(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】複数のパネルを用いて壁被覆材を形成するための壁パネル
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
E04F13/08 J
E04F13/08 Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023579721
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 EP2022068335
(87)【国際公開番号】W WO2023275387
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520250741
【氏名又は名称】アイ4エフ・ライセンシング・エヌヴィ
【氏名又は名称原語表記】I4F LICENSING NV
【住所又は居所原語表記】INDUSTRIEDIJK 19, 2300 TURNHOUT, BELGIUM
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ブーケ,エディ・アルベリック
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA42
2E110AB04
2E110BB02
2E110DA03
2E110DA10
2E110DA22
2E110DB23
2E110DC12
2E110GA33W
2E110GA43W
2E110GB43W
2E110GB46W
2E110GB47W
2E110GB54W
2E110GB62W
(57)【要約】
複数のパネルを有する壁被覆材を形成するための壁パネルであって、中央に配設されたコアを備え、コアは、後側と、後側と反対側の装飾側と、いくつかのパネルの相互結合のための結合部を備える少なくとも二つの側部とを備え、結合部は、アングリング動作によって結合されるように構成され、新たなパネルは、壁被覆材の部分を既に形成しているパネルにアングリングされるように配置され、結合部は、コアの両側に配置された、少なくとも一つの第一の結合部および少なくとも一つの第二の結合部を備え、第一の結合部は、側方舌部と、側方舌部をコアに接続するための上方ブリッジ部と、上向きロッキング要素の少なくとも一部を収容するための下向き溝とを備え、第二の結合部は溝を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネルを有する壁被覆材を形成するための壁パネルであって、
a.コアであって、前記コアは、後側と、前記後側の反対側の装飾側と、いくつかのパネルの相互結合のための結合部を備える前記コアの少なくとも二つの側部とを備えるコア、を備え、
b.前記結合部は、前記コアの両側に配置された、少なくとも一つの第一の結合部および少なくとも一つの第二の結合部を備え、前記少なくとも一つの第一の結合部および少なくとも一つの第二の結合部は、アングリング動作によって結合されるように構成され、
c.前記第一の結合部は、側方舌部と、前記側方舌部を前記コアに接続する上方ブリッジ部と、上向きロッキング要素の少なくとも一部を収容するための下向き溝とを備え、
d.前記第二の結合部は、前記コアから延在する上方唇部および下方唇部によって画定される、側方舌部の少なくとも一部を収容するための溝を備え、前記下方唇部の上面は、前記溝の底部部分を画定し、前記下方唇部の端部には、上向きロッキング要素が設けられ、前記上向きロッキング要素は、前記上方唇部に対向する内側と、前記上方唇部とは反対側を向く外側と、前記内側と前記外側との間の上側とを有し、前記上方唇部の遠位端はジョイント垂直面を画定し、前記下方唇部、および前記溝の前記底部部分は、前記ジョイント垂直面を越えて延在し、
e.前記上向きロッキング要素の前記上側には、前記壁パネルを壁に取付けるために、少なくとも一つの取付け要素、例えばねじを受け入れるための、前記上向きロッキング要素を少なくとも部分的に通って延在する凹部が設けられている、
壁パネル。
【請求項2】
前記上向きロッキング要素の前記内側は第一のロッキング面を備え、前記コアに対向する前記側方舌部の前記側部は第二のロッキング面を備え、それらのロッキング面は、結合状態において、前記パネルのロッキングをもたらすように協働する、請求項1に記載の壁パネル。
【請求項3】
前記装飾側に対向する前記側方舌部の前記側部は第三のロッキング面を備え、前記装飾側とは反対側を向く前記上方唇部の前記側部は第四のロッキング面を備え、それらのロッキング面は、結合状態において、前記パネルのロッキングをもたらすように協働する、請求項1または2に記載の壁パネル。
【請求項4】
前記凹部には傾斜縁部が設けられ、好ましくは、前記凹部は、前記装飾側において最も幅広で前記後側に向かって狭小になっている、断面が実質的に面取りされた円錐形状、を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項5】
前記凹部は、前記上向きロッキング要素内に、具体的には、前記上向きロッキング要素の前記内側と前記外側との間に中心が位置している、請求項1から4のいずれかに記載の壁パネル。
【請求項6】
前記凹部は、最大で前記上向きロッキング要素の中間まで延在する、請求項1から5のいずれかに記載の壁パネル。
【請求項7】
前記上方ブリッジ部とは反対側を向く前記側方舌部の前記側部の少なくとも一部および/または前記上方唇部と下方唇部との間の前記溝の少なくとも一部には、部分的に丸みが付いている、請求項1から6のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項8】
結合状態において、前記後側に対向する前記側方舌部の前記側部と前記下方唇部との間には空間が存在し、前記空間は、前記上向きロッキング要素から内側に向かってテーパ状になっている、請求項1から7のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項9】
前記上向きロッキング要素の幅は、好ましくは、結合状態において、前記前記上向きロッキング要素の前記外側と、別のパネルの前記コアとの間に空間が存在するように、前記上方ブリッジ部の幅と比較して小さくなっている、請求項1から8のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項10】
前記第一の結合部は、前記装飾側と前記側方舌部との間に、第一の上方接触面を備え、および前記コアとは反対側を向く前記上方唇部の前記側部は第二の上方接触面を備え、前記第一の上方接触面および前記第二の上方接触面は、結合状態において、少なくとも部分的に接触するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項11】
前記第一の接触面および/または前記第二の接触面は、上方ロッキング要素を備え、好ましくは、両接触面は、一つ以上の方向におけるロッキングをもたらすように、結合状態において協働するように構成されている上方ロッキング要素を備える、請求項10に記載の壁パネル。
【請求項12】
前記第一の結合部および/または前記第二の結合部は、前記パネルの前記装飾側に配置された斜面またはグラウトを備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項13】
前記コアは、熱可塑性プラスチック材料、具体的には、発砲または非発泡熱可塑性プラスチック材料またはPVC、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはポリウレタンおよび/または炭酸カルシウム等の一つ以上のフィラー、または、木製材料、例えば、MDF、HDFまたは木材プラスチック複合材を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項14】
前記側方舌部および前記溝は、二つの結合したパネルを合わせて押し込むために、結合状態において、クランプ力を及ぼすように構成されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項15】
前記溝は、前記溝から前記壁パネルの前記後側まで延在するチャネルを備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項16】
前記パネルは、細長く、および前記壁被覆材の一部を形成するように水平方向に配置されるように構成され、好ましくは、前記第一の結合部および前記第二の結合部は、前記パネルの長辺に配置され、および/または前記壁パネルの他の二つの対向する辺には、好ましくは、前記第一の結合部および第二の結合部と同じ前記アングリング動作で結合されるように構成された第三の結合部および第四の結合部が設けられている、請求項1から15のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項17】
前記パネルは、細長く、および前記壁被覆材の一部を形成するように垂直方向に配置されるように構成され、好ましくは、前記第一の結合部および前記第二の結合部は、前記パネルの長辺に配置され、および/または前記壁パネルの他の二つの対向する辺には結合部が設けられていない、請求項1から16のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項18】
前記パネルは、細長く、前記第一の結合部および前記第二の結合部は、前記パネルの長辺に配置され、ここで、前記壁パネルの前記長辺に沿って、複数の凹部が、好ましくは、前記長辺に沿って均等に離間されて存在する、請求項1から17のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項19】
前記上向きロッキング要素内の前記凹部は、前記壁パネルの一つの辺、好ましくは、細長いパネルの長辺に沿って延在する凹状溝を構成する、請求項1から18のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項20】
前記下方唇部は、前記壁パネルの厚さの少なくとも二倍、好ましくは、少なくとも三倍、より好ましくは、約四倍の距離に沿って、前記上方唇部を越えて延在する、請求項1から19のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項21】
前記上向きロッキング要素の前記厚さは、前記壁パネルの前記厚さの約半分である、請求項1から20のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項22】
二つのパネルの結合状態において、少なくとも前記上向きロッキング要素の全幅にわたって、第一のパネルの前記上方ブリッジ部と、第二のパネルの前記上向きロッキング要素との間に空間が存在し、前記空間は、好ましくは、前記第二のパネルの前記上向きロッキング要素の前記遠位端と、前記第一のパネルの前記コアとの間で続いている、請求項1から21のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項23】
表面側と反対側の後側における前記上向きロッキング要素は、接着層、例えば、前記壁パネルを支持面に一時的に取付けるための接着剤から成る剥離部を備える、請求項1から22のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項24】
前記溝の前記底部部分は、前記ジョイント垂直面の両側に配置される、請求項1から23のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項25】
前記溝の前記底部部分は、上向きロッキング要素の内側面によって部分的に画定される、請求項1から24のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項26】
前記下方唇部の前記上面は、前記溝の最下底部面を画定し、前記最下底部面は、前記上向きロッキング要素を含まずに上向きロッキング要素まで延在し、および前記下方底部面は前記ジョイント垂直面を越えて延在する、請求項1から25のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項27】
前記溝の最下底部面は、前記ジョイント垂直面の両側に位置する、請求項26に記載の壁パネル。
【請求項28】
前記溝の前記最下底部面は実質的に平坦である、請求項26または請求項27に記載の壁パネル。
【請求項29】
前記溝の前記最下底部面は、実質的に前記ジョイント垂直面に直角である、請求項26から請求項28のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項30】
前記溝の前記底部部分は、前記ジョイント垂直面の両側に配置されて、前記底部部分を内側底部部分と外側底部部分に実質的に分けており、前記底部部分は、前記ジョイント垂直面に直角な幅を有し、および前記外側底部部分の幅(W-OBS)は、前記内側底部部分の前記幅(W-IBS)を越えている、請求項1から29のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項31】
前記外側底部部分の前記幅は、前記内側底部部分の前記幅の少なくとも二倍である、請求項30に記載の壁パネル。
【請求項32】
前記側方舌部は、隣接する壁パネルの結合状態において、前記ジョイント垂直面の両側に位置する最下底部面を有する、請求項1から31のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項33】
前記側方舌部は、実質的に平坦な最下底部面を有する、請求項1から32のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項34】
前記側方舌部は、前記ジョイント垂直面に実質的に直角に伸びる最下底部面を有する、請求項1から33のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項35】
前記側方舌部は、前記上方ブリッジ部に向かって上向きに傾斜した最下底部面を有し、傾斜した最下底部面および前記ジョイント垂直面は、85度~90度の角度を相互に囲む、請求項1から34のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項36】
前記側方舌部は、前記下向き溝に隣接する内側接触面を備え、側方溝の前記内側接触面は、前記上向きロッキング要素の前記内側と共動するように構成される、請求項1から35のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項37】
前記内側接触面と、前記側方舌部の前記端部との間に延在する前記側方舌部の底部部分は、前記上向きロッキング要素の前記上側のレベルと一致するレベルに、または、レベルより下に全体として位置している、請求項36に記載の壁パネル。
【請求項38】
前記側方舌部は、前記ジョイント垂直面に実質的に平行である端部を備える、請求項1から37のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項39】
前記側方舌部の前記端部の少なくとも一部は、前記上向きロッキング要素の前記上側のレベルよりも下のレベルに配置される、請求項1から38のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項40】
前記上向きロッキング要素の前記凹部、および前記溝は、互いにある距離をおいて配置される、請求項1から39のいずれか一項に記載の壁パネル。
【請求項41】
好ましくは、請求項1から40のいずれか一項に記載の壁パネルを用いて壁被覆材を設置する方法であって、
a.第一の結合部および第二の結合部を少なくとも二つの対向側に備えた第一の壁パネルを設けるステップと、
b.前記第一の壁パネルを支持面に取付けて、前記第一の壁パネルの第二の結合部をアクセス可能な状態にするステップと、
c.第一の結合部および第二の結合部を少なくとも二つの対向側に備えた第二の壁パネルを設けるステップと、
d.前記第二の壁パネルの第一の結合部を、前記第一の壁パネルの前記第二の結合部に配置するステップと、
e.前記第一の壁パネルと位置合わせされるように前記第二の壁パネルにアングリングして、前記第二の壁パネルの第二の結合部をアクセス可能な状態にするステップと、
f.必要に応じて、さらなるパネルを用いてステップc~ステップeを繰り返すステップと、
を含む、方法。
【請求項42】
前記第一の壁パネルが設けられる前に、ベース壁パネルに前記第二の結合部のみが設けられ、および/または最後の壁パネルは、前記第一の結合部のみを備えた最後の壁パネルである、請求項41に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパネルを用いて壁被覆材を形成するための壁パネル、相互接続されたパネルで形成された壁被覆材および壁被覆材を設置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この十年間、高品質の床材製品のDIY設置を可能にする方法で複数の床パネルを相互に接続できるモジュールフローリング(modular flooring)の世界においては、多くの改良が見られる。本発明は、同様に容易な設置技術を、壁パネル用材および壁被覆材に同様にもたらすことを意図している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
