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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】耐伸張塞栓コイル
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500265
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 US2022073509
(87)【国際公開番号】W WO2023283598
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/219,282
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517416374
【氏名又は名称】マイクロベンション インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MICROVENTION, INC.
【住所又は居所原語表記】35 Enterprise, Aliso Viejo, California 92656 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】ヒューイット,トッド
(72)【発明者】
【氏名】デサイ,カリシュマ
(72)【発明者】
【氏名】ミルハウス,パーカー
(72)【発明者】
【氏名】リン,タオ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD53
4C160DD63
4C160MM33
(57)【要約】
塞栓コイルの伸張または巻き戻しに抵抗するための耐伸張部材を有する塞栓コイル。管状部材が、塞栓コイルの近位端に取り付けられてもよい。耐伸張部材は、管状部材および塞栓コイルを貫通して延び、その遠位端が塞栓コイルに取り付けられてもよい。耐伸張部材は、耐伸張部材が管状部材内に引き込まれるのを防止するための拡大部を含んでもよい。耐伸張部材は、テザーからなる一体型設計、またはテザーとフィラメント、ブレイド、アイレットなどの他の部材との組み合わせからなるツーピース設計からなる場合がある。耐伸張部材は、弛みを許容するために波打っていてもよい。耐伸張部材の遠位端は、結び目、先端への溶融、接着剤、溶接、はんだ付けなどの方法で塞栓コイルに取り付けることができる。
【選択図】図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塞栓コイル装置であって、
遠位端、近位端、および内部を含むコイル状ワイヤ、
前記コイル状ワイヤの前記近位端またはその近傍に取り付けられ、内腔を含む管状部材、及び、
前記コイル状ワイヤの前記遠位端と連結され、前記コイル状ワイヤおよび前記管状部材の内部を通って延び、拡大部を備えるテザー、
を含み、前記拡大部は、前記管状部材の内腔よりも大きな幅または直径で構成される、塞栓コイル装置。
【請求項2】
前記拡大部は前記コイル状ワイヤに直接接続されておらず、前記テザーの少なくとも一部は耐伸張性である、請求項1に記載の塞栓コイル装置。
【請求項3】
前記拡大部は全てが前記コイル状ワイヤの内部に配置されている、請求項1に記載の塞栓コイル装置。
【請求項4】
前記拡大部は前記コイル状のワイヤの内部で自由に移動可能である、請求項1に記載の塞栓コイル装置。
【請求項5】
前記拡大部は接着剤のボールで構成されている、請求項1に記載の塞栓コイル装置。
【請求項6】
前記拡大部は前記テザーに固定されたビーズで構成されている、請求項1に記載の塞栓コイル装置。
【請求項7】
前記テザーに張力がかかっていないとき、前記テザーは波状となっている、請求項1に記載の塞栓コイル装置。
【請求項8】
前記テザーは、軸上トルクを提供するように、前記コイル状ワイヤの内部の長手方向中心軸に沿って配置されている、請求項1に記載の塞栓コイル装置。
【請求項9】
前記テザーはフィラメントによって前記コイル状ワイヤの前記遠位端に接続されている、請求項1に記載の塞栓コイル装置。
【請求項10】
前記フィラメントは前記コイル状ワイヤの前記遠位端に結び付けられてる、請求項9に記載の塞栓コイル装置。
【請求項11】
前記フィラメントは前記コイル状ワイヤの前記遠位端に接触して溶融し、溶融チップを形成している、請求項9に記載の塞栓コイル装置。
【請求項12】
さらに、前記コイル状ワイヤの内部に配置され、前記テザーの前記遠位端に取り付けられたブレイドを含む、請求項1に記載の塞栓コイル装置。
【請求項13】
前記ブレイドの外径は前記コイル状ワイヤの内径より小さい、請求項12に記載の塞栓コイル装置。
【請求項14】
前記テザーはアイレットによって前記コイル状ワイヤの前記遠位端に接続されている、請求項1に記載の塞栓コイル装置。
【請求項15】
前記アイレットは閉じたループを構成する、請求項14に記載の塞栓コイル装置。
【請求項16】
前記アイレットは実質的にU字形を有し、前記アイレットの一対の遠位端はそれぞれ前記コイル状ワイヤに結び付けられている、請求項14に記載の塞栓コイル装置。
【請求項17】
塞栓コイルを標的部位に送達するシステムであって、
デリバリーカテーテル、
遠位端、近位端、および内部を有するコイル状ワイヤ、
コイル状ワイヤの近位端に取り付けられた管状部材であって、前記コイル状ワイヤの内部の内径よりも小さい内径を有する内腔を含む管状部材、及び、
前記デリバリーカテーテルおよび前記管状部材を通って延在するテザーであって、遠位端が前記コイル状ワイヤの前記遠位端に接続されているテザー、
を含み、
前記テザーは、前記管状部材の内腔の内径よりも大きい直径または幅を有する拡張部を含む、システム。
【請求項18】
前記テザーはフィラメントによって前記コイル状ワイヤの前記遠位端に接続されており、前記フィラメントの近位端は前記テザーの前記遠位端に取り付けられ、前記フィラメントの遠位端は前記塞栓コイルの遠位端に取り付けられている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
さらに、前記コイル状ワイヤの内部に配置され、前記テザーの前記遠位端に取り付けられたブレイドを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
塞栓コイル装置であって、
血管を閉塞するためのコイル手段であって、遠位端、近位端、および内部を含む前記コイル手段、
前記コイル手段の近位端またはその近くに取り付けられた放射線不透過性マーカーバンドであって、内部管腔を含む前記放射線不透過性マーカーバンド、及び、
前記マーカーバンドを通って前記コイル手段の内部に延びて、前記コイル手段の伸長または巻き戻しに抵抗する耐伸張手段であって、前記放射線不透過性マーカーバンド内に引き込まれるのを防止するストッパ手段を備える前記耐伸張手段、
を含む、塞栓コイル装置。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年7月7日に出願された米国仮出願シリアル番号63/219,282(名称:Centered Coil Knot Configuration)の優先権を主張するものであり、その全内容をここに参照することにより援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、耐伸張塞栓コイルに関する。
【背景技術】
【0003】
動脈瘤または類似の血管奇形のような病状は、しばしば小口径の金属製(最も一般的には白金製)塞栓コイルを用いて血管内治療される。これらのコイルは、マイクロカテーテルを通して前進および回収できるように、長い(~150-200cm)デリバリーシステムに取り付けられている。塞栓コイルを動脈瘤嚢に留置すると、電解、電熱、機械的剥離などの方法でインプラントをデリバリーシステムから取り外すことができる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、一般に、カテーテルなどの送達デバイスを介した送達中に塞栓コイルが不所望に引き伸ばされたり巻き戻されたりするのを防止するための耐伸張部材を有する塞栓コイルに向けられている。さらに、耐伸張部材の配置は、可撓性、柔らかさ、および軸上トルクの改善を可能にし得る。
