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特表2024-523843パラメトリックイメージングのシステム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】パラメトリックイメージングのシステム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
G01T1/161 D
G01T1/161 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575939
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 CN2021099887
(87)【国際公開番号】W WO2022257154
(87)【国際公開日】2022-12-15
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】514190349
【氏名又は名称】上海聯影医療科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shanghai United Imaging Healthcare Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 2258 Chengbei Rd., Jiading District Shanghai, China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 一璋
(72)【発明者】
【氏名】叶 青
【テーマコード(参考)】
4C188
【Fターム(参考)】
4C188EE02
4C188FF04
4C188FF07
4C188JJ25
(57)【要約】
本願は、パラメトリックイメージングシステム、及び方法に関する。前記方法は、対象の2つの走査画像を取得するステップであって、前記2つの走査画像の走査範囲に重複領域が存在する、ステップと、前記2つの走査画像、又は前記2つの走査画像に対応する2セットの走査データをフレーム化することによって、フレーム情報を取得するステップであって、前記重複領域は、前記2つの走査画像において2フレームとして対応している、ステップと、前記フレーム情報に基づき、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定するステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラメトリックイメージングの方法であって、前記方法は、
対象の2つの走査画像を取得するステップであって、前記2つの走査画像の走査範囲に重複領域が存在する、ステップと、
前記2つの走査画像、又は前記2つの走査画像に対応する2セットの走査データをフレーム化することによって、フレーム情報を取得するステップであって、前記重複領域は、前記2つの走査画像において2フレームとして対応している、ステップと、
前記フレーム情報に基づき、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定するステップと、を含む、ことを特徴とするパラメトリックイメージングの方法。
【請求項2】
前記2つの走査画像に対応する前記2セットの走査データの時間情報は、異なる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記した対象の2つの走査画像を取得するステップは、
前記対象に対して隣接する2つの寝台の走査を実行することによって、前記2つの走査画像を取得するステップを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記した前記2つの走査画像、又は前記2つの走査画像に対応する2セットの走査データをフレーム化することによって、フレーム情報を取得するステップは、
前記2つの走査画像のうちの個々の走査画像に対して、
前記走査画像において前記重複領域と非重複領域を分割するステップと、
前記重複領域に対応する時点と前記非重複領域に対応する時点とを決定するステップと、
前記走査画像における前記重複領域に対応するサブ画像と前記重複領域に対応する時点とを、1フレームの情報とするステップと、
前記走査画像における前記非重複領域に対応するサブ画像と前記非重複領域に対応する時点とを、別の1フレームの情報とするステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記した前記重複領域に対応する時点と前記非重複領域に対応する時点とを決定するステップは、
前記走査画像の走査開始時間と走査終了時間に基づき、前記走査画像に対応する時点を決定するステップと、
前記走査画像に対応する時点を、前記重複領域に対応する時点と前記非重複領域に対応する時点とするステップと、を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記フレーム情報は、前記2つの走査画像における前記重複領域に対応する2フレームの重みをさらに含み、前記2つの走査画像は、第1走査画像と第2走査画像とを含み、前記したフレーム情報を取得するステップは、
前記第1走査画像における前記重複領域の位置情報に基づき、前記第1走査画像における前記重複領域に対応する第1フレームの重みを決定するステップと、
前記第2走査画像における前記重複領域の位置情報に基づき、前記第2走査画像における前記重複領域に対応する前記第2フレームの重みを決定するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記重みは、重み行列であり、前記重み行列内の各々の重み値は、前記重複領域に対応するフレーム内の1つの画素に対応する、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記重み行列内の重み値は、前記重複領域に対応するフレーム内の対応する画素と走査機器の中心位置との間の走査ベッドの移動方向に沿った距離、及び/又は前記対応するフレームの走査時間と関連する、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記した前記フレーム情報に基づき、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定するステップは、
前記フレーム情報に基づき、動態パラメータの値を決定するステップであって、パラメータ画像を直接再構成、又は間接再構成することに用いられ、前記動態パラメータは、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報の決定と関連する、ステップを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記した前記フレーム情報に基づき、動態パラメータの値を決定するステップは、
前記フレーム情報と動態モデルとに基づき、重み付き反復アルゴリズムを採用して、前記動態パラメータの値を決定するステップを含む、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記した前記フレーム情報と動態モデルとに基づき、重み付き反復アルゴリズムを採用して、前記動態パラメータの値を決定するステップは、
前記フレーム情報と前記動態モデルとに基づき、重み付き期待値最大化アルゴリズムを採用して、前記動態パラメータの値を決定するステップを含む、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記動態モデルは、コンパートメントモデル、又はリテンションモデルを含む、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記走査画像は、コンピュータ断層撮影(CT)機器、磁気共鳴イメージング(MRI)機器、陽電子放出断層撮影(PET)、又は単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)のうちの少なくとも1種により取得できる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記した前記フレーム情報に基づき、動態パラメータの値を決定するステップは、
前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップと、
前記動態モデルにおける前記有界関数の値を解析することによって、前記動態パラメータの値を決定するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項15】
パラメトリックイメージングの方法であって、前記方法は、
対象に対して隣接する2つの寝台の走査を行うことによって、前記対象の2セットの走査データを取得するステップであって、前記2セットの走査データに対応する2つの走査画像の走査範囲に重複領域が存在する、ステップと、
前記2セットの走査データ、又は前記2つの走査画像をフレーム化することによって、フレーム情報を取得するステップであって、前記重複領域は、前記2つの走査画像において2フレームとして対応している、ステップと、
前記フレーム情報に基づき、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定するステップと、を含む、ことを特徴とするパラメトリックイメージングの方法。
【請求項16】
パラメトリックイメージングの方法であって、前記方法は、
対象の走査データを取得するステップと、
動態モデルを取得するステップであって、前記動態モデルは、動態パラメータによってトレーサーの前記対象の体内の動態特性を特徴付け、前記動態パラメータは、前記対象の体内の前記トレーサーの代謝情報を指示する、ステップと、
前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップと、
前記走査データに基づき、前記動態モデルにおける前記有界関数の値を解析することによって、前記動態パラメータの値を決定するステップと、を含む、ことを特徴とするパラメトリックイメージングの方法。
【請求項17】
前記した前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップは、
前記動態パラメータの生理学的意義に従って、前記動態パラメータの予め設定された範囲を決定するステップと、
前記予め設定された範囲に従って、前記有界関数を選択して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップと、を含む、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記動態モデルは、複数の動態パラメータを含み、前記した前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップは、
前記複数の動態パラメータの中からターゲット動態パラメータを選択するステップと、
前記有界関数を使用して前記ターゲット動態パラメータを置き換えるステップと、を含む、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記動態モデルは、複数の動態パラメータを含み、前記した前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップは、
前記走査データに基づき、前記動態モデルを解析することによって、個々の前記動態パラメータの値を決定するステップと、
予め設定された範囲を超える動態パラメータの値が存在するか否かを判断するステップと、
予め設定された範囲を超える動態パラメータの値が存在すると判定することに応答して、前記有界関数を使用して対応する動態パラメータを置き換えるステップと、を含む、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記した前記走査データに基づき、前記動態モデルにおける前記有界関数の値を解析することによって、前記動態パラメータの値を決定するステップは、
前記走査データに基づき、フィッティングアルゴリズムに従って、前記動態モデルにおける前記有界関数の値を決定するステップと、
前記有界関数の値を前記動態パラメータの値として決定するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記動態モデルは、コンパートメントモデル、又はリテンションモデルを含む、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記有界関数は、絶対値関数、二乗関数、指数関数、又は逆正接関数のうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記走査データは、コンピュータ断層撮影(CT)機器、磁気共鳴イメージング(MRI)機器、陽電子放出断層撮影(PET)、又は単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)のうちの少なくとも1種により取得できる、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記した対象の走査データを取得するステップは、
前記対象に対してマルチベッドのステップワイズ法走査、又は連続ベッドモーション(CBM)走査を実行することによって、前記走査データを取得するステップを含む、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記方法は、
前記走査データと前記動態パラメータの値とに基づき、パラメータ画像を直接再構成、又は間接再構成するステップを更に含む、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項26】
パラメトリックイメージングシステムであって、前記システムは、
命令セットを記憶することに用いられる少なくとも1つの記憶機器と、
前記少なくとも1つの記憶機器と通信する少なくとも1つのプロセッサであって、前記命令セットを実行するときに、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、
対象の2つの走査画像を取得するステップであって、前記2つの走査画像の走査範囲に重複領域が存在する、ステップと、
前記2つの走査画像、又は前記2つの走査画像に対応する2セットの走査データをフレーム化することによって、フレーム情報を取得するステップであって、前記重複領域は、前記2つの走査画像において2フレームとして対応している、ステップと、
前記フレーム情報に基づき、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定するステップと、をさせるように構成される、少なくとも1つのプロセッサと、を含む、ことを特徴とするパラメトリックイメージングシステム。
【請求項27】
前記2つの走査画像に対応する前記2セットの走査データの時間情報は、異なる、ことを特徴とする請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
対象の2つの走査画像を取得するために、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、
前記対象に対して隣接する2つの寝台の走査を実行することによって、前記2つの走査画像を取得するステップをさせるように構成される、ことを特徴とする請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記2つの走査画像、又は前記2つの走査画像に対応する2セットの走査データをフレーム化することによって、フレーム情報を取得するために、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、
前記2つの走査画像のうちの個々の走査画像に対して、
前記走査画像において前記重複領域と非重複領域を分割するステップと、
前記重複領域に対応する時点と前記非重複領域に対応する時点とを決定するステップと、
前記走査画像における前記重複領域に対応するサブ画像と前記重複領域に対応する時点とを、1フレームの情報とするステップと、
前記走査画像における前記非重複領域に対応するサブ画像と前記非重複領域に対応する時点とを、別の1フレームの情報とするステップと、をさせるように構成される、ことを特徴とする請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
前記重複領域に対応する時点と前記非重複領域に対応する時点とを決定するために、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、
前記走査画像の走査開始時間と走査終了時間に基づき、前記走査画像に対応する時点を決定するステップと、
前記走査画像に対応する時点を、前記重複領域に対応する時点と前記非重複領域に対応する時点とするステップと、をさせるように構成される、ことを特徴とする請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記フレーム情報は、前記2つの走査画像における前記重複領域に対応する2フレームの重みをさらに含み、前記2つの走査画像は、第1走査画像と第2走査画像とを含み、フレーム情報を取得するために、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、
前記第1走査画像における前記重複領域の位置情報に基づき、前記第1走査画像における前記重複領域に対応する第1フレームの重みを決定するステップと、
前記第2走査画像における前記重複領域の位置情報に基づき、前記第2走査画像における前記重複領域に対応する前記第2フレームの重みを決定するステップと、をさせるように構成される、ことを特徴とする請求項26に記載のシステム。
【請求項32】
前記重みは、重み行列であり、前記重み行列内の各々の重み値は、前記重複領域に対応するフレーム内の1つの画素に対応する、ことを特徴とする請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記重み行列内の重み値は、前記重複領域に対応するフレーム内の対応する画素と走査機器の中心位置との間の走査ベッドの移動方向に沿った距離、及び/又は前記対応するフレームの走査時間と関連する、ことを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記フレーム情報に基づき、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定するために、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、
前記フレーム情報に基づき、動態パラメータの値を決定することで、パラメータ画像を直接再構成、又は間接再構成することに用いるステップであって、前記動態パラメータは、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報の決定と関連する、ステップをさせるように構成される、ことを特徴とする請求項26に記載のシステム。
【請求項35】
前記フレーム情報に基づき、動態パラメータの値を決定するために、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、
前記フレーム情報と動態モデルとに基づき、重み付き反復アルゴリズムを採用して、前記動態パラメータの値を決定するステップをさせるように構成される、ことを特徴とする請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記フレーム情報と動態モデルとに基づき、重み付き反復アルゴリズムを採用して、前記動態パラメータの値を決定するために、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、
前記フレーム情報と前記動態モデルとに基づき、重み付き期待値最大化アルゴリズムを採用して、前記動態パラメータの値を決定するステップをさせるように構成される、ことを特徴とする請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記動態モデルは、コンパートメントモデル、又はリテンションモデルを含む、ことを特徴とする請求項35に記載のシステム。
【請求項38】
