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  • 特表-ヒータ及び単結晶炉 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】ヒータ及び単結晶炉
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/06 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
C30B29/06 502E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507476
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 CN2022122980
(87)【国際公開番号】W WO2023226269
(87)【国際公開日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】202210588892.6
(32)【優先日】2022-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522248559
【氏名又は名称】西安奕斯偉材料科技股▲ふん▼有限公司
【住所又は居所原語表記】Room 1-3-029, No.1888 South Xifeng Rd., Hi-Tech Zone Xi’an, Shaanxi 710100, P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】楊 文武
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077BA04
4G077EG18
4G077HA12
4G077PD02
4G077PE03
4G077PE12
(57)【要約】
本願は、ヒータ及び単結晶炉を提供する。前記ヒータは、加熱本体を含む。前記加熱本体は、碗状をなし、かつ底部に開口を有する。前記加熱本体は、周方向に第1の加熱ゾーンと第2の加熱ゾーンに区分される。第1の加熱ゾーンは、第1の主加熱ゾーンを含み、第2の加熱ゾーンは、第2の主加熱ゾーンを含む。第1の主加熱ゾーンと第2の主加熱ゾーンとは、加熱本体の軸方向の異なる高さに位置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱本体を含むヒータであって、
前記加熱本体は、るつぼの外形に適合する碗状をなし、かつ前記加熱本体の底部に開口を有し、
前記加熱本体は、周方向に第1の加熱ゾーンと第2の加熱ゾーンに区分され、
前記第1の加熱ゾーンは、第1の主加熱ゾーンを含み、
前記第2の加熱ゾーンは、第2の主加熱ゾーンを含み、
前記第1の主加熱ゾーンと前記第2の主加熱ゾーンとは、前記加熱本体の軸方向の異なる高さに位置する、ヒータ。
【請求項2】
前記加熱本体は、前記加熱本体の軸方向に上下に設けられて一体に連結された直筒部と円弧部とを含み、
前記第1の加熱ゾーンのうちの第1の主加熱ゾーンは、前記直筒部に位置し、
前記第2の加熱ゾーンのうちの第2の主加熱ゾーンは、前記円弧部に位置する、請求項1に記載のヒータ。
【請求項3】
前記加熱本体には、周方向に交互に分布する第1の溝と第2の溝が開設されることによって、前記加熱本体は、首尾が順次連なる複数の加熱ストリップに分割され、
前記第1の溝は、前記加熱本体の上端から前記加熱本体の下端に向かって延び、かつ前記加熱本体の下端を貫通しておらず、
前記第2の溝は、前記加熱本体の下端から前記加熱本体の上端に向かって延び、かつ前記加熱本体の上端を貫通しておらず、
前記第1の加熱ゾーンに位置する第2の溝は、隣接する2本の前記第1の溝の間の領域まで延び、
前記第2の加熱ゾーンに位置する第1の溝は、隣接する2本の前記第2の溝の間の領域まで延びる、請求項2に記載のヒータ。
【請求項4】
前記第2の溝が隣接する2本の前記第1の溝の間の領域まで延びる部分の長さと前記直筒部の高さとの比は、1/2~2/3である、請求項3に記載のヒータ。
【請求項5】
前記第1の溝が隣接する2本の前記第2の溝の間の領域まで延びる部分の長さと前記円弧部の円弧長との比は、3/4である、請求項3に記載のヒータ。
【請求項6】
前記第1の溝が隣接する2本の前記第2の溝の間の領域まで延びる部分の長さは、前記第2の溝が隣接する2本の前記第1の溝の間の領域まで延びる部分の長さよりも大きい、請求項3に記載のヒータ。
