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特表2024-523808電気化学セル内のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ、およびそれを使用および製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】電気化学セル内のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ、およびそれを使用および製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/00 20210101AFI20240625BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20240625BHJP
   C25B 15/08 20060101ALI20240625BHJP
   C25B 15/02 20210101ALI20240625BHJP
   C25B 9/73 20210101ALI20240625BHJP
   C25B 9/19 20210101ALI20240625BHJP
【FI】
C25B9/00 A
C25B1/04
C25B15/08 302
C25B15/02
C25B9/73
C25B9/19
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574156
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 US2021065004
(87)【国際公開番号】W WO2022256042
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】63/195,520
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/557,421
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523331876
【氏名又は名称】ベルダジー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マクウェイド, トーマス エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ギリアム, ライアン ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021CA09
4K021DB31
4K021DB36
4K021DC03
4K021EA07
(57)【要約】
独特のマニホールド、出口管、および/またはバッフルプレート構成を備えているアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを含む、電気化学セルおよび/または電解装置、およびそれを使用および製造する方法が、本明細書において提供され。アノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、アノードおよび/またはカソードパンと、アノードおよび/またはカソードパンの内側に位置付けられたマニホールドであって、マニホールドの断面積は、パンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている、マニホールドとを備え得る。パンは、1つ以上の切り込みを備えているパンの内側の1つ以上のリブと、1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に嵌るように構成された2つ以上のスロットを備えているバッフルプレートとを備え得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードおよび/またはカソードパンアセンブリであって、前記アノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、
アノードおよび/またはカソードパンと、
前記アノードおよび/または前記カソードパンの内側に位置付けられたマニホールドと
を備え、
前記マニホールドの断面積は、前記パンの深さの約0.25~0.75である前記マニホールドの深さを備えている、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項2】
前記マニホールドの断面積は、約520~6,200mmである、請求項1に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項3】
前記マニホールドに流体的に接続された出口管をさらに備え、前記出口管の等価直径は、約26~89mmである、請求項2に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項4】
アノードおよび/またはカソードパンアセンブリであって、前記アノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、
アノードおよび/またはカソードパンと、
1つ以上の切り込みを備えている前記パンの内側の1つ以上のリブと、
前記1つ以上のリブの前記1つ以上の切り込みの上に嵌るように構成された2つ以上のスロットを備えているバッフルプレートと
を備えている、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項5】
前記バッフルプレートは、前記1つ以上のリブに対して直角である、請求項4に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項6】
前記バッフルプレートにおける前記2つ以上のスロットの幅は、前記2つ以上のスロットが前記1つ以上のリブの前記1つ以上の切り込みの上に嵌るように、前記1つ以上のリブの幅に等しい、請求項4または5に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項7】
2つ以上のスロット間の距離は、前記2つ以上のスロットが前記1つ以上のリブの前記1つ以上の切り込みの上に嵌るように、前記1つ以上の切り込みの長さに等しい、請求項4-6のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項8】
前記2つ以上のスロット間の距離または前記1つ以上の切り込みの長さは、約5~100mmである、請求項7に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項9】
前記1つ以上のリブおよび前記アノードおよび/または前記カソードパンの上部に取り付けられた電極をさらに備えている、請求項4-8のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項10】
前記バッフルプレートは、前記電極と前記アノードおよび/または前記カソードパンとの間に吊り下げられている、請求項9に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項11】
前記バッフルプレートは、前記アノードおよび/または前記カソードパンに平行である、請求項4-10のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項12】
前記電極からの前記バッフルプレートの距離は、約5~15mmである、請求項9-11のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項13】
前記バッフルプレートの設置は、前記アノードおよび/または前記カソードパンの約0.25~0.5の深さにおいてである、請求項4-12のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項14】
前記バッフルプレートは、ガスおよび液体流動のために、前記バッフルプレートと前記アノードおよび/または前記カソードパンとの間の上部および/または底部に空間を残す、請求項4-13のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項15】
前記バッフルプレートと前記アノードおよび/または前記カソードパンの底部との間の前記空間は、約6~75mmであり、および/または、前記バッフルプレートと前記アノードおよび/または前記カソードパンの上部との間の前記空間は、約6~150mmである、請求項14に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項16】
アノードおよび/またはカソードパンアセンブリであって、前記アノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、
アノードおよび/またはカソードパンと、
前記アノードおよび/または前記カソードパンの内側に位置付けられたマニホールドであって、前記マニホールドの断面積は、前記パンの深さの約0.25~0.75である前記マニホールドの深さを備えている、マニホールドと、
1つ以上の切り込みを備えている前記パンの内側の1つ以上のリブと、
前記1つ以上のリブの前記1つ以上の切り込みの上に嵌るように構成された2つ以上のスロットを備えているバッフルプレートと
を備えている、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項17】
前記アノードおよび/または前記カソードパンアセンブリは、それぞれ、約200~10,000kg/時の高流量のアノード液またはカソード液を備えている、請求項1-16のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項18】
前記アノードおよび/または前記カソードパンアセンブリは、約300mA/cm~6,000mA/cmの高電流密度で動作する電気化学セルの内側にある、請求項1-17のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項19】
前記マニホールド、前記出口管、および/または前記バッフルプレートの断面積は、アノード液および/またはカソード液の表面液体速度が0.1m/秒未満であることを確実にする、請求項1-18のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項20】
前記マニホールド、前記出口管、および/または前記バッフルプレートの断面積は、スラグまたはプラグ流動を防止する高流量のアノード液またはカソード液および/またはガスに適応する、請求項1-19のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項21】
前記マニホールド、前記出口管、および/または前記バッフルプレートの断面積は、前記セル内の多相流動に起因する圧力増減を0.5psi未満に防止する、請求項1-20のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項22】
前記マニホールド、前記出口管、および/または前記バッフルプレートの断面積は、膜侵食および/または疲労を防止する、請求項1-21のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項23】
前記バッフルプレートは、前記アノードおよび/または前記カソードパンの内側の容積を区画し、ガスが豊富である前記バッフルプレートと前記電極との間の上昇領域を作成し、電解質が豊富である前記バッフルプレートと前記パンの床との間の下降領域を作成する、請求項4-22のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項24】
前記バッフルプレートは、電解質循環および上部から底部への混合を可能にし、前記流入する電解質の熱平衡を引き起こし、前記セルの過熱を防止する、請求項4-23のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項25】
前記アノードおよび/または前記カソードパンアセンブリは、水素ガス生産電気化学セルの内側にある、請求項1-24のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項26】
アノード液および/またはカソード液をさらに備え、前記アノード液および/または前記カソード液は、アルカリ溶液を備えている請求項25に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
【請求項27】
電気化学セルであって、前記電気化学セルは、請求項1-26のいずれか1項に記載の前記アノードおよび/または前記カソードパンアセンブリと、前記アノードパンアセンブリ上に位置付けられたアノードと、前記カソードパンアセンブリ上に位置付けられたカソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置されたイオン交換膜とを備えている、電気化学セル。
【請求項28】
多数の請求項27に記載の個々の電気化学セルを備えている電解装置。
【請求項29】
方法であって、前記方法は、電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側にマニホールドを位置付け、出口管を前記マニホールドと流体的に接続し、それによって、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを形成することを含み、前記マニホールドの断面積は、前記アノードおよび/または前記カソードパンの深さの約0.25~0.75である前記マニホールドの深さを備えている、方法。
【請求項30】
約520~6,200mmである前記マニホールドの断面積を提供することをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
約26~89mmである前記出口管の等価直径を提供することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
方法であって、前記方法は、
電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側に1つ以上のリブを位置付けることであって、前記1つ以上のリブは、1つ以上の切り込みを備えている、ことと、
前記1つ以上のリブの上にバッフルプレートを設置することであって、前記バッフルプレートは、2つ以上のスロットを備えている、ことと、
前記1つ以上のリブの前記1つ以上の切り込みの上に前記2つ以上のスロットを嵌めることと
を含む、方法。
【請求項33】
アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを形成する方法であって、前記方法は、
電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側にマニホールドを位置付け、出口管を前記マニホールドと流体的に接続することであって、前記マニホールドの断面積は、前記アノードおよび/または前記カソードパンの深さの約0.25~0.75である前記マニホールドの深さを備えている、ことと、
前記電気化学セルの前記アノードおよび/または前記カソードパンの内側に1つ以上のリブを位置付けることであって、前記1つ以上のリブは、1つ以上の切り込みを備えている、ことと、
前記1つ以上のリブの上にバッフルプレートを設置することであって、前記バッフルプレートは、2つ以上のスロットを備えている、ことと、
前記1つ以上のリブの前記1つ以上の切り込みの上に前記2つ以上のスロットを嵌めることと
を含む、方法。
【請求項34】
前記バッフルプレートを前記1つ以上のリブに直角に設置することをさらに含む、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
電極を前記1つ以上のリブおよび前記アノードおよび/または前記カソードパンの上部に取り付けることをさらに含む、請求項32-34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記電極と前記アノードおよび/または前記カソードパンとの間に前記バッフルプレートを吊り下げることをさらに含む、請求項32-35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
ガスおよび液体流動のために、前記バッフルプレートと前記アノードおよび/または前記カソードパンの上部および/または底部との間に空間を残すことをさらに含む、請求項32-36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
約200~10,000kg/時の高流量のアノード液またはカソード液の下で、前記アノードおよび/または前記カソードパンアセンブリをそれぞれ動作させることをさらに含む、請求項29-37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
電気化学セルを組み立てるために前記アノードおよび/または前記カソードパンアセンブリを位置付けることと、
約300mA/cm~6,000mA/cmの高電流密度で前記電気化学セルを動作させることと
をさらに含む、請求項29-38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記電気化学セルは、水素ガス生産セルである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
アノード液および/またはカソード液の表面液体速度が0.1m/秒未満であることを確実にすることをさらに含む、請求項29-40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
スラグまたはプラグ流動を防止する高流量のアノード液またはカソード液および/またはガスに適応することをさらに含む、請求項29-41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記セル内の多相流動に起因する圧力増減を0.5psi未満に防止することをさらに含む、請求項29-42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
