(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】データを転送するための通信アダプタ及び方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/372 20060101AFI20240628BHJP
A61N 1/362 20060101ALI20240628BHJP
A61N 1/378 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61N1/372
A61N1/362
A61N1/378
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562894
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2022066676
(87)【国際公開番号】W WO2023285074
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512158181
【氏名又は名称】バイオトロニック エスエー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】BIOTRONIK SE & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Woermannkehre 1 12359 Berlin Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドーア、トーマス
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053KK02
4C053KK07
(57)【要約】
本発明は、通信アダプタ1、101、並びに、埋め込み型医療デバイス10、特にペースメーカ、除細動器及び/又は神経刺激器、とモバイル・デバイス12、特にスマートフォン又はタブレット、との間でデータD1、D2を転送するための埋め込み型医療デバイス10と使用するためのコンピュータ実施方法に関する。加えて、本発明は、通信アダプタ1、101を備える、保護ケース22及び通信アダプタ・システムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み型医療デバイス(10)、特にペースメーカ、除細動器及び/又は神経刺激器、とモバイル・デバイス(12)、特にスマートフォン又はタブレット、との間でデータ(D1、D2)を転送するための前記埋め込み型医療デバイス(10)と使用するための通信アダプタ(1)であって、
前記通信アダプタ(1)と前記埋め込み型医療デバイス(10)との間のデータ転送のためのMICSテレメトリ・インターフェース(14、114)と、
前記通信アダプタ(1)と前記モバイル・デバイス(12)との間のデータ転送のためのモバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェース(24、124)、特にブルートゥース(登録商標)LEインターフェース、であって、前記通信アダプタ(1)が、エネルギ源(26、126)、特にバッテリ又は誘導エネルギ源、によって電力を供給されるように構成され、前記通信アダプタ(1)が、前記モバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェース(24、124)を介して前記モバイル・デバイス(12)に前記埋め込み型医療デバイス(10)によって前記MICSテレメトリ・インターフェース(14、114)を介して送られたデータ(D1)を転送するように及び前記MICSテレメトリ・インターフェース(14、114)を介して前記埋め込み型医療デバイス(10)に前記モバイル・デバイス(12)によって前記モバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェース(24、124)を介して送られたデータ(D2)を転送するように構成される、モバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェース(24、124)と
を備える、通信アダプタ(1)。
【請求項2】
前記通信アダプタ(1)が、MICS帯域通信のための第1の暗号化及び/又は認証方法とモバイル・デバイス・ワイヤレス通信のための第2の暗号化及び/又は認証方法とを使用するように構成された、請求項1に記載の通信アダプタ。
【請求項3】
前記MICSテレメトリ・インターフェース(14、114)が、前記MICSテレメトリ・インターフェース(14、114)と前記埋め込み型医療デバイス(10)との間の通信を暗号化するように構成された暗号化ユニット(14a1、114a1)、特にハードウェア及び/又はソフトウェアベースの暗号化ユニット(14a1、114a1)、を備えるMICS帯域無線モジュール(14a、114a)を備える、請求項1又は2に記載の通信アダプタ。
【請求項4】
