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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】時計用表示機構
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/20 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
G04B19/20 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500579
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2022067207
(87)【国際公開番号】W WO2023285101
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】070064/2021
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520032996
【氏名又は名称】マニュファクチュール ドルロジュリー オーデマ ピゲ エスアー
【氏名又は名称原語表記】Manufacture d’Horlogerie Audemars Piguet SA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】エリック マナン フェイソ
(57)【要約】
本発明は、一般平面を画定するプレートを備える時計用ムーブメント(104)用の表示機構(1)に関する。当該表示機構(1)は、前記プレートに少なくとも間接的かつ剛性を有して接続されることを意図する支持体(14)と、回転軸を画定すると共に少なくとも1つの表示面(10)を有する表示部(2)と剛性を有して接続される枢軸(26)を収容する軸受けを備え、前記少なくとも1つの表示面(10)は、前記回転軸の周りで少なくとも第1位置と該第1位置とは異なる第2位置との間で回転すると共に、読み取り位置を画定するように前記第1位置では前記一般平面と平行な面内に設けられ、前記読み取り位置では、ユーザによる読み取り条件が最適であり、前記枢軸(26)によって画定される前記回転軸が、前記一般平面に対して10°~80°傾斜するような方位をとるように、前記支持体(14)は配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般平面を画定するプレートを備える時計用ムーブメント用の表示機構であって、前記プレート上で少なくとも間接的に組み立てられ、かつ、所定の瞬間又は所定の事象に係る表示されるべき情報の少なくとも1つの項目を有する少なくとも1つの表示面を有する表示部に回転可能に取り付けられることで前記表示部の回転軸の周りで少なくとも第1位置と該第1位置とは異なる第2位置との間で回転する支持体を備え、前記表示面は、前記表示部の回転軸の周りで少なくとも第1位置と該第1位置とは異なる第2位置との間で回転し、それにより前記表示面は、ユーザによる読み取り条件が最適である前記情報の読み取り位置を画定するように前記所定の瞬間に、又は、前記所定の事象が起こるとき、前記第1位置において前記一般平面と平行な面内に属するように位置し、前記情報を読み取る前記条件は、前記表示面が前記少なくとも第2面にあるときには低下し、
前記支持体は、前記回転軸が、前記一般平面に対して10°~80°傾斜するような方位をとるように、配置され、
前記表示面は、所定の瞬間又は所定の事象に係る表示されるべき情報の少なくとも1つの項目を有し、
前記表示面は、ユーザによる読み取り条件が最適である前記情報の読み取り位置を画定するように前記所定の瞬間に、又は、前記所定の事象が起こるとき、前記第1位置において前記一般平面と平行な面内に属するように位置し、前記情報を読み取る前記条件は、前記表示面が前記少なくとも第2面にあるときには低下する、、ことを特徴とする機構。
【請求項2】
請求項1に記載の機構であって、前記少なくとも1つの表示面が、少なくとも前記第2位置において前記一般平面に対して交差する面内に属する位置をとるように配置される、機構。
【請求項3】
請求項1に記載の機構であって、前記表示部は、少なくとも2つで好適には最大12の表示面を有する、機構。
【請求項4】
請求項3に記載の機構であって、前記表示面が、前記回転軸の周りで均等に分布し、かつ、実質的に錐台の周りに配置される、機構。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の機構であって、前記表示部は好適には第1星形部である第1有歯プレートを有し、前記第1有歯プレートは、前記回転軸の周りに配置され、かつ、前記一般平面に対して実質的に平行な面内に含まれるような向きをとる、駆動する好適には第2星形部である第2有歯プレートに係合され、前記第2有歯プレートは、前記時計用ムーブメント又は制御部上でのユーザーによる所定の作用の効果によって駆動される駆動輪と動力学的連結を有することを特徴とする、機構。
