(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】ケラチン繊維コーティング、好ましくはカラーコーティングの活性化および調製のための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/58 20060101AFI20240621BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20240621BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240621BHJP
A61K 8/85 20060101ALI20240621BHJP
A61K 8/898 20060101ALI20240621BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A61K8/58
A61Q5/10
A61K8/49
A61K8/85
A61K8/898
A61K8/891
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500042
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 EP2021087400
(87)【国際公開番号】W WO2023274570
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/067928
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/067926
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/067927
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/067925
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523044356
【氏名又は名称】ウェラ ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヘルライン, マティアス クルト
(72)【発明者】
【氏名】マッケルヴィー, グラハム ニール
(72)【発明者】
【氏名】ツゥルネ, マティア
(72)【発明者】
【氏名】ゴドフリー, シモン ポール
(72)【発明者】
【氏名】モール, コリンヌ ヴィオレット
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーバー, インゴ
(72)【発明者】
【氏名】ピンカトゥ, スワプナ
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー, タチアナ
(72)【発明者】
【氏名】キーファー, パトリック アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, ペトラ バーバラ
(72)【発明者】
【氏名】グロース, アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルクナー, フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】マイアー, アクセル
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, カール ウーヴェ オズワルド ルドウィック
(72)【発明者】
【氏名】ブルック, マイケル エー.
(72)【発明者】
【氏名】シュライナー, クラウス
(72)【発明者】
【氏名】クラーク, ティモシー ローベルト
(72)【発明者】
【氏名】シャッツ, ユルゲン カール アントン
(72)【発明者】
【氏名】グロース, ガリーナ
(72)【発明者】
【氏名】バウクネヒト, ヘイコー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB012
4C083AB082
4C083AC102
4C083AC242
4C083AC352
4C083AC852
4C083AC902
4C083AC911
4C083AC912
4C083AD011
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD161
4C083AD162
4C083BB21
4C083CC36
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE26
(57)【要約】
活性化、前処理および結合の3つの工程を含む、ケラチン繊維のためのコーティング、好ましくはカラーコーティング方法が記載される。活性化工程は、Praeparatur手順およびFundamenta手順の一方または両方を含み、修飾繊維を生成する。前処理工程は、チオール、保護チオールまたはチオールと相補的に反応性の基としてのPTHを有する少なくともPTHアルコキシシランの前処理組成物を修飾繊維に適用して、前処理繊維を形成する。結合工程は、フィルム形成組成物を前処理繊維に適用して、カラーコーティングを形成する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維上にコーティング、好ましくはカラーコーティングを生成するための方法であって、
ケラチン繊維をPraeparatur手順およびFundamenta手順のいずれかまたは両方と接触させて、修飾ケラチン繊維を形成することを含む活性化工程と;
前処理組成物を修飾ケラチン繊維に適用して、プレコーティングケラチン繊維を形成することを含む前処理工程と;
フィルム形成組成物をプレコーティングケラチン繊維に適用して、ケラチン繊維上にフィルム形成組成物と前処理組成物の複合フィルムを形成することを含み、複合フィルムはコーティングに変換することができるバインダー工程と;
活性化工程および前処理工程を同時にまたは順次に行うことと;
場合により、好ましくは、少なくとも1種の着色剤を前処理組成物および/またはフィルム形成組成物と組み合わせることと
を含み、
Praeparatur手順は洗浄プロセスを含み;
Fundamenta手順は、酸性酸化プロセス、塩基性酸化プロセス、プラズマプロセス、アルカリ相間移動テンシドプロセス、還元プロセスまたはこれらの任意の組み合わせを含み;
前処理組成物は、媒体、少なくとも1つのPTH基および少なくとも1つのアルコキシシラン基を有するPTH-オルガノ-アルコキシシラン、ならびに/または少なくとも1つのPTH基および少なくとも1つのアルコキシシラン基を有するPTH-オルガノ-マルチジメチルシロキサンアルコキシシラン[式中、PTHは、R
3S-、OHC-、H
2C=CR
10-CO
2-またはHO-を含み、R
3は、水素または硫黄保護基を含む]を含み;ならびに/あるいはPTHアルコキシシラン化合物[式中、PTHはチオールである]のジスルフィドダイマーおよび/またはPTH-アルコキシシラン化合物[式中、PTHはチオールである]のテトラスルフィドダイマーをさらに含み、ならびに場合によりPTH有機化合物および/またはアミノオルガノアルコキシシラン化合物をさらに含む少なくともPTH-アルコキシシラン化合物を含み;
フィルム形成組成物は、媒体およびバインダーポリマーを含み、バインダーポリマーは、バインダー官能基を有するユニタリーバインダーポリマー、または第1の有機シリコーンもしくはオルガノシリコーン成分および第2の有機シリコーンもしくはオルガノシリコーン成分を含むデュアルバインダーポリマーを含み、第1の成分および第2の成分は相補的バインダー官能基を有する、
方法。
【請求項2】
Fundamenta手順のプロセスの少なくとも1つを含む活性化工程および少なくともPTHアルコキシシラン化合物を含む前処理組成物を適用することを含む前処理工程が、Fundamenta手順のプロセスの少なくとも1つを含む活性化工程を実施しないで、かつPTHアルコキシシラン化合物を適用することを含む前処理工程を実施しないで生成された着色コーティングの残留性よりも長く持続する色残留性を有する着色コーティングを生成し、残留性が完全根元シミュレーション色残留性試験に従って決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
PTHアルコキシシラン化合物が毛髪と反応する、記述2に記載の方法。
【請求項4】
PTH基がチオール基である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前処理組成物が、式IIIAのPTHオルガノ-アルコキシシロキサン化合物、式IIIBのPTHオルガノ-マルチ-ジメチルシロキサニルアルコキシシラン、チオールとしてのPTHを有する式IIIAのジスルフィドまたはテトラスルフィドダイマー、チオールとしてのPTHを有する式IIIBのジスルフィドまたはテトラスルフィドダイマー、式IVの環状チオール-アルコキシシラン化合物、およびこれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを含むPTHアルコキシシラン化合物を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法:
(PTH-(CH
2)
k-(Y)
l)
d-(ORG)
m-SiR
1
3-n(OR)
n
式IIIA
PTH-(CH
2)
k-(Si(Me)
2O)
o-SiR
1
3-n(OR)
n
式IIIB
[式中、
指示子kは、1~20、好ましくは1~12、より好ましくは1~6の整数であり;
指示子lはゼロまたは1であり;
指示子dは1、2または3の整数であり;
指示子mはゼロまたは1~6の整数であり;
指示子nは1~3の整数であり;
指示子oは1~20の整数であり;
PTHは、R
3S-、OHC-、H
2C=CR
10-CO
2-、HO-を含み;
R
3は、水素、シアノ、2~10個の炭素のアルカノイル、フェニル基、複素芳香族基、フェニルアルキル基または複素芳香族アルキル基を含み、複素芳香族基は、ピリジル、ピリミジニル、ピロリルまたはチオフェニルであり、アルキル基はC1~C4アルキル基であり、R
10は水素またはメチルであり得、結果としてR
3S-はチオール基(HS-)または保護チオール基であり得;
Rは、C1~C4アルキル、好ましくはC1~C3アルキル、より好ましくはメチルまたはエチルであり;
Yは、-COO-、-OOC-(カルボキシル、オキシカルボニル)、エーテル酸素、エーテルチオール、-NMe-NH-、-HNCO-、-CONH-を含み;
ORG基は、
(i)アルキルジチオアルキル、アルキルジアゾアルキル、アルキルウレタニルアルキル、アルキルウレイドアルキル、アルキルカルボキシルアルキル、アルキルアミドアルキル、アルキルエステルアルキルまたはアルキルを含む二価有機基[各アルキル基は、各場合で独立して、C1~C20直鎖または分岐アルキル基、好ましくは直鎖C1~C6アルキル基、より好ましくは直鎖C1~C3アルキル基であり、結果としてORGは、式IIIの左(PTH-(CH
2)
k-(Y)
l)
d部分と右-SiR
1
3-n(OR
2)
n部分を接続する];または
(ii)ゼロまたは1~19の整数としてのfを有する、式
の多価C1~C20アルキレニル基
を含み、(PTH-(CH
2)
k-(Y)
l)
d-(ORG)
mを含む式IIIAの部分は式A
(式中、2つまたは3つの(PTH-(CH
2)
k-(Y)
l)
d部分はDとして接続されており、但し、2つのDが(PTH-(CH
2)
k-(Y)
l)
d部分である場合、式Aの第3のDは水素またはC1~C6アルキル、好ましくはC1~C3アルキル、より好ましくはメチルであり得;(CH
2)
f-のダングリング原子価は、式IIIAの右-SiR
1
3-n(OR
2)
n部分に結合している)
となる。]
【請求項6】
前処理組成物が、チオールまたは保護チオールとしてのPTHを有する式IIIAおよび/または式IIIBのPTHアルコキシシランの少なくとも重縮合物を含み、式IIIAおよび/または式IIIBのチオアルコキシシランが、それ自体および/または式Bのアルキルアルコキシシラン[式中、R
8は、1~10個の炭素の直鎖または分岐アルキル基である]:
R
8-SiR
1
3-n(OR)
n
式B
と少なくとも部分的に重縮合して、M基、D基およびT基の組み合わせのシリコーン鎖を有する直鎖または分岐オリゴマーシリコーン重縮合物を生成し、重縮合物が、ペンダントアルコキシ基、ペンダントチオアルキル基および/またはペンダントアルキル基を有し、重縮合物が、350~3500DaのM
wならびに100~900のチオールおよび/または保護チオール基の官能基当量M
w(FEM
w)および50~900のアルコキシ基についてのFEM
wを有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
式IIIAのみが少なくとも部分的に重縮合して直鎖または分岐オリゴマーシリコーン重縮合物を形成する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
PTHがチオール(HS-)である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
PTHオルガノ-アルコキシシラン化合物が式OSSI[式中、kは1~20、好ましくは1~12、より好ましくは1~6の整数であり、複数のCH
2鎖は直鎖であっても分岐であってもよく、nは1~3の整数であり、R
1はメチルであり、R
2はメチルまたはエチルである]
HS-(CH
2)
k-SiR
1
3-n(OR
2)
n
式OSSI
を含む、前処理組成物について記す請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
式OSSIが
HS-(CH
2)
k-Si(OMe)
3またはHS-(CH
2)
k-Si(OEt)
3
[式中、kは1~6、好ましくは1~3の整数である]
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前処理組成物が、式Vのチオール有機化合物
[式中、
Dは上に定義される(PTH-(CH
2)
k-(Y)
l)
dであり;
指示子gの各々は独立してゼロまたは1であり;
E基は結合またはC1~C6アルキレニル基であり得;
Ak基は、以下に示される炭素原子Ak0または構造Ak1、Ak2、Ak3、Ak4であり、Ak0、Ak1、Ak2およびAk3の中心炭素のダングリング原子価はE-Dに結合しており、CH
2原子価はDに結合しており;Ak4の全てのダングリング原子価はE-Dに結合しており:
PHYは、そのカルボキシ末端に-O-(CH
2)
h-O-およびそのヒドロキシル末端に-(CH
2)
i-O-基を有するC3~C8α,ωヒドロキシアルカン酸エステルの2~10単位のオリゴマーであり、-O-(CH
2)
h-O-基および-(CH
2)
i-O-基はCH基にそれぞれ結合しており、指示子hは2~4の整数であり、指示子iは1~3の整数である]
をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
PTHがチオール(-SH)である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前処理組成物が、式VI:
H
2N-(CH
2)
m-(NH-R
14-)
n-[RO
tMe
3-tSi-O]
b-(-SiMe
2-O)
p-[(-SiMe
2-r[(CH
2)
m’-NH
2]
r-O]
s-[A]
c-[(-SiMe
2-O]
u-(SiMe
3-tOR
t)
式VI
[式中、
R
14の各例は独立してC1~C6アルキレニル基であり;
Rはメチルまたはエチルであり得;
指示子mおよびm’は1~3の整数であり得;
指示子b、r、s、cはゼロまたは1であり得;
指示子nはゼロまたは1~6、好ましくは1~3の整数であり得;
指示子tは1~3であり得;
指示子pおよびuはゼロまたは1~12の整数であり得;
A基は、アミノオルガノ-アルコキシシロキサン化合物の左部分と右部分を接続する、ジチオ、ジアゾ、ウレタニル、ウレイド、カルボキシル、アミド、エステルもしくはアミノエチルオキシカルボニルを含む二価基、またはC1~C20アルキレニル基であり得る;あるいは
A基は、aが2または3であり、b、pおよびsがゼロである場合、アミノオルガノアルコキシシロキサン化合物の2つまたは3つの左部分と1つの右部分を接続する多価C1~C20アルキレニル基であり得る;あるいは
A基は、2~2000個のエチレンイミン単位の直鎖または分岐ポリエチレンイミン部分であり得、その場合、b、p、sおよびuは全てゼロであり、場合により、-(SiMe
3-tOR
t)基は-NH
2によって置き換えられていてもよい;あるいは
A基は、C2~C8アルキレニル(メタ)アクリレートまたは-(CH
2)
n-O-CH
2-CHOHCH
2-O
2C(R)=CH
2[式中、RはHまたはCH
3であり、nは2~8の整数である]から選択される末端基であり得る]
を含むアミノオルガノアルコキシシラン化合物をさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
式VIが式OASI
H
2N-(CH
2)
m-(NH-R
14-)
n-(SiMe
2O)
p-A
c-(-SiMe
2-O)
uSiMe
3-tOR
t
式OASI
[式中、
mは1~6の整数であり;
nはゼロまたは1~3の整数であり;
pおよびuはそれぞれ独立してゼロまたは1~3の整数であり;
cはゼロまたは1であり;
tは1~3の整数、好ましくは1または2であり;
AはC1~C6アルキレニルであり;
Rはメチルまたはエチルである]
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
式OASIが
H
2N-(CH
2)
m-Si(OR)
3またはH
2N-(CH
2)
m-(NH-R
14)
n-NH-R
14’-Si(OR)
3またはH
2N-(CH
2)
m-NH-R
14-Si(OR)
3
[式中、mは2または3であり、nは1または2であり、R
14の各例は独立してエチルまたはプロピルまたはイソブチルであり、R
14’はプロピル、ブチルまたはイソブチルである]
である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前処理工程およびバインダー工程が同時に行われる、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前処理工程およびバインダー工程が順次に行われる、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ケラチン繊維が、アナジェニック毛髪、好ましくはヒトの頭皮上の毛髪である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
着色剤が存在しない、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
複合コーティングの硬化が、硬化速度を促進するための乾燥、加熱、加熱乾燥、および触媒の添加から選択される手順を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
着色剤が存在し、顔料またはコーティング顔料を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
Fundamenta手順が、場合により前処理工程と組み合わされ、好ましくは、Fundamenta手順が、酸性酸化プロセス、塩基性酸化プロセス、還元プロセス、または還元プロセス、次いで酸性酸化プロセスの組み合わせである、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
Fundamenta手順のプロセスが還元プロセス、引き続いて酸性酸化プロセスである、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
Fundamenta手順のプロセスが酸性酸化プロセスである、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
活性化工程がPraeparatur手順およびFundamenta手順を含み、Praeparatur手順およびFundamenta手順が場合により組み合わされる、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
活性化工程が、Fundamenta手順のプロセスの少なくとも1つを含むが、Praeparatur手順を含まない、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
フィルム形成組成物が、オレフィンカルボキシレートエステル単位、オレフィンカルボキサミド単位、炭素-水素オレフィン単位、エステルモノマー単位、アミドモノマー単位、ウレタンモノマー単位、尿素モノマー単位から選択される1つまたは複数のモノマー単位の有機バインダーポリマーを含むユニタリーバインダーポリマーを含み、有機ポリマーが、アルコキシシリル基を含む少なくとも1つのペンダントおよび/または末端バインダー官能性モノ基を有する、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
有機バインダーポリマーが、少なくとも式Iの化合物
X
3Si-R
1-Ct-[Poly]
y-Ct-R
1-Si-X
3
式IA
[式中、
Xはヒドロキシまたは1~3個の炭素のアルコキシであり;
R
1はC1~C8アルキレニル基であり;
Ctは、X
3Si-R
1-をPolyに結合する式II-U
1-R
2-U
2-のコネクター基であり、
U
1はR
1に共有結合的に結合しており、U
2はPolyに共有結合的に結合しており;
U
1およびU
2の各々は独立して尿素またはウレタン基であり;
R
2は、C2~C12アルキレニル基、C6~C16アルキルシクロアルキル基またはC6~C14芳香族もしくはアルキル芳香族基であり;
Polyは、有機エステル、ウレタン、尿素、アミドもしくはポリオールまたはこれらの任意の組み合わせのモノマー単位のポリマーであり、yはポリマー骨格を形成するPolyのモノマー単位の数を示し、yは2~最大約100万、好ましくは最大約300,000、より好ましくは最大約250,000、最も好ましくは最大約200,000の整数であり、Polyは直鎖または分岐、好ましくは直鎖であり;
有機エステルモノマー単位は、C2~C20アルカンジオールもしくはC6~C10芳香族ジオールとC3~C10アルカン二酸もしくはC8~C10芳香族ジカルボン酸から形成される、または単位は、C3~C10ヒドロキシアルカン酸もしくはC8~C10芳香族ヒドロキシカルボン酸から形成され;
有機ウレタンモノマー単位は、C2~C10アルカンジオールとR
3-ジイソシアネートから形成され;
有機尿素モノマー単位は、C2~C10アルカンジアミンとR
3-ジイソシアネートから形成され;
有機アミドモノマー単位は、C2~C10アルカンジアミンとC3~C10アルカン二酸またはC8~C10芳香族ジカルボン酸から形成され;
ポリオールモノマー単位は、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドから形成され;
R
3は、直鎖または分岐のC2~C12アルキレニル基、C6~C16アルキルシクロアルキル基またはC6~C14芳香族もしくはアルキル芳香族基であり;
但し、
Polyがエステルモノマー単位である場合、U
2はウレタン基であり、U
1は尿素基であり;
Polyがウレタンモノマー単位である場合、U
2はウレタン基であり、U
1は尿素基であり;
Polyが尿素モノマー単位である場合、U
2は尿素基であり、U
1は尿素基であり;
Polyがアミドモノマー単位である場合、U
2およびU
1は共に尿素基であり;
Polyがポリオールモノマー単位である場合、U
2はウレタン基であり、U
1は尿素基である;
あるいは、U
1は、Polyエステル、Polyウレタン、Poly尿素、PolyアミドおよびPolyポリオール条件の各々についてウレタン基であり得る]
を含む、請求項27に記載の方法の記述。
【請求項29】
フィルム形成組成物が、オレフィンカルボキシレートエステル単位、オレフィンカルボキサミド単位、炭素-水素オレフィン単位、エステルモノマー単位、アミドモノマー単位、ウレタンモノマー単位、尿素モノマー単位から選択される1つまたは複数のモノマー単位の有機ポリマーを含むユニタリーバインダーポリマーを含み、有機ポリマーが、少なくとも1つのペンダントおよび/または末端カルボン酸基を含む少なくとも1つのペンダントおよび/または末端バインダー官能性モノ基を有し;場合により、有機ポリマーが、式-(CH
2)
n-SiMe
t-3(OR)
t[式中、nは2~10の整数であり、tは1~3の整数であり、(CH
2)のダングリング原子価は有機ポリマー骨格の炭素に接続している]の少なくとも1つのペンダントオルガノアルコキシシラン基を含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前処理組成物がPTHアルコキシシラン化合物およびアミノオルガノアルコキシシロキサン化合物を含み、少なくとも1つのカルボン酸バインダー官能性モノ基を有する有機ポリマーが、前処理化合物との非共有結合的相互作用が可能である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
バインダーポリマーが、少なくとも1つのオレフィン酸モノマー単位と、オレフィンカルボキシレートエステルモノマー単位、オレフィンカルボキサミドモノマー単位、親水性オレフィンモノマー単位、親油性オレフィンモノマー単位およびこれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの非酸オレフィンモノマー単位の反復単位を含む有機ポリマーを含み、
オレフィン酸モノマー単位が、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、グルコン酸、C5~C10エテン酸またはこれらの任意の組み合わせから選択され;
オレフィンカルボキシレートエステルモノマー単位が、オレフィン酸モノマー単位のいずれかまたはこれらの任意の組み合わせのC1~C30直鎖または分岐アルキルエステルから選択され;
オレフィンカルボキサミドモノマー単位が、オレフィン酸モノマー単位のいずれかまたはこれらの任意の組み合わせの-NH
2、-NR
1Hまたは-NR
1R
2アミド[式中、R
1およびR
2はC1~C6直鎖または分岐アルキルからそれぞれ独立して選択される]から選択され;
親水性オレフィンモノマーが、オレフィンカルボン酸モノマー単位と直鎖もしくは分岐C2~C24アルキルジオールのヒドロキシアルキルエステルである、またはオレフィンカルボン酸モノマー単位と直鎖もしくは分岐アミノC2~C24アルキルアルコールのアミノアルキルエステルである、またはこれらの任意の組み合わせであり;
親油性オレフィンモノマー単位が、式
R
3HC=CHR
4
[式中、R
3は、水素、1~6個の炭素の直鎖または分岐アルキル、非置換フェニルまたは1~6個の炭素の直鎖もしくは分岐アルキルによって置換されたフェニル、メチルまたはエチルカルボキシレート、カルボキサミドまたはヒドロキシルから選択され、R
4は、水素、1~6個の炭素の直鎖または分岐アルキル、非置換フェニルまたは1~6個の炭素の直鎖もしくは分岐アルキルによって置換されたフェニル、メチルまたはエチルカルボキシレート、カルボキサミドまたはヒドロキシル、または式-CH=CHR
5(式中、R
5は、水素、1~6個の炭素の直鎖または分岐アルキル、非置換フェニルまたは1~6個の炭素の直鎖もしくは分岐アルキルによって置換されたフェニル、メチルまたはエチルカルボキシレート、カルボキサミドまたはヒドロキシルから選択される)のエテニル基から選択される]
のオレフィン化合物から選択される、
請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
フィルム形成組成物が、少なくとも1つのペンダントおよび/または末端の第1のバインダー官能基を有するシリコーンまたはオルガノシリコーンポリマーを含む第1の成分と、少なくとも1つのペンダントおよび/または末端の第2のバインダー官能基を有する低分子、プレポリマーまたはポリマーを含む第2の成分とを含むデュアルバインダーポリマーを含み;
第1のバインダー官能基および第2のバインダー官能基が、(i)アルケノイルオキシとアミンまたは(ii)アルケノイルオキシとチオールからなる群から選択される相補対である、
請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
第1の成分が、式Iのシリコーンポリマー
X
z-SiMe
3-zO-(Me
2SiO)
x-(Si(-X)MeO)
y-SiOMe
3-z-X
z
式I
[式中、
Me
2SiOおよびSi(-X)MeOの各々はモノマーシロキサンD単位を含み、X
zSiMe
3-zOはモノマーシロキサンM単位を含み;
XはR
1R
2C=CR
3COO-R
4-を含み;
R
1およびR
2の各々は独立して水素またはC1~C6アルキル基であり、但し、R
1およびR
2の少なくとも1つは水素であり;
R
3は水素またはメチルであり;
R
4は、C1~C12アルキレニル基、C3~C12シクロアルキルアルキルもしくはシクロアルキル基、C6~C20アリールアルキル基またはC6~C20アリール基であり、基のいずれかまたは全ては、1つもしくは複数のエーテル酸素、チオエーテル硫黄および/もしくはアミン基によって、ならびに/またはヒドロキシル基によってペンダント式に鎖内で置換されていてもよく、R
4はモノマーDおよび/またはM単位のケイ素に結合しており;
指示子xおよびyの各々は独立して、対応する直鎖ポリマーシリコーン骨格を形成するモノマーDシロキサン単位の数を示し、xは1~最大約100,000の整数であり、指示子yはゼロまたは1~10の整数であり;
X
zSiMe
3-zO単位の各々についての指示子zはゼロまたは1であり、結果としてX
zSiMe
3-zO単位は末端X基を有し得る、またはM型トリメチルシロキシ基であり得;
xとyの合計は、約3~最大約200,000、好ましくは最大約150,000、より好ましくは最大約100,000、最も好ましくは最大約50,000、特に最も好ましくは最大約100の整数であり、例示的な合計は10~50および10~20であり;
Me
2SiOおよびSi(-X)MeOの複数のモノマー単位は式I中にランダムに分配されている]
を含み;
第2の成分が式V
M1-(D)
d-M2
式V
[式中、
M1およびM2は、第2の成分の末端であり、Me
3SiO単位、A-SiMe
2O単位および-Si(OR)
3単位から選択され得、Rはメチルまたはエチルであり、Aは式OAのオルガノアミンまたはオルガノチオール基
Y-(R
10-NH)
r-R
11-
式OA
(式中、Yは-NH
2または-SHであり;R
10は、直鎖もしくは分岐C1~C10アルキル基または直鎖もしくは分岐C6~C14アルキルアリール基であり;R
11は、直鎖もしくは分岐C1~C10アルキル基または直鎖もしくは分岐C6~C14アルキルアリール基であり;指示子rはゼロまたは1~3の整数であり、rがゼロ以外である場合、R
11はケイ素に結合しており、rがゼロである場合、R
11はケイ素に結合しており、Yが-SHである場合、rはゼロである)
であり;
D単位はポリジメチルシロキサン型第2の成分の骨格を形成し、指示子dは、第2の成分の大きさを示す3~20,000の整数であり、
D単位は、SiMe
2O単位(ジメチルシロキサン単位)およびA-SiMeO単位から選択される]
を含み;
第2の成分が少なくとも1つのA-SiMeO単位を含む、
請求項32に記載の方法。
【請求項34】
フィルム形成組成物が、少なくとも1つのペンダントおよび/または末端の第1のバインダー官能基を有する有機シリコーンまたはオルガノシリコーンポリマーを含む第1の成分と、少なくとも1つのペンダントおよび/または末端の第2のバインダー官能基を有する低分子、プレポリマーまたはポリマーを含む第2の成分とを含むデュアルバインダーポリマーを含み;
第1のバインダー官能基および第2のバインダー官能基が、カルボン酸とカルボジイミドを含む相補対である、
請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
第1の成分が、式Iのオレフィン、シリコーンまたはオルガノシリコーンポリマー
MUE-(MU1)
x-(MUX)
y-(MU2)
z-(MU3)
a-(MU3X)
b-MUE
式I
[式中、
MU1は、直鎖C2~C10アルケン残基、直鎖C4~C12アルカジエン残基および/またはC6~C10芳香族/アルキル芳香族ビニル残基を含む疎水性オレフィンモノマー単位を含み;
MUXは、直鎖C3~C10アルケン酸残基またはC4~C10アルカジエン酸残基を含む酸性オレフィンモノマー単位を含み;
MU2は、ビニル直鎖C2~C16アルカン酸エステル残基、C1~C14直鎖アルキルもしくはヒドロキシアルキル直鎖C2~C14アルケン酸エステル残基、直鎖C2~C10アルケン酸アミド残基またはアミド残基のN-C1~C4アルキル置換バージョンを含む親水性オレフィンモノマー単位を含み;
MU3はジメチルシロキサン残基を含み;
MU3Xは、アルカン酸のアルキル炭素の1個が、場合によりヒドロキシ基を有する少なくとも4個の炭素のアルカン酸に結合したモノメチルシロキサン残基を含み;
MUEは、MU1、MU2、MU3、MUXまたはMU3Xの単一末端モノマー単位を含み;
指示子x、y、z、aおよびbの各々は独立して、直鎖ポリマー骨格を形成する対応するモノマー単位の数を示し、x、zおよびaの各々はゼロまたは1~最大約100,000の整数であり、yおよびbはそれぞれゼロまたは1~100の整数であり;
bが整数である場合、yはゼロまたは整数であり得、bがゼロである場合、yは整数であり;
x、y、z、aおよびbの合計は、約3~最大約100万、好ましくは最大約300,000、より好ましくは最大約250,000、最も好ましくは最大約200,000の整数であり;
MU1、MU2およびMU3の複数のモノマー単位は、式I中でランダムに分配されている、またはブロックを形成し、複数のカルボン酸モノマー単位MUXおよびMU3Xは、MU1単位、MU2単位およびMU3単位の中にランダムに分配されている]
を含み;
第1の成分が直鎖または分岐、好ましくは直鎖であり;
第2の成分が、式IIの有機ポリマー、鎖内カルボジイミド基もしくは式Xを有するポリマー、ペンダント単一カルボジイミド基を有するポリマー
Z-(L-N=C=N-)
p-Z (Poly)
q-(K)
s-(Poly)
r
式II 式X
(式中、
式IIについては、pは少なくとも2の整数であり;Lは、飽和脂肪族二価基、芳香族二価基もしくはアルキル芳香族二価基、または反復オレフィン、カーボネート、エステル、エーテル、アミド、イミン、ウレタンもしくは尿素結合を有するポリマーもしくはオリゴマー二価基を含む有機第2の成分基であり;
式Xについては、各Polyは、アミド、イミン、オレフィン、カーボネート(caronate)、エステル、エーテル、ウレタンまたは尿素モノマー残基の有機ポリマーセグメントであり、好ましくは、残基は、C3~C6アルカンジアミンとC4~C10アルカンジカルボン酸もしくはC4~C10アルカンジイソシアネートに基づくアミドもしくは尿素/ウレタンモノマー残基、またはC3~C6アルカンジオールとC4~C10アルカンジカルボン酸に基づくエステルモノマー残基であり、指示子qおよびrはそれぞれ少なくとも2の整数であり;Kは、sが少なくとも2の整数である、式XIのペンダントカルボジイミド基であり、
[式中、R
20はC3~C6アルキレニル残基であり、R
21はC3~C6アルキレニル残基である]
式IIおよびXIについては、Zはポリカルボジイミドの非反応性または反応性末端基であり;複数のKはPoly骨格に沿ってランダムに分配されており;第2の成分のLまたはPolyは直鎖または分岐、好ましくは直鎖である)
を含む]
を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
着色剤がフィルム形成組成物と組み合わされる、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
着色剤が顔料および/またはコーティング顔料である、請求項1から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
適合性媒体中の前処理組成物およびフィルム形成組成物の成分が全て、使用前まで別個の容器に維持される、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
適合性媒体中の第1の成分および第2の成分それぞれの別個の量を、ケラチン繊維に適用する前に組み合わせてフィルム形成組成物を形成する、請求項1から38のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ここ20年間は、永久的であると特徴付けることができるが、脱色および染料前駆体のケラチン繊維コルテックスへの浸透を回避する外部毛髪着色技術の開発に向けた大きな努力が見られた。この技術は主に、コルテックスの関与なしに毛髪の着色を行うことを含む。毛髪着色は、顔料粒子を含有する美容的に許容されるポリマーフィルム、または顔料の代わりに着色染料を含有する多層極性誘引性フィルムでケラチン繊維の表面をコーティングすることによって達成することができる。しかしながら、非コルテックス毛髪着色には多数の困難がある。水溶性ポリマーフィルムは、シャンプーによって容易に除去されてしまう。水不溶性の多層フィルムは、より良好な残留性を有するように見えるが、これらも典型的には2~3回のシャンプー洗浄にしか耐えられない。フィルム非可撓性、フィルム不規則性、フィルム厚さ、ヘアトレス全体に色を適切に分配することができないこと、フィルム弱さ、および溶媒和によるフィルム溶解、シャンプー、有機液体および他の毛髪ドレッシング成分との極性および/またはイオン性相互作用は、ポリマーフィルムの望ましくない触覚応答および物理的変位をもたらす。これらの困難は、剥落、毛髪の破壊、人工的な外観、および不規則で望ましくない色除去につながる。
【0002】
毛髪着色技術は、これらの課題の解決において過去5年間にわたって進歩してきた。ヘアトレス上のカラーコーティングのより良好な残留性および弾性の発達が様々な技術によって達成されてきた。さらなる改善には、毛髪の少なくともある程度自然なハイライトを模倣するように設計された、様々な顔料と顔料分布を組み合わせるための技術の開発が含まれる。
【0003】
これらの種類のコーティング、好ましくは、カラーコーティングは、有機シリコーンおよびオルガノシリコーン組成物から生物学的タンパク質誘導体組成物までの範囲に及ぶ。コーティング、好ましくはカラーコーティングの混合物および層が、この点で典型的である。しかしながら、このような混合物および層の適切性および適合性、ならびにこれらの毛髪および頭皮との相互作用は依然として問題がある。これらのコーティング、特にカラーコーティングは、依然として剥落、粗さ、剛性、不規則フィルム、可撓性の欠如、粗い肌理、触感、および残留性の欠如を示す。内部コーティング接続は、剛性、剥落、厚い肌理/手触りを示す、ならびにコーティングを除去および/または別のコーティングで置換しようとする際に極めて困難を示すコーティング、特にカラーコーティングにつながるおそれがある。適用するための組成物の急速な硬化および流動性の欠如は、連続的コーティング形成の代わりにむらのある被覆をもたらすおそれがある。
【0004】
このようなコーティング、特にカラーコーティングが毛髪などのケラチン繊維と組み合わされると、アナジェニック(anagenic)毛髪の固有の特性のために、長期残留性を伴う審美的に満足のいく着色を現在達成することが不可能であることが判明している。これまで、毛髪着色などのケラチン繊維着色を開発する実験は、ヘアトレスまたは見本の使用に焦点を当ててきた。これらのトレスは天然の毛髪から形成されているが、供給源(人)から切り離されており、通常は実験目的で使いやすくするために前処理されている。このようなトレスは、アナジェニック毛髪、すなわち、人の頭皮から成長している毛髪に固有の課題および問題の実験および開発を可能にしない。アナジェニック毛髪は、アナジェニック毛髪の毛根、中央および先端の色の違い、生えている毛髪の根元部分、中央部分および末端部分の間のケラチン構造の違い、ならびに各アナジェニック毛髪の根元から末端部分まで延びる連続的な皮脂分泌物のために、ヘアトレスとは異なる。人と人の間の個々の化学組成の違いには、皮脂組成成分、アナジェニック毛髪寸法、毛表面の個別化された地形特性、および脂肪酸またはF層の違いが含まれる。頭皮上のアナジェニック毛髪の異なる領域のカールおよび色のバリエーションならびに頭皮の皮膚の問題を含む、人と人の間の三次毛髪特性も異なる。ヘアトレスと比較したアナジェニック毛髪のさらなる違いとしては、それだけに限らないが、アナジェニック毛髪の清潔さの欠如、それだけに限らないがヘアスタイリング配合物を含む既存のヘアトリートメントの存在、永久酸化染料の適用、永久ウェーブおよび/またはカール処理、オイルおよび平滑化組成物の適用、ならびにアナジェニック毛髪に典型的に適用されるコンディショニングトリートメントが挙げられる。さらに他の困難は、規制要件、ならびに日光、UV、風、雨および空気中の化学物質、水中およびヘアケアおよび染毛剤組成物中の分解性化学物質、ならびに汗および皮脂による組織損傷および/または環境攻撃を回避する必要性を伴う。
【0005】
しかしながら、アナジェニック毛髪の際立った特性を認識しても、柔らかさ、低いケラチン損傷、ならびに毒性および/または刺激性化学物質を含まないことと合わせた長時間持続する残留性は、達成困難な目標であった。これらのカラーコーティングは、毒性、高い皮膚刺激性、および成分の規制による禁止は言うまでもなく、堅い毛髪、毛髪凝集、ふんわり感の望ましくない欠如、および不規則な着色をもたらし続ける。
【0006】
これらの問題を解決する真に成功した毛髪コーティングおよび着色技術の達成は、酸化永久染料技術に典型的に関連する毛髪損傷を同時に回避しながら、柔らかさ、ふんわり感、ならびに未処理アナジェニック毛髪の手触りおよび外観を示すアナジェニック毛髪の長時間持続性毛髪カラーの開発に焦点を当てている。顔料を用いた現在の毛髪コーティングは出発点を提供するが、これらの固有の問題および課題のために、この技術をアナジェニック毛髪につなげるには至っていない。この技術は、トレスからアナジェニック毛髪に移行した場合に、残留性、自然な色の模倣およびアナジェニック毛髪の品質の近似に関して成功を実証することができなかった。特に、この技術のシグナル目標は、アナジェニック毛髪への重大な損傷のない、永久酸化染料技術によって達成されるようなヘアカラーの開発であり続けている。
【発明の概要】
【0007】
これらのおよび他の困難は、本発明の態様によって対処される。本発明は、毛髪修復技術および毛髪スタイリング技術を含む毛髪コーティング技術の開発、好ましくは表面コーティングに向けた毛髪着色技術、好ましくはそれだけに限らないが、ヘアトレス、アナジェニック毛髪を模倣するように設計されたヘアトレス、アナジェニック毛髪、眉毛およびまつ毛、より好ましくは人の頭皮上のアナジェニック毛髪などのケラチン繊維のコーティング着色の開発を可能にする方法の設計および適用を通して、これらの目的を満たす。本発明の方法の設計および適用は、それだけに限らないが、前処理組成物およびフィルム形成組成物によって提供されるコーティング、好ましくはカラーコーティングの化学的および/または物理的に相互作用的な受け入れのためのケラチン繊維表面を調製するための活性化プロセスの開始を含むいくつかの実施形態を特徴とする。さらなる実施形態は、方法の各々の成分の調整、ならびに方法のためのパラメータ、条件および添加剤の制御を対象とする。これらの複数の設計特徴は、ケラチン繊維の活性化および活性化された修飾ケラチン繊維、好ましくはアナジェニック毛髪上へのドレッシングされる組成物の適用のための迅速な方法を可能にする。
【0008】
これらの複数の設計特徴は、ゆっくりしたドレッシングを可能にするが、所望であれば迅速なコーティング形成を可能にするプロセシングパラメータ下で連続的コーティング形成の達成を可能にする。これらの複数の設計特徴は、堅牢な残留性、長い耐摩耗性、心地よい肌理の品質、均一な色分布および/または多様な色分布、ならびにコーティングおよびカラーコーティング除去のトリガーの確立を可能にする。
【0009】
これらの複数の設計特徴はまた、アナジェニック毛髪に関連付けられ得る「下流の問題」の解決を可能にする。このような下流の問題としては、それだけに限らないが、コーティング、顔料および毛髪表面の間の強力であるが、柔軟性のある相互接続の発達、このようなコーティング相互接続に対する皮脂およびF層の効果、コーティング、好ましくはカラーコーティングとケラチン繊維表面との間の相互作用に影響を及ぼす根元特異性、ならびにアナジェニック毛髪の、垢、汚れ、汚損の不完全または非効果的な除去の効果が挙げられる。加えて、カラーコーティングの複数の設計特徴は、アナジェニック毛髪が、それだけに限らないが、紫外線、シャンプー、ブラッシング、コーミング、すすぎ、雨、風、スカーフおよび帽子による被覆、タオルおよびヘアドライヤーでの摩擦および乾燥、ヘアコンディショナー、スタイリングヘアスプレー、ホットアイロンカーリング、ならびに他の環境およびヘアケア因子を含む環境因子によって攻撃されるため、アナジェニック毛髪の色の色配置、分布、および維持に役立つ。同時に、本発明によるこれらの複数の設計特徴は、未処理アナジェニック毛髪と少なくともほぼ同様の触覚、視覚、および音感覚を提供する。
【0010】
本発明の態様は、それだけに限らないが、ケラチン繊維、好ましくアナジェニック毛髪のコーティング、好ましくはカラーコーティングを得る方法の実施形態、ならびにカラー組成物およびその成分の実施形態を含む。これらの態様は、さらに、ケラチン繊維上に毛髪着色のための上記特徴をもたらすコーティング、好ましくはカラーコーティングの品質を含む。
【0011】
これらの方法の実施形態は、活性化工程、前処理工程、およびバインダー工程を対象とする。活性化工程は、ケラチン繊維をPraeparatur手順およびFundamenta手順のいずれかまたは両方と接触させて、修飾ケラチン繊維を形成することを含む。Praeparatur手順は、少なくともケラチン繊維の洗浄を含む。Fundamenta手順は、少なくともケラチン繊維の表面およびおそらく表面下のケラチンタンパク質および/または結合脂質の化学的破壊を含む。前処理工程は、活性化工程と同時にまたは順次に実施され、前処理組成物をケラチン繊維に適用することを含む。前処理組成物は、PTHオルガノ-アルコキシシランおよび/もしくはPTHオルガノマルチジメチルシロキサニルアルコキシシランならびに/またはそれらのジスルフィドおよびテトラスルフィドなどの実施形態を含む少なくともPTHアルコキシシラン化合物を含み、PTHは、チオール(-SHまたはメルカプタン)、保護チオール、ヒドロキシル、およびチオールと反応することができる相補基などの官能基を表す記号である。バインダー工程は、フィルム形成組成物を前処理組成物でプレコーティングされた修飾ケラチン繊維に適用することを含む。フィルム形成組成物は、バインダー官能基を有する有機シリコーンまたはオルガノシリコーンバインダーを含む。バインダーは、単一バインダー官能基を有するユニタリー有機シリコーンまたはオルガノシリコーンポリマーであり得る。あるいは、バインダーは、異なるバインダー官能基を有する第1および第2の有機シリコーンまたはオルガノシリコーンポリマーを含むデュアルポリマーバインダーであり得る。バインダーがユニタリーである場合、それは、自己反応性であり得る、または前処理組成物の成分と相互作用性であり得る単一バインダー官能基を有する。バインダーがデュアルポリマーバインダーである場合、それは構造が異なる第1のポリマー成分および第2のポリマー成分を含み、それらの異なるバインダー官能基は、少なくともa)アルケノイルオキシとアミン、b)アルケノイルオキシとチオール、およびc)カルボキシルとカルボジイミドを含む相補対を含む。
【0012】
ケラチン繊維、特にアナジェニック毛髪上のコーティング、好ましくはカラーコーティングの達成を対象とする本発明の第1の態様は、ケラチン繊維の表面および任意の表面下の活性化のための実施形態に関する。これらの実施形態は、Praeparatur手順およびFundamenta手順の実施を通して達成される。Praeparatur手順は、ケラチン繊維表面を深部洗浄し、Fundamenta手順は、ケラチン繊維の表面およびおそらくは表面下のケラチンタンパク質および/または結合脂質を破壊する、改変する、および/または化学的に変化させて、それだけに限らないが、化学的に修飾されたケラチン繊維を含む修飾ケラチン繊維を生成する。
【0013】
Praeparatur技術の実施形態は、それだけに限らないが、水性界面活性剤組成物を用いた軽度の攪拌から、アニオン性界面活性剤を含有する水性媒体もしくは水性有機媒体との強力な相互作用、および/または有機溶媒洗浄および/または場合によりpH調整を有する水性媒体による任意のすすぎを含む。追加の手順は、このような水性媒体を用いた任意の機械的攪拌、ならびにケラチン繊維の表面のコーミング、ブラッシング、振動、超音波および同様の摩擦および/またはスクラビングを含む。
【0014】
Fundamenta法の実施形態は、それだけに限らないが、過硫酸塩、オゾンもしくは過酸化物、例えば過酸化ベンゾイルもしくは過酸化水素などの酸性もしくは塩基性酸化剤による化学的再構築、還元剤による還元化学的再構築、非熱平衡プラズマ処理による再構築、または脂肪-アルキルトリメチルアンモニウムハライドなどの相間移動テンシド(tenside)による化学的再構築のうちの1つまたは複数を含む、毛髪表面のF層除去、再構築および破壊を伴う。
【0015】
活性化工程は、少なくとも上記のPTH-アルコキシシラン化合物を含む前処理組成物とケラチン繊維表面および任意の表面下の相互作用のための段階を設定する。PraeparaturおよびFundamentaの活性化技術は、PTHアルコキシシラン化合物による前処理工程の実施前に実施され得る、または前処理組成物の適用と組み合わされ得る。
【0016】
したがって、本発明の第2の態様は、前処理工程の実施形態に関する。前処理工程は、前処理組成物を修飾ケラチン繊維に添加することを含む。前処理組成物の実施形態は、PTHオルガノ-アルコキシシランおよび/またはPTHオルガノマルチジメチルシロキサニルアルコキシシランのうちの1つまたは複数を含む少なくともPTHアルコキシシラン化合物を含む。これらの2つのPTHアルコキシシラン化合物の各々が、少なくとも1つのPTH基、および少なくとも1つのアルコキシシラン基を有する。PTH基は、チオールまたは保護チオールまたはチオール相補的反応性基であり得る。より具体的には、PTH基は、R3S-[式中、R3は水素または硫黄保護基を含む]を含む。加えて、PTH基は、OHC-、H2C=CR10-CO2-およびHO-[式中、R10は水素またはC1~C6、好ましくはC1アルキルであり得る]などのチオール反応性基であり得る。SHとしてのPTHを有するPTHアルコキシシラン化合物はまた、チオール基のマルチスルフィド形態(例えば、ジスルフィドおよびテトラスルフィド)として構成され得る。好ましくは、前処理組成物は、少なくともチオールとしてのPTHを有するPTHオルガノアルコキシシランおよび/またはチオールとしてのPTHを有するPTHオルガノマルチジメチルシロキサニルアルコキシシランを含み、より好ましくは、前処理組成物は、少なくともチオールオルガノ-アルコキシシランを含む。
【0017】
前処理組成物の実施形態はまた、加えて、アミノオルガノ-アルコキシシランおよび/または1つもしくは複数のPTH基を有するオルガノPTH化合物を含み得る。
【0018】
本発明の第3の態様は、バインダー工程の実施形態を対象とする。バインダー工程は、フィルム形成組成物の実施形態の適用を含む。フィルム形成組成物は、バインダー官能基を有するバインダーポリマーの4つの実施形態のうちのいずれか1つを含む。これらの実施形態のうちの2つでは、バインダーポリマーが、単一バインダー官能基を有するユニタリー有機シリコーンまたはオルガノシリコーン成分であり得る。他の2つの実施形態では、バインダーポリマーが、第1の有機シリコーンまたはオルガノシリコーン成分および第2の有機シリコーンまたはオルガノシリコーン成分であり得、第1の成分および第2の成分が相補的バインダー官能基を有する。
【0019】
フィルム形成組成物の第1の実施形態では、バインダーポリマーがユニタリーであり、2つ以上のペンダントおよび/または末端アルコキシシラン基、好ましくは少なくとも末端アルコキシシラン基を有するin situ自己架橋可能な有機ポリマーバインダーを含み得る。
【0020】
フィルム形成組成物の第2の実施形態では、バインダーポリマーがユニタリーであり、オレフィンカルボキシレートエステル単位、オレフィンカルボキサミド単位、炭素-水素オレフィン単位、エステルモノマー単位、アミドモノマー単位、ウレタンモノマー単位、尿素モノマー単位およびこれらの任意の組み合わせから選択される1つまたは複数のモノマー単位の有機ポリマーを含み得る。この第2の実施形態では、有機ポリマーが、カルボン酸基を含む少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのペンダントおよび/または末端バインダー官能性モノ基(monogroup)をさらに含む。場合により、有機ポリマーはまた、ペンダントオルガノアルコキシシラン基によって置換されていてもよい。この第2の実施形態について、前処理組成物はまた、PTHアルコキシシラン化合物に加えて、アミノオルガノアルコキシシランを含んでもよい。アミノオルガノアルコキシシランは、アミノ基を縮合した前処理層にもたらす。これらのアミノ基は、このフィルム形成組成物のカルボキシル基との静電相互作用を可能にすると考えられている。
【0021】
フィルム形成組成物の第3の実施形態では、バインダーポリマーがデュアルバインダーであり、異なる第1のポリマー成分および第2のポリマー成分を含む。第1の成分は、少なくとも1つのペンダントおよび/または末端の第1のバインダー官能基を有する有機ケイ素またはオガノケイ素(oganosilicon)ポリマーを含み得る。この第3の実施形態の第2の成分は、少なくとも1つのペンダントおよび/または末端の第2のバインダー官能基を有する低分子、プレポリマーまたはポリマーを含み得る。この第3の実施形態の第1のバインダー官能基および第2のバインダー官能基は、それぞれ、マイケル付加基としても知られる、アルケノイルオキシ基とアミンおよび/またはアルケノイルオキシ基とチオールの相補対を含む。限定ではないが、PTHアルコキシシラン化合物のチオールおよびヒドロキシル基、ならびに前処理組成物のアミノオルガノアルコキシシランの任意のアミン基もまた、フィルム形成組成物の第1の成分のアルケノイルオキシ基と相互作用すると考えられる。
【0022】
フィルム形成組成物の第4の実施形態では、バインダーポリマーがデュアルバインダーであり、異なる第1の成分および第2の成分を含む。第1の成分は、少なくとも1つのペンダントおよび/または末端の第1のバインダー官能基を有する有機ケイ素またはオルガノシリコーン(oganosilicone)ポリマーを含み得る。この第4の実施形態の第2の成分は、少なくとも1つのペンダントおよび/または末端の第2のバインダー官能基を有する低分子、プレポリマーまたはポリマーを含み得る。この第4の実施形態の第1のバインダー官能基および第2のバインダー官能基は、それぞれ、カルボン酸基とカルボジイミド基の相補対を含む。限定ではないが、PTHアルコキシシラン化合物のチオールまたはヒドロキシル基、および前処理組成物のアミノオルガノアルコキシシランの任意のアミン基もまた、カルボジイミドおよび/またはカルボン酸とカルボジイミドから形成される中間体と相互作用すると考えられる。
【0023】
さらに、フィルム形成組成物の第2、第3および第4の実施形態の好ましいバージョンでは、ならびに一般的に第1の実施形態について、ユニタリーポリマー(第2の実施形態)として、または第1および第2の成分(第3および第4の実施形態)としてのバインダーポリマーが、場合により、好ましくは、アルコキシシリル基ならびにバインダー官能基を含んでもよい。第1の実施形態は、一次バインダー官能基としてアルコキシシリル基を既に含んでいる。フィルム形成組成物のこれらの実施形態のアルコキシシリル基は、これらのフィルム形成組成物のポリマーと前処理組成物のアルコキシシリル基の補足的相互接続を可能にする。補足的相互接続は、第1の実施形態のケイ素-酸素-ケイ素接続、第2の実施形態のカルボキシ-アミン静電相互作用、第3の実施形態のマイケル付加接続、および第4の実施形態のカルボジイミド-カルボキシル接続に加わる。
【0024】
したがって、前処理組成物のPTHアルコキシシラン化合物の機能の追加の態様は、フィルム形成組成物との相互作用である。フィルム形成組成物はまた、好ましくは、アルコキシシリル基を有する。一緒に、これらのアルコキシシリル基は加水分解し、相互作用して、ケイ素-酸素-シリコーン結合を形成する。これらの結合は、コーティング、好ましくはカラーコーティングとして、前処理組成物とフィルム形成組成物を結びつける。
【0025】
前処理組成物の修飾ケラチン繊維への適用と合わせた、修飾ケラチン繊維を生成するためのケラチン繊維に対するPraeparaturおよび/またはFundamenta手順の作用は、アナジェニック毛髪表面および任意の表面下のPTHアルコキシシラン化合物とケラチンタンパク質の化学的相互作用をもたらすと考えられている。Fundamenta手順は、化学的相互作用を通して、ケラチン繊維表面および任意の表面下に、それだけに限らないが、チオール/メルカプト基、酸化硫黄基、カルボキシル基およびヒドロキシル基のうちの1つまたは複数を有するタンパク質分子などの修飾タンパク質部分を生成するように機能すると考えられる。化学的観点から、前処理組成物のPTHアルコキシシラン化合物は、これらの修飾ケラチンタンパク質基と反応して、ジスルフィド基、チオエステル基、α,β不飽和カルボキシル基へのチオールの付加から生じるβ-チオエチルカルボキシル付加物、ならびに部分的に酸化された硫黄基へのヒドロキシルの付加から生じるスルホニルおよび硫酸エステル基、特にジスルフィド付加物のような付加物を形成するように適合される。この相互作用は、PTHアルコキシシラン化合物および得られる自己縮合PTHアルコキシシランオリゴマーをケラチン繊維の表面および可能な表面下に固定するための基礎であると考えられる。加えて、PTHアルコキシシラン化合物のチオールおよびジスルフィドバージョン自体も、ケラチンタンパク質のジ-システインジスルフィド基に対する還元剤/組換え剤として機能して、ケラチン表面および表面下のシステイン基とジスルフィド結合を形成することができる。
【0026】
Praeparatur/Fundamenta技術と前処理工程の順次または同時の実施の結果は、ケラチン繊維の深部洗浄され、化学的に修飾された地形表面に密接に接着する前処理シリコーンポリマーネットワークを形成する。このコーティング法、好ましくはこの着色法の最終段階は、バインダー工程に従って実施されたフィルム形成組成物の導入によって設定される。修飾ケラチン繊維上での前処理組成物のプレコーティングの形成後、フィルム形成組成物を適用して、修飾ケラチン繊維上で前処理組成物とフィルム形成組成物の組み合わせを形成する。この組み合わせ組成物は、その成分の未硬化の組み合わせである。組み合わせ組成物を硬化させて、修飾ケラチン繊維上にコーティング、好ましくはカラーコーティングを提供することができる。前処理ネットワークの分子とフィルム形成組成物から形成されたネットワークの分子との間の接着および化学的相互作用は、アナジェニック毛髪上に高度残留性コーティング、好ましくは高度残留性カラーコーティングを生成する。
【0027】
フィルム形成組成物および前処理組成物の実施形態を、本発明の方法に従って別々にまたは一緒にケラチン繊維に適用し、硬化(例えば、相互結合)させて、アナジェニック毛髪の表面などのケラチン繊維と相互接続された、相互接続、重複、および/または相互混合複合フィルムのコーティング、好ましくはカラーコーティングを生成することができる。ケラチン繊維上、好ましくはアナジェニック毛髪上のコーティング、好ましくは、着色コーティングは、それだけに限らないが、残留性、耐洗浄性、環境攻撃に対する耐性を含む望ましい特性を示す。ケラチン繊維、好ましくはアナジェニック毛髪の場合、コーティング、好ましくは着色コーティングが、コーティングケラチン繊維の自由な動きを可能にするエラストマー可撓性、非コーティング毛髪と同様の心地よい肌理特性、剥落および切断に抵抗する引張強度、ならびにカラーコーティングの場合、ケラチン繊維の根元、中央および先端に適した色合いの色模倣をもたらす。
【0028】
本発明の実施形態の方法によると、前処理組成物の実施形態は、Fundamenta手順、特に酸性酸化プロセス、還元プロセス、または還元プロセス、引き続いて酸性酸化プロセスの組み合わせと同時に、および/またはこれに続いて順次にケラチン繊維に適用される。一部の例では、前処理組成物を、フィルム形成組成物の適用前に、少なくとも部分的に適用および処理して、そのアルコキシシリル基の一部の縮合硬化を促進することができる。他の例では、前処理組成物を適用し、その後直ちにフィルム形成組成物を適用し、引き続いて処理して、フィルム形成組成物のバインダー官能基および任意のアルコキシルシリル基を、前処理組成物のPTH基およびアルコキシシリル基と共に硬化させることができる。さらに他の例では、前処理組成物とフィルム形成組成物を一緒に組み合わせて、混合物としてケラチン繊維に適用することができる。フィルム形成組成物での触媒の使用は、それらが中間体硬化と別々に適用されるか、順番に迅速に適用されるか、または混合物として事前に組み合わせて適用されるかにかかわらず、前処理組成物とフィルム形成組成物の有利な縮合速度を提供し得る。本発明の限定ではないが、添加の順序にかかわらず、前処理組成物は、ケラチン繊維の表面でのケラチンタンパク質の特徴との相互作用を可能にするように、ケラチン繊維表面に優先的に分布すると考えられる。
【0029】
本発明のコーティング、好ましくは、カラーコーティング実施形態(硬化コーティング)の態様は、少なくとも部分的に、フィルム形成組成物および前処理組成物を含む組成物、好ましくはカラー組成物成分と修飾ケラチン繊維の相互化学的相互作用特徴を通して形成されたコーティング、好ましくはカラーコーティングの三次元ネットワークを含む。修飾ケラチン繊維とPTHアルコキシシランの化学的相互作用により、ジスルフィド結合および他のもつれが形成されることにより、ケラチン繊維表面との密接なネットワーク相互作用が可能になり、フィルム形成組成物の成分とのネットワーク相互作用が可能になると考えられる。この方法の実証された結果は、アナジェニック毛髪の最初の残留皮脂コーティングおよびその後のアナジェニック毛髪への皮脂分泌が、アナジェニック毛髪表面からコーティング、好ましくはカラーコーティングを少なくとも部分的に除去しないことを示す実験である。換言すれば、本発明の方法の実施から生じるコーティング/カラーコーティングの残留性は、本発明の方法の工程に従って生成されないコーティング/カラーコーティングの残留性よりも、毛根部分に延びる毛髪のその被覆において長く持続する。これらの結果は、ケラチン繊維表面と前処理組成物およびフィルム形成組成物の硬化コーティングによる、およびこれらの間の結合および結合相互作用を実証する。