前記通信アダプタ(1)が、前記通信アダプタ(1)及び/又は前記埋め込み型医療デバイス(10)のデータ記憶ユニット(32、132)に記憶された患者関連データにアクセスするために前記モバイル・デバイス(12)のユーザを認証するように構成された認証ユニット(14a2、114a2)、特にハードウェア及び/又はソフトウェアベースの認証ユニット(14a2、114a2)、を備える、請求項1から3までのいずれか一項に記載の通信アダプタ。
【請求項5】
前記通信アダプタ(1)が、少なくとも第1のMICS帯域アンテナ(28、128)、第2のMICS帯域アンテナ(30、130)及びブルートゥース(登録商標)帯域アンテナ(25、125)を備える、又はそれらに接続される、請求項1から4までのいずれか一項に記載の通信アダプタ。
【請求項6】
前記通信アダプタ(1)が、前記モバイル・デバイス(12)の保護ケース(22)に統合可能である、請求項1から5までのいずれか一項に記載の通信アダプタ。
【請求項7】
前記通信アダプタ(1)が、前記モバイル・デバイス(12)のリバース・ワイヤレス充電機能を用いて、特にQi標準に従って、電力を供給されるように構成された、請求項1から6までのいずれか一項に記載の通信アダプタ。
【請求項8】
前記通信アダプタ(1)が、少なくとも一時的に情報を記憶する並びに後でそれを前記埋め込み型医療デバイス(10)及び/又は前記モバイル・デバイス(12)に転送するように構成された不揮発性バッファ(23、123)を備える、請求項1から7までのいずれか一項に記載の通信アダプタ。
【請求項9】
前記通信アダプタ(1)が、前記エネルギ源(126)が交換可能又は再充電可能であるようになされた、請求項1から8までのいずれか一項に記載の通信アダプタ。
【請求項10】
前記通信アダプタ(1)が、前記モバイル・デバイス(12)への1秒未満、特に0.1秒未満、のレイテンシを有するマルチチャネルECGデータ伝送をサポートするように構成され、MICS通信の最高データ速度が、少なくとも190kbit/sである、請求項1から9までのいずれか一項に記載の通信アダプタ。
【請求項11】
モバイル・デバイス(12)に取り付け可能な接着フィルム(34)と、前記第1のMICS帯域アンテナ(28)、前記第2のMICS帯域アンテナ(30)及び前記ブルートゥース(登録商標)帯域アンテナ(25、125)を備える又はそれらに接続された、請求項1から10までのいずれか一項に記載の前記通信アダプタ(1)とを備える通信アダプタ・システムであって、前記第1のMICS帯域アンテナ(28)、前記第2のMICS帯域アンテナ(30)及び前記ブルートゥース(登録商標)帯域アンテナ(25、125)が、前記接着フィルム(34)の表面に配置された、通信アダプタ・システム。
【請求項12】
モバイル・デバイス(12)、特にスマートフォン又はタブレット・コンピュータ、の縁の周りに取り付け可能なフレーム及び請求項1から10までのいずれか一項に記載の通信アダプタ(1)を備える前記モバイル・デバイス(12)のための保護ケース(22)、特にQi互換バッテリケース。
【請求項13】
通信アダプタ(1)を用いて埋め込み型医療デバイス(10)、特にペースメーカ、除細動器及び/又は神経刺激器、とモバイル・デバイス(12)、特にスマートフォン又はタブレット・コンピュータ、との間でデータ(D1、D2)を転送するためのコンピュータ実施方法であって、
前記通信アダプタ(1、101)と前記埋め込み型医療デバイス(10)との間のデータ転送のためのMICSテレメトリ・インターフェース(14、114)を提供するステップ(S1)と、
前記通信アダプタ(1)と前記モバイル・デバイス(12)との間のデータ転送のためのモバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェース(24、124)、特にブルートゥース(登録商標)LEインターフェース、を提供するステップ(S2)と、
前記通信アダプタ(1)に電力を供給するように構成されたエネルギ源(26、126)、特にバッテリ又は誘導エネルギ源、を提供するステップ(S3)であって、前記通信アダプタ(1)が、前記モバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェース(24、124)を介して前記モバイル・デバイス(12)に前記埋め込み型医療デバイス(10)によって前記MICSテレメトリ・インターフェース(14、114)を介して送られたデータ(D1)を転送し(S4)、前記MICSテレメトリ・インターフェース(14、114)を介して前記埋め込み型医療デバイス(10)に前記モバイル・デバイス(12)によって前記モバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェース(24、124)を介して送られたデータ(D2)を転送する(S5)、提供するステップ(S3)と
を含む、方法。
【請求項14】
前記コンピュータ・プログラムがコンピュータにおいて実行されるときに請求項13に記載の方法を実行するためのプログラム・コードを有するコンピュータ・プログラム。
【請求項15】
