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特表2024-523725マルチルーメンステント-グラフト及び関連する手術方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】マルチルーメンステント-グラフト及び関連する手術方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20240621BHJP
【FI】
A61F2/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500614
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 US2022027921
(87)【国際公開番号】W WO2023282967
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/203,046
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/497,199
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524008395
【氏名又は名称】アルコ メディカル リミターダ
【氏名又は名称原語表記】ARCHO MEDICAL LTDA
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シルヴェイラ、ピエール ガルヴァーニ
(72)【発明者】
【氏名】カルボーニ、アンドレア ピガ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA15
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC02
4C097DD01
4C097DD10
4C097EE06
4C097EE08
4C097MM02
4C097MM04
(57)【要約】
グラフト部分とステントフレームとを含むマルチルーメンステントグラフト。ステントグラフトは、グラフト部分から形成される複数の貫通チャネルを含む。グラフト部分はPTFE材料を含むことができ、貫通チャネルはグラフト部分の融合部分から形成され得る。ステントグラフトは、大動脈瘤又は身体の他の血管の修復などのために、複数の血管分枝部を接続するプロテーゼで使用され得る。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチルーメン拡張可能ステントグラフトであって、
第1の開口端と第2の開口端との間に第1、第2及び第3の流れチャネルを形成するポリマー材料を含むグラフトスリーブと、
前記グラフトスリーブ上にわたって同軸に装着され、前記第1及び第2の開口端で前記グラフトスリーブに固定される自己拡張型ワイヤステントと、
を備え、
前記第1の流れチャネルは、前記ポリマー材料チャネルの第1の直線接続セグメントによって形成され、前記第1の直線接続セグメントが前記ステントグラフトの長手方向軸と平行に整列され、前記第1の流れチャネルは、前記グラフトスリーブの前記第1及び第2の開口端から内側に離隔される入口及び出口ポートを含み、
前記第2の流れチャネルは、前記ポリマー材料チャネルの第2の直線接続セグメントによって形成され、前記第2の直線接続セグメントが前記ステントグラフトの前記長手方向軸と平行に整列され、前記第2の流れチャネルは、前記グラフトスリーブの前記第1及び第2の開口端から内側に離隔される入口及び出口ポートを含み、
前記第3の流れチャネルは、前記ポリマー材料チャネルの第3の直線接続セグメントによって形成され、前記第3の直線接続セグメントが前記ステントグラフトの前記長手方向軸と平行に整列され、前記第3の流れチャネルは、前記グラフトスリーブの前記第1及び第2の開口端から内側に離隔される入口及び出口ポートを含む、
マルチルーメン拡張可能ステントグラフト。
【請求項2】
前記第1、第2、及び第3のチャネルのチャネル長は、前記第1の開口端の上側リムから前記第2の開口端の下側リムまで延びるハブ長の50%~90%である、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項3】
前記第1、第2、及び第3のチャネルのチャネル長は、前記第1の開口端の上側リムから前記第2の開口端の下側リムまで延びるハブ長の75%~90%である、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項4】
前記第1の流れチャネルの第1の直径は、前記第1及び第2の開口端のスリーブ直径の10%~40%以内であり、前記第2の流れチャネルの第2の直径は、前記スリーブ直径の10%~40%以内であり、前記第3の流れチャネルの第3の直径は、前記スリーブ直径の50%~80%以内である、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項5】
第4の流れチャネルを更に備え、前記第1の流れチャネルの第1の直径は、前記第1及び第2の開口端のスリーブ直径の5%~25%以内であり、前記第2の流れチャネルの第2の直径は、前記スリーブ直径の5%~25%以内であり、前記第3の流れチャネルの第3の直径は、前記スリーブ直径の5%~25%以内であり、前記第4の流れチャネルの第4の直径は、前記スリーブ直径の50%~75%以内である、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項6】
前記第1、第2、及び第3のチャネルが平行である、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項7】
前記第1、第2、及び第3の流れチャネルは、前記自己拡張型ワイヤステントによって支持されない、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項8】
前記第1及び第2の開口端はそれぞれ、前記自己拡張型ワイヤステントによって支持される円筒壁を含む、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項9】
前記第1の開口端の前記円筒壁は、前記第2の開口端の前記円筒壁の長さよりも2~5倍大きい長さを有する、請求項8に記載のステントグラフト。
【請求項10】
前記第1、第2、及び第3の直線接続セグメントのそれぞれの端部が前記第1及び第2の開口端から内側に離隔される、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項11】
前記第1及び第2の開口端は、前記ポリマー材料の折り曲げ部分を含む、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項12】
前記第1及び第2の開口端は、前記グラフトスリーブの第1及び第2の端部を封入する前記ポリマー材料の更なる層を含む、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項13】
前記グラフトスリーブが前記ポリマー材料の単一のチューブを備え、前記流れチャネルのそれぞれの全周長が前記ポリマー材料の単一のチューブの周長に等しい、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項14】
前記グラフトスリーブの前記ポリマー材料がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含み、前記第1、第2、及び第3の直線接続セグメントが前記PTFE材料の融合部分を含む、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項15】
前記PTFE材料の前記融合部分は、前記PTFE材料をその溶融温度より高く溶融することによって形成される、請求項14に記載のステントグラフト。
【請求項16】
前記PTFE材料の前記融合部分が超音波溶接によって形成される、請求項14に記載のステントグラフト。
【請求項17】
前記第1の直線接続セグメントの前記融合部分がPTFE材料の中間層を含む、請求項14に記載のステントグラフト。
【請求項18】
拡張可能ステントグラフトであって、
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料を含むグラフトスリーブであって、該グラフトスリーブの第1の開口端と第2の開口端との間に主流体流れチャネルを形成し、外面及び内面を含む、グラフトスリーブと、
前記グラフトスリーブ内に形成される第1の内部チャネル及び第2の内部チャネルであって、該内部チャネルのそれぞれが前記グラフトスリーブの前記第1及び第2の開口端から内側に離隔される入口及び出口ポートを含む、第1の内部チャネル及び第2の内部チャネルと、
を備え、
前記第1及び第2の内部流れチャネルが前記グラフトスリーブの長手方向軸に沿って整列される直線接続セグメントによって分離され、前記直線接続セグメントが、前記グラフトスリーブの前記PTFE材料の内面の融合部分から形成され、
前記グラフトスリーブ上にわたって同軸に装着され、前記第1及び第2の開口端で前記グラフトスリーブに固定される自己拡張型ワイヤステントを備える、
拡張可能ステントグラフト。
【請求項19】
前記第1及び第2のチャネルのチャネル長は、前記第1の開口端の上側リムから前記第2の開口端の下側リムまで延びるハブ長の50%~90%である、請求項18に記載のステントグラフト。
【請求項20】
前記第1及び第2のチャネルのチャネル長は、前記第1の開口端の上側リムから前記第2の開口端の下側リムまで延びるハブ長の75%~90%である、請求項18に記載のステントグラフト。
【請求項21】
前記第1の流れチャネルの第1の直径は、前記第1及び第2の開口端のスリーブ直径の20%~50%以内であり、前記第2の流れチャネルの第2の直径は、前記スリーブ直径の50%~80%以内である、請求項18に記載のステントグラフト。
【請求項22】
前記第1及び第2の内部流れチャネルは、前記自己拡張型ワイヤステントによって支持されない、請求項18に記載のステントグラフト。
【請求項23】
前記第1及び第2の開口端はそれぞれ、前記自己拡張型ワイヤステントによって支持される円筒壁を含み、前記入口及び出口ポートは、前記それぞれの円筒壁から内側に離隔される、請求項18に記載のステントグラフト。
【請求項24】
前記直線接続セグメントの第1及び第2の端部が前記グラフトスリーブのそれぞれの円筒壁から内側に離隔される、請求項23に記載のステントグラフト。
【請求項25】
前記円筒壁が前記PTFE材料の折り曲げ部分を含む、請求項23に記載のステントグラフト。
【請求項26】
前記グラフトスリーブがPTFE材料の単一のチューブを備え、前記流れチャネルのそれぞれの全周長が前記ポリマー材料の単一のチューブの周長に等しい、請求項18に記載のステントグラフト。
【請求項27】
前記PTFE材料の前記内面の前記融合部分は、前記PTFE材料をその溶融温度より高く溶融することによって形成される、請求項18に記載のステントグラフト。
【請求項28】
前記PTFE材料の前記内面の前記融合部分が超音波溶接によって形成される、請求項18に記載のステントグラフト。
【請求項29】
前記第1及び第2のチャネルがそれぞれ円筒壁を備える、請求項18に記載のステントグラフト。
【請求項30】
拡張可能ステントグラフトを製造する方法であって、
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料を含むグラフトスリーブをマンドレルの本体上にわたって位置させるステップであって、前記マンドレルが、第1のチャネルマンドレル及び第2のチャネルマンドレルを含む中央部分を含み、前記第1及び第2のチャネルマンドレルの長手方向軸が前記マンドレルの長手方向軸と整列される、ステップと、
前記グラフトスリーブの第1の側面の第1の部分を前記第1及び第2のチャネルマンドレル間に挿入して前記グラフトスリーブの第2の側面の第2の部分に接触させるステップと、
前記グラフトスリーブの前記第1及び第2の部分を融合して、前記マンドレルの前記長手方向軸に沿って整列される直線接続セグメントを形成するステップであって、前記直線接続セグメントが、前記グラフトスリーブの中央部分を前記グラフトスリーブ内に形成される第1の内部チャネルと第2の内部チャネルとに分割する、ステップと、
前記グラフトスリーブを前記マンドレルから取り外すステップと、
