(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】インテインと融合した転写活性化因子様エフェクター
(51)【国際特許分類】
C12N 15/09 20060101AFI20240621BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240621BHJP
C12N 9/16 20060101ALI20240621BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240621BHJP
A01H 5/00 20180101ALI20240621BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240621BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20240621BHJP
C12N 15/55 20060101ALN20240621BHJP
【FI】
C12N15/09 100
C12N15/63 Z ZNA
C12N9/16 Z
C12N5/10
A01H5/00 A
C12N15/62 Z
C12N15/11 Z
C12N15/55
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524973
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 US2022073508
(87)【国際公開番号】W WO2023283597
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511276161
【氏名又は名称】サイバス オイローペ ベスローテン ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【氏名又は名称】大木 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100204582
【氏名又は名称】大栗 由美
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムス,ロバート ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィクソン,サラ
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA88X
4B065AA88Y
4B065AA89X
4B065AB01
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA23
4B065CA31
4B065CA60
(57)【要約】
本開示の実施形態は、第1の転写活性化因子様エフェクター(TALE)の少なくとも一部分と融合した第1のインテインをコードする複数のヌクレオチド配列、第2のTALEの少なくとも一部分と融合した第1のインテインをコードする第2のヌクレオチド配列、およびレアカットヌクレアーゼの少なくとも一部分と融合した第2のインテインをコードする第3のヌクレオチド配列を対象にする。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の転写活性化因子様エフェクター(TALE)の少なくとも一部分と融合した第1のインテインをコードする第1のヌクレオチド配列;
第2のTALEの少なくとも一部分と融合した前記第1のインテインをコードする第2のヌクレオチド配列;および
レアカットヌクレアーゼの少なくとも一部分と融合した第2のインテインをコードする第3のヌクレオチド配列
を含む、複数のヌクレオチド配列。
【請求項2】
前記第1のヌクレオチド配列は、前記第1のTALEと融合した前記第1のインテインをコードし、前記第2のヌクレオチド配列は、前記第2のTALEと融合した前記第1のインテインをコードする、請求項1に記載の、複数のヌクレオチド配列。
【請求項3】
前記第3のヌクレオチド配列は、前記レアカットヌクレアーゼと融合した前記第2のインテインをコードする、請求項2に記載の、複数のヌクレオチド配列。
【請求項4】
前記第1のヌクレオチド配列は、前記レアカットヌクレアーゼの第1の部分および前記第1のTALEと融合した前記第1のインテインをコードし、前記第2のヌクレオチド配列は、前記レアカットヌクレアーゼの前記第1の部分および前記第2のTALEと融合した前記第1のインテインをコードする、請求項1に記載の、複数のヌクレオチド配列。
【請求項5】
前記第3のヌクレオチド配列は、前記レアカットヌクレアーゼの第2の部分と融合した前記第2のインテインをコードし、前記レアカットヌクレアーゼの前記第1の部分および前記第2の部分は、前記レアカットヌクレアーゼを形成する、請求項4に記載の、複数のヌクレオチド配列。
【請求項6】
各々、別個のベクターを含む、および/または単一発現コンストラクト上にある、請求項1に記載の、複数のヌクレオチド配列。
【請求項7】
前記第1のインテインおよび前記第2のインテインは、接触するとセルフスプライシングし、それに応じて、前記レアカットヌクレアーゼに結合した前記第1のTALEを含む第1の半転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)を形成するように構成されている、請求項1に記載の、複数のヌクレオチド配列。
【請求項8】
前記第1のインテインおよび前記第2のインテインは、接触するとセルフスプライシングし、それに応じて、前記レアカットヌクレアーゼに結合した前記第2のTALEを含む第2の半TALENを形成するように構成されている、請求項7に記載の、複数のヌクレオチド配列。
【請求項9】
前記第1のインテインおよび前記第2のインテインは、接触するとセルフスプライシングし、前記第2のインテインに結合した前記第1のインテインを含む、スプライシングされたタンパク質を形成するように構成されている、請求項1に記載の、複数のヌクレオチド配列。
【請求項10】
その各々はさらに、プロモーターおよびターミネーターをコードする、請求項1に記載の、複数のヌクレオチド配列。
【請求項11】
細胞を、
第1の転写活性化因子様エフェクター(TALE)の少なくとも一部分と融合した第1のインテインをコードする第1のヌクレオチド配列;
第2のTALEの少なくとも一部分と融合した前記第1のインテインをコードする第2のヌクレオチド配列;および
レアカットヌクレアーゼの少なくとも一部分と融合した第2のインテインをコードする第3のヌクレオチド配列
と接触させること;ならびに
前記細胞を接触させることに応じて、
前記第1のTALE、前記第2のTALEおよび前記レアカットヌクレアーゼを、前記第1のインテインおよび前記第2のインテインによりスプライシングし、
前記第1のTALEおよび前記レアカットヌクレアーゼを含む第1の半転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN);および
前記第2のTALEおよび前記レアカットヌクレアーゼを含む第2の半TALEN
を形成すること
を含む、方法。
【請求項12】
さらに、前記第1のヌクレオチド配列、前記第2のヌクレオチド配列、および前記第3のヌクレオチド配列を翻訳して、前記第1のTALEと融合した前記第1のインテイン、前記第2のTALEと融合した前記第1のインテイン、および前記レアカットヌクレアーゼと融合した前記第2のインテインを形成することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
さらに、前記第1の半TALENおよび前記第2の半TALENを使用して前記細胞を形質転換することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のヌクレオチド配列は、前記第1のTALEのC末端と融合したN末端インテインをコードし、前記第2のヌクレオチド配列は、前記第2のTALEのC末端と融合した前記N末端インテインをコードし、前記第3のヌクレオチド配列は、前記レアカットヌクレアーゼのN末端と融合したC末端インテイン、または前記レアカットヌクレアーゼの部分間に融合した前記C末端インテインをコードする、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のヌクレオチド配列は、前記第1のTALEのN末端と融合したC末端インテインをコードし、前記第2のヌクレオチド配列は、前記第2のTALEのN末端と融合した前記C末端インテインをコードし、前記第3のヌクレオチド配列は、前記レアカットヌクレアーゼのC末端と融合したN末端インテイン、または前記レアカットヌクレアーゼの部分間に融合した前記N末端インテインをコードする、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
スプライシングが、前記第1のインテインの、前記第2のインテインへの結合を含み、
前記第2のインテインに結合した前記第1のインテインを含む第1の中間体、ここで前記第1のインテインは前記第1のTALEと融合し、前記第2のインテインは前記レアカットヌクレアーゼと融合している;および
前記第2のインテインに結合した前記第1のインテインを含む第2の中間体、ここで前記第1のインテインは前記第2のTALEと融合し、前記第2のインテインは前記レアカットヌクレアーゼと融合している、
を形成する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
スプライシングが、
前記第1のインテインを前記第2のインテインに結合すること;
前記第1のインテインおよび前記第2のインテインに関連したスプライス部位を切断すること;ならびに
前記第1のTALEを前記レアカットヌクレアーゼに結合し、前記第2のTALEを前記レアカットヌクレアーゼに結合して、前記第1の半TALENおよび前記第2の半TALENを形成すること、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記スプライス部位は、
前記第1のインテインと前記第1のTALEとの間;
前記第1のインテインと前記第2のTALEとの間;ならびに
前記第2のインテインと前記レアカットヌクレアーゼまたはその一部との間、
にある、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも第1の転写活性化因子様エフェクター(TALE)と融合した第1のインテインをコードする第1のヌクレオチド配列;
少なくとも第2のTALEと融合した前記第1のインテインをコードする第2のヌクレオチド配列;および
レアカットヌクレアーゼの少なくとも一部分と融合した第2のインテインをコードする第3のヌクレオチド配列
を含む、発現コンストラクト。
【請求項20】
前記第1のヌクレオチド配列は、前記第1のTALEのC末端と融合したN末端インテインをコードし、前記第2のヌクレオチド配列は、前記第2のTALEのC末端と融合した前記N末端インテインをコードし、前記第3のヌクレオチド配列は、前記レアカットヌクレアーゼのN末端と融合したか、または前記レアカットヌクレアーゼの部分間に融合したC末端インテインをコードする、請求項19に記載の発現コンストラクト。
【請求項21】
前記第1のヌクレオチド配列は、前記第1のTALEのN末端と融合したC末端インテインをコードし、前記第2のヌクレオチド配列は、前記第2のTALEのN末端と融合した前記C末端インテインをコードし、前記第3のヌクレオチド配列は、前記レアカットヌクレアーゼのC末端と融合したか、または前記レアカットヌクレアーゼの部分間に融合したN末端インテインをコードする、請求項19に記載の発現コンストラクト。
【請求項22】
細胞による、前記第1のヌクレオチド配列、前記第2のヌクレオチド配列、および前記第3のヌクレオチド配列の翻訳に応じて、前記第1のインテインおよび第2のインテインは、互いに結合し、セルフスプライシングして、
前記レアカットヌクレアーゼに結合した前記第1のTALEを含む第1の半転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN);
前記レアカットヌクレアーゼに結合した前記第2のTALEを含む第2の半TALEN;および
前記第2のインテインに結合した前記第1のインテインを含む、スプライシングされたタンパク質
を形成するように構成されている、請求項19に記載の発現コンストラクト。
【請求項23】
前記第1のヌクレオチド配列、前記第2のヌクレオチド配列、および前記第3のヌクレオチド配列は、別個のベクターを含むか、または単一発現コンストラクト上にある、請求項19に記載の発現コンストラクト。
【請求項24】
前記第1のTALEは、共同して標的DNA配列中の第1のヌクレオチド配列に結合する第1の複数のTALE反復配列を含む;および
前記第2のTALEは、共同して前記標的DNA配列中の第2のヌクレオチド配列に結合する第2の複数のTALE反復配列を含む
請求項19に記載の発現コンストラクト。
【請求項25】
前記第1のヌクレオチド配列、前記第2のヌクレオチド配列、および前記第3のヌクレオチド配列の各々はさらに、プロモーターおよびターミネーターをコードする、請求項19に記載の発現コンストラクト。
【請求項26】
第1の転写活性化因子様エフェクター(TALE)の少なくとも一部分と融合した第1のインテインをコードする第1のヌクレオチド配列;
第2のTALEの少なくとも一部分と融合した前記第1のインテインをコードする第2のヌクレオチド配列;および
レアカットヌクレアーゼの少なくとも一部分と融合した第2のインテインをコードする第3のヌクレオチド配列
含む複数のヌクレオチド配列により形質転換させた植物、植物部位または植物細胞であって、
前記第1のTALEと融合した前記第1のインテイン、前記第2のTALEと融合した前記第1のインテイン、および前記レアカットヌクレアーゼと融合した前記第2のインテインを発現する、植物、植物部位または植物細胞。
【請求項27】
前記第1のTALEと融合した前記第1のインテイン、前記第2のTALEと融合した前記第1のインテイン、および前記レアカットヌクレアーゼと融合した前記第2のインテインの、前記発現した第1のインテインおよび第2のインテインは、セルフスプライシングして、
前記レアカットヌクレアーゼに結合した前記第1のTALEを含む第1の半転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN);
前記レアカットヌクレアーゼに結合した前記第2のTALEを含む第2の半TALEN;および
前記第2のインテインに結合した前記第1のインテインを含む、スプライシングされたタンパク質
を形成する、請求項26に記載の植物、植物部位または植物細胞。
【請求項28】
形質転換させた植物、植物部位または植物細胞は、
前記レアカットヌクレアーゼに結合した前記第1のTALEを含む第1の半転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN);
前記レアカットヌクレアーゼに結合した前記第2のTALEを含む第2の半TALEN;および
