(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】NCAPG2の1010番目のトレオニンのリン酸化特異的反応の有無を確認するための抗体及びその用途
(51)【国際特許分類】
C07K 16/18 20060101AFI20240625BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20240625BHJP
G01N 33/577 20060101ALI20240625BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20240625BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240625BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240625BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
C07K16/18
G01N33/50 Z ZNA
G01N33/577 B
G01N33/574 A
A61K45/00
A61P35/00
A61P43/00 111
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572962
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 KR2022007342
(87)【国際公開番号】W WO2022250413
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0066894
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】514039912
【氏名又は名称】ナショナル キャンサー センター
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、キョンテ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ビョン イル
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュン-ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ウン ギョン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ミンジ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ス-ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジン スク
(72)【発明者】
【氏名】チャン、キュ ボム
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ナ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ソン-シク
(72)【発明者】
【氏名】パク、サン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ウ、サン ミョン
【テーマコード(参考)】
2G045
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA24
2G045AA26
2G045BB20
2G045CB01
2G045DA36
2G045FB03
4C084AA17
4C084NA05
4C084ZB26
4C084ZC41
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA75
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA71
4H045GA15
4H045GA20
(57)【要約】
本発明は、NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列において1010番目のトレオニンのリン酸化特異的反応の有無を確認するための抗体及びその用途に関する。本発明の抗体は、NCAPG2のpT1010に選択性及び結合性が高く、CDK1、PLK1、Mps1、及びオーロラキナーゼなど細胞分裂期を調節するリン酸化酵素の阻害剤を処理したがん細胞でNCAPG2のpT1010に対する反応性が抑制され、免疫組織化学染色を通じてがん患者の非腫瘍組織に比べて腫瘍組織において非常に高く検出される。したがって、本発明の抗体を通じてNCAPG2の1010番目のトレオニンのリン酸化の有無を確認することにより、がんを診断するか、または抗がん剤候補物質をスクリーニングするなどのがん関連研究、開発分野に有用に利用できるものと期待される。
【選択図】
図4a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化の有無を確認するための抗体であって、
前記抗体は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドを抗原として認識し、リン酸化されたNCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンに特異的に結合することを特徴とする、抗体。
【請求項2】
前記NCAPG2のアミノ酸配列は、配列番号2で表されることを特徴とする、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドが注入された個体から分離された血清から抗体を分離する段階を含む、NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化の有無を確認するための抗体の製造方法であって、
前記抗体は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドのN末端から7番目のアミノ酸であるトレオニンが非リン酸化されたペプチドに比べて、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドのN末端から7番目のアミノ酸であるトレオニンがリン酸化されたペプチドに対して相対的により高い親和力を有することを特徴とする、抗体の製造方法。
【請求項4】
NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)を発現する細胞に請求項1に記載の抗体を反応させ、NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンでのリン酸化の有無を確認する段階を含む、がん診断のための情報提供方法。
【請求項5】
前記NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンがリン酸化された場合にがんと判定する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載のがん診断のための情報提供方法。
【請求項6】
前記NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化の程度が増加しているほど、腫瘍細胞の分化度が低いことを特徴とする、請求項5に記載のがん診断のための情報提供方法。
【請求項7】
(a)がん細胞に候補物質を処理する段階と、
(b)前記候補物質を処理したがん細胞に請求項1に記載の抗体を反応させてNCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンでのリン酸化の有無を確認する段階と、
(c)前記(b)段階でNCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化が抑制された場合、前記候補物質を抗がん剤候補物質として選択する段階を含む、抗がん剤候補物質スクリーニング方法。
【請求項8】
前記抗がん剤候補物質は、PLK1(Polo-like kinase 1)阻害剤、Mps1(Monopolar spindle 1)阻害剤、オーロラキナーゼ(Aurora kinase)阻害剤、及びCDK1(Cyclin-dependent kinase 1)阻害剤からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項7に記載の抗がん剤候補物質スクリーニング方法。
【請求項9】
前記PLK1阻害剤、Mps1阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、またはCDK1阻害剤は、ヌクレオチド、DNA、RNA、アミノ酸、アプタマー、タンパク質、化合物、天然物、及び天然抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項8に記載の抗がん剤候補物質スクリーニング方法。
【請求項10】
請求項1に記載の抗体、及び
抗がん剤候補物質を含み、
前記抗体は、前記抗がん剤候補物質の有効性を確認する予後マーカー(indicator)として作用することを特徴とする、抗がん剤候補物質の有効性確認用キット。
【請求項11】
NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化を抑制する物質を含む、がん予防または治療用薬学的組成物。
【請求項12】
前記物質は、ヌクレオチド、DNA、RNA、アミノ酸、アプタマー、タンパク質、化合物、天然物、及び天然抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする、請求項11に記載のがん予防または治療用薬学的組成物。
【請求項13】
NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)を発現する細胞または動物に請求項1に記載の抗体を反応させ、NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンでのリン酸化の有無を確認する段階を含む、がん診断方法。
【請求項14】
NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化を抑制する物質を、それを必要とする個体に投与する段階を含む、がん予防または治療方法。
【請求項15】
NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化を抑制する物質のがん予防または治療用途。
【請求項16】
NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化を抑制する物質の、がん予防または治療用薬剤製造のための用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列において1010番目のトレオニンのリン酸化特異的反応の有無を確認するための抗体及びその用途に関する。