いくつかの例示的な実施形態では、マーカーバンドのような管状部材が塞栓コイルの近位端に取り付けられてもよい。管状部材はハイポチューブで構成してもよい。管状部材は放射線不透過性であってもよい。管状部材の内腔の内径は、塞栓コイルの内部の内径よりも小さくてもよい。
【0005】
いくつかの例示的な実施形態において、耐伸張部材は、耐伸張部材が管状部材内に引き出されるのを防止するために、管状部材の内腔の内径よりも大きい直径又は幅を有する結び目のような拡大部又はストッパを含むことができる。
【0006】
いくつかの例示的な実施形態では、耐伸張部材は、テザーを含む一体構成からなる場合がある。テザーは、管状部材を貫通して塞栓コイルの内部に延びることがある。テザーの遠位端は塞栓コイルの遠位端に取り付けられる。
【0007】
いくつかの例示的な実施形態では、耐伸張部材は、テザーと、フィラメント、ブレイド、またはアイレットなどの別個の構成要素とを含むツーピース構成からなる場合がある。テザーの遠位端は、フィラメント、ブレイド、またはアイレットの近位端に取り付けられてもよい。
【0008】
いくつかの例示的な実施形態では、耐伸張部材は、テザーと、テザーの遠位端と塞栓コイルの遠位端との間に取り付けられたフィラメントとから構成され得る。フィラメントはテザーよりも小さい直径または幅で構成されることがある。テザーとフィラメントとの間の接続は、接着剤などで封止されていてもよい。
【0009】
いくつかの例示的な実施形態では、耐伸張部材はテザーとブレイドから構成されることがある。ブレイドは塞栓コイルを貫通して延びていてもよい。ブレイドは、塞栓コイルに接触するのを防ぐために、塞栓コイルの内径よりも小さい外径を有することができる。ブレイドは、様々な高分子材料または金属材料からなる編まれたフィラメントから形成されてもよい。
【0010】
いくつかの例示的な実施形態において、耐伸張部材は、テザーとアイレットとから構成されてもよい。アイレットは、実質的にU字形の構成を有するように、閉じたループまたは開いたループに形成されたフィラメントで構成されてもよい。
【0011】
いくつかの例示的な実施形態では、耐伸張部材は遠位接続部によって塞栓コイルに取り付けられることがある。遠位接続部は、結び目、接着剤、溶接、はんだ付け、または遠位キャップへの溶融で構成され得る。
【0012】
本発明は、耐伸張部材と塞栓コイルとの間の接続が塞栓コイルの中心軸に沿って位置するようにする結び目の設計に向けられている場合がある。
【0013】
本発明の一態様では、装置の中心線を通る耐伸張部材で取り付けゾーンのモノフィラメントを提供することができ、これにより、モノフィラメントを塞栓コイルワイヤ上で終端させることによって生じる軸外トルクを排除することができる。
【0014】
本発明の別の態様では、塞栓コイルの外側で組み立てられ得る(ループ状で結び目となる)、耐伸張性の、取り付けゾーンのモノフィラメントを提供し得るので、結び目を結ぶために塞栓コイルを操作したり「開いたり」する必要がなくなる。
【0015】
発明の別の態様では、引張強さを増加させ、耐伸張部材の剛性を相対的に減少させることを可能にする、より小さな直径の「二本撚り」耐伸縮性を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施形態が可能であるこれらおよび他の態様、特徴および利点は、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態の以下の説明から明らかになり、解明されるであろう。
【0017】
図1A図1Aは、一実施形態による耐伸張部材を有する塞栓コイルを含むプッシャーの側面図である。
図1B図1Bは、一実施形態による耐伸張部材を備えた塞栓コイルの側面図である。
図1C図1Cは、一実施形態による耐伸張部材を備えた塞栓コイルの切断側面図である。
図1D図1Dは、一実施形態による耐伸張部材が管状部材に入るのを阻止されている塞栓コイルの切断側面図である。
図2A図2Aは、一実施形態による耐伸張部材を有する塞栓コイルを含むプッシャーの側面図である。
図2B図2Bは、一実施形態による耐伸張部材を備えた塞栓コイルの側面図である。
図2C図2Cは、一実施形態による耐伸張部材を備えた塞栓コイルの切断側面図である。
図3A図3Aは、一実施形態による耐伸張部材を備えた塞栓コイルの側面図である。
図3B図3Bは、一実施形態による耐伸張部材を備えた塞栓コイルの切断側面図である。
図4A図4Aは、一実施形態による耐伸張部材を備えた塞栓コイルの側面図である。
図4B図4Bは、一実施形態による耐伸張部材を備えた塞栓コイルの切断側面図である。
図5A図5Aは、一実施形態による耐伸張部材を備えた塞栓コイルの側面図である。
図5B図5Bは、一実施形態による耐伸張部材を備えた塞栓コイルの切断側面図である。
図6A図6Aは、一実施形態による耐伸張部材を備えた塞栓コイルの側面図である。
図6B図6Bは、一実施形態による耐伸張部材を備えた塞栓コイルの切断側面図である。
図7A図7Aは、一実施形態による耐伸張部材を備えた塞栓コイルの側面図である。
図7B図7Bは、一実施形態による耐伸張部材を備えた塞栓コイルの切断側面図である。
図8A図8Aは、一実施形態による耐伸張部材を備えた塞栓コイルの側面図である。
図8B図8Bは、一実施形態による耐伸張部材を備えた塞栓コイルの切断側面図である。
図9A図9Aは、一実施形態による接着剤から形成された拡大部を含む耐伸張部材を有する塞栓コイルの切断側面図である。
図9B図9Bは、一実施形態による接着剤で封止された結び目を含む耐伸張部材を備えた塞栓コイルの切断側面図である。
図9C図9Cは、一実施形態による拡大部を含む耐伸張部材を備えた塞栓コイルの切断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の具体的な実施形態について、添付図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化され得、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提供される。添付図面に図示された実施形態の詳細な説明で使用される用語は、本発明を限定することを意図するものではない。図面において、同様の番号は同様の要素を指す。
【0019】
本明細書に示され説明された例示的な実施形態の各々は、単に、耐伸張部材を塞栓コイルに固定するための構成の一例に過ぎない。このような例示的な実施形態は範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0020】
コイル、塞栓コイル、マイクロコイル、血管閉塞コイルおよび閉塞コイルという用語は、治療目的で動脈瘤または他の血管奇形内に送達するのに適した少なくともワイヤコイルからなる細長い装置を指すために、本明細書において互換的に使用されることがある。
【0021】
本発明は、一般に、塞栓コイルの近位端近傍の拡大部またはストッパによって塞栓コイル内に連結されるテザーを有する塞栓コイルに向けられている。 拡大部またはストッパは、テザーに固定されていてもよいし、テザーの一部であってもよく、一般に、塞栓コイルの近位端の管状部材の通路を近位側に通過するのを妨げ、それにより、塞栓コイルの内部内のテザーの一部または全部が引き出されるのを防止するのに十分な大きさ(例えば、幅、直径)であってもよい。さらに後述するように、この配置は、塞栓コイルにより均一な可撓性/柔らかさを提供し得、送達装置(例えば、プッシャ)からのトルクは、その軸方向の位置決めにより、塞栓コイルにより均一にまたは予測可能に伝達され得る。
【0022】