前記第2のインテインに結合した前記第1のインテインを含む、スプライシングされたタンパク質
を示す、請求項26に記載の植物、植物部位または植物細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子的に提出されたデータの、参照による組込み
ASCIIテキストファイルのコンピュータ可読ヌクレオチド/アミノ酸配列表は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれており、サイズ115kbで、本明細書と同時に提出されており、「C1633112111_SequenceListing」と識別され、2022年7月7日に作成されたものである。
【背景技術】
【0002】
レアカットヌクレアーゼ、例えば、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文配列(CRISPR)、および関連するCRISPR関連タンパク質9(Cas9)またはCpf1システムを使用するゲノム編集技術は、基礎生物学研究、バイオテクノロジー、品種改良および遺伝子治療を加速させた。レアカットヌクレアーゼは、欠失、挿入を生成するため、および相同組換えを開始するために使用可能である。TALENは、レアカットヌクレアーゼと、特異的配列を標的にして、デオキシリボ核酸(DNA)中に正確な切断を生成し得るTALEとを含む。あるTALENデザインは、レアカットヌクレアーゼと融合した、第1の結合部位を認識する左TALEを含む左半分TALENと、それに続くスペーサー領域、およびレアカットヌクレアーゼと融合した、第2の結合部位を認識する右TALEを含む右半分TALEとを含む。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、TALEに関連する前記の課題および必要性の克服を対象にする。
【0004】
様々な態様は、第1の転写活性化因子様エフェクター(TALE)の少なくとも一部分と融合した第1のインテインをコードする第1のヌクレオチド配列、第2のTALEの少なくとも一部分と融合した第1のインテインをコードする第2のヌクレオチド配列、およびレアカットヌクレアーゼの少なくとも一部分と融合した第2のインテインをコードする第3のヌクレオチド配列を含む複数のヌクレオチド配列を対象にする。
【0005】
一部の態様では、第1のヌクレオチド配列は、第1のTALEと融合した第1のインテインをコードし、第2のヌクレオチド配列は、第2のTALEと融合した第1のインテインをコードする。さらなる一部の態様では、第3のヌクレオチド配列は、レアカットヌクレアーゼと融合した第2のインテインをコードする。
【0006】
一部の態様では、第1のヌクレオチド配列は、レアカットヌクレアーゼの第1の部分および第1のTALEと融合した第1のインテインをコードし、第2のヌクレオチド配列は、レアカットヌクレアーゼの第1の部分および第2のTALEと融合した第1のインテインをコードする。さらなる一部の態様では、第3のヌクレオチド配列は、レアカットヌクレアーゼの第2の部分と融合した第2のインテインをコードし、ただし、レアカットヌクレアーゼの第1の部分および第2の部分は、レアカットヌクレアーゼを形成する。
【0007】
一部の態様では、複数のヌクレオチド配列は、各々、別個のベクターを含む、および/または単一発現コンストラクト上にある。
【0008】
一部の態様では、第1のインテインおよび第2のインテインは、接触するとセルフスプライシングし、それに応じて、レアカットヌクレアーゼに結合した第1のTALEを含む第1の半転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)を形成するように構成されている。さらなる一部の態様では、第1のインテインおよび第2のインテインは、接触するとセルフスプライシングし、それに応じて、レアカットヌクレアーゼに結合した第2のTALEを含む第2の半TALENを形成するように構成されている。
【0009】
一部の態様では、第1のインテインおよび第2のインテインは、接触するとセルフスプライシングし、第2のインテインに結合した第1のインテインを含む、スプライシングされたタンパク質を形成するように構成されている。
【0010】
一部の態様では、複数のヌクレオチド配列の各々はさらに、プロモーターおよびターミネーターをコードする。
【0011】
一部の態様は、細胞を、第1の転写活性化因子様エフェクター(TALE)の少なくとも一部分と融合した第1のインテインをコードする第1のヌクレオチド配列、第2のTALEの少なくとも一部分と融合した第1のインテインをコードする第2のヌクレオチド配列、およびレアカットヌクレアーゼの少なくとも一部分と融合した第2のインテインをコードする第3のヌクレオチド配列と接触させることを含む方法を対象にする。本方法はさらに、細胞を接触させることに応じて、第1のTALE、第2のTALEおよびレアカットヌクレアーゼが、第1のインテインおよび第2のインテインによりスプライシングし、第1のTALEおよびレアカットヌクレアーゼを含む第1の半転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)ならびに第2のTALEおよびレアカットヌクレアーゼを含む第2の半TALENを形成することを含む。
【0012】
一部の態様では、本方法はさらに、第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列および第3のヌクレオチド配列を翻訳し、第1のTALEと融合した第1のインテイン、第2のTALEと融合した第1のインテイン、およびレアカットヌクレアーゼと融合した第2のインテインを形成することを含む。
【0013】
一部の態様では、本方法はさらに、第1の半TALENおよび第2の半TALENを使用して細胞を形質転換することを含む。
【0014】
一部の態様では、第1のヌクレオチド配列は、第1のTALEのC末端と融合したN末端インテインをコードし、第2のヌクレオチド配列は、第2のTALEのC末端と融合したN末端インテインをコードし、第3のヌクレオチド配列は、レアカットヌクレアーゼのN末端と融合したC末端インテイン、またはレアカットヌクレアーゼの部分間に融合したC末端インテインをコードする。
【0015】
一部の態様では、第1のヌクレオチド配列は、第1のTALEのN末端と融合したC末端インテインをコードし、第2のヌクレオチド配列は、第2のTALEのN末端と融合したC末端インテインをコードし、第3のヌクレオチド配列は、レアカットヌクレアーゼのC末端と融合したN末端インテイン、またはレアカットヌクレアーゼの部分間に融合したN末端インテインをコードする。
【0016】
一部の態様では、スプライシングは、第1のインテインの、第2のインテインへの結合を含み、レアカットヌクレアーゼと融合している第2のインテインに結合した、第1のTALEと融合している第1のインテインを含む第1の中間体、およびレアカットヌクレアーゼと融合している第2のインテインに結合した、第2のTALEと融合している第1のインテインを含む第2の中間体を形成する。
【0017】
一部の態様では、スプライシングは、第1のインテインを第2のインテインに結合すること、第1のインテインおよび第2のインテインに関連した(associated with)スプライス部位を切断すること、ならびに第1のTALEをレアカットヌクレアーゼに結合し、第2のTALEをレアカットヌクレアーゼに結合して、第1の半TALENおよび第2の半TALENを形成する。
【0018】
一部の態様では、スプライス部位は、第1のインテインと第1のTALEとの間、第1のインテインと第2のTALEとの間、および第2のインテインとレアカットヌクレアーゼまたはその一部との間にある。
【0019】
一部の態様は、少なくとも第1の転写活性化因子様エフェクター(TALE)と融合した第1のインテインをコードする第1のヌクレオチド配列、少なくとも第2のTALEと融合した第1のインテインをコードする第2のヌクレオチド配列、およびレアカットヌクレアーゼの少なくとも一部分と融合した第2のインテインをコードする第3のヌクレオチド配列を含む発現コンストラクトを対象にする。
【0020】
一部の態様では、第1のヌクレオチド配列は、第1のTALEのC末端と融合したN末端インテインをコードし、第2のヌクレオチド配列は、第2のTALEのC末端と融合したN末端インテインをコードし、第3のヌクレオチド配列は、レアカットヌクレアーゼのN末端と融合したか、またはレアカットヌクレアーゼの部分間に融合したC末端インテインをコードする。
【0021】
一部の態様では、第1のヌクレオチド配列は、第1のTALEのN末端と融合したC末端インテインをコードし、第2のヌクレオチド配列は、第2のTALEのN末端と融合したC末端インテインをコードし、第3のヌクレオチド配列は、レアカットヌクレアーゼのC末端と融合したか、またはレアカットヌクレアーゼの部分間に融合したN末端インテインをコードする。
【0022】
一部の態様では、細胞による、第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列および第3のヌクレオチド配列の翻訳に応じて、第1のインテインおよび第2のインテインは、互いに結合し、セルフスプライシングして、レアカットヌクレアーゼに結合した第1のTALEを含む第1の半転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、レアカットヌクレアーゼに結合した第2のTALEを含む第2の半TALEN、および第2のインテインに結合した第1のインテインを含む、スプライシングされたタンパク質を形成するように構成されている。
【0023】
一部の態様では、第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列および第3のヌクレオチド配列は、別個のベクターを含むか、または単一発現コンストラクト上にある。
【0024】
一部の態様では、第1のTALEは、共同して、標的DNA配列中の第1のヌクレオチド配列に結合する、第1の複数のTALE反復配列を含み、第2のTALEは、共同して、標的DNA配列中の第2のヌクレオチド配列に結合する、第2の複数のTALE反復配列を含む。
【0025】
一部の態様では、第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列および第3のヌクレオチド配列の各々はさらに、プロモーターおよびターミネーターをコードする。
【0026】
様々な態様は、第1の転写活性化因子様エフェクター(TALE)の少なくとも一部分と融合した第1のインテインをコードする第1のヌクレオチド配列、第2のTALEの少なくとも一部分と融合した第1のインテインをコードする第2のヌクレオチド配列、およびレアカットヌクレアーゼの少なくとも一部分と融合した第2のインテインをコードする第3のヌクレオチド配列を含む複数のヌクレオチド配列により形質転換させた植物、植物部位または植物細胞を対象にする。そして、形質転換させた植物、植物部位または植物細胞は、第1のTALEと融合した第1のインテイン、第2のTALEと融合した第1のインテイン、およびレアカットヌクレアーゼと融合した第2のインテインを発現する。
【0027】
一部の態様では、第1のTALEと融合した第1のインテイン、第2のTALEと融合した第1のインテイン、およびレアカットヌクレアーゼと融合した第2のインテインの、発現した第1のインテインおよび第2のインテインは、セルフスプライシングして、レアカットヌクレアーゼに結合した第1のTALEを含む第1の半転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、レアカットヌクレアーゼに結合した第2のTALEを含む第2の半TALEN、および第2のインテインに結合した第1のインテインを含む、スプライシングされたタンパク質を形成する。
【0028】
一部の態様では、形質転換させた植物、植物部位または植物細胞は、レアカットヌクレアーゼに結合した第1のTALEを含む第1の半転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、レアカットヌクレアーゼに結合した第2のTALEを含む第2の半TALEN、および第2のインテインに結合した第1のインテインを含む、スプライシングされたタンパク質を示す。
【0029】
様々な実施形態は、本明細書に記載される方法、ベクター、発現コンストラクト、ヌクレオチド配列および/もしくはシステムにより形質転換させた宿主細胞ならびに/または生物体を対象にする。
【0030】
様々な実施形態は、本明細書において特許請求されるヌクレオチド配列および/またはシステムのいずれかを形成する方法を対象にする。
【0031】
様々な例の実施形態は、添付図面と関連して以下の詳細な説明を考慮すると、より完全に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A-1D】本開示と一致した、例示的ヌクレオチド配列を示す図であり、それらのヌクレオチド配列は、TALEを伴う第1のインテインをコードする、およびレアカットヌクレアーゼを伴う第2のインテインをコードする。
【
図2】本開示と一致した、例示的ヌクレオチド配列を使用してTALENを生成するための例示的方法を示す流れ図である。
【
図3A-3B】本開示と一致した、例示的発現コンストラクトを示す図である。
【
図4】本開示と一致した、インテインによりスプライシングしてTALENを形成する例を示す流れ図である。
【
図5】本開示と一致した、ヌクレオチド配列を使用する細胞の編集から得られるジェノタイピングを示す画像である。
【
図6A-6C】本開示と一致した、YFP陰性対照、TALEN陽性対照、およびインテインからのゲノム領域を示す全体画像である。
【
図7】本開示と一致した、異なるプラスミドベクターを使用する、ダイズ外植体の形質転換の例示的結果を示す図である。
【
図8A-8I】本開示と一致した、異なるプラスミドベクターを使用する、アサ外植体の形質転換の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示の態様は、様々な方法、ヌクレオチド配列、システム、発現コンストラクト、ならびにヌクレオチド配列を使用して形質転換させた宿主細胞および/または生物体を対象にする。本発明は、必ずしもそのような適用に限定されない一方、本発明の様々な態様は、その関係を使用する様々な実施形態の考察を介して理解され得る。
【0034】
したがって、以下の説明では、本明細書に提示される具体的な実施形態を記載するために、様々な具体的詳細を記載する。しかし、それらの実施形態の1つまたは複数の他の実施例および/または変形形態が、以下に示されるすべての具体的詳細を伴わずに実行可能であることが当業者には明らかである。他の場合、周知の特色は、本明細書での実施形態の説明を不明瞭にさせないように、詳細には記載されていない。例示しやすいように、同じ要素、または同じ要素の追加の実例を指すために、異なる図において同じ参照番号を使用し得る。
【0035】
