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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】複合温度制御パネル及び電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/658 20140101AFI20240628BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20240628BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240628BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20240628BHJP
【FI】
H01M10/658
H01M10/633
H01M10/613
H01M10/615
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557672
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 CN2022086245
(87)【国際公開番号】W WO2023273505
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】202121466629.7
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】尤悦丘
(72)【発明者】
【氏名】王▲驍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼▲艶▼▲鳳▼
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼▲衛▼▲しん▼
(72)【発明者】
【氏名】▲魯▼志佩
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031KK02
(57)【要約】
本開示は、複合温度制御パネル及び電池パックに関する。前記複合温度制御パネルは、温度制御層と、保護層と、を含み、前記温度制御層は、前記電池パックを降温/昇温させ、前記保護層は、前記温度制御層に積層固定され、前記保護層は、断熱層を含み、前記断熱層は、断熱材料で製造され、前記保護層は、取付部を有し、前記取付部は、少なくとも前記温度制御層の外側まで延び、外部に接続される。本開示に係る複合温度制御パネルは、少なくとも温度制御層の外周まで延びる取付部を有し、取付部を外部接続構造として、接続箇所が変形しやすい問題を解決し、接続の信頼性を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックに適用される複合温度制御パネルであって、温度制御層と、保護層と、を含み、
前記温度制御層は、前記電池パックを降温/昇温させ、
前記保護層は、前記温度制御層に積層固定され、
前記保護層は、断熱層を含み、前記断熱層は、断熱材料で製造され、
前記保護層は、取付部を有し、前記取付部は、少なくとも前記温度制御層の外周まで延び、外部に接続されることを特徴とする、複合温度制御パネル。
【請求項2】
前記温度制御層全体は、前記断熱層に嵌合され、前記断熱層の材料強度は、前記温度制御層の材料強度よりも高く、前記断熱層の前記温度制御層の外周まで延びる部分は、前記取付部であることを特徴とする、請求項1に記載の複合温度制御パネル。
【請求項3】
前記保護層は、防護層をさらに含み、前記温度制御層、前記断熱層及び前記防護層は、順に積層され、前記防護層の材料強度は、前記断熱層の材料強度よりも高いことを特徴とする、請求項1に記載の複合温度制御パネル。
【請求項4】
前記断熱層の熱伝導率は、前記防護層の熱伝導率よりも低いことを特徴とする、請求項3に記載の複合温度制御パネル。
【請求項5】
前記保護層は、発泡層をさらに含み、前記発泡層は、前記断熱層と前記防護層との間に設置されることを特徴とする、請求項3に記載の複合温度制御パネル。
【請求項6】
