(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】触媒反応器及び触媒反応を提供するための方法
(51)【国際特許分類】
B01J 8/02 20060101AFI20240621BHJP
B01J 35/57 20240101ALI20240621BHJP
【FI】
B01J8/02 Z
B01J35/57 301B
B01J35/57 301D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520831
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-31
(86)【国際出願番号】 SE2022050565
(87)【国際公開番号】W WO2022265560
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523470153
【氏名又は名称】カタトール アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァーサンド フレドリク
【テーマコード(参考)】
4G070
4G169
【Fターム(参考)】
4G070AA01
4G070AB03
4G070BB05
4G070CA15
4G070CB17
4G070CB25
4G169AA01
4G169AA11
4G169BA13A
4G169BA17
4G169BC69A
4G169CD01
4G169DA06
4G169EA12
4G169EB15X
(57)【要約】
中心軸(A)及び触媒活性シート(10)のスタックを備える触媒反応器(22)が開示される。前記触媒活性シート(10)は、軸方向に積層される。前記触媒活性シート(10)のそれぞれは、中央開口部(17)を備え、前記触媒活性シート(10)の少なくともいくつかは、前記中央開口部(17)の周囲に少なくとも部分的に配置された軸方向延在フランジ(18)を備え、1つの触媒活性シート(10)の前記フランジ(18)は、隣接する触媒活性シート(10)の前記中央開口部(17)内に延在する。触媒反応を提供する方法も開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸(A)及び触媒活性シート(10)のスタックを備える触媒反応器(22)であって、前記触媒活性シート(10)が軸方向に積層され、前記触媒活性シート(10)のそれぞれは、中央開口部(17)を備え、前記触媒活性シート(10)の少なくともいくつかは、前記中央開口部(17)の周囲に少なくとも部分的に配置された軸方向延在フランジ(18)を備え、1つの触媒活性シート(10)の前記フランジ(18)は、隣接する触媒活性シート(10)の前記中央開口部(17)内に延在することを特徴とする、触媒反応器。
【請求項2】
前記触媒活性シート(10)のそれぞれは、前記中央開口部(17)から径方向に延在する径方向延在部分(19)を含む、請求項1に記載の触媒反応器。
【請求項3】
1つの触媒活性シート(10)の前記径方向延在部分(19)は、隣接する触媒活性シート(10)の前記径方向延在部分(19)と間隙を有して配置される、請求項2に記載の触媒反応器。
【請求項4】
前記径方向延在部分(19)は、平坦である、請求項2又は3に記載の触媒反応器。
【請求項5】
前記径方向延在部分(19)は、前記中央開口部(17)から前記触媒活性シート(10)の周囲まで延在する、請求項2~4のいずれか一項に記載の触媒反応器。
【請求項6】
前記フランジ(18)は、その自由端に向かって先細になっている、請求項1~5のいずれか一項に記載の触媒反応器。
【請求項7】
前記フランジ(18)は、前記中央開口部(17)全体の周囲に連続的に延在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の触媒反応器。
【請求項8】
フランジ(18)には、貫通孔(20)が設けられる、請求項1~7のいずれか一項に記載の触媒反応器。
【請求項9】
径方向延在部分(19)には、前記中央開口部(17)の周囲に分布する貫通アパーチャ(21)が設けられる、請求項1~8のいずれか一項に記載の触媒反応器。
【請求項10】
前記触媒活性シート(10)は、メッシュである、請求項1~9のいずれか一項に記載の触媒反応器。
【請求項11】
前記触媒活性シート(10)は、プレート材料からなる、請求項1~10のいずれか一項に記載の触媒反応器。
【請求項12】
前記触媒活性シート(10)のそれぞれは、基板(11)と、前記基板(11)に接着されたセラミック層(14)とを備え、前記セラミック層(14)には、触媒活性材料(16)が提供された細孔(15)が形成される、請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒反応器。
【請求項13】
前記触媒活性シート(10)は、第一の材料(12)と、前記第一の材料よりも高い融点を有する第二の材料の粒子(13)とを含み、前記セラミック層(14)は、前記第一の材料(12)、及び前記第一の材料(12)内に部分的に埋め込まれ、前記セラミック層(14)内に突出する前記第二の材料の粒子(13)を介して前記基板(11)に接着される、請求項12に記載の触媒反応器。
【請求項14】
第一の反応物質のための入口(24)と、第二の反応物質のための少なくとも1つの入口(25)と、少なくとも1つの出口(26)とを有する反応容器(23)を備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の触媒反応器であって、触媒活性シート(10)の前記スタックは、前記反応容器(23)の内側に配置され、前記第一の反応物質のための前記入口(24)は、前記スタックの一端に配置され、前記触媒活性シート(10)の前記中央開口部(17)と位置合わせされ、少なくとも前記中央開口部(17)は、前記スタックの反対側の端部で塞がれる、触媒反応器。
【請求項15】
前記第二の反応物質のための前記入口(25)は、前記第一の反応物質のための前記入口(24)の径方向外側に配置される、請求項18に記載の触媒反応器。
【請求項16】
触媒反応を提供する方法であって、
