(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】ケトロラック液体組成物、その製造方法及び応用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/407 20060101AFI20240625BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240625BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240625BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240625BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20240625BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240625BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240625BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A61K31/407
A61P29/00
A61K9/08
A61K47/18
A61K47/40
A61K47/12
A61K47/02
A61K47/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579628
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 CN2022100988
(87)【国際公開番号】W WO2022268190
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】202110702722.1
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110702691.X
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521504049
【氏名又は名称】上海雲晟研新生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】陳志祥
(72)【発明者】
【氏名】陳榜銀
(72)【発明者】
【氏名】劉爽
(72)【発明者】
【氏名】郭▲ゼェン▼
(72)【発明者】
【氏名】付俊
(72)【発明者】
【氏名】王▲ティン▼▲ティン▼
(72)【発明者】
【氏名】応述歓
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB01
4C076BB11
4C076CC04
4C076DD22Z
4C076DD23D
4C076DD25Z
4C076DD30Z
4C076DD41Z
4C076DD43Z
4C076DD50Z
4C076DD51Q
4C076DD67D
4C076EE39Q
4C076FF11
4C076FF63
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB03
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA03
4C086ZB11
(57)【要約】
本発明は、ケトロラック液体組成物、その製造方法及び応用を開示する。本発明は、ケトロラックトロメタミン、安定剤、緩衝剤、浸透圧調整剤及びpH調節剤を含み、上記ケトロラック液体組成物にはエタノールが含まず、上記ケトロラックトロメタミンの濃度が0.15 mmol/L~160.00 mmol/Lであり、上記濃度がケトロラックトロメタミンのモル量と上記ケトロラック液体組成物の体積との比である、ケトロラック液体組成物を提供する。本発明のケトロラック液体組成物は、有機溶媒を含まず、物理的及び化学的特性が安定し、体内刺激性が少なく、副作用が更に低く、更に安全で、更に便利で、患者の投与コンプライアンス及び臨床的投与の利便性を高めることができ、良好な市場見通しがある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケトロラック液体組成物であって、ケトロラック又はその薬学的に許容される塩、安定剤、浸透圧調整剤、pH調節剤、及び任意で存在又は非存在の緩衝剤という成分を含み、
そのうち、前記ケトロラック液体組成物にはエタノールが含まず、前記ケトロラック又はその薬学的に許容される塩の濃度は0.15 mmol/L~160.00 mmol/Lであり、前記濃度は、ケトロラック又はその薬学的に許容される塩のモル量と前記ケトロラック液体組成物の体積との比を指し、
好ましくは、前記ケトロラック液体組成物において、ケトロラックの薬学的に許容される塩は、好ましくはケトロラックトロメタミンであり、
好ましくは、前記ケトロラック液体組成物において、前記ケトロラック又はその薬学的に許容される塩(例えばケトロラックトロメタミン)の濃度は0.15 mmol/L~0.38 mmol/L、又は30.00 mmol/L~160.00 mmol/Lであり、例えば39.50 mmol/L~80.00 mmol/Lである、
ことを特徴とするケトロラック液体組成物。
【請求項2】
前記ケトロラック液体組成物において、前記安定剤は、リジン、アルギニン、メグルミン、リン酸、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン及びスルホブチル-β-シクロデキストリンのうちの1種又は複数種であり、好ましくは、アルギニン、メグルミン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン及びスルホブチル-β-シクロデキストリンのうちの1種又は複数種であり、
好ましくは、前記リジンは、L-リジン及び/又はD-リジンであり、
好ましくは、前記アルギニンは、L-アルギニン及び/又はD-アルギニンである、
ことを特徴とする請求項1に記載のケトロラック液体組成物。
【請求項3】
前記ケトロラック液体組成物において、前記ケトロラック又はその薬学的に許容される塩と前記安定剤とのモル比は1:0.005~1:30、好ましくは1:0.05~1:5である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のケトロラック液体組成物。
【請求項4】
前記ケトロラック液体組成物において、前記緩衝剤は、酢酸及びその塩、ホウ酸及びその塩、クエン酸及びその塩、酒石酸及びその塩、シュウ酸及びその塩、炭酸及びその塩並びにトロメタミン及びその塩のうちの1種又は複数種であり、好ましくは、クエン酸及びその塩並びに酢酸及びその塩のうちの1種又は複数種であり、
好ましくは、前記塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩又はアンモニア塩である、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のケトロラック液体組成物。
