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特表2024-523931アルギン酸塩/ゼラチンヒドロゲルを硬化する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】アルギン酸塩/ゼラチンヒドロゲルを硬化する方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/20 20060101AFI20240625BHJP
   A61L 27/22 20060101ALI20240625BHJP
   A61L 27/04 20060101ALI20240625BHJP
   A61L 27/38 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A61L27/20
A61L27/22
A61L27/04
A61L27/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579598
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 FR2022051264
(87)【国際公開番号】W WO2022269214
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】2106826
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】521141372
【氏名又は名称】ウニベルシテ クラウデ バーナード リオン 1
(71)【出願人】
【識別番号】518369442
【氏名又は名称】センター ナショナル デ ラ リシェルシェ サイエンティフィック(シーエヌアールエス)
(71)【出願人】
【識別番号】523484345
【氏名又は名称】エコール エスユーピー チミー ピーエイチワイエス エレクトロニク リオン
(71)【出願人】
【識別番号】523484356
【氏名又は名称】ラブ スキン クリエーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】マーケット,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ペティオット,エマ
(72)【発明者】
【氏名】チャスタグニア,ローラ
(72)【発明者】
【氏名】チャーブランク,オードリー
(72)【発明者】
【氏名】ドス サントス,モーガン
(72)【発明者】
【氏名】ザポット,アメリー
(72)【発明者】
【氏名】ゴデット,バプティスト
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AB11
4C081CD04
4C081CD15
4C081CD34
4C081CG08
4C081DA12
(57)【要約】
本発明は、アルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルを硬化する方法であって、特に有利な機械的性質を該ヒドロゲルに与えるために、適切な溶液を用いて該ヒドロゲルを架橋することによる硬化のステップを含む方法に関する。アルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルの構造を硬化するためのこの架橋溶液の使用、およびこの方法により得られたヒドロゲルもまた、本発明の別の態様である。本発明はまた、アルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルを硬化する方法であって、ヒドロゲルを調製すること、それを成形すること、その後、ヒドロゲルを適切な硬化剤と接触させることを含む方法にも関する。この方法により得られたヒドロゲルもまた、本発明の別の態様である。本発明のこれらの態様全てにおいて、ヒドロゲルは、フィブリノーゲンおよび/または生存細胞をさらに含み得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルを硬化する方法であって、前記ヒドロゲルを調製すること、および次に前記ヒドロゲルを、少なくとも1種の二価カチオン、好ましくはカルシウムと、トランスグルタミナーゼと、場合により1種または複数の他の二価カチオンとを含む硬化溶液と接触させることを含む、方法。
【請求項2】
前記ヒドロゲルと前記硬化溶液との前記接触が、前記硬化溶液への前記ヒドロゲルの浸漬、好ましくは前記ヒドロゲルの全体の浸漬により、または前記ヒドロゲルに前記硬化溶液を噴霧することにより、実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記二価カチオン(複数可)が、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記ヒドロゲルが、0.5~3%のアルギン酸塩および1~17.5%のゼラチンを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ヒドロゲルが、フィブリノーゲンをさらに含むこと、および前記硬化溶液が、トロンビンをさらに含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ヒドロゲルが、2%までのフィブリノーゲンを含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記硬化溶液が:
- 0.003~30%の二価カチオンと、
- 0.004~16%のトランスグルタミナーゼと、場合により
- 2~25U/mlのトロンビンと、
を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ヒドロゲルが、その硬化の前のヒドロゲル調製の際に組み込まれる生存細胞をさらに含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記硬化溶液との前記接触が、
- 15~40℃の範囲内の温度で、および/または
- 30分~6時間の範囲内の期間に、
実行されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ヒドロゲルが、その硬化の前に成形され、優先的には前記成形が、材料の押出しにより実行され、より優先的には前記成形が、モールディングにより、または積層造形技術により実行されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
アルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルを硬化するための、二価カチオン、好ましくはカルシウムと、トランスグルタミナーゼと、場合により1種または複数の他の二価カチオンとを含む溶液の使用。
【請求項12】
ヒト対象に埋め込まれることが意図される、硬化されたアルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルであって、請求項1~11のいずれか1項に記載の硬化方法により得ることができる、ヒドロゲル。
【請求項13】
アルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルを硬化する方法であって、以下のステップ:
- 前記ヒドロゲルの調製のステップ、
- 前記ヒドロゲルを成形するステップ、
- 前記ヒドロゲルを、少なくとも1種の二価カチオン、好ましくはカルシウム、およびトランスグルタミナーゼ、ならびに場合により1種または複数の他の二価カチオンと接触させるステップ
を順序どおり含む、方法。
【請求項14】
前記ヒドロゲルの調製が、前記ヒドロゲルの前記調製の前に1種または複数の成分の成形を必要としないことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ヒドロゲルの調製が、繊維の添加を必要としないことを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記二価カチオン(複数可)が、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムを含む群から選択されることを特徴とする、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
ヒト対象において埋め込まれることが意図される、硬化されたアルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルであって、請求項13~16のいずれか1項に記載の硬化方法により得ることができる、ヒドロゲル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般には材料の製造の分野に関し、詳細には生体材料または生体適合性材料に関する。
【0002】
本発明は、アルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルを硬化する方法であって、特に有利な機械的性質をヒドロゲルに与えるために、適切な溶液を用いてヒドロゲルを架橋することによる硬化のステップを含む方法に関する。アルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルの構造を硬化するためのこの架橋溶液の使用はまた、本発明の別の態様も構成する。この方法により得られたヒドロゲルもまた、本発明の別の態様である。
【0003】
本発明はまた、アルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルを硬化する方法であって、ヒドロゲルを調製すること、それを成形すること、およびその後、ヒドロゲルを少なくとも1種の二価カチオン、好ましくはカルシウム、およびトランスグルタミナーゼと接触させることを含む方法にも関する。この方法により得られたヒドロゲルもまた、本発明の別の態様である。
【0004】
本発明の全ての態様において、ヒドロゲルは、フィブリノーゲンおよび/または生存細胞をさらに含んでもよい。
【背景技術】
【0005】
発明の背景
アルギン酸塩とゼラチンとを含む、ヒドロゲルに基づく構造は、先行技術から公知であるが、これらの構成要素の弾性が限定的である(特に、低いヤング率)ことが多いため十分な機械的強度を欠き、得られた構造の取扱いを難しくする。
【0006】
W02017115056号の番号で発行された国際特許出願は、アルギン酸塩、ゼラチンおよびフィブリノーゲンを含み、その後、カルシウムおよびトロンビンを含有する架橋溶液で処置した、ヒドロゲルに基づく身体代用品の製造を記載する。
【0007】
それにもかかわらず先行技術で得られた構造の機械的性質は、操作されるのに適したものにするには依然として不十分である。加えて、ヒトまたは動物の体内に埋め込まれて、必要に応じて縫合されることが意図される構造の場合、先行技術の方法では、適切な機械的性質を有する構造を得ることが可能ではなく、生存細胞または組織との接触によるその分解が、それほど急速でない。
【0008】
その上、構造が、製造の際に細胞化される可能性がある場合、細胞の生存を維持することができることが必要である。したがって、そのような構造を調製する方法は、生存する細胞の存在およびその生存維持との適合性がなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
概要
本発明の目的の1つは、先行技術のこれらの欠点を克服すること、ならびに特に(i)構成要素の機械的強度、(ii)経時的安定性、(iii)可撓性、(iv)引き裂き抵抗および衝撃抵抗、(v)細胞による定着に関して、特に有利で革新的な特徴を有する、細胞化されたまたは細胞化されていないヒドロゲルを生成することを可能にすることである。
【0010】
