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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】時計
(51)【国際特許分類】
   G04C 3/10 20060101AFI20240625BHJP
   G04G 3/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G04C3/10 C
G04G3/00 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579113
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2022064911
(87)【国際公開番号】W WO2022268464
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】102021116556.3
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523233020
【氏名又は名称】リアライゼーション デサル アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボンケ,マイケル
【テーマコード(参考)】
2F002
【Fターム(参考)】
2F002AB06
2F002CB02
2F002CB04
2F002CB11
2F002ED01
2F002ED02
(57)【要約】
本発明は、クロック発生アセンブリ(10)と、歯車機構(104)と、歯車機構(114)を駆動するための駆動装置(101)と、歯車機構(104)に接続された時刻指示装置(102)と、を備えた時計(100)に関する。クロック発生アセンブリ(10)は、クロック発生器(1)と電子的有用信号発生装置(116)と電気機械的装置(106)とを有する。その場合、クロック発生器(1)は、所定の発振周波数を有する。電子的有用信号発生装置(116)は、クロック発生器(1)の発振周波数にもとづいて有用信号を生成するように設定されている。電子的有用信号発生装置(116)により生成された有用信号によって電気機械的装置(106)を動かすことができ、それにより電気機械的装置(106)がクロック制御されて歯車機構(104)に直接または間接的に係合する。歯車機構(104)によって時刻指示装置(102)を動かすことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計(100)であって、
クロック発生器(1)、電子的有用信号発生装置(116)および電気機械的装置(106)を有するクロック発生アセンブリ(10)と、
歯車機構(104)と、
前記歯車機構(104)を駆動するための駆動装置(101)と、
前記歯車機構(104)に接続された時刻指示装置(102)と、を備え、
前記クロック発生器(1)が所定の発振周波数を有し、
前記電子的有用信号発生装置(116)は、前記クロック発生器(1)の前記発振周波数にもとづいて有用信号を生成するように設定されており、
前記電子的有用信号発生装置(116)により生成された有用信号によって前記電気機械的装置(106)を動かすことができ、それにより前記電気機械的装置(106)がクロック制御されて前記歯車機構(104)に直接または間接的に係合し、
前記歯車機構(104)によって前記時刻指示装置(102)を動かすことができる、時計。
【請求項2】
前記電気機械的装置(106)が前記歯車機構(104)に間接的に係合し、そのために、前記時計(100)が脱進機(105)を含み、前記脱進機は前記歯車機構(104)に係合し、かつ前記電気機械的装置により駆動可能である、請求項1に記載の時計。
【請求項3】
前記電気機械的装置(106)がアクチュエータとして形成されている、請求項1または2に記載の時計。
【請求項4】
前記アクチュエータは、磁気アンカー(107)と磁気コイル(108)とを有し、前記磁気コイルは、前記有用信号によって前記磁気アンカー(107)を動かすように設定されている、請求項3に記載の時計。
【請求項5】
前記電気機械的装置(106)がステップモータとして形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の時計。
【請求項6】
前記クロック発生器(1)が圧電水晶振動子として形成されており、
殊に、前記圧電水晶振動子が音叉型振動子の形態で形成されており、ならびに/あるいは
前記圧電水晶振動子が、それぞれ少なくとも1mm、好ましくは少なくとも1.5mmの長さ、幅および高さを有し、ならびに/あるいは前記圧電水晶振動子が直方体状に形成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の時計。
【請求項7】
前記圧電水晶振動子がクォーツ水晶振動子またはトルマリン水晶振動子である、請求項6に記載の時計。
【請求項8】
前記クロック発生器(1)は、光導波路(126)と、前記光導波路(126)にクロック制御された光信号を導入するための送光器(124)と、前記光信号を受信し、前記受信した光信号にもとづいて電気信号を生成するための受光器(125)とを含む発振システムとして形成され、前記電子的有用信号発生装置(116)は、前記電気信号の周波数にもとづいて前記有用信号を生成するように設定されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の時計。
【請求項9】
前記電子的有用信号発生装置(116)は、分周器(117)および/またはパルス計数器(119)を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の時計。
【請求項10】
前記クロック発生アセンブリ(10)に電気エネルギーを供給するための蓄電池として形成された電力供給装置(103)と、特に前記蓄電池を充電するように設定されたエネルギーハーベスティング装置とをさらに備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の時計。
【請求項11】
前記駆動装置(101)が駆動ゼンマイを含み、前記電気機械的装置(106)は、前記駆動ゼンマイの張力がなくなると前記電気機械的装置(106)が前記歯車機構(104)を駆動するように動くよう設定されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の時計。
【請求項12】
蓄電池の充電状態を測定するように設定された充電状態測定装置(122)と、前記蓄電池の充電状態が所定の充電状態値より低い場合に前記電気機械的装置(106)の電力供給を中断するように設定された制御ユニット(123)とをさらに備える、請求項10または11に記載の時計。
【請求項13】
前記時計が自動巻上げおよび/または手動巻上げとして形成された巻上げ装置を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の時計。
【請求項14】
