがよい。加うるに、カラー1971は、ウェアラブル器具1970の少なくとも一部の要素(例えば、本明細書において上述した回路部品品180、送電装置179、センサ190、電源184など)を収容するよう構成されたケーシング又はハウジング1948、及びハウジング1948の1つ以上の側部に結合され、かつ患者の頸N周りに少なくとも部分的に延びるよう構成されたネック部分1996を有するのがよい。追加的に又は代替的に、ネック部分1996は、センサ190及び/又は送電装置179のうちの1つ以上を含むのがよい。幾つかの実施形態では、ハウジング1948は、例えば、患者に対するハウジング1948の相対的な運動を減少させ又は阻止するよう、装用時、患者の頸Nの形状に適合するよう湾曲させるか又は違ったやり方で構成されているのがよい。
【0103】
図20は、本技術の諸実施形態に従って構成されたもう1つのウェアラブル器具2070の部分概略正面図である。ウェアラブル器具2070は、患者の胴体/上半身の少なくとも一部に巻き付けられるよう構成されたベスト又はハーネス2071を有する。ハーネス2071は、下側部分又は胸部分2049、上側部分又はネック部分2096、及び胸部分2049とネック部分2096との間に延びる1本以上のストラップ部分2089を有するのがよい。胸部分2049は、
図20に示すように、患者の胸の少なくとも一部分に巻き付くよう構成された1つ以上のストラップを有するのがよく、かつ/或いは、ネック部分2096は、患者の頸N周りに少なくとも部分的に巻き付くよう構成されているのがよい。図示の実施形態では、ネック部分2096は、送電装置179及びセンサ190を有し、胸部分2049は、回路部品品180及び電源184を有する。追加的に又は代替的に、ストラップ部分2089のうちの1つ以上は、回路部品品180、電源184、送電装置179のうちの1つ以上、センサ190のうちの1つ以上、及び/又はウェアラブル器具2070の他の要素を有するのがよい。少なくとも幾つかの実施形態では、例えば、ストラップ部分2089のうちの少なくとも1つは、ウェアラブル器具2070が装用されたときに患者の心臓と整列するよう位置決めされた心拍センサを有するのがよい。胸部分2049及び/又はストラップ部分2089を組み合わせることによって、患者に対するネック部分2096の運動を少なくとも部分的に減少させ又は阻止することが期待される。
【0104】
図21は、本技術の諸実施形態に従って、もう1つのウェアラブル器具2170及び患者の頸Nの解剖学的構造の一部分の部分概略断面図である。ウェアラブル器具2070は、頸N周りに少なくとも部分的に巻き付けられるよう構成されたカラー又は他のネック装用器具2171を有する。ネック装用器具2171の少なくとも幾つかの観点は、構造及び/又は機能が
図9のカラー171とほぼ同じ又は同一であるのがよい。ネック装用器具2171は、例えば、ネック装用器具2171を患者の頸Nに固定するために患者の頸に接触するとともに/或いは圧接するよう構成された1つ以上の本体部分2150(
図21では個々に第1の本体部分2150a、第2の本体部分2150b、及び第3の本体部分2150cとして示されている)、及び、患者の頸の選択された部分(例えば、頸動脈、頸静脈、食道など)と整列するよう構成された1つ以上のレリーフ部分2152(
図21では個々に第1のレリーフ部分2152a及び第2のレリーフ部分2152bとして示されている)を有するのがよい。レリーフ部2152の各々は、本体部分2150のうちの2つ相互間に位置決めされるのがよい。図示の実施形態では、例えば、第1のリリーフ部分2152aは、第1の本体部分2150aと第3の本体部分2150cとの間に位置決めされ、第2のレリーフ部分2152bは、第3の本体部分2150cと第2の本体部分2150bとの間に位置決めされる。本体部分2150及び/又はレリーフ部分2152のうちの1つ以上は、例えば、患者の快適性を向上させるよう詰め物がされるのがよい。
【0105】
本体部分2150は、ウェアラブル器具2170の回路部品品180、電源184、送電装置179、センサ190、及び/又は他の要素を支持するのがよい。例えば、第3の本体部分2150cは、電源184及び回路部品品180を有するのがよく、第1及び/又は第2の本体部分2150a,2150bは、センサ190及び/又は送電アンテナ179のうちの1つ以上を有するのがよい。図示の実施形態では、レリーフ部分2152は、それぞれ患者の左頸動脈及び/又は頸静脈と整列する。レリーフ部分2152のうちの一方又は両方は、患者の頸Nから間隔をおいて位置するのがよく(例えば、これとは接触していないのがよく)、かつ/或いは患者の頸Nに圧接しないのがよい。追加的に又は代替的に、レリーフ部分2152は、患者の頸Nから外方に遠ざかるよう第1の方向D1に付勢されるのがよく、かつ/或いは本体部分2150は、第1の方向D1とは逆の第2の方向D2にかつ患者の頸Nに向かって内方に付勢されるのがよい。したがって、図示の実施形態を引き続き参照すると、本体部分2150は、ウェアラブル器具2170を患者の頸Nに固定することができ、レリーフ部分2152は、患者の頸Nを通る血流を変えたり中断させたりすることはないことが期待される。
【0106】
