(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】湿式クリーニング装置を搭載した自律型クリーニングロボット
(51)【国際特許分類】
A47L 11/28 20060101AFI20240621BHJP
A47L 11/20 20060101ALI20240621BHJP
A47L 11/10 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A47L11/28
A47L11/20
A47L11/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500219
(86)(22)【出願日】2022-07-04
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 FR2022051320
(87)【国際公開番号】W WO2023281191
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローレン ドレール
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル ボワレ
(57)【要約】
自律型クリーニングロボット(2)は、下面(4)及び下面(4)に開口する吸引口(5)を含む本体(3)と、それぞれ本体(3)に対して並進方向(T)に移動可能に取り付けられた2つのモップ支持体(15)、及び、2つのモップ支持体(15)にそれぞれ取り付けられた2つのモップを含む湿式クリーニング装置(14)と、被クリーニング面上を転動するように構成され、実質的に平行な2つの回転軸を中心としてそれぞれ本体(3)上に回転可能に取り付けられた2つの駆動輪(7)と、を備える。2つのモップ支持体(15)は、駆動輪(7)の回転軸の後方に位置し、並進方向(T)は、2つの駆動輪(7)の回転軸と実質的に平行に延びる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律型クリーニングロボット(2)であって、
- 本体(3)であって、被クリーニング面に向けて構成された下面(4)と、前記本体(3)の前部に設けられ、前記本体(3)の前記下面(4)に開口する吸引口(5)と、を含む本体(3)と、
- 前記本体(3)に少なくとも部分的に収容され、前記吸引口(5)を通じて空気流を発生させるように構成された吸引ユニット(11)と、
- 各々が並進方向(T)に本体(3)に対して移動可能に取り付けられている2つのモップ支持体(15)と、前記2つのモップ支持体(15)上にそれぞれ取り外し可能に取り付けられている2つのモップ(17)と、を含む湿式クリーニング装置(14)であって、前記モップ(17)は、前記被クリーニング面と接触するように構成される、湿式クリーニング装置(14)と、
- 前記被クリーニング面上を転動するように構成され、実質的に平行な2つの回転軸を中心としてそれぞれ前記本体(3)上に回転自在に取り付けられた2つの駆動輪(7)と、を備え、
前記2つのモップ支持体(15)は、前記駆動輪(7)の前記回転軸の後方に位置し、前記並進方向(T)は、前記2つの駆動輪(7)の前記回転軸に実質的に平行に延びる、自律型クリーニングロボット(2)。
【請求項2】
前記モップ支持体(15)は、前記2つのモップ支持体(15)が、互いに接近する接近構成と、前記2つのモップ支持体(15)が、互いに離間する離間構成との間で、互いに対して移動可能に取り付けられる、請求項1に記載の自律型クリーニングロボット(2)。
【請求項3】
前記2つのモップ支持体(15)は、前記本体(3)の長手方向中央面(P)の両側に配置される、請求項1又は請求項2に記載の自律型クリーニングロボット(2)。
【請求項4】
前記自律型クリーニングロボット(2)が、前記被クリーニング面上に載るときに、前記自律型クリーニングロボット(2)の後部が、前記2つのモップ(17)によって、直接、前記被クリーニング面上に載るように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の自律型クリーニングロボット(2)。
【請求項5】
前記2つのモップ支持体(15)は、前記2つのモップ支持体(15)が、前記自律型クリーニングロボット(2)に装備された車輪の回転軸を通るいずれの垂直面と交差しないように、かつ、前記2つのモップ支持体(15)が、前記自律型クリーニングロボット(2)に装備された車輪の2つの回転軸をそれぞれ通る2つの垂直面の間に少なくとも部分的に位置しないように、前記本体(3)に対して配置される、請求項1から4のいずれか1項に記載の自律型クリーニングロボット(2)。
【請求項6】
前記自律型クリーニングロボット(2)に電気的に電力を供給するように構成された電源バッテリ(13)を含み、前記電源バッテリ(13)は、前記モップ支持体(15)のうちの1つの上方に、少なくとも部分的に配置される、請求項1から5のいずれか1項に記載の自律型クリーニングロボット(2)。
【請求項7】
前記吸引ユニット(11)は、前記モップ支持体(15)のうちの1つの上方に、少なくとも部分的に配置される、請求項1から6のいずれか1項に記載の自律型クリーニングロボット(2)。
【請求項8】
前記湿式クリーニング装置(14)は、前記本体(3)に対して取り外し可能に取り付けられる、請求項1から7のいずれか1項に記載の自律型クリーニングロボット(2)。
【請求項9】
前記湿式クリーニング装置(14)は、前記本体(3)の前記後方に向けられた並進運動によって、前記本体(3)から取り外されるように構成される、請求項8に記載の自律型クリーニングロボット(2)。
【請求項10】
前記湿式クリーニング装置(14)は、前記湿式クリーニング装置(14)を前記本体(3)に取り付ける際に、前記湿式クリーニング装置(14)をガイド方向に案内するように、前記本体(3)に設けられた第2のガイド手段と協働するように構成された第1のガイド手段を含む、請求項9に記載の自律型クリーニングロボット(2)。
【請求項11】
前記湿式クリーニング装置(14)は、前記湿式クリーニング装置(14)を前記本体(3)の前記前部に向けられた取り付け方向に前記本体(3)に取り付ける際に、前記本体(3)に設けられた第2の電気コネクタ(24)と協働するように構成された第1の電気コネクタ(23)を含む、請求項8から10のいずれか1項に記載の自律型クリーニングロボット(2)。
【請求項12】
前記湿式クリーニング装置(14)を、前記本体(3)にロックするように構成されたロック機構を含む、請求項8から11のいずれか1項に記載の自律型クリーニングロボット(2)。
【請求項13】
