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特表2024-523903患者固有の前方プレートインプラント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】患者固有の前方プレートインプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20240625BHJP
   A61B 34/10 20160101ALN20240625BHJP
【FI】
A61F2/44
A61B34/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577918
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 US2022033775
(87)【国際公開番号】W WO2022266313
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/211,226
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】521234397
【氏名又は名称】カールスメッド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】コルドニアー マイケル ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ケイシー ナイル パトリック
(72)【発明者】
【氏名】フセイン シャリク
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA10
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097CC04
4C097MM03
4C097MM10
(57)【要約】
本発明の技術は、患者固有のインプラントを提供する。インプラントは、標的位置で特定された解剖学的構造と嵌合するように輪郭付けされた幾何形状を有するプレートを含むことができる。プレートは、第1の椎体の対応する第1の面と嵌合するように設計された第1のトポログラフィーを有する第1の接触面を有する第1の突出部と、第2の椎体の対応する第2の面と嵌合するように設計された第2のトポログラフィーを有する第2の接触面を有する第2の突出部とを含むことができる。第1のトポログラフィーは、第2のトポログラフィーとは異なることができる。幾つかの実施形態では、第1及び/又は第2の突出部は、それぞれの第1及び第2の椎体の隣接する2つの面等の複数の面と接触し、嵌合するように設計されたトポログラフィーを有するように構成することができる。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者固有の医療ケアを提供するためのコンピュータ実装方法であって、
患者の患者データセットを受信するステップであって、前記患者データセットは、上椎骨及び下椎骨を含む前記患者の脊椎の少なくとも一部の1又は2以上の画像を含み、前記1又は2以上の画像は、前記患者の本来の解剖学的構成を示す、前記受信するステップと、
コンピューティングシステムを使用して、前記患者の補正された解剖学的構成を決定するステップであって、前記補正された解剖学的構成は、前記本来の解剖学的構成とは異なる、前記決定するステップと、
前記コンピューティングシステムを使用して、前記補正された解剖学的構成に基づいて患者固有の前方プレートを設計するステップと、
を含み、
前記患者固有の前方プレートが、
前記上椎骨の前面と嵌合するように輪郭付けされた第1の接触領域と、
前記下椎骨の前面と嵌合するように輪郭付けされた第2の接触領域と、
前記第1及び第2の接触領域が前記上椎骨及び下椎骨のそれぞれの前面と嵌合する際に、前記上椎骨及び下椎骨のエンドプレートと嵌合するように構成された中間突出部と、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記補正された解剖学的構成における前記患者の脊椎の仮想モデルに沿って標的インプラント場所を決定するステップと、
前記標的インプラント位置に対して着座するための前記患者固有の前方プレートのうちの少なくとも1つの前方プレートの仮想モデルを構築するステップと、
を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
第1の椎骨及び第2の椎骨の間に移植するための椎間インプラントの仮想モデルを設計するステップと、
前記椎間インプラントが前記第1の椎骨と前記第2の椎骨の間に位置するときに、前記椎間インプラントの動きを妨げるように前記第1の椎骨及び前記第2の椎骨に結合するよう前記患者固有の前方プレートを設計するステップと、
を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記患者固有の前方プレートが、前記患者固有の前方プレートの少なくとも1つを前記患者の脊椎に沿った特定の位置に保持するように構成された1又は2以上の座席特徴部を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記患者固有の前方プレートを係合するため、前記患者の脊椎に沿った位置合わせ特徴部を特定するステップと、
前記患者の脊椎セグメントの動きを抑制するために、特定された前記位置合わせ特徴部に接触するように前記患者固有の前方プレートの領域を設計するステップと、
を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記補正された解剖学的構成における前記患者の脊椎の仮想モデルを生成するステップと、
前記仮想モデルを修正することに応答して、前記患者固有の前方プレートの第1の仮想モデル及び別の脊椎インプラントの第2の仮想モデルを動的に調整するステップと、
を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記補正された解剖学的構成における前記患者の脊椎の仮想モデルを生成するステップと、
前記仮想モデルを修正して前記患者の脊椎の修正された仮想モデルを生成するステップと、
前記修正された仮想モデルに基づいて前記患者固有の前方プレートを設計するステップと、
を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記患者の脊椎に沿って1又は2以上の標的位置を特定するステップを更に含み、前記患者固有の前方プレートが、対応する標的位置での1又は2以上の解剖学的構造に対応するように設計される、
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記患者固有の前方プレートが第1の患者固有の前方プレートであり、
前記コンピュータ実装方法が、
前記第1の患者固有前方プレートとは異なる標的位置にて移植されるように構成された第2の患者固有前方プレートを設計するステップを更に含み、
前記第1の患者固有前方プレートは、前記第2の患者固有前方プレートとは異なる形状を有する、
請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記患者固有の前方プレートを設計するステップが、前記下椎骨及び前記上椎骨の間の椎間腔において椎間板に接触するように前記中間部分を設計するステップを含む、
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記中間部分が、約1mm~約20mmの間の長さを有する、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記患者固有の前方プレートを設計するステップが、前記上椎骨の第1の皮質リム及び/又は前記下椎骨の第2の皮質リムの少なくとも一方を後方向に約1mm~約10mmの間越えて延びるように、前記中間部分の後端部を設計するステップを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記補正された解剖学的構成に基づいて、前記コンピューティングシステムを使用して、患者固有の側方プレートを設計するステップを更に含み、
前記患者固有の側方プレートは、前記上椎骨の第1の側面及び/又は前記下椎骨の第2の側面の少なくとも一方と嵌合するように構成される、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記患者固有の側方プレートを設計するステップが、前記患者固有の側方プレートを前記患者固有の前方プレートに結合するように構成された1又は2以上のコネクタを設計するステップを含む、請求項13に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
患者固有インプラントを移植する方法であって、
患者の脊柱の第1の標的位置に近接した第1の場所に第1のプレートを送達するステップであって、前記第1のプレートが前記第1の標的位置において第1解剖学的構造と嵌合するように設計されている、前記送達するステップと、
前記患者の脊柱の第2の標的位置に近接した第2の場所に第2のプレートを送達するステップであって、前記第2のプレートは、前記第2の標的位置において第2の解剖学的構造と嵌合するように設計されている、前記送達するステップと、
前記第1のプレート及び/又は前記第2のプレートを、前記患者の脊柱内に配置された椎体間インプラントに結合するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記第1の解剖学的構造が、
上椎骨の第1の前面と、
下椎骨の第2の前面と、
を含み、
前記第2の解剖学的構造が、
前記上椎骨の第1の側面と、
前記下椎骨の第2の側面と、
を含み、
前記椎体間インプラントが、前記上椎骨と前記下椎骨の間の椎間腔に位置付けられる、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の解剖学的構造は、上椎骨の下面及び/又は下椎骨の上面を含み、前記第2の解剖学的構造は、前記下椎骨の上面及び/又は前記上椎骨の下面を含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のプレートが前記第1の解剖学的構造と嵌合するように前記第1のプレートを前記第1の標的位置に位置決めするステップが、前記第1のプレートと前記第1の解剖学的構造との間にほぼ間隙なし界面を形成するステップを含み、
前記第2のプレートが前記第2の解剖学的構造と嵌合するように前記第2のプレートを前記第2の標的位置に位置決めするステップが、前記第2のプレートと前記第2の解剖学的構造との間にほぼ間隙なし界面を形成するステップを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項19】
患者固有インプラントであって、
上椎骨及び下椎骨と嵌合するように、患者の脊椎に沿った標的位置に移植されるように構成されたプレートを備え、
前記プレートが、
前記上椎骨の前面と嵌合するように輪郭付けされた第1の接触領域と、
前記下椎骨の前面と嵌合するように輪郭付けされた第2の接触領域と、
前記第1及び第2の接触領域が前記上椎骨及び前記下椎骨のそれぞれの前面と嵌合する際に、前記上椎骨及び前記下椎骨のエンドプレートと嵌合するように構成された中間突出部と、
を含む、
患者固有インプラント。
【請求項20】
前記上椎骨と前記下椎骨の間の椎間腔に位置付けられた椎間デバイスを更に備え、前記中間突出部は更に、前記椎間腔内に延びて前記椎間デバイスに接触するように構成されている、請求項19に記載の患者固有インプラント。
【請求項21】
前記標的位置に移植されたときに、前記プレートは更に、前記椎間デバイスの前方移動を抑制するように構成されている、請求項20に記載の患者固有インプラント。
【請求項22】
前記椎間デバイスが前記椎間腔に位置付けられ、前記プレートが前記標的位置に移植されたときに、前記椎間デバイスが、前記中間突出部に結合されるように構成されている、請求項20に記載の患者固有インプラント。
【請求項23】
前記椎間デバイスは、前記椎間デバイスが前記椎間腔に位置付けられたときに、前記上椎骨又は前記下椎骨によって前記患者固有インプラントに加えられる荷重の少なくとも一部を受けるように構成されている、請求項20に記載の患者固有インプラント。
【請求項24】
前記荷重の一部が、当該荷重の第1の部分であり、前記中間突出部は、前記プレートが前記標的位置に移植されたときに前記荷重の少なくとも第2の部分を受けるように構成され、前記荷重の前記第2の部分が全荷重の少なくとも10%である、請求項23に記載の患者固有インプラント。
【請求項25】
前記プレートが前方プレートであり、前記患者固有インプラントが、前記上椎骨の第1の側面及び/又は前記下椎骨の第2の側面の少なくとも一方と嵌合するように構成された側方プレートを更に備える、請求項19に記載の患者固有インプラント。
【請求項26】
少なくとも前記前方プレートが前記標的位置に移植されたときに、前記側方プレートを前記前方プレートに結合するように構成されたコネクタを更に備える、請求項25に記載の患者固有インプラント。
【請求項27】
前記中間突出部は、前記プレートが前記標的位置に移植されたときに、前記上椎骨と前記下椎骨との間の椎間腔内に位置付けられた椎間板に接触するように構成された後端部を含む、請求項19に記載の患者固有インプラント。
【請求項28】
前記中間突出部が約1mm~約20mmの長さを有する、請求項19に記載の患者固有インプラント。
【請求項29】
前記中間突出部が約5mm~約15mmの長さを有する、請求項19に記載の患者固有インプラント。
【請求項30】
前記中間突出部が、前記上椎骨と前記下椎骨との間の椎間腔の空隙の少なくとも50%を占めるように構成されている、請求項19に記載の患者固有インプラント。
【請求項31】
患者固有インプラントであって、
患者の脊椎に沿った標的位置で上椎骨及び下椎骨と嵌合するように構成されたプレートを備え、
前記プレートが、
前記上椎骨の前面と嵌合するように輪郭付けされた第1の患者固有の幾何形状を有する第1の脊椎接触面を含む第1の突出部と、
前記下椎骨の前面と嵌合するように輪郭付けされた第2の患者固有の幾何形状を有する第2の脊椎接触面を含む第2の突出部と、
中間突出部と、
を含み、
前記中間突出部が、
前記上椎骨の下面の少なくとも一部と嵌合するように輪郭付けされた第3の患者固有の幾何形状を有する第1の中間接触面と、
前記下椎骨の上面の少なくとも一部と嵌合するように輪郭付けされた第4の患者固有の幾何形状を有する第2の中間接触面と、
を含み、
前記第1の患者固有の幾何形状は、前記第2、第3、及び/又は第4の患者固有の幾何形状とは異なる、患者固有インプラント。
【請求項32】
前記プレートが前記標的位置に移植されたときに、前記プレートが、前記上椎骨の前面及び前記下椎骨の前面とほぼ間隙なし界面を形成する、請求項31に記載の患者固有インプラント。
【請求項33】
前記第1の突出部が、第3の接触面を有する最上部を含み、前記第3の接触面が、前記上椎骨の前面に隣接する面と嵌合するように輪郭付けされた第5の患者固有の幾何形状を有する、請求項31に記載の患者固有のインプラント。
【請求項34】
前記上椎骨の前記前面に隣接する前記面が、前記上椎骨の上面である、請求項33に記載の患者固有インプラント。
【請求項35】
前記第2の突出部が、第3の接触面を有する最下部分を含み、前記第3の接触面が、前記下椎骨の前記前面に隣接する面と嵌合するように輪郭付けされた第5の患者固有の幾何形状を有する、請求項31に記載の患者固有のインプラント。
【請求項36】
前記下椎骨の前面に隣接する前記面が、前記下椎骨の下面である、請求項35に記載の患者固有のインプラント。
【請求項37】
前記プレートが第1のプレートであり、前記標的位置が第1の標的位置であり、
前記患者固有のインプラントが、標的位置で前記上椎骨及び前記下椎骨と嵌合するように構成された第2のプレートを更に備え、
前記第2のプレートが、
第5の接触面を含む第3の突出部であって、前記第5の接触面が、前記上椎骨の側面と嵌合するように輪郭付けされた第5の患者固有の幾何形状を有する、前記第3の突出部と、
第6の接触面を有する第4の突出部であって、前記第6の接触面が、前記下椎骨の側面と嵌合するように輪郭付けされた第6の患者固有の幾何形状を有する、前記第4の突出部と、
を含み、
前記第1のプレートは、1又は2以上のコネクタによって前記第2のプレートに結合されている、請求項31に記載の患者固有インプラント。
【請求項38】
前記第2のプレートが更に、前記第3の突出部と前記第4の突出部との間に位置付けられた第2の中間突出部を含み、
前記第2の中間突出部が、
前記上椎骨の下面の少なくとも一部と嵌合するように輪郭付けされた第7の患者固有の幾何形状を有する第3の中間接触面と、
前記下椎骨の上面の少なくとも一部と嵌合するように輪郭付けされた第8の患者固有の幾何形状を有する第4の中間接触面と、
を含む、請求項37に記載の患者固有インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2021年6月16日に出願された米国仮特許出願第63/211,226号に対する優先権を主張するものであり、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に、整形外科用インプラントに関し、より詳細には、患者固有のプレートを設計及び実施するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
整形外科インプラントは、脊椎外科、手外科、肩及び肘外科、全関節再建(関節形成術)、頭蓋骨再建、小児整形外科、足及び足首外科、筋骨格腫瘍学、外科的スポーツ医学、及び整形外科的外傷を含む、様々な状況において多くの異なる疾患を是正するのに使用される。脊椎外科自体は、頸椎、胸椎、腰椎、仙骨の1又は2以上などの様々な処置及び標的を包含することができ、脊椎の変形又は変性、及び/又は関連する腰痛、脚痛、その他の体の痛みを治療するために行うことができる。整形外科用インプラントを用いて治療することができる一般的な脊椎変形には、脊椎側弯症、脊椎前弯症、後弯症(過弯症又は低弯症)のような不規則な脊椎湾曲、及び不規則な脊椎変位(例えば、脊椎すべり症)が挙げられる。整形外科用インプラントを用いて治療することができる他の脊椎疾患には、変形性関節症、腰椎変性椎間板疾患又は頸椎変性椎間板疾患、腰部脊椎管狭窄症、及び頚部脊椎管狭窄症が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】PCT出願PCT/US21/59837号明細書
【特許文献2】米国特許出願第16/987,113号明細書
【特許文献3】PCT出願PCT/US21/12065号明細書
【特許文献4】米国特許出願第16/735,222号明細書
【特許文献5】米国特許出願第16/990,810号明細書
【発明の概要】
【0005】
添付図面は、本開示のシステム、方法、及び他の様々な態様の実施形態を示す。当業者であれば、図中の例示の要素の境界(例えば、ボックス、ボックスのグループ、又は他の形状)は、境界の一例を表していることを理解するであろう。幾つかの例では、1つの要素が複数の要素として設計することができ、又は複数の要素が1つの要素として設計することができる。幾つかの例では、ある要素の内部構成要素として示された要素が、別の要素では外部構成要素として実装される場合があり、その逆もまた同様である。以下の図面を参照して、非限定的及び非網羅的な説明を行う。図中の構成要素は必ずしも縮尺通りではなく、原理を説明することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】患者の脊柱に沿って移植され本発明の技術の実施形態に従って構成された患者固有のインプラントの側面図である。
図1B図1Aの患者の脊柱及び患者固有インプラントの前面図である。
図1C図1Aの患者固有インプラントの中間部分の拡大側面図である。
図2A】本発明の技術の実施形態に従って構成され、複数のプレートを有し患者の脊柱に沿って移植された患者固有インプラントの側面図である。
図2B図2Aの患者の脊柱及び患者固有インプラントの前方斜視図である。
図3A】本発明の技術の実施形態に従って構成された、患者の脊柱に隣接して移植されたプレート及びケージを有する患者固有インプラントの側面図である。
図3B図3Aの患者の脊柱及び患者固有インプラントの前面図である。
図4】本発明の技術の実施形態に従って構成された、陥凹接続機構を有するプレート及び相互接続ケージを有する患者固有インプラントの部分概略上面図である。
図5】本発明の技術の実施形態に従って構成された、ねじ付き接続機構を有するプレート及び相互接続ケージを備えた患者固有インプラントの部分概略上面図である。
図6】本発明の技術の実施形態による、患者の脊柱の標的位置における患者固有インプラントの生体外組立及び移植のための方法のフローチャートである。
図7】本発明の技術の実施形態による、患者の脊柱の標的位置における患者固有のインプラントの生体内組立及び移植の方法のフローチャートである。
図8】本発明の技術の実施形態に従って構成された患者固有の医療ケアを提供するためのシステムを示すネットワーク接続図である。
図9】本発明の技術の実施形態による、図8のシステムに接続して使用するのに適したコンピュータデバイスを示す図である。
図10】本発明の技術の実施形態による、患者固有のインプラントを患者に移植するための動作セットアップの部分概略図である。
図11】本発明の技術の実施形態による、複数のプレートを有する患者固有のインプラントを移植する方法のフローチャートである。
図12A】本発明の技術の実施形態による、前方プレートを設計する方法のフローチャートである。
図12B】本発明の技術の実施形態による、インプラントを設計及び/又は構築する方法のフローチャートである。
図12C】本発明の技術の実施形態による、インプラントを設計及び/又は構築する方法のフローチャートである。
図12D】本発明の技術の実施形態による、インプラントを設計及び/又は構築する方法のフローチャートである。
図12E】本発明の技術の実施形態による、インプラントを設計及び/又は構築する方法のフローチャートである。
図12F】本発明の技術の実施形態による、インプラントを設計及び/又は構築する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の見出しは、読みやすくするために提供されている。本発明の技術の実施形態は、以下の見出しに基づいて記載されるが、本発明の技術の他の実施形態は、複数の見出しの下で議論される要素を含むことができる。従って、ある実施形態が特定の見出しの下で説議論できるという事実は、必ずしもその実施形態をその見出しの下で記載される要素のみに限定するものではない。
【0008】
I.技術の概要
本発明の技術は、患者の解剖学的構造に基づいて設計される医療デバイスインプラントに向けられている。例えば、本明細書に開示された実施形態の多くにおいて、本発明の技術は、1又は2以上の椎体に相対して移植されるように設計された患者固有のインプラントを提供する。インプラントは、上方向、下方向、及び/又は横方向に延びる突出部又はウィングを有するプレートを含むことができる。突出部の各々は、椎体の表面と界接するための接触面を含むことができる。接触面の各々は、椎体の表面のトポログラフィーと嵌合するように設計されたトポログラフィーを有することができる。幾つかの実施形態では、インプラントは、第2の椎体に対する第1の椎体の相対的な動きを融合、安定化、及び/又は減少させるのに使用することができる。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のインプラントを使用することで、椎体の膨らみを低減又は防止する等、第2の椎体に対する第1の椎体のアライメントを改善することができる。幾つかの実施形態では、患者固有のプレートは、椎間腔を横切って延在し、椎体間固定デバイスのような1又は2以上のインプラントの動きを妨害するように構成される。
【0009】
幾つかの実施形態では、インプラントは、第1の(例えば、上側、上、等)椎体の前面と界接するように構成された第1の接触面を有する第1の(例えば、上側、上、等)突出部と、第2の(例えば、下側、下、等)椎体の前面と界接するように構成された第2の接触面を有する第2の(例えば、下側、下、等)突出部とを有する患者固有の前方プレートを含む。1の接触面は、第1の椎体の前面のトポログラフィーと嵌合するように輪郭付けされた第1のトポログラフィーを有することができ、第2の接触面は、第2の椎体の前面のトポログラフィーと嵌合するように輪郭付けされた第2の形状を有することができる。