【請求項6】
請求項5に記載の機構であって、前記第2有歯プレートと相互作用するように配置されるように前記表示部を位置設定するジャンパーを備えることを特徴とする、機構。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の機構であって、
前記一般平面に対して10°~80°傾斜するさらなる回転軸の周りで枢動するような向きをとるさらなる表示部を備え、
前記少なくとも1つのさらなる表示面は、前記さらなる回転軸の周りで少なくとも2つの異なる位置で回転し、かつ、前記さらなる表示面の前記読み取り位置が前記表示面の前記読み取り位置に隣接する読み取り位置を画定するように前記少なくとも2つの異なる位置のうちの一の位置において前記一般平面に対して平行な面内に実質的に属するように位置する、
機構。
【請求項8】
請求項1に記載の表示機構であって、前記表示面及び前記さらなる表示面は、同時にそれぞれの読み取り位置にあるときにのみ相互に隣接する位置をとるように配置される、機構。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の機構であって、前記表示部は、前記さらなる表示部に剛性を有して接続される星形部を作動させると共に前記表示部の各完全な回転での少なくとも一のステップだけ前記星形部を動かすように配置される鋲を有する、機構。
【請求項10】
請求項1に記載の機構であって、前記さらなる回転軸が前記回転軸とは異なるが実質的に平行で、前記プレート上に少なくとも間接的に組み立てられ、かつ、上に前記さらなる表示部が回転可能に取り付けられるさらなる支持体を備えることを特徴とする、機構。
【請求項11】
請求項7~10のいずれか一項に記載の機構であって、前記さらなる表示部は、少なくとも2つで好適には最大12のさらなる表示面を有する、機構。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の機構を維持するプレートを備える時計用ムーブメント。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の機構を維持するプレートを有する時計用ムーブメントを備える時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般平面を画定するプレートからなる時計ムーブメント用の表示機構に関し、この表示機構は、少なくとも間接的にプレート上に組み付けられることを意図された支持体を備え、この支持体上に、所定の瞬間又は所定の事象に関連して表示されるべき少なくとも1つの情報項目を有する少なくとも1つの表示面を有する表示部が回転可能に取り付けられている、表示面は、表示部の回転軸を中心として、少なくとも第1および第2の異なる位置の間で回転するように意図されており、支持体は、表示部の回転軸が、一般平面を基準として10度から80度の間の傾斜を有するような方位をとるように配置される。
【背景技術】
【0002】
2枚のディスクが同軸上に配置されることもあり、一般に、対応する時計ムーブメントのプレート上又は付加的なプレート上に直接枢着される大型の日付表示タイプの日付表示機構を備える時計が知られている。これらの機構により、特に、対応する時計ムーブメントの一般的な平面に平行な平面における日付表示の占有面積(footprint)を、表示ディスクが負担する桁の寸法を縮小することなく、縮小することが可能となる。図1aは、ここでは非限定的な説明のために使用される、代替量に適用されるそのような表示を示しています。図1aの表示機構は、ゴルフをプレーするときのユーザーのパーを表示することを意図している。もちろん、この表示機構は、ゴルフのラウンドにおけるスコアを表示するためにも使用できる。非限定的に図示された3桁の数字を並べて表示する必要があるため、このような表示では、その平面における占有面積の知覚が増大する。この場合、ディスプレイの占有面積とその見やすさとの間の満足のいく妥協点を定義することは困難であり、特に腕時計に実装されることを意図している場合はなおさらである。
【0003】
図1bは、共通の回転軸が対応する時計ムーブメントの一般的な平面に平行な方向を向くように配置されたシリンダまたはローラの形態の表示部を実装する公知の代替表示機構を示す(簡略化のため、軸受の支持体は図示されていない)。このような表示機構が時計ムーブメントの標準的な厚さに重ね合わされることを考慮すると、対応する時計の全体的な厚さは、特にユニットシリンダーの直径が大きいため、非常に大きいことが理解されるであろう。
【0004】
