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特表2024-523740並進移動に対するロック機能を有する封止リング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】並進移動に対するロック機能を有する封止リング
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/00 20060101AFI20240621BHJP
   F16D 65/092 20060101ALI20240621BHJP
   B61H 5/00 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
F16D65/00 C
F16D65/092 C
F16D65/092 D
B61H5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502149
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 EP2022067685
(87)【国際公開番号】W WO2023285129
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】2107699
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514287580
【氏名又は名称】タラノ・テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロイク・アダムザック
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン・メストル
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・ボノー
【テーマコード(参考)】
3J058
【Fターム(参考)】
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA62
3J058AA69
3J058BA78
3J058CA43
3J058CA45
3J058CA47
3J058DC03
3J058DC12
3J058DC16
3J058DC19
3J058DE17
3J058FA21
(57)【要約】
本発明は、二次チャネル(38)を備えるブレーキヘッド(3)と、一次チャネル(28)を備え、ブレーキヘッド(3)に対して固定されるように構成された摩擦プレート(2)と、二次チャネル(38)内に配置され、一次チャネル(28)が二次チャネル(38)に整列された場合に、一次チャネル(28)との連結を確立する連結リング(8)とを備える摩擦アセンブリ(1)に関する。摩擦アセンブリ(1)は、吸引デバイスに対して連結された空洞部(55)を有し、ブレーキヘッド(3)の一体部分を形成するマニホルドブロック(50)をさらに備える。ブロック(50)は、二次チャネル(38)に対して空洞部(55)を連結する穴(58)を有し、摩擦アセンブリ(1)は、リング(8)が穴(58)内および二次チャネル(38)内に配置された場合にブロック(50)に対してリング(8)を固定するための固定機構(70)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両用の制動システムのための摩擦アセンブリ(1)であって、一方においては下方面(31)、上方面(32)、ならびに前記下方面(31)および前記上方面(32)を連結する中心軸Aを有する少なくとも1つの二次チャネル(38)を備えるブレーキヘッド(3)と、他方においては摩擦材料から作製され、摩擦面である第1の面(21)、固定機構(4、5)により前記下方面(31)上に固定されるように構成された第2の面(22)、ならびに前記第1の面(21)および前記第2の面(22)を連結する少なくとも1つの一次チャネル(28)を備える、少なくとも1つのプレート(2)と、さらに、前記少なくとも1つの二次チャネル(38)内に配置され、前記少なくとも1つの一次チャネル(28)が前記少なくとも1つの二次チャネル(38)に整列された場合に前記少なくとも1つの一次チャネル(28)との連結を確立する、少なくとも1つの連結リング(8)とを備え、吸引デバイスに対して連結され、前記上方面(32)において前記ブレーキヘッド(3)の一体部分を形成するマニホルドブロック(50)をさらに備える、摩擦アセンブリ(1)において、前記ブロック(50)は、回路(51)により前記吸引デバイスに対して連結され、少なくとも1つの穴(58)を備える空洞部(55)を有し、前記少なくとも1つの穴(58)は、前記空洞部(55)および前記上方面(32)を連結し、前記少なくとも1つの二次チャネル(38)に整列され、その中において前記連結リング(8)が摺動し得ることと、前記摩擦アセンブリ(1)は、前記少なくとも1つの連結リング(8)が前記少なくとも1つの穴(58)内および前記少なくとも1つの二次チャネル(38)内に配置された場合に、前記ブロック(50)に対して前記少なくとも1つの連結リング(8)を固定するための固定機構(70)を備えることとを特徴とする、摩擦アセンブリ(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの連結リング(8)は、本体(81)と、前記本体(81)の第1の端部におけるフランジ(82)とを備え、前記本体(81)の遠位端部は、前記空洞部(55)内において径方向外方に延在するタブ(85)を有し、前記固定機構(70)は、前記フランジ(82)、前記タブ(85)、および前記空洞部(55)の前記少なくとも1つの穴(58)の内部エッジを備える、請求項1に記載の摩擦アセンブリ(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの連結リング(8)は、本体(81)と、前記本体(81)の第1の端部におけるフランジ(82)とを備え、前記本体(81)の遠位端部は、前記空洞部(55)内において径方向外方に塑性変形されるタブ(85)を有し、前記固定機構(70)は、前記フランジ(82)、前記タブ(85)、および前記空洞部(55)の前記少なくとも1つの穴(58)の内部エッジを備える、請求項1に記載の摩擦アセンブリ(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの連結リング(8)は、本体(81)と、前記本体(81)の第1の端部におけるフランジ(82)とを備え、前記本体(81)の遠位端部は、前記空洞部(55)内において径方向外方に延在する少なくとも1つの突出部(86)を有し、前記少なくとも1つの穴(58)は、前記少なくとも1つの突出部(86)が中で摺動するように構成された少なくとも1つの溝(581)を有し、前記空洞部(55)の前記少なくとも1つの穴(58)の内部エッジは、前記突出部(86)を受け入れるように構成されたハウジング(586)を備え、前記固定機構(70)は、前記フランジ(82)、前記突出部(86)、および前記ハウジング(586)を備える、請求項1に記載の摩擦アセンブリ(1)。
【請求項5】
前記第2の面(22)に対して前記リング(8)を押圧するように構成された復帰機構(90)をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の摩擦アセンブリ(1)。
【請求項6】
前記固定機構(4、5)は、前記下方面(31)上に形成された受けスライド(5)と、前記第2の面(22)上に形成され、前記受けスライド(5)に係合するように構成された蟻継ぎセクション(4)とを備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の摩擦アセンブリ(1)。
【請求項7】
吸引デバイスに対して連結されたマニホルドブロック(50)に対して、ブレーキヘッド(3)上に取り付けられた少なくとも1つの連結リング(8)を固定するための方法であって、前記ブレーキヘッド(3)は、下方面(31)、上方面(32)、および中心軸Aを有する少なくとも1つの二次チャネル(38)を備え、前記ブロック(50)は、前記上方面(32)において前記ブレーキヘッド(3)の一体部分を形成し、前記ブレーキヘッド(3)および前記連結リング(8)は、鉄道車両用の制動システムのための摩擦アセンブリ(1)の一部を構成し、前記摩擦アセンブリ(1)は、摩擦材料から作製されたプレート(2)をさらに備え、前記プレート(2)は、摩擦面である第1の面(21)、固定機構(4、5)により前記下方面(31)に固定されるように構成された第2の面(22)、ならびに前記第1の面(21)および前記第2の面(22)を連結する少なくとも1つの一次チャネル(28)を備え、前記少なくとも1つの連結リング(8)は、前記少なくとも1つの二次チャネル(38)内に配置され、前記少なくとも1つの一次チャネル(28)が前記少なくとも1つの二次チャネル(38)に整列された場合に前記少なくとも1つの一次チャネル(28)との連結を確立する、方法において、
