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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】スマート静脈カテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/01 20060101AFI20240625BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A61B5/01 100
A61B5/00 102A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577747
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2022066375
(87)【国際公開番号】W WO2022263549
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/211,677
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】591002131
【氏名又は名称】ベー・ブラウン・メルズンゲン・アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】B.BRAUN MELSUNGEN AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ジョ アン
(72)【発明者】
【氏名】シャーマン,シャリエナ
(72)【発明者】
【氏名】タン,アイク アウン
(72)【発明者】
【氏名】ロー,ジア チューン
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XB04
4C117XD11
4C117XE23
4C117XE27
4C117XE36
4C117XE52
4C117XJ11
4C117XJ48
(57)【要約】
スマート静脈カテーテル(IVC)アセンブリ(201)が、患者の組織に対して決められた位置でIVC(212)を保持するように構成された安定化プラットフォーム(202)と、安定化プラットフォーム(202)に機械的に支持されたセンサモジュール(204)とを含む。センサモジュール(204)は、患者の組織の物理的特徴を検出し、患者の組織の物理的特徴を表す検出データを生成するように構成された少なくとも1つのセンサと、安定化プラットフォーム(202)から遠隔のスマートデバイス(506)に検出されたデータを送信するように構成されたトランシーバ(502H)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の組織に対して決められた位置でIVCを保持するように構成された安定化プラットフォーム(202)と、
前記安定化プラットフォーム(202)に機械的に支持されたセンサモジュール(204)と、
を含み、
前記センサモジュール(204)が、
前記患者の前記組織の物理的特徴を検出し、前記患者の組織の前記物理的特徴を表す検出データを生成するように構成された少なくとも1つのセンサと、
前記安定化プラットフォームから遠隔のスマートデバイス(506)に前記検出データを送信するように構成されたトランシーバ(502H)と、を含む、
スマート静脈カテーテル(IVC)アセンブリ(201)。
【請求項2】
前記安定化プラットフォーム(202)が、スロット(203)を含み、前記センサモジュール(204)が、前記スロット(203)内に挿入された回路基板を含む、
請求項1に記載のスマート静脈カテーテル(IVC)アセンブリ(201)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのセンサは、前記患者の前記組織の前記物理的特徴を検出するために、温度センサ(502C)、NIRエミッタ(502A)、フォトダイオード(502B)、圧力センサ、バイオセンサ、又は光学フローセンサのうち少なくとも1つを含む、
請求項1又は2に記載のスマート静脈カテーテル(IVC)アセンブリ(201)。
【請求項4】
前記センサモジュール(204)は、前記少なくとも1つのセンサを前記患者の前記組織から決められた距離に位置付けるべく、前記IVC(212)と前記患者の前記組織との間における前記安定化プラットフォームの一部に取り付けられる、
請求項1から3のいずれか1項に記載のスマート静脈カテーテル(IVC)アセンブリ(201)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサが、前記センサモジュール(204)に直接取り付けられ、又は前記センサモジュール(204)に離れて接続される、
請求項1から4のいずれか1項に記載のスマート静脈カテーテル(IVC)アセンブリ(201)。
【請求項6】
前記センサモジュール(204)は、抗菌コーティングで覆われるか、医療用のシュリンクラップで封入されるか、又は密封されたハウジングに封入されるかの少なくとも1つである、
請求項1から5のいずれか1項に記載のスマート静脈カテーテル(IVC)アセンブリ(201)。
【請求項7】
前記安定化プラットフォーム(202)は、
前記患者の前記組織に対して前記安定化プラットフォーム(202)を安定化させるためのベース部(202A)と、
前記患者の前記組織に対して決められた位置及び決められた角度で、前記IVC(212)を保持するためのランプ部(202B)と、を含む、
請求項1から6のいずれか1項に記載のスマート静脈カテーテル(IVC)アセンブリ(201)。
【請求項8】
前記安定化プラットフォーム(202)は、可撓性を有するゴム、又は可撓性を有するプラスチック材料で製造されている、