【0010】
幾つかの実施形態では、突出部は、対応する椎体の2又は3以上の隣接する面等の複数の表面と界接するように構成することができる。例えば、第1の突出部は、第1の部分接触面を有する第1の(例えば、最上部の)部分を含むことができる。第1の部分接触面は、上椎体の上面(例えば、上エンドプレート)のトポログラフィーと嵌合するように輪郭付けされた幾何形状を有することができる。
【0011】
幾つかの実施形態では、インプラントは、第1の椎体及び第2の椎体の間に少なくとも部分的に配置されるように構成された中間(例えば、内側、中央、等)突出部又は部材を含むことができる。中間突出部は、第1の(例えば、上側)中間接触面及び第2の(例えば、下側)中間接触面を含むことができる。第1の中間接触面は、上椎体の下面(例えば、下エンドプレート)のトポログラフィーの少なくとも一部と嵌合するように輪郭付けされたトポログラフィーを有することができ、第2の中間接触面は、下椎体の上面(例えば、上エンドプレート)のトポログラフィーの少なくとも一部と嵌合するように輪郭付けされたトポログラフィーを有することができる。
【0012】
幾つかの実施形態では、インプラントは、上椎体及び下椎体の第1の面と界接するように構成された第1のプレートと、上椎体及び下椎体の第2の面と界接するように構成された第2のプレートとを含むことができる。第1の面は、第2の面と同じであっても又は異なっていてもよく、例えば、第1のプレートは、上椎体及び下椎体の前面に接触するように構成することができ、第2のプレートは、上椎体及び下椎体の前面又は側面に接触するように構成することができる。第1のプレート及び第2のプレートは、上椎体及び/又は下椎体の同じ面に接触するように構成されている場合であっても、例えば、これらの面のトポログラフィーが均一でない可能性があるので、異なるトポログラフィーを有することができることは理解できる。幾つかの実施形態では、第1のプレートは、例えば、1又は2以上のコネクタ又はリンク機構によって、第2のプレートに結合又は接続することができる。
【0013】
幾つかの実施形態では、脊椎インプラントは、患者固有の椎体間デバイス(例えば、ケージ)と患者固有の位置決め特徴の両方を含むことができる。椎体間デバイスは、2つの椎体の間の第1の標的位置を占めるように設計することができる。位置決め特徴部は、2つの椎体の少なくとも一方に近接した第2の標的位置を占めるように設計することができる。位置決め特徴部はプレートとすることができ、プレート及び椎体間デバイスは、接続機構によって機械的に結合することができる。接続機構は、椎体間デバイスをプレートに接続して、ケージが第1の標的位置を占めること及びプレートが第2の標的位置を占めることを同時に可能にする所定の3次元空間関係を間に形成するように設計することができる。プレート及び椎体間デバイスは、互いに結合されたときに所定の3次元空間関係にあるので、インプラントを埋め込む外科医は、プレートが第2の標的位置にあるか、又は椎体間デバイスが第1の標的位置にあるかを確認するだけでよい。例えば、プレートが第2の標的位置にあることを外科医が確認した場合、椎体間デバイスは、椎体間デバイスとプレートとの間の所定の空間的関係により、第1の標的位置にあることになる。
【0014】
本発明の技術は更に、患者固有のインプラントを移植する方法を提供する。例えば、幾つかの実施形態では、椎体間デバイス及びプレートは、結合されていない状態で移植することができる。このような実施形態では、椎体間デバイスは、第1の標的位置に近接して送達することができる。その後、プレートは、第2の標的位置に送達することができる。プレートが第2の標的位置にあると、プレートを椎体間デバイスに結合することができる。プレートを椎体間デバイスに結合する動作により、椎体間デバイスを第1の標的位置に移動させることができる。プレートは、プレートが置かれた/着座する1又は2以上の解剖学的特徴の幾何形状に適合するように構成することができる。例えば、プレートは、椎体の外面の領域と少なくとも幾何学的にほぼ合同な曲面を有することができる。プレートがその領域に押し付けられると、一致する面が互いに係合してプレートを椎体に固定することができる。従って、プレートの患者固有の構成を使用して、プレートを脊椎に位置決めし整列させることができる。幾つかの実施形態では、椎体間デバイス及びプレートは、結合状態で送達することができる。椎体間デバイス及びプレートが結合状態で又は結合解除状態で送達されるかどうかにかかわらず、椎体間デバイスとプレートとの間の機械的結合は、椎体間デバイスとプレートとの間の所望の方向及び位置決めを提供することができ、プレートが第2の標的位置にあるときに、椎体間デバイスが第1の標的位置にあり、その逆も同様であるようにされる。移植されると、プレートはまた、椎体間デバイスの移動(例えば、排出、移動、その他)を防止及び/又は低減することもできる。
【0015】
理論に束縛されることなく、椎間インプラントは、正しい位置に移植されたときに最も効果を発揮する。このことは、以下に記載するように、特定の解剖学的標的と嵌合するように設計された「患者固有の」椎間インプラントに特に当てはまる。しかしながら、外科的アプローチ及び移植されるデバイスのタイプによっては、椎間インプラント(例えば、ケージなどの椎体間デバイス)を椎間板腔内の正確な標的場所に送達することが困難な場合がある。例えば、椎間板腔は2つの椎体の間にあるので、椎間板腔内の標的場所は、外科手術の全体で外科医が直接見ること及び/又はアクセスすることができないことが多い。標的場所はまた、典型的には、外科医が標的部位を見る能力を更に低下させ、及び/又は標的部位に近接したときにインプラントの操縦性を低下させる可能性がある狭い外科用回廊の底部にある。従って、本発明の技術は、標的部位を直接視覚化することなく、椎間インプラントを標的位置に向けるシステム、デバイス、及び関連の方法を提供する。従って、理論に束縛されることなく、本発明の技術は、椎間板腔のような比較的「視覚化が困難な」標的位置に椎体間デバイスを送達する精度を向上させることが期待される。
【0016】
本明細書に記載されたプレートは、椎体間デバイスを正しい(及び/又は比較的視覚化しにくい)標的位置に確実に位置決めされ、椎体間デバイスが標的位置に配置されると、椎体間デバイスの動きを減少させ、及び/又は少なくとも第2の椎体に対して第1の椎体を安定化又は癒合させることを可能にする。プレートは、椎体間標的位置よりも比較的視覚化及び/又はアクセスが容易な第2の標的位置において、患者の解剖学的構造の部分と嵌合するように設計することができる。例えば、プレートは、椎体の1又は2以上の面(例えば、椎体の前面、椎体の側面等)と嵌合するように設計することができる。プレートはまた、椎体間デバイスに結合されて、これらの間に予め定義された3次元空間関係を形成することもできる。例えば、プレートが椎体間デバイスに結合されると、椎体間デバイスは、プレートに対して予め定義された位置、向き、アライメント、及び/又は幾何形状を有することができる。こうして、プレートが比較的視覚化しやすいプレート標的位置に位置決めされたとき、椎体間デバイスが相対的に視覚化しにくい位置に向けられるように、予め定義された3次元配向を設計することができる。従って、プレートを用いて、椎体間デバイスを所定位置に誘導するのに役立つことができる。プレートは、1又は2以上の締結具(例えば、骨ネジ、アンカー等)によって脊椎に機械的に結合させることができる。締結具は更に、隣接する椎骨に対するプレートの移動を防止又は制限することができる。
【0017】
幾つかの実施形態では、患者固有の椎間インプラントは、隣接する椎体の1又は2以上のエンドプレートと嵌合するように構成された椎間ケージと、隣接する椎体の少なくとも1つの椎体の標的領域と嵌合するように構成された患者固有の位置決め特徴部と、接続機構とを含む。接続機構は、患者固有位置決め特徴部を椎間ケージに結合する又は結合するように構成されて、椎間ケージがエンドプレートの間にあり且つ患者固有の位置決め特徴部が標的領域に接触しているときに、患者固有の椎間インプラントの所定の構成を維持することができる。所定の構成は、ケージと位置決め特徴部の間の標的空間関係に対応することができる。
【0018】
従って、本発明の技術は、従来の椎間インプラントの欠点の少なくとも一部を緩和することが期待される、「患者固有」又は「個別化」医療デバイスを設計及び移植するためのシステム及び方法を提供する。詳細には、本発明の技術は、患者の特定の特性(例えば、病状、解剖学的構造、病理学的構造、病歴など)に最適化された患者固有インプラントを設計及び移植するためのシステム及び方法を提供することができる。例えば、患者固有の医療デバイスは、既製のデバイスではなく、特定の患者のために特別に設計及び製造することができる。しかしながら、患者固有又は個別化医療デバイスは、患者固有でない1又は2以上の構成要素を含むことができ、及び/又は患者固有でない器具又はツールと共に使用することができることを理解されたい。例えば、患者固有の位置決め特徴は、非患者固有の関節椎間インプラント、固定椎間インプラント、ケージなどと共に使用することができる。個別化インプラント設計は、医療デバイス、器具、及び/又は手術キットを含む患者固有の技術の製造又は選択に使用することができる。例えば、個別化された手術キットは、1又は2以上の患者固有のデバイス、患者固有の器具、非患者固有の技術(例えば、標準的器具、デバイス等)、使用説明書、患者固有の治療計画情報、又はこれらの組み合わせを含むことができる。インプラントは、移植部位、送達経路、又はこれらに基づいて選択された位置決め特徴部を含むことができる。位置決め特徴部は、例えば、プレート、プレート組立体(例えば、プレート及び1又は2以上のファスナー、ロケータ付きプレート等)、アーム(例えば、展開可能又は非展開アーム)、又はこれらの組み合わせとすることができ、又はこれらを含むことができる。例えば、インプラントは、脊柱に沿った特定の位置に接触するように展開されるアームを有することができる。
【0019】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載の患者固有のインプラントは、移植時に特定の標的位置を占めるように設計される。本明細書で使用される場合、「標的位置」、「標的部位」、及び「標的場所」という用語は、インプラント処置中に配置されるインプラントの所定の最適位置を指し、患者の解剖学的構造、病状、診断、予後、活動レベル等に基づくことができる。例えば、標的位置は、解剖学的ランドマークとの関係でとられる次のパラメータ:方位の角度又は程度、及び並進の角度又は程度、挿入深さ、挿入角度、2つの表面間の接触の程度等のうちの1又は2以上によって定義することができる。適切な解剖学的ランドマークには、例えば、特定の椎骨又は他の認識可能な解剖学的特徴が含まれる。従って、標的位置は、患者の解剖学的構造に対するインプラントの3次元位置(例えば、患者の解剖学的特徴によって作成された境界によって定義される)、及び/又は患者の解剖学的構造に対するインプラントの標的配向を含むことができる。幾つかの実施形態では、標的位置は、患者の本来の解剖学的構造に対する所望の矯正を組み込み、インプラントが標的位置に移植されたときに、患者の解剖学的構造を操作して所望の矯正を達成するようにすることができる。理論に束縛されることなく、標的位置にインプラントを配置することは、インプラントの利益を最適化し及び/又は副作用を最小化することが期待される。詳細には、インプラントの完全な利点は、インプラントが標的位置に正確に配置された場合にのみ実現することができる。インプラント(例えば、椎体間デバイス及びプレート)の様々な態様は、異なる標的位置を有することができる。
【0020】
本開示の実施形態について、複数の図を通して同様の数字が同様の要素を表し、例示的な実施形態が示されている添付図面を参照しながら、以下でより十分に説明する。しかしながら、特許請求の範囲の実施形態は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載された例は、非限定的な例であり、他の可能な実施例のうちの単なる例に過ぎない。
「comprising」、「having」、「containing」、及び「including」、及びこれらの他の形態の語は、これらの語の何れか1つに続く1又は複数の項目が、このような1又は複数の項目を網羅的に列挙することを意味するものではなく、又は列挙された1又は複数の項目のみに限定されることを意味するものでもないという点で、意味が同等であり、オープンエンドであることが意図される。
【0021】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、関連上明らかにそうでないことが指示されない限り、複数の照応を含む。
【0022】
本明細書の開示は、主に整形外科手術の関連における治療計画のためのシステム及び方法について記載しているが、本発明の技術は、他の分野(例えば、他のタイプの外科診療)における医療及びデバイスにも同様に適用することができる。更に、本明細書における多くの実施形態は、移植デバイスに関するシステム及び方法を記載しているが、本発明の技術は、他のタイプの医療デバイス(例えば、非移植デバイス)にも同様に適用することができる。
【0023】
II.患者固有のインプラント
図1A及び図1Bは、本発明の技術の実施形態に従って構成された患者固有インプラント100を示す。詳細には、図1Aはインプラント100の側面図であり、図1B図1Aのインプラント100の正面図である。インプラント100は、L4椎体及びL5椎体(破線で示す)の前面に接触する前方プレート120を含む。プレート120は、患者の解剖学的構造と嵌合するように設計された患者固有の幾何形状(例えば、サイズ、形状、曲率、輪郭、モホロジー、トポログラフィーなど)を含むことができる。詳細には、プレート120は、第1の(例えば、上、上側、等)突出部又はウィング部121と第2の(例えば、下、下側、等)突出部又はウィング部126とを含む。第1の突出部121は、L4椎体の前面S3と界接するように構成された第1の接触面122を含む。例えば、プレート120の第1の接触面122(例えば、後面)は、L4椎体の前面S3のトポログラフィーと嵌合するように設計されたトポログラフィーを有することができる。本明細書で使用される場合、「嵌合」という用語は、2つの面が係合して、これらの間の隙間が低減及び/又は最小化されたほぼギャップのない界面を形成し、第1の面の少なくとも80%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%が、少なくとも一部の患者の向きにおいて第2の面に接触するようになることを指すことができる(L4椎体とL5椎体との間の空間について存在する可能性があるような工学的なギャップは含まない)。
【0024】
図示の実施形態では、前面S3は部分的に湾曲している。従って、第1の接触面122はまた、前面S3の部分的に湾曲したトポログラフィーの少なくとも一部分と嵌合するように部分的に湾曲しており、例えば、これらの間にほぼ間隙なし界面を形成する。患者が直立し、脊椎が概ね真っ直ぐである場合、第1の接触面122の表面積の少なくとも80%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%が前面S3に接触する(例えば、「ほぼ間隙なし」界面を形成する)。図示された実施形態では、前面S3は、複数の陥凹部及び突出部を有するほぼ「波状」又は「湾曲」したトポログラフィーを有する。従って、第1の突出部121の第1の接触面122は、前面S3の概ね波状のトポログラフィーと嵌合してその間にほぼ間隙なし界面を形成する、幾つかの陥凹部及び突起を有する概ね「波状」又は「湾曲した」トポログラフィーを有する。
【0025】
幾つかの実施形態では、第1の突出部121は、L4椎体の2又は3以上の隣接する面等の複数の面に接触するように構成することができる。第1の突出部121は、第1の接触面122によって接触される面に隣接/近接する面と界接するように構成された第1の部分接触面141を有する第1の(例えば、上、最上部など)部分又は部材140を含むことができる。例えば、図示の実施形態では、第1の部分接触面141は、L4椎体の上面S5(例えば、上エンドプレート)と界接するように構成されている。第1の部分接触面141は、上面S5のトポログラフィーの少なくとも一部と嵌合する(例えば、対応する、一致する、類似する、など)ように設計されたトポログラフィーを有することができる。図示の実施形態では、上面S5は部分的に湾曲している。従って、第1の部分接触面141はまた、上面S5の部分的に湾曲したトポログラフィーの少なくとも一部と嵌合するように、例えば、その間にほぼ間隙なし界面を形成するように部分的に湾曲している。
【0026】
図示の実施形態では、第1の接触面122及び第1の部分接触面141は、両面のトポログラフィーをより明確に示すために、それぞれの面S3,S5から僅かに間隔を空けて示されている。しかしながら、当業者には理解されるように、プレート120が患者に移植されたときに、第1の接触面122は前面S3に接触し得、及び/又は第1の部分接触面141は上面S5の少なくとも一部に接触することができる。
【0027】
第2の突出部126は、L5椎体の前面S4と界接するように構成された第2の接触面128を含む。第2の接触面128は、前面S4と嵌合するように設計された患者固有の幾何形状を有することができる。第2の突出部126は第1の突出部121とは異なる面と嵌合するように構成されているので、第2の突出部126は第1の突出部121とは異なる形状を有することができる。
【0028】
幾つかの実施形態では、第2の突出部126は、L5椎体の2又は3以上の隣接する面等の複数の面に接触するように構成することができる。第2の突出部126は、第2の接触面128によって接触される面に隣接/近接する面と界接するように構成された第2の部分接触面143を有する第2の(例えば、下側、最下側等の)部分又は部材142を含むことができる。例えば、図示の実施形態では、第2の部分接触面143は、L5椎体の下面S6(例えば、下エンドプレート)と界接するように構成されている。第2の部分接触面143は、下面S6と嵌合するように設計された患者固有の幾何形状を有することもできる。第2の部分接触面143は、第1の部分接触面141とは異なる面と嵌合するように構成されているため、第2の部分接触面143は、第1の部分接触面141とは異なる形状を有することができる。
【0029】
プレート120は、L4~L5椎体に対するプレート120及び/又はその1又は2以上の面/突出部の位置決めを支援するように構成された位置合わせ特徴部を更に含むことができる。図示の実施形態では、位置合わせ特徴部は、隣接するL4~L5椎体の間に少なくとも部分的に配置される(延在する、配置される、移植される等)中間(椎体内、内側、中央、中核等)部又は突出部144を含む。中間部分144は、他の位置も可能であるが、概ねL4椎体及びL5椎体の側方縁の間の中央に配置することができる。図示の実施形態では、プレート120は、L4椎体及びL5椎体の間、例えば、L4椎体の下面S2とL5椎体の上面S1との間に少なくとも部分的に配置された中間部分144を含む。図示の実施形態では、中間部分144は、プレート120が移植されたときに、椎間板内(例えば、L4-L5椎間板)に少なくとも部分的に接触するように構成されている。他の実施形態では、中間部分144は、プレート120が移植されたときに椎間板内から、例えば、少なくとも1mm、2mm、5mm、10mm、又は他の適切な距離だけ離間する(すなわち、接触しない)ように構成することができる。更なる実施形態では、椎間板は、プレート120の移植前又は移植中に、存在しないか又は少なくとも部分的に除去/切除することができる。これら及び他の実施形態において、中間部分144は、椎間板又はL4及びL5椎体間の椎間腔に配置された他の物体(例えば、椎間デバイス)によって他の方法では占有されないL4及びL5椎体間の任意の空隙スペースの少なくとも50%、60%、70%、80%、又は90%を占有するように構成することができる。
【0030】
中間部分144は、第1の(例えば、上側、上側等)中間接触面145及び第2の(例えば、下側、下側等)中間接触面145を含むことができる。第1の中間接触面145は、L4椎体の下面S2の少なくとも一部と界面するように構成することができる。第1の中間接触面145は、L4椎体の下面S2の形状と少なくとも部分的に嵌合するように設計された形状を有することができる。例えば、図示の実施形態では、下面S2は部分的に湾曲している。従って、第1の中間接触面145も、下面S2の部分的に湾曲したトポログラフィーの少なくとも一部分と嵌合するように、例えば、その間にほぼ間隙なし界面を形成するように、部分的に湾曲している。第2の中間接触面146は、L5椎体の上面S1の少なくとも一部と界面するように構成することができる。第2の中間接触面146は、上面S1と嵌合するように構成された患者固有の幾何形状を有することができる。第2の中間接触面146は、第1の中間接触面145とは異なる面と嵌合するように構成されているため、第2の中間接触面146は、第1の中間接触面145とは異なる形状を有することができる。
【0031】
図1Cは、中間部分144及び周囲の患者解剖学的構造を示す図1Aの一部の拡大図である。図1Cに最もよく示すように、第1の中間接触面145は、L4椎体の下面S2及び/又は第2の皮質リムCR2のトポロジーに対応する第1の曲率を有し、第2の中間接触面146は、L5椎体の上面S1及び/又は第1の皮質リムCR1のトポロジーに対応する、第1の中間接触面145の第1の曲率とは異なる第2の曲率を有する。図1Cに示される実施形態では、中間部144の遠位/後方端部又は末端部147は、本来のL4-L5椎間板と接触するか又は他の方法で界接するように構成される。他の実施形態では、及び上述したように、遠位/後方端部147は、L4-L5椎間板から離間してその間にギャップを形成するように構成することができる。加えて、又は代替的に、遠位/後方端部147は、図3A~5を参照して更に説明した椎間インプラントの何れかのような、L4椎体とL5椎体との間に配置されるように構成された椎体間デバイスに結合することができる。これら及び他の実施形態では、例えば、中間部分144及び/又は椎間デバイスのための空間をL4及びL5椎体間に形成するために、L4-L5椎間板の少なくとも一部を切除又は他の方法で除去することができる。切除/除去されるL4-L5椎間板の量は、患者固有のであり得、及び/又は少なくとも概ね同様、同一であり得、又はそうでなければ、L4-L5椎間腔内に配置されるように構成された中間部分及び/又は椎間デバイスのサイズに対応することができる。
【0032】
中間部分の遠位/後端部147は、図1Cにおいて長さLで示されるように、プレート120(例えば、プレート120の第1の接触面122及び/又は第2の接触面128)から遠位/後方に距離/長さだけ延びるように構成することができる。長さLは、約1mm及び約20mmの間、例えば、約1mm、約2mm、約5mm、約10mm、約15mm、約20mm、又は他の適切な距離とすることができる。幾つかの実施形態では、長さLは、(1)皮質リムCR1、CR2及び/又は前椎骨面S3、S4と、(2)椎間板L4~L5の前縁/面Eとの間の距離のような、1又は2以上の患者固有の要因に少なくとも部分的にベースとされる。そのような実施形態において、及び上記に規定されるように、中間部144は、プレート120がL4及びL5椎体の前面S3、S4に対して位置決めされる場合に、遠位端部147がL4/L5椎間板の前縁/面Eに突き当たる又は他の方法で接触するように特に設計された長さを有することができる。このような実施形態では、遠位端部147は、中間突出部144から椎間板に伝達される不要な力を低減又は防止するために、本来のL4/L5椎間板のトポロジーに対応するトポロジーを有することができる。しかしながら、他の実施形態では、中間突出部144は、皮質リムCR1、CR2と椎間板の前縁/面Eとの間の距離よりも大きい長さLを有するように設計されてもよい。このような実施形態では、プレート120を移植する前に椎間板の一部を切除することができ、及び/又は、中間突出部144は、(例えば、椎間板を体間腔に保持するのを助けるために)椎間板を後方向に偏らせる又は付勢することができる。更に他の実施形態では、中間部144は、プレート120の移植後、中間突出部144の遠位端部147と椎間板の前縁/面Eとの間にギャップ(図示せず)が存在するように、皮質リムCR1、CR2と椎間板の前縁/面Eとの間の距離未満の長さLを有することができる。幾つかの実施形態では、ギャップは、約0.5mmと約10mmの間、又は約0.5mmと約5mmの間、例えば約0.5mm、約1mm、約1.5mm、約2mm等である。
