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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】電源供給装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240625BHJP
   H03K 17/00 20060101ALI20240625BHJP
   H03K 17/56 20060101ALI20240625BHJP
   H05B 45/375 20200101ALI20240625BHJP
   H05B 45/38 20200101ALI20240625BHJP
   H05B 45/385 20200101ALI20240625BHJP
   H05B 45/50 20220101ALI20240625BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H02M3/155 C
H03K17/00 A
H03K17/56 A
H05B45/375
H05B45/38
H05B45/385
H05B45/50
H02M3/28 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571829
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 KR2021006507
(87)【国際公開番号】W WO2022244906
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0065732
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523436274
【氏名又は名称】ベク,ジョン ハク
【氏名又は名称原語表記】BAEK, Jong Hak
【住所又は居所原語表記】197, Seoun-ro, Seocho-gu Seoul 06608 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ベク,ジョン ハク
【テーマコード(参考)】
3K273
5H730
5J055
【Fターム(参考)】
3K273AA08
3K273AA10
3K273BA30
3K273BA32
3K273BA34
3K273CA02
3K273EA06
3K273EA24
3K273EA40
3K273GA14
3K273GA15
3K273GA22
3K273GA28
3K273GA29
5H730AA20
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS11
5H730BB13
5H730BB14
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5H730EE07
5H730FD11
5H730FD51
5H730FF09
5H730FG05
5J055AX34
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5J055AX52
5J055AX53
5J055AX66
5J055BX16
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5J055CX22
5J055DX03
5J055DX09
5J055DX22
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5J055EY01
5J055EY07
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5J055EY17
5J055EY21
5J055FX01
5J055FX04
5J055FX08
5J055FX13
5J055FX19
5J055FX32
5J055GX01
5J055GX02
5J055GX04
5J055GX05
(57)【要約】
本発明の一側面による電源供給装置は、第1端子及び制御信号の入力を受ける第2端子を含み、前記第1端子及び前記第2端子の間の電圧と閾値電圧との間の大きさを比較してオン又はオフ(On-OFF)されるように動作するスイッチ、及び前記第1端子と接続されて前記第1端子のソース電圧の大きさを変更する保護素子を含み、前記第1端子のソース電圧の大きさは、前記保護素子がない時よりも上昇するように調整できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源供給装置において、