【0030】
ケラチン繊維上にコーティング、好ましくはカラーコーティングを形成するためのパラメータ、条件および技術を伴う本発明の方法は、活性化工程および前処理工程をバインダー工程と共に組み合わせて、コーティング、好ましくはカラーコーティングを形成することを対象とする。これらの方法の態様は、前処理組成物のPTHアルコキシシランの適用と同時のまたは順次の、Praeparaturおよび/またはFundamenta手順のケラチン繊維、好ましくはアナジェニック毛髪への適用を必要とする。本発明の方法は、フィルム形成組成物の適用の前の、これと同時の、またはこれと混合した、またはこれと組み合わせた、前処理組成物の修飾ケラチン繊維、好ましくは修飾アナジェニック毛髪への適用のためのパラメータ、条件および技術をさらに伴う。
【0031】
本発明によると、ケラチン繊維、好ましくはアナジェニック毛髪上のコーティング、好ましくはカラーコーティングの望ましい特性は、非脱色天然白色人毛から調製されたヘアトレス(以下、未処理ヘアトレス)、脱色天然白色人毛から調製されたヘアトレス(以下、処理ヘアトレス)、およびアナジェニック毛髪を模倣するように合成皮脂で特別に調製された未処理ヘアトレス(以下、模倣ヘアトレス)での着色の試験によって実証され得る。模倣ヘアトレス上でのコーティング、好ましくはカラーコーティングの形成後、コーティング模倣ヘアトレスを合成皮脂で再コーティングし、シャンプーして、ヒト頭皮のアナジェニック毛髪での皮脂分泌プロセスを密接に表す。皮脂再コーティングおよびシャンプーを何度も繰り返して残留性を評価する。さらに、本発明の方法に従って調製されたケラチン繊維の損傷状態を評価することができる。これらの試験の結果は、本発明の実施形態が実施された場合の、有意な残留性および退色の欠如、ならびに最小限の損傷を実証する。
【0032】
実験的実施の効率のために、上記模倣ヘアトレスは、アナジェニック毛髪、特にアナジェニック毛髪の根元セグメントの挙動に可能な限り近づくように開発されている。模倣ヘアトレスの使用を通して、驚くべきことに、Praeparatur手順およびFundamenta手順ならびにフィルム形成組成物と合わせたPTHアルコキシシラン化合物前処理ネットワークは、模倣毛髪上のコーティング、好ましくはカラーコーティングの残留性を維持するが、Praeparatur技術および/またはFundamenta技術ならびにPTHアルコキシシラン前処理組成物を適用せずに調製された模倣毛髪上のコーティング、好ましくは、カラーコーティングは、実際の生活条件で残留性を調べるように設計された複数回の皮脂-シャンプー適用中に有意~ほぼ完全な退色を示すことが発見された。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】A-Bは、表11の3つの異なる実験プロセスS4~S6によって調製されたカラーコーティングのバージョンを示す図である。サロンモデルの毛髪を、カラーコーティング処理後、数日間にわたって15回洗浄した。
図1Aは、3つの異なる処理S4、S5、およびS6によるサロンモデルの毛髪着色のカラー写真である。S4、S5およびS6の間の残留性の違いは、毛根までの着色の程度によって示される。S6の着色は根元に最も近いところに伸び、S5およびS4の着色は根元からさらに離れている。アナジェニック毛髪および頭皮生理活性のため、毛根の色残留性は先端よりも達成するのが困難である。
図1Bは、
図1Aのカラー写真のグレースケール(白黒)写真である。白黒写真は、
図1Aのカラー写真によって示されるS4、S5およびS6処理の違いを示していない。
【
図2】
図2Aは、
図1Aのサロンモデルの毛髪の波長測定(Wlm)写真を示す図である。この測定は、毛髪に現れる赤色の程度を示す。Wlm写真はグレースケール写真であるが、
図1Aによって示されるS4、S5およびS6処理の違いを示す。
図2Bは、
図2Aと同じWlm写真であるが、毛髪の根元領域における赤色着色の程度を示すようにマークされている図である。
【
図3】A-Bは、15回の洗浄サイクル後の同じサロンモデルの毛髪の反対側を示す図である。この他方の毛髪側は、表11の3つの異なる実験プロセスS1~S3で調製した。
図3Aは、3つの異なるプロセスの結果を示すカラー写真である。毛根まで伸びる赤色の違いがはっきりと見える。
図3Bは、
図3Aの着色された毛髪のグレースケール写真を示す。
図3Aの色の違いは示されていない。
【
図4】A-Bは、
図3Aの毛髪のWlm写真を表す図である。
図4Aは、マークされていない色の伸びの違いを示す。
図4Bは、マークされた着色の限界を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
定義
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0035】
本明細書および添付の記述で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0036】
本出願の文脈における「~し得る(may)」という用語は、「~が許可される」または「~が可能である」を意味し、「~できる(can)」という用語の同義語である。「~し得る」という用語は、本明細書で使用される場合、可能性を意味するものでも機会を意味するものでもない。
【0037】
本出願の文脈における「および/または」という用語は、一方もしくは他方または両方を意味する。例えば、Aおよび/またはBの水溶液は、Aのみの水溶液、Bのみの水溶液、およびAとBの組み合わせの水溶液を意味する。
【0038】
本発明に従って使用されるポリマーまたはオリゴマーの分子量は、重量平均分子量によって測定され得、本発明に従って使用されるポリマーの異なる分子量の分子の分布は、その多分散度によって決定される。分子量は、ダルトン(Da)、キロダルトン(KDa)およびメガダルトン(100万ダルトンまたは(MDa)である)として表される。頭字語Mwは重量平均分子量を表し、Mnは所与のポリマーの数平均分子量である。多分散度は、単位のない数であり、ポリマー分子量の分布の幅を示し、Mw/Mnとして定義される。
【0039】
「約」という用語は、列挙される数、複数の数または数の範囲の±10パーセントを意味すると理解される。
【0040】
「約0重量%」という用語は、百万分の1基準で検出性を決定することができると仮定して、ゼロ(0)が言及する物質、化合物または材料が、無視できるが検出可能な量まで存在しないことを意味すると理解される。
【0041】
本発明の特徴または態様がマーカッシュ群に関して記載されている場合、当業者であれば、本発明がそれによってマーカッシュ群のあらゆる個々のメンバーまたはメンバーのサブグループに関しても記載されていることを認識するであろう。例えば、Xがメチル、エチルまたはプロピルからなる群から選択されるとして記載されている場合、Xがメチルであるという主張、およびXがエチルであるという主張、およびXがプロピルであるという主張が完全に記載されている。さらに、本発明の特徴または態様がマーカッシュ群に関して記載されている場合、当業者であれば、本発明がそれによってマーカッシュ群の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループのあらゆる組み合わせに関しても記載されていることを認識するであろう。したがって、例えば、Xが臭素、塩素、およびヨウ素からなる群から選択されるとして記載されており、Yがメチル、エチル、およびプロピルからなる群から選択されるとして記載されている場合、Xが臭素であり、Yがメチルであるという主張が完全に記載されている。
【0042】
必ず整数である変数の値、例えば、アルキル基中の炭素原子の数または環上の置換基の数が、範囲、例えば、0~4として記載されている場合、その値が、0~4(両端を含む)の間のあらゆる整数、すなわち、0、1、2、3、または4であり得ることを意味する。同様に、範囲形式で表される値は、範囲の限界として明示的に列挙された数値を含むだけでなく、あたかも各数値および部分範囲が明示的に列挙されているかのように、その範囲内に包含される全ての個々の数値または部分範囲も含むように柔軟に解釈されるべきである。例えば、「約0.1%~約5%」の範囲は、約0.1%~約5%だけでなく、指示される範囲内の個々の値(例えば、1%、2%、3%、および4%)および部分範囲(例えば、0.1%~0.5%、1.1%~2.2%、3.3%~4.4%)も含むと解釈されるべきである。
【0043】
ケラチン繊維は、毛髪、眉毛、およびまつ毛を含む、ケラチンタンパク質を含有するあらゆる天然材料を意味する。天然ケラチン繊維としては、それだけに限らないが、ウシ、ヒツジ、シカ、ヤギ、スイギュウ、ラマ、アルパカ、ラクダ、グアナコ、ビクーニャ、ウマ、アンテロープ、ヘラジカ、エルク、ラット、マウス、ビーバー、ウサギ、ミンク、サル、類人猿および同様の種を含む、ヒト、霊長類、反芻動物、ラクダ科の動物、ウマ科の動物、げっ歯類およびミンク属(Neovison)を含む哺乳動物由来のおよび/または哺乳動物上のものが挙げられる。天然ケラチン材料には、毛髪および毛皮が含まれ得る。ケラチン繊維には、頭髪、眉毛、およびまつ毛が含まれる。ケラチン繊維は、生きている人の頭皮からカットされた毛髪などのそれらの供給源から取り出され得る、または皮脂で処理されるとアナジェニック毛髪を模倣し得る。本明細書で使用される場合、ケラチン繊維は、カットされた毛髪およびアナジェニック毛髪を含む。実験目的のために、ケラチン繊維はトレスに形成される。トレスは、ケラチン繊維、例えば、毛髪の乱れたものであり、一方の端でクランプに保持され、他方の端で自由である。平均的な人の頭の毛髪の重さは約100gである。トレスは、約1グラムの毛髪、または人の頭の上の毛髪の重量の約1/100で形成される。毛髪に適用するための典型的な市販のヘア製品は、約100~200gの重さがあり、これは、人の毛髪1グラムあたり約1gの製品に換算される。この関係は、毛髪のトレスに適用される実験製品の量、重さ約1gのトレスあたり1gの実験製品を確立する。
【0044】
本明細書で使用される場合、「アナジェニック毛髪」は、成長期、退行期または休止期状態のいずれかにある毛包と直接接続している毛髪を意味する。アナジェニック毛髪は、ヒトの頭皮上にこれらの状態のうちの1つで存在する。アナジェニック毛髪の毛包は、毛幹のキューティクルに耐水性コーティングを形成する長鎖脂肪酸、いわゆるF層を生成する。毛包チャネルを結合するのは、毛幹および頭皮に皮脂を分泌する皮脂線である。毛髪が毛包から成長し、頭皮から伸びると、毛包で生成された皮脂が毛包から広がり、毛髪をコーティングし続ける。皮脂は、シャンプーによって少なくとも部分的に毛髪末端から除去されるが、この継続的な産生によって補充される。生きている人からカットされた毛髪は、もはやアナジェニック毛髪ではない。
【0045】
本明細書で使用される場合、「共有結合、配位、静電、イオン、双極子およびもつれまたは絡み合い相互作用」という用語は、2個の原子または2つの原子群間の化学的関係を意味する。相互作用は、エタンの2個の炭素間の共有結合などの原子間の共有結合を含む。相互作用は、硫酸アニオン(SO4
-2)の酸素と硫黄との間、または亜鉛とEDTAの複合体間の配位結合など、2個以上の原子間の配位結合を含む。相互作用は、塩のナトリウムと塩化物との間、または酢酸アンモニウムのアンモニウムと酢酸との間の相互作用など、2個の荷電原子または粒子の間の静電相互作用またはイオン相互作用を含む。双極子相互作用は、水とメチルアルコールのヒドロキシルとの間の相互作用などの水素結合を含む。相互作用は、ポリエチレンの分子に存在するような、親油性相互作用または機械的/物理的なねじれであるもつれまたは絡み合いを含む。
【0046】
本明細書で使用される接着性は、一般に、表面の不規則な地形特徴の周りの分子鎖ラッピングによって分子レベルで示され得るように、少なくともエントロピー、分子もつれ、機械的相互作用の結果として、共有結合、水素結合、配位相互作用、静電相互作用、双極子相互作用、小力相互作用、分散力などの力を通して、ポリマー、オリゴマーまたは低分子から形成された物質が、別のポリマー、オリゴマー、低分子、ケラチンタンパク質などの別の材料との接続態様を示す配置を指す。この文脈における接着性は、必ずしもそうである必要はないが、接着された材料をいかなる力も及ぼすことなく物質から除去することができないことによって示され得る。
【0047】
本明細書で使用されるもつれは、一般に、鎖が任意の平面を3回横切る配置を指す。その場合、鎖はもつれている。鎖が短く、2回しか横切らない場合は、中央に引っ張ることができ、両端が拘束されずに解放される。3回の交差では、鎖がある点で引っ張られると、異なる場所で別のポリマー鎖を捕捉する。
【0048】
本明細書で使用される場合、「転写抵抗」または摩擦落ち抵抗という用語は、一般に、例えば、衣類または皮膚などの別の材料との接触によって容易に除去されない着色コーティングによって示される品質を指す。転写抵抗は、このような転写を評価するための当技術分野で公知のあらゆる方法によって評価することができる。例えば、着色コーティングの転写抵抗は、着色コーティングを毛髪に適用した後、一定時間が経過した後に着用者から任意の他の基質に転写される量によって評価することができる。その後、基質に転写された着色コーティングの量を評価し、比較することができる。例えば、着色コーティングは、大部分が着用者の毛髪に残っている場合、転写抵抗性であり得る。好ましくは、着色コーティングが毛髪から基質にほとんどまたは全く転写されない。
【0049】
本明細書で使用される場合、「適用時の修飾ケラチン繊維」は、一般的に、繊維の少なくとも表面のケラチンタンパク質が改変された状態を有することを意味する。改変された状態には、ケラチンタンパク質に対するシステインジスルフィド切断、アミド基切断、エステル基切断、スルホン生成、エステル形成、チオエステル形成、およびの同様の化学変化のうちの1つまたは複数が含まれる。修飾ケラチン繊維の状態は、例えば、後に記載される酸化損傷についてATR FT-IRを使用して、または例えば、Dia-Stron(商標)によって設計および販売されている装置などの装置を使用して繊維強度を評価するための当業者に公知の引張試験方法を通して評価することができる。
【0050】
本明細書で使用される場合、「変換」という用語は、それだけに限らないが、フィルム形成組成物のバインダーおよびリンカーなどの組成物の成分の共有結合的に共反応性の対を一緒に化学的に反応させて、例えば、コーティングまたはフィルムとして機能する鎖延長および/または架橋ポリマーなどの反応形態を生成することを意味する。変換は、反応性基または共反応性成分の対の共有結合を引き起こすように設計された活動を適用することによって達成される。変換を可能にする活動としては、それだけに限らないが、共反応性成分を一緒に硬化/反応させ、共反応成分をさらなる介入も、触媒の添加も、組成物のpHを変化させることもなく標準条件で組み合わせるまたは混合することを可能にする際のような乾燥、加熱、硬化、ならびに共反応性成分の反応性および/または反応速度に影響を及ぼすことができるあらゆる他の活動が挙げられる。
【0051】
「残留性」という用語は、物質が必ずしもそうではないが基質から物質を除去し得るプロセスに供された場合の、基質に付着または接続された色などの物質の元の特性の保存を意味する。残留性の例は、木材上の塗料などの基質上のカラーコーティングが、木材などの基質から塗料などのカラーコーティングを除去し得る環境因子および洗浄因子に耐える能力である。残留性の化粧用例は、毛髪スタイリング組成物などのコーティングが雨などの水、またはすすぎによる除去に抵抗する能力である。残留性の程度は、物質を除去し得る複数回の処置に供された場合に物質が元の大きさ、色、強度、色調、および他の元の特性評価を維持する能力によって測定され得る。化粧用コーティングの残留性の程度の例は、市販のシャンプー調製物で処理されている間に、アナジェニック毛髪上のカラーコーティングがその元の色強度色調および色合いを維持し、退色を回避する能力によって示される。退色および/または元の特性の喪失を開始するのに必要なシャンプーの回数により、この例の残留性の程度が測定される。残留性の試験は、「完全根元シミュレーション色残留性試験(full root simulation color remanence test)」という標題で実施例節に記載されている。
【0052】
「脂肪族置換基、基または成分」は、非芳香族のあらゆる有機基を指す。炭素、水素、ならびに場合により酸素、窒素、硫黄および他のヘテロ原子から構成される非環式有機化合物および環状有機化合物が含まれる。この用語は、以下の定義される芳香族基および複素芳香族基を除く、以下の有機基の全てを包含する。このような基の例としては、それだけに限らないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロ原子を有する対応する基、環状類似体、複素環式類似体、分岐、樹枝状、星状またはフラーレン様および線状バージョン、ならびに官能基で置換されていてもよい基が挙げられ、これらの基および「脂肪族」のこの定義を満たす他の基は以下に定義される。
【0053】
「芳香族置換基、基または成分」は、それだけに限らないが、アリール、アラルキル、ヘテロアルキルアリール、ヘテロアルキルヘテロアリールおよびヘテロアリール基を含む任意のおよび全ての芳香族基を指す。「芳香族」という用語は、官能基で置換されていてもよいアリール基を含有する全ての化合物(全炭素芳香族基)、および官能基で置換されていてもよいヘテロアリール基を含有する全ての化合物(炭素-ヘテロ原子芳香族基)を包含するという点で一般的であり、これらの基および「芳香族」のこの定義を満たす他の基は以下に定義される。
【0054】
本明細書で使用される場合、「場合により」という用語は、対応する置換基または物が存在していてもしていなくてもよいことを意味する。これは両方の可能性を含む。
【0055】
「アルキル」は、追加のヘテロ原子またはヘテロ基を有するとして具体的に記載されない限り、炭素原子および水素原子のみからなる直鎖または分岐の、樹枝状、星状またはフラーレン様または環状の炭化水素鎖基を指す。アルキル基は、不飽和を含有せず、1~24個の炭素原子を有する(例えば、C1~C24アルキル)。本明細書に現れる場合はいつでも、例えば、それだけに限らないが、「1~24」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し;例えば、「1~24個の炭素原子」は、アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子等~最大24個の炭素原子からなり得ることを意味するが、本定義は、数値範囲が指定されていない「アルキル」という用語の出現も網羅する。一部の実施形態では、これがC1~C4アルキル基である。他の例では、これがC1~C6アルキル基であり、さらに他の例では、これがC1~C24アルキル基である。典型的なアルキル基としては、決してそれだけに限らないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチルイソブチル、第三級ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、セプチル、オクチル、ノニル、デシルなどが挙げられる。例えば、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル、1-メチルエチル(イソ-プロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシルなどのアルキルは、単結合によって分子の残りの部分に結合している。
【0056】
「アルキレニル」は、追加のヘテロ原子またはヘテロ基を有するとして具体的に記載されない限り、炭素原子および水素原子のみからなる直鎖または分岐の、樹枝状または星状の二価炭化水素鎖を指す。アルキレニル基は、不飽和を含有せず、他の2つの部分に結合するために鎖の両端にダングリング原子価結合を有する。アルキレニル基は、特に指定しない限り、1~24個の炭素原子の炭素数範囲を有し得る。全ての場合において、炭素原子の一般的および具体的な数値範囲は、範囲内の各整数を含む。アルキレニル基として指定される二価C4炭化水素鎖の例は、以下のとおりである:-CH2-CH2-CH2-CH2-;ダッシュ(-)は、示されていない他の原子または部分への原子価結合を示す。アルキレニル基のこの例はブチレニルである。
【0057】
「シクロアルキル」は、「アルキル」のサブカテゴリーであり、炭素および水素のみを含有する単環式基または多環式基を指し、飽和であっても部分的に不飽和であってもよい。シクロアルキルは、タンデムでもしくはアルキル基を通して連結された、または縮合した2つまたは3つまたは4つの環などの1つまたは複数の環を含む。シクロアルキル基は、3~24個の環原子を有する基(すなわち、C3~C24シクロアルキル)を含む。本明細書に現れる場合はいつでも、それだけに限らないが、「3~24」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し;例えば、「3~24個の炭素原子」は、シクロアルキル基が3個の炭素原子等~最大24個の炭素原子からなり得ることを意味する。一部の実施形態では、これがC3~C8シクロアルキル基である。一部の実施形態では、これがC3~C5シクロアルキル基である。アルキレニルの定義によれば、シクロアルキエニル(cycloalkyenyl)基は、2つの他の部分に結合するために2つのダングリング原子価を有する単環式基または多環式基である。シクロアルキル基の例示的な例としては、それだけに限らないが、以下の部分:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロセプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ノルボルニルなどが挙げられる。
【0058】
「アルコキシ」は、酸素を通して親構造に結合した直鎖、分岐、樹枝状、星状または環状の構成およびこれらの組み合わせの1~24個の炭素原子を含む-O-アルキル基を指す。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられる。「低級アルコキシ」は、1~6個の炭素を含有するアルコキシ基を指す。一部の実施形態では、アルキルが、複数の炭素原子の直鎖、分岐、樹枝状、星状またはフラーレン様鎖アルキルの両方を包含するアルキル基である。本明細書で使用される場合、存在する数または炭素原子のさらなる定義がない場合、アルコキシシリル基などの「アルコキシ」という用語は、C1~C6、好ましくはC1~C4、より好ましくはC1~C2アルコキシ、例えばメトキシおよびエトキシを意味する。
【0059】
アルコキシシランおよびアルコキシシリルという用語は、同義語であり、式
-Si(R’)3-t(OR)t
[式中、R’はC1~C3アルキル基、好ましくはメチルまたはエチルであり、Rは1~6、好ましくは1~3、より好ましくは1または2個の炭素のアルキル基、例えばメチルまたはエチルであり、tは1、2または3の整数である]
の基を意味する。好ましくは、アルコキシシランは3つのOR基を有する。さらに、アルコキシシラン基で置換された化合物の構造に応じて、アルコキシシラン基はまた、OR基のうちの1つをOHとして有し得る。この配置を有する化合物は、Si-OR結合[式中、Rはアルキルである]の加水分解の結果であり得る。したがって、アルコキシシランという用語は、ケイ素原子が1つ、2つまたは3つのアルコキシ基に結合していることを意味し、アルコキシシラン基を有する化合物の一部の例では、アルコキシ基が偶発的にヒドロキシ基であり得る。アルコキシシランのケイ素原子のダングリング原子価は、それだけに限らないが、有機化合物、シロキサン化合物、オルガノシロキサン化合物、有機ポリマー骨格、シリコーンポリマー骨格またはオルガノシリコーン骨格などの、アルコキシシリル基が結合している部分の素性に応じて、ケイ素原子が炭素または酸素のいずれかに結合するように、有機基またはジアルキルシロキサニル基のいずれかに結合している。また、アルコキシシリル基の各アルコキシの加水分解中間体はヒドロキシシリルと同様にヒドロキシ基であるため、ヒドロキシシリル/ヒドロキシシラン基が上に論じられるこの定義に含まれる。さらに、アルコキシシリル基のアルコキシの1つは加水分解することができ、得られたヒドロキシシリルは、別のアルコキシシリル基に由来する別のヒドロキシシリル基と縮合して、Si-O-Si結合を形成し得る。この部分には3つのアルコキシ基が存在するため、単一アルコキシシリル(トリアルコキシシリル)基について、ケイ素-酸素-ケイ素結合の形成が3回も生じ得る。アルコキシシリル基が、低分子、オリゴマーまたはポリマーなどの分子上のペンダントであるかまたは末端であるかどうかにかかわらず、単一アルコキシシリル基についてのこの複数のSi-O-Si結合配置は、単一アルコキシシリル基を有する分子が複数回の縮合を受け得ることを意味する。アルコキシシリルを有する分子は、アルコキシシリルを有する別の分子で鎖伸長されて、直鎖伸長分子を生成し得る。この直鎖伸長分子は、このSi-O-Si鎖伸長に追加のSi-OR官能基を含有する。これらの追加のSi-OR官能基は、別の直鎖伸長分子の対応するSi-OR官能基と再び縮合することができる。その結果は、Si-O-Si連結を有するこれらの分子の中間部分における架橋である。別個の鎖伸長分子のこれらの追加のSi-ORは、そのために縮合して、別個の鎖伸長分子を架橋することができる。
【0060】
「アミノ」または「アミン」は、-N(Ra)2基[式中、各Raは独立して、水素または1~3個の炭素のアルキル基、例えばメチル、エチルまたはプロピルである]を指す。
【0061】
「アリール」は、芳香族のサブカテゴリーであり、6~22個の環原子を有する共役π環または複数の環を指す。アリール基は、炭素環式である共役π電子系を有する少なくとも1つの環(例えば、フェニル、フルオレニル、ナフチルおよびアントラセニル)を有する。テトラヒドロナフチルなどの部分飽和アリール環が含まれる。
【0062】
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」および「ヘテロアルキニル」は、置換されていてもよいアルキル、アルケニルおよびアルキニル基を含み、炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素、硫黄、リンまたはこれらの組み合わせから選択される1個または複数の骨格鎖原子を有する。数値範囲、例えば、全鎖長を指すC1~C24ヘテロアルキルが与えられてもよく、この例では、24原子長ほどであり得る。例えば、-CH2OCH2CH3基は、「C4」ヘテロアルキルと呼ばれ、原子鎖長の説明においてヘテロ原子中心を含む。分子の残りへの接続は、ヘテロアルキル鎖中のヘテロ原子または炭素のいずれを介してもよい。
【0063】
「ヘテロアリール」または複素芳香族は、窒素、酸素、および硫黄から選択される1個または複数の環ヘテロ原子を含み、単環式、二環式、三環式もしくは四環式の環系、または共役環系、例えば、ピロールもしくはチオフェンなどの共役を提供する架橋原子を有していてもよいシクロペンタジエニルであり得る5員、6員または10員の芳香族基(例えば、C5~C13ヘテロアリール)を指す。本明細書に現れる場合はいつでも、数値範囲は所与の範囲内の各整数を指す。N含有「複素芳香族」または「ヘテロアリール」部分は、環の骨格原子の少なくとも1個が窒素原子である芳香族基を指す。多環式ヘテロアリール基は単環式であっても非単環式であってもよい。ヘテロアリール基のヘテロ原子は酸化されていてもよい。1個または複数の窒素原子は、存在する場合、四級化されていてもよい。ヘテロアリールは、環のいずれかの原子を通して分子の残りに結合している。ヘテロアリールの例としては、それだけに限らないが、ピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、ピラニル、ピリジニル、ピリミジニル、ベンズイミダゾール、ベンゾチオフェニル、キノリニル、キナゾリニル、ならびに6~12個の炭素と窒素、酸素および硫黄の任意の組み合わせを含む1、2または3個のヘテロ原子の同様のヘテロアリール化合物が挙げられる。
【0064】
「複素環式」は、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むあらゆる単環式部分または多環式部分を指す。本明細書で使用される場合、ヘテロシクリル部分は部分飽和芳香族環または飽和単環式もしくは多環式環であり得、環は3~8個の原子から形成され得る。
【0065】
「ポリマー」または「Poly」という用語は、2つ以上などの複数のモノマー単位から形成された有機シリコーンまたはオルガノシリコーン化合物のいずれかまたはそれ以上を意味する。単位は同一であってもよいし、または異なる素性の単位の組み合わせであってもよい。存在する単位の数は、少なくとも2つ~非常に多数の単位を有する化合物に及び得る。ポリマーの典型的な重量平均分子量は、100Da未満~100万Da以上に及び得る。
【0066】
ポリマー、アルキル、アルキレニル、炭素またはシリコーン鎖、炭素またはケイ素骨格、複数の炭素の脂肪族基を含む化合物および基、前記化合物および基のいずれかのヘテロ形態、ならびにこれらの前記化合物および基のいずれかを有する芳香族、複素芳香族シクロアルキルヘテロシクロアルキルまたはそのヘテロ形態を含む基は、直鎖、分岐、分岐のサブカテゴリーである星状または樹枝状の構造構成を有し得る。好ましい構成は分岐または直鎖であり、より好ましい構成は直鎖である。特定の構成を示すことのないこれらの用語のいずれかの使用は、これらの構成の全てを組み込み、直鎖および/または分岐が好ましく、直鎖が最も好ましいことを意味する。
【0067】
「in situ結合」および「in situ結合可能」および「架橋可能」という用語は、分子間の相互作用および/または接続を提供するために共有結合を形成する将来の時点での可能性を意味する。「in situ結合した」および「架橋した」という用語は、現在の状態で、共有結合が既に生じていることを意味する。
【0068】
「in situ」は、その元の場所であることを意味するラテン語の句である。本発明の文脈では、これは、毛髪上で起こる架橋のような活動を意味する。
【0069】
本明細書で使用される平均反応性官能基当量は、相補対の反応性官能基について、反応性官能基を含有するポリマー、オリゴマーまたは低分子の重量平均分子量の、ポリマー、オリゴマーまたは低分子中のその反応性官能基の平均出現数に対する比を意味する。ポリマーのMwが1KDaであり、ポリマー中の反応性官能基の平均出現数が2である場合、反応性官能基当量のMwは、(1KDa)/2または500Daである。
【0070】
熱膨張係数は、25℃の開始温度で一定の圧力での温度の摂氏上昇あたりの種の長さの部分的増加を指す。
【0071】
顔料微小粒子に関するゼータ電位は、コロイド分散体に懸濁した極小粒子の界面動電位を意味する。これは、懸濁流体との粒子接触面での正味の電荷によって引き起こされる。これは、コロイド分散体の安定性の指標である。大きさは、分散体中の隣接する同様の荷電粒子間の静電反発の程度を示す。ゼロまたは最小限の+もしくは-電位では、急速な凝固が起こり得る。約40mVを超える+または-ゼータ電位では、良好なコロイド安定性が維持される。ゼータ電位は、当業者に公知の手法を使用して測定することができる。例えば、Malvern Panalytical Ltd,Malvern U.K.製のZetasizer Nano Zを使用して、成分のゼータ電位を評価することができる。
【0072】
本明細書で使用されるミクロフィブリル長は、一般に、任意の所与のミクロフィブリルの長さの分布を指し、繊維長は、ミクロフィブリルの試料からランダムに選択された最小10本の繊維にわたって評価される平均繊維長を指す。長さは、材料の長軸に沿った端から端までの距離を指し、断面幅の尺度ではない。
【0073】
ハンセン溶解度パラメータは、特定の材料の溶解度、分散、拡散、クロマトグラフィー、および関連トピックを特徴付けるための技術を構成する。溶媒または溶質などの材料は、分散についてのδD(ファンデルワールス)、極性についてのδP(双極子モーメントに関連する)、および水素結合についてのδHの3つのパラメータによって特徴付けることができる。「Hansen Solubility Parameters-A User’s Handbook」、CRC Press、Boca Raton、2007、ISBN-10:0849372488を参照されたい。
【0074】
水素結合は、一方の分子内のプロトンと他方の分子内の電気陰性原子との間の静電引力に起因する2つの分子間の弱い結合を指す。イオン結合は、逆に帯電したイオン間の静電引力を伴う一種の化学結合を指す。
【0075】
ヤング率(Young’s modulus)、またはヤング率(Young Modulus)は、固体材料の剛性(例えば、伸縮性)を測定する機械的特性である。これは、一軸変形の線形フック弾性レジームにおける材料の応力(単位面積あたりの力)とひずみ(比例変形)との間の関係を定義する。換言すれば、縦方向の張力または圧縮下では、材料が絶える能力が長さで変化する。
【0076】
Tgまたはガラス転移温度という用語は、それだけに限らないが、ポリマーなどの材料が、より低い温度での非晶質固体様またはガラス様特性からより高い温度での粘性またはゴム様特性に転移する温度範囲を指す。転移は、固体から液体などの相転移ではない。模倣毛髪、処理毛髪、および未処理毛髪上のカラーコーティングの実施形態は、典型的には、常温をはるかに下回るTg範囲を示し、結果として生成されたフィルムは、可撓性で、エラストマー性で、滑らかな物理的特性を示す。
【0077】
「極限圧縮」という用語は、所与の材料が、破損が発生し、材料が破断する前に、特定の試験方法の下で経験することができる圧縮の量を指す。
【0078】
ナノエマルジョンは、連続相に分散した少なくとも1つの不連続相が存在し、不連続相の平均粒子またはミセル直径が10nm~300nmの範囲である液体/液体、液体/固体、液体/気体または気体/気体組成物である。
【0079】
「皮脂」という用語は、人体の脂腺によって産生される油性のワックス状物質である。皮脂は皮膚および毛髪をコーティングし、保湿し、保護する。皮脂は、主にトリグリセリド(約41%)、ワックスエステル(約26%)、スクアレン(約12%)、および遊離脂肪酸(約16%)から構成される。模倣毛髪を形成するために使用される皮脂は、Wfk-Testgewebe GmbHによって販売されるHautfett nach Beyであり、これは、18.0%の遊離脂肪酸、32.8%の牛脂、3.6%のトリグリセリド、18.3%の羊毛脂、3.7%のコレステロール、12.0%の炭化水素、11.6%のcutinaを含む。
【0080】
「表面エネルギー」という用語は、表面が作られる時に生じる分子間結合の破壊を定量化する。表面エネルギーは、バルクと比較した材料の表面の過剰なエネルギーとして定義され得る、または特定の表面の領域を構築するために必要な仕事である。おそらく、最も広く使用されている表面エネルギーの定義は、歴史的に、Zismanの定義である(「Relation of Equilibrium Contact Angle to Liquid and Solid Constitution」、W.A.Zisman、ACS Advances in Chemistry Series 第43号、1961、1~51頁)。Zismanは、固体の表面エネルギーを、接触角0°で固体を完全に湿らせる最高表面張力液体(実在または架空)の表面張力に等しいと定義している。これは、同じ固体試料上で液体表面張力が低下するにつれて、接触角が低下する傾向が広く観察されることに由来する。Zismanプロットは、既知の表面張力を有する一連の異なるプローブ液体を使用して試験表面について作成され、既知の表面張力がx軸にプロットされ、試験表面との得られた接触角のコサインがy軸にプロットされる。接触角のコサインが1に達する時の最高表面張力が試験基質の表面エネルギーであると判定される。Owens/Wendt理論(Owens,D.K.;Wendt,R.C.;Jour.of Applied Polymer Science、13、1741、(1969))は、試験基質の表面エネルギーを測定するためのさらなる発展である。これは、表面エネルギーが分散成分と極性成分の2つの成分から構成されていると考える。分散成分は、適用された液体との表面が有することができるファンデルワールスおよび他の非部位特異的相互作用を説明する。極性成分は、理論的には、適用された液体との表面が有することができる双極子-双極子、双極子誘導双極子、水素結合、および他の相互作用を説明する。OwensおよびWendtは、Zismanの1パラメータモデルとは対照的に、表面相互作用を説明するための2パラメータモデルを開発した。表面エネルギーの単位はmN m-1である。
【0081】
「プライミング」、「深部洗浄」および「化学修飾」という用語は、アナジェニック毛髪の表面からの皮脂およびF層物質の実質的~本質的に完全な除去、模倣ヘアトレス上の合成皮脂およびF層物質の除去、ならびにケラチン繊維の表面および表面下のケラチンタンパク質の化学結合の化学的破壊/切断を指す。化学結合は、少なくともシステイン-システインジスルフィド結合、タンパク質鎖および側鎖アミド結合、ならびに側鎖エステル結合を含む。チオール、アミン、ヒドロキシルおよび同様のアミノ酸官能基などの基の酸化および還元も含まれる。Praeparatur技術およびFundamenta技術は、ケラチン繊維表面のプライミング、深部洗浄および化学修飾を達成する。これらのプライミング、深部洗浄および化学修飾技術の実施は、可変表面地形を露出させ、それだけに限らないがチオールなどの化学的に活性な薬剤との密接な相互作用を得るように、ケラチン繊維表面の調整を達成し得る。
【0082】
詳細な説明
本発明は、ケラチン繊維、特にアナジェニック毛髪、特にヒトの頭皮上のアナジェニック毛髪上のコーティング、好ましくはカラーコーティングを開発するための方法および組成物を対象とする。これらの方法および組成物はまた、ヘアトレス、動物毛および同様のケラチン繊維などの全ての供給源に関連するケラチン繊維にも適用され得る。本方法の活性化工程、前処理工程およびバインダー工程の態様の品質および特性は、コーティングケラチン繊維、特にコーティング模倣トレスおよびアナジェニック毛髪が有意な残留性を示しながら、若い、コーティングされていない、活気のある、魅力的な頭皮の毛髪の性能と同様の性能も示すように、得られるコーティング、好ましくはカラーコーティングの品質に寄与し、これを強化し、これを促進する。
【0083】
本方法の実施形態は、活性化、前処理、および結合の3つの工程を対象とする。活性化工程の実施形態は、Praeparatur手順およびFundamenta手順のいずれかまたは両方を対象とする。Praeparatur手順の実施形態は、界面活性剤ならびに汚れ、垢、グリースおよび他の不都合な汚染物質を可溶化する、分散させるおよび/または浮き上がらせることができる他の任意の化合物を含む洗浄組成物でケラチン繊維を洗浄することを対象とする。Fundamenta手順の実施形態は、酸性酸化、塩基性酸化、プラズマ処理、PETT処理、還元またはこれらの任意の組み合わせを含む1つまたは複数のプロセスを対象とする。活性化工程の実施は、ケラチン繊維、特にアナジェニック毛髪から皮脂を除去し、ケラチン繊維の表面および表面下を化学的に破壊して修飾ケラチン繊維を形成すると考えられている。破壊は、繊維表面および表面下でケラチンタンパク質の化学結合を破壊すると考えられている。破壊は、繊維表面および表面下でチオール基、スルホン基および他の結合可能な基を生成すると考えられている。活性化工程のこれらの2つの手順の実施順序は、ケラチン繊維上のコーティング、好ましくはカラーコーティングの特性に少なくとも部分的に影響を及ぼす。
【0084】
Praeparatur手順およびFundamenta手順の第1の実施順序は、Praeparatur手順を、Fundamenta手順のプロセスの各々、およびFundamenta手順のプロセスのいくつかの組み合わせと組み合わせる。第2の実施順序は、Fundamenta手順のプロセスの各々のみ、およびPraeparatur手順なしでFundamenta手順の一部のプロセスの組み合わせを構成する。第1の実施順序は、好ましくは、軽度または中程度または強力な界面活性剤組成物による処理を伴うPraeparatur手順を酸性酸化、塩基性酸化、プラズマ処理、PETT処理および還元の各々と組み合わせる。さらに、第1の実施順序は、Praeparatur手順を、還元、引き続いて酸性酸化と組み合わせ得る。この第1の実施順序では、Praeparatur手順が最初に実施され、引き続いて任意のすすぎが実施される。Fundamenta手順のプロセスの各々がこのPraeparatur手順に順次続いてもよいし、Praeparatur手順の実施の中間段階中に開始してもよいし、またはPraeparatur手順とFundamenta手順のプロセスを同時に実施してもよい。
【0085】
第2の実施順序は、Fundamenta手順のみを伴う。Fundamenta手順のプロセスの各々は、単独で、すなわちPraeparatur手順なしで実施され得る。これらには、酸性酸化、塩基性酸化、プラズマ処理、PETT処理および還元が含まれる。最初の手順と最後の手順は、還元、引き続いて酸性酸化として組み合わせられ得る。
【0086】
前処理工程の実施形態は、前処理組成物の修飾ケラチン繊維への適用を対象とする。前処理組成物の実施形態は、少なくとも、PTHオルガノ-アルコキシシランおよび/またはPTHオルガノマルチジメチルシロキサニルアルコキシシランを含むPTHアルコキシシラン化合物(合わせてPTHアルコキシシラン化合物、PTHは概要ならびに本明細書の以下で定義される)ならびにチオールとしてのPTHを有するPTHアルコキシシラン化合物の保護チオール誘導体およびチオールとしてのPTHを有するPTHアルコキシシラン化合物のジスルフィドダイマーおよびテトラスルフィドダイマーを含むことを対象とする。前処理組成物の追加の実施形態は、アミノオルガノ-アルコキシシランおよび/またはPTH有機化合物を、PTHアルコキシシラン化合物を含有する組成物に添加する。好ましくは、前処理組成物は、チオールとしてのPTHを有する少なくともPTHオルガノ-アルコキシシランを含む。前処理工程は、前処理工程の開始前のすすぎ工程を含んでも含んでいなくてもよい活性化工程の直後に実施される。あるいは、前処理工程は、活性化工程の実施形態の少なくとも一部と同時に、または重複して実施され得る。
【0087】
バインダー工程の実施形態は、フィルム形成組成物の適用を対象とする。フィルム形成組成物は、バインダー官能基を有するユニタリー有機シリコーンもしくはオルガノシリコーンポリマー、または第1のバインダー官能基を有する第1の有機シリコーンもしくはオルガノシリコーン成分と、第2のバインダー官能基を有する第2の有機シリコーンもしくはオルガノシリコーン成分とを含むデュアルポリマーを含むバインダーポリマー組成物を含み得る。第1の成分および第2の成分は、少なくとも第1のバインダー官能基および第2のバインダー官能基の素性のために異なる。バインダーポリマーが単一有機シリコーンまたはオルガノシリコーンポリマーバインダーを含む場合、バインダー官能基は、a)アルコキシシラン、またはb)カルボン酸のいずれかであり得る。バインダーポリマーがデュアルポリマーを含む場合、第1の官能性バインダー基および第2の官能性バインダー基は異なり、第1の成分および第2の成分は異なる。このデュアルバインダーポリマー状況では、第1のバインダー官能基および第2のバインダー官能基は、a)アルケノイルオキシとアミン、b)アルケノイルオキシとメルカプト、c)カルボン酸とカルボジイミドを含む相補対を形成する。
【0088】
ケラチン繊維上のコーティング、好ましくはカラーコーティングの上記品質を達成するために、方法の態様は、活性化工程の二重活性およびPTHアルコキシシラン化合物のケラチン繊維の表面への適用を少なくとも部分的に伴う。本発明の限定ではないが、活性化工程は、ケラチン繊維の表面および表面下の18-メチルエイコサン酸チオエステルなどのケラチンタンパク質およびケラチン-脂質コンジュゲートを破壊して、チオール/メルカプト基、スルフィド基、スルホキシル基、およびこれらの基の中間体を提供する可能性が高い。チオールまたはジスルフィドもしくはテトラスルフィドダイマーとしてのPTHを有するPTHアルコキシシラン化合物も破壊に寄与し得る。破壊は、それだけに限らないが、ケラチンタンパク質中に存在するアミド結合、エステル結合、チオエステル結合およびジスルフィド結合などのケラチンタンパク質結合の少なくとも切断および/または破壊および/または再配列を含むと考えられる。前処理組成物のPTHアルコキシシラン化合物、ならびに対応する保護バージョン、ジスルフィドおよびテトラスルフィドと組み合わせて、PTHアルコキシシラン化合物のPTH基と、破壊されたケラチンタンパク質分子のチオールおよび他の基をカップリングさせることによって、破壊されたケラチンタンパク質結合の再形成、再配列および再カップリングがPTHアルコキシシラン化合物と結合する。PTHアルコキシシラン化合物の-SH基および/またはアルデヒド基および/またはα,β不飽和カルボキシル基および/またはヒドロキシル基および/または保護硫黄基を含むPTH基は、これらのケラチンタンパク質基と相互作用して化学結合を形成すると考えられる。ケラチン繊維の表面および表面下でのPTHアルコキシシラン化合物とケラチンタンパク質の化学結合は、少なくともジスルフィド、チオエステル、エステル、マイケル付加物およびスルホンエステル結合の形成をもたらす可能性が高い。この結合は、少なくとも部分的に、コーティング、好ましくはカラーコーティングの強力な残留性および皮脂移動に対する耐性の開発を可能にすると考えられる。再配列および再カップリングは、前処理組成物のケラチン繊維への化学的に相互接続されたプレコーティングを可能にする。前処理組成物のアルコキシシラン基も加水分解および縮合してケイ素-酸素-ケイ素結合を形成し、シロキサンポリマー形成をもたらす。バインダー工程のフィルム形成組成物の添加は、方法の3つの工程を完了し、前処理組成物とフィルム形成組成物の複合フィルムに相互接続されたケラチン繊維を形成する。相補対の第1のバインダー基または第2のバインダー基は、反応性相補対として一緒に反応するだけでなく、ラジカル開始剤の任意の存在下で、a)アルケノイルオキシとアミン、b)アルケノイルオキシとメルカプト、c)カルボン酸とカルボジイミド、d)メルカプトとカルボジイミド、e)メルカプトとアルデヒド、f)二重結合とメルカプトを含むPTHアルコキシシランの官能基と相互作用することができるように選択される。結合したPTHアルコキシシランとフィルム形成組成物の組み合わせは、ケラチン繊維表面から前処理組成物を介してフィルム形成組成物への化学結合を提供する。化学結合のために、物理的、界面活性剤、皮脂または他の非特異的活動などの手段によるコーティング、好ましくはカラーコーティングの移動が最小限に抑えられる。
【0089】
酸化染料プロセスによるアナジェニック毛髪の損傷は、ケラチン繊維表面の顔料着色によって回避しようとされる、酸化による課題である。少なくとも過去15年間にわたって、ケラチン繊維の表面着色を対象とする特許および科学刊行物は、この損傷の回避が表面着色の重要な側面であると述べている。酸化損傷は、塩基性の強い酸化が実施される場合に最も深刻である。塩基は、キューティクルを酸化剤および低分子に対して多孔性にするので、これらが働くコルテックスに浸透する。それほど強力ではないが、弱塩基酸化、プラズマ処理、PETT処理、還元および酸性酸化などの技術もケラチン繊維を損傷する。ケラチン繊維のFTIRおよび触覚試験は、Fundamenta手順のプロセスによるこの損傷の評価を可能にし、有意な損傷から最小限の損傷までの範囲の活性化/前処理(PTHアルコキシシラン化合物)工程の階層の開発を可能にする。この階層と残留性の調整は、組み合わせを最良からまずまずまでランク付ける、活性化工程と前処理工程の組み合わせのためのシステムを提供する。
【0090】
表Iおよび表IIは、毛髪損傷および残留性について、様々な活性化プロセス、PTHアルコキシシラン化合物前処理工程およびバインダー工程を、結果として生じる組み合わせで調整する。工程の組み合わせの性能期待値は、結果として生じる組み合わせについてそれぞれ優れていることを意味する緑、良好であることを意味する黄、およびまずまずであることを意味する赤としてランク付けられる。これらの表では、活性化プロセスは、Praeparatur手順(界面活性剤シャンプー)を含み、Fundamenta手順は、酸酸化、塩基酸化、プラズマ処理、PETT処理および還元、ならびに還元、引き続いて酸性酸化の組み合わせを含む。Praeparatur手順は、特定のFundamenta手順と同時に実施することも(これら2つの活動の間にスペースがないことによって示される)、特定のFundamenta手順と順次に実施することも(これら2つの活動の間にスペースがあることによって示される)できる。前処理は、少なくともチオールとしてのPTHを有するPTHアルコキシシラン化合物(有機硫黄シランについてはOSSI)の適用を含む。バインダーは、フィルム形成組成物であり、ペンダント/末端カルボン酸基(EAA)を有するポリオレフィン、ペンダント/末端アルコキシシラン基を有する単一有機ポリマー(Winnie)、相補的官能性バインダー対であるアルケノイルオキシとアミンを有する2つのシリコーンポリマー(マイケル)、ならびに相補的官能性バインダー対であるカルボン酸とカルボジイミド(CDI)を有する有機ポリマーおよびオリゴマーを含む。前処理組成物がPTHアルコキシシラン化合物と共に含まれるアミノオルガノ-アルコキシシランを提供するため、表IIはバインダーEAAの結果を提供する。アミノオルガノ-アルコキシシランは、EAAのカルボン酸との静電相互作用のためのアミン基を提供する。
【0091】
表Iおよび表IIによって提供されるこれらの組み合わせの実験結果は、酸性酸化と組み合わせたPraeparatur手順が最良の結果の組み合わせ(全て緑)を提供し、塩基性酸化と組み合わせたPraeparatur手順が最低評価の組み合わせを提供することを示している。PETT、プラズマおよび還元のFundamenta手順は全てまずまずの結果を提供するが、触覚試験では有意な毛髪損傷を示す。還元と酸性酸化の組み合わせもまずまずの結果を提供するが、FTIR試験ではいくらかの毛髪損傷を示す。
表I
表II
【0092】
これらの表によって提示される結果は、本発明の方法によって達成される優れた残留性を実証している。アルコキシシラン基を有するフィルム形成組成物と組み合わせた、特にチオールとしてのPTHを有するPTHアルコキシシランおよび/またはその誘導体の前処理ならびにケラチン繊維を破壊するのに十分強力なFundamenta手順を含まないコーティング方法と比較して、本発明の方法は、コーティングのケラチン繊維への共有結合/カップリングを表す。「サロンテキスト実施例」と題された実験節の実施例に関連する図面は、PTHアルコキシシランを用いないコーティング方法手順(非チオールアルコキシシラン、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレートエステルであるMEMOを使用する実験S1、S2、S3)が、シャンプーによって除去されるアナジェニック毛髪(サロンモデル毛髪)のコーティングを生成するが、本発明の方法によるコーティング(メルカプトプロピルトリメトキシシランを用いる実験S4、S5、S6)が除去されないことを示している。サロンモデルの頭のアナジェニック毛髪は生きており、成長している毛髪である。このため、皮脂および他の物質が毛根に継続的に分泌される。天然油、皮脂、脂肪酸などのこの流れは、PTHアルコキシシランを用いないで生成されたコーティングを傷つける。その結果、シャンプーがこのコーティングを容易に除去する。対照的に、本発明の方法に従って生成されたコーティングは、シャンプーによって除去されない。これらの結果の比較は、天然油、皮脂、脂肪酸などの流れが、本発明の方法に従って作製されたコーティングを傷つけることができないことを示す。この結果は、コーティングとケラチン繊維、例えば、サロンモデルのアナジェニック毛髪との間に結合が生じるという証拠である。この証拠は、結合、すなわち、チオールとしてのPTHを有するPTHアルコキシシランとアナジェニック毛髪の表面のケラチンタンパク質との間のジスルフィド結合および他の共有結合の形成の上記理由の実証を提供する。
【0093】
コーティングとケラチンタンパク質との間の共有結合のさらなる実証は、実施例節で以下に示されるモデル実施例9によって示され得る。このモデルでは、システインまたはジ-システインジスルフィドを有する膜を、ケラチン繊維の簡略化された特徴付けとして使用することができる。本発明の方法の後にモデル化された方法を、この膜の試料で試験して、チオール化合物が膜試料に結合するかどうかを決定することができる。チオール化合物試験と、チオール化合物に似ているがチオール基を含まない化合物を用いた同様の試験との間の比較は、結合を示し得る試験情報を提供する。あるいは、in situ結合バインダーポリマーを有するカラー組成物をこのような膜試料に適用して、どの試料がより良好な色残留性をもたらすかを決定することができる。
【0094】
PRAEPARATUR手順およびFUNDAMENTA手順の活性化工程の実施
本発明による活性化工程の実施形態は、ケラチン繊維、特にアナジェニック毛髪、特にヒトの頭皮上のアナジェニック毛髪の表面および表面下の洗浄、皮脂の除去および破壊を対象とする。活性化工程はPraeparaturおよびFundamentaの2つの手順を含む。Praeparatur手順は、ケラチン繊維を洗浄して、アナジェニック毛髪などのケラチン繊維上の汚れ、垢、グリースおよび同様の不都合な物質を除去する。Fundamenta手順は、皮脂の除去を通して洗浄プロセスを継続し、ケラチン繊維の表面および表面下の化学的破壊に従事する。
【0095】
PRAEPARATUR手順
アナジェニック毛髪の表面をコーティングする皮脂の実質的に完全な初期除去により、洗浄された毛髪表面がもたらされ、この表面でケラチンタンパク質によって提供される顕微鏡的な地形変動性を曝露する。このようなケラチン繊維洗浄を得るために、Praeparatur手順が適用される。Praeparatur手順は、ケラチン繊維の表面から皮脂を除去するあらゆる洗浄操作であり得る。例示的なPraeparatur手順には、シリコーン、例えば、アモジメチコンまたは塩化セトリモニウム、ならびにセルロースおよびグアーガム誘導体のポリクオタニウムバージョンなどのポリマーなどのコンディショニング活性剤を含まない、またはコンディショニング添加剤を実質的に含まない非コンティショニング界面活性剤または実質的非コンディショニング界面活性剤の1回または複数回の適用の使用が含まれる。この手順は、イオン性およびpH制御のための任意の薬剤、ならびに汚れ、グリースおよび垢を可溶化する、分散させる、および浮き上がらせるための有機液体および溶媒を含む水性または水性-アルコール性媒体中の界面活性剤の1回または複数回の適用を必要とし、成分の種類および濃度は、所望の洗浄効果を達成するよう調整される。この手順は、組成物の総重量に対して約2重量%で始まり、約30重量%、好ましくは最大約25重量%、より好ましくは最大約10重量%~約25重量%まで漸増する濃度のアニオン性、非イオン性、両性または双性イオン性界面活性剤の軽度~中程度の水性組成物の使用を伴う。界面活性剤組成物はまた、粘度およびイオン性の調整、ならびに酸性から中性から塩基性へのpHの任意の調整のための薬剤を含み得る。界面活性剤組成物は、非イオン性または他の界面活性剤とのその混合物などの軽度の界面活性剤から始まり、より高濃度のアニオン性界面活性剤にエスカレートし得る。好ましい界面活性剤は、C8~C16アルキルカルボキシレート、ホスフェート、スルホネート、サルフェートのアルカリ金属塩などの両親媒性特性を示すアニオン性界面活性剤であり、両親媒性特性の強度はカルボキシレートからサルフェートに増加する。使用される最初の非イオン性界面活性剤に、より強力なアニオン性界面活性剤、次いで、アニオン性界面活性剤のアニオン性頭部とアルキル親油性尾部との間に挿入される親水性(hydrophicity)増加のためのPEG-2~PEG-20、好ましくはPEG-2~PEG-5などのPEG基、または親油性増加のためのPPG-2~PPG-5などのPPG基のいずれかを有する可溶化アニオン性界面活性剤が続き得る。さらにより強力な可溶化媒体は、イオン強度を増加させ、pHを調節することによって配合され得る。アルカリ金属硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、硝酸塩および/またはキシレンスルホン酸塩などのイオン性構築剤を添加してもよい。媒体の性質を、油および皮脂を可溶化することができる有機溶媒を提供するように調整してもよい。C2~C8アルコール、好ましくはイソプロパノール、イソブタノールおよびネオヘキサノール、ならびにアセトン、メチルエチルケトンおよび他の同様の有機溶媒が含まれる。このエスカレートする洗浄処理は、毛髪の過剰な刺激(overchallenge)を避けるために、穏やかな段階的な方法でエスカレートするように設計される。
【0096】
このエスカレートする洗浄処理は、例えば細かい歯の櫛による、および/または少なくとも20Kヘルツで作動する超音波装置などを用いた音振動による、機械的攪拌と合わせられ得る。機械的および/または音振動は、アナジェニック毛髪を攪拌して、皮脂、天然油ならびに分泌された汗およびミネラルのコーティングを緩めることができる。超音波装置は、歯が振動して超音波を生成する細かい歯の櫛として設計され得る。あるいは、超音波装置は、上記洗浄条件下でアナジェニック毛髪を通る細かい歯の櫛と組み合わせて保持される携帯型発生装置であり得る。
【0097】
FUNDAMENTA手順
Fundamenta手順の適用により、アナジェニック毛髪などのケラチン繊維の洗浄された表面および表面下の破壊が達成される。Fundamenta手順は、Praeparatur手順の適用後に適用することも、Praeparatur手順の事前適用なしに適用することもできる。Fundamenta手順は、ケラチン繊維の表面の表面地形および化学組成を構造的に破壊し、存在する場合はケラチン繊維上のF層コーティングを除去する。例示的な活動としては、酸性酸化、塩基性酸化、還元、低温プラズマ放電、および/またはマルチアルキルアンモニウムハライドなどのアルカリ相間移動テンシド(PETT)のうちの1つまたは複数の使用が挙げられ、マルチアルキルアンモニウムハライドの例は、コリンハライド、セチルトリメチルアンモニウムハライドまたはステアリルトリメチルアンモニウムハライドなどのC26~C20アルキルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)またはブロミド(CTAB)である。
【0098】
酸性酸化は、アナジェニック毛髪または模倣トレスを希酸性酸化剤溶液に曝露することによって達成され得る。酸化剤溶液は、pH2~5の水性媒体中、0.1~6重量パーセント、好ましくは0.5~3重量パーセントの活性酸化剤(供給業者によって提供される溶液中の酸化剤の濃度を考慮することによって計算される)を用いて配合され得る。酸化剤は過酸化水素であり得る。過硫酸塩はより強力な酸化剤であるため、酸性酸化プロセスには好まれない。酸化剤は、典型的には、酸性溶液として市販の供給源によって供給される。しかしながら、必要に応じて、塩酸もしくは硫酸などの鉱酸、または酢酸などの有機酸でpHを調整することができる。酸化剤溶液を模倣トレスまたはアナジェニック毛髪に適用し、10秒間~約5分間、好ましくは約10秒間~約1~2分間、手またはブラシのいずれかによって毛髪を通してマッサージする。その後、酸化剤溶液で実質的に飽和しているトレスまたはアナジェニック毛髪を、場合により水で短時間すすいで過剰な酸化剤溶液を除去してもよいが、酸化剤溶液の全てを除去する程度まですすがなくてもよい。ある濃度の酸化剤の存在が、PTHアルコキシシラン化合物の反応性基、例えば、チオール、アルデヒドなど、特にチオールと破壊されたケラチンタンパク質の硫黄部分のカップリングを達成し、ジスルフィド結合および他のカップリング結合を形成するために必要であると考えられる。
【0099】
塩基性酸化剤処理は、アナジェニック毛髪または模倣トレスを希酸化剤溶液に曝露することによって達成され得る。酸化剤溶液は、典型的には約0.5重量%~約10重量%、好ましくは約0.5重量%~約5重量%、より好ましくは約0.5重量%~約3重量%の濃度の過硫酸塩、次亜塩素酸塩、過酸化物またはオゾンの水溶液として配合され得る。酸化剤溶液のpHは、アンモニアもしくはMEA、またはケイ酸もしくはメタケイ酸ナトリウムを添加することによって、9~10.5の塩基性pHに上昇させることができる。酸化剤溶液を模倣トレスまたはアナジェニック毛髪に適用し、10秒間~約5分間、好ましくは約10秒間~約1~2分間、手またはブラシのいずれかによって毛髪を通してマッサージする。その後、酸化剤溶液で実質的に飽和しているトレスまたはアナジェニック毛髪を、水で繰り返しすすいで、酸化剤溶液を除去する。
【0100】
還元処理は、アナジェニック毛髪または模倣トレスをpH8.5~9.5などの塩基性pHの1~30パーセント、好ましくは2~25パーセントのチオグリコール酸の水溶液またはエマルジョンに曝露することによって達成され得る。接触をおよそ5~15分間、好ましくは約10分間維持し、次いで、毛髪またはトレスを水ですすぎ、指触乾燥させる。Wella Professionalsから入手可能なWella Creatine(N)Perm Emulsionなどの市販のパーマ工程1製品も還元剤として使用され得る。
【0101】
低温プラズマ処理は、部分的にイオン化されたガスを、アナジェニック毛髪または模倣トレス上を通過させることによって達成され得る。低温プラズマは、電子温度ははるかに高い場合があるが、常温に近い有効ガス温度を有する、空気または酸素および/または窒素などのガスの非平衡大気プラズマである。ガスを、高いAC電圧電位差で、またはRFフィールドを通して誘電体被覆電極間を通過させる。電磁場は、ガス原子から一部の電子を取り除き、低温プラズマ流をもたらすイオン化プロセスのカスケードを生成する。例は、空気を高電圧スパーク放電に通過させるオゾン発生装置である。低温プラズマ発生装置は、常温(低温)プラズマの製造用に設計された市販の装置である。プラズマは、可撓性チューブを通してノズルに輸送される。プラズマ流が流れるノズルは、ケラチン繊維上を通過して、プラズマ処理を達成し得る。模倣ヘアトレスの典型的な処理は、プラズマが流れるノズルをケラチン繊維上におよそ1~5分間、好ましくは約1~約3分間通過させることを伴う。
【0102】
アルカリ相間移動テンシド処理は、アナジェニック毛髪および/または模倣トレスをアルカリ塩基またはアルコキシドなどの求核剤を含む相間移動テンシドの水溶液で洗浄することによって達成される。相間移動テンシド(PETT)は、一般的に、コリンなどのC2~C20マルチアルキルアンモニウムハライド、好ましくはC12~C20アルキルトリメチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、より好ましくはセチル(C16)および/またはステアリル(C18)トリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)である。PETTは、0.1重量%~25重量%水溶液として配合され得る。PETTのアルカリまたはチオール水溶液(塩基性アルカリpH>10、塩基性チオールpH>7)を模倣トレスまたはアナジェニック毛髪に適用し、5~30分間、好ましくは5~15分間、手またはブラシのいずれかによって毛髪を通してマッサージして、PETT処理を得ることができる。その後、水性塩基性PETTで実質的に飽和しているトレスまたはアナジェニック毛髪を、酸性媒体中のシャンプーで繰り返しすすいで、PETT溶液を除去する。
