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特表2024-523786ポリマー組成物含有フォトプレチスモグラフィセンサ
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  • 特表-ポリマー組成物含有フォトプレチスモグラフィセンサ 図1A
  • 特表-ポリマー組成物含有フォトプレチスモグラフィセンサ 図1B
  • 特表-ポリマー組成物含有フォトプレチスモグラフィセンサ 図2
  • 特表-ポリマー組成物含有フォトプレチスモグラフィセンサ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】ポリマー組成物含有フォトプレチスモグラフィセンサ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20240625BHJP
   H01L 31/12 20060101ALI20240625BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A61B5/02 310B
H01L31/12 E
A61B5/1455
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571571
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 US2022029414
(87)【国際公開番号】W WO2022245714
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/189,950
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.3GPP
3.ベルクロ
(71)【出願人】
【識別番号】500100822
【氏名又は名称】ティコナ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヤン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,フィリップ・ティー
(72)【発明者】
【氏名】デメロ,ドン
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
5F889
【Fターム(参考)】
4C017AA09
4C017AA12
4C017AC26
4C017BC11
4C017FF05
4C017FF15
4C038KK01
4C038KL05
4C038KL07
4C038KY11
5F889BA05
5F889BB01
5F889BC02
(57)【要約】
組織に光を照射するための光源と、組織と相互作用する光を受光するための光検出器とを備えるフォトプレチスモグラフィセンサが提供される。センサは液晶ポリマーを含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織上に光を照射するための光源と、前記組織と相互作用する光を受光するための光検出器とを備えるフォトプレチスモグラフィセンサであって、前記センサが液晶ポリマーを含む、フォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項2】
前記ポリマー組成物が、せん断速度400秒-1、および前記組成物の融解温度より15℃高い温度で、ISO試験番号11443:2014に準拠して決定された場合、200Pa・s以下の溶融粘度を示す、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項3】
前記ポリマー組成物が、ISO試験番号527:2019に準拠して決定された場合、約8,000MPa以上の引張弾性率を示す、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項4】
前記ポリマー組成物が、ISO試験番号527:2019に準拠して決定された場合、約150MPa以上の引張強さを示す、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項5】
前記ポリマー組成物が、23℃でISO試験番号178:2019に準拠して決定された場合、約10,000MPa以上の曲げ弾性率を示す、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項6】
前記ポリマー組成物が、ASTM D785-08(スケールM)に準拠して決定された場合、約65以下のロックウェル表面硬さを示す、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項7】
前記ポリマー組成物が、23℃でISO試験番号179-1:2010に準拠して測定された場合、約45kJ/m以上のノッチなしシャルピー衝撃強さを示す、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項8】
前記液晶ポリマーの融解温度が約280℃以上である、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項9】
前記ポリマー組成物が、2GHzの周波数において約0.01以下の誘電正接を示す、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項10】
前記ポリマー組成物が、2GHzの周波数において約6以下の誘電率を示す、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項11】
前記ポリマー組成物が、2GHzの周波数において約6を超える誘電率を示す、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項12】
前記ポリマー組成物が、2GHzの周波数において約20デシベル以上の電磁干渉遮蔽効果を示す、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項13】
前記液晶ポリマーが、ヒドロキシカルボン酸から誘導された1つまたは複数の繰り返し単位を含有する、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項14】
前記ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位が、前記ポリマーの約50mol%以上を構成する、請求項13に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項15】
前記液晶ポリマーが、4-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、またはそれらの組み合わせから誘導された繰り返し単位を含有する、請求項13に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項16】
前記液晶ポリマーが、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ヒドロキノン、4,4’-ビフェノール、アセトアミノフェン、4-アミノフェノール、またはそれらの組み合わせから誘導された繰り返し単位をさらに含有する、請求項15に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項17】
前記ポリマー組成物が鉱物フィラーを含む、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項18】
前記鉱物フィラーが粒子を含む、請求項17に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項19】
前記粒子が、タルク、雲母、硫酸バリウム、またはそれらの組み合わせを含む、請求項18に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項20】
前記鉱物フィラーが繊維を含む、請求項17に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項21】
前記繊維がウォラストナイトを含む、請求項20に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項22】
前記ポリマー組成物がガラス繊維を含む、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項23】
前記ポリマー組成物が耐衝撃性改良剤を含む、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項24】
前記ポリマー組成物が導電性フィラーを含む、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項25】
前記ポリマー組成物がレーザー活性化可能添加剤を含む、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項26】
前記光源が前記ポリマー組成物を含有する、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項27】
前記光検出器が前記ポリマー組成物を含有する、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項28】
前記光源および前記光検出器を取り囲むハウジングをさらに備え、前記ハウジングが前記ポリマー組成物を含む、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項29】
前記光源が発光ダイオードを含み、前記光検出器がフォトダイオードを含む、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項30】
前記センサが、複数の光源と複数の光検出器とを備える、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項31】
前記センサが、前記光検出器に連結され、前記組織から反射された光を受光するように構成されたビューイングコンポーネントを備える、請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサ。
【請求項32】
請求項1に記載のフォトプレチスモグラフィセンサを備えるウェアラブルデバイス。
【請求項33】
前記デバイスが腕時計である、請求項32に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項34】
前記ウェアラブルデバイスが、取り付け機構と、前記光検出器および前記光源を取り囲むハウジングとを備える、請求項32に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項35】
前記光検出器が、前記取り付け機構、前記ハウジング、またはそれらの組み合わせの表面上に配置された、請求項34に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項36】
前記光源が、前記取り付け機構、前記ハウジング、またはそれらの組み合わせの表面上に配置された、請求項34に記載のウェアラブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2021年5月18日の出願日を有する米国特許仮出願番号第63/189,950号に基づき、その優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]ほとんどの軟組織は可視光線と近赤外線の両方を透過・反射させる。したがって、皮膚のある領域に光が当てられ、皮膚、血液、および他の組織と相互作用後の反射光が検出されると、吸光度の時間変化が観察され得る。この目的のため、多くの場合、皮膚に光を照射する1つまたは複数の光源(例えば、LED)と、反射光を受光する1つまたは複数の光検出器(例えば、フォトダイオード)を含むPPGセンサが用いられる。特に、時間変化する吸光度信号(フォトプレチスモグラフィまたは「PPG」信号)は、多くの因子の影響を受ける場合があり、その因子のいくつかとしては、測定部位の組織および血液の光学的特性、ならびに光源の波長が挙げられる。そのため、PPGセンサは、心拍数や酸素飽和度の測定など、さまざまな生理学的因子を測定する用途に使用される場合がある。しかしながら、このようなセンサにおけるPPG信号の品質は、非脈波信号アーチファクトおよびノイズを含むさまざまな他の要因の影響を受ける場合がある。PPGセンサが用いられる方法が、PPG信号の品質を低下させる場合もある。例えば、PPGセンサがウェアラブルデバイスに用いられている場合、ユーザの動きや動作もPPG信号の品質を低下させる可能性がある。もちろん、信号ノイズの低減を試みるためにさまざまな処置が講じられ得るが、最終的には、信号ノイズがPPG信号の検出に与える影響が最小限になるようにPPGセンサ自体を構成できれば、それが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003]本発明の一実施形態に従って、組織に光を照射するための光源と、組織と相互作用する光を受光するための光検出器とを備えるフォトプレチスモグラフィセンサが開示される。センサは液晶ポリマーを含む。
