(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】レーシングカー用ノーズ、かかるノーズを備えるレーシングカー、およびノーズの製造方法
(51)【国際特許分類】
B62D 25/08 20060101AFI20240628BHJP
B29C 43/12 20060101ALI20240628BHJP
B29C 70/44 20060101ALI20240628BHJP
B29C 33/42 20060101ALI20240628BHJP
B62D 35/00 20060101ALI20240628BHJP
B62D 63/04 20060101ALN20240628BHJP
【FI】
B62D25/08 A
B29C43/12
B29C70/44
B29C33/42
B62D35/00 A
B62D63/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520360
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 IB2021055864
(87)【国際公開番号】W WO2023275597
(87)【国際公開日】2023-01-05
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523119539
【氏名又は名称】ダラーラ オートモビリ ソチエタ ペル アツイオニ
【氏名又は名称原語表記】DALLARA AUTOMOBILI S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Provinciale 33, 43040 Varano de’ Melegari (Parma)Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】ヴェスコヴィ,ルカ
【テーマコード(参考)】
3D203
4F202
4F204
4F205
【Fターム(参考)】
3D203AA30
3D203BB33
3D203CA09
3D203CA23
3D203CA36
3D203CA37
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3D203DB04
4F202AA36
4F202AC03
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4F205HA24
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4F205HA44
4F205HA45
4F205HB01
4F205HG03
4F205HK03
4F205HK04
4F205HK05
4F205HK26
(57)【要約】
長手方向に沿って第1端部(A)と第2端部(B)との間に主要な延長部を有するシェル(2)であって、長手方向に対して横方向の断面において、複数のローブ(4)を画定する周辺プロファイル(3)を有するように形作られたシェル(2)を備える、レーシングカー用ノーズ(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って第1端部(A)と第2端部(B)との間に主要な延長部を有するシェル(2)であって、前記長手方向に対して横方向の断面において複数のローブ(4)を画定する周辺プロファイル(3)を有するように形作られたシェル(2)を備える、
レーシングカー用ノーズ(1)。
【請求項2】
前記周辺プロファイル(3)は、ローブ(4)と谷(5)との交互シーケンスを画定する、
請求項1に記載のノーズ(1)。
【請求項3】
前記ローブ(4)は、4つである、
請求項1または請求項2に記載のノーズ(1)。
【請求項4】
前記シェル(2)の前記延長部は、前記第1端部(A)から前記第2端部(B)に向かって狭くなる連続部を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のノーズ(1)。
【請求項5】
前記シェル(2)の内部に収容された1つまたは複数の補強要素(7)をさらに備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載のノーズ(1)。
【請求項6】
前記シェル(2)は、複合材料の単一層からなる、
請求項1から5のいずれか1項に記載のノーズ(1)。
【請求項7】
前記シェル(2)は、中空である、
請求項1から6のいずれか1項に記載のノーズ(1)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のノーズ(1)を備える、
