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特表2024-523742遊園地の娯楽用乗り物、特にジェットコースタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】遊園地の娯楽用乗り物、特にジェットコースタ
(51)【国際特許分類】
   A63G 7/00 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
A63G7/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502177
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 EP2022066986
(87)【国際公開番号】W WO2023001470
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】102021118616.1
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522402302
【氏名又は名称】マック ライズ アイピー ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Mack Rides IP GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ハーシュ、トビアス
(57)【要約】
遊園地の娯楽用乗り物(1)、特にジェットコースタは、少なくとも1台の車両(10)を備え、その車両は、乗車エリア(30)の出口(C)から、出発方向において走行路(20)に沿って第1の向き(例えば「前向き」)に移動可能であり、車両(10)は、走行後に、車両の走行方向を維持しつつ、進入方向において入口(D)を経由してその乗車エリア内に戻る。後続の走行の際に、走行路(20)を第1の向き(例えば「前向き」)とは反対の向き(例えば、「後ろ向き」)に通過するために、車両(10)がその走行方向を維持しつつ、先の出発方向とは反対の向きである進入方向において乗車エリア(30)の入口(D)を通過するように、乗車エリア(30)及び走行路(20)は形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊園地の娯楽用乗り物(1)、特にジェットコースタであって、少なくとも1台の車両(10)を備え、その車両は、乗車エリア(30)の出口(C)から、出発方向(X)において走行路(20)に沿って第1の向き(例えば「前向き」)に移動可能であり、前記車両(10)は、走行後に、進入方向(Y)において入口(D)を経由してその乗車エリア内に戻る、遊園地の娯楽用乗り物において、
後続の走行の際に、前記走行路(20)を前記第1の向き(例えば「前向き」)とは反対の向き(例えば、「後ろ向き」)に走行するために、前記車両(10)がその走行方向を維持しつつ、先の出発方向(X)とは反対の向きである進入方向(Y)において前記乗車エリア(30)の前記入口(D)に進入するように、前記乗車エリア(30)及び前記走行路(20)は形成されていることを特徴とする、遊園地の娯楽用乗り物(1)。
【請求項2】
前記乗車エリア(30)は、前記走行路(20)のための出口(C)と入口(D)の両方を前面(31)に有することを特徴とする、請求項1に記載の遊園地の娯楽用乗り物。
【請求項3】
前記出口(C)と前記入口(D)とは、互いに高さ方向にオフセットされていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遊園地の娯楽用乗り物。
【請求項4】
前記出口(C)と前記入口(D)とは、互いに横方向にオフセットされていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の遊園地の娯楽用乗り物。
【請求項5】
前記乗車エリア(30)は昇降装置(40)を有し、その昇降装置によって、前記車両(10)は、前記出口(C)を経由して前記乗車エリア(30)を離れるために、下方位置(A)から上方位置(B)に移動可能であり、
前記車両(10)は、前記走行路(20)を経由した走行後に、前記下方位置(A)において、前記乗車エリア(30)の前記入口(D)に進入可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遊園地の娯楽用乗り物。
【請求項6】
前記走行路(20)は、前記乗車エリア(30)の領域内に、ポイント(24)と、経路部(25)とを有し、その経路部は、前記乗車エリア(30)から出る際、及び前記乗車エリア(30)に入る際の両方において車両走行可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遊園地の娯楽用乗り物。
【請求項7】