第1端子及び制御信号の入力を受ける第2端子を含み、前記第1端子及び前記第2端子の間の電圧と閾値電圧との間の大きさを比較してオン又はオフ(On-OFF)するように動作するスイッチと、
前記第1端子と接続されて前記第1端子のソース電圧の大きさを変更する保護素子とを含み、
前記第1端子のソース電圧の大きさは、前記保護素子がない時よりも上昇するように調整される電源供給装置。
【請求項2】
前記スイッチ及び前記保護素子を含む入力電源部の入力電源を用いて出力電源を生成するスイッチング変換部と、
前記スイッチング変換部の動作制御信号を生成する駆動制御部と、
前記スイッチング変換部及び前記駆動制御部のうちの少なくとも1つに電源を供給する電源発生部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項3】
前記保護素子は、
前記スイッチング変換部のグラウンド及び前記第1端子と接続されるように形成され、
前記制御信号が印加されて前記スイッチがオンになると、前記ソース電圧が前記第1端子に印加されるように構成され、
予め決定された大きさの複数の抵抗素子及び予め決定された大きさの閾値電圧を有する複数のダイオードのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2に記載の電源供給装置。
【請求項4】
前記スイッチは、
前記第1端子と前記第2端子との電圧差と、前記閾値電圧とを比較してオン又はオフになるように動作することを特徴とする請求項3に記載の電源供給装置。
【請求項5】
前記駆動制御部は、
前記スイッチをオンにするための電圧値である第1端子及び前記第2端子の電圧差の最大値が変更された前記閾値電圧の絶対値の大きさを超えるように前記制御信号を決定することを特徴とする請求項3に記載の電源供給装置。
【請求項6】
前記スイッチング変換部は、
前記駆動制御部に接続され、前記保護素子と前記グラウンドとの間に備えられるフィードバック抵抗素子を更に含むことを特徴とする請求項3に記載の電源供給装置。
【請求項7】
前記スイッチング変換部は、
前記フィードバック抵抗素子と並列接続され、前記保護素子と前記グラウンドとの間に設けられる緩衝キャパシタを更に含むことを特徴とする請求項6に記載の電源供給装置。
【請求項8】
前記出力電源の伝達を受けて駆動される製品負荷を更に含み、
前記駆動制御部は、
前記フィードバック抵抗素子に流れる電流に基づいて、
前記入力電源及びインダクタを介して前記製品負荷に対応する前記出力電源を提供できる前記制御信号を決定することを特徴とする請求項6に記載の電源供給装置。
【請求項9】
前記スイッチは、
インダクタと接続される第3端子を含み、
前記駆動制御部は、
前記閾値電圧の変更と独立して前記フィードバック抵抗素子に流れる電流に基づいて、前記第3端子を介して伝達される電流の量を決定する前記制御信号を決定することを特徴とする請求項6に記載の電源供給装置。
【請求項10】
前記保護素子は、
第1方向に直列接続されている少なくとも1つのダイオードを含む第1ダイオードグループと、前記第1方向と反対方向である第2方向に直列接続されている少なくとも1つのダイオードを含む第2ダイオードグループを並列接続して形成されることを特徴とする請求項3に記載の電源供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に用いられる電源供給装置及びその駆動方式に関する。
【背景技術】
【0002】
LED照明機器の電源供給装置であるスイッチモード電源供給装置(Switched Mode Power Supply;以下SMPS)が高レベル放射線による環境に一定以上露出すると、SMPSは破壊される。SMPSが破壊されると、LED照明機器に電源が供給されず、照明機器がこれ以上動作できなくなる致命的な問題が発生する。従って、原子力発電所のように高レベル放射線地域という空間の特殊性を有する場所にてLED照明機器のような電子機器を用いるためには、装置内の電源供給装置が破壊される問題を必ず解決しなければならない。
【0003】
