(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】ポリエチレンフラノエート(PEF)を化学的にリサイクルするための方法、PUR/PIR硬質フォーム、およびPUR/PIR硬質フォームを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
C08J 11/10 20060101AFI20240621BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20240621BHJP
C08G 18/72 20060101ALI20240621BHJP
C08J 11/24 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C08J11/10 ZAB
C08G18/42 044
C08G18/72
C08J11/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521226
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2022066387
(87)【国際公開番号】W WO2022268615
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】102021115988.1
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523478931
【氏名又は名称】ピュレン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】PUREN GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ボマー、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】デムハーター、アントン
【テーマコード(参考)】
4F401
4J034
【Fターム(参考)】
4F401AA22
4F401AC10
4F401AC11
4F401BA06
4F401CA67
4F401CA68
4F401CA75
4F401EA60
4F401EA62
4F401EA71
4F401EA77
4F401FA01Z
4F401FA05Z
4F401FA10Z
4F401FA20Z
4J034DB04
4J034DC15
4J034DC25
4J034DC34
4J034DC43
4J034DF01
4J034DF19
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC64
4J034HC71
4J034HC73
4J034QC01
(57)【要約】
ポリエチレンフラノエート(PEF)を化学的にリサイクルするための方法であって、PEFポリマーを少なくとも1種の低分子量化合物に変換する、方法が提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンフラノエート(PEF)を化学的にリサイクルするための方法であって、PEFポリマーを少なくとも1種の低分子量化合物に変換する、方法。
【請求項2】
前記PEFポリマーを、低分子量化合物としての少なくとも1種のオリゴマー、特にダイマーまたはトリマーに変換することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記低分子量化合物への前記PEFポリマーの前記変換を加溶媒分解によって実施することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記加溶媒分解が解糖であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記解糖を100℃~300℃の間の温度で実施することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記低分子量化合物を、少なくとも1種の多価アルコール、特にジエチレングリコール(DEG)の存在下でのエステル交換によってリサイクルポリオールに変換することを特徴とする、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記エステル交換についての前記PEFポリマーに対する多価アルコールの当量濃度を、得られるリサイクルポリオールが400mgKOH/g未満のOH価を有するように選択することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記エステル交換時に放出されるエチレングリコールを少なくとも部分的に留去することを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記エステル交換に少なくとも1種の触媒を使用することを特徴とする、請求項6~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項6~9のいずれか1項に記載の方法によって得られる、リサイクルポリオール。
【請求項11】
以下の一般化された構造:
【化1】
[式中、nは、特に1.0~10.0の間の正の値を取り得る]
を有することを特徴とする、請求項10に記載のリサイクルポリオール。
【請求項12】
少なくとも1種のポリオールから製造されたPUR/PIR硬質フォームであって、前記ポリオールが、少なくとも部分的に、ポリエチレンフラノエート(PEF)からリサイクルされたリサイクルポリオールであることを特徴とする、PUR/PIR硬質フォーム。
【請求項13】
前記ポリオールが主に、ポリエチレンフラノエート(PEF)からリサイクルされたリサイクルポリオールであることを特徴とする、請求項12に記載のPUR/PIR硬質フォーム。
【請求項14】
前記ポリオールが、少なくとも部分的に、ポリエチレンフラノエート(PEF)からリサイクルされたリサイクルポリオールであり、少なくとも部分的に、主に再生可能原料から製造されたポリオールであることを特徴とする、請求項12に記載のPUR/PIR硬質フォーム。
【請求項15】
前記リサイクルポリオールが、150mgKOH/g~400mgKOH/gの間のOH価を有することを特徴とする、請求項12~14のいずれか1項に記載のPUR/PIR硬質フォーム。
【請求項16】
前記リサイクルポリオールが、1000g/mol未満の平均モル質量を有することを特徴とする、請求項12~15のいずれか1項に記載のPUR/PIR硬質フォーム。
【請求項17】
