(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】サイズ調整可能なEEGヘッドセット
(51)【国際特許分類】
A61B 5/256 20210101AFI20240625BHJP
A61B 5/31 20210101ALI20240625BHJP
【FI】
A61B5/256 110
A61B5/31
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023579031
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(85)【翻訳文提出日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 EP2021066991
(87)【国際公開番号】W WO2022268299
(87)【国際公開日】2022-12-29
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523408525
【氏名又は名称】キュムラス ニューロサイエンス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】マカロック,イアン
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】グリフィス,グリン
(72)【発明者】
【氏名】カーリー,テレンス
(72)【発明者】
【氏名】アーラシニー,サラ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA03
4C127BB03
4C127LL13
(57)【要約】
生体電気信号をモニタリングするためのサイズ調整可能なヘッドセットが開示される。ヘッドセットは、ユーザの頭部に装着されるように構成された、第1のコネクタ要素を含むヘッドバンドと、少なくとも1つのサイドバンドであって、この少なくとも1つのサイドバンドの第1の端部から離れた第2のコネクタ要素を有する少なくとも1つのサイドバンドと、測定電極と電気的に接続されるように構成された少なくとも1つの電極接点とを備えており、第1のコネクタ要素及び第2のコネクタ要素は、少なくとも1つのサイドバンドが第1の端部と第1のコネクタ要素との間の長さを調整可能なように相互に接続されるように構成されている。さらに、ヘッドセットとEEG測定電極とを備えたEEG測定システムが開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体電気信号をモニタリングするためのサイズ調整可能なヘッドセット(100)であって、
第1のコネクタ要素(6)を備えるヘッドバンド(2)と、
少なくとも1つのサイドバンド(8)であって、前記少なくとも1つのサイドバンド(8)の第1の端部(12)から離れた第2のコネクタ要素(10)を備える少なくとも1つのサイドバンド(8)と、
測定電極(16)と電気的に接続されるように構成された少なくとも1つの電極接点(14)と
を備え、
前記第1のコネクタ要素(6)及び前記第2のコネクタ要素(10)は、少なくとも1つのサイドバンド(8)の前記第1の端部(12)と前記第1のコネクタ要素(6)との間の長さを調整可能なように互いに接続されるように構成される、
ヘッドセット(100)。
【請求項2】
前記第1のコネクタ要素(6)及び前記第2のコネクタ要素(10)は、前記少なくとも1つのサイドバンド(8)の前記第1の端部(12)と前記第1のコネクタ要素(10)との間の長さを、複数の所定の長さの間で調整可能なように互いに接続されるように構成される、請求項1に記載のヘッドセット(100)。
【請求項3】
前記第1のコネクタ要素(6)及び前記第2のコネクタ要素(10)は、複数の所定の位置において互いに接続されるように構成される、請求項1又は2に記載のヘッドセット(100)。
【請求項4】
保護ユニット(22)であって、前記第1のコネクタ要素(6)と前記第2のコネクタ要素(10)とが互いに接続されていて前記保護ユニット(22)が第1の状態にあるときに、前記第1のコネクタ要素(6)と前記第2のコネクタ要素(10)との分離を阻止するように構成される保護ユニット(22)をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のヘッドセット。
【請求項5】
前記保護ユニット(22)は、前記第1のコネクタ要素(6)と前記第2のコネクタ要素(10)とが互いに接続されていて前記保護ユニット(22)が第2の状態にあるときに、前記第1のコネクタ要素(6)と前記第2のコネクタ要素(10)との分離を可能にするように構成される、請求項4に記載のヘッドセット。
【請求項6】
前記保護ユニット(22)は、キーによって駆動されたときに、前記保護ユニット(22)を前記第1の状態から前記第2の状態へ、さらに/あるいは前記第2の状態から前記第1の状態へ移行するように構成されるキー機構(23)を備える、請求項5に記載のヘッドセット。
【請求項7】
前記第1のコネクタ要素(6)及び前記第2のコネクタ要素(10)の一方は、前記少なくとも1つのサイドバンド(8)の方向において互いに離間した複数の固定要素(18)を備え、前記第1のコネクタ要素(6)及び前記第2のコネクタ要素(10)の他方は、前記複数の固定要素(18)のうちの1以上の固定要素(18)と連結されるように構成される少なくとも1つの対応固定部(7)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のヘッドセット(100)。
【請求項8】
前記複数の固定要素(18)は、孔(3)を含み、前記少なくとも1つの対応固定部(7)は、前記孔(3)の内部に少なくとも部分的に延びているように構成されるピン(5)を含む、請求項7に記載のヘッドセット(100)。
【請求項9】