レアカットヌクレアーゼ、例えばレアカットエンドヌクレアーゼは、特異的遺伝子を標的にするため、または複数遺伝子を標的にするために使用可能である。非限定的な例は、TALEN、操作されたホーミングエンドヌクレアーゼ、ZFN、メガヌクレアーゼ、およびCRISPRを含む。レアカットヌクレアーゼは、長さが12~40塩基対以上の認識部位を有する、標的配列と呼ばれることもあるヌクレオチド配列に対するエンドヌクレアーゼ活性を伴う天然または操作されたタンパク質であり得る。典型的に、レアカットヌクレアーゼは、認識部位の内部での切断を引き起こす。一部の場合、レアカットヌクレアーゼは、切断活性を伴うヌクレアーゼドメインと融合した結合ドメインを含有する融合タンパク質である。結合ドメインは、標的配列に結合するように構成され得る。レアカットエンドヌクレアーゼドメインは、標的位置と関連する標的ゲノム遺伝子座において変異を誘導するように構成され得る。TALENおよびZFNは、ヌクレアーゼドメイン、例えば、Fok1と呼ばれることもあるFokIのエンドヌクレアーゼとの、結合ドメインの融合タンパク質の例である。TALENは、ヌクレアーゼドメインと融合した結合ドメインを介して、標的配列に対する特異性を有するように遺伝子操作され得て、選択された特異的DNA配列を標的にするキメラヌクレアーゼをもたらし、標的配列において、またはその近くでのDNAの切断をもたらす。そのようなDNA切断(二本鎖切断)は、ノックアウトのような変異、あるいは遺伝子機能の変化を、高精度かつ効率的に誘導し得る。
【0036】
本開示に従う実施形態は、TALEおよびヌクレアーゼを含有するヌクレオチド配列中でのインテインの使用を対象にする。一部の実施形態では、半TALEおよびヌクレアーゼは、互いに分離しており、翻訳後、インテインは、それぞれの半TALEをスプライシングしてヌクレアーゼにライゲートすることができる。半TALEおよびヌクレアーゼを含有するヌクレオチド配列に対して相補的インテインを使用することにより、生物体の細胞へと送達するため、および形質転換するために使用されるベクターは、完全半TALENを含有するヌクレオチド配列と比べて、より小さいプラスミドサイズ(「カーゴサイズ」と呼ばれることもある)を有し得る。プラスミドサイズの低下は、ヌクレオチド配列の発現頻度を上昇させ得る。さらに、TALEおよびヌクレアーゼを含有するヌクレオチド配列におけるインテインの使用は、細胞への遺伝子編集物質の送達に柔軟性を付加し得る。
【0037】
一部の実施形態では、異なるヌクレオチド配列は、プラスミドのような一般的発現コンストラクト上で送達され得る。一緒に送達されるものの、各ヌクレオチド配列は、異なる分子複合体をコードし、他の分子複合体とは別個に転写および翻訳される。分子複合体は、一緒に転写および翻訳されてタンパク質または融合タンパク質を形成する、化合物または化合物の複合体である。例えば、第1のヌクレオチド配列は、第1のインテインと融合した第1のTALEの分子複合体をコードし、そのヌクレオチド配列は、一緒に転写および翻訳されて、融合した第1のTALEと第1のインテインとを含む融合タンパク質を形成する。得られる分子複合体は、第1のTALEと融合したヌクレアーゼの翻訳および転写と比べて、小さいカーゴサイズを有する。本明細書で使用する融合タンパク質は、単一ポリペプチドを産生する単一ユニットとして一緒に転写および/もしくは翻訳されるように互いに連結もしくは固定されている別個の遺伝子によってコードされる少なくとも2つのドメインを含むタンパク質もしくはタンパク質複合体を含む、ならびに/または指す。
【0038】
前記の実施形態のいずれかでは、分子複合体は、転写および翻訳されてからスプライシングされて、細胞を形質転換するためのTALENを形成する。細胞の内部に送達される分子複合体のカーゴサイズの低下は、分子複合体の転写型の発現頻度を上昇させ得る。さらに、TALEおよびヌクレアーゼを含有する分子複合体におけるインテインの使用は、細胞への遺伝子編集物質の送達に柔軟性を付加し得る。例えば、ヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列は、同じままであって、TALEの可変部分のみが、異なる標的向けに修正されていてもよい(例えば、第1および第2のヌクレオチド配列において)。
【0039】
次に図を見ると、
図1A~
図1Dは、本開示と一致した、例示的ヌクレオチド配列を示す図であり、それらのヌクレオチド配列は、TALEを伴う第1のインテインをコードする、およびレアカットヌクレアーゼを伴う第2のインテインをコードする。
【0040】
図1Aが示すように、複数のヌクレオチド配列100は、第1のTALE102の少なくとも一部分と融合した第1のインテイン104をコードし、レアカットヌクレアーゼ108の少なくとも一部分と融合した第2のインテイン106をコードする。
図1Bがさらに示すように、第1のTALE102は、TALE N末端103、第1の複数のTALE反復配列105(結合ドメインとして例示)、およびTALE C末端107を含み得る。第1の複数のTALE反復配列105は、共同して、標的DNA配列中の第1のヌクレオチド配列に結合することができ、結合ドメインと呼ばれ得る。TALE反復配列は、2つの位置(12位および13位)において異なる33~35アミノ酸長リピートのアレイであり得て、「反復可変二残基(RVD)」と呼ばれることもある。各RVDは、単一ヌクレオチドを認識するため、複数リピートのアレイは、アレイにおけるリピートの数に対応する長さの、「標的配列」と呼ばれることもあるユニークヌクレオチド配列を同定する。アレイのRVDは共に、標的配列に結合する結合ドメインを形成する。
【0041】
図1Bが示すように、他の複数のヌクレオチド配列101は、第1のTALE102の少なくとも一部分と融合した第1のインテイン104、レアカットヌクレアーゼ108の少なくとも一部分と融合した第2のインテイン106、および第2のTALE110の少なくとも一部分と融合した第1のインテイン112をコードし得る。第1のインテイン104、112は、同じインテインをコードするヌクレオチド配列を含み得る(例えば、インテイン配列は2回出現する)。第2のTALE110は、TALE N末端109、第2の複数のTALE反復配列111(結合ドメインとして例示)、およびTALE C末端113を含み得る。第2の複数のTALE反復配列111は、共同して、標的DNA配列中の第2のヌクレオチド配列に結合することができ、結合ドメインと呼ばれ得る。
【0042】
図1Bが示すように、複数のヌクレオチド配列101は、第1のTALE102と融合した第1のインテイン104をコードする第1のヌクレオチド配列、第2のTALE110と融合した第1のインテイン112をコードする第2のヌクレオチド配列、およびレアカットヌクレアーゼ108と融合した第2のインテイン106をコードする第3のヌクレオチド配列を含み得る。しかし、実施例はそのように限定されず、
図1Cがさらに示すように、第1および/または第2のインテインは、第1のTALE102、第2のTALE110、および/またはレアカットヌクレアーゼ108の部分と融合可能である。
【0043】
一部の実施形態では、複数のヌクレオチド配列100、101は、各々、別個のベクターを形成してもよい。一部の実施形態では、
図3A~
図3Bが示すように、複数のヌクレオチド配列100、101は、単一発現コンストラクト上に形成され得る。
【0044】
第1のインテイン104、112および第2のインテイン106は、接触するとセルフスプライシングするように構成され得る。セルフスプライシングに応じて、レアカットヌクレアーゼ108に結合した第1のTALE102を含む第1の半TALENが形成され得る。さらに、レアカットヌクレアーゼ108に結合した第2のTALE110を含む第2の半TALENが形成され得る。さらに、第2のインテイン106に結合した第1のインテイン104、112を含む、スプライシングされたタンパク質が形成され得る。一部の実施例では、スプライシングされたタンパク質は、トランススプライシングされたタンパク質である。一部の実施例では、スプライシングされたタンパク質は、シススプライシングされたタンパク質である。
【0045】
本明細書で使用するインテインは、インテインが結合している他のタンパク質から自己切除する(self-excise)内部タンパク質断片または要素であり、インテインは、エクステインと呼ばれることもある隣接成分の、ペプチド結合によるライゲーションを触媒する。インテイン切除は、補助的な酵素または補因子を必要としないこともある翻訳後プロセスである。この自己切除プロセスは、RNAイントロンの、プレmRNAからのスプライシングとの類似により「タンパク質スプライシング」と呼ばれる(Perler Fら、Nucl Acids Res.22:1125-1127(1994))。第1のインテイン104、112および第2のインテイン106はそれぞれ、互いに親和性を有するN末端インテインおよびC末端インテインを含み、接触すると互いに結合する。第1のインテイン104、112および第2のインテイン106は、トランススプライシングインテインと呼ばれ得る。トランススプライシングに関して、一方のインテインは、N-エクステインに結合しているN末端インテイン(例えば断片)であり、他方のインテインは、C-エクステインに結合しているC末端インテインである。N末端インテインとC末端インテインとは互いに結合し、セルフスプライシングして、N-エクステインとC-エクステインとのライゲーションを触媒する。一部の実施例では、インテイン配列は、中でも、Synechocystis sp(シアノバクテリア)、Saccharomyces cerevisiae(出芽酵母)、Pyrococcus horikoshii(超好熱古細菌)、Mycobacterium xenopi、Thermococcus kodakarensis(超好熱菌)、Methanocaldococcus jannaschii、およびNostoc punctiformeに由来する。例示的インテインは、中でも、Tfu pol-1インテイン、DNAポリメラーゼ(DnaE)インテイン(例えば、Ssp DnaE、Npu DnaE)、Gp41-1、Mxe GyrA、Mru RecA、MTU RecA、Tli Pol-2、Sce VMA、およびSsp DNAヘリカーゼ(DnaB)を含む。
【0046】
一部の実施形態では、第1および第2のインテイン104、112、106は、直交性インテインであり得る。例えば、SynechocystisからのN末端インテインは、NostocからのC末端インテインに結合可能であり、および/または2つの異なるN末端インテインは、同じC末端インテインに結合可能である。
【0047】
本明細書中で、例えば、
図1Dがさらに示すように、複数のヌクレオチド配列100、101は各々さらに、追加要素、例えば、プロモーターおよび/またはターミネーターをコードし得る。
【0048】
図1Cは、レアカットヌクレアーゼおよびTALEの部分と融合したインテインをコードする複数のヌクレオチド配列115の一例を示す。例えば、第1のヌクレオチド配列は、第1のTALE102と融合したレアカットヌクレアーゼの第1の部分108-1と融合した第1のインテイン104をコードする。第2のヌクレオチド配列は、レアカットヌクレアーゼの第2の部分108-2と融合した第2のインテイン106をコードする。示すように、レアカットヌクレアーゼの第1の部分108-1は、第1のTALE102と第1のインテイン104との間に融合している。複数のヌクレオチド配列100、101と同様に、第1のインテイン104および第2のインテイン106は、接触するとセルフスプライシングするように構成され得る。スプライシングに応じて、レアカットヌクレアーゼの第1および第2の部分108-1、108-2は、互いに結合し得て、第1のTALE102を伴う第1の半TALENを形成する。
図1Cは例示しないものの、一部の実施形態では、第3のヌクレオチド配列は、第2のTALEと融合した、レアカットヌクレアーゼの第1の部分108-1と融合した第1のインテイン104をコードし得て、スプライシングに応じて、レアカットヌクレアーゼの第1および第2の部分108-1、108-2は、互いに結合し得て、第2のTALEを伴う第2の半TALENを形成する。
【0049】
図1Dは、その各々がさらにプロモーターおよびターミネーターを含む、複数のヌクレオチド配列117の一例を示す。例えば、第1のヌクレオチド配列は、第1のプロモーター116、第1のTALE102、第1のインテイン104、第1のターミネーター118、および場合によりレアカットヌクレアーゼの一部108-2をコードする。第2のヌクレオチド配列は、第2のプロモーター124、第2のTALE110、第1のインテイン112、第2のターミネーター126、および場合によりレアカットヌクレアーゼの一部108-3をコードする。第3のヌクレオチド配列は、第3のプロモーター120、第2のインテイン106、レアカットヌクレアーゼの少なくとも一部分108-2、および第3のターミネーター122をコードする。一部の実施形態では、第2のインテイン106は、レアカットヌクレアーゼの第2の部分108-2と融合しており、第1のインテイン104、112はそれぞれ、レアカットヌクレアーゼの第1の部分108-1、108-3、および第1のTALE102または第2のTALE110と融合している。
【0050】
しかし、実施形態はそのように限定されず、様々な実施形態では、第1のインテイン104、112は、第1のTALE102の第1の部分および/もしくは第2のTALE110の第1の部分と融合可能であり、ならびに/または第2のインテイン106は、単一ヌクレオチド配列としてのレアカットヌクレアーゼと融合した、第1のTALE102の第2の部分および/もしくは第2のTALE110の第2の部分と融合している。他の実施形態では、第2のインテイン106が、単一ヌクレオチド配列としてのレアカットヌクレアーゼと融合している。
【0051】
非限定的な例として、プロモーターは、中でも、ノパリンシンターゼプロモーター(NosPro)またはT7プロモーターを含み得る。他の例示的プロモーターは、中でも、Sp6プロモーター、T3プロモーター、Ubiプロモーター、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーター、ADHIプロモーターおよびADH1プロモーター、GDSプロモーター、TEF1プロモーター、Gal1プロモーター、CaMKIIaプロモーター、T7lacプロモーター、araBADプロモーター、trpプロモーター、lacプロモーター、Ptacプロモーターを含み得る。
【0052】
非限定的な例として、ターミネーターは、中でも、Nosターミネーター(NosTerm)、CaMVターミネーター、t7S、tE9、tmas、tocs、tTr9、tpinIII、tORF25、ttmlを含み得る。
【0053】
図2は、本開示と一致した、例示的ヌクレオチド配列を使用してTALENを生成するための例示的方法を示す流れ図である。本方法230で使用されるヌクレオチド配列は、
図1A~
図1Dのいずれかのヌクレオチド配列100、101、115、117を含み得る。
【0054】
