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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】X線検出器に対する物体の位置付け
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20240625BHJP
   A61B 6/08 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A61B6/00 520M
A61B6/00 520Z
A61B6/08 505
A61B6/08 509A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575574
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 EP2022065340
(87)【国際公開番号】W WO2022258583
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】21178958.1
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】クローンケ スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ベルコルト マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ビストロフ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】メンサー ベルンド
(72)【発明者】
【氏名】ネッシュ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】セネガス ジュリアン トーマス
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA17
4C093CA34
4C093DA03
4C093EE16
4C093FA18
4C093FA32
4C093FA35
4C093FB09
4C093FC27
(57)【要約】
X線画像化システム100は、X線源110、X線検出器120、深度カメラ130、及びプロセッサ140を含む。プロセッサ140は、深度カメラから深度カメラ画像データを受け取り、X線源110の視点から、深度カメラ画像データをX線検出器120の放射線受光面に投影し、深度カメラ130の視点から、X線検出器120の放射線受光面に投影された深度カメラ画像データの画像表現170を生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線源と、
X線検出器と、
深度カメラと、
プロセッサと
を備えるX線画像化システムであって、
前記X線源及び前記X線検出器は、物体が検査領域内に受け入れられたときに前記物体に対してX線画像化動作を実施するために前記検査領域によって分けられ、
前記深度カメラは、前記物体が前記検査領域内に受け入れられたときの前記物体を表す深度カメラ画像データを生成するために前記検査領域を見ていて、
前記プロセッサは、
前記深度カメラ画像データを受け取ることと、
前記X線源の視点から、前記深度カメラ画像データを前記X線検出器の放射線受光面に投影することと、
前記深度カメラの視点から、前記X線検出器の前記放射線受光面に投影された前記深度カメラ画像データの画像表現を生成することと
を行う、X線画像化システム。
【請求項2】
前記プロセッサが、前記X線源の前記視点から、前記深度カメラ画像データを前記X線検出器の前記放射線受光面に投影すること、並びに/又は、前記X線源、前記X線検出器、及び前記深度カメラの間の所定の空間的関係に基づいて、前記深度カメラの前記視点から、前記X線検出器の前記放射線受光面に投影された前記深度カメラ画像データの前記画像表現を生成することを行う、請求項1に記載のX線画像化システム。
【請求項3】
前記深度カメラが、前記X線検出器の前記放射線受光面の少なくとも一部分を見ていて、
前記深度カメラが、前記X線検出器の前記放射線受光面の前記少なくとも一部分を表す深度カメラ画像データを生成し、
前記プロセッサが、
前記X線検出器の前記放射線受光面の前記少なくとも一部分を表す生成された前記深度カメラ画像データから、前記深度カメラと前記X線検出器との間の空間的関係を決定することと、
前記深度カメラと前記X線検出器との間の決定された前記空間的関係を使用して、前記X線源、前記X線検出器、及び前記深度カメラの間の前記空間的関係を決定することと
を行う、請求項2に記載のX線画像化システム。
【請求項4】
前記プロセッサが、前記X線源と前記深度カメラとの前記相対位置、及び/又は前記X線源と前記X線検出器との前記相対位置を表す較正データにさらに基づいて、前記X線源、前記X線検出器、及び前記深度カメラの間の前記空間的関係を決定する、請求項3に記載のX線画像化システム。
【請求項5】
前記X線源、前記X線検出器、及び前記深度カメラとの間の前記所定の空間的関係が、前記X線源、前記X線検出器、及び前記深度カメラの前記相対位置を表す較正データに基づいて決定される、請求項2に記載のX線画像化システム。
【請求項6】
前記X線検出器が、X線画像データを生成するための1つ若しくは複数の放射線感受性領域、及び/又はX線量測定データを生成するための1つ若しくは複数の放射線量測定領域を備え、
前記プロセッサが、前記1つ若しくは複数のX線放射線感受性領域を含むオーバレイ表現、及び/又は前記1つ若しくは複数のX線放射線量測定領域の表現、並びに投影された前記深度カメラ画像データの前記画像表現を生成する、請求項1に記載のX線画像化システム。
【請求項7】
前記プロセッサが、投影された前記深度カメラ画像データの前記画像表現における1つ又は複数の特徴の位置と、i)前記1つ若しくは複数のX線放射線感受性領域の前記表現、及び/又はii)前記1つ若しくは複数のX線放射線量測定領域の前記表現に対する前記1つ若しくは複数の特徴の予想位置との間の変位を計算し、前記プロセッサが、前記変位を低減させるための1つ又は複数の是正措置を表す出力を、計算された前記変位に基づいて生成する、請求項6に記載のX線画像化システム。