膜侵食および/または疲労を防止することをさらに含む、請求項29-43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記バッフルプレートを用いて前記アノードおよび/または前記カソードパンの内側の容積を区画し、ガスが豊富である前記バッフルプレートと前記電極との間の上昇領域を作成し、電解質が豊富である前記バッフルプレートと前記パンの床との間の下降領域を作成することをさらに含む、請求項32-44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記バッフルプレートを用いて電解質循環および上部から底部への混合を可能にし、前記流入する電解質の熱平衡を引き起こし、前記セルの過熱を防止することをさらに含む、請求項32-45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを製造するためのプロセスであって、前記プロセスは、電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側にマニホールドを取り付け、出口管を前記マニホールドと流体的に接続し、それによって、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを形成することを含み、
前記マニホールドの断面積は、前記アノードおよび/または前記カソードパンの深さの約0.25~0.75である前記マニホールドの深さを備えている、プロセス。
【請求項48】
前記電気化学セルの前記アノードおよび/または前記カソードパンの内側に前記マニホールドを冶金的に取り付けることを含む、請求項47に記載のプロセス。
【請求項49】
アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを製造するためのプロセスであって、前記プロセスは、
電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側に1つ以上のリブを取り付けることであって、前記1つ以上のリブは、1つ以上の切り込みを備えている、ことと、
前記1つ以上のリブの上にバッフルプレートを設置することであって、前記バッフルプレートは、2つ以上のスロットを備えている、ことと、
前記1つ以上のリブの前記1つ以上の切り込みの上に前記2つ以上のスロットを嵌めることと
を含む、プロセス。
【請求項50】
電気化学セルを組み立てるためのプロセスであって、前記プロセスは、
請求項1-26のいずれか1項に記載の前記アノードパンアセンブリをカソードパンとカソードとを備えているカソードアセンブリと一緒に接合し、アノードを前記アノードパンアセンブリに取り付け、アノードアセンブリを形成することによって、個々の電気化学セルを組み立てること、または、
請求項1-26のいずれか1項に記載のカソードパンアセンブリをアノードパンとアノードとを備えているアノードアセンブリと一緒に接合し、カソードを前記カソードパンアセンブリに取り付け、カソードアセンブリを形成することによって、個々の電気化学セルを組み立てること、または、
請求項1-26のいずれか1項に記載の前記アノードパンアセンブリと前記カソードパンアセンブリとを一緒に接合し、アノードを前記アノードパンアセンブリに取り付け、アノードアセンブリを形成し、カソードを前記カソードパンアセンブリに取り付け、カソードアセンブリを形成することによって、個々の電気化学セルを組み立てること、および、
前記アノードアセンブリと前記カソードアセンブリとを並列に設置し、イオン交換膜によってそれらを分離すること、および、
前記電気化学セルにセル電流および電解原料をフィーダを用いて供給すること
を含む、プロセス。
【請求項51】
前記電気化学セルは、水素ガス生産セルである、請求項50に記載のプロセス。
【請求項52】
電解装置を組み立てるためのプロセスであって、前記プロセスは、
請求項50または51に記載の個々の電気化学セルを組み立てることと、
複数の前記組み立てられた電気化学セルをスタックにおいて並んで設置することと、
前記電気化学セル間の電気接触を維持するためにそれらを一緒に固定することと
を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、それらの各々が参照することによって本明細書に完全に組み込まれる2021年6月1日に出願された米国仮出願第63/195,520号の利益を主張する2021年12月21日に出願された米国特許出願第17/557,421号の継続出願である。
【0002】
水素は、多くの不可欠な化学プロセスのために要求されるので、水素の生産は、いかなる工業化社会においても重要な役割を果たす。2019年時点で、年間約7,000万トンの水素が、例えば、石油精製、およびアンモニア(ハーバー法を通して)およびメタノール(一酸化炭素の還元を通して)の生産において、および、輸送における燃料としても、種々の使用のために世界中で生産され得る。
【0003】
水素の大部分(約95%)は、天然ガスの水蒸気変成、メタンの部分酸化、および石炭ガス化によって、化石燃料から生産され得る。水素生産の他の方法は、バイオマスガス化、COを排出しないメタン熱分解、および水の電解を含む。電解は、電気を使用し、水を水素と酸素とに分解することから成る。しかしながら、全ての方法およびシステムは、概して、化石燃料ベースの生産方法より高価であり、化石燃料ベースの方法は、環境を破壊する。したがって、費用競争力があり、環境に配慮した水素ガス生産電解システムに関する必要性が、存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書において提供されるものは、例えば、化石燃料の商業的に説得力のある代替を可能にし得るイオン交換膜(IEM)水電解技術における水素ガス生産等の電解プロセスを実行するように設計された電気化学セルにおいて使用されるアノードパンアセンブリおよび/またはカソードパンアセンブリ構成に関連する方法およびシステムである。本明細書に提供されるアノードパンアセンブリおよび/またはカソードパンアセンブリ構成は、高電流密度における電気化学セルの動作を可能にする独特のマニホールド、出口管、および/またはバッフルプレート構成を含む。高電流密度における生産に起因して、標的化生産率が、より少ないセルで満たされ、それによって、資本経費を削減し、電解システムを水素ガス生産のための実行可能な源にし得る。
【0005】
一側面において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリであって、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、アノードおよび/またはカソードパンと、アノードおよび/またはカソードパンの内側に位置付けられたマニホールドであって、マニホールドの断面積は、パンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている、マニホールドとを備えている、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリが、提供される。前述の側面のいくつかの実施形態において、マニホールドの断面積は、約520~6,200mmである。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、マニホールドに流体的に接続された出口管をさらに備えている。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、出口管の等価直径は、約26~89mmである。
【0006】
一側面において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリであって、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、アノードおよび/またはカソードパンと、1つ以上の切り込みを備えているパンの内側の1つ以上のリブと、1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に嵌るように構成された2つ以上のスロットを備えているバッフルプレートとを備えている、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリが、提供される。
【0007】
一側面において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリであって、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、アノードおよび/またはカソードパンと、アノードおよび/またはカソードパンの内側に位置付けられたマニホールドであって、マニホールドの断面積は、パンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている、マニホールドと、1つ以上の切り込みを備えているパンの内側の1つ以上のリブと、1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に嵌るように構成された2つ以上のスロットを備えているバッフルプレートとを備えている、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリが、提供される。
【0008】
前述の側面のいくつかの実施形態において、バッフルプレートは、1つ以上のリブに対して直角である。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、バッフルプレートは、電極とアノードおよび/またはカソードパンまたはパン床との間に吊り下げられる。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、バッフルプレートは、アノードおよび/またはカソードパンに平行である。
【0009】
前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、バッフルプレートにおける2つ以上のスロットの幅は、2つ以上のスロットが1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に嵌るように、1つ以上のリブの幅に等しい。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、2つ以上のスロット間の距離は、2つ以上のスロットが1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に嵌るように、1つ以上の切り込みの長さに等しい。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、2つ以上のスロット間の距離および/または1つ以上の切り込みの長さは、約5~100mmである。
【0010】
前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、1つ以上のリブおよびアノードおよび/またはカソードパンの上部に取り付けられた電極をさらに備えている。
【0011】
前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、電極からのバッフルプレートの距離は、約5~15mmである。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、バッフルプレートの設置は、アノードおよび/またはカソードパンの約0.25~0.5の深さにおけるものである。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、バッフルプレートは、ガスおよび液体流動のために、バッフルプレートとアノードおよび/またはカソードパンとの間の上部および/または底部に空間を残す。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、バッフルプレートとアノードおよび/またはカソードパンの底部との間の空間は、約6~75mmであり、および/または、バッフルプレートとアノードおよび/またはカソードパンおよび/またはマニホールドの上部との間の空間は、約6~150mmである。
【0012】
前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、それぞれ、約200~10,000kg/時の高流量のアノード液またはカソード液を備えている。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、約300mA/cm~6,000mA/cmの高電流密度で起動する電気化学セルの内側にある。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、マニホールド、出口管、および/またはバッフルプレートの断面積は、アノード液および/またはカソード液の表面液体速度が0.1m/秒未満であることを確実にする。
【0013】
前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、マニホールド、出口管、および/またはバッフルプレートの断面積は、スラグまたはプラグ流動を防止する高流量のアノード液またはカソード液および/またはガスに適応する。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、マニホールド、出口管、および/またはバッフルプレートの断面積は、セル内の多相流動に起因する圧力増減を0.5psi未満に防止する。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、マニホールド、出口管、および/またはバッフルプレートの断面積は、膜侵食および/または疲労を防止する。
【0014】
前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、バッフルプレートは、アノードおよび/またはカソードパンの内側の容積を区画し、ガスが豊富であるバッフルプレートと電極との間の上昇領域を作成し、電解質が豊富であるバッフルプレートとパンの床との間の下降領域を作成する。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、電極は、アノード(アノードパンアセンブリにおいて)および/またはカソード(カソードパンアセンブリにおいて)である。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、バッフルプレートは、電解質循環および上部から底部への混合を可能にし、流入する電解質の熱平衡を引き起こし、セルの過熱を防止する。
【0015】
前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、水素ガス生産電気化学セルの内側にある。いくつかの実施形態において、水素ガス生産電気化学セルにおいて、水素が、カソードにおいて発生させられ、酸素が、アノードにおいて発生させられる。
【0016】
前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリはさらに、それぞれ、アノード液および/またはカソード液等の電解質を備え、アノード液および/またはカソード液は、アルカリ溶液を備えている。
【0017】
一側面において、電気化学セルであって、電気化学セルは、前述の側面および実施形態のいずれかに記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリと、アノードパンアセンブリ上に位置付けられたアノードと、カソードパンアセンブリ上に位置付けられたカソードと、アノードとカソードとの間に配置されたイオン交換膜とを備えている、電気化学セルが、提供される。電気化学セルにおいて、前述のアノードパンアセンブリ(通常または従来のカソードアセンブリを伴う)または前述のカソードパンアセンブリ(通常または従来のアノードアセンブリを伴う)のいずれか、またはアノードパンアセンブリおよびカソードパンアセンブリの両方が、存在し得、したがって、それらの構成の全てが、十分に本開示の範囲内であることを理解されたい。
【0018】
一側面において、多数の個々の前述の電気化学セルを備えている電解装置が、提供される。
【0019】
一側面において、方法であって、方法は、電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側にマニホールドを位置付け、出口管をマニホールドと流体的に接続し、それによって、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを形成することであって、マニホールドの断面積は、アノードおよび/またはカソードパンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている、ことを含む、方法が、提供される。前述の側面のいくつかの実施形態において、方法はさらに、約520~6,200mmであるマニホールドの断面積を提供することを含む。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法はさらに、約26~89mmである出口管の等価直径を提供することを含む。
【0020】
一側面において、方法であって、方法は、電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側に1つ以上のリブを位置付けることであって、1つ以上のリブは、1つ以上の切り込みを備えている、ことと、1つ以上のリブの上にバッフルプレートを設置することであって、バッフルプレートは、2つ以上のスロットを備えている、ことと、1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に2つ以上のスロットを嵌めることとを含む、方法が、提供される。
【0021】
一側面において、方法であって、方法は、
電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側にマニホールドを位置付け、出口管をマニホールドと流体的に接続することであって、マニホールドの断面積は、アノードおよび/またはカソードパンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている、ことと、
電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側に1つ以上のリブを位置付けることであって、1つ以上のリブは、1つ以上の切り込みを備えている、ことと、
1つ以上のリブの上にバッフルプレートを設置することであって、バッフルプレートは、2つ以上のスロットを備えている、ことと、
1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に2つ以上のスロットを嵌めることとを含む、方法が、提供される。
【0022】
前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、バッフルプレートを1つ以上のリブに直角に設置することをさらに含む。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、電極を1つ以上のリブおよびアノードおよび/またはカソードパンの上部に取り付けることをさらに含む。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、電極とアノードおよび/またはカソードパンまたはパン床との間にバッフルプレートを吊り下げることをさらに含む。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、ガスおよび液体流動のために、バッフルプレートとアノードおよび/またはカソードパンの上部および/または底部との間に空間を残すことをさらに含む。
