(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】骨折固定デバイスならびに関連するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/72 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
A61B17/72
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500280
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 US2022036346
(87)【国際公開番号】W WO2023283326
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522075036
【氏名又は名称】サージカル デザイン イノベーションズ ツー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】SURGICAL DESIGN INNOVATIONS II,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ラッシュ、シャノン エム.
(72)【発明者】
【氏名】カワリク、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】リー、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】グロスマン、ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】ボフェリ、トロイ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハーディ、マーク
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL23
4C160LL27
4C160LL29
4C160LL31
(57)【要約】
本明細書に開示される様々な実施形態は、髄内固定または融合デバイスを含む、骨固定デバイスに関する。開示される様々なデバイスは、近位部分および遠位部分を有する髄内ロッドまたはデバイスを含む。近位部分および遠位部分は、ジョイントを形成するように連結される関節端部を有する。ジョイントは、デバイスが骨の中へ挿入された後に、骨折を整復するとともに、骨を再整列させるように作動されてよい。加えて、デバイスは、近位部材と遠位部材との間に形成された調節可能なジョイントであって、近位部材および遠位部材は、調節可能なジョイントを介して互いに対して実質的に径方向に移動可能である、調節可能なジョイントと、調節可能なジョイントに対して動作可能に連結された駆動機構であって、ジョイントを作動させるように構成および配置されている、駆動機構と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
髄内骨折矯正デバイスであって、
(a)第1シャフトと、
(b)ジョイントにおいて前記第1シャフトに対して動作可能に連結された第2シャフトと、
(c)前記第1シャフトおよび前記第2シャフトを挿入位置と関節位置との間で移動させるために前記ジョイントを作動させるように前記第2シャフト内に配置された駆動機構と、を備える骨折矯正デバイス。
【請求項2】
前記駆動機構は、ギアに対して動作可能に連結された駆動シャフトを備え、前記ギアは、前記第1ロッドシャフトに対して動作可能に連結される、請求項1に記載の骨折矯正デバイス。
【請求項3】
前記第1シャフトは、係合可能な第1連結機構を備え、前記ギアは、前記係合可能な第1連結機構に対して動作可能に連結される、請求項2に記載の骨折矯正デバイス。
【請求項4】
前記駆動シャフトは、前記駆動シャフトの遠位端に配置された係合可能な連結特徴部を備え、駆動ツールは、前記係合可能な連結特徴部に対して連結可能であることで、前記駆動ツールが前記駆動シャフトを回転させることが可能である、請求項2に記載の骨折矯正デバイス。
【請求項5】
前記第1シャフトは、第1シャフトの遠位端から延在する突部をさらに備え、前記係合可能な第1連結機構は、前記突部上に配置される、請求項1に記載の骨折矯正デバイス。
【請求項6】
前記第2シャフトは、前記第2シャフトの近位端に区画されたチャネルをさらに備え、前記突部は、前記チャネル内に摺動可能に配置されるとともに、前記チャネルに取り付けられる、請求項5に記載の骨折矯正デバイス。