(a)前記ブロック(50)が、回路(51)により前記吸引デバイスに対して連結された空洞部(55)と、少なくとも1つの穴(58)とを備え、前記少なくとも1つの穴(58)は、前記空洞部(55)および前記上方面(32)を連結し、前記少なくとも1つの二次チャネル(38)に整列され、その中において前記少なくとも1つの連結リング(8)が摺動するように構成される、ステップと、
(b)前記少なくとも1つの連結リング(8)が、前記下方面(31)から軸Aに沿って摺動されることにより、前記少なくとも1つの穴(58)内および前記少なくとも1つの二次チャネル(38)内に配置される、ステップと、
(c)前記少なくとも1つの連結リング(8)が、固定機構(70)により前記ブロック(50)に対して固定される、ステップと、
(d)前記ブレーキヘッド(3)上への前記プレート(2)の組付けが、前記プレート(2)が前記少なくとも1つの連結リング(8)を覆うまで実施される、ステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの連結リング(8)は、本体(81)と、前記本体(81)の第1の端部におけるフランジ(82)とを備え、前記本体(81)の遠位端部は、それらの休止位置において径方向外方に延在するタブ(85)を有し、これにより、ステップ(b)において、前記タブ(85)は、前記本体(81)が前記少なくとも1つの穴(58)内および前記少なくとも1つの二次チャネル(38)内で摺動すると、相互に弾性的に接近し、これにより、ステップ(c)において、前記タブ(85)は、それらの休止位置へと復帰し、前記空洞部(55)の前記少なくとも1つの穴(58)の内部エッジに圧接することが可能となり、前記固定機構(70)は、前記フランジ(82)、前記タブ(85)、および前記少なくとも1つの穴(58)の前記内部エッジを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの連結リング(8)は、本体(81)と、前記本体(81)の第1の端部におけるフランジ(82)とを備え、前記本体(81)の遠位端部は、それらの休止位置において実質的に前記本体(81)の延長部として延在するタブ(85)を有し、これにより、ステップ(b)において、前記本体(81)は、前記少なくとも1つの穴(58)内および前記少なくとも1つの二次チャネル(38)内において自由に摺動し、これにより、ステップ(c)において、前記タブ(85)は、径方向外方へと塑性変形され、前記空洞部(55)の前記少なくとも1つの穴(58)のエッジに圧接することが可能になるように、前記空洞部の底部に対して圧潰され、前記固定機構(70)は、前記フランジ(82)、前記タブ(85)、および前記少なくとも1つの穴(58)の内部エッジを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの連結リング(8)は、本体(81)と、前記本体(81)の第1の端部におけるフランジ(82)とを備え、前記本体(81)の遠位端部は、径方向外方に延在する少なくとも1つの突出部(86)を有し、前記少なくとも1つの穴(58)は、前記少なくとも1つの突出部(86)がその中において摺動するように構成された少なくとも1つの溝(581)を有し、前記少なくとも1つの穴(58)の内部エッジは、前記少なくとも1つの突出部(86)を受け入れるように構成されたハウジング(586)を備え、これにより、ステップ(b)において、前記本体(81)は、前記本体(81)の前記遠位端部が前記空洞部(55)内に出現するまで、前記少なくとも1つの穴(58)内および前記少なくとも1つの二次チャネル(38)内において自由に摺動し、これにより、ステップ(c)において、前記リング(8)は、前記少なくとも1つの突出部(86)のうちの1つが前記ハウジング(586)に対面するように配置されるまで主軸Aを中心として枢動され、次いで前記リング(8)は、前記突出部(86)のうちの1つが前記ハウジング(586)内に収容され、前記ハウジング(586)の底部に圧接するまで、逆方向に摺動され、前記固定機構(70)は、前記フランジ(82)、前記少なくとも1つの突出部(86)、および前記ハウジング(586)を備える、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の制動に関し、特に、鉄道車両用の制動システムの摩擦アセンブリに関する。車両は、例えば列車、トラム、および地下鉄車両などの、レール上を走行するように構成されたあらゆる車両を意味するものとして理解される。
【背景技術】
【0002】
制動システムは、鉄道車両の車輪または車軸に対して固定されたディスクを一般的に備える。さらに、制動システムは、摩擦プレートを支持するブレーキヘッドを備える摩擦アセンブリを備える。この摩擦プレートは、ブレーキヘッドに対する装着手段と、摩擦パッドとを通常備える。運転手が制動システムを作動させると、摩擦プレートの摩擦パッドがディスクと接触状態になり、ディスクに対して制動力を印加する。したがって、摩擦プレートは、車輪または車軸に対して固定されたディスクを摩擦力により減速する。鉄道車両は、ディスクの各側に1つずつ配置された2つの摩擦アセンブリを一般的に有して、ディスクをその両側において圧迫するように把持するまたは換言すれば挟む。一般的に、摩擦プレートの摩擦パッドは、例えば鋳鉄、焼結材、または複合材料などの金属材料を含む。したがって、摩擦プレートの摩擦パッドがディスクと擦れ合うと、摩擦パッドおよびディスクから材料粒子が、摩擦アセンブリ周辺の環境空気中に放出される。かようにして、制動システムは、様々な粒度の粒子の形態の大気汚染物を放出する。
【0003】
したがって、とりわけ、ポンプにより駆動される吸引デバイスを摩擦プレートの摩擦パッドから出る粒子の放出エリア付近に配置することによって、制動の最中に放出される粒子を捕獲する努力が行われてきた。さらに、この粒子吸引を可能な限り効果的なものにするための努力がなされてきた。
【0004】
この問題に対する1つの解決策は、先行技術に相当する、図17および図18に示す摩擦アセンブリである。この先行技術は、文献FR3088394に記載されている。図17は、このアセンブリの底面図であり、図18は、図17の線XVIII-XVIIIに沿った断面図である。
【0005】
ブレーキヘッド103が、長手方向Xにおいて長手方向に、および横方向Yにおいて横方向に延在する。平面X-Yは、水平方向である。基準系(X, Y, Z)を構成するために平面X-Yに対して垂直であるZ方向は、鉛直方向であり、上方に配向される。ブレーキヘッド103は、摩擦プレート102を収容するように意図された下方面131と、上方面132とを備え、これらの面はそれぞれ平面X-Yに対して平行に延在する。
【0006】
ブレーキヘッド103は、凹状蟻継ぎ受けスライド105を下方面131上に有し、凹状蟻継ぎ受けスライド105は、ブレーキヘッド103の第1の端部からブレーキヘッド103の第2の端部の近傍まで長手方向に延在する。この第2の端部において、このスライドは開口を有さない。ブレーキヘッド103は、相互に離間された2つの二次チャネル138を長手方向軸X上に備える。各二次チャネル138は、上方面132を上方面上のスライド105の底部まで連結する。
【0007】
摩擦プレート102は、2つの同一パーツからなり、各パーツは、車両のディスク(図示せず)と摩擦接触状態になるように意図された摩擦面121と、対向面122とを有する。対向面122は、受けスライド105に係合するように構成された凸状蟻継ぎセクション104を有する。使用の最中には、プレート102の第1の部分が、スライド105中で蟻継ぎセクション104を摺動させることにより、スライド105の端部に到達するまで長手方向軸Xに沿って押し込まれる。次いで、プレート102の第2の部分が、スライド105中で蟻継ぎセクション104を摺動させることにより、プレート102の第1の部分に対して押圧されるまで長手方向軸Xに沿って押し込まれる。理想的には、この第1の部分および第2の部分の接触表面は、それらの表面全体に沿って共に整合するように形状設定される。
【0008】
プレート102のこれらの各部分は、鉛直方向軸Zに沿って配向された一次チャネル128を備える。使用の最中にこれらの部分がブレーキヘッド103上に固定されると、2つの一次チャネル128のそれぞれが、二次チャネル138と一直線状に位置決めされる。軸Bは、一次チャネル128および一次チャネル128に対して対面して位置する二次チャネル138の主軸を示し、したがって一次チャネル128および二次チャネル138は、同軸状である。かようにして、各一次チャネル128は、ブレーキヘッド103中に設けられた二次チャネル138のうちの1つと共に回路を形成し、この回路により、制動の最中に摩擦プレート102により放出される粒子を吸引することが可能となる。したがって、軸Bは鉛直方向軸Zに対して平行である。