この目的のために、本発明の第一の実施形態により、アルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルを硬化する方法であって、ヒドロゲルを調製すること、次にそれを、少なくとも1種の二価カチオン、優先的にはカルシウムと、トランスグルタミナーゼと、場合により1種または複数の他の二価カチオンとを含む硬化溶液と接触させることを含む方法を提供することが提唱される。
【0011】
場合により、ヒドロゲルが、アルギン酸塩およびゼラチンに加えて、フィブリノーゲンを含有するならば、硬化溶液は、トロンビンも含有し得る。その上、硬化ステップは、ヒドロゲルが生存細胞を含有し得るという事実と適合性である。
【0012】
本発明の別の態様によれば、アルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルの構造を硬化するための先に記載された溶液の使用が記載され、この溶液は、ヒトまたは動物の体内に埋め込まれることが意図されるヒドロゲル、即ち、体内インプラントを調製する場合に特別な利点を有する。
【0013】
この使用はまた、フィブリノーゲンをさらに含むヒドロゲルを硬化するためにも用いられ得る。その上、硬化はまた、生存細胞をさらに含むヒドロゲルでも実行することができる。
【0014】
要約すると、本発明は、アルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルを硬化する方法であって、ヒドロゲルを調製すること、それを、少なくとも1種の二価カチオン、優先的にはカルシウムと、トランスグルタミナーゼと、場合により1種または複数の他の二価カチオンとを含む硬化溶液と接触させることを含む方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
好ましくは、ヒドロゲルと硬化溶液との接触は、硬化溶液中のヒドロゲルの浸漬、好ましくはヒドロゲルの全体の浸漬により、またはヒドロゲルに硬化溶液を噴霧することにより、実行される。
【0016】
好ましくは二価カチオン(複数可)は、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムを含む群から選択される。
【0017】
好ましくはヒドロゲルは、0.5~3%のアルギン酸塩および1~17.5%のゼラチンを含む。
【0018】
好ましくはヒドロゲルは、フィブリノーゲンをさらに含み、その場合、硬化溶液は、トロンビンをさらに含む。
【0019】
好ましくはヒドロゲルは、2%までのフィブリノーゲンを含む。
【0020】
好ましくは硬化溶液は:
- 0.003~30%の二価カチオンと、
- 0.004~16%のトランスグルタミナーゼと、場合により
- 2~25U/mlのトロンビンと
を含む。
【0021】
好ましくはヒドロゲルは、その硬化の前のヒドロゲル調製の際に組み込まれる生存細胞をさらに含む。
【0022】
好ましくは硬化溶液との接触は、
- 15~40℃の範囲内の温度で、および/または
- 30分~6時間の範囲内の期間で
実行される。
【0023】
好ましくはヒドロゲルは、その硬化の前に成形され、優先的には前記成形は、材料の押出しにより行われ、さらにより優先的には前記成形は、モールディングにより、または積層造形技術により行われる。
【0024】
別の態様によれば、本発明はまた、アルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルを硬化するための、二価カチオン、好ましくはカルシウムと、トランスグルタミナーゼと、場合により1種または複数の他の二価カチオンとを含む溶液の使用にも関する。
【0025】
別の態様によれば、本発明はまた、ヒト対象に埋め込まれることが意図される、硬化されたアルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルであって、以前に記載された硬化方法により得ることができるヒドロゲルに関する。
【0026】
本発明の第二の実施形態によれば、アルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルを硬化する方法であって、以下のステップ:
- ヒドロゲルの調製のステップ、
- 調製されたヒドロゲルを成形するステップ、
- ヒドロゲルを、少なくとも1種の二価カチオン、好ましくはカルシウム、およびトランスグルタミナーゼ、ならびに場合により1種または複数の他の二価カチオンと接触させるステップ
を順序どおり含む方法を提供することも提唱される。
【0027】
好ましくは前記ヒドロゲルの調製は、ヒドロゲルの調製の前に1種または複数の成分の成形を必要としない。
【0028】
好ましくは前記ヒドロゲルの調製は、繊維の添加を必要としない。
【0029】
好ましくは二価カチオン(複数可)は、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムを含む群から選択される。
【0030】
別の態様によれば、本発明は、ヒト対象において埋め込まれることが意図される、硬化されたアルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルであって、以前に記載された硬化方法により得ることができるヒドロゲルに関する。
【0031】
定義
本発明において、以下の用語は、以下のとおり定義される:
- 本発明の文脈における「架橋剤」は、ヒドロゲルの成分、特にアルギン酸塩、ゼラチン、およびフィブリノーゲンを架橋することが可能な薬剤を指す。
- 本発明の文脈における「同時」は、同じ時間に起こる事象を指す。したがってヒドロゲルとカルシウムおよびトランスグルタミナーゼとの同時接触は、アルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルが、同じ時間にカルシウムおよびトランスグルタミナーゼと接触し、こうしてアルギン酸塩とゼラチンとの同時架橋を可能にすることを意味する。
- 本発明の文脈における「繊維」は、糸状の外観、一般には束の形態の任意の要素を指す。繊維の例を、以下に与える。
- 本発明の文脈における「形状」は、成形された要素に特別な形状、構造および/または構成を与えることにある。それが、ヒドロゲルの成形である場合、これは、例えばヒドロゲルに、硬化されたヒドロゲルの最終目標に特に適した特定の形状、構造および/または構成を与えることにある。それが、調製の際のヒドロゲルの1種または複数の成分の成形である場合、これは例えば、ヒドロゲル調製の際に、それらの成分に繊維の形態の構造などの特定の構造を与えることにある。
- 本発明の文脈における「架橋すること」または「硬化する」は、等価の用語であり、アルギン酸塩、ゼラチンおよび/またはフィブリノーゲンを架橋することにより、ヒドロゲルを硬化するという事実を示す。
- 本発明の文脈における「連続する」は、同じ時間に起こらない事象を指す。したがって、ヒドロゲルとカルシウムおよびトランスグルタミナーゼとの連続する接触は、ヒドロゲルがカルシウムと接触し、その後トランスグルタミナーゼと接触するか、またはトランスグルタミナーゼと接触し、その後カルシウムと接触することを意味する。
- 本発明の文脈における「硬化溶液」または「架橋溶液」は、等価の用語であり、架橋によりヒドロゲルを硬化するために本発明による方法で用いられる溶液を指す。
【0032】
詳細な説明
本発明は、細胞化されたまたは細胞化されていない、アルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルを調製する方法を提供する。少なくとも1種の二価カチオン、好ましくはカルシウム、およびトランスグルタミナーゼを用いてヒドロゲル構成要素を架橋することにより、ヒドロゲルの構造が、硬化されて、ヒドロゲルに、特に構成要素の機械的強度、経時的安定性、ならびに顕著な引き裂き抵抗および衝撃抵抗に関して、特に有利な機械的特性を与える。
【0033】
第一の実施形態によれば、本発明は、アルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルを硬化する方法であって、ヒドロゲルを調製すること、その後にヒドロゲルを、少なくとも1種の二価カチオン、優先的にはカルシウムと、トランスグルタミナーゼと、場合により1種または複数の他の二価カチオンとを含む硬化溶液と接触させることを含む方法に関する。
【0034】
本発明の文脈では、前記硬化溶液は、代替的であるが等価である方法により得ることができる。硬化溶液は、様々な要素、即ち、少なくとも1種の二価カチオン、好ましくはカルシウム、およびトランスグルタミナーゼ、ならびに場合により1種もしくは複数の他の二価カチオンを同じ溶液中に添加することにより、または少なくとも2種の溶液、つまり少なくとも1種の二価カチオン、好ましくはカルシウムと場合により1種もしくは複数の他の二価カチオンとを含む溶液、および少なくとも1種のトランスグルタミナーゼを含む溶液を混合することにより、得ることができる。
【0035】
アルギン酸塩は、海藻類から、主に褐藻綱の種である褐藻から、抽出される直鎖状多糖類である。この生体適合性ポリマーは、酸である1,4-β-Dマンヌロン酸(M)とそのエピマー酸であるC-5α-Lグルロン酸(G)とのホモポリマーブロックで構成される。このバイオポリマーは、MGブロックの配列が挿入されたMブロック、Gブロックの配列からなる。G単位のみが、重合の際に分子間架橋に関与するように思われる。アルギン酸ナトリウムは、ヒドロゲルとして広く用いられる。
【0036】
ゼラチンは、細胞接着のためのRGD(アルギニン-グリシン-アスパラギン酸)モチーフなどの生物活性配列を含有するコラーゲン由来の高分子である。それは、酸処理(A型ゼラチン)またはアルカリ(B型ゼラチン)を介してコラーゲンの天然の三重らせん構造を変性させることにより、得られる。ゼラチンのアミノ酸組成は、コラーゲンと類似しているが、変性後のコラーゲンのアミノ酸組成と異なる(B型ゼラチン製造工程でのグルタミンからグルタミン酸への脱アミノ化)。ゼラチンの構造は、ゲル化の際に変化する。
【0037】
ヒドロゲルの調製(EM Ahmed; Journal of Advanced Research, 2015, 6, 105-121)、ならびにアルギン酸塩とゼラチンの重合および架橋(Chen Q, Tian X, Fan J, Tong H, Ao Q, Wang X An Alginate/Gelatin Network for Three-Dimensional (3D) Cell Cultures and Organ Bioprinting. Molecules. 2020; 25(3): 756.)は、当該技術分野で周知である。
【0038】
アルギン酸塩に関し、および上述の事柄に基づき、M単位が豊富なアルギン酸塩は、鎖がより直鎖状の構成を有するためより可撓性であるが、より多くのG単位を含有するゲルは、より重合されるためより剛性であろう。本発明の文脈では、用いられるアルギン酸塩は、例えば1~2の間、特に1~1.9の間、または1~1.5の間を含むM/G比を有する。本発明の文脈では、用いられるアルギン酸塩は、例えば1.9のM/G比を有する。
【0039】
好ましくはヒドロゲルに含有されるゼラチンは、A型である。
【0040】
本発明の文脈では、0.5~3%のアルギン酸塩および1~17.5%のゼラチン、より好ましくは1~2.5%のアルギン酸塩および2~10%のゼラチンを含むヒドロゲルを得るために、ヒドロゲルは、好ましくはゼラチン溶液が添加されたアルギン酸塩溶液から、または反対にアルギン酸塩溶液が添加されたゼラチン溶液から、調製される。有利にはヒドロゲルは、2%のアルギン酸塩および5%のゼラチンを含む。
【0041】
他に示されない限り、本明細書で言及されたパーセンテージは、全組成物の質量/体積により表される。
【0042】
