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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】サービスロケーションの異常
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
H02J13/00 301D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579687
(86)(22)【出願日】2022-06-06
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 US2022032344
(87)【国際公開番号】W WO2023278102
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/216,375
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/732,788
(32)【優先日】2022-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】523325484
【氏名又は名称】ランディス・ギア・テクノロジー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LANDIS+GYR TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】ガルザ,カルロス イガ
【テーマコード(参考)】
5G064
【Fターム(参考)】
5G064AC09
5G064BA02
5G064BA09
5G064CB16
5G064DA03
(57)【要約】
開示された技術には、配電システムの電気的異常を検出するために機械学習を使用することが含まれる。一例として、方法は、電気メータ装置で測定された電圧測定値にアクセスすることを含む。本方法はさらに、電圧測定値から、時間窓のセットの各時間窓について、対応する平均電圧と対応する最小電圧を計算することを含む。この方法はさらに、平均電圧と最小電圧に機械学習モデルを適用することを含む。機械学習モデルは、電圧から1つ又は複数の所定の電気的異常を識別するように学習される。本方法はさらに、機械学習モデルから、識別された異常を示す分類を受信することを含む。本方法はさらに、分類に基づいて、ユーティリティ事業者に警報を送信することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電システムの電気的異常を検出するために機械学習を使用する方法であって、
前記方法は、
電気メータ装置で測定された第1の複数の電圧測定値にアクセスすることと、
前記第1の複数の電圧測定値から、第1の複数の時間窓のそれぞれについて、第1の対応する平均電圧と第1の対応する最小電圧を計算することと、
機械学習モデルを第1の平均電圧と第1の最小電圧に適用することであって、前記機械学習モデルは、電圧測定値から、電気的異常に対応する第1の電圧シグネチャを識別するように学習されることと、
前記機械学習モデルから、第1の接触不良接続を示す第1の分類を受信することと、
前記第1の分類に基づいて、ユーティリティ事業者に第1の警報を送信することと、
第2の複数の電圧測定値から、第2の複数の時間窓のそれぞれについて、第2の対応する平均電圧と第2の対応する最小電圧を計算することであって、前記第2の複数の時間窓は、第1の複数の時間窓の前に発生し、前記第2の複数の時間窓は、第1の複数の時間窓の前に発生することと、
前記機械学習モデルを、第1の平均電圧、第1の最小電圧、第1の電圧シグネチャ、第2の平均電圧、及び第2の最小電圧に適用することと、
前記機械学習モデルから、第2の接触不良接続を示す第2の電圧シグネチャを識別する第2の分類を受信することと、
前記第2の分類に基づいて、ユーティリティ事業者に第2の警報を送信することとを含む、方法。
【請求項2】
前記第2の複数の電圧測定値は、追加の電気メータ装置で測定される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の電圧シグネチャは、一定期間にわたる最小電圧の第1の減少と、前記一定期間にわたる平均電圧の第2の減少とを含み、
前記第2の減少は第1の減少より小さい、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の複数の電圧測定値は、電気メータ装置で測定される、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記機械学習モデルを、前記電気メータ装置と、配電線を介して前記電気メータ装置に電気的に接続されている1つ又は複数の配電変圧器とを関連付けるトポロジー情報に適用することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の複数の電圧測定値にアクセスすることは、前記電気メータ装置に要求を送信することと、前記電気メータ装置から前記第1の複数の電圧測定値を受信することとを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、
学習データ対のセットにアクセスすることによって機械学習モデルを学習することであって、前記各学習データ対は、
(i)平均電圧の学習セットと最小電圧のセット、
(ii)配電変圧器に接続されたすべての電気メータ装置の平均電圧の学習セット、又は、
(iii)配電変圧器の後ろにある1つの電気メータ装置の平均電圧の学習セットと、1つ又は複数の電気的異常を示す予想される分類、
のうちの1つ又は複数を含むことと、
前記機械学習モデルに、学習データ対のセットのうちの1つの学習データ対を提供することと、
前記機械学習モデルから、決定された分類を受信することと、
決定された分類と期待される分類を比較して損失関数を計算することと、
前記機械学習モデルの内部パラメータを調整し、損失関数を最小化することと、
をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記学習データ対のセットは、1つ又は複数の配電変圧器と1つ又は複数のメータ装置とを関連付けるトポロジー情報をさらに含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
コンピュータ実行可能なプログラム命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、処理装置によって実行されるとき、コンピュータ実行可能プログラム命令は、前記処理装置に対して所定の動作を実行させ、
前記動作は、
電気メータ装置で測定された第1の複数の電圧測定値にアクセスすることと、
前記第1の複数の電圧測定値から、第1の複数の時間窓のそれぞれについて、第1の対応する平均電圧と第1の対応する最小電圧を計算することと、
機械学習モデルを第1の平均電圧と第1の最小電圧に適用することであって、前記機械学習モデルは、電圧測定値から、電気的異常に対応する第1の電圧シグネチャを識別するように学習されることと、
前記機械学習モデルから、第1の異常を示す第1の分類を受信することと、