テザーは、一般に、送達デバイスの遠位端から塞栓コイルの近位端に延び、管状部材を通って延びることができる。管状部材は、塞栓コイルの内部に配置され固定されてもよいし、塞栓コイルの外側で塞栓コイルの近位端に部分的または完全に配置され固定されてもよい。テザーは、管状部材内で長手方向に自由に移動可能であってもよいし、管状部材内に接着剤で固定されていてもよい。管状部材は、その近位端と遠位端との間に、ストッパまたは拡大部よりも小さい直径を有する通路を含むことができる。管状部材は、任意に、塞栓コイルの近位端を可視化するのに役立つ放射線不透過性材料を含んでもよい。
【0023】
ストッパまたは拡大は、テザーと一緒に形成された結び目であってもよい。結び目は、それ自身とのみ形成され、他の構成要素の周囲には形成されないことがある。結び目は任意に接着剤を含むこともできる。ストッパまたは拡大はまた、テザーの上または周囲に配置された接着剤のみであってもよい。
【0024】
ストッパまたは拡大部はまた、塞栓コイルの構造ワイヤとは別個の構造部品であってもよい。このような構造部品は、テザーが貫通して配置される通路を有していてもよく、および/または、テザーが構造部品の周囲を1回以上通過してもよい。テザーは、構造部品の周囲または片側もしくは両側に結び目を形成してもよい。接着剤はまた、構造部品を固定するために、単独で、または結び目とともに含まれてもよい。構造部品は、構造部品の一部または構造部品とは別のクランプ機構を介して取り付けることもできる。構造部品をテザーに接続するために、溶接またははんだ付けを使用することもできる。構造部品は、ループ形状、円柱形状、球形状、楕円形状、正方形状、長方形状など、様々な異なる形状を有することができる。
【0025】
テザーは、近位接続点(すなわち、結び目、接着剤、または構造部材)またはその近傍で終端してもよく、塞栓コイルの遠位端部またはその近傍で終端してもよく、あるいはその間の位置で終端してもよい。テザーが塞栓コイルに伸張抵抗を与える場合、塞栓コイルの近位領域(または遠位端の近位領域)で終端するテザーは、塞栓コイルの遠位端に延在して接続する構造部材(例えば、ループ、ケーブル、第2のテザー、ブレイド、複数のリンク、または同様の部材)に接続してもよい。テザーが塞栓コイルの遠位端またはその近傍で接続される場合、テザーは、塞栓コイル上の遠位端キャップまたは類似の構造要素に接続してもよいし、塞栓コイルに保持する結び目を形成してもよいし、塞栓コイルに接着剤を介して接続してもよいし、塞栓コイルに溶融してもよいし、類似の接続機構を用いてもよい。テザーが塞栓コイルの遠位端またはその近傍で接続される場合、両接続点間に張力を有するように、または張力がかかっていないときにテザーが波打つように接続点間にたるみを有するように構成することができる。
【0026】
耐伸張部材という用語は、本明細書では一般に、特に塞栓コイルを近位方向に引っ張る力によって、塞栓コイルが不当に伸張および/または損傷するのを抵抗または防止するのに役立つ、単独または他のものと組み合わせたあらゆる構成要素を指すために使用される。これらの耐伸張部材は、一般に、塞栓コイルの内部に配置され、可撓性であっても非可撓性であってもよく、ポリマー、金属、またはそれらの組み合わせで構成されてもよい。耐伸張部材という用語は、テザーと非テザー部材の両方を含むことがある。
【0027】
テザーという用語は、モノフィラメントとも呼ばれることがあり、一般に、塞栓コイルなどのインプラントに解放可能に接続するのに使用するのに適した細長い可撓性部材を指す。テザーは、種々のポリマー(例えば、PET、エンゲージ、ポリプロピレンなど)から構成されるポリマーモノフィラメントなど、当技術分野で公知の種々のタイプのテザーのいずれかを構成することができるが、これらに限定されない。テザーはまた、送達デバイスの機構(例えば、切断、溶融など)によって切断されることによって、剥離機構の一部として機能し得る。
【0028】
塞栓コイルは、デリバリーカテーテルから前進させる際に壁に過度の力がかからないようにするために、特に可撓性または「軟質」であることが有益であり得る。しかしながら、このような柔軟性および軟性は、損傷を受けやすいより繊細な塞栓コイル構造をもたらす可能性がある。したがって、このようなコイルは、送達中に伸びたり、巻き戻ったりするなどの様々な欠点に悩まされる可能性がある。耐伸張部材を塞栓コイルの設計に組み込むことにより、コイルをさらに軟らかくすることができる一方で、伸びたりほどけたりする可能性を低減または排除することができる。
【0029】
塞栓コイルの望ましい張力を維持するのを助けるために、テザーは塞栓コイルの遠位端と近位端の両方に(直接または他の構成要素を介して間接的に)接続されることがある。しかしながら、これらの接続点は、そうでなければ、特に塞栓コイルへのテザーの接続点またはその近傍において、送達中の塞栓コイルの特定の性能特性を変化させる可能性がある。例えば、塞栓コイルは、近位接続点付近で可撓性/軟性が低下するか、不均一になる可能性がある。テザーが塞栓コイルを形成するワイヤ(すなわち、塞栓コイルの側部)に結ばれている例では、テザーが塞栓コイルの内部の側部に向かって/側部から離れて延びるので、プッシャーと塞栓コイルとの間に軸外トルクが生じることがある。この不均一な可撓性およびトルクの軸外伝達は、場合によっては、塞栓コイルがデリバリーカテーテルから出るときの挙動(例えば、「キックバック」の変化)および/またはデリバリー装置の動きがデリバリーカテーテルから押し出された塞栓コイルの部分にどのように付与されるかの変化をもたらすことがある。
【0030】
本発明の接続技術は、塞栓コイルのワイヤの一部の周囲にテザーを接続する(すなわち、塞栓コイルの側面に直接接続する)必要性をなくすことができ、場合によっては、塞栓コイル内でテザーをより良好に中央に配置することができる。例えば、ストッパまたは拡大は、一般に、塞栓コイルの中心長手方向軸の近傍に、塞栓コイルの側部との直接的な接触または接続から自由な様式でテザーを配置し得る。従って、より均一な可撓性/柔らかさ、および送達装置(例えば、プッシャー)から塞栓コイルへのトルクのより良好な軸上の伝達が達成され得る。
【0031】
図示されていないが、塞栓コイル100は、プッシャーの遠位端に解放可能に取り付けられ、標的位置に送達されると、プッシャーから切り離され得る。塞栓用コイル100のプッシャーからの離脱の仕方は、異なる実施形態において変化してもよく、当該技術分野において公知の任意の離脱の仕方になる。
【0032】
塞栓コイル100のようなインプラントを剥離するために、ヒーターコイルを利用することができる。テザーはプッシャーの内部を通り、ヒーターコイルを通って、プッシャーの構造コイルまたは他の構成要素に固定される。操作者がヒーターコイルを作動させると、テザーが破断または溶融し、インプラントを離脱させることができる。
【0033】
本明細書に示されまたは記載された実施形態のいずれかを含む、本発明と共に使用され得る剥離機構の追加の非限定的な例としては、米国特許第10,980,544、10,265,077、9,717,500、9,561,125、8,460,332、8,192,480、8,182,506、および米国公開であるUS20060200192号、US200962812号、US20090163780号、US201200268204号、US20110301686号、US20150289879号に図示されるおよび/または記載されるものが挙げられ、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
具体的な例示的実施形態を以下にさらに説明する。しかしながら、いずれの実施形態からの特徴も、任意の組み合わせで互いに混合して合わせることができることを理解されたい。したがって、本発明は、これらの実施形態のみに限定されるべきではなく、それらの任意の広範な組み合わせに限定されるべきである。
【0035】
図1Aおよび図2Aは、送達装置115、塞栓コイル100、および耐伸張部材105を有する耐伸張性塞栓コイル装置120の例示的な実施形態を示す。閉塞コイルは、送達中または体内での再位置決め中のいずれかに伸張または巻き戻しが起こりやすいことが判明している。本明細書に示され説明される耐伸張部材105の例示的な実施形態は、そのような望ましくない状況の可能性を低減または排除するために利用することができる。