好ましくは、硬化されるヒドロゲルが、アルギン酸塩およびゼラチンを含有する場合、これらの構成要素は、それぞれ1:0.3~1:35の範囲内の質量比で、最も特には1:2.5の質量比で存在する。
【0043】
硬化溶液は、好ましくは:
- 0.003~30%の二価カチオン(複数可)と、
- 0.004~16%のトランスグルタミナーゼと、
を含む。
【0044】
より好ましくは硬化溶液は、1~6%の二価カチオン(複数可)、有利には3%の二価カチオン(複数可)を含む。
【0045】
より好ましくは硬化溶液は、1~10%のトランスグルタミナーゼ、有利には4%のトランスグルタミナーゼを含む。
【0046】
トランスグルタミナーゼ酵素(TAG)は、細胞外アミノアシルトランスフェラーゼである。それは、単一のシステイン触媒残基(活性部位)を含むモノマータンパク質である。
【0047】
本発明の文脈では、硬化溶液は、好ましくは2型トランスグルタミナーゼを含有する。このTAGは、微生物ストレプトバーディシリウム・モバレンスの発酵により組換え微生物タンパク質として商業的に生成される。本発明の文脈で用いられる硬化溶液はまた、複数のTAGを含有し得る。
【0048】
任意の他の二価カチオン、好ましくは非毒性二価カチオンを、本発明による方法の文脈で用いることができる。
【0049】
例えば二価カチオン(複数可)は、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、銅、鉄およびニッケルを含む、またはそれらからなる群から選択される。好ましくは二価カチオン(複数可)は、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムを含む、またはそれらからなる群から選択される。好ましくは二価カチオンは、カルシウムであるが、ストロンチウムまたはバリウムであってもよい。
【0050】
混合物中に複数の二価カチオンを使用することも、想定され得る。その上、二価カチオン(複数可)は、硬化溶液中で塩として存在する。任意の塩、好ましくは無水塩を、用いることができる。
【0051】
好ましくは硬化溶液は、二価カチオン、好ましくはカリウムおよびトランスグルタミナーゼのみを含む。有利には、カルシウム以外の1種または複数の二価カチオン(複数可)が存在した場合、それは、好ましくは単一の他の二価カチオン、特にバリウムであろう。
【0052】
好ましくは硬化溶液は、塩化カルシウムを唯一の二価カチオンとして含有する。
【0053】
本発明によれば、ヒドロゲル成分の同時の架橋、即ち、直鎖状ポリマーから三次元ポリマーへの転換は、ヒドロゲル成分を、(i)二価カチオン、好ましくはカルシウムまたは他の二価カチオン(複数可)がアルギン酸塩の架橋を可能にする、および(ii)トランスグルタミナーゼがゼラチンの酵素的架橋を誘導する硬化溶液と接触させることにより実行される。
【0054】
好ましくは、本発明による硬化工程の際、ヒドロゲルと硬化溶液との接触は、浸漬により実行され、その間にヒドロゲルの全体が硬化溶液に浸漬される。それはまた、本明細書において硬化浴(consolidation bath)とも称される。ヒドロゲルと硬化溶液との接触はまた、滴下、細流、または類似のシステムを利用して、吸収膨潤することにより、噴霧することにより、実行され得る。接触は、好ましくはヒドロゲル全体を指す。好ましくはヒドロゲルは、硬化溶液に全体が浸漬される。
【0055】
本発明により硬化されるヒドロゲルは、アルギン酸塩およびゼラチンに加えて、フィブリノーゲンをさらに含んでもよい。
【0056】
フィブリノーゲンモノマーは、中央のEドメインにより連結された3種のα、βおよびγ鎖と、α鎖をEドメインに連結する2つのフィブリノペプチドAおよびB(FpA、FpB)と、の2つの繰返しで構成される。それは、多数の細胞接着モチーフを有し、したがってヒドロゲル内の細胞発達を増加することができる。
【0057】
好ましくは、本発明の方法により硬化するために調製されるヒドロゲルは、アルギン酸塩とゼラチンとで、あるいはアルギン酸とゼラチンとフィブリノーゲンとで構成され、ゲルを形成することが可能な任意の他の構成要素を有さない。
【0058】
好ましくはヒドロゲルが、アルギン酸塩およびゼラチンに加えてフィブリノーゲンを含む場合、それは、6%までのフィブリノーゲン、特に0.0001%~6%のフィブリノーゲン、特に2%のフィブリノーゲンを含有するように調製される。
【0059】
同じく好ましくは、ヒドロゲルが、アルギン酸塩、ゼラチンおよびフィブリノーゲンを含有する場合、これらの構成要素は、それぞれ1:0.3:0.00003~1:35:12の範囲内の質量比、最も特には1:1:2.5の質量比で存在する。
【0060】
ヒドロゲルが、アルギン酸塩およびゼラチンに加えてフィブリノーゲンを含有する場合、本発明による方法で用いられる硬化溶液は、トロンビンをさらに含む、即ち、カルシウムおよびTAG、ならびに場合により1種または複数の他の二価カチオンに加えて、トロンビンを含む。
【0061】
本発明の文脈では、トロンビンをさらに含む前記硬化溶液は、代替的であるが同等の方法により得ることができる。硬化溶液は、異なる要素、即ち少なくとも1種の二価カチオン、優先的にはカルシウム、トランスグルタミナーゼ、トロンビン、および場合により1種もしくは複数の他の二価カチオンを同じ溶液に添加することにより、または少なくとも3種の溶液、つまり少なくとも1種の二価カチオン、好ましくはカルシウムおよび場合により1種もしくは複数の他の二価カチオンを含む溶液と、少なくともトランスグルタミナーゼを含む溶液と、トロンビンを含む溶液とを混合することにより、得ることができる。トロンビンを、少なくとも1種のカチオンを含む溶液またはトランスグルタミナーゼを含む溶液に組み込むことも可能である。この場合、前記硬化溶液は、少なくとも2種の溶液:i)少なくとも1種の二価カチオン、好ましくはカルシウムと場合により1種もしくは複数の他の二価カチオンとトロンビンとを含む溶液と、トランスグルタミナーゼを含む溶液とを混合すること;またはii)少なくとも1種の二価カチオン、好ましくはカルシウムと場合により1種もしくは複数の他の二価カチオンとを含む溶液と、トランスグルタミナーゼとトロンビンを含む溶液とを混合することにより得ることができる。
【0062】
アルギン酸塩とゼラチンとの架橋に関して先に言及されたものに加えて、トロンビンは、この場合フィブリノーゲンと架橋してフィブリンにする。フィブリンは、トロンビンが、フィブリノーゲンに作用すると、凝固カスケードの最終ステップを模倣する重合から得られる天然の生物学的ポリマーである。トロンビンは最初に、フィブリノペプチドAを切断して、プロトフィブリルの形成をもたらす。フィブリノーゲンBの切断は、α鎖の放出、次にフィブリノーゲンの側鎖重合をもたらし、フィブリンを形成する。
【0063】
本発明の方法により硬化されるヒドロゲルが、フィブリノーゲンを含む場合、用いられる硬化溶液は、カルシウムおよびTAG、ならびに場合により他の二価カチオンに加えて、トロンビンを含む。この場合、および好ましくは、硬化溶液は:
- 2~25U/mlのトロンビンと、
- 0.003~30%の二価カチオン(複数可)と、
- 0.004~16%のトランスグルタミナーゼと、
を含む。
【0064】
上記のとおり、より好ましくは硬化溶液は、1~6%の二価カチオン(複数可)、有利には3%の二価カチオン(複数可)を含む。
【0065】
より好ましくは硬化溶液は、1~10%のトランスグルタミナーゼ、有利には4%のトランスグルタミナーゼを含む。
【0066】
より好ましくは、硬化溶液が、トロンビンをさらに含む場合、トロンビンは、好ましくは2~10U/mlで存在する。
【0067】
より好ましくは硬化溶液は、4U/mlのトロンビンと、3%のカルシウムと、4%のトランスグルタミナーゼとを含む。
【0068】
本発明の文脈では、用いられるアルギン酸塩、ゼラチン、および必要に応じて、フィブリノーゲンは、以下と最も類似の特徴を有するものから選択される:
- アルギン酸塩:2%溶液で130~300mPa.sの粘度;
- ゼラチン:A型、ブタ、ブルーム値280(強度または押下げ抵抗(resistance to depression));
- フィブリノーゲン:ヒト、凝固可能なタンパク質レベル≧91mg/mL;
- トロンビン:ヒト、活性≧500U/ml。
【0069】
ヒドロゲルは、有利にはアルギン酸塩、ゼラチン、および場合によりフィブリノーゲンを、ヒドロゲルの天然成分として含有する。
【0070】
しかし、他の天然成分、例えばキチン、キトサン、セルロース、アガロース、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、グリコーゲン、デンプン、プルラン、カラギーナン、へパチン、コラーゲン、アルブミン、フィブリン、フィブロイン、デキストラン、キサンタン、ジェラン、ならびに細胞外マトリックスから抽出される任意の成分、例えばコラーゲン、ラミニン、Matrigel型プロテオグリカン、GelMa型メタクリラートゼラチンが、ヒドロゲル内に存在しても、または存在しなくてもよい。
【0071】
天然成分および特に先に列挙されたものに加えて、本発明のヒドロゲルはまた、合成成分、例えばポリオレフィン類(PE、PP、PTFE、PVC)、シリコーン(PDMS)、ポリアクリラート類(PMMA、pHEMA)、ポリエステル(PET、ダクロン、PGA、PLLA、PLA、PDLA、PDO、PCL)、ポリエーテル類(PEEK、PES)、ポリアミド類、ポリウレタン類、PEG、Pluronic F127を含有しても、または含有しなくてもよい。
【0072】
天然または合成起源の織物繊維が、ヒドロゲル組成物中に存在しても、または存在しなくてもよい。
【0073】
天然起源の繊維の例としては、セルロース繊維が挙げられるが、これに限定されない。
【0074】
合成繊維の例としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、およびアクリル繊維が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
ヒドロゲルは、生存細胞をさらに含んでもよい。
【0076】
本発明の文脈では、前記ヒドロゲルは、アルギン酸塩、ゼラチン、場合によりフィブリノーゲン、および場合により生存細胞を含んでもよい。本発明の文脈では、前記ヒドロゲルは、アルギン酸塩、ゼラチン、場合によりフィブリノーゲン、および場合により生存細胞からなってもよい。
【0077】
これらの生存細胞は、胚の破壊により得られたヒト胚性幹細胞を除く任意の型の細胞であってもよく、好ましくは複数の型の生存細胞が、共存してもよい。生存細胞は、好ましくは上皮組織、結合組織、脂肪組織、内皮組織の細胞から、および特に線維芽細胞、ケラチノサイト、脂肪組織の幹細胞、脂肪細胞、メラノサイト、内皮細胞、マクロファージ、白血球などから選択される。本発明の方法のこの実施では、細胞は、それゆえ、生存性および増殖、ならびに理想的には分化を維持するために当業者が決定することができる条件下で操作される。
【0078】
これらの細胞は、アルギン酸塩、ゼラチン、および場合によりフィブリノーゲン溶液を混合して、ヒドロゲルを調製するその硬化の前のヒドロゲルの調製の間に組み込むことができる。その場合、それは、細胞化ヒドロゲルと称される。それらはまた、硬化溶液に添加されてもよく、またはヒドロゲルの硬化後に添加されてもよい。好ましくは、本発明により硬化されるヒドロゲルは、生存細胞を含み、該細胞は、その硬化の前のヒドロゲルの調製の際に組み込まれる。例えば生存細胞を、フィブリノーゲン溶液に浮遊させることができ、この溶液に、アルギン酸塩およびゼラチンを1つまたは複数のステップで添加し、先に言及されたアルギン酸塩/ゼラチン/フィブリノーゲンの量を含むヒドロゲルを得る。
【0079】
本発明の異なる実施を例示するために、好ましくは以下の順序を用いて、本発明の方法により硬化されるヒドロゲルを調製する:
