(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】マイクロエレクトロニクス用の薄膜オブスキュラント
(51)【国際特許分類】
G02B 5/28 20060101AFI20240625BHJP
G02B 5/26 20060101ALN20240625BHJP
【FI】
G02B5/28
G02B5/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575369
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 US2022018824
(87)【国際公開番号】W WO2022260730
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】バークランド,マイケル,ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】キルコイン,シーン,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ベルス,ピーター
【テーマコード(参考)】
2H148
【Fターム(参考)】
2H148FA05
2H148FA07
2H148FA09
2H148FA12
2H148FA24
2H148GA04
2H148GA07
2H148GA12
2H148GA33
2H148GA60
2H148GA61
(57)【要約】
バルク材料とマイクロエレクトロニクスを有する層とを含む第1のウェハと、構成されたアセンブリ内部に反射膜が埋め込まれるように第1のウェハに接合されている堆積された薄膜を有するウェハと、を有するアセンブリのための方法及び装置。反射体ウェハは、ハンドルウェハと、バルク材料を通る光によるマイクロエレクトロニクスの結像を防止する反射特性を有する薄膜とを含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセンブリであって、
バルク材料と、マイクロエレクトロニクスを有する層とを含む第1のウェハ、及び
前記第1のウェハに接合された反射体ウェハであって、ハンドルウェハと、前記バルク材料を通る光による前記マイクロエレクトロニクスの結像を防止する反射特性を有する薄膜と、を含む、反射体ウェハ、
を有する、アセンブリ。
【請求項2】
前記第1のウェハは、読出し集積回路を備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記第1のウェハは、酸化物層を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
当該アセンブリは、前記ハンドルウェハ、前記薄膜、前記バルク材料、及び前記マイクロエレクトロニクスの層をこの順に有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記薄膜と前記バルク材料との間に酸化物層をさらに含む、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記光は、赤外線スペクトルの光を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記バルク材料はシリコンを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記薄膜は、第1及び第2の材料の層を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記薄膜は、ポリシリコン及び酸化シリコンの層を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記薄膜はアルミニウム層を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記薄膜は、酸化チタンを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記薄膜は、ブラッグ反射体を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記第1のウェハは、サファイア及び/またはSiCを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記薄膜は、堆積されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項15】
方法であって、
バルク材料を含む第1のウェハの層にマイクロエレクトロニクスを形成するステップと、
反射体ウェハを前記第1のウェハに接合するステップであって、前記反射体ウェハは、ハンドルウェハと、前記バルク材料を通る光による前記マイクロエレクトロニクスの結像を防止する反射特性を有する薄膜と、を有する、ステップと、
を有する、方法。
【請求項16】
前記第1のウェハは、読出し集積回路を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のウェハは酸化物層を含む、実施形態15に記載の方法。