【0036】
図は、巻線101から形成された塞栓コイル100の様々な例示的な実施形態を示す。図に示された塞栓コイル100は単に例示的な目的のためのものであり、したがって、塞栓コイル100の構成、形状、およびサイズは、図に示された例示的な実施形態によって限定されると解釈されるべきではないことが理解されるべきである。例えば、明瞭かつ単純化のために、図に示す塞栓用コイル100は緩い巻き方を有する。他の実施形態では、塞栓用コイル100は、図に示す例示的な実施形態よりもきつい巻線を有することができることを理解すべきである。さらに、図ではコイル100がシングルフィラー(single filar)構成で構成されているが、他の実施形態では、バイフィラー(bifilar)構成、トリフィラー(trifilar)構成などを含むがこれらに限定されないマルチフィラー(multi-filar)構成が利用されてもよい。
【0037】
また、図に示された例示的な実施形態は縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。図に示された本発明の例示的な実施形態は、より明瞭にするために短縮して描かれている。例えば、塞栓コイルの例示的な実施形態は縮尺通りに描かれておらず、図に示されているよりも長く、短く、広く、および/または狭くなり得る。
【0038】
図1Aおよび図2Aは、カテーテル115およびカテーテル115を通して送達される塞栓コイル100を含むデリバリーシステムの例示的な実施形態を示す。利用されるカテーテル115または他のデリバリーシステムのタイプは、異なる実施形態において変化し得ることが理解されるべきであり、したがって、本発明は、図に示される送達の特定の構成または態様に範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。一般に、塞栓コイル100は、カテーテル115の内腔を通して送達され得、カテーテル115は、塞栓コイル100を動脈瘤などの患者の体内の標的位置に送達した後に引き抜かれる。あるいは、いくつかの実施形態では、塞栓コイル100は、代わりに、カテーテル115の遠位端から押し出されることもある。
【0039】
本発明の様々な実施形態は、管状コイル形状に巻かれまたは成形された1つまたは複数のワイヤ101を含む塞栓コイル100と、管状コイル形状の内部100A内に設けられた1つまたは複数の(例えば、ワンピースまたはツーピースの)耐伸張部材105とを備えることができる。耐伸張部材105を使用することにより、塞栓コイル100が特に柔らかい場合であっても、塞栓コイル100の脆弱性を低減することができる。張力が加えられると、耐伸張部材105が軸方向の荷重を負担するため、塞栓コイル100を伸ばしたりほぐしたりすることがより困難になる。
【0040】
図1A~1Cは、その内部100Aを通って少なくとも部分的に延びる耐伸張部材105を含む塞栓コイル100で構成され得る塞栓コイル装置の例示的な実施形態を示す。図1Aに示すように、塞栓コイル100は、カテーテル115または他の送達装置の内腔を通して(例えば、プッシャーによって押されることによって)送達され得る。塞栓コイル100は、塞栓コイル100が伸びたりほどけたりする可能性を低減または排除する、少なくとも部分的にそこを貫通して延びる耐伸張部材105を含むことができる。例示的な実施形態において、耐伸張部材105は、プッシャーまたは他の送達装置から塞栓コイル100を切り離すために様々な方法で切断または溶融され得るテザー105Aから構成され得る。
【0041】
図1Bおよび図1Cは、塞栓コイル100の例示的な実施形態の拡大図である。図示されるように、塞栓コイル100は、塞栓コイル形状に巻かれた1本以上のワイヤ101から構成されてもよい。前述したように、塞栓コイル100を形成するワイヤ(単数または複数)101の巻線は、図示されているよりもきつくてもよい。さらに、単一の巻かれたワイヤ101(すなわち、シングルフィラー構成)のみが示されているが、複数の巻かれたワイヤ101(すなわち、マルチフィラー構成)がいくつかの実施形態において利用されてもよい。塞栓コイル100は、塞栓コイル100の巻線内の内部空間として定義される内部100Aを含み得る。
【0042】
図1Cに最もよく示すように、耐伸張部材105は、塞栓コイル100の遠位端部またはその近傍の位置に取り付けられてもよい。図1Cは、耐伸張部材105が、遠位接続部106、例えば、塞栓コイル100のワイヤ101の遠位巻線の周りに結ばれた結び目によって、塞栓コイル100に取り付けられてもよいことを示している。耐伸張部材105は、他の実施形態に関して以下でさらに詳細に説明するように、他の位置で、他のタイプの遠位接続部106によって塞栓コイル100に取り付けられてもよいことが理解されるべきである。非限定的な例として、耐伸張部材105の遠位接続部106は、図1Cに示すように、塞栓コイル100の遠位端に結ばれるのではなく、いくつかの例示的な実施形態において、塞栓コイル100の近位端に向かってより後退した位置に結ばれてもよい。
【0043】
図1C及び1Dを参照すると、耐伸張部材105は、耐伸張部材105の管状部材109内への引き抜きを防止するストッパとして機能し、耐伸張部材105の遠位端に対して近位に位置する拡大部107を含んでいてもよいことが分かる。拡大部107は、図1Cおよび図1Dに示すような結び目から構成されてもよい。図9Cに示すような他の実施形態では、拡大部107は、耐伸張部材105が管状部材109内に引き戻されるのを防止する、ビーズ、ボールなどの様々な突起または他の装置から構成されてもよい。したがって、拡大部107は、いくつかの例示的な実施形態では、図9Bに示されるような接着剤、はんだ付け、または他の方法などによって、耐伸張部材105に取り付けられる別個の装置から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、拡大部107は、図9Aに示すような接着剤等のボールから構成されてもよい。
【0044】
例示的な実施形態では、拡大部107は塞栓コイル100のどの部分にも直接接続されないことがある。いくつかのそのような例示的な実施形態では、拡大部107は塞栓コイル100のどの部分にも接触しないことがある。従って、拡大部107は、塞栓コイル100のワイヤ101のようないかなる部分にも固定されず、輪にされず、結ばれず、あるいは他の方法で固定されず、あるいは接触されないことがある。このような例示的な実施形態では、拡大体107は、塞栓コイル100の内部100A内で自由に浮遊することができるが、拡大体107は、そのサイズが塞栓コイル100の近位端に取り付けられた管状部材109の内部内腔109Aよりも大きいために、塞栓コイル100の内部100Aから出ることが妨げられることがある。
【0045】
拡大部100は、塞栓コイル100を貫通して延びる中心長手方向軸に沿って配置されてもよいし、塞栓コイル100の中心長手方向軸から軸方向にオフセットされてもよい。拡大部107は、塞栓コイル100の内部100a内に完全に配置されてもよい。拡大部107は、塞栓コイル100に対して移動可能であってもよい。いくつかの例示的な実施形態では、拡大部107は、その近位端またはその近傍などで、塞栓用コイル100に固定されてもよい。
【0046】
図1A~1Dに示す実施形態では、拡大部107は、塞栓コイル100の内部100A内で「浮く」ように自由に動く結び目から構成されてもよい。結び目のタイプは、異なる実施形態において変化してもよく、したがって、図に示された例示的な結び目によって限定されると解釈されるべきではない。当該技術分野で公知の任意のタイプの結び目を利用することができる。
【0047】
