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特表2024-523763暖房、換気、および空調(HVAC)システム用空気殺菌挿入物
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  • 特表-暖房、換気、および空調(HVAC)システム用空気殺菌挿入物 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-01
(54)【発明の名称】暖房、換気、および空調(HVAC)システム用空気殺菌挿入物
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20240624BHJP
【FI】
A61L2/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524161
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 US2021055670
(87)【国際公開番号】W WO2023069081
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】17/073,658
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521087313
【氏名又は名称】モレキュール グループ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クロスニー マーク ディー
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA19
4C058BB06
4C058KK02
(57)【要約】
暖房、換気、および空調(HVAC)システムで気流を処理するように構成された気流殺菌ユニットを開示する。気流殺菌ユニットは、紫外線(UV)反射材料に沿って少なくとも部分的に並んだダクトの一部分と、外部UV反射面をそれぞれ備える、ダクトの一部分の内部に位置決めされた複数の中空構造と、複数の中空構造のうち少なくとも1つの表面に搭載された少なくとも1つのUV発光ダイオード(LED)アレイとを含む。殺菌ユニットは、HVACシステム内部の気流が1つまたは複数の通気孔から出る前に殺菌ユニットを通過するように、HVACシステム内の既存のダクトの部位を置換するように構成される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房、換気、および空調(HVAC)システム内を循環する空気を処理するように構成された殺菌ユニットであって、
紫外線(UV)反射材料に沿って少なくとも部分的に並んだダクトの一部分と、
前記ダクトの前記一部分の内部に位置決めされており、外部UV反射面をそれぞれ備える複数の中心体と、
前記複数の中心体のうち少なくとも1つの表面に搭載された少なくとも1つのUV発光ダイオード(LED)アレイと、
を備え、
前記殺菌ユニットは、前記HVACシステム内部の気流が1つまたは複数の通気孔から出る前に前記殺菌ユニットを通過するように、前記HVACシステム内の既存のダクトの部位を置換するように、構成されていることを特徴とする、殺菌ユニット。
【請求項2】
前記中心体のうち少なくとも1つの内部に収容された電源をさらに備える、請求項1に記載の殺菌ユニット。
【請求項3】
前記少なくとも1つのUV LEDアレイの各々は、前記アレイが搭載された前記中心体内部でプリント回路基板組立体(PCBA)に接続される、請求項1に記載の殺菌ユニット。
【請求項4】
前記少なくとも1つのUV LEDアレイが搭載された前記少なくとも1つの中心体は、気流出口点の上流にある前記殺菌ユニットの端部に位置決めされる、請求項1に記載の殺菌ユニット。
【請求項5】
前記少なくとも1つのUV LEDアレイは、240nm~280nmの範囲内の1つまたは複数の波長で放射線を放出するように構成される、請求項1に記載の殺菌ユニット。
【請求項6】
前記UV LEDは、空気によって運ばれる病原体を低減するのに十分なUV放射線量で、前記HVACシステム内部を循環する前記空気を照射するように構成される、請求項1に記載の殺菌ユニット。
【請求項7】
配管系統と、
前記配管系統の中に据え付けられた少なくとも1つの殺菌ユニットとを備える暖房、換気および空調(HVAC)システムであって、
前記少なくとも1つの殺菌ユニットのいずれかは、
紫外線(UV)反射材料に沿って少なくとも部分的に並んだダクトの一部分と、
前記ダクトの前記一部分の内部に位置決めされており、それぞれ外部UV反射面を備える複数の中心体と、
前記複数の中心体のうち少なくとも1つの表面に搭載された少なくとも1つのUV発光ダイオード(LED)とを備え、
前記少なくとも1つの殺菌ユニットは気流を受け入れるように構成され、少なくとも1つのUVセンサは少なくとも1つの殺菌ユニットのいずれかに接続されており、
前記少なくとも1つのUVセンサは、前記UV LEDの性能を監視するように構成され、UV吸収スクリーンは、少なくとも1つの気流流出口に位置決めされていることを特徴とする、HVACシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの殺菌ユニットの動作を無効にするように構成された少なくとも1つの連動スイッチをさらに備える、請求項7に記載のHVACシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの殺菌ユニットのうち1つの下流にある前記配管系統の少なくとも、ある部位は、UV吸収材料に沿って並んでいる、請求項7に記載のHVACシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのUVセンサの各々は、前記殺菌ユニットと前記少なくとも1つの気流流出口のうち1つとの間に位置決めされる、請求項7に記載のHVACシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのUV LEDアレイは、240nm~280nmの範囲内の1つまたは複数の波長で放射線を放出するように構成される、請求項7に記載のHVACシステム。