前記孔(3)は貫通孔であり、前記ピン(5)は、前記孔(3)の第1の面から前記孔(3)の内部に延びているように構成されており、前記ピン(5)は、前記孔(3)の第2の面で前記孔(3)から突出するように構成されており、前記第2の面は前記第1の面とは反対を向いている、請求項8に記載のヘッドセット(100)。
【請求項10】
前記孔(3)は、前記少なくとも1つのサイドバンド(8)の側面方向に延びていて、前記ピン(5)は、前記ヘッドバンド(2)の側面方向に延びており、さらに/あるいは、
前記ピン(5)は、前記少なくとも1つのサイドバンド(8)の側面方向に延びていて、前記孔(3)は、前記ヘッドバンド(2)の側面方向に延びている、
請求項8又は9に記載のヘッドセット(100)。
【請求項11】
前記ピン(5)は、第1の軸端部及び第2の軸端部を備えており、前記第1の軸端部は、前記第2の軸端部よりも前記ヘッドバンド(2)に近く、前記ピン(5)は、前記第2の軸端部に端部要素を備えており、前記端部要素は、前記ピン(5)の前記端部要素に近接する部分よりも半径方向に幅広である、請求項8から10のいずれか一項に記載のヘッドセット(100)。
【請求項12】
前記保護ユニット(22)は、前記第1の状態において、前記ピン(5)の軸方向における前記ピン(5)に対する前記孔(3)の移動を規制するように前記ピン(5)の前記端部要素と連結するように構成される、請求項4から6のいずれか一項に従属する、請求項11に記載のヘッドセット(100)。
【請求項13】
前記ヘッドセット(100)は、複数のサイドバンド(8)を備えており、各サイドバンドの前記第2のコネクタ要素(10)は、前記複数のサイドバンド(8)の各々のサイドバンド(8)の長さが前記複数のサイドバンド(8)の他のサイドバンド(8)の長さとは別個に調整され得るように前記第1のコネクタ要素(6)と接続されるように構成される、請求項1から12のいずれか一項に記載のヘッドセット(100)。
【請求項14】
前記第1のコネクタ要素(6)は、前記少なくとも1つの対応固定部(7)を備えており、前記少なくとも1つの対応固定部(7)は、前記複数のサイドバンド(8)の各々のサイドバンド(8)の前記複数の固定要素(18)のうちの1以上の固定要素(18)と連結するように構成される、請求項7に従属する、請求項13に記載のヘッドセット(100)。
【請求項15】
前記ピン(5)は、前記複数のサイドバンド(8)の各々の前記貫通孔(3)を貫通するように構成される、請求項9から12のいずれか一項に従属する、請求項13又は14に記載のヘッドセット(100)。
【請求項16】
前記第1のコネクタ要素(6)は、ユーザの頭部(4)の側頭部に位置するように構成された前記ヘッドバンド(2)の要素上に配置される、請求項1から15のいずれか一項に記載のヘッドセット(100)。
【請求項17】
前記少なくとも1つのサイドバンド(8)の前記第1の端部(12)は、前記ヘッドバンド(2)に対して取り付けられる、請求項1から16のいずれか一項に記載のヘッドセット(100)。
【請求項18】
前記ヘッドバンド(2)に取り付けられる中間バンド(20)であって、前記ユーザの頭部(4)の前側と後ろ側との間に延びるように構成される中間バンド(20)をさらに備え、前記少なくとも1つのサイドバンド(8)は、前記中間バンド(20)に取り付けられる、請求項1から17のいずれか一項に記載のヘッドセット(100)。
【請求項19】
第1の回路基板(24)と、
前記第1の回路基板(24)を前記少なくとも1つの電極接点(14)と電気的に接続する1以上のワイヤ(26)と
をさらに備える、請求項1から18のいずれか一項に記載のヘッドセット(100)。
【請求項20】
前記第1の回路基板(24)から脳波測定信号を収集するための電気回路を有する第2の回路基板(32)
をさらに備え、
前記第2の回路基板(32)は、前記第1の回路基板(24)に取り外し可能に連結される、請求項19に記載のヘッドセット。
【請求項21】
脳波(EEG)測定システム(200)であって、
請求項1から20のいずれか1項に記載の前記ヘッドセット(100)と、
少なくとも1つのEEG測定電極(16)と
を備え、
前記少なくとも1つの電極接点(14)は、前記少なくとも1つのEEG測定電極(16)と電気的に接続される
脳波(EEG)測定システム(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、概して、サイズ調整可能なヘッドセット及び脳波モニタリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
脳波(EEG)又は心電図(ECG)の測定値などの生体電気信号の測定値は、通常、対象(例えば、動物や人間)の体の表面に配置される電極を通じて取得される。例えば、複数のいわゆる湿式電極を備えたEEGキャップが当該技術分野において知られている。そのような電極は、通常、取り外せないようにEEGキャップに固定されており、導電性のジェルを介して着用者の頭部の表面に接触した際にEEG測定値を取得することができる。
【0003】
一般的なEEGキャップは、ある特定の頭部のサイズ(例えば、60cmの頭囲)にのみフィットするように設計されている。さらに、頭部はサイズだけでなく形状においても互いに異なる。このことにより、一般的なEEGキャップが緩いために頭皮において電極が不正確に配置されたり、又は過度に窮屈で着用者の不快感を生じさせたりしかねない。
【0004】
EEGキャップが臨床環境外、例えば家庭で使用される場合には、さらなる問題が生じ得る。例えば、そのようなEEGキャップは、持ち運びができ、簡単に使用でき、頑丈であり、着用者にとって快適でなければならない。さらに、対象となるユーザにEEGキャップが良好にフィットすることが保証されることによって、信頼性ある電極配置が提供されなければならない。しかも、いくつかの部品はしばしば交換が必要となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