【請求項18】
前記アセンブリは、前記ハンドルウェハ、前記薄膜、前記バルク材料、及び前記マイクロエレクトロニクスの層をこの順に有する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
さらに、前記薄膜と前記バルク材料との間に酸化物層を提供するステップを有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記光は、赤外線スペクトルの光を含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
当技術分野で知られているように、電子回路は、シリコン基板などの基板に形成することができる。シリコンは、約900nmから出発して短波長赤外線(SWIR)スペクトルにおいて透明である。短波赤外線エネルギーは、電子機器が製造されるシリコン基板の裏面を通してマイクロエレクトロニクス回路を結像するために使用され得る。SWIRイメージングは、検査、製造されたマイクロエレクトロニクス回路の故障解析などのためのものとすることができる。ただし、SWIRイメージングは、電子デバイスのリバースエンジニアリングを可能にし得る、集積回路の不正な結像に使用することもできる。
【発明の概要】
【0002】
本開示の例示的な実施形態は、入射放射線を反射するために、多層材料などの膜を、結晶シリコンなどの基板に有するマイクロエレクトロニクス回路アセンブリのための方法及び装置を提供することができる。実施形態では、膜は、対照的な屈折率の交互材料層の表面からの強め合う/弱め合う干渉によって対照的な光学特性を有する層を含む。このような多層反射体は、ブラッグ反射体として知られている。目標は光の透過を低減することであり、反射される光は必ずしも透過しないことに留意すべきである。いくつかの実施形態では、透過を減衰させることができる他の薄膜、例えば光吸収膜、内部全反射コーティングまたは他の反射膜も使用することができる。薄膜は、物理蒸着(PVD)または化学蒸着(CVD)などの当技術分野で知られている様々な技術で適用することができ、スパッタリング、カソードアーク、及び原子層堆積(ALD)などの技術を含む。
【0003】
実施形態では、SWIRの薄膜反射体は、一般的に利用可能なレーザの波長に対応し得る約900nm~約1600nmの光を遮断するように構成されている。膜は、ブランクのシリコン基板ウェハに堆積させることができ、例えば以下のものがある。埋め込み反射層を有する設計されたウェハを製造するための、同様のシリコンウェハへのウェハの直接的な接合(例えば 、S.H.Christiansen,R.Singh and U.Gosele,“Wafer Direct Bonding: From Advanced Substrate Engineering to Future Applications in Micro/Nanoelectronics”,in Proceedings of the IEEE,vol.94,no.12,pp.2060-2106,Dec.2006,doi:10.1109/JPROC.2006.886026.を参照)である。設計されたウェハは、SWIR照射を反射及び散乱させることができる。実施形態では、マイクロエレクトロニクスはウェハレベルで製造される。これらのウェハを薄くし、ウェハを薄膜に接合することは、アセンブリの裏面からのSWIRを介して検査を失敗させる。膜は、裏面からのマイクロエレクトロニクスデバイスのいずれかの受動的な外観検査を見えにくくする。
【0004】
一態様において、アセンブリは、バルク材料及びマイクロエレクトロニクスを有する層を含む第1のウェハと、第1のウェハに接合された反射体ウェハであって、反射体ウェハは、ハンドルウェハと、バルク材料を通る光によるマイクロエレクトロニクスの結像を防止する反射特性を有する薄膜とを備える反射体ウェハ、を備える。
【0005】
アセンブリはさらに、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。第1のウェハが読出し集積回路を含むこと、第1のウェハが酸化物層を含むこと、アセンブリが、順に、ハンドルウェハ、薄膜、バルク材料及びマイクロエレクトロニクス層を含むこと、薄膜とバルク材料の間に酸化物層を含むこと、光が、赤外線スペクトルの光を含むこと、バルク材料はシリコンを含むこと、薄膜は第1及び第2の材料の層を含むこと、薄膜は、ポリシリコン及び酸化シリコンの層を含むこと、薄膜はアルミニウムの層を含むこと、薄膜は酸化チタンを含むこと、薄膜はブラッグ反射体を含むこと、第1のウェハはサファイア及び/またはSiCを含むこと、及び/または薄膜は堆積されることを含むことができる。
【0006】
別の態様において、方法は、バルク材料を含む第1のウェハの層にマイクロエレクトロニクスを形成すること、反射体ウェハを第1のウェハと接合することであって、反射体ウェハが、ハンドルウェハと、バルク材料を通る光によるマイクロエレクトロニクスの結像を防止するための反射特性を有する薄膜を含む、接合すること、を含む。