【請求項8】
前記深度カメラが、光学画像データを生成し、
前記画像表現が前記光学画像データを含むように、前記プロセッサが、投影された前記深度カメラ画像データの前記画像表現を生成する、請求項1から7のいずれか一項に記載のX線画像化システム。
【請求項9】
前記深度カメラが、前記X線源に機械的に連結され、
前記深度カメラが、前記X線源、及び前記X線検出器の中心を通る軸に対して半径方向にオフセットされるか、又は前記深度カメラが、前記X線源によって放出された放射線ビームの中心を通る軸に対して半径方向にオフセットされ、
前記深度カメラが、前記軸に対する異なる回転位置からの前記深度カメラ画像データを生成するために前記軸のまわりを回転可能である、請求項1から8のいずれか一項に記載のX線画像化システム。
【請求項10】
前記プロセッサが、前記X線源の視点から、投影された前記深度カメラ画像データの画像表現を生成する、請求項1から9のいずれか一項に記載のX線画像化システム。
【請求項11】
前記X線検出器が、前記検査領域内の前記X線源によって放出されたX線放射線の減衰を表すX線画像データを生成し、
前記プロセッサが、前記X線画像データのX線画像表現を生成する、請求項1から10のいずれか一項に記載のX線画像化システム。
【請求項12】
前記深度カメラ画像データが、前記物体の表面の形状を表す、請求項1から11のいずれか一項に記載のX線画像化システム。
【請求項13】
投影された前記深度カメラ画像データの前記画像表現が、前記X線検出器の前記放射線受光面上に、前記物体の表面の一部分、前記物体のシルエットの一部分、又は、前記物体の輪郭の一部分のオーバレイを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のX線画像化システム。
【請求項14】
X線源、X線検出器、及び深度カメラを備えるX線画像化システムを使用して画像表現を生成するコンピュータ実行方法であって、前記X線源及び前記X線検出器は、物体が検査領域内に受け入れられたときに前記物体に対してX線画像化動作を実施するために前記検査領域によって分けられ、前記深度カメラは、前記物体が前記検査領域内に受け入れられたときの前記物体を表す深度カメラ画像データを生成するために前記検査領域を見ることを行い、前記コンピュータ実行方法は、
前記深度カメラ画像データを受け取るステップと、
前記X線源の視点から、前記深度カメラ画像データを前記X線検出器の放射線受光面に投影するステップと、
前記深度カメラの視点から、前記X線検出器の前記放射線受光面に投影された前記深度カメラ画像データの画像表現を生成するステップと
を有する、コンピュータ実行方法。
【請求項15】
1つ又は複数のプロセッサによって実行されたとき、X線源、X線検出器、及び深度カメラを備えるX線画像化システムを使用して画像表現を生成する方法を前記1つ又は複数のプロセッサに実行させる命令を備えるコンピュータ・プログラムであって、前記X線源及び前記X線検出器は、物体が検査領域内に受け入れられたときに前記物体に対してX線画像化動作を実施するために前記検査領域によって分けられ、前記深度カメラは、前記物体が前記検査領域内に受け入れられたときの前記物体を表す深度カメラ画像データを生成するために前記検査領域を見ていて、前記方法が、
前記深度カメラ画像データを受け取るステップと、
前記X線源の視点から、前記深度カメラ画像データを前記X線検出器の放射線受光面に投影するステップと、
前記深度カメラの視点から、前記X線検出器の前記放射線受光面に投影された前記深度カメラ画像データの画像表現を生成するステップと
を有する、コンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、X線検出器に対する物体の位置付けに関する。X線画像化システム、コンピュータ実行方法、及びコンピュータ・プログラム製品も開示される。
【背景技術】
【0002】
X線画像化システムは、X線源及びX線検出器を含む。X線源及びX線検出器は、検査領域によって分けられる。物体に対してX線画像化動作を実施するために、物体が検査領域に配置される。X線画像を繰り返す必要性、及び関連付けられたX線量増加を回避するために、画像化されることになる物体がX線検出器に対して正しく位置付けられることが重要である。
【0003】
より詳細には、X線検出器は、X線画像データを生成するために使用される放射線感受性領域を含み、物体のX線画像を生成するために、物体がこれらの放射線感受性領域に対して正しく位置付けられることが重要である。
【0004】
一部のX線検出器は、X線画像データ生成中の線量データを生成するために使用される放射線量測定領域をさらに含む。線量データは、X線放射線の放出の持続時間を自動で制御するために使用されることもあり、これにより、結果として生じたX線画像における所望の信号対雑音比をもたらす。この動作は、自動露出制御「AEC」と呼ばれることもある。これらの放射線量測定領域に対する患者の正しい位置付けも、特に、密度変化を含む物体に対するX線画像検査法を実施するとき、重要である。
【0005】
例として、外側胸腔画像化動作を実施するとき、まず、患者の胸腔がX線検出器の放射線感受性領域と重なるように、患者の胸腔を位置付け、次に、脊椎とほとんど又は全く重ならない状態で、脊椎の後ろ側にX線検出器の放射線量測定領域を位置付けることが重要である。脊椎が放射線量測定領域を覆い隠した場合、高密度の脊椎によるX線減衰は、測定される線量データを抑える。自動露出制御によってX線放射線の放出の持続時間を自動で制御するために線量データが使用される場合、この持続時間の結果として生じた延長が、X線画像のコントラストを悪化させるおそれがあり、診断のためには不正確となる。
【0006】