請求項1から7のいずれか1項に記載のスマート静脈カテーテル(IVC)アセンブリ(201)。
【請求項9】
前記安定化プラットフォーム(202)は、前記患者の前記組織に対して前記安定化プラットフォーム(202)を安定化させるべく横方向に延在するウィング(304A,304B)を含む、
請求項1から8のいずれか1項に記載のスマート静脈カテーテル(IVC)アセンブリ(201)。
【請求項10】
前記センサモジュール(204)は、前記ウィング(304A,304B)に、又は前記ウィング(304A,304B)間における前記安定化プラットフォーム(202)の一部に取り付けられている、
請求項9に記載のスマート静脈カテーテル(IVC)アセンブリ(201)。
【請求項11】
患者の組織に対して決められた位置にIVC(212)を保持する安定化プラットフォーム(202)に取り付けられたセンサモジュール(204)のセンサによって、前記患者の前記組織の物理的特徴を検出することと、
前記センサモジュール(204)の前記センサによって、前記患者の組織の前記物理的特徴を表す検出データを生成することと、
前記センサモジュール(204)のトランシーバ(502H)によって、前記検出データを遠隔のスマートデバイス(506)に前記安定化プラットフォーム(202)から送信することと、
前記スマートデバイス(506)によって前記患者に又は医療提供者に、前記検出データに関連するデータを出力することと、
を含む、スマート静脈カテーテル(IVC)方法。
【請求項12】
前記スマートデバイス(506)によって、出力されるデータとして、前記検出データ又は警告のうちの少なくとも一方を出力する、
請求項11に記載のスマート静脈カテーテル(IVC)方法。
【請求項13】
前記センサモジュール(204)の前記トランシーバ(502H)によって、前記患者に装着された前記スマートデバイス(506)の電子リーダバンドに、前記検出データを送信する、
請求項11又は12に記載のスマート静脈カテーテル(IVC)方法。
【請求項14】
前記センサモジュール(204)の前記トランシーバ(502H)によって、前記医療提供者によって操作される前記スマートデバイス(506)に前記検出データを送信する、
請求項11から13のいずれか1項に記載のスマート静脈カテーテル(IVC)方法。
【請求項15】
前記センサモジュール(204)の前記センサによって、前記物理的特徴として、前記組織の温度、前記組織の光学的特性、又は前記組織の生物学的サンプルのうちの少なくとも1つを検出する、
請求項11から14のいずれか1項に記載のスマート静脈カテーテル(IVC)方法。
【請求項16】
前記スマートデバイス(506)のソフトウェアアプリケーションによって、前記センサモジュール(204)に制御信号を送信し、前記制御信号は、前記患者の前記組織の前記物理的特徴を検出し、前記スマートデバイス(506)に前記検出データを送信するように、前記センサモジュール(204)を制御する、
請求項11から15のいずれか1項に記載のスマート静脈カテーテル(IVC)方法。
【請求項17】
前記センサモジュール(204)の前記トランシーバ(502H)によって、前記検出データを、前記患者の記録に保存するために医療データベースサーバに送信する、
請求項11から16のいずれか1項に記載のスマート静脈カテーテル(IVC)方法。
【請求項18】
前記センサモジュール(204)又は前記スマートデバイス(506)によって、前記患者の前記組織の健康状態を計算し、
前記スマートデバイス(506)によって、出力されたデータとして、前記組織の前記健康状態を出力する、
請求項11から17のいずれか1項に記載のスマート静脈カテーテル(IVC)方法。
【請求項19】
前記センサモジュール(204)の前記センサによって、前記安定化プラットフォームと前記組織との間の位置で、前記組織の前記物理的特徴を検出する、
請求項11から18のいずれか1項に記載のスマート静脈カテーテル(IVC)方法。
【請求項20】
前記センサモジュール(204)の前記センサによって、前記安定化プラットフォームから離れた位置で前記組織の前記物理的特徴を検出する、
請求項11から19のいずれか1項に記載のスマート静脈カテーテル(IVC)方法。
【請求項21】
中央プロセッサと、
患者のIVC挿入部位で体温を測定し、第1温度データを生成するように構成された第1温度センサ、及び
前記第1温度データを前記中央プロセッサに送信するように構成された第1トランシーバ、
を備えるセンサモジュール(204)と、
前記IVC挿入部位から離れた患者の基準部位で体温を測定し、第2温度データを生成するように構成された第2温度センサと、
前記第2温度データを前記中央プロセッサに送信するように構成された第2トランシーバと、
を備え、
前記中央プロセッサは、前記第1温度データを前記第2温度データと比較して温度差を決定し、前記温度差が所定閾値に達しているときに信号を生成するように構成されている、
スマート静脈カテーテル(IVC)アセンブリ(201)。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年6月17日に提出された米国仮出願第63/211,677号からの優先権の利益を主張する。本出願の内容は、その全体があらゆる目的のために参照によりここに組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
ここに開示される主題は、スマート静脈カテーテルシステムを提供するための装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
