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特表2024-523849試薬の補償及び染色器具のための自動的な方法及び装置
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  • 特表-試薬の補償及び染色器具のための自動的な方法及び装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】試薬の補償及び染色器具のための自動的な方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/31 20060101AFI20240625BHJP
   G01N 35/04 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G01N1/31
G01N35/04 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576043
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 CN2021099749
(87)【国際公開番号】W WO2022257117
(87)【国際公開日】2022-12-15
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】500113648
【氏名又は名称】ライカ ビオズュステムス ヌスロッホ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】スン、フアン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、シュエファン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ティン
(72)【発明者】
【氏名】プー、シュエイエン
【テーマコード(参考)】
2G052
2G058
【Fターム(参考)】
2G052AA33
2G052AD32
2G052AD52
2G052BA16
2G052DA07
2G052EC03
2G052FA09
2G052FA10
2G052GA32
2G058GA01
2G058GB08
2G058GB10
2G058GD07
(57)【要約】
【課題】多数のサンプルについて一貫した染色結果の取得を可能にする。
【解決手段】病理学的分析の前のスライド上の細胞及び組織サンプルの染色のためのスライド染色装置。該装置は複数のスライドセットを同時に染色するよう動作可能でありかつ複数の試薬を有する試薬システムを備えて構成される。該装置はスライドカウンタ、命令を備えた非一時的なメモリコンポーネントを有するコントローラ、試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドセットの数を決定するよう構成されたプロセッサを含む。該数が閾値を下回ると、第1のプロトコルが使用される。該数が閾値を上回ると、進行中スライドが染色され、新たに受け取られたスライドは第2のプロトコルで染色され、第1のプロトコルはエオシン試薬ステップと、これに続く第1の持続時間の95%エタノール試薬ステップを有し、第2のプロトコルはエオシン試薬ステップと、これに続く第1の持続時間未満の第2の持続時間を有する95%エタノール試薬ステップを有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
病理学的分析の前のスライド上の細胞及び組織サンプルの染色のための自動スライド染色装置であって、
前記スライド染色装置は、複数のスライドセットを同時に染色するように動作可能でありかつ複数の試薬を有する試薬システムを備えて構成されており、
前記スライド染色装置は、
染色のために前記スライド染色装置に提供されるスライドを計数するように構成されたスライドカウンタ、
命令を備えた非一時的なメモリコンポーネントを有するコントローラ、及び、
1つ以上のプロセッサであって、
(a)前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドセットの累積数を決定する、但し各スライドセットは1つ以上のスライドを有する;
(b)前記累積数が第1のスライド数S1に未満であることに応じて、前記試薬システムにおいてスライドセットを染色するための複数のステップを有する第1のプロトコルを使用して前記スライドセットを染色する、但し前記複数のステップの1つのステップは前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第1の期間に前記スライドセットをアルコール試薬に供する、そして、処理項目(a)~(b)を繰り返す;
(c)前記累積スライド数が前記第1のスライド数S1を超えていることに応じて、前記第1のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第1のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しない;
前記進行中スライドの染色が完了した後に:
(d)スライド上に生体サンプルを有する別のスライドセットを受け取る;
(e)前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドの累積数を決定する;
(f)前記累積数が第2のスライド数S2未満であることに応じて、前記試薬システムにおいて前記スライドセットを染色するための複数のステップを有する第2のプロトコルを使用して前記受け取られたスライドセットを染色する、但し前記第2のプロトコルの1つのステップは前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第2の期間に前記スライドセットをアルコールに供し、前記第2の期間は前記第1の期間よりも短い、及び、処理ステップ(d)~(f)を繰り返す;及び
(g)前記累積スライド数が前記第2のスライド数S2を超えていることに応じて、前記第2のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第2のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しない
ための命令を実行するよう構成されたプロセッサ
を含む、スライド染色装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記第1のスライド数S1は2200以上で2600以下であること
を特徴とする、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、
前記第1のスライド数S1は2300以上で2500以下であること
を特徴とする、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、
前記第1のスライド数S1は2350以上で2450以下であること
を特徴とする、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、
前記第1のスライド数は2400であること
を特徴とする、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、
前記第1のスライド数S1は0.8×S2に等しいこと
を特徴とする、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、
前記第1のスライド数S1は0.7×S2と0.9×S2の間であること
を特徴とする、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、
前記第2のスライド数S2は2800と3200の間であること
を特徴とする、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、
前記第2のスライド数S2は2900と3100の間であること
を特徴とする、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、
前記第2のスライド数S2は3000であること
を特徴とする、装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置において、
前記第1のプロトコル及び前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの前に、同じ持続時間の2つ以上の同じステップを有すること
を特徴とする、装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の装置において、
前記第1のプロトコル及び前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に少なくとも2つの同じ試薬ステップを含むこと、
前記エオシン試薬ステップの後の前記第2のプロトコルの前記少なくとも2つの試薬ステップは、前記第1のプロトコルの対応する2つ以上のステップよりも短い持続時間を有すること
を特徴とする、装置。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか1項に記載の装置において、
前記第1及び第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、95%エタノール試薬ステップと、第1の100%エタノール試薬ステップと、第2の100%エタノール試薬ステップと、第1のキシレンステップと、第2のキシレンステップを順次含むこと
を特徴とする、装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置において、
前記第1のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは、前記第2のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップの3倍を超える長さの持続時間を有すること
を特徴とする、装置。
【請求項15】
請求項13に記載の装置において、
前記第1のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは約1分の持続時間を有し、前記第2のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは約5秒の持続時間を有すること
を特徴とする、装置。
【請求項16】
請求項1~11のいずれか1項に記載の装置において、
前記第1のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、1分の95%エタノール試薬ステップと、1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、約30秒の第1のキシレンステップと、約30秒の第2のキシレンステップとを順次含み、前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、約5秒の95%エタノール試薬ステップと、約1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、約1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、約30秒の第1のキシレンステップと、約30秒の第2のキシレンステップを順次含むこと
を特徴とする、装置。
【請求項17】
請求項1~11のいずれか1項に記載の装置において、
前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドセットの累積数を決定することは、スライドカウンタを備えた前記自動スライド染色装置のラックに装填されたスライドを計数することを含むこと
を特徴とする、装置。
【請求項18】
請求項1~11のいずれか1項に記載の装置において、
前記1つ以上のプロセッサは、更に、前記第2のスライド数S2が発生したときに警報を生成する命令を実行するよう構成されること
を特徴とする、装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置において、
前記装置は更に表示画面を含み、前記1つ以上のプロセッサは更に前記表示画面に前記警報を表示する命令を実行するよう構成されること
を特徴とする、装置。
【請求項20】
請求項1~11、14及び15のいずれか1項に記載の装置において、
前記装置は更に表示画面を含み、前記1つ以上のプロセッサは更に前記表示画面に前記スライド数を表示する命令を実行するよう構成されること
を特徴とする、装置。
【請求項21】
スライド上の細胞及び組織サンプルの染色のためのスライド染色装置を制御するための非一時的なコンピュータ可読媒体であって、
前記コンピュータ可読媒体は、ハードウェアプロセッサに、
(a)試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドセットの累積数を決定すること、但し各スライドセットは1つ以上のスライドを有する;
(b)前記累積数が第1のスライド数S1未満であることに応じて、前記試薬システムにおいて前記スライドセットを染色するための複数のステップを有する第1のプロトコルを使用して、前記スライドセットを染色すること、但し前記複数のステップの1つのステップは前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第1の期間に前記スライドセットをアルコール試薬に供する、そして、処理項目(a)~(b)を繰り返すこと;
(c)前記累積スライド数が前記第1のスライド数S1を超えていることに応じて、前記第1のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第1のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しないこと;
前記進行中スライドの染色が完了した後に:
(d)スライド上に生体サンプルを有する別のスライドセットを受け取ること;
(e)前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドの累積数を決定すること;
(f)前記累積数が第2のスライド数S2未満であることに応じて、前記試薬システムにおいて前記スライドセットを染色するための複数のステップを有する第2のプロトコルを使用して前記受け取られたスライドセットを染色すること、但し前記第2のプロトコルの1つのステップは、前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第2の期間に前記スライドセットをアルコールに供し、前記第2の期間は前記第1の期間よりも短い、及び、処理ステップ(d)~(f)を繰り返すこと;
(g)前記累積スライド数が前記第2のスライド数S2を超えていることに応じて、前記第2のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第2のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しないこと
の方法を実行させるためのプログラム命令を有すること
を特徴とする、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項22】
請求項21に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体において、
前記第1のプロトコル及び前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に少なくとも2つの同じ試薬ステップを含むこと、
前記エオシン試薬ステップの後の前記第2のプロトコルの前記少なくとも2つの試薬ステップは、前記第1のプロトコルの対応する2つ以上のステップよりも短い持続時間を有すること
を特徴とする、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項23】
請求項21または22に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体において、
前記第1及び第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、95%エタノール試薬ステップと、第1の100%エタノール試薬ステップと、第2の100%エタノール試薬ステップと、第1のキシレンステップと、第2のキシレンステップとを順次含むこと
を特徴とする、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項24】
請求項23に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体において、
前記第1のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは、前記第2のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップの3倍を超える長さの持続時間を有すること
を特徴とする、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項25】
請求項23に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体において、
前記第1のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは約1分の持続時間を有し、前記第2のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは約5秒の持続時間を有すること
を特徴とする、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項26】
請求項21、24及び25のいずれか1項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体において、
前記第1のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、1分の95%エタノール試薬ステップと、1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、約30秒の第1のキシレンステップと、約30秒の第2のキシレンステップとを順次含み、前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、約5秒の95%エタノール試薬ステップと、約1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、約1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、約30秒の第1のキシレンステップと、約30秒の第2のキシレンステップを順次含むこと
を特徴とする、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項27】
病理学的分析の前のスライド上の細胞及び組織サンプルの染色のための自動スライド染色装置を制御するための方法であって、
前記スライド染色装置は複数のスライドセットを同時に染色するよう動作可能でありかつ試薬システムを備えて構成されており、
前記方法は、
(a)前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドセットの累積数を決定すること、但し各スライドセットは1つ以上のスライドを有する;
(b)前記累積数が第1のスライド数S1未満であることに応じて、前記試薬システムにおいて前記スライドセットを染色するための複数のステップを有する第1のプロトコルを使用して前記スライドセットを染色すること、但し前記複数のステップの1つのステップは前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第1の期間に前記スライドセットをアルコール試薬に供する、そして、処理項目(a)~(b)を繰り返すこと;
(c)前記累積スライド数が前記第1のスライド数S1を超えていることに応じて、前記第1のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第1のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しないこと;
前記進行中スライドの染色が完了した後に:
(d)スライド上に生体サンプルを有する別のスライドセットを受け取ること;