前記第1の分類に基づいて、ユーティリティ事業者に第1の警報を送信することと、
第2の複数の電圧測定値から、第2の複数の時間窓のそれぞれについて、第2の対応する平均電圧と第2の対応する最小電圧を計算することであって、前記第2の複数の時間窓は、第1の複数の時間窓の前に発生することと、
前記機械学習モデルを第1の平均電圧、第1の最小電圧、第2の平均電圧、及び第2の最小電圧に適用することと、
前記機械学習モデルから、第2の異常を示す第2の電圧シグネチャを識別する第2の分類を受信することと、
前記第2の分類に基づいて、ユーティリティ事業者に第2の警報を送信することと、
を含む、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
前記第1の異常及び前記第2の異常のうちの1つ又は複数は、電気メータ装置に関連する接触不良に関連する、
請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
前記第1の異常及び前記第2の異常のうちの1つ又は複数は、前記一定期間にわたる最小電圧の第1の減少及びその期間にわたる平均電圧の第2の減少によって表され、
前記第2の減少は前記第1の減少より小さい、
請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記第1の異常及び前記第2の異常のうちの1つ又は複数は、第1の最小電圧の1つ又は複数のピーク又はバレーと第1の平均電圧の1つ又は複数のピーク又はバレーとの間の1つ又は複数の相関によって表される、
請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
前記処理装置によって実行される場合、コンピュータが実行可能なプログラム命令は、処理装置に、配電線を介して前記電気メータ装置に電気的に接続されている1つ又は複数の配電変圧器と電気メータ装置を関連付けるトポロジー情報に機械学習モデルを適用させる、
請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
前記第1の複数の電圧測定値にアクセスすることは、前記電気メータ装置に要求を送信することと、前記電気メータ装置から複数の電圧測定値を受信することとを含む、
請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
前記処理装置によって実行されるとき、コンピュータ実行可能プログラム命令は、前記処理装置に、以下の方法によって機械学習モデルを学習させ、前記方法は、
学習データ対のセットにアクセスすることであって、前記各学習データ対は、
(i)平均電圧のセットと最小電圧のセットと、
(ii)配電変圧器に接続された複数の電気メータ装置の平均電圧のセットと、
(iii)配電変圧器の背後にある1つの電気メータ装置の平均電圧のセットと、1つ又は複数の電気的異常を示す予想される分類と、
のうちの1つ又は複数を含むことと、
前記機械学習モデルに学習データ対のセットを提供することと、
前記機械学習モデルから、決定された分類を受信することと、
決定された分類と期待される分類を比較して損失関数を計算することと、
前記機械学習モデルの内部パラメータを調整し、損失関数を最小化することと、
を含む、
請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
リソース分配システムにおける電気的異常を検出するためのシステムであって、
前記システムは、
計算装置と機械学習モデルを含むヘッドエンドシステムと、
複数の電気メータ装置とを備え、
前記各電気メータ装置はセンサを備え、
前記各電気メータ装置は、前記各電気メータ装置の上流にある配電変圧器に電気的に接続され、
前記各電気メータ装置は、
前記電気メータ装置のそれぞれのセンサから、それぞれの複数の電圧測定値を取得し、
それぞれの複数の電圧測定値をヘッドエンドシステムに提供するように構成され、
前記ヘッドエンドシステムは、機械学習モデルを含み、
前記複数の電気メータ装置のうちの第1の電気メータ装置で測定された第1の複数の電圧測定値にアクセスし、
前記第1の複数の電圧測定値から、第1の複数の時間窓のそれぞれについて、第1の対応する平均電圧と第1の対応する最小電圧を計算し、
前記機械学習モデルを第1の平均電圧と第1の最小電圧に適用するように構成され、前記機械学習モデルは、電圧測定値から、電気的異常に対応する第1の電圧シグネチャを識別するように学習され、
前記ヘッドエンドシステムは、
前記機械学習モデルから、第1の接触不良接続を示す第1の分類を受信し、
前記第1の分類に基づいて、ユーティリティ事業者に第1の警報を送信するように構成され、前記第1の警報は、第1の電気メータ装置を識別し、
前記ヘッドエンドシステムは、
前記複数の電気メータ装置のうちの第2の電気メータ装置で測定された第2の複数の電圧測定値にアクセスし、
前記第2の複数の電圧測定値から、第2の複数の時間窓のそれぞれについて、第2の対応する平均電圧と第2の対応する最小電圧を計算するように構成され、前記第2の複数の時間窓は、第1の複数の時間窓の前に発生し、
前記ヘッドエンドシステムは、
前記機械学習モデルを第1の平均電圧、第1の最小電圧、第2の平均電圧、第2の最小電圧に適用し、
前記機械学習モデルから、第2の接触不良接続を示す第2の電圧シグネチャを識別する第2の分類を受信し、
前記第2の分類に基づいて、ユーティリティ事業者に第2の警報を送信するように構成され、前記警報は、第2の電気メータ装置を識別する、
システム。
【請求項17】
前記ヘッドエンドシステムは、少なくとも1つの電気メータ装置からの複数の電圧測定値を機械学習モデルに学習させるようにさらに構成される、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記ヘッドエンドシステムはさらに、機械学習モデルに、複数の電気メータ装置と、配電線を介して複数の電気メータ装置の上流に電気的に接続されている1つ又は複数の配電変圧器とを関連付けるトポロジー情報を適用するように構成され、
第1の異常は、前記複数の電気メータの平均電圧と、前記複数の電気メータのうちの1つの電気メータの日平均電圧との差がしきい値以上である、
請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1の電圧シグネチャは、一定期間にわたる最低電圧の第1の減少と、一定期間にわたる平均電圧の第2の減少とを含み、
前記第2の減少は前記第1の減少より小さい、
請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記複数の電圧測定値を受信することは、それぞれの電気メータ装置に要求を送信することと、それぞれの電気メータ装置から複数の電圧測定値を受信することとを含む、
請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、配電システムの異常を検出するための機械学習に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月29日出願の米国仮出願第63/216,375号及び2022年4月29日出願の米国特許出願第17/732,788号の利益を主張するものであり、両出願は参照によりその全体が組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