【0002】
本発明は、2021年5月25日付で出願された大韓民国特許出願第10-2021-0066894号に基づく優先権を主張し、前記出願の明細書及び図面に開示されたすべての内容は、本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
がんは人類が解決すべき難病の一つであり、全世界的にこれを治癒するための開発に莫大な資本が投資されているのが実状であり、韓国の場合、疾病死亡原因のうち第1位の疾病として年間約10万人以上が診断され、約6万人以上が死亡している。
【0004】
現在までのがんの検査手段は物理的なものがほとんどであり、その例として、胃腸X線撮影として二重造影法、圧迫撮影法または粘膜撮影法などがあり、内視鏡を使用して内部臓器を直接目視で確認することにより、X線検査で現れない非常に小さな病変まで発見できるだけでなく、がんが疑われる場所で直接組織検査を行うこともでき、その診断率を高めている。しかし、この方法は衛生上の問題と検査の過程で患者が苦痛を甘受しなければならないという短所がある。
【0005】
また、現在まで行われているがんの治療は、ほとんどが手術で病巣を切除することであり、特に完治を目指す場合、外科的な切除方法が唯一である。このような外科的切除において、完治を目指す手術では、できるだけ広い範囲を含めて切除することが原則であるが、手術後の広範囲な切除による後遺症を考慮してその切除範囲を定めることもある。ただし、このような場合でもがんが他の臓器に転移した場合には根治手術が不可能であり、したがって、この場合には抗がん剤の投与など他の方法を選ぶことになるが、現在まで市販されている抗がん剤は、一時的な症状の緩和や切除術後の再発の抑制と生存期間を延長する一時的効果があるだけで、根本的ながんの治療には限界があり、抗がん剤の投与による副作用及び経済的負担で患者に二重の苦痛を与えることもある。
【0006】
したがって、がんを治療するためには、治療前の段階で高い敏感度と特異度を有するがん診断方法の開発が何よりも重要であり、そのような診断はがんの初期に発見できるものでなければならない。さらに、具体的ながんに対する予後を予測し、カスタマイズ診断及び治療が求められている。しかし、現在までがん診断において初期に特異的に病巣を感知して発症の有無を判断する分子的診断技術は、微々たるものであるのが実情である。
【0007】
一方、体細胞分裂(mitosis)とは、すべての細胞の構成成分が2つの新規細胞に分離される分裂を意味する。体細胞分裂が始まると、染色体の凝縮、紡錘極体の分離及び両極への移動、中央での染色体の整列、そして、最終的にすべての細胞成分の分離が起こる。細胞が分裂し始めると、染色体は効果的な両方向への分離のために特定の構造を形成しなければならず、そのような体細胞分裂特異的染色体構造は、主に3つの多重タンパク質複合体、2つのコンデンシン(Condensin)及びコヒーシン(Cohesin)複合体に左右される。コヒーシン複合体はその姉妹染色分体と結合しており、コンデンシン複合体は、染色体内部を厚く短くする役割を果たす。各コンデンシン複合体は、2つのATP酵素(ATPase)サブユニットヘテロ二量体(subunit heterodimer)、染色体構造維持複合体(Structural Maintenance of Chromosomes,SMC2 & SMC 4)、及び3つの非SMC制御サブユニット(non-SMC regulatory subunits)からなる。このような3つの調節成分の固有の和が各コンデンシン複合体を定義するが、例えば、NCAPD2、NCAPG及びNCAPHはコンデンシン複合体Iの、そしてNCAPD3、NCAPG2及びNCAPH2はコンデンシン複合体IIの構成要素である。SMC2及び4ヘテロ二量体は、そのATP酵素活性を利用する体細胞分裂DNA凝縮のための架橋体(crosslinker)である。NCAPH及びNCAPH2は、SMCヘテロ二量体とその他の2つの調節サブユニットを連結するクレイシン(kleisin)タンパク質であり、NCAPG、NCAPG2、NCAPD2、及びNCAPD3は、可変的骨格に該当するHEAT反復ドメインを含む各コンデンシン複合体に対する調節サブユニットである。コンデンシン複合体Iは、休止期(interphase)の間サイトゾル(cytosol)内に位置し、核膜崩壊直後にオーロラキナーゼB(aurorakinase B)によって染色体内に取り込まれ、細胞質分裂(cytokinesis)過程まで染色体腕(chromosome arm)に留まる。一方、コンデンシン複合体IIは休止期にも核内に留まり、細胞分裂中に染色体凝縮を起こし、タンパク質ホスファターゼ2A(protein phosphatase2A,PP2A)触媒活性非依存的機能によりコンデンシン複合体IIの染色体内の陥入が行われる。染色体デカテネーション(decatenation)、クロマチンリモデリング(chromatin remodeling)、及び複合体I凝縮を含むその他の様々な作用が細胞質分裂までの染色体凝縮が維持されるようにする。また、酵母菌種に存在するコンデンシン複合体Iは、真核細胞染色体凝縮のための古典的コンデンシン複合体である。コンデンサーIIは染色体硬直(chromosome rigidity)だけでなく、染色体分裂(segregation)、DNA修復(DNA repair)、細胞死(apoptosis)、姉妹染色分体分離(sister chromatid resolution)、遺伝子発現調節及びヒストン調節(histone modulation)などの様々な細胞作用を調節する。興味深いことに、すべての線虫類コンデンシン複合体II成分のホモ変異体(homozygous mutants)は、異常なサイズまたは不均一な核分布を示す。ヒト細胞では、コンデンシン複合体IIの任意の成分欠損が染色体整列または分裂における欠陥を引き起こす。また、NCAPD3は主に中心体(centrosome)分裂に影響を及ぼし、NCAPG2欠損は中期核板(metaphase plate)内の染色体整列の不良を頻繁に発生させる。染色体分裂作用に関して、最近の報告では、NCAPD3がPLK1の染色体腕への移動に寄与することが知られている。
【0008】
しかし、がんの診断及び治療などのがん関連研究、開発分野において、NCAPG2のアミノ酸配列のうちリン酸化された特定のアミノ酸配列に特異的に結合する抗体及びその用途については、まだよく知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、NCAPG2のアミノ酸配列において1010番目のトレオニンにおけるリン酸化とがんが関連していることを確認し、前記NCAPG2のアミノ酸配列において1010番目のトレオニンのリン酸化(以下、pT1010)の有無を確認するためのNCAPG2のpT1010特異的抗体を作製し、前記抗体がNCAPG2のpT1010に対して反応性が高いことを確認したところ、これに基づいて本発明を完成した。
【0010】
したがって、本発明の目的は、NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列において1010番目のトレオニンのリン酸化の有無を確認するための抗体及びその用途を提供することである。
【0011】
しかし、本発明が解決しようとする技術的課題は、前述した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は、以下の記載から本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者が明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記のような目的を達成するために、本発明は、NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化の有無を確認するための抗体であって、
【0013】
前記抗体は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドを抗原として認識し、リン酸化されたNCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンに特異的に結合することを特徴とする抗体を提供する。
【0014】
本発明の一具現例として、前記NCAPG2のアミノ酸配列は、配列番号2で表されてもよい。
【0015】
また、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドが注入された個体から分離された血清から抗体を分離する段階を含む、NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化の有無を確認するための抗体の製造方法であって、
【0016】
前記抗体は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドのN末端から7番目のアミノ酸であるトレオニンが非リン酸化されたペプチドに比べて、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドのN末端から7番目のアミノ酸であるトレオニンがリン酸化されたペプチドに対して相対的により高い親和力を有することを特徴とする、抗体の製造方法を提供する。
【0017】
また、本発明は、NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)を発現する細胞に前記抗体を反応させ、NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンでのリン酸化の有無を確認する段階を含む、がん診断のための情報提供方法を提供する。
【0018】
本発明の一具現例として、前記NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンがリン酸化された場合にがんと判定する段階をさらに含んでもよい。
【0019】
本発明の他の具現例として、前記NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化の程度が増加しているほど、腫瘍細胞の分化度が低いものであってもよい。
【0020】
また、本発明は、(a)がん細胞に候補物質を処理する段階、
【0021】
(b)前記候補物質を処理したがん細胞に前記抗体を反応させてNCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンでのリン酸化の有無を確認する段階、及び
【0022】
(c)前記(b)段階でNCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化が抑制された場合、前記候補物質を抗がん剤候補物質として選択する段階を含む、抗がん剤候補物質スクリーニング方法を提供する。
