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特表2024-523911胎児の心臓活動を検出するためのMモードデータの生成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】胎児の心臓活動を検出するためのMモードデータの生成
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578748
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2022066933
(87)【国際公開番号】W WO2022268844
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/214,353
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21184713.2
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ボーミック ソウマブハ
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナン カルティク
(72)【発明者】
【氏名】カティパリー カルティク ラジ
(72)【発明者】
【氏名】ナラサプラ ラジャゴパライア ギリダール
(72)【発明者】
【氏名】フィルション セリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】セス スブヘンドゥ
(72)【発明者】
【氏名】フェイネパリ パラヴィ
(72)【発明者】
【氏名】ラウンドヒル デイビッド ナイジェル
(72)【発明者】
【氏名】リーリー マシュー
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD09
4C601DD15
4C601EE09
4C601FE07
4C601JC08
4C601JC37
4C601KK13
(57)【要約】
胎児心拍数を決定するためなど、胎児の心臓活動を評価するために使用可能なMモードデータを生成又は定義するために、Mモードラインを自動的に生成し、ランク付けするための機構である。超音波画像のシーケンスにおいて、胎児の心臓を含む関心領域が特定される。関心領域を使用して、複数のMモードライン(解剖学的Mモードラインなど)の各々の位置を定義する。Mモードラインごとに生成されたMモードデータに基づいて、各Mモードラインの品質尺度が決定され、その品質尺度を使用してMモードラインがランク付けされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波画像のシーケンスを処理することによってMモードデータを生成する処理システムであって、前記処理システムは、
前記超音波画像のシーケンスを取得することであって、各超音波画像には、少なくとも胎児の心臓を含む前記胎児の一部の表現が含まれている、取得することと、
前記超音波画像のシーケンスにおいて、各超音波画像内の前記胎児の心臓の表現を含む関心領域を特定することであって、各超音波画像内の前記胎児の表現を含む第1の関心領域を自動的に検出し、前記第1の関心領域内で、前記胎児の心臓の前記表現を含む第2の関心領域を自動的に特定することを含む、特定することと、
特定された前記関心領域に基づいて、前記超音波画像のシーケンスに対して複数のMモードラインを位置付けることと、
前記複数のMモードラインの各々について、前記MモードラインのMモードデータを生成することと、
前記複数のMモードラインの各々について、生成された前記Mモードデータを処理することによって、前記Mモードラインの品質尺度を決定することと、
各Mモードラインの決定された前記品質尺度に基づいて、前記複数のMモードラインをランク付けすることと、
を実行する、処理システム。
【請求項2】
前記第1の関心領域を特定することは、前記超音波画像に第1の機械学習方法を適用することを含み、前記第2の関心領域を特定することは、前記第1の関心領域に第2の機械学習方法を適用することを含む、請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記複数のMモードラインを位置付けることは、前記関心領域を通過するように各Mモードラインを位置付けることを含む、請求項1又は2に記載の処理システム。
【請求項4】
前記複数のMモードラインのうちの少なくとも2本は、前記超音波画像のシーケンスに関して、前記超音波画像の前記関心領域に対して異なる向きに位置付けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項5】
各Mモードラインは、前記超音波画像のシーケンスに関して、前記関心領域の異なる部分を通過するように位置付けられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項6】
各Mモードラインは、解剖学的Mモードラインである、請求項1から5のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項7】
各解剖学的Mモードラインの開始位置及び/又は終了位置は、前記関心領域の位置に基づいている、請求項6に記載の処理システム。
【請求項8】
前記複数のMモードラインのランク付けの視覚的表現を表示するためにユーザインターフェースを制御することを更に実行する、請求項1から7のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項9】
前記複数のMモードラインのうちの1つを特定する指標を含むユーザ入力を受信することと、
ユーザが特定した前記Mモードラインの前記Mモードデータ、及び/又はユーザが特定した前記Mモードラインの前記Mモードデータから導出される前記胎児の心臓の1つ以上の特性の視覚的表現を表示するために前記ユーザインターフェースを制御することと、
を更に実行する、請求項8に記載の処理システム。
【請求項10】
前記胎児の心臓の前記1つ以上の特性は、予測される胎児心拍数を含む、請求項9に記載の処理システム。
【請求項11】
最も高いランクを有する前記Mモードラインの前記Mモードデータ、及び/又は最も高いランクを有する前記Mモードラインの前記Mモードデータから導出される前記胎児の心臓の1つ以上の特性の視覚的表現を表示するために前記ユーザインターフェースを制御することを更に実行する、請求項1から10のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項12】
前記超音波画像のシーケンスにおける前記第1の関心領域の位置及び/又は前記第2の関心領域の位置を決定することによって、超音波画像の前記シーケンスにおける前記関心領域の任意の移動を決定することを更に実行する、請求項1から11のいずれか一項に記載の処理システム。
【請求項13】
前記超音波画像のシーケンスにおける前記関心領域の任意の移動を追跡するために、各Mモードラインを制御することを更に実行する、請求項12に記載の処理システム。
【請求項14】
超音波画像のシーケンスからMモードデータを生成するコンピュータ実施方法であって、前記コンピュータ実施方法は、
前記超音波画像のシーケンスを取得するステップであって、各超音波画像には、少なくとも胎児の心臓を含む前記胎児の一部の表現が含まれている、取得するステップと、
前記超音波画像のシーケンスにおいて、各超音波画像内の前記胎児の心臓の表現を含む関心領域を特定するステップであって、各超音波画像内の前記胎児の表現を含む第1の関心領域を自動的に検出し、前記第1の関心領域内において、前記胎児の心臓の前記表現を含む第2の関心領域を自動的に特定するステップを含む、特定するステップと、
特定された前記関心領域に基づいて、超音波画像の前記シーケンスに複数のMモードラインを位置付けるステップと、
前記複数のMモードラインの各々について、前記Mモードラインが配置された各超音波画像の部分を処理することによって、Mモードデータを生成するステップと、
前記複数のMモードラインの各々について、生成された前記Mモードデータを処理することによって、前記Mモードラインの品質尺度を決定するステップと、
各Mモードラインの決定された前記品質尺度に基づいて、前記複数のMモードラインをランク付けするステップと、
を含む、コンピュータ実施方法。
【請求項15】
コンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムコード手段は、処理システムを有するコンピューティングデバイス上で実行されると、前記処理システムに、請求項14に記載のコンピュータ実施方法の全てのステップを行わせる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波イメージングの分野に関し、特に、胎児の心臓活動を決定するために使用可能なデータの生成に関する。