他の表示機構も知られており、その占有面積の点で、対応する時計ムーブメントの構造のより大きな自由度を提供することが意図されている。特許出願CH702422は、例えば、前文に記載された特徴を含む軌道現在時表示機構を記載している。この機構は、時計ムーブメントの中心を基準として回転できるように、対応する時計ムーブメントのプレート上に組み付けられることを意図した支持体から構成される。この支持体には、現在の時間を表示するための時間目盛りが付いたリューズからなるサブダイヤルと、これらの目盛りと連動する時針が取り付けられている。サブダイヤルおよび時針は、プレートに対する支持体の位置に関係なく、プレートを基準に一定の方向を示すように回転する(つまり、伝統的な時計の読み方の慣習に従って、12時の目盛りは常に真昼に位置する)。時針はさらに、複合駆動装置によってリュウズを基準に回転し、現在の時間を表示する。リュウズと時針の共通の回転軸は、プレートの一般的な平面を基準として外側に傾斜しており、時計のムーブメントの中心にスペースを確保し、そこに他の部品を配置できるようにしている。時針は平らで、サブダイヤルの周りを一回転するときに円盤を描き、リューズはこの円盤の平面に対して傾斜しており、その頂角は好ましくはプレートの一般的な平面に対するサブダイヤルの回転軸の傾斜角と等しい円錐形の錐台内に収まるようになっている。本特許出願では、傾斜角は15度より大きくてもよい(好ましくはこの値より小さい)とされているが、実際にはそのような事態は非現実的と思われる。特に、ある瞬間に表示される時間に対応するリュウズの目盛りが、時計のムーブメントの外周に向かって配置され、リュウズがプレートの一般的な平面を基準にして最大の傾斜を持つ場合、この場合、現在の時間を読むことは問題になる可能性がある。一般的に、時針とリュウズの目盛りの相対的な位置を読むことによって行われるため、かなりの傾斜角度で現在の時間を読むことは困難である。従って、時計ムーブメントの中心で節約されるスペースという点で、この発明の利点は、傾斜角度の必要な制限によって制限されるように思われ、この制限なしでは、対応する情報の読み取りが著しく低下する。
【0005】
したがって、当分の間、時計製造者は、特に製造される時計における追加的な複雑機構の存在を考慮するために、そのニーズに適した占有面積を有する見やすい表示を製造するためのわずかな選択肢しか持たないように思われる。時計メーカーは、このような表示機構の平面内の占有面積を制限しなければならない場合、全体の厚さの大幅な増加を受け入れなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、時計製造者にとって、既知の構造とは異なる新たな選択肢を自由に利用できるようにすることは、上述のタイプの表示機構を含む時計ムーブメントの構造においてより大きな柔軟性を有するようにするために有用であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って本発明はより詳細には、上述の型の表示機構に関する。当該表示機構の表示面は、ユーザによる情報の読み取り条件が最適である読み取り位置を規定するために、所定の瞬間又は所定の事象が発生したときに、前記第1位置において、前記一般平面と実質的に平行な面内に属するように位置するように駆動され得、前記情報の読み取り条件は前記表示面が前記第2位置にあるときに低下する。
【0008】
有利となるように当該表示機構は、さらなる表示部を備える。前記さらなる表示部は、前記一般平面に対して10°~80°傾斜するさらなる回転軸の周りで枢動するような向きをとり、かつ、前記さらなる回転軸の周りに少なくとも2つの異なる位置の間で回転する少なくとも1つのさらなる表示面を有し、それにより前記少なくとも1つのさらなる表示面は、読み取り位置を画定するように前記少なくとも2つの異なる位置のうちの一の位置において前記一般平面に対して平行な面内に実質的に属するように位置する。
【0009】
最後に本発明はより詳細には、前記さらなる回転軸が、前記回転軸と実質的に平行で、かつ、前記さらなる表示面の前記読み取り位置が前記表示面の前記読み取り位置に隣接するように配置される、ことを特徴とする表示機構に関する。
【0010】
これらの特徴により、時計製造者は、先行技術の特定のディスプレイとは異なり、本発明による表示機構の占有面積の空間的分布に関しては、自身のニーズの関数として、最良の妥協点を決定することができる。さらに、本発明による表示機構は、相対位置ではなく、表示面の絶対位置の読み取りを提案し、かつ、前記表示面は、前記読取位置において、読み取るユーザーが対応する情報を得ることができるようにプレートの一般平面と平行な平面に単に位置しなければならない。中国特許第702422号公報の構造と比較すると、時表示の場合、ユーザーが3時であることを知るためには、例えば3が付いた表示面は単に読み取り位置に位置しなければならない。パーのような別の項目を表示する場合は、ユーザーが行った設定に対応する表示面、つまり所定の事象の発生に対応する表示面が、前記読取位置に位置する。この先行構造のように、当該表示機構の2つの構成要素の相対位置を読み取って表示を生成するために、他の構成要素は必要ない。さらに、この読取位置は、読取条件が最適であるため、ユーザーによって非常に容易に特定される。一方、前記表示面が前記読取位置にない場合、表示面が有する情報を読み取る条件は著しく低下する。視認可能な異なる表示面を比較検討すると、(プレートの一般平面に平行な面に対して非常に大きく傾斜しているために隠れる可能性があるものもあるため)プレートの一般平面を基準として傾斜角度が実質的にゼロであるために、読取位置にある表示面が最良の読取条件を提供するものであることを容易に識別することができる。