静脈(IV)点滴治療による水分、薬剤、及び非経口栄養の投与は、今日の医療において、最も一般的な処置の1つである。入院患者の約80%がIV治療を受けており、米国では毎年約330百万個の抹消IVセットが販売されている。脱水症、感染症、及び病気に対する簡単且つ効果的な日常医療には、IV治療が不可欠である。しかし、この救命処置がここ数年で進歩してきたにも関わらず、抹消IV注入液が漏れ始めたこと、それによりIV投与を目的に作られた薬剤及び輸液が皮下組織に漏れ出て蓄積することを継続的に監視可能とし且つ自動的に検出可能とする簡単なソリューションは、いまだ市場に存在しない。湿潤が発生すると、患者へのダメージは、疼痛及び発赤から、神経/組織の損傷及び四股の切断に至るまで、多岐にわたる可能性がある。IV湿潤の頻度は驚くほど高い。IV湿潤以外にも、静脈炎やCRBSI(カテーテル関連血流感染)のような、他の合併症も問題となっている。静脈の炎症に関連する静脈炎は、IV合併症として2番目に発生頻度が高い。静脈カテーテル(IVC)に起因する菌血症の存在によって引き起こされるCRBSIは、感染した患者を外科的介入に導き、場合により死に至るおそれのある最も深刻な合併症の一つである。したがって、IV合併症が最悪になる前にできる限り早期に検出することが重要である。
【発明の概要】
【0004】
スマート静脈カテーテル(IVC)アセンブリは、患者の組織に対して決められた位置にIVCを保持するように構成された安定化プラットフォームと、安定化プラットフォームによって機械的に支持されたセンサモジュールとを含む。センサモジュールは、少なくとも1つのセンサと、トランシーバとを含み、センサは、患者の組織の物理的特徴を検出し、患者の組織の物理的特徴を表す検出データを生成するように構成されており、トランシーバは、検出データを遠隔のスマートデバイスに安定化プラットフォームから送信するように構成されている。
【0005】
スマート静脈カテーテル(IVC)方法は、患者の組織に対して決められた位置にIVCを保持する安定化プラットフォームに取り付けられたセンサモジュールのセンサによって、患者の組織の物理的特徴を検出することを含む。センサモジュールのセンサによって、患者の組織の物理的特徴を表す検出データを生成することと、センサモジュールのトランシーバによって、検出データを遠隔のスマートデバイスに安定化プラットフォームから送信することと、スマートデバイスによって患者又は医療提供者に、検出データに関連する出力データを出力することとを含む。
【0006】
スマート静脈カテーテル(IVC)アセンブリは、中央プロセッサと、センサモジュールとを備え、センサモジュールは、患者のIVC挿入部位で体温を測定して第1温度データを生成するように構成された第1温度センサと、第1温度データを中央プロセッサに送信するように構成された第1トランシーバとを備える。第2温度センサは、IVC挿入部位から離れた患者の基準部位で体温を測定し、第2温度データを生成するように構成されている。第2トランシーバは、第2温度データを中央プロセッサに送信するように構成されている。中央プロセッサは、第1温度データを第2温度データと比較して温度差を決定し、温度差が所定閾値に達しているときに信号を生成するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本開示の一態様に係る、皮膚の一部の断面図。
図1B】本開示の一態様に係る、静脈カテーテルの斜視図。
図2A】本開示の一態様に係る、リーダバンドに接続されたスマート静脈カテーテルの斜視図。
図2B】本開示の一態様に係る、図2Aのスマート静脈カテーテル用のセンサモジュールの斜視図。
図2C】本開示の一態様に係る、図2Bのセンサモジュールの斜視図であって、人間の皮膚の一部からの光の反射の例を示す図。
図2D】本開示の一態様に係る、患者に挿入される静脈カテーテルを備えた図2Aのスマート静脈カテーテルの側面図。
図2E】本開示の一態様に係る、遠隔に配置されたNIRエミッタを備え、ケーブルを介してセンサモジュールと接続されたスマート静脈カテーテルアセンブリの斜視図。
図2F】本開示の一態様に係る、患者に挿入された静脈カテーテルを備えた図2Eのスマート静脈カテーテルアセンブリの側面図。
図2G】本開示の一態様に係る、センサモジュールを保持するためのギャップを備えた図2Aのスマート静脈カテーテルアセンブリの断面図。
図2H】本開示の一態様に係る、複数の温度センサを備えたセンサモジュールの斜視図。
図3A】本開示の一態様に係る、安定化ウィングを備えたスマート静脈カテーテルアセンブリの3つの斜視図。
図3B】本開示の一態様に係る、安定化ウィング及び内部センサモジュールを備えたスマート静脈カテーテルアセンブリの斜視図である。
図4】本開示の一態様に係る、図3Bのセンサモジュールの2つの斜視図。
図5】本開示の一態様に係る、スマート静脈カテーテルシステムの図。
図6】本開示の一態様に係る、スマート静脈カテーテルシステムのデータ収集及び処理を示すフローチャート。
図7】本開示の一態様に係る、スマート静脈カテーテルシステムのソフトウェアアプリケーションを実行するスマートデバイスの図。
図8】本開示の一態様に係る、スマート静脈カテーテルシステムの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明では、関連する教示の完全な理解を提供することを目的として、多数の具体的な詳細を例として記載する。しかし、本教示がそのような詳細がなくても実施できることは当業者には明らかであるはずである。他の場合には、本教示の態様を不必要に曖昧にすることを避けることを目的として、よく知られた方法、手順、構成要素、及び回路が、詳細を省略しつつ比較的高水準で説明されている。
【0009】
イントロダクション
