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特表2024-523810プレス装置のための方法及び関連システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】プレス装置のための方法及び関連システム
(51)【国際特許分類】
   B30B 5/02 20060101AFI20240625BHJP
   B30B 11/00 20060101ALN20240625BHJP
【FI】
B30B5/02 A
B30B11/00 E
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023574192
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 EP2021065846
(87)【国際公開番号】W WO2022258200
(87)【国際公開日】2022-12-15
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510161026
【氏名又は名称】キンタス・テクノロジーズ・エービー
【氏名又は名称原語表記】Quintus Technologies AB
【住所又は居所原語表記】Quintusvagen 2, 721 66 Vasteras, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルストレーム、ペル
(72)【発明者】
【氏名】ゴルドスタム、ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】アールフォルス、マグヌス
【テーマコード(参考)】
4E090
【Fターム(参考)】
4E090AA07
4E090AB03
4E090CA06
4E090DA02
4E090DB02
(57)【要約】
プレス装置のための方法(100、200)が開示される。プレス装置は、断熱ケーシングを含む圧力容器を備え、その中に少なくとも1つの物品が配置可能である。プレス装置は、断熱ケーシング内に配置されているか、又は配置され得る少なくとも1つの物品を処理にかけるように構成されている。方法は、プレス装置を使用して少なくとも1つの物品の処理を実施する前に、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように、少なくとも1つの加熱手段を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱すること(101)を備える。断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することに後続して、プレス装置を使用した少なくとも1つの物品の処理が実施される(102)。また、プレス装置(90)と、少なくとも1つの加熱手段(41;42)と、を備えるシステム(90,41;42;43)も開示される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス装置のための方法(100;200)であって、前記プレス装置は、前記プレス装置の使用中、その中に圧力媒体を保持するように配置された圧力容器を備え、前記圧力容器は、端部蓋を備え、前記プレス装置は、前記圧力容器内に配置された断熱ケーシングを更に備え、前記断熱ケーシングは、炉室を少なくとも部分的に取り囲み、且つ圧力媒体が前記炉室に出入りし得るように配置されており、前記断熱ケーシングは、前記炉室を少なくとも部分的に取り囲む断熱部分と、前記断熱部分を少なくとも部分的に取り囲むハウジングと、を備え、少なくとも1つの物品を収容するように配置された処理領域が、前記炉室によって少なくとも部分的に画定され、前記プレス装置は、前記少なくとも1つの物品を処理にかけるように構成され、前記断熱ケーシングは、前記ハウジングの少なくとも一部分と、前記断熱部分の少なくとも一部分との間に形成された少なくとも1つの圧力媒体誘導路を備え、前記少なくとも1つの圧力媒体誘導路は、前記プレス装置の使用中、前記少なくとも1つの圧力媒体誘導路から出た圧力媒体が、前記圧力容器の壁の内面に近接して誘導され得るように、前記炉室から出た圧力媒体を、前記端部蓋に向かって誘導するように配置されており、前記方法は、
前記プレス装置を使用して前記少なくとも1つの物品の前記処理を実施する前に、前記断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように、少なくとも1つの加熱手段を使用して、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分を加熱すること(101)と、
前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分を加熱することに後続して、前記プレス装置を使用して、前記少なくとも1つの物品の処理を実施すること(102)と、
を備える、方法。
【請求項2】
前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分を加熱することによって、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する水分が、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分の1つ以上の表面から放出され、前記方法は、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分を加熱することに後続して、且つ、前記プレス装置を使用して前記少なくとも1つの物品の処理を実施する前に、
前記断熱ケーシングから又は前記圧力容器から、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する水分の放出から生じるガスを引き出すこと(103)
を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの加熱手段を使用して、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分を加熱することは、
少なくとも1つの発熱体の選択された出力において、且つ選択された時間期間の間、前記断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱するために、前記選択された出力において熱を発生させるように動作可能な前記少なくとも1つの発熱体を使用すること(104)を備え、前記少なくとも1つの発熱体の前記出力及び前記時間期間は、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように選択される、請求項1又は2に記載の方法(200)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの発熱体は、前記断熱部分の少なくとも一部分中又は上に、及び/又は前記ハウジングの少なくとも一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように、前記少なくとも1つの発熱体の選択された前記出力において、且つ選択された前記時間期間の間、前記断熱部分の前記少なくとも一部分又は前記ハウジングの前記少なくとも一部分のうちの少なくとも1つを加熱するために使用される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの発熱体は、前記断熱ケーシング内又はその内側に配置されている、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記プレス装置は、前記炉室及び前記少なくとも1つの圧力媒体誘導路において圧力媒体の流れを発生させるように構成された圧力媒体流発生器を備え、
前記方法(200)は、
前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分を加熱するために、少なくとも1つの発熱体を使用するのと同時並行に又はその後に、前記炉室及び前記少なくとも1つの圧力媒体誘導路において圧力媒体の流れを発生させるように、前記圧力媒体流発生器を動作させること(105)
を更に備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの発熱体は、前記断熱部分の内部に配置されている、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの発熱体は、前記少なくとも1つの圧力媒体誘導路の少なくとも一部において配置されている、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの発熱体は、前記炉室の少なくとも一部において配置されている、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記断熱ケーシングは、前記断熱ケーシングが前記圧力容器から少なくとも一時的に取り外され得るように、前記圧力容器内に取り外し可能に配置されており、前記少なくとも1つの発熱体を使用して(104)、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分の前記加熱を前記実施することは、
前記圧力容器から前記断熱ケーシングを取り外すこと(106)と、
前記断熱ケーシングが前記圧力容器から取り外されている間に、前記少なくとも1つの発熱体を使用して、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分の前記加熱を実施すること(108)と、
前記少なくとも1つの発熱体を使用して、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分の加熱を実施することに後続して、前記圧力容器内に前記断熱ケーシングを配置すること(110)と、
を備える、請求項3~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記圧力容器から前記断熱ケーシングを取り外すことに後続して、前記断熱ケーシングを収容するように配置されたコンテナ内に前記断熱ケーシングを置くこと(107)を更に備え、前記少なくとも1つの発熱体は、前記断熱ケーシングが前記コンテナ内に置かれたときに、前記少なくとも1つの発熱体が、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分を加熱するために使用され得るように、前記コンテナ内又は前記コンテナ上に配置されており、前記方法は、
前記断熱ケーシングが前記コンテナ内に置かれている間に、前記少なくとも1つの発熱体を使用して、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分の前記加熱を実施すること(109)と、
前記少なくとも1つの発熱体を使用して、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分の前記加熱を実施することに後続して、前記コンテナから前記断熱ケーシングを取り出すこと(111)と、これに後続して、前記圧力容器内に前記断熱ケーシングを配置すること(110)と、
を更に備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プレス装置は、前記炉室及び前記少なくとも1つの圧力媒体誘導路において圧力媒体の流れを発生させるように構成された圧力媒体流発生器を備え、少なくとも1つの加熱手段を使用して、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分を加熱すること(101)は、
前記圧力容器内に加熱された圧力媒体を導入すること(112)と、
選択された時間期間の間、前記炉室及び前記少なくとも1つの圧力媒体誘導路において加熱された前記圧力媒体の流れを発生させるように、前記圧力媒体流発生器を動作させること(113)と、を備え、
加熱された前記圧力媒体は、前記炉室及び前記少なくとも1つの圧力媒体誘導路における加熱された前記圧力媒体の通過中、且つ選択された前記時間期間の間の、加熱された前記圧力媒体から前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分への熱エネルギーの伝達によって、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分が、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように加熱されるような熱エネルギーの量を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
加熱された前記圧力媒体は、前記プレス装置を使用した処理の前の機会中に前記プレス装置において使用された圧力媒体を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記圧力容器の壁の外面には、前記外面の少なくとも一部分に沿って延在する冷却媒体回路が設けられており、前記冷却媒体回路は、その中で冷却媒体を循環させるように構成されており、少なくとも1つの加熱手段を使用して、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分を加熱すること(101)は、
前記冷却媒体を加熱すること(114)と、
選択された時間期間の間、前記冷却媒体回路内で加熱された前記冷却媒体を循環させること(115)と、を備え、
前記冷却媒体を加熱することは、加熱された前記冷却媒体が、選択された前記時間期間の間、前記冷却媒体回路内での前記加熱された冷却媒体の循環中の、加熱された前記冷却媒体から前記圧力容器の壁への熱エネルギーの伝達であって、それによって、熱エネルギーが前記圧力容器の内部に伝達される熱エネルギーの伝達によって、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分が、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように加熱されるような熱エネルギーの量を含むように実施される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
プレス装置(90)を備えるシステム(90、41;42;43)であって、
前記プレス装置(90)は、
前記プレス装置の使用中、その中に圧力媒体を保持するように配置された、端部蓋(8)を備える圧力容器(1、8、9)と、
前記圧力容器内に配置された断熱ケーシング(2、7)と、を備え、
前記断熱ケーシングは、炉室(18)を少なくとも部分的に取り囲み、且つ圧力媒体が前記炉室に出入りし得るように配置されており、前記断熱ケーシングは、前記炉室を少なくとも部分的に取り囲む断熱部分(7)と、前記断熱部分を少なくとも部分的に取り囲むハウジング(2)と、を備え、少なくとも1つの物品(5)を収容するように配置された処理領域が、前記炉室によって少なくとも部分的に画定され、
前記プレス装置は、前記少なくとも1つの物品を処理にかけるように構成されており、前記断熱ケーシングは、前記ハウジングの少なくとも一部分と、前記断熱部分の少なくとも一部分との間に形成された少なくとも1つの圧力媒体誘導路(11)を備え、前記少なくとも1つの圧力媒体誘導路は、前記プレス装置の使用中、前記少なくとも1つの圧力媒体誘導路から出た圧力媒体が、前記圧力容器の壁(22)の内面(23)に近接して誘導され得るように、前記炉室から出た圧力媒体を、前記端部蓋に向かって誘導するように配置されており、
前記システムは、
前記プレス装置を使用して前記少なくとも1つの物品の前記処理を実施する前に、前記断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分を加熱するように構成された少なくとも1つの加熱手段(41;42;43)を更に備え、
前記プレス装置は、前記断熱ケーシングの前記少なくとも一部又は一部分を加熱することに後続して、前記プレス装置を使用して前記少なくとも1つの物品の処理を実施するように構成されている、システム。
【請求項16】
前記圧力媒体は、1つ以上のガスを備え、1つ以上のゲッター材料(36)が、前記プレス装置を使用して前記少なくとも1つの物品を処理中に、前記圧力媒体に曝露されるように、前記圧力容器内に配置されており、前記1つ以上のゲッター材料は、前記圧力媒体から1つ以上の選択されたガスの粒子を捕捉又は除去するように構成されており、前記1つ以上の選択されたガスは、水蒸気を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
処理中に前記断熱ケーシング内の圧力媒体中の水分量を感知するように構成されたセンサ(35)を更に備える、請求項15又は16に記載のシステム。
【請求項18】
前記センサは、前記炉室内の圧力媒体中の水分量を感知するように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に高圧技術の分野に関し、特に、加圧処理に関する。より具体的には、本発明は、例えば、熱間等方圧加圧(HIP:hot isostatic pressing)等の等方圧加圧による、少なくとも1つの物品の処理のためのプレス装置のための方法に関する。本発明は、更に、この方法に関連したシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱間等方圧加圧(HIP)は、例えば、高性能の構成要素及び材料の圧密化、緻密化、又は接合を達成するために、加圧された加熱ガスの形態における圧力媒体を用いる。HIPは、例えば、加工された物品における気孔率を低減させる、又は排除さえするために使用され得、鋳物(例えば、タービンブレード)等の加工された物品における最大理論密度の100%を達成し、疲労、衝撃、摩耗及び摩滅に対する非常に優れた耐性をもたらす。更に、HIPは、粉末の圧縮による製品の製造(これは、粉末冶金HIP、即ち、PM HIPと呼ばれ得る)において使用され得、その製品は、十分に又は実質的に十分に緻密であること、及び、細孔のない又は実質的に細孔のない外面、等を有することが、望ましいか、又は必要とされる。HIP処理から得られる製品は、いくつかの用途を挙げると、例えば、飛行機の機体、航空機エンジン、自動車エンジン、人体インプラント、及び海洋産業において使用され得る。HIPは多くの利点を提供し、鍛造、鋳造及び機械加工等の従来のプロセスに対する実行可能且つ高性能な代替物及び/又は補足物となっている。HIPによる加圧処理にかけられる物品は、断熱圧力容器の積載区画又は積載室内に配置され得る。処理サイクルは、物品を積載すること、物品を処理すること、及び物品を取り出すことを備え得る。いくつかの物品が、同時に処理され得る。処理サイクルは、いくつかの部分、即ち、プレス段階、加熱段階、及び冷却段階等の段階に分割され得る。物品を圧力容器に積載した後、次いで、それは密封され得、続いて、圧力媒体(例えば、アルゴン含有ガス等の不活性ガスを備える)が、圧力容器及びその積載区画内に導入される。次いで、圧力媒体の圧力及び温度が上昇され、これにより、物品は、選択された時間期間の間、上昇した圧力及び上昇した温度にさらされる。順に、物品の温度上昇を引き起こし得る、圧力媒体の温度上昇は、圧力容器の炉室内に配置された発熱体又は炉によってもたらされる。圧力、温度及び処理時間は、例えば、被処理物品の所望の又は所要の材料特性、特定の応用分野、及び被処理物品の所要の品質に依存し得る。HIPにおける圧力は、例えば、800バールから2000バールまで等、200バールから5000バールまでの範囲にあり得る。HIPにおける温度は、例えば、800℃から2000℃まで等、300℃から3000℃までの範囲にあり得る。
【発明の概要】
【0003】
HIP等の等方圧加圧において使用される圧力媒体中の任意の不純物、例えば、水、窒素又は酸素の形態における不純物は、被処理物品、特に、これらの不純物に対して高い反応性を有する材料、例えば、所謂超合金で作製された物品に対して有害な影響を有し得る。不純物は、物品の表面と化学的に反応し、物品の元の材料とは異なる化学的性質を有する表面層を生成し得る。このような表面層は、例えば、酸化物及び/又は窒化物、例えば、酸化クロム、酸化アルミニウム及び/又は窒化チタンを備え得る。このような表面層は、物品の表面特性に対して悪影響を及ぼし得、これは、靭性、強度、疲労及び腐食特性等の物品の材料特性に有害であり得る。このような表面層はまた、表面コーティングプロセス等の製造における任意の後続のプロセスステップにおいても、悪影響を及ぼし得る。このような表面層は、物品の色を変化させ得、以下では、(物品上の)変色と呼ばれ得る。このような表面層又は変色は、物品から除去しなければならない場合がある。物品からの変色(複数可)の除去は、物品を処理するために必要な動作の数を増大させ、それによって、場合によっては、処理に関連付けられたコストを増大させ得る。