【背景技術】
【0002】
胎児(即ち、まだ生まれていない子)の心臓活動は、妊娠生育力を評価するために臨床医が使用する、需要のあるバイタルサインである。妊娠6週目から心臓活動を測定することができる。正常な胎児心拍数は妊娠期間に依存するため、異常若しくは予期しない心拍数又は他の心臓特性を使用して妊娠失敗のリスクを特定できることが観察されている。
【0003】
例えば(胎児の)頭殿長が7mmを超える時点での心臓活動の欠如又は不規則性は、妊娠失敗のリスクが高いことが観察されている。85bpm未満の胎児心拍など、胎児の徐脈も、胎児に対する潜在的なリスクを示す強力な指標となる。
【0004】
EP3052023B1は、胎児の心臓を特定するための超音波診断イメージングシステムを開示している。ユーザ制御に応答して関心領域を特定し、関心領域に関連付けられる複数の空間的に異なるMモードラインを生成し、Mモードラインのエコーデータを解析して胎児の心拍を特定し、測定した胎児心拍数に基づいて収集したエコーデータをランク付けすることが提案されている。
【0005】
したがって、胎児心拍数や、異所性拍動や動悸(「フラッタリング」)などの不整脈によって引き起こされる不規則性などの胎児の心臓活動を評価するのに使用可能な正確なデータを提供したいという要望が継続的にある。
【0006】
胎児の心臓活動を評価するための1つの手法は、心臓への血流を測定するためにドップラーベースの超音波技法を使用することである。しかし、ドップラー技法を使用すると、胎芽/胎児が超音波に著しく曝露される可能性があり、これは、妊娠失敗のリスクを高める可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、子宮内の心臓活動を検出する方法に代替の手法があれば有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、特許請求の範囲によって規定される。
【0009】
本発明の態様による実施例によれば、超音波画像のシーケンスを処理することによってMモードデータを生成する処理システムが提供される。
【0010】
処理システムは、超音波画像のシーケンスを取得することであって、各超音波画像には、胎児の心臓を含む胎児の一部の表現が含まれている、取得することと、画像のシーケンスにおいて、各超音波画像内に胎児の心臓の表現を含む関心領域を特定することと、特定された関心領域に基づいて、超音波画像のシーケンスに対して複数のMモードラインを位置付けることと、複数のMモードラインの各々について、MモードラインのMモードデータを生成することと、複数のMモードラインの各々について、生成されたMモードデータを処理することによって、Mモードラインの品質尺度を決定することと、各Mモードラインの決定された品質尺度に基づいて、複数のMモードラインをランク付けすることとを実行する。関心領域を特定することは、各超音波画像内の胎児の表現を含む第1の関心領域を自動的に検出し、第1の関心領域内に、胎児の心臓の表現を含む第2の関心領域を自動的に特定することを含む。いくつかの実施例では、第1の関心領域を特定することは、超音波画像に第1の機械学習方法を適用することを含み、第2の関心領域を特定することは、第1の関心領域に第2の機械学習方法を適用することを含む。
【0011】
本開示は、超音波画像のシーケンス上にMモードラインを自動的に位置付け、評価する手法を提案する。超音波画像内の胎児の心臓の特定された位置に基づいて、異なるMモードラインが超音波画像のシーケンス上に位置付けられる。(Mモードラインに関連するMモードデータから)Mモードラインごとの品質尺度が生成され、Mモードラインをランク付けするために使用される。これにより、自動選択、又は臨床医による手動選択のためのMモードラインのセット又はコレクションが提供される。Mモードラインの自動ランク付けによって、例えば、どのMモードラインが胎児の心臓について臨床的により有用なデータを提供する可能性が高いかを特定することを容易にするために、Mモードデータの異なる例から選択する又は区別するための有用な臨床情報が臨床医に提供される。
【0012】
この実施形態では、Mモードラインの異なる位置(例えば、向き及び/又は整列)が、異なる精度のMモードデータをもたらす可能性があることを認識している。したがって、複数のMモードラインの各々についてMモードデータを生成することで、胎児の心臓の心臓活動を正確に表すMモードデータを生成できる。
【0013】
品質尺度の適切な例としては、Mモードラインのスパン、Mモードデータにおける任意の周期信号の整合性/規則性(例えば、周波数及び/又は振幅の観点において)が挙げられる。特に、品質尺度は、Mモードデータが胎児の心臓についてどの程度正確に情報を提供できるか、例えば、Mモードデータから導出される胎児心拍数の精度の尺度を表す。
【0014】
関心領域は、例えば、その外側境界が超音波画像のシーケンスにおける胎児の心臓(胎児心臓)の位置及び/又は大きさによって画定される領域であり、画像全体よりも小さい。特定の実施例では、関心領域の外側境界は、超音波画像内の胎児の心臓の表現の予測される外側境界を表す。特に、関心領域は、各超音波画像について、胎児心臓の表現を含み、超音波画像の全体の大きさよりも小さい領域である。
【0015】
「胎児」という用語は、本明細書では、動物(哺乳類、爬虫類、又は鳥類など)のまだ生まれていない子を指すために使用される。本開示のために、胎児は、拍動する心臓があると予想される妊娠期間を有する動物の任意のまだ生まれていない子を含むと見なされる。したがって、「胎児」という用語には胎芽も含まれる。例えば、胎児が人間の胎児である場合、「胎児」という用語は、少なくとも妊娠5週目の胎芽又は胎児を指す。
【0016】
提案する手法は、胎児の心臓活動を評価するための適切/正確なMモードデータの迅速な収集を促進する。これにより、胎児の超音波被曝が事実上低減でき、これは、リスクを低減するために、胎児の医療検査の望ましい特性であると認定されている。
【0017】
複数のMモードラインを位置付けることは、関心領域を通過するように、例えば、関心領域の中心部分(関心領域の重心など)を通過するように各Mモードラインを位置付けることを含み得る。
【0018】
いくつかの実施例では、2本以上のMモードラインが(超音波画像のシーケンスに対して)、超音波画像の関心領域に対して異なる向きに位置付けられる。
【0019】
いくつかの実施例では、各Mモードラインは、超音波画像のシーケンスに関して、超音波画像の関心領域に対して異なる向きに位置付けられる。
【0020】
このようにすると、Mモードラインは、事実上、超音波画像(の関心領域)を異なる角度で解析又は分割する。本明細書では、Mモードラインについて角度が異なると、ラインが通過する領域に応じて異なる周期性を捕捉でき、Mモードラインが、胎児心拍数又は胎児心臓の他の特性を導出するために使用可能なデータを捕捉する可能性を高めることを認識している。
【0021】
好ましくは、異なる向きの各々は、所定の向きである。
【0022】
いくつかの実施例では、各Mモードラインは、超音波画像のシーケンスに関して、関心領域の異なる部分を通過するように位置付けられる。
【0023】
好ましくは、各Mモードラインは解剖学的Mモードラインである。したがって、解剖学的Mモードラインの起点及び/又は終点(開始位置及び終了位置)は、異なるMモードラインについて変化する。各解剖学的Mモードラインの開始位置及び/又は終了位置は、関心領域の位置に基づき得る。特定の実施例では、各解剖学的Mモードラインの開始位置及び/又は終了位置は、関心領域の境界上に位置している。
【0024】
処理システムは更に、複数のMモードラインのランク付けの視覚的表現を表示するためにユーザインターフェースを制御することを実行する。
【0025】
処理システムは更に、複数のMモードラインのうちの1つを特定する指標を含むユーザ入力を受信することと、ユーザが特定したMモードラインのMモードデータ、及び/又はユーザが特定したMモードラインのMモードデータから導出される胎児の心臓の1つ以上の特性の視覚的表現を表示するためにユーザインターフェースを制御することとを実行する。
【0026】
いくつかの実施例では、胎児の心臓の1つ以上の特性は、予測される胎児心拍数を含む。胎児の予測される心拍数は、胎児の状態を評価する(例えば、胎児生存度を決定する)ための有用な臨床情報を生成する。胎児の適切なMモードデータから胎児の新パクスを生成又は予測する方法は、当業者には直ぐに明らかであろう。また、Mモードデータにおける胎児心臓(の一部)の動きを表すラインの頻度を特定することを含み得る。
