(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】多層部分ミラー、バックライト、及びディスプレイシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20240621BHJP
G02B 5/28 20060101ALI20240621BHJP
B32B 27/08 20060101ALI20240621BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20240621BHJP
【FI】
G02B5/30
G02B5/28
B32B27/08
B32B7/023
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500130
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 IB2022056006
(87)【国際公開番号】W WO2023281357
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ハーグ,アダム ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ,ジル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,スティーブン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ミノ,サミュエル エー.
(72)【発明者】
【氏名】サンフォード,クイン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ザオ,リン
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,ロバート ディー.
【テーマコード(参考)】
2H148
2H149
4F100
【Fターム(参考)】
2H148GA14
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(57)【要約】
多層部分ミラーは、合計で少なくとも50個に達し、対向する第1のポリマースキン層と第2のポリマースキン層との間に配置され、それらと一体的に形成された、複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層を含む。約420nm~約680nmに及ぶ可視波長範囲、及びx方向を含む入射面内を伝搬する入射光に対して、s偏光入射光の場合、多層部分ミラーは、約10度未満の第1の入射角に対する平均反射率Rs1、及び約45度超の第2の入射角に対する平均反射率Rs2を有し、p偏光入射光の場合、多層部分ミラーは、第1の入射角に対する平均反射率Rp1、及び第2の入射角に対する平均反射率Rp2を有する。Rs2/Rs1及びRp2/Rp1の各々が、約1.15超である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合計で少なくとも50個に達し、対向する第1のポリマースキン層と第2のポリマースキン層との間に配置され、それらと一体的に形成された、複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層を備える多層部分ミラーであって、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層の各々は、約500nm未満の平均厚さを有し、前記ポリマースキン層の各々は、約0.5ミクロン超の平均厚さを有し、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層は、同じ面内x方向に沿ったそれぞれの屈折率nx1及びnx2と、前記x方向に直交する面内y方向に沿ったそれぞれの屈折率ny1及びny2と、前記x方向及び前記y方向に直交する前記ポリマー層のz方向に沿ったそれぞれの屈折率nz1及びnz2とを有し、約420nm~約680nmに及ぶ可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、
nx1及びny1が、互いに約0.05以内であり、
nz1が、nx1及びnx2の各々よりも少なくとも0.06小さく、
nx2、ny2、及びnz2が、互いに約0.05以内であり、
前記第1のポリマースキン層及び前記第2のポリマースキン層の各々に対して、前記x方向、前記y方向、及び前記z方向の各々に沿った前記ポリマースキン層並びに前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層のうちの1つの対応する屈折率が、互いに約0.05以内であり、
前記可視波長範囲、及び前記x方向を含む入射面内を伝搬する入射光に対して、
s偏光入射光の場合、前記複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、約10度未満の第1の入射角に対する平均反射率Rs1、及び約45度超の第2の入射角に対する平均反射率Rs2を有し、
p偏光入射光の場合、前記複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、前記第1の入射角に対する平均反射率Rp1、及び前記第2の入射角に対する平均反射率Rp2を有し、Rs2/Rs1及びRp2/Rp1の各々は、約1.15超である、多層部分ミラー。
【請求項2】
前記第1のポリマースキン層及び前記第2のポリマースキン層の各々に対して、前記x方向、前記y方向、及び前記z方向のそれぞれに沿った前記ポリマースキン層及び前記第1のポリマー層の対応する屈折率が、互いに約0.05以内である、請求項1に記載の多層部分ミラー。
【請求項3】
前記第2のポリマー層と、前記第1のポリマースキン層及び前記第2のポリマースキン層のうちの少なくとも1つとが、実質的に同じ材料組成を有する、請求項1に記載の多層部分ミラー。
【請求項4】
前記交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層の最大厚さと最小厚さとの間の差が、約45%~約65%であり、
前記交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層における隣接するポリマー層の厚さ間の最大差が、約25%未満である、請求項1に記載の多層部分ミラー。
【請求項5】
Rp2は、約98%未満であり、かつ約70%超である、請求項1に記載の多層部分ミラー。
【請求項6】
Rp1及びRs1は、互いに10%以内である、請求項1に記載の多層部分ミラー。
【請求項7】
約800nm~約1300nmの赤外波長範囲、及び前記x方向を含む前記入射面内を伝搬する前記s偏光入射光に対して、前記第1の入射角では、前記複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層が、約50%超である平均透過率Ts1を有する、請求項1に記載の多層部分ミラー。
【請求項8】
約800nm~約1300nmの赤外波長範囲、及び前記x方向を含む前記入射面内を伝搬する前記s偏光入射光に対して、前記第2の入射角では、前記複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層が、約40%超である平均透過率Ts2を有する、請求項1に記載の多層部分ミラー。
【請求項9】
約800nm~約1300nmの赤外波長範囲、及び前記x方向を含む前記入射面内を伝搬する前記p偏光入射光に対して、前記第1の入射角では、前記複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層が、約50%超である平均透過率Tp1を有する、請求項1に記載の多層部分ミラー。
【請求項10】
約800nm~約1300nmの赤外波長範囲、及び前記x方向を含む前記入射面内を伝搬する前記p偏光入射光に対して、前記第2の入射角では、前記複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層が、約70%超である平均透過率Tp2を有する、請求項1に記載の多層部分ミラー。
【請求項11】
画像を形成するように構成されたディスプレイパネルに照明を提供するためのバックライトであって、
放射面を通して光を放射するように構成され、後部反射体を備える拡張光源と、
前記放射面上に配置され、前記放射された光を受け入れ、前記受け入れた光の一部を透過させるように構成された、請求項1に記載の多層部分ミラーと、を備え、前記多層部分ミラー及び前記後部反射体が、それらの間にリサイクリング光学キャビティを形成している、バックライト。
【請求項12】
光学システムが、
後部反射体を含み、その拡張放射面を通して実質的に非偏光を放射する実質的なランバート光源を提供することであって、前記後部反射体が、前記可視波長範囲内の少なくとも1つの波長において約90%超の全反射率を有する、提供することと、
反射偏光子と前記放射面との間に請求項1に記載の多層部分ミラーを配置して、前記可視波長範囲及び実質的に垂直な入射光に対して、前記反射偏光子が、前記入射光が前記x方向に沿って偏光されているときに約60%超の平均光反射率を有し、前記入射光が前記y方向に沿って偏光されているときに約60%超の平均光透過率を有するようにすることと、によって形成されており、
そして、前記反射偏光子を通って前記光学システムを出る光の発光分布が、前記反射偏光子に垂直な線に対して約5度超の角度で少なくとも1つのグローバルピークを含む、請求項1に記載の多層部分ミラー。
【請求項13】
前記少なくとも1つのグローバルピークが、前記x方向と斜角をなす平面内に位置する、請求項12に記載の多層部分ミラー。
【請求項14】
合計で少なくとも50個に達する複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層を備える多層部分ミラーであって、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層の各々は、約500nm未満の平均厚さを有し、前記1のポリマー層及び前記第2のポリマー層は、同じ面内x方向に沿ったそれぞれの屈折率nx1及びnx2と、前記x方向に直交する面内y方向に沿ったそれぞれの屈折率ny1及びny2と、前記x方向及び前記y方向に直交する前記ポリマー層のz方向に沿ったそれぞれの屈折率nz1及びnz2とを有し、約420nm~約680nmに及ぶ可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、
nz1が、nx1及びnx2の各々よりも少なくとも0.06小さく、
nx2と((nx1+nz1)/2)との差の大きさが、約0.05未満であり、
nx2、ny2、及びnz2は、互いに約0.05以内であり、
前記可視波長範囲、約800nm~約1300nmの赤外波長範囲、及び前記x方向を含む入射面内を伝搬する入射光に対して、
約10度未満の第1の入射角では、前記複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、前記x方向に沿って偏光された前記入射光に対する平均反射率Rp1と、前記y方向に沿って偏光された前記入射光に対する平均反射率Rs1とを有し、Rp1及びRs1の各々が、前記可視波長範囲では約85%未満であり、前記赤外波長範囲では約50%未満であり、
約45度超の第2の入射角では、前記複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、それぞれのp偏光入射光及びs偏光入射光に対する平均反射率Rp2及びRs2を有し、Rp2及びRs2の各々が、前記可視波長範囲では約70%超である、多層部分ミラー。
【請求項15】
合計で約50~約600個に達し、一体的に形成された対向する第1のポリマースキン層と第2のポリマースキン層との間に配置された、複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層を備える多層部分ミラーであって、前記第1のポリマースキン層と前記第2のポリマースキン層との間に配置された各ポリマー層は、約500nm未満の平均厚さを有し、約420nm~約680nmに及ぶ可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、
前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層の各々が、約0.05未満の面内複屈折を有し、
前記第1のポリマー層が、約0.06超の面外複屈折を有し、
前記第2のポリマー層が、約0.02未満の面外複屈折を有し、
前記可視波長範囲、及び同じ面内第1の方向を含む入射面内を伝搬する入射光に対して、約10度未満の第1の入射角では、前記多層部分ミラーが、s偏光された前記入射光に対する平均反射率Rs1及びp偏光された前記入射光に対する平均反射率Rp1を有し、Rp1/Rs1は約0.8~約1.2であり、
前記第1の入射角並びに前記p偏光入射光及び前記s偏光入射光の各々に対する前記多層部分ミラーの光反射率対波長が、約760nm~約980nmの反射帯域端を含む、多層部分ミラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、多層部分ミラーに関する。特に、本開示は、ディスプレイパネルのバックライト用の多層部分ミラーに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、コリメート反射偏光子は、反射モアレなどの光学アーチファクトを排除するためにディスプレイデバイスにおいて使用される。しかしながら、そのようなコリメート反射偏光子は、ディスプレイデバイスの軸方向輝度を低下させる場合がある。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様では、本開示は、多層部分ミラーを提供する。多層部分ミラーは、合計で少なくとも50個に達する複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層を含む。複数の交互の第1の層及び第2の層は、対向する第1のポリマースキン層と第2のポリマースキン層との間に配置され、それらと一体的に形成される。第1のポリマー層及び第2のポリマー層の各々は、約0.5ミクロン超の平均厚さを有する。第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、同じ面内x方向に沿ったそれぞれの屈折率nx1及びnx2と、x方向に直交する面内y方向に沿ったそれぞれの屈折率ny1及びny2と、x方向及びy方向に直交するポリマー層のz方向に沿ったそれぞれの屈折率nz1及びnz2とを有する。約420ナノメートル(nm)~約680nmに及ぶ可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、nx1及びny1は、互いに約0.05以内である。可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、nz1は、nx1及びnx2の各々よりも少なくとも0.06小さい。可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、並びに第1のポリマースキン層及び第2のポリマースキン層の各々に対して、x方向、y方向、及びz方向の各々に沿ったポリマースキン層並びに第1のポリマー層及び第2のポリマー層のうちの1つの対応する屈折率は、互いに約0.05以内である。可視波長範囲、及びx方向を含む入射面内を伝搬する入射光に対して、s偏光入射光の場合、複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、約10度未満の第1の入射角に対する平均反射率Rs1、及び約45度超の第2の入射角に対する平均反射率Rs2を有する。更に、可視波長範囲、及び入射面内を伝搬する入射光に対して、p偏光入射光の場合、複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、第1の入射角に対する平均反射率Rp1、及び第2の入射角に対する平均反射率Rp2を有する。Rs2/Rs1及びRp2/Rp1の各々は、約1.15超である。
【0004】
第2の態様では、本開示は、画像を形成するように構成されたディスプレイパネルに照明を提供するためのバックライトを提供する。バックライトは、その放射面を通して光を放射するように構成された拡張光源を含む。拡張光源は、後部反射体を更に含む。バックライトは、第1の態様の多層部分ミラーを更に含む。多層部分ミラーは、放射面上に配置され、放射された光を受け入れ、受け入れた光の一部を透過させるように構成されている。多層部分ミラー及び後部反射体は、それらの間にリサイクル光学キャビティを形成している。
【0005】
第3の態様では、本開示は、第2の態様のバックライト上に配置されたディスプレイパネルを含むディスプレイシステムを提供する。
【0006】
第4の態様では、本開示は、多層部分ミラーを提供する。多層部分ミラーは、合計で少なくとも50個に達する複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層を含む。第1のポリマー層及び第2のポリマー層の各々は、約500nm未満の平均厚さを有する。更に、第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、同じ面内x方向に沿ったそれぞれの屈折率nx1及びnx2と、x方向に直交する面内y方向に沿ったそれぞれの屈折率ny1及びny2と、x方向及びy方向に直交するポリマー層のz方向に沿ったそれぞれの屈折率nz1及びnz2とを有する。約420nm~少なくとも約680nmに及ぶ可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、nz1は、nx1及びnx2の各々よりも少なくとも0.06小さい。可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、nx2と((nx1+nz1)/2)との差の大きさは、約0.05未満である。更に、可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、nx2及びnz2は、互いに約0.05以内である。可視波長範囲、約800nm~約1300nmの赤外波長範囲、x方向を含む入射面内を伝搬する入射光に対して、及び約10度未満の第1の入射角では、複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、x方向に沿って偏光された入射光に対する平均反射率Rp1と、y方向に沿って偏光された入射光に対する平均反射率Rs1とを有する。Rp1及びRs1の各々は、可視波長範囲では約85%未満であり、赤外波長範囲では約50%未満である。更に、可視波長範囲、赤外波長範囲、入射面内を伝搬する入射光、及び約45度超の第2の入射角では、複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、それぞれのp偏光入射光及びs偏光入射光に対する平均反射率Rp2及びRs2を有する。Rp2及びRs2の各々は、可視波長範囲では約70%超である。