前記車両(10)は、前記乗車エリア(30)の領域内において走行路部(28)に結合されており、前記乗車エリア(30)の領域内において高さ方向及び/又は横方向への移動の際に前記走行路部(28)と共に移動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の遊園地の娯楽用乗り物。
【請求項8】
前記走行路(20)は、少なくとも部分的にレール路として形成されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の遊園地の娯楽用乗り物。
【請求項9】
前記乗車エリア(30)は、乗客が前記車両(10)に乗車できるステーションであることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の遊園地の娯楽用乗り物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊園地の娯楽用乗り物、特にジェットコースタであって、少なくとも1台の車両を備え、その車両は、乗車エリアの出口から、出発方向において走行路に沿って第1の向き(例えば「前向き」)に移動可能であり、且つ、その車両は、走行後に、進入方向において入口を経由してその乗車エリア内に再び戻る、遊園地の娯楽用乗り物に関する。
【背景技術】
【0002】
このような娯楽用乗り物はよく知られている。ドイツのルストにあるレジャーパーク「ヨーロッパパーク(Europapark)」は、例えば、ジェットコースタ「Alpenexpress」、及び、高速ジェットコースタ「Blue Fire」並びに「SilverStar」を運営している。これらのよく知られたジェットコースタにおいては、座席を有する複数の車両が連結されて車列を形成し、この車列は、乗車エリアから、例えばステーションから、その乗車エリアの出口から前向きに出発し、レール路として形成された走行路を走行する。走行の終了時において、乗車エリアの後方にある車両と共に車列は、再び入口に戻る。これらのジェットコースタは、乗客が前方の走行路を向く視線方向において車両に座るように、形成されている。稼働中のジェットコースタのほとんどは、このように設計されている。
【0003】
一方、レール上を走行中に車両がそれぞれの軸周りに回転するように配置されたジェットコースタも知られている。車両のその時の位置に応じて、車両に座っている乗客は異なる方向を見る。このようなジェットコースタの例としては、上記のヨーロッパパークにある「Euro-Mir」がある。
【0004】
最後に、車両又は車列が走行路を任意に前向き又は後ろ向きに通過できる、ジェットコースタも知られている。このようなジェットコースタの例としては、ベルギーのリヒタール(Lichtaart)にある「Bobbejaaland」のジェットコースタ「Fury」がある。このジェットコースタの特徴は、乗客が走行前に座席のボタンによって走行が前向きに行われるか、後ろ向きに行われるかを採決できることである。そして多数決によって走行方向が決まる。同数の場合には、走行が後ろ向きか又は前向きかは、ランダムによって決定される。選択された走行方向に従って車列を整列可能とするために、乗車エリアには、車列全体を対応する向きに回転させる回転プラットフォームが設置されている。
【0005】
最後に、ジェットコースタとは対照的に、車両が閉じた走行路を走行せず、開いた走行路を往復する、いわゆる往復軌道が知られている。このような往復軌道の例は、特許文献1によって知られている。この娯楽用乗り物の経路の延びは基本的に直線であり、その両端にはほぼ垂直に上空に向かって延びる経路部がある。車両は両端間において往復運動することができる。その際、特別なアトラクションとして、垂直に上方に突出する2つの経路部の中間部を前進する際に、車両が、水位の上昇した中を高速で疾走するときに、いわゆる「パワースプラッシュ」が発生する。この娯楽用乗り物の場合、ステーション状の乗車エリアが、中間経路部の側方に位置し、また、乗車エリアから走行路上に車両を移動させるために、回転機構を有している。
【0006】
現在までに知られている娯楽用乗り物及びジェットコースタの問題点は、単純な前向き乗車とは異なる乗車体験を乗客に提供するためには、比較的複雑、且つ費用のかかる旋回機構を設けなければならないという事実である。従って、車両自体が旋回機構を装備する、又は娯楽用乗り物の乗車エリア内にいわゆる回転カルーセルを設ける必要がある。
【0007】
さらに、従来のジェットコースタには、乗客に様々な乗車体験を提供する必要性があり、その乗車体験は、乗客の希望に従って、できるだけ長く持続することである。ジェットコースタの比較的退屈な区間に沿って走行する場合、また、おそらくこのジェットコースタ乗車も、例えばスペースの理由からジェットコースタの走行路が短いために、非常に短い時間しか行われない場合、乗客にとって乗車体験は特にがっかりするものである。この問題の考えられる解決策は、ジェットコースタ乗車の際に、走行路を2回、3回と連続して周回することである。ただし、その場合、乗客は、最初の走行路の走行の際に、すでにジェットコースタを体験して知っているため、乗客には時間が経つにつれて退屈感が生じる。
