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特表2024-523886二官能性金属酸化物およびそれによるパラフィン異性化
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  • 特表-二官能性金属酸化物およびそれによるパラフィン異性化 図1
  • 特表-二官能性金属酸化物およびそれによるパラフィン異性化 図2A
  • 特表-二官能性金属酸化物およびそれによるパラフィン異性化 図2B
  • 特表-二官能性金属酸化物およびそれによるパラフィン異性化 図3
  • 特表-二官能性金属酸化物およびそれによるパラフィン異性化 図4
  • 特表-二官能性金属酸化物およびそれによるパラフィン異性化 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】二官能性金属酸化物およびそれによるパラフィン異性化
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/888 20060101AFI20240625BHJP
   B01J 37/03 20060101ALI20240625BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20240625BHJP
   B01J 37/18 20060101ALI20240625BHJP
   B01J 23/34 20060101ALI20240625BHJP
   B01J 23/30 20060101ALI20240625BHJP
   B01J 23/89 20060101ALI20240625BHJP
   C10G 45/62 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B01J23/888 M
B01J37/03 B
B01J37/08
B01J37/18
B01J23/34 M
B01J23/30 M
B01J23/89 M
C10G45/62
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577523
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 US2022032595
(87)【国際公開番号】W WO2022265891
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】17/349,986
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】523025539
【氏名又は名称】エクソンモービル テクノロジー アンド エンジニアリング カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ExxonMobil Technology and Engineering Company
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】ワイゲル,スコット ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウィツケ,メーガン イー
(72)【発明者】
【氏名】サトラー,ウェスリー
(72)【発明者】
【氏名】カーカフ,ブランドン エム
(72)【発明者】
【氏名】ダッカ,ジハード エム
(72)【発明者】
【氏名】デューガン,ライアン エス
【テーマコード(参考)】
4G169
4H129
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169AA14
4G169BA01C
4G169BA02C
4G169BA03C
4G169BA04C
4G169BA05A
4G169BA05B
4G169BA05C
4G169BA27C
4G169BA42A
4G169BB04C
4G169BB05C
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BB06C
4G169BB08C
4G169BB12C
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC43A
4G169BC43B
4G169BC51A
4G169BC51B
4G169BC60A
4G169BC60B
4G169BC62A
4G169BC62B
4G169BC66A
4G169BC66B
4G169BC67A
4G169BC68A
4G169BC71A
4G169BC72A
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169BD12C
4G169BE08C
4G169BE41C
4G169BE46C
4G169BE48C
4G169CC08
4G169DA06
4G169EA01Y
4G169EA02Y
4G169EC02X
4G169EC02Y
4G169EC03X
4G169EC03Y
4G169EC22X
4G169EC22Y
4G169EC25
4G169EC30
4G169FA01
4G169FA02
4G169FA08
4G169FB09
4G169FB14
4G169FB30
4G169FB44
4G169FB67
4G169FC02
4G169FC05
4G169FC07
4G169FC08
4G169FC09
4H129AA01
4H129CA04
4H129DA20
4H129KA12
4H129KB03
4H129KC02X
4H129KC03X
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4H129KC05X
4H129KC07X
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4H129KD19X
4H129KD21X
4H129KD22X
4H129KD24X
4H129KD25X
4H129KD26X
4H129KD28X
4H129NA12
4H129NA25
(57)【要約】
パラフィン異性化用タングステン酸ジルコニウム触媒は、少なくとも部分的に結晶質であり、かつタングステンと、ジルコニウムと、Fe、Mn、Co、Cu、Ce、Niおよびそれらの任意の組み合わせから選択される可変酸化状態金属とを含む混合金属酸化物を含んで成ってもでもよい。混合金属酸化物は、それぞれ混合金属酸化物の総質量に基づいて、約5重量%~約25重量%のタングステン、約40重量%~約70重量%のジルコニウム、および約0.01重量%~5重量%の可変酸化状態金属を含む。混合金属酸化物は、ISO 9277に準拠して測定する場合、約50m/g以上の総表面積を有し、および以下:温度プログラムされた吸着/脱着によって測定する場合、約0.05~約0.3mmol/gのアンモニア取り込み、または重量測定する場合、約100μmol/g以上のコリジン取り込みのうちの少なくとも1つを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に結晶質であり、タングステンとジルコニウムと可変酸化状態金属とを含む混合金属酸化物を含んで成り、
前記可変酸化状態金属は、Fe、Mn、Co、Cu、Ce、Ni、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される金属を含み、
前記混合金属酸化物は、それぞれ前記混合金属酸化物の総質量に基づいて、約5重量%~約25重量%のタングステン、約40重量%~約70重量%のジルコニウム、および約0.01重量%~約5重量%の可変酸化状態金属を含み、
前記混合金属酸化物は、ISO 9277に準拠して測定する場合、約50m/g以上の総表面積を有し、かつ以下:
温度プログラムされた吸着/脱着によって測定する場合、約0.05~約0.3mmol/gのアンモニア取り込み、または
重量測定する場合、約100μmol/g以上のコリジン取り込み
の少なくとも1つを有する、組成物。
【請求項2】
前記混合金属酸化物は貴金属で含浸され、前記貴金属は混合金属酸化物および貴金属の総質量に基づいて約0.01重量%~約2重量%存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記貴金属は、Pt、Pd、Rh、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の貴金属を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記混合金属酸化物は、活性化された場合、約10以上の転化率:クラッキング率比で、約10%以下のクラッキング率でn-へプタンを異性化するのに有効である、請求項2または3に記載の組成物。
【請求項5】
前記混合金属酸化物は、約60m/g~約130m/gの範囲の総表面積を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記混合金属酸化物は、約2~約20の範囲でW原子/nmとして測定されるタングステン表面密度を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記混合金属酸化物は、単斜晶酸化ジルコニウム(m-ZrO)に対する単斜晶酸化タングステン(m-WO)の粉末X線回折ピーク高さ比が0~約5の範囲である、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記混合金属酸化物は、それぞれ前記混合金属酸化物の総質量に基づいて、約9重量%~約20重量%のタングステン、約40重量%~70重量%のZr、および約0.01重量%~2重量%の可変酸化状態金属を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記混合金属酸化物は、前記混合金属酸化物の総質量に基づいて、約0.5重量%~0.7重量%の可変酸化状態金属を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記可変酸化状態金属は、Fe、Mn、Cu、Ceおよびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記可変酸化状態金属は、Feを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
さらに、前記混合金属酸化物と混ぜ合わされたバインダーを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物を製造する方法であって、
約7.5以上のpHを有するアルカリ条件下で、ジルコニウム源、タングステン源、および可変酸化状態金属源を反応混合物中で混ぜ合わせることと、
前記アルカリ条件下で、前記ジルコニウム源、前記タングステン源、および前記可変金属状態金属源から形成された共沈反応生成物を含むスラリーを得ることと、
前記スラリーを温浸し、前記共沈反応生成物から非晶質温浸生成物を形成することと、
約700℃~約900℃の範囲の温度で、大気中で前記非晶質温浸生成物を焼成することと
を含んで成り、
前記可変酸化状態金属は、Fe、Mn、Co、Cu、Ce、Ni、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される金属を含む、方法。
【請求項14】
前記反応混合物は、前記タングステン源を含む第1溶液と、前記ジルコニウム源および前記可変酸化状態金属源を含む第2溶液とを約9~約10のpHを有するアルカリ溶液中で混ぜ合わせることにより形成される、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記混合金属酸化物は貴金属で含浸され、前記貴金属は、混合金属酸化物および貴金属の総質量に基づいて、約0.01重量%~約2重量%存在する、請求項13または14に記載の製造方法。
【請求項16】
さらに、焼成後に、初期湿潤含浸、真空浸透含浸、またはそれらの任意の組み合わせにより貴金属前駆体を前記混合金属酸化物に導入することを含んで成る、請求項13または14に記載の製造方法。
【請求項17】
前記貴金属は、Pt、Pd、Rh、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の貴金属を含む、請求項15に記載の製造方法。
【請求項18】
前記貴金属前駆体は、(NHPt(NO、(NHPt(OH)、(NHPtCl、HPtCl、(NHPtClおよびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される水溶性金属錯体を含む、請求項16に記載の製造方法。
【請求項19】
さらに、前記混合金属酸化物から抽出物を形成することを含んで成る、請求項13~18のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項20】