【0011】
好適には、前記少なくとも1つの表示面は、少なくとも前記第2位置において前記一般平面に対して交差する面内に属する位置をとるように配置される。
【0012】
もちろん、表示機構のジャンプ駆動の場合、読取位置の特定は非常に容易であるが、その読取位置と隣接する位置との間の表示面の傾斜は、多かれ少なかれ変化するため(特に、表示部が構成する表示面の数によって、2つの連続する位置の間の段差に影響する)、ドラッグ表示の場合、表示面とプレートとの平行度に関して余裕を設けることができる。平行面に対する表示面の傾きがプラスマイナス15度、好ましくはプラスマイナス10度の範囲内にあるとき、表示面が負担する情報を読み取るための条件は最適のままであると考えることができる。もちろん、この余裕度は、表示部によって負担される異なる表示面の数に依存し、当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、自身のニーズの機能として本開示を適合させることに特に困難はないであろう。
【0013】
さらに有利となるように少なくとも2つで好適には最大12の表示面を有する前記表示部が供され得る。
【0014】
この場合好適には、前記回転軸の周りで均等に分布し、かつ、実質的に錐台の周りに配置される表示面が供され得る。
【0015】
好適実施形態によると、第1有歯プレート-好適には第1星形部-を有し、前記第1有歯プレートは、前記回転軸の周りに配置され、かつ、前記一般平面に対して実質的に平行な面内に含まれるような向きをとる、第2有歯プレート-好適には第1星形部-に係合され、前記第2有歯プレートは、前記時計用ムーブメント又は制御部上でのユーザーによる所定の作用の効果によって駆動される駆動輪と動力学的連結を有する表示部が供され得る。
【0016】
この場合有利となるように、前記第2有歯プレートと相互作用するように配置されるように前記表示部を位置設定するジャンパーを備える表示機構が供され得る。
【0017】
好適実施形態によると、好適には、同時にそれぞれの読み取り位置にあるときにのみ相互に隣接する位置をとるように配置される表示面及びさらなる表示面が供され得る。
【0018】
さらに有利となるように、前記さらなる表示部に剛性を有して接続される星形部を作動させると共に前記表示部の各完全な回転での少なくとも一のステップだけ前記星形部を動かすように配置される鋲を有する表示部が供され得る。続いて好適には、前記さらなる回転軸の周りで、前記さらなる表示部に関して角度方向の障害物がないように前記さらなる表示部に剛性を有して接続される前記星形部が供され得る。
【0019】
当該表示機構がさらなる表部を備えるとき、前記第1回転軸とは異なるさらなる回転軸が供され、前記プレート上に少なくとも間接的に組み立てられ、かつ、上に前記さらなる表示部が回転可能に取り付けられるさらなる支持体を備える表示機構が供され得る。続いて前記さらなる回転軸に関して前記さらなる表示部の正確な位置決めを保証するように、前記さらなる表示部と剛性を有して接続され、さらなる星形部と相互作用するように配置される位置決め部を有する支持体が供され得る。
【0020】
一般的には、少なくとも2つで好適には最大12のさらなる表示面を有するさらなる表示部が供され得る。
【0021】
本発明はまた、上記特徴による表示機構を維持するプレートを備える時計用ムーブメント及び当該時計用ムーブメントを備える時計にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明のさらなる特徴および利点は、非限定的な例として与えられた添付図面を参照して与えられる、好適実施形態の以下の詳細な説明を読めば、より明確に明らかになるであろう。
図1a】従来技術の第1の実施形態による表示機構の簡略化された正面図である。
図1b】従来技術の第2の実施形態による表示機構の簡略化された斜視図である。
図1c】本発明の好適実施形態による表示機構の簡略化された斜視図である。
図2図1cの表示機構の構造細部の簡略化された部分斜視図である。
図3図1cによる表示機構を組み込んだ時計の一部の簡略化した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1cは、本発明の好ましい実施形態によるディスプレイ機構1の簡略化された透視図であり、所定のディスプレイ寸法について、異なる先行技術のディスプレイ機構(図1aおよび図1b)および本発明によるディスプレイ機構のそれぞれの占有面積を比較することを可能にする。
[0025] More specifically, the display mechanism 1 that can be seen in Figure 1c is in this instance intended to display the par of a user in the context of playing golf, by way of non-limiting example.