【請求項7】
前記直筒部の高さは、前記円弧部の円弧長よりも小さい、請求項2に記載のヒータ。
【請求項8】
前記第1の加熱ゾーンと前記第2の加熱ゾーンは、前記加熱本体を周方向に二等分して得られる、請求項1に記載のヒータ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のヒータを含む単結晶炉。
【請求項10】
外形が前記ヒータの加熱本体の外形とはいずれも碗状であるるつぼを更に含む、請求項9に記載の単結晶炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2022年5月26日に中国で提出された中国特許出願NO.202210588892.6の優先権を主張し、その全ての内容が援用によりここに取り込まれる。
【0002】
本願は、単結晶製造の技術分野に係り、特にヒータ及び単結晶炉に係る。
【背景技術】
【0003】
半導体シリコンウェーハの品質要求が高まるにつれて、結晶引上げ過程における結晶棒の結晶欠陥に対してより高い管理要求があり、熱場(Hot Zone)の構造と性能が直接に結晶棒の品質に影響しているため、熱場の設計は、極めて重要である。単結晶炉にとって、ヒータの設計は、熱場設計の核心の一つである。単結晶炉の熱出力を担うヒータは、多結晶シリコン材料の溶融段階と後期成形段階で重要な役割を果たしており、その形状と加熱ゾーンの大きさが直接に結晶引上げ炉の温度場に影響し、更に結晶棒の品質に影響を与える。
【0004】
関連技術におけるヒータは、加熱効率が高くなく、特に結晶棒の等径成長の後期には、溶融体の減少に伴い、溶融体の熱保持能力が低下する。これは、溶融体の温度場の不均一性をより大きく激化させる。また、従来のヒータは、熱伝達方式の制限を受け、対流方式が酸素の有効的な析出及び結晶棒における酸素の径方向均一浸入に不利である。これは、結晶棒における酸素の均一性分布を大きく制限し、結晶棒の全体的な品質に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑みて、本願は、関連技術におけるヒータの加熱効率が高くなく、酸素の有効的な析出及び結晶棒における酸素の径方向均一侵入に不利であるため、結晶棒の品質が高くないという問題を解決することができる、ヒータ及び単結晶炉を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術課題を解決するために、本願は、以下の技術手段を採用する。
【0007】
本願の第1の態様の実施例は、ヒータを提供する。前記ヒータは、加熱本体を含む。前記加熱本体は、るつぼの外形に適合する碗状をなし、かつ前記加熱本体の底部に開口を有する。前記加熱本体は、周方向に第1の加熱ゾーンと第2の加熱ゾーンに区分される。前記第1の加熱ゾーンは、第1の主加熱ゾーンを含み、前記第2の加熱ゾーンは、第2の主加熱ゾーンを含み、前記第1の主加熱ゾーンと前記第2の主加熱ゾーンとは、前記加熱本体の軸方向の異なる高さに位置する。
【0008】
任意に、前記加熱本体は、前記加熱本体の軸方向に上下に設けられて一体に連結された直筒部と円弧部とを含み、前記第1の加熱ゾーンのうちの第1の主加熱ゾーンは、前記直筒部に位置し、前記第2の加熱ゾーンのうちの第2の主加熱ゾーンは、前記円弧部に位置する。
【0009】
任意に、前記加熱本体には、周方向に交互に分布する第1の溝と第2の溝が開設されることによって、前記加熱本体は、首尾が順次連なる複数の加熱ストリップに分割される。前記第1の溝は、前記加熱本体の上端から前記加熱本体の下端に向かって延び、かつ前記加熱本体の下端を貫通していない。前記第2の溝は、前記加熱本体の下端から前記加熱本体の上端に向かって延び、かつ前記加熱本体の上端を貫通していない。前記第1の加熱ゾーンに位置する第2の溝は、隣接する2本の前記第1の溝の間の領域まで延びる。前記第2の加熱ゾーンに位置する第1の溝は、隣接する2本の前記第2の溝の間の領域まで延びる。
【0010】
任意に、前記第2の溝が隣接する2本の前記第1の溝の間の領域まで延びる部分の長さと前記直筒部の高さとの比は、1/2~2/3である。
【0011】
任意に、前記第1の溝が隣接する2本の前記第2の溝の間の領域まで延びる部分の長さと前記円弧部の円弧長との比は、3/4である。
【0012】
任意に、前記第1の溝が隣接する2本の前記第2の溝の間の領域まで延びる部分の長さは、前記第2の溝が隣接する2本の前記第1の溝の間の領域まで延びる部分の長さよりも大きい。
【0013】