【請求項5】
前記ケトロラック液体組成物において、前記ケトロラック又はその薬学的に許容される塩と前記緩衝剤とのモル比は1:0~1:30、好ましくは1:0~1:5である、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載のケトロラック液体組成物。
【請求項6】
前記ケトロラック液体組成物において、前記pH調節剤は、塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム及びアンモニア水のうちの1種又は複数種であり、
好ましくは、前記ケトロラック液体組成物のpH範囲は6.0~9.0、更に好ましくは6.5~8.5である、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載のケトロラック液体組成物。
【請求項7】
前記ケトロラック液体組成物において、前記浸透圧調整剤は、塩化ナトリウム、マンニトール、グルコース及びラクトースのうちの1種又は複数種であり、
好ましくは、前記ケトロラック液体組成物の浸透圧の範囲は200 mOsmol/kg~500 mOsmol/kg、更に好ましくは260 mOsmol/kg~330 mOsmol/kgである、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載のケトロラック液体組成物。
【請求項8】
前記ケトロラック液体組成物は、注射用水などの水を更に含み、
好ましくは、前記ケトロラック液体組成物は、経口液又は注射液であってもよい、
ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載のケトロラック液体組成物。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載のケトロラック液体組成物の製造方法であって、請求項1~8の何れか一項に記載の成分を混合することを含む、方法。
【請求項10】
抗炎症薬、好ましくは非ステロイド性抗炎症薬の製造など、炎症を予防及び/又は治療する薬物の製造における、請求項1~8の何れか一項に記載のケトロラック液体組成物の応用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、2021年6月24日に中国国家知識産権局に提出された、特許出願番号が202110702722.1、発明名称が「ケトロラック液体組成物、その製造方法及び応用」及び2021年6月24日に中国国家知識産権局に提出された、特許出願番号が202110702691.X、発明名称が「ケトロラック液体組成物、その製造方法及び応用」である先行出願の優先権を主張する。当該先行出願の全文は、引用により本願に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、ケトロラック液体組成物、その製造方法及び応用に関し、医薬組成物分野に属する。
【0003】
〔背景技術〕
ケトロラックはピロミド酸誘導体系非ステロイド性抗炎症薬であり、プロスタグランジン合成酵素阻害剤であり、強力な鎮痛作用及び中等抗炎症、解熱作用があり、主にアラキドン酸により代謝されるシクロオキシゲナーゼを遮断することにより、プロスタグランジンの合成を低減する作用がある。
【0004】
【0005】
ケトロラックトロメタミンはケトロラックの塩形であり、米国シンディスファーマシューティカルズによって開発され、1990年にイタリアで初めて発売された、注射投与できる新規NSAID薬物である。ケトロラックトロメタミンは、鎮痛作用が抗炎症作用よりも強く、術後疼痛の緩和においてモルヒネよりも優れることが多くの研究結果で示され、臨床において術後や産後の激しい痛み、又はがんの中期・後期の疼痛、中等度又は重度の外部疼痛などの治療に使用されている。標準的な鎮痛動物モデルにおいて、本品の鎮痛活性はアスピリンの800倍であり、インドメタシン及びナプロキセンよりも高く、ブタゾンと同等か又はそれよりも優れている。複数の試験において、その抗炎症活性はインドメタシンと同等か又はそれよりも強く、ナプロキセンよりも強く、且つブタゾンよりも明らかに優れている。当該薬物の利点は、中枢神経系障害や嗜癖性などの毒性副作用がなく、呼吸抑制や便秘などの副作用もないことである。
【0006】
現在、臨床で使用されているケトロラックトロメタミンには主に、錠剤、カプセル剤、注射剤などの、経口投与製剤及び注射製剤が含まれる。そのうち、ケトロラックトロメタミン注射液は、その発効が速いという特徴のため、広く使用されている。しかし、現在、従来の注射液にエタノールが含まれており、エタノールなどの有機溶媒を含む注射剤には一定の毒性があり、注射中に刺激性を引き起こしやすく、患者のコンプライアンスを低減する。また、臨床において、ケトロラックトロメタミン注射液は、モルヒネなどの注射剤と併用されることが多く、エタノールはモルヒネの吸収と代謝に一定の影響を及ぼし、副作用の発生率を増加させるため、エタノールを含むケトロラックトロメタミン注射液は、副作用を増加させるリスクがある。また、この注射液を長期間放置すると、小さな白い点や結晶が生成し続け、目に見える異物や不溶性粒子に影響を及ぼし、一定の安全上のリスクも引き起こす。
【0007】
従って、物理的、化学的に安定し、体内刺激性が少なく、副作用がより低く、より安全で、より便利で、患者の投与コンプライアンスに優れるケトロラック剤形を見出すことは、現在、急務となっている技術問題である。
【0008】
〔発明の概要〕
上記技術問題を改善するために、本発明は、ケトロラック又はその薬学的に許容される塩、安定剤、浸透圧調整剤、pH調節剤、及び任意で存在又は非存在の緩衝剤という成分を含むケトロラック液体組成物を提供する。
【0009】
そのうち、上記ケトロラック液体組成物にはエタノールが含まず、上記ケトロラック又はその薬学的に許容される塩の濃度は0.15 mmol/L~160.00 mmol/Lであり、上記濃度は、ケトロラック又はその薬学的に許容される塩のモル量と上記ケトロラック液体組成物の体積との比を指す。
【0010】
本発明の実施形態によれば、上記ケトロラック液体組成物において、ケトロラックの薬学的に許容される塩は、好ましくはケトロラックトロメタミンである。
【0011】
本発明の実施形態によれば、上記ケトロラック液体組成物において、上記ケトロラック又はその薬学的に許容される塩(例えばケトロラックトロメタミン)の濃度は、好ましくは0.15 mmol/L~0.38 mmol/L、又は30.00 mmol/L~160.00 mmol/Lであり、例えば39.50 mmol/L~80.00 mmol/Lであり、その実例としては39.85 mmol/L又は79.70 mmol/Lであってもよい。
【0012】