概要
上述の問題点又はその他の問題点のうちの1つ以上の問題点を解決するヘッドセットに対する需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、生体電気信号を測定するためのサイズ調整可能なヘッドセットが提供される。ヘッドセットはヘッドバンドを備えている。ヘッドバンドは、ユーザに着用されるように構成され得る。ヘッドバンドは、ユーザの頭部上又は頭部の周囲に装着されるように構成され得る。ヘッドバンドは、第1のコネクタ要素と、少なくとも1つのサイドバンドであって、この少なくとも1つのサイドバンドの第1の端部から離れた第2のコネクタ要素を備えた少なくとも1つのサイドバンドと、測定電極と電気的に接続されるように構成された少なくとも1つの電極接点とを備えている。第1のコネクタ要素及び第2のコネクタ要素は、少なくとも1つのサイドバンドの第1の端部と第1のコネクタ要素との間の長さを調整できるように、(例えば、取り外し可能に)相互に接続されるように構成されている。
【0007】
生体電気信号は脳波(EEG)信号を含み得る。ヘッドセットは、EEGヘッドセットであり得る。測定電極は、例えば乾式電極又は湿式電極のEEG電極であり得る。好ましくは乾式電極が用いられる。ヘッドバンドは、ユーザの頭部に装着される際にユーザの頭部の少なくとも一部を取り囲むように構成され得る。ヘッドバンドは、人間の頭囲に適合する内周を有し得る。
【0008】
第1の端部は、少なくとも1つのサイドバンドの長手方向の第1の端部であり得る。第2のコネクタ要素は、少なくとも1つのサイドバンドの長手方向の第2の端部に配置又は取り付けられ得る。長手方向の第1の端部は、長手方向の第2の端部とは反対側であり得る。第1のコネクタ要素と第2のコネクタ要素とは、相互に連結するように構成され得る。
【0009】
少なくとも1つの電極接点は、物理的に(例えば直接的に)測定電極と接続されるように構成され得る。少なくとも1つの電極接点は、圧力接触又はプラグ接触によって測定電極と接続するように構成され得る。少なくとも1つの電極接点のうちの1以上の電極接点は、ヘッドバンドに配置され(例えば、ヘッドバンド上に配置され、ヘッドバンド内に埋め込まれ、又はヘッドバンドに取り付けられ)得る。代替的又は追加的に、少なくとも1つの電極接点のうちの1以上の電極接点は、少なくとも1つのサイドバンドに配置され(例えば、少なくとも1つのサイドバンド上に配置され、少なくとも1つのサイドバンド内に埋め込まれ、又は少なくとも1つのサイドバンドに取り付けられ)得る。
【0010】
第1のコネクタ要素と第2のコネクタ要素とは、少なくとも1つのサイドバンドの第1の端部と第1のコネクタ要素との間の長さが複数(例えば、3以上)の所定の長さの間で調整することのできるように相互に接続されるように構成され得る。第1のコネクタ要素と第2のコネクタ要素とは、第1の端部と第1のコネクタ要素との間の距離が複数(例えば、3以上)の所定の距離の間で調整することのできるように相互に接続されるように構成され得る。以下では、特定の長さについて言及されるが、第1の端部と第1のコネクタ要素との間の距離についても同様のことが該当する。
【0011】
複数の所定の長さは、長さの範囲内で均等に分布し得る。複数の所定の長さは、互いに同程度又は等しい量(例えば、0.3cmと1.5cmとの間の量、例えば0.6cm)だけ異なる長さを備えるか又はそのような長さで構成され得る。第1の端部と第1のコネクタ要素との間の長さは、0.6cmのような増分によって調整され得る。例えば、長さは12cm、12.6cm、13.2cm及び13.8cmの間で調整可能であり得る。当業者であれば、特定のユーザの頭部のサイズに基づいて基準の長さと所定の長さとをどのように調整するかが分かるであろう。複数の所定の長さは、所定のオフセット(例えば0.5cmと5cmとの間のオフセット、例えば1.2cm)だけ互いにずれた最長の長さと最短の長さを含み得る。所定のオフセットは同程度の量の倍数であり得る。
【0012】
ある実施形態においては、第1のコネクタ要素と第2のコネクタ要素とは複数の所定の位置において互いに接続されるように構成されている。これらの所定の位置は相対的であり得る。
【0013】
ヘッドセットは、第1のコネクタ要素と第2のコネクタ要素とが互いに接続されている場合であって保護ユニットが第1の状態にある場合に、第1のコネクタ要素と第2のコネクタ要素との分離を阻止するように構成された保護ユニットをさらに備え得る。保護ユニットは第1のコネクタ要素と第2のコネクタ要素とが相互に接続されている場合であって保護ユニットが第2の状態にある場合に、第1のコネクタ要素と第2のコネクタ要素との分離を可能にするように構成され得る。保護ユニットは、第1のコネクタ要素及び第2のコネクタ要素に取り付けられるように構成されたキャップ又はカバーを備え得る。
【0014】
保護ユニットは、キーによって駆動された場合に、保護ユニットを第1の状態から第2の状態へ、さらに/あるいは第2の状態から第1の状態へと移行させるように構成されたキー機構を備え得る。別の構成においては、キー機構は、キーによって駆動された場合に保護ユニットをある状態から別の状態へ移行させるように構成するだけでよく、反対方向への移行には、キーによる駆動は必要とされない。例えば、キー機構は、保護ユニットを第1の状態から第2の状態へと移行させ、第1のコネクタ要素と第2のコネクタ要素との分離を可能にするために使用することができる一方、保護ユニットが第1のコネクタ要素及び第2のコネクタ要素に取り付けられると、保護ユニットは、キー機構による動作を要することなく第2の状態から第1の状態に自動的に移行して分離を阻止し得る。
【0015】