前記混合金属酸化物は、バインダーと共抽出され、前記抽出物を形成する、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記バインダーが、W/Zr酸化物、W/Zr水酸化物、W酸化物、W水酸化物、Zr酸化物、Zr水酸化物、Fe酸化物、Fe水酸化物、Ti酸化物、Ti水酸化物、シリカ、シリカアルミナ、チタニアシリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の物質を含む、請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記ジルコニウム源は、ジルコニウム塩から選択され、前記タングステン源はメタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸アルカリ金属、塩化タングステン、タングステン酸、およびそれらの組み合わせから選択され、前記可変酸化状態金属源は、対応する水溶性金属塩から選択される、請求項13~21のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項23】
前記ジルコニウム源は、ジルコニウムの、塩化物、オキシ塩化物、硝酸塩、酢酸塩、アルコキシド、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され、前記可変酸化物状態金属は対応する金属の、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項22に記載の製造方法。
【請求項24】
水素下で請求項1~12のいずれか1項に記載の混合金属酸化物を加熱して、活性化触媒を形成することと、
異性化反応条件下で、少なくとも1種のC7+ノルマルアルカンを含む炭化水素原料と前記活性化された触媒を接触させることと、
前記少なくとも1種のC7+ノルマルアルカンから1または複数の分岐アルカンを形成することと
を含んで成り、
前記混合金属酸化物は請求項1で規定されたものであり、前記混合金属酸化物は混合金属酸化物および貴金属の総質量に基づいて約0.01重量%~約2重量%の貴金属でさらに含浸される、方法。
【請求項25】
前記活性化触媒は、約10以上の転化率:クラッキング率比、約10%以下のクラッキング率でn-ヘプタンを異性化するのに有効である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記異性化反応条件は、以下:
約150℃~約210℃の範囲の温度、
約1:1~約3:1の範囲の炭化水素原料に対する水素の比率、
約150psig~約350psigの範囲の圧力、ならびに
約0.5h-1~約6h-1の範囲の液体時空間速度
の1または複数を含む、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記混合金属酸化物は、約60m/g~約130m/gの範囲の総表面積、および/または、約2~約20の範囲のW原子/nmとして測定されるタングステン表面密度を有する、請求項24~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記混合金属酸化物が、単斜晶ジルコニウム酸化物(m-ZrO)に対する単斜晶タングステン酸化物(m-WO)の0~約5の粉体X線回折ピーク高さ比を有する、請求項24~27のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月17日に出願された米国仮出願第17/349986号の優先権および利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の分野
本開示は、パラフィン異性化に関する。
【背景技術】
【0003】
直鎖および単分岐パラフィン(アルカン)を異性化して、より高度に分岐パラフィンを形成することは、オクタン価を向上させるために頻繁に行われる。より高度に分岐アルカンを形成するためのパラフィンの異性化は、例えば、混合金属酸化物のような二官能性触媒を使用して実現し得る。理論および機構に束縛されるものではないが、このような触媒は、脱水素化、プロトン化によるカルベニウムイオンの形成、ならびにシクロプロピルカチオンが関与する機構のようなカルベニウムイオンの骨格再配列を通じてパラフィンの異性化を促進すると考えられている。
【0004】
従来のパラフィン異性化プロセスでは、パラフィン供給混合物は、水素および適切な二官能性触媒の存在下で加熱される。米国特許出願公開第2013/0324782号には、二官能性触媒を利用した従来のパラフィン異性化プロセスの一例が記載されている。米国特許第6,080,904号および第6,124,232号は、酸性金属酸化物触媒である二官能性触媒、およびそれを用いて行われるパラフィン異性化プロセスのさらなる詳細を提供する。CおよびCノルマル(直鎖)パラフィンは、このようなプロセスで容易に異性化を受ける可能性がある。例えば、塩化アルミナ、硫酸化ジルコニア、およびゼオライトのような触媒は、クラッキングに対して高い選択性でCおよびCパラフィンを異性化するために利用できる。対照的に、C7+ノルマルパラフィンは、異性化反応条件下、特に高い反応温度および供給混合物の転化(または転換または変換;conversion)率では、クラッキングを生じにくいタングステン酸ジルコニウム触媒の存在下でも、ますますクラッキングが発生しやすくなる。過剰なクラッキングは、目的の分岐パラフィンの収率の低下およびオクタン価の低下につながる。理論およびメカニズムに束縛されるものではないが、クラッキングはカチオン中間体のβ切断によって発生すると考えられている。β切断中、CおよびCノルマルパラフィンは、形成が困難な一次カルベニウムイオンであるエチルカチオンの形成を引き起こす。対照的に、C7+パラフィンは、β切断により、より安定し、より容易に二次または三次カルベニウムイオンを生成することができる。そのため、熱力学がクラッキング促進に有利であることを考慮すると、異性化反応条件下でC7+パラフィンのクラッキングを軽減することが困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0324782号
【特許文献2】米国特許第6,080,904号
【特許文献3】米国特許第6,124,232号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
米国のシェールオイルの生産量は急速に増加している。残念ながら、シェールオイルは通常、分岐が制限されたナフサ炭化水素が豊富で、オクタン価が低く、着火遅れが短いため、エンジンノッキングを起こしやすく、さらに処理しない限り燃料ブレンドに組み込むのは望ましくない可能性がある。より高いオクタン価を有する分岐炭化水素は、通常、高級ガソリンの製造のためのブレンド成分として望ましい。従来の異性化プロセスは、シェールオイルナフサのオクタン価を高めるのに特に効率的ではない。これは、CおよびC直鎖パラフィンがこの炭化水素資源の主な成分であり、代わりに広範囲のクラッキングを受ける傾向があるためである。接触改質もまた、そのようなプロセスのエネルギー効率がかなり低いことと、この炭化水素資源の出発芳香族含有量が低いことが多いため、シェールオイルナフサの処理には特に望ましい選択肢ではない。接触改質はシェールオイルナフサのC8+成分には実行可能である可能性があるが、このアプローチでは依然として、高オクタン価を有する分岐パラフィンを形成するための効率的な転化経路がないまま、生成されたままの炭化水素資源のかなりの部分が残る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
いくつかの態様では、本開示は、混合金属酸化物を含む組成物を提供する。前記組成物は、少なくとも部分的に結晶質であり、かつタングステンとジルコニウムと可変酸化状態金属とを含む混合金属酸化物を含んで成り、可変酸化状態金属は、Fe、Mn、Co、Cu、Ce、Ni、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される金属を含み、混合金属酸化物は、それぞれ混合金属酸化物の総質量に基づいて、約5重量%~約25重量%のタングステン、約40重量%~約70重量%のジルコニウム、および約0.01重量%~約5重量%の可変酸化状態金属を含み、混合金属酸化物は、ISO 9277に準拠して測定する場合、約50m/g以上の総表面積を有し、かつ以下:温度プログラムされた吸着/脱着によって測定する場合、約0.05~約0.3mmol/gのアンモニア取り込み、または重量測定する場合、約100μmol/g以上のコリジン取り込みの少なくとも1つを有する。
【0008】
いくつかのまたは他の態様では、本開示は、混合金属酸化物を形成する方法を提供する。前記方法は、約7.5以上のpHを有するアルカリ条件下で、ジルコニウム源、タングステン源、および可変酸化状態金属源を反応混合物中で混ぜ合わせることと、アルカリ条件下で、ジルコニウム源、タングステン源、および可変金属状態金属源から形成された共沈反応生成物を含むスラリーを得ることと、スラリーを温浸し(digesting)、共沈反応生成物から非晶質温浸生成物(amorphous digestion product)を形成することと、約700℃~約900℃の範囲の温度で、大気中で非晶質温浸生成物を焼成し、混合金属酸化物を得ることを含んで成り、可変酸化状態金属は、Fe、Mn、Co、Cu、Ce、Ni、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される金属を含み、混合金属酸化物は、少なくとも部分的に結晶質であり、かつそれぞれ混合金属酸化物の総質量に基づいて、約5重量%~約25重量%のタングステン、約40重量%~約70重量%のジルコニウム、および約0.01重量%~約5重量%の可変酸化状態金属を含み、混合金属酸化物は、ISO 9277に準拠して測定した場合、約50m/g以上の総表面積を有し、以下:温度プログラムされた吸着/脱着により測定する場合、約0.05~約0.3mmol/gのアンモニア取り込み、または重量測定する場合、約100μmol/g以上のコリジン取り込みの少なくとも1つを有する。
【0009】
さらに他の態様では、本開示はノルマルパラフィンを異性化する方法を提供する。前記方法は、水素下で混合金属酸化物を加熱して、活性化された触媒を形成することと、異性化反応条件下で活性化された触媒を炭化水素原料と接触させることと、少なくとも1種のC7+ノルマルアルカンから1または複数の分岐アルカンを形成することとを含んで成り、混合金属酸化物は、少なくとも部分的に結晶質であり、かつ約5重量%~約25重量%のタングステン、約40重量%~約70重量%のジルコニウム、および約0.01重量%~約5重量%の可変酸化状態金属を含み、混合金属酸化物は、さらにそれぞれ混合金属酸化物と貴金属の合計質量に基づいて、約0.01重量%~約2重量%の貴金属で含浸され、混合金属酸化物は、ISO 9277に準拠して測定する場合、約50m/g以上の総表面積を有し、かつ以下:温度プログラムされた吸着/脱着により測定した場合、約0.05~約0.3mmol/gのアンモニア取り込み、または重量測定する場合、約100μmol/g以上のコリジン取り込みの少なくとも1つを有し、前記炭化水素原料は少なくとも1種のC7+ノルマルアルカンを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面の簡単な説明
以下の図は、本開示の特定の態様を説明するために含まれており、排他的な実施形態として見なされるべきではない。開示された主題は、本開示の恩恵を受ける当業者が思いつくように、形態および機能においてかなりの修正、変更、組み合わせ、および均等物が可能である。
【0011】
図1図1は、実施例5~8で製造されたサンプルの粉末XRDプロファイルおよびそれらの対応する表面積を示すグラフである。
【0012】
図2A図2Aは、実施例1で製造されたサンプルの、プロセスの様々な段階における粉末XRDプロファイルおよび対応する表面積を示すグラフである。
図2B図2Bは、実施例5で製造されたサンプルの、プロセスの様々な段階における粉末XRDプロファイルおよび対応する表面積を示すグラフである。
【0013】
図3図3は、3つの異なる温度で焼成された実施例5の混合金属酸化物の粉末XRDプロファイルを示すグラフである。
【0014】
図4図4は、実施例5の混合金属酸化物の焼成温度の関数としての表面酸性度の分散を示すグラフである。
【0015】
図5図5は、温度160℃、200psig、H:n-ヘプタン比2:1における、実施例5の混合金属酸化物のクラッキング率の関数としてのn-ヘプタン転化率:クラッキング率の比のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本開示は、パラフィンの異性化に関し、より具体的には、C7+ノルマルパラフィンに対するクラッキング選択性の低下をもたらす条件下でパラフィンの異性化を促進し得る混合金属酸化物を含む組成物に関する。本明細書に開示される組成物および方法は、異性化反応条件下で過剰なクラッキングを受ける可能性があるC7+パラフィンを含むナフサ原料の異性化を促進するのに特に適している可能性がある。
【0017】
上述したように、オクタン価を高めるためにノルマルパラフィンの異性化を行うことはできるが、C7+ノルマルパラフィンの過剰なクラッキングは様々な点で問題となる可能性がある。C7+ノルマルパラフィンのクラッキングの熱力学的有利性に対抗するために、異性化はより低い温度とより低い供給混合物の転化率で行われる可能性があり、これは処理効率の観点からは望ましくない可能性がある。そのため、例えば、ナフサのようなノルマルパラフィンを多く含む炭化水素資源、特にC7+非分岐パラフィンおよび単分岐パラフィンを多く含む炭化水素資源のオクタン価を向上させることは困難である可能性がある。