【0033】
幾つかの実施形態では、中間部144は、遠位/後端部147が、椎体L4,L5の前面S3,S4の一方又は両方を越えて遠位/後方に特定の距離延びるように、及び/又は椎体L4,L5の皮質リムCRの一方又は両方を越えて遠位/後方に特定の距離延びるように設計されている(例えば、下面S1と前面S4との間のL5椎体の第1の皮質リムCR1、及び/又は上面S2と前面S2との間のL4椎体の第2の皮質リムCR2)。例えば、中間部144は、遠位/後端部147が前面S3、S4及び/又は皮質リムCR1、CR2を越えて1mm~20mm(例えば、約1mm、約2mm、約5mm、約10mm、約15mm、約20mm、又は別の適切な距離)延びるように設計することができる。少なくとも幾つかの実施形態において、距離は、中間部分144がL4-L5椎間板に接触するように構成されているか否か、中間部分114が椎間デバイスに結合されるように構成されているか否かを含む、1又は2以上の患者固有の要因に基づいて少なくとも部分的に選択され得る、中間部分144に結合されるように構成された椎間デバイスの1又は2以上の寸法、除去/切除されるL4-L5椎間板の量、患者の椎体の1又は両方のトポロジー、及び/又は本明細書に記載された他のデータ及び/又は患者固有の情報の何れかを含む。
【0034】
再び図1A及び図1Bを参照すると、プレート120をL4及び/又はL5椎体のような隣接する解剖学的構造に固定するために、ネジのような締結要素を使用することができる。幾つかの実施形態において、及び図1Bに最もよく示されるように、第1の突出部121は、プレート120をL4椎体に固定するための1又は2以上の締結要素又はねじ125(図1A)を受け入れるための1又は2以上のアパーチャ124(図1B)を含むことができる。更に、第2の突出部126は、プレート120をL5椎体に固定するための1又は2以上の締結要素又はねじ129(図1)を受け入れるための1又は2以上のアパーチャ127(図1B)を含むこともできる。更に、図1A及び図1Bには示されていないが、幾つかの実施形態では、中間部分144は、例えば、第1の中間接触面145を下面S2に、及び/又は第2の中間接触面146を上面S1に固定するための、1又は2以上の締結要素又はねじを受け入れるための1又は2以上のアパーチャを含むことができる。締結要素及び/又はアパーチャ124、127の各々は、患者の解剖学的構造と嵌合するように構成された患者固有の幾何形状を含むことができる。例えば、第1の突出部121におけるアパーチャ124の位置/配置は、第2の突出部126におけるアパーチャ127の位置/配置とは異なり得、関連する締結要素の寸法(例えば、長さ、幅、ねじ切り等)及び/又は挿入角度は、患者の解剖学的構造及び/又は特定のアパーチャに対応することができる。更に、又は代替的に、幾つかの実施形態では、プレート120は、後方固定プロセス又は技術を用いてL4及び/又はL5椎体に固定することができる。
【0035】
幾つかの実施形態では、プレート120に複数のウィング/突出部を組み込むことによって、隣接する椎体間の固定を提供し、椎体間の術後運動を低減し、及び/又はプレート120によって提供される安定性を増大させることができる。上方向及び/又は下方向に延びる突出部を有することに加えて、又はその代わりに、プレート120は、側方に(例えば、プレート120の内側又は中心軸/面に対して)延び、L4及び/又はL5椎体の1つ又は2又は3以上の側面/側部と界接するように構成された1つ又は2又は3以上の突出部を含むことができる。そのような実施形態において、側方突出部は、L4及び/又はL5椎体の側面と嵌合するように構成された患者固有の幾何形状を有することができる。側方突出部はまた、プレート120を椎体に固定するために使用することができる。
【0036】
プレート120は、プレート120の患者固有のトポログラフィーが患者の解剖学的構造の対応するものと嵌合する所定の標的位置を有することができる。例えば、図示の実施形態では、接触面122はL4椎体の前面S3と整列し、第2の部分接触面143はL5椎体の下面S6の少なくとも一部と整列し、第1の中間接触面145はL4椎体の下面S2の少なくとも一部と整列する等である。
【0037】
プレート120は、図1A及び図1BにおいてL4及びL5椎体を参照して説明及び図示されているが、他の実施形態では、プレート120は、患者の脊椎の頸椎、腰椎下部、及び/又は他の領域に移植するように構成することができる。このような実施形態では、プレート120及び/又はその1又は2以上の構成要素(例えば、第1の突出部121、第2の突出部126等)は、対応する曲線状又は円弧状の形状を有することができる。例えば、プレート120、及び/又はその1又は2以上の構成要素は、対応する軸に沿って患者の脊椎の標的位置における曲率又は円弧状形状に対応する長手方向又は頭側-尾側軸に沿った曲率又は円弧状形状を含むことができる。
【0038】
インプラント100の患者固有のトポログラフィーによって、隣接する1つ又は両方の椎骨に対するインプラント100の相対的な動き(例えば、横方向、垂直方向等)を防止、抑制、制限又は低減できることが期待される。例えば、インプラント100を標的位置に配置することにより、プレート120とL4及び/又はL5椎体との接触を最大にすることができる。これにより、L4及びL5椎体の安定性を高めることができ、及び/又はプレート120が標的位置から外れる(外れる、脱離する等)リスクを低減することができる。更に、患者固有のトポログラフィーにより、プレート120が標的位置に配置された後、隣接する椎体の相対位置/アライメントが変化するリスクを低減できることが期待される。例えば、標的脊椎セグメント(例えば、L4及びL5椎体)にインプラント100を配置することにより、患者の脊椎の他の部分/セグメントに対する標的脊椎セグメントの相対的な動きを制限することができる。これにより、インプラント100及び/又は第2の椎体(例えば、L5)に対する第1の椎体(例えば、L4)の膨らみを低減及び/又は防止することができ、及び/又は患者の脊椎における椎体の全体的なアライメントを改善することができる。患者固有のトポログラフィーは、例えば、プレート120が第1の椎体(例えば、L4)と第2の(例えば、隣接する)椎体(例えば、L5)との融合(結合、接続など)を改善するように、標的位置におけるプレート120の適合を改善し得ることが更に期待される。
【0039】
図2A及び図2Bは、本発明の技術の実施形態に従って構成された追加の患者固有のインプラントを示す。より具体的には、図2Aは、第1のプレート220及び第2のプレート250を含むインプラント200の側面図を図示し、図2Bは、図2Aのインプラント200の前面図を示す。インプラント200の少なくとも幾つかの態様は、図1A及び図1Bのインプラント100の1又は2以上の態様と構造及び/又は機能において一般的に類似又は同一とすることができる。従って、一般的に類似又は同一の態様を識別するために、同様の名称及び/又は参照番号が使用される(例えば、図2A及び2Bの第1のプレート220対図1A及び1Bのプレート120)。更に、図2A及び図2Bのインプラント200の特徴の何れかを、図1A及び図1Bのインプラント100と組み合わせることができる。
【0040】
まず図2Aを参照すると、インプラント200は、脊柱(例えば、L4及びL5椎体)の第1の側に配置され及び/又は接触する第1のプレート220と、脊柱の第2の側に配置され及び/又は接触する第2のプレート250とを含む。例えば、図示された実施形態において、第1のプレート220は、脊柱の前方に位置決めされ、第2のプレート250は、脊柱の側方(例えば、側面上/側面に近接)に位置決めされる。
【0041】
第2のプレート250は、患者の解剖学的構造と嵌合するように構成された患者固有の幾何形状(例えば、サイズ、形状、曲率、輪郭、モホロジー、トポログラフィーなど)を含むことができる。特に、第2のプレート250は、第1の(例えば、上側、上側等)突出部又はウィング部252及び第2の(例えば、下側、下側等)突出部又はウィング部254を含む。第1の突出部252は、L4椎体の側面S7と界接するように構成された第1の接触面256(図2B)を含む。第2のプレート250の第1の接触面256(例えば、後面)は、L4椎体の側面S7の形状と嵌合するように設計された形状を有することができる。図示の実施形態では、側面S7は部分的に湾曲している。従って、第1の接触面256も、側面S7の部分的に湾曲したトポログラフィーの少なくとも一部分と嵌合するように、例えば、その間にほぼ間隙なし界面を形成するように部分的に湾曲している。図示された実施形態では、前側面S7は、概して「波状」又は「湾曲した」トポログラフィーを有する。従って、第1の突出部252の第1の接触面256は、ほぼ間隙なし界面をその間に形成するために、側面S7の概ね波打つトポログラフィーと嵌合する概ね「波打つ」又は「湾曲した」トポログラフィーを有する。図示された実施形態では、第1の接触面256は、様々な面のトポログラフィーをより明確に示すために、側面S7から僅かに離間して示されている。しかしながら、当業者であれば理解できるように、第2のプレート250が患者に移植されたとき、第1の接触面256は側面S7に接触することができる。
【0042】
幾つかの実施形態では、第1の突出部252は、L4椎体の2又は3以上の隣接する面等の複数の面に接触するように構成することができる。第1の突出部252は、L4椎体の上面S5(例えば、上エンドプレート)と界接するように構成された第1の部分接触面255を有する第1の(例えば、上側、最上部など)部分又は部材253を更に含むことができる。第1の部分接触面255は、上面S5のトポログラフィーと嵌合する(例えば、対応する、一致する、類似する等)ように設計されたトポログラフィーを有することができる。図示の実施形態では、上面S5は部分的に湾曲している。従って、第1の部分接触面255も、上面S5の部分的に湾曲したトポログラフィーの少なくとも一部分と嵌合するように、例えば、その間にほぼ間隙なし界面を形成するように、部分的に湾曲している。
【0043】
第2の突出部254は、L5椎体の側面S8と界接するように構成された第2の接触面258を含む。第2の接触面258は、側面S8と嵌合するように設計された患者固有の幾何形状を有することもできる。特に、第2の突出部254は第1の突出部252とは異なる面と嵌合するように構成されているため、第2の突出部254は第1の突出部252とは異なる形状を有することができる。
【0044】
幾つかの実施形態において、第2の突出部254は、L5椎体の2又は3以上の隣接する面等の複数の面に接触するように構成することができる。第2の突出部254は、L5椎体の下面S6(例えば、下エンドプレート)と界接するように構成された第2の部分接触面259を有する第2の(例えば、下側、最下側等の)部分又は部材257を更に含むことができる。第2の部分接触面259は、下面S6の少なくとも一部と嵌合するように設計された患者固有の幾何形状を有することができる。第2の部分接触面259は、第1の部分接触面255とは異なる面と嵌合するように構成されているため、第2の部分接触面259は、第1の部分接触面255とは異なる形状を有することができる。
【0045】
第2のプレート250は、隣接するL4~L5の椎体の間に少なくとも部分的に配置される(延在する、配置される、移植される等)中間(椎体内、内側、中央部、中核等)部分又は突出部260を更に含むことができる。中間部分260は、図1A図1Cの中間部分144と概ね同様に又は同じように構成することができる。中間部分260は、第1の(例えば、上側、上側等)中間接触面262及び第2の(例えば、下側、下側等)中間接触面264を含むことができる。第1の中間接触面262は、図1A及び図1Bの第1の中間接触面145と概ね同様に又は同様に構成することができる。第2の中間接触面264は、図1A及び図1Bの第2の中間接触面146と概ね同様に又は同様に構成することができる。
【0046】
インプラント200は、第1のプレート220及び第2のプレート250を結合又は接続するように構成された1又は2以上のリンク機構又はコネクタ266(図2A及び図2Bにおいて第1のコネクタ266a及び第2のコネクタ266bとして個々に識別される)を更に含むことができる。例えば、図示された実施形態では、第2のプレート250の第1の突出部252は、第1のコネクタ266aによって第1のプレート220の第1の突出部221に結合され、第2のプレート250の第2の突出部254は、第2のコネクタ266bによって第1のプレート220の第2の突出部226に結合される。他の実施形態では、インプラント200は、1又は2以上のコネクタ266を含むことができ、コネクタ266は、第1のプレート220の任意の部分、領域、又は位置を第2のプレート250の任意の部分、領域、又は位置に結合するように構成することができる。例えば、幾つかの実施形態において、第1のプレート220の第1の突出部221は、第2のプレート250の第2の突出部254に結合することができる。コネクタ266の各々は、患者の解剖学的構造と嵌合するように構成された患者固有の幾何形状(例えば、サイズ、形状、曲率、輪郭、モホロジー、トポログラフィーなど)を含むことができる。幾つかの実施形態では、コネクタ266の各々は、例えば、患者の椎体の側方トポログラフィーに適合するように、少なくとも部分的に可撓性又は変形可能とすることができる。コネクタ266の各々は、患者への移植又は挿入の前及び/又は後に、第1及び/又は第2のプレート220、250に結合することができる。幾つかの実施形態では、コネクタ266、第1のプレート220、及び/又は第2のプレート250の各々は、一体部品又は組立体とすることができる。幾つかの実施形態では、第1及び第2のプレート220、250は、第1のプレート220を第1の標的位置に位置決めする(例えば、自動的に第2のプレートを第2の標的位置に位置決めする)ように、所定の3次元配向で(例えば、コネクタ266を介して)互いに結合することができる。従って、1又は2以上の第1の解剖学的構造と嵌合するように第1のプレートを位置決めすることにより、第2のプレートを1又は2以上の第2の解剖学的構造と嵌合させる(例えば、自動的に嵌合させる)ことができる。
【0047】
図1A及び図1Bに関して先に説明したように、ねじ(明瞭にするために図2A及び図2Bには図示せず)のような1又は2以上の締結要素を使用して、第1及び/又は第2のプレート220、250を、L4及び/又はL5椎体のような隣接する解剖学的構造に固定することができる。例えば、第2のプレート250の第1の突出部252は、第1の突出部をL4椎体に固定するために締結要素を受け入れるように構成された1又は2以上のアパーチャ268を含むことができ、第2のプレート250の第2の突出部254は、第2の突出部254をL5椎体に固定するために締結要素を受け入れるように構成された1又は2以上のアパーチャ270を含むことができる。更に、コネクタ266の1又は2以上は、締結要素を受けるように構成された1又は2以上のアパーチャを含むことができる。
【0048】
図2A及び図2Bでは2枚のプレートを有するという関連で説明したが、他の実施形態では、インプラント200は2枚以上のプレートを含むことができる。例えば、インプラント200は、少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又は任意の適切な数のプレートを含むことができる。更に、幾つかの実施形態では、隣接する椎体の各々の側面/面は、各々、2又は3以上のプレートを含むことができる。例えば、2又は3以上のプレートを患者の椎体の前方に配置することができ、2又は3以上のプレートを患者の椎体の第1の側方に配置することができ、及び/又は2又は3以上のプレートを患者の椎体の第2の(例えば、反対側の)側方に配置することができる等である。インプラント200は、図2A及び図2Bに図示された実施形態では、L4及びL5椎体を参照して説明及び図示されているが、他の実施形態では、プレート120は、患者の脊椎の頸椎、腰椎下部、及び/又は他の領域に移植するように構成することができる。
【0049】
それぞれが患者固有のトポログラフィーを有する複数のプレートを含むインプラントは、隣接する椎骨の一方又は両方に対するプレートの相対的な動き(例えば、横方向、垂直方向等)を防止、抑制、制限、又は低減できることが期待される。例えば、複数のプレートを含むインプラントは、隣接する椎体の安定性を高め、及び/又は1又は2以上のプレートが標的位置から外れる(切断される、脱離する等)リスクを低減することができる。更に、複数のプレートを含むインプラントは、例えば、1又は2以上のプレートのうちの1つ及び/又は第2の椎体(例えば、L5)に対する第1の椎体(例えば、L4)の膨らみを低減及び/又は制限するために、プレートが標的位置に配置された後に隣接する椎体の相対位置/アライメントが変化するリスクを低減できることが期待される。複数のプレートを含むインプラントは、例えば、プレート120が第1の椎体と第2の(例えば、隣接する)椎体との融合(結合、接続など)を改善するように、標的位置における椎体の適合を改善できることが更に期待される。
【0050】
図3A及び図3Bは、本発明の技術の実施形態に従って構成された別の患者固有インプラント300を示す。インプラント300の少なくとも幾つかの態様は、図1A及び図1Bのインプラント100及び/又は図2A及び図2Bのインプラント200の1又は2以上の態様と構造及び/又は機能において一般的に類似又は同一とすることができる。従って、一般的に類似又は同一の態様(例えば、プレート320対図1A及び図1Bのプレート120、図2A及び図2Bの第1のプレート220)を識別するために、同様の名称及び/又は参照番号が使用される。更に、図3A及び図3Bのインプラント300の特徴の何れかを、図1A及び図1Bのインプラント100及び/又は図2A及び図2Bのインプラント200と組み合わせることができる。
【0051】
図3Aは、L4及びL5椎体(破線で示す)に近接して移植されたインプラント300の側面図である。図3Bは、図3Aのインプラント200の正面図である。インプラント300は、患者固有の椎体間要素又はケージ310、患者固有の位置決め要素又はプレート320、及びケージ310をプレート320に接続する接続要素又は機構330を含むことができる。ケージ310は、L4椎体とL5椎体との間の椎間板腔に配置され、L5椎体の上側及びL4椎体の下側と界接する。プレート320は、椎体の前方に配置され、図1A及び図1Bのプレート120及び/又は図2A及び図2Bの第1のプレート220と概ね同様又は同様の特徴を含むことができる。
【0052】
ケージ310は、L4椎体の下側(例えば、下エンドプレート)面S2のトポログラフィーと嵌合するように設計されたトポログラフィーを有する第1の(例えば、上側)面312と、L5椎体の上側(例えば、上エンドプレート)面S1のトポログラフィーと嵌合するように設計されたトポログラフィーを有する第2の(例えば、下側)面314とを含むことができる。幾つかの実施形態では、ケージ310は、患者の解剖学的構造と嵌合するように設計された患者固有の幾何形状(例えば、サイズ、形状、曲率、輪郭、モホロジー、トポログラフィーなど)を含む。例えば、図示の実施形態では、ケージ310の第1(例えば、上側)面312は、L4椎体の下面S2のトポログラフィーと嵌合するように設計されたトポログラフィーを有することができる。患者が立ち、脊椎が概ね真っ直ぐになると、ケージ310全体に概ね均等に荷重がかかるように、第1の面312の面積の少なくとも80%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%が下面S2に接触する(例えば、「ほぼ間隙なし」界面を形成する)。図示の実施形態では、下面S2は、幾つかの陥凹部及び突出部を有する概ね「波状」のトポログラフィーを有する。従って、ケージ310の第1の面312は、下面S2の概ね波状のトポログラフィーと嵌合してほぼ間隙なし界面をその間に形成する複数の陥凹部及び突出部を有する概ね「波状」のトポログラフィーを有する。ケージ310の第2の(例えば下)面314は、L5椎体の上面S1の形状と嵌合するように設計された形状を有することができる。患者が立ち、脊椎が概ね真っ直ぐである場合、ケージ310全体に概ね均等に荷重がかかるように、第2の面314の面積の少なくとも80%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%が下面S1に接触する(例えば、「ほぼ間隙なし」界面を形成する)ことができる。図示の実施形態では、上面S1は概ね平坦である。従って、ケージ310の第2の面314は、上面S1の概ね平坦な形状と嵌合する概ね平坦な形状を有し、その間にほぼ間隙なし界面を形成する。図示の実施形態では、様々な面のトポログラフィーをより明確に示すために、第1の面312は下面S2から僅かに離間して示され、及び第2の面314は上面S1から僅かに離間して示されている。しかしながら、当業者であれば理解できるように、ケージ310が患者に移植されたときに、第1の面312が下面S2に接触し、及び/又は第2の面314が上面S1に接触することができる。ケージ310の適合性を向上させることに加えて、一致するトポログラフィーは、L4及びL5椎骨の一方又は両方に対するケージ310の側方移動を防止、抑制又は制限することができる。例えば、トポログラフィーは、ケージ310の動きを下面S2の最大長の5%未満、2%未満、又は1%未満に抑えるように設計することができる。これら及び他の実施形態では、中間部分344は、ケージ310に加えて又はケージ310に代えて、L4及びL5椎体の一方又は両方を支持するように構成することができる。中間部分344は、ケージ310によって支持される荷重の第2の部分未満、等しい、又はそれより大きい荷重の第1の部分を支持するように構成することができる。例えば、中間部分344は、L4及びL5の椎体の一方又は両方によってインプラント300に加えられる荷重の少なくとも5%、10%、20%、50%、60%、又はその間の別の適切な割合を支持するように構成することができる。
【0053】
ケージ310及びプレート320の患者固有のトポログラフィーが対応する解剖学的構造と嵌合するように構成される所定の標的位置を、ケージ310及びプレート320の両方が有することができる。例えば、ケージ310は、その患者固有のトポログラフィーが対応するトポログラフィーを有する解剖学的構造と整列する(例えば、第1の面312及び第2の面314がそれぞれ下面S2及び上面S1と整列する)第1の標的位置に示されている。幾つかの実施形態では、第1の標的位置は、他の位置も可能であるが、概ねL4椎体及びL5椎体の側縁の間の中央に位置することができる。プレート320は、プレート320の患者固有のトポログラフィー及び/又はその面の1又は2以上が、対応するトポログラフィーを有する患者の解剖学的構造の部分/面と整列する第2の標的位置に示されている(例えば、第1の接触面322は前面S3と整列し、第2の中間接触面346は下面S1と少なくとも部分的に整列する等)。
【0054】
ケージ310及びプレート320をそれぞれの標的位置に配置することは、例えば、前述のように、インプラント300の利益を最適化し、及び/又はインプラント300に関連する副作用を低減することが期待される。更に、ケージ310を第1の標的位置に配置することにより、ケージ310とL4及びL5椎体との接触が最大になり、ケージがL4及びL5椎体間の椎間板腔から排出される危険性を低減できることが期待される。
【0055】
ケージ310は、接続機構330を介してプレート320に結合することができる。図示の実施形態では、接続機構330はプレート320の中間部分344に結合されている。図3A及び図3Bでは、中間部分とケージ310との間にギャップを有するように図示されているが、他の実施形態では、ケージ310が接続機構330を介してプレート320に結合されるとき、中間部分はケージ310に接触することができる。そのような実施形態では、中間部分344は、ケージ310及びプレート320がそれぞれの標的位置に配置されたときに中間部分344がケージ310に突き当たる又は接触するような長さを有するように寸法決めすることができる。更に、幾つかの実施形態では、中間部分344は、ケージ310の高さ及び/又は椎間(例えば、L4椎体とL5椎体との間)の高さに対応する高さを有することができる。中間部分344がケージ310に接触すると、ケージ310の運動(例えば、前方運動)を少なくとも部分的に阻止又は抑制することができる。
【0056】