【0024】
より具体的には、図1cに見ることができるディスプレイ機構1は、この例では、非限定的な例として、ゴルフをプレーするコンテキストにおいてユーザのパーを表示することを意図している。
【0025】
この目的のために、表示機構1は、追加の数十及び数百表示部4と関連付けられた第1の単位表示部2を備える。
【0026】
単位表示部2はハブ6を含み、そのハブ6から10本のアーム8がハブ6を中心として均等に延び、その各アーム8は、0から9の間の桁の表示面10を画定するパレットを担持している。アーム8および/または表示面10は、表示面10が実質的に錐台の周りに分布するように、ハブ6の中間面を基準にして傾斜している。
【0027】
第1有歯プレート12も見ることができ、この例では第1の星の枝であり、ハブ6と同軸に配置され、以下に説明するように、表示部2を回転させるようにこれに剛性を有して接続されている。
【0028】
表示部2は、表示部2が時計ムーブメントのプレートの一般的な平面に対して傾斜した回転軸を中心に、有利には10度から80度の間の角度で枢動するように配置された軸受けを有する支持体(図3の参照符号14)によって、時計ムーブメントのフレーム部材、典型的にはプレートに回転可能に取り付けられるように意図されている。
【0029】
その形状及び向きにより、表示部2は、その表示面10を順番に読み取り位置に提示することができる。換言すれば、各表示面10は、表示部2の回転軸を中心とする複数の異なる位置を有し、これらの位置の1つは、この読取位置を規定するように、表示面10がプレートの一般平面に対して実質的に平行な平面に位置するような位置である。図1cでは、0がこの読み取り位置にある。読取位置に位置する表示面の読取条件が最適であることは明らかであり、特に、読取位置に位置しない他の表示面の読取条件が著しく低下するのに比べて、最適である。もちろん、読取位置の外側で読取条件が低下する態様は、表示部2が負担する表示面の数に大きく依存し、表示面の数は、隣接する2つの表示面の間の相対傾斜に影響を及ぼす。
【0030】
好適には、有利となるように、表示部2によって表示された情報を読み取る際に疑念が生じないように、読み取り位置が1つだけであり、他のすべての位置において読み取り条件が著しく低下するように規定することができる。読書位置に隣接する位置に位置する表示面は、使用者から見える傾斜を有するだけでなく、他のいくつかの位置では、当該表示面によって担われる情報を読むことが全く不可能である可能性がある。
【0031】
さらなる数十及び数百の表示部4は、ハブ16を含み、そのハブ16から6本のアーム18がハブ16を中心として均等に延び、その各アーム18は、2桁(この例では、07、08、09、10、11及び12)の表示面20を画定するパレットを担持している。アーム18および/または表示面20は、ハブ16の中間面を基準にして傾斜しており、表示面20が実質的に円錐形の錐台状に分布している。
【0032】
さらなる表示部4はまた、さらなる表示部4がプレートの一般平面に対して傾斜した回転軸を中心に、有利には10度から80度の間の角度で枢動するように配置された軸受を有する支持体24によって、時計ムーブメントのプレート上に回転可能に取り付けられるように意図されている。
【0033】
その形状及び向きにより、さらなる表示部4は、従って、その表示面20を順番に読取位置に提示することもでき、この読取位置は、単位表示部2の表示面10の読取位置に隣接している。言い換えれば、各表示面20は、さらなる表示部4の回転軸を中心とする複数の異なる位置を有し、これらの位置のうちの1つは、表示面20が、この読取位置を規定するように、プレートの一般平面と実質的に平行な平面に位置するような位置である。図1cの図では、07はこの読取位置にあり、したがって、値070は、2つの読み取り位置に位置する2つの表示面10、20によって読み取ることができる。
【0034】
好適には、さらなる表示部4の表示面10と表示面20は、それらが同時にそれぞれの読取位置にあるときだけ互いに隣接して位置するように配置される。
【0035】
図2は、表示機構1の構造上の細部の簡略化された部分斜視図を示している。
【0036】
単位表示部2は、支持体14の軸受(より明瞭にするために図2には示されていない)に収容された枢軸26を有する。もちろん、当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、支持体14上の表示部2の組立てを逆にすることができ、すなわち、支持体14が、表示部2に剛性を有するように連結されたキャノンが係合する固定アーバを担持するように設けることができる。
【0037】
本実施形態による表示部2の駆動方法は、図2に見ることができる。表示機構1が、表示部2の第1有歯プレート12と係合するように配置された、第2の有歯プレート28(この例では星形でもある)を備えるようにすることができる。