前記走査画像は、コンピュータ断層撮影(CT)機器、磁気共鳴イメージング(MRI)機器、陽電子放出断層撮影(PET)、又は単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)のうちの少なくとも1種により取得できる、ことを特徴とする請求項26に記載のシステム。
【請求項39】
前記フレーム情報に基づき、動態パラメータの値を決定するために、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、
前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップと、
前記動態モデルにおける前記有界関数の値を解析することによって、前記動態パラメータの値を決定するステップと、をさせるように構成される、ことを特徴とする請求項34に記載のシステム。
【請求項40】
パラメトリックイメージングシステムであって、前記システムは、
命令セットを記憶することに用いられる少なくとも1つの記憶機器と、
前記少なくとも1つの記憶機器と通信する少なくとも1つのプロセッサであって、前記命令セットを実行するときに、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、
対象に対して隣接する2つの寝台の走査を行うことによって、前記対象の2セットの走査データを取得するステップであって、前記2セットの走査データに対応する2つの走査画像の走査範囲に重複領域が存在する、ステップと、
前記2セットの走査データ、又は前記2つの走査画像をフレーム化することによって、フレーム情報を取得するステップであって、前記重複領域は、前記2つの走査画像において2フレームとして対応している、ステップと、
前記フレーム情報に基づき、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定するステップと、をさせるように構成される、少なくとも1つのプロセッサと、を含む、ことを特徴とするパラメトリックイメージングシステム。
【請求項41】
パラメトリックイメージングシステムであって、前記システムは、
前記命令セットを記憶することに用いられる少なくとも1つの記憶機器と、
少なくとも1つの記憶機器と通信する少なくとも1つのプロセッサであって、前記命令セットを実行するときに、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、
対象の走査データを取得するステップと、
動態モデルを取得するステップであって、前記動態モデルは、動態パラメータによってトレーサーの前記対象の体内の動態特性を特徴付け、前記動態パラメータは、前記対象の体内の前記トレーサーの代謝情報を指示する、ステップと、
前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップと、
前記走査データに基づき、前記動態モデルにおける前記有界関数の値を解析することによって、前記動態パラメータの値を決定するステップと、を実行させるように構成される、少なくとも1つのプロセッサと、を含む、ことを特徴とするパラメトリックイメージングシステム。
【請求項42】
前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるために、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、
前記動態パラメータの生理学的意義に従って、前記動態パラメータの予め設定された範囲を決定するステップと、
前記予め設定された範囲に従って、前記有界関数を選択して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップと、をさせるように構成される、ことを特徴とする請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記動態モデルは、複数の動態パラメータを含み、前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるために、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、
前記複数の動態パラメータの中からターゲット動態パラメータを選択するステップと、
前記有界関数を使用して前記ターゲット動態パラメータを置き換えるステップと、をさせるように構成される、ことを特徴とする請求項41に記載のシステム。
【請求項44】
前記動態モデルは、複数の動態パラメータを含み、前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるために、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、
前記走査データに基づき、前記動態モデルを解析することによって、前記個々の動態パラメータの値を決定するステップと、
予め設定された範囲を超える動態パラメータの値が存在するか否かを判断するステップと、
予め設定された範囲を超える動態パラメータの値が存在すると判定することに応答して、前記有界関数を使用して対応する動態パラメータを置き換えるステップと、をさせるように構成される、ことを特徴とする請求項41に記載のシステム。
【請求項45】
前記走査データに基づき、前記動態モデルにおける前記有界関数の値を解析することによって、前記動態パラメータの値を決定するために、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、
前記走査データに基づき、フィッティングアルゴリズムに従って、前記動態モデルにおける前記有界関数の値を決定するステップと、
前記有界関数の値を前記動態パラメータの値として決定するステップと、をさせるように構成される、ことを特徴とする請求項41に記載のシステム。
【請求項46】
前記動態モデルは、コンパートメントモデル、又はリテンションモデルを含む、ことを特徴とする請求項41に記載のシステム。
【請求項47】
前記有界関数は、絶対値関数、二乗関数、指数関数、又は逆正接関数のうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項41に記載のシステム。
【請求項48】
前記走査データは、コンピュータ断層撮影(CT)機器、磁気共鳴イメージング(MRI)機器、陽電子放出断層撮影(PET)、又は単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)のうちの少なくとも1種により取得できる、ことを特徴とする請求項41に記載のシステム。
【請求項49】
対象の走査データを取得するために、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、
前記対象に対してマルチベッドのステップワイズ法走査、又は連続ベッドモーション(CBM)走査を実行することによって、前記走査データを取得するステップをさせるように構成される、ことを特徴とする請求項41に記載のシステム。
【請求項50】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、
前記走査データと前記動態パラメータの値とに基づき、パラメータ画像を直接再構成、又は間接再構成するステップをさせるように構成される、ことを特徴とする請求項41に記載のシステム。
【請求項51】
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記記憶媒体は、少なくとも1セットの命令セットを含み、コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサにより実行されるときに、前記少なくとも1セットの命令セットは、前記少なくとも1つのプロセッサに、
対象の2つの走査画像を取得するステップであって、前記2つの走査画像の走査範囲に重複領域が存在する、ステップと、
前記2つの走査画像、又は前記2つの走査画像に対応する2セットの走査データをフレーム化することによって、フレーム情報を取得するステップであって、前記重複領域は、前記2つの走査画像において2フレームとして対応している、ステップと、
前記フレーム情報に基づき、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定するステップと、を含む方法を実現させる、ことを特徴とする非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項52】
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記記憶媒体は、少なくとも1セットの命令セットを含み、コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサにより実行されるときに、前記少なくとも1セットの命令セットは、前記少なくとも1つのプロセッサに、
対象に対して隣接する2つの寝台の走査を行うことによって、前記対象の2セットの走査データを取得するステップであって、前記2セットの走査データに対応する2つの走査画像の走査範囲に重複領域が存在する、ステップと、
前記2セットの走査データ、又は前記2つの走査画像をフレーム化することによって、フレーム情報を取得するステップであって、前記重複領域は、前記2つの走査画像において2フレームとして対応している、ステップと、
前記フレーム情報に基づき、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定するステップと、を含む方法を実現させる、ことを特徴とする非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項53】
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記記憶媒体は、少なくとも1セットの命令セットを含み、コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサにより実行されるときに、前記少なくとも1セットの命令セットは、前記少なくとも1つのプロセッサに、
対象の走査データを取得するステップと、
動態モデルを取得するステップであって、前記動態モデルは、動態パラメータによってトレーサーの前記対象の体内の動態特性を特徴付け、前記動態パラメータは、前記対象の体内の前記トレーサーの代謝情報を指示する、ステップと、
前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップと、
前記走査データに基づき、前記動態モデルにおける前記有界関数の値を解析することによって、前記動態パラメータの値を決定するステップと、を含む方法を実現させる、ことを特徴とする非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、全体として、画像再構成のシステム、及び方法に関し、より具体的には、パラメータ画像を再構成するステム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、陽電子放射断層撮影(PET)イメージングは、既に臨床検査と疾患診断とに広く適用されている。標準化された取り込み値(standardized uptake value、SUV)イメージング技術に比べて、パラメトリックイメージング技術は、より高い正確性を有する定量的な測定結果を提供することができる。たとえば、パラメトリックイメージング技術は、個々の単独のボクセルに動態モデリングを応用することにより、トレーサー取り込みの動態分析を行うことができる。
【0003】
静的PETイメージングに比べて、動的PETイメージングは、動的走査時間内に1セットの画像を提供することができる。マルチベッドのステップワイズ法全身動的PET走査モードにおいて、隣接する寝台の走査領域には、通常重複が存在し、走査領域のエッジの感度を復元することに用いられる。従来方法において、通常、隣接する寝台で走査して取得される再構成画像の重複領域を合併して、1フレームとして薬物動態分析を行う。しかし、フレーム化の時間長さが比較的長い、又は放射能濃度の変化が比較的速い場合には、2つの寝台の走査における重複領域の放射能変化を無視することができない。従って、パラメトリックイメージングの方法、及びシステムを提供して、重複領域に対して非重複領域と異なる分析方法を採用することで後続のパラメトリックイメージングの精度を向上させることが期待されている。
【0004】
この他、パラメトリックイメージングの動態モデルの非線形フィッティング解析の過程において、ある幾つかの意義のある生理学的パラメータは、生理学的特性に一致しない値として解析される可能性がある。たとえば、血液の関心領域における割合(V)は、負の値に解析される可能性がある。従って、非線形解析過程に対してパラメータの境界を限定することができるパラメトリックイメージングの方法、及びシステムを提供し、それにより算出された動態パラメータの値を実際の値により近くすることが期待されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の第1態様では、パラメトリックイメージングの方法が提供される。前記方法は、対象の2つの走査画像を取得するステップであって、前記2つの走査画像の走査範囲に重複領域が存在する、ステップと、前記2つの走査画像、又は前記2つの走査画像に対応する2セットの走査データをフレーム化することによって、フレーム情報を取得するステップであって、前記重複領域は、前記2つの走査画像において2フレームとして対応している、ステップと、前記フレーム情報に基づき、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定するステップと、を含む。
【0006】
いくつかの実施例において、前記2つの走査画像に対応する前記2セットの走査データの時間情報は、異なる。
【0007】
いくつかの実施例において、前記した対象の2つの走査画像を取得するステップは、前記対象に対して隣接する2つの寝台の走査を実行することによって、前記2つの走査画像を取得するステップを含む。
【0008】
いくつかの実施例において、前記した前記2つの走査画像、又は前記2つの走査画像に対応する2セットの走査データをフレーム化することによって、フレーム情報を取得するステップは、前記2つの走査画像のうちの個々の走査画像に対して、前記走査画像において前記重複領域と非重複領域を分割するステップと、前記重複領域に対応する時点と前記非重複領域に対応する時点とを決定するステップと、前記走査画像における前記重複領域に対応するサブ画像と前記重複領域に対応する時点とを、1フレームの情報とするステップと、前記走査画像における前記非重複領域に対応するサブ画像と前記非重複領域に対応する時点とを、別の1フレームの情報とするステップと、を含む。
【0009】
いくつかの実施例において、前記した前記重複領域に対応する時点と前記非重複領域に対応する時点とを決定するステップは、前記走査画像の走査開始時間と走査終了時間とに基づき、前記走査画像に対応する時点を決定するステップと、前記走査画像に対応する時点を、前記重複領域に対応する時点と前記非重複領域に対応する時点とするステップと、を含む。
【0010】
いくつかの実施例において、前記フレーム情報は、前記2つの走査画像における前記重複領域に対応する2フレームの重みをさらに含み、前記2つの走査画像は、第1走査画像と第2走査画像とを含み、前記したフレーム情報を取得するステップは、前記第1走査画像における前記重複領域の位置情報に基づき、前記第1走査画像における前記重複領域に対応する第1フレームの重みを決定するステップと、前記第2走査画像における前記重複領域の位置情報に基づき、前記第2走査画像における前記重複領域に対応する前記第2フレームの重みを決定するステップと、を含む。
【0011】
いくつかの実施例において、前記重みは、重み行列であり、前記重み行列内の各々の重み値は、前記重複領域に対応するフレーム内の1つの画素に対応する。
【0012】
いくつかの実施例において、前記重み行列内の重み値は、前記重複領域に対応するフレーム内の対応する画素と走査機器の中心位置との間の走査ベッドの移動方向に沿った距離、及び/又は前記対応するフレームの走査時間と関連する。
【0013】
いくつかの実施例において、前記した前記フレーム情報に基づき、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定するステップは、前記フレーム情報に基づき、動態パラメータの値を決定することで、パラメータ画像を直接再構成、又は間接再構成することに用いるステップであって、前記動態パラメータは、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報の決定と関連する、ステップを含む。
【0014】
いくつかの実施例において、前記した前記フレーム情報に基づき、動態パラメータの値を決定するステップは、前記フレーム情報と動態モデルとに基づき、重み付き反復アルゴリズムを採用して、前記動態パラメータの値を決定するステップを含む。
【0015】
いくつかの実施例において、前記した前記フレーム情報と動態モデルとに基づき、重み付き反復アルゴリズムを採用して、前記動態パラメータの値を決定するステップは、前記フレーム情報と前記動態モデルとに基づき、重み付き期待値最大化アルゴリズムを採用して、前記動態パラメータの値を決定するステップを含む。
【0016】
いくつかの実施例において、前記動態モデルは、コンパートメントモデル、又はリテンションモデルを含む。
【0017】
いくつかの実施例において、前記走査画像は、コンピュータ断層撮影(CT)機器、磁気共鳴イメージング(MRI)機器、陽電子放出断層撮影(PET)、又は単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)のうちの少なくとも1種により取得できる。
【0018】
いくつかの実施例において、前記した前記フレーム情報に基づき、動態パラメータの値を決定するステップは、前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップと、前記動態モデルにおける前記有界関数の値を解析することによって、前記動態パラメータの値を決定するステップと、を含む。
【0019】
本願の第2態様では、パラメトリックイメージングの方法が提供される。前記方法は、対象に対して隣接する2つの寝台の走査を行うことによって、前記対象の2セットの走査データを取得するステップであって、前記2セットの走査データに対応する2つの走査画像の走査範囲に重複領域が存在する、ステップと、前記2セットの走査データ、又は前記2つの走査画像をフレーム化することによって、フレーム情報を取得するステップであって、前記重複領域は、前記2つの走査画像において2フレームとして対応している、ステップと、前記フレーム情報に基づき、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定するステップと、を含む。
【0020】
本願の第3態様では、パラメトリックイメージングの方法が提供される。前記方法は、対象の走査データを取得するステップと、動態モデルを取得するステップであって、前記動態モデルは、動態パラメータによってトレーサーの前記対象の体内の動態特性を特徴付け、前記動態パラメータは、前記対象の体内の前記トレーサーの代謝情報を指示する、ステップと、前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップと、前記走査データに基づき、前記動態モデルにおける前記有界関数の値を解析することによって、前記動態パラメータの値を決定するステップと、を含む。
【0021】
いくつかの実施例において、前記した前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップは、前記動態パラメータの生理学的意義に従って、前記動態パラメータの予め設定された範囲を決定するステップと、前記予め設定された範囲に従って、前記有界関数を選択して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップと、を含む。
【0022】
いくつかの実施例において、前記動態モデルは、複数の動態パラメータを含み、前記した前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップは、前記複数の動態パラメータの中からターゲット動態パラメータを選択するステップと、前記有界関数を使用して前記ターゲット動態パラメータを置き換えるステップと、を含む。
【0023】
