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特表2024-523775側壁ポリマースペーサを有するワイドベース磁気トンネル接合デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】側壁ポリマースペーサを有するワイドベース磁気トンネル接合デバイス
(51)【国際特許分類】
   H10B 61/00 20230101AFI20240625BHJP
   H10N 50/20 20230101ALI20240625BHJP
   H10N 50/01 20230101ALI20240625BHJP
【FI】
H10B61/00
H10N50/20
H10N50/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562585
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 CN2022094686
(87)【国際公開番号】W WO2022262533
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】17/304,179
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルチャック、ナサン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】コサンダラマン、チャンドラセクハラン
(72)【発明者】
【氏名】ハシェミ、ポウヤ
【テーマコード(参考)】
4M119
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA03
4M119AA19
4M119BB01
4M119CC05
4M119DD05
4M119DD06
4M119DD09
4M119DD42
4M119DD60
4M119JJ11
4M119JJ18
5F092AA04
5F092AA11
5F092AB06
5F092AC12
5F092AD25
5F092BB22
5F092BB23
5F092BB36
5F092BB42
5F092BB43
5F092BC04
5F092BC07
5F092BC13
5F092BC45
5F092BC46
5F092CA08
(57)【要約】
第1の磁気接合スタックの上方のスピン導体層の上方で整列された第2の磁気トンネル接合スタックを備える半導体デバイスであって、側壁誘電体が、前記第2の磁気トンネル接合スタックを包囲し、前記側壁誘電体の鉛直の側面は、前記スピン導体層及び前記第1の磁気接合スタックの鉛直の側面と整列される、半導体デバイス。第1の磁気トンネル接合スタック、スピン導体層及び第2の磁気トンネル接合スタックを形成する段階、前記スピン導体層及び前記第1の磁気トンネル接合スタックをパターニングしないようにしながら、前記第2の磁気トンネル接合スタックをパターニングする段階、側壁誘電体、及び前記側壁誘電体上にポリマー層を形成する段階を備える、方法。第2の磁気トンネル接合スタックの下方のスピン導体層も前記スピン導体層の下方の第1の磁気トンネル接合スタックもパターニングしないようにしながら、前記第2の磁気トンネル接合スタックをパターニングする段階を備える、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の磁気トンネル接合スタックの上方で整列されたスピン導体層の上方で整列された第2の磁気トンネル接合スタックを備える半導体デバイスであって、側壁誘電体が、前記第2の磁気トンネル接合スタックを包囲し、ここで、前記側壁誘電体の鉛直の側面は、前記スピン導体層及び前記第1の磁気トンネル接合スタックの鉛直の側面と整列される、半導体デバイス。
【請求項2】
前記第2の磁気トンネル接合スタックの上方で整列されたエッチストップ層;及び
前記エッチストップ層の上方で整列された金属ハードマスク
を更に備え、ここで、前記エッチストップ層及び前記金属ハードマスクの鉛直の側面は、前記第2の磁気トンネル接合スタックの鉛直の側壁と整列される、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記側壁誘電体を包囲する層間誘電体を更に備える、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記側壁誘電体を包囲するポリマー層を更に備える、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記ポリマー層は、Cを含む、請求項4に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記ポリマー層は、前記側壁誘電体の水平上面上でより低い厚さ、及び前記側壁誘電体の鉛直の側壁上でより高い厚さを含む、請求項4に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記第1の磁気トンネル接合スタックの直径は、前記第2の磁気トンネル接合スタック及び前記側壁誘電体の組み合わされた直径よりも大きい、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記第1の磁気トンネル接合スタックの直径は、前記第2の磁気トンネル接合スタック、前記側壁誘電体、及び前記側壁誘電体を包囲するポリマー層の組み合わされた直径よりも大きい、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
第1の磁気トンネル接合スタックを形成する段階;
前記第1の磁気トンネル接合スタックの上方にスピン導体層を形成する段階;
前記スピン導体層の上方に第2の磁気トンネル接合スタックを形成する段階;
前記スピン導体層及び前記第1の磁気トンネル接合スタックをパターニングしないようにしながら、前記第2の磁気トンネル接合スタックをパターニングする段階;
前記第2の磁気トンネル接合スタック上及び前記スピン導体層上に側壁誘電体を形成する段階;及び
前記側壁誘電体上にポリマー層を形成する段階
を備える、方法。
【請求項10】
前記ポリマー層は、CxHyFzを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記側壁誘電体、前記スピン導体層及び前記第1の磁気トンネル接合スタックをパターニングする段階を更に備える、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマー層を除去する段階を更に備える、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の磁気トンネル接合スタックの上方に、かつ前記第1の磁気トンネル接合スタックと整列してビット線を形成する段階を更に備える、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の磁気トンネル接合スタックの直径は、前記第2の磁気トンネル接合スタック、前記側壁誘電体、及び前記側壁誘電体を包囲する前記ポリマー層の組み合わされた直径よりも大きい、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
