(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】埋込み式絶縁サーマルコネクタおよびそれを含む回路基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
H05K1/02 Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563245
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 US2022035088
(87)【国際公開番号】W WO2023278303
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523271583
【氏名又は名称】キョーセラ・エーブイエックス・コンポーネンツ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】コリー・ネルソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフ・ボーグマン
(72)【発明者】
【氏名】マリアンヌ・ベロリニ
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA18
5E338BB05
5E338CC06
5E338CC08
5E338EE02
(57)【要約】
ヒートシンク部品は、非導電性である熱伝導材料を有する本体と、本体の底面に被せて形成されてグランドプレーン層と電気的に接続された下部導電層と、本体の上面に被せて形成された上部電導電層とを備えることができる。ヒートシンク部品は、本体の上面と平行をなすX軸方向に長さを、上面と垂直な方向に厚さを有することができる。厚さに対する長さの比は略7を超えることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性の熱伝導材料を備える本体と、
前記本体の底面に被せて形成され、グランドプレーン層と電気的に接続された下部導電層と、
前記本体の上面に被せて形成された上部導電層と
を備えるヒートシンク部品であって、
前記本体の前記上面と平行をなすX方向に長さを、前記上面と垂直な方向に厚さを有し、前記厚さに対する前記長さの比が略7を超える、ヒートシンク部品。
【請求項2】
前記本体の前記上面、前記底面または側面の少なくとも1つに形成された少なくとも1つの薄膜部品をさらに備える、請求項1に記載のヒートシンク部品。
【請求項3】
前記少なくとも1つの薄膜部品が、レジスタ、バリスタ、キャパシタまたはインダクタのうちの1つまたは複数を備える、請求項2に記載のヒートシンク部品。
【請求項4】
前記ヒートシンク部品の前記本体の前記上面に被せて形成された少なくとも1つの追加の上部導電層をさらに備え、前記少なくとも1つの追加の上部導電層が前記上面で前記上部導電層から間隔をあけられている、請求項1に記載のヒートシンク部品。
【請求項5】
前記少なくとも1つの追加の上部導電層と前記上部導電層が、前記上面に繰返しパターンで配置される、請求項4に記載のヒートシンク部品。
【請求項6】
前記上部導電層が略1ミクロンを超えるZ方向の厚さを有する、請求項1に記載のヒートシンク部品。
【請求項7】
前記ヒートシンク部品が、前記X方向と垂直で上面と平行をなすY方向に幅を有しており、前記ヒートシンク部品の前記長さに対するヒートシンク部品の前記幅の比が0.2から5までの範囲にある、請求項1に記載のヒートシンク部品。
【請求項8】
前記ヒートシンク部品が、略22℃で略150W/m・℃から略300W/m・℃までの熱伝導度をもつ材料を含む、請求項1に記載のヒートシンク部品。
【請求項9】
前記ヒートシンク部品が窒化アルミニウムを含む、請求項1に記載のヒートシンク部品。
【請求項10】
前記ヒートシンク部品が酸化ベリリウムを含む、請求項1に記載のヒートシンク部品。
【請求項11】
前記ヒートシンク部品の前記厚さが略250ミクロン未満である、請求項1に記載のヒートシンク部品。
【請求項12】
実装面を備える基板と、
前記実装面から間隔をあけたグランドプレーン層と、
少なくとも部分的に前記基板内に埋め込まれたヒートシンク部品であって、
非導電性の熱伝導材料を備える本体、
前記本体の底面に被せて形成されて前記グランドプレーン層と電気的に接続された下部導電層、および
前記本体の上面に被せて形成された上部導電層
を備える、ヒートシンク部品と、
前記上部導電層に電気的に接続され、前記実装面の方へ延びるビアと
を含む、回路基板。
【請求項13】
前記ヒートシンク部品の前記下部導電層が前記グランドプレーン層に直接接する、請求項12に記載の回路基板。