a)第一の反応物質を軸方向に触媒活性シートのスタックのうちの1つの触媒活性シート(10)の中央開口部(17)内に供給するステップと、
b)前記第一の反応物質のいくつかを、前記開口部(17)のいくつかの周囲に少なくとも部分的に配置され、隣接する触媒活性シート(10)の前記中央開口部(17)内に前記軸方向に延在する軸方向延在フランジ(18)を通して案内するステップと、
c)前記第一の反応物質のいくつかを、前記フランジ(18)から径方向外向きに案内し、第二の反応物質と接触させて前記触媒反応を提供するステップと、
を含む、触媒反応を提供する方法。
【請求項17】
前記第二の反応物質を、前記中央開口部(17)の径方向外側の位置で、前記軸方向に触媒活性シート(10)の前記スタック内に供給するステップをさらに含む、請求項16に記載の触媒反応を提供する方法。
【請求項18】
前記第一の反応物質を、反応容器(23)内に、前記第一の反応物質のための入口(24)を通して、触媒活性シート(10)の前記スタックの一方の端部に、その前記中央開口部(17)と位置合わせした位置で供給するステップと、前記スタックの反対側の端部において少なくとも前記中央開口部(17)を塞ぐことによって前記第一の反応物質を径方向に案内するステップとをさらに含む、請求項17に記載の触媒反応を提供する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒反応器及び触媒反応を提供するための方法に関する。より具体的には、本発明は、触媒活性シートのスタックを含む触媒反応器に関する。触媒反応器は、燃焼、触媒部分酸化、触媒改質、自己熱改質、水素化、選択的酸化等を含む様々なタイプの化学反応に使用される。例えば、このタイプの触媒反応器は、天然ガス、プロパン、ブチレン又は同様のガス、あるいは異なるタイプのガス燃料の混合物等のガス燃料の燃焼に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
複数の異なるタイプの触媒反応器が従来技術において知られている。触媒反応器の1つのタイプは、特許文献1に開示されている。特許文献1は、触媒反応器について記載し、反応されるガスは、直列に配置された触媒活性ネットを通って導かれる。
【0003】
従来技術による触媒反応器及び触媒反応を提供するための方法の1つの問題は、それらが非効率的なことである。
【0004】
そのような従来技術の触媒反応器及び方法の別の問題は、柔軟性を欠き、異なる用途及びプロセスパラメータに従って寸法決めするのが困難なことである。
【0005】
そのような従来技術の触媒反応器及び方法の別の問題は、触媒活性材料を効率的に使用しないので、膨大な量のそのような触媒活性材料を必要とすることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術の触媒反応器及び触媒反応を提供するための方法の問題の1つ以上を克服するか又は少なくとも軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、中心軸と触媒活性シートのスタックとを備える触媒反応器に関し、触媒活性シートが軸方向に積層され、前記触媒活性シートのそれぞれは、中央開口部を備え、前記触媒活性シートの少なくともいくつかは、前記中央開口部の周囲に少なくとも部分的に配置された軸方向延在フランジを備え、1つの触媒活性シートの前記フランジは、隣接する触媒活性シートの前記中央開口部内に延在することを特徴とする。中央開口部と触媒活性シートのフランジとを組み合わせることによって、第一の反応物質をスタックに沿って軸方向に案内するとともに、第一の反応物質を触媒活性シートに沿って径方向に分配して第二の反応物質と反応させることが可能になり、この第二の反応物質は、例えば、中央開口部の径方向外側の位置で軸方向に導かれる。したがって、本発明によって、第一の反応物質の濃度が中央開口部に近いほど高く、径方向の外側に向かうほど低くなる効率的な反応器が得られる。このようにして、反応器は、柔軟であり、異なるタイプの反応に使用することができ、異なるプロセスパラメータに適合させることができる。例えば、触媒反応器は、燃焼、触媒部分酸化、触媒改質、自己熱改質、水素化、選択的酸化等のために使用することができる。反応器の構造によって、触媒活性シート中の触媒活性材料を効率的に使用することができる。例えば、第一の反応物質は、例えば、バイオ燃料の形態のガス燃料の混合物等の燃料であってもよく、第二の反応物質は、空気又は酸素であってもよく、そのような燃料の混合物の燃焼のための効率的な反応器が達成される。
【0009】
触媒活性シートのそれぞれは、中央開口部から径方向に延在する径方向延在部分を含むことができる。1つの触媒活性シートの径方向延在部分は、隣接する触媒活性シートの径方向延在部分に対して間隙を有して配置されてもよい。したがって、第一の反応物質は、触媒活性シートの径方向延在部分に沿って第二の反応物質との効率的な反応のために間隙に分配することができる。
【0010】
フランジは、その自由端に向かって先細になっていてもよく、触媒活性シートは、効率的な方法で積層することができ、例えば、隣接する触媒活性シートの径方向延在部分の間に間隙を設けることができる。
【0011】
触媒活性シートは、ワイヤメッシュ、穿孔プレート材料、エキスパンドメタル等のメッシュ構造に配置されてもよく、第一の反応物質は、協働するフランジによってスタックを通って軸方向に案内することができ、一方、第一の反応物質のいくらかは、メッシュ構造の開口部によってバランスよく径方向にフランジを通って案内される。フランジ及び径方向延在部分は、メッシュ構造に形成されてもよい。したがって、第二の反応物質は、軸方向にスタックの径方向延在部分を通して効率的に導くことができる。例えば、触媒活性シート全体がメッシュ構造に形成される。
【0012】
あるいは、触媒活性シートは、板金等のプレート材料で形成されてもよく、フランジには穴が設けられてもよく、及び/又は径方向延在部分には、中央開口部の周囲に分布する貫通アパーチャが設けられてもよい。したがって、第一の反応物質は、協働するフランジによってスタックを通って軸方向に案内することができ、一方、第一の反応物質のいくらかは、フランジの穴によってバランスよく径方向にフランジを通って案内される。第二の反応物質は、径方向延在部分に沿って径方向外向きに間隙内に案内される第一の反応物質と反応するように、アパーチャによって軸方向にスタックの径方向延在部分を通して効率的に導くことができる。