【0018】
第6族金属、好ましくはMoまたはWのアニオンまたはオキシアニオンで修飾された、第4族金属、好ましくはTiまたはZrの酸性固体酸化物を含む二官能性金属酸化物(混合金属酸化物)は、C7+ノルマルパラフィンのクラッキングの程度は依然として望ましくないほど高いままである可能性があるが、限定的なクラッキングを伴うパラフィンの異性化を促進のために特に効果的である可能性がある。従来のタングステン酸ジルコニウム触媒が代表的な例である。任意に、可変酸化状態金属、好ましくは第一列遷移金属(または第一遷移金属;first-row transition metal)またはCeがタングステン酸ジルコニウム触媒中に存在してもよい。遷移金属には、周期表の第3族から第12族の金属が含まれます。特に適切な可変酸化状態金属には、Fe、Mn、Co、Cu、Ce、Ni、およびそれらの任意の組み合わせが含まれる。可変酸化状態金属は、特定の例ではFeであってもよい。任意に、可変の酸化状態を有さない第1列遷移金属が存在してもよい。混合金属酸化物である二官能性金属酸化物は、共沈、焼成および押出によって調製して、適切な形状の触媒粒子を形成し得る。二官能性金属酸化物は、例えば、初期湿潤または真空浸透などにより、8族または9族金属または10族金属(貴金属)、好ましくはPtまたはPdでさらに含浸されてもよい。
【0019】
本開示は、従来の異性化触媒とは組成が異なり、異なる機能的性能を示す混合金属酸化物、特にタングステン酸ジルコニウム酸化物、ならびにそのような混合金属酸化物の製造方法を提供する。驚くべきことに、混合金属酸化物の形態および組成をわずかに変化させると、異性化反応条件下でのクラッキングの程度が大幅に減少する可能性がある。この効果は表面積に関係すると考えられている。したがって、本開示は、少なくとも部分的に結晶質であり、タングステン、ジルコニウム、および可変酸化状態金属を含む混合金属酸化物を含み、可変酸化状態金属は、Fe、Mn、Co、Cu、Ce、Ni、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される金属を含む。混合金属酸化物は、それぞれ混合金属酸化物の総質量に基づいて約5重量%~約25重量%のタングステン、約40重量%~約70重量%のジルコニウム、および約0.01重量%~約5重量%の可変酸化状態金属を含んで成る。混合金属酸化物は、ISO9277に提供されているような窒素BET吸着/脱着等温線によって測定した場合、約50m/g以上の総表面積を有する。BET吸着/脱着等温線測定のさらなる詳細は、Journal of the American Chemical Society, 1938 年, 60(2), p309~319に提供されている。混合金属酸化物はまた、以下:Applied Catalysis A: General, 1997, 165, 57-72に記載されているように、約0.05~約0.3mmol/gの温度プログラムされた吸着/脱着によって測定されるアンモニア取り込み、または約100μmol/g以上のコリジン取り込みの少なくとも1つを示す。コリジンの取り込みは、アンモニアの取り込みと同じ温度および圧力条件下で、脱着を測定せずに重量測定で測定し得る。温度プログラムされた吸着/脱着によって測定されるアンモニアの取り込みは、好ましい特性評価方法である可能性がある。このような二官能性金属酸化物は、特に従来のタングステン酸ジルコニウム触媒と比較して、クラッキングの程度を減少させながら、パラフィン、特にC7+ノルマルパラフィンおよび単分岐パラフィンの異性化を促進するのに効果的であり得る。
【0020】
さらに、本開示は、上記の組成物を製造する方法を提供する。このような方法は、ジルコニウム源、タングステン源、および可変酸化状態金属源を、約7.5以上のpHを有するアルカリ条件下で反応混合物中で混合することと、アルカリ条件下で、ジルコニウム源、タングステン源、および可変酸化状態金属源から形成される共沈反応生成物を含むスラリーを得ることと、スラリーを温浸温度で温浸し、共沈反応生成物から非晶質の温浸生成物を形成することと、非晶質温浸生成物を大気中、約700℃~約900℃の範囲の温度で焼成して、混合金属酸化物を得ることとを含んで成り、可変酸化状態金属源は、Fe、Mn、Co、Cu、Ce、Ni、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される金属を含み、混合金属酸化物は、少なくとも部分的に結晶質であり、それぞれ混合金属酸化物の総質量に基づいて約5重量%~約25重量%のタングステン、約40重量%~約70重量%のジルコニウム、および約0.01重量%~約5重量%の可変酸化状態金属を含む。混合金属酸化物は、約50m/g以上の総表面積、ならびに以下:約0.05~約0.3mmol/gのアンモニア取り込み、または約100μmol/g以上のコリジン取り込みの少なくとも1つを有する。これらの値の測定条件は上記で特定されている。ここで、反応混合物は、タングステン源を含む第1の溶液と、ジルコニウム源および可変酸化状態金属源を含む第2の溶液とを、pH約9~約10のアルカリ溶液中で混合することによって形成され得る。
【0021】
さらに、反応混合物は、例えば、水酸化アンモニウムまたは水酸化アルキルアンモニウムの存在下のような、アルカリ溶液中での共沈を促進するように形成されてもよい。水酸化物沈殿物は、最初に、第4族の塩(例えば、Zrの酸性溶液)および第6族の金属を含むアニオンまたはオキシアニオン(例えば、Wの塩基性溶液)から形成され得る。水酸化物の沈殿物は非晶質であり、非常に大きな表面積を有し得る。次いで、水酸化物沈殿物は、焼成によって混合金属酸化物に変換され得るが、焼成後の表面積はかなり小さくなる。焼成は、例えば、約600℃~約900℃、または約650℃~約850℃、または約700℃~約800℃の温度で大気中で行い得る。
【0022】
本開示は、共沈条件、試薬濃度、温浸温度条件、および焼成温度の制御により、とりわけ、表面積の増加が得られ、押出成形および貴金属含浸の際に、驚くべきことにC7+ノルマルパラフィンおよび単分岐パラフィンのクラッキングを抑制しながら、例えば、C~Cアルカンの異性化のようなC~C30アルカンの異性化を増加させることができることを有利に実証する。ガソリン炭化水素を製造するためのC~C範囲のようなC~C30の範囲のパラフィンのクラッキングを抑制することに加えて、本開示はまた、C~C30の範囲またはC10~C30のより大きなパラフィンを異性化する際のクラッキングの減少を促進し得る。このサイズ範囲内の炭化水素は、ディーゼル成分または潤滑剤として有用である可能性があり、特定の最終用途の用途に必要に応じて、異性化によって融点を低下させ、流動点、曇り点、または粘度指数を変更することも同様に有益であり得る。このため、本開示は、ガソリン炭化水素のオクタン価を増加させるだけでなく、幅広い適用可能性を提供する。
【0023】
本明細書の詳細な説明および特許請求の範囲内のすべての数値は、示された値に関して「約(about)」または「およそ(approximately)」によって修正されており、当業者によって予期される実験誤差および変動を考慮に入れている。特に記載のない限り、周囲温度(室温)は約25℃である。
【0024】
本開示および特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形を含む。
【0025】
本明細書において、例えば「Aおよび/またはB」のような語句で使用される「および(または、ならびに)/または(または、もしくは)」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」、および「B」を含むことを意図する。
【0026】
本開示の目的のために、周期表の族に対する新しい番号付けスキームが使用される。上記の番号付けスキームでは、族(列)に左から右に1から18までの番号が連続して付けられている。
【0027】
本明細書で使用される場合、「炭化水素」という用語は、(i)水素および炭素原子からなる任意の化合物、または(ii)(i)における2もしくはそれ以上のそのような化合物の任意の混合物をいう。「C炭化水素」という用語は、nが正の整数である場合、(i)n個の総炭素原子数を有する分子構造中に炭素原子を含む任意の炭化水素化合物、または(ii)2もしくは3以上のそのような炭化水素化合物の任意の混合物を意味する。このようなC炭化水素には、任意の程度の不飽和が存在し得る。したがって、C炭化水素は、エタン、エチレン、アセチレン、またはこれらの炭化水素の少なくとも2つの任意の割合の混合物を指す場合がある。「Cn+炭化水素」という用語は、(i)その分子構造中にn個もしくはそれ以上の炭素原子を含む任意の炭化水素化合物、または(ii)(i)における2もしくはそれ以上のそのような炭化水素化合物の任意の混合物を意味する。「Cn-炭化水素」という用語は、(i)その分子構造中にn個もしくはそれ以下の炭素原子を含む任意の炭化水素化合物、または(ii)(i)における2つ以上のそのような炭化水素化合物の任意の混合物を意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「ナフサ」という用語は、C~C12炭化水素、特に
~C12の飽和炭化水素をいう。
【0029】
本明細書で使用される場合、「パラフィン」、「アルカン」、および「飽和炭化水素」という用語は互いに同義であり、式C2n+2を有する炭化水素をいう。
【0030】
本明細書で使用される場合、「直鎖(linear)」および「ノルマル(normal)」という用語は互いに同義であり、側鎖分岐のない炭化水素をいう。
【0031】
本明細書で使用される場合、「クラッキング(cracking)」という用語は、所与の炭化水素分子が2つのより小さな炭化水素分子に変換されることをいう。
【0032】
本明細書で使用される場合、「異性化(isomerization)」という用語は、炭化水素の骨格の再配列、特にノルマルパラフィンの分岐パラフィンへの変換をいう。
【0033】
本明細書で使用する場合、「重量時空間速度(weight hour space velocity)」(WHSV)という用語は、1時間当たりの触媒の単位重量当たりに流れる供給混合物の重量の尺度をいう。
【0034】
本明細書で使用する場合、「液体時空間速度(liquid hour space velocity)」(LHSV)という用語は、1時間当たりの触媒の単位体積当たりに流れる供給混合物の体積の尺度をいう。
【0035】
本明細書で使用する場合、「可変酸化状態金属(variable oxidation state metal)」という用語は、ゼロ酸化状態以外の2またはそれ以上の利用可能な酸化状態を有する金属をいう。
【0036】
本明細書で使用される場合、「総表面積(total surface area)」という用語は、例えば、ISO9277で特定されるように物理的に吸着されたN吸着/脱着等温線の量を測定することによって得られる、分散または多孔質固体(微多孔質材料)の外部および内部の比表面積の合計をいう。
【0037】
本明細書で使用する場合、「アンモニア取り込み(ammonia uptake)」という用語は、分散または多孔質固体(微孔質材料)の温度プログラムされたアンモニア吸着/脱着の測定をいい、これは、Applied Catalysis A: General, 1997, 165, 57-72に記載されるように測定される。
【0038】
本明細書で使用される場合、「コリジン取り込み(collidine uptake)」という用語は、サンプル1グラム当たりに吸収されるコリジン(触媒毒の一種)のミリモルをいう。非限定的な例では、サンプルをコリジンに曝露して吸着されたコリジンの重量分析量を測定する前に、サンプルを熱重量分析装置(デラウェア州ニューキャッスルのTA Instruments社製モデルQ5000)上で窒素流下で200℃で60分間乾燥させてもよい。
【0039】
本明細書で使用する「温浸(digestion)」という用語は、不純物種は可溶性であるが固体の大部分は可溶性ではない溶媒中で固体を加熱することによって行われる熱処理をいう。温浸により、不溶性固体の粒子の温浸とともに種の平衡が起こる可能性がある。温浸温度を含む温浸条件は、そこから得られるメソ多孔性材料の表面積および多孔性に影響を与え得る。
【0040】
組成物およびその製造方法
本開示の組成物は、第6族金属、好ましくはMoまたはWのアニオンまたはオキシアニオンで修飾された、第4族金属、好ましくはTiまたはZrの酸性固体酸化物(混合金属酸化物)を含んでもよい。任意に、可変酸化状態金属が存在してもよく、可変酸化状態金属は、Fe、Mn、Co、Cu、Ce、Ni、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される金属を含む。組成物は、共沈、焼成および押出によって調製され、適切な形状の触媒粒子を形成し得る。押出物は、バインダー(またはバインダー;binder)の存在下またはバインダーの存在なしで調製し得る。組成物は、例えば、初期湿潤または真空浸透などにより、8族もしくは9族の金属または10族金属(貴金属)、好ましくはPtまたはPdでさらに含浸させてもよい。貴金属を組み込むと、パラフィンの異性化に対する触媒活性が促進され得る。
【0041】