【0004】
処理中に圧力媒体中に存在する不純物は、表面反応を形成する代わりに、又は表面反応を形成することに加えて、物品の内部にも拡散し、従って、物品の材料の化学的性質を変化させ得る。このような化学的性質のごくわずかな変化も、物品の特性に悪影響を及ぼし得る。
【0005】
上記を考慮すると、本発明の関心となるのが、処理のための、例えば、HIP等の等方圧加圧のためのプレス装置において使用される圧力媒体中の不純物の量を低減させる、又はあらゆる不純物を回避さえするための方法を提供することである。
【0006】
本発明の更なる関心となるのが、処理、例えば、HIP等の等方圧加圧に関連付けられたコストを比較的低く保つ方法を提供することである。
【0007】
これらの関心のうちの少なくとも1つ及びその他の関心に対処するために、独立請求項による方法及び装置が提供される。好ましい実施形態は、従属請求項によって規定される。
【0008】
本発明者らは、被処理物品上のあらゆる変色の主な理由のうちの1つ、又は、場合によっては、主な理由でさえあるのが、圧力媒体中の水蒸気(又はスチーム)であり、この水蒸気は、プレス装置の所謂マントル中又は上に存在し得る水分から生じ得ることを見出した。他の理由には、(例えば、圧力媒体源から)圧力装置に圧力媒体を供給するときに、圧力媒体中に既に存在し得る水蒸気、及び処理される物品(複数可)中又は上に存在し得る水分から生じ得る水蒸気が含まれる可能性がある。マントルは、プレス装置の圧力容器内に配置され得るか、又は配置可能であり得る。マントルは、場合によっては、断熱ケーシングと呼ばれ得る。マントルは、圧力媒体が、マントルの内部に入り、また、マントルの内部から出ることができるように配置されている。マントルの内部は、処理される物品(複数可)を収容するように配置された1つ以上の空洞を備える。1つ以上の空洞は、積載区画と呼ばれ得る。マントルは、断熱壁、例えば、断熱外壁を有し得る。マントルは、例えば、物品(複数可)を、マントルの内部に/マントルから、置く、交換する、又は取り出すために、マントルがプレス装置から少なくとも一時的に取り外され得るように、プレス装置に取り外し可能に配置され得る。プレス装置を使用して処理を実施する前に、マントルは、圧力容器の外側に配置され得、ここで、マントルは、長い時間期間にわたって(例えば、数時間の間、又は一晩中)、例えば、プレス装置が設置される場所で、周囲空気に曝露され得る。-例えば、マントルが、圧力容器の外側に配置され、周囲空気に曝露される、そのような長い時間期間の間-周囲空気から生じる水分が、マントルに(例えば、その外壁に)含まれ得る断熱材中又は上に蓄積する傾向があり得ること、及び、更には、マントルに含まれ得る断熱材中又は上の水分の蓄積が、圧力容器内の水分の蓄積の主な理由のうちの1つ、又は、場合によっては、主な理由でさえあり得ることが、本発明者らによって見出された。周囲空気において高レベルの湿度が存在する場合には、短い時間期間の間(例えば、圧力容器を開いて、プレス装置で処理された物品を取り出し、プレス装置で処理される新しい物品を積載するのにかかる時間の間)でも、マントルに含まれ得る断熱材中又は上に、周囲空気から生じる水分の著しい蓄積があり得る。マントルの別の又は他の部分中又は上の水分の蓄積もあり得る。また、マントル中又は上の水分の蓄積は、マントルが圧力容器の外側に一時的に配置される場合だけでなく、場合によっては、マントルが圧力容器内に配置されることになり、圧力容器が長い時間期間にわたって(例えば、数時間の間、又は一晩中)開いている場合にも起こり得る。プレス装置を使用して処理を実施する前に、プレス装置の断熱ケーシング中又は上に著しい量の水分が存在することになる場合、水分は、処理中(例えば、処理の開始時)に、処理を実施するためのプレス装置において使用される圧力媒体中に水蒸気の蓄積を引き起こし得る。処理中の圧力媒体中の水蒸気の割合が十分に高い場合、圧力媒体中の水蒸気は、望ましくない表面層(変色)が、被処理物品上に形成されることを引き起こし得る。この問題は、一般に、処理が実施される(圧力容器内の)圧力が高いほど顕著になる。一般に、処理が実施される圧力が高いほど、被処理物品上にコーティングが形成されないためには、圧力媒体中の水蒸気の割合は小さくなければならない。この問題は、処理される物品の材料にも依存する。各材料について、及び処理が実施される特定の圧力が与えられると、それを超えると被処理物品上にコーティングが形成される、圧力媒体中の水蒸気の閾値割合が存在し得る。異なる材料は、それを超えると被処理物品上にコーティングが形成される、圧力媒体中の水蒸気の異なる閾値割合を有し得ることが、本発明者らによって見出された。例えば、以下の材料は、それを超えると被処理物品上にコーティングが形成される、圧力媒体中の水蒸気の昇順の閾値割合に従って順序付けられている:ニッケル基合金、ステンレス鋼、チタン、コバルトクロム、鋼。従って、コーティングは、例えば、ニッケル系物品、例えば、クロム及び/又はアルミニウムを含有するニッケル基合金から作製された物品の場合、鋼系物品の場合よりも容易に被処理物品上に形成され得る。各材料について、及び処理が実施される特定の圧力が与えられると、それを超えると被処理物品上にコーティングが形成される、圧力媒体中の水蒸気の閾値割合が存在し得るという事実が、図1に例示されている。図1は、異なるタイプの材料についての、処理が実施される圧力Pの関数としての、大気圧での圧力媒体中の水蒸気の割合Cの概略グラフである。c1、c2、c3、c4及びc5で示される、図1中のグラフの各々は、異なる材料に対するものである。図1では、処理が実施される圧力Pは、水平軸上に示され、大気圧での圧力媒体中の水蒸気の割合Cは、垂直軸上に示されている。一例によれば、グラフc1、c2、c3、c4及びc5は、それぞれ、ニッケル系材料、ステンレス鋼、チタン、コバルトクロム及び鋼を表す。グラフc1、c2、c3、c4及びc5のそれぞれ1つが垂直の破線と交差する図1中の位置は、例となる1000バールの圧力で、それぞれ、ニッケル系材料、ステンレス鋼、チタン、コバルトクロム及び鋼についての、それを超えると被処理物品上にコーティングが形成される、圧力媒体中の水蒸気の閾値割合を表す。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、プレス装置のための方法が提供される。本発明の第2の態様によれば、システムが提供される。本発明の第1及び第2の態様による方法及びシステムは、一般に、マントル又は断熱ケーシング中又は上に存在し得る任意の水分が低減されるように、プレス装置を使用して処理を実施する前に、マントル又は断熱ケーシングを加熱することに向けられる。
【0010】
本発明の第1の態様によるプレス装置は、圧力容器を備え得、これは、プレス装置の使用中、その中に圧力媒体を保持するように配置され得る。圧力容器は、端部蓋を備え得る。圧力容器には、第1の端部蓋と、第2の端部蓋と、が含まれ得る。例えば、圧力容器が直立して(例えば、圧力容器の長さ方向が垂直方向に沿うように)配置される場合、第1の端部蓋及び第2の端部蓋は、上側端部蓋又は上部端部蓋及び下側端部蓋と呼ばれ得る。プレス装置は、圧力容器内に配置された断熱ケーシングを備え得る。断熱ケーシングは、炉室を少なくとも部分的に取り囲み得る。断熱ケーシングは、圧力媒体が炉室に出入りし得るように配置され得る。断熱ケーシングは、炉室を少なくとも部分的に取り囲み得る断熱部分と、断熱部分を少なくとも部分的に取り囲み得るハウジングと、を備え得る。少なくとも1つの物品を収容するように配置された処理領域が、炉室によって少なくとも部分的に画定され得る。プレス装置は、少なくとも1つの物品を処理にかけるように構成され得る。断熱ケーシングは、少なくとも1つの圧力媒体誘導路を備え得、これは、ハウジングの少なくとも一部分と、断熱部分の少なくとも一部分との間に形成され得る。少なくとも1つの圧力媒体誘導路は、プレス装置の使用中、少なくとも1つの圧力媒体誘導路から出た圧力媒体が、圧力容器の壁の内面に近接して誘導され得るように、炉室から出た圧力媒体を、端部蓋に向かって誘導するように配置され得る。
【0011】
本発明の第1の態様による方法は、プレス装置を使用して少なくとも1つの物品の処理を実施する前に、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように、少なくとも1つの加熱手段を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することを備え得る。本発明の第1の態様による方法は、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することに後続して、プレス装置を使用して少なくとも1つの物品の処理を実施することを備え得る。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、システムが提供される。システムは、プレス装置を備え得る。本発明の第2の態様によるプレス装置は、本発明の第1の態様によるプレス装置と同じ又は同様であり得る。従って、本発明の第2の態様によるプレス装置は、圧力容器を備え得、これは、プレス装置の使用中、その中に圧力媒体を保持するように配置され得る。圧力容器は、端部蓋を備え得る。プレス装置は、圧力容器内に配置された断熱ケーシングを備え得る。断熱ケーシングは、炉室を少なくとも部分的に取り囲み得る。断熱ケーシングは、圧力媒体が炉室に出入りし得るように配置され得る。断熱ケーシングは、炉室を少なくとも部分的に取り囲み得る断熱部分と、断熱部分を少なくとも部分的に取り囲み得るハウジングと、を備え得る。少なくとも1つの物品を収容するように配置された処理領域が、炉室によって少なくとも一部において画定され得る。プレス装置は、少なくとも1つの物品を処理にかけるように構成され得る。断熱ケーシングは、少なくとも1つの圧力媒体誘導路を備え得、これは、それぞれ、ハウジングの少なくとも一部分と、断熱部分の少なくとも一部分との間に形成され得る。少なくとも1つの圧力媒体誘導路は、プレス装置の使用中、少なくとも1つの圧力媒体誘導路から出た圧力媒体が、圧力容器の壁の内面に近接して誘導され得るように、炉室から出た圧力媒体を、端部蓋に向かって誘導するように配置され得る。
【0013】
本発明の第2の態様によるシステムは、少なくとも1つの加熱手段を備え得る。少なくとも1つの加熱手段は、プレス装置を使用して少なくとも1つの物品の処理を実施する前に、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱するように構成され得る。
【0014】
本発明の第2の態様によるプレス装置は、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することに後続して、プレス装置を使用して少なくとも1つの物品の処理を実施するように構成され得る。
【0015】
本願の文脈において、プレス装置を使用する(少なくとも1つの物品の)処理は、例えば、加圧処理及び/又は温度(熱)処理を伴い得る。加圧処理は、圧力容器内の圧力の増大の後、それより前、又はそれと並行した加熱又は熱処理を含み得る。本願の文脈において、「処理(treatment)」という用語は、プレス装置によって実施され得る処理サイクルの、1つ以上のプレス段階、加熱段階、保持段階、ポンピング段階、真空段階及び/又は冷却段階を包含するものとして理解されるべきである。
【0016】
本発明の第1及び第2の態様による方法及びシステムは、一般に、断熱ケーシング中又は上に存在し得る任意の水分が低減されるように、プレス装置を使用して処理を実施する前に、断熱ケーシングを加熱することに向けられる。-プレス装置を使用して少なくとも1つの物品の処理を実施する前に-断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することによって、プレス装置において使用される圧力媒体中の任意の不純物の量が低減され得るか、又は、場合によっては、排除さえされ得る。例えば、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することによって、水及び/又は別の若しくは他の液体が、断熱ケーシングの1つ以上の表面から放出、蒸発、及び/又は拡散され得る。断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することによって、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分は、乾燥され得る。本願の文脈において、水分は、マントルに含まれ得る断熱材等の固体内、多孔質媒体内に蒸気として少量で拡散されているか、又は表面上で凝縮した水又は他の液体として理解されるべきである。
【0017】
例えば、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することによって、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分が、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の1つ以上の表面から放出され得る。水及び/又は別の物質の分子は、物理吸着によって、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の1つ以上の表面に結合され得る。断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することによって、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の1つ以上の表面に結合された水及び/又は別の物質の分子は、1つ以上の表面から放出され得、これは、物理吸着によって、水及び/又は別の物質の分子を断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の1つ以上の表面に結合する力は、一般に、温度が上昇するにつれて弱まるからである。次いで、結果として生じた気相の水(例えば、水蒸気)及び/又は他のガスが、断熱ケーシングから除去され得る。断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分の放出から生じる気相の水及び/又は他のガスは、例えば、断熱ケーシングから及び/又は圧力容器から(例えば、断熱ケーシング又は圧力容器からそれ/それらを吸い出す又は排気することによって)それ/それらを(例えば、能動的に)引き出すことによって、断熱ケーシングから除去され得る。断熱ケーシング又は圧力容器から、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分の放出から生じる気相の水及び/又は他のガスを引き出すことは、例えば、圧力容器の、例えば、処理サイクルの1つ以上の真空段階、又は1つ以上の真空パージを行うことによって実施され得る。例えば、3つ若しくは4つ又は6つ以上等の、2つ以上の真空段階又は真空パージが実施され得る。
【0018】
従って、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することによって、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分が、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の1つ以上の表面から放出され得る。断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することに後続して、且つ、プレス装置を使用して少なくとも1つの物品の処理を実施する前に、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分の放出から生じるガスは、断熱ケーシングから又は圧力容器から引き出され得る。断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分の放出から生じるガスは、気相の水によって、若しくは別のガスによって、又は、気相の水と、別の若しくは他のガスとの混合物によって、構成され得る。
【0019】
断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように、プレス装置を使用して少なくとも1つの物品の処理を実施する前に、少なくとも1つの加熱手段を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することによって、処理中にプレス装置において使用される圧力媒体中には、水蒸気の蓄積が全くなくなり得るか、又は非常にわずかな水蒸気の蓄積のみが存在し得る。これにより、望ましくない表面層(変色)が被処理物品上に形成される問題は、軽減され得るか、又は完全に回避され得る。また、処理中にプレス装置において使用される圧力媒体中に水蒸気が過剰に存在することに起因して処理中に圧力容器内で起こり得るいかなる有害な化学反応も、低減又は排除され得る。任意のこのような有害な化学反応は、圧力容器内の又は圧力容器の構成要素、例えば、温度センサ(例えば、熱電対(複数可))及び/又は関連付けられた配線等の炉室内の又は炉室の構成要素を損傷する可能性があり得る。従って、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように、プレス装置を使用して少なくとも1つの物品の処理を実施する前に、少なくとも1つの加熱手段を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することによって、圧力容器内の又は圧力容器の構成要素の寿命は、比較的長くなり得る。これは、少なくとも部分的にグラファイト等の炭素系材料で作製された断熱ケーシングに特に有益であり得る。
【0020】
上述したように-プレス装置を使用して少なくとも1つの物品の処理を実施する前に-断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することによって、処理中にプレス装置において使用される圧力媒体中の任意の不純物/水蒸気の量が低減又は排除され得る。これは、1つ以上の後続の処理において、処理中にプレス装置において使用された圧力媒体の比較的大きな割合を再利用することを容易にし得るか、又は可能にし得る。例えば、処理サイクル中にプレス装置において使用された圧力媒体の比較的大きな割合が、1つ以上の後続の処理サイクルにおいて再利用され得る。処理サイクルが完了した後、圧力媒体は、圧力容器から引き出され得、その後、圧力容器は、被処理物品(複数可)を取り出すために開けられ得る。圧力容器から引き出された圧力媒体は、圧力容器と流体連通状態にある圧力媒体貯蔵器内へ誘導され得る。上述したように、処理サイクル中にプレス装置において使用される圧力媒体中の任意の不純物/水蒸気の量は、比較的少なくあり得るか、又はほんのわずかであり得る(即ち、圧力媒体の純度は、比較的高くあり得る)ので、圧力容器から引き出されて、圧力媒体貯蔵器内へ誘導される圧力媒体は、後続の処理サイクルにおいて、圧力容器内で容易に使用され得る。再利用される圧力媒体の純度を更に高めるために、適切なフィルタが、圧力容器から引き出された圧力媒体が、圧力媒体貯蔵器に向かう途中でこのフィルタを通過するように、圧力容器と圧力媒体貯蔵器との中間に配置され得る。圧力媒体のこのような再利用は、全体的な圧力媒体消費を低減するのに役立ち得る。圧力媒体のこのような再利用は、少なくとも部分的にグラファイト等の炭素系材料で作製された断熱ケーシングに特に有益であり得る。処理サイクルから再利用される圧力媒体は、場合によっては、別のタイプの圧力容器又はプレス装置において再利用され得る。例えば、処理サイクルが、少なくとも部分的にグラファイト等の炭素系材料で作製された断熱ケーシングを有する圧力容器を備えたプレス装置で完了した後、圧力媒体は、この圧力容器から引き出され、これに後続して、少なくとも部分的に、例えば、モリブデン等の、別のタイプの材料で作製された断熱ケーシングを有する圧力容器を備えたプレス装置において再利用され得る。
【0021】