【0009】
チューブと、このチューブの端部の一方において径方向外方にこのチューブを延在するフランジ1082とからなる連結リング108が、二次チャネル138内に取り付けられる。このチューブは、二次チャネル138に挿入され、チューブの外径は、可能な限り最善の封止を確保するために二次チャネル138の内径と同等である。フランジ1082は、ブレーキヘッド103の環状ハウジング内に収容される。このハウジングは、主軸Bを中心とし、プレート102の対向面122に対面する。環状ハウジングは、二次チャネル138よりも大きくフランジ1082よりも小さい直径を有する。したがって、フランジ1082は、プレート102の蟻継ぎセクションとブレーキヘッド103のスライド105の底部との間に挟まれる。フランジ1082は、このハウジング内にあると、プレート102の蟻継ぎセクション104の面122と接触状態になる。この接触は、例えばハウジングの底部と面122との間におけるフランジ1082の変形(圧潰)により実現される。代替的には(図18に示すように)、この接触は、フランジ1082とハウジングの底部との間のチューブに取り付けられたコイルばねが圧縮されることにより実現される。したがって、フランジ1082自体またはコイルばねは、蟻継ぎセクション104に対してフランジ1082を押圧することを可能にする復帰機構190である(以下を参照のこと)。
【0010】
連結リング108は、ブレーキヘッド103を完全に横断し、ブレーキヘッド103の上方面132を越えて、スライド105を備える下方面131まで突出する。リング108のチューブのこの端部側には、パイプ150が固定され、このパイプ150は、吸引デバイス(図示せず)に対して連結され、プレート102の摩耗に起因する鉄道車両の制動により生じる粒子を一次チャネル128および二次チャネル138を介して吸引することを可能にする。パイプ150および吸引デバイスは、粒子除去デバイスを構成する。
【0011】
連結リング108は、制動により生じる粒子を、プレート102の一次チャネル128からブレーキヘッド103の二次チャネル138へと案内する役割を果たす。したがって、連結リング108は、一次チャネル128および二次チャネル138を介した漏出の可能性を防ぐことを目的とする。特に、連結リング108は、摩擦プレート102とブレーキヘッド103との間の境界部に位置する間隙に侵入する恐れのある制動の結果として生じる粒子の量を低減させることを目的とし、とりわけ外部からの空気流がこの間隙を通り二次チャネル138内に進入して吸引デバイスによる吸引を低下させるのを防止することを目的とする。
【0012】
さらに、連結リング108は、上記で示唆したように復帰機構190により蟻継ぎセクション104に対して押圧される。復帰機構190は、一次チャネル128および二次チャネル138において、プレート102とブレーキヘッド103との間の境界部に空気が進入するのを効果的に防止する。この空気の進入は、ブレーキヘッド103とプレート102との間の境界部に隙間が存在することに起因する。
【0013】
リング108は、ブレーキヘッド103と一体にするために、軸Bに沿った両方向への並進移動をしないようにする必要がある。これは、一方の方向についてはリング108の下方端部に位置するフランジ1082により実現される。これは、他方の方向については、吸引デバイスに対して連結されたパイプ150上にリング108の上方端部を固定することによって実現される。リング108は、2つのパーツからなる。パイプ150上にリング108の上方パーツを固定し、二次チャネル138にリング108の下方パーツを挿入した後に、リングの上方パーツおよび下方パーツは、例えば螺着、溶接、または任意の他の適切な手段などにより一体化される。
【0014】
しかし、この二方向における並進移動の防止は、リング108の両端部へのアクセスを有することを暗示する。いくつかの構成では、例えば空気圧マニホルドブロックなどである吸引デバイスが、ブレーキヘッド103の一体部分である。
【0015】
したがって、以下のような鉄道車両用の制動システムのための摩擦アセンブリが存在する。この摩擦アセンブリは、一方では下方面および上方面を備えるブレーキヘッドを、ならびに他方では摩擦面となる第1の面および固定機構により下方面上に固定されるように構成された第2の面を備える摩擦材料から作製された少なくとも1つのプレートを備える。プレートは、第1の面および第2の面を連結する少なくとも1つの一次チャネルを備える。ブレーキヘッドは、中心軸Bを有する少なくとも1つの二次チャネルを備える。少なくとも1つの一次チャネルが、少なくとも1つの二次チャネルのうちの1つと整列されるように構成され、少なくとも1つの連結リングが、二次チャネル内に配置され、一次チャネルとの間に連結を確立する。この摩擦アセンブリは、吸引デバイスに対して連結されたマニホルドブロックをさらに備え、このブロックは、上方面にブレーキヘッドの一体部分を形成する。
【0016】
この構成においては、リング108の一方の端部(吸引デバイス側を向く上方端部)はアクセス可能ではない。さらに、ブレーキヘッド103上にリング108を組み付けることが可能ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】FR3088394
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、これらの欠点を解消することを目的とする。
【0019】
本発明は、例えば空気圧マニホルドブロックなどの吸引システムに対して連結されるマニホルドブロックが、ブレーキヘッドの一体部分であり、これにより、プレート摩耗によって放出される粒子を吸引デバイスに向かって排出することを可能にする連結リングをブレーキヘッド上に取り付けることが可能となる、鉄道制動システムのための摩擦アセンブリを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的は、ブロックが、空洞部および少なくとも1つの穴を有し、この少なくとも1つの穴が、空洞部および上方面を連結し、少なくとも1つの二次チャネルに整列され、連結リングを中で摺動させることができ、空洞部が、回路により吸引デバイスに対して連結されることによって、ならびに、少なくとも1つの連結リングが少なくとも1つの穴内および少なくとも1つの二次チャネル内に配置された場合に、ブロックがブロックに対して少なくとも1つの連結リングを固定するための固定機構を備えることによって、達成される。
【0021】
これらの構成により、各連結リングは、プレートを吸引デバイスと連通状態に配置するために穴内および二次チャネル内に挿入されるように構成される。次いで、連結リングは、固定機構によりブロックに対して固定される。かようにして、リングはブレーキヘッドに対して固定された状態に維持され、それにより動作中に、プレートから吸引デバイスへの粒子の排出が確実に実現される。
【0022】
例えば、少なくとも1つの連結リングは、本体と、本体の第1の端部におけるフランジとを備え、本体の遠位端部は、空洞部内において径方向外方に延在するタブを有し、固定機構は、フランジ、タブ、および空洞部の少なくとも1つの穴の内部エッジを備える。
【0023】
したがって、ブロックに対する連結リングの固定は、単純なスナップ嵌めにより実現される。
【0024】
例えば、少なくとも1つの連結リングは、本体と、本体の第1の端部におけるフランジとを備え、本体の遠位端部は、空洞部内において径方向外方に塑性変形されるタブを有し、固定機構は、フランジ、タブ、および空洞部の少なくとも1つの穴の内部エッジを備える。
【0025】
したがって、タブの塑性変形による連結リングのブロックからの分離は、あまり容易ではない。
【0026】
例えば、少なくとも1つの連結リングは、本体と、本体の第1の端部におけるフランジとを備え、本体の遠位端部は、空洞部内において径方向外方に延在する少なくとも1つの突出部を有し、少なくとも1つの穴は、少なくとも1つの突出部が中で摺動するように構成された少なくとも1つの溝を有し、空洞部の少なくとも1つの穴の内部エッジは、突出部を受け入れるように構成されたハウジングを備え、固定機構は、フランジ、突出部、およびハウジングを備える。
【0027】
したがって、ブロックに対する連結リングの固定は、リングのバヨネット動作により実現され、逆方向への動作を実施することにより取外し可能となる。
【0028】
例えば、摩擦アセンブリは、第2の面に対してリングを押圧するように構成された復帰機構をさらに備える。
【0029】