【0004】
[0004]本発明の他の特徴および態様は、以下においてより詳細に記載される。
[0005]当業者にとって最良の形式を含む、本発明の完全かつ実施可能な程度の開示は、以下を含む添付の図面を参照することを含め、本明細書の残りの部分に、より詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】[0006]図1Aは、本発明のPPGセンサを用いることができるウェアラブルデバイスの一実施形態の概略図である。
図1B】[0007]図1Bは、図1Aのウェアラブルデバイスのコンポーネントを示すブロック図である。
図2】[0008]図2は、本発明のPPGセンサの一実施形態の概略図である。
図3】[0009]図3は、本発明のPPGセンサの別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0010]本議論は、例示的な実施形態の記載のみであり、本発明の広範な態様を限定することが意図されるものではないことは、当業者には理解されよう。
[0011]一般的に言えば、本発明は、フォトプレチスモグラフィ(「PPG」)センサに関する。PPGセンサは、一般に、ユーザの組織(例えば、皮膚、血液など)内または表面に光を照射することができる少なくとも1つの光源と、組織と相互作用後の反射光を受光する少なくとも1つの光検出器とを含む。生理学的情報(例えば、心拍数、酸素飽和度など)を取得するために、吸光度の時間変化を示す受光された光からPPG信号が生成され得る。測定光の歪みや動作による信号の損失を最小限に抑えるために、センサの1つまたは複数のコンポーネントは、一般に液晶ポリマーを含むポリマー組成物から形成される。
【0007】
[0012]ポリマー組成物は、PPGセンサに必要な小さな寸法へと容易に成形され得るように、十分に低い溶融粘度を有するように形成されてもよい。例えば、ポリマー組成物は、融解温度より約30℃高い温度(例えば、約380℃)において、400秒-1のせん断速度で、ISO試験番号11443:2014に準拠して決定された場合、約200Pa・s以下、いくつかの実施形態において約150Pa・s以下、いくつかの実施形態において約100Pa・s以下、いくつかの実施形態において約5Pa・s~約90Pa・s、いくつかの実施形態において約10~約70Pa・sの溶融粘度を有し得る。従来、このような低い溶融粘度を示すポリマー組成物は、PPGセンサの形成に使用するための良好な物理的完全性を可能にするのに十分良好な熱的および機械的特性を兼ね備えていないと考えられていた。しかしながら、従来の考えとは逆に、本発明者らは、特定の液晶ポリマーおよび/または他の任意材料を注意深く制御することにより、得られるポリマー組成物が、優れた熱的および機械的特性の両方を兼ね備えることができることを発見した。より詳細には、ポリマー組成物は、例えばISO 11357-2:2013に準拠して決定された場合、典型的には約280℃以上、いくつかの実施形態において約300℃以上、いくつかの実施形態において約320℃以上、いくつかの実施形態において約330℃~約450℃の融解温度を有する。このような融解温度であっても、短期耐熱性の尺度である荷重たわみ温度(「DTUL:deflection temperature under load」)の融解温度に対する比は、依然として比較的高く維持されることができ、これは、とりわけ、PPGセンサを形成するために高速プロセスを使用することを可能にし得る。例えば、この比は、約0.5~約1.00、いくつかの実施形態において約0.65~約0.95、いくつかの実施形態において約0.75~約0.85の範囲であってもよい。特定のDTUL値は、例えば1.8メガパスカルの荷重でISO試験番号75-2:2013(ASTM D648-07と技術的に同等)に準拠して決定された場合、約160℃以上、いくつかの実施形態において約200℃~約350℃、いくつかの実施形態において約220℃~約320℃、いくつかの実施形態において約250℃~約300℃であってもよい。
【0008】
[0013]ポリマー組成物は、PPGセンサの形成中に所望の程度の物理的完全性を維持することができるように、一般に剛性を有し得る。このような剛性は、一般に、高い引張弾性率によって特徴付けられ得る。例えば23℃でISO試験番号527:2019に準拠して決定された場合、引張弾性率は、約8,000MPa以上、いくつかの実施形態において約10,000MPa以上、いくつかの実施形態において約11,000MPa以上、いくつかの実施形態において約12,000MPa~約30,000MPa、いくつかの実施形態において約13,000MPa~約25,000MPa、いくつかの実施形態において約14,000MPa~約22,000MPaであり得る。組成物はまた、例えば23℃でISO試験番号527:2019に準拠して決定された場合、約150MPa以上、いくつかの実施形態において約160MPa~約400MPa、いくつかの実施形態において約170MPa~約350MPaの引張強さ、および/または約1%以上、いくつかの実施形態において約2%以上、いくつかの実施形態において約3%以上、いくつかの実施形態において約4%~約20%、いくつかの実施形態において約5%~約15%の引張破断ひずみを示し得る。ポリマー組成物はまた、例えば23℃でISO試験番号178:2019に準拠して決定された場合、約10,000MPa以上、いくつかの実施形態において約11,000MPa以上、いくつかの実施形態において約12,000MPa~約30,000MPa、いくつかの実施形態において約13,000MPa~約25,000MPaの曲げ弾性率;約40~約500MPa、いくつかの実施形態において約100~約400MPa、いくつかの実施形態において約150~約350MPaの曲げ強さ;および/または約0.5%以上、いくつかの実施形態において約1%~約15%、いくつかの実施形態において約2%~約10%の曲げ破断ひずみを示し得る。組成物はまた、23℃でISO試験番号179-1:2010に準拠して測定された場合、約45kJ/m以上、いくつかの実施形態において約45~約100kJ/m、いくつかの実施形態において約50~約80kJ/mのシャルピー衝撃強さ(ノッチなし)を示し得る。ポリマー組成物はまた、優れた表面特性を示し得る。ポリマー組成物は、例えば、ASTM D785-08(2015)(Mスケール)に準拠して決定された場合、約65以下、いくつかの実施形態において約60以下、いくつかの実施形態において約40~約55のロックウェル表面硬さを示し得る。
【0009】
[0014]良好な機械的特性、熱特性、流動特性、および/または表面特性を有することに加えて、ポリマー組成物は、特に、ワイヤレス通信(例えば、Bluetooth、LTE、または5G)に多くの場合使用される比較的高い周波数において、PPGセンサが受ける電気ノイズの量を低減するのを助けるために、良好な電気的特性も示し得る。例えば、ポリマー組成物は、高周波数(例えば、2または10GHz)において、約0.01以下、いくつかの実施形態において約0.009以下、いくつかの実施形態において約0.008以下、いくつかの実施形態において約0.007以下、いくつかの実施形態において約0.006以下、いくつかの実施形態において約0.001~約0.005などの低い誘電正接(エネルギー損失率の尺度)を示し得る。誘電率も同様に、組成物中における他の任意材料の存在に基づいて選択的に調整され得る。特定の実施形態において、例えば、ポリマー組成物は、高周波数(例えば、2GHzまたは10GHz)において、約6以下、いくつかの実施形態において約5以下、いくつかの実施形態において約0.1~約4、いくつかの実施形態において約0.5~約3.5、いくつかの実施形態において約1~約3などの低誘電率を示し得る。他の実施形態において、ポリマー組成物は、高周波数(例えば、2GHzまたは10GHz)において、約6を超える、いくつかの実施形態において約8以上、いくつかの実施形態において約8~約30、いくつかの実施形態において約10~約20、いくつかの実施形態において約1~約3などの高誘電率を示し得る。ポリマー組成物はまた、電磁干渉(「EMI:electromagnetic interference」)に対して高度の遮蔽効果をもたらし得る。より詳細には、EMI遮蔽効果は、ASTM D4935-18に準拠して、高周波数(例えば、2または10GHz)で決定された場合、約20デシベル(dB)以上、いくつかの実施形態において約25dB以上、いくつかの実施形態において約30dB~約100dBであり得る。
【0010】
[0015]ここで、本発明のさまざまな実施形態がより詳細に説明される。
I.ポリマー組成物
A.液晶ポリマー
[0016]液晶ポリマーは、一般に、棒状構造を有し、溶融状態(例えば、サーモトロピックネマティック状態)において結晶挙動を示し得る限り、「サーモトロピック」に分類される。このようなポリマーは、典型的には、約280℃以上、いくつかの実施形態において約300℃以上、いくつかの実施形態において約320℃以上、いくつかの実施形態において約330℃~約450℃の融解温度を有する。ポリマーは、当該技術分野において公知であるように、1種または複数の繰り返し単位から形成され得る。液晶ポリマーは、例えば、一般に以下の式(I)で表される1種または複数の芳香族エステル繰り返し単位を含有してもよい。
【0011】
【化1】
【0012】
式中、
環Bは、置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、1,4-フェニレンもしくは1,3-フェニレン)、置換もしくは非置換の5員もしくは6員アリール基と縮合した置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、2,6-ナフタレン)、または置換もしくは非置換の5員もしくは6員アリール基と結合した置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、4,4-ビフェニレン)であり;
およびYは、独立して、O、C(O)、NH、C(O)HN、またはNHC(O)である。
【0013】
[0017]典型的には、YおよびYのうちの少なくとも1つはC(O)である。このような芳香族エステル繰り返し単位の例としては、例えば、芳香族ジカルボン酸繰り返し単位(式I中、YおよびYはC(O)である)、芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位(式I中、YはOであり、YはC(O)である)、ならびにこれらのさまざまな組み合わせを挙げることができる。
【0014】
[0018]芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位は、例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸;4-ヒドロキシ-4’-ビフェニルカルボン酸;2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-5-ナフトエ酸;3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸;4’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;3’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;4’-ヒドロキシフェニル-3-安息香酸などから誘導されたもの、ならびにそれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換体、ならびにそれらの組み合わせが用いられ得る。特に好適な芳香族ヒドロキシカルボン酸は、4-ヒドロキシ安息香酸(「HBA」)および6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(「HNA」)である。用いられる場合、ヒドロキシカルボン酸(例えば、HBAおよび/またはHNA)から誘導された繰り返し単位は、典型的には、ポリマーの約20mol%以上、いくつかの実施形態において約25mol%以上、いくつかの実施形態において約30mol%以上、いくつかの実施形態において約40mol%以上、いくつかの実施形態において約50mol%以上、いくつかの実施形態において約55mol%~100mol%、いくつかの実施形態において約60mol%~約95mol%を構成する。
【0015】