いくつかの実施例において、前記動態モデルは、複数の動態パラメータを含み、前記した前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップは、前記走査データに基づき、前記動態モデルを解析することによって、前記個々の動態パラメータの値を決定するステップと、予め設定された範囲を超える動態パラメータの値が存在するか否かを判断するステップと、予め設定された範囲を超える動態パラメータの値が存在すると判定することに応答して、前記有界関数を使用して対応する動態パラメータを置き換えるステップと、を含む。
【0024】
いくつかの実施例において、前記した前記走査データに基づき、前記動態モデルにおける前記有界関数の値を解析することによって、前記動態パラメータの値を決定するステップは、前記走査データに基づき、フィッティングアルゴリズムに従って、前記動態モデルにおける前記有界関数の値を決定するステップと、前記有界関数の値を前記動態パラメータの値として決定するステップと、を含む。
【0025】
いくつかの実施例において、前記動態モデルは、コンパートメントモデル、又はリテンションモデルを含む。
【0026】
いくつかの実施例において、前記有界関数は、絶対値関数、二乗関数、指数関数、又は逆正接関数のうちの少なくとも1つを含む。
【0027】
いくつかの実施例において、前記走査データは、コンピュータ断層撮影(CT)機器、磁気共鳴イメージング(MRI)機器、陽電子放出断層撮影(PET)、又は単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)のうちの少なくとも1種により取得できる。
【0028】
いくつかの実施例において、前記した対象の走査データを取得するステップは、前記対象に対してマルチベッドのステップワイズ法走査、又は連続ベッドモーション(continuous bed motion、CBM)走査を実行することによって、前記走査データを取得するステップを含む。
【0029】
いくつかの実施例において、前記方法は、前記走査データと前記動態パラメータの値とに基づき、パラメータ画像を直接再構成、又は間接再構成するステップを更に含む。
【0030】
本願の第4態様では、パラメトリックイメージングシステムが提供される。前記システムは、命令セットを記憶することに用いられる少なくとも1つの記憶機器と、前記少なくとも1つの記憶機器と通信する少なくとも1つのプロセッサであって、前記命令セットを実行するときに、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、対象の2つの走査画像を取得するステップであって、前記2つの走査画像の走査範囲に重複領域が存在する、ステップと、前記2つの走査画像、又は前記2つの走査画像に対応する2セットの走査データをフレーム化することによって、フレーム情報を取得するステップであって、前記重複領域は、前記2つの走査画像において2フレームとして対応している、ステップと、前記フレーム情報に基づき、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定するステップと、をさせるように構成される、少なくとも1つのプロセッサと、を含む。
【0031】
本願の第5態様では、パラメトリックイメージングシステムが提供される。前記システムは、命令セットを記憶することに用いられる少なくとも1つの記憶機器と、前記少なくとも1つの記憶機器と通信する少なくとも1つのプロセッサであって、前記命令セットを実行するときに、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、対象に対して隣接する2つの寝台の走査を行うことによって、前記対象の2セットの走査データを取得するステップであって、前記2セットの走査データに対応する2つの走査画像の走査範囲に重複領域が存在する、ステップと、前記2セットの走査データ、又は前記2つの走査画像をフレーム化することによって、フレーム情報を取得するステップであって、前記重複領域は、前記2つの走査画像において2フレームとして対応している、ステップと、前記フレーム情報に基づき、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定するステップと、をさせるように構成される、少なくとも1つのプロセッサと、を含む。
【0032】
本願の第6態様では、パラメトリックイメージングシステムが提供される。前記システムは、命令セットを記憶することに用いられる少なくとも1つの記憶機器と、前記少なくとも1つの記憶機器と通信する少なくとも1つのプロセッサであって、前記命令セットを実行するときに、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記システムに、対象の走査データを取得するステップと、動態モデルを取得するステップであって、前記動態モデルは、動態パラメータによってトレーサーの前記対象の体内の動態特性を特徴付け、前記動態パラメータは、前記対象の体内の前記トレーサーの代謝情報を指示する、ステップと、前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップと、前記走査データに基づき、前記動態モデルにおける前記有界関数の値を解析することによって、前記動態パラメータの値を決定するステップと、をさせるように構成される、少なくとも1つのプロセッサと、を含む。
【0033】
本願の第7態様では、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供され、その特徴は、以下の通りである。前記記憶媒体は、少なくとも1セットの命令セットを含み、コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサにより実行されるときに、前記少なくとも1セットの命令セットは、前記少なくとも1つのプロセッサに、対象の2つの走査画像を取得するステップであって、前記2つの走査画像の走査範囲に重複領域が存在する、ステップと、前記2つの走査画像、又は前記2つの走査画像に対応する2セットの走査データをフレーム化することによって、フレーム情報を取得するステップであって、前記重複領域は、前記2つの走査画像において2フレームとして対応している、ステップと、前記フレーム情報に基づき、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定するステップと、を含む方法を実現させる。
【0034】
本願の第8態様では、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供され、その特徴は、以下の通りである。前記記憶媒体は、少なくとも1セットの命令セットを含み、コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサにより実行されるときに、前記少なくとも1セットの命令セットは、前記少なくとも1つのプロセッサに、対象に対して隣接する2つの寝台の走査を行うことによって、前記対象の2セットの走査データを取得するステップであって、前記2セットの走査データに対応する2つの走査画像の走査範囲に重複領域が存在する、ステップと、前記2セットの走査データ、又は前記2つの走査画像をフレーム化することによって、フレーム情報を取得するステップであって、前記重複領域は、前記2つの走査画像において2フレームとして対応している、ステップと、前記フレーム情報に基づき、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定するステップと、を含む方法を実現させる。
【0035】
本願の第9態様では、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供され、その特徴は、以下の通りである。前記記憶媒体は、少なくとも1セットの命令セットを含み、コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサにより実行されるときに、前記少なくとも1セットの命令セットは、前記少なくとも1つのプロセッサに、対象の走査データを取得するステップと、動態モデルを取得するステップであって、前記動態モデルは、動態パラメータによってトレーサーの前記対象の体内の動態特性を特徴付け、前記動態パラメータは、前記対象の体内の前記トレーサーの代謝情報を指示する、ステップと、前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップと、前記走査データに基づき、前記動態モデルにおける前記有界関数の値を解析することによって、前記動態パラメータの値を決定するステップと、を含む方法を実現させる。
【0036】
本願の第8態様では、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供され、その特徴は、以下の通りである。前記記憶媒体は、少なくとも1セットの命令セットを含み、コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサにより実行されるときに、前記少なくとも1セットの命令セットは、前記少なくとも1つのプロセッサに、対象の走査データを取得するステップと、動態モデルを取得するステップであって、前記動態モデルは、動態パラメータによってトレーサーの前記対象の体内の動態特性を特徴付け、前記動態パラメータは、前記対象の体内の前記トレーサーの代謝情報を指示する、ステップと、前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップと、前記走査データに基づき、前記動態モデルにおける前記有界関数の値を解析することによって、前記動態パラメータの値を決定するステップと、を含む方法を実現させる。
【0037】
本願の一部の付加的な特性は、以下の記述において説明され得る。以下の記述、およびこれに対応する図面に対する研究、若しくは実施例の生産又は操作に対する理解によって、本願の一部の付加的な特性は当業者に対して明らかになる。本願の特徴は、以下に記述される具体的な実施例の各々の態様の方法、手段、及び組み合わせを実践する、又は使用することによって実現、且つ達成することができる。
【0038】
本願は、例示的な実施例によって更に記述されている。これらの例示的な実施例は、図面によって詳細に記述される。これらの実施例は、非限定的な例示的な実施例であり、これらの実施例において、各図における同様な番号は、類似する構造を表す。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本願に係るいくつかの実施例に示される例示的な医療システムの模式図である。
図2】本願に係るいくつかの実施例に示されるその上で医療システム100が実現できる少なくとも一部の例示的なコンピューティングデバイスの模式図である。
図3】本願に係るいくつかの実施例に示されるその上で端末を実現できる例示的なモバイルデバイスの例示的なハードウェア、及び/又はソフトウェアコンポーネントの模式図である。
図4】本願に係るいくつかの実施例に示される例示的な処理機器140のブロック図である。
図5】本願に係るいくつかの実施例に示される対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定する例示的な過程のフローチャートである。
図6A】本願に係るいくつかの実施例に示される例示的なマルチ寝台の走査の模式図である。
図6B】従来のフレーム化処理方法である。
図6C】本願に係るいくつかの実施例に示されるフレーム化処理方法である。
図6D】従来の期待値最大化アルゴリズム(EM)と重み付きEMアルゴリズムとを採用して再構成されたKiパラメータ画像を表示する。
図6E】従来のEMアルゴリズムと重み付きEMアルゴリズムとを採用して再構成されたKiパラメータ画像を表示する。
図6F】異なるフレーム化処理方式を採用して取得されたKiパラメータ画像の差異画像を表示する。
図7】本願に係るいくつかの実施例に示される動態パラメータを決定する例示的な過程のフローチャートである。
図8A】異なる方法を採用して動態パラメータを計算するシミュレーションテスト結果を表示する。
図8B】異なる方法を採用して動態パラメータを計算するシミュレーションテスト結果を表示する。
図8C】異なる方法を採用して動態パラメータを計算するシミュレーションテスト結果を表示する。
図8D】異なる方法を採用して動態パラメータを計算するシミュレーションテスト結果を表示する。
図8E】異なる方法を採用して動態パラメータを計算するシミュレーションテスト結果を表示する。
図8F】異なる方法を採用して動態パラメータを計算するシミュレーションテスト結果を表示する。
図8G】異なる方法を採用して動態パラメータを計算するシミュレーションテスト結果を表示する。
図8H】異なる方法を採用して動態パラメータを計算するシミュレーションテスト結果を表示する。
図9A】異なる方法を採用して動態パラメータを計算して取得されたパラメータ画像を表示する。
図9B】異なる方法を採用して動態パラメータを計算して取得されたパラメータ画像を表示する。
図9C】異なる方法を採用して動態パラメータを計算して取得されたパラメータ画像を表示する。
図9D】異なる方法を採用して動態パラメータを計算して取得されたパラメータ画像を表示する。
図10】本願に係るいくつかの実施例に示される対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定する例示的な過程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本願の実施例の技術的手段をより明瞭に説明するために、以下では、実施例の記述に使用する必要のある図面を簡単に紹介する。しかしながら、当業者が理解すべき点として、これらの細部がない場合でも本願を実施できることを把握することができる。他の場合には、本願の各態様を不必要に曖昧にすることを回避するために、より高いレベルにおいて周知の方法、過程、システム、コンポーネント、及び/又は回路を記述している。当業者にとっては、開示された実施例に対して各種の変更を行うことができ、且つ本願の原則と範囲を逸脱することがない場合には、本願において定義された一般的な原則が他の実施例と応用場面とに適用できることは自明である。従って、本願は、示される実施例に限定されず、出願の特許請求の範囲と一致する最も広い範囲が認められるべきである。
【0041】
本願において使用される用語は、特定の例示的な実施例を記述することを目的としており、限定するためのものではない。例えば、文脈において例外的なケースが明確に提示されていない限りは、本願に使用される単数形の「1つ」、「1つの」、及び「該」は、同様に複数形を含んでもよい。さらに理解すべき点は、例えば、本願の明細書において使用される用語「含む」、「備える」は、上記特徴、整数、ステップ、操作、コンポーネント、及び/又は部材が存在することを提示しているが、上記の他の特徴、整数、ステップ、操作、コンポーネント、部材、及び/又はその組み合わせが存在する、又は追加される状況を排除するものではない。
【0042】
理解できる点として、本願に使用される用語「システム」、「エンジン」、「ユニット」、「モジュール」、及び/又は「ブロック」は、昇順で異なるレベルの異なる構成要素、素子、部材、部分、又はコンポーネントを区別することに用いられる方法である。しかしながら、同様な目的を達成できれば、これらの用語は、他の表現によって置き換えられてもよい。
【0043】
通常、ここで使用される単語「モジュール」、「ユニット」、又は「ブロック」は、ハードウェア、又はファームウェア内に具現化されるロジック、あるいは、ソフトウェア命令の集合を指す。本願に記述されるモジュール、ユニット、又はブロックは、ソフトウェア、及び/又はハードウェアとして実現でき、且つ何らかのタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体、又は他の記憶機器に記憶できる。いくつかの実施例において、ソフトウェアモジュール/ユニット/ブロックをコンパイルし、且つそれらを実行可能プログラム内にリンクできる。想起できるものとして、ソフトウェアモジュールは、他のモジュール/ユニット/ブロック、又はそれらの自体から呼び出すことができ、及び/又は検出されたイベント、又は一時停止に応答して呼び出すことができる。コンピュータ可読媒体上に、コンピューティングデバイス(たとえば、図2に示されるプロセッサ210)上に実行するように構成されるソフトウェアモジュール/ユニット/ブロックを提供することができる。たとえば、光ディスク、デジタルビデオ光ディスク、フラッシュドライブ、磁気ディスク、又は何らかの他の有形媒体であり、あるいは、デジタルダウンロードとする(且つ、最初に、圧縮、又はインストール可能なフォーマットで記憶することができ、実行する前に、インストール、圧縮解除、又は復号を行う必要がある)。ここでのソフトウェアコードの一部、又は全部は、操作を実行するコンピューティングデバイスの記憶機器内に記憶し、且つコンピューティングデバイスの操作内に応用することができる。ソフトウェア命令は、ファームウェア内に埋め込むことができる。さらに理解すべき点は、ハードウェアモジュール/ユニット/ブロックは、接続されるロジックコンポーネント内に、たとえば、ゲートとフリップフロップに含まれてもよく、及び/又は、プログラマブルユニット、たとえば、プログラマブルゲートアレイ、又はプロセッサを含んでもよい。本願に記述されるモジュール/ユニット/ブロック、又はコンピューティングデバイスの機能は、ソフトウェアモジュール/ユニット/ブロックとして実現できるが、ハードウェア、又はファームウェアで表されてもよい。通常、ここで記述されるモジュール/ユニット/ブロックとは、ロジックモジュール/ユニット/ブロックを指し、それらは物理的な組織、又は記憶コンポーネントであるが、それは他のモジュール/ユニット/ブロックと組み合わせ、あるいは、サブモジュール/サブユニット/サブブロックに分けることができる。該記述は、システム、エンジン、又はその一部に適用できる。
【0044】
理解できる点として、文脈に特に明確に説明されていない限り、ユニット、エンジン、モジュール、又はブロックが、別のユニット、エンジン、モジュール、又はブロック「上」にあり、別のユニット、エンジン、モジュール、又はブロックに「接続」、又は「結合」されると称されるときに、それらは、他のユニット、エンジン、モジュール、又はブロック上に直接的にあるか、それと接続又は結合されている、又はそれと通信することができる、あるいは、中間ユニット、エンジン、モジュール、又はブロックが存在する可能性がある。本願では、用語「及び/又は」は、何らかの1つ以上の関連する記載された事項、又はその組み合わせを含んでもよい。
【0045】
下記の図面に対する記述に従って、本願のこれらの、及び他の特徴、利点、及び関連する構造素子の機能と操作方法、並びに部材の組み合わせと製造上の経済性を明らかにすることができる、これらの図面は全て本願の明細書の一部を構成する。しかしながら、理解すべき点として、図面は、単に説明、及び記述することを目的として用いられており、本願の範囲を制限することを意図しない。理解すべき点として、図面は、縮尺通りに描かれていない。
【0046】
本願に使用されるフローチャートは、本願に係る開示されるいくつかの実施例に示されるシステムによって実行される操作を示している。理解すべき点として、フローチャート内の操作は、順序に応じて実行されなくてもよい。逆に、各種のステップを逆の順序で、又は同時にも処理することができる。同時に、1つ以上の他の操作をこれらのフローチャート内に追加してもよい。フローチャートから1つ以上の操作を除去してもよい。
【0047】
動的PETイメージングは、連続した時点でのトレーサーの分布画像を提供し、トレーサーの放射能の経時的な変化規則を明らかにすることができる。後の段階で動的PET画像に動態モデルを応用することによって、組織器官の機能パラメータ、例えば、局所的な血液流量、新陳代謝の速さ、及び物質輸送レート等を更に取得することができ、それにより、分子レベルで患者の体内の代謝機能状態を記述する。
【0048】
マルチベッドのステップワイズ法全身PET走査モードにおいて、隣接する寝台の走査領域には、通常重複が存在し、走査領域のエッジの感度を復元することに用いられる。静的全身PET走査において、通常、収集時間内にトレーサーの放射能が基本的に変化しないと仮定して、重み付け加算の方法を採用して全身PET画像を生成する。動的全身PET走査において、通常、隣接する2ベッドの再構成された画像の重複領域を合併し、1フレームとして薬物動態分析を行う。該フレームの時間は、隣接する2ベッドの走査時間を重み付けて計算することで得られる。しかし、この方法は、2つの寝台の走査におけるトレーサーの放射能変化を考慮していないため、重複領域のパラメータ画像の比較的大きな誤差を招く可能性がある。