前記ロック機構は、使用者によって操作可能であり、前記本体(3)又は前記湿式クリーニング装置(14)に設けられたロック部材(25)を含み、
前記ロック部材(25)は、前記湿式クリーニング装置(14)を前記本体(3)にロックするように、前記ロック部材(25)が前記湿式クリーニング装置(14)又は前記本体(3)に設けられたロック要素(26)と協働するように構成されたロック位置と、前記本体(3)からの前記湿式クリーニング装置(14)の取り外しを許可するように、前記ロック部材(25)が前記ロック要素(26)を解除するように構成された解除位置との間で移動可能に取り付けられる、請求項12に記載の自律型クリーニングロボット(2)。
【請求項14】
前記ロック部材(25)は、前記自律型クリーニングロボット(2)が水平面上に載っているときに、実質的に垂直である作動方向に応じて、並進変位可能である、請求項13に記載の自律型クリーニングロボット(2)。
【請求項15】
前記自律型クリーニングロボット(2)は、洗浄液リザーバ(32)を含み、前記湿式クリーニング装置(14)は、前記洗浄液リザーバ(32)に流体連通するように構成され、前記モップ支持体(15)に取り付けられた前記モップ(17)に洗浄液を供給するように構成された複数の液体排出オリフィス(33)を含み、前記液体排出オリフィス(33)は、前記モップ支持体(15)の前方に配置される、請求項1ないし14のいずれか1項に記載の自律型クリーニングロボット(2)。
【請求項16】
前記2つの駆動輪の前記回転軸と実質的に平行に延び、前記モップ支持体(15)の前部に位置する、昇降傾斜路(38)を含み、
前記昇降傾斜路(38)は、前記被クリーニング面に向いており、後方及び下方に傾斜している、昇降面(38.1)を含み、
前記昇降面(38.1)は、前記本体(3)の前方への変位中に、前記自律型クリーニングロボット(2)に対して前方に現れる障害物が、前記昇降面(38.1)に接触し、前記昇降面(38.1)上を滑るときに、前記本体(3)の後部の持ち上げを引き起こすように構成される、請求項1から15のいずれか1項に記載の自律型クリーニングロボット(2)。
【請求項17】
前記液体排出オリフィス(33)は、前記昇降傾斜路(38)に設けられ、前記昇降傾斜路(38)に沿って分布する、請求項15及び請求項16に記載の自律型クリーニングロボット(2)。
【請求項18】
前記本体(3)に、ブラシ回転軸を中心に回転自在に取り付けられた回転クリーニングブラシ(6)を備える、請求項1から17のいずれか1項に記載の自律型クリーニングロボット(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿式クリーニング装置を備えた自律型クリーニング装置の分野に関し、より詳細には、例えば、タイル張り、寄木張り、積層フローリング、カーペット又は敷物である被クリーニング面上に単体で変位可能であり、被クリーニング面上に存在する埃及び廃棄物を吸引し、場合によっては吸引動作と同時に被クリーニング面をクリーニングし得るロボット掃除機の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
自律型クリーニングロボットは、最近一般的に使用されるようになり、これらのロボットは、住居の床面が平坦である限り、すなわち同じレベルにある限り、使用者の補助なしに住居の全床面を清掃することを可能にする。そのため、使用者は、他の活動に費やす時間を大幅に節約できる。
【0003】
欧州特許出願公開第3257416号明細書には、以下の構成からなる自律型清掃クリーニングロボットが開示される。
-被クリーニング面を向くように構成された下面を含む本体と、本体の前部に設けられ、本体の下面に開口する吸引口と、を備え、
-各々が本体に対して並進方向に移動可能に取り付けられる、2つのモップ支持体と、2つのモップ支持体上にそれぞれ取り外し可能に取り付けられる、2つのモップと、を含む湿式クリーニング装置であって、モップは、被クリーニング面と接触するように構成されている、湿式クリーニング装置と、
-被クリーニング面上を転動するように構成され、実質的に平行な2つの回転軸を中心として、それぞれ本体上に回転自在に取り付けられる2つの駆動輪と、を備える自律型清掃クリーニングロボット。
欧州特許出願公開第3257416号明細書によると、2つのモップ支持体は、それぞれ本体の前部と後部に取り付けられ、駆動輪の回転軸の両側に配置される。さらに、欧州特許出願公開第3257416号明細書によれば、モップ支持体の並進方向は、自律型クリーニングロボットの主変位方向と平行に、すなわち、自律型クリーニングロボットの長手方向に従って延びる。
【0004】
モップ支持体が、湿式クリーニング装置の主変位方向と平行に変位するという事実は、モップが被クリーニング面上で、同じ摩擦力を発揮しない場合(例えば、一方のモップが、他方のモップと比較して異なる摩耗又は汚れ、または、2つの異なる被クリーニング面上での2つのモップの変位による)、駆動輪が被クリーニング面上でスリップする危険性を著しく増大させる。
【0005】
しかし、このような滑りは、自律型クリーニングロボットの自律航行に悪影響を及ぼす可能性が高く、そのため、自律型クリーニングロボットは、進行中のクリーニング動作を停止し、ドッキングステーションと通信して、空間内で再配置する必要がある(これは床のクリーニング時間を増加させ、自律型クリーニングロボットのクリーニング性能を低下させる)。このような欠点を克服するために、自律型クリーニングロボットに、より複雑で高価な制御ユニット(自律型クリーニングロボットのナビゲーションを制御するために前述の滑りを考慮することができる)を装備することが考えられるが、これは自律型クリーニングロボットの製造コストを大幅に増加させる。
さらに、駆動輪の前後にそれぞれモップ支持体が配置されているため、各モップによって、被クリーニング面に及ぼされる支持力は低く、これらの支持力は主に、2つのモップ支持体の間に配置された横方向の車輪によって受けられるため、欧州特許出願公開第3257416号明細書に記載されたクリーニングロボットのクリーニング性能が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、これらの欠点を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基礎となる技術的課題は、特に、高いクリーニング性能を有しながら、構造が簡単で経済的かつコンパクトな自律型クリーニングロボットを提供することにある。
【0008】
この目的のために、本発明の主題は、自律型クリーニングロボットであり、
-被クリーニング面を向くように構成された下面と、本体の前部に設けられ、本体の下面に開口する吸引口と、を含む本体と、