前記リサイクルポリオールが、その総質量に基づいて20重量%未満の遊離グリコールの含有量を有することを特徴とする、請求項12~16のいずれか1項に記載のPUR/PIR硬質フォーム。
【請求項18】
前記リサイクルポリオールが、3,000mPas~12,000mPasの間の動粘度を有することを特徴とする、請求項11~15のいずれか1項に記載のPUR/PIR硬質フォーム。
【請求項19】
0.018W/(mK)~0.021W/(mK)の間の熱伝導率を特徴とする、請求項11~14のいずれか1項に記載のPUR/PIR硬質フォーム。
【請求項20】
特に請求項11~17のいずれか1項に記載のPUR/PIR硬質フォームを製造するための方法であって、少なくとも1種のポリイソシアネート、ポリエチレンフラノエート(PEF)からリサイクルされた少なくとも1種のリサイクルポリオール、および少なくとも1つの発泡剤をPUR/PIR硬質フォームに変換する、方法。
【請求項21】
前記リサイクルポリオールに加えて、ポリエチレンテレフタレート(PET)からリサイクルされた少なくとも1種のさらなるリサイクルポリオールをPUR/PIR硬質フォームに変換することを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載のポリエチレンフラノエート(PEF)を化学的にリサイクルするための方法、請求項12のプリアンブルに記載のPUR/PIR硬質フォーム、および請求項20に記載のPUR/PIR硬質フォームを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンフラノエート(PEF)は、出発物質である2,5-フランジカルボン酸(FDCA)およびエチレングリコール(MEG)から製造された熱可塑性プラスチックである。FDCAは、例えば、フルクトースを脱水し、続いて、それから得られたヒドロキシメチルフルフラールを酸化することによって、再生可能原料から得ることができる。FDCAに加えて、MEGも再生可能原料から合成される場合、PEFは、100%バイオベースであり得る。PEFは、高い機械的強度および良好な熱的特性によって優れており、熱可塑性プラスチックであるポリエチレンテレフタラート(PET)と比較して、改善された拡散気密性を有する。したがって、PEFは、食品包装および飲料ボトルの製造に特に適しており、長期的には、石油ベースのPETに対して可能なバイオベースの代替品として有効である。したがって、将来的に、特に飲料ボトルおよび食品包装の分野では、今日のPET廃棄物流と同等の多量のPEF廃棄物流が予想される。PEFは生分解性ではないため、将来的には、原料循環(Rohstoffkreislauf)を閉じるために、PEFのリサイクル技術を開発する必要がある。この関連で、PEFの材料リサイクルが可能であり得るということのみがこれまで知られており、PEFは、細断されて、既存のPETリサイクル流に最大5%の割合で統合されるが、これがPETの特性に影響を与えることはない。しかしながら、よく知られているように、いわゆる再造粒物へのPET飲料ボトルの価値材料リサイクル(wertstoffliches Recycling)の際にすでに、再造粒物の品種純度に対する高い要件およびPET廃棄物流の不純物を理由に、PET再造粒物からのPET飲料ボトルの再製造が、表面の不純物および拡散導入した物質を除去するための高温苛性ソーダを用いてPET再造粒物の最上層を剥離することなどによって非常に高い費用をかけることでしか可能ではないという問題が生じる。しかしながら、そのような方法は、経済的に実現可能であることは非常に稀であるため、材料リサイクルによって得られるPET再造粒物の大部分は、食品産業の純度の要件を満たさない低品質でしか入手することができない。したがって、このような低品質の再造粒物は、織物繊維などの低価値の製品にさらに加工するためにのみ使用され得る。したがって、そのようなダウンサイクルは、PEFの価値材料リサイクルの場合にも予想され得る。しかしながら、PEF廃棄物流から、特に高価値の製品、例えば、ポリウレタン(PUR)硬質フォームおよび/またはポリイソシアヌレート(PIR)硬質フォームへの再加工を可能にするためには、PEFの化学的リサイクルが望ましいであろう。しかしながら、これまでに、PEFを化学的にリサイクルするための方法は、従来技術では知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、特に、ポリエチレンフラノエート(PEF)を化学的にリサイクルするための方法を開発し、それから得られた化学化合物を高価値の製品にするさらなる加工を可能にすることである。この目的は、本発明によると、請求項1、11、および19の特徴によって解決されるが、本発明の有利な設計およびさらなる構成は、従属請求項から分かる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の利点
ポリエチレンフラノエート(PEF)を化学的にリサイクルするための方法であって、PEFポリマーを少なくとも1種の低分子量化合物に変換する、方法が提案される。
【0005】
このような方法によって、有利には、ポリエチレンフラノエート(PEF)の化学的リサイクルを可能にすることができる。特に、PEFの原料循環を有利に閉じることができる。有利には、PEFの材料リサイクルのためのこれまでに知られている方法に比べて、PEFを化学的にリサイクルするための本発明による方法によって、PEF廃棄物を化学産業において特に高価値の製品、例えばPUR/PIR硬質フォームに変換することを可能にすることができる。それによって、有利には、化学産業における石油ベースの出発物質の使用を削減することができ、好適には、最小限に抑えることまたは完全に置き換えることができ、それによって、有限資源が節約され、PUR/PIR硬質フォームの製造などにおける気候に有害な温室効果ガスの排出を削減することができる。
【0006】
好適には、この方法で使用されるPEFポリマーは、廃棄物流に由来する。廃棄物流は、PEF飲料ボトル、および/もしくはPEFからの他の食品包装、および/もしくはPEFからの他の製品のような消費者廃棄物、ならびに/またはPEFの製造時および/もしくはPEFからの製品の製造時に発生するような生産廃棄物を含み得る。
【0007】