第1のコネクタ要素及び第2のコネクタ要素のうちの少なくとも一方は、(例えば、第1のコネクタ要素が第2のコネクタ要素と接続されている場合に)少なくとも1つのサイドバンドのある方向(例えば長手方向)において(例えば、上記で定義した同程度の量又は等しい量だけ)互いに離間した複数の固定要素を備え得る。第1のコネクタ要素及び第2のコネクタ要素の各々の他方は、複数の固定要素の1以上の固定要素と連結するように構成された少なくとも1つの対応固定部を備え得る。
【0016】
複数の固定要素は、雄型連結要素又は雌型連結要素のうち少なくとも一方を備え得る。少なくとも1つの対応固定部は、雄型連結要素又は雌型連結要素の他方を備え得る。雌型連結要素は、ノッチ、留め金及び孔のうちの少なくとも1つを備え得る。雄型連結要素は、ピン、スタッド及びボルトのうちの少なくとも1つを備え得る。ある例においては、複数の固定要素は(例えば少なくとも1つの)孔を備えており、少なくとも1つの対応固定部は少なくとも部分的に(例えば少なくとも1つの)孔の内部に延びるように構成されたピンを備えている。複数の固定要素は、複数の孔を備え得る。ピンは、同時に複数の孔のうちの1つの内部に少なくとも部分的に延びるように構成され得る。
【0017】
(例えば少なくとも1つの)孔は例えば貫通孔であり、ピンは孔の第1の面から孔の内部に延びるように構成されており、ピンは孔の第2の面で孔から突出するように構成されており、第2の面は第1の面とは反対を向いている。ピンは完全に孔を貫通するように構成され得る。
【0018】
孔は少なくとも1つのサイドバンドの側面方向に延びていてよく、ピンはヘッドバンドの側面方向に延びていてよい。代替的又は追加的に、ピンは少なくとも1つのサイドバンドの側面方向に延びていてよく、孔はヘッドバンドの側面方向に延びていてよい。側面方向はヘッドセットを着用した際のユーザの解剖学的側面方向であり得る。側面方向は、ヘッドバンド及び/又は少なくとも1つのサイドバンドの外面に対して概して垂直に延びていてよい。側面方向は、ユーザがヘッドセットを着用した際のユーザの頭部表面に対して概して垂直に延びていてよい。
【0019】
ピンは第1の軸端部と第2の軸端部とを備えていてよく、第1の軸端部は第2の軸端部よりもヘッドバンドに近く、ピンは第2の軸端部に端部要素を備えており、端部要素は端部要素に近接するピンの一部よりも半径方向に広い。ピンは概して円柱形状であり得る。ピンは端部要素に近接する円周状のノッチを有し得る。ピンは端部要素として幅広のピンヘッドを有し得る。
【0020】
保護ユニットは、第1の状態において、ピンの端部要素と連結してピンの(例えば少なくとも)軸方向(例えば長手方向)におけるピンに対する孔及び/又はサイドバンドの移動を規制するように構成され得る。ピンの軸方向は、上述の側面方向に対して平行又は同じであり得る。
【0021】
ヘッドセットは複数のサイドバンドを備えていてよく、各サイドバンドの第2のコネクタ要素は、複数のサイドバンドのそれぞれの長さ(例えば、それぞれの第1の端部と第1のコネクタ要素との間の長さ)が複数のサイドバンドの他のサイドバンドの長さとは別個に調整され得るように(例えば、同一のさらに/あるいは唯一の)第1のコネクタ要素に接続されるように構成されている。複数のサイドバンドは、異なる第2のコネクタ要素又は同様の第2のコネクタ要素を備え得る。例えば、第2のコネクタ要素の固定要素の数又は固定要素間の距離は、異なるサイドバンドの第2のコネクタ要素間で異なり得る。
【0022】
第1の変形例においては、第1のコネクタ要素は少なくとも1つの対応固定部を備えている。この変形例においては、第2のコネクタ要素は複数の固定要素を備え得る。少なくとも1つの対応固定部は、複数のサイドバンドのそれぞれの複数の固定要素のうちの1以上と連結するように構成され得る。例えば、ピンは、複数のサイドバンドの各サイドバンドの(例えば貫通)孔を貫通するように構成され得る。
【0023】
第2の変形例においては、第2のコネクタ要素は少なくとも1つの対応固定部を備えている。この変形例においては、第1のコネクタ要素は複数の固定要素を備え得る。複数のサイドバンドの各々の少なくとも1つの対応固定部は、(例えば、同時に)複数の固定要素のうちの1以上の同一固定要素と連結するように構成され得る。
【0024】
第1のコネクタ要素はヘッドバンドの要素上に配置され得る。ヘッドバンドの要素はユーザの側頭部に位置するように構成され得る。この文脈においては、「側頭」(temporal)という語は、時間に関するものではなく解剖学的位置を指し示すものとして理解すべきである。
【0025】
少なくとも1つのサイドバンドの第1の端部はヘッドバンドに対して取り付けられ得る。少なくとも1つのサイドバンドの第1の端部はヘッドバンドに(例えば接続部を介して)間接的に取り付けられてよく、又は少なくとも1つのサイドバンドの第1の端部はヘッドバンドに直接取り付けられてもよい。
【0026】
ヘッドセットは、ヘッドバンドに(例えばヘッドバンドに対して間接的又は直接的に)取り付けられる中間バンドをさらに備え得る。中間バンドはユーザの頭部の前側と後ろ側との間に延びるように構成されていてよく、少なくとも1つのサイドバンドは中間バンドに取り付けられる。この場合において、中間バンドは接続部と称され得る。例えば、中間バンドは、本質的にユーザがヘッドセットを着用している際のユーザの矢状面において又はユーザの矢状面に対して平行に延びている。中間バンドは、ヘッドバンドに(例えばヘッドバンドに対して間接的又は直接的に)取り付けられた長手方向の第1の端部と、ヘッドバンドに(例えばヘッドバンドに対して間接的又は直接的に)取り付けられた長手方向反対側の第2の端部とを備え得る。
【0027】
ヘッドバンド、少なくとも1つのサイドバンド及び/又は中間バンドのうちの1つは、(例えば、各々が)固定長を有し得る。少なくとも1つのサイドバンドは、第1の端部と第2のコネクタ要素との間で固定長を有し得る。代替的又は追加的に、ヘッドバンド、少なくとも1つのサイドバンド及び/又は中間バンドは変形可能であってよく、例えば長さにおいてある程度(例えば0.1%以上、1%以上、5%以下、15%以下、例えば0.1%から15%まで又は1%から10%まで)柔軟であってよい。