-少なくとも一部が本体内に収納され、吸引口を通して空気流を発生させるように構成された吸引ユニットと、
-各々が本体に対して並進方向に移動可能に取り付けられる、2つのモップ支持体と、2つのモップ支持体上にそれぞれ取り外し可能に取り付けられる、2つのモップと、を含む湿式クリーニング装置であって、モップは、被クリーニング面と接触するように構成される、湿式クリーニング装置と、
-被クリーニング面上を転動するように構成され、実質的に平行な2つの回転軸を中心として、それぞれ本体上に回転自在に取り付けられる2つの駆動輪と、を備える、自律型クリーニングロボット。
【0009】
2つのモップ支持体は、駆動輪の回転軸の後方に位置し、並進方向は、2つの駆動輪の回転軸と実質的に平行に延びる。言い換えれば、並進方向は、自律型クリーニングロボットの主変位方向に対して横方向に延びる。
【0010】
モップ支持体のこのような配置、すなわち、駆動輪の回転軸の後方への配置は、各モップが、被クリーニング面に及ぼす支持力を増大させることを可能にし、したがって、湿式クリーニング装置上に、本体によって及ぼされる重量により、湿式クリーニング装置の被クリーニング面に対する摩擦を増大させる。したがって、モップ支持体のこのような配置は、床面上の湿式クリーニング装置の摩擦効率を高め、したがって、自律型クリーニングロボットのクリーニング品質を高める。
【0011】
さらに、モップ支持体のこのような配置により、モップによって清掃されたばかりの濡れた領域上を駆動輪が転がるのを防ぐことが可能になり、したがって、実施されたクリーニングの質を損なう可能性のある痕跡の出現を避けることができる。
【0012】
さらに、モップ支持体が、2つの駆動輪の回転軸に対して平行に、すなわち、湿式クリーニングロボットの主変位方向に対して横方向に変位され、例えば、主変位方向に対して平行には変位されないという事実は、モップが被クリーニング面上で同じ摩擦力を発揮しない場合(例えば、一方のモップが他方のモップと比較して異なる摩耗又は汚れのため、または、2つのモップが2つの異なる被クリーニング面上で変位するため)に、駆動輪が被クリーニング面上でスリップする危険性を著しく制限する。
【0013】
長手方向に変位するモップ支持体を備えた自律型クリーニングロボットと比較して、モップ支持体の横方向の変位も自律型クリーニングロボットの長さを制限する一方で、自律型クリーニングロボットを変位させる際に、汚れが見えるモップの表面を最適化する。実際、モップ支持体の交互の動きと駆動輪の接近により、自律型クリーニングロボットの長手方向の寸法に影響を与えないように、長手方向のモップの寸法を小さくするか(これは自律型クリーニングロボットのクリーニング品質にとって不利になる)、大きなモップの長手方向の変位を可能にするために、自律型クリーニングロボットの寸法を大きくする必要がある。
【0014】
本発明の対象である自律型クリーニングロボットは、大多数の自律型クリーニングロボットと同様に、自律型クリーニングロボットの長手方向軸に平行な変位方向であって、所定の変位方向に変位したときに、床を効果的に清掃するように設計されている。自律型クリーニングロボットの長手方向軸に平行な変位方向と所定の変位方向は、本発明の自律型クリーニングロボットの主変位方向を画定する。したがって、自律型クリーニングロボットの主変位方向に対して、自律型クリーニングロボットの本体の前部又は後部が特定される。
【0015】
自律型クリーニングロボットは、さらに、単独でまたは組み合わせて、以下の特徴の1つ以上を有することができる。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、吸引口は、駆動輪の回転軸の前方に位置する。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、2つのモップ支持体は並んで配置される。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、2つの駆動輪の回転軸は同じ線上にある。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、湿式クリーニング装置は、本体の後部に配置される。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、モップ支持体は、2つのモップ支持体が互いに接近させられる接近構成と、2つのモップ支持体が互いに離間させられる離間構成との間で、互いに対して移動可能に取り付けられる。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、自律型クリーニングロボットは、並進方向に従って、好ましくは、交互運動に従って、モップ支持体を並進変位させるように構成された並進駆動機構を含む。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、並進駆動機構は、モップ支持体を並進方向に、接近構成と離間構成との間で交互に並進変位させるように構成される。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、並進駆動機構は、モップ支持体の1つの上方に、少なくとも一部が配置される。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、並進駆動機構は、2つのモップ支持体を逆位相で並進変位させるように構成される。言い換えれば、並進駆動機構は、2つのモップ支持体を交互に、かつ、反対の変位方向に並進させるように構成される。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、モップの各々は、自律型クリーニングロボットが、被クリーニング面に載っているときに、被クリーニング面に支持力を及ぼすように構成される。有利には、支持力は、5N以上、例えば、9N以上である。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、2つのモップ支持体は、本体の長手方向中央面の両側に配置される。本明細書において、「長手方向中央面」とは、主変位方向と平行で、本体を実質的に等しい2つの部分に分割する縦断面を意味する。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、自律型クリーニングロボットは、自律型クリーニングロボットが、被クリーニング面上に載っている際に、自律型クリーニングロボットの後部が被クリーニング面上に載り、2つのモップで直接清掃するように構成される。自律型クリーニングロボットのこのような構成により、モップが自律型クリーニングロボットの質量の少なくとも一部を直接占めることができるため、各モップが被クリーニング面に及ぼす支持力をさらに高めることができる。