電力は配電システムを通じて消費者に供給される。配電システムは複雑であり、電力が利用可能であることは顧客にとって重要である。そのため、配電システムの異常は、修理せずに放置しておくと、ダウンタイムを増やし、部品を摩耗させ、サービスコストを高騰させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、異常を検出するために配電システムに追加の機器を追加することは、高価になりかねません。そのため、電力メータのような既存のコンポーネントを使用して配電システムの異常を検出することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示された技術には、配電システムの電気的異常を検出するために機械学習を使用することが含まれる。一例として、ある方法は、電気メータ装置で測定された電圧測定値にアクセスすることを含む。本方法はさらに、電圧測定値から、時間窓のセットの各時間窓について、対応する平均電圧及び対応する最小電圧を計算することを含む。本方法はさらに、平均電圧と最小電圧に機械学習モデルを適用することを含む。機械学習モデルは、電圧から1つ又は複数の所定の電気的異常を識別するように学習される。本方法はさらに、機械学習モデルから、識別された異常を示す分類を受信することを含む。本方法はさらに、分類に基づいて、ユーティリティ事業者に警報を送信することを含む。
【0006】
別の実施形態では、リソース分配システムの異常を検出するシステムは、ヘッドエンドシステムと電気メータ装置を含む。ヘッドエンドシステムは、計算装置と機械学習モデルを含む。各電気メータ装置はセンサを含む。各電気メータ装置は、それぞれの電気メータ装置の上流にある配電変圧器に電気的に接続されている。各電気メータ装置は、電気メータ装置のそれぞれのセンサからそれぞれの電圧測定値を取得するように構成される。各電気メータ装置は、それぞれの電圧測定値のセットをヘッドエンドシステムに提供するように構成される。ヘッドエンドシステムは、機械学習モデルを含む。ヘッドエンドシステムは、電気メータ装置のそれぞれから、電圧測定値のそれぞれのセットを取得するように構成される。ヘッドエンドシステムはさらに、第1の電気メータ装置で測定された電圧測定値の第1のセットにアクセスするように構成される。ヘッドエンドシステムはさらに、第1の電圧測定値セットから、第1の時間窓の各々について、第1の対応する平均電圧及び第1の対応する最小電圧を計算するように構成される。ヘッドエンドシステムはさらに、機械学習モデルを第1の平均電圧及び第1の最小電圧に適用するように構成される。機械学習モデルは、電圧測定値から、電気的異常に対応する第1の電圧シグネチャを識別するように学習される。ヘッドエンドシステムは、機械学習モデルから、第1の接触不良接続を示す第1の分類を受信するようにさらに構成される。ヘッドエンドシステムは、第1の分類に基づいて、電力会社オペレータに第1の警報を送信するようにさらに構成され得る。第1の警報は、第1の電気メータ装置を特定する。ヘッドエンドシステムは、第2の電気メータ装置で測定された電圧測定値の第2のセットにアクセスするようにさらに構成される。ヘッドエンドシステムはさらに、第2の電圧測定値セットから、第2の時間窓の各々について、第2の対応する平均電圧及び第2の対応する最小電圧を計算するように構成される。第2の時間窓のセットは、第1の複数の時間窓の前に発生し得る。ヘッドエンドシステムは、機械学習モデルを第1の平均電圧、第1の最小電圧、第2の平均電圧、及び第2の最小電圧に適用するようにさらに構成される。ヘッドエンドシステムは、機械学習モデルから、第2の接触不良接続を示す第2の電圧シグネチャを識別する第2の分類を受信するようにさらに構成される。ヘッドエンドシステムはさらに、第2の分類に基づいて、ユーティリティ事業者に第2の警報を送信するように構成される。第2の警報は、第2の電気メータ装置を特定する。
【0007】
別の実施形態では、方法は、電気メータ装置で測定された電圧測定値の第1のセットにアクセスすることを含む。本方法はさらに、第1の電圧測定値セットから、第1の時間窓の各々について、第1の対応する平均電圧及び第1の対応する最小電圧を計算することを含む。本方法はさらに、機械学習モデルを第1の平均電圧及び第1の最小電圧に適用することを含む。機械学習モデルは、電圧測定値から、電気的異常に対応する第1の電圧シグネチャを識別するように学習される。本方法はさらに、機械学習モデルから、第1の接触不良接続を示す第1の分類を受信することを含む。本方法はさらに、第1の分類に基づいて、ユーティリティ事業者に第1の警報を送信することを含む。本方法はさらに、第2の電圧測定値のセットから、第2の時間窓のセットの各々について、第2の対応する平均電圧及び第2の対応する最小電圧を計算することを含む。第2の時間窓のセットは、第1の複数の時間窓の前に発生し得る。本方法は、機械学習モデルを第1の平均電圧、第1の最小電圧、第2の平均電圧、及び第2の最小電圧に適用することをさらに含む。本方法はさらに、機械学習モデルから、第2の接触不良接続を示す第2の電圧シグネチャを識別する第2の分類を受信することを含む。本方法はさらに、第2の分類に基づいて、ユーティリティ事業者に第2の警報を送信することを含む。
【0008】
これらの例示的な実施形態は、本開示を限定又は定義するために記載されたものではなく、本開示の理解を助けるための例を提供するために記載されたものである。追加の実施形態及びさらなる説明は、「詳細な説明」に記載されている。
【0009】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明については、添付図面を参照しながら読むとよりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一態様に係る、配電システムの例示的な通信ネットワークトポロジーを示す。
図2】本開示の一態様に係る例示的な配電網を示す。
図3】本開示の一態様に係る、機械学習モデルを使用して異常を検出するための例示的なプロセスのフローチャートを示す。
図4】本開示の一態様に係る、メータ装置から得られた統計的電圧データを計算する様子を示す。
図5】本開示の一態様に係る、機械学習モデルを使用して異常を検出するための例示的なプロセスのフローチャートを示す。
図6】本開示の態様に係る、異常を検出するために教師あり学習を使用して機械学習モデルを学習するための例示的なプロセスのフローチャートを示す。
図7】本開示の一態様に係る、接触不良接続に関連する電圧測定値を示すグラフである。
図8】本開示の一態様に係る、季節的過負荷に関連する電圧測定値を示すグラフである。
図9】本開示に係る、長い二次側線路による過剰電圧降下に関連する電圧測定値を示すグラフである。
図10】本開示の一態様に係る、例示的な計算装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
本発明の態様は、エンドユーザ宅に設置されたメータ装置(メータ)によって得られた電圧測定値における電圧パターン(シグネチャ)を学習識別することによって、電気システムにおける電気的異常を検出するために機械学習を使用することに関する。異常には、エンドユーザ宅のメータとメータソケット間の接続の接触不良、季節的な過負荷(例えば、季節的にのみ発生する過負荷)、長い二次線(例えば、配電変圧器からエンドユーザ宅への接続)が含まれるが、これらに限定されない。これらの異常はそれぞれ、エンドユーザ宅内で識別可能な電圧シグネチャをもたらす可能性がある。