壁パネルと床パネルは、一見すると同じに見えるかもしれないが、それらにはそれぞれそれの利点と課題がある。例えば、(典型的には、水平方向に置かれる)床パネルは、典型的には、下地床のレベルに設けられ、床パネルを下地床上に保持するのに重力が役に立っており、それに対して(典型的には、垂直方向に配置される)壁パネルには、そのような恩恵がない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
その目的を達成するために、本発明は、複数のパネルを用いて壁被覆材を形成するための壁パネルを提案する、プリアンブルによる壁パネルであって、コア、典型的には、中央に配設されるコアを備え、コアが、後側と、後側と反対側の装飾側と、いくつかのパネルの相互連結のための連結部を備えている少なくとも二つの側部とを備え、結合部は、アングリング動作(angling motion)によって結合されるように構成され、新たなパネルは、壁被覆材の一部を既に形成しているパネルにアングリングされるように配置され、結合部は、コアの両側に配置された少なくとも一つの第一の結合部および少なくとも一つの第二の結合部を備え、第一の結合部は、側方舌部と、側方舌部をコアに接続するための上方ブリッジ部と、上向きロッキング要素の少なくとも一部を収容するための下向き溝とを備え、および第二の結合部は、上方唇部と、コアから延在する下方唇部とで画定された、側方舌部の少なくとも一部を収容するための溝を備え、下方唇部には、コアから離れて配置された上向きロッキング要素が設けられ、上向きロッキング要素は、コアに対向する内側と、コアとは反対側を向くとは反対側を向く外側と、内側と外側との間の表面側とを有し、上向きロッキング要素には、上向きロッキング要素を少なくとも部分的に通って延在する凹部が設けられ、凹部は、上向きロッキング要素の表側からアクセス可能であり、および上向きロッキング要素の反対側に向かって延在している壁パネルを提供する。上向きとは、パネルの装飾側に向かう方向とすることができる。結合部は、典型的にはフライス加工され、またはコア内に輪郭形成され、結合部を形成するために材料が取り除かれる。コアが結合部に関連して言及される場合、コアは、プロファイル加工されていないパネルの部分であってもよい。
【0005】
本発明によるパネルについて説明する際、装飾側は、上方側または上側と呼ぶこともでき、後側は、底部または下側と呼ぶこともできる。パネルは、典型的には、それらの水平方向の面で評価され、このことは、例えば、床パネルでは一般的である。しかし、壁パネルは、典型的には、それと比較して90度反転した向きになっている。
【0006】
側方舌部と溝とは、パネルの比較的容易な結合を可能にし、舌部は、典型的には、わずかに傾斜されて、溝内に(少なくとも部分的に)配置され、そして、パネルは、定位置に単純にアングリングされる。このような結合は、パネルの非常に直感的な結合をもたらす。上向きロッキング要素の凹部は、壁パネルを、支持面または支持構造、例えば、木製フレームまたは乾式壁に取付けるための所定の位置を提供する。パネルは、例えば、ねじを凹部および上向きロッキング要素を介して支持構造に螺入することによって取付けることができる。ねじの代わりに、釘または他の接続要素、固定要素または取付け要素を用いてもよい。
【0007】
その結果として、凹部は、壁パネルを定位置に固定できるようになっている。舌部と溝は、壁パネルの追加的な固定も提供することができる。舌部が溝に配置された場合、舌部と溝が接触して、パネルが外れることを防ぐことができる。さらに、または別法として、上向きロッキング要素の内側は、コアに対向する側方舌部の側部、または、側方舌部の近位側に接触するように構成することができる。上向きロッキング要素の内側と、側方舌部の近位側は、パネルの面内でのロッキングをもたらすことができ、それに対して、側方舌部の近位側と溝は、少なくとも結合状態において、パネルの面に直角なロッキングをもたらすことができる。このように、パネルを相互に固定することができ、および支持構造に固定することができ、壁被覆材が壁から外れるのを防ぐことができる。したがって、上向きロッキング要素の内側は、第一のロッキング面を備えることができ、また、コアに対向する側方舌部の側部は、第二のロッキング面を備えることができ、これらのロッキング面は、結合状態において、パネルのロッキングをもたらすように協働する。別法として、または追加的に、装飾側に対向する側方舌部の側部は、第三のロッキング面を備えることができ、および装飾側とは反対側を向く上方唇部の側部は、第四のロッキング面を備えることができ、これらのロッキング面は、結合状態において、パネルのロッキングをもたらすように協働する。
【0008】
凹部には傾斜縁部を設けることができ、好ましくは、凹部は、装飾側において最も幅広で後側に向かって狭小になっている、断面が実質的に円錐台の形状を、または、実質的に台形形状の断面を有する。傾斜縁部は、上向きロッキング要素上の意図した位置に向かう取付け要素の案内をもたらすことができる。
【0009】
好ましくは、凹部は、上向きロッキング要素内に、具体的には、上向きロッキング要素の内側と外側との間に、中心が位置している。このように、凹部の両側には、同じ量の上向きロッキング要素が残存し、または凹状になっておらず、このことは、凹部の両側に構造部を形成し、およびより頑丈なパネルを形成する。上向きロッキング要素は、典型的には、ロッキング要素の他の構造的形状構成と比較して、厚みが増している。したがって、要素は、凹部を収容するために利用可能な、より多くの本体およびより多くの材料を有し、このことが、全体的により強い構造を生じさせる。
【0010】
凹部は、最大で上向きロッキング要素の中間まで延在していてもよい。その結果として、凹部は、最大で上向きロッキング要素の中間に配置された底部側または底部面を有することができる。凹部を、最大で上向きロッキング要素の厚さの半分まで延在させることにより、凹部と後側との間の凹部の下に十分な材料が残存する。
【0011】
上向きロッキング要素の凹部は、実質的に台形形状であってもよい。また、凹部には、好ましくは、凹部の中間または中央に、第二の凹部または窪みを設けてもよい。第二の凹部は、釘またはねじのような接続要素を、凹部の中間に(ひいては第二の凹部に)案内するのに用いることができる。第二の凹部は、凹部のサイズまたは幅の最大で半分に、好ましくは、凹部のサイズまたは幅の約三分の一とすることができる。
【0012】
コアとは反対側を向く側方舌部の側部の少なくとも一部および/または上方唇部と下方唇部との間の溝の少なくとも一部には、部分的に丸みが付いてもよい。特にパネルのアングリング中に、丸みの付いた面または移行部は、パネル材料の鋭い移行部によって妨げられない比較的スムーズなアングリング動作を可能にする。
【0013】
結合状態においては、後側に対向する側方舌部の側部と下方唇部との間に空間が存在する可能性があり、空間は、上向きロッキング要素からコアに向かってテーパ状になっている。下方唇部と側方舌部との間のこのような空間は、パネルの結合時の追加的な柔軟性を可能にし、および結合中に下方唇部または側方舌部を潜在的に削り取られる材料を回収するための空間を生み出している。後側に対向する側方舌部の側部と下方唇部とは、接触しない可能性があり、結合状態においては、コアに対向する側方舌部の側部と、溝の内側との間のみに接触が存在する。側方舌部の後側と下方唇部とを接触させないことにより、さらなる柔軟性と追加的な製造の許容差をさらに可能にする。
【0014】
上向きロッキング要素の幅は、上方ブリッジ部の幅と比較して小さくてもよく、その結果、好ましくは、結合状態において、上向きロッキング要素の外側と、別のパネルのコアとの間に空間が存在する。幅は、典型的には、パネルの面内の方向である。上向きロッキング要素とコアとの間の空間は、(依然としてパネルを結合することができながら)製造時の許容差を向上させ、結合中に結合部を変形させることなく、パネルの比較的容易な結合を可能にする。
【0015】
第一の結合部は、装飾側と側方舌部との間に第一の上方接触面を備えることができ、コアとは反対側を向く上方唇部の側部は、第二の上方接触面を備えることができ、第一の上方接触面と第二の上方接触面は、結合状態において、少なくとも部分的に接触するように構成される。これらの接触面は、接触している結合状態のパネルのコアの装飾側に向いている面である。第一の接触面および/または第二の接触面は、例えば、上方ロッキング要素を備えることができ、好ましくは、両接触面は、一つ以上の方向でのロッキングをもたらすために、結合状態において協働するように構成されている上方ロッキング要素を備えている。上方接触面は、パネルの厚さの少なくとも0.1倍の距離、好ましくは、厚さの少なくとも0.15倍の距離を越えて延在していてもよい。適当な位置において、上方接触面は、重力に抗して作用する面とすることができる。負荷を分散させ、およびピーク張力(peak tension)が発生するのを抑えるために、より大きな表面積を利用することができる。
【0016】
第一の結合部および/または第二の結合部は、パネルの装飾側に配置された斜面またはグラウトを備えていてもよい。斜面は、一般的に、上方接触面から、パネルの装飾面に向かって傾斜している、面取りされた面によって代表される。二つの結合されたパネルはともにこのような面取りされた面が設けられている場合、それらの面は、整列してV字状凹部を形成する。面が傾斜していないかまたは面取りされていないが、主として正方形または矩形状である場合、一つのパネル単独で、または、二つのパネルの組合せによってU字状凹部を形成することができる。本発明の特定の実施形態においては、第一の結合部および第二の結合部の一方のみに斜面または面取りされた面が設けられる。好ましくは、それは、壁被覆材における定位置において、上方を向いている結合部である。その結果、パネルの装飾側に存在する可能性のある何らかの水分、液体または雨は、二つの結合したパネル間の接合面から離れて案内される。
【0017】
コアは、熱可塑性プラスチック材料、具体的には、発砲または非発泡熱可塑性プラスチック材料またはPVC、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはポリウレタンおよび/または炭酸カルシウム等の一つ以上のフィラー、もしくは、木製材料、例えば、MDF、HDFまたは木材プラスチック複合材から成っていてもよい。また、コアは、木質系発泡材または圧縮木材から成っていてもよい。
【0018】
コアのため一般的に好まれる具体的な材料は、炭酸カルシウムのような少なくとも一つのフィラーまたは他の無機充填剤が充填された熱可塑性プラスチックとすることができる。ベース層を形成するのに適しているプラスチック材料は、ポリウレタン、ポリアミド共重合体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレンおよびポリエチレンプラスチックを含んでもよく、これらすべてが良好な成形加工性を有している。ポリ塩化ビニル(PVC)材料は、化学的に安定し、耐食性であり、および優れた耐火特性を有している。ベース層のひいてはパネルの硬度および剛性をさらに向上させるために、好ましくは、塩素化PVC(CPVC)および/または塩素化ポリエチレン(CPE)および/または他の塩素化熱可塑性プラスチック材料が使用される。プラスチック材料は、ベース層の所望の剛性を向上させるために、何らかの可塑剤を含まなくてもよく、このことは、環境の観点からも好ましい。少なくとも一つのフィラーを、タルク、チョーク、木、炭酸カルシウム、二酸化チタン、焼成粘土、磁器、(別の)無機充填剤、および(別の)天然フィラーから成る群から選択することができる。フィラーは、繊維によって形成することができ、および/またはダスト状粒子によって形成してもよい。ここで、「ダスト」という表現は、木材粉塵、コルク粉末、または鉱物粉末、石粉、特にセメントのような非木材粉塵のような微小ダスト状粒子(粉末)と理解されたい。
【0019】
コア層は、少なくとも一つの共重合体と、少なくとも一つの非ポリマー材料とから成る複合材で形成することができる。コア層の複合材は、好ましくは、一つ以上のフィラーを含み、少なくとも一つのフィラーは、タルク、チョーク、木、炭酸カルシウム、二酸化チタン、焼成粘土、磁器、(別の)無機充填剤、および(別の)天然フィラーから成る群から選択される。フィラーは、繊維によって形成することができ、および/またはダスト状粒子によって形成してもよい。ここで、「ダスト」という表現は、木材粉塵、コルク粉末、または鉱物粉末、石粉、特にセメントのような非木材粉塵のような微小ダスト状粒子(粉末)と理解されたい。ダストの平均粒径は、好ましくは、14~20ミクロン、より好ましくは、16~18ミクロンである。この種のフィラーの主な役割は、コア層、ひいては平行四辺形/菱形のタイル、十分な硬度を提供することである。このことは、確実で耐久性のある方法で山形模様を実現するための、それらの一般的に比較的脆弱な鋭い頂点を含むタイルを可能にするであろう。さらに、この種のフィラーは、典型的には、コア層、ひいてはタイルの衝撃強度も向上させるであろう。複合材中のこの種のフィラーの重量含有率は、好ましくは、35~75%であり、より好ましくは、複合材が発泡複合材の場合には40~48%、およびより好ましくは、複合材が非発泡(固体)複合材の場合には65~70%である。
【0020】
側方舌部と溝とは、二つの結合したパネルを互いに強引に押し付ける
ために、結合状態においてクランプ力を及ぼすように構成することができる。このようなクランプ力は、結合されたパネルを互いに押し付け、接続部を改良し、従って例えば、パネルの耐水特性の水密性を向上させる。
【0021】
溝は、溝から壁パネルの後側へ延在するチャネルを備えていてもよい。このような溝は、結合部や特に溝に入る可能性のある水または他の液体を排水するのに用いることができる。具体的には、溝が、定位置において上方を向いているパネルの側部にある場合、溝は、最下に配置され、その結果として、液体、水または他の遊離した物質を自然と集めるようになっている結合部の部分とすることができる。パネルの裏側または後側に延在しているチャネルは、このような物質または液体が結合部から離れることを可能にする。
【0022】
パネルは、細長くすることができ、および壁被覆材の一部を形成するために水平方向に配置されるように構成することができ、好ましくは、第一および第二の結合部は、パネルの長辺に配置され、および/または壁パネルの他の二つの対向する辺には、必要に応じて、好ましくは、第一および第二の結合部と同じアングリング動作で結合されるように構成された第三および第四の結合部が設けられる。このようなパネルは、例えば、部屋の左右に及ぶように用いることができる。このようなパネルは、約1.5~2.5メートル幅、具体的には、約1.8メートル幅とすることができ、および(相互に接続された)任意の数のパネルを、部屋の幅にわたって、または建物の外側に及ぶように用いることができる。
【0023】
また、パネルは、細長くすることができ、および壁被覆材の一部を形成するために、垂直方向に配置されるように構成することができ、好ましくは、第一および第二の結合部は、パネルの長辺に配置され、および/または壁パネルの他の二つの対向する辺には結合部が設けられていない。このようなパネルは、例えば、床から部屋の天井まで及んでいてもよい。
【0024】
パネルは細長くすることができ、第一および第二の結合部は、パネルの長辺に配置され、壁パネルの長辺に沿って複数の凹部が存在し、好ましくは、長辺に沿って等間隔に配置される凹部は、パネルを支持構造または壁に接続するのに用いることができる。凹部が多ければ多いほど、接続するための選択肢が増え、このことは、パネルを設置する際の選択肢を増やす。さらにそれは、パネルと、支持構造または壁との間に、より多くの接続部を提供することができ、このことは、形成された壁被覆材の安定性および頑丈性を向上させる。
【0025】
したがって、第一および第二の結合部を備えた側部と比較して他方の側部にも結合部を同様に設けることができる。これらの結合部は、第一および第二の結合部と比較して同じ結合部とすることができ、または、これらの結合部は、好ましくは、第一および第二の結合部をアングリングするのに用いられる同じアングル動作とすることができる下向き動作によって結合されるように構成された第三および第四の結合部とすることができる。好ましくは、第三の結合部は、上向き舌部と、上向き舌部からある距離にある少なくとも一つの上向きフランクと、上向き舌部と上向きフランクとの間に形成された上向き溝とを備え、上向き溝は、別のパネルの第四の結合部の下向き舌部の少なくとも一部を受け入れるように適合されており、上向きフランクに対向する上向き舌部の側部は、上向き舌部の内側であり、および、上向きフランクとは反対側を向く上向き舌部の側部は、上向き舌部の外側であり、第四の結合部は、下向き舌部と、下向き舌部からある距離にある少なくとも一つの下向きフランクと、下向き舌部と下向きフランクとの間に形成された下向き溝とを備え、下向き溝は、別のパネルの第一の結合部の上向き舌部の少なくとも一部を受け入れるように適合されており、下向きフランクに対向する下向き舌部の側部は、下向き舌部の内側であり、および下向きフランクとは反対側を向く下向き舌部の側部は、下向き舌部の外側であり、下向き舌部の外側と上向きフランクはともに、パネルの上側の近傍に、または上側に、あるいは上側に隣接して、または上側に面して上方接触面を備え、接触面は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、垂直方向に延在し、パネルの下向き舌部の外側の上方接触面は、パネルの結合状態において、隣接するパネルの上向きフランクの上方接触面に係合するように構成され、下向き舌部と上向きフランクはともに、上方接触面に隣接して傾斜接触面を備え、パネルの下向き舌部の傾斜接触面は、パネルの結合状態において、隣接するパネルの上向きフランクの傾斜接触面に係合するように構成され、上方接触面の各垂直部と、隣接する各傾斜面は、100~175度の角度(α)を相互に囲み、下向き舌部は、傾斜接触面に隣接する際、下向き舌部の傾斜接触面の下に位置する外側面を備え、上向きフランクは、傾斜接触面に隣接する際、上向きフランクの傾斜接触面の下に位置する内側面を備え、外側面と内側面は実質的に平行に伸び、および少なくとも部分的に垂直方向に延在し、隣接するパネルの結合状態において、パネルの外側面の少なくとも一部と、隣接するパネルの内側面の少なくとも一部との間には空間が存在する。