232において、本方法230は、細胞を、第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列および第3のヌクレオチド配列と接触させることを含む。第1のヌクレオチド配列は、第1のTALEの少なくとも一部分と融合した第1のインテインをコードする。第2のヌクレオチド配列は、第2のTALEの少なくとも一部分と融合した第1のインテインをコードする。第3のヌクレオチド配列は、レアカットヌクレアーゼの少なくとも一部分と融合した第2のインテインをコードする。
【0055】
234では、細胞を接触させることに応じて、本方法230は、第1のTALE、第2のTALEおよびレアカットヌクレアーゼが、第1のインテインおよび第2のインテインによりスプライシングし、第1のTALEおよびレアカットヌクレアーゼを含む第1の半TALENならびに第2のTALEおよびレアカットヌクレアーゼを含む第2の半TALENを形成することを含む。第1および第2の半TALENは、左半分および右半分TALENを含み得る。
【0056】
例えば、および細胞をヌクレオチド配列と接触させることに応じて、本方法230は、細胞が、第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列および第3のヌクレオチド配列を転写および/または翻訳することを含み得る。転写および/または翻訳に応じて、第1のTALEと融合した第1のインテイン、第2のTALEと融合した第1のインテイン、およびレアカットヌクレアーゼと融合した第2のインテインが、形成または発現可能である。様々な実施形態では、第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列および第3のヌクレオチド配列の各々の複数のコピーが、転写および/または翻訳され得て、第1のTALEと融合した第1のインテイン、第2のTALEと融合した第1のインテイン、およびレアカットヌクレアーゼと融合した第2のインテインの各々の複数のコピーをもたらす。
【0057】
第1のインテインおよび第2のインテインは、接触するとセルフスプライシングし得る。スプライシングプロセスは、第1および第2の半TALENの形成に先立って形成される中間体をもたらし得る。例えば、
図4がさらに示すように、第1のインテインおよび第2のインテインは、結合して、第1の中間体および第2の中間体を形成することができる。第1の中間体は、第2のインテインに結合した第1のインテインを含み得て、ただし、第1のインテインは、第1のTALEと融合し、第2のインテインは、レアカットヌクレアーゼと融合している。第2の中間体は、第2のインテインに結合した第1のインテインを含み得て、ただし、第1のインテインは、第2のTALEと融合し、第2のインテインは、レアカットヌクレアーゼと融合している。
【0058】
前記のように、スプライシングは、インテイン間での結合、スプライス部位での切断、および構成要素間での結合を含む。例えば、スプライシングは、第1のインテインの、第2のインテインへの結合、第1のインテインおよび第2のインテインに関連したスプライス部位での切断、ならびに第1のTALEの、レアカットヌクレアーゼへの結合および第2のTALEの、レアカットヌクレアーゼへの結合を含み、第1の半TALENおよび第2の半TALENを形成する。一部の実施例では、スプライシングは、レアカットヌクレアーゼの第1の部分および第2の部分の互いの結合を含み得て、完全レアカットヌクレアーゼを形成する。
【0059】
スプライス部位は、複数のヌクレオチド配列の構成要素間にあり得る。例えば、スプライス部位は、第1のインテインと第1のTALEとの間、第1のインテインと第2のTALEとの間、および第2のインテインとレアカットヌクレアーゼまたはその一部との間、にあり得る。一部の実施形態では、スプライス部位は、第2のインテインとレアカットヌクレアーゼの第1の部分および第2の部分の各々との間にあり得る。
【0060】
一部の実施形態では、本方法230はさらに、第1の半TALENおよび第2の半TALENを使用して細胞を形質転換することを含み得る。例えば、第1の半TALENおよび第2の半TALENは、結合ドメインを介して標的DNA配列に結合し得て、それに応じて、第1の半TALENおよび第2の半TALENのエンドヌクレアーゼは、標的配列においてか、またはその近くでの二本鎖切断をもたらし得る。
【0061】
様々な実施形態は、複数のヌクレオチド配列を含むシステムを対象にする。一部の実施形態では、単一発現コンストラクトは、複数のヌクレオチド配列の各々を含み得る。他の実施形態では、および/または付加的に、各々のヌクレオチド配列は、個々のベクターを形成してもよい。
【0062】
図3A~
図3Bは、本開示と一致した、
図1A~
図1Dが示すヌクレオチド配列を含む発現コンストラクトのような、例示的発現コンストラクトを示す図である。
図3A~
図3Bは、単一発現コンストラクト340、360を示すものの、実施形態は、そのように限定されず、それぞれのヌクレオチド配列が、システムを形成する別個のベクター上に存在してもよい。
【0063】
システムまたは発現コンストラクト340、360は、前記の第1のヌクレオチド配列341-A、341-B、第2のヌクレオチド配列343-A、343-B、および第3のヌクレオチド配列345-A、345-Bを含む。第1のヌクレオチド配列341-A、341-Bは、第1のTALE303、305、307の少なくとも一部分と融合した第1のインテイン304、362をコードする。第1のTALE303、305、307は、TALE N末端303、第1の複数のTALE反復配列、例えば、第1の結合ドメイン(BD1)305、およびTALE C末端307を含み得る。第1の複数のTALE反復配列は、標的DNA配列中の第1のヌクレオチド配列に結合する。第1のヌクレオチド配列341-A、341-Bはさらに、第1のプロモーター342および第1のターミネーター344を含む。第1のプロモーター342は、第1のTALE303、305、307および第1のインテイン304、362の上流にあり得て、第1のターミネーター344は、第1のTALE303、305、307および第1のインテイン304、362の下流にあり得る。
【0064】
第2のヌクレオチド配列343-A、343-Bは、第2のTALE309、311、313の少なくとも一部分と融合した第1のインテイン312、364をコードする。第2のTALE309、311、313は、TALE N末端309、第2の複数のTALE反復配列、例えば、第2の結合ドメイン(BD2)311、およびTALE C末端313を含み得る。第2の複数のTALE反復配列は、標的DNA配列中の第2のヌクレオチド配列に結合する。第2のヌクレオチド配列343-A、343-Bはさらに、第2のプロモーター346および第2のターミネーター348を含む。第2のプロモーター346は、第2のTALE309、311、313および第1のインテイン312、364の上流にあり得て、第2のターミネーター348は、第2のTALE309、311、313および第1のインテイン312、364の下流にあり得る。
【0065】
第3のヌクレオチド配列345-A、345-Bは、レアカットヌクレアーゼ308の少なくとも一部分と融合した第2のインテイン306、366をコードする。第3のヌクレオチド配列345-A、345-Bはさらに、第3のプロモーター350および第3のターミネーター352を含む。第3のプロモーター350は、レアカットヌクレアーゼ308および第2のインテイン306、366の上流にあり得て、第3のターミネーター352は、レアカットヌクレアーゼ308および第2のインテイン306、366の下流にあり得る。
【0066】
図3Aの発現コンストラクト340が示すように、一部の実施形態では、第1のヌクレオチド配列341-Aは、第1のTALE303、305、307のC末端307と融合したN末端インテイン304をコードする。第2のヌクレオチド配列343-Aは、第2のTALE309、311、313のC末端313と融合したN末端インテイン312をコードする。そして、第3のヌクレオチド配列345-Aは、レアカットヌクレアーゼ308のN末端と融合したか、またはレアカットヌクレアーゼ308の部分間に融合したC末端インテイン306をコードする。そのような実施形態では、第1のTALE303、305、307および第2のTALE309、311、313は、それぞれ、第1のインテイン304、312の上流にある。第2のインテイン306は、レアカットヌクレアーゼ308の少なくとも一部分の上流にある。
【0067】
図3Bの発現コンストラクト360が示すように、一部の実施形態では、第1のヌクレオチド配列341-Bは、第1のTALE303、305、307のN末端303と融合したC末端インテイン362をコードする。第2のヌクレオチド配列343-Bは、第2のTALE309、311、313のN末端309と融合したC末端インテイン364をコードする。そして、第3のヌクレオチド配列345-Bは、レアカットヌクレアーゼ308のC末端と融合したか、またはレアカットヌクレアーゼ308の部分間に融合したN末端インテイン366をコードする。そのような実施形態では、第1のTALE303、305、307および第2のTALE309、311、313は、それぞれ、第1のインテイン362、364の下流にある。第2のインテイン366は、レアカットヌクレアーゼ308の少なくとも一部分の下流にある。
【0068】
本明細書で使用する発現コンストラクトは、ゲノム編集試薬(genome editing reagent)を運ぶ1つもしくは複数のベクターもしくはバイナリーベクターを含むヌクレオチド配列(例えば、核酸配列もしくはDNA配列)を含む、および/または指す。ゲノム編集試薬は、ヌクレアーゼおよび/もしくはTALEを含み得るか、またはコードし得る。一部の実施形態では、発現コンストラクトは、細胞内でのゲノム編集試薬の輸送を促進するように選択および配置された様々なヌクレオチド配列を含み得る。例えば、発現コンストラクトは、前記の第1のヌクレオチド配列、第2のヌクレオチド配列および第3のヌクレオチド配列を含み得る。レアカットヌクレアーゼは、数あるヌクレアーゼの中でもFokIタンパク質を含み得る。一部の実施形態では、発現コンストラクトおよび/またはベクターは、他の構成要素、例えば、検出可能標識、プロモーターおよびターミネーターを含み得る。検出可能標識は、数ある種類の標識の中でも、蛍光タンパク質、フルオロフォア、またはフルオロフォアに結合したヌクレオチドを含み得る。
【0069】
ベクターまたはバイナリーベクターは、「インサート」と呼ばれることもある1つもしくは複数の導入遺伝子と骨格とを含む核酸配列を含むか、または指す。バイナリーベクターは、形質転換した細胞が発現する導入遺伝子と調節配列とを含む発現カセットを含み得る。
【0070】
本明細書で使用するドメインは、三次元構造を形成し得る、タンパク質配列の保存された部分およびそのタンパク質の三次構造を含む、ならびに/または指す。ドメインは、発現カセットによりコードされ得る。
【0071】
本明細書中でさらに示すように、それぞれ、第1のヌクレオチド配列341-A、341-B、第2のヌクレオチド配列343-A、343-B、および第3のヌクレオチド配列345-A、345-Bを含む発現コンストラクト340、360の転写および/または翻訳に応じて、第1のTALEと融合した第1のインテイン、第2のTALEと融合した第1のインテイン、およびレアカットヌクレアーゼと融合した第2のインテインの各々の複数のコピーが形成され得る。さらに、それぞれのインテイン304、312、306、362、364、366は、互いに結合し、セルフスプライシングすることができ、第1の半TALENおよび第2の半TALENを形成する。
【0072】
一部の実施形態では、第1のプロモーター342、第2のプロモーター346および第3のプロモーター350は、同じプロモーターを含み得る。他の実施形態では、第1のプロモーター342、第2のプロモーター346および第3のプロモーター350は、各々、異なるプロモーターを含み得る。さらなる実施形態では、第1のプロモーター342および第2のプロモーター346は、同じプロモーターであり得て、第3のプロモーター350は、第1のプロモーター342および第2のプロモーター346と異なってもよい。例えば、第3のプロモーター350は、転写および/または翻訳後、第1のTALEと融合した第1のインテイン、および第2のTALEと融合した第1のインテインのコピーの数と比べて、レアカットヌクレアーゼと融合した第2のインテインの追加のコピーが形成されるように、第1のプロモーター342および第2のプロモーター346よりも強力なプロモーターであり得る。
【0073】
図4は、本開示と一致した、インテインによりスプライシングしてTALENを形成するプロセスの一例を示す流れ図である。
【0074】
細胞の集団を、複数のヌクレオチド配列と接触させた後、複数のヌクレオチド配列が、細胞により転写および/または翻訳され、第1のTALE474と融合した第1のインテイン478-A、第2のTALE482と融合した第1のインテイン478-B、およびレアカットヌクレアーゼ483と融合した第2のインテイン481を含む、構成要素471、473および475が形成される。
図4は、構成要素471、473および475の単一コピーを示すものの、構成要素471、473および475の各々の複数のコピーが形成され得る。
【0075】
構成要素471、473および475は、互いに接触し得て、それに応じて、第1のインテイン478-A、478-Bがそれぞれ、第2のインテイン481のコピーに結合する。結合に応じて、第1の中間体477および第2の中間体479が形成される。第1の中間体477は、第2のインテイン481に結合した第1のインテイン478-Aを含み、ただし、第1のインテイン478-Aは、第1のTALE474と融合し、第2のインテイン481は、レアカットヌクレアーゼ483と融合している。第2の中間体479は、第2のインテイン481に結合した第1のインテイン478-Bを含み、ただし、第1のインテイン478-Bは、第2のTALE482と融合し、第2のインテイン481は、レアカットヌクレアーゼ483と融合している。
【0076】
第1のインテイン478-A、478-Bがそれぞれ、第2のインテイン481のコピーに結合した後、インテイン478-A、478-B、481は、セルフスプライシングして、第1の半TALEN485、第2の半TALEN489、およびスプライシングされたタンパク質487が形成される。例えば、インテイン478-A、478-B、481は、第1のインテイン478-A、478-B、および第2のインテイン481に関連したスプライス部位において切断することができ、第1のTALE474をレアカットヌクレアーゼ483に結合し、第2のTALE482をレアカットヌクレアーゼ483に結合する。第1の半TALEN485は、第1のTALE474のC末端の近位で、レアカットヌクレアーゼ483に結合した第1のTALE474を含み得る。第2の半TALEN489は、第2のTALE482のC末端の近位で、レアカットヌクレアーゼ483に結合した第2のTALE482を含み得る。スプライシングされたタンパク質487は、第2のインテイン481に結合した第1のインテイン478(例えば、478-Aまたは478-B)を含み得る。本明細書で使用するスプライシングされたタンパク質は、別個に転写および/もしくは翻訳される、かつ共にスプライシングして、単一ユニット、例えば単一ポリペプチドを形成する別個の遺伝子によってコードされる少なくとも2つのドメインを含むタンパク質もしくはタンパク質複合体を含む、ならびに/または指す。