【0103】
Fundamenta処理のいずれかでの酸性薬剤および/または求核剤の使用により、ケラチンタンパク質のヒドロキシルまたはシステインまたはメルカプト基との相互作用を通して、ケラチン繊維表面にエステル化および/またはチオエステル化された18-メチルエイコサン酸(F層酸)の除去が容易になり得る。この作用は、F層結合を加水分解し、得られる遊離F層酸の溶解を可能にする。このような媒体の例は、アセトンまたは水性アセトン中のチオグリコール酸またはチオグリコレート、またはヘキシルチオールもしくはチオフェノールなどのアルキルもしくは芳香族チオールである。
【0104】
Praeparatur手順とFundamenta手順のプロセスのいずれか1つの任意の組み合わせが本発明に従って実施され得る。これらの組み合わせには、Praeparaturと酸性酸化、Praeparaturと塩基性酸化、Praeparaturと還元、およびPraeparaturと還元、引き続いて酸性酸化が含まれる。これらの組み合わせの各々は、順次にまたは同時に実施することができる。これらの組み合わせには、順次に実施することができるPraeparaturとプラズマ処理およびPraeparaturとPETTがさらに含まれる。
【0105】
あるいは、Fundamenta手順のプロセスの各々をPraeparatur手順なしで単独で実施することができる。これらには、酸性酸化、塩基性酸化、還元、プラズマ処理、PETT処理の各々単独の個々の実施が含まれる。加えて、還元、引き続いて酸性酸化をPraeparatur手順なしで実施することができる。
【0106】
前処理組成物
本発明の態様によるケラチン繊維上のコーティング、好ましくはカラーコーティングの有意な残留性、耐摩耗性、および環境攻撃に対する耐性は、フィルム形成組成物、前処理組成物の成分のうちのいずれか1つまたは複数、および修飾ケラチン繊維、好ましくはアナジェニック毛髪の間の相互作用を通して発達し得る。相互作用は複雑であり、再配列された共有結合、水素結合、双極子相互作用、および分子絡み合い(もつれ)を通した、ケラチン繊維、好ましくはアナジェニック毛髪の表面および表面下でのバインダーおよび前処理低分子成分および破壊されたケラチンタンパク質の協調を伴う。
【0107】
前処理組成物の単位質量あたりのチオールまたはチオール誘導体(以下、この段落ではチオール)としてのPTHの量は、ケラチンタンパク質チオールおよびフィルム形成組成物の潜在的反応性基に対するチオール基の反応性を決定する。チオールの濃度は乾燥工程中に非常に高くなるが、乾燥は単位質量あたりのチオールの値に影響を及ぼさないので、単位質量あたりの量は、全体のチオール濃度よりも反応能力のより正確な決定因子となる。この単位質量あたりのチオールは、分子またはポリマーの総分子量をチオールまたは保護チオール官能基の数で割った官能基当量分子量(FEMw)として表すことができる。
【0108】
前処理組成物の実施形態は、PTH基およびアルコキシシリル基を組み込む、上に定義される前処理分子として、PTHアルコキシシラン化合物を含み得る。チオールとしてのPTH基に加えて、PTH基は、硫黄保護誘導体、ならびにケラチンタンパク質のチオールと結合する相補的反応性基を含む。前処理組成物の前処理分子は、好ましくは、約100Da~約40KDa、好ましくは約100Da~約5KDa、より好ましくは約100Da~約3KDa、特により好ましくは約100Da~約2KDaの重量平均分子量を有する。場合により、前処理組成物はまた、アミノオルガノアルコキシシランおよびチオール有機化合物を組み込んでもよい。
【0109】
前処理組成物のPTHアルコキシシラン化合物の実施形態は、1~10個の炭素、または1~100個の反復有機モノマー単位、好ましくは1~50個の反復有機モノマー単位、より好ましくは1~10個の反復有機モノマー単位の有機コアを含み、モノマー単位は、オレフィン、エステル、アミド、ウレタン、尿素、エーテル単位、およびこれらの任意の組み合わせであり得る。あるいは、前処理組成物は、約1~約100個のジメチルシロキサニル単位、好ましくは約1~50個のジメチルシロキサニル単位、より好ましくは約1~約20個のジメチルシロキサニル単位、特により好ましくは約1~約10個のジメチルシロキサニル単位、最も好ましくは約1~約5個のジメチルシロキサニル単位のシリコーンコアを含み得る。あるいは、シリコーンコアは、アルコキシシラン基に加えて、1~3個のシリコーン単位、より好ましくは1または2個のシリコーン単位であり得る。前処理組成物の有機およびシリコーンコア分子の実施形態はまた、1つまたは複数のPTH基および1つまたは複数のアルコキシシリル基を含む。前処理分子中に存在するPTH基およびアルコキシシリル基の数は、前処理組成物に望ましい分子間接続の種類に依存する。特に、前処理分子は、修飾ケラチンタンパク質との化学的相互作用のための少なくとも1つのPTH基を含み、修飾ケラチンタンパク質とジスルフィド、スルホンエステル、チオエステル、および同様の官能基などの化学結合を形成すると考えられている。特に、前処理分子はまた、少なくとも1つのアルコキシシリル基を含む。PTHおよびアルコキシシリル基含有分子はまた、適合性PTHおよびアルコキシシリル前駆体からin-situで形成することができ、その一部の例は、a)マルチメルカプト分子およびエポキシ-アルコキシシリル分子、b)マルチメルカプト分子およびアルケノイルオキシ-アルコキシシリル分子、c)b)マルチメルカプト分子およびアルケン-アルコキシシリル分子、d)メルカプト-アミノ分子およびアルデヒド-アルコキシシリル分子である。アルコキシシリル基は、バインダーおよびPTHアルコキシシラン化合物自体との共有結合的ケイ素-酸素-ケイ素またはケイ素-酸素-炭素結合を形成して、伸長したシリコーンポリマー部分を形成する。PTHアルコキシシラン化合物の実施形態としては、上記のならびにそれぞれ以下に記載される式IIIAおよびIIIBによって記載される、PTHオルガノアルコキシシランおよびPTHオルガノマルチジメチルシロキサニルアルコキシシランが挙げられる。
【0110】
PTHアルコキシシラン化合物自体に加えて、ジスルフィドおよびテトラスルフィドを有するダイマーが含まれる。ジスルフィドを有するダイマーは、チオールとしてのPTHを有するPTHアルコキシシラン化合物から形成される。これらは、それらのチオール基で一緒に結合された2つのチオールオルガノ-アルコキシシランまたは2つのチオールオルガノマルチジメチルシロキサニルアルコキシシランを含み、それぞれビス[オルガノ-アルコキシシラニル]ジスルフィドまたはビス[オルガノ-マルチジメチルシロキサニルアルコキシシラン]ジスルフィドを形成する。テトラスルフィドを有するダイマーは、S2としての硫黄との組み合わせによりそれらのチオール基で一緒に結合された2つのチオールオルガノ-アルコキシシランまたは2つのチオールオルガノマルチジメチルシロキサニルアルコキシシランを含み、ビス[オルガノ-アルコキシシラニル]テトラスルフィドまたはビス[オルガノ-マルチジメチルシロキサニルアルコキシシラン]テトラスルフィドを形成する。
【0111】
共に以下に記載される式Vの任意のチオール有機成分および式VIの任意のアミノオルガノアルコキシシラン成分が、前処理組成物の任意の成分としてさらに含まれる。
【0112】
前処理組成物の成分は、PTHオルガノアルコキシシラン、PTHオルガノマルチジメチルシロキサニルアルコキシシランおよび/または環状チオールアルコキシシランを含むPTHアルコキシシラン化合物の群の少なくとも1つの化合物を含む。
【0113】
これらのPTHアルコキシシラン化合物は、式IIIA、IIIBおよびIVによって構造的に特徴付けられ、PTH基が遊離チオール基、スルフィドダイマーおよびテトラマー、チオールと相補的に反応性の基、ならびに硫黄保護類似体を含むPTH化合物を含む。
(PTH-(CH
2)
k-(Y)
l)
d-(ORG)
m-SiR
1
3-n(OR)
n
式IIIA
PTH-(CH
2)
k-(SiMe
2O)
o-SiR
1
3-n(OR)
n
式IIIB
【0114】
式IIIA、IIIBおよびIVは、指示子k、l、d、m、n、o、ならびに置換基PTH、YおよびORGによって特徴付けられる。式IIIA、IIIBおよびIVにおける出現順に、指示子は以下のとおりである。
1)指示子kは、1~20、好ましくは1~10、より好ましくは1~6の整数である。
2)指示子lはゼロまたは1である。
3)指示子dは、1、2、または3の整数である。
4)指示子mは、ゼロまたは1~6の整数である。
5)指示子nは、1~3の整数である。
6)指示子oは、1~20の整数である。
【0115】
置換基PTHは、チオール部分を定義し、R3S-、ならびにOHC-、H2C=CR10-CO2-、またはHO-を含む、チオールと反応する化学基を含み得る。PTHのR3基は、チオール部分が遊離チオール(-SH)であるか、または保護チオールであるかを定義する。したがって、置換基R3は、水素、シアノ、2~10個の炭素のアルカノイル、フェニル基、複素芳香族基、フェニルアルキル基または複素芳香族アルキル基を含み得、複素芳香族基は、ピリジル、ピリミジニル、ピロリルまたはチオフェニルであり、アルキル基は、C1~C4アルキル基であり、R10は水素またはメチルであり得る。
【0116】
R基は、アルコキシ基のアルキル特性を定義する。したがって、Rは、C1~C4アルキル、好ましくはC1~C3アルキル、より好ましくはメチルまたはエチルを含み得る。
【0117】
Y基は、PTH-(CH2)k部分が式IIIAの残りの部分にどのように接続されているかを定義する。Y基は、非存在であっても(lはゼロである)、存在しても(lは1である)よい。存在する場合、Yは、-COO-、-OOC-(カルボキシル、オキシカルボニル)、エーテル酸素、エーテルチオール、-NH-、-NMe-、-HNCO-または-CONH-を含み得る。
【0118】
ORG基は、式IIIAの左半分と右半分をつなぐ有機接続基である。接続基として、ORGは二価または多価であり得る。二価構成は、左(PTH-(CH2)k-(Y)l)d部分を右部分と接続する。多価は、複数の左(PTH-(CH2)k-(Y)l)d部分を、右側の基である単一アルコキシシラン基と接続する。したがって、ORD基は2つの異なる構成を含み得る。
【0119】
第1の構成では、ORG基は、式IIIAの左(PTH-(CH2)k-(Y)l)d部分と右-SiR1
3-n(OR2)n部分を接続するように、アルキルジチオアルキル、アルキルジアゾアルキル、アルキルウレタニルアルキル、アルキルウレイドアルキル、アルキルカルボキシルアルキル、アルキルアミドアルキル、アルキルエステルアルキル、またはアルキルを含む二価有機基を含み、各アルキル基は、各場合において独立して、C1~C20直鎖または分岐アルキル基、好ましくは直鎖C1~C6アルキル基、より好ましくは直鎖C1~C3アルキル基である。
【0120】
第2の構成では、ORG基は、fがゼロまたは1~19の整数である、以下の式の多価C1~C20アルキレニル基を含む:
この第2の構成では、
(PTH-(CH
2)
k-(Y)
l)
d-(ORG)
m
を含む式IIIAの部分が、式A
になる。
【0121】
式Aは、ORGダングリング複数原子価にDとして接続された2つまたは3つの(PTH-(CH2)k-(Y)l)d部分を有する。2つの(PTH-(CH2)k-(Y)l)d部分がORGのダングリング複数原子価に接続されている場合、式Aの第3のDは、水素またはC1~C6アルキル、好ましくはC1~C3アルキル、より好ましくはメチルであり得る。式Aの(CH2)f-のダングリング原子価は、式IIIAの右-SiR1
3-n(OR2)n部分に結合している。
【0122】
式IIIAまたは式IIIBのPTHアルコキシシラン化合物に加えて、これらの化合物は、少なくとも部分的に予備縮合して、チオールまたは保護チオールとしてのPTHを有する式IIIAおよび/または式IIIBのPTHアルコキシシランの重縮合物となることができ、式IIIAおよび/または式IIIBのPTHアルコキシシランは、それ自体ともしくは一緒におよび/または式Bのアルキルアルコキシシラン[式中、R8は1~10個の炭素の直鎖または分岐アルキル基である]:
R8-SiR1
3-n(OR)n
式B
と少なくとも部分的に重縮合して、M基、D基およびT基の組み合わせの直鎖または分岐シリコーン鎖を有する直鎖または分岐オリゴマーシリコーン重縮合物を生成し、重縮合物は、ペンダントアルコキシ基、ペンダントチオアルキル基およびペンダントアルキル基を有し、重縮合物は、350~3500DaのMwならびに70~900のチオールおよび/または保護チオール基の官能基当量Mw(FEMw)および50~900のアルコキシ基のFEMwを有する。
【0123】
好ましくは、予備縮合PTHアルコキシシラン化合物は、式IIIAであり、単独で部分的に予備縮合して、直鎖または分岐オリゴマーシリコーン重縮合物を形成する。
【0124】
アルコキシシリル基を有さない任意のPTH有機化合物を、PTH有機アルコキシシランと共に前処理組成物に補助硫黄化合物として含めてもよい。任意のPTH有機化合物は、修飾ケラチン繊維のタンパク質の硫黄基と少なくともフィルム形成組成物によるおよびこれらの間の複数の連結を提供する。任意のPTH有機化合物は、式V
を含む。
【0125】
式Vについて、Dは、上に定義される(PTH-(CH
2)
k-(Y)
l)であり、このD基の変数は、Dの各例について独立である。指示子gの各々は独立してゼロまたは1である。E基は結合またはC1~C6アルキレニル基であり得る。Ak基は、以下のように示される炭素原子Ak0または構造Ak1、Ak2、Ak3、Ak4であり得る。Ak0、Ak1、Ak2およびAk3の中心炭素のダングリング原子価はE-Dに結合しており、CH
2原子価はDに結合している。Ak4の全てのダングリング原子価はE-Dに結合している。
【0126】
式Vについて、中央炭素に結合したメチルを有する式Ak2およびAk3は、それぞれ式Vの指示子gのうちの1つまたは2つをゼロとして有し、ゼロ化されたE-D基の代わりにメチルを有する。Ak4のPHYは、そのカルボキシ末端に-O-(CH2)h-O-基およびそのヒドロキシル末端に-(CH2)i-O-基を有するC3~C8α,ωヒドロキシアルカン酸エステルの2~10単位のオリゴマーであり、-O-(CH2)h-O-基および-(CH2)i-O-基はそれぞれCH基に結合しており、指示子hは2~4の整数であり、指示子iは1~3の整数である。
【0127】
硫黄を有する前記化合物の全てについて、PTHの好ましい形態は-SHである。
【0128】
任意のアミノオルガノ-アルコキシシランを前処理組成物に補助アミン化合物として含めてもよい。アミノオルガノ-アルコキシシランは、特にカルボキシル基を有するオレフィンポリマーとしてのフィルム形成組成物との追加の静電相互作用を提供する。アミノオルガノ-アルコキシシラン化合物は、式VI
[H2N-(CH2)m-(NH-R14)n]a-[ROtMe3-tSi-O]b-(-SiMe2-O)p-[(-SiMe2-r[(CH2)m’-NH2]r-O]s-[A]c-(-SiMe2-O)u-(SiMe3-tORt)
式VI
を含む。
【0129】
式VIについて、R14はC1~C6アルキレニル基であり、Rはメチルまたはエチルであり得る。指示子m、n、a、t、b、p、r、m'、s、c、およびuは、関連する基の存在または非存在を示し、関連する基が存在する場合、対応する指示子は、その基がいくつ存在するかを示す。これらの指示子は以下のとおりである。
指示子mおよびm’は、1~6、好ましくは1~3の整数であり得る。
指示子b、r、s、cはゼロまたは1であり得る。
指示子nは、ゼロまたは1~6の整数、好ましくはゼロまたは1~3であり得る。
指示子aは、ゼロまたは1~3の整数であり得る。
指示子tは1~3であり得る。
指示子pおよびuは、ゼロまたは1~12の整数であり得る。
【0130】
角括弧内の基、すなわち、指示子aおよびbを有する基、ならびに指示子sを有する基は、bが1であり、aがゼロである場合、指示子bを有する基が末端基となり、aが1であり、bがゼロである場合、指示子aを有する基が末端基となるようにそれぞれ末端基およびペンダント基である。末端基のこれらの例では、ペンダントアミン基-CH2)m'-NH2を有するアミノオルガノ-アルコキシシランを提供するために、bが1である場合、aはゼロでなければならず、sおよびrは1でなければならない。あるいは、末端基のこれらの例では、aが1、2または3である場合、bはゼロでなければならない。
【0131】
残りの置換基であるA基は、3つの代替部分のうちのいずれか1つであり得る。これらは以下のとおりである。
1)A基は、アミノオルガノ-アルコキシシロキサン化合物の左部分と右部分を接続するジチオ、ジアゾ、ウレタニル、ウレイド、カルボキシル、アミド、エステル、もしくはアミノエチルオキシカルボニルを含む二価基、またはC1~C20アルキレニル基であり得る。
2)A基は、aが2または3であり、b、pおよびsがゼロである場合、アミノオルガノアルコキシシロキサン化合物の2つまたは3つの左部分と1つの右部分を接続する多価C1~C20アルキレニル基であり得る。
3)A基は、2~2000個のエチレンイミン単位の直鎖または分岐ポリエチレンイミン部分であり得、その場合、b、p、sおよびuは全てゼロであり、場合により、-(SiMe3-tORt)基は-NH2によって置き換えられていてもよい。
4)A基は、C2~C8アルキレニル(メタ)アクリレートまたは-(CH2)n-O-CH2-CHOHCH2-O2C(R)=CH2[式中、RはHまたはCH3であり、nは2~8の整数である]から選択される末端基であり得る。
【0132】
式IIIAのPTHオルガノ-アルコキシシランの好ましいバージョンは、式OSSI[式中、kは1~20、好ましくは1~6の整数であり、複数の(CH2)鎖は直鎖であっても分岐であってもよく、nは1~3、好ましくは3の整数であり、R1はメチルであり、R2はメチルまたはエチルである]を含む。
HS-(CH2)k-SiR1
3-n(OR2)n
式OSSI
式OSSIのより好ましいバージョンは、nを3として、R2をメチル(Me)またはエチル(Et)として示して、チオールオルガノ-アルコキシシランの以下の実施形態を提供する。
HS-(CH2)k-Si(OMe)3またはHS-(CH2)k-Si(OEt)3
【0133】
式Vのアミノオルガノ-アルコキシシランの好ましいバージョンは、式OASI[式中、mは1~6の整数であり、nはゼロまたは1~3の整数であり、pおよびuはそれぞれ独立してゼロまたは1~3の整数であり、cはゼロまたは1であり、R14の各例は独立してエチル、プロピル、ブチルまたはイソブチルであり、AはC1~C6アルキレニルであり、R3はメチルであり、R4はメチルまたはエチルである]を含む。
H2N-(CH2)m-(NH-R14-)n-(SiMe2O)p-Ac-(-SiMe2-O]u-SiR3
3-tOR4
t
式OASI
式OASIのより好ましいバージョンは、p、uおよびcをゼロとして、mを2、3または4(ブチルまたはイソブチル)として、nを1または2として、R14の各例を独立してエチル、プロピル、ブチルまたはイソブチルとして、tを3として、R4をメチル(ME)またはエチル(Et)として示して、アミノオルガノアルコキシシランの少なくとも以下の実施形態を提供する:
H2N-(CH2)m-Si(OR4)3またはH2N-(CH2)m-(NH-R14)n-NH-R14-Si(OR4)3またはH2N-(CH2)m-NH-R14-Si(OR)3。
【0134】
前処理組成物のチオールオルガノアルコキシシラン成分の例示的な実施形態としては、それだけに限らないが、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、4-メルカプトブチルトリエトキシシラン、1-メルカプトメチルトリエトキシシラン、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、2,2-ジエトキシ-1-チオ-2シラシクロペンタンならびにこれらのトリメトキシシランおよびトリメトキシシリルバージョンが挙げられる。
【0135】
表IIIは、前処理組成物の前処理分子としての適切なチオールオルガノアルコキシシラン化合物のリストを提供する。
表III
チオールオルガノアルコキシシラン前処理低分子
【0136】
前処理組成物の追加の好ましいチオオルガノアルコキシシラン、好ましいアミノオルガノアルコキシシランおよび他の好ましいアルコキシシランは、
a)トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン(SCA);
b)トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレートエステル(MEMO);
c)アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES);
d)テトラエトキシシラン(TEOS);
e)3-メルカプトプロピルシリルトリオール;
f)3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン;
g)3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン;
h)3-チオグリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン;
i)3-チオグリコロイルオキシプロピルトリエトキシシラン
を含む。
【0137】
ケラチン繊維上にコーティング、好ましくはカラーコーティングを形成するためのバインダー工程
ケラチン繊維上にコーティング、好ましくはカラーコーティングを形成する方法の実施形態は、最終工程として、バインダー工程を伴う。バインダー工程は、フィルム形成組成物を、前処理組成物のプレコーティングを有する修飾ケラチン繊維上に適用することを必要とする。フィルム形成組成物は、4つの異なる種類のポリマー組成物のうちのいずれか1つを含み得る。フィルム形成組成物の最初の2つの実施形態は、ユニタリーバインダーポリマー構造に基づく。第1の実施形態は、アルコキシシラン基を含む単官能性バインダー基を有するユニタリーバインダーポリマーを含む。第2の実施形態は、カルボン酸またはカルボン酸塩基を含む単官能性バインダー基を有するユニタリーバインダーポリマーを含む。
【0138】
フィルム形成組成物の第3および第4の実施形態は、デュアルin situ反応性ポリマー構造に基づく。第3の実施形態は、第1の成分バインダーポリマーがアルケノイルオキシ基を含む官能性バインダー基を有し、第2の成分バインダーポリマーがアミンまたはチオール基を含む官能性バインダー基を有するバインダーポリマー対を含む。これらの2つの官能性バインダー基は、一般にマイケル付加対として知られている相補対または反応性基を構成する。第4の実施形態は、第1の成分バインダーポリマーがカルボン酸基を含む官能性バインダー基を有し、第2の成分バインダーポリマーがカルボジイミド基を含む官能性バインダー基を有するバインダーポリマー対を含む。これらの2つの官能性バインダー基は、反応性基の相補対を構成する。
【0139】
単一ポリマーアルコキシシランフィルム形成組成物
フィルム形成組成物の第1の実施形態では、バインダーポリマーがユニタリーであり、in situ架橋可能であり、共にアルコキシシリル基である2つ以上の官能性バインダー基を有する有機ポリマーバインダーを含む。フィルム形成組成物は、このin situ架橋可能なポリマーに関して触媒として機能する物質をさらに含み得る。より具体的には、有機ポリマーバインダーは、2つ以上のアルコキシシリルペンダントおよび/または末端基、好ましくは少なくとも末端アルコキシシリル基を有するin situ架橋可能な自己共有結合的反応性有機ポリマーを含む。有機ポリマーバインダーは、エステル、アミド、ウレタン、尿素、エーテルおよび/もしくはオレフィンモノマー単位またはこれらの任意の組み合わせのポリマーまたは共重合体を含み得る。バインダーポリマーは、ランダムまたはブロック共重合体であり得、直鎖または分岐、好ましくは直鎖構成を有し得る。
【0140】
特に、自己反応性有機ポリマーバインダーは、式IA
X3Si-R1-Ct-[Poly]y-Ct-R1-Si-X3
式IA
を含む。式IA中、Xは、1~3個の炭素のアルコキシ、好ましくはメトキシまたはエトキシであり得る。R1基は、C1~C8直鎖または分岐アルキレニル基である。Ct基は、X3Si-R1-をPolyに結合または接続するコネクター基である。
【0141】
Ct基は、式II:
-U1-R2-U2-
式II
を含む。式IIについて、U1およびU2はそれぞれ独立して尿素またはウレタン基である。U1基はR1に共有結合的に結合しており、U2基はPolyに共有結合的に結合している。R2基は、C2~C12直鎖もしくは分岐アルキレニル基、タンデムに連結されたもしくはアルキル基によって連結された1つもしくは複数のシクロアルキル環を含み得るC6~C16アルキルシクロアルキル基、1つもしくは複数の芳香族基を含み得るC6~C12芳香族基、またはタンデムに連結されたもしくはアルキル基によって連結された1つもしくは複数の芳香族基を含み得るC6~C14アルキル芳香族基である。R2基の実施形態は、一般的なジイソシアネートに由来する。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6-ヘキサンジイソシアネート)はアルキレニル基を生成する。イソホロンジイソシアネートはアルキルシクロアルキル基を生成する。トルエンジイソシアネートはアルキル芳香族基を生成する。メチレンビス(シクロヘキサンイソシアネート)もまたアルキルシクロアルキル基を生成する。メチレンジフェニルイソシアネートはアルキル芳香族基を生成する。式IIは、R2-ジイソシアネートとX3SiR1-GおよびG-Poly[式中、各Gは独立してアミンまたはヒドロキシ基である]からの対応するヒドロキシルまたはアミンの組み合わせによって生成される。
【0142】
Poly基は、コーティング、好ましくはカラーコーティングのための可撓性、引張強度およびフィルム形成を提供する一次バインダーポリマー骨格である。好ましくは、Polyは、それだけに限らないが、エステル、アミド、ウレタン、尿素、オレフィン単位などのモノマー単位の、少なくとも末端アルコキシシリル基(すなわち、定義節で定義されるトリアルコキシシリル基)を有する有機骨格である。Polyの骨格は、好ましくは直鎖または分岐構成である任意の構成であり得、直鎖構成が最も好ましい構成である。Polyの分岐構成では、任意のペンダントアルコキシシリル基は分岐の末端であり得る。バインダーポリマーの各アルコキシシリル基の複数の縮合能力のために、Si-O-Si結合を形成するためのそれらの縮合は、三次元ネットワークを形成するin situ架橋バインダーポリマーを生成する。Polyの全ての構成、好ましくはPolyの直鎖構成は、アルコキシシリル基が他のアルコキシシリル基と複数回縮合することができるため、骨格を伸長し、別の骨格を架橋として相互接続するSi-O-Si接続を有するこのバインダーポリマーネットワークを生成する。本発明の限定ではないが、in situ架橋は、前処理アルコキシシリル低分子と同様に生じて、バインダーポリマーと低分子の組み合わせ全体にわたって三次元ネットワークを確立すると考えられる。
【0143】
Poly基は、定義節に記載される任意の構造構成を有し得、好ましくは直鎖骨格構成を有し、エステル、ウレタン、尿素、アミドもしくはポリオール(エーテル)基、またはこれらの任意の組み合わせのモノマー単位から形成され得る。指示子yは、Polyの範囲を示し、骨格を形成するPolyのモノマー単位の数を示す整数である。したがって、yは、約2~最大約100万、好ましくは最大約300,000、より好ましくは最大約250,000、最も好ましくは最大約200,000の整数である。
【0144】
Polyのモノマー単位がエステルである場合、エステルモノマー単位は、C2~C10直鎖もしくは分岐アルカンジオールまたはC8~C20芳香族ジオールとC3~C10直鎖もしくは分岐アルカン二酸(alkanodioic acid)またはC8~C10芳香族ジカルボン酸から形成され得る、あるいはC3~C10ヒドロキシアルカン酸またはC8~C10芳香族ヒドロキシカルボン酸から形成され得る。
【0145】
Polyのモノマー単位がウレタンである場合、ウレタンモノマー単位は、C2~C10アルカノジオールとR3ジイソシアネート[式中、R3は以下に記載されるとおりである]から形成される。
【0146】
Polyのモノマー単位が尿素である場合、尿素モノマー単位は、C2~C10直鎖または分岐アルカノジアミンとR3ジイソシアネートから形成される。
【0147】
Polyのモノマー単位がアミドである場合、アミドモノマー単位は、C2~C10アルカノジアミンとC3~C10アルカン二酸またはC8~C10芳香族ジカルボン酸から形成される。
【0148】
Polyのモノマー単位がポリオールである場合、ポリオールモノマー単位は、エチレンオキシド(直鎖)またはプロピレンオキシド(分岐)から形成される。
【0149】
Polyの好ましいエステルモノマーは、グリコール、1,4-ブタンジオールまたは1,6-ヘキサンジオールとマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸またはこれらの任意の組み合わせから形成される、あるいは、Polyは、グリコール酸または乳酸、ω-ヒドロキシプロパン酸、ω-ヒドロキシブタン酸またはp-ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシ酸から形成される。Polyの特に好ましいエステルモノマーは、グリコール(ジヒドロキシエタン)または1,6-ヘキサンジオールとコハク酸、アジピン酸またはフタル酸またはテレフタル酸から形成される。
【0150】
Polyの好ましいウレタンモノマーは、グリコール、1,4-ブタンジオールまたは1,6-ヘキサンジオールとイソホロンジイソシアネート、メチレンビス(フェニルイソシアネート)、トルエンジイソシアネートまたは1,6-ヘキサンジイソシアネートから形成される。Polyの特に好ましいウレタンモノマーは、グリコールまたは1,6-ヘキサンジオールとイソホロンジイソシアネートまたはトルエンジイソシアネートから形成される。
【0151】
Polyの好ましい尿素モノマーは、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミンまたは1,6-ヘキサンジアミンとイソホロンジイソシアネート、メチレンビス(フェニルイソシアネート)、トルエンジイソシアネートまたは1,6-ヘキサンジイソシアネートから形成される。Polyの特に好ましいウレタンモノマーは、1,3-プロパンジアミンまたは1,6-ヘキサンジアミンとイソホロンジイソシアネートまたはトルエンジイソシアネートから形成される。
【0152】
Polyの好ましいアミドモノマーは、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミンまたは1,6-ヘキサンジアミンとマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸またはこれらの任意の組み合わせから形成される。Polyの特に好ましいアミドモノマーは、1,3-プロパンジアミンまたは1,6-ヘキサンジアミンとコハク酸、アジピン酸またはフタル酸またはテレフタル酸から形成される。
【0153】
Polyの好ましいポリオールはPEG-200~PEG-2000である。
【0154】
Poly基は、エステル、ウレタン、尿素、アミドおよび/またはポリオールのブロックまたはランダム配置の任意の組み合わせであり得る。例えば、
a)ポリエステルブロックとポリウレタンブロックの組み合わせは、ジオールとジカルボン酸およびジイソシアネートのブロックから形成され得る;
b)ポリエステルブロックとポリ尿素ブロックの組み合わせは、それらのそれぞれの反応物質から形成され得、ブロック間の結合は、ヒドロキシルで終結するポリエステルブロックとイソシアネートで終結するポリ尿素ブロックを反応させることによってウレタン接続として形成され得る;
c)ポリエステルブロックとポリアミドブロックの組み合わせは、ジカルボン酸とジオールおよびジアミンのブロックから形成され得る;
d)ポリエステルブロックとポリオールブロックの組み合わせは、ポリオールとジオールおよびジカルボン酸のブロックから形成され得る;
e)ポリウレタンブロックとポリ尿素ブロックの組み合わせは、それらのそれぞれの反応物質から形成され得、ブロック間の結合は、ウレタンおよび/または尿素接続として形成され得る;
f)ポリウレタンブロックとポリアミドブロックの組み合わせは、それらのそれぞれの反応物質から形成され得、ブロック間の結合は、アミンで終結するポリアミドブロックとイソシアネートで終結するポリウレタンブロックを反応させることによって尿素コネクターとして形成され得る;
g)ポリウレタンブロックとポリオールブロックの組み合わせは、ポリオールとジオールおよびジイソシアネートのブロックから形成され得る;
h)ポリ尿素ブロックとポリアミドブロックの組み合わせは、それらのそれぞれの反応物質から形成され得、ブロック間の結合は、アミンで終結するポリアミドブロックとイソシアネートで終結するポリ尿素ブロックを反応させることによって尿素コネクターとして形成され得る;
i)ポリ尿素ブロックとポリオールブロックの組み合わせは、ポリオールとジアミンおよびジイソシアネートのブロックから形成され得、ブロック間の結合は、ヒドロキシで終結するポリオールブロックとイソシアネートで終結するポリ尿素ブロックを反応させることによってウレタンコネクターとして形成され得る;
j)ポリアミドブロックとポリオールブロックの組み合わせは、ポリオールとジアミンおよびジカルボン酸のブロックから形成され得、ブロック間の結合は、ヒドロキシで終結するポリオールブロックとカルボン酸で終結するポリエステルブロックを反応させることによってエステルコネクターとして形成され得る。
【0155】
但し書きは、U2基の選択に適用される。トリアルコキシシリルアルキレニル-G出発物質がトリアルコキシシリルアルキレニルアミンである場合、U1は常に尿素である。あるいは、トリアルコキシアルキレニル-G出発物質がトリアルコキシシリルアルキレニルアルコール(OH)である場合、U1は常にウレタンである。以下の但し書きにおいて、U1は常に好ましいトリアルコキシシリルアルキレニルアミン出発物質から生じる尿素である。
a)Polyがエステルモノマー単位で終わる場合、U2はウレタン基であり、U1は尿素基である。
b)Polyがウレタンモノマー単位で終わる場合、U2はウレタン基であり、U1は尿素基である。
c)Polyが尿素基で終わる場合、U2およびU1は共に尿素基である。
d)Polyがアミドモノマー単位で終わる場合、U2およびU1は共に尿素基である。
e)Polyがポリオールモノマー単位で終わる場合、U2はウレタンであり、U1は尿素基である。
【0156】
R2基と同様に、R3基は、C2~C12直鎖もしくは分岐アルキレニル基、C6~C16アルキルシクロアルキル基、またはC6~C14芳香族基であり得る。R2およびR3は共に、ウレタン基および尿素基を形成するジイソシアネート反応物質の有機基である。好ましくは、R2およびR3はそれぞれ独立して、メチレンビスフェニル(メチレンビス(フェニルイソシアネート)のように)、トルエニレニル(トルエンジイソシアネートのように)、ヘキサニレニル(ヘキサメチレンジイソシアネートのように)、ナフタレニル(ナフタレンジイソシアネートのように)、メチレンビスシクロヘキシレニル(水素化メチレンビス(フェニルイソシアネート)であるメチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)のように)およびイソホロニレニル(イソホロンジイソシアネートのように)であり得る。
【0157】
式IAの有機バインダーポリマーの各々において、Polyは、ペンダントアルコキシシリル基を有機バインダーポリマーに提供するように機能するトリオールまたはトリアミンなどの1つまたは複数の三官能基を場合により含有し得る。
【0158】
三官能基の第3のヒドロキシルまたはアミンは、式IAの同じCt-R
1基を通してペンダントSiX
3への連結を構成する。このバージョンの有機バインダーポリマーは、式IB[式中、Zは、Ct-R
1を通して第3のSiX
3に連結された三官能基である]:
X
3Si-R
1-Ct-[(Poly)
x-(Z)
z-(Poly)
a]
y-Ct-R
1-Si-X
3
式IB
を含む。式IBについて、Z基は、式IIIのトリオールもしくはトリアミン出発物質
[式中、Y基はヒドロキシルまたはアミンである]
に由来する、またはPolyがエステルである場合、Z基は代わりにトリカルボン酸であり得る。トリカルボン酸実施形態を除いて、式IVは、エステル、ウレタン、尿素、アミドまたはポリオールモノマー単位のためのジオールまたはジアミン出発物質のホモログ出発物質であり、式IVの-R
5-Y分岐基はジオールまたはジアミンの有機部分と同じ構成を有する。例えば、Polyがプロパンジオールから構築されたポリウレタンまたはポリ尿素である場合、トリオール化合物は、トリヒドロキシメチルメタンとしても知られる2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールとなるだろう。Zについて上述のように、トリオールまたはトリアミンの第3のY基であるペンダントY基(ヒドロキシルまたはNH
2)は、式IVのトリオールまたはトリアミン出発物質のペンダントYが、式IのCtについて示されるように、ウレタンまたは尿素基の一部となるように、Ctを通してR
1-SiX
3に結合している。Zが構造=R
4-R
5-Ct-R
1-SiX
3を有する、得られる完全式IBは、
である。
【0159】
式IBについて、指示子zは、バインダーポリマー中に存在するペンダントアルコキシシリル基の数を示す。複数のペンダントアルコキシシリル基を有するバインダーポリマーの場合、式IBのZ(すなわち、=R4-R5-Ct-R1-SiX3)は、バインダーポリマー骨格全体にランダムに分配されている。したがって、指示子zは、1~1000の整数であり、式I’に存在する三官能基の数を指定する。好ましくは、zは、1~100、より好ましくは1~10、特により好ましくは1~5、最も好ましくは1~3の整数である。式I’のバインダーポリマーの重量平均分子量が式Iのバインダーポリマーの重量平均重量と同じになるように、整数指示子x、zおよびaの合計はyに等しい。
【0160】
バインダーポリマーのバージョンは、末端およびペンダントアルコキシシリル基を有する式IAの全てまたは式IBの全てであり得る。バインダーポリマーはまた、式IAと式IBの混合物であり得る。混合物の場合、式IAの式IBに対する比は、100:1~1:100、好ましくは50:1~10:9または25:1~2:1または20:1~10:1の範囲であり得る。
【0161】
式IAおよび式IBの重量平均分子量は、約1KDa~約1MDa、好ましくは約1KDa~約500KDa、より好ましくは約1KDa~300KDa、特により好ましくは少なくとも約2KDa~最大約250KDa、最も好ましくは少なくとも約2KDa~最大約150~約200KDaの範囲であり得る。式IAの指示子yは、この範囲内の平均分子量を提供するように選択される。同様に、式IBの指示子x、zおよびaの合計は、yおよびこの範囲内の平均分子量の選択に等しくなるように選択される。
【0162】
式IBについてのzの2つの末端アルコキシシリル基に対する比の選択は、好ましくは、1:2~100:2、より好ましくは1:2または2:2~20:2、最も好ましくは少なくとも1:2~最大5:2または10:2の範囲であり得る。ペンダントアルコキシシリル基の存在は、バインダーポリマー分子の間および前処理低分子との追加の架橋を提供する。本発明の限定ではないが、追加の架橋は、ケラチン繊維上に有意な残留コーティング、好ましくはカラーコーティングをもたらすことが可能であると考えられる。
【0163】
式IAの有機バインダーポリマーの好ましい実施形態(末端アルコキシシリル基のみを有する)は、
a)C4~C6アルカンジオール、好ましくはヘキサンジオールとイソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートまたはメチレンビス(フェニルイソシアネート)から構成されるポリウレタンとしてのPoly、または
b)ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールとしてのPoly、または
c)C2~C6アルカンジオール、好ましくはエチレングリコールとコハク酸、アジピン酸、または任意の形態のフタル酸、好ましくはテルフタル酸から構成されるポリエステルとしてのPoly
を提供する。Ct基は、C1~C4アルカンジイソシアネートから形成される。R1-SiX3基は、ω-アミノプロピルまたはイソブチルトリエトキシシランまたはトリメトキシシランホモログから形成される。
【0164】
式IBの有機バインダーポリマーの好ましい実施形態は、好ましい式IBのペンダントアルコキシシリル基の末端アルコキシシリル基に対する比が1:2~5:2、好ましくは1:2~3:2になるように、約0.1重量%~約5重量%、好ましくは約0.5重量%~約3重量%のC4~C6アルカンジオールが3-(3-ヒドロキシプロパ-1-イル)-1,6-ヘキサンジオールによって置き換えられていることを除いて、前記サブパラグラフaおよびcの式IAの好ましいポリウレタンおよびポリエステル有機バインダーポリマーについて上に記載されるPoly、CtおよびR1-SiX3を有する。
【0165】
式IAのバインダーポリマーの特に好ましい実施形態は、末端アルコキシシリル基を有する直鎖ポリエステルである式Vを含む:
(RO)3Si-(CH2)c-NHCONH-R10-NHCOO-[-(CH2)e-O-CO-(R20)-COO-]g-(CH2)e-OCONH-R10-NHCONH-(CH2)cSi(OR)3
式V
[式中、cは3~6、好ましくは3の整数であり、eは2~8の整数、好ましくはエチレン、ブタンまたはヘキサンジオール、より好ましくはエチレンであり、R20は二価ベンゼネニル(benzenenyl)(すなわち、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸を含むあらゆるベンゼンジカルボン酸の二価ベンゼン残基)または(CH2)f[式中、fは4~8の整数である]であり、好ましくは、R20はテレフタル酸残基またはコハク酸残基またはアジピン酸残基、より好ましくはテレフタル酸残基であり、gは10~300,000の整数であり、R10はC4~C8アルキレニル基、好ましくはヘキシレニルであり、Rはメチルまたはエチルである]。
【0166】
式IA、IBおよびVの好ましいバージョンの好ましい重量平均分子量は、約5KDa~約200KDa、好ましくは約5KDa~約50KDa~約100KDaの範囲であり得る。
【0167】
可撓性アルキレニル基および剛性芳香族基を示すPolyモノマーのバージョン、ならびにPolyのブロック組み合わせは、バインダーポリマーおよび前処理成分から形成されたフィルム内での硬質ドメインおよび軟質ドメインの発達を可能にすることができる。長いアルキレニル基の可撓性および芳香族基の剛性、ならびに分子間カルボキシル基とエステル、アミン、ウレタンおよび/またはウレタン基との間の水素結合が、軟質ドメインおよび硬質ドメインを促進するように部分的に作用する。硬質ドメインおよび軟質ドメインの存在は、コーティング、好ましくはカラーコーティングの引張強度および可撓性に少なくとも部分的に寄与する。
【0168】
触媒
フィルム形成組成物は、Si-O-Siネットワークを形成するためのアルコキシシリル縮合の速度を管理するための触媒をさらに含み得る。ベースライン手順として、バインダーポリマーと水の接触が縮合を行うのに十分である。しかしながら、中性条件下でのアルコキシシリル基の水加水分解および縮合は極めて遅い。例えば、A IssaおよびA Luyt、Polymers、2019、11、537以下のアルコキシシラン縮合の議論を参照されたい。加水分解/縮合媒体のpHを変化させるための触媒の使用は縮合を加速し、酸性媒体が好ましい。オルガノサルフェート、オルガノホスフェート、オルガノジルコニウム、オルガノアルミニウム、オルガノ亜鉛、ハロゲン化ホウ素、オルガノホウ素などのルイス酸剤、塩酸、硫酸および硝酸などの鉱酸、ならびに酢酸、シュウ酸およびトリフルオロ酢酸などの有機酸が、加水分解/縮合の速度を増加させるのに有用である。アンモニアおよびオルガノアミン化合物も、特にプロセスの第2の段階である縮合に有用である。触媒の選択は、触媒の美容的に許容され、薬学的に許容される性質を考慮することによって管理され得る。このため、この目的のための優れた触媒であるオルガノスズ化合物は、その毒性のために許容されない。オルガノホスフェートまたはオルガノボロネート剤などの酸性剤、引き続いて希アンモニアまたは有機アミンによる塩基性洗浄の組み合わせは、バインダーポリマーのアルコキシシリル基および前処理組成物とのその組み合わせの効率的で迅速な縮合に影響を及ぼす。この点で好ましい酸性触媒としては、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェートエステル、ビス(アセチルアセトネート)、ビス(2-エチルヘキシル)サルフェートエステル、メチルサルフェートエステル、トリ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素またはモノもしくはジアセトボロネートが挙げられる。
【0169】
単一ポリオレフィンカルボン酸フィルム形成組成物
フィルム形成組成物の第2の実施形態では、バインダーポリマーが、オレフィンカルボキシレートエステル単位、オレフィンカルボキサミド単位、炭素-水素オレフィン単位、エステルモノマー単位、アミドモノマー単位、ウレタンモノマー単位、尿素モノマー単位から選択される1つまたは複数のモノマー単位のユニタリー有機バインダーポリマーを含み得る。有機バインダーポリマーは、少なくとも1つのペンダントおよび/または末端バインダー官能性モノ基、好ましくは、ペンダントおよび/もしくは末端カルボン酸またはスルホン酸基、好ましくはカルボン酸基を含む少なくとも2つのバインダー官能性モノ基をさらに含む。この第2の実施形態の場合、前処理組成物は、好ましくはチオールアルコキシシラン化合物に加えてアミノオルガノアルコキシシランを含む。アミノオルガノアルコキシシランは、縮合前処理層にアミノ基をもたらす。これらのアミノ基は、フィルム形成組成物のカルボキシル基との静電相互作用を可能にする。カルボン酸基またはスルホン酸基を有する有機ポリマーは、好ましくは直鎖または分岐、より好ましくは直鎖である。
【0170】
バインダーポリマー
カルボン酸基を有する酸バインダーポリマーの実施形態は、オレフィンカルボン酸モノマーまたはオレフィンスルホン酸モノマー、好ましくはオレフィンカルボン酸モノマーのモノマー単位に加えて、疎水性モノマーもしくは親水性モノマーまたはこれらの組み合わせ、好ましくは疎水性モノマーと親水性モノマーの組み合わせの反復単位を含む。
【0171】
この有機ポリマー実施形態の疎水性モノマーは、オレフィンカルボキシレートエステルモノマーもしくはオレフィンカルボキサミドモノマー、オレフィンスルホンアミドモノマー、オレフィンモノマー、またはこれらの任意の組み合わせのうちの1つまたは複数から選択され得る。
【0172】
オレフィンカルボキシレートエステルは、オレフィンカルボン酸と少なくとも1つの飽和直鎖もしくは分岐のC1~C24第一級もしくは第二級アルコール、またはC4~C24環状もしくはアルキル環状アルコールのエステルを含む。
【0173】
オレフィンカルボキサミドモノマーは、オレフィンカルボン酸と少なくとも1つの直鎖または分岐C1~C24第一級アミンのアミドを含む。
【0174】
オレフィンスルホンアミドモノマーは、オレフィンスルホン酸と少なくとも1つの直鎖もしくは分岐C1~C24第一級アミン、または環状もしくはアルキル環状C4~C24アルコールのアミドを含む。
【0175】
有機ポリマー実施形態の疎水性セグメントのオレフィンモノマーは、式:
H2C=CHR
[式中、Rは、水素、1~24個の炭素の直鎖または分岐アルキル、非置換フェニルまたは1~24個の炭素の1つもしくは複数の直鎖もしくは分岐アルキルによって置換されたフェニル、直鎖または分岐C1~C214アルカノールのカルボン酸エステル、直鎖または分岐C1~C24第一級アミンのカルボキサミドから選択される;あるいはRは-CR2=CHR1[式中、R1は水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、R2は水素またはメチルである]である]
を有する。
【0176】
有機ポリマーのこの実施形態の親水性オレフィンモノマーは、
(i)オレフィンカルボン酸と2~24個の炭素の直鎖もしくは分岐アルキルジオールまたは5~24個の炭素の環状アルキルジオールのヒドロキシルエステル;
(ii)オレフィンカルボン酸と直鎖もしくは分岐C2~C24アミノアルキルアルコールまたは環状C5~C24アミノアルキルアルコールのアミノアルキルエステル;(ii)オレフィンカルボン酸と直鎖もしくは分岐C2~C23メルカプトアルキルアルコールまたは環状C5~C24メルカプトアルキルアルコールのメルカプトアルキルエステル;
(iii)フェニルがメタノールとのカルボン酸エステル、アンモニア、スルホンアミド、スルフィンアミドのカルボキサミドによって置換されているスチレン;
(iv)ビニルアルコール;
(v)式H2C=CHC6H4R[式中、Rはヒドロキシ、スルホン酸、スルフィン酸、カルボン酸、または末端および/もしくはペンダントヒドロキシル基を有するポリエステルポリオール基から選択される]の極性オレフィン化合物;
(vi)アルキレニル基がプロピレニルまたはブチレニルであり、アルコキシがメトキシまたはエトキシであり、バインダーポリマーのためのペンダントアルキルトリアルコキシシラン基を提供する、ビニルアルキレニルトリアルコキシシラン;
または
(vii)(i)~(vi)の任意の組み合わせ
から選択され得る。
【0177】
有機ポリマーのこの実施形態のオレフィンカルボン酸は、3~24個の炭素のアルケン酸もしくは4~24個の炭素のアルケン二酸もしくは部分的に加水分解されたポリアクリロニトリル(polyacrylonitile)またはこれらの任意の組み合わせである。
【0178】
有機ポリマーの追加の実施形態は、場合によりオレフィン酸エステルおよびアミドと組み合わされる(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ペンタジエン酸(ブタジエニルカルボン酸)などのオレフィンカルボン酸ならびに中性オレフィンモノマーのポリマーを含み得る。有機ポリマーは、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ペンテン酸、ペンタジエン酸、イソプレン酸、部分的に加水分解されたポリアクリロニトリル(polyacrylonitile)、およびこれらのオレフィンカルボン酸モノマーのホモログである任意のオレフィン酸モノマー誘導体を含むオレフィンカルボン酸モノマーの単位を含み得る。
【0179】
フィルム形成組成物のこの第2の実施形態の有機ポリマーは、前記オレフィンカルボン酸モノマーの単位を含み得、加えて、オレフィンカルボン酸モノマーのエステル(エステル化アルコールは、直鎖アルキル基については1~12個の炭素(ジオールについては2~12個の炭素)、分岐アルキル基については3~12個の炭素および環状アルキル基については3~12個の炭素の直鎖、分岐または環状のアルキルモノアルコールまたはジオールである)、前記オレフィンカルボン酸モノマーのアミドの1つまたは複数のモノマー単位を含み得る。アルキル基がモノアルコールについて記載される直鎖、分枝または環状アルキル基である、オレフィンカルボン酸モノマーのN-アルキルアミド、アミド化アミンが直鎖アルキル基では2~12個の炭素、分岐アルキル基では3~12個の炭素、および環状アルキル基では3~12個の炭素を有する直鎖、分岐または環状アルキルジアミンである、オレフィンカルボン酸モノマーのN-アミノアルキルアミド。式:HR1C=CHR2またはHR1C=CH-CR3=CHR4[式中、R1、R2、R3およびR4は、水素、1~6個の炭素の直鎖アルキル、3~6個の炭素の分岐アルキル、3~10個の炭素の環状アルキル、フェニル、メチル、エチル、OH、CONH2、COOH、-(CH2)nCOOH、NO2、CN、SO3H、SONH2、ピリジル、O2CR’[式中、R’は1~3個の炭素のアルキルである]、ビニルおよびアルキル基中に1~3個の炭素を有するアルキルビニルによって置換されたフェニルからそれぞれ独立して選択される]のものを含む中性オレフィンモノマー。
【0180】
有機ポリマーの親水性モノマーの好ましい実施形態としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタコン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ビニルスルホン酸またはこれらの任意の組み合わせのうちの1つまたは複数から選択されるオレフィンカルボン酸およびスルホン酸が挙げられる。より好ましいオレフィンカルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ビニルスルホン酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸が挙げられる。最も好ましいオレフィンカルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸およびイタコン酸が挙げられる。特に好ましいオレフィンカルボン酸としては、(メタ)アクリル酸およびクロトン酸が挙げられる。
【0181】
有機ポリマーの親水性モノマーの追加の好ましい実施形態としては、エチレンジオール、プロピレンジオール、ブチレンジオール、ペンチレンジオールまたはシクロヘキサンジオールアミノエタノール、アミノプロパノールおよびアミノブタノールを含むC2~C6ジオールでエステル化された前記好ましい酸の好ましいヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。特に好ましいヒドロキシアルキルエステルとしては、これらのC2~C6ジオールのいずれかでエステル化されたより好ましいオレフィンカルボン酸が挙げられる。より好ましいヒドロキシアルキルエステルとしては、エチレンジオール、プロピレンジオールまたはブチレンジオールを有する最も好ましいオレフィンカルボン酸が挙げられる。
【0182】
有機ポリマーの親水性モノマーの追加の好ましい実施形態としては、アミノエタノール、アミノプロパノールおよびアミノブタノールを含むC2~C4アミノアルコールでエステル化された好ましいオレフィンカルボン酸およびスルホン酸のアミノアルキルエステルが挙げられる。より好ましいアミノアルキルエステルとしては、アミノエタノールまたはアミノプロパノールでエステル化されたより好ましいオレフィンカルボン酸が挙げられる。
【0183】
有機ポリマーの親水性モノマーの追加の好ましい実施形態としては、好ましいオレフィンカルボン酸およびスルホン酸のメルカプトアルキエステルが挙げられる。これらのエステルのための好ましいメルカプトアルコールとしては、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノールおよびメルカプトブタノールが挙げられる。より好ましいメルカプトアルキルエステルとしては、メルカプトエタノールでエステル化されたより好ましいオレフィンカルボン酸が挙げられる。
【0184】
有機ポリマーの親水性モノマーの追加の好ましい実施形態としては、p-ヒドロキシスチレン、スチレン-p-カルボン酸、o,p-ジヒドロキシスチレン、スチレン-p-スルホン酸およびこれらの任意の組み合わせから選択される極性オレフィンモノマーが挙げられる。
【0185】
有機ポリマーの疎水性モノマーの好ましい実施形態としては、好ましいオレフィンカルボン酸およびスルホン酸が、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、エチルヘキサノール、シクロヘキシルアルコールを含むC1~C8アルコールでエステル化されているアルキルエステルが挙げられる。より好ましいアルキルエステルとしては、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチルヘキサノールまたはシクロヘキシルアルコールでエステル化されたより好ましいオレフィンカルボン酸が挙げられる。最も好ましいアルキルエステルとしては、エタノール、ブタノール、エチルヘキサノールまたはシクロヘキシルアルコールでエステル化された最も好ましいオレフィンカルボン酸が挙げられる。
【0186】
有機ポリマーの疎水性モノマーの追加の好ましい実施形態としては、エチレン、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブタジエン、1-フェニルブタジエン、イソプレンまたはこれらの任意の組み合わせから選択される非極性オレフィンモノマーが挙げられる。
【0187】
追加の有機ポリマー実施形態は、有機ポリマーの親水性モノマーのオレフィンカルボン酸の代替物として、サルフェート、スルホネート、カルボキシレート、ホスフェート、ホスホネート基およびこれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数の官能基を含む1つまたは複数のモノマー単位を含み得る。これらのモノマー単位を他の親水性モノマーおよび上記の疎水性モノマーと組み合わせて有機ポリマーの追加の実施形態を形成することができる。官能基は、好ましくは、サルフェート、スルホネート、カルボキシレート基およびこれらの混合物からなる群から選択され得る。さらに、このようなモノマー単位のアニオン性ポリマーを上記の有機ポリマー実施形態と組み合わせて、アニオン性ポリマーと有機ポリマーの混合物を形成することができる。
【0188】
前記選好の親水性モノマーおよび疎水性モノマーの列挙された種の好ましい組み合わせとしては、列挙された好ましい非極性オレフィンモノマー、列挙された好ましい極性オレフィンモノマー、列挙された好ましいアルキルエステル、列挙された好ましいヒドロキシアルキルエステル、列挙された好ましいアミノアルキルエステル、列挙された好ましいメルカプトアルキルエステルならびに好ましいオレフィンカルボン酸およびスルホン酸の任意の組み合わせが挙げられる。これらの種の任意の組み合わせの選択は、親水性モノマーおよび疎水性モノマーの量が有機ポリマー中に存在すべきであることを示すパラメータに従って、オレフィンカルボン酸およびスルホン酸の好ましいリストの第1の種の選択、ヒドロキシアルキルエステルの好ましいリストの第1の種の選択、アミノアルキルエステルの好ましいリストの第1の種の選択、メルカプトアルキルエステルの好ましいリストの第1の種の選択、好ましい極性オレフィンモノマーの好ましいリストの第1の種の選択および非極性オレフィンモノマーの好ましいリストの第1の種の選択、ならびに選択のいずれか2つ、選択のいずれか3つ、選択のいずれか4つ、選択のいずれか5つを組み合わせることまたは選択の6つ全てを組み合わせることを意味する。選択はまた、いずれかの好ましいリストからいずれかの種を選択し、それをいずれかの他のリストまたは複数のリストのいずれかの種と組み合わせて、選択の全ての組み合わせを提供することによって、同様に行われ得る。
【0189】
フィルム形成組成物のこの第2の実施形態の特に好ましい有機ポリマーは、少なくとも1つのオレフィン酸モノマー単位と、単位a)、b)、c)およびd)ならびにこれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つまたは複数から選択される少なくとも1つの非酸オレフィンモノマー単位の反復単位を含む。これらの非酸オレフィンモノマー単位としては、a)オレフィンカルボキシレートエステルモノマー単位、b)オレフィンカルボキサミドモノマー単位、c)親水性オレフィンモノマー単位、およびd)親油性オレフィンモノマー単位が挙げられる。
【0190】
好ましい有機ポリマーのこの実施形態について、オレフィン酸モノマー単位は、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、グルコン酸、C5~C10エテン酸、またはこれらの任意の組み合わせから選択される。
【0191】
好ましい有機ポリマーのこの実施形態について、a)群のオレフィンカルボキシレートエステルモノマー単位は、オレフィン酸モノマー単位のいずれかまたはこれらの任意の組み合わせのC1~C30直鎖または分岐アルキルエステルから選択される。
【0192】
好ましい有機ポリマーのこの実施形態について、b)群のオレフィンカルボキサミドモノマー単位は、オレフィン酸モノマー単位のいずれかまたはこれらの任意の組み合わせの-NH2、-NR1Hまたは-NR1R2アミド[式中、R1およびR2はC1~C6直鎖または分岐アルキルからそれぞれ独立して選択される]から選択される。
【0193】
好ましい有機ポリマーのこの実施形態について、c)群の親水性オレフィンモノマーは、オレフィンカルボン酸モノマー単位と直鎖もしくは分岐C2~C24アルキルジオールのヒドロキシアルキルエステルから選択される、またはオレフィンカルボン酸モノマー単位と直鎖もしくは分岐アミノC2~C24アルキルアルコールのアミノアルキルエステルである、またはこれらの任意の組み合わせである。
【0194】
好ましい有機ポリマーのこの実施形態について、d)群の親油性オレフィンモノマー単位は、式OL2のオレフィン化合物
R3HC=CHR4
式OL2
から選択される。
【0195】
式OL2のこの親油性オレフィンモノマー単位について、R3基は、水素、1~6個の炭素の直鎖または分岐アルキル、非置換フェニルまたは1~6個の炭素の直鎖もしくは分岐アルキルによって置換されたフェニルから選択される。
【0196】
式OL2のこの親油性オレフィンモノマー単位について、R4は、水素、1~6個の炭素の直鎖または分岐アルキル、非置換フェニルまたは1~6個の炭素の直鎖もしくは分岐アルキルによって置換されたフェニルから選択される。
【0197】
あるいは、式OL2のR4は、式OL2’のエテニル基
-CH=CHR5
式OL2’
である。式OL2’について、R5は、水素、1~6個の炭素の直鎖または分岐アルキル、非置換フェニルまたは1~6個の炭素の直鎖もしくは分岐アルキルによって置換されたフェニル、メチルまたはエチルカルボキシレート、カルボキサミドまたはヒドロキシルから選択される。
【0198】
フィルム形成組成物のこの第2の実施形態のより特に好ましい有機ポリマーは、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはフマル酸から選択される少なくとも1つのオレフィン酸モノマー単位と式OL2[式中、R3およびR4は共に水素である、すなわち、式OL2はエチレンとしても知られるエテンである]の親油性オレフィンモノマー単位の反復単位を含む。この第2の実施形態のさらにより特に好ましい有機ポリマーは、(メタ)アクリル酸とエチレンの反復単位を含み、(メタ)アクリル酸のアクリル酸バージョンが好ましい。
【0199】