したがって、プレートにより放出された粒子の排出経路における連結リングとプレートとの間の封止が改善される。
【0030】
例えば、固定機構は、下方面上に形成された受けスライドと、第2の面上に形成され、受けスライドに係合するように構成された蟻継ぎセクションとを備える。
【0031】
したがって、ブレーキヘッドに対するプレートの固定は、摺動により達成されることによって容易になり、さらには取外し可能となる。
【0032】
さらに、本発明は、吸引デバイスに対して連結されたマニホルドブロックに対してブレーキヘッド上に取り付けられた連結リングを固定するための方法に関する。ブレーキヘッドは、下方面、上方面、および中心軸Aを有する少なくとも1つの二次チャネル(38)を備え、ブロックは、上方面においてブレーキヘッドの一体部分を形成し、ブレーキヘッドおよび連結リングは、鉄道車両用の制動システムのための摩擦アセンブリの一部を構成する。摩擦アセンブリは、摩擦材料から作製されたプレートをさらに備え、このプレートは、摩擦面である第1の面、固定機構により下方面に固定されるように構成された第2の面、ならびに第1の面および第2の面を連結する少なくとも1つの一次チャネルを備える。少なくとも1つの連結リングは、少なくとも1つの二次チャネル内に配置され、少なくとも1つの一次チャネルが少なくとも1つの二次チャネルのうちの1つに整列された場合に少なくとも1つの一次チャネルとの連結を確立する。
【0033】
本発明によれば、この方法は、以下のステップ、すなわち
(a)ブロックが、回路により吸引デバイスに対して連結された空洞部と、少なくとも1つの穴とを備え、この少なくとも1つの穴が、空洞部および上方面を連結し、少なくとも1つの二次チャネルに整列され、その中において少なくとも1つの連結リングが摺動するように構成される、ステップと、
(b)少なくとも1つの連結リングが、下方面から軸Aに沿って摺動されることにより少なくとも1つの穴内および少なくとも1つの二次チャネル内に配置される、ステップと、
(c)少なくとも1つの連結リングが、固定機構によりブロックに対して固定される、ステップと、
(d)ブレーキヘッド上へのプレートの組付けが、プレートが少なくとも1つの連結リングを覆うまで実施される、ステップと
を含む。
【0034】
例えば、少なくとも1つの連結リングは、本体と、本体の第1の端部におけるフランジとを備え、本体の遠位端部は、それらの休止位置において径方向外方に延在するタブを有し、これにより、ステップ(b)において、タブは、本体が前記少なくとも1つの穴内および前記少なくとも1つの二次チャネル内で摺動すると、相互に弾性的に接近し、これにより、ステップ(c)において、タブは、それらの休止位置へと復帰し、空洞部の少なくとも1つの穴の内部エッジに圧接することが可能となり、固定機構は、フランジ、タブ、および少なくとも1つの穴の内部エッジを備える。
【0035】
例えば、少なくとも1つの連結リングは、本体と、本体の第1の端部におけるフランジとを備え、本体の遠位端部は、それらの休止位置において実質的に本体の延長部として延在するタブを有し、これにより、ステップ(b)において、本体は、少なくとも1つの穴内および少なくとも1つの二次チャネル内において自由に摺動し、これにより、ステップ(c)において、タブは、径方向外方へと塑性変形され空洞部の少なくとも1つの穴のエッジに圧接することが可能になるように、空洞部の底部に対して圧潰され、固定機構は、フランジ、タブ、および少なくとも1つの穴の内部エッジを備える。
【0036】
例えば、少なくとも1つの連結リングは、本体と、本体の第1の端部におけるフランジとを備え、本体の遠位端部は、径方向外方に延在する少なくとも1つの突出部を有し、少なくとも1つの穴は、少なくとも1つの突出部がその中において摺動するように構成された少なくとも1つの溝を有し、空洞部の少なくとも1つの穴の内部エッジは、少なくとも1つの突出部を受け入れるように構成されたハウジングを備え、これにより、ステップ(b)において、本体は、本体の遠位端部が空洞部内に出現するまで、少なくとも1つの穴内および少なくとも1つの二次チャネル内において自由に摺動し、これにより、ステップ(c)において、リングは、前記少なくとも1つの突出部のうちの1つがハウジングに対面するように配置されるまで主軸Aを中心として枢動され、次いでリングは、少なくとも1つの突出部のうちの1つがハウジング内に収容されハウジングの底部に圧接するまで、逆方向に摺動され、固定機構は、フランジ、突出部、およびハウジングを備える。
【0037】
非限定的な例として示されるいくつかの実施形態の以下の詳細な説明を読むことにより、本発明がよりよく理解され、その利点がより明確になろう。この説明は、添付の図面を参照とする。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】プレートがブレーキヘッドに対して組み付けられた状態にある、本発明の第1の実施形態による摩擦アセンブリの平面(X, Z)における長手方向断面斜視図である。
図2】リングがブロックに対して固定される前の、本発明の第1の実施形態によるマニホルドブロックを備える摩擦アセンブリの領域の平面(X, Z)における断面図である。
図3図2のステップの後のステップにおける、本発明の第1の実施形態によるマニホルドブロックを備える摩擦アセンブリの領域の平面(X, Z)における断面図である。
図4図3のステップの後のステップにおける、本発明の第1の実施形態によるマニホルドブロックを備える摩擦アセンブリの領域の平面(X, Z)における断面図である。
図5】リングがブロックに対して固定された後の、本発明の第1の実施形態によるマニホルドブロックを備える摩擦アセンブリの領域の平面(X, Z)における断面図である。
図6図1に示す摩擦アセンブリ1の一部分の平面(X, Z)における断面図である。
図7】ブロックからのリングの分離を示す、本発明の第1の実施形態によるマニホルドブロックを備える摩擦アセンブリの領域の平面(X, Z)における断面図である。
図8】リングがブロックに対して固定される前の、本発明の第2の実施形態によるマニホルドブロックを備える摩擦アセンブリの領域の平面(X, Z)における断面図である。
図9図8のステップの後のステップにおける、本発明の第2の実施形態によるマニホルドブロックを備える摩擦アセンブリの領域の平面(X, Z)における断面図である。
図10図9のステップの後のステップにおける、本発明の第2の実施形態によるマニホルドブロックを備える摩擦アセンブリの領域の平面(X, Z)における断面図である。
図11】リングがブロックに対して固定された後の、本発明の第2の実施形態によるマニホルドブロックを備える摩擦アセンブリの領域の平面(X, Z)における断面図である。
図12】ブロックからのリングの分離を示す、本発明の第2の実施形態によるマニホルドブロックを備える摩擦アセンブリの領域の平面(X, Z)における断面図である。
図13】リングがブロックに対して固定される前の、本発明の第3の実施形態によるマニホルドブロックを備える摩擦アセンブリの領域の平面(X, Z)における部分断面斜視図である。
図14図13のステップの後のステップにおける、本発明の第3の実施形態によるマニホルドブロックを備える摩擦アセンブリの領域の平面(X, Z)における部分断面斜視図である。
図15図14のステップの後のステップにおける、本発明の第3の実施形態によるマニホルドブロックを備える摩擦アセンブリの領域の平面(X, Z)における部分断面斜視図である。
図16】リングがブロックに対して固定された後の、本発明の第3の実施形態によるマニホルドブロックを備える摩擦アセンブリの領域の平面(X, Z)における部分断面斜視図である。
図17】既に説明済みである先行技術による摩擦アセンブリの底面図である。
図18】既に説明済みである図17の線XVIII-XVIIIに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、鉄道車両用の制動システムのための摩擦アセンブリ1を示す。例えば、これらのブレーキはディスクブレーキである。例えば、これらのブレーキは、車両車輪の走行表面に対するブレーキである。このアセンブリは、長手方向軸Xに沿って長手方向に、および鉛直方向軸Zに沿って鉛直方向に延在する。横方向軸Yは、軸XおよびZと共に三角基準系を構成する。摩擦アセンブリ1が斜視図で示される。明瞭化のために、このアセンブリは、鉛直方向平面(X, Z)における断面図で示され、すなわち二次チャネル38の中心軸Aを通過する平面における断面図で示される。
【0040】