を含む、拡張可能ステントグラフトを製造する方法。
【請求項31】
前記グラフトスリーブ上にわたって自己拡張型ワイヤステントを同軸に装着するステップと、
前記自己拡張型ワイヤステントを前記グラフトスリーブの第1及び第2の開口端に固定するステップと、
を更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記グラフトスリーブの端部を前記自己拡張型ワイヤステントの端部にわたって折り曲げるステップを更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記自己拡張型ワイヤステントの端部を更なるPTFE材料と前記グラフトスリーブとの間に封入するステップを更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記直線接続セグメントは、前記PTFE材料をその溶融温度より高く溶融することによって形成される、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記直線接続セグメントが超音波溶接によって形成される、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記第1及び第2のチャネルマンドレルが前記マンドレルの前記本体から取り外し可能である、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記第1及び第2のチャネルマンドレルはそれぞれ、前記それぞれの第1及び第2のチャネルの直径に対応する直径を有する円筒部材を備える、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記グラフトスリーブの前記第1の側面の前記第1の部分と前記グラフトスリーブの前記第2の側面の前記第2の部分との間にPTFE材料の中間層を更に備える、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
分枝した血管の処置のためにプロテーゼを外科的に埋め込む方法であって、
一次流れチャネルと、第1の流れチャネルと、第2の流れチャネルとを有する第1のステントグラフトハブを処置位置に近接して位置させるステップであって、
分枝した血管内にハブガイドワイヤを挿入すること、
前記ハブガイドワイヤに沿ってカテーテルを前進させること、及び
前記カテーテルを使用して前記第1のステントグラフトハブを展開すること、
を含む、ステップと、
前記分枝した血管に沿う前記処置位置を一次グラフトチューブでブリッジするステップであって、
前記一次流れチャネル内で一次カテーテルを前進させること、及び
前記一次カテーテルを用いて、前記一次流れチャネル内で前記一次グラフトチューブの第1の端部を展開するとともに、前記分枝した血管内で前記一次グラフトチューブの第2の端部を展開すること、
を含む、ステップと、
前記第1のステントグラフトハブと前記分枝した血管の第1の分枝部との間の前記処置位置を第1のグラフトチューブでブリッジするステップであって、
前記分枝した血管の前記第1の分枝部を通じて前記第1のステントグラフトハブの前記第1の流れチャネルに第1のガイドワイヤを挿入すること、
前記第1のガイドワイヤに沿って第1のカテーテルを前進させること、及び
前記第1のカテーテルを用いて、前記第1の流れチャネル内で前記第1のグラフトチューブの第1の端部を展開するとともに、前記第1の分枝部内で前記第1のグラフトチューブの第2の端部を展開すること、
を含む、ステップと、
前記第1のステントグラフトハブと前記分枝した血管の第2の分枝部との間の前記処置位置を第2のグラフトチューブでブリッジするステップであって、
前記分枝した血管の前記第2の分枝部を通じて前記第2のステントグラフトハブの前記第2の流れチャネルに第2のガイドワイヤを挿入すること、
前記第2のガイドワイヤに沿って第2のカテーテルを前進させること、及び
前記第2のカテーテルを用いて、前記第2の流れチャネル内で前記第2のグラフトチューブの第1の端部を展開するとともに、前記第2の分枝部内で前記第2のグラフトチューブの第2の端部を展開すること、
を含む、ステップと、
を含む方法。
【請求項40】
前記第1のステントグラフトハブと前記分枝した血管の第3の分枝部との間の前記処置位置を第3のグラフトチューブでブリッジするステップであって、
前記分枝した血管の前記第3の分枝部を通じて前記第1のステントグラフトハブの第3の流れチャネルに第3のガイドワイヤを挿入すること、
前記第3のガイドワイヤに沿って第3のカテーテルを前進させること、及び
前記第3の流れチャネル内で第3のグラフトチューブの第1の端部を展開するとともに、前記第3の分枝部内で前記第3のグラフトチューブの第2の端部を展開すること、
を含む、ステップ、
を更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
一次流れチャネル及び第1の流れチャネルを有する第2のステントグラフトハブを、前記処置位置の前記第1のステントグラフトハブとは反対側に位置させるステップ、
を更に含み、
前記分枝した血管に沿う前記処置位置を前記一次グラフトチューブでブリッジする前記ステップは、前記第2のステントグラフトハブの前記一次流れチャネル内で前記一次グラフトチューブの前記第2の端部を展開するステップを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記第2のステントグラフトハブと前記分枝した血管の第3の分枝部との間の前記処置位置を第3のグラフトチューブでブリッジするステップであって、
前記分枝した血管の前記第3の分枝部を通じて前記第2のステントグラフトハブの前記第1の流れチャネルに第3のガイドワイヤを挿入するステップ、
前記第3のガイドワイヤに沿って第3のカテーテルを前進させるステップ、及び
前記第2のステントグラフトハブの前記第1の流れチャネル内で第3のグラフトチューブの第1の端部を展開するとともに、前記第3の分枝部内で前記第3のグラフトチューブの第2の端部を展開するステップ、
を含む、ステップ、
を更に含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
マルチルーメン拡張可能ステントグラフトであって、
スリーブ直径を有するポリマー材料の単一のチューブから形成されるグラフトスリーブであって、
上側リムを有する第1の円筒壁を含む第1の開口端と、
下側リムを有する第2の円筒壁を含む第2の開口端であって、前記第1の開口端が長手方向軸に沿って前記第2の開口端から離隔される、第2の開口端と、
前記第1の開口端の前記上側リムから前記第2の開口端の前記下側リムまで延在するハブ長であって、4~9cmである、ハブ長と、
前記第1の開口端と前記第2の開口端との間で延在し、前記第1の開口端と前記第2の開口端との間にチャネル長を規定する複数の平行な流れチャネルであって、前記チャネル長が前記ハブ長の50%~90%である、複数の平行な流れチャネルと、
を備え、
前記複数の平行な流れチャネルが、
前記ポリマー材料チャネルの第1の直線接続セグメントによって形成され、前記グラフトスリーブの前記それぞれの第1及び第2の開口端と連通する入口及び出口ポートを含む第1の流れチャネルであって、前記第1の直線接続セグメントが前記ステントグラフトの前記長手方向軸と平行に整列され、前記第1の直線接続セグメントが第1の幅を有する、第1の流れチャネルと、
前記ポリマー材料チャネルの第2の直線接続セグメントによって形成され、前記グラフトスリーブの前記それぞれの第1及び第2の開口端と連通する入口及び出口ポートを含む第2の流れチャネルであって、前記第2の直線接続セグメントが前記ステントグラフトの前記長手方向軸と平行に整列され、前記第2の直線接続セグメントが第2の幅を有する、第2の流れチャネルと、
前記ポリマー材料チャネルの第3の直線接続セグメントによって形成され、前記グラフトスリーブの前記それぞれの第1及び第2の開口端と連通する入口及び出口ポートを含む第3の流れチャネルであって、前記第3の直線接続セグメントが前記ステントグラフトの前記長手方向軸と平行に整列され、前記第3の直線接続セグメントが第3の幅を有する、第3の流れチャネルと、
前記ポリマー材料チャネルの前記第1、第2、及び第3の直線接続セグメントによって形成され、前記グラフトスリーブの前記それぞれの第1及び第2の開口端と連通する入口及び出口ポートを含む第4の流れチャネルと、
を含む、グラフトスリーブと、
前記グラフトスリーブ上にわたって同軸に装着され、前記第1の開口端の前記第1の円筒壁及び前記第2の開口端の前記第2の円筒壁で前記グラフトスリーブに固定される自己拡張型ワイヤステントと、
を備え、
前記グラフトスリーブの前記ポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含み、前記第1、第2、及び第3の直線接続セグメントが前記PTFE材料の融合部分を備え、
1)前記第1、第2、第3、及び第4の流れチャネルのそれぞれの周長と、2)前記それぞれの第1、第2、及び第3の直線接続セグメントの前記第1、第2、及び第3の幅の合計の2倍と、の和は、ポリマー材料の前記単一のチューブの周長に等しく、
前記第1の流れチャネルの第1の直径は、前記スリーブ直径の5%~25%の範囲内であり、前記第2の流れチャネルの第2の直径は、前記スリーブ直径の5%~25%の範囲内であり、前記第3の流れチャネルの第3の直径は、前記スリーブ直径の5%~25%の範囲内であり、前記第4の流れチャネルの第4の直径は、前記スリーブ直径の50%~75%の範囲内である、
マルチルーメン拡張可能ステントグラフト。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2021年7月6日に出願された米国特許出願第63/203046号の利益を主張する、「マルチルーメンステント-グラフト及び関連する手術方法」と題する、2021年10月8日に出願された米国特許出願第17/497199号の継続出願であり、これらの米国特許出願の全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
この開示は、一般に、損傷した血管、管路又は他の通路を修復するために人又は動物の体内に埋め込むためのステントグラフト及び関連する方法及び技術に関する。
【背景技術】
【0003】
血管などの人又は動物の体内の血管及び管路は、時折、弱体化し又は直径が増大して、最終的に破裂する可能性がある。この例は、大動脈の壁の異常な拡張を含む大動脈瘤である。時間が経過し、血行動態力の圧力に晒されると、動脈瘤が破裂し、致命的な出血を引き起こす可能性がある。動脈瘤又は他の弱体化又は破裂した血管に関する1つの外科的介入は、元の健康な血管の一部又は全部の機能を与えるために、特に動脈瘤に対する血行動態力を低減するために、グラフトなどの管腔内プロテーゼの使用を含む。米国特許公開第2014/0371836号明細書は、胸大動脈内の動脈瘤をブリッジするための装置及び外科技術の例を提供する。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によれば、マルチルーメン拡張可能ステントグラフトは、第1の開口端と第2の開口端との間に第1、第2、及び第3の平行な流れチャネルを形成するポリマー材料の単一チューブのグラフトスリーブを含む。自己拡張型ワイヤステントが、グラフトスリーブ上にわたって同軸に装着され、第1及び第2の開口端で前記グラフトスリーブに固定される。第1の流れチャネルは、ポリマー材料チャネルの第1の直線接続セグメントによって形成される。第1の直線接続セグメントは、ステントグラフトの長手方向軸と平行に整列し、グラフトスリーブの第1及び第2の開口端から内側に離隔される入口及び出口ポートを含む。第2の流れチャネルは、ポリマー材料チャネルの第2の直線接続セグメントによって形成される。第2の直線接続セグメントは、ステントグラフトの長手方向軸と平行に整列し、グラフトスリーブの第1及び第2の開口端から内側に離隔される入口及び出口ポートを含む。第3の流れチャネルは、ポリマー材料チャネルの第3の直線接続セグメントによって形成される。第3の直線接続セグメントは、ステントグラフトの長手方向軸と平行に整列し、グラフトスリーブの第1及び第2の開口端から内側に離隔される入口及び出口ポートを含む。グラフトスリーブのポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含み、第1、第2、及び第3の直線接続セグメントはPTFE材料の融合部分を備える。各流れチャネル及び任意の接続セグメントの全周長は、ポリマー材料の単一のチューブの周長にほぼ等しい。