幾つかの実施形態では、ネック装用器具2171は、隙間又は開口部2177を定めるよう開いた又は馬蹄形のものであるのがよく、その結果、ネック装用器具2171は、患者の頸N周りに部分的に(例えば、完全ではなく)延びるようになっている。図示の実施形態では、例えば、開口部2177は、第1の本体部分2150aと第2の本体部分2150bとの間に位置し、かかる開口部は、装用時に患者の気管と整列するのがよい。したがって、第1及び第2の本体部分2150a,2150bは、装用時にネック装用器具2171の運動(例えば、回転運動)を少なくとも部分的に減少させ又は阻止するよう、気管に「キー止め」され、又は気管に当接するよう構成されているのがよい。
【0107】
7.代表的な波形
上述した信号発生器及び送出装置は、種々の適当な電気刺激波形のうちの任意のものを発生させるとともに送出することができ、それにより患者の神経及び/又は筋の動作を状態調節することができる。代表的な実施形態が、
図22A及び
図22Bに示されており、これら実施例は、
図22A及び
図22Bに特定されたような周期を有する刺激波サイクルを形成する一連の二相性刺激パルスを含む。波形パラメータは、活性サイクル及び休止サイクルを含むのがよい。各期間Pは、1つ以上のパルスを含む。
図22Aに示す波形は、アノードパルス、次に相間遅延、次にカソードパルス、次にパルス間遅延を含む。したがって、期間P又はサイクル全般は、以下のパラメータ、すなわち、アノードパルス幅(PW1)、アノード振幅(例えば、電圧又は電流振幅VA)、相間遅延/デッドタイム、カソードパルス幅(PW2)、カソード振幅(例えば、電圧又は電流振幅VC)、パルス間遅延/アイドルタイム、及びピークピーク振幅(PP)を含む。パラメータは、信号を方向づける電極の同一性表示をさらに含むのがよい。幾つかの実施形態におけるアノードパルス幅(PW1)は、30μs~300μsである。幾つかの実施形態におけるアノード振幅(VA)は、1mVから5Vまでの範囲、又は1mAから10mAまでの範囲にある。代表的な実施形態における相間遅延は、10μs~250μsであるのがよい。幾つかの代表的な実施形態におけるカソードパルス幅(PW1)は、30μs~300μsである。カソード振幅(VA)は、幾つかの代表的な実施形態では、0.3Vから5Vまでの範囲にわたる。代表的な実施形態ではアノード相及びカソード相は、チャージバランス(荷電平衡)状態であり、ただし、これらの相は、対称形である必要はない。幾つかの代表的な実施形態におけるパルス間遅延は、10μs~100μsであるのがよい。幾つかの代表的な実施形態におけるピークピーク振幅は、約2mA~12mAであるのがよい。代表的な周波数は、幾つかの実施形態では約10Hzから約500Hzまでの範囲、例えば約30Hzから約300Hzまでの範囲内にあり、他の実施形態では最高100kHz(例えば、10kHz)である。これらのパルスを連続的に送り出すことができ又はバースト状態で送り出すことができる。周波数、周波数範囲、振幅(例えば、ピークピーク振幅)、パルス間遅延、パルス幅、及び/又は他の信号送出パラメータは、植え込み型器具の植え込み場所及び/又は刺激ターゲットに少なくとも部分的に基づいて様々であってよい。幾つかの実施形態では、多数の植え込み型器具は、患者の体内に植え込まれ、各植え込み型器具は、1つ以上のそれぞれの信号送出パラメータを有するそれぞれの電気信号を送り出すよう構成されている。例えば、第1の場所に植え込まれた第1の植え込み型器具が1つ以上の第1の信号送出パラメータを有する第1の電気信号を送り出すよう構成されるのがよく、第2の場所に植え込まれた第2の植え込み型器具が1つ以上の第2の送出パラメータを有する第2の電気信号を送り出すよう構成されているのがよく、第1の信号送出パラメータの個々のもの(例えば、振幅、周波数など)は、第2の信号送出パラメータの個々のものと同一であってもよく、かつ/或いは異なっていてもよい。この実施例について続けて説明すると、第1の電気信号は、第1の周波数及び/又は第1の振幅を有するのがよく、第2の電気信号は、第2の周波数及び/又は第2の振幅を有するのがよく、第1の周波数は、第2の周波数と同一であってもよく又はこれとは異なっていてもよく、かつ/或いは第1の振幅は、第2の振幅と同一であってもよく又はこれとは異なっていてもよい。加えて、本明細書において上述したように、信号送出パラメータのうちの1つ以上を少なくとも部分的に患者の睡眠状態、患者の睡眠姿勢、患者の無呼吸イベント、及び/又はこれらの変化に基づいて調節し、又はアップデートする(例えば、増減する)ことができる。
【0108】
図22Bは、活性部分と休止部分を有する代表的な波形を示している。活性部分は、
図22Aを参照して上述した特性を備える1つ以上の期間を含む。休止部分は、刺激パルスを含まない。幾つかの代表的な実施形態によれば、活性部分と休止部分の比は、1:1~1:9であるのがよい。代表的な実施例として、比が1:9でありかつ300の活性期間が存在する場合、2700の休止部分が存在すると言える。
【0109】