レーシングカー。
【請求項9】
レーシングカー用ノーズ(1)の製造方法であって、
2つの半金型を含むプレラミネーション金型(11)を設定するステップであって、前記2つの半金型が互いに離れるように移動する少なくとも1つの開放金型構成と、前記2つの半金型が他方の半金型に向かって移動する閉鎖金型構成と、を画定するように、前記2つの半金型のうちの少なくとも1つは他方に対して接近/離間移動可能であり、前記閉鎖位置において、前記プレラミネーション金型(11)は、前記ノーズ(1)の対応する複数のローブを画定することを目的とする複数の溝(13)を含むキャビティ(12)を画定するステップと、
金型を開いた状態で、ノーズ(1)のシェル(2)の2つの半分を形成するように、それぞれが複数の層からなる複合材料の層を有する前記2つの半金型を再び覆うステップと、
その後、前記金型を閉じた構成にし、前記半金型を互いに近づけてプレラミネート製品を得るステップと、
前記プレラミネート製品の内側にシリコンバッグを挿入するステップと、
前記プレラミネーション金型からバッグが入った前記プレラミネート製品を取り出すステップと、
少なくとも固定金型(21a)の一部と可動金型(21b、21c、21e)の一部とを含むプレス金型(21)を、少なくとも1つの開放金型構成および閉鎖金型構成を画定するように設定するステップであって、前記閉鎖位置では、前記プレス金型(21)は、前記ノーズ(1)の対応する複数のローブ(4)を画定することを目的とした複数の溝(23)を含むキャビティ(22)を画定するステップと、
前記プレス金型(21)を設定温度まで加熱して、前記複合材料のマトリックスを重合させるステップと、
前記金型を開いた状態で、前記プレラミネート製品を前記固定金型の部分(21a)上に配置するステップと、
前記金型(21)を閉じてプレスにより前記プレラミネート製品を圧縮するステップと、
前記シリコンバッグ内に圧縮空気を導入するステップと、を含み、
前記プレラミネート製品は、一方では前記プレスの前記金型(21)の閉鎖から生じる圧力を受け、他方では前記シリコンバッグの背圧を受け、その結果、前記ノーズ(1)のシェル(2)が得られる、
レーシングカー用ノーズ(1)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
レーシングカー用ノーズ、かかるノーズを備えるレーシングカー、およびノーズの製造方法に関する。本発明は、モータースポーツ分野に適用される。
【背景技術】
【0002】
既知のとおり、レーシングカーのノーズは、シャーシの前部に取り付けられ、自動車システム内でさまざまな機能を実行する構造コンポーネントである。第一に、シャーシとドライバーを保護するために、ノーズは正面衝突の際に車のエネルギーを吸収し、安全性を高める。さらに、ノーズは、フロントウィングの空力負荷をサポートする。
【0003】
現在使用されている複合材料製のノーズはすべて、「サンドイッチ」積層フィラーを使用することによってセクションの慣性が達成される管状形状のコンポーネントである。既知のタイプのノーズを
図1及び
図2に示す。通常、手作業による製造プロセス(ラミネーション)は、極少量の生産量に適応した方法であり、主に時間と労力に関連してコストがかかる。ノーズが承認されて使用できるようになるために満たす必要がある基準は、FIA(Federation Internationale de l′Automobile-国際自動車連盟)によって設定されており、チャンピオンシップの種類によって異なる。コンポーネントは、曲げ剛性、抵抗、エネルギー吸収の要件を満たさなければならない。コンポーネントは、必要な安全性と技術的要件を保証する静的試験(プッシュオフ)および動的試験(衝突試験)によって承認される。ノーズは、規制制限への準拠は別として、形状を管理する基準を満たす必要はない。そのため、スタイル、パフォーマンス、およびコストの観点に応じて設計を最適化する必要がある。
【0004】
承認要件を満たすためには、構造目的に従って厚みが可変のカーボンプライ(いわゆる「第1スキン」及び「第2スキン」)の間に挿入されたセクションを安定させるタスクを実行する低密度フィラーを挿入する必要がある。これにより、製品に慣性力をつけることができ、その結果、エネルギー吸収が増加する。
【0005】
このような製品を得るための製造工程がラミネート加工であり、一連の作業を必要とする。
【0006】
まずはノーズのレジン模型を作成する。次に、これらのモデルで複合金型を作成する。
【0007】