【0005】
第2の態様によれば、マルチルーメン拡張可能ステントグラフトは、第1の開口端と第2の開口端との間に第1、第2、及び第3の流れチャネルを形成するポリマー材料を伴うグラフトスリーブを含む。自己拡張型ワイヤステントが、グラフトスリーブ上にわたって同軸に装着し、第1及び第2の開口端で前記グラフトスリーブに固定する。第1の流れチャネルは、ポリマー材料チャネルの第1の直線接続セグメントによって形成される。第1の直線接続セグメントは、ステントグラフトの長手方向軸と平行に整列され、グラフトスリーブの第1及び第2の開口端から内側に離隔される入口及び出口ポートを含む。第2の流れチャネルは、ポリマー材料チャネルの第2の直線接続セグメントによって形成される。第2の直線接続セグメントは、ステントグラフトの長手方向軸と平行に整列され、グラフトスリーブの第1及び第2の開口端から内側に離隔される入口及び出口ポートを含む。第3の流れチャネルは、ポリマー材料チャネルの第3の直線接続セグメントによって形成される。第3の直線接続セグメントは、ステントグラフトの長手方向軸と平行に整列され、グラフトスリーブの第1及び第2の開口端から内側に離隔される入口及び出口ポートを含む。
【0006】
他の態様によれば、第1、第2、及び第3のチャネルは平行である。他の態様によれば、第1、第2、及び第3のチャネルは、自己拡張型ワイヤステントによって支持されない。他の態様によれば、第1及び第2の開口端はそれぞれ、自己拡張型ワイヤステントによって支持される円筒壁を含む。他の態様によれば、第1、第2、及び第3の直線接続セグメントのそれぞれの端部は、第1及び第2の開口端から内側に離隔される。他の態様によれば、第1及び第2の開口端は、ポリマー材料の折り曲げ部分を含む。他の態様によれば、第1及び第2の開口端は、ステント部分の第1及び第2の端部を封入するポリマー材料の更なる層を含む。他の態様によれば、グラフトスリーブは、ポリマー材料の単一のチューブを備え、各流れチャネルの全周長は、ポリマー材料の単一のチューブの周長に等しい。他の態様によれば、グラフトスリーブのポリマー材料はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含み、第1、第2、及び第3の直線接続セグメントはPTFE材料の融合部分を備える。他の態様によれば、PTFE材料の融合部分は、PTFE材料をその溶融温度より高く溶融することによって形成される。他の態様によれば、PTFE材料の融合部分が超音波溶接によって形成される。他の態様によれば、第1の直線接続セグメントの融合部分は、PTFE材料の中間層を含む。他の態様によれば、第1の開口端は、第2の開口端の長さよりも2~5倍大きい長さを有する。他の態様によれば、第1、第2、及び第3のチャネルのチャネル長は、第1の開口端の上側リムから第2の開口端の下側リムまで延在するハブ長の50%~90%である。他の態様によれば、第1、第2、及び第3のチャネルのチャネル長は、第1の開口端の上側リムから第2の開口端の下側リムまで延在するハブ長の75%~90%である。他の態様によれば、第1の流れチャネルの第1の直径は、第1及び第2の開口端のスリーブ直径の10%~40%以内であり、第2の流れチャネルの第2の直径は、スリーブ直径の10%~40%以内であり、第3の流れチャネルの第3の直径は、スリーブ直径の50%~80%以内である。他の態様によれば、第1の流れチャネルの第1の直径は、第1及び第2の開口端のスリーブ直径の5%~25%以内であり、第2の流れチャネルの第2の直径は、スリーブ直径の5%~25%以内であり、第3の流れチャネルの第3の直径は、スリーブ直径の5%~25%以内であり、第4の流路の第4の直径は、スリーブ直径の50%~75%以内である。
【0007】
第3の態様によれば、拡張可能ステントグラフトはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料を有するグラフトスリーブを含み、該グラフトスリーブは、前記グラフトスリーブの第1の開口端と第2の開口端との間に主流体流れチャネルを形成し、外面及び内面を含む。第1の内部チャネル及び第2の内部チャネルは、グラフトスリーブ内に形成され、それぞれの内部チャネルは、グラフトスリーブの第1及び第2の開口端から内側に離隔される入口ポート及び出口ポートを含む。第1及び第2の内部流れチャネルは、グラフトスリーブの長手方向軸に沿って整列される直線接続セグメントによって分離される。直線接続セグメントは、グラフトスリーブのPTFE材料の内面の融合部分から形成される。自己拡張型ワイヤステントが、グラフトスリーブ上にわたって同軸に装着され、第1及び第2の開口端で前記グラフトスリーブに固定される。
【0008】
他の態様によれば、第1及び第2の内部流れチャネルは、自己拡張型ワイヤステントによって支持されない。他の態様によれば、第1及び第2の開口端はそれぞれ、自己拡張型ワイヤステントによって支持される円筒壁を含む。入口ポート及び出口ポートは、それぞれの円筒壁から内側に離隔される。他の態様によれば、直線接続セグメントの第1及び第2の端部は、グラフトスリーブのそれぞれの円筒壁から内側に離隔される。他の態様によれば、円筒壁は、PTFE材料の折り曲げ部分を含む。他の態様によれば、グラフトスリーブがPTFE材料の単一のチューブを備え、各流れチャネルの全周長は、ポリマー材料の単一のチューブの周長に等しい。他の態様によれば、PTFE材料の内面の融合部分は、PTFE材料をその溶融温度より高く溶融することによって形成される。他の態様によれば、PTFE材料の内面の融合部分が超音波溶接によって形成される。他の態様によれば、第1及び第2のチャネルはそれぞれ円筒壁を備える。他の態様によれば、第1及び第2のチャネルのチャネル長は、第1の開口端の上側リムから第2の開口端の下側リムまで延在するハブ長の50%~90%である。他の態様によれば、第1及び第2のチャネルのチャネル長は、第1の開口端の上側リムから第2の開口端の下側リムまで延在するハブ長の75%~90%である。他の態様によれば、第1の流れチャネルの第1の直径は、第1及び第2の開口端のスリーブ直径の20%~50%以内であり、第2の流れチャネルの第2の直径は、スリーブ直径の50%~80%以内である。
【0009】
第4の態様によれば、拡張可能ステントグラフトを製造する方法は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料を含むグラフトスリーブをマンドレルの本体上にわたって位置させることを含む。マンドレルは、第1のチャネルマンドレル及び第2のチャネルマンドレルを含む中央部分を含む。第1及び第2のチャネルマンドレルの長手方向軸は、マンドレルの長手方向軸と整列する。グラフトスリーブの第1の側面の第1の部分は、第1のチャネルマンドレルと第2のチャネルマンドレルとの間に挿入され、グラフトスリーブの第2の側面の第2の部分と接触するように押し込まれる。グラフトスリーブの第1及び第2の部分は、マンドレルの長手方向軸に沿って整列される直線接続セグメントを形成するように融合される。直線接続セグメントは、グラフトスリーブの中央部分を、グラフトスリーブ内に形成される第1の内部チャネルと第2の内部チャネルとに分割する。グラフトスリーブは、マンドレルから取り外すことができる。
【0010】
更なる態様によれば、自己拡張型ワイヤステントは、依然としてマンドレル上にある間にグラフトスリーブ上にわたって同軸に装着される。自己拡張型ワイヤステントは、グラフトスリーブの第1の開口端及び第2の開口端と固定される。他の態様によれば、グラフトスリーブの端部は、自己拡張型ワイヤステントの端部にわたって折り曲げられる。他の態様によれば、自己拡張型ワイヤステントの端部は、更なるPTFE材料とグラフトスリーブとの間に封入されている。他の態様によれば、直線接続セグメントは、PTFE材料をその溶融温度より高く溶融することによって形成される。他の態様によれば、直線接続セグメントが超音波溶接によって形成される。他の態様によれば、第1及び第2のチャネルマンドレルは、マンドレルの本体から取り外し可能である。他の態様によれば、第1及び第2のチャネルマンドレルはそれぞれ、それぞれの第1及び第2のチャネルの直径に対応する直径を有する円筒部材を備える。他の態様によれば、PTFE材料の中間層が、グラフトスリーブの第1の側面の第1の部分とグラフトスリーブの第2の側面の第2の部分との間に含まれて、直線接続セグメントを形成する。
【0011】
第5の態様によれば、分枝した血管の処置のためにプロテーゼを外科的に埋め込む方法は、一次流れチャネルを有する第1のステントグラフトハブを位置させることを含む。第1の流れチャネル及び第2の流れチャネルは、処置位置に近接している。ハブガイドワイヤが、分枝した血管内に挿入される。カテーテルが、ハブガイドワイヤに沿って前進される。第1のステントグラフトハブが、カテーテルを使用して展開される。分枝した血管に沿う処置位置は、一次流れチャネル内で一次カテーテルを前進させることを含めて、一次グラフトチューブでブリッジされる。一次グラフトチューブの第1の端部は、一次流れチャネル内で展開される。一次グラフトチューブの第2の端部は、一次カテーテルを用いて分枝した血管内で展開される。処置位置は、第1のステントグラフトハブと分枝した血管の第1の分枝部との間で第1のグラフトチューブによりブリッジされる。これは、分枝した血管の第1の分枝部を通じて第1のステントグラフトハブの第1の流れチャネルに第1のガイドワイヤを挿入すること、第1のガイドワイヤに沿って第1のカテーテルを前進させること、第1の流れチャネル内で第1のグラフトチューブの第1の端部を展開すること、及び第1のカテーテルを用いて第1の分枝部内で第1のグラフトチューブの第2の端部を展開することを含む。処置位置は、第1のステントグラフトハブと分枝した血管の第2の枝との間で第2のグラフトチューブによりブリッジされる。これは、分枝した血管の第2の分枝部を通じて第2のステントグラフトハブの第2の流れチャネルに第2のガイドワイヤを挿入すること、第2のガイドワイヤに沿って第2のカテーテルを前進させること、第2のカテーテルを用いて、第2の流れチャネル内で第2のグラフトチューブの第1の端部を展開するとともに、第2の分枝部内で第2のグラフトチューブの第2の端部を展開することを含む。
【0012】
他の態様によれば、第1のステントグラフトハブと分枝した血管の第3の分枝部との間の処置位置を第3のグラフトチューブでブリッジすること、分枝した血管の第3の分枝部を通じて第1のステントグラフトハブの第3の流れチャネルに第3のガイドワイヤを挿入すること、第3のガイドワイヤに沿って第3のカテーテルを前進させること、及び第3の流れチャネル内で第3のグラフトチューブの第1の端部を展開するとともに、第3の分枝部内で第3のグラフトチューブの第2の端部を展開することを更に含む。他の態様によれば、一次流れチャネル及び第1の流れチャネルを有する第2のステントグラフトハブを、処置位置の第1のステントグラフトハブとは反対側に位置させることを更に含む。第2のステントグラフトハブの一次流れチャネル内で一次グラフトチューブの第2の端部を展開することによって、分枝した血管に沿う処置位置を一次グラフトチューブでブリッジする。他の態様によれば、分枝した血管の第3の分枝部を通じて第2のステントグラフトハブの第1の流れチャネルに第3のガイドワイヤを挿入し、第3のガイドワイヤに沿って第3のカテーテルを前進させ、第2のステントグラフトハブの第1の流れチャネル内で第3のグラフトチューブの第1の端部を展開するとともに第3の分枝部内で第3のグラフトチューブの第2の端部を展開することによって、第2のステントグラフトハブと分枝した血管の第3の分枝部との間の処置位置を第3のグラフトチューブでブリッジすることを更に含む。
【0013】