より具体的な例では、混合金属酸化物に貴金属を含浸させることができ、貴金属は、混合金属酸化物および貴金属の総質量に基づいて、約0.01重量%~約2重量%、または約0.05重量%~約1.8重量%、または約0.1重量%~約1.6重量%、または約0.2重量%~約1.4重量%、または約0.3重量%~約1.2重量%、または約0.4重量%~約1重量%存在する。貴金属は、Pt、Pd、Rh、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの貴金属を含み得る。好ましくは、貴金属はPtを含む。
【0042】
本開示の混合金属酸化物は、第4族金属としてZr、および第6族金属としてWを含んでもよい。このような混合金属酸化物は、本明細書ではタングステン酸ジルコニウム酸化物触媒またはタングステン酸ジルコニウム触媒と呼ばれることがあり、それぞれ混合金属酸化物の総質量に基づいて約5重量%~約25重量%のW、約40重量%~約70重量%のZr、および約0.01重量%~約5重量%の可変酸化状態金属、好ましくはFeを含む。いくつかの場合では、混合酸化物は、それぞれ混合金属酸化物の総質量に基づいて、約9重量%~約20重量%のW、約40重量%~70重量%のZr、および約0.01重量%~2重量%の可変酸化状態金属を含む。好ましくは、混合金属酸化物は、混合金属酸化物の総質量に基づいて、約0.5重量%~0.7重可変酸化状態金属を含む。
【0043】
可変酸化状態金属は、Fe、Mn、Cu、Co、Ce、Ni、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択され得る。少なくとも1つの実施形態では、可変酸化状態金属はFeを含んでもよい。
【0044】
混合金属酸化物は、活性化されると、約10以上の転化率:クラッキング率比でまたは約10%以下のクラッキング率でn-ヘプタンを異性化するのに効果的であり得る。クラッキング率は、C5+アルカン供給混合物の異性化時に生成されるC~C炭化水素の質量によって決定され得る。
【0045】
本明細書では、混合金属酸化物は、約75m/g以上、または約85m/g以上の総表面積を有してもよい。より具体的な例では、混合金属酸化物の表面積は、約50m/g~約150m/g、または約60m/g~約120m/g、または約70m/g~約110m/gの範囲であってもよい。このような測定は、特にISO9277に準拠して、N BET吸着/脱着等温線によって行い得る。
【0046】
混合金属酸化物は、W原子/nmとして測定される、約2~約20(または約2.2~約18、または約2.4~約16、または約2.4~約14、または約2.6~約12、または約2.8~約10、または約3~約8、または約4~約12、または約5~約7)の範囲のタングステン(W)表面密度を有し得る。タングステン(W)の面密度は、(a)蛍光X線法により得られる、測定されたW含有量(重量%)と、(b)N BET法により得られる、測定された表面積とから計算することができる。
【0047】
混合金属酸化物は、単斜晶酸化ジルコニウム(m-ZrO)に対する単斜晶酸化タングステン(m-WO)のX線回折ピーク高さ比が0~約5の範囲であってもよい。m-WOは単斜晶酸化タングステンと同義である。m-ZrOは単斜晶酸化ジルコニウムと同義である。より好ましくは、X線回折ピーク高さ比は0~3の範囲であり得る。X線回折ピークは2θ値として表され、CuKα放射線を使用して決定される。次のおおよその2θピーク位置が特徴的である:m-WO=24.4°およびm-ZrO=28.4°。正方晶系ZrO(t-ZrO)は、30.2°の2θピーク位置に見出される。m-ZrOに対するm-WOの比率が高いほど、活性になるWが少なくなることに関連している可能性がある。
【0048】
本開示の組成物は、混合金属酸化物と組み合わせたバインダーをさらに含んでもよい。約50重量%までのバインダーが存在してもよい。バインダーは、W/Zr酸化物、W/Zr水酸化物、W酸化物、W水酸化物、Zr酸化物、Zr水酸化物、Fe酸化物、Fe水酸化物、Ti酸化物、Ti水酸化物、シリカ、シリカアルミナ、チタニアシリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、およびそれらの任意の組み合わせから成る群より選択される少なくとも1種の物質を含み得る。押し出されたサンプルも同様に自己結合し得る(つまり、バインダーが存在しない)。
【0049】
共沈および焼成によって組成物を調製する場合、第4族金属の適切な供給源としては、例えば、塩化物、オキシ塩化物、硝酸塩、酢酸塩、アルコキシドのような第4族の塩(例えば、Zr塩)が挙げられる。Tiおよび/またはYは、Zrと組み合わせて含まれていてもよい。第6族金属、好ましくはWを含むアニオンまたはオキシアニオンの適切な供給源としては、例えば、アンモニウムまたはアルカリ金属メタタングステン酸塩(NaまたはK)、アンモニウムまたはアルカリ金属メタモリブデン酸塩(NaまたはK)、塩化タングステン、塩化モリブデン、タングステン酸、モリブデン酸、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。可変酸化状態金属の適切な供給源としては、典型的には金属塩、特に水溶性金属塩、例えば金属硫酸塩、硝酸塩、および/または酢酸塩が挙げられる。前記金属がFeである場合、適切なFe源としては、FeSO、Fe(SO、Fe(NO、Fe(NO、または酢酸Fe(III)もしくは酢酸Fe(II)が挙げられる。前記金属がMnである場合、適切なMn源としては、MnSO、Mn(NO、または酢酸Mnが挙げられ得る。前記金属がCoである場合、適切なCo源としては、CoSO、Co(NO、または酢酸Coが挙げられ得る。前記金属がCuである場合、適切なCu源としては、CuSO、Cu(NO、または酢酸銅が挙げられ得る。前記金属がCeである場合、適切なCe源としては、Ce(SO、Ce(SO、Ce(NO、Ce(NO、または酢酸Ce(III)もしくは酢酸Ce(II)が挙げられ得る。前記金属がNiである場合、適切なNi源としては、NiSO、Ni(NO、または酢酸Niが挙げられ得る。
【0050】
共沈は、例えば、水酸化アンモニウムまたは水酸化アルキルアンモニウムの存在下のようなアルカリ性溶液中で起こり得る。水酸化物沈殿物は、最初に、第4族の塩、および第6族の金属を含むアニオンまたはオキシアニオンから形成され得る。水酸化物の沈殿物は非晶質であり、大きい表面積を有し得る。次いで、水酸化物沈殿物は、焼成によって混合金属酸化物に変換され得るが、焼成後の表面積はかなり小さくなる。焼成は、例えば、約600℃~約900℃、または約650℃~約850℃、または約700℃~約800℃の温度で大気中で行い得る。
【0051】
少なくとも1つの実施形態において、共沈後、得られた粉末は、(a)水で洗浄され、約110℃~140℃の範囲の温度(例えば、120℃)で乾燥され、(b)アンモニウム塩溶液で洗浄し、(c)約600℃から約900℃の範囲の温度で焼成し、(d)所望の形状に成形し、(e)アンモニウム塩溶液で洗浄し、(f)600℃以下で焼成する。次いで、金属(例えば、貴金属)を添加し、その金属を酸化して配位子を除去し、金属酸化物を形成し得る。次いで、パラフィンの異性化を行う前に、金属を還元し得る。組成物中のタングステンおよび他の成分も、このプロセスで還元を受け得る。
【0052】
焼成する前に、水酸化物沈殿物を温浸して、非晶質温浸生成物を形成し得る。温浸は、約25℃~約200℃、好ましくは約40℃~約150℃、または約60℃~約120℃の温度で行い得る。驚くべきことに、温浸温度は、焼成後に得られる表面積に大きな影響を与え得る。
【0053】
貴金属前駆体は、焼成による混合金属酸化物の形成に続いて、混合金属酸化物中に含浸されてもよい。貴金属前駆体を組み込むための適切な技術には、初期湿潤含浸、真空浸透含浸、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。貴金属前駆体は、Pt、Pd、Rh、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の貴金属が挙げられ得る。Ptの場合、貴金属前駆体は、例えば、(NHPtClのような混合リガンド(または配位子)を含む(NHPt(NO、(NHPt(OH)、(NHPtCl、HPtCl、、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される水溶性金属錯体を含んでもよい。他の混合リガンド複合体も適切であり得る。
【0054】
焼成によって形成されると、混合金属酸化物は、(適切な貴金属前駆体を介して)8~10族の金属、好ましくはPtまたはPdなどの貴金属で含浸され得るか、または最初に押し出されて例えば、ペレット、円筒、葉状構造のような適切な形状に混合金属酸化物を形成し得る。押出は、例えば、1/10インチのシリンダー、1/8インチのシリンダー、クアドルローブ、およびトライローブ、1/16インチのシリンダー、クアドルローブ、およびトライローブ、ならびに1/20インチのシリンダー、クアドルローブ、およびトライローブのような可能な形状およびサイズで実行し得る。押出は、例えば、セルロース、メチルセルロース、水素化またはエトキシル化油(例えば、野菜、ココナッツ、大豆、またはパーム)、および/またはポリマー(例えば、PVA)のような押出助剤の存在下で実施し得る。任意に、混合金属酸化物は、押出成形を行う前に、例えば、シリカ、アルミナ、または他の適切なバインダーのようなバインダーと混合し得る。いくつかの例では、焼成粉末の押出は、シリカ、チタニア、ランタナ、イットリア、ジルコニア、タングステン、鉄、タングステン/ジルコニア、およびそれらの混合物の酸化物または水酸化物をバインダーとして使用して実行され得る。したがって、本開示の方法は、混合金属酸化物から押出物を形成することをさらに含んで成り、任意に混合金属酸化物をバインダーと共押出して押出物を形成し得る。押出成形のための典型的な組成範囲は、重量基準でバインダー:混合金属酸化物が約0:100~50:50、好ましくは約0:100~35:65または約0:100~25:75である。押出成形に続いて、例えば、約600℃以下の温度で再び焼成を行い得る。
【0055】
少なくとも1つの実施形態では、押出は、(a)混合金属酸化物の乾燥粉末を形成すること、および乾燥粉末を約600℃~約900℃の範囲の温度で焼成して活性相を形成すること、または(b)最初に粉末を焼成して活性相を形成し、約600℃以下の温度で形成および焼成することのいずれかによって達成され得る。
【0056】
混合金属酸化物が形成されると、任意で押出に続いて、混合金属酸化物に、水素ガスの存在下、特に脱水素化/水素化機構を通じて異性化を促進するのに適した金属を含浸させ得る。この点に関しては、8~10族の金属が効果的であり得る。含浸は、例えば、初期湿潤法または真空浸透法を使用して行い得る。好ましくは、異性化を促進するのに適した金属は、例えば、PtまたはPdのような貴金属であり得る。Ptの場合、この金属を導入するための適切な供給源としては、例えば、塩化白金酸、テトラアンミン白金錯体、塩化白金、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。混合金属酸化物の含浸が行われた後、異性化を促進するのに適した金属は、同様に、例えば約280℃~約360℃の範囲の温度での焼成によって金属の酸化物形態に変換され得る。
【0057】
異性化方法
さらに、本開示の方法は、混合金属酸化物を水素下で加熱して活性化触媒を形成することと、少なくとも1つのC7+ノルマルアルカンから1もしくは2以上の分岐アルカンを形成することと、異性化反応条件下で活性化触媒を炭化水素原料と接触させることを含んで成り得、混合金属酸化物は少なくとも部分的に結晶質であり、約5重量%~約25重量%のタングステン、約40重量%~約70重量%のジルコニウム、および約0.01重量%~約5重量%の可変酸化状態金属を含み、混合金属酸化物には、それぞれ混合金属酸化物および貴金属の総質量に基づいて、さらに約0.01重量%~約2重量%の貴金属が含浸され、混合金属酸化物は、約50m/g以上の総表面積を有し、以下:約0.05~約0.3mmol/gのアンモニア取り込み、または約100μmol/gのコリジン取り込みの少なくとも1つを有し、炭化水素原料は少なくとも1つのC7+ノルマルアルカンを含み、炭化水素原料は少なくとも1種のC7+ノルマルアルカンを含む。
【0058】
少なくとも1つの実施形態において、活性化触媒は、例えば、記載される組成物によって定義されるような、ノルマルパラフィンの異性化を促進するのに有効な二官能性金属酸化物触媒(混合金属酸化物触媒)である。混合金属酸化物に貴金属を含浸させて、適切な二官能性金属酸化物触媒を形成し得る。
【0059】
炭化水素原料は、例えばC~Cのノルマルパラフィン、またはC7+のノルマルパラフィンおよび/または単分岐パラフィンのような少なくともC~C30のノルマルパラフィンを含み得る。炭化水素原料はまた、例えば、C~C30ノルマルパラフィンのようなC7+ノルマルパラフィン、ならびに単分岐パラフィン(例えば、C単分岐パラフィン、C単分岐パラフィンまたはC7+単分岐パラフィン)、Cノルマルパラフィン、Cノルマルパラフィンまたはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。したがって、本明細書の開示での使用に適した特定の炭化水素原料は、ノルマルまたは単分岐Cパラフィン、ノルマルまたは単分岐Cパラフィン、およびノルマルまたは単分岐Cパラフィンを含み得る。任意に、少なくともいくらかのノルマルまたは単分岐Cパラフィンも、そのような炭化水素原料中に存在してもよい。本明細書の開示での使用に適した他の適切な炭化水素原料は、C10ノルマルパラフィンまたは単分岐パラフィンを含み得る。前述のものはいずれも、1または2以上の芳香族化合物をさらに含んでもよい。