【0012】
従って、特定の態様の利点には、電気的異常の早期識別が含まれ、故障回避、システム効率の改善、及びシステム平均中断頻度指数(SAIFI)又はシステム平均中断時間指数(SAIDI)スコアの改善という形でのシステム信頼性の改善に役立つ。例えば、一旦異常が特定されれば、異常の原因を解決し、計画外の停電を回避するための行動をプロアクティブに取ることができ、その結果、このような利点がもたらされる。
【0013】
加えて、又は代替的に、電気的異常を特定した後、開示されたシステムは、1つ又は複数のメータからの計測データを遡及的に分析し、異常を示す追加のパターンを決定することができる。異常を特定する電圧シグネチャに気づいていない学習されていない機械学習モデルは、そのようなパターンを特定できないかもしれないが、電圧シグネチャに気づいている機械学習モデルは、そのような電圧シグネチャを特定するように学習することができる。この点で、開示されたソリューションは、電気的問題の発生をより早く警報することができる。例えば、接触不良に一致する電圧シグネチャを特定する能力を備えた学習された機械学習モデルは、接触不良が深刻な問題になる数カ月から数年前に、対応する電気メータのデータからパターンを特定することができる。
【0014】
以下の非限定的な例は、説明のために提供される。電圧測定は、特定の頻度(例えば、15分ごと)で、メータ装置により収集される。適切なメータ装置の例は、スマートメータ又は高度計測インフラ(AMI)メータである。メータ装置は、消費電力などのメータデータとともに、あるいはそれとは別に、通信ネットワークを介して電圧データをヘッドエンドシステムに送信する。
【0015】
この例を続けると、ヘッドエンドシステムはメータ装置から電圧測定値を受け取り、電圧測定値から統計データを導出する。例えば、1日の平均電圧や1日の最低電圧などの統計データは、一定期間(例えば1ヶ月)にわたって計算される。この統計データは機械学習モデルに提供される。電圧データ及び/又は派生統計から、接触不良や季節的な過負荷などの1つ又は複数の異常を検出するように事前に学習された機械学習モデルが、異常の存在を判定する。
【0016】
次に図面に目を向けると、図1は、実施形態による配電システムの例示的な通信ネットワークトポロジーを示す。図1には、ヘッドエンドシステム100、ネットワーク接続108、収集装置110、ネットワーク接続112、114、116、118、メータ装置122、124、126、128、エンドユーザ構内132、134、136、138が含まれる。図1に示す通信ネットワークトポロジーは、通信ネットワークにおいて様々な装置がどのように相互接続されているかの一例を示す。通信ネットワークのトポロジーは、図2に図示されているような電力の分配方法とは異なる。
【0017】
図1に図示された例では、メータ装置122、124、126、128の1つ又は複数が、電圧測定、電流測定、位相測定、実消費電力(ワット時)、実電力(ワット)などの1つ又は複数のパラメータを測定する。そして、ネットワーク接続112、114、116、118を介して収集装置110にパラメータを提供する。次に、収集装置110は、計測データをヘッドエンドシステム100に提供する。次に、ヘッドエンドシステム100は、機械学習を使用して異常を検出するためにデータを処理する。
【0018】
ヘッドエンドシステム100は、計算装置102と機械学習モデル104を含む。計算装置の一例が図9に関して図示されている。計算装置102は、メータ装置122、124、126、及び128によって収集された電圧データから統計値を導出することができ、及び/又は統計値を機械学習モデル104に提供することができ、機械学習モデル104は、メータ装置122、124、126、及び128における1つ又は複数の電気的異常を特定することができる。機械学習モデル104によって検出され得る異常の例には、(例えば、メータソケットの)接触不良接続、季節的な過負荷、及び長い二次配電線による過剰な電圧降下が含まれる。これらの状態を示す例示的な電圧シグネチャは、図6図7、及び図8にそれぞれ図示されている。
【0019】
メータ装置122、124、126、128は、それぞれエンドユーザ宅132、134、136、138に設置される。メータ装置122、124、126、及び128はそれぞれ、計算装置、メモリ、その他のストレージ機能、及び1つ又は複数のネットワーク接続を含むことができる。メータ装置122、124、126、及び128は、例えば電圧、負荷、電流、電力消費、又はボルトアンペア無効(VAR)電力など、電力の分配に関連する任意のパラメータを検出することができる。場合によっては、個々のメータ装置122、124、126、及び128は、電圧測定値をヘッドエンドシステム100にプッシュ通知することができる。他の態様では、ヘッドエンドシステムは、メータ装置122、124、126、及び128から電圧測定値を引き出すことができる。別の態様では、メータ装置122、124、126、及び128は、電圧測定値を特定の周波数でヘッドエンドシステム100にプッシュ通知するように構成することができ、この周波数は、計測データ(例えば、消費電力データ)の送信周波数とは異なることがある。例えば、メータ装置122、124、126、128は、15分ごとや1時間ごとなど特定の間隔で電圧を計測することができるが、毎日又は毎月、電力消費データをプッシュ通知することができる。
【0020】
ヘッドエンドシステム100に関して説明した機能は、ヘッドエンドシステム100(例えば、計算装置102)、メータ装置122、124、126、及び128のうちの1つ又は複数、ならびにクラウドベースのシステム(すなわち、永続的なネットワーク接続を介して接続されたサーバー)の任意の組み合わせで実装することができる。システムの例としては、AMIシステムやメータデータ管理(MDM)システムなどがある。
【0021】
例えば、ネットワーク接続108は有線ネットワーク接続として図示されているのに対し、ネットワーク接続112、114、116、118は無線ネットワーク接続として図示されている。典型的なネットワークの例としては、無線(Wi-Fi、ブルートゥース(登録商標)、メッシュ、セルラーなど)と有線(イーサネット、電力線通信など)のネットワークがある。しかし、さまざまな構成が可能である。例えば、メータ装置122、124、126、及び128は、任意の通信ネットワークを使用して、互いに及び/又はヘッドエンドシステム100と通信することができる。通信はまた、ヘッドエンドシステム100からメータ装置122、124、126、及び128に送信することもできる。いくつかの構成では、収集装置110は存在せず、メータ装置122、124、126、及び128は、ヘッドエンドシステム100と直接通信することができる。
【0022】
図2は、本開示の態様による例示的な配電ネットワークを示す。図2に図示された例では、配電システム200は、電源202と、配電変電所の変圧器204と、給電線208と、配電変圧器210及び212と、配電一次線240及び241と、二次線242、244、246、及び248と、メータ装置222、224、226、及び228と、エンドユーザ構内232、234、236、及び238とを含む。