予熱-即ち、プレス装置を使用して少なくとも1つの物品の処理を実施する前に実施される、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の加熱-は、場合によっては、例えば、圧力容器の、処理サイクルの1つ以上の真空段階を行うことによって先行され得る。
【0022】
本願の文脈において、処理サイクルの真空段階とは、場合によっては、圧力容器内に処理される物品(複数可)を挿入した後に、1つ以上の真空ポンプによって、圧力容器の内部から空気及び/又はその他任意のガスを排気することを含む、処理サイクルの段階(例えば、処理サイクルの初期段階)を意味する。
【0023】
本発明の第1及び第2の態様による方法及びシステムを参照して、前述で言及された断熱ケーシングは、代替として、マントルと呼ばれ得る。
【0024】
上述したように、本願の文脈において、「処理」という用語は、プレス装置によって実施され得る処理サイクルの、1つ以上のプレス段階、加熱段階、保持段階、ポンピング段階、真空段階及び/又は冷却段階を包含するものとして理解されるべきである。処理サイクルの段階のいくつかは、同時並行に又は重複する時間期間において実施され得る。
【0025】
断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように、少なくとも1つの加熱手段を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することは、例えば、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中の水分量のある特定の(例えば、選択された又は所定の)閾値レベルを超えないように実施され得る。
【0026】
更に、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように、少なくとも1つの加熱手段を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することは、例えば、処理中にプレス装置において使用される圧力媒体中の任意の水蒸気の濃度が、ある特定の(例えば、選択された又は所定の)閾値濃度レベルを超えないことを確実にするために実施され得る。そうするためには、(例えば、圧力媒体源から)圧力装置への圧力媒体の供給時に、水蒸気が圧力媒体中に存在し得ること、及び、水蒸気が、例えば、処理される物品(複数可)中又は上に存在し得る水分から生じ得ることを考慮しなければならない場合がある。(例えば、圧力媒体が、圧力容器とは別個であり得る圧力媒体源内にあるときの)圧力装置への圧力媒体の供給時の、圧力媒体中の水蒸気の濃度は、いくつかの状況では、(約)2ppmであり得る。
【0027】
断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が、(例えば、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中の水分量のある特定の閾値レベルを超えないように)低減されたこと、及び/又は、処理中にプレス装置において使用される圧力媒体中の任意の水蒸気の濃度が、ある特定の(例えば、選択された又は所定の)閾値濃度レベルを超えないことを確認するために、水分センサ及び/又は酸素センサが使用され得る。水分センサ及び/又は酸素センサを使用することに加えて、例えば、ガスクロマトグラフが使用され得る。
【0028】
水分センサ及び/又は酸素センサ(及び/又はその他任意の適切なタイプのセンサ)は、処理中に圧力容器内で使用される圧力媒体中の水分量を直接的又は間接的に感知するように構成され得る。水分センサ及び/又は酸素センサ(及び/又はその他任意の適切なタイプのセンサ)は、水分量がそれから導出されるか又は導出可能である何らかの数量/複数の数量(quantity/quantities)を感知することによって、間接的に水分量を感知するように構成され得る。水分センサ及び/又は酸素センサ(及び/又はその他任意の適切なタイプのセンサ)は、例えば、処理中に断熱ケーシング内(例えば、炉室内、炉室に含まれる積載区画内、又は断熱ケーシングの断熱部分の内部)の圧力媒体中の水分量を直接的又は間接的に感知するように構成され得る。そのためには、水分センサ及び/又は酸素センサ(及び/又はその他任意の適切なタイプのセンサ)は、断熱ケーシング内(例えば、炉室内、炉室に含まれる積載区画内、又は断熱ケーシングの断熱部分の内部)に配置され得る。しかしながら、水分センサ及び/又は酸素センサ(及び/又はその他任意の適切なタイプのセンサ)は、別のもの又は他のものにも配置され得る。例えば、圧力媒体分流デバイスが設けられ得、これは、圧力媒体の一部分を、例えば、断熱ケーシング内(例えば、炉室内)の空間から、圧力容器の外側にあり得る圧力媒体分析デバイスに分流するように構成され得る。圧力媒体分析デバイスは、例えば、湿度センサ及び/若しくは酸素センサ並びに/又は圧力媒体分流デバイスによって分流された圧力媒体の組成(例えば、化学組成)を分析するためのデバイスを備え得る。圧力媒体分析デバイスは、追加として、例えば、放射線を感知する能力等の、1つ以上の他の能力を示し得る。放射線を感知する能力は、例えば、処理される物品(複数可)が、放射性物質を保持するコンテナ(例えば、カプセル又は缶)を含む場合に有用であり得、この場合、コンテナにおける起こり得る漏れが、圧力媒体分析デバイスによって感知され得る。圧力媒体分流デバイスは、1つ以上の圧力媒体誘導路又は導管を備え得る。圧力容器の一部又は一部分から、例えば、断熱ケーシング内の空間から分流された圧力媒体の分析は、本明細書で説明されるように、予熱-即ち、プレス装置を使用して少なくとも1つの物品の処理を実施する前に実施される、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の加熱-と併せて実施され得るだけでなく、むしろ、このような分析は、そのような予熱とは独立して実施され得ることを理解されたい。例えば、このような分析は、処理サイクルの1つ以上の選択された段階の間、例えば、処理サイクルのプレス段階の間に実施され得る。圧力容器の一部又は一部分から、例えば、断熱ケーシング内の空間から分流された圧力媒体の組成(例えば、化学組成)の分析は、例えば、選択された時間期間にわたって圧力媒体の組成を監視するために、繰り返し(例えば、連続的に)実施され得る。これは、圧力容器の一部又は一部分内の圧力媒体が、場合によっては、選択された時間期間にわたって、ある特定の(例えば、所望の又は所要の)組成を有することを容易にし得るか、又は確実にすることを可能にし得る。1つの可能な用途として、圧力容器の一部又は一部分から(例えば、断熱ケーシング内の空間から)分流された圧力媒体の組成の分析が、WO2016/150490A1に開示されているように、(浸炭プロセスを含む)ケース硬化プロセスに関連して(例えば、その間に)、圧力媒体中の炭素の任意のレベルを決定又は監視するために実施され得る。
【0029】
代替又は追加として、水分センサ及び/又は酸素センサ(及び/又はその他任意の適切なタイプのセンサ)は、処理中に圧力容器の別の部分、例えば、端部蓋の近傍又は端部蓋にある空間における圧力媒体中の水分量を直接的又は間接的に感知するように構成され得る。
【0030】
センサが、例えば、プレス装置において設けられ得る。センサは、処理中の断熱ケーシング内の圧力媒体中の任意の水蒸気の濃度が、ある特定の閾値濃度レベルを超えないことを確実にするために、処理中の断熱ケーシング内の圧力媒体中の水分量を感知するように構成され得る。センサは、上述したように、水分センサ及び/又は酸素センサ(及び/又はその他任意の適切なタイプのセンサ)を備え得るか、又はそれによって構成され得る。
【0031】
プレス装置(例えば、その圧力容器)において使用される圧力媒体は、例えば、ガス、例えば、アルゴンガス等の不活性ガスを備え得る。
【0032】
断熱ケーシングは、様々な材料のうちの1つ以上から作製され得る。
【0033】
例えば、断熱ケーシング、又は少なくともその断熱部分及びハウジングは、金属製であり得る(例えば、1つ以上の金属及び/又は金属合金からなる材料で作製され得る)。場合によっては、断熱ケーシング、又は少なくとも断熱部分及びそのハウジングは、全体的に、又は実質的に全体的に、1つ以上の金属及び/又は金属合金からなる材料で作製され得る。金属製の断熱ケーシングの場合、他の材料の断熱ケーシングと比較して、長い時間期間にわたって(例えば、数時間の間、又は一晩中)圧力容器の外側に一時的に配置される場合、断熱ケーシング中又は上の水分の蓄積が比較的少なくなり得る。
【0034】
断熱ケーシングは、例えば、Unifrax(https://www.unifrax.com)によって製造されたサフィル(Saffil)、MAFTECの多結晶質アルミナ繊維材料、スーパーウール等の1つ以上のセラミック繊維材料、及び/若しくは1つ以上の他のタイプのセラミック材料、又はこれらの任意の組合せを備え得る。例えば、断熱ケーシングの断熱部分の内部、又は断熱部分を構成する材料(複数可)は、1つ以上のセラミック繊維材料を備え得るか、又はそれによって構成され得る。
【0035】
断熱ケーシングは、上述したものとは別の又は他のタイプの材料を備え得ることを理解されたい。例えば、断熱ケーシングは、代替又は追加として、鋼系材料若しくは要素、モリブデン系材料若しくは要素、並びに/又は、例えば、グラファイト及び炭素繊維ブランケット若しくは同様のもの等の、炭素系材料若しくは要素を備え得る。他の例によれば、断熱ケーシングは、代替又は追加として、チタン若しくはチタン系材料、及び/又はタングステン若しくはタングステン系材料を備え得る。
【0036】
少なくとも1つの加熱手段を使用して断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することは、異なる方法で実施され得る。例えば、電気発熱体等の、発熱体が用いられ得る。
【0037】
選択された出力において熱を発生させるように動作可能であり得る少なくとも1つの発熱体は、少なくとも1つの発熱体の選択された出力において、且つ選択された時間期間の間、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱するために使用され得る。従って、少なくとも1つの加熱手段を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することは、少なくとも1つの発熱体の選択された出力において、且つ選択された時間期間の間、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱するために、選択された出力において熱を発生させるように動作可能であり得る少なくとも1つの発熱体を使用することを備え得る。少なくとも1つの発熱体の出力及び時間期間は、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように(例えば、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中の水分量のある特定の閾値レベルを超えないように)選択され得る。
【0038】
従って、少なくとも1つの加熱手段は、例えば、少なくとも1つの電気発熱体等の、少なくとも1つの発熱体を備え得る。
【0039】
少なくとも1つの発熱体の所望の又は所要の出力は、少なくとも1つの発熱体に供給される電流の電流レベルを制御することによって達成され得る。
【0040】
少なくとも1つの加熱手段に含まれ得るか、又は少なくとも1つの加熱手段を構成し得る少なくとも1つの発熱体は、例えば、予熱-即ち、プレス装置を使用して少なくとも1つの物品の処理を実施する前に実施される、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の加熱-に専用の追加の及び/又は別個の発熱体(複数可)であり得る。
【0041】
代替又は追加として、少なくとも1つの加熱手段に含まれ得るか、又は少なくとも1つの加熱手段を構成し得る少なくとも1つの発熱体は、HIP等の等方圧加圧を実施するために使用され得る圧力容器内の既存の発熱体(複数可)によって構成され得る。添付の図面を参照して以下でより詳細に説明されるように、炉室は、例えば、処理サイクルのプレス段階中に、圧力容器内の圧力媒体を加熱するための炉、即ち、ヒータ又は発熱体を備え得る。少なくとも1つの加熱手段に含まれ得るか、又は少なくとも1つの加熱手段を構成し得る少なくとも1つの発熱体は、例えば、炉によって、例えば、炉室の炉の任意のヒータ又は発熱体によって、構成され得る。本願の文脈において、「炉(furnace)」という用語は、加熱を提供する要素又は手段を指し、一方、「炉室(furnace chamber)」という用語は、その中に、炉、そして場合によっては、積載区画及び任意の物品が位置し得るエリア又は領域を指す。
【0042】
少なくとも1つの発熱体は、断熱部分の少なくとも一部分及び/又はハウジングの少なくとも一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように、少なくとも1つの発熱体の選択された出力において、且つ選択された時間期間の間、断熱部分の少なくとも一部分及び/又はハウジングの少なくとも一部分を加熱するために使用され得る。
【0043】
少なくとも1つの発熱体は、例えば、断熱ケーシング内又はその内側に配置され得る。例えば、少なくとも1つの発熱体は、断熱ケーシングの断熱部分の内部に配置され得る。追加又は代替として、少なくとも1つの発熱体は、断熱ケーシングの断熱部分の内面において配置され得る(例えば、それに結合され得る)。各又は任意の発熱体は、例えば、1つ以上のワイヤ、ストリップ及び/又はリボンの形態における、1つ以上の金属製の抵抗発熱体を備え得、これは、例えば、断熱部分を構成する材料(複数可)内に配置され得る(例えば、埋め込まれ得る)。1つ以上の抵抗発熱体は、1つ以上の合金で作製され得る。少なくとも1つの発熱体が断熱ケーシング内に配置されている構成の利点は、少なくとも1つの発熱体を動作させている間又はその後であっても、断熱ケーシングの外面が比較的低温に保たれ得ることである。これは、以下で更に説明されるように、例えば、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することが、断熱ケーシングが圧力容器から取り外されている間に実施され、プレス装置を使用して処理を実施するために、断熱ケーシングを圧力容器内に(再)配置又は積載しなければならない場合に必要とされ得る、断熱ケーシングの任意の手動の取扱いを容易にし得る。
【0044】
1つ以上の温度センサ(例えば、1つ以上の熱電対)が、断熱部分又は発熱体(複数可)を構成する材料(複数可)が、発熱体(複数可)の動作によって、断熱部分又は発熱体(複数可)を構成する材料(複数可)がそれにさらされることが許容される任意の最大許容温度を超える温度にさらされないことを確実にするために、各又は任意の発熱体において設けられ得る。
【0045】
上述したように、少なくとも1つの発熱体の所望の又は所要の出力は、少なくとも1つの発熱体に供給される電流の電流レベルを制御することによって達成され得る。少なくとも1つの発熱体に供給される電流の電流レベルは、圧力容器内の圧力レベルに基づいて制限又は調整され得る。これは、(特に)圧力容器内の非常に低い圧力では、少なくとも1つの発熱体の温度が非常に高くなり得、少なくとも1つの発熱体が埋め込まれ得る断熱部分に含まれるか又は断熱部分を構成する材料(複数可)の特性(例えば、導電性)が望ましくない形で変化し得ることに起因する。例えば、少なくとも1つの発熱体の任意の加熱ストリップ、ワイヤ、又は同様のもののための任意の電気絶縁体が、過度に加熱された場合に望ましくない形で変化し得る。圧力容器内の圧力レベルに基づいて、少なくとも1つの発熱体に供給される電流の電流レベルを制限又は調整することによって、断熱部分に含まれるか又は断熱部分を構成する材料(複数可)の特性における任意のそのような望ましくない変化が低減され得るか、又は回避さえされ得る。これは、例えば、炉室内の炉(例えば、炉の任意の発熱体(複数可))にも当てはまる。例えば、炉の任意の加熱ストリップ若しくはワイヤ又は炉の発熱体(複数可)のためのアイソレータの材料特性は、過度に加熱された場合に望ましくない形で変化し得る。従って、代替又は追加として、炉又は炉の発熱体(複数可)に供給される電流の電流レベルは、圧力容器内の圧力レベルに基づいて制限又は調整され得る。炉又は炉の発熱体(複数可)に供給される電流の電流レベルについての制限は、炉又は炉の発熱体(複数可)の温度に基づき得、その温度は、炉又は炉の発熱体(複数可)の電気抵抗に基づいて決定され得る。炉室内の炉は、図を参照して以下で更に説明される。
【0046】
プレス装置は、圧力媒体流発生器を備え得、これは、炉室及び少なくとも1つの圧力媒体誘導路において圧力媒体の流れを発生させるように構成され得る。圧力媒体流発生器は、例えば、1つ以上のファン及び/又はエジェクタを備え得るか、又はそれらによって構成され得る。断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱するために、少なくとも1つの発熱体を使用するのと同時並行に又はその後に、圧力媒体流発生器は、炉室及び少なくとも1つの圧力媒体誘導路において圧力媒体の流れを発生させるように動作され得る。断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱するために、少なくとも1つの発熱体を使用するのと同時並行に又はその後に、炉室及び少なくとも1つの圧力媒体誘導路において圧力媒体の流れを発生させるように、圧力媒体流発生器を動作させることによって、処理にかけられる少なくとも1つの物品、そして場合によっては、圧力容器内の他の構成要素もまた、加熱及び乾燥され得る。例えば、断熱ケーシング及び底部断熱部分(これは、図を参照して以下で更に説明される)が、加熱及び乾燥され得、この底部断熱部分は、断熱ケーシングの一部とみなされることも、みなされないこともあり得る。また、それは、少なくとも1つの発熱体によって発生された熱が、加熱された圧力媒体が断熱ケーシングの少なくとも1つの圧力媒体誘導路を通って流れるにつれて、断熱ケーシングを通る加熱された圧力媒体によって輸送され得るので、多数の発熱体を必要とすることなく、断熱ケーシングの比較的大きな一部又は一部分の加熱を容易にし得るか、又は可能にし得る。例えば、断熱ケーシングの少なくとも1つの圧力媒体誘導路内に形成され得る1つ以上の穴又は開口部を介して、断熱ケーシング内への(例えば、断熱部分を構成する材料(複数可)内への、又は断熱部分内の空間(複数可)若しくは空隙(複数可)内への)加熱された圧力媒体の流れが存在し得る。一例によれば、断熱部分等の断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分は、外層と、中間層(又はいくつかの中間層)と、内層と、を有する層状構造を備え得、中間層が、外層と内層との間に配置され、断熱材が、中間層と内層との間に配置されている。断熱材は、例えば、中間層と内層との間に挟まれ得る。外層、中間層及び内層の各々又はいずれかは、例えば、鋼若しくは鋼系材料、モリブデン若しくはモリブデン系材料、及び/又は、例えば、グラファイト等の、炭素若しくは炭素系材料で作製され得る。一例によれば、外層及び中間層は、鋼で作製され得、内層は、モリブデンで作製され得る。断熱材は、例えば、サフィル、MAFTECの多結晶質アルミナ繊維材料、スーパーウール等の1つ以上のセラミック繊維材料、及び/若しくは1つ以上の他のタイプのセラミック材料、又はこれらの任意の組合せで構成され得るか、又はそれらを備え得る。外層と中間層との間、及び/又は中間層と内層との間には、層を互いに離間させるための、例えば、所謂山形鋼(angle irons)を備えるスペーサが設けられ得る。断熱ケーシングの少なくとも1つの圧力媒体誘導路は、外層と中間層との間にあり得る。中間層には、1つ以上の穴又は開口部が設けられ得る。従って、圧力媒体流発生器が、炉室及び断熱ケーシングの少なくとも1つの圧力媒体誘導路において圧力媒体の流れを発生させるように動作される場合、断熱材内への加熱された圧力媒体の流れが存在し得る。
【0047】
少なくとも1つの発熱体の異なる位置が可能である。例えば、少なくとも1つの発熱体は、少なくとも1つの圧力媒体誘導路の一部に配置され得る。代替又は追加として、少なくとも1つの発熱体は、炉室の一部に配置され得る。
【0048】