【0060】
任意に、1または2以上のナフテン系化合物を前述の炭化水素原料のいずれかと組み合わせてもよい。1または2以上のナフテン系化合物を共供給すると、クラッキングの発生率はさらに低下し得る。約10重量%以上のナフテン系化合物が炭化水素原料と組み合わせて存在してもよい。適切なナフテン系化合物としては、例えば、メチルシクロペンタン(MCP)、メチルシクロヘキサン(MCH)、またはそれらの任意の組み合わせのような分岐ナフテン系化合物が挙げられ得る。例えば、エチルシクロペンタン、プロピルシクロペンタン、1,1-ジメチルシクロペンタン、1,1-ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサンのような他の適切な分岐ナフテン系化合物も、本明細書の開示での使用に適し得る。二環式ナフテン系化合物も同様に適し得る。一般に、異性化反応条件下で第三級カルベニウムイオンを形成し得る任意のナフテン系化合物を、本明細書の開示において効果的に使用し得る。
【0061】
活性化触媒は、以下の異性化反応条件のうちの1または2以上の下で炭化水素原料と接触され得る:約150℃~約210℃の範囲の温度、好ましくは約150℃~約190℃の範囲の温度、約1:1~約3:1の範囲の水素と炭化水素原料とのモル比、約100psig~約350psigの範囲の圧力、ならびに約0.5h-1~約6h-1の範囲の液体時空間速度。水素分圧は、例えば、約50kPa~約2000kPaの範囲であってもよい。特定の例では、異性化反応条件は、約6hr-1以下、または約5hr-1以下、または約4hr-1以下の液体時空間速度、好ましくは約2hr-1~約5hr-1の範囲のLHSVを含み得る。
【0062】
異性化反応の条件としては、異性化反応を気相、超臨界相、または液相中で行うことができる。
【0063】
異性化反応条件は、C~Cノルマルパラフィンの約95%以下の転化率、または約90%以下の転化率、または約85%以下の転化率、または約80%以下の転化率、または約75%以下の転化率、または約70%以下の転化率をもたらし得る。特定の例では、C~CまたはC7+ノルマルパラフィンは約70%~約90%の変換が可能となり得る。n-ヘプタンのクラッキング率は約10重量%以下であり得、n-ヘプタン転化率:クラッキング率の比は、約10以上、例えば約10~約25、または約10~約20であってもよい。
【0064】
本明細書に開示される実施形態には、以下が含まれる。
【0065】
A.混合金属酸化物組成物 この組成物は、少なくとも部分的に結晶質であり、タングステン、ジルコニウム、および可変酸化状態金属を含む混合金属酸化物を含んで成り、可変酸化状態金属は、Fe、Mn、Co、Cu、Ce、およびNiからなる群より選択される金属を含み、混合金属酸化物は、それぞれ混合金属酸化物の総質量に基づいて約5重量%~約25重量%のタングステン、約40重量%~約70重量%のジルコニウム、および約0.01重量%~約5重量%の可変酸化状態金属を含み、混合金属酸化物は、ISO9277に準拠して測定する場合、約50m/g以上の総表面積を有し、以下:温度プログラム吸着/脱着によって測定する場合、約0.05~約0.3mmol/gのアンモニア取り込み、または重量測定する場合、約100μmol/g以上のコリジン取り込みのうちの少なくとも1つを有する。
【0066】
B.混合金属酸化物組成物の製造方法 この方法は、ジルコニウム源、タングステン源、および可変酸化状態金属源を、約7.5以上のpHを有するアルカリ性条件下で反応混合物中で混合することと、アルカリ条件下で、ジルコニウム源、タングステン源、および可変酸化状態金属源から形成される共沈反応生成物を含むスラリーを得ることと、スラリーを温浸し、共沈反応生成物から非晶質温浸生成物を形成することと、非晶質温浸生成物を大気中で約700℃から約900℃の範囲の温度で焼成して、混合金属酸化物を得ることとを含んで成り、可変酸化状態金属は、Fe、Mn、Co、Cu、Ce、およびNiからなる群から選択される金属を含み、混合金属酸化物は、少なくとも部分的に結晶質であり、それぞれ混合金属酸化物の総質量に基づいて、約5重量%の約25重量%のタングステン、約40重量%~約70重量%のジルコニウム、および約0.01重量%~約5重量%の可変酸化状態金属を含み、混合金属酸化物は、ISO9277に準拠して測定する場合、約50m/g以上の総表面積を有し、以下:温度プログラム吸着/脱着によって測定する場合、約0.05~約0.3mmol/gのアンモニア取り込み、または重量測定する場合、約100μmol/g以上のコリジン取り込みのうちの少なくとも1つを有する。
【0067】
C.分岐アルカンを製造する方法 この方法は、混合金属酸化物を水素下で加熱して活性化触媒を形成することと、活性化された触媒を異性化反応条件下で炭化水素原料と接触させることと、少なくとも1つのC7+ノルマルアルカンから1または2以上の分岐アルカンを形成することとを含んで成り、混合金属酸化物は少なくとも部分的に結晶質であり、約5重量%~約25重量%のタングステン、約40重量%~約70重量%のジルコニウム、および約0.01重量%~約5重量%の可変酸化状態金属を含み、混合金属酸化物には、それぞれ混合金属酸化物および貴金属の総質量に基づいて、さらに約0.01重量%~約2重量%の貴金属で含浸され、混合金属酸化物は、ISO9277に準拠して測定する場合、約50m/g以上の総表面積を有し、以下:温度プログラム吸着/脱離によって測定する場合、約0.05~約0.3mmol/gのアンモニア取り込み、または約100μmol/g以上のコリジン取り込みのうちの少なくとも1つを有し、炭化水素原料は、少なくとも1種のC7+ノルマルアルカンを含む。
【0068】
実施形態A、B、およびCは、以下の要素のうちの1つまたは2以上を任意に組み合わせて有し得る。
【0069】
要素1:混合金属酸化物に貴金属が含浸されており、貴金属は、混合金属酸化物および貴金属の総質量に基づいて、約0.01重量%~約2重量%存在する。
【0070】
要素2:貴金属は、Pt、Pd、Rh、およびそれらの任意の組み合わせから成る群より選択される少なくとも1つの貴金属を含む。
【0071】
要素3:混合金属酸化物は、活性化した場合、約10%以下のクラッキング率で約10以上の転化率:クラッキング率比でn-ヘプタンを異性化するのに有効である。
【0072】
要素4:混合金属酸化物は、活性化した場合、約10%以下のクラッキング率で約10~約15の転化率:クラッキング率比でn-ヘプタンを異性化するのに有効である。
【0073】
要素5:混合金属酸化物は、約60m/g~約130m/gの範囲の総表面積を有する。
【0074】
要素6:混合金属酸化物は、W原子/nmとして測定して、約2~約20の範囲のタングステン表面密度を有する。
【0075】
要素7:混合金属酸化物は、単斜晶酸化ジルコニウム(m-ZrO)に対する単斜晶酸化タングステン(m-WO)の0~約5の範囲の粉末X線回折ピーク高さ比を有する。
【0076】
要素8:混合金属酸化物は、それぞれ混合金属酸化物の総質量に基づいて、約9重量%~約20重量%のタングステン、約40重量%~70重量%のZr、および約0.01重量%~2重量%の可変酸化状態金属を含む。
【0077】
要素9:混合金属酸化物は、混合金属酸化物の総質量に基づいて、約0.5重量%~0.7重量%の可変酸化状態金属を含む。
【0078】
要素10:可変酸化状態金属は、Fe、Mn、Cu、Ce、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0079】
要素11:可変酸化状態金属はFeを含む。
【0080】
要素12:組成物は、混合金属酸化物と結合したバインダーをさらに含む。
【0081】
要素13:反応混合物は、タングステン源、より具体的にはメタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸アルカリ金属、塩化タングステン、タングステン酸、およびそれらの組み合わせから選択されるタングステン源を含む、第1溶液と、ジルコニウム源、特に、ジルコニウム塩、より具体的には、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウムおよび/またはアルコキシドから選択されるジルコニウム源、ならびに可変酸化状態金属源、特にその水溶性金属塩、より具体的には、約9~約10のpHを有するアルカリ性溶液中で、対応する金属の硫酸塩、硝酸塩、および/または酢酸塩から選択される可変酸化状態金属源を含む第2の溶液とを混合することによって形成される。
【0082】
要素14:方法は、焼成後、初期湿潤含浸、真空浸透含浸、またはそれらの任意の組み合わせによって、混合金属酸化物に貴金属前駆体を導入することをさらに含んで成る。
【0083】
要素15:貴金属前駆体は、(NHPt(NO、(NHPt(OH)、(NHPtCl、HPtCl、(NHPtCl、およびそれらの任意の組み合わせから成る群より選択される水溶性金属錯体を含む。
【0084】
要素16:混合金属酸化物から押出物を形成することをさらに含んで成る。
【0085】
要素17:混合金属酸化物をバインダーと共押出して押出物を形成する。
【0086】
要素18:バインダーは、W/Zr酸化物、W/Zr水酸化物、W酸化物、W水酸化物、Zr酸化物、Zr水酸化物、Fe酸化物、Fe水酸化物、Ti酸化物、Ti水酸化物、シリカ、シリカアルミナ、チタニアシリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、およびそれらの任意の組み合わせから成る群より選択される少なくとも1種の物質を含む。
【0087】
要素19:異性化反応条件は、以下のうちの1または2以上を含む:約150℃~約210℃の範囲の温度、約1:1~約3:1の範囲の水素と炭化水素原料との比、約150psig~約350psigの範囲の圧力、約0.5h-1~約6h-1までの範囲の液体時空間速度。
【0088】
非限定的な例として、Aに適用可能な例示的な組み合わせには、これらに限定されないが、例えば、1または2、および3;1または2、および4;1または2、および5;1または2、および6;1または2、ならびに6および7;1または2、および7;1または2、および8;1または2、および6~8;1または2、ならびに7および8;1または2、および9;1または2、および6~9;1または2、および10;1または2、および11;1または2、および12;1または2、ならびに4および5;1または2、および6;7および8;9および10;ならびに11および12が挙げられる。
【0089】
非限定的な例として、Bに適用可能な例示的な組み合わせには、これらに限定されないが、例えば、1または2、および3;1または2、および4;1または2、および5;1または2、および6;1または2、ならびに6および7;1または2、および7;1または2、および8;1または2、および6~8;1または2、ならびに7および8;1または2、および9;1または2、および6~9;1または2、および11;1または2、および12;1または2、および13;1または2、および14;1または2、および15;1または2、および16;1または2、および17;1または2、および18;1または2、ならびに13および14;1または2、および16;13および14;13および15;ならびに13および16、1または2、および16、および17、および18が挙げられる。
【0090】
非限定的な例として、Cに適用可能な例示的な組み合わせには、これらに限定されないが、例えば、1または2、および3;1または2、および4;1または2、および5;1または2、および6;1または2、ならびに6および7;1または2、および7;1または2、および8;1または2、および6~8;1または2、ならびに7および8;1または2、および9;1または2、および6~9;1または2、および11;1または2、および12;1または2、および13;1または2、および14;1または2、および15;1または2、および16;1または2、および17;1または2、および18;1または2、ならびに13および14;1または2、および16;13および14;13および15;ならびに13および16、4または5、および19が挙げられる。
【0091】
本開示のより良い理解を促進するために、好ましいまたは代表的な実施形態の以下の例が与えられる。以下の実施例は、決して本開示の範囲を限定したり、定義したりするものとして解釈されるべきではない。
【実施例
【0092】
実施例
実施例1:初期試薬濃度および反応条件