摩擦アセンブリ1は、ブレーキヘッド3と、摩擦材料から作製された少なくとも1つのプレート2とを備える。ブレーキヘッド3は、下方面31および上方面32を有する。プレート2は、摩擦面である第1の面21と、第2の面22とを有する。動作時に、プレート2は、固定機構(4、5)によりブレーキヘッド3に対して固定される。例えば、この固定機構は、下方面31上に形成された受けスライド5と、第2の面22上に形成され、受けスライド5に係合するように構成された蟻継ぎセクション4とを備える。したがって、プレート2は、蟻継ぎセクション4が長手方向軸Xに沿ってスライド5内に挿入され並進移動することにより、ブレーキヘッド3に対して固定される。さらに、固定機構は、この固定を解除することが可能となるようなものである。一般的に、ブレーキヘッド3に対するプレート2の固定は、解除することが可能であり、これによりプレート2の摩耗時にプレート2を交換することが可能となる。
【0041】
プレート2は、第1の面21および第2の面22を液密的に連結する少なくとも1つの一次チャネル28を備える。図1では、プレート2は、2つの一次チャネル28を備える。ブレーキヘッド3は、受けスライド5の底部において上方面32および下方面31を液密的に連結する中心軸Aを有する少なくとも1つの二次チャネル38を備える。図1では、ブレーキヘッド3は、2つの二次チャネル38を備える。ブレーキヘッド3は、少なくとも1つの連結リング8を備え、この連結リング8は、少なくとも1つの二次チャネル38内に配置され、少なくとも1つの一次チャネル28との連結を確立する。図1では、ブレーキヘッド3は、2つの連結リング8を備える。プレート2がブレーキヘッド3に対して固定されると、各一次チャネル28は、二次チャネル38に整列され、すなわち各一次チャネル28の中心軸は、その一次チャネル28が整列される二次チャネル38の中心軸Aとなる。
【0042】
連結リング8は、管状本体81と、本体81の一方の端部におけるフランジ82とを備える。フランジ82は、本体81から径方向外方に延在し、したがって本体81の外径よりも大きな直径を有する。例えば、本体81の内径は、軸Xに沿ってプレート2とブレーキヘッド3との間に位置する隙間を埋め合わせるために、一次チャネル28の直径よりも大きい。したがって、本体81の遠位端部は、フランジ82の対向側に位置する。
【0043】
以下の説明では、「一次チャネル28」、「二次チャネル38」、「連結リング8」、「穴58」の要素に対して複数形が使用され、さらにこれらの要素の中の2つ以上の例を論じる場合に決定辞「それぞれの」が使用される。また、以下の説明は、単一の一次チャネル28、単一の二次チャネル38、単一の連結リング8、および単一の穴58の場合に対しても有効である。
【0044】
摩擦アセンブリ1は、上方面32に位置するブレーキヘッド3の一体部分であるマニホルドブロック50をさらに備える。例えば、ブロック50は、空気圧マニホルドブロックである。「一体部分である」は、道具を用いる場合を除いて、ブロック50がブレーキヘッド3から分離不可能であることを意味するものとして理解される。例えば、ブロック50は、ブレーキヘッド3と共に成形されるか、またはブレーキヘッド3に対して溶接される。ブロック50は、二次チャネル38の開口を備える上方面32の部分においてブレーキヘッド3の上方面32を覆う。ブロック50は、吸引デバイスに対して連結された回路51に対して連結された空洞部55を備える。ブロック50は、空洞部55および上方面32を連結する穴58を有し、各穴58は、二次チャネル38のうちの1つと一直線状に位置する。したがって、図1に示すように、ブロック50は2つの穴58を備える。ブロック50がブレーキヘッド3の一体部分であることにより、リング8は、上方面32を通り二次チャネル38内に挿入することができない。
【0045】
各リング8は、ブレーキヘッド3に対してプレート2を固定する前においてのみ、下方面31を通り二次チャネル38内に挿入することが可能となる。したがって、リング8の本体81は、二次チャネル38に挿入され、フランジ82は、下方面31に向かって位置決めされる。フランジ82の直径は、二次チャネル38の直径と同等であるかまたはそれよりも若干小さい。各穴58の直径は、本体81の外径と同等であるかまたはそれよりも若干大きく、フランジ82の直径未満である。したがって、以降において説明するように、リング8が二次チャネル38に挿入されると、フランジ82は、二次チャネル38に対面して配置される穴58のエッジに直接的または間接的のいずれかにおいて当接する。
【0046】
間接的接触の場合には、ばね(例えばコイルばね)が、フランジ82と穴58のエッジとの間において本体81上に取り付けられる。休止時には、ばねは、フランジ82および穴58のエッジと接触状態にあり、フランジ82は、下方面31から突出する(例えばスライド5が存在する場合にはスライド5の底部において)。プレート2がブレーキヘッド3に対して固定されると(例えばスライド5内においてプレート2の蟻継ぎセクション4を摺動することなどにより)、第2の面22は、下方面31と接触状態になり、フランジ82は、二次チャネル38内へと押し戻され、ばねを圧縮する。この解決策は、図1に示される。
【0047】
フランジ82と穴58のエッジとの間が直接的に接触する場合には、フランジ82は、変形されない場合には下方面31から突出するように形状設定される。プレート2がブレーキヘッド3に対して固定されると、フランジ82は、第2の面22と穴58のエッジとの間において変形される。この変形は、例えば軸Aに沿ったフランジの材料の圧縮などである。代替的には、フランジ82は、休止時に凸形状または凹形状を有し、この変形は、フランジ82の平坦化である。直接的接触の場合のいずれにおいても、フランジ82の変形は、リング8と第2の面22との間において封止機能をさらに果たす。
【0048】
接触(直接または間接)のいずれの場合においても、フランジ82は、プレート2の第2の面22に対接状態に保持される。これは、フランジ82自体の変形またはばねの圧縮のいずれかにより実現され、したがってフランジ82またはばねはそれぞれ、第2の面22に対してフランジ82を押圧することを可能にする復帰機構90を構成する。同じ機能を果たす他の復帰機構90が使用されてもよい。
【0049】
したがって、フランジ82は、軸Aに沿った二次チャネル38内におけるリング8の並進移動を一方向において、すなわち図面の上方向において阻止する(リング8の上方向移動を阻止する)。
【0050】
摩擦アセンブリ1は、各連結リング8が穴58内および二次チャネル38内に配置された場合にブロック50に対して連結リング8を固定するための固定機構70を備える。したがって、連結リング8がその遠位端部が空洞部55内に通じるまで穴58内へと上方に押される場合に、固定機構70は、連結リング8が逆方向にすなわち下方に並進移動するのを防止する。したがって、連結リング8は、ブロック50に対して固定される位置にロックされ、穴58から出ることができない。
【0051】
次に、この固定機構70およびブロック50に対して各連結リング8を固定する方法の様々な実施形態を説明する。
【0052】
この方法の各実施形態において、第1のステップ(ステップ(a))は、ブロック50に対して、空洞部55と、空洞部55および上方面32を連結し、ブレーキヘッド3の二次チャネル38と一直線状にそれぞれ配置され、リング8が中を摺動し得る1つまたは複数の穴58と、吸引デバイスに対して空洞部55を連結する回路51とを設けることからなる。
【0053】
図1から図7に示す第1の実施形態によれば、本体81の遠位端部は、休止時に径方向外方に延在するタブ85を有する。タブ85は、例えば成形される。タブ85は、例えば機械加工され、曲げにより形状設定され得る。図2図5および図7は、ブロック50を備える摩擦アセンブリ1の領域の平面(X, Z)における断面図である。明瞭化のために、プレート2は、図2図5および図7には図示しない。
【0054】
したがって、固定機構70は、フランジ82、タブ85、および空洞部55の穴58の内部エッジを備える。「内部エッジ」は、空洞部55の内部に位置する穴58のエッジを示す。次に、固定機構の動作を説明する。
【0055】
各穴58内に、およびこの穴58に整列される各二次チャネル38内に、連結リング8は、穴58の軸Aに沿って摺動することにより挿入される。この挿入は、ブレーキヘッドの下方面31から図における上方へと実施され、第2のステップ(ステップ(b))を構成する。
【0056】
図2は、連結リング8が二次チャネル38に挿入され、連結リング8の穴58内への挿入が開始された状況を示す。タブ85の遠位端部は、穴58の外部エッジと接触状態にある。「外部エッジ」は、ブロック50の外部に位置する穴58のエッジを示し、すなわち二次チャネル38に対面する。
【0057】
図3は、連結リング8が穴58に挿入された状況を示す。穴58への進入がなされると、タブ85の端部は、穴58の側壁部585により連結リング8の長手方向中心軸に向かって径方向に押される。タブ85のこの変形は、タブ85の弾性変形範囲内で行われる。有利には、各穴58の外部エッジは、連結リングの中心軸に向かって径方向にタブ85を押すのを補助するように、穴58に対して外方へと広がる。連結リング8が穴58内で並進移動する最中に、タブ85は、穴58の外部エッジから内部エッジにかけて側壁部585に沿って摺動する。