【請求項12】
前記UV LEDは、空気によって運ばれる病原体を低減するのに十分なUV放射線量で前記気流を照射するように構成された、請求項7に記載のHVACシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの殺菌ユニット内部の前記UV LEDの性能に関する情報をユーザに提供するように構成された可視インジケータをさらに備える、請求項7に記載のHVACシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年10月19日に提出された、「Air Sterilization Insert for Heating, Ventilation, and Air Conditioning(HVAC) System(暖房、換気、および空調(HVAC)システム用空気殺菌挿入物)」と題する米国非仮特許出願第17/073,658号明細書の優先権の利益を主張しており、内容全体が参照により本明細書に事実上組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
病原体の伝播を低減するために、個人および公共の生活環境で室内の空気の質を改善する要求が大きくなっている。近年の世界的事象は、空気によって運ばれる病原体、ウイルス、および細菌を殺菌する必要性を例証してきた。様々なタイプの汚染物質に暴露されることに関連する健康上のリスクに関する情報が利用できるようになるにつれ、健康な室内環境を維持することへの関心は、住宅および商業上の生活環境を含むように拡大してきた。詳細には、ある種のカビ、細菌、および/またはウイルスの存在は、長く続き広範囲に及ぶ健康問題を引き起こすことが示されてきた。その結果として室内汚染物質の防止および処理は、業界だけではなく個人にわたり関心事である。
【0003】
現在実装されている病原体低減取り組み方法は、部屋占有の合間に部屋の表面の汚染除去を伴う。1つの可能な解決手段は、高レベル紫外線(ultra-violet、UV)放射線を用いて部屋およびその表面のすべてを照射することであってよい。別の可能な解決手段は、過酸化水素の霧で部屋を噴霧することであってよい。しかしながら、これらの解決手段のいずれでも、部屋を占有されていない状態にして隔離しなければならない。汚染除去処理中に人が部屋に入ることを望む場合、個人はかなりの保護具を装着しなければならない。さらに、単体で、またはHEPAタイプのフィルタ処理と組み合わせて、紫外線(UV)放射線を利用する別個のユニットは、追加送風器を採用して加圧領域を生成し、風管内部にUV光を据え付ける必要があってよい。
【0004】
一般的な気流処理機器は、通常、大型であり、最適になるように配置することが困難であり、性能は実質的に経時的に劣化していた。現在、利用できる小型システムは、適切な気流および/または病原体死滅率を提供しないことがある。さらに、従来のUVに基づくシステムは蛍光管要素を使用することがあり、そのためUV管の保守および交換が骨の折れる過程であると分かることがある。
【0005】
携帯型空気浄化機器およびHVACシステムでUVランプなどの放射線源を使用して、凝縮コイルおよび/またはドレインパン上に細菌およびある種のカビが生長するのを阻害してきた。活性炭フィルタ、超高性能エア(HEPA)フィルタ、および静電フィルタなどのフィルタ処理機器を使用して、室内空気から微粒子状物質および汚染物質を除去してきた。しかしながら、HVAC配管で必要に応じて個々のプローブ、フィルタ、またはUVランプを構成することは多くの時間を必要とし、費用がかかる。たとえば、推奨される間隔で(たとえば、15フィート(4.57メートル)ごとに)そのような配管構成要素を据え付けて、次いで建造物の主要な電気系統に各構成要素を電気的に接続する配線を据え付けるのに、HVACの専門家が雇われることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、空気によって運ばれる病原体を低減または除去し、既存のHVACシステムの中に一体化するように設計された室内空気処理装置を有することが望ましいといえる。さらに、部屋または建造物が占有されている間に動作できる室内空気処理装置を有することが望ましい。詳細にはさらにまた、空気によって運ばれる有害な病原体の除去および/または中和が非常に有効でありながら、静かで目立たず保守しやすく、性能が経時的にそれほど劣化せず、保守しやすい空気殺菌および/または浄化システムを有することが望ましいといえる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
種々の実施形態のシステム、方法、および機器は、少なくとも1つの殺菌ユニットを組み入れることにより暖房、換気、および空調(heating, ventilation, and air conditioning、HVAC)システムで循環する空気の処理を可能にする。いずれかの実施形態では、システム、方法、および機器は、少なくとも1つの殺菌ユニットが、紫外線(UV)反射材料に沿って少なくとも部分的に並んだダクトの一部分と、外部UV反射面をそれぞれ備える、ダクトの一部分の内部に位置決めされた複数の中空構造と、複数の中空構造のうち少なくとも1つの表面に搭載された少なくとも1つのUV発光ダイオード(LED)アレイとを含んでよい。いずれかの実施形態では、システム、方法、および機器は、殺菌ユニットが、HVACシステム内部の気流が1つまたは複数の通気孔から出る前に殺菌ユニットを通過するように、HVACシステム内の既存のダクトの部位を置換するように構成されてよい。いずれかの実施形態では、殺菌ユニットは、既存のHVAC配管内部に挿入されてよいモジュールとして製作されてよい。殺菌ユニットモジュールは、既存のHVACシステムから気流を受動的に受け取り、流れる空気をUV光で照射して、潜在的な病原体、ウイルス、および細菌に照射してよい。
【0008】
