IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アマゾン テクノロジーズ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-523799ワクチン開発のためのペプチド群へのペプチドの割当て
<>
  • 特表-ワクチン開発のためのペプチド群へのペプチドの割当て 図1
  • 特表-ワクチン開発のためのペプチド群へのペプチドの割当て 図2
  • 特表-ワクチン開発のためのペプチド群へのペプチドの割当て 図3
  • 特表-ワクチン開発のためのペプチド群へのペプチドの割当て 図4
  • 特表-ワクチン開発のためのペプチド群へのペプチドの割当て 図5
  • 特表-ワクチン開発のためのペプチド群へのペプチドの割当て 図6
  • 特表-ワクチン開発のためのペプチド群へのペプチドの割当て 図7
  • 特表-ワクチン開発のためのペプチド群へのペプチドの割当て 図8
  • 特表-ワクチン開発のためのペプチド群へのペプチドの割当て 図9
  • 特表-ワクチン開発のためのペプチド群へのペプチドの割当て 図10
  • 特表-ワクチン開発のためのペプチド群へのペプチドの割当て 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】ワクチン開発のためのペプチド群へのペプチドの割当て
(51)【国際特許分類】
   G16B 35/00 20190101AFI20240625BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20240625BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20240625BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240625BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240625BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240625BHJP
   C07K 14/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G16B35/00
C07K14/47
A61K39/00 H
A61P35/00
A61P43/00 125
A61P37/04
C07K14/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573032
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 US2022030826
(87)【国際公開番号】W WO2022251293
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】17/332,719
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Blu-ray
2.Linux
(71)【出願人】
【識別番号】506329306
【氏名又は名称】アマゾン テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】プライス,レイン クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ヘッカーマン,デイビット
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ,フランク ヴィルヘルム
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA04
4C085BB01
4C085CC32
4C085EE03
4H045AA10
4H045BA09
(57)【要約】
ワクチン開発のためにペプチドをペプチド群に割り当てることに関する技術が記載される。一例では、ペプチドのペプチド特性が決定され、このペプチドは、ワクチンの異なる群に割り当てられるべき異なるペプチドに由来する。ペプチドが、ペプチド特性に少なくとも部分的に基づいて、異なる群からの第1の群に割り当てられるべきであるとも決定される。第1の群は、第1の群に割り当てられるべき第1のペプチドのペプチド特性に少なくとも部分的に基づく第1の群特性を有する。第1の群特性は、異なる群からの第2の群の第2の群特性に対する類似性範囲内にある。ペプチドが第1の群に割り当てられていることを示す情報が生成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
1つ以上のプロセッサと、
前記1つ以上のプロセッサによる実行時に、前記システムを、
対象について、前記対象の癌ワクチンの異なる群に割り当てられるべき異なるペプチドを決定し、各群が、2つ以上の異なるペプチドを含み、
前記異なるペプチドからのペプチドのペプチド特性であって、クラスI免疫原性スコア、クラスII免疫原性スコア、またはアミノ酸配列長のうちの少なくとも1つを含む、ペプチド特性を決定し、
前記異なるペプチドからの第1のペプチドを第1の群に割り当てることによって、前記異なる群の前記第1の群を定義し、
前記第1のペプチドが、前記ペプチド特性に少なくとも部分的に基づいて前記第1の群に割り当てられ、
前記第1の群が、前記第1のペプチドのクラスI免疫原性スコア、クラスII免疫原性スコア、またはアミノ酸配列長のうちの少なくとも1つの尺度を含む第1の群特性を有し、かつ
前記第1の群特性が、前記異なる群からの第2の群の第2の群特性に対する類似性範囲内にあり、かつ
前記第1のペプチドが前記第1の群に割り当てられていることを示す情報を生成する
ように構成するコンピュータ可読命令を記憶する1つ以上のメモリと、
を含む、システム。
【請求項2】
前記1つ以上のメモリが、前記1つ以上のプロセッサによる実行時に、前記システムを、
個々のペプチド特性に少なくとも部分的に基づいて、前記異なるペプチドのソートされた順序を決定し、
前記ソートされた順序に少なくとも部分的に基づいて、前記異なるペプチドの第1のサブセットを第1の階層と関連付け、前記異なるペプチドの第2のサブセットを第2の階層と関連付け、前記ペプチドが、前記第1の階層に関連付けられた第1のペプチドであり、かつ
前記第1の群に、前記第1の階層に関連付けられた前記第1のペプチドおよび前記第2の階層に関連付けられた第2のペプチドを割り当てる
ように構成するさらなるコンピュータ可読命令を記憶する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ワクチンの異なる群に割り当てられるべき異なるペプチドからのペプチドのペプチド特性を決定することと、
前記ペプチドが、前記ペプチド特性に少なくとも部分的に基づいて、前記異なる群からの第1の群に割り当てられるべきであると決定することであって、前記第1の群が、前記第1の群に割り当てられるべき第1のペプチドのペプチド特性に少なくとも部分的に基づく第1の群特性を有し、前記第1の群特性が、前記異なる群からの第2の群の第2の群特性に対する類似性範囲内にある、決定することと、
前記ペプチドが前記第1の群に割り当てられていることを示す情報を生成することと、
を含む、方法。
【請求項4】
前記異なるペプチドが対象と関連付けられると決定することであって、前記異なる群に同じ数のペプチドが割り当てられ、前記異なる群が前記対象の癌ワクチンのために定義される、決定すること
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ペプチドが前記第2の群にも割り当てられると決定することと、
ワクチンの群の候補セットから前記第2の群を除去することと、
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の群に特定のアミノ酸を有する2つ以上のペプチドが割り当てられると決定することと、
ワクチンの群の候補セットから前記第2の群を除去することと、
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記異なるペプチドを前記異なる群に割り当てることによって前記異なる群を定義することであって、前記異なるペプチドが、ネオ抗原ペプチドを含み、前記ネオ抗原ペプチドが、前記異なる群のうちの1つのみに割り当てられる、定義すること
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記異なるペプチドが、ある領域に腫瘍を有する対象に関連付けられると決定することと、
前記ペプチドが、閾値スコアより大きいペプチド特性スコアを有するネオ抗原ペプチドであると決定することと、
前記第1の群を、前記第1の群に割り当てられている前記ネオ抗原ペプチドに少なくとも部分的に基づいて、前記領域と関連付けることと、
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
システム上での実行時に、前記システムに、
ワクチンの異なる群に割り当てられるべき異なるペプチドからのペプチドのペプチド特性を決定することと、
前記ペプチドが、前記ペプチド特性に少なくとも部分的に基づいて、前記異なる群からの第1の群に割り当てられるべきであると決定することであって、前記第1の群が、前記第1の群に割り当てられるべき第1のペプチドのペプチド特性に少なくとも部分的に基づく第1の群特性を有し、前記第1の群特性が、前記異なる群からの第2の群の第2の群特性に対する類似性範囲内にある、決定することと、
前記ペプチドが前記第1の群に割り当てられていることを示す情報を生成することと、
を含む動作を実行させる命令を記憶する1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
前記システム上での実行時に、前記システムに、
個々のペプチド特性に少なくとも部分的に基づいて、前記異なるペプチドのソートされた順序を決定することと、
前記ソートされた順序に少なくとも部分的に基づいて、前記異なるペプチドの第1のサブセットを第1の階層と関連付け、前記異なるペプチドの第2のサブセットを第2の階層と関連付けることであって、前記ペプチドが、前記第1の階層に関連付けられた第1のペプチドである、関連付けることと、
前記第1の群に、前記第1の階層に関連付けられた前記第1のペプチドおよび前記第2の階層に関連付けられた第2のペプチドを割り当てることと、
を含む動作を実行させる追加の命令をさらに記憶する、請求項9に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
前記システム上での実行時に、前記システムに、
前記異なる群に割り当てるペプチドの総数を決定することと、
前記ペプチドをペプチドセットと関連付け、前記異なるペプチドからの第2のペプチドを前記ペプチドセットと切り離すことによって、前記ペプチドセットを生成することであって、前記ペプチドセットのサイズが、前記総数に等しい、生成することと、
前記ペプチドセットのサブセットを前記異なる群に割り当てることによって、前記異なる群を定義することと、
前記ペプチドを前記ペプチドセットと切り離し、前記第2のペプチドを前記ペプチドセットと関連付けることによって、更新されたペプチドセットを生成することであって、前記更新されたペプチドセットのサイズが、前記総数に等しい、生成することと、
前記更新されたペプチドセットのサブセットを追加の群に割り当てることによって、前記追加の群を定義することと、
を含む動作を実行させる追加の命令をさらに記憶する、請求項9に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記システム上での実行時に、前記システムに、
(i)前記異なるペプチドの前記異なる群への潜在的な割当てを決定し、(ii)前記異なる群の各群について、前記群に潜在的に割り当てられたペプチドのペプチド特性に少なくとも部分的に基づいて群特性を計算し、(iii)前記異なる群の群特性間の差を低減するように構成された組合せ最適化アルゴリズムを実行すること
を含む動作を実行させる追加の命令をさらに記憶する、請求項9に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
複数の異なるワクチン組成物を含むワクチンであって、各ワクチン組成物が、ペプチドの複数の異なる群からのペプチドの異なる群に対応し、前記複数の異なる群が、少なくとも、
前記複数の異なる群に割り当てられるべき異なるペプチドからのペプチドのペプチド特性を決定することであって、前記異なるペプチドが、対象において免疫原性応答を生成すると予測される、決定することと、
前記ペプチドが、前記ペプチド特性に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の異なる群からの第1の群に割り当てられるべきであると決定することであって、前記第1の群が、前記第1の群に割り当てられるべき第1のペプチドのペプチド特性に少なくとも部分的に基づく第1の群特性を有し、前記第1の群特性が、前記複数の異なる群からの第2の群の第2の群特性に対する類似性範囲内にある、決定することと、