したがって、このような自律型クリーニングロボットの構成により、自律型クリーニングロボットのクリーニング品質をさらに向上させることが可能となる。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、2つのモップ支持体は、2つのモップ支持体が、自律型クリーニングロボットに装備された車輪の回転軸を通るいずれの垂直面によっても交差しないように、かつ、2つのモップ支持体が、自律型クリーニングロボットに装備された車輪の2つの回転軸をそれぞれ通る、2つの垂直面の間に少なくとも部分的に位置しないように、本体に対して位置決めされる。自律型クリーニングロボットのこのような構成により、モップが自律型クリーニングロボットの質量の少なくとも一部を直接占めることができるため、自律型クリーニングロボットのクリーニング品質をさらに向上させることもできる。逆に、モップ支持体が、自律型クリーニングロボットに装備された車輪(例えば、2つの駆動輪)の回転軸を通る垂直面によって切断されていたり、回転軸が平行な自律型クリーニングロボットの車輪の間(例えば、駆動輪の回転軸と後輪の回転軸の間)に配置されていたりすると、自律型クリーニングロボットの質量から生じる力は、車輪によって受け止められ、モップ支持体によって受け止められることはない。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、自律型クリーニングロボットは、2つの駆動輪の回転軸の後方に位置する追加車輪を有していない。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、自律型クリーニングロボットは、本体上に回転可能に取り付けられ、被クリーニング面上を転動するように構成された追加車輪を含み、すべての追加車輪は、2つの駆動輪の回転軸の前方に配置される。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、自律型クリーニングロボットは、自律型クリーニングロボットに電気的に電力を供給するように構成された電源バッテリを含み、電源バッテリは、少なくとも一部がモップ支持体の1つの上方に配置される。このような電源バッテリの配置により、少なくとも1つのモップが、被クリーニング面に及ぼす支持力を増加させることが可能となり、したがって、床面における湿式クリーニング装置の摩擦効率、ひいては自律型クリーニングロボットのクリーニング品質をさらに向上させることができる。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、電源バッテリの重心はモップ支持体の1つの上方に位置する。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、電源バッテリは、モップ支持体の1つの上方に完全に位置する。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、吸引ユニットは、少なくとも一部が、モップ支持体の1つの上方に位置する。吸引ユニットのこのような配置により、少なくとも1つのモップが、被クリーニング面に及ぼす支持力を増大させることが可能となり、したがって、床面における湿式クリーニング装置の摩擦効率、ひいては自律型クリーニングロボットのクリーニング品質をさらに向上させることができる。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、吸引ユニットは、吸引モータと、吸引モータに連結され、吸引口を通して空気流を発生させるように構成されたファンと、を備える。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、吸引ユニットの重心は、モップ支持体の1つの上方に位置する。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、吸引ユニットは、モップ支持体の1つの上方に完全に配置されている。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、吸引ユニットと電源バッテリは、本体の長手方向中央面の両側に配置される。吸引ユニットと電源バッテリのこのような配置により、自律型クリーニングロボットの質量をよりよく分散させることができ、したがって、2つのモップが被クリーニング面に及ぼす支持力のバランスをとることができる。これらの配置により、自律型クリーニングロボットのクリーニング性能がさらに向上する。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、湿式クリーニング装置は、本体に対して取り外し可能に取り付けられている。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、湿式クリーニング装置は、本体の後方に向けられた並進運動によって、本体から取り外されるように構成される。したがって、湿式クリーニング装置の取り外しは、自律型クリーニングロボットを持ち上げることなく行うことができ、したがって、使用者が、自律型クリーニングロボットを誤って取り扱った場合に、自律型クリーニングロボットが落下する危険性がない。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、湿式クリーニング装置は、並進駆動機構が配置された内側ハウジングを含む。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、湿式クリーニング装置は、湿式クリーニング装置を本体に取り付ける際に、本体に設けられた第2のガイド手段と協働して、湿式クリーニング装置をガイド方向に案内するように構成された第1のガイド手段を含む。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、第1のガイド手段は、少なくとも1つのガイドリブを含み、第2のガイド手段は、少なくとも1つのガイド溝を含む。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、第2のガイド手段は、本体の下面に設けられる。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、湿式クリーニング装置は、湿式クリーニング装置を本体の前方に向けた取り付け方向で本体に取り付ける際に、本体に取り付けられた第2の電気コネクタと協働するように構成された第1の電気コネクタを含む。このような第1及び第2の電気コネクタの構成により、湿式クリーニング装置を本体に取り付ける際に、後者の接続が容易かつ自動的に行われる。