【0023】
電源202の一例は、配電変電所の変圧器204が接続されているバルク電力系統の縮小表現であり、これは、電力副送電網、送電網、及び発電源(例えば、発電所、太陽電池パネル、又は風力タービン発電機)を含む。配電変電所204は、電源202から出力された電圧を給電線208に適したレベルに変圧する。給電線208は、配電線240及び241に給電する。配電変電所210は、配電線240の電圧を二次線242、244、246の異なる電圧に変圧する。同様に、配電変圧器212は配電線241の電圧を二次線248の異なる電圧に変圧する。
【0024】
図示されているように、メータ装置222、224、226、及び228は、それぞれエンドユーザ構内232、234、236、及び238に対応する。メータ装置222、224、226、及び228は、それぞれ、メータ装置122、124、126、及び128に対応し得る。エンドユーザ構内232、234、236、及び238は、それぞれエンドユーザ構内132、134、136、及び138に対応し得る。
【0025】
メータ装置222は二次線242のパラメータを計測し、メータ装置224は二次線244のパラメータを計測し、メータ装置226は二次線246のパラメータを計測し、メータ装置228は二次線248のパラメータを計測する。各配電線の長さは異なることがあるため、場合によっては、二次線が長いために異常が発生することがある。例えば、二次線248が一般的なものよりも長く、配電変圧器212とエンドユーザ構内238との間の電圧降下が異常に高くなる場合がある。この異常は、機械学習モデル104によって識別することができる。
【0026】
いくつかの例では、メータ装置は、多相配電システムの1つ又は複数の相を配電する配電二次線に関連付けられることがある。例えば、配電二次線242は、三相発電及び配電システムの二相を含むことができる。この構成では、メータ装置222で得られた電圧測定値を使用して、ヘッドエンドシステム100は、測定された電圧及び/又はそれから導出された統計値を機械学習モデル104に提供することによって、異なる相が異なる平均電圧及び/又は最小電圧を有することを決定することができる。
【0027】
図3は、本開示の態様に係る、機械学習モデルを使用して異常を検出するための例示的なプロセス300のフローチャートを示す。例示的な目的のために、プロセス300は、ヘッドエンドシステム100によって実行されるものとして議論される。しかし、プロセス300は、任意の計算装置、例えば、メータ装置において実施され得る。
【0028】
ブロック302において、プロセス300は、メータ装置で、一定期間にわたって測定された電圧測定値のセットにアクセスすることを含む。例えば、ヘッドエンドシステム100は、メータ装置122から得られた電圧測定値にアクセスする。電圧測定値にアクセスすることは、電気メータ装置に要求を送信すること、及び電気メータ装置から戻ってくる電圧測定値を受信することを含み得る。別の例では、電気メータ装置は、電圧測定値をヘッドエンドシステムに定期的に送信することができる。例として、プロセス300を図4に関して説明する。
【0029】
図4は、本開示の一態様に係る、メータ装置から得られた統計的電圧データを計算する様子を図示する。図4は、データフロー400を図示しており、1つのメータ装置によって得られたデータから様々な期間について平均電圧データ及び最小電圧データがどのように導出されるかを図示する。データフロー400は、期間420にわたって取得される電圧データ410、時間窓430a-n、統計データ440a-n、及び機械学習モデル104を含む。任意の長さの期間及び任意の長さの時間窓を使用することができる。
【0030】
この例を続けると、計算装置102は、時間期間420に対応する電圧データ410にアクセスし、電圧データ410を複数の時間窓430a-nに分離する。時間窓430a-nは、時間期間420よりも小さい。時間窓430a-nの各々は複数の電圧を含む。例えば、特定の時間窓が1日であり、電圧を取得する頻度が15分毎である場合、1つの時間窓は96個の電圧測定値を含むことになる。一例では、期間420は1ヶ月であり、時間窓430a-nはそれぞれ1日である。例えば、時間窓430aは1日目、時間窓430bは2日目などである。
【0031】
図3に戻ると、ブロック304において、プロセス300は、電圧測定値のセットから、時間窓のセットの各時間窓について、対応する平均電圧及び対応する最小電圧を計算することを含む。例を続けると、計算装置102は、時間窓430a-nから統計データ440a-nを計算する。より具体的には、計算装置102は、時間窓430aからの平均値及び最小値を含む統計データ440a、及び時間窓430bからの平均値及び最小値を含む統計データ440bなどを計算する。
【0032】
平均値及び最小値は図4に関して議論されているが、電圧又は他のパラメータから導出される中央値、最頻値、最大値などの他の統計的測定基準も、機械学習モデル104によって使用することができる。この場合、機械学習モデル104は、これらの統計データを用いて学習される。
【0033】
ブロック306において、プロセス300は、機械学習モデルを時間期間の平均電圧及び最小電圧に適用することを含む。この例を続けると、計算装置102は、統計データ440a-nを機械学習モデル104に提供する。
【0034】
機械学習モデル104は、図6に関してさらに説明するように、電圧から1つ又は複数の電気的異常を識別するように学習される。場合によっては、平均電圧及び最小電圧の1つ又は複数が、1つ又は複数の特徴ベクトルに変換される。特徴ベクトルは、対象物体(例えば、電気メータ)に関する複数の要素を含むベクトルである。従って、特徴ベクトルには、平均電圧、最小電圧、又はその他の統計値を含めることができる。特徴ベクトルは、機械学習モデル104に一度に1つ又は複数提供される。
【0035】
ブロック308において、プロセス300は、機械学習モデルから、識別された電気的異常を示す分類を受信することを含む。例を続けると、機械学習モデル104は、電気的異常を識別する分類を出力する。異常の例には、エンドユーザ構内の電力線への接触不良、季節的な消費の過負荷、及び長い二次線(配電変圧器からエンドユーザ構内への接続)によって引き起こされる電圧降下が含まれる。
【0036】
異常の一例は、図6に関してさらに説明するように、電気メータ装置に関連する接触不良である。接触不良接続は、期間にわたる最低電圧の第1の減少、及び期間にわたる平均電圧の第2の減少によって表すことができ、この場合、第2の減少は第1の減少よりも小さい。
【0037】
異常の別の例は、図7に関してさらに説明するように、電気メータ装置によって測定された電力消費によって引き起こされる季節的な過負荷である。このような異常は、最小電圧の1つ又は複数のピーク又はバレーと平均電圧の1つ又は複数のピーク又はバレーとの間の1つ又は複数の相関によって表すことができる。
【0038】