有機ポリマー実施形態は、一般に、ゼロまたは0.01~約700、好ましくは約1~約500、より好ましくは2~250、最も好ましくは7~90の範囲の酸価を有し得、典型的な酸価はおよそ約100未満である。典型的なヒドロキシル含有量は、平均およそ1~20重量%であり得る、またはおよそ5~10重量%であり得る。有機ポリマーは、約2KDa~約2MDa、好ましくは約2KDa~約100KDa、より好ましくは約2KDa~約25KDaの範囲の重量平均分子量を有し得る。有機ポリマーは、約-125℃~約-40℃のガラス転移温度を有し得る。
【0200】
有機ポリマーは、ポリマー骨格に沿った異なるモノマー単位のランダム分布で構築されてもよく、または単一モノマー単位のブロックを有するブロック共重合体であってもよく、またはポリマー骨格を形成するあるモノマー単位およびポリマー側鎖を形成する異なるモノマー単位を有するグラフト共重合体であってもよい。ポリマーの異なる構造は、異なるポリマー間結合特性および異なる高分子特性を提供する。ブロック共重合体は、硬質ポリマー特性および軟質ポリマー特性の領域を提供することができる。ブロック共重合体は、水溶性領域および耐水性領域の発達を可能にすることができる結晶性領域および非晶質領域を示すことができる。異なる電子特性および親油性特性のブロックは、密着内部構造が最小化されるように、ポリマーに開放反発特性を付与することができる。グラフト化ポリマーまたはセグメント化ポリマーは、密着内部構造を可能にするように、絡み合ったコンフォメーションおよびコンパクトな分子寸法を可能にする。
【0201】
デュアルポリマーマイケルフィルム形成組成物
フィルム形成組成物の第3の実施形態は、バインダーポリマーが、フィルム形成組成物の第1の成分および第2の成分を含むデュアルバインダーポリマーであることを提供する。これらの第1の成分と第2の成分は異なる。第1の成分は、少なくとも1つのペンダントおよび/または末端の第1のバインダー官能基を有するオルガノシリコーンバインダーポリマーであり得る。この第3の実施形態の第2の成分は、少なくとも1つのペンダントおよび/または末端の第2のバインダー官能基を有するシリコーンバインダーポリマーであり得る。この第3の実施形態の第1のバインダー官能基および第2のバインダー官能基は、それぞれ、マイケル付加基としても知られる、アルケノイルオキシ基とアミンまたはアルケノイルオキシ基とチオールの相補対を含む。
【0202】
より具体的には、この第3の実施形態の第1の成分はバインダーオルガノシリコーンポリマーを含み、第2の成分は、in situで結合してアザ-マイケル付加を通して架橋するように適合されたリンカーポリマーを含む。バインダーポリマーは、ペンダントおよび/または末端α,β不飽和アルケノイルオキシ基を有するシリコーンポリマーを含む。リンカーポリマーは、ペンダントおよび/または末端オルガノアミン基、ならびに任意のペンダントおよび/またはアルコキシシリル基を有するシリコーンポリマーを含む。好ましくは、バインダーおよびリンカーポリマーは、直鎖および/または分岐、より好ましくは直鎖である。
【0203】
フィルム形成組成物のこの実施形態のバインダー第1の成分およびリンカー第2の成分は、使用直前まで別々に維持される。フィルム形成組成物は、以下に記載される比例量に従って、媒体中でこれらのバインダーおよびリンカー成分を組み合わせ、混合することによって、ケラチン繊維に適用するために使用するために調製される。分散剤を含む顔料/着色体を以下に記載されるように組み合わせて、顔料/着色体を含むフィルム形成組成物を形成することもできる。
【0204】
バインダーポリマーの第1の成分
バインダーポリマーは、少なくとも2つのペンダントおよび/または末端α,β不飽和アルケノイルオキシ基を有するシリコーンポリマーであり得、好ましくは、α,β不飽和アルケノイルオキシ基のうちの少なくとも2つが末端基である。バインダーポリマーは、直鎖または分岐、好ましくは直鎖構成を有し得る。
【0205】
特に、フィルム形成組成物のバインダーポリマーの実施形態は、ポリマーのシロキサン単位に結合した少なくとも2つまたは少なくとも3つのα,β不飽和アルケノイルオキシ基を有するポリジメチルシロキサン型ポリマーを含む。α,β-不飽和アルケノイルオキシ基は、式EOY:
R1R2C=CR3COO-R4-
式EOY
を含む。式EOY中、R1およびR2の各々は独立して水素またはC1~C6直鎖もしくは分岐アルキル基であり得る。好ましくは、R1およびR2の少なくとも1つは水素である。R3基は水素またはメチルであり得る。R4基は、式EOYをポリジメチルシロキサン型シリコーンポリマーのシロキサン単位のケイ素に結合するコネクター基の一部である。R4基は、C1~C12直鎖アルキレニル基、直鎖C3~C12シクロアルキルアルキルもしくはシクロアルキル基、直鎖C6~C20アリールアルキル基またはC6~C20アリール基であり得、R4は、エーテル酸素、チオエーテル硫黄および/もしくはアミン基のうちの1つもしくは複数によって鎖内で、またはヒドロキシル基によってペンダント式に(pendantly)置換されていてもよい。R4基は、ジメチルシロキサン型(dimethylsilxane-type)シリコーンポリマーのシロキサン単位のケイ素原子と直接結合している。式EOYの好ましい実施形態はH2C=CR3COO-R4-であり、より好ましい実施形態はH2C=CHCOO-R4-である。
【0206】
フィルム形成組成物のバインダーポリマーの実施形態は、直鎖および/または分岐、好ましくは直鎖であり得、DおよびMシロキサンモノマー単位から構成されるシリコーンポリマーを含み得る。分岐形態は、D単位およびM単位を有する分岐鎖の分岐接合部を形成するT単位(MeSiO3)を骨格中に含み得るが、直鎖形態が好ましい。バインダーシリコーンポリマーは、式I:
(Xz)SiMe3-zO-(Me2SiO)x-(XSiMeO)y-(Xz)SiOMe3-z
式I
を含む。式Iについて、D単位および/またはM単位のうちの2つ以上が、式EOYのα,β不飽和アルケノイルオキシ基であるXで修飾されている。シロキサン単位Me2SiOおよびSi(X)MeOの各々がモノマーシロキサンD単位を含み、Meはメチルである。末端単位(Xz)SiMe3-zは、モノマーシロキサンM単位を含む。末端単位が単一式EOY基を有し得る、またはトリメチルシロキサン単位となり得るように、指示子zはゼロまたは1である。指示子xは、シリコーンバインダーポリマーの分子サイズを主に決定し、約2~200,000、好ましくは約5~約50,000、より好ましくは約5~約1,000の範囲であり得る。指示子yは、バインダー中の式EOY基の数を主に決定し、0~約100、好ましくは約2~約25、より好ましくは約2~約20の範囲であり得る。式Iが少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの式EOY基を有するように、指示子yとzの合計は、少なくとも1、好ましくは2でなければならない。指示子xは、直鎖シリコーンポリマーの長さを主に決定し、約3~約200,000、好ましくは最大約500、より好ましくは最大約200の範囲の整数であり得、例示的な整数の合計は最大約100である。Me2SiOおよび(X)SiMeOの複数のモノマー単位は、式I中にランダムに分配されている。
【0207】
式Iの好ましい実施形態は、指示子yがゼロであり、zが1であるものである。これらの実施形態は、末端式EOYのみを有するバインダーを提供する。追加の好ましい実施形態は、指示子xが少なくとも5であり、指示子yが1~5であり、zが1であるものである。これらの実施形態は、末端式EOYおよび1~5個のペンダント式EOYを有するバインダーを提供する。さらに他の特に好ましい実施形態は、指示子xが少なくとも10であり、指示子yが2~6であり、zがゼロであるものである。これらの実施形態は、2~6個のペンダント式EOYを有し、末端としての式EOYを有さないバインダーを提供する。代わりに、バインダーはMe3SiO基で終結する。
【0208】
式Iの前記好ましい実施形態の別の好ましい実施形態は、H2C=CR3COO-R4-としての式EOYを有する。式Iのこれらの特に好ましい実施形態(R1およびR2の指示子が水素である式EOY)の中でより好ましいのは、R4が直鎖C2~C8アルキレニル基であり、より特に好ましくは、R4基が-CH2CHOH-CH2-O-(CH2)n-[式中、nは1~6の整数である]であるものである。最も特に好ましくは、式Iのこれらの実施形態の全てが、
H2C=CR3COO-CH2CHOH-CH2-O-(CH2)3-
としての式EOYを有する。
【0209】
式Iのバインダーポリマーの特に好ましい実施形態は、式IV:
H2C=CHCOOCH2CHOH-CH2-O-(CH2)c-SiMe2O-(SiMe2O)m-[MeSiO-(-(CH2)c-O-CH2-CHOH-CH2OOC-CH=CH2)]g-(Me2SiO)p-OSiMe2-(CH2)c-O-CH2-CHOHCH2OOCCH=CH2
式IV
である。バインダーのこの特に好ましい実施形態は、ポリジメチルシロキサン型ポリマーの末端基としておよびペンダント基としての式EOYを提供する。この実施形態では、指示子cが、α,β不飽和アルケノイルオキシ基をポリマー骨格のケイ素に接続するアルキレニルオキソ基の長さを決定する。指示子cは1~6、好ましくは3の整数であり得る。指示子mおよびpは、直鎖シリコーンポリマーの大きさまたは長さを確立し、ペンダントα,β-不飽和アルケノイルオキシ基を末端α,β-不飽和アルケノイルオキシ基から分離する。指示子mおよびpはそれぞれ独立して約5~約100の範囲であり得る。指示子gは、いくつのペンダントα,β-不飽和アルケノイルオキシ基がバインダーのこの実施形態に存在するかを確立する。指示子gはゼロであり得、ペンダントα,β-不飽和アルケノイルオキシ基を有さないが、末端がそれぞれα,β-不飽和アルケノイルオキシ基を有する式IV実施形態を提供する。あるいは、指示子gは1~約10の整数であり得る。この実施形態では、-O-(CH2)c-部分が、炭素とケイ素の結合として式EOYをシリコーン骨格に接続する。結合を達成するために、アルケニル部分を通る経路をたどってもよい。アルケニルオキソアルキルブロミドを、アルキルリチウムまたはグリニャール試薬を使用してハロゲン化ケイ素と組み合わせて、Si-アルキルオキソアルケン部分を提供することができる。アルケン基のオレフィン結合をエポキシ化し、エポキシ基を、アクリル酸などのα,β-不飽和アルケン酸と組み合わせて式EOYを形成することができる。
【0210】
式IVの好ましい実施形態は、gが1~5の整数であり、cおよびc’がそれぞれ1~3の整数であり、mおよびpの各々が10~50であるものを含む。この実施形態は、末端としてのおよび1~5個のペンダント基としての式EOYを有するバインダーを提供する。式IVの別の好ましい実施形態は、gおよびpをゼロとして、cおよびc’を1~3の整数として提供する。この実施形態は、末端としての式EOYのみを有するバインダーを提供する。
【0211】
第2の成分リンカーポリマー
フィルム形成組成物の第2の成分リンカーポリマーの実施形態は、直鎖および/または分岐、好ましくは直鎖であり得、式VとしてM1単位、D単位およびM2単位の組み合わせを含むポリジメチルシロキサン型シリコーンポリマーを含み得る:
M1-(D)d-M2
式V
M1単位およびM2単位は、示されるようにシリコーンポリマーの末端を構成する。D単位は、示されるように、シリコーンポリマーの骨格を形成する。分岐形態は、D単位およびM単位を有する分岐鎖の分岐接合部を形成するT単位(MeSiO3)を骨格中に含み得るが、直鎖形態が好ましい。M1単位およびM2単位は、Me3SiO単位、A-SiMe2O単位[式中、Aはオルガノアミン基である]、および-SiOR3単位(トリアルコキシシリル単位)[式中、Rはエチルまたはメチルである]から選択される。D単位は、SiMe2O単位およびA-SiMeO単位から選択される。D単位について、指示子dは、直鎖シリコーンポリマーの長さを示し、3~30,000、好ましくは3~25,000、より好ましくは2,000~10,000の範囲であり得る。
【0212】
D単位およびM単位について、オルガノアミン基であるA部分は、式OA:
H2N-(R10-NH)r-R11-
式OA
を含む。R10基は、直鎖もしくは分岐C1~C10アルキレニル基または直鎖もしくは分岐C6~C14アルキルアリーレニル基、好ましくは直鎖C2~C4アルキレニル基、より好ましくはエチレニル基であり得る。R11基は、直鎖もしくは分岐C1~C10アルキレニル基または直鎖もしくは分岐C6~C14アルキルアリーレニル基、好ましくは直鎖C2~C5アルキレニル基、より好ましくはプロピレニルまたはイソ-ブチル基であり得る。指示子rはゼロまたは1~3の整数であり得る。R11基は、シロキサン単位のケイ素に結合しており、指示子rがゼロである場合、H2N-にも結合している。
【0213】
リンカーの第1の実施形態は、A-SiMe2O単位としてM1単位とM2単位の両方を有し得る。リンカーの第2の実施形態は、A-SiMe2O単位としてのM1および-SiOR3単位としてのM2を有し得る。これらの第1および第2の実施形態について、Dは複数のSiMe2O単位を有し得る。あるいは、これらの第1および第2の実施形態について、Dは、1~10個のA-SiMeO単位および複数のSiMe2O単位を有し得る。リンカーの第3の実施形態は、-SiOR3単位としてM1とM2の両方を有し得、Dは、1~10個のA-SiMeO単位および複数のSiMe2O単位を有し得る。リンカーの第4の実施形態は、Me3SiO単位としてM1とM2の両方を有し得、Dは、1~10個のA-SiMeO単位および複数のSiMe2O単位を有し得る。
【0214】
M1-(D)d-M2としてのリンカーの好ましい実施形態は、式OA基を有し、トリアルコキシシリル基を有さない少なくとも2つのペンダントおよび/または末端のD単位、M1単位およびM2単位を提供するよう選択され得る。好ましい実施形態はまた、式OA基を有する少なくとも1つのD単位ならびにM1単位およびM2単位の一方、ならびにトリアルコキシシリル基としてのM1単位およびM2単位の他方を提供するように選択され得る。好ましい実施形態はまた、式OA基を有する少なくとも2つのD単位、ならびに共にトリアルコキシシリル基としてのM1単位およびM2単位を提供するように選択され得る。これらの前記好ましい実施形態のより好ましいバージョンはまた、2~6個の式OA基を有する追加のD単位を提供するように選択され得る。これらの前記好ましいおよびより好ましい実施形態の特に好ましいバージョンは、D単位中のみの式OA基およびM1単位とM2単位の両方としてのトリアルコキシシリル基を提供するように選択され得る。
【0215】
好ましくは直鎖ポリジメチルシロキサン型ポリマーリンカーとしての式Vは、可能なモノマー単位を示すように拡張され得る。したがって、リンカーは、リストの下に示されるM指示子およびD指示子を有するモノマー単位の以下のリストから形成される:
最初の3つの単位は、リンカーの末端を形成する(M-T1-M-T2-M-T3)。最後の2つの単位は、リンカーの骨格を形成し(D-B1-D-B2)、骨格単位の大部分はジメチルシロキサン単位、D-B1である。ジメチルシロキサン単位の指示子oは2~100の整数である。式OAを有するシロキサン骨格基の指示子pはゼロまたは1~10の整数であり得る。
【0216】
記号Aは上記の式OAを表す。M-T3およびD-B2はアミン基式OAを有する。単位M-T2はトリアルキルシリル基である。M-T2単位のケイ素は、末端として、リンカーポリマーを形成するジメチルシロキサン型ポリマーの骨格の隣接するD-B1単位の酸素に結合している。
【0217】
上記のように、リンカーの実施形態は、末端としての基の素性に従って順序付けられ得る。これらの実施形態の全てにおいて、シリコーン骨格は、主にD-B1単位である。骨格中のD-B1単位の数は、以下に記載されるように、リンカーの重量平均分子量範囲を提供するように計算される。これらの実施形態としては、それだけに限らないが、以下が挙げられる:
A)M-T1(トリメチルシロキサン)としての両末端。この場合、骨格は、D-B2としての少なくとも1つの単位のアミン式OA、好ましくは2つまたは3つのD-B2単位を有する。
B)M-T1としての一方の末端およびM-T2(アルコキシシリル)としての他方の末端。この場合、骨格は、単位D-B2としての少なくとも1つのアミン式OA、好ましくは2つまたは3つのD-B2単位を有する。
C)M-T1としての一方の末端およびM-T3(M単位はオルガノアミン式OAを有する)としての他方。この場合、骨格は、単位D-B2としての少なくとも1つのアミン式OA、好ましくは2つまたは3つのD-B2単位を有する。
D)M-T2(アルコキシシリル)としての一方の末端およびM-T3(M単位はオルガノアミン式OAを有する)としての他方。この場合、骨格は、単位D-B2としての少なくとも1つのアミン式OA、好ましくは2つまたは3つのD-B2単位を有する。
E)M-T2(アルコキシシリル)としての両末端。この場合、骨格は、単位D-B2としての少なくとも1つのアミン式IA、好ましくは2つまたは3つのD-B2単位を有する。
F)M-T3(M単位はオルガノアミン式OAを有する)としての両末端。この場合、骨格はD-B2単位を有さなくてもよい。
G)M-T3としての両末端。この場合、骨格は、少なくとも1つまたは2つのD-B2単位を有し得る。
【0218】
フィルム形成組成物のバインダーポリマーの実施形態は、約0.5KDa~約10KDa、好ましくは約0.5KDa~約5KDa、より好ましくは約1KDa~約5KDa、最も好ましくは約1KDa~約3KDa、特に約1KDa~約2KDaの範囲のバインダーの重量平均分子量を提供するシロキサン単位の数を示すように選択されたそれらの指示子を有し得る。
【0219】
フィルム形成組成物のリンカーポリマーの実施形態は、約5KDa~約50KDa、好ましくは約5KDa~約30KDa、より好ましくは約5KDa~約20KDa、最も好ましくは約8KDa~約20KDa、特に約10KDa~約20KDaの範囲のリンカーの重量平均分子量を提供するように選択されたそれらのモノマー単位の数を有し得る。リンカーの重量平均分子量は、ポリジメチルシロキサン型シリコーンリンカーの骨格に存在するジメチルシロキサン単位の数によって主に提供される。
【0220】
フィルム形成組成物中のバインダーポリマーおよびリンカーポリマーのモル濃度は、マイケル基のアザ基に対する比をもたらす。フィルム形成組成物の一部の実施形態では、バインダーが、リンカーのオルガノアミン基(アザ基)の数に等しい数のα,β不飽和アルケノイルオキシ基(マイケル基)を提供する。フィルム形成組成物の好ましい実施形態では、バインダーが、リンカーのアザ基の数に対して過剰な数のマイケル基を提供する。この比は、バインダーと前処理組成物の低分子のアミン基のマイケル-アザ付加を可能にする。フィルム形成組成物のより好ましい実施形態では、バインダーが、リンカーの2~6個のアザ基あたり少なくとも2~8個のマイケル基を提供する。
【0221】
デュアルポリマーカルボキシル-カルボジミドフィルム形成組成物
フィルム形成組成物の第4の実施形態は、異なる第1のバインダー成分および第2のバインダー成分を含むデュアルバインダーポリマーを含む。第1の成分は、少なくとも1つのペンダントおよび/または末端の第1のバインダー官能基を有する有機ケイ素またはオガノケイ素(oganosilicon)バインダーポリマーであり得る。この第4の実施形態の第2の成分は、少なくとも1つのペンダントおよび/または末端の第2のバインダー官能基を有する低分子、プレポリマーまたはポリマーであり得る。この第4の実施形態の第1のバインダー官能基および第2のバインダー官能基は、それぞれカルボン酸基とカルボジイミド基の相補対を含む。
【0222】
フィルム形成組成物のこの第4の実施形態の第1の成分および第2の成分は、in situで組み合わせてカルボン酸-カルボジイミド(酸-CDI)付加を通して架橋するように適合される。第1の成分バインダーポリマーは、少なくとも2つのペンダントおよび/または末端カルボン酸基を有するオレフィンポリマー、シリコーンポリマーまたはオレフィン-シリコーンブロック共重合体を含む。バインダーは、好ましくは直鎖または分岐、より好ましくは直鎖である。第2のリンカーポリマーは、カルボジイミドの複数の鎖内セグメントを有するアルキレニル、芳香族もしくはアルキレニル芳香族ポリマー;またはペンダントアルキレニル単一カルボジイミド基を有するエステル、ウレタンもしくは尿素モノマー残基のポリマーを含む。リンカーは、好ましくは直鎖または分岐、より好ましくは直鎖である。
【0223】
フィルム形成組成物のバインダーポリマーおよびリンカーポリマー成分は、使用直前まで別々に維持される。フィルム形成組成物は、以下に記載される比例量に従って、媒体中でバインダーおよびリンカー成分を組み合わせ、混合することによって、ケラチン繊維に適用するために使用するために調製される。分散剤を含む顔料/着色体を以下に記載されるように組み合わせて、顔料/着色体を含むフィルム形成組成物を形成することもできる。
【0224】
第1の成分バインダーポリマー
第1の成分バインダーポリマーは、少なくとも2つのカルボン酸基を有するホモポリマー、共重合体、ターポリマーまたはマルチブロックポリマーであり得る。さらに、バインダーポリマーの構造は、有機ポリマー、シリコーンポリマーまたはオルガノシリコーンポリマーであり得、これらの各々は、直鎖および/または分岐構成、好ましくは直鎖構成を有するように構成される。
【0225】
特に、フィルム形成組成物の第1の成分バインダーポリマーの実施形態は、少なくとも2つのカルボン酸基を有する式Iのオレフィン、シリコーンまたはオルガノシリコーンポリマーを含む。
MUE-(MU1)x-(MUX)y-(MU2)z-(MU3)a-(MU3X)b-MUE
式I
【0226】
記号MUE、MU1、MUX、MU2、MU3およびMU3Xは、カルボン酸ポリマーのモノマー単位を表す。式Iのバインダーポリマーは、直鎖または分岐、好ましくは直鎖であり得る。モノマー単位MU1、MUX(Xは酸)およびMU2はそれぞれ、疎水性、酸および親水性オレフィンモノマー単位である。MU3およびMU3Xはそれぞれ、ペンダントアルカン酸基を有するXシロキサン単位を有するシロキサン単位である。MUE(Eは末端)は、ポリマーの末端単位であり、オレフィンモノマー単位またはシロキサン単位のいずれかであり得る。オレフィンポリマーは、MUXと組み合わせたMU1およびMU2のいずれかまたは両方を含み、このポリマーの末端(MUE)は、これらの3つの前のモノマー単位のいずれかであり得る。親水性単位および疎水性単位がオレフィンポリマー中に存在する場合、これらのオレフィンモノマー単位は、オレフィンポリマー全体にランダムに分配され得る、または親水性単位および疎水性単位のブロックを形成し得、カルボン酸単位は、好ましくは親水性ブロック内にある。シリコーンポリマーはMU3とMU3Xの組み合わせを含み、その末端はMU3である。カルボン酸単位は、シリコーンポリマー全体にランダムに分配され得る。オルガノシリコーンポリマーは、オレフィンポリマーおよびシリコーンポリマーのブロックを含む。オレフィンポリマーブロックは、オレフィンポリマーと同様に配置されたモノマー単位を有し得る。酸含有単位はMUXまたはMU3Xであり得、好ましくはMUXである。前記モノマー単位から形成されたオレフィン、シリコーンまたはオルガノシリコーンポリマーを含むバインダーは、直鎖または分岐、好ましくは直鎖であり得る。
【0227】
特に、これらのモノマー単位は、直鎖または分岐、好ましくは直鎖であり得、以下のとおりである。
a)MU1は、C2~C10アルケン残基、C4~C12アルカジエン残基および/またはC6~C10芳香族/アルキル芳香族ビニル残基を含む疎水性オレフィンモノマー単位である。
b)MU2は、ビニルC2~C16アルカン酸エステル残基、C1~C14アルキルまたはヒドロキシアルキルC2~C14アルケン酸エステル残基、C2~C10アルケン酸アミド残基またはアミド残基のN-C1~C4アルキル置換バージョンを含む親水性オレフィンモノマー単位である。
c)MUXは、C3~C10アルケン酸残基またはC4~C10アルカジエン酸残基を含む酸性オレフィンモノマー単位である。
d)MU3はジメチルシロキサンモノマー単位である。
e)MU3Xは、少なくとも4個の炭素のアルカン酸に結合したモノメチルシロキサンモノマー単位であり、アルカン酸のアルキル炭素のうちの1個は、場合によりヒドロキシ基を有する。
f)MUEは、ポリマーがオレフィンポリマーまたはオルガノシリコーンポリマーである場合、MU1、MU2またはMUXの単一末端モノマー単位である。
g)MUEは、ポリマーがシリコーンポリマーである場合、追加のメチルを有するMU3の単一末端モノマー単位、すなわちトリメチルシロキサン単位である。
【0228】
指示子x、y、z、aおよびbは、対応するポリマー中に存在する対応するモノマー単位の数を示す。ポリマーの種類にかかわらず、その分子サイズは、約3~最大約100万、好ましくは最大約300,000、より好ましくは最大約250,000、最も好ましくは最大約200,000の整数であり得るx、y、z、aおよびbの合計である。指示子x、y、z、aおよびbの各々は独立して、直鎖ポリマー骨格を形成する対応するモノマー単位の数を示す。x、zおよびaの各々は、ゼロまたは1~最大約100,000の整数であり得る。指示子yおよびbは、ポリマー中に存在する酸単位の数を示し、yはオレフィンカルボン酸単位の数を示し、bはシロキサンカルボン酸単位の数を示す。指示子yおよびbはそれぞれ独立して、ゼロまたは1~100、好ましくは1~50、より好ましくは1~20の整数であり得、但し、少なくとも2つのカルボン酸基が存在する。さらに、ポリマーがシリコーンポリマーである場合、bはゼロであり、yは整数である。ポリマーがオレフィンポリマーである場合、bは整数であり、yはゼロである。ポリマーがオルガノシリコーンポリマーである場合、bおよびyの一方がゼロであり得、他方が整数であり得る、または両方が整数であり得る。
【0229】
式Iの好ましい形態は、以下を含む:
指示子xおよびzがそれぞれ少なくとも10であり、指示子yが少なくとも3であり、指示子aおよびbが共にゼロであり、末端MUEがMUXである式I。これはオレフィンポリマーである。
指示子x、zおよびaの各々が10~100であり、指示子yが1~50であり、指示子bがゼロであり、末端MUEがMUXである式I。これは、オレフィン単位カルボン酸基を有するオルガノシリコーンブロック共重合体である。
指示子x、yおよびzがゼロであり、指示子aが少なくとも20、好ましくは少なくとも40であり、指示子bが1~50であり、末端MUEがMU3XまたはMU3である式I。これは、アルキルアルカン酸基を有するジメチルシロキサンまたはトリメチルシロキサン単位のいずれかとしての末端を有するシリコーンポリマーである。
指示子x、zおよびaの各々が10~100であり、指示子yおよびbの各々が独立して1~50であり、末端MUEがMUXまたはMU3である式I。これは、カルボン酸を有するオレフィンおよびシロキサン単位を有するオルガノシリコーンポリマーである。
【0230】
好ましいバインダーポリマーは、3つ以上のペンダントおよび/または末端カルボン酸基、約0.5KDa~約10KDa、好ましくは約0.5KDa~約5KDaの重量平均分子量;ならびにアルキルアルキレニルカルボキシレートエステル基、アルキル基、アルキレニルオキシカルボニルアルキル基およびヒドロキシアルキル基から選択される少なくとも1つまたは複数のペンダント基を有するオレフィンまたはオルガノシリコーンポリマーを含む。
【0231】
好ましいバインダーポリマーはまた、3つ以上のペンダントC4~C6アルカン酸基および約0.5KDa~約10KDa、好ましくは約0.5KDa~約5KDaの重量平均分子量を有するシリコーンポリマーを含む。
【0232】
式Iの別の好ましいバインダーポリマーは、3~10、好ましくは3~5個のカルボン酸基、約0.5KDa~約10KDa、好ましくは約0.5KDa~約5KDaの重量平均分子量のオレフィンポリマーを含み;MU1が、ブテン、ペンテン、ヘキセン、スチレン、またはこれらの任意の組み合わせであり;MUXが、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、グルタコン酸、シトラコン酸またはメサコン酸、好ましくは(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸またはクロトン酸であり;MU2が、酢酸ビニル、プロパン酸ビニル、ブタン酸ビニル、C1~C3アルキルもしくはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、C1~C3アルキルもしくはヒドロキシルアルキルクロトネート、C1~C3アルキルもしくはヒドロキシルアルキルペンタノエート、C1~C3ジアキルもしくはジ-(ヒドロキシルアルキル)フマレート、C1~C3マレエート、または対応する第一級アミドもしくはC1~C3アルキル第二級アミドまたはこれらの任意の組み合わせである。
【0233】
式Iの別の好ましいバインダーポリマーは、3~10、好ましくは3~5個のカルボン酸基;約0.5KDa~約10KDa、好ましくは約0.5KDa~約5KDaの重量平均分子量のシリコーンポリマーを含み;MU3XがMeSiO-(CH2)n-CHOH-(CH2)2-COOHであり、nが1~6、好ましくは2または3の整数である。
【0234】
式Iの別の好ましいバインダーポリマーは、3~10、好ましくは3~5個のカルボン酸基、約0.5KDa~約10KDa、好ましくは約0.5KDa~約5の重量平均分子量のオレフィンポリマーを含み、MU1がヘキセンまたはスチレンであり、MUXが(メタ)アクリル酸またはクロトン酸であり、MU2が酢酸ビニル、ビニルC8~C12イソアルカノエート、メチル、エチルもしくはイソプロピル(メタ)アクリレート、または対応するヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルもしくはヒドロキシイソプロピル類似体、メチル、エチルもしくはイソプロピルクロトネート、または対応するヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルもしくはヒドロキシイソプロピル類似体である。
【0235】
式Iの別の好ましいバインダーポリマーは、オレフィンブロック中にカルボン酸基を有するオルガノシリコーンブロック共重合体である。この好ましいバインダーの指示子には、疎水性オレフィン単位がないことを意味するゼロとしての指示子x、シロキサン単位にペンダントする酸基がないことを意味するゼロとしての指示子b、少なくとも10個のジメチルシロキサン単位を意味する少なくとも10としての指示子a、少なくとも10個の親水性オレフィン単位を意味する少なくとも10としての指示子z、1~50個のカルボン酸オレフィン単位を意味する1~50のとしての指示子yが含まれ、MUEは末端オレフィンカルボン酸単位を意味するMUXである。
【0236】
式Iの別の好ましいバインダーポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートおよび/またはクロトネート、ならびに(メタ)アクリル酸および/またはクロトン酸の少なくともモノマー単位を含むオレフィンポリマーである。このポリマーの酸価は、約50~約600、好ましくは約100~約400である。
【0237】
式Iのより好ましいバインダーポリマーは、酸モノマー単位が、約0.3重量%~約75重量%の(メタ)アクリル酸および/またはクロトン酸であり;親水性単位が、約0重量%~約20重量%のヒドロキシエチルもしくはヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよび/またはクロトネートであり;疎水性モノマーが、約5重量%~約20重量%のメチルもしくはエチル(メタ)アクリレートおよび/またはクロトネートであり、全ての重量がポリマーの総重量に対するものである、オレフィンポリマーである。
【0238】
バインダーポリマーとしての例示的なオレフィンポリマーとしては、BASF社によって名称Ultrahold 8で販売されている製品および名称Ultrahold Strongで販売されている製品などのアクリル酸/エチルアクリレート/N-tert-ブチルアクリルアミドターポリマーなどの有機共重合体;名称Luvimer 100PでBASF社によって販売されているアクリル酸/tert-ブチルアクリレート/エチルアクリレートターポリマーなどの(メタ)アクリル酸/tert-ブチル(メタ)アクリレートおよび/またはイソブチル(メタ)アクリレート/C1~C4アルキル(メタ)アクリレート共重合体;Amerchol社によって名称Amerhold DR-25で販売されている製品などのエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸/メタクリル酸共重合体などの(メタ)アクリル酸/エチルアクリレート/メチルメタクリレートターポリマーおよびテトラポリマー;名称Acudyne 255でRohm&Haas社によって販売されているメチルメタクリレート/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸テトラポリマーなどのメチルメタクリレート/ブチルまたはエチルアクリレート/ヒドロキシエチルまたは2-ヒドロキシプロピルアクリレートまたはメタクリレート/(メタ)アクリル酸テトラポリマーが挙げられる。
【0239】
バインダーポリマーとしての有機ポリマーの追加の例としては、アクリル酸およびC1~C4アルキルメタクリレートの共重合体、ならびにビニルピロリドン、アクリル酸およびC1~C20アルキルのターポリマー、例えばラウリル、メタクリレート、例えば名称Acrylidone MでISP社によって販売されているもの、ならびにBASF社によって名称Luvimer MAEXで販売されているメタクリル酸およびエチルアクリレートの共重合体が挙げられる。
【0240】
バインダーポリマーとしてのペンダントカルボン酸基を有する例示的なシリコーンポリマーとしては、Shin Etsu製のX-22-162CおよびMomentive製のSilform INX(INCI名:ビス-カルボキシデシルジメチコン)などの二重末端カルボキシシリコーン;Shin Etsu製のX-22-3710などの単一末端カルボキシシリコーン、ならびにGrand Industries製のGrandsil SiW-PCA-10(INCI名:ジメチコン(および)PCAジメチコン(および)ブチレングリコール(および)デシルグルコシド)のようなGrandsil PCAなどの他のカルボキシシリコーンが挙げられる。
【0241】
バインダーポリマーとしての例示的なオルガノシリコーンポリマーとしては、INCI名:クロトン酸/ビニルC8~12イソアルキルエステル/VA/ビス-ビニルジメチコンクロスポリマーを有するマルチブロックカルボキシシリコーンポリマー(商品名Belsil(登録商標P1101))、およびWacker Chemie AG製のクロトン酸/ビニルC8~12イソアルキルエステル/VA/ジビニルジメチコンクロスポリマーの専門名を有する同様のオルガノシリコーンポリマーが挙げられる。
【0242】
バインダーポリマーとして機能する追加の例示的なシリコーンおよびオルガノシリコーンポリマーとしては、Wacker社による名称HUILE M 642、Wacker社による名称SLM23 000/1およびSLM23 000/2、General Electric社による名称176-12057、OSI社による名称FZ 3707およびToray Silicone社による名称BY 16 880ならびにNoveon社による名称Ultrasil(登録商標)CA-1シリコーン(ジメチコンPEG-7フタレート)およびUltrasil(登録商標)CA-2シリコーン(ジメチコンPEG-7スクシネート)が挙げられる。
【0243】
第2の成分リンカーポリマー
フィルム形成組成物の第2の成分リンカーポリマーの実施形態は、鎖内カルボジイミド基を有するポリマーであり、直鎖または分岐、好ましくは直鎖であり得る式IIの有機ポリマーを含む。あるいは、リンカーは、ペンダント単一カルボジイミド基を有するポリマーであり、直鎖または分岐骨格、好ましくは直鎖骨格を有し得る式Xの有機ポリマーを含み得る。
Z-(L-N=C=N-)p-Z (Poly)q-(K)s-(Poly)r
式II 式X
【0244】
式IIについて、pは少なくとも2の整数である。多くの例で、Lは、式IIのポリカルボジイミドに変換される有機ジイソシアネートの有機基であり得る。他の例では、Lは、別のイソシアネート基との組み合わせによってカルボジイミドに変換される、またはZとの反応によってウレタニル基に変換されるイソシアネート基によって終結するオリゴマーまたはポリマー部分であり得る。この形成的理解は、Lが、飽和脂肪族二価基、芳香族二価基もしくはアルキル芳香族二価基、または反復オレフィン、カーボネート、エステル、エーテル、アミド、ウレタンもしくは尿素結合を有するポリマーもしくはオリゴマー二価基を含む有機リンカー基であり得ることを示す。好ましくは、Lは、飽和脂肪族二価基、芳香族二価基またはアルキル芳香族二価基である。
【0245】
式Xについて、各Polyは、アミド、尿素、エステル、オレフィン、イミンモノマー残基の有機ポリマーセグメントである。Polyは、C3~C6アルカンジアミンとC4~C10アルカンジカルボン酸またはC4~C10アルカンジイソシアネートに基づき得る、またはC3~C6アルカンジオールとC4~C10アルカンジカルボン酸に基づくエステルモノマー残基に基づき得、指示子qおよびrはそれぞれ少なくとも2の整数である。K基はペンダントカルボジイミド基を提供し、sは少なくとも2の整数である。sが2以上である場合、得られる複数のK基は、末端を含むPoly骨格に沿ってランダムに分配される。K基は、式XI
を含む。
【0246】
式XIについて、R20はC3~C6アルキレニル残基であり、R21はC3~C6アルキレニル残基である。
【0247】
式IIおよびXIについて、Zは、ポリカルボジイミドの非反応性または反応性末端基であり得る。反応性末端基の場合、Zは-(CH2)n-Si(OR)3[式中、Rはメチルまたはエチルであり、nは3~6の整数である]であり得る。非反応性末端基の場合、Zは、飽和脂肪族一価基、芳香族一価基またはアルキル芳香族一価基であり得る。
【0248】
好ましいリンカーポリマーは、Lが2~20個の炭素の直鎖もしくは分岐もしくは環状アルキレニルから選択される飽和脂肪族二価基、ベンゼンもしくはジフェニルから選択される芳香族二価基、またはp-ジメチレニルフェニルもしくはメチレニルジフェニルから選択されるアルキル芳香族二価基である式IIである。
【0249】
別の好ましいリンカーポリマーは、Lが2~6個の炭素の飽和アルキレニル二価基である式IIである。
【0250】
別の好ましいリンカーポリマーは、Lがトルエン、ジフェニルメタン、フェニル、ジシクロヘキシルメタン、メチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ヘキサン、シクロヘキサン、ノルボルナンの残基である式IIである。これらのL残基は、対応するジイソシアネート化合物に由来する。
【0251】
より好ましいリンカーポリマーは、Lがジシクロヘキシルメタン、メチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロン)またはヘキサンである式IIである。
【0252】
式IIおよび式Xについて、Zのための好ましい非反応性基は、2~20個の炭素の直鎖もしくは分岐もしくは環状アルキルから選択される飽和脂肪族一価基、ベンゼンもしくはジフェニルから選択される芳香族一価基、またはp-ジメチレニルフェニルもしくはメチレニルジフェニルから選択されるアルキル芳香族一価基である。
【0253】
式Xとしての好ましいリンカーポリマーは、ポリアミドまたはポリ尿素であるPolyを提供し、示されるペンダントカルボジイミドK基の数は2~50、好ましくは2~10、より好ましくは2~5である。
【0254】
さらに好ましいリンカーポリマーは式Xであり、R20およびR21はそれぞれブチレニルまたはヘキシレニルであり、Zはブチルまたはヘキシルである。
【0255】
式IIおよびXについてのZの好ましい非反応性基はブタンまたはヘキサンである。
【0256】
式IIおよび式Xのリンカーポリマーの分子サイズは、式IIについてはカルボジイミド基の数およびLのサイズ、式XについてはPolyによって決定される。式IIとXの両方について、pおよびkによってそれぞれ示されるカルボジイミド基の好ましい数は、2~100、好ましくは2~50、より好ましくは2~10、最も好ましくは2~5である。前記好ましいL基(式IIについては非ポリマーL基)は、式IIのこれらの好ましいバージョンの分子サイズを提供する。式Xについて、好ましいPolyは、ヘキサンジアミンとアジピン酸から形成されるポリアミドであり、ペンダントK基は、3-アミノプロピル-1,6-ヘキサンジアミンから形成される。それだけに限らないが、L基の数、Polyのサイズ、およびカルボジイミド基の数などの因子に基づいて、リンカーの重量平均分子量は、0.5KDa~約500KDa、好ましくは約0.5KDa~約400KDa、より好ましくは約0.5KDa~約10KDa、最も好ましくは約0.5KDa~約3KDa~5KDaの範囲であり得る。
【0257】
フィルム形成組成物中のバインダーポリマーおよびリンカーポリマーのモル濃度ならびにそれらの官能基の相対レベルは、カルボン酸基のカルボジイミド基に対する比をもたらす。フィルム形成組成物の一部の実施形態では、バインダーが、リンカーのカルボジイミドの数に等しい数のカルボン酸基を提供する。フィルム形成組成物の好ましい実施形態では、リンカーが、バインダーのカルボン酸基の数に対して過剰な数のカルボジイミド基を提供する。この比は、前処理組成物の低分子のアミン基とのリンカーのカルボジイミド付加を可能にする。フィルム形成組成物のより好ましい実施形態では、リンカーカルボジイミド基のバインダーカルボン酸基に対する比が、約50:1~1.2:1、好ましくは約30:1~2:1、より好ましくは約25:1~2.5:1、特により好ましくは約20:1~約3:1、最も好ましくは約20:1~約10:1の範囲であり得る。
【0258】
媒体
ケラチン繊維に適用される場合、本発明のフィルム形成組成物および前処理組成物の実施形態の媒体は、少量の水と密接に混合することができる、または好ましくは溶液を形成することができる有機化合物であり得る。好ましい媒体は、意図的に水を添加してない1~6個の炭素のアルキルアルコールなどのアルコール性溶媒の実施形態を含む。メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、ネオペンタノール、イソペンタノールおよびn-ヘキサノールが含まれる。好ましい有機アルコールとしては、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、n-ブタノールおよびイソブタノールおよびペンタノールが挙げられる。アルコール性溶媒は、媒体の総重量に対して最大約10重量パーセント、好ましくは最大約5重量パーセント、より好ましくは最大約2または3重量パーセント、最も好ましくは約1重量パーセント未満の量の少量の水と意図的に組み合わせられ得る。アルコール溶媒は大気から水を吸収するので、意図的に水を添加していないアルコール性溶媒がわずかな量の水を含有し得ることが認識される。本発明の限定ではないが、水分子の存在が、フィルム形成組成物および前処理組成物のアルコキシシリル基のシリルオキシシリル基への縮合を促進すると考えられる。
【0259】
さらに、前処理組成物のための媒体は、媒体の総重量に対して、約0.1重量%~約2重量%、好ましくは約0.1重量%~約1重量%、より好ましくは約0.1重量%~約0.5重量%などの少量の酢酸を含み得る。あるいは、エタノールおよび酢酸を含む90%~95%アルコール性-水性媒体が前処理組成物に使用され得る。酢酸の存在は、アルコキシシリル基のヒドロキシシリル基への加水分解を促進し、前処理組成物の低分子を水により可溶性にする。少量の酢酸が水性-アルコール性前処理組成物中に存在する場合、前処理組成物の寿命は数時間程度である。結果として、前処理組成物の適用のためのこの選択肢は、典型的には、混合され、直ちに使用される小さなバッチで行われる。前処理組成物のための媒体はまた、存在する低分子の素性に対して存在するアルコール、水および酢酸の量の間のバランスを含み得る。一部の例では、酸および/または水の濃度が他よりも高くなり得る。個々の前処理成分の濃度の適切なおよび/または最適な比、媒体の選択および量ならびに酸またはアルカリの存在および量の決定は、実験室技術者の通常の実験能力および技術の範囲内である。ガイドラインには、適用時にケラチン繊維から容易に流出しない自由流動性液体を可能にする粘度を提供する前処理成分濃度が含まれ、水は意図的に含まれない、または縮合を促進するために必要な場合は非常に最小限の量が含まれる。
【0260】
前処理組成物、第1および第2の成分またはユニタリーフィルム形成成分(同じ官能性バインダー基を有する崩壊した第1および第2の成分)、ならびにフィルム形成組成物の他の反応性または触媒性成分は、使用するまで別々に維持される。それぞれを別個の容器に包装することがこの目的にかなう。フィルム形成組成物および前処理組成物の成分の各々は、反応性基と相互作用しない媒体中に維持され得る。好適な媒体は、それだけに限らないが、上記のアルコール、好ましくはイソプロパノールおよびイソブタノール、または液体炭化水素またはシリコーン溶媒などの非水性有機溶媒である。これらの成分を別々に維持するための媒体は、水も、加水分解するまたは官能性バインダー基と反応する薬剤も含むべきではない。典型的には、前処理成分およびフィルム形成成分は、すぐに使用できる濃度として配合され得る、またはそれらを使用するために調製するために適切な媒体で希釈される濃縮物であり得る、またはケラチン繊維に適用するためにすぐに使用できる濃度であり得る。
【0261】
フィルム形成組成物および前処理組成物がケラチン繊維に適用するために調製される場合、これらは、上記のように単相アルコールもしくはアルコール媒体を用いて配合され得る、または連続相として水もしくは水-アルコール、および不連続相として水もしくは水-アルコール非混和性有機液体を含む二相水性媒体として配合され得る。連続相は水溶性構成成分を有し得るが、不連続相は、水と反応するフィルム形成組成物の構成成分および前処理組成物のPTHアルコキシシランなどの構成成分を有し得る。不連続非水性相は、水による分解からこのような化合物を隔離する傾向がある。好ましくは、水が媒体の一部であるが、フィルム形成組成物および前処理組成物の成分のうちの1つまたは複数が水に感受性である状況では、フィルム形成組成物および前処理組成物は、これらがケラチン繊維上にドレッシングする準備が整うまで、非水性環境で維持される。適用段階では、単相または二相媒体が必要に応じて調製され得る。
【0262】
媒体の極性およびプロトン特性は、フィルム形成組成物および前処理組成物の成分が組み合わされると起こるいくつかの反応の制御にとって重要である。これらの反応には、アルコキシシリル基縮合、ならびにマイケル相補対およびカルボン酸-カルボジイミド対を含む第1の官能性バインダー基と第2の官能性バインダー基の相補対が含まれる。好ましくは、フィルム形成組成物および前処理組成物を適用するための媒体は極性であり、縮合および付加反応を支持することができる。フィルム形成組成物と前処理組成物の両方について、上記のように少量の水を含むイソプロパノールまたはイソブタノールが適切である。適用媒体は、別々に保管されたバインダー、触媒および低分子の濃縮物と組み合わされ得、貯蔵された濃縮物の媒体は、好ましくは、適用媒体と少なくとも部分的~実質的に混和性である。
【0263】
媒体は、フィルム形成組成物および前処理組成物が考慮されている総重量に対して、約0.1重量%~約99重量%、例えば約1重量%~約98重量%の範囲、例えば50重量%~95重量%の範囲の量でフィルム形成組成物および前処理組成物の各々の中に独立して存在し得る。前処理組成物およびフィルム形成組成物の成分の濃度は、以下の節で論じられる。
【0264】
粘度、組成構成成分濃度
フィルム形成組成物および前処理組成物の粘度は、コーティング、好ましくはカラーコーティングが形成されている間、ケラチン繊維上でそれらを所定の位置に保持するように機能する。粘度は、これらの組成物の自由な並進流動を実質的に回避する。自由な並進流動は、組成物を急速に流れさせ、毛髪の表面から滴下させる。それにもかかわらず、粘度は、ケラチン繊維を実質的に均一にコーティングするためのセルフレベリングを受けないほど高くはない。組成物の適切な粘度は、フィルム形成組成物および前処理組成物の様々な構成成分、それらの濃度、顔料微小粒子、ならびに必要に応じて任意の粘度制御剤、任意の懸濁化剤および任意の増粘剤の相互作用の結果である。それにもかかわらず、それだけに限らないが、エタノールまたはイソプロパノールなどの流動性液体に近似する粘度が、適切な適用装置で適用する場合に適切である。
【0265】
一般に、フィルム形成組成物および前処理組成物の粘度は、約0.001~約2000Pa秒-1の範囲であり得る。粘度測定は、例えばTA Instruments製のAR2000型、または同等の機器を使用して、制御された応力レオメーターで行われる。6cmの平坦なアクリルクロスハッチ平行プレート形状(TA品目518600.901)およびステンレス鋼クロスハッチベースプレート(TA品目570011.001)が使用される。レオメーターは、標準的な製造業者の手順に従って流動測定のために調製される。平行プレートの形状ギャップは1000ミクロンに設定される。流動手順は、以下の条件でレオメーターにプログラムされる:線形モードの250個の測定ポイントを含む、25℃で2分間にわたる連続応力勾配0.1~300Pa。生成物は標準的な手順に従って形状にロードされ、混合物調製後5分で測定が開始される。せん断応力対せん断速度曲線から10秒-1せん断速度でのせん断応力値が得られ、得られたせん断応力を10で割ることによって、対応する粘度が計算される。
【0266】
フィルム形成組成物のユニタリー成分の濃度のフィルム形成組成物の第1の成分および第2の成分の濃度ならびに前処理組成物中のPTHアルコキシシラン構成成分の濃度はそれぞれ独立して、組成物の総重量に対して約0.1重量%~約90重量%、好ましくは約1重量%~約40重量%、より好ましくは約2重量%~約30重量%、最も好ましくは約2重量%~約15重量%、特に最も好ましくは約1重量%~約10重量%の範囲であり得る。上に論じられるように、粘度は、フィルム形成組成物および前処理組成物が毛髪の表面から容易に流れ落ちないが、これらの表面を実質的にコーティングするようにレベリングし、比較的自由に流動するように管理される。部分的にフィルム形成組成物および前処理組成物の構成成分の濃度の管理による適切な粘度の発達は、これらの組成物中の異なる濃度の構成成分のいくつかの試料の配合、それらの試料をヘアトレス上にコーティングすること、ならびに毛髪上での組成物の流動、広がりおよびレベリングを観察することなどの日常的な方法によって実験的に決定することができる。
【0267】
フィルム形成組成物および前処理組成物は、後で本明細書に記載される着色手順を使用して、ヘアトレスなどのケラチン繊維に同時に、順次に、または事前に組み合わされた形態で適用することができる。一緒に接着されている毛髪の上部は、毛髪が垂直下向きに整列するように固定される。5分間の滞留時間の後、もしある場合に、どのくらいの量の製品がヘアトレスから滴下したかが観察される。いくつかの試料から得られた結果を、流動時間およびレベリング時間に対してプロットして、フィルム形成組成物および前処理組成物の構成成分の適切な濃度または濃度範囲を決定することができる。
【0268】
フィルム形成組成物および前処理組成物の反応性構成成分間のin situ結合の程度は、本明細書に記載されるコーティング、好ましくはカラーコーティングの機械的および化学的特性が保持されるように、比、存在量および濃度の操作、ならびに上記の物理的手段によって制御され得る。これらの特性には、毛髪に接着する能力、毛髪の可撓性および自由流動特性を維持する能力、残留性を提供する能力、粘着性の回避ならびに凝集の回避が含まれる。
【0269】
フィルム形成組成物および前処理組成物の分子によって生成されたポリマーのガラス転移温度は、ケラチン繊維表面上のコーティング、好ましくはカラーコーティングの可撓性、強度、硬度および同様の品質に部分的に寄与する。これらの実施形態のガラス転移温度は、好ましくは、-100℃~+100℃などの通常の最小環境温度よりもはるかに低い。ガラス転移温度またはTgは、硬質ガラス質材料から軟質ゴム状材料へのポリマーの固体-固体転移を決定する。ケラチン繊維上のコーティング、好ましくはカラーコーティングの目的のためには、柔らかい、ゴム状の、弾性状態が、達成されるべき状態である。これは望ましくない結果である。コーティングは、柔らかく、可撓性があり、弾力性があり、触っても目立たず、見た目にも目立たないが、手で撫でたまたはブラシでブラッシングした時に、ケラチン繊維、特にアナジェニック毛髪から剥離すべきでなく、分解すべきでなく、またその他の方法で落下すべきでない。コーティング、好ましくはカラーコーティングのTgは、ASTM D7426-08(2008)を使用して測定することができる。
【0270】
溶質含有量
フィルム形成組成物および前処理組成物の実施形態は、液体および固体を含有する媒体の組み合わせであり、これらの組成物は一般に溶媒および溶質を含む。溶媒は、周囲条件で揮発性の媒体である;換言すれば、媒体は液体であり、溶媒ならびに/または溶質が溶解および/もしくは分散される液体として機能する。溶質は、媒体が除去された後に残存するこれらの組成物の少なくとも液体、ゲルおよび固体成分などの、媒体を除く全ての成分および物質を含む。溶質として少なくとも、これらの組成物のポリマー、オリゴマー、前処理化合物、関連する触媒/プロモーター材料(存在する場合)、ならびに顔料微小粒子および着色剤が含まれる。任意の成分としては、可塑剤、分散剤、表面処理剤、架橋剤、および媒体に添加され得る他の材料が挙げられる。これらの任意の成分は、存在する場合、ヒト毛髪上のコーティングとしてのカラー組成物および前処理組成物の適用および設定後に、ポリマー、オリゴマー、前処理化合物、反応材料および顔料微小粒子と共に残っている限り、溶質含有量に含まれる。これには、毛髪上のコーティング中に残っているため、通常は液体、ゲルおよび/または固体と見なされる前処理組成およびフィルム形成組成物の全ての物質が含まれる。
【0271】
フィルム形成組成物および前処理組成物の溶質含有量は、それぞれの組成物の総重量に対して約0.1重量%~約50重量%の範囲であり得る。好ましい溶質含有量は、組成物の総重量に対して、約0.1重量%~約20重量%の範囲であり、より好ましい溶質含有量は、約0.2重量%~約12重量%の範囲である。特に好ましい溶質含有量の範囲は、約0.3重量%~約11重量%であり、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%および約8重量%の含有量がより特に好ましい。
【0272】
前処理組成物の溶質は前処理分子であるため、前記溶質含有量はまた、前処理組成物媒体中の前処理分子の濃度を示し、特に好ましい溶質含有量の範囲は、前処理組成物の媒体中の前処理分子の好ましい濃度である。
【0273】
フィルム形成組成物は、ケラチン繊維に適用する準備ができている場合、第1および第2の成分またはユニタリー成分、添加剤、ならびに顔料または着色体を含む。顔料を除いて、これらの成分は、各成分の個々の性質に応じて液体、ゲルまたは固体であり得、各々が、使用する準備ができているフィルム形成組成物の総溶質含有量の一部を構成する。フィルム形成組成物が、バインダーおよび媒体として、触媒および媒体として、ならびに顔料および媒体として別々に維持される場合、上に示される特に好ましい溶質含有量の範囲は、別個の容器に貯蔵された場合の、媒体中のフィルム形成組成物の第1および第2の成分またはユニタリー成分の好ましい濃度である。別個の容器中の分散剤および媒体中の顔料の濃度は、通常、はるかに高い濃度を有し、フィルム形成組成物への組み合わせの準備において、いくつかの異なる顔料を本明細書に記載されるように組み合わせ、希釈して、フィルム形成組成物の着色因子を形成する。触媒は、存在する場合、貯蔵中は、上記の低溶質濃度範囲にもある。触媒は、典型的には、ケラチン繊維に適用する直前に、媒体中でバインダーと組み合わされる。
【0274】
ケラチン繊維に前処理組成物およびフィルム形成組成物を適用する際の、第1および第2の成分またはユニタリー成分バインダーのPTHアルコキシシラン化合物(前処理化合物)および他の任意の添加剤に対する濃度の比を調整して、少なくとも等しいアルコキシシリル基および/または他の相互作用基モル当量を提供し、前処理組成物およびフィルム形成組成物の成分がそれら自体と縮合および/または反応するだけでなく、互いに縮合および/または反応することを保証する。好ましくは、PTHアルコキシシラン化合物のモル当量は、フィルム形成成分のモル当量と比較して、2%~20%、好ましくは3%~10%、より好ましくは約5%~約10%高い。2重量%~4重量%の濃度の前処理組成物中の前処理化合物およびフィルム形成組成物中の成分、好ましくはバインダーに対してモル当量過剰の前処理化合物をもたらすよう設計された濃度およびモル当量は、前処理組成物の計量容器を毛髪の一部に適用し、引き続いてフィルム形成組成物の計量容器を毛髪の同じ部分に適用することで、バインダーおよび前処理分子の内部縮合の所望の結果が得られるように送達容器内で計算および測定される。
【0275】
可塑剤
コーティング、好ましくはカラーコーティング、ならびに/またはフィルム形成組成物および前処理組成物の構成成分のガラス転移温度が所望の用途には高すぎるが、その他の特性、例えば、それだけに限らないが、色および残留性が適切である場合、1種または複数の可塑剤を、構成成分のTgを低下させ、コーティング、好ましくはカラーコーティングに適切な手触りおよび視覚的特性を提供するために、フィルム形成組成物および前処理組成物実施形態の構成成分と組み合わせることができる。可塑剤は、フィルム形成組成物および前処理組成物の一方もしくは両方に直接組み込むことができる、または組み合わされたフィルム形成組成物および前処理組成物のカラー組成物のケラチン繊維上での形成後に毛髪に適用するが、カラー組成物を実質的に硬化させてケラチン繊維上にコーティング、好ましくはカラーコーティングを形成することができる。可塑剤は、適用分野で典型的に使用される可塑剤から選択することができる。適切な選択には、アルコキシシリル縮合または相補対反応に干渉せず、これと競合もしない可塑剤の選択が含まれる。
【0276】
可塑剤は、5,000g/mol以下、例えば2,000g/mol以下、例えば1,000g/mol以下、例えば900g/mol以下の分子質量を有することができる。少なくとも1つの実施形態では、可塑剤は、例えば、40g/mol以上の分子質量を有する。
【0277】
したがって、フィルム形成組成物および前処理組成物はまた、少なくとも1種の可塑剤を含むことができる。例えば、グリコールおよびその誘導体、シリコーン、シリコーンポリエーテル、ポリエステルポリオール;アジピン酸エステル(ジイソデシルアジペートなど)、トリメリト酸エステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸(azalaeic acid)エステルなどの一般的な可塑剤を単独でまたは混合物として非限定的に挙げることができる;グリコール誘導体の非限定的な例は、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテルまたはジエチレングリコールヘキシルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、またはエチレングリコールヘキシルエーテル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体、およびこれらの混合物、例えば、500~15,000の範囲の分子質量を有する高分子量ポリプロピレングリコール、例えばグリコールエステル;プロピレングリコール誘導体、例えばプロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、およびジプロピレングリコールブチルエーテルである。このような化合物は、Dow Chemical社によって名称DOWANOL PPHおよびDOWANOL DPnBで販売されている;酸エステル、例えば、三酸、シトレート、フタレート、アジペート、カーボネート、タルトレート、ホスフェート、およびセバケートなどのカルボン酸のエステル;式R11COOHのモノカルボン酸と式HOR12OHのジオール[式中、R11およびR12は、同一であっても異なっていてもよく、例えば、3~15個の炭素原子を含有する直鎖、分岐または環状の、飽和または不飽和炭化水素系鎖から選択される]の反応から誘導されるエステル、例えばイソ酪酸とオクタンジオール、例えば2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールの反応から生じるモノエステル、例えばEastman Chemical社によって参照TEXANOL ESTER ALCOHOLで販売されている製品;オキシエチレン化誘導体、例えばオキシエチレン化油、例えばヒマシ油などの植物油;これらの混合物。
【0278】
トリカルボン酸のエステルの中で、三酸が式
[式中、Rは-H、-OHまたは-OCOR’基であり、R’は1~6個の炭素原子を含有するアルキル基である]
に対応する、三酸のエステルが挙げられる。例えば、Rは-OCOCH
3基であり得る。このようなトリカルボン酸のためのエステル化アルコールは、モノカルボン酸エステルについて上に記載されるものであり得る。
【0279】
可塑剤は、約0.01%~20%の量でフィルム形成組成物および前処理組成物のいずれかまたは両方に存在することができる。
【0280】
顔料
本発明のフィルム形成組成物および前処理組成物の実施形態は、ケラチン繊維を実質的に改変することなく、好ましい着色コーティングを得ることを可能にする。本明細書で使用される場合、着色剤は、「顔料および着色体」という用語を含む。顔料という用語は、一般に、ケラチン繊維に白色のみを与える二酸化チタンなどの、黒色および白色を含む色をケラチン繊維に与える顔料材料を有するまたは含有する任意の粒子状着色剤または非晶質不溶性カラー材料/着色体を指す。顔料は、実質的に非水溶性である。着色体は、一般に、可溶性染料、ヘナ、インディゴ、アントロシアニン、および他の同様の可溶性カラー化合物などの部分的に可溶性~可溶性のカラー材料を指す。顔料は、分子形態で提示される染料と区別するために、顔料微小粒子または顔料粒子とも呼ばれる。顔料微小粒子および顔料粒子という用語は、同義であり、本明細において互換的に使用される。顔料は、有機、無機、または両方の組み合わせであり得る。顔料は、純粋な形態であってもよく、または例えばポリマーもしくは分散剤でコーティングされていてもよい。
【0281】
以下の一節に記載される顔料微小粒子の選択、複数の種類および様々な形態を、多成分組成物の第1の成分、第2の成分および第3の成分のいずれかに組み込むことができる、またはこれらの成分のいずれか2つもしくは3つ全てに組み込むことができる。好ましくは、顔料微小粒子を、第1の成分および第2の成分のいずれかまたは両方に組み込むことができる。より好ましくは、顔料粒子を第1の成分に組み込むことができる。
【0282】
使用することができる少なくとも1種の顔料は、Kirk-Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology and in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistryに記載されているものなどの、当技術分野で公知の有機顔料および/または鉱物顔料から選択することができる。少なくとも1種の顔料を含む微小粒子に含まれる顔料は、ケラチン繊維に実質的に拡散も溶解もしない。代わりに、少なくとも1種の顔料を含む微小粒子に含まれる顔料は、ケラチン繊維から実質的に分離したままであるが、ケラチン繊維に付着している。