(e)前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドの累積数を決定すること;
(f)前記累積数が第2のスライド数S2未満であることに応じて、前記試薬システムにおいて前記スライドセットを染色するための複数のステップを有する第2のプロトコルを使用して前記受け取られたスライドセットを染色すること、但し前記第2のプロトコルの1つのステップは、前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第2の期間に前記スライドセットをアルコールに供し、前記第2の期間は前記第1の期間よりも短い、そして、処理ステップ(d)~(f)を繰り返すこと;
(g)前記累積スライド数が前記第2のスライド数S2を超えていることに応じて、前記第2のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第2のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しないこと
を含む、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法において、
前記第1のスライド数S1は2200以上で2600以下であること
を特徴とする、方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法において、
前記第1のスライド数S1は2300以上で2500以下であること
を特徴とする、方法。
【請求項30】
請求項27に記載の方法において、
前記第1のスライド数S1は2350以上で2450以下であること
を特徴とする、方法。
【請求項31】
請求項27に記載の方法において、
前記第1のスライド数は2400であること
を特徴とする、方法。
【請求項32】
請求項27に記載の方法において、
前記第1のスライド数S1は0.8×S2に等しいこと
を特徴とする、方法。
【請求項33】
請求項27に記載の方法において、
前記第1のスライド数S1は0.7×S2と0.9×S2の間であること
を特徴とする、方法。
【請求項34】
請求項27に記載の方法において、
前記第2のスライド数S2は2800と3200の間であること
を特徴とする、方法。
【請求項35】
請求項27に記載の方法において、
前記第2のスライド数S2は2900と3100の間であること
を特徴とする、方法。
【請求項36】
請求項27に記載の方法において、
前記第2のスライド数S2は3000であること
を特徴とする、方法。
【請求項37】
請求項27~36のいずれか1項に記載の方法において、
前記第1のプロトコル及び前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの前に、同じ持続時間の2つ以上の同じステップを有すること
を特徴とする、方法。
【請求項38】
請求項27~36のいずれか1項に記載の方法において、
前記第1のプロトコル及び前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に少なくとも2つの同じ試薬ステップを含むこと、
前記エオシン試薬ステップの後の前記第2のプロトコルの前記少なくとも2つの試薬ステップは、前記第1のプロトコルの対応する2つ以上のステップよりも短い持続時間を有すること
を特徴とする、方法。
【請求項39】
請求項27~36のいずれか1項に記載の方法において、
前記第1及び第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、95%エタノール試薬ステップと、第1の100%エタノール試薬ステップと、第2の100%エタノール試薬ステップと、第1のキシレンステップと、第2のキシレンステップとを順次含むこと
を特徴とする、方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法において、
前記第1のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは、前記第2のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップの3倍を超える長さの持続時間を有すること
を特徴とする、方法。
【請求項41】
請求項39に記載の方法において、
前記第1のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは約1分の持続時間を有し、前記第2のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは約5秒の持続時間を有すること
を特徴とする、方法。
【請求項42】
請求項27~36のいずれか1項に記載の方法において、
前記第1のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、1分の95%エタノール試薬ステップと、1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、30秒の第1のキシレンステップと、30秒の第2のキシレンステップとを順次含み、前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、約5秒の95%エタノール試薬ステップと、約1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、約1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、30秒の第1のキシレンステップと、30秒の第2のキシレンステップを順次含むこと
を特徴とする、方法。
【請求項43】
請求項27~36、40及び41のいずれか1項に記載の方法において、
受け取られたスライドの累積数を決定することは、スライドカウンタを備えた前記自動スライド染色装置のラックに装填された前記スライドを計数することを含むこと
を特徴とする、方法。
【請求項44】
請求項27~30、40及び41のいずれか1項に記載の方法において、
前記方法は、更に、前記第2のスライド数S2が発生したときに警報を生成することを含むこと
を特徴とする、方法。
【請求項45】
請求項27~36、40及び41のいずれか1項に記載の方法において、
前記警報は、前記自動スライド染色装置の表示画面に表示されるインジケータまたはメッセージを含むこと
を特徴とする、方法。
【請求項46】
請求項27~36、40及び41のいずれか1項に記載の方法において、
前記方法は、更に、前記自動スライド染色装置の表示画面に前記スライド数を表示することを含むこと
を特徴とする、方法。
【請求項47】
病理学的分析の前におけるスライド上の細胞及び組織サンプルの染色のための自動スライド染色装置を制御するための方法であって、
前記スライド染色装置は複数のスライドセットを同時に染色するよう動作可能でありかつ複数の試薬を有する試薬システムを備えて構成されており、
前記方法は、
スライド上に生体サンプルを有するスライドを受け取ること;
前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドの累積数を決定すること;
前記累積数が第1のスライド数S1未満であることに応じて、前記試薬システムを使用して前記スライドセットを染色するための複数のステップを有する第1のプロトコルを使用して前記スライドセットを染色すること、但し前記複数のステップの1つのステップは、前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第1の期間に前記スライドをアルコール試薬に対して処理する;
前記累積スライド数が前記第1のスライド数S1以上であることに応じて、前記第1のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第1のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しないこと;及び、
前記進行中スライドの染色が完了した後に、第2のプロトコルを使用してスライドを染色すること、但し前記第2のプロトコルの1つのステップは、前記スライドをエオシン試薬で処理し、続いて第2の期間に前記スライドをアルコールで処理し、前記第2の期間は前記第1の期間よりも短い
を含む、方法。
【請求項48】
請求項47に記載の方法において、
前記累積スライド数が第2のスライド数S2を超えていることに応じて、前記第2のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第2のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しないこと
を特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、スライド上に配置された生体サンプルを染色するための、特に、多数の(例えば、数千の)スライドを処理する自動スライド染色装置の試薬システムのプロトコルを変更するための、自動化された装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体サンプルの試験を通じた対象の細胞の検出、同定、数値化(定量)、及び特徴付けは、医療診断及び研究の重要な態様である。通常、(例えば、組織サンプル、任意の細胞または他の生体物質のサンプルのような)生体サンプルは、走査及び/または観察のためにサンプルを染色することによって調製されるが、これは、観察時に、または染色されたサンプルから生成される画像において重要な特徴を強調するために役立つ。観察または走査の前の既存の組織サンプル処理プロセスは、生体サンプル(「サンプル」)を取得すること、サンプルをスライド上に置くこと、サンプルを一貫して染色する染色プロトコルでサンプルを染色すること、及び染色したサンプル上にカバースリップを置くことを含む、いくつかのステップを含み得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
[特許文献1]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
染色プロトコルは、所定の時間、所定の順序でいくつかの試薬及び槽にサンプルを曝露することを含み得、いくつかのステップまたは多くのステップを含み得る。自動スライドステイナは、スライド上の組織サンプルを自動的に処理し、(例えば、バスケットに配置された)多数のスライドセットに対して同時にスライド染色を実行することができる。既存の例では、自動染色装置は、装置に装填された試薬システムを使用し、一貫した結果を生じさせるために所定のプロトコルを使用して、数百または数千のサンプルを処理及び染色するように構成される。大量のスライドを同じ試薬システムで処理する間、試薬自体がその使用のために変化し得る。既存の自動染色装置は、一セットの試薬について一貫したプロトコルで動作し、使用期間に基づいて試薬補充条件を決定する傾向がある。しかしながら、補充前にまたは新しい試薬システムの装填前に、数千のスライドが処理されるため、試薬の特性が変化し得るが、これは染色プロセスの矛盾につながる可能性がある。病理学者及び染色組織サンプルの他のユーザーは、組織サンプル内の細胞の特性を決定するために染色したサンプルの一貫性に依拠するため、自動スライド染色装置が、試薬のバッチのライフサイクルを通して一貫して染色されたスライドを生成することは重要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
【発明を実施するための形態】
【0006】
【0007】
試薬の補充前に染色プロトコルを変更する自動スライド染色処理を制御するためのシステム及び方法の実施形態(複数)が本明細書に開示される。例えば、第1のプロトコルは、自動スライド染色装置に設置された特定の試薬システムを使用するスライド染色プロセスの第1の部分に使用される。スライド染色装置に装填されたスライドは計数され、一定のスライド数に達したとき、本装置は第1のプロトコルを使用する追加のスライドの処理を開始しないが、すでに処理中であるスライドを第1のプロトコルを使用する染色プロセスを完了させるように制御される。次に、引き続き同じ試薬システムを使用して、第2のスライド数に達するまで第2のプロトコルでスライド染色装置を用いて追加のスライドを処理する。第2のスライド数に達したとき、スライド染色装置は第2のプロトコルで進行中であるスライドを染色することを完了するが、いかなる追加スライドの染色も開始しない。したがって、1つの革新は、病理学的分析の前にスライド上の細胞及び組織サンプルを染色するための自動スライド染色装置を制御するための方法を含み、スライド染色装置は、複数のスライドセットを同時に染色するよう動作可能であり、かつ、複数の試薬を有する試薬システムを備えて構成される。本方法は、(a)試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドセットの累積数を決定すること、但し各スライドセットは1つ以上のスライドを有する;(b)累積数が第1のスライド数S1未満であることに応じて、試薬システムにおいてスライドセットを染色するための複数のステップを有する第1のプロトコルを使用して、スライドセットを染色すること、但し複数のステップの1つのステップは、スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第1の期間、スライドセットをアルコール試薬に供する、そして、処理項目(a)~(b)を繰り返すこと;(c)累積スライド数が第1のスライド数S1を超えていることに応じて、第1のプロトコルで現在処理されている進行中(in-progress)スライドの染色を続行するが、第1のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色を開始しないこと;進行中スライドの染色が完了した後に:(d)スライド上に生体サンプルを有するスライドの別のセットを受け取ること、(e)試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドの累積数を決定すること、(f)累積数が第2のスライド数S2未満であることに応じて、試薬システムにおいてスライドセットを染色するための複数のステップを有する第2のプロトコルを使用して、受け取られたスライドセットを染色すること、但し第2のプロトコルのステップは、スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第2の期間、スライドセットをアルコールに供し、第2の期間は第1の期間よりも短い、そして、処理ステップ(d)~(f)を繰り返すこと;(g)累積スライド数が第2のスライド数S2を超えていることに応じて、第2のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、第2のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色を開始しないことを含むことができる。
【0008】
このような方法の実施形態(複数)は、1つ以上の他の局面を有し得る。いくつかの実施形態では、第1のスライド数S1は、2200以上、2600以下である。いくつかの実施形態では、第1のスライド数S1は、2300以上、2500以下である。いくつかの実施形態では、第1のスライド数S1は、2350以上、2450以下である。いくつかの実施形態では、第1のスライド数は2400である。いくつかの実施形態では、第1のスライド数S1は、0.8×S2に等しい。いくつかの実施形態では、第1のスライド数S1は、0.7×S2と0.9×S2の間である。いくつかの実施形態では、第2のスライド数S2は2800と3200の間である。いくつかの実施形態では、第2のスライド数S2は2900と3100の間である。いくつかの実施形態では、第2のスライド数S2は3000である。上記実施形態のいずれにおいても、第1のプロトコル及び第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの前に、同じ持続時間の2つ以上の同じステップを有する。上記実施形態のいずれにおいても、第1のプロトコル及び第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、少なくとも2つの同じ試薬ステップを含み、エオシン試薬ステップの後の第2のプロトコルの少なくとも2つの試薬ステップは、第1のプロトコルの対応する2つ以上のステップよりも短い持続時間を有する。上記実施形態のいずれにおいても、第1及び第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、95%エタノール試薬ステップと、第1の100%エタノール試薬ステップと、第2の100%エタノール試薬ステップと、第1のキシレンステップと、第2のキシレンステップとを順次含む。いくつかの実施形態では、第1のプロトコルの95%エタノール試薬ステップは、第2のプロトコルの95%エタノール試薬ステップの3倍を超える長さの持続時間を有する。
【0009】
自動スライド染色を制御するための方法のいくつかの実施形態では、第1のプロトコルの(エオシン試薬ステップの後の)95%エタノール試薬ステップは約1分の持続時間を有し、第2のプロトコルの(エオシンン試薬ステップの後の)95%エタノール試薬ステップは約5秒の持続時間を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、1分の95%エタノール試薬ステップ、1分の第1の100%エタノール試薬ステップ、1分の第2の100%エタノール試薬ステップ、30秒の第1のキシレンステップ、及び30秒の第2のキシレンステップを順次含む。第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、約5秒の95%エタノール試薬ステップ、約1分の第1の100%エタノール試薬ステップ、約1分の第2の100%エタノール試薬ステップ、約30秒の第1のキシレンステップ、及び約30秒の第2のキシレンステップを順次含む。いくつかの実施形態では、(b)受け取られたスライドの累積数を決定することは、スライドカウンタ付きの自動スライド染色装置のラックに装填されたスライドを計数することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、スライド数S2が発生したときに、警報を生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、警報は、自動スライド染色装置の表示画面に表示されるインジケータまたはメッセージを含む。いくつかの実施形態では、このような方法は、自動スライド染色装置の表示画面にスライド数を表示することをさらに含む。
【0010】