【0007】
第5の態様では、本開示は、多層部分ミラーを提供する。多層部分ミラーは、合計で約50~600個に達する複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層を含む。複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、一体的に形成された対向する第1のポリマースキン層と第2のポリマースキン層との間に配置されている。第1のポリマースキン層と第2のポリマースキン層との間に配置された各ポリマー層は、約500nm未満の平均厚さを有する。約420nm~約680nmに及ぶ可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、第1のポリマー層及び第2のポリマー層の各々は、約0.05未満の面内複屈折を有する。可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、第1のポリマー層は、約0.06超の面外複屈折を有する。更に、可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、第2のポリマー層は、約0.02未満の面外複屈折を有する。可視波長範囲、同じ面内第1の方向を含む入射面内を伝搬する入射光に対して、約10度未満の第1入射角では、多層部分ミラーは、s偏光入射光に対する平均反射率Rs1、及びp偏光入射光に対する平均反射率Rp1を有する。Rp1/Rs1は、約0.8~約1.2である。第1の入射角並びにp偏光入射光及びs偏光入射光の各々に対する多層部分ミラーの光反射率対波長は、約760nm~約980nmの反射率帯域端を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の図と共に以下の「発明を実施するための形態」を検討することで、本明細書に開示する例示的実施形態は、より完全に理解される。図は、必ずしも縮尺通りに描かれているとは限らない。図面で使用されている同様の番号は、同様の構成要素を示す。しかし、特定の図中のある構成要素を示す番号の使用は、同じ番号を付した別の図中の構成要素を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態による、多層部分ミラーの詳細な概略断面図である。
【
図2A】本開示の一実施形態による、多層部分ミラーの複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層の厚さの変動を示すプロットである。
【
図2B】本開示の一実施形態による、
図2Aの一部の拡大図である。
【
図3A】本開示の一実施形態による、多層部分ミラーの概略断面図である。
【
図3B】本開示の一実施形態による、多層部分ミラーの概略断面図である。
【
図4A】本開示の一実施形態による、第1の入射角で入射するs偏光入射光に対する多層部分ミラーの光反射率対波長を示すプロットである。
【
図4B】本開示の一実施形態による、第1の入射角で入射するp偏光入射光に対する多層部分ミラーの光反射率対波長を示すプロットである。
【
図4C】本開示の一実施形態による、第2の入射角で入射するs偏光入射光に対する多層部分ミラーの光反射率対波長を示すプロットである。
【
図4D】本開示の一実施形態による、第2の入射角で入射するp偏光入射光に対する多層部分ミラーの光反射率対波長を示すプロットである。
【
図5A】本開示の一実施形態による、多層部分ミラーを含むディスプレイシステムの詳細な概略断面図である。
【
図5B】本開示の一実施形態による、ディスプレイシステムの反射偏光子の概略図である。
【
図5C】本開示の一実施形態による、
図5Bの反射偏光子の光学特性を示すプロットである。
【
図6A】本開示の一実施形態による、多層部分ミラーを含む光学システムの詳細な概略断面図である。
【
図6B】本開示の一実施形態による、
図6Aの光学システムの反射偏光子の概略図である。
【
図6C】本開示の一実施形態による、
図6Aの光学システムを出る光の発光分布を示す図である。
【
図6D】本開示の一実施形態による、
図6Aの光学システムを出る光の相対強度のプロットである。
【
図7A】従来のコリメート多層光学フィルム(collimating multilayer optical film、CMOF)並びに試料A、B、及びCの層厚さの例示的なプロットである。
【
図8A】第1の入射角で入射するs偏光入射光に対する、試料A及びCMOFの光反射率対波長を示す例示的なプロットである。
【
図8B】第1の入射角で入射するs偏光入射光に対する、試料B及びCの光反射率対波長を示す例示的なプロットである。
【
図9A】第1の入射角で入射するp偏光入射光に対する、試料A及びCMOFの光反射率対波長を示す別の例示的なプロットである。
【
図9B】第1の入射角で入射するp偏光入射光の波長に対する、試料B及びCの光反射率対波長を示す別の例示的なプロットである。
【
図10A】第2の入射角で入射するs偏光入射光の波長に対する、試料A及びCMOFの光反射率対波長を示す別の例示的プロットである。
【
図10B】第2の入射角で入射するs偏光入射光に対する、試料B及びCの光反射率対波長を示す別の例示的なプロットである。
【
図11A】第2の入射角で入射するp偏光入射光に対する、試料A及びCMOFの光反射率対波長を示す別の例示的なプロットである。
【
図11B】第2の入射角で入射するp偏光入射光に対する、試料B及びCの光反射率対波長を示す別の例示的なプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明では、説明の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付の図面が参照される。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想定され、実施されることを理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されない。
【0011】
以下の開示では、以下の定義が採用される。
【0012】
本明細書で記載される全ての数は、用語「約」によって修飾されるものと見なすこととする。本明細書で用いる場合、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの(at least one)」、及び「1つ以上の(one or more)」は、互換的に用いられる。
【0013】
特性又は属性に対する修飾語として本明細書で使用するとき、用語「概して」は、別段具体的に定義されない限り、その特性又は属性が、当業者によって容易に認識されるものであるが、絶対的な精度又は完全な一致を必要とするものではないこと(例えば、定量化可能な特性に関しては、±20%の範囲内)を意味する。
【0014】
用語「実質的に」は、別段具体的に定義されない限り、高い近似度(例えば、定量化可能な特性に関しては、±10%の範囲内)を意味するが、この場合もまた、絶対的な精度又は完全な一致を必要とするものではない。
【0015】
用語「約」は、別段具体的に定義されない限り、高い近似度(例えば、定量化可能な特性に関しては、±5%の範囲内)を意味するが、この場合もまた、絶対的な精度又は完全な一致を必要とするものではない。
【0016】
本明細書で用いる場合、「第1」及び「第2」という用語は、識別子として使用される。したがって、そのような用語は、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。特徴又は要素と併せて使用される場合、「第1」及び「第2」という用語は、本開示の実施形態全体を通して交換され得る。
【0017】
本明細書で用いる場合、第1の材料が、第2の材料と「同様である(similar)」と称されるとき、第1の材料及び第2の材料の少なくとも90重量%が同一であり、第1の材料と第2の材料との間に変動がある場合には、その変動は第1の材料及び第2の材料の各々の約10重量%未満である。
【0018】
本明細書で用いる場合、「A及びBのうちの少なくとも1つ」は、「Aのみ、Bのみ、又はA及びBの両方」を意味すると理解されるべきである。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「フィルム」は、概して、長さ又は幅の厚さに対する比が非常に高い材料を指す。フィルムは、長さ及び幅によって画定される2つの主面を有する。フィルムは、典型的には良好な可撓性を有し、ディスプレイを含む多種多様な用途に使用することができる。フィルムはまた、半剛性又は剛性であるような厚さ又は材料組成のものであってもよい。本開示に記載されるフィルムは、様々なポリマー材料から構成されてもよい。フィルムは、単層、多層、又は異なるポリマーのブレンドであってもよい。
【0020】
本明細書で使用される場合、「層」という用語は概して、フィルム内の比較的一貫した化学組成を有する材料の厚さを指す。層は、ポリマー、セルロース、金属、又はそれらのブレンドを含む任意のタイプの材料であってもよい。所与のポリマー層は、単一のポリマータイプ又はポリマーのブレンドを含んでもよく、添加剤を伴ってもよい。所与の層は、他の層に結合又は接続されて、フィルムを形成してもよい。層は、隣接する層又はフィルムと比較して、部分的に又は完全に連続的であってもよい。所与の層は、隣接する層と部分的に又は完全に同一の広がりを有してもよい。層は、サブ層を含んでもよい。
【0021】
本明細書で使用される場合、「約~の間(between about)」という用語は、別段具体的に定義されない限り、概して包括的な範囲又は閉じた範囲を指す。例えば、パラメータXが約AとBとの間にある場合、A≦X≦Bである。
【0022】
本明細書で使用される場合、「屈折率(index)」という用語は、別段に具体的に定義されない限り、概して材料又は層の屈折率(refractive index)を指す。同様に、「屈折率」という用語は、別段具体的に定義されない限り、概して複数の材料又は層の屈折率を指す。
【0023】
本開示は、多層部分ミラー、及び多層部分ミラーを含むバックライトに関する。多層部分ミラーを含むバックライトは、ディスプレイシステム又は光学システムにおいて使用され得る。例えば、多層部分ミラーは、ディスプレイ装置のバックライトに使用されてもよい。ディスプレイデバイスは、コンピュータモニタ、テレビ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ウェアラブルデバイス、及び他のポータブルデバイスなどを含む電子デバイスに組み込まれてもよい。いくつかの他の例は、指紋スキャナや網膜スキャナなどの光学バイオメトリックスキャナを含んでもよい。
【0024】
いくつかの例では、液晶ディスプレイ(LCD)パネルを含むディスプレイデバイスは、LCDパネルが自己照明しないので、バックライトを更に含む。バックライトによって放射された光は、LCDパネルを通過して観察者に到達する。いくつかの他の例では、ディスプレイデバイスは、有機発光ディスプレイ(OLED)を含んでもよい。更に他の例では、ディスプレイデバイスは、液晶オンシリコン(LCoS)ディスプレイやマイクロ発光ダイオード(LED)ディスプレイなどのディスプレイを含んでもよい。いくつかの例では、ディスプレイデバイスは、拡張現実(AR)又は仮想現実(VR)用途のために使用されてもよい。典型的には、ディスプレイによって放射される光は、ディスプレイデバイスの電力消費を低減するためにリサイクルされる。光をリサイクルするために、コリメート多層光学フィルム(CMOF)などのコリメート反射偏光子が使用されてもよい。
【0025】
ディスプレイデバイスはまた、反射モアレなどの光学アーチファクトの影響を受けやすい場合がある。コリメート反射偏光子は更に、そのような光学アーチファクトを排除するためにディスプレイデバイスで使用されてもよい。具体的には、コリメート反射偏光子は、そのような光学アーチファクトを排除するために、ディスプレイデバイスの拡散体とディスプレイパネルとの間に配置されてもよい。しかしながら、拡散体は、コリメート反射偏光子によって偏光された光の偏光を解消し得る。そのような場合、追加の非コリメート反射偏光子(APF)が一般に、光を再偏光するために使用される。しかしながら、これは、ディスプレイデバイスの軸方向輝度を低下させる場合がある。更に、CMOFは、典型的には、1つの方向に沿って偏光された光をコリメートし、1つの方向に直交する1つの他の方向に沿って偏光された光を実質的に反射する。結果として、1つの他の方向に沿って偏光された光はコリメートされず、低減された軸方向輝度をもたらす。場合によっては、軸方向輝度を上昇させるために、ディスプレイデバイスの消費電力が増加することがある。これは、ディスプレイデバイスを含む電子機器の電池寿命に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0026】
一態様では、本開示は、多層部分ミラーを提供する。多層部分ミラーは、合計で少なくとも50個に達する複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層を含む。複数の交互の第1の層及び第2の層は、対向する第1のポリマースキン層と第2のポリマースキン層との間に配置され、それらと一体的に形成される。第1のポリマー層及び第2のポリマー層の各々は、約0.5ミクロン超の平均厚さを有する。第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、同じ面内x方向に沿ったそれぞれの屈折率nx1及びnx2と、x方向に直交する面内y方向に沿ったそれぞれの屈折率ny1及びny2と、x方向及びy方向に直交するポリマー層のz方向に沿ったそれぞれの屈折率nz1及びnz2とを有する。約420ナノメートル(nm)~約680nmに及ぶ可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、nx1及びny1は、互いに約0.05以内である。可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、nz1は、nx1及びnx2の各々よりも少なくとも0.06小さい。可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対し、第1のポリマースキン層及び第2のポリマースキン層の各々に対して、x方向、y方向、及びz方向の各々に沿ったポリマースキン層並びに第1のポリマー層及び第2のポリマー層のうちの1つの対応する屈折率は、互いに約0.05以内である。可視波長範囲、及びx方向を含む入射面内を伝搬する入射光に対して、s偏光入射光の場合、複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、約10度未満の第1の入射角に対する平均反射率Rs1、及び約45度超の第2の入射角に対する平均反射率Rs2を有する。更に、可視波長範囲、及び入射面内を伝搬する入射光に対して、p偏光入射光の場合、複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、第1の入射角に対する平均反射率Rp1、及び第2の入射角に対する平均反射率Rp2を有する。Rs2/Rs1及びRp2/Rp1の各々が、約1.15超である。
【0027】
したがって、可視波長範囲、並びにs偏光及びp偏光の各々に対して、多層部分ミラーは、約45度超の第2の入射角で入射する光(すなわち、軸外光)に対して、約10度未満の第1の入射角で入射する光(すなわち、実質的に垂直な入射光又は軸上光)よりも高い平均光反射率を有する。言い換えれば、可視波長範囲、並びにs偏光及びp偏光の各々に対して、多層部分ミラーは、軸上光に対する光透過率が軸外光に対する光透過率よりも高い。可視波長範囲では、多層部分ミラーは、s偏光及びp偏光の両方に対して軸外光を実質的にコリメートし得るため、多層部分ミラーは、第2の入射角で入射するs偏光及びp偏光のうちの一方のみを典型的に反射する従来のコリメーティングフィルムよりも改善されたコリメーションを提供し得る。更に、可視波長範囲では、多層部分ミラーは、一方向に沿って偏光された軸上光(s偏光及びp偏光のうちの一方)でさえ実質的に遮断する従来のコリメーティングフィルムと比較して、軸上光に対してより低い平均光反射率を有し得る。軸上光に対する光反射率は、軸上輝度を低下させる可能性があるために一般に望ましくない。したがって、可視波長範囲では、軸上光の平均光反射率が低いほど、多層部分ミラーを含むディスプレイシステムの軸方向輝度を改善し得る。
【0028】
更に、多層部分ミラーの反射帯域端は、赤外線波長範囲内の光を通過させるように調整されてもよく、それによって、指紋感知用途のための多層部分ミラーを含むディスプレイデバイスを可能にする。
【0029】
図面を参照すると、
図1は、本開示の一実施形態による多層部分ミラー10の詳細な概略図である。多層部分ミラー10は、「ミラー10」と互換的に称され得る。ミラー10は、相互に直交するx方向、y方向及びz方向を画定する。X方向及びY方向は、ミラー10の面内軸である一方、Z方向は、ミラー10の厚さに沿って配置された横軸である。言い換えれば、x方向及びy方向は、ミラー10の平面(すなわち、x-y面)に沿っており、z方向は、ミラー10の平面に垂直であり、すなわち、ミラー10の厚さに沿っている。z方向は、「厚さ方向」と互換的に称され得る。ミラー10は、互いに直交する第1の方向及び第2の方向を更に画定する。いくつかの実施形態では、第1の方向及び第2の方向は、ミラー10の面内軸に沿っている。言い換えれば、第1の方向はx方向に対応し、第2の方向はy方向に対応する。