第2の磁気トンネル接合スタックの下方のスピン導体層も前記スピン導体層の下方の第1の磁気トンネル接合スタックもパターニングしないようにしながら、前記第2の磁気トンネル接合スタックをパターニングする段階
を備える、方法。
【請求項16】
前記第2の磁気トンネル接合スタックをパターニングしながら、金属ハードマスク及びエッチストップ層をパターニングする段階を更に備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
側壁誘電体を形成する段階;及び
前記側壁誘電体上にポリマー層を形成する段階
を更に備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリマー層は、CxHyFzを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記側壁誘電体、前記スピン導体層及び前記第1の磁気トンネル接合スタックをパターニングする段階を更に備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の磁気トンネル接合スタックの上方に、かつ前記第1の磁気トンネル接合スタックと整列してビット線を形成する段階を更に備える、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、半導体製造の分野に関し、より具体的には、ワイドベースを有する磁気トンネル接合デバイスを製造することに関する。
[背景技術]
【0002】
磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(「MRAM」)デバイスは、不揮発性コンピュータメモリとして使用される。MRAMデータは、磁気記憶要素によって記憶される。これらの要素は、スピン導体層によって離隔された2つの強磁性層から形成され、これらの各々が磁場を保持することができる。2つの層のうちの1つは、特定の極性に設定された参照磁石又は参照層であり、一方、残りの層の磁場は、メモリを記憶するために外部磁場のものに一致するように変更することができ、「自由磁石」又は「自由層」と称される。この構成は、磁気トンネル接合(MTJ)として知られており、メモリのMRAMビットのための最も単純な構造である。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態によれば、半導体デバイスが提供される。第1の磁気接合スタックの上方で整列されたスピン導体層の上方で整列された第2の磁気トンネル接合スタックを備える半導体デバイスであって、側壁誘電体が、前記第2の磁気トンネル接合スタックを包囲し、ここで、前記側壁誘電体の鉛直の側面は、前記スピン導体層及び前記第1の磁気接合スタックの鉛直の側面と整列される、半導体デバイス。
【0004】
一実施形態によれば、方法が提供される。第1の磁気トンネル接合スタックを形成する段階、前記第1の磁気トンネル接合スタックの上方にスピン導体層を形成する段階、前記スピン導体層の上方に第2の磁気トンネル接合スタックを形成する段階、前記スピン導体層及び前記第1の磁気トンネル接合スタックをパターニングしないようにしながら、前記第2の磁気トンネル接合スタックをパターニング段階、前記第2の磁気トンネル接合スタック上及び前記スピン導体層上に側壁誘電体を形成する段階、及び前記側壁誘電体上にポリマー層を形成する段階を備える、方法。
【0005】
一実施形態によれば、方法が提供される。第2の磁気トンネル接合スタックの下方のスピン導体層も前記スピン導体層の下方の第1の磁気トンネル接合スタックもパターニングしないようにしながら、前記第2の磁気トンネル接合スタックをパターニングする段階を備える、方法。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明のこれらの及び他の目的、特徴及び利点は、添付図面に関連して読まれる、その例示的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。図示は当業者が詳細な説明と併せて本発明を理解することを容易にする上での明確性のためのものであるので、図面の様々な特徴は縮尺どおりではない。
【0007】
図1】例示的な実施形態に係る、製造の中間ステージにおける半導体構造の断面図である。
【0008】
図2】例示的な実施形態に係る、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(「MRAM」)スタック層及びハードマスク堆積の製造を示す図である。
【0009】
図3】例示的な実施形態に係る、幾つかの層のパターニングを示す図である。
【0010】
図4】例示的な実施形態に係る、誘電体及びポリマー層を形成することを示す図である。
【0011】
図5】例示的な実施形態に係る、ハードマスク及びポリマー層の一部分を選択的に除去することを示す図である。
【0012】
図6】例示的な実施形態に係る、ポリマー層の残りの部分を選択的に除去することを示す図である。
【0013】
図7】例示的な実施形態に係る、誘電体及び層間誘電体を形成することを示す図である。
【0014】
図8】例示的な実施形態に係る、ビット線を形成することを示す図である。
【0015】
図9】例示的な実施形態に係る、代替的な実施形態を示す図である。
【0016】
図10】例示的な実施形態に係る、誘電体及びビット線を形成することを示す図である。
【0017】
図示の簡潔性及び明瞭性のために、図において示される要素は、必ずしも縮尺どおりに描かれてはいないことを理解されたい。例えば、要素のうちの幾つかのものの寸法は、明瞭性のために他の要素に対して誇張され得る。さらに、適切と考えられる場合、参照符号は、対応する又は類似の特徴を示すために図中で繰り返され得る。
【発明を実施するための形態】
【0018】
特許請求される構造及び方法の詳細な実施形態が本明細書において開示される;しかしながら、開示される実施形態は、様々な形態において具現化され得る特許請求される構造及び方法の単なる例示であることが理解され得る。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態において具現化されてよく、本明細書において記載される例示的な実施形態に限定されると解釈されるべきではない。本明細書において、周知の特徴及び技法の詳細は、提示される実施形態を不必要に不明瞭にすることを回避するように、省略される。
【0019】