第6の態様によれば、マルチルーメン拡張可能ステントグラフトは、スリーブ直径を有するポリマー材料の単一チューブから形成されるグラフトスリーブを有する。第1の開口端は、上側リムを有する第1の円筒壁を含む。第2の開口端は、下側リムを有する第2の円筒壁を含む。第1の開口端は、長手方向軸に沿って第2の開口端から離隔される。ハブ長が、第1の開口端の上側リムから第2の開口端の下側リムまで延在する。複数の平行な流れチャネルが、第1の開口端と第2の開口端との間で延び、それらの間のチャネル長を規定する。チャネル長は、ハブ長の50%~90%である。第1の流れチャネルが、ポリマー材料チャネルの第1の直線接続セグメントによって形成され、グラフトスリーブのそれぞれの第1及び第2の開口端と連通する入口及び出口ポートを含む。第1の直線接続セグメントは、ステントグラフトの長手方向軸と平行に整列する。第1の直線接続セグメントは第1の幅を含む。第2の流れチャネルが、ポリマー材料チャネルの第2の直線接続セグメントによって形成され、グラフトスリーブのそれぞれの第1及び第2の開口端と連通する入口及び出口ポートを含む。第2の直線接続セグメントは、ステントグラフトの長手方向軸と平行に整列する。第2の直線接続セグメントは第2の幅を含む。第3の流れチャネルが、ポリマー材料チャネルの第3の直線接続セグメントによって形成され、グラフトスリーブのそれぞれの第1及び第2の開口端と連通する入口及び出口ポートを含む。第3の直線接続セグメントは、ステントグラフトの長手方向軸と平行に整列する。第3の直線接続セグメントは第3の幅を有する。第4の流れチャネルが、ポリマー材料チャネルの第1、第2、及び第3の直線接続セグメントによって形成され、グラフトスリーブのそれぞれの第1及び第2の開口端と連通する入口及び出口ポートを含む。自己拡張型ワイヤステントが、グラフトスリーブ上にわたって同軸に装着し、第1の開口端の第1の円筒壁及び第2の開口端の第2の円筒壁において前記グラフトスリーブに固定する。グラフトスリーブのポリマー材料はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含み、第1、第2、及び第3の直線接続セグメントはPTFE材料の融合部分を備える。1)第1、第2、第3、及び第4の流れチャネルのそれぞれの周長と、2)それぞれの第1、第2、及び第3の直線接続セグメントの第1、第2、及び第3の幅の合計の2倍との和は、ポリマー材料の単一のチューブの周長に等しい。第1の流れチャネルの第1の直径は、スリーブ直径の5%~25%以内であり、第2の流れチャネルの第2の直径は、スリーブ直径の5%~25%以内であり、第3の流れチャネルの第3の直径は、スリーブ直径の5%~25%以内であり、第4の流れチャネルの第4の直径は、スリーブ直径の50%~75%以内である。
【0014】
前述の概要は、例示にすぎず、限定することを意図するものではない。本出願に記載されたシステム、装置、及び方法の他の態様、特徴、及び利点、並びに/又は他の主題は、以下に記載された教示において明らかになるであろう。概要は、本開示の概念の幾つかの選択を紹介するために提供される。概要は、本明細書に記載される主題の重要な又は本質的な特徴を特定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
様々な例が、例示を目的として添付図面に示されており、決して例の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。異なる開示された例の様々な特徴を組み合わせて、本開示の一部である更なる例を形成することができる。
【0016】
図1A】ステント部分及びグラフト部分を含むステントグラフトの斜視図を示す。
【0017】
図1B】ステントグラフトの端部斜視図を示す。
【0018】
図1C】ステントグラフトの第1の側面図を示す。
【0019】
図1D】ステントグラフトの第2の側面図を示す。
【0020】
図1E】ステントグラフトの第1の端面図を示す。
【0021】
図1F】ステントグラフトの第2の端面図を示す。
【0022】
図2A図1Cの線2A-2Aに沿う断面図を示す。
【0023】
図2B図1Cの線2B-2Bに沿う断面図を示す。
【0024】
図2C図1Fの線2C-2Cに沿う断面図を示す。
【0025】
図3A】ステントグラフトのステント部分の側面図を示す。
【0026】
図3B】ステントグラフトのステント部分の端面図を示す。
【0027】
図4A】ステントグラフトのグラフト部分内に主チャネル及び3つの分枝チャネルを含む複数の流れチャネルにおける任意の構成を示す。
【0028】
図4B】ステントグラフトのグラフト部分内の主チャネル及び2つの分枝チャネルを含む複数の流れチャネルにおける任意の構成を示す図である。
【0029】
図4C】ステントグラフトのグラフト部分内の主チャネル及び1つの分枝チャネルを含む複数の流れチャネルにおける任意の構成を示す図である。
【0030】
図4D】ステントグラフトのグラフト部分内に直径が等しい2つの主チャネルを含む複数の流れチャネルにおける任意の構成を示す図である。
【0031】
図4E図4Aのグラフト部分の側面図を示す。
【0032】
図4F図4Bのグラフト部分の側面図を示す。
【0033】
図4G図4Cのグラフト部分の側面図を示す。
【0034】
図4H図4Dのグラフト部分の側面図を示す。
【0035】
図5】ステントグラフトの他の例の前方斜視図を示す。
【0036】
図6図5のステントグラフトの後方斜視図を示す。
【0037】
図7】ステントグラフトの組み立て及び製造に使用されるマンドレルアセンブリの分解図を示す。
【0038】
図8】マンドレルアセンブリのエンドキャップの斜視図を示す。
【0039】
図9】マンドレル上にわたる管状グラフト部分の組み立てを示す。
【0040】
図10】マンドレルアセンブリ内の隣接するチャネルマンドレル間のグラフト部分の材料の部分を溶融することによって形成されたステントグラフトのステント部分内の個々の流れチャネルの形成を示す。
【0041】
図11図10の線11-11に沿う断面図を示す。
【0042】
図12】ステント部分とグラフト部分との整列を示す。
【0043】
図13】グラフト部分上にわたって組み立てられたステント部分の開口端上にわたるグラフト部分の折り曲げを示す。
【0044】
図14】完成したステントグラフトを示す。
【0045】
図15】大動脈瘤をブリッジするための大動脈へのカテーテルの挿入を示す。
【0046】
図16】大動脈内のカテーテルからのステントグラフトハブの展開を示す。
【0047】
図17】第1の分枝動脈からステントグラフトハブのチャネル内への第1の接続ステントグラフトの挿入を示す。
【0048】
図18】ステントグラフトハブのチャネル内での第1の接続ステントグラフトの展開を示す。
【0049】
図19】ステントグラフトハブ内に結合された複数の接続ステントグラフトを含む大動脈瘤をブリッジするための大動脈内でのプロテーゼの展開を示す。
【0050】
図20】別のプロテーゼを示す。
【0051】
図21】心臓弁と一体化されたプロテーゼを示す。
【0052】
図22】大動脈瘤をブリッジするための2つのステントグラフトを含む別のプロテーゼを示す。
【0053】
図23】ブリッジ接続ステントグラフトを更に示す図22のプロテーゼを示す。
【0054】
図24A】1つの延長された長さの開口端を含む別のステントグラフトの正面図を示す。
図24B】1つの延長された長さの開口端を含む別のステントグラフトの側面図を示す。
【0055】
図25A図24のステントグラフトハブ内に結合された複数の接続ステントグラフトを含む大動脈瘤をブリッジするための大動脈内でのプロテーゼの展開を示す。
図25B図24のステントグラフトハブ内に結合された複数の接続ステントグラフトを含む大動脈瘤をブリッジするための大動脈内でのプロテーゼの展開を示す。
図25C図24のステントグラフトハブ内に結合された複数の接続ステントグラフトを含む大動脈瘤をブリッジするための大動脈内でのプロテーゼの展開を示す。
【0056】
図26】織布ダクロンから形成される別のステントグラフトの斜視図を示す。
【0057】
図27図26のステントグラフトの上面図を示す。
【0058】
図28図26のステントグラフトのための更なるチャネルの斜視図を示す。
【0059】
図29図26のステントグラフトと共に組み立てられた更なるチャネルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本明細書に記載された技術のシステム、装置、及び方法の様々な特徴及び利点は、図に示された例の以下の説明からより完全に明らかになる。これらの例は、本開示の原理を例示することを意図しており、本開示は例示された例のみに限定されるべきではない。図示された例の特徴は、本明細書に開示された原理を考慮して当業者に明らかであるように、修正、組み合わせ、除去、及び/又は置換することができる。
【0061】
血管は時折動脈瘤を発症することがあり、これは破裂して致命的な出血を引き起こす可能性がある。したがって、血管内に固定される十分に長いグラフトを使用して、動脈瘤などの損傷した血管セグメントをブリッジすることが一般的に行われている。このブリッジは、血管に対する血行動態力を減少させる効果を有することができる。動脈瘤の位置に応じて、ブリッジグラフトの埋め込みは、比較的簡単であり得るか、又は困難であり得る。大動脈弓内に発生する動脈瘤は、様々な理由で対処が特に困難であることが判明している。1つの一般的な理由は、人々の間の大動脈弓の動脈分枝パターンの非常に多くのバリエーションである。大動脈弓は、上行大動脈及び下行大動脈を含み、典型的には、近接して連続して位置する3つの主要動脈分枝部:腕頭動脈(右鎖骨下動脈及び右総頸動脈に通じる)、左総頸動脈、及び左鎖骨下動脈を含む。この動脈分枝パターンは最も一般的であるが、3つの分枝間の間隔及び配置は人によって異なる。他の動脈分枝パターンもかなり一般的である。すなわち、左頸動脈は大動脈弓ではなく腕頭動脈に由来し得る;左頸動脈は、腕頭動脈と同じ位置の大動脈弓に由来し得る;左頸動脈及び左鎖骨下動脈は、大動脈などと接続された共通の幹から分枝することができる。
【0062】
動脈分枝パターンのバリエーション及び大動脈弓の相対的なアクセス不能のために、動脈瘤に対処するための従来の外科的技術及び装置は満足のいく結果をもたらさなかった。従来の技術を使用すると、人の動脈分枝パターンは、一般に、特注のグラフトを作成するか、又は有窓プロテーゼの大量の在庫を必要とする。例えば、有窓グラフトは、各患者の分枝血管と位置合わせするために窓の配置を必要とする。手術中、各分枝は、接続グラフトを使用して主ステントグラフトに接続される必要がある。しかしながら、ステントグラフトが展開されるとき、分枝血管に対する窓の位置がずれたり、ずれたりする可能性がある。ステントグラフトから分枝血管内にガイドワイヤ及びカテーテルを展開して、接続グラフトの正しい位置決めを可能にすることも困難であり得る。また、窓が分枝血管からずれている場合、接続グラフトは、それを通って血流が生じない程度にキンクし得る。
【0063】
したがって、本開示は、現在の不十分さに対処し、他のタイプの手術の大動脈弓の改善された医学的転帰を提供する改善されたステントグラフトハブ及びプロテーゼ、改善された製造プロセス、並びに改善された外科技術を含む。
【0064】
図1A図1Fは、グラフト部分150及びステント部分190を含むマルチルーメンステントグラフト130の一例を示す。ステント部分190は、超弾性ニチノール又は同様の材料などの形状記憶合金を備えることができる。望ましくは、グラフト部分150はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のシートで作ることができる。グラフト部分150は、代替的に、Dacron、ポリエステル、及び/又は当業者に公知の他の合成材料で作製され得る。任意選択的に、グラフト部分150の材料は、一般に非延伸性であり得る。
【0065】
ステントグラフト130は、第1の開口端131と、第1の開口端131の反対側の第2の開口端132とを含むことができる。第1の端部131は、円形形状を有することができるが、これは必須ではない。第2の端部132は、第1の端部131と同じ形状を有することができるが、これは必須ではない。ステントグラフト130は、直径Wを有することができる。直径Wは、第1の端部131から第2の端部132まで均一とすることができる。他の実施態様では、第1及び第2の端部131,132は異なる直径を有することができる。直径Wは、用途に応じて、約10mm~50mmとすることができる。一例では、第1の端部131は、約25mmに等しい直径を有することができる。第2の端部132は、第1の端部131と同じ直径又は異なる直径を有することができる。ステントグラフト130は、第1の端部131から第2の端部132までのハブ長Lを有することができる。ハブ長Lは、第1の端部131の上側リムから第2の端部132の下側リムまで延びることができる。ハブ長Lは、用途に応じて、約1cm~15cmとすることができる。
【0066】