管状部材109が塞栓コイル100の近位端に固定され得ることが、図1Bおよび図1Cにおいて最もよく分かる。管状部材109およびコイル100が取り付けられる方法は、異なる実施形態において異なり得、例えば、接着剤の使用、溶接などを含み得る。管状部材109は、一般に、図1Cに示されるような拡大部107よりも小さい直径の内腔109Aを含む。したがって、拡大体107は、その幅または直径によって管状部材109の内腔109Aへの進入を妨げられ、その代わりに、図1Dに示すように引き込まれた場合に管状部材109の遠位端に引っ掛かる可能性がある。このような構成により、耐伸張部材105が管状部材109内に引き戻されないことが保証される。
【0048】
一部の例示的な実施形態では、耐伸張部材105は、耐伸張部材と剥離テザーの両方として機能してもよい(「ワンピース設計」)。本明細書で論じるような他の実施形態では、耐伸張部材105は、代わりに、耐伸張部材105が、剥離テザー105Aと、様々な様式で剥離テザー105Aに取り付けられる別のテザー、フィラメント110、ブレイド108、および/またはアイレット111のような別個の構造との両方からなる「ツーピース設計」を構成してもよい。
【0049】
一般に、耐伸張部材105は管状部材109を貫通してカテーテル115内に伸張する。耐伸張部材105の近位端は、テザーのような細長い部材を他の構造体に固定するための当該技術分野で公知の様々な方法を用いて、塞栓コイル100、管状部材109、プッシャー、またはカテーテル115のいずれかに取り付けることができる。 このようにして、耐伸張部材105はその近位端で固定することができる。
【0050】
引き続き図1A~1Dを参照すると、キャップ102が塞栓コイル100の遠位端の上に配置され得ることが分かる。キャップ102は、以下に説明するような半球形状に形成された溶融ポリマー、金属、または金属合金から構成されてもよい。他の実施形態では、キャップ102は、塞栓コイル100の遠位端に様々な方法で取り付けられ得る別個の構造体から構成されてもよい。
【0051】
別の言い方をすれば、耐伸張部材105を塞栓コイル101の一次巻きのワイヤ101に固定する(すなわち、「外側結び目」)代わりに、ポリマーのような耐伸張部材105を形成する材料を、塞栓コイル100の完全に内側にあり(すなわち、「内側結び目」)、拡大部107として機能する結び目に形成してもよい。塞栓コイル101の近位端は(現在および提案されている構成において)、比較的小さな内径を有するハイポチューブのような管状部材109で構成されていてもよい。管状部材109に使用される材料の種類は、金、白金、タンタルなどに限定されないが、放射線不透過性材料で構成されてもよいし、生体適合性金属、ポリマーなどを含む非放射線不透過性材料で構成されてもよい。 この「結び目の内側」拡大部107は、管状部材109を通して引っ張られるには直径が大きすぎるため、塞栓コイルの近位端に結ばれた結び目と同じ目的を果たすことになる。また、塞栓コイル100の内側100Aに拡大部107をより確実に固定するために接着剤を加えることもできる。
【0052】
図1A~1Cに示される実施形態が製造される方法は、異なる実施形態において変化し得る。1つの例示的な実施形態において、図示された実施形態は、直線化された金属コイルを通して引っ張る前に、耐伸張部材105を(後に近位端となる部分で)結び目に結ぶことによって組み立てられてもよい。この構成では、近位端の結び目が塞栓コイル内の中央に位置し、近位端の結び目を結ぶために塞栓コイルを開く必要がないため、上記の懸念に部分的に対処することができる。
【0053】
図2A-2Cは、耐伸張部材105を含む塞栓コイル100から構成され得る耐伸張塞栓コイル装置120の別の例示的な実施形態を示している。このような実施形態は、耐伸張部材105の遠位端が塞栓コイル100に結ばれていないことを除いて、先に図1A~1Cに示し説明した実施形態と同様である。その代わりに、図2A-2Cに示す例示的な実施形態の耐伸張部材105は、耐伸張部材105の遠位端を塞栓コイル100に封入して固定する接着剤で構成された遠位接続部106を含むことができる。図2A~2Cに示される例示的な実施形態において、遠位接続部106は、図1A~1Cのように塞栓コイル100に結ばれることによってではなく、接着剤などのような、しかしこれらに限定されない他の方法によって塞栓コイル100に固定される結び目から構成されてもよい。
【0054】
図1A-1Cおよび図2A-2Cに示す実施形態はいずれも一対の結び目を示しており、遠位の結び目は塞栓コイル100に対する遠位の接続部106として利用され、近位の結び目は耐伸張部材105がカテーテル115内に引き出されるのを防止するための拡大部107として利用されている。図には、両方の結び目が同様のサイズおよび構成からなることが示されているが、いくつかの実施形態では、結び目のそれぞれのサイズは異なっていてもよいことが理解されるべきである。
【0055】
引き続き図2Cを参照すると、両方の結び目(遠位連結部106を形成する結び目および拡大部107を形成する結び目)が塞栓コイル100の内部100A内に配置されてもよいことが分かる。両方の結び目は、塞栓コイル100の長手方向の中心軸に沿って互いに整列していてもよい。他の実施形態では、ノットは図示のように直線的に整列していなくてもよい。さらに、ノットの一方または両方は、いくつかの実施形態では、塞栓コイル100の長手方向中心軸に対してオフセットしていてもよいことを理解されたい。図示されていないが、いくつかの実施形態では、追加のノットが含まれてもよい(例えば、3つ、4つ、またはそれ以上のノット)。
【0056】
遠位結び目は、遠位接続部106を形成するように、耐伸張部材105の遠位端又はその近傍に配置することができる。拡大部107を形成する近位結び目は、図2Cに示すように、耐伸張部材105の遠位端に対してその近位端に向かってはめ込まれていてもよい。第一の結び目と第二の結び目との間の距離は、異なる実施形態において変化してもよく、従って、図に示される例示的な実施形態によって限定されると解釈されるべきではない。さらに、塞栓コイル100の内径と互いに比較した結び目の各々の大きさは、異なる実施形態において変化してもよく、同様に、図示した例示的な実施形態によって限定されると解釈されるべきではない。
【0057】
遠位接続部106を形成する遠位結び目は、様々な方法で塞栓コイル100に固定することができる。図1A~1Cに示す実施形態に関して前述したように、遠位接続部106は塞栓コイル100のワイヤ101に結んでもよい。図2Cに示すようなさらなる例として、遠位接続部106は、接着剤、はんだ付けなどによって塞栓コイル100に固定されてもよい。1つの例示的な実施形態において、遠位接続部106は、接着剤で包まれ、その遠位端またはその近傍で塞栓コイル100のワイヤ101に固定されてもよい。
【0058】
引き続き図2A~2Cに示す例示的な実施形態を参照すると、遠位連結部106および拡大部107を形成する結び目は、塞栓コイル100を通して耐伸張部材105を引っ張る前または引っ張った後のいずれかに結ばれてよい。後者の場合、結び目は、結ばれた後に塞栓コイル100の遠位先端部内に挿入(例えば、押す)されてもよい。いずれの場合も、遠位接続部106を形成する結び目は接着剤に包まれていてもよく、この接着剤によって耐伸張部材105も塞栓コイル100のワイヤ101に固定される。いくつかの実施形態では、遠位接続部106は結び目でなくてもよいが、その代わりに、接着剤への封入を含むがこれに限定されない様々な方法で塞栓用コイル100に取り付けまたは固定される耐伸張部材105(例えば、テザー105A)の遠位端から構成されてもよい。
【0059】
図3A~3Bは、耐伸張塞栓コイル装置120の別の例示的な実施形態を示し、これは、テザー105Aと、テザー105Aの遠位端に様々な方法で固定され得るフィラメント110との両方からなる耐伸張部材105のツーピース構成を含む塞栓コイル100で構成され得る。従って、耐伸張部材105は、管状部材109を通って塞栓コイル100内に延びる第1の剥離テザー105Aと、第1の剥離テザー105Aの遠位端と塞栓コイル100の遠位端またはその近傍の位置との間に取り付けられるフィラメント110などの第2の連結/接続テザーとの両方から構成され得る。