接続機構330は、剛性又は半剛性の界接を含むことができる。接続機構330は、2021年11月18日に出願された「PATIENT-SPECIFIC VERTEBRAL IMPLANTS WITH POSITIONING FEATURES」と題する、PCT出願PCT/US21/59837号に記載されており、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。例えば、及び図4及び図5に関して以下でより詳細に説明されるように、接続機構330は、例えば、1又は2以上のねじ(例えば、骨ねじ)、ボルト(例えば、ラグブロット、キャリッジボルト、六角ボルト、機械ねじ、木ねじ等)、剛性金属アーム等を含む剛性接続部を含むことができる。半剛性接続部は、半剛性金属アーム(例えば、スロット付きアーム、可撓性アーム等)、カットアウト又は曲げ点を有するアーム等を含むことができる。幾つかの実施形態において、接続機構330は、キー及びスロット機構、磁石、リベット、テザー、又は他の適切な締結要素とすることができる。幾つかの実施形態では、及び図3Bに最もよく示されるように、プレート320は、プレート320のケージ310への接続を容易にするためのアパーチャ336又は他の特徴を含むことができる。図6に関して以下により詳細に説明するように、ケージ310及びプレート320は、椎間板腔に送達される前に接続機構330を介して結合される。他の実施形態では、及び図7に関して以下により詳細に説明するように、ケージ310及びプレート320は、結合されていない状態で椎間板腔に送達され得、接続機構330は、ケージ310及びプレート320の両方が移植されると、ケージ310及びプレート320を機械的に結合するために使用することができる。
【0057】
プレート320に対するケージ310の空間的関係(例えば、1次元的関係、2次元的関係、又は3次元的関係)は、接続機構330に少なくとも部分的に依存する。以下により詳細に説明するように、移植後のケージ310とプレート320との間の所望の空間的関係は、第1の標的位置(例えば、ケージ310の標的位置)及び第2の標的位置(例えば、プレート320の標的位置)の相対的場所に依存する。従って、接続機構330は、ケージ310が第1の標的位置を占めること及びプレート320が第2の標的位置を占めることを同時に許容する特定の寸法空間関係を形成するように、ケージ310をプレート320に接続するように設計することができる。例えば、接続機構330は、1次元空間関係(例えば、ケージからプレート320までの最大距離)を維持する可撓性テザーの形態とすることができる。別の例として、接続機構330は、脊椎の所望のレベルの屈曲を可能にするために下方向及び上方向に屈曲可能な半剛性アームとすることができる。半剛性アームは、ケージ310の側方移動を制限又は防止するために、ケージ310及びプレート320間の2次元関係を維持することができる。
【0058】
プレート320はケージ310の幅未満の幅又は横方向寸法を有するものとして図3Bに示されているが、他の実施形態では、プレートは、ケージ310の幅に等しい幅及び/又はそれよりも大きい幅を有することができる。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、プレート320は、ケージ及び/又は隣接する椎骨の幅全体にわたって延びることができる。このような実施形態では、接続機構330及び/又は中間部分344は、プレート320の幅と等しいか又はそれ未満の幅を有することができ、例えば、接続機構330及び/又は中間部分344は、ケージ310の側面全体(例えば、前側面全体)に接触できるようになる。これにより、標的位置に移植された際にケージ310が前方向に移動するのを低減又は防止することができる。
【0059】
幾つかの実施形態では、インプラント300は、プレート320と構造及び/又は機能が少なくとも概ね同様又は同一の複数のプレートを含むことができ、複数のプレートの各々は、接続機構によってケージ310に結合することができる。幾つかの実施形態では、インプラント300は、複数のプレート及びケージ310と構造及び/又は機能が少なくとも概ね類似又は同一である複数の対応するケージを含むことができ、プレートの各々は、接続機構によって対応するケージに結合することができる。
【0060】
図1A~3Bのインプラントは、特定の椎体(例えば、インプラント100は、L4及びL5椎体に対して相対的に示されている)に対して移植されるものとして示されているが、本明細書に記載のインプラントは、頸椎、胸椎及び腰椎領域(例えば、S1~L4、L2~T12、C3~C4等)の椎体を含む他の椎体に対して及び/又は他の椎体間に移植されるように設計することができる。更に、図2A及び図2Bに示すインプラントは「ケージ」及び「プレート」を含むが、本発明の技術はこのような実施形態に限定されない。むしろ、本発明の技術は、他のタイプの椎体間デバイス及び整形外科インプラントを含むことができる。更に、本明細書に記載されるインプラントは、個々の患者の解剖学的構造に適合するように設計されるので、インプラントのサイズ、形状及び幾何学的形状は、個々の患者の解剖学的構造に応じて変わることになる。従って、本発明の技術は、特定のインプラントの設計又は構成に限定されるものではなく、従って、本明細書に明示的に図示又は記載されたインプラント以外の他のインプラントを含むことができる。
【0061】
図4は、本発明の技術の実施形態に従って構成された患者固有のインプラント400の部分概略上面図である。インプラント400は、本明細書で先に説明した患者固有のインプラント100、200、300の何れかと構造及び/又は機能において少なくとも概ね類似又は同一とすることができる。例えば、インプラント400は、椎体間要素又はケージ410と、位置決め要素又はプレート420と、ケージ410をプレート420に結合するように構成された接続機構430と、を含むことができる。ケージ410、プレート420、及び/又は接続機構430は、本明細書で先に説明した患者固有の特徴の何れか等の患者固有の特徴(例えば、幾何形状、トポログラフィー等)を有することができる。プレート420は、第1の(例えば、外面)423と第2の(例えば、内面)422との間に延びる1又は2以上のアパーチャ424を有することができる。インプラント400が患者に移植されると、1又は2以上のねじ(図示せず)をアパーチャ424を通して挿入し、解剖学的構造に固定する(例えば、1又は2以上の椎体にねじ込む)ことができる。
【0062】
図示されているように、接続機構430のある態様は、プレート420と一体化することができる。例えば、プレート420は、プレート420から横方向に延びる一体型突出部432(例えば、アーム、延長部、レバーなど)に接続できるか又はこれを含むことができる。幾つかの実施形態において、一体型突出部432は、図1A~1Cの中間突出部144と構造及び/又は機能において少なくとも概ね同様又は同一とすることができる。突出部432は、プレート420を貫通して延びるアパーチャ436と整列する内腔又は他の開口部434(図4に破線で示す)を定める中空内部を有することができる。以下に記載されるように、ネジ又は他の締結要素(例えば、ラグブロット、キャリッジボルト、六角ボルト、機械ネジ、木ねじ等)が、アパーチャ436を介して内腔434に挿入することができる。突出部432の遠位端部は、ケージ410の対応する陥凹部又は受け入れ特徴部416内に嵌合することができる。陥凹部416は、幾つかの実施形態では、内腔434を介して突出部432を通って挿入された対応するねじ付き雄コネクタを受け入れるためのねじ付き雌コネクタを定める受入部417を含むことができる。例えば、受入部417は、突出部432が陥凹部416に進んだときに内腔434と整列することができ、ねじ又は他の締結要素が、プレート420のアパーチャ436を通って挿入され、突出部432の内腔434を通って進み、受入部417に固定され(例えば、ねじ式に固定され)、これによりプレート420をケージ410に固定することができるようになる。
【0063】
加えて、又は代替的に、接続機構430は、他の適切な機構を用いてプレート420をケージ410に結合することができる。例えば、幾つかの実施形態では、受入部417は、プレート420をケージ410に磁気的に結合させるために、陥凹部416に挿入されたときに突出部432の遠位端部に取り付ける1又は2以上の磁石を備えることができる。別の例として、接続機構430は、キー及びスロット機構を利用することができ、この場合、突出部は、プレート420をケージ410に解除可能に結合するために、陥凹部416内の1又は2以上のスロット特徴部と解除可能に係合するように構成された1又は2以上のキー特徴部を含むことができる。更に他の実施形態では、プレート420は、リベット、テザー、又は他の適切な接続機構を用いてケージ410に結合することができる。
【0064】
幾つかの実施形態では、接続機構430は、プレート420とケージ410との間に、外部応力に応答して歪みを最小化及び/又は低減する剛性(例えば、非弾性)界面を形成することができる。例えば、接続機構430は、ケージ410又はプレート420の一方又は両方が機械的応力を受けた場合でも、ケージ410とプレート420の間の所定の3次元配向を保持するように剛性とすることができる。接続機構430が剛性である実施形態では、接続機構430は、突出部432の実質的に全長にわたって延びる1又は2以上の金属ねじ又はボルトを含むことができる。
【0065】
幾つかの実施形態では、接続機構430は、プレート420とケージ410の間に半剛性界面を形成して、患者の運動中の患者の解剖学的構造の変化を考慮するためにプレート420とケージ410との間のある程度の相対運動を許容しながら、外部応力に応答した歪みを最小化することができる。例えば、幾つかの実施形態では、接続機構430は、少なくとも1つの運動平面において最大5度、10度、15度などの運動を許容することができる。接続機構430が半剛性である実施形態では、接続機構430の1又は2以上の態様(例えば、突出部432)は、少なくとも部分的に弾性又は可撓性材料(例えば、ニチノール、シリコーン、ゴム等)から構成され、及び/又は1又は2以上の運動セグメント又は関節を含むことができる。
【0066】
その構成にかかわらず、接続機構430は、プレート420が接続機構430を介してケージ410に結合されるとき、プレート420とケージ410との間に特定の(例えば、患者固有の)3次元空間関係/配向を提供する。従って、突出部432、陥凹部416、及びその他の関連する特徴は、プレート420がケージ410に固定されたときに、プレート420及びケージ410が互いに対して所定の向き及び/又は位置をとるように設計することができる。例えば、ケージ410は第1の標的位置に移植されるように設計され、プレート420は第2の標的位置に移植されるように設計されているので、プレート420をケージ410に結合することにより、プレート420及びケージ410は、ケージ410が第1の標的位置にあることを可能にすると同時にプレート420が第1の標的位置にあることを可能にする向きをとるようになる。その結果、後で詳述するように、プレート420が第2の標的位置にあるときにプレート420をケージ410に結合することにより、プレート420及びケージ410をこれらの所定の向き/位置に自動的に位置決めすることができ、これにより、ケージ410を第1の標的位置を占めるように移動させることができる。
【0067】
図5は、本発明の技術の実施形態に従って構成された患者固有インプラント500の部分概略上面図である。インプラント500は、先に説明した患者固有インプラントの何れかと概ね同様とすることができる。例えば、インプラント500は、椎体間要素又はケージ510と、位置決め要素又はプレート520と、ケージ510をプレート520に結合するように構成された接続機構530とを含むことができる。ケージ510、プレート520、及び/又は接続機構530は、本明細書で既に説明した患者固有の特徴の何れか等の患者固有の特徴(例えば、幾何形状、トポログラフィー等)を有することができる。プレート520は、第1の面(例えば、外面)523と第2の面(例えば、内面)522との間に延びる1又は2以上のアパーチャ524を有することができる。インプラント500が患者に移植されると、1又は2以上のねじをアパーチャ524を通って挿入され、解剖学的構造に固定する(例えば、1又は2以上の椎体にねじ込む)ことができる。
【0068】
インプラント400の接続機構430と同様に、接続機構430の特定の態様は、プレート420と一体化することができる。例えば、プレート520は、プレート520から横方向に延びる一体化された突出部532(例えば、アーム、延長部、レバー等)に接続されるか又はこれを含むことができる。突出部532は、図1A~1Cの中間突出部144と概ね同様又は同じとすることができる。突出部532は、プレート520のアパーチャ536と整列された内腔又は他の開口部534を定める中空内部を有することができる。インプラント400の接続機構430とは異なり、ケージ510は、突出部532の遠位端部を摺動可能に受け入れるための陥凹部を含まない。むしろ、ケージ510は、対応するねじ付き雄型コネクタを受けるためのねじ付き雌型コネクタを定めるねじ付き受入部517を含む。ねじ付き受入部517は、ケージ510の外面から内側に延びる(図4に示す陥凹部416のような陥凹部から内側に延びるのとは対照的に)。突起部532がねじ付き受入部517と概ね整列すると、ねじ又は他の締結要素(図示せず)をプレート520のアパーチャ536を通して挿入し、突起部532の内腔534を通って進んで、ねじ付き受入部517にねじ固定して、プレート520をケージ510に固定することができる。
【0069】
幾つかの実施形態では、接続機構530は、プレート520とケージ510との間に、外部応力に応答して歪みを最小化及び/又は低減する剛性(例えば、非弾性)及び/又は半剛性の接続界面を形成することができる。例えば、接続機構530は、ケージ510又はプレート520の一方又は両方が機械的応力を受けた場合でも、ケージ510とプレート520の間の所定の3次元配向を保持することができる。
【0070】
接続機構430と同様に、接続機構530は、プレート520とケージ510との間に特定の(例えば、患者固有の)3次元空間関係/配向を提供する。従って、突出部532、ねじ付き受入部517、及び他の関連する特徴部は、プレート520がケージ510に固定された際に、プレート520及びケージ510が互いに対して所定の向き及び位置をとるような向きで設計することができる。詳細には、ケージ510は第1の標的位置に移植されるように設計されており、プレート520は第2の標的位置に移植されるように設計されているので、プレート520をケージ510に結合することにより、プレート520及びケージ510は、ケージ510が第1の標的位置にあることを可能にすると同時にプレート520が第1の標的位置にあることを可能にする向きをとる。その結果、以下でより詳細に説明されるように、プレート520が第2の標的位置にあるときにプレート520をケージ510に結合すると、プレート520及びケージ510を所定の配向に強制し、ケージ510が第1の標的位置を占めるように指示することができる。
【0071】
III.患者固有のインプラントを移植するための方法
本発明の技術はまた、標的領域にて又は患者の脊椎に近接して患者固有の椎体デバイスを移植するための方法を提供する。図6は、生体外で組み立てられたケージ及びプレートを有する患者固有の椎体インプラントを移植するための方法600のフローチャートである。方法600は、本明細書に記載のインプラント、プレート、及び/又はケージの何れかを含むことができる。
【0072】
方法600は、ステップ602において、プレートをケージに結合して、例えば、患者固有のインプラントを形成するステップを含むことができる。プレートは、本明細書に記載の接続機構の何れかを介してケージに結合することができる。ステップ604は、インプラントが患者に移植される前に実行され、外科医、外科用ロボットプラットフォーム、及び/又は外科用ロボットプラットフォームによって支援される外科医によって実行することができる。幾つかの実施形態では、例えば、プレート及びケージは、別個の構成要素として製造され、術前処置、又は他の生体外処置の一部として、手術室で共に結合される。他の実施形態では、プレート及びケージは、結合された状態で製造することができる(例えば、プレート及びケージは、単体構造又は一体型構成要素とすることができる)。このような実施形態では、ステップ602を省略することができる。何れにしても、結合されると、ケージ及びプレートは、ケージが第1の解剖学的構造に少なくとも部分的に接触するケージ標的位置を占めること及びプレートが第2の解剖学的構造に少なくとも部分的に接触するプレート標的位置を同時に占めることを可能にする、所定の3次元配向をとることができる。
【0073】
方法600は、ステップ604において、患者の脊椎にて又はその近傍のインプラント標的領域にインプラントを送達するステップに進む。幾つかの実施形態では、インプラント標的領域は、ケージ標的位置及び/又はプレート標的位置に近接することができる。従って、インプラントがインプラント標的領域に送達されると、プレートをプレート標的位置に移動させることができ、及び/又は、ケージをケージ標的位置に移動させることができる。ステップ604は、外科医、外科用ロボットプラットフォーム、及び/又は外科用ロボットプラットフォームによって支援される外科医によって実行することができる。
【0074】
ステップ606では、プレートは、プレート標的位置に移動させることができる。これは、外科医、外科用ロボットプラットフォーム、及び/又は外科用ロボットプラットフォームによって支援される外科医によって行うことができる。幾つかの実施形態では、外科手術を行う又は他の方法で手術を支援する外科医は、プレート標的位置を直接視覚化することができ、外科医がプレートをプレート標的位置に正確に配置することを可能にする。幾つかの実施形態において、プレートは、プレート標的位置において第2の解剖学的構造と嵌合するように構成された患者固有のトポログラフィー/幾何形状を有するので、外科医は、プレートと第2の解剖学的構造との間の物理的相互作用(例えば、プレート標的位置に配置されたときにプレートが第2の解剖学的構造と「適合する」)に基づいて、プレートがプレート標的位置にあるときを知ることができることになる。幾つかの実施形態において、プレートは、プレート内の1又は2以上のアパーチャを通して第2の解剖学的構造にネジ又は他の締結要素を挿入することにより、プレート標的位置に固定することができる。
【0075】
プレートは所定の3次元方向でケージに結合されているので、プレートをプレート標的位置に位置決めすると、ケージは自動的にケージ標的位置に位置決めされる。従って、プレートをプレート標的位置に位置決めすることはまた、ケージを第1の標的位置に位置決めする(例えば、自動的に位置決めする)ことになる。理論に束縛されることなく、ケージ及びプレートをそれぞれの標的位置に配置することは、インプラントの利点を最適化し、及び/又は副作用を最小化することが期待される。特に、インプラントの完全な利点は、インプラントが標的位置に正確に配置された場合にのみ実現することができる。方法600は、任意選択的に、ステップ608において、ケージがケージ標的位置にあることを確認するステップに進むことができる。ケージの位置は、当該技術分野で公知の1又は2以上の従来の画像化技術(例えば、X線、MRI、CTスキャン等)を用いて確認することができる。
【0076】
図7は、少なくとも部分的に生体内で組み立てられたプレート及びケージを有する患者固有の脊椎インプラントを移植するための方法700のフローチャートである。方法700は、先に説明したインプラント、プレート、及び/又はケージの何れか等、ケージ及びプレートを有する患者固有のインプラントを含むことができる。
【0077】
ステップ702では、ケージがケージ標的位置に近接した場所に送達され、ステップ704では、プレートがプレート標的位置に近接した場所に送達される。ケージは、ケージ標的位置において第1の解剖学的構造と嵌合するように構成することができ、プレートは、第2の標的位置において第2の解剖学的構造と嵌合するように構成することができる。しかしながら、方法600に関して上述したのとは異なり、方法700では、ケージを標的位置に送達する前にケージ及びプレートが結合されない。理論に束縛されることなく、ケージ及びプレートを結合していない状態で送達することにより、これらの構成要素の操作性が向上し、及び/又はこれらの構成要素を脊髄領域に送達するのに必要とされる外科的回廊のサイズが小さくなることが期待される。
【0078】
方法700は、ステップ706において、プレートをプレート標的位置に位置決めするステップに進むことができる。これはまた、外科医、外科用ロボットプラットフォーム、及び/又は外科用ロボットプラットフォームによって支援される外科医によって実行することができる。幾つかの実施形態では、外科手術を行う又は他の方法で支援する外科医は、第2の標的位置を直接視覚化することができ、外科医がプレートを第2の標的位置に正確に位置決めすることを可能にする。幾つかの実施形態では、プレートは、プレート標的位置において第2の解剖学的構造と嵌合するように構成された患者固有のトポログラフィー/幾何形状を有するので、外科医は、プレートと第2の解剖学的構造との間の物理的相互作用(例えば、プレート標的位置に配置されたときにプレートが第2の解剖学的構造と「適合する」)に基づいてプレートがプレート標的位置にあるときを知ることができることになる。幾つかの実施形態において、プレートは、プレート内の1又は2以上のアパーチャを通して第2の解剖学的構造にネジ又は他の締結要素を挿入することにより、プレート標的位置に固定することができる。
【0079】
プレートがプレート標的位置にあると、方法700は、ステップ708において、プレートをケージに結合(例えば、機械的に結合)するステップに進む。プレートは、本明細書で既に説明した接続機構の何れかを用いてケージに結合することができる。プレート及びケージは、結合されたときに所定の3次元配向をとるので、プレートがプレート標的位置に位置付けられたときにプレートをケージに結合すると、ケージがケージ標的位置を占めるように指示される。従って、プレートをケージに結合することにより、ケージがケージ標的位置に位置決めされる(例えば、自動的に位置決めされる)。幾つかの実施形態では、ステップ706と708を逆にして、プレートをプレート標的位置に位置決めする前にプレートをケージに結合するようにしてもよい。このような実施形態では、ケージ及びプレートが結合されると、プレートをプレート標的位置に位置決めすることにより、ケージがケージ標的位置を占めるように指示される。前述のように、ケージ及びプレートをそれぞれの標的位置に位置決めすることで、インプラントの利益を最適化し及び/又は副作用を最小化することが期待される。詳細には、インプラントの完全な利点は、インプラントが標的位置に正確に配置された場合にのみ実現することができる。方法700は、任意選択的に、ステップ710において、ケージがケージ標的位置にあることを確認し、及び/又はプレートがプレート標的位置にあることを確認するステップに進むことができる。ケージ及び/又はプレートの位置は、当該技術分野で公知の1又は2以上の従来の画像化技術(例えば、X線、MRI、CTスキャン等)を用いて確認することができる。
【0080】
前述の説明から当業者であれば理解されるように、本発明の技術は、インプラント構成要素(例えば、プレート及びケージ)の患者固有の性質を利用して、ケージ標的位置でのケージの位置決めを容易にすることができる。例えば、ケージ及びプレートは、所定の3次元配向で共に結合されるので、プレートをプレート標的位置に位置決めすることにより、ケージがケージ標的位置に向かって及び/又はケージ標的位置に誘導される。従って、プレートをプレート標的位置に位置決めすると、ケージもまたケージ標的位置に位置決めされる。一般に、外科医が、ケージをケージ標的位置に位置決めするよりも、プレートをプレート標的位置に位置決めすることを容易にすることができる。例えば、プレートは、典型的には、一般的に、外科医に一般的に見える脊柱の前面に沿って、及び/又は椎間板腔の前縁にて位置決めされるのに対し、ケージは、典型的には、外科医の視界外の椎間板腔内の場所に位置決めされる。従って、プレート及びケージを所定の3次元方向で機械的に結合させることにより、外科医は、視認しやすいプレート標的位置にプレートを容易に位置付けることができ、インプラント手術が単純化される。インプラントの患者固有の性質は、先に説明したように、適合の改善、転帰の改善、及び/又は副作用の低減等の更なる利点をもたらす。
【0081】
IV.患者固有インプラントの設計、製造、及び移植のためのシステム及び方法