第1の端部131は、円筒壁133を備えることができる。円筒壁133は、ステント部分190の1つ以上の端部及び/又はグラフト部分150の1つ以上の部分を含むことができる。グラフト部分150は、円筒壁133の内側及び/又は外側に沿って取り付けることができる。円筒壁133は、グラフト部分150の1つ以上の折り曲げ部分を含むことができる。グラフト部分150は、ステント部分190の開口を介して(例えば、接着剤、縫合、融合、又は他の技術を介して)それ自体に取り付けることができる。円筒壁133は、ステント部分190によって支持され得る。円筒壁133,135は、用途に応じて、約1mm~80mmの長さ131a,132aを有することができる。図2Aの線2B-2Bに沿った図2Bに示す断面は、円筒壁133を貫通して延在し、グラフト部分150の内周を示す。円筒壁133の内周は、直径Wを有する円形形状を有することができる。同様に、第2の端部132は、円筒壁133と同じ構造を有する円筒壁135を含むことができるが、これは必須ではない。円筒壁133及び/又は135は、ステントグラフト130の長手方向軸Aと平行に向けられ得る。
【0067】
グラフト部分150は、ステントグラフト130を通って延びる複数の流れチャネル140を含むことができる。チャネル140は、第1の端部131と第2の端部132との間に流体の流れを与えることができる。各チャネル140は、チャネル140の他のものからシールすることができる。チャネル140のそれぞれは、グラフト部分150から形成することができる。チャネル140のそれぞれは、ステントグラフト130の一端部に入口を、ステントグラフト130の反対側の端部に出口を含むことができる(例えば、第1の端部131又は第2の端部132のいずれかに)。円筒壁133,135は、チャネル140の入口/出口をそれぞれの第1及び第2の端部131,132の末端リムからオフセットすることができる。チャネル140のそれぞれは、ステントグラフト130の長手方向軸Aと平行であり得る。チャネル140は、自己拡張型ワイヤステントによって(すなわち、第1及び第2の端部131,132間で)支持されなくてもよい。
【0068】
ステントグラフト130のチャネル140は、第1の、第2の、第3、及び第4のチャネル141~144を含むことができる。ステントグラフト130は、患者の大動脈弓内のプロテーゼで使用するためのステントグラフトハブを形成し、動脈瘤のブリッジ、及び大動脈弓から延びる複数の分枝動脈とステントグラフトハブとの接続を容易にするためのチャネル141~144を含むことができる。ステントグラフトの他の例では、より多い又はより少ないチャネルが含まれ得る。チャネルの数は、用途、計画されたプロテーゼ、及び/又は使用場所(例えば、大動脈弓、胸部大動脈、又は他の)に基づくことができる。
【0069】
チャネル140の直径は、各チャネルの入口ポートと出口ポートとの間で均一であり得る。したがって、チャネル140のそれぞれを表わす直径は1つであり得る。第1のチャネル141は、直径141aを有する主又は一次チャネルとすることができる。直径141aは、複数のチャネル140内のチャネルの残りの直径のいずれか又は全ての直径よりも大きくすることができる。第2のチャネル142は直径142aを有することができる。第3のチャネル143は、直径143aを有することができる。第4のチャネル144は、直径144aを有することができる。
【0070】
望ましくは、グラフト部分150は、材料の1つ以上のシート(例えば、一緒に結合される)を備える単一のスリーブ又はチューブから形成することができる。チャネル140はそれぞれ、直線接続セグメントに沿ってグラフト部分150から形成することができる。直線接続セグメントは、融合線を備えることができる。直線接続セグメントは、ステントグラフト130の長手方向軸Aと平行に延びることができる。直線接続セグメントは、線に沿って(例えば、縫合、溶融/融合、又は接着剤、又は他の手段を介して)互いに接続されたグラフト部分150の材料を含むことができる。融合線は、その溶融温度を超える加熱又は超音波溶接などによるグラフト材料の溶融によって形成することができる。特定の実施態様では、グラフト部分150のグラフト材料はPTFEを含むことができ、直線接続セグメントはPTFEの融合部分を備えることができる。融合線は、縫合又は接着剤と比較して優れた接続機構をもたらすことができる。グラフト部分150の異なる部分の材料の結合及び混合により、更なる材料を導入する必要なしにチャネル140を形成することができる。これにより、製造プロセスが簡素化され、血管内に異物が存在するリスクが低減される。或いは、グラフト部分150は、織ポリエチレンテレフタレート(DACRON)などの織布材料を含むことができ、直線接続セグメントは縫合糸を備えることができる。
【0071】
本例では、第2のチャネル142は、グラフト部分150内の直線接続セグメント151によって第1のチャネル141から分離され得る。本実施例では、第3のチャネル143は、グラフト部分150内の直線接続セグメント152によって第1のチャネル141から分離され得る。本例では、第4のチャネル144は、グラフト部分150内の直線接続セグメント153によって第1のチャネル141から分離され得る。直線接続セグメントのそれぞれは、関連するチャネル部分140の間に延在する幅151a,152a,153aを含むことができる。特定の実施態様では、幅151a,152a,153aは、1.0mm~2.0mm、又は0.5mm~5mmとすることができる。
【0072】
第1の端部及び第2の端部131,132におけるグラフト部分150の伸張又は折り曲げ又は重なりがないと仮定すると、単一のチューブの周長は、チャネル140の周長とチャネル(例えば、151a~153a)間の幅の長さの2倍との合計に等しくなり得る。グラフト部分150及びチャネル140が円形であり、チャネル間の幅が小さいと仮定すると、チャネル140の周長の合計は、円周を有する単一のチューブの周長にほぼ等しくなり得る(例えば、π*W=π(141a+142a+143a+144a...))。
【0073】
図2Cは、第1のチャネル141及び第3のチャネル143を通って延びる図1Fの線2C-2Cに沿った断面を示す。チャネル140は、チャネル長145に沿って第1の開口端131から第2の開口端132まで延在することができる。チャネル長145は、チャネル140の長手方向軸及び/又はチャネル141~144の軸と平行に延びることができる。チャネル長145は、円筒壁133から円筒壁135まで(例えば、円筒壁の基部)延在することができる。望ましくは、チャネル長145は、ハブ長Lの約75%又は50%~90%であり得る。この配置は、マルチルーメンステントグラフト130のためのコンパクトな配置を提供することができる。以下に記載されるように、より長いステントグラフトは、展開することが困難になりすぎ、及び/又は、接続ステントと接続することが困難になりすぎる可能性があるが、ステントグラフト130のコンパクトな配置は、大動脈弓などの緊密で混雑した環境内での使用を提供することができる。このコンパクトな配置は、低いハブ長L(例えば、4~9cm)と共に、大動脈弓(例えば、上行大動脈又は下行大動脈のいずれか)内の複数の異なる位置にマルチルーメンステントグラフト130を配置することを可能にすることができる。本明細書で提供され、図2Cに示される高い範囲内の全長Lに対するチャネル長145の比はまた、以下に記載されるように、接続ステントと確実に係合するのに十分なチャネル140の長さ(及び表面積)を与えることができる。接続ステントとチャネルとの間の総表面積の重なりは、接続ステントとステントグラフト130との間の接続の強度に正比例し得る。他の構成では、チャネル長145は、ハブ長Lの75%~90%又は50%~95%とすることができる。チャネル140のそれぞれは、チャネル長145を延長することができる(例えば、チャネル140は同じ長さを有することができる)。チャネル140はまた、シール長さ146に沿って延びることができる。シール長さ146は、チャネル140の長手方向軸及び/又はチャネル141~144の軸と平行に延びることができる。シール長さ146は、直線接続セグメント151~153のいずれかの上端から下端まで延在することができる。望ましくは、シール長さ146は、チャネル長145の75%~100%とすることができる。この配置は、マルチルーメンステントグラフト130のコンパクトな構造を提供することができる。他の構成では、シール長さ146は、ハブ長Lの75%~90%、又は50%~95%とすることができる。
【0074】
図3A図3Bは、グラフト部分150から分離されたステント部分190を示す。ステント部分190は、カテーテルを介して動脈又は静脈などの身体血管内に挿入可能であるように折り曲げることができる自己拡張型ワイヤ構造を備えることができる。ステント部分190の材料は、ニチノール及び他の同様の(例えば、生体不活性)材料、例えば材料を含むことができる。ステント部分190は、ワイヤステントの構築について知られている従来の構造に従ってハニカム又はクロスパターンに形成された複数のワイヤを備えることができる。ステント部分190は、第1の端部191及び第2の端部192を含むことができる。ステント部分190は、一般に、それを通って延びる中央通路を有する円筒として形成することができる。第1の端部131は、ステント部分190を形成するワイヤの複数の接合部及び交差部で終端することができる。ステント部分190は、グラフト部分150上に同軸に装着され得る。ステント部分190は、縫合糸又は他の機械的締結具を使用してグラフト部分150と接続することができる。ステント部分190は、菱形のオーバーラップパターンで形成されたワイヤを含むことができる。
【0075】
特定の実施態様では、ワイヤは、他のステントグラフト又は血管壁の一部とより確実に取り付けるために使用することができる鉤状部又は他の突起を備えることができる。鉤状部は、ステント部分190の延在部であり得る。鉤状部は、第1及び/又は第2の端部131,132の長手方向外側及び/又は径方向外側又は内側に延びることができる。鉤状部は、人の血管の内部との接続点(例えば、外側に向けられる)及び/又はステントグラフト130内に取り付けられ得る接続グラフトとの接続点(例えば、内側に向けられる)を提供し得る。放射線不透過性材料及び/又はマークはまた、グラフト部分150に又はステント部分190に取り付けられるなど、ステントグラフト130に含まれ得る。
【0076】
図4A図4Hは、ステント部分190を有さず、それを通って延びるチャネル140のための様々な構成140a~dを有するグラフト部分150を示す。チャネル140は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上のチャネルを含むことができる。チャネル140は、単一のチューブから形成されたグラフト部分150において直線接続セグメントを使用して形成することができる。ステントグラフト130は、様々な数及び配置のチャネル140を有する。一実施態様では、手術中に使用するために1つ以上のステントグラフトを選択することができるステントグラフトのセットをコンパイルすることができる。セットからの選択は、特定のステントグラフト130の意図される用途(例えば、患者の動脈分枝パターン)に基づくことができる。好適には、セットは、特注の構成要素の必要性を低減し、又は生理学的に特異的な構成要素の大きなストックを支持する。
【0077】
幅Wに対するチャネル140a~140dの相対直径は、チャネルの数に基づくことができる。特定の例では、チャネル直径は以下の表に従うことができる。
【表1】
【0078】
図5図6は、グラフト部分350及びステント部分390を含むステントグラフト330の別の実施態様を示す。ステントグラフト330は、第1の端部331及び第2の端部332を含むことができる。第1の端部331は、ステント部分390の端部にわたって外側に折り曲げられたグラフト部分350で囲まれ得る。グラフト部分350は、第1の端部331に開口する入口を有するチャネル340を含むことができる。第2の端部332は、グラフト部分350とステント部分390との間で開くことができる。図6に示されるように、グラフト部分350は、ステント部分390の外面上にわたって組み付けることができる。第1の端部331は、グラフト部分350の閉鎖端を含み、第2の端部332は、チャネル340とステント部分390との間の開口を含む。チャネル340の出口は、グラフト部分350及び/又はステント部分390に直接接続されておらず、代わりに「浮動」している。好適には、これにより、ステント部分390及び/又は血管壁に対するチャネル340の移動の増大が可能になった。