「1つの実施形態」、「一実施形態」、「例示の実施形態」等の明細書における参照は、説明される実施形態が特定の特徴、構造又は特性を含み得るが、全ての実施形態が必ずしも当該特定の特徴、構造又は特性を含まないことがあることを示す。その上、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性が一実施形態に関連して説明されるとき、明示的に説明されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造、又は特性に影響を与えることは当業者の知識の範囲内であることが考えられる。
【0020】
層、領域又は基板としての或る要素が別の要素「上に(on)」ある又は当該別の要素「を覆うように(over)」あると称される場合、それは当該別の要素の直接上にあり得るか、又は、介在する要素も存在し得ることが理解されるであろう。対照的に、或る要素が別の要素の「直接上に(directly on)」ある又は当該別の要素「を直接覆うように(directly over)」あると称される場合、介在する要素は存在しない。或る要素が別の要素に「接続(connected)」又は「結合(coupled)」されていると称される場合、それは当該別の要素に直接接続又は結合され得るか、又は、介在する要素が存在し得ることも理解されるであろう。対照的に、或る要素が別の要素に「直接接続(directly connected)」又は「直接結合(directly coupled)」されていると称される場合、介在する要素は存在しない。
【0021】
本発明の実施形態の提示を不明瞭にしないために、以下の詳細な説明では、当該技術分野において既知である幾つかの処理段階又は動作は、提示のために、及び図示の目的でともに組み合わされていてよく、幾つかの事例では詳細には説明されていない場合がある。他の事例では、当該技術分野において既知である幾つかの処理段階又は動作は、全く説明されないことがある。以下の説明は、むしろ、本発明の様々な実施形態の特有の特徴又は要素に焦点を当てていることが、理解されるべきである。
【0022】
上述されたように、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(「MRAM」)デバイスは、不揮発性コンピュータメモリ技術である。MRAMデータは、磁気記憶要素によって記憶される。これらの要素は、スピン導体層によって離隔された2つの強磁性層から形成され、これらの各々が磁場を保持することができる。2つの層のうちの1つは、特定の極性に設定された参照磁石又は参照層であり、一方、残りの層の磁場は、メモリを記憶するために外部磁場のものに一致するように変更することができ、「自由磁石」又は「自由層」と称される。磁気参照層は、参照層と称され得、残りの層は、自由層と称され得る。この構成は、磁気トンネル接合(MTJ)として知られており、メモリのMRAMビットのための最も単純な構造である。
【0023】
メモリデバイスは、そのようなメモリセル又はビットのグリッドから構築される。本明細書において更に論述されるタイプ等のMRAMの幾つかの構成では、磁気参照層の磁化は、1つの方向(上又は下)において固定され、磁気自由層の方向は、外部磁場又は電荷電流を生成するスピントランスファトルク等の外力によってスイッチングすることができる。(いずれかの極性の)より小さい電流は、デバイスの抵抗を読み取るのに使用することができ、これは、磁気自由層及び磁気参照層の磁化の相対配向に依存する。抵抗は、典型的には、磁化が逆平行である場合にはより高く、それらが平行である場合にはより低いが、これはMRAMの製造において使用される材料に依存して反転し得る。
【0024】
本願は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)に関する。より具体的には、本願は、スピントランスファトルク(STT)MRAMの性能を改善することができ、半導体技術(CMOS技術等)の配線工程(BEOL)処理に統合され得る改変二重磁気トンネル接合(mDMTJ)構造に関する。MTJを使用することができるMRAMの1つのタイプは、スピントランスファトルクMRAM(以降「MTT-MRAM」)である。STT MRAMは、能動要素をフリップするために磁場を使用する従来のMRAMに優るより低い電力消費及びより良好なスケーラビリティという利点を有する。STT MRAMでは、スピントランスファトルクが、磁気自由層の配向をフリップする(スイッチングする)のに使用される。STT MRAMデバイスの場合、MTJ構造を通過する電流が、MTJメモリ要素のビット状態をスイッチングする、又は「書き込む」のに使用される。MTJ構造を下向きに通過する電流は、磁気自由層を磁気参照層に対して平行にし、その一方で、MTJ構造を上向きに通過する電流は、磁気自由層を、磁気参照層に対して逆平行にする。
【0025】
STT MRAMでは、小さいトランジスタのサイズに一致するためにスイッチング電流を低減させることが望ましく、これは、メモリ面積密度を改善することに役立つ。スイッチング電流を約2xだけ低減させる1つの方法は、二重磁気トンネル接合(DMTJ)構造である。DMTJは、上側又は第2のMTJスタックよりも幅広であり得る下側又は第1のMTJスタックを有し得る。一実施形態では、第1のMTJスタックは、第2のMTJスタックのサイズの2倍であり得る。DMTJは、ワイドベースを有すると称され得、ここで、第1のMTJスタックは、第2のMTJスタックよりも大きい。
【0026】
特定のDMTJデバイスでは、ワイド非磁性ベース改変DMTJデバイスが、類似の臨界寸法(「CD」)を有する最上及び最下MTJを有する標準的なDMTJに両方とも関連付けられる抵抗面積(「RA」)ペナルティ及び磁気抵抗(「MR」)ペナルティを両方ともなくすことによってMTJのスイッチング効率を高めるのに使用される。これらのタイプのワイドベースデバイスは、二重スピン電流ソーシング(「DSTT」)の利益を提供する。また、これらのタイプのデバイスの場合、最下バリア層は、相対的に高いRAを有することができる。これらのデバイスは、下側MTJスタックの非磁気(「NM」)金属層におけるスピン拡散輸送を活用し、下側MTJスタックのトンネル層、例えばMgO層を通じて電荷電流密度の低減を達成することができる。最下NM層は、アニーリングプロセス中の更なるホウ素ドレインコンジットとしても機能し得る。特定のこれらのデバイスでは、非磁気スピン導体が、2つのMTJスタック(例えば、Cu、CuN、Ag、AgSn等)の間で使用される。これらのデバイスの製造中、in-situスタック堆積プロセスが、スタックインテグリティのために、かつ酸化又はCMP等のex-situプロセスにおいて生じ得るスピン伝導の予想外の損失を回避するために望ましい。しかしながら、これらのワイドベースDMTJデバイスを用いると、例えばAgタイプのNM層上でのストップエッチングを活用する必要性が存在する。体心立方構造(例えば、CoFe)核生成フロントを制御する必要性も存在する。