【0028】
ヘッドセットは少なくとも1つの電極レセプタクルを備え得る。少なくとも1つの電極レセプタクルは、ヘッドセット、ヘッドバンド、少なくとも1つのサイドバンド及び中間バンドのうちの1つに対し空間的に固定された位置に配置され得る。少なくとも1つの電極レセプタクルは、測定電極を(例えば取り外し可能に)保持するように構成され得る。少なくとも1つの電極レセプタクルは測定電極と連結されるように構成され得る。少なくとも1つの電極接点は、少なくとも1つの電極レセプタクル上に配置され、少なくとも1つの電極レセプタクルに取り付けられ、又は少なくとも1つの電極レセプタクル上に置かれ得る。少なくとも1つの電極レセプタクルの各々は、複数の測定電極のうちの異なる測定電極を保持するように構成され得る。少なくとも1つの電極レセプタクルは、ユーザがヘッドセットを着用しているときに、測定電極が10-10又は10-20EEG電極配置スキームに従った位置でユーザの頭の上に位置するように配置され得る。
【0029】
ヘッドセットはさらに第1の回路基板を備え得る。第1の回路基板は、ユーザの頭部の後ろ側に位置するヘッドセットの要素又は部分に配置され得る。1以上のワイヤは、第1の回路基板を少なくとも1つの電極接点と電気的に接続し得る。
【0030】
第1の回路基板は、ヘッドバンドに取り付けられるか又はヘッドバンドによって形成される閉鎖可能なポケット内に配置され得る。少なくとも1つの電極接点のうちの1以上の電気接点は、中間バンドに配置され(例えば、中間バンド上に配置され、中間バンド内に埋め込まれ又は中間バンドに取り付けられ)得る。1以上のワイヤは、ヘッドバンド、中間バンド及び/又はサイドバンドに取り付けられ(例えば糊付けされ、又は縫い付けられ)又は埋め込まれ得る。1以上のワイヤは、ジグザグ模様又は波模様で延び得る。1以上のワイヤは電気的に遮蔽されたワイヤであり得る。1以上のワイヤは、(例えば、電気的に遮蔽する)保護用のカバーで被覆され得る。
【0031】
ヘッドセットは、第1の回路基板から又は第1の回路基板を通じて脳波(EEG)測定信号を収集するための回路を有する第2の回路基板をさらに備えていてよく、第2の回路基板は、ユーザ(例えば、患者又は装着者)の頭部の後ろ側に位置するヘッドセットの要素又は部分に配置されている。第2の回路基板は、第1の回路基板に取り外し可能に連結され得る。第2の回路基板は、(例えば押し込み式の)電気コネクタを介して第1の回路基板と取り外し可能に連結され得る。電気コネクタは、基板対基板コネクタ又はプリント回路基板(PCB)コネクタであり得る。第2の回路基板は、第1の回路基板と共に閉鎖可能なポケット内に配置され得る。
【0032】
第2の態様によれば、脳波(EEG)測定システムが提供される。EEG測定システムは、第1の態様によるヘッドセットと少なくとも1つのEEG測定電極とを備えている。少なくとも1つの電極接点は、少なくとも1つのEEG測定電極と電気的に接続されている。
【0033】
少なくとも1つのEEG測定電極は乾式電極であり得る。少なくとも1つのEEG測定電極は、複数の電極ピン又は電極フィンガを備え得る。EEG測定電極は、上述の電極レセプタクルによって取り外し可能に保持され得る。EEG測定電極は、銀又は塩化銀が添加された熱弾性ポリマのような導電性の弾性材料から形成され得る。システムは、ユーザがヘッドセットを着用しているときに電極ピン又は電極フィンガが(例えば、10-10又は10-20EEG電極配置スキームに従った位置で)ユーザの頭皮上に位置するように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図面の簡単な説明
本開示のさらなる詳細、利点及び態様は、図面と共に理解される以下の実施形態から明らかになるであろう。
【
図1】
図1は、本開示によるシステムの第1の実施形態を示している。
【
図2】
図2は、10-10EEG電極配置スキームを示している。
【
図4】
図4は、
図1のシステムの一部の第1の詳細図を示している。
【
図5】
図5は、
図1のシステムの一部の第2の詳細図を示している。
【
図8】
図8は、
図1のシステムの後ろ側の詳細図を示している。
【
図9】
図9は、
図1のシステムの後ろ側のさらなる詳細図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0035】
詳細な説明
以下の記述においては、サイズ調整可能なヘッドセット及びEEG測定システムの例示的な実施形態が図を参照しながら説明される。同一の参照符号は、同一又は類似の構造的特徴を示すために用いられる。
【0036】
図1は、本開示によるシステム200の第1の実施形態を示す図である。システム200は、生体電気信号をモニタリングするためのサイズ調整可能なヘッドセット100を備えている。ヘッドセット100はヘッドバンド2を備えている。ヘッドバンドは、ユーザの頭部4に載せるか又はユーザの頭部4の周囲を取り巻くように構成することができる。ヘッドバンド2は、ヘッドセット100がユーザに装着される際にユーザの頭部4の少なくとも一部を取り囲むように構成されていてよい。ヘッドバンド2は、ユーザの頭部4の側頭部に載置され得る第1のコネクタ要素6を備えている。
【0037】
ヘッドセット100は、第1の端部12を有する少なくとも1つのサイドバンド8をさらに備えている。第1の端部12は、少なくとも1つのサイドバンド8の長手方向の端部であってよく、ヘッドセット100の中間バンド20と接続されていてよい。少なくとも1つのサイドバンド8は、第2のコネクタ要素10を備えている。第2のコネクタ要素10は、少なくとも1つのサイドバンド8の端部セグメントに配置され得る。したがって、第2のコネクタ要素10は、少なくとも1つのサイドバンド8の第1の端部12とは反対側の少なくとも1つのサイドバンド8の長手方向の端部に配置され得る。少なくとも1つのサイドバンド8は、中間バンド20と第2のコネクタ要素10との間に延びていてよい。ヘッドセット100は対称形状を有していてよい。