【0026】
好ましくは、パネル、または、パネルの結合部は、結合状態において、パネルを互いに向かって押し込む、一定のロッキング力をそれらが及ぼすように構成されている。このようなロッキング力は、例えば、クランプ構成によって、または、他方と比較して一方の結合部をわずかに大きく形成することによって実現することができる。このことは、床パネルの面内にある力を生成する。このロッキング力は、好ましくは、パネルの主面において、パネルを互いに向けて押し込み、その結果として、上方接触面を一緒に押し込み、このクランピングは、パネル間の接続を向上させ、好ましくは、パネル間に水密シールを形成する。
【0027】
上方接触面に隣接して、典型的には、接触面に直接隣接して、または接触面の直下に、傾斜接触面が存在している。傾斜面においては、パネル間に接続またはシールを形成するように、パネルが接触している。傾斜は、好ましくは、下向き舌部を見ると、傾斜面が外側に延在し、および上向きフランクを見ると、傾斜面が内側に延在するようになっている。傾斜角度は、その結果として、下向き舌部が突出部を有し、上向きフランクは凹状部分を有し、結合状態においてこれらが接触するため、ロッキング効果をもたらす。また、傾斜は、わずかな迷路を生成し、このことが、接続部の防水性を向上させる。
【0028】
下向き舌部は、傾斜接触面に隣接して、典型的には、接触面に直接隣接して、または接触面の直下に、外側面を備えている。この外側面は、下向き舌部の最も外側の面、または、下向きフランクから最も遠い外側舌部の面とすることができる。同様に、上向きフランクは、傾斜接触面に隣接して、典型的には、接触面に直接隣接して、または、接触面の直下に、内側面を備えている。内側面と外側面との間には、空間が存在している。この空間は、パネルに及ぼされる、またはパネルによって及ぼされる何らかの力が、上方接触面および/または傾斜接触面以外の他のどこかへパネルを一緒に押し込むことを防ぐことを目的とする。内側面と外側面が接触すると、それらは、上方接触面の接触を防ぎ、接続部の防水性に有害となるであろう。したがって、上部においては、上方接触面および傾斜接触面において、目的は、パネル間に接続を確立することであり、それに対して、それらの接触面の下では、目的は、そのような接続を避けることである。(結合状態における)上方接触面は、面、または内側垂直面を画定するように接触することができる。
【0029】
その結果として、下向き舌部の一部は、内側垂直面を越えて延在することができ、一部は、実質的に台形状または楔状にすることができる。このような形状は、パネルの面内で何らかのロッキング、結合または他の力の影響を受けている場合に、一部は上向きフランクに形成された空間内に押し込まれるとともに、力に抗することができる頑丈な一部も形成して、パネル間に緊密な接続を生み出すことを可能にする。このことも、パネル間の接続部の防水性を同様に向上させる。
【0030】
上向きのロッキング要素の凹部は、壁パネルの一方の辺、好ましくは、細長いパネルの長辺に沿って延在する、凹状溝を形成することができる。溝は、好ましくは連続する溝を一緒に形成する、多数の隣接する凹部と見なすことができる。このような溝は、パネルに沿ったどの位置であっても、要素を取り付けるための無限の選択肢を提供する。
【0031】
下方唇部は、壁パネルの厚さの少なくとも二倍、好ましくは少なくとも三倍、より好ましくは約四倍、の距離に沿って、上方唇部を越えて延在していてもよい。このように、比較的薄いパネルと比較して、比較的長い下方唇部が設けられている。本発明による壁パネルは、大抵は、例えば、現存の壁を被覆するのに用いることができ、構造的なまたは耐荷重性のコンポーネントではなくてもよい。このようなパネルは、比較的薄く形成することができ、このことは材料を節約し、これらのパネルの配置を単純化する。さらに、延在する部分は、設置中の案内面を提供する。上向きロッキング要素の厚さは、壁パネルの厚さの約半分にすることができる。その結果として、上面(または、パネルの装飾側に対向する側)は、厚さに関して略中間に配置することができ、このことは、結合部プロファイルに沿ったバランスのとれた厚さのバリエーションをもたらし、結合部における多数の脆弱な領域の形成を防ぐ。
【0032】
上方唇部の遠位端はジョイント垂直面(joint vertical plane)を画定し、下方唇部は、ジョイント垂直面を越えて延在する。結合状態において、好ましくは、上方唇部の遠位端と、側方舌部の上方接触面は接触している。接触時、側方舌部は、ジョイント垂直面を越えて延在していてもよく、または、パネルの厚さの半分未満、側方舌部の上方接触面を越えて延在していてもよい。あるいは、接触時、側方舌部は、ジョイント垂直面を越えて延在していてもよく、または、側方舌部の上方接触面を越えて延在していてもよい。
【0033】
二つのパネルの結合状態においては、第一のパネルの上方ブリッジ部と、第二のパネルの上向きロッキング要素との間に、少なくとも上向きロッキング要素の全幅にわたって空間が存在していてもよく、空間は、好ましくは、第二のパネルの上向きロッキング要素の遠位端と、第一のパネルのコアとの間に続いている。上方ブリッジ部と、上向きロッキング要素との間の空間は、多くの目的に役に立つ。まず、輪郭形成が完全ではない場合でもパネルを相互に結合できるようなフライス加工またはプロファイル加工の許容差を可能にする。第二に、このような空間は、剥がれた粒子、例えば、結合中にパネルから放出されたコア材料粒子、を集めるのに用いることができる。第三に、それは、潜在的に、接続後に凹部から部分的に突き出る可能性のある、ねじまたは釘のような取付け要素を収容するための追加的な空間を、凹部の上部に形成する。
【0034】
表側の反対側の後側における上向きロッキング要素は、壁パネルを支持面に一時的に取付けるための接着層、例えば、接着剤の剥離部を備えることができる。設置中に、壁パネルを定位置に一時的に固定することにより、設置業者は、パネルが剥がれ落ちることを心配することなく、壁パネルを設置するための手が空く。
【0035】
接着層は、パネルを適当な支持面に取外し可能に取付けることができるようにするのに十分な接着性を与えることができる。接着層の接着剤の接着性は、室温(20℃)で、または、少なくとも15~25℃の温度範囲で適合する。したがって、接着性は、パネルが使用されることが意図されている最も一般的な温度に適合する。広範な用途に対して、接着性が、0℃~50℃の温度範囲に適合する場合が有利である。
【0036】
接着層は、連続的または不連続な層とすることができる。接着層は、複数の相互接続された接着ゾーンおよび/または遠位の接着ゾーン、例えば、接着スポットまたは接着ストリップによって形成することができる。複数の接着層が施されることが考えられる。ここでは、少なくとも二つの接着層が互いの上部に(平行に)施され、および/または同じ面内に位置することが考えられる。
【0037】
本発明によるパネルにおいては、接着層の接着剤が、パネルの底部面または裏面の縁部および/または角部に、好ましくは、パネルの底部面全体の少なくとも50%に、存在することが有利である。したがって、接着層の接着剤は、パネルの角部および縁部におけるカーリング(curling)に特に対抗する。
【0038】
本発明によるパネルの追加的な好適な実施形態において、接着層の接着剤は、15MPaより小さい、好ましくは10MPaより小さい、適度な接着強度を適切な支持面に対して実現するように構成されている。このような適度な接着強度は、適当な支持面に取付けられたときに、パネルが、パネルが取付けられる支持面からパネルを一般的なユーザが適度な努力によって取り外すことを可能にする魅力的な剥離強度を有することを実現する。本発明によるパネルにおいては、底部面の接着性が、少なくとも五年間、好ましくは、少なくとも十年間、適合することが有利である。
【0039】
本発明によるパネルにおいては、接着層に使用される接着剤が、好ましくは、分離可能なタイプの感圧接着剤(pressure sensitive adhesive:PSA)であることが特に好適である。感圧接着剤(PSA)は、すぐに使える接着剤であり、粘着性である。一般に、それらの接着剤は、フィルムとしてフレキシブル材料に施される。これらの接着剤の特別な特徴は、接着剤は、固体材料を形成するように凝固しないが、粘着性のままであるということである。したがって、接着剤は、物理的メカニズムを介して付着する接着剤の群において特別な地位にある。感圧接着剤系を製造する場合、接着剤は、有機溶剤(例えば、天然ゴム、アクリレート類)中で溶解させることができ、水分散液(例えば、アクリレート分散剤)として存在することができ、または、無溶媒溶解物(感圧溶解物)とすることができる。PSAの基本配合は、特別な特性を与えるための任意の添加剤とともに、基本高分子と、接着樹脂と、可塑剤とを含む。
【0040】
感圧接着剤を使用する際の実際の接着は、分子間相互作用に依存して生じる。典型的には、感圧接着剤には、最終結合において依然として粘着性液体状態がある。したがって、PSAの粘着性は、接着強度に直接的な影響を及ぼす。この文脈においては、分離可能な接着剤と永続的な接着剤との間には重要な違いを形成することができる。
【0041】
低粘着性を有する感圧接着剤の群は、その結果として、接着した物体を使用後に再び分離することができるような低接着強度を有する。それらのPSAタイプは粘着性があり、実質的に恒久的に別の基板に結合できることができる制限のないオープンタイムを有する。
【0042】
さらに、本発明によるパネルにおいては、接着層の接着剤が、好ましくは、分離可能タイプの、ウォームメルト感圧接着剤(warm melt pressure sensitive adhesive)および/またはホットメルト感圧接着剤(hot melt pressure sensitive adhesive:HMPSA)であることが望ましい。ホットメルト感圧接着剤(HMPSA)は、PSAの特別なタイプであり、熱可塑性接着剤に基づいている。同様に、HMPSAは、完全に硬化せず、恒久的に粘着性のままであるという事実によって特徴付けられる。このことは、この接着剤が冷たい場合でも、優れた接着接合を可能にする。所要の接触圧力は、HMPSAによって接合される物体間に十分な被覆を形成することに関する鍵である。HMPSAは、室温での軽い圧力下で実用的な接着を形成する能力を保持する。HMPSAの好適な実例は、ポリアクリル酸塩ベースのPSAである。
【0043】
本発明によるパネルにおいて、特に好ましくは、接着剤は、熱可塑性エラストマー、例えば、スチレンブロック共重合体(SBC)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリアクリル酸塩、および/または非晶質ポリオレフィン(APO)のうちの一つ以上のタイプを含む。これらの非常に適切な熱可塑性エラストマーは、必要な特別な接着能力を得るために、さまざまな種類の粘着付与剤(天然樹脂や合成樹脂)によって改質することができる。本発明の文脈において、HMPSAは、好ましくは、一つ以上の種類のSBCを含む。このようなHMPSAは、室温で恒久的な粘着性であり、および軽い指圧下で良好な接着強度を呈する。
【0044】
本発明によるパネルの好適な実施形態においては、少なくとも一つの追加的な層が、コアと接着層との間に位置している。この追加的な層は、コアの底部側に固定接続された裏打ち層とすることができ、施される接着層、好ましくはPSA層は、裏打ち層の底部側に施されるが、接着層、具体的には、PSA層は、追加的な層内に組み込んでもよい。
【0045】
ここでは、裏打ち層が、連続気泡および/または独立気泡を有するフォーム構造を好ましく有する弾性層から成りまたは弾性層で構成されていることが好適である。したがって、裏打ち層の弾性特性は、パネルがその上に適用される支持面の何らかの凹凸(irregularity)にパネルが適合することを可能にする。さらに、裏打ち層のフォーム構造は、パネルの底部面の取付け特性および分離特性をさらに促進することができる。
【0046】
好ましくは、追加的な層、具体的には裏打ち層は、半結晶ポリアミドであるナイロン6(または、ポリカプロラクタム)で少なくとも部分的に形成され、具体的には、ナイロン6繊維である。より好ましくは、この層は、穿孔された層および/またはオープン層であり、製造中の接着層が追加的な層を貫通することを可能にし、このことは、穿孔された層および/または追加的なオープン層をコアに接着するために接着層を用いることも可能にする。この場合の適切な接着剤は、例えば、ポリアクリレートベースのPSAである。穿孔された層および/またはオープン層は、典型的には、織物層および/または不織層によって形成される。別法として、追加的な層(または、裏打ち層)、具体的には、弾性層は、好ましくは、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ゴム、またはこれらの混合物から成る群から選択された少なくとも一つの材料から成る。さらに、弾性層は、フィラー、具体的には、タルク、チョーク、木および/または炭酸カルシウムから成っていてもよい。
【0047】
典型的には、弾性層は、0.1~6mmの厚さを有する。弾性裏打ち層は、(接着層とともに)パネルの下面を画定することが想定されている。この場合、複数の(表面)吸引穴が、弾性層の少なくとも下面に形成されて、パネルを、支持面に迅速に取付けできるように、およびそこから取外しできるようになっていることが有利である。好ましくは、弾性裏打ち層は、異方性材料から形成される。好ましくは、複数の表面吸引穴が、弾性層の少なくとも下面に形成され、表面吸引穴は、ベースとは反対側を向く方向に開口され、およびベースに対向する方向に実質的に閉じられている。したがって、これらの表面吸引穴は、隔離された空洞を画定する。典型的には、表面的な吸引穴は一緒に、ボイド面積(void footprint)(ボイド表面積)を画定し、表面吸引穴間の弾性層の下面における材料は、材料面積(固体表面積)を画定する。好ましくは、ボイド面積と材料面積(material footprint)の表面積比は、少なくとも4、好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも6であり、それにより、パネルを迅速かつ比較的堅固に支持面に取付けできるようになっているとともに、支持面からのパネルの容易な取外しが維持される。本発明によるパネルの著しい利点は、すぐに取り外せる接着支持構造により、パネルは、安定した耐久性のある方法で支持面に素早く取付けるように構成され、同時に、パネルを、迅速かつ容易な方法で、何らかの残留物を残すことなく、支持面から取り外すこともできるということである。これらの特性は、パネル、具体的にはパネルに、良好な寸法安定性と、良好なレイフラット性(lay flat characteristics)と、好ましくは無孔でおよび実質的に平坦な、支持面、例えば、床、壁または天井にもパネルを容易に取付けるおよび支持面からパネルを容易に取り外せる柔軟性とを与える。弾性層の下面には、何らかの接着剤が設けられておらず、好ましくは、接着剤または他の化学接着剤がない。弾性層の下面の接着性は、小さな吸引穴(微小穴、シェル状空洞、および/または吸引効果を有する半球状微小空間)の存在によってもたらされる。設置中、設置されるパネルは支持面に対して押され、このことが、吸引穴から空気を強制的に漏出させ、吸引穴の周縁および/または吸引穴間に位置する下面の弾性材料は、弾性層の下面と支持面との間に、実質的に気密なシールを形成する。設置されるパネルに作用する下向きの力の解放下で、真空(亜大気圧)が吸引穴内に生成されて、パネルを支持面の方へ引張らせて、支持面に押し付ける。そのため、パネルは、カーリングに対する感受性が著しく低くなり、例えば、取外し中に、パネルに反対方向の引張り力が作用することによって吸引力が超過するまで、支持面に対して安定化することになる。化学接着剤(接着剤)が使用されないため、本発明によるパネルは、インライン製造法で効率的に製造することができる。本発明によるパネルは、好ましくは、多数の天然繊維または合成繊維からパイル糸を形成することができるパネルである。多くの種類の糸が異なって形成されるが、典型的には、二つの主要な種類の糸、すなわち、スパンとフィラメントがある。糸は、ナイロンで形成することができるが、他の適当な合成糸、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、またはこれらの混合物を用いることができる。パネルは、硬くするかまたは柔らかくすることができる。ベースに、糸も繊維もないことも想定される。