ここに開示される装置、システム、及び方法は、静脈炎、湿潤、CRBSI等の静脈カテーテル(IVC)合併症を早期の段階で検出するために提供される。装置、システム、及び方法は、臨床医及び医療提供者(例えば、医者、看護士、技士)が、静脈合併症を悪化する前にできる限り早期に診断するのに役立つ。装置、システム、及び方法は、IVC挿入部位を継続的に監視し、既存の患者の電子医療記録(EMR)と統合され得る。装置、システム、及び方法は、カテーテルを固定し、IVCの抜去やよじれを防ぐのにも役立つ。
【0010】
図1Aは、表皮層102、真皮層104、及び皮下層106を含む人間の皮膚の一部の断面図100である。IVCの針を人間の皮膚に挿入すると、針が、表皮102を貫通し、動脈110、脂肪細胞112、コラーゲン線維114、油腺116、毛包118等の皮膚層の解剖学的特徴を通過し、目的の静脈108を穿孔する。
【0011】
図1Bに示すIVCの例は、患者の皮膚に挿入されたIVCを示している。この挿入は、体の様々な部位(例えば、腕、手、首等)で起こり得る。IVCは、カテーテル124、カテーテルハブ122、指押下げ板121、フラッシュバックチャンバ123、及びカテーテル針126を含み得る。施術中、カテーテル針126は、フラッシュバックがフラッシュバックチャンバ123内で視認可能となりカテーテル針126が目的の静脈を突き刺したことが確認されるまで、皮膚内へと挿入され、進入される。フラッシュバックが視認可能になると、カテーテル針126が、静脈内へと更に進入され、IVCの全体が、患者の皮膚上に下げられて平らに置かれる。押下げ板121を使用して、カテーテル124は、フラッシュバックがカテーテル124内で視認可能となりカテーテル124が静脈内に位置することが確認されるまで、針から出て静脈内へ進入される。カテーテル124が、静脈内に完全に進入されると、針が、カテーテルハブ122から引き抜かれ、隔壁(図示せず)が閉じ、カテーテルハブ122からの血液の流れを止める。ルアー接続がカテーテルハブ122内に挿入されると、隔壁は、強制的に開き、血液の採取又は患者への薬剤の投与が可能となる。
【0012】
しかし、上記のとおり、IV流体又は薬剤が周辺組織に漏れると、湿潤が生じるおそれがある。これは、カテーテルの不適切な留置又は抜去によって生じるおそれがある。一例では、このような状態を回避したり監視したりするため、スマートIVCアセンブリが利用される。スマートIVCアセンブリは、カテーテルの抜去を減らすための(例えば、柔らかい材料で製造された)安定化プラットフォームと、安定化プラットフォームと患者の皮膚との間に配置されるセンサモジュールとを含む。センサモジュールは、温度センサと、エミッタ及びレシーバを有する光学センサとを含み得る。温度センサは、挿入部位の温度変化を検出する一方、光学センサのエミッタは、例えば近赤外(NIR)光等のように、生物組織及びその内部に存在する任意の流体によって吸収及び反射される光を使用する。NIRと関連しているスペクトルは、組織を透過可能であり、反射エネルギーの変化は、センサのレシーバによって捕捉され、IVC部位の周囲の領域が正常であるか湿潤したかを判断するために処理される。一例では、NIRエミッタは、皮膚組織にNIRを射出し、光検出器が、本社された光信号を収集する。IV流体が間質腔に湿潤すると、組織の光学密度が変化し、その結果、収集される光信号が変化する。測定された信号の違いから、湿潤流体が皮下層に存在していることが推測される。
【0013】
デバイス/システムハードウェア
スマートIVCアセンブリの一例が図2Aに示されており、スマートIVCカテーテルアセンブリ201は、リーダバンド206に(有線又は無線で)接続されている。より具体的には、スマートIVCカテーテルアセンブリ201は、IVC212、安定化プラットフォーム202、及びセンサモジュール204を含む。この例では、安定化プラットフォーム202は、ベース部202A、ランプ部202B、及びカテーテルマウント202C、並びにセンサモジュール204を所定の位置に保持するためのスロット(図示せず)を含む。安定化プラットフォーム202は、患者に快適で衛生的な状態を提供しながらIVC212を所定の位置で保持するために十分に頑丈な材料(例えば、プラスチック、ゴム等)によって製造されてもよい。IVC212は、安定化プラットフォーム202で機械的に支持されるのであれば、どのようなタイプのカテーテルであってもよい。例えば、IVC212は、カテーテルマウント202C(例えば、スリーブ開口)に、スライド又はスナップされて固定される。
【0014】
実際、患者が入院するとき、患者にリーダバンド206が提供される。登録中に、患者には、患者IDが割り当てられ、患者の投薬及び治療に関する情報が収集される。患者が病室に収容されると、看護士が、モバイルデバイス(図示せず)を介してモバイルアプリケーション(図示せず)を使用して患者を登録し、患者の情報が、アプリケーション内で視認可能になる。次いで、看護士は、患者にIVC処置を行い、センシングモジュールが挿入されているカテーテル安定化プラットフォームを使用して通常どおりに挿管処理を実行し、スマートIVCアセンブリ上に包帯を配置してIVCとセンサモジュールとの両方を固定する。実際、カテーテル挿入は、IVC212を安定化プラットフォーム202に取り付ける前後に行われてもよい。カテーテルが挿入されると、安定化プラットフォーム202のベース部202Aは、患者の皮膚(例えば、腕、手等)に静置され、不所望に動くのを避けるためにベース部202Aには包帯が装着され得る。安定化プラットフォーム202は、カテーテルのよじれや抜去を避けるため、適切な角度でIVC212を保持する。
【0015】