【0027】
本発明は、概して、半導体製造の分野に関し、より具体的には、スピン導体層によって離隔された2つの磁気トンネル接合を含むDMTJを包囲する側壁スペーサを包囲するポリマー層を用いて製造される二重磁気トンネル接合デバイスを製造することに関する。一実施形態では、側壁スペーサは、DMTJを覆うようにブランケット誘電体を形成する前に除去される。代替的な実施形態では、側壁スペーサは、DMTJを覆うブランケット誘電体の製造中に維持される。
【0028】
ポリマー層は、側壁スペーサを包囲し、これは、第1のMTJスタックの上方のスピン導体層の上方の第2のMTJスタックの上方のエッチストップ層の上方の金属ハードマスクのスタックを包囲する。ポリマー層は、スタックに沿った側壁スペーサの保存を可能にし得、第1のMTJスタックの一様なサイズを可能にするとともに後続の処理段階からのスピン導体層の突出及び攻撃を防止することに役立つ。
【0029】
一実施形態では、第1のMTJスタック、スピン伝導層及び第2のMTJスタック、エッチストップ層及び金属ハードマスクは、各々コンフォーマルに形成されてよい。金属ハードマスク、エッチストップ層及び第2のMTJスタックのパターニングが行われてよい。側壁誘電体のコンフォーマル堆積の後、ポリマー層が堆積及び形成されて、好ましくはパターニングされた金属ハードマスク、エッチストップ層、及び第2のMTJスタックの鉛直の側壁に沿って維持されるとともに、パターニングされた金属ハードマスク、エッチストップ層、及び第2のMTJスタックの最上表面上の堆積が少なくなってよい。一実施形態では、ポリマー層は、金属ハードマスク、エッチストップ層及び第2のMTJスタックのパターニングと同じチャンバにおいて堆積されてよい。側壁誘電体の一部分は、スピン導体層の一部分及び第1の誘電体の一部分とともに除去されてよい。ポリマー層は、後続の製造段階の突出及び攻撃からスピン導体層を保護してよい。ポリマー層は、DMTJを包囲する熱及び応力特性を保存することに役立ち得る。第1のMTJスタックは、ハードマスク、側壁誘電体及びポリマー層の組み合わされた直径に等しいか又はこれよりも大きい直径を有してよく、第2のMTJスタックは、ハードマスクのみに相当する直径を有してよい。誘電体は、構造上にコンフォーマルに形成されてよく、それに第1の層間誘電体(「ILD」)が後続する。コンタクト形成は、標準的なプロセスに後続して継続してよい。
【0030】
本発明の実施形態は、例示的な実施形態に従って、図1図10における添付図面を参照することによって以下で詳細に説明される、DMTJを包囲する側壁スペーサを包囲するポリマー層を用いて製造されるDMTJを形成する構造及び方法を開示する。
【0031】
ここで図1を参照すると、製造の中間ステージにおける半導体構造100(以降「構造」)が、例示的な実施形態に従って示されている。図1は、構造100の断面図である。
【0032】
構造100は、幾つかの配線工程(「BEOL」)層を備えてよい。一般に、配線工程(BEOL)は、個々のデバイス(トランジスタ、キャパシタ、抵抗器等)がウェハ上の配線を用いて相互接続される集積回路製造の第2の部分である。図1において示されているように、第1のBEOL層は、BEOL金属層104を包囲するBEOL誘電体層102を含む。第1のBEOL層上に形成される第2のBEOL層は、ビア誘電体層106及びビアフィル層108を含む。
【0033】
BEOL誘電体層102は、誘電体をコンフォーマルに堆積又は成長させること、及び等方性エッチングプロセスを実行することによって形成されてよい。BEOL誘電体層102は、1つ又は複数の層を含んでよい。BEOL誘電体層102は、例えば、酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiNx)、炭窒化ケイ素ホウ素(SiBCN)、NBLoK、限定されないが、酸化ケイ素、スピンオンガラス、流動性酸化物、高密度プラズマ酸化物、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG)を含む低k誘電体材料(ただし、k<4.0)、又はこれらの任意の組み合わせ又は他の任意の適した誘電体材料から構成されてよい。
【0034】
第1の開口部(図示せず)が、BEOL金属層104による後続の充填のために、例えば、反応性イオンエッチング(RIE)、及び第1のBEOL層の下方の層上での停止によって、BEOL誘電体層102において形成されてよい。BEOL金属層104は、既知の技法を使用して、BEOL誘電体層102において第1の開口部(図示せず)内に形成されてよい。BEOL金属層104は、例えば、銅(Cu)、窒化タンタル(TaN)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、又はこれらの組み合わせを含むことができる。BEOL金属層104は、例えば、化学気相成長(CVD)、物理気相成長(PVD)、及び原子層堆積(ALD)又はこれらの組み合わせによって形成することができる。
【0035】
例えば、化学機械研磨(CMP)等の平坦化プロセスは、BEOL誘電体層102及びBEOL金属層104の上側水平表面が同一平面になるように、第2のBEOL層を形成する前に構造100の第1のBEOL層の頂面から余剰の材料を除去するために行われてよい。
【0036】
第2のBEOL層は、第1のBEOL層上に形成される。第2のBEOL層は、ビア誘電体層106及びビアフィル層108を含む。
【0037】
ビア誘電体層106は、誘電体をコンフォーマルに堆積又は成長させること、及び等方性エッチングプロセスを実行することによって形成されてよい。ビア誘電体層106は、1つ又は複数の層を含んでよい。ビア誘電体層106は、BEOL誘電体層102及びBEOL金属層104の上方に形成される。ビア誘電体層106は、BEOL誘電体層102と実質的に同じ材料から作製されてよい。
【0038】
ビアフィル層108は、次に、ビア誘電体層106における第2の開口部(図示せず)内に形成される。
第2の開口部(図示せず)は、ビアフィル層108による後続の充填のために、例えば、反応性イオンエッチング(RIE)、及び第1のBEOL層のBEOL金属層104上での停止によって、形成されてよい。特定の実施形態では、ビアフィル層108は、タングステン(W)、銅(Cu)、窒化タンタル(TaN)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、炭窒酸化チタン(TiOCN)、酸化タンタル炭素(TaOCN)、コバルト(Co)、又はこれらの材料の組み合わせ等の材料を含んでよい。ビアフィル層108は、例えば、CVD、PVD及びALD又はこれらの組み合わせによって形成することができる。
【0039】
特に、ビアフィル層108は、BEOL金属層104と整列され、ビアフィル層108及びBEOL金属層104の間の電気接続が提供される。