【0038】
図示される例においては、ヘッドセット100は4つのサイドバンド8を備えており、そのうちの2つはユーザの頭部4の左側の第1のコネクタ要素6に接続され、(
図1では見えない)残りの2つはユーザの頭部4の右側の(
図1では見えない)コネクタ要素6に接続されている。
【0039】
図2は、10-10EEG電極配置スキームを示す図である。ヘッドセット100は、中間バンド20が原則としてOz、Pz、Cz、Fz及びFpzの位置に亘って延びるように構成され得る。すなわち、中間バンド20は、ユーザの頭部4の中心線に沿った矢状面に延びていてよい。ヘッドバンド2は、Fpz、Oz、T7及びT8の位置に亘って延びていてよい。10-20EEG電極配置スキームにおいては、
図2に示された位置T7及びT8は通常、T3及びT4として呼ばれることに留意する。少なくとも1つのサイドバンド8は、AF3、AF4、F1-F6、FC1-FC6、C1-C6、CP1-CP6、P1-P6、Po3及びPo4のうちの1以上の位置に亘って延びていてよい。
図1に示した例においては、サイドバンド8のうちの一方は位置P3に亘って延びており、他方は位置FC3に亘って延びている。
【0040】
図3は、
図1に示したシステム200の組み立て中の状態を示す図である。
図1に示したヘッドセット100を得るには、
図3に図示されるヘッドバンド2は全体的な円形状を形作るために互いに縫い合わされ、糊付けされ又は貼り合わされ、中間バンド20はヘッドバンド2から延びるフラップ9に縫い合わされ、糊付けされ又は貼り合わされ得る。さらに、第1のコネクタ要素6は第2のコネクタ要素に接続され得る。
【0041】
図3においては、ヘッドセット100の下部又は内面13が示されており、その面13は、組み立てられたヘッドセット100をユーザが着用する際に頭皮に面している。理解できるように、ヘッドセット100は、測定電極と電気的に接続されるように構成された少なくとも1つの電極接点14を備えている。各々の電極接点14は、電極レセプタクル15に配置され、個々の電極レセプタクル15はヘッドバンド2、少なくとも1つのサイドバンド8又は中間バンド20に配置され得る。各々の電極レセプタクル15は、測定電極を取り外し可能に保持するように構成され得る。ヘッドセット100は、2つの電極接点17を備えており、各々は、ユーザの頭部4の一部に接着して取り付けられ得る基準電極19に取り付けられる。電極接点17は、保護スリーブ21内に部分的に収納され得る。レセプタクル15は、電極レセプタクル15が電極を保持し、ユーザがヘッドセット100を着用しているときに、各々の測定電極が10-10又は10-20EEG電極配置スキームの前述の位置のうちの1つに位置するように配置され得る。
【0042】
図4は、
図1に示したシステム200の一部の第1の詳細図を示す図である。システム200は、少なくとも1つのEEG測定電極16を備えている。少なくとも1つの電極接点14は、少なくとも1つのEEG測定電極16と電気的に接続されている。電極16は、ユーザの頭部4の表面に接触するように構成された複数の導電性を有する柔軟な電極フィンガ又はピンを有する湿式電極又は乾式電極であってよい。好ましい実施形態においては、電極16は乾式電極である。電極16はヘッドセット100のレセプタクル15のうちの1つによって取り外し可能に保持され得る。
【0043】
第1のコネクタ要素6及び第2のコネクタ要素10は、第1の端部12と第1のコネクタ要素6との間の少なくとも1つのサイドバンド8の長さ(又は距離)を調整可能なように互いに接続されるよう構成されている。第1のコネクタ要素6及び第2のコネクタ要素10は、少なくとも1つのサイドバンド8の長さが複数の所定の長さの間で調整可能であるように構成され得る。これを実現するために、第1のコネクタ要素6及び第2のコネクタ要素10は、複数の所定の位置において互いに接続されるように構成され得る。これらの位置は相対的なものであってよい。
【0044】
第1の構成によれば、第2のコネクタ要素10は、少なくとも1つのサイドバンド8のある方向(例えば、長さ方向あるいは長手方向)において互いに離間する複数の固定要素18を備えていてよい。この場合において、第1のコネクタ要素6は、複数の固定要素18のうちの1以上の固定要素18と同時に連結されるように構成された少なくとも1つの対応固定部7を備えていてよい。例えば、
図4によれば、第2のコネクタ要素10の複数の固定要素18は、少なくとも1つのサイドバンド8の外面及びヘッドバンド2の外面に対して本質的に直交して延びる少なくとも1つの貫通孔3を備えていてよい。第1のコネクタ要素6の少なくとも1つの対応固定部7は、貫通孔3と同様の方向に延びるように構成されたピン5を備えていてよい。ピン5は貫通孔3を貫通し、サイドバンド8の反対側に出るようになっていてよい。貫通孔3はそれぞれ、ヘッドバンド2に対する少なくとも1つのサイドバンド8のための空間位置を規定し得る。ピン5は、本質的に円柱形状であり、幅広の頭部又は端部要素を備え得る。
【0045】
第2の構成によれば、第1のコネクタ要素6は、少なくとも1つのサイドバンド8のある方向(例えば、長さ方向あるいは長手方向)において互いに離間する複数の固定要素を備えていてよい。この場合において、第2のコネクタ要素10は、複数の固定要素のうちの1以上の固定要素と同時に連結されるように構成された少なくとも1つの対応固定部を備えていてよい。例えば、第1のコネクタ要素6の複数の固定要素は、各々がヘッドバンド2の外面に対して本質的に直交して延びる複数のピンを備えていてよい。第2のコネクタ要素10の少なくとも1つの対応固定部は、ピンと同様の方向に延びるように構成された少なくとも1つの貫通孔を備えていてよい。ピンのそれぞれは、ヘッドバンド2に対して少なくとも1つのサイドバンド8を適宜位置合わせするときに、貫通孔を貫通するように構成されていてよい。ピンはそれぞれ、ヘッドバンド2に対する少なくとも1つのサイドバンド8のための空間位置を規定し得る。ピンはそれぞれ、本質的に円柱形状であり、幅広の頭部又は端部要素を備え得る。