【0048】
弾性層は、「堅い接着、ソフトな取外し」原理を呈するように設計され、このことは、以下のようにシンプルな方法で理解することができる。硬い方向に引張られた場合、より少ない弾性エネルギを材料中に蓄えることができ(硬いばねが、柔らかいばねと比較して、より少ないエネルギを蓄えることができるのに良く似ている)、支持面の粗さによって生じるクラック状のランダムな傷を追い出す(drive)ためのより低いエネルギ解放率につながる。他方では、ソフト方向に引張られた場合、特に材料が強い異方性である場合、かなり多くの弾性エネルギを材料中に蓄えることができ、支持面の粗さが誘発するクラック状の傷を追い出すためのかなり高いエネルギ解放率につながる。
【0049】
好ましくは、弾性層の実質的には下面全体には、吸引穴は設けられている。このことは、支持面へのパネルの設置中に実現することができる全体的な吸引効果を一般的に向上させ増加させるであろう。吸引穴のサイズは均一にすることができ、吸引穴は、例えば、弾性層の下面に型打ちし、穿孔しおよび/または機械的に施してもよいが、一般的には、吸引穴のサイズは、弾性層の下面全体にわたって変化することが有利であり、このことは、例えば、弾性層が弾性フォームによって形成されることを可能にする。弾性フォームは、独立気泡(空洞)および/または連続気泡(空洞)を有していてもよい。フォーム内には、典型的には、異なるサイズを有する気泡が存在する。一つの実施形態において、弾性層は、エチレンと酢酸ビニルの共重合体であるエチレン酢酸ビニル(EVA)、ゴム、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、(可塑化)ポリ塩化ビニル(PVC)、またはこれらの混合物から成るフォーム材料から形成される。弾性層は、任意に、他の成分、例えば、チョーク、タルク、砂、繊維、木、鉱物および/または炭素等のフィラー、アゾジカーボンアミド等の発泡剤、過酸化ジクミル等の架橋剤、酸化亜鉛等の発泡剤、および/または着色剤を含んでいてもよい。好ましくは、本発明によるパネルの弾性層は、柔らかさおよび柔軟性に関して、気泡ゴム状材料を提供する。材料は、低温靭性、応力割れ抵抗、防水性、気密シーリング性、および圧縮後の気泡復元性を有する。裏打ち層は、例えば、不織シート、織物シート、不織ポリエステルシート、ポリプロピレンシート、ガラス繊維スクリムまたは薄い織物、またはこれらの組合せから成っていてもよい。
【0050】
本発明によるパネルは少なくとも部分的に、例えば、酸化マグネシウムから形成され、または、酸化マグネシウムに基づく。本発明によるパネルは、上側および下側を備えたコアと、コアの上側に直接または間接的に取付けられた装飾上部構造(または、上部部分)を備えることができ、コアは、少なくとも一つの酸化マグネシウム(マグネシア)および/または水酸化マグネシウムベースの組成物、具体的には、マグネシアセメントから成る少なくとも一つの複合層から成る。粒子、具体的には、セルロース粒子および/またはシリコーンベースの粒子をマグネシアセメント中に分散させることができる。任意に、一つ以上の補強層、例えば、ガラス繊維層を、複合層に埋め込んでもよい。コア組成物は、オキシ塩化マグネシウム(magnesium oxychloride:MOC)セメントを生じる塩化マグネシウムおよび/または塩基性硫酸マグネシウム(magnesium oxysulphate:MOS)セメントを生じる硫酸マグネシウムも含んでいてもよい。
【0051】
酸化マグネシウムおよび/または水酸化マグネシウムベースの合成物、具体的には、MOSおよびMOCを含むマグネシアセメントの適用は、装飾パネルそれ自体の可燃性(不燃性)を著しく改善することが分かっている。さらに、比較的耐火性のパネルは、通常使用時に温度変動を受けたときの、著しく改善された寸法安定性も有する。マグネシアベースのセメントは、マグネシア(酸化マグネシウム)に基づいているセメントであり、セメントは、酸化マグネシウムが反応剤のうちの一つとして作用した化学反応の反応生成物である。マグネシアは、マグネシアセメント中に依然として存在している可能性があり、および/または以下で説明するように、別の化学結合が形成される化学反応を受けている。他のセメントタイプとも比較した、マグネシアセメントの追加的な利点を以下に提示する。第一の追加的な利点は、マグネシアセメントは、エネルギー的に比較的効率的に、すなわち費用効率の高い方法で製造することができるということである。さらに、マグネシアセメントは、比較的大きな圧縮強度および引張強度を有する。マグネシアセメントの別の利点は、このセメントは、典型的には安価である植物繊維、木粉(木屑)および/または木片等のセルロース材料、に対する自然親和性を有するということである。すなわち、このことは、マグネシアセメントの結合を改善するだけではなく、軽量化およびさらなる防音(減衰)にもつながる。セルロースおよび任意に粘土と結合した場合の酸化マグネシウムは、水蒸気を吸い込むマグネシアセメントを生み出し、すなわち、このセメントは、水分を効率的に排出するため劣化(腐敗)しない。マグネシアセメントの追加的な利点は、セメントは、他のセメントタイプと比較して、比較的低いpHを有するということであり、このことは、セメントマトリックス中に分散された粒子としてのおよび/または(繊維ガラスとしての)補強層としてのいずれかのガラス繊維の重要な耐久性を可能にし、さらに、耐久性のある方法での他の種類の繊維の使用を可能にする。さらに、装飾パネルの追加的な利点は、屋内および屋外の両方での使用に適しているということである。
【0052】
既に述べたように、マグネシアセメントは、酸化マグネシウムおよび/または水酸化マグネシウムに基づいている。マグネシアセメントそれ自体には、マグネシアセメントを製造するのに用いられる別の反応剤に依存して、酸化マグネシウムがない可能性がある。ここでは、例えば、反応剤としてのマグネシアが、マグネシアセメントの製造過程で、水酸化マグネシウムに変換されることが考えられる。そのため、マグネシアセメントそれ自体は、水酸化マグネシウムを含んでいる可能性がある。典型的には、マグネシアセメントは、水、具体的には、水和水を含んでいる可能性がある。水は、通常、強力でコヒーレントなセメントマトリックスを生成するための結合剤として使用される。
【0053】
マグネシアベースの合成物、具体的には、マグネシアセメントは、塩化マグネシウム(MgCl2)を含んでいてもよい。典型的には、マグネシア(MgO)が、水溶液中で塩化マグネシウムと混合された場合、オキシ塩化マグネシウム(MOC)を含むマグネシアセメントが形成されることになる。結合フェーズは、Mg(OH)2、5Mg(OH)2・MgCl2・8H2O(5フォーム)、3Mg(OH)2・MgCl2・8H2O(3フォーム)、およびMg2(OH)ClCO3・3H2Oである。5フォームのフェーズは、優れた機械的特性有しているため、5フォームは好適なフェーズである。ポルトランドセメントのような他のセメントタイプに関連して、MOCは優れた特性を有している。MOCは、湿潤養生を必要とせず、高い耐火性と、低い熱伝導性と、良好な耐摩耗性とを有する。MOCセメントは、異なる骨材(添加物)と、良好な耐付着性を有する繊維とともに使用することができる。また、MOCセメントは、異なる種類の表面処理を受けることもできる。MOCは、48時間以内で高い圧縮強度(例えば、8,000~10,000psi)を発生させる。圧縮強度利得は、養生中の早期に生じ、すなわち、48時間強度は、極限強度の少なくとも80%になる。MOCの圧縮強度は、好ましくは、40~100N/mm2になる。曲げ引張強度(flexural tensile strength)は、好ましくは、10~17N/mm2である。MOCの表面硬度は、好ましくは、50~250N/mm2である。弾性率は、好ましくは、1~3 104N/mm2である。MOCの曲げ強度は比較的低いが、繊維、具体的には、セルロースベースの繊維、の添加によって著しく改善することができる。MOCは、幅広い合成樹脂繊維、(玄武岩繊維等の)鉱物繊維、およびバガス、木質繊維およびヘンプ等の有機繊維に適合する。本発明によるパネルに用いられるMOCは、これらの繊維タイプのうちの一つ以上によって強化することができる。MOCは、非収縮性であり、耐擦傷性および許容できる程度に耐摩耗性であり、耐衝撃性、耐圧痕性および耐引っかき性がある。MOCは、熱および凍結融解サイクルに耐性があり、耐久性を向上させるために空気連行を必要としない。また、MOCは、優れた熱伝導性、低い導電性、およびさまざまな基板および添加剤に対する優れた結合性を有し、および許容可能な耐火特性を有している。MOCは、パネルが、設定特性だけではなく、オキシ塩化マグネシウムのフェーズ展開にも影響を及ぼす、比較的極度の気象条件(温度および湿度)にさらされる場合においては、あまり好ましくない。一定の期間にわたって、大気二酸化炭素が、オキシ塩化マグネシウムと反応して、Mg2(OH)ClCO3・3H2Oから成る表面層を形成する。この層は、浸出プロセスを遅らせるように作用する。最終的に、追加的な浸出は、不溶性であり、セメントが構造的完全性を維持することを可能にするハイドロマグネサイト、すなわち4MgO・3CO3・4H2Oの形成をもたらす。
【0054】
マグネシウムベースの組成物、具体的には、マグネシアセメントは、硫酸マグネシウム、具体的には、硫酸マグネシウム七水和物(MgSO4・7H2O)をベースにしている。この後者の塩は、エプソム塩としても知られている。水溶液中において、MgOはMgSO4と反応し、このことは、非常に良好な結合特性を有するオキシ硫酸マグネシウムセメント(MOS)をもたらす。MOSにおいて、5Mg(OH)2・MgSO4・8H2Oは、最も一般的に見つかっている化学フェーズである。MOSは、MOCほど強くはないが、MOSは、MOCよりも二倍以上高い温度で分解し始めて、より長い防火を実施するため、耐火性用途に良好に適している。さらに、高温でのそれらの分解の生成物は、酸塩化物(塩酸)の生成物よりもあまり有害ではなく(二酸化硫黄)、加えて、あまり腐食性ではない。さらに、適用中の気象条件(湿度、温度および風)は、MOSに関しては、MOCほどクリティカルではない。MOSセメントの機械的強度は、主にセメント中の結晶相の種類および相対的含有量に依存する。MOSセメントの機械的強度に寄与することができる四つの基本的なマグネシウム塩、すなわち、5Mg(OH)2・MgSO4・3H2O(513フェーズ)、3Mg(OH)2・MgSO4・8H2O(318フェーズ)、Mg(OH)2・2MgSO4・3H2O(123フェーズ)およびMg(OH)2・MgSO4・5H2O(115フェーズ)が、摂氏30~120度の異なる温度における三成分系MgO-MgSO4-H2Oに存在することが分かっている。通常、513フェーズおよび318フェーズは、MgOとMgSO4のモル比が(約)5:1に固定された場合に、飽和蒸気条件下でセメントを養生することによってのみ得ることができる。318フェーズは、機械的強度に著しく寄与し、室温で安定しており、従って、適用されるMOS中に存在することが好適であることが分かっている。このことは、513フェーズにも当て嵌まる。513フェーズは、典型的には、針状構造から成る(微小)構造を有している。このことは、走査電子顕微鏡(SEM)分析によって確認することができる。オキシ硫酸マグネシウム5Mg(OH)2・MgSO4・3H2Oの針は、実質的に均一に形成することができ、典型的には、10~15μmの長さと、0.4~1.0μmの直径を有するであろう。針状構造に言及する場合には、薄片状構造および/またはひげ状構造も意味する可能性がある。実際には、50%以上の513または318フェーズを含むMOSを得ることは実行可能には思われないが、MOSの機械的強度を向上させるように、結晶相構成を調整することによって適用することができる。好ましくは、マグネシアセメントは、少なくとも10%の、好ましくは少なくとも20%の、およびより好ましくは、少なくとも30%の5Mg(OH)2・MgSO4・3H2O(513フェーズ)を含む。この好適な実施形態は、床パネルのコア層での使用に十分な機械的強度を有するマグネシアセメントを提供するであろう。
【0055】
MOSの結晶相は、有機酸、好ましくは、クエン酸を使用することにより、および/またはリン酸および/またはリン酸塩によってMOSを改質することによって調整可能である。この改質中に、新たなMOSフェーズを得ることができ、これは、5Mg(OH)2・MgSO4・5H2O(515フェーズ)およびMg(OH)2・MgSO4・7H2O(517フェーズ)で表すことができる。515フェーズは、クエン酸を使用することによるMOSの改質によって得ることが可能である。517フェーズは、リン酸および/またはリン酸塩(H3PO4,KH2PO4,K3PO4およびK2HPO4)を使用することによるMOSの改質によって得ることが可能である。これらの515フェーズおよび517フェーズは、化学元素分析によって測定することができ、SEM分析は、515フェーズおよび517フェーズの微小構造がともに水に不溶性の針状結晶であることを証明する。具体的には、MOSの圧縮強度および耐水性は、クエン酸の添加によって向上させることができる。そのため、MOSは、本発明によるパネルに適用する場合、5Mg(OH)2・MgSO4・5H2O(515フェーズ)および/またはMg(OH)2・MgSO4・7H2O(517フェーズ)を含むことが好適である。上述したように、リン酸およびリン酸塩を加えることは、MgOの水和プロセスおよび相組成を変えることにより、硬化時間を延ばして、MOSセメントの圧縮強度および耐水性を向上させることができる。ここで、リン酸またはリン酸塩は、溶液中でイオン化して、H2PO4
-、HPO4
2-および/またはPO4
3-を形成し、これらの陰イオンは、[Mg(OH)(H2O)x]+に吸着して、Mg(OH)2の形成を抑え、新たな亜硫酸マグネシウムフェーズの生成をさらに促進して、MOSセメントのコンパクト構造、高い機械的強度および良好な耐水性をもたらす。リン酸またはリン酸塩をMOSセメントに加えることによって生じる改善は、H3PO4=KH2PO4>>K2HPO4>>K3PO4の順に従う。MOSは、著しく幅広い気象条件下でMOCよりも良好な体積安定性、より少ない収縮性、良好な結合特性および低い耐食性を有し、従って、MOSに優って好適である可能性がある。MOSの密度は、典型的には、350~650kg/m3の範囲である。曲げ引張強度は、好ましくは、1~7N/mm2である。
【0056】
マグネシウムセメント組成は、好ましくは、一つ以上のシリコーンベースの添加物を含む。限定するものではないが、シリコーンオイル、中性硬化シリコーン、シラノール、シラノール流体、シリコーン(微小)球体またはシリコーン粒子、およびこれらの混合物ならびに誘導体を含むさまざまなシリコーンベースの添加物を用いることができる。シリコーンオイルは、限定するものではないが、ポリ(メチル)シロキサンおよびその誘導体を含む、有機側鎖を有する液体重合シロキサンを含む。中性硬化シリコーンは、それが硬化する際にアルコールまたは他の揮発性有機化合物(volatile organic compound:VOC)を放出するシリコーンを含む。限定するものではないが、水酸基(またはヒドロキシ)を末端基とするシロキサンおよび/または他の反応基で末端化されたシロキサン、アクリル酸シロキサン、ウレタンシロキサン、エポキシシロキサン、およびこれらの混合物および誘導体を含む他のシリコーンベースの添加物および/またはシロキサン(例えば、シロキサンポリマー)も用いることができる。以下で詳述するように、一つ以上の架橋剤(例えば、シリコーンベースの架橋剤)も用いることができる。一つ以上のシリコーンベースの添加物(例えば、シリコーンオイル、中性硬化シリコーン、シラノール流体、シロキサンポリマー等)の粘度は、約100cSt(25℃で)である可能性があり、これは、低粘度と呼ばれる。代替的な実施形態において、一つ以上のシリコーンベースの添加物(例えば、シリコーンオイル、中性硬化シリコーン、シラノール流体、シロキサンポリマー等)の粘度は、約20cSt(25℃)~約2000cSt(25℃)である。他の実施形態では、一つ以上のシリコーンベースの添加物(例えば、シリコーンオイル、中性硬化シリコーン、シラノール流体、シロキサンポリマー等)の粘度は、約100cSt(25℃)~約1250cSt(25℃)である。他の実施形態では、一つ以上のシリコーンベースの添加物(例えば、シリコーンオイル、中性硬化シリコーン、シラノール流体、シロキサンポリマー等)の粘度は、約250cSt(25℃)~1000cSt(25℃)である。さらに他の実施形態において、一つ以上のシリコーンベースの添加物(例えば、シリコーンオイル、中性硬化シリコーン、シラノール流体、シロキサンポリマー等)の粘度は、約400cSt(25℃)~800cSt(25℃)である。そして、特定の実施形態において、一つ以上のシリコーンベースの添加物(例えば、シリコーンオイル、中性硬化シリコーン、シラノール流体、シロキサンポリマー等)の粘度は、約800cSt(25℃)~約1250cSt(25℃)である。より高い粘度および/またはより低い粘度を有する一つ以上のシリコーンベースの添加物も用いることができる。例えば、別の実施形態において、一つ以上のシリコーンベースの添加物(例えば、シリコーンオイル、中性硬化シリコーン、シラノール流体、シロキサンポリマー等)の粘度は、約20cSt(25℃)~約200,000cSt(25℃)、約1,000cSt(25℃)~約100,000cSt(25℃)、または、約80,000cSt(25℃)~約150,000cSt(25℃)である。他の実施形態において、一つ以上のシリコーンベースの添加物(例えば、シリコーンオイル、中性硬化シリコーン、シラノール流体、シロキサンポリマー等)の粘度は、約1,000cSt(25℃)~約20,000cSt(25℃)、約1,000cSt(25℃)~約10,000cSt(25℃)、約1,000cSt(25℃)~約2,000cSt(25℃)、または、約10,000cSt(25℃)~約20,000cSt(25℃)である。さらに他の実施形態においては、一つ以上のシリコーンベースの添加物(例えば、シリコーンオイル、中性硬化シリコーン、シラノール流体、シロキサンポリマー等)の粘度は、約1,000cSt(25℃)~約80,000cSt(25℃)、約50,000cSt(25℃)~約100,000cSt(25℃)、または、約80,000cSt(25℃)~約200,000cSt(25℃)である。また、さらに別の実施形態において、一つ以上のシリコーンベースの添加物(例えば、シリコーンオイル、中性硬化シリコーン、シラノール流体、シロキサンポリマー等)の粘度は、約20cSt(25℃)~約100cSt(25℃)である。必要に応じて、その他の粘度を用いることもできる。好適な実施形態において、マグネシウムセメント組成は、具体的にはオキシ塩化マグネシウムセメント組成、は、単一種類のシリコーンベースの添加物を含む。他の実施形態では、二種類以上のシリコーンベースの添加物の混合物が用いられる。例えば、いくつかの実施形態において、オキシ塩化マグネシウムセメント組成は、一つ以上のシリコーンオイルと中性硬化シリコーンとの混合物を含むことができる。特定の実施形態において、シリコーンオイルと中性硬化シリコーンとの比は、重量比で約1:5~約5:1とすることができる。他のこのような実施形態においては、シリコーンオイルと中性硬化シリコーンの比は、重量比で約1:4~約4:1とすることができる。他のこのような実施形態において、シリコーンオイルと中性硬化シリコーンの比は、重量比で約1:3~約3:1とすることができる。さらに他のこのような実施形態において、シリコーンオイルと中性硬化シリコーンの比は、重量比で約1:2~約2:1とすることができる。別のこのような実施形態においては、シリコーンオイルと中性硬化シリコーンの比は、重量比で約1:1とすることができる。