【0023】
前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、約200~10,000kg/時の高流量のアノード液またはカソード液の下でアノードおよび/またはカソードパンアセンブリをそれぞれ動作させることをさらに含む。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、電気化学セルを組み立てるためにアノードおよび/またはカソードパンアセンブリを位置付けることと、約300mA/cm~6,000mA/cmの高電流密度で電気化学セルを起動することとをさらに含む。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、電気化学セルは、水素ガス生産セルである。
【0024】
前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、アノード液および/またはカソード液の表面液体速度が0.1m/秒未満であることを確実にすることをさらに含む。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、スラグまたはプラグ流動を防止する高流量のアノード液またはカソード液および/またはガスに適応することをさらに含む。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、セル内の多相流動に起因する圧力増減を0.5psi未満に防止することをさらに含む。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、膜侵食および/または疲労を防止することをさら含む。
【0025】
前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、バッフルプレートを用いてアノードおよび/またはカソードパンの内側の容積を区画し、ガスが豊富であるバッフルプレートと電極との間の上昇領域を作成し、電解質が豊富であるバッフルプレートとパンの床との間の下降領域を作成することをさらに含む。
【0026】
前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、バッフルプレートを用いて電解質循環および上部から底部への混合を可能にし、流入する電解質の熱平衡を引き起こし、セルの過熱を防止することをさらに含む。
【0027】
一側面において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを製造するためのプロセスであって、プロセスは、電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側にマニホールドを取り付け、出口管をマニホールドと流体的に接続し、それによって、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを形成することであって、マニホールドの断面積は、アノードおよび/またはカソードパンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている、ことを含む、プロセスが、提供される。
【0028】
一側面において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを製造するためのプロセスであって、プロセスは、電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側に1つ以上のリブを取り付けることであって、1つ以上のリブは、1つ以上の切り込みを備えている、ことと、1つ以上のリブの上にバッフルプレートを設置することであって、バッフルプレートは、2つ以上のスロットを備えている、ことと、1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に2つ以上のスロットを嵌めることとを含む、プロセスが、提供される。
【0029】
前述の側面のいくつかの実施形態において、プロセスは、アノードおよび/またはカソードパンの内側にマニホールドを冶金的に取り付けること、および/または、アノードまたはカソードパンに1つ以上のリブを冶金的に取り付けること、および/または、電気化学セルの1つ以上のリブにバッフルプレートを冶金的に取り付けることを含む。
【0030】
一側面において、電気化学セルを組み立てるためのプロセスであって、プロセスは、
前述のアノードパンアセンブリと、カソードパンとカソードとを備えているカソードアセンブリとを一緒に接合し、アノードをアノードパンアセンブリに取り付け、アノードアセンブリを形成することによって、個々の電気化学セルを組み立てること、または、
前述のカソードパンアセンブリと、アノードパンとアノードとを備えているアノードアセンブリとを一緒に接合し、カソードをカソードパンアセンブリに取り付け、カソードアセンブリを形成することによって、個々の電気化学セルを組み立てること、または、
前述のアノードパンアセンブリと前述のカソードパンアセンブリとを一緒に接合し、アノードをアノードパンアセンブリに取り付け、アノードアセンブリを形成し、カソードをカソードパンアセンブリに取り付け、カソードアセンブリを形成することによって、個々の電気化学セルを組み立てること、および、
アノードアセンブリとカソードアセンブリとを並列に設置し、イオン交換膜によってそれらを分離すること、および、
電気化学セルにセル電流および電解原料をフィーダを用いて供給することを含む、プロセスが、提供される。
【0031】
前述の側面のいくつかの実施形態において、電気化学セルは、水素ガス生産セルである。
【0032】
一側面において、電解装置を組み立てるためのプロセスが、提供され、プロセスは、前述の個々の電気化学セルを組み立てることと、複数の組み立てられた電気化学セルをスタックにおいて並んで設置することと、電気化学セルの間の電気接触を維持するためにそれらを一緒に固定することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の新規の特徴が、添付される請求項に詳細に記載される。本発明の特徴および利点のより深い理解が、本発明の原理が利用される、例証的実施形態を記載する以下の詳細な説明、および付随の図面を参照することによって取得され得る。
【0034】
図1図1は、マニホールドと出口管とを備えているアノードパンアセンブリまたはカソードパンアセンブリに関連するいくつかの実施形態を図示する。右側の図は、アセンブリの正面図を図示し、左側の図は、アセンブリの断面図を図示する。
【0035】
図2図2は、アノードパンまたはカソードパンの内側のマニホールドおよびノズルを通してマニホールドに取り付けられる出口管の断面および拡大図に関連するいくつかの実施形態を図示する。
【0036】
図3図3は、アノードパンまたはカソードパン内のマニホールドの向きおよび構成に関連するいくつかの実施形態を図示する。
【0037】
図4図4は、アノードパンアセンブリまたはカソードパンアセンブリにおけるマニホールドを通したガスおよび液体の流動の方向に関連するいくつかの実施形態を図示する。
【0038】
図5図5は、リブの上に嵌められ、アノードパンまたはカソードパン内に吊り下げられたバッフルプレートを備えているアノードパンアセンブリまたはカソードパンアセンブリに関連するいくつかの実施形態を図示する。右側の図は、アセンブリの正面図を図示し、左側の図は、アセンブリの断面図を図示する。
【0039】
図6図6は、アノードパンまたはカソードパンの内側の1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に嵌められたバッフルプレートの2つ以上のスロットを図示するアノードまたはカソードパンアセンブリの断面図に関連するいくつかの実施形態を図示する。
【0040】
図7図7は、スロットを伴うバッフルプレートの正面図に関連するいくつかの実施形態を図示する。
【0041】
図8図8は、バッフルプレートの有無別のハーフセルを通した電解質流動に関連するいくつかの実施形態の図示である。
【0042】
図9図9は、アノードパンまたはカソードパンの内側のバッフルプレートの位置付けおよび寸法に関連するいくつかの実施形態を図示する。
【0043】
図10図10は、例2に解説されるようなバッフルプレートの有無別のシミュレートされた液体流動分布を示すベクトルプロットを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0044】
アノードパンアセンブリおよび/またはカソードパンアセンブリに関連する構成要素、方法、および電気化学セルが、本明細書において提供され、パンアセンブリは、独特のマニホールドおよび/または出口管および/またはバッフルプレート構成を備え、それらは、例えば、IEMにおける高電流密度における水素ガス生産等(例えば、アニオン交換膜(AEM)アルカリ水電解技術等)の電解プロセスを実行するように設計されている。
【0045】
典型的に、商業的なアルカリ水電解セルは、100~400mA/cmにおいて動作し得る。例えば、商業的な塩素アルカリ電気化学セルは、典型的に、最大約500mA/cmの電流密度において動作し得る。しかしながら、出願人は、オペレータがより少ないセルでオペレータの標的化生産率を満たし、それによって、資本経費を削減し得るように、高電流密度で動的に動作し得る独特の電気化学セルおよびその構成要素を設計した。さらに、セルの高い動作電流密度の範囲は、オペレータに大きいターンダウン比を提供し、オペレータが、電力価格が低いときに生産を最大化し、電力価格が高いときに電力消費を低減させることを可能にし得る。
【0046】
本発明がより詳細に説明される前に、本発明が、説明される特定の実施形態に限定されず、したがって、当然ながら、変動し得ることを理解されたい。本明細書に使用される専門用語が、特定の実施形態を説明する目的のみのためのものであり、本発明の範囲が添付される請求項によってのみ限定されるであろうから、それが限定であることを意図していないことも理解されたい。
【0047】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別様に決定付けない限り、その範囲の上限と下限との間の下限の単位の10分の1までの各介在する値、およびその記載される範囲内の任意の他の記載される、または介在する値が、本発明内に包含されることを理解されたい。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立してより小さい範囲内に含まれ得、記載される範囲内の任意の具体的に除外される限界にも従って、本発明内に包含される。記載される範囲が限界のうちの一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界のうちの一方または両方を除外する範囲も、本発明内に含まれる。
【0048】
数値で本明細書に提示されるある範囲は、「約」数値として解釈され得る。「約」は、これが先行する厳密な数、およびその用語が先行する数に近い、またはそれに近似する数に関する文言上の支援を提供するためのものである。数が具体的に列挙される数に近い、またはそれに近似するかどうかを判定する際、近い、または近似する列挙されない数は、これが提示される文脈において、具体的に列挙される数の実質的な均等物を提供する数であり得る。
【0049】
別様に定義されない限り、本明細書に使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に説明されるものと類似する、または同等の任意の方法および材料も、本発明の実践または試験において使用されることができるが、代表的な例証的方法および材料が、ここで説明される。
【0050】
本明細書に引用される全ての刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許が具体的かつ個々に参照することによって組み込まれることが示される場合と同程度に、参照することによって本明細書に組み込まれ、それに関連して刊行物が引用される方法および/または材料を開示および説明するために、参照することによって本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日に先立つその開示に関するものであり、本発明が先行発明によってそのような刊行物に先立つ権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は、実際の刊行日と異なる場合があり、独立して確認される必要があり得る。
【0051】
本明細書および添付される請求項に使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」が、文脈が明確に別様に決定付けない限り、複数指示物を含むことに留意されたい。請求項が、任意の随意の要素を除外するように起草され得ることにさらに留意されたい。したがって、本文言は、請求項要素の列挙に関連する「単に」、「~のみ」等の排他的専門用語の使用、または「否定的」限定の使用のための先行詞としての役割を果たすことを意図している。
【0052】
本開示を熟読することに応じて当業者に明白であるであろうように、本明細書に説明および例証される個々の実施形態の各々は、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴から容易に分離される、またはそれと組み合わせられ得る離散的構成要素および特徴を有する。任意の列挙される方法は、列挙される事象の順序において、または論理的に可能な任意の他の順序において実行されることができる。
【0053】
(アノードおよび/またはカソードパンアセンブリ)
前に記載されるような高電流密度における電気化学セルの動作は、限定ではないが、高電流密度で生産される大きいガス体積の適応、大きい圧力増減、膜侵食または疲労、セル内で発生させられる大量の熱、および/または電解質の高流量等の重要な課題をもたらし得る。本明細書に提供される電気化学セル内のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリの独特の構成は、限定ではないが、セルの高さに沿った電解質の大きい温度変動を回避すること;ガスで公称活性面積のかなりの部分を覆うことを回避すること;膜の局所的乾燥をもたらし得る停滞したガスポケットの形成を回避すること;および/または、セル出口におけるスラグまたはプラグ流動に起因する大きい圧力増減を回避すること等、これらの課題のうちの1つ以上を克服することができる。
【0054】
大きいガス体積に起因して、静的ガスポケットが、電極上に、またはセルの上部に生じ得る。ガスポケットに対抗するために、高電解質流量を提供し、ガスリフトを引き起こし、高い局所剪断率を生じる特徴を利用することは、電極上に生じる静的ガスポケットを最小化することに役立ち得る。しかしながら、高電解質流量は、ガスの大量生産およびセルに出入りする大量の液体と相まって、スラグおよびプラグ流動に関連付けられた重要な課題を提示する。高電解質流量および高電流密度における動作は、セル出口におけるスラッギングにつながり得、それは、本明細書に提供されるマニホールドおよび出口管構成を使用することによって最小化されることができる。
【0055】
出願人は、本明細書において、大きい停滞したガスポケットがセルの上部において形成されないこと、または最小化されることを保証するために、セルの上部において効果的な収集システムを含むアノードおよび/またはカソードパンアセンブリを提供する。収集システムは、膜を覆うことなく、および/またはスラグおよびプラグ流動を引き起こすことなく、ガスが集まり、かつ液体が流動するための空間を効果的に提供する大きい断面積を伴うマニホールドおよび出口管を備えている。本明細書に提供されるアノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、この二相(ガス/液体)流動が、セルの外に効果的に導かれることを保証する。
【0056】
本明細書に提供されるマニホールドと出口管とを備えているアノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、流動がセルの幅にわたって均一であり、セル内の圧力増減が最小であることを保証するように設計される。流動均一性要件は、マニホールドの中への流動の進入に関連付けられた背圧が、マニホールドの長さに沿った圧力降下をかなり上回ることを保証することの必要性を駆動する。本質的に一定の内圧分布を維持することの必要性は、マニホールドおよび出口管類を通したスラグまたはプラグ流動を回避するための要件を駆動する。したがって、本明細書に提供されるようなマニホールドと出口管とを備えているアノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、高範囲の電解質流動および高電流密度にわたって信頼性のあるセル動作を可能にする重要な設計要素である。
【0057】
本明細書に提供されるようなマニホールドと出口管とを備えているアノードおよび/またはカソードパンアセンブリの設計は、高電流密度における動作に関するいかなるスラグまたはプラグ流動問題も存在しないことを保証する必要がある一方、マニホールドおよび出口管の断面積も、動作および経済的目的のために効果的ではない過剰に深いセルを防止するために、最適化される必要がある。出願人は、これらの必要性を満たす断面積を伴うマニホールドおよび出口管構成を設計した。
【0058】
電流密度が、セル内で増加させられるにつれて、電力消散も、劇的に上昇し得る。大きい空間的および/または時間的温度増減は、膜に損傷を与え得る。セルの内部温度分布に対する内部電力消散の影響は、温度の維持、流入する電解質の流量、および/または流入する電解質の再循環等の動作条件を通して最小化され得る。高電解質流量は、セル内の対流熱伝達を最大化し、それによって、そうでなければ電流密度の増加からもたらされ得るセル内の熱蓄積および付随する温度上昇を最小化することに役立ち得る。出願人は、セルの内部温度に対する増減する電力消散の影響を最小化するためのアノードおよび/またはカソードパンアセンブリの内側のバッフルプレート構成を設計した。
【0059】