その後、第1スキンを手作業で1層ずつラミネートする。このプロセスは手作業で厳密に行われ、繊維の方向と積み重ねに関する設計文書で提供される指示に従って、事前に含浸された繊維強化複合材料(業界では「プリプレグ」として知られている)の層を広げる。
【0008】
ラミネーションプロセスの設定段階で、金型への接着を確実にするために、ラミネートの中間圧縮が行われる。
【0009】
第1スキンの手作業でのラミネーションの最後に、ベーキングバッグが準備され、半製品はオートクレーブで硬化サイクルにかけられる。このサイクルは、部品の材質、厚さ、および種類によって異なる。
【0010】
硬化サイクルの後、半製品はオートクレーブから取り出され、2回目のラミネーションの準備が整う。このステップでは、接着を容易にするための接着フィルムと、第1と第2のスキン間に介在する固定用金属部品(インサート)を用いてフィラーを成膜する。
【0011】
この後、第1スキンのラミネーションとまったく同じように、第2スキンのラミネーションを手作業で行う。同様に、半製品をベーキングバッグに入れ、オートクレーブ内でさらに硬化サイクルにかける。
【0012】
2回目の硬化サイクルの最後に、コンポーネントは金型から取り出され、仕上げプロセス(通常はCNC機械加工による補助付きの手作業)に供される。これで、車内での事前組み立ての準備が整う。
【0013】
上記に開示された製造プロセスには、様々な問題がある。とりわけ、上記プロセスは通常手作業であり、かなりの数のステップが含まれる。したがって、標準化することはほとんどできない。最終製品は、最終製品を作成するオペレーターのスキルに大きく依存する。その結果、反復性が低下する。
【0014】
また、このプロセスは、非常に少量の生産量にしか適応していない。生産速度は、金型ごとに週平均約1.5部品であり、つまり、生産時間が非常に長い。
【0015】
したがって、エラーの可能性が高く、生産に大きな影響を与える。特に、生産率が非常に低いため、工程の後半でエラーが発生すると、製品の損害は甚大になる。
【0016】
さらに、上に開示したラミネーションプロセスは、高いコストを伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
これに関連して、本発明を支える技術的課題は、レーシングカー用ノーズ、そのようなノーズを含むレーシングカー、および上記の先行技術の欠点を取り除くノーズの製造プロセスを提案することである。
【0018】
特に、本発明の目的は、完全に手作業ではない製造プロセス、すなわちラミネーションに代わる製造プロセスでも達成可能なレーシングカーのノーズを提案することである。
【0019】
本発明の他の目的は、先行技術よりも簡単な製造工程で実現可能で、最終製品の製造時間およびコストを低減する一方で、既知のタイプのノーズと同等の機械的特性を維持し、承認によって設定された技術要件および安全要件を遵守するレーシングカー用のノーズを利用可能にすることである。
【0020】
本発明の別の目的は、構造的により単純なレーシングカー用ノーズおよびそのようなノーズを備えるレーシングカーを提案することである。
【0021】
本発明の別の目的は、先行技術と比較して、より合理化され、より単純であり、生産時間を短縮するノーズの製造プロセスを利用可能にすることである。
【0022】
本発明のさらなる目的は、既知のタイプのノーズと同等の機械的特性を有するノーズを製造できるノーズの製造プロセスを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
提案された技術的課題および指定された目的は、長手方向に沿って第1端部と第2端部との間の主な延長部を有するシェルを備えるレーシングカー用ノーズによって実質的に達成される。シェルは、長手方向に対して横方向の断面において、複数のローブを画定する周辺プロファイルを有するように形作られている。
【0024】
好ましくは、周辺プロファイルはローブと谷の交互シーケンスを画定する。
【0025】
一実施形態によれば、ローブは4つである。
【0026】
好ましくは、シェルの延長部は、第1端部から第2端部に向かって狭くなる連続部を有する。
【0027】
好ましくは、ノーズは、シェルの内部に収容された1つまたは複数の補強要素を備える。
【0028】
一実施形態によれば、シェルは、複合材料の単一層からなる。
【0029】
好ましくは、シェルは中空である。
【0030】
記載された技術的課題および指定された目的は、次のステップを含むノーズの製造プロセスによって実質的に達成される。
【0031】