【0013】
触媒活性シートのスタック、又は少なくとも中央開口部は、一端で塞がれてもよい。第一の反応物質が導入される端部の反対側の端部において、中央開口部又はスタックを塞ぐことによって、スタック内の第一の反応物質が効率的に分布する。第一の反応物質は、協働するフランジによって軸方向にスタックを通って案内され、端部を塞ぐことによって、第一の反応物質は、径方向に押しやられる。
【0014】
触媒活性シートは、基板と、基板に接着されたセラミック層とを備えてもよく、セラミック層には、触媒活性材料が提供された細孔が形成されている。触媒活性シートは、また、第一の材料と、第一の材料よりも高い融点を有する第二の材料の粒子とを含んでもよく、セラミック層は、第一の材料及び第一の材料内に部分的に埋め込まれ、セラミック層内に突出する第二の材料の粒子を介して基板に接着される。このようにして、セラミック層は、触媒活性材料を有する細孔構造で形成される。
【0015】
触媒反応器は、第一の反応物質のための入口と、第二の反応物質のための少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの出口とを有する反応容器を含んでもよく、触媒活性シートのスタックは、反応容器内に配置され、第一の反応物質の入口は、スタックの一端に配置され、触媒活性シートの中央開口部と位置合わせされ、少なくとも中央開口部は、スタックの反対側の端部で塞がれる。
【0016】
本発明は、触媒反応を提供する方法にも関し、前記方法は、
a)第一の反応物質を軸方向に触媒活性シートのスタックのうちの1つの触媒活性シートの中央開口部内に供給するステップと、
b)前記第一の反応物質のいくつかを、前記開口部のいくつかの周囲に少なくとも部分的に配置され、隣接する触媒活性シートの前記中央開口部内に軸方向に延在する軸方向延在フランジを通して案内するステップと、
c)前記第一の反応物質のいくつかを、前記フランジから径方向外向きに案内し、第二の反応物質と接触させて前記触媒反応を提供するステップと、
を含む。
【0017】
触媒活性シートを製造する方法も開示され、前記方法は、
a)基板を提供するステップと、
b)第一の材料及び第二の材料の粒子を前記基板上に堆積させるステップであって、前記第二の材料の前記粒子は、前記第一の材料よりも高い融点を有する、ステップと、
c)前記第一の材料及び前記粒子を有する前記基板を、前記第一の材料を溶融させ、前記第二の材料の前記粒子を溶融させない温度まで加熱することによって、前記第一の材料及び前記粒子を前記基板に接着させるステップであって、前記粒子は、前記第一の材料に部分的に埋め込まれ、粗面を形成する、ステップと、
d)前記粗面上にセラミック材料を堆積させて、その上にセラミック層を形成するステップと、
e)触媒活性材料を前記セラミック層に添加するステップと、
を含む。
【0018】
触媒活性シートの製造方法によって、触媒活性シートを容易で効率的に製造できるようになる。この製造方法によって、溶射プロセスを経ることなく触媒活性シートを製造することができる。第一の材料と粒子とを組み合わせることによって、触媒活性シートを製造するための基板へのセラミック層の安全で信頼性のある効率的な固定が可能になる。
【0019】
方法は、第一の材料及び/又は第二の材料の粒子を1つ以上の懸濁液として提供するステップを含むことができ、任意選択で、両方を組み合わせて懸濁液として提供する。したがって、第一の材料及び/又は第二の材料は、噴霧又は他のコーティングプロセス等によって、効率的な方法で基板上に堆積させることができ、懸濁液は、室温等の任意の適切な温度で堆積させることができる。したがって、第一の材料は、最初に溶融することなく基板上に堆積させることができる。次いで、方法は、第一の材料及び第二の材料の粒子をその上に有する基板を、真空炉等の炉内で、あるいは還元ガス又は不活性ガスを用いて加熱するステップを、第一の材料のみを溶融させ、粒子を第一の材料に固定しながら第一の材料を基板に接着させるために、含むことができる。したがって、第一の材料及び粒子は、効率的で確実な方法で製造することができ、セラミック層のその後の固定のための付着層を効率的に形成する。
【0020】
第一の材料を溶融させることによって基板に固定した後に、方法は、セラミック材料を懸濁液として提供し、懸濁液を、粒子を含む第一の材料上に、例えば噴霧によって、堆積させることによってセラミック層を堆積させるステップを含むことができる。したがって、セラミック材料は、容易な方法で形成され、第一の材料から突出する粒子を部分的に取り囲んで、例えば、乾燥及び焼成によってセラミック層を基板に機械的に確実に固定する。
【0021】
本発明の更なる特徴及び利点は、以下の実施形態の説明、添付の図面及び従属請求項から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
例として、本発明の実施形態を以下で添付の図面を参照して説明する。
【0023】
【
図1】本発明による触媒活性シートの一部の拡大概略断面図である。
【
図2】第一の実施形態による
図1の触媒活性シートを製造する方法の一連の概略断面図である。
【
図3】第一の実施形態による
図1の触媒活性シートを製造する方法の一連の概略断面図である。
【
図4】第一の実施形態による
図1の触媒活性シートを製造する方法の一連の概略断面図である。
【
図5】第一の実施形態による
図1の触媒活性シートを製造する方法の一連の概略断面図である。
【
図6】第一の実施形態による
図1の触媒活性シートを製造する方法の一連の概略断面図である。
【
図7】第二の実施形態による
図1の触媒活性シートを製造する方法の一連の概略断面図である。
【
図8】第二の実施形態による
図1の触媒活性シートを製造する方法の一連の概略断面図である。
【
図9】第二の実施形態による
図1の触媒活性シートを製造する方法の一連の概略断面図である。
【
図10】第二の実施形態による