【0283】
少なくとも1種の顔料は、粉末または顔料ペーストの形態であり得る。これはコーティングされていてもコーティングされていなくてもよい。少なくとも1種の顔料は、例えば、鉱物顔料、有機顔料、金属元素およびそれらの酸化物、ならびに他の金属修飾、レーキ、真珠母またはグリッターフレークなどの特殊効果を有する顔料、ならびにこれらの混合物から選択することができる。
【0284】
顔料形状
顔料微小粒子は、実質的に球状を含む任意の適切な形状を有することができる。しかし、顔料微小粒子はまた、卵形、楕円形、管状、不規則等、または様々な形状の均一な組み合わせであることもできる。加えて、顔料微小粒子は、同様の大きさの、長さおよび幅/直径という2つの寸法を有することができる。加えて、顔料微小粒子は、微小プレートレットであることができる、すなわち、平面寸法よりも実質的に小さい厚さを有することができる。例えば、平面寸法よりも厚さが5倍、10倍、さらには20倍小さい。本発明の反応性成分のいずれかを有する一実施形態では、顔料が、表面処理、表面コーティング、またはカプセル化され得る。
【0285】
顔料サイズ
顔料は、組成物中に未溶解形態で存在することができる。顔料は、形状に応じて、0.001ミクロン~1ミクロンのD50[体積]粒子直径を有することができる。
【0286】
ある実施形態によると、顔料微小粒子の、粒子の数または体積のいずれかに対する、粒径分布は少なくとも二峰性であり得る。二峰性粒径分布は、相対的に間隔を置かれた2つの異なるピークを有し、三峰性粒径分布は、3つの異なるピークを有する。「ピーク」という用語は、分布曲線の局所最大値を意味する。粒径に対して表される2つのピーク間の「距離」は、少なくとも0.05ミクロン、好ましくは少なくとも0.1ミクロン、例えば少なくとも0.2ミクロンであり得る。少なくとも二峰性粒径分布を提供することにより、着色された毛髪の光学的外観を調整することが可能になる。例えば、散乱特性は粒径によって変化するので、異なる径の粒子は光を異なる方向に散乱させる。
【0287】
電気を伝導することができ、光を吸収し、金属から光を再放出して強い反射率の外観を与えることができる金属および金属様材料から作られた顔料。特定の理論に拘束されることを望まないが、吸収された光は金属表面上で交流電流を誘導し、この電流は直ちに金属から光を再放出すると考えられる。このような顔料微小粒子は、例えば、平面寸法よりも実質的に小さい厚さを有するプレートレットであり得る。例えば、厚さが平面よりも約5倍、約10倍、またはさらには約400倍小さい。このようなプレートレットは、約30nm未満の平面寸法を有するが、約10ミクロン幅未満の厚さを有することができる。これには、10000対30、または333の比が含まれる。50ミクロンなどのより大きなサイズのプレートレットは、10ミクロンのこの厚さでも利用可能であり、したがって、比は最大2000にさえ達し得る。
【0288】
顔料微小粒子は、2つの異なる種類の顔料微小粒子によって形成される複合体であり得る。例としては、二次元微小粒子と少なくとも1つの微小球状粒子(ミクロスフェア)の複合体、異なる微小球状粒子の複合体、および異なる二次元粒子の複合体が挙げられる。微小球状粒子が接着する二次元微小粒子によって形成される複合粒子は、二次元微小粒子と微小球状粒子の純粋な混合物に対する魅力的な代替物を提供する。例えば、金属二次元微小粒子は、1つまたは複数の有機微小球状粒子などの1つまたは複数の微小球状粒子を有することができる。二次元微小粒子に付着または結合した微小球状粒子は、同じ顔料材料から形成することができる、または異なる顔料材料から形成することができる。二次元微小粒子および微小球状粒子から形成される複合微小粒子は、(金属)反射率ならびに誘電体散乱、反射率および吸収などの複数の機能性を1つの粒子において提供することができる。
【0289】
顔料微小粒子は、可視光の波長に対して光散乱と光吸収の両方であり得る。特定の理論に拘束されることを望まないが、このような顔料は、毛髪を明るくする視覚効果を提供することができると考えられる。このような顔料微小粒子は、約50nm~約750nmの間、約100nm~約500nmの間、または約150nm~約400nmの間のD50[数]値を有することができる。このような材料は、約1.5超、約1.7超または約2.0超の屈折率を有する。
【0290】
ある実施形態によると、異なる顔料微小粒子を組み合わせて、本明細書に記載されるカラー組成物で着色された毛髪の反射特性、透過特性、および屈折特性を提供する。微小粒子組み合わせは、少なくとも2種の異なる顔料材料を使用して顔料微小粒子を形成する材料複合体であり得る。微小粒子組み合わせに加えて、またはこれの代わりに、異なる種類の別個の顔料微小粒子の混合物を使用して、所望の反射特性、透過特性、および屈折特性をもたらすことができる。
【0291】
複合顔料、顔料の組み合わせ、および顔料微小粒子の混合物は、光による毛髪透過および散乱を排除する、または少なくとも有意に減少させ、したがって、自然な毛髪の色変化の顔料の知覚を排除する。
【0292】
顔料濃度
本開示による毛髪繊維を着色するためのフィルム形成組成物は、少なくとも1種の顔料を含む微小粒子を含む。フィルム形成組成物は、フィルム形成組成物の約0.01重量%~約40重量%、約0.05重量%~約35重量%、約0.1~約25重量%、または約0.15重量%~約20重量%の顔料を含む。
【0293】
顔料材料
顔料微小粒子の材料は無機または有機であり得る。無機-有機混合顔料も可能である。
【0294】
ある実施形態によると、無機顔料が使用され得る。無機顔料の利点は、光、天候、および温度に対する優れた耐性である。無機顔料は、天然起源のものであり得、例えば、白亜、黄土、アンバー、グリーンアース、バーントシェンナ、およびグラファイトからなる群から選択される材料に由来する。顔料は、好ましくは、例えば、二酸化チタンまたは酸化亜鉛などの白色顔料であり得る。顔料はまた、例えば、ウルトラマリンまたはベンガラ、光輝顔料、メタルエフェクト顔料、真珠光沢顔料、および蛍光または燐光顔料などの着色顔料であり得る。顔料は、金属酸化物、水酸化物および酸化物水和物、混合相顔料、硫黄含有シリケート、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、クロム酸塩およびモリブデン酸塩、合金、ならびに金属自体からなる群から選択することができる。顔料は、二酸化チタン(CI77891)、黒色酸化鉄(CI77499)、黄色酸化鉄(CI77492)、赤褐色酸化鉄(CI77491)、マンガンバイオレット(CI77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI77007、ピグメントブルー29)、酸化クロム水和物(CI77289)、プルシアンブルー(フェロシアン化第二鉄、CI77510)、カルミン(コチニール)、硫化亜鉛、硫酸バリウム、酸化亜鉛、誘導体化二酸化チタン、誘導体化硫化亜鉛、誘導体化酸化亜鉛、およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。顔料は、酸化鉄、二酸化チタン、マイカ、ホウケイ酸塩、およびこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。顔料は酸化鉄(Fe2O3)顔料を含むことができる。顔料は、マイカと二酸化チタンの組み合わせを含むことができる。
【0295】
顔料は、真珠光沢顔料および着色顔料であり得、好ましくは、二酸化チタンまたはオキシ塩化ビスマスなどの金属酸化物または金属オキシ塩化物、ならびに場合により、酸化鉄、プルシアンブルー、ウルトラマリン、およびカルミンなどのさらなる色付与物質でコーティングされたマイカに基づくことができる。顔料によって示される色は、層の厚さを変えることによって調整することができる。このような顔料は、例えば、商品名Rona(登録商標)、Colorona(登録商標)、Dichrona(登録商標)、RonaFlair(登録商標)、Ronastar(登録商標)、Xirona(登録商標)およびTimiron(登録商標)で販売されており、これらは全てドイツのダルムシュタット所在のMerckから入手可能である。例えば、Xirona(登録商標)は、視野角に応じて色が変わる効果を示し、様々な層のTiO2でコーティングされている天然マイカ、SiO2またはホウケイ酸カルシウムアルミニウムフレークのいずれかに基づくカラートラベル顔料のブランドである。米国のサウス・プレインフィールド、サウス・クリントン通り3474所在のKobo Products,Inc.製のKTZ(登録商標)ラインの顔料、特にKobo製のSurface Treatable KTZ(登録商標)真珠光沢顔料も本明細書で有用である。5~25ミクロンのD50粒子直径を有するKTZ(登録商標)FINE WHITE(マイカおよびTiO2)およびまたKTZ(登録商標)CELESTIAL LUSTER(マイカおよびTiO2、10~60ミクロン)ならびにKTZ(登録商標)CLASSIC WHITE(マイカおよびTiO2、10~60ミクロン)が特に有用である。二酸化チタン、フェロシアン化第二鉄および少量の酸化スズでコーティングされた合成フルオロフロゴパイトのプレートレットを含む青色粉末である、Eckart Effect Pigments製のSynCrystal Sapphireも有用である。銅反射色を有するベージュ粉末であり、合成フルオロフロゴパイトのプレートレットから構成され、二酸化チタンおよび酸化鉄でコーティングされている、同様にEckart製のSYNCRYSTAL Almondも有用である。マイカ、二酸化チタンおよびカルミンの組成のために光沢のある赤色粉末と紫色反射粉末を介した二色の外観を提供する、BASF製のDuocrome(登録商標)RV 524Cも有用である。着色顔料は、淡く明るい着色顔料であることができ、特に白色のバリエーションであることができる。
【0296】
顔料は有機顔料であり得る。少なくとも1種の顔料が有機顔料であり得る。本明細書で使用される場合、「有機顔料」という用語は、有機顔料に関する章のウルマン百科事典の定義を満たすあらゆる顔料を意味する。例えば、少なくとも1種の有機顔料は、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、銅フタロシアニン、銅ヘキサデカクロロフタロシアニン、2-[(2-メトキシ-4-ニトロフェニル)アゾ]-N-(2-メトキシフェニル)-3-オキソブチラミド、金属錯体、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインディゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン、ジメチルキナクリドンおよびキノフタロン化合物、アゾ染料、非イオン性アゾ染料、アニオン性アゾ染料、カチオン性アゾ染料、錯体形成アゾ染料、アザアヌレン染料、ジアリールメタン染料のアザアナログ、アザアヌレン染料、ニトロ染料およびそれらの顔料、カルボニル染料およびそれらの顔料(例えば、アントラキノン染料、インディゴ)、硫黄染料、蛍光染料、アントラセンまたは不溶性アルカリもしくは土類金属酸染料から選択することができる。または、顔料は無着色およびUV吸収の少なくとも1つであり得る。
【0297】
有機顔料は、天然顔料セピア、雌黄、骨炭、カッセルブラウン、インディゴ、クロロフィルおよび他の植物顔料からなる群から選択することができる。合成有機顔料は、アゾ顔料、アントラキノイド、インジゴイド、ジオキサジン、キナクリドン、フタロシアニン、イソインドリノン、ペリレンおよびペリノン、金属錯体、アルカリブルー、ジケトピロロピロール顔料、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。特に好ましい顔料は、7-ビス(1,3-ジクロロプロパン-2-イル)ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリン-1,3,6,8(2H,7H)-テトラオンである。
【0298】
カラー組成物に使用される顔料は、上記の顔料群から選択される少なくとも2種の異なる顔料を含むことができる、または上記の顔料群から選択される少なくとも3種の異なる顔料を含むことができる。ある実施形態によると、カラー組成物に使用される顔料は、ピグメントイエロー83(CI21108)、CAS番号5567-15-7、ピグメントイエロー155(C.I.200310)、(CAS:68516-73-4)、ピグメントイエロー180(C.I.21290)、(CAS:77804-81-0)からなる黄色顔料群から選択される少なくとも1種の黄色顔料を含むことができる。
【0299】
少なくとも1種の黄色顔料に加えて、または代わりに、カラー組成物に使用される顔料は、ピグメントレッド5(CI12490)、(CAS番号6410-41-9)、ピグメントレッド112(CI12370)、(CAS番号6535-46-2)、ピグメントレッド122(CI73915)、(CAS番号980-26-7)からなる赤色顔料群から選択される少なくとも1種の赤色顔料を含むことができる。
【0300】
少なくとも1種の黄色顔料および/もしくは少なくとも1種の赤色顔料に加えて、または代わりに、カラー組成物に使用される顔料は、ピグメントグリーン36、(C.I.74265)、(CAS:14302-13-7)からなる緑色顔料群から選択される少なくとも1種の緑色顔料を含むことができる。
【0301】
少なくとも1種の黄色顔料および/もしくは少なくとも1種の赤色顔料および/もしくは少なくとも1種の緑色顔料に加えて、または代わりに、カラー組成物に使用される顔料は、ピグメントブルー16、(CAS:424827-05-4)、ピグメントブルー60(C.I.69800)、(CAS:81-77-6)、ピグメントブルー66、(C.I.73000)、(CAS:482-89-3)からなる青色顔料群から選択される少なくとも1種の青色顔料を含むことができる。
【0302】
少なくとも1種の黄色顔料および/もしくは少なくとも1種の赤色顔料および/もしくは少なくとも1種の緑色顔料および/もしくは少なくとも1種の青色顔料に加えて、または代わりに、カラー組成物に使用される顔料は、ピグメントブラック6(C.I.77266)、(CAS1333-86-4)、ピグメントブラック7(C.I.77266)、(CAS1333-86-4)からなる黒色顔料群から選択される少なくとも1種の黒色顔料を含むことができる。追加の組み合わせは、赤色、青色、緑色、黄色、またはこれらの任意の組み合わせを有するアルミニウムフレークを含むことができる。
【0303】
顔料は、場合により、±15Mv以上、好ましくは±20Mv以上、より好ましくは±25Mv以上の表面ゼータ電位を有することができる。表面ゼータ電位は、ゼータサイザー、例えば、ゼータサイザー3000HSで測定することができる。表面ゼータ電位測定は、例えば、ISO13099に従って行われる。
【0304】
例えば、白色有機顔料または着色有機顔料は、カルミン、カーボンブラック、アニリンブラック、メラニン、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、参照CI42090、69800、69825、73000、74100、および74160でカラーインデックスにコード化された青色顔料、参照CI11680、11710、15985、19140、20040、21090、21100、21108、47000、47005および77492でカラーインデックスにコード化された黄色顔料から選択することができる。
【0305】
参照CI61565、61570、74265、および74260でカラーインデックスにコード化された緑色顔料、参照CI11725、12075、15510、45370、および71105でカラーインデックスにコード化されたオレンジ色顔料、参照CI12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15585、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、45430、58000、73360、73915、75470、および77491でカラーインデックスにコード化された赤色顔料、ならびにインドールまたはフェノール誘導体の酸化重合によって得られた顔料。
【0306】
同様に挙げることができる非限定的な例としては、Hoechst社によって、名称:JAUNE COSMENYL IOG:ピグメントイエロー3(CI11710);JAUNE COSMENYL G:ピグメントイエロー1(CI11680);ORENGE COSMENYL GR:ピグメントオレンジ43(CI71105)ROUGE COSMENYL R:ピグメントレッド4(CI12085);CARMINE COSMENYL FB:ピグメントレッド5(CI12490);VIOLET COSMENYL RL:ピグメントバイオレット23(CI51319);BLEU COSMENYL A2R:ピグメントブルー15.1(CI74160);VERT COSMENYL GG:ピグメントグリーン7(CI74260);およびNOIR COSMENYL R:ピグメントブラック7(CI77266)で販売されている製品などの有機顔料の顔料ペーストが挙げられる。
【0307】
少なくとも1種の本開示による顔料はまた、少なくとも1種の欧州特許公開番号第184426号に記載される複合顔料の形態であることもできる。これらの複合顔料は、例えば、鉱物コア、有機顔料のコアへの結合を確実にするための少なくとも1種のバインダー、および少なくとも部分的にコアを覆う少なくとも1種の有機顔料を含む粒子の化合物であり得る。
【0308】
少なくとも1種の本開示による顔料は、毛髪の色に拡散するのではなく、ケラチン繊維の外壁上に堆積する小さな未溶解の微小粒子の形態であり得る。適切なカラー顔料は、有機および/または無機起源のものであり得る。しかし、顔料はまた、その優れた耐光性、耐候性および/または耐温度性を考えると、無機カラー顔料であることができる。
【0309】
天然起源であれ合成起源であれ、無機顔料としては、例えば、白亜、代赭石、アンブラ(umbra)、グリーンアース、バーントシェンナまたはグラファイトから製造されたものが挙げられる。さらに、四三酸化鉄などの黒色顔料、ウルトラマリンまたはベンガラなどのカラー顔料、および蛍光または燐光顔料を無機カラー顔料として使用することが可能である。
【0310】
着色金属酸化物、金属水酸化物および金属酸化物水和物、混合相顔料、硫黄ケイ酸塩、ケイ酸塩、金属硫化物、錯体金属シアン化物、金属硫酸塩、金属クロム酸塩および/または金属モリブデン酸塩が特に適切である。特に、好ましいカラー顔料は、黒色酸化鉄(Cl77499)、黄色酸化鉄(Cl77492)、赤褐色酸化鉄(Cl77491)、マンガンバイオレット(Cl77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、Cl77007、ピグメントブルー29)、酸化クロム水和物(CI77289)、アイアンブルー(フェロシアン化第二鉄、CI77510)および/またはカルミン(コチニール)である。
【0311】
少なくとも1種の顔料はまた、着色真珠光沢顔料であってもよい。これらは通常、マイカ系であり、二酸化チタン(CI77891)、黒色酸化鉄(CI77499)、黄色酸化鉄(CI77492)、赤褐色酸化鉄(Cl77491、CI77499)、マンガンバイオレット(Cl77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI77007、ピグメントブルー29)、酸化クロム水和物(CI77289)、酸化クロム(CI77288)および/またはアイアンブルー(フェロシアン化第二鉄、CI77510)からなる群の1種または複数の金属酸化物でコーティングされ得る。
【0312】
マイカは、モスコバイト、フロゴパイト、パラゴナイト、バイオタイト、レピドライト、およびマーガライトを含む、フィロシリケートの一部を形成する。金属酸化物と組み合わせて真珠光沢顔料を製造するために、マイカ、主にモスコバイトまたはフロゴパイトが金属酸化物でコーティングされる。
【0313】
少なくとも1種の顔料はまた、二酸化チタン(CI77891)、黒色酸化鉄(CI77499)、黄色酸化鉄(CI77492)、赤および/または褐色酸化鉄(Cl77491、CI77499)、マンガンバイオレット(Cl77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI77007、ピグメントブルー29)、酸化クロム水和物(CI77289)、酸化クロム(CI77288)および/またはアイアンブルー(フェロシアン化第二鉄、CI77510)からなる群の1種または複数の金属酸化物でコーティングされている少なくとも1種のマイカ系着色顔料であり得る。
【0314】
少なくとも1種の顔料はまた、例えば、Merckから商品名Rona(登録商標)、Colorona(登録商標)、Dichrona(登録商標)およびTimiron(登録商標)で、Sensientから商品名Ariabel(登録商標)およびUnipure(登録商標)で、Eckart Cosmetic Colorsから商品名Prestige(登録商標)で、ならびにSunstarから商品名Sunshine(登録商標)で市販されているカラー顔料であり得る。
【0315】
少なくとも1種の顔料はまた以下であり得る:商品名Colorona(登録商標)を有するカラー顔料は、例えば:Colorona Copper、Merck、マイカ、Cl77491(酸化鉄);Colorona Passion Orange、Merck、マイカ、Cl77491(酸化鉄)、アルミナ;Colorona Patina Silver、Merck、マイカ、Cl77499(酸化鉄)、Cl77891(二酸化チタン);Colorona RY、Merck、Cl77891(二酸化チタン)、マイカ、Cl75470(カルミン);Colorona Oriental Beige、Merck、マイカ、Cl77891(二酸化チタン)、Cl77491(酸化鉄);Colorona Dark Blue、Merck、マイカ、二酸化チタン、フェロシアン化第二鉄;Colorona Chameleon、Merck、Cl77491(酸化鉄)、マイカ;Colorona Aborigine Amber、Merck、マイカ、Cl77499(酸化鉄)、Cl77891(二酸化チタン);Colorona Blackstar Blue、Merck、Cl77499(酸化鉄)、マイカ;Colorona Patagonian Purple、Merck、マイカ、Cl77491(酸化鉄)、Cl77891(二酸化チタン)、Cl77510(フェロシアン化第二鉄);Colorona Red Brown、Merck、マイカ、Cl77491(酸化鉄)、Cl77891(二酸化チタン);Colorona Russet、Merck、Cl77491(二酸化チタン)、マイカ、Cl77891(酸化鉄);Colorona Imperial Red、Merck、マイカ、二酸化チタン(Cl77891)、D&C RED NO.30(Cl73360);Colorona Majestic Green、Merck、Cl77891(二酸化チタン)、マイカ、Cl77288(酸化クロム緑);Colorona Light Blue、Merck、マイカ、二酸化チタン(Cl77891)、フェロシアン化第二鉄(Cl77510);Colorona Red Gold、Merck、マイカ、Cl77891(二酸化チタン)、Cl77491(鉄);Colorona Gold Plus MP 25、Merck、マイカ、二酸化チタン(Cl77891)、酸化鉄(Cl77491);Colorona Carmine Red、Merck、マイカ、二酸化チタン、カルミン Colorona Blackstar Green、Merck、マイカ、Cl77499(酸化鉄);Colorona Bordeaux、Merck、マイカ、Cl77491(酸化鉄);Colorona Bronze、Merck、マイカ、Cl77491(酸化鉄);Colorona Bronze Fine、Merck、マイカ、Cl77491(酸化鉄);Colorona Fine Gold MP 20、Merck、マイカ、Cl77891(二酸化チタン)、Cl77491(酸化鉄);Colorona Sienna Fine、Merck、Cl77491(酸化鉄)、マイカ Colorona Sienna、Merck、マイカ、Cl77491(酸化鉄);Colorona Precious Gold、Merck、マイカ、Cl77891(二酸化チタン)、シリカ、Cl77491(酸化鉄)、酸化スズ;Colorona Sun Gold Sparkle MP 29、Merck、マイカ、二酸化チタン、酸化鉄、マイカ、Cl77891、Cl77491(EU);Colorona Mica Black、Merck、Cl77499(酸化鉄)、マイカ、Cl77891(二酸化チタン) Colorona Bright Gold、Merck、マイカ、Cl77891(二酸化チタン)、Cl77491(酸化鉄);Colorona Blackstar Gold、Merck、マイカ、Cl77499(酸化鉄)である;商品名Unipure(登録商標)を有するカラー顔料は、例えば:Unipure Red LC 381 EM、Sensient Cl77491(酸化鉄)、シリカ;Unipure Black LC 989 EM、Sensient、Cl77499(酸化鉄)、シリカ;Unipure Yellow LC 182 EM、Sensient、Cl77492(酸化鉄)、シリカである。
【0316】
染料の中で、コチニールカルミンに非限定的に言及することができる。以下の名称:D&C Red 21(CI45 380)、D&C Orange 5(CI45 370)、D&C Red 27(CI45 410)、D&C Orange 10(CI45 425)、D&C Red 3(CI45 430)、D&C Red 4(CI15 510)、D&C Red 33(CI 17 200)、D&C Yellow 5(CI19 140)、D&C Yellow 6(CI15 985)、D&C Green(CI61 570)、D&C Yellow 1 O(CI77 002)、D&C Green 3(CI42 053)、およびD&C Blue 1(CI42 090)で知られている染料にも非限定的に言及することができる。言及することができるレーキの非限定的な例は、以下の名称:D&C Red 7(CI15 850:1)で知られている製品である。
【0317】
顔料ブレンドの色域
CIE L*a*b*(CIELAB)は、国際照明委員会によって指定された色空間である。これは、人間の目に見える全ての色を説明し、参照として使用されるデバイスに依存しないモデルとして機能する。
【0318】
CIELABの3つの座標は、色の明度(L*=0は黒をもたらし、L*100は拡散白を示し;鏡面反射白はより高くなり得る)、赤/マゼンタと緑との間の位置(a*、負の値は緑を示し、正の値はマゼンタを示す)、および黄と青との間の位置(b*、負の値は青を示し、正の値は黄を示す)を表す。
【0319】
L*a*b*モデルは三次元モデルであるため、三次元空間でのみ適切に表すことができる。二次元の描写には、色度図:固定された明度を有する色立体のセクションが含まれる。
【0320】
赤-緑および黄-青の対向するチャネルは、(推定される)錐体応答の明度変換の差として計算されるため、CIELABは色彩値色空間である。
【0321】
本発明において、色域は、顔料を含まないフィルム形成組成物の試料を調製し、試験する各顔料をフィルム形成組成物の個々の試料に添加することによって決定される。顔料を含む試料を調製し、トレス基質に適用する。試料を硬化させ、次いで、着色された毛髪の得られたCIELAB明度またはL*値が60±2となるように着色について試験する。必要な顔料のレベルは、試験される顔料に依存する。例えば、本発明に記載されるように単独で適用されるフィルム形成組成物の試料を使用して、記載されるようにヘアトレス(Kerling、ナチュラルホワイト特別品質)を調製することができる。Minolta分光光度計CM-2600dを使用して、硬化および乾燥したヘアトレスの色、前面および背面の両方の5点、および平均値を測定することができる。D65 L*a*b値を計算することができる。少なくとも3種の顔料をそれぞれ、得られる色が60±2の標的L*値内に存在するように測定した場合、色域を計算することができる。まず、a*b面内の3種の顔料の各組み合わせの結果として得られる三角形の各辺の長さを、以下の式を使用して計算する。顔料1と顔料2との間の距離を計算するために、以下の式を使用する:
辺の長さSL12=((a顔料1-a顔料2)2+(b顔料1-b顔料2)2)0.5。
これを、顔料の各ペアについて計算する。次いで、3種の顔料のシリーズについて計算する。
【0322】
得られる色域を、以下の式を使用して計算する:
色域=(S(S-SL12)(S-SL13)(S-SL23))0.5
[式中、SL12、SL13、およびSL23は、a*b面内の三角形の辺の3つの長さであり、S=(SL12+SL13+SL23)/2である]。4種以上の顔料を使用する場合、この計算を、使用される4種以上の顔料のうちの3種の顔料の各組み合わせについて実施することができ、最大色域を選択する。
【0323】
本発明の好ましいカラーコーティング実施形態はまた、250超、500超、750超、800超、900超、1100超、またはさらには1250超の色域を有することができる。
【0324】
色域について実施された実験
上記式を使用して、以下に示される色域表1から可能な3種の顔料の各組み合わせについて、公称L値60の色域を計算した。
色域表1
【0325】
これらは、後に記載される例示的な配合内で、適切なレベルの第1、第2および第3の組成を使用して配合した。
【0326】
ある実施形態では、カラー組成物(例えば、ケラチン繊維に順次に、同時に、または予混合物で適用されるフィルム形成組成物と前処理組成物のセット)を順次に毛髪に適用することができる。例えば、毛髪をより明るい色に見せる視覚効果を生じるように、実質的に光を散乱および/または反射する顔料微小粒子を含有するこの第1のセットが毛髪に適用され、その後、実質的に光を吸収し、毛髪に色を提供する顔料微小粒子を含有する第2のセットが適用され、カラー組成物の第1のセットおよび第2のセットの順次添加の組み合わせが最終的な毛髪の色を提供することになり得る。例えば、第1のカラー組成物は金属フレークを含み得、第2のカラー組成物は有機顔料微小粒子を含有し得る。また、所望のカラー結果を達成するために、第1および第2を超えるカラー組成物が毛髪に適用され、3種以上のカラー組成物が適用されることもあり得る。
【0327】
pH
本発明によるフィルム形成組成物および前処理組成物の実施形態は、適用時のpHが約4~約10、好ましくは約5~約9の範囲であり得るように、ケラチン繊維への適用に伴うpH調整を有し得る。pHは、好ましくは、フィルム形成組成物および前処理組成物の反応性構成成分の反応速度を制御するように動的に管理される。これらの組成物を伴う混合段階および事前適用段階中にわずかに塩基性のpHを維持することで、ある特定の状況下でのアルコキシシリル縮合が制御される。縮合は、酸性pHを反応に適した状態に戻すことによって開始され得る。
【0328】
分散剤
分散剤の慎重かつ選択的な選択が、固定化フィルムから生成される色の量を最大化し、残留性または耐洗浄性を最大化し、色の除去を可能にするという点で性能を最大化するのに役立ち得ることが当業者には明らかであろう。
【0329】
分散剤の静電特性、イオン特性および機能的特性は、フィルム形成組成物および前処理組成物の反応性構成成分と適合性であり、これに干渉しないように選択される。より好ましくは、分散剤は、媒体を含むおよび含まない組成物の他の成分と適合性であり、混和性であるように選択される。
【0330】
フィルム形成組成物のバインダーポリマーと化学的に類似した分散剤を選択する原理に従って、最大の適合性を確保することができる。
【0331】
上記の適合性と同様に、分散剤を選択する際の他の基準は、顔料が一次粒径まで、好ましくは最小量の投入機械エネルギーで分散されることを可能にする能力である。分散剤の濃度も因子であることが、当業者によって認識されるであろう。一般に、通常、分散活性には最小限の量が存在することが必要であり、これを下回ると、組成物が完全には分散されない、または分散剤が凝集剤として作用する。
【0332】
これらの2つの考慮事項を合わせて使用して、好ましい材料およびそれらのそれぞれの濃度を定義する。
【0333】
また、使用されるバインダーポリマーの種類に応じて、バインダー自体も分散剤であるかもしれない。このような場合、さらなる分散添加剤を必要としないことが可能である。
【0334】
分散顔料混合物とフィルム形成組成物の組み合わせは、任意の方法で行うことができる。分散顔料混合物とフィルム形成組成物のこの組み合わせの順序は、分散顔料混合物をフィルム形成組成物層と共に、前処理層の上部に送達する。層がわずか~中程度~本質的に完全な程度まで混合している間、分散顔料混合物の少なくとも一部は前処理層の上に存在する。コーティングのこの配置は、以下に記載される「オフ」技術が実施される場合に、コーティングの除去を少なくとも部分的に可能にする。
【0335】
分散剤、種類、特性および化学
分散剤は、親水性(水を好む、極性)と親油性(脂肪を好む)の両方の特性を有する化学化合物であることを意味する、両親媒性(amphiphilic)または両親媒性(amphiphatic)である。分散剤は、2つの成分間の界面張力を低下させることによって、固体、例えば、液体媒体中の顔料の均一な分布および安定化を可能にする表面活性ポリマーである。結果として、集塊物は一次粒子に分解され、再集塊の保護分散剤エンベロープによって保護される。
【0336】
分散剤は、安定化機序に基づいて、
1.静電安定化のための分散剤
a.アニオン性分散添加剤
i.ポリアクリレート
ii.ポリホスフェート
b.中性分散添加剤、例えば非イオン性界面活性剤
c.カチオン性分散添加剤、例えば第四級アンモニウム有機および/またはシリコーンポリマー
2.立体安定化のための分散剤
に細分することができる。
【0337】
静電安定化
顔料表面はイオン電荷を有する添加剤によって占有される。全ての顔料粒子は同じように帯電する。電荷による相互反発は、顔料粒子の引力よりも大きい。静電安定化は、主に水性塗料組成物において関連性を有する。
・ポリアニオン性分散添加剤:ポリカルボキシレート(主にポリアクリル酸の塩)、直鎖ポリホスフェートおよび環状メタホスフェートに分けられるポリホスフェート、ポリアクリレート
・カチオンとしてのポリアクリル酸の塩、ナトリウムおよびアンモニウムが好ましく、これらのポリアクリレートは水溶性であり、技術製品は2000~20,000g/molの範囲の分子量を有し、最適は約8000g/molである
・アクリル酸、メタクリル酸またはマレイン酸のホモポリマーまたは共重合体のナトリウム塩およびアンモニウム塩
【0338】
立体安定化
顔料粒子間の引力は、粒子の互いからの比較的小さな距離にわたってのみ有効である。2つの粒子の互いへの接近は、顔料表面にしっかりと固定され、表面から伸びる基を有し、顔料が互いに接触する可能性を低減し得る分子によって防止することができる。十分に長い鎖長によって、集塊を防止することができる。また、集塊および他の望ましくない顔料粒子相互作用を回避するために添加される物質は、好ましくはカラー組成物の反応性ポリマーとの相互作用を最小化または回避するように選択される。
【0339】
顔料の分散剤への組み込み
本明細書に記載される顔料は、単一分散剤を使用することができるように十分に類似するように選択および/または修飾することができる。他の例では、顔料が異なるが適合性である場合、2種以上の異なる分散剤を使用することができる。顔料微小粒子の極めて小さいサイズおよびそれらの親和性のために、顔料微小粒子と分散剤を組み合わせて、所望により後に修飾および/または希釈することができる実質的に均一な分散体を形成することは、フィルム形成組成物のいずれかまたは全てと組み合わせる前に達成される。
【0340】
顔料微小粒子は、その特性および種類が上に記載される1種または複数の分散剤によって、媒体中で分散および安定化させることができる。分散剤は、媒体もしくは前駆体媒体に添加することができる、または微小粒子上にコーティングを形成して分散を促進することができる。微小粒子に分散剤材料のコーティングを提供し、さらに、さらなる分散剤を媒体または最終媒体を形成するために使用される前駆体媒体に提供することも可能である。
【0341】
媒体に添加される、またはコーティングとして提供される分散剤は、微小粒子の湿潤、媒体中の微小粒子の分散、および媒体中の微小粒子の安定化を促進する。
【0342】
湿潤は、顔料微小粒子の表面および微小粒子の集塊物の内部に吸着された空気などの材料を媒体によって置き換えることを含む。典型的には、粒子を単数化し、互いに接着する微小粒子によって形成された集塊物を破壊するために、個々の微小粒子の完全な湿潤が望まれる。
【0343】
湿潤後、微小粒子を、一般に分散工程と呼ばれる脱凝集および脱集塊工程に供することができる。分散工程は、典型的には、微小粒子を単数化するせん断などの機械的力の影響を含む。単数化するためのせん断に加えて、例えば、ローラーミル、高速ミキサー、およびビーズミルを使用して、微小粒子をさらに小さな微小粒子に分解することができる。通常の実施は、例えば、適切なボールミル、超高圧ホモジナイザー、または顔料分散の当業者に知られている他の組成物への使用を通した、高せん断混合の使用を通した、分散剤中の顔料の実質的に均一な分散を伴う。
【0344】
湿潤および分散中に、分散剤によって湿潤される微小粒子の露出した総表面積は増加する。分散剤の量は、表面積の増加を考慮して、分散中に徐々に増加させることができる。
【0345】
分散剤はまた、分散した微小粒子を分散状態に保ち、それらが凝集して緩い凝集体を形成するのを防ぐ脱凝集剤としても機能する。この安定化は、長期貯蔵目的にも必要である。静電安定化および立体安定化などの異なる種類の安定化が可能であり、媒体および微小粒子の材料を考慮して分散剤の種類が選択される。
【0346】
分散剤は、粒子が所望のサイズに粉砕される場合に、顔料粒子の乾燥粉末に添加され得る。粉砕中、または顔料粒子を単数化するもしくは、これらをより小さな部分に分解するための任意の他の適切な技術の間に、分散剤は、微小粒子の表面と接触し、これに接着する。粉砕中に新たに生成された微小粒子表面は分散剤によってコーティングされるので、粉砕後、分散剤によって形成されたコーティングを有する微小粒子が提供される。
【0347】
分散剤によるコーティングは、分散剤が添加される液体担体媒体中で行うこともできる。微小粒子を、液体担体中で粉砕することもできる。
【0348】
場合により、顔料微小粒子は、前処理組成物からの低分子でコーティングされ得る。微小粒子を分散剤で湿潤および分散させるための上記の手順に従って、前処理組成物の一部を予め粉砕された顔料粒子と組み合わせることができる。湿潤手順および分散手順後に、処理された微小粒子を過剰な前処理組成物から分離して、低分子でコーティングされた微小粒子を生成することができる。この手順の間に、低分子のコーティングが縮合し始め、結果としてコーティングが、個々の微小粒子をコーティングするシリコーンの少なくとも部分的に縮合したネットになると考えられる。次いで、コーティングされた微小粒子を、湿潤手順および分散手順について上に記載されるように分散剤中に湿潤および分散させることができる。
【0349】
添加剤成分
フィルム形成組成物のための添加剤成分としては、懸濁化剤、レベリング剤、および粘度制御剤が挙げられる。懸濁化剤は、顔料粒子を分散状態に維持し、それらの集塊を最小化するまたは打ち消すのに役立つ。懸濁化剤としては、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールなどのポリオールの脂肪酸エステルが挙げられる。これらは可塑剤に類似しており、同様の方法で機能して、顔料粒子が遅延相互作用も結合相互作用もなしに互いに「すれ違う」ことを可能にする。これらはこの方法でグリースとして作用する。さらに、懸濁化剤は、顔料粒子の安定した分散を促進し、沈降を回避することに部分的に関与する。フィルム形成組成物のポリマーはまた、それらの可溶化または顔料粒子および媒体との相互作用を通して関与する。懸濁化剤は、安定した分散体を維持するための別の因子を提供する。これらは、ブラウン運動を促進するための「グリース」を提供するだけでなく、媒体中の顔料粒子の乳化剤として相互作用を通して部分的に安定化もする。任意の成分はまた、それらが反応性ポリマーカップリング反応に干渉しない、または最小限にしか干渉しないように選択されるべきである。
【0350】
本発明によるフィルム形成組成物の実施形態の実施形態はまた、場合により、例えば、還元剤、脂肪物質、軟化剤、消泡剤、保湿剤、UVスクリーニング剤、鉱物コロイド、ペプタイザー、可溶化剤、芳香剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性、または両性界面活性剤、タンパク質、ビタミン、噴射剤、オキシエチレン化または非オキシエチレン化ワックス、パラフィン、ステアリン酸またはラウリン酸などのC10~C30脂肪酸、およびラウリン酸ジエタノールアミドなどのC10~C30脂肪酸アミドから選択される少なくとも1種のアジュバントを含有することができる。
【0351】
本発明によるフィルム形成組成物の実施形態は、さらに場合により、それだけに限らないが、抗酸化剤(例えば、フェノール酸、第二級アミン、ホスファイト、チオエステル、およびこれらの組み合わせ)、非反応性希釈剤(例えば、エチレングリコール、ジ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、グリセロール、1,5-ペンタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、2-エトキシエタノール、ソルケタール、ベンゾニトリル、ヘキサメチルホスホラミド、2-N-メチルピロリジノンおよびN,N-ジメチルホルムアミド);染料、充填剤(例えば、シリカ;カーボンブラック;粘土;二酸化チタン;アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウムおよびこれらの混合物のケイ酸塩;カルシウム、マグネシウムおよびこれらの混合物の炭酸塩;ケイ素、カルシウム、亜鉛、鉄、チタン、およびアルミニウムの酸化物;カルシウム、バリウム、および鉛の硫酸塩;アルミナ三水和物;水酸化マグネシウムおよびこれらの混合物)、可塑剤(例えば、ASTM D2226芳香族油などの石油;パラフィン油およびナフテン油;ポリアルキルベンゼン油;アルキルおよびアルコキシアルキルオレエートならびにステアレートなどの有機酸モノエステル;ジアルキル、ジアルコキシアルキル、およびアルキルアリールフタレート、テレフタレート、セバケート、アジペート、ならびにグルタレートなどの有機酸ジエステル;トリ-、テトラ-、およびポリエチレングリコールジアルカノエートなどのグリコールジエステル;トリアルキルトリメリテート;トリアルキル、トリアルコキシアルキル、アルキルジアリール、およびトリアリールホスフェート;塩素化パラフィン油;クマロン-インデン樹脂;松ヤニ;ヒマシ油、トール油、菜種油、および大豆油などの植物油、ならびにそれらのエステルおよびエポキシ化誘導体;o-フタレート、アジペートおよびベンゾエートなどの二塩基酸(またはそれらの無水物)と一価アルコールのエステル;などならびにこれらの組み合わせ)、加工助剤、紫外線安定剤(例えば、ヒンダードアミン、o-ヒドロキシ-フェニルベンゾトリアゾール、2-ヒドロキシ-4-アルコキシベンゾフェノン、サリチレート、シアノアクリレート、ニッケルキレート、ベンジリデンマロネート、オキサラニリド(oxalanilide)、およびこれらの組み合わせ)、およびこれらの組み合わせを含む1種または複数の添加剤を含有することができる。
【0352】
追加の添加剤は、触覚毛髪修飾剤であり得る。これらには、それだけに限らないが、ケラチン繊維に対する軟化および/または潤滑および/または帯電防止および/または毛髪整列および/またはちぢれ防止の利益および/または影響が含まれ得る。
【0353】
追加の添加剤としては、それだけに限らないが、約2nm~約500nmの粒径を有する非着色材料;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、およびこれらの組み合わせなどのポリオレフィンから構成される高分子鎖またはナノ粒子、それだけに限らないが、スメクタイト、カオリン、イライト、クロライト、アタパルジャイトおよびインターカレートアルミノシリケート材料などの粘土およびミネラライト(mineralite)物質、ならびにこれらの精製された形態(formed)およびこれらの組み合わせなどの充填剤材料が挙げられる。追加の鉱物微小粒子は、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ベーマイトアルミナ、ハイドロタルサイトからなる群から選択される無機金属酸化物から構成され得る。さらに他の充填剤材料としては、それだけに限らないが、酸化グラファイト混合ポリマーのナノフィラー、マイクロバッキーボール(microbucky ball)、クラスレート、ならびに有機および鉱物錯体のクラウン複合体などのカーボンナノチューブマイクログラファイト材料が挙げられる。さらに、充填剤は、反応性ポリマー組成物の第1の成分および第2の成分に関連する相補的反応対のメンバーのうちの1つを含有するポリマーと組み合わせる、複合体化する、これを含有するまたは組み込むことができる。
【0354】
添加剤としては、それだけに限らないが、アボベンゾン、ベモトリジノールオクトクリレン、ベンゾフェノン-4、エチルヘキシルメトキシシンナメート、PABA、パディメートO(padimate O)、PBSA、シノキセート、ジオキシベンゾン、ホモサレート、メンチルアントラニレート、オクチルサリチレート、パルソールMax、チノソルブSおよびA2B、ユビナール、アミオキセート(amioxate)、ポリフッ化ビニリデンおよび他の同様の共役有機化合物、ラジカルスカベンジャー、トリプレット形成阻害剤、クロム、チタン、亜鉛、ニッケル、マンガン、鉄、ニオブ、銀、金、アルミニウム、ハフニウム、タンタル、例えばこれらの酸化物および同様の形態を組み込んだ金属化合物(金属化合物はUV光を吸収または反射する)などのUVフィルターおよびUV遮断物質も挙げられ得る。
【0355】
トップコート
トップコート組成物は、毛髪がコーティング、好ましくはカラーコーティングでドレッシングされている人(以下、使用者)によって後で適用され得るポストドレッシング組成物である。トップコート組成物はまた、以前に使用者の毛髪をコーティング、好ましくはカラーコーティングでドレッシングした、または使用者の毛髪をドレッシングする過程にあるサロンの専門家によって、使用者の毛髪に適用され得る。トップコートは、典型的には、撥水性化合物と組み合わせた水性アルコール混合物、シャンプーおよび/もしくは水すすぎで除去可能であり得るヘアセット化合物、またはカチオン性シャンプーによってゆっくりと除去可能であり得るが、水すすぎもしくは毛髪の家庭でのシャンプー洗浄として典型的に適用される通常のアニオン性シャンプーによっては除去可能でないヘアセット化合物などの容易に揮発可能な媒体を含有する。
【0356】
トップコート組成物に含めるための撥水性化合物としては、ワックス、シリコーン、オルガノフルオリド化合物が挙げられ得る。このような撥水剤の中で好ましいのは、カルナウバロウ、ミツロウ、オレフィンワックス、パラフィンである。ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル、ポリシリコーン、およびこれらの組み合わせも、トップコート組成物の構成成分を構成し得る。好ましくは、これらのポリマーは、毛髪上の基礎フィルムとの水素結合、双極子相互作用、およびイオン相互作用が生成されるように、それらのポリマー鎖全体に、ペンダント基として分配されたかなりの数の非反応性官能基を有する。このようなポリマーの存在は、撥水性、光沢、および合理的な浮力特性を毛髪に追加する。
【0357】
トップコート組成物に含めるためのヘアセット化合物は、通常のシャンプー洗浄で容易に除去可能であり得る、または複数回のシャンプー洗浄がヘアセット化合物をゆっくり除去するという点で長時間持続性であり得る。ヘアセット化合物は、雨、湿度および風などの典型的な環境条件下での特定のセットまたは髪型の保持を可能にする。それにもかかわらず、これらは、市販のシャンプー配合物によるシャンプー洗浄によって除去され得る。トップコート組成物に含めるのに有用なヘアセット化合物は、(メタ)アクリル酸などの酸性ビニルモノマー、アルキル(メタ)アクリレートなどの疎水性非イオン性ビニルモノマー、ならびにポリオキシアルキエニル(polyoxyalkyenyl)フマル酸または同様の不飽和ジカルボン酸などの第1および第2の会合性モノマーの共重合体であり得る。化合物は、ポリビニルピロリドン(PVP)、PVPと酢酸ビニル(VA)の共重合体、アクリレートおよびヒドロキシアルキルアクリレート共重合体、CARBOPOL(ポリアクリル酸)、CARBOPOL ETDポリマー、キサンタンガム、疎水性変性セルロースであり得る。ヘアセット化合物として、およびトップコートのための撥水化合物として有用なさらに他の物質は、C6~C20アルキル基の(メタ)アクリル酸エステルならびに不飽和アルコールおよび(メタ)アクリル酸などの親水性モノマーの(メタ)アクリル酸エステルの(メタ)アクリル共重合体に基づく。この配合物の共重合体は、毛髪に適用されるフィルムとして不飽和部位を有する。フィルムなどの共重合体の短いUV照射は、架橋を可能にし、風、雨およびシャンプー耐性をトップコート組成物に伝える。(メタ)アクリル酸、クロトン酸、アルキル(メタ)アクリレート、およびわずかな割合のスチレンなどのオレフィンモノマーのブロック共重合体は、保持性、低粘着性、および高耐湿性品質をトップコートに提供しながら、同時に、シャンプー洗浄による容易な除去を可能にする。メタクリル酸の割合が2~4重量%程度で微量である、ブチルアクリレートとメタクリル酸の共重合体などの非粘着性感圧接着剤のトップコートへの組み込みも、保持およびセットを促進する。一部の例では、シャンプー洗浄によって容易に除去可能ではなく、人の体温よりも少なくとも約20℃高い温度で熱可塑性品質を示す(メタ)アクリレート共重合体を配合されたトップコートが、ヘアスタイルのリセットに有用となり得る。このバージョンのトップコートは、温風ヘアドライヤーで温め、毛髪を新しいスタイルにリセットすることができる。リセットされた毛髪を冷却することにより、熱可塑性ポリマーがリセットによって提供された形状を保持するため、リセットされたヘアスタイルが提供される。
【0358】
トップコート組成物は、媒体中に分散した微小粒子としてポリマー化合物を含有し得る、または媒体と共に溶液に溶解し得る。トップコートをブラシ、スポンジまたは他の同様のアプリケーターを使用して液体組成物として適用して、個々の毛髪をコーティングすることができる。あるいは、トップコート組成物をスプレーポンプ容器に組み込み、エアロゾルとして毛髪に適用することができる。スプレーとして適用されるトップコート組成物は、好ましくは、穏やかなブラッシングが液体を毛髪全体に移し、本質的に全ての毛髪がコーティングされることを可能にするのに十分な時間、毛髪上に液体を残すように配合される。ヘアスタイリングがトップコートプロセスの一部である場合、毛髪は機械装置でセットされ得る、または上記のように熱および機械的操作でセットされ得る。
【0359】
ポストケア組成物
毛髪のコーティング、好ましくはカラーコーティングの輝き、色の耐久性および特性を維持するために、典型的にはポストケア組成物が使用者によって定期的に適用され得る。ポストケア組成物は、潤滑、手触り改質剤、犠牲的半流体フィルムを毛髪に付与する成分を組み込んでいる。非イオン性界面活性剤、長鎖第四級アンモニウム化合物などのカチオン性界面活性剤、アモシリコーン(amosilicone)コンディショナー、脂肪酸アミドコンディショナー、脂肪アルコールベタインおよびスルタイン、1molあたり約450ccを超える分子体積を有する非浸透界面活性剤が含まれる。ポストケア組成物は、1~5分間などの短期間にわたって揮発可能な水性または水性アルコール性媒体などの媒体に配合され得る。ポストケア組成物は、スプレーまたは液体としてケラチン繊維に適用され得る。同様にポストケア組成物として有用なのは、本明細書に記載される組成物で処理されない使用者の皮膚および部分にマスクとして適用され得る保護組成物である。保護組成物は、皮膚上に薄膜マスクを形成し、剥離によって容易に除去可能である。剥離が皮膚を傷つけないように、皮膚への接着は最小限である。水性アルコール溶液中の化合物は、媒体が蒸発するとマスクフィルムを提供する。乳酸およびグリコール酸などの高Mw有機ヒドロキシ酸のポリマーおよび共重合体などの化合物は、有用な剥離可能なマスクを提供する。ポストケース組成物は、表面自体に対して、表面上のコーティングを特にケアするように設計することができる。したがって、例えば、毛髪表面上のコーティングの文脈では、毛髪表面をきれいにし、コンディショニングするように設計された通常の製品を使用するのではなく、ポストケア組成物は、毛髪表面上のコーティングの世話をし、ケアするように調整されている。
【0360】
コーティングの可撓性の試験
コーティング、好ましくは、カラーコーティングは、剥離可能な基質上で調製され、独立型ポリマーフィルムとして単離されるので、これを光学濃度について試験して、ポリマーフィルム自体が毛髪の毛髪外観をあまりにも著しく改変しないことを確認することもできる。
【0361】
さらに、好ましくはポリマーフィルムを上記のように試験してそのガラス転移点(Tg)を明らかにすることができるので、着色コーティングが損傷することも亀裂が入ることも防ぎ、洗浄および摩擦残留性を確保することが可能である。
【0362】
コーティング、好ましくは、カラーコーティングは、約20~約50mN m-1の間の表面エネルギーを有することができる。
【0363】
極限伸び。極限伸びという用語は、所与の材料が、破損が発生し、材料が2つ以上の断片に破断する前に、特定の試験方法下で経験することができる伸びの量を指す。これは、破断時の分離を試験の初期分離で割ったものに、100を掛けてパーセント極限伸びを与えるものである。
【0364】
ヤング率。ヤング率(Young’s modulus)またはヤング率(Young modulus)は、固体材料の剛性を測定する機械的特性である。これは、一軸変形の線形弾性レジームにおける材料の応力(単位面積あたりの力)とひずみ(比例変形)との間の関係を定義する。これは、この領域における応力/ひずみである。
【0365】
極限圧縮。極限圧縮という用語は、所与の材料が、破損が発生し、材料が破断する前に、特定の試験方法下で経験することができる圧縮の量を指す。
【0366】
破損前の平均繰り返し伸び。破損が発生し、材料が2つ以上の断片に破断する前に、試験材料で実施できる一定レベルの伸び繰り返しサイクルまでの伸びの数を指す。
【0367】
エラストマーの機械的特性(ヤング率、極限伸び、極限圧縮、破損前の平均繰り返し伸び)は、Texture Analyzer TA.XT.Plus(Stable Micro Compositions)を使用して公知の方法で測定される。
【0368】
ヤング率および極限伸びについては、BYKスクエアアプリケーターまたはバード型フィルムアプリケーター(例えば、5570シングルバー6’’、10ミルまたは5357またはスクエアフレーム4’’、5~50ミル)を使用して、エラストマーを、剥離層(例えば、クッキングシート)上で、例えば、厚さ10ミルの連続フィルムとして調製する。エラストマーが希釈組成物として製造される場合、当業者は、ドローダウンフィルムの適切な厚さを選択して、試験に適したフィルムを製造するだろう。フィルムを25℃で約24時間以上硬化させる。エラストマーを剥離層から除去し、メスを使用して30mm×10mmの長方形切片に切断する。次いで、硬化中の収縮または溶媒損失を考慮するために、キャリパーを使用して厚さを測定する。次いで、A/MTGミニ引張グリップ(Stable Micro Systems)を使用して、長方形フィルムを12mmの初期分離内でTA器具に取り付ける。次いで、エラストマー試料が破断するまで、試料を0.5mm秒-1の速度で伸長する。ヤング率は、5gの初期力が印加された直後に発生する力-伸び曲線の弾性領域の線形部分の初期勾配として定義される。初期断面積が既知であるため、力をMPaに変換してヤング率を計算する。極限伸びは、パーセンテージ、すなわち、破断時の伸長距離/初期距離*100で示される。破損前の平均繰り返し伸びを評価するために、まず試料の極限伸びを測定する。試料およびTA器具を、極限伸びを評価するのと同じ方法で配置する。次いで、試料を、0.5mm秒-1の速度で、測定された極限伸びの60%の固定伸びまで伸長する。次いで、試料は、0.5mm秒-1の速度で元の状態に戻り、試料が破断するまで、または最大2000回の繰り返しサイクルまでサイクルを繰り返す。
【0369】
極限圧縮については、エラストマーを、剥離層上で連続3mmフィルムとして調製する。フィルムを25℃で約24時間以上硬化させる。エラストマーを剥離層から除去し、一連の円筒形ディスクを直径3.5mmでフィルムから打ち抜く。次いで、硬化中の収縮または溶媒損失を考慮するために、キャリパーを使用して厚さを測定する。次いで、圧縮サイクルを使用して、A/MTGミニ引張グリップ(Stable Micro Systems)を使用して、長方形フィルムをTA器具に取り付ける。試料が破断するまで、試料を0.05mm秒-1の速度で圧縮する。これは、圧縮サイクル中の応力ひずみグラフ内の急速なたわみとして観察され、当業者には明らかである。
【0370】
上記機械的特性測定の全てについて、示される結果は少なくとも7回の測定の平均である。
【0371】
キットおよび容器
フィルム形成組成物および前処理組成物は、特にそれらが特別な活性化なしに一緒に反応する場合、別々の貯蔵区画または別々のキット形態で維持され得る。さらに、フィルム形成組成物の相補対成分およびPTHアルコキシシリル基を有する化合物は、それらがPTH基と相補基の反応、アルコキシシリル基の相互作用、および相補対基の反応を回避するように、別々に維持され得る。プラスチックスクイーズチューブ、プラスチックボトル、ガラス容器、サシェ、マルチコンパートメント容器、トトル、スポットルズ(spottles)シリンジ、およびプランジャー作動分注装置などの簡便な貯蔵手段を利用することができる。組み合わせのための単位量は、ケラチン繊維に適用するために、フィルム形成組成物の単位の内容物全体を触媒/プロモーターの内容物全体と組み合わせることができるように配合することができる。あるいは、印刷された説明書によって指示される測定された量の成分を提供するための任意のブラシおよび/またはスポンジパッドを備えた計量または較正分注容器を提供することができる。一部の実施形態では、in situ結合を引き起こす実質的な構成成分が別個の区画に維持される限り、これらの成分を貯蔵および取り扱いのために事前に組み合わせることができる。
【0372】
前記送達手段の使用は、本発明の方法の実施のための実施形態の調製を可能にする。この実施形態は、ケラチン繊維に、前処理組成物およびフィルム形成組成物を順次、同時または予混合して適用することを含み得る。顔料微小粒子はフィルム形成組成物に組み込まれ得る。本出願のこの態様は、ケラチン繊維上の前処理組成物の下層およびフィルム形成組成物の上層を提供する。媒体除去、適用された組成物の温度、および活性化剤(存在する場合)の使用の管理により、これらの組成物のポリマーがin situで相互作用して、完成したコーティング、好ましくはカラーコーティングとして、共有結合的に、水素結合、静電的に、配位的に、イオン的に、双極子様に、および絡み合い的に接続するコーティング、好ましくはカラーコーティングへの変換が可能になる。フィルム形成組成物の場合、自己反応性または相補対反応性基は化学的に反応性であるため、これらの成分の間で共有結合および/または配位結合が形成される。好ましくは、フィルム形成組成物の成分はまた、フィルム形成組成物および前処理組成物の成分が共有結合的に相互作用して全ての構成成分を一緒に結合するように、前処理組成物のPTHアルコキシシラン化合物と組み合わさる。この態様では、ケラチン繊維上の得られたコーティング、好ましくはカラーコーティングが、繰り返されるシャンプー、すすぎ、ならびに穏やかな洗剤、石鹸および同様の洗浄物質との接触に対して良好な残留性を提供する。
【0373】
前処理組成物およびフィルム形成組成物のためのキット形態はまた、Praeparatur技術およびFundamenta技術を実施するための材料および/または装置のための1つまたは複数の容器または包装単位を含み得る。Praeparatur技術のための包装単位は、様々な濃度および種類のアニオン性界面活性剤の1つまたは複数の容器、ならびにpH調整および炭酸塩溶液などの添加剤のための容器を含み得る。説明書パケットも含めて、アニオン性界面活性剤の種類をいつ使用するか、それらを希釈する方法、アナジェニック毛髪全体にわたって界面活性剤組成物をマッサージするおよび/または作用させる方法、ならびにPraeparatur処理後にアナジェニック毛髪をすすぎ落として乾燥させる方法を指示することもできる。Fundament技術のための包装単位は、様々な濃度のPETT配合物ならびに使用するためのPETT配合物を調製するための炭酸塩基添加剤を含む1つまたは複数の容器を含み得る。Fundamenta包装単位はまた、関連する電子機器を備えた低温プラズマペンならびに付随する洗浄およびすすぎ組成物を含み得る。また説明書パケットを含めて、PETTおよび/または低温プラズマペンを使用する方法を指示することもできる。さらに、酸性酸化のための包装単位に、過酸化水素の添加ならびにpHおよび濃度の調整についての指示を含めることもできる。
【0374】
PRAEPARATUR手順およびFUNDAMENTA手順の適用
本発明によると、Praeparatur手順およびFundamenta手順の一方または両方を、アナジェニック毛髪などのケラチン繊維に適用することができる。これらは、別々に適用してもよく、ケラチン繊維の異なるセグメントに適用してもよく、順次適用してもよく、および/または同時に適用してもよい。Praeparatur手順を、典型的には、最初にアナジェニック毛髪に適用することができ、Fundamenta手順を、必要に応じて適用することができる。
【0375】
Praeparatur手順は、典型的には、好ましい界面活性剤がアニオン性硫酸塩界面活性剤である水性-アルコール性界面活性剤の配合を開始する。高せん断混合手順および適切な希釈工程を使用して、ラウリル硫酸ナトリウムとラウリルエーテル(PEG10)硫酸ナトリウムの約10~40mlの濃縮アニオン性界面活性剤混合物を、約150~200mlの蒸留水と組み合わせることができる。実験節に記載されるように調製された模倣見本を、洗浄性界面活性剤に浸漬し、細かい歯の櫛で数分間活発に攪拌することができる。生きたサロンヘアモデルがPraeparatur手順の対象となる場合、サロンの洗面台の上に頭を置くように依頼され得る。次いで、サロンオペレーターは、最初にモデルの毛髪を水で濡らし、次いで、界面活性剤溶液を毛髪に適用し、Praeparatur組成物を毛髪および頭皮にマッサージし、泡立てることができる。次いで、一定期間後、サロンオペレーターは毛髪から製品をすすぎ、場合によりこのプロセスをもう一度繰り返すことができる。サロンオペレーターまたは実験室の技術者の目視検査および毛髪の感触に応じて、サロンオペレーター/技術者はまた、細かい歯付きの櫛を使用する、または洗浄液をかけた毛髪のセグメントに携帯型超音波装置を通過させることもできる。このプロセスは、オペレーター/技術者の目視検査および毛髪の感触が皮脂、垢、およびミネラルが除去されて裸の毛幹を露出することを示すまで、アニオン性界面活性剤濃度の任意の上昇および任意のpH調整を用いて継続される。