前記ペプチドが前記第1の群に割り当てられていることを示す情報を生成することと、
によって定義される、ワクチン。
【請求項14】
対象において免疫応答を誘導する方法であって、
複数のワクチン組成物からのペプチドの1つ以上のワクチン組成物を前記対象に投与し、それにより、前記1つ以上のワクチン組成物中の1つ以上のペプチドに対する免疫応答を誘導することを含み、前記複数のワクチン組成物が、対象において免疫原性応答を生成すると予測されるネオ抗原ペプチドをペプチドの複数の群に割り当てる情報から生成され、前記複数の群のペプチドの第1の群が、前記複数の群のペプチドの第2の群の第2の群特性に対する類似性範囲内にある第1の群特性を有する、方法。
【請求項15】
複数の異なるワクチン組成物を含むワクチンであって、各ワクチン組成物が、対象において免疫原性応答を引き起こすと予測される複数のペプチドからのペプチドの異なるセットを含み、各ワクチン組成物が、残りのワクチン組成物の特性の類似性範囲内にある特性を有し、前記特性が、クラスI免疫原性スコア、クラスII免疫原性スコア、またはアミノ酸配列長のうちの少なくとも1つを含む、ワクチン。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子およびMHC分子によって結合されたペプチドに基づく様々な応用が、ライフサイエンス分野において利用可能である。例えば、T細胞と抗原提示細胞との間の相互作用などの免疫系の機能について理解を深めることができる。この理解は、診断および疾患同定、創薬、およびワクチン開発に使用され得る。
【0002】
[0002]本開示による様々な実施形態を、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】本開示の実施形態による異なるペプチド群に対応する複数の溶液を含む癌ワクチンの一例を示す図である。
図2】本開示の実施形態による癌ワクチンのペプチド群へのペプチドの割当ての一例を示す図である。
図3】本開示の実施形態による癌ワクチンのペプチド群を定義するためのコンピューティング環境の一例を示す図である。
図4】本開示の実施形態による癌ワクチンのペプチド群を定義するためのフローの一例を示す図である。
図5】本開示の実施形態による癌ワクチンのペプチド群にペプチドを割り当てるためのフローの一例を示す図である。
図6】本開示の実施形態によるペプチドのソートの一例を示す図である。
図7】本開示の実施形態による階層の定義の一例を示す図である。
図8】本開示の実施形態によるペプチド群へのペプチドの階層ベースの割当ての一例を示す図である。
図9】本開示の実施形態による階層ベースのシャッフルの一例を示す図である。
図10】本開示の実施形態による階層の再定義の一例を示す図である。
図11】様々な実施形態による態様を実施するための例示的な環境の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
[0014]以下、様々な実施形態について説明する。説明の目的で、実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成および詳細が記載されている。しかしながら、特定の詳細なしで実施形態を実施してもよいことも当業者には明らかであろう。さらに、説明されている実施形態を不明瞭にしないために、周知の特徴は省略または簡略化されてもよい。
【0005】
[0015]本開示の実施形態は、とりわけ、ワクチン開発のためにペプチドをペプチド群に割り当てることに関する。一例では、複数のペプチドが、対象に対して個別化されたワクチンの候補ペプチドとして対象について同定され、これらのペプチドは、対象の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子(例えば、MHCクラスI分子および/またはMHCクラスII分子)とのそれらの結合に基づいて、対象における陽性免疫原性応答(例えば、CD8+免疫原性応答および/またはCD4+免疫原性応答)を引き起こすと予測される。ペプチドはペプチド群に割り当てられ得、各群はワクチン組成物に使用され、各ワクチン組成物は投与され得る(例えば、対象の同じまたは異なる位置に注射される)。特に、ペプチド群は、ワクチン組成物の候補ペプチドのサブセットを同定する。これらの同定されたペプチドは、投与のために、例えばアジュバント、免疫賦活剤またはその両方と共に製剤化される。例えば、一実施形態では、同定されたペプチドを溶液(任意に、アジュバント、免疫賦活剤またはその両方、例えばポリイノシン酸-ポリシチジル酸(ポリICLC)、および溶媒、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)を特定の濃度で含むことができる)中で組み合わせてワクチン組成物を形成する。異なるペプチド群へのペプチドの割当ては、得られたペプチド群が同様の免疫原性応答(例えば、所定のスコア範囲内のスコアを有すると決定され得る応答)を有するように行われる。ペプチド群に割り当てられたペプチドの場合、ペプチドは対応するワクチン組成物の製造に使用される。このようにして、異なるワクチン組成物は、同様の有効性で免疫原性応答を引き起こすと予想され得る。任意に、ペプチド共溶解性も決定され、共溶解性であるペプチド群が選択され、それによりワクチン組成物中の共溶解性ペプチドが確保される。
【0006】
[0016]例示するために、特定のタイプの癌を示すヒト患者のために開発される癌ワクチンの一例を検討する。生検をヒト患者(例えば、その健康な細胞または癌性細胞)に対して実施することができ、ゲノム配列決定を生検に適用して、ヒト患者において発現されるMHCクラスII対立遺伝子(例えば、ヒト白血球抗原(HLA)-DP、HLA-DQ、およびHLA-DRについて)を決定することができる。人工知能モデルを使用して、各々がヒト患者の体内でMHCクラスII分子に結合することによって陽性免疫原性応答(例えば、CD4+免疫原性応答)を引き起こす尤度を有するいくつか(例えば、60個)のネオ抗原ペプチドを同定することができる。ペプチドの場合、対応する尤度は、クラスII免疫原性スコアを表す。ペプチド製造業者は、溶解性または他の基準(例えば、60個のネオ抗原ペプチドのうち40個を製造することができる)に基づいて製造され得るペプチドを示すことができる。製造のために同定されたネオ抗原ペプチド(例えば、それらのうちの40個)は、ヒト患者の癌ワクチンを開発するために使用可能である。これらのネオ抗原ペプチドのうち、それらのサブセット(例えば、18個)が候補ペプチドとして選択され得る。任意に、「ユニバーサル」(様々な対立遺伝子からのMHC分子に結合する)クラスIIペプチドなどの追加のペプチドを、検討中のペプチドに加えることができる。例示的なユニバーサルペプチドには、「PADRE」ペプチド(Smahelら、Gene Therapy第21巻、第225~232頁(2014))が含まれ得るが、これに限定されない。例えば、2つのPADREペプチドが合計20個のペプチドに含まれ得る。第1のワクチン計画では、20個のペプチドを、各々が異なる20個のペプチド由来の5つのペプチドを含む4つのペプチド群に割り当てる。4つのペプチド群は、完全に異なり得る(例えば、それらはいかなる重複ペプチドも含有しない)か、またはある程度の重複が許容されてもよい(例えば、1つ以下の重複ペプチド)。さらに、異なるペプチド群の平均クラスII免疫原性スコアは、類似性範囲内(例えば、±5または10または20%の相対範囲内)である。20個のペプチドの4つのペプチド群への別の割当てを使用することによって、同じ20個のペプチドから1つ以上の追加のワクチン計画をさらに定義することができる。追加的または代替的に、割当ての前に、18個のネオ抗原ペプチドのうちの1つ以上を、40個の初期候補セットのうちの残りの22個のネオ抗原ペプチドのうちの1つ以上で置換することによって、1つ以上の追加のワクチン計画を定義することができる。第1のワクチン計画と同様に、各追加のワクチン接種計画内の異なるペプチド群は、同様の平均クラスII免疫原性スコアを有する。異なるワクチン計画は、ペプチド製造業者に同定され得る。ペプチド製造業者が、ワクチン計画が共溶解性ペプチドを含有するペプチド群を有することを確認すると、ワクチン計画を使用して癌ワクチンの4つの組成物の製造が開始される。各組成物は、ワクチン計画の異なるペプチド群に対応し、ペプチド群に割り当てられたペプチドを含む。
【0007】
[0017]本開示の実施形態は、いくつかの利点を提供する。例えば、個別化ワクチンを対象のために開発することができる。ワクチンが複数の組成物を含む実施形態では、各組成物は、複数の共溶解性ペプチドを含有し得る。さらに、組成物の免疫原性応答は、組成物が対象の異なる部位に注射された場合に同様の有効性で免疫原性応答を引き起こすと予想され得るように同様である。
【0008】
[0018]説明を明確にするために、様々な実施形態が、ヒト患者の癌ワクチンのペプチドの例を使用して本明細書に記載される。しかしながら、実施形態は、かかる例に限定されない。例えば、実施形態は、特定の免疫応答を標的とする他のタイプのペプチドベースのワクチンおよび他のタイプの対象(例えば、哺乳動物または他の動物)にも同様に適用される。一般に、候補ペプチドは、例えば、標的免疫原性応答の予測に基づいて対象について同定され得る。癌ワクチンの場合、これらのペプチドにはネオ抗原ペプチドが含まれる。他のタイプのワクチンの場合、ペプチドタイプが標的免疫応答に依存し得る他のタイプのペプチドを使用することができる。ペプチドは、ワクチン組成物の異なるペプチド群に割り当てられ得、異なるペプチド群の免疫原性特性は同様である。ペプチド群の免疫原性特性は、個々のペプチドまたはペプチド群に割り当てられたペプチドの集合体の生物学的および/または化学的特性に基づいて定義され得る。癌ワクチンの場合、この特性は、例えば、クラスI免疫原性スコア、クラスII免疫原性スコア、アミノ酸配列長尺度、ペプチド群のペプチド中のシステインアミノ酸の分布または頻度を含み得る。
【0009】
[0019]図1は、本開示の実施形態による異なるペプチド群に対応する複数の溶液112を含む癌ワクチン110の一例を示す。癌ワクチン110は、特定の対象120に個別化され得、溶液112の各々は、対象120のMHC分子と結合することによって陽性免疫原性応答を引き起こすと予測される特定のペプチドを含有する。
【0010】
[0020]一例では、癌ワクチン110は、4つの溶液112(または他の何らかの総数の溶液112)を含む。次に、溶液112の各々は、互いにアミノ酸配列が異なる5つのペプチド(または他の何らかの総数のペプチドタイプ)を含み、ペプチドは、特定の濃度で溶液に添加される。ペプチドは、溶液112間で少なくとも1つのペプチドによって異なり得る。溶液112(すなわち、異なる溶液)が重複ネオ抗原ペプチドを含有しないことも可能である。しかしながら、いくつかの実施形態では、溶液112のサブセット(例えば、それらのうちの1つまたは2つ)は、重複ユニバーサルペプチドを含有し得る。ユニバーサルペプチド(文献では「無差別ペプチド(promiscuous peptide)」とも呼ばれる)は、一例では、一般的に見られるHLA-DR対立遺伝子の少なくとも大部分に、いくつかの実施形態ではHLA-DQおよびHLA-DP対立遺伝子にも結合することができるペプチドであり得る。例えば、Sinigagliaら、Current Opinion in Immunology 6(1):1994年2月、第52~56頁を参照されたい。したがって、ユニバーサルペプチドは、対象の集団に適用可能であり得る。例示的なユニバーサルペプチドには、「PADRE」ペプチド(Smahelら、Gene Therapy第21巻、第225~232頁(2014))、またはpan-DR結合ペプチド(例えば、米国特許第9,249,187号明細書を参照されたい)、またはジフテリアもしくは破傷風トキソイド(TT)、例えばTT830-844もしくはTpD(Fraserら、Vaccine 32(24)、2014年5月19日、第2896~2903頁)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0011】
[0021]組成物中のペプチドの濃度(または、組成物全体のペプチドの総数)は、同じであり得るか、または所定の濃度範囲内で変化し得る。例えば、いくつかの実施形態では、溶液は、1.5mg/mLのペプチドの総濃度に対して0.3ミリグラム毎ミリメートル(mg/mL)の各ペプチドタイプを含有する。溶液はまた、対応する濃度の他の成分、例えば0.9%のNaClまたは0.5mg/mLのポリICLCおよび4%のDMSOを含み得る。もちろん、他の濃度が、ペプチドおよび/または成分のいずれについても可能であり、対象120のタイプおよび適用される規制要件(例えば、最大20%のDMSOの濃度をヒト患者に使用することができるが、この濃度は、最大70%など、別のタイプの哺乳動物ではより高くすることができる)に依存する。
【0012】