代表的な実施例では、刺激電圧は、各接点又は電極に独立して提供されるのがよい。正のパルスに関し、正の接点は、駆動電圧に引かれ、負の接点はアースに引かれる。負のパルスの場合、負の接点は、駆動電圧に引かれ、正の接点は、アースに引かれる。デッドタイム及びアイドルタイムに関し、両方の接点は、アースに駆動される。休止時間に関し、両方の接点は、高インピーダンスの状態にある。接点にDC電流が流れるのを阻止するため、各ハーフブリッジは、キャパシタ、例えば100μFキャパシタを介して接点に結合されるのがよい。加うるに、抵抗器が各キャパシタと直列に配置されるのがよく、それにより接点が短絡した場合に電流を制限することができる。治療波形サイクルのパルスは、対称であってもよく又は対称でなくてもよいが、一般に、接点前後の正味ゼロの電荷を提供するよう整形される。
【0110】
多数の信号、例えば第1の電気信号及び第2の電気信号が患者に送出されたとき(例えば、多数の電極及び/又は多数の植え込み型器具によって)、第1の電気信号及び/又はその1つ以上の部分は、第2の電気信号及び/又はその1つ以上の部分と同一の時点で又は異なる時点で送出されるのがよい。例えば、第1の電気信号ES1及び第2の電気信号ES2の1つ以上の個々のパルスを、同時に発生させるのがよく(例えば
図23Aに示すように)、インターリーブするのがよく(例えば
図23Bに示すように)、かつ/或いはオフセット又はオーバーラップするのがよく、その結果、第1及び第2の電気信号ES1,ES2の個々のパルスの1つ以上を同じ時点で又は異なる時点で送出することができるようになっている。追加的に又は代替的に、第1の電気信号ES1及び第2の電気信号ES2の活性部分及び/又は休止部分の個々のものは、同期してもよく(例えば、
図24Aに示すように同時に起こってもよく)、非同期又は交互であってよく(例えば、
図24Bに示すように互いに異なる時点で起こってもよく)、かつ/或いは、時間的にオフセットし又は部分的にオーバーラップしていてもよい。追加的に又は代替的に、第1及び第2の電気信号の活性部分及び/又は休止部分は、互いに異なる時間長さを有することができる。例えば、第1の電気信号ES1の1つ以上の活性部分及び1つ以上の休止部分は、第2の電気信号ES2の単一の活性部分の間に起こってもよい(例えば、
図24Cに示すように)。
【0111】
上述のシステムの幾つかの実施形態の1つの特徴は、植え込み型器具用の電源を支持した外部ウェアラブル器具がコンフォーマルであるということにある。すなわち、ウェアラブル器具は、少なくとも部分的に、個々の患者の生理学的特徴に合致する。この特徴は、より硬質の外部器具と比較して有利であり、というのは、このウェアラブル器具は、患者が装用するのに快適だからである。これは、高い患者のコンプライアンスレートを生じさせ、したがって、向上した患者の結果を生じさせることが期待され、かかる向上した患者の結果としては、無呼吸イベントの回数の減少及び/又は重症度の軽減、及び/又は睡眠の質の向上が挙げられる。
【0112】
上述のシステムの幾つかの実施形態のもう1つの特徴は、これらシステムが低プロフィールであり、それにより患者の快適さを増し、送電器具を患者の皮膚の近くに位置決めして電力を皮膚の下の植え込み型器具に効率的に伝達することができるということが挙げられる。幾つかの実施形態の関連の特徴は、植え込み型器具が治療信号をターゲット場所に送出するシステム要素(例えば、信号送出電極)と、ウェアラブルから電力を受け取るシステム要素(例えば、受電装置)との間の距離を提供することにある。したがって、各要素が位置決めされる場所に関して少なくともある程度の独立性を持った状態で、電極は、信号送出を向上させる(例えば、最適化する)よう位置決めされ、受電装置は、受電を向上させる(例えば、最適化する)よう位置決めされるのがよい。
【0113】
幾つかの実施形態は、患者の皮膚に接着される要素又は器具を含むのがよいが、一時的な粘着剤を回避することにより、別の利点が得られることが期待される。例えば、一時的な粘着剤により皮膚に取り付けられる器具をなくした実施形態は、ウェアラブル器具を用いるプロセスを単純化することができ、しかも器具それ自体の寿命を長くすることができる。
【0114】
さらに、本技術の幾つかの実施形態のさらに別の特徴は、これらが睡眠中に患者に快適に装用されるよう特別に構成されたウェアラブルを有するということにある。例えば、カラー及びあご紐のフォームファクタは、快適な睡眠姿勢を求める患者の自然な動きに対する抵抗がほとんどなく又は全くなく、それと同時に、患者が顎を穏やかに拘束することによって自分の口で呼吸しやすいようにすることが期待される。ベッド用ピローのフォームファクタは、抵抗の度合いをさらに小さくすることができ、旅行用ピローのフォームファクタは、顎の運動を一段と抑える付加的な手段を提供することができる。
【0115】
上述した内容から、開示した技術の特定の実施形態を例示目的で本明細書において説明したが、本技術から逸脱することなく種々の改造を行うことができることは理解されよう。例えば、電源及び関連のウェアラブル器具は、電力を1つ以上の植え込み型電極にワイヤレスで送出する口腔内マウスピース形態を有してもよい。それ以上の詳細は、2022年5月19日に出願された同時係属中の米国特許出願第17/749,025号(この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする)、及び2021年11月3日に出願された米国特許出願第17/518,414号(この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする)に提供されている。