X線検出器に対する物体の位置付けは、従来、目で、又は、物体の可視若しくは赤緑青「RGB」のカメラ画像を表示するモニタを介して、実施される。深度カメラによって生成された深度画像が、同じようにモニタに表示され、同様にX線検出器に対して物体を位置付けるために使用される。X線検出器の放射線感受性領域及びその放射線量測定領域の範囲は、典型的には、検出器の放射線受光面にマークされている。使用中、オペレータが、検出器の表面のマーキングを使用して、目で、又はモニタを介して、検出器に対して物体を位置付ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、X線検出器に対して物体を位置付けるための従来のアプローチには欠点がある。X線源とX線検出器との間の経路を覆い隠すのを回避するために、カメラ、及び同様に人間の目は、典型的には、X線源に対してオフセットされた位置からX線源とX線検出器との間の検査領域を眺める。このようなオフセットされた位置に深度カメラがあると、特にオフセットが大きいとき、X線源によって放出されたX線放射線が、X線検出器上に物体の所望の投影画像を作り出すかどうかについてオペレータが確かめるのが難しい。その上、物体は、検出器の放射線受光面上のマーキングを覆い隠すおそれがある。このような問題は、物体が検出器に対して準最適に位置付けられ、X線画像を撮り直す必要性を生じるおそれがある。これは、ワークフローの邪魔になり、物体への放射線量を増加させる。
【0008】
したがって、物体がX線検出器に対して位置付けられる方式を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の1つの態様によれば、X線画像化システムが提供される。X線画像化システムは、X線源、X線検出器、深度カメラ、及びプロセッサを含む。X線源及びX線検出器は、物体が検査領域内に受け入れられたときに物体に対してX線画像化動作を実施するために検査領域によって分けられる。深度カメラは、物体が検査領域内に受け入れられたときの物体を表す深度カメラ画像データを生成するために検査領域を見るように構成される。プロセッサは、
深度カメラ画像データを受け取ることと、
X線源の視点から、深度カメラ画像データをX線検出器の放射線受光面に投影することと、
深度カメラの視点から、X線検出器の放射線受光面に投影された深度カメラ画像データの画像表現を生成することと
を行うように構成される。
【0010】
本開示のさらなる態様、特徴、及び利点が、添付の図面を参照しながら行われる例の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一部の態様による、X線源及びX線検出器120を含む実例のX線画像化システム100の第1の視点を例示した概略図である。
図2】本開示の一部の態様による、X線源及びX線検出器120を含む実例のX線画像化システム100の第2の視点を例示した概略図である。
図3】X線源、X線検出器120、及び深度カメラ130を含む配置の比較による例を例示した概略図である。
図4】本開示の一部の態様による、X線源、X線検出器120、深度カメラ130、及びプロセッサ140を含む実例の配置を例示した概略図である。
図5】本開示の一部の態様による、深度カメラ130の視点からの、X線検出器120の放射線受光面に投影された深度カメラ画像データの画像表現170の第1の例を例示した概略図である。
図6】本開示の一部の態様による、深度カメラ130の視点からの、X線検出器120の放射線受光面に投影された深度カメラ画像データの画像表現170の第2の例を例示した概略図である。
図7】本開示の一部の態様による、深度カメラ130の視点からの、X線検出器120の放射線受光面に投影された深度カメラ画像データの画像表現170の第3の例を例示した概略図である。
図8】本開示の一部の態様による、深度カメラ130の視点からの、X線検出器120の放射線受光面に投影された深度カメラ画像データの画像表現170の第4の例を例示した概略図である。
図9】本開示の一部の態様による、深度カメラ130の視点からの、X線検出器120の放射線受光面に投影された深度カメラ画像データの画像表現170の第5の例を例示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明及び図を参照しながら、本開示の例が提供される。本説明では、説明のために、特定の例の数多くの固有の詳細が説明される。「例」、「実装形態」又は類似の言葉への本明細書における言及は、例と共に説明される特徴、構造、又は特性が、少なくともこの1つの例に含まれることを意味する。1つの例に関連して説明される特徴が別の例でも使用されること、及び簡潔さのために、全ての特徴が必ずしも例ごとに繰り返されるわけではないことも認識されたい。例えば、X線画像化システムに関連して説明される特徴は、コンピュータ実行方法において、及びコンピュータ・プログラム製品において、対応する様式で実施される。
【0013】
以下の説明では、X線画像化システムへの参照が行われる。X線画像化システムは、例えば、オランダ、ベストのPhilips Healthcareによって市販されているDigitalDiagnost C90、又は別のタイプのX線画像化システムである。一部の実例の配置では、X線画像化システムのX線源は、ガントリを介して天井にマウントされ、対応するX線検出器は、スタンドにマウントされ、垂直位置に保持される。しかし、本開示の例は、この特定の配置に限定されず、X線源及びX線検出器は、代替として、異なる様式でマウントされ、さらに異なる位置で保持されてもよいことを認識されたい。
【0014】
以下の説明では、プロセッサ、すなわちコンピュータによって実施される様々な方法への参照が行われる。本明細書で開示されるコンピュータ実行方法は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたとき、方法を少なくとも1つのプロセッサに実施させる、格納されたコンピュータ可読命令を含む非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体として提供されることが指摘される。言い換えれば、コンピュータ実行方法は、コンピュータ・プログラム製品に実装される。コンピュータ・プログラム製品は、専用ハードウェア、又は、適切なソフトウェアと共にソフトウェアを実行する能力があるハードウェアによって提供可能である。プロセッサによって提供されたとき、方法の特徴の機能は、単一の専用プロセッサによって、又は単一の共有プロセッサによって、又は複数の個々のプロセッサによって提供可能であり、これらのうちのいくつかは、共有可能である。