【0040】
ビアフィル層108が形成された後、構造は、例えば、ビア誘電体層106及びビアフィル層108の上側水平表面が同一平面になるように、更なる処理のために表面を平坦化するためのCMPを受ける。図1において示されているBEOL層を含む構造は、その上にMTJスタックが形成されることになる開始構造である。
【0041】
ここで図2を参照すると、構造100が例示的な実施形態に従って示されている。図2において示されているように、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(「MRAM」)スタック層、エッチストップ層116、金属ハードマスク118及びハードマスク層120が形成される。
【0042】
MRAMスタック層は、第1のMTJスタック110、当該第1のMTJスタックを覆うスピン導体層112、及び当該スピン導体層112を覆う第2のMTJスタック114を含む。MRAMスタック層の各々は、既知の技法を使用して構造100上にコンフォーマルに形成されてよい。エッチストップ層116は、MRAMスタック層上に形成されてよい。金属ハードマスク118は、エッチストップ層116上に形成されてよい。ハードマスク層120は、金属ハードマスク118上に形成されてよい。第1のMTJスタック110は、下側又は最下MTJスタックと称され得る。第2のMTJスタック114は、上側又は最上MTJスタックと称され得る。
【0043】
MTJスタックのいずれかの形成において、第1のトンネルバリア層が、参照層の上に形成される。一実施形態では、第1のトンネルバリア層は、2つの導電材料の間のバリア、例えば、絶縁薄層又は電位である。電子(又は準粒子)は、量子トンネリングのプロセスによってトンネルバリアを通過する。特定の実施形態では、第1のトンネルバリア層は、MgOから構成される少なくとも1つの副層を含む。MgO以外の材料を、第1のトンネルバリア層を形成するのに使用することができることが理解されるべきである。自由層は、参照層と対向するように第1のトンネルバリア層に隣接する磁気自由層である。磁気自由層は、フリップされ得る磁気モーメント又は磁化を有する。第2のトンネルバリア層は、自由層上に形成される。特定の実施形態では、第2のトンネルバリアは、第1のトンネルバリア層と同じ材料(例えば、MgO)から構成される最外副層(又は他の何らかの副層)を含む。第1のMTJスタック110及び第2のMTJスタック114のいずれかは、更なる層を含んでよく、特定の層を省略してよく、層の各々が任意の数の副層を含んでよいことも理解されるべきである。その上、第1のMTJスタック110及び第2のMTJスタック114の間の層及び/又は副層の組成は異なり得る。特定の実施形態では、第1のMTJスタック110及び第2のMTJスタック114は、自己整列パターニングプロセスによって形成される。しかしながら、特定の例では、第1のMTJスタック110は、第2のMTJスタック114と自己整列されない。
【0044】
一般に、第1のMTJスタック110及び第2のMTJスタック114に関して、情報は、参照層の磁気配向に対する自由層フィルムの磁気配向において記憶される。参照層は、単一の層又は複数の層であってよい。一実施形態では、MTJスタックの参照層は、合成反強磁性(「SAF」)層である。特定の実施形態では、MTJスタックの参照層は、複数の副層(例えば、20個又はそれよりも多くの副層)を含む。
【0045】
第1のMTJスタック110は、参照層と称され得、第2のMTJスタック114は、自由層と称され得る。一実施形態では、第1のMTJスタック110及び第2のMTJスタックは、各々、材料の中でもとりわけ、コバルト(Co)、コバルト鉄(CoFe)、コバルトニッケル(CoNi)、コバルト鉄ホウ素(CoFeB)及びコバルト白金(CoPt)を、任意の組み合わせにおいて、含んでよい。
【0046】
第1のMTJスタック110は、スピン導体層112によって第2のMTJスタック114から離隔される。スピン導体層112は、第2のMTJスタック114において自由層をフリップするために第1のMTJスタック110からのスピンをファネル(funnel)する。スピン導体層112は、本明細書において説明される実施形態に従った任意の適した伝導材料を含んでよい。適した伝導材料の例としては、銀(Ag)、銀スズ合金(AgSn)、金(Au)、銅(Cu)及び窒化銅(CuN)、又は比較的高いスピン拡散長、例えば、10nmよりも大きいスピン拡散長を有する任意の材料が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、スピン導体層112は、およそ50nmの厚さを有してよい。
【0047】
一実施形態では、スピン導体層112は、非磁気スピン拡散層であってよい。一実施形態では、第2のMTJスタック114は、上側層上に最上の参照又は固定層、中間層におけるトンネリング酸化物及び最下層における磁気自由層を含み、これらは全て第2のMTJスタック114内にある。
【0048】
エッチストップ層116は、第2のMTJスタック114の上に堆積される。エッチストップ層116は、例えば、ルテニウム(Ru)から構成され得る。エッチストップ層116は、例えば、ルテニウム(Ru)から構成され得、例えば、CVD、プラズマ強化化学気相成長(PECVD)、PVD又はALD等の従来の堆積プロセスを利用して堆積されてよい。
【0049】
金属ハードマスク118は、エッチストップ層116上に形成される。金属ハードマスク118は、例えば、タングステン(W)、窒化タンタル(TaN)又は窒化チタン(TiN)から構成されてよい。金属ハードマスク118は、1つ又は複数の層であってよい。金属ハードマスク118は、例えば、CVD、PECVD、PVD又はALD等の従来の堆積プロセスを利用して堆積されてよい。
【0050】
ハードマスク層120は、金属ハードマスク118上に形成される。ハードマスク層120は、誘電体及び/又は有機ハードマスク層であってよい。ハードマスク層120は、例えば、炭素、水素、酸素、及び任意選択で窒素、フッ素、ケイ素、標準的なCxHyポリマー、窒化ケイ素及び/又は酸窒化ケイ素、二酸化ケイ素又はフォトレジストを含む自己平坦化有機材料等の、任意の有機平坦化層材料(OPL)又は誘電材料から構成されてよい。金属ハードマスク層120は、例えば、CVD、PECVD、PVD又はALD等の従来の堆積プロセスを利用して堆積されてよい。
【0051】
エッチストップ層116、金属ハードマスク118及びハードマスク層120は、第2のMTJスタック114及び当該第2のMTJスタック114の下方の層がエッチングされないように、エッチストップ層116、金属ハードマスク118及びハードマスク層120の一部分を選択的に除去する、リソグラフィ及びRIEによる1つ又は複数の段階においてパターニングされてよい。エッチストップ層116、金属ハードマスク118及びハードマスク層120の残りの部分は、鉛直に整列されてよい。