【0079】
図7図14は、前述のステントグラフト130のようなステントグラフトを製造するための装置及び方法を示す。装置は、マンドレルアセンブリ400を含むことができる。マンドレルアセンブリ400は、エンドキャップ421,422と複数のチャネルマンドレル440とを含むことができる。チャネルマンドレル440は、完成したステントグラフト130の所望の配置に応じて、部材441,442,443などの任意の数の部材を含むことができる。エンドキャップ421は、その中に複数のレセプタクルを含むことができる。レセプタクルは、開口431,432,433などの円筒形状の開口を含むことができる。円筒形状の開口は、複数のチャネルマンドレル440のそれぞれの一端を受け入れるようなサイズにすることができる。エンドキャップ421は、エンドキャップ422の鏡像とすることができる。エンドキャップ422の円筒形状の開口は、複数のチャネルマンドレル440のそれぞれの反対側の端部を受け入れることができる。円筒形状の開口の配置は、完成したステントグラフト130のための流れチャネル140の所望の配置に従って選択することができる。任意選択的に、円筒形状の開口は、図8に示すように、エンドキャップ421,422内の1つ以上のスリットによって接続することができる。
【0080】
エンドキャップ421,422は、直径Dを有するほぼ円筒形の本体を有することができる。直径Dは、ステントグラフト130の直径Wと同等とすることができる。チャネルマンドレル440はそれぞれ、直径D1、D2、D3などの直径を有する円筒形本体を含むことができる。直径D1~D3は、完成したステントグラフト130の流れチャネル140の所望の直径に対応することができる。
【0081】
チャネルマンドレル440は、図9に示すように、エンドキャップ421,422のそれぞれの開口内に組み立てることができる。管状グラフト部分150は、組み立てられたマンドレル上にわたって組み立てることができる。グラフト部分150の対向する端部は、エンドキャップ421,422上にわたって整列させることができる。グラフト部分150の中央部分は、チャネルマンドレル440と整列させることができる。
【0082】
図10図11に示すように、グラフト部分150の材料は、マンドレルアセンブリ400のチャネルマンドレル440(例えば、部材441,442,443など)の周りでそれ自体と接触するように押し込むことができる。グラフト部分150の接触部分は、ハブ130のチャネル140を画定する直線接続セグメント(例えば、セグメント151,152,153など)を形成するように互いに接続することができる。図11の右側に示すように、グラフト部分150の材料は、部材443の周りに密接に巻き付けられ、直線接続セグメント152でそれ自体にシールされて流れチャネル143を形成する。図11の左側に示すように、グラフト部分150の材料は、部材442の周りに密接に巻き付けられ、直線接続セグメント151でそれ自体にシールされて流れチャネル142を形成する。図11の中央に示すように、グラフト部分150の材料は、部材441の周りに密接に巻き付けられ、直線接続セグメント151及び152でそれ自体にシールされて流れチャネル141を形成する。
【0083】
直線接続セグメントは、ステントグラフト130の流れチャネル140を(単独で又は組み合わせて)画定することができる。直線接続セグメントはそれぞれ、グラフト部分150の材料の融合線を備えることができる。融合線のパターンは、様々であり得る。特定の例では、融合線のパターンは、連続的又は断続的であり得る。特定の例では、融合線のパターンは、直線であってもよく、複数の直線(例えば、ジグザグ)を含んでもよく、又は湾曲していてもよい(例えば、正弦波)。特定の例では、別の材料を1つ以上の直線接続セグメントに含めることができる。更なる材料は、PTFE、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、又は他の材料の中間層を含むことができる。更なる材料は、グラフト部分150の接触部分の間に配置することができる。
【0084】
融合は、加熱された鉄481及び/又は第2の鉄482又は他の裏材を使用して達成することができる。鉄481は、必要に応じて、チャネルマンドレル440の隣接する部材の間に挿入することができる。或いは、直線接続セグメントは、縫合、接着、又は他の方法で接続することができる。或いは、融合線は、超音波溶接先端部を有する超音波溶接を使用して形成することができる。
【0085】
このプロセスは、全ての流れチャネル140が形成されるまで繰り返すことができる。特定の実施態様では、グラフト部分150は、小径部材440から開始して流れチャネル140に形成することができる。より小さい流れチャネルを完成させた後、最も大きい(一次)流れチャネルを完成させることができる。最大直径部材441は、最大直径を有する一次流れチャネル141を形成することができる。
【0086】
流れチャネル140を形成した後、図12図14に示すように、ステント部分190は、依然としてマンドレルアセンブリ400上にありながら、グラフト部分150上にわたって同軸に組み付けることができる。ステント部分190は、流れチャネル140上にわたって位置され得る。ステント部分190のいずれの端部も、グラフト部分150の折り曲げられていない端部133a,135aに重なることができる。位置決め後、折り曲げられていない端部133a,135aは、ステント部分190の端部にわたって順次又は同時に折り曲げられ、(例えば、縫合、融合、接着剤、又は他の方法により)適所に固定され得る。例えば、端部133a及び/又は135aは、ステント部分190の端部を封入するために溶融することができる。グラフト部分150の端部を折り曲げる代わりに、PTFE又は他の材料の更なるシート又は複数のシートをステント部分190上にわたって位置させることができる。更なる材料並びに端部133a及び/又は135aは、ステント部分190の端部を挟むことができる。次いで、更なる材料をグラフト部分150の端部133a及び/又は135aと融合させることができる。特定の実施形態では、更なる材料は、ステント部分150を完全に封入することができる。
【0087】
任意の更なる仕上げ工程を完了することができ、完成したステントグラフト130をマンドレルアセンブリ400の分解によって除去することができる。
【0088】
図15図19は、動脈瘤1aをブリッジするために大動脈弓1内にステントグラフト130を含むプロテーゼを配置するための例示的な外科的方法を示す。大動脈瘤の文脈で説明されているが、本明細書で論じられる技術は、様々なタイプの処置部位(例えば、胸部大動脈)に対処するために使用することができる。大動脈弓内に動脈瘤が配置されているため、大動脈弓内の2つ以上の分枝動脈にブリッジする必要がある可能性が高い。前述したように、特注のステントグラフトに頼るのではなく、プロテーゼは、1つ以上の接続ステントグラフト(例えば、接続ステントグラフト522,523,524,525)と共に1つ以上のステントグラフト130を用いて配置することができる。接続ステントグラフトのそれぞれは、一般に、自己拡張型ステントの有無にかかわらず、グラフト材料のチューブとして形成され得る。接続ステントグラフトの直径及び長さは、プロテーゼ内の計画された配置に基づいて選択することができる。例えば、接続ステントグラフトの端部は、チャネル又は分枝動脈内により良好に適合するように異なる直径を有し得る。
【0089】
使用されるステントグラフト130の数、ステントグラフト130内の流れチャネル140の数、及び接続ステントグラフト522~525の長さは変化し得るが、これらは、ステントグラフトの有限のセットから選択され得る。これにより、多種多様なプロテーゼのための外科的処置の計画及び実行を容易かつ合理化することができる。プロテーゼの特定のレイアウトを以下に記載するが、ステントグラフトハブ130及び接続ステントの特徴は、特注の構成要素を必要とせずに任意の動脈分枝パターンに適合させることができる。
【0090】
操向可能なカテーテル及び/又はガイドワイヤ501を大動脈弓1内に前進させることができる。ガイドワイヤは、大腿動脈へのアクセスを提供する切開部を通して挿入され、次いで大動脈弓内に上方に前進させることができる。ガイドワイヤ501は、動脈瘤1aに対して前進させることができる(例えば、動脈瘤1aの上から上行大動脈内)。折り曲げられたステントグラフト130を担持するカテーテル503をガイドワイヤ501に沿って前進させることができる。折り曲げられたステントグラフト130は、動脈瘤1aに対して位置決めされ、カテーテル503を使用して展開され得る。ステントグラフト130は、ステント部分190の径方向拡張によって、及び/又は大動脈弓1の内壁内のフック及び鉤状部を介して適所に保持され得る。
【0091】
図17に示されるように、ガイドワイヤ及び/又はカテーテル512は、腕頭動脈2を通って(右鎖骨下動脈又は右総頸動脈のいずれかを介して)ステントグラフト130のチャネル140のうちの1つの中に前進させることができる。接続ステントグラフト522は、カテーテル512によって展開することができる。接続ステントグラフト522の第1の端部は、ステントグラフト130のチャネル140内に配置することができる。接続ステントグラフト522の第2の端部は、腕頭動脈2内に配置することができる。接続ステントグラフト522は、カテーテル512から展開され、ステントグラフト130のチャネル140内で径方向に拡張することができる。接続ステントグラフト522は、そのステント部分の径方向拡張によって、及び/又はチャネル140の内壁内のフック及び鉤状部によって定位置に保持することができる。これにより、ステントグラフト522は、ステントグラフト130と腕頭動脈2との間に血流のための流体流路を提供することができる。
【0092】
別のガイドワイヤ及び/又はカテーテル513は、左総頸動脈3を通ってステントグラフト130のチャネル140のうちの別の1つの中に前進させることができる。接続ステントグラフト523をカテーテルによって展開することができる。接続ステントグラフト523の第1の端部は、ステントグラフト130のチャネル140内に配置することができる。接続ステントグラフト523の第2の端部は、左総頸動脈3内に配置することができる。接続ステントグラフト523は、カテーテル513から展開され、ステントグラフト130のチャネル140内で径方向に拡張することができる。接続ステントグラフト523は、そのステント部分の径方向拡張によって、及び/又はチャネル140の内壁内のフック及び鉤状部によって定位置に保持することができる。これにより、接続ステントグラフト523は、ステントグラフト130と左総頸動脈3との間に血流のための流体流路を提供することができる。
【0093】
別のガイドワイヤ及び/又はカテーテル514は、左鎖骨下動脈4を通ってステントグラフト130のチャネル140のうちの別の1つの中に前進させることができる。接続ステントグラフト524をカテーテルによって展開することができる。接続ステントグラフト524の第1の端部は、ステントグラフト130のチャネル140内に配置することができる。接続ステントグラフト524の第2の端部は、左鎖骨下動脈4内に配置することができる。接続ステントグラフト524は、カテーテル514から展開され、ステントグラフト130のチャネル140内で径方向に拡張することができる。接続ステントグラフト524は、そのステント部分の径方向拡張によって、及び/又はチャネル140の内壁内のフック及び鉤状部によって定位置に保持することができる。これにより、接続ステントグラフト524は、ステントグラフト130と左鎖骨下動脈4との間に血流のための流体流路を提供することができる。或いは、接続ステントグラフト524の第2の端部は、ステントグラフト130の下又は下行大動脈内など、大動脈1内に配置することができる。
【0094】
ガイドワイヤ501などの別のガイドワイヤ及び/又はカテーテルは、大動脈弓内で、一次流れチャネルなどのステントグラフト130のチャネル140のうちの別の1つの中に前進させることができる。別の接続ステントグラフト525をカテーテルによって展開することができる。接続ステントグラフト525の第1の端部は、ステントグラフト130のチャネル140内(一次チャネル141など)に配置することができる。接続ステントグラフト525の第2の端部は、大動脈弓内などの大動脈内に配置することができる。接続ステントグラフト525は、カテーテルから展開され、ステントグラフト130のチャネル140内で径方向に拡張することができる。接続ステントグラフト525は、そのステント部分の径方向拡張によって、及び/又はチャネル140の内壁内のフック及び鉤状部によって定位置に保持することができる。これにより、ステントグラフト525は、ステントグラフト130と大動脈との間に血流のための流体流路を提供し、動脈瘤1aをブリッジすることができる。
