IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テクニーシェ・ユニバーシタイト・アイントホーベンの特許一覧

特表2024-523819ヒドロキノンから調整した炭素膜および製造方法
<>
  • 特表-ヒドロキノンから調整した炭素膜および製造方法 図1
  • 特表-ヒドロキノンから調整した炭素膜および製造方法 図2
  • 特表-ヒドロキノンから調整した炭素膜および製造方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】ヒドロキノンから調整した炭素膜および製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 71/02 20060101AFI20240625BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20240625BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20240625BHJP
   B01D 53/22 20060101ALI20240625BHJP
   C01B 32/05 20170101ALI20240625BHJP
【FI】
B01D71/02 500
B01D69/10
B01D69/12
B01D53/22
C01B32/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574622
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 NL2022050312
(87)【国際公開番号】W WO2022255877
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】2028393
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501276430
【氏名又は名称】テクニーシェ・ユニバーシタイト・アイントホーベン
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ラヒマリママガニ、アーラシュ
(72)【発明者】
【氏名】ガルーチ、ファウスト
(72)【発明者】
【氏名】タナカ、デイビッド アルフレッド パチェコ
(72)【発明者】
【氏名】リョサ タンコ、マルゴー アナベル
【テーマコード(参考)】
4D006
4G146
【Fターム(参考)】
4D006GA41
4D006MA02
4D006MA07
4D006MA08
4D006MB06
4D006MC03
4D006MC05
4D006MC07
4D006NA46
4D006NA62
4D006NA64
4D006PA01
4D006PB19
4D006PB63
4D006PB64
4D006PB66
4G146AA01
4G146AB07
4G146AC01A
4G146AC01B
4G146BA12
4G146BC03
4G146BC33A
4G146BC33B
4G146BC34B
4G146CB11
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、セラミック支持体上に支持されている炭素膜の製造方法に関する。本発明は、セラミック管状支持体上のヒドロキノンから調製された炭素膜およびそのような膜の使用にも関する。本発明は、熱硬化前駆体としてのヒドロキノンオリゴマーからのガス分離用炭素膜の調製に着目する。一例では、膜の化学的な後処理がH/CO、H/NおよびCO/N選択性の増加に使用される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)水性酸性媒体中でのヒドロキノンとホルムアルデヒドとの縮合および加熱によって前駆体オリゴマーを合成するステップと、
b)有機溶媒中の浸漬溶液を調製するステップと、
c)ステップb)で製造された浸漬コーティング溶液でセラミック支持体をコーティングするステップと、
d)ステップc)のコーティングした支持体の上層を乾燥、重合するステップと、
e)ステップd)の重合した構造物を炭化するステップと、
f)ステップe)の炭化した構造物を後処理するステップと、
任意選択的に、g)多層炭素膜のためにステップc)~f)を繰り返すステップと、
を含むヒドロキノンからのセラミック支持体上に支持されている炭素膜の製造方法。
【請求項2】
前記浸漬溶液が、前記前駆体オリゴマーと、ホルムアルデヒドと、重合開始およびポリマーへの官能基の付加が可能な他の透過促進成分とを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップb)が、エチレンジアミンとのコポリマーまたはアルミニウムアセチルアセトナートとの複合ポリマーを合成するステップをさらに含む請求項1~2のいずれか1項以上に記載の方法。
【請求項4】
ステップf)の後処理が、希釈した酸素流による炭素膜の加湿および酸化を含む請求項1~3のいずれか1項以上に記載の方法。
【請求項5】
ステップe)において炭化温度は500~1200℃の範囲内である請求項1~4のいずれか1項以上に記載の方法。
【請求項6】
数層のコーティングが前記セラミック支持体上に施され、層の数は1~8の範囲内であり、各層の厚さは300nm~20μmの範囲内である請求項1~5のいずれか1項以上に記載の方法.