【0023】
本発明の一具現例として、前記抗がん剤候補物質は、PLK1(Polo-like kinase 1)阻害剤、Mps1(Monopolar spindle 1)阻害剤、オーロラキナーゼ(Aurora kinase)阻害剤、及びCDK1(Cyclin-dependent kinase 1)阻害剤からなる群から選ばれる少なくとも1つを含んでもよい。
【0024】
本発明の他の具現例として、前記PLK1阻害剤、Mps1阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、またはCDK1阻害剤は、ヌクレオチド、DNA、RNA、アミノ酸、アプタマー、タンパク質、化合物、天然物、及び天然抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1つであってもよい。
【0025】
また、本発明は前記抗体、及び
抗がん剤候補物質を含み、
前記抗体は、前記抗がん剤候補物質の有効性を確認する予後マーカー(indicator)として作用することを特徴とする、抗がん剤候補物質の有効性確認用キットを提供する。
【0026】
また、本発明は、NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化を抑制する物質を含む、がん予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0027】
本発明の一具現例として、前記物質は、ヌクレオチド、DNA、RNA、アミノ酸、アプタマー、タンパク質、化合物、天然物、及び天然抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1つであってもよい。
【0028】
また、本発明は、NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)を発現する細胞または動物に前記抗体を反応させ、NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンでのリン酸化の有無を確認する段階を含む、がん診断方法を提供する。
【0029】
また、本発明は、NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化を抑制する物質をそれを必要とする個体に投与する段階を含む、がん予防または治療方法を提供する。
【0030】
また、本発明は、NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化を抑制する物質のがん予防または治療用途を提供する。
【0031】
また、本発明は、NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化を抑制する物質の、がん予防または治療用薬剤製造のための用途を提供する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によるNCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列において1010番目のトレオニンのリン酸化の有無を確認するための抗体は、NCAPG2のpT1010に選択性及び結合性が高く、CDK1、PLK1、Mps1、及びAurora kinaseなど細胞分裂期を調節するリン酸化酵素の阻害剤を処理したがん細胞において、NCAPG2のpT1010に対する反応性が抑制され、免疫組織化学染色を通じてがん患者の非腫瘍組織に比べて腫瘍組織において非常に高く検出されることを確認した。したがって、本発明による抗体を通じてNCAPG2の1010番目のトレオニンのリン酸化の有無を確認することによりがんを診断するか、または抗がん剤候補物質をスクリーニングするなどのがん関連研究、開発分野に有用に利用できるものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1a】本発明の一具現例によるC-HRGVLS(pT)LIAGPV-amide抗原に対する抗体の反応性をNCAPG2の1010番目のトレオニンをアラニンに置換した変異体での反応と比較することにより確認した図である。
【
図1b】本発明の一具現例によるリン酸化酵素阻害剤を処理した細胞においてC-HRGVLS(pT)LIAGPV-amide抗原に対する抗pT1010抗体の反応性を確認した図である。
【
図1c】本発明の一具現例によるリン酸化酵素阻害剤を処理した細胞においてC-HRGVLS(pT)LIAGPV-amide抗原に対する抗pT1010抗体の反応性を確認した図である。
【
図2a】本発明の一具現例によるNCAPG2の発現が減少したとき、抗NCAPG2抗体を用いた免疫細胞化学染色の結果を示す図である。
【
図2b】本発明の一具現例によるNCAPG2の発現が減少したとき、CDTPVHRGVLSpTLIA抗原に対する抗pT1010抗体を用いた免疫細胞化学染色の結果を示す図である。
【
図2c】本発明の一具現例によるNCAPG2の発現が減少したとき、C-HRGVLS(pT)LIAGPV-amide抗原に対する抗pT1010抗体を用いた免疫細胞化学染色結果を示す図である。
【
図3】本発明の一具現例によるC-HRGVLS(pT)LIAGPV-amide抗原に対する抗pT1010抗体を正常細胞及びがん細胞に処理したとき、免疫染色結果を示す図である。
【
図4a】本発明の一具現例によるNCAPG2のpT1010発現を確認するための肝がん組織における免疫組織化学染色の結果を示す図である。
【
図4b】は、本発明の一具現例によるNCAPG2のpT1010発現を確認するための肝がん組織における免疫組織化学染色後の陽性反応についてH-scoreシステムを用いて数値化した結果を示す図である。
【
図4c】は、本発明の一具現例によるNCAPG2のpT1010発現を確認するための胆管がん組織における免疫組織化学染色の結果を示す図である。
【
図4d】は、本発明の一具現例によるNCAPG2のpT1010発現を確認するための膵臓がん組織における免疫組織化学染色の結果を示す図である。
【
図5a】は、本発明の一具現例による膵臓がん組織において腫瘍の分化の程度によるNCAPG2pT1010発現を免疫組織化学染色を通じて確認した図である。
【
図5b】は、本発明の一具現例による膵臓がん組織において腫瘍の分化の程度によるNCAPG2pT1010発現をQ-scoreシステムを通じて確認した図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化の有無を確認するための抗体であって、
【0035】
前記抗体は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドを抗原として認識し、リン酸化されたNCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンに特異的に結合することを特徴とする抗体を提供する。
【0036】
前記NCAPG2はヒト由来であってもよく、配列番号2のアミノ酸配列で表されてもよい(NCBI GenBank:AAH43404.1)。
【0037】
本発明において、「NCAPG2の1010番目のトレオニン」または「NCAPG2のアミノ酸配列から1010番目のトレオニン」は、NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンを意味するものであってもよい。
【0038】
前記配列番号2で表されるNCAPG2のアミノ酸配列は、N末端から1010番目のアミノ酸でトレオニン(threonine)を含み、本発明において、「pT1010」はNCAPG2のアミノ酸配列においてN末端から1010番目のアミノ酸であるトレオニンにリン酸基(phosphate group)が結合されたものを意味する
【0039】
また、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドが注入された個体から分離された血清から抗体を分離する段階を含む、NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化の有無を確認するための抗体の製造方法であって、
【0040】
前記抗体は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドのN末端から7番目のアミノ酸であるトレオニンが非リン酸化されたペプチドに比べて、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドのN末端から7番目のアミノ酸であるトレオニンがリン酸化されたペプチドに対して相対的に高い親和力を持つことを特徴とする抗体の製造方法を提供する。
【0041】
本発明において使用される用語の「リン酸化」は、リン酸基(phosphate group)を特定タンパク質のセリン(Serine; S)、トレオニン(Threonine; T)またはチロシン(Tyrosine; Y)残基に付加する生化学的反応であり、これはタンパク質キナーゼ酵素によって触媒される。リン酸化は通常、標的タンパク質の機能を変形させてタンパク質の活性を調節する。細胞の恒常性メカニズムの一部として、リン酸化は単に一時的な過程であり、これはホスファターゼと呼ばれるその他の酵素によって逆転する。反応のいずれかの側面(リン酸化対脱リン酸化)におけるいかなる異常徴候も細胞機能を破壊させることができる。
【0042】
本発明において使用される用語の「抗体」とは、抗原に特異的に結合して認識する免疫グロブリン遺伝子またはその断片に由来するフレームワーク領域を含むポリペプチドを意味する。認識された免疫グロブリン遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、及びミュー不変領域遺伝子をはじめとして、無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖はカッパまたはラムダに分類された。重鎖はガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンに分類され、結果としてそれぞれ免疫グロブリンクラスIgG、IgM、IgA、IgD及びIgEを限定する。典型的には、抗体の抗原-結合領域は、結合特異性及び親和性において最も核心的である。本発明において、抗体または抗体の断片は、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ラクダ、ウサギなどを含む、異なる個体に由来してもよいが、本発明の一具現例によれば、ウサギに由来してもよいが、これに制限されるものではない。本発明の抗体は、抗体の好ましい機能(例えば、糖化、発現、抗原認識、エフェクター機能、抗原結合、特異性など)を改善させるか、または調整するために1以上のアミノ酸位置で変形されるか、または突然変異した抗体を含んでもよい。
【0043】