(i)アルギン酸塩を生存細胞浮遊液に添加し、その後、ゼラチンを添加する;
(ii)アルギン酸塩をフィブリノーゲンに添加し、その後ゼラチンを添加する;
(iii)生存細胞をフィブリノーゲンに浮遊させ、その後アルギン酸塩を添加し、その後ゼラチンを添加する。有利には、順序(iii)を用いて、本発明による細胞化ヒドロゲルを調製する。
【0080】
ヒドロゲルが生存細胞を含まないことも可能であり、それゆえこの場合、無細胞である。
【0081】
これらの特定の順序では、先に言及された構成要素それぞれの範囲の優先性もまた、適用される。構成要素が、アルギン酸塩およびゼラチン、ならびに場合によりフィブリノーゲンおよび/または必要に応じて生存細胞であるかどうかにかかわらず、硬化されるヒドロゲルを単一ステップで、即ち構成要素全てを同じ時間に混合することにより、調製することも可能である。好ましくは、ヒドロゲルを硬化溶液と接触させることにある硬化ステップは、15~40℃、好ましくは20~40℃、さらにより好ましくは21~37℃の範囲内の温度で実行される。
【0082】
好ましくはこの硬化ステップは、10分~6時間の範囲内、優先的には30分~6時間の範囲内、理想的には1時間~3時間の期間で実行される。
【0083】
したがって、好ましくは硬化ステップは、37℃で1時間30分実行される。
【0084】
好ましくはヒドロゲルは、アルギン酸塩とゼラチンとから、またはアルギン酸塩とゼラチンとフィブリノーゲンとからなり、硬化ステップは、37℃で1時間30分実行される。
【0085】
好ましくはヒドロゲルは、アルギン酸塩とゼラチンとから、またはアルギン酸塩とゼラチンントフィブリノーゲンとからなり、硬化ステップは、硬化溶液へのヒドロゲルの37℃で1時間30分の全体の浸漬により実行される。
【0086】
本発明の硬化方法の文脈では、後者は、調製後でその硬化の前にヒドロゲルを成形するステップを含んでもよい。
【0087】
それゆえ、先に詳細に記載されたヒドロゲルは、調製後、容積の構成(特に3D)を可能にする当業者に周知の様々な方法により、特に積層または連続堆積により材料を付加または凝集することにより、硬化の前に成形することができる。したがって先に記載されたヒドロゲルは、積層造形法により得ることができる。
【0088】
本発明者らは、これらの方法のうち、特に射出、押出し、および特にモールディング、または積層造形、特に3Dプリンティングによる方法に言及し得る。したがって、先に記載されたヒドロゲルは、材料の押出しにより、好ましくはモールディング技術により、または積層造形、特に3Dプリンティングにより、得られ得る。
【0089】
特に、アルギン酸塩およびゼラチンのみで構成されたヒドロゲルは、5~45℃の温度で測定した場合に50~6000Pa.sの範囲内の粘度を有し得るため、当業者は、高粘性材料の成形を可能にする方法を選択することに注意を払うであろう。
【0090】
本発明の文脈では、硬化方法により硬化したヒドロゲルは、好ましくは硬化の前に、好ましくは3Dプリンティング技術により成形される。
【0091】
以前に示されたとおり、本発明による方法の実施により、硬化後のヒドロゲルに、ヒトまたは動物の身体に埋め込まれることが意図されるヒドロゲル、即ち体内インプラントの提供に特に適する有利な機械的性質を与えることが可能である。
【0092】
これを行うために、3Dプリンティングを利用してその硬化の前にヒドロゲルを成形することは、その寸法および/または充填率/孔隙率が、体内インプラントを受けることが意図される身体の要件、およびこのレシピエント生物で担うべき役割/機能に関して定義される、特注構造のヒドロゲルを調製することができるという利点を提供する。実際に、インプラントの孔隙率は、交換および/または増強される組織または臓器に応じて調整される重大なパラメータである。孔隙率は、インプラント中に存在する空洞を反映し、ほとんどの材料を提供するように適合させることができ、こうして移植区分の本来の組織に可能な限り近似した特定の機械的強度を付与する。特に孔隙率は、異なるが相関し、それゆえ等価のまたは代替的な2つの方法、つまり孔マイクロメートルで表記される孔サイズ、および/またはパーセンテージとして表記されるヒドロゲルの充填率(ヒドロゲルの体積/インプラントの総体積)で表記され得る。
【0093】
そのような最終目標(細胞化ヒドロゲル、またはヒドロゲルの製造後の細胞化)を有する生存細胞を含有するヒドロゲルを硬化するためには、生存細胞が自家細胞、即ちレシピエント生物を起源とする細胞であることが、安全性に関してさらに特に有利である。
【0094】
したがって、例示的実施形態において、以前に記載されたヒドロゲルは、1つまたは複数の区分を含み、区分のそれぞれが100μm~10000μmの間で構成された全孔隙率を有しながら、1kPa~1000kPaの機械的強度を有する、三次元体内インプラントを得ることを可能にする。多孔区分の全孔隙率は、多孔区分で測定された孔径の平均に対応する。
【0095】
多孔区分の孔は、均一な孔径を有してもよく、即ち、互いに15%以下だけ異なってもよい。
【0096】
多孔区分の孔は、均一に、即ち均等に分布してもよい。
【0097】
多孔区分の孔は、それぞれ均一な方位、即ち互いに20°以下だけ異なる方位を有する中心軸に沿って延在してもよい。多孔区分の孔の中心軸は、均一な間隔、即ち互いに15%より大きく異ならない間隔で配置されてもよい。
【0098】
多孔区分の孔は、それぞれ均一な幾何学的構造を有してもよく、即ちその輪郭は、重複する部分または並行である部分と50%より大きく重なってもよい。
【0099】
多孔区分の孔は、それぞれが均一な厚さ、即ち互いに15%より大きく異ならない厚さを有する材料の束により互いに隔てられてもよい。
【0100】
特にインプラントは、孔が異なる孔径および/または形状を有する少なくとも2つの多孔区分を含んでもよい。
【0101】
多孔区分は、インプラント全体に分布された孔径の勾配を形成し、孔径の昇順および降順から選択される順序で多孔区分が勾配方向に沿って互いに連なるように配置されてもよい。
【0102】
特にインプラントは、
- インプラントの全体積の5%~40%、好ましくは20%~40%を表し、500マイクロメートル~5000マイクロメートルの間、特に250マイクロメートル~800マイクロメートルを構成する孔径を有する、基部を形成する第一の多孔区分と、
- インプラントの全体積の20%~70%、好ましくは30%~50%を表し、500マイクロメートル~2500マイクロメートルの間、特に100マイクロメートル~250マイクロメートルを構成する孔径を有する、コアを形成する第二の多孔区分と、
- インプラントの全体積の5%~40%、好ましくは10%~40%を表し、1000マイクロメートル~10000マイクロメートルの間、特に1000マイクロメートル~2500マイクロメートルを構成する孔径を有する、外殻を形成する第三の多孔区分と、
を含み得る。
【0103】
インプラントは、少なくとも1つの非多孔区分を含んでもよく、該非多孔区分は、99%より高い充填率を有する。
【0104】
少なくとも1つの非多孔区分は、多孔区分を取り囲む外周を含んでもよい。
【0105】
多孔区分(複数可)は、インプラントの本質的部分、即ち、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、特に少なくとも90%、例えば少なくとも95%に及んでもよい。
【0106】
インプラントは、複数の層からなり、層のそれぞれが複数のメッシュからなる1つのメッシュを有し、メッシュが孔を形成するようにして層が互いの上部に積み重ねられてもよい。
【0107】
各層のメッシュは、均一なメッシュサイズ、即ち、互いに15%以下異なるメッシュサイズを有してもよい。
【0108】
各層のメッシュは、均一に、即ち均等に分布してもよい。
【0109】
各層のメッシュは、それぞれ均一な方位、即ち互いに20°より大きく異ならない方位を有する中心軸の周りに延在してもよい。
【0110】
各層のメッシュの中心メッシュ軸は、均一な間隔、即ち互いに対して15%より大きく異ならない間隔で配置されてもよい。
【0111】
各層のメッシュは、均一な幾何学的構造を有してもよく、即ちその輪郭が、重複する部分または並行である部分と50%より大きく重なってもよい。
【0112】
各層のメッシュは、それぞれが均一な厚さ、即ち互いに15%より大きく異ならない厚さを有する材料の束により互いに隔てられてもよい。
【0113】
インプラントは、0.05mL~3L、好ましくは100mL~600mLの範囲内の体積を有してもよい。
【0114】
インプラントは、乳房インプラントであってもよい。
【0115】
別の態様によれば、本発明は、アルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルを硬化するための、二価カチオン、好ましくはカルシウムと、トランスグルタミナーゼと、場合により1種または複数の他の二価カチオンとを含む溶液の使用に関する。
【0116】
この硬化溶液はまた、アルギン酸塩およびゼラチンに加えて、フィブリノーゲンを含むヒドロゲルを硬化するためにも用いることができ、その結果、前記溶液は、二価カチオン、優先的にはカルシウムおよびトランスグルタミナーゼ、ならびに任意の他の二価カチオン(複数可)に加えて、トロンビンを含む。
【0117】
硬化方法に関して先に言及された優先性は全て、本発明による硬化溶液の使用に必要な変更を加えて適用される。
【0118】
別の態様によれば、本発明は、好ましくはヒト対象に埋め込まれることが意図される、硬化されたアルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルであって、以前に記載された硬化方法により得ることができるヒドロゲルに関する。
【0119】
第二の実施形態によれば、本発明は、アルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルを硬化する方法であって、以下のステップ:
- ヒドロゲルの調製のステップ、
- 調製されたヒドロゲルを成形するステップ、
- ヒドロゲルを、少なくとも1種の二価カチオン、好ましくはカルシウム、およびトランスグルタミナーゼ、ならびに場合により1種または複数の他の二価カチオンと接触させるステップ
を順序どおり含む方法に関する。
【0120】
アルギン酸とゼラチンとを含むヒドロゲルは、先に記載されたとおり調製され得る。
【0121】
好ましくはヒドロゲルの調製は、ヒドロゲルの調製の前に1種または複数の成分の成形を必要としない。好ましくはヒドロゲルの調製は、調製の前に繊維の形態の、1種または複数の成分、例えばアルギン酸塩および/またはゼラチンの成形を必要としない。
【0122】
繊維の形態の成分を成形する方法は、当業者に周知であり、例えば、エレクトロスピニング、押出し、断片化、凍結乾燥とその後の断片化法を含む。
【0123】
好ましくはヒドロゲルの調製は、繊維の添加を必要としない。好ましくはヒドロゲルは、繊維を含まない。
【0124】
繊維の例は、先に言及されている。
【0125】
ヒドロゲルは、先に記載されたとおり成形され得る。好ましくは調製されたヒドロゲルの成形は、材料の押出しにより、好ましくはモールディングによりまたは積層造形、特に3Dプリンティングにより、実行される。
【0126】
ヒドロゲルを、少なくとも1種の二価カチオン、好ましくはカルシウム、およびトランスグルタミナーゼ、ならびに場合により1種または複数の他の二価カチオンと接触させることは、少なくともカルシウムと、トランスグルタミナーゼと、場合により1種または複数の他の二価カチオンとを含む硬化溶液を用いて、同時に実行されてもよい。
【0127】
好ましくは硬化溶液およびヒドロゲルと前記溶液との接触は、先に記載されたとおりである。
【0128】