【0030】
いくつかの実施形態において、ミラー10は、対向する第1の主面101及び第2の主面102を含む。いくつかの実施形態では、ミラー10の第1の主面101及び第2の主面102は、外部環境に露出される。そのような実施形態では、ミラー10の第1の主面101及び第2の主面102は、それぞれ、外部環境に対し、ミラーと環境との第1の境界面及びミラーと環境との第2の境界面を形成し得る。いくつかの実施形態では、外部環境は空気を含む。
【0031】
反射偏光子10は、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12を含む。複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、「交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12」、又は「第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12」、又は「ポリマー層11、12」と互換的に称され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、合計で少なくとも50に達する。いくつかの他の実施形態では、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、合計で少なくとも100少なくとも200、少なくとも300、又は少なくとも400に達する。いくつかの実施形態では、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、合計で少なくとも50~600に達する。いくつかの実施形態では、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、合計で約100~約500、約200~約450、又は約300~約450に達する。
図1に示すように、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、ミラー10の厚さ方向に沿って交互構成で積層される。
【0033】
いくつかの実施形態において、多層部分ミラー(ミラー10など)は、交互ポリマー層の共押出によって以前に実証された多層光学フィルム(MOF)であってもよい。例えば、米国特許第3,610,729号(Rogers)、同第4,446,305号(Rogersら)、同第4,540,623号(Imら)、同第5,448,404号(Schrenkら)、及び同第5,882,774号(Jonzaら)を参照されたい。これらのポリマー多層光学フィルムにおいて、個々の層(例えば、第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12)の作製には、ほとんど又は専ら、ポリマー材料が使用される。更に、このような多層光学フィルムは、大量生産プロセスと適合性があることがあり、大きなシート及びロール製品として製造及び保管され得る。
【0034】
多層光学フィルムは、異なる屈折率特質を有する複数の層を含み、それにより、層に入射する光の少なくとも一部は、隣接する層間の境界面で反射される。層は概ね十分に薄いため、隣接層間の複数の境界面で反射された光は、強め合う干渉又は弱め合う干渉を受けて、多層光学フィルムに所望の反射特性又は透過特性を与える。紫外線、可視、又は近赤外線波長光を反射するように設計された多層光学フィルムに対しては、層の各々は概ね、光学的厚さ(層の物理的厚さ×対応する屈折率)は約1μm未満である。多層光学フィルムの外表面のスキン層、又は層の可干渉性グループ(以下「パケット」と称する)同士を隔てる、多層光学フィルム内に配置される保護境界層(PBL)などの、より厚い光学厚さを有する層が含まれていてもよい。
【0035】
偏光用途、例えば、反射偏光子の場合には、層の少なくともいくつかは、層の屈折率がポリマーの直交座標系の軸に沿って異なる値を有する複屈折性のポリマーを含んでもよい。複屈折性のポリマーは、非偏光用途においても使用することができる。
【0036】
場合によっては、層は、1/4波長スタックに対応する厚さ及び屈折率を有し、すなわち、光学繰り返し単位又は単位セルに配置され、各光学繰り返し単位又は単位セルは、実質的に等しい光学厚さ(f比=50%)を有する2つの隣接する層を有する。そのような光学繰り返し単位は、構成的干渉によって、波長λが光学繰り返し単位の全光学的厚さの2倍である光を反射する。f比が50%とは異なる、2層の光学繰り返し単位を有する多層光学フィルム、又は光学繰り返し単位が3つ以上の層を含む多層光学フィルムなどの他の層構成も知られている。このような光学繰り返し単位を有する多層光学フィルムは、特定の高次反射を低減又は増加させるように構成することができ、例えば、米国特許第5,360,659号(Arendら)及び同第5,103,337号(Schrenkら)を参照されたい。多層光学フィルムの厚さ方向(z方向など)に沿った厚さ勾配を使用して、可視波長範囲のかなりの部分にわたって延びる反射帯域などの拡大された反射帯域を提供することができ、反射帯域がより短い波長にシフトするにつれて、斜め入射角で入射する光に対して、層が可視波長範囲にわたる反射率を有するように、近赤外波長範囲を含んでもよい。帯域端を鋭くするように調整された厚さ勾配、すなわち高反射と高透過の間の波長遷移は、米国特許第6,157,490号(Wheatleyら)に記述されている。
【0037】
多層光学フィルムと、関連する設計及び構造の更なる詳細は、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)及び同第6,531,230号(Weberら)、PCT国際公開第95/17303号(Ouderkirkら)及び同第99/39224号(Ouderkirkら)、並びに表題「Giant Birefringent Optics in Multilayer Polymer Mirrors」、Science,Vol.287,March 2000(Weberら)という刊行物に記述されているようなものであり得る。多層光学フィルム、及び関連の物品は、光学的特性、機械的特性、及び/又は化学的特性により選択される、追加の層及びコーティングを含むことがある。例えば、紫外線(UV)吸収層を多層光学フィルムの光が入射する側に追加して、多層光学フィルムの構成要素をUV光によって引き起こされる劣化から保護することができる。紫外線硬化型アクリレート接着剤又は他の好適な材料を用いて、多層光学フィルムを機械的補強層に取り付けることができる。このような補強層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリカーボネートなどのポリマーを含む場合があり、また例えばビーズ又はプリズムを使用することにより光拡散又はコリメーションなどの光学的機能を提供する、構造化された表面を含む場合もある。多層光学フィルムは、耐擦傷性層、耐引裂性層、及び硬化剤などの追加の層及びコーティングを更に含んでもよく、例えば、米国特許第6,368,699号(Golbertら)を参照されたい。多層光学フィルムを作るための方法及び装置は、米国特許第6,783,349号(Neavinら)に記述されている。
【0038】
一般に、多層光学フィルム(ミラー10など)の反射特性及び透過特性は、それぞれの層(第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12など)の屈折率(nx1、ny1、nz1、nx2、ny2、nz2など)、平均厚さ(平均厚さtなど)、及び層の厚さの変動(
図2A及び
図2Bに記載されるものなど)の関数であり得る。各層は、少なくとも多層光学フィルム内の局所位置において、面内屈折率(例えば、nx1、ny1、nx2、ny2)及び多層光学フィルムの厚さ方向に関連付けられた屈折率(例えば、nz1、nz2)によって特徴付けることができる。これらの屈折率は、それぞれ互いに直交するx方向及びy方向に沿って偏光された光に対する多層光学フィルムの層の対応する屈折率を表し得る。
【0039】
場合によっては、多層光学フィルムの層は、多層光学フィルムのx方向に沿って配向されてもよく、それにより、nx1とnx2との差(Δnx)の大きさが最大値を有し得る。本特許出願での説明を容易にするため、別段の指定がない限り、x方向、y方向、及びz方向は、多層光学フィルム上のあらゆる対象点に適用可能なローカルな直交座標系の軸であり、層はx-y面に平行に延び、x軸は、Δnxの大きさを最大とするように多層光学フィルムの面内に配向されているものとする。この場合、ny1とny2との差(Δny)の大きさは、Δnxと等しくても又はそれより小さくてもよいが、Δnxを超えない。更に、多層光学フィルムの第1の層の材料は、Δnxが負でないことを要することによって定められてもよい。言い換えれば、層の材料は、nx1がnx2以上であるように選択されてもよく、したがって、Δnx≧0である。実際には、多層光学フィルムの層の屈折率は、適切な材料選択及び加工条件によって制御されてもよい。
【0040】
多層光学フィルムは、複数(例えば、数十又は数百)の交互のポリマーA、Bの層を共押出しすることによって作製されてもよく、場合によってはその後、この交互のポリマーA、Bの多層押出物を1つ以上の増倍器に通し、次にこの多層押出物を延伸するか又は別様に配向させて最終的なフィルムを形成してもよい。得られるフィルムは、典型的には、可視又は近赤外などの電磁スペクトルの所望の領域において1つ以上の反射帯域をもたらすように厚さ及び屈折率が調整されている、複数の交互の層から構成されている。
【0041】
場合によっては、1つの方向(x方向など)に沿って偏光された光について目標とする反射率を達成するために、複数の交互の層は、一方向に沿って偏光された光に対して、少なくとも約0.04のそれらの屈折率の差(例えば、Δnx)を示すように調整されてもよい。そのような場合、1つの方向(y方向など)に対して直交する方向に沿って偏光された光に対する目標反射率を更に達成するために、複数の交互の層は、1つの方向に直交する方向に沿って偏光された光に対して、少なくとも約0.05のそれらの屈折率の差(例えば、Δny)を示すように調整されてもよい。上記で参照された‘774(Jonzaら)特許は、特に、nz1とnz2との差(Δnz)が、斜めに入射するp偏光に対して所望の反射率を達成するようにいかにして調整することができるかを記載している。場合によっては、斜めに入射するp偏光の高い反射率を維持するために、交互の層は、実質的にΔnzが最大面内屈折率差(すなわち、Δnz)未満となり得るように調製されてもよい。場合によっては、Δnz≦0.5*Δnx、又はΔnz≦0.25*Δnxである。場合によっては、Δnzは、0又は0に近い値を有してもよく、これは、p偏光に対する反射率がp偏光の入射角の関数として実質的に一定のままであり得る交互の層の間の境界面をもたらし得る。場合によっては、Δnzは、0未満であってもよく、これは、p偏光に対する反射率がp偏光の入射角の増加とともに増加する境界面をもたらし得る。いくつかの場合においてΔnx、Δny、及びΔnzの値は、s偏光に対する目標反射率を達成するように同様に調整されてもよい。
【0042】
‘774号(Jonzaら)特許は、多層反射又は反射偏光子と呼ばれる偏光子として構成され得る多層光学フィルムに関する特定の設計事項考慮を更に述べている。多数の用途において、理想的な反射偏光子は、一方の軸(「消光」又は「ブロック」軸)に沿った実質的に高い反射率と、他方の軸(「透過」又は「通過」軸)に沿った実質的にゼロの反射率とを有してもよい。本出願のためには、その偏光状態が通過軸又は透過軸に実質的に整列している光は通過光と呼び、その偏光状態がブロック軸又は消光軸に実質的に整列している光はブロック光と呼ぶ。別段の規定がない限り、入射角60°の通過光とは、p偏光通過光で測定したものである。なにがしかの反射率が透過軸に沿って生じる場合には、オフノーマル角度での偏光子の効率は低下し、様々な波長に対する反射率が異なる場合には、透過光に色が導入されることがあり得る。更には、ある多層系においては2つのy屈折率及び2つのz屈折率の厳密な整合は可能でなく、z軸屈折率が不整合である場合には、面内屈折率n1y及びn2yに対して若干の不整合の導入が望まれることがある。特に、y屈折率の不整合がz屈折率の不整合と同一の符号を有するように構成することによって、ミクロ層の境界面でブリュースター効果が生じて、多層反射偏光子の透過軸に沿った軸外れ(off-axis)の反射率、それゆえ軸外れの色が最小となる。
【0043】
いくつかの例では、多層を作製するための方法は、(a)完成フィルムに使用される第1のポリマーA及び第2のポリマーBに対応する樹脂の少なくとも第1のストリーム及び第2のストリームを提供することと、(b)好適なフィードブロックを使用して、第1のストリーム及び第2のストリームを複数の層に分割することであって、フィードブロックが、(i)第1の流れチャネル及び第2の流れチャネルを含む勾配プレートであって、第1のチャネルが流れチャネルに沿って第1の位置から第2の位置まで変化する断面積を有する、勾配プレートと、(ii)第1の流れチャネルと流体連通する第1の複数の導管、及び第2の流れチャネルと流体連通する第2の複数の導管を有する供給管プレートであって、第1の複数の導管及び第2の複数の導管の各導管がそれ自体の各々のスロットダイに供給し、第1の複数の導管及び第2の複数の導管の各導管が第1の端部及び第2の端部を有し、導管の第1の端部が流れチャネルと流体連通しており、導管の第2の端部がスロットダイと流体連通している、供給管プレートと、(iii)任意選択的に、上記導管の近位に位置する軸方向のロッドヒータと、を含み得るものである、分割することと、(c)複合ストリームを押出ダイに通過させて、各層が隣接する層の主面に概ね平行である多層ウェブを形成することと、(d)多層ウェブを、キャスティングホイール又はキャスティングドラムと呼ばれることもあるチルロール上にキャストして、キャスト多層フィルムを形成することと、を含んでもよい。このキャストフィルムは、仕上げフィルムと同じ数の層を有し得るが、キャストフィルムの層は、典型的には、完成フィルムの層よりもはるかに厚い。
【0044】
冷却後、多層ウェブを再加熱し、引き伸ばし、又は延伸して、完成に近い多層光学フィルムを製造することができる。引き伸ばし又は延伸は、2つの目的、すなわち、層を所望の最終的な厚さプロファイルまで薄くすること、及び、層の少なくともいくつかが複屈折となるように層を配向することを達成する。方向付けること又は延伸は、クロスウェブ方向に沿って(例えばテンターにより)、ダウンウェブ方向に沿って(例えばレングスオリエンタ(length orienter)により)、又はそれらの任意の組み合わせで、同時に又は連続的に達成することができる。1つの方向にのみ延伸される場合、延伸は「拘束しない」(フィルムは延伸方向に直角な面内方向に寸法的に緩和可能である)、又は「拘束する」(フィルムが拘束され、したがって延伸方向に直角な面内方向で寸法的に緩和できない)。両面内方向に沿って延伸される場合、延伸は対称的、すなわち、直交する面内方向に沿って等しくてもよく、又は非対称的であってもよい。あるいは、フィルムは、バッチプロセスで延伸されてもよい。いずれの場合も、後続又は同時の引き伸ばしの低減(draw reduction)、応力又は歪み平衡、ヒートセット、及び他の処理操作もフィルムに適用することができる。
【0045】
交互の層のポリマーを、同様のレオロジー特性を有するように、例えば融解粘度を有するように選択することができ、それによりこれらのポリマーは、有意な流れの乱れを伴うことなく共押出することができる。押出条件は、それぞれのポリマーを供給ストリーム及び溶融ストリームとして、連続的かつ安定した様式で、適切に供給、溶融、混合、及びポンプ送りするように選択されてもよい。溶融ストリームの各々を形成し、維持するために使用される温度は、温度範囲の下限で凍結、結晶化又は過度な圧力低下を回避し、温度範囲の上限で材料劣化を回避する範囲内で選択してもよい。
【0046】
多層光学フィルムは、任意の好適な光透過性材料を用いて製造できるが、多くの場合、低吸収性ポリマー材料を使用することが有益であり得る。そのような材料を用いると、可視及び赤外波長にわたる層の吸収を小さく又は無視できるほど小さくすることができ、その結果、多層光学フィルムに入射する入射光の任意の所与の波長及び任意の特定の入射角及び偏光状態において、多層光学フィルムの反射率(R)及び透過率(T)の合計は、およそ100%、すなわち、R+T≒100%、又はR≒100%-Tである。例示的な多層光学フィルムは、ポリマー材料で構成されてもよく、共押出、キャスティング、及び配向プロセスを用いて製造されてもよい。米国特許第5,882,774号(Jonzaら)「Optical Film」、米国特許第6,179,948号(Merrillら)「Optical Film and Process for Manufacture Thereof」、米国特許第6,783,349号(Neavinら)「Apparatus for Making Multilayer Optical Films」、及び米国特許出願公開第2011/0272849号(Neavinら)「Feedblock for Manufacturing Multilayer Polymeric Films」が参照される。
【0047】
いくつかの実施形態において、ポリマー層11、12は、1つ以上のポリマー材料、例えば、ポリヘキシルエチレンナフタレート(PHEN)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、コポリマーであってPHEN、PEN、及び/又は他のポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)又は二安息香酸を含有するポリエステル)を含有するもの、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート(PC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、又はこれらのクラスの材料のブレンドを含んでもよい。