機械学習モデル104は、1つ又は複数の特定の異常の分類を出力することができる。他のケースでは、機械学習モデル104は、1つ又は複数の分類の決定された確率を出力することができる。例えば、機械学習モデル104は、電圧が接触不良接続を示す第1の確率を80%、接触不良接続が存在しない確率を20%と出力することができる。他のケースでは、50%の確率で接触不良があり、40%の確率で長い二次線があり、10%の確率でどちらの異常も存在しないといった確率のセットが生成されてもよい。特定の分類(例えばポジティブかネガティブか)を生成する機械学習モデルは、確率の範囲を生成する機械学習モデルとは異なるタイプのモデルであってもよい。
【0039】
機械学習モデル104の出力は、計算装置102に提供される。場合によっては、計算装置102は、確率があるしきい値を超えるとき、対応する分類が使用されるという決定を下すことができる。場合によっては、計算装置102は、確率がしきい値を下回る場合、分類は行われないと決定することができる。
【0040】
ブロック310において、プロセス300は、分類に基づいて、ユーティリティ事業者に警報を送信すること、又は配電システムの1つ又は複数のパラメータを調整することを含む。例えば、計算装置102は、ユーティリティオペレータに警報を送信したり、不良メータソケットやメータの交換などの修理を行うために顧客宅を訪問するエンジニアに警報を送信したりすることができる。その結果、ラインの電気負荷のバランスを変えたり、機器を追加したり、機器(例えば変圧器)を交換したりすることができる。
【0041】
別の例では、ブロック310において、計算装置102は、ヘッドエンドシステム100に配電システムの1つ又は複数のパラメータを調整させることができる。調整され得るパラメータの例には、線間電圧、位相、負荷、リアクタンス、キャパシタンスなどが含まれる。場合によっては、そのような調整は、例えば、リソース調整装置と通信することによって、通信ネットワークを介して遠隔で実行され得、リソース調整装置が調整を行う。
【0042】
ある態様では、複数のメータ装置からのデータを機械学習モデル104によって分析することができる。例えば、プロセス300は、各メータ装置に対して1回ずつ、複数回実行することができる。あるいは、ブロック302-304を複数回実行し、各メータ装置について1回ずつ実行し、その後、複数のメータ装置からのデータを、例えばブロック308において機械学習モデル104によって集計形式で分析することもできる。この分析は、リアルタイムで、又はデータのしきい値量がバッファリングされた後に行われる可能性がある。
【0043】
一例として、ヘッドエンドシステム100は、2つ以上のメータ装置からの電圧測定値にアクセスする。ヘッドエンドシステム100は、メータ装置の各々について、電圧測定値の各々について、及び各時間窓について、統計的メトリクスを計算する。次に、ヘッドエンドシステム100は、統計的メトリクスに機械学習モデル104を適用する。場合によっては、適用することにより、機械学習モデルの学習が調整される。例を続けると、ヘッドエンドシステム100は、1つ又は複数の電気メータ装置の1つ又は複数の異常を特定する。
【0044】
場合によっては、機械学習モデルは、電気メータ装置のトポロジー情報を使用することができる。例えば、(例えば、図2に図示されているような)トポロジー情報が与えられると、機械学習モデル104は、異常があるメータ装置に存在し、別のメータ装置には存在しないかどうかを判定することができる。この判定から、機械学習モデル104は、配電変圧器などの別のコンポーネントの問題を特定することができる。例えば、特定の異常がメータ装置222、224、226に表示され、メータ装置228に表示されない場合、配電変圧器210又は配電線240に異常が存在する可能性がある。
【0045】
図9に関してさらに説明するように、異常の別の例は、電気メータ装置に関連する長い配電線による過剰な電圧降下である。場合によっては、この過剰電圧降下を決定するには、追加の電気メータから測定値を収集する必要がある。例えば、このような電気ネットワークのトポロジーは、1つ又は複数の配電変圧器が配電線を介して電気メータ装置のサブセットに電気的に接続され、その上流にある場合がある。1つの識別可能な異常は、電気メータのサブ平均電圧のセットと、1つの電気メータの1日平均電圧との差がしきい値を超えることによって識別することができる。
【0046】
図5は、本開示の態様に係る、機械学習モデルを使用して異常を検出するための例示的なプロセス500のフローチャートを示す。図3に関して議論されたプロセス300に関連して、プロセス500は、異常の第2の識別を識別するために、機械学習と組み合わせて異常の第1の識別(任意選択的に、関連する電圧データを含む)を使用することを含む。異常の第2の識別は、第1の識別よりもデータ内の時間的に早く発生した異常に対応することができる。
【0047】
例えば、プロセス500は、電圧データの第1のセットで接触不良接続を検出し、検出された電圧シグネチャを同じ機械学習モデル又は異なる機械学習モデルで使用して、同じ電気メータ又は異なる電気メータに由来する統計データ(例えば、電圧データ)で第2の電圧シグネチャを識別することができる。例えば、接触不良接続は、しばらくの間存在していたかもしれないが、最初の分類まで検出されなかったかもしれない。最初の分類があれば、過去にさかのぼって、及び/又は別のデータセットで、より早い特定が可能かもしれません。
【0048】
ブロック502において、プロセス500は、機械学習モデルから、第1の電圧測定値セットに基づいて、第1の接触不良接続を示す第1の分類を受信することを含む。ブロック502において、プロセス500は、プロセス300のブロック302-308に関して説明したのと同様の動作を含む。分類は、電圧シグネチャを含み得る。プロセス500は、オプションとして、プロセス300のブロック310に関して論じられたように、第1の分類に基づいてユーティリティ事業者に警報を送信することを含むことができる。
【0049】
ブロック504において、プロセス500は、第2の組の電圧測定値から、第2の組の時間窓の各々について、第2の対応する平均電圧及び第2の対応する最小電圧を計算することを含む。ブロック504において、プロセス500は、プロセス300のブロック304に関して議論されたのと同様の動作を含む。電圧の第2のセットは、ブロック502で使用された電圧データが由来するのと同じ電気メータからであり得、及び/又は異なる電気メータ(複数可)から由来し得る。電圧の第2のセットは、(例えば、プロセス300のブロック304に関して議論されたように)時間窓の第1のセットの前に発生し得る。
【0050】
ブロック506において、プロセス500は、機械学習モデルを第1の電圧シグネチャ、第2の平均電圧、及び第2の最小電圧に適用することを含む。例を続けると、計算装置102は、第1の電圧シグネチャ(例えば、ブロック502で特定される)、第1の平均電圧及び最小電圧(例えば、ブロック502で特定される)、第2の平均電圧、及び第2の最小電圧のうちの1つ又は複数を機械学習モデル104に提供する。場合によっては、ブロック502で使用したのとは異なる機械学習モデルを使用することができる。機械学習モデルは、図6に関してさらに説明するように、電圧から1つ又は複数の電気的異常を識別するように学習することができる。
【0051】