別の革新は、病理学的分析の前のスライド上の細胞及び組織サンプルの染色のための自動スライド染色装置を含み、スライド染色装置は、複数のスライドセットを同時に染色するよう動作可能であり、かつ、複数の試薬を有する試薬システムを備えて構成されており、本装置は、染色のために装置に提供されるスライドを計数するよう構成されたスライドカウンタと、命令を備えた非一時的なメモリコンポーネントを有するコントローラと、(a)試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドセットの累積数を決定すること、但し各スライドセットは1つ以上のスライドを有する;(b)累積数が第1のスライド数S1未満であることに応じて、試薬システムにおいてスライドセットを染色するための複数のステップを有する第1のプロトコルを使用して、スライドセットを染色すること、但し複数のステップの1つのステップは、スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第1の期間、スライドセットをアルコール試薬に供する、そして、処理項目(a)~(b)を繰り返すこと;(c)累積スライド数が第1のスライド数S1を超えていることに応じて、第1のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、第1のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色を開始しないこと;進行中スライドの染色が完了した後に:(d)スライド上に生体サンプルを有する別のスライドセットを受け取ること;(e)試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドの累積数を決定すること;(f)累積数が第2のスライド数S2未満であることに応じて、試薬システムにおいてスライドセットを染色するための複数のステップを有する第2のプロトコルを使用して、受け取られたスライドセットを染色すること、但し第2のプロトコルの1つのステップは、スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第2の期間、スライドセットをアルコール試薬に供し、第2の期間は第1の期間よりも短い、そして、処理ステップ(d)~(f)を繰り返こと;(g)累積スライド数が第2のスライド数S2を超えていることに応じて、第2のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、第2のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色を開始しないこと、のための命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含む。様々な実施形態では、第1のスライド数S1は2200以上、2600以下であるか、または第1のスライド数S1は2300以上、2500以下であるか、または第1のスライド数S1は、2350以上、2450以下であるか、または第1のスライド数は2400である。いくつかの実施形態では、第1のスライド数S1は0.8×S2に等しいか、または第1のスライド数S1は、0.7×S2と0.9×S2の間であるか、あるいは、第2のスライド数S2は2800と3200の間であるか、または第2のスライド数S2は2900と3100の間であるか、または第2のスライド数S2は3000である。いくつかの実施形態では、第1のプロトコル及び第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの前に、同じ持続時間の2つ以上の同じステップを有する。いくつかの実施形態では、第1のプロトコル及び第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、少なくとも2つの同じ試薬ステップを含み、エオシン試薬ステップの後の第2のプロトコルの試薬ステップの少なくとも1つは、第1のプロトコルの対応するステップよりも短い持続時間を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロトコル及び第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に少なくとも2つの同じ試薬ステップを含み、エオシン試薬ステップの後の第2のプロトコルの試薬ステップの1つは、第1のプロトコルの対応するステップよりも短い持続時間を有する。いくつかの実施形態では、第1及び第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、95%エタノール試薬ステップと、第1の100%エタノール試薬ステップと、第2の100%エタノール試薬ステップと、第1のキシレンステップと、第2のキシレンステップとを順次含む。いくつかの実施形態では、第1のプロトコルの95%エタノール試薬ステップは、第2のプロトコルの95%エタノールステップの3倍を超える長さの持続時間を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロトコルの95%エタノール試薬ステップは、約1分の持続時間を有し、第2のプロトコルの95%エタノール試薬ステップは、ほぼ5秒の持続時間を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、1分の95%エタノール試薬ステップと、1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、ほぼ30秒の第1のキシレンステップとほぼ約30秒の第2のキシレンステップとを順次含み、第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、ほぼ約5秒の95%エタノール試薬ステップと、約1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、約1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、ほぼ30秒の第1のキシレンステップと、ほぼ30秒の第2のキシレンステップとを順次含む。いくつかの実施形態では、(b)受け取られたスライドの累積数を決定することは、スライドカウンタ付きの自動的なスライド染色装置のラックに装填されたスライドを計数することを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のプロセッサは、スライド数S2が発生したときに警報を生成する命令を実行するようさらに構成される。いくつかの実施形態では、本装置は表示画面をさらに含み、1つ以上のプロセッサは、表示画面に警報を表示する命令を実行するようさらに構成される。いくつかの実施形態では、本装置は表示画面をさらに含み、1つ以上のプロセッサは、表示画面に警報を表示する命令を実行するようさらに構成される。
【0011】
別の革新は、病理学的分析の前のスライド上の細胞及び組織サンプルの染色のための自動スライド染色装置を制御するための方法を含み、スライド染色装置は、複数のスライドセットを同時に染色するよう動作可能であり、かつ、複数の試薬を有する試薬システムを備えて構成されており、本方法は、スライド上に生体サンプルを有するスライドを受け取ること、試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドの累積数を決定すること;累積数が第1のスライド数S1未満であることに応じて、試薬システムを使用してスライドセットを染色するための複数のステップを有する第1のプロトコルを使用してスライドを染色すること、但し複数のステップの1つのステップは、スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第1の期間、アルコール試薬に対してスライドを処理する;累積スライド数が第1のスライド数S1以上であることに応じて、第1のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、第1のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色を開始しないこと;進行中スライドの染色が完了した後に:第2のプロトコルを使用してスライドを染色すること、但し第2のプロトコルの1つのステップはエオシン試薬でスライドを処理し、続いて第2の期間、アルコールでスライドを処理し、第2の期間は第1の期間よりも短い、を含む。いくつかの実施形態では、累積スライド数が第2のスライド数S2を超えていることに応じて、第2のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、第2のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色を開始しない。
【0012】
別の革新は、スライド上の細胞及び組織サンプルの染色のためのスライド染色装置を制御するための非一時的なコンピュータ可読媒体を含み、コンピュータ可読媒体は、試薬システム設置後に受け取られたスライドセットの累積数を決定すること、但し各スライドセットは1つ以上のスライドを有する;累積数が第1のスライド数S1未満であることに応じて、試薬システムにおいてスライドセットを染色するための複数のステップを有する第1のプロトコルを使用して、スライドセットを染色すること、但し複数のステップの1つのステップは、スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第1の期間、スライドセットをアルコール試薬に供する、そして、処理項目(a)~(b)を繰り返すこと;累積スライド数が第1のスライド数S1を超えていることに応じて、第1のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、第1のプロトコルでまだ処理されていないスライドの染色を開始しないこと;進行中スライドの染色が完了した後に:スライド上に生体サンプルを有する別のスライドセットを受け取ること;試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドの累積数を決定すること、(f)累積数が第2のスライド数S2未満であることに応じて、試薬システムにおいてスライドセットを染色するための複数のステップを有する第2のプロトコルを使用して、受け取られたスライドセットを染色すること、但し第2のプロトコルの1つのステップは、スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第2の期間、スライドセットをアルコールに供し、第2の期間は第1の期間よりも短い、そして、処理ステップ(d)~(f)を繰り返すこと;及び(g)累積スライド数が第2のスライド数S2を超えていることに応じて、第2のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、第2のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色を開始しないことの方法をハードウェアプロセッサに実行させるためのプログラム命令を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロトコル及び第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に少なくとも2つ同じ試薬ステップを含み、エオシン試薬ステップの後の第2のプロトコルの少なくとも2つの試薬ステップは、第1のプロトコルの対応する2つ以上のステップよりも短い持続時間を有する。いくつかの実施形態では、非一時的なコンピュータ、第1及び第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、95%エタノール試薬ステップと、第1の100%エタノール試薬ステップと、第2の100%エタノール試薬ステップと、第1のキシレンステップと、第2のキシレンステップとを順次含む。いくつかの実施形態では、第1のプロトコルの95%エタノール試薬ステップは、第2のプロトコルの95%エタノール試薬ステップの3倍を超える長さの持続時間を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロトコルの95%エタノール試薬ステップは、約1分の持続時間を有し、第2のプロトコルの95%エタノール試薬ステップは、約5秒の持続時間を有する。いくつかの実施形態では、第1のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、1分の95%エタノール試薬ステップと、1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、約30秒の第1のキシレンステップと、約30秒の第2のキシレンステップとを順次含み、第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、約5秒の95%エタノール試薬ステップと、約1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、約1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、約30秒の第1のキシレンステップと、約30秒の第2のキシレンステップを順次含む。
【0013】
本明細書に記載される多段停止デバイス、システム及び方法の特徴(複数)及び利点(複数)は、添付の図面と併せて解釈される以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。これらの図面は、本開示によるいくつかの実施形態のみを示しており、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではない。図面では、文脈上別段の指示がない限り、同様の参照番号または記号は一般的に同様の構成要素を特定する。図面は縮尺通りに描かれていないこともある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】いくつかの実施形態による、組織サンプルがスライド上に置かれ、染色され、撮像され、分析されるシステム/環境の例を示すブロック図。
図2】いくつかの実施形態による、組織サンプルブロックから画像データを生成するためのワークフロー例。
図3A】いくつかの実施形態による、調製組織ブロックの一例。
図3B】いくつかの実施形態による、調製組織ブロックの一例及び調製組織スライスの一例300B。
図4】一実施形態による例示的な撮像デバイスを示す。
図5】染色のために処理中であるスライドの数を計数するためのスライドカウンタを含み、かつ、試薬システムを使用して第1の染色プロトコルに従って(参照を容易にするために「染色スライド」と本明細書で称されることがある)スライド上のサンプルを染色するための装置を操作する制御システムを含む自動スライド染色装置(または「自動スライドステイナ(stainer)」)の一例。制御システムは、いくつかのスライドを染色することにより引き起こされる試薬システムの状態を考慮に入れる第2の染色プロトコルへ変更するとき(時点)を、スライド数を使用して決定する。参照を容易にするために、スライド上の生体サンプル(例えば、組織または細胞のサンプル)の染色は、スライドの染色と称する。
図6】いくつかの実施形態による、自動スライドステイナのスライド染色アセンブリ、コントローラ、及びスライドカウンタの相互作用及び処理動作の一例を示すブロック図。
図7】試薬システムによる染色のために処理されたスライド数の累積数を示す入力に少なくとも部分的に基づいてスライドを染色する方法の一例を示すプロセスフロー図。
図8】いくつかの実施形態による、スライドを染色するための試薬システムの第1のプロトコルの一例を示す表。第1のプロトコルは、例えば、図7に示されるスライド染色プロセスの第1の部分のデフォルトプロトコルとして使用できる。
図9】いくつかの実施形態による、スライドを染色するための試薬システムの第2のプロトコルの一例を示す表。第2のプロトコルは、例えば、図7に示されるスライド染色プロセスの第2の部分のためのプロトコルとして、即ち一定数のスライド(例えば、2400スライド)に達した後に使用可能なプロトコルとして使用可能であり、試薬システムが補充されるまで使用し続けることができる。
図10】本明細書に説明されるプロセスのいずれか、例えば図7に示されるスライド染色プロセスを実行するために自動スライドステイナに実装可能なコンピューティングシステムコントローラ例。
【実施例
【0015】
スライド染色プロセスの第1の部分に試薬システムを用いた第1のプロトコル、及び試薬システムが補充される前にスライド染色プロセスの第2の部分に試薬システムのための第2のプロトコルを使用してスライドを染色するための自動スライド染色システム及び方法の特徴が、本明細書に説明される。明示的に示されない限り、または本開示の文脈から暗示的に明らかでない限り、装置、方法、または非一時的なコンピュータ可読媒体の一実施形態に関して開示された特徴(複数)は、装置、方法、または非一時的なコンピュータ可読媒体の他の実施形態に含めることができる。病理学的分析の前のスライド上の細胞及び組織サンプルの染色のためのこのようなスライド染色装置の一例、つまり複数のスライドセットを同時に染色するよう動作可能であり、かつ、複数の試薬を有する試薬システムを備えて構成されたスライド染色装置は、染色のために装置に提供されたスライドを計数するよう構成されたスライドカウンタを含む。本装置は、命令を備えた非一時的なメモリコンポーネントを有するコントローラと、1つ以上のプロセッサであって、(a)試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドセットの累積数を決定する命令、但し各スライドセットは1つ以上のスライドを有する;(b)累積数が第1のスライド数S1未満であることに応じて、試薬システムにおいてスライドセットを染色するための複数のステップを有する第1のプロトコルを使用して、スライドセットを染色する命令、但し複数のステップの1つのステップは、スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第1の期間、スライドセットをアルコール試薬に供する、そして、処理項目(a)~(b)を繰り返す命令を実行するよう構成されたプロセッサをさらに含むことができる。非一時的なメモリコンポーネントは、(c)累積スライド数が第1のスライド数S1を超えていることに応じて、第1のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、第1のプロトコルでまだ処理が開始されていないスライドの染色を開始しないこと;進行中スライドの染色が完了した後に:(d)スライド上に生体サンプルを有する別のスライドセットを受け取ること;(e)試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドの累積数を決定すること;(f)累積数が第2のスライド数S2未満であることに応じて、試薬システムにおいてスライドセットを染色するための複数のステップを有する第2のプロトコルを使用して、受け取られたスライドセットを染色すること、但し第2のプロトコルの1つのステップは、スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第2の期間、スライドセットをアルコールに供し、第2の期間は第1の期間よりも短い、そして、処理ステップ(d)~(f)を繰り返すこと;(g)累積スライド数が第2のスライド数S2を超えていることに応じて、第2のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、第2のプロトコルでの処理が開始されていないスライドの染色を開始しないことをプロセッサに実行させる命令をさらに含むことができる。
【0016】
システム概要
【0017】
図1は、ユーザー及び/またはマルチスペクトル撮像システムがサンプルを分析し得る環境100の一例(例えば、マルチスペクトル撮像システム)を示す。環境100は、1つ以上のプロトコルに基づいて一貫して染色されたスライドを生成するよう制御される自動スライドステイナ101を含む。環境100はまた、染色されたスライドのデジタル表現(例えば、画像)を生成する撮像デバイス102を含むこともできる。デジタル表現は、信号[C]としてネットワーク112に、次の処理(例えば、特徴検出、特徴測定など)のために画像分析システム108に通信されることができる。画像分析システム108は、受信された画像データに対する画像分析を実行し得る。画像分析システム108は、画像の特性を決定し得る機械学習アルゴリズムへの入力のために、マルチスペクトル撮像を使用して取得された画像データを正規化することができる。画像分析システム108からの結果は、信号[E]として1つ以上のユーザーコンピューティングデバイス110に通信されることができる。
【0018】
スライドステイナ101は、病理学的分析前のスライド上の細胞及び組織サンプルの染色のために制御され得る。スライドステイナは、複数のスライドセットを同時に染色するよう動作可能であり、かつ、複数の試薬を有する試薬システムを備えて構成され得る。スライドステイナ101は、図5に示されるような様々な構造上の特徴を含むことができる。スライドステイナはまた、(図10に示される)コントローラを有することができる。様々な実施形態では、スライドステイナ101は、スライド上に生体サンプルを有するスライドセットを受け取り、但し各スライドセットは1つ以上のスライドを有する;試薬システム設置後に受け取られたスライドの累積数を決定し;累積数が第1のスライド数S1未満であることに応じて、試薬システムにおいてスライドセットを染色するための複数のステップを有する第1のプロトコルを使用して、スライドセットを染色し、但し複数のステップの1つのステップは、スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第1の期間、スライドセットをアルコール試薬に供する;そして、より多くのスライドを受け取るステップと、スライドの累積数を決定するステップとを繰り返すよう、構成(または制御)されることができる。スライドステイナ101は、試薬システムで一定数のスライドを染色するときに第1のプロトコルを使用して開始することができ、その後、同じ試薬システムによって(即ち試薬を交換または補充することなく)処理されたかまたは現在処理されている累積スライド数を示す、第1のスライド数S1よりも大きい特定のスライド数で、試薬システムの交換が必要になるまで別のプロトコルに移行することができる。これは、図6図9を参照してより詳細に説明される。
【0019】