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、自律型クリーニングロボットは、湿式クリーニング装置を本体にロックするように構成されたロック機構を含む。このようなロック機構により、湿式クリーニング装置を不用意に取り外すリスクを抑えることができる。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、ロック機構は、使用者によって作動可能であり、本体又は湿式クリーニング装置に設けられるロックボタンのようなロック部材を含み、ロック部材は、湿式クリーニング装置を本体にロックするように、ロック部材が、湿式クリーニング装置又は本体に設けられるロック要素と協働するように構成されるロック位置と、本体からの湿式クリーニング装置の取り外しを許可するように、ロック部材が、ロック要素を解放するように構成される解放位置との間で移動可能に取り付けられる。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、自律型クリーニングロボットは、ロック部材が解放位置に変位したときに、湿式クリーニング装置を、本体から離して本体の後方に向けて排出するように構成された排出部材を含む。このような排出部材があることで、湿式クリーニング装置の取り外しが容易になる。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、排出部材は、湿式排出部材は、湿式クリーニング装置に対向するように構成された排出面を含む。有利には、排出部材は、少なくとも部分的に、本体に設けられた受容キャビティに収容される。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、排出部材は、排出部材の排出面が、受容キャビティの挿入開口部の凹んでいる又はその近傍に位置する収納位置と、排出部材の排出面が、受容キャビティから突出して受容キャビティの挿入開口部から離れた位置に位置する展開位置との間で変位可能である。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、湿式クリーニング装置は、湿式クリーニング装置が本体に取り付けられたときに、排出部材を収納位置に変位させるように構成される。
【0052】
本発明の実施形態によれば、排出部材は、自律型クリーニングロボットの主変位方向と実質的に平行なスライド方向、すなわち、2つの駆動輪の回転軸に対して実質的に垂直なスライド方向に、本体に対してスライド可能に取り付けられる。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、自律型クリーニングロボットは、排出部材を展開位置に向けて付勢するように構成された圧縮ばねなどの付勢要素を含む。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、ロック部材は、自律型クリーニングロボットが水平面上に載っているときに、実質的に垂直である作動方向に並進変位可能である。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、ロック機構は、ロック部材をロック位置に向けて付勢するように構成された圧縮ばねなどの付勢部材を含む。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、ロック部材は、本体の後部に設けられる。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、ロック部材は、ロックフィンガーを含み、ロック要素は、ロックフィンガーと協働するように構成されたロックハウジングを含む。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、自律型クリーニングロボットは、洗浄液リザーバを含み、湿式クリーニング装置は、洗浄液リザーバに流体連通するように構成され、モップ支持体上に取り付けられたモップに洗浄液を供給するように構成された複数の液体排出オリフィスを含み、液体排出オリフィスは、モップ支持体の前方に配置される。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、洗浄液リザーバは、例えば、取り外し可能な態様で本体に取り付けられる。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、自律型クリーニングロボットは、本体に設けられ、液体排出オリフィスを洗浄液リザーバに流体接続するように構成された、洗浄液供給回路を含む。有利には、洗浄液供給回路は、本体内に収容された分配器を含み、分配器は、自律型クリーニングロボットの主変位方向に対して横方向に延び、洗浄液リザーバに流体連通する回収チャンバと、回収チャンバ内に開口し、回収チャンバに沿って配設された複数の排出オリフィスと、を備える。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、各排出オリフィスは、本体に設けられ、本体の下面に開口する各通路オリフィスに対向して配置される。有利には、各通路オリフィスは、それぞれの液体排出オリフィスに対向して配置される。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、液体排出オリフィスはモップの前方に配置される。有利には、液体排出オリフィスは、駆動輪の回転軸の後方に配置される。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、液体排出オリフィスは、2つの駆動輪の回転軸と実質的に平行に延びる整列方向、すなわち、自律型クリーニングロボットの主変位方向に対して横方向に実質的に整列される。このような液体排出オリフィスの配置により、モップ上への洗浄液の分散をより均一にすることができ、本発明による自律型クリーニングロボットのクリーニング品質をさらに向上させることが可能となる。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、自律型クリーニングロボットは、2つの駆動輪の回転軸に対して実質的に平行に、すなわち、自律型クリーニングロボットの主変位方向に対して横方向に延び、モップ支持体の前方に位置する、昇降傾斜路を含み、昇降傾斜路は、清掃すべき表面に向いており、後方かつ下方に傾斜している昇降面を含み、昇降面は、本体の前方変位中に、自律型クリーニングロボットに対して前方に提示される障害物が、昇降面に接触し、昇降面上をスライドするときに、本体の後部の昇降を引き起こすように構成される。このような昇降傾斜路があることで、自律型クリーニングロボットが遭遇する前方の障害物を乗り越えることが容易になる。