【0027】
他の適切な特性としては、心拍変動、心拍の安定性、心臓運動の振幅、平均AV間隔などが挙げられる。
【0028】
いくつかの実施例では、処理システムは更に、最も高いランクを有するMモードラインのMモードデータ、及び/又は最も高いランクを有するMモードラインのMモードデータから導出される胎児の心臓の1つ以上の特性の視覚的表現を表示するためにユーザインターフェースを制御することを実行する。
【0029】
このようにすると、望み得る最良のMモードデータ、例えば、Mモードデータの最良の単一のインスタンスの自動決定を行うことができる。
【0030】
処理システムは、超音波画像のシーケンスにおける関心領域の移動を追跡するように、各Mモードラインを制御することができる。
【0031】
処理システムは更に、各Mモードデータについて、超音波画像のシーケンスにおける異なる超音波画像間での境界ボックスの位置の変化に基づいて、動きアーチファクトを補償することができる。
【0032】
また、超音波画像のシーケンスからMモードデータを生成するコンピュータ実施方法も提案される。コンピュータ実施方法は、超音波画像のシーケンスを取得するステップであって、各超音波画像には、胎児の心臓を含む胎児の一部の表現が含まれている、取得するステップと、超音波画像のシーケンスにおいて、各超音波画像内の胎児の心臓の表現を含む関心領域を特定するステップであって、特定された関心領域に基づいて、超音波画像のシーケンスに複数のMモードラインを位置付けるステップと、複数のMモードラインの各々について、Mモードラインが配置された各超音波画像の部分を処理することによって、Mモードデータを生成するステップと、複数のMモードラインの各々について、生成されたMモードデータを処理することによって、Mモードラインの品質尺度を決定するステップと、各Mモードラインの決定された品質尺度に基づいて、複数のMモードラインをランク付けするステップとを含む。
【0033】
コンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品も提案される。コンピュータプログラムコード手段は、処理システムを有するコンピューティングデバイス上で実行されると、処理システムに、本明細書に説明した任意の方法の全てのステップを実行させる。そのようなコンピュータプログラム製品を保存した(非一時的)コンピュータ可読媒体も提案される。
【0034】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明する実施形態から明らかになり、また、当該実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明をより深く理解し、本発明がどのように実行されるかをより明確に示すために、ほんの一例として添付の図面を参照する。
【0036】
図1図1は、超音波システムを示す。
図2図2は、一実施形態による手法を概略的に示す。
図3図3は、一実施形態による方法を説明するフローチャートである。
図4図4は、Mモードラインの位置決めするためのプロセスを示す。
図5図5は、一実施形態による方法を説明するフローチャートである。
図6図6は、一実施形態による処理システムを示す。
図7図7は、一実施形態による超音波システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明を、図を参照して説明する。
【0038】
詳細な説明及び具体的な実施例は、装置、システム、及び方法の例示的な実施形態を示しているが、説明のみを目的としたものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではないことが理解されるべきである。本発明の装置、システム、及び方法のこれらの及び他の特徴、態様並びに利点は、次の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からよりよく理解されるようになるであろう。図は概略図に過ぎず、縮尺どおりに描かれていないことが理解されるべきである。また、図全体で同じ参照番号を使用して、同じ部分又は類似の部品を示すことが理解されるべきである。
【0039】
本発明は、例えば、胎児心拍数を決定するために、胎児の心臓活動を評価するために使用可能なMモードデータを生成又は定義するために、Mモードラインを自動的に生成し、ランク付けするための手法を提供する。超音波画像のシーケンスにおいて、胎児の心臓を含む関心領域が特定される。関心領域を使用して、複数のMモードライン(解剖学的Mモードラインなど)の各々の位置を定義する。Mモードラインごとに生成されたMモードデータに基づいて、各Mモードラインの品質尺度が決定され、その品質尺度を使用してMモードラインがランク付けされる。
【0040】
実施形態は、胎児の心臓の予測位置に各々が基づいている複数のMモードラインを生成すると、Mモードデータ(そこから胎児の心臓活動の正確な尺度を導出できる)が生成される可能性が高まるという認識に基づいている。Mモードラインの自動生成とランク付けとを実行することで、臨床医の負担が軽減される一方で、Mモードデータの正確性及び/又は信頼性(ランクなど)を評価するために臨床医が使用できる重要な情報が提供される。特に、Mモードデータの複数のインスタンスを生成して、臨床医がMモードデータの1つだけに対して行った評価を検証又は確認するために使用できる。最も適切なMモードデータインスタンスは、ランクに基づいて簡単に特定できる。
【0041】
実施形態は、任意の適切な超音波システム、特に胎児発生の初期段階で胎児をイメージングするために使用される超音波システムに使用できる。
【0042】
図1は、超音波システム100、特に医用2次元(2D)超音波システム又は3次元(3D)超音波システムの概略図を示す。超音波システムは、それ自体が本発明の一実施形態であるか、本発明の実施形態を含む。
【0043】
超音波システム100を利用して、解剖学的部位のボリュームを検査できる。例えば、超音波システム100は、超音波プローブ14を使用して胎児62をスキャンする。超音波プローブ14は、概して64と示される解剖学的部位の超音波画像を生成する。超音波プローブ14は、超音波を送受信するための多数のトランスデューサ素子を有する少なくとも1つのトランスデューサアレイを有している。一例では、各トランスデューサ素子は、特定のパルス持続時間の少なくとも1つの送信インパルスの形の超音波、特に複数の後続の送信パルスを送信できる。トランスデューサ素子は、2D超音波システム100の場合は線形アレイに配置でき、特に2D超音波システム100の場合は複数面又は3次元画像を提供するために、2次元アレイに配置できる。一般的には、フィリップスのiE33システムに見られる(マトリックス)トランスデューサシステムや、例えば、フィリップスのEPIQ及びAffinitiシステムに見られるメカニカル3D/4Dトランスデューサ技術(例えば、メカニカルV6-2プローブを含む)を、本発明と併せて利用できる。
【0044】
超音波プローブは更に、解剖学的部位のイメージング中に生成された超音波データに基づいて、超音波画像のシーケンスを生成する。
【0045】
超音波プローブ14は、超音波データインターフェース66を介して(超音波画像)処理システム16に接続できる。このインターフェースは、有線インターフェースであっても、ワイヤレスインターフェースであってもよい。処理システム16は、それ自体が本発明の一実施形態である。
【0046】
処理システム16は、セグメンテーションユニット68、Mモードライン配置ユニット70、及び品質評価ユニット72を含む。このようなユニットは、例えば、1つ以上の適切に構成されたプロセッサによって任意の適切な態様で実現され得ることが理解されるべきである。これらのプロセッサは、本願ではプロセッサ配置、つまり、後述するセグメンテーションユニット68、Mモードライン配置ユニット70、及び品質評価ユニット72の機能を実施する1つ以上のプロセッサの配置と呼ぶ場合もある。
【0047】
処理システム16は、例えば、超音波スキャンの結果を表示するためのユーザインターフェースに接続でき、これは、超音波システム100を制御するための命令を入力するための入力インターフェース10に接続される。ユーザインターフェース18は、処理システム16とは別個であっても、処理システム16の一部を形成するものであってもよい。例えば、処理システム16に統合されていてもよい。入力インターフェース10は、キーやキーボード、また、トラックボールやマウスなどの更なる入力デバイスを含んでいてもよい。入力インターフェース10は、ユーザインターフェース18に接続されていても、直接処理システム16に接続されていてもよい。
【0048】