【0116】
実施形態に応じて、ウェアラブル器具は、電力を患者の頭/頸領域のところに位置決めされた任意の数の信号送出装置に供給するよう単一の送電装置か多数の送電装置かのいずれかを有することができる。例えば、ウェアラブル器具は、患者の外側正中の一方の側又は両方の側に設けられた1つ以上の信号送出装置、又は正中の両側に設けられている装置に電力供給するために単一の送電装置を有するのがよい。装置の特定の構造は、患者の皮膚の下の深さを含む三次元空間内の植え込み型器具の存在場所を含む要因で決まる場合がある。個々の送電装置は、一体型構造体として形成されてもよく、或いは多数の要素から形成されてもよい。例えば、多数の小型の送電要素は、電力を植え込み型器具に伝達するために所望の電場を提供するようアレイ状に配置されるのがよい。
【0117】
幾つかの実施形態では、ウェアラブル器具内のコンポーネントは、例えば患者の発汗からの湿気に耐えるよう、少なくとも防水性であるのがよい。他の実施形態では、コンポーネントは、種々の耐水性レベル又は防水性を有するのがよい。
【0118】
幾つかの実施形態では、ウェアラブル器具は、個々のマイクロフォンの指向性を考慮にいれるため、かつ/或いはマイクロフォンが故障した場合に冗長性を提供するために、多数のマイクロフォンを有するのがよい。同様に、ウェアラブル器具は、患者の姿勢を識別するよう1つ又は2つ以上の加速度計を有するのがよい。この情報を用いると、患者に送り出される信号のタイミング及び/又は他の特性を制御することができる。加速度計はまた、患者が正しく器具を自分の体に装着したかどうかを判定するために使用できる。
【0119】
一般に、送電装置は、円錐形の放射パターンを放出することができ、他の実施形態では、放射パターンは、特定の患者の生理学的特徴及び/又は信号送出インプラント存在場所に合うよう賦形できる。少なくとも幾つかの実施形態では(例えば、ピローを含むウェアラブル器具の場合)、植え込まれた信号送出装置は、ウェアラブル器具が十分な電力を受け取っていない場合でも、ウェアラブル器具にフィードバックを提供することができる。これに応答して、ウェアラブル器具は、送電装置を介して植え込まれた信号送出装置に提供される電力を増大させることができる。
【0120】
本技術の実施形態は、本明細書において明示的に示した形態以外の形態をとるウェアラブル器具を含むことができる。例えば、カラー型のウェアラブル器具は、別個のアイテムではなく、夜間用のシャツ(ガウン、パジャマ、Tシャツ、及び/又は他の衣料要素)と統合することができ又は一体化することができる。
【0121】
特定の実施形態と関連して説明した技術のある幾つかの観点を他の実施形態によって組み合わせることができ又は省略することができる。例えば、種々の適当な構成のうちの任意のものを有する信号送出装置を任意の1つの信号発生器と併用することができ、種々の適当な構成のうちの任意のものを有する信号発生器を任意の1つの信号送出装置と併用することができる。さらに、開示した技術のある幾つかの実施形態と関連した利点をこの実施形態と関連して説明したが、本技術の範囲に属する他の実施形態もまた、かかる利点を奏することができ、必ずしも全ての実施形態がかかる利点を奏する必要はない。したがって、本開示及び関連技術は、明示的に図示されていない本明細書において説明されていない他の実施形態を含むことができる。
【0122】
本明細書において用いられる例えば“A”及び/又は“B”のような語句「及び/又は」は、A単独、B単独、及びAとBの両方を意味している。本明細書で用いる「約」又は「ほぼ」という用語は、指定した値の10%居ないの値を意味する。
【0123】
参照により引用した資料であればどのようなものでも本開示と抵触する程度までは、本開示が優先する。
【0124】
以下の実施態様項は、本技術の追加の代表的な特徴を提供している。
【0125】
実施態様項
〔実施態様項1〕 睡眠時無呼吸症候群を治療するシステムであって
患者の口腔の近くで上記患者の頭及び/又は頸のところに植え込むことができるよう位置決め可能な植え込み型器具を含み、上記植え込み型器具は、
パルス電気信号を発生させるよう構成された信号発生器を有し、上記パルス電気信号の少なくとも一部分は、約10Hzから約500Hzまでの第1の周波数範囲内にある第1の周波数を有し、
上記電気信号を上記患者の組織に方向づけるよう上記信号発生器に結合された電極を有し、
上記信号発生器に結合された受電装置を有し、
ウェアラブル器具を含み、上記ウェアラブル器具は、
電源、及び
上記電源に結合されていて、電力を上記植え込み型器具にワイヤレスで送るよう構成された送電装置を有し、上記電力の少なくとも一部分は、約300MHzから約6GHzまでの第2の周波数範囲内にある第2の周波数を有する、システム。
〔実施態様項2〕 上記ウェアラブル器具は、上記患者の頸周りに少なくとも部分的に延びるよう構成されたカラーを有する、実施態様項1記載のシステム。