いくつかの具現化例では、サンプルを走査または「撮像(画像化)」するために使用される撮像(イメージング)デバイス102は、(1つ以上の)組織サンプルにマルチスペクトル光を放射するよう構成された光源104と、組織サンプルから放出されたマルチスペクトル光を検出するように構成された画像センサ106を含む。光源104を使用するマルチスペクトル撮像は、周波数のある範囲内において担体によって担持される組織サンプルに光を提供することを含むことができる。すなわち、光源104は、マルチスペクトル撮像を提供するために周波数(複数)のスペクトルにわたる光を生成するように構成され得る。特定の実施形態(複数)では、組織サンプルは、光源104から受光した光を反射し得るが、該光は次に画像センサ106で検出されることができる。これらの具現化例では、光源142と画像センサ106は、組織サンプルの実質的に同じ側に位置し得る。他の具現化例(複数)では、光源104と画像センサ106は、組織サンプルの両側に位置し得る。画像センサ106は、画像センサ106で検出されたマルチスペクトル光に基づいて画像データを生成するようにさらに構成され得る。特定の具現化例(複数)では、画像センサ106は、組織サンプルの高解像度画像を生成するよう構成された高解像度センサを含み得る。高解像度画像は、異なる周波数(複数)(例えば、周波数スペクトル)でサンプルに放射されたレーザ光に応じた組織サンプルの励起に基づいて生成され得る。
【0020】
撮像デバイス102は、分析用の画像データを取り込み及び/または生成し得る。撮像デバイス102は、レンズ、画像センサ、プロセッサ、またはメモリの1つ以上を含み得る。撮像デバイス102は、ユーザーインタラクションを受信し得る。ユーザーインタラクションは、画像データを取り込む要求であり得る。ユーザーインタラクションに基づいて、撮像デバイス102は画像データを取り込み得る。いくつかの実施形態では、撮像デバイス102は、周期的に(例えば、10分毎に、20分毎に、または30分毎に)画像データを取り込み得る。他の実施形態(複数)では、撮像デバイス102は、アイテムが撮像デバイス102の視野内に置かれている(例えば、組織学的サンプルが、撮像デバイス102と関連付けられたテーブル及び/またはプラットフォームに置かれている)と判断し、この判断に基づいて、該アイテムに対応する画像データを取り込み得る。撮像デバイス102は、追加の撮像デバイスから画像データをさらに受信し得、例えば、撮像デバイス102は、他の撮像デバイスから画像分析システム108に画像データを送るノードであり得る。いくつかの実施形態では、撮像デバイス102は、画像分析システム108の内部に位置し得る。例えば、撮像デバイス102は、画像分析システム108のコンポーネントであってよい。さらに、画像分析システム108は、撮像機能を実行し得る。他の実施形態(複数)では、撮像デバイス102と画像分析システム108は(例えば、無線または有線接続で)接続され得る。例えば、撮像デバイス102と画像分析システム108は、ネットワーク112を介して通信し得る。さらに、撮像デバイス102と画像分析システム108は、有線接続を介して通信し得る。いくつかの実施形態では、画像分析システム108は、(有線接続または無線接続を介して)複数の撮像デバイスに接続され得る。
【0021】
画像分析システム108は、画像分析モジュール(図1では図示せず)を使用して画像分析を実行し得る。画像分析システム108は、撮像デバイス102から画像データを受信し、処理のために推奨案をユーザーコンピューティングデバイス110に送信し得る。本明細書におけるいくつかの例は、撮像デバイス102、画像分析システム10、またはユーザーコンピューティングデバイス11であるような特定のタイプのデバイスを参照するが、これらの例は単なる例示であり、限定的、必須、または網羅的であることを意図していない。画像分析システム108は、任意のタイプのコンピューティングデバイス(例えば、サーバ、ノード、ルータ、ネットワークホストなど)であってよい。さらに、撮像デバイス102は、任意のタイプの撮像デバイス(例えば、カメラ、スキャナ、モバイルデバイス、顕微鏡、ラップトップなど)であってよい。いくつかの実施形態では、撮像デバイス102は、複数の撮像デバイスを含み得る。さらに、ユーザーコンピューティングデバイス110は、任意のタイプのコンピューティングデバイス(例えば、モバイルデバイス、ラップトップなど)であってよい。画像分析システム108は、本明細書に説明される特徴を提供するための様々なコンポーネントを含み得る。いくつかの実施形態では、画像分析システム108は、撮像デバイス102から受信した画像データの画像分析を実行するために1つ以上の画像分析モジュールを含み得る。画像分析モジュールは、画像データを使用して1つ以上の撮像アルゴリズムを実行し得る。
【0022】
画像分析システム108は、ユーザーコンピューティングデバイス110に接続され得る。画像分析システム108は、画像データのセットについての推奨案を提供するために、ユーザーコンピューティングデバイス110に(無線接続または有線接続を介して)接続され得る。画像分析システム108は、ネットワーク112を介してユーザーコンピューティングデバイス110に推奨案を送信し得る。いくつかの実施形態では、画像分析システム108及びユーザーコンピューティングデバイス110は、ユーザーコンピューティングデバイス110が、推奨案を受信するために画像分析システム108と連携及び連係解除できるように接続のために構成され得る。例えば、ユーザーコンピューティングデバイス110は、画像分析システム108が、ユーザーコンピューティングデバイス110のために推奨案を生成したと判断すると、画像分析システム108と連携し得る。さらに、特定のユーザーコンピューティングデバイス110は、画像分析システム108が特定のユーザーコンピューティングデバイス110に対応する画像データに対して画像分析を実行することに基づいて、画像分析システム108に接続し得る。例えば、ユーザーは、複数の組織学的サンプルと関連付けられ得る。特定の組織学的サンプルが、特定のユーザー及び対応するユーザーコンピューティングデバイス110と関連付けられると判断すると、画像分析システム108は、組織学的サンプルのための推奨案を、特定のユーザーコンピューティングデバイス110に送信することができる。いくつかの実施形態では、ユーザーコンピューティングデバイス110は、推奨案を受信するために画像分析システム108とドッキングし得る。
【0023】
いくつかの具現化例では、撮像デバイス102、画像分析システム108、及び/またはユーザーコンピューティングデバイス110は無線通信し得る。例えば、撮像デバイス102、画像分析システム108、及び/またはユーザーコンピューティングデバイス110は、ネットワーク112を介して通信し得る。ネットワーク112は、有線及び/または無線のモダリティ及び/または技術などの任意の実行可能な通信技術を含み得る。ネットワークは、パーソナルエリアネットワーク(「PAN」)、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、キャンパスエリアネットワーク(「CAN」)、メトロポリタンエリアネットワーク(「MAN」)、エクストラネット、イントラネット、インターネット、短距離無線通信ネットワーク(例えば、ZigBee、Bluetoothなど)、広域ネットワーク(「WAN」)-集中型及び/または分散型の両方-の任意の組み合わせ、及び/またはそれらの任意の組み合わせ、配列、及び/または集約を含み得る。ネットワーク112は、インターネットへの及び/またはインターネットからのアクセスを含み得、及び/または、有しても有しなくてもよい。撮像デバイス102と画像分析システム108は、画像データを通信し得る。例えば、撮像デバイス102は、分析のためにネットワーク112を介して、組織学的サンプルと関連付けられた画像データを画像分析システム108へ通信し得る。画像分析システム108とユーザーコンピューティングデバイス110は、画像データに対応する推奨案を通信し得る。例えば、画像分析システム108は、画像データが組織サンプル中に存在する疾病を示しているかどうかに関する診断を通信し得る。いくつかの実施形態では、撮像デバイス102と画像分析システム108は第1のネットワークを介して通信し得、画像分析システム108とユーザーコンピューティングデバイス110は第2のネットワークを介して通信し得る。他の実施形態(複数)では、撮像デバイス102、画像分析システム108、及びユーザーコンピューティングデバイス110は同じネットワークを介して通信し得る。
【0024】
例示的な一実施形態を参照すると、[A]において、スライドステイナ101は、スライド上に配置されたサンプルを有するスライドを処理及び染色することができる。また、いくつかのシステムでは、スライドステイナは、染色後ただちに染色されたサンプルの上にカバープレートを置くことができる。サンプルを染色し、サンプルの上にカバースリップを置くことができる複合器具(ステイナ及びカバースリッパ(coverslipper)と称されることがある)の一例は、Leica Histocore Spectra ST(ステイナ)及びLeica Histocore Spectra CV(カバースリッパ)である。[B]において、撮像デバイス102は、サンプルのデジタル表現を取得するためにスライド上のサンプルを撮像する(例えば、走査する、取り込む、記録するなど)ことができる。
【0025】
[C]において、撮像デバイス102は、取り込んだ画像データ(例えば、スライスデータ及び撮像された任意の他のデータ)を表す信号を画像分析システム108に送信することができる。撮像デバイス102は、取り込んだデータを電子信号としてネットワーク112を介して画像分析システム108へ送信することができる。信号は、スライスデータのピクセル表現を含み得及び/またはスライスデータのピクセル表現に対応し得る。信号は、より多くの、より少ない、または異なった画像データを含むことができ及び/またはより多くの、より少ない、または異なった画像データに対応することができることが理解される。例えば、信号は、組織ブロックの複数のスライスに対応し得、第1のスライスデータ及び第2のスライスデータを表し得る。
【0026】
[D]において、画像分析システム108は、撮像デバイス102によって提供されたスライスデータに対して画像分析を実行することができる。画像分析を実行するために、画像分析システム108は、1つ以上の画像処理機能を実行できる1つ以上の画像分析モジュールを利用し得る。例えば、画像分析モジュールは、撮像アルゴリズム、機械学習モデル、畳み込みニューラルネットワーク、または画像処理機能を実行する前の任意の他のモジュールを含み得る。画像処理機能を実行することに基づいて、画像分析モジュールは、ブロックデータ及びスライスデータが組織ブロックに対応する可能性を決定することができる。例えば、画像処理機能は、ブロックデータ及びスライスデータのエッジ分析を含み得、エッジ分析に基づいて、ブロックデータ及びスライスデータが同じ組織ブロックに対応するか否かを判断し得る。画像分析システム108は、ユーザーコンピューティングデバイス110、撮像デバイス102、または任意の他のデバイスから信頼度閾値を取得することができる。いくつかの実施形態では、画像分析システム108は、特定の推奨案に対するユーザーコンピューティングデバイス110による応答に基づいて、信頼度閾値を決定することができる。さらに、信頼度閾値は、ユーザー、ユーザーのグループ、組織ブロックのタイプ、組織ブロックの部位、または任意の他の因子に対して固有(特異的)であり得る。画像分析システム108は、決定された信頼度閾値を、画像分析モジュールによって実行された画像分析と比較することができる。この比較に基づいて、画像分析システム108は、ブロックデータとスライスデータが同じ組織ブロックに対応している可能性に基づいた、ユーザーコンピューティングデバイス110に対する推奨動作を示す推奨案を生成することができる。他の実施形態(複数)では、画像分析システム108は、例えば機械学習アルゴリズムの結果に基づいて、画像データが組織サンプルに存在する疾病を示すかどうかに関する診断を提供することができる。
【0027】
[E]において、画像分析システム108は、ユーザーコンピューティングデバイス110へ信号を送信することができる。画像分析システム108は、ネットワーク112を介してユーザーコンピューティングデバイス110へ信号を電気信号として送信することができる。信号は、診断の表現を含み得る及び/または診断の表現に対応し得る。信号を受信することに基づいて、ユーザーコンピューティングデバイス110は診断を決定することができる。いくつかの実施形態では、画像分析システム108は、スライスのグループに対応する一連の推奨案を送信し得る。画像分析システム108は、推奨案に、ユーザーの推奨動作を含めることができる。例えば、推奨案は、ユーザーがスライスデータを検討するための推奨案を含み得る。さらに、推奨案は、ユーザーが組織ブロック及びスライスを検討する必要がないという推奨案を含み得る。
【0028】
調製されたブロック(調製ブロック)及び調製されたスライス(調製スライス)の撮像(画像化)
【0029】
図2は、いくつかの実施形態による、組織サンプルブロックから画像データを生成するための一ワークフロー例200を示す。ワークフロー例200は、組織ブロックから調製ブロック及び調製スライスを生成し、調製ブロック及び調製スライスに基づいて前処理された画像を生成するためのプロセスを示す。ワークフロー例200は、1つ以上のコンピューティングデバイスによって具現化され得る。例えば、ワークフロー例200は、ミクロトーム、ステイナ、カバースリッパ-、及び撮像デバイスによって具現化され得る。各コンピューティングデバイスは、ワークフロー例の一部を実行し得る。例えば、ミクロトームは、組織ブロックの1つ以上のスライスを生成するために組織ブロックを切断し得る。スライスは、(例えば、手作業で)スライドへ移送される。ステイナはスライドを染色し得る。カバースリッパ-は、染色されたサンプルのそれぞれの上にカバースリップを載置する。カバースリップの載置後、撮像デバイスは各スライドを撮像できる。
【0030】
組織ブロックは、患者(例えば、ヒト、動物など)から取得することができる。組織ブロックは、患者からの組織の一部に相当し得る。組織ブロックは、さらなる分析のために患者から外科的に除去(摘出)され得る。例えば、組織ブロックは、組織ブロックが特定の特性を有するかどうか(例えば、組織ブロックが癌性であるかどうか)を判断するために除去され得る。調製ブロック202を生成するために、組織ブロックは、組織プロセッサにより特定の調製プロセスを使用して調製され得る。組織プロセッサでは、組織は、アルコールの複数のステップで脱水され、次に、組織を安定化するために溶融パラフィンワックスで含浸される。例えば、組織(サンプル)はパラフィンワックスブロックに包埋され得る。その結果は、図2の調製ブロック202であろう。このブロックは、ミクロトームによる切断の準備が完了している。組織ブロックはまた、最適切断温度(「OCT」)化合物を使用して包埋されてもよい。調製プロセスは、組織ブロックのパラフィン包埋、OCT包埋、または任意の他の包埋の1つ以上を含み得る。図2の例では、組織ブロックは、パラフィン包埋を使用して包埋されている。さらに、組織ブロックは、調製ブロックを形成するために、パラフィンワックスブロック内に包埋され、顕微鏡スライドに取り付けられる。
【0031】
ミクロトームは、調製スライス204を生成するために組織ブロックのスライスを取得することができる。ミクロトームは、1つ以上のブレードを使用して、組織ブロックをスライスし、組織ブロックのスライス(例えば切片)を生成することができる。ミクロトームは、組織ブロックをさらにスライスして、好ましいレベルの厚みを有するスライスを生成することができる。例えば、組織ブロックのスライスは、1μm(0.001ミリメートル)~60μm(0.06ミリメートル)であり得る。ミクロトームは、組織ブロックのスライスをカバースリッパへ提供できる。調製スライス204を生成する際に、ステイナはまた、任意の染色プロトコルを使用して組織ブロックのスライスを染色し得る。さらに、ステイナは、調製スライス204の特定の部分(例えば、対象の領域)を強調表示するために組織ブロックのスライスを染色し得る。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、カバースリッパとステイナの両方を含み得、スライドはスライドを生成するプロセスの一部として染色され得る。染色後、カバースリッパは、カバースリップとスライドとの間に組織ブロックのスライスを閉じ込め、調製スライス204を生成することができる。調製スライス204は、特定の位置に取り付けられたスライスを含み得る。
【0032】
調製ブロック202及び調製スライス204は、撮像のために撮像デバイスに提供され得る。いくつかの実施形態では、調製ブロック202及び調製スライス204は、同じ撮像デバイスに提供され得る。他の実施形態(複数)では、調製ブロック202及び調製スライス204は、異なる撮像デバイスに提供される。撮像デバイスは、調製ブロック202及び調製スライス204に対して1つ以上の撮像動作を実行することができる。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、組織調製装置(preparer)、ミクロトーム、カバースリッパ、ステイナ、及び/または撮像デバイスの1つ以上を含み得る。
【0033】
撮像デバイスは、ブロック画像206を生成するために、調製ブロック202の画像を取り込むことができる。ブロック画像206は、調製ブロック202の表現であり得る。例えば、ブロック画像206は、一方向から(例えば、上方から)の調製ブロック202の表現であり得る。調製ブロック202の表現は、調製スライス204及び/または組織ブロックのスライスと同じ方向に対応し得る。例えば、組織ブロックが組織ブロックのスライスを生成するために断面方式でスライスされる場合、ブロック画像206は同じ断面図に対応し得る。ブロック画像206を生成するために、調製ブロック202は、撮像デバイスのクレードルに置かれ、撮像デバイスによって撮像され得る。さらに、ブロック画像206は、特定の特性を含み得る。例えば、ブロック画像206は、特定の解像度レベル、鮮明さ(明るさ)レベル、ズームレベル、または任意の他の画像特性を有するカラー画像であり得る。
【0034】
撮像デバイスは、スライス画像208を生成するために調製スライス204の画像を取り込むことができる。撮像デバイスは、調製スライス204の特定のスライスの画像を取り込むことができる。例えば、(1つの)スライドは、任意の数の調製スライスを含み得、撮像デバイスは、調製スライスの特定のスライスの画像を取り込み得る。スライス画像208は、調製スライス204の表現であり得る。スライス画像208は、組織ブロックのスライスの生成の仕方に応じたスライスのビューに対応し得る。例えば、組織ブロックのスライスが組織ブロックの断面切断を介して生成された場合、スライス画像208は、同じ断面図に対応し得る。スライス画像208を生成するために、調製スライス(複数)204を含むスライドは、撮像デバイスのクレードル内に(例えば、顕微鏡のビューワ内に)置かれ、撮像デバイスによって撮像され得る。さらに、スライス画像208は、特定の特性を含み得る。例えば、スライス画像208は、特定の解像度レベル、鮮明さ(明るさ)レベル、ズームレベル、または任意の他の画像特性を有するカラー画像であり得る。
【0035】
撮像デバイスは、前処理された画像(前処理画像)210を生成するためにブロック画像206を、前処理画像212を生成するためにスライス画像208を処理することができる。撮像デバイスは、前処理画像210及び前処理画像212を生成するために、ブロック画像206及びスライス画像208に対して1つ以上の画像操作を実行することができる。1つ以上の画像操作は、前処理画像210及び前処理画像212の様々な特徴を分離する(例えば、焦点を合わせる)ことを含み得る。例えば、1つ以上の画像操作は、スライスもしくは組織ブロックのエッジを分離すること、スライスもしくは組織ブロック内の対象の領域を分離すること、またはそれ以外の場合、ブロック画像206及び/またはスライス画像208を修正すること(例えば、変形すること)を含み得る。いくつかの実施形態では、撮像デバイスは、ブロック画像206またはスライス画像208の1つに対して1つ以上の画像操作を実行することができる。例えば、撮像は、ブロック画像206に対して1つ以上の画像操作を実行し得る。他の実施形態(複数)では、撮像デバイスは、ブロック画像206に対して第1の画像操作を、スライス画像208に対して第2の画像操作を実行することができる。撮像デバイスは、前処理画像210及び前処理画像212が同じ組織ブロックに対応する可能性を決定するために、前処理画像210及び前処理画像212を画像分析システムに提供し得る。