前記コンピュータ・プログラムがコンピュータにおいて実行されるときに請求項13に記載の方法を実行するためのコンピュータ・プログラムのプログラム・コードを含むコンピュータ可読データ・キャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋め込み型医療デバイス、特にペースメーカ、除細動器及び/又は神経刺激器、とモバイル・デバイス、特にスマートフォン又はタブレット・コンピュータ、との間でデータを転送するために埋め込み型医療デバイスと使用するための通信アダプタに関する。
【0002】
さらに、本発明は、通信アダプタをそれぞれ備える、通信アダプタ・システム及び保護ケースに関する。
【0003】
加えて、本発明は、通信アダプタを用いて埋め込み型医療デバイス、特にペースメーカ、除細動器及び/又は神経刺激器、とモバイル・デバイス、特にスマートフォン又はタブレット・コンピュータ、との間でデータを転送するためのコンピュータ実施方法に関する。
【背景技術】
【0004】
欧州特許出願公開第1762955A1号明細書は、医療又は治療用デバイスとデバイスの操作パラメータ又は測定データを表示するための及び/又はデバイスを操作するためのコンピュータとの間でデータを転送するための携帯用移動式医療又は治療用デバイス、特にグルコース代謝障害の診断又は治療のためのデバイス、と使用するための通信アダプタを開示し、そこで、医療又は治療用デバイスは、デバイスを制御するためのデバイス・プロセッサと、通信アダプタとのデバイス・プロセッサの通信のためのデバイス・アダプタ・インターフェースとを備え、そこで、通信アダプタは、通信アダプタを制御するためのアダプタ・プロセッサ、デバイスとの通信アダプタの通信のためのアダプタ・デバイス・インターフェース、コンピュータのコンピュータ・インターフェースとのアダプタ・プロセッサの通信のためのアダプタ・コンピュータ・インターフェース、及び、関連伝送プロトコルを有するデバイス・ドライバを備える。
【0005】
スマートフォンなどのモバイル・デバイスと通信することができるインプラント・システムは、通常は、ブルートゥース(登録商標)・ロー・エネルギ・インターフェースを備えている。
【0006】
インプラントにおけるブルートゥース(登録商標)・ロー・エネルギ・インターフェースの不利点は、一方では、特に接続が頻繁に確立される場合、このテレメトリ機能の電力消費の増加であり、他方では、経時的なスマートフォン側でのブルートゥース(登録商標)・ロー・エネルギ伝送プロトコルの変化する標準化及び起こり得る中断である。
【0007】
したがって、インプラントのブルートゥース(登録商標)・ロー・エネルギ・インターフェースと通信することができる適切なスマートフォンが、通常は15年であるインプラントの動作寿命にわたって利用可能でない、というリスクが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1762955A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、低エネルギ消費を提供する及びその動作寿命を通してインプラントのインターフェースと通信することができる埋め込み型医療デバイスと使用するための改良された通信アダプタを提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本目的は、埋め込み型医療デバイス、特にペースメーカ、除細動器及び/又は神経刺激器、とモバイル・デバイス、特に請求項1の特徴を有するスマートフォン又はタブレット・コンピュータ、との間でデータを転送するために埋め込み型医療デバイスと使用するための通信アダプタによって解決される。
【0011】
本目的はさらに、請求項11の特徴を有する通信アダプタ・システム及び請求項12の特徴を有する保護ケースによって、解決される。
【0012】
加えて、本目的は、請求項13の特徴を有する通信アダプタを用いて埋め込み型医療デバイス、特にペースメーカ、除細動器及び/又は神経刺激器、とモバイル・デバイス、特にスマートフォン又はタブレット・コンピュータ、との間でデータを転送するためのコンピュータ実施方法によって解決される。
【0013】
さらに、本目的は、請求項14の特徴を有するコンピュータ・プログラム及び請求項15の特徴を有するコンピュータ可読データ・キャリアによって解決される。
【0014】
さらなる開発及び有利な実施例が、従属請求項において定義される。
【0015】
本発明は、埋め込み型医療デバイス、特にペースメーカ、除細動器及び/又は神経刺激器、とモバイル・デバイス、特にスマートフォン又はタブレット、との間でデータを転送するために埋め込み型医療デバイスと使用するための通信アダプタを提供する。
【0016】
前記通信アダプタは、通信アダプタと埋め込み型医療デバイスとの間のデータ転送のためのMICSテレメトリ・インターフェースを備える。
【0017】