【0038】
有利なことに、第2の有歯プレート28は、この例では、プレートの一般平面に実質的に平行な平面に含まれるような向きをとり、それが剛性を有するように連結される輪30によって、時計の動きによって、又は制御部材に対するユーザによる所定の動作の影響下で駆動されるように意図された駆動輪32との運動学的連結を有する。
【0039】
ジャンパー34は、第2の有歯プレート28と相互作用し、第1及び第2の有歯プレート12、28によって、表示部2の回転軸に対する必要な向きを保証する。
【0040】
さらにさらなる表示部4は、この例では、非限定的な例示として、単位表示部2によって直接回転される。この目的のために、表示部2は、さらなる表示部4を駆動するための鋲36を備え、そのハブ6に剛性を有するように接続され、単位表示部2の完全な回転につき1回、さらなる表示部4と相互作用するように意図されている。
【0041】
さらなる表示部4はまた、支持体24の軸受に収容された枢軸38をも備える(より明確にするために図2には示されていない)。ハブ16には、さらなる表示部4の回転軸を中心とするアーバー40が取り付けられており、その端部には、単位表示部2の鋲36によって駆動され、単位表示部2が完全に回転するごとにさらなる表示部4を1ステップずつ枢動させるように意図された星形部42が配置されている。
【0042】
有利なことに、星形部42は、回転の両方向において2つの表示部間での伝達を保証し、二重ジャンプを回避するための所定の角での障害物が存在しないように、アーバー40に剛性を有して連結されるように規定することができる。
【0043】
加えて、支持体24は、有利には、ハブ16に剛性を有するように連結されたさらなる星形部44の枝と相互作用するように配置された位置決め部材(図示せず)を担持し、さらなる表示部4の回転軸に対する正しい位置決めを保証する。
【0044】
2つの表示部のそれぞれの回転軸は、非限定的な例示として、平行であるがオフセットしており、表示部は、それらの表示位置が隣接するように構成されていることが、図2から分かる。
【0045】
もちろん、代替案として、表示部の回転軸を位置合わせさせ、両方の表示部を直接支持するか、または一方の表示部だけを支持し、その支持体が他方の表示部を支持する、単一の支持体を実装するための規定を設けることもできる。
【0046】
図3は、上述の表示機構1を組み込んだ時計100の一部の簡略化された正面図である。時計100は、時計ムーブメント104を収容するケース102を備える。その構造は、本発明による表示機構の実施にとってほとんど重要ではない。
【0047】
したがって、時計ムーブメント104は、簡略化のために詳細には説明しない。時計ムーブメントは、タイムベース106を備え、その振動は、従来の方法で、歯車列112によって、バレル110に収容されたバレルばね108によって維持される。歯車列112は、キャノンピニオン114とアワーホイール116によって、現在時刻を表示するための部材を回転させるように配置されている。
【0048】
時計ムーブメント104はまた、この例では、3つの異なる軸方向位置、1つの巻上げ位置および2つの修正位置を占めることができる巻上げ修正ステム120によって作動される巻上げ修正機構118を備える。巻上げ補正機構118は、特に、ステム120の軸方向位置に依存する一組の補正設定輪122を支承するレバー(図示せず)から構成され、各軸方向位置において、ステムと補正されるべき異なる機構との間に運動学的連結を確立するようになっている。ステム120の一方の引き出された軸方向位置では、その回転が現在時刻表示部の角度位置を修正し、他方の引き出された軸方向位置では、ステム120の回転が第1設定輪124に伝達される。この設定輪は、駆動輪32との運動学的リンクを有し、この例では、(時輪116の下にある)2つのさらなる設定輪126及び128から構成され、駆動輪32は、第2有歯プレート28及び輪30によって単位表示部2に係合されている。
【0049】
この構造により、ステム 120 が対応する軸方向位置にあるとき、ステム 120 が一方向または他方向に回転することにより、表示機構 1 によって表示されるパー値を 070 と 129 の値の間で修正することが可能になる。
【0050】
図3において、表示機構1は、占有面積の点で本発明の利点をよりよく強調するために、意図的にバレル110の上方に部分的に配置されている。本発明による表示機構1の特殊な構造により、この場合、一般に時計ムーブメントの最大の構成要素である香箱110のすぐ近くに設置することが可能になり、表示部2および4の読み取り位置をバレル110の上方に配置することができることに留意されたい。このような配置は、シリンダー表示機構では不可能であり、判読可能なディスク表示機構では、時計ムーブメントの中間面に平行な面(一般にプレートの一般平面に平行な面)において、利用可能な表面積のかなりの部分を占めることになる。