ポリエチレンフラノエート(PEF)を化学的にリサイクルするための方法は、PEFポリマーを少なくとも1種の低分子量化合物に変換する少なくとも1つの方法工程を含む。低分子量化合物へのPEFポリマーの変換は、例えば、熱分解によって行うことができる。しかしながら、好適には、低分子量化合物へのPEFポリマーの変換は、加溶媒分解によって行われる。PEFポリマーの変換時に、少なくとも1種のさらなる反応生成物、特に少なくとも1種の多価アルコール、例えば、エチレングリコール(MEG)および/またはジエチレングリコール(DEG)が生じる。この方法は、PEFポリマーを低分子量化合物に変換し、低分子量化合物および/またはさらなる反応生成物を最終生成物(複数可)として得る、ちょうど1つの方法工程を含み得る。好適には、この方法は、多段階であり、少なくとも2つの方法工程を含み、PEFポリマーは、第1の方法工程で低分子量化合物に変換され、少なくとも1つの続くさらなる方法工程で少なくとも1種のさらなる化合物、特にリサイクルポリオールに変換される。この多段階方法は、非連続的であってもよい。好適には、この多段階方法は、連続的である。さらに、この方法は、少なくとも1つの前処理工程を含み得る。例えば、廃棄物流を、まず前処理工程において前選別し、適切な分離方法によって、例えば、浮沈選別(Sink-Schwimm-Sortierung)、および/または空気式分離、および/または磁気分離、および/または渦流選別、および/または色選別、および/または近赤外線選別、および/または他の適切な分離方法によって、他の廃棄物、例えば、PET、PE、PP、PVCなどの他のプラスチック、および/または金属、および/または紙、および/または類似物、および/または不純物、例えば製品残留物から分離することが考えられる。好適には、PEFポリマーはさらに、特に、続く加溶媒分解のためにできるだけ大きな表面積を得るために、前処理工程において細断、例えば粉砕される。
【0008】
廃棄物流は、PEFポリマーに加えて、少なくとも1種のPETポリマーの割合を追加的に含有し得る。この場合、この方法では、PEFポリマーを少なくとも1種の低分子量化合物に、PETポリマーを少なくとも1種のさらなる低分子量化合物に変換することができ、それによって方法実施における変化が必要とされることは特にない。それによって、有利には、PEFおよびPETの前選別を省略することができる。PEFポリマーおよびPETポリマーの同等の化学的特性を理由に、廃棄物流は、基本的に、任意の割合のPEFポリマーおよびPETポリマーから構成され得る。特に、廃棄物流は、PEFポリマーについて、少なくとも50重量%、有利には少なくとも60重量%、特に有利には少なくとも70重量%、好適には少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%の大部分の割合を有する。
【0009】
低分子量化合物および/またはさらなる低分子量化合物は、最大800g/mol、有利には最大700g/mol、好適には最大600g/mol、特に好ましくは最大500g/molの分子量を有する。好適には、低分子量化合物および/またはさらなる低分子量化合物の重合度は、この方法に使用されるPEFポリマーの重合度の最大50%、有利には最大45%、特に有利には最大40%、好適には最大35%、特に好ましくは最大30%に相当する。低分子量化合物は、モノマー、具体的には、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)であり得る。この場合、得られたFDCAおよびさらなる反応生成物として生じるMEGから、PEF飲料ボトルにさらに加工することができるPEFを再び製造することが考えられる。さらなる低分子量化合物は、さらなるモノマー、具体的には、テレフタル酸であり得る。
【0010】
この方法の有利な設計では、PEFポリマーを、低分子量化合物としての少なくとも1種のオリゴマー、特にダイマーまたはトリマーに変換することが提案される。それによって、有利には、PUR/PIR硬質フォームの製造に適したリサイクルポリオールにさらなる方法工程で特に良好に変換することができる低分子量化合物を得ることができる。オリゴマーは、例えば、ダイマー、および/またはトリマー、および/またはテトラマー、および/またはペンタマー、および/またはヘキサマー、および/またはヘプタマー、および/またはオクタマー、および/または8超の重合度を有するオリゴマーであり得る。特に好ましくは、オリゴマーは、ダイマーまたはトリマーである。廃棄物流にPETポリマーの割合が追加的に含有されている場合、PETポリマーを、さらなる低分子量化合物としての少なくとも1種のさらなるオリゴマー、特にさらなるトリマーに変換することができる。さらなるオリゴマーは、例えば、ダイマー、および/またはトリマー、および/またはテトラマー、および/またはペンタマー、および/またはヘキサマー、および/またはヘプタマー、および/またはオクタマー、および/または8超の重合度を有するオリゴマーであり得る。特に好ましくは、さらなるオリゴマーはトリマーである。
【0011】
さらに、低分子量化合物へのPEFポリマーの変換を加溶媒分解によって実施することが提案される。このような設計によって、有利には、PEFを化学的にリサイクルするための信頼性の高い方法を提供することができる。加溶媒分解のために、PEFポリマーを溶媒または様々な溶媒からの混合物に添加し、好適には少なくとも1時間にわたって撹拌する。その際、溶媒は、PEFポリマーの構造内に部分的に拡散し、それによって、PEFポリマーは膨潤し、溶媒はPEFポリマー中のエステル結合と反応し、低分子量化合物へのPEFポリマーの変換が起こる。加溶媒分解は、加水分解、特に、酸加水分解または中性加水分解またはアルカリ加水分解であり得る。加溶媒分解が、メタンを溶媒として使用する加メタノール分解であることも考えられる。好適には、加溶媒分解は、少なくとも1価、好適には多価アルコールを溶媒として使用する加アルコール分解である。廃棄物流にPETポリマーの割合が追加的に含有されている場合、さらなる低分子量化合物へのPETポリマーの変換は、同様に加溶媒分解によって実施することができる。
【0012】
特に有利な設計では、加溶媒分解が解糖であることが提案される。それによって、有利には、PEFをリサイクルするための、特に信頼性の高い、技術的に実施が容易な方法を提供することができる。解糖時に、例えば、エチレングリコール、および/またはジエチレングリコール、および/またはプロピレングリコール、および/またはジプロピレングリコール、および/または別の適切なグリコールを溶媒として使用することができる。好適には、解糖時に、ジエチレングリコールを溶媒として使用する。解糖時にエチレングリコールとジエチレングリコールとの混合物が溶媒として使用されることも考えられる。
【0013】