・2つの半金型を含むプレラミネーション金型を設定するステップであって、2つの半金型が互いに離れるように移動する少なくとも1つの開放金型構成と、2つの半金型が別の半金型に向かって移動する閉鎖金型構成と、を画定するように、2つの半金型のうちの少なくとも1つは他方に対して接近/離間移動可能であり、閉鎖位置において、プレラミネーション金型は、ノーズの対応する複数のローブを画定することを意図する複数の溝を含むキャビティを画定するステップ、
・金型を開いた状態で、ノーズのシェルの2つの半分を形成するように、それぞれが複数のプライからなる複合材料の層を有する2つの半金型を再び覆うステップ、
・その後、金型を閉じた構成にし、半金型を互いに近づけてプレラミネート製品を得るステップ、
・プレラミネート製品の内側にシリコンバッグを挿入するステップ、
・プレラミネーション金型からバッグが入ったプレラミネート製品を取り出すステップ、
・少なくとも固定金型の一部と可動金型の一部とを含むプレス金型を、少なくとも1つの開放金型構成および閉鎖金型構成を画定するように設定するステップであって、閉鎖位置では、プレス金型は、ノーズの対応する複数のローブを画定することを意図した複数の溝を含むキャビティを画定するステップ、
・プレス金型を設定温度まで加熱して、複合材料のマトリックスを重合させるステップ、
・金型を開いた状態で、プレラミネート製品を固定金型の部分(21a)上に配置するステップ、
・金型を閉じてプレスによりプレラミネート製品を圧縮するステップ、
・シリコンバッグ内に圧縮空気を導入ステップ。
【0032】
プレラミネート製品は、一方ではプレスの金型の閉鎖から生じる圧力を受け、他方ではシリコンバッグの背圧を受け、その結果、ノーズのシェル(2)が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面に示されるような、レーシングカー用ノーズの好ましい、しかし排他的ではない実施形態およびそのようなノーズを含むレーシングカーの、以下の指示的な、したがって非限定的な説明からより明らかになるであろう。
【
図3】
図3は、本発明に係るレーシングカー用ノーズを示す斜視図である。
【
図7a】7aは、
図3のノーズの詳細(レーシングカーにノーズを取り付けるためのインサート)の斜視図を示す。
【
図7b】7bは、
図3のノーズの詳細(レーシングカーにノーズを取り付けるためのインサート)の正面図を示す。
【
図7c】
図7cは、
図7bのインサートの軸A?Aに沿った断面図を示す。
【
図8b】
図8bは、軸B?Bに沿った断面図で、
図8aのノーズの詳細(ウィングを固定するためのインサート)を示す。
【
図10】
図10は、プレラミネーション金型の一部の分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図を参照して、参照番号1はレーシングカー用ノーズを示す。
【0035】
ノーズ1はシェル2を含む。シェル2は、長手方向に沿って、第1端部Aと第2端部Bとの間の主要な延長部を有する。好ましくは、シェル2の延長部は、第1端部Aから第2端部Bに向かって漸進的に狭くなる断面を有する。言い換えれば、シェル2は、長手方向に沿って先細になる延長部を有する、すなわち、長手方向に沿って徐々に寸法が減少する。
【0036】
好ましくは、シェル2は中空である。シェル2は内部環境を区切る。シェル2は、本来、長手方向に対して横方向の断面において、マルチローブまたはペタル形状の周辺プロファイル3を有する、すなわち、複数のローブまたはペタル4を画定するような形状である。ローブ4は、シェル2に沿って延びる。
【0037】
ローブ4またはペタルは、ここでは丸みを帯びた突起を意味する。例えば、ローブ4は実質的にU字形または同様の形状である。
【0038】
図に示す好ましい実施形態では、ローブ4は4つである。この場合、シェル2は、四つ葉のクローバーに似た形状の中空部分を有するが、例えば、2葉、3葉、5葉、6葉などのノーズを提供することが可能である。
【0039】
好ましくは、シェル2は、ローブ4に点在する複数の谷またはくぼみ5を含む。特に、周辺プロファイル3は、ローブ4とくぼみ5との交互のシーケンスを画定するような傾向を有する。くぼみ5は、ここではくぼみまたは孔、すなわちノーズ1の長手方向軸に向かって後退する湾曲を意味する。
【0040】
言い換えれば、周辺プロファイル3は、複数の凹面の変化によって画定される実質的に曲線の広がりを有する。
【0041】
レーシングカーに装着されるノーズ1の動作構成に関して、シェル2は、上面2a、下面2b、および1つ又は複数の側面2cを有する。
【0042】
ここで説明され図示された実施形態では、側面2cは2つであり、それぞれが上面2aおよび下面2bの2つの対応する端部を接続する。