本発明の技術はまた、本明細書に記載された患者固有の椎体インプラントの何れかのような患者固有のインプラントを設計及び製造するためのシステム及び方法を提供する。図8は、患者固有の医療ケアを提供するための、本発明の技術の選択された実施形態に従って構成されたコンピューティングシステム800を示すネットワーク接続図である。システム800は、患者固有のインプラントを設計し及び/又は患者のための患者固有の手術計画を生成するように構成される。例えば、システム800は、外傷(例えば、骨折)、癌、変形、変性、疼痛(例えば、腰痛、脚痛)、不規則な脊椎湾曲(例えば、脊柱側弯症、脊柱前弯症、後弯症)、不規則な脊椎変位(例えば、変形性脊椎症、側方変位軸変位)、変形性関節症、腰椎変性椎間板症、頸椎変性椎間板症、腰椎脊椎管狭窄症、頸椎脊椎管狭窄症、又はこれらの組み合わせなどの整形外科的又は脊椎疾患又は障害を患っている患者のためのインプラントを生成し及び/又は手術計画を生成することができる。手術計画は、手術情報、手術計画(例えば、手術インプラント手順、標的インプラント場所及び/又は方向等)、技術推奨(例えば、デバイス及び/又は器具推奨)、及び/又は医療デバイス設計を含むことができる。例えば、手術計画は、少なくとも1つの治療手順(例えば、外科的手順又は介入)及び/又は少なくとも1つの医療デバイス(例えば、移植医療デバイス(本明細書では「インプラント」又は「移植デバイス」とも呼ばれる)又はインプラント送達器具)を含むことができる。
【0082】
システム800は、コンピューティングデバイス802を含み、これは、スマートフォン、モバイルデバイス、ラップトップ、デスクトップ、パーソナルコンピュータ、タブレット、ファブレット、又は当技術分野で公知の他のこのようなデバイス等のユーザデバイスとすることができる。図9を参照してより詳細に議論されるように、コンピューティングデバイス802は、1又は2以上のプロセッサと、本明細書に記載される選択方法を実行するために1又は2以上のプロセッサによって実行可能な命令を記憶するメモリとを含むことができる。コンピュータデバイス802は、患者を治療している医療提供者に関連付けることができる。図8は、単一のコンピューティングデバイス802を例示しているが、代替の実施形態では、コンピューティングデバイス802は、代わりに、複数のコンピューティングデバイスを包含するコンピューティングシステムとして実装することができ、コンピューティングデバイス802に関して本明細書で説明される動作が、コンピューティングシステム及び/又は複数のコンピューティングデバイスによって代わりに実行できるようになる。
【0083】
コンピュータデバイス802は、治療される患者に関連する患者データセット808を受信するように構成される。患者データセット808は、患者の病状、解剖学的構造、病理学的構造、症状、病歴、嗜好、及び/又は患者に関連する他の何れかの情報又はパラメータを表すデータを含むことができる。例えば、患者データセット808は、外科的介入データ、治療結果データ、経過データ(例えば、医師のメモ)、患者フィードバック(例えば、クオリティオブライフアンケート、調査を使用して取得されたフィードバック)、臨床データ、患者情報(例えば、人口統計学、性別、年齢、身長、体重、病理のタイプ、職業、活動レベル、組織情報、健康評価、併存疾患、健康関連クオリティオブライフ(HRQL))、バイタルサイン、診断結果、投薬情報、アレルギー、画像データ(例えば、カメラ画像、磁気共鳴画像(MRI)画像、超音波画像、コンピュータ支援断層撮影(CAT)スキャン画像、陽電子放出断層撮影(PET)画像、X線画像)、診断機器情報(例えば、製造者、モデル番号、仕様、ユーザ選択設定/構成等)、又はこれらに類するものを含むことができる。幾つかの実施形態では、患者データセット808は、患者識別番号(ID)、年齢、性別、肥満度指数(BMI)、腰椎前弯、コブ角、骨盤入射角、椎間板高さ、セグメントの柔軟性、骨質、回転変位、及び/又は脊椎の治療レベルのうちの1又は2以上を表すデータを含む。
【0084】
幾つかの実施形態では、コンピュータデバイス802はまた、外科チームデータセット810を受信するように構成することができる。外科チームデータセット810は、患者に手術を実施する外科チームを表すデータを含むことができる。例えば、外科チームデータセット810は、外科チームの選好(例えば、好ましいインプラント技術、好ましいインプラント器具/ツール等)、外科チームの経験(例えば、外科チームによって行われた過去の処置)、外科チームによって行われた過去の処置のスコア化された結果、又は同様のものを含むことができる。本明細書で使用される場合、「外科チーム」という用語は、インプラント処置中に手術室で一緒に働く医療従事者のグループ、又は1又は2以上の個々の外科医を指すことができる。
【0085】
幾つかの実施形態では、コンピュータデバイス802はまた、施設又はプロバイダデータセット812を受信するように構成することができる。施設データセット812は、患者の手術が行われる施設を表すデータを含むことができる。例えば、施設データセット812は、施設の選好(例えば、好ましいインプラント技術、好ましいインプラント器具/ツール等)、施設の経験(例えば、施設で実施された過去の処置)、施設で実施された過去の処置のスコア化された結果、手術を支援/実施するために利用可能なインフラストラクチャ(例えば、ロボット手術プラットフォームの利用可能性、並びにロボット手術プラットフォームの「出力」を制御するために必要な「入力」のタイプ)、又は同様のものを含むことができる。本明細書で使用される場合、「施設」という用語は、単一の手術室施設、複数の手術室を有する病院、及び/又は病院のネットワークを指すことができる。
【0086】
コンピュータデバイス802は、通信ネットワーク804を介してサーバ806に動作可能に接続され、従って、コンピュータデバイス802とサーバ806との間のデータ転送を可能にする。通信ネットワーク804は、有線ネットワーク及び/又は無線ネットワークとすることができる。通信ネットワーク804は、無線である場合、可視光通信(VLC)、Worldwide Interoperability for Microwave Access(WiMAX)、ロングタームエボリューション(LTE)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、赤外線(IR)通信、公衆交換電話網(PSTN)、電波、及び/又は当該技術分野において公知の他の通信技術等の通信技術を使用して実装することができる。
【0087】
「治療支援ネットワーク」又は「処方分析ネットワーク」とも呼ばれる場合があるサーバ806は、1又は2以上のコンピューティングデバイス及び/又はシステムを含むことができる。本明細書で更に議論されるように、サーバ806は、1又は2以上のプロセッサ、及び本明細書で説明される方法を実行するために1又は2以上のプロセッサによって実行可能な命令を記憶するメモリを含むことができる。幾つかの実施形態では、サーバ806は、ハードウェア及び/又は仮想コンピューティングリソースの任意の適切な組み合わせにわたる分散「クラウド」コンピューティングシステム又は設備として実装される。
【0088】
コンピュータデバイス802及び/又はサーバ806は、患者データセット808、外科チームデータセット810、及び/又は施設データセット812に少なくとも部分的に基づいて、患者固有のインプラント(「インプラント」)を設計することができる。例えば、サーバ806は、前述のデータ入力の何れかに少なくとも部分的に基づいて、インプラントを設計することができる治療計画モジュール818を含むことができる。幾つかの実施形態では、インプラントを設計することは、1又は2以上の対応する標的解剖学的構造と嵌合するように構成された、図1A図5に関して説明したインプラントの何れか等のプレート及び/又はケージを含む椎体インプラントを設計することを含む。コンピュータデバイス802及び/又はサーバ806は、椎体間デバイス(例えば、ケージ)を設計することができる。(例えば、ケージ)、位置決め特徴(例えば、プレート)、接続機構、及び/又は1又は2以上の締結要素(例えば、ねじ)を設計することができる。例えば、接続機構を設計するために、患者の画像を分析することによってケージの標的位置を決定することができる。患者の脊椎を解析して、プレートの適切な標的部位を特定することができる。例えば、患者の脊椎の個々の椎体を分析して、プレートとの界接に適した形状及び機械的特性を有する領域を特定することができる。コンピュータデバイス802及び/又はサーバ806は、プレート、椎体及び/又はケージ間の移動レベル(例えば、相対的移動の最大レベル)に基づいてインプラント(例えば、プレート)を設計することができる。インプラントの構成要素間の標的空間関係は、患者データ及び標的結果に基づいて決定することができる。
【0089】
追加のインプラントには、スクリュー(例えば、骨スクリュー、脊椎スクリュー、椎間スクリュー、ファセットスクリュー)、他の椎体間インプラントデバイス、ロッド、ディスク、融合デバイス、スペーサー、ロッド、拡張可能デバイス、ステント、ブラケット、タイ、足場、固定デバイス、アンカー、ナット、ボルト、リベット、コネクタ、テザー、ファスナー、関節置換(例えば、人工椎間板)、股関節インプラント等が含まれるが、これらに限定されない。患者固有のインプラントの設計は、インプラントの物理的特性(例えば、サイズ、形状、体積、材料、質量、重量)、機械的特性(例えば、剛性、強度、弾性率、硬度)、及び/又は生物学的特性(例えば、骨統合、細胞接着、抗細菌特性、抗ウイルス特性)の1又は2以上を表すデータを含むことができる。例えば、整形外科用インプラントの設計には、インプラントの形状、サイズ、材料、及び/又は有効剛性(例えば、格子密度、ストラットの数、ストラットの位置等)を含めることができる。
【0090】
インプラントは、患者の既存の解剖学的構造に適合するように設計することができる。例えば、インプラントは、前述のように、インプラントの様々な面が患者の解剖学的構造の対応する面と嵌合するように設計することができる。幾つかの実施形態では、インプラントは、患者の解剖学的構造の1又は2以上の面と嵌合することに加えて、患者の既存の解剖学的構造に矯正を提供するように設計することができる。例えば、治療計画モジュール818は、解剖学的修正が必要かどうかを決定するために、患者の本来の解剖学的構造の画像データを分析することができる。画像データは、様々な解剖学的特徴の形状、方向、及びトポログラフィーなど、患者の本来の解剖学的構成(例えば、術前の解剖学的構成)を示すことができる。幾つかの実施形態では、例えば、画像データは、椎骨間隔、椎骨方向、椎骨並進、異常骨成長、異常関節成長、関節炎症、関節変性、組織変性、狭窄、瘢痕組織、腰椎前弯、コブ角、骨盤入射、椎間板高さ、セグメント柔軟性、回転変位、及び他の脊椎組織特性を含むがこれらに限定されない様々な解剖学的特性を示す(及び/又は決定するために使用される)ことができる。解剖学的修正が必要でない場合、治療計画モジュール818は、患者の本来の解剖学的構造に適合するようにインプラントを設計することができる。解剖学的修正が必要な場合、治療計画モジュール818は、インプラントが患者に移植された時に解剖学的修正を提供するようにインプラントを設計することができる。1又は2以上の所望の解剖学的修正を提供するための患者固有のインプラントを設計するための追加的な詳細は、2020年8月6日に出願された米国特許出願第16/987,113号に記載されており、その開示は引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0091】
幾つかの実施形態では、生成されたインプラント設計はデバイス全体の設計である。或いは、生成された設計は、デバイス全体ではなく、デバイスの1又は2以上の構成要素(例えば、プレート又はケージ)のための設計とすることができる。幾つかの実施形態では、インプラント設計は、標準的な既製の構成要素と共に使用可能な1又は2以上の患者固有のデバイス構成要素のためのものである。例えば、脊椎手術では、ペディクル・スクリュー・キットは、標準的な構成要素及び患者固有のカスタマイズされた構成要素の両方を含むことができる。幾つかの実施形態では、生成された設計は、標準的な既製の送達器具と共に使用できる患者固有の医療デバイスのためのものである。例えば、インプラント(例えば、スクリュー、スクリューホルダー、ロッド)は患者用に設計及び製造することができるが、インプラントを送達するための器具は標準的な器具とすることができる。このアプローチにより、患者の解剖学的構造及び/又は外科医の選好に基づき、移植される構成要素を設計及び製造し、治療を強化することができる。本明細書に記載のインプラントは、患者の体内への送達、治療部位への配置、及び/又は患者の解剖学的構造との相互作用を改善することが期待される。
【0092】
コンピューティングシステム802及び/又はサーバ806は、患者データセット808、外科チームデータセット810、及び/又は施設データセット812に基づいて、患者固有の手術計画(「手術計画」)を設計することもできる。手術計画は、患者内の特定の標的位置にインプラントを移植するための詳細な手順を含むことができる。例えば、手術計画は、術前計画(例えば、患者の解剖学的構造の検出及び測定、手術手順のための患者の準備等)、手術手順、手術アプローチ(例えば、インプラント手技)、1又は2以上の手術ステップ(切開のための組織の準備、切開の実施、切除の実施、組織の除去、組織の操作、修正操作の実施、標的部位へのインプラントの送達、標的部位でのインプラントの展開、標的部位でのインプラントの調整、インプラントの植え込み後の操作、標的部位でのインプラントの固定、インプラントの抜去、組織の縫合等)、インプラントの標的位置、部位又は場所(例えば、位置、方向等)、及び術前、術後、又は術後計画に関連する他の態様を含む。
【0093】
幾つかの実施形態では、手術計画は、脊椎手術、股関節手術、膝関節手術、顎関節手術、手関節手術、肩関節手術、肘関節手術、全関節再建術(関節形成術)、頭蓋骨再建術、足関節手術、又は足首関節手術等の整形外科手術を含む。脊椎手術には、後方腰椎椎体間固定術(PLIF)、前方腰椎椎体間固定術(ALIF)、経横椎体間固定術(TLIF)、側方腰椎椎体間固定術(LLIF)、直接側方腰椎椎体間固定術(DLIF)、極側方腰椎椎体間固定術(XLIF)、及び/又は仙腸関節固定術(SLIF)などの脊椎固定術が含まれる。脊椎手術には、人工椎間板置換術などの非融合手術も含むことができる。幾つかの実施形態では、手術手順は、患者固有の手術手順の1又は2以上の態様を実行するための説明及び/又は指示を含む。例えば、外科的手順は、外科的アプローチ、矯正操作、又は骨切除の1又は2以上を含むことができる。
【0094】
幾つかの実施形態では、手術計画は、インプラントの標的位置を含む。幾つかの実施形態では、手術計画は、標的位置でインプラントのための空間を確保するために組織を除去する推奨を任意に含む。例えば、手術計画には、骨切り、筋肉切除、軟部組織剥離、軟部組織引き込み、椎間板切除、又は患者固有のインプラントを患者に受容させるための準備を行う指示を含めることができる。幾つかの実施形態では、手術計画は、患者がインプラントを受ける準備をするための組織の操作を含む。例えば、手術計画は、2つの椎骨の相対位置を調整する指示、2つの椎骨間の距離を広げる指示、及び/又はそのような指示を含むことができる。
【0095】
幾つかの実施形態では、手術計画は、手術計画の様々なステップを実行するための機械可読指示を含む。機械可読命令は、外科用ロボットプラットフォームによって実行されると、機械可読命令が外科用ロボットプラットフォームに、インプラントの移植に関連する手術手順の様々な態様を実行させるように構成することができる。例えば、外科用プラットフォームは、切開のために組織を準備すること、切開を行うこと、切除を行うこと、組織を除去すること、組織を操作すること、矯正操作を行うこと、標的部位にインプラントを送達すること、標的部位にインプラントを展開すること、標的部位でインプラントの構成を調整すること、インプラントが移植された後にインプラントを操作すること、標的部位でインプラントを固定すること、インプラントを抜去すること、組織を縫合すること、及びこれらに類することができる。従って、指示は、ロボットアーム、器具、及び/又はツールを関節運動させて、患者固有インプラントの送達を実行する又は他の方法で支援するための特定の指示を含むことができる。
【0096】
幾つかの実施形態では、手術計画は、患者固有の手術計画を実行する方法を外科医に示す段階的な書面、口頭、及び/又はグラフィック指示を含む。患者固有の手術計画は、手術手順の前及び/又は手術中に(例えば、ディスプレイ822を介して)外科医に表示することができる。幾つかの実施形態では、書面、口頭、及び/又はグラフィック命令は、コンピュータ可読命令で符号化することができる。符号化された指示は、復号化され、手術手順の前及び/又は手術手順の間に外科医に表示することができる。幾つかの実施形態では、患者固有の手術計画は、機械可読指示及び書面、口頭、及び/又は図解の両方を含む。
【0097】
幾つかの実施形態では、システム800は、患者固有のインプラント及び/又は患者固有の手術計画を設計する際に、1又は2以上の参照データセットを考慮することができる。例えば、幾つかの実施形態では、サーバ806は、本明細書に記載の治療計画方法に有用な参照データを格納するように構成された少なくとも1つのデータベース820を含む。参照データは、同一又は他の患者からの履歴データ及び/又は臨床データ、同一又は他の医療提供者による患者の以前の手術及び/又は他の治療から収集されたデータ、医療デバイス設計に関連するデータ、研究グループ又は研究グループから収集されたデータ、診療データベースからのデータ、学術機関からのデータ、インプラント製造業者又は他の医療デバイス製造業者からのデータ、画像研究からのデータ、シミュレーションからのデータ、臨床試験、人口統計データ、治療データ、転帰データ、死亡率、又はこれらを含むことができる。
【0098】
幾つかの実施形態では、データベース820は、複数の参照患者データセットを含み、各患者参照データセットは、対応する参照患者に関連付けられる。例えば、参照患者は、以前に治療を受けた患者又は現在治療を受けている患者とすることができる。各参照患者データセットは、対応する参照患者の状態、解剖学的構造、病理学的構造、病歴、嗜好、及び/又は、患者データセット808に関して本明細書に記載されるデータの何れか等の、参照患者に関連する他の情報又はパラメータを表すデータを含むことができる。幾つかの実施形態では、基準患者データセットは、術前データ、術中データ、及び/又は術後データを含む。例えば、基準患者データセットは、患者ID、年齢、性別、BMI、腰椎前弯、コブ角、骨盤入射、椎間板の高さ、セグメントの柔軟性、骨質、回転変位、及び/又は脊椎の治療レベルの1又は2以上を表すデータを含むことができる。別の例として、基準患者データセットは、外科的処置又は介入(例えば、外科的アプローチ、骨切除、外科的操作、矯正操作、インプラント又は他のデバイスの配置)の説明など、基準患者に行われた少なくとも1つの治療処置に関する治療データを含むことができる。幾つかの実施形態では、治療データは、物理的特性(例えば、サイズ、形状、体積、材料、質量、重量)、機械的特性(例えば、剛性、強度、弾性率、硬度)、及び/又は生物学的特性(例えば、骨統合、細胞接着、抗細菌特性、抗ウイルス特性)など、参照患者の治療に使用される少なくとも1つの医療デバイスの医療デバイス設計データを含む。更に別の例では、基準患者データセットは、補正された解剖学的測定基準、癒合の有無、HRQL、活動レベル、職場復帰、合併症、回復時間、有効性、死亡率、及び/又は追跡手術のような、基準患者の治療の結果を表す結果データを含むことができる。
【0099】
幾つかの実施形態では、サーバ806は、複数の医療提供者コンピューティングシステムから基準患者データセットの少なくとも一部を受信する。各医療提供者コンピューティングシステムは、対応する医療提供者によって治療された基準患者に関連する少なくとも1つの基準患者データセット(例えば、基準患者データセット)を含むことができる。参照患者データセットは、例えば、運動学的記録、電子医療記録、電子健康記録、生物医学データセットなどを含むことができる。
【0100】
インプラント及び/又は手術計画が基準データに基づいて設計される実施形態では、データ分析モジュール816は、データベース820から、治療計画の開発に有用である可能性が高い基準データのサブセットを識別するための1又は2以上のアルゴリズムを含むことができる。例えば、データ解析モジュール816は、患者固有のデータ(例えば、コンピューティングデバイス802から受信された患者データセット808)をデータベース820からの参照データ(例えば、参照患者データセット)と比較して、類似のデータ(例えば、参照患者データセット内の1又は2以上の類似の患者データセット)を特定することができる。比較は、年齢、性別、BMI、病理学、運動学、腰椎前弯、骨盤入射率、及び/又は治療レベル等の1又は2以上のパラメータをベースとすることができる。パラメータは、各参照患者の類似性スコアを計算するのに使用することができる。類似性スコアは、患者データセット808及び参照患者データセット間の統計的相関を表すことができる。従って、類似性スコアが、指定された閾値を上回るか、下回るか、又は指定された閾値にあるかどうかに基づいて、類似患者を特定することができる。例えば、以下により詳細に説明するように、各パラメータに値を割り当て、対象患者及び各参照患者間の差の集計を決定することにより、比較を実行することができる。集計された差が閾値未満である参照患者は、類似患者とみなすことができる。幾つかの実施形態では、データ解析モジュール816は、外科チームデータセット810(例えば、外科医の専門知識、外科医が実施した特定の種類の処置の結果等に基づく)及び/又は施設データセット812(例えば、手術ロボット等の手術機器)等の患者パラメータ以外の基準に基づいて、基準患者データのセット又はサブセットを選択する1又は2以上のアルゴリズムを含む。
【0101】
データ分析モジュール816は、例えば、患者データセット808及び/又は対応する参照患者の治療結果との類似性に基づいて、参照患者データセットのサブセットを選択する1又は2以上のアルゴリズムで更に構成することができる。例えば、データ解析モジュール816は、参照患者データセット内の1又は2以上の類似患者データセットを識別し、及び類似患者データセットが好ましい又は所望の治療結果を示すデータを含むかどうかに基づいて、類似患者データセットのサブセットを選択することができる。転帰データは、補正された解剖学的指標、可動域、運動学的データ、HRQL、活動レベル、合併症、回復時間、有効性、死亡率、又は追跡手術等の1又は2以上の転帰パラメータを表すデータを含むことができる。幾つかの実施形態では、以下に更に詳細に説明するように、データ解析モジュール816は、各アウトカムパラメータに値を割り当てることによってアウトカムスコアを算出する。転帰スコアが所定の閾値以上、以下又は閾値にある場合、患者は良好な転帰を有すると考えられる。
【0102】
幾つかの実施形態では、データ解析モジュール816は、(例えば、臨床医、外科医、医師、医療提供者からの)ユーザ入力に基づいて、少なくとも部分的に基準患者データセットのサブセットを選択する。例えば、ユーザ入力は、類似の患者データセットを識別する際に使用することができる。幾つかの実施形態では、類似性及び/又は結果パラメータの重み付けは、臨床医の入力に基づいて類似性及び/又は結果スコアを調整するために、医療提供者又は医師によって選択することができる。更なる実施形態では、医療提供者又は医師は、類似性及び/又は転帰スコアを生成するために使用される類似性及び/又は転帰パラメータのセットをそれぞれ選択する(又は新たな類似性及び/又は転帰パラメータを定義する)ことができる。
【0103】