任意に、前記直筒部の高さは、前記円弧部の円弧長よりも小さい。
【0014】
任意に、前記第1の加熱ゾーンと前記第2の加熱ゾーンは、前記加熱本体を周方向に二等分して得られる。
【0015】
本願の別の態様の実施例は、更に、第1の態様に記載のヒータを含む単結晶炉を提供する。
【0016】
任意に、前記単結晶炉は、外形が前記ヒータの加熱本体の外形とはいずれも碗状であるるつぼを更に含む。
【発明の効果】
【0017】
本願実施例のヒータによれば、加熱本体の形状をるつぼの外形に適合した碗状にすることによって、効率的に熱をるつぼに伝達することができ、ヒータの加熱効率を向上させることができる。また、加熱本体の周方向に区分された第1の加熱ゾーンと第2の加熱ゾーンのうち、第1の加熱ゾーンに含まれる第1の主加熱ゾーンと、第2の加熱ゾーンに含まれる第2の主加熱ゾーンとは、加熱本体の軸方向の異なる高さに位置し、即ち非対称性を呈することによって、結晶棒中心の軸方向温度差と結晶棒エッジの軸方向温度差の差が小さくなり、固液界面の形状が緩やかになることに有利であり、欠陥のない結晶棒の成長に有利である。また、溶融体の自然外対流を変更し、るつぼの回転速度に合わせて、酸素含有量の有効的な析出を制御することができる。また、溶融体の表面張力を、半径方向に勾配変化を呈するように変更して界面対流を形成し、結晶回転による内対流と合わせることによって、酸素が均一に結晶棒に浸入することに有利であり、結晶棒の軸方向と半径方向の酸素含有量の均一性を高める。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本願の実施例によるヒータの組立概略図である。
図2図2は、本願の実施例による加熱本体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願の実施例の目的、技術手段及び利点をより明確にするために、以下に、本願の実施例の図面を参照して、本願の実施例の技術手段を明確に、完全に説明する。明らかに、記載された実施例は、本願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。記載された本願の実施例に基づいて、当業者が取得した他のすべての実施例は、すべて本願の保護範囲に属する。
【0020】
図1及び図2を参照すると、図1は、本願の実施例によるヒータの組立概略図であり、図2は、本願の実施例による加熱本体の概略図である。図1及び図2に示すように、本願の一態様の実施例は、単結晶炉に適用するヒータを提供する。このヒータは、加熱本体1を含む。加熱本体1は、るつぼの外形に適合する碗状をなす。即ち、単結晶炉におけるシリコン材料を収容するためのるつぼは、碗状をなす。このるつぼは、具体的には黒鉛るつぼ5である。ヒータの加熱本体1も、るつぼの外形と同じ碗状をなし、黒鉛るつぼ5を等比例で拡大することに相当する。これにより、加熱本体1の異なる部分とるつぼの対応部分との距離がほぼ一致し、加熱本体1で発生した熱がるつぼに均一に伝達され、るつぼからるつぼ内のシリコン材料に熱が均一に伝達され、ヒータの加熱効率が向上する。
【0021】
本願の実施例において、加熱本体1は、周方向に第1の加熱ゾーンと第2の加熱ゾーンとに区分される。第1の加熱ゾーンは、第1の主加熱ゾーン111を含む。この第1の主加熱ゾーン111の加熱効率は、第1の加熱ゾーンのうち、第1の主加熱ゾーン111以外の他のゾーンの加熱効率よりも大きい。任意に、第1の主加熱ゾーン111と第1の主加熱ゾーン111以外のゾーンとは、上下に配置されている。第2の加熱ゾーンは、第2の主加熱ゾーン112を含む。この第2の主加熱ゾーン112の加熱効率は、第2の加熱ゾーンのうち、第2の主加熱ゾーン112以外の他のゾーンの加熱効率よりも大きい。任意に、第2の主加熱ゾーン112と第2の主加熱ゾーン112以外のゾーンとは、上下に配置されている。また、第1の主加熱ゾーン111と第2の主加熱ゾーン112とは、加熱本体1の軸方向の異なる高さに位置する。つまり、第1の加熱ゾーンのうちの第1の主加熱ゾーン111と、第2の加熱ゾーンのうちの第2の主加熱ゾーン112とは、加熱本体1の軸方向の高さが異なり、第1の主加熱ゾーン111と第2の主加熱ゾーン112とは、周方向に非対称性を示している。図1に示すように、第1の主加熱ゾーン111で形成する加熱方向は、主に横方向放射であり、第2の主加熱ゾーン112で形成する加熱方向は、主に斜め上方放射である。ここで、加熱中、溶融体3は、自然外対流6を発生し、結晶棒2が回転すると、強制内対流7を形成する。