【0057】
一つ以上の架橋剤がマグネシアセメントに用いられることが考えられる。いくつかの実施形態において、架橋剤は、シリコーンベースの架橋剤である。例示的な架橋剤は、限定するものではないが、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、およびこれらの混合物および誘導体を含む。(他のシリコーンベースの架橋剤を含む)他の架橋剤も用いることができる。いくつかの実施形態において、オキシ塩化マグネシウムセメント組成は、一つ以上のシリコーンベースの添加物(例えば、一つ以上のシラノールおよび/またはシラノール流体)と、一つ以上の架橋剤とを含む。一つ以上のシリコーンベースの添加物(例えば、シラノールおよび/またはシラノール流体)と架橋剤との比は、重量比で約1:20~約20:1、重量比で約1:10~約10:1、または、重量比で約1:1~約10:1とすることができる。
【0058】
一つ以上のシリコーンベースの添加物を含むマグネシウム(オキシクロライド)セメント組成は、標準的なマグネシウム(オキシクロライド)セメント組成と比較して、低減された水に対する感度を呈する可能性がある。さらに、いくつかの実施形態において、一つ以上のシリコーンベースの添加物を含むマグネシウム(オキシクロライド)セメント組成は、水に対して少しの感度を呈する可能性があり、または、水に対して全く感度を呈しない可能性がある。さらに、一つ以上のシリコーンベースの添加物を含むマグネシウム(オキシクロライド)セメント組成は、疎水性および耐水性を呈することができる。また、一つ以上のシリコーンベースの添加物を含むマグネシウム(オキシクロライド)セメント組成は、改善された硬化特性を呈することができる。例えば、マグネシウム(オキシクロライド)セメント組成は硬化して、3Mg(OH)2・MgCl2・8H2O(フェーズ3)および5Mg(OH)2・MgCl2・8H2O(フェーズ5)結晶構造を含むさまざまな反応生成物を形成する。いくつかの状況においては、より高い割合の5Mg(OH)2・MgCl2・8H2O(フェーズ5)結晶構造が好適である。このような状況において、オキシ塩化マグネシウムセメント組成への一つ以上のシリコーンベースの添加物の添加は、養生プロセスを安定化させることができ、このことは、5Mg(OH)2・MgCl2・8H2O(フェーズ5)結晶構造の歩留まり率を増加させることができる。例えば、いくつかの実施形態において、一つ以上のシリコーンベースの添加物を含むオキシ塩化マグネシウム組成は、硬化して80%以上の5Mg(OH)2・MgCl2・8H2O(フェーズ5)結晶構造を形成することができる。他の実施形態では、一つ以上のシリコーンベースの添加物を含むオキシ塩化マグネシウム組成は、硬化して、85%以上の5Mg(OH)2・MgCl2・8H2O(フェーズ5)結晶構造を形成することができる。さらに他の実施形態において、一つ以上のシリコーンベースの添加物を含むオキシ塩化マグネシウム組成は、硬化して、90%以上の5Mg(OH)2・MgCl2。8H2O(フェーズ5)結晶構造を形成することができる。さらに他の実施形態においては、一つ以上のシリコーンベースの添加物を含むオキシ塩化マグネシウム組成は、硬化して、95%以上の5Mg(OH)2・MgCl2・8H2O(フェーズ5)結晶構造を形成することができる。さらに他の実施形態において、一つ以上のシリコーンベースの添加物を含むオキシ塩化マグネシウム組成は、硬化して、98%以上の5Mg(OH)2・MgCl2・8H2O(フェーズ5)結晶構造を形成することができる。さらに他の実施形態では、一つ以上のシリコーンベースの添加物を含むオキシ塩化マグネシウム組成は、硬化して、約100%の5Mg(OH)2・MgCl2・8H2O(フェーズ5)結晶構造を形成することができる。
【0059】
さらに、一つ以上のシリコーンベースの添加物を含むマグネシウム(オキシクロライド)セメント組成は、向上した強度特性および結合特性も呈することができる。必要に応じて、一つ以上のシリコーンベースの添加物を含むマグネシウム(オキシクロライド)セメント組成は、比較的薄いマグネシウム(オキシクロライド)セメントまたはコンクリート構造を製造するのにも用いることができる。例えば、一つ以上のシリコーンベースの添加物を含むマグネシウム(オキシクロライド)セメント組成は、8mm未満、好ましくは、6mm未満の厚さを有するセメントまたはコンクリートの構造または層を製造するのにも用いることができる。
【0060】
結合部間の結合を実現するために、酸化マグネシウムおよび/または水酸化マグネシウムおよび/または塩化マグネシウムおよび/または硫酸マグネシウムを一つ以上のシリコーンベースの添加物と混合することが有益であることの結果として、結合部の一時的な変形が望ましいおよび/または必要とされる可能性があり、この理由は、このことが、柔軟性および/または弾力性のある程度の向上につながるためである。例えば、いくつかの実施形態において、オキシ塩化マグネシウムセメント組成を用いて形成したセメント構造およびコンクリート構造は、ひび割れまたは破断を伴うことなく、曲げるか撓ませることができる。
【0061】
一つ以上のシリコーンベースの添加物を含むマグネシウム(オキシクロライド)セメント組成は、一つ以上の追加的な添加物をさらに含むことができる。追加的な添加物は、組成の特定の特性を高めるのに用いることができる。例えば、いくつかの実施形態において、追加的な添加物は、開示したオキシ塩化マグネシウムセメント組成を用いて形成した構造が岩石(例えば、花崗岩、大理石、砂岩)に見えるように形成するのに用いることができる。特定の実施形態において、追加的な添加物は、一つ以上の顔料または着色剤を含有することができる。他の実施形態では、追加的な添加物は、限定するものではないが、紙繊維、木質繊維、ポリマー繊維、有機繊維および繊維ガラスを含む繊維を含有することができる。また、オキシ塩化マグネシウムセメント組成は、色および/または外観が紫外線によるかなりの退色に経時的に曝されないように、UV安定な構造も形成することができる。また、限定するものではないが、可塑剤(例えば、ポリカルボン酸可塑剤、ポリカルボン酸エーテルベースの可塑剤等)、界面活性剤、水、およびこれらの混合物および組合せを含む他の添加物も組成に含有させることができる。上述したように、オキシ塩化マグネシウムセメント組成は、適用する場合、酸化マグネシウム(MgO)、水溶性の塩化マグネシウム(MgCl2(aq))および一つ以上のシリコーンベースの添加物を含むことができる。また、水溶性の塩化マグネシウム(MgCl2)の代わりに、塩化マグネシウム(MgCl2)粉末も用いることができる。例えば、塩化マグネシウム(MgCl2)粉末は、水溶性の塩化マグネシウム(MgCl2(aq))の添加と等価なまたは別様に類似しているであろう、いくらかの水と組合せて用いることができる。
【0062】
いくつかの実施形態において、適用する場合、オキシ塩化マグネシウムセメント組成における酸化マグネシウム(MgO)と水溶性の塩化マグネシウム(MgCl2(aq))との比は変化する可能性がある。このような実施形態のうちのいくつかにおいては、酸化マグネシウム(MgO)と水溶性の塩化マグネシウム(MgCl2(aq))との比は、重量比で約0.3:1~約1.2:1である。他の実施形態では、酸化マグネシウム(MgO)と水溶性の塩化マグネシウム(MgCl2(aq))との比は、重量比で約0.4:1~約1.2:1である。またさらに他の実施形態においては、酸化マグネシウム(MgO)と水溶性の塩化マグネシウム(MgCl2(aq))との比は、重量比で約0.5:1~約1.2:1である。
【0063】
水溶性の塩化マグネシウム(MgCl2(aq))は、塩化マグネシウムブライン溶液(magnesium chloride brine solution)として記述する(または、別様に生じさせる)ことができる。また、水溶性の塩化マグネシウム(MgCl2(aq))(または、塩化マグネシウムブライン)は、限定するものではないが、硫酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、塩酸、リン酸等を含む、比較的少量の他の化合物または物質も含むことができる。
【0064】
好適な実施形態において、オキシ塩化マグネシウムセメント組成中の一つ以上の(液体の)シリコーンベースの添加物の量は、シリコーンベースの添加物と酸化マグネシウム(MgO)との比として定義することができる。例えば、いくつかの実施形態において、シリコーンベースの添加物と酸化マグネシウム(MgO)との重量比は、0.06~0.6である。
【0065】
好ましくは、コア層内に、亜麻仁油またはシリコン油等の少なくとも一つのオイルを混合することも考えられ、および有利である。このことは、マグネシウムベースのコア層および/または熱可塑性ベースのコア層を、より柔軟で、破損のリスクが低減されたものとする。オイルの代わりに、またはオイルに加えて、コア層中に、ポリカルボン酸等の、一つ以上の水溶性ポリマーまたは多環縮合(合成)樹脂を混合することが考えられる。このことは、乾燥中、養生中、硬化中に、パネルが収縮せず、このことが亀裂の形成を防ぎ、およびさらに、乾燥、養生、硬化後のコア層に、より大きな疎水性を与え、このことが、後の保管中および使用中の水(湿気)の浸入を防ぐという利点をもたらす。
【0066】
コア層がポリカプロラクトン(polycaprolactone:PCL)から成ることが考えられる。この生分解性ポリマーは、反応混合物の発熱反応によって溶解するように形成されることが分かっているため、特に好適である。ポリマーは、約60℃の融点を有する。PCLは、低い密度または高い密度であってもよい。後者は、より強いコア層を生成するため特に好適である。その代わりに、またはそれに加えて、他のポリマー、好ましくは、他のポリ乳酸グリコール酸共重合体(poly(lactic-co-glycolic acid):PLGA)、ポリ乳酸(poly(lactic-acid):PLA)、ポリグリコール酸(poly(glycolic acid):PGA)、ポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoates:PHA)類、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol:PEG)、ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol:PPG)、ポリエステルアミド(polyesteramide:PEA)、ポリ乳酸カプロラクトン共重合体、ポリ乳酸トリメチレンカーボネート共重合体、ポリセバシン酸リシノール酸共重合体およびこれらの組合せから成る群から選択されたポリマーを用いてもよい。
【0067】
別法として、パネル、具体的にはコア層は、PVC、PET、PP、PSまたは(熱可塑性)ポリウレタン(polyurethane:PUR)で少なくとも部分的に形成することができる。PSは、パネルの密度をさらに低減するために、膨張したPS(EPS)の形態であってもよく、このことは、コストの節約につながり、およびパネルの取り扱いを容易にする。好ましくは、使用するポリマーの何分の一かは、再生PVCまたは再生PUR等の再生熱可塑性物質によって形成してもよい。再生PURは、リサイクル可能なポリマーに基づいて、例えば、リサイクル可能なPETに基づいて形成してもよい。PETは、モノマーまたはオリゴマーへの、およびその後、最終的にはポリウレタンポリオール類へのPETの解糖または解重合を利用することによって化学的にリサイクルすることができる。また、柔軟性および/または耐衝撃性を少なくともある程度向上させるために、ゴムおよび/またはエラストマー部材(粒子)が、少なくとも一つの複合層内に分散されることも考えられる。未使用およびリサイクルされた熱可塑性材料の混合物が、コアの少なくとも一部を構成するために使用されることが想定される。好ましくは、この混合物中において、未使用の熱可塑性材料とリサイクルされた熱可塑性材料とは、基本的には同じである。例えば、このような混合物は、全体としてPVCベースまたは全体としてPURベースとすることができる。コア(層)は、固体であってもよく、または発泡させてもよく、または、コアは、複数の部材/層で構成される場合においてどちらであってもよい。また、コアは、フィラー、例えば、天然フィラーから成っていてもよい。
【0068】
コア層が多孔質顆粒、具体的には、多孔質セラミック顆粒から成る場合は、有利である可能性がある。好ましくは、顆粒は、1ミクロン~10ミクロン、好ましくは4ミクロン~5ミクロンの、平均径の複数の微小孔を有する。すなわち、個々の顆粒は、好ましくは、微小孔を有している。好ましくは、微小孔は互いに結合している。それらの微小孔は、好ましくは、顆粒の表面に制限されず、顆粒の断面全体に実質的に見られる。好ましくは、顆粒のサイズは、200ミクロン~900ミクロン、好ましくは、250ミクロン~850ミクロン、特に、250ミクロン~500ミクロンまたは500ミクロン~850ミクロンである。好ましくは、少なくとも二つの異なるサイズの顆粒、最も好ましくは、二つの異なるサイズの顆粒が使用される。好ましくは、小さな顆粒および/または大きな顆粒が使用される。小さな顆粒は、250~500ミクロンのサイズ範囲を有していてもよい。好ましくは、大きな顆粒は、500ミクロン~850ミクロンの直径を有する。顆粒は、各々が、実質的に同じサイズまたは二つ以上の所定のサイズから成っていてもよい。別法として、各範囲内で、二つ以上の異なるサイズ範囲を、さまざまな異なるサイズの粒子とともに用いることができる。好ましくは、二つの異なるサイズまたは範囲のサイズが使用される。好ましくは、顆粒は、各々が複数の微粒子からを含み、実質的に各微粒子は、微小孔を画定する格子を画定するように、一つ以上の隣接する微粒子に部分的に結合されている。各微粒子は、好ましくは、平均4~5ミクロンの場合、1ミクロン~10ミクロンの平均サイズを有する。好ましくは、微小孔の平均サイズは、2~8ミクロン、最も好ましくは、4~6ミクロンである。微小孔は、形状が不揃いであってもよい。したがって、微小孔のサイズ、および実際には、以下で言及する中型の孔(midi-pore)は、最も幅広の直径の孔を、最も狭い直径の孔に加えたのち、2で割ることによって決まる。好ましくは、セラミック材料は、セラミック材料から成る塊を実質的に形成することなく、コア層の断面全体に一様に分散されている。好ましくは、微粒子は、少なくとも2ミクロンまたは4ミクロン、および/または10ミクロン未満、または6ミクロン未満、最も好ましくは、5~6ミクロンの平均サイズを有する。この粒子サイズ範囲は、微小孔の制御された形成を可能にすることが分かっている。
【0069】
