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▶ ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】セプタムを有する器具前進装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/01 20060101AFI20240621BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20240621BHJP
   A61M 39/06 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A61M25/01
A61M25/00 542
A61M39/06 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500001
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-01-04
(86)【国際出願番号】 US2022035431
(87)【国際公開番号】W WO2023278513
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/218,069
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】マ,イーピン
(72)【発明者】
【氏名】バークホルツ,ジョナサン,カール
(72)【発明者】
【氏名】ハーディング,ウェストン,エフ.
(72)【発明者】
【氏名】シェリヒ,ミーガン
(72)【発明者】
【氏名】ラッキー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ノイマン,エリカ,イー.
【テーマコード(参考)】
4C066
4C267
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C267AA02
4C267AA03
4C267BB02
4C267BB26
4C267BB33
4C267CC07
4C267CC08
4C267HH08
(57)【要約】
器具前進装置は、スロットを含み得るハウジングを含み得る。器具前進装置は、カテーテルアセンブリに結合するように構成され得る。器具前進装置は、スロットを通って延在し得る前進要素であって、後退位置と前進位置との間でスロットに沿って直線的に移動するように構成され得る前進要素を含み得る。後退位置から前進位置への前進要素の移動に応答して、器具前進装置の器具は、ハウジングの遠位端を越えて前進することができ、カテーテルアセンブリまたは脈管構造内の閉塞を通して経路を開くように構成され得る。器具前進装置は、器具の前進中に器具のセプタム抵抗および座屈を低減するための形状および/または潤滑油を含むセプタムを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルアセンブリ内に器具を前進させる器具前進装置であって、
近位端と、遠位端と、スロットとを備えるハウジングと、
前記スロットを通って延在し、後退位置と前進位置との間で前記スロットに沿って直線的に移動するように構成された前進要素と、
前記ハウジング内に配置されたセプタムであって、
前記セプタムの遠位面が平坦であるか、または
前記セプタムの遠位面が膨出しており、前記セプタムの近位面が膨出しているか、または
前記セプタムの遠位面が凹状であり、前記セプタムの近位面が凹状である、セプタムと、
第1の端部および第2の端部を備える器具であって、前記前進要素が前記後退位置から前記前進位置に移動することに応答して、前記器具が前記セプタムを通って移動し、前記器具の前記第2の端部が前記ハウジングの前記遠位端を越えて前進する、器具と
を備える、器具前進装置。
【請求項2】
前記セプタムの前記遠位面が平坦である、請求項1に記載の器具前進装置。
【請求項3】
前記セプタムの前記遠位面が膨出しており、前記セプタムの前記近位面が膨出している、請求項1に記載の器具前進装置。
【請求項4】
前記セプタムの前記遠位面が凹状であり、前記セプタムの前記近位面が凹状である、請求項1に記載の器具前進装置。
【請求項5】
カテーテルアセンブリ内に器具を前進させる器具前進装置であって、
近位端と、遠位端と、スロットと、支持壁とを備えるハウジングであって、前記支持壁が、前記器具を受け入れるように構成された開口部を備える、ハウジングと、
前記スロットを通って延在し、後退位置と前進位置との間で前記スロットに沿って直線的に移動するように構成された前進要素と、
前記ハウジング内に配置されたセプタムであって、前記セプタムの遠位面が前記支持壁と接触している、セプタムと、
第1の端部および第2の端部を備える器具であって、前記前進要素の前記後退位置から前記前進位置への移動に応答して、前記器具が前記セプタムを通って移動し、前記器具の前記第2の端部が前記ハウジングの前記遠位端を越えて前進する、器具と、を備える、器具前進装置。
【請求項6】
前記支持壁が、前記ハウジングの長手方向軸に対して垂直に延在する、請求項5に記載の器具前進装置。
【請求項7】
前記セプタムの中心が前記開口部と位置合わせされる、請求項5に記載の器具前進装置。
【請求項8】
前記セプタムがダックビル弁を備える、請求項5に記載の器具前進装置。
【請求項9】
別のセプタムをさらに備え、前記セプタムが、前記支持壁の近位側と接触しており、前記別のセプタムが、前記支持壁の遠位側と接触している、請求項5に記載の器具前進装置。
【請求項10】
前記開口部と位置合わせされた前記セプタムの一部が、前記器具を受け入れるように構成された近位側ポケットを備え、前記器具前進装置が、前記近位側ポケット内に配置された潤滑油をさらに備える、請求項5に記載の器具前進装置。
【請求項11】
ウェッジをさらに備え、前記ウェッジが、遠位端と、前記遠位端の反対側の外向きに延在する口部と、を備え、前記ウェッジの前記遠位端が、前記支持壁の前記開口部内に固定され、前記セプタムの近位面が、前記支持壁の遠位側と接触しており、前記外向きに延在する口部が、その中に潤滑油を備える、請求項5に記載の器具前進装置。
【請求項12】
カテーテルアセンブリ内に器具を前進させる器具前進装置であって、
近位端と、遠位端と、スロットとを備えるハウジングと、
前記スロットを通って延在し、後退位置と前進位置との間で前記スロットに沿って直線的に移動するように構成された前進要素と、
前記ハウジング内に配置されたセプタムと、
第1の端部および第2の端部を備える器具であって、前記前進要素が前記後退位置から前記前進位置に移動することに応答して、前記器具が前記セプタムを通って移動し、前記器具の前記第2の端部が前記ハウジングの前記遠位端を越えて前進する、器具と、
前記ハウジング内に配置され、前記セプタムを通る前記器具の前進を容易にするように構成された潤滑油と、を備える、器具前進装置。
【請求項13】
前記ハウジング内に配置された別のセプタムをさらに備え、前記潤滑油が、前記セプタムと前記別のセプタムとの間の空間を満たす、請求項12に記載の器具前進装置。
【請求項14】
前記セプタムが近位側ポケットを備え、前記器具前進装置がウェッジをさらに備え、前記ウェッジの遠位端が前記セプタムの前記近位側ポケット内に配置される、請求項12に記載の器具前進装置。
【請求項15】
前記ウェッジの外向きに傾斜した口部が、その中に前記潤滑油を備える、請求項13に記載の器具前進装置。