[0019]芳香族ジカルボン酸繰り返し単位はまた、芳香族ジカルボン酸、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシビフェニル、ビス(4-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4-カルボキシフェニル)ブタン、ビス(4-カルボキシフェニル)エタン、ビス(3-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(3-カルボキシフェニル)エタンなどから誘導されたもの、ならびにそれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換体、ならびにそれらの組み合わせが用いられ得る。特に好適な芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸(「TA」)、イソフタル酸(「IA」)、および2,6-ナフタレンジカルボン酸(「NDA」)を挙げることができる。用いられる場合、芳香族ジカルボン酸(例えば、IA、TA、および/またはNDA)から誘導された繰り返し単位はそれぞれ、典型的には、ポリマーの約1mol%~約40mol%、いくつかの実施形態において約2mol%~約30mol%、いくつかの実施形態において約5mol%~約25mol%を構成する。
【0016】
[0020]他の繰り返し単位もポリマー中に用いられ得る。特定の実施形態において、例えば、芳香族ジオール、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(または、4,4’-ビフェノール)、3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタンなどから誘導された繰り返し単位、ならびにそれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換体、およびそれらの組み合わせが用いられ得る。特に好適な芳香族ジオールとしては、例えば、ヒドロキノン(「HQ」)および4,4’-ビフェノール(「BP」)を挙げることができる。用いられる場合、芳香族ジオール(例えば、HQおよび/またはBP)から誘導された繰り返し単位は、典型的には、ポリマーの約1mol%~約50mol%、いくつかの実施形態において約1mol%~約40mol%、いくつかの実施形態において約2mol%~約40mol%、いくつかの実施形態において約5mol%~約35mol%、いくつかの実施形態において約5mol%~約25mol%を構成する。
【0017】
[0021]また、芳香族アミド(例えば、アセトアミノフェン(「APAP」))および/または芳香族アミン(例えば、4-アミノフェノール(「AP」)、3-アミノフェノール、1,4-フェニレンジアミン、1,3-フェニレンジアミンなど)から誘導された繰り返し単位なども用いられ得る。用いられる場合、芳香族アミド(例えば、APAP)および/または芳香族アミン(例えば、AP)から誘導された繰り返し単位は、典型的には、ポリマーの約0.1mol%~約20mol%、いくつかの実施形態において約0.5mol%~約15mol%、いくつかの実施形態において約1mol%~約10mol%を構成する。また、さまざまな他のモノマー繰り返し単位がポリマーに組み込まれてもよいことが理解されるべきである。例えば、特定の実施形態において、ポリマーは、脂肪族または脂環式ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、ジオール、アミド、アミンなどの非芳香族モノマーから誘導された1つまたは複数の繰り返し単位を含有してもよい。もちろん、他の実施形態において、ポリマーは、非芳香族(例えば、脂肪族または脂環式)モノマーから誘導された繰り返し単位がないという点で、「全芳香族性」であってもよい。
【0018】
[0022]特定の実施形態において、液晶ポリマーは、NDA、HNA、またはそれらの組み合わせなどのナフテン系ヒドロキシカルボン酸およびナフテン系ジカルボン酸から誘導された繰り返し単位の含有率が比較的高いという点で、「高ナフテン系」ポリマーであってもよい。すなわち、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸および/またはジカルボン酸から誘導された繰り返し単位の総量(例えば、NDA、HNA、またはHNAとNDAとの組み合わせ)は、典型的には、ポリマーの約10mol%以上、いくつかの実施形態において約12mol%以上、いくつかの実施形態において約15mol%以上、いくつかの実施形態において約18mol%以上、いくつかの実施形態において約30mol%以上、いくつかの実施形態において約40mol%以上、いくつかの実施形態において約45mol%以上、いくつかの実施形態において約50mol%以上、いくつかの実施形態において約55mol%以上、いくつかの実施形態において約55mol%~約95mol%を構成する。理論によって限定されることを意図するものではないが、このような「高ナフテン系」ポリマーは、ポリマー組成物が水を吸収する傾向を低減することができ、加工性、および物性の向上を助けることができると考えられる。すなわち、このような高ナフテン系ポリマーは、典型的には、ISO 62-1:2008に準拠して24時間水に浸漬された後、約0.015%以下、いくつかの実施形態において約0.01%以下、いくつかの実施形態において約0.0001%~約0.008%の吸水率を有する。高ナフテン系ポリマーはまた、ISO 62-4:2008に準拠して、23℃の温度で高湿度雰囲気(相対湿度50%)にさらされた後、約0.01%以下、いくつかの実施形態において約0.008%以下、いくつかの実施形態において約0.0001%~約0.006%の吸湿率を有することができる。
【0019】
[0023]一実施形態において、例えば、HNAから誘導された繰り返し単位は、ポリマーの30mol%以上、いくつかの実施形態において約40mol%以上、いくつかの実施形態において約45mol%以上、いくつかの実施形態において約50mol%以上、いくつかの実施形態において約55mol%以上、いくつかの実施形態において約55mol%~約95mol%を構成し得る。このような実施形態において、液晶ポリマーは、さまざまな他のモノマー、例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸(例えば、HBA)を約1mol%~約50mol%、いくつかの実施形態において約1mol%~約20mol%、いくつかの実施形態において約2mol%~約10mol%の量で;芳香族ジカルボン酸(例えば、IAおよび/もしくはTA)を約1mol%~約40mol%、いくつかの実施形態において約5mol%~約25mol%の量で;ならびに/または芳香族ジオール(例えば、BPおよび/もしくはHQ)を約1mol%~約40mol%、いくつかの実施形態において約5mol%~約25mol%の量で含有してもよい。別の実施形態において、NDAから誘導された繰り返し単位は、ポリマーの10mol%以上、いくつかの実施形態において約12mol%以上、いくつかの実施形態において約15mol%以上、いくつかの実施形態において約18mol%~約95mol%を構成し得る。このような実施形態において、液晶ポリマーはまた、さまざまな他のモノマー、例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸(例えば、HBA)を約20mol%~約60mol%、いくつかの実施形態において約30mol%~約50mol%の量で;芳香族ジカルボン酸(例えば、IAおよび/またはTA)を約2mol%~約30mol%、いくつかの実施形態において約5mol%~約25mol%の量で;および/または芳香族ジオール(例えば、BPおよび/またはHQ)を約2mol%~約40mol%、いくつかの実施形態において約5mol%~約35mol%の量で含有し得る。
【0020】
[0024]もちろん、「低ナフテン系」液晶ポリマーも、単独で、または「高ナフテン系」液晶ポリマーと組み合わせて、組成物中に用いられ得る。このような低ナフテン系ポリマーにおいて、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸および/またはジカルボン酸(例えば、NDA、HNA、またはHNAとNDAとの組み合わせ)から誘導された繰り返し単位の総量は、典型的には、ポリマーの10mol%未満、いくつかの実施形態において約8mol%以下、いくつかの実施形態において約6mol%以下、いくつかの実施形態において約1mol%~約5mol%である。
【0021】
[0025]ポリマーの特定の成分および性質にかかわらず、液晶ポリマーは、エステル繰り返し単位(例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸など)および/または他の繰り返し単位(例えば、芳香族ジオール、芳香族アミド、芳香族アミンなど)を形成するために使用される芳香族モノマーを最初に反応容器に投入して、重縮合反応を開始することによって調製され得る。このような反応において用いられる特定の条件およびステップは周知であり、Calundannに付与された米国特許第4,161,470号;Linstid,IIIらに付与された米国特許第5,616,680号;Linstid,IIIらに付与された米国特許第6,114,492号;Shepherdらに付与された米国特許第6,514,611号;およびWaggonerに付与されたWO2004/058851号において、より詳細に記載されている場合がある。反応に用いられる容器は特に限定されないが、典型的には高粘度流体の反応において一般的に使用されるものを用いることが望ましい。このような反応容器の例としては、アンカー型、多段型、スパイラルリボン型、スクリューシャフト型など、さまざまな形状の撹拌翼を有する撹拌槽型装置、またはその形状を変更した装置を挙げることができる。このような反応容器のさらなる例としては、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサーなどの、樹脂混練に一般的に使用される混合装置を挙げることができる。
【0022】
[0026]所望される場合、反応は、当該技術分野で公知であるように、モノマーのアセチル化を介して進行してもよい。該反応は、アセチル化剤(例えば、無水酢酸)をモノマーに添加することにより達成され得る。アセチル化は一般に、約90℃の温度で開始される。アセチル化の初期段階では、酢酸副生成物および無水物が蒸留し始める温度未満に気相温度を維持するために、還流が用いられてもよい。アセチル化中の温度は通常90℃~150℃の範囲であり、いくつかの実施形態において約110℃~約150℃である。還流が使用される場合、気相温度は典型的には酢酸の沸点を超えているが、残留無水酢酸を保持するのに十分低く維持される。例えば、無水酢酸は約140℃の温度で気化する。したがって、約110℃~約130℃の温度で気相還流を反応器にもたらすことが特に望ましい。実質的に完全な反応を確実にするために、過剰量の無水酢酸が用いられてもよい。過剰の無水酢酸の量は、還流の有無を含む、用いられる特定のアセチル化条件によってさまざまである。存在する反応物ヒドロキシル基の総モル数に基づいて約1~約10モル%の、過剰の無水酢酸の使用は、珍しくない。
【0023】
[0027]アセチル化は、別の反応容器内で行ってもよく、その場で重合反応容器内において行ってもよい。別の反応容器が用いられる場合、1種または複数のモノマーがアセチル化反応器に投入され、その後重合反応器へと移されてもよい。同様に、1種または複数のモノマーは、プレアセチル化を受けずに、反応容器に直接投入されてもよい。
【0024】
[0028]モノマーおよび任意のアセチル化剤に加えて、重合を促進するのを助けるために、他の成分も反応混合物内に含まれてもよい。例えば、金属塩触媒(例えば、酢酸マグネシウム、酢酸スズ(I)、チタン酸テトラブチル、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなど)および有機化合物触媒(例えば、N-メチルイミダゾール)などの触媒が任意選択で用いられてもよい。このような触媒は、典型的には、繰り返し単位前駆体の総重量に基づいて、約50~約500ppmの量で使用される。別の反応器が用いられる場合、典型的には、重合反応器よりもむしろアセチル化反応器に触媒を加えることが望まれるが、これは決して必要条件ではない。
【0025】
[0029]反応混合物は、一般に、反応物の溶融重縮合を開始するために、重合反応容器内で高温に加熱される。重縮合は、例えば、約250℃~約380℃、いくつかの実施形態において約280℃~約380℃の温度範囲内で起こり得る。例えば、芳香族ポリエステルを形成するための1つの好適な技術としては、前駆体モノマーおよび無水酢酸を反応器に装入すること、混合物を約90℃~約150℃の温度に加熱してモノマーのヒドロキシル基をアセチル化すること(例えば、アセトキシを形成すること)、次いで温度を約280℃~約380℃に上昇させて溶融重縮合を行うことを挙げることができる。最終重合温度に近づくにつれて、反応の揮発性副生成物(例えば酢酸)も除去され得、これにより所望の分子量が容易に達成され得る。良好な熱伝達および物質移動、ひいては良好な材料の均一性を確実にするため、反応混合物は一般に、重合中に撹拌される。撹拌機の回転速度は、反応の過程においてさまざまであってもよいが、典型的には、約10~約100回転/分(「rpm」)、いくつかの実施形態において、約20~約80rpmの範囲である。溶融物中で分子量を増加させるために、重合反応はまた、真空下で実施されてもよい。真空の利用は、重縮合の最終段階で形成される揮発物の除去を容易にする。真空は、約34.47kPa(5ポンド/平方インチ)(「psi」)~約206.84kPa(30psi)、いくつかの実施形態において約68.94kPa(10psi)~約137.89kPa(20psi)の範囲内のような、吸込圧力の印加によって生成され得る。