【請求項14】
前記下部導電層を前記グランドプレーン層と電気的に接続する少なくとも1つの追加のビアをさらに備える、請求項12に記載の回路基板。
【請求項15】
前記実装面にヒートシンク端子をさらに備え、前記ビアが前記上部導電層から前記実装面まで延びて前記ヒートシンク端子と接続する、請求項12に記載の回路基板。
【請求項16】
前記ヒートシンク部品が、前記本体の前記上面、前記底面または側面の少なくとも1つに形成された少なくとも1つの薄膜部品をさらに備える、請求項12に記載の回路基板。
【請求項17】
前記ヒートシンク部品が、前記基板の前記実装面と平行な方向に長さを、前記実装面と垂直な方向に厚さを有し、前記厚さに対する前記長さの比が略7を超える、請求項12に記載の回路基板。
【請求項18】
前記ヒートシンク部品の前記本体の前記上面に被せて形成された少なくとも1つの追加の上部導電層をさらに備え、前記少なくとも1つの追加の上部導電層が前記上面で前記上部導電層から間隔をあけられている、請求項12に記載の回路基板。
【請求項19】
前記少なくとも1つの追加の上部導電層と前記上部導電層とが、前記上面に繰返しパターンで配置される、請求項18に記載の回路基板。
【請求項20】
前記上部導電層が略1ミクロンを超えるZ方向の厚さを有する、請求項12に記載の回路基板。
【請求項21】
前記ヒートシンク部品が、X方向と垂直で上面と平行をなすY方向に幅を有しており、前記ヒートシンク部品の長さに対する前記ヒートシンク部品の前記幅の比が0.2から5の範囲である、請求項12に記載の回路基板。
【請求項22】
前記ヒートシンク部品が、略22℃で略150W/m・℃から略300W/m・℃までの熱伝導度をもつ材料を含む、請求項12に記載の回路基板。
【請求項23】
前記ヒートシンク部品が窒化アルミニウムを含む、請求項22に記載の回路基板。
【請求項24】
前記ヒートシンク部品が酸化ベリリウムを含む、請求項12に記載の回路基板。
【請求項25】
前記ヒートシンク部品の厚さが略250ミクロン未満である、請求項12に記載の回路基板。
【請求項26】
埋込みヒートシンク部品を含む回路基板を製造する方法において、
実装面を備える基板であって、前記実装面から間隔をあけたグランドプレーン層を含む基板を用意するステップと、
非導電性の熱伝導材料を備える本体の底面に被せて形成される下部導電層を形成するステップと、
前記本体の上面に被せて形成される上部導電層を形成するステップと、
前記ヒートシンク部品を少なくとも部分的に前記基板内に埋め込んで、前記ヒートシンク部品の前記下部導電層が前記グランドプレーンと電気的に接続されるようにするステップと、
前記基板を貫いて前記上部導電層まで至るビアホールを穿孔するステップと、
前記ビアホールにめっきを施して、前記上部導電層と電気的に接続されて前記基板の前記実装面の方に延びるビアを形成するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれる2021年6月28日出願の米国仮特許出願第63/215,622号の出願の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
電力増幅回路などの電気回路は通常動作の間に熱を発生する。熱の蓄積は電気回路の様々な構成要素の好ましからざる温度上昇をもたらす可能性がある。ヒートシンクに消散させるなどしてこの熱を十分に管理することができなければ、電気装置は過熱し、電気機器の損傷へと至る可能性がある。回路基板にはしばしば埋込みグランドプレーンが含まれる。ビアまたはその他の導電コネクタは、回路基板表面のヒートシンク端子からグランドプレーンへ、表面実装部品から離隔する方向の熱流を円滑化する。しかし、そうしたヒートシンク端子のヒートシンクに電気部品を直接連結することは、電気部品とグランドプレーンの間に好ましからざる電気接続を生じさせ、電気部品の動作に混乱を来す結果となる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一実施形態によれば、ヒートシンク部品は、非導電性の熱伝導材料を備える本体と、本体の底面に被せて形成されてグランドプレーン層と電気的に接続された下部導電層と、本体の上面に被せて形成された上部導電層とを備えることができる。ヒートシンク部品は、本体の上面と平行をなすX軸方向に長さを、上面と垂直な方向に厚さを有することができる。厚さに対する長さの比は略7を超えることができる。
【0004】