【0058】
図4は、各連結リング8の遠位端部が空洞部55内へと出現しつつある状況を示す。この時、タブ85は、その弾性により、径方向外方へと変形して初期位置(休止時位置)へと復帰する。
【0059】
図5は、タブ85の遠位端部が穴58の内部エッジと接触状態になるまで各連結リング8が下げられた状況を示す。これらの遠位端部は、径方向外方へと湾曲することにより、内部エッジを押圧し、連結リング8が穴58から出るのを防止する(ステップ(c)、第3のステップ)。したがって、タブ85および穴58の内部エッジは、固定機構70の一部を構成する。
【0060】
有利には、摩擦アセンブリ1は、復帰機構90を備える(図に示す例では、この機構は、フランジ82と穴58の外部エッジとの間に位置する連結リング8の周囲のばねである。例えば、このばねはコイルばねである)。図5に示すように、連結リング8の遠位端部が空洞部55内へと出現すると、復帰機構90は、連結リング8を付勢して穴58の外へと戻りやすいように、すなわち連結リング8が下方に押されるように作動される(ばねが圧縮される)。次いで、各連結リング8のフランジ82は、ブレーキヘッド3の下方面31において部分的に出現する。
【0061】
第4のステップ(ステップ(d))の最中に、プレート2は、各連結リング8を覆うまでブレーキヘッド3上に組み付けられる。この状況は、プレートが2つの半部を有する例において図6に示される。図6は、図1に示す摩擦アセンブリ1の一部分の平面(X, Z)における断面図である。図6の右側では、プレート2の右半部は、この右半部の第2の面22がブレーキヘッド3の下方面31と接触状態になるように、ブレーキヘッド3に対して押圧される。図6の左側では、プレート2の左半部とブレーキヘッド3との間に幾分かの隙間が存在し、そのためこの左半部の第2の面22は、ブレーキヘッド3の下方面31と接触状態にない。いずれの場合においても、復帰機構90は、プレート2の第2の面22に対して連結リング8を押圧し、連結リング8の遠位端部は、空洞部55内に位置する。
【0062】
図7は、ブロック50から連結リング8を分離させるための方法を示す。ねじ山付きロッド201が、その長手方向軸に沿って連結リング8の穴に螺入されて、連結リング8は、その全長にわたりロッド201と螺旋連結状態になる。この場合に、連結リング8のフランジ82は、回転を防止するためにプライヤ202により把持される。空洞部55のシーリングに当接するようにロッド201を螺入することにより、連結リング8は、ロッド201のねじ山によって下方に並進移動される。ロッド201に沿って下方に並進移動することにより、タブ85は、二次チャネル38内へと出現するまで、ロッド201と穴58の側壁部585との間で弾性変形および付勢される。次いで、連結リング8は、ブロック50およびブレーキヘッド3から自由に取り外すことが可能となる。
【0063】
次に、図8図12に示す第2の実施形態について説明する。ここでは、本体81の遠位端部はタブ85を有し、タブ85は、それらの休止位置において実質的に本体81の延長部として延在し、径方向外方へと塑性変形されることが可能である。図8図12は、ブロック50を備える摩擦アセンブリ1の領域の平面(X, Z)における断面図である。明瞭化のために、これらの図ではプレート2は図示しない。
【0064】
したがって、固定機構70は、フランジ82、タブ85、および空洞部55の穴58の内部エッジを備える。次に、固定機構の動作を説明する。
【0065】
各穴58内に、およびこの穴58に整列される各二次チャネル38内に、連結リング8は、穴58の軸Aに沿って摺動することにより挿入される。この挿入は、ブレーキヘッドの下方面31から図における上方へと実施され、第2のステップ(ステップ(b))を構成する。
【0066】
図8は、連結リング8が二次チャネル38内へと挿入されており、穴58内への挿入が開始される前における状況を示す。
【0067】
図9は、連結リング8が穴58内に挿入された状況を示す。穴58への進入後に、タブ85および本体81は、穴58の外部エッジから内部エッジにかけて穴58の側壁部585に沿って自由に摺動する。実際に、タブ85は、実質的に本体81の延長部として延在する。
【0068】
空洞部55のシーリングは、各穴58に対面する円錐形状または円錐台形状の円錐状突出部59を備える。したがって、この突出部59の対称軸は、穴58の軸Aに整列される。突出部59の底部は、このシーリングに位置し、突出部59の遠位端部は、空洞部55のフロア中に位置する穴58に向かって配向される。各連結リング8の遠位端部が空洞部55内へと出現した後に、各リング8は、タブ85が円錐状突出部59の側壁部と接触状態になるまで上方に摺動し続ける。各リング8がさらに上方に摺動し続けることにより、タブ85は、径方向外方へと変形される。この変形は、タブ85の弾性範囲内において、次いでタブ85の塑性範囲内で行われ、そのためタブ85の初期直線状位置からの変形は永久的なものとなる。この塑性変形後に、タブ85は、休止時に、タブ85の遠位端部が径方向外方へと湾曲状となる新たな状態になる。図10は、タブ85のこの塑性変形を示す。
【0069】
図11は、タブ85の遠位端部が穴58の内部エッジと接触状態になるまで各連結リング8が下方に下げ戻される状況を示す。これらの遠位端部は、径方向外方に湾曲され、内部エッジに圧接し、連結リング8が穴58から出るのを防止する(ステップ(c)、第3のステップ)。したがって、タブ85および穴58の内部エッジは、固定機構70の一部を構成する。
【0070】
有利には、摩擦アセンブリ1は復帰機構90を備える(図に示す例では、この機構は、フランジ82と穴58の外部エッジとの間に位置する連結リング8の周囲のばねである。例えば、このばねはコイルばねである)。図11に示すように、連結リング8の遠位端部が空洞部55内へと出現すると、復帰機構90は、連結リング8を付勢して穴58の外へと戻りやすいように、すなわち連結リング8が下方に押されるように作動される(ばねが圧縮される)。次いで、各連結リング8のフランジ82は、ブレーキヘッド3の下方面31において部分的に出現する。
【0071】
第4のステップ(ステップ(d))の最中に、プレート2は、各連結リング8を覆うまでブレーキヘッド3上に組み付けられる。この状況は、第1の実施形態の例において図6に示されるものと同様である。復帰機構90は、プレート2の第2の面22に対して連結リング8を押圧し、連結リング8の遠位端部は、空洞部55内に位置する。
【0072】
有利には、第1の実施形態および第2の実施形態において、各穴58の側壁部585は、側壁部585の環状空洞部内に収容されるOリング587を備える。Oリング587は、連結リング8とブロック50との間の封止の改善を可能にする。
【0073】
図12は、ブロック50から連結リング8を分離させるための方法を示す。ねじ山付きロッド201が、その長手方向軸に沿って連結リング8の穴に螺入されて、連結リング8は、その全長にわたりロッド201と螺旋連結状態になる。この場合に、連結リング8のフランジ82は、回転を防止するためにプライヤ202により把持される。空洞部55のシーリングに当接するようにロッド201を螺入することにより、連結リング8は、ロッド201のねじ山によって下方に並進移動される。ロッド201に沿って下方に並進移動することにより、タブ85は、二次チャネル38内へと出現するまで、ロッド201と穴58の側壁部585との間で塑性変形および付勢される。次いで、連結リング8は、ブロック50およびブレーキヘッド3から自由に取り外すことが可能となる。
【0074】
次に、図13図16に示す第3の実施形態について説明する。ここでは、各連結リング8の本体81の遠位端部は、径方向外方に延在する2つの対角線方向において対向側に位置する突出部86を有する。各穴58は、穴58の内部エッジから外部エッジにかけて側壁部585に沿って長手方向に延在する2つの対角線方向において対向側に位置する溝581を有し、それにより各突出部86は、連結リング8が穴58内で摺動すると、溝581のうちの1つの中で摺動することが可能となる。各穴58のエッジは、突出部86のうちの1つを受け入れるように構成されたハウジング586を有する。ハウジング586は、穴58の内部エッジから径方向に延在し、主軸Aに沿って延在する側壁部5861により画定される。ハウジング586は、空洞部55のフロアに対し平行に延在する底部5862を有する。ハウジング586が、主軸Aに沿って空洞部55のシーリングに向かって開口し、穴58に向かって径方向に開口する。図13図16は、ブロック50を備える摩擦アセンブリ1の領域の平面(X, Z)における部分断面斜視図である。明瞭化のために、これらの各図においては、両連結リング8は全体として示され、連結リング8のうちの1つに関して、二次チャネル38およびこの連結リング8の周囲の穴58の全体を示すために、断面が横方向軸Yに沿って並進移動される。プレート2は、図示しない。