図1の触媒活性シートを製造する方法の一連の概略断面図である。
【
図11】第二の実施形態による
図1の触媒活性シートを製造する方法の一連の概略断面図である。
【
図12】一実施形態による触媒活性シートの概略図であり、触媒活性シートは、フランジを備えて配置され、メッシュの形態で配置される。
【
図14】
図12の触媒活性シートのスタックの概略側面図である。
【
図15】別の実施形態による触媒活性シートの概略図であり、触媒活性シートは、アパーチャを有し、フランジに孔を有するプレートの形態である。
【
図17】
図15の触媒活性シートのスタックの概略側面図である。
【
図18】本発明の第一の実施形態による触媒反応器の概略断面図である。
【
図19】
図18による触媒反応器の概略断面図であり、触媒反応器内の反応物及び生成物の流れを示す。
【
図20】本発明の第二の実施形態による触媒反応器の概略断面図である。
【
図21】
図20による触媒反応器の概略断面図であり、触媒反応器内の反応物及び生成物の流れを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に関して、本発明による触媒活性シート10が概略的に示されている。触媒活性シート10は、化学反応を促進するために使用されるように構成される。例えば、触媒活性シート10は、燃焼、精製、触媒改質等のために配置される。例えば、触媒活性シート10は、一酸化炭素及び/又はVOC及びPAH等の炭化水素に関して煙道ガスを精製するように配置される。例えば、触媒活性シート10は、反応器の一部であり、化学反応のための反応容器に配置されてもよく、このことについては、以下に記載される。例えば、触媒活性シート10は、例えば、加熱目的で、天然ガス、プロパン、ブチレン若しくは同様のガス又は異なる燃料の混合物等のガス燃料の燃焼のための反応器に含まれる。
【0025】
触媒活性シート10は、基板11と、第一の材料12と、第二の材料の粒子13と、細孔15を有するセラミック材料を含むセラミック層14と、触媒活性材料16とを含む。第一の材料12及び粒子13は、基板11上に付着層を形成する。例えば、第一の材料12は、基板11の上に直接配置され、粒子13は、第一の材料12内に部分的に埋め込まれ、その表面から突出する。セラミック層14は、第一の材料12及び粒子13によって形成される付着層の上部に配置され、セラミック層14は、粒子13に係合する。したがって、第一の材料12及び粒子13によって形成される付着層は、基板11とセラミック層14との間に配置される。
【0026】
一実施形態によれば、触媒活性シート10は、メッシュ構造として、すなわち複数の貫通孔を有するメッシュ構造として形成される。例えば、基板11は、ワイヤメッシュ、グリッド等として形成される。あるいは、基板11、したがって触媒活性シート10も、孔が設けられたプレートシートとして形成され、これについては、以下でより詳細に説明される。例えば、基板11は、金属又は合金であるか、あるいは金属又は合金を含む。一実施形態によれば、基板は、ステンレス鋼等の鋼、アルミニウム又は銅から作られる。あるいは、基板11は、比較的高い温度に耐えることができるポリテトラフルオロエチレン又は同様のポリマー等のポリマー材料、あるいは複合材料から作られる。一般に、基板11は、少なくとも350℃の温度に耐えることができるべきである。場合によっては、少なくとも500℃、少なくとも700℃又は少なくとも900℃等のこのレベルをはるかに上回る温度に耐えることができるべきである。
【0027】
基礎構造を形成する基板11の上に、第一の材料12が配置される。基板11、又はその少なくとも部分もしくは側面は、第一の材料12でコーティングされる。図示した実施形態では、基板11の上面は、第一の材料12でコーティングされている。あるいは、基板11の両側若しくは全面又は全体は、第一の材料12でコーティングされる。例えば、第一の材料12は、金属又は合金である。例えば、第一の材料12は、Al又は比較的低い融点を有する同様の金属である。あるいは、第一の材料12は、Ni、Cu、Fe及び/又は鋼等の金属と融点降下剤とを含む合金である。
【0028】
粒子13は、第一の材料12に部分的に埋め込まれ、基板11から離れる方向に少なくとも部分的に突出している。粒子13は、第一の材料12よりも高い融点を有する第二の材料から作製されるか、又はそれを含む。例えば、第二の材料の粒子13の固相線温度は、第一の材料12の液相線温度よりも高い。例えば、第二の材料の粒子13は、金属粉末、セラミック粉末、又はこれらの混合物を含む。粒子13は、異なる形状及びサイズを有してもよい。粒子13は、セラミック層14の接着に役立つ表面粗さを加えるために、第一の材料12の中又は上に提供される。例えば、粒子13は、少なくとも10μm、又は少なくとも20μm、例えば20~100μmの粒径を有する。例えば、第二の材料は、少なくとも30%の多孔度を有する。
【0029】
セラミック層14は、第一の材料12及び粒子13によって形成される付着層上に提供され、粒子13によってそれに固定される。したがって、粒子13は、第一の材料12に部分的に埋め込まれ、セラミック層14に部分的に埋め込まれて、セラミック層14を基板11に機械的に固定する。したがって、セラミック層14は、第一の材料12及びそこから突出する粒子13の上に配置される。セラミック層14は、アルミナ、ジルコニア、二酸化チタン、シリカ、炭化タングステン、窒化ケイ素若しくは同様のセラミック、又はこれらの混合物を含んでもよい。セラミック層14には、細孔15が形成されることで、その中に触媒活性材料16を堆積させるための表面積が拡大する。したがって、セラミック層14には、触媒活性材料16が提供され、触媒活性材料16は、その細孔15内に配置される。例えば、触媒活性材料16は、貴金属、遷移金属又はこれらの混合物若しくは酸化物である。例えば、触媒活性材料16は、パラジウムである。
【0030】
図2~
図6も参照すると、触媒活性シート10を製造する方法が、第一の実施形態に従って一連の図によって概略的に示されている。基板11は、上述されており、
図2に概略的に示されている。基板11は、例えば、噴霧プロセスによって第一の材料12でコーティングされる。第一の材料12を有する基板11が