【0052】
ここで図3を参照すると、構造100が例示的な実施形態に従って示されている。図3において示されているように、幾つかの層のパターニングが実行される。
【0053】
第2のMTJスタック114は、例えば、イオンビームエッチング(IBE)又はRIE等の既知の技法を使用してパターニングされてよい。パターニングは、1つ又は複数の段階において実行されてよい。パターニングは、ハードマスク層120、及び金属ハードマスク118及びエッチストップ層116の一部分を除去してよい。結果として得られる構造は、金属ハードマスク118のわずかに湾曲した上面を含み、金属ハードマスク118、エッチストップ層116及び第2のMTJスタック114の鉛直に整列した側面を含んでよい。金属ハードマスク118、エッチストップ層116及び第2のMTJスタック114の鉛直に整列した側面は、鉛直又は略鉛直のプロファイルを有してよい。結果として得られる構造は、極めて一貫した勾配を有するテーパー形状を有する。
【0054】
第2のMTJスタック114のパターニングは、スピン導体層112の一部分を除去してよく、水平又は略水平なプロファイルをもたらし、これは、金属ハードマスク118、エッチストップ層116及び第2のMTJスタック114の構造の近くで最小限にエッチングされ、金属ハードマスク118、エッチストップ層116及び第2のMTJスタック114の構造から離れるほどわずかにより大きい量だけエッチングされる。結果として得られるスピン導体層112は、金属ハードマスク118、エッチストップ層116及び第2のMTJスタック114の構造に近づくほどわずかに厚くなり、離れるほどにわずかに薄くなる。第1のMTJスタック110の上面は、スピン導体層112によって被覆されたままであってよい。
【0055】
エッチングされたスピン伝導層112は、スピン伝導層112が第2のMTJスタック114に接触する場所の付近で湾曲した断面プロファイルを有してよい。製造プロセスにおけるこのステージにおいて、第2のMTJスタック114の臨界寸法(CD)は、第1のMTJスタック110の臨界寸法よりも低い。その上、スピン伝導層112のCDは、層の厚さ全体を通して徐々に変化する。特定の実施形態では、気中遮断部(air-break)又は被制御in-situ酸化が、部分短絡を低減するために利用されてよい。金属ハードマスク118、エッチストップ層116及び第2のMTJスタック114の組み合わせの形状は、極めて一貫した勾配を(すなわち、少なくとも実質的には、CDがその湾曲した部分によって徐々に増加するスピン伝導層112に到達するまで)有するテーパー形状を有する。しかしながら、他の実施形態では、金属ハードマスク118、エッチストップ層116及び第2のMTJスタック114の組み合わせの側壁は、鉛直の(又は略鉛直の)プロファイルを有することが理解されるべきである。
【0056】
ここで図4を参照すると、構造100が例示的な実施形態に従って示されている。図4において示されているように、側壁誘電体122及びポリマー層124が形成されてよい。
【0057】
側壁誘電体122は、構造100の上面上、スピン導体層112の露出した上面上、第2のMTJスタック114、エッチストップ層116及び金属ハードマスク118の鉛直の側面上、及び金属ハードマスク118の上面上にコンフォーマルに形成されてよい。側壁誘電体122は、方法の中でもとりわけ、PVD、ALD、PECVDによって形成されてよい。側壁誘電体122の材料は、窒化ケイ素(SiN)、酸化アルミニウム(AlO)、酸化チタン(TiO)、酸化ケイ素(SiO)、窒化ホウ素(BN)、炭窒化ケイ素ホウ素(SiBCN)、又はこれらの任意の組み合わせを含んでよい。
【0058】
好ましい一実施形態では、側壁誘電体122は、プラズマ酸素(O)、水素(H)、窒素(N)又はアンモニア(NH)、又はこれらの任意の組み合わせを用いた任意選択の前処理を有してよい。
【0059】
ポリマー層124は、側壁誘電体122の露出した上面上の、構造100の上面上にコンフォーマルに形成されてよい。ポリマー層124は、CF/H又はC等の適切な化学的組成を使用して、金属ハードマスク118、エッチストップ層116及び第2のMTJスタック114をパターニングするのに使用された同じチャンバにおいて形成されてよく、炭素(C)、フッ素(F)及び水素(H)を含んでよい。
【0060】
ポリマー層124の一部分は、例えば、反応性イオンエッチング(RIE)又はプラズマエッチングプロセスによって除去されてよく、それによって、イオン衝撃が、鉛直の側面に対する水平表面からの選択的除去を促進する。このプロセスにおいて使用される化学的組成は、N2/O2又はN2/H2であってよく、ここで、N2は、主成分である。ポリマー層124は、金属ハードマスク118の上方の側壁誘電体122の上側湾曲表面から除去されてよく、スピン導体層112の上方の側壁誘電体122の上側水平表面から除去されてよい。
【0061】
結果として得られるポリマー層124は、水平表面上等に、高められたイオン衝撃のより少ない堆積面積を有してよい。一実施形態では、ポリマー層124は、側壁誘電体122の鉛直の側面上で維持される。
【0062】
ここで図5を参照すると、構造100が例示的な実施形態に従って示されている。図5において示されているように、側壁誘電体122の一部分、スピン導体層112の一部分、第1のMTJスタック110の一部分及びビア誘電体層106の一部分が除去されてよい。
【0063】
側壁誘電体122の一部分、スピン導体層112の一部分、第1のMTJスタック110の一部分及びビア誘電体層106の一部分の除去は、IBE又はRIEを介したものであってよく、1つ又は複数の段階において実行されてよく、ポリマー層124に対して選択的である。側壁誘電体122は、金属ハードマスク118の鉛直の側面及び上面、エッチストップ層116の鉛直の側面及び第2のMTJスタック114の鉛直の側面を包囲したままであってよい。
【0064】
この段階の前に、第1のMTJスタック110は、ビア誘電体層106上にコンフォーマルに積層されており、かつ除去プロセスを受けておらず、一方、スピン導体層112は、最小のパターニングが実行された状態でビア誘電体層106上にコンフォーマルに積層されている。この段階の結果として、スピン導体層112の一部分及び第1のMTJスタック110の一部分が除去されており、ビア誘電体層106の上面が露出する。スピン導体層112及び第1のMTJスタック110の側面は、略鉛直配列において側壁誘電体122の側面と整列してよく、当該略鉛直配列の上側部分は、金属ハードマスク118、第2のMTJスタック110及びエッチストップ層116のスタックに向かってわずかに内側に傾斜する。
【0065】