【0049】
本願の一態様は、主にパラメトリックイメージングの方法を提供する。上記方法は、対象に対して複数寝台の走査を行うことによって、対象の複数セットの走査データを取得するステップを含んでもよい。隣接する2つの寝台の走査で取得された2セットの走査データに対応する2つの走査画像の走査範囲に重複領域が存在する。上記方法は、上記複数セットの走査データに対してフレーム化処理を行うことによって、一連のフレーム情報を取得するステップをさらに含んでもよい。上記隣接する2つの寝台の走査で取得された上記2セットの走査データに対応する上記2つの走査画像の間の重複領域は、上記2つの走査画像において2フレームとして対応している。上記方法は、上記一連のフレーム情報に基づき、上記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定するステップをさらに含んでもよい。
【0050】
本願のいくつかの実施例によれば、重複領域と非重複領域に対して異なる分析方法を採用し、薬物動態モデルパラメータ画像を直接、又は間接再構成することによって、重複領域のパラメータ画像の精度を向上させることができる。具体的には、重複領域を隣接する2つの寝台の走査において2フレームと見なして薬物動態分析を行うことができ、この2フレームの隣接する2つの寝台の走査におけるトレーサーの放射能変化を考慮すると、実際の生理学的変化の状況により一致する。特に、フレーム化の時間長さが比較的長い、又はトレーサー放射能の変化が比較的速い場合には、該方法で取得されたパラメータ画像の画質が比較的高い。この他、隣接する2つの寝台の走査における重複領域の異なるノイズレベルに対しては、薬物動態分析において重みを追加し、パラメータ画像の精度を更に向上させることができる。
【0051】
コンパートメントモデルは、既にPET動的定量分析において広く用いられている。トレーサーの時間放射能曲線(TAC)の非線形回帰からコンパートメントモデル(たとえば、2コンパートメントモデル)の動態パラメータを得ることができる。Levenberg-Marquardt(LM)アルゴリズムは、通常、非線形コンパートメントモデル分析における最小二乘の問題を解析することに用いられる。しかし、LM方法は、フィッティングパラメータの境界に関して制限されておらず、これは意義のない結果を招く可能性がある。たとえば、血液の関心領域における割合(V)は、負の値に解析される可能性があるが、これは生理学的特性に一致しない。従って、非線形解析過程を限定し(たとえば、パラメータの境界を限定する)、それにより、算出された結果を実際の値により近くする必要がある。1種の従来方法は、反復中に動態パラメータの境界を強制的に追加することによって限定してもよいが、このような方法は、フィッティング結果が局所最適に陥ることを招くことがよくある。他の1種の従来方法は、計算して得られた予め設定された範囲内にない動態パラメータの値を後処理する。たとえば、Vの負の値を0に修正することによるものであってもよいが、このような方法は、計算結果が不正確であるのを招くことがある。
【0052】
本願の別の態様は、主にパラメトリックイメージングの方法を提供する。上記方法は、対象の走査データを取得するステップを含んでもよい。上記方法は、動態モデルを取得するステップであって、上記動態モデルは、動態パラメータによってトレーサーの上記対象の体内の動態特性を特徴付け、上記動態パラメータは、上記対象の体内の上記トレーサーの代謝情報を指示する、ステップを含んでもよい。上記方法は、上記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して上記動態モデルにおける上記動態パラメータを置き換えるステップを含んでもよい。上記方法は、上記走査データに基づき、上記動態モデルにおける上記有界関数の値を解析することによって、上記動態パラメータの値を決定するステップを含んでもよい。
【0053】
本願のいくつかの実施例によれば、有界関数を使用して、フィッティング過程における境界を限定する必要がある動態パラメータを置き換えることによって、パラメータ境界の制限は、有界関数自体の特性によって実現され、反復における強制的な境界限定により実現されない。このように、パラメータのフィッティングが合理的な区間にあることを確実にすることができると同時に、フィッティング結果を実際の値により近くすることができる。
【0054】
図1は、本願に係るいくつかの実施例に示される例示的な医療システムの模式図である。医療システム100は、医療機器110、ネットワーク120、1つ以上の端末130、処理機器140、及び記憶機器150を含んでもよい。医療システム100内のコンポーネントは、各種の方式で接続できる。単なる例として、医療機器110は、直接的に(例えば、医療機器110と処理機器140とを接続する破線の双方向矢印に示される)、又はネットワーク120を介して処理機器140に接続できる。さらに別の一例として、記憶機器150は、直接的に(例えば、記憶機器150と医療機器110とを接続する破線の双方向矢印に示される)、又はネットワーク120を介して医療機器110に接続できる。さらに別の一例として、端末130は、直接的に(例えば、端末130と処理機器140とを接続する破線の双方向矢印に示される)、又はネットワーク120を介して処理機器140に接続できる。さらに別の一例として、端末130は、直接的に(例えば、端末130と記憶機器150とを接続する破線の双方向矢印に示される)、又はネットワーク120を介して記憶機器150に接続できる。
【0055】
医療機器110は、対象に対してイメージング、及び/又は治療を行うことができる。いくつかの実施例において、対象は、生物学的対象、及び/又は非生物学的対象を含んでもよい。たとえば、対象は、人の体の特定の部分、たとえば、頭部、胸部、腹部等、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。又は、たとえば、対象は、医療機器110の走査される病人であってもよい。
【0056】
いくつかの実施例において、医療機器110は、対象を走査して対象に関連するデータを取得することができる。たとえば、医療機器110は、単一モダリティ走査機器、及び/又は多重モダリティ走査機器を含んでもよい。単一モダリティ走査機器は、たとえば、放射型コンピュータ断層撮影(ECT)機器、陽電子放出断層撮影(PET)機器、単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)機器、超音波機器、X線機器、コンピュータ断層撮影(CT)機器、磁気共鳴イメージング(MRI)機器等、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。多重モダリティ走査機器は、たとえば、X線イメージング-磁気共鳴イメージング(X線-MRI)走査機器、陽電子放出断層撮影-X線イメージング(PET-X線)走査機器、単一光子放射コンピュータ断層撮影-磁気共鳴イメージング(SPECT-MRI)走査機器、陽電子放出断層撮影-コンピュータ断層撮影(PET-CT)走査機器、陽電子放出断層撮影-磁気共鳴イメージング(PET-MRI)走査機器、デジタルサブトラクション血管造影-磁気共鳴イメージング(DSA-MRI)走査機器等を含んでもよい。上記で提供した走査機器は、単に説明を目的として用いられるものであり、本願の範囲を制限することを意図しない。本願に用いられるように、用語「イメージングモダリティ」、又は「モダリティ」は、ターゲット対象のイメージング情報を収集、生成、処理、及び/又は分析するイメージング方法、又は技術を広く指す。
【0057】
いくつかの実施例において、医療機器110は、PET機器であってもよく、フレーム111、検出器112、走査領域113、及び走査ベッド114を含む。フレーム111は、検出器112を支えることに用いることができる。対象は、走査ベッド114に置かれ、走査ベッド114を走査領域113に移動することによって走査することができる。いくつかの実施例において、検出器112は、1つ又は複数の検出器ユニットを含んでもよい。検出器112は、シンチレーション検出器(たとえば、ヨウ化セシウム検出器)、ガス検出器等を含んでもよい。検出器112は、以下のものであり、及び/又は単一行検出器を含んでもよく、ここで複数の検出器ユニットは、単一行内、及び/又は複数行の検出器に配置され、ここで複数の検出器ユニットは、複数行となるように配置される。
【0058】
ネットワーク120は、医療システム100の情報、及び/又はデータの交換を促進できる何らの適切なネットワークを含んでもよい。いくつかの実施例において、医療システム100の1つ以上のコンポーネント(たとえば、医療機器110、端末130、処理機器140、記憶機器150)は、ネットワーク120を介して医療システム100の1つ以上の他のコンポーネントと情報、及び/又はデータを通信することができる。たとえば、処理機器140は、ネットワーク120を介して医療機器110から走査データを取得することができる。別の例として、処理機器140は、ネットワーク120を介して端末130からユーザー命令を取得することができる。ネットワーク120は、公衆ネットワーク(たとえば、インターネット)、専用ネットワーク(たとえば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN))、有線ネットワーク(たとえば、無線LAN)、イーサネット、無線ネットワーク(たとえば、802.11ネットワーク、Wi-Fiネットワーク)、セルラーネットワーク(たとえば、ロングタームエボリューション(LTE)ネットワーク)、フレームリレーネットワーク、仮想専用ネットワーク(「VPN」)、衛星ネットワーク、電話ネットワーク、ルータ、ハブ、スイッチ、サーバコンピュータ、及び/又はそれらの何らの組み合わせを含んでもよい。単なる例として、ネットワーク120は、ケーブルネットワーク、有線ネットワーク、光ファイバーネットワーク、電子通信ネットワーク、イントラネット、無線LAN(WLAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、公衆交換電話網(PSTN)、ブルートゥース(登録商標)ネットワーク、ZigBee(登録商標)ネットワーク、近距離無線通信(NFC)ネットワーク等、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、ネットワーク120は、1つ以上のネットワークアクセスポイントを含んでもよい。たとえば、ネットワーク120は、例えば、基地局、及び/又はインターネット交換ポイントのような有線、及び/又は無線ネットワークアクセスポイントを含んでもよく、医療システム100の1つ以上のコンポーネントは、有線、及び/又は無線アクセスポイントを介してネットワーク120に接続されてデータ、及び/又は情報を交換することができる。
【0059】
端末130は、モバイルデバイス131、タブレットコンピュータ132、ラップトップコンピュータ133等、又はそれらの何らの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、モバイルデバイス131は、スマートホームデバイス、ウェアラブルデバイス、スマートモバイルデバイス、仮想現実デバイス、拡張現実デバイス等、又はそれらの何らの組み合わせを含んでもよい。単なる例として、端末130は、図3に示されるモバイルデバイスを含んでもよい。いくつかの実施例において、スマートホームデバイスは、スマート照明デバイス、スマート電器制御デバイス、スマート監視デバイス、スマートテレビ、スマートビデオカメラ、インターホン等、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、ウェアラブルデバイスは、ブレスレット、履物、眼鏡、ヘルメット、腕時計、衣類、リュックサック、スマートアクセサリー等、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、モバイルデバイスは、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ゲームデバイス、ナビゲーションデバイス、販売時点情報管理(POS)デバイス、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、デスクトップ等、又はそれらの何らの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、仮想現実デバイス、及び/又は拡張現実デバイスは、仮想現実ヘルメット、仮想現実眼鏡、仮想現実ゴーグル、拡張現実ヘルメット、拡張現実眼鏡、拡張現実ゴーグル等、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。たとえば、仮想現実デバイス、及び/又は拡張現実デバイスは、Google Glass(登録商標)、Oculus Rift(登録商標)、Hololens(登録商標)、Gear VR(登録商標)等を含んでもよい。いくつかの実施例において、1つ又は複数の端末130は、処理機器140の一部であってもよい。
【0060】
処理機器140は、医療機器110、端末130、及び/又は記憶機器150から取得されたデータ、及び/又は情報を処理することができる。たとえば、処理機器140は、対象の1セット又は複数セットの走査データを取得することができる。別の例として、処理機器140は、複数セットの走査データに対してフレーム化処理を行うことによって、一連のフレーム情報を取得することができる。さらに別の例として、処理機器140は、一連のフレーム情報に基づき、対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定することができる。さらに別の例として、処理機器140は、動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して動態モデルにおける上記動態パラメータを置き換えることができる。さらに別の例として、処理機器140は、走査データに基づき、動態モデルにおける有界関数の値を解析することによって、動態パラメータの値を決定することができる。いくつかの実施例において、処理機器140は、単一のサーバ、又はサーバのグループであってもよい。サーバのグループは、集中型、又は分散型であってもよい。いくつかの実施例において、処理機器140は、医療システム100の1つ又は複数の他のコンポーネントに対するローカルコンポーネント、又は遠隔コンポーネントであってもよい。たとえば、処理機器140は、ネットワーク120を介して、医療機器110、端末130、及び/又は記憶機器150内に記憶される情報、及び/又はデータにアクセスすることができる。別の例として、処理機器140は、医療機器110、端末130、及び/又は記憶機器150に直接的に接続されて、記憶された情報、及び/又はデータにアクセスすることができる。いくつかの実施例において、処理機器140は、クラウドプラットフォーム上において実現できる。単なる例として、クラウドプラットフォームは、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウド、コミュニティクラウド、分散クラウド、インタークラウド、マルチクラウド等、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、処理機器140は、図2に示される1つ以上のコンポーネントを有するコンピューティングデバイス200によって実現できる。
【0061】
記憶機器150は、データ、命令、及び/又は何らの他の情報をも記憶できる。いくつかの実施例において、記憶機器150は、端末130、及び/又は処理機器140から取得されたデータを記憶できる。いくつかの実施例において、記憶機器150は、処理機器140が実行可能な、又は本願において記述される例示的な方法を実行することに用いられるデータ、及び/又は命令を記憶できる。いくつかの実施例において、記憶機器150は、大容量メモリ、リムーバブルメモリ、揮発性読み書きメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)等、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。例示的な大容量メモリは、磁気ディスク、光ディスク、固体ドライバ等を含んでもよい。例示的なリムーバブルメモリは、フラッシュドライブ、フロッピーディスク、光ディスク、メモリーカード、コンパクトディスク、磁気テープ等を含んでもよい。例示的な揮発性読み書きメモリは、ランダムアクセスメモリー(RAM)を含んでもよい。例示的なRAMは、ダイナミックランダムアクセスメモリー(DRAM)、ダブルデータレート同期ダイナミックランダムアクセスメモリー(DDR SDRAM)、スタティックランダムアクセスメモリー(SRAM)、サイリスタランダムアクセスメモリ(T-RAM)、及びゼロ容量ランダムアクセスメモリー(Z-RAM)等を含んでもよい。例示的なROMは、マスクROM(MROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、光ディスクROM(CD-ROM)、及びデジタル多用途ディスクROM等を含んでもよい。いくつかの実施例において、上記記憶機器150は、クラウドプラットフォーム上で実現できる。単なる例として、クラウドプラットフォームは、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウド、コミュニティクラウド、分散クラウド、インタークラウド、マルチクラウド等、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0062】
いくつかの実施例において、記憶機器150は、ネットワーク120に接続されて医療システム100の1つ以上の他のコンポーネント(たとえば、処理機器140、端末130)と通信できる。医療システム100の1つ又は複数のコンポーネントは、ネットワーク120を介して記憶機器150内に記憶されるデータ、又は命令にアクセスすることができる。いくつかの実施例において、記憶機器150は、医療システム100の1つ以上の他のコンポーネント(たとえば、処理機器140、端末130)に直接接続され、又はそれと通信してもよい。いくつかの実施例において、記憶機器150は、処理機器140の一部であってもよい。
【0063】
いくつかの実施例において、医療機器110に座標系170を提供することで、医療機器110のコンポーネントの位置(たとえば、絶対位置、別のコンポーネントに対する位置)、及び/又はコンポーネントの運動を定義することができる。たとえば、座標系170は、X軸、Y軸、及びZ軸を含んでもよい。X軸とY軸は、水平方向の軸であり、Z軸は、垂直方向の軸である。図1に示すように、X軸の正方向は、医療機器110の正面に向かう方向から見るときに、治療ベッドの左側から右側に向かう方向であってもよく、Y軸の正方向は、治療ベッドが医療機器110の内部から外部に移動する方向であってもよく、Z軸の正方向は、医療機器110の下方(又は医療機器110の所在する地面)から医療機器110の上方に向かう方向であってもよい。座標系170は、説明を目的として提供されるものに過ぎず、たとえば、座標系170は、他の座標軸をさらに含んでもよい。又は、たとえば、X軸、Y軸、及びZ軸の方向は、他の方向であってもよく、本願は制限しない。
【0064】
留意すべき点として、上記の記述は、説明することを目的として提供されるに過ぎず、本願の範囲を制限することを意図しない。当業者にとって、本願の内容の教示において、様々な変更や修正を行うことができる。各種の方式で本願に記述される例示的な実施例の特徴、構造、方法、及び他の特徴を組み合わせて、他の、及び/又は代替の例示的な実施例を取得することができる。しかしながら、これらの変化や修正は、本願の範囲から逸脱するものではない。
【0065】
図2は、本願に係るいくつかの実施例に示される、医療システム100が実現できる少なくとも一部の例示的なコンピューティングデバイスの模式図である。図2に示すように、コンピューティングデバイス200は、プロセッサ210、メモリ220、入力/出力(I/O)230、及び通信ポート240を含んでもよい。
【0066】