本発明のもう1つの実施形態によれば、回路基板は、実装面と、実装面から間隔をあけたグランドプレーン層とを含むことができる。回路基板は、少なくとも部分的に基板内に埋め込まれたヒートシンク部品を含むことができる。ヒートシンク部品は、非導電性である熱伝導材料を備える本体と、本体の底面に被せて形成されてグランドプレーン層と電気的に接続された下部導電層と、本体の上面に被せて形成された上部導電層とを備えることができる。ビアは上部導電層と電気的に接続され、さらに実装面の方に延びることができる。
【0005】
本発明のもう1つの実施形態によれば、回路基板を製造する方法は、埋込みヒートシンク部品を含むことができる。この方法は実装面を備える基板の用意を含むことができる。基板は、実装面から間隔をあけたグランドプレーン層を含むことができる。この方法は、非導電性の熱伝導材料を備える本体の底面に被せて形成される本体の下部導電層を形成するステップと、本体の上面に被せて形成される上部導電層を形成するステップと、ヒートシンク部品を少なくとも部分的に基板内に埋め込んで、ヒートシンク部品の下部導電層がグランドプレーンと電気的に接続されるようにするステップと、上部導電層まで基板を貫くビアホールを穿孔するステップと、ビアホールにめっきを施して、上部導電層と電気的に接続されて基板の実装面の方に延びるビアを形成するステップとを含むことができる。
【0006】
通常の当業者を対象とした本発明の完全かつ実施可能な開示(本発明の最良の形態を含む)は、明細書のこれ以降の部分で添付の図面を参照しながらさらに具体的に定めるとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の諸態様による回路基板の側面図である。
【
図2A】本発明の諸態様によるヒートシンク部品の上面の上部導電層の繰返しパターンの一例を示す図である。
【
図2B】本発明の諸態様によるヒートシンク部品の上面の上部導電層の繰返しパターンのもう1つの例を示す図である。
【
図3】1つまたは複数のビアがヒートシンク部品の下部導電層をグランドプレーン層と接続するようにされた回路基板の側面図である。
【
図4A】本発明の諸態様による薄膜部品を含むヒートシンク部品を備えた回路基板のもう1つの実施形態の側面図である。
【
図4B】
図4Aのヒートシンク部品上面の上部導電層の図である。
【
図5】本開示の諸態様による埋込みヒートシンク部品を備えた回路基板の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書および図面で参照文字が繰返し使用される場合、それは、本発明の同一または類似の特徴または要素を表すことを意図している。
【0009】
通常の当業者には、ここでの議論は代表的な実施形態について記したものであるにすぎず、例示的な構造の中で実体化されている本発明の幅広い態様に制限を加えることを意図したものでないことは理解されるはずである。
【0010】
一般に、本発明は、回路基板に埋め込むように構成されたヒートシンク部品、および埋込みヒートシンク部品が含まれた回路基板に関する。回路基板は、実装面を有する基板を備えることができる。回路基板は、実装面から間隔をあけたグランドプレーン層を含むことができる。ヒートシンク部品は、少なくとも部分的に基板内に埋め込むことができる。ヒートシンク部品は、非導電性である熱伝導材料を備える本体と、本体の底面に被せて形成されてグランドプレーン層と電気的に接続された下部導電層とを備えることができる。ヒートシンク部品は、本体の上面に被せて形成された上部導電層を含むことができる。1つまたは複数のビアは、上部導電層と電気的に接続されて、実装面の方に延びることができる。たとえば、そのビアは回路基板の実装面まで延びることができる。実装面には1つまたは複数の端子を形成し、それをビアに電気的に接続することができる。それら端子は、グランドプレーン層との電気的接続を提供しない実装面のヒートシンクとして働くことができる。端子は、銅、金、またはその他の適当な導電材料を含むことができる。
【0011】
一般にヒートシンク部品は回路基板内に埋め込めるようにその大きさを決定することができる。たとえば、ヒートシンク部品の厚さに対するヒートシンク部品の長さの比は略7を超えることができ、幾つかの実施形態では10を超え、幾つかの実施形態では15を超え、幾つかの実施形態では20を超え、幾つかの実施形態では100を超え、さらに幾つかの実施形態では略500を超えることができる。
【0012】
ヒートシンク部品は、基板内への回路基板の埋込みが容易となるように比較的薄いものであることができる。たとえば、ヒートシンク部品の厚さは略250ミクロン未満、幾つかの実施形態では略200ミクロン未満、幾つかの実施形態では略175ミクロン未満、さらに幾つかの実施形態では略150ミクロン未満であることができる。