電気化学セルでは、アノードおよびアノード電解質を格納するアノードパンが、存在し得る。カソードおよびカソード電解質を格納するカソードパンが、存在し得、アノードパンとカソードパンとは、ダイヤフラム、膜電極アセンブリ(MEA)、または1つ以上のイオン交換膜(IEM)によって分離される。アノードパンおよび/またはカソードパンはさらに、ガスおよび液体を収集し、セルから外にそれらを流動させる収集システム(アノードパンアセンブリまたはカソードパンアセンブリを一緒に形成する)等の構成要素を備えている。IEMは、アノードおよびカソードにおける所望の反応に応じて、アニオン交換膜(AEM)、カチオン交換膜(CEM)、または両方であり得る。これらの構成要素間に、種々の追加の分離器構成要素が、例えば、アノードからAEMを分離すること、カソードからCEMを分離すること、および/またはCEMからAEMを分離することと、膜に機械的完全性を提供することとを行うために提供され得る。これらの構成要素に加えて、個々のガスケットまたはガスケットテープが、流体漏出からコンパートメントをシールするために、構成要素間に提供され、かつその外側外周に沿って提供され得る。
【0060】
上記に説明される全ての構成要素は、互いに平行に整列させられ得、随意の周辺ボルト留めが、電気化学セル内でそれらを一緒に積み重ねるために提供され得る。フィルタプレス構成では、いかなる周辺ボルト留めも、要求されないこともある。電気化学セルのスタックでは、1つの電気化学セルのアノードは、隣接する電気化学セルのカソードと接触する。電流は、動作中、電気化学セルのスタックを通過する。
【0061】
例証的実施形態において、本発明のアノードパンアセンブリまたはカソードパンアセンブリは、図1に示される(右側の図は、アセンブリの正面図を図示し、左側の図は、アセンブリの断面図を図示する)。電気化学セルにおいて、本明細書に提供されるようなアノードパンアセンブリまたは本明細書に提供されるようなカソードパンアセンブリのいずれか、または両方が、使用され得ることを理解されたい。例えば、図1に示されるアセンブリは、必要性およびアノードおよびカソードにおける反応に応じて、アノードパンアセンブリまたはカソードパンアセンブリまたは両方であり得る。アノードまたはカソード等のセルの次の構成要素は、アセンブリの正面図である図1の右側に示されるアノードパンアセンブリまたはカソードパンアセンブリの上に設置されるであろう。
【0062】
図1に図示されるように、アノードパンアセンブリまたはカソードパンアセンブリ100は、それぞれ、アノードパンまたはカソードパン101を備えている。アノードパンまたはカソードパンの深さの内側に、かつパンの上部に(左の図に示される)、マニホールド102が、格納される。マニホールド102は、ノズルを通して出口管103に流体的に接続される。マニホールドは、要件に応じて、1つ以上の出口管に接続され得る。例えば、設計は、セル厚を最小化し、電解装置フレームまたは特定のサイズ内に適合し得るセルの数を最大化するために、同じ側または両側の各アノードおよび/またはカソードパンアセンブリ上に2個、3個、4個、またはそれを上回る出口管を組み込み得る。
【0063】
一側面において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリ、それを形成、使用、および製造する方法が、本明細書において提供され、パンアセンブリは、アノードおよび/またはカソードパンと、アノードおよび/またはカソードパンの内側に位置付けられたマニホールドとを備え、マニホールドの断面積は、パンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている。いくつかの実施形態において、前述のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、出口管をさらに備えている。
【0064】
いくつかの実施形態において、マニホールドの深さおよび/またはマニホールドおよび/または出口管の断面積が、二相システムのスラグおよびプラグ流動を回避するために、マニホールドの大きい断面積を提供するために十分に深いが、ガスおよび液体が妨げられない流動を有するために、および膜が湿潤したままであるために、マニホールドの壁とパンの上に設置される電極との間に十分な空間も提供するように最適化される必要がある。マニホールドの深さおよび/またはマニホールドおよび/または出口管の断面積は、セルの厚さも決定付け、したがって、マニホールドの断面積は、セルにおける種々の機能を達成することに対して重要である。
【0065】
アノードおよび/またはカソードパンアセンブリおよびその方法のいくつかの実施形態において、マニホールドの断面積は、パンの深さの約0.25~0.75、またはパンの深さの約0.25~0.6、またはパンの深さの約0.25~0.5、またはパンの深さの約0.25~0.4、またはパンの深さの約0.25~0.3、またはパンの深さの約0.3~0.75、またはパンの深さの約0.3~0.6、またはパンの深さの約0.3~0.5、またはパンの深さの約0.3~0.4、またはパンの深さの約0.4~0.75、またはパンの深さの約0.4~0.6、またはパンの深さの約0.4~0.5、またはパンの深さの約0.5~0.75、またはパンの深さの約0.5~0.6、またはパンの深さの約0.6~0.75であるマニホールドの深さを備えている。
【0066】
アノードまたはカソードパンの内側のマニホールドおよび出口管の別の断面および拡大図が、図2に示される。マニホールド102の深さは、Dとマーキングされ、マニホールドの幅は、Wとマーキングされる。出口管103の等価直径は、EDとマーキングされる。マニホールド102の深さ、マニホールド102の幅、およびアノードまたはカソードパン101の深さも、図3に図示される。明白であるように、マニホールドは、上部において上向きテーパを有する。上向きテーパは、電極に隣り合って位置付けられる膜の上縁の上方に内部容積または区域を作成し、膜の乾燥をもたらすことなく、ガスが豊富な混合物が生じるための小さい領域を提供する。
【0067】
アノードパンアセンブリまたはカソードパンアセンブリを通したガスおよび液体の流動の方向が、図4に点線として示される。ガスおよび液体の二相は、マニホールド102の上部に上向きに流動し、上部における切り込み104を通してマニホールドの中に下に流動する。ガスおよび液体は、次いで、出口管103を通して外に流動する。
【0068】
マニホールドおよび出口管を通して流動する(高電流密度および高流量に起因する)大量のガスおよび液体に適応し、スラグおよびプラグ流動を防止するために(および本明細書に列挙される他の利益のために)、いくつかの実施形態において、マニホールドおよび出口管の断面積は、アノード液および/またはカソード液の表面液体速度を0.1m/秒未満、または0.08m/秒未満、または0.05m/秒未満に維持するために十分に大きい必要がある。
【0069】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるアノードおよび/またはカソードパンアセンブリを備えている電気化学セルは、約300mA/cm~6,000mA/cm、または約300mA/cm~5,000mA/cm、または約300mA/cm~4,000mA/cm、または約300mA/cm~3,000mA/cm、または約300mA/cm~2,000mA/cm、または約300mA/cm~1,000mA/cm、または約300mA/cm~800mA/cm、または約300mA/cm~600mA/cm、または約300mA/cm~500mA/cm、または約500mA/cm~6,000mA/cm、または約500mA/cm~5,000mA/cm、または約500mA/cm~4,000mA/cm、または約500mA/cm~3,000mA/cm、または約500mA/cm~2,000mA/cm、または約500mA/cm~1,000mA/cm、または約500mA/cm~800mA/cm、または約500mA/cm~600mA/cm、または約600mA/cm~6,000mA/cm、または約600mA/cm~5,000mA/cm、または約600mA/cm~4,000mA/cm、または約600mA/cm~3,000mA/cm、または約600mA/cm~2,000mA/cm、または約600mA/cm~1,000mA/cm、または約600mA/cm~800mA/cm、または約800mA/cm~6,000mA/cm、または約800mA/cm~5,000mA/cm、または約800mA/cm2~4,000mA/cm、または約800mA/cm~3,000mA/cm、または約800mA/cm~2,000mA/cm、または約800mA/cm~1,000mA/cm、または約1,000mA/cm~6,000mA/cm、または約1,000mA/cm~5,000mA/cm、または約1,000mA/cm~4,000mA/cm、または約1,000mA/cm~3,000mA/cm、または約1,000mA/cm~2,000mA/cm、または約2,000mA/cm~6,000mA/cm、または約2,000mA/cm~5,000mA/cm、または約2,000mA/cm~4,000mA/cm、または約2,000mA/cm~3,000mA/cm、または約3,000mA/cm~6,000mA/cm、または約3,000mA/cm~5,000mA/cm、または約3,000mA/cm~4,000mA/cm、または約4,000mA/cm~6,000mA/cm、または約5,000mA/cm~6,000mA/cmの高密度電流において動作する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるアノードおよび/またはカソードパンアセンブリを備えている電気化学セルは、約300mA/cm~3,000mA/cm、または約300mA/cm~2,000mA/cm、または約300mA/cm~1,000mA/cm、または約300mA/cm~800mA/cm、または約300mA/cm~600mA/cm、または約300mA/cm~500mA/cm、または約300mA/cm~400mA/cmの高密度電流において動作する。
【0070】
いくつかの実施形態において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、それぞれ、約200~10,000kg/時、または約200~9,000kg/時、または約200~8,000kg/時、または約200~7,000kg/時、または約200~6,000kg/時、または約200~5,000kg/時、または約200~4,000kg/時、または約200~3,000kg/時、または約200~2,000kg/時、または約200~1,000kg/時、または約500~10,000kg/時、または約500~9,000kg/時、または約500~8,000kg/時、または約500~7,000kg/時、または約500~6,000kg/時、または約500~5,000kg/時、または約500~4,000kg/時、または約500~3,000kg/時、または約500~2,000kg/時、または約500~1,000kg/時、または約800~10,000kg/時、または約800~9,000kg/時、または約800~8,000kg/時、または約800~7,000kg/時、または約800~6,000kg/時、または約800~5,000kg/時、または約800~4,000kg/時、または約800~3,000kg/時、または約800~2,000kg/時、または約800~1,000kg/時、または約1,000~10,000kg/時、または約1,000~9,000kg/時、または約1,000~8,000kg/時、または約1,000~7,000kg/時、または約1,000~6,000kg/時、または約1,000~5,000kg/時、または約1,000~4,000kg/時、または約1,000~3,000kg/時、または約1,000~2,000kg/時、または約3,000~10,000kg/時、または約3,000~9,000kg/時、または約3,000~8,000kg/時、または約3,000~7,000kg/時、または約3,000~6,000kg/時、または約3,000~5,000kg/時、または約5,000~10,000kg/時、または約5,000~8,000kg/時、または約5,000~6,000kg/時、または約6,000~10,000kg/時、または約6,000~8,000kg/時、または約8,000~10,000kg/時の高流量のアノード液またはカソード液を備えている。アノード液および/またはカソード液の例は、水、または、アルカリを伴う水(例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば、水中のNaOHまたはKOH等)を含む。
【0071】
高電流密度および高流量および本明細書に記述されるような他の利益に適応するために、いくつかの実施形態において、マニホールドの断面積(例えば、パンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている)は、約520~6,200mm、または約520~6,000mm、または約520~5,000mm、または約520~4,000mm、または約520~3,000mm、または約520~2,000mm、または約520~1,000mm、または約600~6200mm、または約600~6,000mm、または約600~5,000mm、または約600~4,000mm、または約600~3,000mm、または約600~2,000mm、または約600~1,000mm、または約800~6,200mm、または約800~6,000mm、または約800~5,000mm、または約800~4,000mm、または約800~3,000mm、または約800~2,000mm、または約800~1,000mm、または約1,000~6,200mm、または約1,000~6,000mm、または約1,000~5,000mm、または約1,000~4,000mm、または約1,000~3,000mm、または約1,000~2,000mm、または約2,000~6,200mm、または約2,000~5,000mm、または約2,000~4,000mm、または約2,000~3,000mm、または約3,000~6,000mm、または約3,000~5,000mm、または約3,000~4,000mm、または約4,000~6,000mm、または約4,000~5,000mm、または約5,000~6,000mmである。
【0072】
故に、マニホールドの上記に記述される断面積のいくつかの実施形態において、マニホールドに流体的に接続される出口管は、約26~89mm、または約26~80mm、または約26~75mm、または約26~70mm、または約26~60mm、または約26~50mm、または約26~40mm、または約26~30mm、または約30~89mm、または約30~80mm、または約30~75mm、または約30~70mm、または約30~60mm、または約30~50mm、または約30~40mm、または約40~89mm、または約40~80mm、または約40~75mm、または約40~70mm、または約40~60mm、または約40~50mm、または約50~89mm、または約50~80mm、または約50~75mm、または約50~70mm、または約50~60mm、または約60~89mm、または約60~80mm、または約60~75mm、または約70~89mm、または約70~80mmであるように出口管の等価直径を有する。
【0073】
高液体流量が、特定のサイズの電気化学セルと比較したものであり得ることを理解されたい。例えば、比較的に幅狭のセル、例えば、300~600mmの幅に関する高流量は、約200kg/時またはそれを上回るものであるような流量に対応し得るか、または、大きい商業的サイズのセル、例えば、2~3mの幅に関する高流量は、約800kg/時またはそれを上回る流量に対応し得る。マニホールドの断面積、出口管の断面積、および/またはバッフルプレートは、高電流密度における動作に関連付けられた高液体流量および高ガス流量に適応し、スラグまたはプラグ流動のいずれも発達しないように、表面液体速度が0.1m/秒未満であることを保証する。
【0074】
いくつかの実施形態において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、
それぞれ、約200~5,000kg/時、または約200~4,000kg/時、または約200~3,000kg/時、または約200~2,500kg/時、または約200~2,000kg/時、または約200~1,000kg/時の高流量のアノード液またはカソード液を備え、
マニホールドの断面積(例えば、パンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている)は、約300~6,200mm、または約300~6,000mm、または約300~5,000mm、または約300~4,000mm、または約300~3,000mm、または約300~2,000mm、または約300~1,000mm、または約300~500mmであり、
アノード液および/またはカソード液の表面液体速度は、0.1m/秒未満、または0.08m/秒未満、または0.05m/秒未満、または0.01m/秒未満である。
【0075】
いくつかの実施形態において、前述のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、約26~89mmであるような等価直径を有するマニホールドに流体的に接続された出口管をさらに備えている。
【0076】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される前述のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリを備えている電気化学セルは、約300mA/cm~3,000mA/cm、または約300mA/cm~2,000mA/cm、または約300mA/cm~1,000mA/cm、または約300mA/cm~800mA/cm、または約300mA/cm~600mA/cm、または約300mA/cm~500mA/cm、または約300mA/cm~400mA/cmの高密度電流において動作する。
【0077】
一側面において、セルの内部温度に対する増減する電力消散の影響を最小化するために、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリの内側のバッフルプレート構成も、提供される。出願人は、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリ内に吊り下げられ、一方の側のパン床と他方の側の電極との間に配置されたバッフルプレートを設計した。
【0078】
一側面において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリが、提供され、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、アノードおよび/またはカソードパンと;1つ以上の切り込みを備えているパンの内側の1つ以上のリブと;バッフルプレートとを備え、バッフルプレートは、1つ以上または2つ以上のスロットを備、1つ以上または2つ以上のスロットは、1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に嵌るように構成されている。