[0022]4つの溶液112は、例えば、対象120に注射するために製剤化され得る。注射は、同じ位置(例えば、左腕)であり得る。あるいは、4つの溶液112の各々は、対象120の異なる位置に注射され得る。例えば、4つの象限が対象120上で同定される(図1では、「Q1」、「Q2」、「Q3」、「Q4」として示されている)。4つの溶液112の各々は、象限のうちの1つに関連付けられ、象限内の位置(例えば、左腕、右腕、右脚、または左脚)に注射され得る。関連付けは、本明細書で以下にさらに説明するように、事前定義され得る。
【0013】
[0023]図1は、癌ワクチン110が液体形態を使用することを示しているが、他の癌ワクチンタイプも可能である。例えば、癌ワクチン110は、各々がペプチドタイプの異なるセット(例えば、5つのペプチド)を含有する複数の丸剤(例えば、4つの丸剤)またはスプレーを含むように同様に開発され得る。
【0014】
[0024]図2は、本開示の実施形態による癌ワクチンのペプチド群220へのペプチド210の割当て202の一例を示す。ペプチド群220は、各々がペプチドプールを表す溶液を定義するために使用され得る。ペプチドプール中のペプチドが共溶解性であると決定すると、ペプチドプールをワクチンショットとして使用することができる。
【0015】
[0025]一例では、ペプチドは、対象のMHC分子に基づいて対象の標的免疫原性応答を引き起こすと予想される候補ペプチドとして対象について同定される。各ペプチドの溶解性を試験する。溶解性であることが見出されたペプチドは、ペプチド210の一部として同定される。続いて、ペプチド210に対してペプチド-群割当て202を行って、癌ワクチンのペプチド群220にペプチド210を分配する。異なるペプチド群220は、同様の免疫原性特性を有する。各ペプチド群内のペプチドが共溶解性であることが見出された場合、これらのペプチド群220は、対象のワクチン計画で同定され、ワクチンショットに製造され得る。
【0016】
[0026]ペプチドの同定は、対象のMHC対立遺伝子に関する情報に基づいてこれらのペプチドの識別子(例えば、各ペプチドを定義するアミノ酸の配列)を出力するように訓練された人工知能モデルに依存し得る。説明のために、ヒト患者の一例を考える。ヒト患者は、HLAクラスII分子と呼ばれる6種類のMHCクラスII分子(例えば、MHC対立遺伝子)を有してもよい。ヒト患者からの生検に対するゲノム配列決定(例えば、次世代配列決定(NGS))を使用することによって、ヒト患者のHLAクラスII分子のセット(例えば、6つまたは8つのセット)が決定される(例えば、セット中の各要素は、1つのHLA対立遺伝子を同定する)。ネオ抗原ペプチドのデータベースは、癌ワクチンの開発に利用可能であり得る。HLAクラスII分子を同定するデータを人工モデルに入力することができる。このモデルは、データベースからのネオ抗原ペプチドを対象のHLAクラスII分子と対にして、ペプチド-HLAクラスII分子の候補ペアを生成する。各候補ペアについて、人工知能モデルは、候補ペアが陽性CD4+免疫原性応答を誘発する尤度を示すCD4+免疫原性応答予測を生成する。最も高い尤度(または所定の閾値を超える尤度)を有する候補ペアが選択され、ランク付けされる(例えば、それらのCD4+免疫原性応答予測尤度の降順で)。
【0017】
[0027]上記のランク付けされたネオ抗原ペプチドの中から、ネオ抗原ペプチドの総数が選択される。例えば、上位60個のネオ抗原ペプチド(または他の何らかの数)が選択される。これらのペプチドは、例えば、各ネオ抗原ペプチドのアミノ酸配列をペプチド製造業者に同定することによって、ペプチド製造業者に同定される。「ネオ抗原」という用語は、癌抗原を指す。
【0018】
[0028]ペプチド製造業者は、ペプチド群の生成に関与する実体と異なっていてもよいが異なっている必要はなく、各ネオ抗原ペプチドの製造可能性および溶解性を試験することができる。例えば、ペプチド製造業者は、可能であれば、同定されたアミノ酸配列が与えられたネオ抗原ペプチドの量を生成し、この量を特定の濃度(例えば、1.5mg/mL)で溶液に添加する。溶液は、他の濃度の他の成分、例えば0.9%の塩化ナトリウム(NaCl)および4%のDMSO、pH6~8を含む。濃度の他の値を使用することができる(例えば、ネオ抗原ペプチドについては1~3mg/mL、NaClについては0.5~1.5%、およびDMSOについては2~20%)。この製造されたペプチドが溶解性であることが見出された場合、ペプチド製造業者は、そのことを示す情報を返す。そうでなければ、ペプチド製造業者は、必要に応じて、ネオ抗原ペプチドを製造することができないかまたは溶解性でないことを示す。したがって、60個のネオ抗原ペプチドの初期セットの中から、ペプチド製造業者は、可能性のあるネオ抗原ペプチドのサブセット(例えば、40個または他の何らかの数)を同定する。
【0019】
[0029]40個(または他の何らかの数)のネオ抗原ペプチドの中から、ネオ抗原ペプチドのより小さいサブセット(例えば、それらのうちの18個)が選択され、ペプチド210に対応する。例えば、このサブセットは、上位18個のネオ抗原ペプチドに対応する。いくつか(例えば、1つまたは2つ)のPADREペプチド(および/または他のタイプのユニバーサルペプチド)も同定され、ペプチド210に含まれ、合計20個のペプチドである。この例示では、ペプチド210は、20個の要素を有するセットを形成するが、異なるサイズのセットも可能である。このセットは、各々が癌ワクチンの異なる溶液中で使用することができる4つのペプチド群220(または他の何らかの数)に分配されるべきである。したがって、各ペプチド群220は、5つのペプチド(またはセットのサイズおよび開発される溶液の数に依存する他の何らかの数)を含み得る。
【0020】
[0030]次に、20個のペプチドを4つのペプチド群220に割り当てるために、1つ以上の割当て技術を使用して、ペプチド-群割当て202を行う。一般に、これらの技術は、ペプチド群220の免疫原性応答は同様であるが、ペプチド群220自体は異なってもいる(例えば、各ペプチド群は、群間で少なくとも1つのペプチド、2つ以上のペプチドまたはすべてのネオ抗原ペプチドが異なることによって残りのペプチド群と異なる)ことを保証する。技術は、2つのカテゴリに分類され得る。第1のカテゴリでは、ペプチド群へのペプチド210のランダムな割当てが生成され、次いで、得られたペプチド群の全体的な免疫原性応答が推定される。これらの免疫原性応答が同様である場合、ペプチド群はペプチド群220として設定される。そうでなければ、別のランダムな割当てが実行される。第2のカテゴリでは、割当て自体が、割当て後の免疫原性応答を推定する必要なしに、得られたペプチド群が同様の免疫原性応答を有することを保証する。そのような技術の例には、組合せ最適化アルゴリズムおよびトーナメント形式のアルゴリズムが含まれる。これらの技術は、本明細書で以下にさらに説明される。
【0021】
[0031]上記の技術はまた、異なる割当て規則に従い得る。割当て規則は、フィルタリング規則であり得る。例えば、ペプチド群がその配列中に2つ以上のシステインを有するペプチドを含む場合、フィルタリング規則はペプチド群を除去することができる。割当て規則はまた、重複規則であり得る。例えば、重複規則は、ペプチド群220のうちの2つのみがPADREペプチドを含み得ることを指定し得る。重複規則はまた、ネオ抗原ペプチドの重複が許容されないこと、または1つが許容される場合、許容されるネオ抗原ペプチドの重複の最大数を指定し得る。
【0022】
[0032]割当て技術に関係なく、割当て規則を適用すると、ペプチド-群割当て202は、ワクチン計画あたり4つのペプチド群220(または、関連する数)の定義をもたらす。これらのペプチド群220は、例えば、ワクチン計画、ペプチド群の標識、およびペプチド群ごとの各ペプチドのアミノ酸配列を同定することによって、ペプチド製造業者に同定される。
【0023】
[0033]ここで、ペプチド製造業者は、ペプチド群ごとのペプチドの共溶解性を試験することができる。例えば、ワクチン計画のペプチド群ごとに、ペプチド製造業者は、同定されたペプチドの量を溶液に添加し(例えば、pH6~8の0.9%のNaClおよび4%のDMSOの溶液へのペプチドあたり0.3mg/MLであるが、他の濃度も本明細書に上記で説明したように可能である)、次いで共溶解性試験を行う。ワクチン計画の各ペプチド群が共溶解性ペプチドを含有する場合、ペプチド製造業者は、そのことを示す情報を返す。そうでなければ、ペプチド製造業者は、ワクチン計画が適切ではなく、特定のとがむべきペプチド群を同定することができることを示す。
【0024】
[0034]図3は、本開示の実施形態による癌ワクチンのペプチド群を定義するためのコンピューティング環境の一例を示す。コンピューティング環境は、ペプチド割当てツール312をホストするコンピュータシステム310を含む。コンピューティング環境はまた、データネットワーク(例えば、インターネット)を介してコンピュータシステム310と通信可能に結合されたユーザ装置320を含む。ユーザ装置320は、ヒト患者または別の哺乳動物タイプなどの対象に関するペプチド情報322をコンピュータシステム310に送信することができる。次に、ペプチド割当てツール312は、ペプチド情報322を処理してペプチド群314を定義する。コンピュータシステム310は、ペプチド群314の定義をユーザ装置320に送信し、そこで提示する。
【0025】
[0035]一例では、コンピュータシステム310は、ペプチド割当てツール312をホストし、ユーザ装置320と通信するようにコンピュータシステム310を構成するために、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサによって実行可能なコンピュータ可読命令を記憶する1つ以上のメモリとを含む任意の好適なシステムであり得る。例えば、コンピュータシステム310は、データセンタでホストされるサーバまたはクラウドコンピューティングサービスであってもよい。
【0026】
[0036]比較すると、ユーザ装置320は、ペプチド情報322に関する入力を受信し、コンピュータシステム310と通信し、ペプチド群314に関する情報を提示するようにユーザ装置320を構成するために、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサによって実行可能なコンピュータ可読命令を記憶する1つ以上のメモリとを含む任意の好適なコンピューティング装置であり得る。例えば、ユーザ装置320は、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、デスクトップコンピュータ、サーバ、またはデータセンタでホストされるクラウドコンピューティングサービスであってもよい。
【0027】
[0037]図3は、コンピュータシステム310およびユーザ装置320を2つの別個のコンピューティング構成要素として示しているが、本開示の実施形態はそのようなものとして限定されない。例えば、コンピュータシステム310およびユーザ装置320は、単一のコンピューティング構成要素として統合され得る。さらに、ユーザ装置320の構成は、ペプチド情報322を受信することに限定される必要はない。代わりに、ユーザ装置320は、ペプチド情報322を生成することもできる。例えば、ユーザ装置320は、対象に関するMHC情報を生成するゲノム配列決定システムおよび/またはMHC情報に基づいてペプチド情報322を生成し、自動的にもしくは要求に応じてペプチド情報322をコンピュータシステム310に送信する人工知能モデルをホストするシステムとして実装され得る。
【0028】
[0038]一例では、ペプチド情報322は、対象に特異的である。例えば、ペプチド情報322は、製造可能かつ溶解性であることが見出され、対象への注射時に免疫原性応答を誘発すると予測される候補ペプチドのセット(例えば、アミノ酸の40個またはいくつかの配列)を同定する。この例示では、ペプチド情報322は、生検(例えば、対象の健康な細胞または癌性細胞)を実施し、生検に対するゲノム配列決定(次世代配列決定(NGS)を含む)を実施して、対象のMHC対立遺伝子を決定することによって生成され得る。MHC対立遺伝子に関する情報は、人工知能モデルに入力され得、人工知能モデルは、次いで、ペプチドの識別子ならびに例えばクラスIおよびクラスII免疫原性応答尤度を含むペプチドごとの免疫原性応答予測を出力する。ペプチドの製造可能性および溶解性を決定するために、ユーザ装置320と製造業者のコンピューティング装置との間で通信を行うことができる。これらの通信は、自動化され得るか(例えば、ウェブインターフェースまたはアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を介して)、または手動プロセス(例えば、電子メール(Eメール)メッセージングを使用するもの)を含み得る。その後、ユーザ装置320は、製造可能かつ溶解性であるペプチドをランク付けし、ペプチド情報322をコンピュータシステム310に送信することができる。ペプチド情報322は、各ペプチド、そのランク付け(または他のペプチドに対する相対的なランク付け)、そのクラスIおよびクラスII免疫原性応答尤度、そのアミノ酸配列長、その中のシステインの数(または2つ以上のシステインが含まれるかどうかの指標)、ならびに/またはペプチドの他の生物学的および/もしくは化学的特性を同定することができる。