前記クロック発生器は、数8のみ、または数8と数0のみを有する値の発振周波数を有し、前記発振周波数が、特に8888Hz、88888Hz、888888Hz、8888888Hz、8kHz、88KHz、888KHz、または8888KHzである、請求項1~13のいずれか1項に記載の時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動巻上げまたは手動巻上げを備えた機械時計とクォーツ時計の利点を有する時計に関する。
【背景技術】
【0002】
クォーツ時計は、クォーツ振動子(Schwingquarz)の周波数によってクロック制御される(getaktet)。他方で、自動時計としても知られた自動巻上げを備えた機械時計および手動巻上げを備えた機械時計は、一般に、いわゆる脱進機をコントロールするテンプの振動によって制御される。その場合、クォーツ時計は、通常、水晶振動子(Schwingkristall)の基準周波数が機械的振動装置の周波数よりもはるかに安定かつ独立しているため、自動時計または手動巻上げを備えた機械時計よりもはるかに正確である。
【0003】
特に腕時計の場合、機械的振動装置が手首の各動きによって制動または加速される。ムーブメントの駆動ゼンマイ(Antriebsfeder)の張力の程度が脱進機に影響を及ぼし、さらにタンデムのテンプ/脱進機の周波数にも影響を及ぼす。さらに、時計の位置(水平または垂直)がテンプの振動挙動に影響を及ぼす。
【0004】
これと比較して、腕時計における水晶振動子の周波数は非常に独立している。水晶振動子の設定および予定された標準温度からの逸脱だけが、水晶振動子の周波数に影響を及ぼし得る。
【0005】
さらに、クォーツ時計には、パワーリザーブ(Gangreserve)がはるかに長いという利点があり、通常数年にわたる。
【0006】
それでも、自動時計や手動巻上げを備えた機械時計は、腕時計として、通常、クォーツ時計よりもはるかに人気がある。特に自動時計はバッテリ交換を必要とせず、数百年昔から続く時計職人技の表現である。
【発明の概要】
【0007】
以下に、クロック発生器(Taktgeber)と、歯車機構と、歯車機構を駆動するための駆動装置と、歯車機構に接続され、歯車機構によって動かすことができる時刻指示装置とを有するクロック発生アセンブリを備える時計が記載される。その場合、クロック発生器は所定の発振周波数を有する。
【0008】
所定の発振周波数を有するクロック発生器を提供するために、有利には、まず、クロック発生器が有するべき所望の発振周波数を選択することができ、その場合、クロック発生器を、所望の振動周波数が達成されるように形成することができる。このために、クロック発生器を形成した後に、クロック発生器の実際の周波数を決定するためにこれを測定することができる。実際の周波数が所望の周波数と異なる場合、それに対応して、所望の周波数が達成されるまでクロック発生器を修正することができる。その場合、所望の周波数は、クロック発生器の所定の発振周波数に相当する。
【0009】
しかし、少なくとも1つのクロック発生器が任意に形成されることも可能である。それに続いて、形成されたクロック発生器を、クロック発生器の発振周波数を決定するために測定することができる。この場合、それによって決定された発振周波数は、クロック発生器の所定の発振周波数に相当する。
【0010】
クロック発生アセンブリ、特にクロック発生器が時計の周波数を決定する要素であることに言及しておく。
【0011】
駆動装置とは、特に機械的駆動装置として、すなわち電気モータ式駆動装置またはその他の電気的駆動装置を用いない駆動装置と理解すべきである。駆動装置は、殊にエネルギー蓄積器としての駆動ゼンマイを含む。時計は、殊に自動巻上げ(自動時計)および/または手動巻上げのための巻上げ装置を備える。
【0012】
歯車機構は、殊に少なくとも1つの時車および/または分車および/または秒車および/または3番車(Kleinbodenrad)を含む。
【0013】
殊に、クロック発生アセンブリは、電子的有用信号発生装置と電気機械的装置とをさらに有する。電子的有用信号発生装置は、クロック発生器の発振周波数にもとづいて有用信号を生成するように設定されている。電気機械的装置は、電子的有用信号発生装置によって生成された有用信号によって動くことができ、それによって電気機械的装置がクロック制御されて歯車機構に直接または間接的に係合する。特に、電気機械的装置は、歯車機構の停止と再度解放とを交互に行うために、脱進するべく(in hemmender WWeise)歯車機構に直接または間接的に係合する。したがって、時計は、その運針速度(Ganggeschwindigkeit)において、振動するテンプによってではなく、周波数制御された装置(電気機械的装置)を介してクロック制御され、歯車機構のための駆動エネルギーは機械的駆動装置によって提供される。換言すると、不正確な機械的テンプが上述したクロック発生アセンブリと置き換えられる。
【0014】
したがって、手動巻上げまたは自動巻上げを備えた機械時計とクォーツ時計とが、手動巻上げを備えた自動機構または機械的機構がクロック発生器の電子周波数によって制御されることにより、これらの時計の利点が1つの時計に実現される。その場合、クロック発生器は圧電水晶振動子で支持される。しかし、これは、周波数決定ユニットが単純な水晶振動子ではなく任意の別のベースの光導波路または発振器などの別のメカニズムである発振システムであってもよい。提案される時計にはテンプが設けられていないため、ここではテンプのクロック、したがって時計の時間刻みの正確さに影響を及ぼす機械的影響全体が排除される。時計をクロック制御するために使用される、かつクロック発生器の発振周波数に相当する基準周波数は、時計の着用者の動きによって影響されない。したがって、テンプを有する一般的な機械時計よりもはるかに正確である、歯車機構の駆動に関して機械的な時計が可能になる。
【0015】
電子的有用信号発生装置によって生成される有用信号によって電気機械的装置を動かすことができ、有用信号がクロック発生器の発振周波数にもとづいて生成可能であるため、電気機械的装置は周波数制御可能もしくは周波数制御されると理解すべきである。
【0016】
一変形形態によれば、電気機械的装置は歯車機構に間接的に係合する。「間接的に」とは、本発明の範囲内で、特に、電気機械的装置と歯車機構との間に少なくとも1つの別の部品があることを意味する。これは、時計のこの実施形態では、上述の有用信号によって電気機械的装置を動かすことができ、それによって電気機械的装置が脱進するべく歯車機構に間接的に係合するということを意味する。
【0017】
好ましくは、時計はこのために脱進機を備える。その場合、脱進機は、歯車機構と係合している。その場合、電気機械的装置は脱進機を駆動する。これは、時計のこの実施形態では、電子的有用信号発生装置によって生成された有用信号によって電気機械的装置を動かすことができ、それにより電気機械的装置が脱進機を介して歯車機構に係合するということを意味する。その場合、換言すると、脱進機は、電気機械的装置と歯車機構との間にある上記の少なくとも1つの別の部品に相当する。
【0018】
殊に、脱進機は、脱進車(Hemmungsrad)と脱進片(Hemmstueck)とを含む。脱進片は、脱進車を脱進するために用いられる。この場合、電気機械的装置は、脱進片を駆動するように配置され、脱進車は歯車機構と係合している。
【0019】
特に、脱進機は、アンカー脱進機として形成されており、脱進片がアンカーとして形成されている。この場合、脱進車をアンカー車と呼ぶこともできる。