この例示的な実施例では、処理システム16は、超音波プローブ14から直接、2D画像や3D画像などの超音波画像の(時間的な)シーケンスを受信する。ただし、処理システム16が、ローカル又はリモートのデータストレージデバイスなどのデータストレージ装置(図示せず)から超音波画像の(時間的な)シーケンスを取得することも同様に可能であることが理解されるべきである。データストレージ装置には、例えば、胎児62を妊娠している女性患者の検査の完了後、スキャン結果の「オフライン」評価を容易にするために、超音波画像の時間的シーケンスが一時的に保存されている。データストレージ装置の例としては、1つ以上のメモリデバイス、ハードディスク、光ディスクなどが挙げられ、処理システム16は、例えば、後日での評価のために画像フレームや画像フレーム処理データをそれらに保存できる。
【0049】
セグメンテーションユニット68は、例えば、超音波プローブ14によって捕捉された、特に、胎児の心臓を含む関心領域の(2D又は3D)超音波画像のシーケンスにおける胎児62の解剖学的特徴を特定又はセグメント化するために提供される。これにより、セグメンテーションユニット68は、胎児62の解剖学的構造(少なくとも特定された関心領域を含む)のセグメンテーションデータを提供する。
【0050】
Mモードライン配置ユニット70は、特定された関心領域に基づいて、つまり、セグメンテーションデータに基づいて、超音波画像のシーケンス上に複数のMモードラインを配置する。
【0051】
品質評価ユニット72は、各Mモードラインから得られたMモードデータに基づいて、各Mモードラインの品質尺度を決定する。品質評価ユニットはまた、決定された品質尺度に基づいて各Mモードラインをランク付けする。
【0052】
処理システムのユニットによって行われるステップのより詳細な説明は、後述する。
【0053】
なお、図示する胎児62はあくまでも理解のためのものであり、胎児の大きさや発育は実際には胎児の図示する大きさや発育とは異なる場合があることに留意されたい。また、図示する超音波プローブは、被検体の皮膚に接触する表面プローブであるが、別のプローブ構成(経膣プローブなど)を使用できることにも留意されたい。
【0054】
図2は、本開示で提案する手法を概略的に示す図である。特に、図2は、本発明の実施形態を実行する際に行われるワークフロー200を示す。
【0055】
ワークフローは概念的には2つの部分に分けられる。第1の部分210では、胎児の心臓を含む関心領域を特定するために超音波画像のシーケンスが処理される。第2の部分220では、関心領域に基づいて、Mモードラインが超音波画像のシーケンス上に配置され解析される。
【0056】
したがって、ワークフローでは、胎児の超音波画像200Aのシーケンスが入力として受信され、超音波画像のシーケンス上に配置されたMモードラインのMモードデータ及び/又は評価結果(特に、超音波画像のシーケンスに対して可能な異なるMモードラインのランク付け)が出力として提供される。この評価は、胎児の心臓に関して行われて、例えば、1つ以上の胎児の心臓特性を導出するためのデータの有用性又は品質が評価される。
【0057】
本開示のコンテキストでは、超音波画像のシーケンスは、時間フレームのシーケンス、即ち、次々と捕捉された超音波画像の時間的シーケンスあると考えられる。これにより、事実上、(フレームの)ビデオ又はシネループを形成できる。
【0058】
超音波画像のシーケンスは、例えば、経膣(TV)超音波画像である。経膣超音波は、妊娠初期において解像度の高い画像を提供する。そのため、そのより優れた視覚化によって、妊娠8週より前の妊娠スキャンにはTVプローブが適している。ただし、胎児の心臓が画像上で占める領域は非常に小さいため、心臓を検出して位置を特定するためには、プローブは超音波を発して拍動する心臓を捕捉する。TVプローブでは、取り扱う必要のある解剖学的形状の制約を考慮すると、拍動する心臓の位置を特定するためのプローブによる超音波発信は比較的困難である。
【0059】
ワークフローの第1の部分210では、超音波画像のシーケンスを処理して関心領域が特定される。関心領域は(各超音波画像の)胎児の心臓を含む一部又は部分である。特に、関心領域の位置は超音波画像ごとに特定される。これは、各超音波画像で胎児を含む第1の関心領域を検出し、任意選択で、次に、第1の関心領域内の胎児の心臓を含む第2の(より小さい)関心領域を特定することによって行われる。第2の関心領域は、以下の開示の目的のために「関心領域」として機能する。拍動する心臓の手動検出、又は拍動する心臓の直接自動検出と比較して、このような2段階手法は、特に、妊娠期間が11週未満で心臓が非常に小さい初期の産科では、より高い正確さを達成できる。いくつかの実施形態では、ワークフロープロセスの第1の部分210のプロセスには、拍動する心臓を特定できない場合に、第2の関心領域を第1の関心領域として設定するステップが更に含まれる。
【0060】
第1の関心領域には、検出された胎児全体が含まれている場合がある。或いは、第1の関心領域には、検出された胎児全体の大部分(例えば、検出された胎児全体の少なくとも50%)が含まれている場合がある。ほんの一例として、第1の関心領域には胎児の胴体全体が含まれている。胎児の自動検出は、機械学習法など(人工知能ネットワークなど)の様々なやり方で実施できる。最初に胎児を検出した後、次に、時間フレームのシーケンスにわたって周期的に出現する拍動する心臓が特定される。周期的に出現する物体の検出に適した任意の自動手法を採用できる。例えば、第2の関心領域は、時間の経過に伴う動きを表す1つ以上の特徴を解析することで特定できる。別の例では、第2の関心領域も機械学習法によって特定できる。
【0061】
ほんの一例として、第1の部分210は、次のステップを含む:第1のニューラルネットワークを超音波画像に適用することであって、第1のニューラルネットワークは胎児を検出するようにトレーニングされており、これにより、少なくとも1つの第1の境界ボックスの座標が出力として生成される、適用することと、超音波画像を第1の境界ボックスにトリミングすることであって、これにより、第1の境界ボックス内の画像コンテンツを含むトリミングされた画像が生成される、トリミングすることと、第2のニューラルネットワークをトリミングされた医用画像に適用することであって、第2のニューラルネットワークは胎児の心臓を検出するようにトレーニングされており、これにより、少なくとも12つの第2の境界ボックスの座標が出力として生成される、適用することとを含む。
【0062】
第1のニューラルネットワーク及び/又は第2のニューラルネットワークは、完全畳み込みニューラルネットワークであり得る。単に一例として、第1のニューラルネットワーク及び/又は第2のニューラルネットワークは、YOLOの完全畳み込みニューラルネットワークである。
【0063】
この手法では、入力医用画像がより大きな解剖学的構造を含む境界ボックスに有利にトリミングされ、トリミングした画像を使用してより小さな解剖学的構造が検索される。このようにして、解剖学的構造(例えば、より大きな階層レベル及びより小さな階層レベル)を検出するために各階層レベルで使用されるニューラルネットワークは、はるかに単純なアーキテクチャを必要とし、より速くトレーニングすることができ、より堅牢である。即ち、平均精度が高い。つまり、独立した別個のニューラルネットワークを各階層レベルで実装でき、したがって、階層レベルに応じて特定の検出タスクのために特別にトレーニングされ得る。
【0064】
したがって、画像のシーケンスにわたる拍動する心臓の位置を検出できる。
【0065】
関心領域の特定には、任意の適切なセグメンテーション手法を使用できる。例えば、ハンケル変換アルゴリズム、変形可能な輪郭セグメンテーションアルゴリズム、及び/又は機械学習法を使用できる。このようなアルゴリズム自体はよく知られているため、簡潔さのためだけに、セグメンテーション手法については詳述しない。
【0066】
次に、ワークフローの第2の部分220では、超音波画像のシーケンスに対して複数のMモードラインが位置付けられる。次に、Mモードラインごとに生成されたMモードデータから、例えば(説明するように)各MモードラインのMモードデータから計算された心臓波形の評価によって、各Mモードラインの品質尺度が得られる。次に、決定された品質尺度に基づいてMモードラインがランク付けされる。
【0067】
Mモードラインのランク付けされたセットは、後処理段階で使用するために、自動的に可能な限り最適なラインを示す。また、これは、臨床医に可能なラインのアンサンブルを提供するためにも使用される。これらは、より良い診断を行うために調べられる(例えば、最もランクの高いMモードラインが誤っているか、医師の見解に誤解を与えるかどうか)。複数のMモードラインを使用して、臨床医による決定を強化できる。また、自動的に位置付けられたMモードラインのセットをランク付けすることで、適切なMモードデータを特定するという医師の作業が容易になる。