【0029】
[0039]ペプチド群314に関する情報は、1つ以上のワクチン計画を含み得る。各ワクチン計画は、各々がペプチドのサブセットを含有するいくつかのペプチド群(例えば、4つの群)を同定することができる。サブセットは、同じ長さ(例えば、各々が5つのペプチドを同定する)であり得、重複するペプチドを同定してもしなくてもよい。
【0030】
[0040]図4図5は、本開示の実施形態による対象に個別化された癌ワクチンを開発するためのフローの例を示す。図3のコンピュータシステム310および/またはユーザ装置320と同様のコンピュータシステムおよび/またはユーザ装置を使用して、例示的なフローの動作を実行してもよい。例えば、動作を実行するための命令は、コンピュータシステムおよび/またはユーザ装置の1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体上のコンピュータ可読命令として記憶され得る。記憶されているように、命令は、コンピュータシステムおよび/またはユーザ装置の1つ以上のプロセッサによって実行可能なコードまたはデータを含むプログラマブルモジュールを表す。そのような命令の実行は、対応する図に示され、本明細書に記載される特定の動作を実行するようにコンピュータシステムおよび/またはユーザ装置を構成する。それぞれのプロセッサと組み合わせた各プログラマブルモジュールは、それぞれの動作を実行するための手段を表す。動作は特定の順序で示されているが、特定の順序は必要ではなく、1つ以上の動作が省略、スキップ、および/または並べ替えられてもよいことを理解されたい。さらに、説明を明確にするために、様々な例が提供され、各々が5つのペプチドを同定する、4つのペプチド群への割当てのための20個のペプチドの使用を記載している。しかしながら、フローは、合計「N」個のペプチド由来の「Q」個のペプチドを含む「P」個のペプチド群を定義することにも同様に適用され、「P」、「Q」、および「N」は厳密に1より大きい正の整数である。
【0031】
[0041]図4は、本開示の実施形態による癌ワクチンのペプチド群を定義するためのフローの一例を示す。ペプチド群はワクチン組成物または溶液に対応し、それにより、ペプチド群で同定されたペプチドを他の成分と共に溶液に添加して、癌ワクチンの組成物を作製することができる。ペプチド群の他の使用も可能であり、例えば、各ペプチド群は、癌ワクチンの丸剤組成物に対応し得る。各種数字が、動作と共に記載されている(例えば、60個のペプチド、40個のペプチド、上位18個のペプチド、2つのPADREペプチド(および/または他のタイプのユニバーサルペプチド)など)。これらの数字は例示目的のためだけに提供されており、任意のセットの数字を使用することができる。
【0032】
[0042]図示されるように、フローは、候補ペプチドに関する情報が受信される動作402で開始し得る。例えば、この情報は、対象においてクラスI免疫原性応答および/またはクラスII免疫原性応答を引き起こすと予測される60個(または他の何らかの総数)のアミノ酸配列を同定する。情報は、各ネオ抗原ペプチドについて、そのクラスI免疫原性応答尤度および/もしくはクラスII免疫原性応答尤度、相対的なランク付け、アミノ酸配列、アミノ酸配列中のシステインの数、アミノ酸配列の長さ、ならびに/またはネオ抗原ペプチドの他の生物学的特性および/もしくは化学的特性を含み得る。
【0033】
[0043]動作404において、情報の一部または全部がペプチド製造業者に送信され得る。例えば、この情報は、少なくとも各ネオ抗原ペプチドのアミノ酸配列を同定する。情報は、製造可能性および溶解性分析の要求と共に、ウェブインターフェース、API、または通信手段(例えば、Eメールメッセージ、ファイルアップロードなど)を介してペプチド製造業者のコンピューティング装置に送信され得る。
【0034】
[0044]動作406において、候補ペプチドのサブセットに関する情報がペプチド製造業者から返送される。この情報は、ペプチド製造業者のコンピューティング装置からの応答として受信され得、サブセット内の各ネオ抗原が製造可能かつ溶解性であることが見出された少なくともサブセットを同定することができる。例えば、このサブセットは、60個のネオ抗原ペプチドのうちの40個(または他の何らかの総数)を含み得る。
【0035】
[0045]動作408において、ペプチドのリストが決定される。リストは、40個のネオ抗原ペプチドのうちの18個(または他の何らかの総数)など、サブセットからのネオ抗原ペプチドのいくつかを含む。例えば、40個のネオ抗原ペプチドは、それらのクラスI免疫原性応答尤度および/またはクラスII免疫原性応答尤度、ならびにそれらのアミノ酸配列の長さのいずれかを含む、生物学的および/または化学的特性のうちの1つ以上に従ってランク付けされる。上位18個のネオ抗原ペプチドが選択され、リストにおいて同定される。2つのPADREペプチド(および/または同様に他のタイプのユニバーサルペプチド)もまた、合計20個のペプチドについてリストにおいて同定される。もちろん、異なる数のペプチド(ネオ抗原またはペプチドにかかわらず)を使用することができる。さらに、複数のリストを決定することができ、各リストから1つ以上のワクチン計画を導出することができる。
【0036】
[0046]動作410において、リストからのペプチドがペプチド群に割り当てられ、各々がペプチド群のセットを含む1つ以上のワクチン計画が生成される。例えば、20個のペプチドのリストから、第1のワクチン計画が生成され、各々が20個のペプチドのうちの5つを同定する4つのペプチド群を含む。同様に、追加のワクチン計画が同じリストから生成されるが、20個のペプチドの4つのペプチド群への異なる割当てを同定する。同様に、1つ以上のワクチン計画が、任意の追加のリストから生成される。異なるワクチン計画は、好ましい使用順序でマークされ得る(例えば、第1のワクチン計画は、追加のワクチン計画と比較して好ましい計画である)。ペプチド製造業者は、好ましい順序に従ってワクチン計画ごとにペプチド共溶解性を試験することができる。ワクチン計画に十分な共溶解性が見られない場合、製造は好ましい順序に従って次のワクチン計画に進む。
【0037】
[0047]一例では、図6のペプチド割当てツール612などのペプチド割当てツールが、ペプチド-ペプチド群割当てを実行してワクチン計画を生成し、好ましい順序を定義する。割当ては、ワクチン計画におけるペプチド群が同様の群特性を有するように割当てを偏らせる最適化パラメータに基づき得る。最適化パラメータは、それらのクラスI免疫原性応答尤度、クラスII免疫原性応答尤度、およびそれらのアミノ酸配列の長さのいずれかを含むペプチドの生物学的および/または物理的特性のいずれかまたは組合せであり得る。ペプチド群の群特性は、ペプチド群に割り当てられたペプチドの個々の生物学的および/または化学的特性を集合的に表す生物学的および/または化学的特性を含み得る。例えば、群特性は、クラスI免疫原性応答尤度、クラスII免疫原性応答尤度、それらのアミノ酸配列の長さ、またはそのような個々のペプチド特性の組合せの統計的尺度(例えば、平均値、中央値など)であり得る。群特性の類似性は、所定の類似性範囲(例えば、±10%)に対する統計的尺度(例えば、差または標準偏差)として定義され得る。
【0038】
[0048]さらに、割当ては、ペプチド群を除外するおよび/またはペプチド重複に対する制限を設定する割当て規則に基づき得る。例えば、そのペプチド群のいずれかがシステインを有する2つ以上のペプチドを含有する場合、ワクチン計画は除去される。PADREペプチドなどのユニバーサルペプチドは、ワクチン計画あたりペプチド群の2つ以下(または他の何らかの限界)で重複が許容されてもよい。ネオ抗原ペプチドは、全く重複していなくてもよい。あるいは、ネオ抗原ペプチドのクラスIまたはクラスII免疫原性尤度(例えば、所定の閾値尤度を超えるそのクラスI免疫原性応答尤度および/または同じもしくは異なる所定の閾値尤度を超えるそのクラスII免疫原性応答尤度)に応じて、ネオ抗原ペプチドは何回も重複していなくてもよい(例えば、ワクチン計画の3つ以上のペプチド群に割り当てられるように最大2回、またはワクチン計画の各ペプチド群に割り当てられるように高スコアネオ抗原ペプチドについて最大4回)。
【0039】
[0049]ペプチド割当てツールは、最適化パラメータおよび割当て規則に従って20個のペプチドを4つのペプチド群に割り当てるために、1つ以上の割当てアルゴリズムを使用し得る。第1の例では、反復ランダムサーチが使用される。反復では、ランダムな割当てが行われる。群特性は、ペプチド群にランダムに割り当てられたペプチドの個々のペプチド特性から、ペプチド群ごとに決定される。群特性が比較され、それらが互いの類似性範囲内にある場合、ペプチド割当てツールは、ペプチド群をワクチン計画として出力する。そうでなければ、これらのペプチド群は無視され、次の反復が行われる。複数の反復を行って複数のワクチン計画を定義することもできる。
【0040】
[0050]第2の例では、ペプチド割当てツールは、組合せ最適化アルゴリズムを実装する。このアルゴリズムは、群特性間の類似性尺度(例えば、差または標準偏差)として損失関数を定義し得る。損失関数を最小化するために、組合せ最適化アルゴリズムは、割当て規則制約に従って、異なるペプチド-ペプチド群割当てを変数として調べる。
【0041】
[0051]第3の例では、ペプチド割当てツールは、図5のフローを実行するものなどのトーナメント形式のアルゴリズムを実装する。簡潔には、このアルゴリズムは、それらの生物学的および/または化学的特性の1つ以上に基づいてペプチドを降順にソートすることができる。ソートされた順序に応じて、階層を定義することができ、ペプチドをそれに関連付けることができる。次いで、異なる階層のペプチドをワクチン計画のペプチド群に割り当てることができる。これらの割当ては、割当て規則に従い得る。ペプチド-階層関連付けをシャッフルすることができ、かつ/または階層の定義を更新して追加のワクチン計画を生成することができる。
【0042】
[0052]複数のワクチン計画を作成すると、ペプチド割当てツールは、それらを好ましい使用順序でマークすることができる。このマーキングは、いくつかの要因に依存し得る。例えば、ワクチン計画内のペプチド群の群特性がより類似するほど、ワクチン計画は好ましい使用順序において高くなる。
【0043】
[0053]動作412において、1つ以上のワクチン計画に関する情報がペプチド製造業者に送信される。例えば、情報は、少なくとも、ワクチン計画ごとのペプチド群および好ましい使用順序を同定する。この情報は、共溶解性分析の要求と共に、ウェブインターフェース、API、または通信手段(例えば、Eメールメッセージ、ファイルアップロードなど)を介してペプチド製造業者のコンピューティング装置に送信され得る。
【0044】
[0054]動作414において、ワクチン計画のうちの1つ以上に関してペプチド製造業者から確認が受信される。例えば、この確認は、ペプチド製造業者のコンピューティング装置からの応答として受信され、ワクチン計画がペプチド群に割り当てられた共溶解性ペプチドを含むかどうかを示す。ワクチン計画のすべてのペプチド群が共溶解性ペプチドを含有する場合、そのようなペプチド群に対応する溶液(または丸剤)を製造するために命令がペプチド製造業者に送信され得る。
【0045】
[0055]図5は、本開示の実施形態による癌ワクチンのペプチド群にペプチドを割り当てるためのフローの一例を示す。このフローは、ペプチドのトーナメント形式の割当てを表すことができ、図4の動作410のサブ動作として実装され得る。説明のために、特定の数のペプチドおよび特定の数のペプチド群に関連して図5のフローを説明し、その動作の一部を図6図10にさらに示す。
【0046】
[0056]図示されるように、フローは、最適化パラメータが定義される動作502で開始し得る。一例では、最適化パラメータは、免疫優性の尤度を低減することに関する。例えば、多くのネオ抗原がT細胞に同時に提示される場合、免疫系がそれらのすべてではなくサブセットにのみ応答する尤度があるため、免疫優性が起こる場合がある。したがって、最適化パラメータは、配列長であり得る。特に、ペプチド群(すなわち、群中のペプチド長の合計)が長すぎることはない。ペプチド群の長さは、ペプチド群に割り当てられたペプチドの長さの合計に等しくすることができる。すべてのペプチド群の長さは、おおよそ同様であり得る(例えば、互いに±10%以内)。ペプチド群の長さは、群に割り当てられたペプチドのアミノ配列長の合計として定義され得る。この最適化パラメータは、特定の長さ(例えば、9~10merのペプチド)を有するペプチドの数をペプチド群間で類似させる。あるいは、ペプチドを、長いもしくは短い(例えば、長いとは20アミノ酸より長いことを意味し、短いとは20アミノ酸より短いことを意味する)と標識することができ、またはより粒状の長さ分解能を使用することができる。この場合、ペプチド群の長さは、長いペプチドおよび短いペプチドの一定の分布として定義され得る(例えば、4つの長いペプチドおよび1つの短いペプチド)。ペプチド群にわたる同様の分布を、割当てにおいて目標とすることができる。例えば、2つ以下の短いペプチドが、ペプチド群において許容される。あるいは、1つのペプチド群が、短いトップランクのクラスIペプチド(例えば、最も高いクラスI免疫原性尤度を有するもの)を含んでもよく、残りの3つのペプチド群が、同等の長さを有し得る。