【0020】
本発明の代替の有利な実施形態によれば、電気機械的装置は歯車機構にダイレクトに/直接係合することができる。「ダイレクトに」または「直接」とは、本発明の範囲内で、特に電気機械的装置と歯車機構との間に他の部品がないということを意味する。これは、時計のこの実施形態では、上記の有用信号によって電気機械的装置を動かすことができ、それによって電気機械的装置がクロック制御されて歯車機構にダイレクトに係合するということを意味する。
【0021】
電気機械的装置が歯車機構に直接係合するのか間接的に係合するのかに関係なく、本発明の有利な実施形態によれば電気機械的装置をアクチュエータとして形成することができる。本発明の範囲内で、特に電気信号を機械的運動に変換する駆動技術的装置または構成ユニットがアクチュエータと呼ばれる。
【0022】
特に好ましくは、アクチュエータは、磁気アンカーと磁気コイルとを有することができる。この場合、磁気コイルは、有用信号によって磁気アンカーを動かすように設定されている。
【0023】
代替的に、電気機械的装置を、殊にステップモータとして形成することができる。電気機械的装置のこの実施形態では、電気機械的装置がクロック制御されて歯車機構に直接係合する場合が特に有利である。
【0024】
クロック発生器に関しては、本発明の有利な実施形態によれば、これを圧電水晶振動子として形成することができる。
【0025】
殊に、圧電水晶振動子は、それぞれ少なくとも1mm、好ましくは少なくとも1.5mm、さらに好ましくは少なくとも3mm、特に好ましくは少なくとも5mmの長さ、幅および高さを有することができる。したがって、圧電水晶振動子は、これが安定して振動することを可能にする固体質量を有する。特に、圧電水晶振動子を真空下におかなくても、その振動の安定性が確保される。したがって、圧電水晶振動子を収容するための真空カプセルまたは鐘形真空容器(Vakuumglocke)を省略することができる。さらに、水晶振動子の提案される寸法設定には、水晶振動子が劣化しないか、または無視できる程度にしか劣化しないという利点がある。したがって、圧電水晶振動子は、正確に機能する周波数発振器(Frequenzschwinger)の技術的要件を満たし、したがって、時計のクロック発生アセンブリのクロック発生器として用いることができる。
【0026】
さらに、形および質量が良好に目に見えることと、真空カプセルまたは鐘形真空容器が省略されることとにより、圧電水晶振動子を時計の装飾要素として使用することができる。これらの理由から、クロック発生アセンブリのクロック発生器のために、さまざまな圧電水晶振動子を使用することができる。それにより時計をカスタマイズすることができ、そのことが時計に高級感のある雰囲気を与えることができる。さらに、圧電水晶振動子は、その材料特性と圧電的または光学的特性に関して、それぞれの用途に合わせて選択することができる。
【0027】
圧電水晶振動子の長さ、幅および高さは、3次元座標系の第1の軸、第2の軸および第3の軸の方向に延び、第1の軸、第2の軸および第3の軸は互いに垂直に立つ。座標系は、殊に、圧電水晶振動子の角に配置されている。
【0028】
本発明の範囲内で、長さ、幅および高さは、圧電水晶振動子の実際に振動する部分に関連する。これは、圧電水晶振動子の長さ、幅および高さが、圧電水晶振動子が振動するために重要な圧電水晶振動子の寸法に相当するということを意味する。例えば、圧電水晶振動子が音叉の形態の場合、水晶振動子の実際に振動する部分は音叉のフォーク部である。これは、特に、そのような圧電水晶振動子の長さ、幅および高さが音叉のフォーク部の各々の長さ、幅および高さに相当するということを意味する。
【0029】
本発明の範囲内で、圧電水晶振動子の長さ、幅または高さとは、水晶振動子が辺の間に空間が形成されないように形成されている場合、特に、水晶振動子の単一の辺のその都度の寸法と理解されるべきであり、水晶振動子の同じ方向に延びる2つの辺の合計ではない。本発明の範囲内で、水晶振動子が、水晶振動子の互いに向かい側に位置する2つの側面の間に空間ができるように形成されている場合、特に、水晶振動子の長さ、幅または高さとは、水晶振動子の辺の相応の実際の寸法と理解されるべきであり、水晶振動子の全体としての「見かけの寸法」ではない。例えば、音叉の形態の圧電水晶振動子の場合、圧電水晶振動子の幅は、測定時に2つのフォーク部の間の空間の幅が共に考慮される場合に、一方のフォーク部の角から他方のフォーク部の対応する角まで測定された、2つのフォーク部の間の幅の合計にも水晶振動子の見かけの幅にも相当しない。
【0030】
特に好ましくは、圧電水晶振動子は、クォーツ水晶振動子またはトルマリン水晶振動子であり得る。クォーツ水晶振動子は、天然または人工の水晶振動子として形成することができる。しかし、例えば天然アメジスト水晶またはシトリン水晶などのクォーツの変形形態、天然のトルマリン水晶振動子、または天然のスイス水晶を時計のクロック発生アセンブリのクロック発生器として使用することも可能である。
【0031】
圧電水晶振動子として形成されたクロック発生器の第1の特に有利な変形形態によれば、クロック発生器は、それぞれ少なくとも1mm、好ましくは少なくとも1.5mm、さらに好ましくは少なくとも3mm、特に好ましくは少なくとも5mmの長さ、幅および高さを有するトルマリン水晶振動子として形成されている。
【0032】
圧電水晶振動子として形成されたクロック発生器の第2の特に有利な変形形態によれば、クロック発生器は、クォーツ水晶振動子、特に人工クォーツ水晶として、音叉型振動子(Gabelschwinger)の形態で形成されている。その場合、クォーツ水晶振動子を、特に、これが32768Hzの発振周波数を有するように形成/寸法設定することができる。これは、一般的なクォーツ時計の一般的なクォーツ水晶振動子をこの時計では圧電水晶振動子として使用できるということを意味する。
【0033】
本発明の代替の有利な実施形態によれば、クロック発生器を光導波路と、光導波路にクロック制御された光信号を導入するための送光器と、光信号を受信し、受信した光信号にもとづいて電気信号を生成するための受光器とを含む発振システムとして形成することができる。その場合、電子的有用信号発生装置は、電気信号の周波数にもとづいて有用信号を生成するように設定されている。
【0034】
本発明の範囲内で、送光器を、特に電気光学変換器と呼ぶこともできる。本発明の範囲内で、受光器を、特に光電気変換器と呼ぶこともできる。
【0035】
クロック制御された光信号を光導波路に導入するために、送光器は、殊に、電気入力信号を光信号に変換するように設定されていると理解されるべきである。
【0036】
さらに、光信号がクロック制御されるため、電気信号も、殊にクロック制御されると理解されるべきである。
【0037】
本発明の有利な実施形態によれば、発振システムを発振回路として形成することができる。これは、特に、発振システムのコンポーネントが回路、すなわちエンドレスループに配置されるということを意味する。
【0038】
クロック制御された光信号は、殊に、クロック制御されたアナログ光信号、特に正弦状の光信号であり得る。しかしアナログ光信号は、正弦形とは別の形状を有することもできる。それに対応して、受光器によって生成される電気信号は、殊にアナログ電気信号、特に正弦状の電気信号であり得る。しかしアナログ電気信号は、光信号に対応して、正弦形とは別の形状を有することもできる。