さらに、解糖を100℃~300℃の間の温度で実施することが提案される。それによって、有利には、反応速度を改善することができる。特に、解糖を、120℃~280℃の間、有利には140℃~260℃の間、好適には160℃~250℃の間、特に好ましくは180℃~240℃の間の温度で実施する。特に、解糖を実施する温度は、PEFポリマーの重合度に応じて変化させることができる。好適には、解糖は、特に、高い重合度を有するPEFポリマーの場合、210℃超の温度、特に好ましくは225℃超の温度、例えば230℃~235℃の間の温度で起こる。低い重合度を有するPEFポリマーの場合、205℃未満の温度で十分である。解糖は、例えば、加熱可能な撹拌反応器内で実施することができる。好適には、解糖は、少なくとも30分間、特に好ましくは少なくとも60分間にわたって実施する。解糖の持続時間は、特に、得られる低分子量化合物の所望の重合度に応じて変化させることができる。
【0014】
さらに、低分子量化合物を、少なくとも1種の多価アルコール、特にジエチレングリコール(DEG)の存在下でのエステル交換によってリサイクルポリオールに変換することが提案される。それによって、有利には、PUR/PIR硬質フォームの製造に特に適したリサイクルポリオールは、単純な技術的手段によって製造することができる。特に廃棄物流の組成に応じて、エステル交換に必要な量の多価アルコールの1部のみを用いて解糖を実施し、残りの割合の多価アルコールをエステル交換の直前に初めて添加することが合理的であり得る。特に、PEFポリマーを含有する廃棄物流の組成が大きく変動する場合、多価アルコールの必要な残量を、解糖後に計算し、それに応じて、エステル交換の直前に添加することができる。多価アルコールは、例えば、エチレングリコール、および/またはジエチレングリコール、および/またはプロピレングリコール、および/またはジプロピレングリコールであり得る。好ましくは、多価アルコールはジエチレングリコール(DEG)である。ポリエチレンフラノエート(PEF)は、出発物質である2,5-フランジカルボン酸(FDCA)およびエチレングリコール(MEG)からなるため、本発明による方法によって得られる低分子量化合物、特にダイマーまたはトリマーも、FDCAおよびMEGからなるサブ単位を有し、そのため、ジエチレングリコール(DEG)の存在下でのエステル交換によって、DEGからなる末端基を有する、FDCAおよびMEGからなるサブ群を有するリサイクルポリオールを得ることができる。DEGからなる末端基を有するこのようなリサイクルポリオールは、PUR/PIR硬質フォームの製造の点でのその特に有利な特性によって優れており、これらの特性は、PUR/PIR硬質フォーム製造のためのポリオールの有利な特性とわずかに異なっているだけであり、これらのポリオールは、FDCAおよびDEGから直接製造され、4,000mPas~5,500mPasの間の粘度およびそれに伴うPUR/PIR硬質フォーム製造における良好な加工性によって優れている。エステル交換は、好適には、大気圧と比較して低下させられた圧力比、特に部分真空下、特に750mbar~0.1mbarの間の圧力範囲で実施し、圧力は、特にこの方法の最中に変化させることができる。エステル交換は、例えば、精留カラムが上部に取り付けられた加熱可能な撹拌反応器内で実施することができる。廃棄物流にある割合のPETポリマーが追加的に含有されている場合、さらなる低分子量化合物をエステル交換においてさらなるリサイクルポリオールに変換することができ、それによって方法実施における変化が必要とされることは特にない。
【0015】
特に有利な設計では、エステル交換についてのPEFポリマーに対する多価アルコールの当量濃度を、得られるリサイクルポリオールが400mgKOH/g未満のOH価を有するように選択することが提案される。このような構成によって、PUR/PIR硬質フォームの製造に特に有利な特性を有するリサイクルポリオールを得ることができる。その際、多価アルコールの当量濃度は、エステル交換前の初期濃度における182g/molのPEFポリマーの繰り返し単位のモル質量に基づく。例えば、多価アルコールは、エステル交換前のPEFポリマーの初期濃度に基づいて、0.5~2.00の間、好適には0.75~1.00の間の当量濃度で存在することが考えられる。
【0016】
さらに、エステル交換時に放出されるエチレングリコールを少なくとも部分的に留去することが提案される。それによって、有利には、少ない遊離グリコールの含有量、したがってPUR/PIR硬質フォームの製造にとって特に有利な特性を有するリサイクルポリオールを得ることができる。好適には、エステル交換時に放出されるエチレングリコールは、完全に留去される。さらに、エステル交換後に遊離ジエチレングリコール(DEG)も追加的に留去されると考えられる。好適には、遊離DEGの留去は、2mbar未満、特に好ましくは1mbar未満の圧力で実施する。それによって、有利には、リサイクルポリオールのOH価を、所望の値、特に150mgKOH/g~400mgKOH/gの間に調整することができる。
【0017】
さらに、エステル交換に少なくとも1種の触媒を使用することが提案される。それによって、有利には、反応速度をさらに改善することができる。触媒は、ゼオライト、および/またはイオン液体、および/または金属化合物、例えば、チタン酸テトラブチル、酢酸コバルト、酢酸マンガン、または酸化亜鉛であり得るが、これらに限定されることはない。
【0018】
本発明はさらに、PEFを化学的にリサイクルするための先に記載されている方法によって得ることができる、リサイクルポリオールに関する。本発明による方法によって得られるリサイクルポリオールは、一方では、特に、持続可能性の点でのその有利な特性によって優れており、他方では、特に、PUR/PIR硬質フォームを製造するための、石油ベースの出発物質から合成された従来のポリオールと同等のまたはさらに改善されたその特性によって優れている。特に、本発明による方法によって得られるポリオールは、発泡性の点で、PUR/PIR硬質フォームと同等のまたは改善された特性を有する。したがって、本発明によるリサイクルポリオールをPUR/PIR硬質フォームに加工するために、配合表および発泡設備の方法技術において特筆すべきおよび/または通常のレベルを上回る変更は必要とされないため、有利には、通常のまたは改善された品質を有する規格に準拠したPUR/PIR硬質フォームを提供することができ、同時に、持続可能性は、従来のPUR/PIR硬質フォームに比べて著しく改善されている。PEFポリマーからリサイクルポリオールが製造されることを理由に、本発明によるポリオールは、当業者であれば、適切な測定方法、例えば核磁気共鳴分光法(H1-NMR)によって、PUR/PIR硬質フォームを製造するためのこれまでに従来技術から知られている従来のポリオールから容易に区別することができるであろう。
【0019】
特に有利な設計では、リサイクルポリオールが、以下の一般化された構造:
【0020】
【0021】