【0036】
組織ブロックのスライス
【0037】
図3Aは、いくつかの実施形態による、一例としての調製された組織ブロック(調製組織ブロック)300Aを示す。調製組織ブロック例300Aは、特定の方法で保存された(例えば、化学的に保存、固定、支持された)組織ブロック306を含み得る。調製組織ブロック300Aを生成するために、組織ブロック306は、固定剤(例えば、液体固定剤)に入れることができる。例えば、組織ブロック306は、ホルムアルデヒド溶液などの固定液(fixative)に入れることができる。固定剤は、組織ブロック306に浸透し、組織ブロック306を保存することができる。組織ブロック306は、その後、組織ブロック306のさらなる保存を可能にするために分離することができる。さらに、組織ブロック306は、組織ブロック306内の水を1つ以上の溶液で置換するために、1つ以上の溶液(例えば、エタノール溶液)に浸漬されることができる。組織ブロック306は、1つ以上の中間溶液に浸漬されることができる。さらに、組織ブロック306は、最終溶液(例えば、組織学的ワックス)に浸漬されることができる。例えば、組織学的ワックスは、精製されたパラフィンワックスであり得る。最終溶液に浸漬された後、組織ブロック306は調製組織ブロック300Aに形成され得る。例えば、組織ブロック306は、組織学的ワックスで充填されたモールド(型)の中に入れられ得る。組織ブロックをモールドに入れることによって、組織ブロック306は最終溶液304内で成形され得る(例えば、閉じ込められ得る)。調製組織ブロック300Aを生成するために、最終溶液304中の組織ブロック306はプラットフォーム302上に載置され得る。かくして、調製組織ブロック300Aが生成され得る。調製組織ブロック300Aは、任意の組織調製方法に従って調製され得ることは理解されるであろう。
【0038】
図3Bは、いくつかの実施形態による、一例としての調製組織ブロック300A、及び一例としての調製された組織スライス(調製組織スライス)300Bを示す。調製組織スライス300Bを生成するために、調製組織ブロック300Aは、ミクロトームによってスライスされ得る。ミクロトームは、調製組織ブロック300Aをスライスするために1つ以上のブレードを含み得る。ミクロトームは、1つ以上のブレードを使用して、調製組織ブロック300Aの断面スライス310を取得し得る。調製組織ブロック300Aの断面スライス310は、最終溶液304のスライス中に閉じ込められた組織ブロック306のスライス310(例えば、切片)を含み得る。組織ブロック306のスライス310を保存するために、組織ブロック306のスライス310は改変(例えば、洗浄)されて、組織ブロック306のスライス310から最終溶液304を除去し得る。例えば、最終溶液304はリンスされ及び/または組織ブロック306のスライス310から分離され得る。さらに、組織ブロック306のスライス310は、ステイナで染色され得る。いくつかの実施形態では、組織ブロック306のスライス310は染色されなくてもよい。組織ブロック306のスライス310は、次いで、カバースリッパによってスライド308に閉じ込められて、調製組織スライス300Bを生成し得る。調製組織スライス300Bは、調製組織スライス300Bに対応する組織ブロック306を識別(同定)する識別子312を含み得る。図3Bに示されていないが、調製組織ブロック300Aは、調製組織ブロック300Aに対応する組織ブロック306を識別する識別子を含み得る。調製組織ブロック300A及び調製組織スライス300Bは、同じ組織ブロック306に対応するので、調製組織ブロック300Aの識別子及び調製組織スライス300Bの識別子312は、同じ組織ブロック306を識別し得る。
【0039】
撮像デバイス
【0040】
図4は、一実施形態による撮像デバイス400の一例を示す。撮像デバイス400は、撮像装置402(例えば、レンズ及び画像センサ)とプラットフォーム404を含むことができる。撮像デバイス400は、プラットフォーム404を介して、調製組織ブロック及び/または調製組織スライスを受け取ることができる。さらに、撮像デバイスは、撮像装置402を使用して、調製ブロック及び/または調製スライスに対応する画像データを取り込むことができる。撮像デバイス400は、カメラ、スキャナ、医療用撮像装置、顕微鏡などの1つ以上であり得る。さらに、撮像デバイス400は、X線検査、磁気共鳴映像法、超音波、内視鏡、組織弾性記録法(elastography)、触覚イメージング、サーモグラフィ、医療用写真術、核医学機能的画像化、陽電子放出断層撮影法、単光子放出コンピュータ断層撮影法などのような撮像技術を使用することができる。例えば、撮像デバイスは、磁気共鳴映像法(「MRI」)スキャナ、陽電子放出断層撮影法(「PET」)スキャナ、超音波撮像デバイス、X線撮像デバイス、コンピュータ断層撮影法(「CT」)スキャナであり得る。
【0041】
撮像デバイス400は、調製組織ブロック及び/または調製組織スライスの1つ以上を受け取り、対応する画像データを取り込み得る。いくつかの実施形態では、撮像デバイス400は、複数の調製組織スライス及び/または複数の調製組織ブロックに対応する画像データを取り込み得る。撮像デバイス400は、さらに、撮像装置402のレンズを通して、撮像装置402の画像センサを使用して、プラットフォーム上に置かれた調製組織スライス及び/または調製組織ブロックの表現を取り込み得る。かくして、撮像デバイス400は、画像分析システムが画像データを比較して画像データが同じ組織ブロックに対応しているか否かを判断するために、画像データを取り込むことができる。
【0042】
自動スライド染色
【0043】
図5は、自動スライド染色装置500(ないし「自動スライドステイナ」)の一例を示す。自動スライド染色装置500は、本明細書に説明される方法を実行するよう制御することができる。いくつかの実施形態では、自動スライド染色装置500は、本明細書に説明される方法の1つ以上を実行するよう構成されたコントローラ(図5には図示せず)を含むことができる。例えば、スライド染色装置500は、スライド上に生体サンプルを有するスライドを受け取り、試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドの累積数を決定し、累積数が第1のスライド数S1未満であることに応じて、試薬システムを使用してスライドセットを染色するための複数のステップを有する第1のプロトコルを使用してスライドを染色する、但し複数のステップの1つのステップはスライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第1の期間、スライドセットをアルコール試薬に対してスライドを処理する、よう構成(または制御)されることができる。さらに、(スライド染色装置500は)累積スライド数が第1のスライド数S1以上であることに応じて、第1のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、第1のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色を開始しない(よう構成ないし制御されることができる)。進行中スライドの染色が完了した後に、スライド染色装置500は、第2のプロトコルを使用してスライドを染色することができる、但し第2のプロトコルの1つのステップは、エオシン試薬でスライドを処理し、続いて第2の期間、アルコールでスライドを処理することを含み、第2の期間は第1の期間よりも短い。
【0044】
いくつかの実施形態では、自動スライド染色装置500は、本明細書に説明される方法の1つ以上を実行するためにスライド染色装置の動作を制御するコントローラ(例えば、別のコンピュータシステム)を備えて構成されることができる。いくつかの実施形態では、自動スライド染色装置500は、本明細書に説明される方法の1つ以上を実行するためにスライド染色装置の動作を制御するコントローラ(例えば、別のコンピュータシステム)と通信することができる。一例では、自動スライドステイナは、Leica Biosystems社のHistocore Spectra STであり得る。参照を容易にするために、スライド上の生体サンプル(例えば、組織または細胞のサンプル)の染色は、スライドの染色と称されることもある。
【0045】
図5に示される例では、自動スライドステイナ500は、スライド上の組織サンプルを染色するためのいくつかの特徴を含む。例えば、スライドステイナ500は、試薬容器間でスライドのラック511を搬送するよう構成された搬送アーム501を含む。自動スライドステイナ500は、洗浄ステーション502と、炉503と、フード520用のロック504と、ディスプレイ505(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)と、様々な動作表示を提供するためのLEDストリップを含むこともできる。自動スライドステイナ500はまた、RFIDセンサ507と、オン/オフスイッチ508と、USBポート509と、試薬容器510と、容器カバー512とを含む。自動スライドステイナ500は、更に、装填用引き出し513と、装填用引き出し用のLEDインジケータ及びキー514をさらに含む。自動スライドステイナ500はまた、排出用引き出し用のLEDインジケータ及びキー515も含む。スライド計数センサ517は、処理のために自動スライドステイナに提供されたスライドを計数するよう構成されている。自動スライドステイナ500はまた、バックプレート518と、フード520内部に配置された照明519を含む。自動スライドステイナ500は、試薬システム、同じ試薬システムを使用する第2の染色プロトコルに移行する時点を決定するためにスライド数(count)を使用するコントローラ(または制御システム)を使用して第1の染色プロトコルに従ってスライドを染色することができる。なお、第2のプロトコルは、複数のスライドを染色することによって引き起こされる試薬システムの状態を考慮に入れる。
【0046】
図6は、いくつかの実施形態による、自動スライドステイナ600のスライド染色アセンブリ605、コントローラ610、及びスライドカウンタ615の相互作用及び処理動作の一例を示すブロック図である。スライド染色アセンブリ605は、染色プロトコルに従ってスライドのラックを試薬及び槽の中に及び中から移動させるスライドステイナ600の部分を含み得る。例えば、図5に示される例で説明される特徴は、搬送アーム501を含む。
【0047】
動作中、スライドカウンタ615は、試薬システムが変更または補充される前に、試薬システムを使用して染色されるために提供されたスライドの累積数を決定する。例えば、(累積数は)それらのスライドの処理の前にスライドステイナ600に投入されたラックに装填されたスライドの数である。新しい試薬システムが配置されると、カウンタはゼロにリセットされることができる。他の実施形態(複数)では、カウンタの現在数は、ゼロを表すと見なし得、スライドの数は現在数に対して計数される。スライド(複数)はラックで提供され、カウンタは、スライドのラックが処理される前に提供されたスライドの数を決定する。スライド番号(#)に関係する情報は、染色プロセスを制御するための制御装置(コントローラ)610に提供される。
【0048】
コントローラ610は、特定の試薬システムを使用してスライドを染色するための1つ以上のプロトコルを備えて構成され得る。この例では、コントローラ610は、(例えば、図8に示されるような)第1のプロトコルと(例えば、図9に示されるような)第2のプロトコルを備えて構成される。第1及び第2のプロトコルは、スライドを処理するための一連のステップを示し、特定の持続時間、試薬または「槽」にスライドを供する(例えば、スライドを浸漬する)。この例の場合、第1及び第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップ、続いて95%エタノール試薬ステップを含むことに留意されたい。コントローラは、ブロック606及び607に示されるように、スライドカウンタ615からスライド数情報を受信し、第1のプロトコルを使用してスライドを染色するようスライド染色アセンブリ605を制御する。コントローラ610は、ブロック612に示されるように、スライドカウンタが所定数S1に達するまで、第1のプロトコルを使用してスライドを染色するよう、スライド染色アセンブリを制御する。コントローラは、S1に達したときに染色プロセスをすでに開始していたスライドのラック(「処理中(in-process)ラック」)は第1のプロトコルを使用して処理され続けるが、スライドの新しいラックは開始されないよう、スライド染色アセンブリ605を操作する。この例では、スライドカウント数S1は2400である。
【0049】
処理中ラックが完了すると、コントローラ610は、コントローラブロック613及びスライド染色アセンブリブロック605に示されるように、第2のプロトコルを使用してスライドの染色するよう、スライド染色アセンブリを操作する。この例では、第1のプロトコルと第2のプロトコルは両方とも、ステップ1「装填」及びステップ23「カバースリップ」を含む23のステップを有する。第1及び第2のプロトコルのステップ2~17も同じであり、図8及び図9に示される表に示されるように、様々な試薬及び水洗浄を使用する。図8は、いくつかの実施形態による、スライドを染色するための試薬システムの第1のプロトコルの一例を示す表である。第1のプロトコルは、例えば、図7に示されるスライド染色プロセスの第1の部分のデフォルトプロトコルとして使用されることができる。図9は、いくつかの実施形態による、スライドを染色するための試薬システムの第2のプロトコルの一例を示す表である。第2のプロトコルは、図7に示されるスライド染色プロセスの第2の部分のプロトコルとして、即ち、一定数のスライド(例えば、2400スライド)に達した後に使用できるプロトコルとして使用されることができ、試薬システムが補充するまで使用され続けることができる。
【0050】
図8及び図9に示されるように、第1及び第2のプロトコルの両方のステップ17も同じであり、45秒の持続時間の間、ST-Eosin 2.0試薬の使用を含む。ただし、ステップ17後は、両プロトコルは異なる。第1のプロトコル(図8)では、ステップ18は、1分の持続時間、95%エタノールを使用し;第1のプロトコル800のステップ19は、1分間、100%エタノールを使用し;第1のプロトコル800のステップ20は、1分間、100%エタノールを使用し;第1のプロトコル800のステップ21及び22は、それぞれ2分間、キシレンを使用する。第2のプロトコル(図9)では、ステップ18は、5秒の持続時間、95%エタノールを使用し;第2のプロトコル(図9)のステップ19は、1分間、100%エタノールを使用し;第2のプロトコル900のステップ20は、1分間、100%エタノールを使用する。第2のプロトコル900のステップ21及び22は、それぞれ30秒間、キシレンを使用する。第2のプロトコルは、試薬システムがスライドの特定の累積数を経た(例えば、スライド数S1での)特定の部分であるときに、カラーリセッション(coloration recession:カラーの1つ以上の性質の経時変化;この変化によって、色は同じ又はほぼ同じに維持され得るが、トーンは変化し得る)の時間を減少させるために、動作する。
【0051】
いくつかの実施形態では、スライド数S1は、2200以上、2600以下の数である。いくつかの実施形態では、スライド数S1は、2300以上、2500以下の数である。いくつかの実施形態では、スライド数S1は、2350以上、2450以下の数である。いくつかの実施形態では、第1のスライド数は2400プラスマイナス50である。例えば、第1のスライド数S1は、2350、2351、2352、2353、2354、2355、2356、2357、2358、2359、2360、2361、2362、2363、2364、2365、2366、2367、2368、2369、2370、2371、2372、2373、2374、2375、2376、2377、2378、2379、2380、2381、2382、2383、2384、2385、2386、2387、2388、2389、2390、2391、2392、2393、2394、2395、2396、2397、2398、2399、2400、2401、2402、2403、2404、2405、2406、2407、2408、2409、2410、2411、2412、2413、2414、2415、2416、2417、2418、2419、2420、2421、2422、2423、2424、2425、2426、2427、2428、2429、2430、2431、2432、2433、2434、2435、2436、2437、2438、2439、2440、2441、2442、2443、2444、2445、2446、2447、2448、2449、または2450であり得る。
【0052】
試薬システムは、スライドカウント数S2によって示される特定のスライド数に対してのみ使用されることができる。コントローラ610が、カウンタが第2の所定数S2に到達した旨の情報を受信すると、ブロック614で、コントローラ610は、新しいスライドの取り込みを停止する(つまり、染色プロセスで新しいスライドを開始しない)。コントローラ610は、現在染色の進行中であるスライドが、第2のプロトコルを使用して染色を完了するように処理を続行するよう、スライド染色アセンブリ605を制御し、次に、ブロック609で示されるようにスライドの染色を停止する。いくつかの例では、スライド数S2は3000である(ほぼ3000のスライドが染色された後に、試薬システムを変更される必要があることを示す)。
【0053】
図7は、試薬システムを用いた染色のために処理されたスライド数の累積数を示す入力に少なくとも部分的に基づいてスライドを染色するプロセス(ないし方法)を示すプロセスフロー図である。プロセスフロー図の部分(複数)は処理ステップの観点から説明され得るが、自動スライドステイナがプロセスを実行する。図7に示されるプロセスは、試薬システムがスライドステイナ装置に装填され、スライドカウンタがゼロにリセットされるか、またはスライドカウンタの数がゼロの相対スライド数を示すために使用できる705において開始する。スライドがスライドステイナ装置に装填されると、スライドの処理が開始される前に、スライドは計数される。
【0054】
710において、プロセスは第1のプロトコルを使用して、スライドの染色を開始する。第1のプロトコルは、特定の期間、スライドを試薬または槽に供することに関し得る複数のステップを含み得る。様々な例では、プロトコルは、キシレン、100%エタノール、95%エタノール、ST-HemaLast 2.0、ST-Differentiator、ST-Bluing Agent 2.0、80%エタノール、及びST-Eosin 2.0の1つ以上の試薬を含み得る。上述のように、第1のプロトコル800の一例は図8の表に示されており、第2のプロトコルの一例は図9の表に示されている。715において、スライド数は、第1のスライド数S1以上であるか否かを確かめるためにチェックされる。第1のスライド数S1以上ではない場合、スライド染色は第1のプロトコルを使用して続行する。スライド数が第1のスライド数S1以上である場合、プロセスは、いずれかのスライドが第1の染色プロトコルで依然として処理されているか否かを判断する720に進む。Yesの場合、プロセス700は、次に、処理中(in-process)スライドが処理され続ける725へ進み、プロセスは720へ進み、スライドが既に完了しているか否かを判断する。
【0055】
以前の(上記の)処理中スライドのすべてが、第1のプロトコルの下での染色プロセスを完了していると、プロセス700は、第2のプロトコルを使用して次のスライドの処理を開始する730に進む。なお、第2のプロトコルは、第1のプロトコルと比較すると、ステップ18~22の異なるセットを有する。すなわち、エオシン試薬(ステップ17)の後のステップ18~22は、カラーリセッション(color recession)の速度を低下させるために第2のプロトコルでは異なる。
【0056】
プロセス700は、次に、スライド数が、試薬システムが変更される必要があることを示す第2の所定のスライド数S2に到達したか否かを確かめるためにチェックする735に進む。スライド数がスライド数S2に達すると、プロセス700は、第2のプロトコルを使用して染色される処理中のスライド(処理中(in-process)スライド)を完了し、新しいスライドを装填しない。また、740において、プロセス700は、試薬システムを交換する必要があることを示す警報を生成及び通信することができる。いくつかの実施形態では、警報は、自動スライドステイナのディスプレイに表示可能である。いくつかの実施形態では、警報は、ユーザーデバイス(例えば、スマートフォン)及び/または別のコンピュータに通信可能である。プロセス700は、次に、試薬システムが交換または補充される745に移動することができ、カウンタはゼロにリセットされ、スライドの染色は710において再び開始できる。