断熱ケーシングは、断熱ケーシングが圧力容器から少なくとも一時的に取り外され得るように、圧力容器内に取り外し可能に配置され得る。例えば、断熱ケーシングは、プレス装置を使用して物品(複数可)の処理を実施する前に、炉室内に物品(複数可)を置く若しくは交換するために、又は、プレス装置を使用して物品(複数可)の処理を完了した後に、炉室から物品(複数可)を取り出すために、圧力容器から取り外され得る。
【0049】
断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することは、断熱ケーシングが圧力容器から取り外されている間に実施され得る。
【0050】
例えば、断熱ケーシングは圧力容器から取り外され得、少なくとも1つの発熱体を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することは、断熱ケーシングが圧力容器から取り外されている間に実施され得る。少なくとも1つの発熱体を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の加熱を実施することに後続して、断熱ケーシングは、圧力容器内に配置され得る。
【0051】
従って、少なくとも1つの発熱体を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の加熱を実施することは、圧力容器から断熱ケーシングを取り外すことと、断熱ケーシングが圧力容器から取り外されている間に、少なくとも1つの発熱体を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の加熱を実施することと、少なくとも1つの発熱体を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の加熱を実施することに後続して、圧力容器内に断熱ケーシングを配置することと、を備え得る。
【0052】
上述したように、少なくとも1つの発熱体の異なる位置が可能である。場合によっては、少なくとも1つの発熱体は、断熱ケーシング内に配置されないこともあり得る。例えば、圧力容器から断熱ケーシングを取り外すことに後続して、断熱ケーシングは、コンテナ内に置かれ得、これは、断熱ケーシングを収容するように配置され得る。少なくとも1つの発熱体は、断熱ケーシングがコンテナ内に置かれたときに、少なくとも1つの発熱体が、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱するために使用され得るように、コンテナ内又はコンテナ上に配置され得る。少なくとも1つの発熱体を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することは、断熱ケーシングがコンテナ内に置かれている間に実施され得る。少なくとも1つの発熱体を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の加熱を実施することに後続して、断熱ケーシングは、コンテナから取り出され得る。これに後続して、断熱ケーシングは、圧力容器内に配置され得る。コンテナは、例えば、炉室(これは、圧力容器の炉室とは異なり、圧力容器とは別個であり得る)に含まれ得るか、又はこの炉室によって構成され得、これは、少なくとも1つの発熱体を備え得るか、又はそれを構成し得る炉を備え得る。コンテナは、例えば、物品(複数可)を、炉室内に/炉室から、置く、交換する、又は取り出すために、断熱ケーシングが圧力容器から取り出された後に、断熱ケーシングを支持するように配置された支持構造を備え得る。コンテナは、追加として、例えば、炉の基部等の、1つ以上の更なる構成要素を支持するように配置され得、これは、1つ以上の更なる構成要素が、圧力容器から少なくとも一時的に取り外され得るように、圧力容器内に取り外し可能に配置され得る。炉の基部は、図を参照して以下で更に説明される。炉の基部は、代替として、底部断熱部分と呼ばれ得る。底部断熱部分、即ち、炉の基部は、断熱ケーシングの一部とみなされることも、みなされないこともあり得る。底部断熱部分は、断熱ケーシングと共に圧力容器から取り外されることも、取り外されないこともあり得る。底部断熱部分が、断熱ケーシングと共に圧力容器から取り外される場合、底部断熱部分は、それらが圧力容器から取り出された後に、断熱ケーシングと共にコンテナ内で又はコンテナによって支持され得る。
【0053】
図を参照して以下で説明されるように、炉室は、処理される物品(複数可)を保持するように構成され得る積載バスケットを備え得る。積載バスケットは、底部断熱部分上に配置され得る。
【0054】
場合によっては、底部断熱部分は、圧力容器から取り外され得、一方、断熱ケーシングは、圧力容器から取り外されない。炉室に物品(複数可)を置く、交換する、又は取り出すためには、積載バスケットが底部断熱部分上に配置されている場合、圧力容器内に断熱ケーシングを残したままの状態で、圧力容器から底部断熱部分(従って、積載バスケットも)を取り外すことで十分であり得る。一旦、底部断熱部分及び積載バスケットが圧力容器から取り外されると、物品(複数可)が、積載バスケットに置かれ得るか、交換され得るか、又は取り出され得る。これに後続して、底部断熱部分及び積載バスケットは、圧力容器内に再挿入され得る。
【0055】
断熱ケーシングがコンテナ内に置かれたときに、少なくとも1つの発熱体が断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱するために使用され得るように、少なくとも1つの発熱体がコンテナ内又はコンテナ上に配置された、上述したようなコンテナを使用する利点が、例えば、断熱ケーシング内に配置されている少なくとも1つの加熱手段に含まれ得る少なくとも1つの発熱体を有する構成を使用することと比較して、断熱ケーシングの構造がより複雑でなくなり得ることである。上述したようなコンテナを使用する場合、予熱(即ち、プレス装置を使用して少なくとも1つの物品の処理を実施する前に実施される、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の加熱)のための、断熱ケーシング内の発熱体(複数可)の必要性が低減され得るか、又は全くなくなり得る。
【0056】
断熱ケーシング、そして場合によっては、底部断熱部分又は炉の基部もまた、長い時間期間にわたって(例えば、数時間の間又は一晩中)コンテナ内で支持され得る。長い時間期間の間の熱ケーシング中又は上の水分の蓄積量を低減するために、コンテナは、周囲空気中で酸化する傾向が比較的少ない材料(複数可)で作製され得る。代替又は追加として、長い時間期間の間の断熱ケーシング中又は上の水分の蓄積量を低減するために、コンテナは、閉じられ、コンテナの内部は、ガス、好ましくは、アルゴンガス等の不活性ガスで加圧され得る。従って、コンテナは、場合によっては、(断熱ケーシングをその中に有して)閉じられ得るように、且つ、その内部がガスで加圧され得るように、配置され得る。コンテナの内部を加圧するために使用されるガスの量は、コンテナの外部からその内部への空気若しくは水分の輸送が全く起こり得ないか、又はほんのわずかな輸送しか起こり得ないことを確実にするのに十分であるべきである。
【0057】
上述したように、プレス装置は、圧力媒体流発生器を備え得、これは、炉室及び少なくとも1つの圧力媒体誘導路において圧力媒体の流れを発生させるように構成され得る。加熱された圧力媒体が、圧力容器内に導入され得る。圧力媒体流発生器は、選択された時間期間の間、炉室及び少なくとも1つの圧力媒体誘導路において、加熱された圧力媒体の流れを発生させるように動作され得る。加熱された圧力媒体は、炉室及び少なくとも1つの圧力媒体誘導路における加熱された圧力媒体の通過中、且つ選択された時間期間の間の、加熱された圧力媒体から断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分への熱エネルギーの伝達によって、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分が、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように加熱されるような熱エネルギーの量を含み得る。選択された時間期間は、例えば、5~30分、例えば、10~30分、又は15~20分の範囲内にあり得る。
【0058】
従って、少なくとも1つの加熱手段を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することは、加熱された圧力媒体を圧力容器内に導入することと、選択された時間期間の間、炉室及び少なくとも1つの圧力媒体誘導路において、加熱された圧力媒体の流れを発生させるように、圧力媒体流発生器を動作させることと、を備え得る。
【0059】
加熱された圧力媒体の温度は、好ましくは、(約)50℃~(約)400℃の範囲内、より好ましくは、(約)100℃~(約)400℃、又は(約)100℃~(約)300℃の範囲内にある。しかしながら、加熱された圧力媒体の温度は、50℃より低くなり得、又は400℃より高くなり得る。例えば、断熱ケーシングの少なくとも1つの圧力媒体誘導路の近傍又はその中(例えば、断熱ケーシングの上部)の加熱された圧力媒体の温度は、(約)50℃~(約)400℃の範囲内、より好ましくは、(約)100℃~(約)400℃、又は(約)100℃~(約)300℃の範囲内にあり得る。
【0060】
加熱された圧力媒体は、例えば、再利用される圧力媒体を備え得る。加熱された圧力媒体は、例えば、プレス装置を使用した処理の前の機会中にプレス装置において使用されたものであり得る。従って、少なくとも1つの加熱手段は、代替又は追加として、例えば、再利用される圧力媒体、即ち、プレス装置を使用した処理の前の機会中にプレス装置において使用された圧力媒体等の、加熱された圧力媒体を備え得る。プレス装置を使用した処理後、圧力容器内の圧力媒体の全て又は少なくとも一部が、当該技術分野で知られている方法で圧力容器から除去され得、そして場合によっては、圧力媒体コンテナに貯蔵され得る。処理の前の機会(例えば、1つ以上のプレス段階(複数可)、加熱段階(複数可)、そして場合によっては、保持段階(複数可)を含む)中に、プレス装置において圧力媒体を使用した結果として、圧力媒体は、比較的高い温度を有し得る。代替又は追加として、再利用される圧力媒体は、それを圧力容器内に再導入する前に、例えば、当該技術分野で知られている任意の方法を使用して加熱され得る。圧力媒体のこのような再利用は、全体的な圧力媒体消費を低減するのに役立ち得る。
【0061】
プレス装置を使用した処理の前の機会中にプレス装置において使用された圧力媒体の量のある特定の(例えば、選択された)部分が、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の加熱を実施するために圧力容器内に導入され得る(加熱された)圧力媒体として再利用され得る。例えば、プレス装置を使用した処理の前の機会中にプレス装置において使用された、約40バールの圧力容器内の圧力に対応する圧力媒体の量が、このようにして再利用され得る。
【0062】
圧力容器は、例えば、円筒形又は実質的に円筒形であり得る。圧力容器の外壁の外面には、流路、導管又はチューブ、等が設けられ得、これら、流路、導管又はチューブは、例えば、圧力容器の外壁の外面と接続状態にあるように配置され得、且つ、圧力容器の軸方向と平行に、及び/又は圧力容器の外壁の外面の周りをヘリカル状若しくは螺旋状に延びるように配置され得る。圧力容器の壁を冷却するための冷却剤、又は冷却媒体が、流路、導管又はチューブ内に供給され得、これにより、圧力容器の壁は、圧力容器又はプレス装置の動作中の有害な熱の蓄積から壁を保護するために冷却され得る。流路、導管又はチューブ内の冷却剤は、例えば、水を備え得るが、別の又は他のタイプの冷却剤も可能である。圧力容器の外壁の外面上、そして場合によっては、冷却剤用の任意の流路、導管及び/又はチューブ上、等には、プレストレス手段が設けられ得る。プレストレス手段は、例えば、圧力容器の外壁の外面、そして場合によってはまた、その上に設けられ得る、冷却剤用の任意の流路、導管及び/又はチューブ、等の周りに、1つ以上の帯を、好ましくは数層において形成するように、複数回巻かれたワイヤ(例えば、鋼製)の形態で設けられ得る。プレストレス手段は、圧力容器に半径方向圧縮力を作用させるために配置され得る。プレストレス手段は、圧力容器に作用する半径方向の力、そして場合によっては、軸方向の力に適合し(accommodate)得る。
【0063】
このようなプレストレス手段は、圧力容器の外壁(複数可)が比較的小さな厚さを有することを容易にし得るか、又は可能にし得る。このようなプレストレス手段がなければ、圧力容器の外壁(複数可)は、圧力容器に作用する半径方向の力、そして場合によっては、軸方向の力に耐えるために、より大きい厚さを有する必要があり得る。このようなプレストレス手段がなく、比較的大きな厚さを有する外壁(複数可)を有する圧力容器は、モノブロック圧力容器と呼ばれ得る。このようなプレストレス手段は、オプションであり、必須ではないこと、また、圧力容器には、このようなプレストレス手段が設けられていることも、設けられていないこともあり得る(例えば、圧力容器は、モノブロック圧力容器であることも、そうでないこともあり得る)ことを理解されたい。
【0064】
上述で示したように、圧力容器の壁の外面には、冷却媒体回路が設けられ得る。冷却媒体回路は、圧力容器の外面の少なくとも一部分に沿って延在し得る。冷却媒体回路は、冷却媒体、即ち、冷却剤をその中で循環させるように構成され得る。冷却媒体は、加熱され得、加熱された冷却媒体は、選択された時間期間の間、冷却媒体回路内で循環され得る。冷却媒体を加熱することは、加熱された冷却媒体が、選択された時間期間の間、冷却媒体回路内での加熱された冷却媒体の循環中の、加熱された冷却媒体から圧力容器の壁への熱エネルギーの伝達であって、-それによって、熱エネルギーが圧力容器の内部に伝達される-熱エネルギーの伝達によって、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分が、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように加熱されるような熱エネルギーの量を含むように実施され得る。従って、少なくとも1つの加熱手段を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することは、例えば、冷却媒体を加熱することと、選択された時間期間の間、冷却媒体回路内で加熱された冷却媒体を循環させることと、を備え得る。
【0065】
従って、少なくとも1つの加熱手段は、代替又は追加として、圧力容器の壁の外面において設けられた任意の冷却媒体回路における加熱された冷却媒体を備え得る。冷却媒体は、例えば、水を備え得るが、代替又は追加として、別の又は他のタイプの冷却媒体が用いられ得る。
【0066】
許容される/実現可能な冷却媒体の最大温度は、上述したように、任意のプレストレス手段のワイヤの材料の選択に依存し得る。加熱された冷却媒体の温度が高いほど、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中の水分量のある特定の(例えば、選択された又は所定の)閾値レベルを超えないように、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量を低減させるのに必要な時間が短くなり得る。
【0067】
圧力媒体は、1つ以上のガスを備え得る。例えば、上述したように、圧力媒体は、アルゴンガス等の不活性ガスを備え得る。1つ以上のゲッター材料又は精製剤が、プレス装置を使用した少なくとも1つの物品の処理中に、圧力媒体に曝露されるように、圧力容器内に配置され得る。1つ以上のゲッター材料精製剤は、圧力媒体から1つ以上の選択されたガスの粒子(例えば、分子)を捕捉又は除去するように構成され得る。1つ以上の選択されたガスは、例えば、水蒸気を備え得る。
【0068】
予熱-即ち、プレス装置を使用して少なくとも1つの物品の処理を実施する前に実施される、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の加熱-が、例えば、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中の水分量のある特定の閾値レベルを超えないことを確実にするためには、十分でないであろう場合、圧力容器内のゲッター材料の使用は、処理中にプレス装置において使用される圧力媒体中の任意の水蒸気の濃度が、ある特定の(例えば、選択された又は所定の)閾値濃度レベルを超えないことを確実にするのに有用であり得る。
【0069】
本願の文脈において、ゲッター材料とは、原則として、圧力容器内の気相から反応性ガス分子を物理的及び/又は化学的に捕捉及び除去することと、少なくともプレス装置を使用した少なくとも1つの物品の処理中でないときに、反応性ガス分子がゲッター材料から解離して気相(例えば、圧力媒体)に再結合することができないように、反応性ガス分子をゲッター材料に吸着又は化学結合した状態に維持することと、が可能である任意の形状(複数可)又は形態(複数可)における任意の材料(複数可)を意味する。本願の文脈において、反応性ガス分子は、プレス装置を使用した処理中に処理される物品上にコーティングを形成し得るガス分子であり得る。例えば、水蒸気等の酸素含有ガスは、物品上に酸化物を形成し得る。
【0070】
ゲッター材料(複数可)は、例えば、Tiチップ又はTi箔等の、Ti(チタン)、例えば、複数のTi元素又は粒子を備え得るか、又はそれよって構成され得る。Ti系ゲッター材料は、圧力容器内の気相から酸素含有ガスを除去するのに特に有用であり得る。しかしながら、他のゲッター材料(複数可)が、代替又は追加として使用され得る。
【0071】
圧力容器内のゲッター材料(複数可)は、例えば、圧力容器における構成要素のうちの1つ以上を、少なくとも部分的にゲッター材料(複数可)にすることによって設けられ得る。例えば、炉室の一部又は一部分、又は炉室に含まれる何らかの要素が、ゲッター材料(複数可)を備え得る。図を参照して以下で説明されるように、炉室は、処理される物品(複数可)を保持するように構成され得る積載バスケットを備え得る。積載バスケットは、全体的に又は部分的に、Ti等の1つ以上のゲッター材料で作製され得る。
【0072】
本発明の更なる目的及び利点が、例示的な実施形態によって、以下で説明される。本発明は、特許請求の範囲に記載される特徴の全ての可能な組合せに関連することに留意されたい。本発明の更なる特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲及び本明細書での説明を検討すると明らかになるであろう。当業者は、本発明の異なる特徴が、本明細書で説明される実施形態以外の実施形態を作り出すために組み合わされ得ることを理解する。
【0073】
本発明の例示的な実施形態が、添付の図面を参照して以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1図1は、異なるタイプの材料についての、処理が実施される圧力Pの関数としての、大気圧での圧力媒体中の水蒸気の割合Cの概略グラフである。
図2図2は、本発明の一実施形態による方法を例示する概略フローチャートである。
図3図3は、本発明の一実施形態による方法を例示する概略フローチャートである。
図4図4は、本発明の一実施形態による、プレス装置のための方法の一部を例示する概略フローチャートである。
図5図5は、本発明の一実施形態による、プレス装置のための方法の一部を例示する概略フローチャートである。
図6図6は、本発明の一実施形態による、プレス装置のための方法の一部を例示する概略フローチャートである。
図7図7は、本発明の一実施形態によるシステムの概略的な部分断面側面図である。
図8図8は、本発明の一実施形態によるシステムの概略的な部分断面側面図である。
図9図9は、本発明の一実施形態によるシステムの一部の概略的な部分断面側面図である。
図10図10は、本発明の一実施形態によるシステムの一部の概略的な部分断面側面図である。
図11図11は、本発明の一実施形態によるシステムの一部の概略的な部分断面側面図である。
図12図12は、本発明の一実施形態によるシステムの概略的な部分断面側面図である。
図13図13は、本発明の一実施形態によるシステムの概略的な部分断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
全ての図面は概略的であり、必ずしも縮尺通りではなく、一般に、本発明の実施形態を明らかにするために必要な部分のみを示しており、ここで、他の部分は省略され得るか又は単に示唆され得る。
