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特表2024-523858ピクセル補償を有するOLEDベースのディスプレイおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】ピクセル補償を有するOLEDベースのディスプレイおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3225 20160101AFI20240625BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240625BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240625BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240625BHJP
   H10K 59/13 20230101ALI20240625BHJP
【FI】
G09G3/3225
G09G3/20 611H
G09G3/20 642A
G09G3/20 670J
G09F9/30 365
G09F9/00 366G
G09F9/30 349Z
H10K59/13
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576192
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 US2022032240
(87)【国際公開番号】W WO2022260967
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/209,215
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/830,912
(32)【優先日】2022-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517381843
【氏名又は名称】イーマジン・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ソンキ・キム
(72)【発明者】
【氏名】アマルクマール・ピー・ゴーシュ
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ・プラーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュク・サン・クォン
【テーマコード(参考)】
3K107
5C080
5C094
5C380
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC31
3K107EE03
3K107EE68
3K107HH04
3K107HH05
5C080AA06
5C080BB05
5C080DD05
5C080DD14
5C080JJ02
5C080JJ07
5C080KK52
5C094AA37
5C094AA54
5C094BA29
5C094CA19
5C094FA01
5C094FA02
5C094JA01
5C380AA01
5C380AB06
5C380AB27
5C380BA36
5C380BA37
5C380BB04
5C380BD04
5C380CF49
5C380CF68
5C380FA05
5C380FA19
5C380FA21
5C380FA28
5C380GA12
5C380GA17
5G435AA14
5G435BB05
5G435CC09
5G435EE31
5G435EE49
5G435LL07
(57)【要約】
OLEDディスプレイシステムが、明るさの損失に対する視覚性能ピクセル補償を有して提供され、各表示ピクセルがOLEDサブピクセルおよびピクセル駆動回路網を有する、表示ピクセルと、センサおよびセンサの各々に接続されるアナログデジタル変換回路網を有するセンシングシステムと、表示ピクセルの各々に画像データ駆動信号を提供し、各センサについてADC回路網からセンサ信号を受信し、表示ピクセルの少なくとも1つの劣化の状態を推定し、推定された劣化の状態を有する各表示ピクセルに対する駆動信号補償を決定し、推定された劣化の状態を有する各表示ピクセルへの画像データ駆動信号を補償するプロセッサとを含む。ディスプレイにおいて画像についてピクセルを補償するための方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明るさの損失に対する視覚性能ピクセル補償を有する有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイシステムであって、
(a)各表示ピクセルが複数のOLEDサブピクセルおよびピクセル駆動回路網を備える、複数の表示ピクセルと、