次いで、センサモジュールとリーダバンドとの間で、接続が(例えば、無線接続208Aを介して無線で、又は物理ワイヤ208Bを介して有線で)確立される。図示しないが、リーダバンドは、看護士のモバイルデバイスとも無線で接続する。接続208Aのような無線接続は、Wi-fi、Bluetooth、無線周波数識別(RFID)、又は任意の他の同等の無線プロトコルであってもよい。接続が完了すると、看護士は、モバイルデバイス上のモバイルアプリケーションを通じて、注射部位の初期の臨床徴候及び症状を監視し始める。患者は、リーダバンドから直接的に聴覚的及び視覚的な通知を受け取ることもできる。これらの通知は、注射部位における合併症の徴候及び症状を示している可能性がある。
【0016】
センサモジュール204が、図2Bにより詳細に示されており、NIR光源212、NIR光検出器213、温度センサ214、バッテリ219、サポート電子機器215、及びプロセッサ217を含み、これらはプリント回路基板216に取り付けられている。なお、バッテリ219(例えば、リチウムイオン)は、充電式バッテリ、又はマイクロバッテリ(例えば、0.5mm×3.6mm×5.6mm、45mAh)と称される薄型バッテリであってもよく、このようなバッテリは、交換可能であってもよく、センサモジュール204の動作寿命が続くように設計されていてもよい。バッテリ219は、センサモジュールが無線である構成において、センサモジュールに実装される。センサモジュールが有線である構成においては、電力がリーダバンドからケーブルを介して直接供給されてもよい。
【0017】
この例では、センサモジュール204は、幅10mm及び長さ20mmを有する。なお、センサモジュール204の寸法は、安定化プラットフォーム202及び搭載の電子機器の寸法によって変化し得る。例えば、センサモジュール204の寸法は、安定化プラットフォーム20の下側の取付スロットに嵌合するように設計され得る。なお、センサモジュールの全体が密封され、後で別の患者に再利用するために滅菌され得る(例えば、アルコールで洗浄される)。
【0018】
動作中、図2Cに示すように、センサモジュール204は、患者の皮膚内の湿潤流体の存在を監視するために使用される。例えば、図(A)では、センサモジュール204が、安定化プラットフォーム202の下に位置する患者の皮膚に向けて光(例えば、NIR光)216を射出する。次いで、光226は、湿潤流体の有無によって異なる態様で吸収/反射される。次いで、反射光224は、NIRレシーバ(例えば、フォトダイオード)によって検出され、(例えば、湿潤流体の有無を判断するため)プロセッサ214によって処理される。この処理の別の略図が図(B)に示されており、NIR源228は、皮膚組織102を透過し、注入流体232の分子と相互作用する。この分子によって反射される赤外線放射224が、NIR検出器230によって検出され、プロセッサ214で処理される。図示しないが、センサモジュールは、患者の生物学的サンプル中の特定の分子を検出するバイオセンサを含んでいてもよい。例えば、バイオセンサは、湿潤又はその他の医学的問題を示す分子が存在するか判断するため、患者の血液と接触するプローブを含み得る。
【0019】
図2Dは、挿入され、患者の挿入部位を監視するスマートIVCアセンブリの例240を示している。この例では、スマートIVCアセンブリ242のカテーテルが患者の静脈108に挿入され、スマートIVCアセンブリ242の安定化プラットフォームが患者の腕に固定される。監視中、センサモジュールの光学センサ241、センサモジュールの温度センサ243、及びリーダバンドの温度センサ245が患者の皮膚を監視する。センサモジュールは、浸潤流体246の有無を検出するため皮膚102からの反射光を分析する。注射部位の温度が、注射部位での合併症を示し得る体温を超えているか又はそれ未満であるかを判定するため、温度センサ243によって測定された挿入部位の温度が、温度センサ245によって検出された患者の体温と比較される。
【0020】
例えば、看護士が、センサモジュールによって検出された平均温度上昇(例えば、2℃)があるという通知をモバイルアプリケーションから受け取ると、患者は、静脈炎と診断され得る。流体の漏れにより組織の光学的特性に変化がある場合、患者は浸潤/溢出と診断され得る。ある研究によると、0.7℃/cm未満の温度低下が、患者に溢出があると評価するために最適なカットオフである。モバイルアプリケーションを通じて監視される体温が38.3℃を超えると、重症患者は感染症について評価される必要があり、CRBSIと診断され得る。
【0021】
別の例では、図2Eに示すスマートIVCアセンブリ250においては、NIRエミッタ252が、NIR検出器254から物理的に分離されている。例えば、NIR検出器254は、上記のとおり、センサモジュール上に配置されていてもよい。しかし、NIRエミッタ252は、ユーザの皮膚上の遠隔箇所に取り付けられるように、有線を介して(又は無線で)延長される。これは、患者の皮膚に挿入されるカテーテルの全長を監視するのに有益であり得る。
【0022】
例えば、図2Fは、挿入され、患者の挿入部位を監視するスマートIVCアセンブリ254の一例を示す。この例では、スマートIVCアセンブリ254のカテーテルが、患者の静脈108に挿入され、スマートIVCアセンブリ254の安定化プラットフォームが患者の皮膚(例えば、腕)に固定される。IVC監視中、光エミッタ252は、スマートIVCアセンブリ254から離れたユーザの皮膚の遠隔箇所に配置され、光262を患者の皮膚内へと射出する。(センサモジュール上に配置された)光学センサ253は、皮膚102からの反射光262を分析し、浸潤流体248の有無を検出する。この構成は、(例えば、NIR光がカテーテルの長さを横切り)挿入点から患者の静脈内に位置する遠位端までのカテーテルの全長を監視できるため、有益である。この領域全体に沿って存在する湿潤流体248は、流体によるNIR光の吸収/反射により、検出可能となる。