溶液Aの調製:ビーカー中で、71.7グラムの濃NHOHおよび14.9グラムの(NH1240・xHO(66.9%W)(メタタングステン酸アンモニウム、AMT)を、400mlのHO中で攪拌しながら混合し、60℃で加熱した。溶液Bの調製:138グラムのZrOCl・xHOおよび2.1グラムのFeSOを400mlのHOに溶解し、60℃で加熱した。別の容器(沈殿が起こる容器)に、839.4グラムの脱イオン水を加え、NHOHを加えてpHを9~10に調整した。次いで、アルカリ性溶液を40℃で攪拌した。攪拌しながら、溶液AおよびBをアルカリ性溶液に10ml/分で加えた。溶液AおよびBの添加が完了した後、得られたスラリーを40℃で1時間攪拌した。共沈が完了したら、スラリーを別の容器(例えば、ポリプロピレンボトルまたはテフロンボトル)に移し、100℃で72時間温浸させた。温浸後、得られた粉末を濾過し、水で洗浄した。この時点で粉末をNHNOで洗浄してもまたはしなくてもよく、追加の水で洗浄し、120℃で乾燥させてもよい。次いで、粉末を700℃~850℃の範囲の温度で大気中で焼成して、粉末の活性酸化物形態を調製し、前記粉末は平均で0.61重量%のFe、15.4重量%のW、および54.0重量%のZrで構成されていた。粉末X線回折パターン(図示せず)には、主に正方晶系酸化ジルコニウムと、場合によっては少量の単斜晶系酸化タングステンが含まれていた。単斜晶系酸化タングステン:単斜晶系酸化ジルコニウムの粉末X線回折による平均ピーク高さの比は、750℃で焼成後、0.55であった。より高い焼成温度(>800℃)では、単斜晶酸化タングステンおよび単斜晶酸化ジルコニウムの量が増加した。得られた表面積は89m/g、NH取り込みはそれぞれ平均で0.16mmol/gであった。
【0093】
実施例2:共沈中の2倍の試薬濃度
この実施例は、溶液AおよびBのスケールを2倍にしたことを除いて、実施例1と同様の方法で実施した。溶液AおよびBを、共沈のために同体積のアルカリ溶液に加えた。溶液Aの調製:ビーカー中で、143.5グラムの濃NHOHおよび29.8グラムの(NH1240・xHO(66.9%W)(メタタングステン酸アンモニウム、AMT)を400mlのHO中で攪拌し、60℃で加熱した。溶液Bの調製:276グラムのZrOCl・xHOおよび4.2グラムのFeSOを400mlのHOに溶解し、60℃で加熱した。別の容器(沈殿が起こる容器)に、839.4グラムの脱イオン水を加え、NHOHを用いてpHを9~10に調整した。アルカリ性溶液を容器内で40℃で攪拌した。攪拌しながら、溶液AおよびBをアルカリ性溶液に10ml/分で加えた。溶液AおよびBの添加が完了した後、スラリーを40℃で1時間攪拌した。共沈が完了したら、スラリーを別の容器(ポリプロピレンボトルまたはテフロンボトルなど)に移し、100℃で72時間温浸させた。温浸後、得られた粉末を濾過し、水で洗浄した。この時点で粉末をNHNOで洗浄してもまたはしなくてもよく、その後追加の水で洗浄し、120℃で乾燥させてもよい。次いで、粉末を空気中で700℃~850℃の範囲の温度で焼成して、粉末の活性酸化物形態を調製した。粉末は、平均で0.65重量%のFe、16.4重量%のW、および54.1重量%のZrで構成されていた。粉末X線回折パターン(図示せず)には、主に正方晶系酸化ジルコニウムと、場合によっては少量の単斜晶系酸化タングステンとが含まれていた。750℃で焼成後の単斜晶酸化タングステン:単斜晶酸化ジルコニウムの粉末X線回折による平均ピーク高さの比は0.53であった。より高い焼成温度(>800℃)では、単斜晶酸化タングステンおよび単斜晶酸化ジルコニウムの量が増加した。それぞれ平均で、得られた表面積は96m/g、NH取り込みは0.17mmol/gであった。
【0094】
実施例3:共沈中の2倍の試薬濃度、および25℃での共沈
この実施例は、共沈を23℃~25℃で1時間実施したことを除いて、実施例2と同様の方法で実施した。得られた活性酸化物は、平均で0.51重量%のFe、8.9重量%のW、および64.1重量%のZrで構成されていた。粉末X線回折パターン(図示せず)には、主に正方晶系酸化ジルコニウムと、場合によっては少量の単斜晶系酸化タングステンが含まれていた。750℃で焼成後の単斜晶酸化タングステン:単斜晶酸化ジルコニウムの粉末X線回折からの平均ピーク高さの比は0.44であった。より高い焼成温度(>800℃)では、単斜晶酸化タングステンおよび単斜晶酸化ジルコニウムの量が増加した。それぞれ平均で、得られた表面積は93m/g、NH取り込みは0.19mmol/gであった。
【0095】
実施例4:共沈殿中の2倍の試薬濃度、25℃での共沈殿および25℃温浸
本実施例は、共沈を23℃~25℃で行い、温浸を25℃で行った以外は実施例2と同様に実施した。粉末の活性酸化物形態は、平均で0.68重量%のFe、15.9重量%のW、および54.3重量%のZrで構成されていた。粉末X線回折パターン(図示せず)には、主に正方晶系酸化ジルコニウムと、場合によっては少量の単斜晶系酸化タングステンとが含まれていた。750℃で焼成後の単斜晶酸化タングステン:単斜晶酸化ジルコニウムの粉末X線回折からの平均ピーク高さの比は0.60であった。より高い焼成温度(>800℃)では、単斜晶酸化タングステンおよび単斜晶酸化ジルコニウムの量が増加した。それぞれ平均で、得られた表面積は60m/g、NH取り込みは0.11mmol/gであった。
【0096】
実施例5:共沈中の4倍の試薬濃度
この実施例は、溶液AおよびBの両方および共沈用のアルカリ性溶液においてより濃縮されたスケールで行ったことを除いて、実施例1と同様の方法で実施した。溶液Aの調製: ビーカー中で、179.4グラムの濃NHOHおよび37.3グラムの(NH1240・xHO(66.9%W)(メタタングステン酸アンモニウム、AMT)を250mlのHO中で攪拌しながら混合し、60℃で加熱した。溶液Bの調製:345グラムのZrOCl・xHOおよび5.3グラムのFeSOを250mlのHOに溶解し、60℃で加熱した。別の容器で、525グラムの脱イオン水をNHOHでpH9~10に調整した。アルカリ性溶液を40℃で攪拌した。攪拌しながら、溶液AおよびBをアルカリ性溶液に10ml/分で加えた。溶液AおよびBの添加が完了した後、スラリーを40℃で1時間攪拌した。共沈が完了したら、スラリーを別の容器(例えば、ポリプロピレンボトルまたはテフロンボトル)に移し、100℃で72時間温浸させた。温浸後、得られた粉末を濾過し、水で洗浄した。この時点で粉末はNHNOで洗浄されてもまたは洗浄されなくてもよい。粉末を追加の水で洗浄し、120℃で乾燥させた。次に、粉末を大気中、700℃~850℃の温度範囲で焼成して、粉末の活性酸化物形態を調製し、粉体は、平均で0.62重量%のFe、16.0重量%のW、および54.9重量%のZrで構成されていた。粉末X線回折パターン(図1)は、主に正方晶系酸化ジルコニウムと、場合によっては少量の単斜晶系酸化タングステンとを含んでいた。750℃で焼成後の単斜晶酸化タングステン:単斜晶酸化ジルコニウムの粉末X線回折による平均ピーク高さの比は0.90であった。より高い焼成温度(>800℃)では、単斜晶酸化タングステンおよび単斜晶酸化ジルコニウムの量が増加した。それぞれ平均で、得られた表面積は82m/g、NH取り込みは0.14mmol/gであった。
【0097】
実施例6:元の容器での共沈および温浸中の4倍の試薬濃度
この実施例は、40℃で1時間攪拌した後、容器内の温度を100℃に上昇させ、スラリーを100℃で72時間温浸させた以外は実施例5と同様に行った。温浸後、得られた粉末を濾過し、水で洗浄した。この時点で粉末はNHNOで洗浄されてもまたは洗浄されなくてもよい。粉末を追加の水で洗浄し、120℃で乾燥させた。次に、粉末を大気中、700℃~850℃の範囲の温度で焼成して、粉末の活性酸化物形態を調製し、粉体は、平均で0.65重量%のFe、16.2重量%のW、および54.1重量%のZrで構成されていた。粉末X線回折パターン(図1)は、主に正方晶系酸化ジルコニウムと、場合によっては少量の単斜晶系酸化タングステンとを含んでいた。単斜晶系酸化タングステン:単斜晶系酸化ジルコニウムの粉末X線回折からの平均ピーク高さの比は、750℃で焼成後、1.09であった。より高い焼成温度(>800℃)では、単斜晶酸化タングステンおよび単斜晶酸化ジルコニウムの量が増加した。それぞれ平均で、得られた表面積は87m/g、NH取り込みは0.16mmol/gであった。
【0098】
実施例7:23~25℃での共沈および温浸中の4倍の試薬濃度
この実施例は、温浸を23℃~25℃で行った以外は実施例5と同様に実施した。温浸後、得られた粉末を濾過し、水で洗浄した。この時点で粉末はNHNOで洗浄されてもまたは洗浄されなくてもよい。粉末を追加の水で洗浄し、120℃で乾燥させた。次に、粉末を大気中、700℃~850℃の温度範囲で焼成して、粉末の活性酸化物形態を調製し、粉末は、平均で0.71重量%のFe、17.1重量%のW、および52.6重量%のZrで構成されていた。粉末X線回折パターン(図1)は、主に正方晶系酸化ジルコニウムと、場合によっては少量の単斜晶系酸化タングステンとを含んでいた。単斜晶系酸化タングステン:単斜晶系酸化ジルコニウムの粉末X線回折からの平均ピーク高さの比は、750℃で焼成後、0.50であった。より高い焼成温度(>800℃)では、単斜晶酸化タングステンおよび単斜晶酸化ジルコニウムの量が増加した。得られた表面積は、それぞれ平均で62m/g、NH取り込みは0.13mmol/gであった。
【0099】
実施例8:23~25℃で1時間の共沈および温浸中の4倍の試薬濃度
本実施例は、温浸を23℃~25℃で1時間行った以外は実施例5と同様に行った。温浸後、得られた粉末を濾過し、水で洗浄した。温浸後、得られた粉末を濾過し、水で洗浄した。この時点で粉末はNHNOで洗浄されてもまたは洗浄されなくてもよい。粉末を追加の水で洗浄し、120℃で乾燥させた。次いで、粉末を大気中で700℃~850℃の温度範囲で焼成して、粉末の活性酸化物形態を調製し、粉末は、平均で、0.72重量%のFe、17.4重量%のW、および52.3重量%のZrで構成されていた。粉末X線回折パターン(図1)は、主に正方晶系酸化ジルコニウムと、場合によっては少量の単斜晶系酸化タングステンとを含んでいた。750℃で焼成後の単斜晶酸化タングステン:単斜晶酸化ジルコニウムの粉末X線回折からの平均ピーク高さの比は1.38であった。より高い焼成温度(>800℃)では、単斜晶酸化タングステンおよび単斜晶酸化ジルコニウムの量が増加した。それぞれ平均で、得られた表面積は52m/g、NH取り込みは0.10mmol/gであった。
【0100】
実施例9:W濃度をさらに増加させた共沈中の4倍の試薬濃度
この実施例は、W濃度を25%増加させたことを除いて、実施例5と同様の方法で実施した。溶液Aの調製:ビーカー中で、254.6グラムの濃NHOHおよび52.9グラムの(NH1240・xHO(66.9%W)(メタタングステン酸アンモニウム、AMT)を、355mlのH2O中で攪拌しながら混合し、60℃で加熱した。溶液Bの調製:392グラムのZrOCl・xHOおよび6.0グラムのFeSOを284mlのHOに溶解し、60℃で加熱した。別の容器で、525グラムの脱イオン水をNHOHでpH9~10に調整した。アルカリ性溶液を40℃で攪拌した。攪拌しながら、溶液AおよびBをアルカリ性溶液に10ml/分で加えた。溶液AおよびBの添加が完了した後、スラリーを40℃で1時間攪拌した。共沈の完了時に、スラリーを別の容器(例えば、ポリプロピレンボトルまたはテフロンボトル)に移し、23℃~25℃で72時間温浸させた。温浸後、得られた粉末を濾過し、水で洗浄した。この時点で粉末はNHNOで洗浄されてもまたは洗浄されなくてもよい。粉末を追加の水で洗浄し、120℃で乾燥した。次いで、粉末を大気中、700℃~850℃の温度範囲で焼成し、活性酸化物形態の粉末を調製し、粉末は、平均で0.60重量%のFe、19.2重量%のW、および52.0重量%のZrで構成されていた。粉末X線回折パターン(図示せず)には、主に正方晶系酸化ジルコニウムと、場合によっては少量の単斜晶系酸化タングステンとが含まれていた。単斜晶系酸化タングステン:単斜晶系酸化ジルコニウムの粉末X線回折からの平均ピーク高さの比は、750℃で焼成後、3.86であった。より高い焼成温度(>800℃)では、単斜晶酸化タングステンおよび単斜晶酸化ジルコニウムの量が増加した。それぞれ平均で、得られた表面積は85m/g、NHの取り込みは0.16mmol/gであった。
【0101】
実施例10:W濃度をさらに低下させた共沈中の4倍の試薬濃度
この実施例は、W濃度を25%減少させた以外は実施例5と同様の方法で実施した。溶液Aの調製:ビーカー中で、181.8グラムの濃NHOHおよび28.0グラムの(NH1240・xHO(66.9%W)(メタタングステン酸アンモニウム、AMT)を、248mlのHO中で攪拌しながら混合し、60℃に加熱した。溶液Bの調製:345グラムのZrOCl・xHOおよび5.3グラムのFeSOを284mlのHOに溶解し、60℃で加熱した。別の容器で、525グラムの脱イオン水をNHOHでpH9~10に調整した。アルカリ性溶液を40℃で攪拌した。攪拌しながら、溶液AおよびBをアルカリ性溶液に10ml/分で加えた。溶液AおよびBの添加が完了した後、スラリーを40℃で1時間攪拌した。共沈の完了時に、スラリーを別の容器(例えば、ポリプロピレンボトルまたはテフロンボトル)に移し、23℃~25℃で72時間温浸させた。温浸後、得られた粉末を濾過し、水で洗浄した。この時点で粉末はNHNOで洗浄されてもまたは洗浄されなくてもよい。粉末を追加の水で洗浄し、120℃で乾燥した。次いで、粉末を空気中、700℃~850℃の温度範囲で焼成し、活性酸化物形態の粉末を調製し、粉末は、平均で、0.66重量%のFe、13.2重量%のW、および56.0重量%のZrで構成されていた。粉末X線回折パターン(図示せず)には、主に正方晶系酸化ジルコニウムと、場合によっては少量の単斜晶系酸化タングステンとが含まれていた。750℃で焼成後の単斜晶酸化タングステン:単斜晶酸化ジルコニウムの粉末X線回折からの平均ピーク高さの比は0.31であった。より高い焼成温度(>800℃)では、単斜晶酸化タングステンおよび単斜晶酸化ジルコニウムの量が増加した。それぞれ平均で、得られた表面積は86m/g、NH取り込みは0.17mmol/gであった。