用語「プロセッサ」又は「コントローラ」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行する能力があるハードウェアへの排他的な言及として解釈されるべきではなく、デジタル・シグナル・プロセッサ「DSP」ハードウェア、ソフトウェアを格納するためのリード・オンリ・メモリ「ROM」、ランダム・アクセス・メモリ「RAM」、不揮発性ストレージ・デバイスなどを暗示的に含むことができるがこれらに限定されない。さらに、本開示の例は、コンピュータ使用可能ストレージ媒体、又はコンピュータ可読ストレージ媒体からアクセス可能なコンピュータ・プログラム製品の形をしていることが可能であり、コンピュータ・プログラム製品は、コンピュータ若しくは任意の命令実行システムによる使用のために、又はこれらと共に、プログラム・コードを提供する。本説明のために、コンピュータ使用可能ストレージ媒体又はコンピュータ可読ストレージ媒体は、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによる使用のために、又はこれらと共に、プログラムを備えること、格納すること、通信すること、伝搬させること、又は輸送することが可能な任意の装置であることが可能である。媒体は、電子、磁気、光、電磁気、赤外線、又は半導体システム若しくはデバイス若しくは伝搬媒体であることが可能である。コンピュータ可読媒体の例は、半導体又はソリッド・ステート・メモリ、磁気テープ、取外し可能コンピュータ・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ「RAM」、リード・オンリ・メモリ「ROM」、剛性磁気ディスク、及び光ディスクを含む。光ディスクの現在の例は、コンパクト・ディスク-リード・オンリ・メモリ「CD-ROM」、コンパクト・ディスク-リード/ライト「CD-R/W」、ブルーレイ(TM)、及びDVDを含む。
【0015】
上述のように、X線画像を繰り返す必要性、及び関連付けられたX線量増加を回避するために、画像化されることになる物体がX線検出器に対して正しく位置付けられることが重要である。
【0016】
図1は、本開示の一部の態様による、X線源及びX線検出器120を含む実例のX線画像化システム100の第1の視点を例示した概略図である。X線画像化システム100は、深度カメラ130及びプロセッサ140をさらに含む。X線源110及びX線検出器120は、物体が検査領域内に受け入れられたときに物体160に対してX線画像化動作を実施するために、検査領域150によって分けられる。X線源及びX線検出器は、典型的には、画像化動作中、静止した位置に維持される。物体は、例えば、人体の一部、又は実際は任意の物体である。例示の例では、X線源は、ガントリを介して天井にマウントされ、X線検出器は、スタンドにマウントされ、垂直位置に保持される。代替の配置、マウント配置、並びに、X線源110及びX線検出器120の位置も使用される。
【0017】
図2は、本開示の一部の態様による、X線源及びX線検出器120を含む実例のX線画像化システム100の第2の視点を例示した概略図である。図1と比較すると、図2の視点は、X線源110及び深度カメラ130の位置をより明らかに例示している。また、図2では、患者の形の実例の物体160は、例示のケースでは胸部X線画像化動作である、X線画像化動作を患者に対して実施するために、検査領域150内に受け入れられる。図1及び図2のX線源110とX線検出器120との間に延びる実線は、X線源110によって放出されたX線ビームと、X線検出器120のX線放射線感受性領域との間の重複の容積測定範囲を指示し、その範囲内でX線画像データが生成される。この重複の容積測定範囲は、検査領域150を定義している。図1のX線検出器上に長方形の輪郭で例示されたような、X線検出器のX線放射線感受性領域180の周囲がX線検出器の放射線受光面にマークされる。一部の例では、X線検出器120は、X線量測定データを生成するための1つ又は複数の放射線量測定領域190をさらに含む。これらは、自動露出制御「AEC」チャンバとして言及されることがある。図1の例示の例には、5つの円形放射線量測定領域があるが、他の例では、これらは異なる形状を有してもよく、異なる数の放射線量測定領域があってもよく、場合によっては全くなくてもよい。
【0018】
使用中、物体160の信頼できるX線画像を取得するために、物体160がX線検出器120に対して、或いは、より詳細には、X線放射線感受性領域180及び/又は1つ若しくは複数の放射線量測定領域190に対して、正しく位置付けられることが望ましい。
【0019】
図1及び図2に例示された深度カメラ130は、物体が検査領域150内に受け止められたときの物体160を表す深度カメラ画像データを生成するために、検査領域150を見るように構成される。言い換えれば、深度カメラ130には、検査領域150の一部分と重なる視野がある。一般に、深度カメラによって生成された深度カメラ画像データは、深度カメラと、深度カメラの視野内の物体の表面上の点との間の距離を表す。図1及び図2を参照すると、深度カメラ画像データは、したがって、物体160の表面の3次元形状を表す。図1及び図2に例示された実例の配置では、深度カメラの視野の最小範囲は、深度カメラ130とX線検出器120との間に延びる断続線で指示されている。
【0020】
図1及び図2に例示された実例の配置における深度カメラ130は、X線源110に機械的に連結される。しかし、深度カメラ130は、代替として、検査領域150を見るために、ほかの場所に位置付けられてもよい。深度カメラは、例えば、壁に、若しくはX線画像化システム100が置かれた部屋の天井に、機械的に連結されるか、又は、部屋の床に置かれたスタンドに機械的に連結される。深度カメラは、代替として、モバイルでもよい。一部の例では、深度カメラは、したがって、X線画像化システム100が置かれた部屋中を移動させる能力があってもよい。これらの代替の配置のそれぞれでは、深度カメラは、検査領域150を見ることができる。
【0021】