【0023】
図2Gは、図2Aに示すスマートIVCアセンブリ201の断面図を示す。この図では、安定化プラットフォーム202が、センサモジュール204(明示せず)を挿入して保持するため、底面にスロット203を含むことが明らかである。安定化プラットフォーム202は、センサモジュール204を(スロット203に挿入されたときに)ユーザの皮膚から一定の距離に保持するためのギャップ260を有することにより、非接触温度センサを収容するように構成され得る。代わりに、安定化プラットフォーム202は、センサモジュール204が(スロット203に挿入されたときに)ユーザの皮膚に対して直接保持されるように、ギャップ260を有さないことにより、接触温度センサを収容するように構成されてもよい。この構成により、センサがユーザの皮膚に確実に接触し、センサの正確な読み取りが可能になる。
【0024】
センサモジュールは、温度閾値と比較される1つの温度センサを有するように説明されているが、他の構成では、センサモジュールは、比較のため、挿入部位付近の複数箇所で温度読み取り値を取得するための複数の温度センサを有していてもよい。このような構成は、挿入部位にある主温度センサと、挿入部位からより離れた少なくとも1つの近位温度センサとを含むことができる。主温度センサの読み取り値を閾値と比較するよりむしろ、主温度センサの読み取り値を近位温度センサの読み取り値と比較し、流体浸潤の存在を判定する。
【0025】
例えば、図2Hは、センサモジュール270の斜視図を示しており、センサモジュール270は、挿入部位温度(IST)を測定する温度センサ272(例えば、挿入部位に最も近くに配置された主センサ)と、近位基準温度(PRT)を測定するため挿入部位近くの様々な位置に配置された1以上の追加温度センサ274,276,278とを有する。この例では、PRTは、3つ全ての追加温度センサの平均読み取り値として計算され得る。
【0026】
いずれの場合においても、温度差ΔTが、ISRとPRTとの間で計算される(ΔT=IST-PRT)。通常の状況下では、ΔTはゼロに近いはずである。しかし、挿入部位が流体湿潤によって昇温し始めると。ΔTはゼロではなくなる(例えば、ISRはPRTよりも大きくなる)。したがって、ΔTは、流体湿潤が生じているか否かを判定するため、非ゼロの閾値と比較され得る。
【0027】
図2Aは、ベース部分及びランプ部分を備えた安定化プラットフォーム202を有するスマートIVCアセンブリを示すが、安定化プラットフォームは異なる形態をとっていてもよい。一例では、図3Aに示すように、安定化プラットフォームは、IVCを所定の位置に保持する安定化ウィングの形態をとっていてもよい。例えば、図(A)に示すように、安定化プラットフォームは、安定化ウィング304A/304Bと、取付スロット308とを含んでもよい。安定化ウィング304A/304Bは、ユーザの皮膚上に平らに置かれるようにヒンジ接続され、可撓性を有し、又は湾曲されてもよい。取付スロット308は、IVC302を所定の位置に保持する。図(C)に示すように、安定化プラットフォームは、安定化ウィング304A/304Bの下に取り付けられた光学センサ310及び温度センサ312を有するセンサモジュールを含む。明確にするため、断面図(B)も示す。光学センサ310及び温度センサ312は、図2Aのセンサモジュールに関して上記したものと同様の方法で動作する。
【0028】
一例では、図3AのスマートIVCアセンブリのIVC302は、患者の静脈108内に挿入され、安定化ウィング304A/304Bが患者の皮膚(例えば、腕)に固定される。監視中、センサモジュールの光学センサ310、センサモジュールの温度センサ312、及びリーダバンド(図示せず)の温度センサ243が患者の皮膚を監視する。光学センサ310(一体化されたエミッタ又は遠隔に配置されたエミッタを有する)は、光を射出/検出し、その後プロセッサ(図示せず)によって分析されて浸潤流体の有無を判定する。注射部位の温度が体温を上回っているか下回っているかを判定するため、挿入部位の温度センサ312によって測定される温度は、バンドの温度センサによって検出された患者の体温と比較される。
【0029】
光学センサと温度センサとを異なる安定化ウィングの下に別々に配置するのではなく、センサが、図3Bに示されるように、共通のセンサモジュール328において統合されていてもよい。センサモジュール328は、図3Bに示されるように安定化ウィング324A/324B間に配置されてもよく、片方のウィングの下に配置されていてもよい(図示せず)。また、IVC320を完全に取り囲むのではなく、取付スロット/ブラケット326が、IVC320を部分的にのみ取り囲み、IVC320を所定の位置で挟んでいてもよい。
【0030】
センサモジュール328は、使い捨て可能に(例えば、安定化プラットフォームと一体化されるように)、又は再利用可能に(例えば、安定化プラットフォームに挿入及び抽出可能に)構成されてもよい。例えば、再利用可能なセンサモジュールは、図4の(A)及び(B)に示すように、コンパートメント402及び蓋406を有するオートクレーブハウジングで覆われたセンサ回路基板408を含み得る。センサ回路基板408は、データ入出力及び/又は充電電力へのアクセスを提供するため、ピン404に電気的に接続されてもよい。オートクレーブハウジング及びピンは、蒸気で滅菌可能であり再利用可能な材料(例えば、ガラス、金属、セラミック等)内に密封されてもよい。実際には、光学センサが患者の皮膚を監視できるように、オートクレーブハウジングの少なくとも一部は透明になる。この再利用可能な構成により、医療提供者は、最初の患者に使用するためにセンサモジュールをIVC安定化プラットフォームに挿入できる。最初の患者のIVC治療が完了すると、医療提供者は、センサモジュールを取り外し、滅菌し、2番目の患者に使用するために新しいIVC安定化プラットフォームに挿入する。