【0376】
Fundamenta手順は、Praeparatur手順とは別に、単独でおよび独立して適用することができる、または2つをいずれかの順序で組み合わせることができる。典型的な組み合わせ手順の場合、Fundamenta手順をPraeparatur手順適用後に適用することができる。
【0377】
プラズマFundamenta手順を達成するために、サロンモデルの毛髪の切片または模倣トレスの切片を、低温(常温)プラズマを生成する装置、例えば、Revlon PZ2プラズマペンに曝露することができる。典型的な低温プラズマ発生装置は、空気、窒素または酸素の流れを高エネルギーRFまたはEMFフィールドに通過させてイオンを、空気および酸素、またオゾンと共に生成する。部分的にイオン化されたガスの流れが毛髪に向けられ得る。結果は、ケラチン繊維上の部分的にイオン化されたガスの「低温プラズマ」となる。「低温プラズマ」をPraeparatur処理された毛髪のセグメントに広げて、毛髪の表面を深部洗浄することができる。低温プラズマは、深部洗浄の所望の効果を提供するために、1~5分間、好ましくは1~3分間の期間にわたって適切な距離で適用される。
【0378】
別のFundamenta手順では、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%のポリアルキルアンモニウムブロミド、例えば、トリメチルセチルアンモニウムブロミド(PETT)またはトリメチルステアリルアンモニウムブロミド(STAB)の、pHが約10のアルカリまたはpHが7を超えるチオール中水溶液を、模倣ヘアトレスまたはサロンモデルの毛髪の切片に適用し、トレスまたは毛髪切片全体にわたって約5分間~30分間、好ましくは5分間~10分間の期間にわたってマッサージする。次いで、PETTまたはSTABが除去されるまで、この処理を酸性pH(酢酸による)においてシャンプーですすぐ。
【0379】
別のFundamenta手順では、1.9~12%の過酸化水素を含む組成物を、粉末であり得る過硫酸塩脱色組成物と混合する。混合された組成物を、約1分間~120分間、より好ましくは3~40分間の期間にわたって毛髪に適用し、次いで、毛髪から完全にすすぐ。追加の代替Fundamenta手順では、1.9~12%の過酸化水素を含む組成物を、モノエタノールアミンまたはアンモニアおよび水酸化アンモニウムから選択される0.1~10%の間のアルカリ剤を含有する組成物と混合する。混合された組成物を、約1分間~120分間、より好ましくは3~40分間の期間、毛髪に適用し、次いで、毛髪から完全にすすぐ。
【0380】
別のFundamenta手順では、12%の過酸化水素水をpH3.5~4の酢酸溶液と組み合わせて、約0.5%~約2.5の過酸化水素濃度を生成することによって、酸性酸化剤組成物を調製する。酸性酸化剤組成物を、約1分間~10分間、より好ましくは3~6分間の期間、毛髪に適用し、次いで、毛髪から完全にすすぐ。
【0381】
別のFundamenta手順では、例えばWella Professionalsから入手可能なWella Creatine(N)Perm Emulsionなどの還元組成物を、約1分間~約20分間、より好ましくは2分間~15分間の期間、毛髪に適用し、次いで、髪から完全にすすぐ。
【0382】
単独でのまたはPraeparatur手順と合わせたFundamenta手順の実施後に、模倣見本またはサロンモデルの毛髪は、本発明による前処理工程の準備ができている。
【0383】
前処理組成物の適用
本発明によると、Praeparatur手順およびFundamenta手順の適用後ならびにフィルム形成組成物の適用前の前処理としてのケラチン繊維への前処理組成物の適用は、少なくとも部分的に、ケラチン繊維上のコーティング、好ましくはカラーコーティングの品質および特性を達成するための因子である。本方法のこの実施形態によると、前処理は、ケラチン繊維の少なくとも一部、好ましくはケラチン繊維全体に適用される。
【0384】
前処理組成物による前処理は、カラー組成物の適用前に行われ得る。前処理は、カラー組成物の適用の直前、またはカラー組成物の適用の少なくとも1時間前、またはフィルム形成組成物の適用の少なくとも24時間前、またはフィルム形成組成物の適用の少なくとも10日前、またはフィルム形成組成物の適用の少なくとも1か月前に行われ得る。好ましくは、前処理は、フィルム形成組成物の適用の直前または数分~最大1時間前以内に行われ得る。典型的には、前処理組成物を、任意の加熱で少なくとも部分的に乾燥させて、その媒体を少なくとも実質的に除去または排除する。例えば、湿ったコーティング毛髪を吸収性布地と接触させることによって、毛髪上の前処理組成物から(form)過剰な媒体を除去することができる、またはヘアドライヤーで加熱することによって、湿ったコーティング毛髪を部分的に乾燥させることができる。好ましくは、前処理組成物の媒体の実質的な除去が、カラー組成物の適用前に達成される。
【0385】
一実施形態では、2つ以上の前処理組成物が毛髪に適用され得る。次いで適用される後続のフィルム形成組成物に累積的な利益を提供するために、2つの異なる前処理組成物が順次適用されるかもしれない、または2つの異なる前処理組成物および場合により2つの異なるフィルム形成組成物が毛髪の実質的に異なる部分に適用されるかもしれない。このような場合は、天然の毛髪と比較して極めて異なる特性を有する毛髪、例えば、事前に脱色されているまたはカラーを有する部分、または根元対先端の毛髪に適用する場合に起こり得る。このような場合、毛髪の全てにその後のフィルム形成組成物の準備させるために異なる前処理が必要とされ得る。このような異なる前処理は、毛髪の異なる部分に向けられるが、少なくともいくらかのわずかな混合があり、毛髪の一部の領域が両方の前処理組成物を受ける可能性が高い。第3の場合は、前処理組成物を毛髪の一部、例えば根元に適用し、次いで、第2の異なる前処理組成物を毛髪の全てにわたって適用する場合であり得る。
【0386】
前処理後のフィルム形成組成物の適用
上記のように、1つまたは複数のフィルム形成組成物は、前処理組成物による前記前処理と組み合わせてケラチン繊維に適用され得る。バインダー官能基の相補対を有する第1のバインダー成分および第2のバインダー成分としてのフィルム形成組成物の実施形態は、使用するまで別々に維持され得る。前処理されたケラチン繊維への1つまたは複数のフィルム形成組成物の適用は、好ましくは、毛髪のセグメントへの順次適用によって達成され得る。全てのセグメントが1つまたは複数の湿潤フィルム形成組成物でコーティングされたら、1つまたは複数のフィルム形成組成物を乾燥および/または硬化させて、ケラチン繊維上にオーバーレイコーティング層を形成することができる。あるいは、適用ならびにその後の乾燥および/または硬化は、頭部を横切るセクションごとに実施され得る。典型的には、フィルム形成組成物の縮合速度および乾燥速度は、フィルム形成組成物のバインダー成分のプレミックスがケラチン繊維に適用される前に、プレミックスが好ましくは実質的に相互作用しないように、媒体制御、必要に応じてpH調整、濃度、立体相互作用、温度、ならびに反応および/または乾燥速度を制御する同様の因子を通して予め調整され得る。前処理実施形態でのこの工程の実施は、最初にケラチン繊維上の低分子の前処理層の上部にフィルム形成組成物を導入する。フィルム形成組成物は媒体中にあるため、フィルム形成組成物の前処理層への浸透、組み合わせ、混合および/または融合は、少なくとも部分的に達成される。浸透は、フィルム形成組成物のバインダーポリマー、前処理組成物の低分子、およびケラチン繊維の間の結合を可能にすると考えられる。これらの組成物の乾燥および硬化は、好ましくは、全ての組成物が適用された後に起こる。このようにして、全ての層間の融合が最良に達成される。
【0387】
前処理組成物で前処理されたケラチン繊維への1つまたは複数のフィルム形成組成物の適用は、好ましくは前処理後に行われる。この順序は、前処理の直後、または前処理の少なくとも1時間後、または前処理の少なくとも24時間後、または前処理の少なくとも10日後、または前処理の少なくとも1か月後に行われ得る。
【0388】
フィルム形成組成物の順次の、同時のまたはプレミックスの適用は、ケラチン繊維の少なくとも一部に適用され得る、またはケラチン繊維全体にわたって適用され得る。フィルム形成組成物の一部は、全てのケラチン繊維にわたって順次に、単回適用で同時に適用され得る、またはケラチン繊維に段階的に適用され得る。上記のように段階的にフィルム形成組成物を適用することは、ケラチン繊維の処理可能な部分が、組み合わされたフィルム形成組成物および前処理組成物で飽和されることを確実にするのに役立ち、したがって、ケラチン繊維のより良い被覆を提供し得る。
【0389】
適用のための操作技術
前処理組成物および1つまたは複数のフィルム形成組成物の各適用が達成され、濡れたコーティングケラチン繊維、例えば、処理されたケラチン繊維が、場合によりすすがれた後、処理されたケラチン繊維が硬化し始める。処理されたケラチン繊維を、高温を使用して加熱すると、アルコキシシリル基からシロキサニル基への縮合硬化および相補対反応が加速され得る。ケラチン繊維の温度は、例えば、ヘアドライヤーを使用して、室温を超える高温、例えば40℃以上まで上昇させることができる。ケラチン繊維が加熱されている間、何らかの形態の嵌合器具を使用して、ケラチン繊維の一部を分離する、特に毛髪を互いに分離するのを助けることができる。嵌合装置の例としては、櫛またはブラシが挙げられる。ケラチン繊維は、ヘアドライヤーで加熱しながら、同時に指触乾燥までコーミングまたはブラッシングすることができる。あるいは、他の手段を使用して、毛髪などのケラチン繊維を同時に加熱および分離することができる。例えば、空気の動きと振動の組み合わせを使用すると、毛髪全体にわたる多成分組成物の分配が達成される。
【0390】
毛髪をコーティングするための操作方法
本発明の操作方法の態様の実施をケラチン繊維に適用して、前処理組成物およびフィルム形成組成物ならびに任意のトップコート組成物のコーティングを形成することができる。本発明のこの態様は、ケラチン繊維を着色する方法に関するものであり、各ケラチン繊維または毛髪などのケラチン繊維上に有効なコーティング、好ましくはカラーコーティングを堆積させるのに十分な時間、1つまたは複数の前処理組成物およびフィルム形成組成物の実施形態を適用することを含む。各繊維の長さおよび円周上のコーティングのある程度~実質的に全体的な分配がもたらされる。
【0391】
この態様を達成するために、ケラチン繊維を調製するためのPraeparatur手順およびFundamenta手順の実施は、前処理適用の前に、またはこれと重複して、またはこれと同時に達成され得る。活性化工程および前処理工程の順序に応じて、前処理組成物およびフィルム形成組成物の実施形態は、ブラッシング、塗装、噴霧、霧化、スクイージング、印刷、摩擦、マッサージ、または何らかの方法で、実施形態を用いて毛髪などのケラチン繊維をコーティングすることによって、上記の順序に従って、ケラチン繊維に順次に、重複してまたは同時に適用され得る。毛髪などのケラチン繊維に組成物の実施形態を適用した後、組成物は、好ましくは、ヘアドライヤーからのまたは同様に扱うことができるブロー温風で加温して、媒体を除去し、フィルム形成ポリマー間のアルコキシシリル基および相補対結合のin situ結合、ならびに水素結合、分子絡み合いおよび極性相互作用、前処理組成物およびケラチン繊維から形成されたin situ形成シリコーンネットワークを開始することによって、セットされ、硬化され、連結され、調整され、および/または融合される。このセットは、ケラチン繊維上のコーティング、好ましくはカラーコーティングのこれらの実質的な構成成分の間に実質的~本質的に完全な全体的な結合(bonding)および結合(binding)を残す。
【0392】
フィルム形成組成物および前処理組成物が硬化し、内部的におよび互いに結合する速度または反応速度は、反応物質が生成物に変換される速度である。接着性着色コーティングを形成するフィルム形成組成物および前処理組成物の文脈において、速度は、共有結合および非共有結合が起こる速度を指す。一実施形態では、湿潤およびケラチン表面上の拡散が起こり得る前に、得られるエラストマーが形成するほど反応/乾燥の速度が速くないことが好ましい。反応/乾燥の速度が速すぎる場合、得られるエラストマーはその後濡れて毛髪表面上に拡散することができず、毛髪の劣ったコーティングおよび洗浄に対する低い耐性を示すものがもたらされ得る。対照的に、極めて遅い反応/乾燥の速度では、サロン着色処理の典型的な時間で実用的な結果を得ることはできない。好ましい実施形態では、反応/乾燥の速度が、フィルム形成組成物および前処理組成物が濡れてケラチン表面上に拡散することができるように十分に遅いが、フィルムが共有結合的に/非共有結合的に結合/結合するにつれて、ケラチン表面上に巨視的連続フィルムが形成されるのに十分に速くもある。連続フィルム形成を達成するための典型的な期間は、適用の完了後および通常の室温条件下で、好ましくは48時間未満、より好ましくは24時間未満、さらにより好ましくは12時間未満、最も好ましくは6時間未満、特に最も好ましくは30分未満である。
【0393】
適用中の前処理組成物および1つまたは複数のフィルム形成組成物の実質的な構成成分とケラチン繊維の結合および結合は、石鹸と水またはシャンプーと水の希釈混合物で洗浄することによる除去に抵抗するコーティング、好ましくはカラーコーティングを提供する。希石鹸水溶液または希シャンプー水溶液で洗浄してもコーティングが実質的に除去されないが、変換トリガーを使用することによってコーティングを簡単に除去できるように、色残留性を発達させる。コーティングの特性としては、これらの実質的な構成成分の少なくとも分子間絡み合い、イオンおよび静電分子間相互作用、共有結合および/または非共有結合、水素結合、双極子相互作用、ならびに親油性相互作用を含む実質的なコーティング構成成分の結合および結合特性に少なくとも部分的に起因する残留性、可撓性、接着性、耐摩耗性および残留性が挙げられる。
【0394】
本開示による前処理組成物およびフィルム形成組成物ならびに任意のトップコートは、ブラシおよびボウルまたはボトルのいずれかを使用して製品を毛髪に適用することを可能にするように制御することができる粘度を有することができるが、毛髪から顔または体に滴り落ちないように十分なレオロジーを有することができる。
【0395】
あるいは、低粘度配合物は、それが毛髪から顔および体に滴り落ちないように、適切な適用装置を介して毛髪に適用することができる。
【0396】
前処理組成物およびフィルム形成組成物ならびに任意のトップコートを、濃縮形態または連続希釈で利用して、ケラチン繊維の全長に実質的に沿って一貫した色結果を提供することができる。
【0397】
上記のように、前処理組成物およびフィルム形成組成物ならびに任意のトップコートでケラチン繊維を着色する態様は、この着色のための方法を含む。この方法は、
(i)上記の前処理組成物およびフィルム形成組成物をケラチン繊維に適用して、顔料微小粒子および任意の追加の成分を含むカラー組成物の有効な堆積着色量を得ることと;
(ii)(例えば、組成物を乾燥させることによって)媒体を除去または排除することによって、前処理組成物およびフィルム形成組成物をセットすることと;
(iii)これらの群間のin situ結合を開始することによって、フィルム形成組成物および前処理組成物の反応性構成成分間の相互作用をセットすることと
を含む。
【0398】
セット/乾燥工程中に、嵌合装置で毛髪を同時に動かすおよび/または撫でることによって色分配を促進することができる。嵌合装置としては、櫛またはブラシが挙げられる。嵌合装置は、根元から先端まで毛髪に実質的に沿って引っ張られる必要がある。これは、0.1cm秒-1~50cm秒-1の速度または0.5cm秒-1~20cm秒-1の間の速度で引き抜くことができる。
【0399】
前処理組成物およびフィルム形成組成物ならびに任意のトップコートは、前処理組成物およびフィルム形成組成物を噴霧すること、前処理組成物およびフィルム形成組成物を手に適用した後、手によって、またはコーミング、ブラッシング、もしくはその他の方法で前処理組成物およびフィルム形成組成物をケラチン繊維全体に適用することによってケラチン繊維をマッサージすることを含む任意の適切な方法でケラチン繊維に適用される。
【0400】
本明細書に記載される前処理組成物およびフィルム形成組成物ならびに任意のトップコート組成物を適用する方法は、使用者が製品を毛髪のある領域に適用し、次いで、希釈されたバージョンを毛髪の別の領域に適用することができるように修正することができる。希釈配合は、着色剤配合物と適合性となるように特別に選択され、着色強度を低下させながら、色結果の寿命を維持する。これは有効に、着色配合物とほぼ同じ材料を含有するが、顔料が低い、または存在しない「ブランク」配合物となり得る。希釈した場合、希釈剤の着色剤に対する比は、約10:1~約1:10、約8:1~約1:2のまたは約5:1~約1:1の間であり得る。
【0401】
あるいは、適用される前処理組成物およびフィルム形成組成物ならびに任意のトップコート組成物の量は、毛髪の異なる領域で変更することができ、例えば、製品の半分を毛髪の長さに適用すると、あまりカラフルではない結果がもたらされる。毛髪のある領域に適用される量の別の領域に適用される量に対する差は、約4:1~約1:4または約2:1~約1:2の間であり得る。
【0402】
あるいは、この手法の組み合わせを使用して、標的カラーバリエーションをもたらすことができる。
【0403】
前記技術を適用することが不可能である場合、単一ヘアカラーを適用するのではなく、毛髪の異なる領域に2種以上のヘアカラーを適用することが可能であり得る。これを行う場合、異なるヘアカラーは、魅力的な結果を生み出すために、好ましくは補色を提供する。使用できる色の差は、ヘアトレスの最終結果(後に記載される-未処理ヘアトレス)に基づいて、以下のとおりである。CIELCh色空間内で説明されるように:
色1(LCh)対色2(LCh)
色1L-15<色2L<色1L+15
0または色1C-10<色2C<色1C+10
色1h-45<色2h<色1h+45
【0404】
色測定の分野の当業者であれば、色相角の周期的な循環性の性質に起因して、色相角が低い正の値から360度に近い値まで伸びる場合、色相角、hの差を解釈する方法を知っているであろう。
【0405】
本発明による前処理組成物およびフィルム形成組成物ならびに任意のトップコート組成物の使用方法は、任意の適切な期間中に行うことができる。適用期間は約0~30分間であり得るが、いずれにせよ、顔料微小粒子のコーティングが、実質的に各ケラチン繊維の全長に沿って、各別々のケラチン繊維をコーティングし、これに接着または結合することを可能にするのに十分に長い期間であり得る。その結果、はるかに穏やかな条件下を除いて、酸化ヘアカラーから生じる色と少なくとも同等の色および永続性を有するケラチン繊維が得られる。
【0406】
本明細書に記載される前処理組成物およびフィルム形成組成物は、原色、例えば、毛髪に適用する準備ができているものとして製造業者によって調製され、次いで、使用者に別個の単位として出荷され得る。使用者は、前処理組成物およびカラー組成物が最適な性能をもたらすことを確実にするために、適用前に前処理組成物とフィルム形成組成物を再ブレンドする必要がある場合がある。このような再ブレンドは、前処理組成物およびフィルム形成組成物を約1~約120秒間、または約3~約60秒間振盪することを必要とし得る。再ブレンドは、使用前に前処理組成物およびフィルム形成組成物を攪拌することによっても実施され得る。これは約1~約120秒間または約3~約60秒間行われ得る。本発明による前処理組成物およびフィルム形成組成物は、顔料粒子の安定した懸濁液を提供するように設計されているが、微小粒子を攪拌し、これらを実質的に均一な分布で再懸濁させるための再ブレンドが望ましい。
【0407】
異なる顔料を含む複数の組成物を、ケラチン繊維への適用前に一緒にブレンドすることができる。このようなブレンドは、ケラチン繊維に複数の相補的な表面色を適用するような方法で行うことができる。典型的には、低分子コーティングを有し、分散剤媒体中で濃縮された異なる顔料の大きな群が、フィルム形成組成物と組み合わせるためのプレミックスとして提供される。上記の色選択プログラムは、異なる顔料濃縮物のどの選択が顧客の毛髪に所望の色結果を提供するかを決定する。プレミックスは、アナジェニック毛髪に適用する準備ができている濃度でフィルム形成組成物に計量される。
【0408】
前処理組成物およびフィルム形成組成物は、前処理組成物およびフィルム形成組成物の後に少なくともフィルム形成組成物の複数回の適用を伴う、複数の層を含むことができる。第3の成分を周期的に再適用することも有益であり得る。複数の層を適用するための技術は、単一前処理およびカラー組成物の適用について上に記載される技術に従う。
【0409】
前処理組成物およびフィルム形成組成物の実質的な構成成分のコーティング中の少なくとも1種の顔料を含む顔料微小粒子のコーティングは、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して測定した場合に、毛髪繊維に沿った任意の所与の点で約5μm未満、好ましくは約2μm未満の総厚さを有するコーティングを利用して、毛髪などの処理可能な材料に接着することができる。このような測定を行うために、コーティングされた毛髪試料を適切な樹脂に埋め込み、次いで、走査電子顕微鏡の当業者に知られている技術を使用して、根元から先端まで切片を作ることができる。次いで、表面上の層の厚さを、少なくとも100μmの長さにわたってキューティクルの線に沿って評価することができる。層の厚さは、対象の切片にわたって均等に配置された10個の点を平均することによって決定される。
【0410】
前処理組成物、フィルム形成組成物および任意のトップコート組成物の適用の過程で、根元から先端までおよび頭皮の領域にわたる1つの全体の均一な領域としてではなく、毛髪の一部をドレッシングすることが可能である。いくつかの非限定的な例は、毛髪の多くの可能な部分のうちのいくつかを説明するのに役立つ。第1の例では、毛髪の第1の部分が、人の頭皮に隣接する毛髪、いわゆる、数ミリメートルから数センチメートルまで伸び得る根毛領域を指す。この例では、毛髪の第2の部分は頭皮に隣接していない、すなわち、第1の部分内にない領域である。人の頭の上のこれらの2つの部分を物理的に分離することの制限のために、第1の部分と第2の部分との間にいくらかの重複があり得るが、2つの部分は互いに異なる。第2の例では、毛髪の第1の部分が、根元から先端までの1つの全体の均一な領域を指す。そのため、この例では、毛髪の第2の部分が、根元から先端までの毛髪の別の部分である。また、これらの2つの部分は互いに異なるが、著しい重複領域を有し、第2の部分が第1の部分とある程度重複し得る領域を覆う。
【0411】
人の頭皮上の毛髪の部分の異なる品質および属性のこの理解は、毛髪の部分に前処理組成物およびカラー組成物を別々に適用することが適切であり、好ましい(preferably)ことを示す。顔料微小粒子および任意の着色剤の濃度を変化させることに加えて、前処理組成物およびフィルム形成組成物の異なる色合いおよび/または色を、毛髪または毛髪の群の異なる部分に適用することができる。例えば、毛根、中央部分および先端は、時々または多くの場合、自然な状態で異なる色合いを有する。異なる色合いまたは色の前処理組成物およびフィルム形成組成物を使用することによって、これらのバリエーションを模倣する、変更する、または網羅することができる。例えば、根元をより明るい色合いで覆い、先端をより暗い色合いで覆って、毛髪の2トーンバリエーションを生み出すことができる。前処理組成物およびフィルム形成組成物の第1の部分を毛髪に適用し、引き続いて毛髪の中央部分および端部から組成物を剥がし、引き続いて残りの組成物を毛根にセットすることで、根元に第1の毛髪コーティング、好ましくはカラーコーティングが提供される。中央部分および先端を、前処理組成物およびフィルム形成組成物の第2の部分で浸漬またはブラシ適用して、2色または2トーン処理を完了することができる。毛髪上に複数のコーティングを生成するための複数の前処理組成物およびフィルム形成組成物の使用により、プロのヘアサロンによって実践されるヘアカラーの複数のバージョンを適用するための典型的で日常的な技術に従って、毛髪上に重複した、連続した、または境界を共有するコーティングを提供することができる。
【0412】
後処理
本明細書に記載される前処理組成物およびフィルム形成組成物でケラチン繊維を処理した後に、任意の後処理組成物を適用することができる。これは、これらの組成物による着色が完了した直後に適用することができる。後処理は単回適用であっても、時間を超えた複数回適用であってもよい。後処理を使用して、手触り、シャンプー/コンディショナー/水洗浄処理に対する耐性、および毛髪の輝きのうちの1つまたは複数を改善することができる。手触りを改善するために使用される材料の非限定的な例は、毛髪などの処理可能な材料に潤滑性を付与する、および/または乾燥工程中に毛髪が分離するのを助けるものである。これらの材料としては、例えば、シリコーンコンディショナー、シリコーンポリエーテル、シリコーンポリグルコース、ポリイソブテン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ならびに一般的に使用される化粧用油およびワックスが挙げられる。シャンプー洗浄耐性を改善するために使用される材料の非限定的な例は、「犠牲層」として作用する材料、例えば、ポリマーシリコーンおよびそれらの共重合体、シリコーン樹脂、化粧用油およびワックスである。毛髪の輝きを改善する(ゴニオフォトメーターによって測定される鏡面反射曲線の最大半値パラメータの全幅の減少を意味する)ために使用される材料の非限定的な例は、毛髪に以前に適用された顔料ポリマー複合体の上に滑らかなフィルムを形成する材料である。一般に、任意の化粧品として知られているフィルム形成材料を使用することができるが、ポリマーシリコーンおよびポリカチオン性材料などの材料が好ましい。
【0413】
コーティング、好ましくはカラーコーティングの除去
前処理組成物およびフィルム形成組成物から作製されたコーティングおよび毛髪着色剤は、日常的な毛髪処理(シャンプー、コンディショナー等による洗浄など)に対して非常に耐性であり、特別に設計された「除去配合物」の使用を介して除去することができる。これらは、本明細書に記載される特定の化学混合物であり、2つの広範な機序:化学結合、フィルム形成組成物と前処理組成物のいずれかの連結基の切断、および着色コーティングの成分の溶媒和のうちの一方または両方によって作用するように設計される。
【0414】
第1に、混合物を顔料自体の溶媒にすることができる。この場合、除去の機序は、最初に結合マトリックスから顔料を溶解させ、引き続いて水または何らかの他の担体ですすぐことによって毛髪から除去することを伴う。この場合、理論に拘束されないが、顔料の化学的性質は、溶解形態であっても、毛髪マトリックス自体への引力/溶解度が最小限であり、したがって、色の除去を可能にするようなものであると考えられる。
【0415】
第2に、「除去配合物」を、毛髪上に顔料を保持するポリマーコーティングを溶解、弱化、または化学的に分解するように作製することができる。この場合、理論に拘束されないが、バインダーマトリックスに埋め込まれた顔料は、コーティング自体の弱化または溶解により放出され、着色材料は顔料であるため、毛髪表面に対する引力が最小限であり、毛髪に浸透するには大きすぎるため、結果として、これは色の除去を容易にすると考えられる。
【0416】
上記機序の組み合わせはまた、色の除去の所望の結果を提供する。
【0417】
毛髪などの処理可能な材料上のコーティングのポリマーネットワークの官能基結合を攻撃することにより、表面に接着されているコーティングの特性に劇的な影響を及ぼすことができる。これらの結合を切断する薬剤は、トリガー剤として作用してポリマーネットワークを分割し、界面活性剤および溶媒が切断されたコーティングを容易に分散させることを可能にすることができる。このような薬剤としては、ジメチルアミノエタノール(ジメチルエタノールアミン、DMEA)、ジメチルアミノプロパノールなどの塩基性アミノアルコール、ならびにモノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンなどの同様のアミノアルカノール剤が挙げられる。これらのアミノアルコールを水性媒体に配合してコーティング除去を可能にすることができる。追加的または代替的に、ドデシルベンゼンスルホン酸またはオレイン酸などの脂肪有機酸を、それだけに限らないが、ドデカンを含む揮発性炭化水素などの非水性媒体と組み合わせて、除去を誘因することができる。これらの有機酸は、界面活性剤として機能して、ケラチン繊維表面からコーティングを持ち上げ、官能基結合を破壊し、コーティングのポリマーネットワークを切断する。メタノール、エタノールもしくは水性媒体などのアルコール性媒体または非水性媒体中のトリガー剤の濃度は、除去溶液の総重量に対して、約0.1重量%~約15重量%、好ましくは約0.5重量%~約10重量%、より好ましくは約1重量%~約7.5重量%の範囲であり得る。
【0418】
in situ生成架橋を有するポリマーフィルムはまた、切断可能な結合として機能することができるエステル、アミド、尿素またはウレタン基などの基を含有し得る。この結合は加水分解を受けやすく、塩基性または酸溶解を使用して切断することができる。切断には、水または低分子量単官能性アミンもしくはチオールであり得る対求核種(counter-nucleophile)が含まれる。
【0419】
δdが13~25、好ましくは15~19であり、δpが0~15、好ましくは0~5であり、δhが0~25、好ましくは0~8である、δd+δp+δhを含むハンセン溶解度パラメータと組み合わせて記載される、適切な溶媒中のシロキサン縮合による鎖伸長を有する有機もしくはシリコーンポリマー、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)などの強酸、またはフルオリドアニオンの供給源、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)。
【0420】
さらに、N-アシル尿素、尿素、ウレタン、アミドおよび/またはエステルなどの鎖内官能基を、低分子量単官能性アミンまたはチオールの使用を通して切断して、官能基を攻撃し、ポリマー鎖を破壊することができる。
【0421】
また、シリコーンポリマーまたは有機ポリマー中にシリコーンポリマー架橋が存在する場合、有機酸(DBSAなど)を使用して鎖を脱重合することができる。TBAFまたはオラフルル(Olaflur)などの他の有機フッ化物を使用して、鎖を脱重合することもできる。これはまた、オフ試薬を使用する全ての「オフ」技術において有利であり、いくらかの界面活性剤品質も有する。
【0422】
前処理組成物およびフィルム形成組成物を毛髪に適用する場合、マルチアプリケーションプロセスは、毛髪の全てを覆うように成分を物理的に分配する。前処理組成物およびフィルム形成組成物のスプレー、マッサージ、コーミング、および/または手操作は、完全な被覆をもたらし、同時に、実質的に均一なコーティングに薄いスポットを残す。この活動は除去プロセスにも役立つ。
【0423】
さらに、融点が人の体温よりやや高いワックス状の非反応性の非結合性物質を、前処理組成物に組み込むことができる。ワックス状物質の濃度は、ケラチン繊維上の前処理層のポリマーフィルムの熱破壊を可能にするのに十分であり得るが、前処理層のポリマーフィルム特性の関与を防ぐのに十分ではない。体温よりも20℃超高い温度のヘアドライヤーによって毛髪を加温することによって、ワックス状物質を少なくとも部分的に融解して、ケラチン繊維上のコーティング、好ましくはカラーコーティングを破壊することができる。コーミングまたはブラッシングにより、破壊されたコーティング、好ましくはカラーコーティングを除去することができる。
【0424】
あるいは、それだけに限らないが、ニトロセルロース、酢酸-酪酸セルロースを含むセルロース誘導体、または他の溶媒可溶型ポリマーなどの有機溶媒可溶型ポリマーを、フィルム形成組成物に組み込むことができる。溶媒可溶型ポリマーの量および濃度は、ポリマーが、フィルム形成組成物から生成されたコーティング内にポリマーフィルムの別個のドメインを形成することを可能にするのに十分である。このようなコーティングを水性媒体中で有機溶媒と接触させることにより、少なくとも部分的に溶媒可溶型ポリマーが溶解し、コーティング層の連続的な性質が破壊される。コーミングまたはブラッシングにより、破壊されたコーティング、好ましくはカラーコーティングを除去することができる。
【0425】
残留性および処理可能な材料の検査
前処理組成物およびフィルム形成組成物の適用ならびに得られたコーティングの除去によって毛髪に引き起こされる損傷は、ケラチン表面損傷の効果を試験するのに適していることが確立されているFT-IR(フーリエ変換赤外線)法によって評価することができる。(Strassburger,J.、J.Soc.Cosmet.Chem.、36、61~74(1985);Joy,M.&Lewis,D.M.、Int.J.Cosmet.Sci.、13、249~261(1991);Signori,V.およびLewis,D.M.、Int.J.Cosmet.Sci.、19、1~13(1997))。特に、これらの著者は、この方法がシステイン酸の量を定量するのに適していることを示している。一般に、シスチンの酸化は、繊維のケラチン部分の全体的な酸化を監視するための適切なマーカーであると考えられている。次に、FT-IRによるシステイン酸単位の測定が一般的に使用される。
【0426】
SignoriおよびLewis(D.M.,Int.J.Cosmet.Sci.、19、1~13(1997))は、ダイヤモンド減衰全内反射(ATR)セルを使用したFT-IRが、単一繊維および束のシステイン酸含有量を測定する高感度で再現性のある方法であることを示した。したがって、複数の繊維束およびヘアスイッチ全体のシステイン酸含有量を測定するために使用することができる方法は、SignoriおよびLewis(1997)によって採用されたFTIRダイヤモンドセルATR法に基づく。異なる損傷阻害剤を試験する方法の詳細な説明は、以下のとおりである:
【0427】
ダイヤモンド減衰全内反射(ATR)セルを装備したPerkin Elmer Spectrum(登録商標)1フーリエ変換赤外線(FTIR)構成を使用して、哺乳動物または合成毛髪中のシステイン酸濃度を測定することができる。この方法では、様々なサイズおよび色の毛髪スイッチを使用することができる。スイッチは、読み取り値間の接触表面積の変動を最小限に抑えるために、編まれてもよい(1cmあたり約1編み)。上記の酸化毛髪処理プロトコールは、繰り返される脱色サイクル後の毛髪の挙動を模倣するために、5サイクルにわたって繰り返され得る。この処理の後、1スイッチあたり4つの読み取り値(スイッチの両側で下に1/3と2/3)を取得し、平均を計算することができる。4回の読み取りごとにバックグラウンドを収集することができ、1N/mのATRセル圧力を採用することができる。セルを、各読み取りの間にエタノールで洗浄することができ、機器のモニター比モードを使用して汚染チェックを実施することができる。1997年にSignori&Lewisによって規定されたように、正規化された二重導関数分析ルーチンを使用することができる。元のスペクトルは、1450cm-1バンド(特徴的で不変のタンパク質CH2伸長)に正規化される前に、最初に吸光度に変換することができる。次いで、この正規化された吸光度を、13点平均を使用して2回誘導することができる。1040cm-1における吸光度の1450cm-1正規化二次導関数の値を、システイン酸の相対濃度と見なすことができる。この数値に-1x10-4を掛けて、適切な単位に作り直すことができる。
【0428】
本発明の組成物を毛髪に適用し、次いで、除去することができる場合、毛髪に対する損傷のレベルに有意でない変化があり得るのに対し、従来の酸化着色剤では、測定される損傷の大きな増加があり得る。
【0429】
これらの実施形態は本開示のいくつかの態様の例示として意図されているため、本開示は、本明細書に記載される特定の組成物および方法によって範囲が限定されない。あらゆる均等物が本開示の範囲内であることが意図されている。実際、本明細書に示され、記載されるものに加えた様々な修正が、当業者の把握の範囲内であり得る。このような修正も、添付の記述の範囲内に入ることが意図されている。
【0430】
色選択
本明細書では、複数の色領域に分割することができるL*a*b*色組成によって表される色空間内の色座標(a*、b*)によって定義される所与の色領域(上記の色域原理)を有する前処理組成物およびフィルム形成組成物も企図される。所与の毛髪繊維のセットを取り囲む領域から得られた複数の色の各々が、ある特定の色の着色領域のどの色領域に属するかが判定される。各色領域について判定された色の数をカウントし、最大数の色を有する色領域の色を、所与の毛髪繊維のセットを取り囲む領域の代表色として選択する。組成物は、結果の色が約18<L<約81、約-2<a<約45、および約-13<b<約70の範囲内にあるように、毛髪に色をもたらすことができる(退色についての本明細書の試験方法)。
【0431】
色がケラチン繊維から除去される場合、廃水/組成物は、廃水流出組成物から顔料を除去するために処理可能であり得る。これは、濾過によって、または密度差を使用して顔料を沈降させ、水を通過させるサイクロン技術を通して達成することができる。
【0432】
アナジェニック毛髪を模倣する実験技術
アナジェニック毛髪を着色するための典型的な手順は、永久酸化染料配合物の適用を伴い得る、または直接染料の半永久適用を伴い得る、または単回の穏やかなシャンプー洗浄によって除去することができる一時的着色を伴い得る。毛髪着色のためのこれらの3つの技術は、伝統的に、アナジェニック毛髪を事前に洗浄することなく、アナジェニック毛髪に適用される。皮膚毛穴からの皮脂、脂肪酸(F層)、天然油、汗残留物、ミネラル排泄物の存在は、伝統的にこれらの着色技術の実践に役立つと見なされている。当然、アナジェニック毛髪が垢粒子も含有する場合、これを通常は徹底的にコーミングして垢デブリを除去するが、天然油、分泌されたミネラル、皮脂、脂肪酸などは残っている。
【0433】
したがって、処理または未処理トレス上での本発明によるコーティング、好ましくはカラーコーティングの形成によって実証される残留性結果は、本発明によるコーティング、好ましくはカラーコーティングのアナジェニック毛髪上での形成によっても実証されることが予想される。この予想とは対照的に、「アナジェニック毛髪に関するサロン実証(Salon Demonstration Regarding Anagenic Hair)」と題された優先権PCT出願PCT/EP2021/057926に記載されている模倣トレス実験によって示されるように、実験室トレス上に配合されたカラーコーティングは非常に強い残留性を示し、生きたヘアモデルの頭皮上の毛髪などのアナジェニック毛髪上の同じカラーコーティングは長期持続性の残留性を示さない。アナジェニック毛髪上のカラーコーティングの色相、強度および色合いは、シャンプーをするたびに急速に低下し、3回以下のシャンプー洗浄により、特にアナジェニック毛髪の根元部分のカラーコーティングについて、カラーコーティングがなくなる。
【0434】
これらの結果を考慮して、処理トレスおよび未処理トレスは、少なくとも1つの点で、アナジェニック毛髪と根本的に異なることが認識された。ケラチン繊維実験のための典型的な普遍的基質である処理トレスおよび未処理トレスは、毛包に接続されておらず、隣接する皮膚毛穴からの皮脂、天然油および脂肪酸、ならびに汗およびミネラル分泌物の連続的な分泌を受けない。この認識は、アナジェニック毛髪を処理トレスおよび未処理トレスのような毛髪に変換することによって、アナジェニック毛髪上の残留性を改善する実験につながった。これらの試みは、処理トレスのために準備されるカットされた毛髪で通常実施されるような洗剤洗浄による、皮脂、天然油、脂肪酸分泌物、汗およびミネラル分泌物の最初の除去を伴っていた。しかしながら、これらの試みは失敗した。ヘアモデルの頭皮上のアナジェニック毛髪に付随するその後の体分泌物が、処理トレスおよび未処理トレスで実験された残留性結果の回避を継続することが分かった。
【0435】
継続的な研究は、処理トレスおよび未処理トレスによって示されるのと同様の残留性を示す、アナジェニック毛髪上のコーティング、好ましくはカラーコーティングの開発を可能にした実験的特徴の組み合わせをもたらした。これらの態様は、少なくとも上記のPTHアルコキシシラン化合物を含む前処理組成物と組み合わせたPraeparaturおよびFundamentaの技術を含む。
【0436】
これらの実験技術は、実験節に詳細に記載されている。手短に言えば、ブリーチまたは他の技術によってプレコンディショニングも前処理もされていない毛髪見本が、本明細書に記載されるコーティング、好ましくはカラーコーティングの実験的検査の基礎を形成する。毛髪見本を、合成皮脂と組み合わせ、活性化工程、前処理工程および結合工程を通して処理する。次いで、コーティング、好ましくはカラーコーティングを有する毛髪見本を、合成皮脂で繰り返しコーティングし、次いで、シャンプーすることによって、残留性について調べる。合成皮脂再コーティング工程およびシャンプー工程を複数回繰り返して、残留性の程度を決定する。この実験技術は、「完全根元シミュレーション色残留性試験」と題された以下の実施例節に詳述される。
【実施例】
【0437】
実験節
実施例
概要
実施例内で本明細書に記載されるカラー組成物を、一般にヘアトレスに適用する。1グラムの前処理組成物および/またはフィルム形成組成物の各々を1グラムのヘアトレスに適用する。トレスを、平らなプレートの上またはボウルに置き、前処理組成物および/またはフィルム形成組成物を毛髪にブラッシングして、毛髪の全てが組成物で目に見えてコーティングされているように見えることを保証する。次いで、コーミングしながらヘアドライヤーで加熱することによって、ヘアトレスが指触乾燥まで乾燥され、毛髪が個別化されるまで、ヘアトレスを乾燥させる。
【0438】
毛髪を着色するためのフィルム形成システムの調製および適用:
本明細書で使用される組成物を、適用工程を開始する前に、以下の節に記載されるように調製する。
【0439】
カラー組成物の処理および適用の工程の一般的説明:
・必要に応じて、少なくとも1つのPraeparatur組成物をヘアトレスに適用し、次いで、ヘアトレスをすすぐ。必要に応じて繰り返す。
・必要に応じて、ヘアトレスにFundamenta工程を実施する。
・必要に応じて、少なくとも1つの前処理組成物をヘアトレスに適用する。
・フィルム形成組成物をヘアトレスに適用し、引き続いて硬化させて着色ヘアトレスを製造する。
カラー組成物をヘアトレスに適用した後、完全根元シミュレーション色残留性試験を実施する。
【0440】
完全根元シミュレーション色残留性試験:この試験を使用して、人のアナジェニック毛髪、特に人の根毛を模倣するように設計された条件下で、カラーコーティングの色残留性を決定した。この試験は以下のパートを含む:
・試験用のヘアトレスの選択および調製。
・Praeparaturおよび/またはFundamentaおよび/または前処理および/またはフィルム形成組成物の適用の必要な組み合わせ。
・残留性手順および評価。
【0441】
試験用のヘアトレスの選択および調製。
より処理された天然白色毛髪を使用するよりも、本物の根毛をよりよく模倣すると考えられているため、明るい金髪のヘアトレスを使用する。カラーコーティングをトレスに適用する前に、皮脂模倣物を以下に記載されるようにトレスに適用して、皮脂を有するアナジェニック毛髪を説明する。これが(The)、皮脂が頭皮および毛髪繊維に沿って芯から排泄される消費者の毛髪の典型的な状態である。着色コーティングに変換した後、着色トレスを、皮脂模倣物の再適用を含むプロトコールを使用して洗浄して、毛髪洗浄の間の脂腺由来の皮脂による毛髪の再コーティングを模倣する。完全根元シミュレーションヘアトレスは、本出願を通して模倣毛髪または模倣ヘアトレスと呼ばれる。模倣毛髪を記載するために本出願で同様に使用される同義語は、「完全根元シミュレーション毛髪」または「アナジェニック毛髪」である。
【0442】
明るい金髪のヘアトレスを、長さ10cm、幅1cm束の形態で購入した(ドイツ、バックナング所在のKerling International Haarfabrik GmbH製のFarbe 9/0)。明るい金髪の毛髪は、以前の試験で、消費者の頭皮に隣接する毛髪である根毛のより良い模倣となることが示されている。理論に拘束されることを望まないが、明るい金髪の毛髪は、天然白色ヘアトレスよりも、ヘアトレスを調製する前に供給業者によって処理されることが少ないと考えられる。これらのヘアトレスはまた、受け取ったままで使用された。購入される、および使用される未処理ヘアトレスは、天然または合成皮脂でコーティングされていないが、F層コーティングを有する。
【0443】
以下の手順は、模倣毛髪を製造するための最初の皮脂適用を説明する。明るい金髪のヘアトレスを、人で見られる根毛をよりよくシミュレートするために、合成皮脂で処理する。0.1gの皮脂(Hautfett nach BEY、Wfk-Testgewebe GmbHにより販売)を適用し、約1gの個々のヘアトレスに浸透させる。トレスを40℃超に30分間置き、模倣ヘアトレスを製造した。
【0444】
カラー組成物(前処理組成物およびフィルム形成組成物)を模倣ヘアトレスに適用する工程を上記のように実施する。次いで、模倣ヘアトレス上のカラーコーティングを20℃および60~65%RHで2日間休ませた。この温度は、着色後の最初の洗髪前の消費者の毛髪の状態をより密接に再現するために選択した。
【0445】
残留性手順および評価。これらの2日間の後、上記のように調製されたカラーコーティングを有する模倣ヘアトレスで、以下の皮脂およびシャンプー順序を実施した。
1.0.1gの合成皮脂を、上記の約1gの重さの着色模倣ヘアトレスに適用した。皮脂をトレスにこすりつけて均一に分配した。
2.トレスを40℃のオーブンに30分間入れた
3.ヘアトレスをおよそ37+/-3℃の水(4L分-1)でおよそ10秒間すすいだ。
4.0.1gの「Wella Professional Brilliance Shampoo for fine and normal hair」を希釈せずに上記の約1gの重さの着色模倣ヘアトレスに適用した。
5.シャンプーを、指で撫でる動きで約30秒間、着色模倣ヘアトレスに入れた。
6.次いで、シャンプーした着色模倣ヘアトレスをおよそ30秒間水ですすいだ。
7.0.1gの「Wella Professional Brilliance Shampoo for fine and normal hair」を希釈せずに上記の約1gの重さの着色模倣ヘアトレスに適用した。
8.シャンプーを、指で撫でる動きで約30秒間、着色模倣ヘアトレスに入れた。
9.次いで、シャンプーした着色模倣ヘアトレスをおよそ30秒間水ですすいだ。
10.次いで、すすいだ着色模倣ヘアトレスを、ヘアドライヤーを使用して乾燥させながら、ヘアトレスが均一に乾燥するまで、ヘアトレス内の繊維を機械的に分離した。
【0446】
上記の工程1~10は、完全根元シミュレーション色残留性試験の1つのサイクルを表す。これらを合計5サイクルにわたって繰り返して、完全根元シミュレーション色残留性試験を完了し、結果として視覚評価の前にヘアトレスに合計10回のシャンプーを適用した。次いで、以下に記載される視覚的色残留性評価を実施して、完全根元シミュレーション色残留性試験後の色残留性を評価した。
【0447】
洗浄された試料を、着色されたが、洗浄されていない保持トレスと比較することによって、残留性を視覚的に評価した。色残留性を、洗浄後の色が変化していない、または非常に強く残っている場合、非常に強いと評価し、色が強く残っているが、出発色よりも著しく少ない場合は強いと評価し、色がまだ目に見えるが、出発色よりも明らかに少ない場合は中程度と評価し、低レベルの色のみが残っている場合は弱いと評価し、最後に、色が目に見えない場合は残留性なしと評価した。以下に示される結果表を簡素化するために、これらの色残留性グレードに、以下の注釈:非常に強い=+++、強い=++、中程度=+、弱い=0、残留性なし=-を与えた。
【0448】
ケラチン繊維系上でカラーコーティングを生成するために使用される手順。
顔料をイソプロパノールおよび分散剤と組み合わせ、ビーズミルを使用してブレンドして、顔料ペーストを形成した。次いで、これを以下の実験内で使用した。
表1.1: ピグメントレッド122ペースト組成
1 ピグメントレッド122、Clariantから入手したHostaperm Pink E250。
2 BYK-Chemie GmbHから入手したDiperbyk 140。
3 ドイツ、ハンブルク所在のBCD Chemie GmbHから入手したイソプロパノール。
【0449】
実施例1.OSSI、および少なくとも1つのアルコキシシリル基を含む有機ポリマーを含むフィルム形成組成物を使用したカラーコーティングの性能。
ケラチン繊維上のカラーコーティングの調製手順。組成物を作製の2時間以内に適用した。
【0450】
一般的な着色手順:上記の模倣ヘアトレスに、必要に応じて以下の工程のうちの1つまたは複数を適用した。
【0451】
以下を含むPraeparatur手順:
1.模倣ヘアトレスを、およそ37+/-3℃で、水(4L分-1)でおよそ10秒間すすいだ。
2.0.1gの希釈していない「Wella Professional Brilliance Shampoo for fine and normal hair」を上記の約1gの重さの着色模倣ヘアトレスに適用した。
3.シャンプーを、撫でる動きを使用して指で約30秒間、着色模倣ヘアトレスに入れた。
4.次いで、シャンプーした着色模倣ヘアトレスをおよそ30秒間水ですすいだ。
5.次いで、すすいだ着色模倣ヘアトレスを、ヘアドライヤーを使用して乾燥させながら、トレスが均一に乾燥するまで、繊維を機械的に分離した。
【0452】
複数の潜在的なFundamenta手順を必要に応じて以下から選択した:
【0453】
塩基性酸化Fundamenta手順
1.Wella Professionalsから入手可能なBlondor Multi-Blondeブリーチ粉末1部を、1.5部のWella Professionalsから入手可能な12% Welloxon Perfectと混合した。混合生成物のpHは9を超えていたので、これは塩基性酸化組成物と見なされた。
2.トレスを、毛髪1グラムに適用される約4gのこの混合物の混合物で処理した。
3.次いで、トレスを45℃のオーブンで30分間インキュベートした。
4.次いで、トレスを、4L/分の流量の37+/-3℃の水で2分間すすいだ
5.次いで、ヘアトレスをWella製の標準的なヘアドライヤーで乾燥させた。
【0454】
酸性酸化Fundamenta手順
1.トレスを、毛髪1グラムにつき約4gのWella Professionalsから入手可能なWella Creatine Wave(N)Neutralizer Fixierungで処理した。Wella Creatine Wave(N)Neutralizer Fixierungは、pHが4未満で、過酸化物レベルが3%の過酸化水素系組成物であり、これは酸性酸化組成物と見なされた。
2.次いで、トレスを30℃のオーブンで10分間インキュベートした。
3.次いで、トレスを、4L/分の流量の37+/-3℃の水で2分間すすいだ。
4.次いで、ヘアトレスをWella製の標準的なヘアドライヤーで乾燥させた。
【0455】
プラズマFundamenta手順
1.大気圧低温プラズマペン、Piezobrush(登録商標)PZ3(ドイツ、レーゲンスブルク所在のRelyon Plasma)を使用して、ヘアトレスを処理した。
2.これをトレス表面から5mm離して保持し、それぞれの側で3分間トレスに沿ってゆっくり上下に動かして、Fundamenta工程を実施した。
【0456】
アルカリ相間移動テンシド(APTT)Fundamenta手順。以下の溶液、CTAB(C16アルキルトリメチルアンモニウムブロミド)0.20%、炭酸ナトリウム1.60%および水98.2%を調製した。トレスごとに50gの溶液を調製し、ビーカーで処理した。これを(約39℃~60℃の温度範囲まで)加熱した。トレスを、マグネティックスターラーによって攪拌を実施しながら、アルカリ界面活性剤溶液に入れた(より低い温度はより長い時間を必要とする、15分~30分)。その後、トレスを界面活性剤溶液から取り出し、乾燥させた。次いで、以下の酸性洗浄組成物を調製した。Texapon N70(水中70%)14.29%、イソプロパノール25.00%、酢酸3.00%、水57.71%。次いで、以下の工程を実施した。
1.処理したヘアトレスを、およそ37+/-3℃の水(4L分-1)で2分間完全にすすいだ。
2.酸性洗浄組成物を、指を使用してヘアトレスを通して組成物を分配させて、ヘアトレス1グラムにつき0.1gを使用して60秒間毛髪に適用した。
3.毛髪見本をおよそ37+/-3℃の水(4L分-1)を用いて水で60秒間すすいだ。
4.工程2~3をさらに2回繰り返した。
5.次いで、トレスをブローした。
【0457】
還元Fundamenta手順
1.トレスを、毛髪1グラムにつき約4gのWella Professionalsから入手可能なWella Creatine(N)Perm Emulsionで処理した。Wella Creatine(N)Perm Emulsionは、pH約9の還元性組成物である。
2.次いで、トレスを30℃のオーブンで10分間インキュベートした。
3.次いで、トレスを4L/分の流量の37+/-3℃の水で2分間すすいだ。
4.次いで、ヘアトレスをWella製の標準的なヘアドライヤーで乾燥させた。
【0458】
以下を含む前処理プロセス
1.毛髪を、以下に記載される前処理組成物、毛髪1グラムにつき1グラムの組成物で処理した。
2.組成物を毛髪上に5分間放置した。
3.次いで、ブロードライヤーを使用してコーミングすることによって毛髪を乾燥させ、乾燥した毛髪を得た。
【0459】
以下を含むバインダー工程プロセス
1.上記のように調製した新たに調製されたフィルム形成着色組成物、毛髪1グラムあたり1グラムの組成物を適用した。
2.例えば、指、ブラシ、櫛または他の操作器具/ツールを用いて、ヘアトレスにゆっくり分配および拡散させることによって、適用を達成した。シリンジまたはピペットを用いて連続的にヘアトレスの一部に適用することによって、ゆっくりした分配を達成した。
3.過剰なフィルム形成着色組成物を吸収性組織材料で除去し、得られた着色ヘアトレスを、ヘアドライヤーを使用してブローしながらコーミングして、より良い毛髪個別化を達成した。
4.処理したヘアトレスを、室温20℃、相対湿度60~65%で2日間静止して維持した。
表2: 順次にまたは組み合わせて行われるPraeparaturおよびFundamenta、引き続いて前処理およびフィルム形成組成物の異なる組み合わせ
4 - MTMO Sigma Aldrich製の3-メルカプトプロピル-トリメトキシシラン
5 - VWRから入手した酢酸
6 -Worlee Add VP 2100、Worlee-Chemie GmbHから入手した(ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェートエステル)。
7 - WorleePur VPSi 2021は、単一ポリマーアルコキシシランフィルム形成組成物と題された節において前に記載される、ポリエステル部分、尿素およびウレタンコネクター基を有する式IAのトリエトキシシリル末端直鎖ポリエステルであり、Worlee-Chemie GmbHから入手した。
8 - 上記の方法に従って作製された顔料ペースト。
【0460】
これらの実験を実施して、カラーを5回の皮脂の新たな適用および合計10回のシャンプー洗浄に供した完全根元シミュレーション色残留性試験後のケラチン繊維上の異なるカラーコーティングの性能を示した。対照肢1Aでは、前処理、引き続いて着色組成物の適用前にPraeparatur工程もFundementa工程も使用しなかった。これにより、残留性は得られなかった。Preparatur工程を追加した場合(1B)では、残留性が中程度まで増加した。特定の理論に拘束されることを望まないが、消費者の根毛に見られるような毛髪表面上の皮脂の存在が、剥離層に似たものとして作用し、その除去により、毛髪表面上へのカラーコーティングのより強い接着が促進されると考えられる。Praeparaturと前処理との間に塩基性pH酸化Fundamentaを加えると(1C)、残留性が強いまで改善された。アルカリ洗浄またはプラズマFundamentaの使用(1D~1E)は、非常に強い残留性を提供した。還元Fundamentaは、中程度の性能を提供し(1F)、これが還元プロセス後に酸性酸化Fundamentaを適用した場合(1G)、非常に強い性能まで増加した。Fundamentaとして酸性酸化のみを使用しても(1H)、非常に強い残留性が提供された。1IはPraeparatur工程を除去し、順次の還元および酸酸化Fundamentaの組み合わせを使用し、非常に強い性能を提供した。最後に、これらの一連の実験の中で、1Jは、Praeparatur、ならびに順次の還元および酸酸化Fundamentaを使用した。次いで、前処理活性物質を着色組成物に入れた。これも非常に強い性能を示した。1Jは、他の系と比較して2つの利点を有する。これは、別個の前処理の工程を除去し、プロセスの実施をより容易にかつより単純にする。これはまた、MTMOの使用量も少なく、試験された系では、プロセス全体の臭気プロファイルが有意に減少した。これは、非常に高レベルの残留性を維持しながら、これら2つの利点を有する。
【0461】
前処理および着色組成物を適用する前に、他の因子も毛髪で評価した。着色コーティングを毛髪に適用した後にある程度隠される毛髪自体に対するFundamentaの影響を評価するためにこれを行った。毛髪の酸化的損傷のレベルおよび手触り。酸化的損傷は、上記のFT-IR法を使用して、3つのヘアトレスで評価した。高い値は、より多くの化学的毛髪損傷に関連するより高レベルのシステイン酸を指す。したがって、FT-IR値のより低い値が好ましい。毛髪の手触りを、1(極めて損傷)~5(自然な毛髪のような手触り)のスケールで14人の専門家のパネルによって評価した。手触り評価については、より高い値が好ましい。
表3: 前処理前の異なるFundamentaの損傷評価
【0462】
FT-IRシステイン酸値は、塩基性酸化(1C)が最高レベルの酸化損傷をもたらすことを示した。対照的に、還元、引き続いて酸性酸化の組み合わせ(1G)は、はるかに低レベルのシステイン酸を提供し、還元工程単独(1F)はさらに少ないシステイン酸を生成した。残りのFundamenta(1D、1E、1H)は、1Bと比較してシステイン酸の顕著な変化を生じなかった。手触り試験では、APTT(1E)、および還元、次いで酸性酸化の順次適用(1G)、および酸性酸化のみ(1H)のFundamentaは、1Bに匹敵する毛髪手触りをもたらした。さらに、トレスの色の視覚的評価も実施した。はるかに明るい、塩基性酸化プロセスに供されたものを除いて、全てのトレスが1Bと同じ毛髪の明るさを有するように見えた。これは、元の開始ヘアカラーよりも明るい着色コーティングを提供するのに有用であるが、着色コーティングが除去された場合に、毛髪を元の色に戻すことはできないだろう。
【0463】
実施例2.OSSIおよび少なくとも1つのアルコキシシリル基を含む有機ポリマーを含むフィルム形成組成物を用いないカラーコーティングの性能。
実施例1内で使用した手順を実施例2に再適用し、前処理内でOSSIを使用する代わりに、代替活性剤を使用した。これらの実験を実施して、OSSIを使用した場合の向上した性能を示した。
表4: Praeparaturおよび異なるFundamenta、引き続いて非OSSI前処理およびフィルム形成組成物の異なる組み合わせ
9 - MEMO Alfa Aesarから入手した3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン
【0464】
これらの実験を実施して、カラーコーティングを5回の皮脂の新たな適用および合計10回のシャンプー洗浄に供した完全根元シミュレーション色残留性試験後のケラチン繊維上の異なるカラーコーティングの性能を示した。これらは、実施例1内でOSSIを用いて得られた性能と対照的である。全体的に、実施例2のシリーズの性能は、実施例1と比較してはるかに低かった。PraeparaturもFundementaも用いない対照肢の2Aでは、残留性なしであった。Praeparaturのみを使用した場合(2B)、または塩基性酸化Fundamentaと組み合わせて使用した場合(2C)では、残留性が弱かった。プラズマおよびアルカリ洗浄の性能は強かった(2Dおよび2E)。Praeparatur後に還元Fundamentaのみを使用すると(2F)、弱い性能が得られた。最後に、Praeparaturを用いない還元、引き続いて酸性酸化Fundementaの組み合わせの使用は、中程度の性能をもたらし(2H)、Praeparatur工程と合わせると強い残留性に上昇した。これは、OSSIの向上した性能を示している。
【0465】
実施例3.OSSI、ならびに第1のバインダー官能基を有する第1の成分および第2のバインダー官能基を有する第2の成分を含み、第1の官能基および第2の官能基がアルケノイルオキシおよびアミンであるフィルム形成組成物を使用したカラーコーティングの性能。
実施例1内で使用した手順を実施例3に再適用し、代替フィルム形成組成物を試験した。
表5: Praeparaturおよび異なるFundamenta、引き続いてOSSI前処理および代替フィルム形成組成物の異なる組み合わせ
10 - Silamine 2972、カナダ所在のSiltech Corporationから入手したペンダント/末端オルガノアミン基を有するポリジメチルシロキサン。
11 - Silmer OH ACR Di10 カナダ所在のSiltech Corporationから入手したペンダント/末端α,β-不飽和(メタ)アクリルオキシ基を有するポリジメチルシロキサン。
【0466】
PraeparaturもFundementaも用いない対照肢(3A)では、残留性は残留性なしであった。Praeparaturおよび塩基性酸化Fundamentaの使用は中程度の残留性を提供した(3C)。Praeparatur単独(3B)は強い性能を提供した。プラズマおよびAPTTの性能は非常に強かった(3Dおよび3E)。Praeparaturを用いたまたは用いない、還元Fundamenta単独、または還元、引き続いて酸性酸化Fundamentaの組み合わせの使用は、強い性能をもたらした(3F~3H)。これらの結果は、OSSIがPraeparaturおよび/またはFundamentaと組み合わせて、良好な色残留性を提供することができることを示した。
【0467】