【0013】
上部導電層は、ビアの形成を容易にするために比較的厚めのものにすることができる。たとえば、ビアは基板を貫いて上部導電層内に至る1つまたは複数のビアホールを穿孔することによって形成することができる。(1つまたは複数の)ビアホールは、そこにめっきを施すことによって(1つまたは複数の)ビアを形成することができ、ビアは(1つまたは複数の)上部導電層と電気的に接続され、基板の実装面の方に延びるようにされる。
【0014】
たとえば、上部導電層の厚さは略1ミクロン超から50ミクロンであることができ、幾つかの実施形態では略2ミクロンから略25ミクロンであることができ、幾つかの実施形態では略4ミクロンから略10ミクロンであることができ、さらに幾つかの実施形態では略5ミクロンから略7ミクロンであることができる。
【0015】
幾つかの実施形態では、ヒートシンク部品は少なくとも1つの薄膜部品を含むことができる。薄膜部品は、レジスタ、バリスタ、キャパシタ、インダクタ、および/またはそれらの組合せ(薄膜フィルタなど)を含むことができる。薄膜部品には、導電材料、誘電材料、抵抗材料、誘導材料、その他の材料の1つまたは複数の層であって、「薄膜」技術を用いて精密に形成された層を含むことができる。
【0016】
一例として、(1つまたは複数の)薄膜部品は薄膜バリスタを含むことができる。バリスタは、チタン酸バリウム、酸化亜鉛またはその他適当な誘電材料を含むことができる。誘電材料には、誘電材料の電圧依存抵抗を生じる、または強めるものなど、様々な添加剤が含まれてよい。たとえば、幾つかの実施形態では、添加剤に、コバルト、ビスマス、マンガンの酸化物またはそれらを組み合わせたものを含むことができる。幾つかの実施形態では、添加剤に、ガリウム、アルミニウム、アンチモン、クロム、チタン、鉛、バリウム、ニッケル、バナジウム、スズの酸化物、またはそれらを組み合わせたものを含むことができる。誘電材料には、添加物を略0.5モルパーセントから略3モルパーセント、幾つかの実施形態では、略1モルパーセントから略2モルパーセント添加することができる。誘電材料の平均粒度は誘電材料の非線形特性に寄与する可能性がある。幾つかの実施形態では、平均粒度は略1ミクロンから100ミクロン、幾つかの実施形態では、略2ミクロンから80ミクロンまでの範囲であることができる。
【0017】
もう1つの例として、(1つまたは複数の)薄膜部品は、1つまたは複数の抵抗層を含んだ薄膜レジスタを含むことができる。たとえば、抵抗層には、窒化タンタル(TaN)、ニッケルクロム(NiCr)、タンタルアルミニド、クロムシリコン、窒化チタン、チタンタングステン、タンタルタングステン、それらの材料の酸化物および/または窒化物、および/またはその他の適当な薄膜抵抗材料を含むことができる。抵抗層はあらゆる適当な厚さを有することができる。
【0018】
もう1つの例として、(1つまたは複数の)薄膜部品は、1つまたは複数の誘電体層を含んだ薄膜キャパシタを含むことができる。例として、(1つまたは複数の)誘電体層は1つまたは複数の適当なセラミックス材料を含むことができる。適当な材料の例としては、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化ホウ素(BN)、ケイ素(Si)、炭化ケイ素(SiC)、シリカ(SiO2)、窒化ケイ素(Si3N4)、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、それらの混合物、および/またはそれら材料の酸化物および/もしくは窒化物、またはそれ以外の適当なセラミックス材料が挙げられる。セラミックス材料の追加例としては、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸カルシウム(CaTiO3)、酸化亜鉛(ZnO)、ローファイア(low-fire)ガラスが含まれたセラミックスまたはその他のガラスボンド材料が挙げられる。
【0019】
薄膜部品は、略0.001μmから略1,000μm、幾つかの実施形態では略0.01μmから略100μm、幾つかの実施形態では略0.1μmから略50μm、幾つかの実施形態では略0.5μmから略20μmの範囲の厚さをもつ1つまたは複数の層を備えることができる。薄膜部品を形成する(1つまたは複数の)材料の各々の層は、エッチング、フォトリソグラフィ、PECVD(プラズマ励起化学気相堆積)法またはその他の技法に基づいた専用の技法を用いて被着することができる。
【0020】
幾つかの実施形態では、上面に複数の上部導電層を形成することができる。たとえば、上部導電層は繰返しパターンで配置することができる。それにより、ビアを使うなどして接続部を形成するための追加的な場所を上面に設けることができる。