RIE又はIBEによる等方性エッチングに反応しない材料を含むスピン導体層112は、パターニング中に最小限にエッチングされてよい。第1のMTJスタック110は、図5において示されているように、第2のMTJスタック114よりも幅広である。一実施形態では、第1のMTJスタック110は、構造100において第2のMTJスタック114の2倍の幅であり得る。一実施形態では、第1のMTJスタック110及び第2のMTJスタックは各々、およそ20nmの鉛直厚さを有してよく、側壁誘電体122は、およそ40nmの厚さを有してよく、ポリマー層124は、およそ40nmまでの厚さを有してよい。
【0066】
ビア誘電体層106の結果として得られる上面は、水平又は略水平であってよく、これは、金属ハードマスク118、エッチストップ層116及び第2のMTJスタック114のスタックに向かうほどビア誘電体層106の厚さが大きくなり、金属ハードマスク118、第2のMTJスタック114及びエッチストップ層116のスタックから離れるほどビア誘電体層106の厚さが小さくなる。
【0067】
ポリマー層124は、スピン導体層112の一部分、第1のMTJスタック110の一部分及びビア誘電体層106の一部分の除去中に、金属ハードマスク118、第2のMTJスタック114及びエッチストップ層116のスタックを包囲する側壁誘電体122を保護してよい。
【0068】
ここで図6を参照すると、構造100が例示的な実施形態に従って示されている。図6において示されているように、ポリマー層124が除去されてよい。
【0069】
ポリマー層124の除去は、側壁誘電体122、スピン導体層112、第1のMTJスタック110及びビア誘電体層106に対して選択的な選択的エッチングプロセスを介して選択的に除去されてよい。
【0070】
第1のMTJスタック110の熱及び応力特性は、ダウンストリームプラズマ、ゼロの適用バイアス(より低いイオン衝撃)、及びN/H等の非酸化性の化学的組成等のポリマー層124の除去のために使用される選択的エッチング条件に起因して保存される。
【0071】
ここで図7を参照すると、構造100が例示的な実施形態に従って示されている。図7において示されているように、第1の誘電体126及び第1の層間誘電体(以降「第1のILD」)128が形成されてよい。
【0072】
第1の誘電体126は、BEOL誘電体層102を覆うビア誘電体層106をコンフォーマルに被覆してよい。第1の誘電体126の鉛直部分は、側壁誘電体122の側壁、スピン導体層112の外側壁及び第1のMTJスタック110の側壁と整列してよい。第1の誘電体126は、1つ又は複数の層を含んでよい。第1の誘電体126は、PVD、ALD又はPECVDを介して形成されてよい。第1の誘電体126は、例えば、窒化ケイ素(SiN)、酸化アルミニウム(AlO)、酸化チタン(TiO)、酸化ケイ素(SiO)、窒化ホウ素(BN)、炭窒化ケイ素ホウ素(SiBCN)、又はこれらの任意の組み合わせから構成されてよい。
好ましい一実施形態では、第1の誘電体126は、プラズマ酸素(O)、水素(H)、窒素(N)又はアンモニア(NH)、又はこれらの任意の組み合わせを用いた任意選択の前処理を有してよい。
【0073】
第1のILD128は、BEOL誘電体層102を覆うビア誘電体層106を覆う第1の誘電体126をコンフォーマルに被覆してよい。第1のILD128の鉛直部分は、第1の誘電体126の外側壁と整列してよい。第1のILD128は、PECVDによって形成されてよい。第1のILD128は、1つ又は複数の層を含んでよい。第1のILD128は、例えば、酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiNx)、炭窒化ケイ素ホウ素(SiBCN)、NBLoK、限定されないが、酸化ケイ素、スピンオンガラス、流動性酸化物、高密度プラズマ酸化物、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG)を含む低k誘電体材料(ただし、k<4.0)、又はこれらの任意の組み合わせ又は他の任意の適した誘電体材料から構成されてよい。
【0074】
ここで図8を参照すると、構造100が例示的な実施形態に従って示されている。図8において示されているように、第2の層間誘電体(以降「第2のILD」)130、ライナ132及びビット線金属134が形成されてよい。
【0075】
第1のILD128、第1の誘電体126、側壁誘電体122及び金属ハードマスク118の上側水平表面が同一平面になるように、余剰の材料を除去し、かつ構造100の上面を研磨するのに化学機械研磨(CMP)技法が使用されてよい。
【0076】
第2のILD130は、構造100の上面上にコンフォーマルに形成されてよく、第1のILD128、第1の誘電体126、側壁誘電体122及び金属ハードマスク118を被覆する。
【0077】
第2のILD130は、誘電体をコンフォーマルに堆積又は成長させること、及び等方性エッチングプロセスを実行することによって形成されてよい。第2のILD130は、1つ又は複数の層を含んでよい。第2のILD130は、例えば、酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiNx)、炭窒化ケイ素ホウ素(SiBCN)、NBLoK、限定されないが、酸化ケイ素、スピンオンガラス、流動性酸化物、高密度プラズマ酸化物、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG)を含む低k誘電体材料(ただし、k<4.0)、又はこれらの任意の組み合わせ又は他の任意の適した誘電体材料から構成されてよい。
【0078】
第2のILD130において第3の開口部(図示せず)が形成されてよい。第3の開口部(図示せず)は、金属ハードマスク118、エッチストップ層116、第2のMTJスタック114、スピン導体層112及び第1のMTJスタック110のMTJスタックと鉛直に整列してよい。開口部(図示せず)は、第1のILD128、第1の誘電体126、側壁誘電体122及び金属ハードマスク118に対して選択的なエッチングを介して形成されてよい。
【0079】
ライナ132は、第3の開口部(図示せず)の下面及び鉛直の側面に沿って形成されてよい。ライナ132は、例えば誘電体をコンフォーマルに堆積又は成長させること、及び等方性エッチングプロセスを実行することを含む幾つかのプロセスの後に形成されてよい。ライナ132は、窒化ケイ素等の任意の誘電材料を含んでよく、単一の層を含んでもよいし、又は誘電材料の複数の層を含んでもよい。
【0080】
ビット線金属134は、典型的な堆積技法、例えば、ALD、MLD及びCVDを使用して第3の開口部(図示せず)の残りの部分において堆積してよい。ビット線金属134のための材料は、銅(Cu)、窒化タンタル(TaN)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、又はこれらの組み合わせを含んでよいが、これらに限定されない。
【0081】
ビット線金属134を形成した後、第2のILD130、ライナ132及びビット線金属134の上側水平表面が同一平面になるように、余剰の材料を除去し、かつ構造100の上面を研磨するのに化学機械研磨(CMP)技法が使用されてよい。