【請求項16】
前記ウェッジの前記外向きに傾斜した口部が、前記セプタムの近位に配置される、請求項15に記載の器具前進装置。
【請求項17】
前記セプタムの遠位面が平坦であり、前記セプタムの近位面が、前記器具を受け入れるように構成されたポケットを備え、前記器具前進装置が、前記ポケット内に配置された潤滑油をさらに備える、請求項12に記載の器具前進装置。
【請求項18】
前記セプタムが、前記セプタムの本体によって囲まれた空洞を備え、前記潤滑油が、前記セプタムの前記本体によって囲まれた前記空洞内に配置される、請求項12に記載の器具前進装置。
【請求項19】
前記セプタムの遠位面が、遠位側ポケットを備え、前記器具前進装置が、フィルムまたは別のセプタムをさらに備え、前記潤滑油は、前記フィルムまたは前記別のセプタムによって前記遠位側ポケット内に封止され、前記潤滑油が、前記セプタムと前記フィルムとの間の空間を満たし、前記前進要素の前記後退位置から前記前進位置への移動に応答して、前記器具が、前記フィルムまたは前記別のセプタムを穿刺して前記潤滑油を解放するように構成される、請求項12に記載の器具前進装置。
【請求項20】
前記セプタムに近位のフィルムをさらに備え、前記潤滑油が、前記セプタムと前記フィルムとの間の空間を満たし、前記前進要素の前記後退位置から前記前進位置への移動に応答して、前記器具が、前記フィルムを穿刺して前記潤滑油を解放するように構成される、請求項12に記載の器具前進装置。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年7月2日に出願された「Instrument Advancement Device Having a Septum」と題された米国仮特許出願第63/218,069号の優先権を主張し、その全開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
カテーテルは、一般に、様々な注入療法に使用される。例えば、カテーテルは、生理食塩水、様々な薬剤、および完全非経口栄養などの流体を患者に注入するために使用され得る。カテーテルはまた、患者から血液を採取するために使用され得る。
【0003】
一般的なタイプのカテーテル装置は、オーバーザニードルであるカテーテルを含む。その名称が示すように、オーバーザニードルであるカテーテルは、鋭い遠位先端を有するイントロデューサニードルの上に装着され得る。カテーテルアセンブリは、カテーテルアダプタを含んでもよく、カテーテルは、カテーテルアダプタから遠位に延在し、イントロデューサニードルは、カテーテルを通って延在する。カテーテルおよびイントロデューサニードルは、イントロデューサニードルの遠位先端がカテーテルの遠位先端を越えて延在し、ニードルのベベルが患者の皮膚から離れるように上を向くように組み立てられ得る。カテーテルおよびイントロデューサニードルは、一般に、皮膚を通して患者の血管系内に浅い角度で挿入される。
【0004】
血管内のイントロデューサニードルおよび/またはカテーテルの適切な配置を検証するために、臨床医は、一般に、カテーテルアセンブリのフラッシュバックチャンバ内に血液の「フラッシュバック」があることを確認する。ニードルの配置が確認されると、臨床医は、血管系内の流れを一時的に閉塞し、ニードルを取り除き、将来の採血または流体注入のためにカテーテルを所定の位置に残し得る。
【0005】
カテーテルを用いた注入および採血は、特にカテーテルの留置時間が増加すると、いくつかの理由で困難になることがある。フィブリンシースまたは血栓は、カテーテルアセンブリの内面、カテーテルアセンブリの外面、またはカテーテルの遠位先端付近の血管系内に形成され得る。フィブリンシースまたは血栓は、カテーテルを通る流体経路を遮断または狭めることがあり、高品質の血液試料の注入および/または採取を損なうことがある。
【0006】
本明細書で特許請求される主題は、任意の欠点を解決する、または上述したような環境でのみ動作する実施形態に限定されない。むしろ、この背景技術は、本明細書に記載のいくつかの実装が実施され得る1つの例示的な技術領域を示すためにのみ提供される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、一般に、血管アクセス装置ならびに関連するシステムおよび方法に関する。特に、本開示は、器具前進装置の器具の前進を容易にするためのセプタムを含む器具前進装置に関する。いくつかの実施形態では、セプタムは、器具の前進中に器具の座屈を低減または排除するように構成され得る。いくつかの実施形態では、セプタムは、器具の前進中に器具の周りのセプタムの封止を容易にし得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、器具前進装置は、器具をカテーテルアセンブリ内に前進させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、器具は、カテーテルアセンブリのカテーテルを通って前進されて、カテーテルまたは血管系内の閉塞(例えば、カテーテルの先端の血栓またはフィブリンシース、静脈虚脱、または弁)を押し越して、流体の流れのための明確な経路を形成し得る。いくつかの実施形態では、器具は、閉塞を低減または除去し、カテーテルの滞留時間中に、薬剤および流体送達、ならびに血液取得のためのカテーテルの開存性を改善し得る。いくつかの実施形態では、カテーテルは、カテーテルアセンブリ内で器具を前進させる前に患者の血管系に挿入されてもよく、器具が器具前進装置を介して前進されるときに血管系内に残ってもよい。いくつかの実施形態では、カテーテルは、末梢挿入中心カテーテル、正中線カテーテル、または末梢静脈内カテーテルを含み得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、器具前進装置は、近位端、遠位端、およびスロットを含み得るハウジングを含み得る。いくつかの実施形態では、器具前進装置は、スロットを通って延在し得、且つ後退位置と前進位置との間でスロットに沿って直線的に移動するように構成され得る前進要素を含み得る。いくつかの実施形態では、器具前進装置が後退位置にあることに応答して、器具の全体がハウジング内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、セプタムがハウジング内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、器具は、第1の端部および第2の端部を含み得る。いくつかの実施形態では、前進要素の後退位置から前進位置への移動に応答して、器具は、セプタムを通って移動し得、器具の第2の端部は、ハウジングの遠位端を越えて前進され得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、セプタムの遠位面は平坦であってもよく、これにより圧縮力を低減してセプタムをハウジング内に封止し得る。いくつかの実施形態では、セプタムの遠位面は、ハウジング内の流体経路に面してもよく、流体経路内の血液は、セプタムとそれを通って延在する器具との間の界面を封止するのを助け得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、セプタムの遠位面は膨出していてもよく、セプタムの近位面は膨出していてもよい。さらに詳細には、いくつかの実施形態では、遠位面の膨出部および近位面の膨出部は、位置合わせされてもよく、および/またはセプタムの中心軸と位置合わせされてもよい。