【0021】
ヒートシンク部品の本体は非導電性の熱伝導材料を含むことができる。当業者には知られるとおり、材料の熱抵抗性と熱伝導性とは逆比例の関係にある。したがって、低い熱抵抗性は高い熱伝導性と相関関係にある。ヒートシンク部品の本体は、全体として低い熱抵抗(たとえば略6.67x10-3m・℃/W未満)と、全体として高い電気抵抗(たとえば略1014Ω・cm超)とを有する何らかの適当な材料を含むことができる。6.67x10-3m・℃/Wという熱抵抗は略150W/m・℃の熱伝導度に相当する。すなわち、ビーム12の適当な材料は、略150W/m・℃超であるなど、全体として高い熱伝導性を有することができる。
【0022】
たとえば、幾つかの実施形態では、ヒートシンク部品の本体は、略22℃で略100W/m・℃から略300W/m・℃の熱伝導度を有する材料からなることができる。別の実施形態では、絶縁ビーム12は、略22℃で略125W/m・℃から略250W/m・℃の熱伝導度を有する材料からなることができる。別の実施形態では、絶縁ビーム12は、略22℃で略150W/m・℃から略200W/m・℃までの熱伝導度を有する材料からなることができる。
【0023】
幾つかの実施形態では、ヒートシンク部品の本体は、窒化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、何らかの適当なセラミックス材料およびそれらの混合物を含むことができる。
【0024】
幾つかの実施形態では、ヒートシンク部品の本体は窒化アルミニウムを含むことができる。たとえば、幾つかの実施形態では、ヒートシンク部品の本体は、窒化アルミニウムを含む何らかの適当な組成からなることができる。幾つかの実施形態では、ヒートシンク部品の本体は主に窒化アルミニウムからなることができる。たとえば、ヒートシンク部品の本体は添加剤や不純物を含むことができる。他の実施形態では、ヒートシンク部品の本体は酸化ベリリウムを含む。たとえば、幾つかの実施形態では、ヒートシンク部品の本体は、酸化ベリリウムを含む何らかの適当な組成からなることができる。幾つかの実施形態では、ヒートシンク部品の本体は主に酸化ベリリウムからなることができる。たとえば、ヒートシンク部品の本体は添加剤や不純物を含むことができる。
【0025】
図1は本開示の諸態様による回路基板100の側面図である。回路基板100は、実装面104を有する基板102を備えることができる。回路基板100は、実装面104から間隔をあけたグランドプレーン層106を含むことができる。ヒートシンク部品110は、少なくとも部分的に基板102内に埋め込むことができる。ヒートシンク部品110は、非導電性の熱伝導材料を備える本体112を備えることができる。ヒートシンク部品110は、本体112の底面116に被せて形成されてグランドプレーン層106と電気的に接続された下部導電層114を備えることができる。たとえば、ヒートシンク部品110の下部導電層114はグランドプレーン層106に直接接することができる。ヒートシンク部品110は、本体112の上面120に被せて形成された上部導電層118を含むことができる。1つまたは複数のビア122、124は、上部導電層と電気的に接続されて、実装面104の方に延びることができる。
【0026】
実装面104には1つまたは複数のヒートシンク端子126、128を形成することができる。(1つまたは複数の)ビア122、124は、(1つまたは複数の)上部導電層118から実装面104まで延びて、ヒートシンク端子126、128に接続することができる。
【0027】
ヒートシンク部品110は、基板102の実装面104と平行であることができるX方向に長さ134をもつことができる。ヒートシンク部品110は、実装面104に対して垂直であることができるZ方向に厚さ136をもつことができる。ヒートシンク部品110の厚さ136は、その長さ134と比べると、比較的小さなものであることができる。たとえば、厚さ136に対する長さ134の比は略7を超えることができる。
【0028】
ヒートシンク部品110は、X方向に対して垂直、かつ上面120と平行であることができるY方向に幅138をもつことができる。ヒートシンク部品110の厚さ136は、その幅138と比べると比較的小さなものであることができる。たとえば、厚さ136に対する幅138の比は略7を超えることができる。
【0029】