いずれかの実施形態では、システム、方法、および機器は、少なくとも1つの殺菌ユニットがまた、中空構造のうち少なくとも1つの内部に収容された電源を含んでよい。いずれかの実施形態では、システム、方法、および機器は、少なくとも1つのUV LEDアレイの各々が、アレイが搭載された中空構造内部でプリント回路基板組立体(PCBA)に接続されてよい。いずれかの実施形態では、システム、方法、および機器は、少なくとも1つのUV LEDアレイが搭載された少なくとも1つの中空構造は、気流出口点の上流にある殺菌ユニットの端部に位置決めされてよい。いずれかの実施形態では、システム、方法、および機器は、少なくとも1つのUV LEDアレイが240nm~280nmの範囲内の1つまたは複数の波長で放射線を放出するように構成されてよい。いずれかの実施形態では、システム、方法、および機器は、UV LEDが、空気によって運ばれる病原体を低減するのに十分なUV放射線量で、HVACシステム内部で空気を照射するように構成されてよい。
【0009】
本発明のこれらおよび他の特徴、様態、および有利な点は以下の記述、添付の特許請求の範囲、および添付図面に関してよりよく理解されるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
図1A】ある実施形態によるHVACシステムの代表的な図を示す。
図1B】ある実施形態によるHVACシステムの代表的な図を示す。
図2】種々の実施形態によるHVACシステム内部に据え付けられた殺菌ユニットの破断図である。
図3】種々の実施形態によるHVACシステム内部で気流内の、空気によって運ばれる病原体汚染物質を低減するための方法を例示する処理の流れ図である。
図4】種々の実施形態による、殺菌ユニットを含むHVACシステムの構成要素の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の記述および特許請求の範囲、ならびに添付図面では、本発明の特定の特徴(方法のステップを含む)を参照する。本明細書での本発明の開示は、そのような特定の特徴の可能な組合せすべてを含むことを理解されたい。たとえば、特定の特徴が本発明の特定の様態もしくは実施形態、または特定の請求項に関連して開示される場合、その特徴はまた、本発明の他の特定の様態および実施形態と組み合わせて、および/もしくはそれらに関連して、ならびに一般に本発明で、可能な限り使用できる。
【0015】
用語「UV放射線」は、本明細書では、細胞壁を横断できる、290nmよりも短い波長を有する高エネルギーUV-C光子を意味するために使用される。種々の実施形態では、空気処理のために利用されるUV放射線は、200nm~320nmレンジの範囲内の1つまたは多数の波長であってよい。
【0016】
用語「流束」および「放射束」は、本明細書では、空気によって運ばれる病原体の表面に到達する、指定された波長の放射線量を意味するために使用される。用語「停滞時間」および「滞留時間」は、本明細書では、空気によって運ばれる病原菌が放射束に暴露されたままでいる継続時間を指すために使用される。
【0017】
用語「汚染物質」は、本明細書では生物由来物質(たとえば、病原体)、化学薬品、汚染物質粒子、揮発性有機化合物、および薬品蒸気のすべてを含む不純物を指すために使用される。
【0018】
用語「備える(comprises)」およびその文法的均等物は、本明細書では他の成分、材料、ステップなどが任意選択で存在することを意味するために使用される。たとえば、成分A、B、およびCを「備える(comprising)」(または「備える(comprises)」)物品は、成分A、B、およびCから構成できる(すなわちそれらだけを包含できる)、または成分A、B、およびCだけではなく、1つまたは複数の他の成分も包含できる。
【0019】
本明細書で2つ以上の規定されたステップを備える方法について言及する場合、規定されたステップは(前後関係がその可能性を除外する場合を除き)任意の順序で、または同時に行うことができ、方法は(前後関係がその可能性を除外する場合を除いて)規定されたステップのいずれかの前に、規定されたステップのうち2つの間に、または規定されたステップすべての後に行われる1つまたは複数の他のステップを含むことができる。
【0020】
数値が後に続く用語「少なくとも」は、本明細書では、その数値で始まる範囲(規定される変数に応じて、上限を有する、または上限がなくてよい範囲であってよい)の開始を示すために使用される。たとえば、「少なくとも1つ」は1つまたは2つ以上を意味する。数値が後に続く用語「最大で」は、本明細書では、その数値で終わる範囲(規定される変数に応じて、その下限として1または0を有する範囲、または下限がない範囲であってよい)の終わりを示すために使用される。本明細書で範囲が「(第1の数値)~(第2の数値)」または「(第1の数値)-(第2の数値)」として与えられる場合、これは、下限が第1の数値であり上限が第2の数値である範囲を意味する。
【0021】
本明細書は、新規であると見なされる本発明の実施形態の特徴を規定する特許請求の範囲で締めくくるが、本発明は、同様の参照番号が繰り越される図と併せて以下の記述を考慮することにより、よりよく理解されると考えられる。
【0022】
種々の実施形態は、中にある汚染物質の数を著しく低減するために、暖房、換気、および空調(HVAC)システム内部を循環する気流を処理するための発光ダイオード(LED)アレイを包含するモジュール式ユニットを提供する。そのようなモジュール式ユニットは、HVACシステムで使用される従来の空気の流れの汚染除去技法に比べて比較的わずかな努力、費用、および保守で単独の据え付けを可能にする。たとえば、少なくとも1つの殺菌ユニットは、空気の流れの中で紫外線放射線を誘導できる1つまたは複数のUV LEDアレイを含んでよく、それにより微生物を殺菌し、空気の流れの中で微生物が繁殖するのを停止させる。
【0023】
ある実施形態では、1つまたは複数のセンサを使用して、空気の質の特性および/または設備の状態を監視してよい。監視される空気の質の特性は気流、温度、湿度、および汚染物質レベルを含んでよいがそれらに限定されない。監視される設備パラメータは、UV LED性能を含んでよいがそれに限定されない。不規則性が指摘された場合、監視システムは、HVACシステムの外部にあるインジケータに通知を自動的に提供してよい。いずれかの実施形態では、システム制御手段は、監視された通知に基づき殺菌ユニットの動作を修正してよい。たとえば、汚染物質レベルを監視して健康で安全なレベルの範囲内に十分あると判断した場合、UV LEDの電源をオフにしてよい。