【0102】
実施例11:2倍のFe濃度による共沈中の4倍の試薬濃度
この実施例は、FeSOの量を2倍(10.5グラム)としたことを除いて、実施例5と同じ方法で実施した。温浸後、得られた粉末を濾過し、水で洗浄した。この時点で粉末はNHNOで洗浄されてもまたは洗浄されなくてもよい。粉末を追加の水で洗浄し、120℃で乾燥させた。次に、粉末を大気中、700℃~850℃の温度範囲で焼成して、活性酸化物形態の粉末を調製し、粉末は、平均で、1.25重量%のFe、16.0重量%のW、および54.0重量%のZrで構成されていた。粉末X線回折パターン(図示せず)には、主に正方晶系酸化ジルコニウムと、場合によっては少量の単斜晶系酸化タングステンとが含まれていた。単斜晶系酸化タングステン:単斜晶系酸化ジルコニウムの粉末X線回折からの平均ピーク高さの比は、750℃で焼成後、1.74であった。より高い焼成温度(>800℃)では、単斜晶酸化タングステンおよび単斜晶酸化ジルコニウムの量が増加した。それぞれ平均で、得られた表面積は80m/g、NH取り込みは0.16mmol/gであった。
【0103】
実施例12:5分の1のFe濃度による共沈中の4倍の試薬濃度
この実施例は、FeSOの量を5分の1(1.1グラム)減少させたことを除いて、実施例5と同様の方法で実施した。温浸後、得られた粉末を濾過し、水で洗浄した。この時点で粉末はNHNOで洗浄されてもまたは洗浄されなくてもよい。粉末を追加の水で洗浄し、120℃で乾燥した。次に、粉末を大気中、700℃~850℃の温度範囲で焼成して、粉末形態の活性酸化物を調製し、粉末は、平均で0.15重量%のFe、16.9重量%のW、および54.1重量%のZrで構成されていた。粉末X線回折パターン(図示せず)には、主に正方晶系酸化ジルコニウムと、場合によっては少量の単斜晶系酸化タングステンとが含まれていた。750℃で焼成後の単斜晶酸化タングステン:単斜晶酸化ジルコニウムの粉末X線回折からの平均ピーク高さの比は1.08であった。より高い焼成温度(>800℃)では、単斜晶酸化タングステンおよび単斜晶酸化ジルコニウムの量が増加した。それぞれ平均で、得られた表面積は86m/g、NHの取り込みは0.16mmol/gであった。
【0104】
実施例13:初期試薬条件でのFeのCu置換
この実施例は、FeSOの代わりに1.7グラムのCuSOを使用したことを除いて、実施例1と同じ方法で実施した。温浸後、得られた粉末を濾過し、水で洗浄した。この時点で粉末はNHNOで洗浄されてもまたは洗浄されなくてもよい。粉末を追加の水で洗浄し、120℃で乾燥させた。次に、粉末を大気中、700℃~850℃の温度範囲で焼成して、活性酸化物形態の粉末を調製し、粉末は、平均で0.5重量%のCu、15重量%のW、および54重量%のZrで構成されていた。粉末 X 線回折パターン(図示せず)には、主に正方晶系酸化ジルコニウムと、場合によっては少量の単斜晶系酸化タングステンとが含まれていた。より高い焼成温度(>800℃)では、単斜晶酸化タングステンおよび単斜晶酸化ジルコニウムの量が増加した。それぞれ平均で、得られた表面積は91m/g、NHの取り込みは0.17mmol/gであった。
【0105】
実施例14:初期試薬条件でのFeのMn置換
この実施例は、FeSOの代わりに1.7グラムのMnSOを使用したことを除いて、実施例1と同じ方法で実施した。温浸後、得られた粉末を濾過し、水で洗浄した。この時点で粉末はNHNOで洗浄されてもまたは洗浄されなくてもよい。粉末を追加の水で洗浄し、120℃で乾燥させた。次に、粉末を大気中、700℃~850℃の温度範囲で焼成して、活性酸化物形態の粉末を調製し、粉末は、平均で0.5重量%のMn、15重量%のW、および54重量%のZrで構成されていた。粉末X線回折パターン(図示せず)には、主に正方晶系酸化ジルコニウムと、場合によっては少量の単斜晶系酸化タングステンとが含まれていた。より高い焼成温度(>800℃)では、単斜晶酸化タングステンおよび単斜晶酸化ジルコニウムの量が増加した。それぞれ平均で、得られた表面積は88m/g、NHの取り込みは0.18mmol/gであった。
【0106】
実施例15:初期試薬条件におけるFeのCe置換
この実施例は、FeSOの代わりに2.0グラムのCe(SO水和物を使用したことを除いて、実施例1と同じ方法で実施した。温浸後、得られた粉末を濾過し、水で洗浄した。この時点で粉末はNHNOで洗浄されてもまたは洗浄されなくてもよい。粉末を追加の水で洗浄し、120℃で乾燥させた。次に、粉末を空気中、700℃~850℃の温度範囲で焼成して、活性酸化物形態の粉末を調製し、粉末は、平均で0.5重量%のCe、15重量%のWおよび54重量%のZrで構成されていた。粉末X線回折パターン(図示せず)には、主に正方晶系酸化ジルコニウムと、場合によっては少量の単斜晶系酸化タングステンとが含まれていた。より高い焼成温度(>800℃)では、単斜晶酸化タングステンおよび単斜晶酸化ジルコニウムの量が増加した。それぞれ平均で、得られた表面積は93m/g、NH取り込みは0.18mmol/gであった。
【0107】
実施例16:Feを使用しない共沈中の4倍の試薬濃度
この実施例は、溶液B中の反応混合物にFeSOが含まれないことを除いて、実施例5と同様の方法で実施された。温浸後、得られた粉末を濾過し、水で洗浄した。この時点で粉末はNHNOで洗浄されてもまたは洗浄されなくてもよい。粉末を追加の水で洗浄し、120℃で乾燥した。次に、粉末を大気中、700℃~850℃の温度範囲で焼成して、粉末の活性酸化物形態を調製した。この粉末は、平均で0.02重量%のFe、15重量%のW、および55重量%のZrで構成されていた。粉末X線回折パターン(図示せず)には、主に正方晶系酸化ジルコニウムと、場合によっては少量の単斜晶系酸化タングステンとが含まれていた。より高い焼成温度(>800℃)では、単斜晶酸化タングステンおよび単斜晶酸化ジルコニウムの量が増加した。それぞれ平均で、得られた表面積は100m/g、NH取り込みは0.20mmol/gであった。
【0108】
実施例17:一般的な押出条件
粉末サンプルの自己結合押出は、LANCASTER粉砕機で5分間混練した粉末100gを使用して、1インチのDIAMOND AMERICA押出機で実施した。最初の混練期間に続いて、10gのCAPLUBE(登録商標)エトキシル化ヒマシ油を混練粉末に加え、さらに5分間混練を行った。次に、十分な量の水を加えて、1/16インチのクワドルローブの押出用のペーストを形成した。押出後、押出物を120℃で数時間乾燥させた。押出物はNHNOで洗浄してもまたは洗浄しなくてもよい。乾燥後、押出物を1000°F(537.7℃)で4時間焼成して、最終押出物を調製した。このタイプの押出物の典型的な圧壊強度は>50ポンド/インチであった。
【0109】
実施例18:HPtClを使用して0.5重量%の目標金属含有量までPtを装填すること
押出物上への金属塩の初期湿潤含浸に必要な水の量を決定するために、水の取り込みを測定した。水の取り込みの95%~98%を取得し、希釈用の金属塩ストック溶液の量を差し引いて、含浸用の希釈金属塩溶液を形成するのに必要な水の量を決定した。50gの押出物に、3.3gの水で希釈した6.5gのHPtClの3.8%Pt溶液を含浸させた。Pt溶液の量は、押出物上のPt充填率0.5重量%を目標とするように選択された。溶液を乾燥押出物上に噴霧した。次いで、押出物を120℃で乾燥させた。次いで、押出物を空気中300℃で3時間焼成して、酸化物形態のPt塩を生成した。押出物上のPt分散は、CO化学吸着により測定する場合、30%から45%の間の範囲であった。押出物を水素下、180℃~220℃で2~3時間還元して、触媒の活性形態を調製した。
【0110】
実施例19:(NHPt(NOを使用して0.5重量%の目標金属含有量までPtを装填すること
この実施例は、7.9gの3.2%(NHPt(NOを2.0gの水で希釈し、金属含浸に使用したことを除いて、実施例18と同様の方法で実施した。押出物上の金属の分散は、CO化学吸着によって測定すると、25%から40%の間の範囲であった。押出物を水素下、180℃~220℃で2~3時間還元して、触媒の活性形態を調製した。
【0111】
表1は、実施例1~12で製造されたサンプルの様々な特性をまとめたものである。表面積は、N BET吸着/脱着等温線によって決定された。NH取り込みは温度プログラムされた吸着/脱着によって測定され、コリジン取り込みは重量測定によって測定された。粉末X線回折ピークは、CuKα線を使用して測定された。以下のおおよその2θピーク位置が特徴的である:m-WO=24.4°、m-ZrO=28.4°、および正方晶系ZrO(t-ZrO)=30.2°。
【0112】
【表1】
【0113】
表2は、実施例1~12で製造されたサンプルのW表面密度を含む組成プロファイルをまとめたものである。タングステン(W)の表面密度は、(a)蛍光X線により得られたW含有量の測定値(重量%)、ならびに(b)N BETにより得られた表面積の測定値とから計算した。
【0114】
【表2】
【0115】
図1は、実施例5~8で製造されたサンプルの粉末XRDプロファイルおよびそれらの対応する表面積を示すグラフである。粉末XRDパターンは、異なる合成条件下で形成された単斜晶酸化タングステンおよび単斜晶酸化ジルコニウムの量を示していた。
【0116】
図2Aおよび2Bは、それぞれ実施例1および5で製造されたサンプルの、処理の様々な段階における粉末XRDプロファイルおよびそれらの対応する表面積を示すグラフである。両方のサンプルの粉末XRDパターンは、未焼成材料(水酸化物)のブロードな回折ピークを示した。これは、焼成前の層状前駆体に関連している可能性がある。層状前駆体は、焼成生成物よりも大幅に大きな表面積を有していた。高温で焼成すると、小さな酸化タングステンクラスターおよび正方晶酸化ジルコニウムが形成された。
【0117】
図3は、3つの異なる温度で焼成された実施例5の混合金属酸化物の粉末XRDプロファイルを示すグラフである。温度が閾値を超えて上昇すると、単斜晶酸化タングステン種および単斜晶酸化ジルコニウムが形成され、続いて表面積が減少し、すべて触媒の活性が低下した。
【0118】
表3は、実施例5で製造された混合金属酸化物の様々な特性に対する焼成温度の影響を示す。アンモニアおよびコリジンの取り込み値(表面酸性度を表す)は、活性触媒の形成前に測定した。図4は、実施例5で製造された混合金属酸化物の焼成温度の関数としての表面酸性度の分散を示すグラフである。
【0119】
【表3】
【0120】
いくつかのサンプルの性能試験を以下に示す。データは、ハイスループット装置(hte GmbHハイスループット実験(HTE)会社によって開発された16チャネルフローユニット)またはマイクロユニットのいずれかで収集された。すべての例は自己結合材料として押出成形され、0.5重量%Ptを目標として塩化白金酸を含浸され、別段の指定がない限り、実施例17および18に記載のとおりであった。
【0121】
図5は、温度160℃、200psig、H:n-ヘプタン比2における、実施例5の混合金属酸化物のクラッキング率の関数としてのn-ヘプタン転化率:クラッキング率の比のグラフである。さまざまなLHSV値の下で、最大約9%のクラッキング率が観察された。示されているように、n-ヘプタン転化率:クラッキング率の比は、クラッキング率が低い場合に著しく増加した。約5%のクラッキング率では、当該比は約13であった。
【0122】
表4~8は、上記の例で調製され、以下に特定される条件下で反応させた様々なサンプルから得られた異性化データをまとめたものである。
【0123】
表4は、様々な触媒サンプルの存在下、170℃、257psig、2LHSV、および2:1のH:炭化水素比で得られた反応データをまとめたものである。2hr-1のLHSV、170℃、250psigで、80%を超えるn-ヘプタン転化率が実現された。触媒の活性化は次のように実施した:触媒を100sccmのN下で300℃で1時間加熱し、次いで100sccmのH下、350psigで3時間220℃で加熱した。RONは、Ghoshら著、Ind .Eng. Chem. Res., 2006年、337~345ページ、45に特定されるように決定された。
【0124】
【表4】
【0125】
表5は、160℃、207psig、4LHSV、および2:1のH:炭化水素比で得られた反応データをまとめたものである。触媒は表4と同じ方法で活性化した。
【0126】
【表5】
【0127】
表6は、160℃、207psig、2LHSV、およびH:炭化水素比2:1で得られた反応データを示す。これらの条件下では、n-ヘプタンの60%を超える転化率が実現された。触媒は表4と同じ方法で活性化した。
【0128】
【表6】
【0129】
表7は、様々なプロセス条件下で調製されたサンプルの存在下で異性化されたn-ペンタン、n-ヘキサン、およびn-ヘプタンの個々の供給物についての反応データを示す。反応データは、170℃、188psig、3WHSV、およびH:炭化水素比2:1で得られた。これらの条件下で、供給混合物中のn-ペンタンの>25%、n-ヘキサンの>55%、およびn-ヘプタンの>90%が変換を受けた。触媒の活性化は次のように実施した:100sccmのN下で300℃で1時間加熱し、次いで100sccmのH下で350psig、220℃で24時間加熱した。
【0130】
【表7】
【0131】