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、昇降面は、自律型クリーニングロボットが水平面上に載っているときに、10~40°の間で構成される傾斜角度だけ水平に対して傾斜するように構成される。有利には、傾斜角度は、20~30°で構成され、例えば、約25°である。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、液体排出オリフィスは、昇降傾斜路に設けられ、昇降傾斜路に沿って分布する。有利には、液体排出オリフィスは、昇降面に開口する。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、昇降傾斜路は、2つの駆動輪間の距離に実質的に対応する長さを有する。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、昇降傾斜路は、湿式クリーニング装置に設けられる。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、自律型クリーニングロボットは、ブラシ回転軸を中心として本体内に回転可能に取り付けられた、回転クリーニングブラシを備える。有利には、ブラシ回転軸は、駆動輪の回転軸と実質的に平行に延びる。言い換えれば、ブラシ回転軸は、自律型クリーニングロボットの主変位方向に対して横方向に延びる。
【0070】
本発明の有利な特徴によれば、2つの駆動輪は自律型クリーニングロボットの側方車輪である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
本発明の目的、態様及び利点は、添付図面を参照しながら、非限定的な例として提示される本発明の特定の実施形態に関する以下の説明からより良く理解されるであろう。
【
図1】
図1は、本発明による自律型クリーニングロボットの上面斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の自律型クリーニングロボットの底面斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の自律型クリーニングロボットの部分的な底面斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1の自律型クリーニングロボットの底面図である。
【
図5】
図5は、
図1の自律型クリーニングロボットの側面図である。
【
図6】
図6は、
図1の自律型クリーニングロボットの縦断面図である。
【
図8】
図8は、
図1の自律型クリーニングロボットの部分縦断面図であり、自律型クリーニングロボットの本体から取り外された湿式クリーニング装置を示す。
【
図9】
図9は、本体から湿式クリーニング装置を取り外した状態を示す
図1の自律型クリーニングロボットの上面斜視図である。
【
図10】
図10は、湿式クリーニング装置の正面斜視図である。
【
図11】
図11は、湿式クリーニング装置の部分正面斜視図である。
【
図12】
図12は、湿式クリーニング装置が置かれた
図1の自律型クリーニングロボットの部分底面斜視図である。
【
図13】
図13は、
図1の自律型クリーニングロボットの上面斜視図であり、交換モジュールが本体に組み付けられている状態を示す。
【
図14】
図14は、交換モジュールが本体に組み付けられた状態を示す
図1の自律型クリーニングロボットの部分長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本発明を理解するために必要な要素のみが表される。図面を読みやすくするために、同じ要素は、各図において同じ参照を用いる。
【0073】
本明細書では、自律型クリーニングロボット、又は、本体を表すために使用される「水平」、「垂直」、「下方」、「上方」、「上部」、「下部」という用語は、自律型クリーニングロボットが平らで水平な被クリーニング面上に車輪で載っているときに使用される自律型クリーニングロボットを指すことに留意されたい。
【0074】
図1から
図14は、自律型クリーニングロボット2、より詳細には、被クリーニング面上を自律的に変位するように構成されたロボット掃除機を表す。
【0075】
自律型クリーニングロボット2は、被クリーニング面を向くように構成された下面4を含む本体3と、本体3の前部3.1に設けられ、本体3の下面4に開口する吸引口5とを備える。有利には、吸引口5は細長く、自律型クリーニングロボット2の主変位方向Dに対して横方向に、より詳細には垂直に延びる。
【0076】
自律型クリーニングロボット2は、主変位方向Dに対して横方向に、より詳細には垂直に延びるブラシ回転軸を中心として本体3内に回転可能に取り付けられた回転クリーニングブラシ6をさらに備える。有利には、ブラシ回転軸は、自律型クリーニングロボット2が水平面上に載っているときに実質的に水平である。
【0077】
また、自律型クリーニングロボット2は、回転クリーニングブラシ6を、ブラシ回転軸を中心に回転駆動するように構成された駆動機構(不図示)を備える。
【0078】
図2から
図4により詳細に示すように、自律型クリーニングロボット2は、被クリーニング面上を転動するように構成された2つの駆動輪7からなる。2つの駆動輪7は、本体3に対して回転自在に取り付けられており、平行な、有利には平行な回転軸を有する。有利には、駆動輪7の回転軸は、主変位方向Dに対して垂直に延びる。
【0079】
2つの駆動輪7は、本体3の下面4から突出するように構成されており、本体3の長手方向中央面Pの両側に配置される。有利には、2つの駆動輪7は、本体3の長手方向中央面Pに対して対称に配置され、自律型クリーニングロボット2の側方車輪である。
【0080】
2つの駆動輪7は、有利には互いに独立してモータ駆動される。このように、自律型クリーニングロボット2は、本体3に収容された2つの回転駆動機構8から構成され、それぞれが2つの駆動輪7の間でそれぞれの駆動輪7を回転駆動するように構成される。各回転駆動機構8は、それぞれの駆動輪7に回転可能に連結され、例えば、本体3のそれぞれの側方に配置された駆動モータを含む。前述の2つの駆動モータの制御により、本体3は左、右、又は、それ自身の上で回転し、前進又は後進することができる。
【0081】
図に示す実施形態によれば、自律型クリーニングロボット2は、本体3に対して回転自在に取り付けられた追加車輪9を含み、例えば、本体3の前部3.1に配置された2つの追加車輪9を含む。有利には、すべての追加車輪9は、2つの駆動輪7の回転軸の前方に配置され、自律型クリーニングロボット2は、2つの駆動輪7の回転軸の後方に配置される追加車輪を持たない。