【0007】
方法はさらに、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。第1のウェハが読出し集積回路を含むこと、第1のウェハが酸化物層を含むこと、アセンブリが、順に、ハンドルウェハ、薄膜、バルク材料及びマイクロエレクトロニクス層を含むこと、薄膜とバルク材料の間に酸化物層を含むこと、光が、赤外線スペクトルの光を含むこと、バルク材料はシリコンを含むこと、薄膜は第1及び第2の材料の層を含むこと、薄膜は、ポリシリコン及び酸化シリコンの層を含むこと、薄膜はアルミニウムの層を含むこと、薄膜は酸化チタンを含むこと、薄膜はブラッグ反射体を含むこと、第1のウェハはサファイア及び/またはSiCを含むこと、及び/または薄膜は堆積されることを含むことができる。
【0008】
本開示の前述の特徴ならびに開示そのものは、図面の以下の記述から、より十分に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の例示的な実施形態による、不透明層によって遮断された基板の回路の裏面の結像化の概略図である。
【
図2】従来技術による基板を介した回路の無認可の裏面の結像化を示した図である。
【
図3】結像を防止する層のための例示的な膜積層の断面図である。
【
図4】薄膜に対する強め合う及び弱め合う干渉を説明する断面図である。
【
図5】例示的な不透明層の波長に対する反射率を表すグラフである。
【
図6】回路の裏面の結像を防止するために不透明層を備えたアセンブリを提供するための例示的なステップシーケンスを示すフロー図である。
【
図7】不透明層のための例示的な薄膜積層を表で表したものである。
【
図8】不透明層のための例示的な薄膜積層を表で表したものである。
【
図9】不透明層のための例示的な薄膜積層を表で表したものである。
【
図10】不透明層のための例示的な薄膜積層を表で表したものである。
【
図11】回路の裏面の結像を防止するためにIR光を反射する不透明層の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、回路の結像を防止するためにエネルギー108がマイクロエレクトロニクス102に到達するのを遮断する不透明層106を備えた、基板104に形成されたマイクロエレクトロニクス102を有する例示的なアセンブリ100を示す。実施形態では、基板104は、SWIRが通過するシリコンを含む。不透明層106は、アセンブリ100の裏面からの非破壊な観察によって、回路102の結像を防止する。
【0011】
図2は、従来技術による直接的な結像による、基板202のマイクロエレクトロニクス回路200の未承認の検査を示す。基板302を通る裏面側赤外線(IR)エネルギー204を使用して、回路200の画像206を生成することができる。
【0012】
図3は、IRのような選択された帯域幅からエネルギーを遮断する例示的な不透明層300を示す。図示の実施形態では、一連の高反射率層は第1の材料302によって設けられ、一連の低反射率層は第2の材料304によって設けられ、これは、シリコンを含み得る基板306に到達するエネルギーを結合して遮断する。第1及び第2の材料302、304の層は、所望の反射特性をもたらすように交互に配置される。
【0013】
第1及び第2の材料302、304は、特定の用途のニーズを満たす反射特性をもたらすために組み合わせられるあらゆる適切な材料を含むことができる。例えば、反射特性は、特定のタイプのレーザに対応し得る特定の帯域幅の中でエネルギーを遮断することを含み得る。
【0014】
さらに、第1及び第2の材料302、304の厚さは、所望の強め合う干渉特性及び弱め合う干渉特性を達成するように選択することができる。第1及び第2の材料の厚さは、同じであっても異なっていてもよい。さらに、所望している反射能力を達成するために、任意の現実的な数の異なる材料を様々に使用することができる。
【0015】
任意の適切な技術、例えばスパッタリングを使用して基板に膜を形成することができる。さらに、基板は、シリコン、サファイア、カーバイドなどの任意の適切な材料を含むことができる。
【0016】
図4は、厚さd及び屈折率nを有する膜/層404の表面402の入射角αでのレーザビームなどの指向光400を示す。光の一部は表面402から反射され、光の一部は屈折角βで膜に入る。膜/層の底面406は、表面402に光を反射し得る。当業者によく理解されているように、反射された光の波は、強め合うにまたは弱め合うように組み合わせることができる。膜層に対する光路の差は、結果として、
Δ=n(AB+BC)-AD=2ndcosβ
として定められる位相の差を生じ、式中、点A、B、C、Dによって距離AB、BC、ADが規定される。
【0017】
位相変化=πの場合、弱め合う位相変化は、2dncosβ=mλとして定めることができ、式中、mは整数であり、λは波長であり、強め合う位相変化は、2dncosβ=(m-1/2)λとして定めることができる。0の位相変化の場合、強め合う位相変化は2dncosβ=mλであり、弱め合う位相変化は2dncosβ=(m-1/2)λである。反射光は、それがより高い屈折率の媒体から反射するときには180度の位相変化を受け、それがより低い屈折率の媒体から反射するときには位相変化を受けないことが理解される。