[式中、nは、特に1.0~10.0の間の正の値を取り得る]
を有することが提案される。それによって、有利には、化石原料に基づくこれまでに市販されているポリオールと同等のまたはさらに改善された特性を有することからPUR/PIR硬質フォームの製造に特に適したリサイクルポリオールを提供することができる。リサイクルポリオールの上述の一般化された構造式において、nは、特に1.0~10.0の間、有利には1.0~7.0の間、特に有利には1.0~5.0の間、好適には1.0~4.0の間、好ましくは2.0~4.0の間の正の値を取り得る。特に好ましくは、nは、2.0~3.0の間の値を有する。基本的に、nには、10.0超の正の値も考えられる。ここで、nの記載されている値範囲は、リサイクルポリオールの高分子に関連し、したがって、統計的な平均値を表す。
【0022】
本発明はさらに、少なくとも1種のポリオールから製造されたPUR/PIR硬質フォームに基づく。
ポリオールが、少なくとも部分的に、PEFを化学的にリサイクルするための特に先に記載されている方法に従ってポリエチレンフラノエート(PEF)からリサイクルされるリサイクルポリオールであることが提案される。このような設計によって、有利には、持続可能性の点で改善された特性を有するPUR/PIR硬質フォームを提供することができる。特に、有利には、石油ベースの出発物質の使用を削減することができ、好適には、最小限に抑えることまたは完全に置き換えることができ、それによって、有限資源が節約され、PUR/PIR硬質フォームの製造における気候に有害な温室効果ガスの排出を削減することができる。本発明によるPUR/PIR硬質フォームは、持続可能性の点で著しく改善された特性に加えて、特に低熱伝導率および低火災挙動の点での、従来のPUR/PIR硬質フォームと同等のまたはこれらをさらに上回るその有利な技術的特性によっても特に優れている。
【0023】
ポリオールが「少なくとも部分的に」リサイクルポリオールであるということは、リサイクルポリオールが、PUR/PIR硬質フォームを製造するポリオールの総質量の少なくとも10重量%、特に少なくとも20重量%、有利には少なくとも30重量%、特に有利には少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも60重量%を占めることと理解されるべきである。
【0024】
さらに、ポリオールは、少なくとも部分的に、ポリエチレンテレフタラート(PET)からリサイクルされた、特にPEFを化学的にリサイクルするための先に記載されている方法における副生成物として生じる、さらなるリサイクルポリオールであると考えられる。
【0025】
特に有利な設計では、ポリオールが主に、ポリエチレンフラノエート(PEF)からリサイクルされたリサイクルポリオールであることが提案される。このような設計によって、有利には、PUR/PIR硬質フォームの持続可能性をさらにより改善することができる。ポリオールが「主に」リサイクルポリオールであるということは、リサイクルポリオールが、PUR/PIR硬質フォームを製造するポリオールの総質量の少なくとも50重量%、特に少なくとも60重量%、有利には少なくとも70重量%、特に有利には少なくとも80重量%、好適には少なくとも90重量%、特に好ましくは少なくとも95重量%を占めることと理解されるべきである。
【0026】
代替的な有利な設計では、ポリオールが、少なくとも部分的に、ポリエチレンフラノエート(PEF)からリサイクルされたリサイクルポリオールであり、少なくとも部分的に、主に再生可能原料から製造されたさらなるポリオールであることが提案される。このような設計によって、有利には、持続可能性の点で改善された特性を有するPUR/PIR硬質フォームを提供することができる。さらなるポリオールは、好適には、多価アルコールおよび芳香族ジカルボン酸から合成され、これは、主に再生可能原料から製造されている。好適には、芳香族ジカルボン酸は、2,5-フランジカルボン酸であり、これは、主に再生可能原料から製造されている。芳香族ジカルボン酸、特に2,5-フランジカルボン酸は、50重量%超、特に60重量%超、有利には70重量%超、特に有利には80重量%超、好適には90重量%超の大部分の割合、特に好ましくは95重量%~100重量%の割合で、持続可能原料から製造されている。2,5-フランジカルボン酸は、例えば、テンサイまたはサトウキビから得ることができるヘキソース、特にフルクトースを脱水し、続いて、それから得られたヒドロキシメチルフルフラール(5-HMF)を酸化することによって、少なくとも主に再生可能原料から製造され得る。さらに、農業および/または食品産業からの廃棄物、例えば、古くなったベーキング食品(Altbackwaren)からの2,5-フランジカルボン酸の製造も考えられ、これらから、水熱処理、続いて、2,5-フランジカルボン酸の出発物質としての水溶液からの抽出によって、ヒドロキシメチルフルフラール(5-HMF)を得ることができる。さらに、イヌリン蓄積植物からの、農業廃棄物として生じるイヌリン含有チコリ根(Chicoree-Wurzelrueben)などからの2,5-フランジカルボン酸の製造が考えられ、イヌリンは、まず抽出され、水熱脱水によって、ヒドロキシメチルフルフラール(5-HMF)に変換され、続いて、生体触媒または不均一触媒によって酸化されて、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)になる。本出願の意味合いにおける再生可能原料は、化石由来ではない有機原料のみである。ここで、好適には、再生可能原料は、農業および/または林業生産からの国産製品、ならびにそれらの副産物および/または残留物(これらが、廃棄法の対象ではない場合)、ならびに藻類である。有利には、ポリオールを合成するための多価アルコールは、2価アルコール、特にエチレングリコール(MEG)、好ましくはジエチレングリコール(DEG)である。しかしながら、代替的には、3価、4価、またはより高い価数のアルコールの使用も基本的に考えられる。多価アルコールは、合成によって製造することができるであろう。特に好ましくは、芳香族ジカルボン酸および多価アルコールのどちらも、少なくとも主に再生可能原料から製造されている。
【0027】
さらに、リサイクルポリオールが、150mgKOH/g~400mgKOH/gの間のOH価を有することが提案される。好適には、リサイクルポリオールは、200mgKOH/g~350mgKOH/gの間のOH価を有する。それによって、有利には、高い結合密度を有し、したがって、多くの用途に望ましい良好な寸法安定性および高い耐圧性を有するPUR/PIR硬質フォームを提供することができる。
【0028】