【0048】
いくつかの実施形態において、第1のポリマー層11は、高屈折率光学(HIO)層を含んでもよい。いくつかの例では、第1のポリマー層11は、最終ポリマー中のジオール基準で約30モル%~約70モル%のヘキサンジオールの得られる割合を有するPHENコポリマーを含んでもよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、第2のポリマー層12は、低屈折率光学(LIO)層を含んでもよい。いくつかの例では、第2のポリマー層12は、最終ポリマー中のジオール基準で約30モル%~70モル%のヘキサンジオールの得られる割合を有するPHENコポリマーを含んでもよい。いくつかの例では、第2のポリマー層は、PHENコポリマーとPETとのブレンドを含んでもよく、PETのレベルは、最終ポリマーの30重量%~70重量%である。
【0050】
第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、同じ面内x方向に沿ってそれぞれの屈折率nx1及びnx2を有する。具体的には、第1のポリマー層11は、面内x方向に沿って屈折率nx1を含み、第2のポリマー層12は、同じ面内x方向に沿って屈折率nx2を含む。言い換えれば、各第1のポリマー層11は、x方向に沿って屈折率nx1を含む。各第2のポリマー層12は、x方向に沿って屈折率nx2を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、屈折率nx1は、約1.6~約1.76、すなわち、1.6≦nx1≦1.76である。いくつかの例では、屈折率nx1は、約1.690、約1.739、又は約1.740であってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、屈折率nx2は、約1.55~約1.75、例えば、1.55≦nx2≦1.75である。いくつかの例では、屈折率nx2は、約1.620、約1.628、又は約1.629であってもよい。
【0053】
第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、x方向に直交する面内y方向に沿ってそれぞれの屈折率ny1及びny2を有する。具体的には、第1のポリマー層11は、面内y方向に沿って屈折率ny1を含み、第2のポリマー層12は、面内y方向に沿って屈折率ny2を含む。言い換えれば、各第1のポリマー層11は、y方向に沿って屈折率ny1を含む。各第2のポリマー層12は、y方向に沿って屈折率ny2を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、屈折率ny1は、約1.6~約1.76、すなわち、1.6≦ny1≦1.76である。いくつかの実施例では、屈折率ny1は、約1.695、約1.739、又は約1.740であってもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、屈折率ny2は、約1.55~約1.75、すなわち、1.55≦ny2≦1.75である。いくつかの例では、屈折率ny2は、約1.620、1.628、又は約1.629であってもよい。
【0056】
第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、x方向及びy方向に直交するポリマー層11、12の厚さ方向に沿ってそれぞれの屈折率nz1及びnz2を更に含む。具体的には、第1のポリマー層11は、厚さ方向に沿って屈折率nz1を含み、第2のポリマー層12は、厚さ方向に沿って屈折率nz2を含む。言い換えれば、各第1のポリマー層11は、z方向に沿って屈折率nz1を含む。各第2のポリマー層12は、z方向に沿って屈折率nz2を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、屈折率nz1は、約1.5~約1.55、すなわち、1.5≦nz1≦1.55である。いくつかの実施例では、屈折率nz1は、約1.510、約1.513、又は約1.514であってもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、屈折率nz2は、約1.6~約1.7、すなわち、1.6≦nz2≦1.7である。いくつかの例では、屈折率nz2は、約1.620、約1.623、又は約1.624であってもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、約420ナノメートル(nm)~約680nmに及ぶ可視波長範囲95(
図4A~
図4Dに示す)内の少なくとも1つの波長に対して、nx1及びny1は互いに約0.05以内である。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長は、赤色波長である。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長は、約633nmである。言い換えれば、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長に対して、nx1とny1との差の大きさは、約0.05以下、すなわち、|nx1-ny1|≦0.05であってもよい。したがって、場合によっては、nx1とny1とは実質的に等しくてもよい。言い換えれば、第1のポリマー層11は、約0.05未満の面内複屈折を有してもよい。一般に、複屈折は、材料における光学異方性の尺度を指す。更に、複屈折は、2つの互いに垂直な方向(例えば、x方向及びy方向)に沿った材料の2つの屈折率の差として測定される。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長に対して、nx1及びny1は、互いに約0.02以内、約0.015以内、約0.01以内、約0.0075以内、約0.005以内、約0.004以内、約0.003以内、又は約0.002以内である。
【0060】
いくつかの実施形態では、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長に対して、nz1は、nx1及びnx2の各々よりも少なくとも0.06小さい。言い換えれば、nx1とnz1との差は0.06以上、すなわち、(nx1-nz1)≧0.06であってもよく、nx2とnz1との差は0.06以上、すなわち、(nx2-nz1)≧0.06であってもよい。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長に対して、nz1は、nx1及びnx2の各々よりも、少なくとも0.08、少なくとも0.1、少なくとも0.12、少なくとも0.14、少なくとも0.16、少なくとも0.18、少なくとも0.20、少なくとも0.21、又は少なくとも0.22小さい。したがって、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長に対して、第1のポリマー層11は、約0.06超の面外複屈折を有する。
【0061】
いくつかの実施形態では、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長に対して、nx2、ny2、及びnz2は、互いに約0.05以内である。言い換えれば、nx2とny2との差の大きさは、約0.05以下、すなわち、|nx2-ny2|≦0.05であってもよく、ny2とnz2との差の大きさは、約0.05以下、すなわち、|ny2-nz2|≦0.05であってもよく、nz2とnx2との差の大きさは、約0.05以下、すなわち、|nz2-nx2|≦0.05であってもよい。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長に対して、nx2、ny2、及びnz2は、互いに約0.02以内、約0.015以内、約0.01以内、約0.0075以内、約0.005以内、又は約0.0025以内である。したがって、場合によっては、nx2、ny2、及びnz2は実質的に互いに等しくてもよい。更に、いくつかの例では、第2のポリマー層12は、等方性であってもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長に対して、nx2と((nx1+nz1)/2)との差の大きさは、約0.05未満である。言い換えれば、nx2と、nx1及びnz1の平均との差の大きさは、約0.05未満、すなわち、|nx2-((nx1+nz1)/2)|<0.05である。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長に対して、nx2と((nx1+nz1)/2)との間の差の大きさは、約0.045未満、約0.04未満、約0.035未満、約0.03未満、約0.025未満、約0.02未満、約0.015未満、又は約0.01未満である。したがって、場合によっては、nx2は、nx1とnz1との平均に実質的に等しくてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長に対して、第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の各々は、約0.05未満の面内複屈折を有する。具体的には、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長に対して、各第1のポリマー層11は、約0.05未満の面内複屈折を有し、すなわち、|nx1-ny1|<0.05であり、各第2のポリマー層12は、約0.05未満の面内複屈折を有し、すなわち、|nx2-ny2|<0.05である。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長に対して、第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の各々は、約0.4未満、約0.03未満、約0.02未満、又は約0.01未満の面内複屈折を有する。いくつかの例では、|nx1-ny1|は約0.005であってもよい。いくつかの例では、|nx2-ny2|は約0であってもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長に対して、第1のポリマー層11は、約0.06超の面外複屈折を有する。具体的には、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長に対して、第1のポリマー層11は、z方向に対して、約0.06超の面外複屈折を有する、すなわち、|nx1-nz1|>0.6及び|ny1-nz1|>0.6である。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長に対して、第1のポリマー層11は、約0.08超、約0.12超、約0.14超、又は約0.16超の面外複屈折を有する。いくつかの例では、|nx1-nz1|は約0.18であってもよい。いくつかの例では、|ny1-nz1|は約0.185であってもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長に対して、第2のポリマー層12は、約0.02未満の面外複屈折を有する。具体的には、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長に対して、第2のポリマー層12は、z方向に対して約0.02未満の面外複屈折、すなわち、|nx2-nz2|<0.02及び|ny2-nz2|<0.02を有する。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長に対して、第2のポリマー層11は、約0.015未満、約0.01未満、約0.005未満、又は約0.002未満の面外複屈折を有する。いくつかの例では、|nx2-nz2|は、約0であってもよい。いくつかの例では、|ny2-nz2|は、約0であってもよい。いくつかの例では、第2のポリマー層12は、等方性であってもよい。
【0066】
ミラー10は、対向する第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14を更に含む。第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14は、まとめて「ポリマースキン層13、14」と称され得る。第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の各々は、第1のポリマースキン層13と第2のポリマースキン層14との間に配置される。言い換えれば、第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14は、ミラー10の対向する主面を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14は、それぞれの第1の主面101及び第2の主面102を含む。したがって、いくつかの実施形態では、第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14は、外部環境に対し、それぞれのミラーと環境との第1の境界面及びミラーと環境との第2の境界面を形成する。場合によっては、ミラー10は、一体形成された対向する第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14を含む。複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、一体的に形成された対向する第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14の間に配置される。場合によっては、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、対向する第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14の間に配置され、それらと一体的に形成される。
【0067】
ポリマースキン層13、14の各々は、平均厚さ「ts」を有する。ポリマースキン層13、14の各々は、z方向に沿った平均厚さ「ts」を画定する。本明細書で使用するとき、用語「平均厚さ」は、層の平面(すなわち、x-y面)に沿った平均厚さを指す。ポリマースキン層13、14の各々は、約0.5ミクロン超の平均厚さ「ts」を有する。いくつかの実施形態では、ポリマースキン層13、14の各々は、約0.75ミクロン超、約1ミクロン超、約2ミクロン超、約5ミクロン超、約6ミクロン超、約7ミクロン超、約8ミクロン超、約9ミクロン超、約10ミクロン超、約12ミクロン超、又は約15ミクロン超の平均厚さ「ts」を有する。
【0068】
いくつかの実施形態では、第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14は、実質的に同じ材料組成を有する。いくつかの実施形態では、第1のポリマー層11と、第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14のうちの少なくとも1つとは、実質的に同じ材料組成を有する。いくつかの実施形態では、第2のポリマー層12と、第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14のうちの少なくとも1つとは、実質的に同じ材料組成を有する。
【0069】
いくつかの実施形態では、第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14は、1つ以上のポリマー材料、例えば、PHEN、PEN、コポリマーであってPHEN、PEN、及び/又は他のポリエステル(例えば、PET又は二安息香酸を含有するポリエステル)を含有するもの、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、PC、PMMA、又はこれらのクラスの材料のブレンドを含んでもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長に対して、第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14の各々では、x方向、y方向、及びz方向の各々に沿った、ポリマースキン層13、14並びに第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12のうちの1つの対応する屈折率は、互いに約0.05以内である。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長に対して、第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14の各々では、x方向、y方向、及びz方向の各々に沿ったポリマースキン層13、14並びに第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12のうちの1つの対応する屈折率は、互いに約0.02以内、約0.015以内、約0.01以内、約0.0075以内、約0.005以内、又は約0.0025以内である。
【0071】
上述のように、いくつかの実施形態では、第1のポリマー層11と、第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14のうちの少なくとも1つとは、実質的に同じ材料組成を有する。したがって、いくつかの実施形態では、第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14の各々では、x方向、y方向、及びz方向の各々に沿ったポリマースキン層13、14及び第1のポリマー層11の対応する屈折率は、実質的に同様である。具体的には、第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14の各々では、x方向、y方向、及びz方向の各々に沿ったポリマースキン層13、14及び第1のポリマー層11の対応する屈折率は、互いに約0.05以内である。いくつかの実施形態では、第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14の各々では、x方向、y方向、及びz方向の各々に沿ったポリマースキン層13、14及び第1のポリマー層11の対応する屈折率は、互いに約0.02以内、約0.015以内、約0.01以内、約0.0075以内、約0.005以内、又は約0.0025以内である。