〔実施態様項3〕 上記ウェアラブル器具は、衣服をさらに含み、上記衣服は、上記カラーを受け入れるよう構成されたポケットを有する、実施態様項2記載のシステム。
〔実施態様項4〕 上記衣服は、カラー部分を有し、上記ポケットは、上記カラー部分によって少なくとも部分的に画定されたアンダーカラー領域を有する、実施態様項3記載のシステム。
〔実施態様項5〕 上記カラーは、上記患者の頸に向く第1の方向に付勢される1つ以上本体領域及び上記患者の頸から遠ざかる第2の方向に付勢される1つ以上のレリーフ領域を有する、実施態様項2記載のシステム。
〔実施態様項6〕 上記1つ以上の本体領域の個々は、上記患者の頸に接触するよう構成され、上記1つ以上のレリーフ領域の個々は、上記患者の頸から間隔を置いて配置されている、実施態様項5記載のシステム。
〔実施態様項7〕 上記1つ以上のレリーフ領域の個々は、上記患者の頸内の静脈又は動脈のうちの少なくとも一方と整列するよう構成されている、実施態様項5記載のシステム。
〔実施態様項8〕 上記カラーは、第1の端部分、第2の端部分、及び上記第1の端部分と上記第2の端部分との間に位置する中間部分を有し、
上記中間部分は、上記患者の頸周りに少なくとも部分的に延びるよう構成され、
上記第1の端部分及び上記第2の端部分は、上記患者の胸上に少なくとも部分的に延びて、上記植え込み型器具に対する上記カラーの運動を少なくとも部分的に阻止するよう構成されている、実施態様項2記載のシステム。
〔実施態様項9〕 上記第1の端部分及び上記第2の端部分は、上記第1の端部分と上記第2の端部分をオーバーラップさせたときに互いに解除可能に結合するよう構成されたそれぞれの取り付け特徴部を有する、実施態様項8記載のシステム。
〔実施態様項10〕 上記ウェアラブル器具は、オトガイ部分及びストラップ部分を含むあご紐を有し、上記オトガイ部分は、上記送電装置及び/又は電源のうちの少なくとも一方を含み、上記ストラップ部分は、上記患者の頭周りに少なくとも部分的に延びるよう構成されている、実施態様項1記載のシステム。
〔実施態様項11〕 上記ウェアラブル器具は、上記オトガイ部分に結合されていて上記患者の頸周りに少なくとも部分的に延びるよう構成された頸部分をさらに有し、上記オトガイ部分は、第1の送電装置を含み、上記頸部分は、第2の送電装置を含む、実施態様項10記載のシステム。
〔実施態様項12〕 上記ストラップ部分は、上記患者の耳の近くに位置決め可能なSPO2センサを含む、実施態様項10記載のシステム。
〔実施態様項13〕 上記ウェアラブル器具は、上記患者の頭周りに少なくとも部分的に延びるよう構成されたヘッドバンドを有し、上記ヘッドバンドは、上記患者のオトガイ及び/又は頸の方へ延びるよう構成されていて、上記送電装置を担持したアーム及び、上記患者の頭及び/又は頸に少なくとも部分的に巻きついて、上記患者に対する上記アームの運動を少なくとも部分的に阻止するよう構成されたストラップを有する、実施態様項1記載のシステム。
〔実施態様項14〕 上記アームは、第1のアームであり、上記送電装置は、第1の送電装置であり、上記ヘッドバンドは、第2の送電装置を担持した第2のアームをさらに有し、
上記第1のアームは、上記第1の送電装置を上記患者のオトガイのところに位置決めするよう構成され、
上記第2のアームは、上記第2の送電装置を上記患者の頸のところに位置決めするよう構成されている、実施態様項13記載のシステム。
〔実施態様項15〕 上記ウェアラブル器具は、上記患者の耳周りに少なくとも部分的に延びるよう構成されたイヤピースを含み、上記イヤピースは、上記患者のオトガイ及び/又は頸に向かって延びるよう構成されるとともに送電装置を担持したアームを有する、実施態様項1記載のシステム。
〔実施態様項16〕 上記アームは、第1のアームであり、上記送電装置は、第1の送電装置であり、上記イヤピースは、第2の送電装置を担持した第2のアームをさらに含有し、
上記第1のアームは、上記第1の送電装置を上記患者のオトガイのところに位置決めするよう構成され、
上記第2のアームは、上記第2の送電装置を上記患者の頸のところに位置決めするよう構成されている、実施態様項15記載のシステム。
〔実施態様項17〕 上記ウェアラブル器具は、上記患者の頭に合致するよう形作られたノッチを含むピローを有し、上記ピローは、上記患者の頭を上記患者の頸と整列した状態で支持するよう構成されている、実施態様項1記載のシステム。
〔実施態様項18〕 上記植え込み型器具は、上記患者の口腔の近くで上記患者の頭及び/又は頸のところの第1の場所に植え込むことができるよう位置決め可能な第1の植え込み型器具であり、上記システムは、上記患者の頭及び/又は頸のところの上記第1の場所とは異なる第2の場所のところに植え込むことができる位置決め可能な第2の植え込み型器具をさらに含み、上記送電装置は、電力を上記第1の植え込み型器具及び/又は上記第2の植え込み型器具のうちの少なくとも一方に送るよう構成されている、実施態様項1~17のうちいずれか一に記載のシステム。
〔実施態様項19〕 上記送電装置は、上記送電装置が上記電力を上記第1の植え込み型器具に送る第1の位置と、上記送電装置が上記電力を上記第2の植え込み型器具に送る第2の位置との間で動くよう構成されている、実施態様項18記載のシステム。