さらに、前記通信アダプタは、通信アダプタとモバイル・デバイスとの間のデータ転送のためのモバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェース、特にブルートゥース(登録商標)LEインターフェース(ブルートゥース(登録商標)・ロー・エネルギ・インターフェース)、と、通信アダプタに電力を供給するように構成されたエネルギ源、特にバッテリ、とを備え、そこで、通信アダプタは、埋め込み型医療デバイスによってMICSテレメトリ・インターフェースを介して送られたデータをモバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェースを介してモバイル・デバイスに転送するように及びモバイル・デバイスによってモバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェースを介して送られたデータをMICSテレメトリ・インターフェースを介して埋め込み型医療デバイスに転送するように構成される。
【0018】
さらに、本発明は、第1のMICS帯域アンテナ、第2のMICS帯域アンテナ、及びブルートゥース(登録商標)帯域アンテナを備える又はそれらに接続された、モバイル・デバイスに取り付け可能な接着フィルム及び本発明による通信アダプタを備える通信アダプタ・システムを提供し、そこで、第1のMICS帯域アンテナ、第2のMICS帯域アンテナ及びブルートゥース(登録商標)帯域アンテナは、接着フィルムの表面に配置される。通信アダプタは、有利には、標準スマートフォン・ケースの後ろに挿入され得るように、薄く形成される。
【0019】
加えて、本発明は、モバイル・デバイス、特にスマートフォン又はタブレット・コンピュータ、の縁の周りに取り付け可能なフレームを備えるモバイル・デバイスのための保護ケース、特にQi互換バッテリケース、及び通信アダプタを提供する。
【0020】
さらに、本発明は、通信アダプタを用いて埋め込み型医療デバイス、特にペースメーカ、除細動器及び/又は神経刺激器、とモバイル・デバイス、特にスマートフォン又はタブレット・コンピュータ、との間でデータを転送するためのコンピュータ実施方法を提供する。
【0021】
本方法は、通信アダプタと埋め込み型医療デバイスとの間のデータ転送のためのMICSテレメトリ・インターフェースを提供することを含む。
【0022】
本方法はさらに、通信アダプタとモバイル・デバイスとの間のデータ転送のためのモバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェース、特にブルートゥース(登録商標)LEインターフェース、を提供することと、通信アダプタに電力を供給するように構成されたエネルギ源、特にバッテリ、を提供することであって、通信アダプタが、モバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェースを介してモバイル・デバイスに埋め込み型医療デバイスによってMICSテレメトリ・インターフェースを介して送られたデータを転送し、MICSテレメトリ・インターフェースを介して埋め込み型医療デバイスにモバイル・デバイスによってモバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェースを介して送られたデータを転送する、提供することとを含む。
【0023】
本発明のアイディアは、モバイル・デバイスの通信標準、すなわち、ブルートゥース(登録商標)・ロー・エネルギ、を埋め込み型医療デバイスの通信、すなわちMICS帯域テレメトリ、に変換する通信アダプタを提供することである。MICS帯域テレメトリを使用して、埋め込み型医療デバイスは、それにより、通常は15年であるインプラントの動作寿命を通してスマートフォンなどのモバイル・デバイスと簡単に安価に通信することができる。したがって、経時的なスマートフォン側でのブルートゥース(登録商標)・ロー・エネルギ伝送プロトコルの更新を理由とする変化する標準化及び/又は互換性の問題に起因する潜在的問題は、MICS帯域テレメトリだけを使用する埋め込み型医療デバイスに影響しない。
【0024】
純粋に治療用のインプラント/埋め込み型医療デバイスの一実例は、たとえば、脳深部刺激(たとえば、パーキンソン病の治療又は鬱病の治療)のための刺激器/電極である。その治療は、刺激器から診断データを収集しないパルス列の配信から成る。
【0025】
純粋に診断のインプラントの一実例は、たとえば、心調律モニタである。診断機能は、患者のECGの連続的記録及び心拍リズムの異常の自動評価から成る。そのようなものが検出された場合、ECG記録は、記憶され、通常は自動的にリモート・モニタリング・システムに送信される。
【0026】
治療及び診断機能を有するインプラントの一実例は、たとえば、心臓ペースメーカである。ペースメーカは、通常は、右上胸部において皮下に移植され、電極は、大静脈を介して患者の心臓に配置される。治療機能は、患者に自発的な心臓の動きがないことを条件として、心臓の動きをトリガするために刺激パルスを届けることから成る。診断機能は、たとえば、患者のECGの連続的記録及び心拍リズムの異常の自動評価から成る。そのようなものが検出された場合、ECG記録が、記憶され、通常は自動的にリモート・モニタリング・システムに送信される。