本発明の説明のために、原子力発電所という場所とLED照明という電子機器を例として用いたが、これは本発明を限定しようとする意図ではない。全ての電子機器には、必ず電源を供給するための電源供給装置が必要である。従って、本発明は、空間の特殊性により環境ストレスが発生し得る場所で用いる電子機器の電源供給装置及び駆動方式に関するものと理解しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、宇宙空間のように太陽の活動により宇宙放射線(cosmic rays)が高い環境空間であるか、又は原子力発電所の原子炉格納容器のように電磁波又は放射線が強い環境空間のように環境ストレスが発生し得る場所で用いる電子機器に用いられる電源供給装置及びその駆動方式を提供することにある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に限らず、言及していない更に他の課題は、以下の記載から通常の技術者が明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するための本発明の一側面による電源供給装置は、第1端子及び制御信号の入力を受ける第2端子を含み、前記第1端子及び前記第2端子の間の電圧と閾値電圧との間の大きさを比較してオン又はオフ(On-Off)するように動作するスイッチと、前記第1端子と接続されて前記第1端子のソース電圧の大きさを変更する保護素子と、を含み、前記第1端子のソース電圧の大きさは、前記保護素子がない時よりも上昇するように調整できる。
【0007】
本発明の一実施例による電源供給装置は、前記スイッチ及び前記保護素子を含む入力電源部の入力電源を用いて出力電源を生成するスイッチング変換部と、前記スイッチング変換部の動作制御信号を生成する駆動制御部と、前記スイッチング変換部及び前記駆動制御部のうちの少なくとも1つに電源を供給する電源発生部と、を更に含むことができる。
【0008】
また、保護素子は、前記スイッチング変換部のグラウンド及び前記第1端子と接続されるように形成され、前記制御信号が印加されて前記スイッチがオンになると、前記ソース電圧が前記第1端子に印加されるように構成され、予め決定された大きさの複数の抵抗素子及び予め決定された大きさの閾値電圧を有する複数のダイオードのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0009】
また、スイッチは、前記第1端子と前記第2端子との電圧差と、前記閾値電圧とを比較してオン又はオフになるように動作できる。
【0010】
更に、駆動制御部は、前記スイッチをオンにするための電圧値である第1端子及び前記第2端子の電圧差の最大値が変更された前記閾値電圧の絶対値の大きさを超えるように前記制御信号を決定できる。
【0011】
また、スイッチング変換部は、前記駆動制御部に接続され、前記保護素子と前記グラウンドとの間に備えられるフィードバック抵抗素子を更に含むことができる。
【0012】
更に、スイッチング変換部は、前記フィードバック抵抗素子と並列接続され、前記保護素子と前記グラウンドとの間に設けられる緩衝キャパシタを更に含むことができる。
【0013】
本発明の一実施例による電源供給装置は、前記出力電源の伝達を受けて駆動される製品負荷を更に含み、このとき、駆動制御部は、前記フィードバック抵抗素子に流れる電流に基づいて、前記入力電源及びインダクタを介して前記製品負荷に対応する前記出力電源を提供できる前記制御信号を決定できる。
【0014】
また、スイッチは、インダクタと接続される第3端子を含み、このとき、駆動制御部は、前記閾値電圧の変更と独立して前記フィードバック抵抗素子に流れる電流に基づいて、前記第3端子を介して伝達される電流の量を決定する前記制御信号を決定できる。
【0015】
また、保護素子は、第1方向に直列接続される少なくとも1つのダイオードを含む第1ダイオードグループと、前記第1方向と反対方向である第2方向に直列接続される少なくとも1つのダイオードを含む第2ダイオードグループを並列接続して形成できる。本発明のその他の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施例によれば、環境ストレスが発生し得る空間で用いる電子機器の電源供給装置が環境ストレスにより誤動作するか、又は破壊されるのを防止して、ストレスが存在する環境で電子機器に安定的に電源を供給できる。
【0017】
また、本発明の実施例によれば、電源供給装置の破壊が懸念される環境でも電子機器を用いることができる。
【0018】
更に、本発明の実施例によれば、電源供給装置で用いられる半導体スイッチ素子の漏れ電流を低減できる。
【0019】
発明の効果は、以上で言及した効果に限らず、言及していない更に他の効果は、以下の記載から通常の技術者が明確に理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施例による電源供給装置のブロック図である。
図2a】一実施例によるブーストコンバータの回路構成図である。
図2b】他の実施例による電源供給装置が用いられたフライバック(flyback)回路である。
図2c】一実施例による保護素子の有無に応じた閾値電圧と制御信号を示すグラフである。