【請求項7】
前記有機溶媒中の前記浸漬溶液が、エチレンジアミン、アルミニウムアセチルアセトナートおよびホルムアルデヒド、またはそれらの組み合わせなどの試薬で調製される請求項1~6のいずれか1項以上に記載の方法。
【請求項8】
ヒドロキノンオリゴマーが主な前駆体として使用され、ポリビニルブチラール(PVB)、アルミニウムアセチルアセトナートおよびエチレンジアミン、またはそれらの組み合わせの群から選択される少なくとも1つの成分と混合されるか、または共重合される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記セラミック支持体が、Al、ZrO、TiO、MgO、ゼオライト、SiO、CeO、YSZ多孔質遷移金属酸化物チューブ、またはそれらの組み合わせの群から選択される請求項1~8のいずれか1項以上に記載の方法。
【請求項10】
ヒドロキノン炭素膜の少なくとも1つの層を含む、セラミック管状支持体上の膜。
【請求項11】
ガス混合物からのHおよび/またはCOの分離における、請求項10に記載の膜または請求項1~9のいずれか1項以上に記載の方法に従って得られた膜の使用。
【請求項12】
ガス分離プロセスが、H/CO、CO/NおよびH/Nの群から選択される請求項11に記載の膜の使用。
【請求項13】
製造反応器でのH分離および精製における請求項11~12のいずれか1項に記載の膜の使用。
【請求項14】
金属産業高炉オフガス処理および肥料製造パージガス流などの廃棄物の流れからのH回収における請求項11~12のいずれか1項に記載の膜の使用。
【請求項15】
燃焼後ガス流からのCOの分離またはバイオ合成ガス精製などの、炭素回収・貯留(CCS)のためのCO分離および/または炭素回収・利用(CCU)プロセスにおける請求項11~12のいずれか1項に記載の膜の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック支持体上に支持されており、ガスの分離に使用される炭素膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、研究者らは、深冷蒸留および圧力スイング吸収などの従来の方法と比較してより高い純度およびより少ないエネルギー消費が得られる膜分離技術の開発しようとしていた。膜技術によって、高純度のHが達成でき、一方で、CCSまたはCCUのために高純度でCOが利用可能である。反応器への膜の組み込みは、プロセスの効率増加させるように平衡の限定された反応をシフトし得る。
【0003】
温室効果ガスによって引き起こされる地球温暖化の制御のためのここ数十年でのCO排出軽減の必要性は必然である。化石系燃料からグリーンエネルギー源へのシフトは持続可能な未来に不可欠である。肥料などの化学合成でのエネルギー貯蔵キャリアおよび消費のための可能性のある解決策としての水素は、主に水蒸気改質によって製造される。COからのH分離および精製はエネルギー集約プロセスの一つと考えられる。
【0004】
金属産業から排出されるガスなどの廃棄物の流れからHを回収することで、新鮮なHの需要を減少させることができ、その結果、金属産業の二酸化炭素排出量を減少させることができる。現在、廃棄物の流れからHを分離する従来の技術には限界があるため、これらのガスはエネルギーを回収するために燃焼されるか、フレアシステムに送られるだけである。発電所や製油所などの産業排ガスからのCO分離および精製は、近年の主要課題のひとつと考えられている。
【0005】
高分子膜は、逆浸透膜による浄水などの分野では成熟した技術と考えられているが、ガス分離プロセスではまだ初期段階にある。H/COおよびCO/N分離用の高分子膜は、COの収着により高分子構造が肥大化(膨潤)する。膨潤現象は、高分子膜の選択性と最終性能を低下させる。 無機膜は膨潤しないため、H/COおよびCO/N分離のための可能性がある技術として考えられている。
【0006】