本発明の実施形態によれば、上記ケトロラック液体組成物において、上記安定剤は、好ましくは、リジン、アルギニン、メグルミン、リン酸、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン及びスルホブチル-β-シクロデキストリンのうちの1種又は複数種であり、更に好ましくは、アルギニン、メグルミン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン及びスルホブチル-β-シクロデキストリンのうちの1種又は複数種である。上記リジンはL-リジン及び/又はD-リジンであってもよい。上記アルギニンはL-アルギニン及び/又はD-アルギニンであってもよい。
【0013】
本発明の実施形態によれば、上記ケトロラック液体組成物において、上記ケトロラック又はその薬学的に許容される塩と上記安定剤とのモル比は、好ましくは1:0.005~1:30、更に好ましくは1:0.05~1:5であり、例えば1:0.1、1:0.2、1:0.3、1:0.4、1:0.5、1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5又は1:5である。
【0014】
本発明の実施形態によれば、上記ケトロラック液体組成物において、上記緩衝剤は、好ましくは、酢酸及びその塩、ホウ酸及びその塩、クエン酸及びその塩、酒石酸及びその塩、シュウ酸及びその塩、炭酸及びその塩並びにトロメタミン及びその塩のうちの1種又は複数種であり、更に好ましくは、クエン酸及びその塩並びに酢酸及びその塩のうちの1種又は複数種である。そのうち、上記塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニア塩又はアンモニウム塩などであってもよい。
【0015】
本発明の実施形態によれば、上記ケトロラック液体組成物において、上記ケトロラック又はその薬学的に許容される塩と上記緩衝剤とのモル比は、好ましくは1:0~1:30、更に好ましくは1:0~1:5である。上記ケトロラック液体組成物に緩衝剤が存在する場合、上記ケトロラック又はその薬学的に許容される塩と上記緩衝剤とのモル比は、1:0.1、1:0.2、1:0.3、1:0.4、1:0.5、1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5又は1:5であってもよい。
【0016】
本発明の実施形態によれば、上記ケトロラック液体組成物において、上記pH調節剤は、好ましくは塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム及びアンモニア水のうちの1種又は複数種である。
【0017】
本発明の実施形態によれば、上記ケトロラック液体組成物のpH範囲は、好ましくは6.0~9.0、更に好ましくは6.5~8.5であり、例えば7.0~8.0、例えば7.2~7.6であり、その実例としては7.4であってもよい。
【0018】
本発明の実施形態によれば、上記ケトロラック液体組成物において、上記浸透圧調整剤は、塩化ナトリウム、マンニトール、グルコース及びラクトースのうちの1種又は複数種である。
【0019】
本発明の実施形態によれば、上記ケトロラック液体組成物の浸透圧の範囲は、好ましくは200 mOsmol/kg~500 mOsmol/kg、更に好ましくは260 mOsmol/kg~330 mOsmol/kgである。
【0020】
本発明の実施形態によれば、上記ケトロラック液体組成物は、注射用水などの水を更に含む。
【0021】
本発明の実施形態によれば、上記ケトロラック液体組成物は、経口液又は注射液の形態であってもよい。
【0022】
本発明は、上記ケトロラック液体組成物の製造方法であって、上記に記載の成分を混合することを含む、方法を更に提供する。
【0023】
本発明の製造方法の実施形態によれば、上記製造方法は、混合後の成分を滅菌処理することを更に含む。
【0024】
本発明は、上記注射液により製造される、好ましくは凍結乾燥プロセスにより製造される、凍結乾燥剤を更に提供する。
【0025】
本発明は、抗炎症薬、好ましくは非ステロイド性抗炎症薬の製造など、炎症を予防及び/又は治療する薬物の製造における、上記ケトロラック液体組成物の応用を更に提供する。
【0026】
本発明は、炎症を予防及び/又は治療する方法であって、必要とする患者に治療有効量の上記ケトロラック液体組成物を提供する、方法を更に提供する。
【0027】
当該分野の常識から逸脱することがない上で、上記それぞれの好ましい条件を、任意的に組み合わせれば、本発明のそれぞれの比較的好ましい例を得ることができる。
【0028】
本発明に使用される試薬及び原料は、何れも市販されている。
【0029】
本発明の積極的な進歩効果は、本発明に係るケトロラック液体組成物が、従来技術におけるケトロラック製剤の物理的、化学的安定性が低く、体内刺激性が比較的大きく、患者の投与コンプライアンスが悪く、安全性が高くないなどの欠陥を改善することである。上記ケトロラック液体組成物に有機溶媒が含まず、且つ安定した物理的及び化学的特性を有し、体内刺激性が少なく、副作用の発生率がより低く、安全性により優れている。且つ、上記ケトロラック液体組成物の投与がより便利であり、患者の投与コンプライアンス及び臨床投与の利便性を高めることができ、良好な市場見通しがある。
【0030】
〔図面の簡単な説明〕
〔
図1〕SDラットに1.5 mg/kgの単回静脈注射投与を行った場合、比較例9及び実施例2のサンプルの平均薬物-時間曲線図(N=3/時点)である。
【0031】
〔
図2〕SDラットに6 mg/kgの単回筋肉内注射投与を行った場合、比較例10及び実施例3のサンプルの平均薬物-時間曲線図(N=3/時点)である。
【0032】
〔発明を実施するための形態〕
以下、実施例の方法により本発明を更に説明する。しかし、本願の請求範囲は、それによって上記実施例の範囲に限定するわけではない。
【0033】
下記実施例において、具体的な条件を明記していない実験方法は、従来の方法や条件、又は製品の仕様書に従って選択される。
【0034】
実施例1
【0035】
【0036】
製造プロセス:
1)室温で85%処方量の注射用水にスルホブチル-β-シクロデキストリン及び塩化ナトリウムを加え、室温で完全に溶解するまで撹拌した。
2)ケトロラックトロメタミンを加え、完全に溶解するまで撹拌した。
3)0.5 mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を加え、pH値を約7.4に調節した。
4)注射用水を処方量に補充した。
5)薬液を0.22 μmのポリエーテルスルホンろ過膜でろ過し、清潔なバイアル毎に1 mLの薬液を充填し、栓を押し、ならして蓋をした。
6)121℃で、15 min湿熱滅菌した。
7)滅菌後の製品にラベルを付けて、得られた。
【0037】
実施例2
【0038】
【0039】
製造プロセス:
1)室温で85%処方量の注射用水にスルホブチル-β-シクロデキストリン及び塩化ナトリウムを加え、室温で完全に溶解するまで撹拌した。
2)ケトロラックトロメタミンを加え、完全に溶解するまで撹拌した。
3)0.5 mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を加え、pH値を約7.4に調節した。