【0039】
しかし、クロック制御された光信号が、特にデジタル光信号であることも可能である。それに対応して、受光器によって生成される電気信号は、特にデジタル電気信号であり得る。
【0040】
殊に、送光器は半導体レーザまたは発光ダイオードを含む。
【0041】
特に、送光器を、クロック制御された光信号を直接または間接的に光導波路に導入するように設定することができる。
【0042】
発振システムとして形成されたクロック発生器に所定の発振周波数を提供するために、有利には、まず、クロック制御された光信号もしくは電気信号のための所望の周波数を選択することができ、次いで、発振システム、特に光導波路をその長さに関して、対応する所望の周波数が達成されるように形成することができる。このために、発振システムを形成した後に、これをクロック制御された光信号もしくは電気信号の実際の周波数を決定するために測定することができる。実際の周波数が所望の周波数とは異なる場合、発振システムを所望の周波数が達成されるまで相応に修正することができる。しかし、まず、発振システム、特に光導波路がその長さに関して任意に形成されることも可能である。それに続いて、クロック制御された光信号もしくは電気信号の周波数を決定するために、形成された発振システムを測定することができる。したがって、有用信号発生装置を、特定の周波数を考慮して、特定の周波数にもとづいて有用信号を生成するように設定することができる。例えば、パルス計数器を含む有用信号発生装置の場合、パルス計数器によって計数された電気信号と比較するための所定の計数値を電気信号の特定の周波数にもとづいて設定することができる。
【0043】
殊に、受光器はフォトダイオードを含むことができる。フォトダイオードは、クロック制御された光信号を電気信号に変換するように設定されている。その場合、電気信号は有利には電流信号である。
【0044】
送光器は、有利には、光パルスを、光導波路を通して送るように設定されている。光導波路の長さにより、送光器から受光器の方向に伝搬する光パルスは、これが受光器に到着するまで特定の時間を必要とする。受光器によって、光パルスが電流パルスに変換される。次いで、電流パルスが送光器に転送される。電流パルスから、発振システムの所定の発振周波数を導出することができる。このプロセスは、1秒あたり特定回数繰り返される。1秒あたりの繰り返し回数は、光導波路の所定の長さによって決まる。例えば、光導波路の所定の長さが約20mの場合、プロセスは1秒あたり1000万回繰り返される。したがって、上記の発振システムとして形成されたクロック発生器については10MHzの発振周波数が生じる。
【0045】
さらに好ましくは、発振システムは、送光器と受光器との間に配置されており、電気信号、特に電流パルスを増幅するように設定された増幅器を有することができる。この場合、殊に、電気信号、特に電流パルスの周波数は、増幅器と送光器との間で取り出すことができる。この場合、この周波数は、発振システム(クロック発生器)の所定の発振周波数に相当する。
【0046】
さらに、発振システムは、殊に送光器と増幅器との間に配置されており、電気信号、特に電流パルスを処理する(aufzubereiten)ように設定された信号調整装置を有することができる。次いで、この電気信号、特に電流パルスが送光器に転送される。そこから、新たな光パルスが光導波路に送られる。この場合、電気信号、特に電流パルスの周波数を、殊に信号調整装置と送光器との間で取り出すことができる。その場合、この周波数は発振システムの所定の発振周波数に相当する。
【0047】
上記の有用信号を生成するために、電子的有用信号発生装置は、有利にはパルス計数器(バイナリ計数器)(のみ)を含むことができる。その場合、パルス計数器は、クロック発生器のクロック信号を計数するように設定されている。パルス計数器は、クロック発生器の所定の発振周波数にプログラミングされている。
【0048】
クロック発生器が圧電水晶振動子である場合、圧電水晶振動子を提供するために、まず、未加工水晶振動子が任意に研磨され、その発振周波数が測定され得る。次いで、パルス計数器が正確にこの発振周波数にプログラミングされ、すなわち、パルス計数器の所定の計数値は、測定された発振周波数にもとづいて設定されるということである。しかし、未加工水晶振動子が所定の発振周波数に研磨されることも可能である。この場合もパルス計数器は、所定の発振周波数にもとづいてプログラミングされる。
【0049】
さらに、上記の有用信号を生成するために、クロック発生アセンブリが有利には分周器(のみ)を含むことができる。分周器は、クロック発生器の所定の発振周波数を分割する、もしくは半分にするにように設定されている。その場合、所定の発振周波数は、特に、例えば524288Hzまたは1048576Hzなどの2の倍数、特に2の冪数に相当する。その場合、分周器によって、所定の発振周波数を有利には1Hzに、または例えば8Hzなどの別の周波数に分周する(herunterbrechen)ことができる。分周された発振周波数は、電気機械的装置を動かすことができる有用信号に相当する。例えば8Hzの有用信号の場合、1秒あたり8回行われる秒針のジャンプが観察者によって「ジャンプ」と知覚されないということに言及しておく。
【0050】
本発明の範囲内で、パルス計数器または分周器という用語とともに使用される「のみ」という概念は、クロック発生器の所定の発振周波数にもとづいて有用信号を生成するために、特に、有用信号発生装置に2種類の電子的コンポーネントのうちの1つのみ、すなわちパルス計数器のみか、または分周器のみが設けられているということを意味する。
【0051】
しかし、有用信号を生成するために分周器をパルス計数器と組み合わせることも可能である。換言すると、これは、クロック発生アセンブリが有用信号を生成するために、分周器とパルス計数器の両方を含むことができるということを意味する。その場合、分周器は、有利には、パルス計数器の前に信号技術的に配置されている。有利には、クロック発生器の所定の発振周波数を、第1のステップにおいて、中間周波数を達成するために分周器によって半分にすることができ、特に数回にわたって半分にすることが可能である。第2のステップにおいて、中間周波数を所望の周波数もしくは有用周波数にすることができる。所定の発振周波数を半分にする、特に数回にわたって半分にするという手法は、第1のステップにおいて中間周波数を達成するため、および第2のステップにおいて中間周波数を所望の周波数に減数する(Herunterzaehlung)するために、例えば8.88MHzまたは10MHzなどの高い発振周波数のクロック発生器を有する時計では特に有利である。したがって、発振周波数の簡単な減数に対して電気を節約することができる。
【0052】
さらに、電子的有用信号発生装置は、好ましくは出力装置を含むことができる。出力装置は、パルス計数器のみを含む電子的有用信号発生装置の場合、有利には、クロック発生器の計数されたクロック信号の計数値が所定の計数値と等しい場合に有用信号を出力するように設定されている。分周器のみを含む電子的有用信号発生器の場合、出力装置は、有利には、分周器の出力信号にもとづいて有用信号を出力するように設定されている。パルス計数器と分周器とを含む電子的有用信号発生装置の場合、出力装置は、有利には、クロック発生器の計数されたクロック信号の計数値が所定の計数値と等しい場合に有用信号を出力するように設定されている。この場合、所定の計数値は、有利には分周器によって達成された中間周波数にもとづいて設定される。