【0026】
[0030]溶融重合後、溶融ポリマーは、反応器から、典型的には、所望の構成のダイを装着した押出オリフィスを通して送り出され、冷却され、回収され得る。一般に、溶融物は穴のあいたダイを通して送り出されてストランドを形成し、該ストランドは、水浴中に取り込まれ、ペレット化され、乾燥される。いくつかの実施形態において、溶融重合ポリマーは、その分子量をさらに増加させるために、続いて固相重合法に供されてもよい。固相重合は、ガス(例えば、空気、不活性ガスなど)の存在下で実施され得る。好適な不活性ガスとしては、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンなど、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。固相重合反応容器は、ポリマーを所望の固相重合温度に所望の滞留時間維持することができる、事実上任意のデザインの反応容器であってもよい。このような容器の例は、固定床(fixed bed)、固定層(static bed)、移動床、流動床などを有するものであり得る。固相重合が行われる温度はさまざまであってもよいが、典型的には約250℃~約350℃の範囲内である。重合時間はもちろん、温度と目標分子量によってさまざまである。しかし、ほとんどの場合、固相重合時間は約2時間~約12時間であり、いくつかの実施形態において約4時間~約10時間である。
B.他の添加剤
[0031]場合によっては、液晶ポリマーがポリマー組成物全体(例えば、100重量%)を構成し得る。それにもかかわらず、特定の実施形態において、特定の目標特性の達成を助けるために、ポリマー組成物に1種または複数の添加剤を含むことが望ましい場合がある。このような実施形態において、ポリマー組成物は、典型的には、1種または複数の液晶ポリマーを、ポリマー組成物全体の約30重量%~約99重量%、いくつかの実施形態において約40重量%~約95重量%、いくつかの実施形態において約50重量%~約90重量%の量で含有し、同様に、1種または複数の添加剤を、ポリマー組成物の約1重量%~約70重量%、いくつかの実施形態において約5重量%~約60重量%、いくつかの実施形態において約10重量%~約50重量%の量で含有する。用いられる場合、添加剤の特定の性質は、以下でより詳細に説明されるように、さまざまであってもよい。
i.鉱物フィラー
[0032]特定の実施形態において、ポリマー組成物は、粒子(例えば、プレートレット状、フレーク状など)、繊維(または「ウィスカー」)などの形態であり得る鉱物フィラーを含有してもよい。典型的には、鉱物フィラーは、組成物の機械的強さ、接着強さ、および表面特性を向上させるのを助ける一定の硬さ値を有し、これにより、組成物を、PPGセンサの小さな部品を形成するのに比類なく適したものとすることができる。例えば、硬さ値は、モース硬さスケールを基準にして、約2.0以上、いくつかの実施形態において約2.5以上、いくつかの実施形態において約3.0以上、いくつかの実施形態において約3.0~約11.0、いくつかの実施形態において約3.5~約11.0、いくつかの実施形態において約4.5~約6.5であり得る。さまざまな異なる種類の鉱物粒子はいずれも一般に用いられ得る。例えば、天然および/または合成ケイ酸塩鉱物から形成されるもの、例えば、タルク、雲母、ハロイサイト、カオリナイト、イライト、モンモリロナイト、バーミキュライト、パリゴルスカイト、パイロフィライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ウォラストナイトなど;硫酸塩;炭酸塩;リン酸塩;フッ化物、ホウ酸塩;などが挙げられる。特に好適なのは、所望の硬さ値を有する粒子、例えば炭酸カルシウム(CaCO、モース硬さ3.0)、炭酸水酸化銅(CuCO(OH)、モース硬さ4.0);フッ化カルシウム(CaFl、モース硬さ4.0);ピロリン酸カルシウム(Ca、モース硬さ5.0)、無水第二リン酸カルシウム(CaHPO、モース硬さ3.5)、水和リン酸アルミニウム(AlPO・2HO、モース硬さ4.5);ケイ酸アルミニウムカリウム(KAlSi、モース硬さ6)、ケイ酸銅(CuSiO・HO、モース硬さ5.0);水酸化ホウケイ酸カルシウム(CaSiO(OH)、モース硬さ3.5);硫酸カルシウム(CaSO、モース硬さ3.5)、硫酸バリウム(BaSO、モース硬さ3~3.5)、雲母(モース硬さ2.5~5.3)など、およびそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、雲母は特に好適である。一般に、任意の形態の雲母が用いられてもよく、例えば、白雲母(KAl(AlSi)O10(OH))、黒雲母(K(Mg,Fe)(AlSi)O10(OH))、金雲母(KMg(AlSi)O10(OH))、リチア雲母(K(Li,Al)2-3(AlSi)O10(OH))、海緑石(K,Na)(Al,Mg,Fe)(Si,Al)10(OH))などが挙げられる。白雲母系雲母は、ポリマー組成物に使用するのに特に好適である。
【0027】
[0033]特定の実施形態において、鉱物粒子、例えば硫酸バリウムおよび/または硫酸カルシウム粒子は、一般に粒状または結節状の形状を有することができる。このような実施形態において、粒子は、例えばISO 13320:2020に準拠して、レーザー回折技術を使用して(例えば、Horiba LA-960粒度分布測定装置で)決定された場合、約0.5~約20マイクロメートル、いくつかの実施形態において約1~約15マイクロメートル、いくつかの実施形態において約1.5~約10マイクロメートル、およびいくつかの実施形態において約2~約8マイクロメートルのメディアン径(例えば、直径)を有し得る。他の実施形態において、約4以上、いくつかの実施形態において約8以上、いくつかの実施形態において約10~約500などの比較的高いアスペクト比(例えば、平均直径を平均厚さで割った値)を有する、雲母粒子などのフレーク状鉱物粒子を用いることも望ましい場合がある。このような実施形態において、粒子の平均直径は、例えば、約5マイクロメートル~約200マイクロメートル、いくつかの実施形態において約8マイクロメートル~約150マイクロメートル、いくつかの実施形態において約10マイクロメートル~約100マイクロメートルの範囲であり得る。平均厚さは、同様に、例えばISO 13320:2020に準拠して、レーザー回折技術を使用して(例えば、Horiba LA-960粒度分布測定装置で)決定された場合、約2マイクロメートル以下、いくつかの実施形態において約5ナノメートル~約1マイクロメートル、いくつかの実施形態において約20ナノメートル~約500ナノメートルであり得る。
【0028】
[0034]好適な鉱物繊維としては、同様に、ケイ酸塩に由来するもの、例えば、ネオケイ酸塩、ソロケイ酸塩、イノケイ酸塩(例えば、ウォラストナイトなどのイノケイ酸カルシウム;トレモライトなどのイノケイ酸カルシウムマグネシウム;アクチノライトなどのイノケイ酸カルシウムマグネシウム鉄;アンソフィライトなどのイノケイ酸マグネシウム鉄;など)、フィロケイ酸塩(例えば、パリゴルスカイトなどのフィロケイ酸アルミニウム)、テクトケイ酸塩など;硫酸塩、例えば硫酸カルシウム(例えば、半水石膏(dehydrated gypsum)または無水石膏);ミネラルウール(例えば、ロックまたはスラグウール);などを挙げることができる。特に好適なのは、所望の硬さ値を有する繊維であり、これは、イノケイ酸塩、例えばNyco Minerals社からNyglos(登録商標)(例えば、Nyglos(登録商標)4WまたはNyglos(登録商標)8)という商品名で市販されているウォラストナイト(モース硬さ4.5~5.0)に由来する繊維を含む。鉱物繊維は、約1~約35マイクロメートル、いくつかの実施形態において約2~約20マイクロメートル、いくつかの実施形態において約3~約15マイクロメートル、いくつかの実施形態において約7~約12マイクロメートルのメディアン幅(median width)(例えば、直径)を有してもよい。上述のサイズ特性を有することに加えて、鉱物繊維は、得られるポリマー組成物の機械的特性および表面品質をさらに向上させるのを助ける、比較的高いアスペクト比(平均長さをメディアン幅で割った値)を有してもよい。例えば、鉱物繊維は、約2~約100、いくつかの実施形態において約2~約50、いくつかの実施形態において約3~約20、いくつかの実施形態において約4~約15のアスペクト比を有してもよい。このような鉱物繊維の体積平均長さは、例えば、約1~約200マイクロメートル、いくつかの実施形態において約2~約150マイクロメートル、いくつかの実施形態において約5~約100マイクロメートル、いくつかの実施形態において約10~約50マイクロメートルの範囲であってもよい。
【0029】
[0035]用いられる場合、鉱物フィラーは、典型的には、組成物中に用いられる液晶ポリマー100重量部に対して約5~約150重量部、いくつかの実施形態において約20~約100重量部、いくつかの実施形態において約40~約80重量部を構成する。例えば、鉱物フィラーは、ポリマー組成物の約5重量%~約60重量%、いくつかの実施形態において約15重量%~約55重量%、いくつかの実施形態において約25重量%~約50重量%を構成してもよい。
ii.導電性フィラー
[0036]所望される場合、ポリマー組成物全体が帯電防止性となるように、導電性フィラーが用いられ得る。より詳細には、ポリマー組成物は、相当量の電流が部品を通って流れないように、本質的に全体が帯電防止性を維持することを可能にするが、それにもかかわらず、所望であれば、組成物がメッキされる能力を促進するのに十分な程度の静電散逸を示す、制御された抵抗を示し得る。表面抵抗率は、例えばASTM D257-14(IEC 62631-3-1と技術的に同等)に準拠して決定された場合、約1×1012Ω~約1×1018Ω、いくつかの実施形態において約1×1013Ω~約1×1018Ω、いくつかの実施形態において約1×1014Ω~約1×1017Ω、いくつかの実施形態において約1×1015Ω~約1×1017Ωの範囲であってもよい。同様に、組成物はまた、例えばASTM D257-14(IEC 62631-3-1と技術的に同等)に準拠して約20℃の温度で決定された場合、約1×1010Ω・m~約1×1016Ω・m、いくつかの実施形態において約1×1011Ω・m~約1×1016Ω・m、いくつかの実施形態において約1×1012Ω・m~約1×1015Ω・mの、いくつかの実施形態において、約1×1013Ω・m~約1×1015Ω・mの体積抵抗率を示し得る。
【0030】
[0037]所望の程度の帯電防止挙動を達成するため、得られるフィラーが所望の抵抗率を有するように、所望の抵抗率を有する単一の材料が選択されてもよく、複数の材料(例えば、絶縁性および導電性)がブレンドされてもよい。特定の一実施形態において、例えばASTM D257-14(IEC 62631-3-1と技術的に同等)に準拠して約20℃の温度で決定された場合、約1Ω・cm未満、いくつかの実施形態において約0.1Ω・cm未満、いくつかの実施形態において約1×10-8Ω・cm~約1×10-2Ω・cmの体積抵抗率を有する導電性材料が用いられ得る。好適な導電性炭素材料としては、例えば、グラファイト、カーボンブラック、炭素繊維、グラフェン、カーボンナノチューブなどを挙げることができる。他の好適な導電性フィラーとしては、同様に、金属(例えば、金属粒子、金属フレーク、金属繊維など)、イオン液体などを挙げることができる。一実施形態において、例えば、帯電防止フィラーはイオン液体であってもよい。このような材料の1つの利点は、帯電防止剤であることに加えて、イオン液体が溶融加工中に液体の形態で存在することもできるため、ポリマーマトリックス内により均一にブレンドされ得ることである。これにより、電気的接続性が向上し、組成物の表面から静電気を速やかに散逸させる能力が高まる。イオン液体は一般に、液晶ポリマーと溶融加工されるときに液体の形態になることができるように、十分に低い融解温度を有する塩である。例えば、イオン液体の融解温度は、約400℃以下、いくつかの実施形態において約350℃以下、いくつかの実施形態において約1℃~約100℃、いくつかの実施形態において約5℃~約50℃であり得る。塩は、カチオン種および対イオンを含有する。カチオン種は、少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、窒素またはリン)を「カチオン中心」として有する化合物を含有する。このようなヘテロ原子化合物の例としては、例えば、以下の構造を有する第四級オニウムが挙げられる。
【0031】
【化2】
【0032】