プロセッサ210は、本願に記述される技術に従って、コンピュータ命令(たとえば、プログラムコード)を実行し、且つ処理機器140の機能を実行することができる。コンピュータ命令は、たとえば、ルーチン、プログラム、対象、コンポーネント、データ構造、過程、モジュール、及び機能を含んでもよく、それは、本願に記述される特定の機能を実行する。たとえば、プロセッサ210は、医療機器110、記憶機器150、端末130、及び/又は医療システム100の何らの他のコンポーネントから取得されたデータ、又は情報をも処理することができる。いくつかの実施例において、プロセッサ210は、1つ又は複数のハードウェアプロセッサ、たとえば、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサー、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け命令セットプロセッサ(ASIP)、中央プロセッサ(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、物理処理ユニット(PPU)、マイクロコントローラユニット、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、アドバンストRISC機械(ARM)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、1つ又は複数の機能を実行できる何らかの回路、又はプロセッサ等、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0067】
単なる説明のために、コンピューティングデバイス200に1つのみのプロセッサが記述されている。しかしながら、本願に開示されるコンピューティングデバイス200は、複数のプロセッサをさらに含んでもよいことを留意されたい。従って、本願において開示される、1つのプロセッサにより実行される操作、及び/又は方法ステップは、複数のプロセッサにより共同で、又はそれぞれに実行されてもよい。たとえば、もし本願でコンピューティングデバイス200のプロセッサが操作Aと操作Bとを実行するとしたら、理解すべき点は、操作Aと操作Bとは、コンピューティングデバイス200内の2つ又は2つを超える異なるプロセッサにより共同で、又は別々に実行されてもよい(たとえば、第1プロセッサは、操作Aを実行し、第2プロセッサは、操作Bを実行する、又は第1プロセッサと第2プロセッサとは、共同で操作AとBとを実行する)。
【0068】
メモリ220は、医療機器110、記憶機器150、端末130、及び/又は医療システム100の何らの他のコンポーネントから取得されたデータ/情報をも記憶できる。いくつかの実施例において、メモリ220は、大容量メモリ、リムーバブルメモリ、揮発性読み書きメモリ、読み取り専用メモリ等、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。たとえば、大容量メモリは、磁気ディスク、光ディスク、固体ドライバ等を含んでもよい。リムーバブルメモリは、フラッシュドライブ、フロッピーディスク、光ディスク、メモリカード、コンパクトディスク、磁気テープ等を含んでもよい。揮発性読み書きメモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含んでもよい。RAMは、ダイナミックRAM(DRAM)、ダブルデータレート同期ダイナミックRAM(DDR SDRAM)、静的RAM(SRAM)、サイリスタRAM(T-RAM)、及びゼロ容量RAM(Z-RAM)等を含んでもよい。ますROMは、マスクROM(MROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、光ディスクROM(CD-ROM)、及びデジタル多用途ディスクROM等を含んでもよい。いくつかの実施例において、メモリ220は、1つ以上のプログラム、及び/又は命令を記憶して、本願に記述される例示的な方法を実行することができる。
【0069】
I/O 230は、信号、データ、情報等を入力、及び/又は出力できる。いくつかの実施例において、I/O 230は、ユーザーが処理機器140とインタラクションできるようにすることができる。いくつかの実施例において、I/O 230は、入力機器と出力機器とを含んでもよい。例示的な入力機器は、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクロホン等、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。例示的な出力機器は、表示装置、スピーカ、印刷機、投影機等、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。例示的な表示装置は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ベースのディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、曲面スクリーン、テレビ装置、陰極線管(CRT)、タッチパネルスクリーン等、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0070】
通信ポート240は、ネットワーク(たとえば、ネットワーク120)に接続されることでデータ通信を促進することができる。通信ポート240は、処理機器140と医療機器110、記憶機器150、及び/又は端末130との間に接続を作成することができる。該接続は、有線接続、無線接続であってもよく、データ伝送、及び/又は受信を実現できる何らの他の通信接続、及び/又はこれらの接続の組み合わせであってもよい。有線接続は、たとえばケーブル、光ケーブル、電話線等、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。無線接続は、たとえば、ブルートゥース、Wi-Fi、WiMax、無線LAN、ZigBee、モバイルネットワーク(たとえば、3G、4G、5G)等、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、通信ポート240は、以下の、標準化された通信ポート、たとえば、RS232、及び/又はRS485等を含んでもよい。いくつかの実施例において、通信ポート240は、特別に設計された通信ポートであってもよい。たとえば、デジタルイメージングと医療通信(DICOM)プロトコルとに従って通信ポート240を設計してもよい。
【0071】
図3は、本願に係るいくつかの実施例に示される、端末を実現できる例示的なモバイルデバイスの例示的なハードウェア、及び/又はソフトウェアユニットの模式図である。図3に示すように、モバイルデバイス300は、通信プラットフォーム310、ディスプレイ320、グラフィックス処理ユニット(GPU)330、中央処理ユニット(CPU)340、入力/出力(I/O)350、メモリー360、及びメモリ390を含んでもよい。いくつかの実施例において、何らかの他の適切なコンポーネントは、システムバス、又はコントローラ(図示せず)を含むがこれらに限定されず、モバイルデバイス300内に含まれてもよい。いくつかの実施例において、モバイルオペレーティングシステム370(たとえば、iOS(登録商標)、Android(登録商標)、Windows Phone(登録商標))、及び1つ以上のアプリケーション380をメモリ390からメモリー360内にアップロードして、CPU 340により実行されてもよい。アプリケーション380は、ブラウザ、又は何らの他の適切なモバイルアプリケーションプログラムを含んでもよく、処理機器140から医療システム100と関連する情報、又は他の情報を受信及びレンダリングすることに用いられる。I/O 350を介してユーザーと情報とのインタラクションを実現でき、且つネットワーク120を介してそれを処理機器140、及び/又は医療システム100の他のコンポーネントに提供することができる。
【0072】
本願に記述される各種のモジュール、ユニット、及びその機能を実施するために、コンピュータハードウェアプラットフォームは、本願において記述される1つ以上のコンポーネントのハードウェアプラットフォームとして用いられてもよい。ユーザーインターフェース要素を有するコンピュータは、パーソナルコンピュータ(PC)、又は何らの他のタイプのワークステーション、又は端末機器として用いられてもよい。コンピュータが適切にプログラムされば、コンピュータは、サーバとして用いられてもよい。
【0073】
図4は、本願に係るいくつかの実施例に示される例示的な処理機器140のブロック図である。処理機器140は、取得モジュール410、処理モジュール420、及び決定モジュール430を含んでもよい。
【0074】
取得モジュール410は、医療システム100と関連するデータ、及び/又は情報を取得することができる。医療システム100と関連するデータ、及び/又は情報は、走査データ、動態モデルの関連パラメータ、一連のフレーム情報、動態パラメータの値等、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。たとえば、取得モジュール410は、対象の複数セットの走査データを取得することができる。走査データの取得に関するより多くの記述は、本願の他の箇所(たとえば、ステップ510、ステップ710、及びその記述)において見出すことができる。又は、たとえば、取得モジュール410は、動態モデルの関連パラメータ(たとえば、入力関数、関心領域の時間-放射能曲線)を取得することができる。動態モデルの関連パラメータの取得に関するより多くの記述は、本願の他の箇所(たとえば、ステップ530、ステップ720、及びその記述)において見出すことができる。いくつかの実施例において、取得モジュール410は、医療システム100の1つ又は複数の他のコンポーネント(たとえば、医療機器110、記憶機器150)から、医療システム100と関連するデータ、及び/又は情報を取得することができる。
【0075】
処理モジュール420は、医療システム100と関連するデータ、及び/又は情報を処理することができる。たとえば、処理モジュール420は、複数セットの走査データに対してフレーム化処理を行うことによって、一連のフレーム情報を取得することができる。フレーム化処理に関するより多くの記述は、本願の他の箇所(たとえば、ステップ520、及びその記述)において見出すことができる。又は、たとえば、処理モジュール420は、動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して動態モデルにおける上記動態パラメータを置き換えることができる。有界関数を使用して動態モデルにおける動態パラメータを置き換えることに関するより多くの記述は、本願の他の箇所(たとえば、ステップ730、及びその記述)で見つけることができる。
【0076】
決定モジュール430は、医療システム100と関連するデータ、及び/又は情報を決定することができる。いくつかの実施例において、決定モジュール430は、一連のフレーム情報に基づき、対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定することができる。たとえば、決定モジュール430は、一連のフレーム情報と動態モデルとに基づき、パラメータ画像を直接再構成することができる。又は、たとえば、決定モジュール430は、一連のフレーム情報と動態モデルとに基づき、パラメータ画像を間接再構成してもよい。パラメータ画像の再構成に関するより多くの記述は、本願の他の箇所(たとえば、ステップ530、及びその記述)で見つけることができる。いくつかの実施例において、決定モジュール430は、走査データに基づき、動態モデルにおける有界関数の値を解析することによって、動態パラメータの値を決定することができる。動態モデルにおける有界関数の値を解析することによって動態パラメータの値を決定することに関するより多くの記述は、本願の他の箇所(たとえば、ステップ740、及びその記述)において見出すことができる。
【0077】
本願の処理機器140に対する上記の記述は、説明を目的として提供されるに過ぎず、本願の範囲を制限することを意図しないことを留意されたい。当業者にとっては、本願の記述に従って、様々な変更や修正を行うことができる。しかしながら、これらの変更や修正は、本願の範囲から逸脱するものではない。たとえば、処理機器140は、データを記憶することに用いられる記憶モジュール(図示略)をさらに含んでもよい。又は、たとえば、処理モジュール420と決定モジュール430とは単一のモジュールに集積されてもよい。
【0078】
図5は、本願に係るいくつかの実施例に示される対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定する例示的な過程のフローチャートである。いくつかの実施例において、過程500の少なくとも一部は、処理機器140により実行されてもよい(たとえば、図2に示されるコンピューティングデバイス200において実現される)。たとえば、過程500は、命令(たとえば、アプリケーションプログラム)の形式で記憶機器(たとえば、記憶機器150、メモリ220、メモリ390)内に記憶され、且つ処理機器140(たとえば、図2に示されるプロセッサ210、図3に示されるCPU 340、又は図4に示される処理機器140内の1つ以上のモジュール)により呼び出され、且つ/又は実行されてもよい。下記で示される過程の操作は説明を目的とするに過ぎない。いくつかの実施例において、過程500は、1つ以上の記述されていない追加の操作、及び/又は検討されていない1つ以上の操作を利用して完了できる。また、図5において示される、及び以下で記述される過程500の操作の順序が制限されることを意図しない。
【0079】
510において、処理機器140(たとえば、取得モジュール410)は、対象の複数セットの走査データを取得することができる。
【0080】
いくつかの実施例において、走査データは、PET走査データ、SPECT走査データ、MRIデータ、CTデータ等を含んでもよい。走査データは、医療機器110によって対象を走査することによって取得されたデータであってもよい。いくつかの実施例において、走査データは、PET機器が対象を走査することによって取得されたPET投影データであってもよい。いくつかの実施例において、PET投影データは、リストモードデータ、又はサイノグラムデータを含んでもよい。いくつかの実施例において、対象(たとえば、病人)に対して動的PETイメージングを行うことで、複数セットのPET走査データを取得してもよい。たとえば、ステップワイズ法収集モードによって、対象に対して複数寝台の走査を行うことで、複数セットのPET走査データを取得してもよい。各セットの走査データは、対象の少なくとも一部に対して1寝台の走査を実行することによって取得される。ステップワイズ法収集モードにおいて、走査ベッドは、ステップワイズ法運動の方式で走査領域113の中心軸線(たとえば、図1におけるY軸)方向に沿って運動することで、PET機器による対象の複数寝台の走査を実現してもよい。
【0081】
いくつかの実施例において、隣接する2つの寝台の走査で取得された2セットの走査データに対応する走査範囲は、重複領域を有し、たとえば、隣接する2つの寝台に重複領域が存在する。相応に、隣接する2つの寝台の走査で取得された2セットの走査データに対応する2つの走査画像の走査範囲は、重複領域を有する。図6Aは、本願に係るいくつかの実施例に示される例示的なマルチ寝台の走査の模式図である。図6Aに示すように、PET機器を使用して、走査ベッド620上に位置する病人610に対してマルチ寝台の走査を行うことができる。たとえば、走査する過程において、走査ベッド620は、Y軸方向に沿って運動することで、3つの寝台の走査を実現してもよい。第Q寝台で走査するときに、病人610の領域Aを走査して、第Qセットの走査データを取得することができ、第Qセットの走査データは第Q走査画像に対応する。第Q寝台で走査するときに、病人610の領域Bを走査して、第Qセットの走査データを取得することができ、第Qセットの走査データは第Q走査画像に対応する。第Q寝台で走査するときに、病人610の領域Cを走査して、第Qセットの走査データを取得することができ、第Qセットの走査データは第Q走査画像に対応する。領域A、領域B、及び領域Cの面積は、同じであってもよく異なってもよい。領域A、領域B、及び領域Cは相互に部分的に重複してもよい。たとえば、領域Aと領域Bとの間に重複領域Dが存在し、領域Bと領域Cとの間に重複領域Eが存在してもよい。重複領域Dと重複領域Eの面積は、同じであってもよく異なってもよい。相応に、第Q走査画像と第Q走査画像の走査範囲に重複領域Dが存在し、第Q走査画像と第Q走査画像の走査範囲に重複領域Eが存在する。すなわち、第Q寝台と第Q寝台との間に重複領域Dが存在し、第Q寝台と第Q寝台との間に重複領域Eが存在する。留意すべき点として、上記は、3つの寝台の走査のみを例示的に説明しており、いくつかの実施例において、病人610に対して任意の数の寝台の走査を行ってもよい。
【0082】
いくつかの実施例において、個々の寝台の走査の継続時間は、同じであってもよく異なってもよい。たとえば、第Q寝台の走査、第Q寝台の走査、及び第Q寝台の走査の継続時間は、いずれも20秒である。又は、たとえば、第Q寝台の走査の継続時間は、10秒であり、第Q寝台の走査の継続時間は、20秒であり、第Q寝台の走査の継続時間は、40秒である。いくつかの実施例において、隣接する2つの寝台の走査の間には、時間間隔が存在してもよく、時間間隔がなくてもよい。たとえば、第Q寝台の走査が完了した後、すぐに第Q寝台の走査を開始する。又は、たとえば、第Q寝台の走査が完了した後、一定の時間を経て、第Q寝台の走査を開始する。
【0083】
いくつかの実施例において、処理機器140は、個々の寝台の走査の期間に収集した走査データに基づき走査画像を生成することができる。いくつかの実施例において、処理機器140は、対象の1寝台の走査の期間に収集されたPET走査データに基づき、1つのPET画像を再構成することができる。たとえば、もしPET機器が対象に対して5つの寝台の走査を行うとしたら、処理機器140は、5セットのPET走査データを取得し、且つ5つのPET画像を再構成することができ、個々のPET画像は、1回の寝台の走査に対応する。いくつかの実施例において、処理機器140は、画像再構成アルゴリズムに従って、PET走査データに基づきPET画像を生成することができる。PET画像は、対象によるトレーサーの取り込みを表現することができる。例示的な画像再構成アルゴリズムは、反復アルゴリズム、分析アルゴリズム等を含んでもよい。反復アルゴリズムは、最尤推定(MLE)アルゴリズム、順序付きサブセット期待値最大化(OSEM)等を含んでもよい。分析アルゴリズムは、フィルター逆投影(FBP)アルゴリズム等を含んでもよい。
【0084】
いくつかの実施例において、処理機器140は、医療システム100の1つ又は複数のコンポーネント(たとえば、医療機器110、端末130、及び/又は記憶機器150)、又は外部メモリから、ネットワーク120を介して複数セットの走査データを取得することができる。たとえば、医療機器110は、取得された複数セットの走査データ(たとえば、投影データ)を記憶機器(たとえば、記憶機器150、又は外部記憶機器)に伝送して記憶することができる。処理機器140は、記憶機器から複数セットの走査データを取得することができる。別の例として、処理機器140は、医療機器110から複数セットの走査データを直接取得することができる。
【0085】
520において、処理機器140(たとえば、処理モジュール420)は、上記複数セットの走査データに対してフレーム化処理(「フレーム化」とも呼称されてもよい)を行うことによって、一連のフレーム情報(「フレーム情報」とも呼称されてもよい)を取得することができる。上記隣接する2つの寝台の走査で取得された上記2セットの走査データに対応する上記2つの走査画像の間の重複領域は、上記2つの走査画像において2フレームとして対応している。具体的には、上記隣接する2つの寝台の走査で取得された上記2セットの走査データに対応する上記2つの走査画像の間の重複領域の、上記2つの走査画像における対応する2つのサブ画像は2フレームとされる。いくつかの実施例において、走査画像における重複領域に対応するフレームは、重複領域を含んでもよい。たとえば、走査画像における重複領域に対応するフレームの走査範囲は、重複領域の走査範囲以上であってもよい。
【0086】