実施例4.OSSI、ならびに第1のバインダー官能基を有する第1の成分および第2のバインダー官能基を有する第2の成分を含み、第1の官能基および第2の官能基がカルボン酸およびカルボジイミドであるフィルム形成組成物を使用したカラーコーティングの性能。
実施例1内で使用した手順を実施例4に再適用し、代替フィルム形成着色組成物を試験した。
表6: Praeparaturおよび異なるFundamenta、引き続いてOSSI前処理および代替フィルム形成組成物の異なる組み合わせ
12 - Belsil P1101、Wacker Chemie GmbHから入手したペンダント/末端カルボン酸基を有するオルガノシリコーンポリマー
13 - Permutex XR-13-554、Stahl Holdings B.V.から入手したカルボジイミド基を有する有機ポリマー。
14 - Brenntagから水酸化アンモニウム水溶液(25%アンモニア)として入手したアンモニア。
15 - BCD Chemie GmbH製の85% w/w水溶液として添加したリン酸。
【0468】
PraeparaturもFundementaも用いない対照肢(4A)では、残留性が残留性なしであった。PraeparaturとFundamentaの組み合わせの使用は、強い~非常に強い残留性を提供した(4B~4H)。これらの結果は、OSSIをPraeparaturおよび/またはFundamentaと組み合わせて使用した性能改善を示した。
【0469】
実施例5.異なるOSSIおよび少なくとも1つのアルコキシシリル基を含む有機ポリマーを含むフィルム形成組成物を使用したカラーコーティングの性能。
実施例1内で使用した手順を実施例5に再適用し、代替OSSI材料を試験した。
表7: PraeparaturとFundamentaのセット組み合わせ後に適用した異なるOSSI前処理およびフィルム形成組成物
16、17、18は、Mitsubishi Chemicalのグループ会社であるGelestから入手した。
19、20、21および22は、Shin Etsu Chemical Co Ltdから入手した。
23 酢酸ブチルはVWRから入手した。
表8: 異なる前処理内の材料の詳細
【0470】
組成物中のシランの少なくとも部分的な可溶化を可能にするために、前処理内で使用される溶媒の選択を選択した。シランは広範囲の極性を有するため、水、エタノールおよび酢酸ブチルを使用した。前処理を用いない対照肢(5A)では、性能は残留性なしであり、残留性試験後に色は観察されなかった。保護チオールの使用(5B)はまた、弱い残留性をもたらしたが、いくらかの色が依然として観察された。特定の理論に拘束されることを望まないが、試験された条件下では、保護基が毛髪表面への強力な結合を提供するのに十分に除去されなかったが、条件を変更することによって、性能を向上させることができると考えられる。チオエステル(5C)は、中程度の残留性を提供した。同様に、特定の理論であることを望まないが、これらは5Bよりも多くの遊離チオールを生成すると考えられ、当業者による媒体の最適化によってレベルをさらに上昇させることができるだろう。5Dおよび5Eで使用されたOSSIは、強い残留性を与えた。これらは共に、材料の異なる空間または大きさを有する遊離メルカプト基を含有している。5Fは、他の実験節への参照として使用され、非常に強い残留性を与えた。5G~5I内で試験したOSSI化合物もまた、非常に強い残留性を提供することができた。異なるOSSIは、非常に異なる臭気知覚を有し、当業者は、使用者にとって許容される臭気でチオールの性能を最大化しようとするだろう。
【0471】
実施例6.異なるOSSIおよび少なくとも1つのアルコキシシリル基を含む有機ポリマーを含むフィルム形成組成物を使用したカラーコーティングの性能ならびに着色コーティングに変換する異なる方法。
実施例1内で使用した手順を、触媒が水性塩基を含み、これらの実施例内ではアンモニアであり、触媒が水性塩基、好ましくは無機または有機窒素化合物、より好ましくはアンモニア、モノエタノールアミンまたはトリメチルアミンまたはトリエチルアミンの水性組成物を含む、触媒の添加を通して、バインダー工程前に前処理を少なくとも部分的に硬化させる工程を追加した実施例6に再適用した
1.前処理組成物を適用し、毛髪を乾燥させた後、1gの毛髪に1gのプレコンバーターを適用し、トレスを通して作用させた。
2.トレスを5分間放置し、次いで、乾燥させた後、着色組成物工程に移行した。
表8: Praeparaturおよび/またはFundamentaと異なるOSSI前処理、および/または最終的にフィルム形成組成物を適用する前の事前変換の使用の異なる組み合わせ
【0472】
これらの結果は、事前変換工程の使用がコーティングの残留性を向上することができることを示した。これらの実験では、Praeparaturを用いてFundamentaを用いない場合で、次いで、Praeparatur、および還元、次いで(than)酸性酸化の組み合わせFundamentaを用いた場合で、最後にPraeparaturを用いて、同様にFundamentaを用いず、次いで、前処理後および着色組成物前に事前変換工程を用いた場合で残留性を試験した。試験したX-12-1307MS(6A~6C)、KR-519(6D~6F)、およびX-12-1154(6G~6I)の3つのOSSI前処理の各々では、Fundamentaを用いないで、毛髪で事前変換工程を用いた性能は、事前変換工程を用いていないものよりも優れており、Fundamentaを使用したものと同じである。
【0473】
実施例7.還元プロセス内で異なる濃度の還元活性剤を用いた、異なるOSSIおよび少なくとも1つのアルコキシシリル基を含む有機ポリマーを含むフィルム形成組成物を使用したカラーコーティングの性能。
実施例1内で使用した手順を実施例7に再適用した。
表9: 活性還元剤の濃度および酸性酸化とのその組み合わせによって試験した異なるFundamenta
24 - Bruno Bock から入手したチオグリコール酸アンモニウム70%活性をチオグリコール酸の供給源として使用した。
【0474】
この一連の実験では、Fundamenta内の還元剤のレベルを観察した。これらは、還元剤のレベルが7Aから7Dに増加する(これはチオグリコール酸の3%から25%への増加に相関する)につれて、性能が一貫して非常に強いことを示した。還元処理後に順次酸性酸化を実施した場合、7Eから7Hまでの性能も一貫して非常に強かった。これは、広範囲の還元活性剤をPraeparatur内で使用することができることを示している。
【0475】
実施例8.異なるOSSIおよびアミノオルガノアルコキシシランおよび少なくとも1つのカルボン酸基を含む有機ポリマーを含むフィルム形成組成物を使用したカラーコーティングの性能。
実施例1内で使用した手順を、以下に記載される生成物を作製するための2つの追加のプロセスを用いる実施例8に再適用した。
【0476】
中和PAA溶液(EAAポリマー)の調製。
ビーカーに以下の材料を添加した。10gのSigma Aldrich製のPoly(エチレン-コ-アクリル酸)、別名エチレン-アクリル酸ポリマー(EAA)448672-250G、90gのDI水および0.83グラムの水酸化ナトリウム顆粒。ビーカーを急速攪拌下で92℃に加熱し、透明~乳白色のエマルジョンを生成した。次いで、これを冷却して、以下の実験組成物に使用した。
【0477】
着色組成物の調製。
これらを、以下の方法を使用して調製した。0.5gのピグメントレッド122粉末を、25gの中和PAA溶液と共に、スピードミキサーポットに添加した。混合ビーズも添加して、ピグメントレッド122粉末の脱凝集を補助した。次いで、スピードミキサーポットを1550rpmで150秒間混合した。得られた混合物を濾過して混合ビーズを除去し、得られた濾過された赤色組成物を実験内の着色組成物として使用した。
表10: 異なるFundamentaおよびアミノシランの前処理組成物への添加
25 - SCAは、Mitsubishi Chemical のグループ会社であるGelest 製のSIT8398.0、(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミンを指す。
26 - HMDSは、ヘキサメチルジシロキサン98+ %を指し、Sigma Aldrich 205389から入手した。
【0478】
実施例8A~8Gは、実施例1B~1H内で使用されたPraeparaturとFundamentaの組み合わせを使用した。本実施例8A~8Gでは、弱い残留性のみが観察された。特定の理論に拘束されることを望まないが、中和PAA材料との相互作用のための荷電表面の非存在が低い残留性をもたらすと考えられる。対照的に、実施例8Hは、前処理内で追加のアミノシランを使用した。シランのレベルは高く、毛髪が乾燥されて着色組成物の準備ができる前に、5分間の前処理適用工程の後に1分間のすすぎを実施した。アミノシランの添加は、Fundamentaの非存在下でさえ、非常に強い残留性の色結果をもたらした。さらなる実施例8Iは、低レベルのシランで、着色組成物の準備ができた毛髪を乾燥させる前にすすぎ工程を用いないで実施した。これは強い残留性をもたらす。
【0479】
残留性試験に加えて、カラーコーティングをヘアトレスから除去することができるかどうかを調べるための試験も実施した。追加の皮脂にもシャンプー工程にも供さなかったカラーコーティング毛髪(8H)に、オフ配合物を適用した。この除去組成物は、水性塩基中の10%のモノエタノールアミン、2%の2-n-ブトキシエタノール、1%のCarbopol Ultrez 10、および1.8%のC12~15 Pareth-3を含んでいた。1gを1gのカラーコーティングされたヘアトレスに適用し、指で毛髪を通して作用させた。2分後、過剰分をペーパータオルで除去し、追加の1gの除去組成物を適用し、指でトレスに作用させた。2分後、過剰分を再びペーパータオルで除去し、次いで、トレスを上記のシャンプー工程に供し、次いで、乾燥させた。その結果、非常に強い初期色が減少して弱くなり、ほとんど目立たなくなった。
【0480】
モデル実験9
ケラチンタンパク質とチオール化合物との間のジスルフィド形成の実証
このモデル実験は、PTHアルコキシシラン(例えば、メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのチオール化合物)とケラチン様表面上のチオール部分の反応に関するさらなる洞察を提供するように設計されている。ケラチン様表面は、システイン濃縮ポリマー表面(システインペプチド表面)からなる。調査される反応は、チオール化合物とシステインとの間にジスルフィド(s-s)結合相互作用を生成すると考えられる。この共有結合は、以下のサロン試験実施例によって明らかにされるように、前処理、バインダーおよび顔料の集合体から形成されたケラチン繊維コーティングの良好な残留性をもたらす。
【0481】
ケラチン様表面は、「ポリマーペプチド箔/表面の例:ペプチドのポリマー箔へのプラズマ化学グラフト(Example for Polymeric Peptide foils/Surfaces:Plasma chemical grafting of peptides onto polymeric foils)」
1、2、3に記載されている手順に従って調製することができる。ケラチン様表面はまた、ペプチドの合成調製のための周知の技術であるメリフィールドペプチド合成に基づき得る。メリフィールド技術は、ペプチド鎖のC末端が結合するポリマー支持体を利用する。例えば、ケラチン様表面は、スチレンと、4-ヒドロキシメチルスチレンまたはヒドロキシル保護アリルアルコールなどの官能性オレフィンモノマーの重合によって形成されるポリスチレンなどのポリオレフィン系箔として調製され得る。スチレンポリマーのペンダントヒドロキシ基を、グリシンなどのN-BOC保護アミノ酸のC末端と組み合わせて、ペンダントグリシニルエステル基を有するポリスチレンを形成することができる。ポリマーを薄膜としてキャストすることができ、N-保護システインまたはN-保護ジ-システインジスルフィドを、そのカルボキシル基を通してペンダント、結合グリシネートエステルにアミド化して、ペンダントシステイン基またはペンダントジ-システインジスルフィド基を有するポリスチレン膜または箔を形成することができる。
【0482】
第1の実験では、システイン(チオール)またはジ-システインジスルフィド表面を提示する箔または膜が基質として使用され得る。ジ-システインジスルフィド表面を有する膜を使用する場合、還元Fundamenta手順を適用して、ジスルフィドを切断し、遊離チオール基を提示するペンダント結合システインを有する膜を生成することができる。この例では、膜を適切なすすぎ補助剤で洗浄して遊離システインを除去することができる。システイン(チオール)ポリマー表面を使用する場合、遊離システインチオール基にアクセスするために還元Fundamenta手順は必要とされない。
【0483】
修飾ケラチン繊維への前処理組成物の適用の代表的なモデルでは、アクセス可能なチオール基を提示するペンダント結合システインを有する、前に調製された膜の2つの試料が設定され得る。両試料を、pH4.5~5.5の穏やかな酸性酸水溶液中0.5%~1%の過酸化水素などの弱酸性酸化媒体で約10~30秒間の期間処理し、次いで、水で短時間すすいで、過剰な酸化媒体を除去することができる。一方の膜試料は、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MTMO)を有する有機媒体と組み合わせることができる。他方の膜試料は、チオール基で置換されていない類似のトリメトキシシランを有する有機媒体と組み合わせることができる。このようなシランはプロピルトリメトキシシラン(PTMO)であり得る。およそ5~10分間のシラン処理後、各膜を、いずれの他の成分も含まない同じ有機媒体で繰り返しすすいで、過剰なシラン媒体を除去する。次いで、膜試料を温風で乾燥させることができる。このMTMOおよびPTMO適用ならびにすすぎのための媒体は、水、特に酢酸を含む水を含むべきではない。水性媒体の存在が、トリメトキシシラン基からのシリコーンポリマー形成を触媒する。シリコーンポリマーは、ジスルフィド結合のその後の決定が隠されるように、膜をコーティングする。
【0484】
本発明の成功の根底にある原理は、MTMOは膜に結合されるはずであるが、PTMOはそうではないことを示している。結果として、膜の乾燥工程は、シランのプレコーティングを有するMTMO膜およびシランのプレコーティングを有さないPTMO膜をもたらすはずである。適切な非水性媒体中の非チオール含有還元剤を各膜試料と接触させることができる。適切な還元剤は水素化ホウ素ナトリウムまたは塩化第一スズであり得る。還元剤とMTMO膜の組み合わせによって生成される得られた溶液は、MTMOまたはこの材料のオリゴマーのいずれかを含有するはずである。MTMOのメトキシシリル基が還元工程中に縮合した場合、オリゴマーが生成されるだろう。その分子量に応じて、オリゴマーは、非水性媒体に可溶性である、または固体として現れる。還元剤とPTMO膜の組み合わせによって生成される得られた溶液は、PTMOもそのオリゴマーも含まないはずである。PTMOは、非水性媒体による繰り返しのすすぎサイクル中に膜から除去されたはずである。
【0485】
代替実験では、MTMO膜およびPTMO膜の試料を、前記実施例1および2に記載される組成物、すなわちWorleePur VPSi 2021およびピグメントレッド122ペーストを使用して、着色組成物と組み合わせることができる。コーティング手順は、実施例の手順の概要に従う。膜を洗剤界面活性剤水溶液で繰り返し洗浄することができる。シャンプーを約15回繰り返した後、MTMO膜は赤色のままであるはずであるが、PTMO膜は膜自体の色であるはずである、換言すれば、赤色が除去されているはずである。システインリッチポリマー膜表面を使用することによって、これらの実験は、増加した残留性能とチオールアルコキシシランのシステイン表面への共有結合の具体的な調整を可能にする。
【0486】
サロン試験実施例
試験サロン内のアナジェニック毛髪を有するモデルでの以下の試験は、上記のプロトタイプの性能をさらに実証した。モデルの頭皮に触れることなく、近くで着色することを意図して、社内の試験サロンで試験を実施した。適用されたプロトコールは上記のものと同様であった。
【0487】
Praeparatur。製品を適用する前に、モデルの頭部全体をSystem Professional製のディープクレンザーシャンプーで洗浄した。シャンプーを毛髪に適用し、マッサージし、引き続いて後ろの洗面台で製品をすすいだ。次いで、毛髪をタオルで乾燥させ、ブローした。
【0488】
Fundamenta。使用した場合は、以下のプロトコールに従った。
【0489】
還元。毛髪に、Wella Create Wave還元配合物を適用し、毛髪に作用させた。これを10分間放置して作用させ、次いで、水ですすいだ。次いで、毛髪をタオルおよびヘアドライヤーで乾燥させた。
【0490】
還元、次いで酸性酸化。先行する還元工程を使用したが、すすぎ後に毛髪を乾燥させるのではなく、Wella Create Wave酸化中和配合物を毛髪に作用させた。これを10分間放置して作用させ、次いで、水ですすいだ。次いで、毛髪をタオルおよびヘアドライヤーで乾燥させた。
【0491】
前処理。前処理配合物を適用し、ブラシで標的毛髪に作用させた。皮膚の接触を防ぐために、頭皮のすぐ隣の毛髪には製品を適用しなかった。前処理を5分間放置し、次いで、ブローした。すすぎ工程はなかった。
【0492】
着色組成物。着色組成物を、確実に均一に見えるように、ブラシで標的毛髪に適用し、作用させた。皮膚の接触を防ぐために、頭皮のすぐ隣の毛髪には製品を適用しなかった。次いで、毛髪をブローした。
【0493】
画像での結果の表示。標準的なデジタルカメラで画像を取得し、以下の処理を画像に実施して赤色の持続的性能を強調した。結果を示すための最も簡単な方法であろう標準的なsRGB画像を特許出願に添付することができないため、これを実施した。出発sRGB画像を、CIELAB a*値を示す最終画像を提示することができるように処理する。a*は、CIELab色空間内の緑色から赤色の軸である。緑色は負のa*値を有し、赤色は正のa*値を有する。このような画像はグレースケールであり、赤色を画像内の明るい値として示し、非赤色領域を写真内の暗い値として示す。画像は、80のa*が白であり、0以下のa*が黒であるようにスケーリングされる。このような画像を作成するために、全てのピクセルの出発sRGB画像に対して以下の変換を実施した。F(R)(R/255>0.04045の場合、((R/255+0.055)/1.055)
2.4であり、R/255≦0.04045の場合、(R/255)/12.92である)を使用して、R、GおよびBのsRGB値を線形sRGB値’に変換する。この同じ変換を、R、G、およびBに適用する。次いで、線形sRGB値を、以下の変換を用いてXYZ三刺激値にマッピングする:
次いで、これらのXYZ項を使用して、以下の式t=(X/X
n)、(Y/Z
n)および(Z/Z
n);t>(6/29)
3の場合、
であり、さもなければf(t)=4/29+t/(3(6/29)
2)を使用して、D65標準イルミナントについてX
n=0.950489、Y
n=1およびX
n=1.08884である、項f(X/X
n)、f(Y/Z
n)およびf(Z/Z
n)を生成した。最後に、
を使用してa*値を得る。得られたa*画像内で、値を、a*≦0(黒R=G=B=0)からa*=80(白R=G=B=255)までのスケールでプロットする。
表11: サロン内で試験した系
【0494】
サロン結果。代表的な画像を系S4~S6について
図1Aに示す。この画像は、モデルが数日間にわたって自宅で15回毛髪を洗浄した後に撮影した。結果は単一モデルについて示されているが、これらの結果は一連のモデルにわたって一貫していた。これが、性能をストレステストにかけるための前に記載される実験室試験プロトコールよりも多くの洗浄サイクルを表すことに留意すべきである。左側の画像(
図1A)は、d65照明パネルの下で撮影されたsRGBカラー画像であり、異なる束S4~S6が画像に注釈されている。赤色残留性束は非常に目立ち、頭皮に隣接する毛髪に向かって伸びていた。根元に最も近い赤色は、S6、続いてS5、次いでS4であった。製品を根元までずっと適用していなかったことを思い出すべきであり、S6について、根元に色が最も高く残留していた。右側の画像(
図1B)は、同じsRGB写真の典型的なグレースケール画像を示し、同様にS4~S6が注釈されている。このようなグレースケール画像は、画像の主な特徴を示すことができるが、毛髪のどこに赤色が残っているかを示すのに有用ではなかった。
図2Aは、上記のプロトコールを使用して作成されたsRGB写真のa*スケール画像を示す。a*は、CIELab色空間内の「赤色」の尺度である。a*画像は、a*値を0から80までプロットし、80は画像内で白色である。左側の画像(
図2B)も、同様に異なる束S4~S6で注釈されている。この画像では、毛髪の明るい領域が、15回の洗浄サイクル後に赤色が残っている場所に対応している。画像内の最も明るい領域は、標準sRGB画像内の最も赤い領域に対応する領域である。全体的に、処理された毛髪は、根元から先端まで明るく、15回の洗浄サイクル後に非常に残留性の赤色毛髪カラー効果を示す。赤色は、S4については根元領域の近くに、S5については根元にさらに近くまで広がり、S6については根元に最も近かった。これは右側の画像で強調されており、ここでは色の終わりのおおよその位置が破線で示され、根元の位置が点線で示されている。
【0495】
図3Aおよび
図3Bは、系S1~S3が適用された15回の洗浄サイクルの後の同じモデルの反対側も示す。
図3A、左側のsRGB画像では、赤色の量が、長さおよび末端の両方において、特に根元近くで、目に見えるほど少なかった。右側のグレースケール画像(
図3B)では、色情報が失われる。
図4A、a*画像において、赤色は、最も赤色の領域である写真のより明るい領域において再び目立つようになる。しかしながら、これは、
図2Bで見られるものよりもかなり少ない。右側の画像(
図4B)では、根元に対する色の大まかな位置を描いて、S1、S2、およびS3の間の差を示している。S1では、色がモデルの根元から非常に遠く離れている。これは、S2で根元により近く、S3で再びより近い。しかしながら、S3の性能は、シリーズS4~S6からの最も弱い性能の根元性能のレベルを満たさない。これは、全ての試験系のa*画像が一緒に示されている
図5Aおよび
図5B、すなわち、
図2Bおよび
図4Bに明確に示されている。OSSI前処理を有する系、すなわち、チオ有機アルコキシシランは、特にFundamentaと組み合わせた場合、色残留性を有意に増加させる。
【0496】
発明の実施形態の記述
本発明の実施形態の以下の記述は、本発明による方法、組成物および処理の態様、特徴およびパラメータを説明する。これらの記述は、これらの態様、特徴、およびパラメータのさらなる開示を提供し、本発明の特許請求の範囲として機能し得る。
【0497】
パートI.一般的な説明の記述
1.ケラチン繊維上にコーティング、好ましくはカラーコーティングを生成する方法であって、
ケラチン繊維をPraeparatur手順およびFundamenta手順のいずれかまたは両方と接触させて、修飾ケラチン繊維を形成することを含む活性化工程と;
前処理組成物を修飾ケラチン繊維に適用して、プレコーティングケラチン繊維を形成することを含む前処理工程と;
フィルム形成組成物をプレコーティングケラチン繊維に適用して、ケラチン繊維上にフィルム形成組成物と前処理組成物の複合フィルムを形成することを含み、複合フィルムはコーティングに変換することができるバインダー工程と;
活性化工程および前処理工程を同時にまたは順次に行うことと;
場合により、好ましくは、少なくとも1種の着色剤を前処理組成物および/またはフィルム形成組成物と組み合わせることと
を含み、
Praeparatur手順は洗浄プロセスを含み;
Fundamenta手順は、酸性酸化プロセス、塩基性酸化プロセス、プラズマプロセス、アルカリ相間移動テンシドプロセス、還元プロセスまたはこれらの任意の組み合わせを含み;
前処理組成物は、媒体、少なくとも1つのPTH基および少なくとも1つのアルコキシシラン基を有するPTH-オルガノ-アルコキシシラン、ならびに/または少なくとも1つのPTH基および少なくとも1つのアルコキシシラン基を有するPTH-オルガノ-マルチジメチルシロキサンアルコキシシラン[式中、PTHは、R
3S-、OHC-、H
2C=CR
10-CO
2-またはHO-を含み、R
3は、水素または硫黄保護基を含む]を含み;ならびに/あるいはPTHアルコキシシラン化合物[式中、PTHはチオールである]のジスルフィドダイマーおよび/またはPTH-アルコキシシラン化合物[式中、PTHはチオールである]のテトラスルフィドダイマーをさらに含み、ならびに場合によりPTH有機化合物および/またはアミノオルガノアルコキシシラン化合物をさらに含む少なくともPTH-アルコキシシラン化合物を含み;
フィルム形成組成物は、媒体、ならびに少なくとも1つのバインダー官能基を有するユニタリーバインダーポリマー、または第1の有機シリコーンもしくはオルガノシリコーン成分および第2の有機シリコーンもしくはオルガノシリコーン成分を含むデュアルバインダーポリマーを含むバインダーポリマーを含み、第1の成分および第2の成分はバインダー官能基の相補対を含む、
方法。
2.Fundamenta手順のプロセスの少なくとも1つを含む活性化工程および少なくともPTHアルコキシシラン化合物を含む前処理組成物を適用することを含む前処理工程が、Fundamenta手順のプロセスの少なくとも1つを含む活性化工程を実施しないで、かつPTHアルコキシシラン化合物を適用することを含む前処理工程を実施しないで生成され、完全根元シミュレーション色残留性試験によって試験された着色コーティングの残留性よりも長く持続する完全根元シミュレーション色残留性試験による色残留性を有する着色コーティングを生成する、先行するパート1の記述のいずれかに記載の方法。
3.PTHアルコキシシラン化合物が毛髪と反応する、パート1の記述2に記載の方法。
4.PTH基がチオール基である、先行するパート1の記述のいずれかに記載の方法。
5.前処理組成物が、式IIIAのPTHオルガノ-アルコキシシロキサン化合物、式IIIBのPTHオルガノ-マルチ-ジメチルシロキサニルアルコキシシラン、チオールとしてのPTHを有する式IIIAのジスルフィドまたはテトラスルフィドダイマー、チオールとしてのPTHを有する式IIIBのジスルフィドまたはテトラスルフィドダイマー、式IVの環状チオール-アルコキシシラン化合物、およびこれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを含むPTHアルコキシシラン化合物を含む、先行するパートIの記述のいずれかに記載の方法:
(PTH-(CH
2)
k-(Y)
l)
d-(ORG)
m-SiR
1
3-n(OR)
n
式IIIA
PTH-(CH
2)
k-(Si(Me)
2O)
o-SiR
1
3-n(OR)
n
式IIIB
[式中、
指示子kは、1~20、好ましくは1~12、より好ましくは1~6の整数であり;
指示子lはゼロまたは1であり;
指示子dは1、2または3の整数であり;
指示子mはゼロまたは1~6の整数であり;
指示子nは1~3の整数であり;
指示子oは1~20の整数であり;
PTHは、R
3S-、OHC-、H
2C=CR
10-CO
2-またはHO-を含み;
R
3は、水素、シアノ、2~10個の炭素のアルカノイル、フェニル基、複素芳香族基、フェニルアルキル基または複素芳香族アルキル基を含み、複素芳香族基は、ピリジル、ピリミジニル、ピロリルまたはチオフェニルであり、アルキル基はC1~C4アルキル基であり、R
10は水素またはメチルであり得、結果としてR
3S-はチオール基(HS-)または保護チオール基であり得;
R
1はC1~C3アルキル、好ましくはメチルを含み;
Rは、C1~C4アルキル、好ましくはC1~C3アルキル、より好ましくはメチルまたはエチルを含み;
Yは、-COO-、-OOC-(カルボキシル、オキシカルボニル)、エーテル酸素、エーテルチオール、-NMe-NH-、-HNCO-、-CONH-を含み;
ORG基は、
(i)アルキルジチオアルキル、アルキルジアゾアルキル、アルキルウレタニルアルキル、アルキルウレイドアルキル、アルキルカルボキシルアルキル、アルキルアミドアルキル、アルキルエステルアルキルまたはアルキルから選択される二価有機基[各アルキル基は、各場合で独立して、C1~C20直鎖または分岐アルキル基、好ましくは直鎖C1~C6アルキル基、より好ましくは直鎖C1~C3アルキル基であり、結果としてORGは、式IIIの左(PTH-(CH
2)
k-(Y)
l)
d部分と右-SiR
1
3-n(OR
2)
n部分を接続する];または
(ii)ゼロまたは1~19の整数としてのfを有する、式
の多価C1~C20アルキレニル基
を含み、(PTH-(CH
2)
k-(Y)
l)
d-(ORG)
mを含む式IIIAの部分は式A
(式中、2つまたは3つの(PTH-(CH
2)
k-(Y)
l)
d部分はDとして接続されており、但し、2つのDが(PTH-(CH
2)
k-(Y)
l)
d部分である場合、式Aの第3のDは水素またはC1~C6アルキル、好ましくはC1~C3アルキル、より好ましくはメチルであり得;(CH
2)
f-のダングリング原子価は、式IIIAの右-SiR
1
3-n(OR
2)
n部分に結合している)
となる]。
6.前処理組成物が、チオールまたは保護チオールとしてのPTHを有する式IIIAおよび/または式IIIBのPTHアルコキシシランの少なくとも重縮合物を含み、式IIIAおよび/または式IIIBのPTHアルコキシシランが、それ自体および/または式Bのアルキルアルコキシシラン[式中、R
8は、1~10個の炭素の直鎖または分岐アルキル基である]:
R
8-SiR
1
3-n(OR)
n
式B
と少なくとも部分的に重縮合して、M基、D基およびT基の組み合わせのシリコーン鎖を有する直鎖または分岐オリゴマーシリコーン重縮合物を生成し、重縮合物が、ペンダントアルコキシ基、ペンダントチオアルキル基および/またはペンダントアルキル基を有し、重縮合物が、350~3500DaのM
wならびに100~900のチオールおよび/または保護チオール基の官能基当量M
w(FEM
w)および50~900のアルコキシ基についてのFEM
wを有する、パートIの記述5に記載の方法。
7.PTHがチオール(HS-)である、パートIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
8.ジスルフィドダイマーが、チオール基で一緒に結合されてビス[オルガノ-アルコキシシラニル]ジスルフィドまたはビス[オルガノ-マルチジメチルシロキサニルアルコキシシラン]ジスルフィドをそれぞれ形成する、2つの式IIIAのチオールオルガノ-アルコキシシランまたは2つの式IIIBのチオールオルガノマルチジメチルシロキサニルアルコキシシランを含み;テトラスルフィドダイマーが、S
2としての硫黄との組み合わせによってチオール基で一緒に結合されて、ビス[オルガノ-アルコキシシラニル]テトラスルフィドまたはビス[オルガノ-マルチジメチルシロキサニルアルコキシシラン]テトラスルフィドを形成する、2つの式IIIAのチオールオルガノ-アルコキシシランまたは2つの式IIIBのチオールオルガノマルチジメチルシロキサニルアルコキシシランを含む、記述5に記載の方法。
9.PTHがチオールであり、チオールオルガノアルコキシシラン化合物および/またはチオールオルガノマルチジメチルシロキサニルアルコキシシランが存在し、ビス[オルガノ-アルコキシシラン]ジスルフィドおよび/またはビス[オルガノ-マルチジメチルシロキサニルアルコキシシラン]ジスルフィドが存在し、チオール化合物の硫黄官能基当量重量平均分子量(FEM
w)がジスルフィドの硫黄FEM
wよりも高い、パートIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
10.PTHオルガノ-アルコキシシラン化合物が式OSSI[式中、kは1~20、好ましくは1~12、より好ましくは1~6の整数であり、複数のCH
2鎖は直鎖であっても分岐であってもよく、nは1~3の整数であり、R
1はメチルであり、R
2はメチルまたはエチルである]
HS-(CH
2)
k-SiR
1
3-n(OR
2)
n
式OSSI
を含む、前処理組成物について記すパートIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
11.式OSSIが
HS-(CH
2)
k-Si(OMe)
3またはHS-(CH
2)
k-Si(OEt)
3
[式中、kは1~6、好ましくは1~3の整数である]
を含む、記述10に記載の方法。
12.前処理組成物が、式Vのチオール有機化合物
[式中、
Dは上に定義される(PTH-(CH
2)
k-(Y)
l)
dであり;指示子gの各々は独立してゼロまたは1であり;E基は結合またはC1~C6アルキレニル基であり得;Ak基は、以下の通り示される炭素原子Ak0または構造Ak1、Ak2、Ak3、Ak4であり、Ak0、Ak1、Ak2およびAk3の中心炭素のダングリング原子価はE-Dに結合しており、CH
2原子価はDに結合しており;Ak4の全てのダングリング原子価はE-Dに結合しており:
PHYは、そのカルボキシ末端に-O-(CH
2)
h-O-およびそのヒドロキシル末端に-(CH
2)
i-O-基を有するC3~C8α,ωヒドロキシアルカン酸エステルの2~10単位のオリゴマーであり、-O-(CH
2)
h-O-基および-(CH
2)
i-O-基はCH基にそれぞれ結合しており、指示子hは2~4の整数であり、指示子iは1~3の整数である]
も含む、パートIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
13.PTHがチオール(-SH)である、パートIの記述12に記載の方法。
14.前処理組成物が、記述5の式IIIAのPTHオルガノ-アルコキシシランと記述13の式VのPTH有機化合物の組み合わせを含み、PTHがどちらの場合もチオールであり、チオール有機化合物のチオールFEMwがチオールオルガノ-アルコキシシランのFEMwよりも低い、パートIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
15.前処理組成物が、式VI:
H
2N-(CH
2)
m-(NH-R
14-)
n-[RO
tMe
3-tSi-O]
b-(-SiMe
2-O)
p-[(-SiMe
2-r[(CH
2)
m’-NH
2]
r-O]
s-[A]
c-[(-SiMe
2-O]
u-(SiMe
3-tOR
t)
式VI
[式中、
R
14の各例は独立してC1~C6アルキレニル基であり;
Rはメチルまたはエチルであり得;
指示子mおよびm’は1~3の整数であり得;
指示子b、r、s、cはゼロまたは1であり得;
指示子nはゼロまたは1~6、好ましくは1~3の整数であり得;
指示子tは1~3であり;
指示子pおよびuはゼロまたは1~12の整数であり得;
A基は、アミノオルガノ-アルコキシシロキサン化合物の左部分と右部分を接続する、ジチオ、ジアゾ、ウレタニル、ウレイド、カルボキシル、アミド、エステルもしくはアミノエチルオキシカルボニルを含む二価基、またはC1~C20アルキレニル基であり得る;あるいは
A基は、aが2または3であり、b、pおよびsがゼロである場合、アミノオルガノアルコキシシロキサン化合物の2つまたは3つの左部分と1つの右部分を接続する多価C1~C20アルキレニル基であり得る;あるいは
A基は、2~2000個のエチレンイミン単位の直鎖または分岐ポリエチレンイミン部分であり得、その場合、b、p、sおよびuは全てゼロであり、場合により、-(SiMe
3-tOR
t)基は-NH
2によって置き換えられていてもよい;あるいは
A基は、C2~C8アルキレニル(メタ)アクリレートまたは-(CH
2)
n-O-CH
2-CHOHCH
2-O
2C(R)=CH
2[式中、RはHまたはCH
3であり、nは2~8の整数である]から選択される末端基であり得る]
を含むアミノオルガノアルコキシシラン化合物も含む、パートIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
16.式VIが式OASI
H
2N-(CH
2)
m-(NH-R
14-)
n-(SiMe
2O)
p-A
c-(-SiMe
2-O)
uSiMe
3-tOR
t
式OASI
[式中、
mは1~6の整数であり;
nはゼロまたは1~3の整数であり;
pおよびuはそれぞれ独立してゼロまたは1~3の整数であり;
cはゼロまたは1であり;
tは1~3の整数であり;
AはC1~C6アルキレニルであり;および
Rはメチルまたはエチルである]
を含む、記述15に記載の方法。
17.式OASIが
H
2N-(CH
2)
m-Si(OR)
3または
H
2N-(CH
2)
m-(NH-R
14)
n-NH-R
14’-Si(OR)
3または
H
2N-(CH
2)
m-NH-R
14-Si(OR)
3
[式中、mは2または3であり、nは1または2であり、R
14の各例は独立してエチルまたはプロピルまたはイソブチルであり、R
14’はプロピル、ブチルまたはイソブチルである]
である、記述16に記載の方法。
18.R14の各例がエチルまたはプロピルであり、R14’がプロピルまたはブチルである、記述17に記載の方法。
19.前処理工程およびバインダー工程が同時に行われる、パートIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
20.前処理工程およびバインダー工程が順次に行われる、パートIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
21.ケラチン繊維が、アナジェニック毛髪、好ましくはヒトの頭皮上の毛髪である、パートIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
22.ケラチン繊維が、少なくとも1日以内に、シャンプー、ブリーチ、および/または還元プロセスまたは還元プロセス、引き続いて酸性酸化処理に供されていないアナジェニック毛髪である、パートIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
23.着色剤が存在しない、パートIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
24.ケラチン繊維上にコーティング、好ましくはカラーコーティングを生成する方法であって、
Praeparatur手順およびFundamenta手順をケラチン繊維に適用して、修飾ケラチン繊維を形成することを含む活性化工程と;
前処理組成物を修飾ケラチン繊維に適用して、プレコーティングケラチン繊維を形成することを含む前処理工程と;
フィルム形成組成物をプレコーティングケラチン繊維に適用して、ケラチン繊維上にフィルム形成組成物と前処理組成物の複合フィルムを形成すること、および複合フィルムを硬化させてコーティングを形成することを含むバインダー工程と;
Praeparatur手順およびFundamenta手順を順次にまたは同時に行うことと;
前処理工程およびバインダー工程を同時にまたは順次に行うことと;
場合により、好ましくは、少なくとも1種の着色剤を前処理組成物および/またはフィルム形成組成物と組み合わせることと
を含み、
Praeparatur手順は洗浄プロセスを含み、Fundamenta手順は、酸性酸化プロセスまたは還元プロセスまたは還元プロセス、次いで酸性酸化プロセスの組み合わせを含み;
前処理組成物は、媒体、OSSI式HS-(CH
2)
k-SiR
1
3-n(OR
2)
n[式中、kは1~20、好ましくは1~10、より好ましくは1~6の整数であり、nは1~3の整数であり、R
1はメチルであり、R
2はメチルまたはエチルである]を含む少なくともPTHオルガノアルコキシシラン化合物、および場合によりOASI式H
2N-(CH
2)
m-(NH-R
14)
n-(SiMe
2O)
p-A
c-(-SiMe
2-O)
u-SiR
3
3-tOR
4
t[式中、mは1~6の整数であり;nはゼロまたは1~3の整数であり;pおよびuの各々は独立してゼロまたは1~3の整数であり;cはゼロまたは1であり;AはC1~C6アルキレニルであり;tは1~3の整数であり;R
3はメチルであり、R
4はメチルまたはエチルである]を含むアミノオルガノアルコキシシロキサン化合物を含み;
フィルム形成組成物は、媒体、第1の有機シリコーンまたはオルガノシリコーン成分、および第2の有機シリコーンまたはオルガノシリコーン成分を含み、第1の成分および第2の成分は同じであるまたは異なり、バインダー官能基を有する、
方法。
25.Praeparatur手順およびFundamenta手順が同時に実施され、次いで、前処理工程およびバインダー工程が同時に実施される、先行する記述24に記載の方法。
26.複合フィルムが、外部硬化方法を複合フィルムに適用することによって、ケラチン繊維上でコーティングに変換される、パートIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
27.前処理組成物が、バインダー工程前に少なくとも部分的に硬化され、コーティング、好ましくは着色コーティングの硬化方法が、硬化速度を促進するための乾燥、加熱、および触媒の添加またはこれらの組み合わせから選択される手順を含む、パートIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
28.触媒が、水性塩基、好ましくは無機または有機窒素化合物の水性組成物、より好ましくはアンモニア、モノエタノールアミンまたはトリメチルアミンまたはトリエチルアミンを含む、記述23に記載の方法。
29.複合コーティングの硬化が、硬化速度を促進するための乾燥、加熱、加熱と乾燥、および触媒の添加から選択される手順を含む、パートIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
30.着色剤が存在し、顔料または着色顔料を含む、パートIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
31.Fundamenta手順が場合により前処理工程と組み合わされ、好ましくは、Fundamenta手順が、酸性酸化プロセス、塩基性酸化プロセス、還元プロセスまたは還元プロセス、次いで酸性酸化プロセスの組み合わせである、パートIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
【0498】
パートII.活性化工程
パートIIの記述の全てが、前記パートIの記述のいずれかおよび全てに従属する。
【0499】
1.活性化工程がPraeparatur手順およびFundamenta手順を含み、Praeparatur手順およびFundamenta手順が場合により組み合わされる、パートIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
2.Praeparatur手順が少なくとも洗浄技術を含む、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
3.Fundamenta手順のプロセスが酸性酸化プロセスである、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
4.Fundamenta手順のプロセスが塩基性酸化プロセスである、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
5.Fundamenta手順のプロセスが還元プロセスである、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
6.Fundamenta手順のプロセスがプラズマまたは相エマルジョン移動テンシド(PETT)プロセスである、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
7.Fundamenta手順のプロセスが還元プロセス、引き続いて酸性酸化プロセスの組み合わせである、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
8.Praeparatur手順およびFundamenta手順が順次に行われる、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
9.Praeparatur手順およびFundamenta手順が同時に行われる、パートIまたはパートII記述3、4、5、6、7のいずれかに記載の方法。
10.Praeparatur手順に還元プロセスが続き、これに酸性酸化プロセスが続く、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
11.活性化工程が、Fundamenta手順のプロセスの少なくとも1つを含むが、Praeparatur手順を含まない、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
12.Fundamenta手順のプロセスが酸性酸化プロセスである、パートIIの記述11に記載の方法。
13.Fundamenta手順のプロセスが塩基性酸化プロセスである、パートIIの記述11に記載の方法。
14.Fundamenta手順のプロセスが還元プロセスである、パートIIの記述11に記載の方法。
15.Fundamenta手順のプロセスがプラズマまたはPETTプロセスである、パートIIの記述11に記載の方法。
16.Fundamenta手順のプロセスが還元プロセス、引き続いて酸性酸化プロセスの組み合わせである、パートIIの記述11に記載の方法。
17.活性化工程および前処理工程が同時に行われる、パートIIの記述12、13、14、15、16のいずれかに記載の方法。
18.活性化工程および前処理工程が順次に行われる、記述11から16のいずれかに記載の方法。
19.酸性酸化プロセスが、ケラチン繊維をpH2~5の水性または二相水性および液体炭化水素媒体中約1パーセント~約6パーセントの濃度の酸化剤と接触させることを含み、濃度が酸化剤および媒体の総重量に対するものである、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
20.酸化剤が過酸化水素である、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれか、特にパートIIの記述19に記載の方法。
21.前処理工程のチオアルコキシシラン化合物ならびに/またはそのジスルフィドダイマーおよび/もしくはテトラスルフィドが、単独で少なくとも部分的に還元剤として機能するため、Fundamenta手順の別個の還元プロセスが実施されない、またはFundamenta手順が同時に実施される、もしくは前処理工程と重複する順序で実施される場合、Fundamenta手順の還元プロセスにおける別の還元剤と共に少なくとも部分的に還元剤として機能する、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
22.チオールオルガノ-アルコキシシラン化合物、チオールオルガノ-マルチジメチルシロキサニルアルコキシシランならびに/またはそのジスルフィドダイマーおよび/もしくはテトラスルフィドが、酸性酸化プロセスと同時にケラチン繊維に適用される、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
23.Praeparatur手順およびFundamenta手順が順次に行われる、パートIIの先行する記述19から22に記載の方法。
24.Fundamenta手順が、酸性酸化プロセスの前に行われる還元プロセスをさらに含む、パートIIの先行する記述19から23のいずれかに記載の方法。
25.ケラチン繊維がアナジェニック毛髪である、パートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
26.ケラチン繊維が、少なくとも1日以内に、シャンプー、ブリーチ、および/または酸化永久染料処理に供されていないアナジェニック毛髪である、パートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
27.Fundamenta手順が、美容的に許容される還元剤を、場合により中性~塩基性のpHで含む還元組成物を含む、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
28.還元組成物が、チオグリコール酸、メルカプタン、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸ナトリウム、メルカプトエタノール、システイン、亜硫酸ナトリウム、グリセリルモノチオプロピオネート、チオ乳酸アンモニウム、ジチオエリスリトール、グルタチオン、ジヒドロリポ酸、1,3-ジチオプロパノール、チオグリコールアミド、グリセリルモノチオグリコレート、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、グリセリルチオラクテート、ケトグルタレート、DTTレッド、NADH/H+、ジヒドロリポ酸、硫化物、二亜硫酸塩、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜リン酸塩、亜硫酸もしくは二亜硫酸アンモニウム、システアミン塩酸塩、もしくはメルカプトシラン化合物、チオエーテルシラン化合物、ジスルフィドシラン化合物もしくはアルキル基とアルコキシ基の合計が3であるメルカプト(C1~C12)アルキル、(C1~C2)アルキル、(C1~C2)アルコキシシランを含むシクロチオシリル化合物、メルカプトアルキル、アルキルアルコキシシランのジスルフィドダイマー、メルカプトアルキル、アルキルアルコキシシランのC1~C10アルカノイルチオエステル、メルカプトアルキル、アルキルアルコキシシランのフェニルエチルもしくはピリジニルエチルチオエーテル、1,1-ジアルコキシ-2-チオール-1-シラシクロペンタアルカンもしくはシクロヘキサアルカン、または前記名称の還元剤のいずれかの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の還元剤を含む水性または水性-有機媒体を含む、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
29.還元剤が、チオグリコール酸、チオグリコール酸アンモニウムもしくはグリセリルモノチオグリコレートである、またはチオグリコール酸、チオグリコール酸アンモニウムもしくはグリセリルモノチオグリコレートを含む、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
30.Praeparatur手順が、アニオン性、非イオン性、両性または双性イオン性界面活性剤と任意の脱脂有機液体の水性混合物の適用を含む洗浄技術を含む、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
31.ケラチン繊維を、酸性酸化プロセスの適用および場合により少なくとも部分的に乾燥させた後、前処理工程の適用前に水ですすぐ、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
32.Praeparatur手順が、ケラチン軟化剤、親油性剤、鉱油、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両親媒性界面活性剤、洗剤界面活性剤、アルキルポリエトキシ化界面活性剤、それだけに限らないがサルコシネート(sarcosonates)およびタウレートを含む硫酸塩を含まない界面活性剤のうちの1つまたは複数の水性組成物の適用をさらに含む、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
33.Praeparatur手順が、脂肪アルキル硫酸塩、脂肪アルキルスルホネート、脂肪アルキルカルボキシレート、もしくはこれらの任意の組み合わせ[脂肪アルキル基は、直鎖または分岐のC8~C24アルキル基またはそのポリエトキシ化形態である]から選択される非コンディショニングもしくは実質的非コンディショニングアニオン性界面活性剤、またはサルコシネートおよび/もしくはタウレートから選択される硫酸塩を含まない界面活性剤を、Praeparatur手順の成分と粘度およびイオン性の調整ならびにpHの任意の調整のための薬剤の任意の包含の総重量に対して約2重量%~約30重量%の濃度で含む、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
34.機械的操作および/または超音波振動によるケラチン繊維の攪拌をさらに含む、パートIまたはパートIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
【0500】
パートIII アルコキシシリル官能性モノ基を有するバインダー
パートIIIの記述の全てが、パートIおよびパートIIの記述のいずれかおよび全てに従属し、但し、パートIIIの項1は、パートIIIの他の全ての記述も従属するパートIIIのフィルム形成組成物の一般的な説明を記す。この従属性は、パートIII記述1のパートIおよびパートIIの記述のいずれかおよび全てへの従属性によって指定され、パートIIIの残りの記述はパートIIIの先行する記述にのみ従属する。
【0501】
1.フィルム形成組成物が、オレフィンカルボキシレートエステル単位、オレフィンカルボキサミド単位、炭素-水素オレフィン単位、エステルモノマー単位、アミドモノマー単位、ウレタンモノマー単位、尿素モノマー単位から選択される1つまたは複数のモノマー単位の有機ポリマーを含むユニタリーバインダーポリマーを含み、有機ポリマーが、アルコキシシリル基を含む少なくとも1つのペンダントおよび/または末端バインダー官能性モノ基を有する、先行するパートIおよびパートIIの記述のいずれかに記載の方法。
2.有機ポリマーが、ウレタン、尿素、エステル、アミン、オレフィンまたはこれらの任意の組み合わせのモノマー単位、好ましくは、エステル、ウレタンおよび任意の尿素モノマー単位の組み合わせを含む、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
3.有機ポリマーバインダーが、少なくとも式Iの化合物
X3Si-R1-Ct-[Poly]y-Ct-R1-Si-X3
式IA
[式中、
Xはヒドロキシまたは1~3個の炭素のアルコキシであり;
R1はC1~C8アルキレニル基であり;
Ctは、X3Si-R1-をPolyに結合する式II-U1-R2-U2-のコネクター基であり、
U1はR1に共有結合的に結合しており、U2はPolyに共有結合的に結合しており;
U1およびU2の各々は独立して尿素またはウレタン基であり;
R2は、C2~C12アルキレニル基、C6~C16アルキルシクロアルキル基またはC6~C14芳香族もしくはアルキル芳香族基であり;
Polyは、有機エステル、ウレタン、尿素、アミドもしくはポリオールまたはこれらの任意の組み合わせのモノマー単位のポリマーであり、yは、ポリマー骨格を形成するPolyのモノマー単位の数を示し、yは、2~最大約100万、好ましくは最大約300,000、より好ましくは最大約250,000、最も好ましくは最大約200,000の整数であり、Polyは直鎖または分岐、好ましくは直鎖であり;
有機エステルモノマー単位は、C2~C20アルカンジオールもしくはC6~C10芳香族ジオールとC3~C10アルカン二酸もしくはC8~C10芳香族ジカルボン酸から形成される、または単位は、C3~C10ヒドロキシアルカン酸もしくはC8~C10芳香族ヒドロキシカルボン酸から形成され;
有機ウレタンモノマー単位は、C2~C10アルカンジオールとR3-ジイソシアネートから形成され;
有機尿素モノマー単位は、C2~C10アルカンジアミンとR3-ジイソシアネートから形成され;
有機アミドモノマー単位は、C2~C10アルカンジアミンとC3~C10アルカン二酸またはC8~C10芳香族ジカルボン酸から形成され;
ポリオールモノマー単位は、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドから形成され;
R3は、直鎖または分岐のC2~C12アルキレニル基、C6~C16アルキルシクロアルキル基またはC6~C14芳香族もしくはアルキル芳香族基であり;
但し、
Polyがエステルモノマー単位である場合、U2はウレタン基であり、U1は尿素基であり;
Polyがウレタンモノマー単位である場合、U2はウレタン基であり、U1は尿素基であり;
Polyが尿素モノマー単位である場合、U2は尿素基であり、U1は尿素基であり;
Polyがアミドモノマー単位である場合、U2およびU1は共に尿素基であり;
Polyがポリオールモノマー単位である場合、U2はウレタン基であり、U1は尿素基である;
あるいは、U1は、Polyエステル、Polyウレタン、Poly尿素、PolyアミドおよびPolyポリオール条件の各々についてウレタン基であり得る]
を含む、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
4.式IAの有機ポリマーが、有機ポリマー末端の各々にただ2つのアルコキシシリル基を含む、または式IAの有機ポリマーが、有機ポリマー末端に2つおよびPoly骨格に沿った少なくとも第3のペンダントの少なくとも3つのアルコキシシリル基を含み、少なくとも3つのアルコキシシリル基を含む有機ポリマーが、
C3~C10トリオールから形成される少なくとも1つのエステルモノマー単位を有するPolyエステル;
C3~C10トリオールから形成される少なくとも1つのウレタンモノマー単位を有するPolyウレタン;
C3~C10トリアミンから形成される少なくとも1つの尿素モノマー単位を有するPoly尿素;
C3~C10トリアミンから形成される少なくとも1つのアミドモノマー単位を有するPolyアミド;または
グリセリンであるトリオールから形成される少なくとも1つのポリオールモノマー単位を有するPolyポリオール
のうちの少なくとも1つを含み;
トリオールの第3のヒドロキシルおよびトリアミンの第3のアミン基が式X3Si-R1-Ct--のペンダントアルコキシシリル基のCtに共有結合的に結合しており;
フィルム形成組成物が、ただ2つのアルコキシシリル基を有する式IAの有機ポリマー、もしくは少なくとも3つのアルコキシシリル基を有する式IAの有機ポリマー、または両者の混合物を含む、
パートIIIの前記記述のいずれかに記載の方法の記述。
5.Poly中のペンダントアルコキシシリル基の数が、約1~約1000、好ましくは1~約100、より好ましくは1~約10、最も好ましくは1~約5の範囲である、パートIIIの前記記述のいずれかに記載の方法の記述。
6.バインダーが、バインダー末端の各々にアルコキシシリル基のみを含み、Polyが直鎖である、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の記述。
7.Polyが、エステルモノマー、ウレタンモノマー、尿素モノマー、アミドモノマーおよびポリオールモノマーからなる群から選択される2つ以上のモノマー単位の混合物を含む、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
8.Polyが、2つ以上の選択されたモノマー単位のブロックを含む、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
9.Polyが、2つ以上のモノマー単位のランダム配置を含む、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
10.混合物がエステルモノマーおよびウレタンモノマーを含む、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
11.混合物がウレタンモノマーおよびポリオールモノマーを含む、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
12.混合物が尿素モノマーおよびアミドモノマーを含む、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
13.混合物がPolyのハードセグメントおよびソフトセグメントを提供する、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
14.R2およびR3の各々が独立して、C4~C6アルキレニル基、C7~C14アルキルシクロアルキル基、またはC13アルキル芳香族基である、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
15.R2およびR3の各々が独立して、イソホロニレニル、トルエニレニル、メチレンジフェニル、ヘキサニレニル、メチレンビス(シクロヘキシレニル)またはナフタレニルである、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
16.R2およびR3の各々が独立して、イソホロニレニル、ヘキサニレニル、メチレンジフェニルまたはメチレンビス(シクロヘキシレニル)である、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
17.Polyが、エチレングリコールまたは1,6-ヘキサンジオールとアジピン酸、フタル酸またはテレフタル酸(terphthalic acid)の少なくともエステルモノマー単位であり、指示子yが200~250,000である、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
18.Polyが、1,6-ヘキサンジオールまたはエチレングリコールとヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチレンビス(フェニルイソシアネート)、トルエンジイソシアネートまたはナフタレンジイソシアネートの少なくともウレタンモノマー単位であり、指示子yが200~250,000である、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
19.Polyが、1,6-ヘキサンジアミンまたは1,2-ジアミノエタンとアジピン酸、フタル酸またはテレフタル酸(terphthalic acid)の少なくともアミドモノマー単位であり、指示子yが200~250,000である、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
20.Polyが少なくともポリエチレングリコールであり、指示子yが200~250,000である、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
21.式IAが、バインダーの好ましい配合物である式V:
(RO)3Si-(CH2)c-NHCONH-R10-NHCOO-[-(CH2)e-O-CO-R20-COO-]g-(CH2)e-OCONH-R10-NHCONH-(CH2)cSi(OR)3
式V
[式中、cは3~6の整数であり、eは2~8の整数であり、好ましくは、eはエタンまたはブタンまたはヘキサンジオールを提供し;R20は二価ベンゼネニル(benzenenyl)である、または(CH2)f[式中、fは4~8の整数である]であり;R20は、好ましくはテレフタル酸の残基、コハク酸またはアジピン酸残基であり、gは10~300,000の整数であり、R10はC4~C8アルキレニル基であり、好ましくはヘキシレニルを提供し、Rはメチルまたはエチルである]
を含む、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