顆粒は、10~100ミクロンの平均直径を有する複数の実質的に球状の中型孔も含んでいてもよい。それらは、材料の機械的強度に妥協することなく、セラミック材料の全孔隙率を実質的に増加させる。中型孔は、好ましくは、複数の微小孔を介して互いに結合されている。すなわち、中型孔は、微小孔を介して互いに流体的に連通していてもよい。セラミック材料自体の平均孔隙率は、好ましくは、少なくとも50%、より好ましくは、60%以上、最も好ましくは、70~75%の平均孔隙率である。顆粒を製造するのに用いられるセラミック材料は、公知の任意の(無毒性の)セラミック、例えば、リン酸カルシウムやガラスセラミックとすることができる。セラミックは、ケイ酸塩であってもよいが、好ましくは、リン酸カルシウム、特に、α-またはβ-リン酸三カルシウムまたは水酸燐灰石、またはこれらの混合物である。最も好ましくは、混合物は、水酸燐灰石とβ-リン酸三カルシウム、特に重量比で50%以上のβ-三カルシウム、最も好ましくは、85%のβ-リン酸三カルシウムと15%の水酸燐灰石である。最も好ましくは、材料は、100%の水酸燐灰石である。好ましくは、セメント組成またはドライプレミックスは、組成またはプレミックスの全乾燥重量の顆粒の15~30%重量を含む。
【0070】
多孔質粒子は、コア層のより低い平均密度につながり、そのため、重量の低減につながる可能性があり、このことは、経済的および取扱の観点から有利である。さらに、コア層内での多孔質粒子の存在は、典型的には、ある程度増加した、コア層の多孔質の上面および底面の孔隙率につながり、このことは、追加的な層、例えば、下地層、(最初は液状の)接着層、または、別の装飾層または機能層を、コア層の上面および/または底面に取付けるのに有益である。多くの場合、これらの層は、最初は液状で施され、孔は、液状物質を、孔内に吸い込ませる(浸透させる)ことができるようにし、このことは、層間の接触表面積を増加させ、従って層間の結合強度を向上させる。
【0071】
パネルは、例えば、中心コア(または、コア層)と、コア層に直接または間接的に付着された、または、コア層と一体化された、少なくとも一つの装飾上部部分とを備える層状構造を備えていてもよく、上部は、パネルの上面を画定している。上部部分は、好ましくは、コア層の上面に直接または間接的に付着された少なくとも一つの装飾層を備えている。装飾層は、印刷層とすることができ、および/または装飾層を被覆する少なくとも一つの保護(上部)層によって被覆してもよい。保護層は、装飾上部部分の一部も形成している。印刷層および/または保護層の存在は、引っ掻きにより、および/またはUV/湿気および/または摩耗や裂け目等の環境要因により、パネルが損傷されるのを防ぐことができるであろう。印刷層は、装飾印刷が施されるフィルムによって形成してもよく、フィルムは、基板層および/または基板層と上装飾層との間に配置される下地層等の中間層上に付着される。また、印刷層は、コア層の上面に、または、基板層に塗布された下地層に直接塗布される少なくとも一つのインク層によって形成してもよい。パネルは、装飾層の上面に直接または間接的に付着された、少なくとも一つの耐用性層を備えていてもよい。耐用性層は、装飾上部部分の一部も形成している。各パネルは、装飾層の上面に、好ましくは、耐用性層の上面に直接または間接的に付着された、少なくとも一つのラッカー層を備えていてもよい。
【0072】
コア(層)の下面(背面側)は、パネルそれ自体の下面(背面側)も構成することができる。しかし、パネルが、コアの下面に直接または間接的に付着された裏打ち層を備えていることが考えられ、好適である可能性がある。典型的には、裏打ち層は、パネルそれ自体の形状、具体的には平坦性を安定化するためのバランス層として作用する。さらに、裏打ち層は、パネルそれ自体の音減衰特性に寄与する。裏打ち層は、典型的には、閉じた層であるため、コアの下面に裏打ち層を施すことは、コア溝を少なくとも部分的に、および好ましくは全体的に被覆することになる。ここで、各コア溝の長さは、好ましくは、裏打ち層の長さよりも小さい。裏打ち層には、切開部を設けてもよく、切開部の少なくとも一部は、少なくとも一つのコア溝に重なっている。少なくとも一つの裏打ち層は、好ましくは、フレキシブル材料、好ましくはエラストマーで少なくとも部分的に形成される。裏打ち層の厚さは、典型的には、約0.1~2.5mmまでさまざまである。裏打ち層を少なくとも部分的に構成することができる材料の非限定的な例は、ポリエチレン、コルク、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルおよびエチレン酢酸ビニルである。必要に応じて、裏打ち層は、(チョークのような)フィラー、染料、樹脂および/または一つ以上の可塑剤等の一つ以上の添加物を含む。特定の実施形態において、裏打ち層は、樹脂で結合された粉末の(または、削られた)コルク粒子から成る合成物で少なくとも部分的に形成される。コルクの代わりに、他の樹木関連製品、例えば、木材を用いてもよい。ポリエチレン裏打ち層の厚さは、例えば典型的には、2mm以下である。裏打ち層は、固体であってもよく、または、発泡させてもよい。発泡裏打ち層は、音減衰特性をさらに向上させることができる。固体裏打ち層は、パネルの所望のバランス効果および安定性を向上させることができる。
【0073】
パネルは、硬い独立気泡発泡プラスチック材料を含むコアを備えていてもよい。発泡プラスチック材料を用いることの追加的な利点は、独立気泡の存在が、向上した合成および向上した衝撃耐性をもたらすだけではなく、寸法が同様の非発泡プラスチック材料と比較して低減された密度およびより軽い重量ももたらす。ベースまたはコア層の剛性は、強化剤を適用することによってさらに向上させることができ、独立気泡発泡プラスチック材料のベース層は、重量比で強化剤の例えば、3%~9%を含む。結合部には特定の形態が与えられているため、隣接するパネルの実質的に相補的に形成された結合部は、比較的単純であるが耐久的かつ効率的に互いに結合することができる。
【0074】
発泡ベース層を形成するのに適している発泡プラスチック材料は、ポリウレタン、ポリアミド共重合体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレンおよびポリエチレン発泡プラスチックを含んでもよく、これらすべてが良好な成形加工性を有している。ポリ塩化ビニル(PVC)発泡材料は、化学的に安定し、耐食性であり、および優れた耐火特性を有しているため、特に、発泡ベース層を形成するのに適している。好ましくは、塩素化PVC(CPVC)および/または塩素化ポリエチレン(CPE)および/または他の塩素化熱可塑性材料は、ベース層の、およびパネル自体の硬度および剛性をさらに向上させるのに使用される。ベース層中の発泡プラスチック材料として使用されるプラスチック材料は、ベース層の所望の剛性を向上させるために、何らかの可塑剤を含まなくてもよく、このことは、環境の視点からも好ましい。本発明による発泡プラスチック材料は、発泡プラスチック複合材と、プラスチック材料を含む発泡複合材も含む。各パネルの実質的に硬いベース層は、独立気泡発泡プラスチック材料と、少なくとも一つのフィラーとから成る複合材で構成される。HDFやMDFのような従来の材料は、上述した発泡複合材よりも脆弱であり、破損および/または損傷に容易につながるであろう。ベース層の複合材は一つ以上のフィラーを含み、少なくとも一つのフィラーは、タルク、チョーク、木、炭酸カルシウム、二酸化チタン、焼成クレー、磁器、(別の)無機充填剤、および(別の)天然フィラーから成る群から選択される。フィラーは、繊維によって形成することができ、および/またはダスト状粒子によって形成してもよい。ここで、「ダスト」という表現は、木材粉塵、コルク粉末、または、鉱物粉末、石粉、特にセメントのような非木材粉塵のような微小なダスト状粒子(粉末)と理解されたい。ダストの平均粒径は、好ましくは、14~20ミクロン、より好ましくは、16~18ミクロンである。複合材中のこの種のフィラーの重量含有率は、複合材が発泡複合材である場合には40~48%であり、複合材が非発泡(固体)複合材の場合には65~70%である。ベース層のフィラーは、例えば、塩、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸亜鉛から成る群から選択することができる。ステアリン酸は、安定剤の機能を有し、より有益な処理温度につながり、処理中および処理後の複合材の成分の分解を防止し、したがってこのことは、長期の安定性をもたらす。ステアリン酸の代わりに、またはステアリン酸に加えて、例えば、カルシウム亜鉛を安定化剤として用いてもよい。複合材中の安定化剤の重量含有率は、好ましくは、1~5%、より好ましくは、1.5~4%である。
【0075】
ベース層、または、ベース層の複合材は、好ましくは、少なくとも一つのメタクリル酸アルキルを含む少なくとも一つの衝撃改質剤を含み、メタクリル酸アルキルは、好ましくは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸t-ブチルおよびメタクリル酸イソブチルから成る群から選択される。衝撃改質剤は、典型的には、製品性能、具体的には、衝撃耐性を向上させる。さらに、衝撃改質剤は、典型的には、ベース層を強化し、従って、強化剤と見なすこともでき、このことは、破損のリスクをさらに低減する。多くの場合、改質剤は、例えば、比較的安定した(一定の)フォーム構造を有するフォームの形成を制御するための製造プロセスを容易にする。複合材中の衝撃改質剤の重量含有率は、好ましくは、1~9%、より好ましくは、3~6%である。
【0076】
また、ベース層は、(PVCを含まない)熱可塑性組成物で少なくとも部分的に構成することもできる。この熱可塑性組成物は、(a)少なくとも一つのイオノマーおよび/または少なくとも一つの酸共重合体、(b)少なくとも一つのスチレン熱可塑性ポリマー、および必要に応じて少なくとも一つのフィラーを含むポリマーマトリクスから成っていてもよい。イオノマーは、電気的に中性な単位とイオン化した単位から成る繰り返し単位から成る共重合体であると理解されたい。イオノマーのイオン化した単位は、具体的には、金属カチオンで部分的に中性化されているカルボン酸基とすることができる。一般に少量(典型的には、構成単位の15mol%未満)存在するイオン基は、連続ポリマー相からのイオン性領域のミクロ相分離(micro-phase separation)を引き起こし、物理的架橋として作用する。その結果が、従来のプラスチックと比較して向上した物理的特性を備えたイオン強化された熱可塑性プラスチックである。
【0077】
発泡ベース層の密度は、典型的には、約0.1~1.5g/cm3まで、好ましくは、約0.2~1.4g/cm3まで、より好ましくは、約0.3~1.3g/cm3まで、さらにより好ましくは、約0.4~1.2g/cm3まで、さらに好ましくは、約0.5~1.2g/cm3まで、最も好ましくは、約0.6~1.2g/cm3までさまざまである。
【0078】
ベース層は、少なくとも一つの発泡剤を含んでもよい。少なくとも一つの発泡剤は、ベース層の発泡に対処し、このことは、ベース層の密度を低減するであろう。このことは、寸法的に同じであり、非発泡ベース層を有するパネルと比較して重量が軽い軽量パネルをもたらすであろう。この好適な発泡剤は、ベース層に使用される(熱可塑性)プラスチック材料に、ならびに所望の発泡比、フォーム構造、および好ましくは、所望の発泡比および/またはフォーム構造を実現するための所望の(または必要な)発泡温度にも依存する。この目的のためには、ベース層をそれぞれ異なる温度で発泡するように構成された複数の発泡剤を適用することが有利である可能性がある。このことは、発泡したベース層を、より漸進的におよびより制御された方法で実現できるようにするであろう。ベース層中に(同時に)存在していてもよい二つの異なる発泡剤の実例は、アゾジカーボンアミドおよび重曹である。この点において、多くの場合、フォーム構造をベース層全体にわたって比較的安定に保つために、少なくとも一つの改質剤、例えば、メタクリル酸メチル(MMA)を適用することも有利である。
【0079】
各パネルは、ベース層の上側に取付けられた上方基板を備えることができ、基板は好ましくは装飾層を含む。上方基板は、好ましくは、金属、合金、高分子材料、例えばビニル単量体共重合体および/またはホモポリマー、縮合重合体、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、および尿素樹脂、ならびに天然高分子材料またはそれらの改質した誘導体、例えば植物繊維、動物繊維、鉱物繊維、セラミック繊維、および炭素繊維から成る群から選択された少なくとも一つの材料で少なくとも部分的に形成される。ここで、ビニル単量体共重合体および/またはホモポリマーは、好ましくは、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ABS、(アクリロニトリルブタジエンスチレン)共重合樹脂、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、およびスチレン無水マレイン酸共重合体およびこれらの誘導体から成る群から選択される。上部基板は、最も好ましくは、ポリエチレンまたはポリ塩化ビニル(PVC)から成る。ポリエチレンは、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、または、超高密度ポリエチレンとすることができる。また、上部基板層は、フィラー材料、および物理的特性および/または化学的特性および/または製品の加工性を向上させる他の添加剤も含むことができる。これらの添加物は、公知の強化剤、可塑剤、補強剤、防カビ剤(防腐剤)、難燃剤等を含む。上部基板は、典型的には、装飾層と、装飾層を被覆する耐摩耗層とを備え、摩耗層の上面は、パネルの上面であり、摩耗層は透明材料であり、その結果、装飾層は、透明な摩耗層を介して目に見える。
【0080】
上部基板の厚さは、典型的には約0.1~2mm、好ましくは、約0.15~1.8mm、より好ましくは、約0.2~1.5mm、および最も好ましくは、約0.3~1.5mmまでさまざまである。ベース層と上部基板との厚さの比は、一般に、それぞれ、約1~15:0.1~2、好ましくは、約1.5~10:0.1~1.5、より好ましくは、約1.5~8:0.2~1.5、および最も好ましくは、約2~8:0.3~1.5までさまざまである。
【0081】
各パネルは、上部基板をベース層に直接または間接的に付着するための接着層を備えていてもよい。接着層は、上部基板と発泡ベース層を一緒に結合することが可能な任意の周知の結合剤または接合剤、例えば、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸塩、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸共重合体等とすることができる。好ましくは、接着層はホットメルト結合剤である。ベース層またはコアおよび上部基板は、一緒に結合させてもよい。
【0082】
上述したように上部基板の一部であってもよい装飾層またはデザイン層は、任意の適当な公知のプラスチック材料、例えば、PVC樹脂、安定剤、可塑剤、および周知の他の添加剤から成る公知の製剤を含むことができる。デザイン層は、印刷パターン、例えば、木目、金属または岩石のデザイン、および繊維パターンまたは三次元形態で形成または印刷することができる。したがって、デザイン層は、重い製品、例えば、花崗岩、岩石または金属に似ている三次元外観をパネルに与えることができる。デザイン層の厚さは、典型的には、約0.01~0.1mm、好ましくは、約0.015~0.08mm、より好ましくは、約0.2~0.7mm、および最も好ましくは、約0.02~0.5mmまでさまざまである。典型的には、パネルの上面を構成する摩耗層は、任意の適当な公知の耐摩耗材料、例えば、耐摩耗高分子材料をその下の層に被覆されたもの、または、公知のセラミックビードコーティングで構成することができる。摩耗層が層状で提供される場合、層は、摩耗層の下の層に結合することができる。また、摩耗層は、有機ポリマー層および/または無機材料層、例えば、紫外線コーティング、または、別の有機ポリマー層と紫外線コーティングの組合せで構成することもできる。例えば、耐表面スクラッチ性、光沢度、抗菌性および製品のその他の特性を向上させることが可能な紫外線塗料。ポリ塩化ビニル樹脂、または、ビニル樹脂等の他のポリマーを含む他の有機ポリマーと、適当な量の可塑剤と、他の処理添加剤とを含む他の有機ポリマーを必要に応じて含むことができる。装飾層またはデザイン層は、コア層に直接、デジタル印刷してもよい。
【0083】
ベース層に用いられる発泡プラスチックは、好ましくは、(摂氏23度の温度および50%の相対湿度において)700MPaより大きな弾性係数を有する。このことは、一般に、ベース層に、ひいてはパネル自体に十分な剛性を与えるであろう。
【0084】
実施形態において、結合部は、パネルの面に直角である動作によって結合されるように構成されている。結合部は、例えば、実質的にフック形状にすることができ、およびこの発明のために記載されているように、第三および第四の結合部に比較に形成することができる。つまり、実施形態において、壁パネルには、第一および第二の結合部の代わりに、第三および第四の結合部のみを設けてもよい。好ましくは、第三の結合部は、上向き舌部と、上向き舌部からある距離にある少なくとも一つの上向きフランクと、上向き舌部をコアに接続する上向きブリッジを有する、上向き舌部と上向きフランクとの間に形成された上向き溝とを備え、上向き溝は、別のパネルの第四の結合部の下向き舌部の少なくとも一部を受け入れるように適合され、上向きフランクに対向する上向き舌部の側部は、上向き舌部の内側であり、および上向きフランクとは反対側を向く上向き舌部の側部は、上向き舌部の外側であり、第四の結合部は、下向き舌部と、下向き舌部からある距離にある少なくとも一つの下向きフランクと、下向き舌部とコアを接続する下向きブリッジを有する、下向き舌部と下向きフランクとの間に形成された下向き溝とを備え、下向き溝は、別のパネルの第一の結合部の上向き舌部の少なくとも一部を受け入れるように適合され、下向きフランクに対向する下向き舌部の側部は、下向き舌部の内側であり、および下向きフランクとは反対側を向く下向き舌部の側部は、下向き舌部の外側である。上向き舌部の内側および下向き舌部の内側は、いわゆる閉溝のロッキング(closed groove locking)を実現できるように、コアに向かって傾斜させることができる。その場合、上向きブリッジに、ブリッジを少なくとも部分的に通って延在し、上向きブリッジの表側からアクセス可能である凹部を設けることができる。他の実施形態に開示されているその他の形状構成もこの実施形態に関連している可能性がある。