深度カメラ130として、様々なタイプの深度カメラの使用が想定される。カメラは、例えば、飛行時間型、又はLIDAR原理、又は構造光原理、又は両眼立体視原理を採用する。飛行時間型、又はLIDAR原理では、放出された光パルスがカメラの位置からシーン内の物体まで進んで再び戻るのにかかる時間は、物体までの距離を表す深度カメラ画像データを生成するために使用される。Azure Kinect DK深度カメラ、及びIntel RealSense(TM)LiDARカメラL515は、この原理を採用する深度カメラの例である。構造光原理では、光学的パターンがシーン内の物体の表面に投影され、元の投影されたパターンと、物体の表面によって変形されたパターンとの間の相違が、1つ又は複数のカメラで画像化される。両眼立体視原理では、シーンの深度マップを計算するために、シーンの異なるビューが使用される。
【0022】
一部の例では、深度カメラ130は、物体が検査領域150内に受け入れたときの物体160を表す光学画像データも生成する。この光学画像データは、前述のカメラが提供する深度カメラ画像データに加えて、前述のカメラによって提供されてもよい。このようなカメラは、RGB-Dカメラと呼ばれる。光学画像データは、光スペクトルの可視又は赤外線部分を表す。
【0023】
図1に例示されたプロセッサ140は、深度カメラ画像データを受け取るように構成される。プロセッサは、任意の形式のデジタル通信を介して深度カメラ画像データを受け取る。プロセッサ140は、深度カメラ130から深度カメラ画像データを受け取る。通信経路は、直接的又は間接的である。プロセッサ140及び深度カメラ130は、図1及び図2のこれらのアイテムを接続した矢印で例示されたような、例えば、電気ケーブル若しくはイーサネットなどの直接的な有線若しくはワイヤレス通信経路、又は、Bluetoothなどのワイヤレス赤外線若しくはRF通信経路を含む。代替として、通信経路は間接的でもよく、プロセッサ140及び深度カメラ130は、インターネット、クラウド、又はコンピュータ可読ストレージ・メモリを介して互いに通信していてもよい。
【0024】
その上、プロセッサ140は、
X線源110の視点から、深度カメラ画像データをX線検出器120の放射線受光面に投影することと、
深度カメラ130の視点からの、X線検出器120の放射線受光面に投影された深度カメラ画像データの画像表現170を生成することと
を行うように構成される。
【0025】
そうする際に、X線源に対する物体の位置付けに伴う1つ又は複数の難題を未然に防いだ画像表現170が提供される。これらは、図3及び図4を参照しながら説明される。
【0026】
図3は、X線源、X線検出器120、及び深度カメラ130を含む配置の比較による例を例示した概略図である。図3では、X線源及びX線検出器は、検査領域150によって分けられる。X線源及びX線検出器は、検査領域150に配置された物体160に対してX線画像化動作を実施するために使用される。X線源110は、立体角Ωで定義された容積測定ビーム内にX線放射線を生成し、X線放射線は、X線画像データを生成するためにX線検出器120で検出される。X線源110とX線検出器の中心とを通る軸200に対してオフセットされた位置に深度カメラ130、又は代替として光学カメラがある。深度カメラ130は、検査領域150、及びさらに物体160を見るように配置される。このオフセットされた位置から生成された深度カメラ画像、又は実際には光学カメラ画像は、物体160のX線画像を生成するために、オペレータが検出器120に対して物体160を位置付けるのをいくらか補助する。しかし、このオフセットされた位置に深度カメラがあると、特に、オフセットが大きいときに、X線源によって放出されたX線放射線が、X線検出器120に物体160の所望の投影画像を作り出すかどうかについてオペレータが確かめるのが難しい。図3の配置は、したがって、物体160がX線検出器に対して誤って位置付けられることになり、物体160をより良い位置に置いてX線画像を撮り直すことが必要になる。
【0027】
この問題に対処するために、1つの従来技術のアプローチでは、深度カメラ画像データを変形させること、及びX線源の視点から深度カメラ画像データを見ることが提案されてきた。しかし、このアプローチは、直感的な物体160のビューを生じる。その上、このアプローチは、検出器の表面の閉塞領域内に深度カメラ画像データがなくなるという欠点をこうむる。図3に例示された配置を参照すると、立体角Ω、及び深度カメラ130から延びる断続線は、深度カメラの視点から見えるような、X線検出器の表面上の物体160の境界の範囲を定義している。X線源から延びる実線は、X線源110の視点から眺められたときの、検出器120の表面上の物体160の境界の範囲を指示している。この視点から眺めたとき、深度カメラ画像データは、図3の影を付けられた閉塞領域からなくなる。閉塞領域内に深度カメラ画像データがなくなることを補償するために、閉塞領域は、物体160がない状況で取得されたデータで修復される。これは、X線源の視点から深度カメラ画像データを眺めることに関するさらなる複雑性をアプローチに追加する。
【0028】
図4は、本開示の一部の態様による、X線源、X線検出器120、深度カメラ130、及びプロセッサ140を含む実例の配置を例示した概略図である。図3の比較による例のように、図4では、検査領域150を見るために深度カメラ130が位置付けられている。図3を参照しながら説明された比較による例とは対照的に、本開示のアプローチでは、深度カメラ画像データは、X線源110の視点から、X線検出器120の放射線受光面に投影される。次いで、深度カメラ130の視点からの、X線検出器120の放射線受光面に投影された深度カメラ画像データの画像表現170が生成される。X線源110、X線検出器120、及び深度カメラ130の相対位置に基づいて、数学的に投影が実施される。図4を参照すると、これは、物体160の表面210の一部分として例示されており、深度カメラ130によって見られ、投影された画像データ220を提供するために、X線検出器120の放射線受光面に投影されている。その後、深度カメラ130の視点から、この投影された画像データ220の画像表現が生成される。この画像表現は、X線源の視点からの深度カメラ画像データのビューより直観的である。したがって、この画像表現の使用は、物体160がX線検出器120に対して誤って位置付けられる機会を低減させ、X線画像を撮り直す必要性を軽減する。その上、画像表現は深度カメラの視点から提供されるので、これが、深度カメラ画像データが獲得された視点と同じ視点を有することにより、修復する必要はない。