吸収法などの従来の方法には、エネルギー使用や溶媒損失などの欠点があり、産業界で広く受け入れられることを妨げている。従って、これらの障害を取り除き、CO分離および精製が広く産業プロセスに導入されることを可能にする新しい方法が求められている。
【0007】
さらに、高分子膜は、H製造用膜反応器のような高温高圧用途では、構造物中のCO収着とポリマーの膨潤のために、使用可能な温度と圧力範囲が制限される。
【0008】
高温での膨潤および不安定性という高分子膜の化学的限界のため、H/COおよびCO/N分離はより低い温度と圧力で行われる。ポリマーの架橋は、膨潤を減少させるための一般的な方法であるが、透水性の低下などの欠点があり、プロセスに必要な膜の表面積が増加する。
【0009】
現在、ガス分離プロセスにおける膜の限界により、新しい高性能膜が必要とされている。
【0010】
パラジウム膜は、そのH特有の透過メカニズムから、近年盛んに研究されている。パラジウム膜は、H分離精製プロセスにおいて、ほぼ無限の選択性と高い透過性を達成することができる。貴金属であるパラジウムは、供給不足と市場での高い需要のため、近年では金価格をも追い越している。パラジウム膜は、ある温度で脆化という現象が起こり、膜が破壊されることがある。また、パラジウム膜の水素輸送メカニズムは、水素濃度の平方根に従う。このため、分離プロセスに必要な膜の表面積を減少させるために、濾過生成物と留出液の間の操作圧力差を増加させることによって、水素流量を増加させることが制限される。
【0011】
無機膜である炭素膜は、不活性雰囲気または真空中で熱硬化性ポリマーを炭化させることにより製造される。分子ふるいと表面吸着輸送メカニズムを持つ炭素膜は、産業におけるガス分離ソリューションの可能性があると考えられる。炭素構造と化学的安定性により、炭素膜は500℃までの温度で機能し、操作圧力差は支持体によっては140barにもなる。
【0012】
自己支持炭素膜には機械的脆弱性などの物理的制約があるため、支持炭素膜が使用されている。膜の物理的安定性が向上し、膜厚を数μmの範囲まで薄くすることができるため、膜の透過性能が向上する。支持炭素膜の厚さは、炭素膜を通過する流量を増加させるために、1μm程度まで薄くすることができる。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、H/COおよびH透過性に対する高い選択性を示すか、H/NおよびH透過性に対する高い選択性を示すか、かつ/またはCO/NおよびCO透過性に対する高い選択性を示す膜を提供することにある。
【0014】
本発明の別の目的は、性能試験で470℃までの高温耐熱膜を提供することにある。
【0015】
本発明の別の目的は、残余分と濾過生成物との間の圧力差が最大70barである高い操作圧力が可能な管状支持膜を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】複数の温度での膜の透過性を示す図である。
図2】H/N分離膜について文献の上限値と比較した膜の性能を表す図である。
図3】異なる作動圧力および温度でのH透過性を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
したがって、本発明は、第1の態様ではヒドロキノンからのセラミック支持体上に支持されている炭素膜の製造方法を提供し、該方法は、
a)水性酸性媒体中でのヒドロキノンとホルムアルデヒドとの縮合および加熱によって前駆体オリゴマーを合成するステップと、
b)有機溶媒中の浸漬溶液を調製するステップと、
c)ステップb)で製造された浸漬コーティング溶液でセラミック支持体をコーティングするステップと、
d)ステップc)のコーティングした支持体の上層を乾燥、重合するステップと、
e)ステップd)の重合した構造物を炭化するステップと、
f)ステップe)の炭化した構造物を後処理するステップと、
任意選択的に、g)多層炭素膜のためにステップc)~f)を繰り返すステップと、