表8は、750℃で焼成し、貴金属を含浸させた触媒(実施例5)に対するn-ペンタンおよびn-ヘキサンの個々の供給物の様々な温度での反応データを示す。反応データは、350psig、2LHSV、およびH:炭化水素比2:1で収集された。触媒の活性化は以下のように実施した:100sccmのN下で300℃で1時間加熱し、次に100sccmのH下で350psig、180℃で3時間加熱した(マイクロ単位)。
【0132】
【表8】
【0133】
本明細書に記載されるすべての文書は、本テキストと矛盾しない範囲で、優先文書および/または試験手順を含め、そのような慣行が許可されるすべての法域の目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。前述の一般的な説明および特定の実施形態から明らかなように、本発明の形態を図示および説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な修正を加えることができる。したがって、本開示がそれによって限定されることを意図するものではない。例えば、本明細書に記載の組成物は、本明細書に明示的に記載または開示されていない成分または組成を含まなくてもよい。いずれの方法も、本明細書に記載または開示されていないステップを欠いていてもよい。同様に、「含む(comprising)」という用語は「含む(including)」という用語と同義であると考えられる。方法、組成物、要素、または要素の群の前に移行句「含む(comprising)」が付けられる場合は常に、同じ組成物または要素の群を移行句「から本質的になる(consisting essentially of)」、「からなる(consisting of)」、「からなる群より選択される(selected from the group of consisting of)」、または「である(is)」は、構成、要素、または要素の規定に先行し、その逆も同様である。
【0134】
1つ以上の本発明の要素を組み込んだ1つ以上の例示的な実施形態が本明細書に提示される。明確にするために、本願では物理的な実装のすべての機能が説明または表示されているわけではない。本開示の1つ以上の要素を組み込んだ物理的実施形態の開発では、例えば、システム関連、ビジネス関連、政府関連、その他の制約への準拠のような開発者の目標を達成するには、多数の実装固有の決定を下す必要があることが理解され、これらの制約はjっ層ごとにまたはその時々によって異なる。開発者の努力は時間がかかるかもしれないが、それでも、そのような努力は、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては日常的な作業である。
【0135】
別段の指示がない限り、本明細書および関連する特許請求の範囲で使用される、例えば、成分の量、分子量などの特性、反応条件などを表す全ての数字は、すべての場合において用語「約(about)」によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、特に明記しない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本開示の実施形態によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限するものではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効桁数を考慮して、通常の丸め手法(rounding technique)を適用することによって解釈されるべきである。
【0136】
下限値および上限値を有する数値範囲が開示されるときは常に、その範囲内に含まれる任意の数値および任意の範囲が、下限値および上限値を含めて具体的に開示される。特に、すべて値の範囲(「約aから約bまで(from about a to about b)」、または同等に「約aからbまで(from approximately a to b)」、または同等に「約a~bまで(from approximately a-b)」の形式)本明細書に開示される「a~b(a-b)」)は、より広い値の範囲内に含まれるあらゆる数値および範囲を示すものと理解されるべきである。また、特許請求の範囲内の用語は、特許権者によって明示的かつ明確に定義されていない限り、その明白な通常の意味を有する。さらに、特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a」または「an」は、それが導入する1つまたは複数の要素を意味するように本明細書で定義される。
【0137】
したがって、本開示は、言及された目的および利点、ならびに本開示に固有のものを達成するのによく適合する。上に開示した特定の実施形態は単なる例示であり、本開示は、本明細書の教示の恩恵を受ける当業者にとって明白な、異なるが同等の方法で修正および実施することができる。さらに、以下の特許請求の範囲に記載されているものを除き、本明細書に示される構造または設計の詳細に対して制限を意図するものではない。したがって、上で開示した特定の例示的な実施形態が変更、結合、または修正され得ることは明らかであり、そのような変形はすべて本開示の範囲および精神内にあるとみなされる。本明細書に例示的に開示される実施形態は、本明細書に具体的に開示されていない要素および/または本明細書に開示される任意の要素が存在しない場合でも適切に実施することができる。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に結晶質であり、タングステンとジルコニウムと可変酸化状態金属とを含む混合金属酸化物を含んで成り、
前記可変酸化状態金属は、Fe、Mn、Co、Cu、Ce、Ni、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される金属を含み、
前記混合金属酸化物は、それぞれ前記混合金属酸化物の総質量に基づいて、5重量%~25重量%のタングステン、40重量%~70重量%のジルコニウム、および0.01重量%~5重量%の可変酸化状態金属を含み、
前記混合金属酸化物は、ISO 9277に準拠して測定する場合、50m/g以上の総表面積を有し、かつ以下:
温度プログラムされた吸着/脱着によって測定する場合、0.05~0.3mmol/gのアンモニア取り込み、または
重量測定する場合、100μmol/g以上のコリジン取り込み
の少なくとも1つを有する、組成物。
【請求項2】
前記混合金属酸化物は貴金属で含浸され、前記貴金属は混合金属酸化物および貴金属の総質量に基づいて0.01重量%~2重量%存在し、
好ましくは前記貴金属は、Pt、Pd、Rh、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の貴金属を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記混合金属酸化物は、活性化された場合、10以上の転化率:クラッキング率比で、10%以下のクラッキング率でn-へプタンを異性化するのに有効である、請求項に記載の組成物。
【請求項4】
前記混合金属酸化物は、60m/g~130m/gの範囲の総表面積を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
前記混合金属酸化物は、2~20の範囲でW原子/nmとして測定されるタングステン表面密度を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項6】
前記混合金属酸化物は、単斜晶酸化ジルコニウム(m-ZrO)に対する単斜晶酸化タングステン(m-WO)の粉末X線回折ピーク高さ比が0~5の範囲である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項7】
前記混合金属酸化物は、それぞれ前記混合金属酸化物の総質量に基づいて、9重量%~20重量%のタングステン、40重量%~70重量%のZr、および0.01重量%~2重量%の可変酸化状態金属、好ましくは前記混合金属酸化物の総質量に基づいて、0.5重量%~0.7重量%の可変酸化状態金属を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項8】
前記可変酸化状態金属は、Fe、Mn、Cu、Ceおよびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択され
前記可変酸化状態金属は、Feを含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項9】
さらに、前記混合金属酸化物と混ぜ合わされたバインダーを含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1~のいずれか1項に記載の組成物を製造する方法であって、
.5以上のpHを有するアルカリ条件下で、ジルコニウム源、タングステン源、および可変酸化状態金属源を反応混合物中で混ぜ合わせることと、
前記アルカリ条件下で、前記ジルコニウム源、前記タングステン源、および前記可変金属状態金属源から形成された共沈反応生成物を含むスラリーを得ることと、
前記スラリーを温浸し、前記共沈反応生成物から非晶質温浸生成物を形成することと、
00℃~900℃の範囲の温度で、大気中で前記非晶質温浸生成物を焼成することと
を含んで成り、
前記可変酸化状態金属は、Fe、Mn、Co、Cu、Ce、Ni、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される金属を含む、方法。
【請求項11】
前記反応混合物は、前記タングステン源を含む第1溶液と、前記ジルコニウム源および前記可変酸化状態金属源を含む第2溶液とを9~10のpHを有するアルカリ溶液中で混ぜ合わせることにより形成される、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記混合金属酸化物は貴金属で含浸され、前記貴金属は、混合金属酸化物および貴金属の総質量に基づいて、0.01重量%~2重量%存在し、
好ましくは前記貴金属は、Pt、Pd、Rh、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の貴金属を含む、請求項10または11に記載の製造方法。
【請求項13】
さらに、焼成後に、初期湿潤含浸、真空浸透含浸、またはそれらの任意の組み合わせにより貴金属前駆体を前記混合金属酸化物に導入することを含んで成り、
好ましくは前記貴金属前駆体は、(NH Pt(NO 、(NH Pt(OH) 、(NH PtCl 、H PtCl 、(NH PtCl およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される水溶性金属錯体を含む、請求項10または11に記載の製造方法。
【請求項14】
さらに、前記混合金属酸化物から抽出物を形成することを含んで成り、
好ましくは前記混合金属酸化物は、バインダーと共抽出され、前記抽出物を形成し、
より好ましくは前記バインダーが、W/Zr酸化物、W/Zr水酸化物、W酸化物、W水酸化物、Zr酸化物、Zr水酸化物、Fe酸化物、Fe水酸化物、Ti酸化物、Ti水酸化物、シリカ、シリカアルミナ、チタニアシリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の物質を含む、請求項10または11に記載の製造方法。
【請求項15】
前記ジルコニウム源は、ジルコニウム塩から選択され、前記タングステン源はメタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸アルカリ金属、塩化タングステン、タングステン酸、およびそれらの組み合わせから選択され、前記可変酸化状態金属源は、対応する水溶性金属塩から選択され、
好ましくは前記ジルコニウム源は、ジルコニウムの、塩化物、オキシ塩化物、硝酸塩、酢酸塩、アルコキシド、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され、前記可変酸化物状態金属は対応する金属の、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項10または11に記載の製造方法。
【請求項16】
水素下で請求項1、4、5または6に記載の混合金属酸化物を加熱して、活性化触媒を形成することと、
異性化反応条件下で、少なくとも1種のC7+ノルマルアルカンを含む炭化水素原料と前記活性化された触媒を接触させることと、
前記少なくとも1種のC7+ノルマルアルカンから1または複数の分岐アルカンを形成することと
を含んで成り、
前記混合金属酸化物は請求項1で規定されたものであり、前記混合金属酸化物は混合金属酸化物および貴金属の総質量に基づいて0.01重量%~2重量%の貴金属でさらに含浸される、方法。
【請求項17】
前記活性化触媒は、10以上の転化率:クラッキング率比、10%以下のクラッキング率でn-ヘプタンを異性化するのに有効である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記異性化反応条件は、以下:
50℃~210℃の範囲の温度、
:1~3:1の範囲の炭化水素原料に対する水素の比率、
50psig~350psigの範囲の圧力、ならびに
.5h-1 ~6-1の範囲の液体時空間速度
の1または複数を含む、請求項16または17に記載の方法。
【国際調査報告】