【0027】
本発明の一態様によれば、通信アダプタは、MICS帯域通信のための第1の暗号化及び/又は認証方法と、モバイル・デバイス・ワイヤレス通信のための第2の暗号化及び/又は認証方法とを使用するように構成される。したがって、モバイル・デバイスと埋め込み型医療デバイスとの間の認証された安全な通信が、提供され得る。
【0028】
本発明のさらなる態様によれば、MICSテレメトリ・インターフェースは、MICSテレメトリ・インターフェースと埋め込み型医療デバイスとの間の通信を暗号化するように構成された暗号化ユニット、特にハードウェア及び/又はソフトウェアベースの暗号化ユニット、を備えるMICS帯域無線モジュールを備える。したがって、モバイル・デバイスと埋め込み型医療デバイスとの間の通信は、より安全にされ得る。
【0029】
本発明のさらなる態様によれば、通信アダプタは、通信アダプタ及び/又は埋め込み型医療デバイスのデータ記憶ユニットに記憶された患者関連のデータにアクセスするためにモバイル・デバイスのユーザを認証するように構成された認証ユニット、特にハードウェア及び/又はソフトウェアベースの認証ユニット、を備える。モバイル・デバイスのユーザを認証することによって、埋め込み型医療デバイスへのアクセスは、認証されたユーザのみに制限され得る。これは、セキュリティの付加的層を提供する。
【0030】
本発明のさらなる態様によれば、通信アダプタは、少なくとも第1のMICS帯域アンテナ、第2のMICS帯域アンテナ及びブルートゥース(登録商標)帯域アンテナを備える、又はそれらに接続される。これは、アンテナ・ダイバーシティの利点を提供する。
【0031】
本発明のさらなる態様によれば、通信アダプタは、モバイル・デバイスの保護ケースに統合可能である。このようにして、通信アダプタを収容するための追加空間は必要とされない。
【0032】
本発明のさらなる態様によれば、通信アダプタは、モバイル・デバイスのリバース・ワイヤレス充電機能、特にQi標準による、を用いて電力を供給されるように構成される。したがって、通信アダプタは、有利には、リバース・ワイヤレス充電を用いてエネルギを供給され得る。したがって、コードベースの電源は必要ない。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、通信アダプタは、少なくとも一時的に情報を記憶してそれを後で埋め込み型医療デバイス及び/又はモバイル・デバイスに転送するように構成された不揮発性バッファを備える。したがって、通信アダプタは、それの機能のために同時にインプラント及びモバイル・デバイスに接続されなくてもよく、すなわち、通信アダプタは、一時的に情報を記憶して後でそれを転送するために、不揮発性バッファを含む。
【0034】
本発明のさらなる態様によれば、通信アダプタは、エネルギ源が交換可能又は再充電可能であるように、なされる。これは、使いやすさを可能にし、必要に応じたエネルギ源の交換を容易にする。
【0035】
本発明のさらなる態様によれば、通信アダプタは、モバイル・デバイスへの1秒未満、特に0.1秒未満、のレイテンシを有するマルチチャネルECGデータ伝送をサポートするように構成され、そこで、MICS通信の最高データ速度は、少なくとも190kbit/sである。これは、有利には、埋め込み型医療デバイスとモバイル・デバイスとの間の効率的で効果的なデータ転送を可能にする。
【0036】
埋め込み型医療デバイスと使用するための通信アダプタの本明細書に記載の特徴はまた、埋め込み型医療デバイスとモバイル・デバイスとの間でデータを転送するためのコンピュータ実施方法について開示され、逆もまた同様である。
【0037】
本発明及びその利点のより完全な理解のために、添付の図面と併せて理解される以下の記述がここで参照される。本発明は、図面の概略図において指定される、例示的実施例を使用して後述でさらに詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の第1の及び第2の実施例による埋め込み型医療デバイスと使用するための通信アダプタの概略図を示す。
【
図2】本発明の第1の実施例による埋め込み型医療デバイスと使用するための通信アダプタの概略図を示す。
【
図3】本発明の第2の実施例による埋め込み型医療デバイスと使用するためのキー・ホブとして実装される通信アダプタの概略図を示す。
【
図4】本発明の第1の及び第2の実施例による埋め込み型医療デバイスとモバイル・デバイスとの間でデータを転送するためのコンピュータ実施方法の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
埋め込み型医療デバイス10、特にペースメーカ、除細動器及び/又は神経刺激器、とモバイル・デバイス12、特にスマートフォン又はタブレット、との間でデータD1、D2を転送するための埋め込み型医療デバイス10と使用するための
図1の通信アダプタ1は、通信アダプタ1と埋め込み型医療デバイス10との間のデータ転送のためのMICSテレメトリ・インターフェース14を備える。