前記温度制御層は、アルミニウム合金材料で製造され、前記断熱層は、ガラス繊維材料で製造され、前記防護層は、炭素繊維材料で製造され、前記発泡層は、ポリウレタン、ホスホエノールピルビン酸又はポリ塩化ビニルで製造されることを特徴とする、請求項5に記載の複合温度制御パネル。
【請求項7】
前記温度制御層は、第1の温度制御層と、第2の温度制御層と、を含み、前記第1の温度制御層及び前記第2の温度制御層が係合されて流路構造を形成し、前記流路構造は、液体マトリックスを流すことを特徴とする、請求項1に記載の複合温度制御パネル。
【請求項8】
トレイと、電池モジュールと、請求項1~7のいずれか一項に記載の複合温度制御パネルと、を含み、
前記トレイは、前記取付部に接続され、前記トレイは、前記複合温度制御パネルとともに密閉されたキャビティを形成し、前記電池モジュールは、前記キャビティ内に設置され、前記電池モジュールは、前記温度制御層と接触することを特徴とする、電池パック。
【請求項9】
前記トレイと前記取付部とは、シーラント及び締結具の組み合わせにより接続されることを特徴とする、請求項8に記載の電池パック。
【請求項10】
前記トレイには、シーラント収容溝が設置され、前記シーラントは、前記シーラント収容溝内に充填されることを特徴とする、請求項9に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2021年6月29日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202121466629.7で、出願名称が「複合温度制御パネル及び電池パック」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は、参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、電池の技術分野に関し、より具体的には、本開示は、複合温度制御パネル及び電池パックに関する。
【背景技術】
【0003】
従来のエネルギーの欠如及び環境問題がますます顕著になることに伴い、従来の自動車を代替することができる新エネルギー自動車の発展は、ますます人々に注目される。電池パックは、新エネルギー自動車のコア部材として、安全上の問題が非常に重要である。電池パックの内部温度は、その安全性に直接影響を与え、さらに車両全体の使用安全に影響を与える。電池パックの安全性を向上させるために、内部構造の温度を制御する必要があるため、構造全体の放熱性能を向上させることが重要である。
【0004】
電池パックは、主に電池モジュールを含み、電池モジュールが正常に動作する中に一定の熱を発生させて、電池モジュールの内部の温度を上昇させ、温度が高すぎると、一定の安全上のリスクが発生し、電池には、漏液、排気、発煙などの現象が発生し、深刻な場合には、電池が激しく燃焼して爆発してしまう可能性があり、また、電池パックの使用環境が複雑であり、環境温度が低すぎると、電池パックの正常動作に不利である。上記リスクを防止するために、温度制御パネルを用いて電池モジュールを放熱/保温することが多い。従来技術における温度制御パネルは、アルミニウム合金を用いて製造され、熱伝導率が高いため、温度制御パネルの熱の散逸が速すぎて、電池パックの保温性能に不利であり、また、温度制御パネルが直接電池パックの他の構造と摩擦溶接され、それらの接続箇所が変形しやすいため、耐用年数が短くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、少なくとも背景技術に記載の問題のうちの1つを解決するための複合温度制御パネル及び電池パックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様に係る、電池パックに適用される複合温度制御パネルは、温度制御層と、保護層と、を含み、
前記温度制御層は、前記電池パックを降温/昇温させ、
前記保護層は、前記温度制御層に積層固定され、
前記保護層は、断熱層を含み、前記断熱層は、断熱材料で製造され、
前記保護層は、取付部を有し、前記取付部は、少なくとも前記温度制御層の外周まで延び、外部に接続される。
【0007】
好ましくは、前記温度制御層全体は、前記断熱層に嵌合され、前記断熱層の材料強度は、前記温度制御層の材料強度よりも高く、前記断熱層の前記温度制御層の外周まで延びる部分は、前記取付部である。