(b)複数のセンサおよび前記センサの各々に動作可能に接続されるアナログデジタル変換(ADC)回路網を備え、前記ADC回路網が前記センサの各々に対するセンサ信号を提供する、センシングシステムと、
(c)プロセッサとを備え、前記プロセッサは、
(i)前記表示ピクセルの各々に画像データ駆動信号を提供し、
(ii)各センサについて前記ADC回路網から前記センサ信号を受信し、
(iii)前記表示ピクセルの少なくとも1つの劣化の状態を推定し、
(iv)推定された劣化の状態を有する各表示ピクセルに対する駆動信号補償を決定し、
(v)推定された劣化の状態を有する各表示ピクセルに対する前記駆動信号補償に基づいて推定された劣化の状態を有する各表示ピクセルへの前記画像データ駆動信号を補償する、OLEDディスプレイシステム。
【請求項2】
前記プロセッサが、前記ディスプレイシステムに対してローカルであるハードウェアを含む、請求項1に記載のOLEDディスプレイシステム。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記ディスプレイシステムに対してローカルであるファームウェアを含む、請求項1に記載のOLEDディスプレイシステム。
【請求項4】
前記複数のセンサが光センサである、請求項1に記載のOLEDディスプレイシステム。
【請求項5】
前記光センサが光検出器である、請求項4に記載のOLEDディスプレイシステム。
【請求項6】
前記複数のセンサの各々が、前記表示ピクセルによって画定される外周の周りに配置される、請求項1に記載のOLEDディスプレイシステム。
【請求項7】
前記表示ピクセルによって画定される前記外周の外側の範囲がバックプレーンであり、かつ前記複数のセンサが前記バックプレーンにある、請求項6に記載のOLEDディスプレイシステム。
【請求項8】
前記複数のセンサの各々が、前記複数のピクセルの基板の平面に直交して向けられる、請求項1に記載のOLEDディスプレイシステム。
【請求項9】
前記プロセッサが、テスト画像を提供する前記画像データ信号を提供する、請求項1に記載のOLEDディスプレイシステム。
【請求項10】
ディスプレイにおいて画像について少なくとも1つのピクセルを補償する方法であって、
(a)前記ディスプレイの表示範囲のためのピクセルマップを記憶するステップであって、前記ピクセルマップが、複数の非劣化ピクセルおよび少なくとも1つの劣化ピクセルを有する、ステップと、
(b)前記表示範囲に少なくとも1つの固定パターンを投影するステップと、
(c)センシングシステムをオンにするために必要とされる非劣化ピクセルの数(N)を決定するステップであって、前記数の非劣化ピクセルが、前記センシングシステムをオンにするのに十分な閾値ルミネセンスを越えるルミネセンスを有する、ステップと、
(d)カウント値(i)をゼロに設定するステップと、
(e)iに等しい数の劣化ピクセルに通電することによってシンボルSを生成するステップと、
(f)前記センシングシステムがオンであるかどうかを判定するために前記センシングシステムのルミネセンス出力を測定するステップと、
(g)ステップ(f)で前記センシングシステムがオンにされなければ、iに1を加え、1つの追加の劣化ピクセルに通電することによってSを再生成するステップと、
(h)ステップ(f)で前記センシングシステムがオンになれば、NおよびSに基づいて劣化レベルを決定するステップと、
(i)Sの電流値および前記劣化レベルに基づいて前記ピクセルマップを更新するステップと、
(j)前記ディスプレイに補償画像を形成するための画像データを生成するステップとを含む、方法。
【請求項11】
前記センサ出力が電圧である、請求項10に記載のディスプレイにおいて少なくとも1つのピクセルを補償する方法。
【請求項12】
前記劣化レベルが、式:
(i/N)×100%
によって決定される、請求項10に記載のディスプレイにおいて少なくとも1つのピクセルを補償する方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの固定パターンが単一のピクセルのテストパターンを備える、請求項10に記載のディスプレイにおいて少なくとも1つのピクセルを補償する方法。
【請求項14】
ディスプレイにおいて画像について少なくとも1つのピクセルを補償する方法であって、
(a)前記ディスプレイの表示範囲のためのピクセルマップを記憶するステップであって、前記ピクセルマップが、複数の非劣化ピクセルおよび少なくとも1つの劣化ピクセルを有する、ステップと、
(b)前記表示範囲に少なくとも1つの固定パターンを投影するステップと、
(c)センシングシステムをオンにするために必要とされる非劣化ピクセルの数(N)を決定するステップであって、前記数の非劣化ピクセルが、前記センシングシステムをオンにするのに十分な閾値ルミネセンスを越えるルミネセンスを有する、ステップと、