【0024】
種々の実施形態による殺菌ユニットを既存のHVACシステムの中に据え付けて、HVACシステムの出力空気内の病原体を根絶してよい。殺菌ユニットは、空気が特有の部屋またはより大きな領域の中に流れる換気ダクトの端部に配置されてよい。殺菌ユニットは、HVACシステムに応じて、異なるダクトサイズおよび排気ダクトに適合されてよい。たとえば、いずれかの実施形態では、大きな殺菌ユニットまたは多数のより小さなユニットをHVACシステムの中央エアハンドラの近くに搭載してよい、または中央エアハンドラに連結してよい。
【0025】
種々の実施形態の殺菌ユニットは事実上、無音であり、既存のHVACシステムに可動構成要素を追加することなく据え付けられてよい。さらに、殺菌ユニットの構成要素は、気流に対して最小の妨害を与える。種々の実施形態では、殺菌ユニットが据え付けられたHVACシステムの排気ゲートにUV吸収スクリーンを据え付けてよい。この手法では、有害なUV放射線は、HVACダクト内部に封じ込められてよい。意図した放射線ゾーンの外側にどんなUV放射線も漏れるのを防止してよい。種々の実施形態では、殺菌ユニットの構成要素は、HVACの中に容易に据え付けるために、滑るように動いて標準エアダクトの中に入るようにサイズ設定されてよいモジュール式ユニットカートリッジの形で搭載されてよい。殺菌ユニットの構成要素用の(たとえば、LED用の)電子回路は、ユニットの中心体内部に密閉されてよく、電源に至る低ワット数の1つのAC線だけを必要とするだけであってよい。いずれかの実施形態では、ダクトにアクセスしたときに殺菌ユニットを無効にするために、HVACシステム内に連動スイッチを据え付けてよい。さらに、殺菌ユニットが正常に動作していることを確実にするために、ダクトの中にUVセンサを組み入れてよい。
【0026】
図1Aは、種々の実施形態によるHVACシステム100の例を示す。HVACシステム100は、供給気流を受け取る注入口ダクト102と、供給気流から大きな粉塵および特定の物質を除去するためのフィルタ104とを含んでよい。HVACシステム100内のエアハンドラ106は送風機108、加熱要素110、冷却要素112、および制御電子回路114を含んでよい。種々の実施形態では、送風機108はブロアファン(blower fan)であってよく、冷却要素112は蒸発器コイルであってよい。たとえば、システムの外部に配置された圧縮機116は、冷却された冷媒を蒸発器コイルの中に移動させてよい。気流が蒸発器コイルの全面にわたって移動するとき、冷却された冷媒は空気から熱を除去してよい。冷媒は、空気から蒸発器コイルに熱を伝達することによって暖められると、蒸発器コイルから圧縮機116内の凝縮器コイルに戻されてよい。冷却要素112は任意選択で、気流を加熱するために工程を逆にする熱ポンプを含んでよい。詳細には、そのような逆転は、蒸発器コイル内の冷媒が気流の中に熱を吐き出すことを伴ってよい。さらに、エアハンドラ106の中に含まれる1つまたは複数の加熱要素110は、一定の温度よりも下に温度が下がるときに熱を供給してよい。種々の実施形態では、建造物または部屋の中のサーモスタット118は、エアハンドラ106の制御電子回路114に連結されてよい。
【0027】
種々の実施形態では、エアハンドラ106から得られる加熱または冷却された空気は、配管系統120に提供されてよく、流出口通気孔122a、122b、122cを通して部屋または他の空間の内部に吐き出されてよい。いずれかの実施形態では、複数の部屋の各々は、加熱または冷却された空気を流出口通気孔122a、122b、122cのうち1つを通してHVACシステム100から受け取るように構成されてよい。
【0028】
種々の実施形態によれば、HVACシステム100は、空気流を効果的に衛生化するために既存の配管の中に収まるように設計された構成要素で構成されてよい。いずれかの実施形態では、殺菌構成要素は、ブロック124のダクト位置に、および/または1つまたは複数の流出口通気孔122a~122cに据え付けられてよい。いずれかの実施形態では、殺菌構成要素は、追加でまたは代わりにブロック126、128のダクト位置に据え付けられてよい。流出口通気孔122a~122cを通して安定した気流圧力を維持するために、ブロック124、126、および128は、エアハンドラ106から離れて距離が増大するにもかかわらず気流圧力を増大させるために、順次により小さくなる横断面積を伴うようにサイズ設定されてよい。図1Bに例示する別の実施形態では、殺菌構成要素は、ブロック124により表される中央ダクト位置に据え付けられてよい。図2は、種々の実施形態に従って殺菌ユニットを実装するのに適したHVACシステム200の例の構成要素を例示する図である。図1A図2を参照すると、HVACシステム200は、記述するようなHVACシステム100の1つまたは複数の一部分を表してよい。たとえば、殺菌ユニット202はダクト204の中に(たとえば配管系統120の位置124、126、128で)挿入されてよい。HVACシステム200は、ダクト204を通して(矢印により描く)空気の流れを誘導してよい。
【0029】
種々の実施形態では、ダクト204は、標準化された寸法またはカスタマイズされた寸法を有してよい。種々の実施形態では、ダクト204は、既存のHVACシステム設計に基づきさまざまに形作られてよく、空気出口の近傍に1つまたは複数のベンドを含んでよい。
【0030】
殺菌ユニット202は、HVACシステムの通常動作で空気が流れるダクト204の中に挿入されるUV反射チャンバ206を含んでよい。UV反射チャンバ206は、UV反射コーティングに沿って並べられてよく、1つまたは複数の締結具207によりダクト204に付着してよい。殺菌ユニット202はまた、ダクト204を通して空気流の中に位置決めされた中空領域であってよい、UV反射チャンバ206内部に複数の中心体208を含んでよい。殺菌ユニット202の中に組み入れられた中心体208の数および形状は、UV反射チャンバ206の寸法、および殺菌ユニット202が据え付けられてよいダクト204の寸法に依存してよい。たとえば、図2に示すように、殺菌ユニット202は5つの中心体208を含んでよい。中心体208は、形状が円筒状またはほぼ円筒状であってよい。種々の実施形態では、中心体208の外面は、UV反射材料でコートされてよい。中心体208は中空構造であってよい。