【0079】
一側面において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリが、提供され、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、アノードおよび/またはカソードパンと、アノードおよび/またはカソードパンの内側に位置付けられたマニホールドであって、マニホールドの断面積は、パンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている、マニホールドと、1つ以上の切り込みを備えているパンの内側の1つ以上のリブと、1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に嵌るように構成された2つ以上のスロットを備えているバッフルプレートとを備えている。いくつかの実施形態において、前述のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、出口管をさらに備えている。マニホールドおよび出口管の断面積は、本明細書に提供されている。
【0080】
アノードおよび/またはカソードパンアセンブリの例証は、図5に示されるようなものである。図5の右側の図は、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリの正面図を図示し、左の図は、パンアセンブリの断面図を図示する。アノードパンアセンブリおよび/またはカソードパンアセンブリ200は、アノードおよび/またはカソードパン201を備え、バッフルプレート202が、パン内に嵌められる。バッフルプレートは、2つ以上のスロット203を備えている。バッフルプレートは、パン内のリブの数およびリブ上の切り込みの数に応じて、任意の数のスロットを有し得る。スロットの数は、例えば、バッフルプレート内で約2~200個であり得る。このバッフルプレート202は、アノードおよび/またはカソードパン201内の垂直リブ204の上に嵌められる。1つ以上のリブは、アノードパンおよび/またはカソードパンに対して直角であり、バッフルプレートは、1つ以上のリブに対して直角である。したがって、バッフルプレートは、アノードおよび/またはカソードパンに平行である。1つ以上の切り込みを伴う1つ以上のリブの位置付けおよび1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上でのバッフルプレートの2つ以上のスロットの嵌まりは、図6に図示されるようなものである。
【0081】
図6に図示されるように、1つ以上のリブ204は、1つ以上の切り込み205を有する。1つ以上のリブ204は、アノードおよび/またはカソードパン201に直角に位置付けられる。2つ以上のスロット203(また、スリットまたは切り抜きであり得る)を伴うバッフルプレート202は、1つ以上のリブ204の1つ以上の切り込み205の上に嵌るように構成される。スロットは、リブ204と嵌められているので、スロットは、図6で見えていない。1つ以上のリブ204の1つ以上の切り込み205は、パン内のバッフルプレート202の吊り下げを促進する。電極206は、アノードパンアセンブリおよび/またはカソードパンアセンブリ200の上部に取り付けられ得る。バッフルプレートは、電極206とアノードおよび/またはカソードパンまたはパン床207との間に吊り下げられる。電極からのバッフルプレートの距離は、リブ上の切り込みの深さを増加させることによって、増加または減少させられることができる。
【0082】
バッフルプレートの別の設計(図に図示せず)は、リブの全長の上に嵌る1つ以上の長いスロットを伴うバッフルプレートである。そのような実施形態において、バッフルプレート上の長いスロットの数は、パン内のリブの数と同等である。そのような実施形態において、リブは、切り込みを有していないこともあるか、または、リブの上に長いスロットを伴うバッフルプレートを嵌めるために、各リブの上部および底部において切り込みを有し得る。これらの実施形態の全ては、十分に本発明の範囲内である。リブおよびバッフルプレートに関して本明細書に提供される全ての幾何学形状および寸法は、前述の実施形態に適用される。
【0083】
バッフルプレート202は、図7に図示されている。図7に示されるように、バッフルプレート202は、プレート全体を通して2つ以上のスロット203を備えている。スロットの位置付け、スロットの長さ、および/またはスロット間の距離は、バッフルプレートのスロットが1つ以上のリブの切り込みの上に嵌るので、1つ以上のリブの上でのバッフルプレートの嵌まりを決定付ける。バッフルプレートは、スロットを伴う固体プレート(例えば、図7に示されるもの等)であり得るか、または、いくつかの実施形態において、バッフルプレートは、拡張金属プレートまたはメッシュである。バッフルプレートは、限定ではないが、ニッケル、ステンレス鋼等の任意の伝導性金属から作製され得る。
【0084】
いくつかの実施形態において、バッフルプレートにおけるスロットの幅は、スロットがリブの上に嵌るように、リブの幅に等しい。スロットの幅は、W_スロットとして図7に示されている。
【0085】
スロットの長さ(図7にL_スロットとして示される)は、2つの切り込みの間のリブの長さに等しい。いくつかの実施形態において、スロットの長さ(リブの長さに等しい)は、約0.25~1.0m、または約0.25~0.8m、または約0.25~0.6m、または約0.25~0.5m、または約0.25~0.4m、または約0.25~0.3m、または約0.5~1.0m、または約0.5~0.8m、または約0.5~0.6m、または約0.6~1.0m、または約0.6~0.8m、または約0.7~1.0m、または約0.7~0.8m、または約0.8~1.0mである。
【0086】
いくつかの実施形態において、スロット間の距離(図7にD_スロットとして示される)は、スロットが1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に嵌るように、リブ内の切り込みの長さに等しい。いくつかの実施形態において、2つ以上のスロット間の距離または1つ以上の切り込みの長さは、約5~100mm、または約5~80mm、または約5~60mm、または約5~50mm、または約5~40mm、または約5~30mm、または約5~20mm、または約5~10mm、または約10~100mm、または約10~50mm、または約10~40mm、または約10~30mm、または約10~20mm、または約20~100mm、または約20~50mm、または約20~40mm、または約20~30mm、または約30~100mm、または約30~50mm、または約30~40mm、または約40~100mm、または約40~50mm、または約50~100mm、または約75~100mmである。
【0087】
前に説明されるように、セルの内部温度分布に対する内部電力消散の影響は、流入する電解質の温度および流量等の動作条件を通して最小化されることができる。高電解質流量は、セル内の対流熱伝達を最大化し、それによって、そうでなければ本明細書に説明される高電流密度からもたらされるであろうセル内の熱蓄積および付随する温度上昇を最小化することに役立ち得る。上で議論されるように、高電解質流量および高電流密度で動作することは、セル出口におけるスラッギングにつながり得、それは、膜の寿命を短くし得る圧力増減をもたらし得る。マニホールドおよび出口構成および/またはバッフルプレート構成を伴う本明細書に説明されるパンアセンブリは、スラグおよびプラグ流動を回避するように、または最小化するように設計される。
【0088】
本明細書に説明される高電流密度において、電解質は、それがセルを通して流動するにつれて、摂氏数十~数百度まで加熱され得る。上部から底部への混合が、高電流密度における動作を可能にするために要求され得る。そのような混合は、電極とカソードまたはアノードパン床(図6に207として示されるパン床)との間を区画する本明細書に説明されるようなバッフルプレートを含むことによって達成されることができる。
【0089】
いくつかの実施形態において、バッフルプレートは、電極において生産されたガスが、バッフルプレートの電極側上で電解質と混合し、比較的に低い密度のカラムをもたらし、上昇区分を画定し得るような方法において設計され、位置付けられる。低密度混合物は、上昇区分を通して比較的に急速に上昇し得る。バッフルプレートの上部の上方に来ると、ガスは、離脱し、マニホールドおよび出口管の中に流動し得る一方、電解質の一部は、バッフルプレートの裏側(パン床側上)の下へ、下降領域の中に戻るように落下し、それによって、循環ループを画定し得る。この循環ループは、図8に図示されており、バッフルプレートを伴わないものとバッフルプレートを伴うものとの比較が、示される。上昇区分は、上向き矢印として示され、下降区分は、下向き矢印として示される。バッフルプレートは、電解質が、それがカソードまたはアノードを通して流動するとき、実質的に等温のままであることを保証する急速に流動する循環ループを作成するために使用されることができる。上部から底部への混合および循環の高い程度に起因して、流入する電解質の急速な熱平衡が、達成されることができる。別の利点は、比較的に冷たい液体が、セルの中に導入され得、それが、温かい循環流体と平衡し得ることである。循環率(またはセルを通した電解質通過の間の再循環ループの周回数)は、1~200の任意の場所であり得る。高い循環率はまた、膜に隣接してより大きい剪断率を駆動し、膜から離れるようにガスを一掃することに役立つことができる。
【0090】
出願人は、電極およびパン床からのその距離に対するバッフルプレートの位置付け、および/またはその幅および長さが、上昇区分および下降区分の速度に影響を及ぼし、それによって、循環率に影響を及ぼすことを発見した。バッフルプレートが、電極からある程度の臨界距離を越えて配置された場合、それは、循環パターンを促進しないこともある。電極に隣接する比較的に軽量のガスが豊富な区域の自由対流は、電極からより遠くにおいてゆっくり上昇する液体と比較して、比較的に急速に上昇し得る。結果として生じる剪断力は、液体の一部を引き上げ得る。その液体は、ガスがセルの上部において離脱すると、バッフルプレートの電極側に、戻るように落下し得、弱い循環がバッフルプレートの電極側に、形成される結果をもたらす。その場合、バッフルプレートは、下降区分から上昇区分を分割しないこともあり、強い循環は、形成されないこともある。バッフルプレートが、電極に近すぎる場合、電極とバッフルプレートとの間の空間は、ガスで充填され、その領域内の液体流動を詰まらせ得る。さらに、その領域内のガスの高い体積分率は、膜および/または電極のマスキング、および不良な電気および熱輸送をもたらし得る。
【0091】
電極からの最適なバッフルオフセットまたは距離は、各ハーフセル内で発生させられるガス(アノードにおいてOおよびカソードにおいてH)の異なる材料特性に起因して、カソードパンアセンブリおよびアノードパンアセンブリに関して異なり得る。例えば、Hガスは、Oガスより軽量であり得、気泡サイズも、異なり得、セルを通した任意の所与の電流密度に関して、Oと比較して2倍のモル数のHが、生産され得る。したがって、HガスおよびOガスの異なる特性に起因して、Hガスは、より速く持ち上がり得、バッフルプレートと電極との間の距離は、調節される必要があり得る。
【0092】
図9に図示されるようなパン深さ(d_パン)、パンの深さを通したバッフルの相対的場所(d_b)、セル高さに対するバッフルの高さ(h_バッフル)、および/またはパン内のバッフルプレートの垂直場所(パンの上部からのバッフルプレートの距離h_tおよびパンの底部からのバッフルプレートの距離h_b)は、電解質の循環パターンに影響を及ぼし得る。
【0093】
いくつかの実施形態において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリにおいて、電極からのバッフルプレートの距離(図9に図示されるようなd_b)は、約5~15mm、または約5~12mm、または約5~10mm、または約5~8mm、または約5~6mm、または約6~15mm、または約6~12mm、または約6~10mm、または約6~8mm、または約8~15mm、または約8~12mm、または約8~10mm、または約10~15mm、または約10~12mm、または約12~15mmである。いくつかの実施形態において、電極からのバッフルプレートの距離は、リブ上の切り込みの深さと同等である。
【0094】
いくつかの実施形態において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリにおいて、バッフルプレートの設置は、アノードおよび/またはカソードパンの約0.25~0.5の深さ、またはアノードおよび/またはカソードパンの約0.25~0.4、または約0.25~0.3、または約0.3~0.5、または約0.4~0.5の深さにある。
【0095】
いくつかの実施形態において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリにおいて、バッフルプレートの高さは、それが、ガスおよび液体流動のために、アノードおよび/またはカソードパンの上部および/または底部に空間(例えば、図9に図示されるようなパンの上部からのバッフルプレートの距離h_tおよびパンの底部からのバッフルプレートの距離h_b)を残すようなものである。マニホールドおよびバッフルプレートが両方ともセル内に存在するいくつかの実施形態において、マニホールドの深さおよびパンの深さに対するバッフルプレートの設置に応じて、バッフルプレートは、マニホールドの後方で(マニホールドと電極との間で)セルの上部に向かって伸び得るか、または、バッフルプレートは、マニホールドの下方で終わり得る。いずれの実施形態においても、バッフルプレートは、ガスおよび液体流動のために、アノードおよび/またはカソードパンの上部および/または底部に空間を残す。
【0096】
いくつかの実施形態において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリにおいて、バッフルプレートとアノードおよび/またはカソードパンの底部との間の空間(図9に図示されるようなh_b)は、約6~75mm、または約6~65mm、または約6~50mm、または約6~40mm、または約6~30mm、または約6~20mm、または約6~10mm、または約10~75mm、または約10~65mm、または約10~50mm、または約10~40mm、または約10~30mm、または約10~20mm、または約10~15mm、または約20~75mm、または約20~65mm、または約20~50mm、または約20~40mm、または約20~30mm、または約30~75mm、または約30~65mm、または約30~50mm、または約30~40mm、または約40~75mm、または約40~65mm、または約50~75mm、または約50~65mm、または約60~75mmである。いくつかの実施形態において、バッフルプレートとアノードおよび/またはカソードパンの上部またはマニホールドの底部との間の空間(図9に図示されるようなh_t)は、約6~150mm、または約6~140mm、または約6~130mm、または約6~120mm、または約6~110mm、または約6~100mm、または約6~80mm、または約6~70mm、または約6~50mm、または約6~25mm、または約10~150mm、または約10~140mm、または約10~130mm、または約10~120mm、または約10~110mm、または約10~100mm、または約10~80mm、または約10~70mm、または約10~50mm、または約10~25mm、または約25~150mm、または約25~140mm、または約25~130mm、または約25~120mm、または約25~110mm、または約25~100mm、または約25~80mm、または約25~70mm、または約25~50mm、または約50~150mm、または約50~140mm、または約50~130mm、または約50~120mm、または約50~110mm、または約50~100mm、または約50~80mm、または約50~70mm、または約100~150mm、または約100~140mm、または約100~130mm、または約100~120mm、または約125~150mm、または約125~140mm、または約130~150mm、または約75~120mmである。前述のバッフルプレートとアノードおよび/またはカソードパンの底部との間の空間に関する寸法およびバッフルプレートとアノードおよび/またはカソードパンの上部またはマニホールドの底部との間の空間に関する寸法のうちのいずれかが、電解質の最適な循環パターンを達成するために組み合わせられ得ることを理解されたい。
【0097】
いくつかの実施形態において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリにおいて、バッフルプレートとアノードおよび/またはカソードパンの底部との間の空間(図9に図示されるようなh_b)は、約6~75mmであり、バッフルプレートとアノードおよび/またはカソードパンの上部またはマニホールドの底部との間の空間(図9に図示されるようなh_t)は、約6~150mmである。
【0098】
いくつかの実施形態において、前述のマニホールドおよび出口管および/またはバッフルプレートを伴う、本明細書に提供されるアノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、限定ではないが、スラグまたはプラグ流動を防止する前述の高流量のアノード液またはカソード液および/またはガスに適応し、大きい空間的および/または時間的温度増減を防止し、セル内の多相流動に起因する圧力増減を0.5psi未満に防止し、および/または膜侵食および/または疲労を防止する等、いくつかの利点を提供する。
【0099】
いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるアノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、水素ガス生産電気化学セルの内側にある。
【0100】
故に、一側面において、例えば、水素ガス生産電気化学セル等の電気化学セルが、提供され、電気化学セルは、アノードパンと、アノードパンの内側に位置付けられたマニホールドとを備えているアノードパンアセンブリを備え、マニホールドの断面積は、パンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている。前述の側面のいくつかの実施形態において、電気化学セルは、アノードパンアセンブリ上に位置付けられたアノードと、カソードパンアセンブリ上に位置付けられたカソードと、アノードとカソードとの間に配置されたイオン交換膜とをさらに備えている。前述の側面のいくつかの実施形態において、アノードパンアセンブリは、出口管をさらに備えている。