いくつかの実施形態では、遠位面の膨出部および近位面の膨出部は、ハウジングの流体経路の中心軸と位置合わせされてもよい。いくつかの実施形態では、セプタムの最大幅は、遠位面の膨出部および近位面の膨出部に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、遠位面の膨出部に対するハウジングの流体経路内の血液の圧力は、器具の前進中にセプタムの封止を容易にし得る。さらに、いくつかの実施形態では、例えばニュージャージー州フランクリンレイクスのBecton Dickinson&Companyから入手可能なBD VACUTAINER(登録商標)採血管などの採血装置から生じる圧力差は、採血中のセプタムの封止を容易にし得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、セプタムの遠位面は凹状であってもよく、セプタムの近位面は凹状であってもよく、これにより、流体経路内の血液の圧力または採血装置から生じる圧力差がセプタムと器具との間の界面上にあることを確実にし得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、支持壁を含み得る。いくつかの実施形態では、支持壁は、器具を受け入れるように構成された開口部を含み得る。いくつかの実施形態では、セプタムの遠位面は、支持壁と接触していてもよい。いくつかの実施形態では、支持壁は、ハウジングの長手方向軸に対して垂直に延在してもよい。いくつかの実施形態では、セプタムの中心は、支持壁の開口部と位置合わせされる。いくつかの実施形態では、セプタムは、ダックビル弁を含み得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、器具前進装置は、ハウジング内に配置され得る別のセプタムを含み得る。いくつかの実施形態では、セプタムは、支持壁の近位側と接触していてもよく、および/または他のセプタムは、支持壁の遠位側と接触していてもよい。いくつかの実施形態では、開口部と位置合わせされたセプタムの一部は、器具を受け入れるように構成された近位側ポケットを含み得る。いくつかの実施形態では、器具前進装置は、近位側ポケット内に配置された潤滑油を含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、器具前進装置は、ウェッジを含み得る。いくつかの実施形態では、ウェッジは、遠位端と、遠位端の反対側の外向きに延在する口部とを含み得る。いくつかの実施形態では、ウェッジの遠位端は、支持壁の開口部内に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、セプタムの近位面は、支持壁の遠位側と接触してもよい。いくつかの実施形態では、外向きに延在する口部は、その中に潤滑油を含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、潤滑油は、ハウジング内に配置され、セプタムを通る器具の前進を容易にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、別のセプタムがハウジング内に配置されてもよく、潤滑油は、セプタムと別のセプタムとの間の空間を満たしてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、セプタムは、近位側ポケットを含んでもよく、ウェッジの遠位端は、セプタムの近位側ポケット内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、ウェッジの外向きに傾斜した口部は、その中に潤滑油を含み得る。いくつかの実施形態では、ウェッジの外向きに傾斜した口部は、セプタムの近位に配置され得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、セプタムの遠位面は、平坦であってもよく、セプタムの近位面は、器具を受け入れるように構成されたポケットを含んでもよい。いくつかの実施形態では、潤滑油は、ポケット内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、セプタムは、セプタムの本体によって囲まれた空洞を含んでもよく、潤滑油は、セプタムの本体によって囲まれた空洞内に配置される。
【0019】
いくつかの実施形態では、セプタムの遠位面は、遠位側ポケットを含んでもよく、器具前進装置は、フィルムまたは別のセプタムを含んでもよい。いくつかの実施形態では、潤滑油は、フィルムまたは他のセプタムによって遠位側ポケット内に封止されてもよい。いくつかの実施形態では、潤滑油は、セプタムとフィルムとの間の空間を満たし得る。いくつかの実施形態では、前進要素の後退位置から前進位置への移動に応答して、器具は、フィルムまたは他のセプタムを穿刺して潤滑油を放出するように構成されてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、フィルムは、セプタムの近位にあってもよい。いくつかの実施形態では、潤滑油は、セプタムとフィルムとの間の空間を満たし得る。いくつかの実施形態では、前進要素の後退位置から前進位置への移動に応答して、器具は、フィルムを穿刺して潤滑油を放出するように構成されてもよい。
【0021】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例および説明であり、特許請求される本発明を限定するものではないことを理解されたい。様々な実施形態は、図面に示された配置および手段に限定されないことを理解されたい。また、実施形態は組み合わせられてもよく、または他の実施形態が利用されてもよく、そのように主張されない限り、本発明の様々な実施形態の範囲から逸脱することなく構造的変更が行われてもよいことも理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
例示的な実施形態は、添付の図面を使用してさらに具体的且つ詳細に説明される。
図1A】いくつかの実施形態にかかる、例示的な器具前進装置の上方斜視図である。
図1B】器具前進装置の断面図である。
図1C】いくつかの実施形態にかかる、図1Aの線1C-1Cに沿った器具前進装置の断面図である。
図1D】いくつかの実施形態にかかる、図1Cの一部の拡大図である。
図1E】いくつかの実施形態にかかる、図1Aの線1E-1Eに沿った器具前進装置の断面図である。
図2A】いくつかの実施形態にかかる、器具前進装置の断面図である。
図2B図2Aの断面図の一部の拡大図である。
図2C】いくつかの実施形態にかかる、例示的な潤滑油を示す、図2Aの断面図の一部の拡大図である。
図3A】いくつかの実施形態にかかる、器具前進装置の断面図である。
図3B図3Aの断面図の一部の拡大図である。
図4A】いくつかの実施形態にかかる、器具前進装置の断面図である。
図4B図4Aの断面図の一部の拡大図である。
図5A】いくつかの実施形態にかかる、器具前進装置の断面図である。
図5B図5Aの断面図の一部の拡大図である。
図6A】いくつかの実施形態にかかる、器具前進装置の断面図である。
図6B図6Aの断面図の一部の拡大図である。
図7A】いくつかの実施形態にかかる、器具前進装置の断面図である。
図7B図7Aの断面図の一部の拡大図である。
図8A】いくつかの実施形態にかかる、器具前進装置の断面図である。
図8B図8Aの断面図の一部の拡大図である。