【0085】
好ましくは、下方唇部の上面は、溝の底部部分、具体的には、溝の底部部分の底面を画定する。好ましくは、上方唇部の遠位端は、ジョイント垂直面(vertical plane:VP)を画定し、下方唇部と、溝の底部部分は、ジョイント垂直面を越えて延在している。このことは、溝が比較的良好にアクセス可能であり、そのことが側方舌部を溝に挿入することを比較的容易にするため、結合プロファイルの製造を容易にし、さらには、隣接する壁パネルの結合プロファイルを互いに結合することを容易にする。好ましくは、溝の底部部分は、ジョイント垂直面の両側に配置される。この段落において上述した利点に加えて、このことは、好ましくは、(ジョイント垂直面に直角な)水平方向と、(ジョイント垂直面に平行な)垂直方向の両方向において、結合プロファイル間の信頼性の高い結合を実現するのにさらに役立つ。溝の底部部分は、好ましくは、上向きロッキング要素の内側面によって部分的に画定されている。内側面は、典型的には傾斜しており、内側面は、好ましくは、30度~60度、より好ましくは、約45度のジョイント垂直面で、ある角度を囲んでいる。
【0086】
下方唇部の上面は、好ましくは溝の最下底部面を画定し、最下底部面は、上向きロッキング要素を含まずに上向きロッキング要素まで延在する。好ましくは、下方底部面は、ジョイント垂直面を越えて延在する。より好ましくは、溝の最下底部面は、ジョイント垂直面の両側に位置している。溝の最下底部面は、好ましくは実質的に平坦である。好ましくは、溝の最下底部面は、実質的にジョイント垂直面に直角である(およびその結果として、パネルが水平方向の支持面によって支持されている場合、実質的に水平である)。溝の底部部分は、好ましくは、ジョイント垂直面の両側に配置されて、底部部分を内側底部部分と外側底部部分に実質的に分けており、底部部分は、ジョイント垂直面に直角な幅を有し、外側底部部分の幅は、内側底部部分の幅を越えており、より好ましくは、外側底部部分の幅は、内側底部部分の幅の少なくとも二倍である。上述したように、このことは、溝のアクセス性を向上させて、溝への側方舌部の挿入を比較的容易にし、および使い勝手を良くする。
【0087】
側方舌部は、好ましくは、隣接する壁パネルの結合状態において、ジョイント垂直面の両側に位置する最下底部面を有する。側方舌部は、好ましくは、実質的に平坦な最下底部面を有する。側方舌部の最下底部面の少なくとも一部は、好ましくは、実質的にジョイント垂直面に直角に伸びている。側方舌部の最下底部面の少なくとも一部が、上方ブリッジ部に向かって上向きに傾斜し、傾斜した最下底部面とジョイント垂直面とが、好ましくは85度~90度の角度を相互に囲んでいることも想定可能である。
【0088】
好ましくは、側方舌部の最下底部面は、隣接するパネルの結合状態において、溝の底部面に当接する。このような当接は、典型的には、パネル間の結合の安定性を向上させる。より好ましくは、側方舌部の最下底部面の最下点(最深部)は、隣接するパネルの結合状態において、溝の底部面に当接する。好ましくは、側方舌部の最下底部面の一部は、当接が上方唇部の下で起きるように、隣接するパネルの結合状態において、溝の底部面に当接する。ジョイント垂直面を越えて、隣接するパネルの結合状態における側方舌部の最下底部面の少なくとも一部と、溝の底部面は、好ましくは、互いにある距離に位置している。典型的には、このことは、隣接する壁パネルの結合プロファイルの結合を容易にするとともに、安定的かつ信頼性の高い結合をもたらす。
【0089】
側方舌部は、下向き溝に隣接する内側接触面を好ましくは備え、側方溝の内側接触面は、好ましくはバイアス下で、上向きロッキング要素の内側と共動するように構成される。好ましくは、内側接触面と、側方舌部の端部との間に延在する側方舌部の底部部分は、上向きロッキング要素の上側のレベルと一致するレベルに、または、レベルより下に位置している。これは、側方舌部のかなりの部分が、比較的低いレベルに配置され、このことが、パネルを比較的効率的な方法で製造できるようにし、パネルの厚さを限定した状態で維持できることを意味している。このことは、材料を節約し、コストを低減し、壁パネルの取扱いおよび設置を容易にする。
【0090】
好ましくは、側方舌部は、ジョイント垂直面に少なくとも部分的に実質的に平行である端部を備えている。このことは、少なくとも部分的に実質的に垂直である端部をもたらす。好ましくは、側方舌部の端部の少なくとも一部は、上向きロッキング要素の上側のレベルよりも下のレベルに配置される。
【0091】
上向きロッキング要素の凹部と溝とは、好ましくは、互いにある距離から離れて配置される。このことは、第二の結合プロファイルに、パネルの相互結合のための結合部と、パネルを支持構造(壁、天井、または下地床)に取付けるための独立した取付け部が設けられていることを意味する。
【0092】
本発明はさらに、好ましくは、先行の請求項のいずれかに記載の壁パネルを用いて壁被覆材を設置する方法であって、
a.第一および第二の結合部を少なくとも二つの対向側に備えた第一の壁パネルを設ける工程と、
b.第一の壁パネルを支持面に取付けて、第一の壁パネルの第二の結合部をアクセス可能な状態にする工程と、
c.第一および第二の結合部を少なくとも二つの対向側に備えた第二の壁パネルを設ける工程と、
d.第二の壁パネルの第一の結合部を、第一の壁パネルの第二の結合部に配置する工程と、
e.第一のパネルと位置合わせされるように第二の壁パネルにアングリングして、第二の壁パネルの第二の結合部をアクセス可能な状態にする工程と、
f.必要に応じて、さらなるパネルを用いて工程c~工程eを繰り返す工程と、
を含む方法に関する。
【0093】
第一の壁パネルが設けられる前に、ベース壁パネルに第二の結合部のみを設けてもよく、および/または最後の壁パネルは、第一の結合部のみを備えた最後の壁パネルであってもよい。これらの部材は、壁被覆材の末端に用いることができるため、側部または上部および底部は、パネルの方向性に依存する。縁部または末端において、典型的には、パネルは、余地がないため、さらなるパネルに取付けられない。そして、被覆材を、被覆すべき壁の縁部と同一平面にできるように、または縁部と位置合わせできるように、結合部のうちの一つのみが設けられる。
【0094】
本発明の好適な実施形態を、以下に示す非限定的な条項のセットで記載する。
1.複数のパネルを有する壁被覆材を形成するための壁パネルであって、
a.コアであって、コアは、後側と、後側の反対側の装飾側と、いくつかのパネルの相互結合のための結合部を備えるコアの少なくとも二つの側部とを備えるコアを備え、
b.結合部は、コアの両側に配置された、少なくとも一つの第一の結合部および少なくとも一つの第二の結合部を備え、少なくとも一つの第一の結合部と少なくとも一つの第二の結合部は、アングリング動作によって結合されるように構成され、
c.第一の結合部は、側方舌部と、側方舌部をコアに接続する上方ブリッジ部と、上向きロッキング要素の少なくとも一部を収容するための下向き溝とを備え、
d.第二の結合部は、コアから延在する上方唇部および下方唇部によって画定される、側方舌部の少なくとも一部を収容するための溝を備え、下方唇部の端部には、上向きロッキング要素が設けられ、上向きロッキング要素は、上方唇部に対向する内側と、上方唇部とは反対側を向く外側と、内側と外側との間の上側とを有し、
e.上向きロッキング要素の上側には、壁パネルを壁に取付けるために、少なくとも一つの取付け要素、例えばねじを受け入れるための、上向きロッキング要素を少なくとも部分的に通って延在する凹部が設けられている、
壁パネル。
2.上向きロッキング要素の内側は第一のロッキング面を備え、コアに対向する側方舌部の側部は第二のロッキング面を備え、それらのロッキング面は、結合状態において、パネルのロッキングをもたらすように協働する、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
3.装飾側に対向する側方舌部の側部は第三のロッキング面を備え、装飾側とは反対側を向く上方唇部の側部は第四のロッキング面を備え、それらのロッキング面は、結合状態において、パネルのロッキングをもたらすように協働する、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
4.凹部には傾斜縁部が設けられ、好ましくは、凹部は、装飾側において最も幅広で後側に向かって狭小になっている、断面が実質的に面取りされた円錐形状を有する、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
5.凹部は、上向きロッキング要素内に、具体的には、上向きロッキング要素の内側と外側との間に中心が位置している、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
6.凹部は、最大で上向きロッキング要素の中間まで延在する、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
7.上方ブリッジ部とは反対側を向く側方舌部の側部の少なくとも一部および/または上方唇部と下方唇部との間の溝の少なくとも一部には、部分的に丸みが付いている、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
8.結合状態において、後側に対向する側方舌部の側部と下方唇部との間には空間が存在し、空間は、上向きロッキング要素から内側に向かってテーパ状になっている、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
9.上向きロッキング要素の幅は、好ましくは、結合状態において、前記上向きロッキング要素の外側と、別のパネルのコアとの間に空間が存在するように、上方ブリッジ部の幅と比較して小さくなっている、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
10.第一の結合部は、装飾側と側方舌部との間に、第一の上方接触面を備え、およびコアとは反対側を向く上方唇部の側部は第二の上方接触面を備え、第一の上方接触面と第二の上方接触面は、結合状態において、少なくとも部分的に接触するように構成される、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
11.第一および/または第二の接触面は上方ロッキング要素を備え、好ましくは、両接触面は、一つ以上の方向におけるロッキングをもたらすように、結合状態において協働するように構成されている上方ロッキング要素を備える、条項10に記載の壁パネル。
12.第一および/または第二の結合部は、パネルの装飾側に配置された斜面またはグラウトを備える、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
13.コアは、熱可塑性プラスチック材料、具体的には、発砲または非発泡熱可塑性プラスチック材料またはPVC、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはポリウレタンおよび/または炭酸カルシウム等の一つ以上のフィラー、または、木製材料、例えば、MDF、HDFまたは木材プラスチック複合材から成る、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
14.側方舌部と溝は、二つの結合したパネルを合わせて押し込むために、結合状態においてクランプ力を及ぼすように構成される、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
15.溝は、溝から壁パネルの後側まで延在するチャネルを備える、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
16.パネルは細長く、および壁被覆材の一部を形成するように水平方向に配置されるように構成され、好ましくは、第一および第二の結合部は、パネルの長辺に配置され、および/または壁パネルの他の二つの対向する辺には、好ましくは、第一および第二の結合部と同じアングリング動作で結合されるように構成された第三および第四の結合部が設けられている、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
17.パネルは細長く、および壁被覆材の一部を形成するように垂直方向に配置されるように構成され、好ましくは、第一および第二の結合部は、パネルの長辺に配置され、および/または壁パネルの他の二つの対向する辺には結合部が設けられていない、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
18.パネルは細長く、第一および第二の結合部は、パネルの長辺に配置され、および壁パネルの長辺に沿って、複数の凹部が、好ましくは、長辺に沿って均等に離間されて存在する、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
19.上向きのロッキング要素内の凹部は、壁パネルの一つの辺、好ましくは、細長いパネルの長辺に沿って延在する凹状溝を構成する、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
20.下方唇部は、壁パネルの厚さの少なくとも二倍、好ましくは、少なくとも三倍、より好ましくは、約四倍の距離に沿って、上方唇部を越えて延在する、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
21.上向きロッキング要素の厚さは、壁パネルの厚さの約半分である、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
22.二つのパネルの結合状態において、少なくとも上向きロッキング要素の全幅にわたって、第一のパネルの上方ブリッジ部と、第二のパネルの上向きロッキング要素との間に空間が存在し、空間は、好ましくは、第二のパネルの上向きロッキング要素の遠位端と、第一のパネルのコアとの間で続いている、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
23.表面側と反対側の後側における上向きロッキング要素は、接着層、例えば、壁パネルを支持面に一時的に取付けるための接着層、例えば、接着剤から成る剥離部を備える、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
24.下方唇部の上面は、溝の底部部分を画定し、上方唇部の遠位端はジョイント垂直面(VP)を画定し、および下方唇部と、溝の底部部分は、ジョイント垂直面を越えて延在する、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
25.溝の底部部分は、ジョイント垂直面の両側に配置される、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
26.溝の底部部分は、上向きロッキング要素の内側面によって部分的に画定される、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル
27.下方唇部の上面は、溝の最下底部面を画定し、最下底部面は、上向きロッキング要素を含まずに上向きロッキング要素まで延在し、および下方底部面はジョイント垂直面を越えて延在する、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
28.溝の最下底部面は、ジョイント垂直面の両側に位置している、条項27に記載の壁パネル。
29.溝の最下底部面は実質的に平坦である、条項27または条項28に記載の壁パネル。
30.溝の最下底部面は、実質的にジョイント垂直面に直角である、条項27乃至条項29の一項に記載の壁パネル。
31.溝の底部部分は、ジョイント垂直面の両側に配置されて、底部部分を内側底部部分と外側底部部分に実質的に分けており、底部部分は、ジョイント垂直面に直角な幅を有し、および外側底部部分の幅は、内側底部部分の幅を越えている、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
32.外側底部部分の幅は、内側底部部分の幅の少なくとも二倍である、条項31に記載の壁パネル。
33.側方舌部は、隣接する壁パネルの結合状態において、ジョイント垂直面の両側に位置する最下底部面を有する、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
34.側方舌部は、実質的に平坦な最下底部面を有する、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