【0018】
市販されているソフトウェア、例えば、ESSENTIAL MACLEOD SOFTWAREという会社によって販売されているソフトウェアを使用して、様々な材料層の屈折率に基づいて、様々な反射特性を有する薄膜を設計することができる。
【0019】
図5は、特定の光周波数を遮断するための例示的な不透明膜の反射特性500を示す。見て取れるように、膜は、可視光スペクトルにおいて透過性であり、すなわち、特定の帯域幅502、504、506に対して低い反射率である。1060nm、1310nm、及び1550nmで示される一般的なレーザ周波数では、膜は100%の反射率に近づく。レーザ光または任意の波長がSWIR帯域であるので、反射される帯域幅のレーザによって回路を結像することはできない。
【0020】
図6は、遮断層を有するウェハを製造するためのステップの例示的なシーケンスを示す。ステップ600において、ウェハの活性層に形成された集積回路654、例えば読出し集積回路(ROIC)を有するウェハ652の上に、酸化物層650を形成または堆積させる。ステップ602において、ハンドルウェハ656をROICウェハ652に接合してアセンブリ658を形成する。ステップ604において、アセンブリ658をフリップし、ROICウェハ652を薄くし、研磨し、エッジ研削する。特定の一実施形態では、ROICウェハ652は、100マイクロメートルのオーダーの厚さまで薄層化されている。
【0021】
ステップ606において、例えば、シリコンウェハ664を有する反射体ウェハ662に酸化物層660を形成し、薄膜反射体層666を接合する。反射体ウェハ662は、ROICアセンブリ658に接合されている。ステップ608において、アセンブリをフリップした後に、反射体ウェハ662を所望の厚さまで薄くし、ハンドルウェハ656を除去する。ステップ610において、アセンブリの上面及び下面を研磨することができる。ステップ612において、フォトパターン670をアセンブリに配置することができ、ステップ614において、接続パッドを露わにするためにシリコンをエッチングすることができる。この場合、アセンブリは、例えばボールグリッドアレイ処理の準備が整う。
【0022】
特定の用途のニーズに合わせて、反射体及び回路の位置/奥行きを選択することができることが理解される。例示的な寸法を図面を含めた本明細書で使用することができるが、任意の実用的な寸法を使用できることが理解される。
【0023】
図7は、所望の反射特性を設けることができる例示的な薄膜スタックを示す。見て分かるように、それぞれの屈折率及び選択された厚さを有するHfO
2、SiO
2、及びSiPolyの交互の層を使用して、回路層の結像を防止する遮断膜を形成することができる。
【0024】
図8は、アルミニウム及び酸化シリコンの層を含む例示的な膜積層を示す。
【0025】
図9は、SiO、SiPoly及びSiOの層を含む、例示的な膜積層を示している。
図10は、例示的な酸化チタンベースの積層を示す。
【0026】
図11に見られるように、反射体ウェハ1102の反射体膜1100は、光を反射して、集積回路1106、例えばROICでの回路1104の裏面の結像を遮断することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、散乱層を使用することもできる。
【0028】
本明細書で使用される場合、バルク材料を通る光によるマイクロエレクトロニクスの結像を防止するために、薄膜は少なくとも50%の反射率を有する。反射率の50%の低下は、オブスキュラントではないものと比較して、SWIRオブスキュラントからの透過及び散乱の増加により、コントラスト(MTF=0.5)の50%の低下であり、3×超解像度が低下する。
【0029】
薄膜の反射率は50%を上回り得ることが理解される。例えば、いくつかの実施形態では、薄膜の反射率は90%を超え得る。
【0030】
本開示の例示的な実施形態を説明してきたが、ここで当業者には、それらの概念を組み込んだ他の実施形態も使用できることが明らかになる。本明細書に含まれる実施形態が、開示された実施形態に限定されるべきではなく、むしろ添付の請求の範囲の趣旨及び範囲のみにより限定されるべきである。本願明細書において引用されるすべての出版物及び参照文献は、その全体が参照によって本願明細書に明示的に組み込まれているものとする。
【0031】
本願明細書において記載されている異なる実施形態の要素は、具体的に上記に記載されていない他の実施形態を形成するために組み合わせることができる。単一の実施形態の文脈で記載されている様々な要素は、別々に、または任意の適切な下位の組み合わせで提供されても良い。本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態も、以下の特許請求の範囲内である。
【国際調査報告】