【0068】
複数のMモードラインを使用することは、胎児の発生初期には、超音波画像のシーケンスにおいて胎児の心臓が占める空間は比較的小さいため、有利である。つまり、胎児の心臓の移動を正確に捉えるためには、Mモードラインの配置を正確に行う必要がある。つまり、胎児の心臓の測定の正確さは、Mモードラインの正しい配置に非常に依存する。複数のMモードラインを使用することで、「散乱銃」手法を採用でき、これにより、胎児の心臓の正確な特性を導出するための適切なMモードデータを取得する可能性が高くなる。
【0069】
本開示で採用する手法の一般的な説明を提供したので、以下に実施形態のより完全な説明を提供する。
【0070】
図3は、一実施形態による(コンピュータ実装)方法300を説明するフローチャートである。方法300は、方法300の全てのステップを行う処理システム(図1の処理システム16など)によって実行される。
【0071】
方法300は、超音波画像の(時間的な)シーケンスを取得するステップ310を含む。各超音波画像には、胎児の心臓を含む胎児の一部の表現が含まれている。超音波画像のシーケンスは、超音波イメージング装置から直接取得することも、超音波画像のシーケンスを含むメモリ/ストアから取得することもできる。ステップ310は、例えば、処理システムの入力インターフェースによって行われる。
【0072】
方法300はまた、画像のシーケンスにおいて、各超音波画像内に胎児の心臓の表現を含む関心領域を特定するステップ320を含む。ステップ320は、前述したようなセグメンテーションアルゴリズムを使用して画像のシーケンスを処理することによって行われる。関心領域は、超音波画像のシーケンスに位置する/位置付けられた(オーバーレイ)境界ボックスによって画定され得る。ステップ320は、例えば、処理システムのセグメンテーションユニットによって行われる。
【0073】
いくつかの実施例では、ステップ320は、関心領域の任意の移動を決定することを含む。これは、例えば、超音波プローブの動き、親の移動、及び/又は親の体内の胎児の移動に起因する超音波画像のシーケンスにおける胎児の移動を反映している。シーケンス内の各超音波画像の関心領域(又は境界ボックス)の位置を決定できる。言い換えると、関心領域(つまり、境界ボックス)の位置及び/又は大きさは、画像のシーケンス全体で変化する可能性がある。時間的シーケンスにおける関心領域の位置の決定は、時間的シーケンスにおける第1の関心領域又は第2の関心領域の位置の決定を含む。いくつかの実施形態では、第1の関心領域と第2の関心領域の両方の移動を追跡し、第1の関心領域の移動と第2の関心領域の移動の両方に基づいて、超音波画像のシーケンスにおける胎児の移動を決定できる。
【0074】
方法300はまた、特定された関心領域に基づいて、超音波画像のシーケンスに対して複数のMモードラインを位置付けるステップ330を含む。ステップ330は、例えば、処理ユニットのMモードライン配置ユニットによって行われる。
【0075】
複数のMモードラインは、少なくとも2本のMモードラインが関心領域の異なる一部又は部分に重なるように位置付けられる。
【0076】
これは、例えば、2つ以上のMモードラインの各々を、関心領域に対して異なる向きにあるように位置付けることによって達成できる。各Mモードラインは、ラインが通過する領域に応じて異なる周期性を捕捉する。いくつかの実施例では、各Mモードラインは、関心領域の中心部分を通過するように位置付けられる。つまり、関心領域を画定する境界ボックスの中心部分を通過するように位置付けられる。
【0077】
一例では、関心領域は概念的に複数のサブ領域に分割される(例えば、関心領域内にグリッドが形成される)。誤解を避けるために、サブ領域の大きさは関心領域の大きさよりも小さい(即ち、関心領域の一部である)ことに留意されたい。例えば、関心領域が長方形のボックスの場合、サブ領域は(より小さい)ボックスの長方形グリッドを形成する。各Mモードラインは、関心領域の特定のサブ領域を通過する。特に、少なくとも2本のMモードラインが、関心領域の異なるサブ領域を通過するように位置付けられる。例えば、各Mモードラインは、それが通過するサブ領域の(最も)中心部分(重心など)を通過する。例えば、サブ領域の重心を通過する。したがって、従来のMモードライン(固定の起点を有する)は、固定の起点から開始し、Mモードラインが関心領域(の、例えば(最も)中心部、即ち重心)を通過することになる終点を有する。
【0078】
サブ領域の最小サイズは、1ピクセル/ボクセルである。サブ領域の最大サイズは、関心領域のサイズから1ピクセルを引いたものである。整合性を向上させるために、サブ領域のサイズを同一にできるが、これは必須ではない。
【0079】
境界ボックスの位置が(例えば、超音波プローブや胎児の移動に起因して)超音波画像のシーケンスにわたって変化するいくつかの実施例では、各Mモードラインは境界ボックスの移動に合わせて動く。したがって、各Mモードラインの位置は、(例えば、境界ボックスの位置が変化する場合)超音波画像のシーケンスの異なる画像で変化する。これは、例えば、境界に対して固定の向きを有するように、及び/又は境界ボックス内の同じ領域/位置を通過するように各Mモードラインを制御することによって行うことができる。
【0080】
言い換えると、ステップ320は、超音波画像のシーケンスにおける関心領域の移動を追跡するように、各Mモードラインを制御することを含む。
【0081】
このようにして、Mモードラインの位置は胎児の移動のみを反映し、心拍による移動は反映しなくなる。同様に(後述するように)Mモードラインを使用して得られるMモード画像は、心拍による移動のみを反映し、胎児自身の位置変化による影響は受けない。
【0082】
したがって、ステップ320は、各Mモードラインについて、それぞれの超音波画像の関心領域に応じて各超音波画像へのMモードラインの配置を決定することを事実上含む。
【0083】
図4は、概念的にステップ330の一実施形態を示している。
【0084】
図4は、関心領域410に胎児の心臓が含まれている超音波画像400を示す。複数のMモードライン421、422、423が関心領域と交差するように位置付けられている。
【0085】
図3に戻ると、方法300はまた、MモードラインごとにMモードデータを生成するステップ340を含む。配置されたMモードラインのMモードデータを生成するための手法は、当技術分野ではよく知られており、ここでは簡潔さのためだけに説明しない。
【0086】
Mモードデータは、例えば、Mモードラインの時間的なエコーデータ、又は1つの軸はラインに沿った位置を表し、別の軸は時間を表す(画像の各ピクセルの強度はエコー応答の強度を表す)Mモード画像を含む。
【0087】
一般に、Mモードデータは、選択した超音波ラインに沿った超音波画像のシーケンスの時間動きデータを含む。これは、時間軸に沿った被検体の単一次元ビューを提供する。Mモードデータの利点の1つは、非常に高いサンプリングレートを有することができることである。これにより、高い時間分解能がもたらされ、非常に高速な動きでも記録、表示、及び測定できる。
【0088】
いくつかの実施例では、Mモードデータは、超音波画像のシーケンスに位置付けられたMモードラインの下にある各超音波画像の部分を使用して生成できる。したがって、ステップ330は、Mモードラインごとに、当該Mモードラインが配置された各超音波画像の部分を処理することでMモードデータを生成することを含む。
【0089】
方法300は更に、Mモードデータを処理することにより、MモードラインごとにMモードラインの品質尺度を決定するステップ350を含む。
【0090】
この開示の範囲内で、統計的パラメータなど、様々な形式の品質尺度が想定されている。品質尺度は、例えば、(特定のMモードラインの)Mモードデータの特性が事前に定義された又は所望の特性にどの程度近く満たすかを示す数値、バイナリ、又はカテゴリ尺度である。品質尺度は、Mモードデータ及び/又はそこから導出可能な特性の品質を表す、即ち、Mモードデータ又はそこから導出可能な特性がどの程度正確であるか、「真実に近い」かを示す品質尺度であることが理解されるべきである。
【0091】
品質尺度は、例えば、Mモードデータから導出可能である胎児の心拍数を表す波形の品質を表す。したがって、品質尺度は、Mモードデータから導出可能である胎児の心臓特性(胎児の心拍数など)の収集品質又は正確さを表すことができる。
【0092】
一例では、Mモードデータは、Mモードデータにおける周期信号や脈動する動きを特定するために処理される。この動きは胎児の心拍数を表すと仮定できる(これは、関心領域を通過するMモードラインから得られたMモードデータにおける周期信号の最大の寄与因子となるためである)。特に、この動きは胎児の心臓の一部の移動を表す。胎児の心臓の移動は胎児の心拍数を表す。