【0075】
この一般的な例では、各連結リング8の本体81の遠位端部は、突出部86または3つ以上の突出部86を有し得る。各穴58は、突出部86と同数の溝581を有し、溝581は、連結リング8が穴58内において摺動したときに各突出部86が溝581のうちの1つの中で摺動するように配置される。
【0076】
したがって、固定機構70は、フランジ82、突出部86、およびハウジング586を備える。次に、固定機構の動作を説明する。
【0077】
各穴58内に、およびこの穴58に整列される各二次チャネル38内に、連結リング8は、穴58の軸Aに沿って摺動することにより挿入される。この挿入は、ブレーキヘッドの下方面31から図における上方へと実施され、第2のステップ(ステップ(b))を構成する。
【0078】
図13は、連結リング8が二次チャネル38内へと挿入されており、穴58内への挿入が開始される前における状況を示す。
【0079】
図14は、連結リング8が穴58内に挿入された状況を示す。連結リング8が穴58への進入することにより、突出部86は、穴58の外部エッジから内部エッジにかけて溝581内で自由に摺動する。
【0080】
図15は、各連結リング8の突出部86が空洞部55内へと出現しつつある状況を示す。
【0081】
各連結リング8は、穴58内に押し込まれ、突出部86のうちの1つがハウジング586の上方に位置するまで、連結リング8の主軸(長手方向軸)を中心として枢動される。次いで、各連結リング8は、突出部86が底部5862と接触状態になりハウジング586内に収容されるまで、下方に下げ戻される(ステップ(c)、第3のステップ)。
【0082】
有利には、摩擦アセンブリ1は、復帰機構90を備える(図に示す例では、この機構は、フランジ82と穴58の外部エッジとの間に位置する連結リング8の周囲のばねである。例えば、このばねはコイルばねである)。連結リング8の遠位端部が空洞部55内へと出現すると、復帰機構90は、連結リング8を付勢して穴58の外へと戻りやすいように、作動される(ばねが圧縮される)。したがって、図16に示すように、復帰機構90は、連結リング8を下方に押し、ブロック50に対して連結リング8を固定するようにハウジング586内に突出部86を維持する。次いで、各連結リング8のフランジ82は、ブレーキヘッド3の下方面31において部分的に出現する。
【0083】
第4のステップ(ステップ(d))の最中に、プレート2は、各連結リング8を覆うまでブレーキヘッド3上に組み付けられる。この状況は、第1の実施形態の例において図6に示されるものと同様である。復帰機構90は、プレート2の第2の面22に対して連結リング8を押圧し、連結リング8の突出部86は、空洞部55内に位置する。
【0084】
ブロック50から連結リング8を分離させるために、連結リング8は、ハウジング586から突出部86を取り外すように上方へと摺動される。次いで、連結リング8は、突出部86が溝581と整列されるまでその主軸を中心として枢動される。次いで、連結リング8は、突出部86が溝581内において摺動するように下方に引かれる。次いで、連結リング8は、ブロック50およびブレーキヘッド3から自由に取り外される。
【0085】
上述のように、吸引デバイスに対して連結されたブロック50に対する連結リング8の固定方法は、以下の通りである。
本発明によるこの方法では、ブレーキヘッド3は、下方面31、上方面32、および中心軸Aを有する少なくとも1つの二次チャネル38を備える。ブロック50は、上方面32に位置するブレーキヘッド3の一体部分である。ブレーキヘッド3および連結リング8は、鉄道車両用の鉄道ディスク制動システムのための摩擦アセンブリ1の一部を構成する。この摩擦アセンブリ1は、摩擦材料のプレート2をさらに備え、プレート2は、摩擦面である第1の面21と、固定機構4、5により下方面31に対して固定されるように構成された第2の面22と、第1の面21および第2の面22を連結する少なくとも1つの一次チャネル28とを備える。少なくとも1つの連結リング8は、少なくとも1つの二次チャネル38内に配置され、少なくとも1つの一次チャネル28が少なくとも1つの二次チャネル38のうちの1つに整列されると、少なくとも1つの一次チャネル28との連結を確立する。この方法は、以下のステップを含む。
(a)ブロック50は、回路51により吸引デバイスに対して連結された空洞部55と、少なくとも1つの穴58とを備える。少なくとも1つの穴58は、空洞部55および上方面32を連結し、少なくとも1つの二次チャネル38に整列され、少なくとも1つの連結リング8がその中において摺動するように構成される。
(b)少なくとも1つの連結リング8は、軸Aに沿って下方面31から摺動することにより少なくとも1つの穴58内および少なくとも1つの二次チャネル38内に配置される。
(c)少なくとも1つの連結リング8は、固定機構70によりブロック50に対して固定される。
(d)ブレーキヘッド3上へのプレート2の組付けは、プレート2が少なくとも1つの連結リング8を覆うまで実施される。
【0086】
第1の実施形態によれば、少なくとも1つの連結リング8は、本体81と、本体81の第1の端部におけるフランジ82とを備える。本体81の遠位端部は、それらの休止位置において径方向外方に延在するタブ85を有し、これにより、ステップ(b)において、タブ85は、本体81が少なくとも1つの穴58内および少なくとも1つの二次チャネル38内で摺動すると、相互に弾性的に接近し、ステップ(c)において、タブ85は、それらの休止位置へと復帰し、空洞部55の少なくとも1つの穴58の内部エッジに圧接することが可能となる。固定機構70は、フランジ82、タブ85、および少なくとも1つの穴58の前記内部エッジを備える。
【0087】
第2の実施形態によれば、少なくとも1つの連結リング8が、本体81と、本体81の第1の端部におけるフランジ82とを備える。本体81の遠位端部は、それらの休止位置において実質的に本体81の延長部として延在するタブ85を有し、これにより、ステップ(b)において、本体81は、少なくとも1つの穴58内および少なくとも1つの二次チャネル38内において自由に摺動し、ステップ(c)において、タブ85は、径方向外方へと塑性変形され空洞部55の少なくとも1つの穴58のエッジに圧接することが可能になるように、空洞部の底部に対して圧潰される。固定機構70は、フランジ82、タブ85、および少なくとも1つの穴58の前記内部エッジを備える。
【0088】
第3の実施形態によれば、少なくとも1つの連結リング8は、本体81と、本体81の第1の端部におけるフランジ82とを備える。本体81の遠位端部は、径方向外方に延在する少なくとも1つの突出部86を有する。少なくとも1つの穴58は、少なくとも1つの突出部86が中で摺動するように構成された少なくとも1つの溝581を有する。少なくとも1つの穴58の内部エッジは、少なくとも1つの突出部86を受け入れるように構成されたハウジング586を備え、これにより、ステップ(b)において、本体81は、本体81の遠位端部が空洞部55内に出現するまで、少なくとも1つの穴58内および少なくとも1つの二次チャネル38内において自由に摺動し、これにより、ステップ(c)において、リング8は、少なくとも1つの突出部86のうちの1つがハウジング586と一直線状に位置するまで主軸Aを中心として枢動し、次いでリング8は、突出部86のうちの1つがハウジング586内に収容されハウジング586の底部に圧接するまで、逆方向に摺動される。固定機構70は、フランジ82、少なくとも1つの突出部86、およびハウジング586を備える。
【符号の説明】
【0089】
1 摩擦アセンブリ
2 プレート
3 ブレーキヘッド
4 蟻継ぎセクション
5 受けスライド
8 連結リング
21 第1の面
22 第2の面
28 一次チャネル
30 ブレーキヘッド
31 下方面
32 上方面
38 二次チャネル
50 マニホルドブロック
51 回路
55 空洞部
58 穴
59 円錐状突出部
70 固定機構
81 管状本体
82 フランジ
85 タブ
86 突出部
90 復帰機構
201 ねじ山付きロッド
202 プライヤ
581 溝
585 側壁部
586 ハウジング
587 Oリング
5861 側壁部
5862 底部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2024-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両用の制動システムのための摩擦アセンブリであって