【0082】
自律型クリーニングロボット2は、本体3内に収納された吸引ユニット11をさらに備える。吸引ユニット11は、吸引モータと、吸引モータに連結され、吸引口5から空気の流れを発生させるように構成されたファンとから構成される。
【0083】
また、自律型クリーニングロボット2は、吸引ユニット11の上流側に配置され、自律型クリーニングロボット2の動作時にファンによって生成される空気流によって交差する廃棄物回収装置12(
図6参照)を備える。
【0084】
自律型クリーニングロボット2は、自律型クリーニングロボット2に電力を供給するように構成された電源バッテリ13も含む。有利には、電源バッテリ13は充電可能で、本体3に収納される。
【0085】
特に、
図2に示すように、自律型クリーニングロボット2は、本体3の後部3.2に配置される湿式クリーニング装置14をさらに備える。有利には、湿式クリーニング装置14は、駆動輪7の回転軸に対して回転クリーニングブラシ6の反対側に配置される。
【0086】
湿式クリーニング装置14は、並んで配置され、駆動輪7の回転軸の後方に位置する2つのモップ支持体15を含む。有利には、2つのモップ支持体15は、本体3の長手方向中央面Pの両側に配置され、本体3が水平面上に載っているときに、実質的に水平に延びるように構成される。
【0087】
図3により詳細に示すように、2つのモップ支持体15は、2つのモップ支持体15が、自律型クリーニングロボット2に装備された車輪の回転軸を通るいずれの垂直面と交差しないように、かつ、2つのモップ支持体15が、自律型クリーニングロボット2に装備された車輪の2つの回転軸をそれぞれ通る2つの垂直面の間に少なくとも部分的に位置しないように、本体3に対して配置される。
【0088】
有利には、電源バッテリ13は、少なくとも部分的に、例えば、全体的に、モップ支持体15の一方の上方に配置され、吸引ユニット11は、少なくとも部分的に、例えば、全体的に、モップ支持体15の他方の上方に配置される。したがって、吸引ユニット11と電源バッテリ13は、本体3の長手方向中央面Pの両側に配置される。
【0089】
2つのモップ支持体15はそれぞれ、自律型クリーニングロボット2の主変位方向Dに対して横方向に、有利には、垂直に延びる並進方向Tに、本体3に対して並進可能に取り付けられる。
【0090】
有利には、モップ支持体15は、2つのモップ支持体15が互いに接近させられる接近構成と、2つのモップ支持体15が互いに離間させられる離間構成との間で、互いに対して移動可能に取り付けられる。
【0091】
また、湿式クリーニング装置14は、モップ支持体15を並進方向Tに並進変位させ、接近構成と離間構成との間で交互に並進変位させるように構成された並進駆動機構16を含む。したがって、並進駆動機構16は、2つのモップ支持体15を逆位相で並進変位させるように構成される。有利には、並進駆動機構16は、少なくとも一部がモップ支持体15の上方に配置される。
【0092】
図に示す実施形態によれば、並進駆動機構16は、駆動モータ16.1と、駆動モータ16.1に回転自在に結合され、駆動モータ16.1によって回転駆動されるように構成されたクランクシャフト16.2と、クランクシャフト16.2にヒンジ式に取り付けられた第1の端部と、それぞれのモップ支持体15にヒンジ式に関節結合された第2の端部とをそれぞれ含む2本の連結ロッド16.3とを含む。
【0093】
湿式クリーニング装置14はさらに、2つのモップ支持体15にそれぞれ取り外し可能に取り付けられた2つのモップ17を含む。モップ17は、自律型クリーニングロボット2が被クリーニング面上に載っているときに、被クリーニング面に接触するように、より詳細には被クリーニング面に支持力を及ぼすように構成される。支持力は、例えば、9N以上であり得る。
【0094】
有利には、自律型クリーニングロボット2は、自律型クリーニングロボット2が被クリーニング面上に載っているとき、自律型クリーニングロボット2の後部が、2つのモップ17によって直接、被クリーニング面上に載るように構成される。
【0095】
図8~
図12により詳細に示すように、湿式クリーニング装置14は、本体3に対して取り外し可能に取り付けられ、本体3は、湿式クリーニング装置14を少なくとも部分的に受容する受容ハウジング18を含む。湿式クリーニング装置14は、有利には、本体3の後方に向けられた並進運動によって本体3から取り外されるように構成される。
【0096】
図に示す実施形態によれば、湿式クリーニング装置14は、特に、モップ支持体15が移動可能に取り付けられる下面を構成する支持板19.1を含む支持体19と、支持板19.1の上面に固定される保護カウル19.2とを含む。支持板19.1と保護カウル19.2は、並進駆動機構16が配置される内側ハウジング19.3を画定する。支持体19はさらに、支持板19.1から上方に延び、受容ハウジング18の少なくとも一部を覆うように構成された側壁19.4を含む。
【0097】
図9から
図13に示すように、湿式クリーニング装置14は、湿式クリーニング装置14を主変位方向Dに実質的に垂直なガイド方向に案内するように、湿式クリーニング装置14の本体3への取り付け時及び湿式クリーニング装置14を本体3から取り外す時に、本体3に設けられた第2のガイド手段と協働するように構成された第1のガイド手段を含む。第1のガイド手段としては、例えば、支持板19.1の上面に設けられたT字状のガイドリブ等の2つのガイドリブ21を挙げることができ、第2のガイド手段としては、例えば、本体3の下面4に設けられたT字状のガイド溝等の2つのガイド溝22を挙げることができる。
【0098】
図に示す実施形態によれば、湿式クリーニング装置14は、本体3の前方に向けられた取り付け方向で本体3に湿式クリーニング装置14を取り付ける間に、本体3に取り付けられた、雌又は雄コネクタなどの第2の電気コネクタ24と協働するように構成された、雄又は雌コネクタなどの第1の電気コネクタ23をさらに含む。
【0099】
また、自律型クリーニングロボット2は、湿式クリーニング装置14を本体3にロックするように構成されたロック機構を含む。ロック機構は、使用者により操作可能であり、本体3の後部、例えば、本体3の後面に設けられたロック部材25を含む。
【0100】
ロック部材25は、湿式クリーニング装置14を本体3にロックするようにロック部材25が、湿式クリーニング装置14に設けられたロック要素26と協働するように構成されたロック位置と、本体3からの湿式クリーニング装置14の取り外しを可能にするようにロック部材25がロック要素26を解除するように構成された解除位置との間で移動可能に取り付けられる。ロック部材25は、例えば、ロックフィンガーを含むことができ、ロック要素26は、例えば、ロックフィンガーを受容するように構成されたロックハウジングを含むことができる。