【0095】
図20は、動脈瘤1aをブリッジするための大動脈弓1内のステントグラフト130を含む別の例示的プロテーゼを示す。ガイドワイヤは、動脈瘤1aに対して前進させることができる。折り曲げられたステントグラフト130を担持するカテーテルをガイドワイヤに沿って前進させることができる。折り曲げられたステントグラフト130は、動脈瘤1aに対して位置決めされ、カテーテル(例えば、動脈瘤1aの下から下行大動脈内)を使用して展開され得る。
【0096】
ガイドワイヤ及び/又はカテーテルは、腕頭動脈2を通って(例えば、右鎖骨下動脈又は右総頸動脈のいずれかを介して)ステントグラフト130のチャネル140のうちの1つの中に前進させることができる。接続ステントグラフト522は、カテーテル512によって展開することができる。接続ステントグラフト522の第1の端部は、ステントグラフト130のチャネル140内に配置することができる。接続ステントグラフトの第1の端部は、チャネル140内で展開され、径方向に拡張され得る。接続ステントグラフト522の第2の端部は、腕頭動脈2内に配置することができる。これにより、ステントグラフト522は、ステントグラフト130と腕頭動脈2との間に血流のための流体流路を提供することができる。
【0097】
別のガイドワイヤ及び/又はカテーテルは、左総頸動脈3を通ってステントグラフト130のチャネル140のうちの別の1つの中に前進させることができる。接続ステントグラフト523をカテーテルによって展開することができる。接続ステントグラフト523の第1の端部は、ステントグラフト130のチャネル140内に配置することができる。接続ステントグラフトの第1の端部は、チャネル140内で展開され、径方向に拡張され得る。接続ステントグラフト523の第2の端部は、左総頸動脈3内に配置することができる。これにより、接続ステントグラフト523は、ステントグラフト130と左総頸動脈3との間に血流のための流体流路を提供することができる。
【0098】
別のガイドワイヤ及び/又はカテーテルは、左鎖骨下動脈4を通ってステントグラフト130のチャネル140のうちの別の1つの中に前進させることができる。接続ステントグラフト524をカテーテルによって展開することができる。接続ステントグラフト524の第1の端部は、ステントグラフト130のチャネル140内に配置することができる。接続ステントグラフトの第1の端部は、チャネル140内で展開され、径方向に拡張され得る。接続ステントグラフト524の第2の端部は、左鎖骨下動脈4内に配置することができる。これにより、接続ステントグラフト524は、ステントグラフト130と左鎖骨下動脈4との間に血流のための流体流路を提供することができる。
【0099】
別のガイドワイヤ及び/又はカテーテルは、大動脈弓内で、一次流れチャネルなどのステントグラフト130のチャネル140のうちの別のものを通って前進させることができる。別の接続ステントグラフト525をカテーテルによって展開することができる。接続ステントグラフト525の第1の端部は、大動脈弓内などの大動脈内に配置することができる。接続ステントグラフト525の第2の端部は、ステントグラフト130のチャネル140内に配置することができる。接続ステントグラフトの第2の端部は、チャネル140内で展開され、径方向に拡張され得る。これにより、ステントグラフト525は、ステントグラフト130と大動脈との間に血流のための流体流路を提供し、動脈瘤1aをブリッジすることができる。
【0100】
図21は、動脈瘤1aをブリッジするための大動脈弓1内のステントグラフト130を含む別の例示的プロテーゼを示す。プロテーゼは、図19に上に示したものと同じ構造を有することができる。本実施例によれば、ステントグラフト130は、心臓弁510と直接接続され得る及び/又は心臓弁の一部を形成し得る。
【0101】
図22図23は、動脈瘤1aをブリッジするための大動脈弓1内の第1及び第2のステントグラフト130a,130bを含む別の例示的プロテーゼを示す。ステントグラフト130a,130bは、上記のように展開することができる(例えば、上行大動脈に1つ、下行大動脈に1つ)。2つのステントグラフト130a,130bは、動脈瘤1aの両側に配置することができる。
【0102】
ガイドワイヤ及び/又はカテーテルは、腕頭動脈2を通って(例えば、右鎖骨下動脈又は右総頸動脈のいずれかを介して)ステントグラフト130aのチャネル140のうちの1つの中に前進させることができる。接続ステントグラフト522は、カテーテル512によって展開することができる。接続ステントグラフト522の第1の端部は、ステントグラフト130aのチャネル140内に配置され、拡張され得る。接続ステントグラフト522の第2の端部は、腕頭動脈2内に配置することができる。これにより、ステントグラフト522は、ステントグラフト130aと腕頭動脈2との間に血流のための流体流路を提供することができる。
【0103】
別のガイドワイヤ及び/又はカテーテルは、左総頸動脈3を通ってステントグラフト130aのチャネル140の別の1つの中に前進させることができる。接続ステントグラフト523をカテーテルによって展開することができる。接続ステントグラフト523の第1の端部は、ステントグラフト130aのチャネル140内に配置され、拡張され得る。接続ステントグラフト523の第2の端部は、左総頸動脈3内に配置することができる。これにより、接続ステントグラフト523は、ステントグラフト130aと左総頸動脈3との間に血流のための流体流路を提供することができる。
【0104】
別のガイドワイヤ及び/又はカテーテルは、左鎖骨下動脈4を通ってステントグラフト130bのチャネル140のうちの別の1つの中に前進させることができる。接続ステントグラフト524をカテーテルによって展開することができる。接続ステントグラフト524の第1の端部は、ステントグラフト130bのチャネル140内に配置され、拡張され得る。接続ステントグラフト524の第2の端部は、左鎖骨下動脈4内に配置することができる。これにより、接続ステントグラフト524は、ステントグラフト130bと左鎖骨下動脈4との間に血流のための流体流路を提供することができる。
【0105】
別のガイドワイヤ及び/又はカテーテルは、大動脈弓内で、一次流れチャネルなどのステントグラフト130aのチャネル140及びステントグラフト130bのチャネル140の別の一方を通って前進させることができる。別の接続ステントグラフト525をカテーテルによって展開することができる。接続ステントグラフト525の第1の端部は、チャネル140内などのステントグラフト130a内に配置され、拡張され得る。接続ステントグラフト525の第2の端部は、ステントグラフト130bのチャネル140内に配置され、拡張され得る。これにより、接続ステントグラフト525は、ステントグラフト130aとステントグラフト130bとの間に血流のための流体流路を提供し、動脈瘤1aをブリッジすることができる。
【0106】
図24A図24Bは、ステントグラフト130と同様であるが、以下に述べる相違点を有するマルチルーメンステントグラフト630の一例を示す。ステントグラフト630は、グラフト部分650及びステント部分690を含むことができる。ステント部分690は、超弾性ニチノール又は同様の材料などの形状記憶合金を備えることができる。グラフト部分650は、チューブ内に形成された単一のシート又はPTFEのシートで作ることができる。ステントグラフト630は、第1の開口端631と、第1の開口端631の反対側の第2の開口端632とを含むことができる。第1の端部631及び第2の端部632は、円形形状を有することができるが、これは必須ではない。第2の端部632は、第1の端部631と同じ形状を有することができるが、これは必須ではない。第1及び第2の端部631,632は、基部及び上側又は下側リムを含むことができる。
【0107】
ステントグラフト630は、直径Wを有することができる。ステントグラフト630は、第1の端部631から第2の端部632までのハブ長Lを有することができる。ハブ長Lは、第1の端部631の上側リムから第2の端部632の下側リムまで延びることができる。ハブ長Lは、用途に応じて、約6cm~65cmとすることができる。
【0108】
第1の端部631は、長さ631aを有することができる。長さ631aは、基部から上側リムまで延在することができる。第2の端部632は、長さ632aを有することができる。長さ632aは、基部から下側リムまで延在することができる。長さ631a、632aは異なっていてもよい。望ましくは、長さ631aは、長さ631aよりも大きくすることができる。長さ631aは、長さ632aよりも2~5倍大きくすることができる。この延長された長さは、第1の端部631の内側に展開されたステントブリッジの接続を容易にすることができる。長さ631aは、ハブ長Lの40%~70%とすることができる。
【0109】
グラフト部分650は、ステントグラフト630を通って延びる複数の流れチャネル640を含むことができる。チャネル640は、第1の端部631と第2の端部632との間に流体の流れを提供することができる。各チャネル640は、チャネル640の他のものからシールすることができる。チャネル640のそれぞれは、グラフト部分650から形成することができる。チャネル640のそれぞれは、ステントグラフト630の一端に入口を、ステントグラフト630の反対側の端に出口を含むことができる(例えば、第1の端部631又は第2の端部632のいずれかに)。第1及び第2の端部631,632の円筒壁は、チャネル640の入口/出口をそれぞれの第1及び第2の端部631,632の末端リムからオフセットすることができる。チャネル640のそれぞれは、ステントグラフト630の長手方向軸Aと平行であり得る。チャネル640は、自己拡張型ワイヤステント(すなわち、第1の端部と第2の端部631,632との間)によって支持されていなくてもよい。ステントグラフト630のチャネル640は、第1及び第2のチャネルを含むことができる。ステントグラフトの他の例では、より多い又はより少ないチャネルが含まれ得る。チャネルの数は、用途、計画されたプロテーゼ、及び/又は使用場所(例えば、大動脈弓、胸部大動脈、又は他の)に基づくことができる。
【0110】
チャネル640は、チャネル長645に沿って第1の開口端631から第2の開口端632まで延在することができる。チャネル長645は、チャネル640の長手方向軸及び/又はチャネルの軸と平行に延びることができる。チャネル長645は、第1の端部631の円筒壁から第2の端部632の円筒壁まで(例えば、円筒壁の基部に)延びることができる。望ましくは、チャネル長645は、ハブ長Lの40%~70%、又は上記の他の範囲とすることができる。
【0111】
図25A図25Cは、動脈瘤1aをブリッジするための大動脈弓1内のステントグラフト630を含む別の例示的プロテーゼを示す。このように、動脈瘤1aに対してガイドワイヤを前進させることができる。折り曲げられたステントグラフト630を担持するカテーテルをガイドワイヤに沿って前進させることができる。折り曲げられたステントグラフト630は、動脈瘤1aに対して位置決めされ、カテーテル(例えば、動脈瘤1aの上方及び/又は下行大動脈内)を使用して展開され得る。ステントグラフト630の第1の端部631は、第2の端部632に対して遠位にあり、胸部大動脈に向かって延びることができる。
【0112】
ガイドワイヤ及び/又はカテーテルは、分枝動脈2~4のいずれかを通って、第2の端部632を通ってステントグラフト630のチャネル640のうちの1つの中に前進させることができる。接続ステントグラフト524は、接続ステントグラフト524の第1の端部がステントグラフト630のチャネル640内に配置された状態でカテーテルによって展開することができる。接続ステントグラフト524の第2の端部は、分枝動脈2-4内に配置することができる。これにより、接続ステントグラフト524は、ステントグラフト630と分枝動脈との間に血流のための流体流路を提供することができる。別のガイドワイヤ及び/又はカテーテルは、大動脈弓内で、一次流れチャネルなどのステントグラフト630のチャネル640のうちの別のものを通って前進させることができる。別の接続ステントグラフト525をカテーテルによって展開することができる。接続ステントグラフト525の第1の端部は、大動脈弓内などの大動脈内に配置することができる。接続ステントグラフト525の第2の端部は、チャネル640のチャネル内に配置することができる。これにより、ステントグラフト525は、ステントグラフト630と大動脈との間に血流のための流体流路を提供し、動脈瘤1aをブリッジすることができる。