下方面、上方面、および中心軸Aを有する少なくとも1つの二次チャネルを備えるブレーキヘッドであって、前記少なくとも1つの二次チャネルは、前記下方面および前記上方面を連結する、ブレーキヘッドと、
摩擦材料から作製され、摩擦面である第1の面、固定機構により前記下方面上に固定されるように構成された第2の面、および少なくとも1つの一次チャネルを備える、少なくとも1つのプレートであって、前記少なくとも1つの一次チャネルは、前記第2の面に対して前記第1の面を連結する、少なくとも1つのプレートと、
少なくとも1つの連結リングであって、前記少なくとも1つの連結リングの各リングが、前記少なくとも1つの二次チャネルのそれぞれの二次チャネル内に配置される、少なくとも1つの連結リングと、
吸引デバイスに対して連結されマニホルドブロックであって、前記上方面において前記マニホルドブロックと一体であり、前記吸引デバイスに対して連結され、少なくとも1つの穴を備える空洞部を有し、前記少なくとも1つの穴は前記上方面に対して前記空洞部を連結し、前記少なくとも1つの穴の各穴が、前記少なくとも1つの二次チャネルの中のそれぞれの二次チャネルに整列され、前記少なくとも1つのリングの各連結リングが、前記少なくとも1つの穴のそれぞれの穴の中で摺動するように構成される、マニホルドブロックと、
前記少なくとも1つの連結リングが前記少なくとも1つの穴内および前記少なくとも1つの二次チャネル内に配置された場合に、前記マニホルドブロックに対して前記少なくとも1つの連結リングを固定するための固定機構
を備える、摩擦アセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの連結リングは
第1の端部および前記第1の端部の対向側の第2の端部を有する本体と
前記本体の前記第1の端部に配置されたフランジと、
前記本体の前記第2の端部に配置されたタブであって、前記空洞部内において径方向外方に延在する、タブと
を備え、
前記固定機構は、前記フランジ、前記タブ、および前記空洞部の前記少なくとも1つの穴の内部エッジを備える、請求項1に記載の摩擦アセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの連結リングは
第1の端部および前記第1の端部の対向側の第2の端部を有する本体と
前記本体の前記第1の端部に配置されたフランジと、
前記本体の前記第2の端部に配置されたタブであって、前記空洞部内において径方向外方に塑性変形される、タブと
を備え、
前記固定機構は、前記フランジ、前記タブ、および前記空洞部の前記少なくとも1つの穴の内部エッジを備える、請求項1に記載の摩擦アセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの連結リングは
第1の端部および前記第1の端部の対向側の第2の端部を有する本体と
前記本体の前記第1の端部に配置されたフランジと、
前記本体の前記第2の端部に配置された少なくとも1つの突出部であって、前記空洞部内において径方向外方に延在し、前記少なくとも1つの穴は、前記少なくとも1つの突出部がその中で摺動するように構成された少なくとも1つの溝を有し、前記空洞部の前記少なくとも1つの穴の内部エッジは、前記突出部を受け入れるように構成されたハウジングを備え、前記固定機構は、前記フランジ、前記突出部、および前記ハウジングを備える、少なくとも1つの突出部と
を備える、請求項1に記載の摩擦アセンブリ。
【請求項5】
前記第2の面に対して前記連結リングを押圧するように構成された復帰機構をさらに備える、請求項1に記載の摩擦アセンブリ。
【請求項6】
前記固定機構は、前記下方面上に形成された受けスライドと、前記第2の面上に形成され、前記受けスライドに係合するように構成された蟻継ぎセクションとを備える、請求項1に記載の摩擦アセンブリ。
【請求項7】
吸引デバイスに対して連結されたマニホルドブロックに対して、ブレーキヘッド上に取り付けられた少なくとも1つの連結リングを固定するための方法であって、前記ブレーキヘッドは、下方面、上方面、および中心軸Aを有する少なくとも1つの二次チャネルを備え、前記ブロックは、前記上方面において前記ブレーキヘッドの一体部分を形成し、前記ブレーキヘッドおよび前記連結リングは、鉄道車両用の制動システムのための摩擦アセンブリの一部を構成し、前記摩擦アセンブリは、摩擦材料から作製されたプレートをさらに備え、前記プレートは、摩擦面である第1の面、固定機構により前記下方面に固定されるように構成された第2の面、および少なくとも1つの一次チャネルを備え、前記少なくとも1つの一次チャネルは、前記第1の面および前記第2の面を連結し、前記少なくとも1つの連結リングは、前記少なくとも1つの二次チャネル内に配置され、
前記方法は
前記吸引デバイスに対して連結された空洞部と、少なくとも1つの穴とを前記マニホルドブロックに設けるステップであって、前記少なくとも1つの穴は前記上方面に対して前記空洞部を連結し、前記少なくとも1つの二次チャネルに整列され、その中において前記少なくとも1つの連結リングが摺動するように構成される、ステップと、
前記下方面から前記中心軸Aに沿って前記少なくとも1つの連結リングを摺動することにより、前記少なくとも1つの穴内および前記少なくとも1つの二次チャネル内前記少なくとも1つの連結リングを位置決めするステップと、
固定機構により前記マニホルドブロックに対して前記少なくとも1つの連結リングを固定するステップと、
前記プレートが前記少なくとも1つの連結リングを覆うまで、前記ブレーキヘッド上に前記プレートを組み付けるステップと
を含む、方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの連結リングは
第1の端部および前記第1の端部の対向側の第2の端部を有する本体と
前記本体の前記第1の端部に配置されたフランジと、
前記本体の前記第2の端部に配置されたタブであって、それらの休止位置において径方向外方に延在する、タブと
を備え、
「前記少なくとも1つの連結リングを位置決めする」前記ステップにおいて、前記タブは、前記本体が前記少なくとも1つの穴内および前記少なくとも1つの二次チャネル内で摺動すると、相互に弾性的に接近し、
「前記少なくとも1つの連結リングを固定する」ステップにおいて、前記タブは、それらの休止位置へと復帰し、前記空洞部の前記少なくとも1つの穴の内部エッジに圧接することが可能となり、前記固定機構は、前記フランジ、前記タブ、および前記少なくとも1つの穴の前記内部エッジを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの連結リングは
第1の端部および前記第1の端部の対向側の第2の端部を有する本体と
前記本体の前記第1の端部に配置されたフランジと、
前記本体の前記第2の端部に配置されたタブであって、それらの休止位置において実質的に前記本体の延長部として延在する、タブと
を備え、
「前記少なくとも1つの連結リングを位置決めする」前記ステップにおいて、前記本体は、前記少なくとも1つの穴内および前記少なくとも1つの二次チャネル内において自由に摺動し、
「前記少なくとも1つの連結リングを固定する」ステップにおいて、前記タブは、径方向外方へと塑性変形され、前記空洞部の前記少なくとも1つの穴の内部エッジに圧接することが可能になるように、前記空洞部の底部に対して圧潰され、前記固定機構は、前記フランジ、前記タブ、および前記少なくとも1つの穴の前記内部エッジを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの連結リングは
第1の端部および前記第1の端部の対向側の第2の端部を有する本体と、
前記本体の前記第1の端部に配置されたフランジと、
径方向外方に延在する少なくとも1つの突出部であって、前記少なくとも1つの穴は、前記少なくとも1つの突出部がその中において摺動するように構成された少なくとも1つの溝を有し、前記少なくとも1つの穴の内部エッジは、前記少なくとも1つの突出部を受け入れるように構成されたハウジングを備える、少なくとも1つの突出部と
を備え、
「前記少なくとも1つの連結リングを位置決めする」前記ステップにおいて、前記本体は、前記本体の前記第2の端部が前記空洞部内に出現するまで、前記少なくとも1つの穴内および前記少なくとも1つの二次チャネル内において自由に摺動し、
「前記少なくとも1つの連結リングを固定する」ステップにおいて、前記連結リングは、前記少なくとも1つの突出部のうちの1つが前記ハウジングに対面するように配置されるまで、前記中心軸Aを中心として枢動され、次いで前記リングは、前記突出部のうちの1つが前記ハウジング内に収容され、前記ハウジングの底部に圧接するまで、逆方向に摺動され、前記固定機構は、前記フランジ、前記少なくとも1つの突出部、および前記ハウジングを備える、請求項7に記載の方法。
【国際調査報告】