上部導電層は118、119は、ビア122、124の形成を容易にするために大きめの厚さ138を有することができる。ビア122、124は基板102を貫いて上部導電層118、119に至る1つまたは複数のビアホールを穿孔することによって形成することができる。(1つまたは複数の)ビアホールは、めっきを施すことによって(1つまたは複数の)ビア122、124を形成することができ、ビア122、124は(1つまたは複数の)上部導電層118、119と電気的に接続されて基板102の実装面104の方に延びるようにされる。
【0030】
図2Aおよび
図2Bは、ヒートシンク部品110の上面120の上部導電層118、119の繰返しパターンの例を示している。1つの追加の上部導電層119は、上面120上で上部導電層118から間隔をあけることができる。(1つまたは複数の)上部導電層118、119は、ピッチ距離130だけX方向に、またヨー距離132だけY方向に間隔をあけることができる。
図2Aに示すように、上部導電層118、119は全体に円形の形状を有することができる。
図2Bに示すように、上部導電層118、119は全体に正方形または長方形の形状を有することができる。上部導電層118、119は、三角形、卵形、長斜方形のような、その他様々な形状、またはそれ以外のあらゆる適当な形状を有することができる。上部導電層118、119は、X方向に延びる行と、Y方向に延びる列とを有する格子の形に配置することができる。しかし、使用する繰返しパターンは、それが適当である限りどのようなものであってもよい。
【0031】
図3は、本発明の諸態様による回路基板300のもう1つの実施形態の側面図である。回路基板300は、実装面304を有する基板302を備えることができる。回路基板300は、全体として
図1の回路基板100と同様にして構成されたものであることができる。回路基板300は、実装面304から間隔をあけたグランドプレーン層306を含むことができる。ヒートシンク部品310は、少なくとも部分的に基板302内に埋め込むことができる。ヒートシンク部品310は、非導電性の熱伝導材料を備える本体312を備えることができる。
【0032】
ヒートシンク部品310は、本体312の底面316に被せて形成されてグランドプレーン層306と電気的に接続された下部導電層314を備えることができる。下部導電層314は、1つまたは複数のビア330、332によってグランドプレーン層306と電気的に接続することができる。(1つまたは複数の)ビア330、332は、下部導電層314からグランドプレーン層306まで、Z方向に延びることができる。ヒートシンク部品310は、本体312の上面320に被せて形成された上部導電層318を含むことができる。
【0033】
図4Aは、本発明の諸態様による回路基板400のもう1つの実施形態の側面図である。
図4Bは、ヒートシンク部品410の本体412の上面420を上から見下ろした図である。回路基板400は、全体的に
図3の回路基板300と同様にして構成されたものであることができる。回路基板400は、実装面404から間隔をあけたグランドプレーン層406を含むことができる。ヒートシンク部品410は、少なくとも部分的に基板402内に埋め込むことができる。ヒートシンク部品410は、非導電性の熱伝導材料を備える本体412を備えることができる。ヒートシンク部品410は、いずれも本体412の上面420に被せて形成された第1の上部導電層418と第2の上部導電層419とを備えることができる。
【0034】
さらに、この実施形態では、ヒートシンク部品410は1つまたは複数の薄膜部品440を含むことができる。この例では、薄膜部品440は上面420に被せて形成され、第1の上部導電層418と第2の上部導電層419の間に接続される。しかし、別の実施形態では、薄膜部品は本体412の底面416または側面442に形成することができる。この配置では、第1のヒートシンク端子426と第2のヒートシンク端子428の間に所望の回路を設けることを可能にしつつ、第1のヒートシンク端子426および第2のヒートシンク端子428をグランドプレーン406からなお絶縁することができる。
【0035】
一例として、薄膜部品440は薄膜レジスタを含むことができる。もう1つの例として、薄膜部品440は薄膜キャパシタを含むことができる。さらに別の例として、薄膜部品440はバリスタ、インダクタを、またはレジスタ、キャパシタ、バリスタ、インダクタの組合せを含むことができる。
【0036】
幾つかの実施形態では、ヒートシンク部品410はインタポーザなどとして機能することができる。ヒートシンク部品410は、第2の上部導電層419から延びるコネクタ431と接続されたビア430を含むことができる。ビア430は、実装面404への配置が可能な第3のヒートシンク端子432と接続することができる。ヒートシンク部品410は、第2のヒートシンク端子428および第3のヒートシンク端子432との直接的な電気接続を実現することができる。そのため、ヒートシンク部品410は、選ばれた端子間の電気的接続を実現することを目的に、選ばれた端子間に薄膜部品を設けることを目的に、かつ/または他の端子のための電気的接続の実現は行わず、もっぱらヒートシンクとしてのみ機能することを目的に(たとえば、