【0047】
[0057]別の例では、最適化パラメータは、クラスI免疫原性および/またはクラスII免疫原性に関する。例えば、人工知能モデルによって対象について予測されるペプチドのクラスI免疫原性尤度は、ペプチドのクラスIスコアを表す。同様に、人工知能モデルによって対象について予測されるペプチドのクラスII免疫原性尤度は、ペプチドのクラスIIスコアを表す。ペプチド群ごとの統計的尺度(例えば、中央値、平均値、合計など)は、その群に割り当てられたペプチドのクラスIスコアおよび/またはクラスIIスコアから導出され得る。ペプチド群は、同様のクラスIスコアおよび/またはクラスIIスコア(例えば、互いに対する類似性範囲内で)を有するべきである。
【0048】
[0058]さらに別の例では、最適化パラメータは、免疫優性の尤度を低減することおよび免疫原性応答に関する。例えば、最適化パラメータは多次元であり得、各次元に上記のパラメータのうちの1つを含む。次元削減アルゴリズム、例えば主成分分析(PCA)を使用して、残りのペプチド群のものと比較するための各ペプチド群の代表的なスカラーを定義することができる。PCAを使用する場合、個々のスコアの第1の主成分を取得し、ネオ抗原特異的スコアを第1の主成分に射影することによって、ペプチドごとのクラスIスコア、クラスIIスコア、および/またはアミノ配列長が単一のスカラーに変換される。割当ては、W個の第1の主成分がプール間でほぼ等しいことを必要とする場合がある。
【0049】
[0059]したがって、動作において、最適化パラメータMは
【数1】

として定義され、式中、Mは個々のペプチドごとの最適化パラメータの値である。例えば、Mは、クラスIスコア、クラスIIスコア、配列長、または第1の主成分であり得る。トーナメント形式の割当ては、Mを最大化しようと試みる。
【0050】
[0060]動作504において、フィルタリング規則に基づいて、1つ以上のペプチドが除外される。例えば、フィルタリング規則は、以下の基準:(i)ペプチドがその配列中に2つ以上のシステインを含む、(ii)ペプチドがペプチド製造業者によって合成され得ない、または(iii)ペプチドが十分に溶解性でないことが見出される、のいずれかを満たす任意のネオ抗原ペプチドを除去する。
【0051】
[0061]動作506において、N個のペプチドが選択される。例えば、Nは20に等しく、18個のネオ抗原ペプチドおよびPADREペプチド(または任意の他のタイプのユニバーサルペプチド)の2つのコピーを含む。2つのPADREペプチドのコピーは、2つのPADREペプチドの重複のみを許容する重複規則に対応する。18個のネオ抗原ペプチドのいずれも、ネオ抗原ペプチドの重複を禁止する重複規則を反映する重複であり得ない。あるいは、重複規則がネオ抗原ペプチドの重複を可能にする場合、18個のネオ抗原ペプチドのいくつかは互いにコピーであり得、コピーの数は重複規則によって制限され得る。さらに、そのような重複規則は、どのネオ抗原ペプチドが重複され得るかを指定し得る(例えば、閾値スコアを超えるクラスIスコアまたはクラスIIスコアを有するものなど、特定の閾値を超えるMを有するもの)。
【0052】
[0062]動作508において、Mの値がPADREペプチドに割り当てられる(同じ値が2つのコピーに割り当てられ得る)。この値は、ペプチドが降順でソートされ得るようにペプチドがどのようにランク付けされるべきかに依存するデフォルト値であり得る。例えば、クラスIIスコアによるランク付けの場合、PADREペプチドには、18個のネオ抗原ペプチドのいずれよりも優れたM値が割り当てられる(例えば、0.8の値)。この動作およびフローの他の動作では、別のタイプのPADREペプチドを追加的または代替的に使用することができる。そうである場合、Mの値は、そのようなユニバーサルペプチドに割り当てられ、ユニバーサルペプチドの既知の免疫原性応答および/または特性に依存し得、フローの残りの動作で使用される。
【0053】
[0063]動作510において、20個のペプチドが、それらの個々のM値に基づいて(例えば、Mに基づいて)ソートされる。例えば、ペプチドは、それらのMに従って降順にランク付けされ、降順にソートされる。このソートの例示を図6に示す。
【0054】
[0064]図6を参照すると、本開示の実施形態によるペプチドのソート602の一例が示されている。20個のペプチドの表610が最初に同定される(例えば、図5の動作506に従って)。表610は、各ペプチドの識別子(ID)、そのクラスIスコア(PADREペプチドコピーについては0)、そのクラスIIスコア(PADREペプチドについては0.8のデフォルト値)、それがシステインを含有する場合(「0」はシステインを含有しないことを示し、「1」はそれ以外を示す)、ペプチドの標識、およびペプチドが長いか短いかの分類(例えば、「0」は、20アミノ酸長より短いなど、短いことを示す。「1」は長いことを示す)を列挙している。表610では、ID「2」および「3」を有するネオ抗原が、フィルタリング規則に従って除去された。
【0055】
[0065]ソート602が行われる。図6の例示では、このソート602はクラスIIスコアを使用しているが、クラスIスコア、配列長、および/または第1の主成分(表610には示されていない)でのソートも可能である。ソート602の結果は更新された表620であり、ペプチドはそれらのクラスIIスコアの降順で同定されている。表610と比較して、PADREペプチドコピーはトップランクのままであったが、ID「42」のペプチドは3番目の順位にソートされ、以下同様であった。
【0056】
[0066]図5に戻って参照すると、動作512において、ソートされたペプチドはP階層に関連付けられる。一般に、数Pは、ペプチド群あたりの標的ペプチドの数に等しい正の整数、例えば5である。一例では、上位4つのペプチドは階層「0」に関連付けられ、次の4つのペプチドは階層「1」に関連付けられ、以下同様である。この階層の関連付けの例示を図7に示す。
【0057】
[0067]図7を参照すると、本開示の実施形態による階層の定義の一例が示されている。例示において、図6の表620は、ペプチドと階層との関連付けをこの表の新しい列に追加する702ことによって更新され、更新された表710が得られる。追加された階層列は、各ペプチドが関連付けられている階層を同定する。例えば、4つのランク付けされたペプチドの各々は、階層「0」に関連付けられているが、4つの最も悪いランクのペプチドの各々は、最終階層(例えば、階層「4」)に関連付けられている。
【0058】
[0068]図5に戻って参照すると、動作514において、ペプチドは、階層とのそれらの関連付けに基づいてペプチド群に割り当てられる。例えば、各々が20個のペプチドのうちの5個を同定するように、4つのペプチド群が定義されるべきである。各階層は4つのペプチドに関連付けられることを想起されたい。したがって、各階層からの1つのペプチドを各ペプチド群に割り当てることができ、各々が5つのペプチドを有する4つのペプチド群が得られる。この割当ての一例では、第1の階層のトップランクのペプチド(例えば、この階層で最大のMを有する)および最終階層の最も悪いランクのペプチド(例えば、この階層で最小のMを有する)を第1のペプチド群に割り当てることができる。次に、第1の階層の2番目に高いランクのペプチドおよび最終階層の2番目に悪いランクのペプチドを第2のペプチド群に割り当てることができ、すべてのペプチドがペプチド群に割り当てられるまで、以下同様である。この階層の関連付けの例示を図8に示す。
【0059】
[0069]図8を参照すると、本開示の実施形態によるペプチド群へのペプチドの階層ベースの割当て802の一例が示されている。例示では、図8の表810は、図7の表710に対応し、階層ベースの割当て802で使用される。ペプチドは、それらのクラスIIスコアに従って既にランク付けされている(ただし、異なる最適化パラメータMも可能である)。したがって、本明細書に次に記載されるランク付けは、クラスIIスコアを指す。ID「0」のペプチドは、階層「0」で最も高くランク付けされ、第1のペプチド群「A」に割り当てられる。ID「12」のペプチドは、最終階層「4」で最も悪くランク付けされ、これも第1のペプチド群「A」に割り当てられる。次に、ID「1」のペプチドは、階層「0」で2番目に高くランク付けされ、第2のペプチド群「B」に割り当てられる。ID「7」のペプチドは、最終階層「4」で2番目に悪くランク付けされ、これも第2のペプチド群「B」に割り当てられる。同様に、ID「42」のペプチドは、階層「0」で3番目に高くランク付けされ、第3のペプチド群「C」に割り当てられる。ID「4」のペプチドは、最終階層「4」で3番目に悪くランク付けされ、これも第3のペプチド群「C」に割り当てられる。さらに、ID「22」のペプチドは、階層「0」で4番目に高くランク付けされ、第4のペプチド群「D」に割り当てられる。ID「8」のペプチドは、最終階層「4」で4番目に悪くランク付けされ、これも第4のペプチド群「D」に割り当てられる。この階層ベースの割当て802は、残りの階層にわたって同様に繰り返される。
【0060】
[0070]図5に戻って参照すると、動作516において、1つ以上の割当て規則が満たされているかどうかに関する決定が行われる。そうである場合、動作518が動作516に続く。そうでなければ、動作520が動作516に続く。割当て規則は、満たされるべき割当て規則についての以下の基準:(i)ペプチド群中に1つもしくは2つ以下のPADREペプチドが見出される、(ii)ネオ抗原ペプチドが重複していない(もしくは、ネオ抗原ペプチド重複の最大数が満たされる)、および/または(iii)それ以上のペプチド群がシステインを含有する2つ以上のペプチドを含有しない、のうちの1つ以上を指定し得る。
【0061】
[0071]動作518において、ペプチド群は、好ましいワクチン計画に属するものとして標識される。「好ましい」標識は、ワクチン製造のために、割り当てられた際にペプチドが共溶解性であることが見出された場合、このワクチン計画が、「好ましい」標識を持たない別のワクチン計画の代わりに使用されるべきであることを示すために使用される相対的な用語であり得る。破線の矢印で示すように、動作520が動作518に続くことができ、または任意に、好ましいワクチン計画が同定されると、動作524が動作518に続く。
【0062】
[0072]動作520において、十分な数のワクチン計画が定義されているかどうかに関する決定が行われる。最小数は1であるが、はるかに多くのワクチン計画を標的とすることができる。そうでない場合、動作522が動作520に続く。そうでなければ、動作524が動作522に続く。
【0063】
[0073]動作522において、ペプチドが階層ごとにシャッフルされるか、または階層が再定義される。(動作506に従って)20個の選択されたペプチドからワクチン計画が定義されていない場合、またはこれらのペプチドから追加のワクチン計画が定義されるべきである場合、すべてのペプチドの位置を所与の階層でランダムにシャッフルすることができるが、ペプチド-階層関連付けを変更することはできない。この階層内シャッフルの例示を図9に示す。20個のペプチドの異なるセットから1つ以上のワクチン計画が定義されるべきである場合、階層を再定義することができる。この階層の再定義の例示を図10に示す。さらに、図9の階層ベースのシャッフルが十分な数のワクチン計画(例えば、目標数に対して)をもたらさない場合、図10の階層の再定義を適用することもできる。
【0064】
[0074]図9を参照すると、本開示の実施形態による階層ベースのシャッフル902の一例が示されている。例示において、図9の表910は、図8の表820に対応し、階層ベースのシャッフル902の開始点として使用される。階層ベースのシャッフル902の結果は、表920である。
【0065】
[0075]表910では、階層「0」は、ID「0」、「1」、「42」、および「22」を有するペプチドに関連付けられており、これらのペプチドは、それらのクラスIIスコアに基づいてこのソート順序で最初にソートされた。同様に、階層「4」は、ID「8」、「4」、「7」、および「12」を有するペプチドに関連付けられており、これらのペプチドも、それらのクラスIIスコアに基づいてこのソート順序で最初にソートされた。階層ベースのシャッフル902は、各階層におけるソート順序をそれらのクラスIIスコアとは無関係にランダムに更新する。結果として、表920において、階層「0」は、依然としてID「0」、「1」、「42」、および「22」を有するペプチドと関連付けられている。しかしながら、これらのペプチドは現在ランダムにソートされており、更新されたソート順序は、ID「0」、「22」、「1」、および「42」の降順でペプチドを列挙している。また、表920において、階層「4」は、依然としてID「8」、「4」、「7」、および「12」を有するペプチドと関連付けられている。しかしながら、これらのペプチドは現在ランダムにソートされており、更新されたソート順序は、ID「4」、「7」、「8」、および「12」の降順でペプチドを列挙している。同様のランダムシャッフルを各階層で行うことができる。