(d)ステップ(a)で存在する劣化ピクセルの数(N)を決定するステップと、
(e)カウント値(i)をゼロに設定するステップと、
(f)初期数の劣化ピクセルに通電することによってシンボルSを生成するステップと、
(g)前記センシングシステムがオンであるかどうかを判定するために前記センシングシステムのルミネセンス出力を測定するステップと、
(h)ステップ(g)で前記センシングシステムがオンにされなければ、前記カウント値iに1を加え、1つの追加の劣化ピクセルに通電することによってSを再生成し、ステップ(f)に続くステップと、
(i)ステップ(g)で前記センシングシステムがオンになれば、NおよびSの電流値に基づいて劣化レベルを決定するステップと、
(j)Sおよび前記劣化レベルに基づいて前記ピクセルマップを更新するステップと、
(k)前記ディスプレイに補償画像を形成するための画像データを生成するステップとを含む、方法。
【請求項15】
前記センサ出力が電圧である、請求項14に記載のディスプレイにおいて少なくとも1つのピクセルを補償する方法。
【請求項16】
劣化レベルが、式:
((N-(N-i))/(N-i))×100%
によって決定される、請求項14に記載のディスプレイにおいて少なくとも1つのピクセルを補償する方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの固定パターンが単一のピクセルのテストパターンを備える、請求項14に記載のディスプレイにおいて少なくとも1つのピクセルを補償する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月10日に出願され、係属中の、OLED-Based Display Having Pixel Compensation and Methodという名称の、米国特許仮出願第63/209215号に対する優先権を主張するものであり、その完全な明細書が参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
本発明は、画像表示技術に関し、より詳細には、有機発光ダイオード(OLED)ベースのディスプレイ内のOLEDピクセルの視覚性能補償に関する。
【背景技術】
【0003】
有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイはピクセルのアレイを含み、その各々が、典型的には光を提供するための少なくとも1つのOLEDを含む。各OLEDは、カソードとアノードとの間に設けられるルミネセンス有機物質の発光層(または複数の副層)を含む。カソードおよびアノードに印加される電気信号に応答して、ルミネセンス有機物質は光を発する。ピクセルに適切な駆動信号を印加することによって、ディスプレイによって所望の画像が生成される。
【0004】
当業者に周知であるように、OLED素子について使用時間が増えるにつれて、それは、明るさの損失として現れる劣化を被る。結果として、各々が時間とともにさらされる応力の量の他に、その応力の累算期間の差のため、ディスプレイにわたるOLEDベースのピクセルの明るさの変動が時間とともに発生することになる。例えば、一部の場合には、ディスプレイ内の一部のOLEDが、固定されたシンボル体系、パターンまたはアイコンのため他より多くの応力下にある。不運にも、ピクセルの中の劣化の位置および重症度は、個々のピクセルを感知することなく識別することはできない。
【0005】
OLEDディスプレイにおいてピクセルの明るさの劣化を補償することは、しかしながら、典型的なピクセル駆動回路におけるナノアンペア範囲(nA)の小電気振幅などの、固有の信号特性のため困難である。事態を更に複雑にすることに、ピクセル領域において利用可能なスペースの量が限られる-特に高密度ディスプレイ、例えば、拡張現実(AR)および仮想現実(VR)装置などのニアアイ応用におけるマイクロディスプレイ(例えば、1インチ当たり数千を超えるドットを有するマイクロディスプレイ)が使用される場合。典型的には、これらのピクセル領域は、それらが必要とする電気部品(例えば、トランジスタ、コンデンサ等)の高密度のため既にスペースが限られている。結果として、全体的な信号完全性または製造歩留まりに負の影響を与えることなくピクセル補償のための特別な部品を追加することは、不可能でなくとも、難しい。
【0006】
従来の視覚性能補償のための手法は、ディスプレイのアクティブピクセル領域(すなわち、表示領域)の外側の領域におけるディスプレイバックプレーンへ組み込まれるセンシングユニットを利用する。1つの例証的な手法は、表示領域のすぐ外側のアクティブピクセルアレイの基板に基準ピクセル(または2つ以上)を置くことを含む。基準ピクセルにわたる電圧変化が測定され、測定された変化に従って表示領域内のピクセルを補償するために使用される。そのような手法は、例えば、米国特許第7,321,348号(Cokら)に記載されており、これが参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0007】