さらに、リサイクルポリオールが、1000g/mol未満の平均モル質量を有することが提案される。有利には、リサイクルポリオールは、400g/mol~900g/mol、好適には600g/mol~850g/molの平均モル質量または平均分子量を有する。特に好ましくは、リサイクルポリオールは、700g/mol未満の平均モル質量を有する。それによって、有利には、低い体積重量(Raumgewicht)(RG)を有するPUR/PUR硬質フォームを提供することができる。ポリオールの平均モル質量は、例えば、核磁気共鳴分光法(H1-NMR)を使用して決定可能である。
【0029】
さらに、リサイクルポリオールが、その総質量に基づいて20重量%未満の遊離グリコールの含有量を有することが提案される。それによって、有利な技術的特性を有するPUR/PIR硬質フォームを提供することができる。特に、リサイクルポリオールは、18重量%未満、有利には15重量%未満、特に有利には12重量%未満、好適には10重量%未満、特に好ましくは8重量%未満の遊離グリコールの含有量を有する。リサイクルポリオールは、6重量%以上の遊離グリコールの含有量を有し得る。
【0030】
さらに、リサイクルポリオールが、3,000mPas~12,000mPasの間の動粘度を有することが提案される。それによって、有利には、リサイクルポリオールの改善された加工性をもたらすことができ、したがって、製造性の点で改善された特性を有するPUR/PIR硬質フォームを提供することができる。特に、リサイクルポリオールは、4,000mPas~8,000mPasの間、有利には4,000mPas~7,000mPasの間、特に有利には4,000mPas~6,000mPasの間、好適には4,000mPas~5,500mPasの間、特に好ましくは4,000mPas~5,000mPasの間の動粘度を有する。ここで、記載されている動粘度は、規格DIN EN ISO3219に準拠した測定に関連する。
【0031】
さらに、PUR/PIR硬質フォームが、0.018W/(mK)~0.021W/(mK)の間の熱伝導率を有することが提案される。それによって、有利には、断熱の点で改善された特性を有するPUR/PIR硬質フォームを提供することができる。好適には、PUR/PIR硬質フォームは、0.018W/(mK)~0.020W/(mK)の間の熱伝導率を有する。0.018W/(mK)~0.021W/(mK)の間の範囲のPUR/PIR硬質フォームの熱伝導率は、製造直後に測定された測定値である。石油ベースのポリオール、ポリイソシアネート、および発泡剤であるペンタンをベースとして製造された、特に良好な断熱を有する従来のPUR/PIR硬質フォームは、最良の場合、0.020W/(mK)~0.021W/(mK)の間の範囲のその製造直後に測定された熱伝導率を有する。PEFは、プラスチックであるポリエチレンテレフタラート(PET)と比較して、改善された拡散気密性を有することが知られており、PEFのO2バリアは、PETに比べて最大6倍大きく、PEFのCO2バリアは、PETに比べて最大3倍大きく、PEFのH2Oバリアは、PETに比べて最大2倍大きい。リサイクルポリオールは、PEFから本発明によるPUR/PIR硬質フォームを製造するためにリサイクルされており、総質量の少なくとも25重量%、好適には少なくとも30重量%のPUR/PIR硬質フォームの割合を占めるため、O2、CO2、およびH2Oに対するPEFの非常に良好なバリア特性が、リサイクルポリオールの割合に相応して比例的に、本発明によるPUR/PIR硬質フォームにも伝達され得ると推定され得る。したがって、それによって、本発明によるPUR/PIR硬質フォームの熱伝導率が、ペンタンを用いて発泡された従来のPUR/PIR硬質フォームに比べて、少なくとも5%減少しており、そのため、0.018W/(mK)~0.021W/(mK)の間、好適には0.019W/(mK)~0.020W/(mK)の間の熱伝導率が達成されると想定される。
【0032】
本発明はさらに、特に先に記載されている設計のうちの1つによる、PUR/PIR硬質フォームを製造するための方法であって、少なくとも1種のポリイソシアネート、特にPEFを化学的にリサイクルするための先に記載されている方法によってポリエチレンフラノエート(PEF)からリサイクルされた少なくとも1種のリサイクルポリオール、および少なくとも1種の発泡剤をPUR/PIR硬質フォームに変換する、方法に関する。このような方法によって、有利には、PUR/PIR硬質フォームの特に持続可能な製造を達成することができる。ポリイソシアネートは、例えば、ポリマーであるジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)、および/またはメチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、および/またはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、および/またはトルイレンジイソシアネート(TDI)、および/またはナフチレンジイソシアネート(NDI)、および/またはイソホロンジイソシアネート(IPDI)、および/または4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12MDI)であり得るが、これらに限定されることはない。好適には、ポリイソシアネートは、ポリマーであるジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)である。発泡剤は、好適にはペンタンである。代替的または追加的に、発泡剤としては、水の添加時にイソシアネート成分との反応によって生成されるCO2、ならびに/または部分フッ素化炭化水素、例えば、HFKW-365mfcおよびHFKW-245faも基本的に考えられる。さらに、この方法では、さらなる添加物質、特に、難燃剤、および/または活性化剤、および/または乳化剤、および/またはフォーム安定剤、および/または当業者にとって合理的と思われるさらなる添加物質が使用され得る。さらに、触媒の使用がこの方法において考えられる。ポリウレタンは、この方法では、ポリイソシアネートとポリオールとの重付加反応によって生成される。過剰なポリイソシアネートの使用によって線状ポリウレタンを架橋することができる。ウレタン基にイソシアネート基を付加することによってアロファネート基が形成される。3個のイソシアネート基のトリマー化によってもイソシアヌレート基の形成が可能である。多官能性ポリイソシアネートを使用する場合、高度に分岐したポリイソシアヌレート(PIR)が形成されるため、PIR硬質フォームを得ることができる。
【0033】