【0060】
図3Bに最もよく示されているように、第1の耐伸張部材105の遠位端は、テザー105Aが延びる管状部材109の直径よりも大きい直径を有する拡大部107を含み得ることが分かる。拡大部107は、フィラメント110が通され得る開ループまたは他の開口部を有するアイレット、クランプ、クラスプ、ビーズ、ボール、または結び目から構成され得る。
【0061】
フィラメント110は、テザー105Aの遠位端と、塞栓コイル100の遠位端またはその近傍の位置との間に取り付けられてもよい。図に示す例示的な実施形態では、フィラメント110は、その開口部を通してなど、拡大部107を通してループ状にしてもよいことが図示されている。しかしながら、フィラメント110をテザー105Aの遠位端に取り付けるために、異なる実施形態において様々な他の手段が利用され得る。
【0062】
耐伸張部材の第2片は、図3Bに示すような細長いループに形成されたテザー、フィラメント110等から構成されてもよい。従って、フィラメント110は、フィラメント110の近位端で拡大部107を通して輪にされ、フィラメント110の遠位端で塞栓コイル100の遠位端またはその近傍に固定または固定されてもよい。フィラメント110は、種々のポリマーなどの種々の材料から構成され得るが、これらに限定されない。
【0063】
図3Bに示す実施形態では、フィラメント110の遠位端は、フィラメントの遠位端を塞栓コイル100に結びつけることなどによって、塞栓コイル100との遠位接続部106を形成してもよいことが分かる。より具体的には、フィラメント110の遠位端は、塞栓コイル100のワイヤ101、例えば、図示されているように塞栓コイル100の一次巻線を形成するワイヤ101の最遠位巻線に結ばれてもよい。しかしながら、フィラメント110の遠位端は、いくつかの実施形態において、その最遠位端以外の塞栓コイル100上の他の様々な位置に結ばれてもよいことが理解されるべきである。さらに、後述するように、第2の耐伸張部材110の遠位端を塞栓用コイル100に固定するために、結束以外の方法が利用されてもよいことが理解されるべきである。
【0064】
したがって、図3A~3Bは、耐伸張部材105、110の例示的なツーピース実施形態を示す。このような実施形態では、ポリマーのような剥離テザー105Aの遠位端は、ポリマーのような別個のフィラメント110をそこに通すための(針の「目」のような)開いたループを残すような方法で結ばれてもよい。フィラメント110は、近位側でテザー105Aのこの「目」を通して輪にすることができ、2つのストランドは一緒に結ばれ、遠位側で接着剤に封入することができる。これらのステップ(結び目を結び、結び目を通してフィラメント110を輪にする)のほとんどは、直線化コイル100を通して耐伸張部材105を引っ張る前に完了することができる。このような実施形態は、図2A~2Bに示す実施形態の利点を保持する一方で、耐伸張部材105を形成するための別個のフィラメントを可能にする。
【0065】
例えば、図3Bに示されるように、フィラメント110は、テザー105Aとは異なる幅または直径から構成されてもよく、これにより、フィラメント110は、テザー105Aよりも可撓性であってもよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、逆の構成が利用されてもよい(例えば、フィラメント110は、テザー105Aよりも大きく、可撓性が低くてもよい)。他の実施形態において、フィラメント110およびテザー105Aの両方は、同じかまたは実質的に同じサイズおよび/または可撓性から構成されてもよい。
【0066】
図2A~3Bに示される例示的な実施形態を参照すると、前述のように、それぞれのテザー105Aおよびフィラメント110のサイズは、異なる実施形態において変化し得ることが理解されるべきである。非限定的な例として、テザー105Aのゲージは、1500~2500の間、例えば2200あってよい。フィラメント110のゲージは、500~1500の間、例えば900であってもよい。フィラメント110は、PET、プロピレン、ナイロンなどの様々な材料から構成され得るが、これらに限定されない。
【0067】
図4A~4Bは、耐伸張塞栓コイル装置120の別の例示的な実施形態を示しており、この装置は、テザー105Aと、テザー105Aの遠位端に様々な方法で固定され得るフィラメント110との両方からなる耐伸張部材105のツーピース構成を含む塞栓用コイル100によって構成され得る。このような例示的な実施形態において、フィラメント110は、当該技術分野において公知の種々の生体適合性ポリマーから構成される細長いループから構成され得る。
【0068】
図4A~4Bに示すように、このような例示的な実施形態は、フィラメント110の遠位接続部106に関して以外は、図3A~3Bの例示的な実施形態と同様であってよい。図4A-4Bは、図3A~3Bのように塞栓コイル100に結び付けられるのではなく、フィラメント110の遠位接続部106が、フィラメントを溶融して、塞栓コイル100の遠位端部に対して融着または他の方法で接着される遠位キャップ102またはボールにすることによって形成される例示的な実施形態を示す。フィラメント110の遠位端のポリマーは、遠位先端でボールなどのキャップ102に溶融されるので、この遠位先端の設計は、結び目を結ぶ必要がないので、形成がより容易であり得る。
【0069】
図5A~5Bは、拡大部107と塞栓コイル100への遠位接続部106の両方を有するテザー105Aからなる一体型の耐伸張部材105を含む塞栓コイル100から構成され得る耐伸張塞栓コイル装置120の別の例示的な実施形態を示す。しかしながら、図5A~5Bに示された例示的な実施形態に関して説明された以下の特徴は、ワンピースおよびツーピースの両方の耐伸張部材105の構成を含む、本明細書に示され、説明された先行または後続の例示的な実施形態のいずれにも適用され得ることが理解されるべきである。
【0070】
き続き図5A~5Bを参照すると、耐伸張部材105は、ハイポチューブのような管状部材109の内腔109Aから延びるテザー105Aから構成されてもよいことが分かる。耐伸張部材105は、耐伸張部材105が管状部材109内に引き込まれるのを防止するように、管状部材109の内腔109Aの大きさよりも大きい結び目で構成され得る拡大部107を含む。耐伸張部材105は、図5Bに示すように、塞栓用コイル100のワイヤ101に結ばれた結び目からなる遠位接続部106を含んでいてもよいが、遠位接続部106は、接着剤などの使用など、本明細書に示されまたは記載された他のタイプの遠位接続部106のいずれかを代替的に含んでいてもよい。
【0071】
図5Bに最も良く示されているように、耐伸張部材105は、波状又はらせん状であることにより余分な弛みを有していてもよい。遠位又は近位の固定技術に関係なく、耐伸張部材105は、余分な「たるみ」を提供し、組立中又はその後の熱への暴露中の過緊張を緩和するために、わずかに「波状」又はらせん状であってもよい。これらの「波」は、組立前に耐伸張部材105をワイヤまたは他のポリマーにらせん状に巻き付け、耐伸張部材105が直線化金属コイル100を通して引っ張られた後に余分なワイヤまたはポリマーを取り除くことによって加えることができる。このような「波」を作るための別の方法は、塞栓コイル100の内部100A内に延びるように意図された耐伸張部材105の部分を塞栓コイル100よりも長く残しておき、遠位接続部106が形成された後に(例えば、結ばれることによって)耐伸張部材105の余分な長さを遠位端から塞栓コイル100内に押し込むことであろう。いずれの場合も、余分な弛みにより、組立て後に塞栓用コイル100が圧縮されないようにする。
【0072】