【0101】
一側面において、例えば、水素ガス生産電気化学セル等の電気化学セルが、提供され、電気化学セルは、アノードパンアセンブリを備え、アノードパンと、1つ以上の切り込みを備えているパンの内側の1つ以上のリブと、1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に嵌るように構成された2つ以上のスロットを備えているバッフルプレートとを備えている。前述の側面のいくつかの実施形態において、電気化学セルは、アノードパンアセンブリ上に位置付けられたアノードと、カソードパンアセンブリ上に位置付けられたカソードと、アノードとカソードとの間に配置されたイオン交換膜とをさらに備えている。
【0102】
一側面において、例えば、水素ガス生産電気化学セル等の電気化学セルが、提供され、電気化学セルは、アノードパンアセンブリを備え、アノードパンアセンブリは、アノードパンと、アノードパンの内側に位置付けられたマニホールドであって、マニホールドの断面積は、パンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている、マニホールドと、1つ以上の切り込みを備えているパンの内側の1つ以上のリブと、1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に嵌るように構成された2つ以上のスロットを備えているバッフルプレートとを備えている。前述の側面のいくつかの実施形態において、電気化学セルは、アノードパンアセンブリ上に位置付けられたアノードと、カソードパンアセンブリ上に位置付けられたカソードと、アノードとカソードとの間に配置されたイオン交換膜とをさらに備えている。
【0103】
前述の3つの側面におけるカソードパンアセンブリは、任意の従来のカソードパンアセンブリであり得る。
【0104】
前述の側面のいくつかの実施形態において、電気化学セルは、出口管をさらに備えている。マニホールドの断面積、出口管の断面積、リブ内の切り込みおよびバッフルプレートにおけるスロット、および/または構成要素の場所および設置の種々の寸法の全ては、本明細書に説明されており、前述の側面のうちのいずれかに適用されることができる。
【0105】
一側面において、例えば、水素ガス生産電気化学セル等の電気化学セルが、提供され、電気化学セルは、カソードパンアセンブリを備え、カソードパンアセンブリは、カソードパンと、カソードパンの内側に位置付けられたマニホールドとを備え、マニホールドの断面積は、パンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている。前述の側面のいくつかの実施形態において、電気化学セルは、アノードパンアセンブリ上に位置付けられたアノードと、カソードパンアセンブリ上に位置付けられたカソードと、アノードとカソードとの間に配置されたイオン交換膜とをさらに備えている。
【0106】
一側面において、例えば、水素ガス生産電気化学セル等の電気化学セルが、提供され、電気化学セルは、カソードパンアセンブリを備え、カソードパンアセンブリは、カソードパンと、1つ以上の切り込みを備えているパンの内側の1つ以上のリブと、1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に嵌るように構成された2つ以上のスロットを備えているバッフルプレートとを備えている。前述の側面のいくつかの実施形態において、電気化学セルは、アノードパンアセンブリ上に位置付けられたアノードと、カソードパンアセンブリ上に位置付けられたカソードと、アノードとカソードとの間に配置されたイオン交換膜とをさらに備えている。
【0107】
一側面において、例えば、水素ガス生産電気化学セル等の電気化学セルが、提供され、電気化学セルは、カソードパンアセンブリを備え、カソードパンアセンブリは、カソードパンと、カソードパンの内側に位置付けられたマニホールドであって、マニホールドの断面積は、パンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている、マニホールドと、1つ以上の切り込みを備えているパンの内側の1つ以上のリブと、1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に嵌るように構成された2つ以上のスロットを備えているバッフルプレートとを備えている。前述の側面のいくつかの実施形態において、電気化学セルは、アノードパンアセンブリ上に位置付けられたアノードと、カソードパンアセンブリ上に位置付けられたカソードと、アノードとカソードとの間に配置されたイオン交換膜とをさらに備えている。
【0108】
前述の3つの側面におけるアノードパンアセンブリは、任意の従来のアノードパンアセンブリであり得る。
【0109】
前述の側面のいくつかの実施形態において、電気化学セルは、出口管をさらに備えている。マニホールドの断面積、出口管の断面積、リブ内の切り込みおよびバッフルプレートにおけるスロット、および/または構成要素の場所および設置の種々の寸法の全ては、本明細書に説明されており、前述の側面のうちのいずれかに適用されることができる。
【0110】
一側面において、例えば、水素ガス生産電気化学セル等の電気化学セルが、提供され、電気化学セルは、
アノードパンと、アノードパンの内側に位置付けられたマニホールドであって、マニホールドの断面積は、パンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている、マニホールドとを備えているアノードパンアセンブリと、
アノードパンアセンブリ上に位置付けられたアノードと、
カソードパンと、カソードパンの内側に位置付けられたマニホールドであって、マニホールドの断面積は、パンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている、マニホールドとを備えているカソードパンアセンブリと、
カソードパンアセンブリ上に位置付けられたカソードと、
アノードとカソードとの間に配置されたイオン交換膜とを備えている。
【0111】
一側面において、例えば、水素ガス生産電気化学セル等の電気化学セルが、提供され、電気化学セルは、
アノードパンと、1つ以上の切り込みを備えているパンの内側の1つ以上のリブと、1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に嵌るように構成された2つ以上のスロットを備えているバッフルプレートとを備えているアノードパンアセンブリと、
アノードパンアセンブリ上に位置付けられたアノードと、
カソードパンと、1つ以上の切り込みを備えているパンの内側の1つ以上のリブと、1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に嵌るように構成された2つ以上のスロットを備えているバッフルプレートとを備えているカソードパンアセンブリと、
カソードパンアセンブリ上に位置付けられたカソードと、
アノードとカソードとの間に配置されたイオン交換膜とを備えている。
【0112】
一側面において、例えば、水素ガス生産電気化学セル等の電気化学セルが、提供され、電気化学セルは、
アノードパンと、アノードパンの内側に位置付けられたマニホールドであって、マニホールドの断面積は、パンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている、マニホールドと、1つ以上の切り込みを備えているパンの内側の1つ以上のリブと、1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に嵌るように構成された2つ以上のスロットを備えているバッフルプレートとを備えているアノードパンアセンブリと、
アノードパンアセンブリ上に位置付けられたアノードと、
カソードパンと、カソードパンの内側に位置付けられたマニホールドであって、マニホールドの断面積は、パンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている、マニホールドと、1つ以上の切り込みを備えているパンの内側の1つ以上のリブと、1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に嵌るように構成された2つ以上のスロットを備えているバッフルプレートとを備えているカソードパンアセンブリと、
カソードパンアセンブリ上に位置付けられたカソードと、
アノードとカソードとの間に配置されたイオン交換膜とを備えている。
【0113】
いくつかの実施形態において、多数の前述の側面の個々の電気化学セルを備えている電解装置が、提供される。
【0114】
アノードおよび/またはカソードパンアセンブリの構成要素は、限定ではないが、ニッケル、ステンレス鋼、ステンレス鋼合金等の導電性材料から作製され得る。アノードおよびカソードパンは、伝導性金属から作製され得る。伝導性金属は、アノードパンまたはカソードパンとして使用されるために好適な任意の伝導性金属を含む。例えば、いくつかの実施形態において、アノードパンアセンブリにおけるアノードパンまたはカソードパンアセンブリにおけるカソードパンは、限定ではないが、ニッケル、ステンレス鋼、ステンレス鋼合金等の伝導性金属から作製される。
【0115】
電解装置は、単一のセルまたは直列または並列に接続されたセルのスタックを備え得る。電解装置は、直列または並列に接続された5個または6個または50個または100個またはそれを上回る電気化学セルのスタックであり得る。各セルは、本明細書に説明されるアノードおよび/またはカソードパンアセンブリと、アノードと、カソードと、イオン交換膜とを備えている。
【0116】
いくつかの実施形態において、本明細書に提供される電解装置は、単極式電解装置である。単極式電解装置では、電極は、並列に接続され得、全てのアノードおよび全てのカソードは、並列に接続される。いくつかの実施形態において、本明細書に提供される電解装置は、双極式電解装置である。双極式電解装置では、電極は、直列に接続され得、全てのアノードおよび全てのカソードは、直列に接続される。いくつかの実施形態において、電解装置は、単極式および双極式電解装置の組み合わせであり、ハイブリッド電解装置と呼ばれ得る。
【0117】
上記に説明されるような双極式電解装置のいくつかの実施形態において、セルは、直列に積み重ねられ、電解装置全体を成し、2つの方向に電気的に接続される。双極式電解装置では、双極式プレートと呼ばれる単一のプレートが、カソードおよびアノードの両方のための基部プレートとしての役割を果たし得る。電解質溶液は、セルスタックの内部の共通のマニホールドおよび収集器を通して液圧で接続され得る。スタックは、全てのフレームおよびプレートを互いに対してシールするために、外部から圧縮され得、それらは、典型的に、フィルタプレス設計と称される。いくつかの実施形態において、双極式電解装置は、個々にシールされ、バックツーバック接触を通して電気的に接続された一連のセルとしても設計され得、典型的に、単一要素設計として公知である。単一要素設計は、並列にも接続され得、その場合、それは、単極式電解装置であるであろう。
【0118】
いくつかの実施形態において、セルサイズは、活性エリア寸法によって表され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に使用される電解装置の活性面積は、0.5~1.5メートルの高さおよび0.25~3メートルの幅に及び得る。個々のコンパートメント厚は、10mm~100mmに及び得る。
【0119】
電気触媒の例が、本明細書に説明されており、限定ではないが、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、または白金-ロジウム、白金-ルテニウム、またはRuOでコーティングされたニッケルメッシュ等のそれらの組み合わせ等の白金属金属の高分散金属または合金を含む。電極は、当技術分野で周知のプロセスを使用して、電気触媒でコーティングされ得る。
【0120】
いくつかの実施形態において、イオン交換膜は、アニオン交換膜(アルカリ性条件のため)またはカチオン交換膜(酸性条件のため)である。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるような電気化学セル内のカチオン交換膜は、従来のものであり、例えば、日本のAsahi Kasei(Tokyo)から、または米国のMembrane International(Glen Rock,NJ)またはChemoursから入手可能である。CEMの例は、限定ではないが、N2030WX(Chemours)、F8020/F8080、およびF6801(Aciplex)を含む。本明細書の方法およびシステムにおいて望ましいCEMは、最小抵抗損失、90%を上回る選択性、および高い安定性を有し得る。例にすぎないが、完全に四級化されたアミン含有ポリマーが、AEMとして使用され得る。
【0121】
カチオン性交換膜の例は、限定ではないが、アニオン基、例えば、スルホン基および/またはカルボキシル基を含むパーフルオロ化ポリマーから成るカチオン性膜を含む。しかしながら、いくつかの実施形態において、電解質間の特定のカチオンまたはアニオン種の移動を制限または可能にすることの必要性に応じて、より制限的であり、したがって、カチオンの1つの種の移動を可能にする一方、カチオンの別の種の移動を制限するカチオン交換膜が、使用され得ることを理解されたい。同様に、いくつかの実施形態において、電解質間の特定のアニオン種の移動を制限または可能にすることの必要性に応じて、より制限的であり、したがって、アニオンの1つの種の移動を可能にする一方、アニオンの別の種の移動を制限するアニオン交換膜が、使用され得る。そのような制限的なカチオン交換膜およびアニオン交換膜は、商業的に入手可能であり、当業者によって選択されることができる。
【0122】
いくつかの実施形態において、膜は、それらが、酸性および/またはアルカリ性電解質溶液中で適宜機能し得るように選択され得る。膜の他の望ましい特性は、室温から150℃またはそれより高い温度範囲内の電解質溶液における高いイオン選択性、低いイオン抵抗性、高い破裂強度、および高い安定性を含む。
【0123】
いくつかの実施形態において、0℃~150℃、0℃~100℃、0℃~90℃、または0℃~80℃、または0℃~70℃、または0℃~60℃、または0℃~50℃、または0℃~40℃、または0℃~30℃、またはより高い範囲内で安定する膜が、使用され得る。他の実施形態に関して、電解質中で所望の生成物または複数の生成物を達成するために、1つのタイプのイオン(CEMではカチオン、AEMではアニオン)の移動を可能にするが、別のものの移動を可能にしない、または1つのタイプのアニオンの移動を可能にするが、別のものの移動を可能にしないイオン特有イオン交換膜を利用することが、有用であり得る。
【0124】
膜のオーム抵抗は、アノードおよびカソードを横断する電圧降下に影響を及ぼし得る例えば、膜のオーム抵抗が増加するにつれて、アノードおよびカソードを横断する電圧は、増加し得、逆も同様である。使用され得る膜は、限定ではないが、比較的に低いオーム抵抗および比較的に高いイオン移動度を伴う膜、および温度に伴って増加し、したがって、オーム抵抗を減少させる比較的に高い水和特性を伴う膜を含む。当技術分野で公知のより低いオーム抵抗を伴う膜を選択することによって、規定された温度におけるアノードおよびカソードを横断する電圧降下は、低下させられることができる。
【0125】
電圧は、電気化学セルのアノードおよびカソードを横断して電流を印加するための任意の手段によって、電気化学セルに印加され得る。そのような手段は、当技術分野で周知であり、限定ではないが、電力源、燃料セル、太陽光によって給電されるデバイス、風力によって給電されるデバイス、およびそれらの組み合わせ等のデバイスを含む。電流を提供するための電力源のタイプは、当業者に公知の任意の電源であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、電圧は、セルのアノードおよびカソードを外部直流(DC)電源に接続することによって印加され得る。電源は、DCに整流される交流(AC)であり得る。DC電源は、必要な量の電圧を電気化学セルに印加するために、調節可能な電圧および電流を有し得る。
【0126】
(方法)
いくつかの側面において、本明細書に提供されるアノードおよび/またはカソードパンアセンブリを作製、製造、および/または使用する方法が、提供される。
【0127】
一側面において、方法が、提供され、方法は、電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側にマニホールドを位置付け、出口管をマニホールドと流体的に接続し、それによって、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを形成することを含むみ、マニホールドの断面積は、アノードおよび/またはカソードパンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている。出口管の等価直径と組み合わせたマニホールドの断面積は、本明細書に提供されている。
【0128】
一側面において、方法が、提供され、方法は、電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側に1つ以上のリブを位置付けることであって、1つ以上のリブは、1つ以上の切り込みを備えている、ことと、1つ以上のリブの上にバッフルプレートを設置することであって、バッフルプレートは、2つ以上のスロットを備えている、ことと、1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に2つ以上のスロットを嵌めることとを含む。
【0129】
一側面において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを形成する方法が、提供され、方法は、電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側にマニホールドを位置付け、出口管をマニホールドと流体的に接続することであって、マニホールドの断面積は、アノードおよび/またはカソードパンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている、ことと、電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側に1つ以上のリブを位置付けることであって、1つ以上のリブは、1つ以上の切り込みを備えている、ことと、1つ以上のリブの上にバッフルプレートを設置することであって、バッフルプレートは、2つ以上のスロットを備えている、ことと、1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に2つ以上のスロットを嵌めることとを含む。
【0130】