さらに、上記リサイクルポリオールに加えて、ポリエチレンテレフタラート(PET)からリサイクルされた少なくとも1種のさらなるリサイクルポリオールをPUR/PIR硬質フォームに変換することが提案される。それによって、有利には、特に柔軟な方法を提供することができる。好適には、PUR/PIR硬質フォームを製造するための方法では、PEFを化学的にリサイクルするための先に記載されている方法において副生成物として生じ得る上記さらなるリサイクルポリオールが、上記リサイクルポリオールに加えて、PUR/PIR硬質フォームに変換される。PEFからリサイクルされたリサイクルポリオールおよびPETからリサイクルされたさらなるリサイクルポリオールの化学的特性が同等であることを理由に、有利には、上記リサイクルポリオールのみから製造されたPUR/PIR硬質フォームに比べて同等の特性を有するPUR/PIR硬質フォームを得ることができる。代替的または追加的に、上記さらなるリサイクルポリオールが、PETを化学的にリサイクルするための個別の方法に由来することも考えられる。この方法で使用されるリサイクルポリオールとさらなるリサイクルポリオールとの間の比率は、基本的に自由に選択可能である。特に、この方法で使用されるリサイクルポリオールの総質量について、少なくとも50重量%、有利には少なくとも60重量%、特に有利には少なくとも70重量%、好適には少なくとも80重量%の大部分の割合が、ポリエチレンフラノエート(PEF)からリサイクルされたリサイクルポリオールから構成されている。
【0034】
本発明のさらなる利点およびさらなる実施形態は、実施例の以下の説明および特許請求の範囲から明らかになる。当業者であれば、ここで挙げられている特徴を目的に応じて個別にも考慮し、合理的なさらなる組み合わせにまとめるであろう。ここで、先に挙げられている本発明の特徴および以下に説明される本発明の特徴が、発明の先および以下に記載されている範囲を逸脱することなく、それぞれ記載されている組み合わせでのみならず、他の組み合わせでも使用可能であると理解される。特に、少なくとも1つの好ましい特徴と少なくとも1つの特に好ましい特徴との組み合わせ、またはさらに特徴付けられていない少なくとも1つの特徴と少なくとも1つの好ましいおよび/もしくは特に好ましい特徴との組み合わせも、これらのような組み合わせが明示的に言及されていないとしても、暗に含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
実施例の説明
以下に本発明の例示的な実施形態を列挙するが、これらは本発明を限定することはない。
【0036】
以下で、まずポリエチレンフラノエート(PEF)をリサイクルするための方法およびPUR/PIR硬質フォームを製造するための方法について全般的に説明し、それから、個々の実施例を詳細に述べる。
【0037】
PEFをリサイクルするための方法では、PEFポリマーを少なくとも1種の低分子量化合物に変換する。ここで、PEFポリマーを低分子量化合物としての少なくとも1種のオリゴマーに変換する。低分子量化合物へのPEFポリマーの変換は、加溶媒分解によって実施する。ここで、加溶媒分解は解糖である。解糖は、100℃~300℃の間の温度で、具体的には加熱可能な撹拌反応器内で実施する。続いて、そのようにして得られた低分子量化合物を、多価アルコール、好適にはジエチレングリコール(DEG)の存在下でのエステル交換によってリサイクルポリオールに変換する。ここで、エステル交換についての低分子量化合物に対する多価アルコールの当量濃度を、得られるリサイクルポリオールが400mgKOH/g未満のOH価を有するように選択する。エステル交換時に放出されるエチレングリコールは、少なくとも部分的に、ここでは完全に留去される。エステル交換時に、少なくとも1種の触媒を使用する。
【0038】
PEFをリサイクルするための方法によって得られるリサイクルポリオールは、150mgKOH/g~400mgKOH/gの間のOH価を有する。リサイクルポリオールは、1000g/mol未満の平均分子量を有する。リサイクルポリオールは、その総質量に基づいて20重量%未満の遊離グリコールの含有量を有する。リサイクルポリオールは、3,000mPas~12,000mPasの間の動粘度を有する。リサイクルポリオールは、以下の一般化された構造:
【0039】
【0040】
[式中、nは、特に1.0~10.0の間の正の値を取り得る]
を有する。ここで、nは、特にPUR/PIR硬質フォームの製造における先に挙げられている動粘度およびそれに伴う良好な加工性を達成するために、2.0~3.0の間の値を有する。
【0041】
続いて、リサイクルポリオールを、PUR/PIR硬質フォームを製造するための方法で使用する。
PUR/PIR硬質フォームを製造するための方法では、少なくとも1種のポリイソシアネート、少なくとも1種のポリオール、具体的には、ポリエチレンフラノエート(PEF)からリサイクルされた少なくともリサイクルポリオール、および少なくとも1種の発泡剤をPUR/PIR硬質フォームに変換する。
【0042】
PUR/PIR硬質フォームを製造するための方法の1設計では、少なくとも1種のポリイソシアネート、ポリエチレンフラノエート(PEF)からリサイクルされたリサイクルポリオール、さらに、ポリエチレンテレフタラート(PET)からリサイクルされた少なくとも1種のさらなるリサイクルポリオール、および少なくとも1種の発泡剤をPUR/PIR硬質フォームに変換する。この方法のこの設計によって製造されたPUR/PIR硬質フォームは、少なくとも1種のポリオールから製造されており、ポリオールは、少なくとも部分的に、ポリエチレンフラノエート(PEF)からリサイクルされたリサイクルポリオールである。特に、ポリオールは主に、ポリエチレンフラノエート(PEF)からリサイクルされたリサイクルポリオールである。そのようにして得られたPUR/PIR硬質フォームは、0.018W/(mK)~0.021W/(mK)の間の熱伝導率を有する。
【0043】
PUR/PIR硬質フォームを製造するための方法の代替的な設計では、少なくとも1種のポリイソシアネート、ポリエチレンフラノエート(PEF)からリサイクルされたリサイクルポリオール、少なくとも1種のさらなるポリオール、および少なくとも1種の発泡剤をPUR/PIR硬質フォームに変換する。ここで、さらなるポリオールは、主に再生可能原料から製造されたポリオールである。
【0044】
この方法のこの設計によって製造されたPUR/PIR硬質フォームは、少なくとも1種のポリオールから製造されており、ポリオールは、少なくとも部分的に、ポリエチレンフラノエート(PEF)からリサイクルされたリサイクルポリオールであり、少なくとも部分的に、主に再生可能原料から製造されたポリオールである。PUR/PIR硬質フォームは、0.018W/(mK)~0.021W/(mK)の間の熱伝導率を有する。