【請求項7】
骨固定デバイスであって、前記骨固定デバイスは、
(a)デバイス本体であって、
(i)近位セグメントと、
(ii)遠位セグメントと、を備えるデバイス本体と、
(b)前記近位部材と前記遠位部材との間に形成された調節可能なジョイントであって、前記近位部材および前記遠位部材は、前記調節可能なジョイントを介して互いに対して実質的に径方向に移動可能である、調節可能なジョイントと、
(c)前記調節可能なジョイントに対して動作可能に連結された駆動機構であって、前記ジョイントを作動させるように構成および配置されている、駆動機構と、を備える骨固定デバイス。
【請求項8】
前記駆動機構は、駆動シャフトと、前記駆動シャフトに対して動作可能に連結されたギアとを備える、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ギアは、前記近位セグメントに対して動作可能に連結される、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記近位セグメントは、係合可能な第1連結機構を備え、前記ギアは、前記係合可能な第1連結機構に対して動作可能に連結される、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記駆動シャフトは、前記駆動シャフトの遠位端に配置された駆動ツール連結特徴部を備え、駆動ツールは、前記駆動ツール係合可能連結特徴部に対して連結可能であることで、前記駆動ツールが前記駆動シャフトを回転させることが可能である、請求項8に記載のデバイス。
【請求項12】
前記近位セグメントおよび前記遠位セグメントのうちの少なくとも一方に配置された1つ以上の孔をさらに備え、前記1つ以上の孔は、取付ねじを受容する大きさおよび形状を有する、請求項7に記載のデバイス。
【請求項13】
前記遠位セグメントは、前記遠位セグメントの長さに沿って区画された略屈曲部を備える、請求項7に記載のデバイス。
【請求項14】
骨折を整復するための方法であって、前記方法は、
標的骨の髄内管にデバイスを挿入する工程であって、前記デバイスは、
(a)第1シャフトと、
(b)第2シャフトであって、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトが前記第1シャフトの長手方向軸を実質的に横断する経路に沿って互いに対して移動可能なように、ジョイントにおいて前記第1シャフトに対して摺動可能に連結された第2シャフトと、
(c)前記ジョイントに対して動作可能に連結された駆動機構と、を含む、標的骨の髄内管にデバイスを挿入する工程と、
前記ジョイントに前記標的骨の骨折を整復させるように前記駆動機構を作動させる工程と、を備える方法。
【請求項15】
前記ジョイントは、前記第1シャフトの遠位端に配置された係合可能な第1連結機構を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記駆動機構は、
(a)前記第2シャフト内に配置されるとともに、前記第2シャフトの長さに沿って延在する長尺状駆動シャフトであって、前記駆動シャフトの遠位端に配置されたドライバツール取付機構を備える、長尺状駆動シャフトと、
(b)前記長尺状駆動シャフトの近位端に対して動作可能に連結された従動ギアであって、前記係合可能な第1連結機構に対して動作可能に連結された従動ギアと、を備える、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記デバイスは、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトのうちの少なくとも一方に1つ以上の孔をさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上の孔を通して1つ以上のねじを挿入することで、前記デバイスを前記標的骨に固定する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記標的骨は腓骨である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記駆動機構を作動させる工程は、ドライバツールを前記ドライバツール取付機構に取り付ける工程と、前記ドライバツールを回転させる工程とをさらに備え、それにより、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトは、前記第1シャフトの前記長手方向軸を実質的に横断する前記経路に沿って互いに対して移動し、前記経路は、傾斜した経路である、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される様々な実施形態は、標的骨に埋め込まれた髄内固定または融合デバイスを含む、骨固定または融合デバイスに関する。