【0008】
好ましくは、前記保護層は、防護層をさらに含み、前記防護層の材料強度は、前記断熱層の材料強度よりも高い。
【0009】
好ましくは、前記断熱層の熱伝導率は、前記防護層の熱伝導率よりも低い。
【0010】
好ましくは、前記保護層は、発泡層をさらに含み、前記発泡層は、前記断熱層と前記防護層との間に設置される。
【0011】
好ましくは、前記温度制御層は、アルミニウム合金材料で製造され、前記断熱層は、ガラス繊維材料で製造され、前記防護層は、炭素繊維材料で製造され、前記発泡層は、ポリウレタン、ホスホエノールピルビン酸又はポリ塩化ビニルで製造される。
【0012】
好ましくは、前記温度制御層は、第1の温度制御層と、第2の温度制御層と、を含み、前記第1の温度制御層及び前記第2の温度制御層が係合されて流路構造を形成し、前記流路構造は、液体マトリックスを流す。
【0013】
本開示の第2の態様に係る電池パックは、
トレイと、電池モジュールと、第1の態様に記載の複合温度制御パネルと、を含み、
前記トレイは、前記取付部に接続され、前記複合温度制御パネルとともに密閉されたキャビティを形成し、前記電池モジュールは、前記キャビティ内に設置され、前記温度制御層と接触する。
【0014】
好ましくは、前記トレイと前記取付部とは、シーラント及び締結具の組み合わせにより接続される。
【0015】
好ましくは、前記トレイには、シーラント収容溝が設置され、前記シーラントは、前記シーラント収容溝内に充填される。
【発明の効果】
【0016】
本開示の技術的効果について、本開示に係る複合温度制御パネルは、少なくとも温度制御層の外周まで延びる取付部を有し、取付部を外部接続構造として、温度制御層を接続に用いるときに変形しやすい問題を解決し、接続の信頼性を向上させる。
【0017】
以下、図面を参照しながら、本開示の例示的な実施例を詳細に説明することにより、本開示の他の特徴及びその利点は明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
明細書の一部となる図面は、本開示の実施例を説明し、かつ明細書とともに本開示の原理を解釈する。
【0019】
図1】本開示に係る複合温度制御パネルの部分積層構造の概略図である。
図2】本開示に係る複合温度制御パネルの部分分解構造の概略図である。
図3】本開示に係る複合温度制御パネルとトレイとの接続を示す概略図である。
図4】本開示に係る複合温度制御パネルとトレイとの接続を示す断面概略図である。
図5】本開示に係る複合温度制御パネルとトレイとがシーラント及び締結具により接続される場合の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本開示の様々な例示的な実施例を詳細に説明する。なお、特に具体的に説明しない限り、これらの実施例において記載された部品及びステップの相対的配置、数式及び数値は、本開示の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【0021】
以下、少なくとも1つの例示的な実施例についての説明は、本質的に例示的なものに過ぎず、決して本開示及びその適用又は使用を限定するものではない。
【0022】
当業者が知っている技術及び装置について詳細に検討していないが、適切な場合には、上記技術及び装置は、明細書の一部と見なされるべきである。
【0023】
ここで示され検討された全ての例では、いかなる具体的な値は、例示的なものに過ぎず、限定的なものではないと解釈されるべきである。したがって、例示的な実施例の他の例は、異なる値を有してもよい。
【0024】
なお、類似した符号及びアルファベットが以下の図面において類似したものを表すため、あるものが1つの図面において定義されれば、後の図面においてさらに検討する必要がないことに留意されたい。
【0025】