【0072】
上述したように、いくつかの実施形態では、第2のポリマー層12と、第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14のうちの少なくとも1つとは、実質的に同じ材料組成を有する。したがって、いくつかの実施形態では、第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14の各々では、x方向、y方向、及びz方向の各々に沿ったポリマースキン層13、14及び第2のポリマー層12の対応する屈折率は、実質的に同様である。具体的には、第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14の各々では、x方向、y方向、及びz方向の各々に沿ったポリマースキン層13、14及び第2のポリマー層12の対応する屈折率は、互いに約0.05以内である。いくつかの実施形態では、第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14の各々では、x方向、y方向、及びz方向の各々に沿ったポリマースキン層13、14及び第2のポリマー層12の対応する屈折率は、互いに約0.02以内、約0.015以内、約0.01以内、約0.0075以内、約0.005以内、又は約0.0025以内である。
【0073】
いくつかの実施形態では、ミラー10は、少なくとも1つの中間層16を含んでもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの中間層16は、約500nm超の平均厚さを有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの中間層16は、複数のポリマーの第1の層11及び第2の層12との間に配置される。具体的には、少なくとも1つの中間層16は、ポリマーの第1の層11及び第2の層12の2つのスタックの間に配置されてもよい。
図1の図示された実施形態において、少なくとも1つの中間層16は、第1のポリマー層11a及び第2のポリマー層12aとの間に配置される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの中間層16の材料組成は、第1のポリマースキン層13及び第2のポリマースキン層14のうちの少なくとも1つの材料組成と実質的に同様であってもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、ポリマースキン層13、14、ポリマー層11、12、及び少なくとも1つの中間層16は、互いに実質的に同一の広がりを有してもよく、又は同等の面内寸法(すなわち、長さ及び幅)であってもよい。言い換えれば、ポリマースキン層13、14、ポリマー層11、12、及び少なくとも1つの中間層16は、x-y面において互いに実質的に同一の広がりを有し得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、ミラー10は、接着層、基板層などの追加の層又は中間層を含んでもよい。ミラー10は、所望の用途属性に基づいて任意の適切な厚さを有してもよい。
【0076】
図2Aは、本開示の一実施形態による、ミラー10の複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の厚さの変動を示すプロット150を示す。複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の厚さは、縦座標上にナノメートル(nm)で示され、層番号は横座標上に示される。具体的には、プロット150は、縦座標に平均層厚さをnmで示し、横座標に層番号を示す。
図2Aの図示された実施形態では、プロット150は、ミラー10の層1~420の複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の厚さの変動を示す。プロット150は、ミラー10の複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の厚さの変動を示す厚さ曲線155を含む。
図2Bは、ミラー10の層100~150の複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の厚さの変動を示すプロット150の部分Aの拡大図である。
【0077】
ここで
図1、
図2A及び
図2Bを参照すると、第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の各々は、平均厚さ「t」を有する。第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の各々は、z方向に沿った平均厚さ「t」を画定する。第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の各々は、互換的に「各ポリマー層11、12」と称され得る。第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の各々は、約500nmよりも小さい平均厚さ「t」を有する。具体的には、第1のポリマースキン層13と第2のポリマースキン層14との間に配置された各ポリマー層11、12は、約500nm未満の平均厚さ「t」を有する。いくつかの実施形態では、第1の層11及び第2の層12の各々は、約400nm未満、又は約300nm未満、又は約200nm未満の平均厚さ「t」を有する。
【0078】
プロット150から明らかなように、いくつかの実施形態では、交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の最大厚さと最小厚さとの差は、約45%~65%である。いくつかの実施形態では、交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の最大厚さと最小厚さとの差は、約50%~約60%であってもよい。
【0079】
図2Aの図示された実施形態では、交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の最大厚さ及び最小厚さは、それぞれ126.7nm及び57.6nmである。したがって、交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の最大厚さと最小厚さとの差は、約54.5%である。
【0080】
更に、いくつかの実施形態では、第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の厚さは、一般に、350~400の閾値層番号まで層番号とともに増加する。更に、第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の厚さは、一般に、閾値層番号の後、層番号とともに減少する。
【0081】
いくつかの実施形態では、交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12における隣接するポリマー層の厚さ間の最大差は、約25%未満である。いくつかの実施形態では、交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12における隣接するポリマー層の厚さ間の最大差は、約20%未満、約15%未満、又は約10%未満である。
図2A及び
図2Bの図示された実施形態において、交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12における隣接するポリマー層の厚さ間の最大差は、約10%である。
【0082】
隣接するポリマー層11、12の厚さの差は、
図2Bに最もよく示されている。具体的には、厚さ曲線155は、交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の厚さのそれぞれの値を示す複数のV字形セグメントを有する。
【0083】
交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の各々の厚さは、それぞれのV字形セグメントの山又は谷によって示される個別の値である。
図2Bは、例示的なポリマー層211、212、213、214、及び215(211~215)の厚さを示す。ポリマー層211、212、213、214、及び215は、
図2Bに示される層番号105、106、107、108及び109に対応し得る。ポリマー層211~215は、対応する厚さ201、202、203、204、205(201~205)を有する。この例では、それぞれの厚さ201、203、205を有するポリマー層211、213、215は、第1のポリマー層11であってもよく、それぞれの厚さ202、204を有するポリマー層212、214は、第2のポリマー層12であってもよく、その結果、第2のポリマー層12の各々の厚さは、隣接する後続の第1のポリマー層11の厚さよりも小さい。
【0084】
しかしながら、いくつかの例では、それぞれの厚さ201、203、205を有するポリマー層211、213、215は第2のポリマー層12であってもよく、それぞれの厚さ202、204を有するポリマー層212、214は第1のポリマー層11であってもよく、その結果、第1のポリマー層11のそれぞれの厚さは、隣接する後続の第2のポリマー層12の厚さよりも小さい。
【0085】
図3A及び
図3Bは、本開示の一実施形態によるミラー10の概略断面図である。
図3A及び
図3Bは、入射面22内を伝搬する入射光20、21をそれぞれ示す。
【0086】
入射面22は、x方向を含む。入射面22は、ミラー10に対する法線Nを更に含んでもよい。法線Nは、ミラー10の平面(すなわち、x-y面)に実質的に直交する。言い換えれば、法線Nは、ミラー10のz方向に実質的に沿っている。入射面22は、ミラー10のx-z面に実質的に対応する。いくつかの実施形態では、入射面22は、同じ面内第1の方向を含む。いくつかの実施形態では、同じ平面内はミラー10のx-z面であり、同じ面内第1の方向はx方向である。
【0087】
図3A及び
図3Bに示すように、入射光20、21の各々は、法線Nに対して入射角θでミラー10に入射する。具体的には、入射光20、21の各々は、第1の主面101(すなわち、ミラーと環境との第1の境界面)においてミラー10に入射する。しかしながら、いくつかの実施形態では、入射光20、21のうちの少なくとも1つは、第2の主面102(すなわち、ミラーと環境との第2の境界面)においてミラー10に入射してもよい。
【0088】
場合によっては、入射角θは、約10度未満の第1の入射角であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の入射角は、約9度未満、約8度未満、約7度未満、約6度未満、約5度未満、約4度未満、約3度未満、約2度未満、又は約1度未満である。いくつかの例では、第1の入射角は、約0度である。
【0089】
場合によっては、入射角θは、約45度超である第2の入射角であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の入射角は、約50度超である、又は約55度超である。いくつかの実施形態では、第2の入射角は、約60度である。
【0090】
ここで
図3Aを参照すると、入射光20は、s偏光である。入射光20はまた、「s偏光入射光20」又は「s偏光された入射光20」と互換的に称され得る。入射光20は、第2の方向に沿って偏光される。いくつかの実施形態では、第2の方向は、y方向に沿っていてもよい。したがって、入射光20は、y方向に沿って偏光される。入射光20は、「y方向に沿って偏光された入射光20」と互換的に称され得る。
【0091】
ここで
図3Bを参照すると、入射光21は、p偏光である。入射光21はまた、「p偏光入射光21」又は「p偏光された入射光21」と互換的に称され得る。具体的には、入射光21が第1の入射角で入射する場合、入射光21は第1の方向に沿って偏光される。いくつかの実施形態では、第1の方向は、x方向に沿ってもよい。したがって、入射光21が第1の入射角で入射する場合、入射光21はx方向に沿って偏光され得る。入射光21は、「x方向に沿って偏光された入射光21」と互換的に称され得る。
【0092】
図4Aは、本開示の一実施形態による、第1の入射角で入射するs偏光入射光20(
図3Aに示す)に対する、多層部分ミラー10(
図1に示す)の光反射率対波長を示すプロット400を示す。具体的には、プロット400は、約10度未満の第1の入射角で入射するs偏光入射光20に対する、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の光反射率対波長を示す。波長は、横座標にナノメートル(nm)で表される。光反射率は、左縦座標に反射率パーセントとして表される。光透過率は、右縦座標に透過率パーセントとして表される。透過率パーセントは反射率パーセントに対して相補的であるように近似され、すなわち、透過率=(100-反射率パーセント)である。
【0093】
プロット400は、第1の入射角で入射するs偏光入射光20に対する、多層部分ミラー10の光反射率対波長に対応する曲線30を含む。場合によっては、プロット400では、第1の入射角は、約0度である。曲線30は、「光反射率対波長30」と互換的に称され得る。光反射率は、「反射率」と互換的に称され得る。
【0094】
図1、
図3A、
図3B、及び
図4Aを参照すると、可視波長範囲95、約800nm~約1300nmの赤外波長範囲96、及びx方向を含む入射面22内を伝搬する入射光20に対して、及び約10度未満の第1の入射角では、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、y方向に沿って偏光された入射光20に対する平均反射率Rs1を有する。具体的には、可視波長範囲95、赤外波長範囲96、及び同じ面内第1の方向(すなわち、x方向)を含む入射面22内を伝搬する入射光20に対して、約10度未満の第1入射角では、ミラー10は、s偏光入射光20に対して平均反射率Rs1を有する。言い換えれば、可視波長範囲95、赤外波長範囲96、及びx方向を含む入射面22内を伝搬する入射光20に対して、及びs偏光入射光20の場合、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、約10度未満の第1の入射角に対して平均反射率Rs1を有する。
【0095】
いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rs1は約85%未満である。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rs1は、約80%未満、約75%未満、約70%未満、又は約65%未満である。
【0096】
更に、いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rs1は約50%超である。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rs1は、約55%超、約60%超、約65%超、又は約70%超である。したがって、いくつかの実施形態において、可視波長範囲95に対して、Rs1は約50%~約85%である。いくつかの例では、可視波長範囲95に対して、Rs1は約64%又は約71.7%である。
【0097】
更に、いくつかの実施形態では、赤外波長範囲96、及びx方向を含む入射面22内を伝搬するs偏光入射光20に対して、第1の入射角では、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、約50%超である平均透過率Ts1を有する。いくつかの実施形態では、赤外波長範囲96、及びx方向を含む入射面22内を伝搬するs偏光入射光20に対して、第1の入射角では、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、約60%超、約70%超、約75%超、又は約80%超である平均透過率Ts1を有する。いくつかの例では、Ts1は、約81%又は約83.7%である。
【0098】
更に、プロット400に示すように、第1の入射角及びs偏光入射光20に対して、光反射率対波長30は、約760nm~約980nmの反射帯域端32を含む。いくつかの実施形態では、第1の入射角及びs偏光入射光20に対して、光反射率対波長30は、約780nm~約960nm、又は約800nm~約940nmの反射帯域端32を含む。
【0099】
図4Bは、本開示の一実施形態による、第1の入射角で入射するp偏光入射光21(
図3Bに示す)に対する、多層部分ミラー10(
図1に示す)の光反射率対波長を示すプロット410を示す。具体的には、プロット410は、約10度未満の第1の入射角で入射するp偏光入射光21に対する、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の光反射率対波長を示す。波長は、横座標にナノメートル(nm)で表される。光反射率は、左縦座標に反射率パーセントとして表される。光透過率は、右縦座標に透過率パーセントとして表される。透過率パーセントは反射率パーセントに対して相補的であるように近似され、すなわち、透過率=(100-反射率パーセント)である。
【0100】
プロット410は、第1の入射角で入射するp偏光入射光21に対する、多層部分ミラー10の光反射率対波長に対応する曲線31を含む。場合によっては、プロット410では、第1の入射角は、約0度である。曲線31は、「光反射率対波長31」と互換的に称され得る。
【0101】
図1、
図3A、
図3B、及び
図4Bを参照すると、可視波長範囲95、赤外波長範囲96、x方向を含む入射面22内を伝搬する入射光21に対して、約10度未満の第1の入射角では、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、x方向に沿って偏光された入射光21に対して平均反射率Rp1を有する。具体的には、可視波長範囲95、赤外波長範囲96、及び同じ面内第1の方向を含む入射面22内を伝搬する入射光21に対して、約10度未満の第1の入射角では、ミラー10は、p偏光入射光21に対して平均反射率Rp1を有する。言い換えれば、可視波長範囲95、赤外波長範囲96、及びx方向を含む入射面22内を伝搬する入射光21に対して、p偏光入射光21では、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、第1の入射角に対して平均反射率Rp1を有する。