加えて、他の実施形態は、骨固定または融合デバイスの埋め込みおよび調節のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腓骨骨折および脛腓靭帯結合(syndesmosis)のずれを含む骨折および脱臼は、周知の骨折/脱臼固定デバイスおよび処置による矯正を広く必要とする一般的な損傷である。周知の骨折および/または脱臼固定デバイスおよびシステムは、一般的には、中心釘および係止ねじを含む。釘が標的骨の髄内管内に埋め込まれると、釘を調節したり骨折を整復したりすることは、ほとんどまたは全くできない。この調節可能性の欠如により、不十分な骨折の整復になりえるので、不十分なまたは遅延した治癒および/または足首のずれにつながりかねない。
【0003】
当該技術分野において、腓骨骨折および脛腓靭帯結合のずれを含む骨折および脱臼の治療のための改善された髄内デバイスおよびシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、様々な骨固定または融合デバイスならびに関連するシステムおよび方法が検討される。
実施例1では、髄内骨折矯正デバイスは、第1シャフトと、ジョイントにおいて第1シャフトに対して動作可能に連結された第2シャフトと、第1シャフトおよび第2シャフトを挿入位置と関節位置との間で移動させるためにジョイントを作動させるように第2シャフト内に配置された駆動機構と、を備える。
【0005】
実施例2は、実施例1による骨折矯正デバイスに関し、駆動機構は、ギアに対して動作可能に連結された駆動シャフトを備え、ギアは、第1ロッドシャフトに対して動作可能に連結される。
【0006】
実施例3は、実施例2による骨折矯正デバイスに関し、第1シャフトは、係合可能な第1連結機構を備え、ギアは、係合可能な第1連結機構に対して動作可能に連結される。
実施例4は、実施例2による骨折矯正デバイスに関し、駆動シャフトは、駆動シャフトの遠位端に配置された係合可能な連結特徴部を備え、駆動ツールは、係合可能な連結特徴部に対して連結可能であることで、駆動ツールが駆動シャフトを回転させてよい。
【0007】
実施例5は、実施例1による骨折矯正デバイスに関し、第1シャフトは、第1シャフトの遠位端から延在する突部をさらに備え、係合可能な第1連結機構は、突部上に配置される。
【0008】
実施例6は、実施例5による骨折矯正デバイスに関し、第2シャフトは、第2シャフトの近位端に区画されたチャネルをさらに備え、突部は、チャネル内に摺動可能に配置されるとともに、チャネルに取り付けられる。
【0009】
実施例7では、骨固定デバイスは、近位セグメントおよび遠位セグメントを備えるデバイス本体を備える。加えて、デバイスは、近位部材と遠位部材との間に形成された調節可能なジョイントであって、近位部材および遠位部材は、調節可能なジョイントを介して互いに対して実質的に径方向に移動可能である、調節可能なジョイントと、調節可能なジョイントに対して動作可能に連結された駆動機構であって、ジョイントを作動させるように構成および配置されている、駆動機構と、を備える。
【0010】
実施例8は、実施例7による骨固定デバイスに関し、駆動機構は、駆動シャフトと、駆動シャフトに対して動作可能に連結されたギアとを備える。
実施例9は、実施例8による骨固定デバイスに関し、ギアは、近位セグメントに対して動作可能に連結される。
【0011】
実施例10は、実施例9による骨固定デバイスに関し、近位セグメントは、係合可能な第1連結機構を備え、ギアは、係合可能な第1連結機構に対して動作可能に連結される。
実施例11は、実施例8による骨固定デバイスに関し、駆動シャフトは、駆動シャフトの遠位端に配置された駆動ツール連結特徴部を備え、駆動ツールは、駆動ツール係合可能連結特徴部に対して連結可能であることで、駆動ツールが駆動シャフトを回転させてよい。
【0012】
実施例12は、実施例7による骨固定デバイスに関し、近位セグメントおよび遠位セグメントのうちの少なくとも一方に配置された1つ以上の孔をさらに備え、1つ以上の孔は、取付ねじを受容する大きさおよび形状を有する。
【0013】
実施例13は、実施例7による骨固定デバイスに関し、遠位セグメントは、遠位セグメントの長さに沿って区画された略屈曲部を備える。