【0053】
パルス計数器と出力装置または分周器と出力装置とはそれぞれユニットとして形成できるということに言及しておく。
【0054】
出力装置によって出力された有用信号は、電気機械的装置を動かすことができる有用信号である。
【0055】
その場合、電気機械的装置は、殊に、駆動ゼンマイの張力がなくなると電気機械的装置が歯車機構を駆動するよう動くように設定されている。それによって運動エネルギーが電気機械的装置から歯車機構へ流れ、電気機械的装置が歯車機構を駆動する。電気機械的装置によるこのリザーブ駆動(Reserve-Antrieb)は、有用信号に対応してクロック制御されて行われる。したがって、時計の長いパワーリザーブ(Gangreserve)を可能にすることができる。
【0056】
時計が自動巻上げを備えた時計として形成されている場合、時計において、有利には、歯車機構および/または脱進機、特に脱進車から駆動装置を切り離すための装置が設けられている。それによって、電気機械的装置が歯車機構を駆動する場合に電気機械的装置によって駆動ゼンマイが巻き上げられることを防ぐことができる。
【0057】
脱進機を備えた時計の場合、電気機械的装置は、殊に、駆動ゼンマイの張力がなくなると電気機械的装置が脱進機を、脱進機が歯車機構を駆動するよう動かすように、動くように設定されている。これをアンカー脱進機として形成された脱進機を備えた時計において実現するためには、良好にバランスのとれた作用角(Anstellwinkel)と脱進機のアンカー(脱進片)の2つのフォーク部の形態と脱進車の歯の作用角および形状が必要である。
【0058】
電気機械的装置がステップモータとして形成されている場合、ステップモータは、殊に、駆動ゼンマイの張力がなくなるとステップモータが歯車機構を駆動するように動くよう設定されている。
【0059】
さらに、時計は、好ましくは電子的クロック発生アセンブリに電気エネルギーによる電力供給をするための電力供給装置を備える。
【0060】
電力供給装置が蓄電池として形成されることが特に好ましい。
【0061】
時計は、好ましくは蓄電池を充電するように設定されたエネルギーハーベスティング装置を有する。
【0062】
エネルギーハーベスティング装置は、殊に、少なくとも1つのサーモジェネレータおよび/または少なくとも1つの太陽電池を含むことができる。エネルギーハーベスティング装置は、有利には時計に取り付けられている。例えば、文字盤を太陽電池として形成することができる。太陽電池が半透明の文字盤の下に、または文字盤の下の文字盤の空所の箇所に配置されていることも可能である。少なくとも1つのサーモジェネレータは、例えば腕時計として形成された時計のケース底に取り付けることができ、そこで時計の着用者の皮膚温度と時計の周囲の温度(したがって時計の残り部分の温度)との差から電力を得ることができる。
【0063】
腕時計として形成された時計の場合、少なくとも1つの太陽電池および/または少なくとも1つのサーモジェネレータを時計のアームバンドに組み込むこともできる。例えばサーモジェネレータとして機能する繊維がある。したがって、蓄電池に電力を提供するためにアームバンドをそのような繊維アームバンドとして形成することができる。
【0064】
少なくとも1つのサーモジェネレータは、好ましくはペルチェ要素を含むことができる。
【0065】
さらに、時計は、さらに好ましくは、蓄電池の充電状態を測定するように設定された充電状態測定装置を有することができる。
【0066】
さらに好ましくは、時計は、制御ユニットを備えることができる。その場合、時計は、殊に、駆動ゼンマイの張力がなくなると、電気機械的装置がリザーブ駆動装置として作動し、蓄電池の充電状態が所定の充電状態値より低い場合に電気機械的装置の電力供給を中断するように設定されている。
【0067】
特に自動巻上げを備えた時計の場合、蓄電池による電子的クロック発生アセンブリの電力供給は技術的に有利ではあるが、時計が蓄電池およびエネルギーハーベスティング装置の代わりにバッテリを有することも可能である。
【0068】
時計を、殊に、自動巻上げまたは手動巻上げを備えた時計として形成することができる。時計が自動巻上げを備えた時計である場合、時計は、有利には、駆動ゼンマイ(駆動装置)を巻き上げることができる回転錘(Schwunggewicht)を含む。
【0069】
時計が自動巻上げを備えた時計として形成されている場合、時計は、有利には、腕時計として形成されている。手動巻上げを備えた時計の場合、これを有利には腕時計、床置き時計、卓上置き時計、壁掛け時計、または他の種類の時計として形成することができる。
【0070】
殊に、クロック発生器は、数8のみ、または数8と数0のみを有する値の発振周波数を有することができる。特に発振周波数は、8888Hz、88888Hz、888888Hz、8888888Hz、8kHz、88KHz、888KHz、または8888KHzであり得る。
【0071】
本発明の他の詳細、特徴および利点は、実施例の以下の説明および図から明らかになり、同一、もしくは同一機能の部品にはそれぞれ同じ参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1】本発明の第1の実施例による時計の簡略化した模式図である。
図2】本発明の第1の実施例による時計の一部の模式図である。
図3】本発明の第1の実施例による時計の一部の模式図である。
図4】本発明の第2の実施例による時計の一部の模式図である。
図5】本発明の第3の実施例による(時計)の一部の模式図である。
図6】本発明の第3の実施例による時計の一領域の模式図である。
図7】本発明の第4の実施例による時計の一領域の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
以下に、図1図3を参照しながら本発明の第1の実施例による時計100を詳しく説明する。
【0074】
図1からわかるように、時計100は腕時計として形成されており、したがってアームバンド16のための2つの接続部14を有する。しかし、時計100が壁掛け時計、床置き時計、卓上置き時計、または他のタイプの時計であることも可能である。
【0075】
時計100は、時計ケース11と、これに配置された時計ガラス15を有する。時計100は、1つの文字盤12と、時、分および秒を示すための3つの指針13をさらに有する。指針13は、機械的時刻指示装置102の部品である。
【0076】
さらに、時計100は、クロック発生アセンブリ10と歯車機構104と歯車機構104を駆動するための駆動装置101とを備える。歯車機構104は時刻指示装置102に接続され、それにより時刻指示装置102の指針13が動かされる。特に、歯車機構104は、少なくとも時車、分車および秒車を含み、これらはそれぞれ指針13に接続されている。
【0077】