【0008】
そこで本発明が提起される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公告第102014103226号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、複雑な回転機構を用いることなく、簡単な手段によって、異なった走行体験を有する走行路を周回することが可能な、遊園地の娯楽用乗り物、特にジェットコースタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1の特徴を有する娯楽用乗り物、特にジェットコースタによって解決される。
本発明のさらなる形態は、請求項1を参照する従属請求項の主題である。
【0012】
そのため、本発明による娯楽用乗り物は、少なくとも1台の車両を提供し、その車両は、乗車エリアの出口から走行路に沿って第1の向き(例えば「前向き」)に移動可能である。また、車両が走行後にその走行方向を維持しつつ、進入方向において入口を経由してその乗車エリア内に戻る。本発明によれば、車両が全走行中においてその走行方向を維持しつつ、しかも、先の出発方向とは反対方向である進入方向において乗車エリアの入口を通過するように、乗車エリア及び走行路は形成されている。それによって、費用のかかる旋回機構を設けることなく、簡易な方法において、後続の走行の際に、最初の向きとは逆の方向(「後ろ向き」)に走行路を通過可能となる。
【0013】
そのため、本思想の本質的な核心は、車両が1つの出発方向に乗車エリアを離れ、走行路を進んだ後に、全く反対方向において最後に再び乗車エリアに入ることにあり、しかもそれは、往復軌道の場合のような車両の方向転換をすることなしに行われる。この措置によって、車両は、既に、直前の走行に対して180度向きを変えて乗車エリアに位置している。そのため、次の走行の際に走行路を後ろ向きに走行するために、車両を多大な費用をかけて旋回させる必要がない。
【0014】
好適にも、そのようなジェットコースタにおける乗客の全走行は、最初に走行路を前向きに完全に走行し、次に直ちに同じ走行路を後ろ向きに走行することである。これは、一方においては、乗客の総乗車時間が2倍になり、加えて、乗客は、1つの同一の走行路上において前向き乗車と後ろ向き乗車という2つの異なる乗車体験が得られるという決定的な利点を有する。言うまでもなく、車両が最初に走行路を後ろ向きに周回し、次に前向きに周回することは本発明の範囲内である。
【0015】
本発明のさらなる一形態において、乗車エリアが、その側面の1つに、特に前面に、走行路の出口と入口の両方を有することが提供される。この場合、乗車エリアを比較的簡単に形成できるという利点がある。そのため、例えば、前面と、必要であれば2つの横面のみに、装飾要素を設ける必要がある。また、乗車エリアの背面は、例えば、他の建物に接続することができる。本発明によれば、従来のジェットコースタのように、乗車エリアを通過する必要がなくなる。これによって、娯楽用乗り物のための限られたスペースにおいても、最適な設計可能性が生じる。
【0016】
本発明のさらなる一形態として、乗車エリアの出口と入口とは、互いに高さ方向にオフセットされていることが提供される。その際、出口は、入口よりも高い位置に配置されることが好ましい。その際、出口は以下のように形成され得る。すなわち、出口は、出口の高さのみによって、娯楽用乗り物の費用のかかる加速装置を省略することができるように、又はそのような加速装置は、走行路の縮小された範囲のみに使用される必要があるように、形成され得る。出口と入口との間にこのような高さ方向のオフセットがある場合には、娯楽用乗り物の車両を下層、即ち入口から上層、即ち出口に持ち上げるために、昇降装置を設けることが有用である。
【0017】
出口と入口の高さ方向のオフセットの代わりに、又は高さ方向のオフセットに加えて、横方向のオフセットも実現することができる。この場合、出口と入口とは互いに隣り合って位置しており、昇降装置は不要である。ただし、この場合、車両は、出口において又はその後において、走行路の以後の走行のために加速されるようにしなければならない。これは、いわゆるLSM加速装置によって行うことができるが、乗車エリアから離れた後に、車両に、最初に高低差を乗り越えさせる装置によっても可能である。そのために、例えばチェーン駆動装置、又はギア駆動装置などが適している。
【0018】
車両の高さ方向のオフセット又は横方向のオフセットのための装置を使用する代わりに、乗車エリア内に、又は乗車エリアの領域内にポイントを設けることも可能である。そのポイントは、乗車エリアを出るときに、車両が最初に娯楽用乗り物の実際の走行路に到達できるようにする。走行路の終点においては、車両はポイントに到達し、出発したのと同じレール上において乗車エリアに戻る。この解決手段においては、走行の終了後に、車両が180度向きを変えて乗車エリアに位置し、更なる走行に使用できると、解される。