いくつかの実施例において、複数セットの走査データのうちの各セットの走査データに対して、処理機器140は、上記セットの走査データの中から、重複領域に対応する第1部分の走査データと、非重複領域に対応する第2部分の走査データとを抽出することができる。重複領域は、上記セットの走査データに対応する走査画像と、上記セットの走査データと対応する寝台の隣接する寝台の走査で取得された別のセットの走査データに対応する走査画像との、走査範囲が重複する領域であってもよい。
【0087】
処理機器140は、第1部分の走査データに対応する時間情報と第2部分の走査データに対応する時間情報とを決定することができる。いくつかの実施例において、処理機器140は、上記セットの走査データの走査開始時間と走査終了時間とに基づき、上記セットの走査データに対応する時間情報を決定することができる。たとえば、処理機器140は、上記セットの走査データの走査開始時間と走査終了時間との中間時点を、上記セットの走査データに対応する時間情報としてもよい。処理機器140は、上記セットの走査データに対応する時間情報を、第1部分の走査データに対応する時間情報、及び第2部分の走査データに対応する時間情報としてもよい。処理機器140は、上記第1部分の走査データと上記第1部分の走査データに対応する時間情報とを、1フレームの情報としてもよい。処理機器140は、上記第2部分の走査データと上記第2部分の走査データに対応する時間情報とを、別の1フレームの情報としてもよい。
【0088】
具体的には、いくつかの実施例において、隣接する2つの寝台は、第1寝台と第2寝台とを含んでもよく、第1寝台で第1セットの走査データを取得し、第2寝台で第2セットの走査データを取得する。第1セットの走査データに基づき第1走査画像を決定することができる。第2セットの走査データに基づき第2走査画像を決定することができる。第1走査画像と第2走査画像との走査範囲には重複領域が存在する。第1走査画像における重複領域に対応するサブ画像と、第2走査画像における重複領域に対応するサブ画像とは、2フレームとされてもよい。処理機器140は、第1セットの走査データ(又は第1走査画像)の走査開始時間と走査終了時間とに基づき、第1寝台の走査における重複領域に対応する第1フレーム(すなわち、第1走査画像における重複領域に対応するサブ画像)に対応する時間情報を決定することができる。たとえば、処理機器140は、第1セットの走査データ(又は第1走査画像)の走査開始時間と走査終了時間との中間時点を、第1寝台の走査における重複領域に対応する第1フレームに対応する時間情報としてもよい。処理機器140は、第2セットの走査データ(又は第2走査画像)の走査開始時間と走査終了時間とに基づき、第2寝台の走査における重複領域に対応する第2フレーム(すなわち、第2走査画像における重複領域に対応するサブ画像)に対応する時間情報を決定することができる。たとえば、処理機器140は、第2セットの走査データ(又は第2走査画像)の走査開始時間と走査終了時間との中間時点を、第2寝台の走査における重複領域に対応する第2フレームに対応する時間情報としてもよい。
【0089】
たとえば、図6Aに示すように、隣接する2つの寝台は、第Q寝台と第Q寝台とを含んでもよく、第Q寝台で第Qセットの走査データを取得することができ、第Qセットの走査データは第Q走査画像に対応する。第Q寝台で第Qセットの走査データを取得することができ、第Qセットの走査データは第Q走査画像に対応する。第Q走査画像と第Q走査画像との走査範囲には重複領域Dが存在する。第Q走査画像における重複領域Dに対応するサブ画像と、第Q走査画像における重複領域Dに対応するサブ画像とは、2フレームとされてもよい。いくつかの実施例において、第Q走査画像、及び/又は第Q走査画像における重複領域Dに対応するサブ画像は、重複領域を含んでもよい。たとえば、第Q走査画像、及び/又は第Q走査画像における重複領域Dに対応するサブ画像の面積は、重複領域の面積に等しくてもよく、又は重複領域の面積より大きくてもよい。処理機器140は、第Q走査画像の走査開始時間と走査終了時間とに基づき、第Q寝台の走査における重複領域Dに対応する第1フレームの時間情報を決定することができる。たとえば、処理機器140は、第Q走査画像の走査開始時間と走査終了時間との中間時点を、第Q寝台の走査における重複領域Dに対応する第1フレームの時間情報としてもよい。処理機器140は、第Q走査画像の走査開始時間と走査終了時間とに基づき、第Q寝台の走査における重複領域Dに対応する第2フレームの時間情報を決定することができる。たとえば、処理機器140は、第Q走査画像の走査開始時間と走査終了時間との中間時点を、第Q寝台の走査における重複領域Dに対応する第2フレームの時間情報としてもよい。
【0090】
図6Bは、従来のフレーム化処理方法である。図6Bに示すように、第1走査画像601と第2走査画像602は、隣接する2つの寝台の走査で取得された2つの走査画像である。第1走査画像601の最初の走査時間がTであり、走査終了時間がTであり、TとTとの中間時点がTである。第2走査画像602の最初の走査時間がT4であり、走査終了時間がTであり、TとTとの中間時点がTである。第1走査画像601と第2走査画像602との走査範囲には重複領域が存在する。第1走査画像601における重複領域に対応するサブ画像は603aである。第2走査画像602における重複領域に対応するサブ画像は603bである。従来のフレーム化処理では、サブ画像603aとサブ画像603bとを1フレームと見なすことができる。たとえば、サブ画像603aとサブ画像603bとを重み付けて計算することによって、合併後の画像を生成し、且つ合併後の画像を重複領域に対応するフレームとすることができ、重複領域に対応するフレームの時間情報は、(T+T)/2である。第1走査画像601における非重複領域のサブ画像601-1に対応するフレームの時間情報はTである。第2走査画像601における非重複領域のサブ画像602-2に対応するフレームの時間情報はTである。
【0091】
図6Cは、本願に係るいくつかの実施例に示されるフレーム化処理方法である。図6Cに示すように、本願に提案されるフレーム化処理方法によれば、サブ画像601-2とサブ画像602-1とを2フレームと見なすことができる。サブ画像601-2に対応する第1フレームの時間情報は、第1走査画像601の走査開始時間と走査終了時間との中間時点である。たとえば、サブ画像601-2に対応する第1フレームの時間情報はTである。サブ画像602-1に対応する第2フレームの時間情報は、第2走査画像602の走査開始時間と走査終了時間との中間時点である。たとえば、サブ画像602-1に対応する第2フレームの時間情報はTである。第1走査画像601における非重複領域のサブ画像601-1に対応するフレームの時間情報はTである。第2走査画像601における非重複領域のサブ画像602-2に対応するフレームの時間情報はTである。本願のいくつかの実施例によれば、重複領域を隣接する2つの寝台の走査において2フレームと見なし、後続の薬物動態分析を行うことによって、この2フレームの隣接する2つの寝台の走査におけるトレーサーの放射能変化を考慮することができ、実際の生理学的変化の状況により一致させることができる。特に、フレーム化の時間長さが比較的長い、又はトレーサー放射能の変化が比較的速い場合には、該方法で取得されたパラメータ画像の画質が比較的高くなる。
【0092】
いくつかの実施例において、一連のフレーム情報は、隣接する2つの寝台の走査における重複領域に対応する2フレームの重みをさらに含む。いくつかの実施例において、処理機器140は、第1走査画像における重複領域の位置情報に基づき、第1寝台の走査における重複領域に対応する第1フレームの重みを決定することができ、第1走査画像は、第1セットの走査データに基づき決定される。処理機器140は、第2走査画像における重複領域の位置情報に基づき、第2寝台の走査における重複領域に対応する第2フレームの重みを決定することができ、第2走査画像は、第2セットの走査データに基づき決定される。いくつかの実施例において、重複領域内の個々の画素(又はボクセル)の、対応する走査画像における位置情報に従って、重複領域に対応するフレームの重みを決定することができる。たとえば、ある画素と走査機器の中心位置との間の、走査ベッドの移動方向(たとえば、図6Aに示されるY軸方向)に沿った距離が大きいほど、上記画素に対応する重み値は小さくなる。
【0093】
いくつかの実施例において、重みは、重み行列であってもよい。重み行列内の各々の重み値は、重複領域に対応するフレーム内の1つの画素に対応する。たとえば、重複領域に対応するフレームが256画素×256画素の画像であると、重み行列は、256×256のデジタル行列であってもよく、重み行列内の個々の重み値は、重複領域に対応するフレームにおける相応な位置の1つの画素に対応する。いくつかの実施例において、重み行列内の重み値は、重複領域に対応するフレームにおける対応する画素に対応する対象の物理点と、走査機器の中心位置との間の距離と関連する。たとえば、ある1フレームにおけるある画素に対応する対象の物理点と走査機器の中心位置との間の、走査ベッドの移動方向(たとえば、図6Aに示されるY軸方向)に沿った距離が大きいほど、上記画素に対応する重み値は小さくなる。いくつかの実施例において、ある1フレームにおけるある画素に対応する対象の物理点と走査機器の中心位置との間の距離は、上記対応するフレームの属する走査画像における上記画素の位置と関連してもよい。たとえば、上記画素と上記対応するフレームの属する走査画像の中心画素点との間の距離が大きいほど、上記画素に対応する対象の物理点と走査機器の中心位置との間の距離は遠くなる。いくつかの実施例において、重み行列内の重み値は、重複領域に対応する走査画像の走査時間に関連する。たとえば、比較的長い走査時間は、比較的大きい重み値に対応する。いくつかの実施例において、重み行列内の重み値は、重複領域に対応するフレームにおける対応する画素に対応する対象の物理点と走査機器の中心位置との間の距離、及び重複領域に対応する走査画像の走査時間に関連する。たとえば、ある1フレームにおけるある画素に対応する対象の物理点と走査機器の中心位置との間の距離と、重複領域に対応する走査画像の走査時間とに従って、重み行列内の重み値を総合的に決定してもよい。
【0094】
530において、処理機器140(たとえば、決定モジュール430)は、上記一連のフレーム情報に基づき、上記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定することができる。
【0095】
いくつかの実施例において、処理機器140は、上記一連のフレーム情報に基づき、動態パラメータの値を決定することができ、上記動態パラメータは、上記対象の体内のトレーサーの代謝情報を指示することができる。いくつかの実施例において、動態パラメータは、トレーサーを対象体内に注射した後のトレーサーの動的に関連する生理学的パラメータであってもよい。たとえば、動態パラメータは、血漿から組織へのトレーサーの伝送速度(又は、トレーサーのKパラメータと呼称される)、組織から血漿へのトレーサーの伝送速度(又は、トレーサーのkパラメータと呼称される)、FDGトレーサーのリン酸化速度(又は、トレーサーのkパラメータと呼称される)、FDGトレーサーの脱リン酸化速度(又は、トレーサーのkパラメータと呼称される)、組織内の血漿濃度(V)、正味代謝速度(K)、トレーサーの灌流速度等、又はそれらの何らの組み合わせを含んでもよい。
【0096】
動態モデルは、動態パラメータによって走査期間の異なるコンパートメントの間のトレーサーの交換過程を記述することができる。いくつかの実施例において、動態モデルは、コンパートメントモデル(たとえば、1コンパートメントモデル、2コンパートメントモデル)、リテンションモデル(retention model)等、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。1コンパートメントモデルは、血液/血漿と組織との間のトレーサーの搬送過程を記述する。いくつかの実施例において、ユーザー(たとえば、医師)は、トレーサーの種類、対象の情報(たとえば、病人の走査される領域、病人の体型)、医療機器(たとえば、PET機器)の情報(たとえば、医療機器の型番)、走査パラメータ(たとえば、寝台の走査の数、走査時間)、決定されると期待される動態パラメータの種類等に従って、適切な動態モデルを選択し、パラメトリックイメージングを行うことができる。
【0097】
いくつかの実施例において、処理機器140は、動態モデルの関連パラメータを取得することができる。たとえば、入力関数(input function、IF)、及び/又は関心領域の時間-放射能曲線(time-activity curve、TAC)等である。入力関数は、血漿におけるトレーサーの濃度の経時的な変化を反映できる。たとえば、入力関数は、血漿におけるトレーサーの濃度変化を指示するTACとして表されてもよい。関心領域のTACは、関心領域におけるトレーサーの濃度の経時的な変化を反映できる。
【0098】
いくつかの実施例において、侵襲的な方法によって入力関数を取得してもよい。いくつかの実施例において、血液サンプリングによって入力関数を取得してもよい。たとえば、血液サンプリングは、複数の時点でトレーサーが注射された対象(たとえば、病人)に対して所定量の動脈血をサンプリングして、血漿におけるトレーサーのTACを決定することを含んでもよい。
【0099】
いくつかの実施例において、非侵襲的な方法によって入力関数を取得してもよい。いくつかの実施例において、画像分析の方法によって入力関数、又は関心領域のTACを取得してもよい。画像分析方法は、複数の走査画像(たとえば、PET画像)を再構成し、上記複数の走査画像が、トレーサーが対象体内に注入された後の異なる時点で収集され、且つ上記複数の走査画像に基づき、入力関数、又は関心領域のTACをフィッティングすることを含んでもよい。たとえば、走査機器が対象を30回走査し、且つ上記対象の30回の走査に基づき、30枚の走査画像が生成されると仮定すると、処理機器140は、上記30枚の走査画像を処理することによって、上記30枚の走査画像に対応する30個の時点の血漿におけるトレーサーの30個の放射能値(又は濃度値)を取得することができる。走査画像の時点は、上記走査画像に対応する走査時間帯の中間時点(たとえば、上記走査画像の走査開始時間と走査終了時間との中間時点)を指してもよい。処理機器140は、上記30個の時点と対応する30個の放射能値(又は濃度値)とに基づき、血漿におけるトレーサーの時間-放射能曲線を決定することができる。
【0100】
いくつかの実施例において、処理機器140は、一連のフレーム情報に基づき、入力関数、又は関心領域のTACを決定することができる。下記で、画像分析の方法によって、一連のフレーム情報に基づき関心領域のTACを取得することを例として説明すると、処理機器140は、フレームあたりに対応する画像において関心領域を決定することができる。フレームあたりに対応する画像に対して、処理機器140は、関心領域に関連する画素値(又はボクセル値)を決定することができる。処理機器140は、関心領域に関連する画素値(又はボクセル値)に基づき、上記フレームに対応する走査時間帯内の、関心領域におけるトレーサーの放射能値(又は濃度値)を決定することができる。処理機器140は、上記複数のフレームと対応する複数の走査時間帯内の、関心領域におけるトレーサーの複数の放射能値(又は濃度値)に基づき、関心領域のTACを決定することができる。
【0101】
留意すべき点として、入力関数、又は関心領域のTACの取得方式に関する上記内容は、説明を目的として提供されるに過ぎず、本願の範囲を制限することを意図しない。当業者は、他の方式によって入力関数、又は関心領域のTACを取得してもよい。
【0102】
いくつかの実施例において、処理機器140は、複数セットの走査データ、一連のフレーム情報、及び動態モデルに基づき、パラメータ画像を直接、又は間接再構成することができる。パラメータ画像は、Kパラメータ画像、kパラメータ画像、kパラメータ画像、Kパラメータ画像等、又はそれらの何らの組み合わせを含んでもよい。パラメータ画像内の個々の画素(又はボクセル)は対象の1つの物理点に対応する。パラメータ画像内の個々の画素(又はボクセル)の画素値(又はボクセル値)は、対象に対応する物理点の動態パラメータ値を表す。
【0103】
いくつかの実施例において、処理機器140は、一連のフレーム情報(たとえば、上記フレームに対応する画像と走査時間情報等)と動態モデルとに基づき、パラメータ画像を直接再構成することができる。たとえば、処理機器140は、一連のフレーム情報と動態モデルとに基づき、Patlak再構成アルゴリズムに基づき、式(1)と式(2)とに従って、パラメータ画像を直接再構成することができる。
【0104】
【数1】
【0105】
ここで、θは、動態パラメータを表し、xは、動的走査画像(すなわち、一連のフレーム)を表し、yは、動的投影を表し、bは、動態行列を表し、pは、システム行列を表し、n、i、j、m、及びkは、それぞれ反復回数、投影、画像ボクセル、フレーム、及び動態パラメータの番号を表す。式(1)及び式(2)は、一連のフレーム情報と動態モデルとに基づき、Patlak再構成アルゴリズムに従ってパラメータ画像を再構成する過程を表すことができる。すなわち、式(1)及び式(2)は、一連のフレーム情報と、動態モデルと、パラメータ画像との間の関係を表すことができる。
【0106】
いくつかの実施例において、処理機器140は、一連のフレーム情報(フレームの重みを含む)と動態モデルとに基づき、重み付きアルゴリズム(たとえば、重み付き反復アルゴリズム)を採用して、パラメータ画像を直接再構成することができる。例示的な反復アルゴリズムは、最尤推定(MLE)アルゴリズム、最小二乘アルゴリズム、順序付きサブセット期待値最大化(OSEM)アルゴリズム、最大事後確率(MAP)アルゴリズム、重み付き最小二乘(WLS)アルゴリズム等、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。たとえば、処理機器140は、一連のフレーム情報(フレームの重みを含む)と動態モデルとに基づき、重み付き期待値最大化アルゴリズムに従って、式(3)に従ってパラメータ画像を直接再構成することができる。
【0107】
【数2】
【0108】
ここで、wは、重み値を表す。いくつかの実施例において、式(3)を行列の形式に書いて、式(4)を得ることができる。
【0109】
【数3】
【0110】
ここで、θは、動態パラメータを表し、Xは、動的走査画像(すなわち、一連のフレーム)を表し、Bは、動態行列を表し、Wは、重み行列を表す。
【0111】
PET走査を行う過程において、隣接する寝台で取得された2つの走査画像の間の重複領域は通常寝台のエッジ領域にあり、PETカウントが比較的少なく、感度が比較的低くなる。また、重複領域の位置は隣接する2つのベッドの走査においてベッドの位置に対して異なるため、隣接する2つのベッドの2つの走査画像の重複領域を2フレームと見なすときには、2つのベッドの走査における重複領域の異なるノイズレベルは、更なる画像アーチファクトを招くことがある。従って、異なるフレームの間のカウントの感度変化によるノイズの変化を考慮する必要があることから、隣接する寝台の重複領域の2フレームに対して異なる重みを設定し、且つ薬物動態計算において用いることによって、画像ノイズを低減させ、且つ重複領域の境界でのアーチファクトを除去することができる。たとえば、式(3)及び(4)に記述されるものに従い、パラメトリックイメージングの反復再構成の過程において、動態行列及び一連のフレーム情報と重みとを乗算することによって、再構成されたパラメータ画像のノイズをより小さくすることができる。
【0112】
いくつかの実施例において、処理機器140は、一連のフレーム情報(たとえば、上記フレームに対応する画像と走査時間情報等)と動態モデルとに基づき、パラメータ画像を間接再構成することができる。たとえば、処理機器140は、一連のフレーム情報に基づき、上記一連のフレームに対応する複数の走査画像を再構成することができる。処理機器140は、上記複数の走査画像に基づき、動態パラメータの値を決定し、且つパラメータ画像を再構成することができる。具体的には、処理機器140は、個々の走査画像において各々の点を決定することができ、上記各々の点は対象上の1つの物理点に対応する。処理機器140は、個々の走査画像における各々の点の画素値(又はボクセル値)と、個々の走査画像の時間情報とに基づき、各々の点のTACを決定することができる。処理機器140は、各々の点のTACと動態モデルとに基づき、各々の点の動態パラメータを決定することができる。処理機器140は、各々の点の動態パラメータに基づき、パラメータ画像を再構成することができる。
【0113】