図9A】いくつかの実施形態にかかる、器具前進装置の断面図である。
図9B図9Aの断面図の一部の拡大図である。
図10A】いくつかの実施形態にかかる、器具前進装置の断面図である。
図10B図10Aの断面図の一部の拡大図である。
図10C】いくつかの実施形態にかかる、器具前進装置の断面図の一部の拡大図である。
図11A】いくつかの実施形態にかかる、器具前進装置の断面図である。
図11B図11Aの断面図の一部の拡大図である。
図11C】いくつかの実施形態にかかる、器具前進装置の断面図の一部の拡大図である。
図11D】いくつかの実施形態にかかる、器具前進装置の断面図の一部の拡大図である。
図12A】いくつかの実施形態にかかる、器具前進装置の断面図である。
図12B図12Aの断面図の一部の拡大図である。
図13A】いくつかの実施形態にかかる、別の器具前進装置の上方斜視図である。
図13B】いくつかの実施形態にかかる、他の器具前進装置の例示的な遠位端の断面図である。
図13C】いくつかの実施形態にかかる、他の器具前進装置の例示的な延長管の遠位端の上方斜視図である。
図13D】いくつかの実施形態にかかる、他の器具前進装置の例示的なハウジングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
ここで図1A図1Eを参照すると、いくつかの実施形態では、器具前進装置10は、カテーテルアセンブリのカテーテル内に、および/またはカテーテルを通して器具12を送達するように構成され得る。いくつかの実施形態では、器具12は、流体の流れのための明確な経路を形成するために、カテーテルまたは血管系内の閉塞(例えば、カテーテルの先端の血栓またはフィブリンシース、静脈虚脱、弁など)を通過するようにカテーテルを通って前進され得る。いくつかの実施形態では、器具12は、閉塞を低減または除去し、カテーテルの滞留時間中に薬剤および流体送達ならびに血液取得のためのカテーテルの開存性を改善し得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、器具12は、ガイドワイヤ、プローブ、1つまたは複数のセンサを有するガイドワイヤもしくはプローブ、または別の適切な器具を含み得る。いくつかの実施形態では、センサは、患者または装置の監視に使用され得、圧力、温度、pH、血液化学、酸素飽和度、流量、または別の生理学的特性を測定するセンサを含み得る。
いくつかの実施形態では、カテーテルは、末梢静脈内(IV)カテーテル、末梢挿入中心カテーテル、または正中線カテーテルを含み得る。いくつかの実施形態では、器具12が送達され得るカテーテルは、患者の血管系に以前に挿入されていてもよく、器具12がカテーテルを通って前進されるときに血管系内に留置されてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、器具12は、周囲の外部環境からの損傷および/または汚染から器具12を保護するように構成され得るハウジング14内に配置され得る。いくつかの実施形態では、ハウジング14は、剛性または半剛性であってもよい。いくつかの実施形態では、ハウジング14は、ステンレス鋼、アルミニウム、ポリカーボネート、金属、セラミック、プラスチック、および別の適切な材料のうちの1つまたは複数から作られてもよい。いくつかの実施形態では、ハウジング14は、近位端16、遠位端18、およびスロット20を含み得る。いくつかの実施形態では、スロット20は、ハウジング14の長手方向軸に平行に延在し得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、器具前進装置10は、スロット20を通って延在し得、且つ例えば図1Aに示す後退位置と前進位置との間でスロット20に沿って直線的に移動するように構成され得る前進要素22を含み得る。いくつかの実施形態では、臨床医は、前進要素22をつまむかまたは把持して、前進要素22を後退位置と前進位置との間で移動させ得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、ハウジング14の遠位端18は、コネクタ24を含み得る。いくつかの実施形態では、コネクタ24は、対向するレバーアーム26a、26bを含み得る。いくつかの実施形態では、対向するレバーアーム26a、26bの遠位端は、対向するレバーアーム26a、26bの近位端に加えられる圧力に応答して互いに離れるように移動するように構成され得る。いくつかの実施形態では、対向するレバーアーム26a、26bの近位端に加えられた圧力の除去に応答して、遠位端は互いに接近し、例えば、ニードルレスコネクタ、別のコネクタ、またはカテーテルアダプタの近位端などのカテーテルアセンブリの一部を留め得る。いくつかの実施形態では、コネクタ24は、カテーテルアセンブリの一部に挿入するように構成された鈍カニューレまたは雄型ルアーを含み得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、コネクタ24は、任意の適切なコネクタを含み得る。例えば、コネクタ24は、ねじ付き雄型ルアー、滑り雄型ルアー、スピンロックを有するねじ付き雄型ルアー、取り外し可能な鈍カニューレスナップ接続を有するねじ付き雄型ルアー、取り外し可能な鈍カニューレスナップ接続を有する滑り雄型ルアー、または別の適切なコネクタを含み得る。
いくつかの実施形態では、コネクタ24は、それぞれが延長管を受け入れるように構成され得る、1つまたは複数のボンドポケットを含み得る。いくつかの実施形態では、コネクタ24は、スロット20を含むハウジング14の本体と一体的に単一ユニットとして形成されてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、器具12は、第1の端部28および第2の端部30を含み得る。いくつかの実施形態では、前進要素22の後退位置から前進位置への移動は、器具12の第2の端部30をハウジング14の遠位端18を越えて前進させ得る。いくつかの実施形態では、前進要素22を前進位置に移動させることは、器具12をカテーテルアセンブリ内に、および/またはカテーテルを通して導入し得る。いくつかの実施形態では、器具12がカテーテルアセンブリ内に、および/またはカテーテルを通して導入されたことに応答して、器具12は、カテーテルアセンブリの流体経路および/または患者の血管系にアクセスし得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、血管系内にかなりの滞留時間を有するカテーテルアセンブリのカテーテルは、狭窄、圧壊、ねじれ、残屑(例えば、フィブリンまたは血小板の塊)による閉塞、およびカテーテルの先端の血管系への接着の影響を受けやすいことがある。そのため、カテーテルを使用した採血は困難な場合がある。いくつかの実施形態では、器具12は、いかなる追加のニードル突刺なしに患者の血管系へのアクセスを提供するために、カテーテルアセンブリのカテーテルの直径よりも小さい直径を有し得る。いくつかの実施形態では、器具12は、血液試料を採取するための経路をクリアにし得る。したがって、いくつかの実施形態では、器具前進装置10は、ニードルなし採血および/または流体注入に使用され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、延長管32が器具前進装置10に結合され得、延長管32は、採血および/または流体注入に使用され得る。