を含む。
【0018】
本発明は、熱硬化ポリヒドロキノン前駆体から合成した炭素膜によるガス混合物からのHおよびCOの分離に関する。膜は、セラミック多孔質材料上にコーティング法によって支持されている。膜は、非常に高い温度および高い圧力で動作し得る。H/CO、CO/NおよびH/Nの理想的な選択性および透過性はポリマー膜のロブソン上限値などの現在の有機膜の性能を十分に超える。パラジウム膜と比較してより低価格であり、化学的および機械的安定性が高いことと相まって選択性および透過性が高いことで、資本および操作コストにおけるH分離および精製のコストが減少する。
【0019】
一例では、浸漬溶液は、前駆体オリゴマーと、ホルムアルデヒドと、重合開始およびポリマーへの官能基の付加が可能な他の透過促進成分とを含む。
【0020】
一例では、ステップb)は、エチレンジアミンとのコポリマーまたはアルミニウムアセチルアセトナートとの複合ポリマーを合成するステップをさらに含む。
【0021】
本方法の一例では、後処理のステップf)は、酸化によって細孔を開口して炭素膜の透過性を高めるのに使用される、希釈された酸素濃度の流れによる膜の上層の加湿および酸化を含む。
【0022】
本方法の一例では、ステップe)に従う炭化温度は500~1200℃の範囲内である。
【0023】
本方法の一例では、いくつかのコーティング層がセラミック支持体上に施され、層の数は好ましくは1~8の範囲内であり、各層の厚さは好ましくは300nm~20μmの範囲内である。
【0024】
本方法の一例では、ヒドロキノンコポリマーは、エチレンジアミン、アルミニウムアセチルアセトナートおよびホルムアルデヒド、またはそれらの組み合わせなどの試薬の添加によって、有機溶媒中のヒドロキノンオリゴマーから調製される。
【0025】
本方法の一例では、浸漬溶液を調製するステップについて、ヒドロキノンオリゴマーは主な前駆体として使用され、ポリビニルブチラール(PVB)、アルミニウムアセチルアセトナートおよびエチレンジアミン、またはそれらの組み合わせの群から選択される少なくとも1つの成分と混合される。
【0026】
本方法の一例では、多孔質セラミック支持体がAl、ZrO、MgO、ゼオライト、TiO、SiO、CeO、YSZ、多孔質遷移金属酸化物チューブ、またはそれらの組み合わせの群から選択される。
【0027】
第2の態様では、本発明はセラミック管状支持体上の膜にも関し、該膜は、ヒドロキノン炭素膜の少なくとも1つの層を含む。
【0028】
第3の態様では、本発明は、ガス混合物からのHおよび/またはCOの分離への上記の膜の使用または上記の方法に従って得られた膜にも関する。
【0029】
一例では、ガス分離プロセスはH/CO、CO/NおよびH/Nの群から選択される。
【0030】
一例では、本膜は、H製造反応器におけるH分離および精製に使用される。
【0031】
一例では、本膜は、金属産業高炉オフガス処理および肥料製造パージガス流などの廃棄物の流れからのH回収に使用される。
【0032】
一例では、本膜は、燃焼後ガス流からのCO分離またはバイオ合成ガス精製などの、炭素回収・貯留(CCS)のためのCO分離および/または炭素回収・利用(CCU)プロセスに使用される。
【0033】
本発明は、H/CO、H/NおよびCO/N分離プロセス用の支持炭素膜に着目している。数マイクロメートルの厚さのセラミック管状支持体上のヒドロキノン膜が製造され、選択透過性試験が45℃~470℃、残余分と濾過生成物との間の最大30barの圧力差で実施される。製造パラメータは、選択透過性という点でそれぞれのガス分離プロセスで高性能に達するように調整される。ヒドロキノンオリゴマーは炭素膜のための主な前駆体として使用され、CO/Nのためにはエチレンジアミンと共重合され、H/CO分離プロセスのためにはポリビニルブチラール(PVB)と混合される。また、炭素膜はアルミニウムアセチルアセトナートおよびヒドロキノンオリゴマーを用いて合成されて、H/N分離用の複合構造の炭素膜が得られる。3種の膜のすべてが、αアルミナ支持体では100nm、ジルコニア支持体では120nmの平均孔径を有する管状セラミック支持体上に支持される。