式中、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、水素;置換または非置換のC~C10アルキル基(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチルなど);置換または非置換のC~C14シクロアルキル基(例えば、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチル、シクロヘキセニルなど);置換または非置換のC~C10アルケニル基(例えば、エチレン、プロピレン、2-メチルプロピレン、ペンチレンなど);置換または非置換のC~C10アルキニル基(例えば、エチニル、プロピニルなど);置換または非置換のC~C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシなど);置換または非置換のアシルオキシ基(例えば、メタクリロキシ、メタクリロキシエチルなど);置換または非置換のアリール基(例えば、フェニル);置換または非置換のヘテロアリール基(例えば、ピリジル、フラニル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、キノリルなど);などの化合物からなる群から独立して選択される。特定の一実施形態において、例えば、カチオン種は、構造N(式中、R、R、および/またはRは、独立して、C~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、ブチルなど)であり、Rは、水素またはC~Cアルキル基(例えば、メチルまたはエチル)である)を有するアンモニウム化合物であってもよい。例えば、カチオン成分は、R、RおよびRがブチルであり、Rがメチルである、トリブチルメチルアンモニウムであってもよい。
【0033】
[0038]カチオン種のための好適な対イオンとしては、例えば、ハロゲンイオン(例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなど);硫酸イオンまたはスルホン酸イオン(例えば、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、ブチル硫酸イオン、ヘキシル硫酸イオン、オクチル硫酸イオン、硫酸水素イオン、メタンスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ドデシル硫酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸イオン、ドデシルエトキシ硫酸ナトリウムなど);スルホコハク酸イオン;アミドイオン(例えば、ジシアンアミドイオン);イミドイオン(例えば、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドイオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(トリフルオロメチル)イミドイオンなど);ホウ酸イオン(例えば、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラシアノホウ酸イオン、ビス[オキサラト]ホウ酸イオン、ビス[サリチラト]ホウ酸イオンなど);リン酸イオンまたはホスフィン酸イオン(例えば、ヘキサフルオロリン酸イオン、ジエチルリン酸イオン、ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸イオン、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸イオン、トリス(ノナフルオロブチル)トリフルオロリン酸イオンなど);アンチモン酸イオン(例えば、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン);アルミン酸イオン(例えば、テトラクロロアルミン酸イオン);脂肪酸カルボン酸イオン(例えば、オレイン酸イオン、イソステアリン酸イオン、ペンタデカフルオロオクタン酸イオンなど);シアン酸イオン;酢酸イオン;など、および前述のいずれかの組み合わせを挙げることができる。液晶ポリマーとの相容性を向上させるために、イミドイオン、脂肪酸カルボン酸イオンなど、一般に疎水性の対イオンを選択することが望ましい場合がある。特に好適な疎水性対イオンとしては、例えば、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドイオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、およびビス(トリフルオロメチル)イミドイオンを挙げることができる。
【0034】
[0039]用いられる場合、導電性フィラーは、典型的には、組成物中に用いられる液晶ポリマー100重量部に対して約0.5~約20重量部、いくつかの実施形態において約1~約15重量部、いくつかの実施形態において約2~約8重量部を構成する。例えば、導電性フィラーは、ポリマー組成物の約0.1重量%~約10重量%、いくつかの実施形態において約0.2重量%~約8重量%、いくつかの実施形態において約0.5重量%~約4重量%を構成してもよい。
iii.耐衝撃性改良剤
[0040]耐衝撃性改良剤もまた、ポリマー組成物中に用いられ得る。例えば、耐衝撃性改良剤は、1種または複数のα-オレフィンから誘導されたオレフィン系モノマー単位を含有するポリマーであってもよい。このようなモノマーの例としては、例えば、2~20個の炭素原子、典型的には2~8個の炭素原子を有する直鎖状および/または分枝鎖状α-オレフィンが挙げられる。具体例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン;3-メチル-1-ブテン;3,3-ジメチル-1-ブテン;1-ペンテン;1つまたは複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-ペンテン;1つまたは複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-ヘキセン;1つまたは複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-ヘプテン;1つまたは複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-オクテン;1つまたは複数のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-ノネン;エチル、メチルまたはジメチル置換1-デセン;1-ドデセン;およびスチレンが挙げられる。特に望ましいα-オレフィンモノマーは、エチレンおよびプロピレンである。オレフィンポリマーは、当該技術分野において公知であるように、他のモノマー単位を含有するコポリマーの形態であってもよい。例えば、別の好適なモノマーとしては、「(メタ)アクリル」モノマーを挙げることができ、このモノマーとしては、アクリルモノマーおよびメタクリルモノマー、ならびにその塩またはエステル、例えばアクリレートモノマーおよびメタクリレートモノマーが挙げられる。このような(メタ)アクリルモノマーの例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、i-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、s-ブチルアクリレート、i-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、i-アミルアクリレート、イソボルニルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-デシルアクリレート、メチルシクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-プロピルメタクリレート、i-ブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、i-アミルメタクリレート、s-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-エチルブチルメタクリレート、メチルシクロヘキシルメタクリレート、シンナミルメタクリレート、クロチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなど、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。一実施形態において、例えば、耐衝撃性改良剤は、エチレン-メタクリル酸コポリマー(「EMAC」)であってもよい。用いられる場合、モノマー成分の相対的部分(relative portion)は選択的に制御され得る。α-オレフィンモノマーは、例えば、コポリマーの約55重量%~約95重量%、いくつかの実施形態において約60重量%~約90重量%、いくつかの実施形態において約65重量%~約85重量%を構成してもよい。他のモノマー成分(例えば、(メタ)アクリルモノマー)は、コポリマーの約5重量%~約35重量%、いくつかの実施形態において約10重量%~約32重量%、いくつかの実施形態において約15重量%~約30重量%を構成してもよい。
【0035】
[0041]他の好適なオレフィンコポリマーは、分子当たり平均2つ以上のエポキシ官能基を含有するという点で「エポキシ官能化」されているコポリマーであってもよい。コポリマーはまた、エポキシ官能性モノマー単位を含有してもよい。このような単位の一例は、エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマー成分である。例えば、好適なエポキシ官能性(メタ)アクリルモノマーとしては、グリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートなどの1,2-エポキシ基を含有するモノマーを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。他の好適なエポキシ官能性モノマーとしては、アリルグリシジルエーテル、グリシジルエチルアクリレート、およびグリシジルイトコネートが挙げられる。所望の分子量を達成するのを助けるために、他の好適なモノマーもまた用いられ得る。特定の一実施形態において、例えば、コポリマーは、エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマー成分、α-オレフィンモノマー成分、および非エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマー成分から形成されたターポリマーであってもよい。コポリマーは、例えば、ポリ(エチレン-co-ブチルアクリレート-co-グリシジルメタクリレート)であってもよい。用いられる場合、エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマーは、典型的には、コポリマーの約1重量%~約20重量%、いくつかの実施形態において約2重量%~約15重量%、いくつかの実施形態において約3重量%~約10重量%を構成する。
【0036】
[0042]用いられる場合、耐衝撃性改良剤は、典型的には、組成物中に用いられる液晶ポリマー100重量部に対して約0.5~約60重量部、いくつかの実施形態において約1~約50重量部、いくつかの実施形態において約2~約30重量部を構成する。例えば、耐衝撃性改良剤は、ポリマー組成物の約0.1重量%~約30重量%、いくつかの実施形態において約0.5重量%~約25重量%、いくつかの実施形態において約1重量%~約20重量%を構成してもよい。
iv.レーザー活性化可能添加剤
[0043]いくつかの実施形態において、ポリマー組成物は、その上に導電性素子(例えば、アンテナ素子)を形成するためにレーザー直接構造化(「LDS」)プロセスによって活性化され得る添加剤を含有するという意味で、「レーザー活性化可能」であってもよい。このようなプロセスにおいて、添加剤はレーザー露光され、それにより金属が放出される。このようにして、レーザーは導電性素子のパターンを部品に描き、埋め込まれた金属粒子を含有する粗面を残す。これらの粒子は、その後のメッキプロセス(例えば、銅メッキ、金メッキ、ニッケルメッキ、銀メッキ、亜鉛メッキ、スズメッキなど)において結晶成長の核として機能する。用いられる場合、レーザー活性化可能添加剤は、典型的には、ポリマー組成物の約0.1重量%~約30重量%、いくつかの実施形態において約0.5重量%~約20重量%、いくつかの実施形態において約1重量%~約10重量%を構成する。レーザー活性化可能添加剤は、一般にスピネル結晶を含み、該結晶は、明確な結晶構造(crystal formation)中に2つ以上の金属酸化物クラスター構成を含み得る。例えば、全体的な結晶構造は、以下の一般式を有し得る。
AB
式中、
Aは、2価の金属カチオン、例えばカドミウムイオン、クロムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、亜鉛イオン、銅イオン、コバルトイオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、スズイオン、チタンイオンなど、およびそれらの組み合わせであり;