図3a】一実施例による保護素子がダイオードからなることを示す図である。
図3b】一実施例による保護素子がダイオードからなることを示す図である。
図3c】一実施例による保護素子がダイオードからなることを示す図である。
図4a】一実施例による保護素子が抵抗からなることを示す図である。
図4b】一実施例による保護素子が抵抗からなることを示す図である。
図5a】一実施例によるフィードバック抵抗と緩衝キャパシタが接続されていることを示す図である。
図5b】一実施例による緩衝キャパシタの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に制限されるものではなく、互いに異なる多様な形態に実現することができる。但し、本実施例は本発明の開示を完全なものにし、本発明の属する技術分野における通常の技術者に本発明の範囲を完全に理解させるために提供されるものであり、本発明は請求項の範囲により定義されるに過ぎない。
【0022】
本明細書で用いられる用語は、実施例を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数型は特に言及しない限り複数型も含む。明細書で用いられる「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」は、言及された構成要素以外に1つ以上の他の構成要素の存在又は追加を排除しない。明細書全体に亘って同一の図面符号は同一の構成要素を示し、「及び/又は」は言及された構成要素のそれぞれ及び1つ以上の全ての組み合わせを含む。たとえ、「第1」、「第2」などが多様な構成要素を叙述するために用いられていても、これらの構成要素は、これらの用語により制限されないのは当然である。これらの用語は、単に1つの構成要素を他の構成要素と区別するために用いる。従って、以下で言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素でもあり得るのは言うまでもない。
【0023】
他の定義がなければ、本明細書で用いられる全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の技術者が共通して理解できる意味として用いられる。また、一般に用いられる辞典に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的に又は過度に解釈されない。
【0024】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0025】
放射線による環境で用いられる電子機器の電源供給装置が破壊される問題を解決するための従来の技術は、電源供給装置を構成する部品のうち放射線に弱い部品が放射線に露出されるのを最小化して保護しようとする受動的な回避方法でアプローチしていた(特許文献0001)。しかし、従来の放射線遮蔽を用いた方式によれば、放射線を完全に遮蔽することが不可能なため、一定以下の低い水準の放射線吸収線量(absorbed dose)の環境でのみ一部適用が可能であるという限界がある。従って、より確実な問題解決方式が必要である。
【0026】
問題を解決するために提案する本発明の実施例を説明するために、高レベル放射線による環境において電源供給装置が破壊される原因は、次の通りである。電源供給装置を構成する複数の部品素子が放射線による環境に露出すると、放射線の影響により素子の電気的特性(Electrical Characteristics)が変わる。そのため、過電流が流れることになると、スイッチ素子が破壊され、これにより、電源供給装置も破壊されて動作しなくなる。
【0027】
このような原因分析結果を基に、本発明を実現するための好適な実施例を、図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施例による電源供給装置のブロック図(Block diagram)である。実施例による電源供給装置は、入力電源部(Input Power、100)を介して供給される直流又は交流(AC or DC)の入力電源を用い、スイッチ(Switch、SW、250)を含み、含まれているスイッチ250の動作を用いて出力電源を生成するスイッチング変換部(Switching Converter、200)と、スイッチング変換部200のスイッチ250の動作を制御するための制御信号(Control signal;VSIG)を生成する駆動制御部(Driving Controller、300)と、スイッチング変換部200及び駆動制御部300に必要な電源を供給する電源発生部(Voltage Generator、400)を含む。