ブロック508において、プロセス500は、機械学習モデルから、第2の接触不良接続を示す第2の電圧シグネチャを識別する第2の分類を受信することを含む。例を続けると、計算装置102は、第2の電圧シグネチャを識別する第2の分類を受信する。第2の電圧シグネチャは、第1の電圧シグネチャと同一、類似、又は異なることがある。
【0052】
ブロック510において、プロセス500は、第2の分類に基づいてユーティリティオペレータに警報を送ることを含む。ブロック510において、プロセス500は、プロセス300のブロック310に関して議論されたのと同様の動作を含む。
【0053】
機械学習モデル104は、それぞれが1つ又は複数の異常に対応する1つ又は複数の所定の電圧シグネチャを検出するように学習される。教師あり学習(例えば、ラベル付きの学習データ)、教師なし学習(例えば、ラベルなし)、強化学習など、さまざまな学習技術を使用することができる。学習は、ヘッドエンドシステム100、例えば計算装置102、又は別の計算システムによって実行することができる。学習が別の計算システムによって実行される場合、機械学習モデル104は、ヘッドエンドシステム100に提供され(例えば、ダウンロードされ)、及び/又は必要に応じて更新され得る。
【0054】
場合によっては、学習は実行時に行うことができる。例えば、オペレータは、異常の分類又は予測が正しいか正しくないかを示し、計算装置102にフィードバックを提供することができ、それに応じて計算装置102は機械学習モデル104を更新する。
【0055】
学習中、機械学習モデルは電気的異常を識別するアルゴリズムを学習する。図6は教師あり学習に関して説明されているが、他の学習技術を使用することもできる。さらに、学習された機械学習アルゴリズムは、例えば実行時の追加学習によって、時間の経過とともに改善することができる。
【0056】
図6は、本開示の態様に係る、異常を検出するために教師あり学習を使用して機械学習モデルを学習するための例示的なプロセス600のフローチャートを示す。教師あり学習のアプローチでは、決定された確率又は分類が計算され、期待される、又は既知の確率又は分類と比較される。比較から損失関数が計算される。計算された損失関数に基づいて、機械学習モデル104は、損失関数を最小化するように機械学習モデルの内部パラメータを調整する。適切な機械学習モデルの例としては、ニューラルネットワーク、分類器、決定木などがある。
【0057】
ブロック602において、プロセス600は、学習データ対のセットにアクセスすることを含む。各学習データの組は、統計(例えば、一定期間の平均電圧の組と最小電圧の組)と、1つ又は複数の電気的異常を示す予想される分類を含む。各学習データ対には、ポジティブ学習セット(すなわち、以前に特定された電圧シグネチャに対応する電圧データに対応する)及び/又はネガティブ学習セット(すなわち、以前に特定された電圧シグネチャに対応しない電圧データに対応する)の一部として以前に特定されたデータが含まれる。プロセス600は、計算装置102によって実行されるものとして説明されている。しかしながら、学習は、任意の計算システムによって実行され得る。
【0058】
ブロック604において、プロセス600は、学習データ対のセットのうちの1つを機械学習モデルに提供することを含む。例を続けると、計算装置102は、機械学習モデル104に学習データ対のうちの学習データ対を提供する。
【0059】
ブロック606において、プロセス600は、機械学習モデルから、決定された分類を受信することを含む。引き続き、例示的な計算装置102は、機械学習モデル104から、決定された分類を受信する。
【0060】
ブロック608において、プロセス600は、決定された分類と予想される分類とを比較することによって損失関数を計算することを含む。例を続けると、計算装置102は、決定された分類(すなわち、ブロック606において受信された)と予想される分類(すなわち、ブロック604においてアクセスされた学習データ組に含まれる)とを比較することによって、損失関数を計算する。
【0061】
ブロック610において、プロセス600は、損失関数を最小化するために機械学習モデルの内部パラメータを調整することを含む。例を続けると、計算装置102は、機械学習モデル104を適切に調整する。
【0062】
ブロック612において、プロセス600は、学習が完了したかどうかをチェックする。学習が完了した場合、プロセス600はブロック614に進み、そこで学習が終了する。学習が完了していない場合、プロセス600は604に戻り、別の学習データ組を使用して機械学習モデルの学習を継続する。学習の完了は、学習データの終了、損失関数がしきい値レベル以下に最小化されたこと、又は他の条件によって示すことができる。
【0063】
ある態様では、機械学習モデル104は複数の電圧シグネチャを検出するように学習される。この場合、機械学習モデル104は、複数の電気的異常を示す電気的シグネチャを識別することができる。例えば、機械学習モデル104は、ソケット接触不良と季節的な過負荷を識別することができる。この場合、プロセス600は、各電気的異常に対して1回以上完了することができる。
【0064】
さらなる態様において、機械学習モデル104は、電気的異常の分類において十分な精度を確保するためにテストされる。通常、機械学習モデル104をテストするために使用されるデータは、機械学習モデルを学習するために使用されるデータセット(すなわち、学習データ対)には含まれない。
【0065】
別の態様では、機械学習モデル104は、メータ機器からの履歴データを使用して教師なし方式で学習することができる。履歴データは、欠陥の最初の識別が行われた期間より前の期間のデータを含み得る。例えば、(例えば、プロセス300に記載されるようにメータ装置からの電圧を分析することによって)特定のメータ装置が異常を呈すると特定された後、計算装置102及び/又は機械学習モデル104は、メータ装置からの追加データを分析して、追加の電圧シグネチャが存在するかどうかを決定することができる。例えば、シグネチャが履歴データにおいて特定され、その後、欠陥が発生した以前の時間が特定され得る。このアプローチを使用して、機械学習モデル104は、収集された電圧データにおいて、教師あり技術(例えば、プロセス600)を使用して以前に検出可能であったよりも潜在的に早期に、1つ又は複数の前兆パターンを特定することができる。
【0066】
より詳細な例では、プロセス300は、接続が緩い5つのメータ装置を特定するために使用される。例えば、1ヶ月の履歴電圧データがプロセス300によって処理される。サービスマンがメータ装置のベースのねじを締めることによって、5つのメータ装置が固定される。接続が緩んでいる接触不良接続の計器装置を特定するこのプロセスは、続けることができる。
【0067】
この例を続けると、数カ月後、20個のメータが特定され、改善される。しかし、それぞれのメータについて、1年間の履歴データがある。この履歴データで機械学習モデル104を学習することにより、機械学習モデル104は、20台のメータすべてに共通する1つ又は複数の追加の前兆シグネチャを特定する。このように特定されたシグネチャは、プロセス500で特定されたシグネチャを補う及び/又は置き換えることができる。このようにして、学習は、教師なし又は教師ありの方法で、時間をかけて継続することができる。この継続的な学習アプローチの利点には、予測不能又は予期せぬタイミングで発生し得る電圧シグネチャの識別が含まれ、それにより機械学習モデル104が改善される。