【0043】
ローブ4は、シェル2の表面2a、2b、2cのエンドゾーンに配置される。特に、ローブ4は、表面2a、2b、2cの間の交わる頂点の場所にある。言い換えれば、各表面2a、2b、2cは、両端に2つのローブ4を有する。
【0044】
したがって、各くぼみ5は、2つの連続するローブ4の間に挿入される。好ましくは、くぼみ5は、表面2a、2b、2cの中央ゾーンにある。好ましくは、ノーズ1のローブ4は同じ寸法を有する。
【0045】
好ましくは、シェル2は複合材料で作られる。好ましくは、シェル2は、複合材料の単一層から作られる。言い換えれば、シェル2は一枚物である。
【0046】
有利には、このように成形されたシェル2は、ホットプレス成形によって作られる。これは、先行技術のノーズでは不可能である。それにもかかわらず、シェル2は、記載された従来技術で行われるように、ラミネーションによっていずれの方法でも作ることができる。
【0047】
好ましくは、ノーズ1は、第2端部Bでシェル2に取り付けられた先端6を備える。好ましくは、先端6は複合材料で作られる。好ましくは、先端6はホットプレス成形によって作られる。好ましくは、先端6は、複合材料の単一層で作られる。言い換えれば、先端6は一枚物である。
【0048】
好ましくは、ノーズ1は、シェル2によって画定される内部環境の内側に挿入された1つまたは複数の補強要素7を備える。これらの補強要素7は、この分野ではリブの名前で知られており、ノーズ1に安定性と剛性を与えるために使用される。好ましくは、リブ7はシェル2に接着される。好ましくは、リブ7は、複合材料の単一層から作られる。換言すれば、リブ7は一枚物である。
【0049】
ここで説明し図示した実施形態では、リブ7は複合材料でできたプレートである。これらのプレートは、複数のローブ7aを有するような周囲傾向を有する。
【0050】
好ましくは、リブ7は、シェル2の傾向に従うようにシェル2に相補的である。
【0051】
好ましくは、リブ7は中空の中央ゾーン7bを有する。
【0052】
好ましくは、リブ7は、シェル2の内側で、シェル2の長手方向に沿って順番に配置される。シェル2が漸進的に狭くなる断面延長部を有する場合、プレート7は、この延長部を補助するように異なる寸法で作られる。
【0053】
図示の好ましい実施形態では、リブ7は3つである。
【0054】
好ましくは、プレート7は、長手方向に対して傾斜した平面上に延長部を有する。特に、ノーズ1が主に水平方向に延びる場合、リブ7は垂直方向に延びる。
【0055】
好ましくは、ノーズ1は、自動車のシャーシと結合するための結合手段8を備える。結合手段8は、第1端部Aに配置される。好ましくは、結合手段8は、ローブ4におよびその内部に配置される1つまたは複数のインサートを備える。好ましくは、インサートは金属材料で作られる。好ましくは、インサートはアルミニウム製である。好ましくは、インサートは、金属を処理するための典型的な技術、例えばCNC、溶融で作られる。
【0056】
好ましくは、ノーズ1は、自動車のウィングを固定するための固定手段を備える。好ましくは、固定手段は、第2端部Bの近くに配置される。好ましくは、固定手段9は、下面2bに配置される1つ以上のインサートを備える。好ましくは、インサートは金属材料で作られる。好ましくは、インサートはアルミニウム製である。
【0057】
本発明の対象はレーシングカーである。レーシングカーは、上述のノーズ1を備える。
【0058】
以下、本発明に係るレーシングカーのノーズ1の製造工程について説明する。
【0059】
ノーズ1の製造工程は、主に2つのマクロ工程、すなわちプレラミネート工程とそれに続くホットプレス成形工程からなる。
【0060】
プレラミネーション工程では、プレラミネーション金型11は、閉鎖型構成で長手方向に延びるキャビティ12を含むように成形される。長手方向を横切る断面において、キャビティ12は、複数の溝13を含む。溝は、ノーズ1の対応する複数のローブ4を画定することを意図している。溝13は、長手方向と平行な方向に沿った延長部を有する。
【0061】
キャビティ22は、長手方向に沿って漸進的に狭まる断面を有するような延長部を有する。言い換えれば、キャビティ12は、長手方向に沿って先細の延長部を有する、すなわち、長手方向に沿って徐々に減少する寸法を有する断面を有する。
【0062】
好ましくは、キャビティ12は、溝13と突出部14の交互配列を画定するようなプロファイルを有する。突出部14は、ノーズ1の谷5が得られることを可能にする。ここで、突出部14は、キャビティ12の中央ゾーンまで延びる金型の一部として画定される。