【0077】
前述のように、第1の半TALEN485および第2の半TALEN489は、細胞を形質転換することができる。例えば、様々な実施形態は、本明細書に記載される方法、ベクター、発現コンストラクト、ヌクレオチド配列および/もしくはシステムにより形質転換させた宿主細胞ならびに/または生物体を対象にする。一部の実施形態では、その全体がその教示に関して本明細書に組み込まれている、2013年5月14日に発行された「TAL effector-mediated DNA medication」なる名称の米国特許第8440431号明細書に記載されるように、細胞は形質転換可能であり、および/または生物体は形質転換もしくは再生可能である。
【0078】
本明細書で使用する、細胞の集団を複数のヌクレオチド配列と接触させることは、発現コンストラクトを、細胞の集団へと送達することを含み得る。発現コンストラクトは、例えば、PEG媒介性形質転換、アグロバクテリウム感染、エレクトロポレーション、粒子衝突またはマイクロインジェクション仲介のプロトプラスト形質転換、ならびにそれらの組合せを含むがそれらに限定されない、様々なアプローチを介して細胞内へと送達可能である。
【0079】
様々な実施形態では、細胞の集団を、複数のヌクレオチド配列、例えば、複数のヌクレオチド配列を含む発現コンストラクトと接触させる前に。複数のヌクレオチド配列は、標準的な分子技術を使用して生成され得る。
【0080】
一部の実施例では、複数のヌクレオチド配列および/または発現コンストラクトにより遺伝的に形質転換された標的細胞を同定するために、細胞の集団をスクリーニングすることができる。本明細書で使用する標的細胞は、複数のヌクレオチド配列を発現する、および/もしくは他のやり方で遺伝子組換えを示すもしくは発現する細胞を含む、ならびに/または指す。標的細胞は、意図される変異を、標的ゲノム遺伝子座において含み得る。一部の実施形態では、細胞の集団はスクリーニング可能であり、標的細胞は、発現コンストラクトの発現に関して、検出可能標識を介して選択され得る。検出可能標識に関する、細胞の集団のスクリーニングは、検出可能標識を有する標的細胞を、細胞の集団の残部から単離することを含み得る。様々な実施形態は、形質転換された細胞の、蛍光活性化セルソーティング(FACS)ベースの選択を含む。
【0081】
したがって、いくつかの実施形態は、DNAを介する、細胞の遺伝子編集を、FACSおよび蛍光タンパク質または2つのTALENのフルオロフォア標識を使用した、両方ともの半TALENを受け取る標的細胞の選択と合わせた組合せを対象にする。FACS選択した細胞から再生した生物体は、意図される遺伝子編集に関して濃縮され得るため、一過性遺伝子発現では典型的に必要とされるスクリーニングの労力を軽減させる。
【0082】
本開示の様々な実施形態は、
図2が記載する方法230により、および/もしくは
図1A~
図1D、
図3A~
図3B、および
図4が示す複数のヌクレオチド配列もしくは構成要素を使用して生成された非天然型の宿主細胞ならびに/または生物体を対象にする。例えば、方法230はさらに、複数のヌクレオチド配列で形質転換された、同定された標的細胞を培養すること、および培養した標的細胞から生物体を再生することを含み得て、ただし、再生された生物体は、標的修飾を発現する。複数のヌクレオチド配列および/または得られる構成要素(例えば、半TALENおよびスプライシングされたタンパク質)は、再生された生物体から除去され得る(例えば、交配による除去(crossed away))。
【0083】
一部の実施形態では、方法230と一致して、非天然型生物体が、複数のヌクレオチド配列の使用を含むゲノム編集技術により生成され得る。複数のヌクレオチド配列は、別個のベクターであってもよく、および/または単一発現コンストラクト上に形成されてもよい。ゲノム編集技術は、細胞の集団を、複数のヌクレオチド配列と接触させること、複数のヌクレオチド配列で形質転換された標的細胞を同定するために、細胞の集団をスクリーニングすること、および場合により、同定された標的細胞から非天然型生物体を再生することを含み得る。
【0084】
本明細書で使用する細胞および/または細胞集団は、様々な異なる種類の生物体からであり得る。例示的細胞は、中でも、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫、甲殻類、クモ類、棘皮動物、蠕虫、軟体類、海綿動物、植物、菌類、藻類、細菌であり得る。
【0085】
本明細書で使用する上流は、参照配列と比べて、ヌクレオチド配列の5’末端に近位および/またはより近い位置を含み得る。逆に、下流は、参照配列と比べて、ヌクレオチド配列の3’末端に近位および/またはより近い位置を含み得る。本明細書で使用する、列挙した形容詞を前に伴う配列、例えば、レアカットヌクレアーゼ配列、インテイン配列もしくはTALE配列は、その形容詞をコードするか、もしくはその形容詞である(例えば、ヌクレアーゼをコードするか、もしくはヌクレアーゼである)ヌクレオチド配列を含むか、または指す。
【0086】
意図される遺伝子編集に関して細胞を濃縮および/またはスクリーニングするための異なる例示的アプローチを記載する。細胞の濃縮および/またはスクリーニングは、意図されるゲノム編集を含有する可能性の高い細胞の提示(representation)を高め得る。
【0087】
複数のヌクレオチド配列は、様々な公知の方法、例えば、PEG媒介性形質転換、エレクトロポレーション、衝突またはマイクロインジェクション仲介の形質転換を使用して、細胞または他の組織内へと送達され得る。胚のような、細胞壁を伴うより大きい組織には、DNAでコートされた金粒子による衝突(または遺伝子銃)が、送達方法として使用可能である。ヌクレオチド配列の送達に続いて、蛍光色の陽性細胞を選択するために、FACSを使用することができる。
【0088】
粒子衝突形質転換には、発現コンストラクトを、金粒子のような粒子上にコートし得る。金粒子上に核酸をコートするためには、異なる体積の核酸溶液を、一定量の金懸濁液とピペッティングにより混合する。
【0089】
実施形態は、そのように限定されず、様々な粒子衝突形質転換プロトコルが使用可能である。
【0090】
便宜上、明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲において利用される特定の用語を、ここで提供する。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定されるため、定義は、特定の実施形態の記載を助けるために提供されるものであり、特許請求の範囲に記載された発明を限定することは意図しない。
【0091】
特許請求の範囲および明細書における用語「または」の使用は、代替物のみを指すことが明示されるか、または代替物が相互に排他的である場合を除き、「および/または」を意味するのに使用されるものの、本開示は代替物のみならびに「および/または」を指す定義を支持する。
【0092】
明らかに文脈が異なる要求をしない限り、明細書および特許請求の範囲を通して、単語「含む(include)」、「含むこと(including)」、「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」等は、閉鎖的、排他的または網羅的な意味とは反対に、オープンかつ包括的な意味で解釈されるべきである。例えば、用語「含むこと(comprising)」は、「含むが、限定されないこと」を示すと読むことができる。単数または複数を使用する単語は、それぞれ、複数および単数も含む。単語「a」および「an」は、特許請求の範囲および明細書中で単語「含むこと(comprising)」または「含むこと(including)」と合わせて使用する場合、特に断りのない限り、1つまたは複数を示す。
【0093】
本明細書で使用する用語「ポリペプチド」もしくは「タンパク質」は、そのモノマーが、アミド結合を介して互いに連結されているアミノ酸残基であるポリマーを含む、および/または指す。アミノ酸がアルファアミノ酸である場合、L-光学異性体またはD-光学異性体のいずれかを使用することができ、L異性体が典型的である。本明細書で使用する用語、ポリペプチドまたはタンパク質は、いずれかのアミノ酸配列を含み、糖タンパク質のような、修飾された配列を含む。用語ポリペプチドは、特に断りのない限り、天然型タンパク質、ならびに組換えまたは合成により産生されたタンパク質を網羅することが明確に意図される。
【0094】
用語「ヌクレオチド配列」は、鎖もしくは配列中の複数のヌクレオチドを含む、および/または指す。ヌクレオチドは、リン酸基に連結したヌクレオシド(例えば、炭糖(carbon sugar)を含む核酸塩基)を含む化合物を含む、および/または指す。ヌクレオチド配列は、核酸と呼ばれることもあり得て、配列のヌクレオチドが、核酸の基本単位を形成する。用語「核酸」は、DNAもしくはRNA核酸、および一本鎖もしくは二本鎖型のいずれかの核酸の配列を含む、ならびに/または指し、特に限定されない限り、天然型ヌクレオチドと同様に核酸にハイブリダイズする、天然ヌクレオチドの公知の類似体を含む。特に指示がない限り、特定のヌクレオチド配列または核酸配列は、それらの相補性配列を含む。
【0095】
開示される方法および組成物向けに使用可能である、それと関連して使用可能である、その調製において使用可能である材料、組成物ならびに構成要素、または開示される方法および組成物の生成物が開示される。それらの材料の組合せ、サブセット、相互作用、群等が開示される場合、それらの化合物の、1つ1つの組合せおよび入替えへの具体的な言及は明確に開示されない場合があるとはいえ、様々な個別および集団的な組合せの各々が具体的に意図されると理解される。この概念は、本開示のすべての態様に適用され、開示される方法のステップを含むがそれに限定されない。前記のいずれかの実施形態の具体的な要素は、他の実施形態における要素のために組み合わせても置換してもよい。例えば、行われ得る様々な追加ステップがある場合、それらの追加ステップの各々は、開示された方法のいずれかの具体的な方法ステップまたは方法ステップの組合せと共に行うことが可能であり、各々の、そのような組合せまたは組合せのサブセットが、具体的に意図され開示される。さらに、本明細書に記載される実施形態は、本明細書の他の場所で記載されるものか、または当技術分野で公知のいずれかの適切な材料を使用して、実施され得ると理解される。
【0096】
様々な実施形態は、それに対して、利益が主張され、参照により本明細書に完全に組み込まれている、基礎となる仮出願である、2021年7月7日に出願した「Transcription Activator-Like Effectors Fused to Inteins」なる名称の米国仮出願第63/219,291号明細書に従って実施される。例えば、本明細書および/または仮出願における実施形態は、様々な程度で組み合わされ得る(全面的を含む)。仮出願で考察される実施形態は、特に断りのない限り、全体的な技術的開示に対する、または請求される発明のいずれかの部分に対する限定であるとは決して意図されない。
【0097】
例示的実施形態が、例示および記載された一方、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更がその中で行われ得ると理解される。
【0098】
実験的実施形態
様々な実験的実施形態は、本明細書中では言及しやすいようにベクターと呼ばれることもあり、かつ前述の発現コンストラクトまたはその一部分、例えば、DNAまたはmRNAコンストラクトを含み得る、異なる核酸ベクターのデザインを対象にした。ベクターは、第1のTALEの少なくとも一部分と融合した第1のインテイン、第2のTALEの少なくとも一部分と融合した第1のインテイン、およびレアカットヌクレアーゼの少なくとも一部分と融合した第2のインテインをコードする。前記のベクターによる遺伝子編集を示すために、具体的な実験をデザインした。行ったいくつかの実験を、本明細書に記載する。
【0099】
様々な実験的実施形態では、いくつかのベクターをデザインして構築した。ベクターは、Ssp DnaE int-Nペプチド配列と融合したTALエフェクター、およびSsp DnaE int-Cペプチド配列と融合したエンドヌクレアーゼを含んだ。Ssp DnaE int-Nとint-Cペプチド配列とは、共に、ここではインテインと呼ばれるトランスインテインを構成する。それらのインテインベクターの統合活性による遺伝子編集を示すために、具体的な実験を行った。実験的実施形態で使用した例示的コンストラクトおよび配列は、配列番号1~159に記載されるヌクレオチド配列を含む。配列番号1~164は、各々の合成DNAである。
【0100】
異なるベクターを、以下の表1に示す。表1中の核酸ベクターは、DNAコンストラクトを含む。
【0101】
【0102】
表1中のコンストラクトは、以下に詳細に記載する実験的実施形態において生成した。プラスミドベクター1および9は、Ssp DnaE int-Nペプチド配列と融合した遺伝子BnFAD2を標的にするTALエフェクターをコードする。プラスミドベクター1(配列番号1)は、プロモーターNosPro、遺伝子BnFAD2を標的にするTALエフェクター、Ssp DnaE int-Nペプチド配列、ターミネーターNosTerm、および左半分TALEN(HT)骨格をコードする。プラスミドベクター9(配列番号9)は、プロモーターNosPro、遺伝子BnFAD2を標的にするTALエフェクター、Ssp DnaE int-Nペプチド配列、ターミネーターNosTerm、および右HT骨格をコードする。プラスミドベクター17(配列番号17)は、FokIエンドヌクレアーゼと融合したSsp DnaE int-Cペプチド配列をコードする。プラスミドベクター17は、プロモーターNosPro、Ssp DnaE int-Cペプチド配列、FokIエンドヌクレアーゼ、およびターミネーターNosTermをコードする。実験的実施形態では、プラスミドベクター1、9および17を共同で使用して、TALEN遺伝子編集活性を実証した。
【0103】
プラスミドベクター1の配列は、配列番号1に記載され、その配列は、Nosプロモーター(配列番号2)、左TALE N末端(配列番号3)、BnFAD2(T03-L)結合ドメイン(配列番号4)、左TALE C末端(配列番号5)、リンカー(配列番号6)、Ssp DnaE int-N(配列番号7)、およびNosターミネーター(配列番号8)をコードする。プラスミドベクター9の配列は、配列番号9に記載され、その配列は、Nosプロモーター(配列番号2)、右TALE N末端(配列番号10)、BnFAD2(T03-R)結合ドメイン(配列番号11)、右TALE C末端(配列番号12)、リンカー(配列番号6)、Ssp DnaE int-N(配列番号7)、およびNosターミネーター(配列番号8)をコードする。プラスミドベクター17の配列は、配列番号17に記載され、その配列は、Nosプロモーター(配列番号2)、Ssp DnaE int-C(配列番号18)、リンカー(AGCCGTTCC)、Fokl(配列番号19)、およびNosターミネーター(配列番号8)をコードする。