【0040】
通信アダプタ1はさらに、通信アダプタ1とモバイル・デバイス12との間のデータ転送のためのモバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェース24、特にブルートゥース(登録商標)LEインターフェース、を備える。別法として、Wi-Fi、ブルートゥース(登録商標)又はモバイル・デバイスによってサポートされる任意の他の伝送プロトコルなどの任意の他の適切なワイヤレス伝送プロトコルが、使用され得る。通信アダプタ1はさらに、エネルギ源26、特にバッテリ又は誘導エネルギ源、によって電力を供給されるように構成される。
【0041】
通信アダプタ1は、モバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェース24を介してモバイル・デバイス12に埋め込み型医療デバイス10によってMICSテレメトリ・インターフェース14を介して送られたデータD1を転送するように及びMICSテレメトリ・インターフェース14を介して埋め込み型医療デバイス10にモバイル・デバイス12によってモバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェース24を介して送られたデータD2を転送するように構成される。
【0042】
加えて、通信アダプタ1は、モバイル・デバイス・ワイヤレス通信のためのMICS帯域通信のための第1の暗号化及び/又は認証方法及び第2の暗号化及び/又は認証方法を使用するように構成される。
【0043】
図2は、本発明の第1の実施例による埋め込み型医療デバイスと使用するための通信アダプタの概略図を示す。
【0044】
MICSテレメトリ・インターフェース14は、MICSテレメトリ・インターフェース14と埋め込み型医療デバイス10との間の通信を暗号化するように構成された暗号化ユニット14a1、特にハードウェア及び/又はソフトウェアベースの暗号化ユニット14a1、を備えるMICS帯域無線モジュール14aを備える。
【0045】
通信アダプタ1は、通信アダプタ1及び/又は埋め込み型医療デバイス10のデータ記憶ユニット32に記憶された患者関連のデータにアクセスするためにモバイル・デバイス12のユーザを認証するように構成された認証ユニット14a2、特にハードウェア及び/又はソフトウェアベースの認証ユニット14a2、を備える。
【0046】
さらに、通信アダプタ1は、少なくとも第1のMICS帯域アンテナ28、第2のMICS帯域アンテナ30及びブルートゥース(登録商標)帯域アンテナ25を備える、又はそれらに接続される。
【0047】
通信アダプタ1は、特にQi標準に従って、モバイル・デバイス12のリバース・ワイヤレス充電機能を用いて電力を供給されるように構成される。
【0048】
さらに、通信アダプタ1は、少なくとも一時的に情報を記憶する及び後で埋め込み型医療デバイス10及び/又はモバイル・デバイス12にそれを転送するように構成された不揮発性バッファ23を備える。
【0049】
通信アダプタ1は、モバイル・デバイス12への1秒未満、特に0.1秒未満、のレイテンシを有するマルチチャネルECGデータ伝送をサポートするように構成され、そこで、MICS通信の最高データ速度は、少なくとも190kbit/sである。通信アダプタ1はさらに、サーチ・ブロック・トリガとして知られるMICS通信を確立する極度に低電力の方法をサポートする。それの電力消費は、通信を確立するための埋め込み型医療デバイスの使用可能電力の2%未満である。
【0050】
通信アダプタ1はさらに、クラウドにおいて動作されるプログラマを有するインプラントのリモート・プログラミングなどの5G技術の低レイテンシによって可能にされる接続されたモバイル・デバイスの5G接続における使用事例をサポートするように構成される。通信アダプタ1は、それの機能のために同時に埋め込み型医療デバイス10及びモバイル・デバイス12に接続される。
【0051】
図2に示す通信アダプタ・システムは、第1のMICS帯域アンテナ28、第2のMICS帯域アンテナ30及びブルートゥース(登録商標)帯域アンテナ25を備えた又はそれらに接続された、モバイル・デバイス12に取り付け可能な接着フィルム34及び通信アダプタ1を備え、そこで、第1のMICS帯域アンテナ28、第2のMICS帯域アンテナ30及びブルートゥース(登録商標)帯域アンテナ25は、接着フィルム34の表面に配置される。
【0052】
通信アダプタ1はさらに、第1の実施例によればモバイル・デバイス12の誘導コイルによって与えられる誘導エネルギ源である、エネルギ源26によって電力を供給されるように構成される。
【0053】
通信アダプタ1はさらに、モバイル・デバイス12の保護ケース22に統合可能である。モバイル・デバイス12の保護ケース22、特にQi互換バッテリケース、は、モバイル・デバイス12、特にスマートフォン又はタブレット・コンピュータ、の縁の周りに取り付け可能なフレームと、通信アダプタ1とを備える。別法として、通信アダプタ1は、USBケーブルに統合され得る。