【0063】
プレラミネーション金型11のキャビティ12は、ノーズ1の所望の形状に相補的である。
【0064】
プレラミネーション工程中、プレラミネーション製品を得るために、複数のプライがプレラミネーション金型11のキャビティ12に適用される。したがって、プレラミネート製品は、中間の半完成状態の製品である。
【0065】
好ましくは、プレラミネーション金型11は、2つの半金型を含み、2つの半金型が互いに離れるように移動される少なくとも1つの開放金型構成と、2つの半金型が別の半金型に向かって移動する閉鎖金型構成と、を画定するように、2つの半金型のうちの少なくとも1つは他方に対して接近/離間移動可能である。閉鎖金型構成では、2つの半金型がキャビティを画定する。
【0066】
特に、プレラミネート製品の2つの別個の半分が得られるように、各半金型にプライが適用される。次に、2つの半金型を閉じて、2つの半金型を一緒に動かし、プレラミネート製品を取得する。
【0067】
好ましくは、各半金型は、いくつかの組み立てられた金型15を含む。
図9は、この点に関して2つの半金型の1つを示す。このようにして、プレラミネーション金型11の形状をノーズ1の所望の形状に容易に適合させることが可能である。
【0068】
ここで半金型とは、金型の一部である部分を意味し、金型の正確な半分を意味することに限定されない。
【0069】
好ましくは、半金型のモジュールにシム要素16を適用することができる。後者は、より長いスキンをラミネートすることを可能にする。これは、金型が閉じられたときに2つの半型の間の接合を容易にするために使用される。半型が閉じられると、それらは除去される。
【0070】
プレラミネート工程で得られるプレラミネート製品は、実質的にマルチローブタイプのシェルである。そのため、シェルは中空である。
【0071】
プレラミネート製品が得られると、中空シェルによって画定された環境内にシリコンバッグが挿入される。
【0072】
この後、シリコンバッグを内包したプレラミネート品をプレラミネーション金型11から取り出す。
【0073】
プレラミネートされた製品は、将来の使用のために冷蔵セルに保存するか、次の工程で直接使用することができる。
【0074】
プレラミネーション工程に続いて、プロセスはホットプレス成形の工程を含む。
【0075】
プレラミネート製品をプレス金型21に入れる。プレラミネーション金型11と同様に、プレス金型21は、閉鎖型構成において、長手方向に対して横方向の断面において複数の溝23を備える長手方向キャビティ22を備えるように成形される。溝23は、ノーズ1の対応する複数のローブ4を画定することを意図している。溝23は、長手方向と平行な方向に沿った延長部を有する。
【0076】
キャビティ22は、長手方向に沿って漸進的に狭まる断面を有するような延長部を有する。言い換えれば、キャビティ22は、長手方向に沿って先細の延長部を有する、すなわち、長手方向に沿って徐々に減少する寸法を有する断面を有する。
【0077】
好ましくは、キャビティ22は、溝23と突出部24の交互配列を画定するようなプロファイルを有する。突出部24は、ノーズ1の谷5が得られることを可能にする。突出部24は、ここでは、キャビティ22の中央ゾーンに向かって突出する金型の一部を意味する。
【0078】
プレス金型21のキャビティ22は、ノーズ1の所望の形状に相補的である。
【0079】
プレラミネート製品が金型内に配置されると、プロセスは金型21を閉じてプレスによってプレラミネート製品を圧縮するステップを含む。
【0080】
プレラミネート製品が金型内に配置されると、このプロセスは、シリコンバッグ内に圧縮空気を導入するステップを含む。
【0081】
この場合、プライは、一方ではプレスの金型の閉鎖による圧力を受け、他方ではシリコンバッグの背圧による圧力を受ける。
【0082】
圧縮空気を導入するステップと金型21を閉じるステップは、少なくとも部分的に同時に、または次々に行うことができる。プロセスの好ましい実施形態では、圧縮空気を導入するステップは、金型21を閉じるステップの後に行われる。
【0083】
このプロセスは、プレスの表面(したがって金型)を、化合物のマトリックスを重合するのに必要な温度まで加熱するステップを含む。
【0084】
好ましい実施形態では、プレラミネート製品を配置する前に型を加熱する。言い換えれば、プレラミネートされた製品は、既に加熱された金型に配置される。
【0085】
プロセスの別の実施形態では、型はプレラミネート製品の位置決め後に加熱される。
【0086】
好ましくは、プレス金型21は、金型の少なくとも1つの固定部分と金型の可動部分とを含む。