【0068】
図7は、本開示の態様に係る、接触不良接続に関連する電圧測定値を示すグラフを示す。グラフ700は、エンドユーザ構内のメータ装置によって測定された1日の平均電圧710及び1日の最低電圧720を示す。グラフ700に対応するデータを以下の表1に示す。
【0069】
グラフ700に見られるように、1日の平均電圧710と1日の最低電圧720の間には、ある時点で大きな差が存在することがある。これらの差は、接続のアーク放電又は接続の頻繁な切断を示す。グラフ700の測定値を合わせて、ソケット接触不良を示す電圧シグネチャを形成することができる。例えば、平均電圧710に対する最低電圧720のディップの大きさは、接触不良を示す。機械学習モデル104は、これらのシグネチャを異常として識別するように学習される。
【0070】
【表1】
【0071】
図8は、本開示の態様による、季節的過負荷に関連する電圧測定値を示すグラフを示す。グラフ800は、エンドユーザ構内のメータ装置によって測定された1日の平均電圧810及び1日の最低電圧820を図示する。グラフ800のデータを以下の表2に示す。ここで、使用される期間は年であり、期間は月である。
【0072】
データは1月から12月までの電圧測定値を示す。見てわかるように、4月から9月にかけては、電圧の減少によって示されるように、負荷が高くなっている。このような電圧の落ち込みは、変圧器が過負荷であることを示すサインを形成する可能性がある。例えば、平均電圧810のピークとバレー(谷)に対する最低電圧820のピークとバレー(谷)の相対的な位置関係は、季節的な過負荷を示すことができる。機械学習モデル104は、これらのシグネチャを異常として識別するように学習される。
【0073】
【表2】
【0074】
図9は、本開示の態様に係る、長い二次線による過剰電圧降下に関連する電圧測定値を示すグラフを示す。グラフ900は、エンドユーザ構内のメータ装置(メータ装置226)によって測定された1日平均電圧920と比較して、サービス変圧器の背後のすべてのメータ(例えば、メータ装置222、224、及び226)の1日平均電圧910を図示する。グラフ900は、以下の表3に示すように、1ヶ月間の測定値について示されている。
【0075】
グラフ900に見られるように、サービス変圧器の後ろにあるすべてのメータの日平均電圧の間には、長い二次線を持つメータの日平均電圧と比較して、大きな隔たりが存在します。このシグネチャを認識するには、いくつかのトポロジー情報が必要である。このトポロジー情報は、この特定のパターンを認識するために電圧を使用する目的で、メータ装置と変圧器を関連付ける。機械学習モデル104は、変圧器の背後にあるすべてのメータ装置の平均電圧を、各メータ装置の日平均と比較することによって、このシグネチャを認識することができる。
【0076】
【表3】
【0077】
図10は、本開示に係る、例示的な計算装置を示す。任意の適切な計算システムが、本明細書で説明される動作を実行するために使用され得る。図示されている計算装置1000の例は、1つ又は複数のメモリ装置1004に通信可能に結合されたプロセッサ1002を含む。プロセッサ1002は、メモリ装置1004に記憶されたコンピュータ実行可能プログラムコード1030を実行するか、メモリ装置1004に記憶されたデータ1020にアクセスするか、又はその両方を実行する。プロセッサ1002の例には、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、又は任意の他の適切な処理装置が含まれる。プロセッサ1002は、単一の処理装置を含め、任意の数の処理装置又はコアを含むことができる。計算装置の機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせで実装することができる。
【0078】
いくつかの態様において、計算装置1000は、リソース分配ネットワークのリソースに関連するパラメータを測定するように構成された少なくとも1つのセンサを含み得る。例えば、配電システムにおいて、センサは消費電力、電圧、電流などを測定することができる。いくつかの態様において、計算装置1000は、複数のセンサを含み得る。例えば、計算装置1000は、電力センサと温度センサの両方を含み得る。
【0079】
メモリ装置1004は、データ、プログラムコード、又はその両方を記憶するための任意の適切な非一時的なコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読命令又は他のプログラムコードをプロセッサに提供することができる任意の電子、光学、磁気、又は他の記憶装置を含むことができる。コンピュータ読み取り可能媒体の非限定的な例としては、フラッシュメモリ、ROM、RAM、ASIC、又は処理装置が命令を読み取ることができる他の媒体が挙げられる。命令は、例えば、C、C++、C#、VisualBasic、Java、又はスクリプト言語など、任意の適切なコンピュータプログラミング言語で記述されたコードからコンパイラ又はインタプリタによって生成されたプロセッサ固有の命令を含むことができる。
【0080】
計算装置1000は、入力装置や出力装置など、多数の外部装置や内部装置を含むこともできる。例えば、計算装置1000は、1つ又は複数の入出力(「I/O」)インターフェース1008を備えて示されている。I/Oインターフェース1008は、入力装置から入力を受け取ったり、出力装置に出力を提供したりすることができる。1つ又は複数のバス1006も、計算装置1000に含まれる。バス1006は、計算装置1000のそれぞれの1つの1つ又は複数のコンポーネントを通信可能に結合する。
【0081】
計算装置1000は、本明細書で説明する1つ又は複数の動作を実行するようにプロセッサ1002を構成するプログラムコード1030を実行する。
【0082】
計算装置1000は、ネットワークインターフェース装置1010も含む。ネットワークインターフェース装置1010は、1つ又は複数のデータネットワークへの有線又は無線データ接続を確立するのに適した任意の装置又は装置群を含む。ネットワークインターフェース装置1010は、無線装置であってもよく、アンテナ1014を有する。計算装置1000は、ネットワークインターフェース装置1010を使用して、データネットワークを介して、計算装置又は他の機能を実装する1つ又は複数の他の計算装置と通信することができる。
【0083】
計算装置1000はまた、表示装置1012を含むことができる。表示装置1012は、LCD、LED、タッチスクリーン、又は計算装置1000に関する情報を表示するように動作可能な他の装置であり得る。例えば、情報には、計算装置の動作状態、ネットワーク状態などが含まれる。
【0084】
本主題は、その特定の態様に関して詳細に説明されてきたが、当業者であれば、前述の理解を得た上で、そのような態様に対する変更、変形、及び等価物を容易に作り出すことができることが理解されよう。従って、本開示は、限定ではなく例示の目的で提示されており、当業者にとって容易に明らかであろう本主題の修正、変形、及び/又は追加を含めることを排除するものではないことを理解されたい。
図1
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【国際調査報告】