【0066】
[0076]図10を参照すると、本開示の実施形態による階層の再定義1002の一例が示されている。例示において、図10の表1010は、図9の表920、または動作506で選択されなかった1つ以上のペプチドによって1つ以上のペプチドが置き換えられている(例えば、ネオ抗原ペプチドが別のものによって置き換えられた)新しい表に対応する。表1010は、階層再定義の開始点として使用され、その結果は表1020である。
【0067】
[0077]一例では、ペプチドがクラスIIスコアの中央値(または他の何らかの統計的尺度)を下回るか上回るかに基づいて、2つの新しい超階層を定義することができる。各超階層のペプチドがランダムにシャッフルされ、表1020が得られる。例えば、ID「0」のペプチドはこの再シャッフル後に階層「0」のままであるが、ID「22」のペプチドの関連付けは階層「0」から階層「1」に変化する。
【0068】
[0078]図5に戻って参照すると、動作522から動作514までループが存在する。このようにして、図9の階層ベースのシャッフル902および/または図10の階層の再定義の後、新しいペプチド-ペプチド群割当てが同定され得る。
【0069】
[0079]動作524において、ワクチン計画が出力される。例えば、各ワクチン計画は、ペプチド-ペプチド群割当て、およびそれが好ましい計画であるか否かを同定する。
【0070】
[0080]上記の例示では、ネオ抗原ペプチドは、高いクラスIスコアおよび/または高いクラスIIスコアを有すると予測されていてもよい(例えば、これらのスコアを対応する閾値スコアと比較することによって)。そうである場合、ネオ抗原ペプチドは、ペプチド群の2つ以上におけるこのネオ抗原の重複を許容してもよい。追加的または代替的に、対象は、限局性腫瘍(例えば、図1に記載の4つの象限のうちの1つで成長するもの)を有してもよい。このネオ抗原ペプチドは高い免疫原性応答を有すると予測されるので、ワクチン計画は、このペプチドが割り当てられたペプチド群を、得られたワクチンショットが注射されるべき象限(または位置)と関連付けることができる。例えば、腫瘍が象限「Q1」で成長している場合、ワクチン計画は、この高い有効性ペプチドを含むワクチンショットが左上腕に注射されるべきことを示し得る。
【0071】
[0081]図11は、様々な実施形態による態様を実施するための例示的な環境の態様を示す。このアーキテクチャは、本明細書に上記で説明したコンピュータシステム(例えば、図3のコンピュータシステム310)の構成要素の一部または全部を実装するために使用されてもよい。図11に示すコンピュータアーキテクチャは、サーバコンピュータ、ワークステーション、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、タブレット、ネットワーク機器、携帯情報端末(「PDA」)、電子リーダ、デジタル携帯電話、または他のコンピューティング装置を示し、本明細書に提示されるソフトウェア構成要素の任意の態様を実行するために利用されてもよい。
【0072】
[0082]コンピュータ1100は、ベースボード1102、すなわち「マザーボード」を含み、これは、システムバスまたは他の電気通信経路を介して多数の構成要素または装置が接続されてもよいプリント回路基板である。例示的な一実施形態では、1つ以上の中央処理装置(「CPU」)1104が、チップセット1106と連携して動作する。CPU1104は、コンピュータ1100の動作に必要な算術演算および論理演算を行う標準的なプログラマブルプロセッサであってもよい。
【0073】
[0083]CPU1104は、これらの状態を区別して変化させるスイッチング素子の操作により、離散的な物理的状態から次の物理的状態に遷移して動作する。スイッチング素子は、一般に、フリップフロップなどの2つのバイナリ状態のうちの1つを維持する電子回路と、論理ゲートなどの1つ以上の他のスイッチング素子の状態の論理的組合せに基づいて出力状態を提供する電子回路とを含んでもよい。これらの基本スイッチング素子を組み合わせて、レジスタ、加減算器、算術論理演算ユニット、浮動小数点演算ユニットなどを含むより複雑な論理回路を作成してもよい。
【0074】
[0084]チップセット1106は、CPU1104と、ベースボード1102上の残りの構成要素および装置との間のインターフェースを提供する。チップセット1106は、コンピュータ1100内のメインメモリとして使用されるランダムアクセスメモリ(「RAM」)1108へのインターフェースを提供してもよい。チップセット1106は、コンピュータ1100を起動し、様々な構成要素および装置間で情報を転送するのを助ける基本ルーチンを記憶するための、読出し専用メモリ(「ROM」)1110または不揮発性RAM(「NVRAM」)などのコンピュータ可読記憶媒体へのインターフェースをさらに提供してもよい。ROM1110またはNVRAMはまた、本明細書に記載の実施形態によるコンピュータ1100の動作に必要な他のソフトウェア構成要素を記憶してもよい。
【0075】
[0085]コンピュータ1100は、ローカルエリアネットワーク1120などのネットワークを介したリモートコンピューティング装置およびコンピュータシステムへの論理接続を使用して、ネットワーク化された環境で動作してもよい。チップセット1106は、ギガビットイーサネットアダプタなどのNIC1112を介してネットワーク接続を提供するための機能を含んでもよい。NIC1112は、ネットワーク1120を介してコンピュータ1100を他のコンピューティング装置に接続することができる。複数のNIC1112がコンピュータ1100内に存在し、コンピュータを他のタイプのネットワークおよびリモートコンピュータシステムに接続してもよいことを理解されたい。
【0076】
[0086]コンピュータ1100は、コンピュータに不揮発性記憶装置を提供する大容量記憶装置1118に接続されてもよい。大容量記憶装置1118は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、およびデータを記憶してもよく、これらは本明細書でより詳細に説明されている。大容量記憶装置1118は、チップセット1106に接続されたストレージコントローラ1114を介してコンピュータ1100に接続されてもよい。大容量記憶装置1118は、1つ以上の物理記憶装置から構成されてもよい。ストレージコントローラ1114は、シリアル接続SCSI(「SAS」)インターフェース、シリアルアドバンストテクノロジーアタッチメント(「SATA」)インターフェース、ファイバチャネル(「FC」)インターフェース、またはコンピュータと物理記憶装置との間でデータを物理的に接続および転送するための他のタイプのインターフェースを介して物理記憶装置とインターフェースしてもよい。
【0077】
[0087]コンピュータ1100は、記憶されている情報を反映するように物理記憶装置の物理的状態を変換することによって、大容量記憶装置1118上にデータを記憶してもよい。物理的状態の具体的な変換は、本明細書の異なる実施態様において、様々な要因に依存する場合がある。そのような要因の例には、物理記憶装置を実装するために使用される技術、大容量記憶装置1118が一次記憶装置として特徴付けられるか二次記憶装置として特徴付けられるかなどが含まれる場合があるが、これらに限定されない。
【0078】
[0088]例えば、コンピュータ1100は、磁気ディスク駆動装置内の特定の位置の磁気特性、光記憶装置内の特定の位置の反射特性もしくは屈折特性、またはソリッドステート記憶装置内の特定のキャパシタ、トランジスタ、もしくは他のディスクリート部品の電気特性を変更するために、命令をストレージコントローラ1114を介して発行することによって、大容量記憶装置1118に情報を記憶してもよい。物理媒体の他の変換は、本明細書の範囲および趣旨から逸脱することなく可能であり、前述の例は、この説明を容易にするためにのみ提供されている。コンピュータ1100は、物理記憶装置内の1つ以上の特定の位置の物理的状態または特性を検出することによって、大容量記憶装置1118から情報をさらに読み取ってもよい。
【0079】
[0089]上記の大容量記憶装置1118に加えて、コンピュータ1100は、プログラムモジュール、データ構造、または他のデータなどの情報を記憶および検索するために他のコンピュータ可読記憶媒体にアクセスしてもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的データの記憶を提供し、コンピュータ1100によってアクセスされてもよい任意の利用可能な媒体であり得ることが当業者によって理解されるはずである。
【0080】
[0090]限定ではなく例として、コンピュータ可読記憶媒体は、任意の方法または技術で実装される揮発性および不揮発性、取外し可能および取外し不可能な媒体を含んでもよい。コンピュータ可読記憶媒体には、RAM、ROM、消去可能プログラマブルROM(「EPROM」)、電気的消去可能プログラマブルROM(「EEPROM」)、フラッシュメモリもしくは他のソリッドステートメモリ技術、コンパクトディスクROM(「CD-ROM」)、デジタル多用途ディスク(「DVD」)、高精細DVD(「HD-DVD」)、BLU-RAY、もしくは他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置、または非一時的に所望の情報を記憶するために使用され得る任意の他の媒体が含まれるが、これらに限定されない。
【0081】
[0091]大容量記憶装置1118は、コンピュータ1100の動作を制御するために利用されるオペレーティングシステム1130を記憶してもよい。一実施形態によれば、オペレーティングシステムは、LINUXオペレーティングシステムを含む。別の実施形態によれば、オペレーティングシステムは、MICROSOFT Corporation製のWINDOWS(登録商標)SERVERオペレーティングシステムを含む。さらなる実施形態によれば、オペレーティングシステムは、UNIX(登録商標)またはSOLARIS(登録商標)オペレーティングシステムを含んでもよい。他のオペレーティングシステムも利用してもよいことを理解されたい。大容量記憶装置1118は、コンピュータ1100によって利用される他のシステムまたはアプリケーションプログラムおよびデータを記憶してもよい。大容量記憶装置1118はまた、本明細書で具体的に同定されていない他のプログラムおよびデータを記憶してもよい。
【0082】
[0092]一実施形態では、大容量記憶装置1118または他のコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ1100にロードされると、コンピュータを汎用コンピューティングシステムから本明細書に記載の実施形態を実施することができる専用コンピュータに変換するコンピュータ実行可能命令で符号化される。これらのコンピュータ実行可能命令は、上記のように、CPU1104が状態間をどのように遷移するかを指定することによってコンピュータ1100を変換する。一実施形態によれば、コンピュータ1100は、コンピュータ1100によって実行されると、上記の様々なルーチンを実行するコンピュータ実行可能命令を記憶するコンピュータ可読記憶媒体にアクセスする。コンピュータ1100はまた、本明細書に記載の他のコンピュータ実装動作のいずれかを実行するためのコンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい。
【0083】
[0093]コンピュータ1100はまた、キーボード、マウス、タッチパッド、タッチスクリーン、電子スタイラス、または他のタイプの入力装置などのいくつかの入力装置からの入力を受信および処理するための1つ以上の入力/出力コントローラ1116を含んでもよい。同様に、入力/出力コントローラ1116は、コンピュータモニタ、フラットパネルディスプレイ、デジタルプロジェクタ、プリンタ、プロッタ、または他のタイプの出力装置などのディスプレイに出力を提供してもよい。コンピュータ1100は、図11に示された構成要素のすべてを含まなくてもよく、図11に明示的に示されていない他の構成要素を含んでもよく、または図11に示されたものとは完全に異なるアーキテクチャを利用してもよいことが理解されよう。コンピュータ1100などの多くのコンピュータは、本明細書に開示される様々な技術の態様を具現化するために組み合わせて利用されてもよいことも理解されたい。
【0084】