〔実施態様項20〕 上記送電装置は、上記電力を上記第1の植え込み型器具に第1の時点で送り、上記電力を上記第2の植え込み型器具に第2の時点で送るよう構成されている、実施態様項18記載のシステム。
〔実施態様項21〕 上記送電装置は、第1の電力信号を上記第1の植え込み型器具にワイヤレスで送るよう構成されている第1の送電装置を含み、上記ウェアラブル器具は、上記電源に結合されていて、第2の電力信号を上記第2の植え込み型器具にワイヤレスで送るよう構成されている第2の送電装置をさらに有する、実施態様項18~20のうちいずれか一に記載のシステム。
〔実施態様項22〕 上記送電装置は、電力を植え込み型器具に第1の時点でワイヤレスで送るよう構成されている第1の送電装置を含み、上記ウェアラブル器具は、上記電源に結合されていて、電力を植え込み型器具に第2の時点でワイヤレスで送るよう構成されている第2の送電装置をさらに有する、実施態様項1~18のうちいずれか一に記載のシステム。
〔実施態様項23〕 上記送電装置は、電力を第1の電力レベルで送るよう構成された第1の送電装置であり、上記ウェアラブル器具は、電力を上記第1の電力レベルとは異なる第2の電力レベルで送るよう構成された第2の送電装置をさらに有する、実施態様項1~22のうちいずれか一に記載のシステム。
〔実施態様項24〕 上記植え込み型器具は、(i)上記第1の電力レベルにおいて、上記ウェアラブル器具と通信し、(ii)上記第2の電力レベルにおいて、上記植え込み型器具によって担持されたセンサ経由でデータを受け取るよう構成されている、実施態様項23記載のシステム。
〔実施態様項25〕 上記第1の電力レベルは、約0.01W~約0.05Wであり、上記第2の電力レベルは、約0.1W~約0.3Wである、実施態様項23又は24記載のシステム。
〔実施態様項26〕 上記ウェアラブル器具は、電力を上記第1の電力レベル又は上記第2の電力レベルのうちの少なくとも一方とは異なる第3の電力レベルで送るよう構成された第3の送電装置をさらに有し、上記植え込み型器具は、上記パルス電気信号を上記第3の電力レベルで発生させるよう構成されている、実施態様項23又は24記載のシステム。
〔実施態様項27〕 上記第3の電力レベルは、約0.5W~約1Wである、実施態様項26記載のシステム。
〔実施態様項28〕 上記送電装置は、電力を上記植え込み型器具に間欠的に送るよう構成されている、実施態様項1~27のうちいずれか一に記載のシステム。
〔実施態様項29〕
上記ウェアラブル器具は、患者の睡眠状態及び/又は患者の無呼吸イベントと関連したデータを受け取るよう構成された1つ以上のセンサを有し、上記送電装置は、上記電力を少なくとも部分的に上記患者の睡眠状態及び/又は上記患者の無呼吸イベントに基づいて送るよう構成されている、実施態様項28記載のシステム。
〔実施態様項30〕 上記1つ以上のセンサは、心拍センサとSPO2センサの両方を含む、実施態様項29記載のシステム。
〔実施態様項31〕 上記1つ以上のセンサは、上記患者の頭、頸、顔面、及び/又は顎の1つ以上の筋の筋緊張を検出するよう位置決めされた筋電図検査センサを含む、実施態様項29又は30記載のシステム。
〔実施態様項32〕 電気信号をヒトに方向づける方法であって、
ウェアラブル器具をプログラムし、それにより、
上記ウェアラブル器具の1つ以上のセンサにより、上記ヒトの睡眠状態、睡眠姿勢、又は無呼吸イベントのうちの少なくとも1つと関連したデータを受け取り、
少なくとも部分的に上記データに基づいて、上記睡眠状態、上記睡眠姿勢、又は上記無呼吸イベントのうちの少なくとも1つを識別し、そして、
上記識別した睡眠状態、睡眠姿勢、又は無呼吸イベントのうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて、植え込み型器具の受信アンテナとワイヤレスRF通信状態にあるよう位置決めされた上記ウェアラブル器具の送電アンテナ経由で電力を送るステップを含み、上記電力の少なくとも一部分は、約300MHzから約6GHzまでの第1の周波数範囲内にある第1の周波数を有し、
上記植え込み型器具のパルス発生器をプログラムし、それにより、
上記電力を上記受信アンテナ経由で受け取り、そして、
上記ヒトのターゲット場所と電気的連絡状態にあるよう位置決めされた上記植え込み型器具の少なくとも1つの電極経由で、電気治療信号を送り出すステップを含み、上記電気治療信号の少なくとも一部分は、最大100kHzまでの第2の周波数範囲内にある第2の周波数を有する、方法。
〔実施態様項33〕 上記ウェアラブル器具をプログラムする上記ステップは、上記ウェアラブル器具をプログラムし、それにより上記睡眠状態、上記睡眠姿勢、又は上記無呼吸イベントのうちの少なくとも1つの変化を識別するステップを含み、上記植え込み型器具の上記パルス発生器をプログラムする上記ステップは、上記パルス発生器をプログラムし、それにより上記睡眠状態、上記睡眠姿勢、又は上記無呼吸イベントのうちの少なくとも1つの上記識別した変化に少なくとも部分的に基づいて上記電気治療信号の少なくとも1つの信号送出パラメータを変化させるステップを含む、実施態様項32記載の方法。