【0057】
図10は、本明細書に説明されるプロセスのいずれか、例えば、図7に示されるスライド染色プロセスを実行するために自動スライドステイナに実装可能なコンピューティングシステムコントローラの一例である。コンピューティングシステム1000は、物理的な中央処理装置(「CPU」)のような1つ以上のコンピュータプロセッサ1002;ネットワークインターフェースカード(「NIC」)のような1つ以上のネットワークインターフェース1004;高密度ディスク(「HDD」)、ソリッドステートドライブ(「SDD」)、フラッシュドライブ、及び/または他の永続的な非一時的なコンピュータ可読媒体のような1つ以上のコンピュータ可読媒体ドライブ1006;1つ以上のマイクロホンと通信する入出力(「IO」)インターフェースのような入出力デバイスインターフェース1008;及びランダムアクセスメモリ(「RAM」)及び/または他の揮発性非一時的なコンピュータ可読媒体のような1つ以上の非一時的なコンピュータ可読メモリ1010を含み得る。
【0058】
ネットワークインターフェース1004は、1つ以上のネットワークまたはコンピューティングシステムに接続性を提供することができる。コンピュータプロセッサ1002は、ネットワークインターフェース1004を介して他のコンピューティングシステムまたはサービスから情報及び命令を受信することができる。ネットワークインターフェース1004はまた、コンピュータ可読メモリ1010に直接データを格納することができる。コンピュータプロセッサ1002は、コンピュータ可読メモリ1010へ及びコンピュータ可読メモリ1010から通信し、命令を実行し、コンピュータ可読メモリ1010などでデータを処理することができる。
【0059】
コンピュータ可読メモリ1010は、病理学的分析の前のスライド上の細胞及び組織サンプルの染色のための自動スライド染色装置を制御するための方法の1つ以上の実施形態を具現化するためにコンピュータプロセッサ1002が実行するコンピュータプログラム命令を含み得る。スライド染色装置は、複数のスライドセットを同時に染色するよう動作可能であり、かつ、複数の試薬を有する試薬システムを備えて構成される。このような方法は、スライド上に生体サンプルを有するスライドを受け取ること;試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドの累積数を決定すること;累積数が第1のスライド数S1未満であることに応じて、試薬システムを使用してスライドセットを染色するための複数のステップを有する第1のプロトコルを使用してスライドを染色すること、但し複数のステップの1つのステップは、スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第1の期間、スライドをアルコール試薬に対して処理する;累積スライド数が第1のスライド数S1以上であることに応じて、第1のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、第1のプロトコルでの処理が開始されていないスライドの染色を開始しないこと;進行中スライドの染色が完了した後に、第2のプロトコルを使用してスライドを染色すること、但し第2のプロトコルの1つのステップは、スライドをエオシン試薬で処理し、続いて第2の期間、スライドをアルコールで処理し、第2の期間は第1の期間よりも短い;を含むことができる。コンピュータ可読メモリ1010は、更に、例えば、コンピュータプロセッサ1002が、累積スライド数が第2のスライド数S2を超えていることに応じて、第2のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、第2のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色を開始しないために実行するコンピュータプログラム命令を含み得る。
【0060】
コンピュータ可読メモリ1010は、コンピューティングシステム1000の全体的な管理及び動作においてコンピュータプロセッサ1002が使用するためのコンピュータプログラム命令を提供するオペレーティングシステム1012を格納することができる。コンピュータ可読メモリ1010は、さらに、本開示の局面(複数)を具現化するためのコンピュータプログラム命令及び他の情報を含むことができる。例えば、一実施形態では、コンピュータ可読メモリ1010は、(機械学習アルゴリズムとも称される)機械学習モデル1014を含み得る。別の例としては、コンピュータ可読メモリ1010は、画像データ1016を含み得る。いくつかの実施形態では、複数のコンピューティングシステム1000は、それぞれのネットワークインターフェース1004を介して相互に通信し得、各セッションが対応する接続パラメータ(例えば、各コンピューティングシステム1000は、方法600の1つ以上の別々のインスタンスを実行し得る)を有する複数のセッションを並列的に実行できる(例えば各コンピューティングシステム1000が方法700の1つのインスタンスの一部を実行し得る)。
【0061】
結論
【0062】
上記の説明は、本明細書に開示されるシステム、デバイス、及び方法の特定の実施形態(複数)を詳述する。しかしながら、上記が本文でどれほど詳細に示されていようとも、システム、デバイス、及び方法は、多くの方法で実施できることが理解されるであろう。また、上述のように、本開示の特定の特徴または局面を説明する場合の特定の用語の使用は、その用語が本明細書で再定義されて、その技術が関連付けられる技術の特徴または局面のあらゆる特定の特性も含むことに限定されることを意味すると解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0063】
当業者であれば、説明されている技術の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができることが理解されよう。このような修正及び変更は、実施形態(複数)の範囲に入ることが意図される。また、当業者であれば、一実施形態に含まれる部分が他の実施形態と交換可能であり、示されている実施形態からの1つ以上の部分が、他の示されている実施形態と任意の組み合わせで含むことができることが理解されよう。例えば、本明細書に説明される、及び/または図に示されている様々なコンポーネントのいずれも、組み合わせる、交換する、または他の実施形態から除外することができる。
【0064】
本明細書における実質的に任意の複数形及び/または単数形の用語の使用に関して、当業者は、文脈及び/または用途に応じて複数形から単数形へ、及び/または単数形から複数形へ変換することができる。明確にするために、様々な単数/複数の入れ替えは、本明細書で明示的に説明することができる。
【0065】
本明細書で使用される方向の用語(例えば、上部、下部、側面、上方へ、下方へ、内向き、外向きなど)は、一般に、図に示される向きを参照して使用され、限定的となることを意図するものではない。例えば、上述の上面は、底面または側面を指す場合がある。したがって、上面に関して説明された特徴は、底面、側面、または任意の他の表面に関して含まれていてもよい。
【0066】
当業者であれば、一般的に本明細書で使用される用語は、概して、「限定されない」用語として意図される(例えば、用語「含んでいる(including)」は、「含んでいるがこれに限定されない」、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する」、用語「含む(includes)」は「含むがこれに限定されない」、などとして解釈されるべきである)ことが理解されるであろう。導入される請求項の記述の特定の数が意図される場合、このような意図は請求項に明示的に記述され、このような記述がない場合は、このような意図は存在しないことは、当業者にはさらに理解されるであろう。例えば、理解への補助として、以下の特許請求の範囲は、請求項の記述を導入する、導入句である「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」の使用を含み得る。しかしながら、このような語句の使用は、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記述の導入が、その同じ請求項が導入句「1つ以上の」または「少なくとも1つの」及び「a」または「an」のような不定冠詞を含むときであっても(例えば、「a」及び/または「an」は、一般的に「少なくとも1つの」または「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきである)、このような導入された請求項の記述を含む任意の特定の記述を1つのこのような記述のみを含む実施形態に限定することを暗示するように解釈されるべきではなく、請求項の記述を導入するために使用される定冠詞の使用に対しても同じことが当てはまる。加えて、導入される請求項の記述の特定の数が明示的に記述される場合でも、当業者は、かかる記述が少なくとも1つの記述された数(例えば、他の修飾語句なしの「2つの記述」の最低限の記述が、少なくとも2つの記述、または2つ以上の記述を一般的に意味する)を一般的に意味すると解釈されるべきであることを理解するであろう。さらに、明細書においてであろうと、特許請求の範囲においてであろうと、または図面のいずれにおいてであろうと、2つ以上の代替用語を提示する事実上あらゆる選言的な単語及び/または語句は、用語の1つ、どちらかの用語、または両方の用語を含む可能性を考慮するものと理解されるべきであることが、当業者には理解されるであろう。例えば、語句「AまたはB」は、「A」または「B」または「A及びB」の可能性を含むものと理解される。
【0067】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」、「含む(containing)」、または「によって特徴付けられる」と同義であり、包括的または非制限的であり、付加的な記載されていない要素または方法ステップを除外しない。用語「約(ないしほぼ)」は、それが修飾する数値がその数値、またはその数値に近い値、つまりその数値のプラスまたはマイナス10%であり得ることを示すことを意図している。
【0068】
上記の説明は、本発明のいくつかの方法及び材料を開示している。本発明は、方法及び材料の修正、ならびに製造方法及び装置の改変を受け得る。このような修正は、本開示の考察または本明細書に開示される本発明の実施から当業者に明らかとなる。したがって、本発明が、本明細書に開示される特定の実施形態に限定されることが意図されるのではなく、添付の特許請求の範囲に具体化される本発明の真の範囲及び要旨に含まれるすべての修正及び代替策を網羅するものである。
【0069】
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項16
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項16】
請求項1~11のいずれか1項に記載の装置において、
前記第1のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、1分の95%エタノール試薬ステップと、1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、2分の第1のキシレンステップと、2分の第2のキシレンステップとを順次含み、前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、約5秒の95%エタノール試薬ステップと、約1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、約1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、約30秒の第1のキシレンステップと、約30秒の第2のキシレンステップを順次含むこと
を特徴とする、装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項26
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項26】
請求項21、24及び25のいずれか1項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体において、
前記第1のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、1分の95%エタノール試薬ステップと、1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、2分の第1のキシレンステップと、2分の第2のキシレンステップとを順次含み、前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、約5秒の95%エタノール試薬ステップと、約1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、約1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、約30秒の第1のキシレンステップと、約30秒の第2のキシレンステップを順次含むこと
を特徴とする、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項42
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項42】
請求項27~36のいずれか1項に記載の方法において、
前記第1のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、1分の95%エタノール試薬ステップと、1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、2分の第1のキシレンステップと、2分の第2のキシレンステップとを順次含み、前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、約5秒の95%エタノール試薬ステップと、約1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、約1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、30秒の第1のキシレンステップと、30秒の第2のキシレンステップを順次含むこと
を特徴とする、方法。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
【特許文献1】US 2018/143111 A1
【特許文献2】US 2020/408653 A1
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明の第1の視点により、病理学的分析の前のスライド上の細胞及び組織サンプルの染色のための自動スライド染色装置が提供される。
前記スライド染色装置は、複数のスライドセットを同時に染色するように動作可能でありかつ複数の試薬を有する試薬システムを備えて構成されており、
前記スライド染色装置は、
染色のために前記スライド染色装置に提供されるスライドを計数するように構成されたスライドカウンタ、
命令を備えた非一時的なメモリコンポーネントを有するコントローラ、及び、
1つ以上のプロセッサであって、
(a)前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドセットの累積数を決定する、但し各スライドセットは1つ以上のスライドを有する;
(b)前記累積数が第1のスライド数S1に未満であることに応じて、前記試薬システムにおいてスライドセットを染色するための複数のステップを有する第1のプロトコルを使用して前記スライドセットを染色する、但し前記複数のステップの1つのステップは前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第1の期間に前記スライドセットをアルコール試薬に供する、そして、処理項目(a)~(b)を繰り返す;
(c)前記累積スライド数が前記第1のスライド数S1を超えていることに応じて、前記第1のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第1のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しない;
前記進行中スライドの染色が完了した後に:
(d)スライド上に生体サンプルを有する別のスライドセットを受け取る;
(e)前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドの累積数を決定する;
(f)前記累積数が第2のスライド数S2未満であることに応じて、前記試薬システムにおいて前記スライドセットを染色するための複数のステップを有する第2のプロトコルを使用して前記受け取られたスライドセットを染色する、但し前記第2のプロトコルの1つのステップは前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第2の期間に前記スライドセットをアルコールに供し、前記第2の期間は前記第1の期間よりも短い、及び、処理ステップ(d)~(f)を繰り返す;及び
(g)前記累積スライド数が前記第2のスライド数S2を超えていることに応じて、前記第2のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第2のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しない
ための命令を実行するよう構成されたプロセッサ
を含む。
本発明の第2の視点により、スライド上の細胞及び組織サンプルの染色のためのスライド染色装置を制御するための非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。
前記コンピュータ可読媒体は、ハードウェアプロセッサに、
(a)試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドセットの累積数を決定すること、但し各スライドセットは1つ以上のスライドを有する;
(b)前記累積数が第1のスライド数S1未満であることに応じて、前記試薬システムにおいて前記スライドセットを染色するための複数のステップを有する第1のプロトコルを使用して、前記スライドセットを染色すること、但し前記複数のステップの1つのステップは前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第1の期間に前記スライドセットをアルコール試薬に供する、そして、処理項目(a)~(b)を繰り返すこと;
(c)前記累積スライド数が前記第1のスライド数S1を超えていることに応じて、前記第1のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第1のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しないこと;
前記進行中スライドの染色が完了した後に:
(d)スライド上に生体サンプルを有する別のスライドセットを受け取ること;
(e)前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドの累積数を決定すること;
(f)前記累積数が第2のスライド数S2未満であることに応じて、前記試薬システムにおいて前記スライドセットを染色するための複数のステップを有する第2のプロトコルを使用して前記受け取られたスライドセットを染色すること、但し前記第2のプロトコルの1つのステップは、前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第2の期間に前記スライドセットをアルコールに供し、前記第2の期間は前記第1の期間よりも短い、及び、処理ステップ(d)~(f)を繰り返すこと;
(g)前記累積スライド数が前記第2のスライド数S2を超えていることに応じて、前記第2のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第2のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しないこと
の方法を実行させるためのプログラム命令を有する。