Bは、3価の金属カチオン、例えばクロムイオン、鉄イオン、アルミニウムイオン、ニッケルイオン、マンガンイオン、スズイオンなど、およびそれらの組み合わせである。
【0037】
[0044]典型的には、上記式中のAは第1の金属酸化物クラスターの主要カチオン成分を提供し、Bは第2の金属酸化物クラスターの主要カチオン成分を提供する。これらの酸化物クラスターは、同じ構造を有してもよく、異なる構造を有してもよい。一実施形態において、例えば、第1の金属酸化物クラスターは四面体構造を有し、第2の金属酸化物クラスターは八面体クラスターを有する。いずれにせよ、クラスターは一緒になって、電磁放射線に対する感受性が高められた、特異で識別可能な結晶型構造をもたらし得る。好適なスピネル結晶の例としては、例えば、MgAl、ZnAl、FeAl、CuFe、CuCr、MnFe、NiFe、TiFe、FeCr、MgCrなどが挙げられる。酸化銅クロム(CuCr)は本発明での使用に特に好適であり、Shepherd Color社から「Shepherd Black 1GM」の名称で入手可能である。
v.他の添加剤
[0045]ポリマー組成物にはまた、繊維(例えば、ガラス繊維)、滑剤、熱伝導性フィラー、顔料、酸化防止剤、安定剤、界面活性剤、ワックス、難燃剤、ドリップ防止添加剤、核剤(例えば、窒化ホウ素)、および特性や加工性を向上させるために添加される他の材料など、多種多様な追加の添加剤が含まれてもよい。例えば、実質的に分解することなく液晶ポリマーの加工条件に耐えることができる滑剤がポリマー組成物に用いられてもよい。このような滑剤の例としては、エンジニアリングプラスチック材料の加工において滑剤として一般的に使用される種類の脂肪酸エステル、その塩、エステル、脂肪酸アミド、有機リン酸エステル、および炭化水素ワックス(これらの混合物を含む)が挙げられる。好適な脂肪酸は、典型的には、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、モンタン酸、オクタデシン酸、パリン酸などのように、炭素原子が約12~約60個の骨格炭素鎖を有する。好適なエステルとしては、脂肪酸エステル、脂肪族アルコールエステル、ワックスエステル、グリセリンエステル、グリコールエステル、複合エステルが挙げられる。脂肪酸アミドとしては、脂肪第一級アミド、脂肪第二級アミド、メチレンおよびエチレンビスアミド、ならびに例えばパルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、N,N’-エチレンビスステアラミドなどのアルカノールアミドが挙げられる。また、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸の金属塩、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、酸化ポリオレフィンワックス、およびマイクロクリスタリンワックスを含む炭化水素ワックスも好適である。特に好適な滑剤は、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリン酸カルシウム、またはN,N’-エチレンビスステアラミドなどのステアリン酸の酸、塩、またはアミドである。用いられる場合、滑剤は、典型的には、ポリマー組成物の約0.05重量%~約1.5重量%、いくつかの実施形態において、約0.1重量%~約0.5重量%を構成する。
II.形成
[0046]ポリマー組成物を形成するために使用される成分は、当該技術分野において公知であるように、さまざまな異なる技術のいずれかを使用して組み合わされ得る。特定の一実施形態において、例えば、液晶ポリマーおよび他の任意の添加剤は、押出機内で混合物として溶融加工され、ポリマー組成物を形成する。混合物は、単軸または多軸押出機内において、約200℃~約450℃の温度で溶融混練され得る。一実施形態において、混合物は、複数の温度ゾーンを含む押出機で溶融加工されてもよい。個々のゾーンの温度は、典型的には、ポリマーの融解温度に対して約-60℃~約25℃の範囲内に設定される。一例として、混合物は、Leistritz社の18mm共回転完全噛合型二軸押出機のような二軸押出機を使用して溶融加工されてもよい。混合物を溶融加工するために、汎用スクリューデザインが使用されてもよい。一実施形態において、定量供給機によって、第1のバレルの供給口に全成分を含む混合物が供給され得る。別の実施形態において、公知のように、押出機の異なる添加位置で異なる成分が添加されてもよい。例えば、ポリマーが供給口で加えられ、その下流に位置する、同じまたは異なる温度ゾーンで特定の添加剤(例えば、粒子状フィラー)が供給されてもよい。いずれにせよ、得られた混合物は溶融混合され、次いでダイを通して押し出され得る。押し出されたポリマー組成物は、次いで水浴中で急冷して固化させ、ペレタイザーで造粒し、続いて乾燥させることができる。
III.成形部品
[0047]以下でより詳細に説明されるように、ポリマー組成物は、PPGセンサのさまざまな部分、例えば光源(例えば、LED)および/または光検出器(例えば、フォトディテクタ)の絶縁性部分、センサのハウジング、アンテナコンポーネントの基板などを形成するために使用され得る。ポリマー組成物の有益な特性の一部により、部品は、約5ミリメートル以下、いくつかの実施形態において約4ミリメートル以下、いくつかの実施形態において約0.1~約3.5ミリメートル、いくつかの実施形態において約0.5~約3ミリメートルの厚さのような、非常に小さいサイズを有し得る。ポリマー組成物が用いられる特定の部品にかかわらず、ポリマー組成物は、一般に、さまざまな異なる技術を使用して所望の部品に成形される。好適な技術としては、例えば、フィルム押出成形、熱成形、射出成形、低圧射出成形、押出圧縮成形、ガス射出成形、発泡射出成形、低圧ガス射出成形、低圧発泡射出成形、ガス押出圧縮成形、発泡押出圧縮成形、押出成形、発泡押出成形、圧縮成形、発泡圧縮成形、ガス圧縮成形などを挙げることができる。例えば、ポリマー組成物が射出され得る金型を含む射出成形システムが用いられ得る。インジェクター内における時間は、ポリマーマトリックスがあらかじめ固化しないように制御し、最適化され得る。サイクル時間に達し、バレルが排出のために満杯になると、ピストンが使用されて金型キャビティに組成物を注入することができる。圧縮成形システムも用いられ得る。射出成形と同様に、ポリマー組成物から所望の物品への成形も金型内で行われる。組成物は、自動ロボットアームによってピックアップされるなど、任意の公知の技術を使用して圧縮金型内に入れられてもよい。金型の温度は、固化を可能にするために所望の時間、ポリマー組成物の固化温度以上に維持され得る。次いで、成形品を融解温度未満の温度にすることで固化させることができる。得られた製品は脱型されてもよい。十分な結合を達成し、全体的なプロセスの生産性を高めるために、各成形プロセスのサイクルタイムは、ポリマー組成物に合わせて調整されてもよい。
【0038】
[0048]PPGセンサ(例えば、アンテナ素子)において使用される方法によっては、メッキ(例えば、電解メッキ、無電解メッキなど)、印刷(例えば、デジタル印刷、エアロゾルジェット印刷など)などのさまざまな公知の金属析出技術のいずれかを使用して、1つまたは複数の導電性素子を成形部品上に析出させることが所望される場合もある。導電性素子は、金属、例えば、金、銀、ニッケル、アルミニウム、銅、およびそれらの混合物または合金などのさまざまな導電性材料のうちの1つまたは複数を含有してもよい。一実施形態において、例えば、導電性素子は、銅および/またはニッケル(例えば、純金属またはそれらの合金)を含んでもよい。所望される場合、金属析出プロセスを促進するために、最初に基板上にシード層が形成されてもよい。
【0039】
[0049]析出技術としてメッキが用いられる場合、該プロセスは所望に応じてさまざまであってもよい。特定の実施形態において、例えば、プロセスは、所望の回路相互接続パターンに基づいて、成形部品の表面にパターンを最初に形成するステップを含んでもよい。該ステップは、レーザーアブレーションまたはパターニング、プラズマエッチング、紫外線処理、酸エッチングなど、さまざまな公知の技術を使用して達成され得る。いずれにせよ、成形部品に所望のパターンを形成した後、パターン形成された領域は次いで、その後の金属析出に備えて任意選択で活性化プロセスに供されてもよい。このプロセスの間、パターン形成された基板を、パラジウム、白金、イリジウム、ロジウムなどの金属およびそれらの混合物を含有する活性化溶液と接触させることができる。パラジウムが特に好適である。上記のように表面がコンディショニングされると、次いで、無電解メッキとして公知のプロセスなどにより、パターン形成された基板上に第1の金属層が形成され得る。無電解メッキは、表面に析出した金属がさらなる析出のための触媒として作用する自己触媒反応によって起こる場合がある。典型的には、ニッケルおよび/または銅が、パターン形成された基板の表面に無電解メッキされる。無電解ニッケルメッキは、例えば、ニッケル塩(例えば、硫酸ニッケル)含有溶液を使用して行われ得る。所望される場合、パターン形成された基板はまた、最終的な金属コーティング層を形成するために、1つまたは複数の追加のステップに供されてもよい。追加のコーティング層は、典型的には電解メッキとして公知であるプロセスを使用して析出され、プロセス中、パターン形成された基板は金属溶液と接触し、金属の析出を開始するために電流を受ける。例えば、第2の金属層を、第1の金属層(例えば、無電解メッキされた銅および/またはニッケル)上に電解析出させることができる。第2の金属層は、例えば、銅またはニッケルを含んでもよい。特定の実施形態において、銅および/またはニッケルなどの1つまたは複数の追加の金属層を、第2の金属層上に電解析出させることもできる。
IV.PPGセンサ
[0050]上記のように、本発明のポリマー組成物はPPGセンサに用いられる。センサの特定の構成は、当業者に知られているようにさまざまであってもよいが、一般に、少なくとも1つの光源および少なくとも1つの光検出器を含む。受光された光から取得されたPPG信号(組織との相互作用後に反射された光の量から得られる)は、生理学的情報(例えば、心拍数、酸素飽和度など)を得るために処理され得る。好適な光源としては、例えば、発光ダイオード(LED)、白熱灯、蛍光灯などを挙げることができる。用いられる場合、LEDは、緑色LED、赤色LED、赤外(IR)LED、電荷結合素子などであってもよい。2つ以上の光源が用いられる場合、同じ光源または異なる光源(発光波長が異なる)が用いられてもよい。例えば、1つまたは複数の緑色LEDと赤外LEDとの組み合わせが使用されてもよい。好適な光検出器(またはフォトディテクタ)としては、例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタなどを挙げることができる。光源は、収集される生理学的データの種類に特異的な、または該データの種類を対象とする1つまたは複数の波長を有する光を発することができる。一実施形態において、光源は、PPG信号の収集に特異的な1つまたは複数の波長を有する光を発することができる。同様に、光検出器は、収集される生理学的データの種類に特異的な、または該データの種類を対象とする1つまたは複数の波長をサンプリング、測定および/または検出することができる。例えば、緑色スペクトルの波長を有する光を発する光源と、そのような光に対応する応答または反射を検出するように配置された光検出器とによって、心拍数および酸素飽和度などを決定するために使用され得るデータを提供することができる。本発明の特定の実施形態において、ポリマー組成物は、光源、光検出器、またはそれらの組み合わせの一部(例えば、ハウジングまたは絶縁性部分)を形成するために使用され得る。
【0040】
[0051]光検出器は、典型的には、すべての入射角度から入射する光、例えば、非脈波信号アーチファクトを含む光および脈波信号を含む光を感知するため、血管を含有する組織層から反射された光を実質的に受光することによってPPG信号を改善するために、1つまたは複数のビューイングコンポーネント(viewing component)もPPGセンサに用いられ得る。より詳細には、そのようなビューイングコンポーネントは、脈波信号組織層からの反射に関連する特定の視野角で反射された光を受光し、したがって、高いまたは最大の灌流指標を示すように構成され得る。用いられる場合、ビューイングコンポーネントは、一般に、PPGセンサのフォトディテクタに連結される。複数のビューイングコンポーネントが用いられる場合、それらは同じビューイングコンポーネントであってもよく、異なるビューイングコンポーネントであってもよい。加えて、複数のビューイングコンポーネントの各々が固有の視野角を有してもよく、複数のビューイングコンポーネントが同じ視野角を有してもよい。一変形例において、ビューイングコンポーネントは、従来の方法を使用して、例えば、接着剤、溶接などの使用によってフォトディテクタに取り付けられてもよい。ビューイングコンポーネントのいくつかの変形例では、同様に、高レベルの脈波信号に関連する視野角で光を受光し、フォトディテクタに対して他の角度で進む光を遮断することができるように角度を付けたライトチューブ(またはライトパイプ)を含むことができる。1つまたは複数のライトチューブがPPGセンサに、典型的にはフォトディテクタに連結されてもよい。特定の実施形態において、ポリマー組成物は、ビューイングコンポーネントの一部(例えば、絶縁性部分)を形成するために使用されてもよい。ハウジングは、光源、光検出器、および/またはビューイングコンポーネントを取り囲んでいてもよく、これらは任意選択でポリマー組成物から形成されてもよい。