〔実施態様項34〕 上記ウェアラブル器具をプログラムする上記ステップは、上記ウェアラブル器具をプログラムし、それにより上記睡眠状態、上記睡眠姿勢、又は上記無呼吸イベントのうちの少なくとも1つの変化を識別するステップを含み、上記植え込み型器具の上記パルス発生器をプログラムする上記ステップは、上記ウェアラブル器具をプログラムし、それにより上記睡眠状態、上記睡眠姿勢、又は上記無呼吸イベントのうちの少なくとも1つの上記識別した変化に少なくとも部分的に基づいて上記電力の少なくとも1つの信号送出パラメータを変化させるステップを含む、実施態様項32又は33記載の方法。
〔実施態様項35〕 1つ以上のセンサは、心拍数センサ、SPO2センサ、PPGセンサ、EEGセンサ、EMGセンサ、運動センサ、又は音声センサのうちの少なくとも1つを含む、実施態様項32~34のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項36〕 上記ウェアラブル器具をプログラムする上記ステップは、上記ウェアラブル器具をプログラムし、それにより上記電力を複数の電力レベルで送るステップを含み、上記複数の電力レベルの各々は、上記植え込み型器具の異なる動作状態と関連している、実施態様項32~35のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項37〕 上記植え込み型器具は、第1の植え込み型器具であり、上記ウェアラブル器具をプログラムする上記ステップは、
上記ウェアラブル器具をプログラムし、それにより上記送電装置経由でかつ第1の時点で、上記電力を上記第1の植え込み型器具に送るステップを含み、
上記ウェアラブル器具をプログラムし、それにより上記送電装置経由でかつ第2の時点で、上記電力を上記第2の植え込み型器具に送るステップを含む、実施態様項32~36のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項38〕 上記植え込み型器具をプログラムし、それにより上記ウェアラブル器具とのワイヤレス送信リンク経由で、電極受信アンテナによる上記電力の受け取りに応答して上記電力受け取り確認を上記ウェアラブル器具に送るステップをさらに含む、実施態様項32~37のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項39〕 上記送電装置は、第1の送電装置であり、
上記ウェアラブル器具をプログラムする上記ステップは、
上記第1の送電装置をプログラムし、それにより第1の電力信号を送るステップを含み、上記第1の電力信号の少なくとも一部分は、上記第1の周波数の状態にあり、
上記ウェアラブル器具の第2の送電装置をプログラムし、それにより上記第1の電力信号とは異なる第2の電力信号を送るステップを含み、上記第2の電力信号の少なくとも一部分は、上記第1の周波数とは異なりかつ上記第1の周波数範囲内にある第3の周波数の状態にあり、
上記パルス発生器をプログラムする上記ステップは、上記パルス発生器をプログラムし、それにより上記第1の電力信号及び上記第2の電力信号とは異なる第3の電力信号を受け取るステップを含み、上記第3の電力信号の少なくとも一部分は、上記第1の周波数及び上記第3の周波数とは異なる第4の周波数の状態にある、実施態様項32~38のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項40〕 上記第3の電力信号の上記第4の周波数は、上記第1の電力信号の上記第1の周波数と上記第2の電力信号の上記第3の周波数との差の結果として得られる拍動周波数である、実施態様項39記載の方法。
〔実施態様項41〕 上記第1の周波数は、904MHzであり、上記第2の周波数は、906MHzである、実施態様項39又は40記載の方法。
〔実施態様項42〕 上記植え込み型器具をプログラムし、それにより、上記植え込み型器具のプログラミング回路を含む上記ウェアラブル器具と通信して上記第3の電力信号の少なくとも一部分を変調するとともに上記第3の電力信号の上記変調部分を上記ウェアラブル器具に反応させるステップをさらに含む、実施態様項39~41のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項43〕 睡眠時無呼吸症候群を治療するシステムであって、
患者の舌下神経の内側枝の近くの第1の場所に経皮的に位置決め可能な第1の植え込み型器具を含み、上記第1の植え込み型器具は、
第1の電気信号を発生させるよう構成された第1の信号発生器を有し、上記第1の電気信号の少なくとも一部分は、約10Hzから約500Hzまでの第1の周波数範囲内にある第1の周波数を有し、
上記第1の電気信号を上記内側枝に方向付けるよう上記第1の信号発生器に結合された第1の電極を有し、
上記第一の信号発生器に結合された第1の受電装置を有し、
上記患者の頸神経ワナの近くの第2の場所に経皮的に位置決め可能な第2の植え込み型器具を含み、上記第2の植え込み型器具は、
第2の電気信号を発生させるよう構成された第2の信号発生器を有し、上記第2の電気信号の少なくとも一部分は、約10Hzから約500Hzまでの第2の周波数範囲内にある第2の周波数を有し、