本発明において、前記抗体は、好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列で表されるC-HRGVLS(pT)LIAGPV-amideペプチドを抗原として認識するように個体に注入して作製されてもよく、このとき、pT1010に対する抗体特異性が最も高い。前記ペプチドは、個体に注入する前にKLH(keyhole Limpets Hemocyanin)をコンジュゲーションしてもよいが、これに制限されるものではない。また、前記ペプチドは天然タンパク質との類似性及び安定性増加のためにN末端及びC末端に変形が発生することがあり、本発明の一実施例によれば、前記配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドはN末端がアセチル化(acetylation;C)され、C末端がアミド化(amidation;amide)されたものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0044】
本発明において、前記抗体は、NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニン部位でリン酸化の有無を確認できるものであれば、結合位置及び種類に制限されず、例えば、前記抗体はNCAPG2の特定アミノ酸配列に特異的に結合してもよく、NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニン部位のリン酸(phosphate)基に特異的に結合してもよい。
【0045】
本発明において使用される用語の「特異的に結合」とは、所定の抗原に対する抗体結合を指し、抗体は、所定の抗原または密接に関連した抗原以外の無関係の抗原(例えば、BSA、カゼイン)に対する結合に対する親和度よりも高い、例えば、少なくとも2倍高い親和度で前記所定の抗原に結合する。
【0046】
また、本発明は、NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)を発現する細胞に前記抗体を反応させ、NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンでのリン酸化の有無を確認する段階を含む、がん診断のための情報提供方法を提供する。
【0047】
また、本発明は、NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)を発現する細胞または動物に前記抗体を反応させ、NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンでのリン酸化の有無を確認する段階を含む、がん診断方法を提供する。
【0048】
本発明において、前記NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンがリン酸化された場合にがんと判定する段階をさらに含んでもよく、前記NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化の程度が増加するほど、腫瘍細胞の分化度が低いものであってもよい。
【0049】
本発明において使用される用語の「診断」とは、病理状態の存在または特徴を確認することを意味する。本発明の目的上、診断はがんの発症有無を確認することである。
【0050】
また、本発明は、以下の段階を含む、がんの治療方法を提供する。
【0051】
(a)NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)を発現する細胞または動物に前記抗体を反応させ、NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンでのリン酸化の有無を確認する段階、
【0052】
(b)前記NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンがリン酸化された場合、がんと判定する段階、及び
【0053】
(c)前記(b)段階で判定されたがんを治療する段階。
【0054】
本発明において、前記(c)段階でがんを治療することは、化学療法、放射線療法、外科的手術、または生物学的療法などの方法を使用してもよい。
【0055】
本発明において、前記化学療法(Chemotherapy)とは、特定の疾病の治療のために化学物質を使用する行為とその場合に使用される薬物の全体を意味する。
【0056】
本発明において、前記薬物は、例えば、パクリタキセル(paclitaxel)、ドキソルビシン(doxorubicin)、5-フルオロウラシル(5-fluorouracil)、シスプラチン(cisplatin)、イマチニブ(Imatinib)、カルボプラチン(carboplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、テガフール(tegafur)、イリノテカン(irinotecan)、ドセタキセル(docetaxel)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、セムシタビン(cemcitabine)、イホスファミド(ifosfamide)、マイトマイシンC(mitomycin C)、ビンクリスティン(vincristine)、エトポシド(etoposide)、メトトレキセート(methotrexate)、トポテカン(topotecan)、タモキシフェン(tamoxifen)、ビノレルビン(vinorelbine)、カンプトテシン(camptothecin)、ダウノルビシン(danuorubicin)、クロラムブシル(chlorambucil)、ブリオスタチン-1(bryostatin-1)、カリケアミシン(calicheamicin)、マイアタンシン(mayatansine)、レバミゾール(levamisole)、DNA組換えインターフェロンα-2a(DNA recombinant interferon alfa-2a)、ミトザントロン(mitoxantrone)、ニムスチン(nimustine)、インターフェロンα-2a(interferonalfa-2a)、ドキシフルリジン(doxifluridine)、フォルメスタン(formestane)、ロイプロリドアセテート(leuprolide acetate)、メゲストロールアセテート(megestrol acetate)、カルモフール(carmofur)、テニポシド(teniposide)、ブレオマイシン(bleomycin)、カルムスチン(carmustine)、ヘプタプラチン(heptaplatin)、エキセメスタン(exemestane)、アナストロゾール(anastrozole)、エストラムスチン(estramustine)、カペシタビン(capecitabine)、ゴセレリンアセテート(goserelin acetate)、ポリサッカライドカリウム(polysaccharide potassuim)、メドロキシプロゲステロンアセテート(medroxypogesterone acetate)、エピルビシン(epirubicin)、レトロゾール(letrozole)、ピラルビシン(pirarubicin)、トポテカン(topotecan)、アルトレタミン(altretamine)、トレミフェンクエン酸塩(toremifene citrate)、BCNU、タキソテール(taxotere)、アクチノマイシンD(actinomycin D)、及びそれらの合成アナログ、及び変形されるか、または同じ薬効を示す物質からなる群から選ばれる少なくとも1つの抗がん剤であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0057】
本発明において、前記放射線療法は、X線、ガンマ線、及び中性子を含むが、これに制限されない高エネルギー放射線を患者に照射することを意味する。このような類型の療法としては、外部光線療法、内部放射線療法、挿入放射線、近接治療、及び全身放射線療法が挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0058】
本発明において、前記外科的手術は、治癒、治療または診断効果を得るために個体の身体に対して手(hand)または機器とともに手の方法的作用を含むいかなる治療上または診断処置をすべて含む。
【0059】
本発明において、前記生物学的療法とは、生物体由来の物質や生物体を用いて生成させた物質を含有する生物学的製剤を用いて直・間接的に人体の免疫体系を用いる治療法を意味し、前記生物学的製剤は、物理的、化学的試験だけではその力価と安定性を評価できないワクチン、アレルゲン、抗原、ホルモン、サイトカイン、酵素、血液及び血漿、免疫血清、モノクローナル抗体、発酵製品、抗毒素、及び実験室診断剤などを含む。
【0060】
本発明において、前記生物学的製剤は、例えば、アダリムマブ(Adalimumab)、アレムツズマブ(Alemtuzumab)、ベバシズマブ(Bevacizumab)、セツキシマブ(Cetuximab)、ダラツムマブ(Daratumumabum)、パニツムマブ(Panitumumab)、リツキシマブ(Rituximab)、トラスツズマブ(Trastuzumab)、パーツズマブ(Pertuzumab)、イピリムマブ(Ipilimumab)、ニボルマブ(Nivolumab)、ペムブロリズマブ(Pembrolizumab)、アテゾリズマブ(Atezolizumab)、デュルバルマブ(Durvalumab)、アベルマブ(Avelumab)、トシリズマブ(tocilizumab)、サリルマブ(sarilumab)、サトラリズマブ(satralizumab)、及びシルツキシマブ(siltuximab)からなる群から選ばれる少なくとも1つであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0061】
本発明において前記「細胞」の種類は、脊椎動物、例えば、ヒトを含む哺乳動物(ヒト、サル、マウス、ラット、ハムスター、ウシなど)、鳥類(ニワトリ、ダチョウなど)、両生類(カエルなど)、及び魚類、または無脊椎動物、例えば、昆虫類(カイコ、ガ、ショウジョウバエなど)、植物、酵母などの微生物などが挙げられ、好ましくは、ヒトを含む哺乳動物であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0062】
本発明において使用される用語の「がん」とは、細胞が正常な成長限界を無視して分裂及び成長する攻撃的(aggressive)特性、周囲組織に浸透する浸透的(invasive)特性、及び体内の他の部位に広がる転移的(metastatic)特性を有する細胞による疾病を総称する意味である。
【0063】