【0076】
次に、本発明の例示的な実施形態が例示される添付の図面を参照して、本発明が以下で説明される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に記載される本発明の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきでなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が当業者に本発明の範囲を伝えるように、例として提供される。
【0077】
図2は、本発明の一実施形態による、プレス装置のための方法100を例示する概略フローチャートである。プレス装置は、プレス装置の使用中、その中に圧力媒体を保持するように配置された圧力容器を備える。圧力容器は、端部蓋を備える。圧力容器には、第1の端部蓋と、第2の端部蓋と、が含まれ得る。例えば、圧力容器が直立して(例えば、圧力容器の長さ方向が垂直方向に沿うように)配置される場合、第1の端部蓋及び第2の端部蓋は、上側又は上部端部蓋及び下側端部蓋と呼ばれ得る。プレス装置は、断熱ケーシングを備え、これは、圧力容器内に配置されている。断熱ケーシングは、炉室を少なくとも部分的に取り囲み、断熱ケーシングは、圧力媒体が炉室に出入りし得るように配置されている。断熱ケーシングは、炉室を少なくとも部分的に取り囲む断熱部分と、断熱部分を少なくとも部分的に取り囲むハウジングと、を備える。少なくとも1つの物品を収容するように配置された処理領域が、炉室によって少なくとも部分的に画定される。プレス装置は、少なくとも1つの物品を処理にかけるように構成されている。断熱ケーシングは、少なくとも1つの圧力媒体誘導路を備え、これは、ハウジングの少なくとも一部分と、断熱部分の少なくとも一部分との間に形成されている。少なくとも1つの圧力媒体誘導路は、プレス装置の使用中、少なくとも1つの圧力媒体誘導路から出た圧力媒体が、圧力容器の壁の内面に近接して誘導され得るように、炉室から出た圧力媒体を、端部蓋に向かって誘導するように配置されている。
【0078】
方法100は、101において、プレス装置を使用して少なくとも1つの物品の処理を実施する前に、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように、少なくとも1つの加熱手段を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することを備える。
【0079】
断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することによって、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する水分が、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の1つ以上の表面から放出され得る。場合によっては、方法100は、103において、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することに後続して、断熱ケーシングから又は圧力容器から、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する水分の放出から生じるガスを引き出すことを備え得る。断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することは、断熱ケーシングから又は圧力容器からの、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する水分の放出から生じるガスの引き出し中に、実施され続けることも、実施され続けないこともあり得る。断熱ケーシング又は圧力容器から、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する水分の放出から生じるガスを引き出すことは、例えば、プレス装置を使用して、処理サイクルの1つ以上の真空段階を行うことによって実施され得る。
【0080】
102において、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することに後続して、プレス装置を使用して少なくとも1つの物品の処理が実施される。処理は、例えば、少なくとも1つの物品が比較的高い圧力及び比較的高い温度にさらされ得る、所謂高圧熱処理段階を備え得るか、又はそれによって構成され得る。
【0081】
ステップ103は、原則としてオプションであり、省略され得、これは、図2中の103によって示される要素を形成する破線によって示されている。従って、本方法100では、ステップ101の直後にステップ102が続き、ステップ103は、省略され得る。
【0082】
図2中のステップ101でのように、少なくとも1つの加熱手段を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することは、例えば、図3に例示されるように、いくつかの方法で実施又は実現され得る。
【0083】
図3は、本発明の一実施形態による、プレス装置のための方法200を例示する概略フローチャートである。方法200は、ステップ101、102及び103を備え、ここで、ステップ102及び103は、それぞれ、図2に例示されるステップ102及び103と同じ又は同様である。図2に例示されるステップ103と同様に、図3に例示されるステップ103は、オプションであり、省略され得る。
【0084】
図3に例示される101において、プレス装置を使用して少なくとも1つの物品の処理を実施する前に、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分が、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように、少なくとも1つの加熱手段を使用して加熱される。図3に例示される本発明の実施形態によれば、ステップ101は、104において、少なくとも1つの発熱体の選択された出力において、且つ選択された時間期間の間、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱するために、選択された出力において熱を発生させるように動作可能な少なくとも1つの発熱体を使用することを備える。少なくとも1つの発熱体の出力及び時間期間は、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように選択される。
【0085】
少なくとも1つの発熱体は、例えば、断熱ケーシング内に配置され得る。プレス装置は、圧力媒体流発生器を備え得、これは、炉室及び少なくとも1つの圧力媒体誘導路において圧力媒体の流れを発生させるように構成され得る。圧力媒体流発生器は、例えば、1つ以上のファン及び/又はエジェクタを備え得るか、又はそれらによって構成され得る。例えば、少なくとも1つの発熱体が断熱ケーシング内に配置される場合、図3中のステップ101に含まれる、追加のステップ105を実施することが特に有益であり得る。105において、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱するために、少なくとも1つの発熱体を使用するのと同時並行に及び/又はその後に、圧力媒体流発生器は、炉室及び少なくとも1つの圧力媒体誘導路において圧力媒体の流れを発生させるように動作される。断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱するために、少なくとも1つの発熱体を使用するのと同時並行に又はその後に、炉室及び少なくとも1つの圧力媒体誘導路において圧力媒体の流れを発生させるように、圧力媒体流発生器を動作させることによって、処理にかけられる少なくとも1つの物品もまた、加熱及び乾燥され得る。少なくとも1つの物品に加えて、圧力容器内の他の構成要素もまた、加熱及び乾燥され得る。また、105における動作は、少なくとも1つの発熱体によって発生された熱が、加熱された圧力媒体が断熱ケーシングの少なくとも1つの圧力媒体誘導路を通って流れるにつれて、断熱ケーシングを通る加熱された圧力媒体を介して輸送され得るので、多数の発熱体を必要とすることなく、断熱ケーシングの比較的大きな一部又は一部分の加熱を容易にし得るか、又は可能にし得る。しかしながら、ステップ105は、オプションであり、省略され得ることが理解されるべきであり、これは、図3中の105によって示される要素を形成する破線によって示されている。従って、本方法200では、ステップ101は、ステップ105を省略して、ステップ104のみを備え得る。その場合、ステップ104の直後にステップ103が続くか、又はステップ102が続く(ステップ103は、オプションであり、省略され得るため)。
【0086】
上述したように、少なくとも1つの発熱体は、例えば、断熱ケーシング内に配置され得る。しかしながら、少なくとも1つの発熱体の異なる位置が可能である。少なくとも1つの発熱体は、必ずしも断熱ケーシング内に配置されなくてもよく、又は、場合によっては、圧力容器内にさえも配置されなくてもよい。例えば、断熱ケーシングは、断熱ケーシングが圧力容器から少なくとも一時的に取り外され得るように、圧力容器内に取り外し可能に配置され得る。例えば、断熱ケーシングは、プレス装置を使用して物品(複数可)の処理を実施する前に、炉室内に物品(複数可)を置く若しくは交換するために、又は、プレス装置を使用して物品(複数可)の処理を完了した後に、炉室から物品(複数可)を取り出すために、圧力容器から取り外され得る。断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することは、断熱ケーシングが圧力容器から取り外されている間に実施され得る。
【0087】
断熱ケーシングが圧力容器から少なくとも一時的に取り外され得るように、断熱ケーシングが圧力容器内に取り外し可能に配置され、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することが、断熱ケーシングが圧力容器から取り外されている間に実施される場合が、図4に例示されている。
【0088】
図4は、本発明の一実施形態による、プレス装置のための方法の一部を例示する概略フローチャートである。図4は、少なくとも1つの発熱体を使用した、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の加熱を実施することが、どのように実施又は実現され得るかの例示的な方法を例示する。従って、図4は、図3中のステップ104がどのように実施又は実現され得るかの例示的な方法を例示する。従って、図4に例示される方法の例示された部分は、ステップ104を備え、このステップにおいて、選択された出力において熱を発生させるように動作可能な少なくとも1つの発熱体は、少なくとも1つの発熱体の選択された出力において、且つ選択された時間期間の間、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱するために使用される。
【0089】
図4に例示される本発明の実施形態によれば、ステップ104は、106において、圧力容器から断熱ケーシングを取り外すことを備える。
【0090】
場合によっては、107において、圧力容器から断熱ケーシングを取り外すことに後続して、断熱ケーシングは、断熱ケーシングを収容するように配置されたコンテナ内に置かれ得る。少なくとも1つの発熱体は、断熱ケーシングがコンテナ内に置かれたきに、少なくとも1つの発熱体が、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱するために使用され得るように、コンテナ内又はコンテナ上に配置され得る。
【0091】
108において、少なくとも1つの発熱体を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することは、断熱ケーシングが圧力容器から取り外されている間に実施される。
【0092】
ステップ107は、オプションであり、省略され得、これは、図4中の107によって示される要素を形成する破線によって示されている。即ち、断熱ケーシングは、圧力容器から取り外され得るが、必ずしもコンテナ内に置かれなくてもよい。例えば、断熱ケーシングは、圧力容器から取り外されたことに後続して、床又は何らかの他の支持面上に置かれ得る。従って、図4では、ステップ106の直後にステップ108が続き、ステップ107は、省略され得る。
【0093】
ステップ107が含まれる場合、108において、断熱ケーシングが圧力容器から取り外されている間に、少なくとも1つの発熱体を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することは、断熱ケーシングがコンテナ内に置かれている間に実施され得る。従って、ステップ108は、109において、断熱ケーシングがコンテナ内に置かれている間に、少なくとも1つの発熱体を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の加熱を実施することを備え得る。ステップ109は、オプションであり、省略され得、これは、図4中の109によって示される要素を形成する破線によって示されている。
【0094】
110において、108での少なくとも1つの発熱体を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の加熱を実施することに後続して、断熱ケーシングは、圧力容器内に配置される。
【0095】
ステップ107が含まれる場合、ステップ110は、111において、コンテナから断熱ケーシングを取り出すことによって先行され得る。ステップ107が含まれない場合、ステップ111は、省略され得、ステップ108は、ステップ111を間に挟まずに、直後にステップ110が続き得る。従って、ステップ111は、オプションであり、省略され得、これは、図4中の111によって示される要素を形成する破線によって示されている。
【0096】
図3及びそれに関する説明によれば、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することは、少なくとも1つの発熱体を使用して実施されるが、異なる実施又は実現が企図され、これは、少なくとも1つの発熱体の使用の代替又は追加として適用され得ることを理解されたい。2つの例が、図5及び図6に例示されており、これらの各々は、上述したような少なくとも1つの発熱体の使用の代替又は追加として適用され得る。図5及び図6に例示される例は、上述したような少なくとも1つの発熱体の使用の代替又は追加として、組み合わせて使用され得る。
【0097】
図5は、本発明の一実施形態による、プレス装置のための方法の一部を例示する概略フローチャートである。図5は、少なくとも1つの加熱手段を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することが、どのように実施又は実現され得るかの例示的な方法を例示する。従って、図5は、図2中のステップ101がどのように実施又は実現され得るかの例示的な方法を例示する。
【0098】
上述したように、プレス装置は、圧力媒体流発生器を備え得、これは、炉室及び少なくとも1つの圧力媒体誘導路において圧力媒体の流れを発生させるように構成され得る。112において、加熱された圧力媒体が、圧力容器内に導入される。113において、圧力媒体流発生器は、選択された時間期間の間、炉室及び少なくとも1つの圧力媒体誘導路において、加熱された圧力媒体の流れを発生させるように動作される。加熱された圧力媒体は、炉室及び少なくとも1つの圧力媒体誘導路における加熱された圧力媒体の通過中、且つ選択された時間期間の間の、加熱された圧力媒体から断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分への熱エネルギーの伝達によって、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分が、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように加熱されるような熱エネルギーの量を含み得る。加熱された圧力媒体は、例えば、プレス装置を使用した処理の前の機会中にプレス装置において使用された圧力媒体(この使用は、圧力媒体の比較的高い温度をもたらしているものであり得る)を備え得るか、又はそれによって構成され得、これは、圧力容器内への導入前に加熱されたものであり得る。圧力媒体のこのような再利用は、全体的な圧力媒体消費を低減するのに役立ち得る。プレス装置を使用した処理の前の機会中にプレス装置において使用された圧力媒体は、何らかの中間の又は一時的な圧力媒体貯蔵器(例えば、コンテナ、容器、又はリザーバ)に(一時的に(momentarily))貯蔵され得る。代替又は追加として、加熱された圧力媒体は、圧力容器に流体接続され得るか又は流体接続可能であり得る何らかの圧力媒体貯蔵器(例えば、コンテナ、容器、又はリザーバ)内の圧力媒体を備え得、この圧力媒体は、圧力容器内に導入される前に加熱され得る。圧力媒体の加熱は、圧力媒体が圧力媒体貯蔵器内にある間、又は圧力媒体が圧力媒体貯蔵器から圧力容器に誘導される間、例えば、圧力媒体貯蔵器と圧力容器とを流体接続している圧力媒体通路(例えば、配管)内又は圧力媒体通路上に配置された熱交換器(複数可)及び/又はヒータ(複数可)によって実施され得る。
【0099】
図6は、本発明の一実施形態による、プレス装置のための方法の一部を例示する概略フローチャートである。図6は、少なくとも1つの加熱手段を使用した、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分の加熱が、どのように実施又は実現され得るかの例示的な方法を例示する。従って、図6は、図2中のステップ101がどのように実施又は実現され得るかの例示的な方法を例示する。
【0100】
圧力容器の壁の外面には、冷却媒体回路が設けられ得、これは、外面の少なくとも一部分に沿って延在し得る。冷却媒体回路は、冷却媒体をその中で循環させるように構成され得る。114において、冷却媒体が加熱される。115において、加熱された冷却媒体は、選択された時間期間の間、冷却媒体回路内で循環される。114における冷却媒体を加熱することは、加熱された冷却媒体が、選択された時間期間の間、冷却媒体回路内での加熱された冷却媒体の循環中の、加熱された冷却媒体から圧力容器の壁への熱エネルギーの伝達であって、それによって、熱エネルギーが圧力容器の内部に伝達される熱エネルギーの伝達によって、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分が、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように加熱されるような熱エネルギーの量を含むように実施され得る。冷却媒体を加熱することは、例えば、冷却媒体の温度が、(約)40℃~(約)150℃、又は(約)40℃~(約)120℃の範囲内にあるように実施され得る。ステップ114及び115は、ステップ112及び113、並びに/又は本明細書に開示されるような図2中のステップ101を実施又は実現するためのその他任意のステップ(複数可)に加えて実施され得ることを理解されたい。ステップ114及び115が、本明細書に開示されるような図2中のステップ101を実施又は実現するためのその他任意のステップ(複数可)に加えて実施される場合、冷却媒体を加熱することは、例えば、冷却媒体の温度が、(約)40℃~(約)60℃、又は(約)40℃~(約)50℃の範囲内にあるように、比較的緩やかであり得る。冷却媒体を加熱することは、例えば、浸漬ヒータ及びポンプ(例えば、冷却媒体回路内で冷却媒体を循環させるように構成されたポンプ)によって実施され得る。冷却媒体が加熱された場合、冷却媒体の温度が高すぎることによって、冷却段階が悪影響を受けないためには、処理サイクルの任意の冷却段階を実施する前に、冷却媒体の温度が十分に低減されていることを確実にすべきである。
【0101】
図7は、本発明の一実施形態によるシステムの概略的な部分断面側面図である。システムは、プレス装置90と、加熱手段41と、を備え、これらは、以下で更に説明される。システム-これは、以下で参照番号41及び90によって集合的に参照される-は、図7に例示されていない追加の部品、構成要素又は要素を備え得ることを理解されたい。
【0102】