【0031】
種々の実施形態では、1つまたは複数の中心体208の外側に少なくとも1つのUV LED210を搭載してよい。他の実施形態では、1つまたは複数の中心体208の外側にUV LED210アレイを搭載してよい。各アレイ内のUV LEDの数、およびUV LEDが搭載される中心体208の数および場所は、殺菌ユニット202のサイズ、および殺菌ユニット202が据え付けられてよいダクト204のサイズに基づきカスタマイズされてよい。たとえば、殺菌ユニット202では、ダクト204の空気出口から最も遠く離れて位置決めされた2つの中心体208はそれぞれ、4つのUV LED210からなるアレイで構成されてよい。UV LED210を有する中心体208の各々は、異なる中心体208内部に収容された電源110により給電されてよいプリント回路基板組立体(PCBA)212を収容してよい。種々の実施形態では、電源110は、様々な構成要素に電力を提供し、かつその電力を調整するために必要な、様々な下位構成要素および特徴を含んでよい。
【0032】
種々の実施形態では、殺菌ユニット202は、ダクト204の空気出口端部に最も近いUV反射チャンバ206の端部に位置決めされた少なくとも1つのUVセンサ214を含んでよい。いずれかの実施形態では、UVセンサ214は、ユーザにフィードバックを提供して殺菌ユニット202の分解を必要とせずに正常動作を確実にするために、ダクト104の外側に位置決めされたUV機能表示装置220に連結されてよい。HVACシステム200はまた、ダクト204にアクセスしたときに殺菌ユニット212を無効にする連動スイッチ218を含んでよい。
【0033】
種々の実施形態では、殺菌ユニット206と空気出口の間のダクト204の一部分は、UV吸収材料でコートされてよい。UV吸収材料は、たとえば二酸化チタンおよび/または酸化亜鉛を含む層であってよい。いずれかの実施形態では、ダクト204からの出口はまた、同じく様々なUV吸収材料のいずれかから作られたUV吸収スクリーン222で覆われてよい。
【0034】
種々の実施形態では、ダクトは処理および設計の必要性を満たすようにさまざまに形作られてよい。中心体は、上流のHVACシステムから得られる、入力される気流の流れが、下流にある中心体の外面上のUV反射材料を介して、および殺菌ユニット102を整列させることによって、UV放射線への最適な暴露を達成するように位置決めされてよい。
【0035】
種々の実施形態による殺菌ユニットは、HVACシステムが既存の配管系統および特定の殺菌の必要性に従って多数の殺菌ユニット202を有してよいように、拡張可能かつ反復可能であってよい。いずれかの実施形態では、1つまたは複数の殺菌ユニット202は、HVACセンタの近くに据え付けられてよいので、空気流は、建造物の他の領域に進む前に供給源で処理される。いずれかの実施形態では、殺菌ユニットは、建造物の各階でなど、HVACシステム内の多数の異なるダクトの中に置かれてよい。1つまたは複数の殺菌ユニットは、汚染されていないきれいな気流を届けることが望ましい住宅、商業上の建造物、病院、公共空間、および他の環境で気流システムのために使用されてよい。
【0036】
種々の実施形態では、UV放射線は、1つまたは複数の中心体208に付着したUV発光ダイオード(LED)210により提供されてよい。
【0037】
本発明の別の実施形態は、汚染されていない空気を建造物に出力する少なくとも1つの殺菌ユニットをHVACシステムの既存のダクトに後付けするためのキットを開示する。たとえば、殺菌ユニット202は、既存のHVAC配管204の内部に据え付けられてよいモジュール式ユニットであってよい。他の実施形態では、既存のHVAC配管204の部位を除去し、殺菌ユニット202と交換してよい。
【0038】
いずれかの実施形態では、HVACシステム内の既存のダクトの一部分を取り除き捨てても、再利用してもよい。この場合、上記で記述する殺菌ユニット202は、外側筐体が既存のダクト204に密封可能に連結されて、かつ1つまたは複数のPCBA212に給電する電源100が機器の既存の電気供給源に電気的に接続されてよいように据え付けられる。キットのハードウェアキットの機械的および電気的な構成要素を使用してそのような接続を提供してよい。機械的構成要素は、ねじ、ナット、ボルト、座金、封止部、ガスケット、キャップ、およびコネクタを含んでよいがそれらに限定されない。電気的構成要素はケーブル、ワイヤハーネス、電気コネクタ、スイッチ、回路基板、回路遮断器、およびヒューズを含んでよいがそれらに限定されない。
【0039】
種々の実施形態では、アダプタの様々な機械的インタフェースは、当業者が容易に認識するように、ハードウェアキット内の構成要素として組み入れられてよい。はめ込み型結合、ガスケット、径違い継手、エキスパンダ、およびクランプは、すべて第1のアダプタ手段および第2のアダプタ手段として選ばれてよいアダプタの例である。
【0040】
種々の実施形態では、1つまたは複数のPCBA212およびUV LDE210に電力を提供するための電源は、調整手段を含んでよい。電源110は電源プラグ、電圧調整器、変圧器、回路遮断器、および/または1つまたは複数のPCBA212を通してUV LED210に給電し、UV LED210を監視および調整するための他の回路であってよいがそれらに限定されない。いずれかの実施形態では、電源110は、1つまたは複数のPCBA212およびUV LED210に電力を提供するために、HVACシステムに電気的に接続された再充電できる電池パックであってよい。電池パックは、当技術分野で公知のように、従来の充電手段により再充電されてよい。
【0041】