駆動装置101は、有利には、駆動ゼンマイとして形成されている。駆動ゼンマイを巻き上げる、もしくは巻き締める(Spannen)ために、時計100には巻上げ装置121が設けられている。時計100は、特に自動巻上げを備えた時計として形成されている。その場合、巻上げ装置は、特に回転錘として形成された自動巻上げ装置であり、それにより駆動ゼンマイは、時計100の着用者の手の動きにもとづいて回転錘によって自動的に巻き上げられる。駆動ゼンマイが巻き締められると、駆動ゼンマイは歯車機構104を駆動するために必要なエネルギーを提供する。しかし、時計100が手動巻上げを備えた時計として形成されていることも考えられる。その場合、巻上げ装置121は手動もしくは手で操作可能である。
【0078】
時計100をクロック制御するために用いられるクロック発生アセンブリ10は、圧電水晶振動子として形成されたクロック発生器1を含む。クロック発生アセンブリ10は、クロック発生器1、この事例では圧電水晶振動子の所定の発振周波数にもとづいて有用信号が生成されるようにする。有用信号は、時計100をクロック制御するために使用される。
【0079】
圧電水晶振動子を振動させるために、クロック発生アセンブリ10は、発振回路115をさらに含む。
【0080】
圧電水晶振動子を、特にクォーツ水晶振動子またはトルマリン水晶振動子として形成することができる。
【0081】
一変形形態によれば、圧電水晶振動子は、それぞれ少なくとも1mm、好ましくは少なくとも1.5mmの長さ、幅および高さを有することができる。その場合、圧電水晶振動子を、特にトルマリン水晶振動子として形成することができる。別の変形形態によれば、圧電水晶振動子を、音叉型振動子の形態のクォーツ水晶振動子、特に人工クォーツ水晶振動子として形成することができる。
【0082】
図2から見て取れるように、クロック発生アセンブリ10は、有用信号を生成するために電子的有用信号発生装置116を有する。電子的有用信号発生装置116は、分周器117と出力装置118とを含む。その場合、分周器117は、クロック発生器1の所定の発振周波数を分割する、もしくは半分にするように設定されている。その場合、クロック発生器1の所定の発振周波数は、特に、例えば32768Hz、524288Hzまたは1048576Hzなどの2の冪数に相当する。その場合、分周器117によって、所定の発振周波数を有利には1Hzに、または例えば8Hzなどの別の周波数に分周することができる。分周された発振周波数は有用信号に相当し、その場合、有用信号は出力装置118によって出力され得る。
【0083】
代替的に、電子的有用信号発生装置116は、分周器117の代わりにパルス計数器119を有することができる。この場合、出力装置118は、クロック発生器1の計数されたクロック信号の計数値が所定の計数値と等しい場合に有用信号を出力するように設定されている。
【0084】
しかし、電子的有用信号発生装置116が、互いに接続された分周器117とパルス計数器119とを有することも可能である。このことが図2に鎖線で示されている。この事例では、パルス計数器119は、分周器117の下流に信号技術的に配置されている。これは、分周器117の出力信号がパルス計数器119の入力信号として用いられることを意味する。第1のステップにおいて、中間周波数を達成するためにクロック発生器1の所定の発振周波数を分周器117によって半分に、特に数回にわたって半分にすることができる。第2のステップにおいて、中間周波数を所望の周波数もしくは、例えば1Hzまたは8Hzの有用周波数にすることができる。その場合、出力装置118は、クロック発生器1の計数されたクロック信号の計数値が所定の計数値と等しい場合に有用信号を出力するように設定されている。この場合、所定の計数値は、分周器117によって達成される中間周波数にもとづいて設定される。
【0085】
さらに、クロック発生アセンブリ10は電気機械的装置106を有する。電気機械的装置106は、特に、磁気コア(磁気アンカー)107と磁気コイル108とを含むアクチュエータとして形成されている。この場合、磁気コイル108が磁気コア107と協働する。特に、磁気コイル108は、通電されると磁気コア107を動かすように設定されている。
【0086】
電気機械的装置106は、電子的有用信号発生装置116によって生成された有用信号もしくは出力装置118によって出力された有用信号により動かすことができる。それによって、電気機械的装置106、特に磁気コア107がクロック制御されて歯車機構104に係合する。
【0087】
図2からさらにわかるように、時計100は、クロック発生アセンブリ10、特に電気機械的装置106と歯車機構104との間に配置された脱進機105をさらに有する。それにより、電気機械的装置106、特に磁気コア107が脱進機105を介して間接的に歯車機構104に係合する。電気機械的装置106によって脱進機105を駆動可能である。
【0088】
特に、電気機械的装置106は、歯車機構104の停止と再度解放とを交互に行うために、脱進するべく歯車機構104に間接的に係合する。
【0089】
図2および図3から、脱進機105が脱進車109と脱進片110とを含み、特にアンカー脱進機として形成されていることが見て取れる。その場合、脱進車109は歯車機構104と係合しており、その動きによって磁気コア107が脱進片110と係合できる。特に、脱進片110は磁気コア107によって駆動可能である。
【0090】
特に、磁気コイル108は有用信号の周期で磁界を作ったり消したりし、それによって磁気コア107も有用信号の周期で往復運動する。その場合、運動する磁気コア107は、脱進片110に係合し、それにより機械時計の一般的なテンプの代わりをする。
【0091】
発振回路115、電子的有用信号発生装置116および電気機械的装置106に電力供給するために、時計100は蓄電池として形成された電力供給装置103を装備している。蓄電池は、エネルギーハーベスティング装置120によって充電され得る。
【0092】
エネルギーハーベスティング装置120は、殊に、少なくとも1つのサーモジェネレータおよび/または少なくとも1つの太陽電池を含むことができる。サーモジェネレータは、特にペルチェ素子を有することができる。
【0093】
例えば、文字盤12を太陽電池として形成することができる。太陽電池を文字盤12の下に配置することも可能である。その場合、太陽電池を配置する文字盤12の箇所が半透明にされるか、または空所を設ける必要がある。時計100にサーモジェネレータが設けられる場合、これを、殊に、時計100の時計ケース底に取り付けることができる。それにより、サーモジェネレータは、時計100の着用者の皮膚温度と時計の周囲の温度(したがって時計の残り部分の温度)との差から電力を得ることができる。少なくとも1つの太陽電池および/または少なくとも1つのサーモジェネレータを時計100のアームバンド16に組み込むことも可能である。
【0094】
駆動ゼンマイが歯車機構104を駆動するために必要なエネルギーを提供する時計100の通常動作において、まず、圧電水晶振動子が発振回路115によって所定の発振周波数で発振させられる。
【0095】
この発振周波数にもとづいて、有用信号発生装置116は、その形態に応じて分周器117、パルス計数器119、またはこれらの組み合わせによって有用周波数を有する有用信号を生成する。その場合、所望の周期の有用信号が電気機械的装置106に送出される。それによって電気機械的装置106は、有用信号出力の時点に電気機械的装置106が脱進片110を動かすことにより、脱進機105をコントロールすることができる。脱進機のクロック発生器1の発振周波数にもとづいて周波数制御されたコントロールをすることによって、歯車機構104をクロック制御することができる。