いくつかの実施形態では、延長管32は、ハウジング14のポート34またはハウジング14の別の部分から延在し得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、セプタム36は、閉鎖された流体経路を維持しながら器具12が前進および/または後退することを可能にするためにハウジング14内にあってもよい。いくつかの実施形態では、器具12は、セプタム36を通って延在するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、セプタム36は、前進位置においてポート34の近位および/または前進要素22の遠位に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、セプタム36は、シリコーン、ゴム、エラストマー、または別の適切な材料を含み得る。いくつかの実施形態では、セプタム36は、それを通して器具12を収容するためのスリットを含み得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、延長管32の近位端は、採血装置38に結合され得る。例えば、延長管32の近位端は、採血装置38に結合され得るコネクタ40と一体化されてもよい。いくつかの実施形態では、ニードルレスコネクタは、コネクタ40と採血装置38との間に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、コネクタ40および/またはポート34は、IVラインまたは別の流体接続に結合されてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、ハウジング14の内面42は、1つまたは複数の溝を含み得る。例えば、内面42は、第1の溝44および/または第2の溝46を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の溝44および/または第2の溝46は、近位端16と遠位端18との間のハウジング14内に配置され得る。いくつかの実施形態では、器具12は、第1の溝44および/または第2の溝46内に配置され得る。いくつかの実施形態では、第1の溝44および/または第2の溝46は、側壁48と、側壁の反対側の別の側壁50と、側壁48と別の側壁50との間に延在する底部52とを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の溝44および/または第2の溝46は、底部52の反対側において開口していてもよい。いくつかの実施形態では、第1の溝44および/または第2の溝46は、直線状であってもよく、および/または器具12が遠位に前進および/または近位に後退するときに器具12を案内するように構成されてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、前進要素22は、U字形であり得る円弧状チャネル54を含み得る。いくつかの実施形態では、器具12は、円弧状チャネル54を通って延在して移動し得る。いくつかの実施形態では、器具12の第1の端部28は、固定されてもよい。いくつかの実施形態では、器具の第1の端部28は、ハウジング14内に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、前進要素22の第1の距離の移動に応答して、器具12の第2の端部は、第2の距離だけ遠位方向に前進するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第2の距離は、第1の距離の2倍であり得る。いくつかの実施形態では、第2の距離は、第1の距離の2倍よりも大きくてもよい。これらおよび他の実施形態では、器具12は、複数のU字形または他の円弧形状を通って延在し得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、器具前進装置10は、器具12を前進および/または後退させるためにハウジングのスロットに沿って直線的に移動するように構成された前進要素を含む任意の適切な器具前進装置を含み得る。例えば、器具12の第1の端部28は、前進要素22に固定されてもよく、前進要素22が距離を移動するのに応答して、器具12の第2の端部30は、器具12と前進要素22との間の前進比が1:1になるように距離に等しい距離を移動してもよい。いくつかの実施形態では、第1の溝44および/または第2の溝46は底部52の反対側において開口しているため、器具12は、例えば図1Bに示されるように、前進要素22が遠位に前進するのに応答して座屈する傾向があり得る。
【0037】
ここで図2Aを参照すると、いくつかの実施形態では、ハウジング14内に配置されたセプタム36は、器具12が遠位に前進するときに器具12の座屈を低減または排除するように構成され得る。いくつかの実施形態では、前進要素22の後退位置から前進位置への移動に応答して、器具12は、セプタム36を通って移動し得、器具12の第2の端部30は、ハウジング14の遠位端18を越えて前進され得る。いくつかの実施形態では、器具前進装置10が後退位置にあることに応答して、器具12の全体がハウジング14内に配置されてもよく、および/または前進要素22がスロット20の近位端に配置されてもよい。図2Aは、いくつかの実施形態にかかる、後退位置と前進位置との間を移動する前進要素22を示している。いくつかの実施形態では、前進要素22が前進位置にあるとき、前進要素22は、スロット20の遠位端に配置されてもよく、器具12は、遠位方向に完全に前進してもよい。
【0038】
図2A図2Bに示すように、いくつかの実施形態では、セプタム36の遠位面56は平坦であってもよく、これにより、ハウジング14内でセプタム36を封止するための圧縮力を低減し得る。いくつかの実施形態では、セプタム36の遠位面56は、ハウジング14内の流体経路58に面してもよく、流体経路58内の血液は、セプタム36とそれを通って延在する器具12との間の界面を封止するのを助け得る。いくつかの実施形態では、血液は、カテーテル、カテーテルアダプタ、およびカテーテルアセンブリを通ってハウジング14内に配置された流体経路58に近位に流れ得る。いくつかの実施形態では、セプタム36は、血液がハウジング14内でセプタム36の近位に流れるのを防止し、それによって血液がスロット20から出てユーザが曝されるのを防止し得る。
【0039】
ここで図3A図3Bを参照すると、いくつかの実施形態では、セプタム36の遠位面56は膨出していてもよく、セプタム36の近位面60は膨出していてもよい。さらに詳細には、いくつかの実施形態では、遠位面56の膨出部62および近位面60の膨出部64は、位置合わせされてもよく、および/またはセプタム36の中心軸と位置合わせされてもよい。いくつかの実施形態では、遠位面56の膨出部62および近位面60の膨出部64は、ハウジング14の流体経路58の中心軸と位置合わせされてもよい。いくつかの実施形態では、膨出部62および膨出部64は、等しいサイズであってもよい。いくつかの実施形態では、セプタム36の最大幅は、遠位面56の膨出部62および近位面60の膨出部64に配置されてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、遠位面56の膨出部62に対する流体経路58内の血液の圧力は、器具12の前進中に器具12の周りのセプタム36の封止を容易にし得る。さらに、いくつかの実施形態では、例えば採血装置38などの採血装置から生じる圧力差は、近位面60の膨出部64に圧力を加え、採血中に器具12の周りのセプタム36の封止を容易にし得る。いくつかの実施形態では、採血装置38は、ニュージャージー州フランクリンレイクスのBecton Dickinson&Companyから入手可能なシリンジであるBD VACUTAINER(登録商標)採血管、または別の適切な採血装置を含み得る。