【0104】
プラスミドベクター1、9および17の遺伝子編集活性を、プラスミドベクター対照1および対照2に対して比較した。プラスミドベクター対照1は、左HT骨格中の、プロモーターNosPro、BnFAD2(T03-L)を標的にするTALENおよびターミネーターNosTermからなる。プラスミドベクター対照2は、右HT骨格中の、プロモーターNosPro、BnFAD2(T03-R)を標的にするTALENおよびターミネーターNosTermからなる。
【0105】
プロモーターNosProおよびターミネーターNosTermは、Agrobacterium tumifaciensからの配列に基づき、TALエフェクターは、Xanthomonas配列に基づき、BnFAD2(T03)は、Brassica napus中に見出される配列を標的にし、FokIエンドヌクレアーゼは、Flavobacterium okeanokoites配列に基づき、Ssp DnaE int-Cおよびint-Nペプチド配列は、Synechocystis sp.PCC6803からである。
【0106】
表1の残りの例示的コンストラクトを、以下に記載する。プラスミドベクター13(配列番号13に記載)およびプラスミドベクター15(配列番号15に記載)は、Ssp DnaE int-Nペプチド配列と融合したTALエフェクターをコードするエントリーベクターである。プラスミドベクター13は、左HT骨格中の、プロモーターNosPro、TALエフェクター、ゴールデンゲートクローニング用のBsaI部位が隣接するlacZカセット、Ssp DnaE int-N配列、およびターミネーターNosTermをコードする。プラスミドベクター15は、右HT骨格中の、プロモーターNosPro、TALエフェクター、ゴールデンゲートクローニング用のBsaI部位が隣接するlacZカセット、Ssp DnaE int-N配列、およびターミネーターNosTermをコードする。
【0107】
プラスミドベクター13の配列は、配列番号13に記載され、その配列は、Nosプロモーター(配列番号2)、左TALE N末端(配列番号3)、LacZカセット(配列番号14)、左TALE C末端(配列番号5)、リンカー(配列番号6)、Ssp DnaE int-N(配列番号7)、およびNosターミネーター(配列番号8)をコードする。プラスミドベクター15の配列は、配列番号15に記載され、その配列は、Nosプロモーター(配列番号2)、右TALE N末端(配列番号10)、LacZカセット(配列番号16)、右TALE C末端(配列番号12)、リンカー(配列番号6)、Ssp DnaE int-N(配列番号7)、およびNosターミネーター(配列番号8)をコードする。
【0108】
表2に示すように、表1のベクターによる細胞の形質転換を示すためのさらなる実験を行った。より具体的には、表1中に示すベクターを使用して、カノーラプロトプラストを形質転換した。それらのベクターは、前述のベクターである配列番号1、配列番号9、配列番号17、プラスミドベクター対照1、およびプラスミドベクター対照2を含む。すべての試料を、各々200,000個のプロトプラストを形質転換するために使用し、すべての試料を、生物学的レプリケートとして試験した。試料AおよびDは、各々30ugのプロセスコントロールプラスミドを含み、データ解析時の陰性対照として機能した。試料BおよびEは、各々30ugの、標的BnFAD2(T03)の遺伝子編集用の対照ベクターであるプラスミドベクター対照1およびプラスミドベクター対照を含んだ。試料CおよびFは、30ugの、3つのインテインプラスミドである配列番号1、配列番号9および配列番号17を含んだ。インテイン試料CおよびFを、陽性対照試料BおよびEと比較して、遺伝子編集効率を評価した。全試料は、解析用の同じイルミナ配列を使用して調製した。ベクターを使用してカノーラプロトプラストを形質転換し、インテインTALENベクターの遺伝子編集効率を、インテイン配列を伴わないTALENベクターに対して比較した。表2は、行った実験を示す。
【0109】
【0110】
カノーラの形質転換を行うために、実験の30~60日前に、10個のカノーラ種子を1.5mLの70%エタノールで洗浄してから、1.8mLの滅菌水で洗浄した。種子を滅菌するために、1.5mLの1%次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用して種子を洗浄し、次いで、種子を、1.8mLの滅菌水でさらに5回洗浄した。水に浸した後、再び滅菌した種子のうちの6つを、PlantCon中の8P-MS-G培地上に植えた。種子を、25℃、16/8hrの明暗比においてインキュベートした。
【0111】
30~60日のインキュベーション後、発芽したカノーラ小植物体を消化した。滅菌ハサミを使用して4~6枚のカノーラ若葉を切除し、50~100ulのCPDSを含有するペトリ皿中に置いた。滅菌ストレートエッジカミソリを使用して、葉を0.5~1mm片に切った。さらなる4mLのCPDSをプレートに添加して、そのプレートを、より大きい100mmのペトリ皿の内部に置いて無菌状態を確保した。プレートを真空チャンバーへと移し、30inHgにおいて10分間、真空化した。10分後、プレートを、25℃の暗所中、25rpmにおいて16時間インキュベートした。
【0112】
16時間後、プロトプラスト消化を、4mLのW-5 plus Carb100溶液で洗浄し、プロトプラスト溶液を優しくピペッティングしてFalcon 40umセルストレーナーを通して、50mLチューブに入れる。このステップをもう一度繰り返した。次いで、チューブを、100xgにおいて5分間遠心分離した。遠心分離後、上清を捨て、ペレットを4mLのW-5洗浄バッファーで再懸濁し、もう一度遠心分離し、残りの上清を捨てた。次いで、洗浄したペレットを、2mLのW-5洗浄バッファーで再懸濁し、20ulの懸濁液を、細胞計数用の血球計数盤上にロードした。血球計数盤の4つのグリッドの中の細胞数を使用して、グリッド当たりのプロトプラスの平均数を得た。試料中のプロトプラストの総数は、次のように計算した:
【0113】
【0114】
【数2】
は、前もってカウントした4つのグリッド{a,b,c,d}の平均である。形質転換を行うために、2mLのW-5バッファーおよびプロトプラスト懸濁液を含有する50mLチューブを、100xgにおいて5分間遠心分離した。試料A~Cに関しては、上清を除去し、1x10
6個のプロトプラスト当たり1mLの室温1XMMGを添加し、200,000個のプロトプラストに相当する体積を、各形質転換用の指定量のベクターを含有する1.5mLマイクロ遠心チューブに添加した。試料D~Fに関しては、1x10
6個のプロトプラスト当たり500ulの室温2XMMGを、指定量のDNAベクターと共に、1.5mLマイクロ遠心チューブ中の200,000個のプロトプラストに添加した。全試料に関して、液体を上下にゆっくりとピペッティングすることにより、プロトプラスト懸濁液をベクターと混合した。プロトプラストおよびプラスミドベクターを室温で5分間インキュベートした。5分後、1X体積の室温PEGを、各マイクロ遠心チューブに添加し、完全に混ざるまで上下にピペッティングした。次いで、チューブを室温で20分間インキュベートした。20分後、1.5mLのW-5洗浄バッファーを添加して、プロトプラストを再懸濁した。チューブを、200xgにおいて5分間遠心分離し、上清を除去し、さらなる800ulのW-5洗浄バッファーを添加して、細胞を再懸濁した。0.5~2mLの洗浄したプロトプラストを、6~24ウェルプレートに移し、24~48時間インキュベートした。
【0115】
遺伝子編集活性を評価するために、プロトプラストを1.5mLマイクロ遠心チューブに移すことにより、プロトプラストを回収した。懸濁液を200xgにおいて5分間遠心分離し、上清を捨てて、チューブを液体窒素中に2分間置いた。次いで、プロトプラストDNAを抽出してイルミナにより解析するまでは、チューブを-80℃で保管した。
【0116】
表3は、表1に記載したベクターで形質転換したプロトプラストから検出された欠失を示す。遺伝子編集効率は、ここでは事象百分率として示され、試料A~Fにわたって比較した。試料AおよびDは、YFPを発現するベクターで形質転換したカノーラプロトプラストを含み、陰性対照として利用され、編集は予期されなかった。試料BおよびEは、遺伝子BnFAD2を標的にするTALENで形質転換したカノーラプロトプラストを含んだ。試料CおよびFは、各々がSsp DnaE int-Nまたはint-C配列と融合しており、同じくBnFAD2を標的にするTALエフェクターおよびFokIエンドヌクレアーゼで形質転換したカノーラプロトプラストを含んだ。
【0117】
表3は、前記のベクターで形質転換されたプロトプラスト細胞の集団における、欠失または事象の数を検出するNHEJ変異アッセイの結果を示す。このアッセイは、標的BnFAD2を含有する3つのゲノム領域を増幅し、表3中では、イルミナ1、2および3として表される。示すように、TALENインテイン試料は、YFP陰性対照よりも著しく多い数の欠失を産生したが、欠失を、TALEN対照ベクターと同じ頻度では産生しなかった。
【0118】
【0119】
実験は、TALENベクターのプラスミドカーゴサイズを低下させ、かつ細胞への遺伝子編集物質の送達時に柔軟性をさらに加える方法としてのトランススプライシングインテインの使用を試験した。前述のように、実験は、カノーラ(Bn-Westar)プロトプラストにおいて行った。TALENによる標的である、公知の3つのコピーを有するFAD2遺伝子中のT03.01。3つのFAD2遺伝子コピー中での編集を検出するアンプリコン配列を使用してプロトプラストの遺伝子型を同定した。以下の表4は、得られる配列包括度の要約を提示する。
【0120】
この実験では、各インテイン試料に関して、全3つの遺伝子コピーにわたり、良好な包括度が存在した(例えば、24,000から41,000リードの間の範囲を有する、28,000リード超の平均)。実験1および2は、形質転換入力(transformation input)の異なる濃度を試験するために行った。具体的には、実験2(「Mod」法)は、高体積のDNAを低濃度で使用した。
【0121】
以下の表4および表5は、実験1および2の編集百分率を提示する。両方ともの実験において、インテイン試料は、陰性対照よりも高いものの陽性対照よりは低い、ある程度のレベルの編集を一貫して示した。実験2(Mod法、より少量のDNA)は、陽性対照では高い編集百分率を有するが、インテイン試料では低い編集百分率を有する。理解され得るように、編集百分率=(編集を伴うリードの数/解析されたリードの総数)*100。
【0122】
【0123】
【0124】
図5は、本開示と一致した、ヌクレオチド配列を使用する細胞の編集から得られるジェノタイピングを示す画像を示す。特に、
図5は、陰性対照590、陽性対照591、およびインテイン592のゲノム領域の整列させた画像を示す。
【0125】
図6A~
図6Cは、本開示と一致した、YFP陰性対照、TALEN陽性対照、およびインテインからのゲノム領域の全体画像を示す。例えば、
図6Aは、試料A YFP陰性対照のゲノム領域の画像を示す。
図6Bは、試料B(+)BnFAD2(T03)TALEN陽性対照のゲノム領域の画像を示す。
図6Cは、試料C(+)インテインのゲノム領域の画像を示す。
【0126】
植物細胞、例えば、カノーラ、アサおよび/またはダイズ植物細胞を形質転換するためのさらなるプラスミドベクターを使用して、様々な実験を行った。実施例は特定の植物細胞を記載するものの、実施形態は、そのように限定されず、任意の種類の植物および/または植物以外の細胞、例えば、哺乳類細胞を含み得る。Ssp DNAEおよびGp41-1を含む異なる種類のインテイン、天然および非天然エクステイン、ならびに異なる標的に対して特異的な結合ドメインを有するTALEを使用した。実験はさらに、TALENを含む陽性対照、およびTALEを含まない陰性対照を含んだ。
【0127】
一部の実験は、ダイズ植物細胞を形質転換するためのさらなるプラスミドベクターを使用して、異なる遺伝子、例えば、シンターゼ(ALS)導入遺伝子、脂肪酸不飽和化酵素3(FAD3)導入遺伝子、および成長調節因子(GRF)導入遺伝子と関連するTALEを使用して行った。実験的実施形態に関して使用した例示的コンストラクトおよび配列は、配列番号92~159に記載されるヌクレオチド配列を含む。以下の表6~8は、異なるプラスミドベクターを示す。
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
様々な実験では、さらなるプラスミドベクターに加えて、前記のプラスミドベクターを使用して、その全体がその教示に関して本明細書に組み込まれている、Xiong, L.ら「A transient expression system in soybean mesophyll protoplasts reveals the formation of cytoplasmic GmCRY1 photobody-like structures」、Science China Life Sciences、2019、62(8)、1070-1077に記載されるプロトコルに従って、ダイズプロトプラストを形質転換した。一部の実施例では、12xバイオレプリケーション(bio-replication)当たり200,000細胞用に、レプリケートチューブ中で240万細胞をまとめた。スクエア当たり平均180が同定されたが、これは、4mLの体積として使用したため、360万細胞と同等である。次いで、プロトコルの残部に関しては、記載のように続けた。
【0132】
試料は以下のとおり:
各々の2つのバイオレプリケーション(例えば、試料1に関しては、各々、200K細胞を含む1Aおよび1B);ならびに
各試料番号1~6は、各プラスミドを300ng/uLの最終濃度で有する。表9は、試験された異なる試料を提示する:
【0133】
【0134】
各試料は、ピペッティングエラーを補償するために、ストック濃度および下記に列挙する体積から220uLの最終体積にした。例えば、以下は、10プレート上での試料1~5のプロトプラスト調製物を記載する(例えば、試料当たり2つ)。プロトプラストは、1uLの溶液x1000mLx4mL(総体積)を含むように加算された。表10は、各試料調製物の合計を提示する。
【0135】
【0136】
前記は、合計3119細胞(uL当たり)x1000(mLへの変換)x4(各々の総体積4ml)=1250万細胞をもたらした。細胞を、各々200,000(320uL)に分割して、チューブに入れた。
【0137】