22.触媒が存在し、C2~C8アルキルリン酸エステル酸、C2~C8アルキル硫酸エステル酸、C2~C8ホウ酸エステル酸または鉱酸である、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
23.フィルム形成組成物のバインダーが、末端に位置するただ2つのトリエトキシシリル基またはトリメトキシシリル基を有する、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
24.バインダーが、少なくとも3つのトリエトキシシリル基またはトリメトキシシリル基を有する、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
25.フィルム形成組成物のバインダーが、少なくとも1つの分岐を有し、少なくとも1つの分岐の末端を含むその末端にトリメトキシまたはトリエトキシシリル基を有する、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
26.フィルム形成組成物のバインダーが、約1KDa~約500KDa、好ましくは約1KDa~約400KDa、より好ましくは約2KDa~約300KDa、最も好ましくは約2KDa~約200KDaの重量平均分子量を有する、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
27.フィルム形成組成物が、好ましくは貯蔵のための、水を含まない有機媒体を含み、有機媒体を含むフィルム形成組成物が、フィルム形成組成物をケラチン繊維に適用する前に、場合により水と組み合わされる、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
28.有機媒体が、C2~C6アルカノールおよび有機液体エステル、好ましくはイソプロパノールまたはイソブタノールおよび酢酸ブチル、より好ましくはイソプロパノールであり、場合により、媒体の総重量に対して約10重量%以下、好ましくは約5重量%以下、より好ましくは約2重量%以下、最も好ましくは約1重量%以下の水をさらに含む、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
29.フィルム形成組成物のバインダーのポリマー部分が直鎖または分岐、好ましくは直鎖である、パートIIIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
【0502】
パートIV カルボン酸単官能性基を有するバインダー
パートIVの記述の全てが、パートIおよびパートIIの記述のいずれかおよび全てに従属し、但し、パートIVの項1は、パートIVの他の全ての記述も従属するパートIVのフィルム形成組成物の一般的な説明を記す。この従属性は、パートIV記述1のパートIおよびパートIIの記述のいずれかおよび全てへの従属性によって指定され、パートIVの残りの記述はパートIVの先行する記述にのみ従属する。
【0503】
1.フィルム形成組成物が、オレフィンカルボキシレートエステル単位、オレフィンカルボキサミド単位、炭素-水素オレフィン単位、エステルモノマー単位、アミドモノマー単位、ウレタンモノマー単位、尿素モノマー単位から選択される1つまたは複数のモノマー単位の有機ポリマーを含むユニタリーバインダーポリマーを含み、有機ポリマーが、少なくとも1つのペンダントおよび/または末端カルボン酸基を含む少なくとも1つのペンダントおよび/または末端バインダー官能性モノ基を有し;同じである第1の成分および第2の成分が、好ましくは有機ポリマーを含み;場合により、有機ポリマーが、少なくとも1つの式-(CH2)n-SiMet-3(OR)t[式中、nは2~10の整数であり、tは1~3の整数であり、(CH2)のダングリング原子価は有機ポリマー骨格の炭素に接続している]のペンダントオルガノアルコキシシラン基を含む、先行するパートIおよびパートIIの記述のいずれかに記載の方法。
2.前処理組成物が、PTHアルコキシシラン化合物およびアミノオルガノアルコキシシラン化合物を含み、少なくとも1つのカルボン酸バインダー官能性モノ基を有する有機ポリマーが、前処理組成物との非共有結合的相互作用が可能である、パートIVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
3.ポリマーが、少なくとも1つのオレフィン酸モノマー単位と、オレフィンカルボキシレートエステルモノマー単位、オレフィンカルボキサミドモノマー単位、親水性オレフィンモノマー単位、親油性オレフィンモノマー単位およびこれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの非酸オレフィンモノマー単位の反復単位を含む有機ポリマーを含み、
オレフィン酸モノマー単位が、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、グルコン酸、C5~C10エテン酸またはこれらの任意の組み合わせから選択され;
オレフィンカルボキシレートエステルモノマー単位が、オレフィン酸モノマー単位のいずれかのC1~C30直鎖もしくは分岐アルキルエステル、またはこれらの任意の組み合わせから選択され;
オレフィンカルボキサミドモノマー単位が、オレフィン酸モノマー単位のいずれかの-NH2、-NR1Hもしくは-NR1R2アミド、またはこれらの任意の組み合わせ[式中、R1およびR2はC1~C6直鎖または分岐アルキルからそれぞれ独立して選択される]から選択され;
親水性オレフィンモノマーが、オレフィンカルボン酸モノマー単位と直鎖もしくは分岐C2~C24アルキルジオールのヒドロキシアルキルエステルである、またはオレフィンカルボン酸モノマー単位と直鎖もしくは分岐アミノC2~C24アルキルアルコールのアミノアルキルエステルである、またはこれらの任意の組み合わせであり;
親油性オレフィンモノマー単位が、式
R3HC=CHR4
[式中、R3は、水素、1~6個の炭素の直鎖または分岐アルキル、非置換フェニルまたは1~6個の炭素の直鎖もしくは分岐アルキルによって置換されたフェニル、メチルまたはエチルカルボキシレート、カルボキサミドまたはヒドロキシルから選択され、R4は、水素、1~6個の炭素の直鎖または分岐アルキル、非置換フェニルまたは1~6個の炭素の直鎖もしくは分岐アルキルによって置換されたフェニル、メチルまたはエチルカルボキシレート、カルボキサミドまたはヒドロキシル、または式-CH=CHR5[式中、R5は、水素、1~6個の炭素の直鎖または分岐アルキル、非置換フェニルまたは1~6個の炭素の直鎖もしくは分岐アルキルによって置換されたフェニル、メチルまたはエチルカルボキシレート、カルボキサミドまたはヒドロキシルから選択される]のエテニル基から選択される]
のオレフィン化合物から選択される、
パートIVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
4.有機ポリマーが、少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマー、少なくとも1つの非酸オレフィンモノマーと(メタ)アクリル酸モノマーの反復単位を含み、
(メタ)アクリレートモノマーが、(メタ)アクリル酸とC1~C4アルキル基のエステルであり;
非酸オレフィンモノマーが、式
HR3C=CHR4
[式中、R3およびR4の各々は、水素、1~6個の炭素の直鎖または分岐アルキル、非置換フェニルまたは1~6個の炭素の1つもしくは複数の直鎖もしくは分岐アルキルによって置換されたフェニルから独立して選択される]
を有し;
ポリマーが約0.1~約200の酸価を有し;
ポリマーが約-60℃~約90℃のガラス転移温度を有し;
ポリマーが、約2KDa~約10MDaの範囲の重量平均分子量を有する、
パートIVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
5.有機ポリマーが、少なくとも1つのオレフィンカルボン酸モノマー単位の反復単位および非酸オレフィンモノマー単位の反復単位を含み、R3およびR4が共に水素である、パートIVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
6.オレフィンカルボン酸モノマー単位がアクリル酸である、パートIVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
7.媒体が水性または水性有機性媒体であり、塩基性pHを有する、パートIVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
8.有機ポリマーがオルガノアルコキシシラン基を有さない、パートIVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
9.有機ポリマーが、1つまたは複数のペンダントオルガノアルコキシシラン基を有する、パートIVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
10.有機ポリマーが、ケラチン繊維への適用直前に塩基性媒体と組み合わされる、記述9に記載の方法。
【0504】
パートV 相補対官能基マイケル付加を有するバインダー
パートVの記述の全てが、パートIおよびパートIIの記述のいずれかおよび全てに従属し、但し、パートVの項1は、パートVの他の全ての記述も従属するパートVのフィルム形成組成物の一般的な説明を記す。この従属性は、パートI記述1のパートIおよびパートIIの記述のいずれかおよび全てへの従属性によって指定され、パートVの残りの記述はパートVの先行する記述にのみ従属する。
【0505】
1.フィルム形成組成物が、少なくとも1つのペンダントおよび/または末端の第1のバインダー官能基を有する有機シリコーンまたはオルガノシリコーンポリマーを含む第1の成分と、少なくとも1つのペンダントおよび/または末端の第2のバインダー官能基を有する低分子、プレポリマーまたはポリマーを含む第2の成分とを含むデュアルバインダーポリマーを含み;
第1のバインダー官能基および第2のバインダー官能基が、(i)アルケノイルオキシとアミン、または(ii)アルケノイルオキシとチオールからなる群から選択される相補対である、
パートIおよびパートIIの記述のいずれかに記載の方法。
2.第1のバインダー官能基と第2のバインダー官能基の相補対が化学的に反応性であり、共有結合的接続を形成することができる、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
3.フィルム形成組成物が、媒体、ペンダントおよび/または末端α,β不飽和アルケノイルオキシ基を有するシリコーンポリマーを含む第1の成分ならびにペンダントおよび/または末端オルガノアミン基および任意の末端アルコキシシリル基を有するシリコーンポリマーを含む第2の成分を含み、第1の成分および第2の成分がそれぞれ独立して直鎖または分岐、好ましくは直鎖である、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
4.第1の成分が、ポリマーのシロキサン単位に結合した少なくとも2つのα,β不飽和アルケノイルオキシ基を有するポリジメチルシロキサン型ポリマーを含む、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
5.第1の成分が、ポリマーのシロキサン単位に結合した少なくとも3つのα,β不飽和アルケノイルオキシ基を有するポリジメチルシロキサン型ポリマーを含む、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
6.α,β不飽和アルケノイルオキシ基が、式R
1R
2C=CR
3COO-R
4-[式中、R
1およびR
2の各々は独立して水素またはC1~C6アルキル基であり、但し、R
1およびR
2の少なくとも1つは水素であり;R
3は水素またはメチルであり、R
4はC1~C12アルキレニル基、C3~C12シクロアルキルアルキルもしくはシクロアルキル基、C6~C20アリールアルキル基またはC6~C20アリール基であり、R
4は、1つもしくは複数のエーテル酸素、チオエーテル硫黄および/もしくはアミン基によって、ならびに/またはヒドロキシル基によってペンダント式に鎖内で置換されていてもよく、R
4はポリジメチルシロキサン型ポリマーのケイ素に結合している]を含む、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
7.R
4が、ヒドロキシ置換アルキレニル基であり、式R
1R
2C=CR
3COO-CH
2CHOH-CH
2-O-(CH
2)
n-[式中、nは1~6の整数である]を含むα,β不飽和アルケノイルオキシ基を提供する、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
8.前処理組成物とフィルム形成組成物の複合フィルムを乾燥させ、硬化して、ケラチン繊維上にカラーコーティングを形成する、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
9.第1の成分が、式Iのシリコーンポリマー
X
z-SiMe
3-zO-(Me
2SiO)
x-(Si(-X)MeO)
y-SiOMe
3-z-X
z
式I
[式中、
Me
2SiOおよびSi(-X)MeOの各々はモノマーシロキサンD単位を含み、X
zSiMe
3-zOはモノマーシロキサンM単位を含み;
XはR
1R
2C=CR
3COO-R
4-を含み;
R
1およびR
2の各々は独立して水素またはC1~C6アルキル基であり、但し、R
1およびR
2の少なくとも1つは水素であり;
R
3は水素またはメチルであり;
R
4は、C1~C12アルキレニル基、C3~C12シクロアルキルアルキルもしくはシクロアルキル基、C6~C20アリールアルキル基またはC6~C20アリール基であり、これらの基のいずれかまたは全ては、1つもしくは複数のエーテル酸素、チオエーテル硫黄および/もしくはアミン基によって、ならびに/またはヒドロキシル基によってペンダント式に鎖内で置換されていてもよく、R
4はモノマーDおよび/またはM単位のケイ素に結合しており;
指示子xおよびyの各々は独立して、対応する直鎖ポリマーシリコーン骨格を形成するモノマーDシロキサン単位の数を示し、xは1~最大約100,000の整数であり、指示子yはゼロまたは1~10の整数であり;
X
zSiMe
3-zO単位の各々についての指示子zは、X
zSiMe
3-zO単位が末端X基を有し得る、またはM型トリメチルシロキシ基となり得るようにゼロまたは1であり;
xとyの合計は、約3~最大約200,000、好ましくは最大約150,000、より好ましくは最大約100,000、最も好ましくは最大約50,000、特に最も好ましくは最大約100の整数であり、例示的な合計は10~50および10~20であり;
Me
2SiOおよびSi(-X)MeOの複数のモノマー単位は式I中にランダムに分配されている]
を含む、先行する記述のいずれかに記載の方法。
10.指示子yがゼロである、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
11.指示子xが少なくとも5であり、指示子yが1~5である、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
12.zがゼロである、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
13.Si(-X)MeO基の数が約1~約10、より好ましくは1~約5、最も好ましくは1~2の範囲である、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
14.XがH
2C=CR
3COO-R
4-を含む、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
15.R
4-が、直鎖C2~C8アルキレンまたは-CH
2CHOH-CH
2-O-(CH
2)
n-[式中、nは1~6の整数であり、左の原子価はH
2C=CR
3COO-のカルボキシルに接続している]を含む、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
16.第2の成分が、ポリマーのシロキサン単位に結合した1つまたは複数のペンダントおよび/または末端オルガノアミン基を有し、ポリマーに結合した1つまたは複数の末端アルコキシシリル基を有するポリジメチルシロキサン型ポリマーを含む、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
17.第2の成分が式V
M1-(D)
d-M2
式V
[式中、
M1およびM2は、第2の成分の末端であり、Me
3SiO単位、A-SiMe
2O単位および-Si(OR)
3単位から選択され得、Rはメチルまたはエチルまたは水素であり、Aは式OAのオルガノアミンまたはオルガノチオール基
Y-(R
10-NH)
r-R
11-
式OA
[式中、Yは-NH
2または-SHであり;R
10は、直鎖もしくは分岐C1~C10アルキル基または直鎖もしくは分岐C6~C14アルキルアリール基であり;R
11は、直鎖もしくは分岐C1~C10アルキル基または直鎖もしくは分岐C6~C14アルキルアリール基であり;指示子rはゼロまたは1~3の整数であり、rがゼロ以外である場合、R
11はケイ素に結合しており、rがゼロである場合、R
11はケイ素に結合しており、Yが-SHである場合、rはゼロである]
であり;
D単位はポリジメチルシロキサン型の第2の成分の骨格を形成し、指示子dは、第2の成分の大きさを示す3~20,000の整数であり、
D単位は、SiMe
2O単位(ジメチルシロキサン単位)およびA-SiMeO単位から選択される]
を含み;
第2の成分が少なくとも1つのA-SiMeO単位を含む、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
18.式Vの第2の成分が、第1の実施形態として、2つの末端A-SiMe
2O単位を有する;または第2の実施形態として、2つのMe
3SiO単位をM1およびM2としてならびに1、2または3つのA-SiMeO単位を有する;または第3の実施形態として、1つの末端Si(OR)
3単位、1つのMe
3SiO末端および1、2または3つのA-SiMeO単位を有する;または第4の実施形態として、2つの末端Si(OR)
3単位および1、2または3つのA-SiMeO単位を有し、第1~第4の実施形態について、複数のジメチルシロキサンD単位を有し、約10KDa~約20KDaの重量平均分子量を提供する、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
19.第2の成分が、以下のモノマー単位
[式中、
SiMe
2O基およびSiMeO-A基は、ポリジメチルシロキサン型骨格全体にランダムに分配されたD型シロキサニルモノマー単位であり、Me
3SiO基、A-SiMe
2O基および-Si(OR)
3基はM型末端シロキサニルモノマー単位であるので、M型モノマー単位の2つの任意の組み合わせが第2の成分を終結し;
指示子oは、ポリマー中に存在する対応するDモノマー単位の数を主に示し;
指示子oは2~1000の整数であり;
指示子pはゼロまたは1~10の整数であり;
Aは式OAである]
の選択から形成される直鎖ポリジメチルシロキサン型ポリマーを含む、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
20.指示子pがゼロであり、指示子oが4~約500、好ましくは200、より好ましくは最大約100の整数であり、両末端がM-T3単位である、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
21.M-T3が非存在であり、指示子pが約2~約6の整数であり、指示子oが約4~約500、好ましくは最大100の整数であり、末端が共にM-T2単位である、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
22.M-T3が非存在であり、指示子pが1であり、指示子oが少なくとも5であり、末端が共にM-T1単位である、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
23.第2の成分が1つのM-T1単位、1つのM-T2単位を含み、指示子oが約4~約500、好ましくは最大100であり、指示子pが1、2または3である、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
24.第1の成分が式IV
H
2C=CHCOOCH
2CHOH-CH
2-O-(CH
2)
c-SiMe
2O-(SiMe
2O)
m-[MeSiO-(-(CH
2)
c-O-CH
2-CHOH-CH
2OOC-CH=CH
2)]
g-(Me
2SiO)
p-OSiMe
2-(CH
2)
c-O-CH
2-CHOHCH
2OOCCH=CH
2
式IV
[式中、cは1~6の整数であり、mおよびpはそれぞれ独立して約2~約100の整数であり、gはゼロまたは1~約10の整数であり、ジメチルシロキサニル基およびアクリロイルオキシアルキルシロキサニル基はランダムに分配されている]
によって特徴付けられる、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
25.mおよびpがそれぞれ独立して5~50であり、gが1~5の整数であり、cが1~3の整数である、パートVの記述24に記載の方法。
26.mおよびpがそれぞれ独立して5~50であり、gがゼロであり、cが1~3の整数である、パートVの記述24に記載の方法。
27.mおよびpがそれぞれ独立して5~50であり、gが1の整数であり、cが1~3の整数である、パートVの記述24に記載の方法。
28.cが3である、パートVの記述24に記載の方法。
29.フィルム形成組成物の第1の成分が、約0.5KDa~約10KDa、好ましくは約0.5KDa~約5KDa、より好ましくは約1KDa~約5KDa、最も好ましくは約1KDa~約3KDaの重量平均分子量を有する、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
30.フィルム形成組成物の第2の成分が、約5KDa~約50KDa、好ましくは約5KDa~約30KDa、より好ましくは約5KDa~約20KDa、最も好ましくは約8KDa~約20KDaの重量平均分子量を有する、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
31.媒体が有機媒体であり、好ましくはC2~C6アルカノール、好ましくはイソプロパノールまたはイソブタノールである、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
32.媒体が水性-有機媒体であり、水含有量が、媒体の総重量に対して、約10重量%以下、好ましくは約5重量%以下、より好ましくは約2重量%以下、最も好ましくは約1重量%以下である、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
33.フィルム形成組成物中の第1の成分と第2の成分の組み合わせの濃度が、約2重量%~約8重量%、好ましくは約2.5重量%~約7重量%、より好ましくは約2.5重量%~約6重量%の、フィルム形成組成物の総重量に対する重量パーセント範囲からなる、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
34.フィルム形成組成物として組み合わせる前の別個の媒体中の第1の成分および第2の成分が、約2重量%~約20重量%、好ましくは約2重量%~約15重量%、より好ましくは約2重量%~約10重量%の、第1の成分と媒体または第2の成分と媒体の総重量に対する重量パーセント範囲からなる、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
35.前処理組成物がチオールオルガノアルコキシシランおよびアミノオルガノアルコキシシランを含む、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
36.前処理組成物がチオールオルガノアルコキシシランのみを含む、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
37.式OAのYがH
2N-単独である、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
38.フィルム形成組成物が、少なくとも2つのペンダントおよび/または末端α,β不飽和アルケノイルオキシ基を有する直鎖シリコーンポリマーと、少なくとも2つのオルガノアミン基および少なくとも1つのアルコキシシリル基を有する直鎖シリコーンポリマーを含む第2の成分とを含む、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
39.フィルム形成ポリマーが、骨格および/または末端シロキサン単位の少なくとも2個のケイ素に直接結合した少なくとも2つの-(CH
2)
3-(O)
a-CH
2-CHOH-CH
2-O
2C-CH=CH
2基[式中、指示子aはゼロまたは1である]を有するジメチルシロキサン単位の骨格の第1の直鎖シリコーンポリマーを含み、直鎖シリコーンポリマーが約1KDa~約3KDaの重量平均分子量を有し、第2の成分が、骨格および/または末端シロキサン単位のケイ素に直接結合した少なくとも2つの-R
5-NH-(CH
2)
2-NH
2基[式中、R
5はプロピルまたはイソブチルである]を有するジメチルシロキサン単位の骨格の直鎖シリコーンポリマーを含み、第2の成分ポリマーが約10KDa~約20KDaの重量平均分子量を有する、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
40.第2の成分が、末端単位として少なくとも1つのトリアルコキシシリル基をさらに含む、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
41.第1の成分が、第1の成分の2つの末端のそれぞれに1つずつである2つの-(CH
2)
3-(O)
a-CH
2-CHOH-CH
2-O
2C-CH=CH
2基および場合により第1の成分の骨格上に1つまたは2つのペンダント-(CH
2)
3-(O)
a-CH
2-CHOH-CH
2-O
2C-CH=CH
2基[式中、指示子aはゼロまたは1である]を含み;第2の成分が、-R
5-NH-(CH
2)
2-NH
2基を有する末端;シリコーンの置換基がメトキシ基とヒドロキシ基の組み合わせであるアルコキシシランとしての末端、および少なくとも1つまたは2つのペンダント-R
5-(CH
2)
3-NH-(CH
2)
2-NH
2基を含む、パートVの先行する記述のいずれかに記載の方法。
【0506】
パートVI 相補対官能基CDI付加を有するバインダー
パートVIの記述の全てが、パートIおよびパートIIの記述のいずれかおよび全てに従属し、但し、パートVIの項1は、パートVIの他の全ての記述も従属するパートVIのフィルム形成組成物の一般的な説明を記す。この従属性は、パートI記述1のパートIおよびパートIIの記述のいずれかおよび全てへの従属性によって指定され、パートVIの残りの記述はパートVIの先行する記述にのみ従属する。
【0507】
1.フィルム形成組成物が、少なくとも1つのペンダントおよび/または末端の第1のバインダー官能基を有する有機シリコーンまたはオルガノシリコーンポリマーを含む第1の成分と、少なくとも1つのペンダントおよび/または末端の第2のバインダー官能基を有する低分子、プレポリマーまたはポリマーを含む第2の成分とを含むデュアルバインダーポリマーを含み;
第1のバインダー官能基および第2のバインダー官能基が、カルボン酸とカルボジイミドを含む相補対である、
パートIおよびパートIIの記述のいずれかに記載の方法。
2.第1のバインダー官能基および第2のバインダー官能基の相補対が、化学的に反応性であり、共有結合的接続を形成することができる、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
3.第1の成分が、少なくとも2つのペンダントおよび/または末端カルボン酸基を有するオレフィンポリマー、シリコーンポリマーまたはオレフィン-シリコーンブロック共重合体を含み、第1の成分が直鎖または分岐、好ましくは直鎖であり;
第2の成分が、カルボジイミドの複数の鎖内セグメントを有するアルキレニル、芳香族もしくはアルキレニル芳香族ポリマー、またはペンダントおよび/もしくは末端アルキレニル単一カルボジイミド基を有するエステル、ウレタンもしくは尿素モノマー残基のポリマーを含み、第2の成分が直鎖または分岐、好ましくは直鎖である、
パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
4.第1の成分が少なくとも3つのカルボン酸基を含む、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
5.第1の成分がオレフィン-シリコーンブロックポリマーを含む、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
6.第2の成分が、ペンダントおよび/または末端アルコキシシリル基をさらに含む、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
7.第1の成分が、その骨格に沿って、2つ以上のペンダントおよび/または末端カルボン酸基、ならびにアルキルアルキレニルカルボン酸エステル基、アルキル基、アルキレニルオキシカルボニルアルキル基またはヒドロキシアルキル基から選択される少なくとも1つまたは複数のペンダント基を有するオレフィンポリマー、シリコーンポリマーまたはオレフィンシリコーンブロック共重合体を含む、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
8.第1の成分がオレフィンまたはオレフィンシリコーンブロック共重合体であり、ペンダントおよび/または末端カルボン酸基が、1つまたは複数のC3~C12不飽和モノまたはジカルボン酸、好ましくは(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イソプレン酸、ペンテン酸および/またはペンタジエン酸のうちの1つまたは複数から形成される、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
9.第1の成分が、式Iのオレフィン、シリコーンまたはオルガノシリコーンポリマー
MUE-(MU1)
x-(MUX)
y-(MU2)
z-(MU3)
a-(MU3X)
b-MUE
式I
[式中、
MU1は、直鎖C2~C10アルケン残基、直鎖C4~C12アルカジエン残基および/またはC6~C10芳香族/アルキル芳香族ビニル残基を含む疎水性オレフィンモノマー単位を含み;
MUXは、直鎖C3~C10アルケン酸残基またはC4~C10アルカジエン酸残基を含む酸性オレフィンモノマー単位を含み;
MU2は、ビニル直鎖C2~C16アルカン酸エステル残基、C1~C14直鎖アルキルもしくはヒドロキシアルキル直鎖C2~C14アルケン酸エステル残基、直鎖C2~C10アルケン酸アミド残基またはアミド残基のN-C1~C4アルキル置換バージョンを含む親水性オレフィンモノマー単位を含み;
MU3はジメチルシロキサン残基を含み;
MU3Xは、アルカン酸のアルキル炭素の1個が場合によりヒドロキシ基を有する少なくとも4個の炭素のアルカン酸に結合したモノメチルシロキサン残基を含み;
MUEは、MU1、MU2、MU3、MUXまたはMU3Xの単一末端モノマー単位を含み;
指示子x、y、z、aおよびbの各々は独立して、直鎖ポリマー骨格を形成する対応するモノマー単位の数を示し、x、zおよびaの各々はゼロまたは1~最大約100,000の整数であり、yおよびbはそれぞれゼロまたは1~100の整数であり;
bが整数である場合、yはゼロまたは整数であり得、bがゼロである場合、yは整数であり;
x、y、z、aおよびbの合計は、約3~最大約100万、好ましくは最大約300,000、より好ましくは最大約250,000、最も好ましくは最大約200,000の整数であり;
MU1、MU2およびMU3の複数のモノマー単位は、式I中でランダムに分配されている、またはブロックを形成し、複数のカルボン酸モノマー単位MUXおよびMU3Xは、MU1単位、MU2単位およびMU3単位の中にランダムに分配されている]
を含み;
第1の成分が直鎖または分岐、好ましくは直鎖である、
パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
10.指示子xおよびzがそれぞれ少なくとも10であり、指示子yが少なくとも3であり、指示子aおよびbが共にゼロであり、末端MUEがMUXである、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
11.指示子x、zおよびaの各々が10~100であり、指示子yが1~50であり、指示子bがゼロであり、末端MUEがMUXであり、ポリマーがオルガノシリコーンブロック共重合体である、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
12.指示子x、yおよびzがゼロであり、指示子aが少なくとも20、好ましくは少なくとも40であり、指示子bが1~50であり、末端MUEがMU3Xである、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
13.指示子x、zおよびaの各々が10~100であり、指示子yおよびbの各々が独立して1~50であり、末端MUEがMUXまたはMU3Xであり、ポリマーがオルガノシリコーンブロック共重合体である、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
14.モノマー単位がランダムに分配されている、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
15.モノマー単位がブロックセグメントを形成し、第1の成分が有機ポリマーである場合、MU1単位およびMU2単位がブロックを形成する、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
16.MU1が、ブテン、ペンテン、ヘキセン、スチレンであり、MUXが、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、グルタコン酸、シトラコン酸またはメサコン酸であり、MU2が、酢酸ビニル、プロパン酸ビニル、ブタン酸ビニル、C1~C3アルキルもしくはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、C1~C3アルキルもしくはヒドロキシアルキルクロトネート、C1~C3アルキルもしくはヒドロキシアルキルペンタノエート、C1~C3ジアルキルもしくはジ-(ヒドロキシアルキル)フマレート、C1~C3マレエート、または対応する第一級アミドもしくはC1~C3アルキル第二級アミドであり、MU3XがMeSi(O)-R
10-COOH[式中、R
10は-(CH
2)
n-CHOH-(CH
2)
2-である]である、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
17.MU1がヘキセンまたはスチレンであり、MUXが(メタ)アクリル酸またはクロトン酸であり、MU2が、酢酸ビニル、ビニルC8~C12イソアルカノエート、メチル、エチルもしくはイソプロピル(メタ)アクリレートまたは対応するヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルもしくはヒドロキシイソプロピル類似体、メチル、エチルもしくはイソプロピルクロトネートまたは対応するヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルもしくはヒドロキシイソプロピル類似体であり、MU3Xが-MeSi(O)-(CH
2)
3-CHOH-(CH
2)
2-COOHである、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
18.xがゼロであり、bがゼロであり、aが少なくとも10であり、zが少なくとも10であり、yが1~50であり、MUEがMUXであり、MU2およびMU3が、MUXがMU2内にランダムに分配されているブロック共重合体を形成する、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
19.第1の成分が、アルキル(メタ)アクリレートおよび/またはクロトネート、ならびに(メタ)アクリル酸および/またはクロトン酸の少なくともモノマー単位を含み;ポリマーの酸価が約50~約600、好ましくは約100~約400である、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
20.第1の成分が、少なくとも、約0.3重量%~約75重量%の(メタ)アクリル酸および/またはクロトン酸としての酸モノマー、約0重量%~約20重量%のヒドロキシエチルもしくはヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよび/またはクロトネート、ならびに約5重量%~約20重量%のメチルもしくはエチル(メタ)アクリレートおよび/またはクロトネートとしての疎水性モノマーを含み、全ての重量がポリマーの総重量に対するものである、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
21.第2の成分が、式IIの有機ポリマー、鎖内カルボジイミド基もしくは式Xを有するポリマー、ペンダント単一カルボジイミド基を有するポリマー
Z-(L-N=C=N-)
p-Z (Poly)
q-(K)
s-(Poly)
r
式II 式X
[式中、
式IIについては、pは少なくとも2の整数であり;Lは、飽和脂肪族二価基、芳香族二価基もしくはアルキル芳香族二価基、または反復オレフィン、カーボネート、エステル、エーテル、アミド、イミン、ウレタンもしくは尿素結合を有するポリマーもしくはオリゴマー二価基を含む有機第2の成分基であり;
式Xについては、各Polyは、アミド、イミン、オレフィン、カーボネート(caronate)、エステル、エーテル、ウレタンまたは尿素モノマー残基の有機ポリマーセグメントであり、好ましくは、残基は、C3~C6アルカンジアミンとC4~C10アルカンジカルボン酸もしくはC4~C10アルカンジイソシアネートに基づくアミドもしくは尿素/ウレタンモノマー残基、またはC3~C6アルカンジオールとC4~C10アルカンジカルボン酸に基づくエステルモノマー残基であり、指示子qおよびrはそれぞれ少なくとも2の整数であり;Kは式XIのペンダントカルボジイミド基であり、sは少なくとも2の整数であり
[式中、R
20はC3~C6アルキレニル残基であり、R
21はC3~C6アルキレニル残基である];
式IIおよびXIについては、Zはポリカルボジイミドの非反応性または反応性末端基であり;複数のKはPoly骨格に沿ってランダムに分配されている]
を含み;第2の成分のLまたはPolyが直鎖または分岐、好ましくは直鎖である、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
22.第2の成分が式IIであり、Lが、2~20個の炭素の直鎖もしくは分岐もしくは環状アルキレニルから選択される飽和脂肪族二価基、ベンゼンもしくはジフェニルから選択される芳香族二価基、またはp-ジメチレニルフェニルもしくはメチレニルジフェニルから選択されるアルキル芳香族二価基である、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
23.第2の成分が式IIであり、Lが、2~6個の炭素の飽和アルキレニル二価基である、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
24.第2の成分が式IIであり、Lが、トルエン、ジフェニルメタン、フェニル、ジシクロヘキシルメタン、メチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ヘキサン、シクロヘキサン、ノルボルナンの残基である、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
25.第2の成分が式IIであり、Lがジシクロヘキシルメタン、メチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサンまたはヘキサンである、先行する記述のいずれかに記載の方法。
26.Zが自己反応性C2~C6アルキレニルアルコキシシリル基である、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
27.第2の成分が式IIであり、Zが、2~20個の炭素の直鎖もしくは分岐もしくは環状アルキルから選択される飽和脂肪族一価基、ベンゼンもしくはジフェニルから選択される芳香族一価基、またはp-ジメチレニルフェニルもしくはメチレニルジフェニルから選択されるアルキル芳香族一価基を含む非反応性基である、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
28.Zがブタンまたはヘキサンである、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
29.Zがヘキサンである、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
30.pによって示されるカルボジイミド基の数が、2~100、好ましくは2~50、より好ましくは2~10、最も好ましくは2~5である、先行する記述のいずれかに記載の方法。
31.第2の成分が式Xであり、Polyがポリアミドまたはポリ尿素であり、sによって示されるペンダントカルボジイミドK基の数が2~50、好ましくは2~10、より好ましくは2~5である、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
32.第2の成分が式Xであり、Polyがポリウレタンであり、sによって示されるペンダントカルボジイミドK基の数が2~50、好ましくは2~10、より好ましくは2~5である、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
33.第2の成分が式Xであり、R
20およびR
21がそれぞれブチレニルまたはヘキシレニルであり、Zがブチルまたはヘキシルである、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
34.フィルム形成組成物の第1の成分が、約0.5KDa~約500KDa、好ましくは約0.5KDa~約400KDa、より好ましくは約0.5KDa~約10KDa、最も好ましくは約0.5KDa~約3KDa~5KDaの重量平均分子量を有する、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
35.フィルム形成組成物の第2の成分が、約0.5KDa~約500KDa、好ましくは約0.5KDa~約400KDa、より好ましくは約0.5KDa~約10KDa、最も好ましくは約0.5KDa~約3KDa~5KDaの重量平均分子量を有する、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
36.媒体が、炭化水素、シリコーンまたは有機極性液体、好ましくはアルコール、より好ましくはC2~C6アルカノールジオールまたはトリオール、好ましくはイソプロパノール、プロピレングリコールまたはイソブタノールを含む、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
37.媒体が、フィルム形成組成物を適用するためのものであり、水性-有機媒体を含み、水含有量が、媒体の総重量に対して、約10重量%以下、好ましくは約5重量%以下、より好ましくは約2重量%以下、最も好ましくは約1重量%以下である、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
38.媒体が、フィルム形成組成物の第1の成分および第2の成分を別個に貯蔵するためのものであり、無水炭化水素、シリコーンまたはアルコール性媒体である、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
39.フィルム形成組成物の媒体中の第1の成分の濃度が、約2重量%~約8重量%、好ましくは約3重量%~約7重量%、より好ましくは約4重量%~約6重量%の、フィルム形成組成物の総重量に対する重量パーセント範囲を構成する、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
40.フィルム形成組成物の媒体中の第2の成分が、約2重量%~約8重量%、好ましくは約3重量%~約7重量%、より好ましくは約4重量%~約6重量%の、フィルム形成組成物の総重量に対する重量パーセント範囲を構成する、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
41.第1の成分が、少なくとも3つのペンダント-末端カルボン酸基を有するポリマーを含み、ポリマーが、直鎖であり、
(メタ)アクリル酸エステル、ビニルC8~C12イソアルカノエートエステル、C3~C6アルケン、スチレンおよび/またはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの1つまたは複数のモノマー単位;ならびに(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸および/またはイタコン酸の1つまたは複数のモノマー酸単位のオレフィンポリマー;
メチルシロキサニルアルキルカルボン酸単位が散在し、ジメチルシロキサン単位で終結するジメチルシロキサン単位を含む骨格のシリコーンポリマー;または
オレフィンポリマーおよびシリコーンポリマーのブロックのブロック共重合体
を含み;
第2の成分が、直鎖であり、鎖内カルボジイミド基と一緒に結合され、C1~C3アルキレニルトリアルコキシシリル基で終結する二価基の複数のセグメントを含み、二価基が、ヘキシレニル基、イソホロニル基、p-ジメチレニルフェニル基またはメチレニルビス(シクロヘキサニル)基であり、カルボジイミド基の数が3~100である、
パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
42.第1の成分が、ビス-ビニルジメチコン、ビニルC8~C12イソアルカノエートエステル、ならびにクロトン酸、マレイン酸および/または(メタ)アクリル酸単位から選択されるオレフィン酸モノマーの直鎖オレフィン-シリコーンブロック共重合体を含み、第1の成分が、1分子あたり少なくとも3~6個のカルボン酸基および約1KDa~約10KDaの重量平均分子量を有し、第2の成分が、二価イソホロニル基、フェニル-1,4-ジメチレニル基、メチレニルビス(シクロヘキサニル)基と相互接続され、C3~C6アルキレニルトリエトキシシリル基で終結する約5~約25個のカルボジイミド基の直鎖カルボジイミドポリマーを含み、第2の成分が約0.5KDa~約5KDaの重量平均分子量を有する、パートVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
【0508】
組み合わせの記述
1.着色剤がフィルム形成組成物と組み合わされる、パートI、II、III、IV、Vおよび/またはVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
2.修飾ケラチン繊維、前処理組成物およびフィルム形成組成物が、化学的および/または物理的相互作用によって少なくとも部分的に相互接続され、絡み合っている、パートI、II、III、IV、Vおよび/またはVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
3.繊維を、前処理組成物を有する吸収性材料と接触させることによって、前処理組成物を修飾ケラチンに適用して、ケラチン繊維の表面上に前処理組成物を有するプレコーティングケラチン繊維を生成する、パートI、II、III、IV、Vおよび/またはVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
4.吸収性材料がスポンジ状固体であり、ケラチン繊維の切片を、前処理組成物を有する吸収性材料で個別に拭いて、各切片の実質的に全てのケラチン繊維の表面上に前処理組成物を堆積させる、パートI、II、III、IV、Vおよび/またはVIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
5.プレコーティングケラチン繊維を乾燥させる、パートI、II、III、IV、Vおよび/またはVIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
6.プレコーティングケラチン繊維の低分子を少なくとも部分的に硬化させるように、常温よりも高い温度で乾燥が達成される、パートI、II、III、IV、Vおよび/またはVIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
7.プライミングおよび/または深部洗浄されたプレコーティングケラチン繊維を、フィルム形成組成物を有する吸収性材料と接触させて、ケラチン繊維上に前処理組成物とフィルム形成組成物の複合フィルムを生成する、パートI、II、III、IV、Vおよび/またはVIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
8.吸収性材料がスポンジ状固体であり、ケラチン繊維の切片を、フィルム形成組成物を有する吸収性材料で個別に拭いて、プレコーティングケラチン繊維上にフィルム形成組成物を堆積させて、各切片の実質的に全てのケラチン繊維の表面上に複合フィルムを生成する、パートI、II、III、IV、Vおよび/またはVIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
9.ケラチン繊維の表面上の複合フィルムを乾燥させる、パートI、II、III、IV、Vおよび/またはVIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
10.複合フィルムを少なくとも部分的に硬化させ、ケラチン繊維の表面上にカラーコーティングを生成するような温度で乾燥が達成される、パートI、II、III、IV、Vおよび/またはVIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
11.適合性媒体中の前処理組成物およびフィルム形成組成物の成分が全て、使用前まで別個の容器に維持される、パートI、II、III、IV、Vおよび/またはVIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
12.適合性媒体中の第1の成分および第2の成分それぞれの別個の量を、ケラチン繊維に適用する前に組み合わせて、フィルム形成組成物を形成する、パートI、II、III、IV、Vおよび/またはVIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
13.フィルム形成組成物の着色特徴が、顔料および分散剤の一連のプレミックスの開発、ならびにプレミックスの選択を一緒にブレンドして、顔料選択および分散剤のカスタムカラーミックスを生成し、カスタムカラーミックスをフィルム形成組成物と組み合わせることによる着色特徴の形成を含み、プレミックスの選択を一緒にブレンドすることが、ケラチン繊維の分光着色分析を相関させ、着色分析および所望の色にコンピュータシミュレーションを適用して、ケラチン繊維の所望の色を生成するためのプレミックスの選択を識別することによって達成される;またはフィルム形成組成物の着色特徴が、ケラチン繊維、特にアナジェニック毛髪の着色に使用する準備ができた色の選択を提供するための、プレミックス顔料組み合わせをそれぞれ含む使用準備済容器中に一連のフィルム形成組成物を含む、パートI、II、III、IV、Vおよび/またはVIの先行する記述のいずれかに記載の方法の記述。
14.フィルム形成組成物が、1ナノメートル~10マイクロメートルの間の繊維長を有するミクロフィブリル;2nm~500nmの間の粒径を有する非着色充填剤材料;高分子鎖またはナノ粒子としてのポリオレフィン(ナノ粒子は、スメクタイト、カオリン、イライト、クロライト、アタパルジャイトおよび混合物、またはシリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ベーマイトアルミナ、ハイドロタルサイトからなる群から選択される無機金属酸化物からなる群から選択される);カーボンナノチューブ;酸化グラファイト混合ポリマーのナノフィラー;グラフェン添加剤;1種または複数のUVフィルター;1種または複数のラジカルスカベンジャー;1種または複数のトリプレット形成阻害剤;クロム、チタン、亜鉛、ニッケル、マンガン、鉄、ニオブ、銀、金、アルミニウム、ハフニウム、タンタルから選択される、UV光を吸収または反射することができる金属化合物;UV保護および耐薬品性のためのポリフッ化ビニリデンのうちの1つまたは複数を含む添加剤をさらに含む、パートI、II、III、IV、Vおよび/またはVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
15.カラーコーティングを、少なくともドデシルベンゼンスルホン酸およびイソドデカンを含む有機炭化水素媒体を含む除去組成物と接触させることを含む、パートI、II、III、IV、Vおよび/またはVIの先行する記述のいずれかに従って生成されたケラチン繊維からカラーコーティングを除去する方法。
16.除去組成物をケラチン繊維に適用し、少なくとも10~15分間の期間、繊維全体を通して完全に操作する、前記除去の記述のいずれかに記載の方法。
17.操作後に、吸収性基質を使用して毛髪を拭いて、毛髪から除去組成物を取り除くことをさらに含む、前記除去の記述のいずれかに記載の方法。
18.吸収性基質が綿布または1つもしくは複数のペーパータオルである、前記除去の記述のいずれかに記載の方法。
19.毛髪から除去組成物を排除した後、毛髪をシャンプーし、すすぐことをさらに含む、前記除去の記述のいずれかに記載の方法。
【0509】
組成物
1.パートIの方法の記述1から18のいずれかに記される前処理組成物を含む前処理組成物。
2.パートIII、IV、VまたはVIの方法の記述のいずれかに記されるフィルム形成組成物を含むフィルム形成組成物。
【0510】
キットの記述
B1 Praeparatur手順およびFundamenta手順のための組成物、前処理組成物、ならびにユニタリー結合ポリマーまたは第1の成分および第2の成分のデュアル結合ポリマーを含むフィルム形成組成物のための組成物が使用前に別個の容器に維持される、パートI、II、III、IV、Vおよび/またはVIの先行する記述のいずれかに記載の方法。
B2 成分が使用まで別個の容器に維持される、前処理組成物および/またはフィルム形成組成物について記す前記方法の記述のいずれかに記載のキットの記述。
【0511】
分散剤
記述1、分散剤。フィルム形成組成物が、顔料粒子および顔料分散剤の分散体をさらに含む、先行する方法の記述のいずれかの前処理組成物およびフィルム形成組成物の先行する記述のいずれかに記載のフィルム形成組成物。
記述2、分散剤。顔料粒子および/または着色体ならびに顔料分散剤の分散体がフィルム形成組成物と適合性である、記述1に記載のフィルム形成組成物。
記述3、分散剤。顔料粒子および顔料分散剤の分散体が前処理組成物と適合性ではない、記述1または2に記載のフィルム形成組成物。
記述4、分散剤。顔料粒子および/または着色体ならびに顔料分散剤の分散体が前処理組成物と適合性である、記述1または2のいずれかに記載のフィルム形成組成物。
記述6、分散剤。顔料粒子および/または着色体が前処理組成物の前処理分子でコーティングされる、記述1から5のいずれかに記載のフィルム形成組成物。
【0512】
トップコート
記述T1、トップコート。媒体およびトップコート複合体を含むポストカラーコーティング組成物であって、トップコートが、パートIII、IV、VまたはVIのフィルム形成組成物を含む、ポストカラーコーティング組成物。
記述T2、トップコート。トップコート複合体が、UVフィルター、可視光フィルター、ラジカルスカベンジャー、トリプレット形成阻害剤、撥水剤、ヘアスタイルを保持するためのヘアスプレー配合物、またはこれらの任意の組み合わせのうちの1つまたは複数である、記述T1に記載のポストカラーコーティング組成物。
記述T5、トップコート。トップコート複合体が、耐摩耗性オレフィンポリマー、犠牲的非粘着性物質、ポリエステル、ポリ(高級アルキル(メタ)アクリレート)、シェラック、揮発性有機溶媒、芳香剤、およびこれらの任意の組み合わせを含む、記述T1に記載のポストカラーコーティング組成物。
記述T6.記述T1からT5のいずれかに記載のトップコート複合体を適用することを含む、ケラチン繊維上にカラーコーティングをトップコーティングする方法の記述。
記述T7.トップコート複合体が圧力下でエアロゾル容器に含有され、カラーコーティングを有するケラチン繊維にスプレーとして適用される、記述T6に記載の方法の記述。
記述T8.トップコート複合体が、噴射剤として作用するC4~C6ペルフルオロ炭化水素および/または二酸化炭素で希釈される、記述T7に記載の方法の記述。
記述T9.トップコートを乾燥および硬化させることをさらに含む、先行する項T7からT9のいずれかに記載の方法の記述。
【0513】
ポストケア組成物
記述1、ポストケア。ケラチン繊維のカラーコーティングをケアするためのケア組成物であって、媒体およびカラーコーティングをオーバーコーティングするための表面ケア活性剤を含む、ケア組成物。
記述2、ポストケア。表面ケア活性剤が、潤滑剤、犠牲剤、手触り改質剤、退色防止剤、またはこれらの組み合わせである、記述1に記載のケア組成物。
記述3、ポストケア。表面ケア活性剤が、非浸透特性を有するポリマーもしくは長鎖非ポリマー非イオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤である、記述1、ポストケアに記載のケア組成物。
記述4、ポストケア。記述1から3のいずれかに記載のケア組成物を、ケラチン繊維上のカラーコーティングに適用することを含む方法の記述。
記述5。記述1から3のいずれかに記載のケア組成物と記述T1からT5のいずれかに記載のトップコート複合体の組み合わせを含む、トップコートケア組成物。
記述6。トップコートケア組成物をケラチン繊維上のカラーコーティングに適用することを含む方法の記述。
【0514】
その他の記述
本発明は、本明細書において広範にかつ一般的に記載されている。一般的な開示に入る狭い種および亜属グループの各々もまた、本発明の一部を形成する。これには、切り取られた材料が本明細書に具体的に列挙されているかどうかにかかわらず、属から任意の主題を除去する但し書きまたは否定的な制限を有する本発明の一般的な説明が含まれる。本明細書に記載され、明言され、特許請求される実施形態の発明、例、結果、および記述は、属性を有してもよく、実施形態は、それだけに限らないが、本出願に示されるまたは記載されるまたは言及されるものを含む。
【0515】
採用されている用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、このような用語および表現の使用において、示され、記載される特徴またはその一部のいずれかの均等物を除外する意図はないが、特許請求され、実施形態の記述によって提供されるように、本発明の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。したがって、本発明は、様々な非限定的な実施形態および/または好ましい非限定的な実施形態および任意の特徴によって具体的に開示されているが、当業者によって訴えられ得る本明細書に開示される概念のいずれかおよび全ての修正および変形が、添付の特許請求の範囲および実施形態の記述によって定義される本発明の範囲内であると見なされることが理解されるであろう。
【0516】
全ての特許、刊行物、科学論文、ウェブサイトおよび他の文書、および行政の参考文献または本明細書の言及は、本発明が属する分野の当業者の技能レベルを示しており、それぞれのこのような言及された文書および資料は、あたかもそれがそのまま組み込まれ、全体が本明細書に示されているのと同程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。このような特許、刊行物、科学論文、ウェブサイト、電子的に入手可能な情報、教科書、または他の参考資料もしくは文書からのいずれかおよび全ての資料および情報を本明細書に物理的に組み込む権利が留保される。
【0517】
本特許出願の書面による説明は、全ての特許請求の範囲、実施例、および実施形態の記述を含む。全ての元の特許請求の範囲を含む全ての特許請求の範囲および実施形態の記述は、全体が参照により本明細書の書面による説明部分に組み込まれ、このような特許請求の範囲および実施形態の記述のいずれかおよび全てが、書面による説明または本出願の任意の他の部分に物理的に組み込まれる権利が留保される。したがって、例えば、いかなる状況下であっても、請求項の正確な表現が特許の書面による説明部分にこのとおりの言葉で示されていないという主張に関して、特許を請求項の書面による説明を申立てによれば提供していないと解釈することはできない。
【0518】
本発明はその詳細な説明と併せて記載されているが、前記説明は例示を意図するものであって、添付の特許請求の範囲および実施形態の記述の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものではない。よって、前記から、本発明の具体的で非限定的な実施形態が例示の目的で本明細書に記載されているが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正が行われ得ることが理解されるであろう。他の態様、利点、および修正は、以下の特許請求の範囲の範囲内であり、本発明は、添付の特許請求の範囲および実施形態の記述によるものを除いて限定されない。
【0519】
本明細書に記載される具体的な方法および組成物は、好ましい非限定的な実施形態を表し、例示的であり、本発明の範囲に対する限定を意図するものではない。他の目的、態様、および実施形態が、本明細書を考慮すると当業者に想起され、特許請求の範囲によって定義される本発明の精神内に包含される。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に開示される本発明に様々な置換および修正を行うことができることが、当業者には容易に明らかであろう。本明細書に例示的に記載される本発明は、本明細書において必須として具体的に開示されていない任意の要素または限定の非存在下で適切に実施され得る。したがって、例えば、本明細書の各例において、本発明の非限定的な実施形態または例では、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」等の用語は、広範に、限定されないで読まれるべきである。本明細書に例示的に記載される方法およびプロセスは、異なる工程の順序で適切に実施され得、これらは本明細書または特許請求の範囲に示される工程の順序に必ずしも制限されない。
【0520】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【国際調査報告】