前述の側面のいくつかの実施形態において、方法は、バッフルプレートを1つ以上のリブに直角に設置することをさらに含む。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、電極を1つ以上のリブおよびアノードおよび/またはカソードパンの上部に取り付けることをさらに含む。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、電極とアノードおよび/またはカソードパンとの間にバッフルプレートを吊り下げることをさらに含む。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、ガスおよび液体流動のために、バッフルプレートとアノードおよび/またはカソードパンおよび/またはマニホールドの上部および/または底部との間に空間を残すことをさらに含む。
【0131】
本明細書に提供される側面および実施形態のいくつかの実施形態において、マニホールド、出口管、リブ、および/または電極は、アノードおよび/またはカソードパンに冶金的に取り付けられる。本明細書に提供される側面および実施形態のいくつかの実施形態において、バッフルプレートは、1つ以上のリブに冶金的に取り付けられる。本明細書に使用される「冶金的」またはその文法的均等物は、要素をパンおよび/または電気化学セルに取り付けるための任意の冶金的技法を含む。そのような技法は、限定ではないが、拡散接合、はんだ付け、溶接、クラッディング、例えば、レーザクラッディング、ろう付け等を含む。
【0132】
本明細書に提供される側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、約200~10,000kg/時の高流量のアノード液またはカソード液の下、本明細書に提供されるアノードおよび/またはカソードパンアセンブリをそれぞれ動作させることをさらに含む。高流量のアノード液および/またはカソード液は、本明細書に提供されている。
【0133】
本明細書に提供される側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、電気化学セルを組み立てるために本明細書に提供されるアノードおよび/またはカソードパンアセンブリを位置付けることと、約300mA/cm~6,000mA/cmの高電流密度で電気化学セルを動作させることとをさらに含む。電気化学セルを動作させるための高電流密度の種々の範囲が、本明細書に提供されている。
【0134】
前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、電気化学セルは、水素ガス生産セルである。アノードアセンブリまたはカソードアセンブリ内のマニホールド、出口管、および/またはバッフルプレートを通して流動するガスは、それぞれ、酸素ガスおよび水素ガスである。
【0135】
前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、マニホールドおよび出口管および/またはバッフルプレートを通したアノード液および/またはカソード液の表面液体速度を0.1m/秒未満、または0.08m/秒未満、または0.05m/秒未満であるように確実にすることをさらに含む。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、スラグまたはプラグ流動を防止する高流量のアノード液またはカソード液および/またはガスに適応することをさらに含む。アノードおよびカソードを通した高流量のアノード液および/またはカソード液は、本明細書に例示されている。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、セル内の多相流動に起因する圧力増減を0.5psi未満、または0.4psi未満、または0.3psi未満、または0.2psi未満、または0.1psi未満に防止することをさらに含む。前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、膜侵食および/または疲労を防止することをさらに含む。
【0136】
前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、バッフルプレートを用いてアノードおよび/またはカソードパンの内側の容積を区画することによって、ガスが豊富であるバッフルプレートと電極との間の上昇領域を作成し、電解質が豊富であるバッフルプレートとパンの床との間の下降領域を作成することをさらに含む。
【0137】
前述の側面および実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、バッフルプレートを用いて電解質循環および上部から底部への混合を可能にし、流入する電解質の熱平衡を引き起こし、セルの過熱を防止することをさらに含む。
【0138】
一側面において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを製造するためのプロセスが、提供され、プロセスは、電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側にマニホールドを取り付け、出口管をマニホールドと流体的に接続し、それによって、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを形成することを含み、マニホールドの断面積は、アノードおよび/またはカソードパンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている。出口管の等価直径と組み合わせたマニホールドの断面積および構造物の材料は、本明細書に提供されている。
【0139】
一側面において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを製造するためのプロセスが、提供され、プロセスは、電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側に1つ以上のリブを取り付けることであって、1つ以上のリブは、1つ以上の切り込みを備えている、ことと、1つ以上のリブの上にバッフルプレートを設置することであって、バッフルプレートは、2つ以上のスロットを備えている、ことと、1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に2つ以上のスロットを嵌めることとを含む。
【0140】
一側面において、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを製造するためのプロセスが、提供され、プロセスは、電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側にマニホールドを取り付け、出口管をマニホールドと流体的に接続し、それによって、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを形成することであって、マニホールドの断面積は、アノードおよび/またはカソードパンの深さの約0.25~0.75であるマニホールドの深さを備えている、ことと、電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側に1つ以上のリブを取り付けることであって、1つ以上のリブは、1つ以上の切り込みを備えている、ことと、1つ以上のリブの上にバッフルプレートを設置することであって、バッフルプレートは、2つ以上のスロットを備えている、ことと、1つ以上のリブの1つ以上の切り込みの上に2つ以上のスロットを嵌めることとを含む。
【0141】
前述の側面のいくつかの実施形態において、プロセスは、電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側にマニホールドを冶金的に取り付けることを含む。前述の側面のいくつかの実施形態において、プロセスは、電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側に1つ以上のリブを冶金的に取り付け、1つ以上のリブの上にバッフルプレートを冶金的に取り付けることを含む。
【0142】
一側面において、電気化学セルを組み立てるためのプロセスが、提供され、プロセスは、
本明細書に説明されるアノードパンアセンブリをカソードパンとカソードとを備えている従来のカソードアセンブリと一緒に接合することによって、個々の電気化学セルを組み立てることと、
アノードをアノードパンアセンブリに取り付け、アノードアセンブリを形成することと、
アノードアセンブリとカソードアセンブリとを並列に設置し、イオン交換膜によってそれらを分離することと、
電気化学セルにセル電流および電解原料をフィーダを用いて供給することとを含む。
【0143】
一側面において、電気化学セルを組み立てるためのプロセスが、提供される、プロセスは、
本明細書に説明されるカソードパンアセンブリをアノードパンとアノードとを備えている従来のアノードアセンブリと一緒に接合することによって、個々の電気化学セルを組み立てることと、
カソードをカソードパンアセンブリに取り付け、カソードアセンブリを形成することと、
アノードアセンブリとカソードアセンブリとを並列に設置し、イオン交換膜によってそれらを分離することと、
電気化学セルにセル電流および電解原料をフィーダを用いて供給することとを含む。
【0144】
一側面において、電気化学セルを組み立てるためのプロセスが、提供され、プロセスは、
本明細書に説明されるアノードパンアセンブリと本明細書に説明されるカソードパンアセンブリとを一緒に接合することによって、個々の電気化学セルを組み立てることと、
アノードをアノードパンアセンブリに取り付け、アノードアセンブリを形成し、カソードをカソードパンアセンブリに取り付け、カソードアセンブリを形成することと、
アノードアセンブリとカソードアセンブリとを並列に設置し、イオン交換膜によってそれらを分離することと、
電気化学セルにセル電流および電解原料をフィーダを用いて供給することとを含む。
【0145】
前述の側面のいくつかの実施形態において、電気化学セルは、水素ガス生産セルである。アノードアセンブリまたはカソードアセンブリ内のマニホールド、出口管、および/またはバッフルプレートを通して流動するガスは、それぞれ、酸素ガスおよび水素ガスである。
【0146】
一側面において、電解装置を組み立てるためのプロセスが、提供され、プロセスは、前述の個々の電気化学セルを組み立てることと、複数の組み立てられた電気化学セルをスタックにおいて並んで設置し、電気化学セル間の電気接触を維持するためにそれらを一緒に固定することとを含む。
【0147】
以下の例は、当業者に、本発明を作製および/または使用する方法の開示および説明を提供するように記載され、本発明者らが自身の発明と見なすものの範囲を限定することを意図しておらず、または、それらは、下記の実験が実施される全てまたは唯一の実験であることを表すことを意図していない。本明細書に説明されるものに加えた本発明の種々の修正が、前述の説明および付随の図から当業者に明白であるであろう。そのような修正は、添付される請求項の範囲内に該当する。使用される数(例えば、量、温度等)に関する正確度を確実にするための努力が、行われているが、ある程度の実験誤差および逸脱が、考慮されるべきである。別様に示されない限り、部分は、重量部であり、分子量は、重量平均分子量であり、温度は、摂氏の尺度であり、圧力は、大気圧またはその近傍にある。
【0148】
実施例および別の場所では、略語は、以下の意味を有する。
【表1-1】
【0149】
(実施例)
(実施例1)
(大きい断面積を伴うマニホールドおよび出口管)
下記の表1は、高流量に適応し、プラグおよびスラグ流動を回避し(アノード液および/またはカソード液の表面液体速度が0.1m/秒未満であることを確実にする)、膜損傷を引き起こし得る圧力増減を防止するためのマニホールドおよび出口管の高断面積のいくつかの例を実証する。マニホールドの深さは、アノードまたはカソードパンの0.5の深さである(マニホールドにわたる液体およびガスの流動のための遊隙を提供する)。表1は、マニホールドおよび出口管を通して0.1m/秒未満のKOHの液体表面速度を提供する種々の高流量のための例示的マニホールド幅、マニホールド断面積、および出口管等価直径を示す。
【表1】
【0150】
(実施例2)
(バッフルプレート構成)
図10は、バッフルプレートを伴う、および伴わないシミュレートされた液体流動分布を示すベクトルプロットを実証する。バッフルプレートを伴わないと(図10の左側の画像)、水酸化カリウム(KOH)溶液は、セルを通して上にゆっくり上昇する。電極において放出されたガス(モデルの左側に対応する)は、KOHの流動に影響を及ぼし、液体の一部を引き上げ、液体の一部を側方に進ませる。ガスリフトが、図10の左の画像の左上の壁(電極に隣接する)に沿って明白である。
【0151】
バッフルプレートの包含およびその場所(図10の右側の画像)は、ハーフシェル内に強い循環を引き起こす。図10の右側の画像から明白であるように、バッフルプレートの電極(上昇)側の流動は、ガスリフトに起因して上のほうへ強く向けられ、バッフルプレートのパン床(下降)側の流動は、下のほうへ強く向けられる。上昇側における比較的に高い速度および剪断率は、電極からガスを一掃し、効率的な上部から底部への混合を提供し、増加させられた対流冷却を促進することに役立つ。
【0152】
前述の発明は、理解の明確化の目的のために、例証および例を用いてある程度詳細に説明されているが、ある変更および修正が、添付される請求項の精神または範囲から逸脱することなく、それに行われ得ることが、本発明の教示に照らして、当業者に容易に明白であるはずである。故に、前述は、単に、本発明の原理を例証する。当業者が、本明細書に明示的に説明されない、または示されないが、本発明の原理を具現化し、その精神および範囲内に含まれる、種々の配列を考案することが可能であろうことを理解されたい。さらに、本明細書に列挙される全ての例および条件付きの言語は、主として、読者が、本発明の原理および当技術分野を発展させることに対して本発明者らによって寄与された概念を理解することを支援することを意図しており、そのような具体的に列挙される例および条件に対する限定を伴わないものとして解釈されるものである。さらに、本発明の原理、側面、および実施形態、およびそれらの具体的例を列挙する、本明細書の全ての文言は、それらの構造的および機能的均等物の両方を包含することを意図している。加えて、そのような均等物が、現在公知の均等物および将来開発される均等物の両方、すなわち、構造にかかわらず、同じ機能を実施する任意の開発される要素を含むことを意図している。本発明の範囲は、したがって、本明細書に示され、説明される例示的実施形態に限定されることを意図していない。以下の請求項が、本発明の範囲を定義し、これらの請求項の範囲内の方法および構造およびそれらの均等物が、それによって網羅されることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セルであって、前記電気化学セルは、
第1のパンであって、前記第1のパンは、前記第1のパンの第1の内部を通して第1の電解質を流動させるように構成されている、第1のパンと、
前記第1のパンの前記第1の内部の内側に位置付けられた第1のマニホールドであって、前記マニホールドは、前記第1のパンの第1のパン深さの約0.25~約0.75である第1のマニホールド深さを有する、第1のマニホールドと、
前記第1のパンの前記第1の内部の上に結合された第1の電極と
を備えている、電気化学セル。
【請求項2】
前記第1のマニホールドの断面積は、前記第1のマニホールドを通して流動する前記第1の電解質の表面液体速度が1秒あたり約0.1メートル未満であることを確実にする、請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項3】
前記第1のマニホールドの前記断面積は、前記第1のマニホールドを通したスラグまたはプラグ流動を防止する前記第1の電解質および/またはガスの流量を提供する、請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の電気化学セル。
【請求項4】
前記第1の電極は、前記第1の電極と前記第1のマニホールドとの間に第1の間隙があるように、前記第1のマニホールドの前に位置付けられている、請求項1-3のいずれか1項に記載の電気化学セル。
【請求項5】
第2のパンであって、前記第2のパンは、前記第2のパンの第2の内部を通して第2の電解質を流動させるように構成されている、第2のパンと、
前記第2のパンの前記第2の内部の内側に位置付けられた第2のマニホールドと、
前記第2のパンの前記第2の内部の上に結合された第2の電極と
をさらに備え、
前記第1のパンは、前記第2の電極が前記第1の電極に近接しているように、前記第2のパンに隣接して位置付けられている、請求項1-4のいずれか1項に記載の電気化学セル。
【請求項6】
電気化学セルであって、前記電気化学セルは、
第1の電極を備えている第1のパンと、
前記第1のパンの内側の1つ以上の第1のリブと、
前記1つ以上の第1のリブに結合された第1のバッフルプレートと
を備えている、電気化学セル。
【請求項7】
前記1つ以上の第1のリブの各々は、1つ以上の第1の切り込みを備え、前記第1のバッフルプレートは、1つ以上の第1のスロットを備え、前記第1のバッフルプレートにおける前記1つ以上の第1のスロットの幅は、前記1つ以上の第1のスロットが前記1つ以上の第1のリブの前記1つ以上の第1の切り込みの上に嵌るように、前記1つ以上の第1のリブの幅に等しい、請求項6に記載の電気化学セル。
【請求項8】
前記第1のバッフルプレートは、前記第1の電極と前記第1のパンとの間に吊り下げられている、請求項6または請求項7に記載の電気化学セル。
【請求項9】
前記第1の電極からの前記第1のバッフルプレートの距離は、約5ミリメートル~約15ミリメートルである、請求項6-8のいずれか1項に記載の電気化学セル。
【請求項10】
前記第1のバッフルプレートの設置は、前記第1のパンの深さの約0.25~約0.5においてである、請求項6-9のいずれか1項に記載の電気化学セル。
【請求項11】
前記第1のバッフルプレートは、第1の空間が前記電極パンの底部部分と前記第1のバッフルプレートの底部端との間に形成され、第2の空間が前記第1のパンの上部部分と前記第1のバッフルプレートの上部端との間に形成されるように、前記第1のパン内に配置され、前記第1および第2の空間は、ガスおよび液体がそれらを通して流動することを可能にするようにサイズを決定され、位置付けられ、前記第1および第2の空間の各々は、ガスおよび液体が前記第1のバッフルプレートの周囲で流動するための循環ループの一部を形成している、請求項6-10のいずれか1項に記載の電気化学セル。
【請求項12】
前記第1のバッフルプレートは、前記第1のパン内の容積を区画することによって、前記第1の電極に近接した前記第1のバッフルプレートの第1の側の第1の上昇領域と前記第1の電極と反対側の前記第1のバッフルプレートの第2の側の第1の下降領域とを作成し、