4)注射用水を処方量に補充した。
5)薬液を0.22 μmのポリエーテルスルホンろ過膜でろ過し、清潔なバイアル毎に1 mLの薬液を充填し、栓を押し、ならして蓋をした。
6)121℃で、15 min湿熱滅菌した。
7)滅菌後の製品にラベルを付けて、得られた。
【0040】
実施例3
【0041】
【0042】
製造プロセス:
1)室温で85%処方量の注射用水にスルホブチル-β-シクロデキストリン及び塩化ナトリウムを加え、室温で完全に溶解するまで撹拌した。
2)ケトロラックトロメタミンを加え、完全に溶解するまで撹拌した。
3)0.5 mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を加え、pH値を約7.4に調節した。
4)注射用水を処方量に補充した。
5)薬液を0.22 μmのポリエーテルスルホンろ過膜でろ過し、清潔なバイアル毎に1 mLの薬液を充填し、栓を押し、ならして蓋をした。
6)121℃で、15 min湿熱滅菌した。
7)滅菌後の製品にラベルを付けて、得られた。
【0043】
実施例4
【0044】
【0045】
製造プロセス:
1)室温で85%処方量の注射用水にスルホブチル-β-シクロデキストリン及び塩化ナトリウムを加え、室温で完全に溶解するまで撹拌した。
2)ケトロラックトロメタミンを加え、完全に溶解するまで撹拌した。
3)0.5 mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を加え、pH値を約7.4に調節した。
4)注射用水を処方量に補充した。
5)薬液を0.22 μmのポリエーテルスルホンろ過膜でろ過し、清潔なバイアル毎に1 mLの薬液を充填し、栓を押し、ならして蓋をした。
6)121℃で、15 min湿熱滅菌した。
7)滅菌後の製品にラベルを付けて、得られた。
【0046】
実施例5
【0047】
【0048】
製造プロセス:
1)室温で85%処方量の注射用水にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン及び塩化ナトリウムを加え、室温で完全に溶解するまで撹拌した。
2)ケトロラックトロメタミンを加え、完全に溶解するまで撹拌した。
3)0.1 mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を加え、pH値を約7.4に調節した。
4)注射用水を処方量に補充した。
5)薬液を0.22 μmのポリエーテルスルホンろ過膜でろ過し、清潔なバイアル毎に1 mLの薬液を充填し、栓を押し、ならして蓋をした。
6)121℃で、15 min湿熱滅菌した。
7)滅菌後の製品にラベルを付けて、得られた。
【0049】
実施例6
【0050】
【0051】
製造プロセス:
1)室温で85%処方量の注射用水にアルギニン及び塩化ナトリウムを加え、室温で完全に溶解するまで撹拌した。
2)ケトロラックトロメタミンを加え、完全に溶解するまで撹拌した。
3)0.2 mol/Lの塩酸溶液を加え、pH値を約7.4に調節した。
4)注射用水を処方量に補充した。
5)薬液を0.22 μmのポリエーテルスルホンろ過膜でろ過し、清潔なバイアル毎に1 mLの薬液を充填し、栓を押し、ならして蓋をした。
6)121℃で、15 min湿熱滅菌した。
7)滅菌後の製品にラベルを付けて、得られた。
【0052】
実施例7
【0053】
【0054】
製造プロセス:
1)室温で85%処方量の注射用水にメグルミン及び塩化ナトリウムを加え、室温で完全に溶解するまで撹拌した。
2)ケトロラックトロメタミンを加え、完全に溶解するまで撹拌した。
3)0.2 mol/Lの塩酸溶液を加え、pH値を約7.4に調節した。
4)注射用水を処方量に補充した。
5)薬液を0.22 μmのポリエーテルスルホンろ過膜でろ過し、清潔なバイアル毎に1 mLの薬液を充填し、栓を押し、ならして蓋をした。
6)121℃で、15 min湿熱滅菌した。
7)滅菌後の製品にラベルを付けて、得られた。
【0055】
実施例8
【0056】
【0057】
製造プロセス:
1)40%処方量のpH7.4のクエン酸塩緩衝液(0.2 mol/L)にケトロラックトロメタミンを加え、完全に溶解するまで撹拌した。
2)0.1 mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を加え、pH値を約7.4に調節した。
3)pH7.4のクエン酸塩緩衝液(0.2 mol/L)を処方量に補充した。
4)薬液を0.22 μmのポリエーテルスルホンろ過膜でろ過し、清潔なバイアル毎に1 mLの薬液を充填し、栓を押し、ならして蓋をした。
5)121℃で、15 min湿熱滅菌した。
6)滅菌後の製品にラベルを付けて、得られた。
【0058】
実施例9
【0059】
【0060】
製造プロセス:
1)40%処方量のpH7.4の酢酸塩緩衝液(2 mol/L)にケトロラックトロメタミンを加え、完全に溶解するまで撹拌した。
2)0.1 mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を加え、pH値を約7.4に調節した。
3)pH7.4の酢酸塩緩衝液(2 mol/L)を処方量に補充した。
4)薬液を0.22 μmのポリエーテルスルホンろ過膜でろ過し、清潔なバイアル毎に1 mLの薬液を充填し、栓を押し、ならして蓋をした。
5)121℃で、15 min湿熱滅菌した。
6)滅菌後の製品にラベルを付けて、得られた。
【0061】
比較例1
【0062】
【0063】
製造プロセス:
1)室温で85%処方量の注射用水に塩化ナトリウムを加え、室温で完全に溶解するまで撹拌した。
2)ケトロラックトロメタミンを加え、完全に溶解するまで撹拌した。
3)0.1 mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を加え、pH値を約7.4に調節した。
4)注射用水を処方量に補充した。
5)薬液を0.22 μmのポリエーテルスルホンろ過膜でろ過し、清潔なバイアル毎に1 mLの薬液を充填し、栓を押し、ならして蓋をした。
6)121℃で、15 min湿熱滅菌した。
7)滅菌後の製品にラベルを付けて、得られた。
【0064】
比較例2
【0065】
【0066】
製造プロセス:
1)室温で85%処方量の注射用水にポリエチレングリコール15-ヒドロキシステアレート及び塩化ナトリウムを加え、室温で完全に溶解するまで撹拌した。
2)ケトロラックトロメタミンを加え、完全に溶解するまで撹拌した。
3)0.1 mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を加え、pH値を約7.4に調節した。
4)注射用水を処方量に補充した。
5)薬液を0.22 μmのポリエーテルスルホンろ過膜でろ過し、清潔なバイアル毎に1 mLの薬液を充填し、栓を押し、ならして蓋をした。
6)121℃で、15 min湿熱滅菌した。
7)滅菌後の製品にラベルを付けて、得られた。
【0067】