引き続き図5A~5Bを参照すると、耐伸張部材105の図示されたうねりは、耐伸張部材105にいくらかのたるみを許容し得る。このうねりは、様々な方法で耐伸張部材105に付与することができる。1つの例示的な実施形態では、耐伸張部材105は、非常にわずかにコイル形状を有するように、マンドレルのような固定具の上に非常に低い/緩いピッチで巻かれてもよい。別の例示的な実施形態では、塞栓コイル100内に延びるように意図された耐伸張部材105は、耐伸張部材105が図示された波状の構成に弛緩し得るように、塞栓コイル内に接着される前に、塞栓コイル100の長さよりもほんの僅かに長く切断され得る。非限定的な例として、塞栓コイル100の長さが9cmである場合、耐伸張部材105が塞栓コイル100内に固定された後、波状の形状に座屈するように、塞栓コイル100の内部100Aを通って伸びる耐伸張部材105の部分の長さは10cmであってもよい。
【0073】
図6A~6Bは、拡大部107を有するテザー105Aと、塞栓コイル100の内部100A内に配置されたブレイド108とからなるツーピース耐伸張部材105を含む塞栓コイル100で構成され得る耐伸張塞栓コイル装置120の別の例示的実施形態を示す。従って、図6A~6Bに示す例示的な実施形態では、耐伸張部材105は、ハイポチューブのような管状部材109から延びるテザー105Aと、塞栓コイル100の内部100Aの長さの全部または一部に沿って延びるブレイド108の両方から構成されてもよい。
【0074】
図6Bに最もよく示されているように、ブレイド108は、編組構造に形成された1つ以上のフィラメント等のストランドから形成されてもよい。ブレイド108を形成するために、様々なポリマー、金属、および/または金属合金を含むがこれらに限定されない様々な種類の材料を利用することができる。ブレイド108は、図に示すように管状であってもよく、他の様々な形状から構成されてもよい。
【0075】
いくつかの例示的な実施形態では、ブレイド108の外径は、ブレイド108が塞栓コイル100に直接接触しないように、塞栓コイル100の内径よりも小さくてもよい。このような構成は、塞栓コイル100のわずかな圧縮が、ブレイド108が塞栓コイル100に対してロックされる結果にならないことを保証し得る。従って、ブレイド108の外径と塞栓コイル100の内径との間に若干のクリアランスを残すことが望ましい場合がある。しかしながら、いくつかの実施形態では、ブレイド108の外径は、ブレイド108の外径が塞栓コイル100の内径に対して静止し得るように、塞栓コイル100の内径と実質的に同様であってもよい。
【0076】
さらに、ブレイド108の巻きパターン、ブレイド108の孔サイズ、および/またはブレイド108のピックパーインチは、異なる実施形態において変化してもよく、図に示された例示的な実施形態によって限定されると解釈されるべきではない。
【0077】
引き続き図6Bを参照すると、ブレイド108の遠位端は、様々な方法で塞栓コイル100に対して固定され得る。図に示すような1つの例示的な実施形態では、ブレイド108の遠位端は、接着剤のような接着剤で封止されてもよいし、金属製であれば、塞栓コイル100に(例えば、塞栓コイル100の巻線101または一次巻線に)溶接されてもよい。別個のキャップ102が塞栓コイル100の遠位端に固定されるいくつかの実施形態では、ブレイド108の遠位端はキャップ102に様々な方法で固定され得る。ブレイド108の近位端は、塞栓コイル100、管状部材109、および/またはテザー105Aに(例えば、結び目によって)固定されてもよい。いくつかの実施形態では、ブレイド108は、テザー105Aの拡大部107に固定され得る。
【0078】
ブレイド108を形成するフィラメントのゲージは、異なる実施形態において変化し得る。非限定的な例として、ブレイド108を形成するフィラメントのゲージは、500~1500の間、例えば900であってもよい。テザー105Aのゲージは、1500~2500の間、例えば2200など、いくつかの実施形態ではより大きくてもよいが、これらに限定されない。ブレイド108を形成するフィラメントの材料も様々であり、非限定的な例として、PET、プロピレン、ナイロンなどを含むことができる。
【0079】
耐伸張部材105のこのブレイド108は、図5A~5Bに示した波状のデザインと同様の効果を達成することができる。このブレイド108はポリマーで構成してもよいし、白金(塞栓コイル100と同じ材料であるが直径が小さい)のような非常に直径の小さい金属材料で構成してもよい。後者の場合、ブレイド108の遠位端は、材料をレーザー溶接することによって塞栓コイル100の一次巻線に取り付けることができる。図に示すように、近位側固定のための1つのオプションは、ブレイド108と剥離テザー105Aを接着剤で包むことである。ブレイド108は(複数のストランドを使用することによる)追加の強度を提供し得るが、(組立て後に塞栓コイル100が張力を受けないようにするために)軸方向の柔軟性もある程度許容し得る。耐伸張部材105が白金または他の金属ストランドから構成されている場合、二次熱セットの前に塞栓用コイル100に入れることができる。この場合、耐伸張部材105とコイル100の両方を同じか類似の形状に熱セットすることができる。
【0080】
図7A~7Bおよび図8A~8Bは、拡大部107を有するテザー105Aと、テザー105Aの遠位端と塞栓コイル100の遠位端との間に接続されたアイレット111とを含むツーピース耐伸張部材105を含む塞栓コイル100で構成され得る耐伸張塞栓コイル装置120の例示的な実施形態を示す。図7A-7Bは、アイレット111の遠位端が塞栓コイル100の遠位端またはキャップ102に溶融または接着剤で付着され得る例示的な実施形態を示す。図8A-8Bは、アイレット111が、結び目のような一対のアイレット接続部111A、11Bによって塞栓コイル100の遠位端に固定される実質的にU字形の構成を有するオープンループからなる例示的な実施形態を示す。
【0081】
図7A~8Bに示すように、アイレット111が、テザー105Aの遠位端と塞栓コイル100の遠位領域との間に取り付けられてもよい。 アイレット111は、当該技術分野で公知の様々な高分子材料または金属(合金を含む)材料から構成されてよい。アイレット111は、図示のようなテザー105Aよりも小さい外径から構成され得る。しかしながら、他の実施形態では、アイレット111の外径は、テザー105Aの外径よりも大きいか、またはテザー105Aの外径と等しくてもよい。
【0082】
図7Bおよび図8Bに最もよく示すように、アイレット111の近位端は、テザー105Aの遠位端に取り付けられてもよい。図示された例示的な実施形態では、アイレット111の近位端は、テザー105Aの遠位端の拡大部107の開口部(例えば、結び目)を通して輪にされ得ることが分かる。しかしながら、アイレット111をテザー105Aに固定するために、接着剤のような接着剤でのカプセル化、結び目、クランプ、留め金、ブラケット、溶接、はんだ付けなどを含む様々な他の方法が利用されてもよい。
【0083】
図7Bを参照すると、アイレット111の遠位端が塞栓コイル100に固定され得ることが分かる。このような実施形態では、アイレット111は閉ループを形成してもよい。図示された実施形態では、アイレット111の遠位端は、アイレット111を塞栓コイル100のワイヤ101または塞栓コイル100に固定されたキャップ102に固定するために接着剤などで封止されてもよい。しかしながら、本明細書で議論されるように、様々な他の方法が利用されてもよい。
【0084】
図8Bを参照すると、別の例示的な実施形態が、アイレット111の遠位端を塞栓コイル100の遠位領域に取り付ける一対のアイレット接続部111A,111Bを利用してもよいことが分かる。より具体的には、図8Bは、アイレット111が一対の遠位端を有する実質的にU字形の構成からなる開ループを構成し得る例示的な実施形態を示す。アイレット111の第1の遠位端は、第1のアイレット接続部111Aによって(例えば、結ばれることによって)塞栓コイル100を形成するワイヤ(単数または複数)101の遠位巻線上の第1の位置に取り付けられてもよく、アイレット111の第2の遠位端は、第2のアイレット接続部111Bによって(例えば、結ばれることによって)塞栓コイル100を形成するワイヤ(単数または複数)101の遠位巻線上の第2の位置に取り付けられてもよい。