【0102】
いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rp1は、約85%未満である。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rp1は、約80%未満、約75%未満、約70%未満、約65%未満である。
【0103】
更に、いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rp1は約50%超である。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rp1は、約55%超、約60%超、約65%超、又は約70%超である。したがって、いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rp1は約50%~約85%である。いくつかの例では、可視波長範囲95に対して、Rp1は約64%又は約71.7%である。
【0104】
更に、いくつかの実施形態では、赤外波長範囲96、及びx方向及びを含む入射面22内を伝搬するp偏光入射光21に対して、第1の入射角では、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、約50%超である平均透過率Tp1を有する。いくつかの実施形態では、赤外波長範囲96、及び入射面22内を伝搬するp偏光入射光21に対して、第1の入射角では、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、約60%超、約70%超、約75%超、又は約80%超である平均透過率Tp1を有する。いくつかの例では、Tp1は、約81%又は約83.7%である。
【0105】
更に、プロット410に示すように、第1の入射角及びp偏光入射光21に対する光反射率対波長31は、約760nm~約980nmの反射帯域端33を含む。いくつかの実施形態では、第1の入射角及びp偏光入射光21に対する光反射率対波長31は、約780nm~約960nm、又は約800nm~約940nmの反射帯域端33を含む。
【0106】
ここで
図4A及び
図4Bを参照すると、Rp1及びRs1の各々は、可視波長範囲95に対して約85%未満である。いくつかの実施形態では、Rp1及びRs1の各々は、可視波長範囲95に対して約80%未満、約75%未満、約70%未満、又は約65%未満である。更に、Rp1及びRs1の各々は、赤外波長範囲96に対して約50%未満である。いくつかの実施形態では、Rp1及びRs1の各々は、赤外線波長範囲96に対して約45%未満、約35%未満、約30%未満、又は約25%未満である。
【0107】
したがって、赤外波長範囲96、及びs偏光入射光20及びp偏光入射光21の各々に対して、第1の入射角では、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、実質的に透過性であってもよい。したがって、多層部分ミラー10は、IR指紋感知用途に適し得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rp1/Rs1は約0.8~約1.2である。言い換えれば、可視波長範囲95に対して、Rp1対Rs1の比は約0.8~約1.2である。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rp1/Rs1は、約0.85~約1.15、約0.90~約1.10、又は約0.95~約1.05である。いくつかの例では、可視波長範囲95に対して、Rp1/Rs1は約1である。
【0109】
いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rp1及びRs1は互いに10%以内である。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rp1及びRs1は、互いに9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、又は2%以内である。
【0110】
したがって、可視波長範囲95に対して、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、s偏光入射光20及びp偏光入射光21の各々、並びに第1の入射角に対して実質的に同様の平均光反射率を有してもよい。
【0111】
p偏光入射光21及びs偏光入射光20に対する光反射率対波長31、30は、約760nm~約980nmの間の反射帯域端33、31を含む。
【0112】
多層部分ミラー10のそれぞれの光反射率対波長30、31の反射帯域端32、33は、IR指紋感知用途の所望の用途属性に基づいて調整されてもよい。
【0113】
図4Cは、本開示の一実施形態による、第2の入射角でミラー10に入射するs偏光入射光20(
図3Aに示す)についての多層部分ミラー10(
図1に示す)の光反射率対波長を示すプロット420を示す。具体的には、プロット420は、約45度超の第2の入射角で入射するs偏光入射光20に対する、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の光反射率対波長を示す。波長は、横座標にナノメートル(nm)で表される。光反射率は、左縦座標に反射率パーセントとして表される。光透過率は、右縦座標に透過率パーセントとして表される。透過率パーセントは反射率パーセントに対して相補的であるように近似され、すなわち、透過率=(100-反射率パーセント)である。
【0114】
プロット420は、第2の入射角で入射するs偏光入射光20に対する、多層部分ミラー10の光反射率対波長に対応する曲線35を含む。場合によっては、プロット420では、第2の入射角は約60度である。曲線35は、「光反射率対波長35」と互換的に称され得る。
【0115】
図1、
図3A、
図3B、及び
図4Cを参照すると、可視波長範囲95、赤外波長範囲96、x方向を含む入射面22内を伝搬する入射光20に対して、約45度超の第2の入射角では、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、y方向に沿って偏光された入射光20に対して平均反射率Rs2を有する。具体的には、可視波長範囲95、赤外波長範囲96、入射面22内を伝搬する入射光20、及びs偏光入射光20に対して、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、約45度超の第2の入射角では平均反射率Rs2を有する。
【0116】
いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rs2は約97%未満である。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rs2は、約96%未満、約95%未満、又は約94%未満である。
【0117】
更に、いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rs2は約70%超である。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rs2は、約75%超、約80%超、約85%超、又は約90%超である。したがって、いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rs2は約70%~約97%である。いくつかの例では、Rs2は、約92.4%又は約94.8%である。
【0118】
更に、いくつかの実施形態では、赤外波長範囲96、及びx方向を含む入射面22内を伝搬するs偏光入射光20に対して、第2の入射角では、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、約40%超の平均透過率Ts2を有する。いくつかの実施形態では、赤外波長範囲96、及び入射面22内を伝搬するs偏光入射光20に対して、第2の入射角では、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、約45%超、約50%超、約55%超、又は約60%超の平均透過率Ts2を有する。いくつかの例では、Ts2は、約64.2%又は約64.6%である。
【0119】
図4Dは、本開示の一実施形態による、第2の入射角でミラー10に入射するp偏光入射光21(
図3Bに示す)について、多層部分ミラー10(
図1に示す)の光反射率対波長を示すプロット430を示す。具体的には、プロット430は、約45度超の第2の入射角で入射するp偏光入射光21について、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12の光反射率対波長を示す。波長は、横座標にナノメートル(nm)で表される。光反射率は、左縦座標に反射率パーセントとして表される。光透過率は、右縦座標に透過率パーセントとして表される。透過率パーセントは反射率パーセントに対して相補的であるように近似され、すなわち、透過率=(100-反射率パーセント)である。
【0120】
プロット430は、第2の入射角で入射するp偏光入射光21について、多層部分ミラー10の光反射率対波長に対応する曲線36を含む。場合によっては、プロット430では、第2の入射角は約60度である。曲線36は、「光反射率対波長36」と互換的に称され得る。
【0121】
図1、
図3A、
図3B、及び
図4Dを参照すると、可視波長範囲95、赤外波長範囲96、x方向を含む入射面22内を伝搬する入射光21に対して、p偏光入射光21では、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、第2の入射角について平均反射率Rp2を有する。
【0122】
いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rp2は、約98%未満である。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rp2は、約97%未満、約96%未満、約95%未満、約94%未満、又は約93%未満である。
【0123】
更に、いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rp2は、約70%超である。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rp2は、約75%超、約80%超、約85%超、又は約90%超である。したがって、いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rp2は約70%~約98%である。いくつかの例では、可視波長範囲95に対して、Rp2は約93.3%又は約94.8%である。
【0124】
更に、いくつかの実施形態では、赤外波長範囲96、及びx方向を含む入射面22内を伝搬するp偏光入射光21に対して、第2の入射角では、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、約70%超の平均透過率Tp2を有する。いくつかの実施形態では、赤外波長範囲96、及び入射面22内を伝搬するp偏光入射光21に対して、第2の入射角では、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、又は約95%超の平均透過率Tp2を有する。いくつかの例では、Tp2は、約99.5%又は約99.7%である。
【0125】
ここで
図4C及び
図4Dを参照すると、可視波長範囲95、赤外波長範囲96、x方向を含む入射面22内を伝搬する入射光20、21に対して、約45度超の第2の入射角では、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、それぞれのp及びs偏光入射光20、21について平均反射率Rp2及びRs2を有する。更に、Rp2及びRs2の各々は、可視波長範囲95に対して約70%超である。いくつかの実施形態では、Rp2及びRs2の各々は、可視波長範囲95に対して、約75%超、約80%超、約85%超、又は約90%超である。
【0126】
したがって、Rp2及びRs2の各々、及び可視波長範囲95に対して、ミラー10は、約45度超の入射角で入射する軸外光を実質的に反射し得る。具体的には、可視波長範囲95に対して、ミラー10は、第2の入射角で、s偏光入射光20及びp偏光入射光21の各々を実質的に反射し得る。
【0127】
ここで
図4A~
図4Dを参照すると、可視波長範囲95に対して、Rs2/Rs1及びRp2/Rp1の各々は、約1.15超である。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95に対して、Rs2/Rs1及びRp2/Rp1の各々は、約1.2超、約1.25超、約1.3超、約1.35超、約1.4超、又は約1.45超である。
【0128】
したがって、可視波長範囲95に対して、s偏光入射光20及びp偏光入射光21の各々では、ミラー10は、第2の入射角で入射する光(すなわち、軸外光)に対して第1の入射角で入射する光(すなわち、実質的に垂直な入射光又は軸上光)よりも高い平均光反射率を有する。言い換えれば、可視波長範囲95に対して、s偏光入射光20及びp偏光入射光21の各々では、ミラー10は、軸外光に対するよりも軸上光に対する光透過率が高い。可視波長範囲95に対して、ミラー10は、s偏光入射光20及びp偏光入射光21の両方に対して軸外光を実質的にコリメートすることができるため、ミラー10は、典型的には、第2の入射角で入射するs偏光及びp偏光のうちの一方のみを反射する従来のコリメートフィルムよりも改善されたコリメーションを提供し得る。更に、可視波長範囲95に対して、ミラー10は、1つの方向に沿って偏光された軸上光(s偏光20及びp偏光21のうちの1つ)であっても実質的に遮断する従来のコリメートフィルムと比較して、軸上光に対してより低い平均光反射率を有し得る。したがって、可視波長範囲95に対して、軸上光に対する低い平均光反射率は、改善された軸方向輝度を提供し得る。
【0129】
更に、赤外波長範囲96に対して、複数の交互の第1のポリマー層11及び第2のポリマー層12は、第1の入射角及び第2の入射角で入射するs偏光入射光20及びp偏光された入射光21の各々に対して実質的に透過性である。言い換えれば、ミラー10は、赤外線波長範囲96に対して実質的に透明であってもよい。したがって、ミラー10は、IR指紋感知用途に適し得る。
【0130】
場合によっては、ユーザの指を感知するためのディスプレイシステム(図示せず)は、ミラー10(
図1に示す)を含んでもよい。そのようなディスプレイシステムの実施形態は、本明細書で説明され得る。ディスプレイシステムは、ユーザが見るための画像を生成するように構成されたディスプレイパネルと、ディスプレイパネルに照明を提供するための光導波路を含むバックライトとを含んでもよい。バックライトは、ディスプレイパネルの反対側の光導波路に隣接して配置されたミラー10を更に含んでもよい。ミラー10は、バックライト用の後部反射体として機能してもよく、光導波路からの光をディスプレイパネルに向けてリサイクルさせるように機能してもよい。ディスプレイシステムは、ディスプレイパネルと光導波路との間に配置された光学構造体を更に含んでもよく、光学構造体は、反射偏光子であって、複数のポリマー層を含み、ディスプレイパネルと複数のポリマー層との間に配置された第1の構造化主面を有する反射偏光子を含む。ディスプレイシステムは、バックライトに近接して、反射偏光子の反対側に配置された赤外線センサを更に含んでもよい。ディスプレイシステムは、ディスプレイパネルに向けて赤外光を放射するように構成された赤外光源を更に備えてもよい。ユーザの指がディスプレイパネル上に置かれ、赤外光の一部が指から反射されてバックライト及びミラー10を透過し、赤外線センサがミラー10を透過した赤外光の少なくとも一部を検出し得る。場合によっては、ディスプレイシステムは、ミラー10と赤外線センサとの間に配置され、光学ミラーを含む構造化ミラーと、光学ミラー上に形成され、光導波路に面する個別の離隔した光学隆起のアレイと、を更に含んでもよい。実質的に垂直な入射光の場合、光学ミラーは、少なくとも第1の偏光状態では可視波長範囲内で約30%超の平均光反射率と、第1の偏光状態及び直交する第2の偏光状態の各々では赤外波長範囲内の少なくとも1つの波長で約20%超の正透過率と、を有してもよい。
【0131】
図5Aは、本開示の一実施形態によるミラー10を含むディスプレイシステム60の詳細な概略断面図である。具体的には、ディスプレイシステム60は、バックライト40上に配置されたディスプレイパネル41を含む。バックライト40は、ディスプレイパネル41に照明を提供する。ディスプレイパネル41は、画像42を形成するように構成されている。
【0132】
いくつかの実施形態では、ディスプレイパネル41は、液晶ディスプレイ(LCD)パネルを含む。バックライト40は、その放射面45を通じて光44を放射するように構成された拡張光源43を含む。光44は、「放射光44」と互換的に称され得る。
【0133】
バックライト40は、ミラー10を更に含む。ミラー10は、放射面45上に配置されている。ミラー10及び後部反射体46は、それらの間にリサイクル光学キャビティ47を形成する。
【0134】
拡張光源43は、後部反射体46を更に含む。いくつかの実施形態では、後部反射体46は、高反射性であってもよい。例えば、後部反射体46は、少なくとも90%、95%、98%、99%、又はそれ以上の軸上平均反射率を有してもよい。そのような反射率値は、リサイクル光学キャビティ47における損失量を低減し得る。更に、そのような反射率値は、鏡面反射及び拡散反射の両方を含んでもよい。いくつかの実施形態では、後部反射体46は、空間的に均一であるか、パターン化されているかにかかわらず、主に鏡面反射体、拡散反射体、又は鏡面反射体/拡散反射体の組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、後部反射体46は、半鏡面反射体であってもよい。場合によっては、後部反射体46は、高反射率コーティングを有する剛性金属基材、又は支持基材にラミネートされた(laminated)高反射率フィルムを含んでもよい。いくつかの実施形態では、後部反射体46は、銀、アルミニウム、白色コーティング、非導電性コーティングなどの1つ以上の要素を含んでもよい。