前記第1の上昇領域は、前記第1の電極において形成された第1のガスが上昇することを促進し、第1のガスポケットの形成を回避し、
前記第1の下降領域は、前記第1のパン内に配置された第1の電解質の下向き流動を促進し、
前記第1のガスの前記上昇および前記第1の電解質の前記下向き流動は、前記第1のパン内の前記第1の電解質の循環を引き起こし、前記第1の電解質の前記循環は、前記第1の電解質における熱平衡を促進する、請求項6-11のいずれか1項に記載の電気化学セル。
【請求項13】
第2の電極を備えている第2のパンと、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された分離器とをさらに備え、前記第1の電解質の前記循環は、前記分離器の加熱を減らす、請求項12に記載の電気化学セル。
【請求項14】
前記電気化学セルの電流密度は、約300mA/cm ~約6,000mA/cm である、請求項1-13のいずれか1項に記載の電気化学セル。
【請求項15】
複数の請求項1-14のいずれか1項に記載の電気化学セルを備えている電解装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
一側面において、電解装置を組み立てるためのプロセスが、提供され、プロセスは、前述の個々の電気化学セルを組み立てることと、複数の組み立てられた電気化学セルをスタックにおいて並んで設置することと、電気化学セルの間の電気接触を維持するためにそれらを一緒に固定することとを含む。
本発明はさらに、例えば、以下を提供する。
(項目1)
アノードおよび/またはカソードパンアセンブリであって、前記アノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、
アノードおよび/またはカソードパンと、
前記アノードおよび/または前記カソードパンの内側に位置付けられたマニホールドと
を備え、
前記マニホールドの断面積は、前記パンの深さの約0.25~0.75である前記マニホールドの深さを備えている、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目2)
前記マニホールドの断面積は、約520~6,200mm である、項目1に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目3)
前記マニホールドに流体的に接続された出口管をさらに備え、前記出口管の等価直径は、約26~89mmである、項目2に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目4)
アノードおよび/またはカソードパンアセンブリであって、前記アノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、
アノードおよび/またはカソードパンと、
1つ以上の切り込みを備えている前記パンの内側の1つ以上のリブと、
前記1つ以上のリブの前記1つ以上の切り込みの上に嵌るように構成された2つ以上のスロットを備えているバッフルプレートと
を備えている、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目5)
前記バッフルプレートは、前記1つ以上のリブに対して直角である、項目4に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目6)
前記バッフルプレートにおける前記2つ以上のスロットの幅は、前記2つ以上のスロットが前記1つ以上のリブの前記1つ以上の切り込みの上に嵌るように、前記1つ以上のリブの幅に等しい、項目4または5に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目7)
2つ以上のスロット間の距離は、前記2つ以上のスロットが前記1つ以上のリブの前記1つ以上の切り込みの上に嵌るように、前記1つ以上の切り込みの長さに等しい、項目4-6のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目8)
前記2つ以上のスロット間の距離または前記1つ以上の切り込みの長さは、約5~100mmである、項目7に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目9)
前記1つ以上のリブおよび前記アノードおよび/または前記カソードパンの上部に取り付けられた電極をさらに備えている、項目4-8のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目10)
前記バッフルプレートは、前記電極と前記アノードおよび/または前記カソードパンとの間に吊り下げられている、項目9に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目11)
前記バッフルプレートは、前記アノードおよび/または前記カソードパンに平行である、項目4-10のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目12)
前記電極からの前記バッフルプレートの距離は、約5~15mmである、項目9-11のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目13)
前記バッフルプレートの設置は、前記アノードおよび/または前記カソードパンの約0.25~0.5の深さにおいてである、項目4-12のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目14)
前記バッフルプレートは、ガスおよび液体流動のために、前記バッフルプレートと前記アノードおよび/または前記カソードパンとの間の上部および/または底部に空間を残す、項目4-13のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目15)
前記バッフルプレートと前記アノードおよび/または前記カソードパンの底部との間の前記空間は、約6~75mmであり、および/または、前記バッフルプレートと前記アノードおよび/または前記カソードパンの上部との間の前記空間は、約6~150mmである、項目14に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目16)
アノードおよび/またはカソードパンアセンブリであって、前記アノードおよび/またはカソードパンアセンブリは、
アノードおよび/またはカソードパンと、
前記アノードおよび/または前記カソードパンの内側に位置付けられたマニホールドであって、前記マニホールドの断面積は、前記パンの深さの約0.25~0.75である前記マニホールドの深さを備えている、マニホールドと、
1つ以上の切り込みを備えている前記パンの内側の1つ以上のリブと、
前記1つ以上のリブの前記1つ以上の切り込みの上に嵌るように構成された2つ以上のスロットを備えているバッフルプレートと
を備えている、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目17)
前記アノードおよび/または前記カソードパンアセンブリは、それぞれ、約200~10,000kg/時の高流量のアノード液またはカソード液を備えている、項目1-16のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目18)
前記アノードおよび/または前記カソードパンアセンブリは、約300mA/cm ~6,000mA/cm の高電流密度で動作する電気化学セルの内側にある、項目1-17のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目19)
前記マニホールド、前記出口管、および/または前記バッフルプレートの断面積は、アノード液および/またはカソード液の表面液体速度が0.1m/秒未満であることを確実にする、項目1-18のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目20)
前記マニホールド、前記出口管、および/または前記バッフルプレートの断面積は、スラグまたはプラグ流動を防止する高流量のアノード液またはカソード液および/またはガスに適応する、項目1-19のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目21)
前記マニホールド、前記出口管、および/または前記バッフルプレートの断面積は、前記セル内の多相流動に起因する圧力増減を0.5psi未満に防止する、項目1-20のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目22)
前記マニホールド、前記出口管、および/または前記バッフルプレートの断面積は、膜侵食および/または疲労を防止する、項目1-21のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目23)
前記バッフルプレートは、前記アノードおよび/または前記カソードパンの内側の容積を区画し、ガスが豊富である前記バッフルプレートと前記電極との間の上昇領域を作成し、電解質が豊富である前記バッフルプレートと前記パンの床との間の下降領域を作成する、項目4-22のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目24)
前記バッフルプレートは、電解質循環および上部から底部への混合を可能にし、前記流入する電解質の熱平衡を引き起こし、前記セルの過熱を防止する、項目4-23のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目25)
前記アノードおよび/または前記カソードパンアセンブリは、水素ガス生産電気化学セルの内側にある、項目1-24のいずれか1項に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目26)
アノード液および/またはカソード液をさらに備え、前記アノード液および/または前記カソード液は、アルカリ溶液を備えている項目25に記載のアノードおよび/またはカソードパンアセンブリ。
(項目27)
電気化学セルであって、前記電気化学セルは、項目1-26のいずれか1項に記載の前記アノードおよび/または前記カソードパンアセンブリと、前記アノードパンアセンブリ上に位置付けられたアノードと、前記カソードパンアセンブリ上に位置付けられたカソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置されたイオン交換膜とを備えている、電気化学セル。
(項目28)
多数の項目27に記載の個々の電気化学セルを備えている電解装置。
(項目29)
方法であって、前記方法は、電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側にマニホールドを位置付け、出口管を前記マニホールドと流体的に接続し、それによって、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを形成することを含み、前記マニホールドの断面積は、前記アノードおよび/または前記カソードパンの深さの約0.25~0.75である前記マニホールドの深さを備えている、方法。
(項目30)
約520~6,200mm である前記マニホールドの断面積を提供することをさらに含む、項目29に記載の方法。
(項目31)
約26~89mmである前記出口管の等価直径を提供することをさらに含む、項目30に記載の方法。
(項目32)
方法であって、前記方法は、
電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側に1つ以上のリブを位置付けることであって、前記1つ以上のリブは、1つ以上の切り込みを備えている、ことと、
前記1つ以上のリブの上にバッフルプレートを設置することであって、前記バッフルプレートは、2つ以上のスロットを備えている、ことと、
前記1つ以上のリブの前記1つ以上の切り込みの上に前記2つ以上のスロットを嵌めることと
を含む、方法。
(項目33)
アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを形成する方法であって、前記方法は、
電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側にマニホールドを位置付け、出口管を前記マニホールドと流体的に接続することであって、前記マニホールドの断面積は、前記アノードおよび/または前記カソードパンの深さの約0.25~0.75である前記マニホールドの深さを備えている、ことと、
前記電気化学セルの前記アノードおよび/または前記カソードパンの内側に1つ以上のリブを位置付けることであって、前記1つ以上のリブは、1つ以上の切り込みを備えている、ことと、
前記1つ以上のリブの上にバッフルプレートを設置することであって、前記バッフルプレートは、2つ以上のスロットを備えている、ことと、
前記1つ以上のリブの前記1つ以上の切り込みの上に前記2つ以上のスロットを嵌めることと
を含む、方法。
(項目34)
前記バッフルプレートを前記1つ以上のリブに直角に設置することをさらに含む、項目32または33に記載の方法。
(項目35)
電極を前記1つ以上のリブおよび前記アノードおよび/または前記カソードパンの上部に取り付けることをさらに含む、項目32-34のいずれか1項に記載の方法。
(項目36)
前記電極と前記アノードおよび/または前記カソードパンとの間に前記バッフルプレートを吊り下げることをさらに含む、項目32-35のいずれか1項に記載の方法。
(項目37)
ガスおよび液体流動のために、前記バッフルプレートと前記アノードおよび/または前記カソードパンの上部および/または底部との間に空間を残すことをさらに含む、項目32-36のいずれか1項に記載の方法。
(項目38)
約200~10,000kg/時の高流量のアノード液またはカソード液の下で、前記アノードおよび/または前記カソードパンアセンブリをそれぞれ動作させることをさらに含む、項目29-37のいずれか1項に記載の方法。
(項目39)
電気化学セルを組み立てるために前記アノードおよび/または前記カソードパンアセンブリを位置付けることと、
約300mA/cm ~6,000mA/cm の高電流密度で前記電気化学セルを動作させることと
をさらに含む、項目29-38のいずれか1項に記載の方法。
(項目40)
前記電気化学セルは、水素ガス生産セルである、項目39に記載の方法。
(項目41)
アノード液および/またはカソード液の表面液体速度が0.1m/秒未満であることを確実にすることをさらに含む、項目29-40のいずれか1項に記載の方法。
(項目42)
スラグまたはプラグ流動を防止する高流量のアノード液またはカソード液および/またはガスに適応することをさらに含む、項目29-41のいずれか1項に記載の方法。
(項目43)
前記セル内の多相流動に起因する圧力増減を0.5psi未満に防止することをさらに含む、項目29-42のいずれか1項に記載の方法。
(項目44)
膜侵食および/または疲労を防止することをさらに含む、項目29-43のいずれか1項に記載の方法。
(項目45)
前記バッフルプレートを用いて前記アノードおよび/または前記カソードパンの内側の容積を区画し、ガスが豊富である前記バッフルプレートと前記電極との間の上昇領域を作成し、電解質が豊富である前記バッフルプレートと前記パンの床との間の下降領域を作成することをさらに含む、項目32-44のいずれか1項に記載の方法。
(項目46)
前記バッフルプレートを用いて電解質循環および上部から底部への混合を可能にし、前記流入する電解質の熱平衡を引き起こし、前記セルの過熱を防止することをさらに含む、項目32-45のいずれか1項に記載の方法。
(項目47)
アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを製造するためのプロセスであって、前記プロセスは、電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側にマニホールドを取り付け、出口管を前記マニホールドと流体的に接続し、それによって、アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを形成することを含み、
前記マニホールドの断面積は、前記アノードおよび/または前記カソードパンの深さの約0.25~0.75である前記マニホールドの深さを備えている、プロセス。
(項目48)
前記電気化学セルの前記アノードおよび/または前記カソードパンの内側に前記マニホールドを冶金的に取り付けることを含む、項目47に記載のプロセス。
(項目49)
アノードおよび/またはカソードパンアセンブリを製造するためのプロセスであって、前記プロセスは、
電気化学セルのアノードおよび/またはカソードパンの内側に1つ以上のリブを取り付けることであって、前記1つ以上のリブは、1つ以上の切り込みを備えている、ことと、
前記1つ以上のリブの上にバッフルプレートを設置することであって、前記バッフルプレートは、2つ以上のスロットを備えている、ことと、
前記1つ以上のリブの前記1つ以上の切り込みの上に前記2つ以上のスロットを嵌めることと
を含む、プロセス。
(項目50)
電気化学セルを組み立てるためのプロセスであって、前記プロセスは、
項目1-26のいずれか1項に記載の前記アノードパンアセンブリをカソードパンとカソードとを備えているカソードアセンブリと一緒に接合し、アノードを前記アノードパンアセンブリに取り付け、アノードアセンブリを形成することによって、個々の電気化学セルを組み立てること、または、
項目1-26のいずれか1項に記載のカソードパンアセンブリをアノードパンとアノードとを備えているアノードアセンブリと一緒に接合し、カソードを前記カソードパンアセンブリに取り付け、カソードアセンブリを形成することによって、個々の電気化学セルを組み立てること、または、
項目1-26のいずれか1項に記載の前記アノードパンアセンブリと前記カソードパンアセンブリとを一緒に接合し、アノードを前記アノードパンアセンブリに取り付け、アノードアセンブリを形成し、カソードを前記カソードパンアセンブリに取り付け、カソードアセンブリを形成することによって、個々の電気化学セルを組み立てること、および、
前記アノードアセンブリと前記カソードアセンブリとを並列に設置し、イオン交換膜によってそれらを分離すること、および、
前記電気化学セルにセル電流および電解原料をフィーダを用いて供給すること
を含む、プロセス。
(項目51)
前記電気化学セルは、水素ガス生産セルである、項目50に記載のプロセス。
(項目52)
電解装置を組み立てるためのプロセスであって、前記プロセスは、
項目50または51に記載の個々の電気化学セルを組み立てることと、
複数の前記組み立てられた電気化学セルをスタックにおいて並んで設置することと、
前記電気化学セル間の電気接触を維持するためにそれらを一緒に固定することと
を含む、プロセス。
【国際調査報告】