【0029】
X線検出器120の放射線受光面への深度カメラ画像データの投影、及び投影された深度カメラ画像データの画像表現170の生成は、一般に、X線源110、X線検出器120、及び深度カメラ130の間の所定の空間的関係に基づいて実施される。所定の空間的関係は、投影を実施するために関連データに適用される空間的変換を計算するために使用される。
【0030】
X線源110、X線検出器120、及び深度カメラ130の間の所定の空間的関係は、異なる方式で決定されてもよい。
【0031】
一部の例では、X線源110、X線検出器120、及び深度カメラ130のうちの1つ又は複数の位置は固定位置であり、所定の空間的関係は、固定位置を表す較正データを使用して決定される。一部の例では、X線源110、X線検出器120、及び深度カメラ130の3つ全ての位置は固定される。これらの例では、X線源110、X線検出器120、及び深度カメラ130の間の所定の空間的関係は、X線源110、X線検出器120、及び深度カメラ130の相対位置を表す較正データに基づいて決定される。
【0032】
X線源110、X線検出器120、及び深度カメラ130の位置は、壁、天井、床などの基準位置に関連アイテムを、例えば機械的に取り付けることによって、固定される。一部の例では、これらのアイテムのうちの1つ又は複数が、複数の選択可能な固定位置のうちの1つに位置付けられることと、固定位置のそれぞれを表す較正データを提供することとを可能にすることが想定される。例えば、X線源110及び/又はX線検出器120は、複数の選択可能な固定位置のうちの1つに移動される。位置又は相対位置を表す較正データは、例えばルックアップ・テーブルとしてデータベースに格納され、前述の空間的変換を計算するためにプロセッサによってアクセスされる。
【0033】
一部の例では、X線源110、X線検出器120、及び深度カメラのうちの1つ又は複数の位置は、任意の位置に移動可能であり、X線源110、X線検出器120、及び深度カメラ130の間の所定の空間的関係は、位置センサを使用して決定される。この点に関して、光学無線周波数「RF」又は超音波追跡技法を採用した位置センサを含む様々なタイプの位置センサが想定される。適切な位置センサの例は、X線源110、X線検出器120、及び深度カメラ130のうちの1つ又は複数に配置された基準マーカの位置を追跡するように構成された、レーザ・ベースの光学レンジファインダ、RF及び超音波レンジング・トランスポンダ、並びに光学カメラを含む。1つの例では、X線源110、X線検出器120、及び深度カメラ130のうちの1つ又は複数の位置を追跡するために、さらなる深度カメラが使用される。
【0034】
1つの例では、深度カメラ130とX線検出器120との間の空間的関係は、深度カメラ130によって生成された深度カメラ画像データから決定される。この例では、深度カメラ130は、X線検出器120の放射線受光面の少なくとも一部分を眺めるようにさらに構成され、深度カメラ130は、X線検出器120の放射線受光面の少なくとも一部分を表す深度カメラ画像データを生成するようにさらに構成される。プロセッサ140は、X線検出器120の放射線受光面の少なくとも一部分を表す生成された深度カメラ画像データから深度カメラ130とX線検出器120との間の空間的関係を決定し、深度カメラ130とX線検出器120との間の決定された空間的関係を使用して、X線源110、X線検出器120、及び深度カメラ130の間の空間的関係を決定するようにさらに構成される。
【0035】
この例では、深度カメラ130は、物体160が検査領域150内に受け入れられている間にX線検出器120の表面の一部分を見るか、物体160がない状況で見る。後者のケースでは、深度カメラ130とX線検出器120との間の空間的関係は、物体150が検査領域内に受け入れられる前に決定される。例えば、空間的関係は、物体が検査領域150内に受け入れられる直前に、又は1時間に1度、1日に一度、若しくは異なる時間間隔で、決定される。上記の例のように、決定された空間的関係を表す較正データは、例えばルックアップ・テーブルとしてデータベースに格納され、前述の空間的変換を計算するためにプロセッサ140によってアクセスされる。
【0036】
この例を続けると、X線源110、X線検出器120、及び深度カメラ130の間の空間的関係は、生成された深度カメラ画像データから決定された深度カメラ130とX線検出器120との間の空間的関係を使用して、並びに、X線源110と深度カメラ130との相対位置、及び/又はX線源110とX線検出器120との相対位置を表す較正データにさらに基づいて決定される。生成された深度カメラ画像データから決定された深度カメラ130とX線検出器120との間の空間的関係と組み合わせてこの較正データを使用することによって、X線源110、X線検出器120、及び深度カメラ130の3つ全ての相対位置が決定される。較正データは、データベースに格納され、前述の空間的変換を決定するためにプロセッサ140によってアクセスされる。
【0037】
この例を続けると、図4では、深度カメラ130はX線源110に機械的に連結され、較正データは、X線源110と深度カメラ130との相対位置を表す。深度カメラ130は、代替として、X線源110に機械的に連結され、複数の選択可能な固定位置のうちの1つに移動可能でもよい。この例では、較正データは、複数の相対位置を表す。X線源110とX線検出器120との固定相対位置を表す較正データは、X線源110、X線検出器120、及び深度カメラ130の3つ全ての相対位置を決定するために、生成された深度カメラ画像データから決定された深度カメラ130とX線検出器120との間の空間的関係と組み合わせた類似の様式で格納及び使用される。
【0038】
図5から図9は、本開示による、様々な実例の画像表現を例示している。一般に、画像表現は、2次元画像又は3次元画像として提供されることが指摘される。