【0041】
[0052]いくつかの実施例において、PPGセンサは、光の同じ波長および異なる波長、同じ離隔距離および異なる離隔距離、ならびに同じ視野角および異なる視野角を組み合わせて構成され得る。図2は、本開示の実施例による例示的なPPGセンサを示す。PPGセンサは、LED700およびLED701などの複数のLED、ならびにフォトディテクタ702、704、706、および708などの複数のフォトディテクタを含み得る。LED700およびLED701は、発光波長を測定するように構成され得る。例えば、LED700は赤外波長を発するように構成されてもよく、LED701は緑色波長を発するように構成されてもよい。フォトディテクタ704は、LED700によって照射された光を測定するように構成されてもよく、フォトディテクタ708は、LED701によって照射された光を測定するように構成されてもよい。フォトディテクタ702および706は、LED700およびLED701の両方によって照射された光を測定するように構成されてもよい。フォトディテクタ702は、LED700およびLED701から離隔距離d10離れて配置されてもよく、フォトディテクタ704は、LED700から離隔距離d7離れて配置されてもよく、フォトディテクタ706は、LED700およびLED701から離隔距離d8離れて配置されてもよく、フォトディテクタ708は、LED701から離隔距離d9離れて配置されてもよい。いくつかの実施例において、離隔距離d8は、離隔距離d10と同じであってもよい。いくつかの実施例において、離隔距離d7は、離隔距離d9と異なっていてもよい。加えて、またはあるいは、離隔距離d8(または離隔距離d10)は、離隔距離d7(および/または離隔距離d9)と異なっていてもよい。各フォトディテクタ702、704、706、708には、それぞれビューイングコンポーネント712、714、716、718が連結される。ビューイングコンポーネントは、同じまたは異なる視野角で構成されてもよい。
【0042】
[0053]図3は、本発明によるPPGセンサの別の実施形態を示す。本実施形態において、PPGセンサは、LED803ならびにフォトディテクタ804および808を含んでもよい。フォトディテクタ804および808は、LED803からの同じ離隔距離「D1」を有し得る。フォトディテクタ804は、ビューイングコンポーネント814に連結されていてもよく、フォトディテクタ808は、ビューイングコンポーネント818に連結されていてもよい。いくつかの実施例において、ビューイングコンポーネント814は、ビューイングコンポーネント818の視野角「α」とは異なる視野角「α」で構成されてもよい。フォトディテクタ808およびビューイングコンポーネント818は、フォトディテクタ804およびビューイングコンポーネント814とは異なる深度を測定することができる。コントローラは、処理を行う1つまたは両方の信号を選択するために、(例えば、FFTのような周波数スペクトル分析を使用して)生理学的信号の強度を評価することができる。選択に基づいて、いくつかの実施例では、コントローラは、選択されたフォトディテクタを後続の測定に使用し続けることができる。
【0043】
[0054]いくつかの実施形態において、PPGセンサによって取得された情報/データは、離れた場所、例えば、コンピュータ、診療所などに送信されてもよい。このような実施形態において、PPGセンサは、回路構造を含むアンテナシステムを含有してもよい。回路構造は、例えば、1つまたは複数のアンテナ素子が配置された基板を含有してもよい。所望される場合、基板は、本発明のポリマー組成物から形成されていてもよい。回路構造は、ワイヤレス医療用テレメトリーサービス(WMTS)、Bluetooth、LTE、および5G周波数を含むさまざまな周波数の無線周波数信号を送信するように構成されてもよい。例えば、回路構造は、5Gシステムに特に適している場合がある。本明細書で使用される「5G」は、一般に、無線周波数信号を介した高速データ通信を指す。5Gネットワークおよびシステムは、前世代のデータ通信規格(例えば、「4G」、「LTE」)よりもはるかに速いレートでデータ通信を行うことができる。例えば、本明細書で使用される場合、「5G周波数」は、1.5GHz以上、いくつかの実施形態において約2.0GHz以上、いくつかの実施形態において約2.5GHz以上、いくつかの実施形態において約3.0GHz以上、いくつかの実施形態において約3GHz~約300GHz以上、いくつかの実施形態において約4GHz~約80GHz、いくつかの実施形態において約5GHz~約80GHz、いくつかの実施形態において約20GHz~約80GHz、いくつかの実施形態において約28GHz~約60GHzの周波数を指す場合がある。5G通信の要求条件を定量化したさまざまな規格や仕様が発行されている。一例として、国際電気通信連合(ITU)は、2015年に国際移動通信-2020(「IMT-2020:International Mobile Telecommunications-2020」)規格を発行した。IMT-2020規格は、5Gのさまざまなデータ伝送基準(例えば、下りリンクおよび上りリンクのデータレート、遅延など)を規定している。IMT-2020規格は、5Gシステムがサポートしなければならないデータのアップロードとダウンロードの最小データレートとして、上りリンクと下りリンクのピークデータレートを定義している。IMT-2020規格では、下りリンクのピークデータレートの要求条件を20Gbit/s、上りリンクのピークデータレートを10Gbit/sと設定している。別の例として、3rd Generation Partnership Project(3GPP)は最近、「5G NR」と呼ばれる5Gの新規格を発行した。3GPPは2018年、5G NRの標準化のための「フェーズ1」を定義する「リリース15」を発表した。3GPPは、5Gの周波数帯域を、一般に、6GHz未満の周波数を含む「周波数帯域1」(FR1)と、20~60GHzの範囲の周波数帯を含む「周波数帯域2」(FR2)と定義している。本明細書に記載されるアンテナシステムは、リリース15(2018年)、および/またはIMT-2020規格などの、3GPPによって発行された規格の下で「5G」を満たすか、または「5G」として認定され得る。
【0044】
[0055]高周波数での高速データ通信を達成するために、アンテナ素子およびアレイは、アンテナ性能を向上させることができる小さなフィーチャサイズ/間隔(例えば、ファインピッチ技術)を用いることができる。例えば、フィーチャサイズ(アンテナ素子間の間隔、アンテナ素子の幅)などは、一般に、アンテナ素子が形成される基板の誘電体に伝わる所望の送信および/または受信無線周波の波長(「λ」)に依存する(例えば、nλ/4(nは整数であり、λは基板の誘電率に依存する))。さらに、複数の周波数帯域またはチャネルにわたる受信および送信(例えば、マルチインマルチプルアウト(MIMO)、マッシブMIMO)を容易にするために、ビームフォーミングおよび/またはビームステアリングが用いられ得る。高周波5Gアンテナ素子は、さまざまな構成を有することができる。例えば、5Gアンテナ素子は、コプレーナ導波路素子、パッチアレイ(例えば、メッシュグリッドパッチアレイ)、その他の好適な5Gアンテナ構成であるか、またはこれらを含んでもよい。アンテナ素子は、MIMO、マッシブMIMO機能、ビームステアリングなどを提供するように構成され得る。本明細書で使用される「マッシブ」MIMO機能とは、一般に、周波数分割多重化および/または時分割多重化によって達成されるアンテナアレイで、例えば8送信(Tx)および8受信(Rx)チャネル(8×8と略される)など、多数の送信チャネルおよび受信チャネルを提供することを指す。マッシブMIMO機能は、8×8、12×12、16×16、32×32、64×64、またはそれ以上で提供され得る。
【0045】
[0056]アンテナ素子は、さまざまな構成および配置を有することができ、さまざまな製造技術を使用して製造され得る。一例として、アンテナ素子および/または関連素子(例えば、グランド素子、給電線など)は、ファインピッチ技術を用いることができる。ファインピッチ技術とは、一般に、コンポーネント間またはリード線間の間隔が小さい、または微細であることを指す。例えば、アンテナ素子間(またはアンテナ素子とグランドプレーン間)のフィーチャ寸法および/または間隔は、約1,500マイクロメートル以下、いくつかの実施形態において1,250マイクロメートル以下、いくつかの実施形態において750マイクロメートル以下(例えば、中心間距離1.5mm以下)、650マイクロメートル以下、いくつかの実施形態において550マイクロメートル以下、いくつかの実施形態において450マイクロメートル以下、いくつかの実施形態において350マイクロメートル以下、いくつかの実施形態において250マイクロメートル以下、いくつかの実施形態において150マイクロメートル以下、いくつかの実施形態において100マイクロメートル以下、いくつかの実施形態において50マイクロメートル以下であり得る。しかしながら、より小さいおよび/またはより大きいフィーチャサイズおよび/または間隔が、本開示の範囲内で用いられ得ることが理解されるべきである。このような小さなフィーチャ寸法の結果として、小さな設置面積で多数のアンテナ素子を有するアンテナシステムが達成され得る。例えば、アンテナアレイは、1,000アンテナ素子/平方センチメートルを超える、いくつかの実施形態において2,000アンテナ素子/平方センチメートルを超える、いくつかの実施形態において3,000アンテナ素子/平方センチメートルを超える、いくつかの実施形態において4,000アンテナ素子/平方センチメートルを超える、いくつかの実施形態において6,000アンテナ素子/平方センチメートルを超える、いくつかの実施形態において約8,000アンテナ素子/平方センチメートルを超える平均アンテナ素子密度(antenna element concentration)を有することができる。このようなアンテナ素子のコンパクトな配置により、アンテナ面積の単位面積当たり、MIMO機能のより多くのチャネル数を提供することができる。例えば、チャネル数は、アンテナ素子の数に対応する(例えば、アンテナ素子の数に等しいかまたは比例する)可能性がある。
【0046】
[0057]PPGセンサは、多種多様な電子部品に用いられ得る。1つの好適な構成において、PPGセンサは、利用可能な内部空間が比較的小さいポータブル電子部品に用いられ得る。好適なポータブル電子部品の例としては、携帯電話、ラップトップコンピュータ、小型ポータブルコンピュータ(例えば、ウルトラポータブルコンピュータ、ネットブックコンピュータ、タブレットコンピュータ)、腕時計型デバイス、ペンダント型デバイス、ヘッドホン・イヤホン型デバイス、ワイヤレス通信機能付きメディアプレイヤー、ハンドヘルドコンピュータ(パーソナルデジタルアシスタントとも呼ばれることがある)、リモートコントローラ、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)デバイス、携帯型ゲーミングデバイスなどが挙げられる。
【0047】
[0058]特定の一実施形態において、PPGセンサはウェアラブルデバイスに用いられる。ウェアラブルデバイスは、個人の身体部位、例えば、ユーザの皮膚、手首、腕、脚、指などとの接触に好適な任意の電子デバイスであってもよい。したがって、ウェアラブルデバイスは、電話、腕時計、アームバンドまたはリストバンド、ヘッドバンド、またはPPG信号もしくは生体情報を収集するのに好適な任意のウェアラブルデバイスであってもよい。ウェアラブルデバイスは、手首、足首、頭部、胸部、脚部、指などに、柔軟でユーザに調節可能にフィットさせることができるバンドを使用して装着されてもよく、あるいは、フィットするようにしっかりとサイズ決めされてもよい。一実施形態において、ウェアラブルデバイスは腕時計である。上述のように、ウェアラブルデバイスは、一般に、ユーザからのPPG信号を測定するために使用され得る。次いで、PPG信号は、さまざまな種類の生理学的情報/データを外挿および監視するために使用され得る。いくつかの変形例において、PPG信号は、ユーザの心拍数に関連する情報を取得するために使用される。例えば、心拍数または心拍数変動に関連するPPG信号の取得は、ウェアラブルデバイスのディスプレイ上でユーザに示されてもよい。心拍数は、ウェアラブルデバイスにおいて任意の好適な方法で示されてもよい。例えば、心拍数は、デバイスのディスプレイ上で数値、画像、またはテキストとして示されてもよく、ウェアラブルデバイスによって音声で提供されてもよい。心拍数は、前述のいずれかの組み合わせによって示されてもよい。いくつかの変形例において、ウェアラブルデバイスは、ユーザが見ることができるLEDのパルスによって表される信号強度インジケータを含んでもよい。ウェアラブルデバイスのいくつかの実施態様において、LEDなどの光を使用して、ユーザの心拍数の周波数で照射される光の振幅を変調することにより、ユーザの心拍数を表示することができる。他の種類の生理学的データも同様の方法で示され得る。取得された心拍数または他の生理学的データに関連する通知も、同様の方法で示され得る。