【0096】
時計100において、蓄電池の充電状態を測定するように設定された充電状態測定装置122がさらに設けられている。さらに、時計100は、殊に電子的クロック発生アセンブリ10を制御するように設定された制御ユニット123を有する。
【0097】
駆動ゼンマイ(駆動装置101)の張力がなくなると、電気機械的装置106、特に磁気コア107が歯車機構104を駆動するように動くように、電気機械的装置106を設定することができる。それにより、駆動ゼンマイが必要な機械エネルギーを提供できなくなった場合でも時計100が動作し続けることを確保することができる。例えば、時計100が、例えば夜間に数時間使用されず、自動巻上げ装置121によって駆動ゼンマイを巻き締めされることができない場合がこれに当てはまる。そのために、時計100に、殊に駆動ゼンマイを脱進機109および歯車機構104から切り離すための装置を設けることができる。
【0098】
充電状態測定装置122によって測定された蓄電池の充電状態が所定の充電状態値より低い場合、制御装置122は、電気機械的装置106の電力供給を中断するように設定されている。それにより蓄電池の完全な放電を回避することができる。換言すると、電気機械的装置106の電力供給は、蓄電池が特定の最低エネルギーレベルになると、時計100の動きによって駆動ゼンマイが再び巻き締めされるまで中断される。そうでなければ蓄電池が完全に空になり、それにより時計100を再び使用開始する場合に電気機械的装置106がすぐには動作できないか、もしくは圧電水晶振動子の発振プロセスが始まらない可能性がある。
【0099】
本発明によって、クォーツ時計と全く同じ正確さで、同時に自動時計のように駆動される時計100が提供される。換言すると、時計100は、クロック(Taktung)の制御が圧電水晶振動子の発振周波数によって行われ、歯車機構104の駆動が駆動ゼンマイによって行われるハイブリッド時計である。蓄電池が電気で機能する時計100のコンポーネントに供給し、かつエネルギーハーベスティング装置120によって充電可能であることにより、時計100は、高いパワーリザーブをさらに有する。
【0100】
図4は、本発明の第2の実施例による時計100に関連する。
【0101】
第2の実施例による時計100は、クロック発生アセンブリ10の形成、特にクロック発生器1の形成という点で第1の実施例による時計100とは異なる。
【0102】
第2の実施例による時計100において、クロック発生器1は光導波路126と、クロック制御された光信号を光導波路126に導入するための送光器124と、光信号を受信して電気信号を生成するための受光器125とを含む発振システムとして形成されている。送光器124は、光導波路126を介して受光器125に接続されている。
【0103】
電子的有用信号発生装置116は、電気信号の周波数にもとづいて時計100をクロック制御することができる有用信号を生成するように設定されている。
【0104】
特に半導体レーザとして形成された送光器124は、特に、光パルス(クロック制御された光信号)を、光導波路126を通して送るように設定されている。その場合、受光器125は、光パルスを受信してこれを電流パルス(電気信号)に変換するように設定されている。
【0105】
さらに、発振システムは、(電気的)増幅器127と信号調整装置128とを含む。増幅器127は、送光器124と受光器125との間に配置されており、受光器125によって生成された電流パルスを増幅するように設定されている。信号調整装置128は、送光器124と増幅器127との間に配置されており、電流パルスを処理して送光器124に送るように設定されている。
【0106】
図4から、送光器124と光導波路126と受光器125と増幅器127と信号調整装置128によって、時計100のクロック発生器1に相当する回路が形成されていることが見て取れる。
【0107】
クロック発生器1の発振周波数を生成するために、まず、送光器124から光パルスが光導波路126を通して送られる。光導波路126の長さにもとづいて、送光器124から受光器125の方向に伝搬する光パルスは、これが受光器125に到着するまで特定の時間を必要とする。換言すると、この時間は光導波路126の所定の長さによって予め与えられる。光パルスは、受光器125により電流パルスに変換され、増幅器127に転送される。増幅器は電流パルスを増幅し、これをさらに信号調整装置128に送る。そこで、電流パルスが処理され、送光器124に転送される。そこから新たな光パルスが光導波路126に送られる。
【0108】
このプロセスが1秒あたり特定回数繰り返される。1秒あたりの繰り返し回数は光導波路126の長さによって決まる。長さが約20mの場合、プロセスは1秒あたり1000万回繰り返される。それによりクロック発生器1の発振周波数が10MHzになり、この発振周波数を信号調整装置128と送光器124との間で取り出すことができる。
【0109】
時計100をクロック制御することができる有用信号を生成するために、発振周波数を有する信号を分周器117および/またはパルス計数器119に転送することができる。そこで発振周波数を、例えば1Hzまたは8Hzなど、所望の有用信号の周波数に分周することができる。次いで、有用信号の周波数が出力装置118に転送される。そこで、電気機械的装置106、特に磁気コア107に運動を行わせる強い有用信号が出力される。磁気コア107のこの運動は脱進機105の脱進片110を動かし、それにより時計100の歯車機構104をクロック制御する。歯車機構104の駆動のためのエネルギーを脱進機105の脱進車109が駆動ゼンマイ(駆動装置101)によって受け取り、駆動ゼンマイもまた巻上げ装置121によって巻き上げられる。
【0110】
それにより時計100の歯車機構104が駆動ゼンマイによって駆動されるが、発振システムとして形成されたクロック発生器1の発振周波数によって時間的にクロック制御される。
【0111】
したがって、第2の実施例による時計100には、上記の光で作動する発振システムの正確さがあるが、それでもこれは機械的ムーブメントを有する時計である。コンポーネントが発振周波数の生成、発振周波数にもとづいた有用信号の生成、および有用信号による脱進機105の操作を担うクロック発生アセンブリ10のための電気は、エネルギーハーベスティング装置120により充電される蓄電池が提供する。
【0112】
図5および図6は、本発明の第3の実施例による時計100に関連する。
【0113】
第3の実施例による時計100は、第3の実施例による時計100では電気機械的装置106がクロック制御されて歯車機構104に直接係合するという点で第1の実施例による時計100とは異なる。換言すると、第3の実施例による時計100には脱進機が設けられていない。これは、クロック発生アセンブリ10が一般的な機械時計の一般的なテンプと一般的な脱進機との組み合わせに代わることを意味する。
【0114】
特に、電気機械的装置は、歯車機構104の停止と再度解放とを交互に行うために、脱進するべく歯車機構104に直接係合する。
【0115】