図3に示されており、第一の材料12は、基板11上の層として提供される。一実施形態によれば、第一の材料12は、懸濁液として提供され、第一の材料12は、水等の液体中に分散された粒子として提供される。例えば、基板11は、噴霧プロセスによって第一の材料12でコーティングされ、第一の材料12は、例えば、室温で基板11上に噴霧される。したがって、第一の材料12は加熱されず、高温では噴霧されない。あるいは、第一の材料12は、塗装、浸漬等の別のコーティングプロセスによって基板11上に塗布される。あるいは、第一の材料12は、ペーストとして提供され、ペーストは、基板11の表面に広がることによって基板11上に塗布される。第一の材料を基板上に塗布した後、第一の材料12を有する基板11は、任意選択で、例えば、オーブン中での熱処理によって乾燥される。
【0031】
基板11を第一の材料12でコーティングした後、第二の材料を含む粒子13が第一の材料12上に提供され、これは、
図4に示されている。例えば、粒子13は、スラリーとも呼ばれる懸濁液として提供され、粒子13は、水等の液体中に懸濁される。粒子13の懸濁液は、基板11によって担持される第一の材料12上に塗布される。例えば、粒子13は、噴霧プロセスによって第一の材料12上に塗布され、粒子13を含む懸濁液は、第一の材料12上に噴霧される。したがって、粒子13は、室温で第一の材料12上に噴霧されてもよい。粒子13を第一の材料12上に塗布した後、第一の材料12及び粒子13を担持する基板11を、例えばオーブン内で乾燥させてもよい。次いで、第一の材料12及び粒子13を有する基板11を、例えば、炉内で、第一の材料12を溶融させ、第二の材料の粒子13を溶融させない温度まで熱処理する。基板11も溶融されない。したがって、第一の材料12は、粒子13を第一の材料12に固定しながら溶融することによって基板11に固定される。粒子13は、第一の材料12に機械的に固定され、粒子13は、第一の材料12の溶融後に第一の材料12に部分的に埋め込まれる。第一の材料12は、また、その表面の粗さの中へと融解することによって、基板に機械的に接着される。第一の材料12に部分的に埋め込まれ、そこから突出する粒子13が
図4に示されている。例えば、第一の材料12を溶融させるための熱処理は、真空炉内で真空下にて実施される。あるいは、第一の材料12を溶融させるための熱処理は、炉内で還元ガス又は不活性ガスを用いて実施される。
【0032】
次いで、第一の材料12及び粒子13を担持する基板11は、
図5に示されるセラミック層14を備え、セラミック層14は、粒子13及び第一の材料12の上に設けられ、その結果、第一の材料12は、セラミック層14と基板11との間に配置される。例えば、セラミック層14は、水性懸濁液の形態等のスラリーとして付着層12上に堆積される。また、セラミック層14は、セラミック材料に多孔質構造を形成するために設けられる細孔形成剤を含んでもよい。典型的には、セラミック層の厚さは、0.1~0.8mmの範囲、好ましくは0.2~0.5mmの範囲である。セラミック層14は、細孔15によって表面が拡大され、細孔は、
図6に示す触媒活性材料16を保持するように構成される。
【0033】
セラミック層14は、以下のプロセス、すなわち、1)沈殿による二次表面積拡大と共に直接噴霧すること、又は2)セラミック粉末の同時堆積を伴って噴霧すること、あるいは方法1)と2)との組み合わせ、続いて、含浸プロセスを通して触媒活性材料16でコーティングすることによって製造されてもよい。あるいは、細孔形成剤は、熱処理によって燃焼され得る可燃性材料であってもよい。任意選択で、細孔形成剤は、細孔形成ポリマー材料であってもよい。あるいは、セラミック層14は、比表面積の高い粒子を含むセラミック粉末である。例えば、細孔15は、従来の方法でセラミック層14に形成される。
【0034】
セラミック層14の細孔15は、触媒活性材料16を担持するように構成される。例えば、細孔15は、円筒形状であってもよい。このようにして、精製される化学物質は、触媒活性シート10の触媒活性材料16に容易に到達することができる。触媒活性材料16は、例えば、従来の含浸プロセスによってセラミック層の細孔15内に堆積させてもよい。含浸中、セラミック層14の細孔15の構造は、例えば、触媒活性材料16を含有する溶液で飽和される。触媒活性材料16は、貴金属、遷移金属、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0035】
図7~
図11を参照して、本発明の代替実施形態を説明するが、ここでは、基板11が第一の材料と第二の材料の粒子13との混合物でコーティングされている。第一の材料12と粒子13との混合物を有する基板11が、
図7に示されている。例えば、第一の材料12も粒子として提供され、第一の材料12及び第二の材料の粒子13はスラリー中の混合物として提供される。第一の材料12及び第二の材料の粒子13の両方を含むスラリーは、例えば、噴霧によって、上述のように、基板11上に塗布される。したがって、スラリーは、室温で噴霧することによって基板上に提供されてもよい。次いで、スラリーを含む基板11を任意選択で乾燥させる。第一の材料12と粒子13との混合物で基板11をコーティングした後、加熱して第一の材料12を溶融させるが、基板11又は第二の材料は溶融させず、
図8に示すように、粒子13は、第一の材料12に接着し、第一の材料12は、基板11に接着する。したがって、粒子13は、第一の材料12に部分的に埋め込まれ、基板11から離れる方向に、それから突出し、上述のようにセラミック層14を固定するための粗い外面を得る。次いで、スラリーとして提供され得るセラミック層14が、
図9に示すように、第一の材料12及び粒子13上に堆積される。例えば、セラミック層は、前述のように、噴霧によって堆積されてもよい。次に、
図10に示すように、セラミック層14に表面積拡大処理を施して細孔15を形成してもよい。例えば、セラミック層14は、細孔形成剤を含む。最後に、触媒活性材料16は、例えば、含浸によって堆積される。触媒活性材料16は、セラミック層14の表面及びその細孔15の内部に堆積されてもよい。
【0036】