【0046】
両方の構成において、各々のピンは幅広の頭部又は末端に角度のついた端部要素を備えていてよい。各ピンの本体の直径は貫通孔の直径と同じであってよいが、幅広の頭部又は末端に角度のついた端部要素の直径は貫通孔の直径よりも大きくてよい。幅広の頭部又は末端に角度のついた端部要素は、ピンと貫通孔とが意図せずに外れるのを防止するが、ユーザがピンを貫通孔から取り外すのを可能にするような大きさに形成され得る。
【0047】
第1の変形例においては、複数の固定要素18は複数の孔3からなっていてよく、少なくとも1つの対応固定部7は単一のピン5からなっていてよい。これにより、第1のコネクタ要素6が第2のコネクタ要素10と接続されているときであっても、少なくとも1つのサイドバンド8とヘッドバンド2との間の角度を変化させることができる。
【0048】
第2の変形例においては、少なくとも1つの対応固定部7は複数のピン5を備えていてよく、複数の固定要素18は複数の孔3を備えていてよい。複数のピンの各々は、複数の固定要素18の異なる孔3に同時に連結するように構成されていてよい。これにより第1のコネクタ要素6と第2のコネクタ要素10との間でより強固な接続が可能となる。
【0049】
第1の変形例及び第2の変形例はそれぞれ、第1の構成及び/又は第2の構成と組み合わせることができる。複数の固定要素18は概して雌型要素として考えることができる一方、対応固定部7は概して雄型連結要素として考えることができる。複数の固定要素18は孔に限定されず、少なくとも1つの対応固定部7はピンに限定されないことに留意すべきである。これらの2つの連結部品7,18のその他の変形例も考えられる。例えば、複数の固定要素18は留め金を備えていてよく、少なくとも1つの対応固定部7は留め金と連結するように構成されたボルトを備えていてよい。ベルクロファスナー機構、スナップフィット連結、磁気コネクタ等のその他のコネクタ機構も考えられることに留意する。好ましい実施形態においては、接続機構はピンと孔とを備えている。
【0050】
複数のサイドバンド8の複数の第2のコネクタ要素10は、例えば
図1及び
図5に示すように、第1のコネクタ要素6の上に互いに積み重ねることができる。第1のコネクタ要素6は、複数の第2のコネクタ要素10のそれぞれと同時に接続するように構成され得る。これにより、単一の第1のコネクタ要素6を使用して、サイドバンド8のそれぞれの長さを個別に調整することが可能となり得る。そのような構成の一例は
図5において図示されており、
図5は
図1のシステム200の一部の第2の詳細図を示している。ピン5の長さと形状は、ピン5が複数のサイドバンド8の複数の第2のコネクタ要素10の孔3を同時に貫通することができるように選択され得る。
【0051】
ヘッドセット100は、保護ユニット22をさらに備えていてよく、この保護ユニット22は、第1のコネクタ要素6と第2のコネクタ要素10とが相互に接続されていて保護ユニット22が第1の状態にある際に、孔3のピン5に対するピン5の軸方向への移動を規制するためにピン5と連結されるように構成されている。保護ユニット22は、ピン5の幅広の頭部(すなわち端部要素)と連結され得る。
【0052】
保護ユニット22は、第1のコネクタ要素6と第2のコネクタ要素10との分離を阻止することができる。保護ユニット22はさらに、第1のコネクタ要素6と第2のコネクタ要素10とが分離可能な第2の状態に移行するように構成され得る。この目的のために、保護ユニット22は、キーにより駆動された場合に、保護ユニット22を第1の状態から第2の状態へ、さらに/あるいは第2の状態から第1の状態へと移行させるように構成されたキー機構23を備えていてよい。
【0053】
保護ユニット22は、第1のコネクタ要素6及び第2のコネクタ要素10の上又は上方に(すなわち近接して)取り付けられるように構成されたキャップ又はカバーを備えていてよい。
【0054】
上記のように、保護ユニット22は、キーにより駆動された場合に、保護ユニット22を第1の状態から第2の状態へ、さらに/あるいは第2の状態から第1の状態へと移行させるように構成されたキー機構23を備えていてよい。別の構成では、キー機構23は、キーによって駆動された場合に保護ユニット22をある状態から別の状態に移行させるように構成するだけでよく、反対方向への移行には、キーによる駆動は必要とされない。例えば、キー機構23は、保護ユニット22を第1の状態から第2の状態に移行させて第1のコネクタ要素6と第2のコネクタ要素10とを分離可能にするために用いることができる一方、保護ユニット22が第1のコネクタ要素6及び第2のコネクタ要素10の上又は上方に取り付けられ、さらに/あるいはピン5と連結されると、保護ユニット22は、キー機構23による駆動を要することなく第2の状態から第1の状態へと自動的に移行して分離を阻止することができる。
【0055】
示した例においては、キー機構22はピン形状のキーを用いたロック要素を直線的にスライドさせることによって駆動され得る。これにより、保護ユニット22のロックを解除して保護ユニット22をピン5の幅広の頭部から分離させることができ、これによって保護ユニット22のピン5からの取り外しが可能となり、続いてピンからサイドバンド8を取り外すことが可能となる。保護ユニット22の上述した機能性が保証される限りにおいて、保護ユニット22のその他の変形例も考えられる。
【0056】
図6は、
図3において図示したものよりも組立てのずっと前段階における
図1のシステム200を示している。
図6においては、
図3と比較してヘッドセット100の反対側が示されている。