【0051】
表示機構1は、表示部2及び4の回転軸がプレートの一般平面に対して45度のオーダーで同じ傾斜を有するようにこの例では図示されているが、これはもちろん非限定的な例示的実施形態であり、各回転軸の傾斜角度は、表示機構が設置される時計ムーブメントの特定の特徴を考慮するように、10度から80度の間で変化し得る。この場合、表示面は、対応する表示部の回転軸に対して45度のオーダーの傾斜を有する。
【0052】
上記に開示された特徴により、優れた視認性を提供しながら、時計製造者のニーズの関数として時計ムーブメントにその占有面積を配分する大きな柔軟性を提供する表示機構が得られる。
【0053】
もちろん、本発明による表示機構に、読み取り位置の特定を容易にするための開口部またはカバーを設けることができるが、読み取り位置と他の位置とを比較検討することにより、それぞれの読み取り条件の間に大きな差があるため、読み取り位置を困難なく特定することが可能であるため、このような措置はあくまで任意である。この場合、所定の表示面がプレートの一般平面に対して平行であるか否かのみを評価する問題ではなく、むしろ、隣接する位置間の相対的な読み取り条件を評価することが好ましく、これにより、どの位置が読み取り位置に相当するかを疑いなく特定することが可能になる。また、絶対に必要でないにもかかわらず(特にドラッグディスプレイの場合)、非限定的な例として図示した好ましい実施形態の場合のように、表示面が分離していると、読み取り位置の特定が簡略化されることに留意されたい。
【0054】
上記の説明は、非限定的な例示によって特定の実施形態を説明することを目的としており、本発明は、上記の特定の特徴の実施に限定されるものではない。例えば、本発明の実施は、言及された量の表示、即ち、ゴルフをプレーするときのパーの表示に限定されず、当業者であれば、本開示を適応させ、請求された特徴を含むが、別の量の表示に関連して実施される表示機構を製造することに特に困難はなく、表示機構が時計のムーブメントによって駆動されるか、又は、例えば、リュウズ若しくはプッシャに対するユーザによる動作に応答して駆動されるかにかかわらず、本開示を適用することができる。同じことが、説明され図示された表示機構を作動させるための機構の構造にも当てはまる。一例として、第1星形部12および第2星形部28は、有歯バベルギアに置き換えることができる。さらに、上述したように、表示機構が複数の表示部から構成される場合、上述した図示および説明の代替として、それらの各々が他の(複数の)表示部から独立して駆動され得る。
【0055】
最後に、実施される構造のタイプに応じて、当業者であれば、自身のニーズの機能として、引きずり表示(例えば、計測された時間の秒の表示)またはジャンプ表示を製造することができることにも留意されたい。
図1a
図1b
図1c
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般平面を画定するプレートを備える時計用ムーブメント用の表示機構であって、前記プレート上で少なくとも間接的に組み立てられ、かつ、所定の瞬間又は所定の事象に係る表示されるべき情報の少なくとも1つの項目を有する少なくとも1つの表示面を有する表示部に回転可能に取り付けられる支持体を備え、前記表示面は、前記表示部の回転軸の周りで少なくとも第1位置と該第1位置とは異なる第2位置との間で回転し、それにより前記表示面は、ユーザによる読み取り条件が最適である前記情報の読み取り位置を画定するように前記所定の瞬間に、又は、前記所定の事象が起こるとき、前記第1位置において前記一般平面と平行な面内に属するように位置し、前記情報を読み取る前記条件は、前記表示面が前記少なくとも第2面にあるときには低下し
前記支持体は、前記回転軸が、前記一般平面に対して10°~80°傾斜するような方位をとるように、配置され、
当該表示機構は、さらなる表示部を備え、前記さらなる表示部は、前記一般平面に対して10°~80°傾斜するさらなる回転軸の周りで枢動するような向きをとり、かつ、前記さらなる回転軸の周りに少なくとも2つの異なる位置の間で回転する少なくとも1つのさらなる表示面を有し、それにより前記少なくとも1つのさらなる表示面は、読み取り位置を画定するように前記少なくとも2つの異なる位置のうちの一の位置において前記一般平面に対して平行な面内に実質的に属するように位置し、
前記さらなる回転軸は、前記回転軸と実質的に平行で、かつ、前記さらなる表示面の前記読み取り位置が前記表示面の前記読み取り位置に隣接するように配置される、ことを特徴とする表示機構。