【0082】
結果として得られる構造100は、ワイドベースMTJ、又は二重MTJを含み、スピン導体層112及び第1のMTJスタック110の両方が、第2のMTJスタック114、エッチストップ層116及び金属ハードマスク118の各々よりも幅広である。
【0083】
ここで図9を参照すると、構造200が例示的な実施形態に従って示されている。構造200は、DMTJを形成する代替的な実施形態である。構造200は、図5において上記で説明されたように、構造100の後続の処理から形成されてよい。図9において示されているように、第2の誘電体140及び第3の層間誘電体(以降「第3のILD」)142が形成されてよい。
【0084】
第2の誘電体140は、BEOL誘電体層102を覆うビア誘電体層106を被覆してよい。誘電体140の鉛直部分は、側壁誘電体122の側壁、スピン導体層112の外側壁及び第1のMTJスタック110の側壁と整列してよい。第2の誘電体140は、1つ又は複数の層を含んでよい。第2の誘電体140は、PVD、ALD又はPECVDを介して形成されてよい。第2の誘電体140は、例えば、窒化ケイ素(SiN)、酸化アルミニウム(AlO)、酸化チタン(TiO)、酸化ケイ素(SiO)、窒化ホウ素(BN)、炭窒化ケイ素ホウ素(SiBCN)、又はこれらの任意の組み合わせから構成されてよい。好ましい一実施形態では、第2の誘電体140は、プラズマ酸素(O)、水素(H)、窒素(N)又はアンモニア(NH)、又はこれらの任意の組み合わせを用いた任意選択の前処理を有してよい。
【0085】
第3のILD142は、BEOL誘電体層102を覆うビア誘電体層106を覆う第2の誘電体140を被覆してよい。第3のILD142の鉛直部分は、第2の誘電体140の外側壁と整列してよい。第3のILD142は、PECVDによって形成されてよい。第3のILD142は、1つ又は複数の層を含んでよい。第3のILD142は、例えば、酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiNx)、炭窒化ケイ素ホウ素(SiBCN)、NBLoK、限定されないが、酸化ケイ素、スピンオンガラス、流動性酸化物、高密度プラズマ酸化物、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG)を含む低k誘電体材料(ただし、k<4.0)、又はこれらの任意の組み合わせ又は他の任意の適した誘電体材料から構成されてよい。
【0086】
ここで図10を参照すると、構造200が例示的な実施形態に従って示されている。図10において示されているように、第4の層間誘電体(以降「第4のILD」)144、ライナ146及びビット線金属148が形成されてよい。
【0087】
第3のILD142、第2の誘電体140、ポリマー層124、側壁誘電体122及び金属ハードマスク118の上側水平表面が同一平面になるように、余剰の材料を除去し、かつ構造200の上面を研磨するのに化学機械研磨(CMP)技法が使用されてよい。
【0088】
第4のILD144は、構造200の上面上にコンフォーマルに形成されてよく、第3のILD142、第2の誘電体140、ポリマー層124、側壁誘電体122及び金属ハードマスク118を被覆する。
【0089】
第4のILD144は、誘電体をコンフォーマルに堆積又は成長させること、及び等方性エッチングプロセスを実行することによって形成されてよい。第4のILD144は、1つ又は複数の層を含んでよい。第4のILD144は、例えば、酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiNx)、炭窒化ケイ素ホウ素(SiBCN)、NBLoK、限定されないが、酸化ケイ素、スピンオンガラス、流動性酸化物、高密度プラズマ酸化物、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG)を含む低k誘電体材料(ただし、k<4.0)、又はこれらの任意の組み合わせ又は他の任意の適した誘電体材料から構成されてよい。
【0090】
第4のILD144において第4の開口部(図示せず)が形成されてよい。第4の開口部(図示せず)は、金属ハードマスク118、エッチストップ層116、第2のMTJスタック114、スピン導体層112及び第1のMTJスタック110のMTJスタックと鉛直に整列してよい。
第4の開口部(図示せず)は、第3のILD142、第2の誘電体140、ポリマー層124、側壁誘電体122及び金属ハードマスク118に対して選択的なエッチングを介して形成されてよい。
【0091】
ライナ146は、第4の開口部(図示せず)の下面及び鉛直の側面に沿って形成されてよい。ライナ146は、例えば誘電体をコンフォーマルに堆積又は成長させること、及び等方性エッチングプロセスを実行することを含む幾つかのプロセスの後に形成されてよい。ライナ146は、窒化ケイ素等の任意の誘電材料を含んでよく、単一の層を含んでもよいし、又は誘電材料の複数の層を含んでもよい。
【0092】
ビット線金属148は、典型的な堆積技法、例えば、ALD、MLD及びCVDを使用して開口部(図示せず)の残りの部分において堆積してよい。ビット線金属148のための材料は、銅(Cu)、窒化タンタル(TaN)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、又はこれらの組み合わせを含んでよいが、これらに限定されない。
【0093】
ビット線金属148を形成した後、第4のILD144、ライナ146及びビット線金属148の上側水平表面が同一平面になるように、余剰の材料を除去し、かつ構造200の上面を研磨するのに化学機械研磨(CMP)技法が使用されてよい。
【0094】
結果として得られる構造200は、ワイドベースMTJ、又は二重MTJを含み、スピン導体層112及び第1のMTJスタック110の両方が、第2のMTJスタック114、エッチストップ層116及び金属ハードマスク118の各々よりも幅広であり、ここで、ポリマー層124は、DMTJを包囲する側壁誘電体122を包囲する。
【0095】
本発明の様々な実施形態の説明は、図示の目的で提示されてきたが、網羅的であることも、又は開示される実施形態に限定されることも意図されていない。本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、多くの修正形態及び変形形態が当業者にとって明らかになるであろう。本明細書において使用される用語は、実施形態の原理、実際の用途、又は市場において見られる技術に対する技術的改善を最も良好に説明するために、又は他の当業者が、本明細書において開示される実施形態を理解することを可能にするために選択された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】