ヒドロゲルを、少なくとも1種の二価カチオン、好ましくはカルシウム、およびトランスグルタミナーゼ、ならびに場合により1種または複数の他の二価カチオンと接触させることはまた、連続して実行されてもよく、即ち架橋剤は、硬化の際に同じ時間に添加されない。
【0129】
ヒドロゲルを、調製後、以下の順序で、以下に記載された溶液と接触させることができる:
- 二価カチオン、好ましくはカルシウムと、場合により1種または複数の他の二価カチオンとを含む溶液、
- トランスグルタミナーゼを含む溶液。
【0130】
ヒドロゲルを、調製後、以下の順序で、以下に記載された溶液と接触させることができる:
- トランスグルタミナーゼを含む溶液、
- 二価カチオン、好ましくはカルシウムと、場合により1種または複数の他の二価カチオンとを含む溶液。
【0131】
ヒドロゲルが、アルギン酸塩およびゼラチンに加えてフィブリノーゲンを含有する場合、硬化は、フィブリノーゲンをトロンビンによって架橋することをさらに含む。この架橋は、アルギン酸塩およびゼラチンの架橋と連続して(例えば、アルギン酸塩および/またはゼラチンの架橋の前または後に)、または同時に実行され得る。
【0132】
ヒドロゲルが、アルギン酸塩およびゼラチンに加えてフィブリノーゲンを含有する場合、ヒドロゲルを、調製後、以下の順序で、以下に記載された溶液と接触させることができる:
- 二価カチオン、好ましくはカルシウムと、場合により1種または複数の他の二価カチオンとを含む溶液、
- トランスグルタミナーゼを含む溶液、
- トロンビンを含む溶液。
【0133】
ヒドロゲルが、アルギン酸塩およびゼラチンに加えてフィブリノーゲンを含有する場合、ヒドロゲルを、調製後、以下の順序で、以下に記載された溶液と接触させることができる:
- 二価カチオン、好ましくはカルシウムと、場合により1種または複数の他の二価カチオンとを含む溶液、
- トロンビンを含む溶液、
- トランスグルタミナーゼを含む溶液。
【0134】
ヒドロゲルが、アルギン酸塩およびゼラチンに加えてフィブリノーゲンを含有する場合、ヒドロゲルを、調製後、以下の順序で、以下に記載された溶液と接触させることができる:
- トランスグルタミナーゼを含む溶液、
- 二価カチオン、好ましくはカルシウムと、場合により1種または複数の他の二価カチオンとを含む溶液、
- トロンビンを含む溶液。
【0135】
ヒドロゲルが、アルギン酸塩およびゼラチンに加えてフィブリノーゲンを含有する場合、ヒドロゲルを、調製後、以下の順序で、以下に記載された溶液と接触させることができる:
- トランスグルタミナーゼを含む溶液、
- トロンビンを含む溶液、
- 二価カチオン、好ましくはカルシウムと、場合により1種または複数の他の二価カチオンとを含む溶液。
【0136】
ヒドロゲルが、アルギン酸塩およびゼラチンに加えてフィブリノーゲンを含有する場合、ヒドロゲルを、調製後、以下の順序で、以下に記載された溶液と接触させることができる:
- トランスグルタミナーゼを含む溶液、
- トロンビンと、二価カチオン、好ましくはカルシウムとを含む溶液、
- 二価カチオン、好ましくはカルシウムを含む溶液。
【0137】
ヒドロゲルが、アルギン酸塩およびゼラチンに加えてフィブリノーゲンを含有する場合、ヒドロゲルを、調製後、以下の順序で、以下に記載された溶液と接触させることができる:
- トロンビンを含む溶液、
- トランスグルタミナーゼを含む溶液、
- 二価カチオン、好ましくはカルシウムを含む溶液。
【0138】
ヒドロゲルが、アルギン酸塩およびゼラチンに加えてフィブリノーゲンを含有する場合、ヒドロゲルを、調製後、以下の順序で、以下に記載された溶液と接触させることができる:
- トロンビンを含む溶液、
- 二価カチオン、好ましくはカルシウムを含む溶液、
- トランスグルタミナーゼを含む溶液。
【0139】
ヒドロゲルが、アルギン酸塩およびゼラチンに加えてフィブリノーゲンを含有する場合、ヒドロゲルを、調製後、以下の順序で、以下に記載された溶液と接触させることができる:
- トロンビンを含む溶液、
- トランスグルタミナーゼ、および二価カチオン、好ましくはカルシウムを含む溶液、
- 二価カチオン、好ましくはカルシウムを含む溶液。
【0140】
硬化の際、ヒドロゲルと上述の溶液(複数可)との接触は、浸漬により実行することができ、その際、ヒドロゲルは、前述の溶液(複数可)にその全体が浸漬される。それはまた、滴下、細流、または類似のシステムを利用して、吸収膨潤することにより、噴霧することにより実行することができる。
【0141】
別の態様によれば、本発明はまた、好ましくはヒト対象において埋め込まれることが意図される、硬化されたアルギン酸塩とゼラチンとを含むヒドロゲルであって、以前に記載された硬化方法により得ることができるヒドロゲルに関する。
【0142】
本発明の別の特色、目的および利点は、以下の記載から明らかになるが、以下の記載は、純粋に例示で非限定的であり、添付の図面を参照して読まれなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0143】
図1】本発明によるインプラントを構成するAGおよびFAGヒドロゲルのヤング率(A)および粘度(B)の比較を表す。
図2】ゼラチンをトランスグルタミナーゼの存在下および非存在下で架橋し、37℃で7日まで貯蔵した、AGヒドロゲルのヤング率E0(Pa)の比較を表す。
図3】トランスグルタミナーゼの存在下または非存在下で架橋した、AGヒドロゲルおよび市販のヒドロゲルのヤング率E0(Pa)の比較を表す。:37℃の液体化合物。+:DMA測定により37℃で重合が可視可能であるがゲルの剛性が不十分である。
図4】本発明によるインプラントを構成し、製造後にインビトロで線維芽細胞が定着した、FAGおよびAGヒドロゲルにおいて速度論により測定した生存率および細胞成長を表す。
図5】本発明によるインプラントを構成し、製造後にインビトロで脂肪組織の幹細胞が定着した、FAGおよびAGヒドロゲルにおいて速度論により測定した生存率および細胞成長を表す。
図6】製造後の精製脂肪組織分画のインビトロでの定着後の、異なる培養時点での本発明によるAGインプラントの代謝活性を示す。
図7】製造後の精製脂肪組織分画とのインビトロでのインキュベーションの2日後(4つの左の画像)または7日後(2つの右の画像)の、本発明によるAGインプラントのヘマトキシリン・フロキシン・サフラン(HPS)染色による組織学的分析を表す(上:マトリックスの外縁部;下:マトリックスの内孔;白色光で撮影した画像;倍率100倍;スケール100μm)。
図8】製造後の精製脂肪組織分画とのインビトロでのインキュベーションの2日後(上の画像)または7日後(下の画像)の、本発明によるAGインプラント上の細胞核のペリリピン1免疫染色およびDapi染色を表す(蛍光画像;倍率200倍;スケール50μm)。
図9】21℃(B)および37℃(A)での様々な期間の架橋に関するAGインプラントのヤング率の比較を表す。
図10】異なる濃度のCaCl2、TAGおよびトロンビンによる架橋後のAGおよびFAGインプラントのヤング率E0(A~C)および粘度(D~F)の比較を表す。
図11】CaCl2、TAGおよびトロンビンによる連続または同時架橋後のAGおよびFAGインプラントのヤング率E0(A~B)および粘度(C~D)の比較を表す。
図12】塩化カルシウムまたは塩化バリウムを含有する溶液による架橋後のAGおよびFAGインプラントのヤング率E0(A)および粘度(B)の比較を表す。
図13A】架橋前および後の本発明によるAGおよびFAGインプラントの寸法(A1~A2)および孔(A3~A4)の変動を例証する。
図13B】これらのインプラントの寸法(B1~B2)およびヤング率(B3~B4)に及ぼす滅菌の影響を示す。
図14】寸法(A)、体積(B)および孔隙率(C)に関する本発明によるAGインプラントの生成の再現性を例証する。
図15】硬化後の本発明によるAGインプラントの収縮の再現性を例証する。
図16】滅菌法の関数としての本発明によるAGインプラントの収縮の再現性を例証する。
図17A】押出し径の再現性を例証する。
図17B】本発明によるAGインプラントの孔の長さ(B1~B2)を例証する。
図18】本発明によるAGインプラント中の多様なサイズの孔の画像を表す。
図19】本発明によるAGおよびFAGインプラントのインビボ皮下埋込み(右側)のための手術計画(左側)を表す。
図20】3週間のラット背部への皮下インビボ埋込み後の、本発明によるAGインプラントの切片をマッソントリクロームで染色した後の組織学的分析を示す(低倍率、中倍率および高倍率での画像)。
図21A】乳酸塩蓄積により測定した細胞生存の28日にわたる分析を示す。
図21B】細胞を28日間成長させた後の細胞化FAGヒドロゲルにおけるカルセイン標識による分析を表す。
図22】細胞化FAGヒドロゲルにおける初期細胞濃度の関数としてのヤング率(E0)測定を表す。
図23】細胞化および硬化したAGまたはFAGヒドロゲルからの培養上清中で測定された乳酸塩濃度の21日にわたる進展を表す。
図24】21日間培養後のバイオプリンティングされた無孔性(full)(左パネル)または多孔性の(右パネル)FAG線維芽細胞/内皮細胞ヒドロゲル構築物のHPS染色後の組織学的分析を表す。
図25】21日間培養後のバイオプリンティングされた無孔性(左パネル)または多孔性の(右パネル)AG線維芽細胞/内皮細胞ヒドロゲル構築物のHPS染色後の組織学的分析を表す。
図26】21日間培養後の無孔性バイオプリンティングFAG線維芽細胞/内皮細胞ヒドロゲル構築物におけるCD31-DAB免疫標識(黒色)を表す。
図27】21日間培養後の多孔性バイオプリンティングFAG線維芽細胞/内皮細胞ヒドロゲル構築物におけるCD31-DAB免疫標識(黒色)を表す。
図28】3Dバイオプリンティングされ、TAGによって硬化したFAGヒドロゲルから再構築された、皮膚のHPS染色後の組織学的分析を表す。
【発明を実施するための形態】
【0144】
実施例
本発明は、本発明を非限定的に例証する以下の実施例を読むことでよりよく理解されよう。
【0145】
材料と方法
プロトコル#1 AGヒドロゲルの調製:AGヒドロゲルを調製するために、アルギン酸塩2g(超低粘度、Alpha Aesar、フランス)、ゼラチン5g(Sigma-Aldrich、フランス)を、0.1M NaCl溶液100mL(Labelians、フランス)中に37℃で12時間溶解する。
【0146】
プロトコル#2 FAGヒドロゲルの調製:FAGヒドロゲルを調製するために、アルギン酸塩2g(超低粘度、Alpha Aesar、フランス)、ゼラチン5g(Sigma-Aldrich、フランス)およびフィブリノーゲン2g(Sigma-Aldrich、フランス)を、0.1M NaCl溶液100mL(Labelling、フランス)中に37℃で12時間溶解する。
【0147】
プロトコル#3 AGまたはFAGヒドロゲルのモールディング:プロトコル#1または#2に従って調製されたヒドロゲル1.8mLを、6ウェル培養プレートのウェルに入れ、21℃で30分間インキュベートする。
【0148】
プロトコル#4 AGヒドロゲルの架橋:トランスグルタミナーゼ4g(味の素、日本)、CaCl2 3g(Sigma Aldrich、フランス)を0.1M NaCl溶液100mL(Labelling、フランス)に溶解することにより、架橋溶液を調製する。その後、架橋溶液を、37℃で1時間30分(他に断りがなければ)、ヒドロゲルと接触させる。
【0149】
プロトコル#5 FAGヒドロゲルの架橋:トランスグルタミナーゼ4g(味の素、日本)、CaCl2 3g(Sigma Aldrich、フランス)およびトロンビン400単位(Sigma Aldrich、フランス)を0.1M NaCl溶液100mLに溶解することにより、架橋溶液を調製する。その後、架橋溶液を、37℃で1時間30分(他に断りがなければ)、ヒドロゲルと接触させる。
【0150】