本発明の第3の視点により、病理学的分析の前のスライド上の細胞及び組織サンプルの染色のための自動スライド染色装置を制御するための方法が提供される。
前記スライド染色装置は複数のスライドセットを同時に染色するよう動作可能でありかつ試薬システムを備えて構成されており、
前記方法は、
(a)前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドセットの累積数を決定すること、但し各スライドセットは1つ以上のスライドを有する;
(b)前記累積数が第1のスライド数S1未満であることに応じて、前記試薬システムにおいて前記スライドセットを染色するための複数のステップを有する第1のプロトコルを使用して前記スライドセットを染色すること、但し前記複数のステップの1つのステップは前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第1の期間に前記スライドセットをアルコール試薬に供する、そして、処理項目(a)~(b)を繰り返すこと;
(c)前記累積スライド数が前記第1のスライド数S1を超えていることに応じて、前記第1のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第1のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しないこと;
前記進行中スライドの染色が完了した後に:
(d)スライド上に生体サンプルを有する別のスライドセットを受け取ること;
(e)前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドの累積数を決定すること;
(f)前記累積数が第2のスライド数S2未満であることに応じて、前記試薬システムにおいて前記スライドセットを染色するための複数のステップを有する第2のプロトコルを使用して前記受け取られたスライドセットを染色すること、但し前記第2のプロトコルの1つのステップは、前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第2の期間に前記スライドセットをアルコールに供し、前記第2の期間は前記第1の期間よりも短い、そして、処理ステップ(d)~(f)を繰り返すこと;
(g)前記累積スライド数が前記第2のスライド数S2を超えていることに応じて、前記第2のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第2のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しないこと
を含む。
本発明の第4の視点により、病理学的分析の前におけるスライド上の細胞及び組織サンプルの染色のための自動スライド染色装置を制御するための方法が提供される。
前記スライド染色装置は複数のスライドセットを同時に染色するよう動作可能でありかつ複数の試薬を有する試薬システムを備えて構成されており、
前記方法は、
スライド上に生体サンプルを有するスライドを受け取ること;
前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドの累積数を決定すること;
前記累積数が第1のスライド数S1未満であることに応じて、前記試薬システムを使用して前記スライドセットを染色するための複数のステップを有する第1のプロトコルを使用して前記スライドセットを染色すること、但し前記複数のステップの1つのステップは、前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第1の期間に前記スライドをアルコール試薬に対して処理する;
前記累積スライド数が前記第1のスライド数S1以上であることに応じて、前記第1のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第1のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しないこと;及び、
前記進行中スライドの染色が完了した後に、第2のプロトコルを使用してスライドを染色すること、但し前記第2のプロトコルの1つのステップは、前記スライドをエオシン試薬で処理し、続いて第2の期間に前記スライドをアルコールで処理し、前記第2の期間は前記第1の期間よりも短い
を含む。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
以下に本発明の好ましい形態を示す。
(形態1)上掲本発明の第1の視点参照。
(形態2)上記形態1に記載の装置において、
前記第1のスライド数S1は2200以上で2600以下であること
が好ましい。
(形態3)上記形態1に記載の装置において、
前記第1のスライド数S1は2300以上で2500以下であること
が好ましい。
(形態4)上記形態1に記載の装置において、
前記第1のスライド数S1は2350以上で2450以下であること
が好ましい。
(形態5)上記形態1に記載の装置において、
前記第1のスライド数は2400であること
が好ましい。
(形態6)上記形態1に記載の装置において、
前記第1のスライド数S1は0.8×S2に等しいこと
が好ましい。
(形態7)上記形態1に記載の装置において、
前記第1のスライド数S1は0.7×S2と0.9×S2の間であること
が好ましい。
(形態8)上記形態1に記載の装置において、
前記第2のスライド数S2は2800と3200の間であること
が好ましい。
(形態9)上記形態1に記載の装置において、
前記第2のスライド数S2は2900と3100の間であること
が好ましい。
(形態10)上記形態1に記載の装置において、
前記第2のスライド数S2は3000であること
が好ましい。
(形態11)上記形態1に記載の装置において、
前記第1のプロトコル及び前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの前に、同じ持続時間の2つ以上の同じステップを有すること
が好ましい。
(形態12)上記形態1~11のいずれかに記載の装置において、
前記第1のプロトコル及び前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に少なくとも2つの同じ試薬ステップを含むこと、
前記エオシン試薬ステップの後の前記第2のプロトコルの前記少なくとも2つの試薬ステップは、前記第1のプロトコルの対応する2つ以上のステップよりも短い持続時間を有すること
が好ましい。
(形態13)上記形態1~11のいずれかに記載の装置において、
前記第1及び第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、95%エタノール試薬ステップと、第1の100%エタノール試薬ステップと、第2の100%エタノール試薬ステップと、第1のキシレンステップと、第2のキシレンステップを順次含むこと
が好ましい。
(形態14)上記形態13に記載の装置において、
前記第1のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは、前記第2のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップの3倍を超える長さの持続時間を有すること
が好ましい。
(形態15)上記形態13に記載の装置において、
前記第1のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは約1分の持続時間を有し、前記第2のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは約5秒の持続時間を有すること
が好ましい。
(形態16)上記形態1~11のいずれかに記載の装置において、
前記第1のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、1分の95%エタノール試薬ステップと、1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、2分の第1のキシレンステップと、2分の第2のキシレンステップとを順次含み、前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、約5秒の95%エタノール試薬ステップと、約1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、約1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、約30秒の第1のキシレンステップと、約30秒の第2のキシレンステップを順次含むこと
が好ましい。
(形態17)上記形態1~11のいずれかに記載の装置において、
前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドセットの累積数を決定することは、スライドカウンタを備えた前記自動スライド染色装置のラックに装填されたスライドを計数することを含むこと
が好ましい。
(形態18)上記形態1~11のいずれかに記載の装置において、
前記1つ以上のプロセッサは、更に、前記第2のスライド数S2が発生したときに警報を生成する命令を実行するよう構成されること
が好ましい。
(形態19)上記形態18に記載の装置において、
前記装置は更に表示画面を含み、前記1つ以上のプロセッサは更に前記表示画面に前記警報を表示する命令を実行するよう構成されること
が好ましい。
(形態20)上記形態1~11、14及び15のいずれかに記載の装置において、
前記装置は更に表示画面を含み、前記1つ以上のプロセッサは更に前記表示画面に前記スライド数を表示する命令を実行するよう構成されること
が好ましい。
(形態21)上掲本発明の第2の視点参照。
(形態22)上記形態21に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体において、
前記第1のプロトコル及び前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に少なくとも2つの同じ試薬ステップを含むこと、
前記エオシン試薬ステップの後の前記第2のプロトコルの前記少なくとも2つの試薬ステップは、前記第1のプロトコルの対応する2つ以上のステップよりも短い持続時間を有すること
が好ましい。
(形態23)上記形態21または22に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体において、
前記第1及び第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、95%エタノール試薬ステップと、第1の100%エタノール試薬ステップと、第2の100%エタノール試薬ステップと、第1のキシレンステップと、第2のキシレンステップとを順次含むこと
が好ましい。
(形態24)上記形態23に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体において、
前記第1のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは、前記第2のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップの3倍を超える長さの持続時間を有すること
が好ましい。
(形態25)上記形態23に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体において、
前記第1のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは約1分の持続時間を有し、前記第2のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは約5秒の持続時間を有すること
が好ましい。
(形態26)上記形態21、24及び25のいずれかに記載の非一時的なコンピュータ可読媒体において、
前記第1のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、1分の95%エタノール試薬ステップと、1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、2分の第1のキシレンステップと、2分の第2のキシレンステップとを順次含み、前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、約5秒の95%エタノール試薬ステップと、約1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、約1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、約30秒の第1のキシレンステップと、約30秒の第2のキシレンステップを順次含むこと
が好ましい。
(形態27)上掲本発明の第3の視点参照。
(形態28)上記形態27に記載の方法において、
前記第1のスライド数S1は2200以上で2600以下であること
が好ましい。
(形態29)上記形態27に記載の方法において、
前記第1のスライド数S1は2300以上で2500以下であること
が好ましい。
(形態30)上記形態27に記載の方法において、
前記第1のスライド数S1は2350以上で2450以下であること
が好ましい。
(形態31)上記形態27に記載の方法において、
前記第1のスライド数は2400であること
が好ましい。
(形態32)上記形態27に記載の方法において、
前記第1のスライド数S1は0.8×S2に等しいこと
が好ましい。
(形態33)上記形態27に記載の方法において、
前記第1のスライド数S1は0.7×S2と0.9×S2の間であること
が好ましい。
(形態34)上記形態27に記載の方法において、
前記第2のスライド数S2は2800と3200の間であること
が好ましい。
(形態35)上記形態27に記載の方法において、
前記第2のスライド数S2は2900と3100の間であること
が好ましい。
(形態36)上記形態27に記載の方法において、
前記第2のスライド数S2は3000であること
が好ましい。
(形態37)上記形態27~36のいずれかに記載の方法において、
前記第1のプロトコル及び前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの前に、同じ持続時間の2つ以上の同じステップを有すること
が好ましい。
(形態38)上記形態27~36のいずれかに記載の方法において、
前記第1のプロトコル及び前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に少なくとも2つの同じ試薬ステップを含むこと、
前記エオシン試薬ステップの後の前記第2のプロトコルの前記少なくとも2つの試薬ステップは、前記第1のプロトコルの対応する2つ以上のステップよりも短い持続時間を有すること
が好ましい。
(形態39)上記形態27~36のいずれかに記載の方法において、
前記第1及び第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、95%エタノール試薬ステップと、第1の100%エタノール試薬ステップと、第2の100%エタノール試薬ステップと、第1のキシレンステップと、第2のキシレンステップとを順次含むこと
が好ましい。
(形態40)上記形態39に記載の方法において、
前記第1のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは、前記第2のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップの3倍を超える長さの持続時間を有すること
が好ましい。
(形態41)上記形態39に記載の方法において、
前記第1のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは約1分の持続時間を有し、前記第2のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは約5秒の持続時間を有すること
が好ましい。
(形態42)上記形態27~36のいずれかに記載の方法において、
前記第1のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、1分の95%エタノール試薬ステップと、1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、2分の第1のキシレンステップと、2分の第2のキシレンステップとを順次含み、前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、約5秒の95%エタノール試薬ステップと、約1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、約1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、30秒の第1のキシレンステップと、30秒の第2のキシレンステップを順次含むこと
が好ましい。
(形態43)上記形態27~36、40及び41のいずれに記載の方法において、
受け取られたスライドの累積数を決定することは、スライドカウンタを備えた前記自動スライド染色装置のラックに装填された前記スライドを計数することを含むこと
が好ましい。
(形態44)上記形態27~30、40及び41のいずれかに記載の方法において、
前記方法は、更に、前記第2のスライド数S2が発生したときに警報を生成することを含むこと
が好ましい。
(形態45)上記形態27~36、40及び41のいずれかに記載の方法において、
前記警報は、前記自動スライド染色装置の表示画面に表示されるインジケータまたはメッセージを含むこと
が好ましい。
(形態46)上記形態27~36、40及び41のいずれかに記載の方法において、
前記方法は、更に、前記自動スライド染色装置の表示画面に前記スライド数を表示することを含むこと
が好ましい。
(形態47)上掲本発明の第4の視点参照。
(形態48)上記形態47に記載の方法において、
前記累積スライド数が第2のスライド数S2を超えていることに応じて、前記第2のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第2のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しないこと
が好ましい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
以下に本発明の可能な形態を付記する。
[付記1]病理学的分析の前のスライド上の細胞及び組織サンプルの染色のための自動スライド染色装置。
前記スライド染色装置は、複数のスライドセットを同時に染色するように動作可能でありかつ複数の試薬を有する試薬システムを備えて構成されている;
前記スライド染色装置は、
染色のために前記スライド染色装置に提供されるスライドを計数するように構成されたスライドカウンタ、
命令を備えた非一時的なメモリコンポーネントを有するコントローラ、及び、
1つ以上のプロセッサであって、
(a)前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドセットの累積数を決定する、但し各スライドセットは1つ以上のスライドを有する;
(b)前記累積数が第1のスライド数S1に未満であることに応じて、前記試薬システムにおいてスライドセットを染色するための複数のステップを有する第1のプロトコルを使用して前記スライドセットを染色する、但し前記複数のステップの1つのステップは前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第1の期間に前記スライドセットをアルコール試薬に供する、そして、処理項目(a)~(b)を繰り返す;
(c)前記累積スライド数が前記第1のスライド数S1を超えていることに応じて、前記第1のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第1のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しない;
前記進行中スライドの染色が完了した後に:
(d)スライド上に生体サンプルを有する別のスライドセットを受け取る;
(e)前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドの累積数を決定する;
(f)前記累積数が第2のスライド数S2未満であることに応じて、前記試薬システムにおいて前記スライドセットを染色するための複数のステップを有する第2のプロトコルを使用して前記受け取られたスライドセットを染色する、但し前記第2のプロトコルの1つのステップは前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第2の期間に前記スライドセットをアルコールに供し、前記第2の期間は前記第1の期間よりも短い、及び、処理ステップ(d)~(f)を繰り返す;及び