別の例証的な先行技術の補償のための手法は、表示領域における各アクティブピクセルの初期状態を測定すること、システムのバックプレーン上のフィードバックループを介してその電流値を測定すること、およびそれをメモリに記憶することを含む。OLED劣化に対応する抵抗変化を、電流フィードバックを観察することによって決定し、各OLEDに対する補償レベルを設定するために使用できる。そのような手法は、例えば、米国特許出願公開第2005/0110420号(Arnoldら)に記載されており、これが参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0008】
残念ながら、そのような先行技術の補償手法は、多くの応用には不十分でありかつディスプレイおよびそのバックプレーン技術のコストおよび複雑さを著しく増加させる。
【0009】
OLEDベースのディスプレイにおいて視覚性能補償を実際的で低コストの方式で提供することの必要性は、先行技術では、まだ満たされていないままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7,321,348号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0110420号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本開示は、OLEDベースのディスプレイのバックプレーンにおけるアクティブピクセル範囲に影響を与えないようなディスプレイの視覚性能補償を対象とする。補償は、バックプレーンの外部であるセンシング装置ならびに劣化およびそれが生じた程度を検出するための補償方法を使用して実現される。結果として、本明細書における教示は、バックプレーンシリコン範囲の使用なしに改善された視覚性能補償を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
例示的な一実施形態は、OLED発光範囲の近くに設けられる複数のセンサ装置を備えており、センサは、発光窓からの明るさを検出するように構成される。各ピクセルについて初期輝度が決定され、その後ディスプレイによって一組の固定パターン画像が投影される。センサは、明るさがそれらの初期値から低下したピクセルの識別を可能にするピクセルの中の明るさの差を検出する。次のオン/オフシーケンスで入力処理ユニットによって劣化ピクセルに補償が適用される。
【0013】
一部の実施形態において、ディスプレイによって複数ピクセルの出力を含むテスト画像が生成される。本方法は、閾値輝度を越えてセンサをオンにする非劣化ピクセルの数を決定することによって始まる。センサ出力は、電圧などの電気的パラメータの1つであることができ、閾値輝度について記録される。したがって、ピクセルの数および対応する出力がセンサの動作領域に記録される。典型的には、劣化ピクセルがシンボル体系またはアイコン上に位置して、同じ時効応力を被る一方で、正常なピクセルはシンボル体系上にない。本方法は、まず同数の劣化ピクセルを集め、閾値輝度に達するまで一度に1つの劣化ピクセルを追加することが続く。劣化ピクセルの数が次いで記録される。劣化ピクセルの数が閾値輝度を出すのに十分でなければ、閾値輝度に達するまで良好なピクセルが追加される。テスト画像において良好なピクセルが劣化したものと混ざる場合、劣化ピクセルからだけセンサ出力を決定するために比例方法を使用できる。基準および劣化ピクセル間の差が決定され、差は、劣化ピクセルの数で割られる。結果として、各ピクセルに対する劣化の相対レベルが推定される。劣化ピクセルの劣化のレベルおよび位置が、次いで各ピクセルの入力レベルの調節(すなわち、補償)のために入力処理ユニットに送られる。
【0014】
一部の場合には、テスト画像は、単一のピクセルの出力を備える。
【0015】
テスト画像に1つのピクセルが使用されるか、2つ以上のピクセルが使用されるかの選択は、典型的には1つまたは複数の光検出器の感度に基づく。本開示に従う方法は、感度の差を緩和する柔軟性を有する。センサによって単一のピクセルの劣化が検出されれば、テスト画像は、単一のピクセルから成ることができる。
【0016】
本発明の第1の例証的な実施形態において、明るさの損失に対する視覚性能ピクセル補償を有する有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイシステムが提供される。ディスプレイシステムは、各表示ピクセルが複数のOLEDサブピクセルおよびピクセル駆動回路網を備える、複数の表示ピクセルと、複数のセンサおよびセンサの各々に動作可能に接続されるアナログデジタル変換(ADC)回路網であって、センサの各々に対するセンサ信号を提供する、ADC回路網を含むセンシングシステムとを含む。表示ピクセルの各々に画像データ駆動信号を提供し、各センサについてADC回路網からセンサ信号を受信し、表示ピクセルの少なくとも1つの劣化の状態を推定し、推定された劣化の状態を有する各表示ピクセルに対する駆動信号補償を決定し、推定された劣化の状態を有する各表示ピクセルに対する駆動信号補償に基づいて推定された劣化の状態を有する各表示ピクセルへの画像データ駆動信号を補償するために、プロセッサが設けられる。