【0029】
このとき、実施例のスイッチング変換部200のスイッチ250は、半導体スイッチ素子として実現できる。半導体スイッチ素子は、N型(N-type)又はP型(P-Type)金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor;以下MOSFET)や、NPN型又はPNP型バイポーラ接合トランジスタ(Bipolar Junction Transistor;以下BJT)又はIGBT(Insulated gate bipolar transistor)として実現される。
【0030】
実施例のスイッチング変換部200は、スイッチ250を動作して目標(target)とする出力電源を送り出す構造を有する様々な形態の電源供給装置が含まれる。例として、様々な形態の電源供給装置としては、SMPSと線形レギュレータ(Linear Regulator)が含まれる。例として、SMPSは、インダクタ又はキャパシタを用いる方式又はトランスフォーマ(Transformer)の使用可否によって、非絶縁型と絶縁型方式、非絶縁型にはバック、ブースト、バック-ブースト、チューク(Cuk)及びセピック(sepic)方式、そして絶縁型にはフライバック、プッシュ-プル(push-pull)及び絶縁型チューク方式が含まれる。
【0031】
このとき、実施例の駆動制御部300は、スイッチング変換部200を制御するための制御信号を生成する。
【0032】
このとき、実施例の電源発生部400は、スイッチング変換部200と駆動制御部300に必要な電源を生成する。
【0033】
図1を参照して、本発明の一実施例による電源供給装置の駆動方式を詳察すると、本発明の好適な実施例の動作をより詳細に説明するための一実施例として、ブーストコンバータを用いて説明する。説明のために様々な種類の電源供給装置のうちブーストコンバータを用いるのは理解を促進するためのものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。なお、説明するにあたり、前述したのと同一であるか、又は類似する要素については、説明を省略できる。
【0034】
図2aは、一実施例によるブーストコンバータの回路構成図であり、図2bは、他の実施例による電源供給装置が用いられたフライバック(flyback)回路であり、図2cは、一実施例による保護素子の有無に応じた閾値電圧と制御信号を示すグラフである。
【0035】
図2a及び図2bを参照すると、スイッチング変換部200は、電流の流れを制御するスイッチ(SW、250)としてN型MOSFETを用い、スイッチ250と相補的動作を行い、電流の流れを制御するダイオード(D、220)を用いることができる。
【0036】
図2aに示したブースト回路の場合には、エネルギーを貯蔵するインダクタ(L、210)及びキャパシタ(C、230)を含んでおり、スイッチ250を制御するための制御信号を生成する駆動制御部300と、駆動制御部300に電源を供給する電源発生部400とを含むことができる。
【0037】
一方、スイッチ250は、ソース端子に対応する第1端子及び制御信号の入力を受ける第2端子を含むことができる。
【0038】
制御信号VSIGは、駆動制御部300がスイッチ250を制御するために伝達する信号を意味し得る。第2端子は、ゲート端子に対応できる。
【0039】
スイッチ250は、第1端子及び第2端子の間の電圧と、スイッチ250素子の閾値電圧との大きさを比較してオン又はオフ(On-OFF)動作を行える。
【0040】
スイッチ250は、第1端子と第2端子の電圧の大きさの差と閾値電圧Vthとの差に基づいて動作できる。
【0041】
具体的に、第1端子と第2端子の電圧の差が閾値電圧よりも大きいと、スイッチ250がオン動作し、第1端子と第2端子の電圧の差が閾値電圧よりも小さいと、スイッチ250がオフ動作できる。
【0042】
一方、スイッチ250は、保護素子P2と接続できる。保護素子P2は、電流の流れによってスイッチ250の第1端子であるソース端子の電圧を、既存の保護素子が接続されていない場合よりも高い電圧とする役割を果たす。
【0043】
このような保護素子P2は、スイッチング変換部200のスイッチ素子のソース端子である第1端子と接続できる。
【0044】
ここで、保護素子P2が接続されているスイッチのソース端の電圧は、保護素子が備えられていない場合のソース端の電圧よりも増加し得る。
【0045】
スイッチ250に放射能が照射されると、スイッチ閾値電圧の特性は、放射能照射前の閾値電圧の特性と値が変わることになる。例えば、N型MOSFETの場合は、放射能が照射された場合に閾値電圧が低くなり、放射能の量に応じて負の電圧にも変更されうる。