【0041】
ここで図4A図4Bを参照すると、いくつかの実施形態では、セプタム36の遠位面56は凹状であってもよく、セプタム36の近位面60は凹状であってもよく、セプタム36とハウジング14との間の干渉に起因して発生する圧力がセプタム36と器具12との間の界面上にあることを確実にし得る。
【0042】
ここで図5A図5Bを参照すると、いくつかの実施形態では、ハウジング14は、支持壁66を含み得る。いくつかの実施形態では、支持壁66は、器具12を受け入れるように構成された開口部68を含み得る。いくつかの実施形態では、セプタム36の遠位面56は、支持壁66と接触してもよい。いくつかの実施形態では、支持壁66は、ハウジング14および/または流体経路58の長手方向軸に対して垂直に延在し得る。いくつかの実施形態では、セプタム36の中心は、支持壁66の開口部68と位置合わせされ得る。いくつかの実施形態では、支持壁66と組み合わせた開口部68は、採血装置38を介した採血中にセプタム36の遠位に真空が印加されたときにセプタム36が湾曲して漏れるのを防止し得る。
【0043】
ここで図6A図6Bを参照すると、いくつかの実施形態では、セプタム36は、ダックビル弁を含み得る。いくつかの実施形態では、ダックビル弁は、器具12の前進中および/または真空が印加される場合の採血中に、セプタム36と器具12との間の界面を封止するのを助け得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、ハウジング14は、器具12を受け入れるように構成された開口部68を含み得る支持壁66を含み得る。いくつかの実施形態では、セプタム36の遠位面56は、支持壁66と接触してもよい。いくつかの実施形態では、支持壁66と組み合わせた開口部68は、採血中に真空がセプタム36の遠位に印加されたときにセプタム36が湾曲して漏れるのを防止し得る。
【0045】
ここで図7A図7Bを参照すると、いくつかの実施形態では、器具前進装置10は、ハウジング14内に配置され得るセプタム70および別のセプタム72を含み得る。いくつかの実施形態では、セプタム70および/または他のセプタム72は、1つまたは複数の特徴および/または動作に関してセプタム36と同様または同一であってもよい。いくつかの実施形態では、他のセプタム72は、支持壁66の近位側74と接触してもよく、および/またはセプタム70は、支持壁66の遠位側76と接触してもよい。いくつかの実施形態では、セプタム70および他のセプタム72は、真空が印加されるとき、器具12の前進中および/または採血中にセプタム36と器具12との間の界面を封止するのを助け得る。さらに、いくつかの実施形態では、支持壁66と組み合わせた開口部68は、採血中に真空がセプタム70の遠位に印加されるとき、および流体経路58内の血液がセプタム72と接触するときに、セプタム70および他のセプタム70が湾曲して漏れるのを防止し得る。
【0046】
ここで図8A図8Bを参照すると、いくつかの実施形態では、開口部68と位置合わせされたセプタム36の一部は、器具12を受け入れるように構成された近位側ポケット78を含み得る。いくつかの実施形態では、近位側ポケット78は、近位面60から近位に突出してもよい。いくつかの実施形態では、器具前進装置10は、近位側ポケット78内に配置された潤滑油80を含み得る。いくつかの実施形態では、潤滑油80は、セプタム36と器具12との間の摩擦を低減し、したがって器具12がセプタム36を通って前進するときに器具12が座屈する可能性を低減し得る。いくつかの実施形態では、潤滑油80は、セプタム36と器具12との間の界面を封止するのを助け得る高粘度潤滑油を含み得る。いくつかの実施形態では、潤滑油80は、シリコーンまたは別の適切な材料を含み得る。
【0047】
図2Cに戻って参照すると、いくつかの実施形態では、潤滑油80は、近位側ポケット81内にあってもよく、これは、潤滑油80のより少ない移動を提供し、セプタム36と器具12との間の界面を封止するのを助け得る。これらおよび他の実施形態では、潤滑油80は、セプタム36を通る空気漏れを低減し、摩擦を低減するためにシールを提供し得る。
【0048】
ここで図9A図9Bを参照すると、いくつかの実施形態では、セプタム82および別のセプタム84は、ハウジング14内に配置され、空間だけ離間され得る。いくつかの実施形態では、セプタム82および/または他のセプタム84は、1つまたは複数の特徴および/または動作に関してセプタム36と同様または同一であってもよい。いくつかの実施形態では、潤滑油80は、セプタム82と他のセプタム84との間の空間を満たし得る。いくつかの実施形態では、潤滑油80は、セプタム82と器具12との間およびセプタム84と器具12との間の摩擦を低減し、したがって器具12がセプタム82およびセプタム84を通って前進するときに器具12が座屈する可能性を低減し得る。いくつかの実施形態では、潤滑油80は、セプタム82と器具12との間およびセプタム84と器具12との間の界面を封止するのを助け得る高粘度潤滑油を含み得る。
【0049】
ここで図10A図10Bを参照すると、いくつかの実施形態では、器具前進装置10は、ウェッジ86を含み得る。いくつかの実施形態では、ウェッジ86は、遠位端88と、遠位端88の反対側の外向きに延在する口部90とを含み得る。いくつかの実施形態では、ウェッジ86の遠位端88は、支持壁66の開口部68内に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、外向きに延在する口部90および/または遠位端88は、その中に潤滑油80を含み得る。いくつかの実施形態では、外向きに延在する口部90の形状は、ウェッジ86内に増加量の潤滑油80を固定することを容易にし得る。いくつかの実施形態では、潤滑油80は、セプタム36を通る器具12の前進および器具12の周りのセプタム36の封止を容易にし得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、ウェッジ86は、金属または別の適切な材料から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、セプタム36は、近位側ポケット92を含み得、ウェッジ86の遠位端は、セプタム36の近位側ポケット92内に配置され得る。いくつかの実施形態では、ウェッジ86の外向きに延在する口部90は、セプタム36の近位に配置されてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、ハウジング14は、開口部96を含み得る壁94を含み得る。いくつかの実施形態では、遠位端88およびセプタム36は、壁94と締まり嵌めで係合され得る。追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、外向きに延在する口部90は、ハウジング14の内面97と締まり嵌めで係合されてもよく、これにより、ハウジング14内へのウェッジ86の固定を容易にし得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、器具12は、ウェッジ86およびセプタム36を通過して流体経路58に前進し得る。いくつかの実施形態では、ウェッジ86の内径と器具12との間のギャップは、非常に小さく、潤滑油80によって実質的にまたは全体的に封止されることができる。いくつかの実施形態では、ウェッジ86および潤滑油80は、封止の冗長性を提供し得、これによりセプタム36がより薄くされることを可能にし、したがって器具12に対するより低い抗力を有することを可能にし得る。