実施例14では、骨折を整復するための方法は、標的骨の髄内管にデバイスを挿入する工程を含む。デバイスは、第1シャフトと、第2シャフトであって、第1シャフトおよび第2シャフトが第1シャフトの長手方向軸を実質的に横断する経路に沿って互いに対して移動可能なように、ジョイントにおいて第1シャフトに対して摺動可能に連結された第2シャフトと、ジョイントに対して動作可能に連結された駆動機構と、を含む。方法は、ジョイントに標的骨の骨折を整復させるように前記駆動機構を作動させる工程をさらに含む。
【0014】
実施例15は、実施例14による方法に関し、ジョイントは、第1シャフトの遠位端に配置された係合可能な第1連結機構を備える。
実施例16は、実施例14による方法に関し、駆動機構は、第2シャフト内に配置されるとともに、第2シャフトの長さに沿って延在する長尺状駆動シャフトであって、駆動シャフトの遠位端に配置されたドライバツール取付機構を備える、長尺状駆動シャフトと、長尺状駆動シャフトの近位端に対して動作可能に連結された従動ギアであって、係合可能な第1連結機構に対して動作可能に連結された従動ギアと、を備える。
【0015】
実施例17は、実施例14による方法に関し、デバイスは、第1シャフトおよび第2シャフトのうちの少なくとも一方に1つ以上の孔をさらに備える。
実施例18は、実施例17による方法に関し、1つ以上の孔を通して1つ以上のねじを挿入することで、デバイスを標的骨に固定する工程をさらに含む。
【0016】
実施例19は、実施例14による方法に関し、標的骨は腓骨である。
実施例20は、実施例14による方法に関し、駆動機構を作動させる工程は、ドライバツールをドライバツール取付機構に取り付ける工程と、ドライバツールを回転させる工程とをさらに備え、それにより、第1シャフトおよび第2シャフトは、第1シャフトの長手方向軸を実質的に横断する経路に沿って互いに対して移動し、経路は、傾斜した経路である。
【0017】
複数の実施形態が開示されるが、本開示のさらに他の実施形態、例示的な実施形態を示しつつ説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。理解されるように、本開示は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な明白な態様において修正が可能である。したがって、図面および詳細な説明は、本質的には例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】一実装形態による、関節位置にある
図2の固定デバイスのさらなる側面図。
【
図4】一実装形態による、見やすくするために一部の構成要素を除いた固定デバイスおよび駆動機構の底面斜視図。
【
図5A】一実施形態による、本明細書の実施形態のいずれかに組み込むための例示的なラックおよびウォーム駆動機構を示す図。
【
図5B】さらなる実施形態による、本明細書の実施形態のいずれかに組み込むための別の例示的なラックおよびピニオン駆動機構を示す図。
【
図6A】別の実装形態による固定デバイスの側面図。
【
図6B】一実装形態による、
図6Aの固定デバイスの例示的な孔の側面図。
【
図7A】一実装形態による、固定デバイスが埋め込まれた患者の腓骨の側面図。
【
図7B】一実装形態による、固定デバイスが埋め込まれた
図7Aの患者の腓骨(および足)の後面図。
【
図7C】一実装形態による、固定デバイスが埋め込まれた
図7Aの患者の足および腓骨の底面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書で開示されるとともに検討される様々な実施形態は、調節可能な髄内固定および/または融合デバイスならびに関連するシステムおよび方法に関する。デバイスの各々は、標的骨への埋め込み後にデバイスを調節することができるように構成される。本明細書で開示されるとともに検討されるデバイスは、腓骨に関して記載されるが、当業者によって理解されるように、様々な他の骨に使用されてもよい。ある実装形態は、特に腓骨骨折および脛腓靭帯結合のずれに対して設計される。
【0020】
図1Aおよび1Bに示すように、本明細書の様々な実施形態によって治療し得る1つの例示的な骨折では、腓骨2が骨折または脱臼する場合があるので、損傷を低減および安定化させるために外科的介入を必要とする。腓骨骨折部4(または任意の標的骨の骨折)は、(
図1Aに示されるような)非変位または(