種々の実施形態では、連動スイッチ218は、殺菌ユニット202が据え付けられたダクト204の任意の部分が開くようになる場合、殺菌ユニット202内のUV LED210の電源をオフにするように働いてよい。この手法では、ユーザは、潜在的に有害なUV放射線に暴露されないように保護されてよい。連動スイッチ218はリレー、接点クロージャ、および回路遮断器を含むがそれらに限定されない、当技術分野で公知の様々な構成要素を含んでよい。
【0042】
当業者に明らかなだけではなく本開示の範囲内で明らかなように、上記の実施形態は、HVACシステム内部の気流をきれいにするために据え付けられたUV殺菌ユニット装置として記述されてきたが、他のシステムに同等に据え付けられてよい。さらに、種々の実施形態は、1つまたは2つ以上の任意の構成要素を備えてよい。たとえば、上記で記述する実施形態に加えて、種々の実施形態は、ダクトの一方の端部に第1の殺菌ユニットを、同じダクトの別の端部に第2の殺菌ユニットを含んでよい。種々の実施形態に従って、汚染されていない空気を達成するために、既存のHVACシステム以外に追加の送風機またはフィルタをまったく必要としない。
【0043】
図1を参照すると、殺菌ユニット202は、HVACシステム内のダクトの取外し可能な一部分に調和してUV反射材料および複数の中心体を提供する所望の長さまで突き出た中空横断面領域から構成されてよい。殺菌ユニット202の実施形態は、UV放射線の拡散反射を提供する内面処理を備えてよい。拡散表面を使用することにより、UV光線が(研磨された金属などの)表面に当たる角度に等しい角度でUV光線を反射するこの鏡面反射面とは反対に、UV光線を散乱させることによりUV照射場の効率を増大させてよい。いずれかの実施形態では、散乱UV反射面は微構造、コーティング、またはポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)などの積層された材料によって達成されてよい。
【0044】
殺菌ユニット202の実施形態は、気流および照射管理チャンバの長さ全体を通して実質的に安定した横断面積を備えてよい。殺菌ユニットの他の実施形態は、気流および照射管理チャンバの長さ全体を通して形状および/またはサイズが変動する横断面積を備えてよい。1つまたは複数の殺菌ユニットの横断面は円形、楕円形、長方形、または所望のダクトサイズを通る気流の経路を最適化するように選ばれてよいような任意の他の形状であってよい。各殺菌ユニットは、特有の容積処理量を持続するように設計されてよい。
【0045】
HVACシステムの実施形態は、実質的に直線状のダクト、実質的に湾曲したダクト、または実質的に直線状部位および湾曲部位の組合せから構成されたダクトを含んでよい。
【0046】
殺菌ユニット202自体は、押出成形されたプラスチック、形成された金属、または材料の組合せを含むがそれらに限定されない、当技術分野で公知であってよいような様々な方法および材料を利用して製造されてよい。殺菌ユニットから下流に空気が流れるダクト204の壁は、UV光を遮断する内面を有してよい。
【0047】
UV LED210は、種々の実施形態では、所望の波長および電力定格だけではなくサイズおよび期待される寿命にも基づき選択されてよい。殺菌チャンバ206内部での中心体208上のこれらのUV LED210の数および分布は、ダクトからUV放射線が実質的に漏れるのを防止しながら殺菌チャンバ内部で放射束を最大にするなどのためにあってよい。
【0048】
UV LED210用のPCBA212、連動スイッチ218、UVセンサ214、およびUV機能表示装置220などの様々な電気構成要素は、電源110に電気的に接続されて電源110により給電されてよい。電源110は、電子回路および制御モジュール、処理手段、ならびに電力調整手段のうち1つまたは複数をさらに備えてよい。
【0049】
本発明の実施形態は、汚染されていない空気を建造物内の1つまたは複数の部屋に供給するためのシステムを備えてよい。システムの実施形態は、空気によって運ばれる病原体の少なくとも基準死滅率を達成できる複数のUV LED210を含む少なくとも1つの殺菌ユニット202を備えてよい。
【0050】
他の実施形態は、既存のHVACシステム内部に殺菌ユニット202を後付けして空気処理システムを作成することにより、空気によって運ばれる病原体を実質的に除くための効果的で安全で好都合な方法を提供する。空気処理システムは、場所を取らず静かであってよく、加熱された空気を患者に間接的に供給する、様々な現在または将来の機器のいずれかと共に使用するように構成されてよい。
【0051】
HVACシステム100は、周囲の空気に至る開口部を伴う取り入れ口領域102を含んでよい。HVACシステム100の開口部102を通過する空気は、不純物除去のために、1つまたは複数の殺菌ユニット202を通過する前にフィルタ処理されてよい、および/または既存の送風機により押し出されてよい。
【0052】
種々の実施形態では、殺菌ユニット202を含むダクト204は、殺菌ユニット202の場所の後ろに少なくとも1つのベンドを含んでよく、十分なUV放射線量を気流に提供して所望の死滅率を達成しながら、不要なUV放射線が殺菌ユニット202から漏出するのをさらに防止するように構成された形状を形成する。
【0053】
いずれかの実施形態では、少なくとも1つのアレイ内のUV LED210は、260nm~270nmの範囲内など、240nm~280nmの範囲内の1つまたは複数の波長で放射線を放出する。
【0054】
殺菌チャンバ206の1つまたは複数の部位の内面は、反射材料でコートされてよい。
【0055】
種々の実施形態では、ダクト204内部に据え付けられた少なくとも1つの殺菌チャンバ206の構成は、所望の気流速度を損なうことなく、UV放射束を管理して気流を効果的に衛生化するように設計されてよい。一般に、経路長を増大させることにより、気流に関して滞留時間をより長くさせてよく、したがって、UV LED210アレイで構成されたより多くの中心体のための空間を提供して、空気によって運ばれる病原体を死滅させる際のUV放射線の有効性を増大させてよい。しかしながら、気流の経路が長くなったことによるそのような増大はまた、システム全体にわたり圧力低下を増大させるので、殺菌ユニットは、そのような圧力低下を軽減する長さで設計されてよい。また、殺菌ユニット内部の高レベルの反射率は、一般にUV LED210の有効性を最大にするが、殺菌ユニットは、反射した放射線がダクトから漏出するのを防止するように設計および位置決めされてよい。