【0046】
この場合、保護素子がなければ、スイッチの第2信号に印加される駆動制御部の制御信号の低い電圧レベルでは、放射能によって閾値電圧が低くなったスイッチを完全にオフさせることができない。
【0047】
保護素子がない場合には、放射能が照射されて変更された閾値電圧のレベルよりも制御信号の電圧レベルが低くないため、スイッチをオフさせることができず、スイッチに過多な電流が流れる恐れがある。
【0048】
即ち、保護素子がなければ、制御信号と関係なく、スイッチング変換部に電流が過度に流れてしまい、スイッチに損傷が発生し得る。
【0049】
但し、図2aのように、スイッチング変換部200に保護素子が備えられると、スイッチ250の第1端子の電圧がスイッチの第2端子電圧よりも高くなり、スイッチング変換部200に過電流が流れるのを防止できる。
【0050】
スイッチ250は、第1端子と前記第2端子との電圧差と、閾値電圧Vthとを比較してオン又はオフできる。
【0051】
図2cを参照すると、スイッチの閾値電圧が正常な場合R21と、放射線が照射されてスイッチの閾値電圧が低くなった場合R22、R23を示している(A、B、Cは正数であり、各値の絶対値の大きさは、C>B>Aを満す)。
【0052】
AVの大きさを有する正常なスイッチ250に放射線が照射されていない場合R21には、駆動制御部が出力する制御信号に基づいてVgsがAVを超えるとスイッチがオン動作し、AV未満であるとスイッチがオフとなる。
【0053】
反面、スイッチ250に放射線が照射されて、閾値電圧Vthが既存の閾値電圧よりも減少してAVから-BVに減少した場合、R21のような制御信号を入力として受けると、常に閾値電圧よりもVgsが大きいので、スイッチがオン動作することになる(R22)。
【0054】
この場合には、あまりにも大量の電流がスイッチング変換部に流れて、スイッチング変換部に過負荷がかかる恐れがある。
【0055】
従って、保護素子を通じてスイッチのソース端子の電圧を増加させてスイッチに印加されるVgsを減少させると、制御信号に従ってスイッチをオン又はオフできるので、スイッチング変換部200の正常な動作が可能である(R23)。
【0056】
一方、保護素子P2は、予め決定された大きさの抵抗素子や、ダイオード素子、又は抵抗素子とダイオード素子から構成できる。
【0057】
一方、駆動制御部300は、第1端子及び第2端子の電圧差の最大値が変更された閾値電圧の絶対値の大きさを超えるように制御信号を決定できる。
【0058】
例えば、閾値電圧VthがAVよりも減少した-BVの場合、スイッチ250のオフ区間の場合にスイッチング変換部のショートを防止するためには、第1端子と第2端子の電位差、即ちVgsが-BVよりも小さくなければならない。
【0059】
一実施例によって、保護素子P2によりスイッチ250のソース電圧の最小値が-CVとなる場合、ソース電圧に制御信号が付加されてVgsが-BVよりも大きい場合にはスイッチがオン動作し、-BVよりも小さい場合にはオフ動作できる(R23)。
【0060】
このような実施例において、制御信号の大きさが-BVと-CVの差よりも小さければ、Vgsが常に-BVよりも小さいため、スイッチが常にオフになるので、スイッチの正常な動作のために制御信号の最大値は、少なくとも-BVと-CVの差を超えなければならない。従って、駆動制御部は、第1端子及び第2端子の電圧差の最大値が、変更された閾値電圧の絶対値の大きさを超える制御信号を出力してスイッチング変換部の動作を制御できる。
【0061】
駆動制御部300は、入力電源100及びインダクタ210を介して前記製品負荷に対応する出力電源を提供できる前記制御信号を決定できる。
【0062】
以下では、図2aで実現されるブースタ動作を説明する。
【0063】
更に図2aを参照すると、ブーストコンバータは、入力として受けた電圧を昇圧して出力するSMPSであって、制御信号によってスイッチ250のオンオフ(On-Off)デューティ比(Duty ratio)を制御して入力電圧Vinを基準に出力電圧VOUTの昇圧の大きさを下式1によって決定する。
【0064】
【数1】
【0065】
ここで、入力電圧Vinは、交流電圧であるか、又は直流電圧であり得る。このとき、入力電圧が交流電圧の場合は、入力電源部に整流部(図示せず)を更に含むことができ、整流部は用途に応じて多様に実現できる。本実施例では、直流電圧の場合を例として用いる。
【0066】
実施例によるブーストコンバータの動作を説明すると、次の通りである。電源発生部400は、電源を生成して駆動制御部300に電源を供給し、スイッチング変換部200にあるスイッチ250を制御するために駆動制御部300で制御信号VSIGを生成できる。