【0093】
Mモードデータを使用して胎児の心臓の特定部分の位置の変化を追跡することにより、心臓の拍動のサイクルと一致した波形(「心臓波形」)を生成できる。この心臓波形を処理して、Mモードデータに関連付けられたMモードラインの品質尺度を生成できる。
【0094】
一例として、品質尺度は、心臓波形の連続する2つのピーク間の距離(即ち、時間)の標準偏差及び/若しくは平均から導出されるか、又は標準偏差及び/若しくは平均に相当する。これにより、生成された心臓波形の整合性の尺度が提供され、導出された胎児心拍数の品質を直接表す。
【0095】
別の例として、別の品質尺度は、心臓波形の振幅の標準偏差及び/若しくは平均から導出されるか、又は標準偏差及び/若しくは平均に相当する。振幅は、心臓波形の最大値と隣接する最小値との差である。振幅の変化は、Mモードラインが正確に位置付けられていないことを示している場合がある(例えば、画像のシーケンス全体で胎児の心臓の同じ領域をカバーしていない)。
【0096】
品質尺度のこれら2つの例を組み合わせて、例えば、加重和、加重乗算などを使用する別の実施形態による品質尺度を生成できる。
【0097】
(ピーク間の距離又は振幅の)変動が小さいことは、信号が安定していることを意味し、信頼性と品質が高いことを意味すると仮定する。
【0098】
品質尺度の更に別の例は、Mモードデータにあるノイズの尺度(例えば、ホワイトノイズの尺度)である。データ中のノイズのレベル又は尺度を評価するための手法は、先行技術で十分に確立されている。
【0099】
次に、方法300は、各Mモードラインの決定された品質尺度に基づいて、複数のMモードラインをランク付けするステップ360を行う。
【0100】
ステップ340、350及び360は、処理システムの品質評価ユニットによって行われる。
【0101】
方法300は、超音波画像のシーケンスを生成するために超音波スキャンを行うステップ305を含んでいてもよい。このステップは必須ではなく、例えば、超音波画像のシーケンスが既にメモリ又はストレージユニットに存在する場合は、省略することもできる。
【0102】
方法300は更に、複数のMモードラインの各々のランクを表示するステップ365を含んでいてもよい。これには、ユーザインターフェースを制御して、複数のMモードラインの各々のランクの視覚的表現を提供することが含まれ得る。
【0103】
いくつかの実施例では、方法300は更に、例えば、入力インターフェースにおいて提供されるユーザ入力を介して、Mモードラインのうちの1つ以上のユーザ選択を受信するステップ370を含む。ユーザ選択の受信に応答して、方法は、ステップ375において、選択したMモードラインについて生成されるMモードデータ、及び/又はMモードデータから導出される胎児の心臓特性(胎児の心拍数など)を表示する。これには、ユーザインターフェースを制御して、Mモードデータ及び/又は導出された特性の視覚的表現を提供することが含まれ得る。
【0104】
胎児の心臓特性の例としては、胎児心拍数、心拍変動、心拍の安定性、心臓運動の振幅、平均PQ間隔などが挙げられる。表示が必要な場合は、ステップ380で、選択したMモードラインのMモードデータを処理して胎児の心臓特性が生成される。
【0105】
いくつかの実施例では、方法300は、最も高いランクを有するMモードラインについて生成された、Mモードデータ、及び/又はそこから導出される1つ以上の胎児の心臓特性を表示するステップ380を含み得る。これには、ユーザインターフェースを制御して、Mモードデータ及び/又はそこから導出された1つ以上の胎児の心臓特性の視覚的表現を提供することが含まれ得る。
【0106】
胎児の心臓特性の例としては、胎児心拍数、心拍変動、心拍の安定性、心臓運動の振幅、平均PQ間隔などが挙げられる。表示が必要な場合は、ステップ380で、MモードラインのMモードデータを処理して胎児の心臓特性が生成される。
【0107】
(例えば、ステップ370において)別のMモードラインのユーザ選択が行われると、最も高いランクを有するMモードラインのMモードデータ、及び/又はそこから導出される1つ以上の胎児の心臓特性の表示が停止される。
【0108】
いくつかの実施例では、Mモードラインは、解剖学的Mモード(AAM)ラインである。解剖学的mモードラインは、従来又は通常のmモードラインとは異なり、解剖学的mモードラインの開始位置と終了位置の両方を自由に選択できる。通常又は従来のmモードラインでは、開始位置、即ち、起点は(図4に示すように)固定されている。提案する手法は、超音波画像のシーケンス上への解剖学的mモードライン(又は複数のライン)の自動配置を容易にする。
【0109】
したがって、関心領域の特定を使用して、関心領域に基づいて解剖学的Mモードラインの位置を制限又は定義することにより、解剖学的Mモードラインの時間分解能を向上させることができる。
【0110】
特定の実施例では、解剖学的mモードラインは、関心領域によって境界が設定されるように位置付けられ、解剖学的mモードデータを生成するための実効計算領域を縮小し、これにより、解剖学的mモードデータの時間分解能が向上する。更に他の実施例では、各解剖学的mモードラインの開始位置及び/又は終了位置は、関心領域の所定の距離内にある。更に他の実施例では、解剖学的mモードラインは、関心領域を通過するように位置付けられる(例えば、必ずしも関心領域によって境界設定されることなく)。
【0111】
いくつかの実施例では、複数の解剖学的mモードラインの各々は、関心領域の中心部分を通過するように位置付けられるが、関心領域に対して異なる向きにある。
【0112】
いくつかの実施例では、複数の解剖学的mモードラインの各々は、関心領域のサブ領域(の中心部分又は重心など)を通過するように位置付けられる。概念的に関心領域を複数のサブ領域に分割するやり方については前述している。AAMラインは、特定のサブ領域に対して位置付けられる。
【0113】
特定の実施例では、1本以上のAAMラインのセットが1つ以上存在し、AAMラインの各セットは関心領域の異なるサブ領域(の(最も)中心部分など)を通過する。例えば、1本以上のAAMラインのセットが2つ以上存在し、例えば、関心領域の各サブ領域にAAMラインの1つのセットが存在する。いくつかの実施例では、AAMラインの少なくとも1つのセット(例えば、少なくとも2つのセット又は各セット)が、少なくとも2本のAAMラインを含む。
【0114】
いくつかの実施例では、AAMラインの少なくとも1つのセットは、複数本のAAMラインを含む。この場合、セット内の各AAMラインは、対応するサブ領域に対して異なる所定の向きで位置付けられる。AAMラインの向きは互いに均等に分布している場合があり、例えば、これにより、AAMラインと最も近いAAMラインとの角度差が固定される。したがって、AAMラインのセットの角度分解能は固定される。
【0115】
角度分解能、AAMラインの数、AAMラインのセット数、AAMラインの各セットにおけるAAMライン数は、事前に決定されていても、及び/又はユーザ入力に応答するものであってもよい。
【0116】
AAMラインはAAMラインペアにされてもよいことが理解されであろう。したがって、いくつかの実施例では、Mモードラインをランク付けするステップは、AAMラインペアをランク付けすることを含む。
【0117】
図5は、一実施形態による(コンピュータ実装)方法500を説明するフローチャートである。方法500は、方法500の全てのステップを行う処理システム(図1の処理システム16など)によって実行される。方法500は、超音波画像及び/又はMモードデータの動きアーチファクトを克服又は回避するためのいくつかの手法を説明している。
【0118】
方法500は、図3を参照して説明した方法300を行うことを含む。
【0119】
方法500はまた、超音波画像のシーケンスにおける胎児の位置の移動に対応する移動データを取得するステップ510を含む。
【0120】
移動データは、例えば、超音波プローブの移動(したがって、超音波画像のシーケンスにおける胎児の移動)に対応して、プローブ(又はそこに取り付けられたセンサ)から取得されるセンサデータを含む。
【0121】
いくつかの実施例では、移動データは、超音波画像のシーケンスにおける異なる超音波画像間での関心領域の位置(例えば、各超音波画像内のROIの位置を定義する境界ボックスの座標)の追跡された移動を含む。
【0122】
ステップ520において、移動データを使用して(例えば、生成された各Mモードデータの、又は、処理能力を節約するために、選択した及び/若しくは最も高いランクを有するMモードラインのMモードデータのみにおける)Mモードデータにおける動きアーチファクトを補正する。
【0123】