【0022】
これにより、本願の実施例におけるヒータは、上記の設置形態を採用し、結晶棒2中心の軸方向温度差と結晶棒2エッジの軸方向温度差の差ΔGが小さくなり、固液界面の形状が緩やかになることに有利であり、欠陥のない結晶棒の成長に有利である。また、溶融体3の自然外対流6を変更し、るつぼの回転速度に合わせて、酸素含有量の有効的な析出を制御することができる。また、溶融体3の表面張力を、半径方向に勾配変化を呈するように変更して界面対流を形成し、結晶棒2の回転による強制内対流7と合わせることによって、酸素が均一に結晶棒2に浸入することに有利であり、結晶棒2の軸方向と半径方向の酸素含有量の均一性を高め、結晶棒2の品質を向上させる。
【0023】
本願のいくつかの実施例において、加熱本体1は、加熱本体1の軸方向に上下に設けられ、一体に連結された直筒部11と円弧部12を含む。即ち、直筒部11は、円弧部12の上方に位置し、直筒部11は、直筒形状をなし、円弧部12は、円弧状をなす。ここで、第1の加熱ゾーンのうちの第1の主加熱ゾーン111は、直筒部11に位置し、第2の加熱ゾーンのうちの第2の主加熱ゾーン112は、円弧部12に位置する。これにより、第1の主加熱ゾーン111と第2の主加熱ゾーン112とは、加熱本体1の軸方向の異なる高さに位置し、非対称的な設置を実現する。
【0024】
本願のいくつかの実施例において、加熱本体1には、周方向に交互に分布する第1の溝8と第2の溝9が開設されている。第1の溝8と第2の溝9は、加熱本体1を首尾が順次連なる複数の加熱ストリップに分割し、即ち、複数の加熱ストリップが直列形態を呈する。ここで、第1の溝8は、加熱本体1の上端から加熱本体1の下端に向かって延び、かつ加熱本体1の下端を貫通していない。第2の溝9は、加熱本体1の下端から加熱本体1の上端に向かって延び、かつ加熱本体1の上端を貫通していない。第1の加熱ゾーンに位置する第2の溝9は、隣接する2本の第1の溝8の間の領域まで延びる。即ち、第1の加熱ゾーンのうちの第2の溝9の部分は、隣接する2本の第1の溝8の間の領域に位置する。第2の加熱ゾーンに位置する第1の溝8は、隣接する2本の第2の溝9の間の領域まで延びる。即ち、第2の加熱ゾーンのうちの第1の溝8の部分は、隣接する2本の第2の溝9の間の領域に位置する。これにより、第1の加熱ゾーンのうちの第1の溝8と第2の溝9によって形成された第1の主加熱ゾーン111は、直筒部11に位置し、第2の加熱ゾーンのうちの第1の溝8と第2の溝9によって形成された第2の主加熱ゾーン112は、円弧部12に位置する。
【0025】
任意に、加熱本体1には、加熱本体と外部電源との接続を容易にし、電気的加熱を実現するために、電極と接続するためのピンも設けられている。
【0026】
本願の別の実施例において、第1の加熱ゾーンにおいて、第2の溝9が隣接する2本の第1の溝8の間の領域まで延びる部分の長さと直筒部11の高さとの比は、1/2~2/3である。これにより、第2の溝9が隣接する2本の第1の溝8の間の領域まで延びる部分の長さと直筒部11の高さとの比を制御することにより、第1の加熱ゾーンのうちの第1の主加熱ゾーン111の面積の大きさを制御することができる。
【0027】
本願の別の実施例において、第2の加熱ゾーンでは、第1の溝8が隣接する2本の第2の溝9の間まで延びる領域の部分の長さと前記円弧部12の円弧長との比は、3/4である。これにより、第1の溝8が隣接する2本の第2の溝9の間まで延びる領域の部分の長さと前記円弧部12の円弧長との比を制御することにより、第2の加熱ゾーンのうちの第2の主加熱ゾーン112の面積の大きさを制御することができる。ここで、円弧部12の円弧長とは、円弧部12の下端から円弧部12の上端までの円弧の長さであり、この円弧は、加熱本体1の軸線を通過する平面で円弧部12を切断して得られる。
【0028】
本願のいくつかの実施例において、第2の加熱ゾーンのうちの第1の溝8が隣接する2本の第2の溝9の間の領域まで延びる部分の長さは、第1の加熱ゾーンのうちの第2の溝9が隣接する2本の第1の溝8の間の領域まで延びる部分の長さよりも大きい。即ち、第2の加熱ゾーンのうちの第2の主加熱ゾーン112の加熱効率は、第1の加熱ゾーンのうちの第1の主加熱ゾーン111の加熱効率よりも大きく、酸素の有効的な析出及び結晶棒2における酸素の半径方向均一侵入に有利である。
【0029】