【0039】
図5は、本開示の一部の態様による、深度カメラ130の視点からの、X線検出器120の放射線受光面に投影された深度カメラ画像データの画像表現170の第1の例を例示した概略図である。図5では、画像表現170は、患者の表面に対応する投影された深度カメラ画像データ、及びX線検出器120の放射線受光面の一部を含む。図5の画像表現は、オペレータがX線検出器の外周に対して患者を位置付けることを可能にする。
【0040】
一部の例では、X線検出器120は、X線画像データを生成するための1つ若しくは複数の放射線感受性領域180、及び/又はX線量測定データを生成するための1つ若しくは複数の放射線量測定領域190を含む。1つの例では、プロセッサ140は、1つ若しくは複数のX線放射線感受性領域180を含むオーバレイ画像表現、及び/又は1つ若しくは複数のX線放射線量測定領域190の表現、並びに投影された深度カメラ画像データの画像表現170を生成するように構成される。これは、図6に例示されており、図6は、本開示の一部の態様による、深度カメラ130の視点からの、X線検出器120の放射線受光面に投影された深度カメラ画像データの画像表現170の第2の例を例示した概略図である。
【0041】
図5と比較すると、図6では、投影された深度カメラ画像データが、実例の5つのX線放射線量測定領域190及び放射線感受性領域180の一番上に重ねられている。図6では、患者は、半透明で表示される。X線検出器120が背景に見え、投影された物体160、すなわち患者は、背景の一番上に半透明のオーバレイとして提供される。代替として、投影された物体160、すなわち患者が背景に見え、X線放射線感受性領域180及び/又はX線放射線量測定領域190が、患者の一番上に重ねられている。図6の画像表現は、X線放射線感受性領域180に対して、及び実例の5つのX線放射線量測定領域190に対して、オペレータが患者を位置付けることを可能にする。
【0042】
図6の例を参照すると、X線放射線感受性領域180及び/又はX線放射線量測定領域190のオーバレイ、並びに投影された深度カメラ画像データは、i)投影された深度カメラ画像データにおけるX線検出器の放射線受光面を検出することと、ii)X線検出器120の放射線受光面に対するその位置の知識に基づいて、X線検出器の検出された放射線受光面にX線放射線感受性領域180及び/又はX線放射線量測定領域190の位置をマッピングすることとによって実施される。X線検出器120の放射線受光面に対するX線放射線感受性領域180及び/又はX線放射線量測定領域190の位置は、物体160、すなわち例示の患者がないX線検出器120の放射線受光面を含む基準深度カメラ画像を生成することと、基準深度カメラ画像に対するX線放射線感受性領域180及びX線放射線量測定領域190の位置を、対応するRGB画像から決定することとによって決定される。代替として、X線検出器120の放射線受光面に対するX線放射線感受性領域180及びX線放射線量測定領域190の位置は、その位置の幾何モデルを表す較正データからわかる。
【0043】
図7は、本開示の一部の態様による、深度カメラ130の視点からの、X線検出器120の放射線受光面に投影された深度カメラ画像データの画像表現170の第3の例を例示した概略図である。図6と比較すると、図7の画像表現170では、患者の表面は、X線検出器120の表面に、そのシルエットで置き換えられている。
【0044】
図8は、本開示の一部の態様による、深度カメラ130の視点からの、X線検出器120の放射線受光面に投影された深度カメラ画像データの画像表現170の第4の例を例示した概略図である。図6と比較すると、図8の画像表現170では、患者の表面は、X線検出器の表面と重なっているその輪郭で置き換えられている。
【0045】
図9は、本開示の一部の態様による、深度カメラ130の視点からの、X線検出器120の放射線受光面に投影された深度カメラ画像データの画像表現170の第5の例を例示した概略図である。図8と比較すると、図9では、画像表現170は、X線放射線感受性領域180及びX線放射線量測定領域190に対する物体160の位置を概略的に視覚化している。概略的な視覚化では、物体は、深度カメラ画像データの中で識別され、物体の概略図で代用される。
【0046】
1つの例では、X線検出器120に対する患者のより最適な位置を取得するための1つ又は複数の是正措置がさらに生成される。この例では、プロセッサ140は、投影された深度カメラ画像データの画像表現170における1つ又は複数の特徴の位置と、i)1つ若しくは複数のX線放射線感受性領域180の表現、及び/又はii)1つ若しくは複数のX線放射線量測定領域190の表現に対する1つ若しくは複数の特徴の予想位置との間の変位を計算するようにさらに構成される。プロセッサ140は、変位を低減させるための1つ又は複数の是正措置を表す出力を、計算された変位に基づいて生成するようにさらに構成される。
【0047】
この例では、X線検出器の表面上の患者のシルエット、又は手足の位置、若しくは頭などの特徴を、深度カメラ画像データから識別するための画像処理技法が使用される。特徴の予想位置は、行われる画像化動作のタイプのユーザ入力に基づいて、患者の解剖学的ランドマーク若しくは領域の現在の位置の自動検出に基づいて、患者のビューの分類に基づいて、又はこれらの因子の組合せに基づいて、決定される。例えば、胸部画像化動作が行われる場合、検出器の表面上の患者の胴のシルエットが識別され、是正措置は、患者の胴をX線放射線感受性領域180と整列させるために、「5センチメートルだけ右に胴を移動させること」を含む。是正措置は、オーディオ命令の形で出力されるか、モニタに表示される。例えば、物体を移動させるべき距離を伴う、方向を示す矢印が、画像表現170の関連部分に重ねられる。
【0048】
1つの例では、深度カメラ130は、光学画像データをさらに生成する。この例では、画像表現が光学画像データを含むように、プロセッサ140は、投影された深度カメラ画像データの画像表現170を生成する。例えば、深度カメラ画像データに加えて光学画像データを提供するために、RGB-Dカメラが使用される。光学画像データは、電磁スペクトルの可視又は赤外線部分におけるものである。光学画像データは、光学画像データと投影された深度カメラ画像データの表現とのオーバレイを生成することによって、画像表現170に含まれる。オーバレイは、ユーザがX線検出器120に対して患者を位置付けるのをさらに補助する。