粒子は、その後に配置されるセラミック層14の接着に役立つ表面粗さを加えるために、第一の材料12中に提供される。言い換えれば、第一の材料12に粗い粒子を提供することにより、セラミック材料14の基板11への接着を改善させるための表面積拡大を実現することができる。加熱されると、第一の材料12が基板11に融着し、含有粒子13が露出する。粒子13を露出させることによって、セラミック層14を基板11に固定することができる。これは、粒子13によって提供される表面積の拡大と粗さに起因するものである。
【0037】
図12及び
図13を参照すると、本発明の一実施形態による触媒活性シート10が、概略的に示されており、
図14は、そのような触媒活性シート10のスタックを示している。
図14は、4つの同一の触媒活性シート10を示しているが、スタックは、任意の好適な数の触媒活性シート10を含んでもよく、同一である必要はない。例えば、触媒活性シート10は、少なくとも基板11及び触媒活性材料16を備えて配置され、任意選択でセラミック層14、第一の材料12及び第二の材料13のうちの1つ以上を備える。例えば、触媒活性シート10は、
図1を参照して上述したように配置される。
【0038】
触媒活性シート10は、軸Aと、貫通中央開口部17と、前記中央開口部17の周りに少なくとも部分的に配置され、少なくとも部分的に軸方向に延在する中央フランジ18と、径方向延在部分19とを有するように配置される。図示の実施形態では、中央開口部17は、円形である。あるいは、中央開口部17は、楕円形若しくは長方形であるか、又は別の適切な形状で形成される。図示の実施形態では、フランジ18は連続的であり、中央開口部17の全周を囲む。あるいは、フランジ18は、中央開口部17の周囲に分布する2つ以上のタブとして中断又は配置される。
【0039】
特に
図13及び
図14を参照すると、フランジ18は、軸方向に延びており、径方向延在部分19は、フランジ18の基部から径方向に延びている。例えば、フランジ18の基部は、径方向延在部分19に接続され、自由端で終端する。例えば、フランジ18の基部及び/又は自由端は、例えば、円形断面を有する環状であるが、フランジ18又は少なくともその基部は、中央開口部17の他の形状に対応する形状を有してもよい。フランジ18の少なくとも一部分は、
図14に示すように、隣接する触媒活性シート10のフランジ18に挿入することができる。例えば、フランジ18は、その自由端に向かって先細になっており、フランジ18の自由端は、隣接する触媒活性シートのフランジ18の基部に挿入することができる。したがって、フランジ18の基部の直径又は断面積は、その自由端におけるものよりも大きい。例えば、フランジ18は、円錐形、より具体的には円錐台形である。
【0040】
図示の実施形態では、径方向延在部分19は、フランジ18の基部から径方向に延在している。例えば、径方向延在部分19は、中央開口部17を有するシート又はシート部分である。例えば、径方向延在部分19は、触媒活性シート10の中央開口部17から周縁部まで延在し、自由端であり、径方向延在部分19の外周も自由外周を形成し、触媒活性シート10がない。図示の実施形態では、径方向延在部分19は平坦であり、径方向にのみ延在し、その長さ全体にわたって軸Aから垂直である。あるいは、径方向延在部分19は、径方向に部分的に延在し、軸Aに対して傾斜しており、径方向延在部分19は、中央開口部17に向かって先細になっている。あるいは、径方向延在部分19は、くぼみ、波形、又は同様のもの等、様々な構造で形成され、任意選択で、隣接する触媒活性シート10の同様の形状に随意に適合する。したがって、触媒活性シート10は、積層可能である。例えば、触媒活性シート10は、
図14に示すように、フランジ18が積層時に互いに接触し、径方向延在部分19が互いに隙間を空けて配置されるように形成される。例えば、触媒活性シート10を積層し、その後、一緒に圧着する。
図12~14の実施形態では、触媒活性シート10は、ワイヤメッシュ、ネット又はグリッド構造、穿孔シート又はエキスパンドメタルシート等のメッシュ構造で配置される。例えば、メッシュ開口部は、2mm以下、例えば、0.1~2mmである。
【0041】
図示の実施形態では、スタック内の全ての触媒活性シート10は、フランジ18と共に配置される。あるいは、触媒活性シート10の少なくともいくつかは、軸方向延在フランジ18を備え、1つの触媒活性シートのフランジ18は、隣接する触媒活性シート10の中央開口部17内に延在する。例えば、シートのスタック内の全ての他の触媒活性シート10は、フランジ18を備える。例えば、フランジ18は、協働してスタックを通る中央管を形成する。
【0042】
図15及び
図16を参照すると、本発明の別の実施形態による触媒活性シート10が概略的に示されており、
図17は、そのような触媒活性シート10のスタックを示している。
図15~
図17による触媒活性シート10は、メッシュ構造で形成されるのではなく、シートメタル又は他の適切なシート材料等の連続シートから形成される点で、
図12~14の触媒活性シートとは異なる。触媒活性シート10は、軸A、貫通中央開口部17、中央フランジ18、及び径方向延在部分19と共に配置される。
図15~
図17の実施形態では、軸方向延在フランジ18は、
図17に見られるような導管を形成する。したがって、各フランジ18には、少なくとも2つ、又は少なくとも4つ又は6つの孔20等の貫通孔20が設けられており、貫通孔は、フランジ18の周囲に分布し、フランジ18によって形成された導管と、径方向延在部分19の間の間隙によって形成された空間とに接続されている。さらに、径方向延在部分19は、中央開口部17の周囲に分布する少なくとも2つ又は少なくとも4つ又は6つの貫通アパーチャ21等の貫通アパーチャ21と共に配置される。