プロトコル#6 圧縮時の動的機械分析(DMA):FAGおよびAGヒドロゲルの機械的性質を、回転レオメータ(DHR2、TA Instrument、フランス)、ペルティエ平面(Peltier plane)(TA Instrument、フランス)および8mm切欠き形状(TA Instrument、フランス)により三連でで測定する。3つの8mm径ディスクを、プロトコル#3に従ってモールディングしたヒドロゲルから切り出す。ディスクを、低い方の切欠き形状の上に37℃で60秒間載せた後、10μm振動圧縮手順を、100μm/sでの0.1~10Hzおよび37℃で実施する。ヒドロゲルのヤング率E0(Pa)および粘度η0(Pa.s)の値を、この検査の際に得たE’およびE’’値を用いて粘性超弾性固体モデリングから得る。
【0151】
プロトコル#7 細胞化ヒドロゲルの調製:細胞化FAGヒドロゲルを調製するために、アルギン酸塩0.12g(超低粘度、Alpha Aesar、フランス)、ゼラチン0.3g(Sigma-Aldrich、フランス)を、DMEM培養培地6mL(Gibco Cell Culture、Invitrogen、フランス)中に溶解する。新たにトリプシン処理した細胞を、8%フィブリノーゲン溶液2mL(Sigma-Aldrich、フランス)に浮遊させる。この細胞浮遊液を次に、細胞化FAGを形成させるために先行の溶液に添加する。細胞化AGヒドロゲルを調製するために、アルギン酸塩0.12g(超低粘度、Alpha Aesar、フランス)、ゼラチン0.3g(Sigma-Aldrich、フランス)を、DMEM培養培地6mL(Gibco Cell Culture、Invitrogen、フランス)中に溶解する。新たにトリプシン処理した細胞を、0.1M NaCl溶液2mL(Fabelians、フランス)に浮遊させる。この細胞浮遊液を次に、細胞化FAGを形成させるために先行の溶液に添加する。
【0152】
プロトコル#8 ヒドロゲルの3Dプリンティング:プロトコル#1、#2に従って調製されたヒドロゲルを、410μm径の押出しノズル(Nordson EFD)を具備した3mLカートリッジ(Nordson EFD)に移す。カートリッジ-ノズルアセンブリをその後、3Dプリンタ(BioassemblyBot、Advanced Solution Lifescience、米国)内に配置し、空間の三方向全てに移動しながら定圧をカートリッジに適用させる。プリントパラメータは、10mm/秒の速度、約172~約241kPa(25~35PSI)の圧力、および21℃の温度である。異なる充填率が、プリンタ制御ソフトウエア(Tsim、Advanced Solution Lifescience、米国)の内部スライサにより得られる。
【0153】
プロトコル#9 ラットにおけるインビボ埋込み:ラットにおけるインビボ埋込み試験を、BIOVIVO(Institut Claude Bourgelat(フランス、リヨン)前臨床試験の技術的プラットフォーム)で実施した。実験は、European Directives 2010/63/EUに従って実施された。動物16匹(スプラグー・ドゥーリーラット、250~300g)を、吸入により麻酔した(酸素および5%イソフルラン)。背側埋込み部位を剃毛し、ポビドンおよび滅菌ガーゼで消毒し、滅菌ドレープを載せて、手術エリアの輪郭を描いた。全身麻酔を、イソフルラン(2%)および酸素吸入で維持した。術前の鎮痛を、それぞれ1mg/kgのメロキシカムおよびモルヒネの皮下注射により実施した。ラットの体温および脈拍数を、手術の際にモニタリングした。2~3cmの2つの皮膚切開を、背部領域に行った。バイオプロテーゼを、各動物の背側皮下領域に埋め込んだ。対照群には、切開および解剖のみを実施した。群あたりの動物1匹において、4つの手術部位、つまり3つのバイオプロテーゼおよび1つは対照切片を、実施した。手術部位を、吸収可能な縫合糸(PDS(登録商標)ポリジオキサノン、4/0およびナイロン3/0、Ethicon J&J)での皮下および皮膚縫合を利用して複数の層を閉じた。術後に、動物を、罹患の徴候についてモニタリングし、手術創を、皮膚の治癒および感染の非存在について連日調べた。外移植を、埋込みの21日後に行った。
【0154】
プロトコル#10 組織学的分析:インプラントを、4%ホルマリン溶液(Alphapat、フランス)中で24時間固定し、その後、STP120脱水装置(Myr、スペイン)を用いて無水エタノール(vwr chemicals、フランス)およびメチルシクロヘキサン(vwr chemicals、フランス)の連続浴により脱水し、その後、ケロセン(サクラ、日本)に包埋した。5μm厚の切片を、HM340eミクロトーム(Microm、フランス)で作製した。ヘマトキシリン・フロキシン・サフラン(HPS)、マッソントリクロームおよびDAPI染色を、実施した。
【0155】
実施例1 - アルギン酸塩/ゼラチン(AG)およびフィブリノーゲン/アルギン酸塩/ゼラチン(FAG)ヒドロゲルの機械的性質
AGおよびFAGヒドロゲルを、プロトコル#1および#2により調製し、プロトコル#3に従ってモールディングし、その後、プロトコル#4および#5を用いて架橋し、プロトコル#6を用いてそれらのDMAによる機械的性質を試験した。
【0156】
結果を、図1(A~B)に示す。測定されたヤング率および粘度値は、本発明の工程によるそれらの架橋後のAGヒドロゲルとFAGヒドロゲルの間で類似である。この試験の特定の条件下でのヤング率は、68000Pa前後である。
【0157】
実施例2 - アルギン酸塩/ゼラチンヒドロゲル(AG)の機械的性質に及ぼすトランスグルタミナーゼによる架橋の影響
AGのモールディング試料を、プロトコル#1および#3により調製し、プロトコル#4の変法により架橋した。この変法では、架橋溶液は、30mg/mL塩化カリウム溶液のみ、または30mg/mL塩化カルシウムと40mg/mLトランスグルタミナーゼとの溶液で構成される。各条件の4つのゲルを、キャスティングし、生理学的条件を模倣するために、それぞれ37℃での同日、ならびに1、4および7日の貯蔵後に、DMAにより試験した。
【0158】
その後、試料を、プロトコル#6を用いてDMAにより試験した。
【0159】
結果を、図2に示す。この試験は、ヒドロゲルの機械的性質に及ぼす架橋の際のトランスグルタミナーゼの使用の有利な効果を示す。この効果は、ゲルを37℃で変換するとさらに大きく、埋め込まれることが意図されるヒドロゲルに関する本発明による架橋の特定の関心の正当性を示す。
【0160】
実施例3 - 市販のゼラチンおよび/またはコラーゲンヒドロゲルの機械的性質に及ぼすトランスグルタミナーゼとの架橋の影響
AGのモールディング試料を、プロトコル#1および#3により調製し、プロトコル#4により架橋した。以下の表1に列挙された市販のヒドロゲル試料を、供給元により提供されたプロトコルに従って調製し、プロトコル#3に従ってモールディングした。
【表1】
【0161】
ヒドロゲルを、TAGの影響を観察するために、30mg/mLのカルシウムのみを含む溶液(TAGなし)、または30mg/mLのカルシウムと40mg/mLのトランスグルタミナーゼとを含む溶液のどちらかを用いてプロトコル#4の変法によって架橋した。
【0162】
未架橋試料またはTAGによる架橋試料をその後、プロトコル#6を用いてDMAにより試験した。
【0163】
結果を、図3に分類する。試験した7種の商業的ヒドロゲルのうち6種が、トランスグルタミナーゼにより架橋された。コラーゲンに基づくヒドロゲル(Co4Cell、ラットコラーゲン)は、DMAにより分析されるのに十分剛性でないが、ゼラチンに基づくヒドロゲル(Gel4cell、Gel4cell-VEGFおよびGelMa)は、トランスグルタミナーゼによる架橋後に有意に高いヤング率を有する(それぞれ7.3、9.9および50kPa)。この試験は、商業的ヒドロゲルの剛性に及ぼすトランスグルタミナーゼとの架橋の影響を示している。
【0164】
実施例4 - 機械的性質に及ぼすフィブリノーゲン/アルギン酸塩/ゼラチン(FAG)ヒドロゲル中のアルギン酸塩およびゼラチンの量の影響
FAGヒドロゲルを、プロトコル#2の変法により調製し、プロトコル#3によりモールディングし、その後、プロトコル#5を利用して架橋し、その後、機械的性質を、プロトコル#6を利用してDMAにより試験した。この変法では、本発明者らは、FAGヒドロゲルを、それぞれ1または3または2gのアルギン酸塩と、10または7.5または5gのゼラチンと、フィブリン2gとで調製することにより、これらの機械的性質を試験した。
【0165】
結果を、以下の表2に分類する。この試験の特異的条件下でのヤング率は、200~800kPaの範囲内である。
【表2】
【0166】
実施例5 - フィブリノーゲン/アルギン酸塩/ゼラチン(FAG)およびアルギン酸塩/ゼラチン(AG)ヒドロゲルの線維芽細胞定着の評価
AGおよびFAGヒドロゲルを、プロトコル#1および#2により調製した。その後、サイズ1.5cmおよび厚さ0.2cmの正方形インプラントを、プロトコル#8を用いてプリントし、プロトコル#4または#5を用いて架橋した。プリントされたインプラントを、50%充填率で、410μm内径の押出しノズルを用いて生成した。陰性対照(空のウェル)もまた、用いる。
【0167】
経路6の正常なヒト線維芽細胞を、175cm2培養フラスコ内の、10%ウシ血清と1%抗生物質とを補充したDMEMを含有する培養培地中で融解し、増幅させる。各インプラントに、4000000線維芽細胞/mlの濃度の正常ヒト線維芽細胞の細胞浮遊液を表面に播種した。この浮遊液250μl、即ち、1000000線維芽細胞/インプラントを、各インプラント上に滴下供給した。1時間の接着後に、インプラントを、培養培地に浸漬した。インプラントを、ビタミンCおよびEGF(上皮成長因子)を補充した10%ウシ血清を含有するDMEMで構成された培養培地中、37℃、5%CO2で培養した。インプラントを、同じ培地を3日ごとに交換して21日間培養した。
【0168】
インプラント中の線維芽細胞の代謝活性を、播種後3、5、8、10、14および21日後にAlamar Blueでの比色分析により試験した。溶液を、DMEM中のAlamar Blue(DAL1100、Invitrogen)の溶液を10倍希釈することにより作製した。37℃で19時間インキュベーション後、上清100μlを収集し、570nmおよび600nmでのそれらの吸光度を、分光光度計(NanoQuant(登録商標)infinite M200PRO、TECAN)により測定した。
【0169】
細胞生存率および成長を、3、5、8、10、14および21日目の6時点での速度論を使用して培養の21日間にわたりモニタリングした。結果を、図4に示す。
【0170】
結果から、全てのインプラントが培養3日目という早期に線維芽細胞接着および生存を可能にすることが確認された。細胞成長は、両方の型のヒドロゲル(FAGおよびAG)ならびに使用されたそれぞれの全孔隙率について、培養の21日間にわたり各多孔性インプラントで観察可能である。
【0171】
実施例6:フィブリノーゲン/アルギン酸塩/ゼラチン(FAG)およびアルギン酸塩/ゼラチン(AG)ヒドロゲルの脂肪組織幹細胞(ASC)の定着の評価
AGおよびFAGヒドロゲルを、プロトコル#1および#2により調製した。その後、サイズ1.5cmおよび厚さ0.2cmの正方形インプラントを、プロトコル#8を用いてプリントし、プロトコル#4または#5を用いて架橋した。プリントされたインプラントを、50%および75%の充填率で、410μm内径の押出しノズルを用いて生成した。滅菌を、IONISOS社(フランス)により、インプラントにガンマ線30kGy線量を照射することにより実施した。
【0172】