【0135】
ミラー10は、放射光44を受け入れるように構成されている。ミラー10は更に、受け入れた光の一部を透過させるように更に構成されている。言い換えれば、ミラー10は、ミラー10に入射する放射光44を受け入れるように構成されており、ミラー10を出る光は、ミラー10を透過した放射光44の一部を含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、バックライト40は、ミラー10と放射面45との間に配置された第1の光学拡散体48を更に含む。第1の光学拡散体48は、拡張光源43によって放射された光44を拡散する。
【0137】
いくつかの実施形態では、バックライト40は、第2の光学拡散体49を更に含む。第2の光学拡散体49は、放射面45の反対側にミラー10上に配置されている。第2の光学拡散体49は、ミラー10によって透過された光を拡散するように構成されている。
【0138】
第1の光学拡散体48及び第2の光学拡散体49の各々は、光を拡散又は散乱させるように構成された任意の適切な拡散フィルム又はプレートを含んでもよい。例えば、第1の光拡散体48及び第2の光拡散体49は、基材のテクスチャ加工された表面の使用を通じて、又はフィルムのマトリックス内への光拡散粒子の組み込みなどの他の手段を通じて、光を拡散してもよい。
【0139】
いくつかの実施形態では、バックライト40は、放射面45の反対側でミラー10上に配置された反射偏光子50を更に含む。
図5Aの図示された実施形態では、反射偏光子50は第2の光拡散体49に隣接して配置され、第2の光拡散体49がミラー10と反射偏光子50との間に位置している。したがって、
図5Aの図示された実施形態では、反射偏光子50は、第2の光拡散体49によって拡散された透過光を受け入れるように配置されている。
【0140】
いくつかの実施形態では、反射偏光子50は、コリメート多層光学フィルム(CMOF)であってもよい。しかしながら、反射偏光子50は、任意の適切な反射偏光子であってもよい。いくつかの実施形態では、反射偏光子50は、多層ポリマー反射偏光子、ワイヤグリッド反射偏光子、及び拡散反射偏光子のうち1つ以上を含んでもよい。反射偏光子は、直交偏光状態で光を透過させながら、1つの偏光状態の光を選択的に反射するために、少なくとも2つの材料の間の、通常はポリマー材料の間の屈折率の差に依存する。
【0141】
図5Bは、本開示の一実施形態による、
図5Aに示されるディスプレイシステム60の反射偏光子50の概略図である。
図5Bは更に、反射偏光子50に入射する実質的に垂直な入射光501を示しており、すなわち、実質的に垂直な入射光501は、反射偏光子50への法線N1に対して約0度の角度で入射する。いくつかの実施形態では、法線N1は、(
図3A及び
図3Bに示される)法線Nに実質的に平行であってもよい。実質的に垂直に入射する光501は、「入射光501」と互換的に称され得る。
【0142】
場合によっては、入射光501は、第1の方向に沿って偏光されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の方向は、x方向であってもよい。更に、いくつかの他の場合では、入射光501は、第1の方向に直交する第2の方向に沿って偏光されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の方向は、y方向であってもよい。
【0143】
図5Cは、本開示の一実施形態による反射偏光子50の光学特性を示すプロット510を示す。具体的には、プロット510は、反射偏光子50の光反射率及び光透過率を示す。波長は、横座標にナノメートル(nm)で表される。光反射率は、左縦座標に反射率パーセントとして表される。光透過率は、右縦座標に透過率パーセントとして表される。透過率パーセントは反射率パーセントに対して相補的であるように近似され、すなわち、透過率=(100-反射率パーセント)である。
【0144】
ここで
図5B及び
図5Cを参照すると、プロット510は反射率曲線505を含む。反射率曲線505は、第1の方向に沿って偏光される実質的に垂直に入射する光501に対する反射偏光子50の光反射率を示す。
【0145】
プロット510は、反射率曲線506を更に含む。反射率曲線506は、第1の方向に直交する第2の方向に沿って偏光される実質的に垂直に入射する光501に対する反射偏光子50の光透過率を示す。
【0146】
反射率曲線505によって示されるように、可視波長範囲95及び実質的に垂直な入射光501に対して、反射偏光子50は、入射光501が第1の方向に沿って偏光されているときに約60%超の平均光反射率を有する。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95及び実質的に垂直な入射光501に対して、反射偏光子50は、入射光501が第1の方向に沿って偏光されているとき、約70%超、約80%超、又は約90%超の平均光反射率を有する。
【0147】
反射率曲線506によって示されるように、可視波長範囲95及び実質的に垂直な入射光501に対して、入射光501が第1の方向に直交する第2の方向に沿って偏光されているとき、反射偏光子50は、約60%超の平均光透過率を有する。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95及び実質的に垂直な入射光501に対して、入射光501が第1の方向に直交する第2の方向に沿って偏光されているとき、反射偏光子50は、約70%超、約80%超、又は約90%超の平均光透過率を有する。
【0148】
図6Aは、本開示の一実施形態による光学システム70の詳細な概略断面図を示す。いくつかの実施形態では、光学システム70は、実質的なランバート光源71を設けることによって形成され、ランバート光源は、後部反射体72を含み、その拡張放射面74を通じて実質的に偏光されていない光73を放射する。
【0149】
ランバート光源は、ランバートの余弦法則I=I0cosαに従う光源であり、式中、αは視野角であり、I0は約0度、すなわち、光源に対して垂直な視野角αでの光強度である。ランバート光源の場合、90度に近い視野角αにおける光強度は非常に低い。発光ダイオード(LED)は、球に近似する大きなビーム発散及び放射パターンを有する傾向があるために、ランバート光源に近似する。場合によっては、ランバート光源は、非ランバート光源に、ランバート効果又はランバート様効果を達成するために、非ランバート光源に近接した(例えば、アセタール、二酸化ケイ素などの、又はアセタール、二酸化ケイ素などを含む)アウトカップリング測光拡散器を提供することによって達成されてもよい。
【0150】
いくつかの実施形態では、後部反射体72は、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長において、約90%超の全反射率を有する。いくつかの実施形態では、後部反射体72は、可視波長範囲95内の少なくとも1つの波長において、約92%超、約94%超、約96%超、約98%超、又は約99%超の全反射率を有する。光学システム70は更に、反射偏光子75と放射面74との間にミラー10を配置することによって形成される。
【0151】
光78は光学システム70を出る。光78は、反射偏光子75を通って光学システム70を出てもよい。
【0152】
いくつかの実施形態では、後部反射体72は、
図5Aの後部反射体46と実質的に同様であってもよい。
【0153】
図6Bは、本開示の一実施形態による光学システム70の反射偏光子75の概略図である。
図6Bは、反射偏光子75に入射する実質的に垂直な入射光76、すなわち、反射偏光子75への法線N2に対して約0度の角度で入射する実質的に垂直な入射光76を更に示す。いくつかの実施形態では、法線N2は、(
図3A及び
図3Bに示される)法線Nに実質的に平行であってもよい。実質的に垂直に入射する光76は、「入射光76」と互換的に称され得る。
【0154】
場合によっては、入射光76は、第1の方向に沿って偏光されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の方向は、x方向であってもよい。更に、場合によっては、入射光76は、第1の方向に直交する第2の方向に沿って偏光されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の方向は、y方向であってもよい。場合によっては、入射光76は、部分偏光であってもよい。更に、場合によっては、入射光76は、未知又は任意の偏光状態若しくは偏光状態の分布を有する非偏光であってもよい。
【0155】
いくつかの実施形態では、反射偏光子75は、反射偏光子50(
図5A及び
図5Bに示す)と実質的に同様であってもよい。具体的には、反射偏光子75の光学特性は、プロット510(
図5Cに示す)に示すように、反射偏光子50の光学特性と実質的に同様であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、可視波長範囲95及び実質的に垂直に入射する光76に対して、反射偏光子75は、入射光76がx方向に沿って偏光されているときに約60%超の平均光反射率を有する。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95及び実質的に垂直な入射光76に対して、反射偏光子75は、入射光76がx方向に沿って偏光されているとき、約70%超、約80%超、又は約90%超の平均光反射率を有する。
【0156】
更に、可視波長範囲95及び実質的に垂直な入射光76に対して、反射偏光子75は、入射光76がy方向に沿って偏光されているとき、約60%超の平均光透過率を有する。いくつかの実施形態では、可視波長範囲95及び実質的に垂直な入射光76に対して、反射偏光子75は、入射光76がy方向に沿って偏光されているとき、約70%超、約80%超、又は約90%超の平均光透過率を有する。
【0157】
図6Cは、本開示の一実施形態による、光学システム70(
図6Aに示す)から出る光78(
図6Aに示す)の発光分布77を示す。
【0158】
図6Dは、本開示の一実施形態による、z方向に対して異なる角度で観察されたときの、光学システム70(
図6Aに示す)を出る光78(
図6Aに示す)の相対強度のプロット600を示す。具体的には、プロット600は、左縦座標に光78の相対強度を示し、横座標にz方向に対する異なる角度(度)を示す。プロット600は、光学システム70を出る光78の相対強度を示す強度曲線601、強度曲線602、及び強度曲線603を含む。
【0159】
ここで
図6A~
図6Dを参照すると、反射偏光子75を通って光学システム70を出る光78の発光分布77は、反射偏光子75に垂直な線(すなわち、法線N2)との角度79で少なくとも1つのグローバルピークを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのグローバルピークは、反射偏光子75に垂直な線に対して約5度超の角度79にある。いくつかの実施形態では、反射偏光子75に垂直な線は、z方向に沿っている。したがって、反射偏光子75を通って光学システム70を出る光78の発光分布77は、反射偏光子75のz方向に対して約5度超の角度79に少なくとも1つのグローバルピークを含む。
図6Dの図示された実施形態では、角度79は、約13度である。いくつかの実施形態では、反射偏光子75を通って光学システム70を出る光78の発光分布77は、反射偏光子75に垂直な線に対して約7度超、約10度超、又は約12度超の角度79に少なくとも1つのグローバルピークを含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのグローバルピークは、x方向と斜角βを成す平面内にある。いくつかの実施形態では、斜角βは、約30度~約60度である。いくつかの実施形態では、斜角βは、約35度~約55度、又は約40度~約50度である。
図6Cの図示された実施形態では、斜角βは、約45度である。光78の発光分布77は、反射偏光子75に垂直な線に対して約5度超の角度79で4つのグローバルピークを含む。具体的には、発光分布77は、第1グローバルピークP1と、第2グローバルピークP2と、第3グローバルピークP3と、第4グローバルピークP4とを含む。第1のグローバルピークP1及び第3のグローバルピークP3は、x方向と斜角βをなす平面80上にある。第2のグローバルピークP2及び第4のグローバルピークP4は、x方向と斜角βをなす平面81上に位置する。
【0161】
ここで
図6A~
図6Dを参照すると、強度曲線601、602、及び603は、それぞれ0度、45度、及び90度の斜角βで光学システム70を出る光78の変動又は分布を示す。
図6Dのプロット600から、曲線602が光学システム70を出る光78の相対強度のピーク値を含むことを観察することができる。更に、ピーク値は、z方向に対して約5度超の角度79にあることを観察することができる。これは、発光分布77における少なくとも1つのグローバルピークの位置に対応する。
【0162】
いくつかの実施形態では、第1のグローバルピークP1、第2のグローバルピークP2、第3のグローバルピークP3、及び第4のグローバルピークP4は、実質的に同様の相対強度を有し得る。
【0163】
実施例及びデータ
本開示の多層部分ミラー(「ミラー10」)を構築し、従来のコリメート多層光学フィルム(CMOF)と比較した。CMOFは、複数の第1の層及び第2の層、並びに第1のスキン層及び第2のスキン層を含んでいた。CMOFは650の層を含んでいた。
【0164】
以下の表1は、CMOFの異なる層の屈折率を記載する。
【表1】
【0165】
ミラーは、
図1で説明したミラー10の構成と同様に構成した。ミラーは420の層を含んでいた。
【0166】
以下の表2は、ミラーの異なる層の例示的な屈折率を記載する。
【表2】
【0167】
ミラーは、高屈折率光学(HIO)フィルムと低屈折率光学(LIO)フィルムを交互に使用して構成した。HIOフィルム及びLIOフィルムは、ポリヘキシルエチレンナフタレート(PHEN)コポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びこれらのブレンドを含むポリマー材料を含んでいた。HIOフィルム及びLIOフィルムの材料は、x方向、y方向、及びz方向に沿った所望の屈折率に従って選択された。以下の成分:ジメチルナフタレンジカルボキシレート(NDC)、ヘキサンジオール(HD)、エチレングリコール(EG)、酢酸コバルト(CoAc)、及びテトラブチルチタネート(TBT)を使用して、一連のPHENコポリマーを製造した。熱油温度制御部、オーバーヘッド分離カラム、及び真空ポンプを備えた室温ステンレス鋼10ガロン反応器に成分を添加し、窒素雰囲気中、約138キロパスカル(kPa)の圧力下、約125回転/分(rpm)で加熱及び混合した。エステル交換反応は、摂氏約257度(℃)の温度で、約2時間にわたって行った。反応中に生成されたメタノールを分離カラムを通じて追い出し、受け器に回収した。反応が完了したら、反応器内の圧力を徐々に大気圧の値に戻し、その後、反応器を真空にし、バッチ粘度が許容される程度に増加させた。過剰なEGを除去した。約285℃の温度及び約1ミリメートル(mm)水銀(Hg)の真空で約2時間後、反応は所望の端点まで進行した。所望の端点は、PENについて約0.48デシリットル/グラム(dL/g)の粘度に相当し得る。次いで、反応器を空にし、樹脂を冷却し、その後、更に小片に粉砕した。HDのモル%を求めた。反応に使用される成分の割合を変化させることによって、例示的なPHENコポリマーの5つのバッチ(PHEN30、PHEN35、PHEN40、PHEN50、及びPHEN70)を調製した。例えば、PHEN30は30モル%のHDを有していた。
【0168】
以下の表3は、PHENの5つのバッチに使用される例示的な成分比率を記載する。
【表3】
【0169】
実施例のPHENコポリマーを用いて、一連の二層フィルムを製造した。第1の押出機は一連のPHENコポリマーを供給するように作製し、第2の押出機は0.64IVポリエステル樹脂を供給するように作製した。材料を押出し成形し、冷却ロール上にキャストして、24ミルのキャストウェブフィルムを製造した。キャストウェブフィルムを、元のフィルム寸法の350%×350%の比で二軸配向した。延伸は、約45秒(s)の予熱時間で約100℃~約105℃で行った。次いで、配向フィルムを約225℃で約15秒間アニールした。配向フィルムの各々の最上層の屈折率を測定した。
【0170】
以下の表4は、x方向、y方向、及びz方向に沿った配向フィルムの屈折率(それぞれ、nx、ny、nz)を記載する。
【表4】
【0171】
結果は、40%のHD又はそれ以上が、等方性LIOフィルムに適していることを示唆した。
【0172】
PHENコポリマーを異なるレベルのPETと更にブレンドした。それらをフィルムにキャストし、延伸し、配向させ、アニールした。配向フィルムの各々の最上層の屈折率を測定した。
【0173】
以下の表5は、PHEN40と異なるレベルのPETとのブレンドについての、x方向、y方向、及びz方向に沿った配向フィルムの屈折率(それぞれ、nx、ny、nz)を記載する。
【表5】
【0174】
HIO層及びLIO層(例えば、表2のフィルム)の所望の屈折率に基づいて、PHEN、又はPETコポリマーとブレンドされたPHENを選択した。
【0175】
それぞれが異なる厚さプロファイルを有する、本開示のミラーの3つの試料A、B、Cが構築された。
【0176】
図7Aは、CMOF及び試料A、B、Cの異なる層の層厚の変動を示す例示的なプロット700を示す。試料Aは、本開示の「ミラー10」と実質的に同様である。縦座標に厚さをナノメートル(nm)で示し、横座標に層番号を示す。プロット700は、CMOFの隣接する層の厚さの変動を示す厚さ曲線701を含む。プロット700は、試料A、B、Cそれぞれの隣接する層の厚さの変動を示す厚さ曲線705、706、707を更に含む。