本願の別の実施例において、直筒部11の高さは、円弧部12の円弧長よりも小さい。ここで、円弧部12の円弧長とは、円弧部12の下端から円弧部12の上端までの円弧の長さであり、この円弧は、加熱本体1の軸線を通過する平面で円弧部12を切断して得られる。これにより、加熱本体1の軸方向における円弧部12の加熱範囲は、加熱本体1の軸方向における直筒部11の加熱範囲よりも大きく、即ち、円弧部12の加熱効率は、直筒部11の加熱効率よりも大きく、溶融体3の自然外対流6と結晶回転による内対流を改善する。
【0030】
本願のいくつかの実施例において、第1の加熱ゾーンと第2の加熱ゾーンは、加熱本体1を周方向に二等分して得られる。即ち、加熱本体1の周方向における第1の加熱ゾーンと第2の加熱ゾーンの長さは、同じである。もちろん、いくつかの実施例において、加熱本体1の周方向における第1の加熱ゾーンと第2の加熱ゾーンの長さは、異なっていてもよい。例えば、加熱本体1の周方向における第1の加熱ゾーンの長さは、加熱本体1の周方向の長さの1/3を占め、加熱本体1の周方向における第2の加熱ゾーンの長さは、加熱本体1の周方向の長さの2/3を占める。具体的な寸法は、実際の単結晶炉の設計ニーズに基づいて決められ、本願の実施例において具体的に限定されない。
【0031】
本願の実施例において、加熱本体1の形状をるつぼの外形に適合した碗状にすることによって、効率的に熱をるつぼに伝達することができ、ヒータの加熱効率を向上させることができる。また、加熱本体の周方向に区分された第1の加熱ゾーンと第2の加熱ゾーンのうち、第1の加熱ゾーンに含まれる第1の主加熱ゾーンと、第2の加熱ゾーンに含まれる第2の主加熱ゾーンとは、加熱本体の軸方向の異なる高さに位置し、即ち非対称性を呈することによって、結晶棒中心の軸方向温度差と結晶棒エッジの軸方向温度差の差が小さくなり、固液界面の形状が緩やかになることに有利であり、欠陥のない結晶棒の成長に有利である。また、溶融体の自然外対流を変更し、るつぼの回転速度に合わせて、酸素含有量の有効的な析出を制御することができる。また、溶融体の表面張力を、半径方向に勾配変化を呈するように変更して界面対流を形成し、結晶回転による強制内対流と合わせることによって、酸素が均一に結晶棒に浸入することに有利であり、結晶棒の軸方向と半径方向の酸素含有量の均一性を高める。
【0032】
本願の別の態様の実施例は、更に、単結晶炉を提供する。この単結晶炉は、上記の実施例に記載のヒータを含み、かつ同一の技術効果を奏することができるので、重複を避けるために、ここではその記載を省略する。
【0033】
本願のいくつかの実施例において、単結晶炉は、外形が前記ヒータの加熱本体1の外形とはいずれも碗状であるるつぼを含む。
【0034】
具体的には、図1及び図2に示すように、ヒータは、加熱本体1を含む。加熱本体1は、るつぼの外形に適合する碗状をなす。即ち、単結晶炉におけるシリコン材料を収容するためのるつぼは、碗状をなす。このるつぼは、具体的に黒鉛るつぼ5及び黒鉛るつぼ5の内部に位置する石英るつぼ4を含む。ヒータの加熱本体1も、黒鉛るつぼ5の外形と同じ碗状をなし、黒鉛るつぼ5を等比例で拡大することに相当する。これにより、加熱本体1の異なる部分とるつぼの対応部分との距離がほぼ一致し、加熱本体1で発生した熱がるつぼに均一に伝達され、るつぼからるつぼ内のシリコン材料に熱が均一に伝達され、ヒータの加熱効率が向上する。
【0035】
本願の実施例において、加熱本体の形状をるつぼの外形に適合した碗状にすることによって、効率的に熱をるつぼに伝達することができ、ヒータの加熱効率を向上させることができる。また、加熱本体の周方向に区分された第1の加熱ゾーンと第2の加熱ゾーンのうち、第1の加熱ゾーンに含まれる第1の主加熱ゾーンと、第2の加熱ゾーンに含まれる第2の主加熱ゾーンとは、加熱本体の軸方向の異なる高さに位置し、即ち非対称性を呈することによって、結晶棒中心の軸方向温度差と結晶棒エッジの軸方向温度差の差が小さくなり、固液界面の形状が緩やかになることに有利であり、欠陥のない結晶棒の成長に有利である。また、溶融体の自然外対流を変更し、るつぼの回転速度に合わせて、酸素含有量の有効的な析出を制御することができる。また、溶融体の表面張力を、半径方向に勾配変化を呈するように変更して界面対流を形成し、結晶回転による内対流と合わせることによって、酸素が均一に結晶棒に浸入することに有利であり、結晶棒の軸方向と半径方向の酸素含有量の均一性を高める。
【0036】
上記は、本願の一部の実施形態である。なお、当業者にとっては、本願に記載の原理を逸脱することなく、いくつかの改良及び仕上げを行うことができ、これらの改良及び仕上げも本願の保護範囲と見なすべきである。
図1
図2
【国際調査報告】