[0094]ワクチン、例えば、複数の異なるワクチン組成物を含むワクチンであって、各ワクチン組成物が、対象において免疫原性応答を引き起こすと予測される複数のペプチドからのペプチドの異なるセットを含み、各ワクチン組成物が、(例えば、上記のような)残りのワクチン組成物の特性の類似性範囲内にある特性を有し、特性が、クラスI免疫原性スコア、クラスII免疫原性スコア、またはアミノ酸配列長のうちの少なくとも1つを含む、ワクチンも提供される。各ワクチンは、異なる容器内にあり得るか、または例えば異なるアンプルもしくはバイアル内で互いに分離されている他のものであり得る。
【0085】
[0095]本明細書に記載されるように同定された複数の異なるワクチン組成物を含むワクチンも提供される。例えば、各ワクチン組成物は、ペプチドの複数の異なる群から同定されたペプチドの異なるセットを含み得、複数の異なる群は、少なくとも、複数の異なる群に割り当てられるべき異なるペプチドからペプチドのペプチド特性を決定することであって、異なるペプチドが、対象において免疫原性応答を生成すると予測される、決定することと、ペプチドが、ペプチド特性に少なくとも部分的に基づいて、複数の異なる群からの第1の群に割り当てられるべきであると決定することであって、第1の群が、第1の群に割り当てられるべき第1のペプチドのペプチド特性に少なくとも部分的に基づく第1の群特性を有し、第1の群特性が、複数の異なる群からの第2の群の第2の群特性に対する類似性範囲内にある、決定することと、ペプチドが第1の群に割り当てられていることを示す情報を生成することと、によって定義される。
【0086】
[0096]本明細書に記載のワクチンを用いて対象(例えば、ヒト、他の哺乳動物または他の動物、例えば鳥)において免疫応答を誘導する方法も提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、(例えば、上記のような)複数のワクチン組成物からのペプチドの1つ以上のワクチン組成物を対象に投与し、それにより1つ以上のワクチン組成物中の1つ以上のペプチドに対する免疫応答を誘導することを含み得る。
【0087】
[0097]いくつかの実施形態では、ワクチンは癌ワクチンであり、複数のワクチン組成物は、対象において免疫原性応答を生成すると予測されるネオ抗原ペプチドをペプチドの複数の群に割り当てる情報から生成され、複数の群のペプチドの第1の群は、複数の群のペプチドの第2の群の第2の群特性に対する類似性範囲内にある第1の群特性を有する。いくつかの実施形態では、複数からの2つ以上のワクチン組成物が対象に投与される。いくつかの実施形態では、対象は、ネオ抗原ペプチドが免疫原性応答を予測すると予測されており、複数の群に割り当てられる、単一の対象である。
【0088】
[0098]ワクチンは、免疫応答を生成するのに十分な量の各ペプチドを使用して製剤化され得る。いくつかの実施形態では、ワクチンは、0.2~200μg/ml、例えば5~50μg/mlの範囲の各ペプチドの最終濃度を含有するように製剤化される。他の濃度も使用してもよく、各ペプチドを別々にまたは一緒にアッセイして、免疫応答を誘導するための最適濃度を決定することができることが理解されよう。
【0089】
[0099]ペプチドは、例えば、それらのインビボ安定性を変化させるように修飾され得る。例えば、ペプチドに1つ以上のD-アミノ酸を含めると、特にD-アミノ酸残基がペプチド配列の一方もしくは両方の末端で置換されているか、またはペプチドが例えばPEG化され得る場合、典型的には安定性が向上する。安定性は、ペプチダーゼまたはヒト血漿もしくは血清とのインキュベーション中のタンパク質の半減期を測定することなど、様々な方法でアッセイされ得る。いくつかのそのようなタンパク質安定性アッセイが記載されている(例えば、Verhoefら、Eur.J.Drug Metab.Pharmacokin.11:291-302(1986))。
【0090】
[0100]ワクチンまたはワクチン組成物は、いくつかの実施形態では、注射剤として、液体溶液または懸濁液のいずれかとして調製され得る。注射は、皮下、筋肉内、静脈内、腹腔内、髄腔内、皮内、表皮内、または「遺伝子銃」によるものであってもよい。他のタイプの投与は、エレクトロポレーション、埋込み、坐剤、経口摂取、腸適用、吸入、エアロゾル化または経鼻スプレーもしくは点鼻薬を含む。注射前に液体ビヒクルに溶解または懸濁するのに好適な固体形態も調製してもよい。調製物はまた、アジュバント効果を増強するためにリポソームに乳化またはカプセル化されてもよい。
【0091】
[0101]液体製剤は、例えば、油、ポリマー、ビタミン、炭水化物、アミノ酸、塩、緩衝液、アルブミン、界面活性剤、または増量剤を含んでもよい。例示的な炭水化物としては、糖または糖アルコール、例えば単糖類、二糖類、もしくは多糖類、または水溶性グルカンが挙げられる。糖類またはグルカンは、例えばフルクトース、デキストロース、ラクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、αおよびβシクロデキストリン、溶解性デンプン、ヒドロキシエチルデンプンおよびカルボキシメチルセルロース、またはそれらの混合物を含み得る。「糖アルコール」は、-OH基を有するC4~C8炭化水素と定義され、ガラクチトール、イノシトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、グリセロール、およびアラビトールを含む。これらの糖または糖アルコールは、個別にまたは組み合わせて使用されてもよい。糖または糖アルコールが水性製剤に溶解性である限り、使用量に一定の制限はない。いくつかの実施形態では、糖または糖アルコール濃度は、1.0%(w/v)~7.0%(w/v)、例えば2.0~6.0%(w/v)である。例示的なアミノ酸としては、左旋性(L)形態のカルニチン、アルギニンおよびベタインが挙げられる。しかしながら、他のアミノ酸を加えてもよい。例示的なポリマーとしては、2,000~3,000の平均分子量を有するポリビニルピロリドン(PVP)、または3,000~5,000の平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。いくつかの実施形態では、凍結乾燥前または再構成後の溶液のpH変化を最小限に抑えるために、組成物中の緩衝液を使用することができる。任意の生理学的緩衝液を使用してもよいが、場合によっては、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、コハク酸緩衝液、およびグルタミン酸緩衝液またはそれらの混合物から選択され得る。
【0092】
[0102]「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書では互換的に使用され、アミノ酸残基のポリマーを指す。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学模倣物であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーおよび天然に存在しないアミノ酸ポリマーを包含する。
【0093】
[0103]「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣物を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝暗号によってコードされるアミノ酸、ならびに後に修飾されるアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、およびO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合したα炭素を有する化合物、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。そのような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣物は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様に機能する化学化合物を指す。
【0094】
[0104]したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味でみなされるべきである。しかしながら、特許請求の範囲に記載された本開示のより広い趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行ってもよいことは明らかであろう。
【0095】
[0105]本開示の実施形態の例は、以下の条項を考慮して説明され得る。
【0096】
[0106]条項1.システムであって、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサによる実行時に、システムを、対象について、対象の癌ワクチンの異なる群に割り当てられるべき異なるペプチドを決定し、各群が、2つ以上の異なるペプチドを含み、異なるペプチドからのペプチドのペプチド特性であって、クラスI免疫原性スコア、クラスII免疫原性スコア、またはアミノ酸配列長のうちの少なくとも1つを含む、ペプチド特性を決定し、異なるペプチドからの第1のペプチドを第1の群に割り当てることによって、異なる群の第1の群を定義し、第1のペプチドが、ペプチド特性に少なくとも部分的に基づいて第1の群に割り当てられ、第1の群が、第1のペプチドのクラスI免疫原性スコア、クラスII免疫原性スコア、またはアミノ酸配列長のうちの少なくとも1つの尺度を含む第1の群特性を有し、かつ第1の群特性が、異なる群からの第2の群の第2の群特性に対する類似性範囲内にあり、かつ第1のペプチドが第1の群に割り当てられていることを示す情報を生成するように構成するコンピュータ可読命令を記憶する1つ以上のメモリと、を含む、システム。
【0097】
[0107]条項2.1つ以上のメモリが、1つ以上のプロセッサによる実行時に、システムを、個々のペプチド特性に少なくとも部分的に基づいて、異なるペプチドのソートされた順序を決定し、ソートされた順序に少なくとも部分的に基づいて、異なるペプチドの第1のサブセットを第1の階層と関連付け、異なるペプチドの第2のサブセットを第2の階層と関連付け、ペプチドが、第1の階層に関連付けられた第1のペプチドであり、かつ第1の群に、第1の階層に関連付けられた第1のペプチドおよび第2の階層に関連付けられた第2のペプチドを割り当てるように構成するさらなるコンピュータ可読命令を記憶する、条項1に記載のシステム。
【0098】
[0108]条項3.ソートされた順序が、第1のペプチドがトップランクのペプチド特性を有し、第2のペプチドが最も悪いランクのペプチド特性を有することを示す、条項2に記載のシステム。
【0099】
[0109]条項4.1つ以上のメモリが、1つ以上のプロセッサによる実行時に、システムを、(i)異なるペプチドの異なる群への潜在的な割当てを決定し、(ii)異なる群の各群について、群に潜在的に割り当てられたペプチドのペプチド特性に少なくとも部分的に基づいて群特性を計算し、(iii)異なる群の群特性間の差を低減するように構成された組合せ最適化アルゴリズムを実行するように構成するさらなるコンピュータ可読命令を記憶する、条項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【0100】
[0110]条項5.ワクチンの異なる群に割り当てられるべき異なるペプチドからのペプチドのペプチド特性を決定することと、ペプチドが、ペプチド特性に少なくとも部分的に基づいて、異なる群からの第1の群に割り当てられるべきであると決定することであって、第1の群が、第1の群に割り当てられるべき第1のペプチドのペプチド特性に少なくとも部分的に基づく第1の群特性を有し、第1の群特性が、異なる群からの第2の群の第2の群特性に対する類似性範囲内にある、決定することと、ペプチドが第1の群に割り当てられていることを示す情報を生成することと、を含む、方法。
【0101】
[0111]条項6.異なるペプチドが対象と関連付けられると決定することであって、異なる群に同じ数のペプチドが割り当てられ、異なる群が対象の癌ワクチンについて定義される、決定することをさらに含む、条項5に記載の方法。
【0102】
[0112]条項7.ペプチドが第2の群にも割り当てられると決定することと、ワクチンの群の候補セットから第2の群を除去することと、をさらに含む、条項5から6のいずれか一項に記載の方法。
【0103】
[0113]条項8.第2の群に特定のアミノ酸を有する2つ以上のペプチドが割り当てられると決定することと、ワクチンの群の候補セットから第2の群を除去することと、をさらに含む、条項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【0104】
[0114]条項9.異なるペプチドを異なる群に割り当てることによって異なる群を定義することであって、異なる群のサブセットのみにPADREペプチドが割り当てられ、サブセットの群ごとに1つ以下のPADREペプチドが割り当てられる、定義することをさらに含む、条項5から8のいずれか一項に記載の方法。
【0105】