【0053】
ここで図10Cを参照すると、いくつかの実施形態では、セプタム36は、セプタム36を支持し得る壁94の遠位側に接触し得る。これらの実施形態では、ウェッジ86の遠位端88は、開口部96内に締まり嵌めで係合され得、これにより、ウェッジ86をハウジング14内に固定し得る。いくつかの実施形態では、図10A図10Bまたは図10C図10Dのウェッジ86は、器具12との非常に小さなクリアランスを提供するためにカニューレによって置き換えられてもよい。いくつかの実施形態では、カニューレは、金属または別の適切な材料から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、カニューレは、外向きに延在する口部90を含まなくてもよいが、そうでなければ、1つまたは複数の特徴および/または動作に関してウェッジ86と同様であってもよい。
【0054】
ここで図11A図11Bを参照すると、いくつかの実施形態では、セプタム36の遠位面56は、遠位側ポケット98を含み得、器具前進装置10は、フィルムまたは別のセプタムを含み得るバリア100を含み得る。いくつかの実施形態では、潤滑油80は、バリア100によって遠位側ポケット98内に封止されてもよい。いくつかの実施形態では、潤滑油80は、セプタム36とバリア100との間の空間を満たし得る。いくつかの実施形態では、前進要素22の後退位置から前進位置への移動に応答して、器具12は、バリア100を穿刺して潤滑油80を放出するように構成されてもよい。
【0055】
ここで図11Cを参照すると、いくつかの実施形態では、バリア100は、セプタム36の近位にあってもよい。いくつかの実施形態では、潤滑油80は、セプタム36とバリア100との間の空間を満たし得る。いくつかの実施形態では、前進要素22の後退位置から前進位置への移動に応答して、器具12は、バリアを穿刺して潤滑油80を放出するように構成されてもよい。
【0056】
図11A図11Cは、いくつかの実施形態にかかる、フィルムであり得るバリア100を示している。ここで図11Dを参照すると、バリア100は、別のセプタムまたは二次セプタムを含み得る。いくつかの実施形態では、他のセプタムは、エラストマーであってもよい。いくつかの実施形態では、他のセプタムの遠位面は、丸みを帯びていてもよい。
【0057】
ここで図12A図12Bを参照すると、いくつかの実施形態では、セプタム36は、セプタム36の本体によって囲まれたキャビティ102を含み得、潤滑油80は、セプタム36の本体によって囲まれたキャビティ102内に配置され得る。
【0058】
ここで図13A図13Cを参照すると、いくつかの実施形態にかかる、器具前進装置104が示されている。いくつかの実施形態では、器具前進装置104は、1つまたは複数の特徴および/または動作に関して器具前進装置10と同様または同一であってもよい。いくつかの実施形態では、器具前進装置104は、ハウジング106と、ハウジング106を通って延在する延長管108とを含み得る。いくつかの実施形態では、延長管108は、剛性、半剛性、または可撓性であってもよい。いくつかの実施形態では、延長管108は、多管腔延長管を含んでもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、器具前進装置104は、器具12を含み得る。これらおよび他の実施形態では、器具12は、前進を容易にするために潤滑またはコーティングされてもよい。いくつかの実施形態では、器具12は、カテーテルアセンブリ内におよび/またはカテーテルアセンブリを通って延在して、カテーテルの閉塞を押し通すおよび/または破壊するように構成され得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、器具前進装置104の遠位端は、コネクタ24または別の適切なコネクタを含み得る。いくつかの実施形態では、コネクタ24は、患者の血管系内に存在していてもよく、または既に存在していてもよいカテーテルアセンブリに結合するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリは、カテーテルを通って延在し、皮膚および血管系の穿刺を容易にしてカテーテルを患者に挿入し得るイントロデューサニードルを含み得る。いくつかの実施形態では、器具前進装置104をカテーテルアセンブリに結合する前に、イントロデューサニードルがカテーテルアセンブリから取り外され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、延長管108の遠位端は、コネクタ24に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、延長管108の近位端は、別の遠位アダプタまたは別の適切なコネクタを含み得る近位アダプタ110に結合され得る。いくつかの実施形態では、近位アダプタ110は、採血装置に結合するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、採血装置は、ニュージャージー州フランクリンレイクスのBecton Dickinson&Companyから入手可能なシリンジであるBD VACUTAINER(登録商標)採血管、または吸引を提供し得る別の適切な採血装置を含み得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、器具12は、注入または採血の前またはその間に前進され得る。いくつかの実施形態では、採血または注入を完了した後、且つカテーテルアセンブリから器具前進装置104を切り離す前に、ユーザは、ハウジング106を後方または近位に移動させることによって器具を後退させ得る。したがって、いくつかの実施形態では、ユーザが血液に曝されるリスクが低減され得る。
【0063】
図13B図13Cに示すように、いくつかの実施形態では、延長管108は、第1の管腔112および第2の管腔114を含んでもよく、これらは延長管108の全長に沿って第1の管腔112から分離していてもよい。いくつかの実施形態では、採血経路は、第1の管腔112を通って延在してもよい。いくつかの実施形態では、器具12は、第2の管腔114内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の管腔114の直径は、第1の管腔112の直径よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の管腔112の直径および/または長さは、所望の流量に基づいておよび/または溶血を低減するように選択されてもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、ハウジング106を延長管108に沿って遠位に移動させることに応答して、器具12は、第2の管腔114内で遠位に前進され得る。