いくつかの実施例では、例えば、超音波プローブを元の位置に戻すようにユーザを誘導するために、移動データに基づいて、臨床医のガイダンスが生成される(且つ、好ましくは、表示される)。
【0124】
動きの変化は、胎児の心拍数の検出に特に大きな影響を及ぼす。特に、胎児の発生初期には、(超音波画像における)胎児の心臓の大きさは非常に小さいため、どのような動きも胎児の心臓の位置を特定する容易さ及び効率に大きな影響を及ぼす。
【0125】
複数のMモードラインの各々に対してMモードデータを生成するやり方について、実施形態を説明してきた。本明細書では、超音波画像のシーケンスに位置付けられる1つ以上のMモードラインのMモードデータを生成するための手法も提案する。この手法は、超音波画像のシーケンスを取得するステップであって、各超音波画像には、胎児の心臓を含む胎児の一部の表現が含まれている、取得するステップと、各超音波画像について、胎児の心臓の表現を含む関心領域を特定するステップと、1つ以上のMモードラインの各々について、対応する超音波画像の関心領域に応じて、各超音波画像へのMモードラインの配置を決定するステップと、当該Mモードラインが配置された各超音波画像の部分を処理することでMモードデータを生成するステップとを含む。
【0126】
したがって、任意の所与の超音波画像のMモードラインの位置は、当該超音波画像の関心領域の位置に依存するため、Mモードラインの位置は、関心領域が異なる超音波画像間で移動する場合、関心領域を事実上追跡することになる。これにより、(例えば、胎児、妊婦、又は超音波画像を捕捉した超音波デバイスの移動により引き起こされる)超音波画像のシーケンスにおける胎児の表現の動きを少なくとも部分的に補償するMモードデータが提供される。
【0127】
提案する手法は、胎児の心臓活動を評価するための適切/正確なMモードデータの迅速な収集を促進する。これにより、胎児の超音波被ばくが事実上低減でき、これは、リスクを低減するために、胎児の医療検査の望ましい特性であると認定されている。
【0128】
この提案する手法では、超音波画像上のMモードラインの位置は、別の超音波画像上の同じMモードラインの位置とは大きく独立している(つまり、位置は各超音波画像に対して別々に計算される)。
【0129】
この手法は、方法、コンピュータプログラム、(非一時的)コンピュータ可読媒体、及び/又は処理システムとして具体化できる。
【0130】
更なる実施例として、図6は、処理システム60の一例を示しており、その中で、実施形態の1つ以上の部分を使用できる。処理システム60は、図1を参照して説明した処理システム16の1つの実施例を提供する。
【0131】
上記の様々な操作は、処理システム60の機能を利用する。例えば、Mモードデータを生成する又はMモードラインをランク付けするためのシステムの1つ以上の部分は、本明細書で説明する任意の要素、モジュール、アプリケーション、及び/又は構成要素に組み込まれ得る。この点に関して、システムの機能ブロックは単一のコンピュータ上で動作することも、いくつかのコンピュータやロケーション(例えば、インターネット経由で接続される)に分散できることを理解されたい。
【0132】
処理システム60には、PC、ワークステーション、ラップトップ、PDA、パームデバイス、サーバ、ストレージなどが含まれるが、これらに限定されない。一般的に、ハードウェアアーキテクチャに関して、処理システム60には、1つ以上のプロセッサ61、メモリ62、及びローカルインターフェース(図示せず)を介して通信可能に結合された1つ以上のI/Oデバイス67が含まれている。ローカルインターフェースは、例えば、1つ以上のバス、又は当技術分野で知られているように、他の有線若しくはワイヤレス接続であるが、これらに限定されない。ローカルインターフェースは、通信を可能にするために、コントローラ、バッファ(キャッシュ)、ドライバ、リピータ、及び受信器を有していてもよい。更に、ローカルインターフェースは、前述の構成要素間の適切な通信を可能にするために、アドレス、制御部、及び/又はデータ接続を含んでいる場合がある。
【0133】
プロセッサ61は、メモリ62に保存されている場合があるソフトウェアを実行するハードウェアデバイスである。プロセッサ61は、処理システム60に関連する複数のプロセッサのうち、実質的に任意のカスタムメイド若しくは市販のプロセッサ、中央処理演算ユニット(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又は補助プロセッサであってもよく、また、プロセッサ61は、半導体ベースのマイクロプロセッサ(マイクロチップの形)又はマイクロプロセッサであってもよい。
【0134】
メモリ62には、揮発性メモリ要素(例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)などのランダムアクセスメモリ(RAM)と、不揮発性メモリ要素(例えば、ROM、消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)、電子的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM(登録商標))、プログラム可能な読み取り専用メモリ(PROM)、テープ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、ディスク、ディスケット、カートリッジ、カセットなど)とのいずれか1つ又は組み合わせが含まれ得る。更に、メモリ62には、電子媒体、磁気媒体、光学媒体、及び/又は他のタイプのストレージ媒体が組み込まれていてもよい。なお、メモリ62は、様々な構成要素が互いに離れた場所にあるが、プロセッサ61によってアクセスできる分散アーキテクチャを有していてもよい。
【0135】
メモリ62内のソフトウェアには、1つ以上の個別のプログラムが含まれていてもよく、それぞれが論理関数を実施するための実行可能命令の順序付きリストを含んでいる。メモリ62内のソフトウェアには、例示的な実施形態に従って、適切なオペレーティングシステム(O/S)65、コンパイラ64、ソースコード63、及び1つ以上のアプリケーション66が含まれている。図に示すように、アプリケーション66は、例示的な実施形態の特徴及び操作を実施するための多数の機能構成要素を含む。処理システム60のアプリケーション66は、例示的な実施形態に従って、様々なアプリケーション、計算ユニット、ロジック、機能ユニット、プロセス、操作、仮想エンティティ、及び/又はモジュールを表し得るが、アプリケーション66は限定的であることを意図していない。
【0136】
オペレーティングシステム65は、他のコンピュータプログラムの実行を制御し、スケジューリング、入出力制御、ファイルとデータの管理、メモリ管理、及び通信制御、並びに関連サービスを提供する。発明者は、例示的な実施形態を実施するためのアプリケーション66は、あらゆる市販のオペレーティングシステムに適用可能であることを企図している。
【0137】
アプリケーション66は、ソースプログラム、実行可能プログラム(オブジェクトコード)、スクリプト、又は実行される命令セットを含む任意の他のエンティティであり得る。ソースプログラムの場合、プログラムは、通常、O/S65との関連で適切に動作するように、メモリ62に含まれている場合も含まれていない場合もあるコンパイラ(コンパイラ64など)、アセンブラ、インタプリタなどを介して変換される。更に、アプリケーション66は、データと方法のクラスがあるオブジェクト指向プログラミング言語、又はルーチン、サブルーチン、及び/若しくは関数がある手続き型プログラミング言語(例えば、C、C++、C#、Pascal、BASIC、APIコール、HTML、XHTML、XML、ASPスクリプト、JavaScript(登録商標)、FORTRAN、COBOL、Perl、Java(登録商標)、ADA、.NETなどがあるが、これらに限定されない)として記述できる。
【0138】
I/Oデバイス67には、例えば、マウス、キーボード、スキャナ、マイク、カメラなどがあるが、これらに限定されない入力デバイスが含まれる。更に、I/Oデバイス67には、例えば、プリンタ、ディスプレイなどがあるが、これらに限定されない出力デバイスも含まれる。最後に、I/Oデバイス67には更に、例えば、NIC又は変調器/復調器(リモートデバイス、他のファイル、デバイス、システム、又はネットワークにアクセスするための)、無線周波数(RF)若しくは他のトランシーバ、電話インターフェース、ブリッジ、ルータなどがあるが、これらに限定されない、入力及び出力の両方を通信するデバイスが含まれる。また、I/Oデバイス67には、インターネットやイントラネットなどの様々なネットワークを介して通信するための構成要素も含まれている。
【0139】