【0019】
車両は、乗車エリアの領域内において、走行路部、例えばレール部に結合されていることがさらに好都合である。車両が乗車エリアの領域内において高さ方向又は横方向に移動する際に、車両及び走行路部は、出発点又は実際の走行路にガイドされる。
【0020】
本発明の一実施形態においては、乗客が車両に乗り降りできるステーションが設けられている。このようなステーションは、乗車エリアから離れた場所に設けられてもよいが、その際、走行路部を介して乗車エリアに接続されなければならない。しかしながら、乗車エリア自体が乗客のためのステーションとして機能し、それに応じて乗降プラットフォームを伴って形成されることも可能である。
【0021】
以下、本発明を、いくつかの図面と関連して、実施例に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】昇降装置が配置された乗車エリアと、走行路上を移動可能な車両とを備えた娯楽用乗り物の一実施例を、第1の走行変形において示す図である。
図2図1の娯楽用乗り物を、第2の走行変形において示す図である。
図3】乗車エリアの領域内にポイントを備えた本発明による娯楽用乗り物の第2の実施例を、第1の走行変形において示す図である。
図4図3の娯楽用乗り物を、第2の走行変形において示す図である。
図5】乗車エリアにおいて車両を横方向に移動可能な、娯楽用乗り物の第3の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の図面において、特に明記しない限り、同一の参照符号は同一の意味を有する同一部品を示す。
図1は、遊園地に設置可能な娯楽用乗り物の一実施例を示す。この娯楽用乗り物は、参照符号1によって示され、1台以上の車両10を備え、その車両は、乗車エリア30から走行路20を経由して走行し、走行路20の終点において乗車エリア30に戻る。走行路20は、例えばジェットコースタとして実施され、様々な走行要素、例えば、ループ、急な下り又は上り、螺旋巻き、極度な急カーブ又は同様のものを有して形成されている。乗車エリア30は、乗客のためのステーションとすることができる。しかしながら、そのステーションは、図1に破線にて示すように、乗車エリア30から離れた位置に設けられ、走行路区間61を経由して乗車エリア30に接続することもできる。この場合に設けられるステーションは、図1において参照符号60によって示される。
【0024】
車両10は、乗車エリアをその前面31において離れ、本実施例においては適切な出口Cを利用する。車両10が乗車エリア30の出口Cを離れ、続いて走行路20を通過した後、車両10は入口Dを介して乗車エリア30に再び入る。このために、乗車エリア30の入口Dは、乗車エリア30の前面31に配置されている。乗車エリア30の入口Dは、乗車エリア30の出口Cとは、オフセットした高さに位置し、本実施例においては、明らかに出口Cの下方に位置する。図1においては、乗車エリア30における車両10の下方位置を参照符号Aによって示し、車両10がその出口Cを介して乗車エリア30から離れることができる上方位置を参照符号Bによって示す。
【0025】
乗車エリア30内に、又は乗車エリア30の領域内に配置された適切な昇降装置40によって、車両10は、その下方位置Aからその上方位置Bまで持ち上げることができる。
図1から認識できるように、このような配置の娯楽用乗り物1又はジェットコースタにおいては、車両10は、走行路20を終了した後、車両Cが乗車エリアを離れたときの上方位置Bと比較して、下方位置Aにおいては反対の方向を向いている。
【0026】
図1の表示においては、車両Cは、上方位置Bにおいて、走行路20に向かって前方を向いている。これは、車両10のフロント側11が、走行路20の方を向いていることを意味する。車両10のリア側12は、走行路20とは反対側を向いており、すなわち、図1に示された向き及び方向において、走行路20から離れる方向を向いている。車両10は、通常、乗客席、特に座席を有する。矢印30は、車両10内の乗客がその座席位置に応じて真正面を向いているときの視線方向を示している。図1において、参照符号22は、走行路20上の車両10の走行方向を示す。参照符号Xは、乗車エリア30の出口Cに間近における車両10の出発方向を示している。乗車エリア30の入口Dへの進入方向は、図1の参照符号Yによって示されている。図1に示すように、進入方向Yは、車両10が走行路20全体にわたって走行方向22を変えないにもかかわらず、出発方向Xと反対向きである。しかしながら、車両のためのルート20は、車両10が、先に出た方向とは反対の方向に乗車エリア30に入るように形成されている。従って、車両10に座っている乗客は、乗車エリア30に到着した後、先に乗車エリア30から出たときとは正反対の方向を向く。乗車エリア30の下方位置Aにある参照符号13は、このことを示している。
【0027】