温度制御パネル(液冷パネル)の動作原理について、電池の動作により発生した余分な熱がパネル型アルミニウム質デバイスの表面との接触によって伝達され、液冷システムは、液体の流れの熱交換率が大きいという特性を利用して、液体の流れによって高い熱量を伝達し、最終的に熱がデバイスの内部流路を流れる冷却液によって運び去られる。電池パックにおける電池モジュールは、温度制御パネルに関して一定の要求を有する。まず、放熱性が大きい必要があり、モジュールで発生した熱を速く取り去り、急激な温度上昇を防止することができ、次に、信頼性が高い必要があり、車両が道路を走行する中に、動作状態にある電池パックは、振動、衝撃、高温及び低温などの様々な比較的厳しい動作環境でのテストに合格する必要があり、最後に、放熱設計が正確である必要があり、システム内の温度差が大きすぎることを回避し、動作温度が電池の性能及び劣化に重要な影響を与える。
【0026】
上記問題に対して、従来技術における温度制御パネルの設計は、一般的にはアルミニウム基板に銅管を埋め込む技術を用い、すなわち、アルミニウム基板に対してコンピュータ数値制御技術によりミリング溝を加工し、さらにプレス機を用いて既に必要な形状に曲げられた銅管をアルミニウム基板に押し付けて、ロー付け溶接を行い、アルミニウム基板の熱伝導率が高いため、放熱性の問題を解決するが、熱伝導率が高いと、温度制御パネルの熱の散逸も速すぎて、保温に不利であり、また、信頼性及び放熱設計について、従来技術における温度制御パネルと外部構造との接続方式は、一般的には摩擦撹拌溶接を用い、アルミニウム材質の降伏強度が約50Mpaであり、引張強度が約150Mpaであり、かつ軟質であるため、外部構造との接続箇所が変形しやすい。
【0027】
上記問題を解決するために、本開示に係る、電池パックに適用される複合温度制御パネルは、温度制御層11と、保護層と、を含み、上記温度制御層11は、上記電池パックを降温/昇温させ、上記保護層は、上記温度制御層11に積層固定され、上記保護層は、断熱層12を含み、上記断熱層12は、断熱材料で製造され、上記保護層は、取付部121を有し、上記取付部121は、少なくとも上記温度制御層11の外周まで延び、外部に接続される。
【0028】
具体的には、図1及び図2に示すように、本実施例では、温度制御層11と保護層とが複合された複合型の温度制御パネル1が用いられる。温度制御層11の構造は、アルミニウム基板に銅配管を追加した形態を用いてもよく、液体マトリックスを流すための配管板材などを用いてもよく、本開示では、これを限定しない。液体マトリックス(例えば、冷却液)は、管路を通って温度制御層11を流れて、電池パックを降温又は昇温させることができる。保護層には、少なくとも温度制御層11の外周まで延び、外部に接続され、すなわち、電池パックの他の構造、例えば、トレイ2など(図3に示す)に接続される取付部121が設置され、取付部121は、主に接続及び固定の作用を果たす。本実施例では、保護層が少なくとも温度制御層11の外側まで延びることは、保護層の周囲が全て温度制御層の外周まで延びて取付部121を形成してもよく、保護層の2つの縁部又は縁部の一部が温度制御層の外側まで延びて取付部121を形成してもよい。取付部121を外部接続構造として、接続箇所が変形しやすいという問題を回避し、その接続の信頼性がより高く、かつ温度制御層11に対して一定の支持作用を果たすことができる。
【0029】
保護層は、断熱材料で製造された断熱層12をさらに含み、温度制御パネル1の熱を遮断し、温度制御層11と外部環境との温度交換を緩和することにより、温度制御パネル1に対してより良好な断熱及び保温の作用を果たすことができる。
【0030】
本実施例では、上記温度制御層11と保護層との積層固定は、型打ちプロセスにより実現されてもよい。型打ちプロセスは、一方で、両者をより確実に結合固定することができ、他方で、型打ちプロセスの圧力が小さく、温度制御層11の内部で液体マトリックスを流す流路を押し潰さない。型打ち過程において、保護層の周辺に、外部構造(例えば、トレイ2)に接続される一部の領域(すなわち、取付部121)を残すことができる。本実施例では、温度制御層11は、外部に直接接続されないため、接続箇所での剛性を強化し、接続の信頼性を向上させることができる。
【0031】
好ましくは、図1に示すように、上記温度制御層11全体は、上記断熱層12に嵌合され、上記断熱層12の材料強度は、上記温度制御層11の材料強度よりも高く、上記断熱層12の上記温度制御層11の外周まで延びる部分は、上記取付部121である。
【0032】