(g)前記累積スライド数が前記第2のスライド数S2を超えていることに応じて、前記第2のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第2のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しない
ための命令を実行するよう構成されたプロセッサ
を含む。
[付記2]上記の装置において、
前記第1のスライド数S1は2200以上で2600以下である。
[付記3]上記の装置、とりわけ付記1に記載の装置において、
前記第1のスライド数S1は2300以上で2500以下である。
[付記4]上記の装置、とりわけ付記1に記載の装置において、
前記第1のスライド数S1は2350以上で2450以下である。
[付記5]上記の装置、とりわけ付記1に記載の装置において、
前記第1のスライド数は2400である。
[付記6]上記の装置、とりわけ付記1に記載の装置において、
前記第1のスライド数S1は0.8×S2に等しい。
[付記7]上記の装置、とりわけ付記1に記載の装置において、
前記第1のスライド数S1は0.7×S2と0.9×S2の間である。
[付記8]上記の装置、とりわけ付記1に記載の装置において、
前記第2のスライド数S2は2800と3200の間である。
[付記9]上記の装置、とりわけ付記1に記載の装置において、
前記第2のスライド数S2は2900と3100の間である。
[付記10]上記の装置、とりわけ付記1に記載の装置において、
前記第2のスライド数S2は3000である。
[付記11]上記の装置、とりわけ付記1に記載の装置において、
前記第1のプロトコル及び前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの前に、同じ持続時間の2つ以上の同じステップを有する。
[付記12]上記の装置、とりわけ付記1~11のいずれかに記載の装置において、
前記第1のプロトコル及び前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に少なくとも2つの同じ試薬ステップを含む;
前記エオシン試薬ステップの後の前記第2のプロトコルの前記少なくとも2つの試薬ステップは、前記第1のプロトコルの対応する2つ以上のステップよりも短い持続時間を有する。
[付記13]上記の装置、とりわけ付記1~11のいずれかに記載の装置において、
前記第1及び第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、95%エタノール試薬ステップと、第1の100%エタノール試薬ステップと、第2の100%エタノール試薬ステップと、第1のキシレンステップと、第2のキシレンステップを順次含む。
[付記14]上記の装置、とりわけ付記13に記載の装置において、
前記第1のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは、前記第2のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップの3倍を超える長さの持続時間を有する。
[付記15]上記の装置、とりわけ付記13に記載の装置において、
前記第1のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは約1分の持続時間を有し、前記第2のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは約5秒の持続時間を有する。
[付記16]上記の装置、とりわけ付記1~11のいずれかに記載の装置において、
前記第1のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、1分の95%エタノール試薬ステップと、1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、約30秒の第1のキシレンステップと、約30秒の第2のキシレンステップとを順次含み、前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、約5秒の95%エタノール試薬ステップと、約1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、約1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、約30秒の第1のキシレンステップと、約30秒の第2のキシレンステップを順次含む。
[付記17]上記の装置、とりわけ付記1~11のいずれかに記載の装置において、
前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドセットの累積数を決定することは、スライドカウンタを備えた前記自動スライド染色装置のラックに装填されたスライドを計数することを含む。
[付記18]上記の装置、とりわけ付記1~11のいずれかに記載の装置において、
前記1つ以上のプロセッサは、更に、前記第2のスライド数S2が発生したときに警報を生成する命令を実行するよう構成される。
[付記19]上記の装置、とりわけ付記18に記載の装置において、
前記装置は更に表示画面を含み、前記1つ以上のプロセッサは更に前記表示画面に前記警報を表示する命令を実行するよう構成される。
[付記20]上記の装置、とりわけ付記1~11、14及び15のいずれかに記載の装置において、
前記装置は更に表示画面を含み、前記1つ以上のプロセッサは更に前記表示画面に前記スライド数を表示する命令を実行するよう構成される。
[付記21]スライド上の細胞及び組織サンプルの染色のためのスライド染色装置を制御するための非一時的なコンピュータ可読媒体。
前記コンピュータ可読媒体は、ハードウェアプロセッサに、
(a)試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドセットの累積数を決定すること、但し各スライドセットは1つ以上のスライドを有する;
(b)前記累積数が第1のスライド数S1未満であることに応じて、前記試薬システムにおいて前記スライドセットを染色するための複数のステップを有する第1のプロトコルを使用して、前記スライドセットを染色すること、但し前記複数のステップの1つのステップは前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第1の期間に前記スライドセットをアルコール試薬に供する、そして、処理項目(a)~(b)を繰り返すこと;
(c)前記累積スライド数が前記第1のスライド数S1を超えていることに応じて、前記第1のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第1のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しないこと;
前記進行中スライドの染色が完了した後に:
(d)スライド上に生体サンプルを有する別のスライドセットを受け取ること;
(e)前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドの累積数を決定すること;
(f)前記累積数が第2のスライド数S2未満であることに応じて、前記試薬システムにおいて前記スライドセットを染色するための複数のステップを有する第2のプロトコルを使用して前記受け取られたスライドセットを染色すること、但し前記第2のプロトコルの1つのステップは、前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第2の期間に前記スライドセットをアルコールに供し、前記第2の期間は前記第1の期間よりも短い、及び、処理ステップ(d)~(f)を繰り返すこと;
(g)前記累積スライド数が前記第2のスライド数S2を超えていることに応じて、前記第2のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第2のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しないこと
の方法を実行させるためのプログラム命令を有する。
[付記22]上記の非一時的なコンピュータ可読媒体において、
前記第1のプロトコル及び前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に少なくとも2つの同じ試薬ステップを含む;
前記エオシン試薬ステップの後の前記第2のプロトコルの前記少なくとも2つの試薬ステップは、前記第1のプロトコルの対応する2つ以上のステップよりも短い持続時間を有する。
[付記23]上記の非一時的なコンピュータ可読媒体、とりわけ付記21または22に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体において、
前記第1及び第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、95%エタノール試薬ステップと、第1の100%エタノール試薬ステップと、第2の100%エタノール試薬ステップと、第1のキシレンステップと、第2のキシレンステップとを順次含む。
[付記24]上記の非一時的なコンピュータ可読媒体、とりわけ付記23に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体において、
前記第1のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは、前記第2のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップの3倍を超える長さの持続時間を有する。
[付記25]上記の非一時的なコンピュータ可読媒体、とりわけ付記23に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体において、
前記第1のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは約1分の持続時間を有し、前記第2のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは約5秒の持続時間を有する。
[付記26]上記の非一時的なコンピュータ可読媒体、とりわけ付記21、24及び25のいずれかに記載の非一時的なコンピュータ可読媒体において、
前記第1のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、1分の95%エタノール試薬ステップと、1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、約30秒の第1のキシレンステップと、約30秒の第2のキシレンステップとを順次含み、前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、約5秒の95%エタノール試薬ステップと、約1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、約1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、約30秒の第1のキシレンステップと、約30秒の第2のキシレンステップを順次含む。
[付記27]病理学的分析の前のスライド上の細胞及び組織サンプルの染色のための自動スライド染色装置を制御するための方法。
前記スライド染色装置は複数のスライドセットを同時に染色するよう動作可能でありかつ試薬システムを備えて構成されている;
前記方法は、
(a)前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドセットの累積数を決定すること、但し各スライドセットは1つ以上のスライドを有する;
(b)前記累積数が第1のスライド数S1未満であることに応じて、前記試薬システムにおいて前記スライドセットを染色するための複数のステップを有する第1のプロトコルを使用して前記スライドセットを染色すること、但し前記複数のステップの1つのステップは前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第1の期間に前記スライドセットをアルコール試薬に供する、そして、処理項目(a)~(b)を繰り返すこと;
(c)前記累積スライド数が前記第1のスライド数S1を超えていることに応じて、前記第1のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第1のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しないこと;
前記進行中スライドの染色が完了した後に:
(d)スライド上に生体サンプルを有する別のスライドセットを受け取ること;
(e)前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドの累積数を決定すること;
(f)前記累積数が第2のスライド数S2未満であることに応じて、前記試薬システムにおいて前記スライドセットを染色するための複数のステップを有する第2のプロトコルを使用して前記受け取られたスライドセットを染色すること、但し前記第2のプロトコルの1つのステップは、前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第2の期間に前記スライドセットをアルコールに供し、前記第2の期間は前記第1の期間よりも短い、そして、処理ステップ(d)~(f)を繰り返すこと;
(g)前記累積スライド数が前記第2のスライド数S2を超えていることに応じて、前記第2のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第2のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しないこと
を含む。
[付記28]上記の方法において、
前記第1のスライド数S1は2200以上で2600以下である。
[付記29]上記の方法、とりわけ付記27に記載の方法において、
前記第1のスライド数S1は2300以上で2500以下である。
[付記30]上記の方法、とりわけ付記27に記載の方法において、
前記第1のスライド数S1は2350以上で2450以下である。
[付記31]上記の方法、とりわけ付記27に記載の方法において、
前記第1のスライド数は2400である。
[付記32]上記の方法、とりわけ付記27に記載の方法において、
前記第1のスライド数S1は0.8×S2に等しい。
[付記33]上記の方法、とりわけ付記27に記載の方法において、
前記第1のスライド数S1は0.7×S2と0.9×S2の間である。
[付記34]上記の方法、とりわけ付記27に記載の方法において、
前記第2のスライド数S2は2800と3200の間である。
[付記35]上記の方法、とりわけ付記27に記載の方法において、
前記第2のスライド数S2は2900と3100の間である。
[付記36]上記の方法、とりわけ付記27に記載の方法において、
前記第2のスライド数S2は3000である。
[付記37]上記の方法、とりわけ付記27~36のいずれかに記載の方法において、
前記第1のプロトコル及び前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの前に、同じ持続時間の2つ以上の同じステップを有する。
[付記38]上記の方法、とりわけ付記27~36のいずれかに記載の方法において、
前記第1のプロトコル及び前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に少なくとも2つの同じ試薬ステップを含む;
前記エオシン試薬ステップの後の前記第2のプロトコルの前記少なくとも2つの試薬ステップは、前記第1のプロトコルの対応する2つ以上のステップよりも短い持続時間を有する。
[付記39]上記の方法、とりわけ付記27~36のいずれかに記載の方法において、
前記第1及び第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、95%エタノール試薬ステップと、第1の100%エタノール試薬ステップと、第2の100%エタノール試薬ステップと、第1のキシレンステップと、第2のキシレンステップとを順次含む。
[付記40]上記の方法、とりわけ付記39に記載の方法において、
前記第1のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは、前記第2のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップの3倍を超える長さの持続時間を有する。
[付記41]上記の方法、とりわけ付記39に記載の方法において、
前記第1のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは約1分の持続時間を有し、前記第2のプロトコルの前記95%エタノール試薬ステップは約5秒の持続時間を有する。
[付記42]上記の方法、とりわけ付記27~36のいずれかに記載の方法において、
前記第1のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、1分の95%エタノール試薬ステップと、1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、30秒の第1のキシレンステップと、30秒の第2のキシレンステップとを順次含み、前記第2のプロトコルは、エオシン試薬ステップの後に、約5秒の95%エタノール試薬ステップと、約1分の第1の100%エタノール試薬ステップと、約1分の第2の100%エタノール試薬ステップと、30秒の第1のキシレンステップと、30秒の第2のキシレンステップを順次含む。
[付記43]上記の方法、とりわけ付記27~36、40及び41のいずれかに記載の方法において、
受け取られたスライドの累積数を決定することは、スライドカウンタを備えた前記自動スライド染色装置のラックに装填された前記スライドを計数することを含む。
[付記44]上記の方法、とりわけ付記27~30、40及び41のいずれかに記載の方法において、
前記方法は、更に、前記第2のスライド数S2が発生したときに警報を生成することを含む。
[付記45]上記の方法、とりわけ付記27~36、40及び41のいずれかに記載の方法において、
前記警報は、前記自動スライド染色装置の表示画面に表示されるインジケータまたはメッセージを含む。
[付記46]上記の方法、とりわけ付記27~36、40及び41のいずれかに記載の方法において、
前記方法は、更に、前記自動スライド染色装置の表示画面に前記スライド数を表示することを含む。
[付記47]病理学的分析の前におけるスライド上の細胞及び組織サンプルの染色のための自動スライド染色装置を制御するための方法。
前記スライド染色装置は複数のスライドセットを同時に染色するよう動作可能でありかつ複数の試薬を有する試薬システムを備えて構成されている;
前記方法は、
スライド上に生体サンプルを有するスライドを受け取ること;
前記試薬システムが設置された以降に受け取られたスライドの累積数を決定すること;
前記累積数が第1のスライド数S1未満であることに応じて、前記試薬システムを使用して前記スライドセットを染色するための複数のステップを有する第1のプロトコルを使用して前記スライドセットを染色すること、但し前記複数のステップの1つのステップは、前記スライドセットをエオシン試薬に供し、続いて第1の期間に前記スライドをアルコール試薬に対して処理する;
前記累積スライド数が前記第1のスライド数S1以上であることに応じて、前記第1のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第1のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しないこと;及び、
前記進行中スライドの染色が完了した後に、第2のプロトコルを使用してスライドを染色すること、但し前記第2のプロトコルの1つのステップは、前記スライドをエオシン試薬で処理し、続いて第2の期間に前記スライドをアルコールで処理し、前記第2の期間は前記第1の期間よりも短い
を含む。
[付記48]上記の方法において、
前記累積スライド数が第2のスライド数S2を超えていることに応じて、前記第2のプロトコルで現在処理されている進行中スライドの染色を続行するが、前記第2のプロトコルでの処理がまだ開始されていないスライドの染色は開始しない。
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正の内容】
図8
【国際調査報告】