例えば、細胞を、以下の設定当たり2つで、200,000バイオレプリケートチューブに分割した。洗浄および定量に続いて、細胞をペレットにし、W5を除去してから、2xMMG(100ul+以下に指定のDNAの100uL)を使用した。次いで、プロトコルの残部に関しては、記載のように続けた(PEG添加後の最終スピンは依然として、200gではなく100gを5分間使用した)。形質転換および洗浄に続いて、1mLのW5溶液中で24ウェルプレートへと移し、暗所に置いた。試料は以下のとおり:
a.各々の2つのバイオレプリケート(例えば、試料1に関しては、各々、200K細胞を含む1Aおよび1B);ならびに
b.各試料番号1~6は、各プラスミドを300ng/uLの最終濃度で有する。
【0138】
以下の表11は、異なるブロック上で、異なる試料に関して提供されるさらなるプラスミドベクターを提示する。各試料は、ブロック1試料1に関して1.1と列挙され、AおよびBは、個々のバイオレプリケーションを示す。
【0139】
【表11】
前記で、表11中のブロック3は、表9に相当する。
【0140】
図7は、本開示と一致した、異なるプラスミドベクターを使用する、ダイズ外植体の形質転換の例示的結果を示す。特に、第1のインテインと融合した左TALE、第1のインテインと融合した右TALE、および第2のインテインと融合したヌクレアーゼをコードする共送達されるベクターを使用して、ダイズプロトプラストを形質転換した。TALEは、ALS、FAD3およびGRFの遺伝子に関連された結合ドメインを含んだ。
【0141】
異なるプラスミドベクターは、ALS遺伝子を標的にした第1のセット(例えば、ALS-T04およびALS-T07、ならびにプラスミドベクター154、155、149、150、147、148、122、123、156、157、138、146、135、142、124および125を含む)、FAD3遺伝子を標的にした第2のセット(例えば、FAD3-T08、ならびにプラスミドベクター110、152、137、145、134、141および126を含む)、ならびにGRF遺伝子を標的にした第3のセット(例えば、GRF-T03およびGRF-T04、ならびにプラスミドベクター153、151、136、143、92、140、120、119、158、159、102、144、133、139、121および123を含む)を含んだ。第1、第2および第3のセットの各々の範囲内では、それぞれのベクターが、インテインなし((プラスミドベクター122およびプラスミドベクター123)、(プラスミドベクター124およびプラスミドベクター125)、(プラスミドベクター対照およびプラスミドベクター126)、(プラスミドベクター120およびプラスミドベクター119)ならびに(プラスミドベクター121およびプラスミドベクター123)のプラスミドベクター群)、SSP DnaEのインテインおよび非天然エクステイン((プラスミドベクター154、プラスミドベクター155およびプラスミドベクター127)、(プラスミドベクター156、プラスミドベクター157、プラスミドベクター127)、(プラスミドベクター110、プラスミドベクター152、プラスミドベクター127)ならびに(プラスミドベクター153、プラスミドベクター151、プラスミドベクター127)のプラスミドベクター群)、SSP DnaEのインテインおよび天然エクステイン((プラスミドベクター154、プラスミドベクター155およびプラスミドベクター132)、(プラスミドベクター156、プラスミドベクター157およびプラスミドベクター132)、(プラスミドベクター158、プラスミドベクター159およびプラスミドベクター132)、(プラスミドベクター110、プラスミドベクター152、プラスミドベクター132)ならびに(プラスミドベクター153、プラスミドベクター151、プラスミドベクター132)のプラスミドベクター群)、GP41-1のインテインおよび非天然エクステイン((プラスミドベクター149、プラスミドベクター150およびプラスミドベクター131)、(プラスミドベクター138、プラスミドベクター146およびプラスミドベクター131)、(プラスミドベクター137、プラスミドベクター145およびプラスミドベクター131)、(プラスミドベクター102、プラスミドベクター144およびプラスミドベクター131)ならびに(プラスミドベクター136、プラスミドベクター143およびプラスミドベクター131)のプラスミドベクター群)、ならびにGP41-1のインテインおよび天然エクステイン((プラスミドベクター147、プラスミドベクター148およびプラスミドベクター130)、(プラスミドベクター135、プラスミドベクター142およびプラスミドベクター130)、(プラスミドベクター134、プラスミドベクター141およびプラスミドベクター130)、(プラスミドベクター92、プラスミドベクター140およびプラスミドベクター130)ならびに(プラスミドベクター144、プラスミドベクター139およびプラスミドベクター130)のプラスミドベクター群)を含んだ。例示的陰性対照プラスミドベクターは、プラスミドベクター128(配列番号128に記載される)およびプラスミドベクター129(配列番号129に記載される)を含む。
【0142】
前記のように、3つのプラスミドベクターは、TALEN遺伝子活性を共同で実証するために各々の実験において使用することができ、3つのプラスミドベクターのうちの2つは、インテイン(例えば、int-Nまたはint-C)と融合した、ある遺伝子を標的にするTALエフェクター(例えば、左および右半分TALエフェクター)を含み、第3のプラスミドベクターは、FokIエンドヌクレアーゼと融合したインテイン(例えば、int-Cまたはint-N)を含む。異なるベクターは、Ssp DnaE int-Nまたはgp41-1 int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子GRF3、FAD3またはALSを標的にするTALエフェクターを含み得る。プラスミドベクター92(配列番号92)は、プロモーターNosPro、遺伝子GRF3を標的にするTALエフェクター、天然Gp41-1 int-Nペプチド配列、ターミネーターNosTerm、および左HT骨格をコードする。プラスミドベクター102(配列番号102)は、プロモーターNosPro、遺伝子GRF3を標的にするTALエフェクター、非天然Gp41-1 int-Nペプチド配列、ターミネーターNosTerm、および左HT骨格をコードする。プラスミドベクター110(配列番号110)は、プロモーターNosPro、遺伝子GRF3を標的にするTALエフェクター、Ssp DnaE int-Nペプチド配列、ターミネーターNosTerm、および左HT骨格をコードする。
【0143】
プラスミドベクター92の配列は、配列番号92に記載され、その配列は、Nosプロモーター(配列番号94)、インテインTALエフェクター融合物(配列番号95)およびNosターミネーター(配列番号33)を含む左半分TALEカセット(配列番号93)をコードする。インテインTALエフェクター融合物(配列番号95)は、左TALE N末端(配列番号96)、GmGRF3(T03-L1)結合ドメイン(配列番号97)、左TALE C末端(配列番号98)、リンカー(配列番号99)、天然スプライス部位int-N(配列番号100)、およびGp41-1 int-Nペプチド配列(配列番号101)をコードする。
【0144】
プラスミドベクター102の配列は、配列番号102に記載され、その配列は、Nosプロモーター(配列番号94)、インテインTALエフェクター融合物(配列番号104)およびNosターミネーター(配列番号33)を含む左半分TALEカセット(配列番号103)をコードする。インテインTALエフェクター融合物(配列番号104)は、左TALE N末端(配列番号105)、GmGRF3(T03-L1)結合ドメイン(配列番号106)、左TALE C末端(配列番号107)、リンカー(配列番号108)、およびGp41-1 int-Nペプチド配列(配列番号109)をコードする。
【0145】
プラスミドベクター110の配列は、配列番号110に記載され、その配列は、Nosプロモーター(配列番号94)、インテインTALエフェクター融合物(配列番号112)およびNosターミネーター(配列番号33)を含む左半分TALEカセット(配列番号111)をコードする。インテインTALエフェクター融合物(配列番号112)は、左TALE N末端(配列番号113)、GmGRF3(T03-L1)結合ドメイン(配列番号114)、左TALE C末端(配列番号115)、リンカー(配列番号116)、およびSsp DnaE int-Nペプチド配列(配列番号117)をコードする。
【0146】
残りの例示的コンストラクトを、以下に記載する。プラスミドベクター118(配列番号118に記載)は、GmGRF(T04)を標的にした右半分TALENをコードする対照TALENベクターであり、プラスミドベクター119(配列番号119に記載)は、GmGRF(T03)を標的にした右半分TALENをコードする対照TALENベクターである。プラスミドベクター120(配列番号120に記載)は、GmGRF(T03)を標的にした左半分TALENをコードする対照TALENベクターであり、プラスミドベクター121(配列番号121に記載)は、GmGRF(T04)を標的にした左半分TALENをコードする対照TALENベクターである。プラスミドベクター122(配列番号122に記載)は、GmALS(T04)を標的にした左半分TALENをコードする対照TALENベクターであり、プラスミドベクター123(配列番号123に記載)は、GmALS(T04)を標的にした右半分TALENをコードする対照TALENベクターである。プラスミドベクター124(配列番号124に記載)は、GmALS(T07)を標的にした左半分TALENをコードする対照TALENベクターであり、プラスミドベクター125(配列番号125に記載)は、GmALS(T07)を標的にした右半分TALENをコードする対照TALENベクターである。プラスミドベクター126(配列番号126に記載)は、GmFAD3(T08)を標的にした右半分TALENをコードする対照TALENベクターである。
【0147】
プラスミドベクター127(配列番号127に記載)は、Ssp DnaE int-Cペプチド配列を、非天然エクステインおよびFokIエンドヌクレアーゼと共にコードする。前述のように、プラスミドベクター128および129(配列番号128~129に記載)は、YFPを伴うTALEN対照であり、プラスミドベクター128は、左半分TALENを含み、プラスミドベクター129は、右半分TALENベクターを含む。プラスミドベクター130(配列番号130に記載)は、gp41-1 int-Cペプチド配列を、天然エクステインおよびFokIエンドヌクレアーゼと共にコードする。プラスミドベクター131(配列番号131に記載)は、gp41-1 int-Cペプチド配列を、非天然エクステインおよびFokIエンドヌクレアーゼと共にコードする。プラスミドベクター132(配列番号132に記載)は、Ssp DnaE int-Cペプチド配列を、天然エクステインおよびFokIエンドヌクレアーゼと共にコードする。
【0148】
プラスミドベクター133(配列番号133に記載)は、天然Gp41-1 int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子GRF3(T04)を標的にする左半分TALエフェクターをコードする。プラスミドベクター134(配列番号134に記載)は、天然Gp41-1 int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子FAD3(T08)を標的にする左半分TALエフェクターをコードする。プラスミドベクター135(配列番号135に記載)は、天然Gp41-1 int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子ALS(T07)を標的にする左半分TALエフェクターをコードする。
【0149】
プラスミドベクター136(配列番号136に記載)は、非天然Gp41-1 int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子GRF3(T04)を標的にする左半分TALエフェクターをコードする。プラスミドベクター137(配列番号137に記載)は、非天然Gp41-1 int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子FAD3(T08)を標的にする左半分TALエフェクターをコードする。プラスミドベクター138(配列番号138に記載)は、非天然Gp41-1 int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子ALS(T07)を標的にする左半分TALエフェクターをコードする。
【0150】
プラスミドベクター139(配列番号139に記載)は、天然Gp41-1 int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子GRF3(T04)を標的にする右半分TALエフェクターをコードする。プラスミドベクター140(配列番号140に記載)は、天然Gp41-1 int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子GRF3(T03)を標的にする右半分TALエフェクターをコードする。プラスミドベクター141(配列番号141に記載)は、天然Gp41-1 int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子FAD3(T08)を標的にする右半分TALエフェクターをコードする。プラスミドベクター142(配列番号142に記載)は、天然Gp41-1 int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子ALS(T07)を標的にする左半分TALエフェクターをコードする。
【0151】
プラスミドベクター143(配列番号143に記載)は、非天然Gp41-1 int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子GRF3(T04)を標的にする右半分TALエフェクターをコードする。プラスミドベクター144(配列番号144に記載)は、非天然Gp41-1 int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子GRF3(T03)を標的にする右半分TALエフェクターをコードする。プラスミドベクター145(配列番号145に記載)は、非天然Gp41-1 int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子FAD3(T08)を標的にする右半分TALエフェクターをコードする。プラスミドベクター146(配列番号146に記載)は、非天然Gp41-1 int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子ALS(T07)を標的にする右半分TALエフェクターをコードする。
【0152】