【0031】
いずれの構成においても、スマートIVCアセンブリは、センサモジュール及び安定化プラットフォームがIVCと共に統合される統合ソリューションを提供する。これにより、装置がかさばるのを回避でき、患者に快適さがもたらされる。安定化プラットフォームの底部に挿入されるべきセンサモジュールは、再利用可能であり且つ再充電(例えば、直接電気接続充電又は誘導充電)可能であってもよい。一例では、センサモジュールは、(例えば、透明なプラスチックケースで)覆われているため、アルコールを使用した消毒が可能となり、この防水コーティングにより、電子部品が水を通さないことが保証される。別の例では、センサモジュールは、蒸気で滅菌可能であり再利用可能な材料(例えば、ガラス、金属、セラミック等)内に密封されている。
【0032】
システム及びデータ処理の全体
図5に示すように、スマートIVCアセンブリ501及びリーダバンド504に加えて、スマートIVCシステム500の全体は、スマートデバイス506(例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップ等)及び医療サーバ508を含み、これらは、患者のIVC注射部位を監視し、警告を出力し、結果を記録するために協働する。例えば、スマートIVCアセンブリ502が、安定化プラットフォームのスロット内に挿入され、(例えば、不図示のスイッチ又はボタンによって)駆動され、カテーテルが患者に挿入されると、センサモジュール502が、挿入部位の監視を開始する。具体的には、プロセッサ502Eはメモリ内のプログラムを実行し、リーダバンド504と無線接続するようトランシーバ502Hを制御し、NIR光の射出を開始するようNIRエミッタ502Aを制御し、NIR光の検出を開始するようNIRレシーバ502Bを制御し、挿入部位の温度の監視を開始するよう温度センサ502Cを制御する。NIRエミッタ502A、温度センサ502C、及びフォトダイオード502Bの制御は、アナログデジタルコンバータ(ADC)502Gを通じて実行される。センサモジュール502内の様々なデバイス/コンポーネントが、電源502F(例えば、充電式バッテリ又は交換可能なマイクロバッテリ)によって駆動される。
【0033】
次いで、監視された光および温度データは、リーダバンド504に(例えば、無線で)送信される。具体的には、プロセッサ502Eは、生のセンサデータまたは処理されたセンサデータをリーダバンド504に送信し得る。次いで、センサデータはリーダバンド504からスマートフォン506に転送され得る。生データの処理は、センサモジュールのプロセッサ502Eによって、リーダバンド504のプロセッサ(図示せず)によって、スマートフォン506のプロセッサ(図示せず)によって、又はこれら3つの全てのプロセッサの組み合わせによって実行され得る。いずれの場合においても、センサデータは処理され、その結果が、リーダバンド504を介して患者に表示され、スマートデバイス506を介して医療提供者に表示される。センサデータは、挿入部位の温度情報及び光学特性を含み得る。また、他のデータ及び警告は、センサデータに基づいて計算され、表示され得る(例えば、検出された浸潤の警告、及び/又は挿入部位の温度とリーダバンドの温度との間の温度差の警告)。
【0034】
図6は、スマートIVCシステムのデータ収集及び処理の一例を示すフローチャート600である。第1のステップ602では、プロセッサ502Eは、発光するようNIRエミッタ502Aを制御し、射出された光を受け取るようNIRレシーバ502Bを制御し、挿入部位の温度を監視するよう温度センサ502Cを制御する。任意のステップ604において、プロセッサ502Eは、受け取った光及び検出された温度を表すデータ読み取り値を(例えば、ローカルメモリデバイスに)記録する。ステップ606では、プロセッサ502Eが、センサデータをリーダバンド504に送信するようトランシーバ502Hを制御し、次いでステップ608では、リーダバンド504がセンサデータをスマートデバイス506に送信する。ステップ610では、リーダバンド504及び/又はスマートデバイス506がセンサデータを分析し、次いでステップ612では、分析されたセンサデータが、リーダバンド504を通じて患者に表示され、スマートデバイス506を通じて医療提供者に表示される。特に、表示される情報には、皮膚の質、皮膚の温度、警告、及び他の患者情報が含まれる。次いでステップ614では、患者の医療記録に保存するため、センサデータ及び/又は警告が、スマートデバイス506から医療サーバ508に送信され得る。
【0035】
ソフトウェアアプリケーション及び操作フロー
図7は、医療提供者のスマートデバイス506上で実行されるソフトウェアアプリケーションの一例を示す。この例では、スマートデバイス506が、センサデータ702、患者データ704、及び制御ボタン706~710を表示する。センサデータ702は、光学センサによって判定される挿入部位の皮膚の質及び/又は温度センサによって判定される皮膚の温度を示し得る。例えば、この表示されたデータが閾値を超えると、「合併症(COMPLICATION)」という警告が表示され、医療提供者に状況を警告する。例えば、光学データの場合、閾値は、1)浸潤の存在と相関する特定の周波数での反射光強度の所定の閾値、又は2)経時的な特定の周波数での反射光強度の比較であってもよい。温度データの場合、閾値は、1)浸潤の存在と相関する特定の周波数における温度の所定の閾値、2)経時的な温度の比較、又は3)挿入部位の温度の体温との比較であってもよい。
【0036】