[0115]条項10.異なるペプチドを異なる群に割り当てることによって異なる群を定義することであって、異なるペプチドが、ネオ抗原ペプチドを含み、ネオ抗原ペプチドが、異なる群のうちの1つのみに割り当てられる、定義することをさらに含む、条項5から8のいずれか一項に記載の方法。
【0106】
[0116]条項11.ペプチドが、閾値スコアより大きいペプチド特性スコアを有するネオ抗原ペプチドであると決定することであって、ペプチド特性スコアが、クラスI免疫原性応答スコアまたはクラスII免疫原性応答スコアのうちの少なくとも1つを含む、決定することと、異なるペプチドを異なる群に割り当てることによって異なる群を定義することであって、ネオ抗原ペプチドが、閾値スコアより大きいペプチド特性スコアに少なくとも部分的に基づいて2つ以上の群に割り当てられる、定義することと、をさらに含む、条項5から10のいずれか一項に記載の方法。
【0107】
[0117]条項12.異なるペプチドが、ある領域に腫瘍を有する対象に関連付けられると決定することと、ペプチドが、閾値スコアより大きいペプチド特性スコアを有するネオ抗原ペプチドであると決定することと、第1の群を、第1の群に割り当てられているネオ抗原ペプチドに少なくとも部分的に基づいて、領域と関連付けることと、をさらに含む、条項5から11のいずれか一項に記載の方法。
【0108】
[0118]条項13.システム上での実行時に、システムに、ワクチンの異なる群に割り当てられるべき異なるペプチドからのペプチドのペプチド特性を決定することと、ペプチドが、ペプチド特性に少なくとも部分的に基づいて、異なる群からの第1の群に割り当てられるべきであると決定することであって、第1の群が、第1の群に割り当てられるべき第1のペプチドのペプチド特性に少なくとも部分的に基づく第1の群特性を有し、第1の群特性が、異なる群からの第2の群の第2の群特性に対する類似性範囲内にある、決定することと、ペプチドが第1の群に割り当てられていることを示す情報を生成することと、を含む動作を実行させる命令を記憶する1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0109】
[0119]条項14.システム上での実行時に、システムに、異なるペプチドを異なる群に割り当てることによって異なる群を定義することであって、異なる群に同じ数のペプチドが割り当てられる、定義することを含む動作を実行させる追加の命令をさらに記憶する、条項13に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0110】
[0120]条項15.システム上での実行時に、システムに、個々のペプチド特性に少なくとも部分的に基づいて、異なるペプチドのソートされた順序を決定することと、ソートされた順序に少なくとも部分的に基づいて、異なるペプチドの第1のサブセットを第1の階層と関連付け、異なるペプチドの第2のサブセットを第2の階層と関連付けることであって、ペプチドが、第1の階層に関連付けられた第1のペプチドである、関連付けることと、第1の群に、第1の階層に関連付けられた第1のペプチドおよび第2の階層に関連付けられた第2のペプチドを割り当てることと、を含む動作を実行させる追加の命令をさらに記憶する、条項13から14のいずれか一項に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0111】
[0121]条項16.第2の階層が、第2のソートされた順序を有する第2のペプチドに関連付けられ、1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体が、システム上での実行時に、システムに、第2のソートされた順序をシャッフルすることによって第2のサブセットの更新された順序を決定することと、更新された順序に少なくとも部分的に基づいて更新された第1の群を定義することと、第1の群を第1のワクチン計画と関連付け、更新された第1の群を第2のワクチン計画と関連付けることと、を含む動作を実行させるさらなる命令を記憶する、条項15に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0112】
[0122]条項17.システム上での実行時に、システムに、第1のワクチン計画に関連付けられた各群に特定のアミノ酸を有する2つ以上のペプチドが割り当てられないと決定することと、第1のワクチン計画が第2のワクチン計画よりも好ましいことを示す情報を生成することと、を含む動作を実行させる追加の命令をさらに記憶する、条項16に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0113】
[0123]条項18.第1の階層および第2の階層が、第2のソートされた順序でソートされ、1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体が、システム上での実行時に、システムに、第2のソートされた順序をシャッフルすることによって第1の階層および第2の階層の更新された順序を決定することと、更新された順序に少なくとも部分的に基づいて更新された第1の群を定義することと、を含む動作を実行させるさらなる命令を記憶する、条項15に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0114】
[0124]条項19.システム上での実行時に、システムに、異なる群に割り当てるペプチドの総数を決定することと、ペプチドをペプチドセットと関連付け、異なるペプチドからの第2のペプチドをペプチドセットと切り離すことによって、ペプチドセットを生成することであって、ペプチドセットのサイズが、総数に等しい、生成することと、ペプチドセットのサブセットを異なる群に割り当てることによって、異なる群を定義することと、ペプチドをペプチドセットと切り離し、第2のペプチドをペプチドセットと関連付けることによって、更新されたペプチドセットを生成することであって、更新されたペプチドセットのサイズが、総数に等しい、生成することと、更新されたペプチドセットのサブセットを追加の群に割り当てることによって、追加の群を定義することと、を含む動作を実行させる追加の命令をさらに記憶する、条項13から18のいずれか一項に記載の1つ以上非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0115】
[0125]条項20.システム上での実行時に、システムに、(i)異なるペプチドの異なる群への潜在的な割当てを決定し、(ii)異なる群の各群について、群に潜在的に割り当てられたペプチドのペプチド特性に少なくとも部分的に基づいて群特性を計算し、(iii)異なる群の群特性間の差を低減するように構成された組合せ最適化アルゴリズムを実行することを含む動作を実行させる追加の命令をさらに記憶する、条項13から19のいずれか一項に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0116】
[0126]条項21.複数の異なるワクチン組成物を含むワクチンであって、各ワクチン組成物が、ペプチドの複数の異なる群からのペプチドの異なる群に対応し、複数の異なる群が、少なくとも、複数の異なる群に割り当てられるべき異なるペプチドからペプチドのペプチド特性を決定することであって、異なるペプチドが、対象において免疫原性応答を生成すると予測される、決定することと、ペプチドが、ペプチド特性に少なくとも部分的に基づいて、複数の異なる群からの第1の群に割り当てられるべきであると決定することであって、第1の群が、第1の群に割り当てられるべき第1のペプチドのペプチド特性に少なくとも部分的に基づく第1の群特性を有し、第1の群特性が、複数の異なる群からの第2の群の第2の群特性に対する類似性範囲内にある、決定することと、ペプチドが第1の群に割り当てられていることを示す情報を生成することと、によって定義される、ワクチン。
【0117】
[0127]条項22.第1の群特性が、第1の群および第2の群に含まれるペプチドのクラスI免疫原性スコア、クラスII免疫原性スコア、またはアミノ酸配列長の比較に少なくとも部分的に基づいて、第2の群特性との類似性範囲内にある、条項21に記載のワクチンペプチド。
【0118】
[0128]条項23.対象において免疫応答を誘導する方法であって、複数のワクチン組成物からのペプチドの1つ以上のワクチン組成物を対象に投与し、それにより、1つ以上のワクチン組成物中の1つ以上のペプチドに対する免疫応答を誘導することを含み、複数のワクチン組成物が、対象において免疫原性応答を生成すると予測されるネオ抗原ペプチドをペプチドの複数の群に割り当てる情報から生成され、複数の群のペプチドの第1の群が、複数の群のペプチドの第2の群の第2の群特性に対する類似性範囲内にある第1の群特性を有する、方法。
【0119】
[0129]条項24.複数からのワクチン組成物の2つ以上の群が対象に投与される、条項23に記載の方法。
【0120】
[0130]条項25.対象が、ネオ抗原ペプチドが免疫原性応答を予測すると予測されており、複数の群に割り当てられる、単一の対象である、条項23から24のいずれか一項に記載の方法。
【0121】
[0131]条項26.複数の異なるワクチン組成物を含むワクチンであって、各ワクチン組成物が、対象において免疫原性応答を引き起こすと予測される複数のペプチドからのペプチドの異なるセットを含み、各ワクチン組成物が、残りのワクチン組成物の特性の類似性範囲内にある特性を有し、特性が、クラスI免疫原性スコア、クラスII免疫原性スコア、またはアミノ酸配列長のうちの少なくとも1つを含む、ワクチン。
【0122】
[0132]他の変形も本開示の趣旨の範囲内である。したがって、開示された技術は、様々な修正および代替構造の影響を受けやすいが、その特定の例示された実施形態が図面に示され、詳細に上述されている。しかしながら、本発明を開示された特定の1つの形態または複数の形態に限定する意図はなく、反対に、その意図は、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の趣旨および範囲内に入るすべての修正、代替構造および均等物を網羅することであることを理解されたい。
【0123】
[0133]開示された実施形態を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「a」および「an」および「the」ならびに同様の指示対象の使用は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含有する(containing)」という用語は、特に明記しない限り、非限定的な用語(すなわち、「含むが、これらに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。「接続された」という用語は、介在するものがあっても、部分的にまたは全体的に含有される、取り付けられる、または共に接合されると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書に別段の指示がない限り、範囲内に含まれる各別個の値を個別に参照する簡略方法として役立つことを意図しているにすぎず、各別個の値は、本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。本明細書で提供されるありとあらゆる例または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明の実施形態をよりよく明らかにすることを意図しており、特に特許請求されない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書におけるいかなる言語も、特許請求されていない要素を本発明の実施に必須であると示すと解釈されるべきではない。
【0124】
[0134]本発明を実施するための本発明者らに知られている最良の形態を含む、本開示の好ましい実施形態が本明細書に記載されている。これらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読めば当業者に明らかになる可能性がある。本発明者らは、当業者がそのような変形を適切に使用することを期待しており、本発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載されている以外の方法で実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように、添付の特許請求の範囲に列挙された主題のすべての修正および均等物を含む。さらに、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、そのすべての可能な変形における上述の要素の任意の組合せが本発明に包含される。
【0125】
[0135]本明細書で引用される刊行物、特許出願および特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が個別にかつ具体的に参照により組み込まれることが示され、その全体が本明細書に記載されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】