図1Bに示されるような)変位になり得る。変位骨折部4は、適切な治癒を可能にするために、整復されるとともに、再整列されなければならない。既知の固定デバイスでは、固定デバイスの挿入後に固定デバイスの配置を調節すること、および/または骨折部4を整復することは、ほとんどまたは全くできない。一方、本明細書で開示および/または検討される様々な固定デバイス実装形態は、固定デバイスの挿入後の調節を可能にするような調節可能なジョイントを有する。
【0021】
図2乃至
図4および
図6A乃至
図7Cに示すように、一実装形態による腓骨固定デバイス(本明細書では「釘」または「ロッド」とも称される)10は、損傷後の骨の固定のために腓骨2または他の標的骨の髄管内に配置される長尺状デバイスである。デバイス10は、長尺状近位部12と長尺状遠位部14とを備えたデバイス本体11を有する。本体11の2つの部分12、14は、ジョイント16で互いに対して調節可能に連結される。
図2は、整列位置(本明細書では「挿入位置」とも称される)にあるデバイス本体11を示す。
図3は、関節位置にあるデバイス本体11を示す。
図4は、ジョイント(「調節機構」とも称される)16の拡大図を示す。
【0022】
本体11の2つのセクション12、14は、標的骨内での本体11の位置決め、およびその後のセクション12、14の各々の結果的な位置に基づいて、近位セクション12および遠位セクション14として識別される。すなわち、標的骨への挿入時に(
図7Aおよび7Bに関して以下で詳細に説明するように)、近位セクション12は骨の近位端に向かって配置され、遠位セクション12は骨の遠位端に向かって配置される。
【0023】
図7Aおよび
図7Bに示すように、デバイス本体11の近位部分(「第1シャフト」、「近位部材」、「近位シャフト」、「近位ピン」、または「第1ロッド」とも称される)12は、髄管への挿入を可能にするために、近位端に鈍先13を有する長尺状構造である。
図2乃至
図4に最もよく示されるように、近位シャフト12の遠位端は、遠位シャフト14の近位端とジョイント16を形成する。遠位部分(「第2シャフト」、「遠位部材」、「遠位シャフト」、「遠位ピン」、または「第2ロッド」とも称される)14は、遠位部分14の近位端において、ジョイント16を介して近位部分12に連結される。ジョイント16は、近位部分12および遠位部分14が、デバイス本体11の長手方向軸を実質的に横断する参照矢印Aの方向に、ジョイント16を通して互いに対して移動し得るように配置される。すなわち、ジョイント16において互いに対して実質的に径方向に移動するように2つのシャフト12、14を作動させ得る駆動機構20が設けられる。
【0024】
本明細書に記載される特定の実施形態では、ジョイント16は以下のように構成される。近位シャフト12の遠位端は、図示されるように、当該遠位端に配置された係合可能機構または特徴部18を有し、係合可能機構または特徴部18は、遠位シャフト14の近位端上の従動ギア(本明細書では「カムドライブ」または「ウォーム」とも称される)22に対して係合可能かつ移動可能に連結される。図示されるような1つの例示的な実装形態において、係合可能機構18は、ギア22の回転が係合可能機構18(したがって近位シャフト12)の移動を引き起こすように、従動ギア22のねじ山または歯に対して係合可能に連結し得る複数の溝18である。あるいは、係合可能機構18は、歯、ねじ山等を含む、同様に従動ギアに対して係合可能に連結し得る、任意の周知の構造、特徴部、または機構でもよい。さらに、従動ギア22は、任意の周知の種類のギアであってもよく、したがって、ギア22の回転が機構18の移動を引き起こし得るように、係合可能機構または構造18に対して係合可能に連結し得る任意の種類の係合可能構造を有してよい。
【0025】
図4に最もよく示されているように、特定の一実装形態によれば、係合可能機構または構造18は、近位シャフト12の遠位端上に配置された突部19上に配置または形成される。あるいは、機構18は、近位シャフト12の遠位端上に直接的に配置または形成されてよい。さらに、
図4に示されるデバイスを含むある実施形態では、従動ギア22は、遠位シャフト14の近位端からある距離だけ遠位にある位置に配置される。すなわち、遠位シャフト14の近位端は、ギア22のねじ山または歯がチャネル21内に配置されるように、遠位シャフト14内に区画されたチャネル21を有する。そのような実装形態では、近位シャフトの突部19は、突部19上の係合可能機構または構造18がギア22の歯またはねじ山と連結されるように、チャネル21内に配置される。ある実施形態によれば、突部19は、チャネル21と関連する連結機構と摺動可能に係合および連結する連結機構を有する。これにより、本明細書に記載されたように、駆動機構20が2つのシャフト12、14を互いに対して移動させている間、2つのシャフト12、14が互いに対して連結されたままであることが確保される。