【0085】
別の言い方をすれば、図7A~8Bに示す例示的な実施形態は、図3A~4Bに示す実施形態と同様に、耐伸張モノフィラメントテザー105Aを通すことができる「アイレット」111として、剥離モノフィラメントテザー105A上のループを使用することができる。拡大部107を形成する「アイレット結び目」は、耐伸張部材105が塞栓コイル100内に留まるように、一旦結ばれた管状部材109の内径よりも大きな外径を有することができる。このような例示的な実施形態では、別個の(ツーピースの)伸張および取り付けモノフィラメントを使用する。耐伸張部材105は直径が小さくてもよいが、2本のフィラメントが塞栓コイル100の遠位端まで走っている。耐伸張部材105のフィラメントは、結び目および接着剤(図3A-3Bは単一の結び目を示す)、フィラメントを溶融して無痛キャップ102にする方法(図7A-7B)、塞栓コイルの遠位端に二重結び目111A、111Bを設ける方法(図8A-8B)、またはこれら3つの方法の組み合わせのいずれかを用いて、塞栓コイル100の遠位端で終端させてもよい。
【0086】
例示的な実施形態は、以下の番号付けされた項に記載される。
・項1:塞栓コイル装置の製造方法は、テザーに結び目を作ること、線状のコイル状ワイヤを通して前記テザーを引っ張ること、および前記線状のコイル状ワイヤの遠位端に前記テザーを固定することを含み得る。
・項2:塞栓コイル装置の製造方法は、テザーに拡大部を形成すること、線状のコイル状ワイヤを通して前記テザーを引っ張ること、および前記線状のコイル状ワイヤの遠位端に前記テザーを固定することを含み得る。
・項3:塞栓コイル装置の製造方法は、拡大部をテザーに取り付けること、線状のコイル状ワイヤを通してテザーを引っ張ること、および線状のコイル状ワイヤの遠位端にテザーを固定することを含み得る。
・項4:先の項のいずれかの方法は、接着剤で拡大部をカプセル化し、線状のコイル状ワイヤ内に拡大部を固定することを含み得る。
・項5:先の項のいずれかの方法は、テザーの遠位端を直線のコイル状ワイヤの遠位端に結びつけることを含み得る。
・項6:先の項のいずれかの方法は、テザーの遠位端と直線化コイル状ワイヤの遠位端との間にフィラメントを取り付けることを含み得る。
・項7:先の項のいずれかの方法は、アイレットを形成し、テザーの遠位端と線状のコイル状ワイヤの遠位端との間にアイレットを取り付けることを含み得る。
・項8:塞栓コイル装置の製造方法は、ポリマーフィラメントをウェブブレーダーでブレイドに形成すること、ブレイドを線状のコイル状ワイヤの内部に挿入すること、ブレイドを固定すること、およびブレイドを線状のコイル状ワイヤの内部で固定することを含み得る。
・項9:項8による方法は、線状のコイル状ワイヤの内部を通してテザーを引っ張り、テザーの遠位端をブレイドの近位端に固定することをさらに含み得る。
・項10:塞栓コイル装置の製造方法は、組立前にテザーをワイヤまたは他のポリマーにらせん状に巻き付けることによって波状のテザーを形成し、次いでテザーが線状のコイル状ワイヤを通して引っ張られた後に余分なワイヤまたはポリマーを除去することを含み得る。
・項11:塞栓コイル装置の製造方法は、テザーがごくわずかにコイル形状を有するように、緩いピッチでマンドレルのような固定具にテザーを巻き付けることによって波状のテザーを形成することを含み得る。
・項12:塞栓コイル装置の製造方法は、線状のコイル状ワイヤよりも長いテザーを切断し、線状のコイル状ワイヤを延伸し、線状のコイル状ワイヤ内でテザーの両端を接着し、次いで線状のコイル状ワイヤを弛緩させることにより波状テザーを形成することを含み得る。
・項13:塞栓コイル装置の製造方法は、線状のコイル状ワイヤの内部を延びるように意図されたテザーの一部を線状のコイル状ワイヤよりも長く残し、テザーの遠位端を線状のコイル状ワイヤの遠位端に接続し、テザーの余分な長さを線状のコイル状ワイヤに押し込むことを含み得る。
・項14:塞栓コイル装置を体内の標的位置に送達する方法は、標的位置に到達するために血管系を通してカテーテルを前進させること、カテーテルを通してプッシャーを前進させること、塞栓コイルを露出させるためにカテーテルを引き抜くこと、および塞栓コイルをプッシャーから切り離すことを含み得る。
・項15:項14による方法は、さらに、耐伸張要素を使用することにより、送達中に塞栓コイルが伸張または巻き戻しに抵抗することを含み得る。
・項16:項15による方法は、さらに、耐伸張要素が、管状部材に突き当たる耐伸張要素の拡大部によって、塞栓コイルの近位端の管状部材を越えて近位側に引き出されるのを防止されることを含み得る。
・項17:前記項のいずれかによる方法は、拡大物が管状部材の内腔よりも大きな幅または直径を有するために、拡大物が塞栓コイルの近位端に取り付けられた管状部材の内腔に入るのを防止することを含み得る。
【0087】
本発明を特定の実施形態および用途の観点から説明したが、当業者であれば、この教示に照らして、特許請求される発明の精神から逸脱することなく、またはその範囲を超えることなく、追加の実施形態および修正を生成することができる。したがって、本明細書における図面および説明は、本発明の理解を容易にするために例示として提示されたものであり、その範囲を限定するものと解釈されるべきではないことを理解されたい。

図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
【手続補正書】
【提出日】2024-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塞栓コイル装置であって、
遠位端、近位端、および内部を含むコイル状ワイヤ、
前記コイル状ワイヤの前記近位端またはその近傍に取り付けられ、内腔を含む管状部材、及び、
前記コイル状ワイヤの前記遠位端と連結され、前記コイル状ワイヤおよび前記管状部材の内部を通って延び、拡大部を備えるテザー、
を含み、前記拡大部は、前記管状部材の内腔よりも大きな幅または直径で構成される、塞栓コイル装置。
【請求項2】
前記拡大部は前記コイル状ワイヤに直接接続されておらず、前記テザーの少なくとも一部は耐伸張性である、請求項1に記載の塞栓コイル装置。
【請求項3】
前記拡大部は全てが前記コイル状ワイヤの内部に配置されている、請求項1に記載の塞栓コイル装置。
【請求項4】
前記拡大部は前記コイル状のワイヤの内部で自由に移動可能である、請求項1に記載の塞栓コイル装置。
【請求項5】
前記拡大部は接着剤のボールで構成されている、請求項1に記載の塞栓コイル装置。
【請求項6】
前記拡大部は前記テザーに固定されたビーズで構成されている、請求項1に記載の塞栓コイル装置。
【請求項7】
前記テザーに張力がかかっていないとき、前記テザーは波状となっている、請求項1に記載の塞栓コイル装置。
【請求項8】
前記テザーは、軸上トルクを提供するように、前記コイル状ワイヤの内部の長手方向中心軸に沿って配置されている、請求項1に記載の塞栓コイル装置。
【請求項9】
前記テザーはフィラメントによって前記コイル状ワイヤの前記遠位端に接続されている、請求項1に記載の塞栓コイル装置。
【請求項10】
前記フィラメントは前記コイル状ワイヤの前記遠位端に結び付けられてる、請求項9に記載の塞栓コイル装置。
【請求項11】
前記フィラメントは前記コイル状ワイヤの前記遠位端に接触して溶融し、溶融チップを形成している、請求項9に記載の塞栓コイル装置。
【請求項12】
さらに、前記コイル状ワイヤの内部に配置され、前記テザーの前記遠位端に取り付けられたブレイドを含む、請求項1に記載の塞栓コイル装置。
【請求項13】
前記ブレイドの外径は前記コイル状ワイヤの内径より小さい、請求項12に記載の塞栓コイル装置。
【請求項14】
前記テザーはアイレットによって前記コイル状ワイヤの前記遠位端に接続されている、請求項1に記載の塞栓コイル装置。
【請求項15】
前記アイレットは実質的にU字形を有し、前記アイレットの一対の遠位端はそれぞれ前記コイル状ワイヤに結び付けられている、請求項14に記載の塞栓コイル装置。
【国際調査報告】