いくつかの実施例において、処理機器140は、動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して動態モデルにおける上記動態パラメータを置き換えることができる。処理機器140は、上記動態モデルにおける上記有界関数の値を解析することによって、上記動態パラメータの値を決定することができる。有界関数を使用して動態パラメータを置き換えることに関するより多くの記述は、本願の他の箇所(たとえば、図7、及びその関連記述)において見出すことができる。
【0114】
本願の上記の記述は、説明を目的として提供されるに過ぎず、本願の範囲を制限することを意図しないことを留意されたい。当業者にとっては、本願の記述に従って、様々な変更や修正を行うことができる。しかしながら、これらの変化や修正は、本願の範囲から逸脱するものではない。たとえば、プロセス500は、PET機器がPET画像を取得することのみを例として記述されており、本願が提供するパラメトリックイメージングの方法は、さらに、他の機器(たとえば、SPECT機器、MRI機器、CT機器等)が取得した他のタイプの走査データ(たとえば、SPECT走査データ、MRIデータ、CTデータ等)に基づき、パラメトリックイメージングを行う過程に適用することができる。
【0115】
いくつかの実施例において、動態パラメータ(又はパラメータ画像)は、対象の器官、及び/又は組織の生理学的機能を評価するのに役立ち得る。たとえば、処理機器140は、対象に関連する動態パラメータに基づき、対象体内に病変が発生しているか否かを決定することができる。具体的には、処理機器140は、対象に関連する動態パラメータの値と標準的な動態パラメータの値とを比較することによって、対象の体内に病変が発生しているか否かを判断することができる。もし対象に関連する動態パラメータの値と標準的な動態パラメータの値との差値が予め設定された範囲を超えたら、対象の体内の相応な位置に病変が発生している可能性があると決定することができる。いくつかの実施例において、臨床実験、及び/又は経験データに基づき、標準的な動態パラメータの値を決定することができる。
【0116】
図6Dは、従来の期待値最大化(EM)アルゴリズムと重み付きEMアルゴリズムとを採用して再構成されたKiパラメータ画像を表示する。
【0117】
図6Dに示すように、図(1)と(2)とは、従来のEMアルゴリズムを採用して再構成された模擬ファントムのKiパラメータ画像である。ここで、図(1)は、模擬ファントムの冠状面に対応するKiパラメータ画像であり、図(2)は、図(1)における平面A-A’の断面に対応するKiパラメータ画像である。図(3)と(4)とは、本願が提供する重み付きEMアルゴリズムを採用して再構成された模擬ファントムのKiパラメータ画像である。ここで、図(3)は、模擬ファントムの冠状面に対応するKiパラメータ画像であり、図(4)は、模擬ファントムの断面に対応するKiパラメータ画像である。図面から分かるように、従来のEMアルゴリズムを採用して再構成されたKiパラメータ画像に比べて、重み付きEMアルゴリズムを採用して再構成されたKiパラメータ画像は、比較的少ないノイズを有する。図(2)における矢印Cは、Kiパラメータ画像における一部のノイズを指示する。
【0118】
図6Eは、従来のEMアルゴリズムと重み付きEMアルゴリズムとを採用して再構成されたKiパラメータ画像を表示する。
【0119】
図6Eに示すように、図(1)と(3)とは、従来のEMアルゴリズムを採用して再構成された病人のKiパラメータ画像である。ここで、図(1)は、病人の冠状面に対応するKiパラメータ画像であり、図(3)は、図(1)における平面B-B’の断面に対応するKiパラメータ画像である。図(2)と(4)とは、重み付きEMアルゴリズムを採用して再構成された病人のKiパラメータ画像である。ここで、図(2)は、病人の冠状面に対応するKiパラメータ画像であり、図(4)は、病人の断面に対応するKiパラメータ画像である。図面から分かるように、従来のEMアルゴリズムを採用して再構成されたKiパラメータ画像に比べて、重み付きEMアルゴリズムを採用して再構成されたKiパラメータ画像は、比較的少ないアーチファクトを有する。図(1)における矢印Dは、Kiパラメータ画像における一部のアーチファクトを指示する。
【0120】
図6Fは、異なるフレーム化処理方式を採用して取得されたKiパラメータ画像の差異画像を表示する。
【0121】
図6Fに示すように、図(1)は、従来のフレーム化処理方式(すなわち、重複領域が隣接する2ベッドの走査において1フレームと見なされる)を採用して取得された模擬ファントムのKiパラメータ画像であり、図(3)は、従来のフレーム化処理方式を採用して取得された病人のKiパラメータ画像であり、図(2)と(4)とは、従来のフレーム化処理方式を採用して取得されたKiパラメータ画像(すなわち、図(1)と図(3))のそれぞれと、本願が提供するフレーム化処理方式(すなわち、重複領域が隣接する2ベッドの走査において2フレームと見なされる)を採用して取得されたKiパラメータ画像との差異画像である。
【0122】
図(2)及び(4)から分かるように、2種のフレーム化処理方式を採用して取得されたKiパラメータ画像は、重複領域に違いが存在する。この他、2種のフレーム化処理方式を採用して取得された模擬ファントムのKiパラメータ画像に比べて、2種のフレーム化処理方式を採用して取得された病人のKiパラメータ画像の差異画像は、2種のフレーム化処理方式を採用して取得された重複領域のパラメータ画像の差異をより明らかに示すことができ、たとえば、病人の腹部領域である。これは、主に、従来のフレーム化処理方式を採用して薬物動態分析を行うときに、隣接する寝台の走査のトレーサーの濃度変化に対する仮定が、実際の状況と比較的大きく異なるからである。本願が提供するフレーム化処理方式を採用し、重複領域を隣接する2つの寝台の走査において2フレームと見なして薬物動態分析を行うことにより、この2フレームの隣接する2つの寝台の走査におけるトレーサーの放射能変化を十分に考慮することができ、実際の生理学的変化の状況により一致させることができ、従って、重複領域のパラメータ画像の精度を向上させることができる。
【0123】
図7は、本願に係るいくつかの実施例に示される動態パラメータを決定する例示的な過程のフローチャートである。いくつかの実施例において、過程700の少なくとも一部は、処理機器140により実行されてもよい(たとえば、図2に示されるコンピューティングデバイス200において実現される)。たとえば、過程700は、命令(たとえば、アプリケーションプログラム)の形式で記憶機器(たとえば、記憶機器150、メモリ220、メモリ390)内に記憶され、且つ処理機器140(たとえば、図2に示されるプロセッサ210、図3に示されるCPU 340、又は図4に示される処理機器140内の1つ以上のモジュール)により呼び出され、且つ/又は実行されてもよい。下記で示される過程の操作は説明を目的とするに過ぎない。いくつかの実施例において、過程700は、1つ以上の記述されていない追加の操作、及び/又は検討されていない1つ以上の操作を利用して完了できる。また、図7において示される、及び以下で記述される過程700の操作の順序が制限されることを意図しない。
【0124】
710において、処理機器140(たとえば、取得モジュール410)は、対象の走査データを取得することができる。
【0125】
いくつかの実施例において、走査データは、PET走査データ、SPECT走査データ、MRIデータ、CT走査データ等を含んでもよい。いくつかの実施例において、走査データは、対象に対して動的PETイメージングを行うことによって取得された複数セットのPET走査データであってもよい。たとえば、走査データは、マルチベッドのステップワイズ法走査によって取得された走査データであってもよい。又は、たとえば、走査データは、連続したベッドの走査によって取得された走査データであってもよい。いくつかの実施例において、走査データをフレーム化処理して、一連のフレーム情報を取得し、ステップ740において動態パラメータの決定に用いてもよい。
【0126】
いくつかの実施例において、ステップ710は、図5におけるステップ510に従って実行されてもよい。
【0127】
720において、処理機器140(たとえば、取得モジュール410)は、動態モデルを取得することができる。上記動態モデルは、動態パラメータによって上記トレーサーの上記対象の体内の動態特性を特徴付ける。上記動態パラメータは、上記対象の体内の上記トレーサーの代謝情報を指示することができる。
【0128】
いくつかの実施例において、ステップ720は、図5におけるステップ530に記載の動態モデルの取得方法に従って実行されてもよい。
【0129】
730において、処理機器140(たとえば、処理モジュール420)は、上記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して上記動態モデルにおける上記動態パラメータを置き換えることができる。
【0130】
有界関数とは、f(x)が区間E上の関数であり、且つEに属する任意のxに対して、定数mとMとが存在し、m≦f(x)≦Mとされる場合、f(x)が区間E上の有界関数と言われることを指す。たとえば、有界関数は、絶対値関数、二乗関数、指数関数、逆正接関数等、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0131】
いくつかの実施例において、動態パラメータの生理学的意義に従って、上記動態パラメータの予め設定された範囲を決定することができる。たとえば、動態パラメータVの生理学的意義は、組織における血漿濃度を表し、組織における血漿濃度が負の数である可能性がないため、動態パラメータVの予め設定された範囲が0より大きい値であると決定できる。いくつかの実施例において、臨床実験、及び/又は経験データに基づき、動態パラメータの予め設定された範囲を決定することができる。たとえば、大量の臨床実験において、ある動態パラメータの値が全て[a,b]の範囲内にあれば、該動態パラメータの値の予め設定された範囲が[a,b]であると決定できる。
【0132】
更に、処理機器140は、動態パラメータの予め設定された範囲に従って、有界関数を選択して動態モデルにおける上記動態パラメータを置き換えることができる。たとえば、有界関数の特性に従って、適切な有界関数を選択して動態モデルにおける動態パラメータを置き換えることができる。具体的には、絶対値関数(たとえば、|V|)、又は二乗関数(たとえば、V )を選択して、動態モデルにおける、非負の値を有する動態パラメータVを置き換えることができる。
【0133】
いくつかの実施例において、動態モデルは、複数の動態パラメータを含んでもよく、処理機器140は、上記複数の動態パラメータの中からターゲット動態パラメータを選択することができる。処理機器140は、有界関数を使用してターゲット動態パラメータを置き換えることができる。ターゲット動態パラメータは、従来のフィッティングアルゴリズムを採用して予め設定された範囲を超える動態パラメータを容易に得ることができる。従来のフィッティングアルゴリズムは、境界制約を採用しない最適化アルゴリズム(たとえば、Levenberg-Marquardt(LM)法、勾配降下法、ニュートン法)等を含んでもよい。たとえば、ターゲット動態パラメータは、入力関数(又は関心領域の時間放射能曲線(TAC))のノイズに敏感な動態パラメータであってもよい。いくつかの実施例において、テストデータ、又は経験に従って、複数の動態パラメータの中からターゲット動態パラメータを選択し、有界関数を使用してターゲット動態パラメータを優先的に置き換えることができる。本願のいくつかの実施例によれば、計算の精度を向上させるために、有界関数を使用して、動態モデルにける入力関数のノイズに敏感ではない動態パラメータは置き換えなくてもよい。もし現在の計算方法を採用して決定された、入力関数のノイズに敏感でない動態パラメータの値の全てにエラーが存在する(たとえば、予め設定された範囲を超える)ときには、通常、現在の計算方法が不適切であるか、又は計算にエラーが存在し、修正される必要があると考える。
【0134】
いくつかの実施例において、処理機器140は、走査データに基づき、動態モデルを解析することによって、個々の動態パラメータの値を決定することができる。たとえば、処理機器140は、LMアルゴリズムを採用して、走査データに基づき、動態モデルを解析することによって、個々の動態パラメータの値を決定することができる。処理機器140は、予め設定された範囲を超える動態パラメータの値が存在するか否かを判断することができる。たとえば、個々の動態パラメータは、1つの予め設定された範囲に対応しており、動態パラメータ、及びそれに対応する予め設定された範囲は予め設定されて記憶機器150に記憶されてもよく、処理機器140は、記憶機器150から動態パラメータと、それに対応する予め設定された範囲とを取得することができる。予め設定された範囲を超える動態パラメータの値が存在すると判定することに応答して、処理機器140は、有界関数を使用して対応する動態パラメータを置き換え、且つ個々の動態パラメータの値を再び計算し、個々の動態パラメータの更新値を決定することができる。いくつかの実施例において、処理機器140は、予め設定された範囲を超える動態パラメータの更新値が存在するか否かを再び判断することができる。予め設定された範囲を超える動態パラメータの更新値が存在すると決定することに応答して、処理機器140は、有界関数を使用して対応する動態パラメータを置き換え、解いた個々の動態パラメータの値(又は更新値)が全てそれに対応する予め設定された範囲を満たすまで、上記反復操作を繰り返すことができる。
【0135】
740において、処理機器140(たとえば、決定モジュール430)は、上記走査データに基づき、上記動態モデルにおける上記有界関数の値を解析することによって、上記動態パラメータの値を決定することができる。
【0136】
いくつかの実施例において、処理機器140は、動態モデルの関連パラメータを取得することができる。たとえば、入力関数、関心領域のTAC等である。処理機器140は、走査データ、動態モデルの関連パラメータに基づき、動態モデルにおける有界関数の値を解析することができる。処理機器140は、有界関数の値を動態パラメータの値として決定することができる。いくつかの実施例において、動態モデルにおける動態パラメータの決定については、図5におけるステップ530に記述される方法に従って実行されてもよい。
【0137】
本願が提案する有界関数置換法の利点を更に検証するために、病人のPET画像上から肝組織TACを抽出し、それぞれ従来のLMアルゴリズム、直接境界制限法、及び有界関数置換法を採用して、2コンパートメントモデルに基づき動態パラメータを計算する。計算結果と適合度Rとは表1に示されており、ここで、Rが1に近いほど、フィッティング結果がより良好であること、すなわち、対応する動態パラメータの値が実際の値により近いことを意味する。
【0138】
【表1】
【0139】
表1から分かるように、従来のLMアルゴリズムを採用して動態パラメータを計算するときに得られるVは負の値であり、これは生理学的意義に一致しない。直接境界制限法によってVを制限した後に得られたVが0であるが、計算して得られたkは負の値であり、これも生理学的意義に一致せず、同時にK、k、k、及びkの適合値と、従来のLMアルゴリズムを採用して計算して得られた適合値とは比較的大きく異なり、且つRはLMアルゴリズムより明らかに低い。有界関数を採用してVを置き換えて非線形フィッティングを行った後、Vが非負の値であることと同時に、他の動態パラメータ、たとえば、K、k、k、及びkの適合値は、従来のLMアルゴリズムにより近く、且つRは、LMアルゴリズム、及び直接境界制限方法より明らかに高い。
【0140】
本願の上記の記述は、説明を目的として提供されるに過ぎず、本願の範囲を制限することを意図しないことを留意されたい。当業者にとっては、本願の記述に従って、様々な変更や修正を行うことができる。しかしながら、これらの変更や修正は、本願の範囲から逸脱するものではない。たとえば、プロセス700は、PET機器がPET画像を取得することのみを例として記述されており、本願が提供するパラメトリックイメージングの方法は、さらに、他の機器(たとえば、SPECT機器、MRI機器、CT機器等)が取得した他のタイプの走査データ(たとえば、SPECT走査データ、MRIデータ、CTデータ等)に基づき、パラメトリックイメージングを行う過程に適用できる。いくつかの実施例において、有界関数を使用して動態モデルにおけるすべての動態パラメータを置き換えることができる。このように、算出されたすべての動態パラメータの値が全て予め設定された合理的な範囲内に維持されることを確実にすることができ、それにより、計算結果をより安定させ、且つ予測可能にすることができる。
【0141】
図8A~8Hは、異なる方法を採用して動態パラメータを計算するシミュレーションテスト結果を表示する。
【0142】
シミュレーションテストにおいて、病人の動的PET走査のデータセットを取得し、3D TOF-OSEMアルゴリズムを採用してPET画像を再構成し、且つPET画像に基づきTACを決定する。それぞれ、汎用境界制約方法(common boundary constrained、CBC)、指数関数(EXP)置換法、逆正接関数(ACT)置換法、二乗関数(SQE)置換法、絶対値関数(ABS)置換法、及び従来のLMアルゴリズムを採用して、2コンパートメントモデルに基づき、動態パラメータの値を決定する。図8A~8Dは、それぞれTACにノイズがない条件において得られたK、k、k、及びVの値である。図8E~8Hは、それぞれTACにノイズがある条件において得られたK、k、k、及びVの値である。
【0143】
図8A~8Dから分かるように、TACにノイズがない条件において、汎用境界制約方法に比べて、大部分の有界関数置換の方法(たとえば、SQE置換法、ABS置換法)を採用して算出された動態パラメータの値は実際の値とより近く、且つSQE置換法、及びABS置換法を採用して算出された動態パラメータの値と、従来のLMアルゴリズムを採用して算出された動態パラメータの値とは、大きく異ならない。図8E~8Hから分かるように、TACにノイズがある条件において、汎用境界制約方法に比べて、大部分の有界関数置換の方法(たとえば、SQE置換法、ABS置換法)を採用して算出された動態パラメータの値も実際の値とより近い。特に、図8Hから分かるように、従来のLMアルゴリズムを使用するときに、算出されたVは、負の数であり、生理学的意義に一致しない。有界関数置換の方法を使用して、算出されたVは、0であり、実際の値と同様である。これは、有界関数置換の方法を採用すると、少なくともパラメトリックイメージングのコンパートメントモデルの非線形フィッティング解析過程において、フィッティング境界を効果的に制限でき、それにより、動態パラメータの生理学的意義により一致するパラメータ値を得ることを表していると言える。特に、TACにノイズがある条件において、有界関数置換法を採用して算出された動態パラメータの値と、汎用境界制約方法を採用して算出された動態パラメータの値との差異がより明らかになり、且つ実際の値とより近い。この他、適切な種類の有界関数置換法を選択することで、動態パラメータの計算の精度を向上させることができる。
【0144】
図9A~9Dは、異なる方法を採用して動態パラメータを計算して取得されたパラメータ画像を表示する。
【0145】
図示されるように、図9Aは、従来のLM方法を採用して、2コンパートメントモデルに基づき取得されたKパラメータ画像であり、図9Bは、有界関数置換法を採用して、2コンパートメントモデルに基づき取得されたKパラメータ画像であり、図9Cは、従来のLM方法を採用して、2コンパートメントモデルに基づき取得されたKiパラメータ画像であり、図9Dは、有界関数置換法を採用して、2コンパートメントモデルに基づき取得されたKパラメータ画像である。図面から分かるように、従来のLM方法を採用して取得されたパラメータ画像に比べて、有界関数置換法を採用して取得されたパラメータ画像におけるアーチファクト(たとえば、脳部と肺部との黒色/白色のノイズスポット)は、比較的少ない。これは、従来のLM方法に比べて、有界関数置換法を採用して取得されたパラメータ画像がより良好な画像の画質、及びより高い正確性を有することを表している。
【0146】