経路2~5の正常なヒト脂肪細胞幹細胞を、175cm2培養フラスコ内で、10%血清と1%抗生物質とを補充したDMEMを含有する培養培地中で融解し、増大させた。各インプラントに、600万、1200万、または2400万 ASC/mlの濃度のASCの細胞浮遊液を表面に播種した。これらの浮遊液250μl、即ち、150万、300万、または600万 ASC/インプラントを、各インプラント上に滴下供給した。1時間の接着後に、インプラントを、培養培地で浸漬した。インプラントを、10%血清と1%抗生物質とを補充したDMEMを含有する培養培地で7日間培養し、その後、10%血清とインスリンとロシグリタゾンと1%抗生物質とを補充したDMEMを含有する培地で14日間培養した。培養培地を、3日ごとに交換した。
【0173】
インプラント中の線維芽細胞の代謝活性を、播種後3、5、7、14および21日目にAlamar Blueでの比色分析により試験した。溶液を、DMEMで中のAlamar Blue(DAL1100、Invitrogen)の溶液を10倍希釈することにより作製した。37℃で5時間のインキュベーションの後、上清100μlを収集し、570nmおよび600nmでのそれらの吸光度を、分光光度計(NanoQuant(登録商標)infinite M200PRO、TECAN)により測定した。
【0174】
細胞生存率および成長を、3、5、7、14および21日目の6時点での速度論を使用して培養の21日間にわたりモニタリングした。結果を、図5に示す。
【0175】
結果から、全てのインプラントが脂肪細胞幹細胞を培養3日目から接着および生存させることが確認された。細胞成長は、両方の型のヒドロゲル(FAGおよびAG)ならびに播種の各密度について、培養の21日間にわたり各多孔性インプラントで観察可能である。
【0176】
実施例7:精製された脂肪組織分画と接触したアルギン酸塩/ゼラチン(AG)ヒドロゲルの定着の評価
AGヒドロゲルを、プロトコル#1により調製した。その後、サイズ1.5および厚さ0.8cmの立方体インプラントを、プロトコル#8を用いてプリントし、プロトコル#4を用いて架橋した。プリントされたインプラントを、50%充填率で、410μm内径の押出しノズルを用いて生成した。
【0177】
脂肪吸引物を、1500rpmで2分間遠心分離し、その後、1×PBSですすぐ。脂肪吸引物を再度、1500rpmで30秒間遠心分離し、その後、1×PBSを除去した。脂質吸引物は、精製されていると考えられた。
【0178】
その後、各インプラントを、精製脂質吸引物6mLに浸漬し、全てのセットを、6ウェルプレート内の培養インサートの中に入れ、10%血清および1%抗生物質を補充したDMEMを含有する培地中、37℃、5%CO2で2日または7日間インキュベートした。
【0179】
脂質吸引物での接触に続いて、インプラントを、6ウェルプレート内で、10%血清、インスリン、ロシグリタゾン、および1%抗生物質を補充したDMEMを含有する培養培地中、21日まで週に3回培地交換しながら培養した。
【0180】
インプラント中の細胞代謝活性を、播種後培養2、7および21日目にAlamar Blueでの比色分析により試験した。溶液を、DMEM中のAlamar Blue(DAL1100、Invitrogen)の溶液を10倍希釈することにより作製した。37℃で5時間のインキュベーションの後、上清100μlを収集し、570nmおよび600nmでのそれらの吸光度を、分光光度計(NanoQuant(登録商標)infinite M200PRO、TECAN)で測定した。
【0181】
細胞生存率および発育を、21日間にわたりモニタリングした。結果を、図6に示す。
【0182】
陰性対照よりかなり高い代謝活性が、精製脂肪吸引物と接触されたインプラントで観察された。
【0183】
組織学的分析を、この試験をプロトコル#10に従って完了するために実施した。結果を、図7に示す。
【0184】
画像から、凝集された多角形の均一な単胞性の嵩高な脂肪細胞の存在が、明らかである。これらの形態学的特徴は、脂肪組織中に見出され得る健康な脂肪細胞の特徴である。
【0185】
ペリリピン1の免疫染色もまた、実施した。試料を、OCT(Cellpath、KMA-0100-00A)に含め、その後-80℃で貯蔵した。16μm厚の切片を、クリオスタット(Microm、HM520)により各試料から作製した。切片をその後、アセトン/メタノール(v/v)溶液で20分間固定し、1×PBSで3回すすいだ。4%PBS-BSA溶液中の室温での1時間インキュベーションを、特異的部位を飽和するために実施した。切片をその後、ペリリピン1特異的一次抗体溶液と共に室温で一晩インキュベートした。翌日、切片を、1×PBSで3回すすぎ、その後、Alexa fluor568カップリング二次抗体溶液と共に室温で45分間インキュベートした。その後、切片を1×PBSで3回すすぎ、スライドとカバースリップの間にDapi fuluoromount-G(登録商標)封入媒体(SouthernBiotech)と共に封入した。得られた画像を、共に図8に分類する。
【0186】
画像は、細胞のクラスター化に応じて大きな球状または多角形の液胞を有する脂肪細胞を示す。脂肪細胞は、単胞性のように見え、そのサイズは、50~200μmの範囲内であるため、同様に生理学的である。
【0187】
総括すると、これらの結果は、インプラントに接触したヒト脂肪組織の接着、生存および再生を確認する。したがって、インプラントの特定の構造および組成は、健康な脂肪組織の再生にとって好都合な環境を形成する。
【0188】
実施例8 - アルギン酸塩/ゼラチンヒドロゲル(AG)の機械的性質に及ぼす温度および架橋時間の影響
AGのモールディング試料を、プロトコル#1およびプロトコル#3により調製し、プロトコル#4の変法により架橋した。この変法では、架橋時間および温度を、10分から14時間へ、そして37℃から21℃へと変化した。
【0189】
その後、試料を、プロトコル#6を用いてDMAにより試験した。
【0190】
結果を、図9(A~B)に示す。架橋時間ならびに架橋温度が、ヒドロゲルの最終的な機械学的性質(ヤング率)に及ぼす影響は非常にわずかである。しかし、最適解は、温度にかかわらず、1時間30分前後に見出され得ると思われる。
【0191】
これらのヤング率は、37℃での架橋後7日間にわたり非常に安定である。ゼラチンの架橋は、培地に溶解したゼラチンの損失がないため、効率的であった。
【0192】
実施例9 - 架橋後のアルギン酸塩/ゼラチン(AG)およびフィブリノーゲン/アルギン酸塩/ゼラチン(FAG)ヒドロゲルの機械的性質に及ぼす架橋溶液の成分濃度の影響
AGおよびFAGのモールディング試料を、プロトコル#1、#2および#3により調製し、プロトコル#4および#5の変法により架橋した。この変法では、架橋溶液の成分(トランスグルタミナーゼ、塩化カルシウム、およびトロンビン)の濃度を変化させた。
【0193】
その後、試料を、プロトコル#6を用いてDMAにより試験した。
【0194】
結果を、図10(A~F)に分類する。この範囲の試薬濃度では、有意な変化は観察されなかった(E0の全てが非常に類似であった)。
【0195】
実施例10 - アルギン酸塩/ゼラチン(AG)およびフィブリノーゲン/アルギン酸塩/ゼラチン(FAG)ヒドロゲルの連続または同時架橋の影響
AGおよびFAGのモールディング試料を、プロトコル#1、#2および#3により調製し、プロトコル#4および#5の変法により架橋した。この変法では、本発明者らは、ヒドロゲルを複数のステップで架橋することを含む、FAGおよびAGでの連続架橋を調べた。各ステップは1時間を要し、0.1M NaCl溶液による3回のすすぎを、各ステップ間に実施して、残存する架橋剤を除去した。連続架橋に関して試験した条件を、以下の表に記載する(各ステップは、ヒドロゲルを記載の溶液に1時間浸漬することにある)。
【表3】
【0196】
試料はその後、プロトコル#6を用いてDMAにより試験した。
【0197】
結果を、図11(A~D)に示す。連続架橋セット(FAGおよびAG)は、単一ステップ架橋より低いヤング率を有するヒドロゲルを生成する。
【0198】
カルシウムを最初に添加しない場合に、非常に軟質かつ脆弱なゲルが得られることが、観察され得るが、実際にTAGおよびトロンビンは、カルシウム依存性であり、それゆえそれらの活性は、CaCl2を添加しなければ大きく低下する。それゆえゲルは、カルシウム架橋を行わずに操作することが困難である。トロンビンを、最初に添加する場合、ゲルは、非常に低い機械的強度を有し、孔が出現する。
【0199】
実施例11 - アルギン酸塩/ゼラチン(AG)およびフィブリノーゲン/アルギン酸塩/ゼラチン(FAG)ヒドロゲルの架橋に及ぼす二価カチオンの性質の影響
AGおよびFAGのモールディング試料を、プロトコル#1、#2および#3により調製し、プロトコル#4および#5の変法により架橋した。この変法では、本発明者らは、30mg/mL塩化バリウムの存在下での架橋を試験した。
【0200】
その後、試料を、プロトコル#6を用いてDMAにより試験した。
【0201】
結果を、図12(A~B)に示す。バリウムの存在下での架橋は、CaCl2で得られたものと非常に類似したヤング率を有するゲルをもたらす。しかし、バリウムは、ゲルの粘度を上昇させるため、さらなる側鎖の形成を、推定され得る。
【0202】
実施例12 - 滅菌後のアルギン酸塩/ゼラチン(AG)およびフィブリノーゲン/アルギン酸塩/ゼラチン(FAG)ヒドロゲルインプラントの三次元構造および機械的性質の維持
AGおよびFAGヒドロゲルを、プロトコル#1、#2および#3により調製し、プロトコル#4および#5を用いて架橋し、場合により観察し、その後、プロトコル#6を用いてDMAにより試験した。プリントした形状は、2cm径の半球であり、可変の充填率(30、50および75%)で生成する。
【0203】
滅菌を、IONISOS社(フランス)が、多様な線量(30kGyおよび40kGy)のガンマ線をインプラントに照射することにより実施した。
【0204】
アルギン酸塩/ゼラチンおよびフィブリノーゲン/アルギン酸塩/ゼラチンヒドロゲルインプラントの寸法に及ぼす架橋ステップの影響を、試験した。これらの寸法は、巨視的画像から測定された。
【0205】
充填率の関数として得られた孔の寸法もまた、試験した。これらの寸法は、顕微鏡(Olympus、倍率×4)で作製された画像から測定した。
【0206】
結果を、図13(A~B)に示す。インプラントは、架橋ステップの後、平均で10%収縮する。しかし孔径は、有意に変動しない(図13A(A1~A4))。
【0207】
滅菌に関連して、40kGy線量は、30kGy線量より大きい構築物の収縮をもたらすように思われる。E0に関して、滅菌は、両方の線量で、材料の機械学的性質にいかなる変化ももたらさない(図13B(B1~B4))。
【0208】
実施例13:大きなアルギン酸塩/ゼラチン(AG)ヒドロゲルインプラントの生成品質:複数の方法によるインプラントの型穴寸法、硬化および滅菌後の寸法の再現性
AGヒドロゲルを、プロトコル#1により調製した。その後、直径6cmおよび厚さ2cmの半球形のインプラントを、プロトコル#8に従ってプリントし、プロトコル#4を用いて架橋し、その後、場合により観察し、測定した。プリントされた形状を、多様な充填率(25~65%)で、内径410または840μmの押出しノズルを用いて生成した。滅菌は、IONISOS社(フランス)が、インプラントに2つの線量(30kGyおよび40kGy)のベータ線、または30kGyの範囲線量(range dose)を照射することにより実施した。
【0209】
大きなアルギン酸塩/ゼラチンヒドロゲルインプラントの寸法に及ぼす架橋および滅菌ステップの影響を、試験した。これらの寸法は、巨視的画像から測定された。
【0210】
充填率の関数として得られた孔の寸法もまた、試験した。これらの寸法は、顕微鏡(Olympus、倍率×4)で作製した画像から測定した。
【0211】