比較例3
【0068】
【0069】
製造プロセス:
1)室温で85%処方量の注射用水にTween80及び塩化ナトリウムを加え、室温で完全に溶解するまで撹拌した。
2)ケトロラックトロメタミンを加え、完全に溶解するまで撹拌した。
3)0.1 mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を加え、pH値を約7.4に調節した。
4)注射用水を処方量に補充した。
5)薬液を0.22 μmのポリエーテルスルホンろ過膜でろ過し、清潔なバイアル毎に1 mLの薬液を充填し、栓を押し、ならして蓋をした。
6)121℃で、15 min湿熱滅菌した。
7)滅菌後の製品にラベルを付けて、得られた。
【0070】
比較例4
【0071】
【0072】
製造プロセス:
1)室温で85%処方量の注射用水にポリオキシエチレン35ヒマシ油(ELP)及び塩化ナトリウムを加え、室温で完全に溶解するまで撹拌した。
2)ケトロラックトロメタミンを加え、完全に溶解するまで撹拌した。
3)0.1 mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を加え、pH値を約7.4に調節した。
4)注射用水を処方量に補充した。
5)薬液を0.22 μmのポリエーテルスルホンろ過膜でろ過し、清潔なバイアル毎に1 mLの薬液を充填し、栓を押し、ならして蓋をした。
6)121℃で、15 min湿熱滅菌した。
7)滅菌後の製品にラベルを付けて、得られた。
【0073】
比較例5
【0074】
【0075】
製造プロセス:
1)室温で85%処方量の注射用水にプロピレングリコール及び塩化ナトリウムを加え、室温で完全に溶解するまで撹拌した。
2)ケトロラックトロメタミンを加え、完全に溶解するまで撹拌した。
3)0.1 mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を加え、pH値を約7.4に調節した。
4)注射用水を処方量に補充した。
5)薬液を0.22 μmのポリエーテルスルホンろ過膜でろ過し、清潔なバイアル毎に1 mLの薬液を充填し、栓を押し、ならして蓋をした。
6)121℃で、15 min湿熱滅菌した。
7)滅菌後の製品にラベルを付けて、得られた。
【0076】
比較例6
【0077】
【0078】
製造プロセス:
1)室温で85%処方量の注射用水にPEG 400及び塩化ナトリウムを加え、室温で完全に溶解するまで撹拌した。
2)ケトロラックトロメタミンを加え、完全に溶解するまで撹拌した。
3)0.1 mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を加え、pH値を約7.4に調節した。
4)注射用水を処方量に補充した。
5)薬液を0.22 μmのポリエーテルスルホンろ過膜でろ過し、清潔なバイアル毎に1 mLの薬液を充填し、栓を押し、ならして蓋をした。
6)121℃で、15 min湿熱滅菌した。
7)滅菌後の製品にラベルを付けて、得られた。
【0079】
比較例7
【0080】
【0081】
製造プロセス:
1)室温で85%処方量の注射用水にEDTAを加え、室温で完全に溶解するまで撹拌した。
2)ケトロラックトロメタミンを加え、完全に溶解するまで撹拌した。
3)0.1 mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を加え、pH値を約7.4に調節した。
4)注射用水を処方量に補充した。
5)薬液を0.22 μmのポリエーテルスルホンろ過膜でろ過し、清潔なバイアル毎に1 mLの薬液を充填し、栓を押し、ならして蓋をした。
6)121℃で、15 min湿熱滅菌した。
7)滅菌後の製品にラベルを付けて、得られた。
【0082】
比較例8
【0083】
【0084】
製造プロセス:
1)室温で85%処方量の注射用水にトロメタミン及び塩化ナトリウムを加え、室温で完全に溶解するまで撹拌した。
2)ケトロラックトロメタミンを加え、完全に溶解するまで撹拌した。
3)0.2 mol/Lの塩酸溶液を加え、pH値を約7.4に調節した。
4)注射用水を処方量に補充した。
5)薬液を0.22 μmのポリエーテルスルホンろ過膜でろ過し、清潔なバイアル毎に1 mLの薬液を充填し、栓を押し、ならして蓋をした。
6)121℃で、15 min湿熱滅菌した。
7)滅菌後の製品にラベルを付けて、得られた。
【0085】
比較例9
市販対照品により開示された公開情報に従って、それと同じの処方組成を用いて規格1 mL:15 mgのサンプルを製造し、具体的な製造プロセスは以下の通りである:
【0086】
【0087】
製造プロセス:
1)室温で85%処方量の注射用水にエタノール及び塩化ナトリウムを加え、室温で完全に溶解するまで撹拌した。
2)ケトロラックトロメタミンを加え、完全に溶解するまで撹拌した。
3)0.5 mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を加え、pH値を約7.4に調節した。
4)注射用水を処方量に補充した。
5)薬液を0.22 μmのポリエーテルスルホンろ過膜でろ過し、清潔なバイアル毎に1 mLの薬液を充填し、栓を押し、ならして蓋をした。
6)121℃で、15 min湿熱滅菌した。
7)滅菌後の製品にラベルを付けて、得られた。
【0088】
比較例10
市販対照品により開示された公開情報に従って、それと同じの処方組成を用いて規格1 mL:30 mgのサンプルを製造し、具体的な製造プロセスは以下の通りである。
【0089】
【0090】
製造プロセス:
1)室温で85%処方量の注射用水にエタノール及び塩化ナトリウムを加え、室温で完全に溶解するまで撹拌した。
2)ケトロラックトロメタミンを加え、完全に溶解するまで撹拌した。
3)0.5 mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を加え、pH値を約7.4に調節した。
4)注射用水を処方量に補充した。
5)薬液を0.22 μmのポリエーテルスルホンろ過膜でろ過し、清潔なバイアル毎に1 mLの薬液を充填し、栓を押し、ならして蓋をした。
6)121℃で、15 min湿熱滅菌した。
7)滅菌後の製品にラベルを付けて、得られた。
【0091】
実施例10
高温試験及び光照射試験:
本発明の実施例1~9、比較例1~8のサンプル及び21265DKバッチの参照製剤(規格:15 mg/mL、有効期間:2022.09.01、製造業者:Hospira, Inc.)及び13084DKバッチの参照製剤(規格:30 mg/mL、有効期間:2022.01.01、製造業者:Hospira, Inc.)をそれぞれ強光照射(4500±500 Lx)、高温(60℃)で10日間放置し、5日目及び10日目にそれぞれサンプルを採取して外観性状、pH値、不溶性微粒子、関連物質及び含有量を測定し、また0日目の同一バッチのサンプルデータと比較し、結果は表1及び表2に示される。
【0092】
【0093】
【0094】