図10は、本願に係るいくつかの実施例に示される対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定する例示的な過程のフローチャートである。いくつかの実施例において、過程1000の少なくとも一部は、処理機器140により実行されてもよい(たとえば、図2に示されるコンピューティングデバイス200において実現される)。たとえば、過程1000は、命令(たとえば、アプリケーションプログラム)の形式で記憶機器(たとえば、記憶機器150、メモリ220、メモリ390)内に記憶され、且つ処理機器140(たとえば、図2に示されるプロセッサ210、図3に示されるCPU 340、又は図4に示される処理機器140内の1つ以上のモジュール)により呼び出され、且つ/又は実行されてもよい。下記で示される過程の操作は説明を目的とするに過ぎない。いくつかの実施例において、過程1000は、1つ以上の記述されていない追加の操作、及び/又は検討されていない1つ以上の操作を利用して完了することができる。また、図10において示される、及び以下で記述される過程1000の操作の順序が制限されることを意図しない。
【0147】
1010において、処理機器140(たとえば、取得モジュール410)は、対象の2つの走査画像を取得することができ、上記2つの走査画像の走査範囲に重複領域が存在する。
【0148】
いくつかの実施例において、走査画像は、PET画像、SPECT画像、MRI画像、CT画像等を含んでもよい。いくつかの実施例において、処理機器140は、2セットの走査データを取得し、且つ上記2セットの走査データに基づき、上記2つの走査画像を再構成することができる。いくつかの実施例において、上記2つの走査画像に対応する2セットの走査データの時間情報は、異なる。たとえば、第1セットの走査データを取得する第1時間帯と、第2セットの走査データを取得する第2時間帯とは、異なってもよい。具体的には、第1セットの走査データは、医療機器(たとえば、PET機器)によって、10:00~10:05の時間帯で対象を走査して取得されるものであってもよい。第2セットの走査データは、医療機器(たとえば、PET機器)によって、10:20~10:25の時間帯で上記対象を走査して取得されるものであってもよい。いくつかの実施例において、2回の走査のうちの各回の走査の継続時間は、同じであってもよく異なってもよい。2回の走査の間に、時間間隔が存在してもよく、時間間隔がなくてもよい。
【0149】
いくつかの実施例において、対象に対して隣接する2つの寝台の走査を実行することによって、2セットの走査データを取得し、且つこれに相当するように、2つの走査画像を決定することができる。マルチ寝台の走査と重複領域とに関するより多くの記述は、本願の他の箇所(たとえば、図5、及びその記述)において見出すことができる。
【0150】
1020において、処理機器140(たとえば、処理モジュール420)は、上記2つの走査画像、又は上記2つの走査画像に対応する2セットの走査データをフレーム化(フレーム化処理とも呼称されてもよい)することによって、フレーム情報を取得することができる。上記重複領域は、上記2つの走査画像において2フレームとして対応している。
【0151】
いくつかの実施例において、処理機器140は、上記2つの走査画像をフレーム化することができる。たとえば、上記2つの走査画像のうちの個々の走査画像に対して、処理機器140は、上記走査画像において上記重複領域と非重複領域を分割することができる。処理機器140は、上記重複領域に対応する時点と上記非重複領域に対応する時点とを決定することができる。処理機器140は、上記走査画像における上記重複領域に対応するサブ画像と上記重複領域に対応する時点とを、1フレームの情報とすることができる。処理機器140は、上記走査画像における上記非重複領域に対応するサブ画像と上記非重複領域に対応する時点とを、別の1フレームの情報とすることができる。いくつかの実施例において、処理機器140は、上記2つの走査画像に対応する2セットの走査データをフレーム化することができる。フレーム化に関するより多くの記述は、本願の他の箇所(たとえば、図5、及びその記述)において見出すことができる。
【0152】
1030において、処理機器140(たとえば、決定モジュール430)は、上記フレーム情報に基づき、上記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定することができる。
【0153】
上記フレーム情報に基づき、上記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定することに関するより多くの記述は、本願の他の箇所(たとえば、図5、及びその記述)において見出すことができる。
【0154】
本願の上記の記述は、説明を目的として提供されるに過ぎず、本願の範囲を制限することを意図しないことを留意されたい。当業者にとっては、本願の記述に従って、様々な変更や修正を行うことができる。しかしながら、これらの変更や修正は、本願の範囲から逸脱するものではない。
【0155】
上記においては基本的な概念が記述されているが、明らかなように、本出願を閲覧後の当業者にとって、上記の発明の開示は単なる例であり、本願に対する制限を構成するものではない。ここでは明確に説明されていないが、当業者は、本願に対して各種の修正、改良、及び補正を行うことができる。そのような修正、改良、及び補正は、本願において示唆されており、従ってそのような修正、改良、補正は、依然として本願の例示的な実施例の精神、及び範囲に属する。
【0156】
同時に、本願は、特定の単語を使用して本願の実施例を記述している。たとえば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連するある特徴、構造、又は特性を意味する。従って、強調し留意すべき点として、本明細書において、異なる位置で2回、又は2回を超える回で言及される「一実施例」、又は「1つの実施例」、又は「一代替実施例」は、必ずしも同一の実施例を指すわけではない。この他、本願の1つ以上の実施例におけるある特徴、構造、又は特点は、適切に組み合わせることができる。
【0157】
この他、当業者が理解できるように、本願の各態様は、特許権付与可能な若干の種類、又は状況によって説明、及び記述することができ、何らかの新規で有用な過程、機械、製品、又は物質の組み合わせ、又はそれらに対する何らかの新規で有用な改良をも含む。従って、本願の各々の態様は、完全にハードウェアにより実行されてもよく、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)により実行されてもよく、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにより実行されてもよい。上記のハードウェア、又はソフトウェアは、いずれも「ユニット」、「モジュール」、又は「システム」と称することができる。この他、本願の各態様は、1つ以上のコンピュータ可読媒体内に具体化されたコンピュータ製品の形式を採用でき、ここで、コンピュータ可読プログラムコードがそのうちに含まれる。
【0158】
コンピュータ可読信号媒体は、内部にコンピュータプログラムコードが含有される伝播データ信号を、たとえば、ベースバンド上で、又は搬送波の一部として、含むことができる。この種類の伝播信号は、複数種の形式を有してもよく、電磁形式、光学形式等、又は何らの適切な組み合わせをも含む。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体を除く何らのコンピュータ可読媒体であってもよく、該媒体は、1つの命令実行システム、装置、又は機器に接続することによって、使用されるプログラムの通信、伝播、又は伝送を実現することができる。コンピュータ可読信号媒体上に位置するプログラムコードは、何らかの適切な媒体によって伝播することができ、無線電、ケーブル、光ファイバーケーブル、RF等、又は何らの上記媒体の組み合わせを含む。
【0159】
本願の各部分の操作に必要なコンピュータプログラムコードは、任意の1種以上のプログラミング言語で記述することができ、例えば、Java、Scala、Smalltalk、Eiffel、JADE、Emerald、C++、C#、VB.NET、Python等のオブジェクト指向プログラミング言語、例えば、Cプログラミング言語、VisualBasic、Fortran2103、Perl、COBOL2102、PHP、ABAPの従来の手続き型プログラミング言語、例えば、Python、Ruby、及びGroovyの動的プログラミング言語、又は他のプログラミング言語等を含む。該プログラムコードは、完全にユーザーコンピュータ上で動作するか、又は独立したパッケージソフトウェアとしてユーザーコンピュータ上で動作するか、又は部分的にユーザーコンピュータ上で動作され部分的に遠隔コンピュータで動作するか、又は完全に遠隔コンピュータ、又はサーバ上で動作してもよい。後者の場合には、遠隔コンピュータは、何らのタイプのネットワーク(ローカルエリアネットワーク(LAN)、又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む)を介してユーザーコンピュータに接続されてもよく、又は外部コンピュータ(たとえば、ネットワークサービスプロバイダーのネットワークを使用することによって)と接続を作成する、又はクラウドコンピューティングの環境において、又はサービスとして提供されてもよく、たとえば、ソフトウェアサービス(SaaS)である。
【0160】
この他、特許請求の範囲に明確に説明されていない限り、本願に記載の処理要素とシーケンスの順序、数字文字の使用、又は他の名称の使用は、本願のプロセスと方法の順序を限定することに用いられない。上記の開示において、各種の例によって、現在有用であると考えられるいくつかの発明実施例を検討しているが、理解すべき点として、このような詳細は説明のみを目的としており、添付の特許請求の範囲は開示されている実施例に限定されるものではない。逆に、特許請求の範囲は、本願の実施例の本質と範囲に一致するすべての変更と同等の組み合わせをカバーすることを意図している。たとえば、上記の各種のコンポーネントの実現はハードウェア機器において具体化できるが、純粋なソフトウェアソリューションとして実現することもでき、たとえば、既存のサーバ、又はモバイルデバイス上にインストールされ得る。
【0161】
同じ理由により、留意すべき点として、本願の開示の表現を簡略化することによって1つ以上の発明の実施例に対する理解に役立てるために、本願の実施例に対する前述した記述では、複数種の特徴を1つの実施例、図面、又はそれに対する記述に併せる場合がある。しかしながら、本願の該方法は、走査されるべき対象物質が個々の請求項に明確に記載されるより多くの特徴を必要とするという意図を反映すると解釈されるべきではない。逆に、発明の主題は上記の単一の実施例より少ない特徴を備えるべきである。
【0162】
いくつかの実施例において、本願のある幾つかの実施例を記述、及び特許請求することに用いられる、数量、又は性質を表す数字は、ある幾つかの場合には「約」、「近似」、又は「実質的に」という用語によって修飾されると理解されるべきである。たとえば、別途説明されていない限り、「約」、「近似」、又は「実質的に」は、その記述される値の±20%の変動を指示してもよい。相応に、いくつかの実施例において、明細書及び特許請求の範囲に使用される数値パラメータは、いずれも近似値であり、該近似値は、個別の実施例に必要な特徴点に従って変化し得る。いくつかの実施例において、数値パラメータは、規定される有効桁数を考慮し、且つ一般的な桁数保存の方法を採用すべきである。本願のいくつかの実施例において、その範囲の広さを確認することに用いられる値域とパラメータは近似値であるが、具体的な実施例において、この種類の値の設定は、実現可能な範囲内にできるだけ正確にされるべきである。
【0163】
本願において言及されるすべての特許、特許出願、特許出願公開、及び他の素材(例えば、論文、書籍、説明書、刊行物、記録、事項、及び/又は類似するもの)は、いずれもここで援用の方式によって、全部、本願に組み込まれてすべての目的を達成するが、上記書類に関連する何らかの起訴文書の記録、本書類と不一致、又は矛盾する何らかの上記書類、又は遅かれ早かれ本書類に関連する特許請求の範囲の広範な範囲に対して限定の作用を有する何らかの上記書類は除かれる。例を挙げると、もし記述、定義、及び/又は何らかの結合される材料に関連付けられる用語の使用と、本書類に関連付けられる用語との間に、何らの不一致、又は矛盾が存在する場合、記述、定義、及び/又は本書類に使用される用語は、本書類を基準とする。
【0164】
最終的に、理解すべき点として、本願に記載の実施例は、本願の実施例の説明のみを原則とする。他の変形は、本願の範囲に属する可能性もある。従って、制限ではなく例として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示に一致すると見なすことができる。相応に、本願の実施例は本願で明確に紹介及び説明される実施例に限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E-8F】
図8G
図8H
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-02-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラメトリックイメージングの方法であって、前記方法は、
対象の2つの走査画像を取得するステップであって、前記2つの走査画像の走査範囲に重複領域が存在する、ステップと、
前記2つの走査画像、又は前記2つの走査画像に対応する2セットの走査データをフレーム化することによって、フレーム情報を取得するステップであって、前記重複領域は、前記2つの走査画像において2フレームとして対応している、ステップと、
前記フレーム情報に基づき、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定するステップと、を含む、ことを特徴とするパラメトリックイメージングの方法。
【請求項2】
前記2つの走査画像に対応する前記2セットの走査データの時間情報は、異なる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記した対象の2つの走査画像を取得するステップは、
前記対象に対して隣接する2つの寝台の走査を実行することによって、前記2つの走査画像を取得するステップを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記した前記2つの走査画像、又は前記2つの走査画像に対応する2セットの走査データをフレーム化することによって、フレーム情報を取得するステップは、
前記2つの走査画像のうちの個々の走査画像に対して、
前記走査画像において前記重複領域と非重複領域を分割するステップと、
前記重複領域に対応する時点と前記非重複領域に対応する時点とを決定するステップと、
前記走査画像における前記重複領域に対応するサブ画像と前記重複領域に対応する時点とを、1フレームの情報とするステップと、
前記走査画像における前記非重複領域に対応するサブ画像と前記非重複領域に対応する時点とを、別の1フレームの情報とするステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記した前記重複領域に対応する時点と前記非重複領域に対応する時点とを決定するステップは、
前記走査画像の走査開始時間と走査終了時間に基づき、前記走査画像に対応する時点を決定するステップと、
前記走査画像に対応する時点を、前記重複領域に対応する時点と前記非重複領域に対応する時点とするステップと、を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記フレーム情報は、前記2つの走査画像における前記重複領域に対応する2フレームの重みをさらに含み、前記2つの走査画像は、第1走査画像と第2走査画像とを含み、前記したフレーム情報を取得するステップは、
前記第1走査画像における前記重複領域の位置情報に基づき、前記第1走査画像における前記重複領域に対応する第1フレームの重みを決定するステップと、
前記第2走査画像における前記重複領域の位置情報に基づき、前記第2走査画像における前記重複領域に対応する第2フレームの重みを決定するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記重みは、重み行列であり、前記重み行列内の各々の重み値は、前記重複領域に対応するフレーム内の1つの画素に対応する、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記重み行列内の重み値は、前記重複領域に対応するフレーム内の対応する画素と走査機器の中心位置との間の走査ベッドの移動方向に沿った距離、及び/又は前記対応するフレームの走査時間と関連する、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記した前記フレーム情報に基づき、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定するステップは、
前記フレーム情報に基づき、動態パラメータの値を決定するステップであって、パラメータ画像を直接再構成、又は間接再構成することに用いられ、前記動態パラメータは、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報の決定と関連する、ステップを含む、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記した前記フレーム情報に基づき、動態パラメータの値を決定するステップは、
前記フレーム情報と動態モデルとに基づき、重み付き反復アルゴリズムを採用して、前記動態パラメータの値を決定するステップを含む、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記した前記フレーム情報と動態モデルとに基づき、重み付き反復アルゴリズムを採用して、前記動態パラメータの値を決定するステップは、
前記フレーム情報と前記動態モデルとに基づき、重み付き期待値最大化アルゴリズムを採用して、前記動態パラメータの値を決定するステップを含む、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記動態モデルは、コンパートメントモデル、又はリテンションモデルを含む、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記走査画像は、コンピュータ断層撮影(CT)機器、磁気共鳴イメージング(MRI)機器、陽電子放出断層撮影(PET)、又は単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)のうちの少なくとも1種により取得できる、ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記した前記フレーム情報に基づき、動態パラメータの値を決定するステップは、
前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップと、
前記動態モデルにおける前記有界関数の値を解析することによって、前記動態パラメータの値を決定するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項15】
パラメトリックイメージングの方法であって、前記方法は、
対象に対して隣接する2つの寝台の走査を行うことによって、前記対象の2セットの走査データを取得するステップであって、前記2セットの走査データに対応する2つの走査画像の走査範囲に重複領域が存在する、ステップと、
前記2セットの走査データ、又は前記2つの走査画像をフレーム化することによって、フレーム情報を取得するステップであって、前記重複領域は、前記2つの走査画像において2フレームとして対応している、ステップと、
前記フレーム情報に基づき、前記対象の体内のトレーサーの代謝情報を決定するステップと、を含む、ことを特徴とするパラメトリックイメージングの方法。
【請求項16】
パラメトリックイメージングの方法であって、前記方法は、
対象の走査データを取得するステップと、
動態モデルを取得するステップであって、前記動態モデルは、動態パラメータによってトレーサーの前記対象の体内の動態特性を特徴付け、前記動態パラメータは、前記対象の体内の前記トレーサーの代謝情報を指示する、ステップと、
前記動態パラメータの生理学的意義に従って、有界関数を使用して前記動態モデルにおける前記動態パラメータを置き換えるステップと、
前記走査データに基づき、前記動態モデルにおける前記有界関数の値を解析することによって、前記動態パラメータの値を決定するステップと、を含む、ことを特徴とするパラメトリックイメージングの方法。
【国際調査報告】