【0067】
このとき、電圧レベルの制御信号VSIGによってスイッチ250が導通(On)されると、入力電圧Vinからインダクタ210を通過する電流ILは、ダイオード220の漏れ電流(Leakage current)を除いて、ダイオード220の方向には電流が流れず(ID≒0)、スイッチ250に流れる電流IMのみ流れながら(IL≒IM)、エネルギーがインダクタ210に貯蔵される。
【0068】
その後、制御信号によってスイッチ250が遮断されると、スイッチ250に流れる電流IMは流れず、反面、インダクタ210に蓄積されたエネルギーと入力電圧Vinが加わってダイオード220を通過する電流IDが流れながら(IL≒ID)、出力電圧VOUTは昇圧される。このとき、キャパシタ230は、出力電圧VOUTを格納し、安定的に製品負荷Loadに出力電圧を供給する。
【0069】
駆動制御部300で生成した制御信号VSIGがスイッチング変換部200のスイッチ250のゲートに直接接続されて動作を制御し、このとき、制御信号VSIGは0VからVDDにスイングする。
【0070】
一方、図2a乃至図2cで説明した動作は、本発明のスイッチング変換部がブースタ回路として動作する一実施例を説明したものに過ぎず、スイッチング変換部がブースタ回路として動作する実施に制限はない。
【0071】
図3a乃至図3cは、一実施例による保護素子がダイオードからなることを示す図である。
【0072】
図3aを参照すると、スイッチ250に接続されている保護素子P3aがダイオードで接続されていることを示している。
【0073】
ダイオードは、特定の閾値電圧を有しており、電流が流れると、電流の量に応じてスイッチ250のソース端にダイオードの閾値電圧又はそれ以上の上昇した電圧を印加できる。
【0074】
一方、保護素子P3aは、スイッチの閾値電圧が変更される範囲を考慮して決定できる。
【0075】
後述する説明では、フィードバック抵抗の大きさは非常に小さいことを仮定して説明する。
【0076】
例えば、スイッチ250に放射線が照射されて図2cのように閾値電圧が-BVに変更され、保護素子は、閾値電圧がDVである4つのダイオードを直列接続することで構成できる。
【0077】
Dは正数であり、以下ではBの絶対値が4Dの絶対値よりも小さいことを仮定して説明する。
【0078】
上述した構成を通じて保護素子P3aによる電圧の増加が閾値電圧の絶対値を超えるように構成できる。
【0079】
上述した構成により、スイッチのソース端に4DVの上昇した電圧を印加できる。スイッチのソース端の電圧が増加すると、制御信号が0Vに入力される場合にVgsが-4DVになって閾値電圧が-BVに減少してもスイッチがオフ動作できる。
【0080】
一方、4DVとの差がVthを超える制御信号が印加されると、VgsがVthよりも大きくなるので、スイッチがオン動作できる。
【0081】
保護素子は、図3aのように、ダイオードが直列接続される形態で構成でき、図3bのように、並列接続される形態(P3b)で構成することもできる。
【0082】
一方、本発明の他の実施例によれば、ダイオードは、方向性を異にして図3cのような形態で構成できる。
【0083】
具体的に、図3cでは、複数のダイオードが一方向に直列接続され、他の方向のダイオードと並列に逆方向に接続されている形態を示している。
【0084】
具体的に、第1方向に直列接続されている複数のダイオードは、第1ダイオードグループG31を形成できる。
【0085】
また、第1方向と反対方向である第2方向に直列接続されているダイオードは、第2ダイオードグループG32を形成できる。
【0086】
第2ダイオードグループG32に含まれているダイオードは、1つのダイオードからなることもでき、複数のダイオードからなることもできる。
【0087】
第1ダイオードグループと第2ダイオードグループは、並列に接続できる。
【0088】
このように保護素子を形成する場合においては、ダイオードの接続形態に制限がなく、本明細書に言及した接続方法以外にもダイオードで保護素子が備えられる形態に制限はない。
【0089】
図4a及び図4bは、一実施例による保護素子P4a、P4bが抵抗からなることを示す図である。
【0090】
抵抗素子は、電流が流れると、流れる電流に対応して電圧が印加されるので、スイッチング変換部200の動作が行われて電流が流れると、該当電流だけスイッチソース端に電圧が増加し得る。
【0091】
一方、保護素子P4a、P4bは、スイッチの閾値電圧が変更される範囲を考慮して決定できる。
【0092】