上記第2の電気信号を上記頸神経ワナに方向付けるよう上記第2の信号発生器に結合された第2の電極を有し、
上記第2の信号発生器に結合された第2の受電装置を有し、
カラー又はあご紐のうちの少なくとも一方を含むウェアラブル器具を含み、上記ウェアラブル器具は、
患者の睡眠状態、患者の睡眠姿勢、又は患者の無呼吸イベントのうちの少なくとも1つを検出するよう構成された1つ以上のセンサを有し、上記1つ以上のセンサは、心拍数センサ、SPO2センサ、及びEMGセンサを含み、
電源を有し、
上記電源に結合されていて、電力を上記第1の植え込み型器具又は上記第2の植え込み型器具のうちの少なくとも一方に、上記患者の睡眠状態、上記患者の睡眠姿勢、又は上記患者の無呼吸イベントのうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて、ワイヤレスで送るよう構成された少なくとも1つの送電装置を有し、上記電力の少なくとも一部分は、約300MHzから約6GHzまでの第3の周波数範囲にある第3の周波数を有する、システム。
〔実施態様項44〕 上記少なくとも1つの送電装置は、上記少なくとも1つの送電装置が上記電力を上記第1の植え込み型器具に送る第1の位置と、上記少なくとも1つの送電装置が上記電力を上記第2の植え込み型器具に送る第2の位置との間で動くよう構成されている、実施態様項43記載のシステム。
〔実施態様項45〕 上記少なくとも1つの送電装置は、上記電力を上記第1の植え込み型器具に第1の時点で送り、上記第2の植え込み型器具に第2の時点で送るよう構成されている、実施態様項43又は44記載のシステム。
〔実施態様項46〕 上記少なくとも1つの送電装置は、電力を上記第1の植え込み型器具又は上記第2の植え込み型器具のうちの少なくとも一方に第1の時点でワイヤレスで送るよう構成されている少なくとも1つの第1の送電装置を含み、上記ウェアラブル器具は、上記電源に結合されていて、電力を上記第1の植え込み型器具又は上記第2の植え込み型器具のうちの少なくとも一方に第2の時点でワイヤレスで送るよう構成されている少なくとも1つの第2の送電装置をさらに有する、実施態様項43~45のうちいずれか一に記載のシステム。
〔実施態様項47〕 上記少なくとも1つの送電装置は、電力を上記第1の植え込み型器具又は上記第2の植え込み型器具のうちの少なくとも一方に間欠的に送るよう構成されている、実施態様項43~46のうちいずれか一に記載のシステム。
〔実施態様項48〕 上記少なくとも1つの送電装置は、上記患者の睡眠状態、上記患者の睡眠姿勢、又は上記患者の無呼吸イベントのうちの少なくとも1つが検出されたことにのみ応答して電力を送るよう構成されている、実施態様項43~47のうちいずれか一に記載のシステム。
〔実施態様項49〕 上記1つ以上のセンサは、上記患者の睡眠状態、上記患者の睡眠姿勢、又は上記患者の無呼吸イベントのうちの少なくとも1つの変化を検出するよう構成されており、上記少なくとも1つの送電装置は、上記患者の睡眠状態、上記患者の睡眠姿勢、又は上記患者の無呼吸イベントのうちの少なくとも1つの検出の変化に少なくとも部分的に応答して、上記電力の少なくとも1つの送出パラメータの伝送を調節するよう構成されている、実施態様項43~48のうちいずれか一に記載のシステム。
〔実施態様項50〕 上記少なくとも1つの送電装置は、
第1の電力レベルを有する第1の電力信号をワイヤレス送信するよう構成された少なくとも1つの第1の送電装置、
電源に結合され、上記第1の電力レベルよりも大きい第2の電力レベルを有する第2の電力信号をワイヤレス送信するよう構成された少なくとも1つの第2の送電装置、
電源に結合され、上記第2の電力レベルよりも大きい第3の電力レベルを有する第3の電力信号をワイヤレス送信するよう構成された少なくとも1つの第3の送電装置、
上記第1、上記第2及び上記第3の電力レベルの各々は、上記第1の植込み型器具又は上記第2の植込み型器具のうちの少なくとも一方の異なる動作状態と関連している、実施態様項43~49のうちいずれか一に記載のシステム。
〔実施態様項51〕 上記第1の電力レベルは、約0.01W~約0.05Wであり、上記第2の電力レベルは、約0.1W~約0.3Wであり、上記第3の電力レベルは、約0.5W~約1Wである、実施態様項50記載のシステム。
〔実施態様項52〕 上記1つ以上のセンサは、患者の仰臥位睡眠姿勢、患者の側臥位睡眠姿勢、患者のREM睡眠状態、患者のNREM睡眠状態、閉塞性無呼吸イベント、又は中枢性無呼吸イベントのうちの少なくとも1つを検出するよう構成されている、実施態様項43~51のうちいずれか一に記載のシステム。
〔実施態様項53〕 上記ウェアラブル器具は、オトガイ部分及び頸部分を有し、
上記オトガイ部分は、上記患者のオトガイ周りに少なくとも部分的に延びるよう構成され、上記オトガイ部分は、電力を上記第1の植え込み型器具に送るよう位置決めされた少なくとも1つの第1の送電装置を含み、
上記頸部分は、上記オトガイ部分に結合されるとともに上記患者の頸周りに少なくとも部分的に延びるよう構成され、上記頸部分は、電力を上記第2の植え込み型器具に送るよう位置決めされた少なくとも1つの第2の送電装置を含む、実施態様項43~52のうちいずれか一に記載のシステム。
【国際調査報告】