図1の第1のヒートシンク端子126についてすでに説明したように)構成することが可能である。
【0037】
図5は、埋込みヒートシンク部品を含む回路基板を製造する方法500のフローチャートである。方法500について、ここでは全般に
図1から
図4Bまでの回路基板100、300、400を参照しながら説明する。しかし、開示される方法500は、ヒートシンク部品を備えたあらゆる適当な回路基板に適用可能であるものとして理解されるべきである。また、
図5は例示および検討を目的として、実施されるステップを1つの具体的な順序で説明しているが、ここで検討する方法はいかなる具体的順序や配置にも限定されるものではない。当業者であれば、ここで開示される内容を用いながら、本開示の範囲から外れることなしに、開示された方法の様々なステップを省略し、配置し直し、組合せ、かつ/または様々な形で適合することができることを理解するであろう。
【0038】
この方法は、実装面104を備える基板102を用意するステップを502に含むことができる。基板102は、実装面104から間隔をあけたグランドプレーン層106を含むことができる。
【0039】
方法は、ヒートシンク部品110の本体112の底面116に被せて下部導電層114を形成するステップを504に含むことができる。本体112は非導電性の熱伝導材料を含むことができる。1つまたは複数の上部導電層118、119を本体102の上面104に被せて形成することができる。
【0040】
方法は、ヒートシンク部品110を少なくとも部分的に基板102内に埋め込んで、ヒートシンク部品110の下部導電層114がグランドプレーン106と電気的に接続されるようにするステップを506に含むことができる。
【0041】
方法は、基板102を貫いて上部導電層118、119まで至る1つまたは複数のビアホールを穿孔するステップを508に含むことができる。機械的穿孔、レーザー穿孔、またはそれ以外の何らかの適当な技法を用いることができる。
【0042】
方法は、(1つまたは複数の)ビアホールにめっきを施すことによって、(1つまたは複数の)上部導電層118、119と電気的に接続されて基板102の実装面104の方に延びる(1つまたは複数の)ビア122、124を形成するステップを510に含むことができる。電解めっき、無電解めっき、および/またはそれ以外のあらゆる適当なめっき技法を用いることができる。
【実施例】
【0043】
本明細書で開示する埋込み式ヒートシンク部品および埋込み式ヒートシンク部品を含む回路基板の各種実施形態には様々な用途があると考えられる。
【0044】
たとえば、ヒートシンク部品は、実装面104の端子126、128からグランドプレーン106に至る熱流を円滑にすることができる。例として、様々な実施形態で、実装面104には、電力増幅器、フィルタ、シンセサイザ、コンピュータ部品、電源および/またはダイオードなど、適当な電気部品を取り付けることができる。電力増幅器の具体的なタイプとしては、窒化ガリウム(GaN)電力増幅器、高周波増幅器などの例が挙げられる。ここで説明したような放熱部品と接続するのにふさわしいと考えられるダイオードの例として、様々なタイプのダイオードの中でもとりわけ、レーザーで使用するように特に適合されたダイオードを挙げることができよう。
【0045】
通常の技量を有する当業者であれば、本発明の精神や範囲から外れることなく、本発明の前述およびそれ以外の変更や変形を実現することができよう。また、様々な実施形態の態様は、その全体であれ、一部であれ、互いに入替え可能であることも理解されるべきである。さらに、通常の技量を有する当業者であれば、上述の説明はあくまでも例示であって、添付する請求項でさらに説明する本発明を制限することを意図したものでないことは理解されよう。
【符号の説明】
【0046】
100、300、400 回路基板
102、302、402 基板
104、304、404 実装面
106、306、406 グランドプレーン層
110、310、410 ヒートシンク部品
112、312、412 本体
114、314 下部導電層
116、316、416 底面
118、119、318、418 上部導電層
120、320、420 上面
122、124、322、324、422、424 ビア
126、128、326、328、426、428 ヒートシンク端子
【国際調査報告】