【実施例1】
【0045】
実施例1によるポリエチレンフラノエート(PEF)を化学的にリサイクルするための方法では、PEFポリマーを少なくとも1種の低分子量化合物に変換する。この方法は、非連続的であり、複数の方法工程で実施する。この目的のために、第1の方法工程では、3,700gのジエチレングリコール(DEG)を、6Lの容量を有する加熱可能な撹拌反応器に入れ、240℃に予熱する。続いて、990gのPEFポリマーおよび10gのPETポリマーを添加し、反応混合物を150分間にわたって撹拌することによってジエチレングリコールに溶解させる。ここで、PEFポリマーを解糖によって低分子量化合物に変換し、PETポリマーをさらなる低分子量化合物に変換する。上記低分子量化合物は、主にオリゴマー、具体的には、2,5-フランジカルボン酸の3個の酸基から構成されているトリマーである。上記さらなる低分子量化合物は、主にオリゴマー、具体的には、テレフタル酸の3個の酸基から構成されているトリマーである。この方法のさらなる方法工程では、反応混合物を、180℃に冷却し、濾紙を敷いたヌッチェを介して濾過することによって、固体として含有される残渣および不純物から分離する。続いて、得られた濾液を、6Lの容量を有するさらなる加熱可能な撹拌反応器に移す。上記さらなる撹拌反応器を、10個の気泡トレイおよび加熱可能な外側ジャケットを備えた精留カラムを上部に取り付けて操作する。150mgのチタン酸テトラブチルをエステル交換触媒として添加する。反応混合物を680mbarの圧力で加熱する。225℃の温度の到達後に、エステル交換が開始し、上記低分子量化合物がリサイクルポリオールに変換され、上記さらなる低分子量化合物がさらなるリサイクルポリオールに変換される。エステル交換の最中に、生じるエチレングリコール(EG)を連続的に留去する。カラムジャケット温度を180℃に調整し、還流比を同様に180℃に変化させることによって頂部温度を調節することによって、留出するEGを大幅にDEGから分離する。この温度は、留去されるEGの量に伴って上昇し、この方法の終了時には235℃になり、頂部温度は175℃に低下する。エステル交換生成物は、728mgKOH/gのOH価を有する。続いて、エステル交換生成物を130℃に冷却し、カラムを迂回しながら真空を徐々に増加させることによって遊離DEGを留去する。蒸留方法の終了時の圧力は0.2mbarであり、生成物の温度は130℃である。305mgKOH/gのOH価および3500mPasの動粘度を有するリサイクルポリオールが得られる。
【0046】
続いて、PEFを化学的にリサイクルするための方法によって得られたリサイクルポリオールとさらなるリサイクルポリオールとから、ポリイソシアネートとしてのメチレンジフェニルイソシアネート(MDI)および発泡剤としてのペンタンを一緒に用いてPUR/PIR硬質フォームを製造するための方法によって、PUR/PIR硬質フォームを製造する。この方法によって製造されたPUR/PIR硬質フォームは、30.2kg/m3のバルク密度を有する。PUR/PIR硬質フォームの測定された熱伝導率は0.0209W/(mK)であり、測定値は、23℃の平均温度で実験室フォームについて特定した。10℃の平均温度で測定された設備フォーム(Anlagenschaeume)は、約0.002~0.003W/(mK)だけ低い熱伝導率を有する。製造されたPUR/PIR硬質フォームの火災挙動は、DIN EN ISO11925-2に準拠した建築材料クラスEに相応する。
【実施例2】
【0047】
実施例2によるポリエチレンフラノエート(PEF)を化学的にリサイクルするための方法では、PEFポリマーを少なくとも1種の低分子量化合物に変換する。この目的のために、第1の方法工程では、858gのジエチレングリコール(DEG)を、6Lの容量を有する加熱可能な撹拌反応器に入れ、240℃に予熱する。撹拌反応器には、10個の気泡トレイおよび加熱可能な外側ジャケットを有する精留カラムが上部に取り付けられている。続いて、1820gのPEFポリマーを添加し、反応混合物を150分間にわたって撹拌することによってジエチレングリコールに溶解させる。続いて、反応混合物を180℃に冷却し、200mgのチタン酸テトラブチルをエステル交換触媒として添加する。エステル交換について、PEFポリマーに対するDEGの当量濃度を、得られるリサイクルポリオールが400mgKOH/g未満のOH価を有するように選択する。ここで、DEGの当量濃度は0.81である。
【0048】
反応混合物を680mbarの圧力で再び加熱する。225℃の温度の到達後に、エステル交換が開始し、低分子量化合物がリサイクルポリオールに変換される。エステル交換の最中に、生じるエチレングリコール(EG)を連続的に留去する。カラムジャケット温度を180℃に調整し、還流比を同様に180℃に変化させることによって頂部温度を調節することによって、留出するEGを大幅にDEGから分離する。この温度は、留去されるEGの量に伴って上昇し、この方法の終了時には235℃になり、頂部温度は175℃に低下する。
【0049】
続いて、生成物を130℃に冷却し、カラムを迂回しながら真空を徐々に増加させることによって遊離DEGを留去する。蒸留方法の終了時の圧力は0.2mbarであり、生成物の温度は130℃である。
【0050】
288mgKOH/gのOH価および3,000mPas~12,000mPasの間、ここでは4,000mPas~8,000mPasの間の動粘度を有するリサイクルポリオールが得られる。
【0051】
続いて、PEFを化学的にリサイクルするための方法によって得られたリサイクルポリオールから、ポリイソシアネートとしてのメチレンジフェニルイソシアネート(MDI)および発泡剤としてのペンタンを一緒に用いてPUR/PIR硬質フォームを製造するための方法によって、PUR/PIR硬質フォームを製造する。この方法では、リサイクルポリオールと、主に再生可能原料から製造されたポリオールとの混合物を使用し、どちらのポリオールも1対1の比率で混合する。主に再生可能原料から製造されたポリオールは、少なくとも本質的に再生可能原料から製造された2,5-フランジカルボン酸とジエチレングリコールとから合成されたポリオールである。したがって、主に再生可能原料から製造されたポリオール、およびリサイクルポリオールは、非常に類似した化学構造および同等の特性を有する。
【0052】
この方法によって製造されたPUR/PIR硬質フォームは、0.018W/(mK)~0.021W/(mK)の間の熱伝導率を有する。
【国際調査報告】