【0056】
種々の実施形態では、PCBA212およびUV LED210を駆動する電源は、中心体内部に収容されることにより気流から分離されてよい。そのような電源は、従来入手可能な電源を含んでよく、回路遮断器を包含してよい。
【0057】
UV LED210を伴う中心体208は、殺菌ユニットが据え付けられたダクトの構成に基づき最大量のUV反射を得るだけではなくUV放射線がダクトから漏れるのを防止するようにも位置決めされてよい。種々の実施形態では、そのような位置決めは、UV放射線レイトレーシング技術を使用して得られてよい。
【0058】
UV反射チャンバ(たとえば、206)は、種々の実施形態では、研磨されたアルミニウムなど、高反射性の材料で殺菌チャンバ(たとえば、202)の1つまたは複数の内面をコートすることにより形成されてよい。
【0059】
いずれかの実施形態では、空気処理機器100の気流は、約100立方フィート/分(cubic feet per minute、cfm)~約700cfmの範囲内であってよい。いずれかの実施形態では、空気処理機器100は、圧力低下がHVACシステムを通る既存の気流の圧力低下から実質的に変化しないように構成されてよい。
【0060】
電子回路および制御モジュールは、HVACシステムの実施形態の様々な構成要素に供給される電力を調整するように組み入れられてよい。いずれかの実施形態では、電子回路および制御モジュールは、1つまたは複数の殺菌ユニットが据え付けられた1つまたは複数のダクトの外側にあるように構成されてよい。電子回路および制御モジュールは、1つまたは多数のユニット/集積回路として提供されてよく、1つまたは複数の殺菌ユニット202、UVセンサ214、UV機能表示装置220、および連動スイッチ218のための電源に連結されてよい。
【0061】
図3は、HVACシステム(たとえば、図1のシステム100)を通して建造物または部屋に提供される空気を浄化して、選択された温度条件を達成するための方法300の実施形態を示す。図1A図3を参照すると、ブロック302で、供給空気の流れは、配管系統を通して誘導されてよい。たとえば、新鮮な空気と還気の組合せであってよい供給空気の流れは、注入口ダクトを通してHVACシステム(たとえば、100)に入ってよい。いずれかの実施形態では、供給空気の流れは、微粒子を除去する少なくとも1つのフィルタ(たとえば、HEPAフィルタ)および/または有害なガスを吸着する少なくとも1つのフィルタ(たとえば、揮発性有機化学フィルタ)を通過してよい。ブロック304で、供給空気の流れを加熱/冷却組立体まで押し出すように気流を発生させてよい。種々の実施形態では、気流は送風機(たとえば、108)により生成されてよく、加熱/冷却組立体は、必要に応じて気流を加熱または冷却する1つまたは複数の蒸発器コイルを通して気流を吹きつけるエアハンドラ(たとえば、106)を含んでよい。ブロック306で、加熱または冷却された気流は、少なくとも1つの殺菌ユニット(たとえば、202)が据え付けられた配管系統に提供されてよい。種々の実施形態では、配管系統は、家または建造物全体にわたり空気を分配するように構成されてよく、1つまたは複数の殺菌ユニットを含んでよい。
【0062】
ブロック308で、加熱または冷却された気流は、1つまたは複数の殺菌ユニット(たとえば、204)のUV反射チャンバ(たとえば、206)を通過することにより所定のUV放射線量に暴露されてよい。たとえば、主ダクト(たとえば、120)の多数の部分が別個の部屋に分岐する場合、1つまたは複数の殺菌ユニットは、主ダクトに沿って据え付けられてよい、または主ダクトの分岐した各部分は、別個の殺菌ユニットを含んでよい。種々の実施形態では、1つまたは複数の殺菌ユニットの形状およびサイズ、ならびに1つまたは複数のUV反射チャンバ内部のUV LEDの位置は、ダクトの外側で不要なUV放射線を防止するように構成されてよい。
【0063】
所定のUV放射線量は、1つまたは複数の中心体上などにあるUV LEDアレイの数および位置、ならびに使用する材料を最適化することにより、ならびに必要な滞留時間を可能にするように殺菌ユニットを構成することにより達成されてよい。種々の実施形態では、所定のUV放射線量は、空気によって運ばれる、気流内部の病原体の少なくとも90%を死滅させる、または無効にするのに十分であってよい。
【0064】
ブロック310で、照射された気流は、UV放射線を吸収するように構成された1つまたは複数のダクトの下流部分を通してHVACシステムから排出されてよい。たとえば、ダクトの下流部分は、UV吸収材料に沿って並べられてよく、いずれかの実施形態では、照射された気流は、1つまたは複数の空気放出口通気孔(たとえば、122)を覆うUV吸収スクリーン(たとえば、222)を通過してよい。
【0065】
いずれかの実施形態では、特化した構成要素を含むことによりHVACシステムに追加の空気処理機能を追加してよい。たとえば、放射束を監視して適切な動作を確実にするために、システムの実施形態の殺菌ユニットの内部にUVセンサ(たとえば、214)を配置してよい、または殺菌ユニットにUVセンサ(たとえば、214)を接続してよい。種々の実施形態では、そのようなUVセンサは窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、および/または窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)の材料に基づくUV光検出器など、1つまたは複数のUV光検出器を使用してよい。種々の実施形態では、UVセンサは、外部の可視インジケータ(たとえば、UV機能表示装置220)と通信して、機器が作動していることをユーザに立証するように構成されてよい。いずれかの実施形態では、インジケータは、1つまたは複数の殺菌ユニットに接続された1つまたは複数のUVセンサと無線通信状態にあってよい。
【0066】