【0049】
図4に戻る。ほとんどの状況では、X線源110の視点から「可視の」、及びX線検出器120の表面に投影された、物体160の表面210の一部分は、そのオフセットされた位置にかかわらず、深度カメラ画像データから非常に十分な近似に決定可能である。しかし、オフセットが大きい場合、物体の投影面は、オフセットに対してX線源の反対側、すなわち図4の投影された画像データ220の下の部分では不完全である。このような状況では、X線源110の視点からの、X線検出器120の放射線受光面への深度カメラ画像データのより完全な投影は、X線源110に対する深度カメラの異なる回転位置から取得された投影データを組み合わせることによって取得可能である。したがって、1つの例では、深度カメラは、X線源110に機械的に連結され、深度カメラ130は、X線源110、及びX線検出器120の中心を通る軸200に対して半径方向にオフセットされるか、又は、深度カメラ130は、X線源110によって放出された放射線ビームの中心を通る軸に対して半径方向にオフセットされる。深度カメラ130は、軸に対する異なる回転位置からの深度カメラ画像データを生成するために、前記軸200のまわりを回転可能である。
【0050】
この例では、深度カメラ130及びX線源の両方が、軸のまわりを一緒に回転可能であり、すなわち、回転中のX線源とX線検出器との間の相対的な動きがないか、又は深度カメラ130は、X線源に対して独立して回転可能であり、この場合、X線検出器は静止したままであるが、深度カメラは回転する。この例では、深度カメラは、任意の角度位置に自由に回転されるか、又は実際には深度カメラは、複数の選択可能な固定回転位置のうちの1つに回転される。回転位置は、例えば、90度ごと、若しくは180度ごと、又は別の角度ごとに区別される。そうする際、X線検出器110に対する物体160のより正確な位置付けが達成される。
【0051】
1つの例では、投影された深度カメラ画像データのさらなる画像表現がさらに提供される。この例では、プロセッサ140は、X線源110の視点からの、投影された深度カメラ画像データの画像表現170を生成する。この投影は、X線源110、X線検出器120、及び深度カメラ130の間の前述の所定の空間的関係に基づいて決定される。このさらなる画像表現は、X線検出器に対してオペレータが物体を位置付けるのを補助するためにさらに使用される。
【0052】
1つの例では、X線画像がさらに生成される。この例では、X線検出器120は、検査領域150内の、X線源110によって放出されたX線放射線の減弱を表すX線画像データを生成するように構成され、プロセッサ140は、X線画像データのX線画像表現を生成するようにさらに構成される。
【0053】
別の例では、X線画像化システム100と共に使用するためのコンピュータ実行方法が提供される。X線源110、X線検出器120、及び深度カメラ130を備えるX線画像化システムを使用して画像表現170を生成するコンピュータ実行方法であって、X線源110及びX線検出器120は、物体が検査領域内に受け入れられたときに物体に対してX線画像化動作を実施するために検査領域150によって分けられ、深度カメラ130は、物体が検査領域内に受け止められたときの物体を表す深度カメラ画像データを生成するために検査領域150を眺めるように構成され、方法は、
深度カメラ画像データを受け取ることと、
X線源110の視点から、深度カメラ画像データをX線検出器120の放射線受光面に投影することと、
深度カメラ130の視点からの、X線検出器120の放射線受光面に投影された深度カメラ画像データの画像表現170を生成することと
を有する。
【0054】
別の例では、X線画像化システム100と共に使用するためのコンピュータ・プログラム製品が提供される。コンピュータ・プログラム製品は、1つ又は複数のプロセッサ140によって実行されたとき、X線源110、X線検出器120、及び深度カメラ130を備えるX線画像化システムを使用して画像表現170を生成する方法を1つ又は複数のプロセッサ140に実行させる命令を備え、X線源110及びX線検出器120は、物体が検査領域内に受け止められたときに物体に対してX線画像化動作を実施するために検査領域150ごとに区別され、深度カメラ130は、物体が検査領域内に受け止められたときの物体を表す深度カメラ画像データを生成するために検査領域150を眺めるように構成される。方法は、
深度カメラ画像データを受け取るステップと、
X線源110の視点から、深度カメラ画像データをX線検出器120の放射線受光面に投影するステップと、
深度カメラ130の視点からの、X線検出器120の放射線受光面に投影された深度カメラ画像データの画像表現170を生成するステップと
を有する。
【0055】
上記の例は、本開示の例証として、また非制限的なものとして理解されることになる。さらなる例がさらに想定される。例えば、X線画像化システムに関して説明される例は、コンピュータ実行方法によって、又はコンピュータ・プログラム製品によって、又はコンピュータ可読ストレージ媒体によって、対応する様式で、さらに提供される。いずれか1つの例に関して説明される特徴は、単独で、又は他の説明される特徴と組み合わせて使用され、例の別の1つ又は複数の特徴と組み合わせて、又は他の例の組合せで使用されることを理解されたい。さらに、添付の特許請求の範囲において定義された本発明の範囲から逸脱することなく、上記に記載のない同等物及び変更形態がさらに採用されてもよい。特許請求の範囲では、単語「備える」は、他の要素又は動作を除外せず、単数形の要素は、複数を除外しない。相互に異なる従属請求項において特定の特徴が列挙されるという単なる事実は、これらの特徴の組合せを有利に使用できないことを指示しない。特許請求の範囲におけるどの参照符号も、その範囲を限定するという意味にとられるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】