その結果、本発明の実施例1~9のサンプルは何れも、滅菌後に透明状であり、ChP 2020版中国薬局方の規定に適合し、且つ高温(60℃)、光照射条件で10日間放置した後、その外観性状、関連物質、含有量及びpH値に明らかな変化がなく、一方では、比較例1及び比較例5は滅菌後のサンプルの透明度がChP 2020版中国薬局方の規定に適合しておらず、比較例2、3、4は滅菌後のサンプルが透明状であるが、高温(60℃)の条件で10日間放置した場合、溶液の外観性状が明らかに変化し、黄色透明な液体に変化し、且つ不純物の含有量が明らかに増加し、一方では、比較例6、7、8は滅菌後に高温(60℃)の条件で10日間放置した後、外観性状がChP 2020版中国薬局方の規定に適合しておらず、安定性が比較的低かった。
【0095】
実施例11
加速試験:
実施例2、実施例3及び参照製剤(21265DK)のサンプルを、温度40±2℃、相対湿度75±5%の恒温恒湿箱に6か月間保存し、1、2、3、6か月目にそれぞれサンプリングして検測し、且つ0日目の同一バッチのサンプルデータと比較し、結果は表3に示される。
【0096】
【0097】
加速試験の結果は、実施例2、実施例3のサンプル及び参照製剤(21265DK、1 mL:15 mg)、参照製剤(15141DK、1 mL:30 mg)が加速条件で関連物質の含有量が若干増加したが、ChP 2020版中国薬局方規定の範囲内にあり、その含有量、外観性状、pH値に明らかな変化がなく、実施例2、実施例3のサンプルが加速条件で安定性が良好であることが示される。
【0098】
実施例12
長期試験:
実施例2、実施例3及び参照製剤(21265DK、1 mL:15 mg)、参照製剤(15141DK、1 mL:30 mg)のサンプルを、温度25±2℃、相対湿度60±5%の条件で24か月間放置し、3、6、9、12、18、24か月間にそれぞれサンプリングして検測し、且つ0日目の同一バッチのサンプルデータと比較し、結果は表4に示される。
【0099】
【0100】
長期試験の結果は、実施例2、実施例3のサンプル及び参照製剤(21265DK)の長期6か月における関連物質、含有量の変化が何れもChP 2020版中国薬局方規定の範囲内であり、その外観性状、pH値に明らかな変化がなく、実施例2、実施例3のサンプルは安定性が良好であることが示される。
【0101】
実施例13
血漿タンパク質結合試験:
平衡透析法を用いて試験品(実施例2及び実施例3のサンプル)のヒト血漿タンパク質への結合率を調べ、且つ市販対照品(ケトロラックトロメタミン注射液)のヒト血漿タンパク質への結合率と比較した。
【0102】
試験品(実施例2のサンプル、規格:1 mL:15 mg)、試験品(実施例3のサンプル、規格:1 mL:30 mg)、市販対照品であるケトロラックトロメタミン注射液(規格:1 mL:15 mg、製造業者:Hospira, Inc.)及びケトロラックトロメタミン注射液(規格:1 mL:30 mg、製造業者:Hospira, Inc.)を用いて、濃度が150 ng/mL、1500 ng/mL、15000 ng/mLの血漿サンプルをそれぞれ調製し、37℃で平衡透析を6 h行った後、LC-MS/MS法により投与側サンプル、受取側サンプル及び調製直後(0 h)のサンプルを検測することにより、血漿タンパク質結合率(PPB)及び回収率を計算し、具体的なデータは表5に示される。試験品及び市販対照品を用いて調製した血漿サンプル及びPBSサンプルを37℃で振とう(100 rpm)し、6 hインキュベーションした後に検測し、サンプルの安定性を調べ、具体的なデータは表6に示される。同時にシステム対照群を設定し、ワルファリン(300 ng/mL)の血漿タンパク質結合率を測定することにより、試験システムが適用されるかどうかを評価し、具体的なデータは表7に示される。
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
血漿タンパク質結合試験の結果:
システム対照群であるワルファリン(300 ng/mL)のヒト血漿タンパク質への結合率が何れも85%よりも高く、試験システムがこの試験に適合されることが示される。試験濃度150 ng/mL、1500 ng/mL及び15000 ng/mLにおいて、試験品(実施例2のサンプル、規格:1 mL:15 mg及び実施例3のサンプル、規格:1 mL:30 mg)のヒト血漿タンパク質への結合率が97.2%~98.4%であり、市販対照品であるケトロラックトロメタミン注射液(規格がそれぞれ1 mL:15 mg及び1 mL:30 mg)のヒト血漿タンパク質への結合率が97.4%~98.3%であり、何れも高いタンパク質結合率が示され、且つ濃度依存性が見られず、試験品及び市販対照品の血漿タンパク質結合率に差異がなかった。試験品及び市販対照品は、ヒト血漿及びPBS溶液において37℃で6 hインキュベーションし、安定した。
【0107】
実施例14
体外溶血試験:
ケトロラックトロメタミン注射液臨床模擬情報を参照し、この試験濃度として試験品の臨床模擬濃度(15、30 mg/mL)を選択した。異なる容量(0.5~0.1 mL)の試験品1(実施例2のサンプル、規格は1 mL:15 mg)、試験品2(実施例3のサンプル、規格は1 mL:30 mg)、市販対照品1(規格は1 mL:15 mg)、市販対照品2(規格は1 mL:30 mg)及び異なる容量(2.0~2.4 mL)の塩化ナトリウム注射液を、2.5 mL、2%のウサギ赤血球懸濁液を既に含むガラス試験管にそれぞれ加え、同時に塩化ナトリウム注射液と滅菌注射用水をそれぞれ陰性対照品と陽性対照品として、各試験管の総体積は5.0 mLであり、電気加熱恒温箱に置いて37℃で3 hインキュベートし、赤血球の溶解と凝集状態を観察し、具体的な試験方法は表8に示され、試験品及び市販対照品を2%の赤血球懸濁液にインキュベートした後、15 min、30 min、45 min、1 h、2 h及び3 hに溶血及び凝集を観察し、結果は表9に示される。
【0108】
【0109】
【0110】
体外溶血試験の結果:
試験品1(実施例2のサンプル、規格は1 mL:15 mg)及び試験品2(実施例3のサンプル、規格は1 mL:30 mg)は、体外においてウサギ赤血球溶血が見られず、何れもウサギ赤血球凝集を引き起こさなかった。試験品と市販対照品(ケトロラックトロメタミン注射液)の結果は何れも一致した。
【0111】
実施例15
モルモットの能動的全身性アナフィラキシー試験:
試験品(実施例2のサンプル、規格は1 mL:15 mg)を1、3、5日目に3回筋肉内注射することによりモルモットを感作させ、最終感作投与後の14日、各群の最初の3匹の動物の足に静脈注射して惹起させ、惹起後に試験品群(3~4群)の動物と市販対照群は何れもアレルギー反応症状が発生しない場合、1週間後(最終感作投与後の21日)に各群の残りの6匹動物に再度惹起させた。モルモットの即時型アレルギー反応の有無を観察し、且つ市販対照品であるケトロラックトロメタミン注射液(規格は1 mL:15 mg)と比較し、各群動物の投与量及び投与容量は表10に示され、感作性評価標準は表11に示され、試験品/対照品のモルモットに対する能動的全身性アナフィラキシー反応の統計は表12に示される。