プレス装置90は、プレスによる、例えば、熱間等方圧加圧(HIP)等の等方圧加圧による、少なくとも1つの物品の処理のために配置されている。プレス装置90は、圧力容器を備え、圧力容器は、圧力シリンダ1と、上部端部蓋8及び底部端部蓋9、又はより一般的には、(例えば、圧力容器が垂直方向に沿って配置されていない場合は)それぞれ、第1の端部蓋及び第2の端部蓋と、を備える。以下では、端部蓋8、9は、それぞれ、上部(又は上側)端部蓋及び底部端部蓋と呼ばれ得るが、このような説明は、開示される実施形態を、例えば、垂直方向に関連した、圧力容器のある特定の配向に限定しないことを理解されたい。むしろ、圧力容器は、例えば、垂直方向に沿って配置され得るか(これは、垂直に配向された圧力容器と呼ばれ得る)、又は水平方向に沿って配置され得(これは、水平に配向された圧力容器と呼ばれ得る)、以下では、たとえ端部蓋8、9が、それぞれ、上部端部蓋及び底部端部蓋と呼ばれ得るとしても、「上部」及び「底部」という用語は、例えば、垂直方向に関連して、圧力容器の配向を決して制限しないことを理解されたい。圧力容器-これは、以下で参照番号1、8及び9によって集合的に参照される-は、図7に例示されていない追加の部品、構成要素又は要素を備え得ることを理解されたい。圧力容器1、8、9は、プレス装置90の使用中にその中に圧力媒体を保持するように配置される。
【0103】
圧力容器1、8、9は、炉室18を備える。炉室18は、圧力媒体が炉室18に出入りし得るように、圧力容器1、8、9内に配置されている。炉室18は、例えば、処理サイクルの加熱段階及び/又はプレス段階中に、圧力容器1、8、9内の圧力媒体を加熱するための炉、即ち、ヒータ又は発熱体を備え得る。炉は、参照番号14によって、図7に概略的に示される。炉14の部分は、図7中に参照番号14によって示される2つの同一の要素として例示されている。しかしながら、炉14は、原則として、任意の数の部分で提供され得、図7に例示されるような2つの部分だけでなく、2つ未満又は3つ以上の部分で提供され得ることを理解されたい。図7に例示される本発明の実施形態によれば、炉14は、炉室18の下部に配置されている。炉室18に関連した、例えば、炉室18内の、炉14の異なる構成及び配置が可能であることを理解されたい。例えば、図7に例示される炉14の配置の代替又は追加として、炉14は、例えば、図7に示される圧力媒体誘導路32内、及び/又は、図7中で4及び19とラベル付けされた構成要素(以下で更に説明される、それぞれ、底部断熱部分及び積載区画)の間にある圧力媒体誘導路内等の、炉室18の上部に配置され得る。
【0104】
炉室18に関連した、例えば、炉室18内の、その配置に関する炉14の任意の実装形態は、本明細書で開示される本発明の実施形態のうちの任意の1つにおいて使用され得る。本願の文脈において、「炉」という用語は、加熱を提供する要素又は手段を指し、一方、「炉室」という用語は、その中に、炉、そして場合によっては、積載区画及び任意の物品が位置するエリア又は領域を指す。図7に例示されるように、炉室18は、圧力容器1、8、9の内部空間全体を占有しない場合があり、炉室18の周りに圧力容器1、8、9の内部の中間空間10を残し得る。中間空間10は、圧力媒体誘導路10を形成する。プレス装置90の動作中、中間空間10内の温度は、炉室18内の温度よりも低くなり得るが、中間空間10と炉室18は、等しい又は実質的に等しい圧力にあり得る。
【0105】
プレス装置90は、圧力容器1、8、9内に配置された断熱ケーシングを備える。以下で参照番号2及び7によって集合的に参照される断熱ケーシングは、圧力媒体が炉室18に出入りし得るように配置されている。図7に例示される本発明の実施形態によれば、断熱ケーシング2、7は、炉室18を部分的に取り囲む断熱部分7と、断熱部分7を部分的に取り囲むハウジング2と、を備える。断熱部分7は、代替として、断熱層と呼ばれ得る。断熱ケーシング2、7は、代替として、炉マントルと呼ばれ得る。断熱ケーシング2、7は、底部断熱部分4を更に備え得る。底部断熱部分4は、代替として、炉の基部と呼ばれ得る。しかしながら、底部断熱部分4は、場合によっては、断熱ケーシング2、7の一部とみなされないことがある。例えば、断熱部分7及びハウジング2は、場合によっては、集合体又はユニットとして、それらが圧力容器1、8、9から少なくとも一時的に取り外され得るように、圧力容器1、8、9内に取り外し可能に配置され得、一方、底部断熱部分4は、圧力容器1、8、9内に取り外し可能に配置されない場合がある。しかしながら、底部断熱部分4は、圧力容器1、8、9内に取り外し可能に配置され得る。底部断熱部分4が、圧力容器1、8、9内に取り外し可能に配置されず、断熱部分7及びハウジング2が、圧力容器1、8、9内に取り外し可能に配置されている場合、底部断熱部分4は、断熱ケーシング2、7の一部とみなされない場合がある。さもなければ、底部断熱部分4は、断熱ケーシング2、7の一部と見なされ得る。しかしながら、断熱部分7、ハウジング2及び底部断熱部分4の各々又はいずれかは、圧力容器1、8、9内に、別個に取り外し可能に配置され得る。従って、断熱部分7、ハウジング2及び底部断熱部分4の全てが、集合体又はユニットとして、圧力容器1、8、9内に取り外し可能に配置される必要はない。
【0106】
図7及び他の図に例示される断熱ケーシング2、7の実現又は実装形態は、一例によるものであり、断熱ケーシングの他の実現又は実装形態が可能であることを理解されたい。
【0107】
一例によれば、断熱ケーシング2、7は、外層と、中間層(又はいくつかの中間層)と、内層と、を有する層状構造(図7には図示せず)を備え得、中間層が、外層と内層との間に配置され、断熱材が、中間層と内層との間に配置されている。外層は、ハウジング2によって構成され得、内層は、断熱部分7の内面を画定し得、中間層は、断熱部分7の外面を画定し得る。断熱材は、例えば、中間層と内層との間に挟まれ得る。外層、中間層及び内層の各々又はいずれかは、例えば、鋼若しくは鋼系材料、モリブデン若しくはモリブデン系材料、及び/又は、例えば、グラファイト等の、炭素若しくは炭素系材料で作製され得る。一例によれば、外層及び中間層は、鋼で作製され得、内層は、モリブデンで作製され得る。断熱材は、例えば、サフィル、MAFTECの多結晶質アルミナ繊維材料、スーパーウール等の1つ以上のセラミック繊維材料、及び/若しくは1つ以上の他のタイプのセラミック材料、又はこれらの任意の組合せで構成され得るか、又はそれらを備え得る。外層と中間層との間、及び/又は中間層と内層との間には、層を互いに離間させるための、例えば、所謂山形鋼を備えるスペーサが設けられ得る。中間層には、例えば、圧力媒体の通過を可能にする、1つ以上の穴又は開口部が設けられ得る。
【0108】
圧力容器1、8、9は、その中に処理領域を含む。処理領域は、例えば、炉室18によって少なくとも部分的に画定され得る。例えば、処理領域は、炉室18の内部によって備えられ得るか、又はそれによって構成され得る。処理領域は、その中に物品5(又は、場合によっては、いくつかの物品)を収容するように配置されている。図7に例示される本発明の実施形態によれば、炉室18に含まれる積載区画19は、その中に物品5を収容するように配置されている。図7に例示される実施形態によれば、積載区画19は、積載バスケットの内部によって画定又は形成され得る。従って、積載区画19は、物品(複数可)5を保持するように構成された積載バスケットによって画定され得る。積載バスケットは、底部断熱部分4上に固定して配置され得るか、又は底部断熱部分4上に解放可能に配置され得る(即ち、これにより、それは、底部断熱部分4上に配置され、これに後続して、底部断熱部分4から(比較的容易に)取り外され得る)。処理領域は、積載区画19の内部によって備えられ得るか、又はそれによって構成され得る。プレス装置90は、物品5を処理にかけるように構成されている。
【0109】
断熱ケーシング2、7の要素の全てが、断熱される又は断熱であるように配置され得るわけではないことを理解されたい。例えば、ハウジング2は、必ずしも断熱される又は断熱であるよう配置されなくてもよい。炉室18を取り囲む断熱ケーシング2、7は、プレス装置90が、少なくとも1つの物品5をそれにかけるように構成され得る処理サイクルの加熱段階中に、エネルギーを節約する可能性が高い。断熱ケーシング2、7はまた、より整然とした形で対流が起こることを容易にし得るか、又は保証し得る。本発明の例示される実施形態における炉室18の垂直に細長い形状により、断熱ケーシング2、7は、監視及び制御が困難であり得る、水平温度勾配等の温度勾配の形成を防止し得る。
【0110】
図7中の圧力容器1、8、9内の矢印は、例えば、処理サイクルの冷却段階中等、例えば、プレス装置90を使用した物品(複数可)5の処理中の、プレス装置90の使用中の圧力容器1、8、9内の圧力媒体の例示的な流れを示す。
【0111】
断熱ケーシング2、7は、圧力媒体誘導路11を備え、これは、それぞれ、ハウジング2の部分と断熱部分7との間に形成されている。圧力媒体誘導路11は、プレス装置90の使用中、圧力媒体誘導路11から出た圧力媒体が、圧力容器1、8、9の壁(複数可)22の内面23に近接して誘導され得るように、炉室18から出た圧力媒体を、第1の端部蓋(例えば、上部端部蓋)8に向かって誘導するように配置されている。より具体的には、図7に例示される本発明の実施形態によれば、圧力媒体誘導路11は、炉室18を出た後の圧力媒体を、上部端部蓋8と炉室18との間の空間17に誘導するように配置されている。
【0112】
更に、図7に例示される本発明の実施形態によれば、圧力媒体誘導路11は、外側対流ループの一部を形成している。外側対流ループの別の部分は、炉室18の周囲に圧力容器1、8、9の内部の中間空間10を備え、これは、圧力媒体誘導路10と呼ばれ得る。圧力媒体誘導路10は、圧力媒体を、上部端部蓋8と炉室18との間の空間17から、圧力容器1、8、9の壁(複数可)22の内面23に近接して、底部断熱部分4と底部端部蓋9との間の空間16へ誘導するように配置されている。従って、圧力媒体誘導路10及び11は、炉室18と流体連通状態にあり、圧力容器1、8、9内の外側対流ループの少なくとも一部を形成するように配置されている。外側対流ループは、炉室18を出た後の圧力媒体を、圧力容器1、8、9の壁(複数可)22の内面23に近接して、炉室18と底部端部蓋9との間の空間16に誘導するように配置されている。図7に示されるように、圧力容器1、8、9の壁(複数可)22は、圧力容器1、8、9の外壁(複数可)であり得る。
【0113】
図7に示されるように、圧力媒体は、積載区画19をその上部から出て、これに後続して、積載区画19の壁と断熱部分7との間の圧力媒体誘導路32において誘導され得、その後、圧力媒体は、断熱部分7とハウジング2との間の開口部(複数可)6を通って圧力媒体誘導路11に入り得る。断熱部分7とハウジング2との間の開口部(複数可)6は、図7に例示されるように、底部断熱部分4の高さにあり得るか、又はほぼ底部断熱部分4の高さにあり得る。しかしながら、断熱部分7とハウジング2との間の開口部(複数可)6は、図7に例示されるものとは異なる位置にあり得ることを理解されたい。これは、図に例示される本発明の実施形態等の、本発明の開示される実施形態のいずれにも当てはまる。
【0114】
断熱部分7とハウジング2との間の開口部(複数可)を通って圧力媒体誘導路11に入る圧力媒体は、圧力媒体誘導路11において上部端部蓋8に向かって誘導され、そこで、それは、図7に例示されるように、ハウジング2における開口部、例えば、ハウジング2における中央開口部を通って、圧力媒体誘導路11及び断熱ケーシング2、7から出得る。
【0115】
上部端部蓋8の内面と圧力媒体誘導路10とによって部分的に画定された空間17によって画定される圧力媒体誘導路は、ハウジング2の開口部から出た圧力媒体を、上部端部蓋8に近接して、及び、圧力容器1、8、9の壁(複数可)22(例えば、図7に例示されるような、それぞれ、圧力シリンダ1の壁(複数可))の内面23に近接して、炉室18と底部端部蓋9との間の空間16に誘導するように配置されている。
【0116】
図7は、本発明の例示的な実施形態を示しており、例えば、圧力媒体が圧力容器1、8、9内でどのように誘導されるかに関して、変形例が可能であることを理解されたい。例えば、ハウジング2における開口部と断熱部分7の上部との間には、参照番号20によって示される、WO2018/171884A1における図に例示されるような熱吸収体等の、WO2018/171884A1に開示されるような熱吸収要素が設けられ得る。代替又は追加として、WO2019/149379A1における図に例示されるような、参照番号170によって示される熱交換要素等の、上部端部蓋8において配置された、WO2019/149379A1に開示されるような熱交換要素が設けられ得る。
【0117】
図7には明示されていないが、圧力容器1、8、9は、それが開閉され得るように配置され得、これにより、圧力容器1、8、9内の任意の物品が、圧力容器1、8、9内に挿入され得るか、又は圧力容器1、8、9から取り出され得、場合によっては、断熱ケーシング2、7(そして場合によっては、底部断熱部分4も)が、圧力容器1、8、9内に挿入され得るか、又は圧力容器1、8、9から取り外され得る。それが開閉され得るような圧力容器1、8、9の配置は、当該技術分野で知られているように、いくつかの異なる方法で実現され得る。図7には明示されていないが、上部端部蓋8及び底部端部蓋9の一方又は両方が、それ又はそれらが開閉され得るように配置され得、これにより、圧力容器1、8、9内の任意の物品が、圧力容器1、8、9内に挿入され得るか、又は圧力容器1、8、9から取り出され得、そして場合によっては、断熱ケーシング2、7(そして場合によっては、底部断熱部分4も)が、上部端部蓋8及び底部端部蓋9の一方又は両方を介して、圧力容器1、8、9内に挿入され得るか、又は圧力容器1、8、9から取り外され得る。従って、物品(複数可)は、上部端部蓋8及び底部端部蓋9の一方又は両方を介して、圧力容器1、8、9内に積載され、また、圧力容器1、8、9から取り出され得る。
【0118】
圧力容器1、8、9又はプレス装置90において使用される圧力媒体は、例えば、圧力容器1、8、9内で処理される物品(複数可)に対して比較的低い化学親和力を有し得る液体又は気体状の媒体を備え得るか、又はそれによって構成され得る。例えば、圧力媒体は、ガス、例えば、アルゴンガス等の不活性ガスを備え得る。
【0119】
圧力容器1、8、9の外壁の外面には、流路、導管又はチューブ、等(図7には図示せず)が設けられ得、これら、流路、導管又はチューブは、例えば、圧力容器1、8、9の外壁の外面と接続状態にあるように配置され得、且つ、これらは、圧力容器1、8、9の軸方向と平行に、又は圧力容器1、8、9の外壁の外面の周りをヘリカル状若しくは螺旋状に延びるように配置され得る。圧力容器1、8、9の壁を冷却するための冷却剤、又は冷却媒体が、流路、導管又はチューブ内に供給され得、これにより、圧力容器1、8、9の壁は、圧力容器1、8、9の動作中の有害な熱の蓄積から壁を保護するために冷却され得る。流路、導管又はチューブ内の冷却剤は、例えば、水を備え得るが、別の又は他のタイプの冷却剤も可能である。圧力容器1、8、9の外壁の外面上に設けられた流路、導管又はチューブ内の冷却剤の例示的な流れが、圧力容器1、8、9の外側の矢印によって図7に示されている。
【0120】
上述したように、圧力容器1の外壁の外面上、そして場合によっては、冷却剤用の任意の流路、導管及び/又はチューブ上、等には、プレストレス手段が設けられ得る。プレストレス手段(図7には図示せず)は、例えば、圧力シリンダ1の外壁の外面、そして場合によってはまた、その上に設けられ得る、冷却剤用の任意の流路、導管及び/又はチューブ、等の周りに、1つ以上の帯を、好ましくは数層において形成するように、複数回巻かれたワイヤ(例えば、鋼製)の形態で設けられ得る。プレストレス手段は、圧力シリンダ1に半径方向圧縮力を作用させるために配置され得る。
【0121】
上述したように、外側対流ループが、少なくとも圧力媒体誘導路10及び圧力媒体誘導路11によって形成され得る。外側対流ループの一部では、圧力媒体は、上部端部蓋8の内面と、圧力容器1、8、9又は圧力シリンダ1の壁(複数可)22の内面23とに近接して誘導される。上部端部蓋8の内面と、圧力容器1、8、9又は圧力シリンダ1の壁22の内面23とに近接して通過中の圧力媒体から伝達され得る熱エネルギーの量は、次のうちの少なくとも1つに依存し得る:圧力媒体の速度、上部端部蓋8の内面と、圧力容器1、8、9又は圧力シリンダ1の壁22の内面23との(直接的)接触を有する圧力媒体の量、圧力媒体と、上部端部蓋3の内面及び圧力容器1、8、9又は圧力シリンダ1の壁22の内面23との間の相対温度差、上部端部蓋8の厚さ及び圧力容器1、8、9又は圧力シリンダ1の壁22の厚さ、並びに、(圧力シリンダ1の外側の矢印によって図7に示される)圧力容器1、8、9又は圧力シリンダ1の壁22の外面上に設けられた流路、導管又はチューブ内の冷却剤の任意の流れの温度。
【0122】
圧力媒体誘導路10において炉室18に向かって戻るように誘導される圧力媒体は、炉室18-又は底部断熱部分4-と、底部端部蓋9との間の空間16に入る。炉室18は、圧力媒体が、空間16から炉室18に入り、また、炉室18から出て空間16内に入り得るように配置され得る。例えば、図7に例示される本発明の実施形態によれば、炉室18には、底部断熱部分4における開口部が設けられ得、圧力媒体が炉室18に流入(又は炉室18から流出)することを可能にする。更に、図7に例示される本発明の実施形態によれば、例えば、導管12を備える、圧力媒体誘導路12が、底部断熱部分4を通って延在するように配置され、圧力媒体誘導路又は導管12の下部(又は第1の)開口部は、底部断熱部分4より下(そして場合によっては、例示される実施形態のように、空間16内)にあり、圧力媒体誘導路又は導管12の上部(又は第2の)開口部は、底部断熱部分4の上面にある(そして場合によっては、例示される実施形態のように、積載区画19における開口部と位置合わせされている)。圧力媒体誘導路又は導管12の下部(又は第1の)開口部には、例えば、1つ以上の調整可能なスロットル又は弁等の調整可能な圧力媒体流量制限手段が設けられ得る。場合によっては、圧力媒体誘導路又は導管12の上部(又は第2の)開口部は、底部断熱部分4の上面から離れたところにあり得、場合によっては、炉室18又は積載区画19内にある。従って、圧力媒体誘導路又は導管12は、炉室18又は積載区画19(図7には例示せず)内に延在し得る。
【0123】
炉室18の圧力媒体誘導路32と、積載区画19と底部断熱部分4との間に形成された圧力媒体誘導路とは、部分的に内側対流ループを形成するように、積載区画19と流体連通状態にあり、ここで、内側対流ループ内の圧力媒体は、積載区画19を通り、炉室18の圧力媒体誘導路32と、積載区画19と底部断熱部分4との間に形成された圧力媒体誘導路と、を通って、積載区画19に戻るように誘導されるか、又はその逆も同様である。例えば、加熱段階中の、内側対流ループ内の圧力媒体流の方向は、炉室が、自然対流炉室であるか、又は強制対流炉室であるかに依存し得る。
【0124】
図7に例示される本発明の実施形態によれば、プレス装置90は、圧力媒体循環流発生器15を備え、これは、圧力容器1、8、9内の圧力媒体の循環を提供するように構成されており、ここで、圧力媒体の循環中、圧力媒体は、炉室18を通過する。圧力媒体循環流発生器15は、オプションであり、省略され得る。図7に例示される本発明の実施形態によれば、圧力媒体循環流発生器15は、炉室18内の圧力媒体の循環のためのファン15又は同様のもの(あるいは、いくつかのファン又は同様のもの)を備える。代替又は追加として、圧力媒体循環流発生器15は、例えば、1つ以上のエジェクタ等の、ファン以外の別の又は他のタイプの圧力媒体循環流発生器を備え得る。更に、図7に例示される本発明の実施形態によれば、圧力媒体循環流発生器15は、例えば、底部断熱部分4の上方の積載区画19における開口部において配置され得、この開口部は、圧力媒体が積載区画19に流入又はそこから流出することを可能にする。圧力媒体循環流発生器15は、少なくともその動作速度に関して制御可能であり得る。圧力媒体循環流発生器15の動作速度は、例えば、圧力媒体循環流発生器15が、1つ以上のファン、等を備えるか、又はそれによって構成される場合等は、圧力媒体循環流発生器15の毎分回転数(rpm)を備え得るが、圧力媒体循環流発生器15の特定の実装形態の性質に依存して、別の又は他のタイプの動作速度が企図される。圧力媒体循環流発生器15は、上述の内側対流ループ内の圧力媒体の流量を選択的に制御するように構成され得る。