幾つかの実施形態では、データ解析モジュール816は、患者パラメータ以外の基準に基づいて基準患者データセットのセット又はサブセットを選択するために使用される1又は2以上のアルゴリズムを含む。例えば、1又は2以上のアルゴリズムは、医療提供者パラメータ(例えば、病院/医師の専門性、実施された処置の数、病院ランキング等の医療提供者ランキング/スコアに基づく)及び/又は医療リソースパラメータ(例えば、診断機器、設備、手術ロボット等の手術機器)、又は現在の医療提供者に対する処置の結果及びリスクプロファイルを予測するのに使用することができる他の非患者関連情報に基づいて、サブセットを選択するのに使用することができる。例えば、類似の診断機器から取り込まれた画像を有する参照患者データセットを集約して、診断機器間のばらつきによる不規則性を低減又は制限することができる。更に、類似の医療提供者(例えば、伝統的に類似の転帰、医師の専門性、外科チームなどを有する医療提供者)からのデータを用いて、特定の医療提供者のための患者固有の治療計画を作成することができる。幾つかの実施形態では、参照医療提供者データセット、病院データセット、医師データセット、外科チームデータセット、治療後データセット及び他のデータセットを利用することができる。一例として、戦場手術を行うための患者固有の治療計画は、類似の戦場手術からの参照患者データ及び/又は戦場手術に関連するデータセットにベースとすることができる。別の例では、患者固有の治療計画は、利用可能なロボット手術システムに基づいて生成することができる。参照患者データセットは、同様の条件下(例えば、外科チームの規模及び能力、病院資源等)で同等のロボット手術システムを用いて手術された患者に基づいて選択することができる。
【0104】
インプラント及び/又は手術計画が基準データに基づいて設計される実施形態では、治療計画モジュール818は、基準データに基づいてインプラント及び/又は手術計画を生成する1又は2以上のアルゴリズムを含むことができる。幾つかの実施形態では、治療計画モジュール818は、「処方モデル」とも呼ばれる、治療計画を生成するための少なくとも1つの予測モデルを開発及び/又は実施するように構成される。予測モデルは、臨床知識、統計学、機械学習、AI、ニューラルネットワーク又はこれらを用いて開発することができる。幾つかの実施形態では、データ解析モジュール816からの出力は、データセット、患者パラメータ、医療提供者パラメータ、医療リソースパラメータ、治療手順、医療デバイス設計、及び/又は治療結果間の相関関係を特定するために(例えば、統計学、機械学習、ニューラルネットワーク、AI等を用いて)解析される。これらの相関関係を用いて、治療計画が特定の患者にとって好ましい結果をもたらす可能性を予測する少なくとも1つの予測モデルを開発することができる。予測モデルは、例えば、データをモデルに入力し、モデルの出力を期待される出力と比較することにより、検証することができる。
【0105】
幾つかの実施形態では、治療計画モジュール818は、参照患者からの以前の治療データに基づいてインプラントデザインを生成するように構成される。例えば、治療計画モジュール818は、参照患者データセット及び/又は類似患者データセットの選択されたサブセットをデータ分析モジュール816から受信し、選択されたサブセットから治療データを決定又は識別することができる。治療データは、例えば、対応する患者の好ましい又は所望の治療結果に関連する、可動域及び/又は他の運動学的データ、治療手順データ(例えば、外科的手順又は介入データ)及び/又は医療デバイス設計データ(例えば、インプラント設計データ)を含むことができる。治療計画モジュール818は、治療手順データ及び/又は医療デバイス設計データを分析して、治療される患者に対する最適な治療プロトコルを決定することができる。例えば、治療手順及び/又は医療デバイス設計に値を割り当て、集計して治療スコアを生成することができる。患者固有の治療計画は、スコア(例えば、より高い又は最も高いスコア;より低い又は最も低いスコア;指定された閾値を上回る、下回る、又は指定された閾値にあるスコア)に基づいて治療計画を選択することによって決定することができる。個別化された治療計画は、少なくとも部分的に、患者固有の技術又は患者固有の選択された技術にベースとすることができる。
【0106】
代替的に又は組み合わせて、治療計画モジュール818は、データセット間の相関に基づいてインプラント設計を生成することができる。例えば、治療計画モジュール818は、(例えば、データ分析モジュール816によって識別されたような)良好な転帰を有する類似の患者に対するインプラント設計からのインプラント設計及び医療デバイス設計データを相関させることができる。相関分析は、相関係数値を値又はスコアに変換することを含むことができる。値/スコアは、1又は2以上の統計的有意性を決定するために、集計、フィルタ、又は他の方法で分析することができる。これらの相関は、治療される患者にとって最適である又は好ましい結果をもたらす可能性が高い治療手順及び/又は医療デバイス設計を決定するのに使用することができる。
【0107】
代替的に又は組み合わせて、治療計画モジュール818は、1又は2以上のAI技術を用いて設計を生成することができる。AI技術は、人間の知能の側面、例えば、学習、推論、計画、問題解決、意思決定などをシミュレートすることができるコンピューティングシステムを開発するのに使用することができる。AI技術には、ケースベース推論、ルールベースシステム、人工ニューラルネットワーク、決定木、サポートベクターマシン、回帰分析、ベイジアンネットワーク(例えば、ナイーブベイズ分類器)、遺伝的アルゴリズム、セルオートマトン、ファジー論理システム、マルチエージェントシステム、群知能、データマイニング、機械学習(例えば、教師あり学習、教師なし学習、強化学習)、及びハイブリッドシステムが含むことができるが、これらに限定されない。
【0108】
幾つかの実施形態において、治療計画モジュール818は、1又は2以上の訓練された機械学習モデルを用いて治療計画を生成する。様々な種類の機械学習モデル、アルゴリズム、及び技術が、本発明の技術と共に使用するのに適している。幾つかの実施形態では、機械学習モデルは、モデルのパラメータ(例えば、人工ニューラルネットワークにおける「ニューロン」間の結合の重み)を適合させるために使用される例のデータセットである訓練データセットで最初に訓練される。例えば、訓練データセットは、複数の参照患者データセット又はその選択されたサブセット(例えば、複数の類似患者データセット)のような、データベース820に記憶された参照データの何れかを含むことができる。
【0109】
幾つかの実施形態において、機械学習モデル(例えば、ニューラルネットワーク又はナイーブベイズ分類器)は、教師あり学習法(例えば、勾配降下又は確率的勾配降下)を使用して、訓練データセット上で訓練することができる。トレーニングデータセットは、生成された「入力ベクトル」と、関連の対応する「回答ベクトル」(一般に標的と表記される)とのペアを含むことができる。現在のモデルは、訓練データセットと共に実行され、訓練データセットの各入力ベクトルについて、標的と比較される結果を生成する。比較の結果及び使用されている特定の学習アルゴリズムに基づいて、モデルのパラメータが調整される。モデルフィッティングは、変数選択及びパラメータ推定の両方を含むことができる。適合されたモデルは、検証データセットと呼ばれる第2のデータセット中のオブザベーションに対する応答を予測するために使用できる。検証データセットは、モデルパラメータをチューニングしながら、トレーニングデータセットでのモデルフィットの不偏評価を提供できる。検証データセットは、早期の停止、例えば、検証データセット上の誤差が増加したときにトレーニングを停止することによって、正則化に使用することができる。幾つかの実施形態では、検証データセットの誤差は訓練中に変動する可能性があり、オーバーフィッティングが本当に始まったときを決定するためにアドホックルールを使用することができる。最後に、テストデータセットを使用して、トレーニングデータセットに対する最終的なモデルの適合度を偏りなく評価することができる。
【0110】
治療計画を生成するために、患者データセット808、外科チームデータセット810、及び/又は施設データセット812を、訓練された機械学習モデルに入力することができる。参照患者データセット及び/又は類似患者データセットの選択されたサブセット、及び/又は選択されたサブセットからの治療データ等の追加データも、訓練された機械学習モデルに入力することができる。次いで、訓練された機械学習モデルは、様々な候補治療手順及び/又は医療デバイス設計が、患者に好ましい結果をもたらす可能性が高いか否かを計算することができる。これらの計算にベースして、訓練された機械学習モデルは、患者のための少なくとも1つの治療計画を選択することができる。複数の訓練された機械学習モデルが使用される実施形態では、モデルを順次又は同時に実行して結果を比較することができ、訓練データセットを使用して定期的に更新することができる。治療計画モジュール818は、モデルの予測精度スコアに基づいて機械学習モデルの1又は2以上を使用することができる。
【0111】
治療計画モジュール818によって生成されたインプラント設計及び/又は手術計画は、ユーザ(例えば、臨床医、外科医、医療提供者、患者)に出力するために、通信ネットワーク804を介してコンピューティングデバイス802に送信することができる。幾つかの実施形態では、コンピューティングデバイス802は、ディスプレイ822を含むか又はディスプレイ822に動作可能に結合される。ディスプレイ822は、外科的アプローチ、治療レベル、修正操作、組織切除、及び/又はインプラントの配置など、患者に実施される外科的処置の様々な態様を表示することができる。視覚化を容易にするために、外科処置の仮想モデルを表示することができる。ディスプレイはまた、本来の及び/又は補正された解剖学的構成における患者の脊椎の仮想モデルを表すことができる。本来の及び/又は補正された解剖学的構成における患者の脊椎の仮想モデルは、2021年1月4日に出願された「PATIENT-SPECIFIC MEDICAL PROCEDURES AND DEVICES, AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」と題されたPCT/US21/12065(Docket No.127398-8009.WO00)においてより詳細に議論されており、その全体は引用により本明細書に組み込まれる。
【0112】
更に、又は代替的に、ディスプレイ822は、デバイス設計の2次元又は3次元モデル等のインプラントの設計を示すことができる。ディスプレイ822は、外科手術が行われる場所及び/又はデバイスが移植される場所である患者の解剖学的構造の2次元又は3次元画像又はモデル等の患者情報を表示することもできる。ディスプレイ822はまた、治療を改善し、インプラントの動きを低減する等のために解剖学的構造と接触するのに適したインプラントの構造的特徴を表示することもできる。構造的特徴は、剛性面(例えば、インプラント本体の外面)、アンカー、固定特徴等とすることができる。移植部位の画像は、治療計画モジュール818によって識別されたそのような解剖学的特徴を識別するために分析することができる。コンピュータデバイス802は、ユーザが表示された治療計画を修正、選択、承認、及び/又は拒否することを可能にする1又は2以上のユーザ入力デバイス(図示せず)を更に含むことができる。
【0113】
幾つかの実施形態では、治療計画モジュール818によって生成された患者固有のインプラント設計は、対応する医療デバイスを製造するために、コンピューティングデバイス802及び/又はサーバ806から製造システム824に送信することができる。製造システム824は、オンサイト又はオフサイトに配置することができる。現場での製造は、患者とのセッションの回数及び/又は手術を実施できるようになるまでの時間を減らすことができ、一方、現場外での製造は、複雑なデバイスを製造するのに有用である。オフサイト製造施設は特殊な製造設備を持つことができる。幾つかの実施形態では、より複雑なデバイス構成要素をオフサイトで製造し、より単純なデバイス構成要素をオンサイトで製造することができる。
【0114】
様々なタイプの製造システムが、本明細書の実施形態に従って使用するのに適している。例えば、製造システム824は、3次元(3D)印刷、ステレオリソグラフィ(SLA)、デジタル光処理(DLP)、溶融堆積モデリング(FDM)、選択的レーザー焼結(SLS)、選択的レーザー溶融(SLM)などの付加製造用に構成することができる、 選択的熱焼結(SHM)、電子ビーム溶解(EBM)、積層造形(LOM)、粉末床印刷(PP)、熱可塑性樹脂印刷、直接材料堆積(DMD)、インクジェット写真樹脂印刷、又はこれらに類似する技術、或いはこれらの組み合わせが挙げられる。代替的に又は組み合わせて、製造システム824は、CNC機械加工、放電加工(EDM)、研削加工、レーザー切断、ウォータージェット機械加工、手動機械加工(例えば、フライス加工、旋盤/旋削加工)、又は同様の技術、又はこれらの組み合わせ等の減法的(従来の)製造用に構成することができる。製造システム824は、製造指示又はデータ(例えば、CADデータ、3Dデータ、デジタル設計図、立体造形データ、又は本明細書に記載される様々な製造技術に適した他のデータ)に基づいて、1又は2以上の患者固有の医療デバイスを製造することができる。幾つかの実施形態では、患者固有の医療デバイスは、製造を簡略化するために、設計間で共有される特徴、材料、及び設計を含むことができる。例えば、異なる患者用の展開可能な患者固有の医療デバイスは、同様の内部展開機構を有することができるが、異なる展開構成を有する。幾つかの実施形態では、患者固有の医療デバイスの構成要素は、利用可能なプレファブリケーションされた構成要素のセットから選択され、選択されたプレファブリケーションされた構成要素は、製造指示又はデータに基づいて変更することができる。
【0115】
本明細書に記載される治療計画は、外科医、手術ロボット、又はこれらの組み合わせによって実行することができ、従って治療の柔軟性を可能にする。幾つかの実施形態では、外科処置は、全て外科医によって、全て外科ロボットによって、又はこれらの組み合わせによって実施することができる。例えば、外科処置の一段階を外科医が手動で行い、外科処置の別の段階を外科ロボットによって行うことができる。幾つかの実施形態では、治療計画モジュール818は、手術ロボット(例えば、ロボット手術システム、ナビゲーションシステム等)に手術手順を部分的に又は完全に実行させるように構成された制御命令を生成する。制御命令は、コンピュータデバイス802及び/又はサーバ806によってロボット装置に送信することができる。
【0116】
治療計画に従って患者を治療した後、データ分析モジュール816及び/又は治療計画モジュール818を更新するために、1又は2以上の期間にわたって治療経過を監視することができる。治療後データは、データベース820に格納された参照データに追加することができる。治療後データは、患者固有の治療計画、患者固有の医療デバイス、又はこれらの組み合わせを開発するための機械学習モデルを訓練するのに使用することができる。
【0117】
システム800の構成要素は、多くの異なる方法で構成できることが理解されよう。例えば、代替の実施形態では、データベース820、データ分析モジュール816及び/又は治療計画モジュール818は、サーバ806ではなく、コンピューティングデバイス802の構成要素とすることができる。別の例として、データベース820、データ分析モジュール816、及び/又は治療計画モジュール818は、単一のサーバ806又はコンピューティングデバイス802ではなく、複数の異なるサーバ、コンピューティングシステム、又は他のタイプのクラウドコンピューティングリソースにわたって配置することができる。
【0118】
加えて、幾つかの実施形態において、システム800は、多数の他のコンピューティングシステム環境又は構成で動作可能である。本発明の技術と共に使用するのに適したコンピューティングシステム、環境、及び/又は構成の例としては、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドデバイス又はラップトップデバイス、携帯電話、ウェアラブルエレクトロニクス、タブレットデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースシステム、プログラマブル家電、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記のシステム又はデバイスの何れかを含む分散コンピューティング環境等が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、システム800は、追加の特徴及び/又は能力、例えば、2020年1月6日出願に出願された米国特許出願第16/735,222号に記載されているような追加的な特徴及び/又は機能を含むことができ、その開示は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0119】
図9は、一実施形態による、図8のシステム800に関連して使用するのに適したコンピューティングデバイス900を示す。コンピューティングデバイス900は、コンピューティングデバイス802又はサーバ806等、図8のシステム800の様々な構成要素に組み込むことができる。コンピューティングデバイス900は、1又は2以上のプロセッサ910(例えば、CPU、GPU、HPUなど)を含む。プロセッサ910は、デバイス内の単一の処理ユニット又は複数の処理ユニットとすることができ、又は複数のデバイスに分散させることができる。プロセッサ910は、例えば、PCIバス又はSCSIバス等のバスの使用により、他のハードウェアデバイスに結合することができる。プロセッサ910は、本明細書に記載の方法の何れかを実行するためのプログラム命令等の、1又は2以上のコンピュータ可読プログラム命令を実行するように構成することができる。
【0120】
コンピューティングデバイス900は、例えば、コンピューティングデバイス900のユーザからのアクションを通知するために、プロセッサ910に入力を提供する1又は2以上の入力デバイス920を含むことができる。アクションは、入力デバイスから受信された信号を解釈し、通信プロトコルを使用して情報をプロセッサ910に通信するハードウェアコントローラによって媒介することができる。入力デバイス920は、例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーン、赤外線センサ、タッチパッド、ウェアラブル入力デバイス、カメラ又は画像ベースの入力デバイス、マイクロフォン、又は他のユーザ入力デバイスを含むことができる。
【0121】
コンピュータデバイス900は、テキスト、モデル、仮想手順、手術計画、インプラント、グラフィック、及び/又は画像(例えば、ある位置における組織の密度を表す放射密度単位又はハウンスフィールド単位を示すボクセルを有する画像)などの様々なタイプの出力を表示するために使用されるディスプレイ930を含むことができる。幾つかの実施形態では、ディスプレイ930は、グラフィカル及びテキストによる視覚的フィードバックをユーザに提供する。プロセッサ910は、デバイス用ハードウェアコントローラを介してディスプレイ930と通信することができる。幾つかの実施形態では、ディスプレイ930は、入力デバイス920がタッチスクリーンを含む場合又は視線方向監視システムを備える場合等、ディスプレイ930の一部として入力デバイス920を含む。代替の実施形態では、ディスプレイ930は入力デバイス920とは別個である。ディスプレイデバイスの例としては、LCDディスプレイスクリーン、LEDディスプレイスクリーン、突出部、ホログラフィックディスプレイ、又は拡張現実ディスプレイ(例えば、ヘッドアップディスプレイデバイス又はヘッドマウントデバイス)等が挙げられる。
【0122】
任意選択的に、他のI/Oデバイス940も、ネットワークカード、ビデオカード、オーディオカード、USB、ファイヤワイヤ又は他の外部デバイス、カメラ、プリンタ、スピーカ、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、ディスクドライブ、又はブルーレイデバイス等のプロセッサ910に結合することができる。他のI/Oデバイス940は、MRI装置、X線装置、CT装置などを含む撮像装置などの直接接続された医療機器からの情報のための入力ポートを含むこともできる。他のI/Oデバイス940は、ネットワークを介して又は例えばデータベースに格納された以前に取り込まれたデータ等の他のソースから、これらのタイプの機械からデータを受信するための入力ポートを更に含むことができる。
【0123】
幾つかの実施形態では、コンピュータデバイス900は、ネットワークノードと無線又は有線ベースで通信可能な通信デバイス(図示せず)も含む。通信デバイスは、例えばTCP/IPプロトコルを使用して、ネットワークを介して他のデバイス又はサーバと通信することができる。コンピュータデバイス900は、通信デバイスを利用して、画像形成装置、製造装置などを含む複数のネットワークデバイスにわたって操作を分配することができる。
【0124】
コンピュータデバイス900は、メモリ950を含むことができ、メモリ950は、単一のデバイス内にある又は複数のデバイスに分散することができる。メモリ950は、揮発性及び不揮発性記憶用の様々なハードウェアデバイスの1又は2以上を含み、読み出し専用メモリ及び書き込み可能メモリの両方を含むことができる。例えば、メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、様々なキャッシュ、CPUレジスタ、読み出し専用メモリ(ROM)、及びフラッシュメモリ、ハードドライブ、フロッピーディスク、CD、DVD、磁気記憶デバイス、テープドライブ、デバイスバッファ等の書き込み可能な不揮発性メモリを備えることができる。メモリは、基礎となるハードウェアから切り離された伝搬信号ではないため、メモリは非一時的である。幾つかの実施形態では、メモリ950は、例えば、プログラム、ソフトウェア、データ又はこれらを記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体である。幾つかの実施形態では、メモリ950は、オペレーティングシステム962、1又は2以上の治療支援モジュール964、及び他のアプリケーションプログラム966等のプログラム及びソフトウェアを記憶するプログラムメモリ960を含むことができる。治療支援モジュール964は、本明細書で説明する様々な方法(例えば、図8に関して説明したデータ分析モジュール816及び/又は治療計画モジュール818)を実行するように構成された1又は2以上のモジュールを含むことができる。メモリ950はまた、例えば、プログラムメモリ960又はコンピュータデバイス900の他の何れかの要素に提供され得る参照データ、構成データ、データセット、ユーザオプション又はプリファレンス等を含み得るデータメモリ970を含むことができる。
【0125】
図10は、本発明の技術に従って構成された操作セットアップの様々な態様を示す。図示されているように、この動作セットアップは、ロボット手術プラットフォーム1050(以下、「プラットフォーム1050」と称する)を使用して、患者固有の人工インプラント1000(これは、図1A~5に関して説明したインプラントと同じ又は一般に類似したものとすることができる)を患者Pに移植するのに使用することができる。プラットフォーム1050は、例えば、切開のために組織を準備すること、切開を行うこと、切除を行うこと、組織を除去すること、組織を操作すること、修正操作を行うこと、標的部位にインプラントを送達すること、標的部位でインプラントを展開すること、標的部位でインプラントを調整すること、インプラントが移植されるとインプラントを操作すること、標的部位でインプラントを固定すること、インプラントを抜去すること、組織を縫合すること等を含む、手術手順の1又は2以上の局面を実行する又は他の方法で支援するように構成することができる。例えば、プラットフォーム1050は、様々な手術器具(例えば、把持器、クリップ、針、針ドライバ、灌注器具、吸引器具、ステープラ、スクリュードライバ組立体等)、撮像器具(例えば、カメラ、センサ等)、及び/又は医療デバイス(例えば、インプラント1000)、及びプラットフォーム1050が手術計画の1又は2以上の局面(例えば、ケージの位置決め、機械的接続の形成、位置決めフィーチャの設置、プレートの移植等)を実行することを可能にするものである。1つのアーム1055を有するものとして示されているが、当業者であれば、プラットフォーム1050が複数のアーム(例えば、2、3、4、又は2以上のアーム)及び任意の数の関節、リンク機構、モータ、及び自由度を有することができることを理解するであろう。幾つかの実施形態では、プラットフォーム1050は、1又は2以上の撮像器具を保持する専用の第1のアームを有し、残りのアームは様々な手術器具を保持することができる。幾つかの実施形態では、ツールは、手術手順の前、途中、又は後に選択的に交換できるように、アームに解除可能に固定することができる。アームは、様々な運動範囲(例えば、自由度)を通して移動可能であり得、手術手順の様々な局面を実行するための適切な器用さを提供する。
【0126】