【0101】
有利には、ロック部材25は、自律型クリーニングロボット2が水平面上に載っているときに、実質的に垂直である作動方向に、本体3に対して並進移動可能に取り付けられる。
【0102】
図に示す実施形態によれば、ロック機構は、ロック部材25をロック位置に向けて付勢するように構成された圧縮ばねなどの付勢部材27を含む。
【0103】
図に示す実施形態によれば、自律型クリーニングロボット2は、ロック部材25が解除位置に変位したときに、湿式クリーニング装置14を本体3から離して、本体3の後方に向けて排出するように構成された排出部材28も含む。有利には、排出部材28は、本体3に設けられた受容キャビティ29に部分的に収容され、湿式クリーニング装置14に対して耐えるように構成された排出面28.1を有する。
【0104】
排出部材28は、本体3に対して、自律型クリーニングロボット2の主変位方向Dと平行な方向であるとともに、排出部材28の排出面28.1が、受容キャビティ29の挿入開口部に凹んで又は接近して配置される収納位置(
図7参照)と、排出部材28の排出面28.1が、受容キャビティ29から突出し、受容キャビティ29の挿入開口部から離れて配置されている展開位置(
図12参照)との間に、摺動方向に摺動可能に取り付けられる。有利には、湿式クリーニング装置14は、湿式クリーニング装置14が本体3に取り付けられたときに、排出部材28を格納位置に変位させるように構成される。
【0105】
図7により詳細に示すように、自律型クリーニングロボット2は、排出部材28を展開位置に向けて付勢するように構成された圧縮ばねなどの付勢要素31を含む。
【0106】
自律型クリーニングロボット2はまた、例えば、取り外し可能な方法で本体3に取り付けられる洗浄液リザーバ32を含む。有利には、洗浄液リザーバ32と廃棄物回収装置12は重ね合わされ、互いに固定されている。したがって、自律型クリーニングロボット2は、例えば、洗浄液リザーバ32を形成する第1の区画と、廃棄物回収装置12を形成する第2の区画とを含む取り外し可能なリザーバを含むことができる。それにもかかわらず、本発明の実施形態によれば、洗浄液リザーバ32は、湿式クリーニング装置14に直接設けることができ、したがって、廃棄物回収装置12とは分離されることができる。
【0107】
湿式クリーニング装置14は、洗浄液リザーバ32に流体連通するように構成され、モップ支持体15に取り付けられたモップ17に洗浄液を供給するように構成された複数の液体排出オリフィス33をさらに含む。
【0108】
図に示す実施形態によれば、液体排出オリフィス33は、自律型クリーニングロボット2の主変位方向Dに対して垂直に延びる配列方向に配列され、互いに規則的な間隔をあけて配置される。有利には、液体排出オリフィス33は、モップ支持体15の前部、例えば、モップ17の前部に配置され、被クリーニング面に面するように構成される。
【0109】
自律型クリーニングロボット2はまた、本体3に設けられ、液体排出オリフィス33を洗浄液リザーバ32に流体的に接続するように構成された洗浄液供給回路を含む。
【0110】
有利には、洗浄液供給回路は、本体3に収容された分配器35(
図7参照)を含む。分配器35は、自律型クリーニングロボット2の主変位方向に対して横方向に延び、洗浄液リザーバ32に流体連通する回収チャンバと、分配器の下面に設けられ、回収チャンバに開口し、回収チャンバに沿って配設される複数の排出オリフィス(図では見えない)と、を備える。有利には、各排気オリフィスは、本体3に設けられ、本体3の下面4に開口する各通路オリフィス37(
図12参照)に対向して位置し、各通路オリフィス37は、各液体排出オリフィス33に対向して位置する。
【0111】
図に示す実施形態によれば、自律型クリーニングロボット2は、自律型クリーニングロボット2の主変位方向Dに対して横方向に延び、モップ支持体15の前部に位置する昇降傾斜路38を含む。昇降傾斜路38は、例えば、2つの駆動輪7の間の距離に実質的に対応する長さを有することができる。有利には、昇降傾斜路38は、湿式クリーニング装置14に設けられ、例えば、支持体19の本体に固定される。
【0112】
昇降傾斜路38は、被クリーニング面に向いており、後方及び下方に傾斜している昇降面38.1を含む。有利には、昇降面38.1は実質的に平坦である。昇降面38.1は、より詳細には、本体3の前方変位中に、自律型クリーニングロボット2に対して、前方に現れる障害物が、昇降面38.1に接触し、昇降面38.1上を滑るときに、本体3の後部3.2の昇降を引き起こすように構成される。
【0113】
有利には、昇降面38.1は、自律型クリーニングロボットが水平面上に載っているときに、10~40°、例えば、約25°の傾斜角度だけ水平に対して傾斜するように構成される。
【0114】
に示す実施形態によれば、液体排出オリフィス33は、昇降傾斜路38に設けられ、昇降傾斜路38に沿って分布する。有利には、液体排出オリフィス33は、昇降面38.1に開口する。
【0115】
図13および
図14に示すように、自律型クリーニングロボットには、特に、被クリーニング面の湿式クリーニングが望まれない場合に、湿式クリーニング装置14の代わりに本体3に取り付けられるように構成された交換モジュール41も含まれる。交換モジュール41は、モップを有しておらず、例えば、カーペットのような柔らかい床の吸引を望まれる場合や、硬い地面の湿式クリーニングを望まれない場合に、湿式クリーニング装置14の代わりに本体に取り付けることができる。
【0116】
有利には、交換モジュール41は、湿式クリーニング装置14に設けられたガイドリブ21と同一のガイド手段41.1を含み、さらに、支持板19.1及び支持体19の側壁19.4とそれぞれ同様の底壁41.2及び後壁41.3を含む。
【0117】
本発明の一実施形態によれば、交換モジュール41は、湿式クリーニング装置14の代わりに、本体3に取り付けられるように構成されたモジュール支持体と、モジュール支持体に対して固定的に取り付けられる少なくとも受動モップと、を備え得る。このような交換モジュール41により、使用者は、使用者のニーズに応じて湿式又は乾式で、被クリーニング面を拭くことができる。
【0118】
本発明の別の実施形態によれば、交換モジュール41は、地面の機械的、化学的、熱的、又は、放射処理を行うように構成された、モップ以外の床処理要素を備えることができる。
【0119】
もちろん、本発明は、例示のためにのみ記載され図示された実施形態に決して限定されるものではない。本発明の保護範囲を逸脱することなく、特に様々な要素の構成の観点から、または技術的同等物の代用により、変更が可能である。
【国際調査報告】