図7Bは、プロット700の部分Bの拡大図を更に示す。
【0177】
表6は、CMOF及び試料A、B、Cの例示的な厚さプロファイルを記載する。
【表6】
【0178】
図7A及び
図7Bを参照すると、CMOFの場合、第1の層及び第2の層の最大厚さ及び最小厚さは、それぞれ131.2nm及び47.1nmであった。したがって、CMOFでは、第1の層及び第2の層の最大厚さと最小厚さとの間の差は、約64.1%であった。また、CMOFでは、第1の層と第2の層の厚さの最大差は、約31.1%であった。CMOFの第1の層及び第2の層の厚さの差は、
図7Bに最もよく示されている。
【0179】
試料Aでは、第1の層及び第2の層の最大厚さ及び最小厚さは、それぞれ126.7nm及び57.6nmであった。したがって、試料Aでは、第1の層及び第2の層の最大厚さと最小厚さとの差は、約54.5%であった。また、試料Aでは、第1の層の厚さと第2の層の厚さとの最大差は、約10.1%であった。試料Aの第1の層と第2の層の厚さとの差は、
図7Bに最もよく示されている。
【0180】
試料Bでは、第1の層及び第2の層の最大厚さ及び最小厚さは、それぞれ131.1nm及び55.6nmであった。したがって、試料Bでは、第1の層及び第2の層の最大厚さと最小厚さとの差は、約57.6%であった。また、試料Bでは、第1の層の厚さと第2の層の厚さとの最大差は、約6.6%であった。試料Bの第1の層と第2の層との厚さの差は、
図7Bに最もよく示されている。
【0181】
試料Cでは、第1の層及び第2の層の最大厚さ及び最小厚さは、それぞれ132.2nm及び56.3nmであった。したがって、試料Cでは、第1の層及び第2の層の最大厚さと最小厚さとの差は、約57.4%であった。また、試料Cでは、第1の層の厚さと第2の層の厚さとの最大差は、約6.6%であった。試料Cの第1の層と第2の層との厚さの差は、
図7Bに最もよく示されている。
【0182】
図7A及び
図7Bを参照すると、曲線701、705、706、707の各々は、第1の層及び第2の層の厚さのそれぞれの値を示す複数のV字形セグメントを有することが観察された。V字形セグメントの山及び谷は、個々の層の厚さを表す。
【0183】
厚さ曲線705、706、707(それぞれ試料A、B、Cに対応する)の変動は互いに同等であるが、厚さ曲線701(CMOFに対応する)の変動は厚さ曲線705、706、707の変動よりも大きいことが観察された。これは、CMOFの隣接する層間の厚さの変動が、試料A、B、Cの隣接する層間の厚さの変動よりも大きいことを暗示した。
【0184】
図8Aは、試料A及びCMOFの光学特性の例示的なプロット800を示す。
図1、
図3A、
図3B、及び
図8Aを参照すると、プロット800は、約10度未満の第1の入射角で入射するs偏光に対する試料Aの光反射率対波長を示す反射率曲線805を含む。更に、プロット800は、約10度未満の第1の入射角で入射するs偏光に対する、CMOFの光反射率対波長を示す反射率曲線806を含む。s偏光は、第1の方向(例えば、x方向)と直交する第2の方向(例えば、y方向)に偏光された光であってもよい。この例では、s偏光入射光は、CMOF及び試料Aのそれぞれのミラーと環境との境界面に入射してもよく、外部環境は空気を含んでもよい。波長は、横座標にナノメートル(nm)で表される。光反射率は、左縦座標に反射率パーセントとして表される。光透過率は、右縦座標に透過率パーセントとして表される。透過率パーセントは、反射率パーセントに対して相補的であるように近似され、すなわち、透過率=(100-反射率パーセント)である。
【0185】
反射率曲線805によって示されるように、第1の方向を含む入射面22(
図3Aに示される)内を伝搬するs偏光入射光に対して、約10度未満の第1の入射角では、試料Aの複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、可視波長範囲95では約64%の平均光反射率、及び赤外波長範囲96では約84%の平均光透過率を有した。
【0186】
反射率曲線806によって示されるように、第1の方向を含む同じ入射面22内を伝搬するs偏光入射光に対して、約10度未満の第1の入射角では、CMOFの複数の交互の第1の層及び第2の層は、可視波長範囲95では約48%の平均光反射率、及び赤外波長範囲96では約88%の平均透過率を有した。
【0187】
図8Bは、試料B及びCの光学特性の例示的なプロット810を示す。プロット810は、約10度未満の第1の入射角で入射するs偏光に対する試料B及びCのそれぞれの光反射率対波長を示す反射率曲線815、816を含む。この例では、s偏光入射光は、試料B及びCのそれぞれのミラーと環境との境界面に入射し得る。波長は、横座標にナノメートル(nm)で表される。光反射率は、左縦座標に反射率パーセントとして表される。光透過率は、右縦座標に透過率パーセントとして表される。透過率パーセントは、反射率パーセントに対して相補的であるように近似され、すなわち、透過率=(100-反射率パーセント)である。
【0188】
反射率曲線815によって示されるように、第1の方向を含む入射面22(
図1に示される)内を伝搬するs偏光入射光に対して、約10度未満の第1の入射角では、試料Bの複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、可視波長範囲95では約71%の平均光反射率、及び赤外波長範囲96では約82%の平均光透過率を有した。
【0189】
反射率曲線816によって示されるように、第1の方向を含む入射面22内を伝搬するs偏光入射光に対して、及び約10度未満の第1の入射角では、試料Cの複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、可視波長範囲95では約72%の平均光反射率、及び赤外波長範囲96では約81%の平均光透過率を有した。
【0190】
図9Aは、試料A及びCMOFの光学特性の例示的なプロット900を示す。プロット900は、約10度未満の第1の入射角で入射するp偏光に対する、試料Aの光反射率対波長を示す反射率曲線905を含む。更に、プロット900は、約10度未満の第1の入射角で入射するp偏光に対するCMOFの光反射率対波長を示す反射率曲線906を含む。約10度未満の第1入射角で入射するp偏光は、第1の方向に沿って偏光された光であってもよい。この例では、p偏光入射光は、CMOF及び試料Aのそれぞれのミラーと環境との境界面に入射してもよく、外部環境は空気を含んでもよい。波長は、横座標にナノメートル(nm)で表される。光反射率は、左縦座標に反射率パーセントとして表される。光透過率は、右縦座標に透過率パーセントとして表される。透過率パーセントは反射率パーセントに対して相補的であるように近似され、すなわち、透過率=(100-反射率パーセント)である。
【0191】
反射率曲線905によって示されるように、第1の方向を含む入射面22(
図3Bに示される)内を伝搬するp偏光入射光に対して、約10度未満の第1の入射角では、試料Aの複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、可視波長範囲95では約64%の平均光反射率、及び赤外波長範囲96では約84%を超える平均光透過率を有した。
【0192】
反射率曲線906によって示されるように、第1の方向を含む同じ入射面22内を伝搬するp偏光入射光に対して、約10度未満の第1の入射角では、CMOFの複数の交互の第1の層及び第2の層は、可視波長範囲95では約98%の平均光反射率、及び赤外波長範囲96では約71%の平均透過率を有した。
【0193】
図9Bは、試料B及びCの光学特性の例示的なプロット910を示す。プロット910は、約10度未満の第1の入射角で入射するp偏光に対する、試料B及びCそれぞれの光反射率対波長を示す反射率曲線915、916を含む。この例では、p偏光入射光は、試料B及びCのそれぞれのミラーと環境との境界面に入射してもよく、ここで外部環境は空気を含んでもよい。波長は、横座標にナノメートル(nm)で表される。光反射率は、左縦座標に反射率パーセントとして表される。光透過率は、右縦座標に透過率パーセントとして表される。透過率パーセントは、反射率パーセントに対して相補的であるように近似され、すなわち、透過率=(100-反射率パーセント)である。
【0194】
反射率曲線915によって示されるように、第1の方向を含む入射面22(
図3Bに示される)内を伝搬するp偏光入射光に対して、約10度未満の第1の入射角では、試料Bの複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、可視波長範囲95では約71%の平均光反射率、及び赤外波長範囲96では約82%の平均光透過率を有した。
【0195】
反射率曲線916によって示されるように、第1の方向を含む入射面22内を伝搬するp偏光入射光に対して、約10度未満の第1の入射角では、試料Cの複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、可視波長範囲95では約72%の平均光反射率、及び赤外波長範囲96では約81%の平均光透過率を有した。
【0196】
図8A~
図9Bから明らかなように、可視波長範囲では、CMOFは、第1の入射角で入射するs偏光を実質的に透過させ、第1の入射角で入射するp偏光を実質的に遮断した。一方、試料A、B、Cの各々は、第1の入射角で入射したs偏光及びp偏光をほぼ透過させた。したがって、可視波長範囲では、試料A、B及びCの各々は、CMOFと比較して軸上光に対してより低い平均光反射率を有していた。可視波長範囲では、軸上光の平均光反射率が小さいほど、軸方向輝度が向上した。
【0197】
図10Aは、試料A及びCMOFの光学特性の例示的なプロット1000を示す。プロット1000は、約45度超の第2の入射角で入射するs偏光に対する、試料Aの光反射率対波長を示す反射率曲線1005を含む。更に、プロット1000は、約45度超の第2の入射角で入射するs偏光に対する、CMOFの光反射率対波長を示す反射率曲線1006を含む。s偏光は、第2の方向に沿って偏光された光であってもよい。この例では、s偏光入射光は、CMOF及び試料Aのそれぞれのミラーと環境との境界面に入射し得る。波長は、横座標にナノメートル(nm)で表される。光反射率は、左縦座標に反射率パーセントとして表される。光透過率は、右縦座標に透過率パーセントとして表される。透過率パーセントは、反射パーセント率に対して相補的であるように近似され、すなわち、透過率=(100-反射率パーセント)である。
【0198】
反射率曲線1005によって示されるように、第1の方向を含む入射面22(
図3Aに示される)内を伝搬するs偏光入射光に対して、約45度超の第2の入射角では、試料Aの複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、可視波長範囲95では約92%の平均光反射率、及び赤外波長範囲96では約65%の平均光透過率を有した。
【0199】
反射率曲線1006によって示されるように、第1の方向を含む入射面22において伝搬するs偏光入射光に対して、約45度超の第2の入射角では、CMOFの複数の交互の第1の層及び第2の層は、可視波長範囲95では約86%の平均光反射率、及び赤外波長範囲96では約67%の平均光透過率を有した。
【0200】
図10Bは、試料B及びCの光学特性の例示的なプロット1010を示す。プロット910は、約45度超の第2の入射角で入射するs偏光に対する、試料B及びCのそれぞれの光反射率対波長を示す反射率曲線1015、1016を含む。この例では、s偏光入射光は、試料B及びCのそれぞれのミラーと環境との境界面に入射し得る。波長は、横座標にナノメートル(nm)で表される。光反射率は、左縦座標に反射率パーセントとして表される。光透過率は、右縦座標に透過率パーセントとして表される。透過率パーセントは反射率パーセントに対して相補的であるように近似され、すなわち、透過率=(100-反射率パーセント)である。
【0201】
反射率曲線1015によって示されるように、第1の方向を含む入射面22(
図3Aに示される)において伝搬するs偏光入射光に対して、約45度超の第2の入射角では、試料Bの複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、可視波長範囲95では約94%の平均光反射率を有し、赤外波長範囲96では約64%の平均光透過率を有した。
【0202】
反射率曲線1016によって示されるように、第1の方向を含む入射面22において伝搬するs偏光入射光に対して、約45度超の第2の入射角では、試料Cの複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、可視波長範囲95では約93%の平均光反射率を有し、赤外波長範囲96では約64%の平均光透過率を有した。
【0203】
図11Aは、試料A及びCMOFの光学特性の例示的なプロット1100を示す。プロット1100は、約45度超の第2の入射角で入射するp偏光に対する、試料Aの光反射率対波長を示す反射率曲線1105を含む。更に、プロット1100は、約45度超の第2の入射角で入射するp偏光に対する、CMOFの光反射率対波長を示す反射率曲線1106を含む。この例では、p偏光入射光は、CMOF及び試料Aのそれぞれのミラーと環境との境界面に入射し得る。波長は、横座標にナノメートル(nm)で表される。光反射率は、左縦座標に反射率パーセントとして表される。光透過率は、右縦座標に透過率パーセントとして表される。透過率パーセントは反射率パーセントに対して相補的であるように近似され、すなわち、透過率=(100-反射率パーセント)である。
【0204】
反射率曲線1105によって示されるように、第1の方向を含む入射面22において伝搬するp偏光入射光に対して、約45度超の第2の入射角では、試料Aの複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、可視波長範囲95では約93%の平均光反射率、及び赤外波長範囲96では約99%の平均光透過率を有した。
【0205】
反射率曲線1106によって示されるように、第1の方向を含む入射面22において伝搬するp偏光入射光に対して、約45度超の第2の入射角では、CMOFの複数の交互の第1の層及び第2の層は、可視波長範囲95では約99%の平均光反射率、及び赤外波長範囲96では約99%の平均光透過率を有した。
【0206】
図11Bは、試料B及びCの光学特性の例示的なプロット1110を示す。プロット1110は、約45度超の第2の入射角で入射するp偏光に対する、試料B及びCのそれぞれの光反射率対波長を示す反射率曲線1115、1116を含む。この例では、p偏光入射光は、試料B及びCのそれぞれのミラーと環境との境界面に入射し得る。波長は、横座標にナノメートル(nm)で表される。光反射率は、左縦座標に反射率パーセントとして表される。光透過率は、右縦座標に透過率パーセントとして表される。透過率パーセントは反射率パーセントに対して相補的であるように近似され、すなわち、透過率=(100-反射率パーセント)である。
【0207】
反射率曲線1115によって示されるように、第1の方向を含む入射面22(
図3Bに示される)内を伝搬するp偏光入射光に対して、約45度超の第2の入射角では、試料Bの複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、可視波長範囲95では約95%の平均光反射率、及び赤外波長範囲96では約99%の平均光透過率を有した。
【0208】
反射率曲線1116によって示されるように、第1の方向を含む入射面22において伝搬するp偏光入射光に対して、約45度超の第2の入射角では、試料Cの複数の交互の第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、可視波長範囲95では約94%の平均光反射率、及び赤外波長範囲96では約99%よりも高い平均光透過率を有した。
【0209】
図8A~
図11Bから明らかなように、可視波長範囲では、s偏光及びp偏光の両方に対して、約45度を超える第2の入射角で入射する光(すなわち、軸外光)に対して、試料A、B、Cは、約10度未満の第1の入射角で入射する光(すなわち、実質的に垂直な入射光又は軸上光)よりも高い平均光反射率を有していた。言い換えれば、試料A、B、Cは、可視波長域において、s偏光及びp偏光のいずれに対しても、軸上光の光透過率が軸外光の光透過率よりも高い。可視波長範囲では、試料A、B、Cは、s偏光及びp偏光の両方に対して軸外光を実質的にコリメートしたため、試料A、B、Cは、軸上p偏光を実質的に反射したCMOFよりも改善されたコリメーションを提供した。したがって、可視波長範囲では、試料A、B、Cは、CMOFと比較して軸上光に対してより低い平均光反射率を有した。軸上光に対する光反射率は、軸上輝度を低下させる可能性があるために一般に望ましくない。したがって、可視波長範囲では、軸上光の平均光反射率が低いほど、試料A、B、Cによって提供される軸方向輝度が改善された。
【0210】
別段の規定がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される特徴サイズ、量及び物理的特性を表す全ての数は、用語「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、特に反対の指示がない限り、上記明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本明細書で開示される教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変動し得る近似値である。
【0211】
特定の実施形態が本明細書において図示及び説明されているが、図示及び記載されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様及び/又は等価の実施態様によって置き換えられ得ることが、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のいずれの適応例又は変形例も包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
【国際調査報告】