【0034】
本発明を以下の非限定的な例によって説明する。
【実施例
【0035】
表1は3つの開発した膜の製造パラメータを要約する。
表1:ヒドロキノン管状支持炭素膜の製造パラメータ
【表1】
【0036】
膜の元素分析を実施した。結果を表2に要約する。
表2:ヒドロキノン炭素膜wt%の元素分析
【表2】
【0037】
実施例1:H/CO選択膜
水蒸気改質反応器では、ル・シャトリエの原理に従って生成物の一つを除去することにより、第一に平衡を生成物側にシフトさせ、第二に濾過生成物で高純度のHを生成するために、H/COの高い選択性が必要とされる。ヒドロキノンオリゴマーは、H/CO選択膜の合成のための主な前駆体として使用される。膜は3つの極薄層から構成され、各層は互いに積み重なりながら、高い選択性を有し、高い透過性を維持するように製造パラメータで最適化されている。
【0038】
/CO膜についての選択透過性試験の結果をポリマー膜の上限値と比較する。最も引用された上限値(Robeson,2008)、および2020年の文献からの操作温度(35、100、150および200℃)に従う3つの上限値は、操作温度45℃~470℃、操作圧力1~6bargにおいて、理想的な選択性およびH透過性の両面で有機膜より優れたH/CO選択的ヒドロキノン膜の性能を示す。
【0039】
ヒドロキノン膜は、1barおよび350℃で最大の理想的なH/CO選択性が43に達し、H透過性が12455Barrerであった。膜の化学的および物理的な安定性を350℃、1barの作動圧力で380時間試験した。
【0040】
実施例2:CO/N選択膜
工業規模の煙道ガスからのCO分離は、採算性がある70の最小CO/N選択性および3.3×10-7 mol/(m・s・Pa)の最小浸透性を必要とする。CO/N選択的ヒドロキノン炭素膜の場合、要件が有効であり、この膜の応用は、金属製造、発電所、およびバイオ精製機などの煙道ガス流からのCO分離の産業において重要な役割を有し得る。
【0041】
膜は、平均孔径120nmの管状多孔質ジルコニア支持体上に製造される。2つの極薄選択的炭素層が、望ましい選択透過性能に達するために用いられる。この炭素膜は、2つの選択層から構成されている。孔径がより大きい上層は吸収部位として機能する一方で、平均孔径がより小さい第2の層はN分子の拡散を妨げる。
【0042】
膜の輸送メカニズムは、主にCOに対する表面拡散に従う。膜製造は、オリゴマーの縮合重合および不活性雰囲気での炭化に基づく。図1は複数の温度での膜の透過性を示す。
【0043】
図1は、作動圧力1~6bargおよび操作温度45℃~470℃で、CO/N選択的ヒドロキノン炭素膜の性能がポリマー膜より高いことを示す。
【0044】
CO/N選択的ヒドロキノン炭素膜は、150℃、濾過生成物と残余分との間の2barの圧力差で、最大の理想的選択性が680に達し、CO透過性が1471Barrerであった。
【0045】
実施例3:H/N選択膜
金属、バイオ精製機、肥料製造などの産業での廃棄物の流れからの水素回収は、プロセスの効率を増加させ得、化石燃料から主に製造され、温室効果ガス排出に寄与する新鮮な水素の消費を減少させ得る。
【0046】
2層構造のH/N選択的ヒドロキノン炭素膜が平均孔径120nmのジルコニア多孔質支持体上に製造される。45℃~470℃の温度、1bar~6barの圧力で膜の性能を試験する。600℃、N雰囲気で膜を炭化する。
【0047】
図2はH/N分離膜について文献の上限値と比較した膜の性能を表す。
【0048】
/N選択膜は、2barおよび150℃で302の最大の理想的選択性に達し、水素透過性が1314Barrerであった。図3は異なる作動圧力および温度でのH透過性を表す。
図1
図2
図3
【国際調査報告】