処理システム60がPC、ワークステーション、インテリジェントデバイスなどである場合、メモリ62内のソフトウェアには更に、基本入出力システム(BIOS)が含まれている場合がある(簡略化のため省略)。BIOSは、起動時にハードウェアを初期化及びテストし、O/S65を起動し、ハードウェアデバイス間でのデータ転送をサポートする、必須のソフトウェアルーチンのセットである。BIOSは、処理システム60が起動されたときに実行されるように、ROM、PROM、EPROM、EEPROM(登録商標)など、何らかのタイプの読み取り専用メモリに保存されている。
【0140】
処理システム60の動作中に、プロセッサ61は、メモリ62内に保存されているソフトウェアを実行し、メモリ62との間でデータをやり取りし、一般にソフトウェアに従って処理システム60の動作を制御する。アプリケーション66及びO/S65の全体又は一部が、プロセッサ61によって読み取られ、場合によっては、プロセッサ61内でバッファされてから実行される。
【0141】
アプリケーション66がソフトウェアで実施される場合、アプリケーション66は、任意のコンピュータ関連のシステム又は方法で使用又は関連して使用するために、実質的に任意の(例えば、非一時的)コンピュータ可読媒体に保存できることに留意されたい。本文書のコンテキストでは、コンピュータ可読媒体とは、コンピュータ関連のシステム又は方法で使用又は関連して使用するためにコンピュータプログラムを保存又は保存できる電子的、磁気的、光学的、又は他の物理的なデバイス若しくは手段であり得る。
【0142】
アプリケーション66は、命令実行システム、装置、又はデバイス(コンピュータベースシステム、プロセッサ搭載システム、又は命令実行システム、装置、若しくはデバイスから命令をフェッチし、その命令を実行できる他のシステムなど)で使用又は関連して使用するための任意のコンピュータ可読媒体内に具体化できる。本文書のコンテキストでは、「コンピュータ可読媒体」とは、命令実行システム、装置、又はデバイスで使用又は関連して使用するために、プログラムを保存、通信、伝播、又は転送できるあらゆる手段であり得る。コンピュータ可読媒体には、例えば、電子的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線による、又は半導体によるシステム、装置、デバイス、又は伝播媒体があるが、これらに限定されない。
【0143】
図7は、一実施形態による超音波システム700を示している。超音波システム700は、それ自体が本発明の一実施形態である処理システム710を含む。超音波システム700は、図1を参照して説明した超音波システム100の一般化バージョンと見なすことができる。
【0144】
処理システム710は、本明細書で説明した任意の方法を実施する。処理システムは、図1を参照して説明した処理システム16や図6を参照して説明した処理システム60の一例である。
【0145】
したがって、処理システムは、超音波画像のシーケンスを取得することであって、各超音波画像には、胎児の心臓を含む胎児の一部の表現が含まれている、取得することと、画像のシーケンスにおいて、各超音波画像内に胎児の心臓の表現を含む関心領域を特定することと、特定された関心領域に基づいて、超音波画像のシーケンスに対して複数のMモードラインを位置付けることと、複数のMモードラインの各々について、MモードラインのMモードデータを生成することと、複数のMモードラインの各々について、生成されたMモードデータを処理することによって、Mモードラインの品質尺度を決定することと、各Mモードラインの決定された品質尺度に基づいて、複数のMモードラインをランク付けすることとを実行する。
【0146】
処理システムは、図6を参照して説明した処理システム600として具現化され得る。
【0147】
超音波画像のシーケンスは、超音波イメージング装置721及び/又はメモリ722から取得できる。複数のMモードラインの各々のランクは、例えば、処理システム710によるユーザインターフェースの適切な制御を通じて、超音波システム100のユーザインターフェースに表示される。
【0148】
いくつかの実施例では、動きデータが処理システムによって(例えば、超音波システムの任意選択の位置センサから)取得される。動きデータを使用して、処理システムによって生成されたMモードデータにおける動きアーチファクトを補償するか、及び/又は超音波画像における動きアーチファクトを低減するための(例えば、ユーザインターフェースにおける)ガイダンスを提供できる。
【0149】
当業者であれば、本明細書で説明する方法を実行するための処理システムを容易に開発することができるであろう。したがって、フローチャートの各ステップは、処理システムによって実行される異なるアクションを表し、処理システムの対応するモジュールによって実行され得る。
【0150】
したがって、実施形態は、処理システムを使用する。処理システムは、ソフトウェアやハードウェアを使用して、様々なやり方で実装して、必要な様々な機能を実行することができる。プロセッサは、ソフトウェア(例えばマイクロコード)を使用してプログラムされて、必要な機能を実行する1つ以上のマイクロプロセッサを採用する処理システムの一例である。しかしながら、処理システムは、プロセッサの採用に関係なく実装され得、また、いくつかの機能を実行するための専用ハードウェアと、他の機能を実行するためのプロセッサ(例えば、1つ以上のプログラムされたマイクロプロセッサ及び関連回路)との組み合わせとして実装できる。
【0151】
本開示の様々な実施形態に採用され得る処理システム構成要素の例としては、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0152】
様々な実装形態では、プロセッサ又は処理システムは、RAM、PROM、EPROM、及びEEPROM(登録商標)などの揮発性及び不揮発性コンピュータメモリなどの1つ以上の記憶媒体と関連付けられ得る。記憶媒体は、1つ以上のプロセッサ及び/又は処理システム上で実行されると、必要な機能を行う1つ以上のプログラムでエンコードされ得る。様々な記憶媒体は、プロセッサ又は処理システム内で固定されていても、そこに保存されている1つ以上のプログラムをプロセッサにロードできるように輸送可能であってもよい。
【0153】
開示された方法は、好ましくは、コンピュータ実施方法であることが理解されるであろう。そのため、コンピュータなどの処理システム上で実行されたときに、任意の説明した方法を実施するためのコード手段を含むコンピュータプログラムの概念も提案されている。したがって、一実施形態によるコンピュータプログラムのコードの異なる部分、ライン、又はブロックが、処理システム又はコンピュータによって実行されて、本明細書で説明した任意の方法が実行される得る。いくつかの代替の実装形態では、ブロック図又はフローチャートに示されている機能は、図に示されている順序とは異なって生じてもよい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には実質的に同時に実行される場合もあれば、これらのブロックは、関与する機能に応じて逆の順序で実行される場合もある。
【0154】
開示された実施形態の変形例は、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求項に係る発明を実施する際に当業者によって理解され、実行され得る。特許請求の範囲において、語「含む」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、単数形の要素は複数を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載されているいくつかのアイテムの機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを意味するものではない。コンピュータプログラムが上で説明される場合、それは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される、光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの任意の適切な(非一時的)媒体に保存/配布することができるが、インターネット又は他の有線若しくはワイヤレス通信システムを介してなど、他の形式で配布することもできる。「~するように適応されている」という用語が、特許請求の範囲又は説明で使用されている場合、「~するように適応されている」という用語は、「~するように構成されている」という用語と同等であることを意図していることに留意されたい。特許請求の範囲における任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】