本発明において、前記がんは当業界において悪性腫瘍として知られているものであれば、その種類が特に制限されず、例えば、乳がん、大腸がん、肺がん、小細胞肺がん、胃がん、肝がん、血液がん、骨がん、胆管がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部がん、皮膚または眼内黒色腫、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門がん、結腸がん、ラッパ管がん腫、子宮内膜がん腫、子宮頸がん、膣がん、陰門がん腫、ホジキン病、食道がん、小腸がん、内分泌腺がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟部組織肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、慢性または急性白血病、リンパ球リンパ腫、膀胱がん、腎臓または水尿管がん、腎細胞がん腫、腎臓骨盤がん腫、CNS腫瘍、一次CNSリンパ腫、脊髄腫瘍、脳幹神経膠腫及び下垂体腺腫からなる群から選ばれるものであってもよく、本発明の一具現例によれば、乳がん、肝がん、胆管がん、または膵臓がんであってもよい。
【0064】
本発明において、「細胞または動物に抗体を反応させるということ」は、NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンでのリン酸化の有無を確認するために細胞または動物に前記抗体を処理すること、または細胞または動物と抗体を接触させることを意味する。
【0065】
本発明において、「接触(contacting)」とは、その一般的な意味(normal meaning)であり、2つ以上の製剤(例:2つのポリペプチド)を組み合わせる(combine)か、または製剤と細胞(例;タンパク質と細胞)を組み合わせることをいう。接触は試験管内(in vitro)で起こりうる。例えば、試験管(test tube)または他のコンテナ(container)で2つ以上の製剤を組み合わせるか、または試験製剤と細胞または細胞溶解物と試験製剤を組み合わせるものである。また、接触は細胞またはイン-サイチュ(In situ)で起こることもある。例えば、2つのポリペプチドを暗号化する組換えポリヌクレオチドを細胞内で共発現(coexpression)させることにより、細胞または細胞溶解物から2つのポリペプチドを接触させることである。
【0066】
また、本発明は、(a)がん細胞に候補物質を処理する段階、
【0067】
(b)前記候補物質を処理したがん細胞に前記抗体を反応させてNCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンでのリン酸化の有無を確認する段階、及び
【0068】
(c)前記(b)段階でNCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化が抑制された場合、前記候補物質を抗がん剤候補物質として選択する段階を含む、抗がん剤候補物質スクリーニング方法を提供する。
【0069】
また、本発明は、前記抗体、及び
抗がん剤候補物質を含み、
前記抗体は、前記抗がん剤候補物質の有効性を確認する予後マーカー(indicator)として作用することを特徴とする、抗がん剤候補物質の有効性確認用キットを提供する。
【0070】
本発明において使用される用語の「候補物質」とは、NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンでのリン酸化の有無を確認するためにスクリーニングに使用される未知の物質を意味し、本発明の一具現例によれば、NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化を抑制させる候補物質を抗がん剤候補物質として選択してもよく、前記抗がん剤候補物質は、PLK1(Polo-like kinase 1)阻害剤、Mps1(Monopolar spindle 1)阻害剤及びオーロラキナーゼ(Aurora kinase)阻害剤、及びCDK1(Cyclin-dependent kinase 1)阻害剤からなる群から選ばれる少なくとも1つであってもよい。本発明において、前記PLK1阻害剤、Mps1阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、またはCDK1阻害剤は、ヌクレオチド、DNA、RNA、アミノ酸、アプタマー、タンパク質、化合物、天然物、及び天然抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1つであってもよいが、PLK1、Mps1、オーロラキナーゼ、またはCDK1を阻害可能な物質であれば、これに制限はない。
【0071】
本発明において、予後マーカー(indicator)は、腫瘍の大きさ、リンパ節の状態及び組織学的等級だけでなく、予後に対する一部の情報を提供し、特定の治療剤に対する反応可能性を提示することができ、特定の治療剤に対して治療のための患者の選択に使用しうる。本発明の一具現例によれば、NCAPG2のpT1010特異的抗体は、PLK1阻害剤、Mps1阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、またはCDK1阻害剤の処理によってNCAPG2の1010番目のトレオニンでのリン酸化が抑制されるか否かを確認することにより、前記PLK1阻害剤、Mps1阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、またはCDK1阻害剤の抗がん剤としての可能性を確認する予後マーカーとして作用しうる。
【0072】
本発明において、前記キットは抗がん剤候補物質の有効性を確認することができ、前記のような抗がん剤候補物質の有効性確認のためにNCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンに特異的に結合する抗体及びPLK1阻害剤、Mps1阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、及びCDK1阻害剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの抗がん剤候補物質を含み、前記抗体及び抗がん剤候補物質は、それぞれ1回以上回数に制限なく作用させることができ、各抗体及び抗がん剤候補物質を適用する前後には制限がなく、それらの適用は同時に行われてもよく、別途に行われてもよい。
【0073】
本発明において、前記キットはコンテナ、指示書、NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンに特異的に結合する抗体、及びPLK1阻害剤、Mps1阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、及びCDK1阻害剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの抗がん剤候補物質を含んでもよい。前記コンテナは前記NCAPG2のアミノ酸配列において1010番目のトレオニンに特異的に結合する抗体及びPLK1阻害剤、Mps1阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、及びCDK1阻害剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの抗がん剤候補物質をそれぞれ包装する役割を果たし、保管及び固定する役割を果たすこともできる。前記コンテナの材質は、例えばプラスチック、ガラス瓶などであってもよいが、これに制限されるものではない。また、本発明による抗がん剤候補物質の有効性確認用キットに含まれる指示書は、前記抗がん剤候補物質の有効性を確認することに関する指示内容が記載されたものであってもよく、前記コンテナとは別のシート又は冊子に指示内容が記載されてもよく、前記シートまたは冊子が、前記コンテナ内に前記NCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンに特異的に結合する抗体またはPLK1阻害剤、Mps1阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、及びCDK1阻害剤からなる群から選ばれる少なくとも1つの抗がん剤候補物質とともに含まれるものであってもよい。
【0074】
本発明において、NCAPG2のpT1010特異的な抗体を用いてNCAPG2のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンでのリン酸化の有無を確認する方法は、当業界において公知の通常の方法でウエスタンブロッティング(western blotting)、放射線免疫分析法(radioimmunoassay;RIA)、放射免疫拡散法(radioimmunodiffusion)、酵素免疫分析法(ELISA)、免疫沈降法(immunoprecipitation)、フローサイトメトリー法(flow cytometry)、免疫蛍光染色法(immunofluorescence)、オクタロニー(ouchterlony)、補体固定分析法(complement fixation assay)、タンパク質チップ(protein chip)、免疫細胞化学法(Immunocytochemistry)、免疫組織化学染色法(Immunohistochemistry)からなる群から選ばれる1種以上の方法を通じて測定されてもよく、本発明の具体的な実施例によれば、免疫沈降法(immunoprecipitation)、免疫細胞化学法(Immunocytochemistry)、または免疫組織化学染色法(Immunohistochemistry)を用いて測定されてもよいが、これに制限されるものではない。
【0075】
また、本発明は、NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化を抑制する物質を含む、がん予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0076】
また、本発明は、NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化を抑制する物質をそれを必要とする個体に投与する段階を含む、がん予防または治療方法を提供する。
【0077】
また、本発明は、NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化を抑制する物質のがん予防または治療用途を提供する。
【0078】
また、本発明は、NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化を抑制する物質の、がん予防または治療用薬剤製造のための用途を提供する。
【0079】