【0125】
プレス装置90は、圧力容器1、8、9内に配置され且つ炉室18と流体連通状態にある圧力媒体流発生器13を備え得る。例えば、処理サイクルの冷却段階中、圧力媒体流発生器13は、処理領域における圧力媒体を冷却するために、少なくとも炉室18と底部端部蓋4との間の空間16から炉室18内への圧力媒体の輸送を発生させるように配置され得る。
【0126】
図7に例示される本発明の実施形態によれば、圧力媒体流発生器13は、エジェクタ装置(ejector arrangement)13を備え、これは、図7に概略的にのみ例示されている。図7に例示されるように、空間16に入る、圧力媒体誘導路10からの圧力媒体は、圧力媒体流発生器13に引き込まれ、これに後続して、この流れ発生器13から圧力媒体誘導路又は導管12内へと噴出され、これは、次いで、圧力媒体を炉室18に輸送し得る。圧力媒体流発生器13-例えば、エジェクタ装置13を備える-は、単段エジェクタ、又は多段エジェクタ(例えば、米国特許第10,458,711(B2)号の図3に例示されるような、参照番号51及び52によってそれぞれ示される一次エジェクタ及び二次エジェクタ等の2段エジェクタ)を備え得る。単段エジェクタとは、圧力媒体流発生器13又はエジェクタ装置13が、1つの流れ発生器又はエジェクタを備えることを意味する。多段エジェクタとは、圧力媒体流発生器13又はエジェクタ装置13が、複数の流れ発生器又はエジェクタを備えることを意味し、これらは、少なくとも1つの流れ発生器又はエジェクタからの出力が、別の流れ発生器又はエジェクタに入力されるように配置されている。複数の流れ発生器又はエジェクタは、例えば、直列に配置され得る。例えば、圧力媒体流発生器13又はエジェクタ装置13は、一次流れ発生器又はエジェクタと、二次流れ発生器又はエジェクタと、を備え得、ここで、一次流れ発生器又はエジェクタは、空間16に入った、圧力媒体誘導路10からの圧力媒体を、一次流れ発生器又はエジェクタ内へと引き込むように配置されている。一次流れ発生器又はエジェクタからの出力は、二次流れ発生器又はエジェクタに入力され得、二次流れ発生器又はエジェクタからの出力は、圧力媒体誘導路又は導管12内へと噴出され得る。代替又は追加として、圧力媒体流発生器13は、例えば、1つ以上のファン、ポンプ、又は同様のものを備え得、これらは、圧力媒体誘導路又は導管12内への圧力媒体の流れを生じさせるように配置され得る。圧力媒体流発生器13又はエジェクタ装置13は、推進媒体システム(propellant medium system)(図7には例示せず)、例えば、推進ガスシステムに接続され得、これは、圧力容器1、8、9の外側に配置され得る。圧力媒体流発生器13又はエジェクタ装置13は、例えば、底部端部蓋9(又は第2の端部蓋)を通って延在するパイプ又は同様のものを介して、推進媒体システムに接続され得る。例えば、圧力媒体流発生器13又はエジェクタ装置13の任意の一次流れ発生器又はエジェクタが、このような推進媒体システムに接続され得る。このような推進媒体システムからの媒体は、圧力媒体流発生器13又はエジェクタ装置13を部分的に駆動し得る。例えば、このような推進媒体システムからの媒体は、圧力媒体流発生器13又はエジェクタ装置13の任意の一次流れ発生器又はエジェクタを部分的に駆動し得る。
【0127】
上述したように、図7中の圧力容器1、8、9内の矢印は、例えば、処理サイクルの冷却段階中等、例えば、プレス装置90を使用した物品(複数可)5の処理中の、プレス装置90の使用中の圧力容器1、8、9内の圧力媒体の例示的な流れを示す。
【0128】
同じく上述したように、プレス装置90に加えて、システム41、90は、加熱手段41を備える。加熱手段41は、プレス装置90を使用して物品(複数可)5の処理を実施する前に使用される。プレス装置90を使用して物品(複数可)5の処理を実施する前に、圧力容器1、8、9内に圧力媒体の流れがない(例えば、図7中の圧力容器1、8、9内の矢印によって示されるような、圧力容器1、8、9内に圧力媒体の流れがない)場合があり、圧力媒体は、圧力容器1、8、9内にまだ導入されていない可能性さえある。
【0129】
加熱手段41は、プレス装置90を使用して物品(複数可)5の処理を実施する前に、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分を加熱するように構成されている。例えば、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分を加熱することによって、水及び/又は別の液体若しくは他の液体が、断熱ケーシング2、7の1つ以上の表面から放出、気化(例えば、蒸発)、及び/又は拡散され得る。次いで、結果として生じた気相の水(例えば、水蒸気)及び/又は他のガスは、例えば、1つ以上の真空ポンプ(図7には図示せず)によって実施され得る、処理サイクルの1つ以上の真空段階を行うことによって、例えば、断熱ケーシング2、7又は圧力容器1、8、9から、それ/それらを(例えば、能動的に)引き出すことによって、断熱ケーシング2、7から除去され得る。例えば、処理サイクルの加熱段階において、圧力媒体は、圧力媒体流発生器13の動作によって、場合によっては、圧力媒体循環流発生器15の動作と組み合わせて、圧力媒体誘導路11を通って誘導され得るか、又は押し進められ得る。
【0130】
図7に例示される本発明の実施形態によれば、加熱手段41は、断熱ケーシング2、7内に配置された発熱体41を備える。例えば、図7に例示されるように、発熱体41は、圧力媒体誘導路11内に配置され得る。発熱体41の一部のみが、図7において参照番号41によって示されている。図7中の発熱体の数は、例示的であり、発熱体の数は、図7に例示されているよりも少ないことも、多いこともあり得ることを理解されたい。発熱体41は、断熱ケーシング2、7の1つ以上の外面及び/又は内面を加熱するために使用され得る。代替又は追加として、発熱体41は、図7に例示されている以外の圧力容器内の他の位置に配置され得る。例えば、代替又は追加として、発熱体41は、圧力媒体誘導路32内に配置され得る。
【0131】
発熱体41は、選択された出力において熱を発生させるように動作可能であり得る。発熱体41は、発熱体41の選択された出力において、且つ選択された時間期間の間、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分を加熱するために使用され得る。発熱体41の出力及び時間期間は、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように選択され得る。発熱体41の出力は、炉室18内、圧力媒体誘導流路11内(例えば、発熱体41において)、上部端部蓋8とハウジング2との間の空間内、又は空間16内のある特定の温度が達成される(しかし、場合によっては、それを超えない)ように選択され得る。熱電対等の1つ以上の温度センサによって確認され得る、そのような温度(複数可)が達成されると、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分中の水分量のある特定の(例えば、選択された又は所定の)閾値レベルを決して超えないように、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分が十分に長く加熱されたと考えられ得る。従って、発熱体41は、圧力容器内の1つ以上の選択された領域において(例えば、圧力容器内の又は圧力容器の1つ以上の選択された構成要素において)ある特定の温度が達成されるように、発熱体41の選択された出力において、且つ選択された時間期間の間、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分を加熱するために使用され得、その後、発熱体41の動作は、停止又は中断され得る。
【0132】
追加又は代替として、加熱手段は、炉14を備え得ること、及び、発熱体41は、炉の一部であり得ることに留意されたい。代替又は追加として、発熱体41は、上述したように、例えば、圧力媒体誘導路32内に配置され得る。システム41、90は、場合によっては、追加の加熱手段を含み得、これは、必ずしも発熱体でなくてもよく、別のタイプのものであり得る。
【0133】
プレス装置90は、発熱体41を使用して、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分を加熱することに後続して、プレス装置90を使用して、物品(複数可)5の処理を実施するように構成されている。
【0134】
断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が、(例えば、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分中の水分量のある特定の閾値レベルを超えないように)低減されること、及び/又は、処理中にプレス装置90において使用される圧力媒体中の任意の水蒸気の濃度が、ある特定の(例えば、選択された又は所定の)閾値濃度レベルを超えないことを確実にするために、水分センサ及び/又は酸素センサが使用され得る。
【0135】
水分センサ及び/又は酸素センサ(及び/又はその他任意の適切なタイプのセンサ)は、処理中に圧力容器1、8、9内で使用される圧力媒体中の水分量を直接的又は間接的に感知するように構成され得る。水分センサ及び/又は酸素センサ(及び/又はその他任意の適切なタイプのセンサ)は、水分量がそれから導出されるか又は導出可能である何らかの数量/複数の数量を感知することによって、間接的に水分量を感知するように構成され得る。
【0136】
水分センサ及び/又は酸素センサ(及び/又はその他任意の適切なタイプのセンサ)は、例えば、処理中に断熱ケーシング2、7内(例えば、炉室18内、積載区画19内、又は断熱部分7の内部)の圧力媒体中の水分量を直接的又は間接的に感知するように構成され得る。これは、処理中の断熱ケーシング2、7内の圧力媒体中の任意の水蒸気の濃度が、ある特定の閾値濃度レベルを超えないことを確実にすることを可能にするか、又は容易にする。
【0137】
図7に例示される本発明の実施形態によれば、図7中で35において概略的に示される、水分センサ及び/又は酸素センサ(及び/又はその他任意の適切なタイプのセンサ)は、炉室18内に配置され得る。しかしながら、水分センサ及び/又は酸素センサ35は、代替又は追加として、例えば、図7に例示される以外の炉室18内の他の場所、又は断熱ケーシング2、7内の他の場所(例えば、積載区画19内、圧力媒体誘導路11内、及び/又は断熱ケーシング2、7の断熱部分7の内部)、又は圧力容器1、8、9内の他の場所に配置され得ることを理解されたい。本明細書で説明される水分センサ及び/又は酸素センサ35(及び/又はその他任意の適切なタイプのセンサ)の位置は、センサが水分及び/又は酸素(及び/又は別の物質)を感知する位置に関連し、これは、測定位置と呼ばれ得ることを理解されたい。センサの部品(例えば、回路、配線、等)は、他の位置に、場合によっては、圧力容器1、8、9の外側に配置され得る。
【0138】
図7に例示されるもの等の水分センサ及び/又は酸素センサは、本明細書に開示される本発明の実施形態のいずれにも含まれ得る。
【0139】
圧力媒体分流デバイス(図7には図示せず)が設けられ得、これは、圧力媒体の一部分を、例えば、断熱ケーシング2、7内(例えば、炉室18内)の空間から、圧力容器1、8、9の外側に配置され得る圧力媒体分析デバイスに分流するように構成され得る。圧力媒体分析デバイス(図7には図示せず)は、例えば、圧力媒体分流デバイスによって分流された圧力媒体の組成(例えば、化学組成)を分析するためのデバイスを備え得る。圧力媒体分析デバイスはまた、水分センサ及び/又は酸素センサ35の機能も提供し得、その場合、図7に例示される水分センサ及び/又は酸素センサ35は、省略され得る。圧力媒体分流デバイスは、例えば、圧力媒体分析デバイスに結合された1つ以上の圧力媒体誘導路又は導管を備え得、例えば、炉室18内から圧力媒体分析デバイスへ圧力媒体の一部分を分流させることを可能にするために、端部蓋9、底部断熱部分4を通って、炉室18内へと延在するように配置され得る。
【0140】
図8は、本発明の一実施形態によるシステム41、90の概略的な部分断面側面図である。システム41、90は、プレス装置90と、加熱手段41と、を備える。図8に例示されるシステム41、90は、図7に例示されたシステム41、90と同様であり、図7及び図8中の同じ参照番号は、同じ又は同様の機能を有する、同じ又は同様の構成要素を示す。図7に例示されたシステム41、90と比較すると、図8に例示されるシステム41、90では、発熱体41が、断熱ケーシング2、7内の異なる位置に配置されている。発熱体41の一部のみが、図8において参照番号41によって示されている。図8中の発熱体の数は、例示的であり、発熱体の数は、図8に例示されているよりも少ないことも、多いこともあり得ることを理解されたい。図8に例示されるように、発熱体41は、断熱部分7の内部に配置されており、断熱部分7を構成する材料(複数可)内に配置され得る(例えば、埋め込まれ得る)。断熱部分7を構成する材料(複数可)は、例えば、サフィル、MAFTECの多結晶質アルミナ繊維材料、スーパーウール等の1つ以上のセラミック繊維材料、及び/若しくは1つ以上の他のタイプのセラミック材料、又はこれらの任意の組合せを備え得るか、又はそれによって構成され得る(これはまた、図7に例示された断熱部分7にも当てはまる)。代替又は追加として、断熱部分7を構成する材料(複数可)は、例えば、1つ以上のグラファイトブランケット等の、1つ以上のグラファイト系要素を備え得る。発熱体41は、例えば、断熱部分7を構成する材料(複数可)の少なくとも一部又は一部分を加熱するために使用され得る。システム41、90は、場合によっては、図7に例示されるような、圧力媒体誘導路11内に配置され得る発熱体等の追加の加熱手段、及び/又は、必ずしも発熱体でなくてもよく、別のタイプのものであり得る加熱手段を含み得る。
【0141】
図7及び図8を参照すると、各又は任意の発熱体41は、例えば、1つ以上のワイヤ及び/又はリボンの形態における、例えば、1つ以上の金属製の抵抗発熱体を備え得る。1つ以上の温度センサ(例えば、1つ以上の熱電対)が、断熱部分7又は発熱体(複数可)を構成する材料(複数可)が、発熱体(複数可)の動作によって、断熱部分7又は発熱体(複数可)を構成する材料(複数可)がそれにさらされることが許容される任意の最大許容温度を超える温度にさらされないことを確実にするために、各又は任意の発熱体41において設けられ得る。
【0142】
図4を参照して上述したように、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分を加熱することは、断熱ケーシング2、7が圧力容器1、8、9から取り外されている間に実施され得る。開示される実施形態のいずれかを参照すると、断熱ケーシングは、断熱ケーシングが圧力容器から少なくとも一時的に取り外され得るように、圧力容器内に取り外し可能に配置され得る。これは、-断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱すること以外では-例えば、プレス装置を使用して物品(複数可)の処理を実施する前に、炉室内に物品(複数可)を配置若しくは交換するために、又はプレス装置を使用した物品(複数可)の処理の完了後に、炉室から物品(複数可)を取り出すために行われ得る。断熱ケーシングが圧力容器から取り外されるとき、又は圧力容器から取り外されるたびに、断熱ケーシングは、断熱ケーシングを収容するように配置されたコンテナ内に置かれ得る。コンテナは、断熱ケーシングが圧力容器から取り出された後に、断熱ケーシングを支持するように配置された支持構造を備え得るか、又はそれによって構成され得る。このようなコンテナを用いる本発明の実施形態が、図9図10及び図11を参照して以下に説明され、その各々は、プレス装置の加熱手段及び断熱ケーシングを含む、本発明の一実施形態によるシステムの一部の概略的な部分断面側面図である。
【0143】
図9は、図7を参照して説明され、図7に例示されたような、断熱ケーシング2、7を例示し、ここで、発熱体41を備える加熱手段は、断熱ケーシング2、7内に配置されている。より具体的には、図7及び図9に例示される本発明の実施形態によれば、発熱体41は、断熱部分7の外面において、圧力媒体誘導路11内に配置されている。代替又は追加として、発熱体は、例えば、断熱部分7の内面において配置され得る。図7中で参照番号によって示されている構成要素の全てが、図9中で参照番号によって示されているわけではないことを理解されたい。
【0144】
図9は、断熱ケーシング2、7がプレス装置の圧力容器から取り外されて、断熱ケーシング2、7を収容するように配置されたコンテナ50内に置かれた状況を例示する。コンテナ50は、図9に示されるように、いくつかの相互接続された部品を備え得るか、又は単一のピース又は部品によって構成され得る。
【0145】
図9に例示されるように、断熱ケーシング2、7の断熱部分7によって部分的に取り囲まれ、且つ炉14及び積載区画19を含む炉室18、並びに圧力媒体循環流発生器15もまた、圧力容器内に取り外し可能に配置され得、これにより、これらの構成要素もまた、圧力容器から少なくとも一時的に取り外され得る。しかしながら、場合によっては、断熱ケーシング2、7のみが、圧力容器内に取り外し可能に配置され得、これにより、断熱ケーシング2、7のみが、圧力容器から少なくとも一時的に取り外され得、図9には例示されているが、炉室18、炉14、積載区画19、及び圧力媒体循環流発生器15は、取り外せない場合がある。断熱ケーシング2、7に加えて、底部断熱部分4、そして場合によっては、流れ発生器13及び圧力媒体誘導路又は導管12(図9には図示せず;図7及び図8を参照)もまた、圧力容器内に取り外し可能に配置され得、これにより、これらの構成要素もまた、圧力容器から少なくとも一時的に取り外され得る。
【0146】
従って、図9は、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分を加熱することが、断熱ケーシング2、7が圧力容器1、8、9から取り外されている間に、例えば、断熱ケーシング2、7が、図9に例示されるコンテナ50内に置かれているときに、実施され得る一例を例示する。図9に例示される本発明の実施形態によれば、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分を加熱することは、図7を参照して上述したように、断熱ケーシング2、7内に配置された発熱体41を備える加熱手段を使用して実施され得る。発熱体41は、場合によっては、炉の一部であり得る。従って、炉室18の既存の炉は、場合によっては、予熱-即ち、プレス装置を使用して物品(複数可)の処理を実施する前に実施される断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分の加熱-を実施するために使用され得る。従って、発熱体41は、必ずしも予熱専用の追加の及び/又は別個の発熱体(複数可)でなくてもよい。
【0147】
コンテナ50は、電力供給装置(例えば、バッテリ又は電力網)を含み得るか、又はそれに結合され得、例えば、コンテナ50に含まれ得、且つ発熱体41に接続され得る配線及び/又はケーブル(図9には図示せず)によって、発熱体41に電力を搬送することを可能にし得る。更に、コンテナ50は、例えば、発熱体41における温度を感知し得るように配置され得る、例えば、1つ以上の熱電対又は同様のもの等の、1つ以上の温度センサへの接続用の配線及び/又はケーブルを含み得る。
【0148】
従って、図9に例示される本発明の実施形態によれば、圧力容器から断熱ケーシング2、7を取り外すことに後続して、断熱ケーシング2、7は、コンテナ50内に置かれ得る。発熱体41を使用して、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分を加熱することは、断熱ケーシング2、7がコンテナ50内に置かれている間に実施される。発熱体41を使用して、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分の加熱を実施することに後続して、断熱ケーシング2、7は、コンテナ50から取り出され得、これに後続して、断熱ケーシング2、7は、圧力容器内に配置され得る。次いで、プレス装置を使用した物品(複数可)の処理が実施され得る。
【0149】