いくつかの実施形態では、ハウジング106を延長管108に沿って近位に移動させることに応答して、器具12は、第2の管腔114内に近位に後退され得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、器具前進装置104は、コネクタ24内に配置され、第2の管腔114を封止するか、または第2の管腔114への血流を防止するように構成されたセプタム36を含み得る。これらおよび他の実施形態では、セプタム36は、血液がコネクタ24から採血のために第1の管腔112を通って流体経路115に沿って近位に流れ得るように、第1の管腔112を封止しなくてもよい。いくつかの実施形態では、セプタム36は、エラストマーであってもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、器具12の遠位端は、ハウジング106が近位方向に完全に引き込まれたときに、コネクタ24の遠位端の近位に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、器具12の遠位端は、ハウジング106が近位方向に完全に引き込まれたときにセプタム36の近位に配置されてもよく、および/または器具12は、延長管108内に封止されてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、器具前進装置104は、第1の管腔112の遠位端とコネクタ24とを接続し得るカニューレ116を含んでもよい。いくつかの実施形態では、カニューレ116は、鈍角であってもよい。いくつかの実施形態では、流体経路115は、カニューレ116を通って延在してもよく、これは血液漏出を防止し得る。いくつかの実施形態では、カニューレ116は、鋼、プラスチック、金属、または別の適切な材料から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、カニューレ116は、コネクタ24に結合されてもよく、または単一のユニットとしてコネクタ24とモノリシックに形成されてもよい。いくつかの実施形態では、セプタム36は、適切な壁厚を得るために、第2の管腔114と同心であってもよく、または僅かにオフセットされてもよい。いくつかの実施形態では、セプタム36は、第2の管腔114の幅にわたって延在してもよい。いくつかの実施形態では、セプタム36は、第2の管腔114を封止し、第2の管腔114への血流を防止してもよい。
【0068】
ここで図13Dを参照すると、いくつかの実施形態では、器具前進装置104は、延長管108のハウジング106および第2の管腔114内に配置されたウェッジ118を含み得る。いくつかの実施形態では、器具前進装置104は、延長管108を挟むように構成された一対の対向するピンチ部材120を含み得る。いくつかの実施形態では、一対の対向するピンチ部材120a、120bは、ウェッジ118の近位のハウジング106内に配置され、ハウジング106とともに延長管108に沿って移動するように構成され得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、器具12は、ウェッジ118から遠位に延在してもよい。いくつかの実施形態では、器具12は、第2の管腔114内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、ハウジング106を延長管108に沿って遠位に移動させることに応答して、一対の対向するピンチ部材120a、120bは、ウェッジ118を遠位に押してもよく、器具12は、遠位に前進されてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、器具前進装置104は、延長管108を挟むように構成された別の一対の対向するピンチ部材120c、120dを含み得る。いくつかの実施形態では、他の一対の対向するピンチ部材120c、120dは、ウェッジ118の遠位のハウジング内に配置され、ハウジング106とともに延長管108に沿って移動するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ハウジング106を延長管108に沿って近位に移動させることに応答して、一対の対向するピンチ部材120c、120dは、ウェッジ118を近位に押してもよく、器具12は、近位に後退されてもよい。
【0071】
一対の対向するピンチ部材120a、120bおよび他の一対の対向するピンチ部材120c、120dは、本開示では「対向するピンチ部材120」と総称される場合がある。いくつかの実施形態では、ハウジング106の延長管108に沿う移動に応答して、対向するピンチ部材120は、ハウジング106および延長管108に対して回転し得る。いくつかの実施形態では、ハウジング106の延長管108に沿う移動に応答して、対向するピンチ部材120は、ハウジング106および延長管108に対して回転してもよく、これは器具12を回転させ得る。いくつかの実施形態では、ハウジング106の内面は、対向するピンチ部材120と接触する1つまたは複数のバンプ122を含んでもよく、対向するピンチ部材120が回転する際の摩擦を低減し得る。いくつかの実施形態では、ウェッジ118および/または対向するピンチ部材120は、摩擦を低減し得る潤滑油によって潤滑されてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、対向するピンチ部材120は、プラスチック、金属、または別の適切な材料から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、対向するピンチ部材120は、球状ボール、ボールベアリング、ホイール、またはシリンダを含んでもよく、これらはハウジング106に対して回転するように構成され得る。いくつかの実施形態では、対向するピンチ部材120は、滑らかであってもよく、またはそれらの縁部に沿って足を含んでもよい車輪を含んでもよい。これらの実施形態では、摩擦を低減するために車輪の車軸に潤滑油が塗布されてもよい。いくつかの実施形態では、対向するピンチ部材120は、ハウジング106に対して固定されてもよい。例えば、対向するピンチ部材120は、ハウジング106内に成形されてもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、対向するピンチ部材120の数は、ウェッジ118の形状に基づいて変化してもよい。いくつかの実施形態では、器具前進装置104は、例えば、ウェッジ118の形状が円筒形であることに応答して、一対の対向するピンチ部材120a、120bおよび他の一対の対向するピンチ部材120c、120dを含んでもよい。いくつかの実施形態では、器具前進装置104は、ドッグボーン形状を含むウェッジ118に応答して、一対の対向するピンチ部材120a、120bなどの単一の対の対向するピンチ部材120を含んでもよく、単一の対は、ドッグボーン形状の中央または窪みに配置され得る。
【0074】
本明細書に列挙された全ての例および条件付き言語は、読者が本発明および本技術を促進するために本発明者によって寄与された概念を理解するのを助けるための教育的対象を意図しており、そのような具体的に列挙された例および条件に限定されないと解釈されるべきである。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変形、置換、および変更が行われることができることを理解されたい。

図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
【国際調査報告】