【0113】
別のガイドワイヤ及び/又はカテーテルは、大動脈内(例えば、胸部大動脈から)及びステントグラフト630の第1の端部631内に前進させることができる。ブリッジステントグラフト526をカテーテルによって展開することができる。ブリッジステントグラフト526は、一般に、自己拡張型ステントの有無にかかわらず、グラフト材料のチューブとして形成することができる。ブリッジステントグラフト526の直径及び長さは、プロテーゼ内の計画された配置に基づいて選択することができる。例えば、ステントグラフト526の長さは、下行大動脈1内の別の動脈瘤をブリッジするように選択され得る。接続ステントグラフト525の第1の端部は、ステントグラフト630の第1の端部631内に配置することができる。接続ステントグラフト525の第1の端部は、ステントグラフト630の第1の端部631内で径方向に拡張することができる。接続ステントグラフト525は、第1の端部631を伸長させるように機能することができる。接続ステントグラフト526の第2の端部は、大動脈内、例えば下行大動脈弓内又は胸大動脈内に配置することができる。これにより、接続ステントグラフト526は、ステントグラフト630と下行大動脈との間に血流のための流体流路を提供することができる。
【0114】
図26図29は、ステントグラフト130と同様であるが、以下に述べる相違点を有するマルチルーメンステントグラフト730の一例を示す。ステントグラフト730は、グラフト部分750及びステント部分(図示せず)を含むことができる。望ましくは、グラフト部分750は、織布ダクロンのシートで作ることができる。ステントグラフト730は、第1の開口端731と、第1の開口端731の反対側の第2の開口端732とを含むことができる。グラフト部分750は、ステントグラフト730を通って延びる複数の流れチャネル740を含むことができる。チャネル740は、第1の端部731と第2の端部732との間に流体の流れを提供することができる。チャネル740は、織布ダクロン材料の単一のチューブから形成することができる。チャネル740のそれぞれは、ダクロン材料の1つ以上の縫合線751,752によってチャネル740の他のものから分離することができる。ステントグラフト730のチャネル740は、第1の、第2及び第3のチャネル741~743を含むことができる。或いは、他の数のチャネルをチャネル740に含めることができる。
【0115】
ステントグラフト730は、更なるチャネル744を更に含むことができる。チャネル744は、グラフト部分750とは別個に形成することができる。チャネル744は、縫合、接着剤、織布材料又は他の手段によって形成することができる。チャネル741は、第1の端部781及び第2の端部782を含むことができる。第1及び/又は第2の端部781,782は、余分な又はフレア状の材料を含むことができる。第1及び第2の端部731,732は、グラフト部分750内に開口744a,744bを含むことができる。開口744a,744bは、端部781,782の直径に対応する直径を有することができる。端部781,782は、開口744a、744b上にわたって取り付けられて、第1の端部131から第2の端部132まで延在するチャネル740の一方を形成することができる。端部781,782は、縫合、接着剤及び/又は他の機械的手段によってグラフト部分750に取り付けることができる。
特定の用語
【0116】
「上端」、「下端」、「上側」、「下側」、「近位」、「遠位」、「長手方向」、「側方」、及び「端部」などの本明細書で使用される向きの用語は、図示の例との関連で使用される。しかしながら、本開示は、図示された向きに限定されるべきではない。実際、他の向きも可能であり、本開示の範囲内である。本明細書で使用される直径又は半径などの円形に関する用語は、完全な円形構造を必要としないと理解されるべきであり、むしろ左右から測定できる断面領域を有する任意の適切な構造に適用されるべきである。「円形」、「円筒形」、「半円形」、又は「半円筒形」などの一般的な形状に関する用語、又は任意の関連又は類似の用語は、円又は円筒又は他の構造の数学的定義に厳密に従う必要はないが、適度に近似した構造を包含することができる。
【0117】
「できる(can)」、「できる(could)」、「してもよい(might)」、又は「してもよい(may)」などの条件付き言語は、特に明記しない限り、又は使用される文脈内で他の意味で理解されない限り、一般に、特定の例が特定の特徴、要素、及び/又はステップを含む又は含まないことを伝えることを意図している。したがって、そのような条件付き言語は、一般に、特徴、要素、及び/又はステップが1つ以上の例に何らかの形で必要とされることを含意するものではない。
【0118】
句「X、Y及びZのうちの少なくとも1つ」などの接続語は、特に明記しない限り、項目、用語などがX、Y、又はZのいずれかであり得ることを伝えるために一般に使用される文脈で他の意味に理解される。したがって、そのような接続語は、一般に、特定の実施形態がXのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、及びZのうちの少なくとも1つの存在を必要とすることを意味するように意図されていない。
【0119】
本明細書で使用される「およそ(approximately)」、「約(about)」、及び「実質的に(substantially)」という用語は、依然として所望の機能を果たすか、又は所望の結果を達成する、記載された量に近い量を表す。例えば、幾つかの例では、文脈が指示し得るように、「およそ(approximately)」、「約(about)」、及び「実質的に(substantially)」という用語は、記載された量の10%以下の量を指し得る。本明細書で使用される「一般に」という用語は、主に特定の値、量、又は特性を含むか、又は特定の値、量、又は特性に向かう傾向がある値、量、又は特性を表す。一例として、特定の例では、文脈が指示し得るように、「ほぼ平行」という用語は、正確な平行から20度以下だけ逸脱するものを指すことができる。全ての範囲は、終点を含む。
概要
【0120】
ステントグラフト及び関連手術の幾つかの例示的な例が開示される。本開示は、特定の例示的な例及び使用に関して説明されているが、本明細書に記載の特徴及び利点の全てを提供しない例及び使用を含む、他の例及び他の使用も本開示の範囲内である。構成要素、要素、特徴、動作、又はステップは、記載されたものとは異なるように配置又は実行することができ、構成要素、要素、特徴、動作、又はステップは、様々な例において組み合わせ、合併し、追加し、又は除外することができる。本明細書に記載の要素及び構成要素の全ての可能な組み合わせ及び部分組み合わせは、本開示に含まれることが意図される。単一の特徴又は特徴のグループは、必要でも必須でもない。
【0121】
更に、別個の実施態様との関連で本開示に記載される特定の特徴は、単一の実施態様において組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施との関連で記載される様々な特徴は、複数の実施で別個に又は任意の適切な部分的組み合わせで実施することもできる。更に、特徴は特定の組み合わせで作用するものとして前述され得るが、特許請求される組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によっては、組み合わせから削除することができ、組み合わせは、部分組み合わせ又は部分組み合わせの変形として特許請求され得る。以下のそれぞれの独立請求項に記載された発明は、それぞれの従属請求項に記載された更なる発明の特徴の任意の組み合わせ又は全ての特徴を含むことができる。
【0122】
この開示の一例に開示又は図示されたステップ、プロセス、構造、及び/又はデバイスのいずれかの任意の部分は、異なる例又はフローチャートに開示又は図示されたステップ、プロセス、構造、及び/又はデバイスのいずれかの他の部分と(又はその代わりに)組み合わされ、又は使用され得る。本明細書に記載の例は、別個であり、互いに分離していることを意図しない。開示された特徴の組み合わせ、変形、及び幾つかの実施態様は、本開示の範囲内である。
【0123】
動作は、特定の順序で図面に示され、又は本明細書に記載され得るが、そのような動作は、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序で、又は連続した順序で実行される必要はなく、又は全ての動作が実行される必要はない。図示又は説明されていない他の動作は、例示的な方法及びプロセスに組み込むことができる。例えば、記載された動作のいずれかの前、後、同時に、又は間に、1つ以上の更なる動作を実行することができる。更に、幾つかの実施態様では、動作が再配置又は再順序付けされてもよい。また、上記の実施態様における様々な構成要素の分離は、全ての実施態様においてそのような分離を必要とすると理解されるべきではなく、記載された構成要素及びシステムは、一般に、単一の製品に一緒に組み込まれ得る又は複数の製品にパッケージ化され得ることを理解すべきである。更に、幾つかの実施態様は、本開示の範囲内である。
【0124】
更に、例示的な例を説明したが、同等の要素、修正、省略、及び/又は組み合わせを有する任意の例も本開示の範囲内である。更に、特定の態様、利点、及び新規な特徴が本明細書に記載されるが、必ずしもそのような利点の全てが任意の特定の例に従って達成されるとは限らない。例えば、本開示の範囲内の幾つかの例は、本明細書で教示又は示唆される他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示される1つの利点又は利点の群を達成する。更に、幾つかの例は、本明細書で教示又は示唆されるものとは異なる利点を達成し得る。
【0125】
幾つかの例は、添付図面に関連して説明されている。図は一定の縮尺で描かれ及び/又は示されるが、そのような縮尺は限定的であるべきではなく、示されているもの以外の寸法及び割合が企図され、開示された発明の範囲内である。距離、角度などは単なる例示であり、必ずしも図示された装置の実際の寸法及びレイアウトと正確な関係を有するとは限らない。構成要素は、追加、除去、及び/又は再配置することができる。更に、様々な例に関連する任意の特定の特徴、態様、方法、特性、特質、品質、属性、要素などの本明細書の開示は、本明細書に記載の他の全ての例で使用することができる。更に、本明細書に記載の任意の方法は、列挙されたステップを実行するのに適した任意の装置を使用して実施することができる。
【0126】
本開示を要約する目的で、本発明の特定の態様、利点及び特徴が本明細書に記載されている。本明細書に開示される発明の任意の特定の例に従って、全てではない、又は任意のそのような利点が必ずしも達成されるとは限らない。本開示のいかなる態様も、必須又は不可欠ではない。多くの例では、装置、システム、及び方法は、本明細書の図又は説明に示されているものとは異なるように構成されてもよい。例えば、図示されたモジュールによって提供される様々な機能は、組み合わされ、再配置され、追加され、又は削除され得る。幾つかの実施態様では、追加又は異なるプロセッサ又はモジュールは、図に記載及び図示された例を参照して説明された機能の一部又は全てを実行することができる。多くの実施変形形態が可能である。本明細書で開示される特徴、構造、ステップ、又はプロセスのいずれも、任意の例に含めることができる。
【0127】
要約すると、ステントグラフト及び関連する方法の様々な例が開示されている。本開示は、具体的に開示された例を超えて、他の代替例及び/又は例の他の使用、並びにその特定の修正及び等価物に及ぶ。更に、本開示は、開示された例の様々な特徴及び態様を互いに組み合わせるか、又は置き換えることができることを明確に意図している。したがって、本開示の範囲は、前述の特定の開示された例によって限定されるべきではなく、特許請求の範囲を公正に読むことによってのみ決定されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24A
図24B
図25A
図25B
図25C
図26
図27
図28
図29
【国際調査報告】