プリント後の結果を、図14(A~C)に示す。これらの結果は、3Dプリントされた大きなインプラントの寸法の高い再現性を示し、高い生成品質を反映する。
【0212】
インプラントの硬化後の結果を、図15に分類する。このグラフは、硬化段階後の大きなインプラントの収縮の高い再現性を示している。
【0213】
3種の方法(線量40および30kGyのβ線、ならびに30kGyのγ線)によるインプラントの滅菌後の結果を、図16に分類する。これらの結果は、β線30および40kGyでの大きなインプラントのより小さな収縮を示す。
【0214】
大きなインプラントは、充填率25~65%で、内径410および840μmの2種の押出しノズルを用いてプリントされた。押出し径の再現性および得られた孔の長さを、測定した。結果を、図17(A~B)に示す。
【0215】
図17Aは、押出しビーズのサイズの高い再現性を示す。図17B(B1~B2)は、ヒドロゲルの充填率による孔の長さの変動を示す。
【0216】
様々な孔サイズの画像を、撮影し、図18に分類する。
【0217】
これらのデータは、インプラントで得ることが可能な広範囲の孔、ならびにそれらの高い再現性および生成品質を示している。
【0218】
実施例14 - インプラントのインビボ抵抗性の試験
AGおよびFAGヒドロゲルを、プロトコル#1、#2および#8により調製し、プロトコル#4および#5を通して架橋した。プリントされた形状は、1cm径の半球であり、様々な充填率で生成された(30、50および75%)。
【0219】
多孔性の半球を、30kGyの線量で滅菌し、その後、プロトコル#9に従ってラットの皮下に埋め込んだ。
【0220】
埋込み群の詳細を、図19に記載した外科埋込み計画を参照する以下の表3に記載する。
【表4】
【0221】
組織学的分析を、プロトコル#10を用いて実施し、結果を、図20に分類する。外移植を用いて、皮膚の張力に対するインプラントの抵抗性を検証した。組織学的分析を用いて、細胞定着、血管形成、細胞外マトリックス合成、および炎症エリアの存在を評価した。
【0222】
実施例15 - フィブリノーゲン/アルギン酸塩/ゼラチン(FAG)の生存性および細胞成長および機械的性質
細胞化FAGヒドロゲルを、異なる濃度のヒト皮膚線維芽細胞(50万/25万/12万5千細胞/mLヒドロゲル)の存在下でプロトコル#7により調製した。1cm、厚さ0.2cmおよび充填率100%のスラブを、プロトコル#8を用いて調製し、その後、プロトコル#5を用いて架橋した。
【0223】
次に様々なスラブを、10%(v/v)仔牛血清(Gibco Cell Culture、Invitrogen、フランス)0.5%(v/v)アンホテリシンB(Gibco Cell Culture、Invitrogen、フランス)および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)/Glutamax培地(Gibco Cell Culture、Invitrogen、フランス)中、37℃および5%CO2で28日間培養した。
【0224】
細胞成長を追跡するために、生成したL-乳酸の投与を、市販のキット(L-Lactic Acid Assayキット、Megazyme)により2日ごとに実行した。光学密度測定を、INFINITEプレートリーダ(TECAN、フランス)によって実行した。
【0225】
培養に沿ったヒドロゲルスラブ内の生存細胞の存在を観察するために、生存率の標識を、1mM カルセインAM(Thermofisher、フランス)の存在下で5日ごとに実行した。
【0226】
結果を、図21Aに分類する。乳酸塩の合成は、細胞活性の指標である。乳酸塩の量の急激な増加が、全ての細胞濃度でD15から観察され、本発明による硬化されたバイオプリンティングヒドロゲル内での細胞成長を示す。
【0227】
図21Bに分類されたカルセインAMによる標識の画像は、D11からの生存し、増加している細胞の存在、ならびに0.25M細胞/mLではD17から、および他の細胞濃度ではD22からの細胞伸展を示す。
【0228】
先に記載した調製および培養した細胞化FAGのヒドロゲルを、プロトコル#6に従って試験した。
【0229】
結果を、図22に分類する。培養28日後に細胞化されたヒドロゲルのヤング率は、生成の際に用いられた細胞濃度に依存しない。しかしこれらのヤング率は、非細胞化ヒドロゲルから得られたものより低く、細胞によるヒドロゲルのリモデリングを示す。
【0230】
実施例16 - 硬化したアルギン酸塩/ゼラチン(AG)およびフィブリノーゲン/アルギン酸塩/ゼラチン(FAG)ヒドロゲルにおける真皮等価物のバイオプリンティング
細胞化AGおよびFAGヒドロゲルを、ヒト真皮線維芽細胞(25万細胞/mLヒドロゲル)とヒト真皮微小血管内皮細胞(100万細胞/mLヒドロゲル)との混合物の存在下でプロトコル#7により調製した。2.25cm、厚さ0.2cm、ならびに充填率50および100%のスラブを、プロトコル#8を用いて調製し、その後、プロトコル#4および#5を用いて硬化した。
【0231】
次に異なる構築物を、10%仔牛血清、1%抗生物質、ビタミンCおよびEGFを補充したDMEMで構成されたヒト真皮を培養するのに適した培養培地中、37℃および5%CO2で21日間、培養した。
【0232】
細胞成長を追跡するために、生成されたL-乳酸の投与を、市販のキット(L-Lactic Acid Assayキット、Megazyme)を用いて供給元により推奨されたプロトコルに従って、2日ごとに実行した。光学密度測定を、INFINITEプレートリーダ(TECAN、フランス)によって実行した。
【0233】
結果を、図23に分類する。細胞による乳酸塩生成の増加が、全ての条件下でD11から観察される。乳酸塩の生成は、AGを基にしたヒドロゲルおよび多孔性構築物ではより高い。これらの結果は、21日間硬化したヒドロゲル内での細胞増殖を示している。
【0234】
組織学的分析を、プロトコル#10に基づいて実行した。HPS着色法を、全ての条件について実行した。ヒドロゲル内の内皮細胞の存在を評価するために、内皮細胞に特異的なDABの顕色によるCD31免疫組織化学的標識を、5μm厚パラフィン切片で実行した。
【0235】
結果を、図24図27に分類する。
【0236】
図24:無孔性FAG構築物の画像は、数多くの細胞がゲル内に存在し、ゲル上の接着部位で凝集物の形態で増殖するように見えることを示す。多孔性構築物では、ゲル内の増殖のクラスターも観察されるが、孔表面上の増殖層も観察される。本発明者らは、ゲル内の細胞周辺のヒドロゲルの分解が始まっていることも観察することができる。
【0237】
図25:無孔性AG構造物の画像は、数多くの細胞がゲル内に存在することを示す。多孔性構築物では、増殖のクラスターも、ゲル内に観察されるが、表面増殖層および孔の隅の細胞密度の高い領域にも観察される。細胞周辺のヒドロゲルの分解もまた、ゲル内で観察される。
【0238】
図26:無孔性FAG構造物の画像は、ゲル内の結果としての線維芽細胞の細胞クラスターと共に、線維芽細胞クラスターの周辺および内部に位置する内皮細胞の小さなクラスターの存在を明らかにする。
【0239】
図27:多孔性FAG構築物の画像は、ゲル内の線維芽細胞の細胞クラスターと共に、線維芽細胞クラスターの周辺および内部に位置する内皮細胞のクラスターの存在を明らかにする。線維芽細胞の増殖層もまた、表面で観察される。
【0240】
実施例17 - 硬化したフィブリノーゲン/アルギン酸塩/ゼラチン(FAG)ヒドロゲルからのバイオプリンティング生成物の表皮化による皮膚等価物の生成
細胞化FAGヒドロゲルを、ヒト真皮線維芽細胞の混合物の存在下でプロトコル#7により調製した。2つの別個の条件、つまり1,000,000線維芽細胞/mlでの二層バイオプリンティング、ならびに無細胞の下層および2,000,000線維芽細胞/mlの細胞化した上層のハイブリッド二層を試験した。細胞化された二層構築物では、2.2cm×2.2cm×0.2cm(二層)および100%の充填率のスラブを、プロトコル#8を用いてプリントし、その後、プロトコル#5を用いて硬化した。ハイブリッド細胞化二層構築物では、寸法2.2cm×2.2cm×0.1cmの第一の無細胞層、ならびにその次の寸法2.2cm×2.2cm×0.1cmおよび充填率100%の第二の細胞化層(2,000,000線維芽細胞/ml)を、プロトコル#8を用いてプリントし、プロトコル#5を用いて硬化した。
【0241】
次に、様々な構築物を、10%仔牛血清、1%抗生物質、ビタミンCおよびEGFを補充したDMEMで構成されたヒト真皮を培養するのに適した培養培地中、37℃および5%CO2で21日間培養した。3週間の培養後に、4,000,000c/mlの正常ヒトケラチノサイトの浮遊液を、10%仔牛血清、1%抗生物質、インスリン、ヒドロコルチゾン、ビタミンCおよびEGFを補充したDMEM/HAMF12で構成された適切な培養培地で調製した。この浮遊液250μlを、250,000ケラチノサイト/cmの播種のために各構築物上に置いた。播種の後、様々な構築物を、インスリン、ヒドロコルチゾン、ビタミンCおよび1%抗生物質を補充したDMEM/HAMF12で構成されたヒト皮膚等価物を培養するのに適した培養培地中、37℃および5%CO2で21日間培養した。
【0242】
バイオプリンティング構築物のコラーゲン含量を、様々な条件下で評価した。支持体中に存在するコラーゲンの定量分析を、Sircolテスト(Kit S1000、Biocolor)を用いて実行した。この試験の対照は、バイオプリンティングして表面を有する試料と同じ方法論に従って生成された無細胞FAG構築物であった。コラーゲンの分解に起因するペレットを、塩基性試薬溶液(キット)250μlに溶解した。その後、吸光度を、555nm((NanoQuant(登録商標)infinite m200PRO、TECAN)で測定し、結果を、標準範囲の結果と比較して、消化上清中のコラーゲン濃度の評価を可能にした。その後、この濃度を各試料塊に加え、それらのコラーゲン濃度を評価した。
【0243】
結果を、以下の表4に分類し、新生されたコラーゲン濃度を、各型の構築物について示す。これらの結果は、試験した様々な構築物の濃度から対照試料の濃度/mgを差し引くことにより得られた(細胞培養の終了時の試料の湿重量mgあたりのコラーゲン質量μg)。
【表5】
【0244】
対照試料に対応する値は、ゼロでないため、SircolテストがFAGヒドロゲル中のゼラチンをコラーゲンとして同定することが推測され得る。構築物は、対照よりも高いコラーゲン濃度を示し、新生コラーゲンの存在が確認された。
【0245】
組織学的分析を、培養終了時に実施した。構築物を、半分に切断した。第一の半分を、4%ホルマリン中で24時間固定し、その後、STP120脱水装置(Microm)で、無水エタノールおよびメチルシクロヘキサンの連続浴により脱水し、ケロセンに包埋した。5μm厚の切片を、HM340eミクロトーム(Microm)を用いて切り出した。その後、ヘマトキシリン・フロキシン・サフロン(HPS)染色を、これらの切片で実施した。
【0246】
結果を、図28に示し、画像は、試験した両方の条件が細胞外マトリックス合成を伴う厚い健康な真皮、および分化して多層化した表皮の確立を支持したことを明らかにする。
【0247】
この試験は、TAGによって硬化したFAGヒドロゲル支持体から再構成された組織を作製することの実行可能性を実証した。異なる条件が、再構成された皮膚(厚みのある真皮等価物および適切に分化した表皮)をもたらした。本明細書において試験した2つの方法は、コラーゲンの新生を実証する成熟真皮-表皮アセンブリを生成した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10-1】
図10-2】
図11-1】
図11-2】
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
【国際調査報告】