図6から理解できるように、ヘッドセット100は、ヘッドセット100の要素又は部分に配置された第1の回路基板24を備え得る。この第1の回路基板24は、ユーザの頭部4の後ろ側に位置し得る。第1の回路基板24は、保護ハウジング25によって部分的に被覆され得る。ヘッドセット100はさらに、複数のワイヤ26を備えていてよく、その各々は第1の回路基板24を電極接点14の1つに電気的に接続させる。
【0057】
各電極接点14は、レセプタクル15の1つ及び/又はEEG測定電極16の1つに電気的に接続され得る。
図6に図示される例においては、ヘッドバンド2、中間バンド20及びサイドバンド8は、外層28と内層30を含む複数の材料層から形成されている。追加の層が設けられていてもよい。複数の層は、親水性を有し、非膨張性を有し、さらに/あるいは生体適合性を有する発泡材料からなる1以上の層を備えていてよい。複数の層は、縦横に伸縮性のある合成編み生地のような編み生地からなる1以上の層を備えていてよい。
図1及び
図3に図示されるようなヘッドセットを得るためには、複数の材料層は、保護用の被覆材料に巻かれていてもよく、レセプタクル15は、複数の層の少なくとも一部の層における空洞27又は貫通孔27に挿入されていてよい。保護用の被覆材料は、耐水コーティングされた(例えば、縦横に伸縮性のある)編み生地であり得る。
【0058】
ワイヤ26もまた、保護用の被覆材料が巻かれるか、あるいは保護用の被覆材料によって被覆されていてよく、これによってヘッドセット100の内部に埋め込まれ得る。ワイヤ26は、内層30上に縫い付けられ、糊付けされ、クリップ留めされ、あるいは同様の手段で取り付けられ得る。ワイヤ26は電気的に遮蔽されたワイヤであってよい。図示された例におけるワイヤ26は波模様を形成している。ワイヤ26の配置は、電極16を通じて得られる測定値に対する外部電磁ノイズの影響を減少させることができる。
【0059】
図7は、
図1のシステム200の部品を示した図である。ヘッドセット100は第2の回路基板32をさらに備えていてよい。第2の回路基板32は、第1の回路基板24からの脳波(EEG)測定信号を収集するための回路を備え得る。第2の回路基板32は保護ハウジング34内に配置されてよく、着用者の頭部4の後ろ側に位置するヘッドセット100の要素又は部分に配置され得る。第2の回路基板32は、第1の回路基板24と例えば基板対基板コネクタ36によって取り外し可能に連結されていてよい。第2の回路基板32は、EEG測定値を処理することによって得られたEEG測定データ又は診断データを蓄積するように構成されたメモリを備え得る。第1の回路基板24は、EEG測定値を処理することによって得られたEEG測定データ又は診断データを蓄積しなくてもよい。
【0060】
図8は、
図1のシステム200の後ろ側の詳細図を示す図である。理解できるように、ポケット38が、例えば患者の頭部4の後ろ側に位置するヘッドセット100の要素又は部分に形成され得る。ポケット38はファスナ40によって閉じることができる。第1の回路基板24及び第2の回路基板32の両方は、各々の保護ハウジング25,34と共にポケット38の内部に配置することができる。
【0061】
図9は、
図1のシステム200の後ろ側のさらなる詳細図を示す図である。
図8と比較すると、ファスナ40は開いており、第2の回路基板32は保護ハウジング34と共に第1の回路基板24から取り外されてポケット38から取り出されている。
【0062】
上記から明らかなように、利点のあるサイズ調整可能なヘッドセット及びEEG測定システムが提供される。サイズ調整によってヘッドセット100を異なるサイズや形状の頭部に適合させることができ、したがって実に様々なユーザが使用できるヘッドセット及びシステムを作ることができる。サイズ調整により、ヘッドセット100を容易かつ迅速に調整しつつ、快適なフィット感や、例えば10-10又は10-20配置位置における信頼性の高い再現可能な測定電極の位置決めが保証される。
【0063】
本明細書で述べられるシステム200は、既存のEEGヘッドセットと比較して低コストで製造可能である。
【0064】
保護ユニット22はヘッドセット100のエンドユーザがサイズを変更できないようにしつつも、適合するキーを持つ権限ある職員にはサイズを変更することをほとんど手間なく可能にし得る。エンドユーザはサイズを変更することはできないので、連続する測定において電極が同じ位置を保つことができ、したがって一貫したデータセットの測定が可能となることが保証される。さらに、ヘッドセット100と測定結果とを操作できないことが保証される限り、ヘッドセット100は家庭での使用のためにユーザに与えられ得る。それに対して一般的なヘッドセットは、ユーザがヘッドセットのサイズを変更又は操作していないことが保証され得る臨床の監視された環境においてのみ使用され得る。したがって、このように権限なくサイズを変更することを防止することにより、一貫したデータセットが測定され得ることが保証される。
【0065】
電極を取り外し可能に保持することにより、電極の損傷時や洗浄目的の交換が可能になり得る。
【0066】
上述のワイヤ26の配置により、電極16を通じて得られた測定値に対する外部電磁ノイズの影響が低減され得る。
【0067】
上述の第2の回路基板32は、権限ある(例えば臨床の)職員によって交換されることができ、これにより、潜在的に時間のかかる記憶されたEEG記録のデータ転送処理を必要とせずにヘッドセット100の迅速な再使用が可能となる。
【0068】
上述の第2の回路基板32は、ハードウェアやソフトウェアの更新の際に新しいバージョンのものと容易に交換可能である。
【0069】
第1の回路基板24及び第2の回路基板32をユーザの頭部の後ろ側に配置することで、ヘッドセット100のフィット感とユーザの快適性を向上させることができる。
【0070】
本明細書に開示された主題により、代替的及び/又は追加的な利点を得ることができる。
【国際調査報告】