【0026】
遠位シャフト14内に配置された駆動機構20は、駆動シャフト26および回転可能な従動ギア22を含む。シャフト26は、シャフト26の近位端またはその近くに配置された係合可能機構または構造28においてギア22に対して回転可能に連結される。一実施形態では、係合可能機構または構造28は、ねじ山28のセットである。あるいは、ギア22に係合し得る任意の周知の係合可能機構または構造を使用してよい。したがって、駆動シャフト26の回転が係合可能機構または構造28の回転を引き起こすことによって、ギア22を駆動シャフト26の軸とは異なる軸を中心に回転するように作動させるように、ギア22は、近位部分12の係合可能機構または構造18および駆動シャフト26の係合可能機構または構造28の両方に対して動作可能に連結される。従動ギア22の作動によりギア22が回転することによって、近位部分12の係合可能機構または構造18に対して係合可能に連結するとともに、係合可能機構または構造18、したがって近位シャフト12を、参照矢印Aの方向に遠位シャフト14に対して角度を付けて移動させる。
【0027】
図3に最もよく示されているように、ある実装形態によれば、デバイス10に組み込まれた駆動機構にかかわらず、近位シャフト12の遠位端13および遠位シャフト14の近位端15は角度が付けられている。すなわち、2つのシャフト12、14の2つの端部13、15はそれぞれ、駆動機構20が作動されて2つのシャフト12、14を互いに対して移動させる場合に角運動を生成するように、図示されるような角度で配置される。より具体的には、近位シャフト12の遠位端13は、シャフト12の長手方向軸に対して垂直ではない角度で配置される。同様に、2つの端部13、15が図示されるように互いに対して係合可能に連結または互いに対して移動可能に接触して配置され得るよう、遠位シャフト14の近位端15は、近位シャフト12の遠位端13の角度と平行でありかつ近位シャフト12の遠位端13に係合可能である角度で配置される。さらに、ねじ山18は、2つの端部13、15の角度と同じ角度または平行に配置される。図示されるような2つの端部13、15の角度配置は、2つのシャフト12、14の互いに対する径方向および軸方向の両方の移動を可能にすることが理解される。この径方向および軸方向の両方の角運動は、骨折の調節を提供することで、2つの整列していない長さの骨を所望のように整列させ得る。
【0028】
加えて、駆動シャフト26は、遠位シャフト14の遠位端まで延在するとともに、遠位シャフト14の遠位端の開口部31を介してアクセス可能な接続構成要素30を駆動シャフト26の遠位端に有するので、ドライバツールが接続構成要素30に対して連結されてよい。接続構成要素30は、開口部、突出部、またはドライバツールが連結可能な任意の係合可能な接続機構30であってよい。例えば、この特定の実施形態における係合可能な接続機構30は、接続機構30の遠位端に区画された開口部30である。それによって、機械的作動構成要素(本明細書では図示しないが「ドライバ構成要素」、「六角ドライバ」、または「ドライバ」とも称される)を開口部30に挿入することで、駆動シャフト26を回転させてよい。より具体的には、開口部30は、ドライバ(図示せず)の遠位端と係合可能な六角形(または任意の周知の係合可能かつ作動可能な形状)を有するので、ドライバを使用して、六角形の開口部30を介してシャフト26を回転させてよい。あるいは、駆動シャフト26の遠位端は、適切な対応するドライバツールに対して係合可能に連結し得る、任意の周知の連結機構または接続構成要素を有してよい。駆動ツールは、ジョイント16を調節するように駆動機構20を作動させるために、ユーザ(外科医等)によって使用されてよい。より具体的には、(ツールを介した)接続機構30の回転により駆動シャフト26が回転することがギア22の回転を引き起こすことにより、遠位シャフト14に対する近位シャフト12の位置の調節をする。
【0029】
医療デバイスで使用するための任意の他の周知のドライバおよび同様の機構が、
図2乃至
図4に示されるような駆動機構20の代わりに使用され得ることが理解される。例えば、
図5Aおよび5Bに示されるように、種々の他の駆動機構20が、デバイス10と併せて使用されてもよい。一例では、