【0017】
プロセッサは、ディスプレイシステムに対してローカルであるハードウェアを含んでよい。プロセッサは、ディスプレイシステムに対してローカルであるファームウェアを含んでよい。センサは、光検出器などの光センサでよい。センサは、表示ピクセルによって画定される外周の周りに配置されてよい。表示ピクセルによって画定される外周の外側の範囲がバックプレーンでよく、センサはバックプレーンにある。センサの各々は、複数のピクセルの基板の平面に直交して向けられてよい。画像データ信号は、テスト画像を提供してよい。
【0018】
本発明の第2の例証的な実施形態において、ディスプレイにおいて画像について少なくとも1つのピクセルを補償する方法が提供される。本方法は、ディスプレイの表示範囲のためのピクセルマップを記憶するステップであって、ピクセルマップが、複数の非劣化ピクセルおよび少なくとも1つの劣化ピクセルを有する、ステップと、表示範囲に少なくとも1つの固定パターンを投影するステップと、センシングシステムをオンにするために必要とされる非劣化ピクセルの数(N)を決定するステップであって、上記数の非劣化ピクセルが、センシングシステムをオンにするのに十分な閾値ルミネセンスを越えるルミネセンスを有する、ステップと、カウント値(i)をゼロに設定するステップと、iに等しい数の劣化ピクセルに通電することによってシンボルSを生成するステップと、センシングシステムがオンであるかどうかを判定するためにセンシングシステムのルミネセンス出力を測定するステップとを含む。センシングシステムがオンにされなければ、本方法は、iに1を加え、1つの追加の劣化ピクセルに通電することによってSを再生成するステップが続く。センシングシステムがオンになれば、本方法は、NおよびSに基づいて劣化レベルを決定するステップと、Sの電流値および劣化レベルに基づいてピクセルマップを更新するステップと、ディスプレイに補償画像を形成するための画像データを生成するステップとが続く。
【0019】
センサ出力は、電圧でよい。劣化レベルは、式(i/N)×100%によって決定されてよい。
【0020】
1つの固定パターンは、単一のピクセルのテストパターンを含んでよい。
【0021】
本発明の第3の例証的な実施形態において、ディスプレイにおいて画像について少なくとも1つのピクセルを補償する方法が提供される。本方法は、ディスプレイの表示範囲のためのピクセルマップを記憶するステップであって、ピクセルマップが、複数の非劣化ピクセルおよび少なくとも1つの劣化ピクセルを有する、ステップと、表示範囲に少なくとも1つの固定パターンを投影するステップと、センシングシステムをオンにするために必要とされる非劣化ピクセルの数(N)を決定するステップであって、上記数の非劣化ピクセルが、センシングシステムをオンにするのに十分な閾値ルミネセンスを越えるルミネセンスを有する、ステップと、記憶されたピクセルマップに存在する劣化ピクセルの数(N)を決定するステップとを含む。本方法は、カウント値(i)をゼロに設定するステップと、初期数の劣化ピクセルに通電することによってシンボルSを生成するステップとが続く。次に、本方法は、センシングシステムがオンであるかどうかを判定するためにセンシングシステムのルミネセンス出力を測定するステップが続く。上記ステップでセンシングシステムがオンにされなければ、カウント値iに1が加えられ、1つの追加の劣化ピクセルに通電することによってSが再生成され、本方法は、測定するステップに戻る。センシングシステムがオンになれば、本方法は、NおよびSの電流値に基づいて劣化レベルを決定するステップが続く。最後に、本方法は、Sおよび劣化レベルに基づいてピクセルマップを更新するステップと、ディスプレイに補償画像を形成するための画像データを生成するステップとが続く。
【0022】
センサ出力は、電圧でよい。劣化レベルは、式((N-(N-i))/(N-i))×100%によって決定されてよい。固定パターンは、単一のピクセルのテストパターンでよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の例証的な実施形態に従う画像レンダリングシステムの顕著な特徴の略図である。
図2図1のディスプレイの一部分のより詳細な斜視図の略図である。
図3】本発明に従うディスプレイにおいて1つまたは複数のピクセルを補償するための第1の例証的な方法のフローチャートである。