プラットフォーム1050は、アーム1055の動作を制御するための制御モジュール1060を含むことができる。幾つかの実施形態では、制御モジュール1060は、アーム1055の動作を制御するためのユーザ入力デバイス(図示せず)を含む。ユーザ入力デバイスは、ジョイスティック、マウス、キーボード、タッチスクリーン、赤外線センサ、タッチパッド、ウェアラブル入力デバイス、カメラ又は画像ベースの入力デバイス、マイクロフォン、又は他のユーザ入力デバイスとすることができる。ユーザ(例えば、外科医)は、ユーザ入力デバイスと対話し、アーム1055の動きを制御することができる。幾つかの実施形態において、制御モジュール1060は、実行されるとアーム1055の動作を自動的に制御する機械可読命令を実行するための1又は2以上のオペレータを含む。このような実施形態において、制御モジュール1060は、制御モジュール1060によって実行されると、プラットフォーム1050に外科処置の1又は2以上のステップを実行させる外科処置の1又は2以上のステップを指定する機械可読命令を受信することができる。例えば、機械読み取り可能な命令は、切開のために組織を準備すること、切開を行うこと、切除を行うこと、組織を除去すること、組織を操作すること、矯正操作を行うこと、標的部位にインプラント1000を送達すること、標的部位にインプラント1000を配備すること、標的部位でインプラント1000の構成を調整すること、インプラント1000が移植されたらそれを操作すること、標的部位でインプラント1000を固定すること、インプラント1000を抜去すること、組織を縫合すること、及び/又はそのようなことをプラットフォーム1050に指示することができる。従って、指示は、患者固有のインプラントの送達を実行又は他の方法で支援するためにアーム1055を関節運動させるための特定の指示を含むことができる。
【0127】
外科手術計画が実行可能な指示を含む場合、プラットフォーム1050は、外科手術手順の少なくとも一部を実行するための指示を実行することができる。幾つかの実施形態では、プラットフォーム1050は、図8のシステム800によって生成された手術計画に基づいて実行可能命令を生成することができる。例えば、手術計画は、送達経路、ツール、及び移植部位に関する情報を含むことができる。プラットフォーム1050は、手術計画を分析し、ロボットシステムの能力(例えば、ロボットアームの構成及び数、及びエフェクタの機能性、誘導システム、視覚化システム等)に基づいて、患者固有の手順を実行するための実行可能命令を開発することができる。これにより、システム800は、広範囲の異なるタイプのロボット手術システムと互換性を有することが可能になる。プラットフォーム1050は、ネットワーク1006(これは、図8に示されるサーバ806と同じであり得る)及び/又は患者固有の計画にアクセス及び/又はダウンロードするためのコンピュータデバイス1040(これは、図9に示されるコンピューティングデバイス900と同じであり得る)との接続を確立するための1又は2以上の通信デバイス(例えば、VLC、WiMAX、LTE、WLAN、IR通信、PSTN、ラジオ波、Bluetooth、及び/又はWi-Fi操作性を有する構成要素)を含むことができる。例えば、ネットワーク1006は、プラットフォーム1050から特定の手術計画に対する要求を受信し、及びその計画をプラットフォーム1050に送信することができる。特定されると、ネットワーク1006は、実行のために手術計画をプラットフォーム1050に直接送信することができる。幾つかの実施形態では、ネットワーク1006は、手術計画をプラットフォーム1050に直接送信するのではなく、1又は2以上の中間ネットワークデバイスに送信することができる。例えば、ネットワーク1006は、図9に関して前述したコンピュータデバイス1040及び/又はコンピューティングデバイス900に手術計画を送信することができる。ユーザは、実行のために手術計画をプラットフォーム1050に送信する前に、コンピュータデバイスを用いて手術計画をレビューすることができる。患者固有の手術計画を特定、保存、ダウンロード、及びアクセスするための追加の詳細は、2020年8月11日に出願された米国特許出願第16/990,810号に記載されており、その開示は引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0128】
プラットフォーム1050は、図10に明示的に示されていない追加の構成要素を含むことができる。例えば、様々な実施形態において、プラットフォーム1050は、1又は2以上のディスプレイ(例えば、LCDディスプレイスクリーン、LEDディスプレイスクリーン、投影ディスプレイ、ホログラフィックディスプレイ、又は拡張現実ディスプレイ(例えば、ヘッドアップディスプレイデバイス又はヘッドマウントデバイス))、1又は2以上のI/Oデバイス(例えば、ネットワークカード、ビデオカード、オーディオカード、USB、ファイヤワイヤ又は他の外部デバイス、カメラ、プリンタ、スピーカ、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、ディスクドライブ、又はブルーレイデバイス)、及び/又はメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、様々なキャッシュ、CPUレジスタ、読み取り専用メモリ(ROM)、及び書き込み可能な不揮発性メモリ、例えば、フラッシュメモリ、ハードドライブ、フロッピーディスク、CD、DVD、磁気記憶デバイス、テープドライブ、デバイスバッファ等)である。幾つかの実施形態では、前述の構成要素は、図9のコンピューティングデバイス900に関して詳細に説明された同様の構成要素と概して類似することができる。
【0129】
理論に束縛されることなく、本明細書に記載される手術計画の様々な態様を実行するためにロボット手術プラットフォームを使用することは、従来の手術技術を上回る幾つかの利点を提供することが期待される。例えば、ロボット手術プラットフォームの使用は、例えば、切開サイズの減少、出血量の減少、手術手技の時間の短縮、手術(例えば、標的場所でのインプラントの配置)の正確性及び精度の向上等によって、手術結果を改善し、及び/又は回復時間を短縮することができる。プラットフォーム1050は、例えば、器具(例えば、検索機能を有する器具)、ツール、患者固有のインプラント1000(例えば、インプラント1000がアーム1055によって把持された後)等から情報を取得するための1又は2以上のスキャナを含むことによって、ユーザの入力エラーを回避又は低減することもできる。プラットフォーム1050は、外科処置の前及び中に適切な器具の使用を確認することができる。プラットフォーム1050が不適切な器具又はツールを識別した場合、別の器具又はツールを取り付けるべきであるという警告をユーザに送信することができる。ユーザは、新しい器具をスキャンして、その器具が手術計画に適切であることを確認することができる。幾つかの実施形態では、手術計画には、使用説明書、器具のリスト、器具の仕様、交換用器具等が含まれる。ベース1050は、スキャナからの情報に基づいて、手術前及び手術後の確認ルーチンを実行することができる。
【0130】
図11は、患者固有のインプラントを埋め込むための方法1100のフローチャートである。方法1100は、本明細書で先に説明したプレートの何れか等の第1のプレート及び第2のプレートを有する患者固有のインプラントを含むことができる。第1のプレート及び第2のプレートは、一般に、それぞれの第1及び第2の標的位置においてそれぞれの第1及び第2の識別された解剖学的構造と嵌合するように構成された患者固有の特徴(例えば、幾何形状、トポログラフィー等)を有するように設計される。例えば、第1及び/又は第2のプレートはそれぞれ、椎体の前面、上面、下面、又は側面と嵌合するように構成することができる。幾つかの実施形態では、第1及び/又は第2のプレートは、椎体の1又は2以上の面と嵌合するように構成することができる。例えば、第1及び/又は第2のプレートは、椎体の前面、上面、下面、及び/又は側面と嵌合するように構成することができる。幾つかの実施形態では、第1及び第2の患者固有のインプラントは、椎体の同一の(例えば、同じ)面に接触するように設計され得るが、椎体の面に対する第1及び第2のプレートの位置に基づいて異なる接触面トポログラフィーを有することができる。
【0131】
ステップ1102において、方法1100は、第1のプレートを第1の標的位置に送達するステップを含むことができる。ステップ1102は、図6の方法600のステップ604及び/又は606、並びに/又は図7の方法700のステップ704及び/又は706と概ね同様又は同じとすることができる。
【0132】
方法1100は、ステップ1104において、第2のプレートを第2の標的位置に送達するステップを含むことができる。ステップ1104は、ステップ1102と概ね同様又は同じとすることができる。ステップ1102及び/又はステップ1104は、外科医、外科用ロボットプラットフォーム、及び/又は外科用ロボットプラットフォームによって支援される外科医によって実行することができる。
【0133】
方法1100は、ステップ1106において、第1のプレートを第2のプレートに結合(例えば、機械的に結合)するステップに進む。第1のプレートは、本明細書で以前に説明したリンク機構、コネクタ、及び/又は接続機構の何れかを使用して第2のプレートに結合することができる。幾つかの実施形態では、ステップ1106及び1102~1104は、第1のプレート及び/又は第2のプレートをそれぞれの標的位置に位置決めする前に、第1のプレートを第2のプレートに結合するように逆にすることができる(例えば、第1のプレート及び第2のプレートは、生体内及び/又は生体外で結合することができる)。幾つかの実施形態では、第1及び第2のプレートを結合することにより、第1及び/又は第2のプレートをそれぞれの第1及び第2の標的位置において対応する解剖学的構造と嵌合させる(例えば、自動的に嵌合させる)ことができる。
【0134】
方法1100は、任意選択的に、ステップ1108において、第1及び/又は第2のプレートがそれぞれの第1及び/又は第2の標的位置にあることを確認するステップに進むことができる。第1及び/又は第2のプレートの位置は、当該技術分野で知られている1又は2以上の従来のイメージング技術(例えば、X線、MRI、CTスキャン等)を用いて確認することができる。ステップ1108は、図6の方法600のステップ608及び/又は図7の方法700のステップ710と概ね同様又は同じとすることができる。
【0135】
図12Aは、患者固有の医療を提供するための方法1200のフローチャートである。方法1200は、方法1200の1又は2以上のステップが、図8のコンピューティングデバイス802、図8のサーバ806、図9のコンピューティングデバイス900、及び/又は本明細書に記載される他の何れかのコンピュータ等のコンピュータ又はコンピューティングデバイスによって実行され得るような、コンピュータ実装方法とすることができる。
【0136】
ステップ1202において、方法1200は、患者の患者データセットを受信するステップを含むことができる。患者データは、図8の患者データセット808と概ね同様又は同一とすることができる。患者データセットは、患者の脊椎の少なくとも一部の1又は2以上の画像を含むことができ、患者の本来の解剖学的構成を示すことができる。幾つかの実施形態では、1又は2以上の画像を使用して、患者の本来の解剖学的構成の仮想モデルを作成することができる。仮想モデルは、2021年1月4日に出願された「PATIENT-SPECIFIC MEDICAL PROCEDURES AND DEVICES, AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」と題されたPCT/US21/12065号においてより詳細に議論されており、その全体は引用により本明細書に組み込まれる。
【0137】
ステップ1204において、方法1200は、患者の補正された解剖学的構成を決定するステップを含むことができる。補正された解剖学的構成は、ステップ1202における本来の解剖学的構成とは異なることができる。補正された解剖学的構成は、図8のデータベース802に格納された基準患者データセット等の1又は2以上の基準患者データセットに少なくとも部分的にベースとすることができる。幾つかの実施形態では、補正された解剖学的構成は、先に説明したように、コンピューティングシステムを使用して決定することができる。幾つかの実施形態では、コンピューティングシステムは、図8のデータ解析モジュール816のようなモジュールを含むことができ、及びモジュールは、参照患者データを解析し、補正された解剖学的構成を決定するように構成することができる。幾つかの実施形態では、補正された解剖学的構成の仮想モデルは、例えば、参照患者データに基づいて、ステップ1202の1又は2以上の画像及び/又は患者の本来の解剖学的構成の仮想モデルを修正することによって生成することができる。患者の本来の解剖学的構成の仮想モデルを修正することは、2021年1月4日に出願された「PATIENT-SPECIFIC MEDICAL PROCEDURES AND DEVICES,AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」と題されたPCT/US21/12065号においてより詳細に議論されており、その全体は引用により本明細書に組み込まれる。
【0138】
ステップ1206において、方法1200は、1又は2以上の患者固有の前方プレートを設計するステップを含むことができる。1又は2以上の患者固有の前方プレートの個々のものは、図1A及び図1Bのプレート120、図2A及び図2Bの第1のプレート220、図2A及び図2Bの第2のプレート250、及び/又は図3A及び図3Bのプレート320と同一又は概ね同様とすることができる。1又は2以上の患者固有の前方プレートの設計は、ステップ1204の補正された解剖学的構成に少なくとも部分的にベースとすることができる。例えば、1又は2以上の患者固有の前方プレートは、患者の脊椎の標的場所の幾何形状に対応する形状を有するように設計することができ、これにより、1又は2以上の患者固有のインプラントを対応する標的場所に移植することにより、患者の脊椎が矯正された解剖学的形状をとるようにすることができる。幾つかの実施形態では、コンピュータ又はコンピューティングシステムは、前述したように、1又は2以上の患者固有の前方プレートを設計することができる。例えば、コンピュータは、ステップ1202で患者データを解析して患者の脊椎の曲率、解剖学的構造、及び/又は形状を決定し、患者の脊椎の形状又は曲率に対応する形状又は曲率を有する、及び/又は患者の脊椎のトポログラフィーに一致するトポログラフィーを有する1つ又は2又は3以上の接触面を含む1つ又は2又は3以上の患者固有の前方プレートを設計することができる。
【0139】
幾つかの実施形態では、ステップ1206の1又は2以上の患者固有の前方プレート移植物は、第1の椎骨レベルに移植されるように構成された第1の患者固有の前方プレート及び第2の椎骨レベルに移植されるように構成された第2の患者固有の前方プレートを少なくとも含むことができる。第1の患者固有の前方プレートは、第2の患者固有のインプラントとは異なる形状を有することができる。
【0140】
幾つかの実施形態では、ステップ1206の患者固有の前方プレートの少なくとも1つは、患者の脊椎に沿った特定の位置で患者固有の前方プレートの少なくとも1つを保持するように構成された着座特徴を含むことができる。着座特徴は、ウィング、突出部、接触面、及び/又は本明細書で先に説明した他の何れかの適切な着座特徴を含むことができる。例えば、着座特徴は、図1A及び図1Bの第1の突出部121、図1A及び図1Bの第1の接触面122、図1A及び図1Bの第2の突出部126、図1A及び図1Bの第2の接触面128、及び/又は図1A図3Bの他の何れかの好適な要素又は特徴部と同一又は概ね類似することができる。
【0141】
幾つかの実施形態では、方法1200は、患者の脊椎に沿って1又は2以上の標的位置を特定するステップを更に含むことができ、ステップ1206の患者固有の前方プレートの各々は、対応する標的位置での1又は2以上の解剖学的構造に対応するように設計することができる。1又は2以上の標的位置は、患者の脊椎の個々の椎体の前面、側面、上面、及び/又は下面のうちの1又は2以上を含むことができ、及び/又は患者の脊椎の1又は2以上の椎体レベルを含むことができる。幾つかの実施形態では、1又は2以上の標的位置は、ステップ1204の補正された解剖学的構成に対応することができ、患者固有の前方プレートの各々を対応する標的位置に移植することにより、患者の脊椎が補正された解剖学的構成をとる(調整する、向かって移行する、再整列する等)ようにすることができる。
【0142】
図12B~12Fは、図12Aの方法1200の一部として含めることができる様々な追加の方法を示している。従って、図12B~12Fの各方法、及び/又はその1又は2以上のステップは、図12Aの方法1200と、及び/又は互いに組み合わせることができる。
【0143】
最初に図12Bを参照すると、幾つかの実施形態では、方法1200は、方法1210を更に含むことができる。ステップ1212において、方法1210は、患者の脊椎の仮想モデルに近接して又はそれに沿って標的インプラント場所を決定することを含む。患者の脊椎の仮想モデルは、図12Aのステップ1204を参照して先に説明した補正された解剖学的構成などの、補正された解剖学的構成における患者の脊椎の仮想モデルとすることができる。方法1210は、ステップ1214において、標的インプラント位置に対して着座するために、ステップ1206の患者固有の前方プレートのうちの少なくとも1つの前方プレートの仮想モデルを構築するステップを更に含むことができる。
【0144】
次に図12Cを参照すると、幾つかの実施形態では、方法1200は、方法1220を更に含むことができる。ステップ1222で、方法1220は、第1の椎骨及び第2の椎骨の間に移植するための椎間インプラントの仮想モデルを設計するステップを含むことができる。椎間インプラントは、先に説明したインプラント、デバイス、プレート又はケージの何れかを含むことができる。
【0145】
ステップ1224で、方法1220は、椎間インプラントの動きを妨害するために第1及び第2の椎骨に結合するように、ステップ1206の患者固有の前方プレートの少なくとも1つを設計するステップを更に含むことができる。これは、例えば、患者固有のトポログラフィーを有する接触面を含むプレートを設計するステップ、及び/又は本明細書に記載の患者固有のインプラントの他の何れかの態様又は特徴を設計するステップを含むことができる。
【0146】
次に図12Dを参照すると、幾つかの実施形態では、方法1200は方法1230を更に含むことができる。ステップ1232において、方法1230は、患者固有の前方プレートの少なくとも1つと係合するため患者の脊椎に沿った特徴を特定するステップを含むことができる。特徴は、例えば、1又は2以上の隣接椎体等の1又は2以上の椎体を含むことができる。更に、又は代替的に、特徴部は、椎体の個々のもの1又は2以上の前面、側面、上面、及び/又は下面を含むことができる。幾つかの実施形態では、特徴は、本明細書に記載される患者の解剖学の特徴又は側面の何れかを更に含むことができる。
【0147】
1234において、方法1230は、特定された特徴の1つ又は2つ以上と接触するように、1つ又は2又は3以上の患者固有の前方プレートの少なくとも1つの1つ又は2又は3以上の領域を設計するステップを更に含むことができる。このような実施形態では、少なくとも1つの患者固有の前方プレートは、特定された特徴に接触すると、患者の脊椎セグメントの動きを抑制することができる。例えば、図1A~2Bを参照して先に説明したように、1又は2以上の患者固有の前方プレートの少なくとも1つの患者固有のトポログラフィーは、隣接する椎体の一方又は両方に対するプレートの動き(例えば、横方向、垂直方向等)を防止、抑制、制限又は低減することができ、第2の椎体に対する第1の椎体の位置及び/又は整列を維持することができる。
【0148】
次に図12Eを参照すると、幾つかの実施形態では、方法1200は、方法1240を更に含むことができる。ステップ1242において、方法1240は、補正された解剖学的構成、例えばステップ1204の補正された解剖学的構成における患者の脊椎の仮想モデルを生成するステップを含むことができる。仮想モデルは、2021年1月4日に出願された「PATIENT-SPECIFIC MEDICAL PROCEDURES AND DEVICES, AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」と題するPCT/US21/12065号(Docket No.127398-8021.US00)に記載されており、その全体は引用により本明細書に組み込まれる。
【0149】
ステップ1244において、方法1240は、患者の脊椎の仮想モデルを修正又は更新することに応答して、患者固有の前方プレートのうちの1つの第1の仮想モデル及び/又は脊椎インプラントの第2の仮想モデルを動的に調整するステップを含むことができる。患者の脊椎の仮想モデルは、例えばコンピュータ又はコンピューティングシステムによって、又はユーザ(例えば施術者)によって自動的に修正することができる。患者の脊椎の仮想モデルに対する修正は、ステップ1202の患者固有のデータにベースとすることができ、更新された又は補正された解剖学的構成を反映することができる。修正には、患者の脊椎の1又は2以上の椎体の寸法、形状、輪郭、間隔、位置、向き、及び/又は配列の変更を含めることができる。仮想モデルは、患者固有の前方プレートの1又は2以上の仮想モデル及び/又は脊椎インプラントの1又は2以上の仮想モデルを含むことができる。患者の脊椎の仮想モデルを修正又は更新することにより、患者固有の前方プレート及び/又は脊椎インプラントの仮想モデルを動的に調整することができ、例えば、調整された仮想モデルが、対応する椎体の修正又は更新された寸法、形状、輪郭、間隔、位置、向き、及び/又はアライメントに一致するようにすることができる。仮想モデルを調整する追加の態様は、2021年1月4日に出願され、PATIENT-Specific MEDICAL PROCEDURES AND DEVICES, AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」と題されたPCT出願PCT/US21/12065号に記載されており、その全体は引用により本明細書に組み込まれる。
【0150】
次に図12Fを参照すると、幾つかの実施形態では、方法1200は、方法1250を更に含むことができる。ステップ1252において、方法1250は、補正された解剖学的構成における患者の脊椎の仮想モデルを生成するステップを含むことができる。これは、方法1240のステップ1242と同じ又は概ね同様とすることができる。
【0151】
ステップ1254において、方法1250は、修正された仮想モデルを生成するために患者の脊椎の仮想モデルを修正するステップを含むことができる。これは、方法1240のステップ1244と同じ又は概ね同様とすることができる。
【0152】
ステップ1256において、方法1250は、修正された仮想モデルに基づいて患者固有の前方プレートの少なくとも1つを設計するステップを含むことができる。補正された解剖学的構成は、ステップ1204の補正された解剖学的構成とすることができる。前述のように、患者の脊椎の仮想モデルは、患者の脊椎の1又は2以上の椎体の寸法、形状、輪郭、間隔、位置、向き、及び/又は配置の変更を含むことができる。変更された仮想モデルに基づくプレートは、ステップ1254における変更に対応する変更を含むことができる。例えば、幾つかの実施形態では、ステップ1254において、隣接する椎骨間の椎間腔の高さを変更するように仮想モデルを修正することができ、修正された仮想モデルに基づくプレートは、椎間腔の高さに対応するように寸法設定された中間部分及び/又は接続機構を含むことができる。
【実施例
【0153】
実施例
本発明の技術は、例えば、以下に記載される様々な態様に従って例示される。本発明の技術の態様の様々な実施例は、便宜上、番号付きの実施例(1、2、3等)として記載される。これらは例として提供されるものであり、本発明の技術を限定するものではない。従属の実施例の何れかは、任意の適切な方法で組み合わせて、それぞれの独立の実施例にすることができることに留意されたい。他の実施例も同様の方法で提示することができる。
1. 患者固有の医療ケアを提供するためのコンピュータ実装方法であって、