本発明において、前記NCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列のN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化を抑制する物質は、ヌクレオチド、DNA、RNA、アミノ酸、アプタマー、タンパク質、化合物、天然物、及び天然抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1つであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0080】
本発明において、「予防」とは、本発明による組成物の投与によってがんを抑制させるか、または発病を遅延させるすべての行為を意味する。
【0081】
本発明において、「治療」とは、本発明による組成物の投与によりがんの症状が好転するか、または有益に変更されるすべての行為を意味する。
【0082】
本発明において、「投与」とは、任意の適切な方法で個体に所定の本発明の組成物を提供することを意味する。
【0083】
本発明において、「個体」とは、疾病の治療を必要として本発明の組成物が投与され得る対象を意味し、より具体的には、ヒトまたは非ヒトである霊長類、マウス(mouse)、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、及びウシなどの哺乳類を意味する。
【0084】
本発明による薬学的組成物は、薬学的組成物の製造に通常使用される適切な担体、賦形剤及び希釈剤をさらに含んでもよい。前記賦形剤は、例えば、希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、吸着剤、保湿剤、フィルム-コーティング物質、及び制御放出添加剤からなる群から選ばれる少なくとも1つであってもよい
【0085】
本発明による薬学的組成物は、それぞれ通常の方法により散剤、顆粒剤、徐放性顆粒剤、腸溶性顆粒剤、液剤、点眼剤、エルシリック剤、乳剤、懸濁液剤、酒精剤、トローチ剤、芳香水剤、リモナーデ剤、錠剤、徐放性錠剤、腸溶性錠剤、舌下錠、硬質カプセル剤、軟質カプセル剤、徐放性カプセル剤、腸溶性カプセル剤、丸剤、チンキ剤、軟調エキス剤、乾燥エキス剤、流動エキス剤、注射剤、カプセル剤、灌流液、硬膏剤、ローション剤、パスタ剤、噴霧剤、吸入剤、パッチ剤、滅菌注射液、又はエアロゾルなどの外用剤などの形態で剤形化して使用されてもよく、前記外用剤は、クリーム、ジェル、パッチ、噴霧剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤、パスタ剤またはカタプラズマ剤などの剤形を有してもよい。
【0086】
本発明による薬学的組成物に含まれてもよい担体、賦形剤及び希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、オリゴ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェイト、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、非晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート及び鉱物油が挙げられる。
【0087】
製剤化する場合は、通常、使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調製される。
【0088】
本発明による錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、トローチ剤の添加剤として、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、小麦デンプン、乳糖、白糖、ブドウ糖、果糖、D-マンニトール、沈降炭酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、リン酸一水素カルシウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、精製ラノリン、微結晶セルロース、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カオリン、尿素、コロイド状シリカゲル、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMC1928、HPMC2208、HPMC2906、HPMC2910、プロピレングリコール、カゼイン、乳酸カルシウム、プリモゼルなどの賦形剤、ゼラチン、アラビアゴム、エタノール、寒天粉、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ブドウ糖、精製水、カゼインナトリウム、グリセリン、ステアリン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、微結晶セルロース、デキストリン、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシメチルセルロース、精製シェラック、デンプン糊、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの結合剤が使用されてもよく、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トウモロコシデンプン、寒天粉、メチルセルロース、ベントナイト、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クエン酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、無水ケイ酸、1-ヒドロキシプロピルセルロース、デキストラン、イオン交換樹脂、酢酸ポリビニル、ホルムアルデヒド処理カゼイン及びゼラチン、アルギン酸、アミロース、グァーガム(Guar gum)、重曹、ポリビニルピロリドン、リン酸カルシウム、ゲル化澱粉、アラビアゴム、アミロペクチン、ペクチン、ポリリン酸ナトリウム、エチルセルロース、白糖、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、D-ソルビトール液、硬質無水ケイ酸などの崩壊剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、水素化植物油(Hydrogenated vegetable oil)、タルク、石松子、カオリン、ワセリン、ステアリン酸ナトリウム、カカオ脂、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸マグネシウム、ポリチレングリコール(PEG)4000、PEG6000、流動パラフィン、水素添加大豆油(Lubri wax)、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリル硫酸ナトリウム、酸化マグネシウム、マクロゴール(Macrogol)、合成ケイ酸アルミニウム、無水ケイ酸、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油、パラフィン油、ポリエチレングリコール脂肪酸エーテル、デンプン、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、dl-ロイシン、硬質無水ケイ酸などの滑沢剤が使用されてもよい。
【0089】
本発明による液剤の添加剤としては、水、希塩酸、希硫酸、クエン酸ナトリウム、モノステアリン酸スクロース類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(ツインエステル)、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル類、ラノリンエーテル類、ラノリンエステル類、酢酸、塩酸、アンモニア水、炭酸アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、プロルアミン、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどが使用されてもよい。
【0090】
本発明によるシロップ剤には白糖の溶液、他の糖類または甘味剤などが使用されてもよく、必要に応じて芳香剤、着色剤、保存剤、安定剤、懸濁化剤、乳化剤、粘稠剤などが使用されてもよい。
【0091】
本発明の乳剤には精製水が使用されてもよく、必要に応じて乳化剤、保存剤、安定剤、芳香剤などが使用されてもよい。
【0092】
本発明による懸濁剤には、アカシア、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMC1828、HPMC2906、HPMC2910など懸濁化剤が使用されてもよく、必要に応じて界面活性剤、保存剤、安定剤、着色剤、芳香剤が使用されてもよい。
【0093】
本発明による注射剤には、注射用蒸留水、0.9%塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース+塩化ナトリウム注射液、ピーイージー(PEG)、ラクトリンゲル注射液、エタノール、プロピレングリコール、不揮発性油-ごま油、綿実油、落花生油、大豆油、トウモロコシ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンゼンなどの溶剤、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、尿素、ウレタン、モノエチルアセトアミド、ブタゾリジン、プロピレングリコール、ツイン類、ニジョンチン酸アミド、ヘキサミン、ジメチルアセトアミドなどの溶解補助剤、弱酸及びその塩(酢酸と酢酸ナトリウム)、弱塩基及びその塩(アンモニア及び酢酸アンモニウム)、有機化合物、タンパク質、アルブミン、ペプトン、ガム類などの緩衝剤、塩化ナトリウムなどの等張化剤、重亜硫酸ナトリウム(NaHSO3)二酸化炭素ガス、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na2S2O5)、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)、窒素ガス(N2)、エチレンジアミンテトラ酢酸などの安定剤、ソジウムビスルフィド0.1%、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート、チオウレア、エチレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム、アセトンソジウムビスルファイトなどの硫酸化剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、塩酸プロカイン、ブドウ糖、グルコン酸カルシウムなどの無痛化剤、CMCナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ツイン80、モノステアリン酸アルミニウムなどの懸濁化剤を含んでもよい。
【0094】