具体的には、型打ち過程において、温度制御層11全体を上記断熱層12に直接嵌設してもよく、上記断熱層12の外周は、温度制御層11を内包し、温度制御層11の外周まで延びる部分は、いずれも取付部121として外部に接続することができる。断熱層12は、温度制御層11よりも強度が高い材料を用いるため、その接続箇所がより強固であり、かつこのような嵌設方式により、温度制御パネル1と電池パックとの接続箇所が変形しにくくなるだけでなく、温度制御層11の構造が破壊されないように、温度制御層11全体をより良好に保護し、温度制御パネル1の耐用年数を延ばすことができる。
【0033】
好ましくは、上記保護層は、防護層14をさらに含み、上記温度制御層11、上記断熱層12及び上記防護層14は、順に積層され、上記防護層14の材料強度は、上記断熱層12の材料強度よりも高い。
【0034】
具体的には、実際の使用において、防護層14は、温度制御層11及び断熱層12の外側に位置し、防護層14は、上記断熱層12及び温度制御層11よりも材料強度が高いため、温度制御パネル1全体の剛性を向上させ、外部環境による衝撃、例えば、石撃などに効果的に抵抗することができる。
【0035】
好ましくは、上記断熱層12の熱伝導率は、上記防護層14の熱伝導率よりも低い。
【0036】
具体的には、断熱層12の熱伝導率は、防護層14の熱伝導率よりも低いため、温度制御層11の熱の防護層14への拡散を効果的に遮断することができ、或いは、外部の温度が防護層14を介して温度制御層11に伝達することを遮断することができ、より良好な保温効果を有する。
【0037】
好ましくは、上記保護層は、発泡層13をさらに含み、上記発泡層13は、上記断熱層12と上記防護層14との間に設置される。
【0038】
具体的には、型打ち過程において、発泡層13は、断熱層12でインライン発泡プロセスにより直接製造されてもよく、発泡層13は、断熱層12とともに温度制御層11に対して保温作用を果たす。一般的には、発泡層13の材料の熱伝導率が低いため、その保温性能は、より良好である。
【0039】
好ましくは、上記温度制御層11は、アルミニウム合金3003という材料で製造され、上記断熱層12は、ガラス繊維材料で製造され、上記防護層14は、炭素繊維材料で製造され、上記発泡層13は、ポリウレタン、ホスホエノールピルビン酸又はポリ塩化ビニルで製造される。
【0040】
具体的には、アルミニウム合金材料は、アルミニウム合金3003を選択してもよく、アルミニウム合金3003は、アルミニウムマンガン合金材料であり、優れた防錆特性を有するとともに、軟質であり、様々な構造に折り曲げられやすく、流路などの構造を製造しやすく、その熱伝導効率が237W/(m・K)に達することができ、アルミニウム合金3003を温度制御層11の材料とすると、より高い放熱性を実現することができる。
【0041】
ガラス繊維は、性能に優れた無機非金属材料であり、種類が多く、絶縁性に優れ、耐熱性が強く、耐食性が高く、機械的強度が高く、複合材料中の強化材料、電気絶縁材料及び断熱保温材料として用いることができる。本実施例では、断熱層12は、ガラス繊維で製造され、温度制御層11に対して支持作用をよりよく果たすことができ、また、強度が高いため、外部構造に接続される際に、接続箇所が変形しにくく、温度制御パネル1の耐用年数をよりよく確保することができる。
【0042】
炭素繊維は、炭素含有量が90%以上の高強度、高モジュラスの繊維であり、耐高温、耐摩擦、導電、熱伝導及び耐食などの特性を有し、その黒鉛微結晶構造が繊維軸に沿って優先的に配向されるため、繊維軸方向に沿って高い強度及びモジュラスを有する。防護層14は、炭素繊維材料を用いて温度制御層11、発泡層13及び断熱層12と複合され、一方で、温度制御パネル1全体の剛性を向上させることができ、強度が高いため、外部環境による物理的衝撃に効果的に抵抗して、温度制御パネル1の他の層の材料を保護することができ、他方で、断熱層12にガラス繊維を選択する場合、ガラス繊維の熱伝導率が炭素繊維よりも低いため、断熱層12は、断熱作用をよりよく果たすことができる。
【0043】
発泡層13の主な作用は、保温性能を有し、温度制御パネル1の温度変化が外部環境の干渉を受けないようにし、温度制御層11によって全体の温度を急速に制御して、電池モジュールに対する急速な温度調整を実現することができる。ポリウレタンは、軽量、防音、断熱性能に優れ、耐薬品性に優れ、電気特性に優れ、加工しやすく、吸水率が低く、保温材料として用いられると、優れた安定性を有する。同様に、ホスホエノールピルビン酸又はポリ塩化ビニルも優れた保温性能を有する。