患者の患者データセットを受信するステップであって、上記患者データセットは、上椎骨及び下椎骨を含む上記患者の脊椎の少なくとも一部の1又は2以上の画像を含み、上記1又は2以上の画像は、上記患者の本来の解剖学的構成を示す、ステップと、
コンピューティングシステムを使用して、上記患者の補正された解剖学的構成を決定するステップであって、上記補正された解剖学的構成は、上記本来の解剖学的構成とは異なる、ステップと、
上記コンピューティングシステムを使用して、上記補正された解剖学的構成に基づいて患者固有の前方プレートを設計するステップと、
を含み、
上記患者固有の前方プレートが、
上記上椎骨の前面と嵌合するように輪郭付けされた第1の接触領域と、
上記下椎骨の前面と嵌合するように輪郭付けされた第2の接触領域と、
上記第1及び第2の接触領域が上記上椎骨及び下椎骨のそれぞれの前面と嵌合する際に、上記上椎骨及び下椎骨のエンドプレートと嵌合するように構成された中間突出部と、
を含む、コンピュータ実装方法。
2. 上記補正された解剖学的構成における上記患者の脊椎の仮想モデルに沿って標的インプラント場所を決定するステップと、
上記標的インプラント位置に対して着座するための上記患者固有の前方プレートのうちの少なくとも1つの前方プレートの仮想モデルを構築するステップと、
を更に含む、
実施例1に記載のコンピュータ実装方法。
3. 第1の椎骨及び第2の椎骨の間に移植するための椎間インプラントの仮想モデルを設計するステップと、
上記椎間インプラントが上記第1の椎骨と第2の椎骨の間に位置するときに、上記椎間インプラントの動きを妨げるように上記第1の椎骨及び第2の椎骨に結合するよう上記患者固有の前方プレートを設計するステップと、
を更に含む、
実施例1又は2に記載のコンピュータ実装方法。
4. 上記患者固有の前方プレートが、上記患者固有の前方プレートの少なくとも1つを上記患者の脊椎に沿った特定の位置に保持するように構成された1又は2以上の座席特徴部を含む、
実施例1~3の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
5. 上記患者固有の前方プレートを係合するため、上記患者の脊椎に沿った位置合わせ特徴部を特定するステップと、
上記患者の脊椎セグメントの動きを抑制するために、上記特定された位置合わせ特徴部に接触するように上記患者固有の前方プレートの領域を設計するステップと、
を更に含む、
実施例1~4の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
6. 上記補正された解剖学的構成における上記患者の脊椎の仮想モデルを生成するステップと、
上記仮想モデルを修正することに応答して、上記患者固有の前方プレートの第1の仮想モデル及び別の脊椎インプラントの第2の仮想モデルを動的に調整するステップと、
を更に含む、
実施例1~5の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
7. 上記補正された解剖学的構成における上記患者の脊椎の仮想モデルを生成するステップと、
上記仮想モデルを修正して上記患者の脊椎の修正された仮想モデルを生成するステップと、
上記修正された仮想モデルに基づいて上記患者固有の前方プレートを設計するステップと、
を更に含む、
実施例1~6の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
8. 上記患者の脊椎に沿って1又は2以上の標的位置を特定するステップを更に含み、上記患者固有の前方プレートが、対応する標的位置での1又は2以上の解剖学的構造に対応するように設計される、
実施例1~8の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
9. 上記患者固有の前方プレートが第1の患者固有の前方プレートであり、
上記コンピュータ実装方法が、
上記第1の患者固有前方プレートとは異なる標的位置にて移植されるように構成された第2の患者固有前方プレートを設計するステップを更に含み、
上記第1の患者固有前方プレートは、上記第2の患者固有前方プレートとは異なる形状を有する、
実施例8に記載のコンピュータ実装方法。
10. 上記患者固有の前方プレートを設計するステップが、上記下椎骨及び上椎骨の間の椎間腔において椎間板に接触するように上記中間部分を設計するステップを含む、
実施例1~9の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
11. 上記中間部分が、約1mm~約20mmの間の長さを有する、
実施例1~10の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
12. 上記患者固有の前方プレートを設計するステップが、中間部分の後端部を、上記上椎骨の第1の皮質リム及び/又は上記下椎骨の第2の皮質リムの少なくとも一方を後方向に約1mm~約10mmの間越えて延びるように設計するステップを含む、
実施例1~11の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
13. 上記補正された解剖学的構成に基づいて、上記コンピューティングシステムを使用して、患者固有の側方プレートを設計するステップを更に含み、
上記患者固有の側方プレートは、上記上椎骨の第1の側面及び/又は下椎骨の第2の側面の少なくとも一方と嵌合するように構成される、
実施例1~12の何れかに記載のコンピュータ実装方法。
14. 上記患者固有の側方プレートを設計するステップが、上記患者固有の側方プレートを上記患者固有の前方プレートに結合するように構成された1又は2以上のコネクタを設計するステップを含む、
実施例13に記載のコンピュータ実装方法。
15. 患者固有インプラントを移植する方法であって、
患者の脊柱の第1の標的位置に近接した第1の場所に第1のプレートを送達するステップであって、上記第1のプレートが上記第1の標的位置において第1解剖学的構造と嵌合するように設計されている、ステップと、
上記患者の脊柱の第2の標的位置に近接した第2の場所に第2のプレートを送達するステップであって、上記第2のプレートは、上記第2の標的位置において第2の解剖学的構造と嵌合するように設計されている、ステップと、
上記第1のプレート及び/又は上記第2のプレートを、上記患者の脊柱内に配置された椎体間インプラントに結合するステップと、
を含む、方法。
16. 上記第1の解剖学的構造が、
上椎骨の第1の前面と、
下椎骨の第2の前面と、
を含み、
上記第2の解剖学的構造が、
上記上椎骨の第1の側面と、
上記下椎骨の第2の側面と、
を含み、
上記椎体間インプラントが、上記上椎骨と上記下椎骨の間の椎間腔に位置付けられる、
実施例15に記載の方法。
17. 上記第1の解剖学的構造は、上椎骨の下面及び/又は下椎骨の上面を含み、上記第2の解剖学的構造は、上記下椎骨の上面及び/又は上記上椎骨の下面を含む、
実施例15に記載の方法。
18. 上記第1のプレートが上記第1の解剖学的構造と嵌合するように上記第1のプレートを上記第1の標的位置に位置決めするステップが、上記第1のプレートと上記第1の解剖学的構造との間にほぼ間隙なし界面を形成するステップを含み、
上記第2のプレートが上記第2の解剖学的構造と嵌合するように上記第2のプレートを上記第2の標的位置に位置決めするステップが、上記第2のプレートと上記第2の解剖学的構造との間にほぼ間隙なし界面を形成するステップを含む、
実施例15~17の何れかに記載の方法。
19. 患者固有インプラントであって、
上椎骨及び下椎骨と嵌合するように、患者の脊椎に沿った標的位置に移植されるように構成されたプレートを備え、
上記プレートが、
上記上椎骨の前面と嵌合するように輪郭付けされた第1の接触領域と、
上記下椎骨の前面と嵌合するように輪郭付けされた第2の接触領域と、
上記第1及び第2の接触領域が上記上椎骨及び下椎骨のそれぞれの前面と嵌合する際に、上記上椎骨及び下椎骨のエンドプレートと嵌合するように構成された中間突出部と、
を含む、
患者固有インプラント。
20. 上記上椎骨と上記下椎骨の間の椎間腔に位置付けられた椎間デバイスを更に備え、上記中間突出部は更に、上記椎間腔内に延びて上記椎間デバイスに接触するように構成されている、
実施例19に記載の患者固有インプラント。
21. 上記標的位置に移植されたときに、上記プレートは更に、上記椎間デバイスの前方移動を抑制するように構成されている、実施例20に記載の患者固有インプラント。
22. 上記椎間デバイスが上記椎間腔に位置付けられ、上記プレートが上記標的位置に移植されたときに、上記椎間デバイスが、上記中間突出部に結合されるように構成されている、実施例20又は21に記載の患者固有インプラント。
23. 上記椎間デバイスは、上記椎間デバイスが上記椎間腔に位置付けられたときに、上記上椎骨又は上記下椎骨によって上記患者固有インプラントに加えられる荷重の少なくとも一部を受けるように構成されている、
実施例20~22の何れかに記載の患者固有インプラント。
24. 上記荷重の一部が、上記荷重の第1の部分であり、上記中間突出部は、上記プレートが上記標的位置に移植されたときに上記荷重の少なくとも第2の部分を受けるように構成され、上記荷重の第2の部分が全荷重の少なくとも10%である、
実施例23に記載の患者固有インプラント。
25. 上記プレートが前方プレートであり、上記患者固有インプラントが、上記上椎骨の第1の側面及び/又は上記下椎骨の第2の側面の少なくとも一方と嵌合するように構成された側方プレートを更に備える、
実施例19~24の何れかに記載の患者固有のインプラント。
26. 少なくとも上記前方プレートが上記標的位置に移植されたときに、上記側方プレートを上記前方プレートに結合するように構成されたコネクタを更に備える、
実施例25に記載の患者固有インプラント。
27. 上記中間突出部は、上記プレートが上記標的位置に移植されたときに、上記上椎骨と上記下椎骨との間の椎間腔内に位置付けられた椎間板に接触するように構成された後端部を含む、
実施例19~26の何れかに記載の患者固有インプラント。
28. 上記中間突出部が約1mm~約20mmの長さを有する、
実施例19~27の何れかに記載の患者固有インプラント。
29. 上記中間突出部が約5mm~約15mmの長さを有する、
実施例19~27の何れかに記載の患者固有インプラント。
30. 上記中間突出部が、上記上椎骨と上記下椎骨との間の椎間腔の空隙の少なくとも50%を占めるように構成されている、
実施例19~29の何れかに記載の患者固有インプラント。
31. 患者固有インプラントであって、
患者の脊椎に沿った標的位置で上椎骨及び下椎骨と嵌合するように構成されたプレートを備え、
上記プレートが、
上記上椎骨の前面と嵌合するように輪郭付けされた第1の患者固有の幾何形状を有する第1の脊椎接触面を含む第1の突出部と、
上記下椎骨の前面と嵌合するように輪郭付けされた第2の患者固有の幾何形状を有する第2の脊椎接触面を含む第2の突出部と、
中間突出部と、
を含み、
上記中間突出部が、
上記上椎骨の下面の少なくとも一部と嵌合するように輪郭付けされた第3の患者固有の幾何形状を有する第1の中間接触面と、
上記下椎骨の上面の少なくとも一部と嵌合するように輪郭付けされた第4の患者固有の幾何形状を有する第2の中間接触面と、
を含み、
上記第1の患者固有の幾何形状は、上記第2、第3、及び/又は第4の患者固有の幾何形状とは異なる、患者固有インプラント。
32. 上記プレートが上記標的位置に移植されたときに、上記プレートが、上記上椎骨の前面及び上記下椎骨の前面とほぼ間隙なし界面を形成する、
実施例31に記載の患者固有のインプラント。
33. 上記第1の突出部が、第3の接触面を有する最上部を含み、上記第3の接触面が、上記上椎骨の前面に隣接する面と嵌合するように輪郭付けされた第5の患者固有の幾何形状を有する、
実施例31又は32に記載の患者固有のインプラント。
34. 上記上椎骨の前面に隣接する上記面が、上記上椎骨の上面である、
実施例33に記載の患者固有のインプラント。
35. 上記第2の突出部が、第3の接触面を有する最下部分を含み、上記第3の接触面が、上記下椎骨の前面に隣接する面と嵌合するように輪郭付けされた第5の患者固有の幾何形状を有する、
実施例31~34の何れかに記載の患者固有のインプラント。
36. 上記下椎骨の前面に隣接する上記面が、上記下椎骨の下面である、
実施例35に記載の患者固有のインプラント。
37. 上記プレートが第1のプレートであり、上記標的位置が第1の標的位置であり、
上記患者固有のインプラントが、標的位置で上記上椎骨及び上記下椎骨と嵌合するように構成された第2のプレートを更に備え、
上記第2のプレートが、
第5の接触面を含む第3の突出部であって、上記第5の接触面は、上記上椎骨の側面と嵌合するように輪郭付けされた第5の患者固有の幾何形状を有する、第3の突出部と、
第6の接触面を有する第4の突出部であって、上記第6の接触面は、上記下椎骨の側面と嵌合するように輪郭付けされた第6の患者固有の幾何形状を有する、第4の突出部と、
を含み、
上記第1のプレートは、1又は2以上のコネクタによって上記第2のプレートに結合されている、
実施例31~36の何れかに記載の患者固有のインプラント。
38. 上記第2のプレートが更に、上記第3の突出部と上記第4の突出部との間に位置付けられた第2の中間突出部を含み、
上記第2の中間突出部が、
上記上椎骨の下面の少なくとも一部と嵌合するように輪郭付けされた第7の患者固有の幾何形状を有する第3の中間接触面と、
上記下椎骨の上面の少なくとも一部と嵌合するように輪郭付けされた第8の患者固有の幾何形状を有する第4の中間接触面と、
を含む、
実施例37に記載の患者固有インプラント。
【0154】
結論
前述の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート、及び/又は実施例の使用を介して、デバイス及び/又はプロセスの様々な実施形態を記載している。このようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例が1又は2以上の機能及び/又は動作を含む限りにおいて、このようなブロック図、フローチャート、又は実施例内の各機能及び/又は動作は、広範なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの実質的に任意の組み合わせによって、個々に及び/又は集合的に実装できることが当業者には理解されるであろう。幾つかの実施形態では、本明細書に記載される主題の幾つかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又は他の集積形式を介して実装することができる。しかしながら、当業者であれば、本明細書に開示される実施形態の幾つかの態様は、その全体又は一部が、集積回路において、1つ又は2又は3以上のコンピュータ上で実行される1つ又は2又は3以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1つ又は2又は3以上のコンピュータシステム上で実行される1つ又は2又は3以上のプログラムとして)、1つ又は2又は3以上のプロセッサ上で実行される1つ又は2又は3以上のプログラムとして(例えば、 1又は2以上のマイクロプロセッサ上で実行される1又は2以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、又は実質的にこれらの任意の組み合わせとして、回路を設計すること及び/又はソフトウェア及び/又はファームウェアのコードを書くことは、本開示に照らして当業者の技術の範囲内であろう。更に、当業者であれば、本明細書で説明する主題の機構は、様々な形態のプログラム製品として配布可能であり、及び本明細書で説明する主題の例示的な実施形態は、配布を実際に実施するために使用される特定のタイプの信号伝達媒体に関係なく適用されることを理解するであろう。信号伝達媒体の例としては、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、CD、DVD、デジタルテープ、コンピュータメモリ等の記録型媒体、及びデジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク等)等の伝送型媒体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
当業者であれば、デバイス及び/又はプロセスを本明細書に規定する方法で記述し、その後、工学的手法を使用して、そのような記述されたデバイス及び/又はプロセスをデータ処理システムに統合することが、当技術分野において一般的であることを認識するであろう。すなわち、本明細書に記載されたデバイス及び/又はプロセスの少なくとも一部は、合理的な量の実験を介してデータ処理システムに統合することができる。当業者であれば、典型的なデータ処理システムは、一般に、システムユニットハウジング、ビデオディスプレイデバイス、揮発性メモリ及び不揮発性メモリ等のメモリ、マイクロプロセッサ及びデジタルシグナルプロセッサ等のプロセッサ、オペレーティングシステム、ドライバ、グラフィカルユーザ界接、及びアプリケーションプログラム等の計算エンティティ、タッチパッド又はスクリーン等の1又は2以上の相互作用デバイス、及び/又はフィードバックループ及び制御モータ(例えば、位置及び/又は速度を感知するためのフィードバック;構成要素及び/又は量を移動及び/又は調整するための制御モータ)を含む制御システムのうちの1又は2以上を含むことを認識するであろう。典型的なデータ処理システムは、データコンピューティング/通信及び/又はネットワークコンピューティング/通信システムに典型的に見られるような、任意の適切な市販の構成要素を利用して実装することができる。
【0156】
本明細書で説明する主題は、場合によっては、異なる他の構成要素内に含まれる、又は異なる他の構成要素と接続される、異なる構成要素を示す。このような描かれたアーキテクチャは単なる例であり、実際には、同じ機能を実現する他の多くのアーキテクチャを実装できることを理解されたい。概念的な意味では、同じ機能を実現するための構成要素の配置は、所望の機能が実現されるように、実質的に「関連」している。従って、本明細書において、特定の機能を実現するために組み合わされる任意の2つの構成要素は、アーキテクチャ又は中間構成要素に関係なく、所望の機能が実現されるように互いに「関連付けられる」と見なすことができる。同様に、そのように関連付けされた任意の2つの構成要素は、所望の機能性を達成するように互いに「作動可能に接続」又は「作動可能に結合」されていると見なすこともでき、及びそのように関連付けることが可能な任意の2つの構成要素は、所望の機能性を達成するように互いに「作動可能に結合可能」であると見なすこともできる。動作可能に結合可能の具体例としては、物理的に嵌合可能及び/又は物理的に相互作用可能な構成要素、並びに/又は無線で相互作用可能及び/又は無線で相互作用可能な構成要素、並びに/又は論理的に相互作用可能及び/又は論理的に相互作用可能な構成要素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0157】
本明細書に記載される実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法及び技術は、幾つかの実施形態において、以下に記載される実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法及び技術の何れか1又は2以上と同様とすることができる。
U.S. Application No. 16/048,167, filed on July 27, 2017, titled “SYSTEMS AND METHODS FOR ASSISTING AND AUGMENTING SURGICAL PROCEDURES”;
U.S. Application No. 16/242,877, filed on January 8, 2019, titled “SYSTEMS AND METHODS OF ASSISTING A SURGEON WITH SCREW PLACEMENT DURING SPINAL SURGERY”;
U.S. Application No. 16/207,116, filed on December 1, 2018, titled “SYSTEMS AND METHODS FOR MULTI-PLANAR ORTHOPEDIC ALIGNMENT”;
U.S. Application No. 16/352,699, filed on March 13, 2019, titled “SYSTEMS AND METHODS FOR ORTHOPEDIC IMPLANT FIXATION”;
U.S. Application No. 16/383,215, filed on April 12, 2019, titled “SYSTEMS AND METHODS FOR ORTHOPEDIC IMPLANT FIXATION”;
U.S. Application No. 16/569,494, filed on September 12, 2019, titled “SYSTEMS AND METHODS FOR ORTHOPEDIC IMPLANTS”;
U.S. Application No. 62/773,127, filed on November 29, 2018, titled “SYSTEMS AND METHODS FOR ORTHOPEDIC IMPLANTS”;
U.S. Application No. 62/928,909, filed on October 31, 2019, titled “SYSTEMS AND METHODS FOR DESIGNING ORTHOPEDIC IMPLANTS BASED ON TISSUE CHARACTERISTICS”;
U.S. Application No. 16/735,222, filed January 6, 2020, titled “PATIENT-SPECIFIC MEDICAL PROCEDURES AND DEVICES, AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS”;
U.S. Application No. 16/987,113, filed August 6, 2020, titled “PATIENT-SPECIFIC ARTIFICIAL DISCS, IMPLANTS AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS”;
U.S. Application No. 16/990,810, filed August 11, 2020, titled “LINKING PATIENT-SPECIFIC MEDICAL DEVICES WITH PATIENT-SPECIFIC DATA, AND ASSOCIATED SYSTEMS, DEVICES, AND METHODS”;
U.S. Application No. 17/463,054, filed August 31, 2021, titled “BLOCKCHAIN MANAGED MEDICAL IMPLANTS;”
U.S. Application No. 17/085564, filed October 30, 2020, titled “SYSTEMS AND METHODS FOR DESIGNING ORTHOPEDIC IMPLANTS BASED ON TISSUE CHARACTERISTICS”; and
U.S. Application No. 17/100,396, filed November 20, 2020, titled “PATIENT-SPECIFIC VERTEBRAL IMPLANTS WITH POSITIONING FEATURES.”
【0158】
上記で特定された特許及び出願の全ては、引用によりその全体が組み込まれる。加えて、本明細書に記載される実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法、及び技術は、特定の実施形態において、実施形態、特徴、システム、デバイス、又は他の事項の何れか1又は2以上に適用され、又はこれらと関連して使用することができる。引用により本明細書に組み込まれる資料が本開示と矛盾する範囲では、本開示が支配する。
【符号の説明】
【0159】
100 患者固有インプラント
120 前方プレート
121 第1の突出部又はウィング部
122 第1の接触面
126 第2の突出部又はウィング部
140 第1の部分又は部材
141 第1の部分接触面
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
【国際調査報告】