【0054】
図3は、本発明の第4の実施例による埋め込み型医療デバイスと使用するためのキー・ホブとして実装されている通信アダプタ101の概略図を示す。通信アダプタ101は、それを通してキー・リング又はホルダが挿入され得る、開口部102を備える。
【0055】
通信アダプタ101は、埋め込み型医療デバイス10とモバイル・デバイス12、特にスマートフォン又はタブレット、との間でデータD1、D2を転送する能力を有する。
【0056】
通信アダプタ101は、通信アダプタ101と埋め込み型医療デバイス10との間のデータ転送のためのMICSテレメトリ・インターフェース114を備える。通信アダプタ101はさらに、通信アダプタ101とモバイル・デバイス12との間のデータ転送のためのモバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェース124と、通信アダプタ101に電力を供給されるように構成されたエネルギ源126、特にバッテリ、とを備える。通信アダプタ101は、エネルギ源126が交換可能又は再充電可能であるようになされる。
【0057】
通信アダプタ101は、モバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェース124を介してモバイル・デバイス12に埋め込み型医療デバイス10によってMICSテレメトリ・インターフェース114を介して送られたデータD1を転送するように及びMICSテレメトリ・インターフェース114を介して埋め込み型医療デバイス10にモバイル・デバイス12によってモバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェース124を介して送られたデータD2を転送するように構成される。
【0058】
MICSテレメトリ・インターフェース114は、MICSテレメトリ・インターフェース114と埋め込み型医療デバイス10との間の通信を暗号化するように構成された暗号化ユニット114a1、特にハードウェア及び/又はソフトウェアベースの暗号化ユニット114a1、を備えるMICS帯域無線モジュール114aを備える。
【0059】
通信アダプタ101は、少なくとも第1のMICS帯域アンテナ128、第2のMICS帯域アンテナ130及びブルートゥース(登録商標)帯域アンテナ125を備える、又はそれらに接続される。
【0060】
通信アダプタ101は、通信アダプタ101及び/又は埋め込み型医療デバイス10のデータ記憶ユニット132に記憶された患者関連のデータにアクセスするためにモバイル・デバイス12のユーザを認証するように構成された認証ユニット114a2、特にハードウェア及び/又はソフトウェアベースの認証ユニット114a2、を備える。
【0061】
図4は、通信アダプタ1を用いて、埋め込み型医療デバイス10、特にペースメーカ、除細動器及び/又は神経刺激器、とモバイル・デバイス12、特にスマートフォン又はタブレット・コンピュータ、との間でデータD1、D2を転送するためのコンピュータ実施方法の流れ図を示す。
【0062】
本方法は、通信アダプタ1と埋め込み型医療デバイス10との間のデータ転送のためのMICSテレメトリ・インターフェース14を提供することS1と、通信アダプタ1とモバイル・デバイス12との間のデータ転送のためのモバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェース24を提供することS2とを含む。
【0063】
さらに、本方法は、通信アダプタ1に電力を供給されるように構成されたエネルギ源26、特にバッテリ又は誘導エネルギ源、を提供することS3を含む。通信アダプタ1は、モバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェース24を介してモバイル・デバイス12に埋め込み型医療デバイス10によってMICSテレメトリ・インターフェース14を介して送られたデータD1を転送しS4、MICSテレメトリ・インターフェース14を介して埋め込み型医療デバイス10にモバイル・デバイス12によってモバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェース24を介して送られたデータD2を転送するS5。
【符号の説明】
【0064】
1、101 通信アダプタ
10 埋め込み型医療デバイス
12 モバイル・デバイス
14、114 MICSテレメトリ・インターフェース
14a、114a MICS帯域無線モジュール
14a1、114a1 暗号化ユニット
14a2、114a2 認証ユニット
22 保護ケース
23 不揮発性バッファ
24、124 モバイル・デバイス・ワイヤレス伝送インターフェース
25、125 ブルートゥース(登録商標)帯域アンテナ
26、126 エネルギ源
28、128 第1のMICS帯域アンテナ
30、130 第2のMICS帯域アンテナ
32、132 データ記憶ユニット
34 接着フィルム
102 開口部
D1、D2 データ
S1~S5 方法ステップ
【国際調査報告】