発熱体41は、代替又は追加として、断熱部分7の内面に配置され得る。その場合、1つ以上の流れ発生器(例えば、1つ以上のファン又は同様のもの)が設けられ、断熱部分7の内面に配置された任意の発熱体によって発生された熱を、圧力媒体誘導路11内へと伝達するために使用され得る。
【0150】
図10は、図8を参照して説明され、図8に例示されたような、断熱ケーシング2、7を例示し、ここで、発熱体41を備える加熱手段は、断熱ケーシング2、7内に配置されている。より具体的には、図8及び図10に例示される本発明の実施形態によれば、発熱体41は、断熱部分7の内部に配置されており、断熱部分7を構成する材料(複数可)内に配置され得る(例えば、埋め込まれ得る)。図8中で参照番号によって示されている構成要素の全てが、図10中で参照番号によって示されているわけではないことを理解されたい。
【0151】
図9と全く同じように、図10は、断熱ケーシング2、7がプレス装置の圧力容器から取り外されて、断熱ケーシング2、7を収容するように配置されたコンテナ50内に置かれた状況を例示する。コンテナ50は、図10に示されるように、いくつかの相互接続された部品を備え得るか、又は単一のピース又は部品によって構成され得る。
【0152】
図10に例示されるように、断熱ケーシング2、7の断熱部分7によって部分的に取り囲まれ、且つ炉14及び積載区画19を含む炉室18、並びに圧力媒体循環流発生器15もまた、圧力容器内に取り外し可能に配置され得、これにより、これらの構成要素もまた、圧力容器から少なくとも一時的に取り外され得る。しかしながら、場合によっては、断熱ケーシング2、7のみが、圧力容器内に取り外し可能に配置され得、これにより、断熱ケーシング2、7のみが、圧力容器から少なくとも一時的に取り外され得、図10には例示されているが、炉室18、炉14、積載区画19、及び圧力媒体循環流発生器15は、取り外せない場合がある。断熱ケーシング2、7に加えて、底部断熱部分4、そして場合によっては、流れ発生器13及び圧力媒体誘導路又は導管12(図10には図示せず;図7及び図8を参照)もまた、圧力容器内に取り外し可能に配置され得、これにより、これらの構成要素もまた、圧力容器から少なくとも一時的に取り外され得る。
【0153】
従って、図10は、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分を加熱することが、断熱ケーシング2、7が圧力容器1、8、9から取り外されている間に、例えば、断熱ケーシング2、7が、図10に例示されるコンテナ50内に置かれているときに、実施され得る一例を例示する。図10に例示される本発明の実施形態によれば、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分を加熱することは、図8を参照して上述したように、断熱部分7の内部に配置された発熱体41を備える加熱手段を使用して実施され得る。
【0154】
コンテナ50は、電力供給装置(例えば、バッテリ又は電力網)を含み得るか、又はそれに結合され得、例えば、コンテナ50に含まれ得、且つ発熱体41に接続され得る配線及び/又はケーブル(図10には図示せず)によって、発熱体41に電力を搬送することを可能にし得る。更に、コンテナ50は、例えば、発熱体41における温度を感知し得るように配置され得る、例えば、1つ以上の熱電対又は同様のもの等の、1つ以上の温度センサへの接続用の配線及び/又はケーブルを含み得る。
【0155】
従って、図10に例示される本発明の実施形態によれば、圧力容器から断熱ケーシング2、7を取り外すことに後続して、断熱ケーシング2、7は、コンテナ50内に置かれ得る。発熱体41を使用して、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分を加熱することは、断熱ケーシング2、7がコンテナ50内に置かれている間に実施される。発熱体41を使用して、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分の加熱を実施することに後続して、断熱ケーシング2、7は、コンテナ50から取り出され得、これに後続して、断熱ケーシング2、7は、圧力容器内に配置され得る。次いで、プレス装置を使用した物品(複数可)の処理が実施され得る。
【0156】
図11は、図7を参照して説明され、図7に例示された断熱ケーシング2、7と同様の断熱ケーシング2、7を例示する。しかしながら、図7を参照して説明され、図7に例示された断熱ケーシング2、7とは対照的に、図11に例示される断熱ケーシング2、7は、断熱ケーシング2、7内に配置されたいずれの加熱手段(例えば、発熱体)も備えていない(しかし、備えることもできる)。図7中で参照番号によって示されている構成要素の全てが、図11中で参照番号によって示されているわけではないことを理解されたい。また、図7に例示された物品5は、図11には例示されていない。
【0157】
図9及び図10と全く同じように、図11は、断熱ケーシング2、7がプレス装置の圧力容器から取り外されて、断熱ケーシング2、7を収容するように配置されたコンテナ50内に置かれた状況を例示する。コンテナ50は、図11に示されるように、いくつかの相互接続された部品を備え得るか、又は単一のピース又は部品によって構成され得る。
【0158】
図11に例示されるように、断熱ケーシング2、7の断熱部分7によって部分的に取り囲まれ、且つ炉14及び積載区画19を含む炉室18、並びに圧力媒体循環流発生器15もまた、圧力容器内に取り外し可能に配置され得、これにより、これらの構成要素もまた、圧力容器から少なくとも一時的に取り外され得る。しかしながら、場合によっては、断熱ケーシング2、7のみが、圧力容器内に取り外し可能に配置され得、これにより、断熱ケーシング2、7のみが、圧力容器から少なくとも一時的に取り外され得、図11には例示されているが、炉室18、炉14、積載区画19、及び圧力媒体循環流発生器15は、取り外せない場合がある。断熱ケーシング2、7に加えて、底部断熱部分4、そして場合によっては、流れ発生器13及び圧力媒体誘導路又は導管12(図11には図示せず;図7及び図8を参照)もまた、圧力容器内に取り外し可能に配置され得、これにより、これらの構成要素もまた、圧力容器から少なくとも一時的に取り外され得る。
【0159】
図11に例示される本発明の実施形態によれば、加熱手段は、断熱ケーシング2、7がコンテナ50内に置かれたときに、発熱体42が、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分を加熱するために使用され得るように、コンテナ50において配置された発熱体42を備える。図11に例示される本発明の実施形態によれば、発熱体42は、コンテナ50の複数の側壁(又は1つの側壁)の内部に配置されている。発熱体42の一部のみが、図11において参照番号42によって示されている。図11中の発熱体の数は、例示的であり、発熱体の数は、図11に例示されているよりも少ないことも、多いこともあり得ることを理解されたい。
【0160】
図11に例示される本発明の実施形態によれば、コンテナ50は、蓋手段(例えば、リッドを備える)51を有し得、これは、コンテナ50を開じ得るか又は閉き得、また、断熱ケーシング2、7がコンテナ50内に置かれたときに、コンテナ50を閉じることを可能にし得る。コンテナ50は、例えば、発熱体42に電力を搬送するための電力供給装置(例えば、バッテリ又は電力網)を含み得るか、又はそれに結合され得る。更に、コンテナ50は、例えば、発熱体42における温度を感知し得るように配置され得る、例えば、1つ以上の熱電対又は同様のもの等の、1つ以上の温度センサへの接続用の配線及び/又はケーブルを含み得る。
【0161】
従って、図11に例示される本発明の実施形態によれば、圧力容器から断熱ケーシング2、7を取り出すことに後続して、断熱ケーシング2、7は、コンテナ50内に置かれ得る。発熱体42を使用して、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分を加熱することは、断熱ケーシング2、7がコンテナ50内に置かれている間に実施される。発熱体42を使用して、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分の加熱を実施することに後続して、断熱ケーシング2、7は、コンテナ50から取り外され得、これに後続して、断熱ケーシング2、7は、圧力容器内に配置され得る。次いで、プレス装置を使用した物品(複数可)の処理が実施され得る。
【0162】
図12は、本発明の一実施形態によるシステムの概略的な部分断面側面図である。システムは、プレス装置90と、加熱手段43と、を備え、以下では、システム43、90と呼ばれる。図12に例示されるシステム43、90は、図7に例示されたシステム41、90と同様であり、図7及び図12中の同じ参照番号は、同じ又は同様の機能を有する、同じ又は同様の構成要素を示す。しかしながら、図7中で参照番号によって示されている構成要素の全てが、図12中で参照番号によって示されているわけではないことを理解されたい。図7に例示されたシステム41、90と比較すると、図12に例示されるシステム43、90は、いずれの発熱体41も含まない(しかし、含む可能性もある)。
【0163】
図7と全く同じように、図12中の圧力容器1、8、9内の矢印は、例えば、処理サイクルの冷却段階中等、例えば、プレス装置90を使用した物品(複数可)5の処理中の、プレス装置90の使用中の圧力容器1、8、9内の圧力媒体の例示的な流れを示す。プレス装置90を使用して物品(複数可)5の処理を実施する前に、圧力容器1、8、9内に圧力媒体の流れがない(例えば、図12中の圧力容器1、8、9内の矢印によって示されるような、圧力容器1、8、9内に圧力媒体の流れがない)場合があり、圧力媒体は、圧力容器1、8、9内にまだ導入されていない可能性さえある。
【0164】
図12に例示されるシステム43、90における加熱手段43は、圧力容器1、8、9の壁の外面に設けられた冷却媒体回路43によって構成されている。図12に非常に概略的にのみ例示されている冷却媒体回路43は、外面の少なくとも一部分に沿って延在し得る。冷却媒体回路43は、例えば、1つ以上の流路、導管又チューブ、等を備え得、圧力容器1、8、9の外壁の外面と接続状態にあるように配置され得る。冷却媒体回路43は、図12に示されるように、圧力容器1、8、9の軸方向に平行に延びるように配置され得る。代替又は追加として、冷却媒体回路43は、例えば、圧力容器1、8、9の外壁の外面の周りをヘリカル状又は螺旋状に延び得る。
【0165】
冷却媒体回路43は、冷却媒体をその中で循環させるように構成され得る。圧力容器1、8、9の壁の外面上に設けられた冷却媒体回路43内の冷却媒体の例示的な流れが、圧力容器1、8、9の外側の矢印によって図12に示されている。図12には図示されていないが、冷却媒体回路43は、追加として、端部蓋8、9のうちの1つ以上の上に(及び/又はそれを通して)冷却媒体の流れを提供し得る。冷却媒体は、例えば、水を備え得るが、別の又は他のタイプの冷却媒体が可能である。冷却媒体は、圧力容器1、8、9又はプレス装置の動作中(例えば、処理中又は処理サイクル中)の有害な熱の蓄積から壁を保護するために、圧力容器1、8、9の壁を冷却するように構成され得る。予熱-即ち、プレス装置を使用して物品(複数可)の処理を実施する前に実施される、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分を加熱することは、冷却媒体回路43によって行われ得る。具体的には、プレス装置を使用して物品(複数可)の処理を実施する前に行われる、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分を加熱することは、冷却媒体を加熱することと、選択された時間期間の間、冷却媒体回路43内で加熱された冷却媒体を循環させることと、を備え得る。冷却媒体を加熱することは、加熱された冷却媒体が、選択された時間期間の間、冷却媒体回路43内での加熱された冷却媒体の循環中の、加熱された冷却媒体から圧力容器1、8、9の壁への熱エネルギーの伝達であって、それによって、熱エネルギーが圧力容器の内部に伝達される熱エネルギーの伝達によって、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分が、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように加熱されるような熱エネルギーの量を含むように実施され得る。
【0166】
従って、予熱を実施するための加熱手段は、圧力容器1、8、9の壁の外面に設けられた冷却媒体回路43内の冷却媒体を備え得、この冷却媒体は、加熱されている。
【0167】
冷却媒体回路43によって、断熱ケーシング2、7の少なくとも一部又は一部分を加熱することは、好ましくは、発熱体41(及び/又は炉14)及び/又は発熱体42によって等、図2図11のいずれかを参照して説明されたような、本明細書で開示される予熱を実施するためのその他任意の手段と組み合わされ得る。
【0168】
圧力容器1、8、9の外壁の外面上、場合によっては、冷却媒体回路43上には、プレストレス手段45が設けられ得る。プレストレス手段は、図12に非常に概略的にのみ例示されている。プレストレス手段45は、例えば、圧力容器1、8、9の外壁の外面の周りに、そして場合によっては、図12に示されるように、冷却媒体回路43の周りに、1つ以上の帯を、好ましくは数層において形成するように、複数回巻かれたワイヤ(例えば、鋼製)の形態で設けられ得る。プレストレス手段45は、圧力容器1、8、9に半径方向圧縮力を作用させるために配置され得る。
【0169】
冷却媒体を加熱することは、例えば、冷却媒体の温度が、(約)40℃~(約)150℃、又は(約)40℃~(約)120℃の範囲内にあるように実施され得る。圧力容器1、8、9の外壁の外面の周り及び冷却媒体回路43の周りに1つ以上の帯を形成するように、複数回巻かれたワイヤの形態でプレストレス手段が設けられる場合、冷却媒体がある特定の温度を超えないことが望ましくあり得るか、又は必要とされ得る。これは、プレストレス手段のワイヤの任意の弛緩が、ワイヤの温度と、圧力容器1、8、9の外壁の外面の周り及び冷却媒体回路43の周りにワイヤを巻き付けることによるワイヤの張力と、に依存し得ることによる。
【0170】
冷却媒体回路43及びプレストレス45の各々又はいずれかは、本明細書に記載の本発明の実施形態のいずれかにおいて実装され得る。
【0171】
図13は、本発明の一実施形態によるシステムの概略的な部分断面側面図である。システムは、プレス装置90と、加熱手段41と、を備え、以下では、システム41、90と呼ばれる。図13に例示されるシステム41、90は、図7に例示されたシステム41、90と同様であり、図7及び図13中の同じ参照番号は、同じ又は同様の機能を有する、同じ又は同様の構成要素を示す。図7に例示されたシステム41、90と比較すると、図13に例示されるシステム41、90は、図13中で36において概略的に示される、1つ以上のゲッター材料を追加的に備え、1つ以上のゲッター材料は、圧力容器1、8、9内に配置されている。圧力媒体は、1つ以上のガスを備え得、ゲッター材料(複数可)36は、プレス装置90を使用した物品(複数可)5の処理中に圧力媒体に曝露されるように、圧力容器1、8、9内に配置されている。ゲッター材料(複数可)36は、圧力媒体から1つ以上の選択されたガスの粒子を捕捉又は除去するように構成されている。1つ以上の選択されたガスは、水蒸気を備え得る。図13に例示されるように、ゲッター材料(複数可)36は、例えば、積載区画19の一端(例えば、その上端)に配置され得る。しかしながら、ゲッター材料(複数可)の他の位置、例えば、積載区画19の他端(例えば、その下端)等が企図される。ゲッター材料(複数可)は、例えば、積載区画19の一端又は両端に配置され得る。ゲッター材料(複数可)は、例えば、カートリッジ等の1つ以上の圧力媒体透過性ホルダ内に配置され得、これは、例えば、ねじ又は同様のもの等の取着手段によって、積載区画19内に吊り下げられ得るか、又は取り付けられ得る。ゲッター材料(複数可)36は、例えば、Tiチップ又はTi箔等の、Ti、例えば、複数のTi元素又は粒子を備え得るか、又はそれよって構成され得る。Ti系ゲッター材料は、圧力容器1、8、9内の気相から酸素含有ガスを除去するのに特に有用であり得る。しかしながら、他のゲッター材料(複数可)が、代替又は追加として使用され得る。
【0172】
図13に例示されるように、圧力容器1、8、9において別個の構成要素としてゲッター材料(複数可)36を設けることの代替又は追加として、圧力容器1、8、9内の構成要素のうちの1つ以上が、少なくとも部分的にゲッター材料(複数可)で作製され得る。例えば、炉室18の一部若しくは一部分、又は炉室18に含まれる何らかの要素が、ゲッター材料(複数可)を備え得る。上述したように、積載区画19は、積載バスケットの内部によって画定又は形成され得る。一例によれば、積載バスケットは、Ti等のゲッター材料(複数可)によって全体的に又は部分的に作製され得る。
【0173】
代替又は追加として、積載バスケットは、ゲッター材料(複数可)のためのホルダ又は固定具を受容するように配置され得る。
【0174】
ゲッター材料(複数可)36は、プレス装置90を使用してある一定の数の処理サイクルが実施された後に、交換され得る。代替又は追加として、ゲッター材料(複数可)36は、例えば、圧力容器1、8、9からゲッター材料(複数可)36を取り外し、ゲッター材料(複数可)36を真空炉内で処理することによって、例えば、ゲッター材料(複数可)36を真空処理にかけることによって、プレス装置90を使用してある一定の数の処理サイクルが実施された後に精製又は再生され得る。ゲッター材料(複数可)36は、代替又は追加として、処理サイクルの1つ以上の真空段階を行うことによって、精製又は再生され得る。ゲッター材料(複数可)36を精製又は再生することは、ゲッター材料(複数可)36を交換することと比較して、より費用がかからない場合がある。
【0175】
1つ以上のゲッター材料は、本明細書に記載の本発明の実施形態のいずれかにおいて実装され得る。
【0176】
結論として、プレス装置のための方法が開示される。プレス装置は、断熱ケーシングを含む圧力容器を備え、その中に少なくとも1つの物品が配置可能である。プレス装置は、少なくとも1つの物品を処理にかけるように構成されている。方法は、プレス装置を使用して少なくとも1つの物品の処理を実施する前に、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分中又は上に存在する任意の水分量が低減されるように、少なくとも1つの加熱手段を使用して、断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することを備える。断熱ケーシングの少なくとも一部又は一部分を加熱することに後続して、プレス装置を使用して少なくとも1つの物品の処理が実施される。また、プレス装置と、少なくとも1つの加熱手段と、を備えるシステムも開示される。
【0177】
本発明が添付の図面及び上述の説明において例示されてきた一方で、このような例示は、例示的又は実例的であって限定的ではないと考えられるべきであり、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。開示された実施形態に対する他の変形が、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求項に記載の発明を実施する際に、当業者によって理解され、達成され得る。添付の特許請求の範囲において、「~を備える」という用語は、他の要素又は工程を除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数形を除外しない。ある特定の手段が、相互に異なる従属請求項において記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せが有利に用いられ得ないことを示すわけではない。特許請求の範囲におけるいずれの参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
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図7
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図10
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【国際調査報告】