図4】本発明に従うディスプレイにおいて1つまたは複数のピクセルを補償するための第2の例証的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下は、単に本開示の原理を例示するだけである。そのため、本明細書に明示的に記載または図示されないが、本開示の原理を具現化しかつその趣旨および範囲内に含まれる様々な配置を当業者が考案することができることが認識されよう。
【0025】
更には、本明細書に列挙される全ての例および条件付き文言は、主として、本開示の原理および発明者らによって当該技術を促進することに寄与される概念を読者が理解する助けとなる単に教授目的であると明示的に意図され、かつそのような具体的に列挙される例および条件に限定されるものではないと解釈されるはずである。
【0026】
その上、本開示の原理、態様および実施形態の他に、その具体例を列挙する本明細書における全ての記述は、その構造的均等物も機能的等価物も包含すると意図される。追加的に、そのような均等物が現在公知の均等物の他に、将来開発される均等物、すなわち構造に関係なく、同じ機能を行う、いかなる開発される要素も含むことが意図される。
【0027】
そのため、例えば、本明細書におけるいずれのブロック図も本開示の原理を具現化する例示的な回路網の概念図を表すことが当業者によって認識されよう。同様に、いずれのフローチャート、フロー図、状態遷移図、擬似コード等も、実質的にコンピュータ可読媒体に表されて、そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に図示されるか否かに関わらず、コンピュータまたはプロセッサによって実行され得る、様々なプロセスを表すことが認識されよう。
【0028】
「プロセッサ」として標識され得るいずれの機能ブロックも含め、図面に図示される様々な要素の機能は、適切なソフトウェアと関連した、専用ハードウェアの他にソフトウェアを実行することが可能なハードウェアの使用を通じて提供されてよい。プロセッサによって提供されるとき、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、または一部が共有され得る複数の個々のプロセッサによって提供されてよい。その上、用語「プロセッサ」または「コントローラ」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することが可能なハードウェアを排他的に指すと解釈されるべきではなく、限定することなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するためのリードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)および不揮発性ストレージを黙示的に含んでよい。他のハードウェアも、従来のものおよび/またはカスタマイズしたものも、含まれてよい。
【0029】
ソフトウェアモジュール、または単に、ソフトウェアであると意味されるモジュールは、本明細書において、フローチャート要素またはプロセスステップおよび/もしくはテキスト記述の履行を示す他の要素のいかなる組合せとしても表されてよい。そのようなモジュールは、明示的または黙示的に図示されるハードウェアによって実行されてよい。
【0030】
本明細書に別途明示的に指定されない限り、図面を構成する図は、原寸に比例して示されていない。
【0031】
図1は、本開示に従う画像レンダリングシステムの顕著な特徴の略図を示す。ディスプレイ100は、ディスプレイシステム102、センシングシステム104およびプロセッサ106を含む。
【0032】
ディスプレイシステム102は、複数の表示ピクセルを含み、その各々が複数のOLEDベースのサブピクセル、ピクセル駆動回路網および関連したシステムエレクトロニクスを含む。
【0033】
センシングシステム104は、複数のセンサおよびセンサと動作可能に結合されるアナログデジタル変換(ADC)回路網を含む。
【0034】
プロセッサ106は、好ましくは、ディスプレイシステム102に画像データを提供すること、ADC回路網からセンサ信号を受信すること、プログラムを実行してデータを記憶すること、表示範囲202における1つまたは複数のOLEDの健全性(すなわち、劣化の状態)を推定するためのソフトウェアルーチンを行うこと、OLEDに対する適切な駆動信号補償を決定すること、およびそれに応じて画像データを補償して、補償駆動信号をそれらの対応する表示ピクセルに提供することの少なくとも一部を行うように構成される外部プロセッサである。図の例では、プロセッサ106は、典型的には従来のディスプレイを駆動するために使用される、画像処理システムへ組み込まれる。一部の実施形態において、しかしながら、プロセッサ106は、ディスプレイシステムおよび/またはセンシングシステムに対してローカルであるハードウェアおよび/またはファームウェアを含む。一部の実施形態において、必要とされる補償を決定するための方法がディスプレイのファームウェアへ組み込まれることが好ましい。