患者データ704には、とりわけ、患者ID、患者の年齢/体重、カテーテル挿入時間、及びカテーテル交換時間が含まれる。制御ボタン706~710により、とりわけ、医療提供者は、センサ読み取り値(例えば、温度及び光学特性)を切り替え、患者情報にアクセス/変更し、アプリケーションのホーム画面にナビゲートすることが可能になる。
【0037】
図8は、スマートカテーテルシステムの動作を示すフローチャート800である。ステップ802では、患者は点滴治療を受けるために入院する。ステップ804では、患者が登録され、患者にリーダバンド504が提供され、次いでステップ806では、患者が病室に収容される。ステップ808では、医療提供者(患者の世話をする看護士)は、スマートデバイス506上でモバイルアプリケーションを開き、リーダバンド504に無線で接続する。ステップ810では、モバイルアプリケーションが、サーバ508に接続され、患者情報(例えば、患者ID)をサーバ508に送信する。次いで、サーバ508は、患者の投薬情報をスマートデバイス506に送信し得る。次いでステップ812では、医療提供者は、スマートIVCアセンブリを患者に挿入する。次いでステップ814では、スマートIVCアセンブリ501のセンサモジュールが、リーダバンド504に接続され、挿入部位の光学特性及び/又は温度の監視を開始する。次いでステップ816では、監視されたデータが、分析され、リーダバンド504を通じて患者に表示され、スマートデバイス506を通じて医療提供者に表示される。データは、任意の警告と同様、患者の医療記録への保存のため、スマートデバイス506によって医療サーバ508に転送され得る。
【0038】
結論
図6図8のステップは、例えばコンピュータハードドライブのような磁気媒体、例えば光学ディスクのような光学媒体、例えばフラッシュメモリのような固体メモリ、又は当該技術分野において公知の他の記憶媒体といったような有形的コンピュータ読取可能媒体に有形的に格納されたソフトウェアコード又は指示のロード及び実行により、センサモジュール、リーダバンド、スマートデバイス、サーバ、又はそれらの組合せにより実行される。一例では、データはメモリに書き込まれるときに暗号化されるため、保護された健康情報等のプライバシーの問題が懸念されるあらゆる環境で使用するのに有益である。図6図8のステップのように、ここで説明するコンピュータによって実行される機能のいずれも、有形的コンピュータ読取可能媒体に有形的に格納されたソフトウェアコード又は指示において実行され得る。コンピュータによってそのようなソフトウェアコード又は指示がロード及び実行されると、コントローラは、ここで説明された図6図8のステップを含めて、ここで記載されるコンピュータの機能のいずれかを実行し得る。
【0039】
ここで使用される用語及び表現は、ここで別途特定の意味が示されている場合を除き、対応する調査及び研究それぞれの分野に関して当該用語及び表現に与えられるような通常の意味を有するものと理解されるであろう。第1及び第2等の相関的用語(relational terms)は、あるエンティティ又はアクションを別のものと区別するためにのみ使用され、必ずしも当該エンティティ又はアクション間の実際の関係や序列を要求又は示唆するものではない。用語「備える」、「含む」、又はこれらの用語の変形は、非排他的包含をカバーすることを意図している。要素又はステップの列挙を「備える」又は「含む」プロセス、方法、物品、又は装置は、正にその要素又はステップのみを含むのではなく、明示的に列挙されていない他の要素又はステップ、又は当該要素又はステップに本来的に備わっていない他の要素又はステップを含み得る。「a」又は「an」がその前に付いている要素は、特段の制約がなければ、当該要素を「備える」プロセス、方法、物品、又は装置内に追加の同一の要素が存在することを妨げない。
【0040】
別段の記載がない限り、特許請求の範囲も含めて本明細書に記載されるあらゆる全ての測定値、数値、定格、位置、大きさ、サイズ、及び他の仕様が、おおよそのものであって、正確ではない。このような量は、関連する機能や、関連する技術分野において通例とされているものに合致した妥当な範囲を有することを意図されている。例えば、明示的に特段の記載のない限り、パラメータ値等は、記載されている量から±10%の大きさで変動し得る。
【0041】
また、前述の詳細な説明では、開示を合理化する目的で、様々な特徴が様々な例にグループ化されていることがわかる。この開示の方法は、クレームされた例が各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要としているという意図を反映しているものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下のクレームが反映するように、保護されるべき主題は、任意の単一の開示例の全ての特徴よりも少ない。したがって、以下のクレームは、これにより詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、個別にクレームされた主題として、独立している。
【0042】
上記では、ベストモードと考えられるもの及びその他の例を説明したが、様々な修正がその中で為され得ること、及びここに開示された主題が様々な形態及び例で実施され得ること、多くの用途に適用可能であってここではそのうちの一部のみを説明していることが理解される。以下のクレームは、本概念の真の範囲内に含まれるあらゆる全ての修正及び変形を主張していることを意図している。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3A
図3B
図4(A)】
図4(B)】
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】