車両10が乗車エリア30の上方位置Cから走行路20を走行し、乗車エリア30の入口Dに反対向きに進入した後、車両10の乗客は1周目の乗車を完了する。車両10が乗車エリア30の出口と比較して反対の向きに乗車エリア30に到着した後、昇降装置40は車両10をその上方位置Cに運ぶ。これを図2に示す。その後、車両10は2周目を開始する準備が整う。ただし、乗客は、そのとき、走行路20に対して後ろ向きに乗客席或いは座席に着座している。乗客は、この第2周目においては、第1周目とは全く異なる乗車体験をする。更に、走行路20を2回通過することによって、全体の走行時間が大幅に延び、それによって、この点においても乗客の乗車の楽しみが増加される。これまでのように、走行路20を2回通過する際に、乗客が同一の乗車体験をするという結果は、2周目においては乗客の向きが逆になることによって、回避される。
【0028】
図1及び図2に示すように、乗車エリア30内の車両10は、昇降装置40によって車両10と共に持ち上げられる走行路部27上に位置している。この走行路部27は、その走行路部27から出口C或いは入口Dの走行路20への、乗車エリア30内におけるスムーズな移行が保証されるように、形成されている。そのため、昇降装置40は、車両10のみではなく、この車両10に割り当てられている走行路部27をも持ち上げる。その走行路部は、好ましくは短いレール片として形成されている。
【0029】
乗車エリア30内のこの追加の軌道部27の作用態様は以下に示される。
車両10は、上方位置Cにおいて、この走行路部27上に位置し、この走行路部27は走行路20に直接、接続されている。そのため、車両10は、出口Cから乗車エリア30内の走行路部27を介して走行路20上に出て行くことができる。車両10がその上方位置Bから走行路20上に出発した後、走行路部27は、昇降装置40によってその下方位置Aに移動させられ、そこで走行路20の端部に連結される。これによって、車両は、走行路20を走り終えた後、乗車エリア30の入口Dに進入し、用意された走行路部27上を走行することができる。次の段階において、この走行路部27は、昇降装置40によって、進入した車両10とともに上方位置Bに戻される。
【0030】
図1及び図2に関連して、走行路20上を走行する単一の車両のみが示されているが、これに対して複数の車両を提供することもできる。そのために、乗車エリア30内には、第2の車両が待機する、例えば駐車エリア及び待機エリアが設けられる。
【0031】
図3及び図4に関連して、娯楽用乗り物の第2の実施例を示す。昇降装置40の代わりに、娯楽用乗り物1は、乗車エリア30内に、又は乗車エリア30の領域内に配置されたポイント又はポイントアセンブリ24を有している。乗車エリア30は、その前面31において、同時に入口としても使用される出口を有する。走行路部27は、乗車エリア30とポイント24との間に配置された経路部25と連結されている。車両は、乗車エリア30から出るときも、乗車エリア30に入るときも、この経路部25を走行する。
【0032】
車両10は、同様にフロント側11とリア側12とを有する。車両10内の乗客の視線方向は、同様に参照符号13によって示される。車両10は、乗車エリア30の出発の際に、乗車エリア30を離れ、まず経路部25上を走行し、次にポイント24上を走行する。このポイント24は、後続の走行、特にジェットコースタ走行のために十分なエネルギを得るために、車両10がまず上り坂を走行するように設定されている。このために、走行路20の牽引区間26がポイント24の後に続く。このために、例えば、歯車駆動装置、チェーン駆動装置などを設けることができる。また、本実施例において、電磁的な加速区間がポイント24の後に続くことも考えられる。
【0033】
車両10がポイント24を離れた後、ポイント24は図3に示す破線の位置に切り替えられる。それによって、車両10は、走行路20の終了後に、先に走行した経路部25を経由して乗車エリア30に戻ることができる。このとき、車両10は、乗車エリア30において、先の乗車エリア30における配置と比較して逆の向きの状態にある。
【0034】
これを図4に示す。このとき、車両10は2周目の走行準備が整い、そのため車両10は再度、しかしながら逆向きに、走行路20を走行できる。
図5は、娯楽用乗り物1の第3の実施例を示す。走行路20は、乗車エリア30の出口Cの領域と入口Dの領域とにおいてのみ、抜粋して示されている。図1及び図2の実施例において設けられた昇降装置の代わりに、乗車エリア30は押動装置50を有しており、その押動装置は、車両10を、及び、好適には、割り当てられた走行路部27も横方向に押し動かすことができる。この横方向の押動は、車両10が出口Cにおいて走行路部27と共に走行路20に連結され、車両10が出口Cを経由して走行路20上を走行することができるように行われる。出発方向は、同様に参照符号Xによって示される。本実施例においては、車両10には2つの座席14が設けられている。車両10が乗車エリア30の出口Cを離れた後、車両10は走行路20上の走行を終了し、再び入口Dにおいて乗車エリア30に到着する。