図4は、HVACシステム400の例の空気処理構成要素を例示する。システム400では、少なくとも1つの電子回路および制御モジュール401は、1つまたは複数の中心体(たとえば、208)内部など、殺菌ユニット402内部で回路基板(たとえば、1つまたは複数のPCBA209)上に実装されてよい。図1A図4を参照すると、回路基板は、1つまたは複数の中心体(たとえば、208)内部に配置されてよく、HVACシステムのその他の構成要素のための1つまたは複数のコントローラから分離されてよい。
【0067】
電子回路および制御モジュール402は、メモリ機器406および充電コントローラ408に連結されたマイクロコントローラ404を含んでよい。充電コントローラ808は、AC電源および/または電池であってよい少なくとも1つの電源410に接続してよい。HVACシステム400内部の他の空気処理構成要素は、1つまたは複数のUV LEDアレイ414、UVセンサ416、および連動スイッチ420を含んでよい。連動スイッチ420は、マイクロコントローラ404に連結されてよい。UVセンサ416は、1つまたは複数の可視インジケータ422を接続するインタフェース418に接続されてよい。可視インジケータ422は、別の機器またはシステム(たとえばスマートホン、タブレットなど)の一部であってよい外部構成要素として提供されてよい。インタフェース418は、無線通信リンクを通して可視インジケータ822を接続してよい。
【0068】
すべての図面を参照し、本開示の種々の実施形態によれば、暖房、換気、および空調(HVAC)システム内で循環する空気を処理するように構成された殺菌ユニットを提供する。殺菌ユニット202は、紫外線(UV)反射材料に沿って少なくとも部分的に並んだダクト204の一部分と、外部UV反射面をそれぞれ備える、ダクト204の一部分の内部に位置決めされた複数の中心体208と、複数の中心体208のうち少なくとも1つの表面に搭載された少なくとも1つのUV発光ダイオード(LED)210アレイとを含んでよく、HVACシステム内部の気流が、1つまたは複数の通気孔から出る前に殺菌ユニット202を通過するようにHVACシステム内の既存のダクトの部位を置換するように構成される。
【0069】
ある実施形態では、殺菌ユニット202は、中心体208のうち少なくとも1つの内部に収容された電源110をさらに含んでよい。一実施形態では、殺菌ユニット202は、少なくとも1つのUV LEDアレイを含んでよく、UV LEDアレイはそれぞれ、アレイが搭載された中心体208内部でプリント回路基板組立体(PCBA)212に接続される。一実施形態では、殺菌ユニット202は、少なくとも1つのUV LED210アレイが搭載され、かつ気流出口点から上流にある殺菌ユニット202の端部に位置決めされた、少なくとも1つの中心体208を含んでよい。一実施形態では、殺菌ユニット202は、240nm~280nmの範囲内の少なくとも1つの波長で放射線を放出するように構成された少なくとも1つのUV LEDアレイを含んでよい。一実施形態では、殺菌ユニット202は、空気によって運ばれる病原体を低減するのに十分なUV放射線量で、HVACシステム内部を循環している空気を照射するように構成されたUV LED210を含んでよい。
【0070】
別の実施形態では、HVACシステムを提供してよい。HVACシステムは、配管系統120と、配管系統120の中に据え付けられた少なくとも1つの殺菌ユニット202であって、少なくとも1つの殺菌ユニット202の各々は、紫外線(UV)反射材料に沿って少なくとも部分的に並んだダクト204の一部分をそれぞれ含む少なくとも1つの殺菌ユニット202と、外部UV反射面をそれぞれ備える、ダクト204の一部分の内部に位置決めされた複数の中心体208と、複数の中心体208のうち少なくとも1つの表面に搭載された少なくとも1つのUV発光ダイオード(LED)210アレイであって、少なくとも1つの殺菌ユニット202は気流を受け取るように構成される少なくとも1つのUV LED210アレイと、少なくとも1つの殺菌ユニット202の各々に結合した、UV LED210の性能を監視するように構成された少なくとも1つのUVセンサ214と、少なくとも1つの気流流出口に位置決めされたUV吸収スクリーン222とを含んでよい。
【0071】
一実施形態では、HVACシステムは、少なくとも1つの殺菌ユニット202の動作を無効にするように構成された少なくとも1つの連動スイッチ218をさらに備えてよい。一実施形態では、HVACシステムは、UV吸収材料に沿って並んだ少なくとも1つの殺菌ユニット202のうち1つの下流にある配管部位のうち少なくともある部位を含んでよい。一実施形態では、HVACシステムは、殺菌ユニット202と少なくとも1つの気流流出口のうち1つとの間に位置決めされた少なくとも1つのUVセンサ214を含んでよい。一実施形態では、HVACシステムは、240nm~280nmの範囲内の1つまたは複数の波長で放射線を放出するように構成された少なくとも1つのUV LED210アレイを含んでよい。一実施形態では、HVACシステムは、空気によって運ばれる病原体を低減するのに十分なUV放射線量で気流を照射するように構成されたUV LED210を含んでよい。一実施形態では、HVACシステムはまた、少なくとも1つの殺菌ユニット202内部のUV LED210の性能に関する情報をユーザに提供するように構成された可視インジケータ220を含んでよい。
【0072】
1つまたは複数のアレイのUV LEDは、UV LEDアレイ回路基板が殺菌チャンバの外側にあり、かつUV LEDが殺菌チャンバの殺菌領域の内側を照射するように、電子回路および制御モジュールに電気的に接続されて殺菌チャンバ(たとえば、直線区域)の一部分の壁の中の嵌合する開口部に固定して付着してよい。UVセンサは、照射レベルを検出できるように、電子回路および制御モジュールに電気的に接続されて殺菌チャンバの壁の中の嵌合する開口部に固定して付着してよい。
【0073】
上述した記載に照らすと、本発明による実施形態は、特許請求の範囲および精神に入ることが企図される数多くの構成で実現できることを認識されたい。それに加えて、上記の記述は、例だけによって表そうとし、以下の特許請求の範囲で示されるときを除き、本発明を決して限定しないことが意図される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
【国際調査報告】