プラスミドベクター147(配列番号147に記載)は、天然Gp41-1 int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子ALS(T04)を標的にする左半分TALエフェクターをコードする。プラスミドベクター148(配列番号148に記載)は、天然Gp41-1 int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子ALS(T04)を標的にする右半分TALエフェクターをコードする。
【0153】
プラスミドベクター149(配列番号149に記載)は、非天然Gp41-1 int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子ALS(T04)を標的にする左半分TALエフェクターをコードする。プラスミドベクター150(配列番号150に記載)は、非天然Gp41-1 int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子ALS(T04)を標的にする右半分TALエフェクターをコードする。
【0154】
プラスミドベクター151(配列番号151に記載)は、Ssp DnaE int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子GRF3(T04)を標的にする右半分TALエフェクターをコードする。プラスミドベクター152(配列番号152に記載)は、Ssp DnaE int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子GRF3(T03)を標的にする右半分TALエフェクターをコードする。プラスミドベクター153(配列番号153に記載)は、Ssp DnaE int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子GRF3(T04)を標的にする左半分TALエフェクターをコードする。
【0155】
プラスミドベクター154(配列番号154に記載)は、Ssp DnaE int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子ALS(T04)を標的にする左半分TALエフェクターをコードする。プラスミドベクター155(配列番号155に記載)は、Ssp DnaE int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子ALS(T04)を標的にする右半分TALエフェクターをコードする。プラスミドベクター156(配列番号156に記載)は、Ssp DnaE int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子ALS(T07)を標的にする左半分TALエフェクターをコードする。プラスミドベクター157(配列番号157に記載)は、Ssp DnaE int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子ALS(T07)を標的にする右半分TALエフェクターをコードする。
【0156】
プラスミドベクター158(配列番号158に記載)は、Ssp DnaE int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子FAD3(T08)を標的にする左半分TALエフェクターをコードする。プラスミドベクター159(配列番号159に記載)は、Ssp DnaE int-Nペプチド配列と融合した、遺伝子FAD3(T08)を標的にする右半分TALエフェクターをコードする。
【0157】
例えば、
図7は、92~159の異なるプラスミドベクターの編集効率を比較するグラフであり、インテインなし、SSP DnaEのインテインおよび非天然エクステイン、SSP DnaEのインテインおよび天然エクステイン、GP41-1のインテインおよび非天然エクステイン、ならびにGP41-1のインテインおよび天然エクステインの編集効率を示す。
【0158】
様々な実験は、アサ植物細胞を形質転換するためのさらなるプラスミドベクターを使用して、異なる遺伝子、例えば、フィトエン不飽和化酵素(PDS)導入遺伝子およびテトラヒドロカンナビノール酸シンターゼ(THCAS)導入遺伝子と関連するTALEを使用して行った。
【0159】
アサ胚軸(EA)組織の、アグロバクテリウムによる形質転換を介して、アサ植物細胞を形質転換した。簡単に言うと、過酸化水素洗浄を使用してアサ種子を滅菌した。滅菌後、種子を、液体抗生物質溶液中に一晩浸した。一晩浸した後、アサ胚を種皮から取り出し、子葉および初生葉を除去することによりEA組織を回収した。
【0160】
次いで、目的のバイナリーベクターを運ぶアグロバクテリウムを加えた培地からなる液体感染溶液を含有するペトリ皿内に、アサEA組織を0.2のODで置いた。アグロバクテリウム溶液中のEAを含有する感染ペトリ皿を密封して、40秒間、超音波処理した。超音波処理後、EAを、感染培地中に1時間置いた。1時間後、EAを、感染培地から取り出し、濡れたろ紙を含有する新たな共培養ペトリ皿上に置いた。プレートを密封し、23℃、16/8時間明期のインキュベーター中に4日間置いた。共培養後、EAを、再生培地を含有するペトリ皿上に置いた。EAを含有する再生プレートを密封し、23℃、16/8時間明期のインキュベーター中に7日間置いた。EAは、当技術分野で周知のいずれかの技術を使用して形質転換可能である。
【0161】
再生培地上での7日後、EAを培地から取り出し、周知のいずれかの技術を使用するDNA抽出用に-80℃で凍結した。例えば、DNA抽出は、その全体がその教示に関して本明細書に組み込まれている、2021年9月9日に公開された「Canola with High Oleic Acid」なる名称の米国特許公開第2021/0277411号明細書に記載されるように実施され得る。
【0162】
様々な実験では、アサ植物細胞を、配列番号20~91に記載されるプラスミドベクターで形質転換した。アサEAは、前記のアサ科形質転換プロトコルを使用して、かつそれぞれのバイナリーベクターを含有する細菌を使用して形質転換した。様々な実施形態では、異なるプラスミドベクター間で編集効率を比較した。異なるプラスミドベクターは、PDS遺伝子を標的にした第1のセット(例えば、プラスミドベクター91、20、46および87)ならびにTHCAS遺伝子を標的にした第2のセット(例えば、プラスミドベクター90、88、89および65)を含んだ。第1のセットおよび第2のセットの各々の範囲内では、それぞれのベクターが、インテインなし(例えば、プラスミドベクター90および91)、SSP DnaEのインテインおよび天然エクステイン(例えば、プラスミドベクター20および87)、GP41-1のインテインおよび非天然エクステイン(例えば、プラスミドベクター46および88)、ならびにGP41-1のインテインおよび天然エクステイン(例えば、プラスミドベクター89および65)を含んだ。
【0163】
プラスミドベクター20の配列は、配列番号20に記載され、その配列は、YFPカセット(配列番号21)、左半分TALEカセット(配列番号25)、右半分TALEカセット(配列番号34)、およびFokIカセット(配列番号41)をコードする。YFPカセットは、FMVプロモーター(配列番号22)、YFPタンパク質(配列番号23)、およびRbcsターミネーター(配列番号24)をコードする。左半分TALEカセット(配列番号25)は、VaUbi3プロモーター(配列番号26)、インテインTALエフェクター融合物(配列番号27)、およびNosターミネーター(配列番号33)をコードする。インテインTALエフェクター融合物(配列番号27)は、左TALE N末端(配列番号28)、CsPDS(T02-L1)結合ドメイン(配列番号29)、左TALE C末端(配列番号30)、リンカー(配列番号31)、およびSsp DnaE int-Nペプチド配列(配列番号32)をコードする。右半分TALEカセット(配列番号34)は、VaUbi3プロモーター(配列番号26)、インテインTALエフェクター融合物(配列番号35)、およびNosターミネーター(NO番号33)をコードする。インテインTALエフェクター融合物(配列番号35)は、右TALE N末端(配列番号36)、CsPDS(T02-R1)結合ドメイン(配列番号37)、右TALE C末端(配列番号38)、リンカー(配列番号39)、およびSsp DnaE int-Nペプチド配列(配列番号40)をコードする。FokIカセット(配列番号41)は、MtEF1aプロモーター(配列番号42)、インテインFokI融合物(配列番号43)、およびNosターミネーター(配列番号33)をコードする。インテインFokI融合物(配列番号43)は、核局在化シグナル(配列番号44)、Ssp DnaE int-Cペプチド配列(配列番号45)、CFN(TGCTTCAAC)、リンカー(AGCCGTTCC)、およびFokI(配列番号19)をコードする。
【0164】
プラスミドベクター46の配列は、配列番号46に記載され、その配列は、YFPカセット(配列番号21)、左半分TALEカセット(配列番号47)、右半分TALEカセット(配列番号54)、およびFokIカセット(配列番号61)をコードする。YFPカセットは、FMVプロモーター(配列番号22)、YFPタンパク質(配列番号23)、およびRbcsターミネーター(配列番号24)をコードする。左半分TALEカセット(配列番号47)は、VaUbi3プロモーター(配列番号26)、インテインTALエフェクター融合物(配列番号48)、およびNosターミネーター(配列番号33)をコードする。インテインTALエフェクター融合物(配列番号48)は、左TALE N末端(配列番号49)、CsPDS(T02-L1)結合ドメイン(配列番号50)、左TALE C末端(配列番号51)、リンカー(配列番号52)、およびGp41-1 int-Nペプチド配列(配列番号53)をコードする。右半分TALEカセット(配列番号54)は、VaUbi3プロモーター(配列番号26)、インテインTALエフェクター融合物(配列番号55)、およびNosターミネーター(NO番号33)をコードする。インテインTALエフェクター融合物(配列番号55)は、右TALE N末端(配列番号56)、CsPDS(T02-R1)結合ドメイン(配列番号57)、右TALE C末端(配列番号58)、リンカー(配列番号59)、およびGp41-1 int-Nペプチド配列(配列番号60)をコードする。FokIカセット(配列番号61)は、MtEF1aプロモーター(配列番号42)、インテインFokI融合物(配列番号62)、およびNosターミネーター(NO番号33)をコードする。インテインFokI融合物(配列番号62)は、核局在化シグナル(配列番号63)、Gp41-1int-Cペプチド配列(配列番号64)、リンカー(AGCCGTTCC)、およびFokI(配列番号19)をコードする。
【0165】
プラスミドベクター65の配列は、配列番号65に記載され、その配列は、YFPカセット(配列番号21)、左半分TALEカセット(配列番号66)、右半分TALEカセット(配列番号74)、およびFokIカセット(配列番号82)をコードする。YFPカセットは、FMVプロモーター(配列番号22)、YFPタンパク質(配列番号23)、およびRbcsターミネーター(配列番号24)をコードする。左半分TALEカセット(配列番号66)は、VaUbi3プロモーター(配列番号26)、インテインTALエフェクター融合物(配列番号67)、およびNosターミネーター(配列番号33)をコードする。インテインTALエフェクター融合物(配列番号67)は、左TALE N末端(配列番号68)、CsTHCAS(T22-L1)結合ドメイン(配列番号69)、左TALE C末端(配列番号70)、リンカー(配列番号71)、天然スプライス部位int-N(配列番号72)、およびGp41-1 int-Nペプチド配列(配列番号73)をコードする。右半分TALEカセット(配列番号74)は、VaUbi3プロモーター(配列番号26)、インテインTALエフェクター融合物(配列番号75)、およびNosターミネーター(NO番号33)をコードする。インテインTALエフェクター融合物(配列番号75)は、右TALE N末端(配列番号76)、CsTHCAS(T22-R1)結合ドメイン(配列番号77)、右TALE C末端(配列番号78)、リンカー(配列番号79)、天然スプライス部位int-N(配列番号80)、およびGp41-1 int-Nペプチド配列(配列番号81)をコードする。FokIカセット(配列番号82)は、MtEF1aプロモーター(配列番号42)、インテインFokI融合物(配列番号83)、およびNosターミネーター(配列番号33)をコードする。インテインFokI融合物(配列番号83)は、核局在化シグナル(配列番号84)、Gp41-1 int-Cペプチド配列(配列番号85)、天然スプライス部位int-C(配列番号86)、リンカー(AGCCGTTCC)、およびFokI(配列番号19)をコードする。
【0166】
残りの例示的コンストラクトを、以下に記載する。プラスミドベクター87(配列番号87に記載)は、THCASを標的にする左および右TALEエフェクターを、FokIカセット共にコードし、その各々は、天然Ssp DnaEインテインを含む。プラスミドベクター88(配列番号88に記載)は、THCASを標的にする左および右TALEエフェクターを、FokIカセット共にコードし、その各々は、非天然Gp41-1インテインを含む。プラスミドベクター89(配列番号89に記載)は、THCASを標的にする左および右TALEエフェクターを、FokIカセット共にコードし、その各々は、天然Gp41-1インテインを含む。プラスミドベクター90(配列番号90に記載)は、THCAS遺伝子を標的にした左および右半分TALENをコードする対照TALENベクターである。プラスミドベクター91(配列番号91に記載)は、PDS遺伝子を標的にした左および右半分TALENをコードする対照TALENベクターである。
【0167】
図8A~
図8Iは、本開示と一致した、異なるプラスミドベクターを使用する、アサ外植体の形質転換の結果を示す。
図8Aは、第1のセットおよび第2のセットの、異なるプラスミドベクターの編集効率を比較するグラフであり、インテインなし(例えば、プラスミドベクター90および91)、SSP DnaEのインテインおよび天然エクステイン(例えば、プラスミドベクター20および87)、GP41-1のインテインおよび非天然エクステイン(例えば、プラスミドベクター46および88)、ならびにGP41-1のインテインおよび天然エクステイン(例えば、プラスミドベクター89および65)の編集効率を示す。
【0168】
図8B~
図8Cは、
図8Aが示すように、第1のセットおよび第2のセットの、異なるプラスミドベクターの編集事象百分率を比較するグラフである。
図8D~
図8Iは、本開示と一致した、プラスミドベクター20(
図8D)、プラスミドベクター46(
図8E)、プラスミドベクター89(
図8F)、プラスミドベクター87(
図8G)、プラスミドベクター88(
図8H)およびプラスミドベクター65(
図8I)の異なるプラスミドベクターによる、外植体の形質転換を評価する実験からの外植体の画像である。
【配列表】
【国際調査報告】