【0112】
【0113】
感作性評価は下記の表11を参照して行うと共に、陰性対照群と陽性対照群の結果を総合的に考慮した。
【0114】
【0115】
【0116】
モルモットの能動的全身性アナフィラキシー試験の結果:
試験中、1~5群の動物における惹起前の臨床観察では、試験品/市販対照品に関連する異常反応が見られなかった。
【0117】
惹起後、陰性対照群の9匹の動物は何れもアレルギー反応症状が見られず、アレルギー反応は陰性を示した。
【0118】
陽性対照群の9匹動物は、立毛、鼻のかゆみ、咳、排尿、呼吸困難、紫斑、歩行困難、痙攣、チェーンストークス呼吸などの異なる程度のアレルギー反応症状が発生し、そのうち5匹の動物が死亡し、アレルギー反応は強陽性から極強陽性を示した。
【0119】
試験品の低用量群、高用量群及び市販対照群の9匹/群の動物は何れもアレルギー反応症状が見られず、アレルギー反応は陰性を示した。
【0120】
この試験条件で、試験品(実施例2のサンプル、規格は1 mL:15 mg)を2及び6 mg/kgの用量で3回筋肉内注射することにより感作させ、4及び12 mg/kgの用量で静脈注射することにより惹起させ、最終感作後の14日及び21日にモルモットは何れも即時型アレルギー反応が見られなかった。試験品は市販対照品の結果と一致した。
【0121】
実施例16
筋肉刺激性試験:
この実施例では、ケトロラックトロメタミン注射液を1日1回、合計5回筋肉内注射によりニュージーランドウサギに投与した後、投与局所筋肉に対する刺激反応状況を観察し、且つ市販対照品と比較した。
【0122】
体重2.55~3.08 kgの雄ニュージーランドウサギ16匹を選び、8匹/群で2群にランダムに分けられ、動物の群分け及び投与濃度は表13に示される。同一動物の左右側を自体対照として、全ての動物の左大腿四頭筋に陰性対照品(塩化ナトリウム注射液)を筋肉内注射により投与し、群1動物の右大腿四頭筋に濃度30 mg/mLの試験品(実施例3のサンプル、規格は1 mL:30 mg)を筋肉内注射により投与し、群2動物の右大腿四頭筋に濃度30 mg/mLの市販対照品(ケトロラックトロメタミン注射液)を筋肉内注射により投与した。投与容量は0.5 mL/匹であった。1日1回、合計5日間、即ちD1~D5で投与し、最初の投与当日をD1として定義した。D8(最終投与後の72 h±2 h)に各群の最初の3匹の動物を安楽死させ、D19(最終投与後の14日)に残りの各群5匹を安楽死させ、投与局所を保留して且つ評価した。
【0123】
【0124】
筋肉刺激性試験の結果:
臨床観察:
試験期間において、動物には投与に関連する異常な臨床症状は見られなかった。
【0125】
投与局所観察
試験期間において、動物投与による局所的な観察では、試験品/市販対照品に関連する異常は見られなかった。
【0126】
肉眼病理学:
投与終了後の72 h±2 h(D8)及び回復期間終了(D19)に安楽死させ、動物群1及び2では、右側の注射部位に暗赤色の変色が肉眼的に観察され、顕微鏡下で観察されると関連する注射部位に軽度の間質性出血が認められた。上記病変は、右側の注射部位にのみ見られ、左側の注射部位には見られなかったため、試験品や市販対照品に相関していると考えられた。肉眼的観察結果は表14に示される。
【0127】
【0128】
顕微鏡的病理学:
投与終了後の72 h±2 h(D8)に安楽死させ、動物群1及び2の動物の右側の注射部位に軽微から中度の間質への炎症細胞浸潤、軽度の間質性線維化、軽微から軽度の間質性出血及び軽微から軽度の筋線維変性/壊死/筋線維萎縮を伴う/伴わないことが顕微鏡で観察された。上記病変は程度が重度で、発生率が高く、且つ右側の注射部位にのみ見られ、左側の注射部位には見られなかったため、試験品や市販対照品に相関していると考えられた。
【0129】
【0130】
回復期終了(D19)に安楽死させ、動物群1では、右側の注射部位に軽度の間質性出血及び軽微から軽度の筋線維変性/壊死/筋線維萎縮を伴う/伴わないことが見られた。
【0131】
それ以外、動物群2では、右側の注射部位に軽微から軽度の間質への炎症細胞浸潤、軽度から中度の間質線維症、軽微の間質性出血、軽度から中度の筋線維変性/壊死/筋線維萎縮を伴う/伴わず、及び軽微の鉱化が見られた。
【0132】
投与終了後の72 h±2 h(D8)での安楽死に比べ、回復期終了(D19)に安楽死させた動物では、右側の注射部位病変の病変程度及び発生率は明らかに減少しておらず、上記病変に回復傾向が見られなかったことが示唆された。
【0133】
【0134】
この試験条件で、ニュージーランドウサギにケトロラックトロメタミン注射液を、1日1回、合計5日で筋肉内注射により投与し、30 mg/mLの投与濃度(投与容量は0.5 mL/匹)で、注射部位に試験品及び市販対照品に関連する肉眼的及び顕微鏡的病変が見られた。14日間の回復期を経て、注射部位病変に回復傾向が見られなかった。投与終了後及び回復期終了に安楽死させた動物の病変を合わせると、市販対照品動物の右側注射部位における病変発生率及び病変程度は試験品動物より僅かに重篤であった。
【0135】
実施例17
血管刺激性試験:
この実施例では、ケトロラックトロメタミン注射液を1日1回、合計5回静脈注射によりニュージーランドウサギに投与した後、投与局所に対する刺激反応状況を観察し、且つ市販対照品と比較した。
【0136】
体重2.74~3.74 kgの雄ニュージーランドウサギ16匹を選び、8匹/群で2群にランダムに分けられ、動物の群分け及び投与濃度は表17に示される。同動物の左右側自体対照を採用し、全ての動物左耳縁に陰性対照品(塩化ナトリウム注射液)を静脈注射により投与し、群1動物の右耳に試験品(実施例2のサンプル、規格は1 mL:15 mg)を投与濃度15 mg/mL、投与容量1 mL/匹で静脈内投与し、群2動物の右耳に市販対照品(ケトロラックトロメタミン注射液)を投与濃度15 mg/mL、投与容量1 mL/匹で静脈内投与した。1日1回、合計5日間、即ちD1~D5で投与し、最初の投与当日をD1として定義した。D8(最終投与後の72 h±2 h)に各群の最初の3匹を安楽死させ、D19(最終投与後の14日)に残りの各群5匹を安楽死させ、投与局所を保留して且つ評価した。
【0137】
【0138】
血管刺激性試験の結果:
臨床観察:
試験期間において、動物には投与に関連する異常な臨床症状は見られなかった。
【0139】
投与局所観察:
試験期間において、動物投与による局所的な観察では、試験品/市販対照品に関連する異常は見られなかった。
【0140】
肉眼病理学:
この試験過程において、最終投与後の72 h(±2 h)(D8)及び最終投与後の14日(D19)に安楽死させた全ての動物の注射部位(即ち、投与局所)における肉眼的観察では、何れも異常な病理学的変化は見られなかった。
【0141】
顕微鏡的病理学:
この試験過程において、最終投与後の72 h(±2 h)(D8)及び最終投与後の14日(D19)に安楽死させた全ての動物の注射部位(即ち、投与局所)における両側5段階静脈での顕微鏡観察では、何れも異常な病理学的変化は見られなかった。