【0048】
[0059]一般的に言えば、ウェアラブルデバイスは、個人の身体部位に取り付けるために構造化されたハウジングを含んでもよい。所望される場合、ハウジングの全部または一部も、本発明のポリマー組成物から形成されていてもよい。いずれにせよ、ハウジングは、PPGセンサと、任意選択で、PPGセンサから取得されたPPG信号を分析し、生理学的パラメータを決定するように構成されたプロセッサとを受容する。ハウジングは、接触する身体領域に好適な任意のサイズおよび形状を有するように構成されてもよく、上面、裏面、および側面を備えるハウジングと、表面に取り囲まれた内部と、ハウジングの上面に取り付けられたディスプレイとを含んでもよい。ディスプレイは、例えば、静電容量式タッチ電極を組み込んだタッチスクリーンであってもよく、タッチセンサ式でないディスプレイであってもよい。ディスプレイは、発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、プラズマセル、エレクトロウェッティング画素、電気泳動画素、液晶ディスプレイ(LCD)コンポーネント、または他の好適な画像画素構造から形成される画像画素を含んでもよい。ディスプレイカバー層(例えば、ガラスまたは透明プラスチック)が任意選択でディスプレイの表面を覆っていてもよい。上記のようなアンテナシステムも、ウェアラブルデバイス中に用いられ得る。ウェアラブルデバイスは、さまざまなコンポーネントに電力を供給するための電力システムも含んでもよい。電力システムは、電力管理システム、1つまたは複数の電源(例えば、電池、交流(AC))、充電システム、停電検出回路、電力コンバータまたはインバータ、電力状態インジケータ(例えば、発光ダイオード(LED))、およびポータブルデバイスにおける電力の生成、管理、および配電に関連する任意の他のコンポーネントを含んでもよい。
【0049】
[0060]例えば図1Aを参照すると、好適なウェアラブルデバイス100の一実施形態がより詳細に示されている。本実施形態において、ウェアラブルデバイス100は、ハウジング102と、タッチセンサ式ディスプレイスクリーン104とを含む。タッチスクリーン104(またはタッチセンサ式表面)は、加えられる接触(例えば、タッチ)の強度を検出するための1つまたは複数の強度センサを有することができる。タッチスクリーン104の1つまたは複数の強度センサは、タッチの強度を表す出力データを提供することができる。デバイス100のユーザインターフェースは、タッチの強度に基づいてタッチに応答することができ、これは、異なる強度のタッチがデバイス100上で異なるユーザインターフェース操作を呼び出すことができることを意味する。いくつかの実施形態において、デバイス100はまた、1つまたは複数の入力機構106および508、例えば押しボタンまたは回転可能機構を有することができる。デバイス100はまた、1つまたは複数の取り付け機構、例えば、フックおよびループの使用によりユーザに固定され得るバンド(例えば、ベルクロ)、留め金、および/または、例えば、バネ金属バンドの使用による形状記憶バンドを含んでもよい。
【0050】
[0061]図1Bは、ウェアラブルデバイス100に用いられ得るコンポーネントのさらなる例を示す。より詳細には、本実施形態において、デバイス100は、I/O部114を1つまたは複数のコンピュータプロセッサ116およびメモリ118と動作可能に連結するバス112を有する。I/O部114は、ディスプレイ104に接続されてもよく、このディスプレイは、タッチセンサ式コンポーネント122と、任意選択で、タッチ強度センサ式コンポーネント124とを有することができる。加えて、I/O部114は、アプリケーションおよびオペレーティングシステムデータを受信するための通信ユニット130、例えば、Wi-Fi、Bluetooth、近距離無線通信(NFC)、セルラー、および/または他のワイヤレス通信技術を使用して信号を送信する上記のようなアンテナシステムと接続されてもよい。ウェアラブルデバイス100はまた、GPSセンサ132、加速度計134、方向センサ140(例えば、コンパス)、ジャイロスコープ136、モーションセンサ138、PPGセンサ108などのさまざまなセンサを含んでもよく、これらのセンサはすべて、I/O部114に動作可能に接続され得る。メモリ118は、コンピュータ実行可能命令を記憶するための、非一時的コンピュータ読み取り可能記憶媒体であり得、コンピュータ実行可能命令は、例えば、1つまたは複数のコンピュータプロセッサ116によって実行されると、コンピュータプロセッサに、以下でさらに説明されるアルゴリズムを実行させることができる。コンピュータ実行可能命令はまた、命令実行システム、装置、またはデバイスから命令をフェッチし、命令を実行することができる命令実行システム、装置、またはデバイス、例えばコンピュータベースシステム、プロセッサ含有システム、または他のシステムによって、またはそれらのシステムに関連して使用するために、任意の非一時的コンピュータ読み取り可能記憶媒体内に記憶および/またはトランスポートされてもよい。本明細書の目的上、「非一時的コンピュータ読み取り可能記憶媒体」は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって、または命令実行システム、装置、またはデバイスに関連して使用されるためのコンピュータ実行可能命令を実態的に格納または記憶することができる任意の媒体であり得る。非一時的コンピュータ読み取り可能記憶媒体としては、磁気、光学、および/または半導体記憶装置を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。PPGセンサから取得された情報に基づいてさまざまなアルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサ(図示せず)がハウジングに含まれてもよい。
【0051】
[0062]PPGセンサは、ウェアラブルデバイスの任意の好適な位置に設けられてもよい。一実施形態において、ウェアラブルデバイスのハウジングは、上述のようなPPGセンサを含む。PPGセンサは、ハウジング裏面など、ハウジング内に含有される別個のデバイスとして設けられてもよい。しかしながら、他の実施形態において、PPGセンサのコンポーネント(例えば、光源および/または光検出器)は、統合PPGセンサシステムを形成するために一緒になって通信する別個のコンポーネントとしてハウジング内に設けられてもよい。例えば、光源は、ウェアラブルデバイスハウジングの表面の組み合わせ、例えば裏面および側面に設けられてもよい。1つまたは複数の光源はまた、ウェアラブルデバイスの取り付け機構に設けられてもよい。例えば、ウェアラブルデバイスが腕時計である場合、1つまたは複数の光源はリストバンド上に配置されてもよい。光検出器も同様に、ウェアラブルデバイスの任意の好適な位置に設けられ、配置されてもよい。一実施形態において、1つまたは複数の検出器が、ウェアラブルデバイスハウジングの裏面に配置されてもよい。別の実施形態において、1つまたは複数の光検出器が、ウェアラブルデバイスハウジングの側面に配置されてもよい。1つまたは複数の検出器も同様に、ウェアラブルデバイスの取り付け機構に設けられてもよい。例えば、ウェアラブルデバイスが腕時計である場合、1つまたは複数の検出器はリストバンド上に配置されてもよい。
【0052】
[0063]本明細書で言及される特定の特性を決定するために、以下の試験方法が用いられ得る。
試験方法
[0064]溶融粘度:溶融粘度(Pa・s)は、Dynisco社LCR7001キャピラリーレオメーターを使用して、せん断速度1,000s-1、および融解温度より15℃高い温度で、ISO試験番号11443:2014に準拠して決定され得る。レオメーターオリフィス(ダイ)の直径は1mm、長さは20mm、L/D比は20.1、流入角度は180°であった。バレルの直径は9.55mm+0.005mm、ロッドの長さは233.4mmであった。
【0053】
[0065]融解温度:融解温度(「Tm」)は、当該技術分野において公知であるように、示差走査熱量測定(「DSC」)によって決定され得る。融解温度は、ISO試験番号11357-2:2020によって決定される示差走査熱量測定(DSC)ピーク融解温度である。TA Q2000装置で実施されるDSC測定を使用するDSC手順では、ISO規格10350に記載されているように、サンプルを毎分20℃で加熱および冷却した。
【0054】
[0066]荷重たわみ温度(「DTUL」):荷重たわみ温度は、ISO試験番号75-2:2013(ASTM D648-18と技術的に同等)に準拠して決定され得る。より詳細には、長さ80mm、厚さ10mm、および幅4mmを有するテストストリップサンプルを、規定荷重(最大外繊維応力)1.8メガパスカルで面内(edgewise)3点曲げ試験に供してもよい。試験片は、0.25mm(ISO試験番号75-2:2013では0.32mm)たわむまで、毎分2℃で温度が上昇するシリコーン油浴内に下げられてもよい。
【0055】
[0067]引張弾性率、引張応力、および引張伸び:引張特性は、ISO試験番号527:2019(ASTM D638-14と技術的に同等)に準拠して試験することができる。弾性率および強さの測定は、長さ80mm、厚さ10mm、および幅4mmを有する同じテストストリップサンプルに対して行うことができる。試験温度は23℃であってもよく、試験速度は1mm/minまたは5mm/minであってもよい。
【0056】
[0068]曲げ弾性率、曲げ応力、曲げ伸び:曲げ特性は、ISO試験番号178:2019(ASTM D790-10と技術的に同等)に準拠して試験することができる。本試験は、支持スパン64mmで実施され得る。試験は、切断されていないISO 3167多目的試験片(multi-purpose bar)の中央部分で実施され得る。試験温度は23℃であってもよく、試験速度は2mm/minであってもよい。
【0057】
[0069]シャルピー衝撃強さ:シャルピー特性は、ISO試験番号ISO 179-1:2010)(ASTM D256-10、方法Bと技術的に同等)に準拠して試験することができる。本試験は、タイプ1試験片サイズ(長さ80mm、幅10mm、厚さ4mm)を使用して実施され得る。ノッチ付き衝撃強さを試験する場合、ノッチはタイプAノッチ(底面半径0.25mm)であってもよい。試験片は、シングルトゥースフライス盤を使用して多目的試験片の中心から切り出すことができる。試験温度は23℃であってもよい。
【0058】
[0070]ロックウェル硬さ:ロックウェル硬さは、材料の耐圧痕性の尺度であり、ASTM D785-08(スケールM)に準拠して決定され得る。試験は、まず鋼球圧子を材料の表面に規定の小荷重で押し込むことによって行われる。次いで、荷重を規定の大荷重まで増加させ、元の小荷重まで低減させる。ロックウェル硬さは、圧子の深さの、正味の増加量を示す尺度であり、130からくぼみ(penetration)を目盛で割った値を引くことによって算出される。
【0059】
[0071]誘電率(「Dk」)および誘電正接(「Df」):誘電率(または比静的誘電率)および誘電正接(または損失正接)は、IPC650試験方法No.2.5.5.13(1/07)に準拠して2GHzの周波数で決定される。本方法によれば、面内誘電率および誘電正接は、スプリットシリンダ共振器を使用して決定され得る。試験したサンプルは、厚さ8.175mm、幅70mm、長さ70mmであった。
【0060】
[0072]表面/体積抵抗率:表面抵抗率および体積抵抗率の値は、IEC 62631-3-1:2016またはASTM D257-14に準拠して決定され得る。この手順に従って、標準試料(例えば、1m立方体)を2つの電極の間に配置する。電圧を60秒間印加し、抵抗値を測定する。表面抵抗率は、電位勾配(単位:V/m)と電極の単位長さ当たりの電流(単位:A/m)の商であり、一般に絶縁材料の表面に沿った漏れ電流に対する抵抗を表す。電極の4つの端が正方形を画定するため、商の長さは約分され、表面抵抗率はΩで報告されるが、より記述的な単位であるΩ/スクエアもよく見られる。体積抵抗率もまた、材料中の電流に平行な電位勾配の電流密度に対する比として決定される。SI単位において、体積抵抗率は、材料の1m立方体の対向面間の直流抵抗率(Ω・mまたはΩ・cm)に数値的に等しくなる。
【0061】
[0073]本発明の、これらのおよび他の修正および変形は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得る。さらに、さまざまな実施形態の態様は、全体的または部分的に互換され得ることが理解されるべきである。さらに、当業者であれば、前述の説明は例示に過ぎず、添付の特許請求の範囲においてさらに説明される本発明を限定することが意図されるものではないことを理解するであろう。
図1A
図1B
図2
図3
【国際調査報告】