【0035】
図2は、ディスプレイ100の一部分のより詳細な斜視図の略図を示す。
【0036】
ディスプレイシステム102は、表示領域202を含んでおり、これは、複数のOLEDベースのピクセルからの光の放出によって画像が生成されるディスプレイの領域である。表示領域202(「アクティブOLEDピクセル範囲」とも称される)は、複数の表示ピクセルを備え、その各々が少なくとも1つのOLEDおよびその関連したピクセル駆動回路網を含み、その他に任意の他の関連した電子回路網を備える。
【0037】
複数のOLEDおよびそれらの関連した駆動回路網は基板208に設けられており、これが表示領域202のバックプレーンを画定する。表示範囲はカバーガラス210によって覆われ、基板208はキャリアボード212の表面に設置される。
【0038】
センシングシステム104は、センサ204およびアナログデジタル変換(ADC)回路網206を含む。
【0039】
センサ204は、表示範囲202の外周の周りに配置される従来の光センサである。図の例では、センサ204の各々は従来の光検出器であるが、しかしながら、本開示の範囲から逸脱することなく任意の適切なセンサをセンシングシステム104に使用できる。センサ204は、それらのそれぞれの基板が基板208の平面に直交して向けられ、結果として、それらがカバーガラス210の縁においてOLEDから光を受けるように配置される。一部の実施形態において、カバーガラス210は、表示ピクセルのOLEDの1つまたは複数のルミネセンスを感知するセンサ204の能力を改善するための光学素子(例えば、回折光学素子、ホログラム、プリズム、傾斜ミラー等)を含む。センサ204は、光強度を電気信号に変換する外部光電(OE)センサでよい。センサ位置は、カバーガラス210の縁にある。
【0040】
ADC回路網206は、センサ204の出力をプロセッサ106によって使用可能なデジタル信号へ変換するのに適切な1つまたは複数の従来のアナログデジタル変換器回路および関連した追加部品を備える。
【0041】
当業者に明らかであろうが、本明細書を読むと、ディスプレイにおける単一のピクセル(またはサブピクセル)の輝度強度は、一部のセンサによって測定されるには小さすぎることがある。しかしながら、テスト画像をディスプレイによって生成し、もしあればディスプレイにおけるどのOLEDが補償を必要とするか、またそれらをどのように補償するかを決定するために使用できることが本開示の態様である。一部の場合には、1つまたは複数のセンサの感度が十分であれば、そのような画像を1つのピクセルだけの出力に限定できることが留意されるべきである。更には、本明細書に開示される方法は、テスト画像に必要とされるピクセルの数を時間とともに実験的に決定できる学習プロセスを可能にする。
【0042】
図3は、本開示に従うディスプレイにおいて1つまたは複数のピクセルを補償するための第1の方法の動作を示す。方法300は、動作301で始まり、表示範囲202のためのピクセルマップがプロセッサ106によって記憶され、カウント値iがゼロに設定される。iの値は、後述するように、センシングシステム104をオンにするためにシンボルS1に追加されなければならない追加の劣化ピクセルの数を表す。
【0043】
動作302で、センシングシステム104をその閾値輝度に基づいてオンにするために必要とされる正常な(非劣化)ピクセルの数Nが決定される。この値の他に、センサシステム104の対応する出力が次いで記憶される。図の例では、センサシステム104の出力は電圧であるが、しかしながら、一部の実施形態において、それは異なる電気的パラメータである。
【0044】
動作303で、同数(すなわち、N)の劣化ピクセルを使用してシンボルS1が生成される。典型的には、シンボルS1は、それが非劣化ピクセルを含まず、それが含む劣化ピクセルが同じ時効応力を被るように設計される。
【0045】
動作304で、センシングシステム104がオンにされたかどうかを判定するためにその出力が測定される。
【0046】
シンボルS1に応答してセンシングシステム104がオンにならなければ、方法300は、動作305Aが続き、1つの追加の劣化ピクセルに通電することによってシンボルが増大され、iの値がインクリメントされ、本方法は、動作304に戻る。
【0047】
センシングシステム104がオンになれば、方法300は、動作305Bが続き、シンボルS1に含まれるピクセルに対する劣化レベルDL1がNおよびiの値に基づいて決定される。図の例では、劣化レベルは、次式として決定される:
【0048】
【数1】
【0049】
例えば、センシングシステム104をオンにするために300の非劣化ピクセルが必要とされ、シンボルS1が、センシングシステムをオンにするために360の劣化ピクセルが通電されることを必要とする場合、N=300およびi=60であり、DL1を20%として与える。