【0142】
群2の1匹の雄性動物(#2192610)の左側投与部位に軽微の血管壁の壊死及び軽微の血管周囲繊維化が見られた。上記病変は1匹の動物にのみ見られ、且つ病変程度が比較的低いため、機械的損傷と考えられ、市販対照品に相関していなかった。
【0143】
試験条件で、ニュージーランドウサギにケトロラックトロメタミン注射液を投与濃度15 mg/mL、投与容量1 mL/匹で静脈注射により繰り返して投与し、最終投与後の72 h(±2 h)(D8)に安楽死させた動物注射部位及び最終投与後の14日(D19)に安楽死させた動物注射部位(即ち局所投与組織)に試験品/市販対照品に関連する肉眼的及び顕微鏡的病変が見られなかった。
【0144】
実施例18
薬物動態研究
この実験では、雄SDラット12匹に静脈内(1.5 mg/kg、実施例2のサンプルを使用し、規格は1 mL:15 mg及び比較例9、規格は1 mL:15 mg)及び筋肉内注射(6 mg/kg、実施例3のサンプル、規格は1 mL:30 mg及び比較例10を使用)により単回投与し、且つ投与後の5 min、15 min、30 min、1 h、2 h、3 h、4 h、6 h、8 h、12 h及び24 hに血漿を採取した。次に液体クロマトグラフィータンデム質量分析法(LC-MS/MS)法により内部標準法を用いてラット血漿中のケトロラックトロメタミンの濃度を定量的に測定し、WinNonlin 8.2ソフトウェアにより非コンパートメントモデルに従ってその薬物動態パラメータを計算し、その結果は表18及び表19に示され、そのPK曲線は
図1及び
図2に示される。
【0145】
【0146】
【0147】
上記試験の結果から明らかなように、本発明のケトロラック液体組成物は、優れた暴露量を達成できるが、体内刺激性が顕著に減少し、副作用が更に低く、安全性に優れる。且つ、上記ケトロラック液体組成物は、投与が更に便利で、患者の投与コンプライアンス及び臨床投与の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【
図1】SDラットに1.5 mg/kgの単回静脈注射投与を行った場合、比較例9及び実施例2のサンプルの平均薬物-時間曲線図(N=3/時点)である。
【
図2】SDラットに6 mg/kgの単回筋肉内注射投与を行った場合、比較例10及び実施例3のサンプルの平均薬物-時間曲線図(N=3/時点)である。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケトロラック液体組成物であって、ケトロラック又はその薬学的に許容される塩、安定剤、浸透圧調整剤、pH調節剤、及び任意で存在又は非存在の緩衝剤という成分を含み、
そのうち、前記ケトロラック液体組成物にはエタノールが含まず、前記ケトロラック又はその薬学的に許容される塩の濃度は0.15 mmol/L~160.00 mmol/Lであり、前記濃度は、ケトロラック又はその薬学的に許容される塩のモル量と前記ケトロラック液体組成物の体積との比を指し、
好ましくは、前記ケトロラック液体組成物において、ケトロラックの薬学的に許容される塩は、好ましくはケトロラックトロメタミンであり、
好ましくは、前記ケトロラック液体組成物において、前記ケトロラック又はその薬学的に許容される塩(例えばケトロラックトロメタミン)の濃度は0.15 mmol/L~0.38 mmol/L、又は30.00 mmol/L~160.00 mmol/Lであり、例えば39.50 mmol/L~80.00 mmol/Lである、
ことを特徴とするケトロラック液体組成物。
【請求項2】
前記ケトロラック液体組成物において、前記安定剤は、リジン、アルギニン、メグルミン、リン酸、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン及びスルホブチル-β-シクロデキストリンのうちの1種又は複数種であり、好ましくは、アルギニン、メグルミン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン及びスルホブチル-β-シクロデキストリンのうちの1種又は複数種であり、
好ましくは、前記リジンは、L-リジン及び/又はD-リジンであり、
好ましくは、前記アルギニンは、L-アルギニン及び/又はD-アルギニンである、
ことを特徴とする請求項1に記載のケトロラック液体組成物。
【請求項3】
前記ケトロラック液体組成物において、前記ケトロラック又はその薬学的に許容される塩と前記安定剤とのモル比は1:0.005~1:30、好ましくは1:0.05~1:5である、
ことを特徴とする請求項
1に記載のケトロラック液体組成物。
【請求項4】
前記ケトロラック液体組成物において、前記緩衝剤は、酢酸及びその塩、ホウ酸及びその塩、クエン酸及びその塩、酒石酸及びその塩、シュウ酸及びその塩、炭酸及びその塩並びにトロメタミン及びその塩のうちの1種又は複数種であり、好ましくは、クエン酸及びその塩並びに酢酸及びその塩のうちの1種又は複数種であり、
好ましくは、前記塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩又はアンモニア塩である、
ことを特徴とする請求項
1に記載のケトロラック液体組成物。
【請求項5】
前記ケトロラック液体組成物において、前記ケトロラック又はその薬学的に許容される塩と前記緩衝剤とのモル比は1:0~1:30、好ましくは1:0~1:5である、
ことを特徴とする請求項
1に記載のケトロラック液体組成物。
【請求項6】
前記ケトロラック液体組成物において、前記pH調節剤は、塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム及びアンモニア水のうちの1種又は複数種であり、
好ましくは、前記ケトロラック液体組成物のpH範囲は6.0~9.0、更に好ましくは6.5~8.5である、
ことを特徴とする請求項
1に記載のケトロラック液体組成物。
【請求項7】
前記ケトロラック液体組成物において、前記浸透圧調整剤は、塩化ナトリウム、マンニトール、グルコース及びラクトースのうちの1種又は複数種であり、
好ましくは、前記ケトロラック液体組成物の浸透圧の範囲は200 mOsmol/kg~500 mOsmol/kg、更に好ましくは260 mOsmol/kg~330 mOsmol/kgである、
ことを特徴とする請求項
1に記載のケトロラック液体組成物。
【請求項8】
前記ケトロラック液体組成物は、注射用水などの水を更に含み、
好ましくは、前記ケトロラック液体組成物は、経口液又は注射液であってもよい、
ことを特徴とする請求項
1に記載のケトロラック液体組成物。
【請求項9】
請求項
1に記載のケトロラック液体組成物の製造方法であって、請求項
1に記載の成分を混合することを含む、方法。
【請求項10】
抗炎症薬、好ましくは非ステロイド性抗炎症薬の製造など、炎症を予防及び/又は治療する薬物の製造における、請求項
1に記載のケトロラック液体組成物の応用。
【国際調査報告】