図4aのように、スイッチ250に放射線が照射されて閾値電圧が-EVに変更される場合、保護素子P4aは、抵抗の大きさがKオーム(Ω)となり、保護素子P4aに1Aが流れると、保護素子に電圧としてKVが印加される(E、Kは正数であり、Eの絶対値はKよりも小さい)。
【0093】
上述した構成によりソース端に、上昇したKVの電圧が印加される。このようにスイッチのソース端の電圧が増加すると、制御信号が0Vに入力される場合にVgsが-KVになって閾値電圧が-EVに変更されてもスイッチがオフ動作できる。
【0094】
即ち、(K-E)V以上の制御信号が印加されると、Vgsが-EVよりも大きくなるので、スイッチがオン動作できる。
【0095】
保護素子は、図4aのように、抵抗素子が直列接続されている形態で構成することもでき、図4bのように、並列接続されている形態(P4b)で構成することもできる。
【0096】
一方、上述した保護素子の具備形態は、本発明を説明するための一実施例に過ぎず、スイッチ素子のソース端の電圧を上昇させることができる要素であれば、保護素子の種類及び具現形態に制限はない。
【0097】
図5aは、一実施例によるフィードバック抵抗素子Fと緩衝キャパシタC1が接続されていることを示す図であり、図5bは、一実施例による緩衝キャパシタC1の機能を説明するグラフである。また、図5aは、保護素子がダイオードで直列接続の形態で構成されていることを示している(P5)。
【0098】
図5aを参照すると、駆動制御部は、フィードバック抵抗素子Fと接続されてフィードバック抵抗素子に流れる電流をセンシングできる。
【0099】
これに基づいて駆動制御部300は、スイッチング変換部を制御できる。
【0100】
具体的に、駆動制御部300は、フィードバック抵抗素子Fに電流が多く流れると、スイッチがオフになるように制御信号を伝達してフィードバック抵抗素子Fに流れる電流を減少させることができる。
【0101】
具体的に、駆動制御部300は、フィードバック抵抗素子Fに電流が少なく流れると、スイッチがオンになるように制御信号を伝達してフィードバック抵抗素子Fに流れる電流を増加させることができる。
【0102】
フィードバック抵抗素子Fの大きさは、任意に決定されることができるが、上述したスイッチング変換部のブースティング動作を行うように決定できる。
【0103】
一方、図5aと図5bを共に参照すると、スイッチのオンオフに応じて、スイッチには変化の差が大きい電流を流すことができる。このような電流の急激な変化G51を防止するために、スイッチング変換部には、フィードバック抵抗素子Fと並列接続され、保護素子5と前記グラウンドとの間に備えられる緩衝キャパシタC1を更に含むことができる。
【0104】
図5bのグラフG51は、緩衝キャパシタが備えられていない電流の流れを示すグラフであり、G52は、緩衝キャパシタが備えられた場合の電流の流れを示すグラフである。
【0105】
緩衝キャパシタが備えられていない場合G51にスイッチの動作が変わるt51時点で電流の流れが急激に変わる反面、緩衝キャパシタが備えられたG52の場合には、スイッチの動作が変わるt52時点でキャパシタの電荷充電によって急激な電流の変化を防止できる。
【0106】
このような動作により、緩衝キャパシタに電荷が充電されてスイッチのオンオフ動作が行われても電流の変化を低減してスイッチング変換部の動作を安定させることができる。
【0107】
本発明の実施例と関連して説明された方法又はアルゴリズムの段階は、ハードウェアで直接実現現されるか、ハードウェアによって実行されるソフトウェアモジュールで実現されるか、又はこれらの結合によって実現できる。ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、ハードディスク、着脱型ディスク、CD-ROM、又は本発明の属する技術分野において周知となっている任意の形態のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に常に存在することもできる。
【0108】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明の属する技術分野における通常の技術者は、本発明がその技術的思想や必須な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に実施され得るということが理解できるだろう。従って、以上で述べた実施例はあらゆる面で例示的なものであり、制限的ではないものとして理解すべきである。
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5a
図5b
【国際調査報告】