【0050】
動作306で、S1およびDL1に基づいてピクセルマップが更新される。
【0051】
動作307で、更新されたピクセルマップが、ディスプレイに補償画像を形成するための画像データを生成するために使用される。
【0052】
本発明の一部の実施形態において、テスト画像(すなわち、シンボル)は、劣化ピクセルも非劣化ピクセルも含む。そのような場合、主として、または排他的に、劣化ピクセルに基づいて表示素子を補償するために比例方法を使用できる。そのような手法では、基準および劣化ピクセル間の差が決定され、次いで劣化ピクセルの数で割られて、各ピクセルに対する劣化の相対レベルを与える。
【0053】
図4は、本開示に従うディスプレイにおいて1つまたは複数のピクセルを補償するための第2の方法の動作を示す。方法400は、動作401で始まり、表示範囲202のためのピクセルマップがプロセッサ106によって記憶され、カウント値iがゼロに設定される。
【0054】
動作402で、センシングシステム104をその閾値輝度に基づいてオンにするために必要とされる正常な(非劣化)ピクセルの数Nが決定される。この値の他に、センサシステム104の対応する出力が次いで記憶される。
【0055】
動作403で、Nの劣化ピクセルを使用してシンボルS2が生成され、変数iの値がゼロに設定される。この例では、iの値は、後述するように、センシングシステム104をオンにするためにシンボルS2に追加されなければならない非劣化ピクセルの数を表す。
【0056】
動作404で、センシングシステム104がオンにされたかどうかを判定するためにその出力が測定される。
【0057】
シンボルS2に応答してセンシングシステム104がオンにならなければ、方法400は、動作405Aが続き、1つの追加の非劣化ピクセルに通電することによってシンボルS2が増大され、iの値がインクリメントされ、本方法は、動作404に戻る。
【0058】
センシングシステム104がオンになれば、方法400は、動作405Bが続き、シンボルS2に含まれるピクセルに対する劣化レベルDL2が決定される。図の例では、劣化レベルは、次式として決定される:
【0059】
【数2】
【0060】
例えば、センシングシステム104をオンにするために300の非劣化ピクセルが必要とされ、シンボルS2が最初に250の劣化ピクセルを含むが、センシングシステムをオンにするために追加の70の非劣化ピクセルが通電されることを必要とする場合、N=300、N=250およびi=70であり、DL2を8.7%として与える。
【0061】
動作406で、S2およびDL2に基づいてピクセルマップが更新される。
【0062】
動作407で、更新されたピクセルマップが、ディスプレイに補償画像を形成するための画像データを生成するために使用される。
【0063】
表示領域202の外部であるルミネセンスセンシングを提供することが以下のような先行技術に勝る有意な利点をもたらすことが本発明の一態様である:
i.ディスプレイのバックプレーン上の追加部品を回避する、または
ii.広範囲のセンサが使用に適している、または
iii.いかなる実際的な電気信号レベルもピクセル駆動回路に使用できる、または
iv.OLED発光スタックもしくはバックプレーンにおけるピクセル駆動回路網のトポロジに依存しない、または
v.本方法は学習プロセスであり、補償されるピクセルの数および補償が決定される時間に関して柔軟性を有する、または
vi.感知能力の追加もしくは除去をいつでも実装できる、または
vii.補償能力は、通常のバックプレーン構成の外部であるので、既存のディスプレイシステムに追加できる、または
viii.i、ii、iii、iv、v、viおよびviiの任意の組合せ。
【0064】
追加の利点は、以下を含み得る:
i.実装が外部的に行われ得るのでバックプレーンシリコンを占有しない
ii.テスト画像パターンがいつでも変更可能であることができる
iii.本発明は、OLED発光スタックまたはバックプレーンにおけるピクセル駆動回路のトポロジに依存しない、ならびに
iv.本発明の実装の追加および除去はいつでも可能である。
【0065】
本開示が例示的な実施形態のただ1つの例を教示すること、および本開示を読んだ後に当業者によって本発明の多くの変形を容易に考案できること、および本発明の範囲が以下の特許請求の範囲によって定められることになることが理解されるはずである。
【符号の説明】
【0066】
100 ディスプレイ
102 ディスプレイシステム
104 センシングシステム
106 プロセッサ
202 表示領域
204 センサ
206 アナログデジタル変換(ADC)回路網
208 基板
210 カバーガラス
212 キャリアボード
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】