進入方向Yは乗車エリア30に向かう方向であり、一方、出発方向Xは乗車エリア30から離れる方向である。従って、車両10は反対の向きにおいて乗車エリア30に到着する。そこに到着すると、走行路20を再度、ただし反対の向きに、例えば後ろ向きに走行するために、出口位置に戻るように、車両10は、押動装置50によって横方向に押し動かされる。車両10を入口位置から出口位置へ押し動かすために、押動装置50は車両10を必要な方法によって押動する。このために、車両10は有利にはプラットフォーム32上に位置する。このプラットフォーム32上には、出口Cの領域、或いは入口Dの領域において走行路20に連結する走行路部27も存在し得る。また、この実施例においては、2回の走行路20の周回の際に、車両10の乗客は、走行路20を1回は前向きに、及び1回は後ろ向きに周回することを保証される。
【符号の説明】
【0035】
1 娯楽用乗り物
10 車両
11 フロント側
12 リア側
13 視線方向
14 座席
20 走行路
22 走行方向
24 ポイント
25 経路部
26 牽引区間
27 走行路部
28 レール部
30 乗車エリア
31 前面
32 押動プラットフォーム
40 昇降装置
50 押動装置
60 ステーション
61 走行路区間
A 下方位置
B 上方位置
C 出口
D 入口
X 出発方向
Y 進入方向
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-01-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊園地の娯楽用乗り物(1)、特にジェットコースタであって、少なくとも1台の車両(10)を備え、その車両は、乗車エリア(30)の出口(C)から、出発方向(X)において走行路(20)に沿って第1の向き(例えば「前向き」)に移動可能であり、前記車両(10)は、走行後に、進入方向(Y)において入口(D)を経由してその乗車エリア内に戻る、遊園地の娯楽用乗り物において、
後続の走行の際に、前記走行路(20)を前記第1の向き(例えば「前向き」)とは反対の向き(例えば、「後ろ向き」)に走行するために、前記車両(10)がその走行方向を維持しつつ、先の出発方向(X)とは反対の向きである進入方向(Y)において前記乗車エリア(30)の前記入口(D)に進入するように、前記乗車エリア(30)及び前記走行路(20)は形成されていることを特徴とする、遊園地の娯楽用乗り物(1)。
【請求項2】
前記乗車エリア(30)は、前記走行路(20)のための出口(C)と入口(D)の両方を前面(31)に有することを特徴とする、請求項1に記載の遊園地の娯楽用乗り物。
【請求項3】
前記出口(C)と前記入口(D)とは、互いに高さ方向にオフセットされていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遊園地の娯楽用乗り物。
【請求項4】
前記出口(C)と前記入口(D)とは、互いに横方向にオフセットされていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遊園地の娯楽用乗り物。
【請求項5】
前記乗車エリア(30)は昇降装置(40)を有し、その昇降装置によって、前記車両(10)は、前記出口(C)を経由して前記乗車エリア(30)を離れるために、下方位置(A)から上方位置(B)に移動可能であり、
前記車両(10)は、前記走行路(20)を経由した走行後に、前記下方位置(A)において、前記乗車エリア(30)の前記入口(D)に進入可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遊園地の娯楽用乗り物。
【請求項6】
前記走行路(20)は、前記乗車エリア(30)の領域内に、ポイント(24)と、経路部(25)とを有し、その経路部は、前記乗車エリア(30)から出る際、及び前記乗車エリア(30)に入る際の両方において車両走行可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遊園地の娯楽用乗り物。
【請求項7】
前記車両(10)は、前記乗車エリア(30)の領域内において走行路部(27)に結合されており、前記乗車エリア(30)の領域内において高さ方向及び/又は横方向への移動の際に前記走行路部(27)と共に移動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の遊園地の娯楽用乗り物。
【請求項8】
前記走行路(20)は、少なくとも部分的にレール路として形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遊園地の娯楽用乗り物。
【請求項9】
前記乗車エリア(30)は、乗客が前記車両(10)に乗車できるステーションであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遊園地の娯楽用乗り物。
【国際調査報告】