図16では、2つのアパーチャ21が破線で示されている。例えば、貫通アパーチャ21は、中央開口部17と径方向延在部分19の周囲との間に配置される。例えば、隣接する触媒活性シート10のアパーチャ21は、位置合わせされている。図示の実施形態では、アパーチャ21は、孔20と同様に中央開口部17の周囲に分布しており、アパーチャ21及び孔20は、軸Aに対して同じ径方向角度で配置されている。例えば、孔20の中心軸の延長部は、アパーチャ21の中心軸の対応する延長部と交差する。アパーチャ21は、軸方向の流れを提供するために配置され、孔20は、実質的に径方向の流れを提供するために配置される。例えば、孔20は、径方向の流れがアパーチャ21を通る軸方向の流れと交差するように配置される。図示の実施形態では、アパーチャ21は、径方向平面内に延在する。任意選択で、アパーチャ21は、孔20よりも大きい。図面において、アパーチャ21及び孔20は、円形であるが、楕円形、長方形又は他の適切な形状等の他の形状を有してもよい。孔20は、触媒活性シート10の積層時に、塞がれないように配置されている。一実施形態によれば、孔20は、フランジ18の自由端よりもフランジの基部の近くに配置される。
【0043】
図18及び
図19を参照すると、第一の実施形態による触媒反応器22が概略的に示されている。触媒反応器22は、触媒活性シート10のスタックを備える。触媒活性シート10は、中央開口部17を備え、スタック内の触媒活性シートの少なくともいくつかは、前記中央開口部17の周囲に少なくとも部分的に配置された軸方向延在フランジを備え、1つの触媒活性シート10のフランジ18は、隣接する触媒活性シート10の中央開口部17内に延在する。
図18及び
図19では、触媒活性シート10は、メッシュ構造で示されている。例えば、触媒活性シート10は、
図12~
図14を参照して説明したように配置される。あるいは、触媒活性シート10は、径方向延在部分19にアパーチャ21を有するプレート材料で形成され、触媒活性シート10の少なくともいくつかは、
図15~17を参照して説明したように、孔20を有するフランジ18と共に形成される。
【0044】
図示の実施形態では、触媒反応器22は、任意選択の反応容器23を備え、触媒活性シート10のスタックは、反応容器23の内側に配置される。反応容器23には、第一の反応物質のための入口24が配置されている。例えば、第一の反応物質は、ガス燃料等の燃料である。一実施形態によれば、第一の反応物質は、燃料の混合物である。第一の反応物質のための入口24は、触媒活性シート10の中央開口部17に第一の反応物質を導くために配置される。例えば、第一の反応物質のための入口24は、中央開口部17と位置合わせされる。図示の実施形態では、第一の反応物質の入口24は、反応容器23の第一の端部に、例えば第一の端部の中央に配置される。反応容器23には、第二の反応物質のための1つ以上の入口25が配置されている。例えば、第二の反応物質は、空気又は酸素である。例えば、反応容器23は、第一の反応物質のための入口24の径方向外側に配置された、第二の反応物質のための少なくとも2つ、又は少なくとも4つ、又は6つ以上の入口25を備える。
図18及び
図19の実施形態では、第二の反応物質のための入口25は、反応容器23の第一の端部、すなわち、第一の反応物質のための入口24と同じ端部に配置される。第二の反応物質のための入口25は、第一の反応物質のための入口24の周りに分布している。例えば、適用可能な場合、第二の反応物質のための入口25は、触媒活性シート10の径方向延在部分19のアパーチャ21と位置合わせされてもよい。反応容器23には、生成物のための1つ以上の出口26も配置される。例えば、生成物は、例えば、二酸化炭素を含む燃焼ガスである。図示の実施形態では、出口26は、触媒活性シート10のスタックの径方向外側に配置されているが、任意の適切な場所に配置されてもよい。反応容器23の第二の端部が塞がれるか、又は少なくとも触媒活性シート10のスタックの第一の反応物質の入口24の反対側の端部が塞がれる。
【0045】
図19を参照すると、第一及び第二の反応物質並びに生成物の流れが概略的に示されている。第一の反応物質は、矢印R1によって示される軸流で触媒活性シート10の中央開口部17の中に導かれる。第一の反応物質は、触媒活性シート10のスタックの一端において、軸方向に中央開口部17の中に導かれる。例えば、第一の反応物質R1は、第一の反応物質のための入口24を通って反応容器23の中に導かれる。あるいは、第一の反応物質は、スタックの一端で中央開口部17の中に直接導かれる。第一の反応物質R1は、フランジ18によって中央開口部17を通って触媒活性シート10のスタックの反対側の塞がれた端部に案内され、第一の反応物質は、フランジ18のメッシュ又はその孔20等を通って径方向外向きに押しやられ、触媒活性シート10の径方向延在部分19の間の間隙等で径方向に押しやられる。第一の反応物質の流れの一部は、フランジ18によってさらに軸方向に案内され、流れの一部は、径方向外向きに押しやられる。例えば、反応容器23の内部で所定の圧力が達成されると、第一の反応物質は、径方向外向きに押し出される。フランジ18を通り更に外側に向かう第一の反応物質の径方向の流れは、矢印によって示されている。同時に、第二の反応物質は、径方向延在部分19を通って、例えば、メッシュ材料で形成される径方向延在部分19によって、又はそのアパーチャ21を通って軸方向に導かれ、その第二の反応物質の軸方向の流れは、矢印R2によって示されている。例えば、第二の反応物質R2は、第二の反応物質のための入口25を通って反応容器23に導かれる。第一の反応物質は、径方向に押し進められ、次いで、第二の反応物質R2の軸流と衝突し、第一及び第二の反応物質が反応して生成物を形成する。次いで、生成物は、反応容器23から出口26を通って導かれる。したがって、第一の反応物質の濃度は、径方向のさらに外側よりも中央開口部17及びフランジ18に近いほど高く、第一の反応物質の濃度は、径方向に減少している。同時に、第二の反応物質の濃度は、触媒活性シート10のスタックにおいて径方向にさらに高く、例えば、触媒活性シート10のスタックに供給される径方向レベルである。例えば、第二の反応物質の濃度は、フランジ18と第二の反応物質が導入される径方向レベルとの間で径方向に増加している。生成物の濃度は、当然ながら、径方向外向きに増加する。
【0046】
図20及び