図5Aに示すようなラックおよびウォーム機構20を実装してよい。別の例では、
図5Bに示されるようなラックおよびピニオンまたはギアドライブ20を実装してよい。
【0030】
図6Aおよび
図6Bに示すように、ある実施態様では、デバイス10は、止めねじ、靭帯結合ねじ、または他の同様の周知の固定デバイスを挿入するための1つまたは複数の孔32、34を含んでよい。様々なねじまたは他の種類の周知の機構が、患者の標的骨に対してデバイス10を固定し、不安定性さを低減するために、デバイス10内に孔32、34を通して配置されてよい。例えば、近位孔32は、近位シャフト12に配置されることで、脛腓靭帯結合ねじまたは他のねじが脛腓靭帯結合を横断して脛骨内へ角度配置されることを可能にする。遠位孔34は、デバイス10の遠位シャフト14を骨内に固定するために設けられる。
【0031】
いくつかの実装形態では、孔32、34の各々は、
図6Bにおいて1つのそのような孔32、34の例示的な描写に最もよく示されているように、円錐台の形状に配置される。これらの実装形態では、孔32Aの内側部分は、孔32Bの外側部分よりも広い。様々な他の構成および形状が可能であることが理解される。
【0032】
いくつかの実装形態では、デバイス10は、1つまたは複数の金属によって形成されてよい。例えば、デバイス10は、当業者によって理解されるように、チタン、ステンレス鋼、もしくは他の適切な金属材料または金属材料の組み合わせから形成されてよい。あるいは、デバイス10は、骨固定および/または他の医療デバイスにおいて使用される任意の周知の材料から形成されてよい。
【0033】
デバイス10は、標的骨、髄管、骨折、および患者の特定の解剖学的構造に必要な様々なサイズおよび形状であってよいことが理解される。様々な長さおよび幅のデバイス10が使用されてよい。
【0034】
使用時には、
図7A乃至
図7Cに示すように、本明細書で開示または検討された任意の実施形態による固定デバイス10は、任意の適切な外科的技法によって、腓骨2または他の標的骨の髄管内に配置されてよい。例えば、他の標的骨は、上腕骨、脛骨、大腿骨、または任意の他の長骨を含んでよいが、それらに限定されない。いくつかの実装形態では、遠位部分14は、
図7Bに最もよく示されるように、標的腓骨2の屈曲または湾曲を実質的に複製することによって、髄内配置を確実にするように構成される、屈曲部(「角度部」または「湾曲部」とも称される)40を有する。様々な実装形態において、屈曲部40は約7°の屈曲を有する。あるいは、標的骨および標的骨の任意の曲率によっては、デバイス10の配置を改善する任意の周知の角度が使用されてよい。さらに、他の形状も可能である。
【0035】
一例では、デバイス10は、患者の腓骨2の遠位端にパイロット穴を穿孔することによって挿入される。次に、案内ワイヤがパイロット孔および案内ワイヤを通じて開けられた穴を通して髄管内に挿入される。デバイス10は、腓骨2の髄管内の穴に挿入されてもよい。さらに、当業者によって理解されるように、様々な他の技術および方法が使用されてもよい。
【0036】
外部標的装置(図示せず)を使用して、デバイス10および/またはねじの正確かつ再現可能な配置を支援してよい。外部標的装置は、骨折部4の外部に配置されてもよい。様々な標的装置が当該分野で周知であることが理解される。
【0037】
様々な実装形態において、デバイス10は、ジョイント16が骨折部4に実質的に隣接するように、腓骨2または他の標的骨内に配置されるべきである。デバイス10を腓骨または他の標的骨内に配置した後、駆動機構20を操作してジョイント16を作動させて2つのシャフト12、14を互いに対して移動させることで、骨折部4を整復するとともに、骨を再整列させてよい。挿入後に近位部分12を遠位部分14に対して(および/または遠位部分14を近位部分12に対して)作動させることが出切るので、外科医または他のユーザが、デバイス10の埋め込み後に骨の整列および骨折整復に対する矯正および調節を行うことを可能にする。デバイス10は、骨内に配置され、治癒プロセス中に骨を適切な整列で保持するように作動される。改善された骨折の整復および適切な骨の整列は、患者にとってより迅速な治癒およびより良好な転帰をもたらし得る。
【0038】
本開示には様々な実施形態が記載されたが、当業者は、本明細書の様々な実装形態の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細において変更が行われ得ることを認識するであろう。
【国際調査報告】