電気機械的装置106は、第3の実施例による時計100の場合も、磁気アンカー107と磁気コイル108とを含むアクチュエータとして形成されている。
【0116】
したがって、この場合、磁気アンカー107はクロック制御されて歯車機構104に直接係合する。
【0117】
しかし、電気機械的装置106が、クロック制御されて歯車機構104に直接係合するステップモータとして形成されていることも可能である。
【0118】
この実施例による時計100の記載される特殊性を除いて、この実施例の動作原理は、基本的に、第1の実施例による時計100の動作原理に相当する。しかし、その場合、電気機械的装置106は、脱進機ではなく、歯車機構104を直接コントロールし、したがって歯車機構がクロック制御される。
【0119】
図7は、本発明の第4の実施例による時計100に関連する。
【0120】
第4の実施例による時計100は、第4の実施例による時計100では、電気機械的装置106がクロック制御されて歯車機構104に直接係合するという点で第2の実施例による時計100とは異なる。これは、第3の実施例による時計100の場合のように、ここではクロック発生アセンブリ10が機械時計の一般的なテンプと一般的な脱進機との組み合わせに代わることを意味する。
【0121】
電気機械的装置106は、第4の実施例による時計100の場合も、磁気アンカー107と磁気コイル108とを含むアクチュエータとして形成されている。したがって、磁気アンカー107は、クロック制御されて歯車機構104に直接係合する。
【0122】
代替的に、電気機械的装置106をステップモータとして形成することができ、その場合、ステップモータはクロック制御されて歯車機構104に直接係合する。
【0123】
この実施例による時計100の記載された特殊性を除いて、その動作原理は、第2の実施例による時計100の動作原理に相当する。しかしその場合、電気機械的装置106は、脱進機ではなく、歯車機構104を直接コントロールし、したがって歯車機構がクロック制御される。
【0124】
本発明の上記の説明の他に、開示を補完するために図1図7における本発明の図面が明示的に参照される。
【符号の説明】
【0125】
1 クロック発生器
10 クロック発生アセンブリ
11 時計ケース
12 文字盤
13 指針
14 接続部
15 時計ガラス
16 アームバンド
100 時計
101 駆動装置
102 時刻指示装置
103 電力供給装置
104 歯車機構
105 脱進機
106 電気機械的装置
107 磁気コア
108 磁気コイル
109 脱進車
110 脱進片
115 発振回路
116 電子的有用信号発生装置
117 分周器
118 出力装置
119 パルス計数器
120 エネルギーハーベスティング装置
121 巻上げ装置
122 充電状態測定装置
123 制御ユニット
124 送光器
125 受光器
126 光導波路
127 増幅器
128 信号調整装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-02-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計(100)であって、
クロック発生器(1)、電子的有用信号発生装置(116)および電気機械的装置(106)を有するクロック発生アセンブリ(10)と、
歯車機構(104)と、
前記歯車機構(104)を駆動するための駆動装置(101)と、
前記歯車機構(104)に接続された時刻指示装置(102)と、を備え、
前記クロック発生器(1)が所定の発振周波数を有し、
前記電子的有用信号発生装置(116)は、前記クロック発生器(1)の前記発振周波数にもとづいて有用信号を生成するように設定されており、
前記電子的有用信号発生装置(116)により生成された有用信号によって前記電気機械的装置(106)を動かすことができ、それにより前記電気機械的装置(106)がクロック制御されて前記歯車機構(104)に直接または間接的に係合し、
前記歯車機構(104)によって前記時刻指示装置(102)を動かすことができる、時計。
【請求項2】
前記電気機械的装置(106)が前記歯車機構(104)に間接的に係合し、そのために、前記時計(100)が脱進機(105)を含み、前記脱進機は前記歯車機構(104)に係合し、かつ前記電気機械的装置により駆動可能である、請求項1に記載の時計。
【請求項3】
前記電気機械的装置(106)がアクチュエータとして形成されている、請求項1または2に記載の時計。
【請求項4】
前記アクチュエータは、磁気アンカー(107)と磁気コイル(108)とを有し、前記磁気コイルは、前記有用信号によって前記磁気アンカー(107)を動かすように設定されている、請求項3に記載の時計。
【請求項5】
前記電気機械的装置(106)がステップモータとして形成されている、請求項1または2に記載の時計。
【請求項6】
前記クロック発生器(1)が圧電水晶振動子として形成されており、
殊に、前記圧電水晶振動子が音叉型振動子の形態で形成されており、ならびに/あるいは前記圧電水晶振動子が、それぞれ少なくとも1mm、好ましくは少なくとも1.5mmの長さ、幅および高さを有し、ならびに/あるいは前記圧電水晶振動子が直方体状に形成されている、請求項1または2に記載の時計。
【請求項7】
前記圧電水晶振動子がクォーツ水晶振動子またはトルマリン水晶振動子である、請求項6に記載の時計。
【請求項8】
前記クロック発生器(1)は、光導波路(126)と、前記光導波路(126)にクロック制御された光信号を導入するための送光器(124)と、前記光信号を受信し、前記受信した光信号にもとづいて電気信号を生成するための受光器(125)とを含む発振システムとして形成され、前記電子的有用信号発生装置(116)は、前記電気信号の周波数にもとづいて前記有用信号を生成するように設定されている、請求項1または2に記載の時計。
【請求項9】
前記電子的有用信号発生装置(116)は、分周器(117)および/またはパルス計数器(119)を有する、請求項1または2に記載の時計。
【請求項10】
前記クロック発生アセンブリ(10)に電気エネルギーを供給するための蓄電池として形成された電力供給装置(103)と、特に前記蓄電池を充電するように設定されたエネルギーハーベスティング装置とをさらに備える、請求項1または2に記載の時計。
【請求項11】
前記駆動装置(101)が駆動ゼンマイを含み、前記電気機械的装置(106)は、前記駆動ゼンマイの張力がなくなると前記電気機械的装置(106)が前記歯車機構(104)を駆動するように動くよう設定されている、請求項1または2に記載の時計。
【請求項12】
蓄電池の充電状態を測定するように設定された充電状態測定装置(122)と、前記蓄電池の充電状態が所定の充電状態値より低い場合に前記電気機械的装置(106)の電力供給を中断するように設定された制御ユニット(123)とをさらに備える、請求項10に記載の時計。
【請求項13】
前記時計が自動巻上げおよび/または手動巻上げとして形成された巻上げ装置を有する、請求項1または2に記載の時計。
【請求項14】
前記クロック発生器は、数8のみ、または数8と数0のみを有する値の発振周波数を有し、前記発振周波数が、特に8888Hz、88888Hz、888888Hz、8888888Hz、8kHz、88KHz、888KHz、または8888KHzである、請求項1または2に記載の時計。
【国際調査報告】