【請求項2】
請求項1に記載の表示機構であって、前記少なくとも1つの表示面が、少なくとも前記第2位置において前記一般平面に対して交差する面内に属する位置をとるように配置される、表示機構。
【請求項3】
請求項に記載の表示機構であって、前記表示部は、少なくとも2つで好適には最大12の表示面を有する、表示機構。
【請求項4】
請求項3に記載の表示機構であって、前記表示面が、前記回転軸の周りで均等に分布し、かつ、実質的に錐台の周りに配置される、表示機構。
【請求項5】
請求項1に記載の表示機構であって、前記表示部は第1有歯プレートを有し、前記第1有歯プレートは、前記回転軸の周りに配置され、かつ、前記一般平面に対して実質的に平行な面内に含まれるような向きをとる、駆動する第2有歯プレートに係合され、前記第2有歯プレートは、前記時計用ムーブメント又は制御部上でのユーザーによる所定の作用の効果によって駆動される駆動輪と動力学的連結を有することを特徴とする、表示機構。
【請求項6】
請求項3に記載の表示機構であって、前記表示部は第1有歯プレートを有し、前記第1有歯プレートは、前記回転軸の周りに配置され、かつ、前記一般平面に対して実質的に平行な面内に含まれるような向きをとる、駆動する第2有歯プレートに係合され、前記第2有歯プレートは、前記時計用ムーブメント又は制御部上でのユーザーによる所定の作用の効果によって駆動される駆動輪と動力学的連結を有することを特徴とする、表示機構。
【請求項7】
請求項5に記載の表示機構であって、前記第2有歯プレートと相互作用するように配置されるように前記表示部を位置設定するジャンパーを備えることを特徴とする、表示機構。
【請求項8】
請求項に記載の表示機構であって、前記表示面及び前記さらなる表示面は、同時にそれぞれの読み取り位置にあるときにのみ相互に隣接する位置をとるように配置される、表示機構。
【請求項9】
請求項3に記載の表示機構であって、前記表示面及び前記さらなる表示面は、同時にそれぞれの読み取り位置にあるときにのみ相互に隣接する位置をとるように配置される、表示機構。
【請求項10】
請求項に記載の表示機構であって、前記表示部は、前記さらなる表示部に剛性を有して接続される星形部を作動させると共に前記表示部の各完全な回転での少なくとも一のステップだけ前記星形部を動かすように配置される鋲を有する、表示機構。
【請求項11】
請求項3に記載の表示機構であって、前記表示部は、前記さらなる表示部に剛性を有して接続される星形部を作動させると共に前記表示部の各完全な回転での少なくとも一のステップだけ前記星形部を動かすように配置される鋲を有する、表示機構。
【請求項12】
請求項10に記載の表示機構であって、前記星形部は、前記さらなる表示部が、前記さらなる回転軸の周りで、前記さらなる表示部に関して角度方向の障害物がないように前記さらなる表示部に剛性を有して接続される、表示機構。
【請求項13】
請求項11に記載の表示機構であって、前記星形部は、前記さらなる表示部が、前記さらなる回転軸の周りで、前記さらなる表示部に関する角度方向の障害物がないように前記さらなる表示部に剛性を有して接続される、表示機構。
【請求項14】
請求項に記載の表示機構であって、前記さらなる回転軸が前記回転軸とは異なり、前記プレート上に少なくとも間接的に組み立てられ、かつ、上に前記さらなる表示部が回転可能に取り付けられるさらなる支持体を備えることを特徴とする、表示機構。
【請求項15】
請求項3に記載の表示機構であって、前記さらなる回転軸が前記回転軸とは異なり、前記プレート上に少なくとも間接的に組み立てられ、かつ、上に前記さらなる表示部が回転可能に取り付けられるさらなる支持体を備えることを特徴とする、表示機構。
【請求項16】
請求項14に記載の表示機構であって、前記支持体が、前記さらなる回転軸に関して前記さらなる表示部の正確な位置決めを保証するように、前記さらなる表示部と剛性を有して接続され、さらなる星形部と相互作用するように配置される位置決め部を有する、表示機構。
【請求項17】
請求項15に記載の表示機構であって、前記支持体が、前記さらなる回転軸に関して前記さらなる表示部の正確な位置決めを保証するように、前記さらなる表示部と剛性を有して接続され、さらなる星形部と相互作用するように配置される位置決め部を有する、表示機構。
【請求項18】
請求項に記載の表示機構であって、前記さらなる表示部は、少なくとも2つで好適には最大12のさらなる表示面を有する、表示機構。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の表示機構を維持するプレートを備える時計用ムーブメント。
【請求項20】
請求項1~18のいずれか一項に記載の表示機構を維持するプレートを有する時計用ムーブメントを備える時計。
【国際調査報告】