本発明による坐剤には、カカオ脂、ラノリン、ウイテプゾール、ポリエチレングリコール、グリセロゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸とオレイン酸の混合物、スバナル(Subanal)、綿実油、落花生油、ヤシ油、カカオバター+コレステロール、レシチン、ラネットワックス、モノステアリン酸グリセロール、ツインまたはスパン、イムハウゼン(Imhausen)、モノレン(モノステアリン酸プロピレングリコール)、グリセリン、アデプスソリダス(Adeps solidus)、ブチラムテゴ-G(Buytyrum Tego-G)、セベスパマ16(Cebes Pharma 16)、ヘキサライドベース95、コトマ(Cotomar)、ヒドロコートSP、S-70-XXA、S-70-XX75(S-70-XX95)、ヒドロコート(Hydrokote)25、ヒドロコート711、イドロポスタール(Idropostal)、マサエストラリウム(Massa estrarium、A、AS、B、C、D、E、I、T)、マサ-MF、マスポール、マスポール-15、ネオスポスタル-エン、パラマウンド-B、スポシロ(OSI、OSIX、A、B、C、D、H、L)、坐剤基剤IVタイプ(AB、B、A、BC、BBG、E、BGF、C、D、299)、スポスタル(N、Es)、ウェコビ(W、R、S、M、Fs)、テゼスタートリグリセリド基剤(TG-95、MA、57)などの基剤が使用されてもよい。
【0095】
経口投与用固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、前記抽出物に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、カルシウムカーボネート(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混合して調製される。また、単純な賦形剤の他に、マグネシウムスチレートタルクなどの潤滑剤も使用される。
【0096】
経口投与用液状製剤としては、懸濁剤、内容液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、よく使用される単純希釈剤である水、リキドパラフィンの他に様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてもよい。非経口投与用製剤には、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、エチルオレートなどの注射可能なエステルなどが使用されてもよい。
【0097】
本発明による薬学的組成物は、薬学的に有効な量で投与される。本発明において、「薬学的に有効な量」とは、医学的治療に適用可能な合理的な受恵/リスク比で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量レベルは、患者疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出比率、治療期間、同時に使用される薬物を含む要素及びその他の医学分野においてよく知られている要素によって決定されてもよい。
【0098】
本発明による薬学的組成物は、個別治療剤として投与するか、または他の治療剤と併用して投与されてもよく、従来の治療剤とは順次的または同時に投与されてもよく、単一または多重投与されてもよい。前記要素をすべて考慮し、副作用なしに最小限の量で最大の効果が得られる量を投与することが重要であり、これは本発明が属する技術分野において通常の技術者によって容易に決定されてもよい。
【0099】
本発明の薬学的組成物は、個体に様々な経路で投与されてもよい。投与のすべての方式は、予想できるが、例えば、経口服用、皮下注射、腹腔投与、静脈注射、筋肉注射、脊髄周囲空間(硬膜内)注射、舌下投与、頬粘膜投与、直腸内挿入、膣内挿入、眼球投与、耳投与、鼻腔投与、吸入、口または鼻を通じた噴霧、皮膚投与、経皮投与などによって投与されてもよい。
【0100】
本発明の薬学的組成物は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別、体重及び疾患の重症度などの様々な関連因子とともに、活性成分である薬物の種類によって決定される。
【0101】
本発明の一実施例では、C-HRGVLS(pT)LIAGPV-amideを抗原としてNCAPG2のアミノ酸配列においてN末端から1010番目のトレオニンのリン酸化(pT1010)の有無を確認するための抗体を作製した(実施例1参照)。
【0102】
本発明の他の実施例では、NCAPG2のアミノ酸配列においてN末端から1010番目のトレオニン(Thr)原形質体に対してアラニン(Ala)に置換された変異体(TA)における抗体反応性をCDTPHRGVLSpTLIA抗原に対する抗体と比較することにより、前記作製した抗体がNCAPG2のpT1010に対する特異性がより優れていることを確認し、リン酸化酵素阻害剤の処理により免疫沈降法の結果、NCAPG2のpT1010特異的バンドが減少することを確認した(実施例2参照)。
【0103】
本発明のさらに他の実施例では、免疫細胞化学法を用いて前記作製した抗体の特異性を確認し、siRNAを用いてNCAPG2特異的発現を減少させた場合、C-HRGVLS(pT)LIAGPV-amide抗原に対する抗pT1010抗体の反応性が十分に特異性を有することを確認し、抗体の選択性や結合程度がCDTPVHRGVLSpTLIA抗原に対する抗体に比べてより適していることが分かった(実施例3参照)。
【0104】
本発明のさらに他の実施例では、正常細胞及びがん細胞における免疫染色パターンを比較した結果、正常細胞では抗pT1010抗体処理時の細胞分裂期に紡錘糸付着点(動原体)に特異的に染色されるが、がん細胞では染色の強度が強くなり、細胞分裂期に紡錘糸付着点特異的染色が起こらない場合が多く現れることを確認した(実施例4参照)。
【0105】
本発明のさらに他の実施例では、前記作製した抗体を用いて肝がん、胆管がん、及び膵臓がん組織の非腫瘍部分及び腫瘍部分においてNCAPG2のpT1010発現を免疫組織化学染色で確認し、NCAPG2のpT1010は、ほとんどが細胞の核で発現され、非腫瘍部分に比べて腫瘍部分での発現が顕著に高いことを確認した(実施例5参照)。
【0106】
本発明のさらに他の実施例では、膵臓がん組織においてNCAPG2pT1010に対する免疫組織化学染色を行った結果、膵臓がん組織でのNCAPG2pT1010発現程度が腫瘍の分化の程度と相関性を示すことを確認した(実施例6参照)。
【実施例】
【0107】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし、以下の実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるものであり、以下の実施例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0108】
[実施例1.NCAPG2pT1010特異的抗体の作製]
NCAPG2のアミノ酸配列において1010番目のトレオニンのリン酸化(pT1010)の有無を確認するための抗体を作製するために、C-HRGVLS(pT)LIAGPV-amide(配列番号1)を抗原として純度90%以上のペプチドを合成した。ここにKLH(keyhole Limpets Hemocyanin)をコンジュゲーションし、ウサギに注入した。ウサギに抗pT1010抗体がより多く生成できるように4~5回繰り返し注入し、免疫化(immunization)後、Day 0、26、52、72の血清の力価(titer)値は、酵素結合免疫吸着検査(ELISA)で確認された。次に、抗血清親和性精製(Antisera affinity purification)及び消耗(depletion)過程でリン酸化ペプチドカラム(phosphopeptide column)を用いて、非特異的な結合をするタンパク質を除去し、ターゲット抗体を濃縮させることにより、分離された血清から前記C-HRGVLS(pT)LIAGPV-amideに対して非リン酸化されたペプチド(C-HRGVLSTLIAGPV-amide)に比べて相対的に親和力を持つ抗体を分離して使用した。これはリン酸化特異的(phosphospecific)抗体を作製するための過程で、非リン酸化ペプチド(non-phosphopeptide)が付いているカラムを用いて、非リン酸化されたペプチドに結合するリン酸化非特異的抗体をもう一度除去させる過程である。
【0109】
[実施例2.抗体の反応性の確認]
前記実施例1で作製した抗体の反応性を確認するために、NCAPG2のアミノ酸配列において1010番目のトレオニン(Thr)原形質体に対してアラニン(Ala)に置換された変異体(TA)の結合を免疫沈降法で確認した。
【0110】
具体的には、HEK293細胞に3×FLAG-NCAPG2pT1010野生型(WT)及びpT1010A突然変異(mutant)DNAをtransfection reagent(LTX/PLUS)を用いて過剰発現させ、24時間後に細胞を得た。細胞溶解(lysis)後の総タンパク質量は500μg以上であり、FLAG M2親和性ビーズ(affinity bead)を用いて4℃で20rpmで3時間以上遠心分離機で反応させ、NCAPG2をプルダウン(pull down)した。その後、純度を高めるために3×Flagペプチドを過剰添加してFLAGビーズに結合したNCAPG2をビーズから離す競争(competition)過程を遠心分離機を用いて4℃で20rpmで30分~1時間反応させることにより行い、上澄み液を分離した後、それを使用した。
【0111】
その結果、
図1aに示すように、従来の市販のNCAPG2抗体(SIGMA ATLAS購入)は、NCAPG2変異体(TA)でもほぼ同様のレベルで検出され、C
DTPVHRGVLSpTLIA(配列番号3)抗原に対する抗体は、NCAPG2変異体(TA)で減少したが、依然として検出されていることを確認した。一方、前記実施例1で作製したC-HRGVLS(pT)LIAGPV-amide抗原に対する抗体は、NCAPG2変異体(TA)で検出されなかったことを観察し、本発明で作製したNCAPG2pT1010特異的抗体は、NCAPG2のアミノ酸配列において1010番目のトレオニンのリン酸化部位に特異的な反応性を有し、CDTPVHRGVLSpTLIA抗原に対する抗体に比べてNCAPG2のpT1010に対して特異性がより優れていることを確認した。
【0112】
また、リン酸化を誘導するリン酸化酵素を同定するために、乳がん細胞株であるMBAMB231に細胞分裂期誘導試薬であるノコダゾールを処理し、細胞分裂期を調節するリン酸化酵素の阻害剤を2時間処理した後、NCAPG2のpT1010特異的抗体反応性を確認した。このときに使用されたリン酸化酵素阻害剤は、オーロラキナーゼB:ZM447439、CDK1:RO3306、PLK1:BI2536、Mps1及びオーロラキナーゼ:Reversineであり、その中で