35.側方舌部は、ジョイント垂直面に実質的に直角に伸びる最下底部面を有する、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
36.側方舌部は、上方ブリッジ部に向かって上向きに傾斜した最下底部面を有し、傾斜した最下底部面とジョイント垂直面は、85度~90度の角度を相互に囲む、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
37.側方舌部は、下向き溝に隣接する内側接触面を備え、側方溝の内側接触面は、上向きロッキング要素の内側と共動するように構成される、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
38.内側接触面と、側方舌部の端部との間に延在する側方舌部の底部部分は、上向きロッキング要素の上側のレベルと一致するレベルに、またはレベルよりも下に位置している、条項37に記載の壁パネル。
39.側方舌部は、ジョイント垂直面に実質的に平行である端部を備える、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
40.側方舌部の端部の少なくとも一部は、上向きロッキング要素の上側のレベルよりも下のレベルに配置される、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
41.上向きロッキング要素の凹部と溝は、互いにある距離から離れて配置される、先行の条項のいずれかに記載の壁パネル。
42.好ましくは、先行の条項のいずれかに記載の壁パネルを用いて壁被覆材を設置する方法であって、
a.第一および第二の結合部を少なくとも二つの対向側に備えた第一の壁パネルを設けるステップと、
b.第一の壁パネルを支持面に取付けて、第一の壁パネルの第二の結合部をアクセス可能な状態にするステップと、
c.第一の結合部および第二の結合部を少なくとも二つの対向側に備えた第二の壁パネルを設けるステップと、
d.第二の壁パネルの第一の結合部を、第一の壁パネルの第二の結合部に配置するステップと、
e.第一のパネルと位置合わせされるように第二の壁パネルにアングリングして、第二の壁パネルの第二の結合部をアクセス可能な状態にするステップと、
f.必要に応じて、さらなるパネルを用いてステップc~ステップeを繰り返すステップと、
を含む、方法。
43.第一の壁パネルが設けられる前に、ベース壁パネルに第二の結合部のみが設けられ、および/または最後の壁パネルは、第一の結合部のみを備えた最後の壁パネルである、条項42に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0095】
次に、本発明を、以下の図に示されている非限定的で例示的な実施形態に基づいて説明する。対応する要素は、図において、同様の参照数字によって示されている。
【0096】
【
図1】本発明による壁被覆材を形成するための結合状態の二つの壁パネルの詳細を概略的に示す。
【
図3】本発明による三つの壁パネルを有する壁被覆材を概略的に示す。
【
図6】本発明による壁被覆材を形成する三つの壁パネルの側面図を概略的に示す。
【
図8】パネルの他方の側の結合部の実施例を概略的に示す。
【0097】
図1は、壁被覆材を形成するための、結合状態の二つの壁パネル(1)の詳細を概略的に示す。各パネル(1)は、後側(2a)および後側(2a)の反対側の装飾側(2b)を備える、中央に配設されたコア(2)と、いくつかのパネルの相互結合のための結合部を備えている少なくとも二つの側部(3、4)とを備えている。
図1は、側部が相互に作用している結合状態の二つの側部(3、4)を示す。
【0098】
結合部は、少なくとも一つの第一の結合部(5)と、コア(2)の反対側に配置された少なくとも一つの第二の結合部(6)とを備え、第一の結合部(5)は、側方舌部(7)と、側方舌部(7)をコア(2)に接続するための上方ブリッジ部(8)と、下向き溝(9)とを備えている。第二の結合部(6)は、上方唇部(11)と、コア(2)から延在する下方唇部(12)とによって画定された溝(10)を備え、下方唇部(12)には、コア(2)からある距離に配置された上向きロッキング要素(13)が設けられ、上向きロッキング要素(13)は、コア(2)に対向する内側(13a)と、コア(2)とは反対側を向く外側(13b)と、内側(13a)と外側(13b)との間の表面側(13c)とを有している。
【0099】
上向きロッキング要素(13)には、上向きロッキング要素(13)を部分的に通って延在する凹部(14)が設けられており、凹部(14)は、上向きロッキング要素(13)の表面側(13c)からアクセス可能であり、および上向きロッキング要素(13)の反対側(13d)に向かって延在している。凹部(14)は、壁パネル(1)を支持面、例えば、梁に取付けるための所定の位置を与える。例えば、釘、ねじまたはクラム(cram)は、壁パネル(1)を取付けるのに用いることができ、例えば、釘の頭またはねじ頭は、凹部(14)の凹状空間内に収まる。
【0100】
上向きロッキング要素(13)の内側(13a)は、第一のロッキング面(18)を備え、コア(2)に対向する側方舌部(7)の側部は、第二のロッキング面(19)を備え、これらのロッキング面は、パネルの結合状態でのロッキングをもたらすように協働する。装飾側(2b)に対向する側方舌部(7)の側部は、第三のロッキング面(20)を備え、装飾側とは反対側を向く上方唇部(11)の側部は、第四のロッキング面(21)を備え、これらのロッキング面は、パネルの結合状態でのロッキングをもたらすように協働する。
【0101】
凹部(14)には、断面が実質的に面取りされた円錐形状で、装飾側において最も幅広で後側に向かって狭小になっている傾斜縁部(22)が設けられている。凹部(14)は、上向きロッキング要素(13)の内側(13a)と外側(13b)との間で、上向きロッキング要素(13)内に中心が位置している。
【0102】
図2は、
図1の詳細を示し、ねじ(15)が、その頭(16)が凹部(14)に少なくとも部分的に配置された状態で示されている。また、
図2は、結合状態において、後側(2a)に対向する側方舌部(7)の側部、または、側方舌部(7)の底部と、下方唇部(12)との間に空間(23)が存在し、空間は、上向きロッキング要素(13)からコア(2)に向かってテーパ状になっていることが示されている。図示されている上向きロッキング要素(13)の幅は、上方ブリッジ部(8)の幅と比較して小さく、その結果、右側のパネルの図示されている構成において、結合状態において上向きロッキング要素(13)の外側(13b)と、別のパネルのコア(2)との間に空間(24)が存在する。
【0103】
第一の結合部は、装飾側(2b)と側方舌部(7)との間に第一の上方接触面(25)を備え、コア(2)とは反対側を向く上方唇部(11)の側部は第二の上方接触面(26)を備え、第一および第二の上方接触面は互いに対向しており、好ましくは、少なくとも部分的に接触している。
【0104】
図2に示す実施形態のさまざまな特徴は、点線によって視覚化されている。この目的のために、上方唇部(11)は、ジョイント垂直面(VP)を画定している。壁における壁パネルの適用時、ジョイント垂直面は、典型的には、水平方向に位置しているが、
図2に示す実施形態は水平方向で図示されているため、ジョイント垂直面という表現が用いられている。ジョイント垂直面は、典型的には、上方接触面(25、26)が互いに対向している部位を画定し、従ってこの部位は、二つの隣接する壁パネルの間の継ぎ目またはジョイントを画定している。溝(10)と側方舌部(7)はともにジョイント垂直面(VP)を越えて延在し、および各々は、ジョイント垂直面の両側に位置していることが図を見て分かる。このことは、溝(10)と側方舌部(7)の製造を著しく容易にしているがさらに、溝(10)への側方舌部(7)の取付けおよび挿入を比較的容易にし、このことが、この構造の使い勝手を比較的に良くしている。また、
図2においては、ジョイント垂直面に直角な面で見て分かるように、溝(10)の外側底部部分の幅(the width of outer bottom section:W-OBS)は、溝(10)の内側底部部分の幅(the width of the inner bottom section:W-IBS)よりも大きく、ここでは、少なくとも二倍大きくなっていることも図を見て分かる。同じことが側方舌部の幅(W-ST)に当て嵌まり、
図2において定義されている幅の最大部は、ジョイント垂直面を越えて位置していることが図を見て分かる。溝(10)の最下の底部面は、下方唇部(12)によって画定され、平坦であり、かつ(ジョイント垂直面に直角に)実質的に水平になっており、ジョイント垂直面の両側に位置している。側方舌部(7)の下面(底面)も好ましくは平坦であり、ジョイント垂直面の両側に位置している。図示されているように、側方舌部(7)の底面は、好ましくは、上方ブリッジ部(8)に向かう方向において、上方に傾斜している。傾斜は、典型的には限定されている。傾斜は、好ましくは、溝の底面に対して0~5度の間にある。このことは、溝(10)への舌部(7)の挿入を容易にするであろう。
【0105】
図3は、三つの壁パネル(1)を有する壁被覆材(100)を概略的に示す。
図3は、装飾側を見た図を示し、上部に側方舌部(7)の部分が、隣のパネルに接続されていない状態で図示され、底部には、下方唇部(12)が、上向きロッキング要素(13)の内側(13a)および表面側(13c)に移行する状態で図示されている。
図3は、パネル(1)の長辺(4)に広がる六つの凹部(14)が用いられている実施形態を示す。
【0106】
図4は、側方舌部(7)を底部に備え、および下方唇部(12)を上部に備える
図3の壁被覆材(100)を逆の構成で概略的に示す。
【0107】
図5は、
図4の変形例を概略的に示す。上向きロッキング要素(13)内の多数の凹部(14)の代わりに、パネル(1)の長さに沿って延在する連続溝として凹部(14)が具体化されている。
【0108】
図6は、三つの壁パネル(1)の側面図を概略的に示し、それらのパネル(1)のうちの中間のパネルのみが完全に図示されている。取付けに関して、まず底部パネル(1)が配置されて、ねじ(15)によって支持構造(17)に取付けられて、底部パネル(1)を支持構造(17)に接続する。次に、側方舌部(7)を溝(10)内に配置して、舌部(7)を溝(10)内にアングリング(angling)することによって、中間パネル(1’)が底部パネル(1)にアングリングされる。中間パネル(1’)が位置合わせされるか、または底部パネル(1)と同じ面内にある場合、中間パネル(1’)もねじ(15)によって支持構造(17)に固定される。ここで、中間パネル(1’)の溝(10)は、上部のパネル(1”)の側方舌部(7)を受け入れるのに利用可能であり、このプロセスは、所要の高さに達するまで続けることができる。パネルが水平方向の代わりに垂直方向に配置される場合、同じプロセスを適用することができるが、90度向きを変えることができる。
【0109】
図7は、
図6の被覆材の変形例を示す。変形例は、任意の構成における任意のパネルに適用することができ、図示されている実施形態に限定されず、その原理は幅広く適用可能である。下方パネル(1)と中間パネル(1’)との間の底部接続において、第一の斜面(27)が図示されている。この斜面(27)は、第一のパネル(1)の装飾面(2b)で面取りすることによって形成され、一方、第二のパネル(1’)には面取りは存在しない。したがって、中間パネル(1’)から底部パネル(1)へ滴る装飾面(2b)に集まる液体が、接続部を介して染み出ることが防止され、その代わりに、底部パネル(1)の外側に向かって案内される。
【0110】
中間パネル(1’)と上部パネル(1”)との間の中間接続部には、第二の斜面(28)が図示されている。この斜面(28)は、中間パネル(1’)および上部パネル(1”)の装飾面(2b)を面取りすることによって形成されている。このような斜面(28)は、同様の目的を有しているが、異なる外観を有している。
【0111】
中間パネル(1’)の溝(10)は、中間接続部に、溝(10)内に集まる潜在的な液体を後側(2a)に通すように溝(10)から壁パネルの後側(2a)へ延在するチャネル(29)を備えている。
【0112】
図8は、このような結合部が存在する場合のパネルの他方の側の結合部を概略的に示す。説明においては、垂直方向および水平方向に関して言及され、これは、
図8において結合部が図示されている方向性のために保持される。壁パネルの形成時には、方向性は反対方向にするかまたは逆にしてもよく、同じ変更が、使用される用語に適用される。
【0113】
図8に示すようなこれらの結合部は、下方動作によって結合されるように構成されている第三の結合部(31)および第四の結合部(32)とすることができる。第三の結合部(31)は、上向き舌部(33)と、上向き舌部からある距離にある少なくとも一つの上向きフランク(34)と、上向き舌部と上向きフランクとの間に形成された上向き溝(35)とを備え、上向き溝は、別のパネルの第四の結合部の下向き舌部の少なくとも一部を受け入れるように適合されている。上向きフランク(35)に対向している上向き舌部(33)の側部(33a)は、上向き舌部の内側であり、上向きフランクとは反対側を向いている上向き舌部の側部(33b)は、上向き舌部の外側である。
【0114】
第四の結合部(32)は、下向き舌部(36)と、下向き舌部からある距離にある少なくとも一つの下向きフランク(47)と、下向き舌部と下向きフランクとの間に形成された下向き溝(48)とを備え、下向き溝は、別のパネルの第一の結合部の上向き舌部の少なくとも一部を受け入れるように適合されている。下向きフランクに対向している下向き舌部の側部(36a)は、下向き舌部の内側であり、下向きフランクとは反対側を向く下向き舌部の側部(36b)は、下向き舌部の外側である。下向き舌部の外側および上向きフランクはともに、パネルの上側の近傍に、または上側に、または上側に隣接して、または上側に向かって上方接触面(37、38)を備え、接触面は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、垂直方向に延在し、パネルの下向き舌部の外側の上方接触面は、パネルの結合状態において、隣接するパネルの上向きフランクの上方接触面に係合するように構成されている。
【0115】
下向き舌部および上向きフランクはともに、上方接触面(37、38)に隣接して、傾斜接触面(39、40)を備え、パネルの下向き舌部の傾斜接触面は、パネルの結合状態において、隣接するパネルの上向きフランクの傾斜接触面に係合するように構成され、上方接触面の各垂直部と、各隣接する傾斜面は、100度~175度の角度(α)を互いに囲んでいる。下向き舌部は、下向き舌部の傾斜接触面の下に位置する外側面(41)を、傾斜接触面(40)に隣接して備え、上向きフランクは、上向きフランクの傾斜接触面の下に位置する内側面(42)を、傾斜接触面(39)に隣接して備え、外側面および内側面は、実質的に平行に伸びており、および少なくとも部分的に垂直方向に延在している。結合状態においては、パネルの外側面の少なくとも一部と、隣接するパネルの内側面の少なくとも一部との間に空間(43)が存在する。
【0116】
上方接触面(37、38)は、この図示されている構成において、平面、すなわち、垂直面(44)を画定することができ、その結果として、下向き舌部(36)の一部(45)は、この平面(44)から突出することができる。
【0117】
図9は、
図1~
図7に示す結合部の変形例を概略的に示す。同じかまたは同様の形状構成を示す参照符号は、同じ参照数字を有する。
図1~
図7に示す部分と比較して、凹部(14)には、第二の凹部(46)が設けられている。この凹部の深さは、凹部(14)の深さと比較して著しく小さくてもよく、および同様に面取りされた側部(47)を設けてもよい。第二の凹部(47)は、凹部(14)の中心に図示されている。この第二の凹部(47)は、
図1~
図7に示す実施形態のいずれかに組み込むことができ、およびパネルを表面に接続するかまたは取付けるのに用いられる釘またはねじのような接続要素を案内することを目的としている。
【0118】
また、
図9は、ロッキング面(18、19)と、側方舌部(7)の外側または最も外側との間に存在する、側方舌部(7)の後方と下方唇部(12)との間の空間(23)も概略的に示し、そのため、側方舌部(7)の後側と下方唇部(12)は、結合状態において互いに接触していない。
【0119】
上述した発明の概念は、いくつかの例示的な実施形態によって説明されている。個々の発明の概念は、その際に、記載されている実施例の他の詳細を適用することもなく適用することができることが想定される。当業者は、具体的な用途に辿り着くために、多数の発明の概念を組合せる(組合せ直す)ことができる可能性があるため、上述した発明の概念の想定されるすべての組合せの実施例に関して詳述する必要はない。
【0120】
本発明が、図示されおよび本願明細書に記載されている実用的な実施例に限定されないこと、および当業者には明白であろう添付クレームの範囲内で多数の変形例が可能であることは明らかであろう。
【0121】
この特許公報で用いられている「備える」という動詞およびその活用型は、「備える」だけを意味するのではなく、「含む」、「~から実質的に成る」、「~によって形成された」という表現およびそれらの活用型を意味することも理解されたい。
【国際調査報告】