図21を参照すると、触媒反応器22の第二の実施形態が概略的に示されており、第二の反応物質のための入口25は、反応容器23の第二の端部において、第一の端部の反対側及び第一の反応物質のための入口24の反対側に配置されている。入口25は、中央開口部17の径方向外側に配置される。したがって、第二の反応物質は、第一の反応物質とは反対の軸方向に触媒活性シート10のスタックの中に導かれ、これは、第一の反応物質については矢印R1によって、第二の反応物質については矢印R2によって示されている。スタックの反対側の端部の中央開口部17は、第一の反応物質が導入されるにつれて、塞がれて、第一の反応物質を径方向に押し進め、第二の反応物質R2の流れと接触させ、上述のように生成物を形成する。あるいは、反応容器の第二の端部は、第二の反応物質のための入口25から離れて塞がれて、第一の反応物質を径方向に押し進める。
【0047】
第二の反応物質のための入口25は、触媒活性シート10のスタックの軸Aの周りに分散された複数の入口として、上述されている。あるいは、第二の反応物質は、中央開口部17の径方向外側に延在する環状オリフィス又は環状入口を通って、スタックの一端の径方向延在部分19に導かれる。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸(A)及び触媒活性シート(10)のスタックを備える触媒反応器(22)であって、前記触媒活性シート(10)が軸方向に積層され、前記触媒活性シート(10)のそれぞれは、中央開口部(17)を備え、前記触媒活性シート(10)の少なくともいくつかは、前記中央開口部(17)の周囲に少なくとも部分的に配置された軸方向延在フランジ(18)を備え、1つの触媒活性シート(10)の前記フランジ(18)は、隣接する触媒活性シート(10)の前記中央開口部(17)内に延在することを特徴とする、触媒反応器。
【請求項2】
前記触媒活性シート(10)のそれぞれは、前記中央開口部(17)から径方向に延在する径方向延在部分(19)を含む、請求項1に記載の触媒反応器。
【請求項3】
1つの触媒活性シート(10)の前記径方向延在部分(19)は、隣接する触媒活性シート(10)の前記径方向延在部分(19)と間隙を有して配置される、請求項2に記載の触媒反応器。
【請求項4】
前記径方向延在部分(19)は、平坦である、請求項2又は3に記載の触媒反応器。
【請求項5】
前記径方向延在部分(19)は、前記中央開口部(17)から前記触媒活性シート(10)の周囲まで延在する、請求項2又は3に記載の触媒反応器。
【請求項6】
前記フランジ(18)は、その自由端に向かって先細になっている、請求項1~
3のいずれか一項に記載の触媒反応器。
【請求項7】
前記フランジ(18)は、前記中央開口部(17)全体の周囲に連続的に延在する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の触媒反応器。
【請求項8】
前記フランジ(18)には、貫通孔(20)が設けられる、請求項1~
3のいずれか一項に記載の触媒反応器。
【請求項9】
前記径方向延在部分(19)には、前記中央開口部(17)の周囲に分布する貫通アパーチャ(21)が設けられる、請求項
2又は3に記載の触媒反応器。
【請求項10】
前記触媒活性シート(10)は、メッシュである、請求項1~
3のいずれか一項に記載の触媒反応器。
【請求項11】
前記触媒活性シート(10)は、プレート材料からなる、請求項1~
3のいずれか一項に記載の触媒反応器。
【請求項12】
前記触媒活性シート(10)のそれぞれは、基板(11)と、前記基板(11)に接着されたセラミック層(14)とを備え、前記セラミック層(14)には、触媒活性材料(16)が提供された細孔(15)が形成される、請求項1~
3のいずれか一項に記載の触媒反応器。
【請求項13】
前記触媒活性シート(10)は、第一の材料(12)と、前記第一の材料よりも高い融点を有する第二の材料の粒子(13)とを含み、前記セラミック層(14)は、前記第一の材料(12)、及び前記第一の材料(12)内に部分的に埋め込まれ、前記セラミック層(14)内に突出する前記第二の材料の粒子(13)を介して前記基板(11)に接着される、請求項12に記載の触媒反応器。
【請求項14】
第一の反応物質のための入口(24)と、第二の反応物質のための少なくとも1つの入口(25)と、少なくとも1つの出口(26)とを有する反応容器(23)を備える、請求項1~
3のいずれか一項に記載の触媒反応器であって、触媒活性シート(10)の前記スタックは、前記反応容器(23)の内側に配置され、前記第一の反応物質のための前記入口(24)は、前記スタックの一端に配置され、前記触媒活性シート(10)の前記中央開口部(17)と位置合わせされ、少なくとも前記中央開口部(17)は、前記スタックの反対側の端部で塞がれる、触媒反応器。
【請求項15】
前記第二の反応物質のための前記入口(25)は、前記第一の反応物質のための前記入口(24)の径方向外側に配置される、請求項
14に記載の触媒反応器。
【請求項16】
触媒反応を提供する方法であって、
a)第一の反応物質を軸方向に触媒活性シートのスタックのうちの1つの触媒活性シート(10)の中央開口部(17)内に供給するステップと、
b)前記第一の反応物質のいくつかを、前記開口部(17)のいくつかの周囲に少なくとも部分的に配置され、隣接する触媒活性シート(10)の前記中央開口部(17)内に前記軸方向に延在する軸方向延在フランジ(18)を通して案内するステップと、
c)前記第一の反応物質のいくつかを、前記フランジ(18)から径方向外向きに案内し、第二の反応物質と接触させて前記触媒反応を提供するステップと、
を含む、触媒反応を提供する方法。
【請求項17】
前記第二の反応物質を、前記中央開口部(17)の径方向外側の位置で、前記軸方向に触媒活性シート(10)の前記スタック内に供給するステップをさらに含む、請求項16に記載の触媒反応を提供する方法。
【請求項18】
前記第一の反応物質を、反応容器(23)内に、前記第一の反応物質のための入口(24)を通して、触媒活性シート(10)の前記スタックの一方の端部に、その前記中央開口部(17)と位置合わせした位置で供給するステップと、前記スタックの反対側の端部において少なくとも前記中央開口部(17)を塞ぐことによって前記第一の反応物質を径方向に案内するステップとをさらに含む、請求項17に記載の触媒反応を提供する方法。
【国際調査報告】