図1bに示すように、CDK1とMps1及びAurora kinase阻害によりリン酸化特異的バンドがなくなることを確認した。このような結果は、
図1cに示すように、阻害剤の濃度条件を変えた場合にも同一に現れることが分かった。
【0113】
[実施例3.免疫細胞化学法(Immunocytochemistry)を用いた抗体の特異性の確認]
前記実施例1で製造したNCAPG2のpT1010特異的抗体を細胞染色に使用できるかどうかを確認するために、siRNAを用いてNCAPG2特異的発現を減少させたとき、この抗体の反応性が十分に特異性を有するかを確認した。このために、siGFPまたはsiNCAPG2をAMAXAトランスフェクション法でMDA-MB-231(program:X-013)に処理し、48時間後に染色を行った。
【0114】
染色のために1%PFA、0.2%Triton X-100で固定し、PBSで洗浄し、3%BSA/PBSでblockした後、次のような割合で一次抗体を処理した。
【0115】
1)抗NCAPG2 1:100/抗CenpC 1:5000/3% BSA/PBS
【0116】
2)Old抗pT1010 1:200/抗CenpC 1:5000/3% BSA/PBS
【0117】
3)New抗pT1010(1158,2nd purify)1:200/抗CenpC 1:5000/3% BSA/PBS
【0118】
次に、PBSで洗浄した後、二次抗体(Alexa 488α-rabbit/Alexa 594α-guineapig)、1:1000を処理し、VECTASHIELDでマウントした後、共焦点顕微鏡で観察した。
【0119】
また、Cas9システムを用いてNCAPG2をノックアウトした後、前記と同じ割合で抗体を処理し、同様の方法で細胞を染色した。
【0120】
前記のような方法で免疫細胞化学法を行った後、従来の市販のNCAPG2反応抗体に対する結果を
図2aに、CDTPVHRGVLSpTLIA抗原の抗pT1010抗体に対する結果を
図2bに、実施例1で作製したC-HRGVLS(pT)LIAGPV-amide抗原の抗pT1010抗体の結果を
図2cに示した。抗CenpCと抗pT1010抗体で染色された部分の位置比較を通じて、NCAPG2のT1010部分がリン酸化されている場合、染色体の中で紡錘糸付着点(動原体)が特異的に染色されることが分かる。
【0121】
図1aと比較したとき、HRGVLSpTLIAGPV-amide抗原に対する抗pT1010抗体が従来作製したCDTPVHRGVLSpTLIA pT1010抗体に比べてより明らかにTA変異体で減少することを観察し、抗体の選択性や結合程度がHRGVLSpTLIAGPV-amide抗原に対する抗pT1010抗体がより適していることが分かった。また、
図2a~2cを比較したとき、細胞免疫染色実験の結果、ブースティングし、再度精製した(2
ndpurify)HRGVLSpTLIAGPV-amideウサギ抗体を用いた場合、より明らかな染色パターンを示すことにより選択性が増加したことが分かり、mRNAを阻害するsiRNAやDNAを制御するCRISPR-CAS9を用いてNCAPG2発現を減少させたとき、本発明の抗体が染色される紡錘糸付着点の染色像が弱くなることを確認した。
【0122】
これを通じて、本発明によるHRGVLSpTLIAGPV-amide抗原に対する抗pT1010抗体の選択性や結合程度が、従来作製したCDTPVHRGVLSpTLIApT1010抗体に比べてより適していることが分かった。
【0123】
[実施例4.正常細胞及びがん細胞における免疫染色パターンの比較]
NCAPG2の1010番目のトレオニンのリン酸化は、PLK1との相互作用及び正常な細胞分裂のために重要な残基である。したがって、1010番目のトレオニンのリン酸化パターンが正常細胞とがん細胞の間に差異があるかどうかを調べるために、肝がん(Hepg2、SNU-449)、乳がん(MDA-MB-468)、膵臓がん(KP-3、Panc1)、肺がん(A549、H1299)、及び前立腺がん(LNCaP)細胞株を用いて免疫染色実験を行った。抗体はブースティングし、もう一度精製した(2nd purify)1158ウサギ抗体(1158,new 抗pT1010)を使用した。
【0124】
各がん細胞は、採取(ハーベスト)する4~5時間前にノコダゾール(nocodazole)250ng/mlを処理した。細胞はトリプシン(Trypsin)/EDTAを使用して収穫し、PBSで洗浄した後、カウントした。その後、5x105細胞/mlになるように再びPBSで再懸濁した。次に、キュベットに細胞を100μlずつ入れた後、Cytospin装備を用いて1500rpmで5分間細胞を降下させた。固定のために、1%パラホルムアルデヒド溶液と0.25%Triton X-100を常温で10分間処理し、PBSで洗浄した。次に、ブロッキング(3%BSA/PBS)後、一次抗体(抗pT1010 1:100/抗CenpC 1:5,000)を4℃で一晩(overnight)反応させた。翌日、PBSで洗浄した後、二次抗体(Alexa 488、anti-rabbit+594、anti-guineapig 1:1000)を用いて常温で2時間反応させ、PBSで洗浄後にDAPI染色を行った。次に、再びPBS洗浄後にマウントした後、LSM780LSM780 confocal顕微鏡で観察した。
【0125】
その結果、
図3に示すように、正常細胞(HDF)では抗pT1010抗体処理時、細胞分裂期にCENPC(Centromere protein C)という染色体と紡錘糸の結合部位である紡錘糸付着点(動原体)に特異的に染色されるが、がん細胞では染色の強度が強くなり、染色体不安定性により細胞分裂期に紡錘糸付着点特異的染色が起こらない場合が多く現れることを確認した。
【0126】
[実施例5.ヒトがん組織における免疫組織化学染色(Immunohistochemistry)結果の確認]
免疫組織化学染色(immunohistochemistry)は、抗原、抗体反応を用いる方法で組織内の目的タンパク質を特異的に検出する方法であり、目的タンパク質を確認するためにDAB発色を通じて抗原に反応した目的タンパク質の位置を可視的に確認できる方法である。
【0127】
このような免疫組織化学染色法を用いてヒトの肝がん、胆管がん、及び膵臓がん組織の非腫瘍部分及び腫瘍部分においてNCAPG2のpT1010発現を確認した。
【0128】
(5-1.肝がん組織における免疫組織化学染色結果の確認)
通常の組織処理過程を経て作製したヒト由来肝がん組織のパラフィン包埋スライドに水和(hydration)、クエン酸バッファー(citrate buffer)を用いた抗原抽出(antigen retrieval)、過酸化水素を用いた内因性過酸化酵素(endogenous peroxidase)遮断、正常ウマ血清(normal horse serum)を用いた抗体の非特異的反応遮断、前記実施例1で製造したNCAPG2のpT1010に特異的な抗体反応、前記抗原-抗体間反応を検出するためにNCAPG2 pT1010抗体の宿主に対する二次抗体結合などの過程を経て免疫組織化学染色を行った。その後、各患者の組織の中で腫瘍部分(tumor)と非腫瘍部分(non-tumor)を区分し、200倍の視野でそれぞれ3-4箇所の代表性を帯びる断面を撮影し、陽性反応に対する数値化は、H-scoreシステムを用いた(H-scoreは、陽性反応の程度を0、1、2、3で割った後、各スコアに該当する細胞の割合を乗じた値をすべて加算した結果として表し、断面のすべての細胞が強い陽性反応を示す場合、最大300点を与える)。
【0129】
前記方法でヒト肝がん組織を染色し、陽性反応について数値化した結果、
図4a及び
図4bに示すように、NCAPG2の抗pT1010抗体は組織染色法で核、染色体染色に使用されるヘマトキシリン(Haematoxylin)の位置に染色されることを確認することにより、NCAPG2のpT1010は、ほとんどの細胞の核で発現されることを観察し、80人の肝がん患者サンプルにおいて非腫瘍部分に比べて腫瘍部分での発現が著しく高く観察された。
【0130】
(5-2.胆管がん組織における免疫組織化学染色結果の確認)
前記実施例4-1の方法で胆管がん患者由来組織においてNCAPG2のpT1010に対する免疫組織化学染色を行い、その結果、
図4cに示すように、NCAPG2のpT1010に対する抗体の染色位置を確認することにより、ほとんどの胆管がん組織内の腫瘍細胞の核においてNCAPG2のpT1010発現が非常に高く観察されることが分かり、非腫瘍部分に比べて腫瘍部分での発現が著しく高いことを確認した。
【0131】
(5-3.膵臓がん組織における免疫組織化学染色結果の確認)
前記実施例4-1の方法で膵臓がん患者由来組織サンプルにおいて非腫瘍/腫瘍部分を200倍顕微鏡を通じて観察した結果、
図4dに示すように、NCAPG2のpT1010に対する抗体の染色位置を確認することにより、NCAPG2のpT1010は、核に特異的に発現することを観察し、その中でも正常膵臓組織よりは膵臓がん組織において著しく発現が高いことを確認した。
【0132】
[実施例6.膵臓がんの分化の程度によるNCAPG2pT1010の発現様相の確認]
合計126ケースのヒト膵臓がん組織においてNCAPG2pT1010に対する免疫組織化学染色を行った結果、前記実施例5-3で確認したように核で特異的に染色されることを確認した。発現程度はQ-scoreシステムを用いて0~3程度に区分し、この発現程度と腫瘍の分化程度、リンパ節転移率、手術後再発までの期間及び手術後死亡までの期間など様々な臨床情報を比較した結果、
図5a及び5bに示すように、膵臓がん組織におけるNCAPG2pT1010発現の程度は、腫瘍が未分化になるほど高く観察される傾向を示した。
【0133】
前述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形が可能であることが理解できるだろう。したがって、上述した実施例は、すべての点で例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明によるNCAPG2(Non-SMC condensin IIcomplex subunit G2)のアミノ酸配列において1010番目のトレオニンのリン酸化の有無を確認するための抗体は、NCAPG2のpT1010に選択性及び結合性が高く、CDK1、PLK1、Mps1、及びオーロラキナーゼなど細胞分裂期を調節するリン酸化酵素の阻害剤を処理したがん細胞において、NCAPG2のpT1010に対する反応性が抑制され、免疫組織化学染色を通じてがん患者の非腫瘍組織に比べて腫瘍組織において非常に高く検出されることを確認した。したがって、本発明による抗体を通じてNCAPG2の1010番目のトレオニンのリン酸化の有無を確認することによりがんを診断するか、または抗がん剤候補物質をスクリーニングするなどのがん関連研究、開発分野に有用に利用できるので、産業上の利用可能性がある。
【配列表】
【国際調査報告】