【0044】
好ましくは、上記温度制御層11は、第1の温度制御層111と、第2の温度制御層112と、を含み、上記第1の温度制御層111及び上記第2の温度制御層112が係合されて流路構造を形成し、上記流路構造は、液体マトリックスを流す。
【0045】
具体的には、図2に示すように、第1の温度制御層111及び第2の温度制御層112が係合されて流路構造を形成し、液体マトリックス(例えば、冷却液)を流し、降温又は昇温の作用をよりよく実現することができる。第1の温度制御層111及び第2の温度制御層112は、ロー付け溶接により、温度制御パネル1全体の信頼性を保証することができる。
【0046】
本開示の第2の態様に係る電池パックは、トレイ2と、電池モジュールと、第1の態様に記載の複合温度制御パネル1と、を含み、上記トレイ2は、上記取付部121に接続され、上記複合温度制御パネル1とともに密閉されたキャビティを形成し、上記電池モジュールは、上記キャビティ内の温度制御層11に設置される。
【0047】
具体的には、図3及び図4に示すように、上記トレイ2は、本実施例における複合冷却パネルに接合されて、密閉されたキャビティを形成し、電池モジュールが上記キャビティ内に配置されて温度制御層11と接触し、電池モジュールが動作するとき、温度制御パネル1は、電池モジュールに対して良好な降温又は昇温の作用を果たし、電池モジュールの正常な動作を保証し、電池の温度が高すぎるか又は低すぎることによる損傷を防止することができ、また、複合温度制御パネル1は、保温性能に優れ、電池モジュールを安定した温度を有する動作環境にすることができる。一方、本開示における複合温度制御パネル1は、より高い強度を有し、外側には、強度のより高い保護層がさらに設置されるため、電池パック全体の剛性を向上させ、外部環境による衝撃、例えば外部打撃などに効果的に抵抗し、電池パックの耐用年数を延ばす。
【0048】
好ましくは、上記トレイ2と上記取付部121とは、シーラント及び締結具21の組み合わせにより接続される。
【0049】
具体的には、図5に示すように、従来の溶接方式は、トレイ2と温度制御パネル1との接続箇所の耐用年数を短くしやすく、本開示における取付部121の設置により、温度制御パネル1とトレイ2との接続の信頼性を強化する。また、締結具21及びシーラントにより接続箇所を補強し、両者の接続をより強固にする。
【0050】
好ましくは、上記トレイ2には、シーラント収容溝22が設置され、上記シーラントは、上記シーラント収容溝22内に充填される。
【0051】
具体的には、図5に示すように、温度制御パネル1とトレイ2とをシーラントにより密閉するとき、トレイ2にシーラント収容溝22を設置して、シーラントをシーラント収容溝22に充填して接着することができ、このようにして、接着過程においてシーラントが押圧により他の接続不要部分に充填されるか又は他の構造に押し込まれることを防止して、接着品質を向上させることができる。
【0052】
上記実施例では、各実施例の間の相違点が重点的に説明され、各実施例の間の異なる最適な特徴は、矛盾しない限り、組み合わせてより好ましい実施例を構成することができ、簡潔性を考慮した上、ここでは、説明を省略する。
【0053】
例を挙げて本開示のいくつかの特定の実施例を詳細に説明したが、当業者であれば、以上の例が説明するためのものに過ぎず、本開示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。当業者であれば、本開示の範囲及び趣旨から逸脱しない場合、以上の実施例を修正できることを理解すべきである。本開示の範囲は、添付した特許請求の範囲によって限定される。
【符号の説明】
【0054】
1 温度制御パネル
11 温度制御層
111 第1の温度制御層
112 第2の温度制御層
12 断熱層
121 取付部
13 発泡層
14 防護層
2 トレイ
21 締結具
22 シーラント収容溝
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】