【0087】
ここに説明および図示した実施形態では、プレス金型21は、下金型21a、上金型21b、下金型21aの両側に配置された2つの側金型21c、前金型21dおよび後金型21eを備える。少なくとも下金型21aを固定し、その上にプレラミネート品を配置する。好ましくは、前金型21dも固定される。
【0088】
一方、上金型21b、側金型21c、後金型21eは、固定金型21a、21dに対して接近/離間するように移動可能である。金型は、平行移動または回転によって移動できる。
【0089】
幾何学的なアンダーカットは、手動または自動で移動可能なブロックで管理される。
【0090】
上金型21bは、プレスの可動面にしっかりと拘束されている。
【0091】
好ましい実施形態では、プレラミネート製品の位置決めと金型の閉鎖は、次のステップで行われる。
【0092】
・下金型および前金型21a、21d上に位置合わせされた製品を配置することによる、開いた金型上でのプレラミネートの配置。
【0093】
・閉鎖までの側金型21cのヒンジ上での回転による(手動または自動)移動。
【0094】
・閉鎖までの後金型21eのヒンジ上での回転による(手動または自動)移動。
【0095】
・プレス面の移動による上金型21bの閉鎖。
【0096】
加熱圧縮が終了すると、金型21が開かれ、製品が取り出される。製品からシリコンバッグを取り出す。
【0097】
ホットプレス成形工程の後に得られる製品は、ノーズ1のシェル2である。
【0098】
好ましくは、シェル2は、通常、手動操作およびCNC機械加工によって、表面的に仕上げられる。
【0099】
好ましくは、ノーズの先端6、リブ7、インサート8、9などの可能なサブコンポーネントは、シェル2に接着される。この接着には、位置決めマスクの挿入が含まれる。
【0100】
記載された説明から、本発明によるレーシングカーのノーズ、そのようなノーズを含むレーシングカー、およびノーズの製造プロセスの特徴は、その利点が明らかであるのと同様に明らかである。
【0101】
特に、ノーズの複数のローブ形状により、フィラーに頼る必要なく、一枚物ノーズ、すなわち、単一のカーボンスキンからなるノーズを作ることが可能になる。言い換えれば、ここで提案する新しいマルチローブ形状は、セクションの慣性と安定性を高めるように特別に設計されている。この機能は、フィラーによって既知の溶液で実行される。
【0102】
形状の最適化は、インタラクティブな有限要素解析(FEA)プロセスを通じて得られ、その目的は、エネルギー吸収(衝突)テストを受けたときのノーズの周波数応答を最小限に抑えることであった。構造の周波数応答(衝撃による外力を受けるシステムのFRF、したがって、システムが受ける応力による座屈モードの関数としてのシステムモード)を完全にすることによって、構造の安定化が得られ、その結果、エネルギー吸収特性が最適化される。
【0103】
ノーズの抵抗部は、設計の簡便さと性能の妥協点(FEA解析でインタラクティブに得られる)を得ることで、円形や楕円形(典型的なノーズ又は既知のノーズ)から四つ葉(花弁や四葉のクローバー)へと変化した。この形状により、高いエネルギー吸収性を備えた安定した構造のモノリスノーズを可能にする。
【産業上の利用可能性】
【0104】
上述の製造工程は、本発明によって提案された新しいジオメトリーによってのみ使用可能である。このような製造工程は、既知のタイプのノーズにはまったく使用できない。この新しいマルチローブの形状により、生産量の少ない完全な手作業による工程(ラミネート加工)から、自動化が可能で生産量の多い工程(ホットプレス成形)への移行が可能になり、ラミネート加工によるノーズと同じ機械特性を維持することができる。これにより、生産量の増加、製造プロセスの合理化、生産時間とコストの削減、プロセスの安定性の向上など、一連の利点がもたらされる。ラミネーションによる先行技術のノーズを作るための平均時間は約30時間であると考えるべきである。本発明によるノーズの作成には、約4時間を要する。
【0105】
さらに、ノーズを製造する既知の製造工程では、自動車のシャーシに固定するため、または自動車の翼を固定するためのインサートを必然的に第1スキンおよび第2スキン間の積層に挿入する必要があり、非常に複雑になり、生産時間が大幅に増加する。一方、ここで提案するノーズでは、ノーズのシェルを作った後にインサートを接着する。
【0106】
さらに、本発明によるノーズは、ラミネーション技術によっても製造可能である。この場合、先行技術のノーズを作成するために使用される製造工程よりも効率的な製造工程である。
【国際調査報告】